JP2022037233A - 切削インサート及び刃先交換式回転切削工具 - Google Patents

切削インサート及び刃先交換式回転切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】被削材の加工部位や形状に係わらず、加工面の性状が均等となるように切削加工できること。【解決手段】切れ刃部4は、インサート本体15の中心軸C方向の先端部に配置され、中心軸C方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃11と、インサート本体15の径方向の外端部に配置され、径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃9と、すくい面19と、を備え、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが直接接続するとともに、底切れ刃11及び外周切れ刃9の各曲率半径は、切れ刃部4の刃径の1/2よりも大きく、すくい面19を正面に見て、中心軸Cに対して45°の角度αで交差し、径方向の外側へ向かうに従い中心軸C方向の先端側へ向けて延びる仮想直線VLを対称軸として、底切れ刃11と外周切れ刃9とが、互いに線対称形状となるように形成されている。【選択図】図20

Description

本発明は、被削材に正面削り加工(平面加工)や側面削り加工(立壁面加工)等を施すのに好適な切削インサート、及びこれを装着した刃先交換式回転切削工具に関する。
従来、例えば下記特許文献1、2に示されるようなソリッドタイプのエンドミルが知られている。この種のエンドミルは、中心軸回りに回転させられるシャンクと、シャンクの先端部分に形成された切れ刃部と、備えている。また、切れ刃部のうち、中心軸方向の先端部には、先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃が配置され、径方向の外端部には、径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃が配置されている。
そして、被削材に対して、正面削り加工(平面加工)を施す際には、底切れ刃が使用され、側面削り加工(立壁面加工)を施す際には、外周切れ刃が使用される。
特表2010-520064号公報 特開2007-152502号公報
しかしながら、上記従来のエンドミルでは、下記の課題を有していた。
被削材に対して、正面削り加工を施すときに、底切れ刃で切削することにより加工面に付与される挽き目(加工目、加工痕)と、側面削り加工を施すときに、外周切れ刃で切削することにより加工面に付与される挽き目とを、互いに同じ性状に仕上げることが難しかった。つまり、被削材の加工部位や形状によって、切削加工後の加工面の性状がばらついて、仕上げ加工や中仕上げ加工等において加工面全体としての加工精度を均等にすることができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被削材の加工部位や形状に係わらず、加工面の性状が均等となるように切削加工を施すことが可能な切削インサート、及びこれを用いた刃先交換式回転切削工具を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、板状のインサート本体と、前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、前記切れ刃部は、前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、すくい面と、を備え、前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが直接接続するとともに、前記底切れ刃及び前記外周切れ刃の各曲率半径は、前記切れ刃部の刃径の1/2よりも大きく、前記すくい面を正面に見て、前記中心軸に対して45°の角度で交差し、前記径方向の外側へ向かうに従い前記中心軸方向の先端側へ向けて延びる仮想直線を対称軸として、前記底切れ刃と前記外周切れ刃とが、互いに線対称形状となるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、板状のインサート本体と、前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、前記切れ刃部は、前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、すくい面と、を備え、前記底切れ刃の曲率半径と、前記外周切れ刃の曲率半径とが、互いに同一であり、前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが直接接続するとともに、前記底切れ刃及び前記外周切れ刃の各曲率半径は、前記切れ刃部の刃径の1/2よりも大きく、前記すくい面を正面に見て、前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、前記外周切れ刃における前記径方向の外端を通り前記中心軸方向に沿って延びる直線を中心軸方向基準線とし、前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線とし、前記第1の接線と前記径方向基準線との交点、前記第1の接線と前記中心軸方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第1の直角三角形とし、前記第2の接線と前記中心軸方向基準線との交点、前記第2の接線と前記径方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第2の直角三角形として、前記第1の直角三角形と前記第2の直角三角形とが、互いに合同であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体と、前記工具本体の先端部に形成された取付座と、前記取付座に着脱可能に装着される切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、前記切削インサートとして、上述の切削インサートを用いたことを特徴とする。
また、上記切削インサートにおいて、前記すくい面を正面に見て、前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線として、前記第1の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ1が、10~30°であり、前記第2の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ2が、(90°-θ1)°であることが好ましい。
本発明の切削インサート及び刃先交換式回転切削工具によれば、被削材の加工部位や形状に係わらず、加工面の性状が均等となるように切削加工を施すことが可能である。このため、仕上げ加工や中仕上げ加工等において、加工面全体にわたって良好な加工面精度を得ることができる。
本発明の第1参考例の刃先交換式回転切削工具を示す斜視図である。 刃先交換式回転切削工具の平面図である。 刃先交換式回転切削工具の側面図である。 刃先交換式回転切削工具の正面図である。 第1参考例の切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートを示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。 切削インサートの切れ刃部を拡大して示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。 すくい面を正面に見た、第1参考例の切削インサートの平面図である。 すくい面を正面に見た、参考例の切削インサートの平面図である。 すくい面を正面に見た、参考例の切削インサートの平面図である。 (a)第1参考例の切削インサート(刃先交換式回転切削工具)で切削した加工面のピックフィードのピッチ及びカスプハイトを示す図、(b)従来の切削工具で切削した加工面のピックフィードのピッチ及びカスプハイトを示す図である。 本発明の第2参考例の刃先交換式回転切削工具を示す斜視図である。 第2参考例の切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートの切れ刃部を拡大して示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。 本発明の第3参考例の刃先交換式回転切削工具を示す斜視図である。 第3参考例の切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートの切れ刃部を拡大して示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。 本発明の実施形態の刃先交換式回転切削工具を示す斜視図である。 実施形態の切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートの切れ刃部を拡大して示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。 本発明の第1参考例の切削インサートの変形例を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。
<第1参考例>
以下、本発明の第1参考例に係る切削インサート5A及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Aについて、図1~図11を参照して説明する。なお、参考例の説明に用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、要部となる部分を拡大、強調、抜粋して示す場合がある。
本参考例の切削インサート5Aは、いわゆるレンズと呼ばれる凸円弧形状の底切れ刃11と、いわゆるバレルと呼ばれる凸円弧形状の外周切れ刃9と、底切れ刃11と外周切れ刃9とを接続する直線形状の直線切れ刃13と、から構成される複合切れ刃を備える。そして、この切削インサート5Aを備えた刃先交換式回転切削工具6Aは、被削材に対して正面削り加工(平面加工)や側面削り加工(立壁面加工)を含む種々の切削加工を施すのに適しており、特に、加工面の仕上げ加工や中仕上げ加工等において、優れた面精度を得ることができるものである。
図1~図4に示されるように、刃先交換式回転切削工具6Aは、中心軸C回りに回転させられる略円柱状の工具本体1と、工具本体1の中心軸C方向の先端部2に形成された取付座3と、取付座3に着脱可能に装着され、切れ刃部4を有する切削インサート5Aと、を備えている。
本参考例の刃先交換式回転切削工具6Aは、鋼材等で形成された工具本体1と、工具本体1よりも硬質の超硬合金等で形成された切削インサート5Aと、を備えている。工具本体1の先端部2に形成された取付座(インサート取付座)3には、板状をなす切削インサート5Aがそのインサート中心軸を工具の中心軸Cに一致させた状態で、取り外し可能に装着される。取付座3に取り付けられた切削インサート5Aは、その切れ刃部4が、工具本体1の先端側及び径方向外側に突出して配置される。
刃先交換式回転切削工具6Aは、工具本体1の基端部(シャンク部)が、工作機械の主軸(不図示)に取り付けられ、主軸が回転駆動させられるのにともなって、中心軸C回りの工具回転方向Rに回転させられる。そして、主軸とともに工具本体1が、中心軸Cに交差する方向や中心軸C方向に送られることで、金属材料等からなる被削材に対して切削インサート5Aの切れ刃部4で切り込んでいき、転削加工(ミーリング加工)を施す。なお、本参考例の刃先交換式回転切削工具6Aは、例えば4~6軸の多軸制御のマシニングセンタ等の工作機械に用いることがより好ましい。
本参考例においては、工具本体1の中心軸Cが延在する方向、つまり中心軸Cに沿う方向を、中心軸C方向という。また、中心軸C方向のうち、工具本体1のシャンク部から取付座3へ向かう方向(図2及び図3における下方)を先端側といい、取付座3からシャンク部へ向かう方向(図2及び図3における上方)を基端側という。
また、中心軸Cに直交する方向を径方向という。径方向のうち、中心軸Cに接近する方向を径方向の内側といい、中心軸Cから離間する方向を径方向の外側という。
また、中心軸C回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削時に主軸の回転により工具本体1が回転させられる向きを工具回転方向Rといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Rとは反対側(つまり反工具回転方向)という。
なお、上記した向き(方向)の定義は、刃先交換式回転切削工具6Aの中心軸Cに対してインサート中心軸が一致させられる(同軸に配置される)切削インサート5Aにおいても、同様に適用される。従って、切削インサート5Aを示す図6~図10等においては、インサート中心軸を、中心軸Cと同じ符号Cを用いて表す。
図1~図4において、取付座3は、工具本体1の先端部2に、工具の中心軸Cを含んで径方向に延びて形成されたスリット状のインサート嵌合溝7と、インサート嵌合溝7に挿入された切削インサート5Aを固定するための固定用ネジ8と、を備えている。
インサート嵌合溝7は、工具本体1の先端面に開口し、工具本体1の径方向に延びて工具本体1の外周面にも開口している。インサート嵌合溝7は、工具本体1の先端面から基端側へ向かって所定の長さ(深さ)に形成されたスリット状をなしている。
工具本体1の先端部2にスリット状のインサート嵌合溝7を形成したことにより、工具本体1の先端部2は2つに分割されて、一対の先端半体部(半割り片)が形成されている。また、先端部2には、先端半体部の一方の表面部から、インサート嵌合溝7と交差して他方の先端半体部内に達するように、インサート固定用ネジ孔が形成されている。インサート固定用ネジ孔のネジ孔中心軸は、先端部2において径方向に延びており、具体的には径方向のうち、インサート嵌合溝7が工具本体1の径方向に延びる向きに対して、直交する向きに延びている。
インサート固定用ネジ孔のうち、一方の先端半体部に形成された孔部分の内径は、他方の先端半体部に形成された孔部分の内径よりも大きくされている。また、他方の先端半体部に形成された孔部分の内周面には、固定用ネジ8の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。インサート固定用ネジ孔のうち、少なくとも一方の先端半体部に形成された孔部分は、貫通孔となっている。本参考例では、一方の先端半体部及び他方の先端半体部の各孔部分が、それぞれ貫通孔とされている。
図5~図8に示されるように、切削インサート5Aは、板状のインサート本体15と、インサート本体15に形成された切れ刃部4と、インサート本体15に形成され、該インサート本体15を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔18と、を備えている。
本参考例の切削インサート5Aは、中心軸Cを対称軸として表裏反転対称(180°回転対称)に形成されている。
インサート本体15は、略平板形状をなしている。インサート本体15の厚さ方向を向く表裏面は、一対の平面部16、17とされている。ネジ挿通孔18は、インサート本体15を厚さ方向に貫通するとともに、一方の平面部16と他方の平面部17とに開口して形成された貫通孔である。ネジ挿通孔18には、切削インサート5Aを取付座3に装着し固定する際に、固定用ネジ8が挿通される。インサート本体15におけるネジ挿通孔18の配置については、別途後述する。
切れ刃部4は、インサート本体15における中心軸C方向の先端部及び径方向の外端部に配置されている。切れ刃部4は、工具回転方向Rを向くすくい面19と、すくい面19に交差して先端側及び径方向外側の少なくともいずれかを向く逃げ面と、すくい面19と逃げ面との交差稜線に形成される切れ刃と、を備えている。
前記切れ刃には、外周切れ刃9と、底切れ刃11と、直線切れ刃13と、が含まれる。前記切れ刃は、外周切れ刃9、底切れ刃11及び直線切れ刃13を備えたことにより、全体として略L字状をなしている。また、各切れ刃(9、11、13)に対して、すくい面19の後述するすくい面部分(10、12、14)、及び、逃げ面の逃げ面部分がそれぞれ隣接配置される。
本参考例の切削インサート5Aは、2枚刃の切削インサートであり、外周切れ刃9、底切れ刃11及び直線切れ刃13を備えた前記切れ刃の組を、中心軸Cを中心として、180°回転対称に2組有している。
図7(a)に示されるように、底切れ刃11は、インサート本体15の中心軸C方向の先端部に配置され、径方向に沿うように延びるとともに、中心軸C方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなしている。
底切れ刃11は、直線切れ刃13に接続する該底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aから径方向の内側へ向かうに従い、中心軸C方向の先端側へ向けて傾斜して延びている。底切れ刃11における、径方向に沿う単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量(つまり径方向に対する傾き)は、該底切れ刃11の径方向の外端Aから径方向内側へ向かうに従い漸次小さくされていき、径方向の内端においてゼロとなる。
切れ刃部4の切れ刃全長のうち、底切れ刃11の径方向内端は、中心軸C方向の最先端に位置している。本参考例では、底切れ刃11の径方向内端が、中心軸C上に配置されている。底切れ刃11の径方向内端(中心軸C方向の最先端)における接線(後述する径方向基準線)RRは、中心軸Cに垂直な平面(水平面)に対して平行に延びる。
切削インサート5Aを工具本体1の取付座3(インサート嵌合溝7)に装着して、刃先交換式回転切削工具6Aを中心軸C回りに回転させると、底切れ刃11の回転軌跡は、先端側へ向けて膨出する凸レンズ形状をなす。
本参考例では、図7(b)に示されるように、底切れ刃11の軸方向すくい角(アキシャルレーキ)が、0°である。ただしこれに限定されるものではなく、底切れ刃11の軸方向すくい角は、正の値(ポジティブ角)や負の値(ネガティブ角)であってもよい。また、図6(c)及び図7(c)に示されるように、底切れ刃11の径方向すくい角は、0°とされている。
図7(a)に示されるように、切れ刃部4の工具回転方向Rを向くすくい面19のうち、底切れ刃11の中心軸C方向の基端側に隣接する部分は、底切れ刃11のすくい面部分12である。本参考例では、底切れ刃11のすくい面部分12が平面状をなしている。
また、インサート本体15において中心軸C方向の先端側を向く先端面のうち、底切れ刃11の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、底切れ刃11の逃げ面部分である。底切れ刃11の逃げ面部分は、先端側へ向けて凸となる曲面状をなしている。底切れ刃11の逃げ面部分は、該底切れ刃11から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜しており、これにより底切れ刃11には逃げ角が付与されている。
図7(a)に示されるように、外周切れ刃9は、インサート本体15の径方向の外端部に配置され、中心軸C方向に沿うように延びるとともに、径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなしている。
外周切れ刃9は、直線切れ刃13に接続する該外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bから基端側へ向かうに従い、径方向外側へ向けて傾斜して延びている。外周切れ刃9における、中心軸C方向に沿う単位長さあたりの径方向へ向けた変位量(つまり中心軸C方向に対する傾き)は、該外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bから基端側へ向かうに従い漸次小さくされていき、中心軸C方向の基端においてゼロとなる。
切れ刃部4の切れ刃全長のうち、外周切れ刃9の中心軸C方向の基端は、径方向の最外端に位置している。外周切れ刃9の中心軸C方向の基端(径方向の最外端)における接線(後述する中心軸方向基準線)CRは、中心軸Cに平行な平面(鉛直面)に対して平行に延びる。
切削インサート5Aを工具本体1の取付座3に装着して、刃先交換式回転切削工具6Aを中心軸C回りに回転させると、外周切れ刃9の回転軌跡は、径方向外側へ向けて膨出するバレル形状(樽形状)をなす。
本参考例では、図7(b)に示されるように、外周切れ刃9の軸方向すくい角(ねじれ角に相当)が、0°である。ただしこれに限定されるものではなく、外周切れ刃9の軸方向すくい角は、正の値や負の値であってもよい。また、外周切れ刃9の径方向すくい角(中心方向すくい角。ラジアルレーキ)は、0°とされている。ただしこれに限定されるものではなく、外周切れ刃9の径方向すくい角は、正の値や負の値であってもよい。
図7(a)に示されるように、切れ刃部4の工具回転方向Rを向くすくい面19のうち、外周切れ刃9の径方向内側に隣接する部分は、外周切れ刃9のすくい面部分10である。本参考例では、外周切れ刃9のすくい面部分10が平面状をなしている。
また、インサート本体15において径方向外側を向く外周面のうち、外周切れ刃9の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、外周切れ刃9の逃げ面部分である。外周切れ刃9の逃げ面部分は、径方向外側へ向けて凸となる曲面状をなしている。外周切れ刃9の逃げ面部分は、該外周切れ刃9から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い径方向内側へ向けて傾斜しており、これにより外周切れ刃9には逃げ角が付与されている。
図7(a)に示されるように、直線切れ刃13は、直線状をなしている。直線切れ刃13は、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとを繋ぐ。つまり、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとは、直線切れ刃13を介して接続する。本参考例では、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが、1つの直線切れ刃13を介して接続する。
直線切れ刃13は、底切れ刃11に接続する該直線切れ刃13の径方向の内端(接続点A)から径方向の外側へ向かうに従い、中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜して延びている。直線切れ刃13は、外周切れ刃9に接続する該直線切れ刃13の中心軸C方向の基端(接続点B)から先端側へ向かうに従い、径方向内側へ向けて傾斜して延びている。
切削インサート5Aを工具本体1の取付座3に装着して、刃先交換式回転切削工具6Aを中心軸C回りに回転させると、直線切れ刃13の回転軌跡は、中心軸C方向の先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ筒状に形成される。
本参考例では、図7(b)に示されるように、直線切れ刃13の軸方向すくい角が、0°である。このため、直線切れ刃13と底切れ刃11との接続点Aにおける直線切れ刃13の軸方向すくい角が、0°である。また、直線切れ刃13と外周切れ刃9との接続点Bにおける直線切れ刃13の軸方向すくい角が、0°である。ただしこれに限定されるものではなく、直線切れ刃13の軸方向すくい角は、正の値や負の値であってもよい。図6(c)及び図7(c)に示されるように、直線切れ刃13の径方向すくい角は、0°とされている。ただしこれに限定されるものではなく、直線切れ刃13の径方向すくい角は、正の値や負の値であってもよい。
図7(a)に示されるように、切れ刃部4の工具回転方向Rを向くすくい面19のうち、直線切れ刃13の径方向内側かつ基端側に隣接する部分は、直線切れ刃13のすくい面部分14である。本参考例では、直線切れ刃13のすくい面部分14が平面状をなしている。
また、インサート本体15の外面のうち、直線切れ刃13の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分は、直線切れ刃13の逃げ面部分である。直線切れ刃13の逃げ面部分は、中心軸C方向の先端側かつ径方向外側を向く平面状に形成されている。直線切れ刃13の逃げ面部分は、該直線切れ刃13から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側かつ径方向内側へ向かうように傾斜しており、これにより直線切れ刃13には逃げ角が付与されている。
切れ刃部4において、底切れ刃11の曲率半径と、外周切れ刃9の曲率半径とは、互いに同一である。本参考例では、底切れ刃11の曲率半径及び外周切れ刃9の曲率半径が、外周切れ刃9を中心軸C回りに回転させて得られる回転軌跡の外径(切れ刃部4の最大直径であり、刃径)に等しい。
また本参考例では、すくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14が、同一平面上に形成されている。つまり、切れ刃部4の切れ刃のすくい面19全体が、1つの平面により形成されている。
そして、図7(a)及び図8に示されるように、すくい面19を正面に見て、中心軸Cに対して45°の角度αで交差し、径方向の外側へ向かうに従い中心軸C方向の先端側へ向けて延びる仮想直線VLを対称軸として、底切れ刃11と外周切れ刃9とが、互いに線対称形状となるように形成されている。また直線切れ刃13が、仮想直線VLと直交する。
具体的に本参考例では、すくい面19を正面に見て、切れ刃部4の切れ刃の刃長全体が、仮想直線VLを対称軸として線対称形状に形成されている。
なお、本参考例では、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14が、互いに同一平面上に形成されていることから、上記「すくい面19を正面に見て」は、底切れ刃11のすくい面部分12を正面に見て、外周切れ刃9のすくい面部分10を正面に見て、及び、直線切れ刃13のすくい面部分14を正面に見て、と同義である。
また、上記角度αは、仮想直線VLと中心軸Cとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
また、図7(a)及び図8に示されるように、すくい面19を正面に見て、底切れ刃11における中心軸C方向の先端を通り径方向に沿って延びる直線を径方向基準線RRとし、外周切れ刃9における径方向の外端を通り中心軸C方向に沿って延びる直線を中心軸方向基準線CRとし、底切れ刃11の径方向の外端Aにおける該底切れ刃11の接線を第1の接線L1とし、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bにおける該外周切れ刃9の接線を第2の接線L2とし、第1の接線L1と径方向基準線RRとの交点D、第1の接線L1と中心軸方向基準線CRとの交点E、及び、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fを、互いに直線で繋いで形成される直角三角形(△DEF)を第1の直角三角形T1とし、第2の接線L2と中心軸方向基準線CRとの交点G、第2の接線L2と径方向基準線RRとの交点H、及び、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fを、互いに直線で繋いで形成される直角三角形(△GHF)を第2の直角三角形T2として、第1の直角三角形T1と第2の直角三角形T2とが、互いに合同である。
また、図7(a)及び図8に示されるすくい面19の正面視において、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとを結ぶ線分の中点M(本参考例では直線切れ刃13の中点M)と、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fと、を通る仮想直線は、上記仮想直線VLと一致する。
そして、ネジ挿通孔18の孔中心は、仮想直線VL上に位置している。具体的に、すくい面19の正面視においてネジ挿通孔18の孔中心は、仮想直線VLと中心軸Cとの交点I上に配置されている。
また、すくい面19を正面に見て、第1の接線L1と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ1が、10~30°であり、第2の接線L2と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ2が、(90°-θ1)°である。角度θ1は、12~28°であることが好ましく、より望ましくは12~25°である。ただし角度θ1、θ2は、本参考例の数値範囲に限定されない。
なお、上記角度θ1は、第1の接線L1と径方向基準線RRとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。また、上記角度θ2は、第2の接線L2と径方向基準線RRとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
以上説明した本参考例の切削インサート5A及び刃先交換式回転切削工具6Aによれば、切れ刃部4のすくい面19を正面に見て、中心軸Cに対して45°の角度αで交差する仮想直線VLを対称軸として、底切れ刃11と外周切れ刃9とが、線対称形状に形成されている。
或いは、切れ刃部4のすくい面19を正面に見て、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが互いに同一であり、かつ、底切れ刃11の径方向の外端Aにおける底切れ刃11の接線(第1の接線)L1を斜辺とする第1の直角三角形T1(△DEF)と、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bにおける外周切れ刃9の接線(第2の接線)L2を斜辺とする第2の直角三角形T2(△GHF)とが、互いに合同である。
従って、例えば、被削材に正面削り加工(平面加工)を施すときに、底切れ刃11で切削することにより被削材の加工面に付与される挽き目(加工目、加工痕)と、被削材に側面削り加工(立壁面加工)を施すときに、外周切れ刃9で切削することにより被削材の加工面に付与される挽き目とが、互いに同じ性状となる。
すなわち本参考例では、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが、互いに同一であり、かつ、底切れ刃11と外周切れ刃9とが互いに線対称に形成されている。従って、被削材の加工面のうち、平面部のカスプハイトと立壁部のカスプハイトとを同等にするにあたって、いずれも同一のピックフィード(ピッチ)で加工することができ、平面部と立壁部の挽き目を互いに揃えることができる。このため、被削材全体にわたって同じ品質とされた加工面を得ることができる。
つまり、底切れ刃11と外周切れ刃9のいずれを使用した切削加工の場合においても、被削材の加工面の性状を一定に揃えることができるのである。
ここで、ピッチ及びカスプハイトが示された図11(a)を参照する。図11(a)は、被削材Wの加工面の断面を拡大して示す図であり、図中において符号Pが、被削材Wの加工面に付与された加工痕のピッチ(ピックフィードのピッチに相当)を表しており、符号CHが、加工痕のカスプハイトを表している。本参考例によれば、被削材Wの加工部位や形状に係わらず、ピックフィードのピッチ(幅)Pやカスプハイト(深さ)CHを一定に揃えることができる。
また、上述のように被削材の加工面の性状を一定に揃えることができるので、加工面の面粗さや光沢等を、加工面全体に均等にすることができる。つまり、加工面全体としての表面性能や見栄えを均一化できる。これにより、仕上げ加工や中仕上げ加工において、加工の高精度化に有利な効果を得ることができる。
また、正面削り加工(平面加工)において底切れ刃11で切削可能な加工面の傾斜角度の範囲と、側面削り加工(立壁面加工)において外周切れ刃9で切削可能な加工面の傾斜角度の範囲とが、互いに同一となるため、被削材の加工面の性状を一定に揃えつつ、より多くの加工形状に対応することができる。
なお、本参考例の切削インサート5A及び刃先交換式回転切削工具6Aを多軸制御のマシニングセンタ等の工作機械に用いた場合には、本参考例による作用効果がより格別顕著なものとなる。上記多軸制御とは、例えば4~6軸の制御を指す。多軸制御であることで、互いに傾斜が異なる複数の加工面同士を、より均等な性状に加工しやすくなる。この場合、例えばタービンブレードのような複雑な3次元曲面を有する被削材であっても、高精度に安定して切削加工を施すことができる。
具体的に、従来のボールエンドミルを3軸制御の切削加工方法で用いた場合は、先の「発明が解決しようとする課題」で述べたような課題を有していた。
本参考例の切削インサート5A及び刃先交換式回転切削工具6Aによれば、5軸制御による加工機に対応可能であり、外周切れ刃(バレル切れ刃)9、底切れ刃(レンズ切れ刃)11を組み合わせて使用することによって、高能率加工、高精度加工を同時に実現することが可能となった。
例えば、工具軸を傾斜して加工することによって、外周切れ刃(バレル切れ刃)9を使用するときは、被削材の勾配を有する傾斜面において、加工ピッチを大きく設定して高能率な加工条件を設定すること、及び、高品位な仕上げ面を得ることが可能になる。
また、底切れ刃(レンズ切れ刃)11を使用するときも、外周切れ刃(バレル切れ刃)9と同様に、被削材曲面を高品位な仕上げ面とすることができる。
さらに、3軸制御の加工機で使用する場合であっても、外周切れ刃(バレル切れ刃)9を使用することで、垂直な立壁に近い勾配面を、または底切れ刃(レンズ切れ刃)11を使用することで平坦な面に近い被削材曲面を、加工ピッチを大きく設定した条件で加工することができるなどの特徴を有する。
ここで、図8~図10を参照して、本参考例についてより詳しく説明する。図8は、本参考例の切削インサート5Aを表しており、図9及び図10は、本参考例とは技術思想が異なる他の参考例の切削インサート20、30を表している。図8~図10はそれぞれ、切れ刃部4のすくい面19を正面に見た切削インサート5A、20、30の平面図である。図8~図10に示される3つの切削インサート5A、20、30は、すべて、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが、互いに同一である。
そして図8に示される本参考例の切削インサート5Aでは、中心軸Cに対して45°の角度αで交差する仮想直線VLを対称軸として、底切れ刃11と外周切れ刃9とが、互いに線対称形状となるように形成されている。また、図8に示される本参考例の切削インサート5Aでは、第1の直角三角形T1(△DEF)と第2の直角三角形T2(△GHF)とが、互いに合同である。これにより、上述した優れた作用効果を奏する。
一方、図9及び図10に示される他の参考例の切削インサート20、30では、底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とが互いに同一ではあるが、仮想直線VLに関して底切れ刃11と外周切れ刃9とが線対称形状に形成されていない。また、図9及び図10に示される参考例の切削インサート20、30では、第1の直角三角形T1(△DEF)と第2の直角三角形T2(△GHF)とが、互いに合同ではない。
従って、図9及び図10に示される他の参考例の切削インサート20、30では、被削材に正面削り加工(平面加工)を施して加工面に付与される挽き目と、被削材に側面削り加工(立壁面加工)を施して加工面に付与される挽き目とを、互いに同一の性状とすることが難しい場合がある。つまり、単に底切れ刃11の曲率半径と外周切れ刃9の曲率半径とを同一に設定しても、上述した本参考例のような優れた作用効果が得られるとは限らない。
また本参考例によれば、従来のボールエンドミルやラジアスエンドミル等の切削工具に比べて、加工時間を短縮することができる。
具体的に、従来のボールエンドミルタイプの切削工具では、切れ刃部の中心軸回りの回転軌跡が半球状をなし、この回転軌跡の半径は工具直径(切れ刃部の回転軌跡の最大直径であり、刃径)の1/2である。そして、ボールエンドミルタイプの切削工具においては、底切れ刃に対応する切れ刃部分の曲率半径、及び、外周切れ刃に対応する切れ刃部分の曲率半径が、ともに工具直径の1/2となる。つまりボールエンドミルタイプの切削工具では、工具半径(工具直径の1/2)に応じて、所定のカスプハイト値以下となるようにピックフィードを設定し、切削加工を行うこととなる。また、ラジアスエンドミルタイプの切削工具の場合は、傾斜した加工面などを切削加工する際にコーナーR切れ刃が使用されるが、該コーナーR切れ刃の曲率半径は、一般にボールエンドミルの切れ刃の曲率半径よりも小さい(工具直径が同一の場合)ことから、ピックフィードはボールエンドミルよりもさらに小さくなる。
これに対して本参考例では、底切れ刃11の曲率半径及び外周切れ刃9の曲率半径を、工具直径の1/2よりもそれぞれ大きく設定することができる。このため、従来のボールエンドミルで加工した加工面の挽き目のカスプハイトと同等のカスプハイトを得るにあたって(つまり所定のカスプハイト値以下とするにあたって)、本参考例によればピックフィード(ピッチ)を大きく設定することができる。
なお本参考例では、底切れ刃11の曲率半径及び外周切れ刃9の曲率半径が、工具直径(切れ刃の回転軌跡の最大径)に等しくされている。従って本参考例では、従来のボールエンドミルに比べて、ピックフィードを約2倍近い値に設定することができる。
ここで、図11(a)、(b)を参照して、本参考例と従来例のピックフィード(ピッチ)の違いについて説明する。図11(a)は、本参考例の切削インサート5A(刃先交換式回転切削工具6A)で切削した被削材Wの加工面(加工痕)の断面を表しており、図11(b)は、従来の切削工具で切削した被削材Wの加工面の断面を表している。図中において、符号Pはピックフィードのピッチであり、符号CHはカスプハイトである。図11(a)、(b)に示されるように、カスプハイトCHを互いに同一に設定した場合には、図11(a)の本参考例の方が、ピックフィードのピッチPを大きくすることができる。
このように本参考例によれば、カスプハイトCHを小さく抑えつつ、ピックフィード(ピッチP)を大きく設定することができる。これにより、加工面に加工痕として付与される凹凸(スカラップ)の数を減らすことができ、加工面精度を高めることができる。また、ピックフィードを大きくした分、ツールパス長さ(総加工長さ)を削減することができ、加工時間を短縮することが可能になる。
本参考例の切削インサート5Aを装着した刃先交換式回転切削工具6Aと、従来例のボールエンドミルとを用いて、実際に被削材(S50C)の切削試験を行ってみたところ、工具直径、切削速度、送り量及びカスプハイト(スカラップハイト)を互いに同一に設定した場合、本参考例は従来例に比べて、加工時間を約30%も削減できることが確認された。また、加工面の算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzは、両方ともに、本参考例が従来例よりも小さい値となり、加工面精度に優れていることがわかった。
また、底切れ刃11と外周切れ刃9とを接続する直線切れ刃13が備えられる。よって直線切れ刃13を用いて、従来のボールエンドミル等では高精度な加工が難しかった被削材の平面フライス加工(仕上げ加工)を行うことができる。また、平面フライス加工が効率よく行える。つまり、直線切れ刃13が、挽き目(加工目、加工痕)をなくすための仕上げ刃としての機能を有する。このため本参考例によれば、種々様々な切削加工への対応が可能となる。
以上より本参考例によれば、被削材の加工部位や形状に係わらず、加工面の性状が均等となるように切削加工を施すことが可能である。このため、仕上げ加工や中仕上げ加工等において、加工面全体にわたって良好な加工面精度を得ることができる。
また本参考例では、インサート本体15に、該インサート本体15を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔18が形成されており、このネジ挿通孔18には、工具本体1の取付座3(インサート嵌合溝7)に切削インサート5Aを固定するための固定用ネジ8が挿通される。
そして本参考例によれば、ネジ挿通孔18の孔中心が仮想直線VL上に位置しているので、底切れ刃11を用いた切削加工時においても、外周切れ刃9を用いた切削加工時においても、切削インサート5Aをネジ挿通孔18(固定用ネジ8)回りに回転させようとする力が抑えられる。
具体的には、底切れ刃11を用いた切削加工時においては、該底切れ刃11が受ける切削抵抗の切れ刃法線方向成分が、ネジ挿通孔18の孔中心に向かうように作用する。また、外周切れ刃9を用いた切削加工時においては、該外周切れ刃9が受ける切削抵抗の切れ刃法線方向成分が、ネジ挿通孔18の孔中心に向かうように作用する。このため、固定用ネジ8で固定された切削インサート5Aを、該固定用ネジ8回りに回転させようとする力が緩和されて、取付座3に対する切削インサート5Aの微振動(回転微振動)が抑制される。
これにより、被削材の加工面の性状が安定して、高精度加工を実現することができる。
特に、被削材の3次元形状の構成部分に対して、該構成部分の外面に沿った工具軌跡でフライス加工を行う、いわゆる面沿い加工による仕上げ加工や中仕上げ加工において、高精度化に有利な効果を得ることができる。
また、直線切れ刃13を用いた切削加工時においては、該直線切れ刃13が受ける切削抵抗の切れ刃法線方向成分が、ネジ挿通孔18の孔中心に向かうように作用する。従って、直線切れ刃13を用いた切削加工時においても、上述と同様の作用効果を奏する。
また本参考例では、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが、1つの直線切れ刃13を介して接続する。このため、直線切れ刃13の刃長を長く確保でき、該直線切れ刃13を切削加工に用いる場合の送り量を増大できて、加工効率が高められる。
また本参考例では、切れ刃部4のすくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14が、同一平面上に形成されている。このため、切れ刃全長にわたって、軸方向すくい角や径方向すくい角が概ね変化しない。
一般には、切れ刃部のすくい面のうち、底切れ刃のすくい面部分及び外周切れ刃のすくい面部分等は、互いに異なる平面や曲面により形成されている。そして、各切れ刃同士の接続点は、互いに形状の異なる2つの切れ刃が接続される部分であることから、軸方向すくい角や径方向すくい角が変化する。このため、切削加工時には、切れ刃同士の接続点近傍での切削負荷が大きくなりやすい。
そこで本参考例のように、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14を、同一平面上に形成することとすれば、底切れ刃11と直線切れ刃13との接続点A、及び、外周切れ刃9と直線切れ刃13との接続点Bにおいても、切れ刃のすくい面は1つの平面によって形成されることになる。
これにより、接続点A、Bを挟んだ切れ刃の両側において、軸方向すくい角や径方向すくい角が大きく変化するようなことが抑えられ、接続点A、B近傍に大きな切削負荷が作用することを防止できる。従って、直線切れ刃13と底切れ刃11との接続部分、及び、直線切れ刃13と外周切れ刃9との接続部分における刃先強度が顕著に高められ、工具寿命が延長する。
また、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14が、同一平面上に形成されているので、切削インサート5Aの製造が容易である。また、これらのすくい面部分10、12、14同士の間(接続部位)に凹部(谷部)等が形成されないことから、切削加工時における切屑の引っ掛かり等が抑制されて、切屑排出性が高められる。
また本参考例では、すくい面19を正面に見て、第1の接線L1と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ1が10~30°であり、第2の接線L2と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ2が(90°-θ1)°であるので、上述した作用効果がより顕著なものとなる。また、直線切れ刃13近傍の切れ刃強度を確保しつつ、種々の被削材の加工部位や形状により対応しやすくなる。
具体的には、角度θ1が10°以上(角度θ2が80°以下)であるので、直線切れ刃13の刃長が長くなり過ぎることを抑制できる。これにより、底切れ刃11及び外周切れ刃9の各刃長を長く確保して、上述した本参考例の効果(カスプハイトCHを小さく抑えつつピックフィードのピッチPを大きくできる等の効果)をより格別なものにできる。角度θ1が10°未満の場合(角度θ2が80°を超える場合)には、直線切れ刃13の刃長が長くなり過ぎる結果、底切れ刃11及び外周切れ刃9の各刃長が短くなり、上述の効果が得られにくくなるおそれがある。なお、上述した作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が12°以上(角度θ2が78°以下)であることが好ましい。
また、角度θ1が30°以下(角度θ2が60°以上)であるので、直線切れ刃13の刃長が短くなり過ぎることを抑制できる。これにより、直線切れ刃13の刃長を長く確保して、上述した本参考例の効果(直線切れ刃13で平面フライス加工を高精度に効率よく行える等の効果)をより格別なものにできる。角度θ1が30°を超える場合(角度θ2が60°未満の場合)には、直線切れ刃13の刃長が短くなり過ぎる結果、上述の効果が得られにくくなるおそれがある。なお、上述した作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が28°以下(角度θ2が62°以上)であることが好ましく、25°以下(角度θ2が65°以上)であることがより望ましい。
<第2参考例>
次に、本発明の第2参考例に係る切削インサート5B及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Bについて、図12~図14を参照して説明する。
なお、第2参考例では、第1参考例における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
図12~図14に示されるように、本参考例の切削インサート5B及び刃先交換式回転切削工具6Bは、前述の参考例とは、切れ刃部4が備える直線切れ刃13及びすくい面部分14等の構成が異なる。
本参考例では、底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bとが、複数の直線切れ刃13を介して接続する。具体的には、図14(a)~(c)に示されるように、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが、2つの直線切れ刃13を介して繋がる。
図14(a)に示されるように、複数の直線切れ刃13同士は、接続点A、B間において、互いに異なる向きに延び、互いに連続して形成されている。
複数の直線切れ刃13のうち、底切れ刃11に接続する直線切れ刃(第1の直線切れ刃)13は、接続点Aから径方向の外側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜して延びている。複数の直線切れ刃13のうち、外周切れ刃9に接続する直線切れ刃(第2の直線切れ刃)13は、接続点Bから先端側へ向かうに従い径方向内側へ向けて傾斜して延びている。
第1の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量(つまり径方向に対する傾き)は、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとを結ぶ線分LSの前記変位量よりも小さく、第1の接線L1の前記変位量よりも大きい。
第2の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量は、線分LSの前記変位量よりも大きく、第2の接線L2の前記変位量よりも小さい。
第1の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量は、第2の直線切れ刃13の前記変位量よりも小さい。
本参考例において、複数の直線切れ刃13(第1の直線切れ刃13及び第2の直線切れ刃13)は、線分LSよりも工具の先端外周側に配置される。すくい面19を正面に見て、隣り合う直線切れ刃13同士が接続する角部は、工具の先端外周側へ向けて凸となる鈍角をなすように形成される。また、仮想直線VLは、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fと、線分LSの中点Mと、を通る。
第1の直線切れ刃13と第2の直線切れ刃13との接続点(上記角部)は、仮想直線VL上に配置される。第1の直線切れ刃13と第2の直線切れ刃13との接続点は、線分LSの中点Mよりも工具の先端外周側に配置されている。第1の直線切れ刃13と第2の直線切れ刃13とは、仮想直線VLを対称軸として、互いに線対称形状となるように形成される。つまり本参考例では、第1の直線切れ刃13の刃長と、第2の直線切れ刃13の刃長とが、互いに同一である。
また、切れ刃部4のすくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10、及び、複数の直線切れ刃13の各すくい面部分14が、互いに同一平面上に形成されている。図12及び図13において、複数の直線切れ刃13の各逃げ面部分は、互いに異なる平面上に形成されている。
以上説明した本参考例の切削インサート5B及び刃先交換式回転切削工具6Bによれば、前述した参考例と同様の作用効果を得ることができる。
そして本参考例では、複数の直線切れ刃13により様々な仕上げ加工等に対応可能である。
また本参考例では、第1の直線切れ刃13の刃長と、第2の直線切れ刃13の刃長とが、互いに同一であるので、第1の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工と、第2の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工とで挽き目(加工目、加工痕)を揃えることができる。従って、複数の直線切れ刃13で別々に切削することにより被削材の加工面に付与される挽き目同士が、互いに同じ性状となる。
<第3参考例>
次に、本発明の第3参考例に係る切削インサート5C及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Cについて、図15~図17を参照して説明する。
なお、第3参考例では、第1、第2参考例における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
図15~図17に示されるように、本参考例の切削インサート5C及び刃先交換式回転切削工具6Cは、前述の参考例とは、切れ刃部4が備える直線切れ刃13及びすくい面部分14等の構成が異なる。
本参考例では、図17(a)~(c)に示されるように、底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bとが、3つの直線切れ刃13を介して接続する。
図17(a)に示されるように、複数の直線切れ刃13には、底切れ刃11に接続する直線切れ刃(第1の直線切れ刃)13と、外周切れ刃9に接続する直線切れ刃(第2の直線切れ刃)13と、第1の直線切れ刃13と第2の直線切れ刃13との間に位置してこれらを接続する直線切れ刃(第3の直線切れ刃)13と、が含まれる。第3の直線切れ刃13は、第1の直線切れ刃13との接続点から径方向外側へ向かうに従い中心軸C方向の基端側へ向けて傾斜して延びている。
第3の直線切れ刃13における径方向の単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量(つまり径方向に対する傾き)は、第1の直線切れ刃13の前記変位量よりも大きく、第2の直線切れ刃13の前記変位量よりも小さい。本参考例では、第3の直線切れ刃13の前記変位量と、線分LSの前記変位量とが、互いに同一である。つまり、第3の直線切れ刃13と線分LSとは、互いに平行である。
本参考例において、複数の直線切れ刃13(第1~第3の直線切れ刃13)は、線分LSよりも工具の先端外周側に配置される。すくい面19を正面に見て、隣り合う直線切れ刃13同士が接続する角部は、工具の先端外周側へ向けて凸となる鈍角をなすように形成される。
第1の直線切れ刃13と第3の直線切れ刃13との接続点(角部)、及び、第2の直線切れ刃13と第3の直線切れ刃13との接続点(角部)は、線分LSよりも工具の先端外周側に配置されている。また、第3の直線切れ刃13は、仮想直線VLと直交する。第1の直線切れ刃13と第2の直線切れ刃13とは、仮想直線VLを対称軸として、互いに線対称形状となるように形成される。本参考例では、第1の直線切れ刃13の刃長と、第2の直線切れ刃13の刃長と、第3の直線切れ刃13の刃長とが、互いに同一である。
以上説明した本参考例の切削インサート5C及び刃先交換式回転切削工具6Cによれば、前述した参考例と同様の作用効果を得ることができる。
また本参考例では、第1の直線切れ刃13の刃長と、第2の直線切れ刃13の刃長と、第3の直線切れ刃13の刃長とが互いに同一であるので、第1の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工と、第2の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工と、第3の直線切れ刃13を用いた仕上げ加工とで挽き目(加工目、加工痕)を揃えることができる。
なお、第3の直線切れ刃13の刃長を、第1、第2の直線切れ刃13の刃長とは異なる長さとしてもよい。つまり、第3の直線切れ刃13の刃長が、第1、第2の直線切れ刃13の刃長より長くてもよいし、短くてもよい。この場合、より多様な加工形態への対応が可能となる。
<実施形態>
次に、本発明の実施形態に係る切削インサート5D及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具6Dについて、図18~図20を参照して説明する。
なお、本実施形態では、第1~第3参考例における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる点について説明する。
図18~図20に示されるように、本実施形態の切削インサート5D及び刃先交換式回転切削工具6Dは、切れ刃部4が直線切れ刃13及びすくい面部分14を備えていない点等で、前述の参考例とは構成が異なる。
図20(a)~(c)に示されるように、本実施形態では、底切れ刃11の径方向の外端(接続点)Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端(接続点)Bとが、直接接続している。底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが、互いに直接的に繋がる。底切れ刃11の接続点Aは、該底切れ刃11において外周切れ刃9に接続する端点であり、外周切れ刃9の接続点Bは、該外周切れ刃9において底切れ刃11に接続する端点である。接続点Aと接続点Bとは、互いの位置が一致する。接続点Aと接続点Bとの間には、直線切れ刃13が形成されていない。このため、切れ刃部4のすくい面19は、直線切れ刃13のすくい面部分14を有していない。そして、すくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12及び外周切れ刃9のすくい面部分10が、同一平面上に形成されている。
図18~図20(a)に示されるように、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとが接続する角部は、工具の先端外周側へ向けて凸となる鈍角をなすように形成される。
本実施形態では、ネジ挿通孔18の孔中心が、底切れ刃11の径方向の外端Aと外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bとの接続点A、Bと、径方向基準線RRと中心軸方向基準線CRとの交点Fと、を通る仮想直線VL上に位置している。
また、図20(a)に示されるように、すくい面19を正面に見て、第1の接線L1と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ1が10~30°であり、第2の接線L2と径方向基準線RRとの間に形成される角度θ2が(90°-θ1)°である。
以上説明した本実施形態の切削インサート5D及び刃先交換式回転切削工具6Dによれば、前述した参考例と同様の作用効果を得ることができる。
そして本実施形態では、底切れ刃11の径方向の外端Aと、外周切れ刃9の中心軸C方向の先端Bと、が直接接続しているので、底切れ刃11の刃長及び外周切れ刃9の刃長を長く(最長に)設定することが可能になる。このため、カスプハイトCHを小さく抑えつつ、ピックフィードのピッチPを増大できる。従って、加工面精度を良好に維持しつつ、加工効率を高めることができる。また、直線切れ刃13、該直線切れ刃13のすくい面部分14及び逃げ面部分が形成されていない分、切削インサート5Dの製造を簡素化できる。
また本実施形態では、角度θ1が10°以上(角度θ2が80°以下)であるので、底切れ刃11と外周切れ刃9との接続点A、B(角部)が工具の先端外周側へ向けて尖り過ぎることを抑制できる。従って、接続点A、B近傍における切れ刃のチッピング等が抑制される。なお、上述の作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が12°以上(角度θ2が78°以下)であることが好ましい。
また、角度θ1が30°以下(角度θ2が60°以上)であるので、切れ刃部4の切れ刃形状が全体としてボールエンドミルの切れ刃形状に近くなるようなことが抑えられる。すなわち、底切れ刃11及び外周切れ刃9の各曲率半径を、切れ刃部4の刃径の1/2(工具直径の1/2であり、工具半径)よりも十分に大きく設定できるため、上述したピックフィードのピッチPを増大できる等の効果がより格別なものとなる。なお、上述の作用効果をより顕著なものとするためには、角度θ1が28°以下(角度θ2が62°以上)であることが好ましく、25°以下(角度θ2が65°以上)であることがより望ましい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。なお、変形例の図示においては、前述の実施形態及び参考例と同じ構成要素に同一の符号を付し、主として異なる点について説明する。
図21(a)~(c)は、第1参考例の切削インサート5Aの変形例を表している。この変形例では、図21(b)に示されるように、外周切れ刃9の軸方向すくい角が、正の値を有する。底切れ刃11の軸方向すくい角が、正の値を有する。直線切れ刃13の軸方向すくい角が、正の値を有する。底切れ刃11と直線切れ刃13との接続点Aにおける軸方向すくい角が、正の値を有する。外周切れ刃9と直線切れ刃13との接続点Bにおける軸方向すくい角が、正の値を有する。つまり、外周切れ刃9の軸方向すくい角、底切れ刃11の軸方向すくい角及び直線切れ刃13の軸方向すくい角が、すべてポジティブ角である。
従って、この変形例によれば、切削加工時に生じた切屑が効率よく工具先端から基端側へと送られて、切屑排出性がよい。また、切屑排出性が良好に維持されることから、切削速度を高めることができ、加工能率が向上する。
また、切れ刃の刃長全域にわたってすくい面19が1つの平面により形成されることから、外周切れ刃9の軸方向すくい角、直線切れ刃13の軸方向すくい角及び底切れ刃11の軸方向すくい角が、すべて同一の角度βである。このため、切屑排出性が安定して高められ、かつ切削インサート5Aを製造しやすい。
なお、上記変形例を、第2、第3参考例及び実施形態の切削インサート5B~5Dに適用してもよい。
また、前述の実施形態及び参考例では、切削インサート5A~5Dにネジ挿通孔18が形成され、該ネジ挿通孔18の孔中心が、仮想直線VL上に位置しているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ネジ挿通孔18の孔中心は、仮想直線VL上に配置されていなくてもよい。ただし、ネジ挿通孔18の孔中心が、仮想直線VL上に配置されていることにより、前述の実施形態及び参考例で説明した優れた作用効果が得られることから、好ましい。
また、ネジ挿通孔18が形成されていない切削インサート5A~5Dであってもよく、この場合、切削インサート5A~5Dは、工具本体1の取付座3にクランプ機構等により着脱可能に装着される。
また、第2参考例では、切れ刃部4に直線切れ刃13が2つ設けられ、第3参考例では、切れ刃部4に直線切れ刃13が3つ設けられるとした。これらの構成に代えて、切れ刃部4に直線切れ刃13が4つ以上設けられてもよい。この場合、切れ刃部4には、直線切れ刃13の数に応じて、直線切れ刃13のすくい面部分14と逃げ面部分とが、各4つ以上設けられる。
また、第1~第3参考例では、すくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12、外周切れ刃9のすくい面部分10及び直線切れ刃13のすくい面部分14が、同一平面上に形成される例を挙げた。また、実施形態では、すくい面19のうち、底切れ刃11のすくい面部分12及び外周切れ刃9のすくい面部分10が、同一平面上に形成される例を挙げた。本発明はこれらの構成に限定されるものではなく、例えば、すくい面部分10、12、14が、同一曲面(凸曲面、凹曲面)上に形成されていてもよい。或いは、すくい面部分10、12、14が、互いに異なる平面や曲面により形成されていてもよい。
また、前述の実施形態及び参考例では、角度θ1が10~30°であり、角度θ2が(90°-θ1)°であることとしたが、角度θ1、θ2の数値範囲は上述したものに限定されない。
なお、前述の実施形態及び参考例において、切削インサート5A~5Dの基体(インサート本体15)の材質は、炭化タングステン(WC)とコバルト(Co)を含む超硬合金の他に、例えば、サーメット、高速度鋼、炭化チタン、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及びこれらの混合体からなるセラミックス、立方晶窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、多結晶ダイヤモンドあるいは立方晶窒化硼素からなる硬質相と、セラミックスや鉄族金属などの結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼成体を用いることも可能である。
また、工具本体1は、例えば、SKD61等の合金工具鋼で製造する場合の他、SKD61等の合金工具鋼と超硬合金とを接合し形成したものを用いることも可能である。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例、参考例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の切削インサート及び刃先交換式回転切削工具は、被削材の加工部位や形状に係わらず、加工面の性状が均等となるように切削加工を施すことが可能である。また、仕上げ加工や中仕上げ加工等において、加工面全体にわたって良好な加工面精度を得ることができる。従って、産業上の利用可能性を有する。
1 工具本体
2 先端部
3 取付座
4 切れ刃部
5A~5D 切削インサート
6A~6D 刃先交換式回転切削工具
9 外周切れ刃
10 外周切れ刃のすくい面部分
11 底切れ刃
12 底切れ刃のすくい面部分
13 直線切れ刃
14 直線切れ刃のすくい面部分
15 インサート本体
18 ネジ挿通孔
19 すくい面
A 底切れ刃の径方向の外端(接続点)
B 外周切れ刃の中心軸方向の先端(接続点)
C 中心軸
CR 中心軸方向基準線
D、E、F、G、H 交点
L1 第1の接線
L2 第2の接線
LS 線分
M 中点
RR 径方向基準線
T1 第1の直角三角形
T2 第2の直角三角形
VL 仮想直線
α 角度
β 角度(軸方向すくい角)
θ1 角度
θ2 角度

Claims (4)

  1. 中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、
    板状のインサート本体と、
    前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、
    前記切れ刃部は、
    前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、
    前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、
    すくい面と、を備え、
    前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが直接接続するとともに、
    前記底切れ刃及び前記外周切れ刃の各曲率半径は、前記切れ刃部の刃径の1/2よりも大きく、
    前記すくい面を正面に見て、
    前記中心軸に対して45°の角度で交差し、前記径方向の外側へ向かうに従い前記中心軸方向の先端側へ向けて延びる仮想直線を対称軸として、前記底切れ刃と前記外周切れ刃とが、互いに線対称形状となるように形成されている、切削インサート。
  2. 中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に形成された取付座に、着脱可能に装着される切削インサートであって、
    板状のインサート本体と、
    前記インサート本体に形成された切れ刃部と、を備え、
    前記切れ刃部は、
    前記インサート本体の前記中心軸方向の先端部に配置され、前記中心軸に直交する径方向に沿うように延びるとともに、前記中心軸方向の先端側へ向けて凸となる円弧形状をなす底切れ刃と、
    前記インサート本体の前記径方向の外端部に配置され、前記中心軸方向に沿うように延びるとともに、前記径方向の外側へ向けて凸となる円弧形状をなす外周切れ刃と、
    すくい面と、を備え、
    前記底切れ刃の曲率半径と、前記外周切れ刃の曲率半径とが、互いに同一であり、
    前記底切れ刃の前記径方向の外端と、前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端とが直接接続するとともに、
    前記底切れ刃及び前記外周切れ刃の各曲率半径は、前記切れ刃部の刃径の1/2よりも大きく、
    前記すくい面を正面に見て、
    前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、
    前記外周切れ刃における前記径方向の外端を通り前記中心軸方向に沿って延びる直線を中心軸方向基準線とし、
    前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、
    前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線とし、
    前記第1の接線と前記径方向基準線との交点、前記第1の接線と前記中心軸方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第1の直角三角形とし、
    前記第2の接線と前記中心軸方向基準線との交点、前記第2の接線と前記径方向基準線との交点、及び、前記径方向基準線と前記中心軸方向基準線との交点を、互いに直線で繋いで形成される直角三角形を第2の直角三角形として、
    前記第1の直角三角形と前記第2の直角三角形とが、互いに合同である、切削インサート。
  3. 請求項1または2に記載の切削インサートであって、
    前記すくい面を正面に見て、
    前記底切れ刃における前記中心軸方向の先端を通り前記径方向に沿って延びる直線を径方向基準線とし、
    前記底切れ刃の前記径方向の外端における前記底切れ刃の接線を第1の接線とし、
    前記外周切れ刃の前記中心軸方向の先端における前記外周切れ刃の接線を第2の接線として、
    前記第1の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ1が、10~30°であり、
    前記第2の接線と前記径方向基準線との間に形成される角度θ2が、(90°-θ1)°である、切削インサート。
  4. 中心軸回りに回転させられる工具本体と、
    前記工具本体の先端部に形成された取付座と、
    前記取付座に着脱可能に装着される切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、
    前記切削インサートとして、請求項1~3のいずれか一項に記載の切削インサートを用いた、刃先交換式回転切削工具。
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