JP2022021812A - 炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置 - Google Patents

炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素繊維に付着した樹脂残渣を低減でき、元の炭素繊維の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法を提供する。【解決手段】平行な炭素繊維11がマトリックス樹脂12で固化された炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを加熱して形成した樹脂残渣13を有する炭素繊維集合体1Tを、カード機4に通して炭素繊維束1TBに開繊した後、分離機5にて粉塵FZと炭素繊維束とを分離して回収する炭素繊維の分離回収方法である。カード機は、炭素繊維集合体をピン針421で押し下げる方向に回転するテーカイン42と、ピン針431で炭素繊維集合体を押し上げるシリンダ43と、テーカインとシリンダとの上部境界部に配設され経路を形成するブロック体44とを備え、経路を通過する炭素繊維集合体をシリンダが下方から保持した状態で、テーカインのピン針が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける。【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置に関し、より詳しくは、炭素繊維強化樹脂(CFRP)から炭素繊維とマトリックス樹脂とを分離して、再利用可能な炭素繊維を回収する炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置に関する。
近年、自動車や航空機等には、車体、機体の軽量化及び高強度化を目的として、炭素繊維強化樹脂(CFRP)が用いられている。炭素繊維強化樹脂は、OA機器や家電製品にも適用拡大される傾向があり、これら製品の使用後又は成形過程で生じる廃材、端材の再利用方法の開発が求められている。炭素繊維強化樹脂を再利用するためは、炭素繊維の性能を維持しながら、炭素繊維をマトリックス樹脂から分離して回収する必要がある。近年、この炭素繊維の分離回収方法には、炭素繊維の表面に欠損等が生じにくく、炭素繊維の引張強度の低下も生じにくい熱分解法が注目されている。
上記熱分解法として、例えば、特許文献1には、炭素繊維およびマトリックス樹脂を含む炭素繊維強化樹脂から炭素繊維を再生炭素繊維として得る方法であり、炭素繊維強化樹脂を加熱することによってマトリックス樹脂を熱分解して、樹脂残渣含有率が0.01~30.0質量%である加熱処理物を得て、加熱処理物をカッターミル等の切断機で切断する、再生炭素繊維製造方法が開示されている。
特開2020-75493号公報
しかしながら、特許文献1に開示された再生炭素繊維製造方法は、マトリックス樹脂を熱分解して、樹脂残渣含有率が0.01~30.0質量%である加熱処理物を得て、加熱処理物をカッターミル等の切断機で切断する方法であるので、炭素繊維に所定量の樹脂残渣が付着した状態で再生されることになる。そのため、再生炭素繊維を炭素繊維強化樹脂の原料として再利用したとき、付着した樹脂残渣が不純物として混入され、再利用後の製品(炭素繊維強化樹脂製品)の性能低下と成り得るという問題があった。
また、上記再生炭素繊維製造方法は、加熱処理物をカッターミル等の切断機で切断するので、再生後の炭素繊維の長さが元の長さより短くなり、その用途が限られるという問題があった。例えば、数ミリメートル程度の長さの炭素繊維では、射出成形のペレット用や紙漉き用等にその用途が限られる。そのため、再生後の炭素繊維において、元の炭素繊維の長さを出来る限り維持できる技術が求められている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、炭素繊維に付着した樹脂残渣を低減できると共に、元の炭素繊維の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置は、次のような構成を有している。
(1)所定の長さで略平行に配列された炭素繊維がマトリックス樹脂によって固化された炭素繊維強化樹脂の細片を加熱することによって前記マトリックス樹脂を熱分解して形成した樹脂残渣を有する炭素繊維集合体を、カード機に通して複数の炭素繊維束に分ける開繊を行った後、分離機にて前記樹脂残渣を含む粉塵と前記炭素繊維束とを分離して回収する炭素繊維の分離回収方法であって、
前記カード機は、供給された前記炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針で前記テーカインによって押し下げられた前記炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、前記テーカインと前記シリンダとの上部境界部に配設され前記炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、
上記経路を通過する前記炭素繊維集合体を前記シリンダのピン針が下方から保持した状態で、前記テーカインのピン針が、上方から下方に向けて前記炭素繊維集合体を前記炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の前記炭素繊維束に分ける開繊を行うことを特徴とする。
本発明においては、カード機は、供給された炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針でテーカインによって押し下げられた炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、テーカインとシリンダとの上部境界部に配設され炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、上記経路を通過する炭素繊維集合体をシリンダのピン針が下方から保持した状態で、テーカインのピン針が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊を行うので、炭素繊維集合体を炭素繊維に沿って竹割りのように割ることができる。そのため、炭素繊維束に分ける開繊に伴う炭素繊維の折損を大幅に低減でき、元の炭素繊維の長さを略維持することができる。
また、テーカインのピン針が、炭素繊維集合体を上方から下方に向けて炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊を行うので、炭素繊維束の開繊に伴って、炭素繊維の表面に付着された樹脂残渣を、炭素繊維の表面から剥離させることもできる。そのため、開繊された炭素繊維束の表面に付着した樹脂残渣を大幅に低減できる。また、炭素繊維束から剥離された樹脂残渣を含む粉塵は、分離機にて炭素繊維束と分離して回収することによって、作業環境の保全を図ることができる。
よって、本発明によれば、炭素繊維に付着した樹脂残渣を低減できると共に、元の炭素繊維の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法を提供することができる。
(2)(1)に記載された炭素繊維の分離回収方法において、
前記シリンダの回転速度は、前記テーカインの回転速度より速いことを特徴とする。
本発明においては、シリンダの回転速度は、テーカインの回転速度より速いので、テーカインのピン針が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊を行った後、開繊された炭素繊維束をシリンダのピン針によってシリンダの上方へ押し上げることができる。そのため、開繊された炭素繊維束がシリンダの下方へ落下するのを抑制して、炭素繊維束に分ける開繊を効率的に行うことができる。
(3)(1)又は(2)に記載された炭素繊維の分離回収方法において、
螺旋状に形成されたネジ山とネジ溝とを有する一対のネジ付きローラを備え、
前記炭素繊維強化樹脂の細片は、前記一対のネジ付きローラの間に前記炭素繊維強化樹脂を挟圧しながら前記ネジ付きローラを回転させて前記炭素繊維の長手方向に沿って通過させることによって、前記炭素繊維強化樹脂を前記炭素繊維同士の境界部に沿って複数に分割して形成することを特徴とする。
本発明においては、螺旋状に形成されたネジ山とネジ溝とを有する一対のネジ付きローラを備え、炭素繊維強化樹脂の細片は、一対のネジ付きローラの間に炭素繊維強化樹脂を挟圧しながらネジ付きローラを回転させて炭素繊維の長手方向に沿って通過させることによって、炭素繊維強化樹脂を炭素繊維同士の境界部に沿って複数に分割して形成するので、螺旋状に形成されたネジ山が、炭素繊維強化樹脂における炭素繊維同士の境界部に食い込むことができる。そのため、一対のネジ付きローラの間に、炭素繊維強化樹脂を炭素繊維の長手方向に沿って通過させることによって、炭素繊維強化樹脂を炭素繊維同士の境界部に沿って複数に分割し、炭素繊維強化樹脂の細片を形成できる。
そして、炭素繊維強化樹脂を炭素繊維同士の境界部に沿って分割するので、炭素繊維の折損等を回避できる。その結果、炭素繊維強化樹脂の細片を形成する段階においても、元の炭素繊維の長さを略維持することができる。また、ネジ山の高さやピッチ等を適正な値に選定することによって、カード機において好適に開繊し得る大きさの炭素繊維強化樹脂の細片に簡単に形成することができる。
(4)カード機と分離機とを備え、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維がマトリックス樹脂によって固化された炭素繊維強化樹脂の細片を加熱することによって前記マトリックス樹脂を熱分解して形成した樹脂残渣を有する炭素繊維集合体を、カード機に通して複数の炭素繊維束に分ける開繊を行った後、分離機にて前記樹脂残渣を含む粉塵と前記炭素繊維束とを分離して回収する炭素繊維の分離回収装置であって、
前記カード機は、フィードローラから供給された前記炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針で前記テーカインによって押し下げられた前記炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、前記テーカインと前記シリンダとの上部境界部に配設され前記炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、
上記経路を通過する前記炭素繊維集合体を前記シリンダのピン針が下方から保持した状態で、前記テーカインのピン針が、上方から下方に向けて前記炭素繊維集合体を前記炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の前記炭素繊維束に分ける開繊を行うことを特徴とする。
本発明においては、カード機は、フィードローラから供給された炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針でテーカインによって押し下げられた炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、テーカインとシリンダとの上部境界部に配設され炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、上記経路を通過する炭素繊維集合体をシリンダのピン針が下方から保持した状態で、テーカインのピン針が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊を行うので、炭素繊維集合体を炭素繊維に沿って竹割りのように割ることによって、炭素繊維束を形成するができる。そのため、炭素繊維束に分ける開繊に伴う炭素繊維の折損等を大幅に低減でき、元の炭素繊維の長さを略維持することができる。
また、テーカインのピン針が、炭素繊維集合体を上方から下方に向けて炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊を行うので、炭素繊維束の開繊に伴って、炭素繊維の表面に付着された樹脂残渣を、炭素繊維の表面から剥離させることもできる。そのため、開繊された炭素繊維束の表面に付着した樹脂残渣を大幅に低減できる。また、炭素繊維束から剥離された樹脂残渣を含む粉塵は、分離機にて炭素繊維束と分離して回収することができる。
よって、本発明によれば、炭素繊維に付着した樹脂残渣を低減できると共に、元の炭素繊維の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収装置を提供することができる。
(5)(4)に記載された炭素繊維の分離回収装置において、
前記分離機には、前記カード機から前記炭素繊維束と前記粉塵とを送風ファンによって浮遊させながら空気室へ送給させる送給ダクトと、前記空気室内に上下で隙間を有して配置され、送給された前記炭素繊維束と前記粉塵とを分離させつつ吸引する上下一対の吸引ケージと、当該吸引ケージの排気ダクトに接続され、前記吸引ケージが吸引した前記粉塵を回収する集塵装置と、前記吸引ケージ同士の隙間をウェブ状に積層して通過する前記炭素繊維束の積層体を前記空気室から排出するデリバリローラとを備えていることを特徴とする。
本発明においては、分離機には、カード機から炭素繊維束と粉塵とを送風ファンによって浮遊させながら空気室へ送給させる送給ダクトと、空気室内に上下で隙間を有して配置され、送給された炭素繊維束と粉塵とを分離させつつ吸引する上下一対の吸引ケージとを備えているので、カード機のシリンダから遠心力で分離された炭素繊維束と粉塵とを、送風ファンの送風力で送給ダクト内を浮遊させながら空気室内の吸引ケージに送給することができる。その際、炭素繊維束は、浮遊しながら送給ダクトを移動するので、送給中に炭素繊維の折損等を伴うことが少ない。その結果、元の炭素繊維の長さをより一層維持しやすい。一方、炭素繊維束が浮遊しながら移動する際、炭素繊維束同士が接触等することによって、炭素繊維の表面に付着した樹脂残渣を離間させることができる。そのため、炭素繊維の表面に付着した樹脂残渣をより一層低減させることができる。
また、分離機には、吸引ケージの排気ダクトに接続され、吸引ケージが吸引した粉塵を回収する集塵装置と、吸引ケージ同士の隙間をウェブ状に積層して通過する炭素繊維束の積層体を空気室から排出するデリバリローラとを備えているので、集塵装置が樹脂残渣を含む粉塵を回収して作業環境を向上できると同時に、樹脂残渣が低減された炭素繊維束の積層体を回収することができる。そのため、回収された炭素繊維について、その性能を維持しながら、より有効に再利用することができる。
(6)(5)に記載された炭素繊維の分離回収装置において、
前記集塵装置には、前記排気ダクトが外周壁に対して接線方向で接続された外筒と、当該外筒の中央部に上方から所定の高さまで挿入された内筒とを有し、前記粉塵を前記内筒に沿って螺旋状に旋回下降させて短繊維化された炭素繊維を外筒底部に堆積させて回収するサイクロン式分離装置と、前記内筒から排出された他の粉塵を捕獲するフィルタ装置とを備えていることを特徴とする。
本発明においては、集塵装置には、排気ダクトが外周壁に対して接線方向で接続された外筒と、当該外筒の中央部に上方から所定の高さまで挿入された内筒とを有し、粉塵を内筒に沿って螺旋状に旋回下降させて短繊維化された残留炭素繊維を外筒底部に堆積させて回収するサイクロン式分離装置と、内筒から排出された他の粉塵を捕獲するフィルタ装置とを備えているので、粉塵の中から重量の重い短繊維化された炭素繊維を分離して、回収することもできる。そのため、短繊維化された炭素繊維のより有効な再利用にも、寄与できる。
本発明によれば、炭素繊維に付着した樹脂残渣を低減できると共に、元の炭素繊維の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置を提供することができる。
本実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置の模式的断面図である。 図1に示すA部における詳細断面図である。 図1に示すA部において、炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊の状況を現す模式的斜視図である。 炭素繊維強化樹脂の細片を形成するネジ付きローラ装置の模式的断面図である。 図4に示すネジ付きローラ装置の要部断面図である。 図4に示すネジ付きローラ装置によって分割した炭素繊維強化樹脂の細片を加熱して、マトリックス樹脂を熱分解する状況を現す模式的斜視図である。 本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法の一例におけるフローチャート図である。
次に、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法について説明した後に、本他の実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置について説明する。
(炭素繊維の分離回収方法)
先ず、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法について、図1~図7を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置の模式的断面図を示す。図2に、図1に示すA部における詳細断面図を示す。図3に、図1に示すA部において、炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊の状況を現す模式的斜視図を示す。図4に、炭素繊維強化樹脂の細片を形成するネジ付きローラ装置の模式的断面図を示す。図5に、図4に示すネジ付きローラ装置の要部断面図を示す。図6に、図4に示すネジ付きローラ装置によって分割した炭素繊維強化樹脂の細片を加熱して、マトリックス樹脂を熱分解する状況を現す模式的斜視図を示す。図7に、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法の一例におけるフローチャート図を示す。
図1~図7に示すように、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法は、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維11がマトリックス樹脂12によって固化された炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを加熱することによってマトリックス樹脂12を熱分解して形成した樹脂残渣13を有する炭素繊維集合体1Tを、カード機4に通して複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行った後、分離機5にて樹脂残渣13を含む粉塵FZと炭素繊維束1TBとを分離して回収する炭素繊維の分離回収方法である。
ここで、炭素繊維強化樹脂1は、例えば、自動車、航空機、OA機器や家電製品等における製品の一部として使用された後に廃棄された廃材、又は上記製品の成形過程で生じる端材等から回収された物を使用することができる。上記廃材又は端材等から回収された炭素繊維強化樹脂1を細分化して形成する細片1Sは、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維11がマトリックス樹脂12によって固化された物である。
この炭素繊維強化樹脂1の細片1Sは、略均一な断面形状を有する長尺体であって、炭素繊維11の長さは、10~50mm程度が好ましい。炭素繊維強化樹脂1の細片1Sの形成方法は、後述する。なお、マトリックス樹脂12は、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂等)でも熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂等)でも良い。また、炭素繊維11は、アクリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維でも、ピッチ(石油、石炭、コールタール等の副生成物)を原料とするピッチ系炭素繊維でも良い。ここでは、上記炭素繊維の単繊維が複数集合したもの(一般に、「フィラメント」と呼ぶ)を、炭素繊維11と言う。
また、図6に示すように、ヒータ31を備えた加熱炉3において、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを加熱することによって、マトリックス樹脂12が熱分解されて、可燃性ガスが生成されると同時に、炭化された樹脂残渣13が形成される。この樹脂残渣13は、複数の炭素繊維11が凝集された炭素繊維集合体1Tにおける炭素繊維11の表面に筋状又は膜状に付着する。炭素繊維強化樹脂1の細片1Sの加熱は、炭素繊維11の性能劣化や損傷等を防止する上で、非酸化性雰囲気下で加熱することが好ましく、加熱温度は、400~500℃程度が好ましい。なお、炭素繊維集合体1Tを酸化性雰囲気下で再加熱し、炭化された樹脂残渣13を燃焼させて、炭素繊維集合体1Tにおける炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13の量を低減させることもできる。
また、図1~図3に示すように、カード機4は、供給された炭素繊維集合体1Tを表面に植設されたピン針421で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカイン42と、当該テーカイン42の回転方向F1と反対方向F2に回転し表面に植設されたピン針431でテーカイン42によって押し下げられた炭素繊維集合体1Tを下方から上方へ押し上げるシリンダ43と、テーカイン42とシリンダ43との上部境界部に配設され炭素繊維集合体1Tが長手方向に通過する略V字状の経路KRを形成するブロック体44とを備えている。
ここで、テーカイン42とシリンダ43は、それぞれ円筒状に形成され、互いに隣接して配置されている。テーカイン42の筒外径は、シリンダ43の筒外径より小さく形成されている。また、テーカイン42とシリンダ43の回転軸は、それぞれ同一の高さで、平行に配置されている。また、表面に植設されたピン針421、431は、先端部421S、431Sが細く、基端部421K、431Kが太く形成されている。ピン針421、431は、基端部421K、431Kに対して先端部421S、431Sが回転方向前方に所定の角度で倒伏した状態で、テーカイン42及びシリンダ43の円筒状表面に所定のピッチで植設されている。テーカイン42とシリンダ43とが近接した領域では、ピン針421、431は、先端部421S、431Sが周方向で互いに交差するが、回転軸方向で干渉しないように微小隙間を有するように、配置されている。
そして、上記経路KRを通過する炭素繊維集合体1Tをシリンダ43のピン針431が下方から保持した状態で、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行う。この方法によれば、炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11に沿って竹割りのように割ることができる。その理由を、以下に説明する。
すなわち、一本一本の炭素繊維11は、捲縮性がなく直線状に形成されている。また、炭素繊維11の表面は、凹凸がなく滑りやすく形成されている。また、炭素繊維集合体1Tでは、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維11が、マトリックス樹脂12が熱分解されて炭化された樹脂残渣13を介して、連結されている。この炭化された樹脂残渣13は、硬化されて伸縮性が低下し、割れやすくなっている。
そして、炭素繊維集合体1Tは、テーカイン42とシリンダ43とブロック体44との隙間に形成された経路KRを通過する。そのとき、テーカイン42のピン針421に押された炭素繊維集合体1Tは、略V字状に形成された経路KRに規制されて、斜め下方に傾動する。そのため、炭素繊維集合体1Tの送り方向先端部は、シリンダ43のピン針431の基端部431Kに当接し、シリンダ43のピン針431によって下方から保持された状態となる。
一方、経路KRを通過するとき、斜め下方に傾動する炭素繊維集合体1Tの送り方向後端部は、テーカイン42のピン針421の先端部421Sに当接する。また、シリンダ43のピン針431とテーカイン42のピン針421とは、上下反対方向(F1、F2)に回転する。そのため、細く形成されたテーカイン42のピン針421の先端部421Sが、炭素繊維集合体1Tの送り方向後端部に食い込む。
炭素繊維11を連結する樹脂残渣13は、硬化されて伸縮性が低下し、割れやすくなっているので、テーカイン42のピン針421の先端部421Sは、割れやすい樹脂残渣13を上方から下方に向けて炭素繊維11の長手方向に割り裂いて、複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行うことになる。また、炭素繊維11の表面は、凹凸がなく滑りやすいので、割り裂かれた樹脂残渣13は、炭素繊維11の表面から簡単に剥離される。したがって、炭素繊維束1TBに分ける開繊に伴って、炭素繊維11の折損等が生じにくい。
以上のように、テーカイン42のピン針421とシリンダ43のピン針431とが、上下方向で反対方向に回転することによって、炭素繊維集合体1Tを、炭素繊維11の長手方向に沿って、竹割りのように分割することができる。その結果、炭素繊維束1TBに分ける開繊に伴う炭素繊維11の折損を大幅に低減でき、元の炭素繊維11の長さを略維持することができる。
また、炭素繊維束1TBの開繊に伴って、炭素繊維11の表面に付着された樹脂残渣13を、炭素繊維11の表面から剥離させることができる。そのため、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13を大幅に低減できる。また、炭素繊維11から剥離された樹脂残渣13を含む粉塵FZは、分離機5にて炭素繊維束1TBと分離して回収することができる。したがって、炭素繊維11の分離回収に伴う作業環境の向上にも寄与することができる。
よって、本実施形態によれば、炭素繊維11に付着した樹脂残渣13を低減できると共に、元の炭素繊維11の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法を提供することができる。
また、本炭素繊維の分離回収方法において、シリンダ43の回転速度V2は、テーカイン42の回転速度V1より速いことが好ましい。例えば、シリンダ43の回転速度V2は、400~500rpm程度で、テーカイン42の回転速度V1は、100~200rpm程度が好ましい。この場合には、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行った後、開繊された炭素繊維束1TBをシリンダ43のピン針431によってシリンダ43の上方へ押し上げることができる。そのため、開繊された炭素繊維束1TBがシリンダ43の下方へ落下するのを回避して、炭素繊維束1TBに分ける開繊を効率的に行うことができる。
さらに、図4、図5に示すように、螺旋状に形成されたネジ山211、221とネジ溝212、222とを有する上下一対のネジ付きローラ21、22を備え、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sは、一対のネジ付きローラ21、22の間に炭素繊維強化樹脂1を挟圧しながらネジ付きローラ21、22を回転させて炭素繊維11の長手方向に沿って通過させることによって、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って複数に分割して形成することが好ましい。
なお、ネジ付きローラ21、22を備えたローラ装置2は、例えば、以下のように構成されている。すなわち、上下一対のネジ付きローラ21、22が、装置本体26に前後方向で2セット装着されている。また、上方に配置されたネジ付きローラ21の軸受け部には、下方へ加圧する加圧ユニット23が装着されている。下方に配置されたネジ付きローラ22には、駆動モータ24とベルト部材25を介して連結されている。また、ローラ装置2には、ネジ付きローラ21、22の間に炭素繊維強化樹脂1を投入する投入コンベア27が配設されている。
上記ローラ装置2によれば、螺旋状に形成されたネジ山211、221が、炭素繊維強化樹脂1における炭素繊維11同士の境界部に食い込み、マトリックス樹脂12を上下左右に分割する分割線を形成することができる。一対のネジ付きローラ21、22の間に、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11の長手方向に沿って通過させることによって、マトリックス樹脂12の分割線が進行して、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って複数に分割し、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを形成できる。
そして、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って分割するので、炭素繊維11の折損等を回避できる。その結果、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを形成する段階においても、元の炭素繊維11の長さを略維持することができる。また、ネジ山211、221の高さやピッチ等を適正な値に選定することによって、カード機4において開繊する上で、好適な大きさの炭素繊維強化樹脂1の細片1Sに形成することができる。
次に、本炭素繊維の分離回収方法における一例を、図7に示すフローチャート図に従って説明する。すなわち、ステップS1として、回収した炭素繊維強化樹脂1をネジ付きローラ21、22に通して炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを形成する。次に、ステップS2として、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを非酸化性雰囲気下でマトリックス樹脂12を加熱分解して、樹脂残渣13を有する炭素繊維集合体1Tを形成する。次に、ステップS3として、炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11に沿って割り裂いて炭素繊維11を開繊すると同時に、樹脂残渣13を炭素繊維11の表面から剥離させ、複数の炭素繊維束1TBを形成する。最後に、ステップS4として、炭素繊維束1TBと樹脂残渣13を含む粉塵FZとを分離して回収する。上記方法によれば、炭素繊維11に付着した樹脂残渣13を低減できると共に、元の炭素繊維11の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法を提供することができる。
(炭素繊維の分離回収装置)
次に、本他の実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置について、図1~図3を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置の模式的断面図を示す。図2に、図1に示すA部における詳細断面図を示す。図3に、図1に示すA部において、炭素繊維集合体を炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束に分ける開繊の状況を現す模式的斜視図を示す。
図1~図3に示すように、本他の実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置10は、カード機4と分離機5とを備え、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維11がマトリックス樹脂12によって固化された炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを加熱することによってマトリックス樹脂12を熱分解して形成された樹脂残渣13を有する炭素繊維集合体1Tを、カード機4に通して複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行った後、分離機5にて樹脂残渣13を含む粉塵FZと炭素繊維束1TBとを分離して回収する炭素繊維の分離回収装置10である。
カード機4の上流側には、炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に移送する搬送コンベア411と、搬送コンベア411上に載置された炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向にテーカイン42の上方へ供給する一対のフィードローラ41とを備えている。
また、カード機4は、フィードローラ41から供給された炭素繊維集合体1Tを表面に植設されたピン針421で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカイン42と、当該テーカイン42の回転方向F1と反対方向F2に回転し表面に植設されたピン針431でテーカイン42によって押し下げられた炭素繊維集合体1Tを下方から上方へ押し上げるシリンダ43と、テーカイン42とシリンダ43との上部境界部に配設され炭素繊維集合体1Tが長手方向に通過する略V字状の経路KRを形成するブロック体44とを備えている。
そして、上記経路KRを通過する炭素繊維集合体1Tをシリンダ43のピン針431が下方から保持した状態で、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行う。
なお、シリンダ43の上部外周側には、ウォーカーローラ432が配設され、シリンダ43とウォーカーローラ432との間でも、炭素繊維束1TBが開繊され、その際に、炭素繊維11の表面に付着する樹脂残渣13が剥離される。また、カード機4には、シリンダ43とウォーカーローラ432とを囲うように形成されたカバー体45が配設されている。シリンダ43とウォーカーローラ432との間で開繊された炭素繊維束1TBと剥離された樹脂残渣13は、回転するシリンダ43から遠心力で分離し、カバー体45の底面451の上に落下する。
また、分離機5には、カード機4から炭素繊維束1TBと粉塵FZとを送風ファン46によって浮遊させながら空気室51へ送給させる送給ダクト47と、空気室51内に上下で隙間を有して配置され、送給された炭素繊維束1TBと粉塵FZとを分離させつつ吸引する上下一対の吸引ケージ52、53とを備えていることが好ましい。送給ダクト47には、円弧状に形成された湾曲部471、472を備えていることが好ましい。
この場合、カード機4のシリンダ43から遠心力で分離された炭素繊維束1TBと粉塵FZとを、送風ファン46の送風力で送給ダクト47内を浮遊させながら空気室51内の吸引ケージ52、53に送給することができる。その際、炭素繊維束1TBは、浮遊しながら送給ダクト47を移動するので、送給中に炭素繊維11の折損等を伴うことが少ない。その結果、元の炭素繊維11の長さをより一層維持しやすい。一方、炭素繊維束1TBが浮遊しながら移動する際、炭素繊維束1TB同士が接触等することによって、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13を離間させることができる。そのため、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13をより一層低減させることができる。なお、円弧状に形成された湾曲部471、472を炭素繊維束1TBが浮遊しながら移動する際、炭素繊維束1TB同士がより一層接触しやすいので、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13をより効果的に離間させることができる。
また、分離機5には、吸引ケージ52、53の排気ダクト54に接続され、吸引ケージ52、53が吸引した粉塵FZを回収する集塵装置55と、吸引ケージ52、53同士の隙間をウェブ状に積層して通過する炭素繊維束1TBの積層体1TBMを空気室51から排出するデリバリローラ57とを備えていることが好ましい。
ここでは、上下の吸引ケージ52、53は、外周に網目が形成された円筒体に形成され、粉塵FZのみが網目を通過する。上の吸引ケージ52は、反時計回りの方向Q1に回転し、下の吸引ケージ53は、時計回りの方向Q2に回転し、ウェブ状に積層した炭素繊維束1TBの積層体1TBMを、デリバリローラ57に向けて押出すことができる。吸引ケージ52、53の軸方向端部には、排気ダクト54が連接されている。
この場合、集塵装置55が樹脂残渣13を含む粉塵FJを回収して作業環境を向上できると同時に、樹脂残渣13が低減された炭素繊維束1TBの積層体1TBMを回収することができる。そのため、回収された炭素繊維11について、その性能を維持しながら、より有効に再利用することができる。
さらに、集塵装置55には、排気ダクト54が外周壁に対して接線方向で接続された外筒551と、当該外筒551の中央部に上方から所定の高さまで挿入された内筒552とを有し、粉塵FZを内筒552に沿って螺旋状に旋回下降させて短繊維化された残留炭素繊維11Zを外筒底部553に堆積させて回収するサイクロン式分離装置55Sと、内筒552から排出された他の粉塵を捕獲するフィルタ装置554とを備えていることが好ましい。
この場合、粉塵FZの中から重量の重い短繊維化された炭素繊維11Zを他の粉塵から分離して、回収することもできる。そのため、短繊維化された炭素繊維11のより有効な再利用にも、寄与できる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る炭素繊維の分離回収方法によれば、カード機4は、供給された炭素繊維集合体1Tを表面に植設されたピン針421で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカイン42と、当該テーカイン42の回転方向F1と反対方向F2に回転し表面に植設されたピン針431でテーカイン42によって押し下げられた炭素繊維集合体1Tを下方から上方へ押し上げるシリンダ43と、テーカイン42とシリンダ43との上部境界部に配設され炭素繊維集合体1Tが長手方向に通過する略V字状の経路KRを形成するブロック体44とを備え、上記経路KRを通過する炭素繊維集合体1Tをシリンダ43のピン針431が下方から保持した状態で、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行うので、炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11に沿って竹割りのように割ることができる。そのため、炭素繊維束1TBに分ける開繊に伴う炭素繊維11の折損を大幅に低減でき、元の炭素繊維11の長さを略維持することができる。
また、テーカイン42のピン針421が、炭素繊維集合体1Tを上方から下方に向けて炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行うので、炭素繊維束1TBの開繊に伴って、炭素繊維11の表面に付着された樹脂残渣13を、炭素繊維11の表面から剥離させることもできる。そのため、開繊された炭素繊維束1TBの表面に付着した樹脂残渣13を大幅に低減できる。また、炭素繊維束1TBから剥離された樹脂残渣13を含む粉塵FZは、分離機5にて炭素繊維束1TBと分離して回収することによって、作業環境の保全を図ることができる。
よって、本実施形態によれば、炭素繊維11に付着した樹脂残渣13を低減できると共に、元の炭素繊維11の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、シリンダ43の回転速度V2は、テーカイン42の回転速度V1より速いので、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行った後、開繊された炭素繊維束1TBをシリンダ43のピン針431によってシリンダ43の上方へ押し上げることができる。そのため、開繊された炭素繊維束1TBがシリンダ43の下方へ落下するのを抑制して、炭素繊維束1TBに分ける開繊を効率的に行うことができる。
また、本実施形態によれば、螺旋状に形成されたネジ山211、221とネジ溝212、222とを有する一対のネジ付きローラ21、22を備え、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sは、一対のネジ付きローラ21、22の間に炭素繊維強化樹脂1を挟圧しながらネジ付きローラ21、22を回転させて炭素繊維11の長手方向に沿って通過させることによって、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って複数に分割して形成するので、螺旋状に形成されたネジ山211、221が、炭素繊維強化樹脂1における炭素繊維11同士の境界部に食い込むことができる。そのため、一対のネジ付きローラ21、22の間に、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11の長手方向に沿って通過させることによって、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って複数に分割し、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを形成できる。
そして、炭素繊維強化樹脂1を炭素繊維11同士の境界部に沿って分割するので、炭素繊維11の折損等を回避できる。その結果、炭素繊維強化樹脂1の細片1Sを形成する段階においても、元の炭素繊維11の長さを略維持することができる。また、ネジ山211、221の高さやピッチ等を適正な値に選定することによって、カード機4において開繊する上で、好適な大きさの炭素繊維強化樹脂1の細片1Sに形成することができる。
本他の実施形態に係る炭素繊維の分離回収装置10によれば、カード機4は、フィードローラ41から供給された炭素繊維集合体1Tを表面に植設されたピン針421で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカイン42と、当該テーカイン42の回転方向F1と反対方向F2に回転し表面に植設されたピン針431でテーカイン42によって押し下げられた炭素繊維集合体1Tを下方から上方へ押し上げるシリンダ43と、テーカイン42とシリンダ43との上部境界部に配設され炭素繊維集合体1Tが長手方向に通過する略V字状の経路KRを形成するブロック体44とを備え、上記経路KRを通過する炭素繊維集合体1Tをシリンダ43のピン針431が下方から保持した状態で、テーカイン42のピン針421が、上方から下方に向けて炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行うので、炭素繊維集合体1Tを炭素繊維11に沿って竹割りのように割ることによって、炭素繊維束1TBを形成するができる。そのため、炭素繊維束1TBに分ける開繊に伴う炭素繊維11の折損を大幅に低減でき、元の炭素繊維11の長さを略維持することができる。
また、テーカイン42のピン針421が、炭素繊維集合体1Tを上方から下方に向けて炭素繊維11の長手方向に割り裂いて複数の炭素繊維束1TBに分ける開繊を行うので、炭素繊維束1TBの開繊に伴って、炭素繊維11の表面に付着された樹脂残渣13を、炭素繊維11の表面から剥離させることもできる。そのため、開繊された炭素繊維束1TBの表面に付着した樹脂残渣13を大幅に低減できる。また、炭素繊維束1TBから剥離された樹脂残渣13を含む粉塵FZは、分離機5にて炭素繊維束1TBと分離して回収することができる。
よって、本他の実施形態によれば、炭素繊維11に付着した樹脂残渣13を低減できると共に、元の炭素繊維11の長さを維持しやすい炭素繊維の分離回収装置10を提供することができる。
また、本他の実施形態によれば、分離機5には、カード機4から炭素繊維束1TBと粉塵FZとを送風ファン46によって浮遊させながら空気室51へ送給させる送給ダクト47と、空気室51内に上下で隙間を有して配置され、送給された炭素繊維束1TBと粉塵FZとを分離させつつ吸引する上下一対の吸引ケージ52、53とを備えているので、カード機4のシリンダ43から遠心力で分離された炭素繊維束1TBと粉塵FZとを、送風ファン46の送風力で送給ダクト47内を浮遊させながら空気室51内の吸引ケージ52、53に送給することができる。その際、炭素繊維束1TBは、浮遊しながら送給ダクト47を移動するので、送給中に炭素繊維11の折損等を伴うことが少ない。その結果、元の炭素繊維11の長さをより一層維持しやすい。一方、炭素繊維束1TBが浮遊しながら移動する際、炭素繊維束1TB同士が接触等することによって、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13を離間させることができる。そのため、炭素繊維11の表面に付着した樹脂残渣13をより一層低減させることができる。
また、分離機5には、吸引ケージ52、53の排気ダクト54に接続され、吸引ケージ52、53が吸引した粉塵FZを回収する集塵装置55と、吸引ケージ52、53同士の隙間をウェブ状に積層して通過する炭素繊維束1TBの積層体1TBMを空気室51から排出するデリバリローラ57とを備えているので、集塵装置55が樹脂残渣13を含む粉塵FJを回収して作業環境を向上できると同時に、樹脂残渣13が低減された炭素繊維束1TBの積層体1TBMを回収することができる。そのため、回収された炭素繊維11について、その性能を維持しながら、より有効に再利用することができる。
また、本他の実施形態によれば、集塵装置55には、排気ダクト54が外周壁に対して接線方向で接続された外筒551と、当該外筒551の中央部に上方から所定の高さまで挿入された内筒552とを有し、粉塵FZを内筒552に沿って螺旋状に旋回下降させて短繊維化された残留炭素繊維11Zを外筒底部553に堆積させて回収するサイクロン式分離装置55Sと、内筒552から排出された他の粉塵を捕獲するフィルタ装置554とを備えているので、粉塵FZの中から重量の重い短繊維化された炭素繊維11Zを分離して、回収することもできる。そのため、短繊維化された炭素繊維11のより有効な再利用にも、寄与できる。
本発明は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)から炭素繊維とマトリックス樹脂とを分離して、再利用可能な炭素繊維を回収する炭素繊維の分離回収方法及び分離回収装置として利用できる。
1 炭素繊維強化樹脂
1S 細片
1T 炭素繊維集合体
1TB 炭素繊維束
1TBM 積層体
2 ローラ装置
3 加熱炉
4 カード機
5 分離機
10 分離回収装置
11、11Z 炭素繊維
12 マトリックス樹脂
13 樹脂残渣
21、22 ネジ付きローラ
41 フィードローラ
42 テーカイン
43 シリンダ
44 ブロック体
46 送風ファン
47 送給ダクト
51 空気室
52、53 吸引ケージ
54 排気ダクト
55 集塵装置
55S サイクロン式分離装置
57 デリバリローラ
211、221 ネジ山
212、222 ネジ溝
421、431 ピン針
551 外筒
552 内筒
553 外筒底部
554 フィルタ装置
FZ 粉塵
KR 経路
V1、V2 回転速度

Claims (6)

  1. 所定の長さで略平行に配列された炭素繊維がマトリックス樹脂によって固化された炭素繊維強化樹脂の細片を加熱することによって前記マトリックス樹脂を熱分解して形成した樹脂残渣を有する炭素繊維集合体を、カード機に通して複数の炭素繊維束に分ける開繊を行った後、分離機にて前記樹脂残渣を含む粉塵と前記炭素繊維束とを分離して回収する炭素繊維の分離回収方法であって、
    前記カード機は、供給された前記炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針で前記テーカインによって押し下げられた前記炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、前記テーカインと前記シリンダとの上部境界部に配設され前記炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、
    上記経路を通過する前記炭素繊維集合体を前記シリンダのピン針が下方から保持した状態で、前記テーカインのピン針が、上方から下方に向けて前記炭素繊維集合体を前記炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の前記炭素繊維束に分ける開繊を行うことを特徴とする炭素繊維の分離回収方法。
  2. 請求項1に記載された炭素繊維の分離回収方法において、
    前記シリンダの回転速度は、前記テーカインの回転速度より速いことを特徴とする炭素繊維の分離回収方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された炭素繊維の分離回収方法において、
    螺旋状に形成されたネジ山とネジ溝とを有する一対のネジ付きローラを備え、
    前記炭素繊維強化樹脂の細片は、前記一対のネジ付きローラの間に前記炭素繊維強化樹脂を挟圧しながら前記ネジ付きローラを回転させて前記炭素繊維の長手方向に沿って通過させることによって、前記炭素繊維強化樹脂を前記炭素繊維同士の境界部に沿って複数に分割して形成することを特徴とする炭素繊維の分離回収方法。
  4. カード機と分離機とを備え、所定の長さで略平行に配列された炭素繊維がマトリックス樹脂によって固化された炭素繊維強化樹脂の細片を加熱することによって前記マトリックス樹脂を熱分解して形成した樹脂残渣を有する炭素繊維集合体を、カード機に通して複数の炭素繊維束に分ける開繊を行った後、分離機にて前記樹脂残渣を含む粉塵と前記炭素繊維束とを分離して回収する炭素繊維の分離回収装置であって、
    前記カード機は、フィードローラから供給された前記炭素繊維集合体を表面に植設されたピン針で上方から下方へ押し下げる方向に回転するテーカインと、当該テーカインの回転方向と反対方向に回転し表面に植設されたピン針で前記テーカインによって押し下げられた前記炭素繊維集合体を下方から上方へ押し上げるシリンダと、前記テーカインと前記シリンダとの上部境界部に配設され前記炭素繊維集合体が長手方向に通過する略V字状の経路を形成するブロック体とを備え、
    上記経路を通過する前記炭素繊維集合体を前記シリンダのピン針が下方から保持した状態で、前記テーカインのピン針が、上方から下方に向けて前記炭素繊維集合体を前記炭素繊維の長手方向に割り裂いて複数の前記炭素繊維束に分ける開繊を行うことを特徴とする炭素繊維の分離回収装置。
  5. 請求項4に記載された炭素繊維の分離回収装置において、
    前記分離機には、前記カード機から前記炭素繊維束と前記粉塵とを送風ファンによって浮遊させながら空気室へ送給させる送給ダクトと、前記空気室内に上下で隙間を有して配置され、送給された前記炭素繊維束と前記粉塵とを分離させつつ吸引する上下一対の吸引ケージと、当該吸引ケージの排気ダクトに接続され、前記吸引ケージが吸引した前記粉塵を回収する集塵装置と、前記吸引ケージ同士の隙間をウェブ状に積層して通過する前記炭素繊維束の積層体を前記空気室から排出するデリバリローラとを備えていることを特徴とする炭素繊維の分離回収装置。
  6. 請求項5に記載された炭素繊維の分離回収装置において、
    前記集塵装置には、前記排気ダクトが外周壁に対して接線方向で接続された外筒と、当該外筒の中央部に上方から所定の高さまで挿入された内筒とを有し、前記粉塵を前記内筒に沿って螺旋状に旋回下降させて短繊維化された炭素繊維を外筒底部に堆積させて回収するサイクロン式分離装置と、前記内筒から排出された他の粉塵を捕獲するフィルタ装置とを備えていることを特徴とする炭素繊維の分離回収装置。
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