JP2022022947A - 生分解性樹脂粒子 - Google Patents

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正啓 大木
Masahiro Oki
健二 八百
Kenji Yao
英昭 吉川
Hideaki Yoshikawa
猛 岩永
Takeshi Iwanaga
和世 吉田
Kazuyo Yoshida
哲也 田口
Tetsuya Taguchi
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Abstract

【課題】経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子を提供すること。【解決手段】生分解性樹脂を含む母粒子と、前記母粒子の表面上に有する、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層と、前記第一層上に有する、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層と、を有する生分解性樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性樹脂粒子に関する。
特許文献1には、「水溶性高分子で被覆することにより、生分解性を改良したセルロース素材」が開示されている。
特許文献1には、水溶性高分子として、ポリエチレンイミンが開示されている。
特許文献2には、「皮膚の外観を変え、皮膚の触感を変え、及び/又は、皮膚を保護する化粧方法であって、少なくとも1つの生体適合性及び/又は生分解性の疎水性ポリマー層を含む自立性美容シートを皮膚上に適用する工程を含み、前記自立性美容シートが、10~1000nm、好ましくは30~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する、化粧方法」が開示されている。
特許文献2には、疎水性ポリマー層として、ポリエチレンイミンを含む層が開示されている。
特許文献3には、「(A)熱可塑性合成樹脂と、(B)無機フィラーと、(C)生分解性有機物とを配合してなり、前記(A)成分の配合量が組成物全量基準で49質量%以下であり、前記(B)成分と前記(C)成分の配合割合((B)/(C))が質量比で3/7から7/3までの範囲である生分解性樹脂組成物」が開示されている。
特許文献3には、生分解性樹脂組成物に、(D)バインダー成分として、流動パラフィン、金属石鹸、シリコーン、側鎖結晶性ポリオレフィン、ステアリン酸、およびポリグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種を配合することが開示されている。
特開2004-256579号公報 特開2015-512863号公報 特開2011-225643号公報
本発明の課題は、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む層のみを有する生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 生分解性樹脂を含む母粒子と、
前記母粒子の表面上に有する、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層と、
前記第一層上に有する、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層と、
を有する生分解性樹脂粒子。
<2> 前記疎水性化合物が、シリコーン化合物、炭化水素化合物、脂肪酸化合物、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である<1>に記載の生分解性樹脂粒子。
<3> 前記シリコーン化合物が、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、MQレジン、及びシリコーンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種である<2>に記載の生分解性樹脂粒子。
<4> 前記炭化水素化合物が、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、及びポリプロピレンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である<2>又は<3>に記載の生分解性樹脂粒子。
<5> 前記脂肪酸化合物が、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、パームワックス、ひまし油ワックス、大豆油ワックス、及びひまわり油ワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である<2>~<4>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<6> ポリアルキレンイミンが、炭素数1以上4以下のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンである<1>~<5>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<7> 前記炭素数1以上4以下のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンが、ポリエチレンイミンである<6>に記載の生分解性樹脂粒子。
<8> 前記生分解性樹脂が、セルロース樹脂、およびポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である<1>~<7>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<9> 前記生分解性樹脂が、セルロース樹脂である<8>に記載の生分解性樹脂粒子。
<10> 前記セルロース樹脂が、2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートである、<9>に記載の生分解性樹脂粒子。
<11> 前記セルロース樹脂と反応する官能基を有さず、長鎖脂肪族基と共に、フェノール性水酸基、および芳香族基に直接結合したモノグリシジルエーテル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、並びに、脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む<9>又は<10>に記載の生分解性樹脂粒子。
<12> 前記芳香族化合物が、カルダノール化合物である<11>に記載の生分解性樹脂粒子。
<13> 前記カルダノール化合物が、下記一般式(CDN1)で表される化合物、及び、下記一般式(CDN1-e)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である<12>に記載の生分解性樹脂粒子。
Figure 2022022947000001

(一般式(CDN1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。Rは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P2は0以上4以下の整数を表す。P2が2以上である場合において複数存在するRは、同じ基であっても異なる基であってもよい。)
Figure 2022022947000002

(一般式(CDN1-e)中、LEPは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(CDN1-e)中、R、R及びP2はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。)
<14> 前記母粒子に、前記セルロース樹脂としてセルロースアセテートプロピオネート、及び前記芳香族化合物としてカルダノール化合物を含む<11>~<13>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<15> 前記母粒子に、前記セルロース樹脂としてセルロースアセテテートブチレート、及び前記脂肪酸エステルを含む<11>~<13>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<16> 前記カチオン性樹脂の被覆量と前記疎水性化合物の被覆量との質量比(前記カチオン性樹脂の被覆量/前記疎水性化合物の被覆量)が、0.1以上10以下である<1>~<15>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<17> 前記母粒子に対する前記カチオン性樹脂の被覆量が、0.1質量%以上10質量%以下である<16>に記載の生分解性樹脂粒子。
<18> 前記カチオン性樹脂の数平均分子量が、10000以上85000以下である<1>~<17>のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
<19> 生分解性樹脂を含む母粒子と、
前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
を有し、
生分解性樹脂粒子をペレット化した際の水接触角が70°以上120°以下である生分解性樹脂粒子。
<20> 生分解性樹脂を含む母粒子と、
前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
を有し、
ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、3か月後の好気条件生分解率が20%以下である生分解性樹脂粒子。
<21> 生分解性樹脂を含む母粒子と、
前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
を有し、
X線光電子分光法(XPS)により、生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Cs、ケイ素原子量Sis及び酸素原子量Osの関係が、式A:(Cs+Sis)/Os≧3を満たす生分解性樹脂粒子。
<22> X線光電子分光法(XPS)により、表面エッチングを3分施した後の生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Ce、ケイ素原子量Sie及び酸素原子量Oeの関係が、式B:(Ce+Sie)/Oe≧3を満たす<21>に記載の生分解性樹脂粒子。
<1>、<2>、<3>、<4>、<5>、<6>、<7>、又は<8>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む層のみを有する生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<9>に係る発明によれば、生分解性樹脂がポリエステル樹脂である場合に比べ、経時での生分解速度が速く、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<10>に係る発明によれば、セルロース樹脂が、1種類のアシル基を有するセルロースアシレートである場合に比べ、経時での生分解速度が速く、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<11>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む層のみを有する生分解性樹脂粒子に比べ、生分解性樹脂としてセルロース樹脂と共に、芳香族化合物、並びに、脂肪酸エステルの少なくとも1種を含んでも、生分解性を有しつつ、耐加水分解性に優れる生分解性樹脂粒子が提供される。
<12>、又は<13>に係る発明によれば、芳香族化合物としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアルキル変性品を適用した場合に比べ、生分解性を有しつつ、耐加水分解性に優れる生分解性樹脂粒子が提供される。
<14>、又は<15>に係る発明によれば、母粒子に、セルロース樹脂としてセルロースアセテテートブチレート、及び芳香族化合物としてカルダノール化合物を含む場合、又は、母粒子に、セルロース樹脂としてセルロースアセテートプロピオネート、及び脂肪酸エステルを含む場合に比べ、生分解性を有しつつ、耐加水分解性に優れる生分解性樹脂粒子が提供される。
<16>に係る発明によれば、カチオン性樹脂と疎水性化合物との質量比が0.1未満又は10超えである場合に比べ、経時での生分解速度が速く、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<17>に係る発明によれば、母粒子に対するカチオン性樹脂の被覆量が、0.1質量%未満又は10質量%超えである場合に比べ、経時での生分解速度が速く、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<18>に係る発明によれば、カチオン性樹脂の数平均分子量が10000未満又は85000超えである場合に比べ、経時での生分解速度が速く、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<19>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、化合物層を有し、生分解性樹脂粒子をペレット化した際の水接触角が70°未満の生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<20>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、化合物層を有し、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、3か月後の好気条件生分解率が20%超えである生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<21>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、化合物層を有し、式A:(Cs+Sis)/Os≧3を満たさない生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
<22>に係る発明によれば、生分解性樹脂を含む母粒子の表面上に、化合物層を有し、式B:(Ce+Sie)/Oe≧3を満たさない生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子が提供される。
以下に、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
各成分の量について言及する場合、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計量を意味する。
「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
<生分解性樹脂粒子>
-第一実施形態-
第一実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、生分解性樹脂を含む母粒子と、母粒子の表面上に有する、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層と、第一層上に有する、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層と、を有する。
第一実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、上記構成により、経時(例えば好気性条件下で12か月)での生分解速度を有しつつ、初期(例えば好気性条件下で3ヶ月)の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子となる。その理由は、次の通り推測される。
生分解性樹脂粒子は、速い生分解速度が求められる。しかし、過度に生分解速度が速いと、樹脂粒子自体の耐久性の低下が速くなる。つまり、ある期間(例えば、使用期間中の数年程度の期間)は、樹脂粒子としての機能を維持させることが求められる。
そこで、生分解性樹脂を含む母粒子の表面に、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層を介して、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層を設ける。
カチオン性樹脂を含む第一層の存在により、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物が母粒子の表面に吸着して形成され、疎水性の第二層を形成するため、生分解性樹脂粒子の表面の疎水性が高まる。それにより、初期の生分解速度が遅くなり、ある期間は、樹脂粒子としての機能が維持される。そして、時間経過と共に第二層の疎水性生化合物の生分解が進むため、経時では、生分解性樹脂を含む母粒子自体の生分解性が発揮される。
そのため、第一実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子となると推測される。
-第二実施形態-
第二実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、生分解性樹脂を含む母粒子と、母粒子の表面上に有する、化合物層と、を有し、生分解性樹脂粒子をペレット化した際の水接触角が70°以上120°以下である。
第二実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、上記構成により、経時(例えば好気性条件下で12か月)での生分解速度を有しつつ、初期(例えば好気性条件下で3ヶ月)の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子となる。
その理由は、生分解性樹脂粒子における、化合物層の表面が上記接触角の範囲で疎水性を示し、母粒子の生分解性樹脂の加水分解性を抑制させることで初期の生分解速度を遅くなり、ある期間は、樹脂粒子としての機能が維持される。そして、ある期間が経過すると、生分解性樹脂粒子の化合物層の成分の分解が進むため、経時では、生分解性樹脂を含む母粒子自体の生分解性が発揮される。
-第三実施形態-
第三実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、生分解性樹脂を含む母粒子と、母粒子の表面上に有する、化合物層と、を有し、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、3か月後の好気条件生分解率が20%以下である。
第三実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、上記構成により、経時(例えば好気性条件下で12か月)での生分解速度を有しつつ、初期(例えば好気性条件下で3ヶ月)の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子となる。
その理由は、生分解性樹脂粒子における化合物層により上記3か月後の好気条件生分解率を低くし、母粒子の生分解性樹脂の加水分解性を抑制させることで初期の生分解速度を遅くなり、ある期間は、樹脂粒子としての機能が維持される。そして、ある期間が経過すると、生分解性樹脂粒子の化合物層の成分の分解が進むため、経時では、生分解性樹脂を含む母粒子自体の生分解性が発揮される。
-第四実施形態-
第四実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、生分解性樹脂を含む母粒子と、母粒子の表面上に有する、化合物層と、を有し、X線光電子分光法(XPS)により、生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Cs、ケイ素原子量Sis及び酸素原子量Osの関係が、式A:(Cs+Sis)/Os≧3を満たす。
第四実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、上記構成により、経時(例えば好気性条件下で12か月)での生分解速度を有しつつ、初期(例えば好気性条件下で3ヶ月)の生分解速度が遅い生分解性樹脂粒子となる。
その理由は、生分解性樹脂粒子における化合物層により、式Aを満たすように、生分解性樹脂粒子表面に存在する炭素原子及びケイ素原子量を高めることで、生分解性樹脂粒子表面の疎水性を高くなり、母粒子の生分解性樹脂の加水分解性を抑制させることで初期の生分解速度を遅くなり、ある期間は、樹脂粒子としての機能が維持される。そして、ある期間が経過すると、生分解性樹脂粒子の化合物層の成分の分解が進むため、経時では、生分解性樹脂を含む母粒子自体の生分解性が発揮される。
また、粒子表面に存在する炭素原子及びケイ素原子量を高めることで、生分解性樹脂粒子表面の親油性が向上し、樹脂粒子の吸油率が上がる。
従来の生分解性樹脂粒子は、自然環境での分解性に優れる一方、構造が比較的親水寄りであるため、油とのなじみ又は吸油性が低い。例えば、従来の生分解性樹脂粒子を化粧品等に添加した場合、吸油性が低いと皮脂などにより化粧崩れが起きやすくなる。また、従来の生分解性樹脂粒子を塗料中に添加した場合も、吸油性が低く、オイルとの馴染みが悪いと、凝集して固まる現象が生じる。そのため、吸油率が高い生分解性樹脂粒子は、例えば、化粧品に添加しても化粧崩れが起き難く、また、塗料に添加しても凝集し難く、化粧品、塗料などの分野で有用である。
ここで、第二~第四実施形態に係る生分解性樹脂粒子における、例えば、化合物層としては、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層と、第一層上に有する、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層との、2層の化合物層が挙げられる。
ただし、第二及び第三実施形態に係る生分解性樹脂粒子における、例えば、化合物層は、第二及び第三実施形態に係る生分解性樹脂粒子の上記各特性が付与される化合物層であれば、特に限定されない。
以下、第一~第四実施形態に係る生分解性樹脂粒子のいずれにも該当する生分解性樹脂粒子(以下「本実施形態に係る生分解性樹脂粒子」とも称する)について詳細に説明する。ただし、本発明の生分解性樹脂粒子の一例は、第一~第四実施形態に係る生分解性樹脂粒子のいずれかに該当する生分解性樹脂粒子であればよい。
以下、本実施形態に係る生分解性樹脂粒子について詳細に説明する。
[母粒子]
母粒子は、第一層及び第二層が形成される対象の粒子であり、生分解性樹脂を含む。
母粒子は、生分解性樹脂を主成分として含む粒子が挙げられ、具体的には、母粒子全体に対して、生分解性樹脂を、90質量%、95質量%、98質量%、又は100質量%含む粒子が挙げられる。
-生分解性樹脂-
生分解性樹脂は、微生物により、水と二酸化炭素に分解される樹脂である。具体的には、生分解性樹脂とは、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法で測定した好気条件生分解率が、1か月で50%以上となる樹脂を意味する。
生分解性樹脂としては、ポリエステル樹脂、天然高分子、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)、ポリエチレンサクシネート(PBA)等のポリヒドロキシアルカン酸;等が挙げられる。
脂肪族芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合樹脂(PBAH)、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合樹脂、等が挙げられる。
天然高分子としては、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン、等が挙げられる。
これらの中でも、生分解性樹脂としては、経時での生分解速度向上の観点から、セルロース樹脂、およびポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、セルロース樹脂がより好ましい。
セルロース樹脂としては、セルロースアシレートが好ましい。セルロースアシレートは、セルロースにおけるヒドロキシ基の少なくも一部がアシル基により置換(アシル化)されたセルロース誘導体である。アシル基とは、-CO-RAC(RACは、水素原子又は炭化水素基を表す。)の構造を有する基である。
セルロースアシレートは、例えば、下記の一般式(CA)で表されるセルロース誘導体である。
Figure 2022022947000003

一般式(CA)中、A、A及びAはそれぞれ独立に、水素原子又はアシル基を表し、nは2以上の整数を表す。ただし、n個のA、n個のA及びn個のAのうちの少なくとも一部はアシル基を表す。分子中にn個あるAは、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、分子中にn個あるA及びn個あるAもそれぞれ、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
、A及びAが表すアシル基は、炭素数1以上6以下のアシル基が好ましい。すなわち、セルロースアシレートとしては、アシル基の炭素数が1以上6以下であるセルロースアシレートが好ましい。
、A及びAが表すアシル基は、当該アシル基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換であることが好ましい。
、A及びAが表すアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。これらの中でもアシル基としては、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、炭素数2以上4以下のアシル基がより好ましく、炭素数2又は3のアシル基が更に好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースアセテート(セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。
セルロースアシレートは、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートが好ましい。具体的には、セルロースアシレートとしては、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましく、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)がより好ましい。
セルロースアシレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
セルロースアシレートの重量平均重合度は、200以上1000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましく、600以上1000以下が更に好ましい。
セルロースアシレートの重量平均重合度は、以下の手順で重量平均分子量(Mw)から求める。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)を、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC-8320GPC、カラム:TSKgelα-M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で除算することで、セルロースアシレートの重合度を求める。例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき284である。
セルロースアシレートの置換度は、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、2.1以上2.9以下が好ましく、置換度2.2以上2.9以下がより好ましく、2.3以上2.9以下が更に好ましく、2.6以上2.9以下が特に好ましい。
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)において、アセチル基とプロピオニル基との置換度の比(アセチル基/プロピオニル基)は、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、0.01以上1以下が好ましく、0.05以上0.1以下がより好ましい。
セルロースアセテートブチレート(CAB)において、アセチル基とブチリル基との置換度の比(アセチル基/ブチリル基)は、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、0.05以上3.5以下が好ましく、0.5以上3.0以下がより好ましい。
セルロースアシレートの置換度とは、セルロースが有するヒドロキシ基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアシレートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD-グルコピラノース単位に3個あるヒドロキシ基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。置換度は、H-NMR(JMN-ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来水素とのピークの積分比から求める。
これら生分解性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、複数種使用してもよい。
-その他の成分-
母粒子には、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、可塑剤、難燃剤、相溶化剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)、酢酸放出を防ぐための受酸剤(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;など)、反応性トラップ剤(例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミド等)などが挙げられる。
その他の成分の含有量は、母粒子全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
可塑剤としては、例えば、エステル化合物、樟脳、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。可塑剤としては、樹脂粒子の機械的特性向上の観点からは、エステル化合物が好ましい。可塑剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エステル化合物としては、例えば、脂肪酸エステル(アジピン酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、フタル酸エステル、酢酸エステル)、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、グリコールエステル(例えば、安息香酸グリコールエステル)、脂肪酸エステルの変性体(例えば、エポキシ化脂肪酸エステル)等が挙げられる。上記エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエステル等が挙げられる。中でも、ジカルボン酸ジエステル(アジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、フタル酸ジエステル等)が好ましい。
可塑剤としては、アジピン酸エステルが好ましい。アジピン酸エステルは、セルロースアシレートとの親和性が高く、セルロースアシレートに対して均一に近い状態で分散することで、他の可塑剤に比べて熱流動性をより向上させる。
アジピン酸エステルとしては、アジピン酸エステルとそれ以外の成分との混合物を用いてもよい。当該混合物の市販品として、大八化学工業製のDaifatty101等が挙げられる。
クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、フタル酸エステル、酢酸エステル等の脂肪酸エステルとしては、脂肪酸とアルコールとのエステルが挙げられる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール等の一価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン等)、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、糖アルコール等の多価アルコール;などが挙げられる。
安息香酸グリコールエステルにおけるグリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
エポキシ化脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸エステルの炭素-炭素不飽和結合がエポキシ化された構造(つまり、オキサシクロプロパン)を有するエステル化合物である。エポキシ化脂肪酸エステルとしては、例えば、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等)における炭素-炭素不飽和結合の一部又は全部がエポキシ化された脂肪酸とアルコールとのエステルが挙げられる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール等の一価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン等)、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、糖アルコール等の多価アルコール;などが挙げられる。
可塑剤としてのエステル化合物は、分子量(又は重量平均分子量)が、200以上2000以下であることが好ましく、250以上1500以下であることがより好ましく、280以上1000以下であることが更に好ましい。エステル化合物の重量平均分子量は、特に断りのない限り、セルロースアシレートの重量平均分子量の測定方法に準拠して測定される値である。
ここで、生分解性樹脂としてセルロース樹脂を適用した場合、母粒子には、セルロース樹脂と共に、可塑剤として、セルロース樹脂と反応する官能基を有さず、長鎖脂肪族基と共に、フェノール性水酸基、および芳香族基に直接結合したモノグリシジルエーテル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物(以下、「芳香族化合物(B1)」とも称する)、並びに、脂肪酸エステル(以下「脂肪酸エステル(B2)」とも称する)の少なくとも1種を含むことが特に好ましい。
セルロース樹脂は、単体では加水分解し難いが、柔軟性に劣るため成形加工が困難であり、柔軟性を付与するため可塑剤をセルロース樹脂に添加することが好ましい。しかし、可塑剤を添加したセルロース樹脂は、加水分解し易い。そのため、セルロース樹脂及び可塑剤を含む母粒子に、疎水性化合物を含む第二層を被覆することは、生分解性を確保しつつ、耐加水分解性を付与する点で有効である。
一方で、初期の生分解速度を遅くするためには、疎水性化合物を含む第二層は、母粒子により強固に被覆されていることが好ましい。
この点、母粒子に含ませる可塑剤として、芳香族化合物(B1)及び脂肪酸エステル(B2)の少なくとも1種を採用すると、母粒子表面と疎水性化合物を含む第二層との接着層として機能する、カチオン性樹脂を含む第一層が、より強固に、母粒子表面に被覆される。その結果、疎水性化合物を含む第二層が、母粒子に、より強固に被覆され、生分解性を確保しつつ、生分解性樹脂粒子に高い耐加水分解性を付与できる。その理由は、次の通り推測される。
芳香族化合物(B1)は、ベンゼン環を有するので、ベンゼン環が電子を吸引してOH基が酸性寄りになる。そのため、カチオン性化合物との反応性が高い。また、脂肪酸エステル(B2)は、酸性寄りの化合物であるので、カチオン性化合物との反応性が高い。その結果、カチオン性樹脂を含む第一層が、より強固に、母粒子表面に被覆される。
そのため、疎水性化合物を含む第二層が、母粒子に、より強固に被覆され、生分解性を確保しつつ、生分解性樹脂粒子に高い耐加水分解性を付与できると推測される。その結果、生分解性を確保しつつ、耐加水分解性に優れた生分解性樹脂粒子となる。
特に、生分解性を確保しつつ、耐加水分解性を向上させる観点から、セルロース樹脂としてセルロースアセテートプロピオネートを適用する場合、可塑剤は、芳香族化合物としてカルダノール化合物を適用することが好ましい。
同観点から、セルロース樹脂としてセルロースアセテートプロピオネートを適用する場合、可塑剤は脂肪族エステルを適用することが好ましい。
以下、芳香族化合物(B1)について説明する。
芳香族化合物(B1)は、セルロース樹脂と反応する官能基を有さず、長鎖脂肪族基と共に、フェノール性水酸基、および芳香族基に直接結合したモノグリシジルエーテル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物である。
つまり、芳香族化合物(B1)は、セルロースアシレート(A)と反応する官能基を有さず、長鎖脂肪族基を有し、かつフェノール性水酸基、およびモノグリシジルエーテル基の少なくとも一方を有する化合物である。
ここで、長鎖脂肪族基は、炭素数6以上30以下(好ましくは10以上20以下)の、飽和脂肪族基(アルキル基)、不飽和脂肪族基(アルケニル基、アルキニル基)が挙げられる。脂肪族基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
芳香族化合物(B1)としては、単環、縮合環(芳香環が2個以上有する多環)、多核環(芳香環同士が炭素-炭素結合によって結合している多環)、複素環(複素環の単環、複素環を含む縮合環、複素環を含む多核環等)に、長鎖脂肪族基と共に、フェノール性水酸基が置換されている化合物が挙げられる。
芳香族化合物(B1)として具体的には、カルダノール化合物、フェナルカミン化合物、フェノール樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールレゾール型エポキシ樹脂、フェノール変性パーム油、フェノール変性大豆油、フェノール変性亜麻仁油等が挙げられる。
これらの中でも、生分解性向上の観点から、芳香族化合物(B1)としては、カルダノール化合物が好ましい。
カルダノール化合物とは、カシューを原料とする天然由来の化合物に含まれる成分(例えば、下記の構造式(b-1)~(b-4)で表される化合物)又は前記成分からの誘導体を指す。
Figure 2022022947000004

カルダノール化合物は、カシューを原料とする天然由来の化合物の混合物(以下「カシュー由来混合物」ともいう。)であってもよい。
カルダノール化合物は、カシュー由来混合物からの誘導体であってもよい。カシュー由来混合物からの誘導体としては、例えば以下の混合物や単体等が挙げられる。
・カシュー由来混合物中の各成分の組成比を調整した混合物
・カシュー由来混合物中から特定の成分のみを単離した単体
・カシュー由来混合物中の成分を変性した変性体を含む混合物
・カシュー由来混合物中の成分を重合した重合体を含む混合物
・カシュー由来混合物中の成分を変性し且つ重合した変性重合体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに変性した変性体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに重合した重合体を含む混合物
・前記組成比を調整した混合物中の成分をさらに変性し且つ重合した変性重合体を含む混合物
・前記単離した単体をさらに変性した変性体
・前記単離した単体をさらに重合した重合体
・前記単離した単体をさらに変性し且つ重合した変性重合体
ここで単体には、2量体及び3量体等の多量体も含まれるものとする。
カルダノール化合物は、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、一般式(CDN1)で表される化合物、及び、一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2022022947000005

一般式(CDN1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。Rは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P2は0以上4以下の整数を表す。P2が2以上である場合において複数存在するRは、同じ基であっても異なる基であってもよい。
一般式(CDN1)において、Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基は、炭素数3以上30以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数5以上25以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上20以下のアルキル基であることが更に好ましい。
置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;エポキシ基、メトキシ基等のエーテル結合を含む置換基;アセチル基、プロピオニル基等のエステル結合を含む置換基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基の例としては、ペンタデカン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基等が挙げられる。
一般式(CDN1)において、Rが表す二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基は、炭素数3以上30以下の不飽和脂肪族基であることが好ましく、炭素数5以上25以下の不飽和脂肪族基であることがより好ましく、炭素数8以上20以下の不飽和脂肪族基であることが更に好ましい。
不飽和脂肪族基が有する二重結合の数は、1以上3以下であることが好ましい。
置換基としては、前記アルキル基の置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基の例としては、ペンタデカ-8-エン-1-イル基、ペンタデカ-8,11-ジエン-1-イル基、ペンタデカ-8,11,14-トリエン-1-イル基、ペンタデカ-7-エン-1-イル基、ペンタデカ-7,10-ジエン-1-イル基、ペンタデカ-7,10,14-トリエン-1-イル基等が挙げられる。
一般式(CDN1)において、Rとしては、ペンタデカ-8-エン-1-イル基、ペンタデカ-8,11-ジエン-1-イル基、ペンタデカ-8,11,14-トリエン-1-イル基、ペンタデカ-7-エン-1-イル基、ペンタデカ-7,10-ジエン-1-イル基、ペンタデカ-7,10,14-トリエン-1-イル基が好ましい。
一般式(CDN1)において、Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基としては、前記Rが表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基として列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN1)で表される化合物はさらに変性されていてもよい。例えば、エポキシ化されていてもよく、樹脂粒子の生分解速度向上の観点から、具体的には一般式(CDN1)で表される化合物が有するヒドロキシ基が下記の基(EP)に置き換えられた構造の化合物、つまり、下記の一般式(CDN1-e)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022022947000006
基(EP)及び一般式(CDN1-e)中、LEPは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(CDN1-e)中、R、R及びP2はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。
基(EP)及び一般式(CDN1-e)において、LEPが表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1以上4以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数1のアルキレン基)、-CHCHOCHCH-基等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
EPとしては、メチレン基が好ましい。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体とは、少なくとも2つ以上の一般式(CDN1)で表される化合物が、連結基を介して又は介さずに重合された重合体をいう。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体としては、例えば、下記の一般式(CDN2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022022947000007
一般式(CDN2)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P21及びP23はそれぞれ独立に、0以上3以下の整数を表し、P22は0以上2以下の整数を表す。L及びLはそれぞれ独立に、2価の連結基を表す。nは、0以上10以下の整数を表す。P21が2以上である場合において複数存在するR21、P22が2以上である場合において複数存在するR22、及びP23が2以上である場合において複数存在するR23はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。nが2以上である場合において複数存在するR12、R22及びLはそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよく、nが2以上である場合において複数存在するP22は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
一般式(CDN2)において、R11、R12、R13、R21、R22及びR23が表す置換基を有していてもよいアルキル基及び二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基としては、一般式(CDN1)のRとして列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN2)において、L及びLが表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
一般式(CDN2)において、nとしては、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
一般式(CDN2)で表される化合物はさらに変性されていてもよい。例えば、エポキシ化されていてもよく、具体的には一般式(CDN2)で表される化合物が有するヒドロキシ基が基(EP)に置き換えられた構造の化合物、つまり、下記の一般式(CDN2-e)で表される化合物であってもよい。
Figure 2022022947000008
一般式(CDN2-e)中、R11、R12、R13、R21、R22、R23、P21、P22、P23、L、L及びnはそれぞれ、一般式(CDN2)におけるR11、R12、R13、R21、R22、R23、P21、P22、P23、L、L及びnと同義である。
一般式(CDN2-e)中、LEP1、LEP2及びLEP3はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。nが2以上である場合において複数存在するLEP2は、同じ基であっても異なる基であってもよい。
一般式(CDN2-e)において、LEP1、LEP2及びLEP3が表す2価の連結基としては、一般式(CDN1-e)におけるLEPが表す2価の連結基として列挙したものが同様に好ましい例として挙げられる。
一般式(CDN1)で表される化合物が重合された重合体としては、例えば、少なくとも3つ以上の一般式(CDN1)で表される化合物が、連結基を介して又は介さずに三次元的に架橋重合された重合体であってもよい。一般式(CDN1)で表される化合物が三次元的に架橋重合された重合体としては、例えば以下の構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022022947000009
上記構造式において、R10、R20及びP20はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。L10は、単結合又は2価の連結基を表す。複数存在するR10、R20及びL10はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。複数存在するP20は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
上記構造式において、L10が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
上記構造式で表される化合物はさらに変性されていてもよく、例えば、エポキシ化されていてもよい。具体的には、上記構造式で表される化合物が有するヒドロキシ基が基(EP)に置き換えられた構造の化合物であってもよく、例えば以下の構造式で表される化合物、つまり、一般式(CDN1-e)で表される化合物が三次元的に架橋重合された重合体が挙げられる。
Figure 2022022947000010
上記構造式において、R10、R20及びP20はそれぞれ、一般式(CDN1-e)におけるR、R及びP2と同義である。L10は、単結合又は2価の連結基を表す。複数存在するR10、R20及びL10はそれぞれ、同じ基であっても異なる基であってもよい。複数存在するP20は、同じ数であっても異なる数であってもよい。
上記構造式において、L10が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数2以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数5以上20以下のアルキレン基)等が挙げられる。
上記置換基としては、一般式(CDN1)のRにおいて置換基として列挙したものが同様に挙げられる。
カルダノール化合物は、樹脂成形体の透明性を向上する観点から、エポキシ基を有するカルダノール化合物を含むことが好ましく、エポキシ基を有するカルダノール化合物であることがより好ましい。
カルダノール化合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、Cardolite社製のNX-2024、Ultra LITE 2023、NX-2026、GX-2503、NC-510、LITE 2020、NX-9001、NX-9004、NX-9007、NX-9008、NX-9201、NX-9203、東北化工社製のLB-7000、LB-7250、CD-5L等が挙げられる。エポキシ基を有するカルダノール化合物の市販品としては、例えば、Cardolite社製のNC-513、NC-514S、NC-547、LITE513E、Ultra LTE 513等が挙げられる。
カルダノール化合物の水酸基価は、樹脂成形体の生分解速度向上の観点から、100mgKOH/g以上が好ましく、120mgKOH/g以上がより好ましく、150mgKOH/g以上が更に好ましい。カルダノール化合物の水酸基価の測定は、ISO14900のA法に従って行われる。
カルダノール化合物として、エポキシ基を有するカルダノール化合物を用いる場合、そのエポキシ当量は、樹脂成形体の透明性を向上する観点から、300以上500以下が好ましく、350以上480以下がより好ましく、400以上470以下が更に好ましい。エポキシ基を有するカルダノール化合物のエポキシ当量の測定は、ISO3001に従って行われる。
カルダノール化合物の分子量は、樹脂成形体の生分解速度向上の観点から、250以上1000以下が好ましく、280以上800以下がより好ましく、300以上500以下が更に好ましい。
カルダノール化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、脂肪酸エステル(B2)について説明する。
脂肪酸エステル(B2)としては、モノエステル、ジエステル、トリエステル、ポリエステルのいずれであってもよい。
脂肪酸エステル(B2)としては、脂肪族モノカルボン酸エステル(酢酸エステル等)、脂肪族ジカルボン酸エステル(コハク酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸エステル、イソクエン酸エステル等)、エポキシ化脂肪酸エステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化菜種脂肪酸イソブチル、エポキシ化脂肪酸2-エチルヘキシル)、脂肪酸メチルエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。
脂肪酸エステルは、アルキルカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数2以上6以下(好ましくは2以上3以下)のアルキルカルボン酸無水物)でアシル化されていてもよい。
脂肪酸エステル(B2)としては、脂肪族ジカルボン酸エステル(特にアジピン酸エステル、セバシン酸)、脂肪族トリカルボン酸エステル(特に、クエン酸エステル)が好適に挙げられる。
アジピン酸エステルとしては、具体的には、下記の一般式(AE)で表されるアジピン酸ジエステル、及び下記の一般式(APE)で表されるアジピン酸ポリエステルが挙げられる。
Figure 2022022947000011

一般式(AE)中、RAE1及びRAE2はそれぞれ独立に、アルキル基又はポリオキシアルキル基[-(C2x-O)-RA1](ただし、RA1はアルキル基を表し、xは1以上10以下の整数を表し、yは1以上10以下の整数を表す。)を表す。
一般式(APE)中、RAE1及びRAE2はそれぞれ独立に、アルキル基又はポリオキシアルキル基[-(C2x-O)-RA1](ただし、RA1はアルキル基を表し、xは1以上10以下の整数を表し、yは1以上10以下の整数を表す。)を表し、RAE3は、アルキレン基を表す。m1は、1以上10以下の整数を表し、m2は、1以上20以下の整数を表す。
一般式(AE)及び(APE)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以上10以下のアルキル基がより好ましく、炭素数8のアルキル基が更に好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(AE)及び(APE)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[-(C2x-O)-RA1]において、RA1が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(APE)中、RAE3が表すアルキレン基としては、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐状が好ましい。
一般式(APE)中、m1は、1以上5以下の整数が好ましく、m2は、1以上10以下の整数が好ましい。
一般式(AE)及び(APE)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
アジピン酸エステルとしては、アジピン酸エステルとそれ以外の成分との混合物を用いてもよい。当該混合物の市販品として、大八化学工業製のDaifatty101等が挙げられる。
セバシン酸エステルとしては、クエン酸エステルとしては、クエン酸の炭素数1以上12以下(好ましくは1以上8以下)のアルキルエステルが挙げられる。
クエン酸エステルとしては、クエン酸の炭素数1以上12以下(好ましくは1以上8以下)のアルキルエステルが挙げられる。クエン酸エステルは、アルキルカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数2以上6以下(好ましくは2以上3以下)のアルキルカルボン酸無水物)でアシル化されたクエン酸エステルであってもよい。
脂肪酸エステル(B2)の分子量(又は重量平均分子量)が、200以上2000以下であることが好ましく、250以上1500以下であることがより好ましく、280以上1000以下であることが更に好ましい。エステル化合物の重量平均分子量は、特に断りのない限り、セルロースアシレートの重量平均分子量の測定方法に準拠して測定される値である。
芳香族化合物、脂肪酸エステル、又は、芳香族化合物及び脂肪酸エステルの合計の含有量は。セルロース樹脂に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
母粒子には、生分解性樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。ただし、他の樹脂を含む場合、樹脂組成物の全量に対する他の樹脂の含有量は、5質量%以下がよく、1質量%未満であることが好ましい。他の樹脂は、含有しないこと(つまり0質量%)がより好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン-芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル-ジエン-芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物-ジエン-シアン化ビニル-N-フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル-(エチレン-ジエン-プロピレン(EPDM))-芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[第一層]
第一層は、母粒子の表面上に有する樹脂層である。そして、第一層は、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む。
カチオン性樹脂は、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンのいずれでもよいが、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上4以下、より好ましくは炭素数1以上2以下)のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。
特に、ポリエチレンイミンは、高密着性及び高吸水性を有する化合物である。ポリエチレンイミンのアミノ基は、水酸基と水素結合、カルボキシル基とイオン結合、カルボニル基とは共有結合するためである。ポリエチレンイミンは、極性基(アミノ基)と疎水基(エチレン基)を構造に有するため、異なる物質を結合し易くなる性質を有するためである。
また、ポリエチレンイミンは、高カチオン性を有する化合物である。それにより、ポリエチレンイミンは、水中下でポリカチオンとして存在し、アニオン性物質を中和・吸着する。
また、ポリエチレンイミンは、反応性の高い1級アミノ基又は2級アミノ基を有するため、高反応性を有する化合物である。それにより、種々の化合物と容易に反応する。
そのため、ポリアルキレンイミンとして、ポリエチレンイミンを適用すると、より強固に、疎水性化合物を含む第二層が母粒子に被覆され、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅くなり易くなる。
カチオン性樹脂の数平均分子量は、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、300以上100000以下が好ましく、10000以上85000以下がより好ましく、50000以上80000以下がさらに好ましい。
カチオン性樹脂の数平均分子量は、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC-8320GPC、カラム:TSKgelα-M)にてポリスチレン換算で測定する。
[第二層]
第二層は、第一層上に有する化合物層である。そして、第二層は、アニオン性又はノニオン性の化合物又は疎水性化合物を含む。
アニオン性又はノニオン性の化合物又は疎水性化合物は、アニオン性基(-COOH(カルボキシル基)、-SOH(スルホン基)等)を有する疎水性化合物、カチオン性基及びアニオン性基を有さない疎水性化合物が挙げられる。
そして、疎水性化合物とは、後述する生分解性樹脂粒子の疎水性(具体的には水接触角)を付与する化合物を示す。
疎水性化合物としては、シリコーン化合物、炭化水素化合物、脂肪酸化合物、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、等が挙げられる。
これらの中でも、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、シリコーン化合物、炭化水素化合物、脂肪酸化合物、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
シリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、各種変性シリコーンオイル(アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等)、MQレジン、シリコーンゴム等が挙げられる。
これらの中でも、シリコーン化合物としては、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、MQレジン、及びシリコーンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ここで、MQレジンとは、一官能シロキサン単位[(CHSiO1/2]であるM単位と、四官能シロキサン単位[SiO4/2]であるQ単位と、を有するシリコーン樹脂を示す。
シリコーン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製のシリコーン化合物(KM-902、KM-903、KM-910、KM-9729、POLON-MN-ST、KM-9737A、KM-9782、KM-9738A、KM-752T、POLON-MF-33、KM-9717、X-51-1302M(MQレジン)、POLON-MF-56、KM-2002-L-1、KM-2002-T、KM-9772、KM-9749、POLON-MF-40、KM-9729、X-52-1133等)、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のシリコーン化合物(BELSIL DM3112VP)
炭化水素化合物としては、石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムワックス等)、合成炭化水素ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等)が挙げられる。
これらの中でも、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、炭化水素化合物としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、及びポリプロピレンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
炭化水素化合物の市販品としては、日本精蝋(株)製のマイクロクリスタリン(EMUSTAR-0001等)、日本精蝋(株)製のパラフィンワックス(EMUSTAR-0135等)、BYK(株)製のパラフィンワックス(AQUACER497等)、BYK(株)製のポリエチレンワックス(AQUACER507、AQUACER840、AQUACER1547、AQUACER272等)、東邦化学(株)製のポリエチレンワックス(ハイテックE-2213、ハイテックE-6324等)、BYK(株)製のポリプロピレワックス(AQUACER593等)、東邦化学(株)製のポリプロピレン(ハイテックP-9018、ハイテックP-5060P等)等が挙げられる。
脂肪酸化合物としては、脂肪酸を含む植物油(ひまし油、桐油、亜麻仁油、ショートニング、コーン油、大豆油、胡麻油、菜種油、ひまわり油、こめ油、椿油、ヤシ油、パーム油、クルミ油、オリーブ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、ホホバ油、カカオバター、シアバター、ニーム油、ベニバナ油、木蝋、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナバワックス等)が挙げられる。
これらの中でも、これらの中でも、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、パームワックス、ひまし油ワックス、大豆油ワックス、及びひまわり油ワックスよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
脂肪酸化合物の市販品としては、日本精蝋(株)製のカルバナワックス(EMUSTAR-0413(カルナバワックス)、日本精蝋(株)製のライスワックス(AQUASPROUT-7300等)、日本精蝋(株)製のパームワックス(AQUASPROUT-7100等)、日本精蝋(株)製のひまし油ワックス(AQUASPROUT-7500等)、日本精蝋(株)製の大豆油ワックス(AQUASPROUT-7200等)、日本精蝋(株)製のひまわり油ワックス(AQUASPROUT-7400等)、日本精蝋(株)製のパーム油ワックス(カッコーエースTKE等)等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、アクリル酸の重合体、アクリル酸アルキルエステルの重合体等の周知のアクリル樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂の市販品としては、例えば、大成ファイン(株)製のアクリル樹脂(3WX-2015、3MF-320、3MF-333、3MF-407等)、DIC(株)製のアクリル樹脂(コートSFC-6440、ボンコートCE-6270、ボンコートCE-6400、ボンコートCF-2800等)が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多価アルコールとの重縮合体、環状ラクタムの開環重縮合体等の周知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、高松油脂(株)製のポリエステル樹脂(A-110F、A-160P、A-520、A-613D、A-615GE、A-640、A-645GH、A-647GEX等)が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン等の周知のウレタン樹脂が挙げられる。また、ウレタン樹脂としては、アクリルポリマーのコアの周囲にウレタンポリマーのシェル層を有する材料を使用してもよい。
ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、大成ファイン(株)製のウレタン樹脂(WEM-031U、WEM-200U、WEM-321U、WEM-3000、WBR-016U、WBR-2101等)が挙げられる。
[各層の含有量]
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子において、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、第一層におけるカチオン性樹脂の被覆量と第二層における疎水性化合物の被覆量との質量比(カチオン性樹脂の被覆量/疎水性化合物の被覆量)は、0.05以上20以下が好ましく、0.1以上10以下がより好ましく、0.1以上3以下がさらに好ましい。
また、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、母粒子に対するカチオン性樹脂の含有量は、0.05質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
また、経時での生分解速度向上、及び、初期の生分解速度低下の観点から、母粒子に対する疎水性化合物の含有量は、0.05質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
ここで、カチオン性樹脂、及び疎水性化合物の各被覆量(つまり、第一層および第二層の各被覆量)は、次の通り、測定する。カチオン性樹脂の被覆量は、カチオン性樹脂の処理量と処理後の上澄みを乾固して得られるカチオン性樹脂の差分で求められる。同様に、疎水性化合物の被覆量は、疎水性化合物の処理量と処理後の上澄みを乾固して得られる疎水性化合物の差分で求められる。
[生分解性樹脂粒子の特性]
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子において、生分解性樹脂粒子をペレット化した際の水接触角が70°以上120°以下である。
接触角が上記範囲であると、初期の生分解速度が低下する。
水接触角は、好ましくは72°以上110°以下、より好ましくは75°以上105°以下である。
水接触角は、作製した生分解性粒子をペレット化した後、23℃の環境下、接触角計(協和界面科学社製の型番:CA-X型)を用いて、ペレットの表面に注射器で1μlの水滴を落とし、1分後に測定する。
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、3か月後の好気条件生分解率は20%以下である。
3か月後の好気条件生分解率が上記範囲であると、初期の生分解速度が低下する。
3か月後の好気条件生分解率は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。なお、下限は理想的には0%であるが、例えば、1%以上である。
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子は、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、6か月後の好気条件生分解率と3か月後の好気条件生分解率との比(6か月後の好気条件生分解率/3か月後の好気条件生分解率)は、1.20以上が好ましく、1.50以上が好ましく、2.00以上がより好ましい。
また、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、12か月後の好気条件生分解率と3か月後の好気条件生分解率との比(12か月後の好気条件生分解率/3か月後の好気条件生分解率)は、3.50以上が好ましく、5.00以上が好ましく、10.00以上がより好ましく、15.00以上がさらに好ましく、20.00以上がより好ましい。
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子において、X線光電子分光法(XPS)により、生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Cs、ケイ素原子量Sis及び酸素原子量Osの関係は、式A:(Cs+Sis)/Os≧3を満たす。
式Aを満たすと、初期の生分解速度が低下する。また、生分解性樹脂粒子表面の親油性が向上し、樹脂粒子の吸油率が上がる。
「Cs+Sis)/Os」の値は、初期の生分解速度の低下、吸油率向上の観点から、4以上が好ましく、7以上がより好ましい。ただし、「Cs+Sis)/Os」の値の上限は、経時での生分解速度の観点から、例えば、95以下である。
「Cs+Sis)/Os」の値を上記範囲にするには、疎水性化合物を含む第二層を母粒子に被覆することが好ましい。
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子において、X線光電子分光法(XPS)により、表面エッチングを3分施した後の生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Ce、ケイ素原子量Sie及び酸素原子量Oeの関係は、式B:(Ce+Sie)/Oe≧3を満たすことが好ましい。
式Bを満たすと、生分解速度が低下している期間が長くなる。また、高い吸油率が維持され易くなる。さらに、生分解性樹脂粒子に機械的負荷が付与されても(例えば、超音波ホモジナイズ等により、生分解性樹脂粒子を撹拌しても)、吸油率が低下し難くなる。
「(Ce+Sie)/Oe」の値は、初期の生分解速度維持性、吸油率維持性の観点から、4以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。ただし、「(Ce+Sie)/Oe」の値の上限は、経時での生分解速度の観点から、例えば、95以下である。
「(Ce+Sie)/Oe」の値を上記範囲にするには、カチオン性樹脂を含む第一層および疎水性化合物を含む第二層を母粒子に順次被覆することが好ましい。
ここで、X線光電子分光法(XPS)による各原子量(atom%)の測定方法は、次の通りである。なお、測定は、作製した生分解性粒子に対して実施する。
XPS測定装置として「アルバック・ファイ製 PHI5000 Versa Probe II」を使用し、X線源として単色化されたAlKα線を用い、加速電圧を15kVに設定して測定を実施する。具体的には、分析領域を100μmφとして、測定された各原子(炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子)のスペクトルに基づいて、各原子(炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子)の個数を求め、測定領域における全原子量に対する各原子量(炭素原子量、ケイ素原子量及び酸素原子量)を算出する。
そして、エッチング前の生分解性樹脂粒子表面を測定したときの、炭素原子量、ケイ素原子量及び酸素原子量を、炭素原子量Cs、ケイ素原子量Sis及び酸素原子量Osとして求める。
また、表面エッチングを3分施した後の生分解性樹脂粒子表面を測定したときの、炭素原子量、ケイ素原子量及び酸素原子量を、炭素原子量Ce、ケイ素原子量Sie及び酸素原子量Oeとして求める。
ただし、第二層に含む化合物がケイ素原子を含まない場合、ケイ素原子量は0atom%となる。
なお、表面エッチングは、作製した生分解性粒子に対して、次の通り実施する。
エッチング用の装置として「アルバック・ファイ製 PHI5000 Versa Probe II」を使用し、エッチング用ガスとしてアルゴンを用いたアルゴンガスクラスターエッチング手法にて、加速電圧5kV、掃引領域2mm×2mmの条件で3分間エッチングを行う。
生分解性樹脂粒子の体積平均粒径は、3μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上70μm以下がより好ましく、8μm以上60μm以下がさらに好ましい。
粒状体の粒径を3μm以上にすると、単位重量あたりの粒子の個数が多くなりすぎないため、生分解速度の低下が抑制される。一方、生分解性樹脂粒子の粒径が100μm以下にすると、比表面積が高くなり、より生分解速度の向上が図られる。
そのため、粒状体の体積平均粒径は、上記範囲が好ましい。
生分解性樹脂粒子の大径側粒度分布指標GSDvは、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。
生分解性樹脂粒子の粒度分布が均一に近づけると、水との一定の接触機会を与えることで規則的な加水分解が進行し、より生分解速度の向上が図られる。
生分解性樹脂粒子の体積平均粒径および大径側粒度分布指標GSDpは、次の通り測定される。
LS粒度分布測定装置「Beckman Coulter LS13 320(ベックマンコールター社製)」により粒径を測定し、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を、体積平均粒径として求める。
一方、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を個数平均粒子径D50v、累積84%となる粒子径を個数粒子径D84vと定義する。そして、大径側個数粒度分布指標GSDvは、式GSDv=(D84v/D50v)1/2で算出する。
[生分解性樹脂粒子の製造方法]
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子の製造方法として、例えば、
母粒子を分散した水分散液とカチオン性樹脂を含む水溶液とを混合する第一工程と、
混合液から母粒子を取り出し、母粒子を分散した水分散液を得て、水分散液とアニオン性又はノニオン性の疎水性化合物のエマルジョン溶液とを混合した後、乾燥する第二工程と、
を有する方法が挙げられる。
以下、具体的に説明する。
-第一工程-
第一工程では、母粒子を準備する。
母粒子の製造方法は、例えば、次の方法が挙げられる。
1)各成分を混練し、得られた混練物を粉砕、分級して、粒状物を得る混練粉砕法、
2)混練粉砕法にて得られた粒状物を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させ、粒状物を得る乾式製法
3)各成分の粒子分散液を混合し、分散液中の粒子を凝集、加熱融着させ、粒状物を得る凝集合一法
4)各成分を溶解した有機溶媒を水系溶媒に懸濁させて、各成分を含む粒状物を造粒する溶解懸濁法
これらの中でも、後述する体積平均粒径および大径側粒度分布指標GSDvを有する生分解性樹脂粒子を得る観点から、凝集合一法、溶解懸濁法等の湿式法がよい。
次に、得られた母粒子が分散された水分散液を調製する。水分散液を調製する前に、母粒子を酸洗浄することがよい。
次に、水分散液と、母粒子を分散した水分散液とカチオン性樹脂を含む水溶液とを混合する。それにより、例えば、母粒子に含む樹脂の水酸基とカチオン性樹脂のアミンサイトとが反応し、第一層が形成される。
-第二工程-
第二工程では、混合液から、第一層が形成された母粒子を取り出す。母粒子の取り出しは、例えば、混合液を濾過することにより実施する。取り出した母粒子は、水により洗浄することがよい。それにより、未反応のカチオン樹脂を除去できる。
次に、母粒子を分散した水分散液を調製した後、水分散液と、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物のエマルジョン溶液とを混合する。それにより、疎水性化合物のエマルジョンが、母粒子の第一層上に吸着する。
その後、混合液を乾燥すると、疎水性化合物のエマルジョンが壊れて、第一層上で疎水性化合物が皮膜化される。それにより、第二層が形成される。
以上の工程により、本実施形態に係る生分解性樹脂粒子が得られる。
本実施形態に係る生分解性樹脂粒子の用途としては、化粧品基材、ローリング剤、研磨剤、スクラブ剤、ディスプレイスペーサー、ビーズ成形用材料、光拡散粒子、樹脂強化剤、屈折率制御剤、生分解促進剤、肥料、吸水性粒子、トナー粒子の粒状体が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本実施形態に係る樹脂組成物及び樹脂成形体は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
<各材料の準備>
次の材料を準備した。
[母粒子の生分解性樹脂]
・DAC:(株)ダイセル製「L-50」、セルロースジアセテート、重量平均重合度570
・CAB:イーストマンケミカル「CAP504-0.2」、セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度133、アセチル基置換度0.04、プロピオニル基置換度2.09
・CAP:セルロースアセテートプロピオネート、重量平均重合度716、アセチル基置換度0.18、プロピオニル基置換度2.49
・PLA:ポリ乳酸、重量平均分子量180000
・PHA:ポリヒドロキシアルカン酸
・PBS:ポリブチレンサクシネート、重量平均分子量200000
・PBSA:ポリブシレンサクシネートアジペート、重量平均分子量110000
・PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート、重量平均分子量100000
・PETS:ポリエチレンテレフタレート/サクシネート共重合体、重量平均分子量150000
[母粒子の可塑剤]
・CDNl:Cardolite「NX-2503」、ヒドロキシエチル化カルダノール、分子量296~320
・CDN2:Cardolite「Ultra LITE 513」、カルダノールのグリシジルエーテル、分子量354~361。
・CDN3:DIC社「EPICLON865‐アルキル変性品」フェノールノボラック型エポキシ樹脂のアルキル変性品
・DBA :アジピン酸ジイソブチル
・ATBC:O-アセチルクエン酸トリエチル
・DPS :セバシン酸ジイソプロピル
[第一層のカチオン性樹脂]
・PEI :ポリエチレンイミン、使用する材料の数平均分子量Mnは表1に示す。
・PAA :ポリアリルアミン、使用する材料の数平均分子量Mnは表1に示す。
・PVAM:ポリビニルアミン、使用する材料の数平均分子量Mnは表1に示す。
[第二層の、アニオン性又はカチオン性の疎水性化合物]
・EMUSTAR-0135:日本精蝋(株)製のパラフィンワックス
・POLON-MN-ST:信越化学工業(株)製のジメチルシリコーン
・KM-9717:信越化学工業(株)製のMQレジン
・BELSIL DM3112VP:旭化成ワッカーシリコーン(株)製のジメチコン(ジメチルシリコーン)
・ハイテックE-2213:東邦化学(株)製のポリエチレンワックス
・ハイテックP-9018:東邦化学(株)製のポリプロピレンワックス
・EMUSTAR-0413:日本精蝋(株)製のカルバナワックス
・3MF-320:大成ファイン(株)製のアクリル樹脂
・A-647GEX:高松油脂(株)製のポリエステル樹脂
・WBR-016U:大成ファイン(株)製のウレタン樹脂
[実施例A1~A30、B1~B29、比較例A1~A2、B1~B2]
(樹脂ペレットの作製)
表1~表2に示す仕込み組成比で、シリンダ温度を調製し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、ペレット形状の樹脂組成物(以下、樹脂ペレットと称する。)を得た。
(母粒子の作製)
樹脂として、DAC、CAB、及びCAPを使用する場合、次の通り母粒子を得た。
樹脂ペレット300gをメチルエチルケトン700g中に完全に溶解する。これを、炭酸カルシウム100g、カルボキシメチルセルロース4g、メチルエチルケトン200gを純水1100gに分散させた水系液体中に加え、3時間攪拌した。これに10gの水酸化ナトリウムを加え、80℃に加熱して3時間攪拌してメチルエチルケトンを除去する。残渣をろ過した後、再度純水に分散して母粒子のスラリーを得た。
一方、樹脂として、DAC、CAB、及びCAP以外の樹脂を使用する場合、次の通り母粒子を得た。
樹脂ペレット2000gを溶融混錬(ニーダー)し、混錬物を2本ロールで圧延し板状に成形後、成形物を冷却し粉砕機で粗粉砕する。この粗粉砕物をジェトミルで微粉砕することで母粒子を得た。この母粒子を、純水に分散して母粒子のスラリーを得た。
(生分解性樹脂粒子の作製)
表1~表2に示す第一層及び第二層の材料を使用して、各層の被覆量が表1~表2に示す量となるように、次の通り、生分解性樹脂粒子を得た。
母粒子のスラリーを固形分が20%になるように調整後、このスラリーに含まれる固形分量に対してカチオン性樹脂の溶液を純分換算で所定量を添加して25℃の条件下で1時間撹拌した。撹拌終了後、残渣のろ過を行い、再度純水に分散して、固形分が20%になるように調整し、このスラリーに含まれる固形分量に対して、疎水性化合物を純分換算で所定量を添加して25℃の条件下で1時間撹拌した。撹拌終了後、残渣のろ過を行い、固形分を凍結乾燥して生分解性樹脂粒子を得た。
以上の工程を経て、生分解性樹脂粒子を得た。
なお、比較例A2、B2では、第一層を形成せず、実施例A1、B1と同じ被覆量となるように第二層を形成する処理(疎水性化合物の添加処理)を実施したが、疎水性化合物が吸着し難く、第二層の被覆量は0.0001%であった。
<生分解性樹脂粒子の特性>
記述の方法に従って、下記生分解性樹脂粒子の特性を測定した。結果を表1~表2に示す。
・水接触角(表中「接触角」と表記)
・体積平均粒径D50v
・(Cs+Sis)/Os値(表中、「(C+Si)/O比 T=0」と表記)
・(Ce+Sie)/Oe値(表中、「(C+Si)/O比 T=3」と表記)
<耐加水分解性>
生分解性樹脂粒子の耐加水分解性を次の通り評価した。ただし、加水分解性の評価は実施例B1~B29及び比較例B1~B2の生分解性樹脂粒子のみ実施した。
生分解性樹脂粒子50gを#508/585-1μナイロンメッシュ(目開き1μm)で作った袋内に封入し、50℃、PH7.8に調整した蒸留水中に90日間浸した。その後、樹脂粒子の入ったナイロンメッシュを取り出し、ナイロンメッシュ中の樹脂粒子を真空乾燥した。真空乾燥後の生分解性樹脂粒子の質量を測定し、生分解性樹脂粒子の質量減少率を測定した。そして、次の基準で評価した。
A:質量減少率が0%以上10%未満
B:質量減少率が10%以上20%未満
C:質量減少率が20%以上30%未満
D:質量減少率が30%以上
<吸油性>
-初期吸油率-
生分解性樹脂粒子1gをアマニ油10gに分散させた後、10000rpmで20分間遠心分離を行い、上澄みを静かに除去した後、生分解性樹脂粒子の質量を測定した。そして、下記式により吸油率を算出した。
・式:吸油率=(遠心分離後の質量増加分/アマニ油に分散させる前の質量)×100
-撹拌後吸油率-
生分解性樹脂粒子1gをアマニ油10gに分散させた溶液に超音波ホモジナイザーを設置し、20kHzの超音波を照射し、溶液を10分撹拌した。撹拌後の溶液を10000rpmで20分間遠心分離を行い、上澄みを静かに除去した後、生分解性樹脂粒子の質量を測定した。そして、上記式により吸油率を算出した。
なお、吸油率は、下記基準で評価した。
(A):110%以上
(B):90%以上109%以下
(C):70%以上89%以下
(D):69%以下
<生分解性の測定>
得られた生分解性樹脂粒子を用いて、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法で、3か月後、6ヶ月後、12ヶ月後の各好気条件生分解率を測定した。結果を表1~表2に示す。
Figure 2022022947000012
Figure 2022022947000013
Figure 2022022947000014
Figure 2022022947000015
上記結果から、本実施例の生分解性樹脂粒子は、比較例の生分解性樹脂粒子に比べ、経時での生分解速度を有しつつ、初期の生分解速度が遅いことがわかる。
また、本実施例の生分解性樹脂粒子は、比較例の生分解性樹脂粒子に比べ、吸油率も高いことがわかる。
また、本実施例の生分解性樹脂粒子において、生分解性樹脂としてセルロース樹脂に特定の可塑剤を添加した母粒子に、カチオン性樹脂を含む第一層および疎水性化合物を含む第二層に順次被覆した生分解性樹脂粒子は、生分解性を有しつつ、耐加水分解性に優れることがわかる。

Claims (22)

  1. 生分解性樹脂を含む母粒子と、
    前記母粒子の表面上に有する、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン及びポリビニルアミンの少なくとも1種のカチオン性樹脂を含む第一層と、
    前記第一層上に有する、アニオン性又はノニオン性の疎水性化合物を含む第二層と、
    を有する生分解性樹脂粒子。
  2. 前記疎水性化合物が、シリコーン化合物、炭化水素化合物、脂肪酸化合物、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の生分解性樹脂粒子。
  3. 前記シリコーン化合物が、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、MQレジン、及びシリコーンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の生分解性樹脂粒子。
  4. 前記炭化水素化合物が、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、及びポリプロピレンワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項2又は請求項3に記載の生分解性樹脂粒子。
  5. 前記脂肪酸化合物が、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、パームワックス、ひまし油ワックス、大豆油ワックス、及びひまわり油ワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  6. ポリアルキレンイミンが、炭素数1以上4以下のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンである請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  7. 前記炭素数1以上4以下のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンが、ポリエチレンイミンである請求項6に記載の生分解性樹脂粒子。
  8. 前記生分解性樹脂が、セルロース樹脂、およびポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  9. 前記生分解性樹脂が、セルロース樹脂である請求項8に記載の生分解性樹脂粒子。
  10. 前記セルロース樹脂が、2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートである、請求項9に記載の生分解性樹脂粒子。
  11. 前記セルロース樹脂と反応する官能基を有さず、長鎖脂肪族基と共に、フェノール性水酸基、および芳香族基に直接結合したモノグリシジルエーテル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、並びに、脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む請求項9又は請求項10に記載の生分解性樹脂粒子。
  12. 前記芳香族化合物が、カルダノール化合物である請求項11に記載の生分解性樹脂粒子。
  13. 前記カルダノール化合物が、下記一般式(CDN1)で表される化合物、及び、下記一般式(CDN1-e)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項12に記載の生分解性樹脂粒子。
    Figure 2022022947000016

    (一般式(CDN1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。Rは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は二重結合を有し且つ置換基を有していてもよい不飽和脂肪族基を表す。P2は0以上4以下の整数を表す。P2が2以上である場合において複数存在するRは、同じ基であっても異なる基であってもよい。)
    Figure 2022022947000017

    (一般式(CDN1-e)中、LEPは、単結合又は2価の連結基を表す。一般式(CDN1-e)中、R、R及びP2はそれぞれ、一般式(CDN1)におけるR、R及びP2と同義である。)
  14. 前記母粒子に、前記セルロース樹脂としてセルロースアセテートプロピオネート、及び前記芳香族化合物としてカルダノール化合物を含む請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  15. 前記母粒子に、前記セルロース樹脂としてセルロースアセテテートブチレート、及び前記脂肪酸エステルを含む請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  16. 前記カチオン性樹脂の被覆量と前記疎水性化合物の被覆量との質量比(前記カチオン性樹脂の被覆量/前記疎水性化合物の被覆量)が、0.1以上10以下である請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  17. 前記母粒子に対する前記カチオン性樹脂の被覆量が、0.1質量%以上10質量%以下である請求項16に記載の生分解性樹脂粒子。
  18. 前記カチオン性樹脂の数平均分子量が、10000以上85000以下である請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の生分解性樹脂粒子。
  19. 生分解性樹脂を含む母粒子と、
    前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
    を有し、
    生分解性樹脂粒子をペレット化した際の水接触角が70°以上120°以下である生分解性樹脂粒子。
  20. 生分解性樹脂を含む母粒子と、
    前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
    を有し、
    ISO-14855-2(2018年)に準じた方法測定した、3か月後の好気条件生分解率が20%以下である生分解性樹脂粒子。
  21. 生分解性樹脂を含む母粒子と、
    前記母粒子の表面上に有する、化合物層と、
    を有し、
    X線光電子分光法(XPS)により、生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Cs、ケイ素原子量Sis及び酸素原子量Osの関係が、式A:(Cs+Sis)/Os≧3を満たす生分解性樹脂粒子。
  22. X線光電子分光法(XPS)により、表面エッチングを3分施した後の生分解性樹脂粒子表面を測定したとき、炭素原子量Ce、ケイ素原子量Sie及び酸素原子量Oeの関係が、式B:(Ce+Sie)/Oe≧3を満たす請求項21に記載の生分解性樹脂粒子。
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