JP2022046003A - デューティ比演算装置 - Google Patents

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【課題】LPFを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保すること。【解決手段】制御システム1のデューティ比を演算する部分は、パルス幅変調の方式でデューティ比を変化させることで変調された入力信号からデューティ比を演算する。デューティ比を演算する部分は、入力信号から所定の周波数帯域の信号を除去して除去後信号とするLPFと、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算するCPU210とを備える。【選択図】図1

Description

この開示は、パルス幅変調の方式でデューティ比を変化させることで変調された入力信号からデューティ比を演算するデューティ比演算装置に関する。
従来、検出された回転速度に応じたパルス信号の単位時間当りのパルスの数をカウントする装置があった。このようなカウント装置において、複数の周波数帯用の複数のカウンタを設けて、パルス波形のうちそれぞれのカウンタに対応する周波数帯域におけるパルスの数をカウントするカウント装置があった(たとえば、特許文献1参照)。このようなカウント装置によれば、カウンタの多重化によりカウント値の信頼性を向上できる。周波数帯は一部重複させてもよい。
特開2011-053067号公報
特許文献1のカウント装置において、全帯域に対して1つのローパスフィルタ(以下、LPF(Low Pass Filter)という)を用いる場合、立ち上がり(または立ち下がり)の波形の鈍りが、高周波数の帯域においてパルス波に与える影響が大きくなるため、カウン値の精度が下がる。このため、各帯域別にそれぞれ影響の小さいLPFを設ければ、カウント値の精度をある程度、担保することができるが、構成が複雑化する。
従来、制御値または検出値をパルス波のデューティ比に変換することで変調するパルス幅変調(以下「PWM(Pulse Width Modulation))の方式があった。このPWM方式においても、信号線を通ってくるときのノイズを除去するために、特許文献1と同様に、LPFを用いる場合、立ち上がり(または立ち下がり)の波形の鈍りがパルス波に与える影響が大きくなるため、このパルス波の受信側でのデューティ比の演算精度が下がる。このため、精度を担保するために、同様に、ハードウェア構成を設けることが考えられるが、構成が複雑化する。
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルタを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保することが可能なデューティ比演算装置を提供することである。
この開示に係るデューティ比演算装置は、パルス幅変調の方式でデューティ比を変化させることで変調された入力信号からデューティ比を演算する。デューティ比演算装置は、入力信号から所定の周波数帯域の信号を除去して除去後信号とするフィルタと、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算する演算部とを備える。
このような構成によれば、フィルタを用いて所定の周波数帯域の信号を除去する場合であっても、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算できる。このため、フィルタを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保することができる。
この開示によれば、フィルタを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保することが可能なデューティ比演算装置を提供することができる。
この実施の形態に係る制御システムの構成の概略を示す図である。 この実施の形態のパルス波を示す図である。 この実施の形態のLPFによる波形の鈍りを説明するための図である。 第3実施形態に係る制御システムの構成の概略を示す図である。 第4実施形態に係る制御システムの構成の概略を示す図である。 第5実施形態における制御対象装置で実行されるデューティ比演算処理の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態は説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
[第1実施形態]
図1は、この実施の形態に係る制御システム1の構成の概略を示す図である。図1を参照して、制御システム1は、制御装置100と、制御対象装置200とを含む。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、スイッチ141と、抵抗器142とを含む。制御対象装置200は、CPU210と、緩衝増幅器211と、プルアップ抵抗器212と、コンデンサ213とを含む。
制御装置100の通信端子190と、制御対象装置200の通信端子290との間は、通信ケーブル900で接続される。スイッチ141の一方側は、抵抗器142を介して通信端子190に接続される。スイッチ141の他方側は、グランドに接続される。スイッチ141には、CPU110から制御線が接続される。緩衝増幅器211の入力側は通信端子290に接続される。緩衝増幅器211の出力側はCPU210に接続される。コンデンサ213の一方側およびプルアップ抵抗器212の一方側は、緩衝増幅器211と通信端子290との間の線に接続される。コンデンサ213の他方側は、グランドに接続される。プルアップ抵抗器212の他方側は、電圧源に接続される。
制御システム1は、たとえば、車両であるが、制御の対象を制御するシステムであれば、他のどのようなシステムであってもよい。制御システム1がたとえば車両である場合、制御装置100は、たとえば、ECU(Electronic Control Unit)であり、制御対象装置200は、たとえば、ラジエータファンのファンモータなどのモータ、照明装置、PCU(Power Control Unit)、エアバッグ、および、DC(Direct Current)/DCコンバータなど、車載のどのような装置であってもよい。
CPU110は、所定の処理を実行する演算装置であり、演算部とプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)とワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とを含み、制御装置100の各部を制御する。スイッチ141は、CPU110によって制御されて電路を開閉する。緩衝増幅器211は、入力された信号を増幅し、CPU210に入力する。CPU210は、所定の処理を実行する演算装置であり、演算部とプログラムを記憶するROMとワークメモリとして用いられるRAMとを含み、制御対象装置200の各部を制御する。
この実施の形態においては、CPU110は、制御対象装置200を制御するための制御量をデューティ比αとするPWM信号を生成するようスイッチ141を制御する。具体的には、1回のパルスの周期T(s)のうち信号をオン状態(高い電圧の状態。ここでは電圧源の電圧。)とするオン期間をt(s)とした場合に、CPU110は、次の周期の制御量を決定し、α(%)=(制御量/制御量最大値)×100=(t/T)×100となるように次の周期のt(s)=T×(制御量/制御量最大値)を計算し、次の周期の開始時からオン期間tの間、信号をオン状態とするためにスイッチ141をオン状態に制御し、オン期間tの経過後、その周期が終わるまで、信号をオフ状態(低い電圧の状態。ここではグランドの電圧。)とするためにスイッチ141をオフ状態に制御する。
図2は、この実施の形態のパルス波を示す図である。図2(A)を参照して、デューティ比α(%)=(t/T)×100である1回のパルスが、制御装置100から制御対象装置200に流れる。また、これが周期Tで連続的に実行されることで、デューティ比が変調された周期Tのパルス波が、制御装置100から制御対象装置200に流れる。
緩衝増幅器211は、制御装置100からのパルス波を増幅して、CPU210に入力する。CPU210は、緩衝増幅器211から入力されたパルス波の1つ1つのパルスごとのデューティ比を演算し、デューティ比で示される制御量で制御対象を制御する。
制御システム1がたとえば車両である場合、制御装置100と制御対象装置200とを接続する通信ケーブル900が数メートルにも及ぶ場合がある。また、車両が駆動用モータを備えている場合、高電圧の電力をモータに供給するための高圧ケーブルが必要である。このように、通信ケーブル900が長くなったり、通信ケーブル900の近くに高圧ケーブルが配線されたりすることによって、通信ケーブル900を通る信号にノイズが印加される可能性が高くなる。
図1で示した制御システム1において、通信ケーブル900を通ってくるときのノイズを除去するために、LPFを用いることが考えられる。図1を再び参照して、この制御システム1においては、制御装置100の側の抵抗器142と制御対象装置200の側のコンデンサ213とによってLPFが構成される。
図2(B)を参照して、LPFを用いる場合、立ち上がり(または立ち下がり)の波形の鈍りがパルス波に与える影響が大きくなるため、このパルス波の受信側の制御対象装置200でのデューティ比の演算精度が下がる。
スイッチ141としては、トランジスタを用いたオープンコレクタ、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)を用いたオープンドレイン、および、機械スイッチなどの接点出力を用いることができる。この接点出力でPWM駆動した場合、プルアップ抵抗器212とLPFによって、パルス波形の立ち上がりと立ち下がりの時定数が異なることとなる。一般的に、プルアップ抵抗は数kΩ以上であるため、特にプルアップ抵抗によって立ち上がりの時定数が大きくなりやすい。
このように、デューティ比によって制御するPWMの入力信号の耐ノイズ性能を向上させるため、LPFのようなフィルタを設けると波形に鈍りが生ずる。PWMの波形が鈍ると、入力信号の振幅方向の閾値で認識されるデューティ比が増減するため、デューティ比に誤差が生ずる。PWMのパルスの周波数が高くなると、単位周期当りの波形の鈍りの影響が相対的に大きくなるため、PWMの周波数によって認識できるデューティ比の誤差は大きくなる。したがって、ノイズ対策にフィルタを設けた場合に時定数を大きくできないといった課題が生ずる。また、PWMのパルスの周波数が変わるとデューティ比に誤差が出るといった課題が生ずる。このため、デューティ比の演算精度を担保するために、ハードウェア構成を設けることが考えられるが、構成が複雑化する。
そこで、制御システム1は、入力信号から所定の周波数帯域の信号を除去して除去後信号とするLPFと、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算するCPU210とを備える。これにより、LPFを用いて所定の周波数帯域の信号を除去する場合であっても、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算できる。このため、LPFを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保することができる。
図3は、この実施の形態のLPFによる波形の鈍りを説明するための図である。図3を参照して、図2(A)で示した入力信号をLPFに入力することによって、入力信号からノイズは除去されるが、図3で示すように、波形が鈍る。具体的には、制御装置100から出力されるときに図2(A)で示したようにほぼ垂直に上昇した信号の立ち上がりが、図3で示すように、対数関数的に上昇するようになる。また、制御装置100から出力されるときに図2(A)で示したようにほぼ垂直に下降した信号の立ち下がりが、図3で示すように、対数関数的に下降するようになる。
CPU210は、パルス波形がオン電圧閾値Vth(on)を超える期間をオン期間と検出する。CPU210は、波形が鈍らない場合には、オン期間をt(s)と検出するところ、図3で示すように波形が鈍る場合には、オン期間をt2(s)と検出する。このように、元のオン期間t(s)が、変化量t1(s)、短くなり、t2(s)と検出されてしまう。その結果、元のデューティ比α(%)が、変化量α1(%)、短くなり、α2(%)=(t2/T)×100と演算されてしまう。変化量t1(s)は、以下の数式(1)で算出される。
Figure 2022046003000002
ここで、τ(s)は、LPFの時定数である。Vcc(V)は、電圧源の電圧値である。Cf(F)は、コンデンサ213の静電容量値である。Rp(Ω)は、プルアップ抵抗器212の抵抗値である。このため、変化量α1(%)は、以下の数式(2)で算出される。また、補正したデューティ比αcは、以下の数式(3)で算出される。
Figure 2022046003000003
Figure 2022046003000004
[第1実施形態の第1変形例]
なお、立ち下がりも考慮する場合は、元のオン期間t(s)が、立ち上がりの変化量t1(s)短くなるとともに、立ち下がりの変化量t3(s)長くなり、t2(s)と検出されてしまう。その結果、元のデューティ比α(%)が、変化量α1(%)、短くなるとともに、変化量α3(%)長くなり、α2(%)=(t2/T)×100と演算されてしまう。変化量t1(s)は、上述の数式(1)で算出される。変化量t3(s)は、以下の数式(4)で算出される。
Figure 2022046003000005
Rf(Ω)は、抵抗器142の抵抗値である。このため、変化量α3(%)は、以下の数式(5)で算出される。また、補正したデューティ比αcは、以下の数式(6)で算出される。
Figure 2022046003000006
Figure 2022046003000007
たとえば、Vcc=12(V)、Cf=0.1μF、Rp=10kΩ、Rf=100Ω、Vthon=8(V)、Vthoff=6(V)、PWM周波数=250(Hz)とする。
この場合、数式(1)より、t1=-0.1μF×10kΩ×ln(1-8/12)=1.10(ms)となる。また、数式(4)より、t3=-0.1μF×100Ω×ln(1-6/12)=69.32(μs)となる。
また、PWMの周期T=1/250=4(ms)である。数式(2)、数式(5)および数式(6)より、補正したデューティ比αc=(1.10(ms)+69.32(μs))/4(ms)×100+α2=29.2(%)+α2となる。つまり、入力信号から演算されたデューティ比α2(%)に29.2(%)を加算したものが、補正したデューティ比となる。
[第1実施形態の第2変形例]
上例では、t1を計算で算出するようにした。これに限定されず、t1をシミュレーションで求めるようにしてもよい。
たとえば、250HzのPWMのパルスを上述のLPFに入力するシミュレーションをして解析した場合に、t1=1.0876(ms)が得られた場合、α1=1.0876(ms)/4(ms)×100=27.2(%)となる。このため、補正したデューティ比αc=27.2(%)+α2となる。つまり、入力信号から演算されたデューティ比α2(%)に27.2(%)を加算したものが、補正したデューティ比となる。
[第2実施形態]
第1実施形態においては、PWMのパルス波の周期およびLPFの時定数を考慮した計算式を用いてデューティ比を補正するようにした。第2実施形態においては、PWMのパルス波の周波数ごとの補正量を予め計算してCPU210のROMに記憶させておき、この補正量を用いてデューティ比を補正する。
Figure 2022046003000008
第1実施形態で説明したように、LPFのパラメータである抵抗器142の抵抗値、プルアップ抵抗器212の抵抗値およびコンデンサ213の静電容量値は、制御システム1において一定である。このため、入力されるPWMのパルス波の周波数に応じてデューティ比の補正量が異なる。
表1は、第2実施形態の補正テーブルを示す表である。表1を参照して、この第2実施形態においては、表1のように、PWMのパルス波の周波数ごとのデューティ比の補正量を、シミュレーションまたは数式(1)から数式(6)で示したような計算式で、予め計算してCPU210のROMに記憶させておく。そして、CPU210は、入力信号の周波数f(Hz)を特定し、周波数f(Hz)に対応する補正量α1(%)を補正テーブルから特定し、入力信号のデューティ比α2(%)を演算し、補正したデューティ比αc(%)=α1+α2を算出する。
なお、ここでは、表1で示したように、周波数ごとの補正量を予め記憶するようにしているが、周波数に変えて周期としてもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態における、パルス波を発生するデバイスであるスイッチ141が、オープンコレクタ接続のトランジスタ143である場合の例を示す。
図4は、第3実施形態に係る制御システム1Aの構成の概略を示す図である。図4を参照して、第3実施形態の制御システム1Aは、スイッチ141がトランジスタ143であることとされる。トランジスタ143のエミッタは、抵抗器142を介して通信端子190に接続される。トランジスタ143のベースは、CPU110に接続される。トランジスタ143のコレクタは、グランドに接続される。
制御装置100AのCPU110は、PWMの信号をオン状態(高い電圧の状態)とするためにトランジスタ143のベース-コレクタ間に電流を流す。トランジスタ143のエミッタに電圧が掛けられると、このベース-コレクタ間の電流に応じた電流が、エミッタ-コレクタ間に流れる。制御装置100AのCPU110は、PWMの信号をオフ状態(低い電圧の状態)とするためにトランジスタ143のベース-コレクタ間に電流を流さないようにする。トランジスタ143のエミッタに電圧が掛けられていても、このベース-コレクタ間に電流が流れていない場合は、エミッタ-コレクタ間に電流は流れない。
この実施の形態においては、CPU110は、制御対象装置200を制御するための制御量をデューティ比αとするPWM信号を生成するようトランジスタ143を制御する。具体的には、1回のパルスの周期T(s)のうち信号をオン状態(高い電圧の状態。ここでは電圧源の電圧。)とする期間をt(s)とした場合に、CPU110は、次の周期の制御量を決定し、α(%)=(制御量/制御量最大値)×100=(t/T)×100となるように次の周期のt(s)=T×(制御量/制御量最大値)を計算し、次の周期の開始時からオン期間tの間、信号をオン状態とするためにトランジスタ143のベースに電流を流すよう制御し、オン期間tの経過後、その周期が終わるまで、信号をオフ状態(低い電圧の状態。ここではグランドの電圧。)とするためにトランジスタ143のベースに流している電流を止めるよう制御する。
[第4実施形態]
第4実施形態は、第1実施形態における、パルス波を発生するデバイスであるスイッチ141が、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)およびTTL(Transistor-transistor-logic)などで構成されるオペアンプ144である場合の例を示す。
図5は、第4実施形態に係る制御システム1Bの構成の概略を示す図である。図5を参照して、第4実施形態の制御システム1Bは、スイッチ141がオペアンプ144であることとされる。オペアンプ144の出力は、抵抗器142を介して通信端子190に接続される。オペアンプ144の入力は、CPU110に接続される。オペアンプ144の正電源は、電圧源に接続される。オペアンプ144の負電源は、グランドに接続される。
制御装置100BのCPU110は、PWMの信号をオン状態(高い電圧の状態)とするためにオペアンプ144の入力に電圧を掛ける。オペアンプ144の入力に電圧が掛かると、この電圧に応じた電圧が、出力に掛かる。制御装置100AのCPU110は、PWMの信号をオフ状態(低い電圧の状態)とするためにオペアンプ144の入力に掛けた電圧を掛けないようにする。オペアンプ144の入力に電圧が掛けられない場合は、出力に電圧は掛からない。
この実施の形態においては、CPU110は、制御対象装置200を制御するための制御量をデューティ比αとするPWM信号を生成するようオペアンプ144を制御する。具体的には、1回のパルスの周期T(s)のうち信号をオン状態(高い電圧の状態。ここでは電圧源の電圧。)とする期間をt(s)とした場合に、CPU110は、次の周期の制御量を決定し、α(%)=(制御量/制御量最大値)×100=(t/T)×100となるように次の周期のt(s)=T×(制御量/制御量最大値)を計算し、次の周期の開始時からオン期間tの間、信号をオン状態とするためにオペアンプ144の入力に電圧を掛けるよう制御し、オン期間tの経過後、その周期が終わるまで、信号をオフ状態(低い電圧の状態。ここではグランドの電圧。)とするためにオペアンプ144の入力に掛けている電圧を掛けないよう制御する。
[第5実施形態]
上述した実施の形態においては、CPU210で実行される処理の流れについては特に触れなかった。第5実施形態においては、第2実施形態においてCPU210で実行される処理の流れの一例を示す。
図6は、第5実施形態における制御対象装置200で実行されるデューティ比演算処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照して、このデューティ比演算処理は、制御対象装置200のCPU210によって、上位の処理から所定の制御周期ごとに呼出されて実行される。
まず、CPU210は、LPFでフィルタリングされた後の入力信号の波形を読込む(ステップS111)。CPU210は、読込んだ入力信号のパルスの周期(周波数)を特定する(ステップS112)。周期は、たとえば、パルス信号の連続する2つの立ち上がり間(または立ち下がり間)の期間として特定できる。
CPU210は、前の制御周期からパルスの周波数が変更されたかを判断する(ステップS113)。変更された(ステップS113でYES)と判断した場合、CPU210は、第2実施形態の表1で示した補正テーブルを用いて、周波数に対応する補正値を、特定した周波数に対応する補正値に変更する(ステップS114)。
パルスの周波数が変更されていない(ステップS113でNO)と判断した場合、または、ステップS114の後、CPU210は、図3で説明したように、読み込んだ入力信号の波形からデューティ比α2(%)を算出する(ステップS115)。
次に、CPU210は、第2実施形態で説明したように、算出したデューティ比α2(%)に補正値α1(%)を加算し、補正したディーティ比αc(%)を算出する(ステップS116)。その後、CPU210は、実行する処理をこの処理の呼出元の上位の処理に戻す。
なお、この処理においては、入力信号からデューティ比を算出して、デューティ比を補正するようにした。しかし、これに限定されず、入力信号からオン時間を算出して、オン時間を補正するようにしてもよい。
また、ステップS113で示したように、入力信号の周波数が変更された場合に、補正値を変更するようにした。しかし、これに限定されず、入力信号のデューティ比α2またはオン時間t2が変更された場合に、補正値を変更するようにしてもよい。
また、処理速度を上げるために、パスル波の周期ごとに処理を実行するのではなく、数周期ごとに間引いて処理を実行するようにしてもよい。また、演算の精度を挙げるために、複数回、波形を読込み、読込んだ波形に対して演算を実行し、読込んだ値および演算した値の平均値を採用するようにしてもよい。
[変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、デューティ比の補正対象として、パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部を挙げた。デューティ比の補正対象は、パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部の両方であってもよい。また、いずれかが無視できる程小さいような場合は無視できる方を含めないようにしてもよい。
(2) 前述した実施の形態においては、対象となるパルス信号がHiとLoとの2値であることとした。このため、補正対象が立ち上がり部と立ち下がり部との2つであることとした。しかし、これに限定されず、この開示の対象となる信号は、3値以上を取り得る信号であってもよい。たとえば、Hi/Mid/Loの3値を取り、3値で1周期の場合は、立ち上がり部が2つ、立ち下がり部が2つとなる。
(3) 前述した実施の形態においては、フィルタがLPFであることとした。しかし、これに限定されず、時定数を有するフィルタであれば適用可能であり、フィルタの特性、次数、段数および構成素子は問わない。たとえば、特定の周波数帯の信号を通過させるバンドパスフィルタであってもよいし、RCフィルタまたはLCフィルタなどの受動素子を用いたフィルタであってもよいし、オペアンプなどの能動素子を用いたフィルタであってもよいし、CPU210などによる演算によるデジタルフィルタであってもよい。
(4) 前述した第1実施形態においては、数式(1)から数式(6)で示したように対数関数が含まれているため、CPU210による演算時間が長くなってしまう場合がある。このため、台形近似や直線近似などの近似を用いて演算を単純化してもよい。
(5) 前述した実施の形態においては、デューティ比を補正するようにした。しかし、これに限定されず、電圧、時間、電流およびデューティ比など間接的にデューティ比を補正することができれば、補正する項目は問わない。
たとえば、前述した実施形態においては、オン時間(s)およびデューティ比(%)を求めてからデューティ比を加減算することで補正するようにした。しかし、オン時間およびデューティ比を演算してから補正するのではなく、入力信号をA/Dコンバータなどで変換した電圧の段階で補正を実施し、その後、オン時間およびデューティ比を算出してもよい。
電圧および電流については、CPU210へ入力するときに、電圧をA/Dコンバータで変換して、その電圧値を補正してもよいし、電流をA/Dコンバータで変換して、その電流値を補正してもよい。
また、前述した実施の形態では、最終的に、デューティ比を補正するようにしたが、これに限定されず、最終的に、オン時間を補正するようにしてもよい。
(6) 前述した実施の形態においては、フィルタであるLPFが制御装置100と制御対象装置200とに跨がって構成されるようにした。しかし、これに限定されず、フィルタが制御装置100および制御対象装置200のいずれかに含まれるようにしてもよいし、制御装置100および制御対象装置200とは別の装置として制御システムに含まれるようにしてもよい。
(7) 前述した実施の形態においては、受信側の制御対象装置200においてデューティ比を補正するようにした。しかし、これに限定されず、受信側および送信側のいずれでデューティ比を補正するようにしてもよい。送信側で補正する場合には、PWM信号を生成するときに、受信側で失われるデューティ比を、生成時のデューティ比αに加味して生成する。
この場合に、送信側にフィルタを構成するコンデンサおよび抵抗器が含まれる場合、これらのコンデンサの静電容量値および抵抗器の抵抗値を、通信回線(たとえば、車両の場合はCAN)経由で受信側に送信し、受信側でこれらの値を用いて補正量を算出してもよい。また、受信側にフィルタを構成するコンデンサおよび抵抗器が含まれる場合、これらのコンデンサの静電容量値および抵抗器の抵抗値を、通信回線経由で送信側に送信し、送信側でこれらの値を用いて補正量を算出し、この補正量を加味したデューティ比のPWM信号を生成してもよい。
(8) 前述した実施の形態を、制御システム1,1A,1Bの開示と捉えてもよいし、制御システム1,1A,1Bに含まれるデューティ比を演算する部分の開示と捉えてもよいし、これらで実行される演算方法または演算プログラムの開示と捉えてもよい。
[まとめ]
図1~図6で示したように、制御システム1,1A,1Bのデューティ比を演算する部分は、パルス幅変調の方式でデューティ比を変化させることで変調された入力信号からデューティ比を演算する。図1~図3で示したように、デューティ比を演算する部分は、入力信号から所定の周波数帯域の信号を除去して除去後信号とするLPFと、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算するCPU210とを備える。
現状、各ECU間の接続(たとえば、HV(Hybrid Vehicle)-ECUとPCUとの間のシャットダウン信号など)、ラジエータファンへのインターフェースとしてデューティ比での指示が多用されている。また、ノイズ対策でフィルタを多用しているため、波形鈍りのために周波数ごとに部品を分けたり、不整合の場合に試作の不具合が発生したりしている。
車両のワイヤハーネスなど動力線と近接または並走してPWMの信号線を配線する場合は、信号線にノイズが混入する可能性があるため、フィルタを設けることが一般的である。フィルタの時定数を大きくするとノイズの除去性能が向上するが、背反として信号が鈍り、デューティ比が小さくなる欠点があるため、時定数を大きくできなかった。また、PWMのパルス波の周波数によってデューティ比の誤差が異なるため、パルス波の周波数を変えるごとに、ハードウェアまたはソフトウェアの定数の調整が必要であった。さらに、フィルタの時定数を大きくした場合は、波形の鈍りによるデューティ比への影響を避けるために、PWMのパルス波の周波数を低くしていた。したがって、PWM信号での制御値などを送る命令周期が長くなるため、装置の応答性が悪くなっていた。
この開示により、LPFを用いて所定の周波数帯域の信号を除去する場合であっても、パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、除去後信号の補正したデューティ比を演算できる。このため、LPFを用いる場合であっても構成を複雑化することなく精度を担保することができる。ノイズ対策のためLPFの時定数を比較的大きくしても、PWMの周波数によるデューティ比の誤差を削減することができる。つまり、耐ノイズ性とPWMの周波数のワイドレンジ化をデューティ比の精度を保ちながら両立できる。フィルタの時定数の影響を抑制できるため、装置の応答性を向上させるためにPWMのパルス波の周波数を向上させることができる。
上述の制御対象装置200のCPU210のようにソフトウェアを実行可能な制御部を有する場合は、ソフトウェアのみでデューティ比の精度を保つことができる。このため、ハードウェアの追加コストが不要となる。ソフトウェアでデューティ比の精度を担保できるため、フィルタを構成するコンデンサおよび抵抗器などの部品の要求精度を下げることができる。PWMのパルスの周波数をワイドレンジ化できるため、制御対象装置200のバリエーションを共通化できるので、バリエーションを削減できる。時定数の大きいフィルタを用いることで、特別なハードウェアを使用せずにノイズに強い装置を作ることができる。これにより、装置の品質を向上でき、試作の不具合を未然に防止でき、不具合に対応する工数を削減できる。今後の車両などの電動化およびコネクティッド化により増加するノイズに強い装置を作ることができる。
PWMのデューティ比とするのは、制御システムにおける制御対象装置が、モータである場合は、回転速度であり、照明装置である場合は、照度であり、PCUである場合、駆動力をカットするための緊急シャットダウン信号であり、エアバッグである場合、エアバッグ指令信号であり、DC/DCコンバータである場合、動作指令信号である。
たとえば、緊急シャットダウン信号およびエアバック指令信号など、配線失陥時のフェールセーフ性の向上のためにPWM信号が使用される場合がある。たとえば、配線被膜に傷がありボディに接触した場合はグランドショートの状態となったり、バッテリ系に接触した場合はプラスショートの状態となったり、接触不良の状態となったり、外来ノイズが影響したりした場合、バースト状の信号となり得る。Hi/Loの2値のみでは、たとえば、配線の失陥によってHiとなったのか、明示的に入力されてHiとなったのかが判別できず、誤検出に繋がる場合がある。
このような場合に、PWM信号を使用し、特定のデューティ比でのみ指令を伝達することによって、配線失陥(グランドショート、プラスショート、プルアップ/ダウンによるオープン)の有無を検知しながら、信号の指令状態(たとえば、デューティ比70~80%が正常接続中である状態,デューティ比40~50%が動作を指令する状態)を判別できます。
したがって、誤検出が好ましくない場合(エアバッグ指令信号,強制動力カット信号)、配線の失陥および外来ノイズなどに起因するバースト波形の信号が入力された場合には、制御対象装置において、そのバースト波形の信号には反応させず、正規の信号のみ制御対象装置を動作させる用途においても、PWM制御を使うことができる。この場合に、波形によるデューティ比の誤差を抑制することで、動作するデューティ比の範囲を狭くできるため、誤検知をさらに抑制できます。
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B 制御システム、100,100A,100B 制御装置、110,210 CPU、141 スイッチ、142 抵抗器、143 トランジスタ、144 オペアンプ、190,290 通信端子、200 制御対象装置、211 緩衝増幅器、212 プルアップ抵抗器、213 コンデンサ、900 通信ケーブル。

Claims (1)

  1. パルス幅変調の方式でデューティ比を変化させることで変調された入力信号からデューティ比を演算するデューティ比演算装置であって、
    前記入力信号から所定の周波数帯域の信号を除去して除去後信号とするフィルタと、
    パルスの周波数または周期と補正量との予め定められた関係から、前記除去後信号の補正したデューティ比を演算する演算部とを備える、デューティ比演算装置。
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