JP2022027091A - 超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】物体の種別の判定精度を向上させ、車両の挙動を安定化することが可能な超音波式物体検出装置を提供すること。【解決手段】車両Cの外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、外部から到来する超音波を受信する超音波センサ10と、超音波センサ10に生成された受信信号のうち、物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、反射波の波幅に基づいて、物体の種別を判定するソナーECU20と、を備えている。【選択図】図1
Description
本開示は、超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラムに関する。
車両に搭載され、超音波を送受信することによって、車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置(ソナーとも称される)が知られている。
一般に、この種の超音波式物体検出装置においては、超音波を送信し、外部から戻って来たその反射波を受信して、当該反射波の強度と、物体の有無を判定するための閾値(以下、「物体判定閾値」と称する)とを比較することで、物体の有無を判定する(例えば、特許文献1を参照)。
この種の超音波式物体検出装置は、車両の運転支援に用いられる。例えば、車両ECUは、超音波式物体検出装置にて、車両の前方の所定距離内に障害物が存在することが検出された場合、車両の自動ブレーキを作動させ、車両を自動的に減速及び停車させる。
ところで、従来、この種の超音波式物体検出装置においては、受信波に含まれる種々の物体からの反射波のうち、反射波の反射強度をもとに、当該物体の種別を判定し、当該物体の種別を考慮して、車両の動作(例えば、自動ブレーキ)が適切に行われるようにしている。
超音波式物体検出装置は、例えば、反射波の反射強度が基準値以上の場合には、車両の前方に存在する物体が、車両の進行を妨げるような面(例えば、路面から立設する壁体)に該当すると判定する。又、超音波式物体検出装置は、反射波の反射強度が基準値未満の場合には、車両の前方に存在する物体が、車両の進行を妨げるほどの面積を有しないと推定されるので、当該物体は、路面に存在する下方物(例えば、路面に存在する縁石)もしくは、天井に存在する上方物(例えば、天井に存在する梁)に該当すると判定する。そして、車両ECUは、例えば、車両の前方に存在する物体が、車両の進行を妨げるような面を持つと判定した場合には、自動ブレーキを作動させ、車両の前方に存在する物体が、車両の進行を妨げるほどの面を有しないと判定した場合には、自動ブレーキを作動させずに搭乗者に注意喚起のみを行う。つまり、超音波式物体検出装置の物体種別の判定処理によって、自動ブレーキ等の誤作動を防止している。
しかしながら、車両が走行している実際の外部環境においては、超音波の挙動は、外乱による影響を受ける(例えば、日射の照り返しによって、空気温度に温度斑が生じて、超音波の直進性が阻害されたり、風によって、超音波が干渉を受けたりする)。そのため、超音波式物体検出装置が検出する反射波の反射強度は、物体の種別に依拠することなく、大きくばらつくことになる。その結果、物体の種別について誤判定が発生し、例えば、自動ブレーキを作動させるべき対象ではない物体(例えば、路面に存在する縁石)が検出された場合にまで、自動ブレーキを作動させてしまう等、車両の挙動を不安定にするおそれがある。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、物体の種別の判定精度を向上させ、車両の挙動を安定化することが可能な超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
前述した課題を解決する主たる本開示は、
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する超音波センサと、
前記超音波センサに生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する解析装置と、を備える超音波式物体検出装置である。
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する超音波センサと、
前記超音波センサに生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する解析装置と、を備える超音波式物体検出装置である。
又、他の局面では、
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御方法であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波高値と波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、を有する超音波式物体検出装置の制御方法である。
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御方法であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波高値と波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、を有する超音波式物体検出装置の制御方法である。
又、他の局面では、
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御プログラムであって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波高値と波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、
を有する超音波式物体検出装置の制御プログラムである。
車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御プログラムであって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波高値と波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、
を有する超音波式物体検出装置の制御プログラムである。
本開示に係る超音波式物体検出装置によれば、物体の種別の判定精度を向上させ、車両の挙動を安定化することが可能である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[超音波式物体検出装置の基本構成]
以下、図1~図3を参照して、本開示に係る超音波式物体検出装置(以下、「物体検出装置」と略称する)の基本構成の一例について説明する。
以下、図1~図3を参照して、本開示に係る超音波式物体検出装置(以下、「物体検出装置」と略称する)の基本構成の一例について説明する。
図1は、物体検出装置1の構成の一例を示す図である。図2は、物体検出装置1の車両Cへの搭載状態の一例を示す図である。
物体検出装置1は、超音波センサ10A~10H、及びソナーECU(Electronic Control Unit)20(本発明の「解析装置」に相当)を備えている。
物体検出装置1は、車両Cに搭載されている。ここでは、超音波センサ10A~10Dは、車両Cの前面に配設され、超音波センサ10E~10Hは、車両Cの後面に配設されている。超音波センサ10A~10Hは、典型的には、車両Cの外部に露出した状態で配設されている。尚、超音波センサ10A~10Hは、同様の構成を有するものとして、超音波センサ10A~10Hのいずれかを特に区別しない場合には、以下では、単に超音波センサ10と称する。
超音波センサ10とソナーECU20とは、車載ネットワーク100(例えば、CAN通信プロトコルに準拠した通信ネットワーク)を介して、必要なデータや制御信号を相互に送受信可能となっている。
車両Cには、物体検出装置1の他、車両Cの運転状態を統括制御する車両ECU40も配設されている。ソナーECU20は車載ネットワーク100を経由して、車両Cの運転状態に関する情報、特に車速の情報と進行方向の情報を受信することが出来る。そして、ソナーECU20は、車両ECU40とも通信可能に構成されている。
[超音波センサの構成]
超音波センサ10は、送受信部11、駆動回路12、受信回路13、コントローラ14、及び、温度センサ15を備えている。
超音波センサ10は、送受信部11、駆動回路12、受信回路13、コントローラ14、及び、温度センサ15を備えている。
送受信部11は、駆動回路12にて生成された駆動信号に基づいて超音波を外部に送信する。そして、送受信部11は、外部から戻って来たその反射波を受信し、反射波のエコー強度を示す信号を受信回路13に出力する。送受信部11は、例えば、電気信号と超音波を相互に変換する圧電素子によって構成されている。送受信部11から送信される送信波は、例えば、1kHz~1MHzの間の正弦波を3波~10波程度含むパルス状の超音波である。但し、送受信部11から送信する送信波は、単一周波数の超音波に限らず、所定周波数帯において特定の強度プロファイルを有する超音波であってもよい。
駆動回路12は、パルス状の駆動信号を生成し、その駆動信号を送受信部11に出力する。尚、駆動回路12は、コントローラ14(送受信制御部14a)からの送信指令に基づいて、動作制御されている。
受信回路13は、送受信部11から入力された反射波のエコー強度を示す信号に対して、増幅処理及びA/D変換処理を行い、増幅処理及びA/D変換処理を行った後の信号(以下、「受信信号」と称する)を、コントローラ14(波形メモリ14c)に出力する。
コントローラ14は、送受信制御部14a、通信部14b、波形メモリ14c、閾値メモリ14d、及び判定部14eを備えている。尚、コントローラ14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、通信インタフェイス等を有するマイコンである。
送受信制御部14aは、通信部14bを介して、ソナーECU20から動作指示信号を取得した場合に、駆動回路12及び受信回路13を動作させる。尚、送受信制御部14aは、例えば、駆動回路12に対して、駆動信号を生成するタイミング及び駆動信号のパルス幅等を指令する。
通信部14bは、車載ネットワーク100を介して、ソナーECU20と通信する。通信部14bは、例えば、ソナーECU20から送信指示信号や物体判定閾値に係る補正量を受信する。又、通信部14bは、例えば、ソナーECU20に対して、温度センサ15のセンサ値や、判定部14eにて判定された物体の有無に係る判定結果を送信する。
波形メモリ14cは、受信回路13から受信した受信信号を順次記憶する。典型的には、波形メモリ14cには、時系列の受信信号の信号強度のデータが記憶される。
閾値メモリ14dは、物体の有無を判定するための物体判定閾値を記憶する。物体判定閾値は、上記したように、物体の有無を判定するための受信信号の信号強度の基準値である。
図3は、閾値メモリ14dに記憶された物体判定閾値、及び、波形メモリ14cに記憶された受信信号の一例を示す図である。図3の横軸は、送受信部11にて超音波を送信してから、その反射波を受信するまでの時間を表し、縦軸は、受信信号の信号強度[dB]又は物体判定閾値の信号強度[dB]を表している。図3において、グラフL1は外気温度が所定温度(例えば、30℃)のときの物体判定閾値、グラフL1aは受信信号の信号強度の時間的変化の一例を表している。
閾値メモリ14dに記憶された物体判定閾値は、図3に示すように、送受信部11にて超音波を送信してからその反射波を受信するまでの時間が長くなるほど、小さくなっている。これは、送受信部11にて超音波を送信してからその反射波を受信するまでの時間が長いほど、超音波センサ10から物体までの距離が遠いことになり、距離が遠いほど、超音波の減衰が大きくなるからである。
判定部14eは、閾値メモリ14dに記憶された物体判定閾値と、波形メモリ14cに記憶された受信信号の信号強度とを比較して、受信信号の信号強度が物体判定閾値以上の場合には、物体が存在するものと判定し、受信信号の信号強度が物体判定閾値未満の場合には、物体が存在しないものと判定する。そして、判定部14eは、物体が検出された場合、当該物体に係る情報を、ソナーECU20に送信する。
このとき、判定部14eは、物体が存在するものと判定した場合、その受信タイミング(送受信部11が超音波を送信してから、物体判定閾値以上の反射波を受信するまでの時間差)に基づいて、車両Cから物体までの距離を算出してもよい。尚、送受信部11が超音波を送信してから物体判定閾値以上の反射波を受信するまでの時間差に対して、音速を乗じた値の1/2が、超音波センサ10から物体までの距離である。
尚、本実施形態に係る物体検出装置1においては、超音波センサ10にて、物体の存在を検出し、ソナーECU20にて、当該物体の種別の判定を行う構成となっている。そのため、閾値メモリ14dに記憶された物体判定閾値は、比較的小さい値に設定されている。そして、超音波センサ10は、何らかの物体が検出された場合、当該物体の種別によらず(即ち、当該物体が、車両Cを、自動ブレーキを作動させるべき対象か否かによらず)、ソナーECU20に対して、物体が検出された旨を通知する。
温度センサ15は、超音波センサ10に内蔵されている温度検出部であり、車両Cの周囲、より詳細には送受信部11の周囲の雰囲気温度(即ち、外気温度)を検出する。
[ソナーECUの構成]
ソナーECU20は、超音波センサ10にて検出された物体の種別を判定する。尚、ソナーECU20は、通信部14bを介して、超音波センサ10から、受信信号の信号強度の時間的変化に係るデータ等を取得している。
ソナーECU20は、超音波センサ10にて検出された物体の種別を判定する。尚、ソナーECU20は、通信部14bを介して、超音波センサ10から、受信信号の信号強度の時間的変化に係るデータ等を取得している。
ソナーECU20は、超音波センサ10に生成された受信信号のうち、物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、当該反射波の波高値と波幅とに基づいて、超音波センサ10にて検出された物体の種別を判定する。より詳細には、ソナーECU20は、物体から到来する反射波の波高値と波幅とに基づいて、超音波センサ10にて検出された物体が、車両の進行を妨げるような面を持つか否かを判別する。
ソナーECU20にてかかる判定処理を行うのは、当該物体が、車両Cの自動ブレーキを作動させる対象であるか否かを判定するためである。つまり、超音波センサ10にて検出された物体が、車両の進行を妨げるような面を持つ場合、車両Cの自動ブレーキを作動させる必要があるが、一方、超音波センサ10にて検出された物体が、車両の進行を妨げるほどの面を有しない場合、車両Cを乗り上げさせることに特に問題はないため、車両Cの自動ブレーキを作動させる必要はない。
尚、車両Cの周囲には、複数の物体が存在する場合もあるが、ソナーECU20は、受信信号の信号強度の時間的変化から、当該複数の物体それぞれからの反射波成分を分離し得るように構成されている。本開示において、単に「物体」と称する場合、一種類の独立した物体(例えば、路面から立設する壁体、又は路面に存在する縁石等)を意味している。
ここで、図4~図7を参照して、各種別の物体からの反射波の特性を調査するために行った実験の結果について、説明する。尚、ここでは、車両の進行を妨げるほどの面を有しない物体については、代表例として、路面に存在する縁石を対象として実験を行った。
図4は、物体に対して、複数回に亘ってパルス状の超音波を送信した際に得られた反射波の波形データである。図4の各プロットが、一回の送信波に対して得られた反射波の波形データを示している。図4において、黒丸のプロットは壁体からの反射波の波形データを表し、白丸のプロットは縁石からの反射波の波形データを表している。図4では、各送信波を送信したときの物体検出装置1と物体との間の距離を横軸に取って、反射波の波高値(縦軸)を示している。
一般に、壁体は、縁石等の下方物に比較して、超音波に対する反射面の面積が大きいため、壁体からの反射波の波高値は、縁石等の下方物からの反射波の波高値と比較して、大きくなる傾向にある。そのため、従来技術では、物体と物体検出装置1との間の距離(即ち、反射波の減衰率)に応じた基準値を設定して、反射波の波高値のみから、物体が、車両Cの自動ブレーキを作動させる対象(ここでは、車両の進行を妨げるような面を持つ)であるか否かを判定する構成を取っている。
しかしながら、実際には、反射波の波高値(即ち、反射強度)は、同一の対象物からの反射波であっても、図4に示すように、外乱の影響により、大きく変動する。図4では、複数のプロットにおいて、縁石からの反射波が、壁体からの反射波と同程度の波高値を持つものとして検出されている。このように、従来技術のように、反射波の波高値のみから、物体の種別を判定する手法には限界があることが分かる。
そこで、本願の発明者らは、かかる問題点について鋭意検討し、反射波の波高値に加えて、反射波の波幅を考慮することで、物体の種別の判定精度を向上し得る、という知見を得た。具体的には、壁体は、面の集合体として超音波を反射するため、壁体からの反射波は、波幅が広がる一方、縁石からの反射波は、縁石と路面との交点からの反射であるため、縁石からの反射波は、波幅が狭くなると推定される。かかる観点から、本実施形態に係る物体の種別の判定処理では、この反射波の波幅データを活用する。
図5A、図5Bは、物体から超音波センサ10に到来する反射波の波形の一例を示す図である。図5Aは、路面に存在する縁石から超音波センサ10に到来する反射波の波形を表し、図5Bは、路面から立設する壁体から超音波センサ10に到来する反射波の波形を表している。図5A、図5Bにおいて、t1が反射波の波幅を表し、h1が反射波の波高値を表す。尚、反射波の波幅は、例えば、送信周波数に対応する正弦波を含む波形であって、時間的に連続する波形が観察される範囲である。
図5A、図5Bでは、超音波センサ10から送信される送信波が正弦波を3波程度含むパルス状の超音波である場合における、物体から超音波センサ10に到来する反射波を示している。
このとき、縁石から超音波センサ10に到来する反射波は、縁石と路面との交点一点からの反射波とみなすことができる。そのため、超音波センサ10においては、送信波の波数と同数分の波数を含む反射波が検出される(図5A)。
一方、壁体から超音波センサ10に到来する反射波は、面からの反射波とみなすことができる。そのため、壁体の面の位置に応じて、超音波センサ10と反射点との距離が異なり、超音波センサ10においては、送信波の波数よりも多くの波数を含む反射波が検出される。その結果、壁体から超音波センサ10に到来する反射波の波幅は、縁石から到来する反射波の波幅よりも拡がることになる(図5B)。
図6は、図4で得られた反射波の波形データ(各プロット)を波形解析し、反射波の波高値(横軸)と反射波の波幅(縦軸)との2軸で整理したグラフである。図6において、黒丸のプロットは壁体からの反射波の波形データを表し、白丸のプロットは縁石からの反射波の波形データを表している。
図6に示すように、送信波を反射する物体が縁石の場合には、反射波の波形データは、波高値が小さく且つ波幅が小さい領域に集中した分布となる(R1領域)。一方、送信波を反射する物体が壁体の場合には、反射波の波形データは、波高値が比較的大きく且つ波幅が大きい領域に集中した分布となる(R2領域)。
これより、反射波の波形データが、R1領域に該当するか、又は、R2領域に該当するかを判別することで、超音波センサ10にて検出された物体の種別を判別可能であることが分かる。特に、複数回の送信波それぞれに対する反射波の波形の波高値及び波幅の分布をプロットすることで、物体の種別をより正確に判定可能であることが分かる。
物体の種別に依拠した反射波の波形データの相違は、図6の波幅が小さいR1領域と波幅が大きいR2領域の差が示すように、反射波の波幅に着目しても良いが、反射波の波高値と波幅との比に着目すると、より顕著に表れる。
図7は、図4で得られた反射波の波形データ(各プロット)を波形解析した結果を、反射波の波高値を横軸に、反射波の波幅に対する波高値の比率(=波高値/波幅)を縦軸に取って、整理したグラフである。
図7を参照すると、壁体から超音波センサ10に到来する反射波は、反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値以上の領域に集中的に分布し、縁石から超音波センサ10に到来する反射波は、反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値未満の領域に集中的に分布していることが分かる。このことから、反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値以上であるか否かによって、物体が車両の進行を妨げるような面を持つか否かを正確に判別し得ることが分かる。
かかる観点から、ソナーECU20は、例えば、反射波の波幅に対する波高値の比率を算出し、反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値以上の場合、物体が車両の進行を妨げるほどの面を有しない(例えば、路面に存在する下方物である)と判定し、反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値未満の場合、物体が車両の進行を妨げるような面を持つ(例えば、路面から立設する壁体である)と判定する。
又、この際、ソナーECU20は、例えば、超音波センサ10から送信波を複数回送信させ、各送信波に対して物体から到来する反射波を抽出し、反射波の波形の波高値及び波幅(例えば、反射波の波幅に対する波高値の比率)の分布に基づいて、物体の種別を判定する。この際、ソナーECU20は、複数の反射波の波形データが連続して、車両の進行を妨げるような面を持つか否かを判定してもよい。
図8は、ソナーECU20の動作の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、例えば、ソナーECU20が、超音波センサ10にて物体が検出される毎に、実行する処理である。
ステップS1において、まず、ソナーECU20は、超音波センサ10に生成された受信信号のうち、物体からの反射波に係る受信信号を抽出する。
ステップS2において、ソナーECU20は、超音波センサ10から送信された複数回(例えば、数十回程度)の送信波それぞれについて、物体からの反射波の波高値及び波幅を特定し、これらの反射波データの分布を求める。ここでは、ソナーECU20は、物体からの反射波の波幅に対する波高値の比率の分布を求める。
ステップS3において、ソナーECU20は、物体からの反射波の波幅に対する波高値の比率の分布に基づいて、物体の種別を判定する。このとき、ソナーECU20は、例えば、物体からの反射波の波幅に対する波高値の比率の分布のうち、物体からの反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値以上である点数と、物体からの反射波の波幅に対する波高値の比率が基準値未満である点数とを比較して、当該分布が、物体が車両の進行を妨げるような面を持つか否かを判定する。なお、図6で示した様に波幅のみに着目して、いずれの分布に属するかを判定してもよい。
このようにして、ソナーECU20は、超音波センサ10にて検出された物体の種別を判定し、物体の種別に係る判定結果を、車両ECU40に対して送信する。そして、車両ECU40は、車両Cの走行方向に進行を妨げるような面を持つと判定された場合には、車両Cに自動ブレーキを作動させる。一方、車両ECU40は、車両Cの走行方向に検出された物体が、進行を妨げるほどの面を有しないと判定された場合には、車両Cのインジケータに注意喚起表示等のみを行って、車両Cに自動ブレーキ作動させる処理を行わない。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る物体検出装置1は、
車両Cの外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、外部から到来する超音波を受信する超音波センサ10と、
超音波センサ10に生成された受信信号のうち、物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、反射波の波高値と波幅とに基づいて、物体の種別を判定するソナーECU20と、を備えている。
以上のように、本実施形態に係る物体検出装置1は、
車両Cの外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、外部から到来する超音波を受信する超音波センサ10と、
超音波センサ10に生成された受信信号のうち、物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、反射波の波高値と波幅とに基づいて、物体の種別を判定するソナーECU20と、を備えている。
従って、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、車両Cの周囲に存在する物体の種別(特に、車両の進行を妨げるような面を持つか否か)を正確に判定することが可能である。これによって、例えば、車両の自動ブレーキを適切に動作させることが可能であり、車両の挙動を安定化することができる。
特に、本実施形態に係るソナーECU20は、物体の種別を判定する際、反射波の波幅と波高値との比(例えば、反射波の波幅に対する波高値の比率)を用いる。又、本実施形態に係るソナーECU20は、物体の種別を判定する際、超音波センサ10から送信波が複数回送信された際の各送信波に対する反射波の波形の波高値及び波幅の分布のデータを用いる。
これによって、超音波センサ10に検出された物体が、車両の進行を妨げるような面を持つか否かを、より正確に、判定することが可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
上記実施形態では、ソナーECU20の物体種別の判定処理の一例として、反射波の波幅に対する波高値の比率を用いる手法を示した。しかしながら、本発明においては、ソナーECU20は、かかる手法に代えて、反射波の波幅と、反射波の波高値と、を別個の変数として扱って、物体の種別を判定してもよい。
又、上記実施形態では、物体検出装置1の構成の一例として、物体検出を行う機能を有する超音波センサ10と、物体の種別の判定を行うソナーECU20と、により構成された態様を示した。しかしながら、本発明に係る物体検出装置1は、超音波の送受信を行う機能のみを備える超音波センサ10と、物体検出及び物体種別の判定を行うソナーECU20と、で構成されてもよい。
又、上記実施形態では、ソナーECU20の各機能を、CPUによる処理によって実現する態様を示した。しかしながら、本発明においては、ソナーECU20の各機能の一部又は全部は、CPUによる処理に代えて、又は、これと共に、DSP(Digital Signal Processor)や、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC又はFPGA)による処理によって実現されてもよい。又、ソナーECU20の機能は、車両ECU40によって実現されてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本開示に係る超音波式物体検出装置によれば、物体の種別の判定精度を向上させ、車両の挙動を安定化することが可能である。
C 車両
1 超音波式物体検出装置
10 超音波センサ
11 送受信部
12 駆動回路
13 受信回路
14 コントローラ
14a 送受信制御部
14b 通信部
14c 波形メモリ
14d 閾値メモリ
14e 判定部
15 温度センサ
20 ソナーECU(解析装置)
40 車両ECU
100 車載ネットワーク
1 超音波式物体検出装置
10 超音波センサ
11 送受信部
12 駆動回路
13 受信回路
14 コントローラ
14a 送受信制御部
14b 通信部
14c 波形メモリ
14d 閾値メモリ
14e 判定部
15 温度センサ
20 ソナーECU(解析装置)
40 車両ECU
100 車載ネットワーク
Claims (8)
- 車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する超音波センサと、
前記超音波センサに生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する解析装置と、
を備える超音波式物体検出装置。 - 前記解析装置は、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別が、車両の進行を妨げるような面を持つか否かを判別する、
請求項1に記載の超音波式物体検出装置。 - 前記反射波の波幅および波高値に基づいて前記物体の種別を判定する、
請求項1に記載の超音波式物体検出装置。 - 前記解析装置は、前記反射波の波高値と波幅との比に基づいて、前記物体の種別を判定する、
請求項3に記載の超音波式物体検出装置。 - 前記解析装置は、前記超音波センサから送信波が複数回送信された際に、各送信波に対して前記物体から到来する前記反射波を抽出し、前記反射波の波高値及び波幅の分布に基づいて、前記物体の種別を判定する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超音波式物体検出装置。 - 前記車両は、前記物体の種別に基づいて、ブレーキ動作の態様を変更する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波式物体検出装置。 - 車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御方法であって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、
を有する超音波式物体検出装置の制御方法。 - 車両に搭載され、前記車両の周囲に存在する物体を検出する超音波式物体検出装置の制御プログラムであって、
前記車両の外部に対してパルス状の超音波を送信すると共に、前記外部から到来する超音波を受信する第1処理と、
前記第1処理で生成された受信信号のうち、前記物体から到来する反射波に係る受信信号を抽出し、前記反射波の波幅に基づいて、前記物体の種別を判定する第2処理と、
を有する超音波式物体検出装置の制御プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020130884A JP2022027091A (ja) | 2020-07-31 | 2020-07-31 | 超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020130884A JP2022027091A (ja) | 2020-07-31 | 2020-07-31 | 超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022027091A true JP2022027091A (ja) | 2022-02-10 |
Family
ID=80263811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020130884A Pending JP2022027091A (ja) | 2020-07-31 | 2020-07-31 | 超音波式物体検出装置、超音波式物体検出装置の制御方法、及び、超音波式物体検出装置の制御プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022027091A (ja) |
-
2020
- 2020-07-31 JP JP2020130884A patent/JP2022027091A/ja active Pending
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