JP2022032575A - インダクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐圧性を達成するインダクタを提供する。【解決手段】インダクタは、対向する2つの平面を有する導線を巻回してなる巻回部及び一対の引き出し部を有するコイル並びに磁性粉を含み、コイルを埋設する磁性部を含む素体10と、素体の表面に配置され、引き出し部と夫々接続する一対の外部電極と、を備える。巻回部は、上下2段からなり、上段32Aでは導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で下段32Bに接続され、下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回される。引き出し部は、上段の最外周から引き出された第1引き出し部34Aと、下段の最外周から引き出された第2引き出し部からなる。第1引き出し部は、第1側面に引き出され、第1側面の幅方向Wの中央部の幅が、巻回部における導線の幅よりも狭い。第2引き出し部は、第2側面に引き出され、第2側面の幅方向の中央部の幅が、巻回部における導線の幅よりも狭い。【選択図】図2
Description
本発明は、インダクタに関する。
特許文献1には、導線を巻回して形成されたコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いて形成され、コイルを内蔵する成形体とを備える表面実装インダクタであって、コイルの引き出し端部が導線を押しつぶして形成され、外部端子と接続してなる表面実装インダクタが記載されている。
インダクタにおいては大電流化が求められている。平角線を用いて巻回部が上下2段に構成され、上段下段のそれぞれから引き出し部が素体の側面に引き出され、外部電極と接続されるインダクタにおいて、平角線を押しつぶして幅広の引き出し部を形成すると、引き出し部と外部電極との接続面積を広くできる。これにより、コイルと外部電極との接続抵抗が低減され、大電流化への対応が容易になる。
しかしながら、引き出し部が幅広になっていると、上段からの引き出し部と巻回部の下段とが接近し、また下段からの引き出し部と巻回部の上段とが接近することになる。上段からの引き出し部と巻回部の下段との間、および下段からの引き出し部と巻回部の上段との間は電位差が大きくなっていることから、インダクタの耐圧性に懸念が生じる場合がある。
これに対して、引き出し部が巻回部と接近する側面の幅方向の中央部においては、引き出し部の幅を広げずに、巻回部から離れる引き出し部の先端側において広げることで、耐圧性を維持しつつ、接続面積を広げることが考えられる。しかしながら、このような構成では、より一層の耐圧性の向上への対応が困難な場合があった。本発明は、優れた耐圧性が達成できるインダクタの提供を目的とする。
第1態様は、対向する2つの平面を有する導線を巻回してなる巻回部および一対の引き出し部を有するコイル、ならびに磁性粉を含み、コイルを埋設する磁性部を含む素体と、記素体の表面に配置され、引き出し部とそれぞれ接続する一対の外部電極と、を備えるインダクタである。素体は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面にそれぞれ隣接し、互いに対向する第1側面および第2側面とを有する。巻回部は、第1主面側の下段と第2主面側の上段の上下2段からなり、上段では導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で下段に接続され、下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回されてなる。一対の引き出し部は、上段の最外周から引き出された第1引き出し部と、下段の最外周から引き出された第2引き出し部とからなる。第1引き出し部は、第1側面に引き出され、第1側面の幅方向の中央部における第1引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第2主面方向に狭くなっている。第2引き出し部は、第2側面に引き出され、第2側面の幅方向の中央部における第2引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第1主面方向に狭くなっている。
本発明によれば、優れた耐圧性が達成できるインダクタを提供できる。
インダクタは、対向する2つの平面を有する導線を巻回してなる巻回部および一対の引き出し部を有するコイル、ならびに磁性粉を含み、コイルを埋設する磁性部を含む素体と、素体の表面に配置され、引き出し部とそれぞれ接続する一対の外部電極と、を備える。素体は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面にそれぞれ隣接し、互いに対向する第1側面および第2側面とを有する。巻回部は、第1主面側の下段と第2主面側の上段の上下2段からなり、上段では導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で下段に接続され、下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回されてなる。一対の引き出し部は、上段の最外周から引き出された第1引き出し部と、下段の最外周から引き出された第2引き出し部とからなる。第1引き出し部は、第1側面に引き出され、第1側面の幅方向の中央部における第1引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第2主面方向に狭くなっている。第2引き出し部は、第2側面に引き出され、第2側面の幅方向の中央部における第2引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第1主面方向に狭くなっている。
インダクタでは、第1側面の幅方向の中央部における第1引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第2主面方向に狭くなっていることから、電位差が大きくなる第1引き出し部と巻回部の下段との距離を大きくできる。また、第2側面の幅方向の中央部における第2引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第1主面方向に狭くなっていることから、電位差が大きくなる第2引き出し部と巻回部の上段との距離を大きくできる。これによりインダクタの耐圧性が向上する。
第1引き出し部は、その幅が第1引き出し部の先端に向けて単調に増加する領域を有していてもよく、第2引き出し部は、その幅が第2引き出し部の先端に向けて単調に増加する領域を有していてもよい。第1引き出し部および第2引き出し部の幅が、先端に向けて末広がりになっていることで、局所的な応力の集中を抑制でき、第1引き出し部または第2引き出し部における断線の発生を抑制できる。
第1引き出し部の先端は、素体方向に折り曲げられて素体に埋設されていてもよく、第2引き出し部の先端が、素体方向に折り曲げられて素体に埋設されていてもよい。第1または第2引き出し部の先端が素体に埋設されていることで、第1または第2引き出し部の素体からの剥離をより効果的に抑制でき、インダクタの信頼性がより向上する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、インダクタを例示するものであって、本発明は、以下に示すインダクタに限定されない。なお特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。実施例2では実施例1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
実施例1のインダクタを図1から図3を参照して説明する。図1はインダクタ100を第2主面側から見た部分透過平面図である。図2はインダクタ100を構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。図3はインダクタを構成する素体10を第2側面16B側から見た部分透過平面図である。
実施例1のインダクタを図1から図3を参照して説明する。図1はインダクタ100を第2主面側から見た部分透過平面図である。図2はインダクタ100を構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。図3はインダクタを構成する素体10を第2側面16B側から見た部分透過平面図である。
図1から図3に示されるように、インダクタ100は、コイル30と、磁性粉および樹脂を含み、コイル30を埋設する磁性部とを含む素体10と、素体10の表面に配置されてコイル30と電気的に接続される1対の外部電極40A、40Bとを備える。素体10は略直方体形状を有し、実装面側の第1主面12Aと、第1主面12Aに対して高さ方向(T方向)で対向する第2主面12Bと、第1主面12Aおよび第2主面12Bに隣接してそれぞれに略直交し、互いに長さ方向(L方向)で対向する第1側面16Aおよび第2側面16Bと、第1主面12ならびに第1側面16Aおよび第2側面16Bに隣接してそれぞれ略直交し、互いに幅方向(W方向)で対向する第3側面18Aおよび第4側面18Bとを有する。コイル30は、導体が巻軸の周りに巻回されてなる巻回部32および巻回部32の最外周から引き出される一対の引き出し部として第1引き出し部34Aおよび第2引き出し部34Bを有する。コイル30は、第1引き出し部34Aを素体10の第1側面16Aに露出し、第2引き出し部34Bを素体10の第2側面16Bに露出して素体10に埋設される。
コイル30は、表面に被覆層を有し、厚み方向で対向する2つの平面を有する一本の導線を巻回して形成される。導線の延伸方向(長さ方向)に直交する断面の形状は、厚みおよび幅で規定される略矩形状であってよい。コイル30の巻回部32は、第1主面12A側の下段と第2主面12B側の上段の上下2段からなり、上段では導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で下段に接続され、下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回されてなる。すなわち、コイル30の巻回部32は、導線の両端が最外周部に位置し、導線の幅で規定される面の一方が外周側になり、他方の面が内周側になるようにし、導線の幅で規定される面を巻軸に対して平行にして、導体の幅で規定される面の少なくとも一部が重なるように渦巻状に巻回されるとともに、最内周で繋り、導線の厚みで規定される面を互いに対向させた上下2段に巻回されてなる(いわゆるα巻き)。コイル30は、巻回部32の巻軸を素体10の第1主面12Aおよび第2主面12Bに交差させて素体10に埋設される。巻回部32の巻軸は第1主面12Aおよび第2主面12Bに略直交していてもよい。
第1引き出し部34Aは、巻回部32の第2主面側の上段の最外周から第1側面16Aに引き出され、一部を第1側面16Aから露出して、外部電極40Aと電気的に接続される。図1および図2では、第1引き出し部34Aは、第1側面16Aの素体の幅方向(W方向)の中央部付近から露出し、第3側面18A方向に延在する。第1引き出し部34Aの外周側の面は、第1側面16Aと略同一平面に配置されていてよく、第1側面16Aから導線の被覆層の厚み程度素体側に配置されてもよい。第2引き出し部34Bは、巻回部32の第1主面側の下段の最外周から第2側面16Bに引き出され、一部を第2側面16Bから露出して、外部電極40Bと電気的に接続される。図1および図3では、第2引き出し部34Bは、第2側面16Bの素体の幅方向(W方向)の中央部付近から露出し、第3側面18A方向に延在する。第2引き出し部34Bの外周側の面は、第2側面16Bと略同一平面に配置されていてよく、第2側面16Bから導線の被覆層の厚み程度素体側に配置されてもよい。
図1に示されるように、第1又は第2側面の素体10の幅方向(W方向)の中央部付近では、第1又は第2引き出し部と巻回部32との素体10の長さ方向(L方向)における距離d1が、第1又は第2引き出し部の先端付近における距離d2よりも短くなっている。インダクタ100では、第1又は第2引き出し部の先端付近に導線の厚みが薄くなっている領域が設けられる。
図2に示されるように素体10の第1側面16Aにおいては、巻回部の上段32Aから引き出された第1引き出し部34Aが素体10の表面から露出している。露出した第1引き出し部34Aは、素体10の幅方向(W方向)の中央部付近に、第1引き出し部34Aの導線の幅が、巻回部における導線の幅よりも幅d3だけ、第2主面12B方向に狭くなっている幅狭部36Aを有している。これにより、インダクタの耐圧性の懸念が小さくなる。幅狭部36Aは導線の幅を削って形成されていてよく、導線の幅方向に圧縮されて形成されていてもよい。また第1引き出し部34Aは、第3側面18A側に導線の幅が巻回部における導線の幅よりも広くなっている幅広部38Aを有している。これにより、第1引き出し部34Aと外部電極40Aとの接続面積が大きくなり、インダクタの直流抵抗が低減され、また接続信頼性が向上する。幅広部38Aは、導線を厚み方向に圧縮して形成され、図1における導線の厚みが薄い部分に対応する。図2では、幅広部38Aは素体の高さ方向(T方向)に上下非対称に拡幅して形成されているが、対称に形成されていてもよい。また、幅広部38Aは、第2主面12B側には拡幅せず、第1主面12A側にのみ拡幅していてもよい。
また図3に示されるように素体10の第2側面16Bにおいては、巻回部の下段32Bから引き出された第2引き出し部34Bが素体10の表面から露出している。露出した第2引き出し部34Bは、素体10の幅方向(W方向)の中央部付近に、第2引き出し部34Bの導線の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第1主面12A方向に狭くなっている幅狭部36Bを有している。これにより、インダクタの耐圧性の懸念が小さくなる。また第2引き出し部34Bは、第3側面18A側に導線の幅が巻回部における導線の幅よりも広くなっている幅広部38Bを有している。これにより、第2引き出し部34Bと外部電極40Bとの接続面積が大きくなり、インダクタの直流抵抗が低減され、また接続信頼性が向上する。幅広部38Bは、導線を厚み方向に圧縮して形成され、図1における導線の厚みが薄い部分に対応する。図3では、幅広部38Bは素体の高さ方向(T方向)に上下非対称に拡幅して形成されているが、対称に拡幅して形成されていてもよい。また、幅広部38Bは、第1主面12A側には拡幅せず、第2主面12B側にのみ拡幅していてもよい。
インダクタ100では、図1に示すように外部電極40Aは、素体10の第1主面12Aおよび第1側面16Aの2面に亘って配置され、第1側面16Aにおいて露出するコイル30の第1引き出し部34Aと接続される。また、外部電極40Bは、素体10の第1主面12Aおよび第2側面16Bの2面に亘って配置され、第2側面16Bにおいて露出するコイル30の第1引き出し部34Bと接続される。外部電極40A、40Bは、銀粒子、銅粒子等の導電性粒子と結着樹脂とを含む導電性樹脂層であってよい。さらに、外部電極40A、40Bは、導電性樹脂層上に形成されるめっき層を含んでいてよい。めっき層は、例えば、ニッケルから形成される層と、その上に形成され、スズから形成される層とを含んでいてよい。外部電極が形成される領域は、素体の表面から素体を構成する樹脂の一部、磁性粉の表面を被覆する絶縁層の一部が除去された磁性粉露出領域であってもよい。磁性粉露出領域では、一部の磁性粉が連結してネットワーク構造を形成し、表面粗さが大きくなっているため、導電性樹脂層の素体への接着性が向上する。
第1側面16Aから露出する第1引き出し部34Aの素体の幅方向における長さは、例えば、素体の幅Wの1/5以上であってよい。また、幅狭部36Aにおける導線の幅は、巻回部における導線の幅の9/10以下であってよく、幅広部38Aにおける導線の幅は、巻回部における導線の幅の11/10以上であってよい。第2引き出し部34Bの長さおよび幅についても同様である。
素体10の大きさは、長さLが例えば1mm以上3.4mm以下、好ましくは1mm以上3mm以下であり、幅Wが例えば0.5mm以上2.7mm以下、好ましくは0.5mm以上2.5mm以下であり、高さTが例えば0.5mm以上2mm以下、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。素体の大きさとして具体的には、L×W×Tが例えば、1mm×0.5mm×0.5mm、1.6mm×0.8mm×0.8mm、2mm×1.2mm×1mm、2.5mm×2mm×1.2mmであってよい。
素体10を構成する磁性部は、磁性粉と樹脂を含有する複合材料から形成される。磁性粉としては、Fe、Fe-Si、Fe-Ni、Fe-Si-Cr、Fe-Si-Al、Fe-Ni-Al、Fe-Ni-Mo、Fe-Cr-Al、等の鉄系の金属磁性粉、他の組成系の金属磁性粉、アモルファス等の金属磁性粉、表面がガラス等の絶縁層で被覆された金属磁性粉、表面を改質した金属磁性粉、ナノレベルの微小な金属磁性粉末が用いられる。また、樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂が用いられる。磁性部における磁性粉の面積比率は、例えば50%以上85%以下、好ましくは60%以上85%以下または70%以上85%以下である。面積比率は、インダクタの中心を通り長手方向の断面の中央部の所定領域に存在する磁性粉の合計面積を、所定領域の面積で除して求めることができる。
コイルを形成する導線の厚みは例えば0.01mm以上1mm以下であってよい。導線の幅は例えば0.1mm以上2mm以下であってよい。導線断面のアスペクト比(幅/厚み)は例えば1/1以上、または1/1以上30/1以下であってよい。また、導線を被覆する被覆層は、厚みが、例えば2μm以上20μm以下のポリイミド、ポリアミドイミド等の絶縁性樹脂で形成される。被覆層の表面には、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等の自己融着成分を含む融着層が更に設けられていてもよく、その厚みが1μm以上8μm以下に形成されていてもよい。融着層が設けられることで、巻回部の巻き解けをより効果的に抑制できる。
素体10の表面には、保護層が配置されていてよい。保護層は外部電極が配置される領域以外の素体の表面に配置されてよいし、引き出し部が露出する領域以外の素体の表面に配置されてもよい。保護層は例えば、樹脂を含んで構成されてよい。保護層を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。保護層はフィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては酸化ケイ素、酸化チタン等の非導電性フィラーが用いられる。保護層は例えば、樹脂とフィラーを含む樹脂組成物を、素体の表面に塗布、ディップ等の手段により付与し、必要に応じて、付与された樹脂の硬化により形成される。保護層は、水ガラス等の無機材料から形成されてもよい。また、保護層は、磁性粉露出領域以外の領域に形成されていてもよい。
素体にはマーカー(図示せず)が付与されていてもよい。マーカーは例えば、素体の上面の、巻回部の下段から引き出し部が引き出される側に付与され、インダクタの極性を示してよい。マーカーは例えば、印刷、レーザー刻印等で付与される。
インダクタの製造方法
次にインダクタの製造方法について説明する。インダクタは、例えば、導体を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、形成されたコイルの引き出し部を所望の形状に加工する加工工程と、引き出し部を露出させて金属磁性粉と樹脂を含む複合材料に埋設し、金型等で加圧することにより、コイルとコイルを埋設する磁性部とからなる素体を成形する素体形成工程と、素体の表面に露出した引き出し部と接続する外部電極を形成する外部電極形成工程とを含む製造方法で製造できる。
次にインダクタの製造方法について説明する。インダクタは、例えば、導体を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、形成されたコイルの引き出し部を所望の形状に加工する加工工程と、引き出し部を露出させて金属磁性粉と樹脂を含む複合材料に埋設し、金型等で加圧することにより、コイルとコイルを埋設する磁性部とからなる素体を成形する素体形成工程と、素体の表面に露出した引き出し部と接続する外部電極を形成する外部電極形成工程とを含む製造方法で製造できる。
実施例1のインダクタ100では、素体の幅方向(W方向)の中央部における引き出し部の幅が、巻回部における導線の幅よりも狭くなっているが、素体の幅方向(W方向)の中央部における引き出し部の幅が、引き出し部の先端における幅よりも狭くなっていてもよい。すなわち、別態様のインダクタは、対向する2つの平面を有する導線を巻回してなる巻回部および一対の引き出し部を有するコイル、ならびに磁性粉を含み、コイルを埋設する磁性部を含む素体と、記素体の表面に配置され、引き出し部とそれぞれ接続する一対の外部電極と、を備える。素体は、第1主面と、第1主面に対向する第2主面と、第1主面および第2主面にそれぞれ隣接し、互いに対向する第1側面および第2側面とを有する。巻回部は、第1主面側の下段と第2主面側の上段の上下2段からなり、上段では導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で下段に接続され、下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回されてなる。一対の引き出し部は、上段の最外周から引き出された第1引き出し部と、下段の最外周から引き出された第2引き出し部とからなる。第1引き出し部は、第1側面に引き出され、第1側面の幅方向の中央部における第1引き出し部の幅が、第1引き出し部の先端における幅よりも狭くなっている。第2引き出し部は、第2側面に引き出され、第2側面の幅方向の中央部における第2引き出し部の幅が、第2引き出し部の先端における幅よりも狭くなっている。別態様のインダクタでは、第1側面の幅方向の中央部における第1引き出し部の幅は、巻回部における導線の幅と略同一であってよく、第2側面の幅方向の中央部における第2引き出し部の幅は、巻回部における導線の幅と略同一であってよい。
実施例2
実施例2のインダクタを、図4および図5を参照して説明する。図4はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。図5はインダクタを構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。実施例2のインダクタでは、引き出し部が、その幅が先端に向けて単調に増加する領域を有し、台形状の部分形状を有していること以外は実施例1のインダクタと同様に構成される。
実施例2のインダクタを、図4および図5を参照して説明する。図4はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。図5はインダクタを構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。実施例2のインダクタでは、引き出し部が、その幅が先端に向けて単調に増加する領域を有し、台形状の部分形状を有していること以外は実施例1のインダクタと同様に構成される。
図4および図5に示すように、実施例2のインダクタでは、素体10の第1側面16Aにおいては、巻回部の上段32Aから引き出された第1引き出し部34Aが素体10の表面から露出している。露出した第1引き出し部34Aは、素体10の幅方向(W方向)の中央部付近に、第1引き出し部34Aの導線の幅が、巻回部における導線の幅よりも、第2主面12B方向に狭くなっている幅狭部36Aを有している。幅狭部36Aでは、導線の幅が略同一になっている。また、第1引き出し部34Aは、幅狭部36Aから先端に向けて、導線の幅が連続的かつ単調に増加する幅広部38Aを有している。導線の幅が単調に増加していることで、幅狭部36Aと幅広部38Aとの接続部分における過大な応力の発生が抑制され、第1引き出し部34Aにおける導線の破断をより効果的に抑制できる。
図5に示すように幅広部38Aの最大幅は、巻回部における導線の幅よりも広くなっている。これにより第1引き出し部34Aと外部電極40Aとの接続面積が大きくなり、インダクタの直流抵抗がより低減され、また接続信頼性がより向上する。幅広部38Aは、導線を厚み方向に圧縮して形成され、図4における導線の厚みが連続的かつ単調に薄くなっていく部分に対応する。図5では、幅広部38Aは素体の高さ方向(T方向)に上下非対称に拡幅して形成されているが、対称に拡幅して形成されていてもよい。また第2主面12B側には拡幅せず、第1主面12A側にのみ拡幅していてもよい。なお、図示しないが、第2側面16Bに引き出される第2引き出し部34Bも、第1引き出し部34Aと同様の形状になっている。
実施例3
実施例3のインダクタを、図6を参照して説明する。図6はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。実施例3のインダクタでは、引き出し部の先端に、導線が素体方向に折り曲げられた埋設部50A、50Bを有していること以外は実施例2のインダクタと同様に構成される。
実施例3のインダクタを、図6を参照して説明する。図6はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。実施例3のインダクタでは、引き出し部の先端に、導線が素体方向に折り曲げられた埋設部50A、50Bを有していること以外は実施例2のインダクタと同様に構成される。
実施例3のインダクタでは、第1引き出し部34Aおよび第2引き出し部34Bの先端が、それぞれ素体10方向に折り曲げられて素体に埋設され、埋設部50A、50Bを形成している。埋設部50A、50Bが楔となることにより、幅広部の形成によって厚みが減少した第1引き出し部34Aおよび第2引き出し部34Bの素体への接着性が向上する。埋設部の長さは、例えば、引き出し部の長さの1/10以上であってよい。
実施例4
実施例4のインダクタを図7および図8を参照して説明する。図7はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。図8はインダクタを構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。実施例4のインダクタでは、第1引き出し部が、第1側面16Aの素体の幅方向(W方向)の中央部よりも第4側面18B側から露出して第3側面18A方向に延在すること、第1側面16Bの幅方向の中央部から第3側面18A方向および第4側面18B方向において第1引き出し部34Aの幅が、巻回部32における導線の幅と同等である領域が存在すること、第2引き出し部が、第2側面16Bの素体の幅方向(W方向)の中央部よりも第4側面18B側から露出して第3側面18A方向に延在すること、および第2側面16Bの幅方向の中央部から第3側面18A方向および第4側面18B方向において第2引き出し部34Bの幅が、巻回部における導線の幅と同等である領域が存在すること以外は実施例1のインダクタと同様に構成される。
実施例4のインダクタを図7および図8を参照して説明する。図7はインダクタを構成する素体10を第2主面12B側から見た部分透過平面図である。図8はインダクタを構成する素体10を第1側面16A側から見た部分透過平面図である。実施例4のインダクタでは、第1引き出し部が、第1側面16Aの素体の幅方向(W方向)の中央部よりも第4側面18B側から露出して第3側面18A方向に延在すること、第1側面16Bの幅方向の中央部から第3側面18A方向および第4側面18B方向において第1引き出し部34Aの幅が、巻回部32における導線の幅と同等である領域が存在すること、第2引き出し部が、第2側面16Bの素体の幅方向(W方向)の中央部よりも第4側面18B側から露出して第3側面18A方向に延在すること、および第2側面16Bの幅方向の中央部から第3側面18A方向および第4側面18B方向において第2引き出し部34Bの幅が、巻回部における導線の幅と同等である領域が存在すること以外は実施例1のインダクタと同様に構成される。
実施例4のインダクタでは、第1引き出し部34Aが、第1側面16の素体の幅方向(W方向)の中央部付近に幅狭部36Aを有し、中央部から第3側面18A方向、および第4側面方向に幅広部38Aを有している。幅狭部36Aでは第2主面12B方向に導線の幅が狭くなっており、その幅は巻回部における導線の幅よりも狭い。また、幅広部38Aにおける導線の幅は、巻回部における導線の幅と同等になっている。幅広部38Aにおける導線の幅は、巻回部における導線の幅よりも広くなっていてもよい。なお、図示しないが、第2側面16Bに引き出される第2引き出し部34Bも、第1引き出し部34Aと同様の形状になっている。
上述したインダクタでは、外部電極は、素体の第1主面の一部、第1および第2側面の一部に亘って配置されているが、第1主面の一部、第1から第4側面の一部、および第2主面の5面に亘って配置されてもよい。導線の延伸方向の端面は素体の側面に露出していてもよい。導体の延伸方向に直交する断面は矩形状としたが、矩形状にかぎらず、角部が面取りされていてもよく、辺が半円、半楕円等の曲線で構成されてもよい。コイルの巻回部を巻軸方向から見た形状は、長円形以外の形状、例えば、円形状、楕円形状、面取りされた多角形状等であってもよい。素体の底面の外部電極が配置されていない領域には凹部(スタンドオフ)が形成されていてよい。素体底面に設けられる凹部は、幅W方向から見て高さT方向の形状が、半円形状であってもよい。
10 素体
30 コイル
40 外部電極
100 インダクタ
30 コイル
40 外部電極
100 インダクタ
Claims (3)
- 対向する2つの平面を有する導線を巻回してなる巻回部および一対の引き出し部を有するコイル、ならびに
磁性粉を含み、前記コイルを埋設する磁性部を含む素体と、
前記素体の表面に配置され、前記引き出し部とそれぞれ接続する一対の外部電極と、を備え、
前記素体は、第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面と、前記第1主面および第2主面にそれぞれ隣接し、互いに対向する第1側面および第2側面とを有し、
前記巻回部は、前記第1主面側の下段と前記第2主面側の上段の上下2段からなり、
前記上段では前記導線が外周から内周に向かって渦巻状に巻回されて、最内周で前記下段に接続され、前記下段では内周から外周に向かって渦巻状に巻回されてなり、
前記一対の引き出し部は、前記上段の最外周から引き出された第1引き出し部と、前記下段の最外周から引き出された第2引き出し部とからなり、
前記第1引き出し部は、前記第1側面に引き出され、
前記第1側面の幅方向の中央部における前記第1引き出し部の幅が、前記巻回部における導線の幅よりも、前記第2主面方向に狭く、
前記第2引き出し部は、前記第2側面に引き出され、
前記第2側面の幅方向の中央部における前記第2引き出し部の幅が、前記巻回部における導線の幅よりも、前記第1主面方向に狭いインダクタ。 - 前記第1引き出し部は、その幅が第1引き出し部の先端に向けて単調に増加する領域を有し、
前記第2引き出し部は、その幅が第2引き出し部の先端に向けて単調に増加する領域を有する請求項1に記載のインダクタ。 - 前記第1引き出し部の先端が、前記素体方向に折り曲げられて素体に埋設され、
前記第2引き出し部の先端が、前記素体方向に折り曲げられて素体に埋設される請求項1または2に記載のインダクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020136461A JP2022032575A (ja) | 2020-08-12 | 2020-08-12 | インダクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020136461A JP2022032575A (ja) | 2020-08-12 | 2020-08-12 | インダクタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022032575A true JP2022032575A (ja) | 2022-02-25 |
Family
ID=80349986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020136461A Pending JP2022032575A (ja) | 2020-08-12 | 2020-08-12 | インダクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022032575A (ja) |
-
2020
- 2020-08-12 JP JP2020136461A patent/JP2022032575A/ja active Pending
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