JP2022041497A - 積層体 - Google Patents

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祥一 前川
Shoichi Maekawa
健太 今里
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Abstract

【課題】透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れた積層体を提供する。【解決手段】樹脂層(A)と樹脂層(B)とを含み、樹脂層(B)の少なくとも一方の面に樹脂層(A)が積層された積層体であって、樹脂層(A)は、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂(A)であり、樹脂層(B)は、芳香族(メタ)アクリレート単位5~80重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位20~95重量%を含有するアクリル共重合体(B-1)1~50重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)50~99重量部とのブレンド樹脂(B)である、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れた積層体に関するものである。
従来、透明樹脂としてはメタクリル樹脂、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂(以下、PC-Aと称することがある)などが知られており、成型品、フィルムなどの形態で電気電子部品、光学部品、自動車部品、機械部品などの広い分野で用いられている。
ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと称することがある)などのメタクリル酸樹脂は、高い透明性と硬い表面硬度(鉛筆硬度H~3H)を持ち、レンズ・光ファイバーなどの光学材料として多く用いられている。しかしながら、日焼け止め等の日常的に使用する薬剤等の耐性が低く、人の手が直接触れる用途での使用が制限されているといった問題がある。非特許文献1には、アクリル樹脂は芳香剤や日焼けクリームへの耐性が問題視されているといった記載がある。
また、近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いたポリカーボネートは耐熱性や耐候性、表面硬度、耐薬品性といった点で優れており、PC-Aとは異なる特徴を有することから注目され、種々の検討がなされている(特許文献1、2)。これらのイソソルビド系ポリカーボネートは耐熱性や衝撃性、耐候性に優れる一方で、他樹脂との密着性、例えばPC-AやPMMAとの密着性は著しく悪く、積層体を形成することは通常困難であった。
特許文献3ではイソソルビド系ポリカーボネートとアクリル樹脂との積層体が提案されているが、これらの積層体の密着性は非常に低く実用上、使用できる性能を有していない。また、PMMA面が最外装面として想定されており、耐薬品性や可撓性に劣るといった問題点が未だ残っている。
PC-Aとイソソルビド系ポリカーボネートとの積層体は種々提案されているが(特許文献4、5、6)、これらの積層体についてはPC-Aとの密着性を確保するためには、イソソルビドの共重合比を下げる必要があるため、耐薬品性に劣るという問題がある。
特許文献7では、イソソルビドとスピロ環骨格を有する共重合組成とアクリル樹脂との積層体が示されているが、その他の種々樹脂との密着性を確保するという観点は記載されていない。
その為、透明性、耐薬品性、表面硬度、可撓性を並立し、種々の熱可塑性樹脂との密着性に優れた樹脂およびそれを用いた積層体は未だ提供されていなかった。
特開2006-36954号公報 特開2009-46519号公報 特開2011-161871号公報 特開2011-201304号公報 国際公開第2015/119026号パンフレット 特許第6200002号公報 特開2016-7728号公報
「2013年加飾フィルム関連市場の展望とメーカー戦略」 118~122ページ 富士経済
本発明の目的は、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れた積層体を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定の(メタ)アクリレート共重合体を一定比率含有させることで、かかるブレンド樹脂が、イソソルビドと特定のスピロ環構造を有するモノマーを含むモノマー成分から形成されるポリカーボネート共重合体と優れた密着性をもち、上記ブレンド樹脂層とポリカーボネート共重合体層を有する積層体は、イソソルビドの共重合比の高い共重合体を使用した場合においても、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.樹脂層(A)と樹脂層(B)とを含み、樹脂層(B)の少なくとも一方の面に樹脂層(A)が積層された積層体であって、樹脂層(A)は、主たる繰り返し単位が下記式(a-1)
Figure 2022041497000001
で表される単位(a-1)と下記式(a-2)
Figure 2022041497000002
(式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1~20の分岐もしくは直鎖のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)
で表される単位(a-2)を含み、単位(a-1)と単位(a-2)とのモル比(a-1/a-2)が71/29~95/5であるポリカーボネート樹脂(A)であり、樹脂層(B)は、芳香族(メタ)アクリレート単位5~80重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位20~95重量%を含有するアクリル共重合体(B-1)1~50重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)50~99重量部とのブレンド樹脂(B)である、積層体。
2.ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が90℃~145℃である前項1記載の積層体。
3.ポリカーボネート樹脂(A)の単位(a-2)が3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンから誘導される単位である前項1または2記載の積層体。
4.アクリル共重合体(B-1)の重量平均分子量が5,000~30,000である前項1~3のいずれかに記載の積層体。
5.芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)がビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂である前項1~4のいずれかに記載の積層体。
6.積層体の総厚みが0.03~3mmである前項1~5のいずれかに記載の積層体。
7.前項1~6のいずれかに記載の積層体の少なくとも一方の面に硬化皮膜を備えてなる積層体。
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定の(メタ)アクリレート共重合体を一定比率含有させたブレンド樹脂からなる層と、イソソルビドと特定のスピロ環構造を有するモノマーを含むモノマー成分から形成されるポリカーボネート共重合体からなる層を有する積層体は、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れる積層体を提供することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<樹脂層(A)>
本発明の積層体を構成する樹脂層(A)は下記のポリカーボネート樹脂(A)から形成される。
(ポリカーボネート樹脂(A))
ポリカーボネート樹脂(A)は、主たる繰り返し単位が、単位(a-1)と単位(a-2)とから構成される。主たる繰り返し単位とは、単位(a-1)と単位(a-2)との合計が全繰り返し単位を基準として好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上であることである。
(単位(a-1))
本発明における単位(a-1)は前記式(a-1)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(a-1)で示されるバイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールを含有するポリカーボネート樹脂は、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
前記式(a-1)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(a-1-1)、(a-1-2)および(a-1-3)が例示される。
Figure 2022041497000003
Figure 2022041497000004
Figure 2022041497000005
これらは、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。繰り返し単位(a-1-1)、(a-1-2)および(a-1-3)は、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる脂肪族ジオール由来の単位である。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
(単位(a-2))
本発明における単位(a-2)は前記式(a-2)に示したように、スピロ環構造を有するジオールから誘導されるものである。
式(a-2)において、Wは炭素数1~10のアルキレン基または炭素数6~10のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がより好ましい。
Rは炭素数1~10の分岐もしくは直鎖のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数6~10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1~4の分岐または直鎖のアルキル基がより好ましい。置換基としては炭素数1~4の分岐または直鎖のアルキル基が好ましい。
mは0~5の整数が好ましく、1~4の整数が好ましい。
スピロ環構造を有するジオール化合物として、具体的には3,9-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジエチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジプロピルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどの脂環式ジオール化合物が挙げられる。
好ましくは、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンが用いられる。
(その他の単位)
単位(a-1)および単位(a-2)以外のその他の単位を誘導するジオール化合物としては、他の脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。
脂肪族ジオール化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1.9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,3-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
脂環式ジオール化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなどが挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
(組成)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、主たる繰り返し単位が単位(a-1)と単位(a-2)とを含み、それらのモル比(a-1/a-2)は71/29~95/5である。モル比(a-1/a-2)が71/29~95/5では、耐薬品性、密着性、表面硬度が高くなり好ましい。単位(a-1)と単位(a-2)とのモル比(a-1/a-2)は、73/27~94/6が好ましく、75/25~92/8がより好ましく、80/20~90/10がさらに好ましい。この組成の範囲では、特に耐薬品性と密着性のバランスに優れる。なお、モル比(a-1/a-2)が71/29より小さい場合は、耐薬品性に劣り、他方モル比(a-1/a-2)が95/5より大きい場合は、密着性が悪化する場合がある。モル比(a-1/a-2)は、日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
(ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法)
ポリカーボネート樹脂(A)は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6~12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm-クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97~1.10モル、より好ましくは1.00~1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10-9~1×10-2当量、より好ましくは1×10-8~1×10-3当量、さらに好ましくは1×10-7~1×10-5当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5~50モルの割合で、より好ましくは0.5~10モルの割合で、更に好ましくは0.8~5モルの割合で使用することができる。
(比粘度:ηSP
ポリカーボネート樹脂(A)の比粘度(ηSP)は、0.2~1.5の範囲が好ましい。比粘度が0.2~1.5の範囲では積層体の強度及び成形加工性が良好となる。より好ましくは0.25~1.0の範囲であり、さらに好ましくは0.3~0.7の範囲であり、特に好ましくは0.3~0.5の範囲である。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求める。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20~30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、90℃~145℃の範囲が好ましく、100℃~145℃の範囲がより好ましく、110℃~143℃の範囲がさらに好ましく、120℃~141℃の範囲が特に好ましい。上記範囲内であると積層体の強度及び成形加工性が良好となる。
<樹脂層(B)>
本発明の積層体を構成する樹脂層(B)は下記のアクリル共重合体(B-1)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)とのブレンド樹脂(B)から形成される。
(アクリル共重合体(B-1))
本発明で使用されるアクリル共重合体は、芳香族(メタ)アクリレート単位5~80重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位20~95重量%を含有する。また、芳香族(メタ)アクリレート単位10~60重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位40~90重量%を含有することが好ましく、芳香族(メタ)アクリレート単位20~50重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位50~80重量%を含有することがより好ましい。上記範囲内とすると、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れる積層体を得ることができる。
また、アクリル共重合体の重量平均分子量は5,000~30,000の範囲が好ましく、8,000~28,000の範囲がより好ましく、10,000~25,000の範囲がさらに好ましい。上記範囲内とすると、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れる積層体を得ることができる。
(芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2))
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。
2価フェノールを原料として用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)の製造方法としては、ホスゲン法、エステル交換法、ピリジン法等、公知のいずれの方法を用いてもかまわない。
2価フェノールの代表例としては、ビスフェノール類が挙げられ、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部又は全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、ハイドロキノン、4,4-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンや1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどの化合物、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアルキル化ビスフェノール類、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)の粘度平均分子量は、力学特性と成形加工性のバランスから、好ましくは15,000以上30,000以下、より好ましくは20,000以上27,000以下の範囲である。ここで、ポリカーボネート樹脂(B-2)の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用いて塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
また、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.60g/dlに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃で測定され、好ましくは0.23dl/g以上0.72dl/g以下で、より好ましくは0.27dl/g以上0.61dl/g以下の範囲内である
(ガラス転移温度:Tg)
芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)のガラス転移温度(Tg)は、90℃~145℃の範囲が好ましく、100℃~143℃の範囲がより好ましく、110℃~140℃の範囲がさらに好ましく、120℃~135℃の範囲が特に好ましい。上記範囲内であると積層体の強度及び成形加工性が良好となる。
(ブレンド樹脂(B))
(組成)
本発明で使用されるブレンド樹脂(B)は上述したアクリル共重合体(B-1)1~50重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)50~99重量部(但し、アクリル重合体と芳香族ポリカーボネート樹脂との合計が100重量部)とのブレンド樹脂である。かかるブレンド樹脂(B)は透明性が高く、可撓性も良好であり好ましい。
ブレンド樹脂(B)は、アクリル共重合体(B-1)5~45重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)55~95重量部との混合物であることが好ましく、アクリル共重合体(B-1)15~30重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)70~85重量部との混合物であることがより好ましい。アクリル共重合体(B-1)が5重量部より少ないと芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)との密着性が悪くなり、50重量部より多いと樹脂層(B)の耐熱性が低くなり、また可撓性が低下する。ポリマーブレンドは、任意の方法で実施することができるが、例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、混練ロール、押出機などで混合する方法が適宜用いられる。
<添加剤>
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(ポリカーボネート樹脂(A)や芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2))には、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、衝撃改質剤等の添加剤を配合することができる。
(熱安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。特に、単位(a-1)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系熱安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としてはホスファイト化合物を配合することが好ましい。ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他の構造を有するホスファイト化合物が挙げられる。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6-tert-ブチル-4-[3-[(2,4,8,10)-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル]-2-メチルフェノールなどを挙げることができる。
上記のその他の構造を有するホスファイト系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
各種ホスファイト化合物以外には、例えば、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)
-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤の中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
上記のリン系熱安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤またはイオウ系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2-メチル-4-(3-ラウリルチオプロピオニルオキシ)-5-tert-ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-6-メチルベンズイミダゾール、1,1’-チオビス(2-ナフトール)などを挙げることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらのイオウ系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
イオウ系熱安定剤はポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
ホスファイト系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤を併用する場合、これらの合計でポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
(離型剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1~20の一価または多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10~30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01~5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-tert-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート-ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の配合割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.03~2.5重量部、より好ましくは0.1~2重量部、さらに好ましくは0.2~1.5重量部である。
(光安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、光安定剤を含むことができる。光安定剤を含むと、耐候性の面で良好であり、成形品にクラックが入り難くなるという利点がある。
光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-2-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネ-ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-オクタノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ジフェニルメタン-p,p′-ジカ-バメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3-ジスルホネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ-バメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの光安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部である。
(エポキシ系安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、加水分解性を改善するため、本願発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ化合物を配合することが出来る。
エポキシ系安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。
このようなエポキシ系安定剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0001~5重量部、より好ましくは0.001~1重量部、さらに好ましくは0.005~0.5重量部の範囲で配合される。
(ブルーイング剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.1×10-4~2×10-4重量部の割合で配合される。
(難燃剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネート化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり0.05~50重量部の範囲が好ましい。0.05重量部以上で十分な難燃性が発現し、50重量部以下であると成形品の強度や耐熱性に優れる。
(弾性重合体)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、衝撃改良剤として弾性重合体を使用することができ、弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア-シェル型のグラフト共重合体である。
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
衝撃改良剤としてより好適なのはコア-シェル型のグラフト共重合体である。コア-シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05~0.8μmが好ましく、0.1~0.6μmがより好ましく、0.1~0.5μmがさらに好ましい。0.05~0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴム、イソブチレン-シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは-10℃以下、より好ましくは-30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア-シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数~数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア-シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン-アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB-56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC-223Aなど)、Wシリーズ(例えばW-450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL-2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA-15など)、BTAシリーズ(例えばBTA-IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM-336P、KM-357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル-シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS-2001あるいはSRK-200という商品名で市販されているものが挙げられる。
弾性重合体の組成割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり0.2~50重量部が好ましく、1~30重量部が好ましく、1.5~20重量部がより好ましい。かかる組成範囲は、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
<積層体>
本発明の積層体は、フィルム、シート、プレート等の成形品として広く使用することができる。積層体の成形方法としては公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。この中でも特に共押出法を用いることが好ましい。
共押出の場合、積層体の各層を構成する樹脂、及び、添加剤を複数台の押出機を用いてフィードブロック、あるいは、マルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、積層体を成形する。積層体の強度や耐衝撃性をさらに向上するには、前記工程で得られた積層体をロール法、テンター法、チューブラー法等で一軸、あるいは、二軸に延伸することもできる。
本発明の積層体において、総厚みが0.03~3mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましく、0.1~0.8mmがさらに好ましく、0.2~0.5mmが特に好ましい。樹脂層(A)の1層あたりの厚みは、0.01~0.1mmの範囲が好ましく、0.02~0.08mmの範囲がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)を含む層の厚みがかかる範囲内であれば、優れた表面硬度、耐熱性を有しながら、さらに、優れた耐薬品性をも有する積層体を提供することができる。一方、樹脂層(B)の1層あたりの厚みは、0.02~2.99mmの範囲が好ましく、0.1~2.95mmの範囲がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)を含む層の厚みがかかる範囲内であれば、優れた透明性、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、可撓性を有する積層体を得ることができる。
また、樹脂層(A)を積層体の最外層とし、かつ、樹脂層(B)を積層体の内層として少なくとも1層有する構造(例えば樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)の構造)が、両面共に表面硬度および耐薬品性のバランスに優れるため好ましい。
フィルム、シート、または、プレートとして成形された本発明の積層体は、透明性、密着性、耐薬品性、可撓性に優れ、かつ、優れた耐UV変色性、表面硬度を有する。そのため、本発明の積層体の用途は特に制限されるものではないが、例えば、建材、内装部品、ディスプレイカバー等の透明シート、樹脂被覆金属板用シート、成形(真空・圧空成形、熱プレス成形など)用シート、着色プレート、透明プレート、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シュリンクチューブ、自動車内装材、樹脂グレージング、家電製品部材、OA機器部材等に使用できる。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体を製造する方法としては、ダイから溶融押し出した溶融樹脂組成物を、第1冷却ロール、第2冷却ロールおよび第3冷却ロールの順に3つの冷却ロールに順次外接させて冷却した後に引き取る溶融製膜法により製造されることが好ましい。上記溶融押出しに使用される押出機は、樹脂組成物を供給するホッパー部、樹脂組成物を溶融するシリンダ部、樹脂組成物をシリンダ内にかみ込み溶融樹脂組成物を移動させるスクリュー、溶融樹脂組成物を一定量移動させるギアポンプ、溶融樹脂組成物中の異物を除去するためのフィルターおよび溶融樹脂組成物を押し出すダイを有することが好ましい。溶融押出しに先んじて、樹脂組成物を十分に乾燥して水分および内部の空気を除去しておくことが好ましい。事前に乾燥処理を施すことにより、得られる積層体の発泡や樹脂組成物の熱劣化を防ぐことができるため好ましい。
本発明の積層体の製造方法において好適に使用されるペレットの含水率は、1,000ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは500ppm以下である。ペレットは除湿機能を有する乾燥機を用いて乾燥することが乾燥時間の短縮効果があり好ましい。ペレットの乾燥温度は樹脂組成物のガラス転移温度より低く設定することが好ましく、(Tg-20)~(Tg-15)℃が好ましく、より好ましくは(Tg-15)~(Tg-5)℃である。乾燥温度をTg℃以上に設定すると、ペレットが半溶融化し、ペレット同士が固着してしまうことがある。また、乾燥温度が低いと乾燥が不十分となる。
溶融押出しに使用される押出機において、ホッパー内の空気(酸素)による樹脂組成物の熱劣化の促進を防ぐため、ホッパー内の雰囲気を熱窒素ガスで置換するか、熱窒素ガスを流通させる方法やホッパーを真空状態にする事で無酸素状態にする事も好ましく採用される。窒素流量は、2~6l/minが好ましい。より好ましくは、3~5l/minであり、ホッパー内が陽圧になることが好ましい。下限未満である場合、ホッパーを十分に陽圧にできないことがある。また、上限を超える場合、ホッパー外への流出量が増し、外部漏洩による酸素濃度低下等の懸念がある。真空状態にする場合は、スクリューバレル部に樹脂が充填されている状態において、真空度を-100kPa以下とすることが好ましい。真空度が不十分である場合、ホッパーを含むフランジおよび他接合部等に隙間があることがあり、無酸素状態とならなくなることがある。
ホッパーに投入された樹脂組成物は、次いで供給口においてスクリューのかみ込み部(
供給部)により押出機内にかみ込まれる。このとき、スクリューのかみ込み開始部とバレル部との間で樹脂が粘着状となってスクリューに絡みついてその後の樹脂組成物の供給が阻害され、樹脂組成物が押出機内の同一地点に長時間滞留することにより徐々に茶色や黒色の熱劣化物が生じたり、吐出量変動を起こすことがある。このような不具合を避けるため、スクリューかみ込み部近傍のバレル部を水冷することが好ましい。次いで押出機のスクリューの運動により、押出機内をダイ方向へと移動する。このとき、例えば押出機先端部とギアポンプとを接続するフランジ部、溶融樹脂組成物の導管、フィルターハウジングと押出しダイとを接続する導管、フィルターハウジング部等において樹脂組成物の熱劣化物が極力生じないようにすることが好ましい。そのため、例えば導管が急激に屈曲しないような構造として、樹脂組成物の局所的な滞留を防ぐことが好ましく行われる。
また、押出機には樹脂組成物が溶融した後に真空脱気させるベント機能を有さない構造の押出機であることが滞留部を設けない観点から好ましい。押出機の吐出能力は、上記の好ましい滞留時間を勘案のうえ設定される。工業的な観点からは、例えば幅約1,000mm程度で厚さ約50μm程度の積層体を形成するためのフィルムを製造する場合、吐出量が最高130kg/h程度の押出機を選ぶことが好ましい。かかる押出機を用いれば、幅1,200mmのダイを用い、幅1,100mm、厚み50μmのフィルムを速度約30m/分で製膜することができる。スクリューは樹脂組成物を溶融押出しするために通常用いられるスクリューを使用することができ、中でも単軸のスクリューが好ましい。また、スクリュー形状は、フルフライト構造やダブルフライト構造を適用でき、押出機シリンダ内で発生したガスをホッパー方向へ効率よく排出するために十分な溝深さを有しておくことが好ましい。スクリューのペレット供給部における溝深さは5~10mmが好ましく、より好ましくは6~8mmである。溝深さが10mmよりも深いと、ペレット噛み込みが過度となり、スクリュートルク上昇によって、スクリュー破損の原因となることがある。また、溝深さが5mmよりも浅い場合、ペレットの噛み込みが不安定となり、吐出量が安定しなくなることがある。この時、押出機シリンダおよび配管の設定温度は吐出された樹脂組成物の温度との差が+15℃以内となるように設定することが好ましい。より好ましくは+10℃以内である。+15℃を超えるような温度差が生じている場合、スクリューせん断によって樹脂組成物が異常に発熱していることを示しており、せん断による樹脂の低分子化、ゲル化が促進されることになる。また、スクリューをせん断がかかりにくい構造とすることも好ましく、スクリューの圧縮比を2.50未満とすることが好ましい。スクリューの圧縮比はより好ましくは1.30以上2.50未満であり、さらに好ましくは1.50以上2.30以下である。スクリューの圧縮比が1.30未満だと樹脂組成物の混練が不十分となり、溶融状態が不安定となる。スクリュー先端部における混練部、計量部は圧縮比に影響しないため、その形状を自由に選択する事ができる。ただし、マドックなどに代表される未溶融ペレットを強制的に溶融させる構造は、発熱を促すことにつながるため好ましくない。
フィルターとしては、必要なろ過面積を持ったリーフディスク状、または、プリーツ状のフィルターエレメントおよびこれを保持する円筒形のハウジングからなる構成を有するものが好ましい。フィルターエレメントとしては公知のものを用いることができるが、市販されている焼結金属型や極細金属繊維の集合体型等の金属製の耐熱、耐圧性のフィルターエレメントを用いることが好ましい。
本発明に用いる溶融押出しダイとしては、ダイの幅方向の中央部から樹脂組成物を供給するタイプのT-ダイ(コートハンガー型ダイ)またはT-ダイを樹脂組成物の流入部で二分した形状とし、ダイの幅方向の一端部から樹脂組成物を流入させるタイプのI-ダイ等の公知のものを用いることが好ましい。なお、押出しダイにおいて樹脂組成物が吐出される部分であるリップは十分に平滑な形状に仕上げることが好ましい。本発明においてリップ開度(ダイの開度)は、所望のフィルム厚みをtとしたときに、5t~25tの範囲とすることが好ましく、7t~20tの範囲がより好ましい。具体的には例えば厚み100μmのフィルムの場合には、リップ開度を0.5~2.5mmとすることが好ましく、0.7mm~2.0mmとすることがより好ましい。かかる範囲にリップ開度を調整することにより、吐出する樹脂組成物がダイリップで受ける剪断応力が軽減され、複屈折率、特に面内の複屈折率を小さく抑えることができる。またかかるリップ開度はフィルム厚みに対して十分に広いため、ダイリップのキズや付着物等との接触により生じるダイ筋が軽減されるという有利な効果もある。光学用途等に使用する場合、フィルムのダイ筋は可能な限り抑制することが望ましい。厚み斑の自動調整にはダイのリップボルトを機械的に回転させて、リップ開度を調整する方式やダイリップに一定間隔で加熱装置をつけ、それらを個別に温度調整して溶融樹脂の粘度の温度変化を利用してフィルム厚みを調整する方式(温度リップ)を採ることが好ましい。
第1冷却ロールの周速度R1に対する第2冷却ロールの周速度R2の比R2/R1は、1.050~1.100が好ましい、更に好ましくは1.050~1.080の範囲である。熱成形時に問題となるドローダウン現象は、フィルムの熱収縮を大きくする事により、抑制する事ができる。フィルムの熱収縮率は、未延伸フィルムを延伸する際の延伸倍率によって調整できるが、未延伸フィルム製膜時の冷却ロール温度を適当な範囲に制御し、冷却ロール間に速度差を付け、微延伸する事によっても調整できる。冷却ロール間に速度差をつける方法は、縦延伸設備を必要とせず、簡便な方法であるため、好適に用いられる。比R2/R1が小さすぎるとフィルムの熱収縮率が小さくなりすぎ、加熱成型時にドローダウンを誘発してしまうことがある。比R2/R1が大きすぎると、フィルムの熱収縮率が大きくなりすぎ、熱成型品に収縮応力が残り、歪みが発生する場合がある。冷却ロールの速度比率を精密に制御するために、各冷却ロールは周速度を0.01%の精度で制御できる設備であることが好ましい。
本発明の積層体の製造方法において使用される第1冷却ロールの温度は、樹脂組成物のガラス転移温度を(Tg)℃としたときに、(Tg-7)~(Tg)℃が好ましく、(Tg-5)~(Tg)℃の範囲がより好ましい、更に好ましくは(Tg-3)℃~(Tg-1)℃の範囲である。第1冷却ロールの温度は上記範囲を超えて低くすると、積層体のロールへの密着性が低下し、その結果空気の巻き込みが起こりやすくなり、ロールと積層体間に微妙な滑りが生じることがある。そのため、積層体が過度に冷却され膜厚を均一化できなくなる現象が生じることがある。一方で冷却ロールの温度が上記範囲を超えて高い場合には、積層体のロールへの粘着性が高くなりすぎ、積層体がロールから剥離する時に積層体に傷や歪み等が生じやすくなることがある。第2冷却ロールの温度は(Tg-25)℃~(Tg-15)℃の範囲内が好ましい。第2冷却ロールの温度は上記範囲を超えて低くすると、積層体のロールへの密着性が低下し、その結果空気の巻き込みが起こりやすくなり、ロールと積層体間に微妙な滑りが生じる。そのため、冷却された積層体表面に擦りキズが発生することがある。
さらに第3ロールの温度は第2冷却ロールの温度より5~10℃低い温度設定とすることが好ましい。第1~第3冷却ロールの表面温度は均一に制御できるものを用いることが好ましい。ロールの表面温度を均一に保つために、内部に温度を制御した冷却媒体を流すことが好ましい。また冷却ロール表面は鏡面であるものを用いることが好ましく、硬質クロームやセラミック等の素材からなるものが好ましく用いられる。
積層体の製膜速度は、積層体の物性を満足する範囲で適宜に設定することができる。生産性の点からは製膜速度は速い方が望ましいが、速すぎるとキャスト部分でのエアーの巻き込み等によりロールへの密着性が低下し、積層体の均質性が損なわれるおそれがある。好ましい製膜速度は、第1冷却ロールの周速度R1として2~50m/分であり、より好ましくは5~30m/分である。
(表面処理)
本発明の積層体には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。ハードコートは特に好ましくかつ必要とされる表面処理である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
2.比粘度
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
3.ガラス転移温度(Tg)
ポリカーボネート樹脂またはアクリル系樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC-2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
4.全光線透過率
日本電色工業(株)製濁度計NDH-2000型を用いて測定した。
5.表面硬度
JIS K5400に基づき、雰囲気温度23℃の恒温室内で80mm×60mmに切り出した積層体サンプルの第1層(樹脂組成物からなる層(C)側)の表面に対して、鉛筆を45度の角度を保ちつつ750gの荷重をかけた状態で線を引き、表面状態を目視にて評価した。
6.密着性
サンプルを50×50mmに切り取り、クロスカット法を用いて、1mm幅でシート表面から界面層に至るまで100マス分の傷をつけ、マス目にテープを張り付け剥離した。
〇;100マスすべて剥離なし
×;1マス以上の剥離が発生
7.耐薬品性
非特許文献1を参考に、一般的に市販されている日焼けクリーム(ロート製薬株式会社製 メンソレータムスキンアクア SPF27)を積層体サンプル(樹脂組成物からなる層(C)側)表面に均一に塗布し、80℃2時間熱処理をした後、中性洗剤で表面を洗い
、布でふき取った後のフィルム表面外観を日本電色工業(株)ヘイズメーターSH―7000を用いて測定し、また目視で確認した。
◎:綺麗にふき取れ、かつヘイズの変化量が5%以下
○;綺麗にふき取れ、かつヘイズの変化量が5%より高く30%以下
×;ふき取り困難もしくは白化
8.割れ性(可撓性)
サンプルを50×50mmに切り取り、両端を合わせ折るように180℃折り曲げ、屈曲部の変化を観察した。
〇;割れない
△;割れないが屈曲部にクレーズが発生
×;割れる
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ISS-PC1(実施例):
イソソルビド(以下ISS)に由来する構造単位/3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(以下SPG)に由来する構造単位=80/20(モル%)、比粘度0.332
ISS-PC2(実施例):
ISSに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位/1,9-ノナンジオール(以下ND)=79/12/9(モル%)、比粘度0.383
ISS-PC3(実施例):
ISSに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位/1,4-シクロヘキサンジメタノール(以下CHDM)に由来する構造単位=80/15/5(モル%)、比粘度0.349
ISS-PC4(実施例):
ISSに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位に由来する構造単位=75/25(モル%)、比粘度0.340
ISS-PC5(比較例):
ISSに由来する構造単位/CHDMに由来する構造単位=70/30(モル%)、比粘度0.388
ISS-PC6(比較例):
ISSに由来する構造単位/CHDMに由来する構造単位=50/50(モル%)、比粘度0.397
ISS-PC7(比較例):
ISSに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=60/40(モル%)、比粘度0.391
ISS-PC8(比較例):
ISSに由来する構造単位/SPGに由来する構造単位=97/3(モル%)、比粘度0.298
[熱可塑性樹脂(B)]
PC/アクリル-1(実施例):ポリカーボネート樹脂とアクリル共重合体との重量比率=70:30
PC/アクリル-2(実施例):ポリカーボネート樹脂とアクリル共重合体との重量比率=85:15
PC/アクリル-3(比較例):ポリカーボネート樹脂とPMMA(アクリペットVH001:三菱ケミカル)との重量比率=80:20
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂Aの製造>
イソソルビド(以下ISSと略す)354部、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(以下SPGと略す)316部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10-2部とステアリン酸バリウム0.6×10-4部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて220℃へ昇温および減圧度を20.0kPaに調整した。その後、さらに30分かけて240℃へ昇温および減圧度を10kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(ISS-PC1)。
<熱可塑性樹脂Bの製造>
温度計、窒素導入管、還流冷却管、および攪拌装置を備えた加温可能な反応容器中に下記成分を仕込み、反応容器内を窒素で置換し、80℃に昇温した。脱イオン水200部、分散剤0.3部、硫酸ナトリウム0.5部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.3部、フェニルメタクリレート33部、メチルメタクリレート66部、メチルアクリレート1部、n-オクチルメルカプタン2.5部を導入し、4時間攪拌を続け、得られたビーズ状の重合体を水洗、乾燥し、アクリル共重合体(重量平均分子量19,200)を得た。なお、分散剤として、カリウムメタクリレート70部、メチルメタクリレート30部を共重合した重合体、およびナトリウム2-スルホエチルメタクリレート65部、カリウムメタクリレート10部、メチルメタクリレート25部を共重合した重合体を質量比1:1で混合し、この混合した重合体の10%水溶液を用いた。
得られたアクリル共重合体とポリカーボネート樹脂(帝人(株)製ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量22,200)を二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX-46]に供給し、280℃で溶融混練し、熱可塑性樹脂Bペレットを得た。ポリカーボネート樹脂とアクリル共重合体との比率を70:30とした樹脂ペレットをPC/アクリル-1とした。
<積層体の製造>
樹脂層(A)を形成するISS-PC1はスクリュー径40mmの単軸押出機で、また樹脂層(B)を形成する熱可塑性樹脂BとしてPC/アクリル1を用いてスクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、マルチマニホールド法にて2種3層に積層させた。ISS-PC1については設定温度250℃、PC/アクリル1については設定温度280℃で押出し、T型ダイスを介して、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、樹脂層(B)の両面に樹脂層(A)を積層した積層体を得た。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層(樹脂層(A))/第2層(樹脂層(B))/第3層(樹脂層(A)層)=50/400/50(μm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。得られた積層体の各種評価結果を表1に記載した。得られた積層体の各種評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
熱可塑性樹脂(B)をPC/アクリル-2に変更した以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC2に変更し、樹脂層(B)の片面に樹脂層(A)を積層した2種2層積層体に変更した。また、この時それぞれの層の厚みは、第1層(樹脂層(A))/第2層(樹脂層(B))=50/350(μm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した以外は、実施例1の積層体の製造方法と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例4]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC3に変更した以外は、実施例3と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例5]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC4に変更し、熱可塑性樹脂(B)をPC/アクリル2に変更した以外は、実施例3と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC5に変更した以外は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例2]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC6に変更した以外は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例3]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC7に変更した以外は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例4]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC8に変更した以外は、実施例4と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例5]
ポリカーボネート樹脂AをISS-PC1に変更し、熱可塑性樹脂(B)をPC/アクリル-3に変更した以外は、実施例3と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。樹脂層(B)は白濁し透明性が著しく悪いものであった。
[比較例6]
熱可塑性樹脂(B)をビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂(パンライトL-1250:帝人)に変更した以外は、実施例3と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例7]
ISS-PC4とPMMA(アクリペットVH001:三菱ケミカル)との重量比率=70:30で二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX-46]に供給し、260℃で溶融混練し、ポリカーボネート樹脂(A)ペレットとして用いた以外は、比較例6と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
Figure 2022041497000006
Figure 2022041497000007
本発明の積層体は、透明性、耐薬品性、表面硬度、密着性、可撓性に優れ、建材、自動車内装部品、車載ディスプレイカバー、スマートフォン背面カバー等の透明シート、樹脂被覆金属板用シート、成形(真空・圧空成形、熱プレス成形など)用加飾シートとして極めて有用である。

Claims (7)

  1. 樹脂層(A)と樹脂層(B)とを含み、樹脂層(B)の少なくとも一方の面に樹脂層(A)が積層された積層体であって、樹脂層(A)は、主たる繰り返し単位が下記式(a-1)
    Figure 2022041497000008
    で表される単位(a-1)と下記式(a-2)
    Figure 2022041497000009
    (式中、Wは炭素数1~20のアルキレン基または炭素数6~20のシクロアルキレン基を表し、Rは炭素数1~20の分岐もしくは直鎖のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数6~20のシクロアルキル基を表し、mは0~10の整数を示す。)
    で表される単位(a-2)を含み、単位(a-1)と単位(a-2)とのモル比(a-1/a-2)が71/29~95/5であるポリカーボネート樹脂(A)であり、樹脂層(B)は、芳香族(メタ)アクリレート単位5~80重量%およびメチル(メタ)アクリレート単位20~95重量%を含有するアクリル共重合体(B-1)1~50重量部と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)50~99重量部とのブレンド樹脂(B)である、積層体。
  2. ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が90℃~145℃である請求項1記載の積層体。
  3. ポリカーボネート樹脂(A)の単位(a-2)が3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンから誘導される単位である請求項1または2記載の積層体。
  4. アクリル共重合体(B-1)の重量平均分子量が5,000~30,000である請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
  5. 芳香族ポリカーボネート樹脂(B-2)がビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂である請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
  6. 積層体の総厚みが0.03~3mmである請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の積層体の少なくとも一方の面に硬化皮膜を備えてなる積層体。
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