JP2022029422A - ガスセル筐体成型用金型およびガスセル筐体の製造方法並びにガスセンサ用ガスセル筐体およびこれを備えるガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスセルの筐体部へのミラー部の組み込みを不要とするとともに、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化して多段に折り返す多重反射光路の高いロバスト性が得られる、ガスセル筐体成型用金型およびガスセル筐体の製造方法並びにガスセンサ用ガスセル筐体およびこれを備えるガスセンサを提供する。【解決手段】ガスセンサ10は、発光部21および受光部22を有する基板20が装着される基板装着面31と、複数の反射部41~45を有するミラー部40と、を一の筐体30部に備えている。そして、筐体部30は、複数の反射部41~45の全てが、基板装着面31の延在方向での一方側と他方側との対向方向で発光部21から出射された光を多重反射して受光部22に入射させるように、当該筐体部30の内面に一体成型されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ガスセンサに係り、特に、ガスセル筐体成型用金型およびガスセル筐体の製造方法並びにガスセンサ用ガスセル筐体およびこれを備えるガスセンサに関する。
従来から、大気中の測定対象ガスの濃度測定を行うガス濃度測定装置として、ガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりそのガス濃度を測定する非分散赤外吸収型(Non-Dispersive Infrared)のガスセンサが知られている。
例えば、特許文献1には、発光部、受光部およびミラー部を有するガスセル(OBA)を備えるガスセンサが開示されている。
同文献に記載の技術では、発光部及び受光部を、これら発光部及び受光部それぞれに対応して設けたミラー部の集光点に配置し、発光部から出射された光を、ミラー部を経由して受光部に入射させる。その際、測定対象ガスをガスセル内に導入することにより、受光部の出力信号に応じて測定対象ガスの濃度を検出するようになっている。
同文献に記載の技術では、発光部及び受光部を、これら発光部及び受光部それぞれに対応して設けたミラー部の集光点に配置し、発光部から出射された光を、ミラー部を経由して受光部に入射させる。その際、測定対象ガスをガスセル内に導入することにより、受光部の出力信号に応じて測定対象ガスの濃度を検出するようになっている。
ここで、この種のガスセンサのガスセルは、高精度の検出信号を取得して高いSN比を達成するために、ガスセルの筐体内に設けられるミラー部には、多段に折り返す光路の最適化が必要である。例えば、低濃度のガス用に設計されたガスセルは、ガスセルの筐体内部での多重反射を使用することによって長い光路長を獲得している。
優れた反射特性のミラー部を得るためには、高い反射率と、気候や空気汚染の雰囲気環境に耐える経年特性をもつ鏡面を備えるガスセルが望まれる。そのため、ガスセルの筐体部とミラー部とを樹脂で成型するための金型は、光物性学についての深い知識と、例えばランベルト・ベールの法則による光路シミュレーションとに基づいて、極めて高い精度で精密に設計される。
しかし、従来のガスセルの筐体構造は、筐体部とミラー部とが別個の部品として用意されて複数の部品から構成されている。そのため、ガスセルの筐体部とミラー部とが別個の部品とされるので、多段に折り返すミラー部の鏡面による多重反射光路の高いロバスト性が得られ難いという問題がある。
これに対し、例えば現時点での3Dプリンタ技術では、ミラー部の多重反射光路を構成する鏡面として必要な面粗度や多段に折り返す光学系を、ガスセル筐体内に筐体部と一体で高精度に形成することは極めて困難である。
これに対し、例えば現時点での3Dプリンタ技術では、ミラー部の多重反射光路を構成する鏡面として必要な面粗度や多段に折り返す光学系を、ガスセル筐体内に筐体部と一体で高精度に形成することは極めて困難である。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ガスセルの筐体部へのミラー部の組み込みを不要とするとともに、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化して多段に折り返す多重反射光路の高いロバスト性が得られる、ガスセル筐体成型用金型およびガスセル筐体の製造方法並びにガスセンサ用ガスセル筐体およびこれを備えるガスセンサを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスセル筐体成型用金型は、発光部および受光部を有する基板が装着される基板装着面に対して該基板装着面の一方側と他方側との対向方向で前記発光部から出射された光を多重反射して前記受光部に入射させるように配置される複数の反射部を有するミラー部を備えるガスセル筐体を樹脂材料で射出成型するためのガスセル筐体成型用金型であって、当該ガスセル筐体成型用金型は、下型および上型相互の離型時の抜き方向が、前記複数の反射部の全てがアンダカット形状とならないように前記基板装着面の延在方向とは垂直な方向に対して斜めに設けられることにより、成型される一のガスセル用筐体の内面に前記複数の反射部の全てが一体成型されるように構成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスセル筐体の製造方法は、本発明の一態様に係るガスセル筐体成型用金型を用い、前記下型および前記上型相互の離型時の抜き方向を、前記複数の反射部の全てにアンダカットが生じないように、前記基板装着面の延在方向とは垂直な方向に対して斜めに挿抜して成型して、前記複数の反射部の全てを一の筐体部の内面と一体成型してガスセル筐体を製造することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスセンサ用ガスセル筐体は、発光部および受光部を有する基板が装着される基板装着面と、複数の反射部を有するミラー部と、を一の筐体部に備えるガスセンサ用ガスセル筐体であって、前記筐体部は、前記複数の反射部の全てが、前記基板装着面の一方側と他方側との対向方向で前記発光部から出射された光を多重反射して前記受光部に入射させるように、当該筐体部の内面に一体成型されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスセンサは、本発明の一態様に係るガスセンサ用ガスセル筐体を備えることを特徴とする。
本発明によれば、本発明に係るガスセンサのミラー部は、複数の反射部の全てがガスセル筐体の内面に一体成型されているので、ガスセル筐体内へのミラー部の組み込み工程が不要であり、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化できる。そのため、多段に折り返す多重反射光路の高いロバスト性が得られる。
上述のように、本発明によれば、ガスセル筐体内へのミラー部の組み込み工程が不要であり、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化できる。そのため、多段に折り返す多重反射光路の高いロバスト性が得られる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るガスセンサ10は、直方体状の外観を有するガスセル用筐体30と、ガスセル用筐体30の底面側に装着される直方体板状の基板20と、を備える。
なお、本明細書では、説明の便宜のために、直方体状の長手方向を前後とし、短手方向を左右とするとき、ガスセル用筐体30の長手方向の前後において、同図手前の側の壁面を前壁面35と呼称し、以下同様に、長手方向の奥側を後壁面34と、短手方向の右側を右壁面36と、短手方向の左側を左壁面37と、上側の面を上面33と、下側の面を底面と32と、呼称する。
なお、本明細書では、説明の便宜のために、直方体状の長手方向を前後とし、短手方向を左右とするとき、ガスセル用筐体30の長手方向の前後において、同図手前の側の壁面を前壁面35と呼称し、以下同様に、長手方向の奥側を後壁面34と、短手方向の右側を右壁面36と、短手方向の左側を左壁面37と、上側の面を上面33と、下側の面を底面と32と、呼称する。
ガスセンサ10は、ガスセル用筐体30の内部に空洞が形成され、図1(b)および図2(c)、(d)に示すように、ガスセル用筐体30の内面には、複数の反射部41~45を有するミラー部40が設けられる。
ガスセル用筐体30の底面32は、長手方向の両側を除いて大きく下方に開口する凹部が基板装着面31として形成され、直方体板状の上記基板20が、凹部に嵌め込まれるように基板装着面31に装着される。このとき、基板20は、前後方向の一方側に、発光部21及び受光部22が位置するように装着される。
ガスセル用筐体30の底面32は、長手方向の両側を除いて大きく下方に開口する凹部が基板装着面31として形成され、直方体板状の上記基板20が、凹部に嵌め込まれるように基板装着面31に装着される。このとき、基板20は、前後方向の一方側に、発光部21及び受光部22が位置するように装着される。
図3および図4に示すように、本実施形態のガスセル用筐体30には、複数の反射部41~45の全てが、基板装着面31の延在方向での一方側と他方側との対向方向で発光部21から出射された光を多重反射して受光部22に入射させるように、ガスセル用筐体30の内面に一体成型されている。
本実施形態の例では、発光部21及び受光部22が位置する側とは反対の側に、二つの反射部42、44が配置され、二つの反射部42、44の上部に位置するように、矩形状の開口部30kが形成されている。
本実施形態のガスセンサ10は、上部に開口する開口部30kが測定対象ガスの導入・排出口とされており、この開口部30kから粒子フィルタ50を介して測定対象ガスをガスセル筐体30内に導入する。
本実施形態のガスセンサ10は、上部に開口する開口部30kが測定対象ガスの導入・排出口とされており、この開口部30kから粒子フィルタ50を介して測定対象ガスをガスセル筐体30内に導入する。
そして、本実施形態のガスセンサ10は、発光部21及び受光部22とミラー部40との間に測定対象ガスを通過させ、このときの受光部22の出力信号に基づき、濃度演算部(不図示)により測定対象ガスの濃度を演算可能に構成される。
これにより、このガスセンサ10は、濃度演算部が取得した受光部22の出力信号に基づき、発光部21から受光部22までの光路中の測定対象ガスの濃度を演算可能に構成されてガス濃度測定装置として機能する。
なお、受光面22a及び発光面21aの形状は、長方形である場合に限るものではなく任意の形状とすることができる。例えば、受光面22aが楕円形又は発光面21aが楕円形であってもよい。
なお、受光面22a及び発光面21aの形状は、長方形である場合に限るものではなく任意の形状とすることができる。例えば、受光面22aが楕円形又は発光面21aが楕円形であってもよい。
より詳しくは、図1および図2に示すように、本実施形態に係るガスセンサ10は、ガスセル用筐体30の上下に二つの開口部が形成され、二つの開口部は、ガスセル用筐体30の内面に形成された複数の反射部41~45に連通して内部の空洞が画成されている。
上部の開口部30kは、開口部30kを覆うように、粒子フィルタ50によって上面から密封される。粒子フィルタ50は、開口部30kよりも一回り大きな矩形状をなした板状に形成され、開口部30kを覆うように装着される。
下部の開口部は上記基板装着面31とされ、開口部を覆うように相似形状の基板20が装着される。基板20には、図1(b)および図2(d)に示すように、発光部21及び受光部22が設けられ、また、ガスセル用筐体30の内面にはミラー部40が設けられる。この例では、発光部21と受光部22とは一の基板20上に配置されている。
基板20は、ベース基板としても機能する回路基板であり、例えばプリント基板を用いることができる。なお、発光部21と受光部22は同じ基板20上に実装される場合に限るものではなく、別々の基板に実装されていてもよい。
発光部21は、発光面21aを有するとともに赤外光を含む光を放射可能に構成されている。発光部21は、発光面21aから照射した光が、ミラー部40の複数の反射部41~45により多重反射され、その集光点が受光部22の受光面22aと重なる位置に設置される。
発光部21は、測定対象ガスによって吸収される波長を含む光を出力するものであれば特に制限されない。具体的な例としては、MEMS(microelectromechanical systems)光源や発光ダイオードが挙げられる。その中でも、測定対象ガス以外の成分の光吸収によるノイズを低減する観点から、測定対象ガスの吸収が大きい波長帯の光のみを出力するものであることが好ましい。
具体的には、発光波長帯をアクティブ層のバンドギャップでコントロールできるという観点から、発光部21は、発光ダイオード構造が望ましい場合がある。発光ダイオードは半導体基板上に形成されていてもよい。
また、発光強度を増強させるために配線により直列又は並列接続されていることも好ましい。さらに、発光ダイオードから放射され、半導体基板の裏面で反射した光が入射する位置に発光量を監視するためのセンサ部が設けられていてもよい。
また、発光強度を増強させるために配線により直列又は並列接続されていることも好ましい。さらに、発光ダイオードから放射され、半導体基板の裏面で反射した光が入射する位置に発光量を監視するためのセンサ部が設けられていてもよい。
発光部21は、測定対象ガスに併せて所望の光学特性を有する光学フィルタをさらに備えていてもよい。例えば、測定対象ガスが炭酸ガスの場合、発光部21には炭酸ガスによる赤外線吸収が多く生じる波長帯(代表的には4.3μm付近)の赤外線を濾波できるバンドパスフィルタを搭載する形態が例示される。
受光部22は、受光面22aを有するとともに発光部21から放射された光の少なくとも一部を受光可能に構成されている。受光部22は、受光面22aがミラー部40の集光点と重なる位置に設置される。
受光部22としてはフォトダイオードが望ましい場合がある。フォトダイオードは、測定対象ガスによって吸収される波長を含む光の帯域に感度を有するものが好ましい。フォトダイオードの形状は十分なS/N比が得られるものであれば特に制限されない。
フォトダイオードは、測定対象ガスに併せて所望の光学特性を有する光学フィルタをさらに備えていてもよい。例えば、測定対象ガスが炭酸ガスの場合、フォトダイオードには炭酸ガスによる赤外線吸収が多く生じる波長帯(代表的には4.3μm付近)の赤外線を濾波できるバンドパスフィルタを搭載する形態が例示される。
ミラー部40は、上述した、図3および図4に示したように、複数の反射部41~45を有し、発光部21から受光部22に向けて発光部21から出射された光を多重反射して多段反射光路を構成するように複数の反射部41~45が配置されて構成される。
さらに、ミラー部40は、発光部21の発光面21aから放射された光を集光可能に且つ、受光部22の受光面22aに向けた光を集光可能に多段反射光路が構成される。本実施形態に係るミラー部40は、発光部21から放射された光を受光部22の受光面22aと重なる位置に集光点が位置するように多重反射する。
これにより、本実施形態のガスセンサ10は、ガスセル用筐体30を小型でコンパクトに構成しつつ、光路長の長いガスセンサを実現しており、ガス濃度検知の精度を向上させることができる。
本実施形態では、複数の反射部41~45の全ては、樹脂製の基材で特定形状のガスセル用筐体30の内面に一体成型された後に、光を反射する部分に、アルミニウム、金、銀を含む合金、又はこれらの積層体等が蒸着又はめっきされることで反射面が形成される。
本実施形態では、複数の反射部41~45の全ては、樹脂製の基材で特定形状のガスセル用筐体30の内面に一体成型された後に、光を反射する部分に、アルミニウム、金、銀を含む合金、又はこれらの積層体等が蒸着又はめっきされることで反射面が形成される。
なお、集光点とは、発光部21、受光部22およびミラー部40の相対位置関係及び複数の反射部41~45の形状および配置から一意に決まる位置である。集光点を持つ反射部の種類としては、球面鏡、楕円鏡、放物面鏡等が挙げられる。球面鏡又は放物面鏡を用いて光を平行光に変換する場合は、光路長を長くするために、二つの球面鏡又は放物面鏡の間にさらに平面鏡を含んでいてもよい。
ここで、本実施形態に係るガスセンサ10のガスセル筐体30は、特に図4(d)に示すように、ミラー部40を含む所定の一体構造となる条件を、離型時の抜き方向Lu,Lsが満たすように構成され、これにより、後述するように、ミラー部40を構成する複数の反射部41~45の全てを、一の筐体30の内面に一体成型可能な金型(図5参照)により成型される。
そのため、本実施形態に係るガスセンサ10によれば、ミラー部40を構成する複数の反射部41~45の全てが、一の筐体30の内面に一体成型されているので、接着剤の伸長収縮等の影響による受光部22での出力信号の変化を抑制できる。これにより、ミラー部40が多重反射した光のほとんどを精度良く受光部22の受光面22aで受光可能になっている。
本実施形態に係るガスセンサ10のガスセル筐体30は、後述するガスセル筐体成型用金型によって成型されている。これにより、ガスセル筐体30は、成型される基板装着面31の延在方向に対して垂直な方向においてはアンダカット形状を有している。一方で、成型される基板装着面31の延在方向に対して特定の角度だけ傾けた方向においてはアンダカット形状を有しない。
これにより、ガスセル筐体30は、成型される基板装着面31の延在方向に対して垂直な方向では、反射部41~45等がアンダカット形状を有しつつ一体化されているので、樹脂製の接着剤が外部環境因によって伸長収縮を起こしたり、ミラー部40の組み込み位置のずれが発生したりするおそれが一切無く、かつ、ミラーの形状も制限を受けづらいため、ロバスト性が強く、ガス濃度を高精度に安定して検知できる。
これにより、ガスセル筐体30は、成型される基板装着面31の延在方向に対して垂直な方向では、反射部41~45等がアンダカット形状を有しつつ一体化されているので、樹脂製の接着剤が外部環境因によって伸長収縮を起こしたり、ミラー部40の組み込み位置のずれが発生したりするおそれが一切無く、かつ、ミラーの形状も制限を受けづらいため、ロバスト性が強く、ガス濃度を高精度に安定して検知できる。
<ガスセル筐体成型用金型およびこれを用いたガスセル筐体の製造方法>
以下、本実施形態のガスセル筐体成型用金型およびこれを用いたガスセル筐体の製造方法について説明する。本実施形態のガスセル筐体30は、例えば図5に模式図を示すような、専用のガスセル筐体成型用金型によって成型される。
本実施形態のガスセル筐体成型用金型では、上型100の抜き方向Luおよび下型200の抜き方向Lsを所定に設定する工夫と、固定側の下型200と可動側の上型100との相互の当接面(パーティング面を含む)を擦り合せて密着させる押し切り合わせと、を採用している。
以下、本実施形態のガスセル筐体成型用金型およびこれを用いたガスセル筐体の製造方法について説明する。本実施形態のガスセル筐体30は、例えば図5に模式図を示すような、専用のガスセル筐体成型用金型によって成型される。
本実施形態のガスセル筐体成型用金型では、上型100の抜き方向Luおよび下型200の抜き方向Lsを所定に設定する工夫と、固定側の下型200と可動側の上型100との相互の当接面(パーティング面を含む)を擦り合せて密着させる押し切り合わせと、を採用している。
詳しくは、図5に示すように、本実施形態に係るガスセル筐体30の成型用金型は、下型200および上型100を少なくとも備える。これら相互の離型時の抜き方向Lu,Lsは、複数の反射部41~45の全てがアンダカット形状とならないように、成型される基板装着面31の延在方向とは垂直な方向に対して相対的に斜め(角度θ)に設けられる。ここで、角度θとしては、5°~85°または-5°~-85°が好ましく、10°~80°または-10°~-80°がさらに好ましい。
これにより、このガスセル筐体成型用金型は、成型される一のガスセル用筐体30の内面に複数の反射部41~45の全てがアンダカット形状とならないように一体成型可能になっている。なお、ガスセル筐体30の成型用金型の離型時の抜き方向が、成型される基板装着面31の延在方向に対して垂直な方向である場合には、本実施形態に係るガスセル筐体30はアンダカット形状を有する形状であるため、2方向抜き型では一体成型ができない形状になっている。
これにより、このガスセル筐体成型用金型は、成型される一のガスセル用筐体30の内面に複数の反射部41~45の全てがアンダカット形状とならないように一体成型可能になっている。なお、ガスセル筐体30の成型用金型の離型時の抜き方向が、成型される基板装着面31の延在方向に対して垂直な方向である場合には、本実施形態に係るガスセル筐体30はアンダカット形状を有する形状であるため、2方向抜き型では一体成型ができない形状になっている。
なお、同図に示すキャビティ形成部CAは、図3および図4に示した成型形状に応じた空洞となるが、この成型形状に応じた空洞が形成されるように、下型200には、上方に向けて突設されたキャビティ形成凸部240が形成され、上型100には、下方に向けて突設されたキャビティ形成凸部140が形成されている。
同図の例では、下型200および上型100相互の突合せ面PL1,PL3は離型時の抜き方向Lu,Lsと直交しており、離型時の抜き方向Lu,Lsは垂直方向とされている。そして、このガスセル筐体成型用金型は、成型される基板装着面31の延在方向とは垂直な方向に対して相対的に斜め(角度θ)に離型時の抜き方向Lu,Lsが設けられる。そのため、図2(c)に示すように、上部の開口部30kの内面側斜面38は、離型時の抜き方向Lu,Lsに沿った、押し切り合わせ面PL2により構成される。
換言すれば、この押し切り合わせ面PL2を構成する、下型200のキャビティ形成凸部240および上型100のキャビティ形成凸部140相互の摺接面138、238に沿った形状に形成され、離型時の抜き方向Lu,Lsの斜め(角度θ)の角度に対応する傾斜面となっている。
つまり、押し切り合わせ面PL2は離型時の抜き方向Lu,Lsと並行になっている。上型100と下型200のどちらか一方のみに凸部を設けると、アンダカット形状になってしまう場合でも、キャビティ形成凸部240とキャビティ形成凸部140とに分けて凸部を形成しアンダカット形状とならないようにし、キャビティ形成凸部240とキャビティ形成凸部140との押し切り合わせ面PL2を離型時の抜き方向Lu,Lsと並行にすることで上型100と下型200との抜きが可能となる。
本実施形態に係るガスセル筐体成型用金型によるガスセル筐体30の製造方法は、不図示の射出成型機により、上述したガスセル筐体30を樹脂材料で射出成型する。本実施形態に係るガスセル筐体30は、樹脂(材質:PPS)などの単一材料で一の筐体部30の内面にミラー部40が一体成型される。
本実施形態に係るガスセル筐体成型用金型では、上述した下型200および上型100相互の離型時の抜き方向Lu,Lsが、複数の反射部41~45の反射面にアンダカットが生じないように、基板装着面31の延在方向とは垂直な方向に対して斜め(角度θ)に挿抜して抜型される。
本実施形態に係るガスセル筐体成型用金型では、上述した下型200および上型100相互の離型時の抜き方向Lu,Lsが、複数の反射部41~45の反射面にアンダカットが生じないように、基板装着面31の延在方向とは垂直な方向に対して斜め(角度θ)に挿抜して抜型される。
これにより、本実施形態に係るガスセル筐体成型用金型によるガスセル筐体30の製造方法では、中子や置き駒を用いることなく2方向抜き型でガスセル筐体30の内面にミラー部40を一体成型できる。また、本実施形態では、ミラー部40の複数の反射部41~45の全てに対して無理抜きが生じない上、直方体状のガスセル筐体30の外側面の全てに対する抜き勾配も不要となる。これにより、金型の設計を簡素化して製品コストを削減できる。また、異なる材料の混合に起因する、熱膨張係数や湿度膨張係数などの問題が軽減される。
このように、本実施形態ガスセル筐体成型用金型およびこれによるガスセル筐体30の製造方法では、ロバスト性が強く、より高精度にガス濃度を検知できるガスセンサ10を実現できる。つまり、ガスセル筐体30の内面にミラー部40を一体成型したので、接着剤の伸長収縮等の影響による受光部22の出力信号の変化を抑制できる。
そのため、本実施形態に係るガスセル筐体成型用金型およびこれによるガスセル筐体30の製造方法であれば、複数の反射部41~45の全てを一の筐体部の内面と一体成型してなるガスセル筐体30を効率良く安価に製造できる。
そして、本実施形態に係るガスセンサ10は、ミラー部40が内面に一体に設けられたガスセル用筐体30に対して、基板20が、ガスセル用筐体30の基板装着面31の位置に、開口部全体を覆うようにして樹脂製の接着剤で固定されて完成する。
そして、本実施形態に係るガスセンサ10は、ミラー部40が内面に一体に設けられたガスセル用筐体30に対して、基板20が、ガスセル用筐体30の基板装着面31の位置に、開口部全体を覆うようにして樹脂製の接着剤で固定されて完成する。
これにより、ガスセル筐体30に一体成型されたミラー部40は、複数の反射部41~45によって、発光部21から放射されたより多くの光を入射するとともに、複数の反射部41~45で反射されたより多くの光を受光部22に入射可能になる。
<作用効果について>
次に、本実施形態のガスセル筐体30およびこれを備えるガスセンサ10並びにガスセル筐体30の成型用金型およびガスセル筐体30の製造方法の作用効果について説明する。
ここで、従来、この種のガスセル筐体は、筐体部とは別個の部品からなる、例えば2つのミラー部が一の筐体部の内部に組みこまれるとともに、樹脂製の接着剤を用いて固定されてガスセル筐体が構成されていた。従来は、例えば、液晶ポリマー(LCP)で作られた筐体部と、樹脂プレート(材質:PPS)で作られたミラー部とが、接着剤または熱かしめによって一体にまとめられていた。
次に、本実施形態のガスセル筐体30およびこれを備えるガスセンサ10並びにガスセル筐体30の成型用金型およびガスセル筐体30の製造方法の作用効果について説明する。
ここで、従来、この種のガスセル筐体は、筐体部とは別個の部品からなる、例えば2つのミラー部が一の筐体部の内部に組みこまれるとともに、樹脂製の接着剤を用いて固定されてガスセル筐体が構成されていた。従来は、例えば、液晶ポリマー(LCP)で作られた筐体部と、樹脂プレート(材質:PPS)で作られたミラー部とが、接着剤または熱かしめによって一体にまとめられていた。
しかしながら、ガスセル筐体の筐体部の内部に、別個の部品からなるミラー部を樹脂製の接着剤を用いて固定した場合、接着剤が外部環境因によって伸長収縮を起こすと、ミラー部が、筐体部の側に固定される基板の発光部及び受光部に対して位置ずれしてしまう可能性がある。
このような位置ずれが生じた場合、測定対象ガスのガス濃度が変化していないにもかかわらず、受光部の出力信号が変化して、十分な精度でガス濃度が検知できないおそれがある。
このような位置ずれが生じた場合、測定対象ガスのガス濃度が変化していないにもかかわらず、受光部の出力信号が変化して、十分な精度でガス濃度が検知できないおそれがある。
これに対し、本実施形態のガスセンサ10によれば、上述したガスセル筐体成型用金型を用い、複数の反射部41~45の反射面の全てに対して、無理抜きとなるようなアンダカットが生じないように、基板装着面31の延在方向とは垂直な方向に対して斜めとなる角度θを持たせて挿抜して成型し、複数の反射部41~45を一の筐体部の内面と一体成型してガスセル筐体30を製造するので、ガスセル筐体30の内面には、複数の反射部41~45の反射面全てにアンダカットが生じないミラー部40を一体成型することができる。
そのため、本実施形態のガスセンサ10によれば、ミラー部40の複数の反射部41~45の全てが一の筐体30に一体成型された一体構造により、従来のような、2つのミラー部(ミラーアセンブリ)をガスセル筐体30の筐体部内部への組み込み工程や接着工程が不要となり、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化できる。
そして、本実施形態のガスセル筐体30のミラー部40は、一のガスセル用筐体30に複数の反射部41~45の反射面全てが一体成型されているので、樹脂製の接着剤が外部環境因によって伸長収縮を起こしたり、ミラー部40の組み込み位置のずれが発生したりするおそれが一切無く、そのため、ロバスト性が強く、ガス濃度を高精度に安定して検知できる。
ここで、発光部21から放射された光を無駄なく受光部22に入射させて、受光部22の出力信号を大きくするためには、ミラー部40は受光部22の受光面22aに向けて光をなるべく小さい範囲に集光する方が良い。
これに対し、本実施形態のように、ガスセルのミラー部40を構成する複数の反射部41~45を一のガスセル用筐体30に一体成型した場合、光多重反射面が一の筐体に一体成型されているので、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化し、光路の製造上のばらつきによる個体差やロット差を小さくできる。したがって、ロバスト性が強く、より高精度にガス濃度を検知できるガスセンサを実現できる。
これに対し、本実施形態のように、ガスセルのミラー部40を構成する複数の反射部41~45を一のガスセル用筐体30に一体成型した場合、光多重反射面が一の筐体に一体成型されているので、敏感な光学部品の組み立て公差の調整工程を簡略化し、光路の製造上のばらつきによる個体差やロット差を小さくできる。したがって、ロバスト性が強く、より高精度にガス濃度を検知できるガスセンサを実現できる。
また、本実施形態のガスセル筐体30によれば、異なる材料の混合(熱膨張係数や湿度膨張係数など)に起因する位置ずれの問題が軽減され、発光部21からミラー部40に入射されて多重反射後に受光部22に受光される光に対し、ミラー部40が多重反射した光のほとんどをより精度良く受光部22の受光面22aで受光可能となる。
また、本実施形態のガスセル筐体30によれば、直方体状のガスセル筐体30の周囲が4つの連続した壁で一体構成されており、上型100の抜き方向Luと一致するように、上部の開口部30kが形成され、この上部の開口部30kが、粒子フィルタ50によって上面から密封されるとともに、下型200の抜き方向Lsと一致するように、底面に形成された基板装着面31の部分の開口部が形成され、この基板装着面31の部分の開口部が、基板20によって底面から密封されている。
これにより、本実施形態のガスセル筐体30によれば、ロバスト性が強く、より高精度にガス濃度を検知できるガスセンサ10を実現できる上、ガスセル筐体30を成型するための金型の設計を簡素化して、製品コストを削減しつつ、高い進入保護(IP定格)を備えたガスセンサ10を作成できる。
また、本実施形態によれば、ガスセル筐体30の内面にミラー部40を一体成型した簡略化されたアセンブリ構造なので、ガスセンサ10を組み立てる部品が少なく、その組み立て工程も簡略化できる。
特に、本実施形態によれば、上下の金型を構成する上型100および下型200は、それぞれの抜き方向Luおよび抜き方向Lsを平行に設定しているので、上下の金型の挿抜方向となる一の軸線に沿ってガスセンサ10を構成するすべての部品の組み立て作業を2方向から効率良く行うことができる。
10 ガスセンサ
20 基板
21 発光部
21a 発光面
22 受光部
22a 受光面
30 ガスセル筐体(筐体部)
31 基板装着面
40 ミラー部
41~45 反射部
50 粒子フィルタ
100 上型
200 下型
20 基板
21 発光部
21a 発光面
22 受光部
22a 受光面
30 ガスセル筐体(筐体部)
31 基板装着面
40 ミラー部
41~45 反射部
50 粒子フィルタ
100 上型
200 下型
Claims (6)
- 発光部および受光部を有する基板が装着される基板装着面に対して該基板装着面の一方側と他方側との対向方向で前記発光部から出射された光を多重反射して前記受光部に入射させるように配置される複数の反射部を有するミラー部を備えるガスセル筐体を樹脂材料で射出成型するためのガスセル筐体成型用金型であって、
当該ガスセル筐体成型用金型は、下型および上型相互の離型時の抜き方向が、前記複数の反射部の全てがアンダカット形状とならないように前記基板装着面の延在方向とは垂直な方向に対して斜めに設けられることにより、成型される一のガスセル用筐体の内面に前記複数の反射部の全てが一体形成されるように構成されていることを特徴とするガスセル筐体成型用金型。 - 前記下型および前記上型はそれぞれ凸部を有し、相互の凸部の摺接面により押し切り合わせ面を形成し、該押し切り合わせ面は、離型時の抜き方向と並行である請求項1に記載のガスセル筐体成型用金型。
- 請求項1または2に記載のガスセル筐体成型用金型を用い、
前記下型および前記上型相互の離型時の抜き方向を、前記複数の反射部の全てにアンダカットが生じないように、前記基板装着面の延在方向とは垂直な方向に対して斜めに挿抜して成型し、前記複数の反射部の全てを一の筐体部の内面と一体成型してガスセル筐体を製造することを特徴とするガスセル筐体の製造方法。 - 発光部および受光部を有する基板が装着される基板装着面と、複数の反射部を有するミラー部と、を一の筐体部に備えるガスセンサ用ガスセル筐体であって、
前記筐体部は、前記複数の反射部の全てが、前記基板装着面の延在方向での一方側と他方側との対向方向で前記発光部から出射された光を多重反射して前記受光部に入射させるように、当該筐体部の内面に一体成型されていることを特徴とするガスセンサ用ガスセル筐体。 - 前記筐体部は、前記基板装着面の側と、該基板装着面の側に対向する側にそれぞれ開口部を有し、
前記基板装着面の側の開口部は、前記基板装着面に形成されており、
前記基板装着面の側に対向する側の開口部は、測定対象ガスの導入・排出口とされている請求項4に記載のガスセンサ用ガスセル筐体。 - 請求項4または5に記載のガスセンサ用ガスセル筐体を備えることを特徴とするガスセンサ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
US17/386,625 US11808609B2 (en) | 2020-08-04 | 2021-07-28 | Gas cell housing molding mold, method for manufacturing gas cell housing, gas cell housing for gas sensor, and gas sensor including same |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020132601 | 2020-08-04 | ||
JP2020132601 | 2020-08-04 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022029422A true JP2022029422A (ja) | 2022-02-17 |
Family
ID=80271512
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021108739A Pending JP2022029422A (ja) | 2020-08-04 | 2021-06-30 | ガスセル筐体成型用金型およびガスセル筐体の製造方法並びにガスセンサ用ガスセル筐体およびこれを備えるガスセンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022029422A (ja) |
-
2021
- 2021-06-30 JP JP2021108739A patent/JP2022029422A/ja active Pending
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Date | Code | Title | Description |
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