JP7264123B2 - 炉建設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炉の建設方法に関するものである。
製鉄に用いられる冶金用コークスは、室炉式コークス炉で石炭を乾留することによって製造される。室炉式コークス炉は、炭化室と、該炭化室に熱を供給する燃焼室とを炉幅方向に交互に配置することによって構成されており、炭化室と燃焼室とを隔てる耐火煉瓦等の定型耐火物を介して燃焼室から炭化室へ熱が供給される。室炉式コークス炉には100門以上の炉室を備えるものもあり、そのような室炉式コークス炉は、全長100m以上、高さ10m以上におよぶ巨大煉瓦構造物といえる。
コークス炉を構成する定型耐火物は、一般的な建築物用の煉瓦と異なり、上面から見た形状が長方形、台形、L字型など、複雑な形状をしている。さらに、それら定型耐火物の側面、上面、底面には、ダボと呼ばれるズレ防止用の嵌合凸部や、ホゾと呼ばれるズレ防止用の嵌合凹部が設けられている場合がある。コークス炉は、このように極めて複雑な形状を有する定型耐火物を組み合わせて建設される。
このような定型耐火物の形状の複雑さのため、コークス炉の築炉は、現在、築炉工による手積み作業で行われている。手積みによる築炉では、定型耐火物を積む位置にコテ等の工具を用いて所定の目地厚になるようにモルタルを塗布し、次いで、モルタル上へ定型耐火物を積み上げるという作業を繰り返し行う必要がある。その際には、複雑な形状の定型耐火物の表面にモルタルを均一に塗布する必要があるなど、極めて高度な技能が要求されるが、そのような技能を有する熟練した築炉工は常に不足している。また、手作業でモルタルの塗布と定型耐火物の積み上げを行う築炉作業は極めて重労働といえる。
以上の理由から、定型耐火物を積み上げる作業を、少ない人手で効率的に行う方法の開発が求められている。
そこで、特許文献1、2では、予めコークス炉の建設場所以外の場所で、平面方向に複数の煉瓦を並べた煉瓦層を、鉛直方向に複数段積層したモジュールブロックを製作し、建設場所に運搬して据え付ける方法が提案されている。
国際公開第2016/157871号 特開2016-191064号公報
特許文献1、2で提案されている方法ではスペースに限りがあるコークス炉建設場所ではない別の場所でモジュールブロックを製造するため、十分な作業スペースを確保することができる。そしてその結果、作業効率が向上することに加え、定型耐火物の積み上げやモルタルの塗布を、ロボット等を用いて自動化することも容易である。
しかし、本発明者らの検討の結果、これら従来の方法には、以下に述べるようにさらなる改善の余地があることが分かった。
すなわち、モジュールブロックを用いてコークス炉の建設する際には、コークス炉全体の精度を確保するために、個々のモジュールブロックを正しい位置に、正しい姿勢(水平、垂直)で据え付けることが極めて重要である。
しかし、コークス炉の建設に使用される定型耐火物は焼成して製造されるものであるため、寸法にばらつきがある。例えば、一般的に使用される定型耐火物では、平面視や側面視における対角線距離で1~2mm程度の寸法誤差があり、その寸法誤差は個々の定型耐火物ごとに異なっている。そのため、定型耐火物を積み上げて得られるモジュールブロックの上面、下面、側面は完全には平坦ではなく、定型耐火物の寸法誤差などに起因する凹凸が存在している。しかも、この凹凸は一定ではなく、モジュールブロックによって異なっている。
したがって、このように表面が平坦ではなく、形状のばらつきがあるモジュールブロックを正確に据え付けるためには、作業スペースの限られるコークス炉の建設場所において、モジュールブロックが正しい位置、姿勢となるよう手作業で微妙な調整を行いながら据付を行う必要がある。しかし、複数の定型耐火物からなるモジュールブロックは、当然のことながら個々の定型耐火物の十数倍から数十倍もの重量を有し、かつサイズも大きいため、モジュールブロックを高い精度で据え付けることは極めて難しい作業といえる。
さらに、そもそもモジュールブロックの表面が平坦ではないことから、時間をかけて慎重に据付を行ったとしても、正確に据え付けられない場合がある。この点について、以下、図面を参照して説明する。
図1、図2は、それぞれ、モジュールブロック1の構造の例を模式的に示す上面図と側面図である。モジュールブロック1は、複数の定型耐火物2を積み上げて構成されており、個々の定型耐火物2は、定型耐火物2の間の目地部分に塗布されたモルタル(図示されない)で接合されている。モジュールブロックを使用する工法では、このようなモジュールブロック1を、図3に示すように、下の段から順に積み上げていくことによってコークス炉が建設される。
その際、モジュールブロック1は、図4に示すように水平に設置する必要があるが、上述したようにモジュールブロック1の上下面は平坦ではなく、定型耐火物2の形状誤差などに由来する不規則な凹凸が存在している。そのため、モジュールブロック1の表面の特定部位を基準として水平出しを行ってモジュールブロック1を据え付けたとしても、図4のような理想的な水平、すなわち、設計通りの姿勢とはならず、図5に示すように、モジュールブロック1が水平面に対して傾いた状態となってしまう場合がある。
また、図6に示すように、モジュールブロック1が鉛直方向の軸に対して回転した状態で、設計上の位置から傾いて設置されてしまう場合もある。すなわち、コークス炉においては、石炭を炭化室に挿入して乾留し、得られたコークスを側面から押し出して排出するため、炭化室の壁面には高い平坦度が要求される。図1、図2に示したモジュールブロックは、コークス炉の燃焼室を構成するモジュールブロックの例であり、モジュールブロック1の側面(図6における上下の面)が、石炭が挿入される炭化室の壁面を構成する。したがって、モジュールブロック1を据え付ける際には、一般的に、据え付けるモジュールブロック1と、モジュールブロック1の水平方向に隣接する既設のモジュールブロック1とのつなぎ目Cに段差が生じないようにモジュールブロック1が設置される。
しかし、この方法では、モジュールブロック1aが鉛直方向の軸に対して回転した状態で、設計上の位置から傾いて設置されてしまうことを防止できない。また、この方法では、つなぎ目C部分のみを基準として据付位置を決めるため、モジュールブロックを構成する定型耐火物のうち、つなぎ目の定型耐火物の形状の誤差によっては、さらに傾きが大きくなってしまう。
したがって、高い精度でコークス炉を建設するためには、モジュールブロックを正しい位置に、正しい姿勢(水平、垂直)で据え付けることのできる技術が必要である。また、上記モジュールブロックを用いた工法は、コークス炉以外の炉の建設にも適用可能であるが、その場合にも、やはり同様にモジュールブロックを正しい姿勢で据え付けることが求められる。
一方、建築の技術分野においては、水平や垂直の確認にレーザ墨出し器を用いることが行われている。レーザ墨出し器とは、レーザを照射することによって水平や垂直の線を施工位置に視覚的に表示する装置である。したがって、レーザ墨出し器により投影された線を基準としてモジュールブロックの据付を行えば、正しい位置にモジュールブロックを据え付けられると期待される。
しかし、実際のモジュールブロックの据付においては、個々の定型耐火物に比べてサイズ、重量共に大きいモジュールブロックを運搬し、据え付けるために大型の把持装置が使用される。図7は、把持治具を使用してモジュールブロックを据え付ける方法の例を示す模式図である。この例に示すように、モジュールブロック1の運搬や据付の際には、モジュールブロック1の側面を把持治具7によって把持した状態で作業が行われる。そのため、レーザ墨出し器を使用する場合には、図8に例示するように、把持治具7や、把持治具7を支持するための支持部材(図示されない)などとの干渉を避ける必要があるため、レーザ墨出し器の使用が難しいという問題があった。
加えて、実際の炉の建設現場における作業スペースは極めて限られているため、レーザ墨出し器によって基準線を投影したとしても、その基準線にモジュールブロックを位置合わせる作業を行うことが難しいという問題もあった。例えば、コークス炉の燃焼室を構成するモジュールブロックを設置する場合、隣接する燃焼室間の空間である炭化室の幅は一般的なコークス炉で1m程度である。モジュールブロックを把持する把持治具7の幅が合計0.3mとすると、作業者が作業できる空間は幅0.7m程しかないことになる。このように限られた空間内で、レーザ墨出し器8によって投影された基準線に整合するようモジュールブロックの位置決めを行うことは、作業者に対する負荷が極めて大きいといえる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、個々のモジュールブロックを正しい位置に、正しい姿勢(水平、垂直)で据え付けることを可能とし、それによりコークス炉を初めとする各種炉の建設現場における作業負荷を軽減し、より効率的に高い精度で炉を建設することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
1.複数のモジュールブロックを用いて炉を建設する炉建設方法であって、
前記炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックを製造するモジュールブロック製造工程と、
前記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックの輪郭形状を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定した輪郭形状を用いて、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、当該モジュールブロックの据付位置を決定する据付位置決定工程と、
前記モジュールブロックを前記炉の建設場所へ運搬するモジュールブロック運搬工程と、
前記モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布するモルタル塗布工程と、
前記モルタルが塗布された位置に前記モジュールブロック運搬工程で運搬されたモジュールブロックを据え付けるモジュールブロック据付工程とを含み、
前記モジュールブロック据付工程では、前記据付位置決定工程において決定された据付位置を据付位置表示手段により表示し、表示された据付位置をガイドとして前記モジュールブロックの据付を行う、炉建設方法。
2.前記据付位置表示手段がプロジェクタであり、
前記モジュールブロック据付工程では、前記プロジェクタにより投影することによって前記据付位置を表示する、上記1に記載の炉建設方法。
3.前記据付位置表示手段が装着型画像表示装置であり、
前記モジュールブロック据付工程では、前記装着型画像表示装置に前記据付位置を表示する、上記1に記載の炉建設方法。
4.前記据付位置表示手段が非装着型画像表示装置であり、
前記モジュールブロック据付工程では、前記非装着型画像表示装置に前記据付位置を表示する、上記1に記載の炉建設方法。
5.前記モジュールブロック据付工程において、前記据付位置決定工程における仮想据付の結果に基づいて決定した厚みを有するスペーサを、据付けようとするモジュールブロックの据付位置に配置した状態で据付を行う、上記1~4のいずれか一項に記載の炉建設方法。
6.前記モジュールブロック据付工程において、前記モジュールブロックを据え付けた後、前記スペーサを除去する、上記5に記載の炉建設方法。
本発明によれば、個々のモジュールブロックを正しい位置に、正しい姿勢(水平、垂直)で据え付けることができ、それにより、炉の建設場所でのモジュールブロック据え付けの手直し作業を軽減し、且つ、高い精度で炉を建設することができる。
モジュールブロックの構造の例を模式的に示す上面図である。 モジュールブロックの構造の例を模式的に示す側面図である。 モジュールブロックの据付例を模式的に示す側面図である。 モジュールブロックを水平に据え付けた状態を模式的に示す側面図である。 モジュールブロックが水平面に対して傾いて据え付けられた状態を模式的に示す側面図である。 モジュールブロックが鉛直方向の軸に対して回転した状態で据え付けられた状態を模式的に示す側面図である。 把持治具を使用してモジュールブロックを据え付ける方法の例を示す、平面図及び側面図である。 例を示す、平面図及び側面図である。 本発明の一実施形態におけるコークス炉建設方法を示すフローチャートである。 モジュールブロックの一側面の輪郭形状の例を表す模式図である。 図10に示したモジュールブロックの一側面の輪郭形状を測定して得られる3次元点群データの例を示す模式図である。 ステレオカメラによりターゲットの3次元座標を求める原理を説明するための説明図である。 既知の座標に配置された3つのターゲットを基準点として、カメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求める方法を示す模式図である。 既知の座標に設置された3つのターゲットを基準点として、プロジェクタにより据付位置を投影する方法を示す模式図である。 プローブで指示した位置を基準点として、カメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求める方法を示す模式図である。 据え付けようとするモジュールブロックの水平方向に隣接する位置に既に据え付けられているモジュールブロックを基準点として、プロジェクタにより据付位置を投影する方法を示す模式図である。 据え付けようとするモジュールブロックの下方向に隣接する位置に既に据え付けられているモジュールブロックを基準点として、プロジェクタにより据付位置を投影する方法を示す模式図である。 据え付けようとするモジュールブロックの水平方向に隣接する位置に据え付けられているモジュールブロックと、下方向に隣接する位置に据え付けられているモジュールブロックの両者を基準点として、プロジェクタにより据付位置を投影する方法を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に例示説明する。なお,以下の説明は、本発明の実施形態を例示的に示すものであり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。また、以下の説明においては、特に断りの無い限り、コークス炉に組み込まれた状態における向きを基準として、定型耐火物、及び該定型耐火物を積み上げて製造されるモジュールブロックについて、上、下、水平、鉛直、及び高さとの用語を用いる。
また、本発明における炉の「建設」には、完全に新規に炉を建設する場合に加えて、既存の炉に追加的に新規部分を建設する場合(増設)、および既存の炉の一部を置き換えるように新規部分を建設する場合(補修)も包含するものとする。言い換えると、本発明における「建設」には、新設、増設、および補修を包含する。例えば、稼働中のコークス炉の補修においては、いくつかの燃焼室および炭化室の使用を停止し、それ以外の燃焼室および炭化室については稼働した状態で補修を行うこと(熱間補修)が一般的に行われている。本発明は前記熱間補修にも適用可能である。
本発明の一実施形態における炉建設方法は、複数のモジュールブロックを用いて炉を建設する炉建設方法であって、図9のフローチャートに示すように以下の工程を含む。
・モジュールブロック製造工程
・測定工程
・据付位置決定工程
・モジュールブロック運搬工程
・モルタル塗布工程
・モジュールブロック据付工程
なお、以下の説明では、コークス炉の建設を例として本発明を説明するが、本発明はコークス炉以外の炉の建設にも適用可能である。
[モジュールブロック製造工程]
モジュールブロック製造工程においては、コークス炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックを製造する。本発明においては、製造したモジュールブロックを、後述するようにコークス炉建設場所に運搬、設置するのみでコークス炉を建設することができるため、従来のように作業性の悪い建設場所において築炉工が一つずつ定型耐火物を手積みする作業を低減し、建設場所における作業効率を格段に向上させることができる。
前記「コークス炉の建設場所以外の場所」としては、コークス炉の建設現場とは異なり、かつ定型耐火物を積み上げてモジュールブロックを製造することができる場所であれば特に限定されず、任意の場所を用いることができる。例えば、コークス炉の建設を行うための場所に設けられた仮上屋に隣接する土地等のコークス炉建設場所に隣接する場所、該コークス炉を製鉄所内に建設する場合であれば、該製鉄所内の他の場所などでモジュールブロック製造工程を行うことができる。また、ブロックの製造は、コークス炉建設場所から離れた遠隔地で行うことも可能であるが、運搬にかかる時間やコストを考慮すると、コークス炉建設場所に隣接する場所で行うことが好ましい。モジュールブロック製造工程は、一カ所で集約的に行うことが効率上望ましいが、複数の場所で行って、それぞれの場所で製造されたモジュールブロックを、1つのコークス炉建設現場へ運搬、搬入して用いることもできる。
前記モジュールブロックは、コークス炉のいずれの部分を構成するためのモジュールブロックとすることもできるが、比較的構造が単純な部分や、繰り返し構造を有する部分をモジュールブロック化すれば、作業効率の向上効果が大きい。そのため、前記モジュールブロック製造工程においては、蓄熱室を構成するモジュールブロックおよび燃焼室を構成するモジュールブロックの少なくとも一方を製造することが好ましい。
本発明の一実施形態におけるモジュールブロックの例を、図1、2を参照して説明する。図1、2は、コークス炉の燃焼室を構成するモジュールブロックの構造を表している。モジュールブロック1は、複数の定型耐火物2を積み上げて構成されており、個々の定型耐火物2は、定型耐火物2の間の目地部分に塗布されたモルタル(図示されない)で接合されている。なお、図1、2を含む各図面においては、説明のため、定型耐火物の形状や組み合わせ方などを簡略化して示しており、実際の正確な構造を示すものではないことを付記する。
[[定型耐火物]]
前記モジュールブロックを製造するための定型耐火物としては、特に限定されることなく、レンガやプレキャストブロック等、任意の定型耐火物を用いることができる。なかでも、手積みでコークス炉を建設する際に用いられる通常の定型耐火物を用いることが好ましい。通常の定型耐火物を使用することにより、本発明の方法で築炉する場合においても、従来と同様の炉の設計とすることが可能となり、その結果、少なくとも従来と同等の炉の性能を保証することが可能となる。また、大型のモジュールレンガを用いた場合には、亀裂が入った場合にモジュール全体にわたって亀裂が広がるおそれがあるが、通常の定型耐火物を使用すれば、仮に定型耐火物に亀裂が入ったとしても、その亀裂の伝搬を1つの定型耐火物内でとどめることができる。なお、ここでいう通常の定型耐火物とは、モジュールレンガではない、手積み用の定型耐火物全般を指すが、その寸法は、一般的には、高さ10~15cm、水平方向の長さが20~40cmである。
[[手積みによるブロックの製造]]
上記モジュールブロックの製造は、手積みによって行うことができる。本発明では、コークス炉の建設場所以外の場所においてモジュールブロックの製造を行うので、コークス炉建設場所で定型耐火物を手積みする場合とは異なり、十分な作業スペースを確保することが可能となる。したがって、同じ手積みであっても作業者への負荷を低減することができる。また、コークス炉建設場所で定型耐火物を積む場合には、積み上げられた定型耐火物の高さに合わせて足場を組み、その上で作業を行う必要があるが、本発明では、コークス炉建設場所とは別の場所で定型耐火物を積む作業を行うため、高所作業のための足場などを用いる必要がなく、足下のよい地面の上で作業を行うことができる。
[[ロボットによるブロックの製造]]
また、上記モジュールブロックの製造は、ロボットを用いて行うこともできる。この場合、ブロックの製造工程の一部または全部を自動化することができるため、定型耐火物の手積みという重労働に従事する作業員の数を減らすことができるとともに、高度な技能を要求される定型耐火物積み上げ作業の一部または全部をロボットにより自動化することが可能となる。
モジュールブロックの製造に用いるロボットとしては、特に限定されることなく、任意のロボットを用いることができるが、定型耐火物をハンドリングすることが可能な可動式のアームを有するアーム型ロボットを用いることが好ましい。前記アーム型ロボットの一例としては、産業用ロボットの一種である垂直多関節型ロボットが挙げられる。また、定型耐火物積み上げ用アーム型ロボットとモルタル塗布用アーム型ロボットを用いてモジュールブロックを製造することもできる。
[[モジュールブロック製造ライン]]
なお、手積みで行うかロボットを使用するかに関わらず、モジュールブロックの製造ラインは1つとすることも、複数とすることもできる。複数のラインでモジュールブロックを製造すれば、コークス炉建設場所へのモジュールブロックの供給速度を上げることができるため、作業効率の観点からはモジュールブロックの製造ラインの数を2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましい。一方、製造ラインの数の上限は特に限定されないが、必要以上にライン数を増やしても、その後のモジュールブロック運搬工程や、コークス炉建設場所において行われるモルタル塗布工程やモジュールブロック据付工程が律速工程となるため、それ以上コークス炉の建設スピードを向上させることが困難となり、費用対効果が低下する。したがって、ライン数は、コークス炉の規模や各工程における作業速度等を考慮して決定すればよい。
[[モジュールブロックのサイズ]]
前記モジュールブロックのサイズは特に限定されず、任意のサイズとすることができる。しかし、モジュールブロックの製造を手積みで行う場合、モジュールブロックの高さが過度に高いと、高い位置に定型耐火物を積むために、足場を組み立てる等の方法により作業床を設ける必要がある。例えば、日本においては、労働安全衛生規則第518条の規定により、高さが2m以上で作業を行う場合において墜落のおそれのあるときは、作業床を設けることが求められている。前記モジュールブロックの高さが2m未満であれば、定型耐火物を手積みしてモジュールブロックを製造する場合でも、足場などを設置して高所作業を行う必要がないため、作業効率が高い。また、ロボットを用いてモジュールブロックを製造する場合には、前記モジュールブロックの高さを2m未満が2m未満であれば、定型耐火物を積む位置の高さを一般的なアーム型ロボットのアームの可動範囲内とすることができる。そのため、ロボットを水平方向に移動させるのみでモジュールブロックを製造することができるため、作業効率が高い。したがって、作業効率の観点からは、モジュールブロックの高さを2m未満とすることが好ましい。一方、前記モジュールブロックの高さの下限についても特に限定されないが、定型耐火物2段以上とすることが好ましい。
また、モジュールブロックの長手方向の長さについても限定されないが、作業効率の観点からは、建設するコークス炉の炉長の1/8以上とすることが好ましい。前記モジュールブロックの長手方向の長さは、建設するコークス炉の炉長の1/4以上であってもよい。一方、前記モジュールブロックの長手方向の長さは、建設するコークス炉の炉長の2/3以下とすることが好ましく、1/2以下とすることがより好ましい。
[測定工程]
次に、前記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックの輪郭形状を測定する(測定工程)。前記測定方法としては、モジュールブロックの3次元的な輪郭形状のデータを、例えば、3次元点群データとして取得できる方法を用いる3次元計測方法を用いることが好ましい。ここで、前記輪郭形状には、モジュールブロックの寸法に関する情報も包含するものとする。
例えば、本発明の一実施形態においては、レーザを利用した3次元計測法を用いて輪郭形状の測定を行うことができる。モジュールブロックに対してレーザを走査しながら照射し、反射光を検出することによって光源からモジュールブロックの表面の各点までの距離を測定することにより、モジュールブロックの輪郭形状の3次元点群データを取得することができる。例えば、図10に示す側面の輪郭形状を有するモジュールブロックについて測定を行うことにより、図11に示すような輪郭形状の3次元点群データを得ることができる。ただし、図11における3次元点群データは、説明のために測定点の数を少なくしたものであり、実際の測定においてはさらに測定点を増やして精度を高めることが好ましい。反射光による距離の測定に使用できる方法としては、例えば、TOF(Time of Flight)方式や位相差検出方式などを挙げることができるが、これらに限らず任意の方法を用いることができる。
前記輪郭形状の測定は、モジュールブロックの少なくとも1つの面について行えばよいが、複数の面について行うことが好ましく、全面について行うことがより好ましい。
また、本発明の他の実施形態においては、モジュールブロックを複数の視点から撮像した画像を用いたフォトグラメトリによって輪郭形状の測定を行うことができる。すなわち、フォトグラメトリでは、異なる視点から撮影した複数の画像から、当該画像に写った同一の点の3次元座標を三角測量の原理で求めることができる。したがって、画像中の多数の点の3次元座標を求めることにより、モジュールブロックの輪郭形状の3次元点群データを取得することができる。
なお、モジュールブロックを構成する定型耐火物の寸法の公差は、一般的に1~2mm程度である。また、コークス炉における定型耐火物の積み付け精度も、一般的に1~2mm程度であることが要求される。そのため、上記輪郭形状の測定において使用する測定方法の測定精度は、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。また、得られた3次元点群データから3次元ポリゴンモデルを作成し、以降の工程において該ポリゴンモデルを使用することもできる。
[据付位置決定工程]
次いで、前記測定工程で測定した輪郭形状を用いて、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、当該モジュールブロックの据付位置を決定する(据付位置決定工程)。本発明においては、この据付位置決定工程で決定した据付位置を、後述するモジュールブロック据付工程においてガイドとして表示した状態でモジュールブロックの据付を行う。
前記据付位置決定工程における据付位置の決定方法は特に限定されず、任意の方法で行うことができるが、通常は、コークス炉の設計に応じた適切な位置に、適切な姿勢(角度)でモジュールブロックが設置されるよう、仮想据付を行って決定すればよい。
本発明の一実施形態においては、予め理想的なモジュールブロックの配置情報(例えば、3次元CADデータなどの設計データ)を用意しておき、前記配置情報との差が最小となるよう据付位置を決定することができる。例えば、前記測定工程で測定した輪郭形状(3次元点群データ)と、前記配置情報との差が最小となるようにフィッティングを行えばよい。例えば、任意に指定した複数の点における輪郭形状と前記配置情報との差の二乗平均平方根(RMS)が最小となるようにフィッティングを行うことができる。
[モジュールブロック運搬工程]
次に、上記測定工程で輪郭形状を測定したモジュールブロックをコークス炉建設場所へ運搬する(モジュールブロック運搬工程)。このモジュールブロック運搬工程におけるモジュールブロックの運搬方法は、特に限定されることなく、モジュールブロックの製造場所とコークス炉の建設場所との距離等に応じて、トラックやトランスポーター(自走運搬台車)、クレーン等の任意の方法を単独または複数組み合わせて使用することができる。例えば、コークス炉建設場所に仮上屋が設けられている場合、ブロック製造場所から前記仮上屋まではトランスポーターで運搬し、仮上屋内では天井クレーンとステージジャッキを併用して施工位置まで運搬することができる。また、ブロック運搬工程においては、ブロック製造場所からコークス炉建設場所の施工位置まで直接ブロックを運搬することもできるが、まず、ブロック保管場所に運搬して一時的に保管し、築炉の進捗状況に応じて前記ブロック保管場所からコークス炉建設場所の施工位置までブロックを運搬してもよい。
[モルタル塗布工程]
次に、モジュールブロックを設置する位置に、モルタルを塗布する。モルタルの塗布方法は特に限定されず、定型耐火物を積む場合と同様に、モジュールブロックの底面や側面が接触する位置、言い換えれば、モジュールブロックが設置される位置の上面や側面に、モルタルを塗布すればよい。
[モジュールブロック据付工程]
次に、上記モルタル塗布工程においてモルタルが塗布された位置に、モジュールブロックを据え付ける。モジュールブロックモジュールブロックの据付方法は特に限定されないが、例えば、クレーン等で揚重したモジュールブロックを、モルタルが塗布された面に位置を調整しつつ設置すればよい。このように、モジュールブロック単位で施工することにより、定型耐火物を一つずつ手積みする場合に比べて作業者の負担を低減し、高い精度で定型耐火物を積み上げることができる。
そして、本発明においては、このモジュールブロック据付工程において、前記モジュールブロック据付工程では、前記据付位置決定工程において決定された据付位置を据付位置表示手段により表示し、表示された据付位置をガイドとして前記モジュールブロックの据付を行う。これにより、作業者は施工場所において視覚的にモジュールブロックの正しい据付位置を確認することができるため、モジュールブロックを高い精度で効率的に据え付けることができる。
前記据付位置の表示は、作業者が位置を確認できる方法であれば任意の方法で行うことができる。例えば、前記据付位置に据え付けた場合のモジュールブロックの輪郭上の点、輪郭線、および面から選択される少なくとも1つを表示すればよい。作業者は、据え付けようとするモジュールブロックの位置が、表示された据付位置と一致するように据付を行うだけで正確に据付を行うことができる。
前記据付位置表示手段としては、特に限定されることなく、据付位置を表示できるものであれば任意のものを用いることができる。以下、前記据付位置表示手段として好適に使用できる装置と、その使用形態の例を説明する。
本発明の一実施形態においては、前記据付位置表示手段としてプロジェクタを使用することができる。プロジェクタを使用する場合、モジュールブロック据付工程では、前記プロジェクタにより投影することによってモジュールブロックの据付位置を表示する。
前記プロジェクタとしては、視認性や正確性などの観点からは、レーザを照射するレーザ照射装置を使用することが好ましい。レーザ照射装置としては、特に限定されず、任意のものを用いることができる。代表的なレーザ照射装置としては、例えば、回転可能な駆動軸に取り付けられたミラーを複数(一般的にはX軸用とY軸用の2つ)使用して、レーザを走査しながら照射する装置(ガルバノスキャナ)が挙げられる。
また、本発明の他の実施形態においては、前記据付位置表示手段として装着型画像表示装置を使用することができる。装着型画像表示装置を使用することにより、作業者の視野内に直接、据付位置を表示して、据付作業を補助することができる。
前記装着型画像表示手段としては、作業者が身体に直接または間接的に取り付けた状態で表示を行えるものであれば任意の装置を使用することができる。前記装着型画像表示装置の例としては、ゴーグル型表示装置、メガネ型表示装置、ヘルメット型表示装置、既存のメガネに取る付けるタイプの表示装置などが挙げられる。
なお、前記装着型画像表示装置は、現実の映像と、前記据付位置決定工程において決定された据付位置とを、重ね合わせて表示することができる、拡張現実(Augmented Reality、AR)タイプの表示装置であることが好ましい。AR型の表示装置を使用することにより、据え付けるべき位置と、据え付けようとしているモジュールブロックの実際の位置とを比較しながらより効率的に据付を行うことができる。なお、前記重ね合わせて表示は、ゴーグルやメガネなどを透過して作業者が肉眼で視認する視界に据付位置を重ね合わせて表示する方法で行ってもよく、また、カメラで撮影した作業者の視野の映像に据付位置を重ね合わせ合成して表示する方法で行ってもよい。
前記装着型画像表示装置は、作業者の位置や向きの変化に表示を追随させるために、向きや姿勢の変化を検知するための加速度センサを備えることが好ましい。
さらに、本発明の他の実施形態においては、前記据付位置表示手段として非装着型画像表示装置を使用することができる。前記非装着型画像表示装置としては、一般的なモニターなどを使用することができる。装着型画像表示装置は極めて汎用的で安価であるため、低コストで導入することができる。その他の点については、装着型画像表示装置の場合と同様であってよい。
なお、前記据付位置決定工程において決定された据付位置を据付位置表示手段により表示する際には、コンピュータ上で仮想据付を行った際の座標系(以下、世界座標系という)を、実空間における座標に変換し、その結果に基づいて表示を行うことが好ましい。前記座標変換は、例えば、ステレオカメラを用いて、モジュールブロックの据付位置の周辺に設置した基準点を撮影することによって行うことができる。
図12は、ステレオカメラによりターゲットの3次元座標を求める原理を説明するための説明図である。既知のように、ターゲットの座標をP(X、Y、Z)とし、左光学中心(原点)をOl、右光学中心をOr、基線長をbとし、Olからターゲットを結ぶ直線上の左光学系の焦点距離fにある座標を(xl、yl、zl)、Orからターゲットを結ぶ直線上の右光学系の焦点距離fにある座標を(xr、yr、zr)とするとき、ターゲットの座標は、
Z=fb/(xl-xr)、X=(Z/f)・xr、Y=(Z/f)・yr
と表わすことができる。
上記の原理に基づいて、実空間に配置された座標既知の基準点を撮影することにより、仮想据付における世界座標系を実空間の座標に変換することができる。より詳細には、まず、実空間に配置された座標既知の基準点をステレオカメラで撮影することにより、仮想据付における世界座標系をカメラ座標系における座標に変換することができる。したがって、例えば、据付位置をプロジェクタによって投影する場合、ステレオカメラとプロジェクタとの位置関係が既知であれば、前記カメラ座標系に基づいて据付工程を投影することができる。
前記座標変換に用いる基準点としては、座標が既知である点であれば任意の点を用いることができる。なお、3次元空間における座標を定める必要があるため、通常は、ステレオカメラの視野に3つ基準点が必要となる。
例えば、本発明の一実施形態においては、既知の座標に配置されたターゲットを基準点として、カメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求めることができる。その方法の例を以下に説明する。
図13は、3つのターゲットを基準点として、カメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求める方法を示す模式図である。設置された3つのターゲットの世界座標系およびカメラ座標系での座標から、図12を用いて説明した原理によりカメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求めることができる。
図14は、既知の座標に設置された3つのターゲットを基準点として、プロジェクタにより据付位置を投影する方法を示す模式図である。この例では、コークス炉の建設現場に、ステレオカメラ14およびレーザプロジェクタ15が設置されている。ステレオカメラ14はレーザプロジェクタ15上に設けられており、両者の位置関係は既知である。そして、ステレオカメラ14を用いて3つのターゲットを撮影することで、カメラ座標系(ほぼプロジェクタ座標系)と世界座標系の座標変換のための同次変換行列を求めることができる。その結果に基づいて、レーザプロジェクタ15により据付位置を投影することができ
実際の建設現場では、下方から上方にモジュールブロックを積み上げていくため、基礎部に基準点を設けると、モジュールブロックを積み重ねていく過程で外から見えなくなってしまう場合がある。そのため、バックステーを定型耐火物積み位置の基準として用いることが好ましい。
ここで、バックステーとは、一般的なコークス炉の建設において定型耐火物を積む際の基準として使用される金属製の構造物である。バックステーの一般的な使用法は以下のとおりである。すなわち、まず、基礎部などに配置された建設基準点に基づき、燃焼室を構成する耐火物の両側、つまりコークス押し出し方向のコークス炉の両端の所定位置にバックステーを建てる。この際、築炉作業完了後のコークス炉昇温による定型耐火物の熱膨張代を考慮し、バックステーと耐火物構造の積み込み予定位置との間には所定のスキマを設けた状態としておく。両端のバックステーを基準とするように1対のバックステーの間に水糸を貼り、定型耐火物積みの目標レベル、巾の基準位置を決定する。水糸の位置は定型耐火物を積み上げていく過程で順次上方に移動する。バックステーはレンガ積みが完了した後、タイロッドと称される金属ロッドを介して耐火物構造物を機械的に保持する機能を担う。
上述のように、コークス炉の建設において定型耐火物の積み込み位置を決定する上で、バックステーは基準スケールとしての機能を有している。したがって、座標変換のための基準点として使用されるターゲットは、前記バックステーに設けることが好ましい。通常、バックステーは測量用センサを用いて高精度に設置されるため、バックステーに設置したターゲット(基準点)も、図面通り設置されていることができる。なお、モジュールブロックを据え付けていく過程でバックステーに配置したターゲットが見えなくなることを想定し、バックステーを建てる工程において、該バックステーの異なる高さに複数のターゲットを設置しておくことがより好ましい。
また、バックステー建設工事における誤差に依存しない方法として、バックステーを建てた後、ターゲットの設置位置を別途測定しておくこともできる。測定手法としては様々であるが、例えば、本発明におけるモジュールブロック形状の測定工程において使用する3次元スキャナーを用いればよい。この場合、基準点も必ずしもバックステー上に配置する必要は無い。例えば1対のバックステーの外側に基準点を設けることでレンガ積み過程に依存しない基準点位置とすることが出来る。
バックステーおよび基準点位置情報を含む測定データ(点群データ)と設計データ(通常、3次元CADデータ)の位置合わせは先述のように、CADデータへの点群データのフィッティング処理により実施してもよいし、通常、炉本体の基礎部や炉幅方向の両端に配置されるバックステー建設時の基準を同時に測定し、位置合わせに活用してもよい。
また、本発明の他の実施形態においては、プローブで指示した位置を基準点をとしてカメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求めることもできる。その方法の例を以下に説明する。
図15は、プローブで指示した位置を基準点をとして、カメラ座標系と世界座標系との座標変換行列を求める方法を説明する模式図である。位置関係が決まっている複数の(図示例では3つの)ターゲットを備えるプローブを用いて、カメラ座標系におけるプローブ先端座標を求めることができる。例えば、プローブの先端をモジュールブロックのコーナーに当てた状態でステレオカメラによる撮影を行うことで、前記コーナーのカメラ座標系における座標を求めることができる。一方、世界座標系でのモジュールブロックの外輪郭線の位置情報は既知であることから、カメラ座標系と世界座標系の座標変換により、カメラ座標系での外輪郭線の位置情報を得ることが可能である。前記プローブは、少なくとも3つのターゲットを備えていれば良いが、さらなる精度向上の観点からは、4つ以上のターゲットを備えていることも好ましい。
プローブを用いる場合、プローブによって指定する基準点は特に限定されることなく任意の位置とすることができる。例えば、図16に示すように、据え付けようとするモジュールブロックの水平方向に隣接する位置、すなわち、同じ段の隣の位置に既に据え付けられているモジュールブロックの任意の位置(例えば、コーナー)を基準点とすることができる。また、図17に示すように、据え付けようとするモジュールブロックの下方向に隣接する位置、すなわち、1つ下の段に既に据え付けられているモジュールブロックの任意の位置(例えば、上面)を基準点とすることができる。さらに、図18に示すように、水平方向に隣接する位置に据え付けられているモジュールブロックと、下方向に隣接する位置に据え付けられているモジュールブロックの両者を基準点とすることもできる。
上記モジュールブロック据付工程においては、モジュールブロック間の目地厚を確保するために、スペーサを使用することが好ましい。スペーサを使用する場合は、例えば、モルタル塗布工程においてモルタルを塗布した後、モルタルが塗布された位置に所定の厚みを有するスペーサを複数配置する。次いで、モジュールブロック据付工程においては、前記スペーサの上にモジュールブロックを据え付ける。言い換えると、据え付けようとするモジュールブロックと、そのモジュールブロックの下の段の既設のモジュールブロックとの間にスペーサを配置した状態で据付を行う。スペーサを使用することにより、モジュールブロックの重量によってモルタルが過度に押し出されてしまうことを防止し、所望の目地厚を容易に確保することができる。
本発明の一実施形態においては、前記モジュールブロック据付工程において、前記据付位置決定工程における仮想据付の結果に基づいて決定した厚みを有するスペーサを、据付けようとするモジュールブロックの据付位置に配置した状態で据付を行うことができる。以下、本実施形態について説明する。
上述したように、スペーサを使用してモジュールブロックを据え付けることにより、容易に目地厚を確保することができる。ここで、スペーサを用いる施工方法は、一般的なレンガを用いた建築などにおいて既に採用されているが、そのような従来技術において使用されるスペーサは一定の目地厚を確保することを目的としたものであるため、同じ厚みを有したスペーサが使用される。
しかし、上述したようにコークス炉の建設に使用されるモジュールブロックの上下面は平坦ではなく、定型耐火物の形状誤差などに由来する不規則な凹凸が存在している。そのため、同じ厚みのスペーサを使用した場合、図4のような理想的な水平、すなわち、設計通りの姿勢とはならず、図5に示すように、モジュールブロック1が水平面に対して傾いた状態となってしまう場合がある。
そこで、仮想据付工程における仮想据付の結果に基づいて決定した厚みを有するスペーサを使用することにより、モジュールブロック表面の凹凸による上下モジュールブロック間の距離(ギャップ)のばらつきを吸収し、モジュールブロックを容易に水平に積み付けることができる。
スペーサは、据付けようとするモジュールブロックの据付位置に配置する。例えば、既設のモジュールブロック(下段モジュールブロック)の上の段に新たにモジュールブロックを据え付ける場合、前記下段モジュールブロックの上にスペーサを設置すればよい。
スペーサを設置するタイミングは特に限定されないが、一般的には、モルタル塗布工程においてモルタルを塗布した後に行えばよい。
スペーサの配置や個数は特に限定されないが、モジュールブロックを水平に保持するという観点からは、1つのモジュールブロックあたり、2つ以上のスペーサを使用することが好ましく、4つ以上のスペーサを使用することが好ましい。例えば、図2、3に示したような略直方体形状のモジュールブロックを使用する場合、スペーサにかかる荷重を均一化するという観点からは、設置しようとするモジュールブロックの長辺(図2における上下の辺)が接する位置に、それぞれ同じ個数のスペーサを配置することが好ましい。また、前記長辺が接する位置に、該長辺方向に間隔をあけて複数のスペーサを配置することが好ましい。
スペーサの厚みは、上述したように仮想据付の結果に基づいて決定すればよい。例えば、モジュールブロックが水平となるように据え付けた場合における、該モジュールブロックの下面と、該モジュールブロックの下段に位置するモジュールブロックの上面との間のギャップを求める。そして、各スペーサを配置する位置におけるギャップと同じ厚みを有するスペーサを使用することができる。
前記スペーサの材質は特に限定されず、任意の材質とすることができる。モジュールブロックの破損防止などの観点からは、ゴム等の弾性材料からなるスペーサを使用することが好ましく、硬質ゴムからなるスペーサを用いることがより好ましい。
なお、前記スペーサはそのまま残した状態としてもよいが、スペーサが残った状態でコークス炉を使用すると、スペーサが炭化して空隙ができ、その結果、目地の亀裂発生やガスリークの原因となるおそれがある。そのため、モジュールブロックを据え付けた後は、前記スペーサを除去することが好ましい。
以上述べたように、本発明の方法によれば、個々のモジュールブロックを正しい位置に、正しい姿勢で据え付けることができ、それによりコークス炉を初めとする各種炉の建設現場における作業負荷を軽減し、より効率的に高い精度で炉を建設することができる。
1:モジュールブロック
2:定型耐火物
7:把持冶具
8:レーザ墨出し器
14:ステレオカメラ、
15:レーザプロジェクタ

Claims (6)

  1. 複数のモジュールブロックを用いて炉を建設する炉建設方法であって、
    前記炉の建設場所以外の場所において複数の定型耐火物を積み上げてモジュールブロックを製造するモジュールブロック製造工程と、
    前記モジュールブロック製造工程で製造されたモジュールブロックの輪郭形状を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定した輪郭形状を用いて、前記モジュールブロックをコンピュータ上で仮想的に据え付ける仮想据付を行い、当該モジュールブロックの据付位置を決定する据付位置決定工程と、
    前記モジュールブロックを前記炉の建設場所へ運搬するモジュールブロック運搬工程と、
    前記モジュールブロックを設置する位置にモルタルを塗布するモルタル塗布工程と、
    前記モルタルが塗布された位置に前記モジュールブロック運搬工程で運搬されたモジュールブロックを据え付けるモジュールブロック据付工程とを含み、
    前記モジュールブロック据付工程では、前記据付位置決定工程において決定された据付位置を据付位置表示手段により表示し、表示された据付位置をガイドとして前記モジュールブロックの据付を行う、炉建設方法。
  2. 前記据付位置表示手段がプロジェクタであり、
    前記モジュールブロック据付工程では、前記プロジェクタにより投影することによって前記据付位置を表示する、請求項1に記載の炉建設方法。
  3. 前記据付位置表示手段が装着型画像表示装置であり、
    前記モジュールブロック据付工程では、前記装着型画像表示装置に前記据付位置を表示する、請求項1に記載の炉建設方法。
  4. 前記据付位置表示手段が非装着型画像表示装置であり、
    前記モジュールブロック据付工程では、前記非装着型画像表示装置に前記据付位置を表示する、請求項1に記載の炉建設方法。
  5. 前記モジュールブロック据付工程において、前記据付位置決定工程における仮想据付の結果に基づいて決定した厚みを有するスペーサを、据付けようとするモジュールブロックの据付位置に配置した状態で据付を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の炉建設方法。
  6. 前記モジュールブロック据付工程において、前記モジュールブロックを据え付けた後、前記スペーサを除去する、請求項5に記載の炉建設方法。
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