JP2022027605A - 画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び画像形成装置 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 濃度ムラの経時変化に対し、適切な補正処理をおこなうことで画質と生産性の低下を抑制する。【解決手段】インクを吐出する複数のノズルを含む記録手段を有する記録装置における記録用の画像データを生成する画像処理装置であって、前記記録手段が有する各ノズルの特性に応じた特性情報を保持する保持手段と、前記特性情報に基づいて、入力された印刷ジョブに対応する画像データを前記記録手段で記録するための画像データに変換する変換手段と、前記記録手段で記録された画像を読み取って得た画像データに基づいて、複数の補正処理のいずれかを実行する制御手段とを有する。ここで、複数の補正処理には、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めて行う第1の補正処理、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めずに行う第2の補正処理が含まれる。【選択図】 図1

Description

本発明は、インクを吐出して画像を形成する際に生じる濃度ムラやスジを低減するための画像処理技術に関するものである。
インクジェット方式の記録装置で用いられる記録ヘッドには、インクを吐出する複数のノズルが設けられている。そして、製造上の誤差などの原因によって、ノズル間で吐出量にばらつきを持つことがある。このような吐出量のばらつきがあると、記録される画像に濃度ムラが生じる原因となる。従来、このような濃度ムラを低減する処理として、HS(Head Shading)技術が知られている。HS処理は、ノズル個々の吐出量に関する情報(ノズル特性)に応じて、最終的に記録されるインクドットの数あるいはサイズを増加または減少させる処理で、これにより記録画像に生じる濃度ムラを低減する。上記ノズル特性を取得する際には、パッチ画像(例えば階調毎の均一画像など)を紙面上に印刷し、スキャナで画像を取得・解析する方法が一般的に用いられる。
ところが、ノズルの特性は、ノズル周辺へのインク付着やインク吐出を制御するピエゾ素子やヒータのエージング、温湿度などの記録環境等により変化することが知られている。このようなノズル特性の変化に対し、一定間隔でノズル特性を更新することで濃度ムラを低減し続ける技術も知られている。特許文献1には、判定チャートを用いてインク色、ドットサイズごとに濃度補正の要否を判断し、濃度補正が必要な特性のみを再取得することで、濃度ムラの低減処理に要す時間を短縮する技術が開示されている。
特開2015-160352号公報
上述の特許文献1では、判定チャートと補正チャートの2種類が必要であり、また、補正が必要と判断された色については、ムラの原因、発生している領域等によらず、画一の補正処理が行われることとなる。しかしながら、発生しているムラによっては画一の処理ではなく、原因や領域に応じた簡易的な処理によりムラを低減できる場合がある。また、濃度補正の要否を判断するための判定チャートが必要であり、補正時は全ての階調・ノズルの補正を行うため、生産性の低下を招いていた。
本発明は、濃度ムラの経時変化に対し、適切な補正処理をおこなうことで画質と生産性の低下を抑制する技術を提供する。
この課題を解決するため、例えば本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
インクを吐出する複数のノズルを含む記録手段を有する記録装置における記録用の画像データを生成する画像処理装置であって、
前記記録手段が有する各ノズルの特性に応じた特性情報を保持する保持手段と、
前記特性情報に基づいて、入力された印刷ジョブに対応する画像データを前記記録手段で記録するための画像データに変換する変換手段と、
前記記録手段で記録された画像を読み取って得た画像データに基づいて、複数の補正処理のいずれかを実行する制御手段とを有し、
前記複数の補正処理には、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めて行う第1の補正処理と、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めずに行う第2の補正処理とが含まれることを特徴とする。
本発明によれば、濃度ムラの経時変化に対し、適切な補正処理をおこなうことで画質と生産性の低下を抑制できる。
画像形成システムのハードウェア構成を示す図。 記録ヘッドの構成例を示す図。 画像処理部の機能構成を示す図。 濃度ムラ補正処理の概要を示す図。 画像処理部の処理を示すフローチャート。 ムラ補正処理を示すフローチャート。 静的補正処理を示すフローチャート。 出力チャートの一例を示す図。 HSテーブルの作成処理の概要を示す図。 動的補正処理を示すフローチャート。 ノズル特性の取得処理の概要を示す図。 インク色の特定処理の概要を示す図。 出力チャートの一例を示す図。 画像処理部の処理を示すフローチャート。 補正処理を示すフローチャート。 補正処理の概要を示す図。 静的補正処理を示すフローチャート。 補正値の算出処理の概要を示す図。 補正テーブルの一例を示す図。 選択画面の一例を示す図。 第4の実施形態のハードウェア構成を示す図。 第4の実施形態の画像形成部を模式的に示す図。 第4の実施形態の画像処理部の機能構成を示す図。 第4の実施形態における補正テーブルの例を示す図。 第4の実施形態における、ヘッダ画像追加部の処理を説明するための図。 第4の実施形態における補正処理を示すフローチャート。 第4の実施形態における補正テーブルの作成処理を示すフローチャート。 第4の実施形態における補正テーブル作成部の処理内容を説明するための図。 第4の実施形態におけるHTパターンの例を示す図。 第4の実施形態における予備吐出領域における吐出パターンの例を示す図。 第4の実施形態におけるヘッダ画像追加部の処理を説明するための図。 第5の実施形態における、印刷処理を示すフローチャート。 第6の実施形態における画像処理部の機能構成図。 第6の実施形態におけるヘッダ画像の例を示す図。 第6の実施形態におけるラインプロファイルの例を示す図。 第6の実施形態における補正処理を示すフローチャート。 第6の実施形態におけるHTパターンの例を示す図。 記録用紙の搬送例を示す図。 ロール紙の搬送例を示す図。 ヘッダ画像の印刷例を示す図。 ヘッダ画像の例を示す図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[第1実施形態]
<画像形成システムのハードウェア構成>
図1は、画像形成システム1のハードウェア構成を示す図である。本実施形態における画像形成システム1は、画像形成システム内に内蔵された画像処理コントローラとして機能する画像処理装置11と、記録媒体上に記録材を用いて画像を形成する画像形成装置12とを有する。画像処理装置11は、CPU100、RAM101、ROM102、画像処理部106、I/F(インタフェース)部110、バス112を備える。また、画像処理装置12は、画像形成部107、イメージセンサ108、メンテナンス部109、I/F(インタフェース)部111、バス113、RAM114を備える。また、画像処理装置11は、I/F(インタフェース)部111を介して操作部103、表示部104、外部記憶装置105に接続される。また、I/F部111は、ネットワークと通信するインタフェースをも収容している。
なお、画像処理装置11および画像形成装置12内の各部は、それぞれバス112およびバス113に接続され、それらを介したデータの授受を行うことができる。以下、画像処理装置11および画像形成装置12を構成する各部について説明する。
CPU(Central Processing Unit)100は、入力されたデータやRAM101、ROM102に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、画像形成システム1全体の動作を制御する。なお、ここでは、CPU100が画像形成システム全体を制御する場合をその一例として説明するが、複数のハードウェアが処理を分担することにより、画像形成システム全体を制御するようにしてもよい。
RAM(Random Access Memory)101は、外部記憶装置105から読み取ったコンピュータプログラムやデータ、I/F部110を介して外部から受信したデータを一時的に記憶する記憶領域を有する。また、RAM101は、CPU100が各種の処理を実行するときに用いる記憶領域(記録ヘッドのノズルの特性情報を含む)や画像処理部106が画像処理を実行するときに用いる記憶領域として使用される。ROM(Read Only Memory)102は、画像形成システムにおける各部を設定する設定パラメータやブートプログラム等を記憶する記憶領域を有する。
画像処理部106は、コンピュータプログラムを実行可能なプロセッサや専用の画像処理回路として実現され、印刷対象として入力された画像データまたは印刷ジョブに基づく画像データを、ノズルなどの記録特性に応じて、画像形成装置12が記録可能な記録用の画像データに変換するための各種画像処理を実行する。なお、画像処理部106として専用のプロセッサを用意するのではなく、CPU100が画像処理部106として各種画像処理をおこなう構成も可能である。
I/F部110は、画像処理装置11と画像形成装置12および外部機器とを接続するためのインタフェースとして機能する。また、I/F部110は、赤外線通信や無線LAN(Local Area Network)等を用いて通信装置とデータのやりとりを行うためのインタフェースやインターネットに接続するためのインタフェースとしても機能する。
操作部103は、キーボードやマウス等の入力装置であり、操作者による操作(指示)を受け付ける。即ち、これにより、操作者は、各種の指示をCPU100に対して入力することができる。表示部104は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶画面等の表示装置であり、CPU100による処理結果を画像や文字等で表示することができる。なお、表示部104がタッチ操作を検知可能なタッチパネルである場合、表示部104が操作部103の一部として機能してもよい。
外部記憶装置105は、ハードディスクドライブに代表される大容量情報記憶装置である。外部記憶装置105には、OS(オペレーティングシステム)やCPU100に各種処理を実行させるためのコンピュータプログラムやデータ等が保存されている。また、外部記憶装置105は、各部の処理によって生成される一時的なデータ(例えば、入出力される画像データや画像処理部106で用いられる色変換テーブル、閾値マトリクス、インク吐出できない不吐ノズル位置情報、HS処理に使用するノズル特性等)も保持する。外部記憶装置105に記憶されているコンピュータプログラムやデータは、CPU100による制御に従って適宜読み取られ、RAM101に記憶されてCPU100による処理対象となる。
I/F部111は、画像形成装置12を画像処理装置11に接続するためのインタフェースとして機能する。
RAM114は、画像処理装置12から取得した出力用の画像データを一時的に記憶する記憶領域として使用される。画像形成部107は、RAM114に記憶された画像データに基づいて、記録媒体上に記録材を用いて画像を形成する。本実施形態における画像形成部107は、インクをノズルから記録媒体上に吐出することにより画像を形成するインクジェット方式であり、インクを吐出可能な記録素子を複数配列した記録素子列を備える。
図2は、画像形成部107における記録ヘッドの構成例を示す図である。なお記録ヘッドは典型的にはシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインク用のノズルを搭載するが、説明の簡易化のためブラック(K)のみ図示されている。
本実施形態における記録ヘッドは第一方向としてのノズル列平行方向(x方向)に、描画領域の全範囲をカバーする長尺のラインヘッドである。画像形成部107は、ハーフトーン画像データに基づいて、記録ヘッドを制御するための駆動信号を生成する。記録ヘッドは駆動信号に基づき、記録紙等の記録媒体をノズル列平行方向と垂直な第二方向としてのノズル列垂直方向(y方向)に相対移動させつつドットを生成することにより、記録媒体上に画像を形成する。
イメージセンサ108は、画像形成部107によって記録媒体上に形成された形成画像を読取る、もしくは撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、撮像した形成画像から不吐ノズルおよびノズル特性を取得する手段として機能する。本実施形態ではイメージセンサ108は、記録ヘッドに搭載されたインラインスキャナとして説明するが、オフラインスキャナなどを用いても良い。
メンテナンス部109は、画像形成部107が備えるラインヘッドのノズル目詰まりを除去するヘッド回復動作を行う手段として機能する。ヘッド回復動作には、例えば、プリントヘッドを廃インクの吸収体(スポンジなど)がある位置まで移動させて、多量のインクを吐出させるようにプリントヘッドを駆動する方法がある。また、インクタンク側からインクを加圧して強制的にインクを押し出す方法がある。あるいは、ノズルの外部から負圧を与えてインクを強制的に吸引して目詰まりを除去する方法がある。
<画像処理部106の機能構成>
次に、図3を参照して、画像処理部106の機能構成について説明する。画像処理部106は、入力色変換処理部301、インク色変換処理部302、HS処理部303、不吐補完処理部304、ドットサイズ変換処理部305、量子化処理部306、ドットサイズ合成処理部307、色信号変更部308から構成される。なお、画像処理部106において扱われる画像データの1画素の各成分は8ビット(256階調)で表され、その解像度は記録ヘッドのノズル配置の解像度と同一であり、たとえば1200dpiである。
入力色変換処理部301は、外部記録装置105からの入力画像データを、プリンタの色再現域に対応した画像データに変換する。入力する画像データは、たとえば、モニタの表現色であるsRGB等の色空間座標中の色座標(R,G,B)を示すデータである。入力色変換処理部301は、この入力画像データR,G,Bを、プリンタの色再現域の画像データ(R’,G’,B’)に変換する。その変換には、マトリクス演算処理や3次元LUT(ルックアップテーブル)を用いた処理等の公知の手法を用いることができる。本実施形態では、RAM101内に保持された3次元の入力色変換LUT309を用い、これに補間演算を併用して変換処理を行う。
インク色変換処理部302は、入力色変換処理部301によって変換された画像データに対して、画像形成部107で用いる複数のインクに対応した色信号に変換する変換処理を行う。たとえば画像形成部107がブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いるならば、RGB信号の画像データは、K、C、M、Yの各8ビットの色信号からなる画像データに変換される。この色変換も、上述の入力色変換処理部と同様、3次元のインク変換LUT310を用いて行う。なお、他の変換の手法として、上述と同様、マトリクス演算処理等の手法を用いることもできる。
HS処理部303は、インク色変換処理部302にて変換された色信号画像データに対して、記録ヘッドを構成する各ノズルの吐出特性に応じた補正を行う。本実施形態では、各ノズルの特性に基づいてあらかじめ生成されたHSテーブル311によりHS処理をおこなう。本実施形態においては、HS処理後の色信号データ312はRAM101にて保持される。なお、後述する不吐補完処理との干渉を避けるため、本実施形態においては不吐がない状態の画像を用いてHS補正データを生成する。HS処理の詳細については後述する。
不吐補完処理部304は、あらかじめ取得された不吐ノズルの情報(不吐情報)313に基づき、色信号データ312に対して不吐補完処理をおこなう。本実施形態においては、不吐ノズルに対応するインク色データを不吐ノズル近傍のノズルに分配する。なお、不吐補完処理は上記に限らず、HS処理部303による処理に先立ち、不吐ノズル近傍のHSテーブル311を補正する構成も可能である。あるいは後述の量子化処理部306による量子化処理後のドットパターンを変更する構成も可能である。
ドットサイズ変換処理部305は、各色信号データそれぞれをドットサイズに対応した各8ビットのサイズ信号に変換する変換処理を行う。たとえば画像生成部107が大中小の3つのドットサイズを形成できる場合には、KCMYそれぞれの画像データを、大中小ドットに対応した複数の画像データに変換する。すなわち、インク4色(CMYK)に対してドットサイズ3種(大中小)であれば、ドットサイズ変換処理部305はインク色とドットサイズの全組み合わせ計12枚の画像データを生成する。なお、ドットサイズ変換処理305は、各色の色信号値に対して各ドットサイズの信号値が対応付けられた1次元ルックアップテーブルであるサイズ変換テーブル314に補間演算を併用して行うことができる。
量子化処理部306は、ドットサイズ変換処理部305で処理された各8ビット(256階調値)の画像データに対して、画像形成部107が表現可能な階調数への変換処理とノズル群が形成するドット配置を決定するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン画像データを生成する。本実施形態において量子化処理部306は、1画素当たり8ビットの画像データを、画素毎に0か1のいずれかの値を有する1ビット2値のハーフトーン画像データ(出力画像データ)に変換する。ハーフトーン画像データにおいて、画素値(出力値)が0である画素はドットのオフを、画素値(出力値)が1である画素はドットのオンを表す。なお、ハーフトーン処理には公知の方法である誤差拡散処理やディザ処理等を適用可能である。本実施形態では閾値マトリクス315を用いたディザ処理によって量子化を行うとする。
ドットサイズ合成処理部307は、量子化処理部306によって生成されたドットサイズ毎のドットデータを画素毎に合成して画像生成部107へ出力する。出力画像データはI/F部110およびI/F部111を介して、画像形成装置12へと受け渡され、画像形成装置12内のRAM114へと記憶される。画像形成装置12は、RAM114に記憶された画像データに基づき、画像形成部107による記録処理を行うことになる。
色信号変更部308は、イメージセンサ108の読み取り結果に基づいて、色信号データ312に対して変更処理をおこなう。色信号変更部308における具体的な処理については後述する。
以上説明した画像形成システム1の構成を説明した。以下では、係る構成に基づく濃度ムラやスジの低減処理を説明する。
<濃度ムラ補正の概要>
図4(a)は本実施形態における画像形成システム1の濃度ムラ補正に関わる処理を、時間軸tに沿って表した概念図である。また、図4(b)は、図4(a)と同じ時間軸tにおける形成画像のクオリティQを示す概念図である。以下、図4(a)および(b)を用いて本実施形態における濃度ムラ補正について説明する。
図4(a)に表されるように、時間t0において画像形成システム1の電源が投入されたとする。このとき、画像形成システム1は、画像形成部107によって形成される画像のクオリティQ(t0)を取得する。
ここでクオリティQ(t)とは、時刻tにおける総合的な画像の品質を表す概念的な値である。より詳細には、HS処理部303による補正処理をおこなったうえで形成画像上に残存する濃度ムラやスジの評価を少なくとも含む値である。なお、図4(b)上では説明上、クオリティQ(t)を1軸で示しているが、実際には多軸で表現される値であってもよい。本実施形態では、クオリティQ(t)として、濃度ムラやスジに加え、粒状性や色転び、鮮鋭性、文字再現性等を考慮した総合的な評価値を用いる。
次に画像形成システム1は、Q(t0)と、予め定められた閾値となるクオリティQ0とを比較する。そして、画像形成システム1は、その時のクオリティが閾値を下回るとき(Q(t0)<Q0のとき)、複数のムラ補正処理のうち、いずれかを実行する。図4(a)に示す例では、画像形成システム1は、3つの異なる補正処理を保持しており、それらを便宜上「ムラ補正A」、「ムラ補正B」、「ムラ補正C」として示している。また、ムラ補正処理とは別に、不吐補完処理部307による不吐ノズルを補完する機能も備えており、図4(a)では、この処理を「不吐補完」として示している。
図4(a)に示す例においては、時刻t1~t2においてムラ補正Aが実行される。ここでムラ補正Aには複数の測定用チャートの出力、読み取り、解析や補正値の算出処理、あるいはメンテナンス部109によるヘッド回復動作の実行が含まれている。そのため、他のムラ補正処理に比べ、補正精度が高く、また補正による粒状性の悪化や色転びが発生しにくい。一方で、ムラ補正Aは、長い処理時間を要し、かつ、補正処理中にユーザ画像の印刷をおこなうことはできない。
図4(b)に示すように、ムラ補正Aにより閾値Q0よりも高いクオリティQ(t2)が得られる。t2以降、画像形成システムはユーザ画像を印刷可能な状態となる。前述のとおり、ノズル特性は、ユーザ画像の印刷および経時変化により変化していく。そのため、t2以降、ムラ補正処理によるムラの抑制効果は低減し、その結果、濃度ムラ、スジが形成画像に残存することによってクオリティQは低下していく。図4(b)に示す例では、クオリティQは時刻t3において閾値Q0まで低下する(閾値Q0を下回る)。
本実施形態において、画像形成システム1は一定間隔でクオリティQ(t)を監視しており、Q(t)が閾値Q0まで低下したことを検知すると、再度複数のムラ補正処理のいずれかを実行する。このとき、実行される補正処理は、たとえば各補正処理後のクオリティQの予測値と、ムラ補正に必要な処理時間およびユーザ画像を印刷できないダウンタイムとに基づいて選択される。
図4に示す例では、時刻t3~t4において、ムラ補正Bが実行される。ここでムラ補正Bには、チャートの出力やヘッド回復動作の実行が含まれない。そのため、ユーザ画像の印刷を継続、あるいは印刷可能な状態を維持したまま、ムラ補正処理は実行される。
一方でムラ補正Bによる処理後のクオリティQ(t4)は補正の精度や補正による弊害により、ムラ補正Aによる処理後のクオリティQ(t2)と比べて低くなる。あるいはムラ補正Bによるクオリティの改善は、ムラ補正Aに比して処理前のノズル特性に依存し、改善が得られにくい場合がある。
なお、ノズル特性の経時変化とは別に、ノズルへの気泡混入やごみの付着等により、ドットが形成されない不吐ノズルが発生することがある。このような場合に画像形成システムは、不吐補完処理部304による不吐補完処理を実行し、不吐ノズルによるクオリティQの低下を抑制する。図4では、時刻t5、t7、t9において不吐ノズルが発生し、それぞれ時刻t6、t8、t10にて、補完処理を完了している。なお、本実施形態において不吐補完処理は、ユーザ画像の印刷を継続、あるいは印刷可能な状態を維持したまま、実行されるとしている。
図4(b)に示す例では、クオリティQは時刻t11において、不吐ノズル起因でない濃度ムラ、スジによって再びクオリティが閾値Q0まで低下している。画像形成システム1は、ダウンタイムや補正が反映されるまでに要する時間がより短いムラ補正Bでは補正精度が不足する、あるいは補正による弊害が大きいと判断した場合にはより精度の高いムラ補正Cを選択する。
図4(a)に示す例では、時刻t11~t12において画像形成システム1は、ムラ補正Cを実行している。ここでムラ補正Cには補正処理用のチャートの出力が含まれており、補正処理中にユーザ画像の印刷をおこなうことはできないダウンタイムが含まれる。しかしながら、補正範囲(階調、ノズル)を制限することにより、出力されるチャートの枚数や解析、補正値の算出に必要な処理時間がムラ補正Aと比して短く、ヘッド回復動作も含まない。そのため、図4(a)に示すようにムラ補正Cにおけるダウンタイムや補正が反映されるまでに要する時間はムラ補正Aよりも短くなる。
図4(a)に示す例では、時刻t13~t14において再度ムラ補正Cが実行されている。このとき、同一のムラ補正Cが実行されているにもかかわらず、補正による弊害や補正誤差の累積により2回目のムラ補正Cによる補正後のクオリティQ(t14)は、前回のムラ補正C後のクオリティQ(t12)よりも低くなっている。
画像形成システムは、そのような弊害や補正誤差の累積によりムラ補正BおよびCではクオリティを改善できないと判断した場合に、ムラ補正Aを再度実施する。図4(a)に示す例では、時刻t15~t16において、再度ムラ補正Aが実施されている。このとき、補正後のクオリティQ(t16)は前回のムラ補正Aによる補正後のクオリティQ(t2)と略一致する。
このように、精度やダウンタイム、処理時間、弊害の発生等の異なる複数のムラ補正処理を保持し、それらを各補正処理後のクオリティQの予測値と、ムラ補正に必要な処理時間およびユーザ画像を印刷できないダウンタイムとに基づいて使い分けることで、濃度ムラの経時変化に対し、一定の画像品位を保ちつつ、過大もしくは過小な処理をおこなうことを抑制できる。
具体的には、図4中、時刻t3、t11、t13において、ムラ補正BおよびCを実行することで、出力画像のクオリティを閾値Q0より高く保ちつつ、すべてのタイミングでムラ補正Aを実行する場合に比べてダウンタイムを削減し、単位時間当たりの生産性を向上することができる。なお、ムラ補正BおよびCが、ムラ補正Aの一部分であれば、処理を共通化でき、回路規模やプログラムメモリが節約でき、好ましい。
<画像処理フロー>
本実施形態における画像処理部106の画像処理フローを図5に示す。本実施形態における画像形成システム1は、精度やダウンタイム、処理時間、弊害の発生等に応じて異なる複数のムラ補正処理を保持する。
図4(a),(b)の説明では、3種類のムラ補正A、B,Cが存在するものとして説明した。ムラ補正Aは、複数のチャートの印刷を行うことから、その処理が完了するまでに多くの時間を必要とする。詳細は後述する説明から明らかにするが、ムラ補正Cはムラ補正Aと比較して十分に少ない(実施形態では1枚)チャートを印刷し、スキャン画像を得て補正するものである。また、ムラ補正Bは、チャートの印刷無しで、通常のジョブ処理中に補正するものである。そこで、説明を単純化するため、まず、2つの異なるムラ補正処理A,Bを備え、それら使い分けることで、ムラ補正処理に起因するダウンタイムを削減する例を以下に説明する。
2つのムラ補正処理のうち一方は、補正用のチャートを出力せず、ユーザ画像の印刷を継続、あるいは印刷可能な状態を維持したまま高速に補正を行う動的補正処理である。上述の図4(a),(b)を用いた説明におけるムラ補正B(ムラ補正Cを含む)に相当する補正処理である。本実施形態における動的補正では、ノズル特性の変動方向を検知し、あらかじめ定められた補正量にしたがって色信号データを変更することで、高速な補正を実現する。
もう一方は、出力画像データの作成に用いる各種テーブルのキャリブレーションをおこなったうえで、キャリブレーション後のテーブルを用いて、HS処理を含む出力データの作成を再度おこなう静的補正処理である。上述の図4を用いた説明におけるムラ補正Aに相当する補正処理である。本実施形態における静的補正処理では、各テーブルのキャリブレーションのために複数のチャートが出力される。HS補正のために出力するチャート種類、枚数も多く、補正に要する計算負荷も大きいことから、静的補正処理に際しては、ユーザからの画像の印刷は中断もしくは中止される。以下、図5を用いて画像処理フローの各ステップについて説明する。
なお、上記説明では、出力画像のクオリティの低下を判定する閾値をQ0として説明したが、以下では、より具体的な例を説明するため、目標とする色と実際に記録された画像間の色との色差ΔEの大小で判定する例を説明する。
まず、画像形成システム1の電源が投入されると、画像処理部106はRAM101もしくは外部記憶装置105に記憶されたフラグを参照する(S501)。本実施形態における、このフラグは静的補正処理の要否を表している。画像処理部106は、参照の結果、フラグがオンであると判定した場合はS502へと進んで静的補正処理を行い、その後、処理をS503へと進める。なお、静的補正処理の詳細については後述する。一方、画像処理部106は、フラグがオフであると判定した場合は、S502~S504までの処理をスキップし、処理をS505へと進める。
S503にて、画像処理部106は、S502における静的補正処理の結果から、リファレンス特性を作成する。ここで作成されるリファレンス特性は、入力画像信号に対する形成画像の発色特性である。後述する動的補正では、各ノズルの特性がこのリファレンス特性を再現することを目的とした補正をおこなう。具体的にリファレンス特性は、入力画像のRGB組み合わせに対するXYZやLabなどのデバイス非依存色空間の色特性LUTとしてRAM101もしくは外部記憶装置105に保持される。なお、リファレンス特性の具体的な取得方法については後述する。
S504にて、画像処理部106は、RAM101もしくは外部記憶装置105に記憶されたフラグをオフにする。本ステップにより、S502~S504までの処理をフラグがオンになるまでスキップでき、立ち上げ時のダウンタイムを短縮できる。
S505にて、画像処理部106は、印刷ジョブが入力されるまで待機状態となる。ユーザが操作部103を介して印刷ジョブを入力すると、画像処理部106はS506へ処理を進める。
S506にて、画像処理部106は、ユーザが入力した印刷ジョブを取得する。具体的には、画像処理部106は、ユーザによる印刷を所望する各画像データへのパスと印刷枚数や印刷品位、記録媒体等の印刷条件とを取得する。なお、ここで取得した印刷ジョブに係る情報はRAM101に記憶され、以降の処理で参照される。続いてS507にて、画像処理部106は、印刷ジョブによって指定されたユーザ画像データを取得し、画像形成部107が出力可能な画像データ(出力画像データ)に変換するために各種画像処理を実行する。具体的には、まず、画像処理部106は、外部記憶装置105にあらかじめ記憶された各種テーブル、マトリクスをRAM上に展開したのち、図3における参照符号301~307で示す各部による処理を実行する。その後、画像処理部106は、得られた出力画像データを画像形成装置12へと受け渡す。なおこのとき、画像処理部106は、各インク色に対応する色信号データ312をRAM101へ記憶しておく。本実施形態における不吐補完処理および、動的補正処理ではこれらの色信号データ312に対して補完および補正処理を適用する。
続いてS508にて、画像処理部106はRAM101に記憶された印刷ジョブに従って画像形成装置12に対して記録媒体上へ画像を1枚印刷するよう指示する。このとき、CPU100は、イメージセンサ108を制御し、記録媒体に形成された画像の撮像を行わせる。この結果、得られた撮像画像はI/F111およびI/F110を介して画像処理装置11へと受け渡され、RAM101もしくは外部記憶装置105に、スキャン画像として記憶される。次にS509において、画像処理部106は、S508にて記憶したスキャン画像から、現在の各ノズルの発色特性を算出する。詳細は後述する。
次にS510にて、画像処理部106は、S509にて算出した現在の各ノズルの発色特性と、S503にて作成したリファレンス特性とを比較し、その差があらかじめ定められた許容範囲外であるか否かを判定する。具体的にはそれら発色特性間の色差ΔEを判定に用い、たとえばΔE>3であれば許容範囲外とする。なお、本ステップにて用いた色差ΔEは、後述のムラ補正処理において参照される可能性があるため、取得した時刻に対応付けてRAM101に記憶される。S510にて、画像処理部106は、許容範囲外と判断した場合はS511へと進み、いずれかのムラ補正処理を実行する。詳細については後述する。一方でS510にて、画像処理部106は許容範囲内であると判断された場合には、S511をスキップして、処理をS512へ進める。
次にS512にて、画像処理部106は、不吐補完処理部307による不吐の検出と補正とをそれぞれを行う。このとき、不吐の検出には公知の手法を用いることができる。たとえば、あらかじめ画像端部に階段状のチャートを埋め込み、スキャン画像内の該領域から不吐ノズルの検出をおこなえばよい。あるいは一定間隔で不吐検出チャートを出力し、該チャートに基づいて不吐ノズルの検出をおこなってもよい。そのようにして検出された不吐ノズルの位置に基づいて、不吐補完処理部304はRAM101に記憶された色信号データ312に対して不吐補正処理を加える。なお、不吐の検出にてチャートを用いず、入力画像とスキャン画像の比較に基づいて、不吐ノズルを検出することも可能である。あるいは、画像から取得するのではなく不図示の赤外線発射装置と赤外線センサとの組み合わせによって不吐ノズルを検出してもよい。さらには、ヘッド内のインク流量を監視することでも、不吐ノズルの検出は可能である。
次にS513にて、画像処理部106は、S506で取得した印刷ジョブを全て完了したか否かを判断する。すなわち、指定されたすべてのユーザ画像について、指定された枚数だけ印刷したか否かを判定する。画像処理部106は、ジョブが未完であると判定した場合は処理をS508へと戻し、印刷を継続する。一方で、ジョブが完了している場合、画像処理部106は、処理をS505へと戻し。次の印刷ジョブが入力されるまで待機状態となる。
<ムラ補正処理フロー>
次に、図5のS511におけるムラ補正処理のより詳しい処理を、図6を参照して説明する。前述のとおり、本実施形態におけるムラ補正処理においては、2つの補正処理(動的補正、静的補正)が使い分けられる。
まず、S601にて、画像処理部106は、RAM101もしくは外部記憶装置105に記憶されたフラグを参照する。ここで参照されるフラグは上述のS501やS504で参照されるフラグと同一である。後述のS605およびS607にて、フラグは静的補正後にオフ、動的補正後にオンとなるように操作される。そのため、静的補正後に動的補正が一度も行われていない場合には、フラグはオフである。
S601において参照したフラグがオフであれば、S606へと進み、動的補正をおこなう。さらにその後のS607にてフラグをオンにする。一方で、フラグがすでにオンであればS602へと進み、前回(直近の過去)の動的補正によりスジが悪化したか否かを判断する。より具体的には、直前のS510において使用した色差ΔEと、ひとつ前のS510において使用されたΔE’とを比較し、ΔE>ΔE’であれば、悪化したと判断すればよい。
画像処理部106は、S602にて、悪化していないと判断した場合は、動的補正によりさらなるムラ補正が可能であるとし、処理をS606へと進め、再度動的補正を行う。一方でS602にて、画像処理部106が、動的補正によりスジが悪化していると判断した場合には、動的補正では現在発生している濃度ムラの補正が不可能であると見なし、S603にて静的補正を実行する。なお、濃度ムラ、色ずれだけはなくて、文字の再現性や粒状性をS602における判断に含めてもよい。たとえばS503におけるスキャン画像中の略均一なエリア内の分散値をリファレンスの分散値として保持しておく。さらに、S508におけるスキャン画像の動エリアの分散値が、リファレンスの分散値よりも一定以上大きい場合には、静的補正処理を実行するようにしてもよい。
本実施形態における画像処理部106は、S603にて静的補正を行った後、S503、S504と同様に、リファレンス特性の作成(S604)を行い、フラグをオフにする(S605)。上述のとおり、本実施形態においては、フラグは静的補正の要否とともに、静的補正後に動的補正が少なくとも1回は行われているか否かを表している。つまり、このフラグを用いることで、動的補正が一度でも行われた後に電源の切断と投入が行われた場合には、静的補正が実行される。これは、動的補正は、補正にかかる時間、処理量、印刷されるチャートの枚数を優先しており、補正の誤差や弊害が発生する可能性が高いためである。すなわち、本実施形態におけるフラグはそれらの動的補正の誤差や弊害が発生しており、静的補正を実行することで、画像形成システムのクオリティをさらに向上できることを示しているともいえる。
<静的補正処理フロー>
上述のS603における静的補正処理のフローを図7に示す。前述のとおり、本実施形態における静的補正処理では、画像処理部106内の各処理部301~307にて使用するテーブルのキャリブレーションのために複数のチャートを出力、解析する。また、本実施形態においては不吐補完処理との干渉を避けるため、不吐がない状態でのHS補正データを生成する。以下、図7を用いて本実施形態における静的補正処理についてより詳細に説明する。
まず、S701にて、画像処理部106は、各インク色(CMYK)に対し、1次プライマリ色を決定する。ここで1次プライマリ色とは、インク色変換処理部302にて生成される最大の信号値(8ビットであれば255)に対応する発色特性である。各ノズルから吐出されるインクの量は、製造上の誤差や記録ヘッド内の相互作用などの要因により完全に一致することは極めてまれである。そのため、全てのノズルを出力解像度(たとえば1200dpi×1200dpi)の格子すべてに大ドットを出力(ベタ出力)した場合、均一な入力にもかかわらず、各ノズルに対応する列ごとに濃度が異なるベタ画像が記録媒体上に形成される。
このような場合に、HS処理部303による処理では、他のノズルよりも濃いノズルに対し、ドットを間引く、あるいはドットサイズを小さくすることで、濃度を調整することが可能である。一方で、出力解像度を超えてドットを吐出することはできず、大ドットより大きなドットを出力できない。すなわち、他のノズルよりも薄いノズルに対し、より濃く出力するように調整することはできない。したがって、プライマリ色はもっとも濃度が薄いノズルに合わせて設定することが好ましい。さらには、経時変化によってもっとも薄いノズルの濃度が変化する場合には、プライマリ色を変更することが好ましい。
具体的には画像処理部106は、画像形成装置12によって図8(a)に示すベタ出力チャート800を各ドットサイズで出力する。図8(a)に示すべた出力チャート800は、各インク色(CMKY)に対応する、ベタパッチ801~804及び不吐ノズル検出パターン805~808により構成される。ベタパッチ801はKインクに対応するベタパッチであり、該領域には出力解像度(たとえば1200dpi×1200dpi)の格子上すべてに、Kインク単色で大サイズのドットが形成される。参照符号805は、Kインク用の不吐ノズル検出パターンである。同様に参照符号802~804は、それぞれCMYインクに対応するベタパッチ、参照符号806~808はCMYインクに対応する不吐ノズル検出パターンである。さらに画像処理部106は、イメージセンサ108により撮像されたベタ出力チャートから、各インク色についてプライマリ色を決定する。すなわち、インク色がCMYK4色であれば、それらに対応する4つのプライマリ色が決定される。
具体的には画像処理部106は、イメージセンサ108より得た画像データにおいて、各ベタ出力パッチ801~804に対応する画像領域を搬送方向に平均して1次元化し、得られた1次元データ中、もっとも紙色に近い色をプライマリ色とする。このとき、ベタ出力チャート800のスキャン画像に対し、あらかじめスキャン色変換LUTによる変換処理をおこなってから1次元化することで、プライマリ色をデバイス非依存の値として決定することができる。ここで、スキャン色変換LUTは、イメージセンサのデバイス値とデバイス非依存の色特性(Lab値やXYZ値、濃度値)とを対応付けるLUTである。たとえばあらかじめ色特性が既知であるキャリブレーションチャートをイメージセンサ108にてスキャンし、該スキャン画像上で値を対応付けることでスキャン色変換LUTは生成できる。
なお、HS処理によって最薄のノズルを周辺ノズルによって補正できることを考慮し、視覚感度(VTF)相当のフィルタでフィルタ処理した後に最も紙白に近い色をプライマリ色とすることも可能である。なお、プライマリ色検出時に、不吐ノズルが含まれていると、プライマリ色が極端に薄くなることが想定される。そこで、本実施形態においては、プライマリ色の決定に先立ち、インク色(ヘッド)毎の不吐検出パターン805~808に基づく不吐検出処理を実行する。その結果、不吐ノズルが検出された場合には、メンテナンス部109による回復動作を実行後、再度ベタ出力チャート800を出力する。このように、チャートの出力から不吐検出、回復動作を繰り返すことで、不吐ノズルを含まないベタ出力チャートを得ることができる。
図7の説明に戻る。次のS702にて、画像処理部106は、HS処理部303で使用するHSテーブル311を作成する。具体的には、画像処理部106は、まず、図8(b)に示すノズル毎特性取得チャート810を出力する。図8(b)に示すノズル毎特性取得チャート810は、階調パッチ部811と不吐ノズル検出パターン812とから構成される。なお、別途後述のノズル毎の位置合わせを容易にするようなマーカーをチャート810に含めてもよい。
階調パッチ部811は、異なる9つの入力値で均一なパッチで構成される。たとえば入力値には、その値域(0~255)を均等に9つに区切った値(0、32、64・・・・、224、255)を用いればよい。本実施形態においては、図8(b)に示すノズル毎特性取得チャート820を、各インク色(CMYK)にて出力し、それぞれを解析することで、インク色数×ノズル数個の特性を得る。
具体的には、ノズル毎特性取得チャート810に対し、ドットサイズ変換、量子化処理、ドットサイズ合成処理をおこない、画像形成装置12にて記録媒体上に画像として形成する。さらに、形成画像のスキャン画像から、階調パッチ部811の各パッチ領域を抜き出し、それぞれ搬送方向に平均して1次元化する。このようにして得られた1次元データと各ノズルの位置とを対応付けることで、各ノズルの入力値に対する特性を得ることができる。
さらに、画像処理部106は、取得したノズル特性に基づき、0~255の入力に対して全ノズルが一律な特性となるように、HSテーブル311を生成する。詳細は後述する。なお、本実施形態では、HSテーブル311は各ノズルについて作成される。また、それらはRAM101に保存され、以降のHS処理で用いられる。なお、ノズル毎特性取得チャート810の出力時に不吐ノズルが発生した場合に、不吐ノズルとその周辺ノズルに対応する領域において、HS処理と不吐補間処理とが重複する。その結果、重複領域において補正が過剰となり、黒スジや濃度ムラが発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、HSテーブル311の作成に先立ち、不吐検出パターン812に基づく不吐検出処理を実行する。さらにその結果、不吐ノズルが検出された場合には、メンテナンス部109による回復動作を実行後、再度チャート810を出力する。このとき、チャートの出力から不吐検出、回復動作を繰り返すことで、不吐ノズルを含まないHSテーブルを得ることができ、HS処理と不吐補間処理との重複を回避できる。なお、上述の1次元データに対してフィルタ処理を実行した後でノズル毎に補正値を算出してもよい。たとえば、フィルタとして視覚特性VTFに相当するフィルタを用いると、視認されやすい周波数帯のスジムラを優先して補正することができる。
図7の説明に戻る。S703にて、画像処理部106は、プライマリ色およびHSテーブル311の変更を考慮してインク変換テーブル310を新たに算出しなおす。なお、インク色変換テーブルは、公知の手法を用いて作成できる。たとえばC=255-R、M=255-G、Y=255-Bによって求めたCMY値から、公知のUCR(Under Color Removal)処理でブラックへと置き換えることで、インク色変換テーブルを作成できる。作成したテーブルはインク変換LUTとしてRAM101上に保存され、以降のインク色変換処理に使用される。
また、次のS704にて、画像処理部106は、入力色変換テーブルを作成する。たとえば、RGB空間の色立体を均等に区切ったパッチを出力し、該RGBの目標値となるLabを実現するR’G’B’とを対応付けてLUT化する。作成されたLUTは入力色変換LUT309としてRAM101に保存され、以降の入力色変換処理に使用される。
これらインク変換テーブル310および入力色変換テーブル309は、特にS701にて印刷メディアの変更や経時変化等によりプライマリ色が変化している場合に、画像形成システムとして再現できる色域が変わることから、変化に応じて再生成することが好ましい。また、粒状性や鮮鋭性、光沢度などの画質項目に基づいて各色変換テーブルを算出する場合には、HS処理によってそれらのバランスが変化する場合が多い。そのためHSテーブル311を変更した場合には各色変換テーブル309、310を変更することが画質面から好ましい。ここまでのS701~S704にて、各種テーブルのキャリブレーションが完了する。
次にS705にて、画像処理部106は、S701~S704にて作成された各種テーブルを用いて、S507にて作成した出力画像データを更新する。すなわち、静的補正処理による更新後の各種テーブルを用いて各部301~307による各種画像処理をおこない、新たに出力画像データを生成し、画像形成装置12へと受け渡す。さらに画像形成装置12は、受け取った出力画像データをRAM114へと上書きし、以降のS508における印刷指示に対して上書き後のデータで画像形成を行う。
以上説明した静的補正処理に従うことで、経時変化を考慮した各種テーブルの更新後、出力画像データが新たに生成される。これにより、静的補正処理によってムラ補正に加え、発色特性の補正までなされる。なお、上述の各種テーブルの更新に加えて、量子化処理部306で用いる閾値マトリクス315に対し、HS処理によるドットの増減を考慮した変更をおこなってもよい。あるいはS702におけるHSテーブル311の作成後に、ドットサイズ変換テーブル314をHS後の特性(粒状性、鮮鋭性、スジムラ、色ずれ、文字再現性)に基づいて再作成してもよい。その場合、ドットサイズ変換テーブルの変更が、濃度ムラに影響を与える可能性がある。そのため、新たに生成されたドットサイズ変換テーブル314を用いてS702を再度実行し、HSテーブル311を更新しなおすることが好ましい。
<HSテーブル311の生成>
以下、図9(a)、(b)を参照し、S702におけるHSテーブル311の作成処理についてより具体的に説明する。図9(a)の横軸は階調パッチ部811の信号値であり、縦軸はたとえばLab空間上での記録媒体色(紙白)からの距離Dである。紙白からの距離Dは以下の式(1)により算出できる。なお、式(1)中、Lw、La、Lbはそれぞれ記録媒体色のLab値である。
Figure 2022027605000002
なお、図中、DpはS701にて定めたプライマリ色の紙白からの距離Dである。また、図中の参照符号901は、横軸の上限値であり、入力信号値が8bitであれば、255である。図9(a)中の曲線902は、ノズル特性の一例を示す。ノズル特性902は、階調パッチ部811の信号値と該信号値に対応するD値とから補間演算をおこなうことで連続値として得ることができる。このとき、補間方法は任意であり、たとえば、区分線形補間や公知のスプライン曲線などが用いられる。また、図9(a)中の参照符号903で示す鎖線は各ノズルの目標となる特性である。本実施形態では、Dpと紙白(図9中の原点)とを結ぶ直線を目標特性903とする。
次に、図9(b)により補正値の算出について説明する。まず、入力値Inに対応する目標値Dtを目標特性903より算出する。さらに、ノズル特性902から目標値Dtに対応する信号値を補正値In’として取得する。そして、取得した補正値In’を入力値Inと対応付け、注目ノズルのHSテーブル311としてRAM101へと記憶する。このとき、入力値Inとして、0~255のすべての値について補正値を算出し、注目ノズルのテーブルとして保持しておく。あるいは9階調に対応する値だけ算出、テーブルとして保持しておいてもよい。その場合には、補正テーブルを使用する際に9階調以外の値は、それら9つの値から公知の補間処理(例えば線形補間)により算出すればよい。
なお、図9(a)、(b)は、説明を単純化するため、ノズル特性902を1本だけプロットしているが、実際には、インク色数×ノズル数個の特性だけの曲線が得られる。そこで上記の処理を全ノズルに対して繰り返すことにより、すべてのノズルについて対応するHSテーブル311が算出される。なお、HSテーブル311を算出する色空間は任意であり、紙白からの距離Dを用いず、ブロック濃度や三刺激値XYZ、光学濃度、スキャナRGB等を用いて補正量を算出することも可能である。
<リファレンス特性の取得>
ここで、S503およびS604におけるリファレンス特性の取得について説明を加える。本実施形態においては、リファレンス特性は各ノズルの信号値に対する三刺激値XYZ値とする。具体的にリファレンス特性の取得においては、まず、図8(b)に示すノズル毎特性取得チャート810を、S702にて生成したHSテーブル311による補正処理をおこなって出力する。そしてその撮像画像に対してイメージセンサ108のデバイス値(RGB値)からXYZ値へと変換する色変換処理をおこなう。この処理はあらかじめ算出しておいた色変換LUTを用いて行えばよい。さらに色変換後の撮像画像のうち、各パッチ領域を切り出し、それぞれ搬送方向に平均することで、入力値ごとに1次元のXYZデータが得られる。
このようにして得られた1次元のXYZデータと各ノズルの位置とを対応付けることで、各ノズルの入力値に対するリファレンス特性(三刺激値XYZ)が得られる。このとき、ノズル毎特性チャートを、各インク色(CMYK)について出力し、それらの2次色や3次色については、それぞれの積を用いればよい。あるいは、2次色、3次色を含むパッチを出力、撮像することで2次色、3次色に対するリファレンス特性を保持していてもよい。なお、1次色の積から2次色、3次色を算出する場合には、リファレンス特性として、三刺激値XYZを記録媒体(紙白)の三刺激値で正規化した値を用いることが好ましい。
図19(a)にリファレンス特性の一例を示す。同図に示すように、本実施形態においてリファレンス特性は、入力RGB値に対する三刺激値XYZを一定間隔で保持するLUTとして保持される。なお、ノズル毎に図19(a)に例示するテーブルを保持しておいてもよいし、全ノズルの特性を平均化し、全てのノズルに対して1つのテーブルを保持してもよい。あるいは、ノズル毎特性チャートを出力せず、図9中の参照符号903に示す静的補正の目標特性をリファレンス特性とすることも可能である。また、発色特性としてXYZ値ではなく、Lab値やブロック濃度をリファレンス特性として保持してもよい。あるいは入力信号値ではなく、HT(Halftone)処理後の各ドット数に対する発色特性を保持してもよい。
<動的補正処理フロー>
上述のS606における動的補正処理のフローを図10に示す。前述のとおり、本実施形態における動的補正処理では、チャートを出力せず、あらかじめ定めた所定の補正量にしたがって補正を行うことで、静的補正に比べて高速なムラ補正を実現する。以下、図10に示すフローに従い、動的補正処理についてより詳細に説明する。
まずS1001にて、画像処理部106は、S509にて算出した全ノズルのノズル特性を取得する。具体的に、本実施形態においては平均XYZ値をスキャン画像からノズル毎に取得する。図11(a)を用いてより具体的に説明する。図11(a)中の参照符号1100は、S506にて入力された入力画像データの一例である。このとき、入力画像1100のスキャン画像に対して、前述のスキャン色変換LUTを用いることで画素ごとに三刺激値XYZ値が得られる。さらに、得られた三刺激値XYZを搬送方向(y方向)に平均し、ノズル位置に対応付けることで、入力画像に対するノズル毎の平均XYZ値が算出できる。
図11(b)における曲線1101は、そのようにして算出されたノズル毎の平均Y値を一例として示している。なお、図11(b)の横軸はノズル番号(もしくはノズルの位置)、縦軸はスキャン画像から算出されたY値を示す。
図10のフローチャートに戻り、S1002にて画像処理部106は、ノズル毎の平均色信号値を取得する。具体的には、まず、S507もしくはS705にてRAM101もしくは外部記憶装置105へ保存された各インク色に対応する色信号データを取得する。さらに取得した色信号データを搬送方向(y方向)に平均することで、入力画像に対するノズル毎の平均色信号データが算出できる。
図11(c)における参照符号1102は、図11(a)に示す入力画像データ1100に対応する色信号画像データ312のうち、K信号を平均化した場合の一例である。なお、図11(c)中の横軸はノズル番号、縦軸はKの信号画像から算出された平均のK信号値を示す。

再び図10のフローチャートに戻る。次のS1003にて、画像処理部106は、S503もしくはS604にて取得したノズル毎のリファレンス特性に基づいて、入力画像1100に対するノズル位置毎の目標特性を算出する。具体的には、図11(c)における参照符号1102として示す平均のK信号値を、リファレンス特性を用いてノズル毎にXYZ値へと変換する。同様に、CMY信号値をXYZ値へと変換し、それらの積を求めることでノズル毎の目標XYZ値を得る。
なお、K信号値を平均して1次元化するのではなく、色信号画像の各画素についてK信号値をXYZ値に変換した後、XYZ値を1次元化する構成も可能である。あるいは、HT処理後の出力画像における各画素のドットのオンオフに対してXYZ値を保持しておくことで、出力画像から同様にノズル毎の目標XYZ値を得ることも可能である。図11(d)における曲線1103は、そのようにして算出されたノズル毎の目標Y値を一例として示している。なお、図11(d)の横軸はノズル番号、縦軸は算出された目標Y値を示す。
次に、S1004にて、画像処理部106は、動的補正の対象となるノズル位置を決定する。具体的には、S1001にて取得した現在のノズル特性(図11(b)の参照符号1101)と、S1003にて算出したノズル毎の目標特性とを比較する。具体的には、両特性をそれぞれLab値に変換し、両者の色差ΔEの絶対値があらかじめ定めた閾値以上であるノズル位置を補正の対象とすればよい。さらに、決定したノズル位置において、補正対象となるインク色を決定する。これらの処理の詳細については後述する。
次にS1005にて、画像処理部106(色信号変更部308)は、S1004にて特定した各ノズルに対し、補正値を取得する。具体的には、現在の特性とリファレンス特性との大小を補正対象のノズル毎に取得し、それぞれに定められた補正係数を取得する。たとえば、リファレンスよりも取得値が大きいノズルに対しては補正係数を0.99とする。一方、リファレンスよりも取得値が小さいノズルに対しては補正係数を1.01とする。詳細については後述する。
次にS1006において、画像処理部106(色信号変更部308)は、S508もしくはS707で記憶された色信号画像のうち、補正対象ノズルにて形成される列領域の画素値を読み出す。さらに、読み出された画像の信号値に対応するノズルの補正係数を乗じ、補正後の信号値を取得する。続いて、S1007において、画像処理部106は、不吐補完処理部304、ドットサイズ変換処理部305、量子化処理部306、ドットサイズ合成処理部307をそれぞれ動作させて、変更後の色信号画像データ312から新たな出力画像データを生成する。最後に、S1008にて画像処理部106は、新たな出力画像データを画像形成装置12へと受け渡し、動的補正処理を終了する。なお、画像形成装置12は補正後の画像データをRAM114へと上書きし、以降のS508における印刷指示に対して上書き後の画像データに基づいて画像形成を行う。
このように動的補正では、補正用のチャートを出力せずに色信号画像を直接補正することで、ユーザ画像の印刷を継続、あるいは印刷可能な状態を維持したまま高速に補正を行うことができる。なお、上記S1002における説明では、入力画像全体をy方向に平均して1次元化すると説明したが、入力画像を小領域に区切り、該小領域ごとに処理をおこなってもよい。その場合には、領域ごとにノズル特性の大小、略同一を算出し、大もしくは小の判定のいずれかのみが一定個数以上行われた場合に、該ノズルを補正対象とすればよい。また、動的補正において、補正用のチャートを出力せずにノズルの特性情報の一部を更新してもよい。
また、補正値を現在のノズル特性とリファレンス特性との差分に応じて変えてもよい。具体的には、濃いノズルの特性がリファレンス特性よりも濃いほど補正量が大きくなるようにしてもよい。あるいは、薄いほど大きくなるようにしてもよい。あるいは、小ドット画像の信号値に応じて補正値を変化させてもよい。具体的には濃度ムラは中間調で視認されやすいことから、中間調領域での補正量に対して、ハイライト部、シャドウ部の補正量を抑制するようにしてもよい。また、複数のインク色のうち、特定のインク色だけを動的補正の対象としてもよい。たとえば、CMYKインクのうち、濃度ムラへの寄与が大きいと予想されるKインクだけを動的補正処理の対象としてもよい。その場合には、以下で説明する補正色の特定処理が不要となる。
<補正ノズル特定処理の詳細>
前述のとおり、S1004では、動的補正の対象となるノズル位置に対して、補正する色信号を特定する。本実施形態では、補正対象のノズル位置xtに対応する領域のLab値とリファレンス特性のLab値とから補正対象となるインク色を決定する。具体的には、Lab空間上での両特性の差分ベクトルを各インク色と紙白とを通る直線に射影する。そして、もっとも大きな射影ベクトルが得られるインク色のノズル番号xtを補正対象とする。図12(a)~(d)を参照して、S1004において補正を行うインク色の特定についてより詳細に説明する。
図12(a)は記録媒体の色(紙白)と該記録媒体に各インク(CMYK)をベタ出力した場合の全ノズル平均の発色特性をLab空間上でプロットした図である。すなわち、図12(a)中の各軸はそれぞれL*、a*、b*を表している。
また、図12(a)中の点1200~1204は、それぞれ紙白(点1200)、Cインク(点1201)、Mインク(点1202)、Yインク(点1203)、Kインク(点1204)の発色特性を示す。このとき、紙白からの各インクの発色特性への3次元ベクトルをそれぞれLab空間上で定義できる。なお、実際の処理は図12(a)に示すようなLab空間上で定義、実行されるが、説明の簡略化のため、以下では2次元平面上で説明する。
図12(b)は、図12(a)をL*軸方向からみた図である。なお、点1200~1204は、それぞれ紙白、Cインク、Mインク、Yインク、Kインクの発色特性を示す点である。このとき、紙白と各インク色に対応する点とを結ぶ4本の直線が、図12(c)中の点線1205~1208のように定義できる。たとえば、点線1205はCインクと紙白とを結ぶ直線である。
これらの各直線はそれぞれ対応するインクの発色傾向を表している。より具体的には、対応するインクを増加、減少させた場合には、対応する直線と略平行に移動すると予想される。そこで、これらの発色傾向と、リファレンス特性からのずれの傾向とを比較することで、補正対象のインクを決定する。
図12(d)中の参照符号1209に示す点は、注目ノズルの目標となる特性をプロットした点である。同様に参照符号1210は現在のxt番ノズルの発色特性をプロットした点である。なお、前述の紙白からの距離Dは図12(d)中では、紙白を示す点1200から点1209および点1210に向かうベクトルの長さである。
図12(d)中の参照符号1211は、リファレンス特性を示す点1209から現在の特性を示す点1210へ向かうベクトルであり、両者の視覚特性を考慮した色差とその傾向を表す差分ベクトルである。そして、この差分ベクトルを図12(c)に示す各インク色の発色の傾向を示す直線に射影したベクトルの大きさを求めることで、差分の補正に適したインク色を特定する。具体的には、各射影ベクトルの大きさを比較し、もっとも大きな射影ベクトルが得られるインクを補正対象のインクとすればよい。
具体的に、図12(d)における参照符号1211に示す差分ベクトルが、図12(c)の参照符号1205として示すシアンインクの発色傾向を示す直線に射影した際に、他の直線よりも大きな射影ベクトルが得られるならば、シアンのノズル番号xtが補正対象のノズルとして特定される。なお、これらのノズル特定処理はab平面上ではなく、前述のとおりLabの3次元空間上で行われる。また、ノズル番号xtにてドットを吐出していない、すなわちノズル番号xtに対応する色信号値が0であるインク色については、直線1207およびその射影ベクトルを求めず、補正対象インクとしないことが好ましい。
なお、上述のとおり、差分ベクトルはリファレンス特性と現在の特性と差分を表すベクトルであり、その大きさを求めることで、リファレンス特性からのずれ量を予測できる。そこで、上述のS513において、紙白からの距離Dではなく、この差分ベクトルの大きさに応じて許容範囲の内外判定をしてもよい。また、射影ベクトルの大きさに対する閾値をあらかじめ保持しておき、各インクの各ノズルそれぞれについて、該閾値に対する大小を判断してもよい。その場合、閾値よりも大きなベクトルに対応するインク色のノズルはまとめて補正対象であるとしてもよい。また、この処理をS512における許容範囲の内外判定としてもよい
<補正タイミングに関する変形例>
上述の補正処理のうち、補正のタイミングについていくつかの変形例を示す。上述の図5を用いた説明では、画像を1枚出力するごとにムラの許容可否判定(S510)と補正(S511)、不吐の検出・補完(S512)をおこなうとして説明した。しかしながら、処理速度の都合により画像を出力するたびに画像のスキャン、解析を実行できない場合がある。そのような場合には、発生した場合のクオリティへの影響と、処理の負荷とを勘案して、それぞれ異なるタイミングで実行してもよい。
また、図6を用いた説明では、静的補正処理(S603)は動的補正処理の結果のみに基づいて(S602)実行されているが、たとえば、前回の静的補正からの印刷枚数や経過時間、稼働時間を考慮して実行してもよい。たとえば、不吐検出、動的補正、静的補正を、それぞれ10枚、100枚、10000枚出力ごとに実行の可否の判断をしてもよい。あるいは、上記出力ごとに必ず実行するようにしてもよい。あるいは、それぞれ10枚、5分、1日など異なる指標に基づいて判断、実行するようにしてもよい。
あるいは、上述のS511における許容範囲外の判定を行わず、常に動的補正をおこなうようにしてもよい。その場合、S601およびS602に代わって、許容範囲外の判定をおこない、許容範囲外であれば静的補正をおこなうようにしてもよい。
また、画像処理装置11および画像形成装置12はそれぞれ同期をとらずに動作することが可能である。たとえば、S506にて取得したジョブを画像形成装置12内のRAM114に展開し、ジョブ内容に従って随時画像形成部107を出力してもよい。このとき、イメージセンサ108によるスキャン画像のI/F111および110を介した送信をトリガとして、画像処理装置は動的補正をおこなう。画像形成装置12は印刷を止めることなく、新たな出力画像がIF110および111を通して画像を受け取り次第、画像を差し替えるようにしてもよい。この場合、たとえばスキャン画像から5枚や10枚遅れで動的補正が適用されることとなる。
なお、図5に示す例において、いずれかのステップ中に、ユーザからシャットダウンの指示があった場合、画像形成システムはS505における印刷ジョブ待機状態になるまで稼働した後で各種テーブルを外部記憶装置105に記憶したのち、システムを終了する。このとき、フラグがオンになっているかどうかを確認し、オンであれば終了処理に静的補正処理とフラグをオフにする処理とを含むことが好ましい。そのようにシステムの終了時にフラグを確認することで、電源投入後の処理(S501~504)をスキップでき、よりユーザにとってのダウンタイムを削減できる可能性が高くなる。
さらには、ユーザにより動的補正、静的補正を実行できるタイミングをそれぞれ設定できるようにしてもよい。すなわち、ユーザ設定により、静的補正は電源終了時のみにしか実行できないようにしてもよい。あるいは、S505における待機状態が一定時間、たとえば30分以上続いた場合にはフラグをオフにし、静的補正を実行するようにしてもよい。もしくは、同一画像、あるいは同一ジョブの印刷中には、動的補正と静的補正とを抑制するように設定してもよい。たとえば、画像形成システムのクオリティの劣化が緩やかかつ、前回の補正から時間が経過している場合に補正処理を実行すると、出力画像間の差分が大きくなり、かえってムラが目立つ場合がある。このような場合には、同一ジョブ、あるいは同一画像の印刷中は補正処理の実行を抑制することが好ましい。たとえば、ユーザからの指示に従い、同一ジョブ、あるいは同一画像を印刷中は補正の実行を禁止する。あるいは、補正可否判断の閾値をより実行されにくくように変更すればよい。
<補正対象に関する変形例>
上述の画像処理部106における補正処理のうち、補正の対象についていくつかの変形例を示す。上述の説明において、動的補正処理では色信号画像データ312に対して補正を行うことで、高速な補正を実現すると説明した。しかしながら、動的補正を量子化後の出力画像データに対して実行すれば、S1006におけるドットサイズ変換処理、量子化処理が不要となり、より高速に処理できる。たとえば画像形成装置12において、小ドットに対する駆動信号を複数保持しておき、動的補正ではそれらを切り替えることで、量子化後の出力画像データに対して補正を行うことができる。より具体的には、小ドットの出力画像を各画素1ビット(0もしくは1)の画像ではなく、4ビット(0~15)画像とする。一方で記録ヘッドは0~15に対応した吐出信号でドットを形成するが、このとき値が大きいほど吐出量が大きくなるようにあらかじめ信号を設計しておく。
また、静的補正では取りうる吐出信号の中央値(たとえば4)で補正処理をおこなっておく。そして動的補正処理では、出力画像を読み出し、その列がリファレンス特性よりも濃いか薄いかに応じて、その列の信号値を一律に変更する。たとえば、該列が濃ければ、一律に画素値を-1する。なお、一律に変更するのではなく、リファレンス特性との差分に基づいて確率的に変更してもよい。しかしながら、2値データに確率処理をおこなうと、得られるパターンは、前述の量子化前のデータを補正して得られるパターンに比べ分散性が悪化することが多い。そのため、補正処理による粒状性悪化の弊害を考慮する場合には、量子化前の多値データを補正することが好ましい。
なお、図3に示す構成図では、HS処理の後にドットサイズ変換処理をおこなう。しかしながら、HS処理前にドット分解する構成も可能である。すなわち、インク色(CMYK)変換後の色信号データに対して、それぞれ1次元のLUTを用いてドットサイズに対応する画像を生成してもよい。たとえば、ドットサイズが3種類であれば、インク4色×ドットサイズ3種の合計12枚の色信号画像データが生成される。
このとき、HS処理部はそれぞれの色信号データ(上記例では12種)に対して補正処理をおこなえばよい。
あるいは、HTマトリクスをドットサイズごとに複数用意しておき、量子化処理部306にてドットサイズ変換をおこなうことも可能である。その場合、HS処理部304はドットサイズ種種類(たとえば大、中、小)ごとの画像それぞれに対してHS処理をおこなう。なお、上記説明では、動的補正の要否判断および補正処理をノズル毎でおこなっているが、複数ノズルにわたっておこなうことも可能である。たとえば、補正対象となるノズルtxを1.01倍、その隣接ノズルを1.005倍とするように補正してもよい。
<第3の補正処理に関する変形例>
本実施形態においては、動的補正と静的補正の2つを使い分けるとして説明した。しかしながら、補正処理を3つ以上保持することも可能である。たとえば、上記動的補正、静的補正に加えて、ムラ補正Cに相当する第3の補正処理をさらに保持することも可能である。たとえば、第3の補正処理では、図13(a)に示すような補正用のチャートを1枚のみ出力し、そのスキャン画像に基づいて補正処理をおこなうものとする。
図13(a)に示すチャート1300は、各インク色(CMYK)の中間調(入力値128)の均一パッチ1301~1304にて構成されている。たとえば、均一パッチ1301はCインクの均一パッチである。このとき、第3の補正処理では、上述のチャート1300のスキャン画像から、各均一パッチ1301~1304に対応する領域を抜き出し、三刺激値XYZに変換後、搬送方向(y軸方向)に平均して1次元化する。そして得られた1次元化データとリファレンス特性とを比較し、その大小に基づいてノズル毎の補正値を決定する。このように、均一パッチを用いることで、ユーザ画像から得られるノズル特性よりも高精度なノズル特性を得ることが可能となる。
なお、上記第3の補正処理において、リファレンス特性を用いず、パッチ1301~1304を面内で均一となることを目的として補正をおこなってもよい。その場合、各均一パッチから得られる1次元化データをノズル方向および三刺激値XYZについてさらに平均し、1つの平均値を目標値として得る。そして得られた平均値と各ノズルに対応する三刺激値の平均値とを比較し、その大小に基づいてノズル毎の補正値を決定すればよい。
あるいは、各ノズルに対応する三刺激値の平均値を目標値で除算した値を補正値として、各ノズルの信号値に乗じてもよい。また、均一パッチが一枚に収まるなら、各インク色について異なる複数の階調の均一パッチを含んでもよい。あるいは、出力するごとにそれらの値を変更してもよい、たとえば、S1001~S1004により補正対象ノズルの決定までは上述の動的補正と同様に行い、補正値を必要な部分を重点的に出力するチャートを生成、出力することで、チャート1枚でも効率的に補正できる。たとえば図13(b)にはKのN番ノズルが補正対象ノズルである場合に生成されるチャート1310を示している。なお、図13(b)中の参照符号1311は、Kインクに対応するノズル列を模式的に表している。このとき、チャート1310は、Kのn-10番~n+10番までに対応する列に対して異なる階調で均一なパッチ1312群で構成さる。このとき、パッチ群1312はKインク単色で形成される。
また、図13(c)はKのn番とCのm番が補正対象ノズルである場合に生成されるチャート1320を示す。ただし、チャート1320におけるnとmはそれぞれが隣接10ノズル内に存在しない場合に生成されるチャートの例である。なお、図13(c)における参照符号1321と1322は、それぞれKインクおよびCインクに対応するノズル列を模式的に表している。
このとき、チャート1320は、Kのn-10番~n+10番までに対応する列に対して異なる階調で均一なパッチ群1323と、Cのm-10番~m+10番までに対応する列に対して異なる階調で均一なパッチ群1324とで構成さる。このとき、パッチ1323群はKインク単色で形成される。また、パッチ1324群はCインク単色で形成される。なおこのとき、パッチ群1323と1324は、それぞれ異なる信号値のパッチで構成されてもよく、たとえば、KインクおよびCインクの発色特性に基づいて信号値を決定することが好ましい。あるいは、補正による差分や残差が大きい信号値を重点的に出力するようにしてもよい。
図13(d)のチャート1330は、Kのn番とCのm’番が補正対象ノズルであり、nとm’とが隣接10ノズル内に存在する場合に生成されるチャートの例である。なお、図13(d)における参照符号1331と1332は、それぞれKインクおよびCインクに対応するノズル列を模式的に表している。このとき、チャート1330は、Kのn-10番~n+10番までに対応する列に対して異なる階調で均一なパッチ1333と、Cのm’-10番~m’+10番までに対応する列に対して異なる階調で均一なパッチ1312とで構成さる。このとき、パッチ1323はKインク単色で形成される。また、パッチ1324はCインク単色で形成される。また、図13(d)中、パッチ1334は信号値0に対応するパッチである。図に示す例においては、Kインクのn番、及びCインクm’番に共通して使用できるため、パッチ群1334には信号値0に対応するパッチを含んでいない。
なお、上述の第3の補正処理は、上記図6中S602で悪化していると判断された場合におこなう。さらに、第3の補正処理の結果も評価し、悪化する場合には、静的補正をおこなう。あるいは静的補正はジョブの切れ目やシャットダウン時のみおこなうようにしてもよい。あるいは、上述の図10にて説明した動的補正はおこなわず、第3の補正処理を図6のS606で示す動的補正としてもよい。
あるいは、第3の補正手段では、色信号画像データ312ではなくHSテーブル311を変更するようにしてもよい。もしくは、画像データ312、HSテーブル311のどちらも変更できる構成とし、補正するノズルがあらかじめ決められたノズル数より少ない場合は色信号画像データを変更し、多い場合にはHSテーブルを変更するようにしてもよい。
なお、第3の補正処理において、チャート1300を用いるのではなく、図13(e)に示すようグラデーションチャート1340を用いてもよい。チャート1340は、各インク色(CMYK)の入力値範囲(たとえば0~255)のグラデーションパッチ1341~1344にて構成されている。たとえば、パッチ1341はCインクのグラデーションパッチである。グラデーションチャート1340を用いる場合には、搬送方向(y方向)への平均化を行わず、直接スキャン画像に対してスキャナRGBからLabに変換する処理をおこない、ノズル位置との対応付けを行う。このとき、各x位置に対するy方向の1次元データは、ノズル位置xに対するノズル特性を示す。すなわち、図9(a)中902に示すノズル特性(信号値に対する紙白からの距離D)を各グラデーションパッチ1301~1304から取得できる。この場合、第3の補正処理ではグラデーションパッチから取得したノズル特性に基づいて各ノズルに対する補正量を算出し、色信号画像データ312を補正すればよい。
なお、図13(a)~(e)に示す例では、単色のみを示したが、青色(C+M)や赤色(M+Y)等の混色に濃度ムラが生じている場合には、2次色のパッチを出力してもよい。
<静的補正を段階的に行う変形例>
なお、上記図6に示すフローチャートおいては、S602でYesとなると図7に示すフローチャートに従って、静的補正が行われると説明した。しかしながら、静的補正処理を段階的に行うことも可能である。S701~S704におけるテーブルの作成を全て行うのではなく、まずはS701とS702のみをおこない、その結果に応じてS703とS704の実行の要否をそれぞれ判断してもよい。
[第2実施形態]
上述の第1実施形態においては、静的補正処理の直後にリファレンス特性を作成する例を示した。また、出力画像によらず単一のリファレンス特性を用いて補正の要否を判定すると説明した。しかしながら、イメージセンサ108の特性やユーザが指定する画像によっては、入力値から予測されるリファレンス特性とスキャン画像のデバイス値から予測されるノズル特性とがうまく一致しない場合がある。これは直近のノズル特性とリファレンス特性とを取得するチャートがそれぞれ異なることに起因する。たとえば、ほとんどブルー(CとMの二次色)で形成される画像であれば、ブルーを印字する際のクオリティが重視される。あるいは文章画像や設計図面など、ほとんどが線で形成される画像であれば、線のクオリティが重視される。
そこで以下に説明する本実施形態においては、各出力画像について静的補正処理の直後の出力画像からリファレンス特性を取得することで、最新のノズル特性とリファレンス特性とを取得する画像を一致させる。その結果、出力画像に応じた、より高精度な補正の要否を判定できる。図14は本実施形態における画像処理部106における処理フローを一例として示す図である。以下、図14により本第2の実施形態における処理の流れを説明する。
まず、S1401にて、画像処理部106は、上述のS505と同様に、ユーザから入力された印刷ジョブを取得する。続いてS1402にて、画像処理部106は、上述のS506と同様に、出力画像データを得るための各種画像処理を実行する。続いてS1403にて、画像処理部106は、RAM101に記憶された印刷ジョブに従って画像形成装置12に対して記録媒体上へ出力画像Iを1枚印刷するよう指示し、イメージセンサ108による読み取も指示する。その後、RAM101内の印刷ジョブの出力予定枚数を1つ減らす。あるいは、印刷ジョブとは別にRAM101内にすでに出力済みの枚数を記憶しておく場合は、該枚数を1枚増やせばよい。
次にS1404にて、画像処理部106は、RAM101内の印刷出力予定枚数、あるいは出力済み枚数を参照し、S1401で取得した印刷ジョブを全て完了したか否かを判断する。画像処理部106は、ジョブが未完であると判定した場合、処理をS1405へと進める。S1405にて、画像処理部106は、補正処理をその可否の判断も含めておこなう。このS1405の詳細については後述する。一方、S1404にて、画像処理部106が、ジョブを完了していると判断した場合、処理をS1406へと進める。
S1406にて、画像処理部106は、画像形成システム1によって形成される画像のクオリティQを取得する。具体的には、クオリティQ(t)として、濃度ムラやスジに加え、粒状性や色転び、鮮鋭性、文字再現性等を考慮した総合的な評価値を用いる。このとき、各評価値は公知の手法を用いて取得すればよく、それら各評価値を、たとえば重みづけして加算することで、クオリティQを算出すればよい。
続いてS1407にて画像処理部106は、クオリティQとあらかじめ定めた閾値Q0とを比較する。具体的には、算出した現在のクオリティQが閾値Q0以下(Q≦Q0)である場合、画像処理部106は、現在のクオリティQは許容範囲外であると判断する。その場合には、画像処理部106は、S1408へ処理を進め、静的補正処理をおこなう。なお、静的補正処理は上述のS502およびS603と同様に行えばよいため、詳細な説明は割愛する。
一方、S1407にて、画像処理部106がQ>Q0である(許容範囲内である)と判断した場合、もしくは、S1408による静的補正が実行された場合、本処理を終了し、次の印刷ジョブが入力されるまで待機状態となる。なお、上記フローにおいて、S1406とS1407を含まず、必ず静的補正を実行するようにしてもよい。あるいは、S1406にてクオリティQではなく、静的補正をおこなってからの経過時間や印刷枚数に基づいて静的補正の実行を判断してもよい。
<補正処理フロー>
本第2の実施形態における補正処理(S1405)の処理フローを図15に示す。以下、図15に従い、各ステップにおける処理について説明する。
まず、S1501にて、画像処理部106は、スキャン画像に基づく、不吐補完処理部307による不吐の検出と補正とをそれぞれを行う。本ステップにおける処理は、上述のS512と同様に行えばよいため、ここでは詳細を割愛する。
次にS1502にて画像処理部106は、残りの出力予定枚数Pとあらかじめ定めた閾値th1とを比較する。そして、画像処理部106は、P>th1であればS1503へ処理を進める。一方で、画像処理部106は、P≦th1の場合は、残りのS1503~S1511の処理をスキップし、この補正処理を終了する。このとき、残りの出力枚数PはRAM101内の印刷ジョブの出力予定枚数と出力済み枚数を参照することで得られる。また、th1は動的ムラ補正に必要な時間や、実行後反映されるまでに画像形成装置12にて出力される枚数を用いることができる。たとえば形成画像をスキャン後、動的補正が適用されるまでにおおむね5枚の出力が行われる場合には、th1=5とすればよい。残りの印刷枚数から補正処理が現在のジョブに反映されないと予想される場合には補正処理をおこなわないことで、ダウンタイムや計算負荷を抑制できる。なお、このth1は、ユーザが操作部103を操作することで、設定できるようにしても良い。
S1503にて、画像処理部106は、画像Iに対するリファレンス特性を作成済みであるか否かを判定する。未作成である場合、画像処理部106はS1510へ処理を進める。そして、S1510にて、画像処理部は、S1403にてスキャンした画像に未補完の不吐が含まれているか否かを判定する。具体的には、画像処理部106は、S1501での不吐ノズルの検出、及び、不吐補完処理が実行されたか否かを判定する。
未補完の不吐出が含まれている場合、すなわちS1501にて不吐補完処理が実行された場合、リファレンス特性に不吐の影響が含まれる。このため、画像処理部106は、今回のスキャン画像からはリファレンス特性を作成せず、そのまま補正処理を終了する。
一方で、未補完の不吐出が含まれていない場合には、画像処理部106は、処理をS1511へと進め、リファレンス特性を作成する。
なお、本実施形態においては、リファレンス特性として画素ごとのLab値を用いる。具体的に、画像処理部106は、S1511にて、S1403にてスキャンして得た画像に対し、イメージセンサのデバイス値(RGB値)からLab値へと変換する色変換処理を画素ごとにおこなう。そしてそのようにして得られた二次元のLab値を画像Iに対するリファレンス特性L0(x、y)、a0(x、y)、b0(x、y)とする。ただし、x、yはそれぞれスキャン画像上の位置を示している。さらに本実施形態においては、スキャン解像度とノズル解像度とが一致しているとし、xはノズル番号に等しいとする。
上記リファレンス特性の作成後は、図14に示すフロー中S1503における判断にて、リファレンス特性を済みとしてS1504へと進むこととなる。S1504にて画像処理部106は、現在の画像Iに対するノズル特性を取得する。本実施形態の画像処理部106は、現在のノズル特性も二次元のLab値として取得する。具体的にはS1511と同様に、最新のスキャン画像を色変換し、現在のノズル特性L(x、y)、a(x、y)、b(x、y)とすればよい。
次に、S1505にて画像処理部106は、現在のノズル特性L(x、y)、a(x、y)、b(x、y)が許容範囲外であるか否かを判定する。具体的には、画像処理部106は、リファレンス特性L0(x、y)、a0(x、y)、b0(x、y)と、現在のノズル特性L(x、y)、a(x、y)、b(x、y)とから、画素ごとの色差ΔE(x、y)を算出する。そして、たとえばΔE>3となる画素が含まれる場合には、許容範囲外とする。あるいはノズル毎にΔE>3となる画素数をカウントし、あらかじめ定められた画素数以上となるノズルが存在する場合には、許容範囲外であるとしてもよい。さらには、色差ΔE(x、y)をy方向に平均した値ΔEave(x)を用い、ΔEave(x)>3となるxが存在する場合に、許容範囲外とすることも可能である。
なお、現在とリファレンスと三刺激値XYZに対してフィルタリングしてから判定してもよい。たとえば視覚特性VTF相当のフィルタで処理した後に比較を行うことで、視認されやすい周波数のスジやムラが発生した場合にのみ補正が行われることとなり、よりユーザに対するダウンタイムを抑制できる可能性が高まる。また、判定を行う色空間は、Lab値ではなく、XYZ値や光学濃度、ブロック濃度、スキャナRGB値を用いることも可能である。
画像処理部106、上記の判定の結果が許容範囲内であると判定した場合は補正の必要がないと判断し、補正処理を終了する。一方、画像処理部106は、許容範囲外であると判定した場合は処理をS1506へ進める。
S1506にて、画像処理部106は、再び残りの出力予定枚数Pを参照し、あらかじめ定めた閾値th2と比較をする。そして、画像処理部106は、P≦th2であれると判定した場合は処理をS1509に進め、動的補正処理をおこなう。詳細については後述する。一方、画像処理部106は、P>th2であると判定した場合は、処理をS1507に進める。このS1507にて、画像処理部106は、静的補正処理が許可されているか否かを判定する。画像処理部106は、静的補正処理が許可されていると判定した場合、処理をS1508に進め、静的補正処理をおこなう。一方、画像処理部106は、静的補正処理が許可されていないと判定した場合は、処理をS1509へ進め、動的補正処理をおこなう。
静的補正の許可、不許可は、たとえば、S1401にて取得される印刷ジョブに含めて取得しておく。あるいは、S1507において、図20に示すようなユーザインタフェース2000を表示部104に表示し、操作部103を介してユーザに選択させてもよい。図20に示す例では、ユーザは操作部103を介して静的補正の許可(図20における実行ボタン2001を押下)、もしくは不許可(図20中のキャンセルボタン2002を押下)を選択できる。このとき、選択するための情報として、選択画面2000に、図20に示すような残りの印刷枚数(図20中の参照符号2004)や補正に必要な予測時間(図20中の参照符号2003)を含んでユーザに提示することが望ましい。あるいは残り枚数2004に代わり、残りの印刷時間を表示するようにしてもよい。また、ユーザが一定時間以内に押下しない場合には、自動的に許可、不許可となるようにすることが好ましい。
<動的補正処理>
上述のS1509における動的補正処理は、たとえば図10に示すフローに従っておこなうことができる。より具体的には、S1509にて許容範囲外となる画素を含むノズル位置xを補正対象ノズル位置xtとし、上述のS1004における補正対象のインク色を選択し、特性の大小に基づいて、該ノズルに対応する値を変更すればよい。あるいは、S1504にて得られた現在の特性から補正値を算出してもよい。すなわち、ノズル毎に、画像I上の各画素のCMYK値とS1504で取得した各画素のLab値とを対応付けて逆引きLUTとする。そして、画素ごとのリファレンス特性L0、b0、a0を対応するノズルの逆引きLUTを用いてCMYK値へ変換し、動的補正後のインク値とすることで、動的補正後の色信号画像データを作成できる。
<変形例>
なお、上記図15を用いた説明においては、リファレンス特性の算出(S1511)および現在の特性の取得(S1504)を、ユーザ画像から行うとして説明したが、測定用のチャートを用いておこなうことも可能である。たとえば、S1511およびS1504にて、図13(e)に示すグラデーションチャート1300を一定間隔(時間または枚数)毎に出力し、チャート内のパッチ1301~1304から各ノズルのノズル特性を算出する。リファレンス特性の算出(S1511)では、静的補正直後の該ノズル特性をリファレンス特性としてRAM101に記憶すればよい。S1503では、最新のノズル特性とリファレンス特性とに基づいて補正の要否及び補正量を算出する。
ただしこの場合、測定用チャートの出力によって、損紙およびユーザにとってのダウンタイムが発生することから、S1502における判定を適切な間隔にておこなうことが好ましい。たとえば残りの出力枚数Pが100以上かつ100で割り切れる場合にのみS1502をおこなう等とすればよい。
このように測定用チャートを用いると、形成される画像に基づくリファレンス特性は作成できないが、ユーザ画像やセンサの読み取り精度やノズルとの位置のずれに対してよりロバストとなり、センサの性能によっては高精度に特性を取得できる場合がある。また、S1506における判定は残りの出力枚数(未印刷枚数)のみに基づいて判断しているが、現在のノズル特性、あるいはリファレンス特性との色差に基づいておこなってもよい。例えば、許容範囲外となる画素の個数に基づいておこなってもよい。あるいは異なる判断基準、たとえばΔE>5なる画素が含まれているかでもよい。あるいは動的補正によって許容範囲外となる画素の個数が増えたか否かに基づいて判断するようにしてもよい。
[第3実施形態]
ここまでの説明において記録ヘッドは、図2に示すようにノズル列平行方向(x方向)に単一とみなして説明した。しかしながら、複数の記録ヘッドを組み合わせて、印刷用紙全域をカバーする方式を採用することも多い。たとえば、図16(a)に示す例においては、記録媒体1600を3本の記録ヘッド(1601~1603)を組み合わせることによってカバーしている。このとき、記録媒体1600はそれぞれ異なる記録ヘッド1601~1603で形成される領域1604~1606に分けられる。
ところで、記録ヘッドの物理構成によっては位置に依存した特性の違いによる濃度ムラパターンが出る場合がある。たとえばチップ内での中央部と端部、チップ間、ヘッド間でのバラツキ、あるいはヘッドをブロック単位で駆動する際に、駆動ブロックによるムラが発生する場合がある。たとえば、32ブロックに分割してヘッドを駆動する場合、記録ヘッド内に32ノズル周期の濃度ムラが発生する場合がある。記録ヘッド間においても、取り付け精度や電気的な特性の違いにより、同一の信号に対する平均の出力特性が異なる場合がある。このとき、ヘッド間の違いは、ヘッド内の特性を維持したまま、全体にシフトすることが多い。
図16(b)はそのような場合に得られるノズル毎の特性を示す。図16(b)中の横軸はノズル番号x、縦軸は各ノズルに同一の信号値を与えた場合に紙面上に形成される画像の紙白からの距離Dである。
このとき図16(b)中の特性1607は領域1604に対応する。図16(a)に示す例では、各ヘッドがそれぞれ5000個のノズルを備えているとし、ノズル番号x=1~5000(記録ヘッド1601)が領域1604に対応している。同様に、特性1608は領域1605(ノズル5001~10000、すなわち記録ヘッド1602)、特性1609は領域1606(ノズル10001~15001、すなわち記録ヘッド1602)にそれぞれ対応している。
このとき、図16(b)に示すように、特性1607~特性1609は、平均値のずれ(ヘッド間のムラ)と領域ごとに相似なムラ(ヘッド内のムラ)とに分解できる。なお、特にヘッド内のムラはノズルを形成しているプレート上のノズル配置によって決まることが多く、経時変化が相対的に少ないことが多い。またムラの周期が比較的高周波であり、経時変化によるムラの残差が目につきにくい。
一方で、ヘッド間のムラは低周波なムラとなり目につきやすい。さらに、湿度、温度等の環境の変化や時間的に変化する可能性が高いことから、ヘッド内のムラよりも高い頻度で補正することが好ましい。そこで、本実施形態における静的補正では、平均のずれと領域ごとに相似なムラに分解し、それぞれに対する補正量を算出、適用する。一方で、動的補正では平均からのずれのみを補正することで、より低い負荷で一定のクオリティを保つことを実現する。
<静的補正処理>
以下、図17を用いて本第3の実施形態における静的補正処理について説明する。まず、S1701にて画像処理部106は、ヘッド内のムラ特性とヘッド間のムラ特性とを取得可能なチャートを画像形成装置12により出力し、スキャン画像を取得する。本実施形態においては、両特性を取得可能なチャートとして、図8(b)に示すチャートをインク色(CMYK)ごとに出力する。このとき、形成画像はイメージセンサ108によって取得され、スキャン画像としてRAM101に記憶される。なお、ここで不吐検出パターン812を用いて不吐ノズルを検出し、不吐がない出力が得られるまで再出力することが好ましい。
次のS1702にて、画像処理部106は、ヘッド内の補正テーブルを作成する。図19(b)は、本ステップにて得られるヘッド内補正テーブルの一例である。テーブルの詳細とその作成については後述する。次にS1703にて画像処理部106は、目標となる特性を取得する。本実施形態においても、プライマリ色Dpと紙白とを結ぶ直線を目標特性とする。なお、目標特性の一例を図18(c)中の鎖線1807に示す。
次にS1704にて画像処理部106は、ヘッド間補正テーブルを作成する。図19(c)は本ステップにて得られるヘッド間補正テーブルの一例である。テーブルの詳細とその作成については後述する。次にS1705にて、画像処理部106は、上記で作成したヘッド間補正テーブルおよびヘッド内補正テーブルを用いて出力画像データを作成する。具体的には、まず、入力画像Iに対して、入力色変換処理、インク色変換処理をおこない、色信号画像データを得る。さらに、HS処理部303は、得られたインク色変換後の色信号画像データ312の各画素について、図19(b)に示すヘッド内補正テーブルと図19(c)に示すヘッド間補正テーブルとを、該画素が形成されるノズルに応じて適用する。
たとえばノズル0に対応する画素の信号値が20ならば、図19(b)に示すヘッド内補正テーブルと補間演算により、補正値“+1.70”が得られる。このとき、ヘッド内補正後の入力信号値は20+1.70=21.70と算出できる。さらに、該画素を形成するヘッドが左ヘッドであれば、図19(c)に示すヘッド間補正テーブルと補間演算により、補正後の信号値が12.02と算出できる。このように全画素の各インク色について、そのノズル番号に対応する2つのテーブルを適用することで、色信号画像データに対してHS処理をおこなうことができる。
さらにHS後の色信号画像データに対し、不吐補完処理、ドットサイズ変換処理、量子化処理、ドットサイズ合成処理をおこなうことで、入力画像Iに対応する出力画像を得ることができる。以上説明したS1701~S1705に従うことで、静的処理が完了する。なお、HS補正後の色信号画像データ312はRAMに保存しておき、後述する動的補正の対象とする。
<ヘッド内補正テーブルの作成>
上述のとおり、S1705にて、画像処理部106は、ヘッド内の補正テーブルを作成する。図16(b)に示すように、本実施形態においては、各ヘッド領域(0~4999、5000~9999、10000~14999)における特性がそれぞれ略相似な特性となっている。そこで、ヘッド内補正テーブルは各ヘッド内の相似な特性を補正するために、3ヘッド共通のテーブルとして作成される。具体的には、まず、画像処理部106は、S1701にて得られたチャート810のスキャン画像のうち、パッチ811に対応する領域を搬送方向(y方向)に平均し、1次元化する。さらに、画像処理部106は、得られた1次元データを、領域1604、1605、1606に対応する区間で分割し、それらの平均値を算出する。
すなわち、パッチ811のそれぞれについて右ヘッド1601、中央ヘッド1602、左ヘッド1603の各ヘッドに対応する平均の発色特性を得る。具体例として、図18(a)中の曲線1802として中央ヘッド1601の平均の発色特性を示す。なお、図18(a)中の横軸は信号値、縦軸は紙白からの距離Dである。また、図中1801は横軸の上限値であり、入力信号値が8bitであれば、255である。さらに、中央ヘッド内部におけるノズル番号(相対番号)0のノズルの発色特性を図18(a)中1803に示す。図16に示すヘッド構成において、中央ヘッドの相対ノズル番号0はノズル3本全体を通したノズル番号(絶対番号)で5000番に対応する。
このとき、平均の発色特性1802を中央ヘッドの目標特性とすると、中央ヘッドの相対ノズル番号0の入力値inに対する補正量Δinを図18(a)のように算出できる。すなわち、入力値Inに対応する目標値Dtを平均の発色特性1802より算出する。さらに相対番号0のノズル特性1803から目標値Dtに対応する信号値In’を取得する。そして補正量ΔinをΔin=In’-Inにより算出する。
上記処理を右ヘッドおよび左ヘッドの平均の発色特性と各ヘッドの相対番号0のノズル特性とを用いて行うことで、相対番号0に対する補正量Δinがヘッド数に等しい個数だけ得られる。本実施形態においては、3つの補正量Δinが得られ、それらの平均値を相対ノズル番号0に対する3ヘッド共通の補正量Δinとする。つまり、上記処理を相対番号ではなく絶対番号で記載すれば、絶対番号0+n番、絶対番号5000+n番、絶対番号10000+n番により得られるΔinの平均値として相対番号n番のノズルに対する補正値を計算できる。ただし、nは0以上かつヘッド内のノズル数より小さい整数であり、上述の例においては、0≦n≦4999である。
上記処理を、入力値In=0~255として補正値を算出し、入力値と補正値とを対応付けたテーブルすることで、ヘッド内の補正テーブルが得られる。あるいは9階調に対応する値だけ算出、テーブルとして保持しておいてもよい。その場合には、補正テーブルを使用する際に9階調以外の値は、それら9つの値から公知の補間処理により算出すればよい。図19(b)はそのようにして得られるヘッド内補正テーブルの一例である。図19(b)に示す例では、9つの各入力信号値に対して、ヘッド内の位置ごとに平均値からの補正値を格納する。
<ヘッド間補正テーブルの作成>
上述のS1703では、画像処理部106により、ヘッド間補正テーブルが作成される。具体的には、まず、S1703にて得られた1次元データに対し、図19(b)に示すヘッド内補正テーブルにて補正をおこなう。あるいは、階調チャート810の色信号画像データ312に対し、上記ヘッド間補正テーブルを適用して再度出力し、該出力画像のスキャンデータから1次元データを再び取得する。
図18(b)にそのようにして得られるノズル毎の1次元データに示す。なお、簡潔な図示のために、図18(b)には1階調分のパッチから得られるノズル特性のみをプロットしている。実際には、図18中、参照符号1804~1806に示すヘッド毎の特性がパッチ数分だけ得られる。図18(b)に示すように、ヘッド内補正テーブルにより、各ヘッドのノズル特性1804~1806はそれぞれのヘッド内の平均値へと補正される。しかしながら、各ヘッドの平均値が異なることから、各ヘッドによって形成される画像の濃度は異なる。
すなわち、同一の階調パッチによって形成される画像は、領域1604~1606ごとに異なる濃度となる。
そこで、本実施形態においては、ヘッド毎の特性を補正するためのヘッド間補正テーブルを作成、適用することにより、ヘッド間の濃度差を補正する。具体的には、画像処理部106は、まず、S1701にて得られたチャート810のスキャン画像のうち、パッチ811に対応する領域を搬送方向(y方向)に平均し、1次元化する。画像処理部106は、さらに得られた1次元データを、領域1604、1605、1606に対応する区間で分割し、それらの平均値を算出する。すなわち、パッチ811のそれぞれについて右ヘッド1601、中央ヘッド1602、左ヘッド1603の各ヘッドに対応する発色特性を得る。
具体例として、図18(c)中の曲線1808~1810に各ヘッドの発色特性を示す。たとえば、曲線1808は、中央ヘッド1602に対応する発色特性Dである。同様に曲線1809は左ヘッド1601、曲線1810は右ヘッド1603の発色特性Dを示す。このとき、入力値Inに対する各ヘッドの補正後の入力値In'(左ヘッドに対応)、In''(中央ヘッドに対応)、In'''(右ヘッド)が図18(c)に示すように求められる。すなわち、まず入力値Inに対応する目標値Dtを目標特性1807より算出する。さらに、各ノズル特性1808~1810から目標値Dtに対応する信号値In'、In''、In'''を補正値として取得する。入力値Inとして、0~255のすべての値について補正値を算出することで、ヘッド毎に異なる補正値が対応付けられたヘッド間の補正テーブルが得られる。
あるいは9階調に対応する値だけ算出、テーブルとして保持しておいてもよい。その場合には、補正テーブルを使用する際に9階調以外の値は、それら9つの値から公知の補間処理により算出すればよい。図19(c)はそのようにして得られるヘッド間補正テーブルの一例である。図19(c)に示す例では、9つの各入力信号値Inに対して、左ヘッドの補正値In'と中央ヘッドIn''と右ヘッドIn'''とが対応付けて格納される。
<動的補正処理>
本実施形態における動的補正では、上記ヘッド間の濃度差のみを再補正する。具体的には、動的補正として、上記静的補正処理におけるS1704およびS1705を再度実行すればよい。このように、動的補正が静的補正の一部であれば、処理を共通化でき、その結果、回路規模やプログラムメモリの使用を抑制できる。
なお、ヘッド間補正テーブルの作成(S1704)における目標特性は、直近の静的補正における目標特性を流用するか、中央ヘッドの特性を目標特性とすればよい。また、ヘッド間補正テーブルの作成(S1704)において、図8(b)に示すチャートを各インク色について出力すると、チャートが4枚出力されることとなる。その損紙とダウンタイムを抑制するために、各インク(CMYK)の階調パッチ数を制限して一枚に集約してもよい。
具体的には、紙白+各インク色(CMYK)×3階調(入力値85、170、255)の計13パッチで構成されるチャートを出力してもよい。あるいはイエローによる濃度ムラは他のインクによる濃度ムラに比べて知覚されにくいことから、紙白+各インク色(CMK)×4階調(入力値64、128、192、255)の計13パッチとしてもよい。
もしくは均一パッチではなく、図13(e)に示すグラデーションチャートからヘッド特性を取得し、補正値を算出してよい。
または、動的補正では、Kインクのみを補正するとしてもよい。その場合には、図8(b)に示すチャートをKインクのみ出力すればよい。
あるいは、ユーザ画像からずれている色を推測し、ずれている色について図8(b)に示す階調チャートを出力、補正してもよい。
もしくは、チャートからヘッドの発色特性を取得するのではなく、ユーザ画像から取得することも可能である。すなわち、各ヘッドについて略同一な入力信号となる領域を特性取得領域として、あらかじめ定めておく。そしてスキャン画像の該領域について差分を取得して、その大小に基づいてヘッド毎に補正を与えてもよい。たとえば、中央ヘッドをリファレンスとし、左右ヘッドのD値が低いならば、ヘッド内の画素値を一律に1.01倍すればよい。
なお、本実施形態における動的補正の対象は、ヘッド間補正済みの画像312である。すなわち、ヘッド間補正済みの画像に基づいてヘッド間の濃度差を算出し、ヘッド間補正済みの画像をさらに補正することとなる。このとき、画像ではなくヘッド間補正テーブル1704に修正を加え、修正後のテーブルを用いて画像を補正してもよい。
また、ユーザ画像ではなく、チャートを用いる場合には、ヘッド間補正前、すなわち、S1702にてヘッド内の濃度ムラのみ補正済みのチャート画像を出力し、補正テーブルを差し替えてから色信号画像データ312を再作成してもよい。
<変形例>
なお、S1704において、画像処理部106は、図16(c)に示すようなヘッド間補正テーブル算出用のチャート1610を各インク色(CMYK)について出力し、そのスキャン画像から補正値を算出してもよい。図16(c)に示すチャート1610は、中央ヘッドの特性をリファレンスとした場合に隣接するヘッドのつなぎ部で濃度ムラが最小となる補正後の信号値を算出するためのチャートである。具体的にチャート1610は3つのブロック1611~1613にて構成される。
このとき、ブロック1611~1613は、中央ヘッドに対応する領域(1614~1615)の信号値が異なり、たとえばそれぞれの信号値は64、128、255である。また、いずれのブロックにおいても、左右ヘッドに対応する領域は同一のパッチ1617となっている。具体的に図16(c)に示すパッチ1617は信号値が0~255までのグラデーションパッチである。
上記チャート1610のスキャン画像から、各ブロックを解析することにより、左右ヘッドの補正値を算出する。より具体的には、パッチ1617をグラデーションの変化方向(y方向)に探索し、ブロック中の中央ヘッドに対応する領域(1614~1615)と濃度差分が最も小さくなるy位置を検出する。そして、該y位置から対応する信号値を算出し、補正後の信号値とすればよい。なお、この探索は、左右ヘッドそれぞれに対して独立に行う。上記処理をブロック(1611~1613)ごとに行うことで、左右ヘッドそれぞれについて入力信号値inと補正後の信号値in'の組が3つ得られる。該組み合わせを動的ヘッド間補正LUTとし、さらに補間演算処理を組み合わせることで、ヘッド間の濃度差を補正する。
具体的には、静的補正処理で作成したヘッド内補正LUTおよびヘッド間補正LUTを適用したチャート1610を出力し、該スキャン画像から上記動的ヘッド間補正LUTを作成する。さらに、静的補正処理にてヘッド内補正LUTおよびヘッド間補正LUTを適用済みの色信号画像データ312に対し、上記動的ヘッド間補正LUTをさらに適用することで、動的補正済みの色信号画像データ312が得られる。図16(d)を用いて、上述のy位置の探索について、より具体的に説明する。
図16(d)中の横軸はノズル位置である。図18(d)に示す例ではノズル番号5000にて記録するヘッドが左ヘッドから中央ヘッドに切り替わる。また、図16(d)中の縦軸は紙白からの距離Dである。このとき、チャート1610のスキャン画像から、図16(c)中の点線1618にて示すy位置の発色特性を図16(d)中の曲線1619にとして示す。なお、発色特性1619は、スキャナRGBからLabに変換する色変換LUTと、式(1)とを用いることで算出できる。
このとき、左ヘッドと中央ヘッドに対応する領域(0≦x<10000)におけるDの最大値Dmaxと最小値Dminとから、ヘッド間の濃度差ΔDがΔD=Dmax-Dminにより算出できる。さらに、ブロック内のすべてのy位置についてΔDを算出するとともに、もっともΔDが小さくなるy位置を検出する。そしてy位置に対応する信号値を補正後の信号値In'とすればよい。
上記y位置の検出およびIn'の算出を、右ヘッドと中央ヘッドに対応する領域(5000≦x<15000)についてもおこなうことで、両ヘッドに対する補正値後の信号値In'を算出できる。
なお、スキャン画像の各ブロック内で、同一の信号値である領域をx方向に平均処理することで、閾値マトリクスに起因する量子化誤差やセンサ読み取り位置の誤差およびノイズや感度による誤差、ノズル特性のバラツキなどを低減できる。そのため、y位置の探索に先立ち、同一の信号値とみなせる領域を平均処理することが好ましい。また、平均するx方向の幅はマトリクスサイズ(たとえば256画素や512画素)の倍数であることが好ましい。
なお、y位置の探索において、隣接するヘッド全体ではなく、ヘッドのつなぎ部とその周辺領域のみからy位置を探索してもよい。たとえば4900≦x<5100の領域で最大値Dmaxと最小値Dminを算出してもよい。
また、動的補正による補正処理をヘッドのつなぎ部とその周辺領域のみにだけおこなってもよい。その場合には、動的ヘッド間補正LUTの適用前後の信号値をそれぞれ重みつき平均した値を補正後の信号値In'とすることが好ましい。
具体的には、つなぎ部から離れるほど補正前の重みが大きくなるように重みづけ平均をおこなうことで、補正処理が行われる部分と行われない部分とを滑らかに変化させることが好ましい。
なお、上述のチャート1610において、ブロック数は3に限らず、たとえば9や17ブロックを配置してもよい。ブロック数が多いほど、補間する間隔が短くなるため、補間演算による誤差を低減できる。
一方、ブロック数を増やすと1ブロックあたりの高さが減少するため、マトリクスの特性に起因する量子化誤差などの影響を受けやすくなる。
そのため、ブロック数を増やすことによる補間演算の誤差の低減と、ブロックの高さが狭くなることによる上記誤差の増加とを考慮してブロック数を決定することが好ましい。
なお、上記のチャート1610を用いる場合、イメージセンサによるスキャン画像を解析するのではなく、ユーザが目視にて確認した位置から補正値を算出する構成も可能である。
たとえば、チャート1610に目盛りを追加したチャート1610'(不図示)を用意し、該チャートを定期的に出力する。たとえばユーザ画像を100枚印刷するごとにチャート1610'を出力する。そして、該チャートの出力物をユーザが目視にて確認し、ヘッド間の濃度差が最小となる目盛り位置を走査部103より入力する。このとき、目盛り位置は左右ヘッドそれぞれについて入力することが好ましい。その後、画像処理部106は入力された目盛り位置に基づいて左右ヘッドの補正後の入力値を算出、LUT化して色信号画像データ312の各ヘッドに対応する領域にそれぞれ適用する。このようにすることでセンサを持たない画像形成システム1でもヘッド間のムラを動的に補正するが可能となる。
なお、ここまでに説明した本実施形態およびその変形例における動的補正に加えて、実施形態1および実施形態2にて説明した動的補正処理をヘッド内テーブルに対して別途おこなってもよい。
<第4の実施形態>
(画像形成システムのハードウェア構成)
図21は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムのハードウェア構成を示す図である。本実施形態における画像形成システムは、CPU2100、RAM2101、ROM2102、操作部2103、表示部2104、外部記憶装置2105、画像処理部2106、画像形成部2107、画像取得部2108、I/F(インタフェース)部2109、バス2110を備える。
CPU(Central Processing Unit)2100は、入力されたデータや後述のRAMやROMに格納されているコンピュータプログラムを用いて、画像形成システム全体の動作を制御する。なお、ここでは、CPU2100が画像形成システム全体を制御する場合をその一例として説明するが、複数のハードウェアが処理を分担することにより、画像形成システム全体を制御するようにしてもよい。
RAM(Random Access Memory)2101は、外部記憶装置2105から読み取ったコンピュータプログラムやデータ、I/F部2109を介して外部から受信したデータを一時的に記憶する記憶領域を有する。また、RAM2101は、CPU2100が各種の処理を実行するときに用いる記憶領域や画像処理部2106が画像処理を実行するときに用いる記憶領域として使用される。
ROM(Read Only Memory)2102は、画像形成システムにおける各部を設定する設定パラメータやブートプログラム等を記憶する記憶領域を有する。
操作部2103は、キーボードやマウス等の入力装置であり、操作者による操作(指示)を受け付ける。即ち、これにより、操作者は、各種の指示をCPU2100に対して入力することができる。
表示部2104は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶画面等の表示装置であり、CPU2100による処理結果を画像や文字等で表示することができる。なお、表示部2104がタッチ操作を検知可能なタッチパネルである場合、表示部2104が操作部2103の一部として機能してもよい。
外部記憶装置2105は、ハードディスクドライブに代表される大容量情報記憶装置である。外部記憶装置2105には、OS(オペレーティングシステム)やCPU2100に各種処理を実行させるためのコンピュータプログラムやデータ等が保存されている。また、外部記憶装置2105は、各部の処理によって生成される一時的なデータ(例えば、入出力される画像データや画像処理部2106で用いられる閾値マトリクス等)を保持している。外部記憶装置2105に記憶されているコンピュータプログラムやデータは、CPU2100による制御に従って適宜読み取られ、RAM2101に記憶されてCPU2100による処理対象となる。
画像処理部2106は、コンピュータプログラムを実行可能なプロセッサや専用の画像処理回路として実現され、印刷対象として入力された画像データを後述の画像形成装置にて出力可能な画像データに変換するための各種画像処理を実行する。なお、画像処理部2106として専用のプロセッサを用意するのではなく、CPU2100が画像処理部2106として各種画像処理を構成も可能である。
画像形成部2107は、画像処理部2106から直接、あるいはRAMや外部記録装置を介して受け取った画像データに基づいて、記録媒体上に記録材を用いて画像を形成する。
画像取得部2108は、画像形成部2107によって記録媒体上に形成された記録画像を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)である。
I/F部2109は、画像形成システムと外部機器を接続するためのインタフェースとして機能する。また、I/F部2109は、赤外線通信や無線LAN(Local Area Network)等を用いて通信装置とデータのやりとりを行うためのインタフェースやインターネットに接続するためのインタフェースとしても機能する。これによって、外部機器と、例えば入力画像等の、データの授受を行うことができる。
上述の各部は、いずれもバス2110に接続され、バス2110を介してデータの授受を行うことができる。ただし、画像形成システムは上記に説明した各部(例えば画像形成装部2107)がI/F部2109を介して接続されている構成でもよい。
[画像形成部および画像取得部のハードウェア構成]
図22(a)~(d)は、本発明の一実施形態に係る画像形成部2107を模式的に示す図である。なお、本実施形態における画像形成部2107は、インクをノズルから記録媒体上に吐出することにより画像を形成するIJ方式のプリンタである。
図22(a)に示すように、画像形成部2107はそれぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応する複数の記録ヘッド2201~2204を備える。また、記録ヘッド2201~2204は、インクを吐出するための複数のノズルを記録用紙2206の幅に対応した範囲に所定方向に沿って配列した、いわゆるフルラインタイプのものである。
このとき、記録ヘッド2201~2204は、図22(b)に示すように、複数のヘッドモジュールを組み合わせて構成されている。記録ヘッド2201を構成するヘッドモジュール2201a、2201b、2201cは、紙搬送方向に対して互い違いに配置されている。
さらに図22(c)に示すように、ヘッドモジュール2201aは複数のチップモジュール2201a‐1~2201a‐5によって構成される。このとき、チップモジュールはそれぞれ独立した基盤に接続されるとする。
図22(d)は、チップモジュールのいずれかを紙面側から見た場合の図であり、チップモジュールが複数のノズルを備えることを示している。図22(d)に示す例では、チップモジュールは16つのノズルを備えている。このとき、それぞれのインク色のノズル列のノズル配置の解像度は、たとえば1200dpiである。
記録媒体としての記録用紙2206は、搬送ローラ2205(および他の不図示のローラ)がモータ(不図示)の駆動力によって回転することにより、図中矢印2207の示す方向に搬送される。そして、記録用紙2206が搬送される間に、記録ヘッド2201~2204それぞれの複数のノズルから記録データに応じてインクが吐出されることにより、それぞれの記録ヘッドのノズル列に対応した1ラスタ分の画像が順次形成される。このように、搬送される記録用紙に対する各記録ヘッドからのインク吐出動作を繰り返すことにより、例えば、一頁分の画像を記録することができる。
また、図22(a)が示すように、画像取得部2108は記録ヘッド2201~2204よりも下流に設置された記録用紙全面をカバーするラインセンサである。すなわち、記録ヘッド2201~2204によって画像が形成された後で、記録用紙2206は画像撮像部2108へと搬送される。画像取得部2108は、搬送される記録用紙を、たとえばRGB情報や輝度情報として順次撮像、取得し、2次元の画像データとして外部記録装置2105に記憶する。
なお、画像取得部2108にて取得されるセンサ出力値(RGB)の解像度と入力画像(CMYK)の解像度が異なる場合には、両者を一致させるため、センサの出力値に対して解像度変換をおこなうことが好ましい。解像度変換には公知のニアレストネイバー法や、バイニリア補間、バイキュービック補完等を用いておこなえばよい。
また、用紙の斜行や分光センサの収差等が大きい場合にはセンサ出力値に対して幾何補正をおこなうことが好ましい。幾何補正には公知のアフィン変換や射影変換を用いておこなえばよい。
それら解像度変換処理や幾何補正処理は、たとえば画像処理部2106がおこなう。あるいは画像取得部2108がラスタ画像取得時に所定のライン数単位でそれらの処理をおこなってから色変換処理部へセンサ出力値を送信してもよい。またこのとき、画像形成部2107は、上記変換を容易にするようなマーカーを付与して画像を形成してもよい。
[画像処理部の機能構成]
以下、図23を用いて、画像処理部2106の構成について説明する。
図23に示すように画像処理部2106は、入力色変換処理部21061、補正処理部21062、HT(ハーフトーン)処理部21063、ヘッダ画像追加部21064、補正テーブル作成部21065、補正テーブル21066から構成される。
入力色変換処理部21061は、外部記録装置2105からの入力画像データを、プリンタの色再現域に対応した画像データに変換する。入力する画像データは、たとえば、モニタの表現色であるsRGB等の色空間座標中の色座標(R,G,B)である。
入力色変換処理部21061は、該データを、画像形成部2107で用いる複数のインクに対応した色信号に変換する処理を行う。たとえば画像形成部2107がブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いるならば、RGB信号の画像データはK、C、M、Yの各8ビットの色信号からなる画像データへと変換する。
入力色変換処理部21601が出力するCMYKデータは、画像形成部2107が画像を表現するために紙面上に吐出する各記録材の使用量(打ち込み量)を表わす。この変換には、たとえばマトリクス演算処理や3次元LUT(ルックアップテーブル)を用いた処理等、公知の手法を用いることができる。
なお、入力データはRGBを示すデータに限らず、CMYKを直接示すデータであってもよい。ただしその場合でも、インク総量の制限やカラーマネジメントのために、入力色変換処理部21061は、入力されたCYMKデータを、それとは異なるデータC´M´Y´K´に変換する4次元LUTを用いた処理をおこなうことが好ましい。
補正処理部21062は、色を安定化するための補正処理をおこなう。たとえば記録ヘッド2201~2204毎に対応する補正テーブル21066を参照し、記録ヘッド単位で発生するムラやスジを打ち消す方向にCMYKの各画像データを変更する。
図24は本実施形態における補正テーブルを一例として示す図である。
図24に示す補正テーブルでは、各入力色信号(0、16、32、…、240、255)に対応する、補正後の色信号値が各記録ヘッド2201~2204について格納されている。たとえば、Kの色信号画像データのうち、記録ヘッド2201aに対応する画素の入力色信号値が32であれば、補正処理部21062は該画素の画素値を28へと変更する。
このように、CMYK各色信号について、記録ヘッド毎に対応する変換テーブルを参照して色信号値を補正することで、記録ヘッド単位で発生する濃度変化を打ち消すことができる。
なお、記録ヘッド毎に補正処理をおこなうのではなく、ヘッドモジュールやチップモジュール、あるいはノズル単位で補正処理をおこなうことも可能である。さらには、たとえば8ノズル毎など、ノズルを一定数で区切ったノズルブロックごとに補正処理をおこなうことも可能である。
このとき、たとえば、ノズル毎に補正処理をおこなうには、ノズル数に等しい列数を補正テーブル21066は備える。あるいはノズル数に等しい数の補正テーブルがあらかじめ補正テーブル21066として保持される。
なお、図24に示す補正テーブルにおいて、補正テーブルに存在しない入力色信号値については、テーブルに格納されている近傍の信号値から補間処理を用いて色信号を算出する。もちろん、補完処理を用いず、全色信号値に対して変換後の色信号値を格納するようにしてもよい。あるいは、補正テーブルではなく関数変換やマトリクス変換によって補正処理をおこなうことも可能である。
図23に戻り、HT(halftone)処理部21063は、補正処理部21062からの補正処理後の画像データに対してHT処理をおこない、画像形成部2107が表現可能な画像データを生成する。たとえば、1画素当たり8ビットの画像データを、画素毎に0か1のいずれかの値を有する2値のHT画像データに変換する。HT処理には、公知の方法であるディザ処理を用いることができる。あるいは、誤差拡散法等の他の方法も適用可能である。
ヘッダ画像追加部21064は上述のHT処理後の画像データにヘッダ画像を追加する。
以下、図25(a)~(d)を参照して、より具体的に説明する。図25(a)における参照符号501はHT処理後の画像データを模式的に表す図である。また、矢印2207は画像データの印字方向を表し、図22における矢印2207に対応する。すなわち、画像データ2501中の三角図形25011は、円図形25012に先立って画像形成部2107により印字されるとともに、画像取得部2108により読み取られる。
ヘッダ画像追加部21064は、HT処理後の画像データ2501を取得し、より先に印字される画像領域2502を追加するとともに、該領域内にヘッダ画像2503を付与する。
ヘッダ画像2503を付与後の画像データを図25(b)に模式的に示す。また、本実施形態において付与されるヘッダ画像2503の拡大図を図25(d)に示す。
図25(d)に示すヘッダ画像は、予備吐出領域25031~25034、ラインパターン領域25035、階調データ取得領域25036により構成される。
予備吐出領域25031~25034は、それぞれ画像形成部2107で用いる各インクに対応しており、たとえば予備吐出領域25031はシアン(C)インクで形成される矩形の領域である。このとき、予備吐出領域25031に対応する2値画像データ上で、Cインクの信号値はすべての画素が1(ON)であり、該領域にはCインクのいわゆるベタ画像が形成される。
すなわち、画像形成部のノズル方向(x方向)および搬送方向(y方向)の解像度が1200dpiであれば、1平方インチ当たり1200×1200=1440000発のCインクが予備吐出領域25031に吐出される。このとき、たとえば予備吐出領域25031の搬送方向の高さが0.1[inch](=2.54[mm])であれば、全てのノズルについて120発のCインクが該領域にて吐出される。
同様に、予備吐出領域25032はマゼンタ(M)インク、25033はイエロー(Y)インク、25034はブラック(K)インクの予備吐出領域であり、各インクのベタ画像がそれぞれ形成される。
図25(b)に示すように、画像データ2501に先立って印刷される位置に予備吐出領域25031~25034を設けることで、吐出頻度の低いノズル内で濃縮したインクを画像データの印刷前に排出できる。そのため、インクの濃縮に起因する濃度変動、カスレや不吐出などの不良が画像データ2501中に発生することを抑制できる。
特に図22(a)中の参照符号2201~2204に示すようなフルラインタイプの記録ヘッドを用いて連続して画像を形成する場合、濃縮したインクを記録用紙2206の搬送ルート外に排出することが難しい。そのため、上記のように画像データに予備吐出領域を付与し、該領域内に一定量のインクを排出させることが、画像形成のスピードを低下させることなくインク濃縮に起因する不良を抑制するためには好ましい。
なお、ヘッダ画像2503に含まれる予備吐出領域の本数は画像形成部2107が保持するインクの数、あるいは記録ヘッドの数に依存する。たとえば、CMYKに加えてR(レッド)やO(オレンジ)、W(ホワイト)などを保持する場合には、それらの予備吐出領域も備えることが好ましい。たとえば合計6種類(CMYKRW)のインクとそれらに対応する記録ヘッドを保持する場合には、ヘッダ画像2503は計6本の予備吐出領域を含むことが好ましい。
図25(d)へ戻り、階調データ取得領域25036は、画像形成部2107で用いるインクのうち、いずれかのインクのみで形成される矩形の領域である。本実施形態においては、階調データ取得領域25036はいずれかの色信号値に対応するHT画像で形成される。また、矩形の高さおよび幅は上記予備吐出領域と略同一であるが、高さについては、上記予備吐出領域と同一でなくてもよい。
具体的には、各色信号値で均一な矩形領域に対し、HT処理部21063で用いるのと同一のディザ処理をおこなった結果をHTパターンとしてあらかじめ保持しておく。このとき、これら複数のパターンからいずれかのパターンが選択され、階調データ取得領域25036として追加される。なお、パターンの選択方法の詳細については後述する。
ラインパターン領域25035は、階調データ取得領域25036を形成するインクと同一のインク色で形成されるラインパターンを含む領域である。
なお、ラインパターン領域25035は必須の構成ではないが、特にノズル単位でのノズル特性を取得する場合には、ラインパターンを参照することでノズル位置と取得画像上での位置合わせが容易となるため、ヘッダ領域2502内に形成することが好ましい。
また、図25(b)に示すように、階調データ取得領域25036は、予備吐出領域25031~25034と略同一のタイミングで形成されることが好ましい。
たとえば、図25(c)中の画像領域2502に、予備吐出領域25031~25034を追加したとする。このとき、階調データ取得領域25036を画像領域2502内ではなく、画像データより後に印字される画像領域2502’へ追加することは好ましくない。なぜならば、画像データ2501を形成する際に使用頻度によってインクの濃縮がおき、階調データ取得領域25036にて適切に階調データを取得できない可能性があるためである。
図23へと戻り、補正テーブル作成部21065は、画像読取部2108より階調データ取得領域25036に対応する読取データを受け取り、補正処理部21062が用いる補正テーブルを作成する。作成処理の詳細については後述する。
[ユーザ画像印刷フロー]
上述の画像処理部2106の各構成を踏まえ、以下、本実施形態におけるユーザ画像の印刷および形成画像に基づく補正処理の流れを図26に示すフロー図に従って説明する。
まず、ユーザは操作部2103を通じて印刷ジョブを画像形成システムに対して投入する。具体的には、外部記憶装置2105内の入力画像ファイル名とその印刷枚数を指定する。
印刷ジョブが投入されると、画像処理部2106は、指定された入力画像ファイル名をもとに外部記憶装置2105に記憶された入力画像データを取得する(ステップS2601)。以下、取得される入力画像データはRGB8ビット形式の画像データであるとする。
続くS2602において、入力色変換処理部21061は入力画像データに対して入力色変換をおこなう。本処理により入力画像データは、各記録材(CMYK)の打ち込み量を表わす色信号値で構成される画像データへと変換される。
次にS2603において、ヘッダ画像追加部21064は枚数カウンタ(以下、単にカウンタという)cntを0に初期化する。
さらに、S2604において、補正処理部21062は、S2602にて変換後の画像データに対して、補正テーブル21066に基づく補正処理をおこなう。
次にS2605にてHT処理部21603は、補正処理後の画像データに対して、HT処理をおこなう。
続いて、S2606にてヘッダ画像追加部21064はHT処理後の画像データに対して、カウンタcntに基づくヘッダ画像を追加する。
具体的にはカウンタcntに基づいて、階調データ取得領域25036を形成するインク色および色信号値を変化させる。
たとえば、インク色をCMYKの4種類、色信号値を0、64、128、192、255の5種類で変化させる場合を例として説明する。このとき、カウンタcnt=0においては、Cインクの色信号値0に対応するHTパターンを取得し、階調データ取得領域25036として追加する。また、カウンタcnt=1であれば、Cインクの色信号値64に対応するHTパターンを階調データ取得領域25036として追加する。
ここで、本実施形態におけるCインクの色信号値64に対応するHTパターンとは、色信号値が64で均一な矩形領域に対して、HT処理して得られる画像データである。このとき、入力画像データのHT処理(S2605)においてディザ処理を用いる場合には、階調データ取得領域25036のHTパターンの生成においても同一のディザ処理を用いることが好ましい。すなわち、階調データ取得領域25036をCインクで形成するのであれば、HT処理(S2605)にてCインクの画像データに対して用いるディザマトリクスを用いて、階調データ取得領域25036に追加するHTパターンを生成することが好ましい。
なお、このとき矩形領域のサイズは階調データ取得領域25036のサイズに等しく、得られる画像データはたとえば2値の画像データである。
同様に、カウンタcnt=2、3、4においてはCインクの色信号値128、192、255に対応するHTパターンをそれぞれ取得、追加する。
さらに、カウンタcnt=5~9においてはMインクの色信号値0、64、128、192、255に対応するHTパターンをそれぞれ取得、追加する。また、カウンタcnt=10~14においてはYインクの、カウンタcnt=15~19においてはKインクの色信号値0、64、128、192、255に対応するHTパターンをそれぞれ取得、追加する。
なお、色信号値0に対応するHTパターンは、すべての画素が0(OFF)であり、このパターンが選択された場合には階調データ取得領域25036にインクは吐出されない。
一方で、色信号値255に対応するHTパターンはすべての画素が1(ON)であり、このパターンが選択された場合には、階調データ取得領域25036にいわゆるベタ画像が形成される。
このようにカウンタcntに基づいてインク色、色信号値を変化させることで、各階調データ取得領域25036から単一インクの単一色信号値に対応する階調データのみを取得する場合であっても、複数の階調データ取得領域のデータを組み合わせることで、各インクの色信号値に対する階調データを取得できる。
なお、必ずしも画像形成部2107にて吐出可能なインク色全てに変化させる必要はない。たとえば、形成するインクを濃度への寄与が高いKインクに固定し、信号値のみを変化させてもよい。この場合には、後述の補正処理もKインクに対してのみおこなう。
あるいは、より変動が知覚されにくいイエロー(Y)インクに変化させず、CMKの3種のインクにだけ変化させてもよい。
また、階調値は上述の5種類(0、64、128、192、255)に限らない。たとえば、0~255を33個に均等に区切った値(0、8、16、・・・、232、240、248、255)を用いてもよい。さらには、0あるいは255を必ずしも含まなくてもよいし、階調値の間隔は不均等であってもよい。
なお、S2606として事前に生成したHTパターンを追加するのではなく、HT処理(S2605)の前に色信号データとして追加しておき、その後入力画像データとともにHT処理(S2605)をおこなうことも可能である。
図26へと戻り、次にS2607において、画像形成部2107はヘッダ画像が追加されたHT画像に基づき、紙面上に画像形成を行う。これによって形成画像2400が作成される。
続くS2608において、画像取得部2108は、形成画像2400に対して撮像を行い、2次元の撮像画像データを取得する。
次のS2609において、補正テーブル作成部21065はカウンタcntを参照し、補正に必要なデータが1セット分取得されているか否かを判断する。
たとえば、インク色と色信号値の全組み合わせについて、新たに階調データ取得領域を形成、撮像済みであれば、必要なデータが1セット分取得されているとする。
具体的に上述のインク色の4種類、色信号値を5種類で変化させる例においては、カウンタcnt=19の場合に1セット分取得済みと判断する。また、カウンタcnt<19であれば、1セット分取得されていないと判断する。
S2609にて、1セット分取得されていると判断された場合にはS2610へと進み、補正テーブル作成部21065が取得した階調データに基づいて補正テーブルの作成と更新をおこなう。S2610における処理の詳細については後述する。
一方、S2609にて1セット分取得されていないと判断した場合にはS2611へと進む。
S2611では、画像処理部2106は、投入された印刷ジョブが完了したか否かを判定する。典型的に、S2601にてユーザより指定された印刷枚数だけ印刷が完了したら印刷ジョブは完了である。また、別途ユーザから印刷中止の指示があった場合にも印刷完了となる。印刷ジョブが完了しているとの判断がなされれば、フローは終了である。
一方で、印刷ジョブが完了していないと判断された場合には、S2612へと進み、ヘッダ画像追加部はカウンタcntを1つだけ増加させる。その後S2606へと戻り、印字を継続する。
S2613では、S2611と同様に、印刷ジョブが完了したか否かを画像処理部2106が判定する。印刷ジョブが完了しているとの判断がなされれば、フローは終了である。
一方で、印刷ジョブが完了していないと判断された場合には、S2603へと戻り、カウンタを再度0へと初期化する(S2603)。さらに、更新後の補正テーブルに基づく補正処理(S2604)、補正後の画像データに対するHT処理(S2605)をおこなったうえで、S2606へと戻り、印字を継続する。
以上のS2601~S2613に従うことで、ユーザが指定した画像を指定枚数だけ印刷することができる。また、その印刷においてヘッダ画像を追加し、かつその読み取り結果に基づいて、ムラやスジを抑制するための補正処理をおこなうことで、経時変化に対して印字される画像の品位を保持することが可能となる。
なお、上述のS2609における説明において、インク色と色信号値の全組み合わせについて形成、撮像済みである場合に、1セット分取得済みであると説明をした。このとき、全組み合わせを1回ずつ取得するのではなく、たとえば5回ずつ取得済みである場合に、1セット分取得済みであるとしてもよい。この場合、それら各組み合わせに対する5回分の読取値を平均して得られる平均読取値に基づいてS2610にて補正処理をおこなう。このように平均読取値に基づいて補正をおこなうことで、補正の頻度が下がる一方で読取値に含まれる誤差、たとえばセンサの読取誤差や紙面上のキズや汚れなどの影響で補正の精度が低下することを抑制できる。
あるいは、いずれかインク色について所定の色信号値に対する形成と撮像が完了している場合に、1セット分取得済みであるとしてもよい。上記の例においては、カウンタcnt=4においてCインクについて5階調(0,64,128,192,255)に対する形成と撮像が完了する。このとき、Cインクについて1set分取得済みであるとして、Cインクに対してのみ補正処理を実行してもよい。
なお、上述の図26に示すフローに従うと、ヘッダ画像2503は、印刷されるすべてのページに追加される。しかしながら、ページ毎に予備吐出をおこなうと頻度が過多である場合もありうる。そのような場合には、ヘッダ画像の追加を間欠でおこなってもよい。たとえば、10ページに1ページの割合でヘッダ画像2503の追加をおこなってもよい。
また、上記に加え、記録ヘッドやモジュールの経時変化の度合いによっては、ページ毎に階調データを取得すると頻度が過多である場合もありうる。そのような場合には、予備吐出領域のみを備えるヘッダ画像を10枚に1枚の割合で追加し、ラインチャートと階調データ取得領域も追加で備えるヘッダ画像をさらに10枚に1枚の割合、すなわち100枚に1枚の割合で追加する構成も可能である。
[補正テーブルの更新]
図27は本実施形態における補正テーブルの作成フローを示す図である。以下、図27に示すフローにしたがって、補正テーブルの作成処理について説明する。
まず、S2701において、補正テーブル作成部21065は、上述のS2608において読み取られた画像を参照し、階調データ取得領域25036に対応する読取値を取得する。
たとえば、画像読取部2108によりRGBの3チャンネルで撮像された印字物2400の画像データを、光学センサの色特性に合わせて事前に用意された色変換テーブルで変換することにより、1チャンネルの読取値を得ることができる。
より具体的には、CIEXYZ色空間のYに対して線形な16bit値に変換する色変換テーブルをあらかじめ保持しておく。そして各画素のRGB値に対して該色変換テーブルにて変換することで得られる値を各画素の読取値として用いることができる。
あるいは、CIELab*のL*や、濃度に線形な値を読み取り値として使用することも可能である。また、測定用画像がC,M,Y等のカラーインクで記録されている場合には、明るさに相当する値ではなく彩度に相当する値を用いることもできる。あるいは、C,M,Yそれぞれの補色に対応する値として、それぞれR,G,Bチャンネルの出力値をそのまま読取値として用いてもよい。
上記に加え、補正テーブル作成部21065は画素ごとの読取値から補正テーブルの補正単位ごとに対応する読取値を算出する。たとえば、補正単位がノズル単位であれば、ノズル毎に形成された画素について読取値を平均する。
具体的には、階調データ取得領域25036に対応する画素ごとの読取値を紙搬送方向に平均化することで、ノズル列方向の1次元データとして各ノズル位置に対応する読取値を得る。より詳細に、搬送方向(y方向)の解像度が1200dpi、予備吐出領域25031の搬送方向の高さが0.1[inch](=2.54[mm])とする。この場合、各ノズルに対応する各x位置について読取値をy方向に120画素分だけ平均することで、各ノズルに対応する読取値を算出できる。
あるいは、補正単位がヘッドモジュール単位であれば各ヘッドモジュールが形成する矩形領域にて読取値を平均することで、ヘッドモジュールごとの読取値を算出する。
このとき、図25(d)に示すように、ヘッダ画像2503がラインパターンを含んでいれば、該パターンを手掛かりにすることで、各ノズルに対応する読取画像上でのx位置の対応を精度よく推測できる。
なお、たとえば紙の蛇行が大きく、ヘッダ画像2503の画像高さ(y方向の高さ)内でも、読取画像上で1画素以上ずれるような場合もありうる。このような場合には、ラインパターンを階調データ取得領域25036の片側だけではなく、階調データ取得領域を搬送方向で挟むように2つ、両側に配置することが好ましい。そのようにラインパターンを複数配置することで、蛇行量を推測でき、より精度よく各ノズルと画像上のx位置との対応を推測できる。
図27に戻り、次のステップS2702において、補正テーブル作成部21065は、同一色で形成された複数の階調データ取得領域25036の読取値に基づき、補正単位ごとに対応する測定曲線を算出する。ここで測定曲線とは、前述の読取値と階調データ取得領域25036を形成する色信号値との関係を表す曲線である。
図28(a)に算出される測定曲線の例を示す。図28(a)の水平軸は階調データ取得領域25036の色信号値であり、垂直軸は該階調データ取得領域から得られる各補正単位の読取値である。
図中の参照符号2801は水平軸の上限値であり、たとえば入力信号値が8bitであれば255である。参照符号2802は同一の補正単位、たとえば同一のノズルに対応する1つ以上の色信号値とそれぞれに対応する読取値とから補間演算によって得られる測定曲線である。このとき、補間方法として、たとえば区分線形補間を用いることができる。あるいはスプライン曲線やバイキュービック補間法などを用いることが可能である。
なお、測定曲線2802は、ノズル数分もしくはヘッドモジュール数分ごとの特性に応じて異なる測定曲線が得られる。しかしながら、図が煩雑になることを避けるため、図28(a)にはそのうちの1本だけを例示している。
図27のフローチャートへ戻る。ステップS2703において補正テーブル作成部21065は、目標特性2803を取得する。ここで目標特性とは、各色信号値に対して、補正テーブルを適用後に形成されるべき読取値との関係を目標として示す曲線や直線である。たとえば、図28(a)に示すように、階調に対して線形に変化する直線を目標特性とすることができる。
目標特性は上記に限らず、いずれかのモジュール、もしくはノズルを基準とし、該モジュールもしくはノズルの測定曲線を目標特性2803としてもよい。あるいは、2つ以上の測定曲線を平均して得られる曲線を目標特性2803としてもよい。
また、別の値に基づいて目標特性2803を定めてもよい。たとえばCIE Lab空間上での記録媒体色(紙白)からの距離Dと色信号値とが線形になるような曲線をあらかじめ目標特性として保持しておいてもよい。ここで、紙白からの距離Dは以下の式(1)により算出できる。
図27のフローチャートに戻る。続くステップS2704において、補正テーブル作成部21065は、各色信号値に対応する補正後の色信号値を取得し、図24に例示した補正テーブルを作成する。
図28(b)を参照し、補正後の色信号値の取得について具体的に説明する。
まず、補正後の色信号値を算出するノズルもしくはモジュールの番号xと色信号値2804とを決定する。このとき、色信号値2804に対応する目標値2805が、目標特性2803から算出できる。さらに、目標値2806に対応する補正後の色信号値2806が、ノズルもしくはモジュールxに対応する測定曲線2803から取得できる。
このとき、補正テーブル作成部21065は、取得した補正後の色信号値2806を入力された色信号値804と対応付け、ノズルもしくはモジュール番号xの補正テーブル21066として記憶する。
このとき、入力する色信号値2804として、0~255のすべての値について補正値を算出し、注目ノズルのテーブルとして保持しておくことも可能である。
あるいは図24に示すように、0、16、32、・・・、240、255の計17つの信号値等をあらかじめ定めておき、それらの信号値に対応する値だけ算出、テーブルとして保持しておいてもよい。その場合には、補正テーブルを使用する際に、保持していない色信号値に対してはたとえば隣接する値から公知の補完処理により算出すればよい。
上記の処理を全てのインク色(CMYK)およびノズルもしくはモジュールについて繰り返すことにより、補正テーブルが作成される。
補正テーブルを作成した後、S2705として、補正テーブル作成部21065は、新たに作成した補正テーブルを、補正テーブル21066としてメモリ2101あるいは外部記憶装置2105上で更新する。
以上のS2701~2705として示すフローに従うことで、図24に示すような補正テーブルを新たに作成、更新できる。このように補正テーブルを更新することで、ノズルやヘッドモジュールごとの特性が、前回の作成時から変更していた場合でも、変化に応じて補正テーブルの値を変更され、その結果として経時変化に起因するムラやスジの発生を抑制できる。
なお、上記説明において補正処理部2402は入力された画像データ(CMYK)に対して補正処理をおこなうとして説明をした。しかしながら、HT処理部2403にて用いる各画像データに対する閾値マトリクスに対して補正処理をおこなうことによっても同様の効果を得ることができる。
[不吐ノズルの検出]
画像中にラインパターン領域が含まれる場合には、そこから不吐ノズルの検出をおこなってもよい。検出をおこなう場合には、全てのノズルを検出できるように、カウンタcntに応じてラインパターンの位相を変化させることが好ましい。このとき、位相の変化数、すなわちラインの間隔は階調データ取得領域25036の変化階調と一致させることで一つのカウンタcntで管理できるため好ましい。
たとえば、各インク色について4つの階調(64、128、192、255)を取得するとする。このとき、ラインパターンは図29(a)~(d)に示すように4ノズル間隔で形成する。
なお、図29(a)~(d)はHTパターンを概念的に示す図である。具体的に図29(a)~(d)における格子は、画像形成部108が液滴を配置できる位置を模式的に示している。たとえば、ノズルの並び方向x及び記録紙の搬送方向yの印字解像度が1200dpiであれば、各格子の高さおよび幅は25.4/1200[mm]である。また格子内の黒丸は該位置にドットが配置される(ONである)ことを示している。
図29(a)~(d)に示す例においては、保持するノズルに対して左から1,2,3,4・・・とノズル番号を与え、ノズル番号を4で割った余りがカウンタcntに等しいノズルにてラインを形成する。たとえば、カウンタcnt=1であれば、図29(a)に示すようにCインクのノズル番号が1、5、9、13・・に対応するノズルでラインを形成し、その読取画像からそれらノズル番号に対応するノズルの不吐を検出する。
同様にカウンタcnt=2、3、4でおいては、図29(b)、(c)、(d)に示すように、それぞれ吐出するノズルの位相が異なるラインパターンを形成すればよい。
また、カウンタcnt=5~9であればMインクでそれぞれ図29(a)~(d)に示すようなラインパターンを形成し、不吐出を検出する。また、カウンタcnt=10~14であればYインク、カウンタcnt=10~14であればKインクで、それぞれ図29(a)~(d)に示すようなラインパターンを形成し、不吐出を検出する。
このようにカウンタcntに応じて不吐ラインを形成するノズル位置、インク色を変更することで、全てのノズルの不吐検知が可能となる。
[HT処理]
上述の図25(a)~(d)に関する説明のとおり、本実施形態においては入力画像(図25(a)~(d)における参照符号2501)および階調データ取得領域(図25(d)の参照符号25036)の2つのHT画像が印字される。
なお、上述のヘッダ画像の追加処理(S2606)における説明では、階調データ取得領域25036のHTパターンの生成においても同一のディザ処理を用いることが好ましいと説明した。
しかしながら、入力画像データに対するHT処理とは異なるHT処理を用いて階調データ取得領域25036に追加するHTパターンを生成してもよい。たとえば、入力画像データに対するHT処理がディザ処理である場合に、誤差拡散法でHTパターンを生成することも可能である。あるいは、いわゆるチェッカーパターンなどの規則パターンを追加するHTパターンとして用いることも可能である。
ところで、記録ヘッドやモジュール、あるいはノズルの特性は、周囲のノズルの吐出状態に依存する場合がある。たとえば、電源やインクを周辺のノズルやモジュールを共有している場合がある。このような場合に、周辺の共有ノズルと同時に吐出する場合と各ノズル単独で吐出する場合とでは吐出されるインク適の量や速度、角度に違いが生じる場合がある。あるいは液滴が着弾した後で、周辺にすでに着弾済みであるが、完全に浸透していない液滴が存在する場合に、両液滴間で引き合いや結合が発生することもある。
このような場合に、入力画像データに対するHT処理とは異なるHT処理を用いて階調データ取得領域25036を形成すると、取得される階調データから得られる補正量と入力画像データ上に発生するムラやスジとの間に乖離が発生する恐れがある。そのため、このような乖離が予想される場合には両HT処理として同一の処理を用いることが好ましい。
たとえばディザ処理であれば、同一のディザマスクを用いることが好ましい。あるいは誤差拡散処理であれば、同一の拡散係数や閾値、初期誤差を用いることが好ましい。
さらに本実施形態においては、均一な入力信号値に対しては、搬送方向に対してドット数が均一になるようなHT処理をおこなうことが好ましい。すなわち、均一な入力信号値に対して各ノズルの使用率が略同一となるようにドットの配置を決定することが好ましい。
具体的には、HT処理としてディザ法を用いる場合、ディザマトリクスの閾値が小さい画素は、ドットONになる確率が高く、閾値が大きい画素はドットOFFになる確率が高い。そのため、ドットONになりやすい小さい画素の閾値が、ある特定のノズル列に偏ると、頻繁にインクを吐出するノズルと、そうでないノズルとが発生する。その結果、吐出頻度の小さいノズルでは、インクの濃縮に伴う不良の発生の可能性が高まる。
また、階調データ取得領域25036として追加するHTパターンのドット位置が、ある特定のノズルに偏りを持つと、ノズル毎にインクの吐出数に差異が生じてしまう。その結果、略同一な特性であるノズル間で、同一の入力信号値に対する読取値が略一致しない場合がある。
たとえば、HTパターン上でドットの割り当てが多いノズルに対応する読取値と、割り当てが少ないノズルに対応する読取値とがドット割り当て数に起因して乖離する恐れがある。
このようなノズル特性ではなくドットの割り当て数に起因して略一致しない読取値からノズル毎の吐出特性を取得することは困難であり、その結果補正処理の効果が低減してしまう場合がある。さらには、ノズル位置毎に同一の色信号値に対する出力ドット数に差異があると、ノズル毎の吐出特性に起因した濃度変動を正しく補正できたとしても、ノズル毎に補正の効き方(出力ドット数)が異なり、濃度ムラ補正効果が低減する場合があった。
上記を鑑み、本実施形態においては、同一の色信号値に対して各ノズルで形成されるドットの生成頻度が均一になるように閾値の配置が調整されたディザマトリクスを用いることが有効である。
このとき、各ノズルに対する合計ドット数の差は、1ドット以下であるのが好適である。さらには、ディザマトリクスのサイズが256px×256pxである場合に、256pxの高さに対してノズル毎の合計ドット数が1ドット以下であることが好ましい。
たとえば、階調データ取得領域25036の高さが130pxであれば、マトリクスを高さ130pxで区切った限定領域内においてもノズル毎の合計ドット数が略同一であることが好ましい。
[予備吐出領域における吐出発数]
ここまでの説明において、予備吐出領域25031~25034はいわゆるベタ画像であるとして説明した。このとき、図25(d)に示すように階調データ取得領域25036が形成される前に該インクに対応する各ノズルは、他のインクと略同一な発数の予備吐出が行われる。そのため、階調データ取得領域25036においてインク濃縮に起因する不良が含まれる可能性は低い。
一方で、予備吐出領域に吐出するドットの発数は、画像形成システムのランニングコストにも関わる。そのため、濃縮したインクを排出するために十分な量でかつできるだけ少ない発数を予備吐出領域で吐出することが好ましい。
ところで、図25(d)に示すようにラインパターンを予備吐出領域と階調データ取得領域との間に出力する場合には、ラインパターンを出力によってもインクの排出が行われる。すなわち、それらのノズルにおいては、ラインパターンのドット数分だけ予備吐出領域のドットを吐出せずとも同程度の予備吐出をおこなうことができる。
このとき、濃縮したインクを排出するために十分な量とは、たとえば予備吐出領域25031~25034において他のインクが吐出するドット数のことである。
具体的に図30(a)に示すラインパターンがノズル番号x=1~8にて形成されるとする。また、図30(a)は、全ての画素でドットを形成する(ONである)いわゆるベタパターンである。
このとき、予備吐出領域のHTパターンとして、図30(a)に示すベタパターンにかわり、図30(b)に示すようなラインパターンのドット数だけドットをオフにしたパターンを用いることで、インク量を低減することができる。
具体的に図30(b)に示す例では、ノズル番号1,5、9・・・に対応するノズルのドットが4つだけオフになっている。このとき、オフにするドットは任意であり、たとえば図30(c)に示すようなパターンを用いることも可能である。
なお、図25(d)に例示したヘッダ画像2503は、位置合わせなどに用いるパターンを別途保持することが可能である。たとえば図31に例示するように、位置検出パターン25037~25039、モジュール遷移パターン25040を追加で保持してもよい。
位置検出パターン25037~25039は、Kインクのみで形成される矩形の領域である。このとき各領域は、たとえば2.54mm×2.54mmの正方領域とし、信号値はすべての画素が1(ON)とすればよい。なお、矩形領域ではなく円形領域を用いてもよいし、あらかじめ定めておいた所定のパターンを用いてもよい。
上記位置検出パターン25037~25039を設けることで、上述のS2701において階調データ取得領域25036に対応する読取値をより容易に取得することが可能となる。すなわち、読取画像中から位置検出パターンを探索し、それらを含む矩形領域の位置とサイズ、角度を補正することで、ヘッダ画像2503に対応する2次元データを容易に取得することができる。
また、モジュール遷移パターン25040は、階調データ取得領域25036を形成するインクと同一のインク色で形成されるいわゆるベタパターンである。このとき、モジュール遷移パターン25040はいずれかのヘッドモジュールでのみ形成されており、該パターンのノズル列方向(x方向)のエッジを参照することで、読取画像上でのモジュールの切り替わり位置を推定することが可能となる。
たとえば、図22(c)の参照符号2201に示す記録ヘッドのように、複数のヘッドモジュールを組み合わせて紙面幅をカバーする構成を用いる場合、ヘッドモジュールの取り付け誤差に起因し、モジュールの継ぎ目においてノズル方向のドット間隔がノズル解像度よりも大きくなる場合や、小さくなる場合がある。このような場合に、図22(c)の参照符号2201に示すように各ヘッドモジュールを千鳥状に配置し、かつ各モジュールの端部をオーバーラップさせる場合がある。このとき、オーバーラップ部分を両方のヘッドモジュールに分配して形成することで、上述の継ぎ目が視認されにくくすることができる。
このような場合に、ラインパターン領域25035や階調データ取得領域25036のオーバーラップ部分において、いずれのヘッドで形成しているのかが読取画像上で推定することは困難である。
このとき、ヘッダ画像2503中にモジュール遷移パターン25040を含めることで、読取画像上でのヘッドモジュールの継ぎ目を容易に推定することが可能となる。
ところで、上述のとおり、予備吐出領域には濃縮インクを排出するために十分な量でかつできるだけ少ない発数を予備吐出領域で吐出することが好ましい。
したがって、ヘッダ画像2503が位置合わせなどに用いるパターンを別途保持する場合は、それらのパターンを形成するために吐出されるドット数と合わせて十分な発数のドットが吐出されるように予備吐出領域のドット数を調整することが好ましい。
具体的には予備吐出領域25031においてCインクのベタ画像が形成されるとする。同様に、予備吐出領域25034、ラインパターン25035、位置検出パターン25037~25039、モジュール遷移パターン25040、そして階調データ取得領域25036がKインクで形成されるとする。
このとき、階調データ領域25036に先立って形成される予備吐出領域25034、位置検出パターン25037と25038、モジュール遷移パターン25040とに吐出されるドット数を各ノズルについて合計する。そして、それら各ノズルのドット数が、Cインクの予備吐出領域25031にて吐出される各ノズルのドット数以上であることが好ましい。
すなわち上記の例であれば、各ノズルについて120発のKインクを予備吐出領域25034、位置検出パターン25037と25038、モジュール遷移パターン25040に分配して吐出することが好ましい。
[第5の実施形態]
上述の第4の実施形態においては、あらかじめ定めておいた信号値が1セット分取得されたのちに補正処理をおこなうとして説明した。
しかしながら、各信号値に対する読取値が得られ次第、補正テーブルを変更するとともに補正処理を実施することも可能である。
このように1セット分の取得を待たず、即座に補正をおこなうことで、ノズルの特性が急速に変化するような場合にも対応できる。あるいはヘッダ画像がHTパターンを間欠的に保持する場合などにおいても同様に対応することが可能である。
以下、図32に示すフロー図を用い、本実施形態におけるユーザ画像の印刷および形成画像に基づく補正処理の流れを説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成、処理については同じ符号を付し、説明を省略または簡易化する。
まず、画像処理部2106が外部記憶装置2105に記憶された入力画像データを取得する(S2601)とともに、取得したデータに対して入力色変換処理部21061が入力色変換をおこなう(S2602)。
続いて、S3201にて、ヘッダ画像追加部21064は階調データ取得領域25036を形成するインク色および色信号値を決定する。たとえば、上述の第1の実施形態と同様にカウンタcntに基づき、あらかじめ定めておいた順序でインク色と色信号値の異なるHTパターンを選択する。あるいは、インク色と色信号との全組み合わせからランダムにHTパターンを選択してもよい。このようにランダムに選択することでカウンタcntを保持、管理する必要がなくなる。また、あらかじめ順序を決め、保持しておく必要もなくなる。
このとき、毎回ランダムにすべてのインク色と色信号との組み合わせからいずれかを選択することが可能である。あるいはRAM2101上に各組み合わせの選択回数を保持しておき、選択回数が少ない組み合わせの中からランダムに選択することも可能である。また色信号について、あらかじめ定めておいた、たとえば5つ(0、64、128、192、255)のいずれかに対応するHTパターンのみからランダムに選択してもよい。このように色信号値を限定して選択することで、HTパターンが再度選択される頻度が高くなる。その結果、各信号値に対して特性を取得する頻度も高くなる。そのため、色信号値を限定することで、ノズル特性の変動が急激であっても即座に変化を取得することが可能となる。あるいは、色信号値のとりうる全値、たとえば色信号値が8bitであれば、0~255の中からランダムに選択するようにしてもよい。このように、色信号値をとりうる全値から選択することで、たとえば特定の色信号値にのみ変動が発生している場合でも、その変化を取得し補正することが可能となる。
続くS3202にて、ヘッダ画像追加部21064はHT処理後の画像データにヘッダ画像2502を追加する。なお、本実施形態において追加されるヘッダ画像2502は、S3201において選択したHTパターンを階調データ取得領域25036として含む。
次にS2604において、補正処理部21062は色変換後の画像データに対して、補正テーブル21066に基づく補正処理をおこなう。さらにS2605にてHT処理部21603は、補正処理後の画像データに対して、HT処理をおこなう。
次にS2607において、画像形成部2107はヘッダ画像が追加されたHT画像に基づき、紙面上に画像形成を行う。これによって形成画像2400が作成される。
続くS2608において、画像取得部2108は、形成画像2400に対して撮像を行い、2次元の撮像画像データを取得する。
次のS3203では、補正テーブル作成部21065が取得した階調データに基づいて補正テーブルを作成、更新をおこなう。処理の詳細については後述する。
次のS2611では、画像処理部2106は投入された印刷ジョブが完了したか否かを判定する。印刷ジョブが完了しているとの判断がなされれば、フローは終了である。一方で、完了していないと判断した場合には、S2604へと戻り、更新後の補正テーブルを用いて補正処理をおこなったうえで、印字を継続する。
[補正テーブルの更新]
以下、上述のS3203における補正テーブルの更新処理について説明する。
本実施形態においては、S3202で追加したヘッダ画像を含んで補正処理(S2604)及びHT処理(S2605)がおこなわれる。そのため、S2608で得られる読取値は、現在の補正テーブルで補正した結果を含んでいる。そのため、読取値上で濃い領域の色信号値を小さくし、同様に読取値上で薄い領域の色信号値を大きくすればよい。
具体的には、ノズル列方向の1次元のラインデータとし、その平均値より大きいノズルについては該色信号値に対する信号値を1つだけ小さくする。一方で小さいノズルについては信号値を1つだけ大きくすればよい。
このとき、各読取値にはセンサの暗電流や形成画像上のごみやキズ等に起因する測定誤差が含まれる。このような誤差に対して補正を抑制するために、補正をおこなうための閾値を設けておいてもよい。すなわち、平均値よりも閾値以上大きければ信号値を小さくするようにしてもよい。同様に平均値よりも閾値以上小さければ信号値を大きくするようにしてもよい。
また、平均値からの差分が大きければ大きいほど、色信号に対する変更量が大きくなるようにしてもよい。
あるいは、今回取得した読取値に加え、たとえば直近5回の読取値から図28中曲線2802で示す測定曲線を公知の補間方法によって推測し、上述の実施形態4と同様に測定曲線に基づいて補正後の色信号値を算出することも可能である。
[第6の実施形態]
上述の実施形態に従ってヘッダ画像を追加することで、予備吐出による濃縮インクの排出とともに、その読取値からノズルやヘッド、モジュールごとの特性を取得し、補正テーブルを更新できる。
このとき、予備吐出領域にて吐出するインクの量が少ないと、ノズルに濃縮したインクが残存し、階調データ取得領域や画像データの形成領域において、不吐やムラ、スジなどの不良が発生する場合がある。
一方で、予備吐出領域に多くのインクを吐出すると、インクの消費や補充頻度の増加により、ランニングコストや生産性が悪化する可能性がある。
上記を鑑み、予備吐出領域には濃縮インクの排出に十分な量でかつできるだけ少ない発数のインクを吐出することが好ましい。
ところが、十分な予備吐出の量は、入力画像データにも依存する。たとえば、画像データの形成において、全ノズルが十分な発数のインクを吐出する場合には、予備吐出が必要ない場合がある。一方で、画像データにおける吐出発数が少ないほど、予備吐出領域に多くのドットを吐出する必要がある。
あるいは、十分な予備吐出の量は湿度や温度などの印刷環境にも依存する。そのため、所定の条件下で設定したヘッダ画像が、異なる画像データや印刷環境において、過大である場合や過小である場合が発生しうる。
このとき、予備吐出の量が過少となり、特に入力画像データ領域において上述の不良が発生すると、得られる印字物の価値が大きく損なわれる可能性がある。そのため、入力画像データを生成するまでには十分な吐出をおこなう必要がある。
一方で、階調データ取得領域に不良が含まれるが、該領域にて予備吐出に十分なドット数に達し、入力画像データ領域には不良が含まれない場合もある。
このような場合、階調データの取得をおこなうことができないが、当該の印字物の価値が大きく損なわれる可能性は低い。しかしながら、不良を含むデータで補正テーブルを作成すると、たとえば予備吐出で解消したはずのスジを打ち消そうと色信号を補正し、かえって反転したスジを発生させ、印字物の価値を損なう可能性があった。
そこで本実施形態においては、上記を鑑み、濃縮したインクに起因する不良を判定する不良判定部を保持する実施形態について説明する。
なお、第4および第5の実施形態と同様の構成、処理については同じ符号を付し、説明を省略または簡易化する。
[画像処理部の機能構成]
図33に本実施形態における画像処理部2106の構成の一例を示す。図33に示すように、本実施形態における画像処理部2106は、上述の図3に示す第4の実施形態および第5の実施形態の構成に加え、不良判定部21067を備える。
不良判定部21067は画像読取部2108から2次元の画像データを読取データとして受け取り、各領域に濃縮したインクに起因する不良が含まれるか否かを判定する。あるいは、各領域における画像形成の前までに濃縮したインクを排出するために十分な数のドットが吐出され各ノズルがリフレッシュ済みであるかを判定する。
上記の判定は、たとえば、領域内でy方向に位置の異なる部位の読取値に注目し、読取値に有意な差があるか否かで判定することができる。すなわち、略同一な色信号値で形成される領域間で形成時刻に応じて読み取り値に有意な変動がある場合には、濃縮したインクが排出されており、リフレッシュが完了していないとみなすことができる。あるいは、濃度変動などの濃縮インクに起因する不良が含まれるとみなすことができる。
[不良判定部21067における判定処理]
図34は、図25(d)に示したヘッダ画像の模式図の一部を拡大して示す図である。以下、図34を用い、上述の判定処理についてより具体的に説明をする。なお、以下の説明においては、図34中の予備吐出領域25032に不良が含まれるか否かを判定する処理について述べる。
まず、不良判定部21067は、画像データ読取部から得られる読取データのうち予備吐出領域25032に対応する領域を参照し、形成時刻の異なる2つの部位25032aと25032bに対応する読取値を取得する。なお、本実施形態においては読取値として、CIEXYZ色空間のYに対して線形な16bit値が取得される。
不良判定部21067は、得られた両部位に対する読取値をそれぞれ搬送方向(y方向)に平均処理し、1次元のラインプロファイルを得る。
上記の平均処理によって得られるラインプロファイルの例を図35に示す。図35中の実線3501aは部位35032aから得られるラインプロファイルの一例である。また、点線3501bは部位35032bから得られるラインプロファイルの一例である。
さらに不良判定部21067は上記2つのラインプロファイルを比較し、画素ごとに差分を計算し、差分プロファイルを得る。図35中の鎖線3502に差分プロファイルの例を示す。そして、不良判定部21067は、差分プロファイルの最大値に注目し、最大値があらかじめ定めておいた閾値以上であれば該領域において不良が含まれると判断する。
このとき、閾値としてあらかじめ定めておいた値ではなく、各ラインプロファイルから動的に生成された値を用いることも可能である。たとえば、より遅い時刻に形成される部位に対応するラインプロファイル点線3501bの分散σを計算し、その3倍、すなわち3σを閾値として用いることも可能である。
なお、上記のように、形成時刻の異なる2つの部位から得られるラインプロファイルの差分に基づいて判断するのではなく、事前に取得しておいたラインプロファイルと判定部位のラインプロファイルとを比較して判定をおこなうことも可能である。
たとえば、事前に十分に予備吐出をおこなったうえで、各色信号値に対する均一領域を形成し、その読取データから1次元のラインプロファイルをそれぞれ算出、保持しておく。そして判定においては、判定部位の色信号値に基づいて対応するラインプロファイルを取得し、その差分の最大値と閾値とを比較する。
このとき、十分に予備吐出をおこなった後で取得されるラインプロファイルに濃縮したインクに起因する不良が含まれる可能性は低い。すなわち、該ラインプロファイルと判定部位のラインプロファイルとの差分が小さければ、該部位に不良が含まれる可能性も低いと判断できる。この場合、差分判定部位より以前に予備吐出が完了していると判定できる。
このように、事前に取得しておいたラインプロファイルに基づいて判定を行うことで、判定部位までに予備吐出が完了しているか否かを判定できる。
たとえば、図34中の階調取得領域25036中の書き終わりに位置する部位25036bと事前に取得しておいたラインプロファイルとを比較し、その差分の最大値が閾値以下であったとする。
このとき、部位25036bより以前に予備吐出が完了しており、該部位以降に形成される画像領域において、濃縮したインクに起因する不良が含まれる可能性と判断できる。
なお、上述のように事前に取得しておいたラインプロファイルを判定に用いるのではなく、たとえばx位置によらず略一定なラインプロファイルとの差分に基づいて判定することも可能である。たとえば、判定時に、判定部位のラインプロファイルの平均値を算出する。そして、x位置によらず算出した平均値で一定なプロファイルを定め、該プロファイルとの差分の最大値と閾値とに基づいて判定をおこなうことも可能である。
[ユーザ画像印刷フロー]
以下、本実施形態におけるユーザ画像の印刷および形成画像に基づく補正処理の流れを図36に示すフロー図に従って説明する。
まず、画像処理部2106が、外部記憶装置2105に記憶された入力画像データを取得する(S3601)する。そして、取得したデータに対して入力色変換処理部21061が入力色変換処理をおこなう(S3602)。
次にS3603において、補正処理部21062は色変換後の画像データに対して、補正テーブル21066に基づく補正処理をおこなう。
さらにS3604にてHT処理部21603は、補正処理後の画像データに対して、HT処理をおこなう。
続いて、S3605にてヘッダ画像追加部21064は、階調データ取得領域25036を形成するインク色およびHTパターンを決定する。本ステップにおいても、上述のS2201と同様にインク色および色信号値を決定する。さらに、決定されたインク色および色信号値に基づいて、あらかじめ保持しておいたHTパターンを取得、あるいは決定する。
続くS3606にて、ヘッダ画像追加部21064は、HT処理後の画像データにヘッダ画像2502を追加する。なお、本実施形態において追加されるヘッダ画像2502は、上記のS3604において選択したHTパターンを階調データ取得領域25036として含む。
さらに本実施形態においては、予備吐出領域25031~25034のうち、階調データ取得領域25036を形成するインク色と同一インク色に対応する領域にて、ベタパターンではなくHTパターンを形成する。
このとき、ヘッダ画像追加部21064は、階調データ取得領域に追加するHTパターンを反転した反転HTパターンを対応する予備吐出領域に追加する。
より具体的に、図37(a)に示すHTパターンを階調データ取得領域に追加し、Cインクにて形成する場合、Cインクに対応する予備吐出領域25031には図37(b)に示す反転HTパターンを用いる。
一方で、他の予備吐出領域については、本実施形態においてもベタ画像を形成する。すなわち予備吐出領域25031にHTパターンを形成する場合には、他の予備吐出領域25032~25034にはベタパターンを形成する。
なお、本実施形態における反転パターンとは画素ごとのON/OFFが反転したパターンである。すなわち、図37(a)に示すパターンにおいて黒丸が存在する(ONである)画素位置は、図37(b)に示す反転パターンでは黒丸が存在しない(OFF)。同様に、図37(a)に示すパターンにおいて黒丸が存在しない(OFF)画素位置は、図37(b)に示す反転パターンでは黒丸が存在する(ON)。
図36に示すフローチャートに戻る。続くS3607において、画像形成部2107はヘッダ画像が追加されたHT画像に基づき、紙面上に画像形成を行う。これによって形成画像2400が作成される。
続くS3608において、画像取得部2108は、形成画像2400に対して撮像を行い、2次元の撮像画像データを取得する。
次のS3609において、不良判定部21067は予備吐出領域のうち、HTパターンを用いた領域に濃縮したインクに起因する不良が含まれるか否かを判断する。すなわち、該予備吐出領域より前に予備吐出が完了しているか否かを判断する。
たとえば図34に示すヘッダ画像が上述のS3606にて追加されており、さらに4つの予備吐出領域のうち、領域25032にHTパターンを用いているとする。このとき、図34に示す領域25032内の異なる2つの領域25032aと25032bとからそれぞれ得られるラインプロファイル間の差分に基づいて、判断をおこなえばよい。
具体的に、両部位の読取値を搬送方向に平均し、2本のラインプロファイルを得る。また、たとえば工場出荷時に各ノズルあるいはモジュールの変動仕様などから定めておいた閾値hを取得する。
このとき、両ラインプロファイルのx位置ごとの差分がすべて閾値h以下であれば、領域25032を形成する以前に予備吐出が完了していると判断できる。このとき、該領域に不良が含まれている可能性は低い。
一方、いずれかの差分が閾値より大きければ、領域25032を形成する以前に予備吐出が完了していないと判断できる。このとき、該領域には不良が含まれる可能性がある。
なお、各部位のラインプロファイルではなく、各部位について部位内の読取値を平均して得られる各部位の平均読取値に基づいて判断をおこなってもよい。すなわち、平均読取値間の差分が閾値より大きい場合には、予備吐出が完了していないと判断してもよい。
上述のS3609における判断の結果、予備吐出がすでに完了していると判断された場合には、S3610へと進む。
S3610では、補正テーブル作成部21065がHTパターンを用いた予備吐出領域および階調データ取得領域の読取値に基づいて補正テーブルを更新する。なお、S3610における処理の詳細については後述する。補正テーブルの更新後はS3611へと進む。
S3611において、画像処理部2106は投入された印刷ジョブが完了したか否かを判定する。印刷ジョブが完了しているとの判断がなされれば、フローは終了である。一方で、完了していないと判断した場合には、S3603へと戻り、更新後の補正テーブルを用いて補正処理をおこなったうえで、印字を継続する。
ところで、上述のS3609における判断の結果、予備吐出領域より前に予備吐出が完了していないと判断された場合にはS3612へと進む。
S1612において、不良判定部1067は階調データ取得領域25036に濃縮したインクに起因する不良が含まれるか否かを判断する。すなわち、階調データ領域より前に予備吐出が完了しているか否かを判断する。
たとえば、図34に示す階調データ取得領域内の異なる2つの領域25036aと25036bとの差分に基づいて判断すればよい。
あるいは、階調データ取得領域25036と同一インク色かつHTパターンで形成される予備吐出領域から判断することも可能である。
具体的に、図34中の予備吐出領域25032においてHTパターンで形成されるとする。このとき、不良判定部21067は該領域内の書き終わりに位置する部位25032bのラインプロファイルを取得する。
そして、部位25032bから得られるラインプロファイルと、事前に予備吐出を十分に行ったうえで、同一のインク色かつ同一の色信号値で形成したラインプロファイルとの差分を画素ごとに算出する。
このとき、差分の最大値がたとえばあらかじめ定めておいた閾値よりも小さければ、階調データ取得領域25036を形成する以前に予備吐出が完了していると判断すればよい。
すなわち、階調データ取得領域25036を形成する直前に形成される部位25032bのラインプロファイルが、十分に予備吐出をおこなったラインプロファイルと略一致しているか否かで判断すればよい。
なお、部位25032bにおいて予備吐出が完了しているならば、階調データ取得領域25036の書き始めにおいてノズル内に濃縮したインクが残存し、該領域内に濃縮インクに起因する不良が含まれる可能性は低い。
上述のS3612における判断の結果、階調データ取得領域を形成する前に予備吐出が完了していると判断した場合には、S3613へと進む。
S3613においては、補正テーブル作成部21065が階調データ取得領域から取得した読取値に基づいて補正テーブルを更新する。なお、S3613における処理の詳細については後述する。
S3613にて補正テーブルを更新した後は、S3611へと進み、印刷ジョブが完了しているか否かを判断する。
一方で、上述のS3612における判断の結果、予備吐出が事前に完了していないと判断した場合には、S3614へと進む。
S3614において、不良判定部21067は入力画像データを形成する領域に濃縮したインクに起因する不良が含まれるか否かを判断する。すなわち、入力画像データの形成領域より前に予備吐出が完了しているか否かを判断する。
具体的に図34に示すヘッダ画像2502を用いる場合には、予備吐出領域25032の書き終わりに位置する部位25036bのラインプロファイルと事前に取得しておいたラインプロファイルとの差分から判断する。
すなわち、ヘッダ画像2502の書き終わりに位置する部位25036bのラインプロファイルが、十分に予備吐出をおこなったラインプロファイルと略一致している場合には、予備吐出が完了していると判断すればよい。
S3614における判断の結果、入力画像データの形成領域より前に予備吐出が完了していると判断した場合には、S3611へと進み、印刷ジョブが完了しているか否かを判断する。
一方で、予備吐出が完了していないと判断した場合には、再印刷処理を指示する。具体的には、直近のS3607にて形成した画像データのうち、ヘッダ画像内の予備吐出をすべてベタパターンに切り替える。その後、S3607へと戻り、ベタパターンに切り替えた画像データを再度印字する。
ここまでで説明した図36に示すフローに従うことで、ユーザ画像の印刷および形成画像に基づく補正処理をおこなうことができる。
本実施形態においては、予備吐出領域および階調データ取得領域をHTパターンで形成する。このように予備吐出領域においてもHTパターンを形成することで、予備吐出領域からも階調データを取得することができる。そのため、ヘッダ画像内に吐出するインクの増加を抑制しつつ、取得できる階調データを増やすことができる。そのため、より急速にノズル特性が変化する場合でも、インク量の増加を抑制しつつ、変化に伴うムラやスジを抑制することが可能となる。
このとき、予備吐出領域および階調データ取得領域の両領域に吐出されるドット数の合計が、他のインク色の予備吐出領域に吐出するドット数と同一となるようにHTパターンを決定することが好ましい。
たとえば、図37(a),(b)に示すように、階調データ取得領域と予備吐出領域とで反転したHTパターンを形成することで、両領域を合わせた各ノズルのドット数が、他のインクの予備吐出領域で吐出するドット数と一致する。そのため、HTマトリクスの閾値に偏りがあるような場合でも、ヘッダ画像内での吐出発数を保証することができる。
このとき、より後に印字される階調データ取得領域において、予備吐出が完了しており、不良を含まない階調データを取得できる可能性が高い。そのため、階調データ取得領域に、反転パターンではなく、S3604におけるHT処理と同一の処理によって得られるパターンで形成しておくことが好ましい。
なお、上記反転パターンを用いるのではなく、色信号値の合計が255もしくは256となるように色信号値を両領域に分配してもよい。その場合、ヘッダ画像の決定(S3605)および追加(S3606)の処理は、補正処理(S3603)およびHT処理(S3604)に先立って行われる。
このとき、HT処理においてHT処理部21063は、入力画像データと同様に、上記階調データ取得領域と予備吐出領域とにHT処理をおこなう。
このように、HTパターンではなく色信号値を分配すると、予備吐出領域においても、S3604で用いるHT処理と同一のHTパターンを形成でき、より高い精度で補正できる場合がある。
特に、インク濃縮に対してインクの吐出頻度が高く、S3609にて予備吐出領域の前で予備吐出が完了していると判断されることが多い場合などには、HTパターンではなく色信号値を分配するほうが有効である場合が多い。
また、上述のように本実施形態においては、図33に示すように不良判定部21067により、予備吐出の完了、未完了を判定することが可能である。
たとえば、データ取得領域に不良がある場合には(S3612でn)補正テーブルの更新をおこなわず、濃縮インクに起因する誤差に基づいて補正テーブルを更新することを抑制可能である。
また、予備吐出領域に不良が含まれる可能性が低い場合(S3609でy)には、補正テーブルを更新において、該領域の読取値を参照することが可能である
あるいは、入力画像領域までに予備吐出が完了していないおそれがある場合(S3614でn)には、再印刷をおこなうことが可能である。さらにこのとき、予備吐出の量を増やすことも可能である。
なお、本実施形態において、S3609、もしくはS3614における判断は必須の処理ではない。すなわち、不良判定部21067はS3608で読取後、データ取得領域に予備吐出が完了しているかのみをS3612として判断してもよい。その場合、S3613へと進んで、該領域の読取値を用いて補正テーブルを更新するか、更新せずにS3611に進むかを判断するだけの構成も可能である。
このとき、上記に加えて、予備吐出領域に不良が含まれるか否かを判断してもよい。あるいは、予備吐出領域に不良が含まれるか否かは判断せず、入画像領域までに予備吐出が完了しているか否かを追加で判断してもよい。
[補正テーブルの更新処理]
以下、S3610およびS3613における補正テーブルの更新処理について説明する。
本実施形態においても、上述のS2610あるいはS3203と同様に補正テーブルの更新をおこなうことが可能である。
すなわち、上記にて図28(a),(b)を用いて説明したように、記録ヘッドやモジュールあるいはノズル毎に補正曲線2802を算出し、目標特性2803を再現するように補正後の色信号値2806を決定することが可能である。
このとき、本実施形態においてはS3608にて新たに得られた読取値に加えて、たとえば直近の5つの読取値から補正曲線2802を推測する。このように、印刷ごとに得られる読取値に基づいて補正曲線を変更する。さらには得られた新たな色信号値で補正テーブルを上書きすることで、記録ヘッドやモジュールあるいはノズルの特性が経時的に変化していたとしても、補正テーブルが更新されることで、ムラやスジの発生を抑制することができる。
このとき、S3612においては、階調データ取得領域25036から得られる読取値に基づいて補正曲線が変更される。
一方で、S3610では、階調データ取得領域25036に加えて、予備吐出領域から得られる読取値を用いて補正曲線を変更する。そのため、より特性の経時的な変化に即応した補正曲線を得ることができる。
なお、上述の補正テーブルの更新は、一部の入力色信号値に対応する値のみを更新してもよい。たとえば、入力信号値2804として「16」のみに注目し、色信号値「16」に対応する補正後の色信号値2806のみをS3610あるいはS3613で算出してもよい。
このとき、更新をおこなう色信号値は上述の階調データ取得領域25036あるいは予備吐出領域に形成するHTパターンに対応する色信号値に基づいて決定すればよい。
より具体的には、HTパターンに対応する色信号値についてのみ、補正後の色信号値を更新してもよい。
たとえば、階調データ取得領域25036を色信号値「16」かつKインクに対応するHTパターンで形成したとする。また、補正テーブルとして図24に例示するテーブルを用いるとする。
この場合において、S3613では、まずヘッドモジュール2201aに対応する補正曲線を階調データ取得領域25036から得られた読取値に基づいて算出する。
さらに、得られた補正曲線と、入力信号値2804として「16」を用い、補正後の色信号値2806を算出する。そして、得られた色信号値2806で、入力色信号「16」の行かつ2201aの列に格納された補正後の色信号「14」を上書きする。
同様に、ヘッドモジュール2201bおよび2201cに対しても、入力色信号「16」に対する補正後の色信号値を算出、上書きする。
なお、S3610においては、上記に加え、予備吐出領域のHTパターンに対応する色信号値について、更新をおこなうことが好ましい。
また、HTパターンに対応する色信号値だけではなく、その影響を受ける色信号値すべてについて更新をおこなってもよい。たとえば、補正曲線の推測に区間線形補間を用いている場合には、新たに追加された色信号値を含む区間内の色信号値について更新をおこなうようにすればよい。
[不良判定処理のバリエーション]
ところで、図35中の実線3501aは、同図中の点線3501bに比して、画素位置xごとの読取値の変動が大きく、一部の画素位置にピークを持つ。また、読取値が全体的に小さい。
これらの位置ごとの変動および読取値の平均の高低は、ノズル内で濃縮したインクに起因すると考えられる。たとえば、直近の画像形成においてノズル毎の使用頻度が異なる場合、各ノズルにて生じる濃縮の度合いが異なる。このような場合に均一なパターンを形成すると、濃縮の度合いは画像上の濃度の違いとして表れる。また、それらは読取値のラインプロファイル上では画素位置xごとの読取値の変動として取得される。
また、インクが濃縮するほど、インクに含まれる顔料や樹脂の比率が高くなり、その結果としてインクの粘性が高くなる場合がある。このような場合、ノズルに対する吐出信号に対して、液滴が吐出されず空撃ちになる場合がある。そのような空撃ちが発生すると、空撃ちしたノズルに対応するx位置に吐出されるドットの数が少なくなり、画像上に白抜けが発生する場合がある。このとき、画像上の白抜けは、読取値のラインプロファイル上では読取値に発生するピークとして取得される。
さらに、ノズル毎の使用頻度が略同一である場合でも、その頻度が低い場合には、単位発数当たりに含まれる顔料の比率が高くなり、その結果形成される画像の濃度が高くなる場合がある。このような濃度の変動は、読取値のラインプロファイル上ではラインプロファイルの平均値の変動として取得される。
ところで、図34に示すように、部位25032aは予備吐出領域25032の書き始めに位置しており、ノズル内で濃縮したインクの影響を受ける可能性が最も高い部位である。一方で、部位25032bは、予備吐出領域25032の書き終わりに位置しており、予備吐出領域25032の高さが十分であれば、インクの濃縮による影響を受けない可能性が高い。
したがって、たとえば図35中の点線3501aとして示す部位25032aに対するラインプロファイルを参照し、上述の画素位置xごとの読取値の変動やピーク、平均値の変動が一定以上であれば、該領域にインク濃縮による不良の影響が含まれると判断できる。
一方で、図35中の点線3501bとして示す部位25032bにおけるラインプロファイルを参照し、上述の画素位置xごとの読取値の変動やピーク、平均値の変動などがなければ、該領域にてリフレッシュが完了したと判断できる。
このとき、位置ごとの変動は、たとえば各ラインプロファイルから得られる分散σが、あらかじめ定めておいた閾値より大きいか否かで一定以上であるかを判断できる。また、読取値上のピークは、各ラインプロファイルからその平均値を引いた差分プロファイルを生成し、該差分プロファイル上での最大値に基づいて判断すればよい。すなわち、差分プロファイルから得られる最大値が、たとえばあらかじめ定めておいた閾値よりも大きいか否かで、ピークがあるかどうかを判断すればよい。さらに、上述の平均値の変動については、各ラインプロファイルから得られる平均値があらかじめ定めておいた範囲内であるかどうかで判断すればよい。
なお、ピークの判断においては、平均値との差分プロファイルを用いるのではなく、ラインプロファイルに対してハイパスフィルタを施して得られる高周波プロファイルの最大読取値に基づいて判定してもよい。また、閾値はあらかじめ定めておいた値ではなく、各ラインプロファイルから動的に生成することも可能である。たとえば、各ラインプロファイルの分散を算出し、その中で最も小さな値をσとしてその3倍を閾値として用いることも可能である。
なお、不良判定部21067における判定は、読取値に基づいておこなうのではなく、吐出発数に基づいておこなってもよい。すなわち、追加領域2502に加え、画像データ2501における吐出発数をノズル毎にカウント、保持しておく。そして、全てのノズルにおいて所定時間内でのカウント数が規定発数に達した場合に、リフレッシュが完了したと判定してもよい。
また、不良判定部21067における判定は、ここまでに説明したいずれかの観点のみに注目して判断をおこなってもよいし、いくつかの判定をおこなった結果に基づいて総合的に判定してもよい。
<その他の実施形態>
上述の画像読取部2108において取得される2次元の読み取り画像データの、搬送方向(y方向)の解像度は、センサの読取周波数と用紙の搬送速度とに依存する。また、得られる画像はレンズのボケやセンサのベイヤーパターンの影響を受ける。そのため、特に用紙の搬送速度が大きい場合等に、濃縮インクに起因する濃度変動ではなく、それらの影響で読取値が正確に取得できない場合がある。
そのような場合にヘッダ画像に含まれるHTパターンの読取値から、補正テーブルを更新するとかえってムラやスジを生じさせる場合があった。
このとき、画像処理部2106は補正テーブル作成部21065を備えず、経時変化を判定する経時変化判定部を備えてもよい。
その場合、ヘッダ画像2502中の各予備吐出領域には、可能な限り階調データ取得部25036までに予備吐出が完了するようにベタパターンを用いることが好ましい。
経時変化判定部は階調データ取得部25036より取得されるラインプロファイルと、経時変化が発生する前のラインプロファイルとを比較し、その差分が大きい場合に経時変化が発生したと判定する。
このとき、差分は画素ごとにおこなってもよいし、ラインプロファイルを平均して得られる平均読取値に基づいておこなってもよい。
このとき、経時変化が発生する前のラインプロファイルは、事前に取得しておいてもよいし、画像形成装置の電源が投入されたときに取得するようにしてもよい。あるいは、x位置によらず一定であるラインプロファイルを用いてもよい。
なお、経時変化判定部により各印字物2400中のヘッダ画像を常に監視しておき、経時変化していると判定された場合には、表示部2104を通じて、ユーザへとその旨を警告する。
あるいは、印字を停止するようにしてもよいし、上記センサやレンズ、搬送速度の影響に対して十分な高さを備えるキャリブレーションチャートを、ヘッダ画像ではなく、単独で取得し、該チャートの読取値に基づいて補正テーブルを更新してもよい。
なお、ここまでに説明した実施形態において記録用紙2206として、たとえば国際標準で定められたA3など寸法規格に則って裁断済みのいわゆるカット紙を用いることができる。あるいは、搬送方向に裁断されずに支持体に巻き付けられた、いわゆるロール紙を用いることも可能である。
図38は、記録用紙2206としてカット紙を用いる場合の搬送例を示す。図に示すように、単一印刷媒体2206上で入力画像2501よりも先行して印字される位置2502内に、ヘッダ画像2503が形成される。
一方で、図39は記録用紙としてロール紙を用いる場合の搬送例を示す。図に示すように、ヘッダ画像2503は入力画像2501と同一の記録媒体上に形成され、かつ入力画像2501よりも先行して印字される位置2502に追加される。
なお、ヘッダ画像2503の幅は入力画像2501と一致させる必要はない。たとえば、図40に示すように、入力画像2501の幅によらず、用紙幅に等しいヘッダ画像2503を常に追加することも可能である。
また、予備吐出領域25031~25034、ラインパターン領域25035、階調データ取得領域25036の位置関係は図25(d)および図31に示す位置に限定されない。
たとえば、図41(a)~(c)に示すように、予備吐出領域25031~25034に割り込む位置にラインパターン領域25035および階調データ取得領域25036を形成してもよい。あるいは図41(d)に示すように、階調データ取得領域25036のみを割り込ませることも可能である。
ただしいずれの場合においても、ラインパターン領域および階調データ取得領域は、両領域を形成するインク色の予備吐出領域よりも後に形成されように配置することが濃縮したインクの影響を抑制するためには好ましい。
たとえば、ラインパターン領域25035および階調データ取得領域25036を予備吐出領域25031と同一色で形成する場合には図41(a)~(c)のいずれのヘッダ画像を用いても予備吐出後の階調データを取得できる。あるいは図25(d)および図31に示すヘッダ画像を用いても取得することが可能である。
その一方で、たとえば予備吐出領域25033と同一のインク色で形成する場合には、図41(c)あるいは図25(d)および図31に示すヘッダ画像を用いることが好ましい。
このように、図41(a)~(d)に示すヘッダ画像を用いると、予備吐出の直後に階調データ取得領域が形成されるため、より濃縮されたインクの影響を排除できる。一方で、は図25(d)および図31に示すヘッダ画像では、形成するインクごとにヘッダ画像の配置を変更する必要がなく、特に読取画像から特性データを取得する処理が容易となる。
また、図25(d)および図31および図41(a)~(c)に示す例においては、ラインパターン領域25035と階調データ取得領域25036とが隣接していることから、特に用紙の搬送誤差が大きい場合に読み取り位置とノズル位置との対応を精度よく推定できるため好ましい。このとき、予備吐出領域25031~25034、ラインパターン領域25035、階調データ取得領域25036の紙面上での幅及び高さを略同一とすると、読取画像から各領域を切り出す際の処理を共通化することができるため好ましい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1…画像形成システム、11…画像処理装置11、12…画像形成装置、100…CPU、101…RAM、102…ROM、106…画像処理部、110…I/F部、107…画像形成部、108…イメージセンサ、109…メンテナンス部、111…I/F部、114…RAM、103…操作部、104…表示部、105…外部記憶装置

Claims (36)

  1. インクを吐出する複数のノズルを含む記録手段を有する記録装置における記録用の画像データを生成する画像処理装置であって、
    前記記録手段が有する各ノズルの特性に応じた特性情報を保持する保持手段と、
    前記特性情報に基づいて、入力された印刷ジョブに対応する画像データを前記記録手段で記録するための画像データに変換する変換手段と、
    前記記録手段で記録された画像を読み取って得た画像データに基づいて、複数の補正処理のいずれかを実行する制御手段とを有し、
    前記複数の補正処理には、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めて行う第1の補正処理と、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めずに行う第2の補正処理とが含まれることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第1の補正処理は、前記特性情報の更新を含む補正処理であって、
    前記第2の補正処理は、前記特性情報の更新を含まない補正処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記第1の補正処理は、前記変換手段が用いるノズルの目標特性の更新を含む補正処理であって、
    前記第2の補正処理は、前記目標特性の更新を含まない補正処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1の補正処理は、更新した前記特性情報に基づいて、前記印刷ジョブに対応する画像データを補正する補正処理であって、
    前記第2の補正処理は、前記特性情報を更新せずに、前記印刷ジョブに対応する画像データを補正する補正処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記第1の補正処理は、予め設定された補正用のチャートの前記記録手段による記録処理、及び、当該記録で記録された前記チャートの画像を読取手段により読み取って得られた画像データから、新たな特性情報を生成し、当該新たな特性情報で前記保持手段に保持された特性情報を更新する処理を含み、
    前記第2の補正処理は、前記印刷ジョブの画像データによる前記記録手段による記録処理、記録する前の画像データにより得られる目標色と前記読取手段で読み取って得た記録した後の画像データにより得られる色との色差が閾値を超えるノズル位置を特定すると共に補正係数を求める処理、及び、当該ノズルの位置と補正係数に従って前記保持手段に保持されている特性情報の一部を更新する処理を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記制御手段は、記録された画像の画質を表す評価値を算出する算出手段を有し、
    該算出手段で算出した評価値が予め設定された許容範囲外である場合に、
    前回の補正処理が前記第1の補正処理であった場合には、今回の補正処理では前記第2の補正処理を実行し、
    前回の補正処理が前記第2の補正処理であった場合には、過去の前記第1の補正処理を行った後の評価値よりも今回の評価値が低い場合には前記第1の補正処理を行い、そうでない場合は第2の補正処理を実行する
    ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記制御手段は、更に、時間、又は、印刷枚数に応じて、前記第1の補正処理、或いは前記第2の補正処理のいずれかを実行することを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記制御手段は、印刷ジョブの未印刷枚数、予測時間と共に、前記第1の補正処理を行うか否かをユーザに選択させるユーザインタフェースを表示する手段を含むことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記第1の補正処理には、第1の枚数の補正用のチャートを記録する処理と、前記第1の枚数よりも少ない第2の枚数の補正用のチャートを記録する処理が含まれることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  10. インクを吐出する複数のノズルを含む記録手段を有する記録装置における記録用の画像データを生成する画像処理方法であって、
    前記記録手段が有する各ノズルの特性に応じた特性情報に基づいて、入力された印刷ジョブに対応する画像データを前記記録手段で記録するための画像データに変換する変換工程と、
    前記記録手段で記録された画像を読み取って得た画像データに基づいて、複数の補正処理のいずれかを実行する制御工程とを有し、
    前記複数の補正処理には、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めて行う第1の補正処理と、前記印刷ジョブに応じた画像の記録を止めずに行う第2の補正処理とが含まれることを特徴とする画像処理方法。
  11. コンピュータを請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
  12. 出力画像を取得する画像取得手段と、
    前記出力画像に追加画像を追加する画像追加手段と、
    記録材を吐出するための複数のノズルを備え、記録媒体に記録材を吐出し前記追加画像が追加された出力画像を形成する画像形成手段と、
    前記形成された画像を読取画像として読み取る読取手段と、
    を備え、
    前記追加画像は前記画像形成手段の予備吐出を主目的とする予備吐出領域に加えて、該領域と同一色でHTパターンを形成するHT領域を含む
    ことを特徴とする画像形成装置。
  13. 前記HT領域は前記予備吐出領域と前記出力画像との間に形成されることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記画像生成手段は前記予備吐出領域に画像形成手段が備える各記録材それぞれについて吐出をおこない、前記HT領域はいずれかの記録材のみを吐出することを特徴とする請求項12又は13に記載の画像形成装置。
  15. 前記画像追加手段は前記HT領域を形成する色とパターンとを追加するごとに変更させることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  16. 前記HT領域と該領域と同一の記録材で形成される前記予備吐出領域とに吐出される記録材の量をノズル毎に合計した合計量は前記ノズル内で濃縮した記録材を排出するために十分と見込まれる量であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  17. 前記十分と見込まれる量とは、前記HT領域とは異なる記録材で形成される前記予備吐出領域に吐出される各記録材の量以上であることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記HT領域のノズル列方向の幅と前記予備吐出領域の同方向の幅は同一であることを特徴とする請求項12乃至17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  19. 前記HT領域の搬送方向の高さと前記予備吐出領域の同方向の高さとは同一であることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  20. 前記追加画像は位置合わせ用のパターンをさらに含むことを特徴とする請求項12乃至19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  21. 前記位置合わせ用のパターンは前記HT領域と同一の記録材で形成されるラインパターンであることを特徴とする請求項12乃至20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  22. 前記位置合わせ用のパターンと該パターンと同一の記録材で形成される前記予備吐出領域とに吐出される記録材の量をノズル毎に合計した合計量は前記ノズル内で濃縮した記録材を排出するために十分と見込まれる量であることを特徴とする請求項12乃至21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  23. 前記位置合わせ用のパターンと該パターンと同一の記録材で形成される前記HT領域と該HT領域と同一の記録材で形成される前記予備吐出領域とに吐出される記録材の量をノズル毎に合計した合計量は前記ノズル内で濃縮した記録材を排出するために十分と見込まれる量であることを特徴とする請求項12乃至22のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  24. 前記HT領域に形成されるHTパターンを前記ノズル毎に合計したノズル毎の吐出発数の差が1ドット以下であることを特徴とする請求項12乃至23のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  25. 前記HT領域に形成されるHTパターンと前記予備吐出領域に形成されるパターンとは、それぞれの反転パターンであることを特徴とする請求項12乃至24のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  26. 出力画像を取得する画像取得手段と、
    前記出力画像に追加画像を追加する画像追加手段と、
    記録材を吐出するための複数のノズルを備え、記録媒体に記録材を吐出し前記追加画像が追加された出力画像を形成する画像形成手段と、
    前記形成された画像を読取画像として読み取る読取手段と、
    前記読取画像に基づいて前記画像形成手段の特性を取得する取得手段
    を備え、
    前記追加画像は前記画像形成手段の予備吐出を主目的とする予備吐出領域に加えて、前記特性を取得することを主目的とする取得領域とを含む
    ことを特徴とする画像形成装置。
  27. 前記追加画像内で前記予備吐出領域は前記取得領域に先立って形成され、前記取得領域は前記出力画像に先立って形成されることを特徴とする請求項26に記載の画像形成装置。
  28. 前記取得領域は出力ごとに決定される色信号値に対応するHTパターンで形成されることを特徴とする請求項26又は27に記載の画像形成装置。
  29. 前記取得手段は前記取得領域から得られる読取値に基づいて前記出力画像の前記色信号に対するノズル列方向の特性を取得することを特徴とする請求項26乃至28のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  30. 前記取得手段はさらに予備吐出領域から得られる読取値にも基づいてノズル列方向の特性を取得することを特徴とする請求項29に記載の画像形成装置。
  31. 前記ノズル列方向の特性に基づいて該特性のばらつきを抑制するためのムラ補正手段を備えることを特徴とする請求項29又は30に記載の画像形成装置。
  32. 前記出力画像に対してHT処理をおこなうHT処理手段をさらに備え、前記取得領域のHTパターンは前記所定の色信号に対して、前記HT処理手段で用いるHT処理と同一の処理にて得られたHTパターンを用いることを特徴とする請求項28乃至31のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  33. 前記読取画像内の各領域において予備吐出が完了しているか否かの判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項26乃至32のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  34. 前記判定手段により前記予備吐出領域を形成する前に予備吐出が完了していると判定された場合にのみ該予備吐出領域から得られる読取値をさらに用いてノズル列方向の特性を取得することを特徴とする請求項33に記載の画像形成装置。
  35. 前記判定手段により前記取得領域を形成する前に予備吐出が完了していると判定された場合にのみノズル列方向の特性を取得することを特徴とする請求項33又は34に記載の画像形成装置。
  36. 前記取得領域から得られる特性に基づいてユーザに対して経時変化が発生していることを警告するか画像の形成を中止するか新たに補正をおこなうための専用のチャートを出力するかのいずれかをおこなうことを特徴とする請求項26乃至35のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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