JP2022044987A - リジット基板及びその製造方法、並びに半導体用支持基板及び研磨パッド用補助板 - Google Patents

リジット基板及びその製造方法、並びに半導体用支持基板及び研磨パッド用補助板 Download PDF

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誠二 秋山
Seiji Akiyama
翔太 谷井
Shota Tanii
彰規 森野
Akinori Morino
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Abstract

【課題】ガラスエポキシ基板並みの高い剛性を有し、反りの発生が抑制され、さらに切削加工時に切削カスが生じにくいリジット基板を提供する。【解決手段】接着層A1と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、上記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を少なくとも有し、総厚が所定値以上であり、上記接着層A1は、所定の接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1の厚さ及び上記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が所定値以上であり、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ所定値以上である、リジット基板を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばプリント基板や研磨パッドの補強板等に用いられるリジット基板、特にガラスエポキシ基板の代替として利用可能なリジット基板に関する。
ガラス繊維にエポキシ樹脂を含侵させて熱硬化したガラスエポキシ基板は、剛性が高く、薄くても反りが生じにくいことから、例えば半導体パッケージにおける支持基板や、研磨パッドの補強板、電気、電子部品等の加工品として、多用されている(例えば特許文献1)。
特開2010-209126号公報
しかし、ガラスエポキシ基板は、切削加工時にガラス繊維が切削カスとして飛散しやすく、切削カスが基板に付着して汚染が生じるという問題がある。例えば、ガラスエポキシ基板を用いた半導体基板をダイシング加工により個片化する場合や、研磨パッドの補強板用途においてガラスエポキシ基板に貫通孔を形成する場合等において、飛散したガラス繊維の切削カスが半導体ウエハや研磨パッドの表面に付着して汚染を引き起こすという問題がある。
一方、ガラス繊維を含まない樹脂基板を用いる場合、上述のような切削カスの発生は解消されるが、単一層からなる樹脂基板では、厚さが同じガラスエポキシ基板と同等の剛性が得られにくいという問題がある。
ところで、光硬化性接着剤を用い、一対の樹脂層を上記光硬化性接着剤の硬化物層を介して接合した積層体において、上記樹脂層の硬さに加え上記硬化物層の硬さにより、積層体の剛性を高める方法がある。しかし、この方法で樹脂基材を製造しようとすると、製造過程において光硬化性接着剤を硬化させる際に、硬化反応が急速に進むことで硬化収縮が生じ、樹脂基板全体に大きな反りが生じてしまうという問題がある。そのため、上記方法により製造した樹脂基材は、特に半導体基板や研磨パッド等の高い平坦性が要求される用途には適さないという問題がある。
また、ガラス繊維を含まない熱硬化性接着剤の硬化物層や粘着剤層を介して接合した樹脂基板では、光硬化性接着剤の硬化物層よりも樹脂基板の剛性を十分に高めることが困難であるという問題がある。また、一対の樹脂層の間に介在させた熱硬化性接着剤層を高温で加熱硬化させる過程において、硬化に要する時間が長く、過剰な負荷がかかるため、樹脂基板が損傷しやすい。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ガラスエポキシ基板並みの高い剛性を有し、反りが小さく、さらに切削加工時に切削カスが生じにくいリジット基板およびその製造方法、並びに半導体用支持基板及び研磨パッド用補助板を提供する。
本発明は、接着層A1と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、上記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を少なくとも有し、総厚が500μm以上であり、上記接着層A1は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1の厚さが100μm以上であり、且つ、上記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上であり、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である、リジット基板を提供する。
また、本発明は、接着層A1と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、上記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を有し、上記接着層A1と上記樹脂フィルム層B2との間に、上記接着層A1側から中間層Cと接着層A2とをこの順で有し、総厚が500μm以上であり、上記接着層A1及び上記接着層A2はそれぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さがそれぞれ50μm以上であり、且つ上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さの和が100μmであり、上記接着層A1及び上記接着層A2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、それぞれ1.0×10Pa以上であり、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である、リジット基板を提供する。
本発明によれば、高い剛性を有し、反りが小さく、切削加工時に切削カスが生じにくいリジット基板を提供することができる。中でも本発明のリジット基板は、ガラスエポキシ基板と同等の厚さで同等の剛性を有しつつ、反りが小さく、切削加工時に切削カスが生じにくいことから、特にガラスエポキシ基板の代替基板として好適に用いることができる。
本発明のリジット基板の一例を示す概略断面図である。 本発明のリジット基板の一例を示す概略断面図である。 剛性試験方法を説明する模式図である。
本発明のリジット基板は、2つの態様に大別される。
本発明のリジット基板の第1態様(以下、第1態様のリジット基板と称する場合がある。)は、接着層A1と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、上記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を少なくとも有し、総厚が500μm以上であり、上記接着層A1は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1の厚さが100μm以上であり、且つ、上記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上であり、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である。
また、本発明のリジット基板の第2態様(以下、第2態様のリジット基板と称する場合がある。)は、接着層A1と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、上記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を有し、上記接着層A1と上記樹脂フィルム層B2との間に、上記接着層A1側から中間層Cと接着層A2とをこの順で有し、総厚が500μm以上であり、上記接着層A1及び上記接着層A2はそれぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さがそれぞれ50μm以上であり、且つ上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さの和が100μmであり、上記接着層A1及び上記接着層A2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、それぞれ1.0×10Pa以上であり、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である。
本発明のリジット基板は、第1態様及び第2態様共に、所定の接着剤組成物の硬化物で形成された接着層を介して一対の樹脂フィルム層B1及びB2が接合された構造を有しており、リジット基板の総厚及び樹脂フィルムの厚さ、並びに所定の接着剤組成物の硬化物で形成された接着層の総厚及び接着層の貯蔵弾性率がそれぞれ所定値以上であることで、ガラスエポキシ基板並みの剛性を有することができる。また、本発明のリジット基板を構成する各構成部材がガラス繊維を含まないため、切削カスの発生を抑制することができる。さらに、上記接着層が所定の接着剤組成物の硬化物により形成されていることから、硬化収縮によるリジット基板全体の反りの発生が抑制されるため、本発明のリジット基板は、反りが小さく、高い平坦性を有することができる。
本発明において、リジット基板とは、屈曲や折り曲げ等の力を加えても変形し難い基板のことをいい、具体的には、以下に説明する剛性試験方法により測定される距離Lが45mm未満である基板をいう。中でも、上記距離Lが25mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。同じ厚さのガラスエポキシ基板と同等の剛性を有することができ、ガラスエポキシ基板の代替としてより適した剛性を有することができるからである。
剛性試験方法は、まず、測定対象物から、長手方向Xの長さ100mm、短手方向Yの長さ20mmの矩形面を主面とする評価サンプルSを切り出し、図3で例示するように、上記評価サンプルSの長手方向Xに位置する一対の端部A及び端部Bのうち、一方の端部Aから長手方向10mmの領域を固定し、荷重をかける前の評価サンプルSの他方の端部Bの位置を基準Oとする。評価サンプルSの端部Bに5gの荷重Wをかけて5秒静置後の、垂直方向(荷重方向)Zにおける評価サンプルSの端部Bの位置を位置Pとして、荷重前の基準Oから荷重後の評価サンプルの端Bの位置Pまでの距離Lを計測する。
以下、本発明のリジット基板について、態様ごとに説明する。なお、以下の説明において、第1態様における接着層A1、第2態様における接着層A1及びA2を総じて「接着層」または「接着層A」と称し、硬化前の接着剤組成物により形成された層を接着剤組成物層と称する場合がある。上記接着剤組成物層を硬化させた層が本発明のリジット基板における接着層に相当する(すなわち、接着剤組成物層は接着層の硬化前の前駆体である)。また、樹脂フィルム層B1及びB2のことを総じて「樹脂フィルム層」又は「樹脂フィルム層B」と称して説明する場合がある。さらに、樹脂フィルム層B1、B2、第2態様における中間層等、接着層A1及び/又は接着層A2と直接貼合される部材のことを、「被着体」と称して説明する場合がある。
I.リジット基板の第1態様
図1は、第1態様のリジット基板の一例を示す概略断面図である。図1に示す第1態様のリジット基板10は、接着層A1(図1中符号1)と、上記接着層A1(図1中符号1)の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1(図1中符号2)と、上記接着層A1の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2(図1中符号3)と、を少なくとも有し、総厚(図1中の符号T)が500μm以上である。また、上記接着層A1は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1の厚さ(図1中の符号TA1)が100μm以上であり、且つ、上記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上である。また、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さ(図1中の符号TB1及びTB2)は、それぞれ50μm以上である。
第1態様のリジット基板によれば、所定の接着剤組成物の硬化物で形成された接着層A1を介して一対の樹脂フィルムB1、B2が接合された構造を有しており、また、リジット基板の総厚、樹脂フィルムB1、B2の厚さ、および接着層A1の厚さ、並びに接着層A1の貯蔵弾性率がそれぞれ所定値以上であることで、ガラスエポキシ基板並みの剛性を有することができる。本発明のリジット基板は、上述した特徴を備えることで、反りが生じにくく切削加工時に切削カスが生じにくい基板とすることができる。
第1態様のリジット基板は、総厚が500μm以上であることで、ガラスエポキシ基板を代替し得る剛性を発揮することができる。中でも第1態様のリジット基板の総厚が600μm以上であることが好ましく、700μm以上であることがさらに好ましく、800μm以上であることがリジッド基板に十分な剛性を付与できる点からより好ましい。
また、第1態様のリジット基板の総厚は、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましく、1500μm以下であることが、一般的なガラスエポキシ基板やその他の剛性基板を代替する上で適正な厚さの範囲とすることができる点からより好ましい。
以下、第1態様のリジット基板について構成部材ごとに説明する。
[1]接着層A1
第1態様のリジット基板における接着層A1は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成される層である。また、接着層A1は、厚さが100μm以上であり、且つ、上記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上である。
(1)接着剤組成物
接着剤組成物は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む。また、上記接着剤組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化して、25℃での貯蔵弾性率(E’25)が所定値以上となる硬化物を形成することができるものである。
上記接着剤組成物は、所定の組成を含有するため、活性エネルギー線を照射すると、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)のそれぞれが有する重合性官能基が活性化され、反応性を高めた状態で硬化が始まる。このとき、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)が有する重合性官能基は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基であるため、重合性不飽和二重結合を重合性官能基に有する重合性化合物を含有する光硬化性接着剤のようなラジカル重合反応とは異なり、活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応は抑制され、徐々に硬化反応が進行する。すなわち、上記接着剤組成物は、ラジカル重合反応を生じる光硬化性接着剤とは異なり、遅延硬化型の接着剤組成物である。これにより、接着剤組成物の急速な硬化反応により生じる硬化収縮に起因した接着層の反りの発生を抑制することができ、平坦性の高いリジット基板とすることができる。
以下、接着剤組成物に含有される各成分について説明する。
<光硬化性樹脂(A)>
接着剤組成物は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂(A)を含む。上記光硬化性樹脂(A)が有する重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基により、活性エネルギー線の照射による重合が開始し、暗反応や低温下でも重合が進行するため、接着剤組成物層が被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに接合することが可能となる。
光硬化性樹脂(A)としては、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するものであればよく、ラジカル重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光重合性化合物が挙げられる。中でも光カチオン重合性化合物及び/又は光アニオン重合性化合物が好ましい。換言すれば、光硬化性樹脂(A)が重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、光カチオン重合性の官能基及び/又は光アニオン重合性の官能基を有することが好ましい。光カチオン重合性の官能基及び/又は光アニオン重合性の官能基を有する光重合性化合物は、接着剤組成物層を硬化させる際に、酸素の阻害を受けにくく、活性エネルギー線照射後も継続的な反応が進行しやすくなるため、被着体の光透過性や耐熱性に制限されずに被着体と接着層との接合が可能となるからである。特に、活性エネルギー線照射後の反応性に優れ、接合性の高い接着層を形成できるからであることから、光カチオン重合性化合物がより好ましい。上記重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光重合性化合物は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
上記光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上の光カチオン重合性の官能基を有するものであればよく、特に限定されるものではない。光カチオン重合性化合物は、1分子中に1個以上のエポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、オキサゾリン基等の光カチオン重合性の官能基を有するものであることが好ましい。中でも、高い硬化性と、硬化後の接合性を得るうえで、上記光カチオン重合性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有するものがより好ましい。
上記エポキシ基を有する光カチオン重合性化合物としては、1分子中に1個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂、可とう性を有するエポキシ樹脂等を使用することができる。
なかでも、脂環式エポキシ樹脂及び多官能脂肪族型エポキシ樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましく、脂環式エポキシ樹脂を使用することがより好ましい。これらは光カチオン重合性に優れるため硬化性に優れ、接着剤組成物を硬化することにより、高い剛性を有し反りや寸法変形の小さい接着層とすることができる。
さらに、エポキシ樹脂は変性体であっても良い。変性体としては、CTBN(末端カルボキシル基含有ブタジエン-アクリロニトリルゴム)変性エポキシ樹脂;アクリルゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、もしくはイソプレンゴムなどの各種ゴムを樹脂分散させたエポキシ樹脂;上記のような液状ゴムで変性されたエポキシ樹脂;アクリル、ウレタン、尿素、ポリエステル、スチレンなどの各種樹脂を添加してなるエポキシ樹脂;キレート変性エポキシ樹脂;ポリオール変性エポキシ樹脂などを用いることができる。変性エポキシ樹脂を含むことで、接着層の接着力の向上が図れ、また接着剤組成物層の可撓性等が向上する。
一方、上記オキセタニル基を有する光カチオン重合性化合物としては、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-メチル-3-グリシジルオキセタン、3-エチル-3-グリシジルオキセタン、3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、ジ{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル等のオキセタン化合物が挙げられる。
上記接着剤組成物は、光硬化性樹脂(A)として、硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上である光硬化性樹脂(a1)を用いることが好ましい。上記接着剤組成物の硬化物である接着層の耐ヒートサイクル特性が向上し、反りや形状変化を抑制することができるからである。中でも光硬化性樹脂(a1)は、硬化後の損失正接が最大値を示す温度が、105℃以上、110℃以上、115℃以上であることが好ましく、また、上記温度が250℃以下、中でも230℃以下、200℃以下であることが好ましい。光硬化性樹脂(a1)の硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)は、エポキシ樹脂を単独で硬化させた硬化物に対し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて周波数1.0Hzで測定した値である。
硬化後の損失正接が最大値を示す温度(Tg-tanδ)が100℃以上の光硬化性樹脂(a1)としては、例えば常温で固形のエポキシ樹脂(以下、常温固形エポキシ樹脂とする。)が挙げられる。なお、常温とは25℃いう。
常温固形エポキシ樹脂として具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、接着剤組成物は、光硬化性樹脂(A)として、少なくとも常温固形エポキシ樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、中でも常温で固形のエポキシ樹脂を1種又は2種以上と、常温で液状のエポキシ樹脂(以下、常温液状エポキシ樹脂とする。)と、を1種又は2種以上とを含むことが好ましい。光硬化性樹脂(A)として、常温固形エポキシ樹脂と常温液状エポキシ樹脂とを併用することで、接着剤組成物層を硬化させる際に、活性エネルギー線照射前及び照射後の一定時間において適度な粘着性を発揮しやすくなり、被着体と容易に貼合可能となるからである。
常温液状エポキシ樹脂としては、具体的には、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合が20質量%~80質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~70質量%の範囲内が中でも好ましく、35質量%~65質量%の範囲内がさらに好ましく、40質量%~65質量%の範囲内がより好ましい。エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合を上記範囲内とすることで、耐熱性の高い接着層とすることができ、また接着剤組成物の硬化反応を比較的短い時間で完了させることができる。エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合は、下記式で算出することができる。
エポキシ樹脂の総量に占める常温固形エポキシ樹脂の割合={ 常温固形エポキシ樹脂の含有量[質量部]/(常温固形エポキシ樹脂の含有量[質量部]+常温液状エポキシ樹脂[質量部])}×100[質量%]
光硬化性樹脂(A)の含有量は、接着剤組成物の固形分全量中10質量%~84質量%の範囲内であることが好ましく、20質量%~70質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%~65質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~60質量%の範囲内であることが好ましく、30質量%~50質量%の範囲内であることが好ましい。光硬化性樹脂(A)の含有量を上記の範囲内とすることで、被着体との密着性が高く被着体と強固に接合した接着層とすることができる。なお、光硬化性樹脂(A)の含有量が上記範囲よりも過多の場合、接着剤組成物層及び上記接着層が保形性に劣る場合があり、一方、上記範囲よりも過少の場合、上記接着層の耐熱性が低下する場合がある。
上記光硬化性樹脂(A)は、重量平均分子量が100~5000の範囲内であることが好ましく、中でも150~3000の範囲内であることが好ましく、200~2500の範囲内であることが更に好ましい。接着剤組成物層及び接着層の保形性及び被着面に対する追従密着性を高めることができるからである。光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が小さすぎると、凝集力が不足して、経時で接着剤組成物が染み出す等の取り扱い性が低下しやすくなる場合がある。一方、光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。
光硬化性樹脂(A)の重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
<熱可塑性樹脂(B)>
接着剤組成物は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)を含有することで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することができ、活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となる。これにより、反りや変形の小さい接着層を形成することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の含有量は、接着剤組成物の固形分全量中に15質量%~50質量%の範囲内であることが好ましく、中でも25質量%~50質量%の範囲内であることが好ましく、25質量%~45質量%の範囲内であることがさらに好ましく、30質量%~45質量%の範囲内であることがより好ましく、34質量%~45質量%の範囲内であることが特に好ましい。保形性及び耐熱性が高く、被着体への密着追従性が高い接着層となるからである。
また、光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合が、25質量%~68質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは25質量%~60質量%の範囲内であり、30質量%~60質量%の範囲内であり、30質量%~55質量%の範囲内であり、30質量%~50質量%の範囲内であり、35質量%~50質量%の範囲内である。被着体との接着性が高い接着層となるからである。
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合は、下記式で算出することができる。
光硬化性樹脂(A)の含有量及び熱可塑性樹脂(B)の含有量の総和に占める熱可塑性樹脂(B)の含有量の割合={熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部]/(熱可塑性樹脂(A)の含有量[質量部]+熱可塑性樹脂(B)の含有量[質量部])}×100[質量%]
上記熱可塑性樹脂(B)は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基として、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の基を有することが好ましい。上記群より選ばれる少なくとも1種以上の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、光硬化性樹脂(A)と相互に反応することが可能となり、かつ活性エネルギー線照射後の急速な硬化反応を抑制し、硬化反応を徐々に進行させることが可能となるため、反りや変形の小さい接着層を形成することができるからである。
上記熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂(熱可塑性エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの熱可塑性樹脂は1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
中でも、接着剤組成物は、熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましく、少なくとも重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を1種又は2種以上含むことがより好ましい。熱可塑性樹脂(B)として、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂を用いることで、活性エネルギー線照射後に接着剤組成物の急速な硬化反応が抑制されるため、硬化反応を徐々に進行させることができ、反りや変形の小さい接着層を形成することができるからである。
また、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂は、結晶性であることが好ましい。接着剤組成物が重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する結晶性ポリウレタン樹脂を含むことで、接着剤組成物層をシート形状に保ちやすく、保形性に優れた接着層となるからである。
重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有するポリウレタン樹脂は、イソシアネート基、水酸基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を有するポリウレタン樹脂(B’)であることが好ましく、中でも水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)が好ましい。
イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B’1)を使用することができる。また、水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えばポリオール(b’1)とポリイソシアネート(b’2)とを反応させることによって得られた水酸基を有するポリウレタン樹脂(B’2)を使用することができる。
ポリオール(b’1)は、500~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、1000~3000の範囲の数平均分子量を有することが、保型性、塗布作業性、初期凝集力等に優れた接着層を得るうえでより好ましい。なお、上記数平均分子量は、下記条件にて測定した値である。
数平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
このようなポリオール(b’1)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上等を好適に使用することができる。
中でも、ポリオール(b’1)として、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるポリオールを1種又は2種以上使用することが好ましく、少なくともポリエステルポリオールを1種又は2種以上を使用することが好ましく、ポリエステルポリオールを1種又は2種以上と、ポリカーボネートポリオールを1種又は2種以上と、を使用することが好ましい。接着剤組成物層の形状安定性が高く、被着面に対する追従密着性が向上するため、保形性及び被着体との追従密着性に優れた接着層となるからである。
ポリオール(b’1)として使用される、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールからなる群から選択されるポリオールの総量は、上記ポリオール(b’1)100質量部に対して、合計で10質量部以上が好ましく、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。被着面に対する追従密着性がより向上することができるからである。また、接着剤組成物層が、常温下で貼付可能なレベルの粘着性を示すため、本発明のリジット基板を容易に製造することができるからである。
ポリオール(b’1)として、上記ポリカーボネートポリオールと上記ポリエステルポリオールとを組み合わせて使用する際には、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールの質量比(ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール)は、0.4~7.0の範囲であることが好ましく、1.0~2.0の範囲であることが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂を得ることができるからである。また、接着層の被着面に対する追従密着性が高くなり、さらに接着層を形成する際の接着剤組成物層の取り扱い性が良好となるからである。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばポリオール(b’1a)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能なポリオール(b’1a)としては、例えば低分子量のポリオールが挙げられ、具体的には概ね分子量が50~300程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノール等を使用することができる。
また、上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能なポリオール(b’1a)として、芳香族ポリオールが挙げられる。芳香族ポリオールを用いることで、ポリウレタン樹脂(B’)の剛直性を向上することができ、接着層の経時的な接合ズレや変形を抑制することが可能となる。芳香族ポリオールとして、具体的には、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールAに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した付加体(ジエトキシ化ビスフェノールA等)、p-キシリレングリコール、m-キシリレングリコール、o-キシリレングリコール、4,4'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,2'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、2,2'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,3'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,3'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,2'-ビスヒドロキシメチルビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,2-ベンゼンジメタノール、4,4’-ナフタレンジメタノール、3,4’-ナフタレンジメタノール、及びこれらの変性化合物等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールの調製に使用可能な上記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
上記ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオール又は脂肪族ポリエステルポリオールからなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ポリエステルポリオールの両方を含むことが好ましい。
脂肪族ポリエステルポリオールの中でも、直鎖脂肪族ポリエステルポリオールが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、被着面に対する追従密着性がより高い接着層を形成可能となるからである。また、接着層を形成する際の接着剤組成物層の取り扱い性が良好となるからである。上記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、側鎖にアルキル基を有さないポリエステルポリオールを指す。
上記脂肪族ポリエステルポリオールとしては、上記脂肪族アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、例えば1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸と反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
また、上記ポリエステルポリオールとして、芳香族ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)の剛直性を向上させることができ、接着層の経時的な接合ズレ、反りや変形を抑制することが可能となるからである。上記芳香族ポリエステルポリオールとしては、上述した芳香族ポリオールと脂肪族または芳香族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とフタル酸及びアジピン酸とを反応して得られる芳香族ポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
上記ポリエステルポリオールは、1000~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、接着層の被着面に対する追従密着性が高くなり、さらに接着層を形成する際の接着剤組成物層の取り扱い性が良好となるからである。
特に、上記ポリエステルポリオールとして、1,2-エタンジオールまたは1,4-ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、アジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100~2900の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100~5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1000~5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して10質量%~50質量%の範囲で使用することが好ましく、20質量%~40質量%の範囲で使用することがより好ましい。接着層の被着面に対する追従密着性が高くなり、また、接着剤組成物層が常温下で貼付可能なレベルの粘着性を維持することができるからである。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。上記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することができる。
上記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール等を使用することができる。
また、ポリカーボネートポリオールとして、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは脂環式ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオールとしては、ジアルキルカーボネートと、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤組成物層が、常温下で貼付が可能な粘着性を有することができるからである。
脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、例えばジアルキルカーボネートと、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含むポリオールと、を反応させて得られるものを使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤組成物層が、常温下で貼付が可能な粘着性及び優れた初期凝集力を有することができるからである。
上記ポリカーボネートポリオールは、500~5000の範囲の数平均分子量を有することが好ましく、800~3000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。損失正接の値が所望の範囲内にあるポリウレタン樹脂(B’)を得ることができ、接着層の被着面に対する追従密着性が高くなり、さらに接着層を形成する際の接着剤組成物層の取り扱い性が良好となるからである。
上記ポリカーボネートポリオールは、上記ポリオール(b’1)の全量に対して20質量%~80質量%の範囲で使用することが好ましく、30質量%~70質量%の範囲で使用することがより好ましく、40質量%~50質量%の範囲で使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤組成物層が、常温下で貼付が可能な粘着性を発揮でき、また、接着層の被着面に対する追従密着性が向上するからである。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。
上記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
上記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや脂環式構造を有するポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを反応させて得られるポリテトラメチレングリコール誘導体、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させたポリテトラメチレングリコール誘導体等を使用することができる。なかでも、上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラメチレングリコール誘導体(PTXG)を使用することが好ましい。接着剤組成物層が常温下で粘着性を発揮することができ、また、接着層の耐久性等の物性を高くすることができるからである。
上記ポリオール(b’1)として、上記したもののほかに、その他のポリオールを使用することができる。上記その他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール等が挙げられる。
ポリオール(b’1)と反応するポリイソシアネート(b’2)としては、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキシレン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-及び/又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
上述した脂環式ポリイソシアネートの中でも、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(BICH)を使用することが好ましい。これらのイソシアネートは、上記ポリオール(b’1)との良好な反応性を有し、ポリウレタン樹脂(B’)を含む接着剤組成物の硬化により、耐熱性等に優れた接着層を形成することができるからである。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させてポリウレタン樹脂(B’)を調製する方法としては、例えば反応容器に仕込んだ上記ポリオール(b’1)を、常圧または減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、上記ポリイソシアネート(b’2)を一括または分割して供給し反応させる方法が挙げられる。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応は、上記ポリイソシアネート(b’2)が有するイソシアネート基と、上記ポリオール(b’1)が有する水酸基との当量比([NCO/OH当量比]という。)が、1.1~20.0の範囲で行うことが好ましく、1.1~13.0の範囲で行うことがより好ましく、1.1~5.0の範囲で行うことがさらに好ましく、1.5~3.0の範囲で行うことが特に好ましい。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)との反応条件(温度、時間等)は、安全、品質、コストなど諸条件を考慮して適宜設定すればよく、特に限定しないが、例えば反応温度は、好ましくは70~120℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは30分~5時間の範囲である。
上記ポリオール(b’1)と上記ポリイソシアネート(b’2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用することができる。
上記反応は、無溶剤の環境下で行っても、有機溶剤存在下で行ってもよい。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。上記有機溶剤は、上記ポリウレタン樹脂(B’)の製造途中または、上記ポリウレタン樹脂(B’)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
また、オキセタニル基又はエポキシ基を有するポリウレタン樹脂(B’)としては、例えば
1)イソシアネート基を有するポリウレタン(B’1)と、
2)イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)、オキセタニル基又はエポキシ基、及び1つ以上の重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)を有する単量体(B”)と、
を反応させることにより得られるポリウレタン樹脂(B’3)を使用することができる。
上記イソシアネート基と反応しうる官能基(b”1)としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等を使用することができ、中でも水酸基、アミノ基を使用することが好ましい。
上記重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基(b”2)としては、所謂ラジカル重合性を有する官能基以外のことを指し、例えばカチオン重合性を有する官能基、アニオン重合性を有する官能基等のことであり、例えばエポキシ基、オキセタニル基、エチレンスルフィド基等が挙げられる。
上記単量体(B”)としては、官能基(b”1)及び重合性官能基(b”2)を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば3-エチル-3-(4-ヒドロキシブチル)オキシメチル-オキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、2-ヒドロキシメチルオキセタン、3-ヒドロキシオキセタン等が挙げられる。
上記単量体(B”)は、ポリウレタン樹脂(B’1)100質量部に対して、5質量部~20質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部~15質量部の範囲で使用することがより好ましい。
上記単量体(B”)としては、より具体的にはポリウレタン樹脂(B’1)が有するイソシアネート基のモル数に対して、好ましくは50モル%を超えて100モル%以下、より好ましくは60モル%~100モル%、さらに好ましくは80モル%~100モル%の、上記イソシアネート基と反応しうる官能基を供給可能な量を使用することができる。これにより、保型性、機械的強度、耐久性(特に耐加水分解性)、被着面への追従密着性等に優れたポリウレタン樹脂を得ることができる。
上記ポリウレタン樹脂(B’1)と上記単量体(B”)とを反応させる際には、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。上記ウレタン化触媒は、上記ウレタン化反応の任意の段階で、適宜加えることができる。上記ウレタン化反応は、イソシアネート基含有量(%)が実質的に一定になるまで行うことが好ましい。上記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸第一錫等の有機金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等を使用することができる。
また、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性のエポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物とこのエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体を用いてもよい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
接着剤組成物は、上記熱可塑性樹脂(B)として、ポリエステルポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートとの反応物である水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂を含むことが好ましい。遅延硬化性を発現することができるからである。また、水酸基を有するポリエステルウレタン樹脂は、水酸基を有する結晶性ポリエステルウレタン樹脂であることが、遅延硬化性やシート保形性に優れる点で好ましい。
接着剤組成物に含有されるポリウレタンやポリエステルウレタンが結晶性であることは、DSC測定(示差走差熱量測定)にて融点がピークとして検出されることにより確認することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接(tanδ40)が3以下であることが好ましく、中でも0.001以上2.0以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.001以上1.0以下より好ましくは0.001以上0.9以下である。熱可塑性樹脂(B)の硬化前の周波数1.0Hz、温度40℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、接着層の厚さの変化や形状変化を抑制することができる。
また、上記熱可塑性樹脂(B)は、硬化前の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接(tanδ60)が1以上であることが好ましく、中でも1.2以上20以下であることが好ましく、更に好ましくは、1.3以上15以下より好ましくは、1.5以上15以下である。熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hz、温度60℃における損失正接を上記の範囲内とすることで、被着体への追従性が優れるからである。
熱可塑性樹脂(B)の周波数1.0Hzで各温度(40℃、60℃)における損失正接は、硬化前の熱可塑性樹脂(B)を厚さ1mmで成型し、直径8mmの大きさからなる円状に成型及び裁断して試験片を作成し、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に該試験片を挟み込み、周波数1.0Hzで各温度における貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)である。
上記熱可塑性樹脂(B)の各温度における損失正接(tanδ)は、例えば、熱可塑性樹脂(B)としてウレタン樹脂を用いる場合、ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネート等の組成やその数平均分子量等を適宜選択することによって調整することができる。
上記熱可塑性樹脂(B)の融点は、30℃~120℃の範囲が好ましく、中でも35℃~100℃の範囲が好ましく、さらに40℃~80℃の範囲が好ましい。上記の範囲内に融点を有する熱可塑性樹脂(B)を用いることで、接着層の被着体に対する追従密着性を向上させることができ、また、接着剤組成物層の形状がより安定して取り扱い性が向上する。
熱可塑性樹脂(B)の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
上記熱可塑性樹脂(B)は、重量平均分子量が5500~2000000の範囲内であることが好ましく、中でも5500~1000000の範囲内であることが好ましく、5500~800000の範囲内であることが更に好ましい。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量を上記の範囲内とすることで、接着層の被着体に対する追従密着性を高くすることができる。また、接着剤組成物層の形状がより安定して取り扱い性が向上する。熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が小さすぎると、接着剤組成物の凝集力が不足して、染み出し等の取り扱い性が低下する場合がある。一方、熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量が大きすぎると、光硬化性樹脂(A)との相溶性が低下して反応が進みにくくなる場合がある。
重量平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
(条件)
・樹脂試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
・測定装置型番;HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
・溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
<光重合開始剤(C)>
接着剤組成物は、光重合開始剤(C)を1種又は2種以上含有することで、活性エネルギー線照射後の反応が促進し、接着層の接合性を高めることができる。また、接着剤組成物は、光により活性化されて反応が進行する光重合開始剤(C)を含むことで、活性エネルギー線の照射を止めた後も継続して反応が進むため、良好な遅延硬化反応を得ることが出来、急激な硬化反応による接着層の反りや変形の発生を抑制することができる。
上記光重合開始剤(C)は、光により活性化されるものであれば特に限定されない。上記光重合開始剤(C)としては、例えば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が挙げられるが、中でも、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤の少なくとも一方が好ましく、重合反応を好適に調整することができることから、光カチオン重合開始剤がより好ましい。
上記光カチオン重合開始剤としては、使用する波長の光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し得るものであれば、特に限定されない。中でも300nm~370nmの波長光によりカチオン重合性の官能基の開環反応を誘発し、かつ370nmを超える波長領域で非活性な化合物が好ましく用いられる。このような光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類が挙げられる。
オニウム塩類の具体例としては、例えば、オプトマーSP-150、オプトマーSP-170、オプトマーSP-171(いずれもADEKA社製)、UVE-1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、OMNICAT250、OMNICAT270(いずれもIGM Resin社製)、IRGACURE290(BASF社製)、サンエイドSI-60L、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L(いずれも三新化学工業社製)、CPI-100P、CPI-101A、CPI-200K(いずれもサンアプロ社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さらに、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤を用い、接着剤組成物層を多段階で硬化させてもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、必要に応じてアントラセン系、チオキサントン系等の増感剤を併用してもよい。
上記光重合開始剤(C)は、接着剤組成物の固形分全量中、0.001質量%~30質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.01質量%~20質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.1質量%~10質量%の範囲で含まれることが更に好ましい。接着剤組成物中の光重合開始剤(C)の量を上記の範囲とすることで、活性エネルギー線照射後の硬化反応が緩やかに進行し、十分な接合性及び剛性を発現した接着層を形成することができる。
<その他の成分(D)>
接着剤組成物は、上述した光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)の他に、必要に応じてその他の成分(D)を含有することができる。
接着剤組成物は、その他の成分(D)として粘着性樹脂を含むことで、接着剤組成物層が良好な常温貼合性を示すことができ、被着体に対する追従密着性の高い接着層を形成することができる。
上記粘着性樹脂は、重量平均分子量が2000~2000000の範囲内であることが好ましく、5000~1000000の範囲内であることが更に好ましく、5000~800000の範囲内であることがより好ましい。粘着性樹脂の重量平均分子量は、上述した熱可塑性樹脂(B)の重量平均分子量と同じ測定方法により測定することができる。
上記粘着性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアセタール等が挙げられる。これらの粘着性樹脂は、単独重合体でも良く、共重合体でも良い。また、これらの粘着性樹脂は、1種単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
上記粘着性樹脂は、ガラス転移温度が-30℃~20℃の範囲であることが好ましく、-25℃~10℃の範囲であることがより好ましい。上記範囲内にガラス転移温度を有する粘着性樹脂を含むことで、接着剤組成物層が、常温下において良好な粘着性及び弾性を示すことができ、被着体に対して良好な貼合性及び高い接合強度を示す接着層を形成することができる。
ガラス転移温度は、例えば動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に粘着性樹脂の試験片を挟み込み、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、上記損失弾性率(G”)を上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)で算出できる損失正接(tanδ)が最大値となる温度として算出することができる。
上記粘着性樹脂は、架橋剤や上述した光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)に含まれる官能基と反応可能な官能基が導入されていても良い。上記粘着性樹脂が架橋可能となるからである。上記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられ、光硬化性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)の重合反応を阻害しない範囲で、適時選択することが好ましい。
上記粘着性樹脂は、接着剤組成物の全量(100質量部)に対して、0.1質量部~100質量部の範囲で含まれることが好ましく、1質量部~50質量部の範囲で含まれることが好ましく、5質量部~30質量部の範囲で含まれることが好ましい。上記粘着性樹脂を上記範囲内の配合割合とすることで、接着剤組成物の常温下での貼合性、および接着層の接合性を高めることができるからである。
接着剤組成物は、その他の成分(D)として金属粒子やシリカ粒子等の無機フィラー、有機フィラー、熱膨張性粒子、シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤等を含有することができる。また、接着剤組成物は、光硬化性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)等と反応可能な光硬化型シランカップリング剤を含んでいてもよい。
接着剤組成物は、その他の成分(D)として例えば軟化剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、繊維類、酸化防止剤、加水分解防止剤、増粘剤、顔料等の着色剤、充填剤、粘着付与樹脂等を含むことができる。なお、接着剤組成物は、ガラス繊維を含まないことが好ましい。
<接着剤組成物の物性>
接着剤組成物は、融点が25℃以上であることが好ましく、30℃以上が好ましく、35℃以上が好ましく、40℃以上が好ましい。また、上記融点は、120℃以下が好ましく、90℃以下が好ましく、85℃以下が好ましく、60℃以下が好ましい。より具体的には、接着剤組成物の融点は好ましくは、30℃から120℃の範囲内、30℃から90℃の範囲内、40℃から85℃の範囲内とすることができる。接着剤組成物の融点を上記の範囲とすることで、被着体に対する追従密着性が高い接着層を形成することができる。。また、本発明のリジット基板の製造過程において、接着剤組成物層の形状安定性や取り扱い性が良好となる。
接着剤組成物の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
接着剤層組成物は、23℃における損失正接(tanδ23)が3.0未満であることが好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。また、23℃における損失正接(tanδ23)は、0.01以上、好ましくは0.1以上とすることができる。一定の厚さの接着剤層を形成することができるからである。また、本発明のリジット基板の製造過程において、接着剤組成物層の厚みを一定に保つことができ、取り扱い性が良好となるからである。接着剤組成物の損失正接は、接着剤層に含まれる光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびその他成分等の組成やその数平均分子量等を適宜選択することにより調整することができる。
接着剤組成物の23℃における損失正接(tanδ23)は、接着剤組成物を用いて厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状の接着剤組成物層を形成し、それを試験片とし、動的粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度0~150℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、23℃における上記損失弾性率(G”)を23℃における上記貯蔵弾性率(G’)により除した値(G”/G’)を23℃における損失正接(tanδ)とする。
(2)接着層A1
第1態様のリジット基板において、接着層A1は、上述した接着剤組成物の硬化物で形成され、厚さが100μm以上である。また、接着層A1は、周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上である。樹脂フィルム層単体では、所望の剛性を発揮することが困難であるところ、樹脂フィルム層B1及びB2と貼り合わせる第1態様のリジット基板において、接着層A1の厚さ及び貯蔵弾性率(E’25)をそれぞれ所定値以上とすることで、接着層A1の両面に樹脂フィルム層B1及びB2をそれぞれ貼り合わせて積層した際に、高い剛性を付与することができる。
接着層A1の厚さは、100μm以上であればよいが、中でも110μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがさらに好ましく、130μm以上であることが樹脂フィルム層B1、B2と接着層A1とを十分に密着させる点からより好ましい。また、接着層A1の厚さは、リジット基板の総厚に応じて決定されるが、2900μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましく、1000μm以下であることがより好ましい。第1態様リジッド基板を、ガラスエポキシ基板や他の基板を代替する上で適正な厚さの範囲にすることができるからである。なお、1つの接着層A1が多層構造からなる場合は、1つの接着層A1の厚さとは、多層構造全体の厚さをいう。
接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は1.0×10Pa以上であればよいが、中でも1.1×10Pa以上であることが好ましく、1.5×10Pa以上であることがさらに好ましく、2.0×10Pa以上であることが、リジット基板に高い剛性を付与する点からより好ましい。また、高剛性を有しつつ、切削加工を容易に行うことが可能なリジッド基板とすることができる点から、接着層A1のE’25は5.0×1011Pa以下であることが好ましく、1.0×1011Pa以下であることがさらに好ましく、8.0×10Pa以下であることが特に好ましい。
接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定した周波数1.0Hz、温度25℃での値であり、剥離フィルムに上述の接着剤組成物を塗布して厚さ150μmの接着剤組成物層を形成し、上記接着剤組成物層に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射した後、23℃50%RH下に30分載置した条件で光照射して、上記接着剤組成物層を硬化させて接着層A1を作製し、上記接着層A1を、ダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜いて作成したサンプルを用いて測定を行う。
接着層A1の上記貯蔵弾性率(E’25)は、例えば上述した接着剤組成物中の光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)の各成分の配合量、接着層A1の前駆体である接着剤組成物層への活性エネルギー線照射条件等により調整することが可能である。
接着層A1は、第1態様のリジット基板の総厚に占める上記接着層A1の厚さの割合が、20%~90%の範囲内であることが好ましく、中でも30%~85%の範囲内であることがさらに好ましく、50%~80%の範囲内であることがより好ましい。第1態様のリジット基板の総厚に占める接着層A1の厚さを上記範囲内とすることで、リジッド基板に高い剛性を付与することができるからである。
[2]樹脂フィルム層B1及びB2
樹脂フィルム層B1は、上記接着層A1の一方の主面に配置された層であり、樹脂フィルム層B2は、上記接着層A1の他方の主面に配置された層である。また、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である。
樹脂フィルム層B1及びB2は、それぞれフレキシブル性を有する。樹脂フィルム層B1及びB2がフレキシブル性を備えることで、本発明のリジット基板の製造において、接着層Aとの貼合が可能となる。なお「フレキシブル(性)」を有するとは、繰返し屈曲または折り曲げが可能であることをいい、具体的には、上述した剛性試験方法により測定される距離Lが45mm以上であるこという。
樹脂フィルム層B1及びB2はそれぞれ、所定の範囲内の厚さを有するものであれば、同一のフィルムであってもよく、材質、厚さ、物性等の異なるフィルムであってもよい。また、樹脂フィルム層B1及びB2はそれぞれ所定値以上の厚さを有すれば、樹脂フィルム層B1の厚さと樹脂フィルム層B2の厚さとが、同一であっても良く異なっても良い。
上記樹脂フィルム層B1及びB2の厚さは、それぞれ50μm以上である。これにより、接着層A1により発揮される剛性に加えて樹脂フィルム層Bにより発揮される剛性により、高剛性のリジット基板となるからである。また、樹脂フィルムB1及びB2がそれぞれ所定以上の厚さを有することで、本発明のリジット基板を製造する際に、接着層と貼合する際にシワが入り難く、平坦性や表面平滑性に優れたリジット基板となるからである。中でも、上記樹脂フィルム層B1及びB2の厚さはそれぞれ、60μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがさらに好ましく、80μm以上であることが好ましい。樹脂フィルム層Bにより発揮される剛性が更に高まり、より高い剛性を有するリジット基板となるからである。また、本発明のリジット基板を製造する際に、接着層A1と貼合する際にシワがより入り難くなり、表面平滑性を高めることができ、さらに製造の際の作業性に優れる点からより好ましい。一方、樹脂フィルム層B1及びB2の厚さはそれぞれ、リジット基板の総厚に応じて決定されるが、2850μm以下とすることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることが、本発明のリジット基板をガラスエポキシ基板等の汎用基板を代替し得るために適正な厚さの範囲にすることができるためより好ましい。1つの樹脂フィルム層Bが多層構造からなるフィルムである場合は、1つの樹脂フィルム層Bの厚さとは、多層構造からなるフィルム全体の厚さをいう。
樹脂フィルム層Bは、光透過性を有する透明樹脂フィルムであっても良く、光透過性を有さない不透明樹脂フィルムであっても良い。樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2の少なくとも一方が透明樹脂フィルムであることが、活性エネルギー線を透過しやすく、本発明のリジット基板の製造の際に、接着剤組成物層に十分な活性エネルギー線を照射して十分に硬化した接着層が形成されることで、より剛性の高いリジット基板となるため好ましい。なお、樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2の両方が透明樹脂フィルムである場合、接着層等の他の層も透明とすることで、本発明のリジット基板を透明基板とすることができ、透明性が要求される基板の代替として適用することが可能となる。透明樹脂フィルムは、波長200nm~780nmの光透過率が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、ガラス繊維を含まない樹脂フィルムであればよく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ乳酸、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、アクリロニトリルーブタジエン-スチレン(ABS)等の樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。中でも樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2は、それぞれ独立して、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムからなる群から選択される透明樹脂フィルムであることが好ましい。これらの樹脂フィルムは、活性エネルギー線を透過しやすく、本発明のリジット基板の製造の際に、接着剤組成物層に十分な活性エネルギー線を照射して十分に硬化した接着層が形成されることで、より剛性の高いリジット基板となるため好ましい。特に本発明のリジット基板の製造において、接着層の前駆体である接着剤組成物層との貼合の際に、作業性が良好であり、また、表面平滑性の高いリジット基板となる点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
樹脂フィルム層Bには、有機顔料、無機顔料、安定剤などの添加剤が含まれていてもよく、紫外線吸収剤や可塑剤等の紫外線透過率を低下させる成分が含まれても良い。また、上記樹脂フィルムは、表面が帯電防止処理、易接着処理、等の各種処理が施されたものであっても良い。
樹脂フィルム層Bは、単層構造からなるフィルムであってもよく、多層構造からなるフィルムであっても良い
樹脂フィルム層Bは、無色であってもよく、着色されていてもよい。
また、樹脂フィルム層Bは、耐熱性が高くてもよく、低くてもよい。耐熱性が低い樹脂フィルムとは、例えば融点が200℃以下の樹脂フィルムをいい、中でも融点が180℃以下の樹脂フィルムを好適に用いることができる。樹脂フィルム層Bの融点の下限は特に限定されないが、熱による樹脂フィルム層B及びリジット基板の反り発生を抑制する観点から樹脂フィルム層Bの融点は80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。
樹脂フィルム層Bの融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温条件で-10℃まで一旦冷却し、10分間保持した後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観察される最大発熱ピーク(発熱ピークトップ)を示す温度をいう。
樹脂フィルム層Bは、周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.1×10Pa以上であることが好ましく、1.5×10Pa以上であることがさらに好ましく、2.0×10Pa以上であることがより好ましい。樹脂フィルム層BのE’25を上記の範囲とすることで、本発明のリジット基板がより高い剛性を発揮することができるからである。また、高い剛性を達成しつつ、切削加工が容易なリジッド基板とすることができる点から、接着層A1のE’25は5.0×1011Pa以下であることが好ましく、1.0×1011Pa以下であることがさらに好ましく、8.0×10Pa以下であることがリジッド基板の切削容易性の観点からより好ましい。
樹脂フィルム層Bの周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定した周波数1.0Hz、温度25℃での値であり、測定には、樹脂フィルム層B1をダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜いたものを使用した。
[3]その他
第1態様のリジット基板は、接着層A1の片面に直接、樹脂フィルム層B1が貼合され、他方の面に直接、樹脂フィルム層B2が貼合された構成を有する。すなわち、接着層A1の片面と樹脂フィルム層B1とが接し、接着層A1の他方の面と樹脂フィルム層B2とが接する構成を有する。
[4]第1態様のリジット基板の製造方法
第1態様のリジット基板の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下に説明する第1の例又は第2の例を用いて製造することができる。
(1)第1の例
第1態様のリジット基板の製造方法の第1の例は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a1の両主面に、それぞれ樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2を貼合して積層体を形成する工程1と、上記積層体に対し、上記樹脂フィルム層B1側及び上記樹脂フィルム層B2側の少なくとも一方側から上記接着剤組成物層a1に活性エネルギー線を照射して、上記接着剤組成物層a1が硬化してなる接着層A1を形成する工程2と、をこの順に有する製造方法である。
第1の例においては、活性エネルギー線照射前の接着剤組成物層a1が感圧接着力(粘着力)を示すため、活性エネルギー線照射前に、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B1、B2とを貼合することができる。また、接着剤組成物層a1の硬化反応が完了するまで間は、樹脂フィルム層B1、B2の貼り直しや位置合わせを行うことができ、接着剤組成物層a1の硬化反応が完了して接着層A1となることで、樹脂フィルム層B1、B2を、接着層A1を介して強固に接合することができる。さらに、遅延硬化型の接着剤組成物を用いるため、先に積層体を形成した後に上記積層体に対して活性エネルギー線を照射しても、硬化収縮等により反りや変形が生じにくく、平滑性に優れたリジット基板を製造することができる。
工程1においては、あらかじめ剥離ライナーに接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1を形成した接着シートを準備し、該接着シートの剥離ライナーを除去して接着剤組成物層a1の両主面にそれぞれ樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2を貼合して積層体を形成してもよい。また、樹脂フィルム層B1の片面に直接上記接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1を形成し、該接着剤組成物層a1の樹脂フィルム層B1とは反対側の面に樹脂フィルム層B2を貼合して積層体を形成してもよい。
工程1において、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層Bとは、0.1kPa~3000KPaの範囲の圧力で貼合することが好ましく、0.5kPa~1000kPaの範囲の圧力で貼合することがより好ましく、1.0kPa~500kPaの範囲の圧力で貼合することがさらに好ましい。
また、このときの上記圧力で圧着する時間は、0.1秒~10分の範囲内が好ましく、0.3秒~5分の範囲内がさらに好ましく、0.5秒~3分の範囲内がより好ましい。圧着力及び圧着時間をそれぞれ上記の範囲とすることで、樹脂フィルム層Bの損傷を防ぎつつ、十分な圧力をかけて樹脂フィルム層Bと接着剤組成物層a1とを密着させることができ、高い接合強度を得ることができる。
工程1において、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層Bとは、常温で貼合可能であるが、加熱しながら貼合してもよく、5℃~100℃の範囲内の温度で貼合することが好ましく、10℃~70℃の範囲内の温度で貼合することがより好ましく、20℃~40℃の範囲内の温度で貼合することがさらに好ましい。貼合温度を上記の範囲とすることで、樹脂フィルム層Bの熱劣化を防ぎつつ、接着剤組成物層a1とを十分に密着させることができ、高い接合強度を得ることができる。
工程2においては、樹脂フィルムを介して接着剤組成物層a1に活性エネルギー線を照射することから、樹脂フィルム層B1及びB2の少なくとも一方が、透明樹脂フィルムであることが好ましい。また、活性エネルギー線は樹脂フィルム層B1側から照射してもよく、樹脂フィルム層B2側から照射してもよく、樹脂フィルム層B1及びB2の両側から照射してもよい。
工程2において用いる活性エネルギー線は、特に限定されないが、紫外線を用いることが好ましい。紫外線は、硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀-キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED等が挙げられる。中でもLEDは、照射時の熱の発生量が少なく、樹脂フィルム層Bの熱劣化を抑えることができるため好ましい。上記活性エネルギー線の照射装置としては、上記したもののほかに、殺菌灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、走査型、カーテン型電子線加速器等を使用することができる。
上記活性エネルギー線の照射強度は、接着剤組成物層a1が硬化反応を生じて所定の物性を示す接着層A1を形成することが可能であれば特に限定されず、10mW/cm~1000mW/cmの範囲内が好ましく、10mW/cm~800mW/cmの範囲内がさらに好ましく、50mW/cm~400mW/cmの範囲内がより好ましい。照射強度を上記の範囲内で調整することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、樹脂フィルム層Bの熱劣化を抑制することができ、また、活性エネルギー線照射後の接着剤組成物の硬化率を調整可能となる。
上記活性エネルギー線の照射時間としては、1秒~60秒の範囲内が好ましく、5秒~50秒の範囲内がさらに好ましく、10秒~40秒の範囲内であることがより好ましい。照射時間を上記範囲内で調整することで、活性エネルギー線を照射した際に生じる熱を低減できるため、樹脂フィルム層Bの熱劣化を抑制することができ、また、活性エネルギー線を照射した後の接着剤組成物の剛性を調整可能となる。
上記活性エネルギー線は、一度に照射してもよく、接着剤組成物の硬化率の調整をしやすくするために分割して照射してもよい。活性エネルギー線を分割照射する場合、例えば1分間の照射を2回に分け、30秒を2回照射してもよい。
工程2は、常温環境で実施されることが好ましい。また、活性エネルギー線を照射後の積層体を所望の温度環境に所望の時間晒すエージング処理を行ってもよい。環境温度としては、20℃~80℃の範囲内、中でも20℃~60℃の範囲内、さらに20℃~40℃の範囲内が好ましい。このとき、上述の環境温度に晒す時間は、60分~1週間が好ましく、中でも120分~3日が好ましく、さらに180分~2日間が好ましい。樹脂フィルム層Bの熱損傷を防ぎつつ接着剤組成物層a1を十分に硬化させることができ、樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2を接着剤組成物の硬化物により形成される接着層A1を介して強固に接着させることができるからである。また、常温よりも高い環境温度に晒す場合、硬化反応が完了するまでの時間をより短縮することができるからである。
(2)第2の例
また、第1態様のリジット基板の製造方法の第2の例としては、樹脂フィルム層B1の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a1を形成して積層体を得る工程1と、上記積層体の上記接着剤組成物層a1に活性エネルギー線を照射する工程2と、活性エネルギー線照射後の上記接着剤組成物層a1の硬化反応が完了する前に、上記接着剤組成物層a1の上記樹脂フィルム層B1とは反対側の面に樹脂フィルム層B2を貼合し、上記接着剤組成物層a1が硬化してなる接着層A1を形成する工程3と、をこの順に有する製造方法である。
第2の例においては、活性エネルギー線照射前の接着剤組成物層a1が感圧接着力(粘着力)を示すため、活性エネルギー線照射前に、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B1とを貼合することができる。また、樹脂フィルム層B2を貼合する前に接着剤組成物層a1に活性エネルギー線を照射するが、活性エネルギー線照射後の接着剤組成物層a1は、硬化反応の進行が緩やかであり、照射後一定の時間は感圧接着力(粘着力)を示すため、接着剤組成物層a1の硬化反応が完了する前に樹脂フィルム層B2を貼合することができ、貼り直しが可能となり、硬化収縮による反りの発生を抑制することができる。さらに接着剤組成物層a1の硬化反応が完了して接着層A1となることで、樹脂フィルム層B1、B2を、接着層A1を介して強固に接合することができる。
工程1において、積層体の形成方法は、樹脂フィルム層B1の表面に直接接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1を形成してもよく、剥離ライナーに接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1を形成した接着シートを準備し、上記接着シートの上記接着剤組成物層a1に樹脂フィルム層B1を貼り合わせてもよい。
接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B1との貼合条件については、上述の第1の例の工程1で説明した条件と同様とすることができる。
工程2において、活性エネルギー線は、積層体の樹脂フィルム層B1側から照射してもよく、積層体の接着剤組成物層a1側から照射してもよい。前者の場合は、樹脂フィルム層B1は透明樹脂フィルムが用いられる。後者の場合は、樹脂フィルム層B1は透明樹脂フィルムであってもよく、不透明、または光透過性の低い樹脂フィルムであってもよい。
工程2における活性エネルギー線の照射条件については、上述の第1の例で説明した照射条件と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
工程3において、活性エネルギー線を照射してから接着剤組成物層a1に樹脂フィルム層B2と貼合するまでの時間は、10分未満であることが好ましく、中でも1秒~8分の範囲内であることが好ましく、2秒~6分の範囲内であることがさらに好ましく、2秒~5分の範囲内であることがより好ましい。接着剤組成物層a1の硬化反応が完了する前に、接着剤組成物層a1の感圧接着性(粘着性)により、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B2とを貼合させることができるからである。
工程3において、接着剤組成物層a1に樹脂フィルム層B2を貼合する際の圧着温度は、100℃以下であることが好ましく、中でも20℃~100℃の範囲内が好ましく、40℃~90℃の範囲内がさらに好ましく、50℃~85℃の範囲内がより好ましい。樹脂フィルム層Bの熱損傷を抑制しつつ、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B2とを十分に密着貼合させることができる。
工程3において、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B2とは、0.1KPa~3000KPaの範囲の圧力で貼合することが好ましく、0.5KPa~1000KPaの範囲の圧力で貼合することがより好ましく、1.0KPa~500KPaの範囲の圧力で貼合することがさらに好ましい。このときの圧着時間は0.1秒~10分の範囲内が好ましく、0.3秒~5分の範囲内がさらに好ましく、0.5秒~3分の範囲内がより好ましい。工程3における圧着力及び圧着時間をそれぞれ上記の範囲とすることで、樹脂フィルム層B2を損傷せずに、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B2とを十分に密着貼合させることができ、高い接合強度を得ることができる。
工程3は、常温環境で実施されることが好ましい。また、接着剤組成物層a1に樹脂フィルム層B2を圧着貼合したのち、所望の環境温度に所望の時間晒されるエージング処理を行ってもよい。樹脂フィルム層Bの熱損傷を防ぎつつ接着剤組成物層a1を十分に硬化させることができ、樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2を接着剤組成物の硬化物により形成される接着層A1を介して強固に接着させることができるからである。また、常温よりも高い環境温度に晒す場合、硬化反応が完了するまでの時間をより短縮することができるからである。好ましい環境温度及び環境温度に晒す時間は、製造方法の第1の例における工程2のエージング処理の環境温度及び環境温度と同様とすることができる。
II.リジット基板の第2態様
図2は、第2態様のリジット基板の一例を示す概略断面図である。図2に示す第2態様のリジット基板20は、接着層A1(図2中符号1)と、上記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1(図2中符号2)と、上記接着層A1の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2(図2中符号3)と、を有し、上記接着層A1と上記樹脂フィルム層B2との間に、上記接着層A1側から中間層C(図2中符号4)と接着層A2(図2中符号5)とをこの順で有し、リジット基板20の総厚(図2中の符号T)が500μm以上である。上記接着層A1及び上記接着層A2はそれぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さ(図2中の符号TA1及びTA2)がそれぞれ50μm以上であり、且つ上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さの和(TA1+TA2)が100μmであり、上記接着層A1及び上記接着層A2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、それぞれ1.0×10Pa以上である。また、上記樹脂フィルム層B1及び上記樹脂フィルム層B2の厚さ(図2中の符号TB1及びTB2)がそれぞれ50μm以上である。
第2態様のリジット基板によれば、ガラスエポキシ基板並みの剛性を有することができ、反りが小さく、切削加工時に切削カスが生じにくい基板とすることができる。また、第2態様のリジット基板は、中間層Cを有することで、上記中間層Cの剛性によりリジット基板全体の剛性をさらに高めることが可能となる。さらに、リジッド基板に占める接着層の厚みを薄くしてリジッド基板を形成でき、基板の薄型化や製造コストの面で優位な場合がある。
第2態様のリジット基板は、総厚が500μm以上であることで、リジッド基板により高い剛性を付与できる。中でも、第2態様のリジット基板の総厚が600μm以上であることが好ましく、7000μm以上であることがさらに好ましく、800μm以上であることがリジッド基板により高い剛性を付与できる点からより好ましい。
また、第2態様のリジット基板の総厚は、ガラスエポキシ基板や他の基板を代替する上で適正な厚さの範囲にすることが可能となることから、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましく、1500μm以下であることがより好ましい。
以下、第2態様のリジット基板について構成部材ごとに説明する。
[1]接着層A1及び接着層A2
第2態様のリジット基板における接着層A1及び接着層A2は、それぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されている。また、上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さがそれぞれ50μm以上であり、且つ上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さの和が100μmである。さらに、上記接着層A1及び上記接着層A2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、それぞれ1.0×10Pa以上である、
(1)接着剤組成物
第2態様のリジット基板における接着層を形成する接着剤組成物の詳細については、上記「I.リジット基板の第1態様 [1]接着層A1 (1)接着剤組成物」の項で説明した接着剤組成物の詳細と同じであるため、ここでの説明は省略する。
接着層A1を形成する接着剤組成物と、接着層A2を構成する接着剤組成物とは、上述した各成分を含有し、所定の物性を具備するものであれば、同一であってもよく、異なっても良い。
(2)接着層A1及び接着層A2
第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2はそれぞれ、上述した接着剤組成物の硬化物で形成され、厚さがそれぞれ50μm以上であり、上記接着層A1及び上記接着層A2の厚さの和が100μmである。また、接着層A1及びA2はそれぞれ、周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上である。第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2の厚さ及び貯蔵弾性率(E’25)がそれぞれ所定値以上であることで、樹脂フィルム層B及び中間層Cと高い接着強度で接合でき、また、上記接着層A1及びA2の剛性によりリジッド基板に高い剛性を付与することができる。
第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2の厚さは、それぞれ50μm以上であればよいが、中でも100μm以上であることが好ましく、110μm以上であることがさらに好ましく、130μm以上であることが、樹脂フィルムB1、B2及び中間層と十分に密着でき、強固に接合できる点からより好ましい。また、リジット基板に剛性を付与しつつ、リジット基板の厚さを、ガラスエポキシ基板等の他の基板の代替に適した厚さの範囲にすることができる点から、接着層A1及びA2の厚さはそれぞれ1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、500μm以下であることがより好ましい。接着剤層A1及びA2は、それぞれ所定値以上の厚さを有すれば、接着層A1の厚さ及び接着層A2の厚さが同一であってもよく、異なってもよい。なお、1つの接着層A1が多層構造からなる場合は、1つの接着層A1の厚さとは、多層構造全体の厚さをいう。接着層A2が多層構造からなる場合についても同様である。
また、第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2の厚さの和は、100μm以上であればよいが、中でも110μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがさらに好ましく、130μm以上であることが、樹脂フィルムB1、B2及び中間層と十分に密着でき、強固に接合できる点からより好ましい。また、接着層A1及びB2の厚さの和は、1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、500μm以下であることがより好ましい。第2態様リジッド基板に高い剛性を付与しつつ、ガラスエポキシ基板や他の基板を代替する上で適正な厚さの範囲にすることができるからである。
第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は、それぞれ1.0×10Pa以上であればよいが、中でも1.1×10Pa以上であることが好ましく、1.5×10Pa以上であることがさらに好ましく、2.0×10Pa以上であることが、第2態様のリジッド基板に高い剛性を付与できるためより好ましい。また、接着層A1及びA2のE’25はそれぞれ5.0×1011Pa以下であることが好ましく、1.0×1011Pa以下であることがさらに好ましく、8.0×10Pa以下であることが、高い剛性を有しつつ切削がし易いリジッド基板となる点からより好ましい。
第2態様のリジット基板における、接着層A1およびA2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は、それぞれ動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定した周波数1.0Hz、温度25℃での値であり、測定方法は上記「I.リジット基板の第1態様 [1]接着層A1 (1)接着層A1」の項で説明した接着層A1のE’25の測定方法と同様である。
第2態様のリジット基板における、接着層A1およびA2の上記の貯蔵弾性率(E’25)は、それぞれ、接着層A1、A2の形成に使用される、上述した接着剤組成物中の光硬化性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)の各成分の配合量や、接着層A1及びA2の前駆体である接着剤組成物層への活性エネルギー線の照射条件等により調整することが可能である。
第2態様のリジット基板の総厚に占める上記接着層A1およびA2の厚さの総和の割合が、20%~90%の範囲内であることが好ましく、中でも30%~85%の範囲内であることがさらに好ましく、30%~80%の範囲内であることがより好ましい。第2態様のリジット基板の総厚に占める接着層A1およびA2の厚さの総和を上記範囲内とすることで、樹脂フィルム層B1、B2及び中間層との積層により、高い剛性をもったリジッド基板となる。
また、第2態様のリジット基板において、接着層A1の厚さTA1および接着層A2の厚さTA2の総和(TA1+TA2)と、樹脂フィルム層B1の厚さTB1及び樹脂フィルム層B2の厚さTB2の総和(TB1+TB2)との比[(TA1+TA2)/(TB1+TB2)]が、0.3~4の範囲内であることが好ましく、中でも0.4~3.7の範囲内であることがさらに好ましく、0.5~3.5の範囲内であることがより好ましい。第2態様のリジット基板において、接着層A1及びA2の厚さの総和と、樹脂フィルム層B1及びB2の厚さの総和との比を上記の範囲内とすることで、中間層の種類や厚さによらず、最表層を樹脂フィルム層B1、B2で覆いながら、接着層A1、A2により発揮される剛性及び樹脂フィルム層B1,B2により発揮される剛性により、高い剛性をもったリジット基板にできる。
[2]樹脂フィルム層B1及びB2
第2態様のリジット基板における樹脂フィルム層B1及びB2は、厚さがそれぞれ50μm以上である。これにより、接着層A1及びA2、並びに中間層Cにより発揮される剛性に加えて樹脂フィルム層Bにより発揮される剛性により、高剛性のリジット基板となるからである。また、樹脂フィルムB1及びB2がそれぞれ所定以上の厚さを有することで、本発明のリジット基板を製造する際に、接着層と貼合する際にシワが入り難く、平坦性や表面平滑性に優れたリジット基板となるからである。中でも、上記樹脂フィルム層B1及びB2の厚さはそれぞれ、60μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがさらに好ましく、80μm以上であることが好ましい。樹脂フィルム層Bにより発揮される剛性が更に高まり、より高い剛性を有するリジット基板となるからである。また、本発明のリジット基板を製造する際に、接着層A1、A2と貼合する際にシワがより入り難くなり、表面平滑性を高めることができ、さらに製造の際の作業性に優れる点からより好ましい。一方、樹脂フィルム層B1及びB2の厚さはそれぞれ、リジット基板の総厚に応じて決定されるが、2800μm以下とすることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることが、本発明のリジット基板をガラスエポキシ基板等の汎用基板を代替し得るために適正な厚さの範囲にすることができるためより好ましい。1つの樹脂フィルム層Bが多層構造からなるフィルムである場合は、1つの樹脂フィルム層Bの厚さとは、多層構造からなるフィルム全体の厚さをいう。
樹脂フィルム層B1及びB2はそれぞれ、所定の範囲内の厚さを有するものであれば、同一のフィルムであってもよく、材質、厚さ、物性等の異なるフィルムであってもよい。また、樹脂フィルム層B1及びB2はそれぞれ所定値以上の厚さを有すれば、樹脂フィルム層B1の厚さと樹脂フィルム層B2の厚さとが、同一であっても良く異なっても良い。
その他、第2態様のリジット基板における樹脂フィルム層B1及びB2の詳細については、上記「I.リジット基板の第1態様 [2]樹脂フィルム層B1及びB2」の項で説明した第1態様のリジット基板における樹脂フィルム層B1及びB2の詳細と同じであるため、ここでの説明は省略する。
[3]中間層C
第2態様のリジット基板における中間層Cは、接着層A1と接着層A2との間に配置される層である。中間層Cとしては、ガラス繊維を含まない層であればよく、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、硬質ポリ塩化ビニル、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ乳酸、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、アクリロニトリルーブタジエン-スチレン(ABS)等の樹脂からなる樹脂フィルム;紙ベークライト、布ベークライト等のベークライトシート;メラミン等の化粧シートや化粧板;マイカ、タルク等の鉱物板や鉱物シート;等が挙げられる。中でも中間層Cが硬質塩化ビニル層、メラミン化粧板、紙ベークライト層、布ベークライト層、雲母板からなる群から選択される層であることが好ましい。これらは、厚さに対する剛性が高く、接着層A1及びA2並びに樹脂フィルムB1及びB2が有する剛性に加えて、上記中間層の有する剛性により、リジッド基板全体により高い剛性を付与できるからである。
中間層Cの厚さは、特に限定されないが、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、150μm以上であることがより好ましい。また、中間層Cの厚さは、400μm以下であることが好ましく、350μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることがより好ましい。中間層の厚みを上記の範囲内とすることで、リジッド基板に高い剛性を付与しながら、ガラスエポキシ基板等の汎用基板を代替し得る適正な厚み範囲におさめることができるからである。
中間層Cは、周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、1.0×10Pa以上であることが好ましく、中でも1.5×10Pa以上であることが好ましく、2.0×10Pa以上であることがさらに好ましい。中間層Cの貯蔵弾性率(E’25)を上記の値以上とすることで、リジッド基板に高い剛性を付与できるからである。また、中間層CのE’25はそれぞれ5.0×1011Pa以下であることが好ましく、1.0×1011Pa以下であることがさらに好ましく、8.0×10Pa以下であることが、リジッド基板の切削のし易さの点からより好ましい。
中間層Cの周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)は、上述した接着層又は樹脂フィルムの周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)の測定方法と同様とすることができる。
[4]その他
第2態様のリジット基板は、樹脂フィルム層B1と、接着層A1と、中間層Cと、接着層A2と、樹脂フィルム層B2とがこの順に積層されており、樹脂フィルム層B1及び接着層A1、接着層A1及び中間層C、中間層Cと接着層A2、接着層A2及び樹脂フィルム層B2とが接着していることが好ましい。
また、第2態様のリジット基板は、上記接着層A1と樹脂フィルム層B2との間には、中間層C及び接着層A2のセットを少なくとも1つ有するが、中間層C及び接着層A2のセットを2以上有していても良い。例えば、中間層C及び接着層A2のセットを2つ有する第2態様のリジット基板は、樹脂フィルム層B1と、上記樹脂フィルム層B1に接する接着層A1と、上記接着層A1に接する中間層C1と、上記中間層C1に接する接着層A2aと、上記接着層A2aに接する中間層C2と、上記中間層C2に接する接着層A2bと、上記接着層A2bに接する樹脂フィルム層B2と、を有する層構成とすることができる。
[5]製造方法
第2態様のリジット基板の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下に説明する第1の例又は第2の例を用いて製造することができる。
(1)第1の例
第2態様のリジット基板の製造方法の第1の例は、樹脂フィルム層B1の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a1が配置された積層体1、並びに、樹脂フィルム層B2の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a2が配置された積層体2を準備する工程1と、中間層Cの一方の面と上記積層体1の接着剤組成物層a1とが接するように、中間層Cと積層体1とを貼合し、中間層Cの他方の面と上記積層体2の接着剤組成物層a1とが接するように、中間層Cと積層体2とを貼合して、樹脂フィルム層B1、接着剤組成物層a1、中間層C、接着剤組成物層a2及び樹脂フィルム層B2がこの順で積層した積層体3を形成する工程2と、上記積層体3の樹脂フィルム層B1側及び樹脂フィルム層B2側からそれぞれ、接着剤組成物層a1及び接着剤組成物層a2に活性エネルギー線を照射して、接着剤組成物層a1及び接着剤組成物層a2が硬化してなる接着層A1及び接着層A2を形成する工程3と、をこの順に有する製造方法である。
第1の例においては、活性エネルギー線照射前の接着剤組成物層a1、a2がそれぞれ上述した接着剤組成物で形成されており、感圧接着力(粘着力)を示すため、活性エネルギー線照射前に、接着剤組成物層a1、a2と中間層Cとを貼合することができる。また、接着剤組成物層a1、a2の硬化反応が完了するまで間は、中間層Cの貼り直しや位置合わせを行うことができ、接着剤組成物層a1、a2の硬化反応が完了して接着層A1、A2となることで、樹脂フィルム層B1及びB2並びに中間層Cを、接着層A1、A2を介して強固に接合することができる。さらに、遅延硬化型の接着剤組成物を用いるため、先に積層体を形成した後に活性エネルギー線を照射しても、硬化収縮等により反りや変形が生じにくく、平滑性に優れたリジット基板を製造することができる。
工程1においては、あらかじめ剥離ライナーに接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1、a2を形成した接着シートをそれぞれ準備し、該接着シートの剥離ライナーを除去して接着剤組成物層a1、a2の両主面にそれぞれ樹脂フィルム層B1、B2を貼合して積層体1、2を形成してもよい。また、樹脂フィルム層B1、B2の片面に直接上記接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層a1、a2を形成して積層体1、2を形成してもよい。
工程1において、接着剤組成物層a1、a2と樹脂フィルム層B1、B2との貼合条件は、上述した第1態様のリジット基板の製造方法の第1の例の工程1で説明した、接着剤組成物層a1と樹脂フィルム層B1との貼合条件と同様とすることができる。
工程2において、中間層Cと上記積層体1の接着剤組成物層a1及び上記積層体2の接着剤組成物層a1とを貼合させる際の貼合条件は、工程1における接着剤組成物層と樹脂フィルム層との貼合条件と同様とすることができる。
工程3においては、樹脂フィルム層B1、B2を介して接着剤組成物層a1、a1にそれぞれ活性エネルギー線を照射することから、樹脂フィルム層B1及びB2の両方が、透明樹脂フィルムであることが好ましい。
工程3において用いる活性エネルギー線の種類や照射条件については、上述した第1態様のリジット基板の製造方法の第1の例の工程2で説明した、活性エネルギー線の種類や照射条件と同様とすることができる。
工程3は、常温環境で実施されることが好ましいが、活性エネルギー線を照射後、積層体を所望の環境温度に所望の時間晒すエージング処理を行っても良い。樹脂フィルム層Bの熱損傷を防ぎつつ接着剤組成物層a1、a2を十分に硬化させることができ、樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2、並びに中間層Cを接着剤組成物の硬化物により形成される接着層A1、A2を介して強固に接着させることができるからである。また、常温よりも高い環境温度に晒す場合、硬化反応が完了するまでの時間をより短縮することができるからである。
(2)第2の例
第2態様のリジット基板の製造方法の第2の例は、樹脂フィルム層B1の一方の面に接着剤組成物層a1が配置された積層体1、および樹脂フィルム層B2の一方の面に接着剤組成物層a2が配置された積層体2を準備する工程1と、上記積層体1の接着剤組成物層a1および上記積層体2の接着剤組成物層a2にそれぞれ活性エネルギー線を照射する工程2と、上記接着剤組成物層a1、a2の硬化反応が完了する前に、中間層Cの一方の面と上記積層体1の接着剤組成物層a1とが接するように、中間層Cと積層体1とを貼合し、中間層Cの他方の面と上記積層体2の接着剤組成物層a1とが接するように、中間層Cと積層体2とを貼合して、接着剤組成物層a1及び接着剤組成物層a2が硬化してなる接着層A1及びA2を形成する工程3と、をこの順に有する製造方法である。
第2の例においては、活性エネルギー線照射前の接着剤組成物層a1、a2がそれぞれ感圧接着力(粘着力)を示すため、活性エネルギー線照射前に、接着剤組成物層a1、a2と樹脂フィルム層B1、B2とを貼合することができる。また、中間層Cと貼合する前に接着剤組成物層a1、a2に活性エネルギー線を照射するが、活性エネルギー線照射後の接着剤組成物層a1、a2は、硬化反応の進行が緩やかであり、照射後一定の時間は感圧接着力(粘着力)を示すため、接着剤組成物層a1、a2の硬化反応が完了する前に中間層Cを貼合することができる。さらに接着剤組成物層a1、a2の硬化反応が完了して接着層A1、A2となることで、樹脂フィルム層B1及び中間層C、並びに樹脂フィルム層B2及び中間層Cを、接着層A1並びに接着層A2を介して強固に接合することができる。
第2の例における各工程の条件等については、上述した第1態様のリジット基板の製造方法の第2の例の各工程で説明した条件と同様とすることができる。
III.リジット基板
本発明のリジット基板は、上述した第1態様及び第2態様のいずれも、樹脂フィルム層や中間層等の構成部材が、上述した所定の接着剤組成物の硬化物で形成された接着層を介して接合されるため、光硬化性接着剤や熱硬化性接着剤の硬化物で形成された接着層を介して接合された場合と比較して、反りが小さく高い平坦性を有することができる。
本発明のリジット基板の平坦性として具体的には、四角形に裁断された前記リジット基板を水平面上に載置したときに、前記リジット基板の4辺の前記水平面からの反り量がそれぞれ2500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、500μm以下であることがより好ましい。反り量が上記の範囲内にあることで、リジット基板の用途の中でも、半導体デバイスにおける支持基板や研磨パッドの補強板等の特に反りが小さく高い平坦性が要求される用途に好適に用いることができる。なお、リジット基板の4辺の各辺の反り量を測定する位置は、リジット基板を水平面に載置したときに、各対象辺において水平面から最も離れた位置とする。
本発明のリジット基板は、第1態様及び第2態様のいずれも、剛性が高いこと、反りが小さく平坦性が高いこと、及び切削加工時の切削カスの発生量が少ないことから、剛性を有する汎用の基板の代替として用いることができ、中でも同じ厚さのガラスエポキシ基板と同等の剛性を有することから、ガラスエポキシ基板の代替として好適に用いることができる。
また、本発明のリジット基板の具体的な用途としては、従来ガラスエポキシ基板が用いられている用途に好適に用いることができ、例えば半導体デバイスにおける支持基板(半導体用基板)、研磨パッド用補強板等が挙げられる。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
<熱可塑性樹脂(X-1)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール51質量部と、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、熱可塑性樹脂(X-1)としてポリエステルポリウレタンを得た。なお、上記ポリエステルポリウレタンは重合性官能基として水酸基を有した。
<接着シート(A1-1)の作成>
熱可塑性樹脂(X-1)40質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL-2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N-685-EXP-S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI-100P」、固形分濃度50%)2.5質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)10.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物層を形成した後、接着剤組成物層が暴露している面と剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とをハンドローラーを用いて貼り合わせ、接着シート(A1-1)を得た。
<熱可塑性樹脂(X-2)の調製>
反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、フタル酸及びアジピン酸を反応させて得られる数平均分子量1300の芳香族ポリエステルポリオール51質量部と、1,6-ヘキサンジオールとドデカン二酸を反応させて得られる数平均分子量3500の脂肪族ポリエステルポリオール32質量部と、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール7質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物2質量部と、を混合し、減圧条件下にて100℃に加熱することにより、水分率が0.05質量%になるまで脱水して混合物とした。
次に、上記混合物を70℃まで冷却したものと、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート8.0質量部とを混合した後、100℃まで昇温し、水酸基含有量が一定となるまで3時間反応させることによって、熱可塑性樹脂(X-2)としてポリエステルポリウレタンを得た。なお、上記ポリエステルポリウレタンは重合性官能基として水酸基を有した。
<接着シート(A1-2)の作成>
熱可塑性樹脂(X-2)43質量部、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製 「CEL-2021P」)22質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製 「N-685-EXP-S」)35質量部、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製 「CPI-100P」、固形分濃度50%)2.5質量部、及び疎水性シリカ粒子(富士シリシア社製 「サイロホービック603」、平均粒径6.7μm)10.0質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトンを加え不揮発分を75質量%になるよう調整することにより接着剤組成物を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物層を形成した後、接着剤組成物層が暴露している面と剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とをハンドローラーを用いて貼り合わせ、接着シート(A1-2)を得た。
<熱可塑性樹脂(X-3)の調製>
反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000)を44.1質量
部、1,4-シクロヘキサンジメタノールと1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルと
を反応させて得られたポリカーボネートポリオール(数平均分子量900)を40.8質
量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.2質量部、2,6-ジ-ターシャリーブチ
ル-クレゾールを0.3質量部、p-メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
反応容器内の温度を40℃に調整した後、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート14.9質量部を上記反応容器に添加した。
次に、上記反応容器にジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部を添加し、1時間
かけて80℃まで昇温させ、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却
することによって、熱可塑性樹脂(X-3)として重合性官能基として重合性不飽和二重結合を有する重量平均分子量35000のポリウレタンを得た。
<接着シート(A1-3)の作成>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を備え、80℃に調整された反応容器に、重合性官能基として、上記重合性不飽和二重結合を有する熱可塑性樹脂(X-3)100質量部と、酢酸エチル67質量部とを供給し混合した。次に、上記混合物にイルガキュア 184(BASF株式会社製)0.3質量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.3質量部を供給し攪拌することにより、接着剤組成物を含む接着剤溶液を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、上記接着剤組成物を含む接着剤溶液を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥して接着剤組成物層を形成した後、接着剤組成物層が暴露している面と剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とを、ハンドローラーを用いて貼り合わせ、接着シート(A1-3)を得た。
<接着シート(A1-4)の作成>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート44.9質量部、2-エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸2質量部、酢酸ビニル3質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.1質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、70℃で10時間重合することによって、重量平均分子量80万のアクリル系共重合体溶液を得た。
次に、アクリル系共重合体100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(荒川化学工業株式会社製 ペンセルD-160、軟化点150~160℃)を40質量部添加し、酢酸エチルを加えて混合した後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL-45」、固形分45質量%)を1.1質量部添加し15分攪拌し感圧性接着剤溶液(X-4)を得た。
次に、剥離ライナーA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、感圧性接着剤溶液(X-4)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが150μmになるように塗工し、85℃の乾燥機に15分間投入し乾燥して接着剤組成物層を形成した後、接着剤組成物層が暴露している面と剥離ライナーB(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の剥離処理された面とを、ハンドローラーを用いて貼り合わせ、40℃温度環境下に2日放置し、接着シート(A1-4)を得た。
(実施例1)
接着シート(A1-1)を4枚準備し、剥離ライナーを剥がして4枚重ね合わせ、厚み600μmの接着剤組成物層a1を形成し、上記接着剤組成物層a1の一方の面に、樹脂フィルム層B1として厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(E’25℃ =約2.0×10Pa)を、ハンドローラーを用いて貼合した後、接着剤組成物層a1のもう一方の面に、樹脂フィルム層B2として厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(E’25℃ =約2.0×10Pa)を、ハンドローラーを用いて貼合わせて、積層体を形成した。
次いで、上記積層体に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射した後、23℃50%RH下に30分載置し、樹脂フィルム層B1/接着層A1/樹脂フィルム層B2の層構成(/は接着界面)からなる基板サンプルを作成した。
(実施例2)
接着シート(A1-1)の代わりに上記接着シート(A1-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして基板サンプルを作成した。
(実施例3)
接着シート(A1-1)の剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤組成物層a1の一方の面に樹脂フィルム層B1として厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(E’25℃ =約2.0×10Pa)をハンドローラーを用いて貼合せ、接着剤組成物層a1の他方の面に用いて中間層Cとして厚さ200μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(E’25℃ =約2.0×10Pa)を、ハンドローラーを用いて貼合せた。次に、別の接着シート(A1-1)の剥離ライナーを剥がして、露出させた接着剤組成物層a2の一方の面と上記上記中間層Cの接着剤組成物層a1に接する面と反対側の面とを貼合した後、接着剤組成物層a2の他方の面に樹脂フィルム層B2として厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(E’25℃ =約2.0×10Pa)を貼合せて積層体を形成した。
次いで、上記積層体に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射した後、23℃50%RH下に30分載置し、樹脂フィルム層B1/接着層A1/中間層C/接着層A2/樹脂フィルム層B2の層構成(/は接着界面を表す)からなる基板サンプルを作成した。
(比較例1)
接着シート(A1-1)の剥離ライナーを剥がし、露出した接着剤組成物層a1の一方の面に、樹脂フィルム層B1として厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼合した後、接着剤組成物層a1のもう一方の面に、樹脂フィルム層B2として厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを、ハンドローラーを用いて貼合せ積層体を形成した。
次いで、上記積層体に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射した後、23℃50%RH下に30分載置し、樹脂フィルム層B1/接着層A1/樹脂フィルム層B2の層構成(/は接着界面)からなる基板サンプルを作成した。
(比較例2)
上記接着シート(A1-1)の代わりに上記接着シート(A1-3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして基板サンプルを作成した。
(比較例3)
上記接着シート(A1-1)の代わりに上記接着シート(A1-4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして基板サンプルを作成した。
(参考例)
厚さ800μmのガラスエポキシ基板を参考例とした。
<評価1:接着層の貯蔵弾性率E’25℃
各実施例及び比較例で使用した接着剤組成物を、剥離フィルムに塗布して厚さ150μmの接着剤組成物層を形成し、上記接着剤組成物層に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて、約100mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射した後、23℃50%RH下に30分載置した条件で光照射して硬化させて、接着層を作製し、上記接着層をダンベルカッターを用いてJIS K 7127の試験片タイプ5の形状に打ち抜き、上記試験片の動的粘弾性を、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、商品名:RSA-II)を用いて測定し、周波数1.0Hz、温度25℃での貯蔵弾性率E’を測定した。その測定値を各実施例及び比較例でサンプルが有する接着層の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)とした。
<評価2:反りの有無>
実施例及び比較例で作成した基板サンプル、並びに参考例のガラスエポキシ基板を四角形に裁断した評価サンプルを用い、水平がとれた机上に該評価サンプルを載置し、水平面からの該評価サンプルの4辺の浮きをそれぞれ目視観察し、以下の基準より基板サンプル及びガラスエポキシ基板の、載置面(水平面)からの反り量(浮き距離)を測定し、反りの有無を評価した。なお、実施例及び比較例で作成した基板サンプルは、作成後10分経過したものを使用した。評価サンプルの各辺の反り量(浮き距離)を測定する位置は、評価サンプルを水平面に載置したときに、各対象辺において水平面から最も離れた位置とする。
(評価)
〇:評価サンプルの4辺の水平面からのそり量(浮き距離)がいずれも1mm未満であった
△:評価サンプルの4辺のうち、水平面からのそり量(浮き距離)が、1mm以上2.5mm以下である辺が一つ以上あった
×:評価サンプルの4辺のうち、水平面からのそり量(浮き距離)が2.5mmを超える辺が一つ以上あった
<評価3:剛性>
実施例及び比較例で作成した基板サンプル、並びに参考例のガラスエポキシ基板から、それぞれ長手方向Xの長さ100mm、短手方向Yの長さ15mmに切り出した評価サンプルを作成し、図3に示すように、評価サンプルSの長手方向Xの一方の端部Aから10mmの領域を固定し、荷重をかける前の評価サンプルSの他方の端部Bの位置を基準Oとした。次に、固定された評価サンプルSの端部Bに5gの荷重Wをかけて5秒静置後、垂直(荷重)方向Zにおける評価サンプルSの端部Bの位置Pを計測した。荷重Wをかける前の評価サンプルSの端部Bの位置(基準O)から荷重Wをかけたときの評価サンプルSの端部Bの位置Pまでの距離Lを計算し、以下の基準より剛性を評価した。
(評価)
〇:距離Lが15mm未満
△:距離Lが15mm以上45mm以下
×:距離Lが45mmを超える
<評価4:切削時の切削粉の有無>
実施例及び比較例で作成した基板サンプル、並びに参考例のガラスエポキシ基板を、それぞれダイシングソー(ディスコ社製、商品名「DAD-522」)を用いて幅50mm×長さ60mmのサイズに切断した。なお、ブレードにはZH05-SD4000-N1-70-BB(ディスコ社製)を用い、条件をブレードハイト90μm、ブレード回転数40000rpm、ダイシング速度40mm/秒とした。以下の基準に従って切削粉の有無を評価した。
(評価)
〇:切削粉が発生しなかった、もしくは切削粉が目視で確認されなかった
×:切削粉が切断時に発生した
実施例及び比較例の構成及び評価結果を下記表に示す。
Figure 2022044987000002
表1より、樹脂フィルム層B1/接着層A1樹脂フィルム層B2の層構成を有し且つ総厚が所定値以上であり、接着層A1が所定の接着剤組成物の硬化物により形成され、且つ、接着層A1の厚さ及び貯蔵弾性率(E’25)、並びに樹脂フィルム層B1及びB2の厚さがそれぞれ所定値以上である実施例1及び2の基板サンプル(本発明の第1態様のリジット基板)は、同じ総厚のガラスエポキシ基板並みの剛性を有し、反りが無く、切削時に切削粉の発生が見えられなかった。
また、樹脂フィルム層B1/接着層A1/中間層C/接着層A2/樹脂フィルム層B2の層構成を有し且つ総厚が所定値以上であり、接着層A1、A2がそれぞれ所定の接着剤組成物の硬化物により形成され、接着層A1、A2の厚さ及び貯蔵弾性率(E’25)、並びに樹脂フィルム層B1及びB2の厚さがそれぞれ所定値以上である実施例3の基板サンプル(本発明の第2態様のリジット基板)も、ガラスエポキシ基板並みの剛性を有し、反りが無く、切削時に切削粉の発生が見えられなかった。
一方、比較例1の基板サンプルは、樹脂フィルム層及びサンプルの総厚が所定の範囲を満たさず、ガラスエポキシ基板並みの剛性が得られなかった。また、比較例2の基板サンプルは、接着層が、ラジカル重合反応により硬化する光硬化性接着剤(ラジカル硬化性接着剤)の硬化物により形成されており、同じ厚さのガラスエポキシ基板と比較して基板サンプルの反りが大きかった。比較例3の基板サンプルは、接着層の貯蔵弾性率(E’25)が所定の範囲を満たさず、同じ厚さのガラスエポキシ基板と同等の剛性が得られなかった。
1…接着層A1
2…樹脂フィルム層B1
3…樹脂フィルム層B2
4…中間層
5…接着層A2
10、20…リジット基板

Claims (14)

  1. 接着層A1と、前記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、前記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を少なくとも有し、
    総厚が500μm以上であり、
    前記接着層A1は、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、
    前記接着層A1の厚さが100μm以上であり、且つ、前記接着層A1の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が1.0×10Pa以上であり、
    前記樹脂フィルム層B1及び前記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である、リジット基板。
  2. 前記総厚に占める前記接着層A1の厚さの割合が、10%~95%の範囲内である、請求項1に記載のリジット基板。
  3. 接着層A1と、前記接着層A1の一方の主面に配置された樹脂フィルム層B1と、前記接着層の他方の主面に配置された樹脂フィルム層B2と、を有し、
    前記接着層A1と前記樹脂フィルム層B2との間に、前記接着層A1側から中間層Cと接着層A2とをこの順で有し、
    総厚が500μm以上であり、
    前記接着層A1及び前記接着層A2はそれぞれ、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物で形成されており、
    前記接着層A1及び前記接着層A2の厚さがそれぞれ50μm以上であり、且つ前記接着層A1及び前記接着層A2の厚さの和が100μmであり、
    前記接着層A1及び前記接着層A2の周波数1.0Hzで測定される25℃での貯蔵弾性率(E’25)が、それぞれ1.0×10Pa以上であり、
    前記樹脂フィルム層B1及び前記樹脂フィルム層B2の厚さがそれぞれ50μm以上である、リジット基板。
  4. 前記中間層Cが、樹脂フィルム、ベークライトシート、化粧シート、化粧板、および鉱物シートからなる群から選択される層である、請求項3に記載のリジット基板。
  5. 前記中間層Cが、硬質塩化ビニル層、メラミン化粧板、紙ベークライト層、布ベークライト層、雲母板からなる群から選択される層である、請求項3又は4に記載のリジット基板。
  6. 前記総厚に占める前記接着層A1及び前記接着層A2の厚さの総和の割合が、10%~80%の範囲内である、請求項3~5のいずれか1項に記載のリジット基板。
  7. 前記樹脂フィルム層B1及び前記樹脂フィルム層B2の少なくとも一方は透明樹脂フィルム層である、請求項1~6のいずれか1項に記載のリジット基板。
  8. 前記樹脂フィルム層B1及び前記樹脂フィルム層B2は、それぞれ独立して、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムからなる群から選択される樹脂フィルムである、請求項1~7のいずれか1項に記載のリジット基板。
  9. 四角形に裁断された前記リジット基板を水平面上に載置したときに、前記リジット基板の4辺の前記水平面からの反り量がそれぞれ2500μm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のリジット基板。
  10. ガラスエポキシ基板の代替に用いられる請求項1~9のいずれか1項に記載のリジット基板。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載のリジット基板を用いた半導体用支持基板。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載のリジット基板を用いた研磨パッド用補強板。
  13. 請求項1~2、及び請求項7~10のいずれか1項に記載のリジット基板の製造方法であって、
    重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a1の両主面に、それぞれ樹脂フィルム層B1及び樹脂フィルム層B2を貼合して積層体を形成する工程1と、
    前記積層体に対し、前記樹脂フィルム層B1側及び前記樹脂フィルム層B2側の少なくとも一方側から前記接着剤組成物層a1に活性エネルギー線を照射して、前記接着剤組成物層a1が硬化してなる接着層A1を形成する工程2と、
    をこの順に有するリジット基板の製造方法。
  14. 請求項3~10のいずれか1項に記載のリジット基板の製造方法であって、
    樹脂フィルム層B1の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a1が配置された積層体1、並びに樹脂フィルム層B2の一方の面に、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する光硬化性樹脂、重合性不飽和二重結合以外の重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、及び光重合開始剤、を少なくとも含む接着剤組成物層a2が配置された積層体2を準備する工程1と、
    中間層Cの一方の面と前記積層体1の前記接着剤組成物層a1とが接するように、前記中間層Cと前記積層体1とを貼合し、前記中間層Cの他方の面と前記積層体2の前記接着剤組成物層a1とが接するように、前記中間層Cと前記積層体2とを貼合して、前記樹脂フィルム層B1、前記接着剤組成物層a1、前記中間層C、前記接着剤組成物層a2及び前記樹脂フィルム層B2がこの順で積層した積層体3を形成する工程2と、
    前記積層体3の前記樹脂フィルム層B1側及び前記樹脂フィルム層B2側からそれぞれ、前記接着剤組成物層a1及び前記接着剤組成物層a2に活性エネルギー線を照射して、前記接着剤組成物層a1及び前記接着剤組成物層a2が硬化してなる接着層A1及び接着層A2を形成する工程3と、
    をこの順に有するリジット基板の製造方法。
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