<システム構成例>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の災害対応支援システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示す災害対応支援システム100は、被災地における状況変化に対応し、当該地域における道路復旧や物資輸送の計画に資する適宜な情報を効率的に提供可能とするコンピュータシステムである。
具体的には、例えば、被災地における様々な情報を収集し、それらの情報を組み合せて分析することで、被災地への物資輸送を円滑に行うための道路復旧、配送計画に資する情報提供を行うシステムを想定する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、被災地への物資輸送を円滑に行うための情報提供の何れの状況においても、本発明は適用可能である。
図1に例示する災害対応支援システム100は、中央制御装置130、主記憶装置110、補助記憶装置120、通信装置131、及び入出力装置132を有する。これらはバスによって相互に接続されている。
このうち補助記憶装置120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)など、不揮発性記憶装置で構成されている。この補助記憶装置120は、マスタデータベース121、収集/推定データベース122、他システム演算結果データベース123、優先度格納データベース124を格納している。
また、主記憶装置110は、RAM(Random Access Memory)など揮発性記憶装置で構成され、プログラムを格納している。プログラムが中央制御装置130により実行されることで、データ収集部111、データ推定部112、優先度決定部113、他システム演算結果取得部114、配信部115、などの機能が実装される。以降、「○○部は」と主体を記した場合は、中央制御装置130が、補助記憶装置120から各プログラムを読み出し、主記憶装置110にロードしたうえで、各プログラムの機能(詳細後記)を実現するものとする。
ここで、上述の災害対応支援システム100と通信回線140を介して接続可能な装置である、災害対策本部システム150、災害情報共有システム151、道路復旧計画システム160、最短経路探索システム161は、一般的なコンピュータである。
このうち災害対策本部システム150は、被災地の状況を収集・分析し、対策を講じるための支援を行うシステムであり、対策を主体的に行う被災地域の自治体で稼働するものや、地域を跨った大規模災害であれば政府内で稼働するものである。
この災害対策本部システム150は、自治体毎、政府の担当府省庁毎に別々のシステムとして稼働するものであるが、複数の地域の自治体が共有するシステムとしても良く、複数の府省庁が共有するシステムとしても良い。また、単数乃至複数の自治体と、単数乃至複数の府省庁間で共有するシステムとしても良い。
次に、災害情報共有システム151は、地震の震度や道路被害状況などの被災情報を災害対応支援システム100に提供するシステムである。
また、道路復旧計画システム160は、道路の通行可能状況や被害状況の収集とこれらの状況を踏まえて復旧の順番やタイミングを計画するためのシステムで、災害対応支援シ
ステム100との間で、道路の復旧計画を提供し、道路復旧の要望を受け付けるシステムである。
また、最短経路探索システム161は、出発地と目的地と道路の使用可否に関する制約を入力することで最短経路を探索するためのシステムである。この最短経路探索システム161は、災害対応支援システム100から災害による被害等で使用できない道路の情報を受け付け、出発地から目的地までの最短経路を災害対応支援システム100に提供するシステムである。
この最短経路探索システム161は、数理計画問題を扱った既存のツールを利用することとしても良い。また、この最短経路探索システム161の機能が、災害対応支援システム100に備わるとしてもよい。
なお、通信回線140には、LAN(Local Area Network)の他、専用回線、WAN(Wide Area Network)、電灯線ネットワーク、無線ネットワーク、公衆回線網、携帯電話網、衛星通信回線など、様々なネットワークを採用可能である。また、公衆回線網など公開された通信回線を採用する場合は、VPN(Virtual Private Network)技術を用いて通信内容を秘匿して擬似的に専用回線化しても良い。
なお、図1では、災害対応支援システム100は単独で入出力を行うものとしたが、通信回線140で他の端末(例:災害対応支援方法の機能を利用するユーザの端末)と接続し、当該端末の入出力装置で情報を入出力するものとしても良い。また、災害対応支援システム100を災害対策本部システム150あるいは災害情報共有システム151の中のサブシステムとしても良い。
<データ構造例>
ここで、データベースの詳細を説明する。図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図4A、図4Bに、マスタデータベース121が含む各テーブルの例を示す。
マスタデータベース121においては、メーカの倉庫など物資の供給施設に関する所在地などのデータや、広域物資拠点や災害避難所や防災拠点など物資の需要拠点の所在地などのデータや、幹線道路など道路網のデータや、発災時に政府から被災地に供給される物資の品目ごとの属性データが記憶されている。
また、マスタデータベース121では、発災後の被災地の状態を示すデータや、被災地の状態が今後どのように遷移するかを示すデータが格納されている。
さらに、マスタデータベース121では、物資輸送の停滞が起きているか判別するための閾値データや、災害対応支援システム100が推奨データを出力する際に推奨データのレベル分けをするための閾値データが格納されている。
こうしたマスタデータベース121は、供給施設情報テーブル200(図2A)と、需要拠点情報テーブル210(図2B)と、道路情報テーブル220(図2C)と、物資情報テーブル230(図2D)と、状態情報テーブル300(図3A)と、状態遷移情報テーブル310(図3B)と、アラート閾値情報テーブル400(図4A)と、出力閾値情報テーブル410(図4B)で構成される。
このうち図2Aで例示する供給施設情報テーブル200においては、メーカの倉庫など物資の供給施設の所在地のデータが記憶されている。これは、災害が起きる前に調査した結果に基づいて、災害対応支援システム100の管理者等のユーザが登録したデータであ
る。
また、供給施設情報テーブル200は、供給施設を一意に特定する供給施設ID201と、名称202と、所在地の緯度203および経度204、の各値で構成される。各レコードを識別するためのキーは、供給施設ID201である。
このうち供給施設ID201は、災害時に物資の供給施設となりえるメーカの工場、メーカの倉庫、卸の倉庫、小売の倉庫、小売の店舗などを一意に識別するための識別子である。名称202は、供給施設の名称を示す。緯度203は、供給施設の所在地の緯度情報を示す。また、経度204は、供給施設の所在地の経度情報を示す。
また、図2Bで例示する需要拠点情報テーブル210においては、広域物資拠点や避難所や病院や住居など物資の需要拠点の所在地のデータが記憶されている。これは、災害が起きる前に調査した結果に基づいて、災害対応支援の管理者等のユーザが登録したデータである。
この需要拠点情報テーブル210は、需要拠点ID211と、名称212と、緯度213と、経度214と、備考215で構成される。各レコードを識別するためのキーは、需要拠点ID211である。
上述のうち、需要拠点ID211は、災害時に物資を必要とする避難所に物資を供給するための中間拠点として都道府県が設置する広域物資拠点などを一意に識別するための識別子である。他に、災害時に物資を必要とする拠点であれば、病院、避難所、住居などを含めても良い。
また、名称212は、需要拠点の名称を示す。緯度213は、需要拠点の所在地の緯度情報を示す。経度214は、需要拠点の所在地の経度情報を示す。備考215には、需要拠点を、災害用の需要拠点/災害とは関係のない通常営業用の需要拠点(小売の店舗など)など、需要拠点を区別するための情報を格納することとしても良いし、区別する必要がなければ特にデータを格納しなくても良い。
また、図2Cで例示する道路情報テーブル220においては、幹線道路など道路網のデータが記憶されている。これは、災害が起きる前に調査した結果に基づいて、ユーザが登録したデータである。なお、登録するデータは既存の地図情報のデータであっても良い。
この道路情報テーブル220は、道路ID221と、名称222と、緯度(始点)223と、経度(始点)224と、緯度(終点)225と、経度(終点)226と、距離227と、幅員レベル228で構成される。各レコードを識別するためのキーは、道路ID221である。
上述のうち、道路ID221は、災害時に物資を輸送するための道路を一意に識別するための識別子である。道路の中でも幹線道路だけを対象にするなど、一部の道路に限定することとしても良い。
また、名称222は、道路の名称を示す。緯度(始点)223は、道路の端点の所在地の緯度情報を示す。経度(始点)224は、道路の所在地の端点の経度情報を示す。緯度(終点)225は、道路のもう一つの端点の所在地の緯度情報を示す。経度(終点)227は、道路のもう一つの端点の所在地の経度情報を示す。
また、距離227は、当該道路の長さを示す。幅員レベル228は、当該道路の幅員の
広さのレベルを示す。例えば4M以下は狭い、4M以上は広いと2段階にレベル分けしても良いし、4M以下はレベル1、4M以上はレベル2、2車線はレベル3、それ以上はレベル4など多段階にレベル分けしても良い。
また、図2Dで例示する物資情報テーブル230においては、発災時に政府から被災地に供給される物資の品目ごとの属性データが記憶されている。これは、過去の災害の経験や、それに関する文献など、既存の知見に基づいて、ユーザが定義したデータである。
こうした物資情報テーブル230は、品目ID231と、名称232と、分類233と、重要度234と、備考235で構成される。各レコードを識別するためのキーは、品目ID231である。
このうち品目ID231は、災害時に政府から被災地に供給する物資の品目を一意に識別するための識別子である。名称232は、品目の名称を示す。分類233は、品目がどのような種類のものか分類するための分類項目で、例えば、食料、医療品、衣料品などである。
また、重要度234は、品目の重要度を示す。例えば、食料や医療品は被災者の生命維持に直結するため重要度が高く、衣料品は生命維持に必ずしも直結しないため重要度を低くしても良いし、保存がきく食料は重要度が高く、保存がきかない食料は重要度が中程度などとしても良い。
また、備考235には、重要度を決定するために必要な情報(生命維持に必要/不要、保存できる/できない)を格納して、これに基づいて重要度234を決定するとしても良いし、単に重要度の決定理由を格納するだけとしても良いし、特に必要なければデータを格納しなくても良い。
また、図3Aで例示する状態情報テーブル300においては、発災後の被災地の状態を示すデータが記憶されている。これは、過去の災害の経験や、それに関する文献など、既存の知見に基づいて、ユーザが定義したデータである。
こうした状態情報テーブル300は、状態ID301と、災害種別302と、災害規模303と、対象304と、状態305で構成される。各レコードを識別するためのキーは、状態ID301である。
この状態ID301は、災害の種別を示す情報(地震、台風など)と、災害の規模を示す数値(地震であれば震度、台風であれば風速など)と、状態を把握する対象(供給施設、需要拠点など)とを一意に識別するための識別子である。
また、災害種別302は、地震、台風など、災害の種別を示す。災害規模303は、地震であれば震度、台風であれば風速など、災害の規模を数値で示す。対象304は、災害によって状態の変化が起こり得るために時々刻々の状態の把握が必要な対象を示しており、例えば、物資の供給施設や需要拠点などを示す。状態305は、物資の供給施設が通常の在庫量と比べて何%の在庫まで供給可能なのか、需要拠点が想定の需要量と比べて何%の需要まで見込まれるのか、などを示す。
また、図3Bで例示する状態遷移情報テーブル310においては、状態がどのように遷移するか示すデータが記憶されている。これは、過去の災害の経験や、それに関する文献など、既存の知見に基づいて、ユーザが定義したデータである。
こうした状態遷移情報テーブル310は、遷移元状態ID311と、遷移先状態ID3
12と、遷移時間313と、遷移確率314で構成される。各レコードを識別するためのキーは、遷移元状態ID311と遷移先状態ID312と遷移時間313である。
遷移元状態ID311は、状態ID301と同様に、災害の種別と、災害の規模と、状態を把握する対象とで一意に識別される識別子であり、状態遷移前の元の状態を示す識別子である。
また、遷移先状態ID312は、遷移先状態ID311や状態ID301と同様の識別子であり、遷移時間の経過後に状態が遷移した後の状態を示す識別子である。遷移時間313は、遷移元状態から遷移先状態に遷移するまでの経過時間を示す。遷移確率314は、遷移元状態から遷移先状態に、遷移時間の経過後に、状態が遷移する確率を示す。
また、図4Aで例示するアラート閾値情報テーブル400においては、物資の輸送の停滞が起きているか判別するための閾値データが記憶されている。これは、過去の災害の経験や、それに関する文献など、既存の知見に基づいて、ユーザが定義したデータである。
このアラート閾値情報テーブル400は、アラート閾値ID401と、種類402と、閾値403で構成される。各レコードを識別するためのキーは、アラート閾値ID401である。アラート閾値ID401は、物資輸送の停滞が起きているかどうかを判別するための閾値を一意に識別するための識別子である。
また、種類402は、物資の到着予定の時間からの乖離を示す「時間」や、到着予定の数量からの乖離を示す「数量」や、到着予定の物資の重要度を示す「重要度」など、閾値の設定の対象を示す。閾値の設定においては、アラート閾値ID401を指定して、この中の1つのレコードだけを利用することとしても良いし、これらのレコードをAND条件で組み合わせたり、OR条件で組み合わせたり、AND条件とOR条件で組み合わせたものを条件としても良い。閾値403は、種類402に応じた閾値として設定された数値を示す。
また、図4Bで例示する出力閾値情報テーブル410においては、災害対応支援システム100が出力する推奨データをレベル分けするための閾値データが記憶されている。これは、過去の災害の経験や、それに関する文献など、既存の知見に基づいて、ユーザが定義したデータである。
こうした出力閾値情報テーブル410は、出力閾値ID411と、優先度閾値412と、出力レベル413で構成される。各レコードを識別するためのキーは、出力閾値ID411である。出力閾値ID411は、災害対応支援システム100が出力する推奨データをデータの確度で分類して出力するための閾値を一意に識別するための識別子である。
また、優先度閾値412は、災害対応支援システム100が算出する道路の復旧優先度の閾値として設定された数値を示す。出力レベル413は、物資の輸送に関して、使用する道路や経路の推奨のレベルをレベル分けするためのものであり、推奨のレベルは、優先度閾値412によってレベル分けされる。
続いて、図5、図6A、図6B、図6C、図6Dに、収集/推定データベース122の含む各テーブルの例を示す。こうした収集/推定データベース122においては、被災地の状況を示すデータとして、被災地から収集したデータや被災地から収集したデータに基づいて推定したデータが記憶されている。
この収集/推定データベース122は、災害情報テーブル500(図5A)と、在庫情
報テーブル600(図6A)と、物資必要量情報テーブル610(図6B)と、輸送情報テーブル620(図6C)と、積荷情報テーブル630(図6D)で構成される。
このうち図5で例示する災害情報テーブル500は、地震の震度に関するデータが記憶されている。この震度情報テーブル210は、例えば、災害情報共有システム151から配信されたデータを格納したものである。
この災害情報テーブル500は、メッシュID501と、日時502と、災害種別503と災害規模504と、収集フラグ505で構成される。各レコードを識別するためのキーは、メッシュID501と日時502と災害種別503である。メッシュID501は、災害で被災した地域を一意に識別するための識別子である。
また、日時502は被災を観測した日時を示す。災害種別503は、地震、台風など、災害の種別を示す。災害規模504は、地震であれば震度、台風であれば風速など、災害の規模を数値で示す。
また、収集フラグ505は、このレコードのデータが被災地で観測されて災害対応支援システム100で収集したデータそのものなのか、災害対応支援システム100で推定したデータなのかを示すフラグである。例えば、収集データの場合を「1」、推定データの場合を「0」とする。
また、図6Aで例示する在庫情報テーブル600は、物資の供給施設の在庫データが記憶されている。この在庫情報テーブル600は、供給施設ID601と、日時602と、品目ID603と、在庫数604と、稼働状態605と、収集フラグ606で構成される。各レコードを識別するためのキーは、供給施設ID601と、日時602と、品目ID603である。供給施設ID601は、供給施設ID201と同様に、災害時に物資の供給施設となりえるメーカの工場、メーカの倉庫、卸の倉庫、小売の倉庫、小売の店舗などを一意に識別するための識別子である。
また、日時602は、在庫情報を観測した日時あるいは推定した日時を示す。品目ID603は、品目ID231と同様に、災害時に政府から被災地に供給する物資の品目を一意に識別するための識別子である。
また、在庫数604は、供給施設での物資の品目毎の在庫数を示す。稼働状態605は、供給施設が在庫をどの程度供給可能なのかその割合を示す。収集フラグ606は、収集フラグ505と同様に、このレコードのデータが被災地で観測されて災害対応支援システム100で収集したデータそのものなのか、災害対応支援システム100で推定したデータなのかを示すフラグである。
また、図6Bで例示する物資必要量情報テーブル610は、需要拠点での物資の必要量のデータが記憶されている。この物資必要量情報テーブル610は、需要拠点ID611と、日時612と、品目ID613と、必要量614と、収集フラグ615で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、需要拠点ID611と、日時612と、品目ID613である。需要拠点ID611は、需要拠点ID211と同様に、災害時に物資を必要とする避難所に物資を供給するための中間拠点として都道府県が設置する広域物資拠点などを一意に識別するための識別子である。
また、日時612は、必要量を観測した日時あるいは推定した日時を示す。品目ID613は、品目ID231と同様に、災害時に政府から被災地に供給する物資の品目を一意
に識別するための識別子である。
また、必要量614は、需要拠点での物資の必要量を示す。収集フラグ615は、収集フラグ505と同様に、このレコードのデータが被災地で観測されて災害対応支援システム100で収集したデータそのものなのか、災害対応支援システム100で推定したデータなのかを示すフラグである。
また、図6Cで例示する輸送情報テーブル620は、供給施設から需要拠点までの物資の輸送データのうち、積荷以外の輸送全体のデータが記憶されている。この輸送情報テーブル620は、輸送予約ID621と、輸送元ID622と、輸送先ID623と、出発予定日時624と、到着予定日時625と、輸送完了626と、収集フラグ627と、備考628で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、輸送予約ID621である。輸送予約ID621は、供給施設から需要拠点までの物資の輸送データを一意に識別するための識別子である。物資を輸送することが確定した時点で識別子を振り、輸送の完了前にキャンセルされた場合でもレコードを削除せずに残す。
また、輸送元ID622は、輸送元である供給施設の識別子を示し、供給施設ID201と同様に、災害時に物資の供給施設となりえるメーカの工場、メーカの倉庫、卸の倉庫、小売の倉庫、小売の店舗などを一意に識別する識別子である。
また、輸送先ID623は、輸送先である需要拠点の識別子を示し、需要拠点ID211と同様に、災害時に物資を必要とする避難所に物資を供給するための中間拠点として都道府県が設置する広域物資拠点などを一意に識別するための識別子である。
また、出発予定日時624は、物資を輸送することが確定した時点で決定した輸送開始の日時を示す。到着予定日時625は、物資を輸送することが確定した時点で決定した輸送終了の日時を示す。輸送完了626は、物資の輸送が完了したことを示すフラグである。例えば、輸送が完了した場合を「1」、輸送中の場合を「0」、荷主などにより輸送がキャンセルされた場合を「-1」とする。
また、収集フラグ627は、収集フラグ505と同様に、このレコードのデータが被災地で観測されて災害対応支援システム100で収集したデータそのものなのか、災害対応支援システム100で推定したデータなのかを示すフラグである。
また、備考628には、輸送の荷主に関わる情報(政府調達/自治体調達/民間通常営業)を格納することとしても良いし、荷主を区別する必要がなければ特にデータを格納しなくても良い。
また、図6Dで例示する積荷情報テーブル630は、供給施設から需要拠点までの物資の輸送データのうち、積荷データが記憶されている。この積荷情報テーブル630は、輸送予約ID631と、品目ID632と、輸送量633と、収集フラグ634で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、輸送予約ID631である。輸送予約ID631は、輸送予約ID621と同様に、供給施設から需要拠点までの物資の輸送データを一意に識別するための識別子である。品目ID632は、品目ID231と同様に、災害時に政府から被災地に供給する物資の品目を一意に識別するための識別子で、供給施設から需要拠点まで輸送する物資の品目を示す。
また、輸送量633は、供給施設から需要拠点まで輸送する物資の数量を示す。収集フラグ634は、収集フラグ505と同様に、このレコードのデータが被災地で観測されて災害対応支援システム100で収集したデータそのものなのか、災害対応支援システム100で推定したデータなのかを示すフラグである。
続いて、図7A、図7Bに、他システム演算結果データベース123の例を示す。他システム演算結果データベース123においては、道路復旧計画システム160で計画した道路の復旧計画や、最短経路探索システム161で探索した出発地から目的地までの最短経路が、他のシステムからの演算結果として記憶されている。
こうした他システム演算結果データベース123は、道路の復旧計画情報テーブル700(図7A)と、最短経路の道路情報テーブル710(図7B)と、最短経路の出発地・目的地情報テーブル720(図7C)で構成される。
このうち図7Aで例示する道路の復旧計画テーブル700においては、災害によって被災した幹線道路など道路網の復旧計画のデータが記憶されている。この道路の復旧計画テーブル700は、道路ID701と、復旧開始予定日時702と、復旧終了予定日時703と、復旧完了704で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、道路ID701、復旧開始予定日時702と、復旧終了予定日時703である。道路ID701は、道路ID221と同様に、災害時に物資を輸送するための道路を一意に識別するための識別子である。道路の中でも幹線道路だけを対象にするなど、一部の道路に限定することとしても良い。
また、復旧開始予定日時702は、道路の復旧計画が立案され、計画が確定された時点で決定した道路復旧の開始の日時を示す。復旧終了予定日時703は、道路の復旧計画が立案され、計画が確定された時点で決定した道路復旧の終了の日時を示す。復旧完了704は、道路の復旧計画が実際に完了したことを示すフラグである。例えば、復旧が完了した場合を「1」、復旧が未済の場合を「0」とする。
また、図7Bで例示する最短経路の道路情報テーブル710においては、供給施設から需要拠点までの輸送経路のデータが記憶されている。この最短経路の道路情報テーブル710は、経路ID711と、順番712と、道路ID713で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、経路ID711、順番712である。経路ID711は、供給施設から需要拠点までの最短の輸送経路を一意に識別するための識別子である。輸送経路の中の道路は、道路の中でも幹線道路など一部の道路に限定していても良い。
順番712は、最短の輸送経路の道路の中で、道路ID713が使用される順番を示したものである。道路ID713は、道路ID221と同様に、災害時に物資を輸送するための道路を一意に識別するための識別子で、輸送経路の中で使用される道路の識別子を示す。
また、図7Cで例示する最短経路の出発地・目的地情報テーブル720においては、供給施設から需要拠点までの輸送経路のデータが記憶されている。この最短経路の出発地・目的地情報テーブル720は、経路ID721と、出発地緯度722と、出発地経度723、到着地緯度724、到着地経度725で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、経路ID721である。経路ID721は、経路ID711と同様に、供給施設から需要拠点までの最短の輸送経路を一意に識別するための識別子である。
また、出発地緯度722は、出発地である供給施設の緯度情報を示す。出発地経度723は、出発地である供給施設の経度情報を示す。到着地緯度724は、到着地である需要拠点の緯度情報を示す。到着地経度725は、到着地である需要拠点の経度情報を示す。
また、図8で例示する道路の復旧優先度情報テーブル800においては、災害によって被災した幹線道路などの道路の復旧優先度のデータが記憶されている。この道路の復旧優先度情報テーブル800は、道路ID801と、復旧優先度802と、復旧優先順位803で構成される。
各レコードを識別するためのキーは、道路ID801である。道路ID801は、道路ID221と同様に、被災していて物資の輸送に利用できない道路を一意に識別するための識別子である。道路の中でも幹線道路だけを対象にするなど、一部の道路に限定することとしても良い。
また、復旧優先度802は、災害対応支援システム100で算出した道路の復旧優先度を示す。復旧優先順位803は、道路の復旧優先度を降順に並べたときの順位を示す。
<災害対応支援方法のフロー:メインフロー>
以下、本実施形態における災害対応支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する災害対応支援方法に対応する各種動作は、災害対応支援システム100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
なお、発災を検知してから道路の復旧優先度の決定を終了するまでの全体の処理例を図9に示し、道路の復旧優先度を決定する詳細な処理例を図10に示す。また、マスタデータベース121にデータを登録する処理は、図9、図10の一連の処理(処理S900~処理S907、処理S1000~処理S1009)の事前に、ユーザが行うものである。
図9は、本実施形態の災害対応支援方法のフロー例であって、発災を検知してから道路の復旧優先度の決定を終了するまでの全体処理フロー例を示す図である。
まず、処理S900にて、災害対応支援システム100の中央制御装置130が、例えば、予め定めた時刻の到来やユーザからの指定を受けるなどして処理フローを開始し、処理S901に進む。
処理S901にて、データ収集部111が、災害情報共有システム151から、通信装置131を介して、地震の震度など発災時の災害発生情報を収集する。収集した災害発生情報を収集/推定データベース121の災害情報テーブル500に格納する。
上述の災害情報テーブル500への情報格納に際し、データ収集部111は、災害発生情報を観測した日時を日時502に格納し、災害発生情報の災害の種別を種別503に格納し、観測した災害の規模の数値データを災害規模504に格納し、推定データではなく被災地で観測されたデータを収集してきたことを示すために数値「1」を収集フラグ505に格納し処理S902に進む。
処理S902にて、データ収集部111が、災害対策本部システム150や災害情報共有システム151から、通信装置131を介して、供給施設の物資の在庫情報、需要拠点
での物資の必要量情報、供給施設から需要拠点までの物資の輸送情報、その積荷情報を収集し、収集した情報を収集/推定データベース122に格納し、処理S903に進む。
供給施設の物資の在庫情報を、収集/推定データベース122の在庫情報テーブル600に格納する際は、在庫情報を観測した供給施設IDを供給施設ID601に格納し、観測した日時を日時602に格納し、在庫情報の品目の識別子を品目ID603に格納し、観測された在庫数を在庫数604に格納し、供給施設が在庫をどの程度供給可能なのかその割合を示す稼働状態を稼働状態605に格納し、推定データではなく観測されたデータを収集してきたことを示すために数値「1」を収集フラグ606に格納する。
また、需要拠点での物資の必要量情報を、収集/推定データベース122の物資必要量情報テーブル610に格納する際は、必要量情報を観測した需要拠点IDを需要拠点ID611に格納し、観測した日時を日時612に格納し、必要量情報の品目の識別子を品目ID613に格納し、観測された必要量を必要量614に格納し、推定データではなく観測されたデータを収集してきたことを示すために数値「1」を収集フラグ615に格納する。
また、供給施設から需要拠点までの物資の輸送情報を、収集/推定データベース122の輸送情報テーブル620に格納する際は、物資を輸送することが確定した時点で振られた識別子を輸送予約ID621に格納し、輸送元である供給施設の識別子を輸送元ID622に格納し、輸送先である需要拠点の識別子を輸送先ID623に格納し、物資を輸送することが確定した時点で決定した輸送開始の日時を出発予定日時624に格納し、物資を輸送することが確定した時点で決定した輸送終了の日時を到着予定日時625に格納し、物資の輸送が実際に完了した場合は輸送完了を示す「1」を輸送完了626に格納し、推定データではなく観測されたデータを収集してきたことを示すために数値「1」を収集フラグ625に格納し、輸送の荷主に関わる情報を格納する場合は、荷主が政府の場合は「政府調達」、荷主が自治体の場合は「自治体調達」、荷主が企業の場合は「民間通常営業」を備考628に格納する。
また、積荷情報を、収集/推定データベース122の積荷情報テーブル630に格納する際は、輸送予約ID621に格納されたものと同じものを輸送予約ID631に格納し、供給施設から需要拠点まで輸送する物資の品目の識別子を品目ID632に格納し、供給施設から需要拠点まで輸送する物資の数量を輸送量633に格納し、推定データではなく観測されたデータを収集してきたことを示すために数値「1」を収集フラグ634に格納する。
処理S903にて、データ推定部112が、マスタデータベース121から、供給施設情報テーブル200、需要拠点情報テーブル210、状態情報テーブル300、および状態遷移情報テーブル310の各データを取得し、収集/推定データベース122から災害情報テーブル500のデータを取得し、これらデータに基づいて供給施設の物資の在庫情報、需要拠点での物資の必要量情報を推定し、推定した情報を収集/推定データベース122の在庫情報テーブル600、物資必要量情報テーブル610に格納/上書きし、処理S904に進む。
具体的には、まずデータ推定部112は、在庫情報テーブル600の供給施設ID601から、供給施設情報テーブル200の供給施設ID201を検索し、その緯度203と経度204を取得する。データ推定部112は、この緯度203と経度204が含まれるメッシュIDを災害情報テーブル500のメッシュID501で検索する。
次に、データ推定部112は、上記で検索したレコードの災害種別503と災害規模5
04から、状態情報テーブル300の災害種別302と災害規模303を検索し、その中で対象304が「供給施設」のものを特定する。
データ推定部112は、特定したレコードの状態ID301を状態遷移情報テーブル310の遷移元状態ID311で検索し、該当する遷移元状態ID311に関して、遷移先状態ID312、遷移時間313、および遷移確率314の各値を全て取得する。
この中で、データ推定部112は、状態の遷移が最初の遷移元状態ID311を検索し、それを起点に、遷移先状態ID312と遷移時間313と遷移確率314を用いて、将来の状態遷移を時系列に予測する。その個々の時系列における遷移先状態ID312と一致する状態ID301の状態305が、その時点での「供給施設」の稼働状態を示す。
データ推定部112は、この稼働状態と遷移確率を掛け合わせることで稼働状態の期待値を求め、この稼働状態の期待値に基づいて、供給施設の物資の在庫情報を推定し、収集/推定データベース122の在庫情報テーブル600を格納/上書きする。
その際、データ推定部112は、在庫情報を推定した時系列上の時点を日時602に格納/上書きし、供給施設が在庫をどの程度供給可能なのかその割合を示す稼働状態は前記稼働状態の期待値であるとして、前記稼働状態の期待値で稼働状態605に格納/上書きし、推定データであることを示すために数値「0」を収集フラグ606に格納/上書きする。
需要拠点に対しても同様に、データ推定部112は、対象304を「供給施設」から「需要拠点」に置き換えて処理し、将来の状態遷移を時系列に予測する。データ推定部112は、この稼働状態に基づいて、需要拠点での物資の必要量情報を収集/推定データベース122の物資必要量情報テーブル610に格納/上書きする。
その際、データ推定部112は、必要量情報を推定した時系列上の時点を日時602に格納/上書きし、需要拠点の必要量がどの程度必要とされるかその割合を示す値を稼働状態に相当するものと解釈して、必要量614にその値を掛け合わせて必要量614に格納/上書きし、推定データであることを示すために数値「0」を収集フラグ615に格納/上書きする。なお状態遷移に関してはマルコフ連鎖による状態の予測としても良い。
処理S904にて、優先度決定部113が、マスタデータベース121からアラート閾値情報テーブル400と物資情報テーブル230の各データを取得し、収集/推定データベース122から輸送情報テーブル620のデータを取得し、これらに基づいて物資輸送の停滞が起きているか判定する。
上述の判定において、優先度決定部113は、輸送情報テーブル620の到着予定日時625と現在時刻を比較し、到着予定日時625が現在時刻を超過しており、且つ、輸送完了626のフラグが「0」で輸送中を示すレコードを抽出する。
また、優先度決定部113は、到着予定日時625からの超過時間と、輸送予約ID621と一致する輸送予約ID631の輸送量633と、品目ID632と一致する品目ID230の重要度234とをそれぞれ抽出し、アラート閾値情報テーブル400の種類402と一致する項目の閾値403と、超過時間、輸送量633、重要度234を比較する。
上述の比較の結果、閾値430を超過する場合、優先度決定部113は、物資輸送の停滞が起きていると判定し、処理S905に進む。他方、上述の比較の結果、閾値430を
超過していない場合は、優先度決定部113は、物資輸送の停滞が起きていないものと判定して、処理S902に戻る。
処理S905にて、優先度決定部113が、道路の復旧の優先度を決定し(詳細後述)、処理S906に進む。
処理S906にて、優先度決定部113が、入出力端末132を介して、ユーザから処理の続行/終了の操作を受け付ける。なお、基本は続行するものとして、ユーザから終了の操作のみを受け付けることとしても良い。続行する場合は処理S902に戻る。終了する場合は処理S907に進む。
処理S907にて、中央処理装置130が、発災を検知してから道路の復旧優先度の決定を終了するまでの全体の処理フローを終了する。
<災害対応支援フロー:復旧優先度決定>
図10は、本実施形態の災害対応支援方法のフロー例であって、道路の復旧優先度を決定する詳細処理フロー例を示す図である。
この場合、処理S1000にて、災害対応支援システム100の中央制御装置130が、上述の処理S904の判定結果を受けて、道路の復旧優先度を決定する処理フロー(処理S905の詳細フロー)を開始し処理S1001に進む。
処理S1001にて、優先度決定部113が、他システム演算結果取得部114を呼び出し、他システム演算結果取得部114により、道路復旧計画システム160から、通信装置131を介して、道路復旧計画の情報を収集し、他システム演算結果データベース123の道路の復旧計画情報テーブル700に格納し、処理S1002に進む。
この格納に際し、復旧完了704には、これから復旧させる道路については「0」を格納し、既に復旧させた道路については「1」を格納する。そもそも道路の被害が無く、復旧計画が無いものは、レコードそのものが存在しない。あるいは、被害のない道路にもレコードを用意し、例えば「-1」など別の値を格納することとしても良い。
処理S1002にて、優先度決定部113が他システム演算結果取得部114を呼び出し、他システム演算結果取得部114により、最短経路探索システム161から、通信装置131を介して、出発地である供給施設と目的地である需要拠点の緯度経度を指定して、供給施設から需要拠点までの最短経路を取得し、他システム演算結果データベース123の最短経路の道路情報テーブル710に格納し、処理S1003に進む。
処理S1003にて、優先度決定部113が、災害により被害を受けている道路で、且つ、最短経路内の道路を抽出する。具体的には、優先度決定部113は、被害を受けていてこれから復旧させる道路を、道路復旧計画テーブル700の復旧完了704が「0」の道路ID701で抽出する。次に、供給施設から需要拠点までの経路に含まれる道路だけに限定するため、優先度決定部113は、最短経路の道路情報テーブル710の経路ID711に含まれる道路ID713と一致する前記道路ID701だけに限定する。限定された道路ID701が存在する場合は処理S1004に進む。限定された道路ID701が存在しない場合は処理S1009に進む。
処理S1004にて、優先度決定部113が、処理S1003で抽出して限定された道路を復旧優先度決定の対象の道路とし、処理S1005に進む。
処理S1005にて、優先度決定部113が、道路の復旧の優先度を決定する。具体的
には、優先度決定部113は、マスタデータベース121の道路情報テーブル220の距離227から道路ID701の「距離」を求める。次に、道路701IDと一致する道路ID713を含む経路711と一致する経路721の出発緯度722、出発経度723から、マスタデータベース121の供給施設情報テーブル200の緯度203、経度204を用いて、出発地の供給施設ID201を割り出し、到着地緯度724、到着地経度725から、需要拠点情報テーブル210の緯度213、経度214を用いて、到着地の需要拠点ID211を割り出す。
優先度決定部113は、収集/推定データベース122の輸送情報テーブル620の中で、供給施設ID201と一致する輸送元ID622、需要拠点ID211と一致する輸送先ID623を検索し、なおかつ輸送完了626が「0」でまだ輸送中のものを抽出して、さきほどの供給施設ID201と需要拠点ID211の組み合わせであり、且つ、輸送中の輸送予約ID621を絞り込む。
そして、優先度決定部113は、輸送予約ID621と一致する積荷情報テーブル630の予約ID631からその輸送量633を求め、それを「輸送量」として求める。また、優先度決定部113は、その品目ID632と一致するマスタデータベース121の物資情報テーブル230の品目ID231から重要度234を検索し、輸送中の物資の「重要度」として割り出す。
優先度決定部113は、ここで求めた、距離、輸送量、および重要度の各値を掛け合わせて当該道路の復旧の優先度とする。こうした掛け合わせを行う際、優先度決定部113は、各々の項目での総計を求めてから掛け合わせることとしても良いし、各々の項目で平均を求めてから掛け合わせることとしても良いし、項目ごとに総計・平均のどちらを求めてから各々を掛け合わせても良い。この際、道路の幅員レベル228も掛け合わせの項目として追加しても良い。
優先度決定部113は、上述のように道路の復旧優先度を求めたら、求めた復旧優先度802を優先度格納データベース124の道路の復旧優先度情報テーブル800の復旧優先度802に格納するとともに、当該復旧優先度と紐づけた形で道路ID701を道路ID801に格納する。また、優先度決定部113は、全ての復旧優先度802を格納した後に、復旧優先度802を比較して順位付けを行い、その順位を復旧優先順位803として格納し処理S1006に進む。
処理S1006にて、優先度決定部113が、マスタデータベース121から出力閾値情報テーブル410を取得し、優先度格納データベース124から道路の復旧優先度情報テーブル800を取得する。出力閾値情報テーブル410のうち、どの出力閾値ID411を用いるかは、事前にユーザが災害対応支援システム100に設定していることとしても良いし、ユーザが入出力装置132を介して随時設定することとしても良い。
ここで、優先度決定部113は、道路の復旧優先度情報テーブル800の復旧優先度802が、出力閾値情報テーブル410の優先度閾値412の値以上の道路ID801に対して、出力レベル413を振り分け、処理S1007に進む。なお、同じ道路ID801に対して、複数の出力レベル413が振り割れられてしまう場合は、最大の出力レベル413を振り分ける。この処理によって、道路ID毎の出力レベルを決定する。
処理S1007にて、優先度決定部113が配信部115を呼び出し、配信部115により、入出力端末132に、出力レベル毎の道路網を出力し、処理S1008に進む。また、物資輸送の観点での道路復旧の要請の優先順位として、道路復旧計画システム160に優先度や優先順位や出力レベル毎の道路網を出力し処理S1008に進む。
入出力端末132に出力する際、配信部115は、ベースとなる道路網が地図データなどとして事前に設定されており、道路の復旧優先度情報テーブル800で復旧計画の記載の無い道路は、被害の無かった道路として利用できる可能性の最も確度の高い道路として表示し、復旧計画のある道路は被害のある道路として、個々の道路に対する出力レベルに応じて確度の表示の仕方を変えることとする。
あるいは、配信部115は、発災後に自動車の通った実績であるプローブ情報をカーナビサービスの事業者システムなどから別途取得し、プローブ情報のある道路を災害の被害の無い道路として、同様の処理(最も確度の高い道路として表示する処理)をすることとしても良い。
処理S1008にて、優先度決定部113が配信部115を呼び出し、配信部115により、配送で推奨する経路の情報を入出力端末132に出力し処理S1009に進む。
具体的には、配信部115は、収集/推定データベース122の輸送情報テーブル620において、輸送完了626欄における値が輸送中の「0」を示す輸送に関して、輸送元ID622の供給施設を出発地とし、輸送先ID623の需要拠点を目的地とする。
また、配信部115は、最短経路探索システム161に対し、上述の出発地と目的地の組み合わせに関して、処理S1006で振り分けられた出力レベルのうち、ユーザが事前に設定しておいた出力レベル以上の道路を輸送で使用する条件を課して、最短経路を問い合わせる。
また、配信部115は、最短経路探索システム161で探索された最短経路を取得し、この最短経路を、配送で推奨する経路として入出力端末132に出力する。
処理S1009にて、中央処理装置130が、道路の復旧優先度を決定する処理フローを終了する。
次に、図10の処理S1007で入力装置132に出力する道路の推奨画面と、処理S1008で入力装置132に出力する経路の推奨画面の出力画面の例を示す。
図11Aは、道路の推奨画面1100の画面例である。図11Aで示した道路の推奨画面1100は、物資輸送で使用できる可能性の高い道路を、配送に使用する道路として推奨する画面であり、配送計画に役立ててもらうための画面である。本画面は、災害対応支援システム100の入出力装置132に表示される。
図11Aで示した道路の推奨画面1100は、倉庫1101と、拠点1102と、推奨道路網1104と、道路被害α1105と、道路被害β1106と、凡例1107で構成される。倉庫1101は、供給施設を示しており、本例では、倉庫A、倉庫B、倉庫Cの3施設としている。
拠点1002は、需要拠点を示しており、本例では、拠点a、拠点b、拠点cの3拠点としている。推奨道路網1104は、物資輸送で使用できる可能性の高い道路を示す。使用できる可能性の確度の高低に応じて道路の表示方法を変えるものとする。
道路被害α1105は道路被害が起きている箇所を示す。道路被害β1106も同様に道路被害が起きている箇所を示す。本例では、道路被害α1105は道路被害β1106よりも復旧の可能性が高いものとしている。
凡例1107は推奨道路網1104の見方を示しており、本例では、道路の使用の可能性の確度の高低を3段階の確度で表示するものとしている。なお、他の表示方法で推奨する道路を表示可能であれば、他の表示方法としても良い。
図11Bは、経路の推奨画面1110の画面例である。図11Bで示した経路の推奨画面1110は、使用できる可能性の確度の高い道路を用いて配送の経路を推奨する画面であり、配送計画に役立ててもらうための画面である。本画面は、災害対応支援システム100の入出力装置132に表示される。
図11Bで示した経路の推奨画面1110は、倉庫1111と、拠点1112と、道路網1113と、経路1114と、道路被害α1115と、道路被害β1116と、凡例1117で構成される。道路網1113と、経路1114、凡例1117以外は図11Aと同様である。
すなわち、倉庫1111は、供給施設を示している。拠点1002は、需要拠点を示している。道路被害α1115、道路被害β1116は道路被害が起きている箇所を示し、道路被害α1115は道路被害β1116よりも復旧の可能性が高い。
一方で、道路網1113は、配送計画で想定されうる全ての道路を示す。ただし、災害による被害で使用できない道路も含める。経路1114は、物資輸送で使用できる可能性の高い道路を用いた時の配送の経路を示す。配送の経路には、現在は道路被害で使用できず、将来の復旧も確約されていないが、復旧の可能性が高い道路が含まれる。
凡例1117は推奨道路網1114の見方を示しており、本例では、配送計画で想定されうる全ての道路と、その中で推奨される配送の経路とを表示するものとしている。なお、他の表示方法で推奨する配送の経路を表示可能であれば、他の表示方法としても良い。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、被災地における状況変化に対応し、当該地域における道路復旧や物資輸送の計画に資する適宜な情報を効率的に提供可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の災害対応支援方法において、前記情報処理装置が、前記被害箇所の情報と前記各拠点の所在位置とに基づき、前記各拠点における災害内容を特定し、前記各拠点での前記災害内容および前記遷移予定と基づき、将来の状態遷移を時系列に予測する処理と、前記予測の結果に基づき、所定時点における前記各拠点の稼働状況に基づき、前記各拠点における物資の供給または需要の状態を推定する、としてもよい。
これによれば、各拠点における物資の供給や需要の状態推移を、発災からの時系列の観点で効率的に推定可能となる。ひいては、被災地における状況変化に対応し、当該地域における道路復旧や物資輸送の計画に資する適宜な情報を、より効率的に提供可能となる。また、本実施形態の災害対応支援方法において、前記情報処理装置が、前記対象道路を絞り込む処理に際し、前記拠点間の最短経路を、前記各拠点の情報が占めず前記所在位置の情報に基づき特定し、前記最短経路かつ前記被害箇所が含まれる道路を対象道路とする、としてもよい。
これによれば、検討対象となる道路を効率的かつ的確に特定し以後の処理に適用可能と
なる。ひいては、被災地における状況変化に対応し、当該地域における道路復旧や物資輸送の計画に資する適宜な情報を、より効率的に提供可能となる。
また、本実施形態の災害対応支援システムにおいて、前記演算装置が、前記被害箇所の情報と前記各拠点の所在位置とに基づき、前記各拠点における災害内容を特定し、前記各拠点での前記災害内容および前記遷移予定と基づき、将来の状態遷移を時系列に予測する処理と、前記予測の結果に基づき、所定時点における前記各拠点の稼働状況に基づき、前記各拠点における物資の供給または需要の状態を推定するものである、としてもよい。
また、本実施形態の災害対応支援システムにおいて、前記演算装置が、前記対象道路を絞り込む処理に際し、前記拠点間の最短経路を、前記各拠点の情報が占めず前記所在位置の情報に基づき特定し、前記最短経路かつ前記被害箇所が含まれる道路を対象道路とするものである、としてもよい。