JP2022020988A - 剛性積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレキシブル基材の光透過性や耐熱性の制限を受けることなく、フレキシブル基材同士を貼合して薄型且つ剛性の高い積層体を短い時間で製造する、剛性積層体の製造方法の提供。【解決手段】重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第1の接着シート2を、フレキシブル性を有する第1の基材1の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材10を得る工程[1]と、第1の接着シート付基材の接着剤層2A’に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、第1の接着シート付基材の上記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材3とを圧着する工程[3]と、を少なくとも有し、工程[2]を実施してから5分後の、第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が35%~90%の範囲内である、製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブル性を有する基材同士の接合による剛性積層体の製造方法に関する。
従来より、複数の基材を積層してなる積層体が、種々の分野で用いられている。例えば、電波による個体識別(RFID)技術の分野では、複数の樹脂基板を積層し、樹脂基板の間にICタグを内蔵した積層体が、非接触ICカードであるIDカードやクレジットカード、乗車カード、電子マネー等の情報記録媒体として用いられている(特許文献1参照)。
近年では、用途に応じて、積層体に対して薄型であり且つ高い剛性を有することが要求されている。ここで積層体の剛性を高める方法としては、例えば積層体を構成する各基材の剛性を高める方法が考えられるが、この方法では、剛性を付与するために1層あたりの基材の厚さが大きくなる傾向にあり、積層体の薄型化が困難であった。そこで、別の方法として、例えば、フィルム基材等の、フレキシブル性を有する基材(以下、フレキシブル基材とする場合がある。)を硬化性の接着剤で貼合して、硬化後の接着剤の剛性を利用して積層体全体に剛性を付与する方法が検討されている。例えば、非接触ICカードであれば、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)の両面に、光硬化性接着剤を介して意匠フィルム等のフレキブル基材を貼合し、上記光硬化性接着剤を光硬化させて製造する方法が挙げられる。
特開平10-147087号公報
しかし、光硬化性接着剤を用いた方法では、光硬化性接着剤が、光照射後に短時間で硬化反応が完了して固化してしまうため、例えば、先に光硬化性接着剤に光を照射してからフレキシブル基材を貼合させることが困難である。そのため、一般に、貼合する一対のフレキシブル基材のうち、一方のフレキシブル基材に光硬化性接着剤を塗布して接着剤層を設け、他方のフレキシブル基材を上記接着剤層上に配置した状態で、フレキシブル基材を介して光を照射して接着剤層の光硬化反応を生じさせる必要がある。しかし、この方法では、光透過率の低い若しくは光不透過性のフレキシブル基材を用いる場合に、フレキシブル基材を介して接着剤層に光を照射することができず、使用できるフレキシブル基材が制限されるという課題がある。また、フレキシブル基材により光の透過が阻害される等により接着剤層に十分な量の光が届きにくい場合、光の照射時間を長くする必要が生じ、積層体の製造時間が長くなる場合がある。
また、硬化性の接着剤を用いる方法として、光硬化性接着剤に代えて熱硬化性接着剤を用いる方法もあり、この方法によれば光透過性を有さないフレキシブル基材にも適用可能である。しかし、熱硬化性接着剤を用いる場合も同様に、一方のフレキシブル基材に接着剤を塗布して接着剤層を設け、他方のフレキシブル基材を上記接着剤層上に配置した状態で加熱して接着剤層の熱硬化反応を生じさせなければならない。そのため、接着剤層の硬化に長時間の加温が必要であり、フレキシブル基材の耐熱性によっては高温加熱により熱劣化を生じるため、使用できるフレキシブル基材が制限されてしまうという課題がある。また、熱硬化性接着剤を用いた積層体は、光硬化性接着剤を用いた場合と比較して、硬化反応の完了までに時間を要する傾向にあり、積層体の製造時間が長くなる場合があり、さらに、光硬化性接着剤を用いた場合と比較して、高い剛性が得られにくいという課題がある。
なお、硬化性の接着剤を用いない方法として、感圧接着剤層(粘着剤層)を有する粘着シートを用いる方法もあり、上記方法によれば、フレキシブル基材の光透過性や耐熱性の制限を受けずに貼合可能である。しかし、この方法では、接着剤を用いる場合と比較して接合強度が得られにくく、また、粘着シートの柔軟性から積層体に十分な剛性が得られないという課題がある。さらに、粘着シートを用いて接合強度や剛性を高めようとすると、粘着シートの厚さが大きくなる傾向にあり、薄型化を達成することが困難である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル基材の光透過性や耐熱性の制限を受けることなく、フレキシブル基材同士を貼合して薄型且つ剛性の高い積層体を短い時間で製造することが可能な剛性積層体の製造方法を提供する。
本発明は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第1の接着シートを、フレキシブル性を有する第1の基材の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材を得る工程[1]と、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、上記工程[2]の後に、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材とを圧着する工程[3]と、を少なくとも有し、上記工程[2]を実施してから5分後の、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が35%~90%の範囲内であり、上記工程[2]を実施してから上記工程[3]を実施するまでの時間が10分未満であり、上記工程[3]での圧着温度が100℃以下である、剛性積層体の製造方法を提供する。
本発明の剛性積層体の製造方法によれば、フレキシブル基材の光透過性や耐熱性の制限を受けることなく、フレキシブル基材同士を貼合して薄型且つ剛性の高い積層体を短い時間で製造することができ、特にインラインでの製造に好適に用いることができる。
本発明の剛性積層体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の剛性積層体の製造方法の一例を示す工程図である。 剛性試験方法を説明する模式図である。
本発明の剛性積層体の製造方法(以下、本発明の製造方法と略する場合がある。)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第1の接着シートを、フレキシブル性を有する第1の基材の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材を得る工程[1]と、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、上記工程[2]の後に、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材とを圧着する工程[3]と、を少なくとも有する。また、本発明の剛性積層体の製造方法は、上記工程[2]を実施してから5分後の、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が35%~90%の範囲内であり、上記工程[2]を実施してから上記工程[3]を実施するまでの時間が10分未満であり、上記工程[3]での圧着温度が100℃以下である。
図1は、本発明の剛性積層体の製造方法の一例を示す工程図であり、工程[1]~[3]を示す。まず、図1(a)に示す工程[1]において、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層2Aを有する第1の接着シート2を、フレキシブル性を有する第1の基材1の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材10を得る。図1に示す例では、第1の接着シート2は、接着剤層2Aのみを有する基材レスの接着シートであるが、本発明の剛性積層体の製造方法においてはこれに限定されない。次に、図1(b)に示す工程[2]において、上記第1の接着シート付基材10の上記接着剤層2Aに活性エネルギー線X1を照射する。これにより、接着剤層2Aは、硬化反応を開始した接着剤層2A’となる。続いて上記工程[2]の後の図1(c)に示す工程[3]において、上記第1の接着シート付基材10の上記接着剤層2A’とフレキシブル性を有する第2の基材3とを圧着する。図1(c)に示す工程[3]では、第1の接着シート付基材10と第2の基材3とを圧着して貼合する態様を示しており、ロールツーロールによるインライン製造おいて、上記第1の接着シート付基材10、第2の基材3に対しローラーY1、Y2をそれぞれ押し当てて圧着する例を示している。その後接着剤層2A’の硬化反応が進行し完了することで、剛性を有する硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)2A”の一方の面に貼合された第1の基材1と、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)2A”の他方の面に貼合された第2の基材3とを有し、第1の基材1と第2の基材3とが硬化接着剤層2A”を介して強固に接合された剛性積層体100が得られる。
本明細書において「剛性」とは、屈曲や折り曲げ等の力を加えても変形し難いことをいい、具体的には、以下に説明する剛性試験方法により測定される距離Lが45mm未満であることをいう。中でも本発明の剛性積層体は、上記距離Lが25mm以下であることが、より高い剛性を有することができるため好ましい。一方、本明細書において「フレキシブル(性)」とは、繰返し屈曲または折り曲げが可能であることをいい、具体的には、以下に説明する剛性試験方法により測定される距離Lが45mm以上であるこという。
剛性試験方法は、図3で例示するように、まず、測定対象物(積層体、基材、接着剤層、硬化接着剤層等)から、長手方向Xの長さ100mm、短手方向Yの長さ20mmの矩形面を主面とする評価サンプルSを切り出す。上記評価サンプルSの長手方向Xに位置する一対の端部A及び端部Bのうち、一方の端部Aから長手方向10mmの領域を固定し、荷重をかける前の評価サンプルSの他方の端部Bの位置を基準Oとする。評価サンプルSの端部Bに5gの荷重Wをかけて5秒静置後の、垂直方向(荷重方向)Zにおける評価サンプルSの端部Bの位置を位置Pとして、荷重前の基準Oから荷重後の評価サンプルの端Bの位置Pまでの距離Lを計測する。
本発明の剛性積層体の製造方法によれば、フレキシブル基材の光透過性や耐熱性の制限を受けることなく、フレキシブル基材同士を貼合して薄型且つ剛性の高い積層体を短い時間で製造することができる。
本発明の剛性積層体の製造方法に詳述すると、工程[1]においては、第1の接着シートにおける接着剤層が所定の組成を有するため、活性エネルギー線を照射する前は感圧接着性(粘着性)を示すことができ、第1の接着シートにおける接着剤層と第1の基材とを、感圧接着により貼合することが可能となる。次に、工程[2]において接着剤層に活性エネルギー線を照射すると、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)のそれぞれが有する重合性官能基が活性化され、反応性を高めた状態で硬化が始まる。このとき、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)が有する重合性官能基は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基であるため、活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応は抑制され、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。すなわち本発明における接着剤層は、遅延硬化型の接着剤層である。このため、上記接着剤層は、工程[2]において活性エネルギー線を照射した後も、一定の時間は柔軟性及び感圧接着性(粘着性)を有することができ、工程[2]の後で工程[3]を行うことで、第1の接着シート付基材の接着剤層に第2の基材を貼合することが可能となる。
ここで、上記工程[2]を実施してから5分後の上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が所定の範囲内にあることで、上記工程[3]を実施する際に接着シートが柔軟な状態を維持しており、加圧により接着シートと第2の基材とを十分に密着させることができる。また、工程[3]を行った後の積層体に短時間で所望の剛性を付与し易くなる。また、上記工程[2]を実施してから上記工程[3]を実施するまでの時間を10分未満とすることで、接着シートが柔軟な状態を維持し易いため、加圧により接着シートと第二の基材とを十分に密着させることができる。さらに、上記工程[3]での圧着温度を100℃以下とすることで、熱損傷や熱変形し易いフレキシブル基材であっても、積層させることができ、第1の基材及び第2の基材の熱劣化を抑制することができる。
そして、工程[3]において、活性エネルギー線照射後の第1の接着シート付基材と第2の基材と貼合後、接着剤層の硬化反応が完了すると、硬化後の接着剤層、すなわち硬化接着剤層により第1の基材と第2の基材とを強固に接合することができる。また、硬化接着剤層により、得られた積層体が所望の硬度を有することができる。これにより、フレキシブル性を有する基材同士が硬化接着剤層を介して接合された、薄厚且つ剛性の高い積層体を得ることが可能となる。
ここで、本発明における接着剤層に代えて光硬化型の接着剤層を用いる場合、接着剤層に光を照射するとすぐに反応が進み硬化が完了してしまうことから、時間を置いて第2の基材を貼合することが困難となる。このため、第1の基材と第2の基材との間に光硬化型の接着剤層を配置した状態で活性エネルギー線を照射しなければならず、第1の基材及び第2の基材の少なくとも一方は光透過性を有する必要がある。また、基材により光の透過が阻害される等により接着剤層に十分な量の光が届きにくい場合、光の照射時間を長くする必要が生じ、積層体の製造時間が長くなる場合がある。
同様に、本発明における接着剤層に代えて熱硬化型の接着剤層を用いる場合、接着剤層を加熱するとすぐに反応が進み硬化が完了してしまうことから、時間を置いて第2の基材を貼合することが困難となる。このため、第1の基材と第2の基材との間に熱硬化型の接着剤層を配置した状態で加熱しなければならず、第1の基材及び第2の基材は高い耐熱性を有する必要がある。また、熱硬化型の接着剤層は、硬化反応の完了までに時間を要する傾向にあり、積層体の製造時間が長くなる場合がある。
これに対し、本発明によれば、上述したように接着剤層が遅延硬化型の接着剤で形成されているため、工程[2]において第1の基材と第2の基材との間に接着剤層を配置した状態で接着剤層の硬化反応を生じさせるための活性エネルギー線の照射や加熱を行う必要がない。また、工程[2]においては、第1の接着シート付基材の第1の接着シート側から活性エネルギー線を照射することで接着剤層の硬化反応を生じさせることができるため、第1の基材及び第2の基材は高い光透過性を必要とせず、光透過性の低い基材若しくは光不透過性の基材であっても適応可能となる。さらに本発明における接着剤層の硬化反応の開始は、熱をトリガーとしないため、第1の基材及び第2の基材は高い耐熱性を必要とせず、耐熱性の低い基材であっても適応可能となる。また、工程[3]において第2の基材の貼合が可能となり且つ得られる積層体が所望の剛性を満たすように、工程[1]実施から所定の時間経過後のゲル分率を調整し、さらに工程[2]において接着剤層に活性エネルギー線を照射して硬化反応を生じさせることで、製造時間の短縮を図ることができ、特にインラインでの製造においては、製造工程の簡便化とともに有効である。
本明細書中において、基材や接着剤層の「面」、「表面」、「主面」とは、基材や接着剤層において、その全体として見たときにおける平面方向となる面を示すものとする。
以下、本発明の剛性積層体の製造方法における各工程について説明する。
A.工程[1]
本発明の剛性積層体の製造方法における工程[1]は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第1の接着シートを、フレキシブル性を有する第1の基材の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材を得る工程である。
(1)第1の基材
第1の基材は、フレキシブル性を有する基材である。
第1の基材は、所望のフレキシブル性を発揮できる厚さを有すればよく、20μm~1000μmの範囲が好ましく、30μm~700μmの範囲がさらに好ましく、100μm~500μmの範囲がより好ましい。第1の基材の厚さを上記の範囲内に設定することで、所望のフレキシブル性を発揮することができ、特にロールトゥーロールのインラインでの積層接着が可能となる。
第1の基材は、無色であってもよく、着色されていてもよい。また、第1の基材は、光透過性を有していても良く、有さなくても良い。本発明においては、第1の基材及び後述する第2の基材の一方又は両方の光透過性が低くても、接着剤層を硬化させることが可能となる。第1の基材の光透過性が低い若しくは光不透過である場合、具体的には第1の基材の波長200nm~780nmの光の透過率が80%以下、中でも50%以下、さらに40%以下、特に30%以下である場合に、第1の基材を介して接着剤層に活性エネルギー線を照射することが困難であっても、後述する工程[2]及び工程[3]において第1の接着シートの接着剤層側の面から活性エネルギー線を照射して硬化反応を生じさせ、第2の基材を貼合することができるため、本発明の製造方法を好ましく用いることができる。
また、第1の基材は、耐熱性が高くてもよく、低くてもよい。本発明においては、第1の基材及び後述する第2の基材の一方又は両方の耐熱性が低くても、接着剤層の硬化反応に高温加熱を要しないため、基材を熱劣化させずに接着剤層を硬化させることが可能となる。耐熱性が低い第1の基材とは、例えば融点が80℃以上200℃以下の基材をいい、中でも融点が90℃以上180℃以下の基材を好適に用いることができる。後述するように、第1の基材が樹脂フィルムと無機フィルムとの複合フィルムである場合は、樹脂フィルム単体の融点が上記の範囲にあることが好ましい。また、後述するように、第1の基材の一方又は両方の面に他の部材が設けられている場合は、表面に載置された他の部材を除いた状態での第1の基材の融点が上記の範囲にあることが好ましい。
基材の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
第1の基材は、所望のフレキシブル性を有すれば、単層であってもよく、多層構造であっても良い。第1の基材が多層構造を有する場合は、第1の基材の全体でフレキシブル性を発揮できればよい。第1の基材としては、紙基材、樹脂フィルム、無機フィルム、樹脂フィルムと無機フィルムとの複合フィルム等が挙げられる。
紙基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、グラシン紙、半紙、合成紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、セルロース繊維紙等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ乳酸、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、アクリロニトリルーブタジエン-スチレン(ABS)等の樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。
上記樹脂フィルムには、有機顔料、無機顔料、安定剤などの添加剤が含まれていてもよく、紫外線吸収剤や可塑剤等の紫外線透過率を低下させる成分が含まれても良い。また、上記樹脂フィルムは、表面が帯電防止処理、易接着処理、等の各種処理が施されたものであっても良い。
また、無機フィルムとしては、例えばフレキシブル性を有するガラス、金属箔が挙げられる。
第1の基材の一方又は両方の面には、他の部材が設けられていてもよい。上記他の部材が設けられる場合、上記他の部材が設けられた第1の基材全体で、所望のフレキシブル性を発揮可能であればよい。他の部材とは、例えば配線部材、半導体層、受信用また送信用アンテナコイル、ICチップ、電池、偏光層、着色層、印刷層、ホログラム層等が挙げられる。
第1の基材として使用可能な具体的な物品としては、カラーフィルター、偏光フィルム、保護フィルム、意匠フィルム、配線フィルム、柔軟性電池、透明導電フィルム等が挙げられる。
(2)第1の接着シート
第1の接着シートは、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する。
(a)接着剤層
第1の接着シートにおける接着剤層は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、を少なくとも含む。第1の接着シートにおける接着剤層は、上述した組成を含むことで、感圧接着性(粘着性)を示すことができ、第1の基材へ貼合することができ、位置ずれ等の貼合時の不具合が生じた場合は貼り直しも可能である。また、上記接着剤層は、活性エネルギー線照射後も所望の時間は、柔軟性及び感圧接着性を発揮することから、所望の時間内に第2の基材と貼合可能であり、位置ずれ等の貼合時の不具合が生じた場合は貼り直しも可能である。
さらに、上記接着剤層は、上述した組成を含むことで追従密着性に優れるため、基材表面に部品が載置されることで表面に段差を有する場合も、上記部品を含む基材表面に追従密着して強固に接着可能となる。特に各工程をインラインで行う場合、圧着時間が短くなる傾向にあるところ、上記接着剤層によれば、圧着時間が短くても基材表面の段差に追従密着することが可能となる。
なお、以下の説明において、本発明における接着剤層に貼合される基材のことを、単に被着体と称して説明する場合がある。また、基材の表面(主面)のうち、接着剤層と接する面を、単に被着面と称して説明する場合がある。
接着剤層の総量とは、接着剤層を構成する接着剤組成物の固形分全量のことをいい、又、接着剤層中の含有量とは、接着剤層を構成する接着剤組成物の固形分全量中の含有量のことをいう。
<光硬化性樹脂(A)>
光硬化性樹脂(A)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する。本発明における接着剤層は、光硬化性樹脂(A)を含むことで、上記光硬化性樹脂(A)が有する重合性官能基により、活性エネルギー線の照射による重合が開始し、また、暗反応や低温下でも重合が進行するため、第1の基材及び第2の基材の光透過性や耐熱性に制限されずに接合することが可能となる。
光硬化性樹脂(A)としては、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物等の光重合性化合物等が挙げられるが、中でも光カチオン重合性化合物及び/又は光アニオン重合性化合物が好ましい。換言すれば、光硬化性樹脂(A)が、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、光カチオン重合性の官能基及び/又は光アニオン重合性の官能基を有することが好ましい。接着剤層がこれらの官能基を有する重合性化合物を含むことで、硬化時に酸素の阻害を受けにくくなり、活性エネルギー線照射後も継続的な反応が進行しやすくなるため、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合が可能となるからである。特に、活性エネルギー線照射後の反応性に優れ、硬化後の高い接合性を得やすいことから、光カチオン重合性化合物がより好ましい。上記光重合性化合物は単独で用いても良く、併用して用いてもよい。
上記光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上の光カチオン重合性の官能基を有するものであればよく、特に限定されるものではない。光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、オキサゾリン基等の光カチオン重合性の官能基を有するものであることが好ましい。中でも、高い硬化性と、硬化後の接合性を得るうえで、上記光カチオン重合性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有するものがより好ましい。
上記エポキシ基を有する光カチオン重合性化合物としては、1分子中に1個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂、可とう性を有するエポキシ樹脂等を使用することができる。
なかでも、脂環式エポキシ樹脂及び多官能脂肪族型エポキシ樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましく、脂環式エポキシ樹脂を使用することがより好ましい。これらは光カチオン重合性に優れるため、硬化性に優れた接着剤層となり、また、接合後の接着剤層は高い剛性を有しつつ、経時的な変形を抑制可能な好適な弾性も有することができる。
さらに、エポキシ樹脂は変性体であっても良い。エポキシ樹脂に他の樹脂成分などを配合したり付加することで、接着剤層の可撓性を高めたり接着力や屈曲力の向上を図ることができるからである。このような変性体としては、CTBN(末端カルボキシル基含有ブタジエン-アクリロニトリルゴム)変性エポキシ樹脂;アクリルゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、もしくはイソプレンゴムなどの各種ゴムを樹脂分散させたエポキシ樹脂;上記のような液状ゴムで変性されたエポキシ樹脂;アクリル、ウレタン、尿素、ポリエステル、スチレンなどの各種樹脂を添加してなるエポキシ樹脂;キレート変性エポキシ樹脂;ポリオール変性エポキシ樹脂などを用いることができる。
一方、上記オキセタニル基を有する光カチオン重合性化合物としては、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-メチル-3-グリシジルオキセタン、3-エチル-3-グリシジルオキセタン、3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、ジ{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル等のオキセタン化合物が挙げられる。
上記接着剤層は、光硬化性樹脂(A)として、硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上である光硬化性樹脂(a1)を用いることが好ましい。硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)の耐ヒートサイクル特性が向上し、得られる剛性積層体は、形状変化が抑制され高い寸法安定性を発揮することが可能となるからである。中でも光硬化性樹脂(a1)は、硬化後の損失正接が最大値を示す温度が、105℃以上、110℃以上、115℃以上であることが好ましく、また、上記温度が250℃以下、中でも230℃以下、200℃以下であることが好ましい。光硬化性樹脂(a1)の硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)は、エポキシ樹脂を単独で硬化させた硬化物に対し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて周波数1.0Hzで測定した値である。
硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上の光硬化性樹脂(a1)としては、例えば常温で固形のエポキシ樹脂(以下、常温固形エポキシ樹脂とする。)が挙げられる。なお、常温とは25℃±5℃をいう。
常温固形エポキシ樹脂として具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記接着剤層は、光硬化性樹脂(A)として、少なくとも常温固形エポキシ樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、中でも常温で固形のエポキシ樹脂を1種又は2種以上と、常温で液状のエポキシ樹脂(以下、常温液状エポキシ樹脂とする。)と、を1種又は2種以上とを含むことが好ましい。上記接着剤層が、光硬化性樹脂(A)として、常温固形エポキシ樹脂と常温液状エポキシ樹脂との両方を含むことで、活性エネルギー線照射前及び照射後の一定時間において適度な粘着性を発揮しやすくなり、被着体と容易に貼合可能となる。特に工程[1]の時間が短いインライン製造時においても、上記接着剤層と第1の基材とを十分に接着させることができる。
常温液状エポキシ樹脂としては、具体的には、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合が20質量%~80質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~70質量%の範囲内が中でも好ましく、35質量%~65質量%の範囲内がさらに好ましく、40質量%~65質量%の範囲内がより好ましい。硬化後の接着剤層の耐熱性を高くすることができ、硬化反応を比較的短い時間で完了することができるからである。エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合は、下記式で算出することができる。
エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合={ 常温固形エポキシ樹脂の含有量[質量部]/(常温固形エポキシ樹脂の含有量[質量部]+常温液状エポキシ樹脂[質量部])}×100[質量%]
上記接着剤層中の光硬化性樹脂(A)の含有量は、接着剤層の全量、換言すれば接着剤組成物の固形分全量中、10質量%~84質量%の範囲内であることが好ましく、20質量%~70質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%~65質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~60質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~50質量%の範囲内であることが好ましい。接着剤層中の光硬化性樹脂(A)の含有量を上記の範囲内とすることで、被着体への密着性を高めることができる。なお、光硬化性樹脂(A)の含有量が上記範囲よりも過多の場合、接着剤層の形状保持が困難な場合があり、一方、上記範囲よりも過少の場合、硬化後の接着剤層の耐熱性が低下する場合がある。
上記光硬化性樹脂(A)は、重量平均分子量が100~5000の範囲内であることが好ましく、中でも150~3000の範囲内であることが好ましく、200~2500の範囲内であることが更に好ましい。光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量を上記の範囲内とすることで、接着シートの形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を高くすることができる。光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の凝集力が不足し、経時で接着剤層の染み出しが生じる等の取り扱い性が低下しやすくなる場合がある。一方、光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。なお、光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量は、上述した熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量の測定方法と同様の方法を用いて測定することができる。
<熱可塑性樹脂(B)>
上記接着剤層は、上記熱可塑性樹脂(B)を含有する。上記熱可塑性樹脂(B)の含有量は、接着剤層の全量、換言すれば接着剤組成物の固形分全量中に15質量%~50質量%の範囲内であることが好ましく、中でも25質量%~50質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%~45質量%の範囲内であることがさらに好ましく、30質量%~45質量%の範囲内であることがより好ましく、34質量%~45質量%の範囲内であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂(B)の含有量が上記範囲よりも過多であると、接着剤層が温度により変形して伸びる場合や、硬化後の接着剤層の耐熱性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも過少であると、被着体への密着追従性が低下する場合や、接着剤層全体に占める高分子量成分の割合が下がり、接着シートとしての形状の維持が困難な場合がある。
また、上記接着剤層中の、光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合が、25質量%~68質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは25質量%~60質量%の範囲内であり、30質量%~60質量%の範囲内であり、30質量%~55質量%の範囲内であり、30質量%~50質量%の範囲内であり、35質量%~50質量%の範囲内である。接着剤層中の、光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合を上記の範囲内とすることで、活性エネルギー線照射後の接着剤層が、被着体と貼合しやすくなる。
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合は、下記式で算出することができる。
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合={ 接着剤層中の熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部]/(接着剤層中の熱可塑性樹脂(A)の含有量[質量部]+接着剤層中の熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部])}×100[質量%]
熱可塑性樹脂(B)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する。接着剤層は、上記熱可塑性樹脂(B)を含むことで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することができ、活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。
上記熱可塑性樹脂(B)が有する重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有することが好ましい。上記イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することが可能となり、かつ活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。
上記熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂(熱可塑性エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの熱可塑性樹脂は1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
中でも、本発明における接着剤層は、熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、中でも少なくとも重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を1種又は2種以上含むことが好ましい。熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を用いることで、活性エネルギー線照射後に急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となるため、工程[3]において第2の基材と接合可能となる。
また、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂は、結晶性であることが好ましい。本発明における接着剤層が重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を含むことで、接着剤層をシート形状に保ちやすく、上記接着剤層を有する接着シートの製造工程や該接着シートを用いた剛性積層体の製造工程、さらには接着シートの保管時において、形状維持に優れる。
重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂は、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有するポリウレタン樹脂(B’)であることが好ましく、中でも水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)が好ましい。
イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’1)を使用することができる。また、水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られた水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’2)を使用することができる。
ポリオール(b’1)は、500~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、1000~3000の範囲の数平均分子量を有することが、保型性、塗布作業性、初期凝集力等に優れた接着剤層を得るうえでより好ましい。なお、上記数平均分子量は、下記条件にて測定した値である。
本明細書に記載の数平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
このようなポリオール(b’1)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上等を好適に使用することができる。
中でも、本発明においては、ポリオール(b’1)として、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを1種又は2種以上使用することが好ましく、少なくともポリエステルポリオールを1種又は2種以上を使用することが好ましく、ポリエステルポリオールを1種又は2種以上と、ポリカーボネートポリオールを1種又は2種以上と、を使用することが好ましい。硬化前の接着剤層の形状安定性が高まり、取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性が向上するからである。
ポリオール(b’1)として使用される、上記ポリカーボネートポリオール及び上記ポリエステルポリオールからなる群から選択されるポリオールの総量は、上記ポリオール(b’1)100質量部に対して、合計で10質量部以上が好ましく、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。
ポリオール(b’1)として、上記ポリカーボネートポリオールと上記ポリエステルポリオールとを組み合わせて使用する際には、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールの質量比(ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール)は、0.4~7.0の範囲であることが好ましく、1.0~2.0の範囲であることが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂を得ることができ、硬化前の接着剤層の取り扱い性が良好となり、被着面に対する追従密着性が高くなるからである。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばポリオール(b’1a)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能なポリオール(b’1a)としては、例えば低分子量のポリオールが挙げられ、具体的には概ね分子量が50~300程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノール等を使用することができる。
また、上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能なポリオール(b’1a)として、芳香族ポリオールが挙げられる。芳香族ポリオールを用いることで、ポリウレタン樹脂(B’)の剛直性を向上することができ、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)の経時的な接合ズレや変形を抑制することが可能となる。芳香族ポリオールとして、具体的には、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールAに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した付加体(ジエトキシ化ビスフェノールA等)、p-キシリレングリコール、m-キシリレングリコール、o-キシリレングリコール、4,4′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、2,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,3′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,3′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,2-ベンゼンジメタノール、4,4’-ナフタレンジメタノール、3,4’-ナフタレンジメタノール、及びこれらの変性化合物等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能な上記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
上記ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオール又は脂肪族ポリエステルポリオールからなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオールの両方を含むことが好ましい。
脂肪族ポリエステルポリオールの中でも、直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより高い接着剤層を形成可能となる点で好ましい。上記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、側鎖にアルキル基を有さないポリエステルポリオールを指す。
上記脂肪族ポリエステルポリオールとしては、上記脂肪族アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、例えば1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸と反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂(B’)の剛直性を向上することができ、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)の経時的な接合ズレや変形を抑制することが可能となることから、上記ポリエステルポリオールとして、上記芳香族ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。上記芳香族ポリエステルポリオールとしては、上述した芳香族ポリオールと脂肪族または芳香族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とフタル酸及びアジピン酸とを反応して得られる芳香族ポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
上記ポリエステルポリオールは、1000~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の接着剤層の取り扱い性が良好となり、被着面に対する追従密着性が向上するからである。
特に、上記ポリエステルポリオールとして、1,2-エタンジオールまたは1,4-ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、アジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100~2900の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100~5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1000~5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して10質量%~50質量%の範囲で使用することが好ましく、20質量%~40質量%の範囲で使用することがより好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上するからである。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。上記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することができる。
上記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール等を使用することができる。
また、ポリカーボネートポリオールとして、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは脂環式ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオールとしては、ジアルキルカーボネートと、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付が可能な粘着性を有することができるからである。
脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジアルキルカーボネートと、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含むポリオールと、を反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付が可能な粘着性及び優れた初期凝集力を有することができるからである。
上記ポリカーボネートポリオールは、500~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、800~3000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の接着剤層の取り扱い性が良好となり、被着面に対する追従密着性がより高くなるからである。
上記ポリカーボネートポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して20質量%~80質量%の範囲で使用することが好ましく、30質量%~70質量%の範囲で使用することがより好ましく、40質量%~50質量%の範囲で使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付が可能な粘着性を発揮でき、また、被着面に対する追従密着性がより向上するからである。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。
上記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
上記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや脂環式構造を有するポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを反応させて得られるポリテトラメチレングリコール誘導体、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させたポリテトラメチレングリコール誘導体等を使用することができる。なかでも、上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラメチレングリコール誘導体(PTXG)を使用することが好ましい。接着剤層が常温下で粘着性を発揮し、さらに柔軟性や耐久性等の物性を高くすることができるからである。
上記ポリオール(b’1)として、上記したもののほかに、その他のポリオールを使用することができる。上記その他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール等が挙げられる。
ポリオール(b’1)と反応するポリイソシアネート(b’2)としては、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキシレン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-及び/又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
上述した脂環式ポリイソシアネートの中でも、上記ポリオール(b’1)との良好な反応性を有し、かつ、耐熱性や光線透過性等に優れた接着シートを得るうえで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(BICH)を使用することが好ましい。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させてポリウレタン樹脂(B’)を調製する方法としては、例えば反応容器に仕込んだ上記ポリオール(b’1)を、常圧または減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、上記ポリイソシアネート(b’2)を一括または分割して供給し反応させる方法が挙げられる。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応は、上記ポリイソシアネート(b’2)が有するイソシアネート基と、上記ポリオール(b’1)が有する水酸基との当量比(以下[NCO/OH当量比]という。)が、1.1~20.0の範囲で行うことが好ましく、1.1~13.0の範囲で行うことがより好ましく、1.1~5.0の範囲で行うことがさらに好ましく、1.5~3.0の範囲で行うことが特に好ましい。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応条件(温度、時間等)は、安全、品質、コストなど諸条件を考慮して適宜設定すればよく、特に限定しないが、例えば反応温度は、好ましくは70~120℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは30分~5時間の範囲である。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用することができる。
上記反応は、無溶剤の環境下で行っても、有機溶剤存在下で行ってもよい。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。上記有機溶剤は、上記ポリウレタン樹脂(B’)の製造途中または、上記ポリウレタン樹脂(B’)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
また、オキセタニル基又はエポキシ基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えば
1)イソシアネート基を有するポリウレタン(B’1)と、
2)イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)、オキセタニル基又はエポキシ基、及び1つ以上の重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)を有する単量体(B”)と、
を反応させることにより得られるポリウレタン樹脂(B’3)を使用することができる。
上記イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等を使用することができ、中でも水酸基、アミノ基を使用することが好ましい。
上記重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)としては、所謂ラジカル重合性を有する官能基以外のことを指し、例えばカチオン重合性を有する官能基、アニオン重合性を有する官能基等のことであり、例えばエポキシ基、オキセタニル基、エチレンスルフィド基等が挙げられる。
上記単量体(B”)としては、官能基(b”1)及び重合性官能基(b”2)を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば3-エチル-3-(4-ヒドロキシブチル)オキシメチル-オキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、2-ヒドロキシメチルオキセタン、3-ヒドロキシオキセタン等が挙げられる。
上記単量体(B”)は、ポリウレタン樹脂(B’1)100質量部に対して、5質量部~20質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部~15質量部の範囲で使用することがより好ましい。
上記単量体(B”)としては、より具体的にはポリウレタン樹脂(B’1)が有するイソシアネート基のモル数に対して、好ましくは50モル%を超えて100モル%以下、より好ましくは60モル%~100モル%、さらに好ましくは80モル%~100モル%の、上記イソシアネート基と反応しうる官能基を供給可能な量を使用することができる。これにより、硬化前の適度な柔軟性と、保型性、機械的強度、耐久性(特に耐加水分解性)、被着面への追従密着性等に優れたポリウレタン樹脂を得ることができる。
上記ポリウレタン樹脂(B’1)と上記単量体(B”)とを反応させる際には、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。上記ウレタン化触媒は、上記ウレタン化反応の任意の段階で、適宜加えることができる。上記ウレタン化反応は、イソシアネート基含有量(%)が実質的に一定になるまで行うことが好ましい。上記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸第一錫等の有機金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等を使用することができる。
また、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性のエポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物とこのエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体を用いてもよい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
上記接着剤層は、上記熱可塑性樹脂(B)として、ポリエステルポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートとの反応物である水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂を含むことが好ましい。遅延硬化性を発現することができるからである。また、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂は、水酸基を有する結晶性ポリエステルウレタン樹脂であることが、遅延硬化性に優れ、接着剤層をシート形状に保ちやすく、上記接着剤層を有する接着シートの製造工程や該接着シートを用いた剛性積層体の製造工程、さらには接着シートの保管時において形状維持に優れる点で好ましい。
なお、上記熱可塑性樹脂(B)として上記接着剤層に含有するポリウレタンやポリエステルウレタンが結晶性であることは、DSC測定(示差走差熱量測定)にて融点がピークとして検出されることにより確認することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接(tanδ40)が3以下であることが好ましく、中でも0.001以上2.0以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.001以上1.0以下より好ましくは0.001以上0.9以下である。熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、接着剤層の厚さの変化や形状変化を抑制することができる。
また、上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接(tanδ60)が1以上であることが好ましく、中でも1.2以上20以下であることが好ましく、更に好ましくは、1.3以上15以下より好ましくは、1.5以上15以下である。熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、被着体への追従性が優れるからである。
熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hzで各温度(40℃、60℃)における損失正接は、硬化前の熱可塑性樹脂(B)を厚さ1mmで成型し、直径8mmの大きさからなる円状に成型及び裁断して試験片を作成し、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に該試験片を挟み込み、周波数1.0Hzで各温度における貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)である。
上記熱可塑性樹脂(B)の各温度における損失正接(tanδ)は、例えば、熱可塑性樹脂(B)としてウレタン樹脂を用いる場合、ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネート等の組成やその数平均分子量等を適宜選択することによって調整することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の融点は、30℃~120℃の範囲が好ましく、中でも35℃~100℃の範囲が好ましく、さらに40℃~80℃の範囲が好ましい。上記の範囲内に融点を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、硬化前の接着剤層の形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を向上する。
熱可塑性樹脂(B)の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
上記熱可塑性樹脂(B)は、重量平均分子量が5500~2000000の範囲内であることが好ましく、中でも5500~1000000の範囲内であることが好ましく、5500~800000の範囲内であることが更に好ましい。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量を上記の範囲内とすることで、硬化前の接着剤層の形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を高くすることができる。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の凝集力が不足し、経時で接着剤層の染み出しが生じる等取り扱い性が低下しやすくなる場合がある。一方、熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が大きすぎると、光硬化性樹脂(A)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。
本明細書に記載の重量平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
<光重合開始剤(C)>
接着剤層は、光重合開始剤(C)を1種又は2種以上含有することで、工程[2]で活性エネルギー線を照射後、反応性が促進される。また、硬化後の接着剤層の接合性を高めることができる。また、上記接着剤層は、光により活性化されて反応が進行する光重合開始剤(C)を含むことで、活性エネルギー線の照射を止めた後もそのまま継続して反応が進むため、暗所や低温下でも反応が進み、良好な硬化反応を得ることが出来る。
上記光重合開始剤(C)は、光により活性化されるものであれば特に限定されない。上記光重合開始剤(C)としては、例えば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が挙げられるが、中でも、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤の少なくとも一方が好ましく、重合反応を好適に調整することができることから、光カチオン重合開始剤がより好ましい。
上記光カチオン重合開始剤としては、使用する波長の光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し得るものであれば、特に限定されない。中でも300nm~370nmの波長光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し、かつ370nmを超える波長領域で非活性な化合物が好ましく用いられる。このような光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類が挙げられる。
オニウム塩類の具体例としては、例えば、オプトマーSP-150、オプトマーSP-170、オプトマーSP-171(いずれもADEKA社製)、UVE-1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、OMNICAT250、OMNICAT270(いずれもIGM Resin社製)、IRGACURE290(BASF社製)、サンエイドSI-60L、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L(いずれも三新化学工業社製)、CPI-100P、CPI-101A、CPI-200K(いずれもサンアプロ社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さらに、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤を用い、接着剤層を2段階硬化させてもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、必要に応じてアントラセン系、チオキサントン系等の増感剤を併用してもよい。
上記光重合開始剤(C)は、接着剤層、換言すれば接着剤層を構成する接着剤組成物の固形分全量中、0.001質量%~30質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.01質量%~20質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.1質量%~10質量%の範囲で含まれることが更に好ましい。接着剤層中の光重合開始剤(C)の量を上記の範囲とすることで、活性エネルギー線照射後の接着剤層の硬化反応が緩やかに進行し、硬化後は十分な接合性及び剛性を発現することができる。
<その他の成分(D)>
接着剤層は、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)の他に、必要に応じてその他の成分(D)を含有することができる。
接着剤層は、その他の成分(D)として粘着性樹脂を含むことで、良好な常温貼合性を示すことができ、また、被着面に対する追従密着性を高めることができる。
上記粘着性樹脂は、重量平均分子量が2000~2000000の範囲内であることが好ましく、5000~1000000の範囲内であることが更に好ましく、5000~800000の範囲内であることがより好ましい。粘着性樹脂の重量平均分子量は、上述した熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量と同じ測定方法により測定することができる。
上記粘着性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアセタール等が挙げられる。これらの粘着性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの粘着性樹脂は、1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
上記粘着性樹脂は、ガラス転移温度が-30℃~20℃の範囲であることが好ましく、-25℃~10℃の範囲であることがより好ましい。接着剤層が上記範囲内にガラス転移温度を有する粘着性樹脂を含むことで、常温下において良好な粘着性及び弾性を示すことができ、被着体に対して良好な貼合性及び高い接合強度を示すことができる。
ガラス転移温度は、例えば動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に粘着性樹脂の試験片を挟み込み、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)で算出できる損失正接(tanδ)が最大値となる温度として算出することができる。
上記粘着性樹脂は、架橋剤や上述した光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)に含まれる官能基と反応可能な官能基が導入されていても良い。上記粘着性樹脂が架橋可能となるからである。上記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられ、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の重合反応を阻害しない範囲で、適時選択することが好ましい。
上記粘着性樹脂は、接着剤層、換言すれば接着剤層を形成する接着剤組成物の全量(100質量部)に対して、0.1質量部~100質量部の範囲で含まれることが好ましく、1質量部~50質量部の範囲で含まれることが好ましく、5質量部~30質量部の範囲で含まれることが好ましい。上記粘着性樹脂を上記範囲内の配合割合とすることで、常温下での貼合性、および硬化後の接着剤層の接合性の低下を防ぐことができるからである。
接着剤層は、その他の成分(D)として金属粒子やシリカ粒子等の無機フィラー、有機フィラー、熱膨張性粒子、シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤等を含有することができる。基材にガラス成分が含まれる場合や基材表面にガラス成分を含む部材が載置されている場合、上記接着剤層は、ガラス成分との反応性に富むシランカップリング剤を含むことで、被着体に対する接着性をより高めることができる。また、上記接着剤層は、光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)等と反応することが可能な光硬化型シランカップリング剤を含んでいてもよい。
また、接着剤層は、その他の成分(D)として例えば軟化剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、繊維類、酸化防止剤、加水分解防止剤、増粘剤、顔料等の着色剤、充填剤、粘着付与樹脂等を含むことができる。
<接着剤層の物性>
接着剤層の厚さは、20μm~5000μmであることが好ましく、20μm以上1000μm以下がさらに好ましく、30μm以上300μm以下がより好ましく、50μm以上250μm以下が特に好ましい。接着剤層の厚さを上記の範囲内とすることで、剛性積層体の総厚さを薄くすることができ、且つ、硬化後の接着剤層により、剛性積層体全体に十分な剛性を付与することができる。また、硬化前の接着剤層の形状安定性、取り扱い性が良好となり、被着体に対する十分な接着性と被着面に対する高い追従密着性とを発揮することができる。さらに、接着剤層に対して一方向から活性エネルギー線を照射したときに、接着剤層の深部にまで活性エネルギー線が行きわたり、厚み方向での硬化ムラの発生を防ぐことができる。
接着剤層は、融点が25℃以上であることが好ましく、30℃以上が好ましく、35℃以上が好ましく、40℃以上が好ましい。また、上記融点は、120℃以下が好ましく、90℃以下が好ましく、85℃以下が好ましく、60℃以下が好ましい。より具体的には、接着剤層の融点は好ましくは、30℃から120℃の範囲内、30℃から90℃の範囲内、40℃から85℃の範囲内とすることができる。上記接着剤層の融点を上記の範囲内で設定することで、硬化前の形状安定性や取り扱い性に優れ、被着体に対する追従密着性がより向上する。なお、接着剤層の融点とは、換言すれば接着剤層を構成する接着剤組成物の融点と同様である。
接着剤層の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
接着剤層は、23℃における損失正接(tanδ23)が3.0未満であることが好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。また、23℃における損失正接(tanδ23)は、0.01以上、好ましくは0.1以上とすることができる。活性エネルギー線の照射を受ける前の接着剤層の損失正接が、上述した範囲内にあることで、接着剤層の厚さを一定に保つことができ、フレキシブル基材と貼合する際の取り扱い性に優れるからである。
活性エネルギー線の照射を受ける前の接着剤層の損失正接は、接着剤層の製造時の条件に加え、接着剤層に含まれる光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびその他成分等の組成やその数平均分子量等を適宜選択することにより調整することができる。
接着剤層の23℃における損失正接(tanδ23)は、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度0~150℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、23℃における上記損失弾性率(G”)を23℃における上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)を23℃における損失正接(tanδ)とする。上記測定で使用する試験片としては、活性エネルギー線照射前の上記接着剤層を厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状に裁断したものを使用した。
(b)任意の構成
第1の接着シートは、上述した接着剤層を有していればよく、第1の接着シートの構成態様が、接着剤層のみの態様であってもよく、所望の組成を含む接着剤層が支持基材の両面にそれぞれ設けられた態様であってもよい。
第1の接着シートが、支持基材の両面に接着剤層が設けられた態様である場合、上記態様における支持基材は、波長200nm~780nmの光の透過率が80%以上、好ましくは90%以上の透過率を示すことが好ましい。後述する工程[2]において、支持基材の両面に接着剤層が設けられた第1の接着シートの一方の接着剤層側からのみ活性エネルギー線を照射しても、支持基材を介して反対側の接着剤層も活性化させて重合反応を生じさせることができるからである。
光透過性を有する支持基材としては、例えば熱可塑性樹脂製フィルム、樹脂製発泡体等が挙げられる。光透過性を有する熱可塑性樹脂製フィルムとして具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン-メチルメタクリレート共重合体、ポリ乳酸樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。また、光透過性を有する樹脂製発泡体として具体的には、ポリオレフィン樹脂発泡体、ポリウレタン樹脂発泡体、ポリクロロプレン樹脂発泡体、ゴム系樹脂発泡体、アクリル系樹脂発泡体等が挙げられる。
上記第1の接着シートは、片面又は両面に剥離ライナーを有していても良い。上記第1の接着シートは、剥離ライナーを有する場合は、第1の基材及び後述する工程[3]において第2の基材と貼合する際に、剥離ライナーを除去して接着剤層の表面を露出して用いられる。
上記剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;上記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、上記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。
(3)工程[1]
工程[1]において、第1の接着シートの接着剤層と、第1の基材の一方の面とを貼合する。第1の接着シートが、接着剤層と剥離ライナーとがこの順で積層された構成を有する場合、接着剤層の剥離ライナーとは反対側の面を、第1の基材の一方の面と貼合する。また、第1の接着シートが、第1の接着剤層と支持基材と第2の接着剤層と剥離ライナーとがこの順で積層された構成を有する場合は、第1の接着剤層の支持基材とは反対側の面と、第1の基材の一方の面とを貼合する。
活性エネルギー線を照射する前の第1の接着シートの接着剤層は、感圧接着性を示す。このため、第1の接着シートの接着剤層と第1の基材とは、圧着して貼合することができる。また、工程[2]で活性エネルギー線を照射する前は、第1の接着シートは、第1の基材へ貼合後、貼り直しを容易に行うことができる。
工程[1]においては、上記第1の基材を圧着するときの、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率は、0.1%~30%の範囲内であることが好ましく、中でも0.1%~20%の範囲内がさらに好ましく、0.1%~10%の範囲内がより好ましい。工程[1]において、上記第1の基材を圧着するときの、接着剤層のゲル分率を所定の範囲内にすることで、接着シートの形状を保持しつつ、接着剤層が非常に柔軟な状態であるため、第1の基材と十分に密着させることができるからである。
上記第1の基材を圧着するときの、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率は、剥離ライナーの片面に接着剤層を形成したサンプルを作成し、23℃に調整されたトルエンへ24時間浸漬した後の、上記溶媒中に残存した接着剤層の乾燥後の質量と、トルエン浸漬前の接着剤層の質量とから、以下の式に基づいて算出した値とした。接着剤層の質量は、サンプルの質量から剥離ライナーの質量を差し引いた質量とする。
ゲル分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した接着剤層の質量)/(トルエン浸漬前の接着剤層の質量)}×100
工程[1]において、第1の接着シートの接着剤層と第1の基材とは、0.1kPa~3000KPaの範囲の圧力で貼合することが好ましく、0.5kPa~1000kPaの範囲の圧力で貼合することがより好ましく、1.0kPa~500kPaの範囲の圧力で貼合することがさらに好ましい。
また、このときの圧着時間は、0.1秒~10分の範囲内が好ましく、0.3秒~5分の範囲内がさらに好ましく、0.5秒~3分の範囲内がより好ましい。圧着力及び圧着時間をそれぞれ上記の範囲とすることで、第1の基材を損傷せずに接着シート及び第1の基材に対して十分な圧力をかけることができ、第1の基材と第1の接着シートとを十分に密着させて高い接合強度を得ることができる。また、基材への密着性向上と、特にオンラインでの製造における生産効率の向上を図ることができる。
また、第1の接着シートの接着剤層と第1の基材とは、常温で貼合可能であるが、加熱しながら貼合してもよい。工程[1]において、第1の接着シートの接着剤層と第1の基材とは、5℃~100℃の範囲内の温度で貼合することが好ましく、10℃~70℃の範囲内の温度で貼合することがより好ましく、20℃~40℃の範囲内の温度で貼合することがさらに好ましい。貼合温度を上記の範囲とすることで、第1の基材の熱劣化を防ぎ、第1の基材と第1の接着シートとを十分に密着させて、高い接合強度を得ることができるからである。
B.工程[2]
本発明の剛性積層体の製造方法における工程[2]は、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程である。
工程[2]においては、第1の接着シート付基材の接着剤層側から活性エネルギー線を照射することで、第1の基材の光透過性や耐熱性の有無によらず、接着剤層の硬化反応を開始させることができる。また、第1の基材が光透過性を有する場合は、第1の接着シート付基材の第1の基材側から活性エネルギー線を照射してもよい。
工程[2]において用いる活性エネルギー線は、特に限定されないが、紫外線を用いることが好ましい。紫外線は、接着剤層の硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀-キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED等が挙げられる。中でもLEDは、照射時の熱の発生量が少なく、第1の基材へ熱劣化を抑えることができるため好ましい。
上記活性エネルギー線の照射装置としては、上記したもののほかに、殺菌灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、走査型、カーテン型電子線加速器等を使用することができる。
上記活性エネルギー線の照射条件は、本工程を実施してから5分後の、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が所定の範囲内となるように設定することができる。上記活性エネルギー線の照射強度は、10mW/cm~1000mW/cmの範囲内が好ましく、10mW/cm~800mW/cmの範囲内がさらに好ましく、50mW/cm~400mW/cmの範囲内がより好ましい。照射強度を上記の範囲内で調整することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、第1の基材の熱劣化を抑制することができ、また、活性エネルギー線を照射した後の接着剤層の硬化率を調整可能となる。
また、上記活性エネルギー線の照射時間としては1秒~60秒の範囲内が好ましく、5秒~50秒の範囲内がさらに好ましく、10秒~40秒の範囲内であることがより好ましい。照射時間を上記範囲内で調整することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、第1の基材の熱劣化を抑制することができ、また、活性エネルギー線を照射した後の接着剤層の硬化率を調整可能となる。
上記活性エネルギー線は、一度に照射してもよく、分割して照射してもよい。分割照射の場合、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、第1の基材の熱劣化を抑制することができ、また、活性エネルギー線を照射した後の接着剤層の硬化率をより調整しやすくなる。活性エネルギー線を分割照射する場合、例えば1分間の照射を2回に分け、30秒を2回照射してもよい。なお、上記活性エネルギー線を分割して照射する場合の、「工程[2]を実施してから5分後」とは、最後の活性エネルギー線照射を実施してから5分後とする。
工程[2]は、常温環境(たとえば23℃雰囲気)で実施されることが好ましい。また、第1の接着シート付基材の第1の基材が耐熱性を有する場合は、活性エネルギー線を照射した後、加熱により硬化反応を促進させてもよい。
工程[2]を実施してから5分後の、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が35%~90%の範囲内であればよく、中でも40%~90%の範囲内が好ましく、45%~90%の範囲内がさらに好ましく、50%~85%の範囲内がより好ましい。工程[2]実施後工程[3]を行うまでの間、すなわち、上記第1の接着シート付基材と第2基材とを圧着するときに、第1の接着シート付基材の接着剤層が、第2の基材と貼合可能な柔軟性を保持することができ、一方で工程[3]を行った後の積層体に所望の剛性を付与し易いからである。工程[2]実施してから工程[3]を行うまでの時間が5分より短い場合でも、工程[2]を実施してから5分後に上述の範囲内のゲル分率を示すことが可能な接着剤層であれば、上述の効果を奏することが可能となる。工程[2]を実施してから5分後の、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率は、接着剤層の組成や活性エネルギー線の照射条件を調整することにより調整可能となる。なお、工程[2]を実施してから5分後、若しくは工程[2]実施5分後とは、第1の接着シート付基材の接着剤層に活性エネルギー線を照射してから測定するまでの時間をいい、換言すれば工程[2]を実施してから5分経過したときの、第1の接着シート付基材の接着剤層が上述のゲル分率を具備する。
工程[2]を実施してから5分後の、第1の接着シート付基材の接着剤層のゲル分率は、剥離ライナーの片面に接着剤層を形成したサンプルを作成し、該サンプルに対し工程[2]を実施し、工程[2]を実施してから5分後の該サンプルを、23℃に調整されたトルエンへ24時間浸漬した後の、上記溶媒中に残存した接着剤層の乾燥後の質量と、トルエン浸漬前の接着剤層の質量とから、以下の式に基づいて算出した値とした。接着剤層の質量は、サンプルの質量から剥離ライナーの質量を差し引いた質量とする。
ゲル分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した接着剤層の質量)/(トルエン浸漬前の接着剤層の質量)}×100
C.工程[3]
本発明の剛性積層体の製造方法における工程[3]は、上記工程[2]の後に、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材とを圧着する工程である。
(1)第2の基材
第2の基材は、フレキシブル性を有する基材である。第2の基材は、所望のフレキシブル性を発揮できる厚さを有し、例えば20μm~1000μmの範囲内が好ましく、30μm~700μmの範囲内がさらに好ましく、100μm~500μmの範囲内がより好ましい。
第2の基材の光透過性、構造及び具体的な材質等の詳細については、上記「A.工程[1] (1)第1の基材」の項で説明した第1の基材の詳細と同様とする。
第2の基材の一方又は両方の面には、他の部材が設けられていてもよい。第2の基材に他の部材が設けられている場合、他の部材が設けられた第2の基材全体で、所望のフレキシブル性が発揮する。他の部材及び上記第2の基材として使用可能な具体的な物品については、上記「A.工程[1] (1)第1の基材」の項で説明した他の部材及び第1の基材として使用可能な具体的な物品の例と同様とする。第1の基材と第2の基材とは、同一物品であってもよく、異なる物品であってもよい。
(2)工程[3]
工程[3]は、工程[2]の後、所定の時間内に実施する。具体的には、上記工程[2]を実施してから上記工程[3]を実施するまでの時間が10分未満であればよく、中でも1秒~8分の範囲内であることが好ましく、2秒~6分の範囲内であることがさらに好ましく、2秒~5分の範囲内であることがより好ましい。上記工程[2]を実施してから所定の時間内に第1の接着シート付基材と第2の基材とを圧着することで、第2の基材と第1の接着シート付基材の上記接着剤層とを十分に密着させることが出来、さらに上記工程[2]を行ってから工程[3]に移行するまでの可使時間も確保できる。
上記工程[3]での圧着温度が100℃以下であればよく、中でも上記圧着温度が20℃~100℃の範囲内が好ましく、40℃~90℃の範囲内がさらに好ましく、50℃~85℃の範囲内がより好ましい。工程[3]において上記圧着温度で第1の接着シート付基材の上記接着剤層と第2の基材とを貼合することで、第1の基材および第2の基材の熱損傷を抑制することができ、第1の接着シート付基材の上記接着剤層と第2の基材とを十分に密着させることができる。
工程[3]において、第1の接着シート付基材の上記接着剤層と第2の基材とは、0.1KPa~3000KPaの範囲の圧力で貼合することが好ましく、0.5KPa~1000KPaの範囲の圧力で貼合することがより好ましく、1.0KPa~500KPaの範囲の圧力で貼合することがさらに好ましい。
また、フレキシブルな第2に基材に十分に密着させるには圧着時間が長い方が好ましく、一方で積層工程における生産効率の点からは圧着時間が短い方が好ましく、両方の要求を満たす観点から、このときの圧着時間は0.1秒~10分の範囲内が好ましく、0.3秒~5分の範囲内がさらに好ましく、0.5秒~3分の範囲内がより好ましい。工程[3]における圧着力及び圧着時間をそれぞれ上記の範囲とすることで、第1の基材及び第2の基材を損傷せずに、第1の接着シート付基材の上記接着剤層と第2の基材とを十分に密着させることができ、高い接合強度を得ることができる。
工程[3]において、上記第2の基材を圧着するときの、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層の接着力が2N/20mm~100N/20mmの範囲内であることが好ましく、中でも4N/20mm~100N/20mmの範囲内であることがさらに好ましく、5N/20mm~100N/20mmの範囲内であることがより好ましい。上記第2の基材を圧着するときの上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層の接着力を上記の範囲とすることで、第1の接着シート付基材から第2の基材を浮き剥がれにくくすることができる。
工程[3]において上記第2の基材を圧着するときの上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層の接着力は、工程[3]を行ってから5分後の積層体に対し、第1の基材と第2の基材とをそれぞれ治具に固定し、一方の基材を垂直方向に5mm/minの引張速度で引きはがした際の接着力とする。
本発明においては、工程[3]を実施してから5分後の上記接着剤層の、動的粘弾性測定機により測定される貯蔵弾性率E’25℃が1.0×10Pa以上であることが好ましく、5.0×10Pa以上であることがさらに好ましく、1.0×10Pa以上であることが特に好ましい。工程[3]を実施してから5分後の接着剤層の貯蔵弾性率E’25℃が上記の範囲を示すことで、積層体に十分な剛性を付与することができる。工程[3]を実施してから5分後の接着剤層の貯蔵弾性率E’25℃の上限は大きいほど望ましく例えば1.0×1012Paとすることができ、好ましくは1.0×1011Pa、より好ましくは1.0×1010Pa以下である。工程[3]を実施してから5分後、若しくは工程[3]実施5分後とは、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層に第2の基材を貼合してから測定するまでの時間をいい、換言すれば工程[3]を実施してから5分経過したときの、第1の接着シート付基材の接着剤層が上述の貯蔵弾性率E’25℃を具備する。
工程[3]を実施してから5分後の接着剤層の貯蔵弾性率E’25℃は、動的粘弾性測定装置を用いて測定される、周波数1.0Hz、温度25℃での値であり、下記の測定方法により測定することができる。
<測定方法>
第1の基材及び第2の基材の代わりに剥離ライナーを用いて、工程[1]~[3]を実施して積層体を作成し、工程[3]を実施してから5分後の上記積層体からダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き、剥離ライナーを除去して硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)の試験片を作成する。上記試験片の動的粘弾性を、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定し、周波数1.0Hz、温度25℃で測定したときの値を貯蔵弾性率E’25℃とする。
上記工程[3]は常温環境(たとえば23℃雰囲気)で実施されることが好ましい。また、上記工程[3]において、上記第1の接着シート付基材の上記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材とを圧着した後、第1の接着シート付基材に第2の基材を貼合した積層体を20℃~80℃の範囲内の環境温度に晒すことが好ましく、中でも20℃~60℃の範囲内の環境温度に晒すことが好ましく、さらに20℃~40℃の範囲内の環境温度に晒すことが好ましい。上述の環境温度に晒すことで、第1の基材及び第2の基材の損傷を抑制しながら、上記接着剤層を十分に硬化させることができ、第1の基材と第2の基材とを、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)を介して強固に接着させることができる。また常温よりも高い環境温度に晒す場合、硬化反応が完了するまでの時間をより短縮することができる。
また、第1の接着シート付基材に第2の基材を貼合した積層体は、上述の環境温度に60分~1週間晒すことが好ましく、中でも120分~3日晒すことが好ましく、さらに180分~2日間晒すことが好ましい。第1の接着シート付基材に第2の基材を貼合した積層体を、所望の時間晒すことで、上記接着剤層の硬化を十分に完了させることができ、第1の基材と第2の基材とを、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)を介して強固に接着させることができる。
上記工程[3]実施後の積層体は、接着剤層の硬化により、積層体全体で剛性を有することが可能となる。中でも、上記工程[3]を実施してから5分後の接着剤層の硬化度(ゲル分率)が、後述する「F.剛性積層体」の項で説明する硬化接着剤層の硬化度(ゲル分率)の範囲内にあることが好ましい。また、上記工程[3]を実施してから5分後の積層体について上述した剛性試験を行ったときに測定される上記距離Lが、45mm未満であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましい。工程[3]を実施してから5分以内で積層体が、上述した各物性を具備することで、工程[3]を実施から5分以内で、得られた積層体に十分な剛性が付与されるため、剛性積層体の製造時間の短縮を図ることができる。
さらに、上記工程[3]実施から5分後の積層体における接着剤層の、周波数1.0Hzで測定する25℃における貯蔵弾性率(E’25)が、後述する「F.剛性積層体」の項で説明する硬化接着剤層の周波数1.0Hzで測定する25℃における貯蔵弾性率(E’25)の範囲内にあることが好ましい。工程[3]実施から5分以内で積層体が、上述した各物性を具備することで、工程[3]実施から5分以内で、得られた積層体に十分な剛性が付与されるため、剛性積層体の製造時間の短縮を図ることができる。
なお、工程[3]を実施してから5分後、若しくは工程[3]実施5分後とは、第1接着シート付基材に第2の基材を貼合してから測定するまで時間をいい、換言すれば工程[3]を実施してから5分経過時に第1接着シート付基材の接着剤層及び積層体が上述のゲル分率及び距離Lを具備することが好ましく、また、工程[3]を実施してから5分経過時に接着剤層が上述の貯蔵弾性率(E’25)を具備することが好ましい。
D.工程[4]~[6]
本発明の剛性積層体の製造方法は、上述した工程[1]~[3]を少なくとも含むが、さらに後述する工程[4]~[6]を含むことができる。本発明の剛性積層体の製造方法が工程[1]~[6]を有することで、3層以上のフレキシブル基材を構成に含む多層構造の剛性積層体を得ることができる。
図2は、本発明の剛性積層体の製造方法の一例を示す工程図であり、工程[4]~[5]を示す。まず、図2(a)に示す工程[4]において、フレキシブル性を有する第3の基材4の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層5Aを有する第2の接着シート5を貼付して、第2の接着シート付基材20を得る。図2に例示する第2の接着シート5は、接着剤層5Aのみを有する基材レスの接着シートであるが、本発明の剛性積層体の製造方法においてはこれに限定されない。次に、図2(b)に示す工程[5]において、上記第2の接着シート付基材20の上記接着剤層5Aに活性エネルギー線X2を照射する。これにより、接着剤層5Aは、硬化反応を開始した接着剤層5A’となる。続いて上記工程[5]の後の図2(c)に示す工程[6]において、上記第1の接着シート付基材10の第1の基材2の表面、もしくは上記第2の基材3の上記第1の接着シート付基材10と接する面とは反対側の面と、上記第2の接着シート付基材20の上記接着剤層5A’とを圧着する。図2(c)では、上記第1の接着シート付基材10の第1の基材2の表面と上記第2の接着シート付基材20の上記接着剤層5A’とを圧着する例を示している。また、図2(c)では、工程[3]と工程[6]とをインロールで同時に行う例を示しているが、工程[3]と工程[6]とを別々に行っても良い。圧着は、例えば上記第1の接着シート付基材10もしくは第2の基材3、第2の接着シート付基材20に対しローラーY1、Y2をそれぞれ押し当てて行う。その後接着剤層5A’の硬化反応が進行し完了することで、剛性を有する硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)5A”の一方の面に第3の基材4が貼合され、他方の面に第2の基材3、第2の接着シート付基材20が順不同で貼合され、第1の基材、第2の基材3及び第3の基材4が硬化接着剤層2A”、5A”を介して強固に接合された剛性積層体100が得られる。なお、図2(a)~(c)で例示した工程により得られる剛性積層体100は、第3の基材4、硬化接着剤層5A”、第1の基材1、硬化接着剤層2A”、および第2の基材3がこの順で積層された層構成を有する。
(1)工程[4]
工程[4]は、フレキシブル性を有する第3の基材の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第2の接着シートを貼付して、第2の接着シート付基材を得る工程である。
工程[4]における第2の接着シートおよび第3の基材についての詳細は、工程[1]における第1の接着シート及び第1の基材で説明した内容と同様とすることができる。
第3の基材は、第1の基材と同一であってもよく、異なってもよい。また、第2の接着シートは、第1の接着シートと同一であってもよく、異なってもよい。
(2)工程[5]
工程[5]は、上記第2の接着シート付基材の上記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程である。
工程[5]の詳細は、工程[2]と同様とすることができる。
上記工程[5]を実施して5分後の、上記第2の接着シート付基材の上記接着剤層のゲル分率が35%~95%の範囲内であればよく、中でも40%~95%の範囲内が好ましく、45%~90%の範囲内がさらに好ましく、50%~90%の範囲内がより好ましい。工程[5]実施後工程[6]を行うまでの間、すなわち、工程[6]において、第2の接着シート付基材が有する接着剤層と上記第1の接着シート付基材における第1の基材もしくは上記第2の基材とを圧着貼合するときに、第2の接着シート付基材の接着剤層が、基材と貼合可能な柔軟性を保持することができ、一方で工程[6]を行った後の積層体に所望の剛性を付与し易いからである。上記第2の接着シート付基材の接着剤層のゲル分率は、上述した第1の接着シート付基材の接着剤層のゲル分率の測定方法と同様の方法で測定することができる。
(3)工程[6]
工程[6]は、上記工程[5]の後に、上記第1の接着シート付基材の第1の基材の表面、もしくは上記第2の基材の上記第1の接着シート付基材と接する面とは反対側の面に、上記第2の接着シート付基材の上記接着剤層を圧着する工程である。
工程[6]においては、上記第2の接着シート付基材の上記接着剤層と、上記第1の接着シート付基材の第1の基材の表面(第1の基材の、第1の接着シート付基材における接着剤層と接する面と反対側の面)とを圧着して貼合してもよく、上記第2の接着シート付基材の上記接着剤層と、上記第2の基材の上記第1の接着シート付基材と接する面とは反対側の面とを圧着して貼合してもよい。
上記工程[5]を実施してから上記工程[6]を実施するまでの時間は、10分未満であればよく、中でも1秒~8分の範囲内であることが好ましく、2秒~6分の範囲内であることがさらに好ましく、2秒~5分の範囲内であることがより好ましい。上記工程[5]を実施してから上記時間内に工程程[6]を実施することで、上記第1の接着シート付基材における第1の基材もしくは上記第2の基材と上記第2の接着シート付基材とを十分に密着させることが出来、さらに上記工程[5]を行ってから工程[6]に移行するまでの可使時間も確保できる。
上記工程[6]での圧着温度が100℃以下であればよく、中でも上記圧着温度が20℃~100℃の範囲内が好ましく、40℃~90℃の範囲内がさらに好ましく、50℃~85℃の範囲内がより好ましい。工程[6]に圧着温度を上記の範囲とすることで、第1の基材及び第2の基材、並びに第3の基材の熱損傷を抑制することができ、第2の接着シート付基材の上記接着剤層と第2の基材又は第1の基材とを十分に密着させることができる。
工程[6]における圧着力及び圧着時間、並びに圧着後の養生条件については、「C.工程[3] (2)工程[3]」の項で説明した内容と同じである。
上記工程[6]を行うタイミングは、工程[5]から所定の時間内に実施可能であれば特に限定されず、上記工程[3]と同時に行われてもよく、上記工程[3]の後に行われてもよい。中でも、上記工程[3]と上記工程[6]とを同時に行うことが好ましい。上記工程[3]と上記工程[6]とを同時に行うことで、製造時間の短縮化が図れるとともに、上下圧着により第1の基材及び第2の基材、並びに第3の基材が、それぞれ接着剤層を介してより密着して貼合することができる。
上記工程[6]実施後の積層体は、第1の接着シート付基材の接着剤層及び第2の接着シート付基材の接着剤層の硬化が進むことにより、積層体全体で剛性を有することが可能となる。中でも、上記工程[6]を実施してから5分後の第2の接着シート付基材の接着剤層が、後述する「F.剛性積層体」の項で説明する硬化接着剤層の硬化度(ゲル分率)の範囲内であることが好ましい。
また、上記工程[6]実施から5分後の積層体について上述した剛性試験を行ったときに測定される上記距離Lが、45mm未満であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましい。工程[6]実施から5分以内で積層体に十分な剛性が付与されるため、剛性積層体の製造時間の短縮を図ることができる。
さらに、上記工程[6]実施から5分後の積層体における接着剤層の、周波数1.0Hzで測定する25℃における貯蔵弾性率(E’25)が、後述する「F.剛性積層体」の項で説明する硬化接着剤層の周波数1.0Hzで測定する25℃における貯蔵弾性率(E’25)の範囲内にあることが好ましい。
E.その他
本発明の剛性積層体の製造方法は、上述した工程[1]から工程[3]までを少なくとも含む。上記工程[1]から上記工程[3]は、それぞれ独立して行ってよく、インラインで連続して行ってもよい。中でも工程[1]から工程[3]までを、インラインで連続して行うことが好ましい。一連の工程をインラインで連続して行うことにより、第1の基材及び第2の基材を接着剤層を介して効率よく貼合させることが可能となり、本発明の剛性積層体の製造方法が、作業性および生産性に優れたものとなる。
また、本発明の剛性積層体の製造方法は、上述した工程[1]~工程[3]に加えて、さらに工程[4]~工程[6]を含むことができる。上記工程[4]~上記工程[6]は、それぞれ独立して行ってよく、インラインで連続して行ってもよい。中でも工程[4]から工程[6]までを、インラインで連続して行うことが好ましく、工程[1]から工程[6]をインラインで連続して行うことがより好ましい。一連の工程をインラインで連続して行うことにより、第1~第3の基材を、接着剤層を介して効率よく貼合させることが可能となり、本発明の剛性積層体の製造方法が、作業性および生産性に優れたものとなる。
各工程をインラインで連続して行う場合、第1の基材、第1の接着シート、第1の接着シート付基材、第2の基材の搬送速度(ライン速度)が、それぞれ0.1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、0.3m/min以上50m/min以下であることがさらに好ましく、0.5m/min以上20m/min以下であることがより好ましい。
本発明の剛性積層体の製造方法は、目的とする剛性積層体の層構成に応じて、上述した工程[1]~[6]に加えてフレキシブル性を有する基材の一方の面に、上記「A.工程[1] (1)接着シート」の項で説明した接着シートを貼付して、接着シート付基材を得る工程と、上記接着シート付基材の上記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程と、上記活性エネルギー線を照射した後10分未満の間に、工程[1]~[6]により得られた積層体に、ゲル分率が50%~90%の範囲内である接着シート付基材の上記接着剤層を100℃以下の圧着温度で圧着する工程と、を有する連続操作を複数回実施しても良い。4つ以上の基材が硬化接着剤層で接合された剛性積層体を得ることができる。
本発明の剛性積層体の製造方法は、薄型且つ剛性が要求される積層体の製造であれば、積層体の種類によらず広範に適用することができる。中でも本発明の剛性積層体の製造方法は、情報記録媒体の製造方法、より具体的には、非接触ICカード等のカードの製造方法、軽量基板の製造方法として好適に用いることができる。
F.剛性積層体
本発明の製造方法により得られる剛性積層体は、硬化後の接着剤層である硬化接着剤層と、上記硬化接着剤層の一方の面に貼合された上記第1の基材と、上記硬化接着剤層の他方の面に貼合された上記第2の基材と、を少なくとも有する。
また、本発明の製造方法により得られる剛性積層体は、上述した工程[1]~[6]を行うことで、第1の基材、第2の基材、および第3の基材がそれぞれ硬化接着剤層を介して貼合された構成を有することができ、例えば、第1の基材、第1の硬化接着剤層、第2の基材、第2の硬化接着剤層、および第3の基材がこの順に積層した層構成、第2の基材、第1の硬化接着剤層、第1の基材、第2の硬化接着剤層、および第3の基材がこの順に積層した層構成とすることができる。
本発明の製造方法により得られる剛性積層体の総厚は60μm以上とすることができ、中でも上記総厚が、60μm~10mmの範囲内であることが好ましく、100μm~10mmの範囲内であることがより好ましく、さらに100μm~5mmの範囲内であることが好ましく、特に200μm~1mmの範囲内であることが好ましい。剛性積層体の総厚を上記の範囲内とすることで、所望の剛性を発揮することができるからである。
本発明の製造方法により得られる剛性積層体において、硬化接着剤層は、上述した「A.工程[1] (2)第1の接着シート (a)接着剤層」の項で説明した接着剤組成物の硬化物を含む。上記硬化接着剤層は、硬化率が70質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、85質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。硬化接着剤層の硬化率が上記の範囲内にあることで、複数のフレキシブル基材同士を強固に接合することが可能であり、また硬化接着剤層自体が所望の剛性を有するため、剛性積層体全体でも所望の剛性を有することが可能となる。
硬化接着剤層の硬化率は、ゲル分率で表すことができ、剛性積層体の硬化接着剤層を、23℃に調整されたトルエンへ24時間浸漬した後の、上記溶媒中に残存した硬化接着剤層の乾燥後の質量と、トルエン浸漬前の接着剤層の質量とから、以下の式に基づいて算出した値とする。
硬化率(ゲル分率)(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した硬化接着剤層の質量)/(トルエン浸漬前の硬化接着剤層の質量)}×100
上記硬化接着剤層は、周波数1.0Hzで測定する25℃における貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上1.0×1012Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上1.0×1011Pa以下であることがさらに好ましく、1.0×10Pa以上5.0×1010Pa以下であることがより好ましい。硬化接着剤層の貯蔵弾性率が上記の範囲内にあることで、上記硬化接着剤層を介してフレキシブル基材が貼合された積層体に対し、十分な剛性を付与することができるからである。
硬化接着剤層の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定した周波数1Hz、温度25℃での値である。上記測定には、厚さ100μmの硬化接着剤層を作製し、上記硬化接着剤層をダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜いたものを使用した。
本発明の製造方法により得られる剛性積層体は、薄型且つ剛性が要求される用途に用いることができ、例えば非接触ICカード等のカード、ガラスエポキシ基板を代替する軽量基板等に適用することができる。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
<熱可塑性樹脂(X-1)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール51質量部と、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、熱可塑性樹脂(X-1)として結晶性ポリエステルポリウレタンを得た。なお、上記結晶性ポリエステルポリウレタンは重合性官能基として水酸基を有する。
<熱可塑性樹脂(X-2)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール51質量部と、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、熱可塑性樹脂(X-2)として結晶性ポリエステルポリウレタンを得た。なお、上記結晶性ポリエステルポリウレタンは重合性官能基として水酸基を有する。
<接着シート(Y-1)の調製>
熱可塑性樹脂(X-1)40質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL-2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N-685-EXP-S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI-100P」、固形分濃度50%)2.5質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)10.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥した後、接着剤層が暴露している面を剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とハンドローラーを用いて貼り合わせ、接着シート(Y-1)を得た。
<接着シート(Y-2)の調製>
熱可塑性樹脂(X-2)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL-2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N-685-EXP-S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI-100P」、固形分濃度50%)2.5質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)10.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥した後、接着剤層が暴露している面を剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とハンドローラーを用いて貼り合わせ、接着シート(Y-2)を得た。
<接着シート(Y-3)の調製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製 JER-1256、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)167質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 850-S、エポキシ当量188g/eq.)を20質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 1055、エポキシ当量475g/eq.)を30質量部、ジシアンジアミド(三菱化学株式会社製 DICY-7、)2.0質量部、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物(四国化成工業株式会社製 2MA-OK)1質量部を混合することによって熱硬化性樹脂組成物(X-3)を調製した。
剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記熱硬化性樹脂組成物(X-3)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工した。
次に、上記塗工物を85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥した後、接着剤層が暴露している面を剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とハンドローラーを用いて貼り合わせ、厚さ150μmの接着シート(Y-3)を得た。
<接着シート(Y-4)の調製>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート44.9質量部、2-エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸2質量部、酢酸ビニル3質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.1質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、70℃で10時間重合することによって、重量平均分子量80万のアクリル系共重合体溶液を得た。
次に、アクリル系共重合体100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業株式会社製 ペンセルD-160、軟化点150~160℃)を40質量部添加し、酢酸エチルを加えて混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL-45」、固形分45質量%)を1.1質量部添加し15分攪拌し感圧性接着剤溶液(X-4)を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、感圧性接着剤溶液(X-4)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に15分間投入し乾燥した後、接着剤層が暴露している面を剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とハンドローラーを用いて貼り合わせ、40℃温度環境下に2日放置し、接着シート(Y-4)を得た。
(実施例1)
工程[1]:上記接着シート(Y-1)を、幅20mm×長さ100mmの大きさに裁断したものを試験サンプルとした。上記試験サンプルの剥離ライナーBを除去して露出させた接着シート(Y-1)における接着剤層の表面と、第1の基材として幅20mm×長さ100mmの大きさに裁断された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(融点255℃)とを、23℃の温度環境下で0.05MPaの圧力で5秒間プレス圧着して貼り合わせて、第1の接着シート付基材を得た。
工程[2]:次いで、第1の接着シート付基材の剥離ライナーAがある面を上にして、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を10秒間照射した。
工程[3]:上記紫外線照射後の第1の接着シート付基材を23℃の温度環境下に2分間放置した後、第1の接着シート付基材の剥離ライナーAを除去して露出させた第1の接着シート付基材における接着剤層の表面と、第2の基材として幅20mm×長さ100mmの大きさに裁断された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとを、80℃に加熱した熱プレス機を用いて0.5MPaの圧力で2秒間プレス圧着し、貼り合わせ、23℃の温度環境下に5分間放置し冷却することで、積層体の評価サンプル(Z-1)を得た。
(実施例2)
上記工程[3]における熱プレス機の温度を90℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-2)を得た。
(実施例3)
上記接着シート(Y-1)の代わりに上記接着シート(Y-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-3)を得た。
(実施例4)
上記工程[2]を行った後、紫外線照射後の第1の接着シート付基材を23℃の温度環境下に9分放置したこと以外は実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-4)を得た。
(比較例1)
上記工程[2]において紫外線を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-5)を得た。
(比較例2)
上記工程[2]を実施してから工程[3]を実施するまでの時間を120分で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-6)を得た。
(比較例3)
上記工程[3]における熱プレス機の温度を150℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-7)を得た。
(比較例4)
上記接着シート(Y-1)の代わりに上記接着シート(Y-3)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-8)を得た。
(比較例5)
上記接着シート(Y-1)の代わりに上記接着シート(Y-3)を用いたこと、並びに上記工程[3]における熱プレス機の温度を150℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-9)を得た。
(比較例6)
上記接着シート(Y-1)の代わりに上記接着シート(Y-4)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で工程[1]、工程[2]及び工程[3]を行い、積層体の評価サンプル(Z-10)を得た。
<評価1>工程[3]実施 5分後における接着剤層の貯蔵弾性率E’25℃
実施例及び比較例で使用した第1の基材及び第2の基材(共に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の代わりに、剥離ライナーC(厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を使用し、各実施例及び各比較例と同様の方法で積層体の評価サンプルを作成した。工程[3]の実施5分後に、ダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き、剥離ライナーCを除去して得たものを、硬化後の接着剤層(硬化接着剤層)の試験片とした。上記試験片の動的粘弾性を、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定し、周波数1.0Hz、温度25℃での貯蔵弾性率(E’)を測定した。上記試験片を用いて測定された貯蔵弾性率E’25℃を、各実施例及び比較例における、工程[3]実施5分後における接着剤層の貯蔵弾性率E’25℃とした。
<評価2>工程[2]実施 5分後における接着剤層のゲル分率
実施例及び比較例で使用した第1の基材及び第2の基材(共に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の代わりに、剥離ライナーC(厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を使用し、各実施例及び各比較例と同様の方法で工程[1]及び[2]を行った。工程[2]の実施5分後に剥離ライナーCを剥がして接着剤層を取り出し、接着剤層を23℃に調整されたトルエンへ24時間浸漬した後の、上記溶媒中に残存した接着剤層の乾燥後の質量と、トルエン浸漬前の接着剤層の質量とから、以下の式に基づいて算出した値とした。
ゲル分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した接着剤層の質量)/(トルエン浸漬前の接着剤層の質量)}×100
<評価3>工程[1]実施後の仮固定性(粘着性)
実施例及び比較例の工程[1]を実施した後工程「2」実施前に、第1の接着シート付基材から剥離ライナーAを除去したときの、第1の基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムに対する接着シートの密着度合いから仮固定性を下記基準で評価した。
〇:第1の基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)から接着シートが浮き剥がれることなく剥離ライナーを除去できる。
△:第1の基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)から接着シートが一部浮き剥がれるが剥離ライナーは除去できる。
×:第1の基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)から接着シートが剥がれ、剥離ライナーが除去できない。
<評価4>工程[3]実施後の基材への密着性
実施例及び比較例で作成した積層体について、工程[3]実施5分後の積層体を直径100mmの金属円柱に沿わせるように湾曲させて10秒保持した後、評価サンプルを観察し、下記基準で評価した。
〇:外観に変化がない。第1の基材及び第2の基材のいずれのポリエチレンテレフタレートフィルムからも、接着シートの浮き剥がれがない。
×:第1の基材及び第2の基材の少なくとも一方のポリエチレンテレフタレートフィルムから、接着シートの浮き剥がれがみられる。
<評価5>工程[3]実施後の積層体の剛性
実施例及び比較例で作成した積層体の評価サンプルSについて、工程[3]を実施してから5分後に、図3で示すように、評価サンプルS(長手方向Xの長さ100mm、短手方向Yの長さ20mm)の長手方向Xの一方の端部Aから10mmの領域を固定し、荷重をかける前の評価サンプルSの他方の端部Bの位置を基準Oとした。次に、固定された評価サンプルSの端部Bに5gの荷重Wをかけて5秒静置後、垂直(荷重)方向Zにおける評価サンプルSの端部Bの位置Pを計測した。荷重Wをかける前の評価サンプルSの端部Bの位置(基準O)から荷重Wをかけたときの評価サンプルSの端部Bの位置Pまでの距離Lを計算し、以下の基準より剛性を評価した。
〇:25mm以下
△:25mm以上45mm未満
×:45mm以上
なお、実施例及び比較例において用いた第1の基材及び第2の基材(いずれも厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)について、同様の試験方法で測定を行ったところ、距離Lは45mmを超えておりフレキシブル性を有した。
<評価6>工程[3]実施後の評価サンプルの外観
実施例及び比較例で作成した積層体の評価サンプルを、工程[3]実施後に目視で観察し、外観について以下の基準より評価した。
〇:評価サンプルに反りがみられず、第1の基材及び第2の基材のいずれのポリエチレンテレフタレートフィルムにもシワ等の変形がみられない。
×:評価サンプルが反り、湾曲している。もしくは第1の基材及び第2の基材の少なくとも一方のポリエチレンテレフタレートフィルムが変形しシワがみられる。
実施例及び比較例の結果を下記表に示す。
Figure 2022020988000002






Figure 2022020988000003






なお、表に記載していないが、比較例7として実施例1で用いた接着シート(Y-1)の代わりに汎用の光硬化性接着剤層を設けた接着シートを用いたところ、工程[2]を実施した直後で接着シートの接着剤層が完全に硬化してしまい、工程[3]における圧着時の温度が100℃以下では、第2の基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムへ密着せず、剛性積層体が得られなかった。
1…フレキシブル性を有する第1の基材
2…第1の接着シート
2A…接着剤層
2A’…硬化反応を開始した第1の接着シートの接着剤層
2A”…硬化後の第1の接着シートの接着剤層(硬化接着剤層)
3…フレキシブル性を有する第2の基材
4…フレキシブル性を有する第3の基材
5…第2の接着シート
5A…第2の接着シートの接着剤層
5A’…硬化反応を開始した第2の接着シートの接着剤層
5A”…硬化後の第2の接着シートの接着剤層(硬化接着剤層)
10…第1の接着シート付基材
20…第2の接着シート付基材
100…剛性積層体
X1、X2…活性エネルギー線

Claims (13)

  1. 重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第1の接着シートを、フレキシブル性を有する第1の基材の一方の面に貼付して、第1の接着シート付基材を得る工程[1]と、
    前記第1の接着シート付基材の前記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[2]と、
    前記工程[2]の後に、前記第1の接着シート付基材の前記接着剤層とフレキシブル性を有する第2の基材とを圧着する工程[3]と、
    を少なくとも有し、
    前記工程[2]を実施してから5分後の、前記第1の接着シート付基材の前記接着剤層のゲル分率が35%~90%の範囲内であり、
    前記工程[2]を実施してから前記工程[3]を実施するまでの時間が10分未満であり、
    前記工程[3]での圧着温度が100℃以下である、剛性積層体の製造方法。
  2. 前記接着剤層の厚さが20μm~5000μmの範囲内である、請求項1に記載の剛性積層体の製造方法。
  3. 前記工程[3]を実施してから5分後の前記接着剤層の、動的粘弾性測定機により測定される貯蔵弾性率E’25℃が1.0×10Pa以上である、請求項1又は2に記載の剛性積層体の製造方法。
  4. 前記第1の基材および前記第2の基材の厚さが、20μm~1000μmの範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  5. 前記第1の基材および前記第2の基材の少なくとも一方は、波長200nm~780nmの光の透過率が80%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  6. 少なくとも前記工程[1]から前記工程[3]までをインラインで連続して行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  7. フレキシブル性を有する第3の基材の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤層を有する第2の接着シートを貼付して、第2の接着シート付基材を得る工程[4]と、
    前記第2の接着シート付基材の前記接着剤層に活性エネルギー線を照射する工程[5]と、
    前記工程[5]の後に、前記第1の接着シート付基材の第1の基材の表面、もしくは前記第2の基材の前記第1の接着シート付基材と接する面とは反対側の面に、前記第2の接着シート付基材の前記接着剤層を圧着する工程[6]と、
    を有し、
    前記工程[5]を実施してから5分後の、前記第2の接着シート付基材の前記接着剤層のゲル分率が35~90%の範囲内であり、
    前記工程[5]を実施してから前記工程[6]を実施するまでの時間が10分未満であり、
    前記工程[6]での圧着温度が100℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  8. 前記第2の接着シートの接着剤層の厚さが20μm~5000μmの範囲内である、請求項7に記載の剛性積層体の製造方法。
  9. 前記工程[4]から前記工程[6]までをインラインで連続して行う、請求項7又は8に記載の剛性積層体の製造方法。
  10. 前記工程[3]と前記工程[6]とを同時に行う、請求項7~9のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  11. 前記剛性積層体が、硬化接着剤層と、前記硬化接着剤層の一方の面に貼合された前記第1の基材と、前記硬化接着剤層の他方の面に貼合された前記第2の基材と、を少なくとも有し、総厚が60μm~10mmの範囲内である、請求項1~10のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法を用いて得られたカード。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の剛性積層体の製造方法を用いて得られた軽量基板。
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