以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1を模式的に示す図である。眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のレンズ面に画像(静止画像及び動画像)を表示することにより、眼鏡を装着したユーザ(以下、単に「ユーザ」と記載)に画像を視認させる表示装置である。眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル52に組み付けられた画像表示ユニット10から出射された画像光をユーザの瞳孔に入射させることにより、ユーザに画像を視認させる。なお、画像表示ユニット10においてディスプレイはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャンディスプレイが望しいが、LCOS(Liquid crystal on silicon)やDMD(DigitalMirror Device)等の平面ディスプレイであってもよい。また、ディスプレイ表示に用いられる照明光としては、LED(Light Emitting Diode)の光を用いてもよいし、レーザー光を用いてもよい。
眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡の基本構成を具備しており、図1に示されるように、両眼に対応する一対のレンズ50、両眼のレンズ50を保持するフレーム間を架け渡すブリッジ51、及び、両眼のレンズ50を保持するフレームに連続すると共にユーザの側頭部に固定される一対のテンプル52等の構成を備えている。レンズ50は、入射した(投影された)画像光の少なくとも一部をユーザの瞳孔に向けて反射する。レンズ50の入射面において反射した画像光は、瞳孔から見て虚像として像を形成する。これにより、ユーザに画像を視認させることができる。
眼鏡型画像表示装置1は、画像表示ユニット10を備えている。画像表示ユニット10は、コンテンツ蓄積部11と画像出力部12と制御部13とを備える。画像出力部12は、例えばテンプル52上に配置される。なお、眼鏡型画像表示装置1は、上述した画像表示ユニット10の各構成を、両眼それぞれに対応して有しているが、当該両眼それぞれに対応する構成の機能は互いに同一であるため、以下の説明においては片方の眼に対応した構成のみを説明する。
コンテンツ蓄積部11は、ユーザに視認させるコンテンツを蓄積する構成であり、ユーザに視認させるコンテンツとは、本実施形態ではレンズ50に投影される画像である。コンテンツ蓄積部11は、テンプル52上に配置されていてもよいし、テンプル52から離れた位置に配置されていてもよい。
画像出力部12は、画像情報を含む光である画像光を出力する構成であり、有線または無線接続によりコンテンツ蓄積部11から画像情報を取得し、取得した画像情報に関する画像光を出射する。画像出力部12には、光源及びディスプレイが含まれ、光源から出射された照射光をディスプレイにおいて反射させて、画像情報を含む画像光として出力する。
制御部13は、各種の制御を行う回路である。制御部13のハードウェア構成については後述する。制御部13は、例えば、画像出力部12によって、コンテンツ蓄積部11からの画像の取得及び画像光の出射が行われるように、画像出力部12に所定の制御信号を出力する。
図2は、レンズ50における光の複製及び反射の例を示す図である。図2に示されるように、レンズ50は、基板50Aと、透過ホログラム50Bと、反射ホログラム50Cと、を備える。
基板50Aは、一方の表面50Aa及び他方の表面50Abを有する透明な板状の部材であり、例えばガラス、プラスチック等によって構成される。一方の表面50Aaとは、ユーザの眼に近くなる側の表面である。他方の表面50Abとは、ユーザの眼から遠くなる側の表面である。基板50Aの屈折率は、透過ホログラム50Bおよび反射ホログラム50Cとの接面において、光が反射せず通過することのできる範囲の屈折率となっている。
透過ホログラム50Bは、基板50Aの一方の表面50Aa側に設けられ、画像出力部12から出射された画像光を複製して、再生用参照光として透過する。透過ホログラム50Bは、基板50Aの一方の表面50Aaに接するように配置される。透過ホログラム50Bには、画像出力部12から出射された画像光が、基板50Aの一方の表面50Aaと接しない面から入射する。透過ホログラム50Bは、複製した再生用参照光を、基板50Aの一方の表面50Aaに接する面から放射状に透過する。透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光は、ユーザに視認させるディスプレイ映像全体の再生用参照光である。透過ホログラム50Bは、例えばガラス、プラスチック等により構成された透明なカバーを有していてもよい。透明なカバーは、透過ホログラム50Bの表面のうち、片面又は両面に接するように配置される。
反射ホログラム50Cは、基板50Aの他方の表面50Ab側に設けられ、ユーザの眼に向けて、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光を反射する。反射ホログラム50Cは、基板50Aの他方の表面50Abに接するように配置される。反射ホログラム50Cには、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光が、基板50Aの他方の表面50Abに接する面から入射する。反射ホログラム50Cは、反射光が互いに平行な方向へ進むように再生用参照光を反射する。ここでの「互いに平行な方向へ進む」とは、同じ画像における同じ位置の画素からの画像光が、透過ホログラム50Bにより複製され、反射ホログラム50Cにより反射された後、ユーザの眼に向けて互いに平行な方向へ進むことである。反射ホログラム50Cは、例えばガラス、プラスチック等により構成された透明なカバーを有していてもよい。透明なカバーは、反射ホログラム50Cの表面のうち、片面又は両面に接するように配置される。
図2では、説明のため、画像出力部12から出射された画像光のうちの端部の画像光A及びB、並びに、これらの透過光及び反射光の進路を示している。実際には、画像光A及びBのほか、各画素についての画像光が存在する。画像出力部12は、基板50Aの一方の表面50Aaに向けて、画像情報を含む光である画像光A及びBを出射する。透過ホログラム50Bは、画像出力部12から出射された画像光Aを複製して、再生用参照光A1、A2、及びA3として透過する。反射ホログラム50Cは、ユーザの眼に向けて、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光A1、A2、及びA3を反射する。このとき、反射ホログラム50Cは、再生用参照光A1、A2、及びA3のそれぞれに対応する反射光AR1、AR2、及びAR3が互いに平行な方向へ進むように反射する。同様に、透過ホログラム50Bは、画像出力部12から出射された画像光Bを複製して、再生用参照光B1、B2、及びB3として透過する。反射ホログラム50Cは、ユーザの眼に向けて、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光B1、B2、及びB3を反射する。このとき、反射ホログラム50Cは、再生用参照光B1、B2、及びB3のそれぞれに対応する反射光BR1、BR2、及びBR3が互いに平行な方向へ進むように反射する。
透過ホログラム50Bは、複製後の各再生用参照光の収差度合いが同じになるように調整することが望ましい。具体的には、透過ホログラム50Bは、再生用参照光A1及びB1が平行になるように調整する。同様に、透過ホログラム50Bは、再生用参照光A2及びB2が平行になるように調整し、再生用参照光A3及びB3が平行になるように調整する。これにより、透過ホログラム50Bは、画像光Aから複製され、透過された再生用参照光A1、A2、及びA3の収差度合いが同じになるように調整することができる。同様に、透過ホログラム50Bは、画像光Bから複製され、透過された再生用参照光B1、B2、及びB3の収差度合いも同じになるように調整することができる。
次に、図3~図5を参照して、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光について説明する。図3~図5では、説明のため、再生用参照光A1及びB1、再生用参照光A1及びB1のそれぞれに対応する反射光AR1及びBR1、並びに、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1を示している。
図3~図5に示されるように、本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1は、方向調整層60を備える。方向調整層60は、反射ホログラム50Cにおける基板50Aの他方の表面50Abに接する面と反対側の面に設けられ、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光について、再度反射ホログラム50Cに反応する方向とは異なる方向へ進むように調整する。例えば、方向調整層60は、一部の再生用参照光AT1が再度反射ホログラム50Cに反応しないよう、反射ホログラム50Cが作成(露光)された際の参照光のすべての角度とは異なる方向へ進むように調整する。
図3は、方向調整層60の第1の態様を示す図である。方向調整層60Aは、透明なフィルム状およびガラス板の部材であり、例えばフィルムはプラスチック等から構成される。方向調整層60Aは、反射ホログラム50Cで回折しなかった光が入射できる屈折率を持ち、反射ホログラム50Cに接するように配置されてもよいし、反射ホログラム50Cの表面に透明なカバーがある場合には、そのカバーの表面上に設置されてもよい。
方向調整層60Aは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1が基板50Aの他方の表面50Abに向かって進まないように、該再生用参照光AT1の方向を調整する。方向調整層60Aには、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1が、反射ホログラム50Cに接する面から入射する。再生用参照光AT1は、方向調整層60Aの内部を進む。方向調整層60Aは、方向調整層60Aにおける反射ホログラム50Cに接する面と反対側の表面から、再生用参照光AT1を空気中に出射(透過)させる。このようにして、方向調整層60Aは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1の方向を調整し、当該再生用参照光AT1が再度反射ホログラムに反応する方向に進まないように調整する。
方向調整層60Aにおける反射ホログラム50Cに接する面と反対側の表面には、方向調整層60Aと空気との屈折率差をなくすように微細加工が施されていてもよい。微細加工は、例えば、モスアイ構造の加工とされてもよい。モスアイ構造とは、根本側から先端側にかけて細くなり、可視光の波長380~780nmよりも小さい突起が林立する構造である。このような微細加工によれば、方向調整層60Aと空気との屈折率差が、突起の根本側から先端側にかけて段階的に減少するため、方向調整層60Aと空気との境界における反射が抑制される。
図4は、方向調整層60の第2の態様を示す図である。方向調整層60Bは、光路を変更する機能を有する透明な部材であり、例えば、平凹レンズ、フレネルレンズ、回折光学素子、リニアプリズム、一定の角度を持つガラス板等により構成される。以下、方向調整層60Bが平凹レンズであるとして説明する。方向調整層60Bは、レンズ面のうちの平面と反射ホログラム50Cとが接するように配置される。
方向調整層60Bは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1を基板50Aの他方の表面50Abの方向に反射する部材である。方向調整層60Bは、反射後において反射ホログラム50Cにおける基板50Aの他方の表面50Abに接する面から反射ホログラム50Cに入射する一部の再生用参照光AT1の入射角度が、一部の再生用参照光AT1に対して反射ホログラム50Cが反応する角度とならないように、一部の再生用参照光AT1を反射する。方向調整層60Bには、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1が、反射ホログラム50Cに接する面から入射する。再生用参照光AT1は、方向調整層60Bの内部を進む。方向調整層60Bは、凹面と空気との境界において、基板50Aの他方の表面50Abの方向に再生用参照光AT1を反射する。方向調整層60Bは、再生用参照光AT1が基板50A内で反射され、反射ホログラム50Cに対して基板50Aの他方の表面50Abに接する面から再び入射したとしても、反射ホログラム50Cが再生用参照光AT1に反応しないように、再生用参照光AT1の反射角度を変更する。反射角度は、反射ホログラム50Cの角度選択性に応じて調整される。角度選択性とは、露光時の記録用参照光とは異なる角度でホログラムに入射する再生用参照光については、映像を再生しない(反応しない)ホログラムの一般的な性質のことである。このようにして、方向調整層60Bは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光AT1の方向を調整する。
方向調整層60Bにより反射された再生用参照光AT1は、基板50A内を反射しながら進む。眼鏡型画像表示装置1は、レンズ50のうちの透過ホログラム50B若しくは反射ホログラム50Cを有しない端部から、再生用参照光AT1を空気中に透過してもよいし、光吸収シート等により吸収してもよい。
図5は、方向調整層60の第3の態様を示す図である。方向調整層60Bの凹面の屈折によっては、ユーザからは外の景色が歪むように見える場合がある。このような歪みを改善する構成として、眼鏡型画像表示装置1は、平凸レンズ70をさらに備えてもよい。平凸レンズ70の凸面に係る曲率は、方向調整層60Bの凹面に係る曲率と一致する。平凸レンズ70は、平凸レンズ70の凸面と方向調整層60Bの凹面とが対向するように、且つ平凸レンズ70と方向調整層60Bとの間に空気の層が設けられるように離間して配置される。平凸レンズ70は、レンズ50を保持するフレームによって固定されてもよい。平凸レンズ70と方向調整層60Bとの間に設けられた空気の層によって、反射ホログラム50Cを透過した一部の再生用参照光AT1が平凸レンズ70に進むことなく、方向調整層60Bにより反射される。そして、平凸レンズ70の凸面に係る曲率と方向調整層60Bの凹面に係る曲率とが一致するため、ユーザからは外の景色が歪むことなく視認できる。
次に、比較例と比較しながら、本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1の作用効果について説明する。まず、図6を参照しながら、比較例に係る光路の例を説明する。
図6は、比較例に係るレンズ500における再生用参照光の光路の例を示す図である。反射ホログラム500Cは、透過ホログラム500Bにより透過された再生用参照光A1、B1、及びC1を、それぞれ反射光AR1、BR1、及びCR1としてユーザの眼に向けて反射する。一方、反射ホログラム500Cの回折効率が低い等の事由により反射ホログラム500Cによって反射されなかった再生用参照光AT1は、反射ホログラム500Cを透過する。再生用参照光AT1は、反射ホログラム500Cと空気との間の屈折率の差によって反射された後、基板500A内において反射を繰り返しながら進み、例えば反射ホログラム500Cに対してC1と同じ向きで入射することによって、反射光CR1と同じ方向からユーザの眼に向けて反射されてしまう場合がある。このように、同一の画素の再生用参照光A1が、AR1及びAT1のように互いに異なる方向から反射されると、ユーザからは映像が重複して見えてしまう。
本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1は、ユーザに装着される眼鏡型画像表示装置1であって、一方の表面50Aa及び他方の表面50Abを有する透明な基板50Aと、基板50Aの一方の表面50Aaに向けて、画像情報を含む光である画像光を出射する画像出力部12と、基板50Aの一方の表面50Aa側に設けられ、画像出力部12から出射された画像光を複製して、再生用参照光として透過する透過ホログラム50Bと、基板50Aの他方の表面50Ab側に設けられ、ユーザの眼に向けて、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光を反射する反射ホログラム50Cと、反射ホログラム50Cにおける基板50Aの他方の表面50Abに接する面と反対側の面に設けられ、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光について、再度反射ホログラム50Cに反応する方向とは異なる方向へ進むように調整する方向調整層60と、を備える。
本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1では、画像情報を含む光である画像光が複製され、反射ホログラム50Cの再生用参照光として透過ホログラム50Bを透過した後、反射ホログラム50Cにおいてユーザの眼に向けて反射される。ここで、反射ホログラム50Cの回折効率が低い等の事由によって、透過ホログラム50Bを透過した再生用参照光の一部については反射ホログラム50Cで反射されずに基板50A内に戻り、基板50A内で反射を繰り返しながら進み、再度反射ホログラム50Cに入射してしまう。このような、反射ホログラム50Cで回折しなかった一部の再生用参照光が、所望の場所以外で再度反射ホログラム50Cに照射され回折することによって、ユーザの眼には映像が重複して見えてしまうことが問題となる。この点、本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1では、複製され透過された再生用参照光のうち、反射ホログラム50Cにおいてユーザの眼に向けて反射されなかった一部の再生用参照光は、再度反射ホログラム50Cに反応しないように、反射ホログラム50Cを露光したすべての角度とは異なる方向へ進むように方向調整される。このような構成によれば、反射ホログラム50Cで回折せずに、基板50A内を進む一部の再生用参照光が、再度反射ホログラム50Cに入射することが回避される。これにより、同一の画素に係る再生用参照光が異なる方向からユーザの眼に入射することが防止され、映像が重複して見えてしまうことを抑制できる。
本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1において、方向調整層60Aは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が基板50Aの他方の表面50Abに向かって進まないように、該再生用参照光の方向を調整してもよい。このような構成によれば、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が反射ホログラム50Cに再び入射することなく、空気中に出射される。これにより、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、再び反射ホログラム50Cによってユーザの眼に向けて反射されることが無くなる。これにより、同一の画素の光が互いに異なる方向からユーザの眼に入射することによって映像が重複して見えてしまうことを確実に防止することができる。
本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1において、方向調整層60Aにおける反射ホログラム50Cに接する面と反対側の表面には、方向調整層60Aと空気との屈折率差をなくすように微細加工が施されていてもよい。このような構成によれば、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、屈折せずに空気中に出射される。これにより、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、再び反射ホログラム50Cによってユーザの眼に向けて反射されることが無くなると共に、該再生用参照光の出射方向を精緻に制御することができる。
本実施形態に係る眼鏡型画像表示装置1において、方向調整層60Bは、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光を基板50Aの他方の表面50Abの方向に反射する部材であり、反射後において反射ホログラム50Cにおける基板50Aの他方の表面50Abに接する面から反射ホログラム50Cに入射する一部の再生用参照光の入射角度が、一部の再生用参照光に対して反射ホログラム50Cが反応する角度とならないように、一部の再生用参照光を反射してもよい。このような構成によれば、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光に対して反射ホログラム50Cが反応することが回避され、同一の画素の光が互いに異なる方向からユーザの眼に入射することによって映像が重複して見えてしまうことを確実に防止することができる。
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示はその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
実施形態では、方向調整層60Bが平凹レンズであるとして説明したが、平凸レンズにより構成されてもよい。図7は、変形例に係る方向調整層60の第4の態様を示す図である。方向調整層60Cは、平凸レンズであり、レンズ面のうちの平面と反射ホログラム50Cとが接するように配置される。方向調整層60Cは、方向調整層60Bと同様に光路を変更する機能を有する。眼鏡型画像表示装置1は、平凹レンズ80をさらに備えてもよい。平凹レンズ80の凹面に係る曲率は、方向調整層60Cの凸面に係る曲率と一致する。平凹レンズ80は、レンズ面のうちの平面と透過ホログラム50Bとが接するように配置される。平凹レンズ80の凹面に係る曲率と方向調整層60Cの凸面に係る曲率とが一致するため、ユーザからは外の景色が歪むことなく視認できる。
実施形態では、方向調整層60Bが平凹レンズであるとして説明したが、一定の角度を持つガラス板により構成されてもよい。図8は、変形例に係る方向調整層60の第5の態様を示す図である。方向調整層60Dは、一定の角度を持つ斜面、及び平面を有している。方向調整層60Dは、方向調整層60Dのうちの平面と反射ホログラム50Cとが接するように配置される。方向調整層60Dは、方向調整層60Bと同様に光路を変更する機能を有する。眼鏡型画像表示装置1は、ガラス板90をさらに備えてもよい。ガラス板90は、一定の角度を持つ斜面、及び平面を有している。ガラス板90の斜面に係る角度は、方向調整層60Dの斜面に係る角度と一致する。ガラス板90は、ガラス板90の斜面と方向調整層60Dの斜面とが対向するように、且つガラス板90と方向調整層60Dとの間に空気の層が設けられるように離間して配置される。ガラス板90の斜面に係る角度と方向調整層60Dの斜面に係る角度とが一致するため、ユーザからは外の景色が歪むことなく視認できる。
方向調整層60は、特定波長の光を吸収するシートにより構成されてもよい。方向調整層60は、例えば、可視光の波長を吸収することにより、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光を吸収する。これにより、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、再び反射ホログラム50Cによってユーザの眼に向けて反射されることが無くなる。
方向調整層60は、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光の偏光方向を揃え、該偏光方向の光をカットするフィルムにより構成されてもよい。方向調整層60は、例えば、反射ホログラム50C側に配置され、横偏光を通過させる偏光板と、反射ホログラム50Cとは反対側に配置されるλ/4板とを組み合わせて構成されてもよい。このような構成によれば、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が横偏光である場合、一部の再生用参照光は偏光板を通過し、λ/4板により位相が変更される。そして、一部の再生用参照光は方向調整層60と空気との間の屈折率差により反射された後、再びλ/4板により位相が変更され、縦偏光となる。縦偏光の一部の再生用参照光は偏光板を通過しない。このようにして、方向調整層60は、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光の偏光方向を揃え、該偏光方向の光をカットすることにより、一部の再生用参照光が再び反射ホログラム50Cによってユーザの眼に向けて反射されることが無くなる。
方向調整層60は、特定の角度で入射した光(レンズ50の臨界角に対応した角度)のみを透過させるダイクロイックフィルタにより構成されてもよい。このような構成によれば、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、反射ホログラム50Cに再び入射することなく、空気中に出射される。これにより、反射ホログラム50Cにおいて反射されなかった一部の再生用参照光が、再び反射ホログラム50Cによってユーザの眼に向けて反射されることが無くなる。
最後に、眼鏡型画像表示装置1に含まれる制御部13のハードウェア構成について、図9を参照して説明する。上述の制御部13は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。制御部13のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
制御部13における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、制御部13における画像出力部12に所定の制御信号を出力する等の制御機能はプロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部13における画像出力部12に所定の制御信号を出力する等の制御機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(ElectricallyErasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、制御部13は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broad-band)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
ユーザ端末は、当業者によって、移動端末、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。