JP2022030410A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロック解除の操作時における操作性の低下を抑制する。【解決手段】ステアリング装置1は、ロアージャケット17に対するアッパージャケット16のテレスコ(登録商標)調整の規制及び当該規制の解除を切り替えるロック機構7を備えている。ロック機構は、ロックプレート42の複数の穴57のうち、1つの穴に係合する、回動自在なロック部材40と、ロック部材を回動させるカム38と、カムと一体的に回動する軸体27と、軸体を回動させるための操作部材30と、ロック部材に対してロックプレートに向かう付勢力を付与する付勢部材41と、を有している。付勢部材は、カムに係合し力点P1が形成される第一部位55と、ロック部材に係合し作用点P2を形成する第二部位56とを有している。ロック解除状態での作用点と力点との第一距離d11は、ロック状態での作用点と力点との第二距離d12以下である。【選択図】図6

Description

この発明は、ステアリング装置に関する。
テレスコ(登録商標)調整可能なステアリング装置は、アッパージャケットに固定された梯子状のロックプレートにロック部材のツースを係合させることで、所定のテレスコ位置でアッパージャケットを固定(ロック)する位置固定機構を備えている。ロック時、ツースは、予圧ばねの付勢力によってロックプレートへ押し付けられている。また、操作レバーと一体回転する回転軸に嵌合されたカムが、付勢力に抗う方向へツースを押し上げることで、ツースがロックプレートから離間し、ロックが解除される。予圧ばねは、一端がカムに当接し、他端がロック部材に固定されている。
特開2018-144810号公報
ここで、ロックを解除する際、予圧ばねは、一端がカムに押し付けられた状態で、他端がロック部材とともに動くため、ロック状態と比較して引き伸ばされる。すなわち、予圧ばねを引き伸ばしながらロックを解除するため、操作レバーの操作力が増加する。これによりロック解除の操作時における操作性が低下することになっていた。
このため、本発明は、ロック解除の操作時における操作性の低下を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るステアリング装置は、コラム軸方向の一端に操舵部材が接続されるアッパージャケットと、コラム軸方向におけるアッパージャケットの他端に対して摺動自在に外嵌されたロアージャケットと、ロアージャケットに対するアッパージャケットのテレスコ調整の規制及び当該規制の解除を切り替えるロック機構と、を備えている。ロック機構は、コラム軸方向に配列された複数の穴を有し、アッパージャケットに固定されたロックプレートと、複数の穴のうち、1つの穴に係合する、回動自在なロック部材と、ロック部材を回動させるカムと、カムを軸支し、当該カムと一体的に回動する軸体と、軸体を回動させるための操作部材と、ロック部材に対して、ロックプレートに向かう付勢力を付与する付勢部材と、を有している。付勢部材は、カムに係合し、当該カムにより力点が形成される第一部位と、ロック部材に係合し、当該ロック部材に対して作用点を形成する第二部位と、を有している。ロック部材が1つの穴から離脱したロック解除状態での作用点と力点との第一距離は、ロック部材がロックプレートの1つの穴に係合したロック状態での作用点と力点との第二距離以下である。
本発明によれば、ロック解除の操作時における操作性の低下を抑制することができる。
実施の形態1に係るステアリング装置の模式的な斜視図である。 実施の形態1に係るステアリング装置の概略構成を示す模式的な側面図である。 図2のIII-III線に沿うステアリング装置の概略断面図である。 実施の形態1に係るステアリング装置の要部の分解斜視図である。 図2のV-V線に沿うステアリング装置の概略断面図である。 図5のVI-VI線に沿うステアリング装置の概略断面図である。 図6においてツースが穴から退避した状態を示す図である。 実施の形態2に係る、ロック状態におけるステアリング装置の概略断面図である。 実施の形態2に係る、ロック解除状態におけるステアリング装置の概略断面図である。
以下に、本発明に係るステアリング装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係及び接続状態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るステアリング装置の模式的な斜視図である。図2は、実施の形態1に係るステアリング装置の概略構成を示す模式的な側面図である。
図2において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。図1及び図2に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、コラムジャケット4と、ロアーブラケット5と、ブラケットとしてのアッパーブラケット6と、ロック機構7とを主に含んでいる。
ステアリングシャフト3では、後側の一端3Aに操舵部材8が取り付けられ、前側の他端3Bが、自在継手9、インターミディエイトシャフト10、自在継手11及びピニオン軸12を順に介してステアリング機構13に連結されている。ステアリング機構13は、ラックアンドピニオン機構等で構成されている。ステアリング機構13は、ステアリングシャフト3の回転が伝達されたことに応じて、図示しないタイヤ等の転舵輪を転舵させる。
ステアリングシャフト3は、全体として、車体2の前後方向に延びる略円筒状または略円柱状である。
以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向をコラム軸方向Xとする。この実施の形態のコラム軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。コラム軸方向Xにおいて操舵部材8側である後側には、符号「X1」を付し、コラム軸方向Xにおいて操舵部材8とは反対側である前側には、符号「X2」を付す。後側X1は、車体2の後側と一致し、前側X2は、車体2の前側と一致している。
コラム軸方向Xに直交する方向のうち、図2において紙面と垂直な方向を左右方向Yといい、図2において略上下に延びる方向を上下方向Zという。左右方向Yにおいて、図2の紙面の奥側は、右側Y1であり、紙面の手前側は、左側Y2である。上下方向Zにおける上側には、符号「Z1」を付し、上下方向Zにおける下側には、符号「Z2」を付す。
なお、図2以外の各図において図2のX~Zの各方向に対応する方向には、図2と同じ符号を付している。
ステアリングシャフト3は、円筒状または円柱状のアッパーシャフト14及びロアーシャフト15を含んでいる。アッパーシャフト14は、ロアーシャフト15よりも後側X1に配置されている。アッパーシャフト14とロアーシャフト15とは、同軸状に並んでいる。
アッパーシャフト14における後側X1の端部が、ステアリングシャフト3の一端3Aであり、当該端部に操舵部材8が連結されている。アッパーシャフト14では、少なくとも前側X2の端部が円筒状になっている。アッパーシャフト14の前側X2の端部には、ロアーシャフト15の後側X1の端部が前側X2から挿入されている。
アッパーシャフト14とロアーシャフト15とは、スプライン嵌合やセレーション嵌合によって嵌合している。そのため、アッパーシャフト14とロアーシャフト15とは、一体回転自在であるとともに、コラム軸方向Xに沿って相対移動自在である。よって、ステアリングシャフト3は、コラム軸方向Xに伸縮可能である。
コラムジャケット4は、全体として、コラム軸方向Xへ延びる中空体である。コラムジャケット4には、ステアリングシャフト3が収容されている。コラムジャケット4は、コラム軸方向Xに延びる略筒状をなすアッパージャケット16及びロアージャケット17を有している。
アッパージャケット16は、ロアージャケット17よりも後側X1に位置している。言い換えると、ロアージャケット17は、アッパージャケット16よりも前側X2に位置している。ロアージャケット17は、アッパージャケット16よりも太く、アッパージャケット16に対して外嵌されている。詳しくは、アッパージャケット16の前側X2の端部16Aが、ロアージャケット17の後側X1の端部17Aに対して後側X1から挿入されている。言い換えると、ロアージャケット17は、アッパージャケット16の一部を収容している。この状態で、アッパージャケット16は、ロアージャケット17に対するコラム軸方向Xへの摺動自在である。この摺動によって、コラムジャケット4は、コラム軸方向Xに沿って伸縮自在である。
また、ステアリングシャフト3は、図示しない軸受によってコラムジャケット4に対して連結されていることから、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を回転自在に支持している。
詳しくは、アッパーシャフト14とアッパージャケット16とは、図示しない軸受を介して連結されている。また、ロアーシャフト15とロアージャケット17とは、図示しない軸受を介して連結されている。そのため、アッパーシャフト14及びアッパージャケット16の連結体が、ロアーシャフト15及びロアージャケット17に対して、コラム軸方向Xに相対移動自在である。これにより、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3とともに伸縮自在である。ここでのステアリングシャフト3及びコラムジャケット4の伸縮を「テレスコ」と呼び、この伸縮調整、つまり、テレスコによる操舵部材8のコラム軸方向Xでの位置調整をテレスコ調整と呼ぶ。
ロアーブラケット5は、コラムジャケット4の前側X2の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。詳しくは、ロアーブラケット5は、ロアージャケット17の前側X2の部分を支持している。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット17に固定された可動ブラケット18と、車体2に固定された固定ブラケット19と、左右方向Yに延びる中心軸20とを含んでいる。
可動ブラケット18は、例えばロアージャケット17の前側X2の端部17Bの上側外周面に左右一対で設けられている(図1参照)。可動ブラケット18は、固定ブラケット19によって、中心軸20を介して回動自在に支持されている。そのため、コラムジャケット4全体は、ステアリングシャフト3を伴って、中心軸20を中心に上下に回動することができる。ここでの回動を「チルト」と呼び、チルトによる操舵部材8の向き調整をチルト調整と呼ぶ。ロアージャケット17は、中心軸20を介して車体2側の固定ブラケット19に連結されているので、チルトできるものの、コラム軸方向Xに移動することはできない。
アッパーブラケット6は、コラムジャケット4において可動ブラケット18よりも後側X1の部分を支持する。詳しくは、アッパーブラケット6は、ロアージャケット17の後側X1の部分を支持している。
図3は、図2のIII-III線に沿うステアリング装置の概略断面図である。図3に示す通り、アッパーブラケット6は下向きに開放する溝形である。具体的には、アッパーブラケット6は、コラム軸方向Xから見て上下が逆になった略U字状をなすように、コラムジャケット4を挟んで左右対称に形成されている。アッパーブラケット6は、左右方向Yでコラムジャケット4を挟んで対向する一対の側板21と、一対の側板21のそれぞれの上側端部に連結された連結板22とを一体的に備えている。
一対の側板21において、左右方向Yから見て同じ位置には、チルト用長孔23が形成されている。チルト用長孔23は、上下方向Z、厳密には、中心軸20(図2参照)を中心とした周方向であるチルト方向に延びている。連結板22は、例えば一対の側板21よりも左右方向Yにおいて両外側へ延びた部分を有しており、当該部分に挿通される図示しないボルト等によって、アッパーブラケット6全体が車体2に固定されている。
ここで、ロアージャケット17において後側X1の端部17Aにおける下側Z2の部分には、コラム軸方向Xに延びて端部17Aを切り欠くスリット24が形成されている(図1も参照)。スリット24は、端部17Aからロアージャケット17の外部へ向けて後側X1及び下側Z2の両方へ露出されている(図1も参照)。そのため、ロアージャケット17の端部17Aは、コラム軸方向Xから見て上下が逆になった略U字状の断面を有している。
また、ロアージャケット17の端部17Aには、左右方向Yからスリット24を区画しつつ下側Z2へ延びる一対の支持部25が一体的に設けられている。支持部25は、コラム軸方向X及び上下方向Zに広がる略直方体形状である。一対の支持部25のそれぞれには、左右方向Yから見て同じ位置に、左右方向Yに支持部25を貫通する貫通孔26が形成されている。
ステアリング装置1は、左右方向Yから見て貫通孔26とチルト用長孔23とが重なる部分に挿通される軸体27を含む。軸体27は、左右方向Yに細長く延びる略円柱状である。軸体27の左右方向Yにおける両端は、アッパーブラケット6の一対の側板21から左右方向Yの外側にはみ出ている。軸体27の左側Y2の端部には、軸体27よりも大径な頭部29が形成されている。
ステアリング装置1では、頭部29と左側Y2の側板21との間に、テレスコ調整やチルト調整のために操作される把持可能なレバータイプの操作部材30と、環状のカム31及びカムフォロワ32とが、左側Y2からこの順に並んで配置されている。
軸体27は、操作部材30の長手方向一端側の基端部30A、カム31及びカムフォロワ32のそれぞれに対して挿通されている。軸体27がアッパーブラケット6の各チルト用長孔23に挿通されていることから、操作部材30、カム31及びカムフォロワ32は、軸体27を介してアッパーブラケット6によって支持されている。アッパーブラケット6は、ロアージャケット17を支持しているため、操作部材30は、ロアージャケット17によっても支持されている。
操作部材30及びカム31が軸体27に対して一体回転自在であるのに対して、カムフォロワ32は、軸体27に対して相対回転自在かつ左右方向Yに移動自在である。ただし、カムフォロワ32において左側Y2の側板21のチルト用長孔23に挿通される部分には、二面幅が形成されているので、カムフォロワ32の空転がチルト用長孔23によって防止されている。
軸体27の右側Y1の端部には、ナット33が取り付けられている。ナット33と右側の側板21との間には、介在部材34、針状ころ軸受35及びスラストワッシャ36が、左側Y2からこの順に並んでいる。軸体27は、介在部材34、針状ころ軸受35及びスラストワッシャ36のそれぞれに対して挿通されている。
軸体27は、アッパーブラケット6の各チルト用長孔23内で、前述したチルト方向に移動自在である。運転者がチルト調整のために操舵部材8を上下方向Zに移動させると、アッパーブラケット6に対し相対的に、コラムジャケット4全体が前述したようにチルトする。操舵部材8のチルト調整は、軸体27がチルト用長孔23内で移動自在な範囲で行われる。
運転者等の使用者がテレスコ調整やチルト調整をした後に、操作部材30の長手方向一端側の先端部30Bを掴んで操作部材30を軸体27回りに回動させると、カム31が回転し、カム31及びカムフォロワ32に形成されたカム突起37が互いに乗り上げる。これにより、カムフォロワ32は、軸体27の軸方向に沿って右側Y1に移動し、左側Y2の側板21に押し付けられる。当該押し付けによって、一対の側板21は、カムフォロワ32と介在部材34との間で左右方向Yの両側から締め付けられる。
これにより、一対の側板21が左右方向Yの両側からロアージャケット17の支持部25を挟持することで各側板21と支持部25との間に摩擦力が生じる。当該摩擦力によって、コラムジャケット4の位置がロックされ、操舵部材8がチルト調整後の位置でロックされ、チルト方向に移動できなくなる。
また、ロアージャケット17の一対の支持部25が側板21によって挟持されることによって、一対の支持部25の間隔が狭まるので、ロアージャケット17の内周部が狭くなって、ロアージャケット17は、ロアージャケット17内のアッパージャケット16に圧接する。
これにより、アッパージャケット16とロアージャケット17との間に摩擦力が生じることによって、アッパージャケット16の位置がロックされ、操舵部材8がテレスコ調整後の位置でロックされ、コラム軸方向Xに移動できなくなる。
このように、チルト方向及びコラム軸方向Xにおいて操舵部材8の位置が固定されているときのステアリング装置1の状態を「ロック状態」と呼ぶ。つまり、ロック状態では、ロアージャケット17に対するアッパージャケット16のテレスコ調整が規制されている。
ロック状態のステアリング装置1において、先程とは逆方向に操作部材30を回動させると、カム31がカムフォロワ32に対して回転し、カムフォロワ32は、軸体27の軸方向に沿って左側Y2に移動する。すると、カムフォロワ32と介在部材34との間における一対の側板21に対する締め付けが解除される。そのため、各側板21と支持部25との間の摩擦力や、ロアージャケット17とアッパージャケット16との間の摩擦力が無くなるので、操舵部材8がコラム軸方向X及びチルト方向に移動できるようになる。これにより、操舵部材8のテレスコ調整やチルト調整が再び可能となる。
このように、チルト方向及びコラム軸方向Xにおいて操舵部材8の位置の固定が解除されているときのステアリング装置1の状態を「ロック解除状態」と呼ぶ。つまり、ロック状態では、ロアージャケット17に対するアッパージャケット16のテレスコ調整の規制が解除されている。
次に、ロック機構7について詳しく説明する。ロック機構7は、操作部材30、軸体27、カム31、カムフォロワ32、一対の側板21及び支持部25とともに、ロック状態及びロック解除状態とを切り替える機構である。具体的には、ロック機構7は、ロック状態のステアリング装置1においてアッパージャケット16をコラム軸方向Xに動かないように強固にロックするためのものである。つまり、ロック機構7は、テレスコ調整の規制及び当該規制を解除する機構である。ロック機構7は、軸体27の左右方向Yにおける中央部の周辺に設けられている。
図4は、実施の形態1に係るステアリング装置の要部の分解斜視図である。図4では、説明の便宜上、アッパージャケット16を2点鎖線で表している。図5は、図2のV-V線に沿うステアリング装置の概略断面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿うステアリング装置の概略断面図である。図6では、説明の便宜上、ステアリングシャフト3の図示を省略している。また、図6では、ロック状態でのステアリング装置1を図示している。
ロック機構7は、伝達部材としてのカム38と、支持軸39と、ロック部材40と、付勢部材41と、ロックプレート42と、軸体27と、操作部材30(図1参照)とを含んでいる。
カム38は、ボス部38Aと、カム部38Bとを一体的に有している。ボス部38Aは、左右方向Yに延びる筒体である。ボス部38Aの外形の断面形状は、軸体27の軸方向視(左右方向視)において非円形状に形成されている。具体的には、ボス部38Aの外形の断面形状は楕円形状である。
カム部38Bは、ボス部38Aの周上1箇所からボス部38Aの径方向外側へ突出している。具体的には、カム部38Bは、ボス部38Aの短軸側の端部に寄った位置から、先端部38Cが長軸側に向けて傾斜するように突出している。カム部38Bは、左右方向Yから見て、ボス部38Aの径方向外側へ細くなる略台形状である。
カム38は、ロアージャケット17のスリット24内に配置されていて、ボス部38Aには、軸体27において一対の支持部25の間でスリット24内に露出された部分が挿通されている(図3も参照)。ボス部38Aと軸体27とは、スプライン嵌合等によって嵌合している。断面視においてボス部38Aの図心は、軸体27の中心P0と略一致している。このため、カム38は、操作部材30の操作に応じて、軸体27の中心P0を中心に軸体27と一体回転自在となっている。
支持軸39は、左右方向Yに延びる1本の略円柱状である。支持軸39に関連して、図5を参照して、ロアージャケット17の各支持部25において貫通孔26よりも前側X2の位置には、支持部25を左右方向Yに貫通する貫通孔43が1つずつ形成されている。各支持部25において、貫通孔43は、左右方向Yにおける外側において拡径された拡径部44を有している。支持軸39は、各支持部25の貫通孔43に挿通されていて、支持軸39の周方向C(図4参照)に回転自在である。
支持軸39の左右方向Yにおける両端部は、拡径部44まで到達している。支持軸39の左右方向Yにおけるいずれかの端部には、プッシュナット45が取り付けられている。本実施の形態では、プッシュナット45は、支持軸39の左側Y2の端部に取り付けられている。支持軸39は、プッシュナット45によってロアージャケット17に対して左右方向Yに位置決めされている。このように、支持軸39は、貫通孔43に挿通されることでロアージャケット17によって支持されている。
ロック部材40は、左右方向Yから見て、後側X1へ略90°傾いた略V字状である。ロック部材40は、基端部46と、基端部46から後側X1へ延びるロック部47及び当接部48と、を含んでいる。
基端部46は、ロック部47と当接部48との連結部分であり、ロック部材40の回転軸である。基端部46には、基端部46を左右方向Yに貫通する挿通孔49が形成されている。基端部46の左右方向Yにおける両側面には、挿通孔49を取り囲みながら左右方向Yにおける外側へ突出する円筒部50が1つずつ形成されている。円筒部50は、基端部46の一部とみなされる。
ロック部47は、基端部46から後側X1かつ上側Z1へ細長く延びる形状を有する。ロック部47の後側X1の端部は、ツース51であり、上側Z1に向けて折り曲げられている。
当接部48は、基端部46から後側X1へ細長く延びる形状を有する。当接部48は、ロック部47よりも下側Z2に位置している。当接部48の先端面は、全体として略円弧状の湾曲面48Aとなっている。
このようなロック部材40は、ロアージャケット17のスリット24内において、カム38よりも前側X2に配置されている(図6も参照)。前述した支持軸39においてスリット24内に位置する部分が、ロック部材40の基端部46の挿通孔49に挿通されている。支持軸39と基端部46とは、スプライン嵌合等によって嵌合している。そのため、ロック部材40は、支持軸39とともに、支持軸39の軸中心まわりの周方向Cに回転自在である。
支持軸39がロアージャケット17の各支持部25の貫通孔43に挿通されているため(図5参照)、ロック部材40は、支持軸39を介してロアージャケット17によって支持されている。また、前述したように、操作部材30は、軸体27を介してロアージャケット17によって支持されている。つまり、操作部材30は、ロック部材40とは機械的に分離した状態でロアージャケット17に支持されている。
また、前述したカム38は、ロック部材40のロック部47と当接部48との間に配置され、カム38のカム部38Bが当接部48の湾曲面48Aに対して上側Z1から接触している(図6参照)。
付勢部材41は、ねじりコイルばねである。付勢部材41は、基端部46における左側Y2の円筒部50の外周面に外から巻き付けられるコイル状部54と、コイル状部54の一端部から後側X1へ延びる第一部位55と、コイル状部54の他端部から後側X1へ延びる第二部位56とを一体的に含んでいる。第二部位56は、第一部位55よりも下側Z2に配置されている。第二部位56の後側X1の端部56Aは、右側Y1に折れ曲がっている。
付勢部材41では、第一部位55がカム38に係合し、第二部位56がロック部材40に係合している。具体的には、第一部位55は、カム38のボス部38Aにおいてカム部38Bよりも左側Y2の部分の外周面に対して上側Z1から係止されている。一方、第二部位56は、その端部56Aがロック部材40の当接部48に対して下側Z2から係止されている(図6参照)。付勢部材41では、第二部位56が第一部位55へ向けて上側Z1に移動しようとする力が常に発生しており、この力が、ロック部材40全体を周方向Cに沿って上側Z1へ向けて付勢する付勢力となる。
ロックプレート42は、コラム軸方向Xに長手で上下方向Zに厚みを有する板状であって、アッパージャケット16の外周面16Bに沿って湾曲している。
ロックプレート42は、アッパージャケット16の外周面16Bの下側部分において、ロアージャケット17のスリット24に露出される部分に配置されている(図3及び図5参照)。ロックプレート42は、アッパージャケット16に溶接等で固定されている。そのため、ロックプレート42は、アッパージャケット16とともにロアージャケット17に対してコラム軸方向Xに相対移動自在である。
ロックプレート42は、ロック部材40の上側Z1、厳密には、真上に位置している。そのため、付勢部材41によって上側Z1へ向けて付勢されたロック部材40のツース51は、ロックプレート42側に付勢されている。
ロックプレート42には、アッパージャケット16の外周面16Bの周方向に沿って延びる複数の穴57がコラム軸方向Xに並んで形成されている。本実施の形態において穴57の数は、9つであるが、これに限らない。各穴57は、ロックプレート42の厚み方向である上下方向Zにロックプレート42を貫通しているが、貫通していなくてもよい。ロックプレート42において複数の穴57のそれぞれに対して後側X1から隣接する位置には、仕切部58が1つずつ設けられている。そのため、仕切部58は、複数の穴57と同数になるように複数設けられていて、複数の仕切部58は、コラム軸方向Xに並んでいる。操舵部材8に最も近い最後尾の仕切部58以外の各仕切部58は、コラム軸方向Xに隣り合う2つの穴57の境界部分をなしている。
図6に示す前述したロック状態において、カム38のカム部38Bは、先端部38Cが下側Z2を向いており、当接部48から後側X1側へ離間している。このため、ロック部材40は、付勢部材41によってロック部47が上側Z1に向かう方向に回転し、ツース51がロックプレート42におけるいずれかの穴57に下側Z2から嵌まって係合している。このようにロックプレート42内に進出したときのロック部材40及びツース51の位置を「進出位置」という。
付勢部材41は、前述したようにロック部47が上側Z1に向かうように、ロック部材40全体を常に付勢している。これにより、ツース51は、ロックプレート42の穴57に係合した状態で維持される。つまり、ロック状態において、ツース51は、常に進出位置に位置するように付勢される。このとき、付勢部材41における第一部位55は、ボス部38Aの外周面において、短軸と長軸との概ね中間部に当接している。この当接位置は、付勢部材41の力点P1である。第一部位55は、ボス部38Aの外周面に当接しただけであり、規制されていないために、カム38の回転によってボス部38Aの外周面上を摺動する。つまり、力点P1は、カム38の回転によってボス部38Aの外周面上で変動するようになっている。
一方、前述したように、付勢部材41における第二部位56は、その端部56Aがロック部材40の当接部48に対して下側Z2から係止されている。この係止位置は、付勢部材41の作用点P2である。ロック状態での力点P1と作用点P2との間隔を第二距離d12と称す。また、付勢部材41におけるコイル状部54は、ロック部材40の基端部46に巻きつけられており、当該コイル状部54少なくとも一部が支点である。
このようにロック状態においてツース51が進出位置にあって、ロックプレート42におけるいずれかの穴57に係合している状態では、穴57に係合しているツース51が、コラム軸方向Xにおける両側の仕切部58に挟まれている。そのため、ロックプレート42は、コラム軸方向Xにおける移動がロック部材40によって規制されている。ちなみに、ツース51が最も前側X2の穴57に係合する場合は、ツース51は、最も前側X2の仕切部58と、この穴57を前側X2から区画するロックプレート42の前端部42Bとに挟まれる。
また、前述したように、ロックプレート42は、アッパージャケット16に固定されており、ロック部材40は、支持軸39を介してロアージャケット17に固定されている。そのため、ロック状態においてツース51が進出位置にあれば、ロアージャケット17に対するアッパージャケット16のコラム軸方向Xにおける相対移動が規制される。
これにより、ロアージャケット17とアッパージャケット16との間の摩擦力に加えて、ロアージャケット17側のツース51がアッパージャケット16側のロックプレート42の穴57に係合することで、コラム軸方向Xにおけるアッパージャケット16の位置を強固にロックできる。そのため、ステアリングシャフト3及びコラムジャケット4の伸縮が停止して、コラム軸方向Xにおける操舵部材8の位置がロックされるので、テレスコ調整が規制された状態になる。
図6に示すようにステアリング装置1がロック状態にあってツース51が進出位置にある場合に、ステアリング装置1及び車体2を有する車両が通常走行することができる。
車両衝突時には、ステアリングシャフト3及びコラムジャケット4には、いわゆる二次衝突による後側X1からの衝突荷重が作用する。車両の通常走行時に車両衝突が起こったとき、ツース51は、係合しているロックプレート42の穴57に後側X1から隣接する仕切部58によって後側X1から当接される。そのため、ツース51には、仕切部58を介して二次衝突時の衝突荷重が伝達される。これにより、ツース51が変形し、二次衝突時のエネルギーの一部が吸収される。また、この変形により、ロックプレート42側のアッパージャケット16がロアージャケット17に対し、収縮するように移動する。ここでの相対移動によって、車両衝突時の二次衝突時のエネルギーをほぼ完全に吸収することができる。このように、コラムジャケット4及びステアリングシャフト3の収縮とロック部材40の変形とによって、車両衝突時のエネルギーを吸収することができる。
図7は、図6においてツースが穴から退避した状態を示す図である。図6の状態において、ステアリング装置1がロック状態からロック解除状態になるように操作部材30を操作して軸体27を回動させる。すると、カム38は、今まで下側Z2を向いていたカム部38Bが徐々に前側X2を向くように、左側Y2から見て時計回りに軸体27と一体的に回動する。カム38の回動に伴い、付勢部材41の力点P1は、ボス部38Aの外周面上で変動し徐々に短軸側に向けて変動する。
一方、カム38の回動に伴い、カム部38Bの先端部38Cが当接部48の湾曲面48Aに当接し、当該当接部48を下側Z2へ押し下げる。押し下げ時には、カム部38Bの先端部38Cが湾曲面48A上を摺動するために、スムーズに当接部48を押し下げることができる。この押し下げによって、付勢部材41の作用点P2の絶対位置も下降して変動することになるが、この変動量は、力点P1の変動量よりも小さい。したがって、力点P1と作用点P2との間隔は、カム38の回動に伴って徐々に小さくなる。
ロック部材40全体は、付勢部材41の付勢力に抗して、当接部48が下側Z2へ向くように、支持軸39を中心に回動する。ロック部材40のツース51は、ロックプレート42から下側Z2へ退避し始め、今まで係合していたロックプレート42の穴57から下側Z2へ外れようとする。
図7に示すようにステアリング装置1がロック解除状態に達すると、ロック部材40は、下側Z2へ向けて目一杯回動した状態にある。このとき、ロック部材40のツース51は、ロックプレート42から下側Z2へ完全に退避し、今まで係合していたロックプレート42の穴57から下側Z2へ完全に外れた状態にある。ロックプレート42から退避した状態のロック部材40及びツース51の位置を「退避位置」という。このように、ロック部材40及びツース51は、カム部38Bに押し下げられることで、付勢部材41の付勢力に抗して退避位置まで移動させられる。
ロック状態と同様に、ロック解除状態においても、付勢部材41が、ロック部材40全体を上側Z1に付勢している。また、カム38のカム部38Bがロック部材40の当接部48に対して上側Z1から接触している。そのため、ロック部材40のツース51は、付勢部材41によって進出位置(ロックプレート42側)へ常に付勢されているものの、ロック解除状態では、退避位置に位置している。このように、ツース51を含むロック部材40全体は、ロックプレート42に対して進退自在である。
ツース51をロックプレート42に対して進退させるためには、軸体27の周方向における操作部材30の位置である操作位置を、ロック状態とロック解除状態との間で変化させる必要がある。操作部材30の操作位置に関わらず、付勢部材41は、ロック部材40を進出位置へ向けて常に付勢している。
ツース51が退避位置にある状態では、コラム軸方向Xにおけるロックプレート42の移動についてのロック部材40による規制が解除されている。そのため、アッパージャケット16は、ロックプレート42を伴って、ロアージャケット17に対してコラム軸方向Xへ自在に移動できるので、ステアリングシャフト3及びコラムジャケット4を伸縮させて、操舵部材8のテレスコ調整が可能になる。テレスコ調整の際、退避位置のツース51の上側Z1を、ロックプレート42の各穴57がコラム軸方向Xに沿って順に通過する。また、この状態では、チルト調整も可能である。
そして、操舵部材8のテレスコ調整やチルト調整を終えてから、操作部材30が再び操作されると、図6に示すように、カム部38Bの先端部38Cがロック部材40の当接部48から退避する。これにより、ロック部材40に対する規制が解除されるので、ロック部材40は、付勢部材41からの付勢力によって反時計回りに回動し、ツース51がロックプレート42におけるいずれかの穴57に係合して、ロック状態となる。すると、コラム軸方向X及びチルト方向におけるアッパージャケット16の位置がロックされる。このように、ツース51は、操作部材30の操作に応じてロックプレート42に対して進退自在であり、進出位置でロックプレート42に進出した状態でロックプレート42におけるいずれかの穴57に係合する。
ここで、ロック解除状態での力点P1と作用点P2との間隔を第一距離d11と称す。上述したように、力点P1と作用点P2との間隔は、カム38の回動に伴って徐々に小さくなるので、第一距離d11は第二距離d12よりも短くなっている。つまり、付勢部材41の変位が、ロック解除状態ではロック状態よりも小さくなるために、カム38が付勢部材41から受ける付勢力がロック状態よりも小さくなる。
(効果など)
以上のように、本実施の形態によれば、付勢部材41においてロック解除状態での第一距離d11がロック状態での第二距離d12よりも短い。このため、ロックの解除操作時においては、カム38が付勢部材41から受ける付勢力を徐々に弱めることができる。したがって、ロックの解除操作時における操作性を高めることができる。
また、ロック解除状態からロック状態に切り替える際には、操作部材30が操作されることでカム38のカム部38Bがロック部材40の当接部48から退避する。これにより、ロック部材40に対する規制が解除されるので、ロック部材40は、付勢部材41からの付勢力によって反時計回りに回動しツース51がロックプレート42におけるいずれかの穴57に係合する。このとき、ツース51がロックプレート42に当接するため、打音が発生することになる。ここで、上述したように付勢部材41においてロック解除状態での第一距離d11がロック状態での第二距離d12よりも短いので、ロック解除状態ではロック部材40が付勢部材41から受ける付勢力も弱められている。これにより、ロック解除状態からロック状態に切り替える際のロック部材40の回動を弱めることができ、打音を抑制することも可能である。
なお、第一距離d11は第二距離d12と同等であってもよい。この場合においては、ロックの解除操作時においては、カム38が付勢部材41から受ける付勢力が概ね一定となるために、ロックの解除操作時における操作性が悪化することを抑制できる。また、前述した打音が大きくなることも抑制できる。
また、付勢部材41が、コイル状部54と、第一部位55と、第二部位56とを備えたねじりコイルバネであるので、コイル状部54をロック部材40の基端部46(回転軸)に組み付けることができる。このため、ロック部材40の基端部46でコイル状部54を支持した状態で、第一部位55をカム38に係合させ、第二部位56をロック部材40の当接部48に係合させることができる。これにより、付勢部材41を安定して保持することが可能である。付勢部材41を安定して保持できれば、カム38を介して操作部材30に作用する付勢部材41の付勢力も安定化されるので、操作部材30に対する操作性を高めることが可能である。
また、カム38のボス部38Aの外周面に付勢部材41の第一部位55が係合しているので、当該第一部位55がなす力点P1はカム38の回転に伴ってボス部38Aの外周面上で変動可能である。また、カム38のボス部38Aにおける外形の断面形状は、第一距離d11を第二距離d12以下とする非円形状である。つまり、単にカム38を回動させるだけで、ボス部38Aの外周面上にある付勢部材41の力点P1当該外周面上で変動されて、第一距離d11を第二距離d12以下とすることができる。
また、ボス部38Aにおける外形の断面形状が楕円形状であるので、当該ボス部38Aの図心(軸体27の中心P0)を中心にしてカム38が回動する場合においても、ボス部38Aの図心と力点P1までの距離を変動させることができる。ボス部38Aの図心を中心にしてカム38が回動するのであれば、その回動を安定化することができ、操作部材30に対する操作性も高めることが可能である。
(実施の形態2)
実施の形態1では、カム38のボス部38Aの外形の断面形状が楕円形状である場合を例示した。しかしながら、ボス部の外形の断面形状は、第一距離d11を第二距離d12以下とするのであれば如何様でもよい。この実施の形態2では、ボス部の外形の断面形状が矩形状である場合について説明する。なお、この実施の形態2において、上記実施の形態1と同等の部分については同等の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図8は、実施の形態2に係る、ロック状態におけるステアリング装置の概略断面図である。図9は、実施の形態2に係る、ロック解除状態におけるステアリング装置の概略断面図である。図8は図6に対応する図であり、図9は図7に対応する図である。
図8に示すように、実施の形態2に係るカム380は、ボス部380Aの外形の断面形状が矩形状となっている。ボス部380Aの外形においてその角部はR状に形成されている。断面視においてボス部380Aの図心は、軸体27の中心P0と略一致している。このため、カム380は、操作部材30の操作に応じて、軸体27の中心P0を中心に軸体27と一体回転自在である。
ロック状態においては、カム380は、ボス部380Aの長手方向がロック部材40から離れるほど、ロックプレート42に近づく姿勢となっている。この際、ボス部380Aにおいて最もロックプレート42に近い角部に、付勢部材41の第一部位55が当接している。この当接位置は、付勢部材41の力点P21である。
第一部位55は、ボス部380Aの角部に当接しただけであり、規制されていないために、カム380の回転によってボス部380Aの角部上を摺動する。つまり、力点P21は、カム380の回転によってボス部380Aの角部上で変動するようになっている。このとき、ボス部380Aの角部がR状であるので、第一部位55が当該角部上をスムーズに摺動する。したがって、第一部位55が角部に引っかかることが抑制され、操作部材30に対する操作性が低下しにくくなっている。
一方、付勢部材41における第二部位56は、その端部56Aがロック部材40の当接部48に対して下側Z2から係止されている。この係止位置は、付勢部材41の作用点P22である。ロック状態での力点P21と作用点P22との間隔を第二距離d22と称す。
図8の状態において、ステアリング装置がロック状態からロック解除状態になるように操作部材30を操作して軸体27を回動させる。すると、カム380は、今まで下側Z2を向いていたカム部380Bが徐々に前側X2を向くように、左側Y2から見て時計回りに軸体27と一体的に回動する。カム380の回動に伴い、ボス部380Aの長手方向は徐々に水平に近づいていく。これにより、付勢部材41の第一部位55も水平に近づいて行く。つまり、ロック状態からロック解除状態に遷移する際には、力点P21が徐々に下側Z2に向けて変動する。
一方、カム380の回動に伴い、カム部380Bの先端部38Cが当接部48の湾曲面48Aに当接し、当該当接部48を下側Z2へ押し下げる。押し下げ時には、カム部38Bの先端部38Cが湾曲面48A上を摺動するために、スムーズに当接部48を押し下げることができる。この押し下げによって、付勢部材41の作用点P22の絶対位置も下降して変動することになるが、この変動量は、力点P21の変動量よりも小さい。したがって、力点P21と作用点P22との間隔は、カム38の回動に伴って徐々に小さくなる。
図9に示すように、ロック解除状態になると、ボス部380Aにおける平面に対して第一部位55が係合する、つまり、第一部位55がボス部380Aの長辺側の平面に対して線接触することになる。このときの力点P21は、第一部位55において線接触した範囲内に含まれる。力点P21は、前記範囲内のいずれの箇所であってもよいが、ここでは、前記範囲内の中心位置とする。ロック解除状態での力点P21と作用点P22との間隔を第一距離d21と称す。上述したように、力点P21と作用点P22との間隔は、カム38の回動に伴って徐々に小さくなるので、第一距離d21は第二距離d22よりも短くなっている。つまり、付勢部材41の変位が、ロック解除状態ではロック状態よりも小さくなるために、カム380が付勢部材41から受ける付勢力がロック状態よりも小さくすることができる。
(効果など)
以上のように、本実施の形態においても、付勢部材41においてロック解除状態での第一距離d21がロック状態での第二距離d22よりも短いので、ロックの解除操作時における操作性を高めることや、打音の抑制が可能である。
また、ロック解除状態において、ボス部380Aにおける第一部位55が係合する外周面が平面であるので、第一部位55とボス部380Aとの接触面積をロック状態よりも大きくすることができる。したがって、ロック解除状態におけるカム380の安定性を高めることができる。
なお、実施の形態2では、ボス部380Aの外形の断面形状が矩形状である場合を例示したが、ボス部における第一部位55が係合する外周面が平面であるのであれば、その外形の断面形状は如何様でもよい。その他の断面形状としては、矩形以外の多角形状や、一部に平面を有し、他の部分が曲面状の形状などが挙げられる。
(その他)
この発明は、以上に説明した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態1では、カム38のボス部38Aが軸体27の中心P0を中心にして回動する場合を例示した。しかしながら、ボス部の回動中心と軸体27の中心P0とが一致していなくてもよい。この場合においては、ボス部の外形の断面形状が円形であったとしても、第一距離が第二距離以下とすることができる。
また、上記実施の形態1では、付勢部材41としてねじりコイルバネを例示した。しかしながら、カムに係合する第一部位と、ロック部材に係合する第二部位とを有し、第一距離が第二距離以下となるのであれば如何なる弾性部材を付勢部材として採用することが可能である。その他の付勢部材としては、コイルバネや、板バネなどが挙げられる。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1…ステアリング装置、2…車体、3…ステアリングシャフト、3A…一端、3B…他端、4…コラムジャケット、5…ロアーブラケット、6…アッパーブラケット、7…ロック機構、8…操舵部材、9…自在継手、10…インターミディエイトシャフト、11…自在継手、12…ピニオン軸、13…ステアリング機構、14…アッパーシャフト、15…ロアーシャフト、16…アッパージャケット、16A、17A、17B、56A…端部、16B…外周面、17…ロアージャケット、18…可動ブラケット、19…固定ブラケット、20…中心軸、21…側板、22…連結板、23…チルト用長孔、24…スリット、25…支持部、26…貫通孔、27…軸体、29…頭部、30…操作部材、30A…基端部、30B、38C…先端部、31…カム、32…カムフォロワ、33…ナット、34…介在部材、35…軸受、36…スラストワッシャ、37…カム突起、38、380…カム、38A、380A…ボス部、38B、380B…カム部、39…支持軸、40…ロック部材、41…付勢部材、42…ロックプレート、42B…前端部、43…貫通孔、44…拡径部、45…プッシュナット、46…基端部、47…ロック部、48…当接部、48A…湾曲面、49…挿通孔、50…円筒部、51…ツース、54…コイル状部、55…第一部位、56…第二部位、57…穴、58…仕切部、d11、d21…第一距離、d12、d22…第二距離、P0…中心、P1、P21…力点、P2、P22…作用点

Claims (5)

  1. コラム軸方向の一端に操舵部材が接続されるアッパージャケットと、
    前記コラム軸方向における前記アッパージャケットの他端に対して摺動自在に外嵌されたロアージャケットと、
    前記ロアージャケットに対する前記アッパージャケットのテレスコ(登録商標)調整の規制及び当該規制の解除を切り替えるロック機構と、を備え、
    前記ロック機構は、
    前記コラム軸方向に配列された複数の穴を有し、前記アッパージャケットに固定されたロックプレートと、
    前記複数の穴のうち、1つの穴に係合する、回動自在なロック部材と、
    前記ロック部材を回動させるカムと、
    前記カムを軸支し、当該カムと一体的に回動する軸体と、
    前記軸体を回動させるための操作部材と、
    前記ロック部材に対して、前記ロックプレートに向かう付勢力を付与する付勢部材と、を有し、
    前記付勢部材は、前記カムに係合し、当該カムにより力点が形成される第一部位と、前記ロック部材に係合し、当該ロック部材に対して作用点を形成する第二部位と、を有し、
    前記ロック部材が前記1つの穴から離脱したロック解除状態での前記作用点と前記力点との第一距離は、前記ロック部材が前記ロックプレートの前記1つの穴に係合したロック状態での前記作用点と前記力点との第二距離以下である
    ステアリング装置。
  2. 前記付勢部材は、前記ロック部材の回転軸に巻きつけられたコイル状部と、前記コイル状部の一端部から延設された前記第一部位と、前記コイル状部の他端部から延設された前記第二部位とを備えるねじりコイルバネである
    請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記カムは、前記軸体により軸支されるボス部と、前記ボス部から突出し、前記ロック部材に回転力を付与するカム部とを有し、
    前記第一部位は、前記ボス部の外周面に係合しており、
    前記ボス部における外形の断面形状は、前記第一距離を前記第二距離以下とする非円形状である
    請求項1または2に記載のステアリング装置。
  4. 前記ボス部における外形の断面形状は、楕円形状である
    請求項3に記載のステアリング装置。
  5. 前記ロック解除状態において、前記ボス部における前記第一部位が係合する外周面は、平面である
    請求項3に記載のステアリング装置。
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