JP2022028338A - 予測システム、情報処理装置および情報処理プログラム - Google Patents

予測システム、情報処理装置および情報処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より精度の高い予測モデルをより効率的に生成できる手法を提供する。【解決手段】予測システムは、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部と、予測モデルを予め生成する予測モデル生成部とを含む。予測モデル生成部は、予測対象の時系列データと、対応する1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、第1の予測モデルの性能と第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、制御対象に生じる時間変化を予測する予測システム、予測システムを構成する情報処理装置、および情報処理装置を実現するための情報処理プログラムに関する。
様々な生産現場において、何らかの理由によって、本来とは異なる変化や通常とは異なる変化が生じることがある。このような変化の発生を事前に予測して、何らかの対処をとることができると、生産設備の性能維持や製品の品質確保などに有益である。
このような事前の予測に関して、例えば、特開2009-237832号公報(特許文献1)は、あらゆる期間・季節で需要予測精度の向上が可能な可変的予測モデル構築方法を開示する。特許文献1に開示される可変的予測モデル構築方法は、蓄積した時系列データに補正を加えた学習データを用いて、7~70日の複数の学習期間毎に適切な予測モデルを構築し、各学習期間のモデル化精度評価を行うことで、予測精度が最も高い最適な学習期間、予測モデルを選択する処理を採用する。
しかしながら、予測対象が変化した場合や予測モデルに隠れた不具合などがある場合には、予測モデルを再構成する必要がある。このような予測モデルの再構成あるいは再学習に関して、特開2016-126596号公報(特許文献2)は、データが発生するたびにゼロから学習を行わないで前回の結果を流用して学習を継続することができる差分型学習において、入力レートに応じた学習時間の制限範囲内でウィンドウサイズ及びサンプリングレートを可変に設定する構成を開示する。
特開2009-237832号公報 特開2016-126596号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示される可変的予測モデル構築方法においては、複数の学習期間毎に適切な予測モデルを構築した上で、各学習期間のモデル化精度を評価する必要があり、最適な学習期間、予測モデルを選択するために要する工数が大きいという課題がある。
また、上述の特許文献2に開示される差分型学習の手法では、学習後のモデルの精度などを一見して把握することができない。
本発明は、より精度の高い予測モデルをより効率的に生成できる手法を提供することである。
本発明の一例に従う予測システムは、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部と、予測モデルを予め生成する予測モデル生成部とを含む。予測モデル生成部は、予測対象の時系列データと、対応する1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、第1の予測モデルの性能と第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む。
この構成によれば、予測システムは、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を含む学習用データセットに基づいて新たな予測モデルを生成するとともに、元の予測モデルの性能と新たな予測モデルの性能とを提示する。これによって、ユーザは、予測モデルを新たに生成すべき状態を容易に知ることができるとともに、新たに生成された予測モデルの性能を確認できる。
予測システムは、ユーザ操作に従って、第2の予測モデルを予測部で有効化するデータ反映部をさらに含んでいてもよい。この構成によれば、ユーザは、提示された予測モデルの性能を確認した上で、新たに生成された予測モデルを有効化できる。
予め定められた条件は、第1の学習用データセットに含まれる1または複数の状態値の時系列データに対する外れ値であることを含んでいてもよい。この構成によれば、先に生成されている予測モデルが十分に性能を発揮できない可能性がある場合を容易に知ることができる。
予測モデル生成部は、第1の学習用データセットに基づいて、第1の予測モデルに加えて、外れ値を検知するための外れ値検知モデルを生成する手段をさらに含んでいてもよい。この構成によれば、外れ値検知モデルを使用することで、外れ値を容易に検知できる。
外れ値検知モデルは、第1の学習用データセットに含まれる1または複数の状態値の時系列データの分布範囲を反映したものであってもよい。この構成によれば、第1の学習用データセットに含まれる分布範囲に応じて、適切な外れ値検知モデルを生成できる。
データ反映部は、第2の予測モデルとともに生成された外れ値検知モデルで元の外れ値検知モデルを更新するようにしてもよい。この構成によれば、第2の予測モデルを有効化した際に、第2の予測モデルに対応する外れ値検知モデルも有効化できる。
予測モデル生成部は、第1の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示するとともに、第2の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示する手段をさらに含んでいてもよい。この構成によれば、ユーザは、第1の予測モデルおよび第2の予測モデルの性能だけではなく、予測値および実績値の時系列データを比較することで、新たに生成された第2の予測モデルを有効化するか否かを適切に決定できる。
予測モデル生成部は、1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加した上でリサンプリングすることで、第2の学習用データセットを生成する手段をさらに含んでいてもよい。この構成によれば、新たに生成される第2の予測モデルのデータサイズおよび次元を第1の予測モデルと同じに維持できる。
本発明の別の一例に従う情報処理装置は、制御装置に接続される。制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部とを含む。情報処理装置は、予測モデルを予め生成する予測モデル生成部を含む。予測モデル生成部は、予測対象の時系列データと、対応する1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、第1の予測モデルの性能と第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む。
本発明のさらに別の一例に従えば、制御装置に接続されるコンピュータで実行される情報処理プログラムが提供される。制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部とを含む。情報処理プログラムは、予測モデルを予め生成するための処理として、コンピュータに、予測対象の時系列データと、対応する1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成するステップと、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成するステップと、第1の予測モデルの性能と第2の予測モデルの性能とを提示するステップとを実行させる。
本発明によれば、より精度の高い予測モデルをより効率的に生成できる。
本実施の形態に係る予測システムの全体構成例を示す模式図である。 本実施の形態に係る予測システムにおいて用いられる予測モデルを説明するための模式図である。 本実施の形態に係る予測システムを用いた予測モデルの生成処理の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る予測システムを用いた予測モデルの更新処理の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る予測システムを構成する制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本実施の形態に係る予測システムを構成するサポート装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本実施の形態に係る予測システムを構成する制御装置およびサポート装置のソフトウェア構成例を示すブロック図である。 図7に示すモデル生成・更新プログラムに含まれる機能モジュールの概要を示すブロック図である。 本実施の形態に係る予測システムにおけるサンプルの選択例を説明するための図である。 本実施の形態に係る予測システムにおけるサンプルの選択に係るクラスタリングを説明するための図である。 本実施の形態に係る予測システムにおける説明変数および説明変数区間の決定を説明するための図である。 本実施の形態に係る予測システムにおける説明変数および説明変数区間の決定(ステップS4)に係るより詳細な処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る予測システムにおける説明変数および説明変数区間の決定に係るユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。 本実施の形態に係る予測システムにおけるモデルパラメータの決定(ステップS5)および予測モデルの生成(ステップS6)に係るより詳細な処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る予測システムにおける外れ値検知モデルの生成(ステップS7)に係る処理を説明するための図である。 本実施の形態に係る予測システムを用いた予測モデルの更新処理を説明するための図である。 本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデルの更新に係るユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<A.適用例>
まず、本発明が適用される場面の一例について説明する。
本実施の形態に係る予測機能を有する制御システムの主要な局面について説明する。以下の説明においては、主として、制御システムが有している予測機能に注目して説明するので、制御システム全体を「予測システム」とも称する。
図1は、本実施の形態に係る予測システム1の全体構成例を示す模式図である。図1を参照して、本実施の形態に係る予測システム1は、主たる構成要素として、制御対象を制御する制御装置100と、制御装置100に接続されるサポート装置200とを含む。
制御装置100は、PLC(プログラマブルコントローラ)などの、一種のコンピュータとして具現化されてもよい。制御装置100は、フィールドバス2を介してフィールド装置群10と接続されるとともに、フィールドバス4を介して1または複数の表示装置400と接続されてもよい。さらに、制御装置100は、上位ネットワーク6を介して上位サーバ300に接続されてもよい。なお、上位サーバ300および表示装置400はオプショナルな構成であり、予測システム1の必須の構成ではない。
制御装置100は、設備や機械を制御するための各種演算を実行する制御ロジック(以下、「PLCエンジン」とも称す。)を有している。PLCエンジンに加えて、制御装置100は、フィールド装置群10にて計測され、制御装置100へ転送されるデータ(以下、「入力データ」とも称す。)を収集する収集機能を有している。さらに、制御装置100は、収集した入力データに基づいて将来の時間変化を予測する予測機能も有している。
具体的には、制御装置100に実装される時系列データベース(以下、「TSDB(Time Series Data Base)」とも記す。)130が収集機能を提供し、制御装置100に実装される予測モデル140が予測機能を提供する。TSDB130および予測モデル140の詳細については後述する。
フィールドバス2およびフィールドバス4は、産業用の通信プロトコルを採用することが好ましい。このような通信プロトコルとしては、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、DeviceNet(登録商標)、CompoNet(登録商標)などが知られている。
フィールド装置群10は、制御対象または制御に関連する製造装置や生産ラインなど(以下、「フィールド」とも総称する。)から入力データを収集する装置を含む。このような入力データを収集する装置としては、入力リレーや各種センサなどが想定される。フィールド装置群10は、さらに、制御装置100にて生成される指令(以下、「出力データ」とも称す。)に基づいて、フィールドに対して何らかの作用を与える装置を含む。このようなフィールドに対して何らかの作用を与える装置としては、出力リレー、コンタクタ、サーボドライバおよびサーボモータ、その他任意のアクチュエータが想定される。これらのフィールド装置群10は、フィールドバス2を介して、制御装置100との間で、入力データおよび出力データを含むデータを遣り取りする。
図1に示す構成例においては、フィールド装置群10は、リモートI/O(Input/Output)装置12と、リレー群14と、画像センサ18およびカメラ20と、サーボドライバ22およびサーボモータ24とを含む。
リモートI/O装置12は、フィールドバス2を介して通信を行う通信部と、入力データの収集および出力データの出力を行うための入出力部(以下、「I/Oユニット」とも称す。)とを含む。このようなI/Oユニットを介して、制御装置100とフィールドとの間で入力データおよび出力データが遣り取りされる。図1には、リレー群14を介して、入力データおよび出力データとして、デジタル信号が遣り取りされる例が示されている。
I/Oユニットは、フィールドバスに直接接続されるようにしてもよい。図1には、フィールドバス2にI/Oユニット16が直接接続されている例を示す。
画像センサ18は、カメラ20によって撮像された画像データに対して、パターンマッチングなどの画像計測処理を行って、その処理結果を制御装置100へ送信する。
サーボドライバ22は、制御装置100からの出力データ(例えば、位置指令など)に従って、サーボモータ24を駆動する。
上述のように、フィールドバス2を介して、制御装置100とフィールド装置群10との間でデータが遣り取りされることになるが、これらの遣り取りされるデータは、数百μsecオーダ~数十msecオーダのごく短い周期で更新されることになる。なお、このような遣り取りされるデータの更新処理を、「I/Oリフレッシュ処理」と称することもある。
また、フィールドバス4を介して制御装置100と接続される表示装置400は、ユーザからの操作を受けて、制御装置100に対してユーザ操作に応じたコマンドなどを送信するとともに、制御装置100での演算結果などをグラフィカルに表示する。
上位サーバ300は、制御装置100と上位ネットワーク6を介して接続され、制御装置100との間で必要なデータを遣り取りする。上位ネットワーク6には、イーサネット(登録商標)などの汎用プロトコルが実装されてもよい。
サポート装置200は、制御装置100が制御対象を制御するために必要な準備を支援する情報処理装置(コンピュータの一例)である。具体的には、サポート装置200は、制御装置100で実行されるユーザプログラムの開発環境(プログラム作成編集ツール、パーサ、コンパイラなど)、制御装置100および制御装置100に接続される各種デバイスのパラメータ(コンフィギュレーション)を設定するための設定環境、生成したユーザプログラムを制御装置100へ送信する機能、制御装置100上で実行されるユーザプログラムなどをオンラインで修正・変更する機能、などを提供する。
さらに、本実施の形態に係るサポート装置200は、制御装置100に実装される予測モデル140の生成および更新を支援するための機能を有している。これらの機能の詳細については後述する。
<B.予測モデルの生成、運用および更新の概要>
次に、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデル140の生成および運用の概要について説明する。
図2は、本実施の形態に係る予測システム1において用いられる予測モデル140を説明するための模式図である。図2(A)を参照して、本実施の形態に係る予測モデル140は、制御対象に生じる未来の状態を予測するものである。以下では、予測対象となる未来の状態(1または複数の値)を「目的変数」とも称す。
図2(B)に示すように、予測モデル140は、1または複数の説明変数x,x,x,・・・,xの入力を受けて、目的変数yを算出(予測)する。
本明細書において、任意の予測値を算出または決定するために参照されるデータを「説明変数」とも称す。1または複数の説明変数を用いて、任意の予測値が算出または決定される。そのため、「説明変数」は、予測対象である目的変数と相関があると決定された任意の値を包含する。
予測モデル140は、説明変数区間における1または複数の説明変数の時間変化(すなわち、1または複数の説明変数の時系列データ)の入力を受けて、予測対象区間に亘る目的変数の時間変化(すなわち、目的変数の時系列データ)を出力する。
説明変数区間は、予測対象区間を基準とする所定時間だけ前の位置に設定される。説明変数区間と予測対象区間とが重複していてもよい。また、説明変数区間または予測対象区間は、説明変数または目的変数を1ショット分しか含まない長さであってもよい。
予測モデル140は、一種の回帰モデルとして実装されてもよいし、ニューラルネットワークを含むモデルとして実装されてもよい。
本実施の形態に係る予測システム1においては、図2に示すような予測モデル140を生成、運用および更新することができる。以下、処理手順について概略する。
図3は、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデル140の生成処理の処理手順を示すフローチャートである。図3に示す各ステップは、典型的には、サポート装置200のプロセッサ202がプログラム(モデル生成・更新プログラム226およびOS228など)を実行することで実現される。
図3を参照して、サポート装置200は、TSDB130に格納されている時系列データを取得する(ステップS1)。続いて、サポート装置200は、取得した時系列データから予測対象(目的変数)および予測対象区間の設定を受け付ける(ステップS2)。
サポート装置200は、ステップS2において設定された予測対象区間における予測対象の時間変化を予測するための予測モデルの生成に用いられるサンプルを選択する(ステップS3)。ステップS3においては、複数種類のデータのうち、いずれのデータが学習に用いられるのかが選択される。
続いて、サポート装置200は、説明変数および説明変数区間を決定する(ステップS4)。そして、サポート装置200は、使用するモデルパラメータを決定する(ステップS5)。ステップS5においては、サポート装置200は、ステップS4において選択された説明変数および説明変数区間に従って、予測モデル140を生成するとともに、生成された予測モデル140の性能を評価することで、適切な予測アルゴリズムを探索する。サポート装置200は、予測精度および予測速度の性能が高い予測アルゴリズムを使用するモデルパラメータを決定する。
最終的に、サポート装置200は、決定されたモデルパラメータなどに基づいて、予測モデル140を生成する(ステップS6)。また、サポート装置200は、予測モデル140の生成に用いた学習用データセットに基づいて、説明変数に現れる外れ値を検知するための外れ値検知モデル144を生成する(ステップS7)。
以上のような処理手順によって生成された予測モデル140を制御装置100に設定することで、予測モデル140の運用が可能となる。外れ値検知モデル144は、制御装置100に転送されてもよいし、サポート装置200に実装されてもよい。
次に、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデル140の更新の概要について説明する。
図4は、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデル140の更新処理の処理手順を示すフローチャートである。図4に示す各ステップは、典型的には、サポート装置200のプロセッサ202がプログラム(モデル生成・更新プログラム226およびOS228など)を実行することで実現される。但し、一部の処理は、制御装置100で実行されてもよい。
図4を参照して、サポート装置200は、TSDB130に格納されている説明変数の時系列データを取得する(ステップS8)。続いて、サポート装置200は、取得した説明変数の時系列データを外れ値検知モデル144に入力して、説明変数に外れ値が現れているか否かを判断する(ステップS9)。
説明変数に外れ値が現れていれば(ステップS9においてYES)、サポート装置200は、検出された説明変数の外れ値を予測モデル140の生成に用いた学習用データセットに追加し(ステップS10)、新たな予測モデル140および新たな外れ値検知モデル144を生成する(ステップS11)。
そして、サポート装置200は、元の予測モデル140と新たな予測モデル140との予測精度の比較結果をユーザに提示する(ステップS12)。
サポート装置200は、ユーザからの指示に応答して、新たな予測モデル140を有効化する(ステップS13)。すなわち、サポート装置200は、新たな予測モデル140を制御装置100へ転送する。
以上のような処理手順によって生成された予測モデル140を順次更新する運用が可能となる。
<C.ハードウェア構成例>
次に、本実施の形態に係る予測システム1を構成する主要な装置のハードウェア構成例について説明する。
(c1:制御装置100のハードウェア構成例)
図5は、本実施の形態に係る予測システム1を構成する制御装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5を参照して、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ102と、チップセット104と、主記憶装置106と、二次記憶装置108と、上位ネットワークコントローラ110と、USB(Universal Serial Bus)コントローラ112と、メモリカードインターフェイス114と、内部バスコントローラ122と、フィールドバスコントローラ118,120と、I/Oユニット124-1,124-2,…とを含む。
プロセッサ102は、二次記憶装置108に格納された各種プログラムを読み出して、主記憶装置106に展開して実行することで、PLCエンジン150(図5参照)および予測モデル140を実現する。チップセット104は、プロセッサ102と各コンポーネントとの間のデータ伝送などを制御する。
二次記憶装置108には、PLCエンジン150を実現するためのシステムプログラムに加えて、PLCエンジン150を利用して実行されるユーザプログラムが格納される。さらに、二次記憶装置108には、予測モデル140を実現するためのプログラムも格納される。
上位ネットワークコントローラ110は、上位ネットワーク6を介した別の装置との間のデータの遣り取りを制御する。USBコントローラ112は、USB接続を介してサポート装置200との間のデータの遣り取りを制御する。
メモリカードインターフェイス114は、メモリカード116を着脱可能に構成されており、メモリカード116に対してデータを書き込み、メモリカード116から各種データ(ユーザプログラムやトレースデータなど)を読み出すことが可能になっている。
内部バスコントローラ122は、制御装置100に搭載されるI/Oユニット124-1,124-2,…との間でデータを遣り取りするインターフェイスである。
フィールドバスコントローラ118は、フィールドバス2を介した別の装置との間のデータの遣り取りを制御する。同様に、フィールドバスコントローラ120は、フィールドバス4を介した別の装置との間のデータの遣り取りを制御する。
図5には、プロセッサ102がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。あるいは、制御装置100の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOS(Operating System)を並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
(c2:サポート装置200のハードウェア構成例)
本実施の形態に係るサポート装置200は、一例として、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコン)を用いてプログラムを実行することで実現される。
図6は、本実施の形態に係る予測システム1を構成するサポート装置200のハードウェア構成例を示すブロック図である。図6を参照して、サポート装置200は、CPUやMPUなどのプロセッサ202と、光学ドライブ204と、主記憶装置206と、二次記憶装置208と、USBコントローラ212と、ローカルネットワークコントローラ214と、入力部216と、表示部218とを含む。これらのコンポーネントはバス220を介して接続される。
プロセッサ202は、二次記憶装置208に格納された各種プログラムを読み出して、主記憶装置206に展開して実行することで、後述するようなモデル生成処理を含む各種処理を実現する。
二次記憶装置208は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Flash Solid State Drive)などで構成される。二次記憶装置208には、典型的には、サポート装置200において実行されるユーザプログラムの作成、作成したユーザプログラムのデバッグ、システム構成の定義、各種パラメータの設定などを行うための開発プログラム222と、ユーザに対してデータを提示するとともに、ユーザからの指示を受け付けるユーザインターフェイスプログラム224と、予測モデル140の生成などを実現するためのモデル生成・更新プログラム226と、OS228とが格納される。二次記憶装置208には、図6に示すプログラム以外の必要なプログラムが格納されてもよい。
サポート装置200は、光学ドライブ204を有しており、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に格納する記録媒体205(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)から、その中に格納されたプログラムが読み取られて二次記憶装置208などにインストールされる。
サポート装置200で実行される各種プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体205を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上の任意のサーバからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、本実施の形態に係るサポート装置200が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
USBコントローラ212は、USB接続を介して制御装置100との間のデータの遣り取りを制御する。ローカルネットワークコントローラ214は、任意のネットワークを介した別の装置との間のデータの遣り取りを制御する。
入力部216は、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザ操作を受け付ける。表示部218は、ディスプレイ、各種インジケータ、プリンタなどで構成され、プロセッサ202からの処理結果などを出力する。
図6には、プロセッサ202がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。
<D.ソフトウェア構成例/機能構成例>
次に、本実施の形態に係る予測システム1を構成する制御装置100およびサポート装置200のソフトウェア構成例および機能構成例について説明する。
図7は、本実施の形態に係る予測システム1を構成する制御装置100およびサポート装置200のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
図7を参照して、制御装置100は、主要な機能構成として、PLCエンジン150に加えて、TSDB130および予測器141を含む。
PLCエンジン150は、ユーザプログラム154を逐次解釈して、制御対象を制御するための制御演算を実行する。PLCエンジン150は、フィールドから収集される状態値を変数152の形で管理しており、変数152は予め定められた周期で更新される。PLCエンジン150は、制御装置100のプロセッサ102がシステムプログラムを実行することで実現されてもよい。
本明細書において、「状態値」は、フィールドから収集される入力値、フィールドへ出力される指令値、および、制御装置100の内部で管理されるシステム状態値や内部値を含む。本実施の形態に係る制御装置100においては、「状態値」を「変数」の形で参照するので、以下の説明においては、便宜上、「変数」との用語を「状態値」を含む趣旨で用いる。なお、本発明の技術的範囲は、「状態値」を「変数」の形で参照する構成に限定されることはない。
ユーザプログラム154は、予測値取得コード156と、制御コード158と、TSDB書込コード160とを含む。
予測値取得コード156は、変数152として管理される状態値から、予測モデル140毎に設定された1または複数の説明変数の実績値(時系列データ)を取得して、予測器141に入力することで、予測対象(目的変数)の時間変化(目標変数の時系列データ)を取得する命令を含む。
制御コード158は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部を実現する。より具体的には、制御コード158は、予測値取得コード156により取得された予測対象の時間変化に基づいて、制御対象を制御するための制御演算を実行する。
TSDB書込コード160は、変数152として管理される変数のうち、予め定められた変数を取得して、TSDB130の記憶領域132に書き込む。
TSDB130は、記憶領域132に書き込まれたデータを必要に応じて、サポート装置200などへエクスポートするエクスポートモジュール134を有している。
予測器141は、PLCエンジン150で実行されるユーザプログラム154が参照可能な状態値(変数152)のうち1または複数の状態値(説明変数)を予測モデル140に入力することで予測値を算出する。より具体的には、予測器141は、モデルパラメータにより規定される予測モデル140と、予測モデル140を更新するモデル管理モジュール142とを含む。
一方、サポート装置200は、開発プログラム222と、ユーザインターフェイスプログラム224と、モデル生成・更新プログラム226とがインストールされている。
開発プログラム222は、ユーザ操作に従って、ユーザプログラム154を生成し、制御装置100へ転送する。また、開発プログラム222は、制御コード158の内容を適宜修正する機能も有している。
ユーザインターフェイスプログラム224は、予測モデル140の更新に必要な情報をユーザへ提示するとともに、ユーザからの指示に応答して、予測モデル140を更新する。
モデル生成・更新プログラム226は、予測モデル140を生成および更新するための情報処理プログラムに相当する。モデル生成・更新プログラム226は、制御装置100に実装される予測モデル140を予め生成するモデル生成部を実現する。より具体的には、モデル生成・更新プログラム226は、説明変数・区間決定モジュール2262と、モデル生成モジュール2264と、外れ値検知モジュール2266と、精度評価モジュール2268と、データ管理モジュール2270とを含む。
説明変数・区間決定モジュール2262は、説明変数および説明変数区間を決定する処理に必要な機能を実現する。モデル生成モジュール2264は、予測モデル140を生成および更新する処理に必要な機能を実現する。外れ値検知モジュール2266は、説明変数に現れる外れ値を検知する処理に必要な機能を実現する。精度評価モジュール2268は、生成された予測モデル140の性能を評価する。
図8は、図7に示すモデル生成・更新プログラム226に含まれる機能モジュールの概要を示すブロック図である。図8を参照して、サポート装置200のモデル生成・更新プログラム226は、主要な機能構成として、ユーザインターフェイス230と、入出力管理モジュール236と、画面表示モジュール238と、グラフライブラリ240と、解析モジュール242と、解析ライブラリ244とを含む。
ユーザインターフェイス230は、ユーザからの設定を受け付けるとともに、ユーザに対して各種情報を提供するための統括的な処理を実行する。具体的な実装形態として、ユーザインターフェイス230は、スクリプトエンジン232を有しており、必要な処理を記述したスクリプトを含む設定ファイル234を読み込んで、設定された処理を実行する。
入出力管理モジュール236は、指定されたファイルなどからデータを読み込むファイル入力機能と、データストリームを受信するストリーム入力機能と、生成したデータなどを含むファイルを出力するファイル出力機能とを含む。
画面表示モジュール238は、入力されたデータなどに基づいて折れ線グラフを生成する折れ線グラフ生成機能と、ユーザの操作を受けて各種パラメータを変更するパラメータ調整機能とを含む。パラメータの変更に伴って、折れ線グラフ生成機能は折れ線を更新することもある。折れ線グラフ生成機能およびパラメータ調整機能は、グラフライブラリ240を参照して必要な処理を実行する。
解析モジュール242は、モデル生成・更新プログラム226の主要な処理を実現するモジュールであり、波形サンプル機能と、説明変数・区間選択機能と、パラメータ選択機能と、モデル生成機能とを有している。解析モジュール242に含まれる各機能は、解析ライブラリ244を参照することで実現される。
解析ライブラリ244は、解析モジュール242に含まれる各機能が処理を実行するためのライブラリを含む。より具体的には、解析ライブラリ244は、統計量機能、決定木機能、時系列回帰機能、グリッドサーチ機能、クラスタリング機能、推論速度評価機能、精度評価機能、および、外れ値検知機能を有していてもよい。
<E.モデル生成処理>
次に、図3に示される予測モデル140の生成処理について詳述する。
先に、いくつかの用語について説明する。
本明細書において、「サンプル」は、予測モデル140から出力されるべき予測値の教師データとして用いられる所定時間長さのデータ列(時系列データ)を意味する。サンプルとしては、基本的には、予測対象(目的変数)の実績値の時系列データ(生データ)が用いられるが、予測対象が時系列データから抽出される特徴量である場合には、特徴量を用いてもよい。「サンプル」という用語は、複数のデータを処理する際の処理単位に注目したものであり、それに含まれるデータの内容などについては、特に限定するようなものではない。
本明細書において、「学習用データセット」は、予測モデル140の生成に用いた教師データの集合を意味する。「学習用データセット」は、目的変数の時系列データと、対応する1または複数の説明変数の時系列データとからなる集合を含む。
本明細書において、「特徴量」は、任意の時系列データに含まれる情報を包含する用語であり、例えば、対象変数の時系列データについての、最大値、最小値、中間値、平均値、標準偏差、分散などを含み得る。なお、「特徴量」は、対象変数の時系列データそのものも含み得る。
本明細書において、「モデルパラメータ」は、予測モデル140を生成するために用いられるパラメータを包含する用語であり、例えば、予測モデル140に用いられる予測アルゴリズムや予測アルゴリズムに関連するパラメータなどを含む。
(e1:時系列データの取得(ステップS1)、ならびに、予測対象および予測対象区間の設定の受け付け(ステップS2))
図3に示すステップS1において、サポート装置200は、ユーザ操作に従って、制御装置100のTSDB130に格納されている時系列データを取得する。
図3に示すステップS2において、ユーザは、サポート装置200に表示される予測対象の変数(目的変数)の時系列データを見ながら、予測対象区間を設定する。
(e2:予測モデルの生成に用いられるサンプルの選択(ステップS3))
予測モデル140を生成するために用いられる時系列データであるサンプルは、任意の手法で選択できる。サンプルの選択方法としては、例えば、以下のような手法を採用できる。
図9は、本実施の形態に係る予測システム1におけるサンプルの選択例を説明するための図である。図9には、予測対象区間に対応して、所定時間長さの時系列データ(サンプル)の一例を示す。
一般的に、変化パターンが異なるサンプルを用いて学習するほど、予測モデル140の予測精度を高めることができる。逆に言えば、類似した変化パターンを示すサンプルを用いて学習しても、予測モデル140の予測精度の向上には貢献しない。変化パターンが異なるサンプルを選択する方法の一例として、後述するようなクラスタリングを用いてもよい。
変化パターンが互いに異なるサンプルとして、図9に示す例では、太枠で囲まれた4つのサンプルがサンプルとして選択されている。
変化パターンが互いに異なるサンプルを選択する方法の一例として、各サンプルから1または複数の特徴量(例えば、平均値や標準偏差など)を算出し、算出された1または複数の特徴量に基づいて、サンプルをクラスタリングする。このようなクラスタリングによって、対象のサンプル群に含まれる1または複数のクラスを抽出する。そして、抽出された各クラスに属する1または複数のサンプルをそれぞれサンプルとして選択してもよい。
図9に示されるサンプルは、TSDB130から取得された時系列データを所定長さにトリミングすることで生成される。時系列データのトリミングは、予め設定される予測対象区間に関連した部分のみを抽出することで行われる。
サポート装置200は、各サンプルから1または複数の特徴量を算出し、算出した1または複数の特徴量に基づいてクラスタリングを行う。そして、サポート装置200は、クラスタリングによって決定された1または複数のクラスの各々から1または複数のサンプルを選択する。
このように、サポート装置200は、予測モデル140の生成に係る機能として、各サンプルから算出される1または複数の特徴量を用いたクラスタリングにより、複数のサンプルのうちサンプルとして用いられるサンプルを選択する。
図10は、本実施の形態に係る予測システム1におけるサンプルの選択に係るクラスタリングを説明するための図である。図10には、各サンプルから2つの特徴量(平均値および標準偏差)を算出し、各特徴量を座標とする2次元空間に各サンプルをプロットした例を示す。
図10に示すサンプル群は、平均値および標準偏差の特徴量についてみれば、3つのクラスタ(クラス1~3)が含まれていることが分かる。抽出された各クラスに属する1または複数のサンプルがそれぞれ選択される。すなわち、クラス1に属する1または複数のサンプルが抽出され、クラス2に属する1または複数のサンプルが抽出され、クラス3に属する1または複数のサンプルが抽出される。これによって、互いにクラスの異なる複数のサンプルがサンプルとして決定される。
サンプルの対象となるサンプルの選択は、サポート装置200が自動的に行ってもよいし、ユーザが処理を支援あるいは選択結果を確認するようにしてもよい。例えば、サンプル選択結果をユーザが確認し、手動で選択し直しができるようにしてもよい。
(e3:説明変数および説明変数区間の決定(ステップS4))
図11は、本実施の形態に係る予測システム1における説明変数および説明変数区間の決定を説明するための図である。
図11を参照して、複数の変数1,2,・・・,nを決定木アルゴリズムに適用して、サンプルの推定に適した説明変数の候補が決定される。また、ユーザプログラム154に応じて説明変数区間の候補が設定される。
説明変数区間の候補毎に予測モデル140が生成され、生成された予測モデル140の性能が評価される。
最終的に、性能の高い予測モデル140に対応する説明変数および説明変数区間が決定される。
説明変数および説明変数区間を決定する処理においては、予測モデル140に採用する予測アルゴリズムをデフォルト値などに固定した上で、説明変数および説明変数区間をそれぞれ変化させた組み合わせについて、予測モデル140を生成するとともに、性能を評価することで、使用する説明変数および説明変数区間を決定する。すなわち、サポート装置200は、予測モデル140のモデルパラメータを固定した上で、予測に用いる説明変数および説明変数区間を探索する。
説明変数および説明変数区間を決定する際の説明変数区間の候補は、制御装置100で実行されるユーザプログラム154に設定されている制御周期に応じて決定されてもよい。
図12は、本実施の形態に係る予測システム1における説明変数および説明変数区間の決定(ステップS4)に係るより詳細な処理手順を示すフローチャートである。図12を参照して、サポート装置200は、対象の制御装置100で実行されているユーザプログラム154を参照して制御周期を取得する(ステップS41)。サポート装置200が制御装置100に接続されている場合には、制御装置100にアクセスして必要な情報を取得すればよいし、サポート装置200が制御装置100に接続されていない場合には、サポート装置200が保持しているプロジェクトなどを参照して、制御周期を取得するようにしてもよい。
サポート装置200は、取得した制御周期の整数倍を、説明変数区間を探索するための説明変数区間の候補として選択する(ステップS42)。
サポート装置200は、予め選択されたサンプルに関連する変数群から1または複数の説明変数を選択する(ステップS43)。より具体的には、サポート装置200は、サンプルおよび関連する変数群に決定木アルゴリズムを適用して、変数群に含まれる各変数の重要度(importance)を算出する。そして、サポート装置200は、重要度が高い1または複数の変数を説明変数として選択する。
なお、決定木アルゴリズムとしては公知の任意のアルゴリズムを採用できるが、例えば、ランダムフォレストなどを用いることができる。
このように、サポート装置200は、予測モデル140の生成に係る機能として、予測モデル140の生成に用いられるサンプルに関連付けられる複数の変数(状態値)のうち、サンプルに対する重要度に基づいて、1または複数の変数(状態値)を説明変数として決定する処理を実行する。
サポート装置200は、説明変数区間の候補に含まれるいずれか1つを選択する(ステップS44)。説明変数区間の候補は、予め定められた探索区間に任意の長さおよび意思に設定される区間を含む。
サポート装置200は、ステップS43において選択した1または複数の説明変数、および、ステップS44において選択した説明変数区間の候補をモデルパラメータとして、サンプルを用いて予測モデル140を生成する(ステップS45)。そして、サポート装置200は、生成された予測モデル140の推論に係る性能を評価する(ステップS46)。ステップS46においては、性能を示す数値が対応する説明変数区間の候補と関連付けて格納される。
そして、サポート装置200は、すべての説明変数区間の候補についての予測モデル140の生成および当該生成された予測モデル140の性能評価が完了したか否かを判断する(ステップS47)。すべての説明変数区間の候補についての予測モデル140の生成および当該生成された予測モデル140の性能評価が完了していなければ(ステップS47においてNO)、サポート装置200は、説明変数区間の別の候補を選択し(ステップS48)、ステップS45以下の処理を繰り返す。
一方、すべての説明変数区間の候補についての予測モデル140の生成および当該生成された予測モデル140の性能評価が完了していれば(ステップS47においてYES)、サポート装置200は、最も高い性能評価を示した説明変数区間の候補を予測モデル140の説明変数区間として決定する(ステップS49)。
このように、サポート装置200は、予測モデル140の生成に係る機能として、探索区間に含まれる区間を順次異ならせて、決定された説明変数による予測精度を評価することで、予測に用いる説明変数区間を決定する処理を実行する。
なお、上述の図12に示す処理手順においては、ステップS43において、1または複数の説明変数を先に決定したが、説明変数についてもいくつかの候補を設定し、各候補(各候補が1または複数の説明変数を含む)についてステップS44以下の処理を実行するようにしてもよい。
図13は、本実施の形態に係る予測システム1における説明変数および説明変数区間の決定に係るユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
図13を参照して、ユーザインターフェイス画面270は、実績値および予測値を表示する波形表示領域276を含む。
波形表示領域276には、実績値および予測値の波形(時系列データ)が表示される。実績値は、いずれかのサンプルの波形(時系列データ)である。予測値は、生成された予測モデル140により出力される波形(時系列データ)である。
予め定められた予測点271に対して、予測モデル140に入力される説明変数の範囲を定める説明変数区間272の位置および時間幅を任意に設定できる。ユーザは、マウスなどを操作して、説明変数区間272の位置を移動させることで、説明変数区間272の区間幅273および予測点との時間差274を任意に変更できる。
ユーザが任意に設定した説明変数区間272に応じて、予測値の波形(時系列データ)が算出され、その算出された予測値の波形(時系列データ)が波形表示領域276に表示される。
ユーザインターフェイス画面270は、説明変数リスト277を含み、1または複数の変数のうちチェックされた変数が説明変数として用いられる。ユーザインターフェイス画面270は、実績値と予測値とのずれを示す予測誤差275を含む。
ユーザがユーザインターフェイス画面270を操作することに応じて、サポート装置200は、図14に示される処理によって生成される予測モデル140をそのまま利用して、予測値を算出してもよい。あるいは、サポート装置200は、ユーザがユーザインターフェイス画面270を操作して、説明変数および/または説明変数区間を適宜変更することに応答して、図12のステップS43以降の処理、または、ステップS44以降の処理を再実行するようにしてもよい。すなわち、予測モデル140を再生成してもよい。
図13に示されるユーザインターフェイス画面270に応じて、予測モデル140を再生成することで、ユーザは、予測モデル140に設定すべき説明変数および/または説明変数区間を探索しながら、決定できる。
以上のような処理によって、予測モデルの生成に用いられる説明変数および説明変数区間が決定される。
(e4:モデルパラメータの決定(ステップS5)および予測モデルの生成(ステップS6))
モデルパラメータの決定においては、先に決定された説明変数および説明変数区間を前提として、予測精度、モデルサイズ、処理速度などの運用上の指標を考慮しつつ、予測モデル140のモデルパラメータを決定する。
以下の説明においては、予測精度、モデルサイズ、処理速度を複数の指標の一例として説明するが、必ずしもこれらの要素に限定されることはない。但し、複数の指標としては、予測精度、モデルサイズ、処理速度のうち少なくとも1つを含んでいることが好ましい。
図14は、本実施の形態に係る予測システム1におけるモデルパラメータの決定(ステップS5)および予測モデルの生成(ステップS6)に係るより詳細な処理手順を示すフローチャートである。図15を参照して、サポート装置200は、モデルパラメータの探索範囲を決定する(ステップS51)。モデルパラメータの探索範囲は、探索対象のパラメータの種類に加えて、各パラメータの探索範囲(上下限)を決定する。
続いて、サポート装置200は、ステップS51において決定した探索範囲に含まれる任意のモデルパラメータのセットを対象として選択する(ステップS52)。そして、サポート装置200は、選択したモデルパラメータのセットに基づいて、予測モデル140を生成し(ステップS53)、生成された予測モデル140の性能(予測精度、モデルサイズ、処理速度など)を評価する(ステップS54)。
サポート装置200は、ステップS51において決定した探索範囲に含まれるモデルパラメータの別のセットが存在するか否かを判断する(ステップS55)。ステップS51において決定した探索範囲に含まれるモデルパラメータの別のセットが存在していれば(ステップS55においてYES)、サポート装置200は、ステップS51において決定した探索範囲に含まれるモデルパラメータの別のセットを選択し(ステップS56)、ステップS53以下の処理を繰り返す。
これに対して、ステップS51において決定した探索範囲に含まれるモデルパラメータの別のセットが存在していなければ(ステップS55においてNO)、サポート装置200は、モデルパラメータのセット毎の性能評価の結果に基づいて、最も適切なモデルパラメータのセットを探索し(ステップS57)、探索したモデルパラメータおよび対応する性能評価の結果を表示する(ステップS58)。
最終的に、サポート装置200は、ユーザからの指示に従って、予測モデル140を生成するためのモデルパラメータを決定する(ステップS59)。
このように、サポート装置200は、予測モデル140の生成に係る機能として、決定された説明変数および説明変数区間の条件下で、予測モデル140を規定するモデルパラメータを順次異ならせて、モデルパラメータの各セットにより規定される予測モデル140について複数の指標を評価することで、予測モデル140を規定するためのモデルパラメータのセットを決定する処理を実行する。
なお、図14のステップS57における最適なモデルパラメータの探索は、予測精度、モデルサイズ、処理速度などの指標に対して優先度を設定することで実現してもよい。このとき、いずれの指標に対してどのような優先度を設定してもよいし、複数の指標に対して同じ優先度を設定してもよい。さらに、優先度を設定せずに、各指標について評価を行った結果を総合して、最適なモデルパラメータのセットを決定してもよい。
このように、モデルパラメータの決定(ステップS5)においては、グリッドサーチ(総当たり探索)により、総合的に指標のよい(典型的には、精度が高く、モデルサイズが小さく、処理速度の高い)モデルパラメータのセットを決定できる。
さらに、ユーザは、決定されたモデルパラメータのセットによる予測モデルの性能を確認しつつ、必要に応じてモデルパラメータ、説明変数および説明変数区間などを微調整することもできる。
(e5:外れ値検知モデルの生成(ステップS7))
予測モデル140の生成に用いた学習用データセットに基づいて、外れ値検知モデル144が生成される。
図15は、本実施の形態に係る予測システム1における外れ値検知モデル144の生成(ステップS7)に係る処理を説明するための図である。図15を参照して、予測モデル140の生成に用いる学習用データセットに含まれる説明変数毎の時系列データのばらつきから、正常分布範囲を決定できる。
すなわち、任意の学習用データセットを用いて生成された予測モデル140は、当該学習用データセットに含まれる1または複数の説明変数の時系列データに依存しているので、学習用データセットに含まれる1または複数の説明変数のばらつき範囲を超える外れ値(異常値)が入力されると、予測モデル140では予測値を正常に算出できない可能性が高い。
そこで、サポート装置200は、予測モデル140の生成に用いた学習用データセットに含まれる1または複数の説明変数の時系列データに基づいて、外れ値を検知するための外れ値検知モデル144を生成する。
なお、説明の便宜上、図15には、説明変数毎に正常分布範囲を示すが、実際には、予測モデル140に入力される1または複数の説明変数を次元とする超空間上に多次元の正常分布範囲を規定するようにしてもよい。すなわち、外れ値検知モデル144は、例えば、説明変数毎に定義される1次元の正常分布範囲の集合であってもよいし、1または複数の説明変数を次元とする超空間上に設定される正常分布範囲であってもよい。
外れ値検知モデル144は、入力された1または複数の説明変数の時系列データが正常分布範囲に存在しているか否か(すなわち、「0」または「1」)を出力するようにしてもよいし、入力された1または複数の説明変数の時系列データが正常分布範囲に存在している確率(すなわち、0~1のいずれかの値)を出力するようにしてもよい。
このように、外れ値検知モデル144は、学習用データセットに含まれる1または複数の状態値(説明変数)の時系列データの分布範囲を反映したものとなる。
なお、外れ値検知モデル144は、1または複数の説明変数に現れる外れ値を検知できるものであれば、どのようなアルゴリズムを採用してもよい。
以上のように、サポート装置200は、学習用データセットに基づいて、予測モデル140に加えて、外れ値を検知するための外れ値検知モデル144を生成する。
(e6:小括)
以上のような処理手順によって、サポート装置200は、予測対象(目的変数)の時系列データと、対応する1または複数の状態値(説明変数)の時系列データとを含む学習用データセットに基づいて予測モデル140を生成する。生成された予測モデル140は、サポート装置200から制御装置100へ転送される。制御装置100は、順次取得される1または複数の説明変数の実績値を予測モデル140に入力することで、予測値を順次算出するとともに、算出した予測値に基づいて制御演算を実行する。
<F.モデル更新処理>
次に、図4に示される予測モデル140の更新処理について詳述する。
図16は、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデル140の更新処理を説明するための図である。図16を参照しつつ、予測モデル140の更新処理について詳述する。
(f1:説明変数の時系列データの取得(ステップS8)、および、説明変数に現れる外れ値の検知(ステップS9))
図4に示すステップS8において、サポート装置200は、予め設定された手続き、あるいは、ユーザ操作に従って、制御装置100から予測モデル140に入力される1または複数の説明変数の実績値を取得する。
サポート装置200は、1または複数の説明変数の実績値を制御装置100から取得するにあたって、ストリームでのデータ転送の形態を採用してもよい。あるいは、制御装置100のTSDB130に格納されている1または複数の説明変数の実績値(時系列データ)を取得する場合には、ファイルでのデータ転送の形態を採用してもよい。
なお、制御装置100とサポート装置200との間でのデータ転送は、USBコントローラ212(図6など参照)を介して行われる。
以下の説明では、サポート装置200は、説明変数区間に対応する長さの時系列データの単位で、予測モデル140に入力される1または複数の説明変数の実績値を取得する。サポート装置200が取得する1または複数の説明変数の実績値の単位を、以下では「説明変数フレーム138」とも称す。
すなわち、説明変数フレーム138は、説明変数区間に亘る1または複数の目的変数の実績値(時系列データ)を含む。
サポート装置200は、1または複数の状態値(説明変数)の実績値が予め定められた条件を満たすか否かを判断する。予め定められた条件は、先に生成された予測モデル140の予測精度(性能)の信頼性を低下させる事象を含む。
予め定められた条件の一例としては、予測モデル140の生成に用いた学習用データセットに含まれる1または複数の状態値(説明変数)の時系列データに対する外れ値であることを含む。
より具体的には、サポート装置200は、制御装置100から取得した説明変数フレーム138を外れ値検知モデル144に入力して、入力された説明変数フレーム138が外れ値であるか否かを判断する。
外れ値検知モデル144が外れ値であるか否かを示す値(「0」または「1」)を出力する場合には、出力結果をそのまま使用できる。また、外れ値検知モデル144が正常分布範囲に存在している確率(0~1のいずれかの値)を出力する場合には、予め定められたしきい値に対する大小関係に基づいて、外れ値であるか否かを判断してもよい。
入力された説明変数フレーム138が外れ値であると判断されると、以下に説明するような予測モデル140を更新する処理が実行される。
(f2:学習用データセットへの追加(ステップS10)、ならびに、新たな予測モデルおよび外れ値検知モデルの生成(ステップS11))
サポート装置200は、外れ値であると判断された説明変数フレーム138を予測モデル140の生成に用いた学習用データセット148Aに追加する。そして、サポート装置200は、説明変数フレーム138を追加した学習用データセット148Bを用いて、予測モデル140を再生成する。
なお、再生成された予測モデル140(更新後の予測モデル140)の次元数を維持するために、説明変数フレーム138を追加した学習用データセット148Aをリサンプリングして、学習用データセット148Bのデータサイズを維持するようにしてもよい。すなわち、サポート装置200は、1または複数の状態値(説明変数)の実績値を学習用データセット148Aに追加した上でリサンプリングすることで、新たな学習用データセット148Bを生成する。
学習用データセット148Aに対するリサンプリングについては、任意の方法を採用できる。リサンプリングに代えて、学習用データセット148Aに含まれる互いに類似した説明変数フレームを除外してもよい。
図16に示すように、サポート装置200には、元の予測モデル140A(予測モデル(旧))と、新たに生成された予測モデル140B(予測モデル(新))とが存在することになる。
サポート装置200は、予測モデル140Bを新たに生成する際に、説明変数フレーム138を追加した学習用データセット148Bに基づいて、外れ値検知モデル144についても生成する。新たに生成される外れ値検知モデル144は、新たに生成された予測モデル140Bと対応付けて管理される。
なお、予測モデル140および外れ値検知モデル144の生成処理(更新処理)は、上述の生成処理と同様である。
学習用データセット148(追加前および追加後)、予測モデル140(更新前および更新後)ならびに外れ値検知モデル144(更新前および更新後)は、サポート装置200のデータ管理モジュール2270によって管理される。
以上のような処理手順によって、サポート装置200は、1または複数の状態値(説明変数)の実績値が予め定められた条件を満たすと(上述の例では、外れ値であるとの判断)、当該1または複数の状態値の実績値を学習用データセット148Aに追加して生成される更新後の学習用データセット148Bに基づいて新たな予測モデル140Bを生成する。
(f3:元の予測モデルと新たな予測モデルとの予測精度の提示(ステップS12))
サポート装置200は、元の予測モデル140Aと新たに生成された予測モデル140Bとの間で性能を比較する(精度評価モジュール2268)。そして、サポート装置200は、性能の比較結果とともに、元の予測モデル140Aおよび新たに生成された予測モデル140Bをユーザに提示する。このように、サポート装置200は、予測モデル140Aの性能と予測モデル140Bの性能とを提示する。
ユーザは、提示される情報を参照して、新たに生成された予測モデル140Bを採用するか否かを判断する。
図17は、本実施の形態に係る予測システム1を用いた予測モデルの更新に係るユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
図17を参照して、ユーザインターフェイス画面280は、元の予測モデル140Aについての実績値および予測値を表示する波形表示領域281と、新たに生成された予測モデル140Bについての実績値および予測値を表示する波形表示領域282とを含む。
波形表示領域281には、予測モデル140Aを生成するために用いられた実績値(サンプル)の波形(時系列データ)と、予測モデル140Aにより算出された予測値の波形(時系列データ)とが表示される。
波形表示領域281に対応付けて、予測モデル140Aについての説明変数区間の区間幅283および予測点との時間差284が表示される。さらに、波形表示領域281に対応付けて、予測モデル140Aについての実績値と予測値とのずれを示す予測誤差285が表示される。
同様に、波形表示領域282には、予測モデル140Bを生成するために用いられた実績値(サンプル)の波形(時系列データ)と、予測モデル140Bにより算出された予測値の波形(時系列データ)とが表示される。
波形表示領域282に対応付けて、予測モデル140Bについての説明変数区間の区間幅286および予測点との時間差287が表示される。さらに、波形表示領域282に対応付けて、予測モデル140Bについての実績値と予測値とのずれを示す予測誤差288が表示される。
このように、サポート装置200は、予測モデル140Aから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示する(波形表示領域281)とともに、予測モデル140Bから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示する(波形表示領域282)。
ユーザは、ユーザインターフェイス画面280上で、予測モデル140Aの予測誤差285と、予測モデル140Bの予測誤差288とを比較することで、新たに生成された予測モデル140Bの性能の向上を確認できる。ユーザは、性能の向上を確認すると、更新ボタン289を押下する。すると、新たに生成された予測モデル140Bを有効化する処理が実行される。
(f4:新たな予測モデルの有効化(ステップS13))
図17に示すユーザインターフェイス画面280の更新ボタン289が押下されると、サポート装置200は、新たに生成された予測モデル140Bを制御装置100へ転送する。サポート装置200は、予測モデル140B(モデルパラメータ146)を制御装置100へ転送するにあたって、ファイル形態でのデータ転送を採用してもよい。
サポート装置200から転送された予測モデル140B(モデルパラメータ146)は、制御装置100のモデル管理モジュール142に一旦格納される。制御装置100のモデル管理モジュール142は、予め定められたタイミングあるいは条件で、制御装置100の予測モデル140をサポート装置200からの予測モデル140B(モデルパラメータ146)で更新する。
また、サポート装置200のデータ管理モジュール2270は、新たに生成された予測モデル140Bおよび予測モデル140を格納するとともに、予測モデル140Bおよび予測モデル140の生成に用いられた学習用データセット148Bを格納する。
このように、サポート装置200は、ユーザ操作に従って、新たに生成された予測モデル140Bを制御装置100の予測器141で有効化するデータ管理モジュール2270(データ反映部)を含む。サポート装置200のデータ管理モジュール2270(データ反映部)は、予測モデル140Bとともに生成された外れ値検知モデル144で元の外れ値検知モデル144を更新する。
以上のような処理によって、予測モデル140の更新および有効化が完了する。
<G.変形例>
(g1:外れ値発生の通知)
上述の実施の形態においては、典型例として、説明変数に外れ値が現れたことが検知されると、予測モデル140を更新する処理について説明したが、説明変数に外れ値が現れたことが検知されると、その検知をユーザなどへ通知する機能を実装してもよい。
例えば、サポート装置200が制御装置100のTSDB130に格納されている説明変数の時系列データを取得して、説明変数に外れ値が現れているか否かを判断する。そして、説明変数に外れ値が現れていると判断されると、サポート装置200は、ユーザインターフェイス画面にその旨を表示するようにしてもよいし、予め定められたメールアドレスにメールを送信するようにしてもよい。
また、外れ値検知モデル144を制御装置100に実装することで、制御装置100において、説明変数に外れ値が現れたことを検知できる。例えば、制御装置100が説明変数に外れ値が現れたことを検知すると、制御装置100で実行されるユーザプログラムにおいて、予測モデル140から出力された予測値を使用しないように制御を変更してもよい。あるいは、制御装置100が説明変数に外れ値が現れたことを検知すると、警報の出力や異常メッセージを送信などを行ってもよい。
制御装置100に外れ値検知モデル144を実装することで、説明変数に外れ値が現れたか否かをほぼリアルタイムで判断することができる。
(g2:更新開始条件)
上述の実施の形態においては、説明変数に外れ値が現れたことが検知されると、予測モデル140を更新する処理が開始される例について説明したが、予測モデル140の更新を開始する条件については、任意に設定できる。
例えば、説明変数に外れ値が現れた頻度(回数/時間)が予め定められたしきい値を超える場合や、説明変数に外れ値が現れたことの検知が連続した場合などに、予測モデル140の更新を開始するようにしてもよい。
さらに、説明変数に外れ値が現れたことに加えて、直前に予測モデル140を更新してからの経過時間などの条件を付加した更新開始条件を採用してもよい。
このように、予測モデル140を更新する処理の開始条件としては、任意の条件を採用できる。
(g3:実装例)
上述の実施の形態においては、典型的には、サポート装置200が説明変数に外れ値が現れたか否かを判断するとともに、必要に応じて、予測モデル140を更新する処理を実行する実装例について説明したが、サポート装置200が有している機能の一部を制御装置100に実装してもよい。また、サポート装置200が有している機能の一部をクラウド環境などで実装してもよい。
このように、本実施の形態に係る予測システム1は、要求される性能や利用可能なリソースなどに応じて、任意の形態で実装できる。
<H.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
[構成1]
制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部(100;158)と、
前記制御演算部が参照可能な状態値(152)のうち1または複数の状態値を予測モデル(140,140A,140B)に入力することで予測値を算出する予測部(141)と、
前記予測モデルを予め生成する予測モデル生成部(200;226)とを備え、
前記予測モデル生成部は、
予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセット(148A)に基づいて第1の予測モデル(140A)を生成する手段と、
前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセット(148B)に基づいて第2の予測モデル(140B)を生成する手段と、
前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示する手段(200;280)とを含む、予測システム。
[構成2]
ユーザ操作に従って、前記第2の予測モデルを前記予測部で有効化するデータ反映部(200;2270)をさらに備える、構成1に記載の予測システム。
[構成3]
前記予め定められた条件は、前記第1の学習用データセットに含まれる前記1または複数の状態値の時系列データに対する外れ値であることを含む、構成2に記載の予測システム。
[構成4]
前記予測モデル生成部は、前記第1の学習用データセットに基づいて、前記第1の予測モデルに加えて、外れ値を検知するための外れ値検知モデル(144)を生成する手段をさらに含む、構成2または3に記載の予測システム。
[構成5]
前記外れ値検知モデルは、前記第1の学習用データセットに含まれる前記1または複数の状態値の時系列データの分布範囲を反映したものである、構成4に記載の予測システム。
[構成6]
前記データ反映部は、前記第2の予測モデルとともに生成された外れ値検知モデルで元の外れ値検知モデルを更新する、構成4または5に記載の予測システム。
[構成7]
前記予測モデル生成部は、前記第1の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示するとともに、前記第2の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示する手段(281,282)をさらに含む、構成1~6のいずれか1項に記載の予測システム。
[構成8]
前記予測モデル生成部は、前記1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加した上でリサンプリングすることで、前記第2の学習用データセットを生成する手段をさらに含む、構成1~7のいずれか1項に記載の予測システム。
[構成9]
制御装置(100)に接続される情報処理装置(200)であって、前記制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部(100;158)と、前記制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値(152)を予測モデル(140,140A,140B)に入力することで予測値を算出する予測部(141)とを備え、
前記情報処理装置は、前記予測モデルを予め生成する予測モデル生成部(200;226)を備え、
前記予測モデル生成部は、
予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセット(148A)に基づいて第1の予測モデル(140A)を生成する手段と、
前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセット(148B)に基づいて第2の予測モデル(140B)を生成する手段と、
前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示する手段(200;280)とを含む、情報処理装置。
[構成10]
制御装置(100)に接続されるコンピュータ(200)で実行される情報処理プログラム(226)であって、前記制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部(100;158)と、前記制御演算部が参照可能な状態値(152)のうち1または複数の状態値を予測モデル(140,140A,140B)に入力することで予測値を算出する予測部(141)とを備え、
前記情報処理プログラムは、前記予測モデルを予め生成するための処理として、前記コンピュータに、
予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセット(148A)に基づいて第1の予測モデル(140A)を生成するステップ(S1~S6)と、
前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセット(148B)に基づいて第2の予測モデル(140B)を生成するステップ(S8~S11)と、
前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示するステップ(200;280;S12)とを実行させる、情報処理プログラム。
<I.利点>
本実施の形態に係る予測システムにおいては、観測された説明変数の実績値に基づいて、先に生成された予測モデルが十分に性能を発揮できない可能性がある場合を容易に知ることができる。そして、本実施の形態に係る予測システムは、十分に性能を発揮できない可能性がある場合には、観測された説明変数の実績値を含む学習用データセットを用いて、新たに予測モデルを生成する。
また、本実施の形態に係る予測システムは、先に生成された予測モデルと、新たに生成された予測モデルとの性能を提示するので、ユーザは、新たに生成された予測モデルを有効化すべきか否かを容易に判断できる。
これによって、より精度の高い予測モデルをより効率的に生成および運用できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 予測システム、2,4 フィールドバス、6 上位ネットワーク、10 フィールド装置群、12 リモートI/O装置、14 リレー群、16,124 I/Oユニット、18 画像センサ、20 カメラ、22 サーボドライバ、24 サーボモータ、100 制御装置、102,202 プロセッサ、104 チップセット、106,206 主記憶装置、108,208 二次記憶装置、110 上位ネットワークコントローラ、112,212 USBコントローラ、114 メモリカードインターフェイス、116 メモリカード、118,120 フィールドバスコントローラ、122 内部バスコントローラ、132 記憶領域、134 エクスポートモジュール、138 説明変数フレーム、140,140A,140B 予測モデル、141 予測器、142 モデル管理モジュール、144 外れ値検知モデル、146 モデルパラメータ、148,148A,148B 学習用データセット、150 PLCエンジン、152 変数、154 ユーザプログラム、156 予測値取得コード、158 制御コード、160 TSDB書込コード、200 サポート装置、204 光学ドライブ、205 記録媒体、214 ローカルネットワークコントローラ、216 入力部、218 表示部、220 バス、222 開発プログラム、224 ユーザインターフェイスプログラム、226 更新プログラム、230 ユーザインターフェイス、232 スクリプトエンジン、234 設定ファイル、236 入出力管理モジュール、238 画面表示モジュール、240 グラフライブラリ、242 解析モジュール、244 解析ライブラリ、270,280 ユーザインターフェイス画面、271 予測点、272 説明変数区間、273,283,286 区間幅、274,284,287 時間差、275,285,288 予測誤差、276,281,282 波形表示領域、277 説明変数リスト、289 更新ボタン、300 上位サーバ、400 表示装置、2262 区間決定モジュール、2264 モデル生成モジュール、2266 値検知モジュール、2268 精度評価モジュール、2270 データ管理モジュール。

Claims (10)

  1. 制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、
    前記制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部と、
    前記予測モデルを予め生成する予測モデル生成部とを備え、
    前記予測モデル生成部は、
    予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、
    前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、
    前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む、予測システム。
  2. ユーザ操作に従って、前記第2の予測モデルを前記予測部で有効化するデータ反映部をさらに備える、請求項1に記載の予測システム。
  3. 前記予め定められた条件は、前記第1の学習用データセットに含まれる前記1または複数の状態値の時系列データに対する外れ値であることを含む、請求項2に記載の予測システム。
  4. 前記予測モデル生成部は、前記第1の学習用データセットに基づいて、前記第1の予測モデルに加えて、外れ値を検知するための外れ値検知モデルを生成する手段をさらに含む、請求項2または3に記載の予測システム。
  5. 前記外れ値検知モデルは、前記第1の学習用データセットに含まれる前記1または複数の状態値の時系列データの分布範囲を反映したものである、請求項4に記載の予測システム。
  6. 前記データ反映部は、前記第2の予測モデルとともに生成された外れ値検知モデルで元の外れ値検知モデルを更新する、請求項4または5に記載の予測システム。
  7. 前記予測モデル生成部は、前記第1の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示するとともに、前記第2の予測モデルから出力される予測値の時系列データと、対応する実績値の時系列データとを対応付けて提示する手段をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の予測システム。
  8. 前記予測モデル生成部は、前記1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加した上でリサンプリングすることで、前記第2の学習用データセットを生成する手段をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の予測システム。
  9. 制御装置に接続される情報処理装置であって、前記制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、前記制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部とを備え、
    前記情報処理装置は、前記予測モデルを予め生成する予測モデル生成部を備え、
    前記予測モデル生成部は、
    予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、
    前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、
    前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む、情報処理装置。
  10. 制御装置に接続されるコンピュータで実行される情報処理プログラムであって、前記制御装置は、制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、前記制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部とを備え、
    前記情報処理プログラムは、前記予測モデルを予め生成するための処理として、前記コンピュータに、
    予測対象の時系列データと、対応する前記1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成するステップと、
    前記1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を前記第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成するステップと、
    前記第1の予測モデルの性能と前記第2の予測モデルの性能とを提示するステップとを実行させる、情報処理プログラム。
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