JP2021165386A - 接着シート、該接着シートを用いた積層体及びその製造方法 - Google Patents

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誠二 秋山
Seiji Akiyama
彰規 森野
Akinori Morino
翔太 谷井
Shota Tanii
久美子 唐沢
Kumiko Karasawa
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Abstract

【課題】被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合可能であり、被着面に対する追従密着性が高く、耐冷熱サイクル特性の高い接着シート、ならびに該接着シートを用いた積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する接着剤層を備え、上記接着剤層中の上記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、所定の範囲内にある、接着シート、ならびに該接着シートを用いた積層体及びその製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、2つの部材の貼合に好適に用いることが可能な接着シートに関する。
テレビ、スマートフォン、パーソナルアシスタントデバイス(PAD)、タブレットコンピュータ、カーナビゲーションシステム等の表示装置は、通常、表示パネル、配線基板、照明装置、その他電子部品等の部材が組み合わされた構成を有する。
例えば表示装置を構成する部材は、1つの部品に様々な部品が配置されることで表面に段差を有するものが多い。そのため、表示装置の製造において、このような表面に段差を有する部材を他の部材と接合する場合、例えば接着剤を塗布する方法が用いられる。具体的には、段差を有する被着面に接着剤を塗布して表面の段差を埋めた後、厚みムラを除去するため塗布された接着剤をスキージすることで接着剤を塗布した面を平滑化し、その後にもう一方の部材を貼合する方法が多用されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、この方法では接着剤の塗布量管理が必要であり、また塗布した後に洗浄工程に時間を要するため、作業の効率化の観点から接着剤に代わる接合方法が求められている。
一方、接着剤に代わる接合方法として、接着剤をシート化した接着シートを用いる方法がある。この方法によれば、例えば接着シートの片面に第1の部材を貼合し、他方の面に第2の部材を貼合することで、第1の部材と複数の第2の部材との間の間隔が接着シートの厚みにより一義的に決まるため厚みの調節が容易となり、また、塗布量の調整や洗浄も不要となり、接合作業を簡略化することができる(特許文献2参照)。
特開2003−136677号公報 特開2015−120773号公報
しかし、光硬化型の接着シートを用いて部材同士を接合する場合、光を照射する前に予め接着シートに部材を接触させて積層体を作製し、部材を介して該積層体に光を照射して接着シートにおける接着剤層の硬化反応を進行させる必要がある。しかし、接着シートに十分な光を照射して硬化反応を生じさせるためには、部材の光透過性が要求されるところ、例えば、光透過性が低いか、もしくは光を透過しない部材を用いる場合、上述した方法による接合が困難である。同様に、熱硬化型の接着シートを用いて部材同士を接合する場合も、硬化反応を十分に進行させるために高温で加熱及び加圧することが必要となるが、この方法では、耐熱性の低い部材の接合に適用できず、また、加熱や加圧により部材や部品の熱劣化や損傷、機能低下が生じてしまう。
また、部材を強固に接合させるために、部材の被着面に対する接着シートの追従密着性が求められるが、光硬化型や熱硬化型の接着シートは、光照射や加熱直後から硬化が急速に進行するため、短時間で柔軟性が損なわれてしまう。特に段差を有する被着面に対し、硬化前後の接着シートの追従密着性が劣ると、部材を強固に接合できない場合がある。一方で、硬化前後における接着シートの追従性を高めると、接着シートを介して部材を接合した後、温度変化の大きい環境に晒されることで、硬化後の接着シートが温度変化に伴って伸縮しやすくなる場合がある。硬化後の接着シートが温度により伸縮しやすいと、収縮して接着シートが被着面からの剥離や位置ズレ、接着シートと被着体との間でクラックの発生や被着体の破損が生じる不具合や、軟化により伸長して被着面から接着シートがはみ出す不具合が生じ、温度変化の大きい環境下では部材同士を長期間強固且つ安定に接合保持することが困難になるという問題がある。
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合可能であり、被着面に対する追従密着性が高く、耐冷熱サイクル特性の高い接着シート、ならびに該接着シートを用いた積層体及びその製造方法を提供する。
本発明は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する接着剤層を備え、上記接着剤層中の上記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、所定の範囲内にある、接着シートを提供する。
また、本発明は、上述した接着シートと、上記接着シートの第1の主面に貼合された第1の部材と、上記接着シートの第2の主面に貼合された第2の部材と、を有する積層体を提供する。
また、本発明は、上述した接着シートを用いる積層体の製造方法であって、上記接着シートの第1の主面に第1の被着体を貼合する工程[1]と、上記接着シートの第2の主面に第2の被着体を貼合工程[2]と、上記接着シートを硬化する工程[3]と、を有し、更に上記工程[1]の前、若しくは上記工程[1]及び上記工程[2]の間に、上記接着シートの上記第1の主面又は上記第2の主面に対して活性エネルギー線を照射する工程を有する、積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合可能であり、被着面に対する追従密着性が高く、耐冷熱サイクル特性の高い接着シート、ならびに該接着シートを用いた積層体及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の接着シート、それを用いた積層体及びその製造方法について説明する。
1.接着シート
本発明の接着シートは、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、含有する接着剤層を備え、上記接着剤層中の上記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、所定の範囲内にある。
本発明の接着シートは、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合可能であり、被着面に対する追従密着性が高く、耐冷熱サイクル特性の高い接着シート、ならびに該接着シートを用いた積層体及びその製造方法を提供することができる。
詳述すると、本発明の接着シートは、接着剤層が所望の成分を含有することで、光照射後の硬化反応速度が遅く、反応が徐々に進行する。そのため、本発明の接着シートは、部材を接合する際に事前に予め光を照射して接着剤層の硬化反応を起こさせることで、硬化反応が完了する前であれば部材を貼合することができる。これにより、通常の光硬化性や熱硬化性の接着シートのように、接合対象の部材を接着シートを介して積層させた状態で、光を照射したり高温で加熱加圧しなくても硬化反応が進むため、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに、部材同士を容易且つ強固に接合することが可能となる。
また、本発明の接着シートは、接着剤層が所望の成分を含有することで、硬化反応が光照射後急速に進まず徐々に進行するため、光照射後も柔軟性を有することができる。このため、本発明の接着シートは、硬化前後の接着剤層が被着面、特に被着面が有する段差に対して追従密着することができ、部材に対し高い接着力を示すことができる。
さらに、本発明の接着シートは、接着剤層が所望の成分を所望の配合量で含有することで、硬化後も被着体への追従性を有しつつ、温度変化に伴って過度な伸縮がおこりにくい。このため、本発明のシートを介して接合された部材は、温度変化の大きい環境下に置いても、部材からの接着剤層の剥離や位置ズレ、クラックの発生や部材の破損、軟化した接着剤層が被着面からはみだす等の、接着シートの伸縮による不具合を生じ難くすることができ、高い耐冷熱サイクル特性を示すことができる。
以下、本発明の接着シートの各構成について説明する。
(1)接着剤層
本発明における接着剤層は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲内である。
本発明における接着剤層は、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)を含み、これらの樹脂はそれぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有している。そして、接着剤層に光を照射すると、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)がそれぞれ有する重合性官能基を活性化し、反応性を高めた状態で硬化が進行する。このため、上記接着剤層は、光照射後の急速な硬化反応が抑制され、硬化反応を徐々に進行させることが可能となり、また、光照射後の硬化反応が徐々に進行するため、光照射後も柔軟性を有することができ、部材の接合が可能となる。すなわち本発明における接着剤層は、遅延硬化型の接着剤層である。
本発明における接着剤層は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲内である接着剤組成物により構成される層である。すなわち、接着剤層の総量とは、接着剤層を構成する接着剤組成物の全量のことをいい、又、接着剤層中の含有量とは、接着剤層を構成する接着剤組成物の全量中の含有量のことをいう。なお、接着剤組成物の全量には溶剤は含まないものとする。
<熱可塑性樹脂(B)>
本発明において、上記接着剤層中の上記熱可塑性樹脂(B)の含有量が15質量%〜50質量%の範囲内である。熱可塑性樹脂(B)の含有量が上記の範囲内であることで、光照射後であっても接着剤層の被着体への追従性を担保できる柔軟性を付与することができ、また、硬化後の接着剤層は、被着体への追従性を有しつつ温度変化に伴う伸縮が起こりにくくなるため、接着シートの伸縮による不具合を生じ難くすることができる。中でも光硬化性樹脂(A)よりも熱可塑性樹脂(B)の比率を低くすることで、硬化後の優れた接着信頼性を得ることが出来、さらに高温下での優れた接着性を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の含有量は、接着剤層の全量、換言すれば接着剤組成物の全量中に15質量%〜50質量%の範囲内であればよいが、中でも25質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%〜45質量%の範囲内であることがさらに好ましく、30質量%〜45質量%の範囲内であることがより好ましく、34質量%〜45質量%の範囲内であることが特に好ましい。被着体への良好な追従性と耐冷熱サイクル特性とを両立でき、さらに硬化後の優れた接着信頼性及び高温下での優れた接着性を得ることができる。なお、熱可塑性樹脂(B)の含有量が上記範囲よりも過多であると、高温時に接着剤層が変形し易く伸びてしまう場合や、硬化物としての耐熱性が悪化する場合があり、一方、上記範囲よりも過少であると、被着体への段差追従性が悪化する場合や、接着剤層全体に占める高分子量成分の割合が下がり、シート状に加工することが出来ない場合がある。
また、上記接着剤層中の、光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に対する熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合が、25質量%〜68質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは25質量%〜60質量%の範囲内であり、30質量%〜60質量%の範囲内であり、30質量%〜55質量%の範囲内であり、30質量%〜50質量%の範囲内であり、35質量%〜50質量%の範囲内である。接着剤層中の、光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に対する熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合を上記の範囲内とすることで、光照射後であっても接着剤層の被着体への追従性を担保できる柔軟性を付与することができ、また、硬化後の接着剤層は適度な柔軟性を有することから被着体へ追従しつつ、温度変化に伴い伸縮しにくくなるため、接着シートの伸縮による不具合を生じ難くすることができるからである。
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に対する熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合は、下記式で算出することができる。
<式>
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に対する熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合={ 接着剤層中の熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部]/(接着剤層中の熱可塑性樹脂(A)の含有量[質量部]+接着剤層中の熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部])}×100[質量%]
本発明における熱可塑性樹脂(B)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する。本発明における接着剤層は、上記熱可塑性樹脂(B)を含むことで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することができ、光照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。これにより、本発明における接着剤層は、光照射後も柔軟性を有することができ、光照射後に部材の被着面に追従密着することが可能となり、硬化後も適度の柔軟性を有することから、接着剤層を介して2つの部材を強固に接合することが可能となる。
上記熱可塑性樹脂(B)が有する重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有することが好ましい。上記イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することが可能となり、かつ光照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。これにより、本発明における接着剤層は、光照射後も柔軟性を有することができ、被着面に対する追従密着性がより高まり、また硬化後も適度の柔軟性を有することから、該接着剤層を介して2つの部材を強固に接合することができるからである。
上記熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂(熱可塑性エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの熱可塑性樹脂は1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂は、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有するポリウレタン樹脂(B’)であることが好ましい。
上記ポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得ることができる。
ポリオール(b’1)は、500〜5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、1000〜3000の範囲の数平均分子量を有することが、保型性、塗布作業性、初期凝集力等に優れた接着剤層を得るうえでより好ましい。なお、上記数平均分子量は、下記条件にて測定した値である。
本明細書に記載の数平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
このようなポリオール(b’1)としては、例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上等を好適に使用することができる。
中でも、本発明においては、ポリオール(b’1)として、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールのうち少なくとも一方を1種又は2種以上使用することが好ましく、少なくともポリエステルポリオールを1種又は2種以上使用することが好ましい。より好ましい例は、ポリオール(b’1)として、ポリエステルポリオールを2種以上使用することが好ましい。別の好ましい例は、ポリオール(b’1)としてポリエステルポリオールを1種又は2種以上と、ポリカーボネートポリオールを1種又は2種以上と、を使用することが好ましい。また、別の好ましい例では、ポリオール(b’1)として、ポリエステルポリオールを1種又は2種以上と、ポリエーテルポリオールを1種又は2種以上と、を使用することが好ましい。異種のポリエステルポリオールを併用する、またはポリエステルポリオールとそれ以外のポリオールとを併用することで、本発明の接着シートは、硬化前のシート形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面の段差に対する追従密着性が向上するからである。
上記ポリオール(b’1)に占める、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールから選択されるポリオールの総量の割合は、上記ポリオール(b’1)の全量中に、合計20質量%以上を含有することが好ましく、50質量%以上を含有することがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。
上記ポリカーボネートポリオールと上記ポリエステルポリオールとを組み合わせて使用する際には、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールの質量比(ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール)は、0.4〜7.0の範囲であることが好ましく、1.0〜2.0の範囲であることが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂を得ることができ、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより高い接着剤層を形成することができるからである。また、上記ポリエーテルポリオールと上記ポリエステルポリオールとを組み合わせて使用する際の、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールの質量比(ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオール)も上記の範囲と同様とすることができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
上記低分子量のポリオールとしては、例えば概ね分子量が50〜300程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノール等を使用することができる。
また、上記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な上記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、直鎖脂肪族ポリエステルポリオールを用いることがより好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより高い接着剤層を形成することができるからである。上記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、側鎖にアルキル基を有さないポリエステルポリオールを指す。
上記脂肪族ポリエステルポリオールとしては、上記脂肪族アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
また、上記ポリエステルポリオールとして、芳香族ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)の弾性率を高めて剛性を向上させることができ、接着層の硬化前後における経時的な接合ズレ、反りや変形を抑制することが可能となるからである。上記芳香族ポリエステルポリオールとしては、芳香族ポリオールと脂肪族または芳香族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とフタル酸及びアジピン酸とを反応して得られる芳香族ポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
上記ポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオールのみを用いても良く、芳香族ポリエステルポリオールのみを用いても良く、脂肪族ポリエステルポリオールと芳香族ポリエステルポリオールとを併用しても良い。中でも、上記ポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオールと芳香族ポリエステルポリオールとを併用すること、すなわち上記ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールを1種又は2種以上と、脂肪族ポリエステルポリオールを1種又は2種以上とを用いることが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオールとの併用により調製されたポリウレタン樹脂(B’)を含む接着層が、硬化前後において層の硬さと柔らかさのバランスを両立させることができ、被着面に対する高い追従密着性を発揮するとともに、接着層の経時的な接合ズレ、反りや変形を抑制でき、耐冷熱サイクル特性を向上させることができるからである。接着層の硬さと柔らかさといった相反する物性をバランスよく両立させるために、芳香族ポリエステルポリオール及び脂肪族ポリエステルポリオールの含有比(芳香族ポリエステルポリオール/脂肪族ポリエステルポリオール)は、質量比で20/80〜90/10の範囲内であることが好ましく、中でも50/50〜80/20の範囲内であることがより好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、1000〜5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより高い接着剤層とすることができるからである。
特に、上記ポリエステルポリオールとして、1,2−エタンジオールまたは1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、アジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100〜2900の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1000〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
上記ポリオール(b’1)がポリエステルポリオールと上記ポリエステルポリオール以外のポリオールを含む場合、上記ポリエステルポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して10質量%〜90質量%の範囲で使用することができ、中でも10質量%〜80質量%の範囲で使用することが好ましく、20質量%〜80質量%の範囲で使用することが更に好ましく、30質量%〜70質量%の範囲で使用することがより好ましく、40質量%〜50質量%の範囲で使用することが更により好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。上記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することができる。
上記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等を使用することができる。
また、ポリカーボネートポリオールとして、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは脂環式ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオールとしては、ジアルキルカーボネートと、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付が可能なレベルの粘着性を有することができるからである。
脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジアルキルカーボネートと、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含むポリオールと、を反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、常温下で貼付が可能なレベルの粘着性及び優れた初期凝集力を有することができるからである。
上記ポリカーボネートポリオールは、500〜5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、800〜3000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより高い接着剤層とすることができるからである。
上記ポリオール(b’1)が上記ポリカーボネートポリオールと上記ポリカーボネートポリオール以外のポリオールとを含む場合、上記ポリカーボネートポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して10質量%〜80質量%の範囲で使用することができ、20質量%〜80質量%の範囲で使用することが好ましく、30質量%〜70質量%の範囲で使用することがより好ましく、40質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤層が、光常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。
上記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
上記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや脂環式構造を有するポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、特にテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを反応させて得られるポリテトラメチレングリコール誘導体、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させたポリテトラメチレングリコール誘導体等を使用することができる。なかでも、上記ポリエーテルポリオールとしては、上記接着剤層を含む接着シートが常温下で可能なレベルの貼付性を維持し、かつ、優れた柔軟性、耐久性(特に耐加水分解性)等を向上するうえで、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラメチレングリコール誘導体(PTXG)を使用することが好ましい。
また、上記ポリオール(b’1)として、上記したもののほかに、その他のポリオールを使用することができる。上記その他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b’2)としては、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
上述した脂環式ポリイソシアネートの中でも、上記ポリオール(b’1)との良好な反応性を有し、かつ、耐熱性や光線透過性等に優れた接着シートを得るうえで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(BICH)を使用することが好ましい。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’)を製造する方法としては、例えば反応容器に仕込んだ上記ポリオール(b’1)を、常圧または減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、上記ポリイソシアネート(b’2)を一括または分割して供給し反応させる方法が挙げられる。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応は、上記ポリイソシアネート(b’2)が有するイソシアネート基と、上記ポリオール(b’1)が有する水酸基との当量比(以下[NCO/OH当量比]という。)が、1.1〜20.0の範囲で行うことが好ましく、1.1〜13.0の範囲で行うことがより好ましく、1.1〜5.0の範囲で行うことがさらに好ましく、1.5〜3.0の範囲で行うことが特に好ましい。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応条件(温度、時間等)は、安全、品質、コストなど諸条件を考慮して適宜設定すればよく、特に限定しないが、例えば反応温度は、好ましくは70〜120℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは30分〜5時間の範囲である。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用することができる。
また、上記反応は、無溶剤の環境下で行っても、有機溶剤存在下で行ってもよい。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。上記有機溶剤は、上記ポリウレタン樹脂(B’)の製造途中または、上記ポリウレタン樹脂(B’)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’1)を使用することができる。イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’)の調製に用いられるポリオール(b’1)及びポリイソシアネート(b’2)の詳細(種類や配合等)については、上述したポリオール(b’1)及びポリイソシアネート(b’2)の詳細と同様とすることができる。
水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られた水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’2)を使用することができる。水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)の調製に用いられるポリオール(b’1)及びポリイソシアネート(b’2)の詳細(種類や配合等)については、上述したポリオール(b’1)及びポリイソシアネート(b’2)の詳細と同様とすることができる。
オキセタニル基又はエポキシ基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えば
1)イソシアネート基を有するポリウレタン(B’1)と、
2)イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)、オキセタニル基又はエポキシ基、及び1つ以上の重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)を有する単量体(B”)と、
を反応させることにより得られるポリウレタン樹脂(B’3)を使用することができる。
上記イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等を使用することができ、中でも水酸基、アミノ基を使用することが好ましい。
上記重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)としては、所謂ラジカル重合性を有する官能基以外のことを指し、例えばカチオン重合性を有する官能基、アニオン重合性を有する官能基等のことであり、例えばエポキシ基、オキセタニル基、エチレンスルフィド基等が挙げられる。
上記単量体(B”)としては、官能基(b”1)及び重合性官能基(b”2)を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば3−エチル−3−(4−ヒドロキシブチル)オキシメチル−オキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシオキセタン等が挙げられる。
上記単量体(B”)は、ポリウレタン樹脂(B’1)100質量部に対して、5質量部〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部〜15質量部の範囲で使用することがより好ましい。
上記単量体(B”)としては、より具体的にはポリウレタン樹脂(B’1)が有するイソシアネート基のモル数に対して、好ましくは50モル%を超えて100モル%以下、より好ましくは60モル%〜100モル%、さらに好ましくは80モル%〜100モル%の、上記イソシアネート基と反応しうる官能基を供給可能な量を使用することができる。これにより、適度な柔軟性と、速硬化性、基材への塗布後の保型性、機械的強度、耐久性(特に耐加水分解性)、被着面への追従密着性等に優れたポリウレタン樹脂を得ることができる。
上記ポリウレタン樹脂(B’1)と上記単量体(B”)とを反応させる際には、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。上記ウレタン化触媒は、上記ウレタン化反応の任意の段階で、適宜加えることができる。上記ウレタン化反応は、イソシアネート基含有量(%)が実質的に一定になるまで行うことが好ましい。上記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸第一錫等の有機金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等を使用することができる。
また、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性のエポキシ樹脂は、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物とこのエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
中でも、本発明における接着剤層は、熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、少なくとも重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を1種又は2種以上含むことが好ましい。熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を用いることで、光照射後に急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となるため、光照射後も接合に必要な柔軟性を有することができる。これにより、本発明における接着剤層は、光照射後に部材の被着面に追従密着することができ、また硬化後も適度の柔軟性を有することから、当該接着剤層を介して部材同士を強固に接合することが可能となる。
上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接(tanδ40)が3以下であることが好ましく、中でも0.001以上2.0以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.001以上1.0以下より好ましくは0.001以上0.9以下である。熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、硬化させる前の接着シートを積層させて保管する場合にシート厚みが変わらず、形状変化せずに保管することができるからである。
また、上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接(tanδ60)が1以上であることが好ましく、中でも1.2以上20以下であることが好ましく、更に好ましくは、1.3以上15以下より好ましくは、1.5以上15以下である。熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、被着体への追従性が優れるからである。
熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hzで各温度(40℃、60℃)における損失正接は、硬化前の熱可塑性樹脂(B)を厚さ1mmで成型し、直径8mmの大きさからなる円状に成型及び裁断して試験片を作成し、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に該試験片を挟み込み、周波数1.0Hzで各温度における貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)である。
上記熱可塑性樹脂(B)の各温度における損失正接(tanδ)は、例えば、熱可塑性樹脂(B)としてウレタン樹脂を用いる場合、ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネート等の組成やその数平均分子量等を適宜選択することによって調整することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の融点は、30℃〜120℃の範囲が好ましく、中でも35℃〜100℃の範囲が好ましく、さらに40℃〜80℃の範囲が好ましい。上記の範囲内に融点を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、本発明の接着シートは、硬化前のシート形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を向上することができる。
熱可塑性樹脂(B)の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で−10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
上記熱可塑性樹脂(B)は、重量平均分子量が5500〜2000000の範囲内であることが好ましく、中でも5500〜1000000の範囲内であることが好ましく、5500〜800000の範囲内であることが更に好ましい。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量を上記の範囲内とすることで、硬化前のシート形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を高くすることができる。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が小さすぎると、硬化前の接着剤層の凝集力が不足し、経時で接着剤層の染み出しが生じる等取り扱い性が低下しやすくなる場合がある。一方、熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が大きすぎると、光硬化性樹脂(A)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。
本明細書に記載の重量平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
<光硬化性樹脂(A)>
光硬化性樹脂(A)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する。本発明における接着剤層は、光硬化性樹脂(A)を含むことで、上記光硬化性樹脂(A)が有する重合性官能基により、光照射による重合が生じ、さらに暗反応や低温下でも重合が進行するため、部材の光透過性や耐熱性に制限されずに部材を接合することが可能となる。
光硬化性樹脂(A)としては、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物等の光重合性化合物等が挙げられるが、中でも光カチオン重合性化合物及び/又は光アニオン重合性化合物が好ましい。換言すれば、光硬化性樹脂(A)が、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、光カチオン重合性の官能基及び/又は光アニオン重合性の官能基を有することが好ましい。接着剤層がこれらの官能基を有する重合性化合物を含むことで、硬化時に酸素の阻害を受けにくくなり、光照射後も継続的な反応が進行しやすくなるため、部材の光透過性や耐熱性に制限されずに部材の接合が可能となるからである。特に、光照射後の反応性に優れ、硬化後の高い接合性を得やすいことから、光カチオン重合性化合物がより好ましい。上記光重合性化合物は単独で用いても良く、併用して用いてもよい。
上記光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上の光カチオン重合性の官能基を有するものであればよく、特に限定されるものではない。光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、オキサゾリン基等の光カチオン重合性の官能基を有するものであることが好ましい。中でも、高い硬化性と、硬化後の接合性を得るうえで、上記光カチオン重合性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有するものがより好ましい。
上記エポキシ基を有する光カチオン重合性化合物としては、1分子中に1個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ 9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂、可とう性を有するエポキシ樹脂等を使用することができる。
なかでも、脂環式エポキシ樹脂及び多官能脂肪族型エポキシ樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましく、脂環式エポキシ樹脂を使用することがより好ましい。これらは光カチオン重合性に優れるため、硬化性に優れた接着シートを得ることができ、また、接合後の接着剤層の経時的な変形を抑制するための好適な弾性率を付与することができる。
さらに、エポキシ樹脂は変性体であっても良い。エポキシ樹脂に他の樹脂成分などを配合したり付加することで、接着剤層の可撓性を高めたり接着力や屈曲力の向上を図ることができるからである。このような変性体としては、CTBN(末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリルゴム)変性エポキシ樹脂;アクリルゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、もしくはイソプレンゴムなどの各種ゴムを樹脂分散させたエポキシ樹脂;上記のような液状ゴムで変性されたエポキシ樹脂;アクリル、ウレタン、尿素、ポリエステル、スチレンなどの各種樹脂を添加してなるエポキシ樹脂;キレート変性エポキシ樹脂;ポリオール変性エポキシ樹脂などを用いることができる。
一方、上記オキセタニル基を有する光カチオン重合性化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−メチル−3−グリシジルオキセタン、3−エチル−3−グリシジルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、ジ{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル等のオキセタン化合物が挙げられる。
本発明における接着剤層は、光硬化性樹脂(A)として、硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上である光硬化性樹脂(a1)を用いることが好ましい。硬化後の接着シートに高い耐熱性を付与でき、特に高温での耐ヒートサイクル特性が良好となるからである。中でも光硬化性樹脂(a1)は、硬化後の損失正接が最大値を示す温度が、105℃以上、110℃以上、115℃以上であることが好ましく、また、上記温度が250℃以下、中でも230℃以下、200℃以下であることが好ましい。光硬化性樹脂(a1)の硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)は、エポキシ樹脂を単独で硬化させた硬化物に対し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて周波数1.0Hzで測定した値である。
硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上の光硬化性樹脂(a1)としては、例えば常温で固形のエポキシ樹脂(以下、常温固形エポキシ樹脂とする。)が挙げられる。なお、常温とは、25℃をいう。
硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-Tanδ)が100℃以上の光硬化性樹脂(a1)である常温固形エポキシ樹脂として具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ 9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明において光硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である場合、常温で固形のエポキシ樹脂及び常温で液状のエポキシ樹脂(以下、常温液状エポキシ樹脂とする。)の両方を用いることが好ましい。換言すれば、光硬化性樹脂(A)として、少なくとも常温固形エポキシ樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、中でも常温で固形のエポキシ樹脂を1種又は2種以上と、常温で液状のエポキシ樹脂(以下、常温液状エポキシ樹脂とする。)と、を1種又は2種以上とを含むことが好ましい。上記接着剤層が、光硬化性樹脂(A)として、常温固形エポキシ樹脂と常温液状エポキシ樹脂とを含むことで、シート形状に加工し易く、且つ、硬化前のシートに適度な粘着性を付与でき被着体と貼合わせ易いからである。また、常温固形エポキシ樹脂と常温液状エポキシ樹脂との併用により、硬化後の優れた接着信頼性を得ることが可能となるからである。さらに、常温固形エポキシ樹脂として例えばノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂を、常温液状エポキシ樹脂と併用することで、さらに高温下での優れた接着性を得ることが可能となるからである。
常温液状エポキシ樹脂としては、常温で液状であれば特に限定されないが、具体的には、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂(A)中の、硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-Tanδ)が100℃以上である光硬化性樹脂(a1)の割合は、20質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜70質量%の範囲内が中でも好ましく、35質量%〜65質量%の範囲内がさらに好ましく、40質量%〜65質量%の範囲内がより好ましい。また、光硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合が20質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜70質量%の範囲内が中でも好ましく、35質量%〜65質量%の範囲内がさらに好ましく、40質量%〜65質量%の範囲内がより好ましい。硬化後のシートの耐熱性を付与できる一方で、硬化時間を比較的短い時間で完了することができるからである。エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合は、下記式で算出することができる。
<式>
エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合=(常温固形エポキシ樹脂の含有量[質量部]/エポキシ樹脂の総量[質量部])×100[質量%]
本発明における接着剤層中の光硬化性樹脂(A)の含有量は、接着剤層の全量、換言すれば接着剤組成物の固形分全量中、10質量%〜84質量%の範囲内であることが好ましく、20質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%〜65質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。本発明における接着剤層中の光硬化性樹脂(A)の含有量を上記の範囲内とすることで、被着面の段差に対する追従密着性がより高まり、硬化後の接着剤層を介して2つの部材を強固に接合することができるからである。なお、光硬化性樹脂(A)の含有量が上記範囲よりも過多の場合、シート状に加工することが出来ない場合があり、一方、上記範囲よりも過少の場合、硬化後の接着剤層の耐熱性が悪化する場合がある。
上記光硬化性樹脂(A)は、重量平均分子量が100〜5000の範囲内であることが好ましく、中でも150〜3000の範囲内であることが好ましく、200〜2500の範囲内であることが更に好ましい。光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量を上記の範囲内とすることで、硬化前のシート形状がより安定して取り扱い性が向上し、また、被着面に対する追従密着性を高くすることができる。光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が小さすぎると、硬化前の接着剤層の凝集力が不足し、経時で接着剤層の染み出しが生じる等取り扱い性が低下しやすくなる場合がある。一方、光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。なお、光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量は、上述した熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量の測定方法と同様の方法を用いて測定することができる。
<光重合開始剤(C)>
本発明における接着剤層は、光重合開始剤(C)を1種又は2種以上含有することで、活性エネルギー線照射後の反応性が促進され、硬化後の接合性を高めることができる。また、上記接着剤層は、光により活性化されて反応が進行する光重合開始剤(C)を含むことで、活性エネルギー線の照射を止めた後もそのまま継続して反応が進むため、暗所や低温下でも反応が進み、良好な硬化反応を得ることが出来る。これにより、接合する部材の損傷や、部材間にひずみが生じることで部材を変形させたり、接着シートと部材間にクラックが生じさせたりすることなく、高い接合性を得ることが出来る。
上記光重合開始剤(C)は、光により活性化されるものであれば特に限定されない。上記光重合開始剤(C)としては、例えば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が挙げられるが、中でも、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤の少なくとも一方が好ましく、暗反応による重合を好適に調整することができることから、光カチオン重合開始剤がより好ましい。
上記光カチオン重合開始剤としては、使用する波長の光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し得るものであれば、特に限定されない。中でも300nm〜370nmの波長光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し、かつ370nmを超える波長領域で非活性な化合物が好ましく用いられる。このような光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類が挙げられる。
オニウム塩類の具体例としては、例えば、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170、オプトマーSP−171(いずれもADEKA社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、OMNICAT250、OMNICAT270(いずれもIGM Resin社製)、IRGACURE290(BASF社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(いずれも三新化学工業社製)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K(いずれもサンアプロ社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さらに、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤を用い、2段階硬化させてもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、必要に応じてアントラセン系、チオキサントン系等の増感剤を併用してもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、接着剤層、換言すれば接着剤層を構成する接着剤組成物の固形分全量中、0.001質量%〜30質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.01質量%〜20質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲で含まれることが更に好ましい。上記光カチオン重合開始剤の配合割合が少なすぎると、高い接合性の発現に必要な硬化が不十分となり、多すぎると硬化性は向上するが、光照射後の硬化反応の進行が速くなり、被着面に十分追従密着できず部材同士を強固に接合することが困難となる。
<その他の成分(D)>
接着剤層は、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)の他に、必要に応じてその他の成分(D)を含有することができる。
本発明における接着剤層は、その他の成分(D)として粘着性樹脂を含んでいてもよい。本発明の接着シートが、良好な常温貼合性を示すことができ、また、被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。
上記粘着性樹脂は、重量平均分子量が2000〜2000000の範囲内であることが好ましく、5000〜1000000の範囲内であることが更に好ましく、5000〜800000の範囲内であることがより好ましい。粘着性樹脂の重量平均分子量は、上述した熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量と同じ測定方法により測定することができる。
上記粘着性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアセタール等が挙げられる。これらの粘着性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの粘着性樹脂は、1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
上記粘着性樹脂は、ガラス転移温度が−30℃〜20℃の範囲であることが好ましく、−25℃〜10℃の範囲であることがより好ましい。接着剤層が上記範囲内にガラス転移温度を有する粘着性樹脂を含むことで、本発明の接着シートが、常温下において良好な粘着性及び高い弾性率を示すことができ、被着体に対して良好な貼合性及び高い接合強度を示すことができる。
ガラス転移温度は、例えば動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に粘着性樹脂の試験片を挟み込み、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)で算出できる損失正接(tanδ)が最大値となる温度として算出することができる。
上記粘着性樹脂は、架橋剤や上述した光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)に含まれる官能基と反応可能な官能基が導入されていても良い。上記粘着性樹脂が架橋可能となるからである。上記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられ、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の重合反応を阻害しない範囲で、適時選択することが好ましい。
上記粘着性樹脂は、接着剤層、換言すれば接着剤層を形成する接着剤組成物の全量(100質量部)に対して、0.1質量部〜100質量部の範囲で含まれることが好ましく、1質量部〜50質量部の範囲で含まれることが好ましく、5質量部〜30質量部の範囲で含まれることが好ましい。上記粘着性樹脂を上記範囲内の配合割合とすることで、接着剤層の硬化後の接合性が低下することなく、常温下での貼合性に優れた接着シートを得ることができるからである。
本発明における接着剤層は、その他の成分(D)として無機フィラー、有機フィラー、シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤等を含有することができる。被着面の材質にガラスが含まれる場合、上記接着剤層は、ガラスとの反応性に富むシランカップリング剤を含むことで、被着体に対する接着性をより高めることができる。また、上記接着剤層は、光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)等と反応することが可能な光硬化型シランカップリング剤を含んでいてもよい。
また、本発明における接着剤層は、その他の成分(D)として例えば軟化剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、繊維類、酸化防止剤、加水分解防止剤、増粘剤、顔料等の着色剤、充填剤、粘着付与樹脂等を含むことができる。
<その他>
本発明における接着剤層は、エポキシ基又はオキセタニル基を有し、重量平均分子量が100〜5000の範囲内にある樹脂(AA)を1種又は2種以上と、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有し、重量平均分子量が5500〜2000000の範囲内にある、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及びエポキシ樹脂(熱可塑性エポキシ樹脂)からなる群から選択される樹脂(BB)を1種又は2種以上と、光重合開始剤(C)とを含み、上記樹脂(BB)の含有量が15質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量の低い樹脂と高い樹脂とを組み合わせた2種類以上の樹脂を含む上述の組成とすることで、本発明の効果を奏することができる。ここで、樹脂(AA)及び樹脂(BB)とは、それぞれ上述した光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)に相当する。
<接着剤層の物性>
本発明における接着剤層は、厚さが10μm以上3000μm以下であることが好ましく、20μm以上2500μm以下が好ましく、30μm以上2000μm以下が好ましく、50μm以上650μm以下が好ましい。接着剤層の厚さを上記の範囲内とすることで、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対して高い追従密着性を発揮することができるからである。接着剤層の厚みが上記の範囲よりも小さいと、薄厚のため十分な接着力が得られない場合があり、一方、接着剤層の厚さが上記の範囲よりも大きいと、シート形状に加工し難い場合がある。
本発明における接着剤層は、融点が25℃以上であることが好ましく、30℃以上が好ましく、35℃以上が好ましく、40℃以上が好ましい。また、上記融点は、120℃以下が好ましく、90℃以下が好ましく、85℃以下が好ましく、60℃以下が好ましい。より具体的には、接着剤層の融点は好ましくは、30℃から120℃の範囲内、30℃から90℃の範囲内、40℃から85℃の範囲内とすることができる。上記接着剤層の融点を上記の範囲内で設定することで、本発明の接着シートは、硬化前の取り扱い性に優れ、被着面に対する追従密着性がより向上するからである。なお、接着剤層の融点とは、換言すれば接着剤層を構成する接着剤組成物の融点と同様である。
接着剤層の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で−10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
本発明においては、周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の上記接着剤層の損失正接tanδと、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の損失正接tanδとの差の絶対値が1以下であることが好ましく、中でも0.1以上1以下であることが好ましく、0.2以上1以下であることが更に好ましく、0.25以上0.95以下であることがより好ましく、0.25以上0.9以下であることが特に好ましい。硬化後の接着剤層の、損失正接tanδと損失正接tanδとの差の絶対値が上記の範囲内にあることで、高温時には接着剤層が伸び難く低温時には収縮難い、換言すればヒートサイクル時の変形が起こり難い接着剤層が得られるからである。
周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の上記接着剤層の損失正接tanδは、0.01以上0.1以下であることが好ましく、0.02以上0.1以下であることがさらに好ましく、0.02以上0.09以下であることがより好ましく、0.02以上0.08以下であることが特に好ましい。硬化後の上記接着剤層の損失正接tanδが上記範囲内にあることで、低温時に接着剤層の変形が起こり難いことができるからである。
また、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の損失正接tanδは、0.2以上0.9以下であることが好ましく、0.25以上0.9以下であることがさらに好ましく、0.3以上0.85以下であることがより好ましく、0.35以上0.80以下であることが特に好ましい。硬化後の接着剤層の損失正接tanδが上記範囲内にあることで、低温時に接着剤の変形が起こり難いからである。
硬化後の接着剤層の、周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される損失正接tanδ、及び周波数1.0Hz、温度70℃で測定される損失正接tanδは、それぞれ、硬化後の接着剤層を厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状に裁断して試験片を作成し、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に該試験片を挟み込み、所定の周波数及び温度で貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、損失正接(tanδ)は上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)である。
また、本発明においては、周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’と、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’との差の絶対値が1×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Pa以上1×10Pa以下であり、1×10Pa以上1×10Pa以下であり、5×10Pa以上1×10Pa以下であり、1×10Pa以上1×10Pa以下であり、5×10Pa以上1×10Pa以下である。硬化後の接着剤層の、貯蔵弾性率E’と貯蔵弾性率E’との差の絶対値が上記の範囲内にあることで、ヒートサイクル時の接着剤層の変形を抑えることが出来るからである。
本発明においては、周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’が、1×10Pa以上1×1010Pa以下であることが好ましく、5×10Pa以上1×1010以下であることが好ましく、1×10Pa以上1×1010Pa以下であることが好ましく、1×10Pa以上5×10Pa以下であることが好ましく、5×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましい。硬化後の接着剤層の貯蔵弾性率E’が、上記の範囲内にあることで、先記した貯蔵弾性率E’と、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’との差の絶対値範囲とし易いからである。
また、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’が1.0×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましく、5.0×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましい。硬化後の接着剤層の貯蔵弾性率E’が、上記の範囲内にあることで、先記した貯蔵弾性率E’と、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の上記接着剤層の貯蔵弾性率E’との差の絶対値範囲とし易いからである。
硬化後の接着剤層の、周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される貯蔵弾性率E’、及び周波数1.0Hz、温度70℃で測定される貯蔵弾性率E’は、厚さ100μmの接着剤層を硬化したものを、ダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜いて形成した試験片を用い、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)で所定の周波数及び温度で測定した値である。
接着剤層の損失正接tanδ及びtanδ、ならびに貯蔵弾性率E’、及びE’は、それぞれ接着剤層を構成する接着剤組成物の組成や平均分子量等を適宜選択することにより調整することができる。
本発明の接着シートは、硬化後の接着剤層のゲル分率が、好ましくは40質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上100質量%以下であり、70質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。ゲル分率を上記の範囲内とすることで、硬化後も部材同士を強固に接合することが出来、耐熱性を付与することも可能となるからである。
ゲル分率は、本発明の硬化後の接着シートの接着剤層を、23℃に調整されたトルエンへ24時間浸漬した後の、上記溶媒中に残存した接着剤層の乾燥後の質量と、トルエン浸漬前の接着剤層の質量とから、以下の式に基づいて算出した値とする。
ゲル分率(質量%)={(トルエンに溶解せずに残存した接着シートの接着剤層の質量)/(トルエン浸漬前の接着シートの接着剤層の質量)}×100
(2)接着シートの態様
本発明の接着シートは、上述した組成を含む接着剤層を有する態様であればよく、必要に応じて任意の構成を有することができる。
本発明の接着シートの1つの態様(態様(I))としては、接着剤層のみで構成される態様、すなわち基材レスの態様が挙げられる。態様(I)の接着シートは、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物により構成された単一の接着剤層で構成されていてもよい。また、態様(I)の接着シートは、2層以上積層された多層体の接着剤層のみを有し、上記多層体の接着剤層のうち少なくとも両側の最外層が、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物で構成されていてもよく、中でも多層体の接着剤層を構成する複数の層がいずれも上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物で構成されていることが好ましい。
態様(I)の接着シートは、接着剤層の対抗する一対の主面のうち、一方の主面又は両方の主面にそれぞれ、剥離ライナーが配置されていてもよい。態様(I)の接着シートは、部材と貼合する際に剥離ライナーを剥離除去して用いられる。よって、態様(I)の接着シートを介して一対の部材が接合された積層体においては、接着シートの構成に剥離ライナーは含まないものとする。
また、本発明の接着シートの別の態様(態様(II))としては、基材と、上記基材の第1の主面に形成された第1の接着剤層と、上記基材の上記第1の主面に対向する第2の主面に形成された第2の接着剤層とを有し、上記第1の接着剤層及び第2の接着剤層がそれぞれ上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物で構成された態様が挙げられる。態様(II)の接着シートは、2つの接着剤層の間に基材を有することで、シートとしての強度を高くすることができる。なお、態様(II)においては、上記第1の接着剤層及び第2の接着剤層の一方のみが、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物で構成されていてもよい。
態様(II)の接着シートにおいて、基材は特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂もしくはポリオレフィン樹脂等からなるプラスチックフィルム、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、アクリル系樹脂等からなるプラスチックフォーム等を用いることができる。基材は光透過性を有することが好ましい。一方の接着剤層側から光を照射することで、基材を介して他方の接着剤層も活性化させて重合反応を生じさせることができる。
態様(II)の接着シートは、第1の接着剤層の基材と接する面とは反対側の面、及び第2の接着剤層の基材と接する面とは反対側の面の少なくとも一方に、剥離ライナーが配置されていてもよく、両方の面に剥離ライナーが配置されていてもよい。態様(II)の接着シートは、部材と貼合する際に剥離ライナーを剥離除去して用いられる。よって、態様(II)の接着シートを介して一対の部材が接合された積層体においては、接着シートの構成に剥離ライナーは含まないものとする。
剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;上記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、上記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。
本発明の接着シートは、光を照射することで、接着剤層内において重合が開始して硬化が進行する。本発明における接着剤層は、光により活性化されることで、光を照射しない状態では保存温度によらず硬化が進行せず、硬化前の保存安定性が良好である。また、本発明における接着剤層は、加熱しなくとも光照射により反応性部位が活性化するため、低温下でも硬化反応を進行させることができる。
本発明の接着シートは、光に加え、熱、水分(湿気)等の外部刺激をさらに付与することで、硬化反応を促進させることができる。中でも、本発明の接着シートの硬化手段として光と熱とを併用することが好ましい。接着シートに対して先に光を照射することで、接着剤層を活性化させて重合を開始させ、該接着シートを部材(被着体)に貼合した後に加熱することで、硬化反応を促進させることができる。これにより、高温加熱による硬化が不要となり、低温下でも硬化反応を進行させることができる。熱を併用する場合、先に光照射により反応の進行が開始しているので、あくまでも熱は硬化反応を促進させる目的として使用し、高温で加熱する必要はなく、低温下かつ短時間での反応でも良好な硬化反応を得ることが出来る。
(3)接着シートの製造方法
本発明の接着シートは、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある接着剤組成物を溶媒に混合した接着剤溶液を用いて製造することができる。具体的には、本発明の接着シートは、例えば離型シートの表面に上述した接着剤溶液を塗布し、乾燥することで接着剤層を形成し、上記離型シートを除去することによって製造することができる。接着剤組成物を溶媒に混合させた接着剤溶液を用いて接着剤層を形成することで、接着剤を直接塗布する場合と比較して、接着剤層中の添加剤(D)の分散性が向上する。
また、本発明の接着シートは、例えば上述した接着剤溶液を基材の両面に塗布し、乾燥して接着剤層を形成することにより製造することができる。
また、本発明の接着シートは、例えば上述した接着剤溶液を離型シートの表面に塗布し、乾燥することで接着剤層を形成し、上記接着剤層の表面に基材を貼付することにより製造することができる。
同一または異なる組成からなる2以上の接着剤層が積層された接着シートを製造する場合、例えば基材の両面に接着剤組成物1を含む接着剤溶液を塗布し、乾燥することで第1の接着剤層1を形成し、上記第1の接着剤層1の表面に接着剤組成物2を含む接着剤溶液を塗布し、乾燥して第2の接着剤層2を形成することにより製造することができる。この場合、少なくとも接着剤組成物2が、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にあればよく、接着剤組成物1及び2が共に上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の接着シートは、例えば離型シートの表面に接着剤組成物1を含む接着剤溶液を塗布し、乾燥することで接着剤層1を形成し、接着剤層1の表面に他の接着剤組成物2を含む接着剤溶液を塗布、乾燥して接着剤層2を形成することにより製造することができる。この場合、接着剤組成物1及び2の少なくとも一方が、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にある。中でも接着剤組成物1及び2が共に、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含み、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲にあることが好ましい。
本発明の接着シートの製造方法において用いられる接着剤溶液は、上述した光硬化性樹脂(A)、所定の含有量の熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を少なくとも含む接着剤組成物と溶媒とを混合することによって調製することができる。接着剤溶液に用いられる溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。接着剤組成物と溶媒との混合には、ディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサー等を使用することができる。
本発明の接着シートの製造方法において、接着剤溶液を塗布後、溶剤を除去するための乾燥工程を含む。乾燥工程は、好ましくは40℃〜120℃、より好ましくは50℃〜90℃程度の温度で行うことが好ましい。光照射前の接着シートの硬化反応の進行を抑制することができ、また、溶媒等の急速な揮発によるシート表面の発泡を抑制できるからである。
(4)用途
本発明の接着シートは、部材の光透過性に制限されずに用いることができる。よって、本発明の接着シートを用いて接合する部材は、光透過性を有していても良く、有さなくても良い。中でも、本発明の接着シートは、光透過性の低い部材又は光不透過の部材の接合に好適に用いることができる。上述したように、本発明の接着シートは、光照射後の硬化反応速度が遅く、光照射してから所望の時間は柔軟性を有することができる。このため、部材を接合する際に事前に接着シートに光を照射することで、部材を介して接着シートに光を照射しなくても硬化反応が進み、部材を強固に接合できるからである。本明細書において、部材(被着体)は、200nm〜780nmの波長領域における光線透過率が90%以下であることが好ましく、中でも透過率が80%以下、70%以下、60%以下、50%以下が好ましい。また、光不透過の部材とは、上記の波長領域における光線透過率が0%の部材をいう。なお、被着体(部材)の光透過率は、日本分光株式会社製V−570等の紫外−可視分光光度計で測定される値である。
また、本発明の接着シートは、部材の耐熱性に制限されずに用いることができる。よって、本発明の接着シートを用いて接合する部材は、耐熱性を有していても良く、有さなくてもよい。上述したように、本発明の接着シートは、光照射により硬化反応が進み、光照射してから所望の時間は柔軟性を有するため、高温で加熱や加圧しなくて、硬化反応が進むからである。なお、硬化反応を促進させるために、硬化手段として光照射と加熱処理とを併用してもよく、上記部材は、光照射後に硬化反応促進のために行う加熱処理の加熱温度に耐えうる耐熱性を有することが好ましい。
本発明の接着シートは、同質又は異質の部材同士の接合に好適に用いることができる。中でも本発明の接着シートは、携帯電子機器、画像表示装置等の構成部材の接合に好適に用いることができ、例えば画像表示パネル、回路基板、リアカバー、ベゼル、フレーム、シャーシ等の部材の接合に好適に用いられる。
2.積層体
本発明の積層体は、上述の「1.接着シート」の項で説明した接着シートと、上記接着シートの第1の主面に貼合された第1の部材と、上記接着シートの第2の主面に貼合された第2の部材と、を有する。
本発明の積層体においては、上記接着シートの接着剤層は硬化している。すなわち、本発明の積層体は、第1の部材及び第2の部材が上記接着シートの硬化後の接着剤層により接合されている。換言すれば、第1の部材及び第2の部材が、上記「1.接着シート」の項に記載の接着剤組成物の硬化物層により接合されている。
本発明の積層体によれば、第1及び第2の部材が上記「1.接着シート」の項で説明した接着シートを介して接合されているため、部材が剥離しにくく高い層間剥離力を示すことができ、また、硬化後の接着剤層が、被着体への追従性を有しつつ温度変化に伴って伸縮しにくくなるため、温度変化の大きい環境下に置いても、接着シートの伸縮による積層体の破壊や不良等の不具合が生じにくく、高い耐冷熱サイクル特性を有することができる。
本発明の積層体において、上記「1.接着シート」の項で説明した接着シートの第1の主面に第1の部材が貼合され、上記接着シートの上記第1の主面と対向する第2の主面に第2の部材が貼合されていればよく、第1及び第2の部材の個数は限定されない。すなわち、本発明の積層体は、1つの第1の部材が接着シートの第1の主面に貼合され、1つの第2の部材が接着シートの第2の主面に接合されていても良く、1つの第1の部材が接着シートの第1の主面に貼合され、複数個の第2の部材が接着シートの第2の主面にされていてもよく、複数個の第1の部材が接着シートの第1の主面に貼合され、複数個の第2の部材が接着シートの第2の主面にされていてもよい。
本発明の積層体における部材は、光透過性を有していても良く、有さなくても良い。光透過性の低い部材の光透過率については、上記「1.接着シート」の項で説明した通りである。また、上記部材は、耐熱性を有していても良く、有さなくてもよいが、光照射後に硬化反応促進のために行う加熱処理の加熱温度に耐えうる耐熱性を有することが好ましい。
本発明の積層体が、画像表示装置に用いられる場合、部材としては、例えば画像表示パネル、回路基板、リアカバー、ベゼル、フレーム、シャーシ等が挙げられる。
本発明の積層体は、画像表示装置に用いることができる。上記画像表示装置としては、例えばパソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等のモバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなど、LCD、PDP又はEL、有機EL、マイクロLED、量子ドット(QD)などを搭載した画像表示パネルを用いた平面型画像表示装置の構成部材を挙げることができる。
3.積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、上記「1.接着シート」の項で説明した接着シートを用いる積層体の製造方法であって、上記接着シートの第1の主面に第1の部材を貼合する工程[1]と、上記接着シートの第2の主面に第2の部材を貼合する工程[2]と、上記接着シートの接着剤層を硬化する工程[3]と、を有し、更に上記工程[1]の前、若しくは上記工程[1]及び上記工程[2]の間に、上記接着シートの上記第1の主面又は上記第2の主面に対して活性エネルギー線を照射する工程(以下、工程[0]と称する場合がある。)を有する。
本発明における接着シートが、上述した態様(I)の接着シートであれば、接着シートの第1及び第2の主面とは、単層又は多層体の接着剤層の対向する2つの最外面をいう。また、本発明における接着シートが、上述した態様(II)の接着シートであれば、接着シートの第1及び第2の主面とは、それぞれ態様(II)の接着シートの第1の接着剤層側の表面及び第2の接着剤層側の表面をいう。
上記工程[1]では、接着シートの第1の主面に第1の部材を圧着して貼合することが好ましい。また、上記工程[2]では、接着シートの第2の主面に第2の部材を圧着して貼合することが好ましい、接着シートに部材を圧着して貼合することで、接着シートが部材の被着面により追従しやすくなり、接着シートと部材との密着性を高めることができるため、硬化後の接着剤層を介した第1の部材及び第2の部材の接合力がより高まるからである。
上記工程[1]及び[2]において、接着シートに部材を圧着する際の圧力は、0.1〜3000KPaの範囲内とすることができ、0.5〜1000kPaの範囲内であることが好ましく、1.0〜500kPaの範囲内であることが好ましい。上記範囲で圧着することで部材を損傷せずに接着シートに貼合でき、高い接合強度を得るために必要な密着性を得ることが出来る。
上記工程[1]及び[2]において、加熱しながら接着シートに部材を圧着してもよい。加熱しながら圧着することで、上記接着シートを介して部材同士を接合する際、より強固に密着し、高い接合強度を得ることが出来る。加熱温度は、部材の損傷や、部材間にひずみが生じることで部材を変形させたり、接着シートと部材間にクラックが生じたりさせない範囲で設定することができ、好ましくは150℃以下、120℃以下、100℃以下、80℃以下、70℃以下、とすることができる。加熱温度の上限を設定することで、部材の損傷を抑制し、また部材間にひずみが生じることによる部材の変形や、接着シートと部材との間でのクラックの発生を抑制することができる。また、加熱温度は、好ましくは5℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃以上とすることができる。加熱温度の下限を設定することで、被着面に対する接着シートの追従性が向上するからである。圧着時間は、部材の被着面に十分追従密着可能となる時間であれば特に限定されない。
上記工程[3]は、加熱処理を伴ってもよい。本発明の製造方法では、活性エネルギー線を照射することで接着シートの硬化反応が開始するため、常温下においても硬化は進行するが、上記工程[3]を加熱しながら行うことで、上記接着シートを介して部材同士を接合する際、硬化反応が促進されてより短時間で高い接合強度を得ることが出来るからである。
上記工程[3]において加熱処理を行う場合、加熱条件は、積層する部材の損傷や、部材間にひずみが生じることで部材を変形させたり、接着シートと部材と間にクラックが生じたりさせない範囲で設定することができる。加熱温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、80℃以下が積層する部材の損傷や、接着剤層が変形し流動することを抑制するうえで最も好ましい。
上記工程[3]においては、硬化後の接着剤層が上記「1.接着シート」の項で説明したゲル分率を示すように、硬化反応を進行させることが好ましい。
接着シートの上記第1の主面又は上記第2の主面に対して活性エネルギー線を照射する工程(工程[0])は、上記工程[1]の前に行うことができる。この場合、工程[1]及び工程[2]は、工程[0]を行ってから、24時間以内に行うことが好ましく、12時間以内に行うことがより好ましく、3時間以内に行うことが更に好ましく、1時間以内に行うことが、上記接着シートを部材へ貼付する際、より強固に密着し、高い接合強度を得ることが出来るため最も好ましい。
また、上記工程[0]は、上記工程[1]及び工程[2]の間に行っても良い。この場合、工程[2]は、工程[0]を行ってから、24時間以内に行うことが好ましく、12時間以内に行うことがより好ましく、3時間以内に行うことが更に好ましく、1時間以内に行うことが、上記接着シートを部材へ貼付する際、より強固に密着し、高い接合強度を得ることが出来るため最も好ましい。
活性エネルギー線としては、紫外線や可視光等が好適に用いられ、中でも紫外線を用いることが好ましい。上記紫外線は、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、光を照射した後に加熱してもよい。
また、照射する光は、光重合開始剤(C)を活性化させることが可能な波長領域を有することが好ましく、中でも300nm以上420nm以下の波長の活性エネルギー線用いることが好ましい。
活性エネルギー線を照射する場合の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、殺菌灯、カーボンアーク、走査型、カーテン型電子線加速器等が挙げられる。また、光を閃光的に照射することのできるキセノン−フラッシュランプは、熱の影響を最小限に抑えることができるため好ましい。
上記活性エネルギー線の照射強度は、0.1〜1000mW/cmが好ましく、0.5〜800mWがより好ましく、0.1〜400mW/cmであることがより好ましい。また、上記活性エネルギー線の照射時間は1〜60秒が好ましく、5〜50秒がより好ましく、10〜40秒であることがより好ましい。照射強度及び時間を上記の範囲内で設定することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、活性エネルギー線を照射した後の硬化率を好適に調整可能となるからである。
上記活性エネルギー線の照射は、1回で照射してもよく、複数回に分割して照射してもよい。
本発明により製造することが可能な積層体の具体例については、上記「2.積層体」の項で説明した具体例が挙げられる。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
1.熱可塑性樹脂(B)の合成
<ポリウレタン(B−1)の調製>
反応容器に、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びジアルキルカーボネートを反応させて得られる数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートポリオール60質量部と、1,6−ヘキサンジオール及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量4500のポリエステルポリオール60質量部とを混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、ポリウレタン(B−1)を得た。なお、上記ポリウレタン(B−1)は重合性官能基として水酸基を有する。
<ポリウレタン(B−2)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド6モル付加物、イソフタル酸及びセバシン酸を反応させて得られる数平均分子量2000の芳香族ポリエステルポリオール14質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール37質量部と、1,6−ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、ポリウレタン(B−2)を得た。なお、上記ポリウレタン(B−2)は重合性官能基として水酸基を有する。
<ポリウレタン(B−3)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール51質量部と、1,6−ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、ポリウレタン(B−3)を得た。なお、上記ポリウレタン(B−3)は重合性官能基として水酸基を有する。
<ポリウレタン(B−4)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール50.3質量部と、1,6−ヘキサンジオール及びドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール32.2質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物1.8質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート4.3質量部と、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート4.3質量部と、を混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで5時間反応させることによって、ポリウレタン(B−4)を得た。なお、上記ポリウレタン(B−4)は重合性官能基として水酸基を有する。
<ポリウレタン(B−5)の調製>
反応容器に、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びジアルキルカーボネートを反応させて得られる数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートポリオール60質量部と、1,4−ブタンジオール及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1000のポリエステルポリオール20質量部とを混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物を得た。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート20質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、3時間反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。上記ウレタンプレポリマー100質量部を100℃で加熱溶融させたものと、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.4質量部とオクチル酸第一錫0.01質量部とを混合し、100℃でNCO%が一定となるまで反応させることによって、ポリウレタン(B−5)を得た。なお、ポリウレタン(B−3)は、重合性官能基として重合性不飽和二重結合を有し、イソシアネート基含有量(NCO%)は0質量%であった。
2.接着シートの作成
(実施例1)
上記ポリウレタン(B−4)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)35質量部、及びスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)1.6質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−1)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−1)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−1)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例2)
上記ポリウレタン(B−3)33質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)45質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)1.6質量部、及び重炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム社製 「BF−200」、平均粒径5μm)6質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−2)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−2)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−2)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例3)
上記ポリウレタン(B−4)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、及び重炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム社製 「BF−200」、平均粒径5μm)5質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−3)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−3)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−3)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例4)
上記ポリウレタン(B−4)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)10.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−4)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−4)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−4)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例5)
上記ポリウレタン(B−4)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、及び重炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム社製 「BF−200」、平均粒径5μm)13.3質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−5)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−5)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−5)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例6)
上記ポリウレタン(B−4)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、お及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)20.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−6)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−6)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−6)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(実施例7)
上記ポリウレタン(B−2)58質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)20質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)60.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(a−7)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(a−7)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(a−7)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(比較例1)
上記ポリウレタン(B−1)70質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)30質量部、及びスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(b−1)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(b−1)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(b−1)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(比較例2)
上記ポリウレタン(B−2)58質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)20質量部、及びスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)4質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(b−2)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(b−2)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(b−2)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(比較例3)
上記ポリウレタン(B−4)23質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N−685−EXP−S」)55質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)2質量部、及び重炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム社製 「BF−200」、平均粒径5μm)95質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(b−3)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(b−3)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(b−3)の塗工層を得た。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
(比較例3)
上記ウレタン樹脂(B−5)100質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL−2021P」)43質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI−100P」、固形分濃度50%)11.4質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物(b−5)を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物(b−5)を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物(b−5)の塗工層を形成した。
更に、上記塗工層を3枚貼り合わせ積層して、一方の面に剥離ライナーAを有する厚さ450μmの多層体の接着剤層を形成し、上記接着剤層の他方の面に剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)を貼り合せ、総厚さ450μm(剥離ライナーの厚さ除く)の接着シートを得た。
3.評価
[70℃での貯蔵弾性率(E’)の測定方法]
実施例及び比較例で得られた接着シートを、空冷水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて強度300mW/cm2の紫外線を15秒間照射した。この時、剥離ライナーを除去せずに上記紫外線照射を行った。上記紫外線照射後の接着シートを、80℃下に3時間加熱放置し、23℃環境下に30分以上放置し冷却し、上記接着シートの硬化物(硬化後の接着剤層)を得た。その後、上記硬化物(硬化後の接着剤層)を、ダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き、剥離ライナーを除去して得たものを硬化後の接着剤層の試験サンプルとした。上記試験サンプルの動的粘弾性は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて測定し、周波数1.0Hz、温度70℃での貯蔵弾性率(E’)を測定した。
[−20℃での貯蔵弾性率(E’)の測定方法]
70℃での貯蔵弾性率(E’)の測定方法と同様の方法で試験サンプルを作製し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて、周波数1.0Hz、温度−20℃での貯蔵弾性率(E’)を測定した。
[70℃での損失正接(tanδ)の測定方法]
実施例及び比較例で得られた接着シートを、空冷水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて強度300mW/cm2の紫外線を15秒間照射した。この時、剥離ライナーを除去せずに上記紫外線照射を行った。上記紫外線照射後の接着シートを、80℃下に3時間加熱放置し、23℃環境下に30分以上放置し冷却して、上記接着シートの硬化物(硬化後の接着剤層)を得た。その後、上記硬化物(硬化後の接着剤層)をダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き、剥離ライナーを除去して得たものを、硬化後の接着剤層の試験サンプルとした。上記試験サンプルの動的粘弾性を、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて測定し、周波数1.0Hz、温度70℃での損失正接(tanδ)を測定した。
[−20℃での損失正接(tanδ)の測定方法]
70℃での損失正接(tanδ)の測定方法と同様の方法で試験サンプルを作製し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA−II)を用いて、周波数1.0Hz、温度−20℃での損失正接(tanδ)を測定した。
[冷熱サイクル時の耐剥がれ試験(ヒートサイクル試験)]
実施例及び比較例で得られた接着シートを幅50mm×長さ80mmの大きさに裁断し、一方の剥離ライナーを除去して、幅50mm×長さ80mm×厚さ1.5mmのCFRP板(平織、エポキシ樹脂系)に80℃の温度環境下、0.05MPaの圧力で30秒間プレス圧着し、貼り合わせて貼付物を作成した。上記貼付物を、23℃の温度環境下に60分間放置した後、空冷水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて強度300mW/cm2の紫外線を15秒間照射した。この時、剥離ライナーを除去せずに上記紫外線照射を行った。
上記紫外線照射後の貼付物を、23℃の温度環境下に10分間放置した後、剥離ライナーを除去し、幅50mm×長さ80mm×厚さ0.5mmの青板ガラス板に80℃に加熱した熱プレス装置を用いて1.0MPaで加圧した状態で10分間プレス圧着した。上記プレス圧着後、80℃下に1時間加熱放置し、23℃環境下に30分以上放置し冷却したものを試験サンプルとした。
得られた試験サンプルに対し、小型冷熱衝撃装置(ESPEC社製、TSE−11−A型)を用いて、−20℃から70℃の冷熱衝撃試験を実施した。−20℃と70℃の保持時間はそれぞれ30分とし、−20℃から70℃、70℃から−20℃の昇降温は5分以内とした。−20℃から70℃までの冷熱サイクルを1サイクルとし、500サイクル実施した後の外観変化を以下の基準で評価した。
(基準)
〇:外観変化は見られなかった。
×:クラックが発生しガラスの割れが生じた。もしくは、接着シートからガラスの浮き又は剥がれが生じた。
[耐つぶれ性試験(硬化前の接着シートの形状、厚み安定性をみる試験)]
実施例及び比較例で得られた接着シートを5cm×5cmに裁断し、一方の離型ライナーを剥離して、7cm×7cmに裁断した厚さ50μmの剥離ライナーの中央部に23℃の温度環境下、0.05MPaの圧力で10秒間プレス圧着し、貼り合わせて試験片を作成した。
上記試験片の上部から、単位面積当たり0.1MPaの圧力を加えた状態で23℃の各温度環境下で24時間放置した。次に、放置前の接着シートの厚さ(0.45mm)に対する、放置後の接着シートの厚さ変化の割合(放置後の接着シートの厚さ/放置前の接着シートの厚さ)を、下記基準で評価した。
(基準)
◎:放置前の接着シートの厚さに対する、放置後の接着シートの厚さの割合が99%以上101%未満(変化なし)であった。
○:放置前の接着シートの厚さに対する、放置後の接着シートの厚さの割合が96%以上99%未満であった。
△:放置前の接着シートの厚さに対する、放置後の接着シートの厚さの割合が93%以上96%未満であった。
×:放置前の接着シートの厚さに対する、放置後の接着シートの厚さの割合が93%未満であった。
[活性エネルギー線照射後の追従性の評価方法(UV照射後の接着シートを被着体表面の撓みや凹凸に力が加わった場合の段差追従性を評価する方法)]
実施例及び比較例で得られた接着シートを5cm×5cmに裁断して試験片とした。次に、試験片の一方の剥離シートを剥がして、7cm×7cmに裁断した厚さ50μmの剥離ライナーCの中央部に23℃の温度環境下、0.05MPaの圧力で10秒間プレス圧着し、貼り合わせた。
上記貼付物を、23℃の温度環境下に60分間放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用い強度100mW/cm2の紫外線を10秒間照射した。上記紫外線照射後の貼付物を、23℃の温度環境下に10分間放置した後、80℃に加熱した熱プレス装置を用いて0.5MPaで加圧した状態で10秒間プレス成形した。上記熱プレス前の試験片の厚さ(0.45mm)に対する、熱プレス後の接着シートの厚さ変化の割合(熱プレス後の接着シートの厚さ/熱プレス前の接着シートの厚さ)を、下記基準で評価した。
(基準)
○:熱プレス前の接着シートの厚さに対する、熱プレス後の接着シートの厚さの割合が
90%未満であった。
×:放置前の接着シートの厚さに対する、放置後の接着シートの厚さの割合が90%以
上100%未満(変化なし)であった。
[活性エネルギー線を透過しない部材に対する接合性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた接着シートを、幅10mm×長さ10mmの大きさに裁断し、一方の剥離ライナーを除去して、表面が平滑な幅15mm×長さ150mm×厚さ0.05mmのアルミ板に23℃の温度環境下、0.05MPaの圧力で10秒間プレス圧着し、貼り合わせた。
上記貼付物を、23℃の温度環境下に60分間放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて強度100mW/cmの紫外線を10秒間照射した。この時、剥離ライナーを除去せずに上記紫外線照射を行った。
次に上記紫外線照射後の貼付物を、23℃の温度環境下に10分間放置した後、剥離ライナーを除去し、表面が平滑な幅15mm×長さ150mm×厚さ0.05mmのアルミ板に70℃に加熱した熱プレス装置を用いて0.5MPaで加圧した状態で10分間プレス圧着した。上記プレス圧着後の積層体を80℃下に1時間加熱放置し、23℃環境下に30分以上放置し冷却したものを試験サンプルとした。なお、本評価で使用したアルミ板は光透過率が0%の光不透過材である。
上記試験サンプルにおいて、上記被着体の両端部をそれぞれチャッキングし、引張試験機を用いて180度方向に引張速度10mm/分で引張試験することによって、上記試験サンプルのせん断接着力[MPa]を求めた。
評価結果を下記表に示す。
Figure 2021165386
Figure 2021165386


Figure 2021165386

Figure 2021165386


Figure 2021165386


Figure 2021165386
接着剤層中の熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲内にある実施例の接着シートは、活性エネルギー線照射後の追従性が良好であり、ヒートサイクル試験の結果も良好であった。一方、熱可塑性樹脂(B)の含有量が所定の範囲から外れた比較例の接着シートは、比較例1の接着シート、フィラー含有量が所定の範囲を超過している比較例2の接着シートは、ヒートサイクル試験により、クラックが発生しガラスの割れが生じ、若しくは、接着シートからガラスの浮き又は剥がれが生じた。更に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を同時に含まない比較例4の接着シートは、活性エネルギー線照射後の追従性が不良であった。

Claims (13)

  1. 重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)と、
    重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)と、
    光重合開始剤(C)と、
    を含有する接着剤層を備え、
    前記接着剤層中の前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、15質量%〜50質量%の範囲内にある、接着シート。
  2. 前記接着剤層中の、前記光硬化性樹脂(A)の含有量及び前記熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に対する前記熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合が、25質量%〜68質量%の範囲内にある、請求項1に記載の接着シート。
  3. 周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の前記接着剤層の貯蔵弾性率E’と、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の前記接着剤層の貯蔵弾性率E’との差の絶対値が1×10Pa以下である、請求項1又は2に記載の接着シート。
  4. 周波数1.0Hz、温度−20℃で測定される硬化後の前記接着剤層の損失正接tanδと、周波数1.0Hz、温度70℃で測定される硬化後の前記接着剤層の損失正接tanδとの差の絶対値が1以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着シート。
  5. 前記光硬化性樹脂(A)が、光カチオン重合性及び/又は光アニオン重合性の官能基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着シート。
  6. 前記熱可塑性樹脂(B)が、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の重合性官能基を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着シート。
  7. 前記熱可塑性樹脂(B)がウレタン樹脂である請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着シート。
  8. 前記光重合開始剤(C)が光カチオン性重合開始剤である請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着シート。
  9. 前記接着剤層が、前記光硬化性樹脂(A)として、硬化後の損失正接が最大値を示す温度が、100℃以上である光硬化性樹脂(a1)を1種又は2種以上含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着シート。
  10. 前記接着剤層が、常温固形エポキシ樹脂を1種又は2種以上と、常温液状エポキシ樹脂を1種又は2種以上と、を含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の接着シート。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の接着シートと、
    前記接着シートの第1の主面に貼合された第1の部材と、
    前記接着シートの第2の主面に貼合された第2の部材と、
    を有する積層体。
  12. 画像表示装置に用いられる請求項11に記載の積層体。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の接着シートを用いる積層体の製造方法であって、
    前記接着シートの第1の主面に第1の被着体を貼合する工程[1]と、
    前記接着シートの第2の主面に第2の被着体を貼合工程[2]と、
    前記接着シートを硬化する工程[3]と、を有し、
    更に前記工程[1]の前、若しくは前記工程[1]及び前記工程[2]の間に、前記接着シートの前記第1の主面又は前記第2の主面に対して活性エネルギー線を照射する工程を有する、積層体の製造方法。
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