JP2022034576A - 易接着フィルム - Google Patents

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暢康 奥村
Nobuyasu Okumura
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Takashi Okabe
真史 山本
Masashi Yamamoto
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Abstract

【課題】ハードコート層との密着性に優れ、また干渉縞が発生しにくく、繰り返しの折り曲げに対して優れた耐性を有するフィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、易接着層の平均厚みが0.01~5μmであり、易接着層面は、ピークカウントPcが10~700pks/mm2であり、かつ算術平均高さSaが0.002~0.1μmであることを特徴とする易接着フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、易接着フィルムに関する。
従来から、スマートフォンやタブレット端末等には画像表示装置(ディスプレイ)が搭載されているが、近年、画像表示装置として、折り曲げ可能なものの開発が盛んに行われている。通常、スマートフォンやタブレット端末等のディスプレイは、表面がカバーガラスで覆われ、偏光板、位相差フィルム、センサーフィルムなどの機能性フィルムが積層された構造となっている。ガラスは、一般的に、硬度は優れるものの、折り曲げることができないため、折り曲げ可能なディスプレイには、カバーガラスを用いることができない。また、各層を構成するフィルムについても、折曲げを繰り返した場合に、折れ、割れ、白化等が起こるという課題があった。
このような問題を解決する方法として、特許文献1~2には、特定の樹脂からなる基材フィルムにハードコート層を積層する方法が提案されている。
特開2016-125063号公報 特開2018-59075号公報
しかしながら、特許文献1~2に開示された積層フィルムは、長期間の反復折曲げに対する耐性が十分ではなかった。また、積層フィルムを構成する基材フィルムは、ハードコート層を設ける加工工程において、傷がつくことがあり、またハードコート層との密着性も十分でないことがあった。この密着不良に起因して、積層フィルムに、虹色状のムラである干渉縞が発生する場合があった。
本発明は、上記課題を解決し、耐擦傷性を付与するために積層するハードコート層との密着性に優れ、また干渉縞が発生しにくく、繰り返しの折り曲げに対して優れた耐性を有するフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、半芳香族ポリアミド樹脂からなる基材フィルム面に易接着層を設け、易接着層の表面を特定の形状としたフィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、
基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、
易接着層の平均厚みが0.01~5μmであり、
易接着層面は、ピークカウントPcが10~700pks/mmであり、かつ算術平均高さSaが0.002~0.1μmであることを特徴とする易接着フィルム。
(2)易接着層の表面同士の動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする(1)に記載の易接着フィルム。
(3)ヘイズが3%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の易接着フィルム。
(4)易接着層がバインダ樹脂と有機系および/または無機系微粒子とを含有することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の易接着フィルム。
(5)バインダ樹脂と有機系および/または無機系微粒子との質量比(バインダ樹脂/(有機系および/または無機系微粒子))が99.9/0.1~80/20であることを特徴とする(4)に記載の易接着フィルム。
(6)バインダ樹脂がウレタン樹脂を含むことを特徴とする(4)または(5)に記載の易接着フィルム。
(7)ウレタン樹脂がポリエステルウレタンであることを特徴とする(6)に記載の易接着フィルム。
(8)有機系微粒子がアクリル系粒子を含むことを特徴とする(4)~(7)のいずれかに記載の易接着フィルム。
(9)易接着フィルムの易接着層面に積層したハードコート層面からの分光反射スペクトルを、波長380~780nmの範囲で測定したときの、波長450~550nmの領域における振幅強度(隣り合う2つの極値が有する分光反射率の差)が1.0%以下であることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の易接着フィルム。
(10)基材フィルムの両面に易接着層を有することを特徴とする(1)~(9)のいずれかに記載の易接着フィルム。
(11)上記(1)~(10)のいずれかに記載の易接着フィルムを製造するための方法であって、半芳香族ポリアミド樹脂からなる未延伸フィルムに、易接着層形成用液状物を塗布、乾燥後、未延伸フィルムを延伸する工程を含むことを特徴とする易接着フィルムの製造方法。
(12)上記(1)~(10)のいずれかに記載の易接着フィルムの易接着層面に機能層が積層された積層フィルム。
(13)機能層がハードコート層であることを特徴とする(12)に記載の積層フィルム。
(14)上記(1)~(10)のいずれかに記載の易接着フィルム、または、(12)もしくは(13)に記載の積層フィルムを用いたディスプレイ。
本発明の易接着フィルムは、耐擦傷性を付与するためのハードコート層などの機能層を積層しても、密着性に優れ、また干渉縞が発生しにくく、繰り返しの折り曲げに対して優れた耐性を有するだけでなく、透明性、滑り性に優れているため、折曲げ可能なディスプレイに対して好適に使用することが可能である。また、本発明の易接着フィルムは、ブロッキングしにくいため、巻き出し時に発生する白化や引き裂きが低減されている。
本願の易接着フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムである。
<基材フィルム>
本発明の易接着フィルムを構成する基材フィルムは、半芳香族ポリアミド樹脂からなるフィルムである。
本発明において、半芳香族ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから構成され、ジカルボン酸成分またはジアミン成分中に芳香族成分を有するものである。
半芳香族ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の割合は、60~100モル%であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましく、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンとしては、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1.11-ウンデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂は、耐屈曲性とフィルムの成形加工性の観点から、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1.9―ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを合計でジアミン成分中に60~100モル%含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド樹脂や、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である)ジカルボン酸成分と、1,10-デカンジアミンを含有するジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
上記のような半芳香族ポリアミド樹脂を使用することにより、長期での反復折り曲げ耐性や耐衝撃性に優れるフィルムを得ることが可能となる。
半芳香族ポリアミド樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類が共重合されていてもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂は、公知の任意の方法を用いて、製造することができる。例えば、酸クロライド成分とジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法が挙げられる。あるいは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料としてプレポリマーを作製し、該プレポリマーを溶融重合または固相重合により高分子量化する方法が挙げられる。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒と共に、必要に応じて末端封止剤を用いて、半芳香族ポリアミド樹脂を製造してもよい。末端封止剤としては、熱分解抑制や分子量増加抑制の観点から、半芳香族ポリアミドの末端におけるアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に限定されず、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類が挙げられる。
半芳香族ポリアミド樹脂として、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」、ユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社製「レニー(登録商標)」、三井化学社製「アーレン(登録商標)」、BASF社製「ウルトラミッド(登録商標)」などが挙げられる。
基材フィルムは、上記樹脂から構成されるが、本発明の効果を損なわなければ、例えば、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤、有機または無機の滑剤、充填剤、架橋剤などの公知の添加剤が含まれてもよい。なお、滑剤は、通常フィルムの生産時および使用時における滑り性や耐ブロッキング性を向上させる目的で添加されるが、全光線透過率の低下やヘイズの上昇といった透明性に関する特性を低下させる可能性がある。本発明においては、基材フィルムに滑剤を添加する場合は極力粒子径が小さいものを用いて、添加量を少なくすることが好ましく、実質的に添加しないことが透明性の観点から好ましい。
本発明における基材フィルムは、2層以上の積層構造の複合フィルムであってもよい。複合フィルムとしては、例えば、内層に粒子を含有させず、表層に滑剤をごく少量含有させた複合フィルムや、内層と表層に異種または同種の樹脂を使用するなどの複合フィルムを挙げることができる。複合フィルムにおいても、透明性の観点から滑剤を含まないことが好ましい。
また、基材フィルムには、易接着層との密着性などを考慮して、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などが施されていてもよい。
基材フィルムの厚みは、0.5~300μmであることが好ましく、15~100μmであることがより好ましく、25~75μmであることがさらに好ましく、25~50μmであることが特に好ましい。基材フィルムは、厚みが0.5μm未満であると、製造が困難であるだけでなく、コシが弱くなるため、取り扱いが困難となることがある。一方、基材フィルムは、厚みが300μmを超えると、折り曲げ可能なディスプレイ等で使用した場合にコシが強くなりすぎることがある。基材フィルムは延伸処理されていてもよい。
<易接着層>
本発明の易接着フィルムは、上記基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有するものである。
本発明の易接着フィルムの易接着層は、平均厚みが0.01~5μmであることが必要であり、0.05~1μmであることが好ましく、0.1~0.5μmであることがより好ましい。易接着層は、平均厚みが0.01μm未満であると、基材フィルムと機能層との密着性が十分に得られないだけでなく、易接着層が有機系および/または無機系微粒子を含有する場合には、それらが脱落するおそれや、機能層を積層した場合に干渉縞が生じるおそれがある。易接着層の平均厚みが5μmを超えると、易接着フィルムは、透明性が低下したり、滑り性やブロッキング性が低下するおそれがある。なお、上記平均厚みは、易接着層の任意の5か所で厚みを測定し、それらを算術平均したものである。
本発明の易接着フィルムの易接着層面は、ピークカウントPcが10~700pks/mmであることが必要であり、20~600pks/mmであることが好ましく、30~500pks/mmであることがより好ましく、50~400pks/mmであることがさらに好ましい。易接着層は、ピークカウントPcが上記範囲であることにより、滑り性と透明性を両立することができる。易接着層は、Pcが700pks/mmより大きいと、密着性や透明性が低下する場合があり、Pcが10pks/mmより小さいと、滑り性が低下する場合がある。なおピークカウントPcとは、ある基準長さの区間においてその区間の粗さ曲線の平均値に対して任意の高さ(ピークカウントレベル)を持つ突起の数をあらわす。本発明においてはピークカウントレベルを1.0μmとした。
本発明の易接着フィルムの易接着層面は、算術平均高さSaが0.002~0.1μmであることが必要であり、0.002~0.05μmであることが好ましく、0.002~0.03μmであることがより好ましい。易接着層は、算術平均高さSaが上記範囲であることにより、滑り性と透明性の両立、ブロッキングの防止、また干渉縞の発生の低減が可能となる。易接着層は、Saが0.1μmより大きいと、透明性が低下したり、干渉縞が発生する場合があり、Saが0.002μmより小さいと、滑り性や耐ブロッキング性が低下する場合がある。
このような表面形状を有する易接着層は、エンボス加工やサンドブラスト加工、ケミカルマット加工したり、また、塗布することによって形成することができ、特に塗布によって形成することが好ましい。
上記特性を有する、本発明における易接着層は、バインダ樹脂と有機系および/または無機系微粒子とを含む構成であることが好ましく、後述する易接着層形成用液状物を塗布して形成することができる。
(バインダ樹脂)
易接着層を構成するバインダ樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。中でも、密着性や透明性の向上、干渉縞発生の抑制の観点からウレタン樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とが反応したものが挙げられる。
ポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類等が挙げられる。中でも、易接着層面に機能層を積層した場合に、干渉縞を見えにくくするなどの観点から、ポリオール成分は、ポリエステルポリオール類であることが好ましい。
ポリエステルポリオール類は、1種または2種以上の多価カルボン酸と多価アルコールを常法によって縮重合することによって製造されるものである。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびそれらの無水物あるいはエステル形成性誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、多価カルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸およびそれらの無水あるいは、エステル形成性誘導体が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られるものである。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。
カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオール類としては、例えば、ポリブタジエンポリオールや水添ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
ポリアクリルポリオール類としては、典型的には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、水酸基を有する単量体との共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、これらのポリオール成分を複数含んでもよい。
また、上記ポリオール成分以外にも、ウレタン樹脂は、機能層を積層した場合の干渉縞の低減の観点から、ビスフェノールにアルキレンオキサイドが付加したポリオールを含むことが好ましい。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、フッ素化ビスフェノールA、塩素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA、4,4-ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アミン等が挙げられる。ビスフェノールの水酸基に付加させるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが挙げられる。
上記ポリオール成分と反応させるポリイソシアネート成分としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′-シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等を用いることができる。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコール等のグリコール類を挙げることができる。
また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
易接着層を構成するウレタン樹脂は、さらに、基材フィルムと機能層との密着性の向上や水への分散性向上の観点から、スルホ基を有する化合物やカルボキシル基を有する化合物を共重合してもよい。
本発明では、市販のウレタン樹脂を用いてもよく、後述する本発明の製造方法において易接着層形成に好ましく使用される形態である、ウレタン樹脂の水分散体としては、例えば、DIC社製ハイドランシリーズ、第一工業製薬社製スーパーフレックスシリーズ、三井化学社製タケラックシリーズ、アデカ社製アデカボンタイターシリーズ、三洋化成工業社製ユーコートなどが挙げられる。
(有機系微粒子、無機系微粒子)
本発明における易接着層は、易滑性やブロッキング防止、工程中のロール等への接触によるスリキズの防止、干渉縞発生の低減の観点から、有機系および/または無機系微粒子を含有することが好ましい。
易接着層が含有する無機系微粒子としては、特に限定されないが、シリカ、コロイダルシリカ、中空シリカ、アルミナ、アルミナゾル、ダイヤモンド、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、五酸化タンタル等の微粒子が挙げられる。
また有機系微粒子としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリル系樹脂、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、スチレンジビニルベンゼン共重合体、アクリルジビニルベンゼン共重合体等の微粒子が挙げられる。中でも、入手のしやすさ、易滑性、透明性の観点から、アクリル系微粒子であることが望ましい。
これら有機系、無機系微粒子の平均粒子径は、0.001~10μmであることが好ましく、0.05~5μmであることがより好ましく、0.01~2μmであることがさらに好ましい。有機系、無機系微粒子の平均粒子径が、好ましい範囲から外れると、易接着層面のピークカウントPcや算術平均高さSaが上述の範囲から外れる場合がある。また、有機系、無機系微粒子の平均粒子径が0.001μm未満であると、易接着層は、滑り性やブロッキング性が低下する場合がある。一方、有機系、無機系微粒子の平均粒子径が、10μmを超えると、易接着層は、透明性が低下したり、十分な易滑性や耐ブロッキング性を得ることが難しいだけでなく、易接着層の厚みによっては、微粒子が脱落するおそれがある。
本発明において、易接着層における質量比(バインダ樹脂/(有機系および/または無機系微粒子))は、99.9/0.1~80/20であることが好ましく、99.9/0.1~90/10であることがより好ましく、99.9/0.1~95/5であることがさらに好ましく、99.9/0.1~97/3であることが特に好ましい。上記質量比が上記範囲から外れると、易接着層面のPcやSaが上述の範囲から外れる場合がある。また、微粒子の含有量が0.1質量%未満であると、易接着層は、滑り性やブロッキング性、耐擦傷性が低下する場合がある。微粒子の含有量が20質量%を超えると、易接着層は、透明性が低下したり、干渉縞が発生したり、基材フィルムと機能層との密着性が低下することがある。
なお、バインダ樹脂や有機系および/または無機系微粒子の形態が溶液や分散体である場合、その含有量は溶液や分散体中の固形分で算出する。
これら有機系、無機系微粒子は、1種類のみを使用しても2種類以上併用してもよい。滑り性、ブロッキング防止の観点から、2種類以上使用することが好ましく、その場合、平均粒子径の大きい粒子と小さい粒子の2種類以上を併せて使用することがより好ましく、例えば、平均粒子径が1~2μmである微粒子と、0.03~0.1μmである微粒子とを、それぞれ0.1~0.5質量%と、0.5~5質量%とで含有することが好ましい。
(架橋剤)
本発明において、易接着層は、基材フィルムとの密着性向上、耐湿熱性、耐溶剤性などの観点から、架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、バインダ樹脂と架橋できるものであれば、どのようなものでも使用できる。例えば、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物や、自己架橋性を有するものや多価の配位座を有するものが挙げられ、これらの化合物を単独でまたは混合して用いてもよい。
本発明では、入手が容易であるという点から、市販の架橋剤を用いてもよい。具体的には、ヒドラジド化合物として、大塚化学社製APAシリーズ(APA-M950、APAM980、APA-P250、APA-P280など)などが使用できる。イソシアネート化合物として、BASF社製のバソナート(BASONAT)PLR8878、バソナートHW-100、住化コベストロウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1などが使用できる。メラミン化合物として、三井サイテック社製サイメル325、三井化学社製ユーバン225などが使用できる。尿素化合物として、DIC社製のベッカミンシリーズなどが使用できる。エポキシ化合物として、ナガセケムテック社製のデナコールシリーズ(EM-150、EM-101など)、ADEKA社製のアデカレジンEM-0517、EM-0526、EM-051R、EM-11-50Bなどが使用できる。カルボジイミド化合物として、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズ(SV-02、V-02、V-02-L2、V-04、E-01、E-02、V-01、V-03、V-07、V-09、V-05)などが使用できる。オキサゾリン化合物として、日本触媒社製のエポクロスシリーズ(WS-500、WS-700、K-1010E、K-1020E、K-1030E、K-2010E、K-2020E、K-2030E)などが使用できる。これらは、架橋剤を含む分散体または溶液として市販されている。
(添加剤)
本発明における易接着層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、各種の添加剤、例えば、造膜助剤、消泡剤、抑泡剤、防腐剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤などを含有してもよい。
<製造方法>
基材フィルム面に易接着層を設けて、本発明の易接着フィルムを製造する方法としては、二軸延伸された基材フィルムに対し、易接着層形成用液状物を塗布する方法(オフライン法)や、二軸延伸前の基材フィルムに対し、易接着層形成用液状物を塗布した後、延伸および熱処理する方法(インライン法)が挙げられ、いずれの方法も採用できる。また、離型フィルム上に易接着層を形成し、この層と基材フィルムとを貼り合せたのち、離型フィルムを剥離することで、易接着層を基材フィルムに転写させるなどの方法を採用することもできる。
上記のインライン法においては、二軸延伸前の基材フィルムは、表面の配向結晶化の程度が小さい状態で、易接着層形成用液状物が塗布されるため、形成された易接着層との密着性が向上する。また、基材フィルムが緊張した状態で、易接着層に、より高温の熱処理ができるので、基材フィルムの品位を低下させることなく、易接着層の密着性を向上させることができる。熱処理温度は、基材フィルムの熱セット温度である250℃以上とすることができ、この温度において、基材フィルムとともに易接着層中で、配向結晶化が進行する。また、易接着層が架橋剤を含有している場合、熱セット時に易接着層中でウレタン樹脂と架橋剤とが反応することで、易接着層は、基材フィルムとの密着性や耐熱性、耐溶剤性などの性能が向上することが期待できる。
さらに、インライン法は、オフライン法に比べると、製造工程を簡略化することができるばかりでなく、接着層の薄膜化もできるため、コスト面でも有利となる。
基材フィルムの製造において、同時二軸延伸法を採用する場合には、未延伸フィルムに、易接着層形成用液状物を塗布、乾燥したのち、基材フィルムを構成する樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手および巾方向にそれぞれ2~4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、1~1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、逐次二軸延伸法を採用する場合には、一軸方向に延伸された樹脂フィルムに、易接着層形成用液状物を塗布し、その後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
易接着層形成用液状物を基材フィルムに塗布する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法により基材フィルムの表面に均一に塗布することができる。
易接着層形成用液状物を基材フィルムに塗布した後、乾燥、熱処理することにより、媒体を除去することができ、緻密な塗膜からなる易接着層が基材フィルムに密着した易接着フィルムを得ることができる。
本発明の易接着フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有するものであり、易接着層は両面に設けられてもよい。また、基材フィルムの、易接着層が設けられていない面には、易接着層以外の層が設けられてもよい。
<易接着フィルムの物性>
本発明の易接着フィルムは、易接着層の表面同士の動摩擦係数が0.7以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。易接着フィルムは、易接着層の表面同士の動摩擦係数が0.7を超えると、フィルムの搬送性が低下し、スリキズが発生することがある。
本発明の易接着フィルムは、ディスプレイ用フィルムとして用いた場合に、十分な視認性を得ることができるという観点から、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
また、同じ観点から、本発明の易接着フィルムのヘイズは、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。
本発明の易接着フィルムは、例えば、JIS K7125に基づいた方法で測定した場合の易接着層と機能層との間の動摩擦係数および静摩擦係数が、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。両面に易接着層を有する易接着フィルムは、一方の易接着層に機能層が積層されても、巻き取りや、巻き出し時において、十分な滑り性が得られ、短時間での加工に有利となるため、摩擦係数は小さい方が好ましい。
本発明の易接着フィルムの耐屈曲性は、連続折り畳み試験を行うことで、評価することが可能である。例えば、易接着フィルムの易接着層が内側または外側となり、易接着フィルムの対向する辺部の間隔が1~10mmとなるように易接着フィルムを連続して折りたたむ試験を行う方法がある。辺部の間隔が狭いほど、耐屈曲性試験としては厳しいものとなる。本発明の易接着フィルムの耐屈曲性としては、上記連続折り畳み試験を繰り返して、1万回以上、より好ましく3万回以上、さらに好ましく5万回以上行った場合でも、易接着フィルムに割れ、折れ痕、白化、破断等の変化がないことが好ましく、10万回以上折り畳み試験を行った場合でも変化が見られないことが特に好ましい。1万回折り畳み試験を行った場合に、割れ、折れ痕、白化、破断等の変化が見られる場合、耐屈曲性が不十分である。
本発明の易接着フィルムと機能層との密着性は、例えば、JIS K5600に記載の方法に従い、クロスカット法によってセロハンテープ剥離後の残存率にて評価を行うことが可能であり、実用上の性能の観点から、残存率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
<機能層>
本発明の易接着フィルムは、半芳香族ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと特定の表面形状を有する易接着層とから構成されるため、透明性が高く、耐衝撃性や繰り返しの折り曲げに対する耐性、耐衝撃性、易接着性に優れ、易接着層面に機能層を積層した場合に干渉縞が発生しにくいという光学特性に優れることから、易接着フィルム上に、様々な機能層を積層した積層フィルムは、様々な用途に使用することが可能である。
本発明の易接着フィルムの易接着層面に積層する機能層としては、特に限定されないが、ハードコート層、導電層、粘着層、バリア層、反射防止層、防眩層、偏光層、防汚層、離型層、帯電防止層、親水層、撥水層、撥油層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、衝撃吸収層、封止層、絶縁層、発光層、印刷層、接着層などの機能層が挙げられる。
本発明の易接着フィルムの易接着層面に、機能層を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、易接着層面に、塗布する方法、蒸着する方法、溶融物を押出しして貼り合わせる方法、離型フィルム上に設けた機能層を、易接着フィルムに貼り合わせて熱プレスなどを行った後、機能層を易接着フィルムに転写させる方法などが挙げられる。
(ハードコート層)
ハードコート層としては、公知のハードコート層を使用することが可能であり、主として耐薬品性および/または耐傷性を有する硬化性樹脂から構成される層を積層することが好ましい。
硬化性樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられ、易接着層を設けた基材フィルムに対する層形成作業が容易であり、かつ表面硬度を所望の値に容易に高めやすいことから、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
ハードコート層の形成に用いられる硬化性樹脂の具体例として、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。硬度、干渉縞の低減、およびハードコート層と基材フィルムの密着性の観点から、アクリル系樹脂およびシリコーン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂は、アクリロイル基およびメタクリロイル基などのアクリレート系官能基を持つものが好ましく、特にポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートが好ましい。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーを(メタ)アクリレート化したものであってもよい。ウレタンアクリレートは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物からなるウレタン系オリゴマーを(メタ)アクリレート化したものであってもよい。
なお、上記(メタ)アクリレート化するための単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリエステルアクリレートを構成するポリエステル系ポリオールのオリゴマーとしては、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸とグリコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコールなど)および/またはトリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)との縮合生成物(例えば、ポリアジペートトリオール)、および、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸とグリコール(具体例は上記と同様)および/またはトリオール(具体例は上記と同様)との縮合生成物(例えば、ポリセバケートポリオール)などが例示できる。なお、上記脂肪族ジカルボン酸の一部または全てを他の有機酸で置換してもよい。この場合、他の有機酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸または無水フタル酸などが、ハードコート層に高度の硬度を発現することから、好ましい。
ウレタンアクリレートを構成するウレタン系オリゴマーとしては、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合生成物が例示できる。
具体的なポリイソシアネート化合物としては、メチレン・ビス(p-フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体、1,5-ナフチレンジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4-フェニルイソシアネート)チオフォスフェートなどが例示できる。
具体的なポリオール化合物としては、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリエステル系ポリオール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマーなどが例示できる。
ハードコート層の硬度をさらに高める場合は、ポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートとともに、多官能モノマーを併用することができる。具体的な多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
上記の電離放射線硬化型樹脂を、紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの樹脂中にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミフィラベンゾイルベンゾエート、α-アミロキシムエステルまたはチオキサントン類などを光重合開始剤として、また、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィンなどを光増感剤として混合して使用することが好ましい。
ウレタンアクリレートは、ハードコート層が弾性および可撓性に富み、加工性(折り曲げ性)に優れる観点から好ましい。
ポリエステルアクリレートは、ポリエステルの構成成分の選択により、極めて高い硬度のハードコート層を形成することができる観点から好ましい。
そこで、高硬度と可撓性とを両立のために、2種類以上のアクリレートを用いてもよい。
アクリル系樹脂は市販品として入手可能であり、例えば、大日精化社製セイカビームシリーズ、JSR社製オプスターシリーズ、日本合成化学工業社製UV硬化型ハードコート剤紫光シリーズ、横浜ゴム社製UV硬化型ハードコート剤HR320シリーズ、HR330シリーズ、HR350シリーズ、HR360シリーズ、東洋インキ社製UV硬化型機能性ハードコート剤Lioduras・LCHシリーズ等、アイカ工業社製UVコート剤アイカトロンシリーズなどが使用可能である。アクリル系樹脂は、単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。
シリコーン系樹脂は、シリコーン樹脂上にアクリル基を共有結合により結合させたものであってもよいし、またはアルコキシシランを加水分解重縮合させることにより得られたシラノール基を有する縮合体を含むものであってもよい。特に、後者の場合、塗布後の熱硬化等により、シラノール基がシロキサン結合に変換されて硬化膜としてハードコート層が得られる。
シリコーン系樹脂は市販品として入手可能であり、例えば、信越化学工業社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X-12シリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズ、熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、東洋インキ社製UV硬化型機能性ハードコート剤Lipdiras・Sシリーズ等が使用可能である。シリコーン系樹脂は、単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。
ハードコート層の鉛筆硬度は、用途に応じて様々な硬度であってよく、好ましくはHB以上であり、より好ましくはH以上、さらに好ましくは2H以上である。ハードコート層を有することにより、基材フィルムは、耐擦傷性が向上する。ハードコート層の厚さ、材料、硬化条件などを選択することにより、硬度を制御することができる。
ハードコート層の厚さは特に限定されないが、光学的な特性を損なわない範囲で調整されるのが好ましく、1~15μmの範囲が好ましく、より好ましくは、2~5μmである。ハードコート層は、厚さが1μm未満であると、十分な表面硬度が得られない場合があり、15μmを超えると、積層フィルムがカールする場合があるだけでなく、経済的な観点からも好ましくない。
易接着フィルムの易接着層面にハードコート層を積層したハードコートフィルムは、ディスプレイ用フィルムとして用いた場合に、十分な視認性を得ることができるという観点から、ハードコート層面からの分光反射スペクトルを、波長380~780nmの範囲で測定し、横軸に波長(nm)、縦軸に反射率(%)をプロットしたとき、波長450~550nmの領域における振幅強度(隣り合う2つの極値が有する分光反射率の差)が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。ハードコートフィルムは、上記振幅強度が1.0%以下であることで、各波長領域の振幅強度が適切な範囲となり、光の干渉による振幅の増幅を抑えることができ、目視したときの干渉縞を低減することができる。
ハードコートフィルムは、テレビのような大型ディスプレイや、携帯電話、パソコン、スマートフォンなどの小型ディスプレイなどの各種用途において、透明性に優れることが求められる。通常、フィルムの透明性は、ヘイズと全光線透過率で表される。本発明の易接着フィルムに上記のハードコート層を積層したハードコートフィルムは、ヘイズが1.0%以下であることが好ましく、全光線透過率は80%以上が好ましく、85%がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
ハードコート層を形成する方法としては、基材フィルムに積層された易接着層上に、ハードコート層形成用塗液を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
ハードコート層形成用塗液は、通常、前述の硬化性樹脂を含み、所望により紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでもよい。
ハードコート層形成用塗液として、前述の硬化性樹脂を形成するためのモノマーやオリゴマーを溶剤に溶解させたものや、水に分散させたものを使用してもよく、あるいは液状のモノマーやオリゴマーをそのまま使用してもよい。
硬化性樹脂を形成するためのモノマーやオリゴマーを溶解させる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが挙げられ、必要に応じて、これらの有機溶剤を混合して用いてもよい。
ハードコート層形成用塗液を易接着層に塗布する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法により、易接着層の表面に均一に塗布することができる。
ハードコート層形成用塗液を接着層に塗布した後、硬化性樹脂の種類に応じて、紫外線等の電離放射線を照射する方法、加熱する方法等を採用して十分に硬化することで、基材フィルムに積層された易接着層上にハードコート層を形成することができる。
(導電層)
導電層としては、公知のものを使用することが可能であり、主として、導電性繊維状フィラー、導電性金属酸化物、導電性高分子などの導電材料を含む材料から構成される層を積層することが好ましい。
導電性繊維状フィラーとしては、例えば、導電性炭素繊維、金属繊維および金属被覆合成繊維から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、2種類以上を使用してもよい。
金属繊維としては、例えば、ステンレススチール、鉄、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等を細く、長く伸ばす伸線法、または、切削法により作製された繊維が使用できる。このような金属繊維は、2種類以上を使用してもよく、合金化したものを使用してもよい。これらの金属繊維の中でも、導電性に優れることから、銀を用いた金属繊維が好ましい。
金属被覆合成繊維としては、例えば、アクリル繊維に金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン等をコーティングした繊維等が挙げられる。このような金属被覆合成繊維は、2種類以上を使用してもよい。これらの金属被覆合成繊維の中でも、導電性に優れることから、銀を用いた金属被覆合成繊維が好ましい。
導電層における導電性繊維状フィラーの含有量としては、例えば、導電層を構成する樹脂成分100質量部に対して20~3000質量部であることが好ましく、50~1000質量部であることがより好ましい。20質量部未満であると、充分な導電性能を有する導電層を形成できないことがあり、3000質量部を超えると、積層フィルムのヘイズが高くなったり、光透過性能が不充分となることがある。また、導電性繊維状フィラーの接点にバインダー樹脂が入る量が多くなることで導電性層の導通が悪化し、十分な導電性が得られない可能性がある。
導電性高分子の成分としては、特に限定されず従来公知の材料が使用でき、例えば、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重した高分子である導電性複合体等の高分子量化導電剤を用いることもできる。
導電性金属酸化物は、特に限定されず従来公知の材料が使用でき、例えば、ZnO、CeO、Sb、SnO、酸化インジウム錫(略称:ITO)、In、Al、アンチモンドープ酸化錫(略称:ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称:AZO)等を挙げることができる。導電性金属酸化物の平均粒径は、0.1nm~0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、上記導電性微粒子を、導電層を構成する樹脂成分の原料中に分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成することが可能な組成物が得られる。
導電性微粒子の含有量としては、上記導電層を構成する樹脂成分100質量部に対して、10~400質量部であることが好ましい。10質量部未満であると、充分な導電性能を有する導電層を形成できないことがあり、400質量部を超えると、積層フィルムのヘイズが高くなったり、光透過性能が不充分となることがある。
また、上記導電材料以外の導電剤を用いてもよく、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1~第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物ならびにそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等、更に、上記に列記した化合物を高分子量化した化合物、さらに、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または、金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、あるいは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有し、かつ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物等が挙げられる。
導電層の形成方法としては、例えば、導電層を通常のコーティング法により積層する方法、さらにその上に、目的とする抵抗値が出るレベルでオーバーコート層を積層する方法、離型フィルム上に少なくとも上記導電層を有する転写フィルムを用いて、上記導電層を、被転写体である易接着層に転写する転写工程を有する方法、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、スパッタリング等が挙げられる。
(粘着層)
粘着層を構成する粘着剤としては、ディスプレイ用の部材を積層する際に、通常使用されるOCA(Optical clear adhesive)と呼ばれる透明性に優れた粘着剤をはじめとし、公知の粘着剤を使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。耐熱性、透明性、安定性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤に使用される成分としては、公知のものを使用することでき、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。このような成分を、所望するタックや熱特性に合わせて、共重合または混合して用いてもよい。
上記の粘着剤に対して、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、界面活性剤、顔料、酸化防止剤、難燃剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。
架橋剤は、凝集力向上、耐熱性向上などの観点から使用することが好ましく、従来公知の架橋剤を使用することが可能であり、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート系化合物、メラミン化合物などが挙げられる。
粘着付与剤は、接着性の向上などを目的とし、従来公知の粘着付与剤を使用することが可能であり、例えば、ロジン類、テルペン類、石油樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂が挙げられる。
(バリア層)
バリア層を構成する材料としては、バリアフィルムとして使用される材料であればよく、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiO)、シリコン炭化膜(SiO)、シリコン窒化炭化膜(SiC)、アルミニウム酸化膜(AlO)、アルミニウム窒化膜(AlN)、アルミニウム酸窒化膜(AlO)、チタン酸化膜(TiO)、チタン酸窒化膜(TiO)、ITO、ポリシラザンなどが挙げられる。バリア層は、単層であっても複層であってもよい。
易接着層面にバリア層を形成する方法は、従来公知の方法を使用することができ、コーティング、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、スパッタリングなどの方法が挙げられる。
バリア層を保護するために、さらに保護層が積層されてもよい。
(反射防止層)
反射防止層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、シリカなどの無機粒子や、スチレン、アクリル等の有機粒子が挙げられる。またこれら以外にもバインダ等の成分を含んでもよい。
(離型層)
離型層を構成する離型剤としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキルポリマー、ワックス、オレフィン樹脂などが挙げられる。離型層は、剥離力調整剤やオイル等の添加剤を含んでもよい。
(帯電防止層)
帯電防止層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、前述の導電層と同様の材料を使用することが可能であり、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系などの導電性高分子、カーボンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボン、銀、銅、アルミ等の金属、界面活性剤が挙げられる。また、上記以外にもバインダーとして樹脂成分などを含んでもよい。
(親水層、撥水層、撥油層)
親水層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびアクリルなどに親水性官能基を付与したポリマーなどの親水性ポリマーを使用したものや、界面活性剤、シリカなどの無機系材料などが挙げられる。
撥水層、撥油層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、フッ素系樹脂、ワックス、シリコーンなどが挙げられる。
(紫外線吸収層、赤外線吸収層)
紫外線吸収層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系、オキザリニド系、サリシレート系、ホルムアミジン系などの有機系紫外線吸収剤などが挙げられる。また、これ以外にも、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線反射剤や、ヒンダードアミン系などのラジカル捕捉剤などが添加されてもよい。
赤外線吸収層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、六ホウ化ランタン、セシウム酸化タングステン、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン化合物、ニッケルジチオレン錯体、スクアリウム色素、キノン系化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
(防眩層)
防眩層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、通常、有機粒子または無機粒子などのフィラー、および熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂などのバインダを混合したものが一般的である。
有機粒子としては、例えば、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル-スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂およびゴムまたはエラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
(偏光層)
偏光層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体等やこれらを染色したもの、脱水処理したものや、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などが挙げられる。
(絶縁層)
絶縁層としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、マイカ(雲母)、セラミック、ガラスなどのポリエステル、ポリアミド、セラック、ロジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、フェノール、メラミン、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム等のゴム系材料が挙げられる。
(発光層)
発光層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ-ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等の色素性材料、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等の金属錯体系材料、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したものなどの高分子系材料などが挙げられる。
上記の発光材料だけでなく、発光層中の発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的で、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどのドーピング材料が添加されてもよい。さらに、印刷適性を向上させる目的で、界面活性剤などが添加されてもよい。
(接着層)
接着層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリオレフィン、ポリアミド、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリレート系樹脂、シアノアクリレート等が挙げられる。
(印刷層)
印刷層を構成する材料としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、着色した顔料および/または染料とバインダ(ビヒクルともいう)を有する層であり、安定剤、光安定剤、硬化剤、架橋剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機または無機の滑剤、帯電防止剤、充填材、その他等の添加剤が必要に応じて適宜添加されてもよい。バインダとしては、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、硝化綿、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油などが挙げられる。
<易接着フィルムの使用>
本発明の易接着フィルムは、各種機能層との密着性、透明性、光学特性、折曲耐性に優れるため、様々な用途に使用することができる。中でも、上記特性を有することから、有機ELを使用したフレキシブルディスプレイ用途において、特に有用に使用することができる。
易接着フィルム上にハードコート層を形成した場合、フレキシブルディプレイの表層のカバーフィルムとして使用することができる。導電層を形成した場合、タッチパネル用センサーフィルムとして使用することができる。バリア層を形成した場合、有機ELの素子を保護するためのバリアフィルムとして使用することができる。また、有機ELの発光層を積層するための基材フィルムとして使用することもできる。
本発明の易接着フィルムは、しなやかで柔軟性に優れるため、スマートフォンなどのディスプレイ中において、落下等の衝撃を緩和するための衝撃吸収層としても使用可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
なお、実施例中の各種の値の測定および評価は以下のように行った。
1.評価方法
1-1 易接着フィルムの物性
(易接着層の厚み)
実施例で得られた易接着フィルムを、接着剤(セメダイン社製、スーパーXG NO.777 ホワイト)で包埋し、凍結ウルトラミクロトームで厚み90nmの切片を採取した。切削温度は-115℃、切削速度は0.2mm/分とした。採取した切片について、透過電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230)を用いて、透過測定にて加速電圧100kVで易接着層の厚みを測定した。易接着層の厚みを5箇所で測定し、平均値を求めた。
(易接着層面のピークカウントPc)
TAYLOR/Hobson社製タリサーフCCI6000を使用し、下記の条件でピークカウントPc(pks/mm)を測定した。
測定長:0.66mm×0.66mm
カットオフ:ロバストガウシアンフィルタ、0.25mm
ピークカウントレベル:1.0μm
(易接着層面の算術平均高さSa)
TAYLOR/Hobson社製タリサーフCCI6000を使用し、下記の条件で算術平均高さSa(μm)を10箇所で測定し、平均値を求めた。
測定長:0.66mm×0.66mm
カットオフ:ロバストガウシアンフィルタ、0.25mm
(基材フィルム/易接着層の密着性)
実施例で得られた易接着フィルムについて、JIS K5600に記載の方法に従い、クロスカット法によって、セロハンテープ剥離後の易接着層の残存率にて、密着性を評価した。実用上、残存率は80%以上であることが好ましい。
(全光線透過率およびヘイズ)
実施例で得られた易接着フィルムを、濁度計(日本電色工業社製 NDH2000)を用い、JIS K7136に従って、全光線透過率およびヘイズを測定した。
実用上、全光線透過率は85%以上であることが好ましく、ヘイズは、3.0%以下であることが好ましい。
(動摩擦係数)
実施例で得られた易接着フィルムの易接着層同士の動摩擦係数を、JIS K7125に基づいた方法で測定した。具体的には、易接着フィルムのサンプルを23℃×50%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下において、動摩擦係数を測定した。実用上、動摩擦係数は、0.7以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。
(耐ブロッキング性)
易接着フィルムのフィルムロールから易接着フィルムを巻き出して、耐ブロッキング性を評価した。
◎:何の抵抗もなく巻き出すことができる。
○:巻き出す際、フィルム同士が剥がれる音が聞こえるが、巻出した後のフィルムは、白化が見られず、透明である。
△:巻き出す際、フィルム同士が剥がれる音が聞こえ、巻出したフィルムの易接着層に白化が見られる。
×:巻き出す時に強い抵抗があり、巻出したフィルムの易接着層に白化が見られる。
(鉛筆硬度(耐擦傷性))
実施例で得られた易接着フィルムについて、JIS K5600-5-4に記載の方法に従い、評価した(1kg荷重)。実用上、鉛筆硬度はHB以上であることが、スリキズ発生低減の点から好ましく、F以上であることがより好ましく、H以上であることがさらに好ましい。
(耐屈曲性)
実施例で得られた易接着フィルムを、30×100mmの長方形にカットして、サンプルを作製し、耐久試験機(ユアサシステム機器社製DLDMLH-FS)に、サンプルの短辺側をそれぞれ固定し、対向する2つの辺部の最小間隔が1.5mmとなるようにして取り付け、サンプルの表面側を180度折り畳む屈曲試験(易接着層が内側)を最大で10万回行い、屈曲部に、割れ、折れ痕、白化、破断等が生じていないか目視で確認した。
折り畳み回数1万回ごとに、目視でサンプルの確認を行い、屈曲部に変化が見られなかったサンプルや、屈曲部に変化が見られるものの実使用上問題ないレベルのサンプルについては、屈曲試験を継続した。屈曲部に明らかな割れ、折れ痕、白化、破断等が生じたものについては、試験を中止した。試験を中止したサンプルについては、変化が見られた折り畳み回数を記録した。10万回行った後に、耐屈曲性を下記基準で評価した。
◎:屈曲部に割れ、破断はなく、かつ、折れ痕、白化が生じなかった。
○:屈曲部に割れ、破断はなく、折れ痕は残るが、白化は生じなかった。
△:屈曲部に割れ、破断はなく、折れ痕は残り、白化も生じた。
×:屈曲部に割れまたは破断が生じた。
1-2 ハードコート層を積層した積層フィルムの物性
(易接着フィルム/ハードコート層の密着性)
実施例で得られた易接着フィルムの易接着層表面に、ハードコート層形成用塗液(アクリル系ハードコート樹脂(大日精化社製 セイカビームEXF01BPHC))を硬化後の厚みが3μmになるように塗布し、低圧水銀灯UVキュア装置(東芝ライテック社製、40mW/cm、一灯式)で250mJ/cmの紫外線を照射してキュアリングを行い、易接着フィルム上にハードコート層を積層した積層フィルムを得た。
JIS K5600に記載の方法に従い、クロスカット法によって、セロハンテープ剥離後の残存率にて、密着性を評価した。実用上、残存率は85%以上であることが好ましい。
(干渉縞)
ハードコート層を積層した積層フィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、ハードコート層を積層した側の面とは反対の面に黒色光沢テープ(ヤマト社製、ビニールテープNo.200-50-21:黒)を貼り合わせ、ハードコート層面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(パナソニック社製 パルック、F.L15EX-N15W)を光源として、30~60°の斜め上方より反射光を目視で観察し、下記の基準で干渉縞を評価した。
5:干渉縞が見られない。
4:干渉縞がわずかに見えるのみで、外観が良好。
3:干渉縞がみられるが、実用可能なレベルの外観。
2:干渉縞がみられ、実用不可能なレベルの外観。
1:干渉縞が非常に目立ち、外観が不良。
(分光反射スペクトルの振幅強度)
ハードコート層を積層した積層フィルムの測定面(ハードコート層側)の裏側に50mm幅の黒色光沢テープ(ヤマト社製、ビニールテープNo.200-50-21:黒)を気泡が入らないように貼り付け、約4cm角に切り出し、分光光度計(島津製作所社製、UV2550)を用いて入射角5°で、波長380~780nmの範囲で分光反射率を測定した。なお反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl板を用いた。
波長450~550nmの領域における振幅強度(隣り合う2つの極値を有する分光反射率の差)を計算した。実用上、振幅強度は、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
(全光線透過率およびヘイズ)
ハードコート層を積層した積層フィルムを、濁度計(日本電色工業社製、「NDH2000」)を用い、JIS K 7136に従って測定した。実用上の性能を考えた場合、全光線透過率は、80%以上であることが好ましい。また、ヘイズは、1.0%以下であることが好ましい。
(動摩擦係数)
ハードコート層を積層した積層フィルムのハードコート層と、ハードコート層を積層していない易接着フィルムの易接着層との間の動摩擦係数を、JIS K7125に基づいた方法で測定した。具体的には、動摩擦係数測定用サンプルを23℃×50%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下において、動摩擦係数を測定した。実用上、動摩擦係数は、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。
2.材料
2-1 基材フィルムを構成する樹脂、および基材フィルムとして、下記のものを使用した。
・半芳香族ポリアミド樹脂(T-1)
1343gの1,9-ノナンジアミン(NDA)、237gの2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)、1627gのテレフタル酸(TPA)(平均粒径:80μm)(NDA:MODA:TPA=85:15:99、モル比)、48.2gの安息香酸(BA)(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.2gの亜リン酸(PA)(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。
上記原料を、80℃で0.5時間、毎分28回転で攪拌した後、230℃に昇温し、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応生成物を取り出した。該反応生成物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合した。
固相重合物を、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押し出し、冷却、切断して、ペレット状の半芳香族ポリアミド樹脂(T-1)を調製した。
・半芳香族ポリアミド樹脂(T-2):ナイロン6T樹脂(三井化学社製 アーレンE)
・半芳香族ポリアミド樹脂(T-3):芳香族ナイロン樹脂(ユニチカ社製 ゼコットXN500)
・ポリエチレンテレフタレート樹脂(T-4):日本エステル社製、固有粘度0.6
・ポリイミドフィルム(S-1):三菱ガス化学社製「ネオプリム」、厚さ30μm
・全芳香族ポリアミドフィルム(S-2):東レ社製「ミクトロン」、厚さ30μm
・ポリエチレンナフタレートフィルム(S-3):帝人フィルムソリューション社製「テオネックス」、厚さ25μm
2-2 易接着層を形成するための液状物は、下記のバインダ樹脂を含有する水性分散体を使用して調製した。
・ウレタン樹脂水性分散体(E-1)
テレフタル酸/イソフタル酸/ナフタレンジカルボン酸/セバシン酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/トリレンジイソシアネート(5/10/10/10/30/5/15/15(mol%))から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂の水性分散体(固形分濃度20質量%)
・ウレタン樹脂水性分散体(E-2)
安息香酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド/キシリレンジシソシアネート(5/50/45(mol%))から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂(固形分濃度20質量%)
・ウレタン樹脂水性分散体(E-3)
テレフタル酸/イソフタル酸/メタクリル酸2-ヒドロキシエチル/ジエチレングリコール/イソホロンジイソシアネート(15/15/15/50/5(mol%))から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂(固形分濃度20質量%)
・ウレタン樹脂水性分散体(E-4)
ヘキサンジオール/ジエチルカーボネート/トリレンジイソシアネート(25/30/45(mol%))から形成されるポリカーボネート系ウレタン樹脂(固形分濃度20質量%)
・アクリル樹脂水性分散体(E-5)
メタクリル酸/アクリル酸ブチル(50/50(mol%))から形成されるアクリル樹脂(固形分濃度25質量%)
・ポリエステル樹脂水性分散体(E-6):ユニチカ社製「エリーテル KT-8803」、固形分濃度30質量%
・ポリオレフィン樹脂水性分散体(E-7):ユニチカ社製「アローベース SD-1010」、固形分濃度2質量%
2-3 有機系微粒子、無機系微粒子として下記のものを使用した。
・アクリル粒子(F-1):JXTGエネルギー社製「エポスター NMB-0220C」、平均粒子径2μm
・アクリル粒子(F-2):JXTGエネルギー社製「エポスター NMB-0520C」、平均粒子径5μm
・アクリル粒子(F-3):綜研化学社製「MX-80H3WT」、平均粒子径0.9μm
・メラミン・ホルムアルデヒド粒子(F-4):日本触媒社製「エポスター S6」、平均粒子径0.4μm
・ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド粒子(F-5):日本触媒社製「エポスター MS」、平均粒子径2μm
・シリカ粒子(F-6):日本触媒社製「シーホスター KE-W50」、平均粒子径0.5μm、固形分濃度20質量%
・酸化チタン粒子(F-7):石原産業社製「TTO-51(A)」、平均粒子径0.01~0.03μm
・酸化チタン粒子(F-8):堺化学工業社製「R-38L」、平均粒子径0.4μm
・コロイダルシリカ粒子(F-9):扶桑化学社製「クォートロンPL-7」、平均粒子径0.07μm
実施例1
ウレタン樹脂水性分散体(E-1)とアクリル粒子(F-1)とを、易接着層を構成する成分全体に対して、アクリル粒子(F-1)の含有量が0.2質量%になるように混合し、易接着層形成用液状物を調製した。
半芳香族ポリアミド樹脂(T-1)を、シリンダー温度320℃、スクリュー径50mmの単軸押出機に投入して溶融し、金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF-10」、絶対粒径:30μm)を用いて濾過後、320℃に加熱したTダイよりフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を、50℃の冷却ロール上に、静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルム(厚さ:500μm)を得た。
続いて、上記易接着層形成用液状物を、グラビアコート機を用いて、乾燥、延伸後の易接着層の厚みが、0.2μmになるように未延伸フィルムに塗布し、テンター方式同時二軸延伸機に導いて、未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、同時二軸延伸をおこなって、易接着フィルムを得た。延伸は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、縦延伸歪み速度が2400%/分、横延伸歪み速度が2760%/分、縦延伸倍率が3.0倍、横延伸倍率が3.3倍の条件で行った。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ50μmの二軸延伸された易接着フィルムを得た。
実施例2~23、26~40、比較例1~9
基材フィルムを構成する樹脂の種類、基材フィルムの厚み、易接着層を構成する樹脂の分散体の種類、微粒子の種類や含有量、易接着層の厚みをそれぞれ表1~2に記載のように変更する以外は実施例1と同様の操作を行って易接着フィルムを得た。なお、実施例23においては、未延伸フィルムとして、厚みが250μmのものを使用し、比較例3においては、基材フィルムを構成する樹脂として、基材フィルムを構成する成分全体に対してアクリル粒子(F-1)を0.2質量%含有する半芳香族ポリアミド樹脂(T-1)を使用した。
実施例24
実施例1と同様にして、易接着層形成用液状物と、厚み250μmの未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムを、130℃で縦方向に3.0倍延伸させた後、易接着層形成用液状物を、グラビアコート機を用いて、乾燥、延伸後の易接着層の厚みが、0.2μmになるように、縦延伸フィルムに塗布し、次に130℃で2秒間予熱した後、テンター方式延伸機に導いて、縦延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、横延伸をおこなって、易接着フィルムを得た。延伸は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、横延伸歪み速度が2760%/分、横延伸倍率が3.3倍の条件で行った。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ50μmの二軸延伸された易接着フィルムを得た。
実施例25
実施例1と同様に、未延伸フィルムに易接着層形成用液状物を塗布したのち、乾燥し、塗布した面の反対面にも、実施例1と同様に、易接着層形成用液状物を塗布し、二軸延伸機に導いて延伸し、熱固定、弛緩処理を施し、基材フィルムの両面に易接着層を有する易接着フィルムを得た。
比較例10~12
基材フィルムとしてフィルム(S-1)~(S-3)を使用し、これに、グラビアコート機を用いて、実施例1と同様にして調製した易接着層形成用液状物を、乾燥後の易接着層の厚みが0.2μmになるように塗布し、150℃で乾燥を行って、易接着フィルムを得た。
比較例13
ポリエチレンテレフタレート樹脂(T-4)を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、25℃の冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み500μmの未延伸フィルムを得た。
続いて、未延伸フィルムを、90℃で縦方向に3.0倍延伸させた後、グラビアコート機を用いて、実施例1と同様にして調製した易接着層形成用液状物を、乾燥、延伸後の易接着層の厚みが、0.2μmになるように塗布し、次に温度90℃で2秒間予熱した後、240℃で横方向に3.3倍の倍率で延伸し、厚さ50μmの二軸延伸フィルムを得た。
実施例、比較例の易接着フィルムについて、製造条件およびその特性を表1~2に示す。
Figure 2022034576000001
Figure 2022034576000002
実施例の易接着フィルムは、基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、易接着層が特定の表面形状を有するため、基材フィルムと易接着層との密着性、透明性、耐屈曲性に優れるものであった。また、ハードコート層を積層した積層フィルムは、易接着層とハードコート層との密着性に優れ、干渉縞の発生が低減されたものであった。さらに、易接着層は、有機系および/または無機系微粒子を含むと、ハードコート層との滑り性にも優れるものであった。
比較例1のフィルムは、易接着層を設けていないため、ハードコート層の密着性、滑り性に劣り、干渉縞が発生するものであった。比較例2のフィルムは、易接着層の表面形状が本発明で規定する範囲にないため、滑り性に劣るものであった。比較例3において、基材フィルムに滑剤を含有させると、透明性が不十分になる傾向があった。
比較例4のフィルムは、易接着層の平均厚みがうすいため、密着性が低下し、干渉縞が発生した。比較例5のフィルムは、易接着層の平均厚みが厚いため、ハードコート層を積層すると、干渉縞が発生した。
比較例6のフィルムは、易接着層面のPcが700pks/mmを超えるため、密着性、透明性に劣るものであった。比較例7のフィルムは、易接着層面のPcが10pks/mm未満であるため、滑り性に劣るものであった。
比較例8、9のフィルムは、易接着層面のPcが10pks/mm未満であり、Saが0.1μmを超えるため、干渉縞が発生し、滑り性に劣るものであった。
比較例10~13のフィルムは、基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂以外の樹脂からなるため、耐屈曲性に劣るものであった。

Claims (14)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に易接着層を有する易接着フィルムであって、
    基材フィルムが半芳香族ポリアミド樹脂からなり、
    易接着層の平均厚みが0.01~5μmであり、
    易接着層面は、ピークカウントPcが10~700pks/mmであり、かつ算術平均高さSaが0.002~0.1μmであることを特徴とする易接着フィルム。
  2. 易接着層の表面同士の動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする請求項1に記載の易接着フィルム。
  3. ヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の易接着フィルム。
  4. 易接着層がバインダ樹脂と有機系および/または無機系微粒子とを含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の易接着フィルム。
  5. バインダ樹脂と有機系および/または無機系微粒子との質量比(バインダ樹脂/(有機系および/または無機系微粒子))が99.9/0.1~80/20であることを特徴とする請求項4に記載の易接着フィルム。
  6. バインダ樹脂がウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の易接着フィルム。
  7. ウレタン樹脂がポリエステルウレタンであることを特徴とする請求項6に記載の易接着フィルム。
  8. 有機系微粒子がアクリル系粒子を含むことを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の易接着フィルム。
  9. 易接着フィルムの易接着層面に積層したハードコート層面からの分光反射スペクトルを、波長380~780nmの範囲で測定したときの、波長450~550nmの領域における振幅強度(隣り合う2つの極値が有する分光反射率の差)が1.0%以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の易接着フィルム。
  10. 基材フィルムの両面に易接着層を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の易接着フィルム。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の易接着フィルムを製造するための方法であって、半芳香族ポリアミド樹脂からなる未延伸フィルムに、易接着層形成用液状物を塗布、乾燥後、未延伸フィルムを延伸する工程を含むことを特徴とする易接着フィルムの製造方法。
  12. 請求項1~10のいずれかに記載の易接着フィルムの易接着層面に機能層が積層された積層フィルム。
  13. 機能層がハードコート層であることを特徴とする請求項12に記載の積層フィルム。
  14. 請求項1~10のいずれかに記載の易接着フィルム、または、請求項12もしくは13に記載の積層フィルムを用いたディスプレイ。

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