JP2022044491A - フェノール樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂成形体およびその製造方法 Download PDF

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Hisashi Mitsubori
昌志 近田
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Abstract

【課題】本発明は、高い断熱性能と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)とを有する、フェノール樹脂成形体、及び、その製造方法を提供する。【解決手段】表面空隙率が3%以上20%以下である面を有し、密度が300kg/m3以上1,100kg/m3以下である、フェノール樹脂成形体。更には、体積平均粒径が20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m3以上150kg/m3以下であるフェノールフォーム粉を熱プレス成形する工程を含む、フェノール樹脂成形体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、フェノール樹脂成形体およびその製造方法に関する。
フェノール樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、更には電気的特性に優れた樹脂として知られており、エレクトロニクス、自動車、建築、及び、医療分野等において、成形材料として幅広く用いられている。成形材料には主としてノボラック型フェノール樹脂が用いられるが、レゾール型フェノール樹脂も、加熱や酸添加によって架橋(硬化反応)を促進し、熱硬化性の樹脂成形体を得ることができる。
しかし、レゾール型フェノール樹脂は架橋手であるメチロール基を有しているため、加熱や酸添加によるレゾール型フェノール樹脂硬化体においては、成形条件によっては、成形後も継続的な反応進行によって収縮することがあるため、耐熱性(特に高温・高湿度下での収縮量低減)の向上が求められている。加えて、レゾール型フェノール樹脂硬化体では、更なる断熱性の向上も強く望まれている。
例えば特許文献1では、レゾール型フェノール樹脂に、硬化剤として特定の芳香族スルホン酸を配合することで、酸溶出量と耐衝撃性が改善された硬化性組成物が開示されている。しかし、この技術で得られる硬化性組成物の熱伝導率は高く、更に高温かつ高湿度条件化において収縮が起こること、更には軽量化が実現できないことから、実用的には不十分であった。
一方、特許文献2では、フェノール樹脂粉末と補強繊維を必須成分として、液中に分散し抄造したシート状成形材料を加熱加圧するという製造方法が開示されており、これによって得られるシート状成形材料は、軽量で十分な強度を有するとされている。
更に、特許文献3においては、熱硬化性樹脂発泡体を粉砕し、熱可塑性樹脂成形材を混合し造粒する試みがなされている。
しかし、特許文献2及び特許文献3の技術はともに、密度が高い上、熱伝導率は不十分であり、更に高温かつ高湿度条件化において収縮が起こることから、特許文献1の技術同様、実用上不十分であった。
特開昭60-149652号公報 特開平11-125389号公報 特開平9-66527号公報
本発明は、高い断熱性能と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)とを有する、フェノール樹脂成形体及び、その製造方法を提供することを目的とする。
即ち本発明は以下の通りである。
[1]表面空隙率が3%以上20%以下である面を有し、密度が300kg/m以上1,100kg/m以下である、フェノール樹脂成形体。
[2]体積平均粒径20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉の熱プレス成形物である、[1]に記載のフェノール樹脂成形体。
[3]30℃における熱伝導率が、0.16W/(m・K)以下である、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂成形体。
[4]温度80℃、湿度95%における48時間後の平均寸法変化率が、0%以上1.5%以下である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のフェノール樹脂成形体。
[5]体積平均粒径が20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉を熱プレス成形する工程を含む、フェノール樹脂成形体の製造方法。
[6]前記熱プレス成形する工程において、前記フェノールフォーム粉を、170℃以上240℃以下、および、1,000kPa以上5,000kPa以下で熱プレス成形することを含む、[5]に記載のフェノール樹脂成形体の製造方法。
本発明によれば、高い断熱性能と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)とを有する、フェノール樹脂成形体、及び、その製造方法を提供することが可能となる。
実施例1で作製したフェノール樹脂成形体の走査型電子顕微鏡写真である。 図1の走査型電子顕微鏡写真の2値化処理した写真である。 フェノール樹脂成形体の平均寸法変化率の測定における、寸法測定箇所を示す模式図である。
本発明は、高い断熱性能と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)とを有する、フェノール樹脂成形体、及び、その製造方法を見出したものである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本実施形態のフェノール樹脂成形体について、その表面空隙率、密度、熱伝導率、平均寸法変化率は、実施例に記載の方法によって求める。別段の記載のない限り、熱伝導率は、30℃での熱伝導率を指す。別段の記載のない限り、平均寸法変化率は、温度80℃、湿度95%における48時間後の平均寸法変化率を指す。また、フェノールフォーム粉の体積平均粒径と嵩密度は、実施例に記載の方法によって求める。
本実施形態のフェノール樹脂成形体について、「厚み」方向は、フェノール樹脂成形体の縦、横、および高さの三辺のうち最も短い辺の方向を指す。
本実施形態のフェノール樹脂成形体について、厚みが30mm未満のものを特に「フェノール樹脂成形板」と呼称する。
・フェノール樹脂成形体
本実施形態のフェノール樹脂成形体は、フェノール樹脂の硬化物からなる。フェノール樹脂は、公知のフェノール樹脂を適宜選択して用いることができる。フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が好ましく、例えば、フェノールフォームを粉砕した「フェノールフォーム粉砕粉」を利用することができる。
フェノール樹脂成形体は、フェノール樹脂の硬化物以外に、バインダー(結着剤)、増量剤等の添加剤、界面活性剤、尿素、酸、不織布等の添加物を含んでいてもよい。
本実施形態のフェノール樹脂成形体は、微細な空隙を有する面を少なくとも1面有する。これは、より詳しくは、フェノール樹脂成形体の特定の面の平滑部において不規則に空隙またはへこみが存在する。フェノール樹脂成形体の表面空隙率とは、この微細な空隙またはへこみの状態を評価するものである。
本実施形態のフェノール樹脂成形体は、表面空隙率が3%以上20%以下である面を有する。この表面空隙率が20%以下であると、優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)を有する上、機械的強度が確保できるため、成形体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、表面空隙率が3%以上であると、軽量性を有するとともに、高い断熱性能を示す。表面空隙率は、好ましくは、5%以上15%以下である。
表面空隙率は、例えば、フェノールフォーム粉の体積平均粒径、密度、使用量、フェノールフォーム粉の熱プレス成形条件(例えば、温度、圧力、時間)などの変更によって調整することができる。
本実施形態のフェノール樹脂成形体は、少なくとも1面が、3%以上20%以下の表面空隙率を有すればよく、当該1面以外の面は、同様の表面空隙率を有していてもよいし、有さなくてもよい。フェノール樹脂成形体は、好ましくは、対向する2面が3%以上20%以下の表面空隙率を有し、より好ましくは、対向する主平面、すなわち、フェノール樹脂成形体の対向する最も広い2面が、3%以上20%以下の表面空隙率を有する。
本実施形態のフェノール樹脂成形体の密度は、300kg/m以上1,100kg/m以下である。フェノール樹脂成形体の密度が300kg/m以上であると耐衝撃強度等の機械的強度が確保でき、成形体の取り扱い時の破損を回避することができる。一方、フェノール樹脂成形体の密度が1,100kg/m超であると、軽量性を有さないため、取り扱い難くなる。フェノール樹脂成形体の密度は、好ましくは500kg/m以上1,000kg/m以下、より好ましくは600kg/m以上900kg/m以下である。なお、フェノール樹脂成形体の密度は、主に、原料となるフェノールフォーム粉の密度、使用量、上記表面空隙率、更には、フェノールフォーム粉の熱プレス成形条件(温度、圧力、時間)などの変更によって所望の値に調整できる。
本実施形態におけるフェノール樹脂成形体は、体積平均粒径20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉の熱プレス成形物であることが好ましい。
本実施形態におけるフェノール樹脂成形体の30℃における熱伝導率は、好ましくは0.16W/(m・K)以下であり、より好ましくは0.030W/(m・K)以上0.14W/(m・K)以下であり、更に好ましくは0.030W/(m・K)以上0.12W/(m・K)以下であり、特に好ましくは0.030W/(m・K)以上0.10W/(m・K)以下である。フェノール樹脂成形体の熱伝導率は、主にフェノール樹脂の性能に依存し、例えば、フェノール樹脂の密度、含水量、フェノール樹脂成形体製造時の温度、圧力、更には、フェノール樹脂成形体の原料となるフェノールフォーム粉の組成、体積平均粒径、嵩密度等によって調整できる。
本実施形態のフェノール樹脂成形体の高温、高湿度下での収縮抑制は、平均寸法変化率という指標で評価する。フェノール樹脂成形体の平均寸法変化率は、好ましくは、0%以上1.5%以下、より好ましくは0%以上1.0%以下、更に好ましくは0%以上0.8%以下、最も好ましくは0%以上0.6%以下である。平均寸法変化率が1.5%以下であると、高温かつ高湿度下でも、フェノール樹脂成形体の収縮を抑制できる。平均寸法変化率は、主に原料であるフェノールフォーム粉の性状、フェノール樹脂成形体の製造方法に依存し、例えば、フェノールフォーム粉の体積平均粒径、嵩密度、フェノールフォーム粉の熱プレス成形条件(温度、圧力、時間)等によって調整できる。平均寸法変化率は、プラスの値の場合は、フェノール樹脂成形体が膨張したことを示し、マイナスの値の場合は、フェノール樹脂成形体が収縮したことを示す。
フェノール樹脂成形体の形状は、特に限定されず、任意の形状とすることができる。フェノール樹脂成形体の形状は、例えば、直方体(例えば、板状など)、直方体以外の多面体(例えば、正四面体、正八面体、正十二面体、正二十面体などの正多面体)、球体、角錐、円錐、トーラス体、中空円筒、中実円筒(円柱)、不定形などが挙げられる。一実施形態では、フェノール樹脂成形体は、直方体である。好適な実施形態では、フェノール樹脂成形体は、厚みが30mm未満のフェノール樹脂成形板である。
フェノール樹脂成形体の厚みは特に限定されないが、好ましくは、0.5mm以上30mm未満、より好ましくは1mm以上20mm以下、更に好ましくは1mm以上10mm以下、特に好ましくは1mm以上5mm以下、最も好ましくは1.5mm以上5mm以下である。0.5mm以上であると、機械的強度に優れ、取り扱いが容易となる。また、30mm未満であると、軽量となり、取り扱いが容易となる。
フェノール樹脂成形体の用途は、特に限定されず、断熱性と耐熱性を共に要求される、コースター、敷物、および、車載用のバッテリーセル周辺部材等としての利用が挙げられる。
・フェノール樹脂成形体の製造方法
本発明のフェノール樹脂成形体の製造方法は、体積平均粒径が20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉を熱プレス成形する工程を含む。
フェノールフォーム粉は、例えば、フェノールフォームを粉砕、切断することによって得られる。フェノールフォームは、レゾール型フェノール樹脂を加熱及び/又は酸によって硬化させたものであることが好ましい。また、フェノールフォームは、例えば、旭化成建材(株)製ネオマ(登録商標)フォームなどの市販品を用いてもよい。
フェノールフォームの粉砕方法は特に限定しないが、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ローラーミル、ジェットミル、転動ボールミル、転動ロッドミル、振動ボールミル、振動ロッドミル等の粉砕機を使用して得ることができる。フェノールフォームは、環境に配慮し、切断加工時に発生する端材等を利用することがより好ましい。一実施形態では、フェノールフォーム粉は、フェノールフォームを粉砕して得られたフェノールフォーム粉砕粉である。
フェノールフォーム粉は、体積平均粒径が、20μm以上550μm以下であり、20μm以上350μm以下であることがより好ましく20μm以上150μm以下であることが更に好ましく、20μm以上100μm以下であることが特に好ましい。体積平均粒径が20μm未満では、一体成形した成形体が得られない。
フェノールフォーム粉は、嵩密度が、5kg/m以上150kg/m以下であり、5kg/m以上100kg/m以下であることがより好ましく、5kg/m以上80kg/m以下であることが更に好ましく、10kg/m以上50kg/m以下であることが特に好ましい。嵩密度が150kg/m超では、一体成形した成形体が得られない。特に、フェノールフォーム粉の嵩密度が、150kg/m以下であると、三次元的な角状突起(例えば、消波ブロックのような立体形状)を有するフェノールフォーム粉となりやすく、この角状突起同士が絡み合って物理的な結合効果を生み出すことによって一体成形され得る。
フェノールフォーム粉は、体積平均粒径および嵩密度が一定のものを1種単独で用いてもよいし、体積平均粒径および嵩密度の一方または両方が異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせて用いる場合、フェノールフォーム粉全体として、フェノールフォーム粉の体積平均粒径が、20μm以上550μm以下であればよく、フェノールフォーム粉の嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であればよい。
フェノールフォーム粉を熱プレス成形する熱プレス装置としては、例えば、オイルヒート式、ヒーター式、及び、コールドプレス式等を用いることができる。温度コントロールと生産性の観点から、オイルヒート式を用いることが好ましい。
熱プレス成形時の温度は、例えば、170℃以上240℃以下であり、好ましくは180℃以上230℃以下、より好ましくは180℃以上220℃以下、更に好ましくは180℃以上210℃以下、最も好ましくは180℃以上200℃以下である。170℃以上であると、空隙率を小さくし、取り扱い性に優れたフェノール樹脂成形体を得ることができる。また、240℃以下であると、表面を焦がすことなく外観良好なフェノール樹脂成形体を得ることができる。
熱プレス成形時の圧力は、例えば、1,000kPa以上5,000kPa以下であり、好ましくは1,000kPa以上3,000kPa以下、より好ましくは1,500kPa以上2,500kPa以下である。1,000kPa以上であると、空隙率を小さくし、取り扱い性に優れたフェノール樹脂成形体を得ることができるため、好ましい。また、5,000kPa以下であると、密度を低くできることから軽量化を実現できる。
本発明のフェノール樹脂成形体の製造方法では、熱プレス成形する工程において、フェノールフォーム粉を、170℃以上240℃以下、および、1,000kPa以上5,000kPa以下で熱プレス成形することを含むことが好ましい。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例で用いた材料は以下のとおりである。
フェノールフォーム:旭化成建材(株)製のネオマ(登録商標)フォーム、寸法:80mm×910mm×45mm、上下面に表面材付き
・フェノールフォーム粉の体積平均粒径の測定
フェノールフォーム粉の体積平均粒径は、レーザー回折光散乱方式粒径分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックHRA;9320-X100)を使用し、フェノールフォーム粉を水中に一様に分散させるため超音波で1分間処理した後に測定した。
・フェノールフォーム粉の嵩密度の測定
フェノールフォーム粉の嵩密度は、JIS Z 2504に準拠し、金属粉の代わりにフェノールフォーム粉を用いて、「ゆるみかさ密度」を測定した。
(実施例1)
・フェノールフォーム粉の作製
上下の表面材を剥離したフェノールフォームを複数準備した。そのフェノールフォームをカッターミル((株)ホーライ製、PC3-3060LGS)を用いて粉砕した。なお、カッターミルの排出口には直径8mmのスクリーンが装着されており、直径8mm未満のフェノールフォーム粉が排出される。得られたフェノールフォーム粉を更に目開き500μmの篩を用いて篩分けを行った。篩下に回収されたフェノールフォーム粉をフェノールフォーム粉Aとした。得られたフェノールフォーム粉Aの体積平均粒径は81μmであった。また、フェノールフォーム粉Aの嵩密度は、30kg/mであった。
・フェノール樹脂成形体の作製
フェノールフォーム粉Aを用いてオイルヒート式ホットプレス装置で200℃、3,000kPaの条件で熱プレス成形し、熱プレス開始から5分後に、生成物を取り出した。生成物を5分間空冷させ、実施例1の厚み2mmのフェノール樹脂成形体(フェノール樹脂成形板)を得た。
(実施例2)
フェノールフォーム粉中の面材含量が15重量%となるように、上下の表面材を剥離したフェノールフォームと、表面材付きのフェノールフォームとを各々複数準備し粉砕したこと以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体を作製した。
(実施例3)
熱プレス成形時の温度を170℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体を得た。
(実施例4)
熱プレス成形時の温度を240℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体を得た。
(実施例5)
熱プレス成形時の圧力を5,000kPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体を得た。
(実施例6)
熱プレス成形時の圧力を、1,000kPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体を得た。
(比較例1)
フェノールフォーム粉として、体積平均粒径30μm、嵩密度152kg/mのフェノールフォーム粉Bを利用したこと以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体の作製を試みた。しかし、得られた生成物は一体化しておらず、成形品として扱えなかった。なお、フェノールフォーム粉Bは、実施例1と同等のフェノールフォームを、転動ボールミル(乾式、直径900mm×1,500mm)にて面材剥離及び粗粉砕してから、篩(篩目開き:1.2mm)によって面材を除去した後、振動ボールミル(乾式、内径150mm、1筒15.5L×2筒)を用いて圧密粉砕を行い、篩(篩目開き:0.5mm)によって大粒径のフェノールフォーム粉を除去することによって得た。
(比較例2)
フェノールフォーム粉として、体積平均粒径19μm、嵩密度59kg/mのフェノールフォーム粉Cを利用したこと以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂成形体の作製を試みた。しかし、得られた生成物は一体化しておらず、成形品として扱えなかった。なお、フェノールフォーム粉Cは、実施例1と同等のフェノールフォームを、転動ボールミル(乾式、直径900mm×1,500mm)にて面材剥離及び粗粉砕してから、篩(篩目開き:1.2mm)によって面材を除去した後、更に、篩(篩目開き:0.063m)によって処理することによって、その篩下粉として得た。
(比較例3)
レゾール型フェノール樹脂(特開2008-024868号の段落[0064]のフェノール樹脂A-Uに相当)に、硬化剤としてキシレンスルホン酸を配合して、硬化性組成物を得た。その硬化性組成物を、金型に流し込んで温度70℃のオーブンにて20分間予成形して、予成形板を得た。次いで、金型を取り外し、オーブン成形中に反りが発生しないよう、予成形板を上下面からパンチングメタルで挟み込んだ。それを更に温度70℃のオーブンにて24時間加温して、厚み2mmのフェノール樹脂成形体を得た。
実施例1~6、及び比較例3で得られた各フェノール樹脂成形体について、以下に述べるように表面空隙率、密度、熱伝導率、平均寸法変化率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1で作製したフェノール樹脂成形体の上表面の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。また、図1の走査型電子顕微鏡写真の2値化処理した写真を図2に示す。
・表面空隙率
ケニス社製卓上ハンドミクロトームTHKを用いて、フェノール樹脂成形体を厚み方向と平行に10mm×10mmで切断し、成形体の上下の表面を有する試料を5つ得た。その5つの試料を、日本電子社製DII-29010SCTR Smart Coaterを用いて試料の表面を1分間メタルコーティングした。次いで、各試料について、日本電子社製卓上走査電子顕微鏡JCM-7000 NeoScope、及び、ソフトウェア「SEM Operation EZ」を用いて、高真空モード、加速電圧5kV,信号:SED、観察倍率:200倍の条件下で、試料の表面を観察し、不純物を含まない領域にてSEM画像データを得た。そのSEM画像を、画像解析ソフトImage-Jに取り込み、フェノールフォーム粉、及びレゾール型フェノール樹脂と硬化剤の組成物の占める領域が白色、空隙領域が黒色となるよう、閾値を設定することで画像の明度を二値化した。二値化した画像において、一定の視野面積(0.09mm)当たりの黒色面積の比率を算出した。5つの試料の黒色面積の比率の平均値を、表面空隙率とした。
・密度
200mm角のフェノール樹脂成形板を試料とし、JIS K7222に従い、質量と見かけ容積を測定し、見かけ密度を算出し、その見かけ密度を密度とした。
・熱伝導率
ASTM E 1530-04に準拠し、以下の方法で30℃におけるフェノール樹脂成形体の厚み方向の熱伝導率を測定した。フェノール樹脂成形体を25mm×25mmに切断した。その切断した試片を23±1℃、湿度50±2%の雰囲気に入れた。その後、24時間ごとに試片の重量の経時変化を測定し、24時間経過後の重量変化が0.2質量%以下になるまで、状態の確認および調節を行った。その調節を行った試片を、23±1℃、湿度50±2%の雰囲気中の熱伝導率測定装置に導入した。熱伝導率測定において、30℃の熱伝導率は低温板18℃、高温板42℃の条件で、試験体1枚・対象構成方式の測定装置(アルバック理工(株)製、定常法熱伝導率測定装置「GH-1」)を用い行った。
・平均寸法変化率
おおよそ100mm×100mmのフェノール樹脂成形体の試料2枚を、それぞれ、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下で24時間以上静置した。この試料2枚を取り出し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下にて、速やかに、図3に示す縦横各2か所(a、b、c、およびd)の寸法を、ノギス((株)ミツトヨ製)を用いて測定し、加熱・加湿前の測定値L0を求めた。図3中、上側の図は、フェノール樹脂成体1の模式的な斜視図であり、下側の図は、フェノール樹脂成体1の模式的な平面図である。次いで、温度80℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽 SXN412(楠本化成(株)製)内に2枚の試料を移した。次いで、48時間後に試料を取り出し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下にて、上記と同様に、縦横各2か所(a、b、c、およびd)の寸法を、ノギスを用いて測定し、加熱・加湿後の測定値L1を求めた。これらの測定結果から、寸法変化率を以下の式によって算出した。
(L1―L0)/L0×100(%) ・・・(1)
2枚の試料の合計8か所(a×2、b×2、c×2、およびd×2)の寸法変化率の平均値を平均寸法変化率とした。平均寸法変化率は、値が「+(プラス)」の場合は、加熱・加湿前に比べて、加熱・加湿後に試料が膨張したことを示しており、値が「-(マイナス)」の場合は、加熱・加湿前に比べて、加熱・加湿後に試料が収縮したことを示す。
Figure 2022044491000002
*比較例1および2では、一体成形した成形体が得られなかったため、データなし。
表1から、実施例1~6は、比較例1~3と比較して、フェノール樹脂成形体が成形性に加えて、高い断熱性と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)とを有していることがわかる。
1 フェノール樹脂成形体
本発明によれば、高い断熱性能と優れた耐熱性(高温、高湿度下での収縮抑制)を有する、フェノール樹脂成形体、及び、その製造方法を提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. 表面空隙率が3%以上20%以下である面を有し、密度が300kg/m以上1,100kg/m以下である、フェノール樹脂成形体。
  2. 体積平均粒径20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉の熱プレス成形物である、請求項1に記載のフェノール樹脂成形体。
  3. 30℃における熱伝導率が、0.16W/(m・K)以下である、請求項1又は2に記載のフェノール樹脂成形体。
  4. 温度80℃、湿度95%における48時間後の平均寸法変化率が、0%以上1.5%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形体。
  5. 体積平均粒径が20μm以上550μm以下であり、嵩密度が5kg/m以上150kg/m以下であるフェノールフォーム粉を熱プレス成形する工程を含む、フェノール樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記熱プレス成形する工程において、前記フェノールフォーム粉を、170℃以上240℃以下、および、1,000kPa以上5,000kPa以下で熱プレス成形することを含む、請求項5に記載のフェノール樹脂成形体の製造方法。
JP2020150133A 2020-09-07 2020-09-07 フェノール樹脂成形体およびその製造方法 Pending JP2022044491A (ja)

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