JP2022040977A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルに吐出異常が発生した場合でも、粒状度の増加を抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】吐出異常ノズル、及び入力画像の初期解像度を取得する情報取得部71と、異常ノズルに基づいて、解像度を低下させてインクを吐出する領域である補完領域を設定し、補完領域における解像度を変更後解像度として設定し、変更後解像度となるように、補完領域に含まれるノズルのうちの使用ノズルを設定する補完情報設定部72を有する。更に、入力画像の補完領域における印字濃度を取得し、取得した印字濃度と変更後解像度に基づいて、再生成画像を生成する補完データ生成部73と、使用ノズルからインクを吐出して、再生成画像を形成する補完実行部74を備える。補完データ生成部73は、再生成画像における面積当たりのインクの吐出量を、初期解像度時の濃度と同一になるように、インクのドロップ数を設定する。【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
複数のノズルを備えたヘッドユニットの各ノズルから液滴を吐出して画像を印刷するインクジェット記録装置においては、液滴が吐出されないノズル(以下、「異常ノズル」という)が発生すると、印刷した画像に白筋が発生する。従って、異常ノズルが発生した場合には、この異常ノズルを含むヘッドユニットを交換しなければならず、印刷を継続させることができない。
特許文献1には、各ヘッドユニットごとに画像検査を行い、異常ノズルが存在するか否かを検査し、異常ノズルが存在する場合には、この異常ノズルを含むヘッドユニットにおける液滴の吐出密度を低下させることが開示されている。例えば、初期的に設定された画像の解像度が1200[dpi](「dpi」は、1インチ当たりのドット数を示す)である場合に、異常ノズルが発生した際に解像度を600[dpi]に低下させて画像を印刷する。また、画像の濃度が維持されるように、色変換処理を実施する。その結果、画像に生じる白筋を見えにくくすることができる。
特開2006-334979号公報
しかし、特許文献1に開示された方法では、濃度補正を行うためにドットの最大ドロップ数(インクを吐出する回数)を変更せずに、ドットを大きくしており、印刷用紙に吐出される液滴の粒状度が増加して解像度を低下したことが目立つという問題が生じる。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ノズルに吐出異常が発生した場合でも、他の正常なノルズを用いて画像を補完し、且つ、粒状度の増加を抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明は、記録ヘッドに設けられた複数のノズルより液滴を吐出して、入力画像を形成するインクジェット記録装置であって、前記複数のノズルのうち、前記液滴の吐出異常が発生している異常ノズルの情報、及び前記入力画像の初期解像度の情報を取得する情報取得部と、前記異常ノズルの情報に基づいて、前記複数のノズルのうち、解像度を低下させてインクを吐出する領域である補完領域を設定し、且つ、該補完領域における解像度を変更後解像度として設定し、且つ、前記変更後解像度となるように、前記補完領域に含まれるノズルのうちの使用ノズルを設定する補完情報設定部と、前記入力画像の、前記補完領域における印字濃度を取得し、取得した印字濃度と前記補完情報設定部により設定された前記変更後解像度に基づいて、前記補完領域における画像を再生成した再生成画像を生成する補完データ生成部と、前記使用ノズルから前記液滴を吐出して、前記再生成画像を形成する補完実行部と、を備え、前記補完データ生成部は、前記補完情報設定部により前記初期解像度に対して1/N(Nは2以上の整数)倍の前記変更後解像度とされた場合に、前記液滴の最大ドロップ数をN倍に設定し、最小ドロップ数を0より大きい所定値に設定し、且つ、前記再生成画像における面積当たりの前記液滴の吐出量を前記初期解像度時の濃度と同一になるように前記液滴のドロップ数を設定することを特徴とする。
本発明によれば、ノズルに吐出異常が発生した場合でも、他の正常なノルズを用いて画像を補完し、且つ、粒状度の増加を抑制することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置に搭載されるインクヘッドの構成を模式的に示す説明図である。 図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の電気的な構成を示すブロック図である。 図4Aは、1つのノズルに吐出異常が発生した場合に設定される補完領域を示す説明図である。 図4Bは、2つのノズルに吐出異常が発生した場合に設定される補完領域を示す説明図である。 図4Cは、3つのノズルに吐出異常が発生した場合に設定される補完領域を示す第1の説明図である。 図4Dは、3つのノズルに吐出異常が発生した場合に設定される補完領域を示す第2の説明図である。 図5は、各ノズルにより吐出されるインクのドットを示す説明図であり、(a)は初期解像度の場合、(b)は従来において解像度を1/2とした場合、(c)は本発明を適用して解像度を1/2とした場合を示す。 図6は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の処理手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明のインクジェット記録装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット記録装置1の概略構成図である。なお、図1に矢印で示す上下左右が、インクジェット記録装置1における上下左右方向とする。また、図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面の手前方向を前方とし、紙面の奥側の方向を後方とする。
本実施形態のインクジェット記録装置1は、図1に示すように、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル60と、制御部70と、を備えている。
サイド給紙部10は、印刷用紙Pが載置される給紙台11と、給紙台11から最上位置の印刷用紙Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部12と、1次給紙部12によって搬送された印刷用紙Pを循環搬送路CR上へ搬送する2次給紙部14とを備えている。
内部給紙部20は、印刷用紙Pが載置される給紙台21aと、給紙台21aから最上位置の印刷用紙Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22aと、印刷用紙Pが載置される給紙台21bと、給紙台21bから最上位置の印刷用紙Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22bと、印刷用紙Pが載置される給紙台21cと、給紙台21cから最上位置の印刷用紙Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22cと、印刷用紙Pが載置される給紙台21dと、給紙台21dから最上位置の印刷用紙Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22dとを備えている。
このように2次給紙部14には、サイド給紙部10または内部給紙部20から印刷用紙Pが搬送されるとともに、さらに後述する反転部50からも印刷用紙Pが搬送される。
そのため搬送方向における2次給紙部14の手前には、内部給紙部20から給紙された印刷用紙Pの搬送経路と、反転部50から搬送された一方の面が印刷された印刷用紙Pの搬送経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙搬送路FRと呼び、それ以外の経路を循環搬送路CRと呼ぶ。
印刷部30は、複数のインクジェットヘッドが設けられたヘッドユニット31と、ヘッドユニット31に対向して設けられた搬送部32とを備えている。
図2は、ヘッドユニット31の平面図である。ヘッドユニット31は、図2に示すように、4つのラインヘッド28C、28K、28M、28Yを備えている。4つのラインヘッド28C、28K、28M、28Yは、それぞれ6つのインクジェットヘッド29を備え、左右方向(印刷用紙Pの搬送方向)に配列されている。4つのラインヘッド28C、28K、28M、28Yは、それぞれ異なる色のインクを吐出する。本実施形態においては、ラインヘッド28Cがシアン(C)のインクを吐出し、ラインヘッド28Kがブラック(K)のインクを吐出し、ラインヘッド28Mがマゼンダ(M)のインクを吐出し、ラインヘッド28Yがイエロー(Y)のインクを吐出する。
印刷用紙Pは、ヘッドユニット31の直下を左から右に向けて搬送されながら、複数のラインヘッド28C、28K、28M、28Yからインクが吐出されることにより印刷処理が施される。
図1に戻って、搬送部32は、環状の搬送ベルト133と、吸気ファン131、132と、搬送ベルト133が亘り掛けられる駆動ローラ134および従動ローラ135とを備えている。
搬送ベルト133には、複数の吸引孔が設けられている。また、吸気ファン131、132が、搬送ベルト133における印刷用紙Pの搬送路面の裏側の面に対向する位置に設けられている。この吸気ファン131、132が回転することによって搬送ベルト133の吸引孔に吸引力が発生する。
2次給紙部14により給紙された印刷用紙Pは、吸気ファン131,132の回転による吸引動作によって搬送ベルト133上に吸着し、駆動ローラ134の回転によって所定の搬送速度で搬送されながら、ヘッドユニット31から吐出されたインクによって印刷処理が施される。
印刷部30により印刷された印刷用紙Pは、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって循環搬送路CR上を搬送される。循環搬送路CR上には、循環搬送路CR上を搬送された印刷用紙Pを排紙部40へ案内するか、または循環搬送路CR上を再循環させるかを切り替える切り替え機構43が備えられている。切り替え機構43は、具体的には、排紙部40側の搬送経路と反転部50側の搬送経路とを切り替える。
排紙部40は、インクジェット記録装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙台41と、排紙台41に印刷用紙Pを排紙する一対の排紙ローラ42とを有する。そして、切り替え機構43により排紙部40側の搬送経路に案内された印刷用紙Pは、排紙ローラ42により排紙台41に排紙される。
反転部50は、印刷用紙Pを反転させる反転台51と、循環搬送路CRから反転台51へ印刷用紙Pを搬送するとともに、その反転台51に搬送された印刷用紙Pを循環搬送路CR上へ再び戻す反転ローラ52とを備えている。
切り替え機構43により反転部50に案内された印刷用紙Pは、反転ローラ52により循環搬送路CRから反転台51に搬送され、反転台51から循環搬送路CRへ再び戻されることによって、表裏が反転した状態で循環搬送路CR上を搬送される。そして、表裏が反転された印刷用紙Pは、循環搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラによって印刷部30へ向かって再び搬送される。
操作パネル60は、例えばタッチパネルから構成され、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。
制御部70は、インクジェット記録装置1全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及びハードディスクなどを備えている。制御部70は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御するものである。
図3は、制御部70の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部70は、情報取得部71と、補完情報設定部72と、補完データ生成部73と、補完実行部74と、を備えている。
情報取得部71は、操作パネル60より入力される異常ノズルの情報を取得する。異常ノズルとは、各インクジェットヘッド29に設けられる複数のインク吐出用のノズルのうち、インクの吐出不良を引き起こしたノズルである。異常ノズルの情報には、異常ノズルを含むインクジェットヘッド29及び異常ノズルの位置を示す情報が含まれている。
情報取得部71はまた、操作パネル60より入力されるハーフトーン処理の情報を取得する。具体的に、印刷の対象となる入力画像の解像度、及び印字濃度の情報を取得する。以下では、初期的に与えられる入力画像の解像度を「初期解像度」といい、印字濃度を「初期印字濃度」という。ハーフトーン処理の情報は、例えば操作パネル60により操作者が入力する。
補完情報設定部72は、情報取得部71で取得された異常ノズルの情報に基づいて補完領域を設定する。「補完領域」とは、異常ノズルが発生した際に、該異常ノズルの周辺に存在するノズルを用いて、解像度を低下させてインクを吐出する領域を示す。以下、図4A~図4Dを参照して補完領域について詳細に説明する。
図4A~図4Dは、インクジェットヘッド29に設けられる複数のノズルの配列を示す説明図である。図4A~図4Dでは煩雑さを避けるため、12個のノズルp1~p12を示している。
図4Aは、複数のノズルのうち1個のノズルに吐出異常が発生した場合、図4Bは隣接する2個のノズルに吐出異常が発生した場合、図4C、図4Dは3個のノズルに吐出異常が発生した場合を示している。図4A~図4Dにおいて、互いに隣接するノズルの間隔L1が、このインクジェットヘッド29による解像度、即ち、初期解像度である。また、図4A~図4Dにおいて、白丸は吐出異常が発生していない正常ノズルを示し、「×」印は吐出異常が発生している異常ノズルまたは使用を禁止する使用禁止ノズルを示している。
図4A(a)に示すように、12個のノズルp1~p12のうちの1つであるノズルp6に吐出異常が発生した場合には、補完情報設定部72は、図4A(b)に示すように、異常ノズルp6を含む8個のノズルp3~p10を補完領域R1として設定する。
更に、補完情報設定部72は、図4A(c)に示すように、補完領域R1において解像度を1/2とし、4個のノズルp4、p6、p8、p10を使用禁止とする。使用禁止としたノズル以外の4個の使用ノズルp3、p5、p7、p9よりインクを吐出して印刷を行う。即ち、補完領域R1において、インクを吐出するノズルの間隔L2は、上記した間隔L1の2倍となっている。従って、補完領域R1における解像度は初期解像度の1/2である。このように、1個のノズルに吐出異常が発生した場合には、補完領域R1における解像度を初期解像度の1/2として補完領域R1における印刷を実施する。
また、図4B(a)に示すように、互いに隣接する2個のノズルp6、p7に吐出異常が発生した場合には、補完情報設定部72は、図4B(b)に示すように、異常ノズルp6、p7を含む8個のノズルp3~p10を補完領域R1として設定する。
更に、補完情報設定部72は、図4B(c)に示すように、補完領域R1において解像度を1/3とし、6個ノズルp3、p4、p6、p7、p9、p10を使用禁止とする。使用禁止としたノズル以外の2個の使用ノズルp5、p8よりインクを吐出して印刷を行う。即ち、補完領域R1において、インクを吐出するノズルの間隔L3は、上記した間隔L1の3倍となっている。従って、補完領域R1における解像度は初期解像度の1/3である。このように、互いに隣接する2個のノズルに吐出異常が発生した場合には、補完領域R1における解像度を初期解像度の1/3として補完領域R1における印刷を実施する。
図4C(a)に示すように、12個のノズルp1~p12のうちの3つのノズルp4、p5、p7に吐出異常が発生した場合には、補完情報設定部72は、図4C(b)に示すように、ノズルp4、p5、p7(異常ノズル)を含む8個のノズルp2~p9を補完領域R1として設定する。
更に、補完情報設定部72は、図4C(c)に示すように、補完領域R1において解像度を1/3とし、5個のノズルp2、p4、p5、p7、p8を使用禁止とする。使用禁止としたノズル以外の3個の使用ノズルp3、p6、p9よりインクを吐出して印刷を行う。即ち、補完領域R1において、インクを吐出するノズルの間隔L3は、上記した間隔L1の3倍となっている。従って、補完領域R1における解像度は初期解像度の1/3である。このように、3個のノズルに吐出異常が発生し、このうち2個が隣接している場合には、補完領域R1における解像度を初期解像度の1/3とすることにより、補完領域R1における印刷を実施する。
図4D(a)に示すように、12個のノズルp1~p12のうちの3つのノズルp3、p5、p9に吐出異常が発生した場合には、補完情報設定部72は、図4D(b)に示すように、ノズルp3、p5、p9(異常ノズル)を含む8個のノズルp2~p9を補完領域R1として設定する。
更に、補完情報設定部72は、図4D(c)に示すように、補完領域R1において解像度を1/2とし、4個のノズルp3、p5、p7、p9を使用禁止とする。使用禁止としたノズル以外の4個の使用ノズルp2、p4、p6、p8よりインクを吐出して印刷を行う。即ち、補完領域R1において、インクを吐出するノズルの間隔L2は、上記した間隔L1の2倍となっている。従って、補完領域R1における解像度は初期解像度の1/2である。このように、3個のノズルに吐出異常が発生し、それぞれが隣接していない場合には、補完領域R1における解像度を初期解像度の1/2とすることにより、補完領域R1における印刷を実施する。
即ち、補完情報設定部72は、異常ノズルの情報に基づいて、複数のノズルのうち、解像度を低下させてインクを吐出する領域である補完領域R1を設定し、且つ、該補完領域R1における解像度を低下させた変更後解像度を設定する。「変更後解像度」とは、前述したように、例えば初期解像度を1/2、1/3とした解像度である。更に、補完情報設定部72は、変更後解像度となるように補完領域R1に含まれるノズルのうちの使用ノズルを設定する。
図3に戻って、補完データ生成部73は、補完情報設定部72にて設定された使用ノズルを用いてインクを吐出する際の、1画素当たりのドロップ数を設定する処理を実施する。
具体的に、図4A~図4Dに示した各補完領域R1における濃度の情報を入力画像より取得し、使用禁止としたノズル以外のノズル(使用ノズル)にてインクを吐出して印刷する際に、初期解像度で印刷したときの濃度と、変更後解像度(例えば、初期解像度の1/2の解像度)で印刷したときの濃度が一致するように、使用ノズルによりインクを吐出する回数であるドロップ数を設定する。
即ち、前述したように補完情報設定部72により補完領域R1の解像度を、初期解像度に対して低下させるために、いくつかのノズルの使用を禁止している。使用禁止ノズルによりインクが吐出されない領域を補完するため、使用ノズルより吐出する1画素当たりのインクのドロップ数を増加させることにより、印刷対象となる画像の濃度を維持する。即ち、解像度を低下させたことにより濃度が低下することを防止する。
以下、図5を参照して、変更後解像度とした画像の濃度を初期解像度の画像の濃度と一致させる例について説明する。
図5(a)は、初期解像度(例えば、1200[dpi])のときの、各画素に吐出するインクのドット径を示す説明図である。図5(a)に示すように、1200[dpi]の各画素において、各ノズルにより所定のドット径q1のインクを吐出することにより、画像を形成する。
図5(b)は、本実施形態の比較例に係り、変更後解像度(例えば、600[dpi])としたときの、各画素に吐出するインクのドット径を示す説明図である。解像度を低下させたことにより、各使用ノズルより吐出するインクのドット径を上記ドット径q1よりも大きいドット径q2とし、画像全体の濃度が初期解像度で印刷する画像とほぼ一致するように、各使用ノズルより吐出するインクの量を制御している。比較例では、初期的に設定されているハーフトーン処理の条件により、インクのドロップ数の最大値が制限されているので、ドット径を大きくして画像が所望の濃度となるように制御している。
図5(c)は、本実施形態を採用して、変更後解像度(例えば、600[dpi])としたときの、各画素に吐出するインクのドット径を示す説明図である。解像度を低下させたことにより、各使用ノズルより吐出するインクのドロップ数を変更して、複数種類のドット径q1、q2、q3として、画像全体の濃度が初期解像度で印刷する画像と一致するように、各使用ノズルより吐出するインクの量を制御している。
即ち、補完データ生成部73は、入力画像の、補完領域R1における印字濃度を取得し、取得した印字濃度と変更後解像度に基づいて、補完領域R1における画像を再生成した再生成画像を生成する。また、補完データ生成部73は、補完情報設定部72により初期解像度に対して1/N倍(Nは2以上の整数)倍の変更後解像度とされた場合に、インク(液滴)の最大ドロップ数をN以上に設定し、最小ドロップ数を0より大きい所定値(例えば、「1」)に設定する。更に、再生成画像における面積当たりのインクの吐出量が、初期解像度時の濃度と同一になるように、インクのドロップ数を設定する。
本実施形態では、使用ノズルより吐出するドロップ数を変更することにより、画像が所望の濃度となるように制御している。このため、空白を埋めつつ、様々なドット径を用いて、粒状度を低減させながら、濃度を調整することができる。また、粒状度を抑制することができる。
図3に戻って、補完実行部74は、補完データ生成部73で生成された補完データに基づいて、各ヘッドユニット31に設けられる各ノズルを制御する。具体的に、各ノズルのドロップ数、1回のドロップにおけるインク吐出量を制御する。即ち、補完実行部74は、使用ノズルからインクを吐出して、再生成画像を形成する。
[本実施形態の動作]
次に、上述のように構成された本実施形態に係るインクジェット記録装置1の動作を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
初めに、ステップS11において、情報取得部71は、操作パネル60より入力される異常ノズルの情報を取得する。更に、ハーフトーン処理の情報を取得する。ハーフトーン処理の情報には、入力画像の解像度、各画素の濃度の情報が含まれる。
ステップS12において、補完情報設定部72は、複数のノズルのうち補完領域R1を設定する。補完領域R1の設定は、前述した図4A~図4Dに示したように、異常ノズルの位置、個数に応じて適宜設定される。
ステップS13において、補完情報設定部72は、解像度を低下させる度合いを示す数値「N」(Nは2以上の整数)を「N=2」に設定する。
ステップS14において、補完情報設定部72は、入力画像の初期解像度を「1/N」としたときに、補完領域R1において画像の補完が可能であるか否かを判定する。例えば、前述した図4Aにて示したように、異常ノズルの個数が1個である場合には、初期解像度を「1/2」とすることが可能であるので、S14にてYES判定となる。また、前述した図4Bにて示したように、異常ノズルが隣接した2個である場合には、初期解像度を「1/2」とすることができないので、S14にてNO判定となる。
また、前述した図4Cに示したように、異常ノズルの個数が3個であり、且つ2個の異常ノズルが隣接している場合には、初期解像度を「1/2」とすることができないので、S14にてNO判定となる。前述した図4D示したように、異常ノズルの個数が3個であり、且つ、異常ノズルが隣接していない場合には、初期解像度を「1/2」とすることができるので、S14にてYES判定となる。
ステップS14の処理でNO判定の場合には、ステップS15に処理を進め、YES判定の場合には、ステップS18に処理を進める。
ステップS15において、補完情報設定部72は「N=N+1」とする。
ステップS16において、補完情報設定部72は、「N」が予め設定した所定値以上であるか否かを判定する。所定値は例えば「5」である。即ち、「N=5」ということは、入力画像の解像度を「1/5」に低下させることを意味しており、この解像度では画像の品質が維持できないので、補完処理ができないものと判断し、ステップS16でYES判定の場合には、ステップS17においてヘッド交換を促す。一方、ステップS16でNO判定の場合には、ステップS14に処理を戻す。
ステップS18において、補完情報設定部72は、補完領域R1における解像度(変更後解像度)を設定する。例えば、「N=2」である場合には、初期解像度の1/2を変更後解像度として設定する。
ステップS19において、補完データ生成部73は、情報取得部71にて取得した入力画像の濃度情報に基づいて、補完領域R1における各画素の印字濃度を測定する。
ステップS20において、補完データ生成部73は、変更後解像度、及び印字濃度に基づいて、補完領域における1画素当たりの、インクのドロップ数を設定する。具体的に、入力画像の濃度と、解像度を低下した後の画像である再生成画像の濃度が一致するように、インクのドロップ数を設定する。この際、ドロップ数を、最小ドロップ数(0より大きい所定値;例えば、「1」)以上で、且つ、上記「N」以上に設定した最大ドロップ数以下の数値とする。
ステップS21において、補完データ生成部73は、変更後解像度、及びドロップ数に基づいて、再生成画像を生成する。
ステップS22において、補完実行部74は、再生成画像のデータに基づいて印刷を実行する。こうして、異常ノズルが発生した場合においても、この周辺に設定した補完領域R1において、解像度を低下させる処理を実行することにより印刷を継続することができる。
[本実施形態の効果]
このようにして、本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、異常ノズルが発生した場合において、この異常ノズルにより印刷する領域の解像度を低下させる。従って、異常ノズルが発生した場合でも、インクヘッドを交換することなく印刷を継続することができる。
また、解像度を低下させる際に、インクのドロップ数を変更して入力画像と一致する濃度が得られるように、再生成画像を生成し、この再生成画像を印刷する。ドット径を大きくするという従来の手法と対比すると、粒状度を低減することができ、補完した部分が目立つことを回避することが可能となる。特に中濃度域では、過剰に大きなドットを用いることなく複数の大きさの小ドットを多く用いることで粒状度を低減することができる。これによって、広い濃度域で低解像度化しても、同等の濃度、粒状度で濃度を表現することが可能になる。また、印字する領域のインクの最小ドロップ数を0より大きい所定値に設定しているので、濃度及び粒状度の変化を滑らかにすることができる。
更に、異常ノズルが複数発生している場合でも、異常ノズルの位置、個数に応じて最適な解像度を設定して補完処理を実行するので、印刷を継続することができる。
また、本実施形態では、予め印字解像度と吐出位置を定めておくことで、所定の解像度から低下させた分のデータ量をドットの階調の数に割り当てることで、データ増加を防ぐことができる。例えば、「600[dpi]で1画素当たり2ビット」を「300[dpi]で1画素当たり4ビット」としてもデータ量は同一で、且つ最大ドロップ数が増やすことができる。このため、データ処理の演算負荷が増大することを防止できる。
更に、本実施形態では、図4A~図4Dにて示したように、異常ノズルの個数のみならず、異常ノズルの位置に応じて解像度を設定している。従って、異常ノズルの個数及び位置に応じた最大の解像度を変更後解像度として設定することができ、不必要に解像度を下げることを防止できる。
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
記録ヘッドに設けられた複数のノズルより液滴を吐出して、入力画像を形成するインクジェット記録装置であって、
前記複数のノズルのうち、前記液滴の吐出異常が発生している異常ノズルの情報、及び前記入力画像の初期解像度の情報を取得する情報取得部と、
前記異常ノズルの情報に基づいて、前記複数のノズルのうち、解像度を低下させてインクを吐出する領域である補完領域を設定し、且つ、該補完領域における解像度を変更後解像度として設定し、且つ、前記変更後解像度となるように、前記補完領域に含まれるノズルのうちの使用ノズルを設定する補完情報設定部と、
前記入力画像の、前記補完領域における印字濃度を取得し、取得した印字濃度と前記補完情報設定部により設定された前記変更後解像度に基づいて、前記補完領域における画像を再生成した再生成画像を生成する補完データ生成部と、
前記使用ノズルから前記液滴を吐出して、前記再生成画像を形成する補完実行部と、
を備え、
前記補完データ生成部は、前記補完情報設定部により前記初期解像度に対して1/N(Nは2以上の整数)倍の前記変更後解像度とされた場合に、前記液滴の最大ドロップ数をN倍に設定し、最小ドロップ数を0より大きい所定値に設定し、且つ、前記再生成画像における面積当たりの前記液滴の吐出量を前記初期解像度時の濃度と同一になるように前記液滴のドロップ数を設定すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
1 インクジェット記録装置
10 サイド給紙部
11 給紙台
12 1次給紙部
14 2次給紙部
20 内部給紙部
21a~21d 給紙台
22a~22d 1次給紙部
28C ラインヘッド
28K ラインヘッド
28M ラインヘッド
28Y ラインヘッド
29 インクジェットヘッド
30 印刷部
31 ヘッドユニット
32 搬送部
40 排紙部
41 排紙台
42 排紙ローラ
43 切り替え機構
50 反転部
51 反転台
52 反転ローラ
53 搬送ローラ
60 操作パネル
70 制御部
71 情報取得部
72 補完情報設定部
73 補完データ生成部
74 補完実行部
131 吸気ファン
132 吸気ファン
133 搬送ベルト
134 駆動ローラ
135 従動ローラ
CR 循環搬送路
FR 給紙搬送路
P 印刷用紙
p1~p12 ノズル
R1 補完領域

Claims (1)

  1. 記録ヘッドに設けられた複数のノズルより液滴を吐出して、入力画像を形成するインクジェット記録装置であって、
    前記複数のノズルのうち、前記液滴の吐出異常が発生している異常ノズルの情報、及び前記入力画像の初期解像度の情報を取得する情報取得部と、
    前記異常ノズルの情報に基づいて、前記複数のノズルのうち、解像度を低下させてインクを吐出する領域である補完領域を設定し、且つ、該補完領域における解像度を変更後解像度として設定し、且つ、前記変更後解像度となるように、前記補完領域に含まれるノズルのうちの使用ノズルを設定する補完情報設定部と、
    前記入力画像の、前記補完領域における印字濃度を取得し、取得した印字濃度と前記補完情報設定部により設定された前記変更後解像度に基づいて、前記補完領域における画像を再生成した再生成画像を生成する補完データ生成部と、
    前記使用ノズルから前記液滴を吐出して、前記再生成画像を形成する補完実行部と、
    を備え、
    前記補完データ生成部は、前記補完情報設定部により前記初期解像度に対して1/N(Nは2以上の整数)倍の前記変更後解像度とされた場合に、前記液滴の最大ドロップ数をN倍に設定し、最小ドロップ数を0より大きい所定値に設定し、且つ、前記再生成画像における面積当たりの前記液滴の吐出量を前記初期解像度時の濃度と同一になるように前記液滴のドロップ数を設定すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115860027B (zh) * 2023-03-02 2023-05-05 深圳市俱进纸品包装有限公司 基于数码印刷的翻变二维防伪码印刷调控方法及系统

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