JP2022003682A - 封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子 - Google Patents

封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃強度に優れた封着パッケージを提供する。【解決手段】封着パッケージ10は、電子素子部13が主として設けられる素子基板である第1の基板11と、第1の基板11に対向して配置され、封止に主として用いられる封止基板である第2の基板12と、第1の基板11と第2の基板12との間に配置され、第1の基板11と第2の基板12とを接着する封着層15と、を有する。封着層15は、ガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下であり、第1の基板11及び第2の基板12の少なくとも一方と、封着層15とが反応した反応層の厚みの合計が4〜25nmである。【選択図】図2

Description

本発明は、封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence
Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)は、1対のガラス基板が封着されたガラスパッケージにより発光素子が封止された構造を有する。また、液晶表示装置(LCD)は、1対のガラス基板間に液晶が封止された構造を有する。さらに、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池等の太陽電池は、1対のガラス基板間に太陽電池素子(光電変換素子)が封止された構造を有する。
この中でも有機ELディスプレイは、水分との接触で有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の発光特性が著しく劣化することから、有機EL素子を外気から厳密に遮断する必要がある。また、有機EL素子は高温に曝されると損傷することから封止方法が極めて重要である。
そこで、有機ELディスプレイの封止方法としてガラス粉末を封着材料に使用し、局所加熱により封止する方法が有力視されている。ガラス粉末とはガラスを粉砕して得られるガラス粉末であり、一般的にはこれと有機ビヒクルを混合してペースト化して用いる。このペーストを一方のガラス基板にスクリーン印刷もしくはディスペンス等で塗布し、焼き付けて仮焼成層とする。次に他方のガラス基板を重ね合わせて、仮焼成層に対するレーザ等を用いた局所加熱によりガラス粉末を溶融させて封着させる。
このように、封着材料に使用されるガラスとして、例えば、特許文献1には有機ELディスプレイの封止に用いられるTeO−ZnO−B系のガラスが記載されている。また、特許文献2では、一対のガラス基板と封着層とを具備し、ガラス基板の内部に封着層との界面から最大深さが30nm以上の封着層との反応層が生成した電子デバイスが開示されている。
特許第6357937号公報 特許第5692218号公報
近年、有機エレクトロルミネセンス素子はスマートフォンやウェアラブル端末等のディスプレイパネルにも用いられている。スマートフォンやウェアラブル端末の需要の高まりに伴い、これら端末を落下させた場合等の強い衝撃に対する高い強度が求められている。
本発明者の検討によれば、耐衝撃強度は封着層内に蓄積された熱応力と、基材と封着層との接着強度によって大きく左右されるものと推測される。熱応力は主に、封着に際し加熱された封着材料がガラス転移点付近から室温まで冷却される過程で封着層内に蓄積される。そのため、熱応力を抑制するためにガラス転移点を低くできれば、低温で封着でき、耐衝撃強度が向上する。また、基材と封着層との接着強度も高い耐衝撃強度の実現には重要である。
これに対し、特許文献1に記載のガラスは、ガラス転移点が概ね350℃以上と高い。特許文献2に記載のガラスフリットは軟化点温度が420℃であることから、ガラス転移点も高いことが予想される。そのため、低温での封着性には改善の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、耐衝撃強度に優れた封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子を提供することを目的とする。
本発明者は、ガラス転移点が350℃以下のガラスを封着層として用い、かつ基材と封着層間の反応層の厚みを適切な範囲とすることにより、低温での封着性及び基材と封着層との高い接着強度を実現できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成の封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子を提供するものである。
[1] 第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する封着層と、を有する封着パッケージであって、
前記封着層はガラス組成物からなり、
前記ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下であり、
前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方と、前記封着層とが反応した反応層が形成され、
前記反応層の厚みが4〜25nmである、封着パッケージ。
[2] 前記ガラスがVを主成分として含む、前記[1]に記載の封着パッケージ。
[3] 前記ガラスがBiをさらに含む、前記[2]に記載の封着パッケージ。
[4] 前記ガラス組成物が、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方をさらに含む 、前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の封着パッケージ。
[5] 前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方がガラス基板である、前記[1]〜[4]のいずれか1に記載の封着パッケージ。
[6] 第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する封着層と、を備え、
前記封着層はガラス組成物からなり、
前記ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下であり、
前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方と、前記封着層とが反応した反応層が形成され、
前記反応層のうち少なくとも一方の厚みが4〜25nmである、有機エレクトロルミネセンス素子。
[7] 前記ガラスがVを主成分として含む、前記[6]に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
[8] 前記ガラスがBiをさらに含む、前記[7]に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
[9] 前記ガラス組成物が、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方をさらに含む、前記[6]〜[8]のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
[10] 前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方がガラス基板である、前記[6]〜[9]のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
本発明に係る封着パッケージ及び有機エレクトロルミネセンス素子は、落下等に対する耐衝撃強度に優れる。
図1は、封着パッケージの一実施形態を示す正面図である。 図2は、図1に示す封着パッケージのA−A線断面図である。 図3Aは、封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図3Bは、封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図3Cは、封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図3Dは、封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。 図4は、図1に示す封着パッケージの製造に用いられる第1の基板の平面図である。 図5は、図4に示す第1の基板のB−B線断面図である。 図6は、図1に示す封着パッケージの製造に用いられる第2の基板の平面図である 図7は、図6に示す第2の基板のC−C線断面図である。 図8は、ガラス粉末混合物を仮焼成して得られる仮焼成層の概念図である。 図9は、ガラス粉末混合物をレーザ照射等で加熱して得られる封着層の概念図である。 図10は、封着パッケージの一例である有機エレクトロルミネセンス素子の概念図である。 図11は、実施例の封着パッケージの製造に用いられるガラス基板の平面図である。 図12は、図11に示すガラス基板のD−D線断面図である。 図13は、実施例の封着パッケージを示す断面図である。 図14は、片面に支持基板が設けられた封着パッケージの平面図である。 図15は、図14に示す支持基板が設けられた封着パッケージのF−F線断面図である。 図16は、落球強度の測定方法を示す図である。 図17は、落球強度と反応層の厚みの関係を示すグラフである。 図18は、反応層の厚みの測定に用いられるガラス基板の概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<封着パッケージ>
本実施形態に係る封着パッケージは、第1の基板と、第1の基板に対向して配置される第2の基板とを有し、第1の基板と第2の基板との間には、それら基板を接着する封着層を有する。封着層はガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下である。また、第1の基板及び第2の基板の少なくとも一方と、封着層との間には、それらが反応した反応層が形成されており、厚みは4〜25nmである。
本明細書においてガラス組成物とは、ガラスを含む無機混合物をいう。前記ガラス組成物は、ガラス以外に低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方をさらに含んでいてもよく、ガラスのみであってもよい。
図1及び図2は、封着パッケージの一実施形態を示す平面図及び断面図である。図3A〜図3Dは、図1に示す封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。図4及び図5は、図1及び図2に示す封着パッケージの製造に用いられる第1の基板の平面図及び断面図である。図6及び図7は、図1及び図2に示す封着パッケージの製造に用いられる第2の基板の平面図及び断面図である。
封着パッケージ10は、OELD、PDP、LCD等のFPD、有機エレクトロルミネセンス(OEL)素子等の発光素子を使用した照明装置(OEL照明等)、あるいは色素増感型太陽電池のような太陽電池等を構成する。
すなわち、封着パッケージ10は、第1の基板11と、第1の基板に対向して配置される第2の基板12と、第1の基板11と第2の基板12との間に配置され、第1の基板と第2の基板とを接着する封着層15とを有する。また、封着層15はガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下である。
第1の基板11は、例えば、電子素子部13が主として設けられる素子基板である。第2の基板12は、例えば、封止に主として用いられる封止基板である。第1の基板11には、電子素子部13が設けられる。第1の基板11と第2の基板12とは互いに対向するように配置され、これらの間に枠状に配置された封着層15により接着されている。
第1の基板11及び第2の基板12の少なくとも一方と、封着層15との間には、基板と封着層とが反応した反応層(図示せず)が形成されている。反応層の厚みは4〜25nmである。封着層と反応層については後述する。
第1の基板11、第2の基板12は、少なくとも一方が封着層との反応層が形成されるものであれば特に限定されないが、レーザの透過性が優れ、封着層を効率的に加熱できるという点からガラス基板が好ましい。ガラス基板としては、ソーダライムガラス基板、無アルカリガラス基板等がより好ましく用いられる。
ソーダライムガラス基板として、例えば、AS、PD200(いずれもAGC社製、商品名)や、これらを化学強化したものが挙げられる。
無アルカリガラス基板として、例えば、AN100(AGC社製、商品名)、EAGEL2000(コーニング社製、商品名)、EAGEL GX(コーニング社製、商品名)、JADE(コーニング社製、商品名)、#1737(コーニング社製、商品名)、OA−10(日本電気硝子社製、商品名)、テンパックス(ショット社製、商品名)等が挙げられる。
第1の基板11と第2の基板12は同じものを用いても、異なるものを用いてもよい。
電子素子部13は、例えば、OELDやOEL照明であればOEL素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば色素増感型太陽電池素子、すなわち色素増感型光電変換部素子を有する。電子素子部13は、各種公知の構造を採用でき、図示される構造に限定されない。
図1及び図2の封着パッケージ10では、電子素子部13として、OEL素子、プラズマ発光素子等が第1の基板11に設けられている。電子素子部13が色素増感型太陽電池素子等の場合、図示しないが第1の基板11及び第2の基板12のそれぞれの対向面に配線膜や電極膜等の素子膜が設けられる。
電子素子部13がOEL素子等の場合、第1の基板11と第2の基板12との間には一部空間が残存する。この空間は、このままの状態でもよいし、透明な樹脂等が充填されてもよい。透明な樹脂は、第1の基板11及び第2の基板12に接着してもよいし、接触するだけでもよい。
電子素子部13が色素増感型太陽電池素子等の場合、図示しないが第1の基板11と第2の基板12との間の全体に電子素子部13が配置される。なお、封止対象は、電子素子部13に限定されず、光電変換装置等でもよい。また、封着パッケージ10は、電子素子部13を有しない複層ガラスのような建材でもよい。
[封着層]
本実施形態における封着層はガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下である。以後、このガラスを「低融点ガラス」と称することがある。
ガラス組成物は低融点ガラスを含むことにより、低温で封着層を形成できる。そのため、封着時に加熱された封着材料がガラス転移点付近から室温まで冷却される過程で蓄積される熱応力を抑制できる。その結果、得られる封着パッケージの耐衝撃強度を向上できる。
低融点ガラスのガラス転移点(Tg)は350℃以下であればよく、より良好な低温封着性を得る観点から、Tgは340℃以下が好ましく、330℃以下がさらに好ましい。ガラス転移点の下限は特に限定されないが、290℃以上が好ましい。ガラス転移点を290℃以上とすることにより、樹脂を含む有機ビヒクルとガラス組成物とを混合してガラスペーストとした場合に、樹脂が除去される前にガラスが軟化して樹脂が封着層に残留することを防げる。
なお、低融点ガラスのガラス転移点(Tg)は示差熱分析装置を用いて測定し、第1変曲点をガラス転移点とした。
低融点ガラスを構成する材料となるガラスは1種でも2種以上でもよい。
低融点ガラスが1種のガラスからなる場合には、かかるガラスのガラス転移点が上記範囲内であればよい。
低融点ガラスを構成する材料となるガラスが2種以上の場合も、得られた低融点ガラスのガラス転移点(Tg)は、示差熱分析装置を用いて測定し、第1変曲点から見積もることができ、そのガラス転移点が上記範囲内であればよい。
低融点ガラスを構成する材料となるガラスが2種以上の場合、低融点ガラスを構成する材料となるガラスの合計量に対する、ガラス転移点が350℃以下である材料となるガラスの合計の含有量は、各ガラスのガラス転移点の高低によって一義に定めることはできないものの、80体積%以上が好ましく、85体積%以上がより好ましい。合計の含有量の上限は特に限定されず、材料となるガラスのすべてが、ガラス転移点350℃以下、すなわち100体積%であってもよい。
低融点ガラスは上記特性を有するものであれば、その組成は特に限定されないが、Vを主成分として含むことが好ましい。Vはガラス形成酸化物であり、ガラスのネットワークを形成するとともに、低いガラス転移点とする成分である。また、レーザ吸収成分としても有効である。
なお、本明細書において主成分とは、ガラスを構成する成分のうち、酸化物基準のモル%表示で、最も含有量が多い成分であることを意味する。また、低融点ガラスを構成する材料となるガラスが2種以上の場合、各ガラスの酸化物基準のモル%表示で表される組成と、それらの含有割合(体積%)とから、低融点ガラスの組成を決定する。
具体的には、Vの含有量は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましく、30%以上がよりさらに好ましい。また、耐水性の低下や、ガラス製造時にガラス安定性が低下してガラスが失透しやすくなるのを防ぐ観点から、Vの含有量は50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましく、35%以下がよりさらに好ましい。
低融点ガラスは、さらにBiを含むことが好ましい。Biは基板として特にガラス基板を用いた場合、封着層形成時にガラス基板と反応しやすく、反応層を形成しやすい。かかる反応層により、接着強度が向上し、封着パッケージのより良好な耐衝撃強度が得られる。
具体的には、Biの含有量は0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましく、2.0%以上がよりさらに好ましい。また、良好な低温封着性を維持する観点から、Biの含有量は20.0%以下が好ましく、15.0%以下がより好ましく、10.0%以下がさらに好ましく、7.0%以下がよりさらに好ましい。
(低融点ガラス)
以下に封着層となるガラス組成物に含まれる低融点ガラスの組成の一実施形態を説明する。なお組成は下記に限られず、ガラス転移点が上記範囲内であり、基板と適切な厚みの反応層を形成できるものであれば特に限定されない。また、低融点ガラスを構成する材料となるガラスが2種以上の場合、各ガラスの酸化物基準のモル%表示で表される組成と、それらの含有割合(体積%)とから決定される組成(以下、「平均組成」という)が下記であればよい。
本実施形態における低融点ガラスは、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、酸化物基準のモル%表示で、Vを10.0〜50.0%、TeOを14.5〜45.0%、ZnOを5.0〜45.0%、かつBiを0.5〜20.0%含有することが好ましい。
以下の成分ごとの説明において、特に断りのない限り、低融点ガラスの各成分の含有量における「%」の表示は、酸化物基準、すなわち酸化物換算のモル%表示である。
低融点ガラスがアルカリ金属酸化物を含有すると、封着時や、封着後において封着材料が高温に曝された際に、基板等の被封着材にアルカリ成分が拡散し、被封着部材が劣化するおそれがある。したがって、低融点ガラスは実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、不可避的な不純物以外には含有しないという意味、即ち、意図的には添加されていないという意味である。
したがって、低融点ガラスは、不可避不純物としてのアルカリ金属酸化物を微量含有し得る。低融点ガラスにおけるアルカリ金属酸化物の含有量は、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
なお、本明細書においてアルカリ金属酸化物とはLiO、NaO及びKOを意味し、アルカリ金属酸化物の含有量とはこれらの合計の含有量を意味する。また、ppmとは質量ppmを意味する。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスのネットワークを形成するとともに、低軟化成分、すなわちガラス転移点を下げる成分であることから含有することが好ましい。また、レーザ吸収成分としても有効である。このように、ガラス転移点を下げることで低温封着性に優れ、高い耐衝撃強度を得る点から、Vを主成分として含有することが好ましい。また、Vの含有量は10.0%以上が好ましく、15.0%以上がより好ましく、20.0%以上がさらに好ましく、25.0%以上がよりさらに好ましい。
耐水性が低下し、またガラス製造時にガラス安定性が低下してガラスが失透しやすくなるのを防ぐ観点から、Vの含有量は50.0%以下が好ましく、45.0%以下がより好ましく、40.0%以下がさらに好ましく、35.0%以下がよりさらに好ましい。
TeOは、ガラス酸化物であり、ガラスネットワークを形成するとともに、低軟化成分であることから含有することが好ましい。ガラス転移点が低下することで低温封着性が向上し、また焼成封着時の結晶化を防ぐ観点から、TeOの含有量は14.5%以上が好ましく、16.0%以上がより好ましく、18.0%以上がさらに好ましく、20.0%以上がよりさらに好ましい。また、熱膨張係数が大きくなり過ぎるのを防ぐ観点から、TeOの含有量は45.0%以下が好ましく、40.0%以下がより好ましく、35.0%以下がさらに好ましく、30.0%以下がよりさらに好ましい。
ZnOは、熱膨張係数を低下させる成分として含有することが好ましい。ZnOの含有量は5.0%以上が好ましく、10.0%以上がより好ましく、15.0%以上がさらに好ましく、20.0%以上がよりさらに好ましい。一方、ガラス製造時にガラス安定性が低下してガラスが失透するのを防ぐ観点から、ZnOの含有量は45.0%以下が好ましく、40.0%以下がより好ましく、35.0%以下がさらに好ましく、30.0%以下がよりさらに好ましい。
Biは封着時に基板と反応しやすく、反応層を形成することで接着強度を向上させる成分である。したがって、Biは本実施形態の低融点ガラスにとって重要であり、Vと共に含有することが好ましい。Biの含有量を一定以上とすることで、接着強度向上の効果を十分に得られる。一方、Biの含有量を一定以下とすることで、ガラス転移点が高くなり過ぎず、良好な低温封着性を維持できる。さらに、基板がガラス基板である場合に、過度にガラス基板と反応してガラス基板中のSiO等の高融点成分をガラス組成物中に取り込むことを抑制できる。その結果、固着点が上がることなく、封着後の封着層の残留応力が大きくなることを防げる。
低融点ガラスとしてV−TeO−ZnO系のガラスを用いる場合、低温封着性を維持したまま接着強度を向上できるBiの好適な含有量は0.5〜20.0%である。Biの含有量は1.0%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましく、2.0%以上がよりさらに好ましく、また、15.0%以下がより好ましく、10.0%以下がさらに好ましく、7.0%以下がよりさらに好ましい。
を主成分としBiをさらに含有する低融点ガラスにおいて、V/TeOで表されるVとTeOとの含有量の比は、焼成封着時の結晶化を抑制でき、ガラスが安定化する観点から0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、また、2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
CuOは熱膨張係数を低下させる効果を有する成分であり、また耐水性を向上させる効果があるため、含有させることが好ましい。さらにレーザ吸収成分としても有効である。CuOを含有させることで、封着層形成に際するガラスペースト作製時に、レーザ吸収を目的として含有させる顔料の添加量を減らし、代わりに低膨張フィラーを多く含有させることが可能となる。これにより、より熱膨張係数が低いガラスペーストが得られる。上記観点から、CuOの含有量は1.0%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましく、5.0%以上がさらに好ましい。一方、焼成封着時にガラスが結晶化するのを防ぐ観点から、CuOの含有量は10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましく、7.5%以下がさらに好ましい。
Feはレーザ吸収成分としても有効であるため、含有させてもよい。Feを含有させることで、ガラスペースト作製時に、レーザ吸収を目的として含有させる顔料の添加量を減らし、代わりに低膨張フィラーを多く含有させることが可能となる。これにより、より熱膨張係数が低いガラスペーストが得られる。上記観点から、Feの含有量は1.0%以上が好ましい。ただし、CuOやMnOが含まれていれば、Feを含有していなくても上記効果を得られる。一方、焼成封着時にガラスが結晶化するのを防ぎ、さらには、ガラス転移点の上昇に伴う低温封着性の低下を抑制する観点から、Feの含有量は7.0%以下が好ましく、5.0%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましい。
MnOはレーザ吸収成分として有効な成分であるため、含有させてもよい。MnOを含有させることで、ガラスペースト作製時に、レーザ吸収を目的として含有させる顔料の添加量を減らし、代わりに低膨張フィラーを多く含有できるため可能となる。これにより、より熱膨張係数が低いガラスペーストが得られる。上記観点から、MnOの含有量は1.0%以上が好ましい。ただし、CuOやFeが含まれていれば、MnOを含有していなくても上記効果を得られる。一方で、焼成封着時にガラスが結晶化するのを防ぐ観点から、MnOの含有量は7.0%以下が好ましく、5.0%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましい。
レーザ吸収の効果を好適に得る観点から、(CuO+Fe+MnO)で表されるCuOとFeとMnOの含有量の合計は1.0%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましく、4.0%以上がさらに好ましく、5.0%以上がよりさらに好ましい。また、レーザ焼成封着時のガラスの結晶化を回避する点から、かかる含有量の合計は10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましく、7.5%以下がさらに好ましい。
CuO、Fe及びMnOはいずれもレーザ吸収成分として有効な成分である。かかるレーザ吸収による低温封着性の効果と、ガラスの結晶化回避のバランスから、これらの成分の中でもCuOを多く含むことが好ましい。具体的には、{CuO/(CuO+Fe+MnO)}で表される、CuOとFeとMnOの含有量の合計に対するCuOの含有量の比が30%以上(0.3以上)が好ましく、50%以上(0.5以上)がより好ましく、70%以上(0.7以上)がさらに好ましい。また、上記比は100%、すなわちCuOのみを含有していてもよい。
はガラス酸化物であり、ガラスネットワークを形成し、ガラス安定性が向上する成分であるため、含有させることが好ましい。Bを含有する場合、その含有量は0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましい。一方、過剰に含有してガラスが不安定になり、焼成封着時に結晶化しやすくなるのを回避する観点から、Bの含有量は10.0%以下が好ましく、7.5%以下がより好ましく、5.0%以下がさらに好ましい。
BaOはガラスを安定化させるために有効な成分であるため、含有させてもよい。含有させる場合のBaOの含有量は2.0%以上が好ましい。一方、ガラス転移点や熱膨張係数を適切な範囲に保つ点から、BaOの含有量は10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましい。
Al及びNbは熱膨張係数を低下させる効果があり、また耐水性を向上させる効果があるため、各々含有させてもよい。含有させる場合のAl及びNbの含有量は、それぞれ2.0%以上が好ましい。一方、ガラス転移点を適切な範囲に保つ点から、Al及びNbを含有量は、それぞれ10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましい。
(V+TeO+ZnO)で表されるV、TeO及びZnOの含有量の合計が78.0〜89.0%であり、かつ、(Al+Nb)で表されるAl及びNbの含有量の合計は5.0〜11.0%が好ましい。上記範囲であると、耐水性とガラスの安定化を両立させやすい。また、同様の理由から、(V+TeO+ZnO)は79.0%以上がより好ましく、また、88.0%以下がより好ましい。これに加えて、(Al+Nb)は6.0%以上がさらに好ましく、また、10.0%以下がさらに好ましい。
低融点ガラスは、上記成分以外の成分(以下、「他の成分」という。)を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。他の成分の合計の含有量は好ましくは10.0%以下である。
他の成分としてCaO、TiO、ZrO、CeO、La、CoO、MoO、Sb、WO、GeO等が挙げられる。
また、低融点ガラスは環境に対する負荷を低減する観点から、実質的に鉛、すなわち、PbOを含有しないことが好ましい。
(封着層の製造方法)
封着層はガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスは低融点ガラスである。封着層の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法で製造できる。
まず、原料混合物を準備する。原料は、通常の酸化物系のガラスの製造に用いる原料であれば特に限定されず、酸化物や炭酸塩等を使用できる。得られるガラスの組成が上記の範囲となるように原料の種類及び割合を適宜調整して原料混合物とする。
低融点ガラスとなる材料のガラスが、組成の異なる2種以上である場合、組成の異なるガラスの各々の組成は特に限定されず、それらの平均組成が上記の範囲となるように、適切な原料の種類及び割合、ガラスの組み合わせ等を選択すればよい。
原料混合物を公知の方法で加熱して溶融物を得る。加熱溶融する温度(溶融温度)は1000〜1200℃が好ましく、1050℃以上がより好ましく、また、1150℃以下がより好ましい。加熱溶融する時間は30〜90分が好ましい。
その後、溶融物を冷却し固化することにより、低融点ガラスの材料となるガラスが得られる。冷却方法は特に限定されないが、例えばロールアウトマシンやプレスマシンを使用する方法や、冷却液体への滴下等により急冷する方法を採用できる。
得られるガラスは完全に非晶質である、すなわち結晶化度が0%であることが好ましい。ただし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、結晶化した部分を含んでいてもよい。
上記で得られた材料のガラスの形態は任意である。例えば、ブロック状、板状、薄い板状(フレーク状)、粉末状等が挙げられる。中でも、封着層とする際に溶融しやすく、また、低融点ガラスとなる材料のガラスが組成の異なる2種以上である場合には、それらを混合しやすいことから、粉末状が好ましい。また、粉末状とすることで、封着材料としての性能を調査しやすい。
粉末状とする場合の粒度は、用途に応じて適宜選択できるが、ガラス粉末の粒度は通常0.1〜100μm程度である。また、封着層形成時にペースト化して塗布や乾燥を行う際に沈降分離せず、更に、得られる封着層が厚くなり過ぎないようにする観点から、ガラス粉末の粒度は5.0μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましい。
なお、本明細書における粉末の粒度は、累積粒度分布における体積基準の50%粒径(D50)を意味する。具体的には、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径分布の累積粒度曲線において、その積算量が体積基準で50%を占めるときの粒径を意味する。
ガラス粉末は、上記で得たガラスを、例えば粉砕することで得られる。この場合、粉末の粒度は粉砕の条件により調整できる。また、ガラスの粉砕に加えて、必要に応じて篩等を用いて、分級を行ってもよい。
粉砕の方法としては、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、媒体撹拌ミル(ビーズミル)、ジョークラッシャー、ロールクラッシャー等が挙げられる。
特に5.0μm以下といった細かい粒度にする場合は、湿式粉砕を用いることが好ましい。湿式粉砕は水又はアルコールのような溶媒中でアルミナやジルコニアからなるメディア又はビーズミルを用いて粉砕する方法である。
次いで、第1の基材と第2の基材との間でガラス粉末を焼成することで、低融点ガラスから構成されるガラス組成物からなる封着層が形成される。低融点ガラスとなる材料のガラスが2種以上ある場合には、それらガラスの粉末を混合したガラス粉末混合物の焼成を行う。焼成の前に仮焼成を行ってもよい。
ガラス粉末混合物としては、例えば、V−TeO−ZnO系のガラスをベース成分とし、そこにBi−ZnO−B系のガラスを添加することで、封着層を形成した際に本実施形態における低融点ガラスが得られる。なお、ベース成分とは、ガラス粉末混合物の全体積に対する含有量が50体積%以上であることを意味し、好ましくは70体積%以上であり、また、好ましくは99.9体積%以下である。
ガラス粉末をそのままの形態で用いてもよいが、作業性を高める観点からペースト化、すなわちガラスペーストにして用いることが好ましい。低融点ガラスとなる材料のガラスが2種以上ある場合、複数のガラス粉末を混合してガラス粉末混合物としてからペースト化してもよいし、組成の異なる各ガラス粉末を含むペーストを複数調製した後、それらペーストを混合してもよい。ガラスペーストは有機ビヒクルを含むが、封着層を形成する工程内で、溶剤、樹脂共に除去される。そのため、封着層には有機ビヒクルの構成成分は残留しない。
ガラスペーストの調整は、攪拌翼を備えた回転式の混合機、ロールミル、ビーズミル等を用いた公知の方法により行われる。
封着層のガラス組成物は、封着方法に応じて、ガラス粉末に加えて、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方を含むことが好ましい。
低融点ガラスとなる材料のガラスが2種以上ある場合、すなわちガラス粉末混合物の仮焼成及び焼成について以下説明する。なお、ここではV−TeO−ZnO系のガラスがベース成分であり、Bi−ZnO−B系ガラスが添加成分である場合について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
仮焼成は、ベース成分であるV−TeO−ZnO系のガラスの軟化点より10〜50℃程度高い温度で加熱することが好ましい。このような温度で仮焼成すると、図8に示すように軟化したV−TeO−ZnO系ガラス101の中に、Bi−ZnO−B系ガラス102が点在している仮焼成層100aが得られる。
次いで、この仮焼成層100aをレーザ照射等で加熱して焼成する際には、仮焼成層100aが添加成分であるBi−ZnO−B系ガラスが十分に溶融する温度となるように加熱することが好ましい。このような温度で焼成すると、Bi−ZnO−B系ガラス102を含めた全体が溶融し、図9に示すように、ベース成分であるV−TeO−ZnO系ガラス101の部分と、添加成分であるBi−ZnO−B系ガラス102の部分とが混在する封着層100が得られると考えられる。
このような封着層100は、ベース成分であるV−TeO−ZnO系ガラスのガラス転移点が低いため、室温まで冷却された後の残留応力が小さい。また、添加成分に含まれるBiの高い反応性に起因して、接着強度にも優れる。したがって、このような封着層100は、耐衝撃強度に優れる。
なお、図9においてはV−TeO−ZnO系ガラス101の部分と、Bi−ZnO−B系ガラス102の部分とが明確に分離しているが、図9は模式的な図であり、必ずしも封着層100中においてこれらの部分の境界が明確であるとは限らない。
仮焼成層100aをレーザ照射等で加熱してBi−ZnO−B系ガラス102を溶融させた際に、Bi−ZnO−B系ガラス102とV−TeO−ZnO系ガラス101の界面の付近ではこれらのガラスが混ざりあう。したがって、得られる封着層において、V−TeO−ZnO系ガラス101の部分はBi−ZnO−B系ガラスを含有する場合があり、Bi−ZnO−B系ガラス102の部分はV−TeO−ZnO系ガラスを含有する場合がある。
また上記は、ガラス粉末混合物を粉末のまま仮焼成及び焼成を行った場合に限られず、ガラスペーストとして仮焼成及び焼成を行った場合も同様である。
低膨張充填剤は、低融点ガラスより低い熱膨張係数を有し、封着層の熱膨張係数を低下させる目的で添加される。低膨張充填剤の熱膨張係数は、−15×10−7〜45×10−7/℃程度である。
低膨張充填剤としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラス、及び硼珪酸ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(PO、これらの複合化合物等が挙げられる。
低膨張充填剤の粒度は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0μmである。
低膨張充填剤の含有量は、封着層の熱膨張係数が被封着材である基板の熱膨張係数に近づくように設定される。低膨張充填剤の含有量は、ガラス粉末、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の合計に対して1体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましく、10体積%以上がさらに好ましい。一方、封着材料溶融時の良好な流動性を確保する観点から、低膨張充填剤の含有量は50体積%以下が好ましく、45体積%以下がより好ましく、40体積%以下がさらに好ましい。
レーザ吸収物質は、封着時に照射するレーザを吸収することで、封着材料を十分に溶融し、低温封着性を高める目的で添加される。
レーザ吸収物質としては、特に限定されないが、ガラス組成において先述したCuO、Fe、MnOを構成するCu、Fe、Mnに加えて、Cr、Ni、Ti、Co、Zn等から選ばれる少なくとも1種の金属又は該金属を含む酸化物等の化合物、すなわち無機顔料等が挙げられる。また、レーザ吸収物質はこれら以外の顔料でもよい。
レーザ吸収物質の粒度は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0μmである。
CuO、Fe及びMnO以外の他のレーザ吸収物質を含む、レーザ吸収物質の合計の含有量は、レーザ吸収物質の効果を好適に得る観点から、ガラス粉末、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の合計に対して0.1体積%以上が好ましく、1体積%以上がより好ましく、3体積%以上がさらに好ましい。一方、封着材料の溶融時の良好な流動性を確保し、優れた接着強度を得る観点から、レーザ吸収物質の含有量は20体積%以下が好ましく、18体積%以下がより好ましく、15体積%以下がさらに好ましい。
有機ビヒクルとしては、例えば、溶剤にバインダ成分である樹脂を溶解したものが用いられる。
バインダ成分である樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。この場合の溶剤としては、例えば、ターピネオール、テキサノール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等を使用できる。
バインダ成分である樹脂として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロオキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーを含むアクリル系樹脂を用いることもできる。この場合の溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、ターピネオール、テキサノール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等を使用できる。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
バインダ成分である樹脂として、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等のポリアルキレンカーボネートを用いることもできる。この場合の溶剤としては、例えば、アセチルクエン酸トリエチル、プロピレングリコールジアセテート、コハク酸ジエチル、エチルカルビトールアセテート、トリアセチン、テキサノール、アジピン酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物等を使用できる。
有機ビヒクルにおける樹脂と溶剤の割合は特に制限されないが、有機ビヒクルの粘度を調整することで、ガラスペーストの粘度を好適な範囲とする。
有機ビヒクルにおける樹脂と溶剤の割合は、樹脂:溶剤=3:97〜30:70程度(質量比)が好ましい。
ガラスペーストにおけるガラス粉末、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の合計と有機ビヒクルとの割合は、求められるガラスペーストの粘度に応じて適宜調整される。具体的には、かかる合計:有機ビヒクル=65:35〜90:10程度(質量比)が好ましい。
ガラスペーストやガラス組成物には、上記以外に必要に応じて、かつ、本発明の目的に反しない限度において、公知の他の添加剤を配合できる。
(反応層)
反応層は、基板と封着層との反応により形成される層である。そのため、基板の構成元素と封着層の構成元素との複数の元素を含む混合層となる。この反応層が基板と封着層との間に形成されることで、基板と封着層との接着状態を強固にする。
上記効果を得る点から、反応層の厚みを4nm以上とする。反応層の厚みが厚いほど接着強度が高くなり、耐衝撃強度もまた向上する。そのため、反応層の厚みは、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
反応層は第1の基板と第2の基板の少なくとも一方と封着層との間に形成されればよいが、第1の基板及び第2の基板の両方と封着層との間に形成されることが、封着パッケージとしてより接着強度が高くなることから好ましい。
反応層が両基板との間に形成されている場合、いずれか一方の反応層の厚みが4〜25nmであればよく、両方の反応層の厚みが4〜25nmであることがより好ましい。
他方、反応層の厚みを25nm以下とする理由は、以下3点による。
反応層の厚みは封着層を形成する際の温度により変化する。反応層を厚くする場合には、封着温度を高くする必要があり、例えば封着をレーザ照射により行う場合にはレーザ出力を高くする必要がある。しかしながら、レーザ出力を高くし過ぎると、封着層が形成された箇所の下部に位置する配線等が損傷する。そのため、過度なレーザ出力を与えられない。そのため、反応層の厚みには上限が存在する。
上記に加え、反応層が厚くなり過ぎると、基板の封着層が位置する側とは反対側に位置する層、例えば薄膜トランジスタ(TFT)であればパッシベーション膜や電極等と反応して泡が過剰に発生する。それにより、材料強度そのものが低下し、耐衝撃強度も低下する点からも、反応層の厚みには上限が存在する。
さらに、反応層の厚みはガラス組成物を構成するガラスの組成によっても変化する。例えばVを主成分として含むガラスの場合、Biの含有量により反応層の厚みを調整できる。具体的には、Biの含有量を増やすと反応層は厚くなるが、Biの含有量が多すぎるとガラス化が困難になったり、ガラス化してもすぐに結晶化する。このように、封着時のプロセスマージンが狭くなるため、Biの含有量を増やすことで反応層を厚くすることは現実的ではない。
上記理由から反応層の厚みは25nm以下である。かかる厚みは20nm以下が好ましく、16nm以下がより好ましい。
反応層の生成は、実用的な方法として、以下に示す方法によって確認できる。
まず、封着パッケージの一部を研磨しやすいように切り出して試料とする。この試料から一方の基板を研磨して除去する。なお、接着強度が低くて封着層内で剥離する場合には、基板の研磨工程を省略できる。次いで、一方の基板を除去した試料をエッチング液に浸漬して封着層を除去する。エッチング液には封着層の構成元素を溶解することが可能な酸液を使用する。例えば、封着層としてビスマス系ガラスを用いた場合には、30%硝酸水溶液等を使用する。
反応層は基板の構成元素と封着層の構成元素の混合層であるため、封着層の除去と同時に反応層も除去される。
このようにして、反応層の形成跡が凹状部として残存する基板が得られることで、反応層が生成されたことを確認できる。このような凹状部を有する基板の表面形状は非接触タイプの表面粗さ計、例えば、白色干渉計等で確認できる。反応層の具体的な厚みは、後述する実施例の記載の方法を用いて、白色干渉計により測定される反応層の形成跡である凹状部の深さとする。
<封着パッケージの製造方法>
本実施形態に係る封着パッケージの製造方法の一例について説明するが、本発明に係る封着パッケージはこれらに限定されるものではない。また、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
第2の基板上に、上記で得られたガラスペーストを枠状に塗布した後、乾燥することで塗布層を形成する。塗布方法は、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、ディスペンス法等が挙げられる。
乾燥は、ガラスペースト中に含まれる溶剤を除去するために実施され、通常は120℃以上の温度で10分以上行われる。塗布層に溶剤が残留すると、その後の仮焼成で、有機ビヒクルとして添加したバインダ成分である樹脂が十分に除去されないおそれがある。
塗布層は仮焼成が行われることにより仮焼成層15aとなる(図6、図7)。仮焼成は、塗布層を封着材料に含まれる低融点ガラスのガラス転移点以下の温度に加熱してバインダ成分である樹脂を除去した後、封着材料に含まれる低融点ガラスの軟化点以上の温度に加熱することにより行われる。
次いで、仮焼成層15aが設けられた第2の基板12と第1の基板11とを、仮焼成層15aとが対向するように配置して積層する(図3A、図3B)。なお、第1の基板11には、封着パッケージ10の仕様に応じて、電子素子部13が設けられる(図4、図5)。
その後、第2の基板12を通して仮焼成層15aにレーザ光16を照射して焼成を実施する(図3C)。レーザ光16は、枠状形状の仮焼成層15aに沿って走査しながら照射される。仮焼成層15aの全周にわたってレーザ光16が照射されることで、第1の基板11と第2の基板12との間に枠状の封着層15が形成される。なお、レーザ光16は、第1の基板11を通して仮焼成層15aに照射されてもよい。
レーザ光16の種類は、特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等が使用される。レーザ光16の照射条件は、仮焼成層15aの厚さ、線幅、厚さ方向の断面積等に応じて選択される。
レーザ光16の出力は、仮焼成層15aを十分に溶融する観点から2W以上が好ましく、5W以上がより好ましい。また、第1の基板11、第2の基板12にクラック等が発生するのを抑制する観点から、レーザ光16の出力は150W以下が好ましく、120W以下がより好ましい。
このようにして、第1の基板11と第2の基板12との間に封着層15によって電子素子部13が気密封止された封着パッケージ10が製造される(図3D)。
以上、レーザ光16の照射により焼成を行う方法について説明したが、焼成の方法は必ずしもレーザ光16の照射により行われる方法に限られない。
焼成方法は、電子素子部13の耐熱性、封着パッケージ10の構成等に応じて他の方法を採用できる。例えば、電子素子部13の耐熱性が高い場合、又は電子素子部13を有しない場合、レーザ光16の照射に代えて、図3Bに示すような組立体の全体を電気炉等の焼成炉内に配置して、仮焼成層15aを含めた組立体の全体を加熱して封着層15としてもよい。
<有機エレクトロルミネセンス素子>
本実施形態に係る有機エレクトロルミネセンス素子は、第1の基板と、第1の基板に対向して配置される第2の基板とを有し、第1の基板と第2の基板との間には、それら基板を接着する封着層を有する。封着層はガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下である。また、第1の基板及び第2の基板の少なくとも一方と、封着層との間には、それらが反応した反応層が形成されており、反応層の厚みは4〜25nmである。
有機エレクトロルミネセンス素子における封着層及び反応層は、それぞれ上記<封着パッケージ>における(封着層)及び(反応層)に記載のものと同様であり、好ましい態様も同様である。
以下、OELDを構成する有機エレクトロルミネセンス素子の一例として、図10を参照して説明するが、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子はこれに限定されるものではない。また、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
本実施形態に係る有機エレクトロルミネセンス素子210は、基板211上に積層構造体213が積層されている。積層構造体213は、基板211側から順に、陰極213c、有機薄膜層213b、及び陽極213aを有する。積層構造体213の外表面側を覆うように、基板211に対向するように載置されたガラス部材212と、基板211とガラス部材212とを接着する封着層215とを備える。
当該封着層215は上述のガラス組成物からなり、ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下である。また基板211及びガラス部材212の少なくとも一方と、封着層215との間には、厚みが4〜25nmの反応層が形成されている(図示せず)。
以下、本発明について実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。例4−1〜4−6は実施例であり、例5−1〜5−3は比較例である。また、例1−1〜1−4及び例2−1〜2−5は実施例における低融点ガラスの製造例であり、例3−1〜3−3は比較例における低融点ガラスの製造例である。
[例1−1〜1−4及び例3−1〜3−3]
(ガラス粉末の製造)
表1及び表3の「ガラス組成」の欄にモル%表示で示す組成となるように原料を調合して混合し、1050〜1150℃の電気炉中で白金ルツボを用いて1時間溶融した。次いで、得られた溶融ガラスを、薄板状ガラスに成形した。
薄板状ガラスを、回転ボールミルで粉砕し篩による分級を行って粒度0.5〜15μmの、例1−1〜1−4及び例3−1〜3−3のガラス粉末を得た。
[例2−1〜2−5]
(ガラス粉末混合物の製造)
例1−2〜1−4のガラス粉末を、表2に示す通りの体積比率で混合して、例2−1〜2−5のガラス粉末混合物を得た。各ガラス粉末混合物の平均組成は、表2に示す通りであった。なお、表2中、「ガラス1−2」とは例1−2のガラス粉末を意味するものであり、他の同様の記載についても同様の意味である。
得られた各例のガラス粉末又はガラス粉末混合物に対して、ガラス特性としてガラス転移点(Tg)の測定を、示差熱分析装置(株式会社リガク社製、ThermoPlus TG8110)を用いて行った。測定条件は、大気中で、基準試料としてアルミナを用い、昇温速度を10℃/分、温度範囲を室温〜500℃とした。先述の通り、第1変曲点をガラス転移点とした。
得られた結果を表1〜表3に示した。
Figure 2022003682
Figure 2022003682
Figure 2022003682
[例4−1〜4−6及び例5−1〜5−3]
(ガラスペーストの製造)
各例のガラス粉末又はガラス粉末混合物、レーザ吸収物質(Fe−CuO−MnO)、及び低膨張充填剤(リン酸ジルコニウム)を表4及び表5に示すような割合(体積%)となるように調合し、ガラス組成物粉末を得た。別途、エチルセルロース(樹脂)及びジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(溶剤)を表4に示すような割合(質量%)となるように調合して、有機ビヒクルを調製した。そして、ガラス組成物粉末と有機ビヒクルとを表4に示す質量割合で調合して、スクリーン印刷に適した粘度になるようにジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルで希釈することで、ガラスペーストを調製した。なお、レーザ吸収物質の粒度は0.8μm、低膨張充填剤の粒度は0.9μmであった。
なお、表4及び表5中、「ガラス1−1」とは例1−1のガラス粉末を意味するものであり、他の同様の記載についても同様の意味である。
(封着パッケージの作製)
図11、12に示すように、無アルカリガラスであるAN100(AGC社製、25mm×25mm×厚さ0.5mm)からなるガラス基板32の表面に、上記ガラスペーストを400メッシュのスクリーンを用いて枠状に塗布した。次いで、120℃×10分の条件で乾燥し、さらに420℃〜480℃×10分の条件で仮焼成して、仮焼成層35aを形成した。なお、仮焼成層35aは、封着層35としたときに、幅が500μm程度、膜厚が4〜8μm程度となるようにした。
その後、ガラス基板31と、仮焼成層35aが設けられたガラス基板32とを、ガラス基板31と仮焼成層35aとが接触するように重ね合わせて組立体とした。さらに、この組立体に対して、ガラス基板32側から、波長940nm、スポット径1.6mmのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射して、仮焼成層35aを溶融及び急冷固化した。これにより、図13に示すように、ガラス基板31に封着層35を介してガラス基板32が接着された封着パッケージ30を作製した。
なお、レーザ光の出力は、表4及び表5に示す値としたが、例4−3〜4−6については、複数の出力を選択し、それによる反応層の厚みと落球強度の違いを検討した。
(反応層の厚み測定)
封着パッケージ30において、ガラス基板32と封着層35とが反応した反応層の厚みを下記方法により測定した。
封着パッケージ30からガラス基板31を剥離した。次いで、硝酸水溶液(60%)を蒸留水で1:1の比率で希釈してエッチング液を調製し、ガラス基板31を除去した試料をエッチング液に48時間浸漬することで、封着層及び反応層の除去を行った。次いで、蒸留水で試料を洗浄し、拭き上げた。
上記で得られるのはガラス基板32のみであり、反応層が形成されていた場合には、図18に示すように、反応層の形成後が凹状部36としてその表面に残存する。白色干渉計(米国ザイゴ社製、Zygo New View 6200)を用い、ガラス基板32の封着層が形成されていた側、すなわち凹状部36を有する側の干渉縞を撮像し、前記干渉縞から得られる高さ情報に基づいて反応層の厚みを得た。
具体的な測定方法としては、下記の手順で実施した。ズームレンズは0.5倍、対物レンズは10倍のものを使用した。
ガラス基板32において反応層が形成されている側、すなわち封着層と接していた側のガラス基板の主面において、反応層、すなわち凹状部36が形成されていない領域の高さをガラス厚みHaとする。他方、反応層、すなわち凹状部36が形成されている枠状の領域の高さをガラス厚みHbとする。反応層の厚みとは、上記Ha及びHbの差(Ha−Hb)を、3か所で測定したときの平均値をいう。
ここで、Haは凹状部36が形成されていない領域の任意の場所において、幅1.4mmの範囲で高さを測定し、その平均値をガラス厚みHaとする。また、Hbは次に示す方法で算出した値とする。まず、凹状部36が形成されている領域の任意の点を中心として、凹状部の幅方向αの高さを測定する。次に測定された凹状部の幅方向αの高さの波形について、3点で移動平均を取る。移動平均を取った高さの波形において、高さが最も低い点、すなわち凹状部の深さが最も深い点を中心とし、先の凹状部の幅方向に垂直な方向βに、1.4mmの範囲で高さを測定する。測定された高さの平均値をガラス厚みHbとする。
上記で得られたHaとHbとから1か所目の(Ha−Hb)が得られる。同様の測定を他の2か所にて繰り返し行い、得られた3か所の(Ha−Hb)の値の平均値を、反応層の厚みとする。
なお、1か所(Ha−Hb)を算出するにあたり、HaとHbを測定する領域は近いところを選択する。これは、反応層が形成される前のガラス基板の厚みが一様でない場合を考慮したものである。
(落球強度の測定)
耐衝撃強度の評価として、落球強度の測定を行った。
図14及び図15に示すように、封着パッケージ30を強度評価用試験片として用い、その片面に100mm×100mm×厚さ3.4mmの支持基板46を熱硬化性接着剤43により固定した。
その後、図16に示すように、支持基板46の強度評価用試験片が接着している範囲に向けて、強度評価用試験片を接着していない側から重り球47を落とした。重り球47の質量及び落下高さ48を変更し、その際の落下エネルギーを落球強度として、下記式を用いて計算した。
落下エネルギーを上げていき、封着パッケージ30の1対のガラス基板31、32が剥離しない最大の落下エネルギーを落球強度として測定した。なお、上記の「封着パッケージ30の1対のガラス基板31、32が剥離しない」とは、3回試験をした際に2回以上剥離しない場合を意味する。落球強度の測定結果を表4及び表5に示す。
また、落球強度と反応層の厚みの関係を図17にまとめた。
落球強度[mJ]=重り球の質量[g]×落下高さ[m]×重力加速度[m/s
Figure 2022003682
Figure 2022003682
実施例である例4−1〜4−6の封着パッケージでは十分な厚みの反応層が形成され、優れた耐衝撃強度を示した。他方、比較例である例5−1〜5−3の封着パッケージでは、封着層にガラス転移点が350℃以下である低融点ガラスを用いているものの、反応層が形成されないか、形成されても薄く、耐衝撃強度に劣る結果となった。
10:封着パッケージ
11:第1の基板
12:第2の基板
13:電子素子部
15:封着層
15a:仮焼成層
16:レーザ光
30:封着パッケージ
31、32:ガラス基板
35:封着層
35a:仮焼成層
36:凹状部
46:支持基板
47:重り球
48:落下高さ
100:封着層
100a:仮焼成層
101:V−TeO−ZnO系ガラス
102:Bi−ZnO−B系ガラス
210:有機エレクトロルミネセンス素子
211:基板
212:ガラス部材
213:積層構造体
213a:陽極
213b:有機薄膜層
213c:陰極
215:封着層

Claims (10)

  1. 第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する封着層と、を有する封着パッケージであって、
    前記封着層はガラス組成物からなり、
    前記ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下であり、
    前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方と、前記封着層とが反応した反応層が形成され、
    前記反応層の厚みが4〜25nmである、封着パッケージ。
  2. 前記ガラスがVを主成分として含む、請求項1に記載の封着パッケージ。
  3. 前記ガラスがBiをさらに含む、請求項2に記載の封着パッケージ。
  4. 前記ガラス組成物が、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の封着パッケージ。
  5. 前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方がガラス基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の封着パッケージ。
  6. 第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する封着層と、を備え、
    前記封着層はガラス組成物からなり、
    前記ガラス組成物を構成するガラスのガラス転移点は350℃以下であり、
    前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方と、前記封着層とが反応した反応層が形成され、
    前記反応層のうち少なくとも一方の厚みが4〜25nmである、有機エレクトロルミネセンス素子。
  7. 前記ガラスがVを主成分として含む、請求項6に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  8. 前記ガラスがBiをさらに含む、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  9. 前記ガラス組成物が、低膨張充填剤及びレーザ吸収物質の少なくとも一方をさらに含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方がガラス基板である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
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