JP2022038822A - 繊維シート及び該繊維シートを用いた人工皮革の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】交絡強度と表面品位を両立した繊維シートの製造方法、及び該繊維シートを用いた人工皮革の新規製造方法の提供。【解決手段】表(おもて)面を構成する表面繊維層13とスクリム層12とを含む2層以上で構成される繊維シート11の製造方法であって、表面繊維層13とスクリム層12の2層以上で構成される積層体に、表面繊維層13側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程を含み、水流の擾乱が10%以上20%以下であり、水流交絡処理においてノズル吐出口と積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、ことを特徴とする繊維シート11の製造方法、得られた繊維シート11に、ポリウレタン樹脂を含浸する工程をさらに含む、人工皮革の製造方法。【選択図】図3
Description
本発明は、繊維シート、及び該繊維シートを用いた人工皮革の製造方法に関する。
繊維で構成される繊維ウェブを交絡することによって形成される繊維シートを主材として構成される人工皮革は、イージーケア、機能性、均質性等、天然皮革では実現が難しい優れた特徴を有しており、衣類、靴、鞄、更に、インテリア用、自動車用、航空機用、鉄道車両用等のシートの表皮材及び内装材、リボン、ワッペン基材等の服飾材、等に好適に用いられている。
このような用途に用いる人工皮革を構成する繊維シートを製造する場合に用いる交絡方法としては、ニードルパンチ法、又は、スパンレース法とも言われる水流交絡法が、一般的に採用されている。水流交絡法は、繊維同士を交絡一体化させることで、機械強度に優れた繊維シートが得られる点で好ましい半面、連続した水流軌跡(水流痕)が繊維シート表面に残り表面品位を悪化させるという問題がある。
以下の特許文献1には、水流交絡法の潜在的問題である、繊維シートの工程進行方向に平行な水流痕(経筋)の発生を抑える方法が提案されている。特許文献1では、直進性の高い水流を吐出するノズルを用い、工程進行(機械)方向(MD)の下流側に位置するノズルの孔径を、工程進行方向の上流側に位置するノズルの孔径に比べて小さくすることによって、経筋を抑制することが検討されている。
また、以下の特許文献2では、繊維束の分散を目的とする水流分散処理において、水流を吐出するノズルと繊維シートとの間にスクリーンを挿入し、水流を断続的に遮断することによって、外観不良因となる経筋を見えにくくしている。
また、以下の特許文献3では、水流分散処理をバイブロウォッシャーで実施することによって、経筋の発生を抑えながら繊維束の分散を達成している。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、分離流、すなわち水流直径の変動が極めて小さく直進性の高い水流を吐出するノズルを使用しているため、連続した水流軌跡(水流痕)の発生の抑制が十分ではなく良好な表面品位を得られがたく、機械強度(交絡強度)と表面品位の両立が十分でない。
また、特許文献2に記載の方法では、繊維束の単繊維化は十分であるものの、スクリーンが水流を妨げるためエネルギー損失が大きいため、表面繊維層とスクリム層の交絡に必要なエネルギーが不足し、機械強度(交絡強度)が十分でない。
また、特許文献3に記載の方法は、繊維束の分散、すなわち繊維束の単繊維化を目的としており、交絡強度については検討されていない。
また、特許文献2に記載の方法では、繊維束の単繊維化は十分であるものの、スクリーンが水流を妨げるためエネルギー損失が大きいため、表面繊維層とスクリム層の交絡に必要なエネルギーが不足し、機械強度(交絡強度)が十分でない。
また、特許文献3に記載の方法は、繊維束の分散、すなわち繊維束の単繊維化を目的としており、交絡強度については検討されていない。
このように、水流交絡法の従来技術では、繊維ウェブを対象として、トレードオフの関係にある十分な交絡強度と表面品位とを兼ね備えた繊維シートを得ることは困難な状況である。
あかる従来技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、交絡強度と表面品位を両立した繊維シート、及び該繊維シートを用いた人工皮革の製法を提供することである。
あかる従来技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、交絡強度と表面品位を両立した繊維シート、及び該繊維シートを用いた人工皮革の製法を提供することである。
前記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究し実験を重ねた結果、以下の特徴を有する繊維シートの製造方法を用いれば前記人工皮革に適した繊維シートが得られることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを含む2層以上で構成される繊維シートの製造方法であって、以下の工程:
該表面繊維層(A)と該スクリム層の2層以上で構成される積層体に、該表面繊維層(A)側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程;
を含み、該水流の擾乱が10%以上20%以下であり、該水流交絡処理においてノズル吐出口と該積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、該水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、
ことを特徴とする前記繊維シートの製造方法。
[2]前記繊維シートが、表面繊維層(A)とスクリム層と裏面を構成する繊維層(B)の3層で構成された繊維シートである、前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記ノズルは、断面形状において、ノズル吐出口を有するシリンダー部、該シリンダー部に向かって孔径が狭くなるテーパー部を有し、該ノズル吐出口の孔径Dが0.15mm以上0.30mm以下であり、該シリンダー部の長さL2が0.08mm以上1.2mm以下であり、L2/Dが0.3以上6以下であり、該テーパー部の長さL1が0.5mm以上5.0mm以下であり、かつ、テーパー角度が10度以上90度以下である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記繊維シートの交絡強度が4N/cm以上である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記繊維シートの表面繊維層(A)の表(おもて)面における平均高さ二乗平方根が85μm未満である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記繊維シートがポリエステル繊維から構成される、前記[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]以下の工程:
前記[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法により得られた繊維シートに、ポリウレタン樹脂を含浸する工程;
をさらに含む、人工皮革の製造方法。
[8]前記人工皮革の表面品位が4級以上である、前記[7]に記載の製造方法。
[1]表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを含む2層以上で構成される繊維シートの製造方法であって、以下の工程:
該表面繊維層(A)と該スクリム層の2層以上で構成される積層体に、該表面繊維層(A)側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程;
を含み、該水流の擾乱が10%以上20%以下であり、該水流交絡処理においてノズル吐出口と該積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、該水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、
ことを特徴とする前記繊維シートの製造方法。
[2]前記繊維シートが、表面繊維層(A)とスクリム層と裏面を構成する繊維層(B)の3層で構成された繊維シートである、前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記ノズルは、断面形状において、ノズル吐出口を有するシリンダー部、該シリンダー部に向かって孔径が狭くなるテーパー部を有し、該ノズル吐出口の孔径Dが0.15mm以上0.30mm以下であり、該シリンダー部の長さL2が0.08mm以上1.2mm以下であり、L2/Dが0.3以上6以下であり、該テーパー部の長さL1が0.5mm以上5.0mm以下であり、かつ、テーパー角度が10度以上90度以下である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記繊維シートの交絡強度が4N/cm以上である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記繊維シートの表面繊維層(A)の表(おもて)面における平均高さ二乗平方根が85μm未満である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記繊維シートがポリエステル繊維から構成される、前記[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]以下の工程:
前記[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法により得られた繊維シートに、ポリウレタン樹脂を含浸する工程;
をさらに含む、人工皮革の製造方法。
[8]前記人工皮革の表面品位が4級以上である、前記[7]に記載の製造方法。
本発明によれば、交絡強度および表面品位に優れる繊維シート、該繊維シートを用いた高品位の人工皮革を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明は実施形態に限定されるものではない。また、本開示の各種値は、特記がない限り、本開示の[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で得られる値である。
<繊維シートの製造方法>
本発明の一の実施形態は、表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを含む2層以上で構成される繊維シートの製造方法であって、以下の工程:
該表面繊維層(A)と該スクリム層の2層以上で構成される積層体に、該表面繊維層(A)側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程;
を含み、該水流の擾乱が10%以上20%以下であり、該水流交絡処理においてノズル吐出口と該積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、該水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、
ことを特徴とする前記繊維シートの製造方法である。
本発明の一の実施形態は、表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを含む2層以上で構成される繊維シートの製造方法であって、以下の工程:
該表面繊維層(A)と該スクリム層の2層以上で構成される積層体に、該表面繊維層(A)側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程;
を含み、該水流の擾乱が10%以上20%以下であり、該水流交絡処理においてノズル吐出口と該積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、該水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、
ことを特徴とする前記繊維シートの製造方法である。
本明細書中、「人工皮革」とは、家庭用品品質表示法に準じ「基材に特殊不織布(ランダム三次元立体構造を有する繊維層を主とし、ポリウレタン(PU)樹脂又はそれに類する可撓性を有する高分子弾性体を含浸させたもの)を用いているもの」である。また、JIS-6601の定義では、人工皮革は、その外観によって、革の銀面様外観を持つ「スムーズ」と、革のスエード、ベロア等の外観を持つ「ナップ」に分類されるが、本実施形態の人工皮革は「ナップ」に分類されるもの(すなわち、起毛調外観を有するスエード調人工皮革)に関するものである。スエード調外観は、表面繊維層(A)の外表面(表(おもて)面ともいう)をサンドペーパー等でバフィング処理(起毛処理)することにより形成することができる。尚、本明細書中、表面繊維層(A)の外表面とは、人工皮革が使用される際に外部に露出する表面(例えば、椅子用途の場合は人体と接触する側の表面)である。一態様において、スエード調人工皮革の場合には、表面繊維層(A)の外表面が、バフィング加工等により起毛又は立毛されている。
繊維シートは、表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを少なくとも含む。繊維シートにスクリム層を含むことによって、人工皮革の機械物性、特に引裂強度や引張強度を高められる。繊維シートは、表面繊維層(A)とスクリムに加えて、裏面を構成する繊維層(B)の3層で構成されてもよい。表面繊維層(A)と、繊維層(B)と、これらに挟まれたスクリムとの3層構造にすれば、表面繊維層(A)と繊維層(B)とをそれぞれ個別に設計できるので、これらの層を構成する繊維の直径、種類等を、繊維シートを用いた人工皮革に要求される機能及び用途に合わせて自由にカスタマイズできる点で好ましい。例えば、表面繊維層(A)に極細繊維を、繊維層(B)に難燃繊維をそれぞれ使用すれば、優れた表面品位と高い難燃性とを両立できる。また、表面繊維層(A)と、繊維層(B)と、これらに挟まれたスクリムとの3層構造にすることによって、表面繊維層(A)とスクリムとの間の交絡強度が高くなりやすい点でも好ましい。
水流交絡処理とは、未交絡の繊維ウェブをコンベアネット上又は多孔シリンダー上で水流により交絡させ繊維シートを得る方法である。この方法は、海島繊維で構成された繊維シート内の海成分を溶解除去した繊維束を、コンベアネット上又は多孔シリンダー上で水流により分散させ単繊維化する水流分散処理としても用いられている。
水流交絡処理とは、未交絡の繊維ウェブをコンベアネット上又は多孔シリンダー上で水流により交絡させ繊維シートを得る方法である。この方法は、海島繊維で構成された繊維シート内の海成分を溶解除去した繊維束を、コンベアネット上又は多孔シリンダー上で水流により分散させ単繊維化する水流分散処理としても用いられている。
擾乱とは、ノズルから吐出される水流の直径の変動の指数である。擾乱を10%以上とすることによって、水流のエネルギーが効率よく繊維の交絡に変換され、且つ、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面に顕著な水流痕を残すことなく、繊維同士が十分に交絡された繊維シートが得られる。また、擾乱を20%以下とすることによって、擾乱の発生因である水流とノズル壁面との摩擦(後述)によるエネルギー損失を抑えることができる。擾乱は好ましくは12%以上20%以下、より好ましくは15%以上20%以下である。擾乱は、ノズル孔の吐出口より25mmから35mmまでの範囲における水流の平均直径をW、水流直径の標準偏差をσとして、以下の式:
擾乱(%)=σ(mm)/W(mm)×100
で算出する。尚、擾乱の測定方法の詳細は以下の実施例に記載する。
水流交絡処理においては、ディスタンスは25mm以上45mm以下である。ディスタンスとは、水流を吐出するノズルの吐出口と、水流交絡される繊維ウェブとの距離である。ディスタンスを25mm以上とすることによって、水流交絡処理前の繊維ウェブの導布性と、水流交絡処理時の繊維ウェブ及び繊維シートの工程通過性を保ちつつ、擾乱が10%以上の水流が繊維ウェブに衝突するため、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面に顕著な水流痕が残らず、表面品位の観点で望ましい。また、ディスタンスを45mm以下とすることによって、吐出後の水流が空気中で噴霧化することによるエネルギー損失を最低限に抑えられ、繊維同士が十分に交絡された繊維シートが得られる。ディスタンスは25mm以上40mm以下が好ましく、より好ましくは25mm以上35mm以下である。
擾乱(%)=σ(mm)/W(mm)×100
で算出する。尚、擾乱の測定方法の詳細は以下の実施例に記載する。
水流交絡処理においては、ディスタンスは25mm以上45mm以下である。ディスタンスとは、水流を吐出するノズルの吐出口と、水流交絡される繊維ウェブとの距離である。ディスタンスを25mm以上とすることによって、水流交絡処理前の繊維ウェブの導布性と、水流交絡処理時の繊維ウェブ及び繊維シートの工程通過性を保ちつつ、擾乱が10%以上の水流が繊維ウェブに衝突するため、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面に顕著な水流痕が残らず、表面品位の観点で望ましい。また、ディスタンスを45mm以下とすることによって、吐出後の水流が空気中で噴霧化することによるエネルギー損失を最低限に抑えられ、繊維同士が十分に交絡された繊維シートが得られる。ディスタンスは25mm以上40mm以下が好ましく、より好ましくは25mm以上35mm以下である。
擾乱は、ノズル吐出口において水流とノズル内壁に空隙が無い場合に生じる。ノズル吐出口において水流とノズル内壁に空隙がある場合には、水流は擾乱が極めて小さい直進流である。かかる直進流は、ノズル内部の直角部、テーパー部(後述)上流側又は下流側の屈曲部などで水流に強いせん断応力がかかり、急激な圧力損失が生じて局所的に飽和水位蒸気圧を下回った水が気化することにより水流がノズル内壁から剥離することで、又は、水流が慣性に従い壁面から剥離することで生じる剥離現象が原因と考えられる。テーパー部前後の屈曲部に比べて直角部の方がより強いせん断応力が生じるため、ノズル内部に直角部などが無いノズル(例えば、内部にテーパー形状を有するノズル)内部では圧力損失が起こり難い。従って、例えば、内部にテーパー形状を有するノズルでは、ノズル吐出口において水流とノズル内壁に空隙が生じず、水流とノズル壁面との摩擦によりノズル中心部とノズル壁面近傍部における流速の差が大きくなり、擾乱が大きい水流が吐出される。
擾乱が大きい水流は、極めて短い周期で瞬間的に高いエネルギーを繊維ウェブに与え、他方、擾乱が極めて小さい水流は、繊維ウェブに与えるエネルギーの変動が小さいことが知られている。そのため、擾乱が大きい水流を吐出するノズルで繊維ウェブを交絡すると、強く交絡された点が極めて短い間隔で分布する繊維シートが得られる。また、水流痕を比較すると、擾乱が小さい水流が繊維シートに残す水流痕は一定の幅であるため、そのような連続的な水流痕が増えると周期的な筋として目立ち外観不良因となる。これに反し、擾乱が大きい水流が繊維シートに残す水流痕の幅は一定ではなく連続的な水流痕に見え難いため、周期的な筋として目立ちにくい。
擾乱が大きい水流は、極めて短い周期で瞬間的に高いエネルギーを繊維ウェブに与え、他方、擾乱が極めて小さい水流は、繊維ウェブに与えるエネルギーの変動が小さいことが知られている。そのため、擾乱が大きい水流を吐出するノズルで繊維ウェブを交絡すると、強く交絡された点が極めて短い間隔で分布する繊維シートが得られる。また、水流痕を比較すると、擾乱が小さい水流が繊維シートに残す水流痕は一定の幅であるため、そのような連続的な水流痕が増えると周期的な筋として目立ち外観不良因となる。これに反し、擾乱が大きい水流が繊維シートに残す水流痕の幅は一定ではなく連続的な水流痕に見え難いため、周期的な筋として目立ちにくい。
[水圧]
本実施形態では、水流交絡処理に用いるノズル孔流入側における水圧が1MPa以上10MPa以下である。水圧は、図1で示す水圧測定点4、すなわち、前記ノズルの流入側の測定点で測定される。水圧を1MPa以上にすることによって、繊維を十分に交絡することができ、他方、水圧を10MPa以下にすることによって、処理後の繊維シート上の水流痕を目立たなくすることができる。水圧は、好ましくは1.5MPa以上7.5MPa以下、さらに好ましくは2MPa以上4.5MPa以下である。
本実施形態では、水流交絡処理に用いるノズル孔流入側における水圧が1MPa以上10MPa以下である。水圧は、図1で示す水圧測定点4、すなわち、前記ノズルの流入側の測定点で測定される。水圧を1MPa以上にすることによって、繊維を十分に交絡することができ、他方、水圧を10MPa以下にすることによって、処理後の繊維シート上の水流痕を目立たなくすることができる。水圧は、好ましくは1.5MPa以上7.5MPa以下、さらに好ましくは2MPa以上4.5MPa以下である。
[ノズルの構成]
本実施形態では、前記ノズルは、断面形状において、ノズル吐出口を有するシリンダー部、該シリンダー部に向かって孔径が狭くなるテーパー部を有し、該ノズル吐出口の孔径Dが0.15mm以上0.30mm以下であり、該シリンダー部の長さL2が0.08mm以上1.2mm以下であり、L2/Dが0.3以上6以下であり、該テーパー部の長さL1が0.5mm以上5.0mm以下であり、かつ、テーパー角度が10度以上90度以下であることが好ましい。
本実施形態では、前記ノズルは、断面形状において、ノズル吐出口を有するシリンダー部、該シリンダー部に向かって孔径が狭くなるテーパー部を有し、該ノズル吐出口の孔径Dが0.15mm以上0.30mm以下であり、該シリンダー部の長さL2が0.08mm以上1.2mm以下であり、L2/Dが0.3以上6以下であり、該テーパー部の長さL1が0.5mm以上5.0mm以下であり、かつ、テーパー角度が10度以上90度以下であることが好ましい。
図1に示すように、前記ノズルは、ノズルの断面形状において、水流の上流側から順に、テーパー部、シリンダー部、そして該シリンダー部の末端である吐出口から構成される。L1はテーパー部の水流吐出方向の長さ、L2はシリンダー部の水流吐出方向の長さ、Dは吐出口の孔径、テーパー角度5はテーパー部の角度を指す。
テーパー部長さL1は0.5mm以上5.0mm以下が好ましい。L1を0.5mm以上とすることによって、テーパー部の前後の屈曲部におけるせん断応力を抑えられ、水流の剥離現象を防ぎ、適度な擾乱を発生させることができる。他方、L1を5.0mm以下にすることによって、ノズルをより緻密に配置することができ、生産効率の観点で好ましい。L1はより好ましくは0.6mm以上4.0mm以下、さらに好ましくは0.7mm以上3.0mm以下である。
テーパー部長さL1は0.5mm以上5.0mm以下が好ましい。L1を0.5mm以上とすることによって、テーパー部の前後の屈曲部におけるせん断応力を抑えられ、水流の剥離現象を防ぎ、適度な擾乱を発生させることができる。他方、L1を5.0mm以下にすることによって、ノズルをより緻密に配置することができ、生産効率の観点で好ましい。L1はより好ましくは0.6mm以上4.0mm以下、さらに好ましくは0.7mm以上3.0mm以下である。
シリンダー部長さL2は0.08mm以上1.2mm以下、L2/Dは0.3以上6以下が好ましい。L2を0.08mm以上、又は、L2/Dを0.3以上とすることによって、高い水圧に対するテーパー部末端からシリンダー部にかけての強度を保つことができる。また、L2を1.2mm以下、又は、L2/Dを6以下とすることによって、シリンダー部における壁面との摩擦による水流のエネルギー損失を、適度な擾乱の発生に必要な程度に抑えることができる。L2はより好ましくは0.09mm以上1.1mm以下、さらに好ましくは0.10mm以上1.0mm以下である。また、L2/Dはより好ましくは0.4以上5以下、さらに好ましくは0.5以上4以下である。
ノズル吐出口孔径Dは0.15mm以上0.30mm以下が好ましい。吐出口孔径Dを0.15mm以上とすることによって、繊維を十分に交絡する水量を吐出することができる。また、吐出口孔径Dを0.30mm以下とすることによって、処理後の繊維シート上の水流痕を目立たなくすることができる。吐出口孔径Dは、より好ましくは0.15mm以上0.25mm以下、さらに好ましくは0.15mm以上0.22mm以下である。
テーパー角度5は10度以上90度以下が好ましい。テーパー角度を10度以上とすることによって、テーパー部上流側の屈曲部における水流の剥離現象を防ぐことができる。他方、テーパー角度を90度以下とすることによって、テーパー部とシリンダー部の屈曲部における水流の剥離現象を防ぐことができる。これに反し、直角に近い屈曲部を有するノズル(テーパー角度10度未満又は90度超のノズル)は、前記屈曲部にて前述の剥離現象が発生しやすくなるが、直角部を有するノズルと比べて剥離現象の程度が小さいため、前記屈曲部下流側のテーパー部又はシリンダー部が十分に長い場合には水流が壁面に再付着し、擾乱が生じる場合がある。テーパー角度は、より好ましくは12度以上80度以下、さらに好ましくは、14度以上70度以下である。
尚、ノズルを円運動させること又は工程進行方向に対して直角に往復運動させることも、ムラなく繊維を交絡でき、且つ、工程進行方向に平行な水流痕が少なくなり、交絡強度及び表面品位が向上する点で好ましい。
尚、ノズルを円運動させること又は工程進行方向に対して直角に往復運動させることも、ムラなく繊維を交絡でき、且つ、工程進行方向に平行な水流痕が少なくなり、交絡強度及び表面品位が向上する点で好ましい。
[交絡強度]
本実施形態では、得られる繊維シートの交絡強度が4N/cm以上であることが好ましい。1の態様の繊維シートは、表面繊維層(A)と織編物であるスクリム層との少なくとも2層以上の多層構造を有する。交絡強度は、該表面繊維層(A)と該スクリム層の剥離に要する力である。繊維シートの交絡強度を4N/cm以上とすることによって、前記繊維シートを用いた人工皮革の表面繊維層(A)が摩耗により脱落するという外観不良の発生を抑えることができる。また、繊維シートの交絡強度の上限は特に限定されないが、15N/cm以下であってもよい。15N/cm以下とすることによって、高水圧の水流による水流痕を抑えられ、かつ、製造上の観点ではエネルギーコストを抑えることができる。交絡強度は、より好ましくは6N/cm以上、さらに好ましくは8N/cm以上である。
本実施形態では、得られる繊維シートの交絡強度が4N/cm以上であることが好ましい。1の態様の繊維シートは、表面繊維層(A)と織編物であるスクリム層との少なくとも2層以上の多層構造を有する。交絡強度は、該表面繊維層(A)と該スクリム層の剥離に要する力である。繊維シートの交絡強度を4N/cm以上とすることによって、前記繊維シートを用いた人工皮革の表面繊維層(A)が摩耗により脱落するという外観不良の発生を抑えることができる。また、繊維シートの交絡強度の上限は特に限定されないが、15N/cm以下であってもよい。15N/cm以下とすることによって、高水圧の水流による水流痕を抑えられ、かつ、製造上の観点ではエネルギーコストを抑えることができる。交絡強度は、より好ましくは6N/cm以上、さらに好ましくは8N/cm以上である。
[平均高さ二乗平方根]
本実施形態では、得られる繊維シートの表面繊維層(A)の表(おもて)面の平均高さ二乗平方根が85μm未満であることが好ましい。繊維シートの平均高さ二乗平方根とは、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における凹凸の平均高さ二乗平方根である。平均高さ二乗平方根Sqは、ある範囲Aにおける平均面からの距離の標準偏差にあたり、繊維シートの平面と平行かつ相互に直交するx軸とy軸と、繊維シートの厚み方向に平行かつ前記x軸とy軸にそれぞれ直交するz軸からなる空間において、以下の式で導出される。
繊維シートの平均高さ二乗平方根を85μm未満とすることによって、該繊維シートを加工して得られる人工皮革の表面品位を4級以上にすることができる。繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根は、より好ましくは80μm未満、さらに好ましくは75μm未満である。
本実施形態では、得られる繊維シートの表面繊維層(A)の表(おもて)面の平均高さ二乗平方根が85μm未満であることが好ましい。繊維シートの平均高さ二乗平方根とは、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における凹凸の平均高さ二乗平方根である。平均高さ二乗平方根Sqは、ある範囲Aにおける平均面からの距離の標準偏差にあたり、繊維シートの平面と平行かつ相互に直交するx軸とy軸と、繊維シートの厚み方向に平行かつ前記x軸とy軸にそれぞれ直交するz軸からなる空間において、以下の式で導出される。
[ポリウレタン樹脂]
本発明の他の実施形態は、前記製造方法により得られた繊維シートに、ポリウレタン樹脂を含浸する工程;
をさらに含む、人工皮革の製造方法である。
一態様では、繊維シートに高分子弾性体を含浸させる人工皮革の製造方法において、該高分子弾性体がポリウレタン樹脂(以下、PU樹脂ともいう。)であることが好ましい。
PU樹脂は、PU樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒で溶解した溶剤型PU樹脂、PU樹脂を乳化剤などで乳化させて水中へ分散させた水分散型PU樹脂等の形態で使用できる。中でも、PU樹脂を微細な形態で繊維シートに充填し易く、少量の付着でも風合い及び機械物性等の人工皮革としての要求性能が得られ易く、且つ、有機溶媒を使用する必要がなく環境負荷を低減できる点から、水分散型PU樹脂が好ましい。すなわち、水分散型PU樹脂は、PU樹脂が所望の粒子径で分散した分散液の形態で繊維シートに含浸させることができるため、当該粒子径の制御によってPU樹脂の繊維シート中での充填形態を良好に制御できる。
水分散型PU樹脂としては、PU分子内に親水基を含有する自己乳化型PU樹脂、外部乳化剤でPU樹脂を乳化させた強制乳化型PU樹脂等を使用することができる。
水分散型PU樹脂には、耐湿熱性、耐摩耗性、耐加水分解性等の耐久性を向上させる目的で架橋剤を併用することができる。液流染色加工時の耐久性を向上させ、繊維の脱落を抑制し、優れた表面品位を得るために、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤は、PU樹脂に対し、添加成分として添加する外部架橋剤でもよく、また、PU樹脂構造内に予め架橋構造を採ることができる反応基を導入する内部架橋剤でもよい。
人工皮革に使用される水分散型PU樹脂は、一般的には染色加工耐性を具備させるために架橋構造をとっているため、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶剤に溶け難い傾向にある。そのため、例えば、人工皮革をN,N-ジメチルホルムアミドに室温で12時間浸漬させて、PU樹脂の溶解処理を行った後、電子顕微鏡等で断面を観察した際に、繊維形状を有しない樹脂状物が残存していれば、該樹脂状物は水分散型PU樹脂であると判断できる。
本発明の他の実施形態は、前記製造方法により得られた繊維シートに、ポリウレタン樹脂を含浸する工程;
をさらに含む、人工皮革の製造方法である。
一態様では、繊維シートに高分子弾性体を含浸させる人工皮革の製造方法において、該高分子弾性体がポリウレタン樹脂(以下、PU樹脂ともいう。)であることが好ましい。
PU樹脂は、PU樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒で溶解した溶剤型PU樹脂、PU樹脂を乳化剤などで乳化させて水中へ分散させた水分散型PU樹脂等の形態で使用できる。中でも、PU樹脂を微細な形態で繊維シートに充填し易く、少量の付着でも風合い及び機械物性等の人工皮革としての要求性能が得られ易く、且つ、有機溶媒を使用する必要がなく環境負荷を低減できる点から、水分散型PU樹脂が好ましい。すなわち、水分散型PU樹脂は、PU樹脂が所望の粒子径で分散した分散液の形態で繊維シートに含浸させることができるため、当該粒子径の制御によってPU樹脂の繊維シート中での充填形態を良好に制御できる。
水分散型PU樹脂としては、PU分子内に親水基を含有する自己乳化型PU樹脂、外部乳化剤でPU樹脂を乳化させた強制乳化型PU樹脂等を使用することができる。
水分散型PU樹脂には、耐湿熱性、耐摩耗性、耐加水分解性等の耐久性を向上させる目的で架橋剤を併用することができる。液流染色加工時の耐久性を向上させ、繊維の脱落を抑制し、優れた表面品位を得るために、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤は、PU樹脂に対し、添加成分として添加する外部架橋剤でもよく、また、PU樹脂構造内に予め架橋構造を採ることができる反応基を導入する内部架橋剤でもよい。
人工皮革に使用される水分散型PU樹脂は、一般的には染色加工耐性を具備させるために架橋構造をとっているため、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶剤に溶け難い傾向にある。そのため、例えば、人工皮革をN,N-ジメチルホルムアミドに室温で12時間浸漬させて、PU樹脂の溶解処理を行った後、電子顕微鏡等で断面を観察した際に、繊維形状を有しない樹脂状物が残存していれば、該樹脂状物は水分散型PU樹脂であると判断できる。
PU樹脂としては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるものが好ましい。
ポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系、シリコーン系、フッ素系等のジオールを採用することができ、これらの2種以上を組み合わせた共重合体を用いてもよい。耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系若しくはポリエーテル系又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。また、耐光性及び耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系、ポリエステル系、又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。さらに、コスト競争力の観点からは、ポリエーテル系、ポリエステル系、又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルとのエステル交換反応、ホスゲン又はクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応等によって製造することができる。
ポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系、シリコーン系、フッ素系等のジオールを採用することができ、これらの2種以上を組み合わせた共重合体を用いてもよい。耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系若しくはポリエーテル系又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。また、耐光性及び耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系、ポリエステル系、又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。さらに、コスト競争力の観点からは、ポリエーテル系、ポリエステル系、又はこれらの組み合わせのジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルとのエステル交換反応、ホスゲン又はクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応等によって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等の直鎖アルキレングリコール;ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の分岐アルキレングリコール;1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール;ビスフェノールA等の芳香族ジオール;等が挙げられ、これらを1種又は2種以上の組み合わせで使用できる。
ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールから選ばれる一種又は二種以上を使用することができる。また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸からなる群から選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールから選ばれる一種又は二種以上を使用することができる。また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸からなる群から選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、又はそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、500以上4000以下であることが好ましい。数平均分子量を500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、風合いが硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、PU樹脂の強度を良好に維持することができる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;が挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミン及びメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、又はエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水とを反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
ポリマージオールの数平均分子量は、500以上4000以下であることが好ましい。数平均分子量を500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、風合いが硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、PU樹脂の強度を良好に維持することができる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;が挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミン及びメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、又はエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水とを反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
PU樹脂(例えば、水分散型PU樹脂)を含む含浸液には、必要に応じて安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤等)、難燃剤、帯電防止剤、顔料(カーボンブラック等)等の添加剤を添加してよい。人工皮革中に存在するこれら添加剤の総量は、PU樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上10.0質量部以下、又は0.2質量部以上8.0質量部以下、又は0.3質量部以上6.0質量部以下であってよい。尚、このような添加剤は、人工皮革のPU樹脂中に分布することになる。本開示において、PU樹脂のサイズ及び繊維シートに対する質量比率について言及するときの値は添加剤(用いる場合)も含んでの値を意図する。
[表面品位]
一態様では、繊維シートを用いた人工皮革の製造方法により得られる人工皮革の表面品位は、4級以上であることが好ましい。表面品位とは、繊維シートを用いた人工皮革において、該人工皮革の表面繊維層(A)の外表面の平滑感や外観不良などを、目視及び触感による官能評価により1級から7級までの7段階で判定した値である。表面品位を4級以上とすることによって、表面繊維層(A)の外表面が、水流痕などの凹凸が目立たず、目視及び触感により極めて平滑となり、インテリア、自動車、航空機、鉄道車両等のシートの表皮材又は内装材としての品位が向上する。表面品位は好ましくは5級以上である。
一態様では、繊維シートを用いた人工皮革の製造方法により得られる人工皮革の表面品位は、4級以上であることが好ましい。表面品位とは、繊維シートを用いた人工皮革において、該人工皮革の表面繊維層(A)の外表面の平滑感や外観不良などを、目視及び触感による官能評価により1級から7級までの7段階で判定した値である。表面品位を4級以上とすることによって、表面繊維層(A)の外表面が、水流痕などの凹凸が目立たず、目視及び触感により極めて平滑となり、インテリア、自動車、航空機、鉄道車両等のシートの表皮材又は内装材としての品位が向上する。表面品位は好ましくは5級以上である。
[繊維シート]
図2では、繊維シート11は、例えば、織編物であるスクリム12と、表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)13と、裏面を構成する繊維層(B)14とを含む。但し、繊維層(B)14は任意であり必須要素ではない。
図3では、繊維シート11は、織編物であるスクリム12と、表面繊維層(A)13とを含む。
図2では、繊維シート11は、例えば、織編物であるスクリム12と、表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)13と、裏面を構成する繊維層(B)14とを含む。但し、繊維層(B)14は任意であり必須要素ではない。
図3では、繊維シート11は、織編物であるスクリム12と、表面繊維層(A)13とを含む。
一態様において、繊維シート11は、3層構造であり、且つ、スクリムが中間層である。例えば、繊維シートの表面繊維層(A)と繊維層(B)との間に、織編物であるスクリムをサンドイッチ状に挟み込み、繊維をこれらの層間で交絡させてなる3層構造は、寸法安定性、引張強度、引裂強度等においては好ましいものとなる。また、表面繊維層(A)と、繊維層(B)と、これらに挟まれたスクリムとの3層構造にすれば、表面繊維層(A)と繊維層(B)とをそれぞれ個別に設計できるので、これらの層を構成する繊維の直径、種類等を、繊維シートを用いた人工皮革に要求される機能及び用途に合わせて自由にカスタマイズできる点では好ましい。例えば、表面繊維層(A)に極細繊維を、繊維層(B)に難燃繊維をそれぞれ使用すれば、優れた表面品位と高い難燃性とを両立できる。また、表面繊維層(A)と、繊維層(B)と、これらに挟まれたスクリムとの3層構造にすることによって、表面繊維層(A)とスクリムとの間の交絡強度が高くなりやすい点でも好ましい。
スクリムは、例えば、織編物であることができ、染色による同色性の点から、表面繊維層(A)を構成する繊維と同じポリマー系であることが好ましい。例えば、表面繊維層(A)を構成する繊維がポリエステル系であれば、スクリムを構成する繊維もポリエステル系であることが好ましく、表面繊維層(A)を構成する繊維がポリアミド系であれば、スクリムを構成する繊維もポリアミド系であることが好ましい。編物の場合のスクリムは、22ゲージ以上28ゲージ以下で編み上げたシングルニットが好ましい。スクリムが織物の場合、編物よりも高い寸法安定性及び強度が実現できる。織物の組織は、平織、綾織、朱子織等であってよいが、コスト面、及び交絡性等の工程面から、平織が好ましい。
織物を構成する糸条は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。糸条の単繊維繊度は、繊維シートを用いた柔軟な人工皮革が得られ易い点で5.5dtex以下が好ましい。織物を構成する糸条の形態としては、ポリエステル、ポリアミド等のマルチフィラメントの生糸、又は仮撚り加工を施した加工糸等に撚数0~3000T/mで撚りを施したものが好ましい。該マルチフィラメントは通常のものでよく、例えば、ポリエステル、ポリアミド等の33dtex/6f、55dtex/24f、83dtex/36f、83dtex/72f、110dtex/36f、110dtex/48f、167dtex/36f、166dtex/48f等が好ましく用いられる。織物を構成する糸条は、マルチフィラメントの長繊維であってよい。織物における糸条の織密度は、柔軟で且つ機械強度に優れる人工皮革を得る点で、30本/インチ以上150本/インチ以下が好ましく、更に好ましくは40本/インチ以上100本/インチ以下である。良好な機械強度と適度な風合いとを具備するためには、織物の目付は20g/m2以上150g/m2以下が好ましい。尚、織物における仮撚り加工の有無、撚数、マルチフィラメントの単繊維繊度、織密度等は、表面繊維層(A)の構成繊維との交絡性、人工皮革の柔軟性に加え、縫目強力、引裂強力、引張強伸度、伸縮性等の機械物性にも寄与するため、目標とする物性及び用途に応じて適宜選択すればよい。
織物を構成する糸条は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。糸条の単繊維繊度は、繊維シートを用いた柔軟な人工皮革が得られ易い点で5.5dtex以下が好ましい。織物を構成する糸条の形態としては、ポリエステル、ポリアミド等のマルチフィラメントの生糸、又は仮撚り加工を施した加工糸等に撚数0~3000T/mで撚りを施したものが好ましい。該マルチフィラメントは通常のものでよく、例えば、ポリエステル、ポリアミド等の33dtex/6f、55dtex/24f、83dtex/36f、83dtex/72f、110dtex/36f、110dtex/48f、167dtex/36f、166dtex/48f等が好ましく用いられる。織物を構成する糸条は、マルチフィラメントの長繊維であってよい。織物における糸条の織密度は、柔軟で且つ機械強度に優れる人工皮革を得る点で、30本/インチ以上150本/インチ以下が好ましく、更に好ましくは40本/インチ以上100本/インチ以下である。良好な機械強度と適度な風合いとを具備するためには、織物の目付は20g/m2以上150g/m2以下が好ましい。尚、織物における仮撚り加工の有無、撚数、マルチフィラメントの単繊維繊度、織密度等は、表面繊維層(A)の構成繊維との交絡性、人工皮革の柔軟性に加え、縫目強力、引裂強力、引張強伸度、伸縮性等の機械物性にも寄与するため、目標とする物性及び用途に応じて適宜選択すればよい。
繊維シート11は、少なくとも表面繊維層(A)が平均直径1μm以上8μm以下の繊維から構成されていることが好ましい。繊維の平均直径が1μm以上であれば、耐摩耗性、染色による発色性、及び耐光堅牢度が良好になる。他方、繊維の平均直径が8μm以下であれば、繊維の本数密度が大きいため、緻密感が高く、表面の触感が滑らかで、表面品位がより良好な、繊維シートを用いた人工皮革が得られ易い。耐摩耗性、染色性、及び表面品位を更に高いレベルで兼ね備えた、繊維シートを用いた人工皮革を得る観点で、表面繊維層(A)を構成する繊維の平均直径は、より好ましくは2μm以上6μm以下、更に好ましくは2μm以上5μm以下である。
繊維シートを構成する繊維層(表面繊維層(A)、並びに任意の層としての繊維層(B)及び追加の層)を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のボリアミド系繊維;等の合成繊維が好適である。その中でも、カーシート分野等の、耐久性が要求される用途を考慮すると、直射日光に長時間曝露しても繊維自身が黄変等せず、染色堅牢度に優れる点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、環境負荷を低減するという観点から、ケミカルリサイクル若しくはマテリアルリサイクルされたポリエチレンテレフタレート、又は植物由来原料を使ったポリエチレンテレフタレート等が更に好ましい。
少なくとも表面繊維層(A)において、繊維は単繊維分散していることが好ましい。例えば、海島型複合繊維(例えば、共重合ポリエステルを海成分、レギュラーポリエステルを島成分に用いたもの等)等の極細繊維発生型繊維を使用し、スクリムとの三次元交絡体とした後で細繊化処理(海島型複合繊維の海成分を溶解、分解等によって除去)することによって得られる繊維は、表面繊維層(A)中では繊維束として存在することになり、単繊維分散していない。一例として、島成分が単繊維繊度0.2dtex相当で24島/1fである海島型複合短繊維を作製し、該海島型複合短繊維で表面繊維層(A)を形成した後、ニードルパンチ処理等でスクリムとの三次元交絡体を形成し、該三次元交絡体にPU樹脂を充填した後、海成分を溶解又は分解することで、単繊維繊度が0.2dtex相当の極細繊維が得られる。この場合、単繊維が24本収束した繊維束の状態(収束状態では4.8dtex相当)で表面繊維層(A)に存在することになる。
本明細書中、繊維が「単繊維分散している」とは、繊維が、例えば、上記の海島型複合繊維中の島成分のような繊維束を形成していないことを意味する。表面繊維層(A)が、単繊維分散している繊維から構成されている場合、表面平滑性に優れ、例えば表面繊維層(A)の外表面をバフィング加工等によって起毛させる際に均質な起毛が得られ易く、且つ、PU樹脂の付着率が比較的少ない場合でも、摩擦によってピリングと呼ばれる毛玉状の外観が生じ難いため、より優れた表面品位と耐摩耗性とを有する人工皮革が得られる。また、繊維が単繊維分散している場合、繊維間隔が狭く均一になり易いため、PU樹脂が微細な形態で付着していても、良好な耐摩耗性が得られる。繊維を単繊維分散させる方法としては、直接紡糸法により製造された繊維を抄造法により繊維ウェブ化する方法、海島型複合繊維で作製された繊維シートの海成分を溶解又は分解して極細繊維束を発生させた後に、極細繊維束面に水流分散処理を施すことで、極細繊維束の単繊維化を促進する方法等が挙げられる。
繊維シートを構成する繊維層のうち表面繊維層(A)以外の繊維層においては、繊維が単繊維分散していてもしていなくてもよいが、好ましい態様においては、表面繊維層(A)以外の層も単繊維分散している繊維で構成されている。表面繊維層(A)以外の層を構成する繊維が単繊維分散していることにより、繊維シートを用いる人工皮革の厚みが均質となり加工精度が向上し、品質を安定化させるという観点から好ましい。
繊維シートを構成する繊維層のうち表面繊維層(A)以外の繊維層においては、繊維が単繊維分散していてもしていなくてもよいが、好ましい態様においては、表面繊維層(A)以外の層も単繊維分散している繊維で構成されている。表面繊維層(A)以外の層を構成する繊維が単繊維分散していることにより、繊維シートを用いる人工皮革の厚みが均質となり加工精度が向上し、品質を安定化させるという観点から好ましい。
繊維シートが表面繊維層(A)、スクリム、及び繊維層(B)で構成される場合、表面繊維層(A)を構成する繊維の目付は、耐摩耗性等の機械強度の観点から、好ましくは10g/m2以上200g/m2以下、より好ましくは30g/m2以上170g/m2以下、更に好ましくは60g/m2以上170g/m2以下である。また、繊維層(B)を構成する繊維の目付は、コスト及び製造のしやすさの観点から、好ましくは10g/m2以上200g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上170g/m2以下とすることができる。スクリムの目付は、機械強度、及び繊維層とスクリムとの交絡性の観点から、好ましくは20g/m2以上150g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上130g/m2以下、更に好ましくは30g/m2以上110g/m2以下である。
繊維シートにPU樹脂を含浸させた人工皮革の目付は、好ましくは50g/m2以上550g/m2以下、より好ましくは60g/m2以上400g/m2以下、更に好ましくは70g/m2以上350g/m2以下である。
<繊維シートの製造方法>
以下、繊維シートの製造方法一例を説明する。
本実施形態の繊維シートの製造方法一例は、以下の工程:
直接紡糸法により製造された繊維から抄造法により短繊維が分散した繊維ウェブを形成する工程;及び、以下の工程:
前記繊維ウェブから水流交絡法により繊維シートを得る工程を含む。
以下、順番に各工程を説明する。
以下、繊維シートの製造方法一例を説明する。
本実施形態の繊維シートの製造方法一例は、以下の工程:
直接紡糸法により製造された繊維から抄造法により短繊維が分散した繊維ウェブを形成する工程;及び、以下の工程:
前記繊維ウェブから水流交絡法により繊維シートを得る工程を含む。
以下、順番に各工程を説明する。
[直接紡糸法により製造された繊維から抄造法により短繊維が分散した繊維ウェブを形成する工程]
人工皮革の繊維シートを構成する各繊維層(表面繊維層(A)、任意の繊維層(B)等)となる繊維ウェブの製造方法としては、紡糸直結型の方法(例えば、スパンボンド法及びメルトブローン法)、又は、短繊維を用いて繊維ウェブを形成する方法(例えば、カーディング法、エアレイド法等の乾式法、及び、抄造法等の湿式法)が挙げられ、いずれも好適に用いることができるが、本実施形態では、直接紡糸繊維を短繊維化した原料を用いて抄造法で製造される繊維ウェブは、目付斑が小さく均一性に優れ、且つ、均一な起毛が得られ易いため、人工皮革の表面品位を向上させる点で好適である。
人工皮革の繊維シートを構成する各繊維層(表面繊維層(A)、任意の繊維層(B)等)となる繊維ウェブの製造方法としては、紡糸直結型の方法(例えば、スパンボンド法及びメルトブローン法)、又は、短繊維を用いて繊維ウェブを形成する方法(例えば、カーディング法、エアレイド法等の乾式法、及び、抄造法等の湿式法)が挙げられ、いずれも好適に用いることができるが、本実施形態では、直接紡糸繊維を短繊維化した原料を用いて抄造法で製造される繊維ウェブは、目付斑が小さく均一性に優れ、且つ、均一な起毛が得られ易いため、人工皮革の表面品位を向上させる点で好適である。
短繊維(ステープル)を用いた方法を選択する場合の短繊維長は、乾式法(カーディング法、エアレイド法等)で、好ましくは13mm以上102mm以下、より好ましくは25mm以上76mm以下、更に好ましくは38mm以上76mm以下であり、湿式法(抄造法等)で、好ましくは1mm以上30mm以下、より好ましくは2mm以上25mm以下、更に好ましくは3mm以上20mm以下である。湿式法(抄造法等)に用いられる短繊維の、長さ(L)と直径(D)との比であるアスペクト比(L/D)は、好ましくは500以上2000以下、より好ましくは700以上1500以下である。このようなアスペクト比は、短繊維を水中に分散してスラリーを調製する際の該スラリー中での短繊維の分散性及び開繊性が良好であること、繊維層強度が良好であること、乾式法と較べて繊維長が短く且つ単繊維分散し易いため、摩擦によってピリングと呼ばれる毛玉状の外観になり難いこと、から好ましい。例えば、直径4μmの短繊維の繊維長は、好ましくは2mm以上8mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。
[前記繊維ウェブから水流交絡法により繊維シートを得る工程]
織編物であるスクリムを中間層とし、繊維ウェブ(a)を表面繊維層(A)とし、繊維ウェブ(b)を繊維層(B)として、3層構造に積層した積層繊維ウェブの繊維又は繊維束を交絡させる方法としては、ニードルパンチやスパンレース法と呼ばれる水流交絡処理により交絡させる方法を採用することができる。尚、前記の3層構造に積層した積層繊維ウェブや3層以上の構造に積層した積層繊維ウェブを交絡させる場合、ニードルパンチや水流交絡処理は、表面繊維層(A)側と該表面繊維層(A)が積層されていないスクリム側の双方から施すことが、表面繊維層(A)とスクリムとの間の交絡強度が高くなりやすい点で好ましい。また、表面繊維層(A)とスクリム層との2層構造の積層繊維ウェブの場合においても、表面繊維層(A)側とスクリム側との双方から交絡処理を施してもかまわない。本実施法では、水流交絡処理により積層繊維ウェブ(表面繊維層(A)とスクリム層の2層以上で構成される積層体)を交絡して繊維シートを形成する。水流交絡処理は、ニードルパンチで発生する金属混入のおそれがなく、また、繊維シートをより緻密化できる点で好適である。尚、表面繊維層(A)と繊維層(B)に同じ繊維ウェブを用いても構わない。また、繊維層(B)は任意であり必須要件ではない。
織編物であるスクリムを中間層とし、繊維ウェブ(a)を表面繊維層(A)とし、繊維ウェブ(b)を繊維層(B)として、3層構造に積層した積層繊維ウェブの繊維又は繊維束を交絡させる方法としては、ニードルパンチやスパンレース法と呼ばれる水流交絡処理により交絡させる方法を採用することができる。尚、前記の3層構造に積層した積層繊維ウェブや3層以上の構造に積層した積層繊維ウェブを交絡させる場合、ニードルパンチや水流交絡処理は、表面繊維層(A)側と該表面繊維層(A)が積層されていないスクリム側の双方から施すことが、表面繊維層(A)とスクリムとの間の交絡強度が高くなりやすい点で好ましい。また、表面繊維層(A)とスクリム層との2層構造の積層繊維ウェブの場合においても、表面繊維層(A)側とスクリム側との双方から交絡処理を施してもかまわない。本実施法では、水流交絡処理により積層繊維ウェブ(表面繊維層(A)とスクリム層の2層以上で構成される積層体)を交絡して繊維シートを形成する。水流交絡処理は、ニードルパンチで発生する金属混入のおそれがなく、また、繊維シートをより緻密化できる点で好適である。尚、表面繊維層(A)と繊維層(B)に同じ繊維ウェブを用いても構わない。また、繊維層(B)は任意であり必須要件ではない。
<繊維シートを用いた人工皮革の製造方法>
以下、繊維シートを用いた人工皮革の製造方法の一例を説明する。
本実施形態の一つである繊維シートを用いた人工皮革の製造方法の一例は、前記の繊維シートの製造方法の一例を含み、以下の工程:
前記繊維シートに、PU樹脂分散液を含浸させ、その後、該PU樹脂を加熱により固着させて、PU樹脂が充填されたシート状物を得る工程;及び、以下の工程:
前記シート状物を染色処理することにより人工皮革を得る工程;
を含むことができる。
以下、順番に各工程を説明する。
以下、繊維シートを用いた人工皮革の製造方法の一例を説明する。
本実施形態の一つである繊維シートを用いた人工皮革の製造方法の一例は、前記の繊維シートの製造方法の一例を含み、以下の工程:
前記繊維シートに、PU樹脂分散液を含浸させ、その後、該PU樹脂を加熱により固着させて、PU樹脂が充填されたシート状物を得る工程;及び、以下の工程:
前記シート状物を染色処理することにより人工皮革を得る工程;
を含むことができる。
以下、順番に各工程を説明する。
[前記繊維シートに、PU樹脂分散液を含浸させ、その後、該PU樹脂を加熱により固着させて、PU樹脂が充填されたシート状物を得る工程]
この工程では、繊維シートにPU樹脂分散液を含浸後、乾燥させることにより、PU樹脂を充填する。典型的な態様において、PU樹脂は、分散液(例えば、水分散型の場合)等の含浸液の形態で含浸される。含浸液中のPU樹脂の濃度は、例えば、3質量%以上35質量%以下であることができる。一態様において、繊維シート100質量%に対するPU樹脂の比率が5質量%以上50質量%以下となるように含浸液の調製及び繊維シートへの含浸を行う。PU樹脂を微細な形態で繊維シートに充填し易く、少量の付着でも風合い及び機械物性等の人工皮革としての要求性能が得られ易く、且つ、有機溶媒を使用する必要がなく環境負荷を低減できる点から、水分散型PU樹脂が好ましい。繊維シート100質量%に対するPU樹脂の比率は、好ましくは5質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
この工程では、繊維シートにPU樹脂分散液を含浸後、乾燥させることにより、PU樹脂を充填する。典型的な態様において、PU樹脂は、分散液(例えば、水分散型の場合)等の含浸液の形態で含浸される。含浸液中のPU樹脂の濃度は、例えば、3質量%以上35質量%以下であることができる。一態様において、繊維シート100質量%に対するPU樹脂の比率が5質量%以上50質量%以下となるように含浸液の調製及び繊維シートへの含浸を行う。PU樹脂を微細な形態で繊維シートに充填し易く、少量の付着でも風合い及び機械物性等の人工皮革としての要求性能が得られ易く、且つ、有機溶媒を使用する必要がなく環境負荷を低減できる点から、水分散型PU樹脂が好ましい。繊維シート100質量%に対するPU樹脂の比率は、好ましくは5質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
水分散型PU樹脂は、界面活性剤を用いて強制的に分散・安定化させる強制乳化型PU樹脂と、PU分子構造中に親水性構造を有し、界面活性剤が存在しなくても水中に分散・安定化する自己乳化型PU樹脂に分類される。本実施形態ではいずれを用いてもよいが、後述する感熱凝固性を付与する観点から、強制乳化型PU樹脂を用いることが好ましい。
また、水分散型PU樹脂分散液としては、感熱凝固性を有するものが好ましい。感熱凝固性を有する水分散型PU樹脂分散液を用いることにより、繊維シートの厚み方向に均一にPU樹脂を付与することができる。感熱凝固性とは、PU樹脂分散液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度)に達するとPU樹脂分散液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。PU樹脂が充填されたシート状物の製造においてはPU樹脂分散液を繊維シートに付与後、それを乾熱凝固、湿熱凝固、熱水凝固、あるいはこれらの組み合わせにより凝固させ、乾燥することにより繊維シートにPU樹脂を付与する。感熱凝固性を示さない水分散型PU樹脂分散液を凝固させる方法としては乾熱凝固が工業的な生産において現実的であるが、その場合、シート状物の表層にPU樹脂が集中するマイグレーション現象が発生し、PU樹脂が充填されたシート状物の風合いは硬化する傾向にある。
水分散型PU樹脂分散液の感熱凝固温度は、40℃以上90℃以下であることが好ましい。感熱凝固温度を40℃以上とすることにより、PU樹脂分散液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへのPU樹脂の付着等を抑制することができる。また、感熱凝固温度を90℃以下とすることにより、繊維シート中でのPU樹脂のマイグレーション現象を抑制することができる。
感熱凝固温度を前記のとおりとするために、適宜、凝固促進剤を添加してもよい。凝固促進剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等の無機塩や過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等のラジカル反応開始剤が挙げられる。
また、水分散型PU樹脂分散液としては、感熱凝固性を有するものが好ましい。感熱凝固性を有する水分散型PU樹脂分散液を用いることにより、繊維シートの厚み方向に均一にPU樹脂を付与することができる。感熱凝固性とは、PU樹脂分散液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度)に達するとPU樹脂分散液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。PU樹脂が充填されたシート状物の製造においてはPU樹脂分散液を繊維シートに付与後、それを乾熱凝固、湿熱凝固、熱水凝固、あるいはこれらの組み合わせにより凝固させ、乾燥することにより繊維シートにPU樹脂を付与する。感熱凝固性を示さない水分散型PU樹脂分散液を凝固させる方法としては乾熱凝固が工業的な生産において現実的であるが、その場合、シート状物の表層にPU樹脂が集中するマイグレーション現象が発生し、PU樹脂が充填されたシート状物の風合いは硬化する傾向にある。
水分散型PU樹脂分散液の感熱凝固温度は、40℃以上90℃以下であることが好ましい。感熱凝固温度を40℃以上とすることにより、PU樹脂分散液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへのPU樹脂の付着等を抑制することができる。また、感熱凝固温度を90℃以下とすることにより、繊維シート中でのPU樹脂のマイグレーション現象を抑制することができる。
感熱凝固温度を前記のとおりとするために、適宜、凝固促進剤を添加してもよい。凝固促進剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等の無機塩や過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等のラジカル反応開始剤が挙げられる。
水分散型PU樹脂分散液を、繊維シートに含浸、塗布等し、乾熱凝固、湿熱凝固、熱水凝固、あるいはこれらの組み合わせによりPU樹脂を凝固させることができる。湿熱凝固の温度は、PU樹脂の感熱凝固温度以上とし、40℃以上200℃以下であることが好ましい。湿熱凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、PU樹脂の凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。他方、湿熱凝固の温度を200℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、PU樹脂の熱劣化を防ぐことができる。熱水凝固の温度は、PU樹脂の感熱凝固温度以上とし、40℃以上100℃以下とすることが好ましい。熱水中での熱水凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、PU樹脂の凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。乾熱凝固温度、及び乾燥温度は、80℃以上180℃以下であることが好ましい。乾熱凝固温度、及び乾燥温度を80℃以上、より好ましくは90℃以上とすることにより、生産性に優れる。他方、乾熱凝固温度、及び乾燥温度を180℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、PU樹脂の熱劣化を防ぐことができる。
[後工程]
後述する起毛処理の前に、繊維シート又はシート状物にシリコーン分散液などの滑剤を付与してもよい。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によって繊維シート又はシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で好ましい態様である。
繊維シート又はシート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行うことができる。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。また、起毛処理の前に滑剤としてシリコーン等を付与することは、表面研削による起毛が容易に可能となり、表面品位が非常に良好となる。
人工皮革は、感性面の価値(すなわち視覚効果)を高める目的で、染色処理されていることが好ましい。染料は、繊維シートを構成する繊維の種類にあわせて選択すればよく、例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用いることができ、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用いることができ、更にそれらの組み合わせを用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。染色方法としては、染色加工業者に良く知られた通常の方法を用いることができる。染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。染色温度は、繊維の種類にもよるが、80℃以上150℃以下であることが好ましい。染色温度を80℃以上、より好ましくは110℃以上とすることにより、繊維への染着を効率良く行わせることができる。他方、染色温度を150℃以下、より好ましくは130℃以下とすることにより、PU樹脂の劣化を防ぐことができる。
このようにして染色された人工皮革には、ソーピング、及び必要に応じて還元洗浄(すなわち化学的還元剤の存在下での洗浄)を実施し、余剰染料を除去することが好ましい。また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴又は染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤、抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
後述する起毛処理の前に、繊維シート又はシート状物にシリコーン分散液などの滑剤を付与してもよい。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によって繊維シート又はシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で好ましい態様である。
繊維シート又はシート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行うことができる。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。また、起毛処理の前に滑剤としてシリコーン等を付与することは、表面研削による起毛が容易に可能となり、表面品位が非常に良好となる。
人工皮革は、感性面の価値(すなわち視覚効果)を高める目的で、染色処理されていることが好ましい。染料は、繊維シートを構成する繊維の種類にあわせて選択すればよく、例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用いることができ、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用いることができ、更にそれらの組み合わせを用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。染色方法としては、染色加工業者に良く知られた通常の方法を用いることができる。染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。染色温度は、繊維の種類にもよるが、80℃以上150℃以下であることが好ましい。染色温度を80℃以上、より好ましくは110℃以上とすることにより、繊維への染着を効率良く行わせることができる。他方、染色温度を150℃以下、より好ましくは130℃以下とすることにより、PU樹脂の劣化を防ぐことができる。
このようにして染色された人工皮革には、ソーピング、及び必要に応じて還元洗浄(すなわち化学的還元剤の存在下での洗浄)を実施し、余剰染料を除去することが好ましい。また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴又は染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤、抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本実施形態の繊維シートを用いた人工皮革は、家具、椅子、壁材、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、それらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布、CDカーテン等の工業用資材としても好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。実施例及び比較例に係る繊維シートを用いた人工皮革サンプルについて、各物性、品位等を以下の手順、方法を用いて評価、判定した。
(1)水流の擾乱
水流交絡処理におけるノズルから吐出される水流の擾乱は下記の方法で測定した。
ノズルから吐出される水流を、テレセントリックレンズ(Sill Optics GmbH & Co.KG製「S5LPJ007/212」)を装着した一眼カメラ(株式会社ニコン製「D600」)で撮影し、画像データを得る。該画像データをPCに取り込み、ノズル孔の吐出口から25mm以上35mm以下の範囲の水流を切り取り、水流の幅方向の1pixel(約6μm)毎の水流直径を測定する。測定した全データより、ノズル孔の吐出口より25mmから35mmまでの範囲における水流の平均直径Wおよび水流直径の標準偏差σを算出し、擾乱を以下の式:
擾乱(%)=σ(mm)/W(mm)×100
で算出する。
尚、擾乱は5枚の画像データから得られた値の平均値とする。
水流交絡処理におけるノズルから吐出される水流の擾乱は下記の方法で測定した。
ノズルから吐出される水流を、テレセントリックレンズ(Sill Optics GmbH & Co.KG製「S5LPJ007/212」)を装着した一眼カメラ(株式会社ニコン製「D600」)で撮影し、画像データを得る。該画像データをPCに取り込み、ノズル孔の吐出口から25mm以上35mm以下の範囲の水流を切り取り、水流の幅方向の1pixel(約6μm)毎の水流直径を測定する。測定した全データより、ノズル孔の吐出口より25mmから35mmまでの範囲における水流の平均直径Wおよび水流直径の標準偏差σを算出し、擾乱を以下の式:
擾乱(%)=σ(mm)/W(mm)×100
で算出する。
尚、擾乱は5枚の画像データから得られた値の平均値とする。
(2)繊維シートの交絡強度
繊維シートの交絡強度は以下の手順で測定する。各手順の概略図を図3に示す。
[手順1]
図4は手順1の概略図である。繊維シート11を幅方向20cm×工程進行方向2.5cmの大きさに20枚、熱接着シート(デクセリアルズ製「NP808」)を長さ30cm×幅2.5cmの大きさに10枚切り出す。熱接着シート21は半分に折りたたむ。
[手順2]
図5は手順2の概略図である。切り出された前記繊維シート22を2枚1組として、一方の表面繊維層(A)の上に切り出して折りたたんだ前記熱接着シート23を重ね、もう一方の前記サンプル22を、表面繊維層(A)を上側にして重ねる。
[手順3]
図6は手順3の概略図である。手順2で得られた積層体24をプレス機(太陽精機製「トランスファープレス機TP-508M」)で200℃、60秒の条件で圧着することによって、測定サンプル25を得る。このとき、圧力調整ハンドルを右に回して下こてを最も高い位置に設定し、そこから圧力調整ハンドルを左に3周回して下こての高さを設定する。
[手順4]
図7は手順4の概略図である。前記測定サンプル25の短長側から2.5cmの位置にあるスクリムと表面繊維層(A)の境に剃刀の刃で切り込み26を入れる。
[手順5]
図8は手順5の概略図である。前記測定サンプル25の表面繊維層(A)を指で約2cm剥がし、剥離試験機(A&D Company Limited製「RTG-1210」)の上下2か所のクランプに箇所A27、箇所B28をセットする。次に、前記クランプのうち一方が60mm移動する間にかけての、表面繊維層(A)とスクリムの剥離に要する力をチャートとして測定する。このとき、下側の繊維シートの剥離した表面繊維層(A)29は、上側の表面繊維層(A)に付着する。得られたチャートの複数個のピークのうち、最大ピークから順に大きいピーク3点のピーク値と、最小ピークから順に小さいピーク3点のピーク値の、合計6点の平均値を求め、2.5で割った値(1cm幅当たりの値)を交絡強度とし、1個の測定サンプルあたり2回測定する。
繊維シートの交絡強度は以下の手順で測定する。各手順の概略図を図3に示す。
[手順1]
図4は手順1の概略図である。繊維シート11を幅方向20cm×工程進行方向2.5cmの大きさに20枚、熱接着シート(デクセリアルズ製「NP808」)を長さ30cm×幅2.5cmの大きさに10枚切り出す。熱接着シート21は半分に折りたたむ。
[手順2]
図5は手順2の概略図である。切り出された前記繊維シート22を2枚1組として、一方の表面繊維層(A)の上に切り出して折りたたんだ前記熱接着シート23を重ね、もう一方の前記サンプル22を、表面繊維層(A)を上側にして重ねる。
[手順3]
図6は手順3の概略図である。手順2で得られた積層体24をプレス機(太陽精機製「トランスファープレス機TP-508M」)で200℃、60秒の条件で圧着することによって、測定サンプル25を得る。このとき、圧力調整ハンドルを右に回して下こてを最も高い位置に設定し、そこから圧力調整ハンドルを左に3周回して下こての高さを設定する。
[手順4]
図7は手順4の概略図である。前記測定サンプル25の短長側から2.5cmの位置にあるスクリムと表面繊維層(A)の境に剃刀の刃で切り込み26を入れる。
[手順5]
図8は手順5の概略図である。前記測定サンプル25の表面繊維層(A)を指で約2cm剥がし、剥離試験機(A&D Company Limited製「RTG-1210」)の上下2か所のクランプに箇所A27、箇所B28をセットする。次に、前記クランプのうち一方が60mm移動する間にかけての、表面繊維層(A)とスクリムの剥離に要する力をチャートとして測定する。このとき、下側の繊維シートの剥離した表面繊維層(A)29は、上側の表面繊維層(A)に付着する。得られたチャートの複数個のピークのうち、最大ピークから順に大きいピーク3点のピーク値と、最小ピークから順に小さいピーク3点のピーク値の、合計6点の平均値を求め、2.5で割った値(1cm幅当たりの値)を交絡強度とし、1個の測定サンプルあたり2回測定する。
繊維シートの交絡強度は、5個の測定サンプルの測定で得られる交絡強度の平均値(n=10)とする。また、交絡強度を、以下の評価基準で判定する:
[評価基準]
×:4N/cm未満。
△:4N/cm以上6N/cm未満。
〇:6N/cm以上8N/cm未満。
◎:8N/cm以上。
[評価基準]
×:4N/cm未満。
△:4N/cm以上6N/cm未満。
〇:6N/cm以上8N/cm未満。
◎:8N/cm以上。
(3)繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根
繊維シートを5cm×5cmの大きさに10枚切り出して測定サンプルとし、該測定サンプルの表面繊維層(A)の外表面における320μm×480μmの範囲をマイクロスコープ(キーエンス製「VR-3200」)のワンショット3D機能で撮像し、立体データを得る。次に、該立体データを、前記マイクロスコープの付属ソフトウェアを用いて以下の条件で処理し、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における凹凸の平均高さ二乗平方根を得る。
[条件]
面形状補正:うねり除去5倍
フィルタリング:なし
尚、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根は10枚の立体データから得られた値の平均値とする。
平均高さ二乗平方根が小さいほど、表面品位に優れる傾向になる。平均高さ二乗平方根は以下の評価基準で判定する:
[評価基準]
×:85μm以上。
△:80μm以上85μm未満。
〇:75μm以上80μm未満。
◎:75μm未満。
繊維シートを5cm×5cmの大きさに10枚切り出して測定サンプルとし、該測定サンプルの表面繊維層(A)の外表面における320μm×480μmの範囲をマイクロスコープ(キーエンス製「VR-3200」)のワンショット3D機能で撮像し、立体データを得る。次に、該立体データを、前記マイクロスコープの付属ソフトウェアを用いて以下の条件で処理し、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における凹凸の平均高さ二乗平方根を得る。
[条件]
面形状補正:うねり除去5倍
フィルタリング:なし
尚、繊維シートの表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根は10枚の立体データから得られた値の平均値とする。
平均高さ二乗平方根が小さいほど、表面品位に優れる傾向になる。平均高さ二乗平方根は以下の評価基準で判定する:
[評価基準]
×:85μm以上。
△:80μm以上85μm未満。
〇:75μm以上80μm未満。
◎:75μm未満。
(4)人工皮革の表面品位
1枚のサンプルについて、健康状態の良好な成人男性及び成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視及び官能評価によって下記の評価基準で7段階に判定する。人工皮革の表面品位は、4~7級を良好(合格)とする。
[評価基準]
7級:表面に水流痕がほとんど認められず外観は良好で、触れると平滑感がある。
6級:7級と5級の間の評価である。
5級:表面に水流痕がやや認められるが、触れると平滑感がある。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:表面に水流痕がやや認められ、触れると凹凸感がある。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:表面の水流痕が顕著で、触れると凹凸感がある。
尚、1枚のサンプルについての前記20名の評価結果の平均値を四捨五入した値を人工皮革の表面品位の等級とする。
1枚のサンプルについて、健康状態の良好な成人男性及び成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視及び官能評価によって下記の評価基準で7段階に判定する。人工皮革の表面品位は、4~7級を良好(合格)とする。
[評価基準]
7級:表面に水流痕がほとんど認められず外観は良好で、触れると平滑感がある。
6級:7級と5級の間の評価である。
5級:表面に水流痕がやや認められるが、触れると平滑感がある。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:表面に水流痕がやや認められ、触れると凹凸感がある。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:表面の水流痕が顕著で、触れると凹凸感がある。
尚、1枚のサンプルについての前記20名の評価結果の平均値を四捨五入した値を人工皮革の表面品位の等級とする。
(5)繊維シートに対するPU樹脂の比率
繊維シートに対するPU樹脂の比率は下記の方法で測定した。
PU樹脂含浸前の繊維シートの質量をA(g)とする。繊維シートにPU樹脂分散液を含浸し、次いでピンテンター乾燥機を用いて130℃で加熱乾燥し、次いで90℃に加熱した熱水に浸漬した状態で柔布し、次いで乾燥して、PU樹脂が充填された繊維シート(以下、「樹脂充填繊維シート」ともいう。)を得る。樹脂充填繊維シートの質量をB1(g)とする。PU樹脂の比率(C1)を以下の式:
C1=(B1-A)/A×100(wt%)
で算出する。
繊維シートに対するPU樹脂の比率は下記の方法で測定した。
PU樹脂含浸前の繊維シートの質量をA(g)とする。繊維シートにPU樹脂分散液を含浸し、次いでピンテンター乾燥機を用いて130℃で加熱乾燥し、次いで90℃に加熱した熱水に浸漬した状態で柔布し、次いで乾燥して、PU樹脂が充填された繊維シート(以下、「樹脂充填繊維シート」ともいう。)を得る。樹脂充填繊維シートの質量をB1(g)とする。PU樹脂の比率(C1)を以下の式:
C1=(B1-A)/A×100(wt%)
で算出する。
(6)PU樹脂分散液中のPU樹脂の平均一次粒子径
レーザー型回折式粒度分布測定装置(HORIBA製「LA-920」)にて、同装置測定マニュアルに従い測定し、メディアン径を平均一次粒子径とする。
レーザー型回折式粒度分布測定装置(HORIBA製「LA-920」)にて、同装置測定マニュアルに従い測定し、メディアン径を平均一次粒子径とする。
[実施例1]
単繊維の平均直径が4μmのポリエチレンテレフタレート繊維を溶融紡糸法により製造し、長さ5mmに切断した(以下、長さ5mmに切断した単繊維の平均直径が4μmのポリエチレンテレフタレート繊維を「PET極細短繊維」ともいう。)。該PET極細短繊維を水中に分散させ抄造法により目付100g/m2の繊維ウェブを製造し、表層となる表面繊維層(A)として用いた。
同様の方法にて、PET極細短繊維を水中に分散させ抄造法により目付50g/m2の繊維ウェブを製造し、繊維層(B)として用いた。
表面繊維層(A)と繊維層(B)の中間に、166dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付95g/m2のスクリム(平織物)を挿入し、3層積層体とした。
次いで、該3層積層体に対して、直進流噴射ノズルを用いた高速水流を、ディスタンス25mm、且つ、表面繊維層(A)側から4MPa、繊維層(B)側から3MPaの圧力で水流噴射し、表面繊維層(A)と繊維層(B)をスクリムに絡合させて交絡一体化した後に、エアースルー式のピンテンター乾燥機を用いて100℃で乾燥して、3層構造からなる繊維シートを得た。尚、前記直進流噴射ノズルの擾乱、水圧、ディスタンスは以下の表2に示すとおりであった。
次に、該繊維シートの表面繊維層(A)の外表面を、#400のエメリペーパーを用いて起毛処理した。
続いて、以下の表1に示す水分散型ポリウレタン樹脂含浸液を前記繊維シートに含浸し、次いで、ピンテンター乾燥機を用いて130℃で加熱乾燥した後、90℃に加熱した熱水に浸漬した状態で柔布した後、乾燥することで無水芒硝を抽出、除去し、水分散型ポリウレタン樹脂が充填されたシート状物を得た。
単繊維の平均直径が4μmのポリエチレンテレフタレート繊維を溶融紡糸法により製造し、長さ5mmに切断した(以下、長さ5mmに切断した単繊維の平均直径が4μmのポリエチレンテレフタレート繊維を「PET極細短繊維」ともいう。)。該PET極細短繊維を水中に分散させ抄造法により目付100g/m2の繊維ウェブを製造し、表層となる表面繊維層(A)として用いた。
同様の方法にて、PET極細短繊維を水中に分散させ抄造法により目付50g/m2の繊維ウェブを製造し、繊維層(B)として用いた。
表面繊維層(A)と繊維層(B)の中間に、166dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付95g/m2のスクリム(平織物)を挿入し、3層積層体とした。
次いで、該3層積層体に対して、直進流噴射ノズルを用いた高速水流を、ディスタンス25mm、且つ、表面繊維層(A)側から4MPa、繊維層(B)側から3MPaの圧力で水流噴射し、表面繊維層(A)と繊維層(B)をスクリムに絡合させて交絡一体化した後に、エアースルー式のピンテンター乾燥機を用いて100℃で乾燥して、3層構造からなる繊維シートを得た。尚、前記直進流噴射ノズルの擾乱、水圧、ディスタンスは以下の表2に示すとおりであった。
次に、該繊維シートの表面繊維層(A)の外表面を、#400のエメリペーパーを用いて起毛処理した。
続いて、以下の表1に示す水分散型ポリウレタン樹脂含浸液を前記繊維シートに含浸し、次いで、ピンテンター乾燥機を用いて130℃で加熱乾燥した後、90℃に加熱した熱水に浸漬した状態で柔布した後、乾燥することで無水芒硝を抽出、除去し、水分散型ポリウレタン樹脂が充填されたシート状物を得た。
最後に、該シート状物を染料濃度5.0%owfのブルー分散染料(住友化学株式会社製「BlueFBL」)で液流染色機を用いて130℃で15分間染色し、還元洗浄を行った。その後ピンテンター乾燥機を用いて100℃で5分間乾燥し、人工皮革を得た。
得られた繊維シートの交絡強度、人工皮革の表面品位、表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根の評価結果を以下の表2に示す。
得られた繊維シートの交絡強度、人工皮革の表面品位、表面繊維層(A)の外表面における平均高さ二乗平方根の評価結果を以下の表2に示す。
[実施例2~13、比較例1~8]
以下の表2に示す各種条件を変更した以外は実施例1と同様の方法で人工皮革を得た。評価結果を以下の表2に示す。
以下の表2に示す各種条件を変更した以外は実施例1と同様の方法で人工皮革を得た。評価結果を以下の表2に示す。
以上の結果から、各実施例においては、繊維シートの製造方法が水流交絡処理を施す工程を含み、該水流交絡処理を水流の擾乱が10%以上20%以下である水流を吐出するノズルを用いて実施し、該水流交絡処理においてノズル吐出口と繊維ウェブとの距離であるディスタンスが25mm以上45mm以下であり、前記水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下であることで、交絡強度と表面品位を両立した人工皮革用繊維シートが得られたことが分かる。
本発明に係る繊維シート及び人工皮革の製造方法で得られる人工皮革は、該人工皮革を構成する繊維シートの交絡強度と、該人工皮革の表面品位を両立するため、インテリア用、自動車用、航空機用、鉄道車両用等のシートの表皮材又は内装材等、服飾製品等に好適に利用可能である。具体的には、本発明に係る人工皮革は、家具、椅子、壁材、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、それらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布、CDカーテン等の工業用資材として好適に利用可能である。
MD 工程進行方向(機械方向)
CD 幅(ヨコ)方向
L1 テーパー部長さ
L2 シリンダー部長さ
D ノズル吐出口孔径
1 ノズル
2 ノズル吐出口
3 水
4 水圧測定点
5 テーパー角度
6 屈曲部
11 繊維シート
12 スクリム
13 表面繊維層(A)
14 繊維層(B)
21 2.5cm×30cmに切り出された熱接着シート
22 2.5cm×20cmに切り出された繊維シート(上側が表面繊維層(A))
23 21を半分に折りたたんだ熱接着シート
24 2枚の22と1枚の23からなる積層体
25 交絡強度測定サンプル
26 剃刀の刃による切り込み
27 箇所A
28 箇所B
29 下側の繊維シートの剥離した表面繊維層(A)
CD 幅(ヨコ)方向
L1 テーパー部長さ
L2 シリンダー部長さ
D ノズル吐出口孔径
1 ノズル
2 ノズル吐出口
3 水
4 水圧測定点
5 テーパー角度
6 屈曲部
11 繊維シート
12 スクリム
13 表面繊維層(A)
14 繊維層(B)
21 2.5cm×30cmに切り出された熱接着シート
22 2.5cm×20cmに切り出された繊維シート(上側が表面繊維層(A))
23 21を半分に折りたたんだ熱接着シート
24 2枚の22と1枚の23からなる積層体
25 交絡強度測定サンプル
26 剃刀の刃による切り込み
27 箇所A
28 箇所B
29 下側の繊維シートの剥離した表面繊維層(A)
Claims (8)
- 表(おもて)面を構成する表面繊維層(A)とスクリム層とを含む2層以上で構成される繊維シートの製造方法であって、以下の工程:
該表面繊維層(A)と該スクリム層の2層以上で構成される積層体に、該表面繊維層(A)側からノズルを用いて水流を吐出して水流交絡処理を施す工程;
を含み、該水流の擾乱が10%以上20%以下であり、該水流交絡処理においてノズル吐出口と該積層体との距離が25mm以上45mm以下であり、かつ、該水流交絡処理の水圧が1MPa以上10MPa以下である、
ことを特徴とする前記繊維シートの製造方法。 - 前記繊維シートが、表面繊維層(A)とスクリム層と裏面を構成する繊維層(B)の3層で構成された繊維シートである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ノズルは、断面形状において、ノズル吐出口を有するシリンダー部、該シリンダー部に向かって孔径が狭くなるテーパー部を有し、該ノズル吐出口の孔径Dが0.15mm以上0.30mm以下であり、該シリンダー部の長さL2が0.08mm以上1.2mm以下であり、L2/Dが0.3以上6以下であり、該テーパー部の長さL1が0.5mm以上5.0mm以下であり、かつ、テーパー角度が10度以上90度以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記繊維シートの交絡強度が4N/cm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記繊維シートの表面繊維層(A)の表(おもて)面における平均高さ二乗平方根が85μm未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記繊維シートがポリエステル繊維から構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 以下の工程:
請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた繊維シートに、ポリウレタン樹脂を含浸する工程;
をさらに含む、人工皮革の製造方法。 - 前記人工皮革の表面品位が4級以上である、請求項7に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020143497A JP2022038822A (ja) | 2020-08-27 | 2020-08-27 | 繊維シート及び該繊維シートを用いた人工皮革の製造方法 |
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JP2020143497A JP2022038822A (ja) | 2020-08-27 | 2020-08-27 | 繊維シート及び該繊維シートを用いた人工皮革の製造方法 |
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ID=80499045
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JP2020143497A Pending JP2022038822A (ja) | 2020-08-27 | 2020-08-27 | 繊維シート及び該繊維シートを用いた人工皮革の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022038822A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115559129A (zh) * | 2022-10-10 | 2023-01-03 | 山东竞泰鸿技术服务有限公司 | 一种环保人工皮革的制备方法 |
-
2020
- 2020-08-27 JP JP2020143497A patent/JP2022038822A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115559129A (zh) * | 2022-10-10 | 2023-01-03 | 山东竞泰鸿技术服务有限公司 | 一种环保人工皮革的制备方法 |
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