JP2022030313A - ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

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倫生 梶田
Michio Kajita
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Abstract

【課題】フィラーを含有し、かつドラム缶などの容器に充填されたポリオール組成物を原料として、実用上容易に安定した品質を有するポリウレタンフォームを製造できる。【解決手段】ポリオール、発泡剤、フィラー及び触媒を含有するポリオール組成物が充填された容器を用意する工程と、前記容器内部に充填されたポリオール組成物を、攪拌羽根により攪拌する工程と、攪拌された前記ポリオール組成物をポリイソシアネートに混合させ、得られた混合物を発泡させる工程とを備えるポリウレタンフォームの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性及び接着性から、例えば、マンション等の集合住宅、戸建住宅、学校の各種施設、商業ビル等の建築物の断熱材として用いられている。ポリウレタンフォームは、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合して発泡させることで得られる。
施工方法としては、施工現場において、ポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合し、反応かつ発泡させて吹き付けるなどの方法が取られることが一般的である。例えば、特許文献1では、ポリオール組成物及びポリイソシアネートが、別々にドラム缶等の容器に保管され、施工の直前に、各容器よりラインを介して、噴射ガンを備える混合装置に送液され、混合装置で混合され、混合液が噴射ガンにより吹き付けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-145360号公報
近年、ポリウレタンフォームは、難燃性などの各種性能を付与するために、フィラーを含有させることが検討されている。フィラーは、ポリオール組成物及びポリイソシアネートのうち、ポリオール組成物に配合させることが一般的である。
しかし、フィラーを配合したポリオール組成物は、ドラム缶などの容器内部においてフィラーが沈降することがある。そのため、イソシアネートに混合する際に、フィラー濃度が安定せずポリウレタンフォームの品質にばらつきがあるなどの不具合が生じる。
そこで、本発明は、フィラーを含有し、かつドラム缶などの容器に充填されたポリオール組成物を原料として、実用上容易に安定した品質を有するポリウレタンフォームを製造できるポリウレタンフォームの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ドラム缶などの容器に充填され、かつポリオール、発泡剤、触媒、及びフィラーを含有するポリオール組成物を所定の方法により攪拌したうえでポリイソシアネートに混合させることで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]ポリオール、発泡剤、触媒、及びフィラーを含有するポリオール組成物が充填された容器を用意する工程と、
前記容器に充填されたポリオール組成物を、攪拌羽根により攪拌する工程と、
攪拌された前記ポリオール組成物をポリイソシアネートに混合させ、得られた混合物を発泡させる工程と
を備えるポリウレタンフォームの製造方法。
[2]前記混合物を吹き付けて発泡させる上記[1]に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[3]前記ポリオール組成物の25℃における粘度が300~2000mPa・sである上記[1]又は[2]に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[4]前記触媒が三量化触媒を含む上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[5]前記三量化触媒が4級アンモニウム塩を含む上記[4]に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[6]前記触媒がビスマス及び錫からなる群から選択される少なくとも1種を含む金属触媒を含有する上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[7]前記触媒がイミダゾール誘導体を含む上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[8]前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンを含む上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[9]イソシアネートインデックスが200以上となるように前記ポリオール組成物を、前記ポリイソシアネートに混合させる上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
本発明によれば、フィラーを含有し、かつドラム缶などの容器に充填されたポリオール組成物を原料として、実用上容易に安定した品質を有するポリウレタンフォームを製造できる。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法では、ポリオール組成物を、ポリイソシアネートに混合させ、得られた混合物を発泡させることでポリウレタンフォームを製造する。
[ポリオール組成物]
本製造方法に使用されるポリオール組成物は、ドラム缶などの容器に充填され、かつポリオール、発泡剤、触媒、及びフィラーを含有する。以下、ポリオール組成物中の各成分について、詳細に説明する。
<ポリオール>
ポリオール組成物はポリウレタンフォームの原料としてポリオールを含有する。
本発明に用いるポリオールとしては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリオールは、通常、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体となる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等のアルカンジオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール類、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
本発明に使用するポリオールとしては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選択される少なくとも1種であることが好ましい。発泡性及び反応性の観点から、ポリエステルポリオールがより好ましい。また、水酸基を2個有するポリオールが好ましい。中でも、難燃性を高める観点から、芳香族環を有するポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールとしては、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)等の芳香族環を有する多塩基酸と、ビスフェノールA、エチレングリコール、及び1,2-プロピレングリコール等の2価アルコールとを脱水縮合して得られる芳香族系ポリエステルポリオールがより好ましい。芳香族系ポリエステルポリオールを使用することで難燃性が向上しやすくなる。
ポリオールの水酸基価は、20~350mgKOH/gが好ましく、50~300mgKOH/gがより好ましく、100~250mgKOH/gがさらに好ましい。ポリオールの水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度が下がりやすく、取り扱い性等の観点で好ましい。一方、ポリオールの水酸基価が前記下限値以上であるとポリウレタンフォームの架橋密度が上がることにより強度が高くなる。
なお、ポリオールの水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
本発明のポリオール組成物中のポリオールの含有量は、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%、更に好ましくは25~60質量%である。ポリオールの含有量が前記下限値以上であるとポリオールとポリイソシアネートとを反応させやすくなるため好ましい。一方、ポリオールの含有量が前記上限値以下であると、ポリオール組成物の粘度が高くなりすぎないため取扱い性の観点で好ましい。
<発泡剤>
本発明のポリオール組成物は、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを含有することが好ましい。ハイドロフルオロオレフィンは、発泡性が良好で、さらに地球温暖化係数が低く、環境保護の観点からも好ましい。また、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを用いた場合であっても、各成分の配合を後述する通りに調整することで、発泡剤の安定性を高くし、かつ触媒活性も低下させにくくなる。ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができる。ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよく、したがって、炭素数が3~6個程度であるクロロフルオロアルケン等であってもよい。
より具体的には、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。より具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブト-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン等が挙げられる。これらの中ではHFO-1233zdが好ましい。
これらのハイドロフルオロオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオール組成物におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量は、ポリオール100質量部に対して、20~70質量部が好ましく、25~60質量部がより好ましく、30~50質量部がさらに好ましい。ハイドロフルオロオレフィンの含有量が上記下限値以上であると発泡が促進され、得られるポリウレタンフォームの密度を低減することができる。一方、ハイドロフルオロオレフィンの含有量が上記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制することができる。
また、本発明のポリオール組成物には、ハイドロフルオロオレフィン以外の発泡剤を含有してもよい。ハイドロフルオロオレフィン以外の発泡剤としては、例えば、水、有機系物理発泡剤、無機系物理発泡剤等が挙げられる。有機系物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、及びイソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系化合物が挙げられる。無機系物理発泡剤としては、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、及び二酸化炭素ガス等が挙げられる。これらの中でも、取扱い性の観点から、水、酸素ガス、及び二酸化炭素ガスが好ましく、イソシアネートインデックスを調整する観点、及び取扱い容易性の観点から水がより好ましい。
水などのハイドロフルオロオレフィン(HFO)以外の発泡剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.01~25質量部が好ましく、0.1~20質量部がより好ましく、0.5~15質量部が更に好ましい。HFO以外の発泡剤の含有量が前記下限値以上であると発泡が促進され、得られるポリウレタンフォームの密度を低減することができる。一方、HFO以外の発泡剤の含有量が前記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制することができる。
<触媒>
本発明のポリオール組成物に使用される触媒としては、樹脂化触媒、三量化触媒などが挙げられ、好ましくは樹脂化触媒及び三量化触媒の両方を使用する。樹脂化触媒としては、後述するとおり、樹脂化金属触媒、樹脂化アミン触媒などが挙げられ、これら両方を使用してもよい。
《金属触媒(樹脂化金属触媒)》
触媒は、具体的には、ビスマス及び錫から選択される少なくとも1種を含む金属触媒を含有することが好ましい。この金属触媒は、一般的に樹脂化金属触媒と呼ばれるものである。本発明では、上記金属触媒を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が促進される。また、後述するフィラーを一定量以上含有させるとポリウレタンフォームの反応性が阻害され発泡性が低下しやすいが、金属触媒を含有させることで、ポリウレタンフォームの発泡性を良好に維持しやすくなる。上記金属触媒は、発泡性などの観点から、ビスマスを含むことがより好ましい。
上記の樹脂化金属触媒は、ビスマス及び錫から選択される金属塩が好ましく、ビスマス塩であることがより好ましい。金属塩は、有機酸金属塩であることが好ましく、より好ましくは炭素数5以上のカルボン酸の金属塩である。カルボン酸は、炭素数5以上であることで、発泡剤、特にハイドロフルオロオレフィンに対する安定性が良好となる。また、カルボン酸の炭素数は、触媒活性などの観点から、18以下が好ましく、12以下がより好ましい。カルボン酸は、脂肪族カルボン酸であることが好ましく、飽和脂肪族カルボン酸がより好ましい。カルボン酸は、直鎖であってもよいし、分岐構造を有してもよいが、分岐構造を有することが好ましい。
カルボン酸の具体例としては、オクチル酸、ラウリル酸、バーサチック酸、ペンタン酸及び酢酸等が挙げられ、これらのなかではオクチル酸が好ましい。すなわち、遷移金属塩は、オクチル酸の金属塩が好ましい。これらカルボン酸は、上記の通り直鎖状であってもよいが、分岐構造を有してもよい。なお、分岐構造を有するオクチル酸としては、2-エチルヘキサン酸が挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、カルボン酸のビスマス塩、カルボン酸の錫塩が好ましく、中でもオクチル酸のビスマス塩が好ましい。また、カルボン酸の金属塩は、アルキル金属のカルボン酸塩であってもよい。例えばカルボン酸錫塩はジアルキル錫カルボン酸塩等であってもよく、好ましくはジオクチル錫カルボン酸塩等である。
カルボン酸の金属塩の具体例としては、ビスマストリオクテート、ジオクチル錫バーサテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル酸錫等が挙げられ、好ましくはビスマストリオクテート、ジオクチル錫バーサテート、より好ましくはビスマストリオクテートである。
ポリオール組成物中の上記金属触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、1~8質量部がより好ましく、1.5~6質量部が更に好ましく、2~5質量部がより更に好ましい。上記金属触媒の含有量が前記下限値以上であると、発泡性ポリウレタン組成物の硬化反応スピードを向上し、発泡性が良好となる。一方、上記金属触媒の含有量が前記上限値以下であると反応の制御がし易くなる。
《イミダゾール誘導体》
本発明のポリオール組成物に使用される触媒は、樹脂化アミン触媒を含有することが好ましく、樹脂化アミン触媒として、イミダゾール誘導体を含有することがより好ましい。
イミダゾール誘導体は、ハイドロフルオロオレフィンの影響を受けにくく、ポリオール組成物の安定性を高めつつポリオールとポリイソシアネートとを反応させやすくする。したがって、ポリオール組成物は、上記した金属触媒に加えて、イミダゾール誘導体を含有することで、ポリオールとイソシアネートの反応性が高められ、発泡性がさらに良好となる。
イミダゾール誘導体は、好ましくは1位および2位がそれぞれ独立に炭素数8以下のアルキル基で置換されたイミダゾールであり、アルキル基は好ましくは炭素数6以下、より好ましくは炭素数4以下である。イミダゾール誘導体の好適な具体例は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2022030313000001

(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。)
一般式(1)におけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基はそれぞれ直鎖状であってもよいし、分岐構造を有してもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
1及びR2のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が前記下限値以上であると、立体障害が大きくなりハイドロフルオロオレフィン等の発泡剤の影響を受けにくくなるため好ましい。一方、R及びRのアルキル基の炭素数が前記上限値以下であると、極端に立体障害が大きくならないためポリオールとポリイソシアネートとの反応を速やかに進行させることが可能になり、発泡性も良好となる。
これらの観点から、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体としては、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられ、中でも、ハイドロフルオロオレフィン存在下での触媒の活性を向上させる観点と反応を速やかに進行させる観点から、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾールが好ましい。また、安定性をより高める観点からは1,2-ジメチルイミダゾールがさらに好ましい。
ポリオール組成物中のイミダゾール誘導体の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましく、2~15質量部が更に好ましく、3~10質量部が特に好ましい。イミダゾール誘導体の含有量が前記下限値以上であるとウレタン結合の形成が生じやすくなり、反応が速やかに進行し、かつ発泡性が良好となる。一方、イミダゾール誘導体の含有量が前記上限値以下であると、反応速度が制御しやすくなるため好ましい。
《三量化触媒》
本発明のポリオール組成物は、三量化触媒を含有することが好ましい。三量化触媒は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒を含有することで未反応のイソシアネート基の反応を完了させることで良好な発泡体が得られるという優位点がある。三量化触媒としては、金属触媒及びアンモニウム塩等が挙げられ、これらは併用してもよい。
三量化触媒として使用される金属触媒(三量化金属触媒)としては、有機酸カリウムが挙げられ、好ましくは2-エチルヘキサン酸カリウム等のオクチル酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウム等の炭素数2~8のカルボン酸カリウムである。
アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができるが、これらのなかでは、4級アンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩は、例えばカルボン酸のアンモニウム塩である。アンモニウム塩におけるカルボン酸としては、例えば炭素数1~10、好ましくは炭素数2~8の飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸は、炭化水素基が直鎖であってもよいし、分岐を有してもよいが、分岐を有することが好ましい。カルボン酸の具体例としては、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、酢酸、及びギ酸などが挙げられるが、これらの中では2,2-ジメチルプロパン酸が好ましい。
三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、少なくとも4級アンモニウム塩を含むことが好ましい。また、2種以上併用する場合には、4級アンモニウム塩と金属触媒とを併用することが好ましい。
ポリオール組成物中の三量化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.5~30質量部が好ましく、1~25質量部がより好ましく、2~20質量部が更に好ましく、4~18質量部がより更に好ましい。三量化触媒の含有量が前記下限値以上であると、樹脂化と三量化との活性に大きな差が生まれず、発泡が2段階になることを抑制でき、発泡性が良好となる。一方、三量化触媒の含有量が前記上限値以下であると、樹脂化反応が活性に進行することで、樹脂化反応熱によって三量化の活性を助けることができ発泡性が良好となり、良好な発泡体を形成することができる。
<フィラー>
本発明のポリオール組成物は、フィラーを含有する。フィラーは、ポリオール組成物において固体分として含まれるものであり、一般的にポリオール組成物において粒状、粉状として存在する成分である。本発明では、フィラーを含有させることで、得られるポリウレタンフォームの難燃性、機械特性等の各種物性を向上させやすくなる。
フィラーは、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体であり、かつポリオール組成物において溶解しない成分であればよい。フィラーは、ポリウレタンフォームの吸水率を低減させる観点から、吸湿性及び潮解性を有さないものであることが好ましい。
フィラーとしては、具体的には常温(23℃)、常圧(1気圧)において固体である固体難燃剤を使用することが好ましい。固体難燃剤は、赤燐系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、塩素含有難燃剤、金属水酸化物、針状フィラー等から選択される少なくとも1種であることが好ましい。フィラーとして固体難燃剤を使用することで、ウレタンフォームの難燃性が向上する。固体難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(赤燐系難燃剤)
フィラーとして使用される赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物等を被膜したものでもよいし、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物等を混合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないがフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述するものを適宜選択して使用するとよい。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環中に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも1種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩が挙げられる。なお、用語「各種リン酸」は、リン酸のみならず、亜リン酸、次亜リン酸等も含まれる概念である。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、o-トリイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。環中に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
ここで、ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は、上記したものから1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温(23℃)、常圧(1気圧)で固体である化合物であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー系有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、このポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物等が挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シアヌールとの臭素化フェノールの縮合物、未架橋又は架橋臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物であってもよい。
これら臭素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ホウ素含有難燃剤)
本発明で使用するホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛がより好ましい。
(アンチモン含有難燃剤)
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 本発明に使用するアンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
(塩素含有難燃剤)
塩素含有難燃剤は、ポリウレタンフォームに通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテン等が挙げられる。
(金属水酸化物)
本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化錫等が挙げられる。金属水酸化物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが好ましい。
(針状フィラー)
針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
これらの針状フィラーは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用する針状フィラーのアスペクト比(長さ/直径)の範囲は、5~50の範囲であることが好ましく、10~40の範囲であればより好ましい。なお、当該アスペクト比は、走査型電子顕微鏡で針状フィラーを観察してその長さと幅を測定して求めることができる。
固体難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、例えば10質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましく、35質量部以上であることがさらに好ましく、45質量部以上であることが特に好ましい。固体難燃剤の含有量を上記下限値以上にすることで、ポリウレタンフォームの難燃性を高めることができる。また、固体難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、110質量部以下であることが好ましく、97質量部以下であることがより好ましく、87質量部以下であることがさらに好ましい。固体難燃剤の含有量をこれら上限値以下とすることで、反応性が低下せずに、良好な発泡性を得やすくなる。
(増粘剤)
本発明のポリオール組成物は、フィラーとして増粘剤を含有することが好ましい。増粘剤を含有することで、ポリオール組成物の粘度を所定の範囲内に調整しやすくなる。増粘剤としては、シリカ、ヒュームドシリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)などの酸化金属塩、水酸化カルシウムなどの水酸化金属塩、炭酸カルシウムなどの炭酸金属塩などの無機粒子が挙げられ、これらの中ではアルミナ粒子が好ましい。
アルミナとしては、好ましくはヒュームドアルミナであり、中でも疎水性表面処理がなされたヒュームドアルミナがより好ましい。疎水性表面処理としては、アルキルシランなどのケイ素系有機化合物により表面処理する方法などが挙げられる。
増粘剤の含有量は、例えば、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.2~15質量部、より好ましくは0.4~10質量部、さらに好ましくは0.8~6質量部である。増粘剤の含有量を上記範囲内とすることで、ポリオール組成物の粘度を所定の範囲内に調整しやすくなる。
フィラーとしては、上記した難燃剤、増粘剤以外の無機充填剤(その他の無機充填剤)を使用してもよい。そのような無機充填剤として、フェライト類、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、各種金属粉、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等を適宜使用できる。これら無機充填剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フィラーとして増粘剤を使用する場合、増粘剤は、増粘剤以外のフィラーと併用することが好ましい。増粘剤は、上記した固体難燃剤と併用してもよいし、増粘剤及び固体難燃剤以外の無機充填剤と併用してもよいし、これらの両方と併用してもよい。増粘剤は、固体難燃剤や、増粘剤及び固体難燃剤以外の無機充填剤と併用することで、ポリウレタンフォームに難燃性などの機能を付与ししつつ、ポリオール組成物の粘度を適切な範囲内に調整しやすくなる。また、増粘剤は、ポリウレタンフォームに難燃性を付与ししつつポリオール組成物の粘度を適切な範囲内に調整する観点から、固体難燃剤と併用することが好ましい。
ポリオール組成物におけるフィラーの含有量は、ポリオール100質量部に対して、例えば10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。フィラーの含有量を上記下限値以上にすることで、ポリウレタンフォームに難燃性などの各種機能を付与しやすくなる。また、フィラーの含有量は、ポリオール100質量部に対して、120質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましく、90質量部以下であることがさらに好ましい。フィラーの含有量をこれら上限値以下とすることで、反応性が低下せずに、良好な発泡性を得やすくなる。
<リン酸エステル>
本発明のポリオール組成物は、上記した固体難燃剤以外の難燃剤を有していてもよい。そのような難燃剤としては、常温(23℃)、常圧(1気圧)にて液体である難燃剤(液状難燃剤)が挙げられ、具体的にはリン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルを使用することで、ポリオール組成物の流動性を低下させることなく、ポリウレタンフォームの難燃性を向上させやすくなる。
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用できる。モノリン酸エステルとは、分子中にリン原子を1つ有するリン酸エステルである。モノリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート等のトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェート等のトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート等の芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート等の酸性リン酸エステル等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、「CR747」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「FP-600」等が挙げられる。
リン酸エステルは、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオール組成物の粘度を適切にしやすくする観点、及びポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステルがより好ましい。
ポリオール組成物におけるリン酸エステルの含有量は、ポリオール100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、12~90質量部がより好ましく、20~75質量部がさらに好ましく、30~60質量部がよりさらに好ましい。
<整泡剤>
本発明のポリオール組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤を含有することでポリウレタンフォームの発泡性を良好にでき、例えば、スプレー噴霧においてポリイソシアネートと反応させる際、発泡を促進できる。
整泡剤としては、具体的には界面活性剤、より具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等が挙げられる。本発明で使用する整泡剤は特に限定されないが、発泡性の観点からシリコーン整泡剤が好ましい。整泡剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
本発明のポリオール組成物中の整泡剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~12質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、2~8質量部が更に好ましい。整泡剤の含有量が上記下限値以上であるとポリオール組成物とポリイソシアネートとの混合物を発泡させやすくなるため均質なポリウレタンフォームを得ることが可能になる。また、整泡剤の含有量が上記上限値以下であると製造コストと得られる効果のバランスが最適になる。
<その他成分>
ポリオール組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤(金属不活性化剤)、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤等から選択される1種以上を含むことができる。
[ポリオール組成物の粘度]
本発明において、ポリオール組成物の25℃における粘度は、300~2000mPa・sであることが好ましい。粘度が300mPa・s以上となると、後述する攪拌羽根による攪拌力がポリオール組成物に十分に伝達して、容器に充填されるポリオール組成物においてフィラーを均一に分散させることができる。また、十分な量のフィラーをポリオール組成物に配合できる。一方で、2000mPa・s以下とすると、容器に充填されるポリオール組成物において、攪拌羽根による攪拌力でフィラーを均一に分散させることができる。そして、ポリオール組成物において、フィラーを均一に分散させることで、ポリウレタンフォームの品質にばらつきが生じるなどの不具合が発生しにくくなる。
施工現場にて実用的な方法によりフィラーをより均一に分散させる観点から、上記粘度は、300~1900mPa・sがより好ましく、350~1600mPa・sがさらに好ましく、400~1300mPa・sがよりさらに好ましい。
なお、25℃における粘度は、BM型粘度計を用いて、回転数60rpm、温度25℃の条件で測定した粘度であり、より詳細には実施例に記載の方法により測定できる。
[容器]
本発明のポリオール組成物が充填される容器は、ポリオール組成物が充填できる公知の容器を使用することができ、代表的にはドラム缶が挙げられる。ドラム缶は、円筒状の胴体部と、胴体部の両開口部を塞ぐ天面部、及び底面部を有する容器である。また、容器としては、ドラム缶以外にも、ボトル状のものでもよいし、角容器などであってもよい。なお、角容器とは、四角筒状の胴体部と、胴体部の両開口部を塞ぐ天面部、及び底面部とを有するものであり、一斗缶などとして知られている。また、他にもペール缶や天面部が開閉できるものであってもよい。
容器としてはドラム缶を使用することが好ましい。ドラム缶は、汎用的でかつ容量が比較的大きいので実用的である。また、円筒状の胴体部を有することで、容器内に充填されるポリオール組成物を後述する攪拌羽根により均一に攪拌しやすい。
ドラム缶などの容器の材質は、特に限定されないが、金属などでもよいし、樹脂製などでもよい。また、容器は、内部コーティングにより、内周面に保護膜などが形成された容器でもよい。
また、ドラム缶などの各容器は、内容物を出し入れするための開口を有する。開口は、例えば、ドラム缶や角容器においては天面部に設けられる。また、ドラム缶は、一般的に、天面部に大開口と、大開口よりも直径が小さい小開口を有する。大開口及び小開口を有する場合、通常、大開口が内容物を出し入れするために使用され、小開口が内容物を出し入れする際の通気口となる。
容器の開口の大きさは、特に限定されないが、天面部の直径よりも十分に小さくてよく、開口の直径は、天面部の直径に対して、例えば1/100~1/2程度、典型的には1/50~1/5程度である。また、具体的な寸法としては、1~10cm程度であり、より典型的には1.5~8cmである。なお、ドラム缶などのように開口が複数(例えば、上記した大開口と、小開口)設けられる場合には、いずれの開口の直径も上記範囲内であるとよい。
また、容器の容量としては、特に限定されないが、例えば15~400L、好ましくは50~300L,より好ましくは150~250L程度である。容器の容量が上記範囲内であると、容器が汎用的であり、かつ比較的大きいスケールで後述する製造方法を実施可能となり、実用化しやすくなる。また、後述する攪拌羽根により、配合されるフィラーを均一化しやすくなる。
ポリオール組成物が充填された容器(ポリオール組成物充填容器)は、ポリオール組成物を構成する成分を上記容器に充填することで用意するとよい。ポリオール組成物の調製方法は、特に限定されないが、各成分を添加し、かつ攪拌などして各成分を混合して調製すればよい。各成分は、容器に直接添加して、容器内において各成分を混合することでポリオール組成物を調製してもよいし、混合装置などの容器以外で予め各成分を混合してポリオール組成物を調製し、その調製されたポリオール組成物を容器に充填してもよい。
[ポリウレタンフォームの製造方法]
次に、本発明のポリウレタンフォームの製造方法について詳細に説明する。本製造方法では、まず、上記のようにポリオール組成物が充填された容器(ポリオール組成物充填容器)を用意する。次に、容器に充填されたポリオール組成物を攪拌する。そして、攪拌したポリオール組成物をポリイソシアネートに混合させ、得られた混合物を発泡させることでポリウレタンフォームを得る。
本製造方法において、容器に充填されたポリオール組成物は、適宜保管された後、攪拌されてもよい。保管は、通常は、常温付近(例えば、0~30℃程度)の温度で行われるとよい。保管時間は、特に限定されず、例えば1年間程度以内、より典型的には6ヵ月程度以内、さらに好ましくは3ヵ月以内である。
本発明では、ポリオール組成物の攪拌は、攪拌羽根により行う。攪拌羽根は、ポリオール組成物中に配置され、かつ回転させられることでポリオール組成物を攪拌させる。本発明では、フィラーを含有し、かつドラム缶などの容器に充填されたポリオール組成物を、攪拌羽根を用いて攪拌することで、フィラーをポリオール組成物において均一に分散させることができる。
ポリオール組成物の攪拌では、例えば攪拌羽根を備える撹拌機を使用すればよい。攪拌機としては、より具体的には、軸部と、軸部に取り付けられた攪拌羽根を備え、軸部を中心に回転させるものが挙げられる。
このような撹拌機は、例えばドラム缶などの容器の開口から容器内部に軸部を挿入することで攪拌羽根をポリオール組成物中に配置させることができる。また、攪拌羽根は、ポリオール組成物中に入れられたりすることで作用された遠心力と抵抗により攪拌羽根が開くタイプのものでもよい。撹拌機としては、例えば市販のドラム缶用ミキサーを使用すればよい。
ドラム缶用ミキサーなどの攪拌羽根を備える撹拌機は、持ち運びなどが可能であり、現場発泡によりポリウレタンフォームを製造する場合でも実用的に使用できる。
容器の開口は、一般的に栓により閉じられているが、容器を開栓した後に、開口から攪拌羽根を内部に挿入して、攪拌を行うとよい。
また、ドラム缶などにおいて、容器の開口は、上記のとおり大開口と小開口が設けられることがある。この際、撹拌羽根は大開口、小開口のいずれから容器内部に挿入されてもよいが、小開口から挿入されることが好ましい。本発明では、撹拌羽根が小開口から挿入できる程度の大きさのものであっても、例えば、ポリオール組成物の粘度を上記した所定の範囲内とすることで、フィラーを均一に分散させることができる。
容器に充填されたポリオール組成物の攪拌時の温度は、特に限定されないが、例えば5~35℃で行うとよく、好ましくは10~30℃で行うとよい。また、攪拌時間は、例えば1~120分程度、好ましくは10~60分程度である。
上記のように攪拌羽根により攪拌されたポリオール組成物は、次いで、発泡機などにおいて、ポリイソシアネートと混合させ、得られた混合液(発泡性ポリウレタン組成物)を反応かつ発泡させることで、ポリウレタンフォームを製造するとよい。発泡機としては、スプレーガンを有するスプレー装置等を用いるとよい。
より具体的には、ポリオール組成物は、攪拌により、フィラーなどの配合物が均一に分散された状態で発泡機に送液され、別の容器などから送液されたポリイソシアネートと発泡機内部にて衝突混合させるとよい。ポリオール組成物は、送液中も攪拌されていてもよいが、通常は攪拌される必要はない。混合して得られた混合液(発泡性ポリウレタン組成物)は、スプレーガンなどの吐出口から吐出させ、吐出された発泡性ポリウレタン組成物によりポリウレタンフォームを形成するとよい。
本製造方法は、例えば、吹付施工に適用することが好適である。したがって、発泡機から吐出された混合液は、施工対象面に例えば一定の吐出圧力で吹き付け、発泡させることにより、施工対象面上にポリウレタンフォームを形成するとよい。
また本発明においては、ポリイソシアネートとポリオール組成物とを混合した後、金型、枠材等の容器へ注入して硬化させることによりポリウレタンフォームを得てもよい。
<ポリイソシアネート>
本製造方法で使用されるポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、使いやすさの観点、及び入手容易性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックMDI、又はこれらの混合物がより好ましい。ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポリイソシアネートは、ポリオール組成物と混合する前に、ポリイソシアネートに配合される公知の添加剤などの他の成分が適宜配合されてもよい。
なお、ポリオール組成物と、ポリオール組成物に混合されるポリイソシアネートは、互いに体積が実質的に同じであることが好ましい。具体的には、ポリオール組成物に対する、ポリイソシアネートの体積比は、0.8~1.2が好ましく、0.9~1.1がより好ましく、0.95~1.05がさらに好ましい。なお、ポリイソシアネートの体積とは、ポリイソシアネート以外の成分が添加されている場合には、その成分の添加後のポリイソシアネートの体積である。
<イソシアネートインデックス>
上記製造方法においては、特に制限はないが、イソシアネートインデックスが200以上となるようにポリオール組成物を、ポリイソシアネートに混合させることが好ましい。イソシアネートインデックスが当該下限値以上であると、ポリオールに対するポリイソシアネートの量が過剰になりポリイソシアネートの三量化体によるイソシアヌレート結合が生成し易くなる結果、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。また、不燃性を付与することも可能になる。さらに、上記下限値以上とすると、上記した各種触媒を併用することも相俟って、イソシアヌレート結合を十分に有するポリウレタンフォーム、すなわち、難燃性と断熱性とを高い水準で兼ね備えるポリウレタンフォームを製造しやすい。これらの観点から、イソシアネートインデックスは、250以上がより好ましく、300以上がさらに好ましく、350以上がよりさらに好ましく、400以上が特に好ましい。
また、イソシアネートインデックスは、1,000以下が好ましく、800以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。イソシアネートインデックスが前記上限値以下であると、製造コストに十分見合った難燃性が得られる。
なお、イソシアネートインデックスは、以下の方法により計算することができる。
イソシアネートインデックス
=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、各当量数は以下のとおり計算することができる。
・ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用量(g)×NCO含有量(質量%)/NCOの分子量(モル)×100
・ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用量(g)÷KOHの分子量(ミリモル)
OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)である。
・水の当量数=水の使用量(g)/水の分子量(モル)×水のOH基の数
上記各式において、NCOの分子量は42(モル)、KOHの分子量は56,100(ミリモル)、水の分子量は18(モル)、水のOH基の数は2とする。
ポリウレタンフォーム(すなわち、発泡性ポリウレタン組成物)におけるフィラーの含有量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、例えば4質量部以上であるが、6質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましい。発泡性ポリウレタン組成物におけるフィラーの含有量を上記下限値以上とすることで、ポリウレタンフォームにおけるフィラーの占める割合が十分となり、ポリウレタンフォームの吸水率を低減させることができ、加水分解を良好に抑制することができる。また、フィラーの含有量は、ウレタン樹脂100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましい。これら上限値以下とすることで良好な発泡性を有するポリウレタンフォームが得られやすくなる。なお、発泡性ポリウレタン組成物に配合されるポリオールとポリイソシアネートの合計量は、ポリウレタンフォームや発泡性ポリウレタン組成物におけるウレタン樹脂の量とみなすことができる。
<ポリウレタンフォームの用途>
本発明の製造方法で得られるポリウレタンフォームの用途は、特に限定されないが難燃性及び断熱性に優れているため、建築物の壁、天井、屋根、床等の建築物に好適に用いることができ、壁、天井、屋根、床等などを吹付対象面としてポリウレタンフォームを形成するとよい。また、建築物の構造材の間に生じる目地や穴を含め、建築物に生じる任意の開口部を埋める部材として好適に用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、実施例、比較例で使用した各成分は以下のとおりであった。
<ポリオール組成物>
〔ポリオール〕
・p-フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK-087、水酸基価=200mgKOH/g)
〔触媒〕
・樹脂化金属触媒、ビスマストリオクテート(日東化成社製、製品名:ネオスタン U-600)濃度55~58質量%
・樹脂化金属触媒、ジオクチル錫バーサテート(日東化成社製、製品名:ネオスタン U-830)濃度約99質量%
・樹脂化アミン触媒、1,2-ジメチルイミダゾール(東ソー株式会社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)-DM70)濃度65~75質量%
・金属触媒(三量化触媒)、2-エチルヘキサン酸カリウム(エアープロダクツ社製、製品名:DABCO(登録商標)K-15)濃度70~80質量%
・4級アンモニウム塩(三量化触媒)、2,2-ジメチルプロパン酸テトラメチルアンモニウム塩(エアープロダクツ社、製品名:DABCO(登録商標)TMR7)濃度45~55質量%
〔発泡剤〕
・ハイドロフルオロオレフィン(HFO,ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:ソルスティスLBA、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)
・水
〔液状難燃剤〕
・トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
〔フィラー〕
(固体難燃剤)
・ウォラストナイト(SiO・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH-1250)
(増粘剤)
・ヒュームドアルミナ(日本アエロジル社製、製品名:AEROXIDE AluC805)
<ポリイソシアネート>
・4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)(万華化学ジャパン株式会社製、製品名:PM200)
実施例1~9
表1に記載の配合にしたがって各成分を混合して、ポリオール組成物を作製した。該ポリオール組成物を天面部に小開口(直径3/4インチ(1.9cm))と、大開口(直径2インチ(5.1cm))を有する200Lのドラム缶に充填した。
ドラム缶に充填したポリオール組成物は、常温(25℃)で24時間保管した。その後、ドラム缶の小開口を開栓し、ドラム缶用ミキサー(日本ウレタンエンジニアリング社製「ドラム缶用エアー駆動撹拌機、3段式羽付き、品番:NUE035B-1」)をセットした。次いで、ドラム缶の大開口を開栓し、25℃でドラム缶用ミキサーにより30分撹拌した。攪拌終了後直ちに、大開口から内容物を目視にて観察し、以下の評価基準により均一性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、攪拌後に表1の記載に従ってポリオール組成物をスプレー装置よりポリイソシアネートと混合して、スプレーガンより吹付発泡を行うと、適切に発泡した品質にバラつきのないポリウレタンフォームを形成できる。
(均一性)
A:液全体の透明性が失われて透明の部分がなく、フィラーが均一に分散していた。
B:透明の部分がまだら状にあるものの、概ね液全体の透明性が失われてフィラーがほぼ均一に分散していた。
C:ドラム缶上部において、ポリオール組成物が透明のままであり、フィラーが均一に分散されなかった。
比較例1~3
表1に記載の配合にしたがって各成分を混合して、ポリオール組成物を作製した。該ポリオール組成物を実施例で使用したものと同じドラム缶に充填した。ドラム缶に充填したポリオール組成物は、常温(25℃)で24時間保管した。その後、ドラム缶の小開口及び大開口を開栓し、25℃の環境下にさらに30分放置した。30分放置後に大開口から内容物を目視にて観察し、実施例と同様の評価基準により評価した。評価結果を表1に示す。
また、攪拌後に表1の記載に従ってポリオール組成物をスプレー装置よりポリイソシアネートと混合して、スプレーガンより吹付発泡を行うとポリウレタンフォームを形成できた。ただし、ドラム全体の成分が不均一であるため、ドラム使用時の使用始めと使用終わりで成分に違いが発生して、品質にバラつきが生じた。
(ポリオール組成物の粘度)
ポリオール組成物の粘度は、BM型粘度計(Viscometer/TV-22、東機産業社製)を用いて、スピンドルBM3、回転数60rpm、温度25℃の条件で測定した。各実施例、比較例のポリオール組成物の粘度を表1に示す。
Figure 2022030313000002
以上のように、25℃における粘度が所定の範囲内にある実施例1~9では、容器に充填されたポリオール組成物を攪拌羽根により攪拌することで、ポリオール組成物に含有されるフィラーを均一に分散させることができた。このように、ポリオール組成物に含有されるフィラーを均一に分散させると、ポリイソシアネートと混合し、かつ発泡することで得られるポリウレタンフォームの品質が良好に安定した。
それに対して、比較例1~3では、ポリオール組成物を攪拌羽根で攪拌しなかったため、ドラム缶の中に充填したポリオール組成物は、フィラーが均一に分散しなかった。したがって、ポリイソシアネートと混合し、かつ発泡することで得られるポリウレタンフォームの品質はバラつきが生じた。

Claims (9)

  1. ポリオール、発泡剤、触媒、及びフィラーを含有するポリオール組成物が充填された容器を用意する工程と、
    前記容器に充填されたポリオール組成物を、攪拌羽根により攪拌する工程と、
    攪拌された前記ポリオール組成物をポリイソシアネートに混合させ、得られた混合物を発泡させる工程と
    を備えるポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 前記混合物を吹き付けて発泡させる請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記ポリオール組成物の25℃における粘度が300~2000mPa・sである請求項1又は2に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 前記触媒が三量化触媒を含む請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記三量化触媒が4級アンモニウム塩を含む請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記触媒がビスマス及び錫からなる群から選択される少なくとも1種を含む金属触媒を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 前記触媒がイミダゾール誘導体を含む請求項1~6のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  8. 前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンを含む請求項1~7のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  9. イソシアネートインデックスが200以上となるように前記ポリオール組成物を、前記ポリイソシアネートに混合させる請求項1~8のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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