JP2022015080A - 真正品であることを示すための情報を有する合わせガラス用中間膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供すること、および合わせガラスを破壊しなくても、合わせガラスに挟持されている中間膜が真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供すること。【解決手段】少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなる合わせガラス用中間膜であって、該合わせガラス用中間膜が真正品であることを示すための情報を有する合わせガラス用中間膜。【選択図】なし

Description

本発明は、真正品であることを示すための情報を有する合わせガラス用中間膜に関する。
樹脂膜からなる合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と称することもある)を複数枚のガラスの間に挟んだ構造を有する合わせガラスは、ガラスが破損した際に大きなガラスの破片が飛散しない、飛来物が貫通しない、といった特性を有しており、建築物または車両(例えば自動車)等の窓ガラスとして利用されている。
中間膜は、一部の装飾ガラス用の中間膜等を除き、無色透明であることが多い。従って、外観から中間膜を特定することは容易ではない。また、合わせガラスに挟持されている中間膜を、特に合わせガラスの外観から、特定することは困難である。
近年、悪質な流通業者が、真正品と偽って真正品でない中間膜を販売したり、悪質な合わせガラス製造業者が、合わせガラスの使用者に指定された中間膜以外の中間膜を使用して合わせガラスを製造し、指定された中間膜を含む合わせガラスであると偽って使用者に販売したりするケースが発生している。この場合、中間膜の購入者または合わせガラスの使用者が偽装に気付くことは困難であり、指定された中間膜とは異なる低品質の中間膜に起因すると考えられる、長期間使用後の着色またはガラスからの剥離等の問題が起こることがあった。このような背景から、前記購入者または前記使用者が、中間膜が真正品であることを容易に確認できる方法が望まれている。
特開2013-91591号公報
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供すること、および合わせガラスを破壊しなくても、合わせガラスに挟持されている中間膜が真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供することを第一の課題とする。
また、本発明者は前記課題を達成するため、中間膜に特定の情報を付与する方法を検討したが、その際、新たな課題があることを見出した。中間膜に使用される樹脂は多くの場合、熱可塑性樹脂であり、繰り返し溶融成形することができる。従って、特許文献1に記載されているように、中間膜の製造工程で発生した中間膜の両端の不要部分(耳)、合わせガラスの製造工程で発生した中間膜の周囲の不要部分(トリム)、合わせガラスの製造工程で発生した不良品の合わせガラスからガラスを分離し得られた中間膜、および使用済み車両または老朽化した建築物を解体して得られた合わせガラスからガラスを分離して得られた中間膜(以下、これらを「トリム等」と称する)を再度溶融成形して中間膜(以下、「再生中間膜」と称する)を製造する取り組みが行われている。一方で、前記取り組みにおいて、再生中間膜の原料として特定の情報を有する中間膜のトリム等を用いる場合、再生後の中間膜が再生前の中間膜と同じ情報を有することがあり、このような場合には再生前後の中間膜を区別できないことがある。従って、第三者が特定の情報を有する中間膜のトリム等を入手し、これを原料として再生中間膜を製造し、元の特定の情報を有する中間膜と偽って市場に提供することが可能であるという課題があることを本発明者は見出した。従って、本発明の限定的な課題は、前記第一の課題に加えてこの課題を解決すること、即ち、特定の情報を有する合わせガラス用中間膜であって、そのトリム等を再度溶融成形して得られる中間膜は、元の中間膜が有する特定の情報を有さないものである中間膜を提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の合わせガラス用中間膜が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の好適な実施形態を包含する。
[1]少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなる合わせガラス用中間膜であって、該合わせガラス用中間膜が真正品であることを示すための情報を有する合わせガラス用中間膜。
[2]前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の製品名、製造者、製造工場、製造年月日、製造ライン、販売先およびロット番号を表す情報並びにそれらを暗号化した情報からなる群から選択される少なくとも1種の情報を含んでいる、前記[1]に記載の合わせガラス用中間膜。
[3]前記情報は、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、カラーコードおよびRFタグからなる群から選択される少なくとも1つの媒体により前記合わせガラス用中間膜に付与されている、前記[1]または[2]に記載の合わせガラス用中間膜。
[4]前記媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収するラベル化合物で構成されている、前記[3]に記載の合わせガラス用中間膜。
[5]前記媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波を発するラベル化合物で構成されている、前記[3]または[4]に記載の合わせガラス用中間膜。
[6]前記の吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波は、380nm以上780nm未満の波長を有する、前記[5]に記載の合わせガラス用中間膜。
[7]前記情報は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を利用して読み取り可能である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[8]前記合わせガラス用中間膜の面方向において、前記情報は1mあたり0.02~100個配置されている、前記[1]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[9]JIS K7210-1(2014)に従い190℃、荷重2.16kgで測定される前記合わせガラス用中間膜のMFRは0.2~10g/10分であり、該合わせガラス用中間膜を190℃で5分溶融混練した後の混合物において、該合わせガラス用中間膜が有していた前記情報は消失している、前記[1]~[8]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[10]前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の面方向および厚さ方向において不均一に配置されている、前記[1]~[9]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[11]前記合わせガラス用中間膜の一方の面から読み取られる前記情報と、他方の面から読み取られる前記情報は同一ではない、前記[1]~[10]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[12]前記合わせガラス用中間膜の面方向において、該合わせガラス用中間膜の面積に対する前記媒体の占める面積は0.0001~99%である、前記[3]~[11]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[13]前記情報の数は2個以上である、前記[1]~[12]のいずれか記載の合わせガラス用中間膜。
[14]前記[1]~[13]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜が少なくとも1枚積層された、合わせガラス用中間膜。
[15]前記情報は、波長380nm未満の電磁波を利用して読み取り可能である、前記[1]~[14]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[16]前記樹脂組成物は紫外線吸収剤を含む、前記[1]~[15]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[17]厚さは0.1~10mmである、前記[1]~[16]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[18]前記合わせガラス用中間膜の厚さ方向において、媒体は互いに異なる2~10箇所の位置に配置されている、前記[3]~[17]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[19]JIS K7244-4(1999)に準拠して周波数1Hzで測定される25℃における貯蔵弾性率は3~1000MPaである、前記[1]~[18]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[20]前記樹脂組成物は、エチレン単位、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位を含むアイオノマー樹脂を含む、前記[1]~[19]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[21]α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量は、アイオノマー樹脂を構成する全構成単位を基準として2~30質量%である、前記[20]に記載の合わせガラス用中間膜。
[22]α,β-不飽和カルボン酸中和物単位の含有量は、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量を基準として10モル%以上80モル%以下である、前記[20]または[21]に記載の合わせガラス用中間膜。
[23]前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の面方向および厚さ方向において不均一に配置されており、前記合わせガラス用中間膜の一方の面から読み取られる前記情報と、他方の面から読み取られる前記情報は同一ではなく、前記樹脂組成物は紫外線吸収剤を含む、前記[1]~[22]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[24]前記[1]~[23]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜がロール状に巻回された合わせガラス用中間膜ロールであって、該ロールの幅は0.3~5mであり、該ロールの任意の長さ方向1mの領域を該ロールの幅方向に四等分した第一領域、第二領域、第三領域および第四領域における情報の数N1、N2、N3およびN4の少なくとも1つは、それ以外とは異なる、ロール。
[25]2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の少なくとも一部は、前記[1]~[23]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラス。
[26]2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の全ては、前記[1]~[23]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラス。
[27]寸法が縦0.41~5.00m、横0.10~20.00mである合わせガラスにおいて、前記合わせガラスの周縁から0.2m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きい、前記[25]または[26]に記載の合わせガラス。
[28]前記[1]~[23]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜または前記[24]に記載の合わせガラス用中間膜ロールの真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法。
[29]前記[25]~[27]のいずれかに記載の合わせガラスにおける合わせガラス用中間膜の真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法。
本発明によれば、真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供すること、および合わせガラスを破壊しなくても、合わせガラスに挟持されている中間膜が真正品であることを判定できる合わせガラス用中間膜を提供することができる。また、本発明の特定の実施形態によれば、特定の情報を有する合わせガラス用中間膜であって、そのトリム等を再度溶融成形して得られる再生中間膜は、元の中間膜が有する特定の情報を有さないものである合わせガラス用中間膜を提供することができる。
図1Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図1Bは、図1Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1断面図である。 図2Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図2Bは、図2Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1断面図である。 図3Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図3Bは、図3Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1線断面図である。 図4Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図4Bは、図4Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1線断面図である。 図5Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図5Bは、図5Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1線断面図である。 図5Cは、図5Aに示す合わせガラス用中間膜のX2-X2線断面図である。 図6Aは、本発明の合わせガラス用中間膜の一実施形態を示す概略図である。 図6Bは、図6Aに示す合わせガラス用中間膜のX1-X1線断面図である。 図7は、実施例1において製造した合わせガラス用中間膜を示す概略図である。 図8は、実施例3において製造した合わせガラス用中間膜を示す概略図である。
[合わせガラス用中間膜]
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなり、該合わせガラス用中間膜が真正品であることを示すための情報(以下、「情報」と称することもある)を有する。
〔情報〕
本発明において情報とは、それを通して中間膜が真正品であると判定できる情報を意味する。従って情報は、中間膜に付与された単なる意匠またはデザインではない。
本発明の一実施形態では、情報は、中間膜の製品名、製造者、製造工場、製造年月日、製造ライン、販売先およびロット番号を表す情報並びにそれらを暗号化した情報からなる群から選択される少なくとも1種の情報を含んでおり、別の実施形態では、情報は、中間膜の製品名、製造者、製造工場、製造年月日、製造ライン、販売先およびロット番号を表す情報並びにそれらを暗号化した情報からなる群から選択される少なくとも1種の情報からなる。情報自体の第三者による複製を困難にしやすい観点からは、中間膜に付与されている情報に、中間膜を特定するために中間膜製造者が考案した情報が含まれていることが好ましい。
本発明の一実施形態では、情報は、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、カラーコードおよびRFタグからなる群から、好ましくは文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コードおよびカラーコードからなる群から、より好ましくは文字、記号、一次元コード、二次元コードおよび三次元コードからなる群から選択される少なくとも1つの媒体により中間膜に付与されている。一次元コードの例としては、JIS X0500-2に一次元シンボルとして定義されるものが挙げられる。二次元コードの例としては、JIS X0500-2に二次元シンボルとして定義されるものが挙げられる。三次元コードとは、三次元的に読み取り可能なコードを意味する。カラーコードは、一般的には色の羅列により情報を表すコードを意味するが、本発明においては、(可視光により識別される)色だけでなく可視光以外の電磁波(例えば紫外線または赤外線)により識別される物質(例えば、赤外線を反射若しくは吸収するインク、紫外線を反射若しくは吸収するインク、または紫外線若しくは赤外線を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波を発するインク)の羅列により情報を表すコードを意味する。
本発明の別の一実施形態では、情報は、後述するラベル化合物、またはラベル化合物を用いた媒体により中間膜に付与されている。
合わせガラス用中間膜は、その全体またはその一部に情報を有してよい。
合わせガラス用中間膜がその全体に情報を有する場合の例としては、例えば、合わせガラス用中間膜1の層2を構成する樹脂組成物の全体(厚さ方向の全ておよび面方向の全て)に、情報3をもたらすことができる化合物(以下、「ラベル化合物」と称することもある)が含まれている実施形態が挙げられる(図1Aおよび図1Bを参照)。この実施形態において、合わせガラス用中間膜が複数層からなる場合の各層の樹脂組成物に含まれるラベル化合物は同じであっても異なっていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜と、そのトリム等から得られる再生中間膜とを区別できる観点から、合わせガラス用中間膜の全体に情報が付与されている場合は、合わせガラス用中間膜の一部に更に別の情報が付与されていることが好ましい。即ち、例えば図2Aおよび図2Bに示すように、合わせガラス用中間膜1の全体に例えばラベル化合物により情報3aが付与されている場合は、前記媒体の少なくとも1つ(例えば、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、およびカラーコードからなる群から選択される少なくとも1つの媒体)および/または情報3aを付与しているラベル化合物とは別のラベル化合物により合わせガラス用中間膜1の一部に更に情報3bが付与されていることが好ましい。
合わせガラス用中間膜がその一部に情報を有する場合、合わせガラス用中間膜は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向の一部および/または面方向の一部に情報を有してよく、合わせガラス用中間膜の表面、側面および/または内部に情報を有してよい。即ち、情報は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向の任意の位置および合わせガラス用中間膜の面方向の任意の位置に配置され得、合わせガラス用中間膜の厚さ方向および面方向において任意の寸法の領域に配置され得る。情報は、合わせガラス用中間膜の一部に配置されたラベル化合物および/または媒体により中間膜に付与され得る。例えば、図3Aおよび図3Bに示すように、3個の情報(3a、3b、3c)が中間膜1の一方の表面の一部に付与されていてよい。図3Aおよび図3Bに示す一実施形態では、これら3個の情報が配置されている領域の厚さ方向の寸法および位置は同一であり、面方向の寸法および位置は互いに異なっている。例えば、図4Aおよび図4Bに示すように、1個の情報3が中間膜1の両表面および一側面の一部に付与されていてよい。例えば、図5Aおよび図5Bおよび図5Cに示すように、3個の情報(3a、3b、3c)のうち2個(3a、3c)が中間膜1の一方の表面に付与されており、そのうちの1個(3a)は中間膜1の表面から突出していてもよい。突出している情報3aは、例えばRFタグ等の媒体により中間膜1の層2に付与され得る。また、残りの1個の情報3bが中間膜2の内部に付与されていてもよい。この実施形態では、これら3個の情報が配置されている領域の厚さ方向の寸法および位置は互いに異なっており、面方向の寸法および位置も互いに異なっている。例えば、図6Aおよび図6Bに示すように、1個の情報3が中間膜1の内部に付与されていてよい。この実施形態では、情報は、中間膜の厚さ方向(Z軸方向)の一部、一方の面方向(Y軸方向)の全て、および他方の面方向(X軸方向)の一部に付与されている。
中間膜がその一部に情報を有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜とそのトリム等から得られる再生中間膜とを区別することができる。
なお、図1A~図6Bおよび後述の図7~8においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法および比率等は適宜相違させている。
ラベル化合物は、情報をもたらすことができる化合物、即ち、例えばリーダー装置または目視等により読み取ることができる情報を中間膜に付与できる化合物であればよい。そのような化合物は、有機化合物または無機化合物のいずれでもよい。その例としては、紫外線、赤外線および可視光の少なくとも1種の光を吸収する化合物、または外部刺激により発光する化合物を挙げることができ、具体的には紫外線吸収剤、赤外線吸収剤および蛍光剤等が挙げられるが、これらに限定されない。ラベル化合物は、単独でまたは2以上を組み合わせて使用できる。また、どのラベル化合物を使用するかは目的に応じて適宜選択可能である。例えば、情報を読み取る際に使用する電磁波の波長、使用するガラスが有する電磁波の透過特性、および/または得られる合わせガラスに求められる光学特性に応じて適宜選択可能である。
本発明の一実施形態では、中間膜の層を構成する樹脂組成物は紫外線吸収剤を含む。
ラベル化合物として使用する紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する機能を有する化合物である。紫外線吸収剤の例としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類およびホルムアミジン類等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独でまたは2以上を組み合わせて使用できる。
ベンゾフェノン類の例としては、(2-ヒドロキシ-4-オクチロキシフェニル)フェニルメタノン、ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシ)メタノン等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール類の例としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(チヌビン326)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノール(チヌビン328)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オクチルフェノール]、および2-(5-オクチルチオ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。
トリアジン類の紫外線吸収剤の例としては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、および2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾエート類の紫外線吸収剤の例としては、3,5-(1,1-ジメチルエチル)-2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェニルベンゾエート、(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定されない。
サリシレート類の紫外線吸収剤の例としては、サリチル酸へキシル、サリチル酸オクチル、サリチル酸エチルヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
シアノアクリレート類の紫外線吸収剤の例としては、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、(2-プロピルへキシル)-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
蓚酸アニリド類の紫外線吸収剤の例としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシフェニル)蓚酸ジアニリド等が挙げられるが、これに限定されない。
樹脂組成物が紫外線吸収剤を含む場合、その含有量は特に限定されないが、層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.001~2.5質量%、より好ましくは0.01~1.0質量%、特に好ましくは0.05~0.5質量%である。また媒体が紫外線吸収剤をラベル化合物として含む場合、その含有量は特に限定されない。
赤外線吸収剤の例としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の酸化インジウム化合物、アルミニウムドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等の酸化スズ化合物、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、スズドープ酸化亜鉛、ケイ素ドープ酸化亜鉛等の酸化亜鉛化合物、ニオブドープ酸化チタン等の酸化チタン化合物、ナトリウムドープ酸化タングステン、セシウムドープ酸化タングステン(CWO)等の酸化タングステン化合物といった金属酸化物を含む粒子、六ホウ化ランタンを含む粒子、および無機赤外線吸収剤を含む粒子が挙げられる。また、銅、バナジウム、亜鉛等の金属イオンを含む、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびアントラシアニン化合物等が挙げられる。
本発明で使用するラベル化合物が赤外線吸収剤である場合、その含有量は特に限定されないが、層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.001~2.5質量%、より好ましくは0.01~1.0質量%、特に好ましくは0.05~0.5質量%である。また媒体が赤外線吸収剤をラベル化合物として含む場合、その含有量は特に限定されない。
蛍光剤の例としては、トリス(2-フェニルピリジナート)イリジウム(III)、トリス(2,2’-ビピリジナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(2,2’-ビキノリナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(4,4’-ジフェニル-、2’-ビピリジナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(2,9-ジメチル‐4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジナート)イリジウム(III)六フッ化リン酸三塩、トリス(4,4’-ジフェニル-2,2’-ビピリジナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジナート)ルテニウム(II)過塩素酸二塩、トリス(2,2’-ビキノリナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(2,2’-ビピリジナート)ルテニウム(II)過塩素酸二塩、トリス(2,2’-ビピリジナート)ルテニウム(II)六フッ化リン酸二塩、トリス(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)ルテニウム(II)過塩素酸二塩、トリス(アセチルアセトナート)テルビウム(III)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)モノ(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(アセチルアセトナート)モノ(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(アセチルアセトナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(1,1,1,2,2,3,3-へプタフルオロ-7,7-ジメチル-4,6-オクタジオナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)テルビウム(II)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)モノ(4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジナート)テルビウム(III)、トリス(トリフルオロアセトナート)モノ(テトラメチルフェナントロリナート)テルビウム(III)、トリス(トリフルオロアセトナート)モノ(ジフェニル-2,2’-ビピリジナート)テルビウム(III)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)ユーロピウム(III)、トリス(1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロ-7,7-ジメチル-4,6-オクタジエノエート)モノ(1,10-フェナントロリナート)ユーロピウム(III)、トリス(トリフルオロアセトナート)モノ(テトラメチルフェナントロリナート)ユーロピウム(III)、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)ユーロピウム(III)、トリス(1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロ-7,7-ジメチル-4,6-オクタンジオナート)モノ(2,2’-ビピリジナート)ユーロピウム(III)、4,4’-ビス(2-ベンゾオキサゾリル)スチルベン、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル、トリス(3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリナート)イリジウム(III)、2-(3-オキソインドリン-1-イリデン)メチルキノリン、トリス(トリフルオロアセチルアセトナート)テルビウム(III)等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用するラベル化合物が蛍光剤である場合、その含有量は特に限定されないが、層を構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.001~2.5質量%、より好ましくは0.01~1.0質量%、特に好ましくは0.05~0.5質量%である。また媒体が蛍光剤をラベル化合物として含む場合、その含有量は特に限定されない。
本発明の合わせガラス用中間膜における情報の数は1個または2個以上であり、本発明の一実施形態では情報の数は2個以上である。情報の数が2個以上である場合、それらの内容、それらが配置されている領域の中間膜の厚さ方向および面方向における寸法、並びに中間膜の厚さ方向における位置または面方向における位置は互いに同じまたは異なっていてよい。本発明において情報の数は、本発明が真正品であることを示すひとくくりの情報を1個として数える。例えば「123/abc」といった文字列により中間膜に情報が付与されている場合、個々の文字(例えば1)を1個の情報と数えるのではなく、情報を与えている文字列「123/abc」を1個の情報と数える。従って、例えば、中間膜の一方の表面に前記「123/abc」が印刷されている場合、この中間膜における情報の数は1個であり、中間膜の一方の表面および他方の表面の各々に前記「123/abc」が印刷されている場合、および中間膜の一方の表面に前記「123/abc」が印刷されており、他方の表面に情報を与える文字列「456/def」が印刷されている場合、これらの中間膜における情報の数は2個である。また、例えば図4Aおよび図4Bに示すように1個の情報3が中間膜1の両表面および一側面の一部に付与されており、中間膜1の一部分を構成する樹脂組成物がラベル化合物を含むことにより該情報3が付与されている場合、この中間膜における情報の数は1個である。また、例えばラベル化合物により中間膜の全体に情報が付与されている場合、情報の個数は、ラベル化合物の種類の数と同じ数である。また、例えばラベル化合物により中間膜の全体に情報が付与され、更に文字列により中間膜の一方の表面に情報が付与されている場合、中間膜における情報の個数は、ラベル化合物により付与された情報の個数と文字列により付与された情報の個数との和である。
本発明の一実施形態では、中間膜の面方向において、情報は1mあたり、好ましくは0.02個以上、より好ましくは0.1個以上、更に好ましくは0.5個以上、特に好ましくは1個以上配置されており、好ましくは1mあたり100個以下、より好ましくは50個以下、更に好ましくは10個以下、特に好ましくは5個以下配置されている。上述の通り、例えばラベル化合物により中間膜の全体に情報が付与されている場合、情報の個数は、ラベル化合物の種類の数と同じ数であることから、例えば、1種類のラベル化合物により中間膜全体に情報が付与されている場合、中間膜の面積に関わらず、情報の個数は1個である。
本発明の一実施形態では、情報は電磁波により読み取ることができる。中間膜が電磁波により読み取り可能な情報を含むことにより、中間膜の状態ではもちろんのこと、該中間膜を用いて作製された合わせガラスの状態でも合わせガラスを破壊しなくても情報を読み取ることができる。
これに関連して、本発明の中間膜は、好ましくは、該中間膜を2枚のガラスに挟み、140℃で30分加熱して得られる合わせガラスにおいても情報を保持している。そのような中間膜は、合わせガラスにおいても情報を良好に読み取ることができる。
また、本発明の中間膜は、好ましくは、該中間膜を2枚のガラスに挟持して得られた合わせガラスにおいて750Wの石英水銀灯で2000時間処理した後であっても情報を保持している。そのような中間膜は、長期間使用した後の合わせガラスにおいても情報を良好に読み取ることができる。
情報を読み取るための電磁波として、波長が10nm~1kmの電磁波、例えば、遠紫外線、近紫外線、可視光線、近赤外線、遠赤外線およびラジオ波を使用できるが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態では、媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収するラベル化合物で構成されている。
本発明の一実施形態では、媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長、好ましくは380nm以上780nm未満の電磁波を発するラベル化合物で構成されている。吸収した電磁波とは異なる波長が380nm以上780nm未満であると、情報を目視で読み取ることが可能であるため好ましい。
これらの実施形態では、中間膜または合わせガラスの透明性が媒体により阻害されにくく、また情報の存在を不特定多数の者に知られることを防止しやすく、模倣されにくいため好適である。
従って、本発明の一実施形態では、情報は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を利用して読み取り可能であり、別の一実施形態では、情報は、波長380nm未満の電磁波を利用して読み取り可能である。
本発明の一実施形態では、JIS K7210-1(2014)に従い190℃、荷重2.16kgで測定される中間膜のMFRは好ましくは0.2g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上、特に好ましくは1.0g/10分以上であり、好ましくは10g/10分以下、より好ましくは7g/10分以下、特に好ましくは5g/10分以下であり、該中間膜を190℃で5分溶融混練した後の混合物において、該中間膜が有していた情報は消失している。この実施形態では、本発明の合わせガラス用中間膜の例えばトリム等を再度溶融成形して得られた合わせガラス用中間膜が、本発明の合わせガラス用中間膜が有する情報を有さないため、本発明の合わせガラス用中間膜と、再度溶融成形して得られた合わせガラス用中間膜とを容易に区別できる。この実施形態のより具体的な例としては、中間膜がその一部に、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、およびカラーコードからなる群から選択される少なくとも1つの媒体および/またはラベル化合物により付与された情報を有する実施形態が挙げられる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1個の情報は、中間膜の面方向および厚さ方向において不均一に配置されている。この実施形態では、第三者が本発明の合わせガラス用中間膜に付与されている情報に気づきにくいため模倣が困難となり、また本発明の合わせガラス用中間膜を溶融成形により再生した後の合わせガラス用中間膜では情報が保持されていないため、第三者に模倣されにくい。本発明において、中間膜の面方向および厚さ方向において情報が不均一とは、中間膜の面方向および厚さ方向において情報が均一に配置されていないことを意味し、例えば、情報を付与するラベル化合物が樹脂組成物中において分子レベルまたはナノサイズ粒子レベルで均一に分散していないことを意味するものではない。情報が均一に配置されている例としては、例えば中間膜の面方向および/または厚さ方向において同じ情報が読み取られる実施形態、例えば、中間膜の層を構成する樹脂組成物の少なくとも1つの全体にわたってラベル化合物が含まれている実施形態、および中間膜の面方向における一部分の断面方向全体にわたってラベル化合物が含まれる実施形態が挙げられ、本発明の前記一実施形態にこれらの実施形態は含まれない。
本発明の一実施形態では、中間膜の厚さ方向において、媒体は互いに異なる、好ましくは2~10箇所の位置、より好ましくは2~5箇所の位置、特に好ましくは2~3箇所の位置に配置されている。
本発明の別の一実施形態(以下において、「一実施形態(1)」と称する)では、中間膜の厚さTが0.38~10mmであって、T≧0.38×nを満たす最大の自然数nをpとした場合、そのような中間膜には、互いに異なる情報を含む媒体は少なくともp個配置されている。
また、本発明の別の一実施形態(以下において、「一実施形態(2)」と称する)では、中間膜の厚さTが0.76~10mmであって、T≧0.76×nを満たす最大の自然数nをqとした場合、そのような中間膜には、互いに異なる情報を含む媒体は少なくともq個配置されている。
また、本発明の別の一実施形態(以下において、「一実施形態(3)」と称する)では、中間膜の厚さTが0.88~10mmであって、T≧0.88×nを満たす最大の自然数nをrとした場合、そのような中間膜には、互いに異なる情報を含む媒体は少なくともr個配置されている。
合わせガラスが求められる力学的強度、例えば耐貫通性を満たすよう、種々の厚さの合わせガラス用中間膜が使用される。その際、目的の厚さを有する合わせガラス用中間膜を製造して使用する場合と、目的の厚さになるよう既存の厚さの合わせガラス用中間膜を複数枚重ねて使用する場合がある。一実施形態(2)には、例えば、0.76mの一般的な厚さを有し、1個の媒体により情報が付与されている合わせガラス用中間膜を2枚重ねて熱圧着(例えば合わせガラスを作製する工程で熱圧着)することにより製造される中間膜の実施形態が包含される。このようにして製造された中間膜は、厚さが1.52mmであって、中間膜の厚さ方向において互いに異なる2箇所の位置に媒体を含む。このような中間膜では、厚さ方向において互いに異なる2箇所の位置に存在する媒体を効率的に読み取るために、媒体が中間膜の面方向においても互いに異なる2箇所の位置に存在していることが好ましい。上述の通り製造された中間膜は、例えば、厚さ0.76mmの本発明の合わせガラス用中間膜と、厚さ0.76mmであって本発明の合わせガラス用中間膜ではない合わせガラス用中間膜とを熱圧着して得られる厚さ1.52mmの合わせガラス用中間膜と区別することができる。従って、一実施形態(1)~(3)は、悪質な業者が厚さT/2mmの真正品である中間膜と、厚さT/2mmの真正品でない中間膜を重ね、Tmmの真正品の合わせガラス用中間膜であると偽って販売することを防ぐ観点から好ましい。p、q、rは特に限定されないが、それぞれ1~10であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~5であることが特に好ましく、2または3であることが最適である。
本発明の一実施形態では、媒体は中間膜の少なくとも一方の表面から距離Zの位置に配置されており、Zは好ましくは0~800μm、より好ましくは0~400μm、特に好ましくは0~100μmである。この実施形態では、情報の良好な読み取りが、中間膜の層を構成する樹脂組成物の組成に依存しにくい。例えば、媒体の印刷に紫外線を反射するインクまたは紫外線を吸収するインクを用い、樹脂組成物が紫外線吸収剤を含む場合であっても、樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤の影響を受けずに、媒体に含まれる情報の良好な読み取りが実現されやすい。
本発明の一実施形態では、媒体は中間膜の少なくとも一方の表面から距離Zの位置に配置されており、中間膜の厚さをTとしたとき、Z/Tは好ましくは0以上0.5未満、より好ましくは0以上0.3未満、特に好ましくは0以上0.1未満である。この実施形態では、情報の良好な読み取りが実現されやすい。
本発明の一実施形態では、中間膜の一方の面から読み取られる情報と、他方の面から読み取られる情報は同一ではない。この実施形態は、中間膜の一方の面から読み取られる情報と、他方の面から読み取られる情報とが異なる実施形態、および中間膜の一方の面から情報を読み取ることはできるが、他方の面から読み取ることができる情報は存在しない実施形態を包含する。この実施形態では、例えば建築物または車両に施工された合わせガラスについて、屋内側または車内側から読み取られる情報と、屋外側または車外側から読み取られる情報とを異なるように設計したり、屋内側または車内側からのみ情報を読み取ることができるように設計したりすることができ、屋内側に容易にアクセス可能な建築物の施工者若しくは所有者等、または車内側に容易にアクセス可能な車両の所有者等が、それ以外の第三者とは異なる情報を取得可能であり、本発明の合わせガラス用中間膜が真正品であることを確認しやすい観点、および第三者が屋内側または車内側の情報を容易に入手できない観点から、より好ましい。このような実施形態には、例えば、ラベル化合物として波長380nm未満の光を吸収し、380~780nmの光を発する化合物を含む媒体により付与される情報を、合わせガラス用中間膜の厚さ方向に不均一に配置し、かつ合わせガラス用中間膜の少なくとも1つの層(好ましくは、合わせガラス用中間膜の前記媒体より屋外側または車外側の少なくとも1つの層)の面方向全体にわたって前記ラベル化合物が吸収する波長の光を吸収する紫外線吸収剤を含有させる中間膜の実施形態が包含される。
本発明の一実施形態では、中間膜の面方向において、該中間膜の面積に対する媒体の占める面積は、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上、特に好ましくは0.001%以上であり、好ましくは99%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下であり、最適には0.05%以下である。ここで、媒体の占める面積について説明する。媒体が文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、カラーコードおよびRFタグである場合、その占める面積は、その媒体を取り囲む最小面積の四角形内の面積をいう。例えば媒体が「123/abc」といった文字列である場合、この文字列を取り囲む最小面積の四角形内の面積を、媒体の占める面積とする。2個以上の媒体が中間膜に付与されている場合は、各媒体の面積の合計が前記の「媒体の占める面積」に相当する。媒体の占める面積が前記下限値以上であると情報を読み取りやすく、前記上限値以下であると、中間膜を用いて作製した合わせガラスにおいて優れた外観を得やすく、また第三者が情報の存在に気付きにくいため模倣されにくくなり好適である。
本発明の一実施形態では、中間膜の厚さ方向において、該中間膜の全厚さに対する媒体の占める厚さは、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.01%以上、特に好ましくは1%以上であり、好ましくは99%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下であり、最適には2%以下である。2個以上の媒体が中間膜に付与されている場合は、各媒体の厚さの合計が前記の「媒体の占める厚さ」に相当する。媒体の占める厚さが前記下限値以上であると、中間膜の取り扱い時または合わせガラスの製造時に情報が消失するリスクが低下しやすく、前記上限値以下であると、中間膜を用いて作製した合わせガラスにおいて優れた外観を得やすく、また第三者が情報の存在に気付きにくいため模倣されにくくなり好適である。
本発明の一実施形態では、中間膜の面方向において、媒体1個あたりまたはラベル化合物が含まれる領域1箇所あたりの面積は、好ましくは1×10-4mm以上、より好ましくは1×10-3mm以上、更に好ましくは1×10-2mm以上、特に好ましくは1mm以上であり、好ましくは1×10mm以下、より好ましくは1×10mm以下、更に好ましくは3×10mm以下、特に好ましくは1×10mm以下、最も好ましくは5×10mm以下である。前記面積が前記下限値以上であると情報を読み取りやすく、前記上限値以下であると、合わせガラス1枚の中に媒体または前記領域が収まらなくなるという問題が起こりにくく、また、優れた外観を有する合わせガラスを得やすく、更に第三者が情報の存在に気付きにくいため模倣されにくくなり好適である。また、2個以上の媒体または2箇所以上の前記領域が中間膜に付与されている場合は、任意に最大10個の媒体または最大10箇所の領域を選択し、その面積の平均値が前記下限値以上かつ前記上限値以下であることが好ましい。
本発明の一実施形態では、中間膜の厚さ方向において、媒体1個あたりまたはラベル化合物が含まれる領域1箇所あたりの寸法は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは1μm以上であり、好ましくは800μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは70μm以下、特に好ましくは30μm以下、最も好ましくは10μm以下である。前記寸法が前記下限値以上であると、中間膜の取り扱い時または合わせガラスの製造時に情報が消失するリスクが低下しやすい。一方、前記寸法が前記上限値以下であると、優れた外観を得やすく、また第三者が情報の存在に気付きにくいため模倣されにくく、好適である。
〔樹脂組成物からなる層〕
中間膜は、少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなる。
中間膜の層を構成する樹脂組成物のガラス転移温度および融点のうち最も高い温度は、特に制限されるものではないが、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下、最も好ましくは100℃以下である。前記温度が前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、合わせガラス作製温度で中間膜が軟化し、曲率の高いガラス等に良好に追従しやすい。なお、樹脂組成物が非晶性であり融点を示さない場合は、最も高いガラス転移温度が前記下限値以上かつ前記上限値以下であり、樹脂組成物がガラス転移温度を有さない場合は、融点が前記下限値以上かつ前記上限値以下である。樹脂、可塑剤およびそれらの含有量を適宜選択することにより、ガラス転移温度または融点を前記下限値以上かつ前記上限値以下に調整できる。ガラス転移温度および融点は、例えば示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
樹脂組成物に含まれる樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂の例としては、特に限定されるものではないが、アイオノマー樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系重合体、およびポリシクロオレフィン系重合体等が挙げられる。これらの中でも、合わせガラス用中間膜に求められるガラスへの接着性、力学的強度等の特性を得やすい観点から、アイオノマー樹脂およびポリビニルアセタール樹脂が好ましく、長期間使用時に光学特性の変化が起こりにくく、結果、長期間使用時にも中間膜に含まれる情報が損なわれにくい観点からアイオノマー樹脂が好ましい。
樹脂の含有量は、樹脂の種類に依存するが、樹脂組成物の総質量に基づいて通常は60質量%以上である。前記樹脂の含有量の上限は特に制限されず、樹脂組成物の総質量に基づいて100質量%以下である。
<アイオノマー樹脂>
樹脂組成物に含まれるアイオノマー樹脂は、エチレン由来の構成単位(エチレン単位)およびα,β-不飽和カルボン酸由来の構成単位(α,β-不飽和カルボン酸単位)を有するエチレン-α,β-不飽和カルボン酸共重合体であって、α,β-不飽和カルボン酸単位の少なくとも一部が金属イオンによって中和された樹脂であれば、特に限定されない。本発明の一実施形態では、樹脂組成物は、エチレン単位、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位を含むアイオノマー樹脂を含む。金属イオンとしては、例えばナトリウムイオンおよび亜鉛イオン等が挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量は、アイオノマー樹脂を構成する全構成単位を基準として、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。前記α,β-不飽和カルボン酸単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、および無水マレイン酸に由来する構成単位等が挙げられ、中でもアクリル酸またはメタクリル酸〔これらをまとめて「(メタ)アクリル酸」と称することもある〕に由来する構成単位が特に好ましい。本発明の好ましい一実施形態では、α,β-不飽和カルボン酸中和物単位の含有量は、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量を基準として、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。アイオノマー樹脂は、入手容易性の観点から、好ましくは、エチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマーおよびエチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー、より好ましくは、エチレン-アクリル酸共重合体の亜鉛アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体の亜鉛アイオノマー、およびエチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマーである。また、本発明で使用するアイオノマー樹脂は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル化合物が共重合されていてもかまわない。その場合、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル単位の含有量は、アイオノマー樹脂を構成する全構成単位を基準として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満、更に好ましくは8質量%未満、特に好ましくは6質量%未満である。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルは特に限定されないが、その例として、(メタ)アクリル酸と炭素数1~10の脂肪族アルコールとのエステル化合物等が挙げられる。このような本発明の合わせガラス用中間膜に使用可能なアイオノマー樹脂の例としては、WO2019/027865に開示されているアイオノマー樹脂、および同特許文献において引用されている特許文献(例えばUS3404134、US7445683B2、US7763360B2、US7951865B1、US7960017B2、US8399097B2、US8399098B2、US2017/0320297A1、US2018/0117883A1、WO2016/076336A1、WO2016/076337A1、WO2016/076338A1、WO2016/076339A1、WO2016/076340A1等)で開示されているアイオノマー樹脂等が挙げられる。また、その製造方法も特に限定されず、例えばUS3404134、US5028674、US6500888B2、US8334033B2、US8399096B2等に開示されている方法で製造可能である。
α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の各含有量は、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体を原料とし、該共重合体の鹸化反応工程および脱金属反応工程を含む方法により該樹脂を製造する場合、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体中のα,β-不飽和カルボン酸エステル単位を、前記鹸化反応および脱金属反応によって、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位に変換する各反応における反応度(変換割合)によって調整できる。また、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の含有量は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法(NMR)、元素分析および滴定等によって求めることができる。
<ポリビニルアセタール樹脂>
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えばポリビニルアルコールまたはエチレン-ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化によって製造されるポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。
中間膜の層を構成する樹脂組成物は、1つのポリビニルアセタール樹脂を含んでいてもよく、粘度平均重合度、アセタール化度(アセタールを形成する単位の含有量)、酢酸ビニル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量、エチレン単位含有量、アセタール化に用いられるアルデヒドの分子量、および鎖長のうちいずれか1つ以上がそれぞれ異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含んでいてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上、更に好ましくは700以上、特に好ましくは850以上、いっそう好ましくは1100以上であり、最適には1400以上である。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が前記下限値以上であると、より耐熱性に優れる合わせガラスを得やすく、合わせガラスの作製時および使用時に情報が保持されやすい。また、ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下、特に好ましくは2300以下、最も好ましくは2000以下である。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が前記上限値以下であると良好な製膜性を得やすい。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定できる。
ポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度の下限値および上限値は、前記したポリビニルアルコール系樹脂の好ましい粘度平均重合度の下限値および上限値と同一である。樹脂組成物が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の粘度平均重合度が、前記下限値以上かつ前記上限値以下であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の粘度平均重合度は、例えばJISK6728(1977)「ポリビニルブチラールの試験方法」により求められる。
ポリビニルアセタール樹脂の酢酸ビニル単位含有量は特に限定されない。酢酸ビニル単位含有量は、ポリビニルアセタール樹脂中の酢酸ビニル単位含有量としての、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準としたときの酢酸ビニル単位の含有量である。酢酸ビニル単位含有量は、好ましくは0.1~20モル%、より好ましくは0.5~3モル%または5~8モル%である。ポリビニルアセタール樹脂を製造するための原料であるポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度を適宜調整することにより、酢酸ビニル単位含有量は前記範囲内に調整できる。酢酸ビニル単位含有量は、ポリビニルアセタール樹脂の極性に影響を及ぼし、それによって中間膜の層を構成する樹脂組成物の可塑剤相溶性および該層の機械的強度が変化し得る。酢酸ビニル単位含有量が前記範囲内であるポリビニルアセタール樹脂を前記樹脂組成物が含むと、前記膜と後述の可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとを積層する場合に、良好な接着性および光学歪みの低減等が達成されやすい。前記樹脂組成物が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂の酢酸ビニル単位含有量が、前記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されない。アセタール化度は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準として、アセタールを形成する前記単位の量である。アセタール化度は、好ましくは40~86モル%、より好ましくは45~84モル%、より好ましくは50~82モル%、更に好ましくは60~82モル%、特に好ましくは68~82モル%である。ポリビニルアセタール樹脂の製造過程においてポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を適宜調整することにより、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は前記範囲内に調整できる。アセタール化度が前記範囲内であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が低下しにくく、中間膜の力学的強度が十分なものになりやすい。樹脂組成物が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が、前記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量は特に限定されない。ビニルアルコール単位含有量は、ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量としての、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準としたときのビニルアルコール単位の含有量である。ビニルアルコール単位含有量は、好ましくは9~36モル%、より好ましくは18~34モル%、より好ましくは22~34モル%、更に好ましくは26~34モル%、特に好ましくは26~33モル%、最も好ましくは26~32モル%である。ビニルアルコール単位含有量が前記範囲内であると、中間膜と可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとを積層する場合に、中間膜と可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとの屈折率差が小さくなり、光学むらの少ない合わせガラスを得やすい。一方で、更に遮音性能を合わせて付与するために好ましい範囲は9~29モル%、より好ましくは12~26モル%、更に好ましくは15~23モル%、特に好ましくは16~20モル%である。ポリビニルアセタール樹脂の製造過程においてポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化する際のアルデヒドの使用量を調整することにより、ビニルアルコール単位含有量は前記範囲内に調整できる。樹脂組成物が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量が、前記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、通常、アセタールを形成する単位、ビニルアルコール単位および酢酸ビニル単位から構成されており、これらの各単位量は、例えば、JIS K 6728(1977)「ポリビニルブチラール試験方法」または核磁気共鳴法(NMR)によって測定できる。
ポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量は、好ましくは50,000~200,000、より好ましくは55,000~160,000、特に好ましくは65,000~150,000である。粘度平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂を原料または原料の一部として用いて製造したポリビニルアセタール樹脂を使用または併用することにより、ポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量は前記範囲内に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量が前記範囲内であると、好適な製膜性および好適な膜物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を得やすい。
ポリビニルアセタール樹脂の分子量分布、即ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、特に好ましくは2.9以上である。粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物をアセタール化したり、粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化物を混合したりすることにより、ポリビニルアセタール樹脂の分子量分布は前記下限値以上に調整できる。ポリビニルアセタール樹脂の分子量分布が前記下限値以上であると、製膜性および好適な膜物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を両立させやすい。分子量分布の上限値は特に限定されない。製膜しやすさの観点から、分子量分布は、通常は10以下、好ましくは5以下である。
樹脂組成物が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量および分子量分布が、前記下限値以上であり前記上限値以下であることが好ましい。ピークトップ分子量および分子量分布は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、分子量既知のポリスチレンを標準として求められる。
樹脂組成物は、架橋されたポリビニルアセタール樹脂を含んでもよい。良好な製膜性を得やすい観点からは、未架橋のポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を架橋するための方法は、例えば、EP 1527107B1およびWO 2004/063231 A1(カルボキシル基含有ポリビニルアセタールの熱自己架橋)、EP 1606325 A1(ポリアルデヒドにより架橋されたポリビニルアセタール)、およびWO 2003/020776 A1(グリオキシル酸により架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。また、アセタール化反応条件を適宜調整することで、生成する分子間アセタール結合量をコントロールしたり、残存水酸基のブロック化度をコントロールしたりすることも有用な方法である。
<ポリビニルアセタール樹脂の製造方法>
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば次のような方法によって製造できるが、これに限定されない。まず、濃度3~30質量%のポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を80~100℃の温度範囲で保持した後、10~60分かけて徐々に冷却する。温度が-10~30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30~300分間アセタール化反応を行う。次に、反応液を30~200分かけて0~80℃の温度まで昇温し、30~300分間保持する。その後、反応液を必要に応じて濾過した後、アルカリ等の中和剤を添加して中和し、樹脂を濾過、水洗および乾燥することにより、ポリビニルアセタール樹脂を製造できる。
アセタール化反応に用いる酸触媒は特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれも使用できる。そのような酸触媒の例としては、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸および塩酸等が挙げられる。これらの中でも、酸の強度および洗浄時の除去のしやすさの観点から、塩酸、硫酸および硝酸が好ましく用いられる。
好適な破断エネルギーを有するポリビニルアセタール樹脂が得られやすい観点から、ポリビニルアセタール樹脂の製造に使用されるアルデヒドは、2~10個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状化合物であることが好ましく、直鎖状または分岐状化合物であることがより好ましい。これにより、相応の直鎖状または分岐状のアセタール基がもたらされる。また、ポリビニルアセタール樹脂は、複数のアルデヒドの混合物により、ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化して得られるアセタール化物であってもよい。
ポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも1つのポリビニルアルコール系樹脂と、2~10個の炭素原子を有する1種以上の直鎖状のアルデヒドとの反応により生じるものであることが好ましい。そのようなアルデヒドとしては、好適な破断エネルギーを有するポリビニルアセタール樹脂が得られやすい観点から、n-ブチルアルデヒドが好ましい。アセタール化に使用するアルデヒドにおけるn-ブチルアルデヒドの含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましく、100質量%であってもよい。
ポリビニルアセタール樹脂を製造するために使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、単独であるか、または粘度平均重合度若しくは鹸化度等が異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物であってよい。
<樹脂以外の成分>
中間膜の層を構成する樹脂組成物は、前記樹脂以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分の例としては、前述したラベル化合物、シランカップリング剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤、光安定剤、膠着防止剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、および艶消し剤等が挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジエトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独でまたは2以上を組み合わせて使用できる。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、およびチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独でまたは2以上を組み合わせて使用できる。中でも、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤の使用量:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用量は、質量比で、1:5~2:1が好ましく、1:2~1:1がより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト〔(株)ADEKA製;商品名:アデカスタブHP-10〕、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)、および3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサー3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン〔(株)ADEKA製;商品名:アデカスタブPEP-36〕等が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレートまたは2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-)ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンまたはトリエチレングリコール-ビス-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のアルキル置換フェノール系化合物、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジンまたは2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。熱劣化防止剤としては、2-t-ブチル-6-(3’-t-ブチル-5’-メチル-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート〔住友化学(株)製;商品名スミライザーGM〕、および2,4-ジ-t-アミル-6-(3’,5’-ジ-t-アミル-2’-ヒドロキシ-α-メチルベンジル)フェニルアクリレート〔住友化学(株)製;商品名スミライザーGS〕等が好ましい。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有する化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物等のヒンダードアミン類が挙げられる。
膠着防止剤としては、例えば、脂肪酸の塩若しくはエステル、多価アルコールのエステル、無機塩、無機酸化物、粒子状の樹脂が好ましい。具体例としては、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素(エボニック社製;商品名アエロジル)、および粒子状のアクリル樹脂等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、および硬化油等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造できる、0.05~0.5μmの粒径を有する重合体粒子を用いることができる。該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる複数層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dL/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましい。高分子加工助剤は、極限粘度が3~6dL/gであることが好ましい。極限粘度が前記下限値以上であり前記上限値以下であると、樹脂組成物の加工成形性の優れた改善効果を得やすい。
これらの樹脂以外の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定でき、樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、この成分の含有量の下限は0質量%以上である。
樹脂組成物は、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含む場合、更に可塑剤を含んでもよい。可塑剤の含有量は、樹脂組成物の総質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下であり、0質量%以上である。可塑剤の含有量が前記上限値以下であると、製膜性および取扱い性に優れた中間膜を得やすい。
樹脂組成物が可塑剤を含む場合、可塑剤として、好ましくは下記群から選択される1つまたは複数の化合物が使用される。
・多価の脂肪族または芳香族酸のエステル。例えば、ジアルキルアジペート(例えば、ジヘキシルアジペート、ジ-2-エチルブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペート、ノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート);アジピン酸とアルコール若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル〔例えば、ジ(ブトキシエチル)アジペート、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート〕;ジアルキルセバケート(例えば、ジブチルセバケート);セバシン酸と脂環式若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル;フタル酸のエステル(例えば、ブチルベンジルフタレート、ビス-2-ブトキシエチルフタレート);および脂環式多価カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル(例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)が挙げられる。
・多価の脂肪族若しくは芳香族アルコールまたは1つ以上の脂肪族若しくは芳香族置換基を有するオリゴエーテルグリコールのエステルまたはエーテル。例えば、グリセリン、ジグリコール、トリグリコール、テトラグリコール等と、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール-ビス-n-ヘプタノエート、トリエチレングリコール-ビス-n-ヘプタノエート、トリエチレングリコール-ビス-n-ヘキサノエート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、およびジプロピレングリコールベンゾエートが挙げられる。
・脂肪族または芳香族アルコールのリン酸エステル。例えば、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOF)、トリエチルホスフェート、ジフェニル-2-エチルヘキシルホスフェート、およびトリクレジルホスフェートが挙げられる。
・クエン酸、コハク酸および/またはフマル酸のエステル。
また、多価アルコールと多価カルボン酸とからなるポリエステル若しくはオリゴエステル、これらの末端エステル化物若しくはエーテル化物、ラクトン若しくはヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル若しくはオリゴエステル、またはこれらの末端エステル化物若しくはエーテル化物等を可塑剤として用いてもよい。
中間膜の層を構成する樹脂組成物が可塑剤を含有するとき、該層と後述の可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとを積層する場合に層と可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとの間で可塑剤が移行することに伴う問題を抑制しやすい観点から、層を構成する樹脂組成物に含まれる可塑剤は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれる可塑剤と同じであるか、または可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムの物性(例えば、耐熱性、耐光性、透明性および可塑化効率)を損なわない可塑剤であることが好ましい。このような観点から、樹脂組成物に含まれる好ましい可塑剤は、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコール-ビスヘプタノエートであり、より好ましい可塑剤はトリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、アジピン酸ビス(2-ブトキシエチル)である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなり、情報を有する中間膜〔この実施形態では「中間膜(1)」と称する〕が少なくとも1枚積層された、合わせガラス用中間膜を対象とする。
この実施形態では、対象の中間膜は、2枚以上の中間膜(1)からなるか、または少なくとも1枚の中間膜(1)と1層以上の更なる層とからなる。積層された中間膜が全て真正品であることから、2枚以上の中間膜(1)が積層された合わせガラス用中間膜が好ましい。
上述した1層以上の更なる層の例としては、前記情報は付与されておらず、可塑剤を含むポリビニルアセタール樹脂フィルム(可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルム)が挙げられる。
〔可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルム〕
可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルム中のポリビニルアセタール樹脂の含有量は、積層前の初期状態において、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは84.0質量%以下、より好ましくは60.0~83.9質量%である。可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアセタール樹脂およびその製造方法の説明は、先の<ポリビニルアセタール樹脂>の段落および<ポリビニルアセタール樹脂の製造方法>の段落において記載した説明を参照できる。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルム中の可塑剤の含有量は、積層前の初期状態において、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは16.0質量%以上、より好ましくは16.1~36.0質量%、更に好ましくは22.0~32.0質量%、特に好ましくは26.0~30.0質量%である。可塑剤含有量が前記範囲内であると、耐衝撃性に優れた合わせガラスを得やすい。また、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとして、遮音機能を有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムを用いることもできる。その場合、可塑剤の含有量は、積層前の初期状態において、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムを構成する樹脂組成物の総質量に基づいて、好ましくは30質量%以上、より好ましくは30~50質量%、更に好ましくは31~40質量%、特に好ましくは32~35質量%である。可塑剤としては、先の<樹脂以外の成分>の段落において記載した可塑剤を使用できる。
可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、必要に応じて、先の<樹脂以外の成分>の段落において記載した可塑剤以外の成分を含有してもよい。
中間膜(1)を構成する樹脂組成物がポリビニルアセタール樹脂を含む場合、該ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量と、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量との差は、ビニルアルコール単位のモル%の差として、好ましくは6モル%以下、より好ましくは4モル%以下、特に好ましくは3モル%以下である。中間膜(1)を構成する樹脂組成物に含まれるポリビニルアセタール樹脂および/または可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアセタール樹脂が複数の樹脂の混合物からなる場合、中間膜(1)を構成する樹脂組成物に含まれる少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量と、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれる少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量との差が前記上限値以下であることが好ましい。前記差が前記上限値以下であると、合わせガラスにおいて可塑剤が移行した後の平衡状態で中間膜(1)と可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムとの屈折率差が小さくなることから、互いに寸法が異なる中間膜(1)と可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムを使用した場合であってもその境界が視認しにくいため好ましい。
一方、中間膜(1)を構成する樹脂組成物に含まれるポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量を、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量よりも低くすることで、合わせガラスにおいて可塑剤が移行した後の平衡状態における中間膜全体における平均可塑剤量を30質量%以上とすることも好ましい実施形態の1つである。その場合、中間膜(1)を構成する樹脂組成物に含まれるポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムに含まれるポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位含有量よりも、ビニルアルコール単位のモル%の差として、6モル%以上低いことが好ましく、10モル%以上低いことがより好ましい。前記差が前記下限値以上であると、平衡状態での中間膜(1)の可塑剤量を十分に高くすることができ、遮音機能が付与された合わせガラスが得られやすいため好ましい。
〔可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法〕
可塑化ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、後述の[合わせガラス用中間膜の製造方法]の段落において記載した方法により製造できる。
本発明の一実施形態では、中間膜の厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、特に好ましくは0.7mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、特に好ましくは3mm以下である。中間膜の厚さとは、本発明における少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなり、情報を有する合わせガラス用中間膜の厚さ、および該合わせガラス用中間膜が少なくとも1枚積層された合わせガラス用中間膜の厚さである。中間膜の厚さは厚み計で測定できる。
本発明の一実施形態において、中間膜は、JIS K7244-4(1999)に準拠して周波数1Hzで測定される25℃における貯蔵弾性率が好ましくは3MPa以上、より好ましくは5MPa以上、特に好ましくは10MPa以上であり、好ましくは1000MPa以下、より好ましくは300MPa以下、特に好ましくは100MPa以下である。貯蔵弾性率が前記下限値以上かつ前記上限値以下であると、合わせガラス用中間膜に求められる強度を発現しやすい。貯蔵弾性率は、樹脂組成物に含まれる樹脂の構成単位の比率(例えば、カルボン酸単位およびカルボン酸中和物単位の比率、特にカルボン酸中和物単位の比率)または樹脂組成物に含まれる可塑剤の含有量を適宜変更することにより、前記下限値以上かつ前記上限値以下に調整することができる。樹脂のカルボン酸単位およびカルボン酸中和物単位の比率、特にカルボン酸中和物単位の比率が大きくなるほど、貯蔵弾性率が高くなる傾向にある。
中間膜の少なくとも一方の表面には凹凸形状が形成されていてもよい。中間膜の表面が凹凸形状を有することにより、合わせガラスを製造する際に良好な脱気性を得やすい。
中間膜の断面形状は、矩形であってよい。
また、特定の実施形態では、例えば本発明の合わせガラスをヘッドアップディスプレイ用ガラスに適用する場合は、中間膜の断面形状は、一方の端面側が厚く、他方の端面側が薄い形状であることが好ましい。その場合、断面形状は、一方の端面側から他方の端面側に漸次的に薄くなるような全体が楔形である形状であってもよいし、一方の端面から該端面と他方の端面の間の任意の位置までは同一の厚さで、該任意の位置から他方の端面まで漸次的に薄くなるような、断面の一部が楔形のものであってもよいし、製造上問題とならない限り、位置によらず任意の断面形状を有していてもよい。断面厚さが変わる層は、全ての層であってもよいし、一部の層のみであってもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜または合わせガラス用中間膜ロールは、真正品であることを示すための情報を有するため、その情報に基づき中間膜が真正品であるか否かを判定することができる。また、本発明の中間膜を用いて製造した合わせガラスは、破壊しなくても、合わせガラスに挟持されている中間膜に付与されている情報に基づき中間膜が真正品であるか否かを判定することができる。従って、中間膜または合わせガラスの使用者は、中間膜または合わせガラスに挟持されている中間膜が真正品であることを容易に判定できる。
更に、本発明の特定の実施形態では、合わせガラス用中間膜のトリム等を再度溶融成形して得られた合わせガラス用中間膜が、元の合わせガラス用中間膜の情報を有さないため、両者を容易に区別できる。
[合わせガラス用中間膜の製造方法]
中間膜が1層の層からなる場合、その製造方法としては、例えば、(1)層を構成する樹脂組成物を十分混練し、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等の公知の製膜方法を用いて製膜した後、得られた膜の表面の全体または一部に媒体(例えば、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、またはカラーコード)を印刷し、および/または得られた膜の表面の一部にラベル化合物含有シート(ラベル化合物を含有する樹脂組成物からなるシート)を圧着し、および/または得られた膜の表面にRFタグを圧着し、中間膜を得る方法、(2)ラベル化合物を含む樹脂組成物を十分混練し、公知の製膜方法を用いて製膜し、中間膜を得る方法、および(3)ラベル化合物を含む樹脂組成物を十分混練し、公知の製膜方法を用いて製膜した後、得られた膜の表面の全体または一部に媒体を印刷し、および/または得られた膜の表面の一部にラベル化合物含有シート(ここで、前記膜に含まれているラベル化合物と前記シートに含まれているラベル化合物とは異なる)を圧着し、および/または得られた膜の表面にRFタグを圧着し、中間膜を得る方法等が挙げられる。前記(1)および(3)並びに後述の(4)、(6)および(9)においてRFタグを圧着する場合、膜の表面から突出するようにRFタグを圧着してもよい。
中間膜が2層以上の層からなる場合、その製造方法としては、例えば、(4)各層を構成する樹脂組成物を十分混練し、共押出しするか、または押出法以外の公知の製膜方法を用いて各層を製膜した後積層し、得られた多層膜の表面の全体または一部に媒体を印刷し、および/または得られた膜の表面の一部にラベル化合物含有シートを圧着し、および/または得られた膜の表面にRFタグを圧着し、中間膜を得る方法、(5)前記(4)における樹脂組成物の少なくとも1つとしてラベル化合物を含む樹脂組成物を使用し、共押出しするか、または押出法以外の公知の製膜方法を用いて各層を製膜した後積層し、中間膜を得る方法、(6)前記(4)における樹脂組成物の少なくとも1つとしてラベル化合物を含む樹脂組成物を使用し、共押出しするか、または押出法以外の公知の製膜方法を用いて各層を製膜した後積層し、得られた多層膜の表面の全体または一部に媒体を印刷し、および/または得られた膜の表面の一部にラベル化合物含有シートを圧着し、および/または得られた膜の表面にRFタグを圧着し、中間膜を得る方法等が挙げられる。
本発明における情報を有する中間膜が少なくとも1枚積層された中間膜の製造方法としては、例えば、(7)前記(1)~(6)のいずれかで得た中間膜の少なくとも2枚を、熱ラミネート法、プレス法等の公知の積層方法で積層する方法、(8)前記(1)~(6)のいずれかで得た中間膜の少なくとも1枚と情報を有さない別の中間膜の少なくとも1枚とを公知の積層方法で積層する方法、並びに(9)前記(7)および(8)で得られた中間膜の表面の全体または一部に媒体を印刷し、および/または得られた中間膜の表面の一部にラベル化合物含有シート(ここで、前記中間膜がラベル化合物を含む場合は、前記中間膜に含まれているラベル化合物と前記シートに含まれているラベル化合物とは好ましくは異なる)を圧着し、および/または得られた中間膜の表面にRFタグを圧着し、中間膜を得る方法等が挙げられる。
前記(1)~(9)のいずれかで得た中間膜の少なくとも一方の表面に、エンボスロールを用いる方法等の公知の方法で凹凸形状を形成してもよい。
公知の製膜方法の中でも、特に押出法またはプレス法が好適に採用される。
押出法で製膜する場合、押出時の樹脂組成物の温度は樹脂の種類に依存するが、好ましくは150~250℃、より好ましくは170~230℃である。樹脂組成物の温度が高くなりすぎると、ポリビニルアセタール樹脂またはアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂が分解を起こし、得られる合わせガラス用中間膜の耐クリープ性が低下したり、着色したりすることがあり、また揮発性物質の含有量が多くなる。一方で温度が低すぎる場合には、厚さムラの少ない合わせガラス用中間膜を得ることが困難になり、また揮発性物質の含有量が多くなる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から、減圧により揮発性物質を除去することが好ましい。
プレス法で製膜する場合、好ましいプレス温度は特に限定されないが、100~250℃が好ましく、150~250℃がより好ましく、170~230℃が更に好ましい。プレス温度が高すぎると、ポリビニルアセタール樹脂またはアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂が分解を起こし、得られる合わせガラス用中間膜の耐クリープ性が低下したり、着色したりすることがあり、また揮発性物質の含有量が多くなる。一方で温度が低すぎる場合には、厚さムラの少ない合わせガラス用中間膜を得ることが困難になり、また揮発性物質の含有量が多くなる。
媒体の印刷方法は特に限定されず、例えば、インクジェット印刷、レーザー印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
媒体を印刷する場合、使用するインクの種類は特に限定されず、例えば、染料インクおよび顔料インク等が挙げられる。また、有色のインクおよび無色のインクのいずれも使用可能であるが、合わせガラスとしたときの外観の観点から、無色のインクが好ましい。ここで無色のインクとは、それによる印刷物を自然光および通常の室内光の下、等倍でまたは拡大した状態で、ヒトが目視では通常認識できないインクのことを指す。そのようなインクの例としては、赤外線を反射するインク、赤外線を吸収するインク、紫外線を反射するインク、紫外線を吸収するインクの他、紫外線または赤外線を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波(例えば380nm以上780nm未満の波長を有する電磁波)を発するインク(蛍光剤インク)等が挙げられ、そのようなインクには、前記ラベル化合物が含まれることが好ましい。
紫外線または赤外線を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波を発するインクには、通常、紫外線または赤外線により励起され、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波を発する化合物が含まれる。そのような化合物は好ましくは粒子状である。前記化合物が粒子状であることにより、中間膜の層内におけるインクの経時的な移行が抑制されやすいため、媒体(およびそれに含まれる情報)が経時的に保持されやすい。前記粒子状化合物の数平均粒径は、上述したインクの経時的な移行の抑制を得やすく、また中間膜の外観を損なわない観点から、好ましくは0.1~1,000,000nm、より好ましくは0.5~1,000nm、特に好ましくは1~100nmである。
前記インクは中間膜に媒体を印刷するために用いられる。インクは、印刷対象である中間膜の層を構成する樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂と同じ熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。即ち、例えば樹脂組成物がポリビニルアセタール樹脂を含む場合は、インクはポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましく、例えば樹脂組成物がアイオノマー樹脂を含む場合は、インクはアイオノマー樹脂を含むことが好ましい。このことにより、媒体と中間膜または媒体とガラス板との良好な付着性を得やすいため、媒体と中間膜または媒体とガラス板との剥離を抑制しやすい。
中間膜は、製造現場から使用現場まで運搬する際、および製造現場または使用現場で保管する際に、ロール状に巻き取ってコンパクトな状態にしておくことが取扱い性の観点から好ましい。従って、本発明の一実施形態では、中間膜はロール状に巻回された合わせガラス用中間膜ロールである。この実施形態において、ロールの幅は好ましくは0.3~5m、より好ましくは0.5~4m、特に好ましくは0.7~3.5mであり、該ロールの任意の長さ方向1mの領域を該ロールの幅方向に四等分した第一領域、第二領域、第三領域および第四領域における情報の数N1、N2、N3およびN4の好ましくは少なくとも1つは、それ以外とは異なる。例えば、N1およびN4が1であって、N2およびN3がゼロであってもよいし、N1およびN4が2であって、N2およびN3が1であってもよい。
[合わせガラス]
本発明はまた、2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の少なくとも一部は、本発明の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラスも対象とする。
本発明は更に、2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の全ては、本発明の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラスも対象とする。
ガラス板は、透明性、耐候性および力学的強度の観点から、好ましくは、無機ガラス板、またはメタクリル樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、若しくはポリシクロオレフィン系樹脂シート等の有機ガラス板であり、より好ましくは無機ガラス板、メタクリル樹脂シートまたはポリカーボネート樹脂シートであり、特に好ましくは無機ガラス板である。無機ガラス板は特に制限されないが、その例として、フロートガラス板、強化ガラス板、半強化ガラス板、化学強化ガラス板、グリーンガラス板または石英ガラス板等が挙げられる。
本発明の一実施形態では、寸法が縦0.41~5.00m、横0.10~20.00mである合わせガラスにおいて、前記合わせガラスの周縁から好ましくは0.2m内側、より好ましくは0.1m内側、特に好ましくは0.05m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きい。この実施形態では、合わせガラスの中心部より周縁部に情報の数が多いため、合わせガラスが優れた外観を有しやすい。なお、合わせガラスの周縁から0.2m内側を結ぶ線を想定できない合わせガラス、例えば縦0.41m、横0.10mの合わせガラス等は、この実施形態に含まれない。
本発明の一実施形態では、合わせガラスの面方向の重心から合わせガラスの周縁までの最短距離をrとしたときに、周縁からr/2内側(好ましくはr/3内側、より好ましくはr/4内側)を結ぶ線と周縁との間の領域(B)に存在する前記情報の数を前記領域(B)の面積で除した値は、それ以外の領域(B)に存在する前記情報の数を前記領域(B)の面積で除した値より大きい。この実施形態では、合わせガラスの中心部より周縁部に情報の数が多いため、合わせガラスが優れた外観を有しやすい。
本発明の合わせガラスは、建築物または車両(例えば自動車、汽車または電車)等のための、窓ガラス、フロントガラス、リアガラス、ルーフガラスまたはサイドガラス等に使用することができる。
[合わせガラスの製造方法]
本発明の合わせガラスは、従来公知の方法で製造することが可能である。そのような方法の例としては、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、およびニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に付加的にオートクレーブ工程に投入する方法を行なうこともできる。
真空ラミネータ装置を用いる方法では例えば、太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10-6MPa以上3×10-2MPa以下の減圧下、100℃以上200℃以下(特に130℃以上170℃以下)の温度で積層を行ってよい。
真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10-2MPaの圧力下、130℃以上、145℃以下の温度で積層を行ってよい。
ニップロールを用いる方法としては例えば、樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をした後、更に流動開始温度に近い条件で圧着または仮圧着する方法が挙げられる。具体的には例えば、赤外線ヒーター等で30℃以上100℃以下に加熱した後ロールで脱気し、それに伴って仮圧着し、更に50℃以上150℃以下に加熱した後ロールで圧着または仮圧着する方法が挙げられる。
仮圧着後に付加的に行われるオートクレーブ工程は、合わせガラスの厚さまたは構成にもよるが、例えば、1MPa以上15MPa以下の圧力下、120℃以上160℃以下の温度で0.5時間以上2時間以下の時間実施してよい。
[真贋判定方法]
本発明の中間膜は、その情報に基づいて、合わせガラス用中間膜が真正品であるか否かを判定することできる。従って、本発明はまた、本発明の合わせガラス用中間膜または本発明の合わせガラス用中間膜ロールの真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法も対象とする。
更に、本発明の中間膜を用いて合わせガラスを作製した後も、中間膜に付与されている情報に基づいて、合わせガラスに挟持されている中間膜が真正品であるか否かを判定することできる。従って、本発明はまた、本発明の合わせガラスにおける中間膜の真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法も対象とする。
情報を読み取る方法は、中間膜に含まれる情報の種類、また使用されるラベル化合物の種類によって適宜選択される。情報を読み取る方法の例としては、目視(拡大鏡の使用を含む)による読み取り、または一次元コードリーダー、二次元コードリーダー、RF-IDリーダー若しくは各種分光光度計等を用いた読み取りが挙げられるが、これらに限定されない。使用されるラベル化合物が可視光を吸収または反射する化合物の場合、自然光の下で目視により読み取ったり、可視光領域の光を照射しその反射可視光を読み取るタイプの一次元コードリーダー、二次元コードリーダー等を用いて読み取ったりすることが可能である。使用されるラベル化合物が紫外線吸収剤または赤外線吸収剤である場合、紫外線照射下または赤外線照射下に得られる情報を紫外線センサーを有するイメージング装置で読み取ったり、紫外線照射下または赤外線照射下に得られる像を読み取る一次元コードリーダー、二次元コードリーダー等を用いて読み取ったりすることが可能である。使用されるラベル化合物が蛍光剤である場合、蛍光剤が吸収する波長の光の照射下で、蛍光剤が発する波長の光を読み取るセンサーを有するイメージング装置で読み取ったり、蛍光剤が吸収する波長の光の照射下で蛍光剤が発した光によって得られる像を読み取る一次元コードリーダー、二次元コードリーダー等を用いて読み取ったりすることが可能である。
情報を読み取る方法は、情報のセキュリティ性を高めるために限られた者だけに公開されることが好ましい。即ち、情報を読み取る方法は、本発明の中間膜の製造者と、その製造者が個別に許可した者との間だけで共有されることが好ましい。
本発明の中間膜について、その製造工程で発生した耳、本発明の中間膜を用いた合わせガラスの製造工程で発生したトリム、合わせガラスの製造工程で発生した不良品の合わせガラスからガラスを分離し得られた中間膜、および使用済みの合わせガラスからガラスを分離して得られた中間膜等は、原料の一部または全部として用いて再度溶融成形することで、合わせガラス用中間膜(再生中間膜)として使用可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
製造例1
還流冷却器、温度計およびイカリ型撹拌翼を備えた5リットル容のガラス容器に、イオン交換水4000gおよびポリビニルアルコール(PVOH-1、粘度平均重合度1700、鹸化度99モル%)400gを仕込み、95℃に昇温してポリビニルアルコールを完全に溶解させた。得られた溶液を120rpmで撹拌しながら10℃まで約30分かけて徐々に冷却し、その後、ブチルアルデヒド235gおよび20質量%塩酸水溶液200mLを添加した。次いで、得られた溶液を60分かけて70℃まで昇温し、70℃にて100分間保持(追い込み反応)した後、室温まで冷却した。得られた樹脂をイオン交換水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、更にイオン交換水で十分洗浄して乾燥し、ポリビニルブチラール(PVB-1)を得た。PVB-1をJIS K6728に従って分析したところ、ブチラール化度(アセタール化度)は71モル%、酢酸ビニル単位含有量は1モル%、ビニルアルコール単位含有量は28モル%であった。
実施例1
(合わせガラス用中間膜の製造)
100質量部のPVB-1(重合度1700)、38質量部のトリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、および0.15質量部のチヌビン326(合計50g)を、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製、ラボプラストミル4M150、ローラミキサーR60H、ブレード形状;ローラ型)を用いて150℃、60rpmで5分間混練し、混練物を得た。熱プレス機を用いて得られた混練物を150℃、100kg/cmで10分間プレスし、60cm×60cm×厚さ0.76mmのシートを得た。このシートのMFRを、JIS K7210-1(2014)に準拠して190℃、荷重2.16kgの条件で測定したところ、2.0g/10分であった。シートのMFRは、後述の合わせガラス用中間膜-1のMFRと同じ値であった。このシート表面に、シルクスクリーン印刷版(理想科学工業株式会社製、#200メッシュ)および黒インク(理想科学工業株式会社製、RISO水性インクブラック)を用い、「株式会社クラレ」を示す二次元コード(QRコード(登録商標)、バージョン3、マージン4セル、セル数29×29、シートの面方向におけるコードの面積:24.6mm×24.6mm=605.16mm)を、図7に示す位置(シート上端から媒体の占める領域(媒体の占める面積部分)の上端までの距離およびシート左端から媒体の占める領域の左端までの距離がそれぞれ2cmである位置)に印刷して乾燥し、合わせガラス用中間膜-1を得た。合わせガラス用中間膜-1における二次元コード部分の印刷厚さは15μmであった。従って、中間膜の厚さ方向において、中間膜の全厚さに対する媒体(二次元コード)の占める厚さは、1.97%であった。合わせガラス用中間膜の面方向において、情報は、1mあたり3.8個(チヌビン326により付与された情報1個と二次元コードにより付与された情報2.8個との和)配置されていた。合わせガラス用中間膜の面方向において、合わせガラス用中間膜の面積に対する媒体の占める面積は0.17%であった。また、合わせガラスの周縁から0.05m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きかった。
(合わせガラスの作製)
合わせガラス用中間膜-1を60cm×60cm×厚さ3mmのガラス2枚に挟み、バキュームバックを用いて仮接着し、オートクレーブを用いて140℃で30分間処理して合わせガラス-1を得た。
(再生中間膜の製造、得られた再生中間膜を用いた合わせガラスの作製)
合わせガラス用中間膜-1を、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製、ラボプラストミル4M150、ローラミキサーR60H、ブレード形状;ローラ型)を用いて190℃、60rpmで5分間混練し、混練物を得た。熱プレス機を用いて得られた混練物を200℃、100kg/cmで10分間プレスし、厚さ0.76mmの再生中間膜-1を得た。得られた再生中間膜を用いて、前記と同様の方法で合わせガラスの作製を行い、再生中間膜を用いた合わせガラス-1を得た。
(貯蔵弾性率の測定)
貯蔵弾性率はJIS K7244-4(1999)に準拠して測定した。まず、合わせガラス用中間膜-1を幅3mmに切断し、動的粘弾率測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel-E4000)を使用し、-100℃から150℃まで3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数1Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析したところ、25℃おける貯蔵弾性率は34MPaであった。
(情報の読み取り)
合わせガラス用中間膜-1の二次元コードをQRコードリーダーで読み取ったところ、「株式会社クラレ」の情報を読み取ることができた。また、合わせガラス-1の二次元コードを合わせガラスの一方のガラス面、もう一方のガラス面、それぞれからQRコードリーダーで読み取ったところ、いずれの面からも「株式会社クラレ」の情報を読み取ることができた。一方、再生中間膜-1および再生中間膜を用いた合わせガラス-1の情報をQRコードリーダーで読み取ろうとしたが、読み取ることはできなかった。
実施例2
1枚の合わせガラス用中間膜-1の上に、もう1枚の合わせガラス用中間膜-1を水平方向に時計回りに90°回転させて重ねた。これを熱プレスで120℃、10kgf/cmの条件下5分間プレスして合わせガラス用中間膜-2を得た。また、合わせガラス用中間膜-1に代えて合わせガラス用中間膜-2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス-2を作製した。これらに含まれる二次元コードをQRコードリーダーで読み取ったところ、合わせガラス用中間膜-2に含まれる2つの二次元コードはいずれも読み取ることができ、また、合わせガラス-2に含まれる2つの二次元コードはいずれも、合わせガラスの両方の面から読み取り可能であった。
実施例3
図7に示す位置に二次元コードを印刷したことに代えて図8に示す位置(シート上端から媒体の占める領域の上端までの距離およびシート左端から媒体の占める領域の左端までの距離がそれぞれ2cmである位置)に「株式会社クラレ」という文字(シートの面方向における媒体の面積:5mm×30mm=150mm)を印刷したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜-3を得た。また、合わせガラス用中間膜-1に代えて合わせガラス用中間膜-3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス-3を作製した。合わせガラス用中間膜-3に含まれる「株式会社クラレ」の文字は目視で読み取ることができ、また合わせガラス-3に含まれる「株式会社クラレ」の文字は、合わせガラスの両方の面から目視で読み取り可能であった。なお、合わせガラス用中間膜-3における文字部分の印刷厚さは15μmであった。従って、中間膜の厚さ方向において、中間膜の全厚さに対する媒体(二次元コード)の占める厚さは、1.97%であった。合わせガラス用中間膜の面方向において、情報は、1mあたり3.8個(チヌビン326により付与された情報1個と文字により付与された情報2.8個との和)配置されていた。合わせガラス用中間膜の面方向において、合わせガラス用中間膜の面積に対する媒体の占める面積は0.04%であった。また、合わせガラスの周縁から0.05m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きかった。
実施例4
黒インクを用いて二次元コードを印刷したことに代えて、エタノール100質量部に5質量部のPVB-1および0.05質量部のトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)モノ(1,10-フェナントロリナート)ユーロピウム(III)を添加することにより調製した蛍光剤インク溶液を用いて二次元コードを印刷したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜-4を得た。また、合わせガラス用中間膜-1に代えて合わせガラス用中間膜-4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス-4、再生中間膜-4および再生中間膜を用いた合わせガラス-4を製造した。合わせガラス用中間膜-4に紫外線ランプ(株式会社アズワン製、ハンディーUVランプ(長波長365nmタイプ))を照射しながら、紫外線を照射している面と同じ面から二次元コードをQRコードリーダーで読み取る方法で、合わせガラス用中間膜-4の二次元コードを印刷した面、もう一方の面からそれぞれ読み取りを試みたところ、二次元コードを印刷した面からは「株式会社クラレ」の情報を読み取ることができたが、もう一方の面からは読み取ることができなかった。また、合わせガラス-4の二次元コードを、前記紫外線ランプを照射しながら、紫外線を照射している面と同じ面からQRコードリーダーで読み取る方法で、二次元コードを印刷した面が接しているガラス側、二次元コードを印刷した面が接していないガラス側、それぞれから読み取りを試みたところ、二次元コードを印刷した面が接しているガラス側からは「株式会社クラレ」の情報を読み取ることができたが、もう一方のガラス側からは読み取ることができなかった。一方、再生中間膜-4および再生中間膜を用いた合わせガラス-4の情報を同様の方法で読み取ろうとしたが、いずれの面からも読み取ることはできなかった。
実施例5
PVB-1に代えて、アイオノマー樹脂-1(エチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウム中和物)(アイオノマー樹脂-1を構成する全構成単位に対するメタクリル酸単位およびメタクリル酸中和物単位の合計含有量は21質量%、メタクリル酸単位およびメタクリル酸中和物単位の合計含有量に対するメタクリル酸中和物単位の含有量は25モル%)を用いたこと、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)を用いなかったこと、およびシートの厚さを0.89mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜-5、合わせガラス-5、再生中間膜-5および再生中間膜を用いた合わせガラス-5を得た。これらについて実施例1と同様にして情報の読み取りを行ったところ、いずれも実施例1と同様の結果が得られた。なお、合わせガラス用中間膜-5のMFRは2.1g/10分、25℃における貯蔵弾性率は80MPaであった。なお、合わせガラス用中間膜-5における文字部分の印刷厚さは15μmであった。従って、中間膜の厚さ方向において、中間膜の全厚さに対する媒体(二次元コード)の占める厚さは、1.69%であった。合わせガラス用中間膜の面方向において、情報は、1mあたり3.8個(チヌビン326により付与された情報1個と文字により付与された情報2.8個との和)配置されていた。合わせガラス用中間膜の面方向において、合わせガラス用中間膜の面積に対する媒体の占める面積は0.17%であった。また、合わせガラスの周縁から0.05m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きかった。
実施例6
合わせガラス用中間膜-1に代えて合わせガラス用中間膜-5を用いたこと以外は実施例2と同様にして、合わせガラス用中間膜-6および合わせガラス-6を得た。これらについて実施例2と同様にして情報の読み取りを行ったところ、いずれも実施例2と同様の結果が得られた。
実施例7
PVB-1に代えて前記アイオノマー樹脂-1を用いたこと、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)を用いなかったこと、およびシートの厚さを0.89mmに変更したこと以外は実施例3と同様にして、合わせガラス用中間膜-7および合わせガラス-7を得た。これらについて実施例3と同様にして情報の読み取りを行ったところ、いずれも実施例3と同様の結果が得られた。
実施例8
100質量部のエタノール、5質量部のPVB-1に代えて、それぞれ100質量部のトルエン/メタノール混合液(質量比7/3)、5質量部のアイオノマー樹脂-1を用いたこと以外は実施例4と同様にして、蛍光剤インク溶液を調製した。100質量部のアイオノマー樹脂-1および0.15質量部のチヌビン326を、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製、ラボプラストミル4M150、ローラミキサーR60H、ブレード形状;ローラ型)を用いて150℃、60rpmで5分間混練し、得られた混練物を熱プレス機を用いて150℃、100kg/cmで10分間プレスし、60cm×60cm×厚さ0.76mmのシートを得た。このシートのMFRを、JIS K7210-1(2014)に準拠して190℃、荷重2.16kgの条件で測定したところ、2.1g/10分であった。シートのMFRは、後述の合わせガラス用中間膜-8のMFRと同じ値であった。このシートと上述の通り調製した蛍光剤インク溶液とを用いたこと以外は実施例4と同様にして、合わせガラス用中間膜-8を得た。また、合わせガラス用中間膜-4に代えて合わせガラス用中間膜-8を用いたこと以外は実施例4と同様にして、合わせガラス-8、再生中間膜-8および再生中間膜を用いた合わせガラス-8を製造した。これらについて実施例4と同様にして情報の読み取りを行ったところ、いずれも実施例4と同様の結果が得られた。
1 合わせガラス用中間膜
2 少なくとも1層の樹脂組成物からなる層
3 情報
3a 情報
3b 情報
3c 情報

Claims (29)

  1. 少なくとも1層の樹脂組成物からなる層を含んでなる合わせガラス用中間膜であって、該合わせガラス用中間膜が真正品であることを示すための情報を有する合わせガラス用中間膜。
  2. 前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の製品名、製造者、製造工場、製造年月日、製造ライン、販売先およびロット番号を表す情報並びにそれらを暗号化した情報からなる群から選択される少なくとも1種の情報を含んでいる、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記情報は、文字、記号、一次元コード、二次元コード、三次元コード、カラーコードおよびRFタグからなる群から選択される少なくとも1つの媒体により前記合わせガラス用中間膜に付与されている、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収するラベル化合物で構成されている、請求項3に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記媒体は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を吸収し、吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波を発するラベル化合物で構成されている、請求項3または4に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 前記の吸収した電磁波とは異なる波長の電磁波は、380nm以上780nm未満の波長を有する、請求項5に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 前記情報は、波長380nm未満または780~2000nmの電磁波を利用して読み取り可能である、請求項1~6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 前記合わせガラス用中間膜の面方向において、前記情報は1mあたり0.02~100個配置されている、請求項1~7のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  9. JIS K7210-1(2014)に従い190℃、荷重2.16kgで測定される前記合わせガラス用中間膜のMFRは0.2~10g/10分であり、該合わせガラス用中間膜を190℃で5分溶融混練した後の混合物において、該合わせガラス用中間膜が有していた前記情報は消失している、請求項1~8のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  10. 前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の面方向および厚さ方向において不均一に配置されている、請求項1~9のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  11. 前記合わせガラス用中間膜の一方の面から読み取られる前記情報と、他方の面から読み取られる前記情報は同一ではない、請求項1~10のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  12. 前記合わせガラス用中間膜の面方向において、該合わせガラス用中間膜の面積に対する前記媒体の占める面積は0.0001~99%である、請求項3~11のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  13. 前記情報の数は2個以上である、請求項1~12のいずれか記載の合わせガラス用中間膜。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜が少なくとも1枚積層された、合わせガラス用中間膜。
  15. 前記情報は、波長380nm未満の電磁波を利用して読み取り可能である、請求項1~14のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  16. 前記樹脂組成物は紫外線吸収剤を含む、請求項1~15のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  17. 厚さは0.1~10mmである、請求項1~16のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  18. 前記合わせガラス用中間膜の厚さ方向において、媒体は互いに異なる2~10箇所の位置に配置されている、請求項3~17のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  19. JIS K7244-4(1999)に準拠して周波数1Hzで測定される25℃における貯蔵弾性率は3~1000MPaである、請求項1~18のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  20. 前記樹脂組成物は、エチレン単位、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位を含むアイオノマー樹脂を含む、請求項1~19のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  21. α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量は、アイオノマー樹脂を構成する全構成単位を基準として2~30質量%である、請求項20に記載の合わせガラス用中間膜。
  22. α,β-不飽和カルボン酸中和物単位の含有量は、α,β-不飽和カルボン酸単位およびα,β-不飽和カルボン酸中和物単位の合計含有量を基準として10モル%以上80モル%以下である、請求項20または21に記載の合わせガラス用中間膜。
  23. 前記情報は、前記合わせガラス用中間膜の面方向および厚さ方向において不均一に配置されており、前記合わせガラス用中間膜の一方の面から読み取られる前記情報と、他方の面から読み取られる前記情報は同一ではなく、前記樹脂組成物は紫外線吸収剤を含む、請求項1~22のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  24. 請求項1~23のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜がロール状に巻回された合わせガラス用中間膜ロールであって、該ロールの幅は0.3~5mであり、該ロールの任意の長さ方向1mの領域を該ロールの幅方向に四等分した第一領域、第二領域、第三領域および第四領域における情報の数N1、N2、N3およびN4の少なくとも1つは、それ以外とは異なる、ロール。
  25. 2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の少なくとも一部は、請求項1~23のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラス。
  26. 2つのガラス板と、該2つのガラス板の間に配置された合わせガラス用中間膜とを有する合わせガラスであって、該合わせガラス用中間膜の全ては、請求項1~23のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜で構成されている、合わせガラス。
  27. 寸法が縦0.41~5.00m、横0.10~20.00mである合わせガラスにおいて、前記合わせガラスの周縁から0.2m内側を結ぶ線と周縁との間の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値は、それ以外の領域(A)に存在する前記情報の数を前記領域(A)の面積で除した値より大きい、請求項25または26に記載の合わせガラス。
  28. 請求項1~23のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜または請求項24に記載の合わせガラス用中間膜ロールの真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法。
  29. 請求項25~27のいずれかに記載の合わせガラスにおける合わせガラス用中間膜の真贋判定方法であって、前記情報をリーダー装置により読み取ることを含む、方法。
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