JP2022010024A - 撹拌機 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、以下の撹拌翼である。
本発明の撹拌翼は、回転方向において重なる領域を有するように撹拌羽根を配置するため、軸部分への繊維状の物質の引っかかりが阻害され、繊維状の物質が撹拌翼へ絡まることを抑制する。そして、本発明の撹拌翼によれば、繊維状の物質が絡まりにくくなることで、撹拌効率を低下させることなく、かつ、メンテナンスが容易な撹拌翼を提供することができる。
この特徴によれば、繊維状の物質が攪拌翼軸への絡まることを抑制するという本発明の効果がより発揮される。
この特徴によれば、被処理水の流れ方向上流側に撹拌羽根を多く設けるため、被処理水の流れ方向上流側で他の薬剤等を添加する際に、薬剤添加箇所付近での撹拌強度を高めて混合効率を向上させることが可能となる。特に、汚泥の調質処理のように、被処理水の上流側から下流側にかけて撹拌強度を弱めていくような撹拌処理に適した撹拌翼を提供することができる。
攪拌翼軸に対する繊維状の物質の引っかかりは、攪拌翼軸が太いほど阻害される。その一方で、攪拌翼軸を太くすると撹拌翼の重量が増加し、製造コストの上昇やモーター等の駆動装置への負荷が高まる。上記の特徴によれば、撹拌羽根を固定していない領域の攪拌翼軸の断面最大径を、撹拌羽根を固定している領域の断面最大径より太くすることで、撹拌羽根を固定していない攪拌翼軸に対する繊維状の物質の絡まりを防ぎつつ、撹拌翼全体としての重量の増加を抑えることができる。
この特徴によれば、撹拌羽根を固定していない領域の攪拌翼軸の断面最大径を、撹拌羽根を固定している領域における前記撹拌羽根の回転軌道の最大直径の1/4以上とするため、撹拌羽根を固定していない攪拌翼軸に対する繊維状の物質の絡まりをより確実に防ぐことができる。
本発明の撹拌翼は、撹拌羽根を固定していない領域の攪拌翼軸の断面最大径を、撹拌羽根を固定している領域における前記撹拌羽根の回転軌道の最大直径の1/4以上とするため、撹拌羽根を固定していない攪拌翼軸に対する繊維状の物質の絡まりをより確実に防ぐことができる。また、本発明の撹拌翼によれば、繊維状の物質が絡まりにくくなることで、撹拌効率を低下させることなく、かつ、メンテナンスが容易な撹拌翼を提供することができる。
さらに、本発明の撹拌翼によれば、攪拌翼軸全体の断面最大径を大きくするのではなく、攪拌翼軸の一部の断面最大径について相対的に大きくすることで、撹拌翼全体としての重量の増加を抑えることができる。
本実施態様の撹拌翼は、攪拌翼軸に対して複数の撹拌羽根を多段に設けた構成からなる。
攪拌翼軸に対して複数の撹拌羽根を多段に設けた撹拌翼とすることで、撹拌羽根同士の間で循環流(渦流)が発生するため、攪拌翼軸に対して1枚の羽根を設ける撹拌翼の構成よりも槽内の撹拌効率を向上させることができる。
図1A~図1Dには、第1の実施態様の撹拌翼の概略説明図が図示されている。図1Aは斜め上方から見た斜視図、図1Bは撹拌羽根の回転軌道領域の模式図、図1Cは側面図、図1Dは平面図(図1CのI-I矢視図)である。
図1Bは、図1Aに示した撹拌翼10aの回転時の撹拌羽根の移動範囲を示す回転軌道領域の模式図である。図1B中の破線は、撹拌羽根の回転軌道Rを示している。なお、図1Bには撹拌羽根全体ではなく、それぞれの撹拌羽根が固定されている位置を図示している。図1Bに示すように、軸方向に隣り合う撹拌羽根群30と撹拌羽根群31はそれぞれの回転軌道領域A1、A2において重なり部分B1を有し、同様に、軸方向に隣り合う撹拌羽根群31と撹拌羽根群32はそれぞれの回転軌道領域A2、A3において重なり部分B2を有するものである。
また、図1Dに示すように、撹拌羽根群31内の撹拌羽根31a及び31bは、攪拌翼軸20の周方向にそれぞれ180度の間隔で設けられており、同様に撹拌羽根群32内の撹拌羽根32a及び32bも攪拌翼軸20の周方向にそれぞれ180度の間隔で設けられている。さらに、隣り合う撹拌羽根群31、32同士は攪拌翼軸20の周方向に90度の間隔となるように設けられている。なお、図1D中の破線は、撹拌羽根の回転軌道Rを示す。
このような構成とすることで、撹拌翼10aを用いて繊維状の物質を含む被処理水を撹拌する際に、攪拌翼軸20に対して繊維状の物質が引っかかる確率を下げ、絡まりを防ぐことが可能となるものである。
なお、撹拌翼10aの攪拌翼軸20に繊維状物質が絡まることを効果的に防ぐためには、撹拌羽根が固定される位置が、それぞれの撹拌羽根の軸方向の長さに対して10%以上重なり合うように配置することが好ましい。すなわち、図1Cに示した長さL3が、軸方向の長さL1又はL2の10%以上となるように配置することが好ましい。
これにより、繊維状の物質の撹拌翼への絡み付きをより確実に低減することが可能となる。
図2は、本発明の第2の実施態様の撹拌翼の構成を示す概略図である。
第2の実施態様の撹拌翼10bは、図2に示すように、撹拌羽根33a、33b、34a、34b、35a、35bの形状が攪拌翼軸に固定された側から先端に向かって幅が狭くなるテーパ形状としたものである。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
撹拌羽根をこのようなテーパ形状にすることで、繊維状の物質が撹拌翼から剥離しやすくなり、繊維の絡み付き防止効果を向上させることができる。
なお、図2では、撹拌羽根33a、33b、34a、34b、35a、35bの上下部分がテーパ形状となっているが、上部のみ、あるいは下部のみをテーパ形状とするものであってもよい。また、撹拌羽根群33~35ごとで、異なる形状・大きさの撹拌羽根を組み合わせるものとしてもよい。
図3A~図3Cは、本発明の第3の実施態様の撹拌翼の構成を示す概略図である。図3Aは斜め上方から見た斜視図、図3Bは側面図、図3Cは平面図(図3BのII-II矢視図)である。
第3の実施態様の撹拌翼10cは、図3A~図3Cの下側から被処理水Wが供給されるものとした場合において、被処理水Wの流れ方向上流側の撹拌羽根の枚数が多くなるように構成されたものである。具体的には、図3Aに示すように、撹拌羽根群38において4枚の撹拌羽根38a、38b、38c、38dを備え、それ以外の撹拌羽根群36、37は2枚の撹拌羽根36a、36b又は撹拌羽根37a、37bからなる。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
これにより、被処理水Wの流れ方向上流側で他の薬剤等を添加する際に、薬剤添加箇所付近での撹拌強度を高めて混合効率を向上させることが可能となる。
また、この構成とすることで、被処理水の流れ方向下流側では相対的に撹拌強度が減少するが、特に、汚泥の調質処理のように、被処理水の上流側においては被処理水と薬剤の十分な混合のために撹拌強度を強くし、被処理水の下流側から排出口にかけては凝集フロックが破壊されることなく良質なフロック形成がされるように撹拌強度を弱めていくことが求められる処理に対して好適に使用される撹拌翼となる。
図4A、図4Bは、本発明の第4の実施態様の撹拌翼の構成を示す概略図である。図4Aは側面図、図4Bは平面図(図4AのIII-III矢視図)である。
第4の実施態様の撹拌翼10dは、図4Bに示すように撹拌羽根群が設けられていない領域の攪拌翼軸の断面最大直径D1を撹拌羽根群が設けられている領域の攪拌翼軸断面最大直径D2よりも太くなるように構成したものである。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
具体的な構成は、図4Aに示すように、撹拌羽根が設けられていない領域の攪拌翼軸20に筒体40を取り付ける。これにより、筒体40の最大直径が、撹拌羽根群が設けられていない領域の攪拌翼軸の断面最大直径D1に相当することになる。
筒体40の素材は、攪拌翼軸20と同素材の金属であってもよく、表面のすべり性を高めるために、表面に凹凸のない筒状構造としたポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いてもよい。これにより、撹拌羽根が設けられていない攪拌翼軸の領域においても、繊維の絡み付きを防止することが可能となる。
繊維状の物質は攪拌翼軸の相対的に細い箇所に密集して絡まりやすいため、撹拌羽根群が設けられていない領域の攪拌翼軸が、撹拌羽根群が設けられている領域の攪拌翼軸よりも太くなることで、繊維状の物質が攪拌翼軸に絡み付くことを防止できる。
また、攪拌翼軸全体の断面最大径を大きくするのではなく、攪拌翼軸の一部の断面最大径について相対的に大きくすることで、撹拌翼全体としての重量が増加することを抑えることができる。
図5A~図5Cは、本発明の第5の実施態様の撹拌翼の構成を示す概略図である。図5Aは斜め上方から見た斜視図、図5Bは側面図、図5Cは平面図(図5BのIV-IV矢視図)である。
第5の実施態様の撹拌翼10eは、図5A及び図5Bに示すように、棒状の攪拌翼軸20と、攪拌翼軸20の軸方向に複数の平板形状の撹拌羽根50a、50b、51a、51b、52a、52bと、撹拌羽根が設けられていない領域の攪拌翼軸20に取り付けられる筒体60から構成され、攪拌翼軸20の周方向に固定された複数の撹拌羽根を撹拌羽根群50、51、52とするものである。撹拌翼1eは、撹拌羽根群50、51、52のそれぞれの間に筒体60を設け、さらに、撹拌羽根群50の上方にも筒体60を設けている。
また、撹拌翼10eは、図5Cに示すように、撹拌羽根群50、51、52が設けられていない領域の攪拌翼軸20の断面最大直径D4(筒体60の最大直径に相当)が、撹拌羽根の回転軌道Rの最大直径D5の1/4以上となるように構成されている。
繊維状の物質は攪拌翼軸の相対的に細い箇所に密集して絡まりやすいため、撹拌羽根群が設けられていない領域の攪拌翼軸の太さが、撹拌羽根の回転軌道の最大直径に対して一定値以上を満たすように撹拌翼を構成することで、繊維状の物質が攪拌翼軸に絡み付くことを防止することが可能となる。
また、攪拌翼軸全体の断面最大径を大きくするのではなく、攪拌翼軸の一部の断面最大径について相対的に大きくすることで、撹拌翼全体としての重量が重くなることを抑えて回転駆動力への影響を最小限とすることができる。
図6は、本発明の撹拌翼を備えた撹拌装置の一例として、汚泥の調質処理に供する凝集装置の構造を示す概略説明図である。
図6に示すように、凝集装置100は、円筒状の調質槽110を有する装置であって、調質槽110の下部には、汚泥供給管120と凝集剤供給管130が近接して設けられている。また、調質槽110の上部には凝集した汚泥を槽外に排出するための排出管140が設けられている。
さらに、調質槽110の内壁には、バッフルプレートを設けてもよい。これにより、供回りを防止し乱流を起こすことで、撹拌混合効率を向上させることができる。
なお、槽外に排出された凝集フロックは、さらに別の処理(脱水、焼却など)に供してもよい。
また、本実施態様の撹拌翼における撹拌羽根は、平板ではなく、曲面(弧)状や屈曲した形状であってもよい。さらに、所望する撹拌強度や回転駆動効率を鑑み、撹拌羽根の面積及び重量を減少させるために、撹拌羽根に孔を設ける構成としてもよい。
この構成の撹拌翼は、特に処理槽の下部から汚泥と凝集剤とを供給して撹拌混合する汚泥調質処理の凝集装置の撹拌翼として用いることで、処理槽の下部において汚泥と凝集剤とを十分混合させた後に、生成した凝集フロックを破壊することなく調質槽上部で良質な凝集フロックとして取り出すことを可能とするものである。
Claims (6)
- 攪拌翼軸と、撹拌羽根を備えた撹拌翼であって、
前記攪拌翼軸は、軸方向に複数の前記撹拌羽根を有し、かつ、軸方向に隣り合う前記撹拌羽根は、回転方向において重なる領域を有することを特徴とする、繊維状の物質を含む被処理水を撹拌する撹拌翼。 - 前記回転方向において重なる領域は、前記撹拌羽根の軸方向の長さに対して10%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の撹拌翼。
- 前記攪拌翼軸は、周方向に複数の撹拌羽根が固定された撹拌羽根群を有し、前記撹拌羽根群における撹拌羽根の枚数は、被処理水の流れ方向上流側が多くなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の撹拌翼。
- 前記攪拌翼軸の断面最大径は、撹拌羽根を固定している領域より、撹拌羽根を固定していない領域の方が太いことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の撹拌翼。
- 撹拌羽根を固定していない領域の前記攪拌翼軸の断面最大径は、撹拌羽根を固定している領域における前記撹拌羽根の回転軌道の最大直径の1/4以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の撹拌翼。
- 攪拌翼軸と、撹拌羽根を備えた撹拌翼であって、
前記攪拌翼軸は、軸方向に複数の前記撹拌羽根を有し、かつ、撹拌羽根を固定していない領域の前記攪拌翼軸の断面最大径は、撹拌羽根を固定している領域における前記撹拌羽根の回転軌道の最大直径の1/4以上であることを特徴とする、繊維状の物質を含む被処理水を撹拌する撹拌翼。
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