JP2022012555A - モジュールブロック製造方法および炉建設方法 - Google Patents

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Figure 2022012555000001
【課題】建設場所でのモジュールブロック据え付けの手直し作業を軽減し、かつ、高い精度で効率的にモジュールブロックを据え付けることのできる炉の建設方法を提供する。
【解決手段】炉の建設に用いるモジュールブロックを製造する方法であって、
前記炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックとする積み上げ工程と、
前記積み上げ工程で得られたモジュールブロックの輪郭形状を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定された輪郭形状に基づいて加工内容を決定する加工内容決定工程と、
前記加工内容決定工程で決定された加工内容に基づいて前記モジュールブロックを加工機により加工する加工工程とを含む、モジュールブロック製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、モジュールブロック製造方法および炉建設方法に関する。
製鉄に用いられる冶金用コークスは、室炉式コークス炉で石炭を乾留することによって製造される。室炉式コークス炉は、炭化室と、該炭化室に熱を供給する燃焼室とを炉幅方向に交互に配置することによって構成されており、炭化室と燃焼室とを隔てる耐火煉瓦等の定型耐火物を介して燃焼室から炭化室へ熱が供給される。室炉式コークス炉には100門以上の炉室を備えるものもあり、そのような室炉式コークス炉は、全長100m以上、高さ10m以上におよぶ巨大煉瓦構造物といえる。
コークス炉を構成する定型耐火物は、一般的な建築物用の煉瓦と異なり、上面から見た形状が長方形、台形、L字型など、複雑な形状をしている。さらに、それら定型耐火物の側面、上面、底面には、ダボと呼ばれるズレ防止用の嵌合凸部や、ホゾと呼ばれるズレ防止用の嵌合凹部が設けられている場合がある。コークス炉は、このように極めて複雑な形状を有する定型耐火物を組み合わせて建設される。
このような定型耐火物の形状の複雑さのため、コークス炉の築炉は、現在、築炉工による手積み作業で行われている。手積みによる築炉では、定型耐火物を積む位置にコテ等の工具を用いて所定の目地厚になるようにモルタルを塗布し、次いで、モルタル上へ定型耐火物を積み上げるという作業を繰り返し行う必要がある。その際には、複雑な形状の定型耐火物の表面にモルタルを均一に塗布する必要があるなど、極めて高度な技能が要求されるが、そのような技能を有する熟練した築炉工は常に不足している。また、手作業でモルタルの塗布と定型耐火物の積み上げを行う築炉作業は極めて重労働といえる。
以上の理由から、定型耐火物を積み上げる作業を、少ない人手で効率的に行う方法の開発が求められている。
例えば、特許文献1では、予めコークス炉の建設場所以外の場所で、水平方向に複数の煉瓦を並べた煉瓦層を、鉛直方向に複数段積層したモジュールブロックを製作し、建設場所に運搬して据え付ける方法が提案されている。
特開2016-191064号公報
特許文献1で提案されている方法ではスペースに限りがあるコークス炉建設場所ではない別の場所でモジュールブロックを製造するため、十分な作業スペースを確保することができる。そしてその結果、作業効率が向上することに加え、定型耐火物の積み上げやモルタルの塗布をロボット等を用いて自動化することも容易である。
しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1などの従来の方法には、以下に述べるようにさらなる改善の余地があることが分かった。
すなわち、コークス炉の建設に使用される定型耐火物は焼成して製造されるものであるため、寸法にばらつきがある。例えば、一般的に使用される定型耐火物では、平面視や側面視における対角線距離で1~2mm程度の寸法誤差があり、その寸法誤差は個々の定型耐火物ごとに異なっている。そのため、定型耐火物を積み上げて得られるモジュールブロックにも、個体ごとに形状のばらつきが発生する。
特に、コークス炉においては、石炭を炭化室に挿入して乾留し、得られたコークスを側面から押し出して排出するため、炭化室の壁面には高い平坦度が要求される。したがって、モジュールブロックの製造時には、炭化室の壁面が要求される平坦度を備えるように定型耐火物の積み方を調整することが考えられるが、その場合でも、他の以外の部分における形状のばらつきを完全になくすことはできない。
このモジュールブロック形状のばらつきのために、コークス炉建設の精度や作業効率が低下するという問題がある。例えば、形状のばらつきのためにモジュールブロック間の距離が小さくなりすぎた場合、モジュールブロックの据付精度が低下することに加え、十分なモルタルの厚さを確保できない場合がある。特に、モジュールブロック同士が干渉する場合には、現場で手直しの必要が生じるため、作業効率が低下する。また、反対に、モジュールブロック間の距離が大きくなりすぎた場合にも、据付精度が低下する場合があることに加え、モジュールブロック間の隙間を多量のモルタルで充填する必要があるため、やはり作業効率が低下する。
したがって、モジュールブロックを用いたコークス炉建設方法において、さらに高い精度で効率的にコークス炉を建設できる方法が求められている。また、上記モジュールブロックを用いた工法は、コークス炉以外の炉の建設にも適用可能であるが、その場合にも、やはり同様に、さらに高い精度で効率的に炉を建設できる方法が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、炉の建設場所における手直し作業を軽減し、高い精度で効率的に炉を建設する方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
1.炉の建設に用いるモジュールブロックを製造する方法であって、
前記炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックとする積み上げ工程と、
前記積み上げ工程で得られたモジュールブロックの輪郭形状を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定された輪郭形状に基づいて加工内容を決定する加工内容決定工程と、
前記加工内容決定工程で決定された加工内容に基づいて前記モジュールブロックを加工機により加工する加工工程とを含む、モジュールブロック製造方法。
2.前記測定工程における輪郭形状の測定を、レーザを利用した3次元計測法を用いて行う、上記1に記載のモジュールブロック製造方法。
3.前記測定工程における輪郭形状の測定を、前記モジュールブロックを複数の視点から撮像した画像を用いたフォトグラメトリによって行う、上記1に記載のモジュールブロック製造方法。
4.前記加工内容決定工程において、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて加工内容を決定する、上記1~3のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法。
5.前記積み上げ工程において同形状の複数のモジュールブロックを作製し、
前記測定工程において、前記複数のモジュールブロックの輪郭形状を測定し、
前記加工内容決定工程に先だって、前記複数のモジュールブロックのそれぞれをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて使用するモジュールブロックを選択するモジュールブロック選択工程をさらに備える、上記1~4のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法。
複数のモジュールブロックを用いて炉を建設する炉建設方法であって、
上記1~5のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法によりモジュールブロックを製造するモジュールブロック製造工程と、
前記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックを前記炉の建設場所へ運搬するモジュールブロック運搬工程と、
前記モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布するモルタル塗布工程と、
前記モルタルが塗布された位置に前記モジュールブロック運搬工程で運搬されたモジュールブロックを設置するモジュールブロック設置工程とを含む、炉建設方法。
本発明によれば、炉の建設場所における手直し作業を軽減し、高い精度で効率的に炉を建設することができる。
本発明の第1の実施形態におけるモジュールブロック製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態におけるモジュールブロックの構造の例を模式的に示す上面図である。 本発明の一実施形態におけるモジュールブロックの構造の例を模式的に示す側面図である。 水平方向に隣接する定型耐火物間における、ダボとホゾの構造の例を模式的に示す上面図である。 垂直方向に隣接する定型耐火物間における、ダボとホゾの構造の例を模式的に示す側面図である。 モジュールブロックの一側面の輪郭形状の例を表す模式図である。 図6に示したモジュールブロックの一側面の輪郭形状を測定して得られる3次元点群データの例を示す模式図である。 隣接するモジュールブロック同士が干渉した状態を示す模式図である。 隣接するモジュールブロック同士の干渉を加工により解消した状態を示す模式図である。 仮想据付によるモジュールブロック間の干渉の評価方法の例を示す模式図である。 加工機によりモジュールブロックを加工する方法の一例を示す模式図である。 センサを備えた加工機を用いる方法の一例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態におけるモジュールブロック製造方法を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態における炉建設方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の実施形態を例示的に示すものであり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。また、以下の説明においては、特に断りの無い限り、コークス炉に組み込まれた状態における向きを基準として、定型耐火物、及び該定型耐火物を積み上げて製造されるモジュールブロックについて、上、下、水平、鉛直、及び高さとの用語を用いる。
また、本発明における炉の「建設」には、完全に新規に炉を建設する場合に加えて、既存の炉に追加的に新規部分を建設する場合(増設)、および既存の炉の一部を置き換えるように新規部分を建設する場合(補修)も包含するものとする。言い換えると、本発明における「建設」には、新設、増設、および補修を包含する。例えば、稼働中のコークス炉の補修においては、いくつかの燃焼室および炭化室の使用を停止し、それ以外の燃焼室および炭化室については稼働した状態で補修を行うこと(熱間補修)が一般的に行われている。本発明は前記熱間補修にも適用可能である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態におけるモジュールブロック製造方法は、炉の建設に用いるモジュールブロックを製造する方法であって、図1のフローチャートに示すように以下の工程を含む。
・積み上げ工程
・測定工程
・加工内容決定工程
・加工工程
なお、以下の説明では、コークス炉の建設を例として本発明を説明するが、本発明はコークス炉以外の炉の建設にも適用可能である。
[積み上げ工程]
積み上げ工程においては、コークス炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックとする。本発明においては、後述するように、コークス炉の建設場所以外の場所において製造したモジュールブロックをコークス炉建設場所に運搬、設置するのみでコークス炉を建設することができるため、従来のように作業性の悪い建設場所において築炉工が一つずつ定型耐火物を手積みする作業を低減し、建設場所における作業効率を格段に向上させることができる。
前記「コークス炉の建設場所以外の場所」としては、コークス炉の建設現場とは異なり、かつ定型耐火物を積み上げてモジュールブロックを製造することができる場所であれば特に限定されず、任意の場所を用いることができる。例えば、コークス炉の建設を行うための場所に設けられた仮上屋に隣接する土地等のコークス炉建設場所に隣接する場所、該コークス炉を製鉄所内に建設する場合であれば、該製鉄所内の他の場所などで積み上げ工程を実施することができる。また、モジュールブロックの製造は、コークス炉建設場所から離れた遠隔地で行うことも可能であるが、運搬にかかる時間やコストを考慮すると、コークス炉建設場所に隣接する場所で行うことが好ましい。積み上げ工程は、一カ所で集約的に行うことが効率上望ましいが、複数の場所で行って、それぞれの場所で製造されたモジュールブロックを、1つのコークス炉建設現場へ運搬、搬入して用いることもできる。
前記モジュールブロックは、コークス炉のいずれの部分を構成するためのモジュールブロックとすることもできるが、比較的構造が単純な部分や、繰り返し構造を有する部分をモジュールブロック化すれば、作業効率の向上効果が大きい。そのため、前記積み上げ工程においては、蓄熱室を構成するモジュールブロックおよび燃焼室を構成するモジュールブロックの少なくとも一方を作製することが好ましい。
図2、図3は、本発明の一実施形態におけるモジュールブロックの例を示す模式図であり、コークス炉の燃焼室を構成するモジュールブロックの構造を表している。なお、図2、3を含む各図面においては、説明のため、定型耐火物の形状や組み合わせ方などを簡略化して示しており、実際の正確な構造を示すものではないことを付記する。
モジュールブロック1は、複数の定型耐火物2を積み上げて構成されており、個々の定型耐火物2は、定型耐火物2の間の目地部分に塗布されたモルタル(図示されない)で接合されている。先に述べたように、コークス炉用の定型耐火物2には、図4、図5に示すように、ズレ防止などのための嵌合凸部であるダボ3や嵌合凹部であるホゾ4が設けられており、ダボ3とホゾ4とがモルタル5を介して嵌合した状態で接合される。
[[定型耐火物]]
前記モジュールブロックを製造するための定型耐火物としては、特に限定されることなく、レンガやプレキャストブロック等、任意の定型耐火物を用いることができる。なかでも、手積みでコークス炉を建設する際に用いられる通常の定型耐火物を用いることが好ましい。通常の定型耐火物を使用することにより、本発明の方法で築炉する場合においても、従来と同様の炉の設計とすることが可能となり、その結果、少なくとも従来と同等の炉の性能を保証することが可能となる。また、大型のモジュールレンガを用いた場合には、亀裂が入った場合にモジュール全体にわたって亀裂が広がるおそれがあるが、通常の定型耐火物を使用すれば、仮に定型耐火物に亀裂が入ったとしても、その亀裂の伝搬を1つの定型耐火物内でとどめることができる。なお、ここでいう通常の定型耐火物とは、モジュールレンガではない、手積み用の定型耐火物全般を指すが、その寸法は、一般的には、高さ10~15cm、水平方向の長さが20~40cmである。
[[手作業による定型耐火物の積み上げ]]
上記定型耐火物の積み上げは、手作業によって行うことができる。本発明では、コークス炉の建設場所以外の場所においてモジュールブロックの製造を行うので、コークス炉建設場所で定型耐火物を手積みする場合とは異なり、十分な作業スペースを確保することが可能となる。したがって、同じ手積みであっても作業者への負荷を低減することができる。また、コークス炉建設場所で定型耐火物を積む場合には、積み上げられた定型耐火物の高さに合わせて足場を組み、その上で作業を行う必要があるが、モジュールブロック単位で定型耐火物を積む作業を行うため、高所作業のための足場を用いる必要がなく、足下のよい地面の上で作業を行うことができる。
[[ロボットによる定型耐火物の積み上げ]]
また、上記定型耐火物の積み上げは、ロボットを用いて行うこともできる。この場合、ブロックの製造工程の一部または全部を自動化することができるため、定型耐火物の手積みという重労働に従事する作業員の数を減らすことができるとともに、高度な技能を要求される定型耐火物積み上げ作業の一部または全部をロボットにより自動化することが可能となる。
定型耐火物の積み上げに用いるロボットとしては、特に限定されることなく、任意のロボットを用いることができるが、定型耐火物をハンドリングすることが可能な可動式のアームを有するアーム型ロボットを用いることが好ましい。前記アーム型ロボットの一例としては、産業用ロボットの一種である垂直多関節型ロボットが挙げられる。また、定型耐火物積み上げ用アーム型ロボットとモルタル塗布用アーム型ロボットを用いてモジュールブロックを製造することもできる。
[[モジュールブロック製造ライン]]
なお、手積みで行うかロボットを使用するかに関わらず、モジュールブロックの製造ラインは1つとすることも、複数とすることもできる。複数のラインで定型耐火物の積み上げを行ってモジュールブロックを製造すれば、コークス炉建設場所へのモジュールブロックの供給速度を上げることができるため、作業効率の観点からはモジュールブロックの製造ラインの数を2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましい。一方、製造ラインの数の上限は特に限定されないが、必要以上にライン数を増やしても、その後のモジュールブロック運搬工程や、コークス炉建設場所において行われるモルタル塗布工程やモジュールブロック設置工程が律速工程となるため、それ以上コークス炉の建設スピードを向上させることが困難となり、費用対効果が低下する。したがって、ライン数は、コークス炉の規模や各工程における作業速度等を考慮して決定すればよい。
[[モジュールブロックのサイズ]]
前記モジュールブロックのサイズは特に限定されず、任意のサイズとすることができる。しかし、モジュールブロックの製造を手積みで行う場合、モジュールブロックの高さが過度に高いと、高い位置に定型耐火物を積むために、足場を組み立てる等の方法により作業床を設ける必要がある。例えば、日本においては、労働安全衛生規則第518条の規定により、高さが2m以上で作業を行う場合において墜落のおそれのあるときは、作業床を設けることが求められている。前記モジュールブロックの高さが2m未満であれば、定型耐火物を手積みしてモジュールブロックを製造する場合でも、足場などを設置して高所作業を行う必要がないため、作業効率が高い。また、ロボットを用いてモジュールブロックを製造する場合には、前記モジュールブロックの高さを2m未満が2m未満であれば、定型耐火物を積む位置の高さを一般的なアーム型ロボットのアームの可動範囲内とすることができる。そのため、ロボットを水平方向に移動させるのみでモジュールブロックを製造することができるため、作業効率が高い。したがって、作業効率の観点からは、モジュールブロックの高さを2m未満とすることが好ましい。一方、前記モジュールブロックの高さの下限についても特に限定されないが、定型耐火物2段以上とすることが好ましい。
また、モジュールブロックの長手方向の長さについても限定されないが、作業効率の観点からは、建設するコークス炉の炉長の1/8以上とすることが好ましい。前記モジュールブロックの長手方向の長さは、建設するコークス炉の炉長の1/4以上であってもよい。一方、前記モジュールブロックの長手方向の長さは、建設するコークス炉の炉長の2/3以下とすることが好ましく、1/2以下とすることがより好ましい。
なお、ここで「モジュールブロックの長手方向長さ」とは、モジュールブロックの水平方向断面における長手方向の長さを指し、「モジュールブロックの高さ」とは、該モジュールブロックの下面から上面までの高さを指す。なお、前記「モジュールブロックの長手方向長さ」および「モジュールブロックの高さ」には、モジュールブロックの側面、上面、および底面に設けられたダボ等の凹凸は含めないものとする。また、「コークス炉の炉長」とは、コークス炉を構成する個々の燃焼室および炭化室の長手方向の長さを意味する。なお、現在使用されている一般的なコークス炉の炉長は、15~17m程度である。
[測定工程]
次に、前記積み上げ工程で得られたモジュールブロックの輪郭形状を測定する(測定工程)。ここで、前記輪郭形状には、モジュールブロックの寸法に関する情報も包含するものとする。
輪郭形状の測定方法はとくに限定されず、任意の方法を用いることができる。前記測定方法としては、モジュールブロックの3次元的な輪郭形状のデータを、例えば、3次元点群データとして取得できる方法を用いる3次元計測方法を用いることが好ましい。
例えば、本発明の一実施形態においては、レーザを利用した3次元計測法を用いて輪郭形状の測定を行うことができる。モジュールブロックに対してレーザを走査レーザら照射し、反射光を検出することによって光源からモジュールブロックの表面の各点までの距離を測定することにより、モジュールブロックの輪郭形状の3次元点群データを取得することができる。例えば、図6に示す側面の輪郭形状を有するモジュールブロックについて測定を行うことにより、図7に示すような輪郭形状の3次元点群データを得ることができる。ただし、図7における3次元点群データは、説明のために測定点の数を少なくしたものであり、実際の測定においてはさらに測定点を増やして精度を高めることが好ましい。反射光による距離の測定に使用できる方法としては、例えば、TOF(Time of Flight)方式や位相差検出方式などを挙げることができるが、これらに限らず任意の方法を用いることができる。
前記輪郭形状の測定は、モジュールブロックの少なくとも1つの面について行えばよいが、複数の面について行うことが好ましく、全面について行うことがより好ましい。
また、本発明の他の実施形態においては、モジュールブロックを複数の視点から撮像した画像を用いたフォトグラメトリによって輪郭形状の測定を行うことができる。すなわち、フォトグラメトリでは、異なる視点から撮影した複数の画像から、当該画像に写った同一の点の3次元座標を三角測量の原理で求めることができる。したがって、画像中の多数の点の3次元座標を求めることにより、モジュールブロックの輪郭形状の3次元点群データを取得することができる。
なお、モジュールブロックを構成する定型耐火物の寸法の公差は、一般的に1~2mm程度である。また、コークス炉における定型耐火物の積み付け精度も、一般的に1~2mm程度であることが要求される。そのため、上記輪郭形状の測定において使用する測定方法の測定精度は、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。また、得られた3次元点群データから3次元ポリゴンモデルを作成し、以降の工程において該ポリゴンモデルを使用することもできる。
[加工内容決定工程]
次に、前記測定工程で測定された輪郭形状に基づいて加工内容、すなわち、対象となるモジュールブロックをどのような形状に加工するかを決定する(加工内容決定工程)。前記加工内容の具体的形態はとくに限定されず、通常は、後述する加工工程において使用する加工手段(加工機)で所望の加工が行えるように加工内容を決定すればよい。加工内容としては、例えば、モジュールブロックの加工位置(部位)や加工量が挙げられる。
例えば、図8は、隣接するモジュールブロック1a、1bの間でダボ3とホゾ4とが干渉した状態を示す模式図である。このようにダボ3とホゾ4とが干渉している場合、当該干渉部分において必要な目地厚を確保することができない。また、干渉によりモジュールブロックの設置位置がずれてしまう場合もある。そこで、モジュールブロックの輪郭形状を測定した結果、ダボまたはホゾの形状が適正でない場合には、当該ダボおよびホゾの少なくとも一方を加工して、図9に示すように必要な目地厚を確保できるようにすればよい。例えば、ダボを加工する場合には該ダボを削って小さくすればよく、ホゾを加工する場合にはホゾを削って広げればよい。ただし、ダボが過度に小さくなると、ダボとホゾとの係合によるズレ防止が十分に機能しなくなるおそれがあるため、ホゾを削ることが好ましい。本発明の一実施形態においては、加工内容決定工程において、加工によりダボのサイズが予め定めた基準を満たさなくなる場合にはダボの加工量を減らす処理(ゼロとする場合を含む)を行うこともできる。その場合、ダボの加工に代えて、ホゾの加工を行うことが好ましい。
前記加工内容の決定方法はとくに限定されず、任意の方法で行うことができる。例えば、本発明の一実施形態においては、測定工程で測定された輪郭形状と、予め定められたモジュールブロックの適正な輪郭形状とを比較して加工内容を決定することができる。この方法を用いる場合には、製造する各モジュールブロックの適正な輪郭形状(3次元形状)の情報を予め用意しておくことが望ましい。
また、本発明の他の実施形態においては、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて加工内容を決定することもできる。以下、この仮想据付について説明する。
図10は、仮想据付によるモジュールブロック1間の干渉を評価する方法を模式的に示した図である。本発明の方法では、製造したモジュールブロックをコークス炉の建設場所へ運搬、設置することによってコークス炉を建設する。その際、図10に示したように隣接するモジュールブロック1の間で干渉が発生する場合がある。通常、このような干渉は、モジュールブロックを建設場所に運搬し、設置しようとした段階で判明するため、現場において手直しを行う必要があった。しかし、事前にモジュールブロックの輪郭形状を測定し、得られた情報を元にコンピュータ上で仮想据付を行うことにより、予め干渉の有無を予測し、加工内容を決定することができる。
上記仮想据付の方法は特に限定されず、任意の方法で行うことができるが、通常は、上記測定工程において測定したモジュールブロックの輪郭形状のデータを用いて行えばよい。例えば、上記積み上げ工程において複数のモジュールブロックを製造し、得られた各モジュールブロックの輪郭形状を上記測定工程で測定する。その後、得られた各モジュールブロックの輪郭形状のデータを使用して仮想据付を行う。
なお、加工内容決定工程において、加工の要否について判断を行い、加工が不要と判断された場合には当該モジュールブロックについて、次の加工工程を省略し、モジュールブロック運搬工程に進めることも可能である。
[加工工程]
次に、前記加工内容決定工程で決定された内容に基づいて前記モジュールブロックを加工機により加工する(加工工程)。加工機により切削などの加工を施すことにより、モジュールブロックの輪郭形状を調整し、干渉をなくすことができる。
[[加工機]]
前記加工機としては、特に限定されることなく、モジュールブロックを加工できるものであれば任意の加工機を用いることができる。前記加工機としては、例えば、レーザ加工機およびエンドミルの一方または両方を用いることができる。前記エンドミルとしては、特にボールエンドミルを用いることが好ましい。
前記加工機は、加工位置を調整するための位置制御手段を備えることが好ましい。前記位置制御手段としては、任意のものを使用することができる。前記位置制御手段の例としては、加工手段(エンドミルなどの加工工具や、レーザ照射手段など)を駆動するアクチュエータが挙げられる。前記移動手段は2次元的に移動可能であることが好ましく、3次元的に移動可能であることがより好ましい。
図11は、加工機によりモジュールブロックを加工する方法の一例を示す模式図である。加工機10は、モジュールブロックを加工するための加工工具11を備えており、加工工具11は3次元的に移動可能に構成されている。具体的には、加工工具11は、図示されないZ軸方向移動手段によりZ軸方向(図11における上下方向)に移動可能な状態で加工ヘッド12に保持されている。加工機10は、さらに、Y軸方向(図の前後方向)に延在する第1フレーム13と、X軸方向(図11における左右方向)に延在する第2フレーム14とを備えている。加工ヘッド12は、X軸方向に移動可能な状態で第2フレーム14に保持されており、第2フレーム14は、第1フレーム13上に設けられたレール15上を車輪16によってY軸方向に走行可能に設置されている。
そして、加工内容決定工程で決定された加工内容に基づいて加工工具11を駆動することにより、モジュールブロック1に所望の加工を施す。例えば、加工工具11がエンドミルである場合には、該エンドミルをモジュールブロック1の被加工位置に接触させて、所望の量、切削加工を行う。
なお、図11では、加工工具11が3軸に移動可能な3軸加工機の例を示したが、これに限らず、4軸以上に移動可能な加工機(例えば、4軸加工機、5軸加工機など)を用いることも好ましい。4軸以上に移動可能な加工機を使用すれば、モジュールブロックに対して、容易に複数の方向から加工を施すことができる。
また、加工機は、モジュールブロックの少なくとも一部分の輪郭形状を測定するセンサをさらに備えることが好ましい。前記センサを利用することにより、より高い精度で加工を行うことができる。例えば、前記センサによりモジュールブロックの輪郭形状を測定し、得られたデータを先の測定工程で得られたデータと比較することにより、加工対象であるモジュールブロックの置かれている位置や姿勢を把握することができる。前記センサによって測定された情報に基づいて加工機の原点出しを行うこともできる。
前記センサとしては、例えば、測定対象までの距離を測定することができる測距センサを用いることができる。測距センサを用いる場合は、該測距センサを少なくとも2次元的に走査可能に構成することが好ましい。測距センサを2次元的に走査しながら距離を測定することにより、モジュールブロックの輪郭形状を測定することができる。また、前記センサとしては、上述した測定工程と同様の、レーザ照射装置または赤外線照射装置を用いたセンサを利用することもできる。
図12は、センサを備えた加工機を用いる方法の一例を示す模式図である。図12に示した加工機10は、図11に示した加工機10と同様の構成に加え、さらに加工ヘッド12に測距センサ17を備えている。したがって、加工ヘッド12をX-Y平面で走査しながら測距センサ17によって測距センサ17からモジュールブロック1の表面までの距離を測定することにより、モジュールブロック1の上面の輪郭形状を取得することができる。前記測距センサとしては、特に限定されることなく任意の測距センサを用いることができる。測定効率などの観点からは、レーザ等を走査したラインのプロファイルを計測できる2次元プロファイルセンサ(ラインセンサ)を用いることが好ましい。2次元プロファイルセンサを加工ヘッドに取り付けておき、前記加工ヘッドを移動させながら測定を行えば、広範囲にわたってモジュールブロックの上面の輪郭形状を取得することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態におけるモジュールブロック製造方法は、前記積み上げ工程において同形状の複数のモジュールブロックを作製し、前記測定工程において、前記複数のモジュールブロックの輪郭形状を測定することに加え、モジュールブロック選択工程をさらに備える。すなわち、本実施形態におけるモジュールブロック製造方法は、図13のフローチャートに示すように以下の工程を含む。
・積み上げ工程
・測定工程
・モジュールブロック選択工程
・加工内容決定工程
・加工工程
以下、本実施形態について説明する。なお、特に言及しない点については上述した第1の実施形態と同様とすることができる。
まず、本実施形態のモジュールブロック製造方法においては、前記積み上げ工程において同形状の複数のモジュールブロックを作製し、前記測定工程において、前記複数のモジュールブロックの輪郭形状を測定する。
[モジュールブロック選択工程]
次いで、加工内容決定工程に先だって、前記複数のモジュールブロックのそれぞれをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて使用するモジュールブロックを選択するモジュールブロック選択工程を実施する。すなわち、先に述べたように製造上の理由から、個々のモジュールブロックには形状(寸法を含む)のばらつきがある。そこで、上記のように仮想据付を行って、次にモジュールブロックを設置する位置に最適な輪郭形状を有するブロックを選択することができる。その結果、後の加工工程における加工量を低減し、作業効率を向上させることができる。
モジュールブロック選択工程におけるモジュールブロックの選択基準はとくに限定されないが、後の加工工程における加工量または加工に要する時間が最小となるモジュールブロックを選択することが好ましい。
例えば、まず、仮想据付を行って、対象となるモジュールブロックを据え付けた場合の該モジュールブロックとそれに隣接するモジュールブロックとの間の目地厚dを算定する。この仮想据付を複数のモジュールブロックのそれぞれについて行って、各モジュールブロックを設置した場合の目地厚diを求める。そして、得られた目地厚の値diと、予め定めた目標目地厚d0との差Δdi(=di-d0)の絶対値|Δdi|が最小となるモジュールブロックを使用することとする。この方式において、|Δdi|の算出は少なくとも1カ所において行えばよいが、複数箇所において|Δdi|を算出し、各位置における|Δdi|の合計が最小となるようモジュールブロックを選択することが好ましい。また、|Δdi|の算出は任意の位置で行うことができるが、特にばらつきの影響が大きいダボとホゾの位置を含めることが好ましい。また、1つのダボとホゾの組み合わせについて、2カ所以上、好ましくは3カ所以上で|Δdi|を評価することもできる。
なお、モジュールブロック選択工程において最適なモジュールブロックを選択した結果、次の加工内容決定工程において選択されたモジュールブロックについて加工が不要と判断された場合には、加工工程を省略し、当該モジュールブロックについては次のモジュールブロック運搬工程に進めることも可能である。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態における炉建設方法は、複数のモジュールブロックを用いて炉を建設するコークス炉建設方法であって、図14のフローチャートに示すように以下の工程を含む。
・モジュールブロック製造工程
・モジュールブロック運搬工程
・モルタル塗布工程と、
・モジュールブロック設置工程
[モジュールブロック製造工程]
モジュールブロック製造工程においては、上述したモジュールブロック製造方法によりモジュールブロックを製造する。モジュールブロックの製造は、例えば、上記第1の実施形態または第2の実施形態のモジュールブロック製造方法により行うことができる。
[モジュールブロック運搬工程]
上記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックは、次に、コークス炉建設場所へ運搬される。モジュールブロック運搬工程におけるモジュールブロックの運搬方法は、特に限定されることなく、モジュールブロックの製造場所とコークス炉の建設場所との距離等に応じて、トラックやトランスポーター(自走運搬台車)、クレーン等の任意の方法を単独または複数組み合わせて使用することができる。例えば、コークス炉建設場所に仮上屋が設けられている場合、モジュールブロックの製造や加工を行った場所から前記仮上屋まではトランスポーターで運搬し、仮上屋内では天井クレーンとステージジャッキを併用して施工位置まで運搬することができる。また、モジュールブロック運搬工程においては、モジュールブロック製造場所からコークス炉建設場所の施工位置まで直接モジュールブロックを運搬することもできるが、まず、モジュールブロック保管場所に運搬して一時的に保管し、築炉の進捗状況に応じて前記ブロック保管場所からコークス炉建設場所の施工位置までモジュールブロックを運搬してもよい。
[モルタル塗布工程]
次に、モジュールブロックを設置する位置に、モルタルを塗布する。モルタルの塗布方法は特に限定されず、定型耐火物を積む場合と同様に、モジュールブロックの底面や側面が接触する位置、言い換えれば、モジュールブロックが設置される位置の上面や側面に、モルタルを塗布すればよい。
モルタルを塗布した面のうち、据え付けられるモジュールブロックの底面と接触する部分、すなわち、水平方向の目地となる部分には、スペーサーを設置することもできる。当該部分には、モジュールブロックの荷重がかかることにより所期の目地厚が確保できない場合がある。そこで、スペーサーを設置し、その上からモジュールブロックを据え付けることにより、目地厚を容易に確保することが可能となる。前記スペーサーとしては、目地厚と同じ高さのものを用いることが好ましい。
[モジュールブロック設置工程]
次に、上記モルタル塗布工程においてモルタルが塗布された位置に、モジュールブロックを設置する。モジュールブロックの設置方法は特に限定されないが、例えば、クレーン等で揚重したモジュールブロックを、モルタルが塗布された面に位置を調整しつつ設置すればよい。このように、モジュールブロック単位で施工することにより、定型耐火物を一つずつ手積みする場合に比べて作業者の負担を低減し、高い精度で定型耐火物を積み上げることができる。
以上の手順でモジュールブロックを設置することによりコークス炉を建設することができる。なお、ここまでの説明ではコークス炉の建設を例として本発明を説明したが、上述したように本発明はコークス炉以外の炉の建設にも適用可能である。
(実施例1)
図1、図14のフローチャートに示したプロセスに従い、モジュールブロックの製造から設置を実施した。
具体的には、まず、水平方向に6個、垂直方向に5段の定型耐火物(耐火煉瓦)を積み上げてモジュールブロックを4個作製した(積み上げ工程)。次に、得られたモジュールブロックの輪郭形状をレーザスキャナを用いて測定し、3次元点群データを取得した(測定工程)。前記レーザスキャナとしては、測定精度が0.085mmであるハンディタイプのレーザスキャナを使用し、測定はモジュールブロックの全面にわたって実施した。
次いで、得られた3次元点群データと、予め用意した基準となるモジュールブロック形状の3次元データとを、コンピュータ上で比較し、差を求めることによりモジュールブロックの形状誤差を数値化した。その結果、製造した4個のモジュールブロックのうちの1つにおいて、モジュールブロック上面のホゾの寸法の基準形状との差(誤差)が3mmと、予め定めた基準(ここでは2mm)より大きいことが分かった。そこで、当該モジュールブロックについて、測定された輪郭形状と予め用意した基準となるモジュールブロック形状とを比較した情報に基づいて、前記誤差を基準値である2mm以下に収めるために必要となる加工内容を決定した(加工内容決定工程)。なお、その他のモジュールブロックについては基準形状との差(誤差)が2mm以下であったため、加工不要と判断した。
その後、上記手順で決定した加工内容に従い、上記の基準値から外れた形状を有する1つのモジュールブロックを加工機によって加工した(加工工程)。前記加工機としては、3軸の自由度を有するボールエンドミルを使用し、モジュールブロックを切削加工した。なお、前記加工に際しては、レーザ加工機が備えるレーザスキャナを使用してモジュールブロックの輪郭形状を測定し、加工機の制御に使用した。
前記加工を完了した後、加工後のモジュールブロックをコークス炉の建設場所に運搬し(モジュールブロック運搬工程)、当該モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布し(モルタル塗布工程)、現地に据え付けた(モジュールブロック設置工程)。モジュールブロックの形状の基準値からの外れから予想された、モジュールブロックのホゾでのモジュールブロック間の干渉は発生せず、現地での修正が少なく、効率的に据え付けを行うことができた。
(実施例2)
前記加工内容決定工程において、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて加工内容を決定した点以外は上記実施例1と同様の手順でブロックの製造から据付を実施した。
具体的には、測定工程において輪郭形状を測定した複数のモジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据付け、その状態での目地厚を評価した。ここでは、目標モルタル厚を5mm、許容範囲を前記目標モルタル厚に対して±2mmの範囲とし、仮想据付において目地厚が前記許容範囲の下限である3mmに満たない場合には加工が必要と判断し、加工内容を決定した。
本実施例の方法でも、モジュールブロックの形状の基準値からの外れから予想されたモジュールブロック間の干渉は発生せず、現地での修正が少なく、効率的に据え付けを行うことができた。
<実施例3>
図13、図14のフローチャートに示したプロセスに従い、モジュールブロックの製造から設置を実施した。
具体的には、まず、水平方向に6個、鉛直方向に7段の定型耐火物(耐火煉瓦)を積み上げてモジュールブロックを39個作製した(積み上げ工程)。次に、得られたモジュールブロックの輪郭形状をレーザスキャナを用いて測定し、3次元点群データを取得した(測定工程)。前記レーザスキャナとしては、測定精度が0.085mmであるハンディタイプのレーザスキャナを使用し、測定はモジュールブロックの全面にわたって実施した。
次いで、得られた3次元点群データを用いて、複数のモジュールブロックのそれぞれをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行った。前記仮想据付を行った状態において、各モジュールブロックを設置した場合の目地厚diを求め、得られた目地厚の値diと、予め定めた目標目地厚d0との差Δdi(=di-d0)の絶対値|Δdi|を算出した。ここで、前記目地厚としては、対象となるモジュールブロックと、該モジュールブロックに隣接するモジュールブロックとの間のダボとホゾの係合部分における目地厚を使用し、1組のダボとホゾにつき、3カ所の目地厚を求めた。本実施例では、ダボとホゾの係合部分が56カ所であったので、合計168カ所(56×3)の目地厚を求め、|Δdi|の積算値を求め、前記積算値が最小となるモジュールブロックを使用することした(モジュールブロック選択工程)。
前記モジュールブロック選択工程において選択されたモジュールブロックについて、上記実施例2と同様の方法、すなわち、仮想据付の結果に基づいて加工内容を決定した(加工内容決定工程)。その結果、加工を要する箇所、すなわち、ダボとホゾとが干渉すると判断された箇所は14カ所であった。なお、比較のために、上記モジュールブロック選択工程において|Δdi|の積算値が最大であったモジュールブロックを使用した場合についても加工内容を求めてみたところ31カ所であった。すなわち、|Δdi|の積算値が最小となるようにモジュールブロックを選択することにより、最大のモジュールブロックを使用した場合に比べて加工箇所を1/2以下に低減できた。
前記加工を完了した後、加工後のモジュールブロックをコークス炉の建設場所に運搬し(モジュールブロック運搬工程)、当該モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布し(モルタル塗布工程)、現地に据え付けた(モジュールブロック設置工程)。モジュールブロックの形状の基準値からの外れから予想された、モジュールブロックのホゾでのモジュールブロック間の干渉は発生せず、現地での修正が少なく、効率的に据え付けを行うことができた。
1:モジュールブロック
1a、1b:モジュールブロック
2:定型耐火物
3:ダボ
4:ホゾ
5:モルタル
10:加工機
11:加工工具
12:加工ヘッド
13:第1フレーム
14:第2フレーム
15:レール
16:車輪
17:測距センサ

Claims (6)

  1. 炉の建設に用いるモジュールブロックを製造する方法であって、
    前記炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックとする積み上げ工程と、
    前記積み上げ工程で得られたモジュールブロックの輪郭形状を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された輪郭形状に基づいて加工内容を決定する加工内容決定工程と、
    前記加工内容決定工程で決定された加工内容に基づいて前記モジュールブロックを加工機により加工する加工工程とを含む、モジュールブロック製造方法。
  2. 前記測定工程における輪郭形状の測定を、レーザを利用した3次元計測法を用いて行う、請求項1に記載のモジュールブロック製造方法。
  3. 前記測定工程における輪郭形状の測定を、前記モジュールブロックを複数の視点から撮像した画像を用いたフォトグラメトリによって行う、請求項1に記載のモジュールブロック製造方法。
  4. 前記加工内容決定工程において、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて加工内容を決定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法。
  5. 前記積み上げ工程において同形状の複数のモジュールブロックを作製し、
    前記測定工程において、前記複数のモジュールブロックの輪郭形状を測定し、
    前記加工内容決定工程に先だって、前記複数のモジュールブロックのそれぞれをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、前記仮想据付の結果に基づいて使用するモジュールブロックを選択するモジュールブロック選択工程をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法。
  6. 複数のモジュールブロックを用いて炉を建設する炉建設方法であって、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のモジュールブロック製造方法によりモジュールブロックを製造するモジュールブロック製造工程と、
    前記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックを前記炉の建設場所へ運搬するモジュールブロック運搬工程と、
    前記モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布するモルタル塗布工程と、
    前記モルタルが塗布された位置に前記モジュールブロック運搬工程で運搬されたモジュールブロックを設置するモジュールブロック設置工程とを含む、炉建設方法。
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