JP2022023780A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

冷凍サイクル装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022023780A
JP2022023780A JP2021069023A JP2021069023A JP2022023780A JP 2022023780 A JP2022023780 A JP 2022023780A JP 2021069023 A JP2021069023 A JP 2021069023A JP 2021069023 A JP2021069023 A JP 2021069023A JP 2022023780 A JP2022023780 A JP 2022023780A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
evaporator
heat medium
compressor
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021069023A
Other languages
English (en)
Inventor
紘明 河野
Hiroaki Kono
吉毅 加藤
Yoshitake Kato
功嗣 三浦
Koji Miura
直也 牧本
Naoya Makimoto
徹 岡村
Toru Okamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to PCT/JP2021/025951 priority Critical patent/WO2022024721A1/ja
Publication of JP2022023780A publication Critical patent/JP2022023780A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】複数の蒸発器を有する冷凍サイクル装置に関し、蒸発器における冷凍機油の滞留と、圧縮機に対する液バックを抑制すると共に、複数の蒸発器を有効に活用できる冷凍サイクル装置を提供する。【解決手段】冷凍サイクル装置10は、圧縮機11と、熱媒体冷媒熱交換器12と、分岐部13aと、第1膨張弁14aと、室内蒸発器15と、蒸発圧力調整弁17と、第2膨張弁14bと、チラー16と、合流部13bと、制御装置70を有する。判定部70bは、室内蒸発器15及びチラー16に冷媒を流通させると共に、室内蒸発器15を流通する冷媒流量を、冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以上とする運転モードにて、液バック条件を満たすか否かを判定する。減圧制御部70cは、液バック条件を満たすと判定された場合、圧縮機11から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、チラー16の流出口における冷媒圧力を下げるように第2膨張弁14bを制御する。【選択図】図4

Description

本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
従来、冷凍サイクル装置では、圧縮機を保護するために、冷媒に含まれている冷凍機油が熱交換器の内部にて滞留することを抑制している。熱交換器に冷凍機油が滞留すると、サイクルを実質的に循環する冷凍機油の量が減少して、圧縮機の焼きつき等が生じることが考えられる。この点に関して、特許文献1では、特定対象と熱交換を行う蒸発器を流通する冷媒流量を、少なくとも冷凍機油の滞留を抑制できる程度に確保することで、圧縮機の保護を図っている。
特開2019-129087号公報
ここで、特許文献1において、特許文献1のように熱交換器を流通する冷媒流量に条件を付加した場合、蒸発器における冷却負荷と冷媒流量とのバランスがとれず、冷媒流量が冷却負荷に対して過剰になる場合が想定される。この場合、蒸発器で蒸発しきれなかった液相冷媒が圧縮機へ流入する液バックが生じ、液圧縮等の圧縮機の故障要因になると考えられる。この点に鑑みて、蒸発器の冷却負荷に対応するように、時間平均としての冷媒流量を調整する為に、圧縮機の断続運転等のように作動を制御することも考えられる。
一方で、冷凍サイクル装置として複数の蒸発器を有する構成が存在している。ここで、複数の蒸発器のうち、一方の蒸発器における冷凍機油の滞留と、一方の蒸発器からの圧縮機への液バックを抑制する方法として、圧縮機の作動を制御した場合について考察する。この場合、一方の蒸発器の冷凍機油の滞留等の為に圧縮機の作動を制御すると、他方の蒸発器に対する冷媒流量も変化してしまい、他方の蒸発器における冷却性能に影響が及んでしまう。
本開示は、上記点に鑑み、複数の蒸発器を有する冷凍サイクル装置に関し、蒸発器における冷凍機油の滞留と、圧縮機に対する液バックを抑制すると共に、複数の蒸発器を有効に活用できる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本開示の第1態様に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機(11)と、凝縮器(12)と、分岐部(13a)と、第1減圧部(14a)と、第1蒸発器(15)と、を有する。更に、冷凍サイクル装置は、第2減圧部(14b)と、第2蒸発器(16)と、合流部(13b)と、制御部(70)と、を有する。
圧縮機は冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する。凝縮器は圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる。分岐部は凝縮器から流出した冷媒を分岐させる。第1減圧部は分岐部における流出口の一方から流出した冷媒を減圧させる。第1蒸発器は第1減圧部から流出した冷媒を蒸発させる。
第2減圧部は分岐部における流出口の他方から流出した冷媒を減圧させる。第2蒸発器は第2減圧部から流出した冷媒を蒸発させる。合流部は第1蒸発器から流出した冷媒と、第2蒸発器から流出した冷媒を合流させて、圧縮機へ導く。制御部は第1減圧部及び第2減圧部の作動を制御する。
そして、制御部は、判定部(70b)と、減圧制御部(70c)と、を有する。判定部は、第1蒸発器及び第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、第1蒸発器を流通する冷媒流量を、冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以上とする運転モードにおいて、液バック条件を満たすか否かを判定する。液バック条件は、圧縮機に対して液相冷媒が流入する液バックに関する条件である。減圧制御部は、判定部にて液バック条件を満たすと判定された場合に、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げるように、第2減圧部の作動を制御する。
冷凍サイクル装置は、判定部にて液バック条件を満たすと判定された場合に、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げる。これにより、冷凍サイクル装置は、第1蒸発器及び第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、第1蒸発器を流通する冷媒流量を基準流量以上とする為、第1蒸発器における冷凍機油の滞留を抑制することができる。
同時に、冷凍サイクル装置は、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げることで、合流部における冷媒の乾き度を上昇させることができる。従って、冷凍サイクル装置によれば、圧縮機に吸入される冷媒の状態を気相よりにすることができるので、圧縮機に対する液バックの発生を抑制することができる。
又、モリエル線図において、等エントロピー線の傾きは、圧力が低い程小さな値を示す。この為、冷凍サイクル装置は、合流部における冷媒圧力を低下させることで、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有する状態にして、圧縮機から気相冷媒を吐出させることができ、圧縮機における液圧縮など、液バックに起因した故障を防止することができる。
この結果、冷凍サイクル装置は、第1蒸発器、第2蒸発器を有する構成において、第1蒸発器における冷凍機油の滞留と、圧縮機に対する液バックに起因する故障を抑制すると共に、第1蒸発器、第2蒸発器を充分に活用することができる。
又、本開示の第2態様に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機(11)と、凝縮器(12)と、分岐部(13a)と、第1減圧部(14a)と、第1蒸発器(15)と、を有する。更に、冷凍サイクル装置は、第2減圧部(14b)と、第2蒸発器(16)と、合流部(13b)と、制御部(70)と、を有する。
圧縮機は冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する。凝縮器は圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる。分岐部は凝縮器から流出した冷媒を分岐させる。第1減圧部は分岐部における流出口の一方から流出した冷媒を減圧させる。第1蒸発器は第1減圧部から流出した冷媒を蒸発させる。
第2減圧部は分岐部における流出口の他方から流出した冷媒を減圧させる。第2蒸発器は第2減圧部から流出した冷媒を蒸発させる。合流部は第1蒸発器から流出した冷媒と、第2蒸発器から流出した冷媒を合流させて、圧縮機へ導く。制御部は圧縮機の作動を制御する。
そして、制御部は、判定部(70b)と、吐出能力制御部(70d)と、を有する。判定部は、第1蒸発器及び第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、第1蒸発器を流通する冷媒流量を、冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以上とする運転モードにおいて、液バック条件を満たすか否かを判定する。液バック条件は、圧縮機に対して液相冷媒が流入する液バックに関する条件である。吐出能力制御部は、判定部にて液バック条件を満たすと判定された場合に、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げるように、圧縮機の作動を制御する。
冷凍サイクル装置は、判定部にて液バック条件を満たすと判定された場合に、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げるように、圧縮機の作動を制御する。これにより、冷凍サイクル装置は、第1蒸発器及び第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、第1蒸発器を流通する冷媒流量を基準流量以上とする為、第1蒸発器における冷凍機油の滞留を抑制することができる。
同時に、冷凍サイクル装置は、第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げることで、合流部における冷媒の乾き度を上昇させることができる。従って、冷凍サイクル装置によれば、圧縮機に吸入される冷媒の状態を気相よりにすることができるので、圧縮機に対する液バックの発生を抑制することができる。
又、モリエル線図において、等エントロピー線の傾きは、圧力が低い程小さな値を示す。この為、冷凍サイクル装置は、合流部における冷媒圧力を低下させることで、圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有する状態にして、圧縮機から気相冷媒を吐出させることができ、圧縮機における液圧縮など、液バックに起因した故障を防止することができる。
この結果、冷凍サイクル装置は、第1蒸発器、第2蒸発器を有する構成において、第1蒸発器における冷凍機油の滞留と、圧縮機に対する液バックに起因する故障を抑制すると共に、第1蒸発器、第2蒸発器を充分に活用することができる。
尚、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る冷凍サイクル装置を含む車両用空調装置の構成図である。 第1実施形態に係る室内空調ユニットの構成図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御系を示すブロック図である。 第1実施形態に係る液バックを抑制する為の制御処理のフローチャートである。 第1実施形態における液バック条件を満たすか否かを判定する為の制御テーブルの一例を示す説明図である。 液バック条件を満たすか否かの判定基準の一例に関する説明図である。 液バック条件を満たす場合におけるモリエル線図の一例である。 液バック抑制制御を実行している場合のモリエル線図の一例である。 第1実施形態における液バック抑制制御の目標低圧圧力を決定する為の制御テーブルの一例を示す説明図である。 第2実施形態における液バック抑制制御の目標過熱度を決定する為の制御テーブルの一例を示す説明図である。 第3実施形態における液バック抑制制御の圧縮機の最低回転数を決定する為の制御テーブルの一例を示す説明図である。 冷凍サイクル装置の構成に関する第1変形例である。 冷凍サイクル装置の構成に関する第2変形例である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
先ず、本開示における第1実施形態について、図1~図3を参照して説明する。第1実施形態では、本開示に係る車両用空調装置1を、車両走行用の駆動力を走行用電動モータから得る電気自動車に適用している。車両用空調装置1は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調や、バッテリ42等を含む機器の温度調整を行う。そして、車両用空調装置1は、車室内の空調を行う運転モードとして、冷房モードと、暖房モードと、除湿暖房モードとを切り替えることができる。
尚、車両用空調装置1における冷凍サイクル装置10では、冷媒として、HFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒として、R1234yf等を採用することも可能である。冷媒には、圧縮機11を潤滑する為の冷凍機油が混入されている。冷凍機油としては、液相冷媒に相溶性を有するPAGオイル(ポリアルキレングリコールオイル)が採用されている。冷凍機油の一部は、冷媒と共にサイクルを循環している。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の具体的構成について、図1を参照して説明する。車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10と、高温側熱媒体回路20と、低温側熱媒体回路40と、機器用熱媒体回路50と、室内空調ユニット60と、制御装置70を有している。
初めに、車両用空調装置1における冷凍サイクル装置10の構成について説明する。冷凍サイクル装置10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置である。圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11は車両ボンネット内に配置されている。
圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する制御装置70から出力される制御信号によって、回転数(即ち、冷媒吐出能力)が制御される。
そして、圧縮機11の吐出口には、熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路の入口側が接続されている。熱媒体冷媒熱交換器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が有する熱を高温側熱媒体回路20の熱媒体に放熱して加熱する熱交換器である。
熱媒体冷媒熱交換器12は、所謂、サブクール型の凝縮器によって構成されており、凝縮部12aと、レシーバ部12bと、過冷却部12cを有している。凝縮部12aは、高圧冷媒と、高温側熱媒体回路20の熱媒体とを熱交換させて冷媒を凝縮させる熱交換部である。レシーバ部12bは、凝縮部12aから流出した液相冷媒を蓄える受液部である。過冷却部12cは、レシーバ部12bから流出した液相冷媒と、高温側熱媒体回路20の熱媒体とを熱交換させて液相冷媒を過冷却する熱交換部である。
これにより、所謂レシーバサイクルを構成することができ、凝縮部12aにて凝縮させた高圧液相冷媒をサイクルの余剰冷媒としてレシーバ部12bに蓄えることができる。従って、室内蒸発器15から流出する冷媒を、過熱度を有する気相冷媒となるまで蒸発させることができる。更に、過冷却部12cにて冷媒を過冷却させることで、室内蒸発器15の出口側冷媒のエンタルピと入口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差を拡大させることができる。
尚、熱媒体冷媒熱交換器12は、凝縮器の一例に相当する。そして、高温側熱媒体回路20における熱媒体としては、エチレングリコールを含む溶液、不凍液等を採用することができる。
熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路の出口には、分岐部13aの冷媒流入口側が接続されている。分岐部13aは、熱媒体冷媒熱交換器12から流出した液相冷媒の流れを分岐するものである。分岐部13aは、互いに連通する3つの冷媒流入出口を有する三方継手構造となるように形成されている。分岐部13aでは、3つの流入出口の内の1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としている。
分岐部13aの一方の冷媒流出口には、第1膨張弁14aを介して、室内蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。分岐部13aの他方の冷媒流出口には、第2膨張弁14bを介して、チラー16の冷媒入口側が接続されている。
第1膨張弁14aは、少なくとも冷房モード時において、分岐部13aの一方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる減圧部であり、第1減圧部の一例に相当する。第1膨張弁14aは、電気式の可変絞り機構であり、弁体と電動アクチュエータとを有している。即ち、第1膨張弁14aは、いわゆる電気式膨張弁によって構成されている。
第1膨張弁14aの弁体は、冷媒通路の通路開度(換言すれば絞り開度)を変更可能に構成されている。電動アクチュエータは、弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータを有している。第1膨張弁14aは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
又、第1膨張弁14aは、絞り開度を全開した際に冷媒通路を全開する全開機能と、絞り開度を全閉した際に冷媒通路を閉塞する全閉機能を有する可変絞り機構で構成されている。つまり、第1膨張弁14aは、冷媒通路を全開にすることで冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができる。
そして、第1膨張弁14aは、冷媒通路を閉塞することで、室内蒸発器15に対する冷媒の流入を遮断することができる。即ち、第1膨張弁14aは、冷媒を減圧させる減圧部としての機能と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部としての機能を兼ね備えている。
第1膨張弁14aの出口には、室内蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器15は、少なくとも冷房モード時に、第1膨張弁14aにて減圧された低圧冷媒と送風空気Wとを熱交換させて低圧冷媒を蒸発させ、送風空気Wを冷却する蒸発器である。室内蒸発器15は、第1蒸発器の一例に相当する。図1、図2に示すように、室内蒸発器15は、室内空調ユニット60のケーシング61内に配置されている。
図1に示すように、分岐部13aにおける他方の冷媒流出口には、第2膨張弁14bが接続されている。第2膨張弁14bは、少なくとも暖房モード時において、分岐部13aの他方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる減圧部であり、第2減圧部の一例に相当する。
第2膨張弁14bは、第1膨張弁14aと同様に、電気式の可変絞り機構であり、弁体と電動アクチュエータとを有している。即ち、第2膨張弁14bは、いわゆる電気式膨張弁によって構成されており、全開機能と全閉機能を有している。
つまり、第2膨張弁14bは、冷媒通路を全開にすることで冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができる。又、第2膨張弁14bは、冷媒通路を閉塞することで、チラー16に対する冷媒の流入を遮断することができる。即ち、第2膨張弁14bは、冷媒を減圧させる減圧部としての機能と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部としての機能とを兼ね備えている。
第2膨張弁14bの出口には、チラー16の冷媒入口側が接続されている。チラー16は、第2膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒と、低温側熱媒体回路40を循環する熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。チラー16は第2蒸発器の一例に相当する。
チラー16は、第2膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒を流通させる冷媒通路と、低温側熱媒体回路40を循環する熱媒体を流通させる熱媒体通路とを有している。従って、チラー16は、冷媒通路を流通する低圧冷媒と熱媒体通路を流通する熱媒体との熱交換によって、低圧冷媒を蒸発させて熱媒体から吸熱する吸熱器である。
そして、室内蒸発器15の冷媒出口には、蒸発圧力調整弁17の入口側が接続されている。蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器15における冷媒蒸発圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する蒸発圧力調整部である。蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器15の出口側の冷媒圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構によって構成されている。
尚、蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器15における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器15の着霜を抑制可能な基準温度(本実施形態では、1℃)以上に維持するように構成されている。
蒸発圧力調整弁17の出口には、合流部13bの他方の冷媒入口側が接続されている。図1に示すように、チラー16の冷媒出口側には、合流部13bの一方の冷媒入口側が接続されている。
合流部13bは、分岐部13aと同様の三方継手構造のもので、3つの流入出口のうち2つを冷媒入口とし、残りの1つを冷媒出口としたものである。合流部13bは、蒸発圧力調整弁17から流出した冷媒の流れとチラー16から流出した冷媒の流れとを合流させる。そして、合流部13bの冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、車両用空調装置1における高温側熱媒体回路20の構成について説明する。高温側熱媒体回路20は熱媒体を循環させる熱媒体回路である。高温側熱媒体回路20における熱媒体としては、エチレングリコールを含む溶液、不凍液等を採用することができる。
高温側熱媒体回路20には、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路、ラジエータ21、ヒータコア22、電気ヒータ26、高温側ポンプ27、第1リザーブタンク28、第2リザーブタンク29、回路切替部30等が配置されている。
ラジエータ21は、熱媒体冷媒熱交換器12等で加熱された熱媒体と図示しない外気ファンから送風された外気OAを熱交換させて、熱媒体の有する熱を外気OAに放熱させる熱交換器である。
そして、ラジエータ21は、車両ボンネット内の前方側に配置されている。上述した外気ファンの作動に伴って、外気OAは、車両前方側から後方へ流れ、ラジエータ21の熱交換部を通過する。又、車両走行時には、車両前方側から後方に向かってラジエータ21に走行風を当てることができる。
ヒータコア22は、熱媒体冷媒熱交換器12等で加熱された熱媒体と室内蒸発器15を通過した送風空気Wとを熱交換させて、送風空気Wを加熱する熱交換器である。図1、図2に示すように、ヒータコア22は、室内空調ユニット60のケーシング61内に配置されている。
図1に示すように、高温側熱媒体回路20では、ラジエータ21とヒータコア22は、高温側熱媒体回路20における熱媒体の流れに対して並列に接続されている。即ち、高温側熱媒体回路20は、ラジエータ21を介して循環する熱媒体と、ヒータコア22を介して循環する熱媒体の何れもが共通して流れる共通流路23を有している。
共通流路23は、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路を含んで構成されている。そして、共通流路23の一端部側には、熱媒体分岐部24が配置されている。熱媒体分岐部24は、互いに連通する3つの流入出口を有する三方継手構造となるように形成されている。熱媒体分岐部24では、3つの流入出口の内の1つを流入口とし、残りの2つを流出口としている。
熱媒体分岐部24における熱媒体入口側には、共通流路23の一端部が接続されている。そして、熱媒体分岐部24における一方の出口側には、第1電磁弁30a、第2リザーブタンク29を介して、ラジエータ21の入口側が接続されている。
熱媒体分岐部24における他方の出口側には、第2電磁弁30bを介して、ヒータコア22の入口側が接続されている。即ち、熱媒体分岐部24は、共通流路23の端部において、熱媒体の流れをラジエータ21側へ向かう流れとヒータコア22側へ向かう流れに分岐させる。
そして、共通流路23の他端部側には、熱媒体合流部25が配置されている。熱媒体合流部25は、熱媒体分岐部24と同様の三方継手構造となるように構成されており、3つの流入出口の内の1つを流出口とし、残りの2つを流入口としている。
熱媒体合流部25における一方の入口側には、ラジエータ21の出口側が接続されている。そして、熱媒体合流部25における他方の入口側には、ヒータコア22における出口側が接続されている。そして、熱媒体合流部25における出口側には、共通流路23の他端部が接続されている。
従って、高温側熱媒体回路20において、共通流路23は、ラジエータ21から流出した熱媒体とヒータコア22から流出した熱媒体が流入可能に接続されている。共通流路23において、熱媒体合流部25は、熱媒体の流れの最も上流側に位置する。そして、熱媒体分岐部24は、共通流路23における熱媒体の流れの最も下流側に位置する。
図1に示すように、共通流路23には、熱媒体冷媒熱交換器12に加えて、電気ヒータ26、高温側ポンプ27、第1リザーブタンク28が配置されている。電気ヒータ26は、電力を供給されることによって発熱して共通流路23を流れる熱媒体を加熱する加熱装置である。
電気ヒータ26としては、例えば、PTC素子(即ち、正特性サーミスタ)を有するPTCヒータを用いることができる。電気ヒータ26は、制御装置70から出力される制御電圧によって、熱媒体を加熱する為の熱量を任意に調整することができる。
そして、電気ヒータ26は、共通流路23における熱媒体の流れに関して、熱媒体分岐部24の上流側に配置されている。具体的には、電気ヒータ26における熱媒体通路の入口は、熱媒体冷媒熱交換器12における熱媒体通路の出口側に接続されている。電気ヒータ26における熱媒体通路の出口側は、熱媒体分岐部24の入口側に接続されている。つまり、電気ヒータ26は、共通流路23において、熱媒体冷媒熱交換器12と熱媒体分岐部24の間に配置されている。
高温側ポンプ27は、高温側熱媒体回路20における熱媒体を循環させる為に圧送する熱媒体ポンプである。高温側ポンプ27は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
図1に示すように、高温側ポンプ27の吸込口は、第1リザーブタンク28を介して、熱媒体合流部25の出口側に接続されている。高温側ポンプ27の吐出口は、熱媒体冷媒熱交換器12における熱媒体通路の入口側に接続されている。従って、高温側ポンプ27は、共通流路23において、熱媒体の流れに関して熱媒体冷媒熱交換器12の上流側に配置されている。
第1リザーブタンク28は、余剰の熱媒体を貯留する熱媒体貯留部である。第1リザーブタンク28に余剰の熱媒体を貯留しておくことによって、熱媒体回路を循環する熱媒体の液量の低下を抑制することができる。又、第1リザーブタンク28は、熱媒体回路内の熱媒体の量が不足した際に、熱媒体を供給する為の熱媒体供給口として機能する。
このように高温側熱媒体回路20の共通流路23では、熱媒体の流れに従って、熱媒体合流部25、第1リザーブタンク28、高温側ポンプ27、熱媒体冷媒熱交換器12、電気ヒータ26、熱媒体分岐部24の順に配置されている。
第2リザーブタンク29は、余剰の熱媒体を貯留する熱媒体貯留部であり、ラジエータ21の入口側に配置されている。第2リザーブタンク29も、熱媒体回路内の熱媒体の量が不足した際に、熱媒体を供給する為の熱媒体供給口として機能する。
図1に示すように、高温側熱媒体回路20は、熱媒体分岐部24において、ラジエータ21側へ流れる熱媒体の流量と、ヒータコア22側へ流れる熱媒体の流量とを制御する為の回路切替部30を有している。具体的に、回路切替部30は、第1電磁弁30aと、第2電磁弁30bによって構成されている。
第1電磁弁30aは、熱媒体流路の開度を調整可能に構成された電磁弁であり、熱媒体分岐部24における一方の出口に接続されている。第1電磁弁30aは、全閉機能及び全開機能を有している。
第2電磁弁30bは、第1電磁弁30aと同様に、熱媒体流路の開度を調整可能に構成された電磁弁であり、熱媒体分岐部24における他方の出口に配置されている。そして、第2電磁弁30bは、全閉機能及び全閉機能を有している。
従って、回路切替部30は、第2電磁弁30bを全閉とした場合には、熱媒体分岐部24を通過した熱媒体をラジエータ21に流入させることができる。そして、回路切替部30は、第1電磁弁30aを全閉とした場合には、熱媒体分岐部24を通過した熱媒体をヒータコア22に流入させることができる。つまり、回路切替部30は、高温側熱媒体回路20の回路構成を切り替えることができる。
そして、車両用空調装置1において、ラジエータ21の前方側には、シャッター装置31が配置されている。シャッター装置31は、枠状のフレームの開口部に、複数のブレードを回転可能に配置して構成されている。複数のブレードは、図示しない電動アクチュエータの作動によって連動して回転し、フレームの開口部における開口面積を調整する。これにより、シャッター装置31は、ラジエータ21の熱交換部を通過する外気OAの流量を調整することができるので、ラジエータ21の熱交換能力を調整することができる。
このように構成された高温側熱媒体回路20は、回路切替部30の制御によって、熱媒体の流れを切り替えることができる。第2電磁弁30bを全閉にした場合には、熱媒体合流部25、第1リザーブタンク28、高温側ポンプ27、熱媒体冷媒熱交換器12、電気ヒータ26、第1電磁弁30a、第2リザーブタンク29、ラジエータ21、熱媒体合流部25の順で熱媒体が循環する。この場合、高温側熱媒体回路20の熱媒体の有する熱を外気OAに放熱したり、着霜したラジエータ21を熱媒体の熱によって除霜したりすることが可能となる。
一方、第1電磁弁30aを全閉にした場合には、熱媒体合流部25、第1リザーブタンク28、高温側ポンプ27、熱媒体冷媒熱交換器12、電気ヒータ26、第2電磁弁30b、ヒータコア22、熱媒体合流部25の順で、熱媒体が循環する。この場合、高温側熱媒体回路20の熱媒体が有する熱を用いて、ヒータコア22にて、送風空気Wを加熱することができ、車室内の暖房を実現することができる。
続いて、車両用空調装置1における低温側熱媒体回路40の構成について説明する。低温側熱媒体回路40は熱媒体を循環させる熱媒体回路である。低温側熱媒体回路40の熱媒体としては、高温側熱媒体回路20と同様の流体を採用できる。
低温側熱媒体回路40には、チラー16の熱媒体通路、低温側ポンプ41、バッテリ42、充電器43、低温側三方弁44等が配置されている。チラー16における熱媒体通路の入口には、低温側ポンプ41の吐出口側が接続されている。低温側ポンプ41は、低温側熱媒体回路40の熱媒体をチラー16の熱媒体通路の入口側へ圧送する熱媒体ポンプである。低温側ポンプ41の基本的構成は、高温側ポンプ27と同様である。
チラー16における熱媒体通路の出口には、低温側三方弁44の流入出口の1つが接続されている。低温側三方弁44は、3つの流入出口を有する電気式の三方流量調整弁によって構成されている。
低温側三方弁44の別の流入出口には、バッテリ42における熱媒体通路の入口側が接続されている。バッテリ42は、車両の各種電気機器に電力を供給するものであり、例えば、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)が採用される。バッテリ42の熱媒体通路は、バッテリ42のカバーに形成されており、熱媒体を通過させることで、バッテリ42の温度調整を行って、予め定められた温度範囲内にバッテリ42の温度を保つことができる。
そして、バッテリ42の熱媒体通路の出口側には、充電器43における熱媒体通路の入口側が接続されている。充電器43は、バッテリ42に電力を充電する充電器である。充電器43は、バッテリ42の充電の際に発熱する為、低温側熱媒体回路40の熱媒体によって、充電器43を冷却することができる。
充電器43における熱媒体通路の出口側は、低温側ポンプ41の吸込口に接続されている。従って、低温側熱媒体回路40は、低温側ポンプ41のよって、熱媒体を循環させることができる。
図1に示すように、低温側三方弁44のさらに別の流入出口は、ラジエータ21の出口と熱媒体合流部25とを接続する熱媒体配管に接続されている。又、充電器43における熱媒体通路の出口は、第1電磁弁30aの出口と第2リザーブタンク29の入口とを接続する熱媒体配管と接続されている。即ち、第1実施形態に係る低温側熱媒体回路40は、バッテリ42及び充電器43と、ラジエータ21及び第2リザーブタンク29とを、並列に接続している。
この為、低温側熱媒体回路40は、低温側三方弁44の作動を制御することで、低温側熱媒体回路40における熱媒体の流れを切り替えることができる。例えば、低温側三方弁44は、チラー16側の流入出口とバッテリ42側の流入出口とを連通させると共に、残りの流入出口を閉塞させることができる。
この場合、低温側熱媒体回路40における熱媒体は、低温側ポンプ41、チラー16、低温側三方弁44、バッテリ42、充電器43、低温側ポンプ41の順に流れて、低温側熱媒体回路40を循環する。この態様によれば、チラー16で冷却された熱媒体を、バッテリ42及び充電器43に供給することができるので、バッテリ42及び充電器43を冷却することができる。
又、低温側三方弁44は、3つの流入出口を相互に連通させることができる。この態様によれば、低温側熱媒体回路40における熱媒体は、低温側ポンプ41、チラー16、低温側三方弁44の順に流れ、低温側三方弁44で分岐して流れる。熱媒体の流れにおける一方は、低温側三方弁44、バッテリ42、充電器43の順に流れ、他方は、低温側三方弁44、ラジエータ21、第2リザーブタンク29の順に流れる。
そして、充電器43から流出した熱媒体と、第2リザーブタンク29から流出した熱媒体は、合流して低温側ポンプ41の吸込口へ到達する。この場合、低温側熱媒体回路40は、バッテリ42及び充電器43の冷却と、ラジエータ21における外気OAとの熱交換を並行して実現することができる。
車両用空調装置1は、低温側熱媒体回路40を利用することで、バッテリ42及び充電器43の冷却や温度調整を行うことができる。又、車両用空調装置1は、ラジエータ21を利用することで、外気OAを熱源として利用したり、外気OAに放熱したりすることができる。
次に、車両用空調装置1における機器用熱媒体回路50の構成について説明する。機器用熱媒体回路50は熱媒体を循環させる熱媒体回路である。機器用熱媒体回路50の熱媒体としては、上述した高温側熱媒体回路20等と同様の流体を採用できる。
機器用熱媒体回路50には、車載機器51の熱媒体通路、機器用ポンプ52、機器用三方弁53等が配置されている。車載機器51は、電気自動車に搭載され、作動時に発熱する機器によって構成されている。車載機器51には、例えば、インバータ、モータジェネレータ、トランスアクスル装置等が含まれる。
インバータは、直流電流を交流電流に変換する電力変換部である。そして、モータジェネレータは、電力を供給されることによって走行用の駆動力を出力すると共に、減速時等には回生電力を発生させるものである。又、トランスアクスル装置は、トランスミッションとファイナルギア・ディファレンシャルギア(デフギア)を一体化した装置である。車載機器51における熱媒体通路は、機器用熱媒体回路50の熱媒体を流通させることで、それぞれの機器を冷却できるように形成されている。
そして、車載機器51における熱媒体通路の入口側には、機器用ポンプ52の吐出口が接続されている。機器用ポンプ52は、機器用熱媒体回路50の熱媒体を車載機器51の熱媒体通路の入口側へ圧送する熱媒体ポンプである。機器用ポンプ52の基本的構成は、高温側ポンプ27等と同様である。
図1に示すように、機器用ポンプ52の吸込口は、第1電磁弁30aの出口と第2リザーブタンク29の入口とを接続する熱媒体配管と接続されている。より具体的には、低温側ポンプ41の吸込口から伸びる熱媒体配管との接続部分と、第2リザーブタンク29の入口との間にて、機器用ポンプ52から伸びる熱媒体配管が接続されている。
そして、車載機器51における熱媒体通路の出口側には、機器用三方弁53の流入出口の1つが接続されている。機器用三方弁53は、3つの流入出口を有する電気式の三方流量調整弁によって構成されている。
機器用三方弁53における別の流入出口は、ラジエータ21の出口と熱媒体合流部25とを接続する熱媒体配管に接続されている。より具体的には、ラジエータ21の出口と、低温側三方弁44から伸びる熱媒体配管との接続部分との間にて、機器用三方弁53から伸びる熱媒体配管が接続されている。
従って、機器用熱媒体回路50によれば、車載機器51を通過した熱媒体をラジエータ21に供給することができ、車載機器51から吸熱した熱を、熱媒体を介して、外気OAへ放熱することもできる。
ここで、機器用三方弁53のさらに別の流入出口は、バイパス流路54が接続されている。バイパス流路54は、熱媒体の流れに関して、ラジエータ21及び第2リザーブタンク29を迂回させる為の熱媒体流路である。バイパス流路54の他端側は、機器用ポンプ52の吸込口側に接続されている。
従って、機器用熱媒体回路50は、機器用三方弁53の作動を制御することで、機器用熱媒体回路50における熱媒体の流れを切り替えることができる。例えば、機器用三方弁53は、車載機器51側の流入出口とバイパス流路54側の流入出口を連通させ、残りの流入出口を閉塞させることができる。この場合、機器用熱媒体回路50の熱媒体は、機器用ポンプ52、車載機器51、機器用三方弁53、バイパス流路54、機器用ポンプ52の順に流れて循環する。
又、機器用三方弁53は、バイパス流路54側の流入出口を閉塞して、残りの2つの流入出口を連通させることができる。この場合、機器用熱媒体回路50の熱媒体の流れは、機器用ポンプ52、車載機器51、機器用三方弁53、ラジエータ21、第2リザーブタンク29、機器用ポンプ52の順に流れて循環する。
この態様によれば、車載機器51から吸熱した熱媒体をラジエータ21に供給することができるので、車載機器51で生じた熱を外気OAに放熱することができる。つまり、車両用空調装置1は、機器用熱媒体回路50を利用することで、車載機器51の冷却や温度調整を行うことができる。
次に、車両用空調装置1を構成する室内空調ユニット60について、図2を参照して説明する。室内空調ユニット60は、車両用空調装置1において、冷凍サイクル装置10によって温度調整された送風空気Wを車室内の適切な箇所へ吹き出す為のユニットである。室内空調ユニット60は、車室内最前部の計器盤(即ち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット60は、その外殻を形成するケーシング61の内部に形成される空気通路に、送風機62、室内蒸発器15、ヒータコア22等を収容している。ケーシング61は、車室内に送風される送風空気Wの空気通路を形成している。ケーシング61は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(具体的には、ポリプロピレン)にて成形されている。
図2に示すように、ケーシング61の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置63が配置されている。内外気切替装置63は、ケーシング61内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。
内外気切替装置63は、ケーシング61内へ内気を導入させる内気導入口及び外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の導入風量と外気の導入風量との導入割合を変化させる。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置63の送風空気流れ下流側には、送風機62が配置されている。送風機62は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機によって構成されている。送風機62は、内外気切替装置63を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。送風機62は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、送風能力)が制御される。
送風機62の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器15及びヒータコア22が、送風空気の流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器15は、ヒータコア22よりも送風空気流れ上流側に配置されている。
又、ケーシング61内には、冷風バイパス通路65が形成されている。冷風バイパス通路65は、室内蒸発器15を通過した送風空気Wを、ヒータコア22を迂回させて下流側へ流す空気通路である。
室内蒸発器15の送風空気流れ下流側であって、かつ、ヒータコア22の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア64が配置されている。エアミックスドア64は、室内蒸発器15を通過後の送風空気Wのうち、ヒータコア22を通過させる風量と冷風バイパス通路65を通過させる風量との風量割合を調整するものである。
エアミックスドア64は、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置70から出力される制御信号により、その作動が制御される。
ヒータコア22の送風空気流れ下流側には、混合空間66が設けられている。混合空間66では、ヒータコア22にて加熱された送風空気Wと冷風バイパス通路65を通過してヒータコア22にて加熱されていない送風空気Wとが混合される。
更に、ケーシング61の送風空気流れ最下流部には、混合空間66にて混合された送風空気(空調風)を車室内へ吹き出す開口穴が配置されている。この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。
フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
従って、エアミックスドア64が、ヒータコア22を通過させる風量と冷風バイパス通路65を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間66にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度も調整される。
そして、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、それぞれ、フェイスドア、フットドア、デフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。フェイスドアは、フェイス開口穴の開口面積を調整する。フットドアは、フット開口穴の開口面積を調整する。デフロスタドアは、デフロスタ開口穴の開口面積を調整する。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、空調風が吹き出される吹出口を切り替える吹出モード切替装置を構成する。フェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。この電動アクチュエータは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の制御系について、図3を参照して説明する。制御装置70は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。
そして、制御装置70は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。制御装置70は制御部の一例に相当する。
制御対象機器には、圧縮機11と、第1膨張弁14aと、第2膨張弁14bと、電気ヒータ26と、高温側ポンプ27と、第1電磁弁30aと、第2電磁弁30bと、シャッター装置31が含まれている。更に、制御対象機器には、低温側ポンプ41と、低温側三方弁44と、機器用ポンプ52と、機器用三方弁53と、送風機62等が含まれている。
図3に示すように、制御装置70の入力側には、空調制御用のセンサ群が接続されている。空調制御用のセンサ群は、内気温センサ72a、外気温センサ72b、日射センサ72c、高圧センサ72d、チラー側圧力センサ72e、蒸発器温度センサ72f、合流部温度センサ72g、空調風温度センサ72h、バッテリ温度センサ72iを含んでいる。制御装置70には、これらの空調制御用のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温センサ72aは、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ72bは、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ72cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。
高圧センサ72dは、圧縮機11の吐出口側から第1膨張弁14a或いは第2膨張弁14bの入口側へ至る冷媒流路の高圧冷媒温度を検出する冷媒温度検出部である。高圧センサ72dは、熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路における出口側に配置されており、熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出する冷媒の温度を検出する。高圧センサ72dは高圧側温度検出部の一例に相当する。チラー側圧力センサ72eは、チラー16の冷媒流路における流出口側の冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出部である。チラー側圧力センサ72eは冷媒圧力検出部の一例に相当する。
蒸発器温度センサ72fは、室内蒸発器15における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。又、合流部温度センサ72gは、冷凍サイクル装置10の合流部13bにおける冷媒温度を検出する冷媒温度検出部である。空調風温度センサ72hは、車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
バッテリ温度センサ72iは、バッテリ温度TB(すなわち、バッテリ42の温度)を検出するバッテリ温度検出部である。バッテリ温度センサ72iは、複数の温度センサを有し、バッテリ42の複数の箇所の温度を検出している。このため、制御装置70では、バッテリ42の各部の温度差を検出することもできる。バッテリ温度TBとしては、複数の温度センサの検出値の平均値を採用している。
そして、制御装置70の入力側には、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路40、機器用熱媒体回路50の各熱媒体回路における熱媒体の温度を検出する為に、複数の熱媒体温度センサが接続されている。複数の熱媒体温度センサには、第1熱媒体温度センサ73a~第5熱媒体温度センサ73eが含まれている。
第1熱媒体温度センサ73aは、共通流路23が接続された熱媒体分岐部24の入口部分に配置されており、共通流路23から流出する熱媒体の温度を検出する。第2熱媒体温度センサ73bは、ラジエータ21の入口部分に配置されており、ラジエータ21を通過する熱媒体の温度を検出する。第3熱媒体温度センサ73cは、ヒータコア22の入口部分に配置されており、ヒータコア22を通過する熱媒体の温度を検出する。
第4熱媒体温度センサ73dは、チラー16における熱媒体通路の出口部分に配置されており、チラー16から流出する熱媒体の温度を検出する。第5熱媒体温度センサ73eは、車載機器51における熱媒体通路の出口部分に配置されており、車載機器51の熱媒体通路から流出する熱媒体の温度を検出する。
車両用空調装置1は、第1熱媒体温度センサ73a~第5熱媒体温度センサ73eの検出結果を参照して、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路40、機器用熱媒体回路50における熱媒体の流れを切り替える。これにより、車両用空調装置1は、熱媒体を用いて、車両における熱を管理することができる。
更に、制御装置70の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル71が接続されている。操作パネル71には、複数の操作スイッチが配置されている。従って、制御装置70には、この複数の操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル71における各種操作スイッチとしては、オートスイッチ、冷房スイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ等がある。
オートスイッチは、車両用空調装置1の自動制御運転を設定或いは解除する際に操作される。冷房スイッチは、車室内の冷房を行うことを要求する際に操作される。風量設定スイッチは、送風機62の風量をマニュアル設定する際に操作される。そして、温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetを設定する際に操作される。
尚、制御装置70では、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されているが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェア及びソフトウェア)がそれぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。例えば、制御装置70のうち、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒を循環させる運転モード(例えば、冷房冷却モード)を行う場合に、冷凍機油の滞留を抑制する為の作動を制御する構成は、滞留抑制制御部70aである。
又、制御装置70のうち、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒を循環させる運転モードにて、圧縮機11に対する冷媒の液バックに関する判定を行う構成は、判定部70bである。そして、制御装置70のうち、圧縮機11に対する冷媒の液バックを抑制する為に、第2膨張弁14bの作動を制御する構成は、減圧制御部70cである。又、制御装置70のうち、圧縮機11に対する冷媒の液バックを抑制する為に、圧縮機11の冷媒吐出能力(即ち、回転数)を制御する構成は、吐出能力制御部70dである。
続いて、第1実施形態における車両用空調装置1の作動について説明する。上述したように、第1実施形態に係る車両用空調装置1では、複数の運転モードから適宜運転モードを切り替えることができる。これらの運転モードの切り替えは、制御装置70に予め記憶された制御プログラムが実行されることによって行われる。
より具体的には、制御プログラムでは、空調制御用のセンサ群によって検出された検出信号および操作パネル71から出力される操作信号に基づいて、車室内へ送風させる送風空気の目標吹出温度TAOを算出する。そして、目標吹出温度TAOおよび検出信号に基づいて、車室内空調に関する運転モードを切り替える。
又、熱媒体温度センサ群やバッテリ温度TBの検出信号に基づいて、バッテリ42や車載機器51に対する温度調整に関する運転モードを決定している。バッテリ42の冷却を実行するか否かについては、例えば、バッテリ温度TBが閾値を超えた否かに基づいて定められ、バッテリ温度TBが閾値を超えた場合には、バッテリ42を冷却する運転モードに切り替えられる。
従って、車両用空調装置1における複数の運転モードは、車室内空調に関する運転モードと、バッテリ42の冷却に関する運転モードの組み合わせによって構成される。複数の運転モードには、暖房モード、冷房モード、除湿暖房モード、暖房冷却モード、冷房冷却モード、除湿暖房冷却モードが含まれている。
暖房モードは、バッテリ42の冷却を実行することなく、車室内へ送風される送風空気をヒータコア22で加熱して車室内へ供給する運転モードである。又、冷房モードは、バッテリ42の冷却を実行することなく、送風空気を室内蒸発器15で冷却して車室内へ供給する運転モードである。そして、除湿暖房モードは、バッテリ42の冷却を実行することなく、室内蒸発器15で除湿された送風空気を、ヒータコア22で加熱して車室内へ供給する運転モードである。
更に、暖房冷却モードは、バッテリ42の冷却を実行すると共に、送風空気をヒータコア22で加熱して車室内へ供給する運転モードである。又、冷房冷却モードは、バッテリ42の冷却を実行すると共に、送風空気を室内蒸発器15で冷却して車室内へ供給する運転モードである。そして、除湿暖房冷却モードは、バッテリ42の冷却を実行すると共に、室内蒸発器15で除湿された送風空気を、ヒータコア22で加熱して車室内へ供給する運転モードである。
そして、第1実施形態における複数の運転モードにおいて、室内蒸発器15及びチラー16の両者に対して冷媒を流通させる運転モードとしては、冷却冷房モードと、除湿暖房冷却モードが存在している。以下の説明では、室内蒸発器15及びチラー16の両者に対して冷媒を流通させる運転モードの具体例として、冷房冷却モードの動作について詳細に説明する。
冷房冷却モードでは、制御装置70が、第1膨張弁14a、第2膨張弁14bをそれぞれ所定の絞り開度で開く。従って、冷房冷却モードの冷凍サイクル装置10において、冷媒は、先ず、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、分岐部13aまで流れる。
そして、分岐部13aの一方側から流出した冷媒は、第1膨張弁14a、室内蒸発器15、蒸発圧力調整弁17へ流れ、分岐部13aの他方側から流出した冷媒は、第2膨張弁14b、チラー16へ流れる。蒸発圧力調整弁17から流出した冷媒及びチラー16から流出した冷媒は合流部13bにて合流した後、圧縮機11の順で流れて循環する。
つまり、冷房冷却モードでは、室内蒸発器15へ冷媒を流入させ、送風空気Wを冷却すると共に、チラー16へ冷媒を流入させ、低温側熱媒体回路40の熱媒体を冷却する冷媒回路に切り替えられる。
そして、このサイクル構成で、制御装置70は、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、制御装置70は、蒸発器温度センサ72fによって検出された冷媒蒸発温度Tefinが目標蒸発温度TEOとなるように圧縮機11の作動を制御する。目標蒸発温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置70に記憶された冷房冷却モード用の制御マップを参照して決定される。
具体的には、この制御マップでは、空調風温度センサ72hによって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように、目標吹出温度TAOの上昇に伴って目標蒸発温度TEOを上昇させる。さらに、目標蒸発温度TEOは、室内蒸発器15の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。
そして、制御装置70は、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置70に記憶された制御マップを参照して送風機62の制御電圧(送風能力)を決定する。具体的には、この制御マップでは、目標吹出温度TAOの極低温域(最大冷房域)及び極高温域(最大暖房域)で送風機62の送風量を最大とし、中間温度域に近づくに伴って送風量を減少させる。又、制御装置70は、冷風バイパス通路65を全開としてヒータコア22側の通風路を閉塞するように、エアミックスドア64の作動を制御する。
高温側熱媒体回路20について、制御装置70は、予め定めた冷房冷却モード時の水圧送能力を発揮するように、高温側ポンプ27の作動を制御する。又、制御装置70は、回路切替部30において、第1電磁弁30aを全開状態にすると共に、第2電磁弁30bを全閉状態にするように制御する。
これにより、高温側熱媒体回路20の熱媒体は、高温側ポンプ27、熱媒体冷媒熱交換器12、電気ヒータ26、熱媒体分岐部24、第1電磁弁30a、第2リザーブタンク29、ラジエータ21、熱媒体合流部25、高温側ポンプ27の順に循環する。
そして、低温側熱媒体回路40については、制御装置70は、冷房冷却モード時の水圧送能力を発揮するように、低温側ポンプ41の作動を制御する。又、制御装置70は、低温側三方弁44の作動を制御して、チラー16側の流入出口とバッテリ42側の流入出口とを連通させると共に、残りの流入出口を閉塞させる。これにより、低温側熱媒体回路40における熱媒体は、低温側ポンプ41、チラー16、低温側三方弁44、バッテリ42、充電器43、低温側ポンプ41の順に循環する。
機器用熱媒体回路50では、制御装置70は、予め定めた冷房冷却モード時の水圧送能力を発揮するように、機器用ポンプ52の作動を制御する。又、制御装置70は、機器用三方弁53の作動を制御して、車載機器51側の流入出口とバイパス流路54側の流入出口とを連通させると共に、残りの流入出口を閉塞させる。これにより、機器用熱媒体回路50における熱媒体は、機器用ポンプ52、車載機器51、機器用三方弁53、バイパス流路54、機器用ポンプ52の順で循環する。
このように、冷房冷却モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、熱媒体冷媒熱交換器12へ流入する。熱媒体冷媒熱交換器12では、高温側ポンプ27が作動しているので、高圧冷媒と高温側熱媒体回路20の熱媒体が熱交換して、高圧冷媒が冷却されて凝縮し、熱媒体が加熱される。
そして、高温側熱媒体回路20では、熱媒体冷媒熱交換器12にて加熱された熱媒体が、熱媒体分岐部24及び第1電磁弁30aを介して、ラジエータ21へ流入する。ラジエータ21へ流入した熱媒体は、外気OAと熱交換して放熱する。これにより、高温側熱媒体回路20の熱媒体が冷却される。ラジエータ21にて冷却された熱媒体は、高温側ポンプ27に吸入されて再び熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ圧送される。
一方、熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路にて冷却された高圧冷媒は、分岐部13aを介して、第1膨張弁14aへ流入して減圧される。第1膨張弁14aの絞り開度は、基本的には、室内蒸発器15の出口側の冷媒の過熱度が概ね3℃となるように調整される。
但し、第1膨張弁14aの絞り開度の最小値は、第1膨張弁14aで減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器15内における冷凍機油の滞留を抑制するために制限されている。第1膨張弁14aの絞り開度の最小値を制限することによって、室内蒸発器15を流通する冷媒流量を、冷凍機油の滞留を抑制可能な基準流量以上に確保している。
第1膨張弁14aで減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器15へ流入する。室内蒸発器15へ流入した冷媒は、送風機62から送風された送風空気Wから吸熱して蒸発し、送風空気Wを冷却する。室内蒸発器15から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁17にて適切に減圧され、合流部13bを介して、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、冷房冷却モードでは、室内蒸発器15にて冷却された送風空気Wを車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
そして、分岐部13aの他方から流出した高圧冷媒は、第2膨張弁14bへ流入して減圧される。第2膨張弁14bの絞り開度は、通常、チラー16の冷媒通路における出口側の冷媒の過熱度が目標過熱度に近づくように定められる。
第2膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒は、チラー16に流入して、チラー16の熱媒体通路を流れる熱媒体から吸熱して蒸発する。これにより、低温側熱媒体回路40の熱媒体が冷却される。チラー16から流出した低圧冷媒は、合流部13bを介して、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
ここで、低温側熱媒体回路40では、チラー16にて冷却された熱媒体が、低温側三方弁44を介して、バッテリ42、充電器43に流入する。バッテリ42、充電器43の熱媒体通路において、熱媒体は、バッテリ42及び充電器43から吸熱することで、バッテリ42及び充電器43を冷却する。充電器43から流出した熱媒体は、低温側ポンプ41に吸入されて再びチラー16の熱媒体通路へ圧送される。
つまり、車両用空調装置1によれば、送風空気Wを冷却する際に吸熱した熱、バッテリ42、充電器43の冷却に際して吸熱した熱を、チラー16によって、低温側熱媒体回路40の熱媒体から低圧冷媒に吸熱させることができる。
そして、車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10にて、チラー16、室内蒸発器15で吸熱した熱を汲み上げて、熱媒体冷媒熱交換器12で高温側熱媒体回路20の熱媒体に放熱して、熱媒体を加熱することができる。車両用空調装置1は、高温側熱媒体回路20の熱媒体が有する熱を、ラジエータ21にて外気OAへ放熱させることができる。
尚、この冷房冷却モードにおいては、高温側熱媒体回路20にて、熱媒体の有する熱を外気OAへ放熱させる構成であったが、高温側熱媒体回路20の回路構成を変更することで、除湿暖房冷却モードの回路構成を実現することができる。
具体的には、除湿暖房冷却モードの回路構成において、冷凍サイクル装置10、低温側熱媒体回路40及び機器用熱媒体回路50の回路構成は、冷房冷却モードと同様である。除湿暖房冷却モードにおける高温側熱媒体回路20について、制御装置70は、回路切替部30において、第2電磁弁30bを全開状態にすると共に、第1電磁弁30aを全閉状態にするように制御する。
これにより、高温側熱媒体回路20の熱媒体は、高温側ポンプ27、熱媒体冷媒熱交換器12、電気ヒータ26、熱媒体分岐部24、第2電磁弁30b、ヒータコア22、熱媒体合流部25、高温側ポンプ27の順に循環する。つまり、除湿暖房冷却モードでは、室内蒸発器15にて除湿された送風空気Wを、熱媒体の有する熱を熱源として、ヒータコア22で加熱して車室内に供給することができる。尚、除湿暖房冷却モードにおいては、電気ヒータ26を必要に応じて作動させても良いことは言うまでもない。
このように、車両用空調装置1の冷房冷却モードにおいて、第1膨張弁14aの絞り開度の下限値が、冷凍機油の滞留を抑制する為に制限されている。つまり、第1膨張弁14aにて調整可能な室内蒸発器15を流通する冷媒流量の最小値には限度がある。
一方、室内蒸発器15における冷却負荷は、冷却対象である送風空気Wの温度と、室内蒸発器15を通過する送風空気Wの風量によって定められる。この為、室内蒸発器15を流通する冷媒流量に対して、室内蒸発器15における冷却負荷が低すぎる場合が発生しうる。この場合、室内蒸発器15において、流入した冷媒が蒸発しきらず、液相冷媒のままで圧縮機11の吸入口に流入する液バックが生じる場合がある。液バックが生じた場合、圧縮機11における液圧縮による圧縮機構の故障等が発生することが想定される。
第1実施形態に係る車両用空調装置1では、冷房冷却モード等の際に、室内蒸発器15における冷凍機油の滞留と、液バックに起因する圧縮機11の故障との両方を抑制する為に、制御プログラムが実行される。
図4に示す制御プログラムは、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒が循環する運転モード(例えば、冷房冷却モード、除湿暖房冷却モード)であって、第1膨張弁14aの絞り開度の最小値が制限されている場合に実行される。つまり、制御装置70は、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒が循環する運転モードにおいて、室内蒸発器15に対する冷媒流量が冷凍機油の滞留を抑制可能な流量を確保している状態の場合に、図4に示す制御プログラムを実行する。
先ず、ステップS10では、液バックに起因する圧縮機11の故障が発生する可能性が高い状態を示す液バック条件を満たすか否かが判定される。第1実施形態においては、図5に示す制御マップを参照して、室内蒸発器15における冷却負荷と、制御マップに定められた基準値との比較によって、液バック条件を満たすか否かを判定する。
具体的に、ステップS10における処理内容について説明する。ステップS10では、先ず、室内蒸発器15を通過する送風空気の風量と、室内蒸発器15を通過する送風空気の温度を用いて、室内蒸発器15における冷却負荷を特定する。
室内蒸発器15を通過する送風空気の風量は、例えば、送風機62に対する制御電圧から特定することができる。又、室内蒸発器15を通過する送風空気の温度は、例えば、内気温センサ72a、外気温センサ72bの検出結果と、内外気切替装置63における内外気切替ドア用の電動アクチュエータに入力される制御信号から特定することができる。
図5に示す制御マップを制御装置70のROMから読み出して、室内蒸発器15の冷却負荷と、制御マップに定められた基準線KLとを比較することによって、液バック条件を満たすか否かの判定が行われる。
具体的には、室内蒸発器15の冷却負荷が制御マップに定められた基準線KLよりも小さい場合には、液バックによる圧縮機11の故障が生じる可能性が高いとして、液バック条件を満たすと判定する。一方、室内蒸発器15の冷却負荷が制御マップに定められた基準線KL以上である場合は、液バックによる圧縮機11の故障が生じる可能性が低いとして、液バック条件を満たさないと判定する。ステップS10を実行する際の制御装置70は判定部70bに相当する。
ここで、図5に示す制御マップの基準線KLは、冷凍サイクル装置10を循環する冷媒が液バックによる圧縮機11の故障が生じやすい状態となる場合を示すように決定されている。具体的には、基準線KLは、圧縮機11から吐出される冷媒の乾き度と、圧縮機11の内部に残存する冷凍機油の量(即ち、残存オイル量)との関係が予め定められた関係になるように定められている。残存オイル量は、圧縮機11の内部に配置されたスクロールの背面に付着する冷凍機油の量により算出される。
図6に示すように、吐出冷媒の乾き度と残存オイル量との間には、圧縮機11からの吐出冷媒の乾き度が大きくなるほど、圧縮機11の内部における残存オイル量が大きくなる関係性がある。
ここで、圧縮機11には、圧縮機11における圧縮機構の構成等の諸元等に基づいて、液バックにより圧縮機11の故障が生じやすくなる最低オイル量Volが実験的に定められている。従って、図6に示す吐出冷媒の乾き度と残存オイル量の関係性から、最低オイル量Volを確保する為に必要な吐出冷媒の乾き度として、基準値Kpを求めることができる。
つまり、第1実施形態に係る基準線KLは、吐出冷媒の乾き度が基準値Kpとなることを前提とした、室内蒸発器15に対する吸込風量と、室内蒸発器15に対する吸込空気の温度との関係を示している。
続いて、液バック条件を満たす場合における冷凍サイクル装置10のモリエル線図について、図面を参照して説明する。図7に示すモリエル線図において、点aは、圧縮機11から吐出した冷媒の状態を示しており、飽和蒸気線よりも左側に位置している。従って、点aは、圧縮機11から吐出された冷媒に液相冷媒が含まれている状態であることを示している。
点aと点bの間において、圧縮機11から吐出された高圧冷媒は、熱媒体冷媒熱交換器12にて、高温側熱媒体回路20の熱媒体に放熱して凝縮する。点bは、熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒流路における出口側から分岐部13aまでの間の冷媒の状態を示し、所定の過冷却度を有していることがわかる。
点bと点cの間において、分岐部13aの一方側から流出した冷媒が第1膨張弁14aによって減圧される。一方、点bと点eの間では、分岐部13aの他方側から流出した冷媒が第2膨張弁14bによって減圧される。
ここで、制御プログラムが実行されている場合の冷凍サイクル装置10において、第1膨張弁14aの絞り開度の下限値は、冷凍機油の滞留を抑制可能な冷媒流量となるように制限されている。一方、第2膨張弁14bの絞り開度は、チラー16の冷媒通路における出口側の冷媒の過熱度が目標過熱度に近づくように定められる。この為、第1膨張弁14aにおける減圧量は、第2膨張弁14bにおける減圧量よりも小さい。
点cから点dの間では、第1膨張弁14aから流出した冷媒は、室内蒸発器15において、送風空気Wと熱交換して蒸発する。この時、室内蒸発器15を流通する冷媒流量に対して、室内蒸発器15における冷却負荷が低い為、点dにおける冷媒は気液二相状態である。
一方、点eから点fの間では、第2膨張弁14bから流出した冷媒は、チラー16において、低温側熱媒体回路40の熱媒体から吸熱して蒸発する。チラー16から流出した冷媒は、合流部13bを介して、圧縮機11の吸込口に導かれる。
そして、点dから点fの間では、室内蒸発器15から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁17に流入して減圧される。蒸発圧力調整弁17で減圧された冷媒は、合流部13bにおいて、チラー16から流出した冷媒と合流した後、圧縮機11の吸込口に導かれる。点fは、合流部13bから圧縮機11の吸込口までの冷媒の状態を示しており、気液二相状態である。
つまり、図7に示すモリエル線図では、圧縮機11は、点fに示す気液二相状態の冷媒を吸い込んで、点aに示す気液二相状態の冷媒として吐出している。即ち、液相状態の冷媒を吸い込んで圧縮して、液相状態のまま吐出している為、冷媒の液圧縮によって、圧縮機11の圧縮機構が故障することが想定される。
ステップS10では、室内蒸発器15における冷却負荷を用いて、図7のモリエル線図における点a及び点fが気液二相状態であるか否かを判定していると換言することができる。
ステップS20に移行すると、液バック条件を満たし、液バックに起因する圧縮機11の故障が生じる可能性があると判定されている為、液バック抑制制御が実行される。液バック抑制制御は、液バックに起因する圧縮機11の故障(例えば、液圧縮による圧縮機構の故障)を抑制する為に、第2膨張弁14bの絞り開度を調整する制御である。ステップS20を実行する制御装置70は、減圧制御部70cである。
具体的に、ステップS20の液バック抑制制御では、制御装置70は、先ず、第2膨張弁14bの絞り開度の制御態様を通常の場合(後述するステップS30)と相違させている。詳細に説明すると、制御装置70は、圧縮機11の吐出口側における冷媒が過熱度を有する状態になるまで、第2膨張弁14bの絞り開度を小さくする。これにより、第2膨張弁14bにおける減圧量が増大する為、チラー16を流通する冷媒の圧力を下げることができる。
ここで、図8を参照して、液バック抑制制御を実行している場合における冷媒の状態について説明する。尚、図8における点a~点fは、上述した図7に示すモリエル線図における点a~点fと同じ状態(即ち、液バック条件を満たす状態)を示している。
上述したように、ステップS20の液バック抑制制御では、第2膨張弁14bの絞り開度を小さくして、チラー16を流通する冷媒の圧力を下げる。この為、第2膨張弁14bの冷媒出口側における冷媒の状態を示す点e1は、液バック条件判定時における第2膨張弁14bの冷媒出口側の冷媒の状態を示す点eよりも低い圧力を示す。
これにより、チラー16の冷媒流路の出口側における冷媒の状態を示す点f1は、液バック条件判定時におけるチラー16の冷媒出口側の冷媒の状態を示す点fよりも低い圧力を示す。又、液バック抑制制御にて第2膨張弁14bの絞り開度を調整すると、蒸発圧力調整弁17における減圧量が増大する。
図8における点f1は、液バック抑制制御を実行している場合の合流部13bから圧縮機11の吸入口までの冷媒の状態を示している。ここで、図7、図8に示すモリエル線図における飽和蒸気線は、低圧領域において圧力が低い程、比エンタルビが小さくなるように傾斜している。
この為、液バック抑制制御にて、チラー16の出口側における冷媒圧力を下げることによって、点f1における冷媒の乾き度を、点fにおける冷媒の乾き度よりも大きくすることができる。換言すると、液バック抑制制御にて、第2膨張弁14bの絞り開度の調整によって、チラー16の出口側の冷媒圧力を下げることによって、圧縮機11に吸入される冷媒の状態を気相寄りにすることができる。
更に、図7、図8におけるモリエル線図において、等エントロピー線の傾きは、圧力が小さくなるほど、小さくなっている。この為、液バック抑制制御において、第2膨張弁14bの絞り開度を下げることによって、圧縮機11から吐出される冷媒の比エンタルビを増加させて、過熱度を有する状態にすることができる。
つまり、液バック抑制制御を実行することで、図8に示すモリエル線図にて、圧縮機11から吐出される冷媒の状態を、点aから点a1に変更することができ、圧縮機11から吐出される冷媒を、過熱蒸気の状態に調整することができる。圧縮機11の吐出口における冷媒が過熱蒸気となっているので、圧縮機11にて液圧縮が生じる可能性を低くすることができる。
換言すると、液バック抑制制御にて、圧縮機11から吐出される冷媒が過熱蒸気の状態になるように調整することによって、液バックに起因する圧縮機11の故障を抑制することができる。
又、ステップS20の液バック抑制制御では、室内蒸発器15の冷却負荷に応じて定められた目標低圧圧力Ploと、チラー側圧力センサ72eにより検出される検出結果の差を用いて、第2膨張弁14bの絞り開度が調整される。
具体的には、制御装置70は、室内蒸発器15における冷却負荷に応じて、チラー16の冷媒流路の流出口側における冷媒圧力の目標値として目標低圧圧力Ploを決定する。目標低圧圧力Ploは目標圧力の一例に相当する。室内蒸発器15における冷却負荷は、液バック条件に関する判定の際と同様に、室内蒸発器15を通過する送風空気の風量と、室内蒸発器15を通過する送風空気の温度を用いて特定される。
目標低圧圧力Ploを決定する際には、特定した室内蒸発器15における冷却負荷と、目標低圧圧力Plo決定用の制御テーブルを用いて、目標低圧圧力Ploを決定する。図9に示すように、目標低圧圧力Plo決定用の制御テーブルには、室内蒸発器15における冷却負荷に対して、複数種類の目標低圧圧力Ploが対応付けられている。
制御テーブルに対応付けられている目標低圧圧力Ploは、Ploa、Plob、Plocの3種類であり、Ploaが最も小さな値を示している。そして、Plocが最も大きな値を示しており、PlobがPloaよりも大きく、Plocよりも小さな値を示している。図9に示す制御テーブルにおいては、室内蒸発器15における冷却負荷が大きい程、大きな値の目標低圧圧力Ploとなるように対応付けられている。
そして、制御装置70は、チラー側圧力センサ72eの検出結果と、図9に示す制御テーブルを用いて決定された目標低圧圧力Ploとの差を用いたフィードバック制御によって、第2膨張弁14bの絞り開度を調整する。この時、第2膨張弁14bの絞り開度は、チラー側圧力センサ72eで検出される冷媒圧力の値が目標低圧圧力Ploに近づくように調整される。
これにより、ステップS20の液バック抑制制御によれば、室内蒸発器15の冷却負荷に応じて、第2膨張弁14bの絞り開度が調整される為、液バックに起因した圧縮機11の液圧縮等を抑制することができ、圧縮機11の故障を防止することができる。
一方、ステップS10にて、液バック条件を満たさないと判定された場合には、制御装置70は、ステップS30において、通常制御を実行する。通常制御では、制御装置70は、チラー16の冷媒通路における出口側の冷媒の過熱度が目標値に近づくように調整する。目標値としては、予め定めた定数(例えば、5℃)を採用することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る冷房冷却モードにおいて、冷凍サイクル装置10は、第1膨張弁14aの絞り開度の最小値を制限することで、室内蒸発器15に対する冷媒流量が冷凍機油の滞留を抑制可能な流量を確保している。これにより、冷凍サイクル装置10は、室内蒸発器15における冷凍機油の滞留を抑制することができる。
又、冷凍サイクル装置10は、図4に示す制御プログラムにおいて、ステップS20の液バック抑制制御を実行することによって、第2膨張弁14bの絞り開度を調整して、チラー16を流通する冷媒の圧力を下げる。これにより、チラー16の下流に位置する合流部13bから圧縮機11の吸入口までの間における冷媒の乾き度を上昇させることができるので、圧縮機11に対する液バックを抑制することができる。
そして、冷凍サイクル装置10は、ステップS20の液バック抑制制御にて、チラー16を流通する冷媒の圧力を下げる際に、圧縮機11の吐出口における冷媒が過熱度を有する状態となるように、第2膨張弁14bの絞り開度を制御する。これにより、圧縮機11から吐出される冷媒が過熱蒸気の状態となる為、冷凍サイクル装置10は、圧縮機11における液圧縮を防止することができ、液バックに起因する圧縮機11の故障を抑制することができる。
これにより、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10によれば、ステップS20の液バック抑制制御を実行することで、室内蒸発器15における冷凍機油の滞留を抑制すると共に、液バックに起因する圧縮機11の故障を防止することができる。
そして、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10は、ステップS10において、液バック条件を満たすか否かの判定を、室内蒸発器15の冷却負荷と、制御テーブルに定められた基準とを比較して行っている。
これにより、ステップS10にて、液バックに起因する圧縮機11の故障が生じる可能性の大小を、室内蒸発器15の冷却負荷から精度よく推定して、その判定精度を向上させることができる。
又、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10は、ステップS20の液バック抑制制御に際して、室内蒸発器15における冷却負荷に応じて定められた目標低圧圧力Ploと、チラー側圧力センサ72eの検出値との差を用いたフィードバック制御を行う。具体的には、制御装置70は、目標低圧圧力Ploと、チラー側圧力センサ72eの検出値の差に応じて、チラー側圧力センサ72eで検出された冷媒圧力が目標低圧圧力Ploに近づくように、第2膨張弁14bの絞り開度を制御する。
これにより、ステップS20の液バック抑制制御では、室内蒸発器15における冷凍機油の滞留と、液バックに起因した圧縮機11の故障を防止すると同時に、室内蒸発器15及びチラー16の冷却性能を適切に発揮させることができる。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態と異なる第2実施形態について、図10を参照して説明する。第2実施形態では、図4に示す制御プログラムにおけるステップS10、ステップS20の処理内容が第1実施形態と相違している。車両用空調装置1、冷凍サイクル装置10、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路40、機器用熱媒体回路50、室内空調ユニット60の基本構成等については、第1実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
第2実施形態におけるステップS10では、第1実施形態と同様に、液バック条件を満たすか否かが判定される。ここで、第1実施形態では、室内蒸発器15の冷却負荷と、制御マップに定められた基準との比較によって、液バック条件を満たすか否かの判定をしていたが、第2実施形態では、高圧センサ72dで検出される圧縮機11の吐出口側の冷媒温度を用いて判定される。
具体的には、第2実施形態では、制御装置70は、高圧センサ72dの検出値を用いて、圧縮機11の吐出口側の冷媒が過熱度を有していないか否かによって、液バック条件を満たすか否かを判定する。
圧縮機11の吐出口側の冷媒が過熱度を有している場合、吐出された冷媒は過熱蒸気の状態である為、液圧縮によって圧縮機11に故障が生じる可能性が低いと考えられる。この為、圧縮機11の吐出冷媒が過熱度を有している場合は、液バック条件を満たさないと判定される。
一方、圧縮機11の吐出口側の冷媒が過熱度を有していない場合、吐出された冷媒は気液二相状態であり、液相冷媒を含んでいる。圧縮機構から吐出された状態で液相冷媒を含んでいる為、液圧縮によって圧縮機11に故障が生じる可能性があると考えられる。この為、圧縮機11の吐出冷媒が過熱度を有していない場合は、液バック条件を満たすと判定される。
第2実施形態では、高圧センサ72dで検出された実測値を用いて、液バック条件を満たすか否かが判定される為、液バックに起因する圧縮機11の故障を確実に抑制することができる。
続いて、第2実施形態に係るステップS20の液バック抑制制御について説明する。第2実施形態における液バック抑制制御では、制御装置70は、第1実施形態と同様に、圧縮機11の吐出口側における冷媒が過熱度を有する状態になるまで、第2膨張弁14bの絞り開度を小さくする。この点については、第1実施形態と同様である為、再度の説明は省略する。
ここで、第1実施形態に係る液バック抑制制御では、室内蒸発器15の冷却負荷に応じて定められた目標低圧圧力Ploと、チラー側圧力センサ72eにより検出される検出結果の差を用いて、第2膨張弁14bの絞り開度が調整されている。
一方、第2実施形態に係る液バック抑制制御では、室内蒸発器15の冷却負荷に応じて定められた目標過熱度と、高圧センサ72dで検出される圧縮機11の吐出側の冷媒温度との差を用いて、第2膨張弁14bの絞り開度が調整される。
具体的には、制御装置70は、室内蒸発器15における冷却負荷に応じて、圧縮機11の吐出口側の冷媒温度の目標値として目標過熱度Shoを決定する。室内蒸発器15における冷却負荷は、上述した第1実施形態と同様の手法で特定される。
目標過熱度Shoを決定する際には、特定した室内蒸発器15における冷却負荷と、目標過熱度Sho決定用の制御テーブルを用いて、目標過熱度Shoを決定する。図10に示すように、目標過熱度Sho決定用の制御テーブルには、室内蒸発器15における冷却負荷に対して、複数種類の目標過熱度Shoが対応付けられている。
制御テーブルに対応付けられている目標過熱度Shoは、Shoa、Shob、Shocの3種類であり、Shoaが最も小さな値を示している。そして、Shocが最も大きな値を示しており、ShobがShoaよりも大きく、Shocよりも小さな値を示している。図10に示す制御テーブルにおいては、室内蒸発器15における冷却負荷が大きい程、大きな値の目標過熱度Shoとなるように対応付けられている。
そして、制御装置70は、高圧センサ72dの検出結果と、図10に示す制御テーブルを用いて決定された目標過熱度Shoとの差を用いたフィードバック制御によって、第2膨張弁14bの絞り開度を調整する。この時、第2膨張弁14bの絞り開度は、高圧センサ72dで検出される圧縮機11の吐出冷媒の過熱度の値が目標過熱度Shoに近づくように調整される。
第2実施形態では、高圧センサ72dで検出された実測値を用いて定められた目標過熱度Shoに近づくように、第2膨張弁14bの絞り開度に関するフィードバック制御が行われる。この為、冷凍サイクル装置10は、室内蒸発器15及びチラー16の冷却能力を、現在の状況に応じて適切に調整することができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置10によれば、圧縮機11の吐出口側の冷媒過熱度を用いた制御態様に変更した場合でも、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
又、第2実施形態では、圧縮機11の吐出冷媒の状態を実際に検出した結果を用いて、液バック条件に係る判定や、第2膨張弁14bの絞り開度の制御を行っている。この為、実際に液バックに起因する圧縮機11の故障が発生しそうな場合に、確実に圧縮機11の故障を抑制することができる。
(第3実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態に関し、図11を参照して説明する。第3実施形態では、図4に示す制御プログラムにおけるステップS10、ステップS20の処理内容が上述した実施形態と相違している。車両用空調装置1、冷凍サイクル装置10、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路40、機器用熱媒体回路50、室内空調ユニット60の基本構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
第3実施形態においても、制御装置70は、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒が循環する運転モードにおいて、図4に示す制御プログラムを実行する。第3実施形態のステップS10では、制御装置70は、液バック条件として、室内蒸発器15における必要冷媒流量が冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以下であるか否かを判断する。
必要冷媒流量は、室内蒸発器15が送風空気から除湿する為に必要な冷媒流量を意味しており、内気温センサ72a、外気温センサ72b、蒸発器温度センサ72f、内外気切替装置63の作動態様、送風機62の送風量等を用いて推定することができる。基準流量とは、圧縮機11の残存オイル量が最低オイル量Volを確保する為に必要な冷媒流量として定められる。
必要冷媒流量が基準流量以下である場合、圧縮機11に対して液バックする冷媒の量が過剰であると判定し、ステップS20に処理を進める。一方、必要冷媒流量が基準流量よりも大きい場合には、ステップS30に処理を進める。ステップS30の処理内容は、上述した実施形態と同様である為、再度の説明は省略する。
第3実施形態に係るステップS20では、液バックに起因する圧縮機11の故障(例えば、液圧縮による圧縮機構の故障)を抑制する為の液バック抑制制御として、圧縮機11の冷媒吐出能力の下限値(即ち、最低回転数)を調整する制御を行う。ステップS20を実行する制御装置70は、第3実施形態に係る吐出能力制御部70dを構成する。
尚、圧縮機11の最低回転数を設定することで、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する上で、最低回転数よりも低い状態にはならないことを意味する。換言すると、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する上で、最低回転数よりも大きな冷媒吐出能力であれば、要求される冷却能力等に応じて適宜変更することができる。
具体的に、ステップS20の液バック抑制制御では、制御装置70は、室内蒸発器15の出口側の冷媒圧力とチラー16の出口側の冷媒圧力のうち低い方の冷媒圧力を用いて、圧縮機11の最低回転数を設定する。
ここで、車両用空調装置1の冷凍サイクル装置10では、熱媒体冷媒熱交換器12から流出した冷媒の流れに対して、室内蒸発器15及びチラー16が並列に接続されている。又、室内蒸発器15の冷媒出口側には、蒸発圧力調整弁17が配置されている。この為、第3実施形態では、室内蒸発器15の出口側の冷媒圧力とチラー16の出口側の冷媒圧力のうち低い方の冷媒圧力は、チラー16の出口側の冷媒圧力となり、チラー側圧力センサ72eで検出することができる。
従って、第3実施形態に係るステップS20では、制御装置70は、チラー側圧力センサ72eで検出されるチラー16の出口側の冷媒圧力と、図11に示す制御マップとを参照して、圧縮機11の最低回転数を定める。図11に示す制御マップでは、圧縮機11の最低回転数は、圧縮機11からの吐出冷媒の乾き度が基準値Kp以上になるように定められており、チラー16の出口側の冷媒圧力が高いほど、圧縮機11の最低回転数が小さくなる傾向を示している。
第3実施形態に係る液バック抑制制御においては、チラー側圧力センサ72eで検出されるチラー16の出口側における冷媒圧力が低い程、圧縮機11の最低回転数が高くなるように定められる。これにより、圧縮機11の冷媒吐出能力としては、全体として高くなる。
この時の運転モードは、室内蒸発器15及びチラー16を介して冷媒が循環する運転モードであり、室内蒸発器15の出口側には、蒸発圧力調整弁17が配置されている。この為、圧縮機11の最低回転数の設定によって冷媒吐出能力が増加すると、室内蒸発器15側の冷媒流量はほとんど変化せず、チラー16側の冷媒流量が増加することになる。
ここで、圧縮機11に対する吸入冷媒のエンタルピは、室内蒸発器15からの流出冷媒のエンタルピと、チラー16からの流出冷媒のエンタルピを用いて表すことができる。上述したように、液バック抑制制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が増加すると、室内蒸発器15側の冷媒流量はほとんど変化せず、チラー16側の冷媒流量が増加する。従って、圧縮機11に対する吸入冷媒のエンタルピは、チラー16からの流出冷媒のエンタルピに近づき、圧縮機11からの吐出冷媒のエンタルピが増加することになる。
圧力-エンタルピ線図において、圧力が低いほど、エンタルピに対する等エントロピー線の傾きが小さくなることが知られている。これにより、第3実施形態に係る液バック抑制制御にて、チラー16の出口側の冷媒圧力に応じて、圧縮機11の最低回転数を調整することで、圧縮機11の吐出冷媒が過熱度を有する状態にすることができ、圧縮機11に対する液バックを抑制できる。
以上説明したように、第3実施形態に係る冷凍サイクル装置10によれば、圧縮機11の最低回転数を用いた制御態様に変更した場合でも、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
尚、第3実施形態におけるステップS10については、液バック条件として、室内蒸発器15における必要冷媒流量が冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以下であるか否かを判断していたが、この態様に限定されるものではない。液バック条件として、上述した実施形態と同様の条件を採用することも可能である。
(他の実施形態)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせても良いし、上述した実施形態を種々変形することも可能である。
(1)上述した実施形態において、冷凍サイクル装置10としては、第1蒸発器、第2蒸発器の2つを備えた構成であったが、この態様に限定されるものではない。冷凍サイクル装置10に配置される複数の蒸発器として、例えば、3つ以上の蒸発器を並列に接続した構成を採用することも可能である。
室内蒸発器15、チラー16に加えて、補助蒸発器18を配置する構成としては、図12に示すように、室内蒸発器15に対して補助蒸発器18を並列に接続した構成を採用することができる。この場合、補助蒸発器18の冷媒入口側は、第1膨張弁14aの流出口から分岐するように接続され、補助蒸発器18の冷媒出口側は、室内蒸発器15の流出冷媒の流れと合流した後、蒸発圧力調整弁17の冷媒入口側に流入するように接続されることが望ましい。
又、図13に示すように、チラー16に対して補助蒸発器18を並列に接続した構成を採用することも可能である。この場合、補助蒸発器18の冷媒入口側は、第2膨張弁14bの流出口から分岐するように接続され、補助蒸発器18の冷媒出口側は、合流部13bの上流にて、チラー16からの流出冷媒の流れと合流するように接続されることが望ましい。
(2)又、上述した実施形態では、冷凍サイクル装置10、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路40、機器用熱媒体回路50を含む車両用空調装置1に対して、本発明を適用しているが、この態様に限定されるものでない。本発明は、少なくとも、冷凍サイクル装置10及び制御装置70を有していれば、種々の構成に適用することができる。
(3)上述した実施形態において、本発明が適用される運転モードの具体例として、冷房冷却モードを挙げていたが、この態様に限定されるものではない。室内蒸発器15及びチラー16に対して冷媒を流通させると共に、室内蒸発器15に対する冷媒流量に関し、冷凍機油の滞留を抑制可能な流量を確保した運転モードであれば、種々の態様を採用することができ、除湿暖房冷却モードに適用することも可能である。
(4)上述した実施形態では、第1蒸発器の一例として室内蒸発器15を採用し、第2蒸発器の一例としてチラー16を採用した例について説明したが、この態様に限定されるものではない。冷凍サイクル装置10に第1蒸発器、第2蒸発器が配置された構成であれば、種々の態様に本発明を適用することができる。例えば、第1蒸発器、第2蒸発器にて冷却される冷却対象が、上述した実施形態における送風空気や熱媒体と相違させることも可能である。
又、第1蒸発器、第2蒸発器の配置位置が大きく異なっている構成を採用することも可能である。例えば、第1蒸発器が車両前方側の空調用に配置され、第2蒸発器が車両後方側の空調用に配置されている場合などを挙げることができる。
(5)又、上述した実施形態では、凝縮器として、熱媒体冷媒熱交換器12を採用した例を挙げたが、この態様に限定されるものではない。凝縮器として、高圧冷媒の有する熱を放熱して、冷媒を凝縮させることができればよく、例えば、高圧冷媒の熱を送風空気に放熱させて、冷媒を凝縮する室内凝縮器を採用することもできる。
1 車両用空調装置
11 圧縮機
14a 第1膨張弁
14b 第2膨張弁
15 室内蒸発器
16 チラー
17 蒸発圧力調整弁
70 制御装置
70b 判定部
70c 減圧制御部

Claims (10)

  1. 冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる凝縮器(12)と、
    前記凝縮器から流出した冷媒を分岐させる分岐部(13a)と、
    前記分岐部における流出口の一方から流出した冷媒を減圧させる第1減圧部(14a)と、
    前記第1減圧部から流出した冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)と、
    前記分岐部における流出口の他方から流出した冷媒を減圧させる第2減圧部(14b)と、
    前記第2減圧部から流出した冷媒を蒸発させる第2蒸発器(16)と、
    前記第1蒸発器から流出した冷媒と、前記第2蒸発器から流出した冷媒を合流させて、前記圧縮機へ導く合流部(13b)と、
    前記第1減圧部及び前記第2減圧部の作動を制御する制御部(70)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1蒸発器及び前記第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、前記第1蒸発器を流通する冷媒流量を、前記冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以上とする運転モードにおいて、前記圧縮機に対して液相冷媒が流入する液バックに関する液バック条件を満たすか否かを判定する判定部(70b)と、
    前記判定部にて前記液バック条件を満たすと判定された場合に、前記圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、前記第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げるように、前記第2減圧部の作動を制御する減圧制御部(70c)と、を有する冷凍サイクル装置。
  2. 前記第1蒸発器の流出口と前記合流部の間に配置され、前記第1蒸発器から流出した冷媒を減圧して前記第1蒸発器における冷媒蒸発圧力を調整する蒸発圧力調整弁(17)と、を有している請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記判定部(70b)は、前記第1蒸発器(15)における冷却負荷が基準(KL)よりも小さい場合に、前記液バック条件を満たすと判定する請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記第2蒸発器(16)の流出口側における冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出部(72e)を有し、
    前記減圧制御部(70c)は、前記判定部(70b)にて前記液バック条件を満たすと判定された場合に、前記第1蒸発器(15)における冷却負荷から決定された目標圧力と、前記冷媒圧力検出部で検出された冷媒圧力との差に応じて、前記冷媒圧力が前記目標圧力に近づくように前記第2減圧部(14b)の開度を制御する請求項1ないし3の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記圧縮機から吐出された冷媒の温度を検出する高圧側温度検出部(72d)を有し、
    前記判定部(70b)は、前記高圧側温度検出部の検出結果にて、前記圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有していない場合に、前記液バック条件を満たすと判定する請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記減圧制御部(70c)は、前記判定部(70b)にて前記液バック条件を満たすと判定された場合に、前記第1蒸発器(15)における冷却負荷から決定される目標過熱度と、前記高圧側温度検出部で検出された冷媒の過熱度との差に応じて、冷媒の過熱度が前記目標過熱度に近づくように前記第2減圧部(14b)の開度を制御する請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる凝縮器(12)と、
    前記凝縮器から流出した冷媒を分岐させる分岐部(13a)と、
    前記分岐部における流出口の一方から流出した冷媒を減圧させる第1減圧部(14a)と、
    前記第1減圧部から流出した冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)と、
    前記分岐部における流出口の他方から流出した冷媒を減圧させる第2減圧部(14b)と、
    前記第2減圧部から流出した冷媒を蒸発させる第2蒸発器(16)と、
    前記第1蒸発器から流出した冷媒と、前記第2蒸発器から流出した冷媒を合流させて、前記圧縮機へ導く合流部(13b)と、
    前記圧縮機の作動を制御する制御部(70)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1蒸発器及び前記第2蒸発器に対して冷媒を流通させると共に、前記第1蒸発器を流通する冷媒流量を、前記冷凍機油の滞留を抑制する為の基準流量以上とする運転モードにおいて、前記圧縮機に対して液相冷媒が流入する液バックに関する液バック条件を満たすか否かを判定する判定部(70b)と、
    前記判定部にて前記液バック条件を満たすと判定された場合に、前記圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するまで、前記第2蒸発器の流出口における冷媒圧力を下げるように、前記圧縮機の作動を制御する吐出能力制御部(70d)と、を有する冷凍サイクル装置。
  8. 前記第1蒸発器の流出口と前記合流部の間に配置され、前記第1蒸発器から流出した冷媒を減圧して前記第1蒸発器における冷媒蒸発圧力を調整する蒸発圧力調整弁(17)と、を有している請求項7に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記判定部(70b)は、前記第1蒸発器(15)における冷却負荷が基準(KL)よりも小さい場合に、前記液バック条件を満たすと判定する請求項7又は8に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記吐出能力制御部(70d)は、前記判定部(70b)にて前記液バック条件を満たすと判定された場合に、前記第1蒸発器(15)の流出口側における冷媒圧力及び前記第2蒸発器(16)の流出口側における冷媒圧力のうち何れか低い方の冷媒圧力に応じて、前記圧縮機から吐出される冷媒が過熱度を有するように、前記圧縮機の冷媒吐出能力を制御する請求項7ないし9の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
JP2021069023A 2020-07-27 2021-04-15 冷凍サイクル装置 Pending JP2022023780A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2021/025951 WO2022024721A1 (ja) 2020-07-27 2021-07-09 冷凍サイクル装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020126479 2020-07-27
JP2020126479 2020-07-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022023780A true JP2022023780A (ja) 2022-02-08

Family

ID=80226126

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021069023A Pending JP2022023780A (ja) 2020-07-27 2021-04-15 冷凍サイクル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022023780A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6794964B2 (ja) 冷凍サイクル装置
JP6493370B2 (ja) ヒートポンプシステム
US10406889B2 (en) Heat pump system
WO2020203150A1 (ja) 冷凍サイクル装置
WO2014049928A1 (ja) 冷凍サイクル装置
CN113423596B (zh) 制冷循环装置
JP2019209938A (ja) 車両用冷凍サイクル装置
JP6669042B2 (ja) 車両用空調装置
JP2018091536A (ja) 冷凍サイクル装置
JP7380199B2 (ja) 冷凍サイクル装置
US20210190389A1 (en) Refrigeration cycle device
JP2018075921A (ja) 車両用冷凍サイクル装置
US20210101451A1 (en) Refrigeration cycle device
JP2019217947A (ja) 空調装置
WO2019116781A1 (ja) 車両用暖房装置
WO2021220661A1 (ja) 車両用空調装置
WO2022024721A1 (ja) 冷凍サイクル装置
WO2022181110A1 (ja) 空調装置
JP6544287B2 (ja) 空調装置
WO2021157286A1 (ja) 冷凍サイクル装置
WO2017130845A1 (ja) ヒートポンプシステム
JP2022023780A (ja) 冷凍サイクル装置
JP7480690B2 (ja) 車両用空調装置
JP7476779B2 (ja) 車両用空調装置
WO2023248868A1 (ja) ヒートポンプサイクル装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240311