JP2022039295A - 虚像表示装置及び光学ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】正面に画像光が射出され、外部から表示中の映像が見えてしまうことを防止する。
【解決手段】虚像表示装置100は、画像光生成装置11と、画像光生成装置11からの画像光MLを反射する透過傾斜ミラー23と、部分反射膜24bを有し、透過傾斜ミラー23で反射された画像光MLを部分反射膜24bによって透過傾斜ミラー23に向けて反射する凹面透過ミラー24と、画像光生成装置11から透過傾斜ミラー23にかけての光路上に配置される第1の反射型回折素子D1と、部分反射膜24bの外界側に配置され、凹面透過ミラー24を通過する光路から逸らすように画像光MLを回折させる第2の反射型回折素子D2とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】虚像表示装置100は、画像光生成装置11と、画像光生成装置11からの画像光MLを反射する透過傾斜ミラー23と、部分反射膜24bを有し、透過傾斜ミラー23で反射された画像光MLを部分反射膜24bによって透過傾斜ミラー23に向けて反射する凹面透過ミラー24と、画像光生成装置11から透過傾斜ミラー23にかけての光路上に配置される第1の反射型回折素子D1と、部分反射膜24bの外界側に配置され、凹面透過ミラー24を通過する光路から逸らすように画像光MLを回折させる第2の反射型回折素子D2とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、シースルー型の虚像表示装置及び光学ユニットに関し、特に画像光を凹面透過ミラーに入射させ凹面透過ミラーからの反射光を観察するタイプの虚像表示装置及び光学ユニットに関する。
虚像表示装置として、透過反射面と凹面透過ミラーとを備える所謂バード・バス型の装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、透過反射面を設けたプリズム部材に入射した画像光をプリズム部材の全反射面で透過反射面に向けて全反射させて導くとともに、透過反射面によって画像光をプリズム部材の前方に配置された凹面透過ミラーに向けて反射することが記載されている。
上記特許文献1の虚像表示装置では、正面に画像光が射出されるため、外部から表示中の映像が見えてしまうという問題がある。
本発明の一側面における虚像表示装置は、画像光生成装置と、画像光生成装置からの画像光を反射する透過傾斜ミラーと、部分反射膜を有し、透過傾斜ミラーで反射された画像光を部分反射膜によって透過傾斜ミラーに向けて反射する凹面透過ミラーと、画像光生成装置から透過傾斜ミラーにかけての光路上に配置される第1の反射型回折素子と、部分反射膜の外界側に配置され、凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように画像光を回折させる第2の反射型回折素子とを備える。
〔第1実施形態〕
以下、図1~4等を参照して、本発明に係る第1実施形態の虚像表示装置及びこれに組み込まれる光学ユニットについて説明する。
以下、図1~4等を参照して、本発明に係る第1実施形態の虚像表示装置及びこれに組み込まれる光学ユニットについて説明する。
図1は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する。)200の装着状態を説明する図であり、HMD200は、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、HMD200又は虚像表示装置100を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に対応し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
HMD200は、右眼用の第1表示装置100Aと、左眼用の第2表示装置100Bと、表示装置100A,100Bを支持するテンプル状の一対の支持装置100Cとを備える。第1表示装置100Aは、上部に配置される表示駆動部102と、メガネレンズ状で眼前を覆う外観部材105とで構成される。第2表示装置100Bも同様に、上部に配置される表示駆動部102と、メガネレンズ状で眼前を覆う外観部材105とで構成される。支持装置100Cは、表示駆動部102を介して外観部材105の上端側を支持している。第1表示装置100Aと第2表示装置100Bとは、光学的に左右を反転させたものであり、以後では、右眼用の第1表示装置100Aを代表の虚像表示装置100として説明する。
図2を参照して、右眼用の表示装置100Aである虚像表示装置100について説明する。虚像表示装置100は、画像光生成装置11と光学ユニット12と表示制御回路13とを備える。ただし、本明細書において、表示制御回路13を除いたものも、光学的機能を達成する観点で虚像表示装置100と呼ぶ。画像光生成装置11や表示制御回路13は、図1に示す表示駆動部102の外枠内に支持され、光学ユニット12の一部も、表示駆動部102の外枠内に支持されている。
画像光生成装置11は、自発光型の表示デバイスである。画像光生成装置11は、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)ディスプレイであり、2次元の表示面11aにカラーの静止画又は動画を形成する。画像光生成装置11は、表示制御回路13に駆動されて表示動作を行う。画像光生成装置11は、有機ELディスプレイに限らず、無機EL、LEDアレイ、有機LED、等を用いた表示デバイスに置き換えることができる。画像光生成装置11は、自発光型の画像光生成装置に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。画像光生成装置11として、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。
光学ユニット12は、投射レンズ21と、波長選択部22と、透過傾斜ミラー23と、凹面透過ミラー24とを備える結像系であり、画像光生成装置11から射出された画像光MLを虚像として結像させる。光学ユニット12において、画像光生成装置11から波長選択部22にかけての光路は、透過傾斜ミラー23の上側に配置されている。より具体的には、画像光生成装置11、投射レンズ21、及び波長選択部22は、透過傾斜ミラー23を延長した傾斜平面と、凹面透過ミラー24の上端を上方に延長した鉛直面との間に挟まれた空間に配置されている。
投射レンズ21は、図1に示す表示駆動部102の外枠内に保持され、画像光生成装置11から射出された画像光MLを結像するように収束させつつ波長選択部22に入射させる。投射レンズ21は、詳細な説明を省略するが、1枚以上のレンズで構成することができ、球面レンズ又は非球面レンズを含むものであるが、自由曲面レンズを含むものであってもよい。
波長選択部22は、図1に示す表示駆動部102の外枠内に保持され、投射レンズ21を経た画像光生成装置11からの画像光MLに含まれる各色の成分光を元の波長域よりも狭い波長域に制限する。波長選択部22は、回折吸収部材22aとプリズム22bとを有する。ここで、回折吸収部材22aは、第1の反射型回折素子D1と光吸収部材32とを含む。図示の例では、回折吸収部材22aは、投射レンズ21から延びる光軸AXに対して垂直に配置されているが、横に延びるX軸の周りに適宜の傾斜角で回転させて傾斜状態とすることができる。プリズム22bは、回折吸収部材22aすなわち第1の反射型回折素子D1の光射出側の光路上であって回折吸収部材22aの近くに配置されている。
回折吸収部材22aにおいて、第1の反射型回折素子D1は、光透過性を有する板状体31aの内側(図2における射出瞳EP側)に反射型回折層31bを形成した構造を有する。第1の反射型回折素子D1は、画像光生成装置11から射出された画像光MLを上下方向に関して、つまりYZ面内において元のZ成分にY成分を加算するように画像光を回折させる。第1の反射型回折素子D1は、画像光生成装置11からの画像光MLを回折によって斜め下方向に折り曲げる際に、回折特性によって画像光MLの各色の成分光を狭帯域化する。ここで、第1の反射型回折素子D1は、画像光MLを構成する光線の相対的な角度関係を保存しつつ画像光MLを回折させる。つまり、第1の反射型回折素子D1は、平面ミラーのように画像光MLに対する屈折力がゼロの光学素子として作用し、画像光MLを反射する。第1の反射型回折素子D1は、このように屈折力がゼロであるものに限らず、所定の屈折力を有するものであってもよい。光吸収部材32は、第1の反射型回折素子D1の外界側又は背面側に張り付けるように設けられている。光吸収部材32は、カーボンブラック等の吸光材料を含む材料で形成され、第1の反射型回折素子D1によって回折されずこれを透過した画像光MLを吸収する。なお、第1の反射型回折素子D1の表面上には、反射防止膜を形成することができる。
プリズム22bは、楔型プリズムであり、その軸が横方向であるX軸方向に延びるように配置され、横方向であるX軸方向に関して一様な断面を有する。プリズム22bは、光路と交差し互いに傾斜する2平面33a,33bを有し、第1の反射型回折素子D1から遠い先端側に狭まる楔角αを有する。プリズム22bは、2平面33a,33bを光学的に利用する結果として、画像光MLに対する屈折力がゼロになっている。プリズム22bは、第1の反射型回折素子D1による画像光MLの回折方向に対応する方向に関して画像光MLの進路を偏向する。具体的には、プリズム22bは、YZ面内で画像光MLを下方向に所定の偏光角で傾けるように偏向する。その際、プリズム22bは、第1の反射型回折素子D1とは逆の波長分散を有し、第1の反射型回折素子D1による画像光MLの波長分散を補償する。プリズム22bの材料は、波長分散をRGBの各色毎に略補償できるようなものを使用する。
波長選択部22は、図示の箇所に限らず、投射レンズ21中に組み込むことができる。例えば、投射レンズ21中において、画像光MLがコリメートされる箇所に波長選択部22を配置することができる。波長選択部22を構成する回折吸収部材22aとプリズム22bとは隣り合って配置されることが好ましい。
透過傾斜ミラー23は、平板状の光学部材であり、透過性を有する平面反射面MSを有する。透過傾斜ミラー23における透過の語は、光を部分的に透過させることを意味する。透過傾斜ミラー23は、鉛直方向に延びるXY面を基準とした場合、-X側から見てX軸の周りに反時計方向に角度θ=20~40°程度傾いた状態となっている。透過傾斜ミラー23は、プリズム22bを経て斜め下後方に進む画像光MLを前方に折り曲げて凹面透過ミラー24に入射させる。この際、透過傾斜ミラー23は、プリズム22bを経て-Z方向と-Y方向と間である斜め下後方に延びる光軸AXを前方である+Z方向に折り曲げ、凹面透過ミラー24と交差させる。
透過傾斜ミラー23は、一様な厚さを有し透過性を有する平行平板23aの内側面23r上に透過反射膜として金属膜又は誘電体多層膜を形成したものであり、かかる透過反射膜は、平面反射面MSとして機能する。平面反射面MSの反射率及び透過率は、例えば50%程度に設定される。なお、平行平板23aの外側面23f上には、反射防止膜を形成することができる。
透過傾斜ミラー23は、凹面透過ミラー24と眼EY又は瞳孔が配置される射出瞳EPとの間に配置されて射出瞳EPを覆っている。透過傾斜ミラー23は、図1に示す表示駆動部102の外枠に対して直接又は間接的に固定することができ、凹面透過ミラー24等に対する配置関係が適切に設定された状態とすることができる。
以上のように、透過傾斜ミラー23は、鉛直軸であるY軸と透過傾斜ミラー23とがなす角度θが45°未満となるように配置されている。Y軸と透過傾斜ミラー23とがなす角度θが45°よりも小さくなると、透過傾斜ミラー23が標準よりも立ち上がった状態となって、透過ミラーのZ軸方向における厚みが減る。つまり、凹面透過ミラー24を基準として透過傾斜ミラー23が背面の-Z方向に大きく突出する配置になることを回避することができ、虚像表示装置100又は光学ユニット12の前後のZ方向に関する厚みが増すことを回避することができる。
凹面透過ミラー24は、射出瞳EPに向かって凹形状を有する光学部材である。凹面透過ミラー24における透過の語は、光を部分的に透過させることを意味する。凹面透過ミラー24は、結像のための機能として光収束機能を有し、透過傾斜ミラー23で反射され発散しつつ前方に進む画像光MLを反射することによってコリメートする。凹面透過ミラー24によって透過傾斜ミラー23に戻された画像光MLは、透過傾斜ミラー23を部分的に透過し射出瞳EPに集められる。つまり、凹面透過ミラー24は、内側に凹の部分反射膜24bによって画像光MLをコリメートしつつ射出瞳EPに集めるように反射する。この際、画像光MLは、凹面透過ミラー24の部分反射面MCの全体に対して垂直に近い方向から入射して反射されるので、光学的な対称性が高いものとなっている。凹面透過ミラー24の板状体24aは、湾曲しながらも一様な厚さを有する。板状体24aは、光を実質的に損失なく透過させる透過性を有する。板状体24aの内側面24r上には、部分反射膜24bとして金属膜又は誘電体多層膜が形成され、かかる部分反射膜24bは、凹の部分反射面MCとして機能する。部分反射面MCの反射率及び透過率は、例えば20~50%程度に設定される。部分反射面MCによって凹面透過ミラー24の外界光OL等に対する光透過性が確保される。板状体24aの外側面24f上には、画像光MLを回折させる反射型回折層24cが形成され、反射型回折層24cは、第2の反射型回折素子D2として機能する。第2の反射型回折素子D2によって凹面透過ミラー24の画像光MLに対する遮断性が確保される。第2の反射型回折素子D2は、部分反射面MCを形成する部分反射膜24bの外界側に配置されることでその機能を発揮する。ここでは、第2の反射型回折素子D2は、凹面透過ミラー24の外界側面を形成するように凹面透過ミラー24の一部として形成されている。この場合、部品点数を減らして装置の重量や価格の増加を抑えることがきる。なお、第2の反射型回折素子D2の表面上には、反射防止膜を形成することができる。
部分反射面MCは、自由曲面であってもよいが、球面や非球面のような軸対称な曲面とすることで、部分反射面MCに目的とする反射特性を持たせることが容易になる。
凹面透過ミラー24は、図1に示す透過性の外観部材105の一部を構成するように組み込まれている。つまり、凹面透過ミラー24の周囲に透過性を有し或いは透過性を有しない板状部材を拡張するように設けることで、凹面透過ミラー24を含む外観部材105とすることができる。外観部材105は、メガネレンズ状のものに限らず、様々な輪郭又は外観とすることができる。
凹面透過ミラー24又は板状体24aは、形状的な強度を確保する観点で1mm以上の厚みを有するが、軽量化の観点で2mm以下の厚みを有することが好ましい。板状体24aは、光透過性を有する樹脂材料から、例えば射出成形によって形成される。
光路について説明すると、画像光生成装置11からの画像光MLは、投射レンズ21を経て回折吸収部材22aに入射して回折され、プリズム22bを経て透過傾斜ミラー23に入射する。透過傾斜ミラー23と投射レンズ21と間には、画像光生成装置11の表示面11aに形成された画像を適宜拡大した中間像(不図示)が形成されてもよい。透過傾斜ミラー23に入射して平面反射面MSによって例えば50%程度反射された画像光MLは、凹面透過ミラー24に入射して部分反射面MCによって例えば50%程度以下の反射率で反射される。凹面透過ミラー24で反射された画像光MLは、透過傾斜ミラー23を透過し、装着者USの眼EY又は瞳孔が配置される射出瞳EPに入射する。ここで、射出瞳EPは、眼EYが配置されることを想定した光学ユニット12のアイポイントであり、画像光生成装置11の表示面11aの各点からの光は、虚像の観察を可能にする角度で射出瞳EPのある一か所に集まるように入射する。射出瞳EPには、凹面透過ミラー24を通過した外界光OLも入射する。つまり、HMD200を装着した装着者USは、外界像に重ねて、画像光MLによる虚像を観察することができる。
なお、凹面透過ミラー24は、仮に画像光MLを構成する各色の成分光の波長幅が過度に広いとすると、画像光MLを回折しきれず部分的に透過させることになり、凹面透過ミラー24の正面に通過光LPを生じさせる可能性がある。仮に通過光LPの強度が大きい場合、装着者USの周囲に存在する第三者OSが画像光生成装置11の表示面11aに表示された画像の一部PIを観察できるようになる(図1参照)。これに対し、本実施形態では、後述するように凹面透過ミラー24において部分反射膜24bの外界側に第2の反射型回折素子D2を設けて通過光LPの発生を抑制し、画像の一部PIが第三者OSによって観察可能になることを回避している。
以下、図3Aを参照して、回折吸収部材22aの構造や機能について説明する。回折吸収部材22aは、全体の形状を維持する支持体である板状体31aと、板状体31aの内側(図2における射出瞳EP側)に形成された反射型回折層31bと、板状体31aの外界側に貼り付けられた光吸収部材32である光吸収層32aとを含む。反射型回折層31bは、第1の反射型回折素子D1の主要部として、回折吸収部材22aに入射した画像光MLを、回折によって斜め下方向に折り曲げる。その際、反射型回折層31bは、平面ミラーのように、画像光MLを構成する光線をその相対的な角度関係を保存しつつ反射する。反射型回折層31bによって回折されなかった画像光MLである透過光LTは、板状体31aを経て光吸収層32aに入射するが、光吸収層32aで完全に吸収され、外部に漏れ出すことはない。
第1の反射型回折素子D1の回折波長幅は、後述する凹面透過ミラー24に設けられた第2の反射型回折素子D2の回折波長幅と同等又は小さくなっている。
第1の反射型回折素子D1において、反射型回折層31bは、3色に対応する3つの回折要素として、赤のR光を回折するR回折層41aと、緑のG光を回折するG回折層41bと、青のB光を回折するB回折層41cとを含む。R回折層41aは、画像光MLのR成分ML1を回折しての元の光路から逸らし、下方向に射出される赤波長域の画像光MLを形成する。G回折層41bは、画像光MLのG成分ML2を回折して元の光路から逸らし、下方向に射出される緑波長域の画像光MLを形成する。B回折層41cは、画像光MLのB成分ML3を回折して元の光路から逸らし、下方向に射出される青波長域の画像光MLを形成する。R回折層41a、G回折層41b、及びB回折層41cは、それぞれが反射型回折素子であり、フィルム状の光学素子として個別に作製され、互いに接合されて積層され、全体として板状体31aの内側面上に張り付けられている。各回折層41a,41b,41cは、例えば体積ホログラム素子である。各回折層41a,41b,41cが体積ホログラム素子である場合、反射型回折層31b又は第1の反射型回折素子D1は、3色に対応する3つの体積ホログラム層として、3層の回折層41a,41b,41cを含むものとなる。この場合、回折層41a,41b,41cは、例えば物体光と参照光とをフィルム状の記憶材料に照射し記憶材料内でこれらを干渉させて露光・記録するといった手法によって作製される。
第1の反射型回折素子D1は、R回折層41a、G回折層41b、及びB回折層41cからなる3層構造とする必要はなく、単一の層内にRGBの各色の画像光MLを回折する縞を一括して作り込んだものであってもよい。
なお、反射型回折層31bは、板状体31a上に直接形成され或いは直接貼り付けられるものである必要はなく、例えば板状体31aをハードコート膜で被覆し、その上に反射型回折層31bを形成し或いは貼り付けてもよい。さらに、反射型回折層31bは、板状体31a中に埋め込まれるものであってもよい。
以下、図3Bを参照して、プリズム22bの機能について説明する。第1の反射型回折素子D1から射出される画像光MLは、第1の反射型回折素子D1の波長分散によって、波長に応じて射出角度つまり回折角に差が生じている。具体的には、例えば光軸AX上の画像光MLのうちG成分ML2について考えた場合、破線で示す長波長(λ1)寄りの成分ML2aは、第1の反射型回折素子D1から相対的に大きな回折角Aaで射出され、二点鎖線で示す短波長(λ2)寄りの成分ML2bは、第1の反射型回折素子D1から相対的に小さな回折角Abで射出される。これに対し、プリズム22bは、第1の反射型回折素子D1とは逆の波長分散を有する。結果的に、プリズム22bの波長分散が第1の反射型回折素子D1の波長分散を補償する。プリズム22bを経た後、第1の反射型回折素子D1から相対的に大きな回折角Aaで射出された成分ML2aの射出方向と、第1の反射型回折素子D1から相対的に小さな回折角Abで射出され成分ML2bの射出方向とは、第1の反射型回折素子D1からの射出位置に関わらず平行に近づき、図示を省略するが、射出瞳EPの位置では略平行になる。以上は、画像光MLのうちG成分ML2についての波長分散の補償の説明であったが、R成分ML1やB成分ML3についても同様に波長分散が補償され、各色で色収差を低減することができる。
以下、図4を参照して、凹面透過ミラー24の構造について説明する。凹面透過ミラー24は、全体の形状を維持する支持体である板状体24aと、板状体24aの内側(図2における射出瞳EP側)に形成された部分反射膜24bと、板状体24aの外界側に形成された反射型回折層24cとを含む。部分反射膜24bは、内側に凹の部分反射面MCとして機能し、画像光MLを所期の反射率で反射する。この際、部分反射膜24bは、可視波長域の画像光MLを波長に関わらず略一様に反射する。反射型回折層24cは、外側に凸の第2の反射型回折素子D2として、部分反射膜24bを透過した画像光MLである漏れ光LEを直進光路から逸らすように回折させる。反射型回折層24cは、部分反射膜24bと同様の曲面であり、板状体24aは、略一様な厚み有する。反射型回折層24cは、画像光ML又は漏れ光LEを、凹面透過ミラー24を通過する直進光路から逸らすように折り曲げる。漏れ光LEを直進光路から逸らすとは、画像光ML又は漏れ光LEの光路を外界の正面方向に向かわないように他の方向へ向けることを意味する。第2の反射型回折素子D2を利用することで、漏れ光LEを斜めに反射するように折り曲げることができる。漏れ光LEが第2の反射型回折素子D2に略垂直に入射する場合、漏れ光LEを折り曲げる角度は、元に対して90°以上となるが、正反射に近づかないように元に対して135°以下とする。具体的には、反射型回折層24cは、画像光ML又は漏れ光LEを、凹面透過ミラー24を通過する直進光路に対して下方向に反射するように折り曲げる。ここで、下方向とは、漏れ光LEの入射点における反射型回折層24cの接平面とYZ面に平行な面との交線に沿って入射点の下側又は-Y側を基準として45°以内の下に広がる円錐領域内であって、反射型回折層24cよりも内側又は射出瞳EP側を意味する。反射型回折層24cによって下方向に折り曲げられた回折光LDは、凹面透過ミラー24の板状体24a内を外側面24f又は内側面24rによって反射等されつつ伝搬して端部から射出され、或いは凹面透過ミラー24の外側面24f又は内側面24rで屈折されて外部に射出されるが、凹面透過ミラー24外に射出される回折光LDは、凹面透過ミラー24の各部で減衰され、射出方向も元の画像光MLを反映する規則性を有するものではなくなる。結果的に、漏れ光LEが存在しても反射型回折層24cで回折され、画像光生成装置11の表示面11aに形成された表示像を反映した虚像又は実像であって第三者に観察可能なものが形成されるといった状況を回避することができる。仮に、反射型回折層24cが存在しないとすると、画像光MLの漏れ光LEが凹面透過ミラー24を直進して外界側に射出され、画像光生成装置11の表示面11aに形成された表示像を反映した虚像又は実像の一部が第三者にとって観察可能となる。なお、凹面透過ミラー24の下端の縁には、回折光LDを吸収するための吸収材を塗布し又は接着することができる。
第2の反射型回折素子D2の回折波長幅は、波長選択部22に設けられた第1の反射型回折素子D1の回折波長幅と同等かそれよりも大きくなっている。つまり、第1の反射型回折素子D1の回折波長幅は、第2の反射型回折素子D2の回折波長幅と同等又は小さくなっている。この場合、第1の反射型回折素子D1で回折された画像光MLを第2の反射型回折素子D2によって全て回折することができ、情報漏えいを確実に防止することができる。
反射型回折層24c又は第2の反射型回折素子D2は、3色に対応する3つの回折要素として、赤のR光を回折するR回折層42aと、緑のG光を回折するG回折層42bと、青のB光を回折するB回折層42cとを含む。R回折層42aは、漏れ光LEのR成分LE1を回折しての元の光路から逸らし、下方向に射出される赤波長域の回折光LDを形成する。G回折層42bは、漏れ光LEのG成分LE2を回折して元の光路から逸らし、下方向に射出される緑波長域の回折光LDを形成する。B回折層42cは、漏れ光LEのB成分LE3を回折して元の光路から逸らし、下方向に射出される青波長域の回折光LDを形成する。R回折層42a、G回折層42b、及びB回折層42cは、それぞれが反射型回折素子であり、フィルム状の光学素子として個別に作製され、互いに接合されて積層され、全体として板状体24aの外側面24f上に張り付けられて外界側面を形成している。各回折層42a,42b,42cは、例えば体積ホログラム素子である。各回折層42a,42b,42cが体積ホログラム素子である場合、第2の反射型回折素子D2は、3色に対応する3つの体積ホログラム層として、3層の回折層42a,42b,42cを含むものとなる。第2の反射型回折素子D2を構成する回折層42a,42b,42cは、第1の反射型回折素子D1を構成する回折層41a,41b,41cと同様の手法で作製することができる。
第2の反射型回折素子D2は、R回折層42a、G回折層42b、及びB回折層42cからなる3層構造とする必要はなく、単一の層内にRGBの各色の画像光ML又は漏れ光LEを回折する縞を一括して作り込んだものであってもよい。このように、単層でRGBの画像光ML又は漏れ光LEを回折させる場合、3つの回折層42a,42b,42cを組み込む場合に比較してピーク波長で若干の抜け光が発生し、回折効率が低下すると考えられるが、このような抜け光の光強度が大きくなければ、第三者が表示中の画像を観察することは容易でなくなる。逆に、第2の反射型回折素子D2は、3層以上の多層構造とすることもできる。例えば、上記回折層42a,42b,42cのほかに、RG間の波長域で画像光MLを回折させる第4の回折層と、GB間の波長域で画像光MLを回折させる第5の回折層とを追加して、5層構造の第2の反射型回折素子D2とすることができる。
以上では、反射型回折層24cは、画像光ML又は漏れ光LEを、凹面透過ミラー24を通過する光路から逸らすように下方向に反射し又は折り曲げるように伝搬させるとしたが、画像光ML又は漏れ光LEを、元の光路から上方向に反射し又は折り曲げるように伝搬させるものであってもよい。ここで、上方向とは、漏れ光LEの入射点における24cの接平面とYZ面に平行な面との交線に沿って入射点の上側又は+Y側を基準として45°以内の円錐領域内であって、反射型回折層24cよりも内側又は射出瞳EP側を意味する。この場合、凹面透過ミラー24の上端の縁には、回折光LDを吸収するための吸収材を塗布し又は接着することができる。3つの回折層42a,42b,42cは、RGBの各色光を同じ方向に回折させるものである必要はなく、いずれか1色を上側に回折させ、残りの色を下側に回折させてもよい。3つの回折層42a,42b,42cは、同様に回折効率を高めたものである必要はなく、例えば比視感度の高いG回折層42bについて相対的に回折効率を高めることもできる。
反射型回折層24cは、画像光ML又は漏れ光LEを凹面透過ミラー24の左右の横方向又は斜め方向に反射し又は折り曲げるように伝搬させるものであってもよい。ここで、横方向とは、漏れ光LEの入射点における反射型回折層24cの接平面とYZ面に平行な面との交線に沿って入射点の±X側を基準として45°以内の上に広がる円錐領域内であって、反射型回折層24cよりも内側又は射出瞳EP側を意味する。この場合、凹面透過ミラー24の右端又は左端の縁には、回折光LDを吸収するための吸収材を塗布し又は接着することができる。ただし、横方向の場合、漏れ光LEの回折角度が大きくなると、回折光LDが凹面透過ミラー24内面から凹面透過ミラー24の側方に射出される割合が高まる。これを回避するため、装着者USの横に居る第三者が虚像を観察できないように、凹面透過ミラー24の左右端において顔側に張り出す遮光部材を設けることが望ましい場合も生じ得る。なお、斜め方向とは、横方向と上下方向との中間方向を意味し、例えば+X方向と+Y方向との中間及びそれに対して45°以内の円錐領域内であって、反射型回折層24cよりも内側又は射出瞳EP側を意味する。
図5A、5B、6A、及び6Bは、反射型回折素子D1,D2の役割を説明する概念図である。各図のチャートにおいて、横軸は、波長を示し、縦軸は、光強度(任意単位)を示す。図5Aに実線で示す画像光MLの波長特性は、画像光生成装置11の発光特性に対応し、青のB光、緑のG光、及び赤のR光の波長域において光強度のピークを有する。図5Bに一点鎖線で示す波長特性は、第1の反射型回折素子D1による回折後の画像光MLを示し、画像光MLに含まれる各色の成分ML1,ML2,ML3を元の波長域よりも狭い波長域に制限する。つまり、ピーク波長幅が元と比較して減少している。図6Aに実線で示す波長特性は、反射型回折層31bによって回折されず反射型回折層31bを通過した画像光MLである透過光LTを示し、RG間の波長域、GB間の波長域等にピークを有するが、元の画像光MLの光強度と比較するとピーク高さが大幅に減少したものとなっている。この透過光LTは、光吸収層32aで完全に吸収される。図6Bに点線で示す波長特性は、凹面透過ミラー24を最終的に通り抜ける画像光MLつまり通過光LPの光強度を示しており、B光、G光、及びR光の波長域で光強度がゼロに近いレベルまで低くなっている。図6Bに示す波長特性は、光吸収層32aの外側における透過光LTの光強度を示す図ともなっており、光吸収層32aの外側における透過光LTの光強度もゼロに近いレベルまで低くなっている。なお、B光、G光、及びR光の波長域間、つまりBGの中間波長域及びGRの中間波長域では、外界光OLの通過が許容され、外界光OLの確実なシースルー視が確保され明るい外界像の観察が可能になっている。
以上のように、第1実施形態の虚像表示装置100によれば、第2の反射型回折素子D2が凹面透過ミラー24を通過する光路から逸らすように画像光MLを回折させるので、部分反射膜24bを透過して外界側に射出される画像光MLを抑制することができる。この際、第1の反射型回折素子D1が透過傾斜ミラー23や凹面透過ミラー24に入射する画像光MLの波長幅を狭めるので、第2の反射型回折素子D2に入射する画像光MLについて第2の反射型回折素子D2で回折される割合を増やすことができる。これにより、表示中の映像が外部から見えにくくなり、情報漏えいの抑制効果を高めることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の虚像表示装置について説明する。第2実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第2実施形態の虚像表示装置について説明する。第2実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図7は、第2実施形態の虚像表示装置100について説明する側方断面図である。この場合、凹面透過ミラー24の支持体である板状体24aを延長して第1の反射型回折素子D1の支持体としている。つまり、第1の反射型回折素子D1と第2の反射型回折素子D2とは、共通の支持体である板状体24a上に形成されている。さらに、第1の反射型回折素子D1と第2の反射型回折素子D2とは、一体的に形成されたシート状部材61である。つまり、第1の反射型回折素子D1は、図2の場合と異なり、板状体24aのうち延長された部分24eにおいて外界側に形成されている。また、延長された部分24eの外側に設けられた第1の反射型回折素子D1上には、光吸収部材32が張り付けられるように設けられて、第1の反射型回折素子D1の前方を覆っている。
本実施形態のような構造とした場合、第1の反射型回折素子D1と第2の反射型回折素子D2とを、シート状部材61として一括して形成することができる。つまり、第1の反射型回折素子D1と第2の反射型回折素子D2とを同じ露光工程を経て作製された体積ホログラムとすることができるので、露光工程を簡略化することができるとともに、第1の反射型回折素子D1と第2の反射型回折素子D2の回折波長幅を略同じにすることができる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態の虚像表示装置について説明する。第3実施形態の虚像表示装置等は、第2実施形態又は第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第3実施形態の虚像表示装置について説明する。第3実施形態の虚像表示装置等は、第2実施形態又は第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図8は、第3実施形態の虚像表示装置100について説明する側方断面図である。この場合、射出瞳EPから透過傾斜ミラー23を経て凹面透過ミラー24に向かう光軸AX、つまり射出光軸AXEが、前方の+Z方向に対して傾斜角δ=10°程度下向きに傾いて延びている。射出光軸AXEは、凹面透過ミラー24の形状的な対称性に由来する軸線である。射出光軸AXEを水平軸であるZ軸に対して前方側で10°程度下向きにすることにより、虚像を観察する装着者USの眼EYの疲れを低減することができる。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態の虚像表示装置について説明する。第4実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第4実施形態の虚像表示装置について説明する。第4実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図9を参照して、第4実施形態の虚像表示装置について説明する。光学ユニット412は、投射レンズ21と、折り返しミラー28と、波長選択部22と、透過傾斜ミラー23と、凹面透過ミラー24とを備える。つまり、投射レンズ21と波長選択部22との間に折り返しミラー28が配置されている。
折り返しミラー28は、投射レンズ21からの画像光MLを交差方向に反射する。投射レンズ21の光軸である投射光軸AX0は、横のX軸方向に平行に延びている。折り返しミラー28によって投射光軸AX0から反射光軸AX1に沿って光路が折り曲げられ、波長選択部22によって反射光軸AX1から反射光軸AX2に沿って光路が折り曲げられる。結果的に、投射レンズ21の射出側において略水平横方向に延びていた光軸が透過傾斜ミラー23の入射側において-Z方向と-Y方向と間である斜め下後方に延びる。
光学ユニット412において、波長選択部22や凹面透過ミラー24は、図2に示すものと同様のものとなっている。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態の虚像表示装置について説明する。第5実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置等を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第5実施形態の虚像表示装置について説明する。第5実施形態の虚像表示装置等は、第1実施形態の虚像表示装置等を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図10を参照して、本実施形態では、凹面透過ミラー24又は外観部材105のうち局所的な有効領域A1において、部分反射面MCや第2の反射回折素子D2を形成することができる。有効領域A1の周囲の領域A2,A3については、部分反射面MCに関して徐々に画像光MLの反射率を減少させた反射率遷移領域を形成することができ、第2の反射回折素子D2に関して徐々に画像光MLの回折効率を減少させた遷移領域を形成することができる。
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
光学ユニット12は、投射レンズ21を備えない光学系にすることができる。この場合、画像光生成装置11の表示面11aに形成された表示像を凹面透過ミラー24によってコリメートする光学系となる。
第2の反射型回折素子D2は、凹面透過ミラー24の一部として形成されるものである必要はなく、凹面透過ミラー24の外界側を覆う独立した板状の部材として形成することができる。
凹面透過ミラー24を構成する板状体24aについては、樹脂材に限らず、ガラスや合成石英、或いはそれらと樹脂材との複合材で形成することもできる。
光学ユニット12は、透過傾斜ミラー23の前段に、プリズムとミラーの複合体等を含む光学系であってもよい。
プリズム22bを構成する平面33a,33bは、屈折力を有する曲面に置き換えることができる。
具体的な態様における虚像表示装置は、画像光生成装置と、画像光生成装置からの画像光を反射する透過傾斜ミラーと、部分反射膜を有し、透過傾斜ミラーで反射された画像光を部分反射膜によって透過傾斜ミラーに向けて反射する凹面透過ミラーと、画像光生成装置から透過傾斜ミラーにかけての光路上に配置される第1の反射型回折素子と、部分反射膜の外界側に配置され、凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように画像光を回折させる第2の反射型回折素子とを備える。
上記虚像表示装置では、第2の反射型回折素子が凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように画像光を回折させるので、部分反射膜を透過して外界側に射出される画像光を抑制することができる。この際、第1の反射型回折素子が透過傾斜ミラーや凹面透過ミラーに入射する画像光の波長幅を狭めるので、第2の反射型回折素子に入射する画像光について第2の反射型回折素子で回折される割合を増やすことができる。これにより、表示中の映像が外部から見えにくくなり、情報漏えいの抑制効果を高めることができる。
具体的な側面において、第1の反射型回折素子の光射出側の光路上に配置され、第1の反射型回折素子による画像光の波長分散を補償するプリズムをさらに備える。この場合、第1の反射型回折素子による画像光の色収差を低減することができる。
別の側面において、プリズムは、第1の反射型回折素子による画像光の回折方向に対応する方向に関して、画像光の進路を偏向する。
別の側面において、プリズムは、画像光に対する屈折力がゼロの楔型プリズムである。この場合、プリズムが色分散以外の結像状態に影響を与えないものとなり、光学系を簡単なものとすることができる。
別の側面において、第1の反射型回折素子は、上下方向に関して画像光を回折させ、プリズムは、横方向に延びて横方向に関して一様な断面を有し、第1の反射型回折素子から遠い先端側に狭まる楔角を有する。
さらに別の側面において、第1の反射型回折素子は、画像光の相対的な角度関係を保存しつつ画像光を回折させる。この場合、第1の反射型回折素子は、平面ミラーのように機能する。
別の側面において、第2の反射型回折素子は、画像光を上方又は下方に回折させる。虚像表示装置の上方や下方に第三者が存在する状況は生じにくく、上方又は下方に遮光部材を配置することは容易であり、情報漏えいの抑制効果をより高めることができる。
さらに別の側面において、画像光生成装置は、3色を含む画像光を形成し、第1の反射型回折素子及び第2の反射型回折素子は、3色に対応する3つの体積ホログラム層を含む。この場合、3色ごとの回折効率を高めることができ、凹面透過ミラーを経て外界側に射出される通過光を抑える効果が高まる。
さらに別の側面において、第1の反射型回折素子の裏面に配置され、第1の反射型回折素子の透過光を吸収する光吸収部材を備える。この場合、第1の反射型回折素子で回折されなかった透過光が外界側に射出されることを防止することができる。
さらに別の側面において、第1の反射型回折素子の回折波長幅は、第2の反射型回折素子の回折波長幅と同等又は小さい。この場合、第1の反射型回折素子で回折された画像光を第2の反射型回折素子によって全て回折することができ、情報漏えいを確実に防止することができる。
さらに別の側面において、凹面透過ミラーは、光透過性を有する支持体上に形成され、第1の反射型回折素子と第2の反射型回折素子とは、支持体上に形成されている。この場合、第1の反射型回折素子を凹面透過ミラーに付随する部品とすることができ、虚像表示装置の構造を簡単化することができる。
さらに別の側面において、第1の反射型回折素子と第2の反射型回折素子とは、一体的に形成されたシート状部材である。この場合、第1の反射型回折素子と第2の反射型回折素子を一部品として作製することができる。
さらに別の側面において、凹面透過ミラーは、画像光を射出瞳に集めるように反射する。
具体的な態様における光学ユニットは、画像光を反射する透過傾斜ミラーと、部分反射膜を有し、透過傾斜ミラーで反射された画像光を部分反射膜によって透過傾斜ミラーに向けて反射する凹面透過ミラーと、透過傾斜ミラーの光入射側の光路上に配置される第1の反射型回折素子と、部分反射膜の外界側に配置され、凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように画像光を回折させる第2の反射型回折素子とを備える。
11…画像光生成装置、11a…表示面、12,412…光学ユニット、13…表示制御回路、21…投射レンズ、22…波長選択部、22a…回折吸収部材、22b…プリズム、23…透過傾斜ミラー、23a…平行平板、24…凹面透過ミラー、24b…部分反射膜、24c…反射型回折層、28…ミラー、31b…反射型回折層、32…光吸収部材、32a…光吸収層、41a,41b,41c…回折層、42a,42b,42c…回折層、61…シート状部材、100…虚像表示装置、100A,100B…表示装置、100C…支持装置、102…表示駆動部、105…外観部材、AX…光軸、AXE…射出光軸、D1…第1の反射型回折素子、D2…第2の反射型回折素子、EP…射出瞳、EY…眼、LD…回折光、LE…漏れ光、LP…通過光、LT…透過光、MC…部分反射面、ML…画像光、MS…平面反射面、OL…外界光、US…装着者
Claims (14)
- 画像光生成装置と、
前記画像光生成装置からの画像光を反射する透過傾斜ミラーと、
部分反射膜を有し、前記透過傾斜ミラーで反射された前記画像光を前記部分反射膜によって前記透過傾斜ミラーに向けて反射する凹面透過ミラーと、
前記画像光生成装置から前記透過傾斜ミラーにかけての光路上に配置される第1の反射型回折素子と、
前記部分反射膜の外界側に配置され、前記凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように前記画像光を回折させる第2の反射型回折素子とを備える、虚像表示装置。 - 前記第1の反射型回折素子の光射出側の光路上に配置され、前記第1の反射型回折素子による前記画像光の波長分散を補償するプリズムをさらに備える、請求項1に記載の虚像表示装置。
- 前記プリズムは、前記第1の反射型回折素子による前記画像光の回折方向に対応する方向に関して、前記画像光の進路を偏向する、請求項2に記載の虚像表示装置。
- 前記プリズムは、前記画像光に対する屈折力がゼロの楔型プリズムである、請求項2及び3のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第1の反射型回折素子は、上下方向に関して前記画像光を回折させ、
前記プリズムは、横方向に延びて前記横方向に関して一様な断面を有し、前記第1の反射型回折素子から遠い先端側に狭まる楔角を有する、請求項4に記載の虚像表示装置。 - 前記第1の反射型回折素子は、前記画像光の相対的な角度関係を保存しつつ前記画像光を回折させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第2の反射型回折素子は、前記画像光を上方又は下方に回折させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記画像光生成装置は、3色を含む前記画像光を形成し、
前記第1の反射型回折素子及び前記第2の反射型回折素子は、前記3色に対応する3つの体積ホログラム層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の虚像表示装置。 - 前記第1の反射型回折素子の裏面に配置され、前記第1の反射型回折素子の透過光を吸収する光吸収部材を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第1の反射型回折素子の回折波長幅は、前記第2の反射型回折素子の回折波長幅と同等又は小さい、請求項1~9のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記凹面透過ミラーは、光透過性を有する支持体上に形成され、前記第1の反射型回折素子と前記第2の反射型回折素子とは、前記支持体上に形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第1の反射型回折素子と前記第2の反射型回折素子とは、一体的に形成されたシート状部材である、請求項11に記載の虚像表示装置。
- 前記凹面透過ミラーは、前記画像光を射出瞳に集めるように反射する、請求項1~12のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 画像光を反射する透過傾斜ミラーと、
部分反射膜を有し、前記透過傾斜ミラーで反射された前記画像光を前記部分反射膜によって前記透過傾斜ミラーに向けて反射する凹面透過ミラーと、
前記透過傾斜ミラーの光入射側の光路上に配置される第1の反射型回折素子と、
前記部分反射膜の外界側に配置され、前記凹面透過ミラーを通過する光路から逸らすように前記画像光を回折させる第2の反射型回折素子とを備える、光学ユニット。
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