JP2022000687A - 半導体ナノ粒子含有組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置 - Google Patents

半導体ナノ粒子含有組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置 Download PDF

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政昭 西村
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崇志 藤原
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智隆 谷口
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Abstract

【課題】励起光を効率よく波長変換し、十分な発光強度を示す波長変換層を形成することが可能な半導体ナノ粒子含有組成物を提供すること。【解決手段】波長300〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)、及び色素(B)を含有する半導体ナノ粒子含有組成物であって、前記色素(B)が下記一般式[I]で表される色素(B1)である半導体ナノ粒子含有組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ナノ粒子含有組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に関する。
液晶表示装置等のディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっているが、近年では、さらなる省電力化や色再現性向上が求められている。
このような背景から、光利用効率を高め、色再現性を向上するために入射光の波長を変換して発光する量子ドット、量子ロッド、その他の無機蛍光体粒子等の半導体ナノ粒子を発光材料として含んだ波長変換層を利用することが提案されている。
一般に、このような量子ドット等の半導体ナノ粒子は樹脂等の中に分散されて、例えば波長変換を行う波長変換フィルムとして、または波長変換型のカラーフィルタ画素部として用いられる。
ところで、従来、液晶表示装置等のディスプレイにおけるカラーフィルタ画素部は、例えば、顔料と、アルカリ可溶性樹脂及び/又はアクリル系単量体とを含有する硬化性レジスト材料を用いて、フォトリソグラフィ法により製造されてきた。
しかしながら、上記フォトリソグラフィ法によるカラーフィルタの製造方法を応用して波長変換型のカラーフィルタ画素部を形成しようとすると、現像工程において、半導体ナノ粒子を含むレジスト材料の大部分が失われるという欠点があった。そのため、インクジェット法により波長変換型のカラーフィルタ画素部を形成することも検討されている(特許文献1)。
特開2019−85537号公報
本発明者らの検討により、半導体ナノ粒子は励起波長域での吸光度が低いため、半導体ナノ粒子含有組成物を用いて作製される波長変換層をディスプレイに用いる場合に、十分な発光強度が得られないという問題があることが見出された。具体的には、特許文献1等に開示されている半導体ナノ粒子含有組成物を用いて形成された波長変換型のカラーフィルタの画素部では、赤色や緑色等の所望の画素で十分な発光強度が得られないという問題があることが見出された。
そこで、本発明は、励起光を効率よく波長変換し、十分な発光強度を示す波長変換層を形成することが可能な半導体ナノ粒子含有組成物、該組成物を硬化させた画素部を有するカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを有する画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の半導体ナノ粒子と、特定の色素を併用することで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]波長300〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)、及び色素(B)を含有する半導体ナノ粒子含有組成物であって、
前記色素(B)が下記一般式[I]で表される色素(B1)である半導体ナノ粒子含有組成物。
Figure 2022000687
(一般式[I]中、XはC−*又はNを表す。
*は結合手を表す。
、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
[2]前記色素(B1)が下記一般式[II]で表される[1]に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
Figure 2022000687
(一般式[II]中、XはC−R又はNを表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は任意の置換基を表す。
とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
[3]前記一般式[II]においてR及びRがフッ素原子であり、XがC−Rであり、Rが水素原子又は任意の置換基である[2]に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[4]前記色素(B)の発する蛍光の最大発光波長が450〜630nmの範囲である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[5]さらに重合性化合物(C)を含有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[6]前記重合性化合物(C)として(メタ)アクリレート系化合物を含む[5]に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[7]さらに重合開始剤(D)を含有する[1]〜[6]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[8]さらに光散乱性粒子を含有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[9]インクジェット方式用である[1]〜[8]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物を硬化させた画素部を有するカラーフィルタ。
[11][10]に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
本発明によれば、励起光を効率よく波長変換し、十分な発光強度を示す波長変換層を形成することが可能な半導体ナノ粒子含有組成物、該組成物を硬化させた画素部を有するカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを有する画像表示装置を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の記載は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらに特定されない。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
本発明において、「全固形分」とは、半導体ナノ粒子含有組成物における溶剤以外の全成分を意味し、半導体ナノ粒子含有組成物が溶剤を含まない場合には半導体ナノ粒子含有組成物の全成分を意味する。溶剤以外の成分が常温で液体であっても、その成分は溶剤には含めず、全固形分に含める。
本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。「A及び/又はB」とは、A及びBの一方または両方を意味し、具体的には、A、B、又はA及びBを意味する。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を意味する。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、波長変換層の製造用途に広く用いることができ、この波長変換層はディスプレイ用途に用いられることが適している。波長変換層が波長変換シートである場合には、波長変換層はフィルムの中に含まれていてもよく、フィルム表面に公知の方法で塗布されていてもよく、フィルムとフィルムの間に存在していてもよい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、公知慣用のカラーフィルタの製造方法に用いるインクとして適用が可能であるが、比較的高価である半導体ナノ粒子等の材料を無駄に消費せずに、必要な箇所に必要な量を用いて画素部(波長変換層)を形成できる点で、インクジェット方式用に適合するように調製して用いることが好ましい。すなわち、本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、インクジェット方式で画素部を形成する用途に好適に用いることができる。
[1]半導体ナノ粒子含有組成物
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、波長300〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)、及び色素(B)を含有するものであって、色素(B)が下記一般式[I]で表される色素(B1)である。本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、必要に応じてさらにその他の成分として、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、光散乱性粒子などを含んでいてもよい。
Figure 2022000687
一般式[I]中、XはC−*又はNを表す。
*は結合手を表す。
、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。
[1−1]半導体ナノ粒子(A)
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、波長300〜780nmの範囲における最大発光波長(以下、特に断りがない限り「最大発光波長」とは、波長300〜780nmの範囲におけるものを意味する。)が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)(以下、「半導体ナノ粒子(A)」と称する場合がある。)を含有する。
半導体ナノ粒子は、励起光を吸収して蛍光又は燐光を発光するナノサイズの粒子であり、例えば、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定される最大粒子径が100nm以下である粒子である。
半導体ナノ粒子は、例えば、所定の波長の光を吸収することにより、吸収した波長とは異なる波長の光(蛍光又は燐光)を発することができる。
半導体ナノ粒子(A)の最大発光波長は500〜670nmの範囲内に存在するが、半導体ナノ粒子(A)は赤色光を発する赤色発光性の半導体ナノ粒子(赤色半導体ナノ粒子)であってよく、緑色光を発する緑色発光性の半導体ナノ粒子(緑色半導体ナノ粒子)であってよい。半導体ナノ粒子(A)は、赤色半導体ナノ粒子及び/又は緑色半導体ナノ粒子であることが好ましい。
半導体ナノ粒子が吸収する光は、特に限定されないが、例えば、400〜500nmの範囲の波長の光(青色光)、及び/又は200〜400nmの範囲の波長の光(紫外光)であってよい。
一般的に、半導体ナノ粒子は最大発光波長より短波長の領域に広く吸収を有する。例えば最大発光波長が530nmの場合、530nm付近を裾として300〜530nmの波長領域に広く吸収帯を有し、また、最大発光波長が630nmの場合、630nm付近を裾として300〜630nmの波長領域に広く吸収帯を有する。
半導体ナノ粒子(A)の最大発光波長は、例えば、分光蛍光光度計を用いて測定される蛍光スペクトル又は燐光スペクトルにおいて確認することができ、励起波長450nm、吸収率20〜50%の条件で測定を行うことが好ましい。
半導体ナノ粒子(A)として赤色半導体ナノ粒子を含む場合、その最大発光波長は605nm以上が好ましく、610nm以上がより好ましく、615nm以上がさらに好ましく、620nm以上がよりさらに好ましく、625nm以上が特に好ましく、また、665nm以下が好ましく、655nm以下がより好ましく、645nm以下がさらに好ましく、640nm以下がよりさらに好ましく、635nm以下が特に好ましく、630nm以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで赤色の色域が拡大し、ディスプレイとしてより豊かな色彩を表現できる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで、視感度の関係からより明るい赤色を表現できる傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、605〜665nmが好ましく、605〜655nmがより好ましく、610〜645nmがさらに好ましく、615〜640nmがよりさらに好ましく、620〜635nmが特に好ましく、625〜630nmが最も好ましい。
半導体ナノ粒子(A)として緑色半導体ナノ粒子を含む場合、その最大発光波長は500nm以上が好ましく、505nm以上がより好ましく、510nm以上がさらに好ましく、515nm以上がよりさらに好ましく、520nm以上が特に好ましく、525nm以上が最も好ましく、また、560nm以下が好ましく、550nm以下がより好ましく、545nm以下がさらに好ましく、540nm以下がよりさらに好ましく、535nm以下が特に好ましく、530nm以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで緑色の色域を拡大でき、かつ視感度の関係からより明るい緑色を表現できる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで緑色の色域が拡大し、ディスプレイとしてより豊かな色彩を表現できる傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、500〜560nmが好ましく、505〜550nmがより好ましく、510〜545nmがさらに好ましく、515〜540nmがよりさらに好ましく、500〜520nmが特に好ましく、525〜530nmが最も好ましい。
半導体ナノ粒子が発する光の最大発光波長(発光色)は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば、半導体ナノ粒子のサイズ(例えば粒子径)に依存するが、半導体ナノ粒子が有するエネルギーギャップにも依存する。そのため、使用する半導体ナノ粒子の構成材料及びサイズを変更することにより、発光色を選択することができる。
半導体ナノ粒子(A)は、一つの次元の寸法が30nm以下の、球体、立方体、ロッド、ワイヤー、円盤、マルチポッド等の各種形状を有し得る。例えば、長さが20nmで直径が4nmのCdSeのナノロッドが挙げられる。また、半導体ナノ粒子は、異なる形状の粒子を組み合わせて使用することもできる。例えば、球体状の半導体ナノ粒子とロッド状の半導体ナノ粒子の組み合わせが使用され得る。これらの中でも、発光スペクトルの制御が容易であり、信頼性を確保した上で、生産コストを低減し、量産性を向上させることができるとの観点から、球体状の半導体ナノ粒子が好ましい。
半導体ナノ粒子(A)は、第一の半導体材料を含むコアのみからなっていてもよく、第一の半導体材料を含むコアと、コアの少なくとも一部を被覆し、第一の半導体材料とは異なる第二の半導体材料とを含むシェルとを有していてもよい。つまり、半導体ナノ粒子(A)の構造は、コアのみからなる構造(コア構造)であってよく、コア部とシェル部からなる構造(コア/シェル構造)であってもよい。
半導体ナノ粒子(A)は、第二の半導体材料を含むシェル(第一のシェル)の他に、コア又は第一のシェルの少なくとも一部を被覆し、第一及び第二の半導体材料とは異なる第三の半導体材料を含むシェル(第二のシェル)を更に有していてもよい。つまり、半導体ナノ粒子(A)の構造は、コア部と第一のシェル部と第二のシェル部とからなる構造(コア/シェル/シェル構造)であってもよい。コア及びシェルのそれぞれは、2種以上の半導体材料を含む混晶(例えば、CdSe+CdS、CuInSe+ZnS、InP+ZnSeS+ZnS等)であってもよい。
半導体ナノ粒子(A)を構成する半導体材料の種類は特に限定されないが、量子効率が高く、製造が比較的容易であることから、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体、及びI−II−IV−VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
具体的な半導体材料としては、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;
GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;
SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe2、AgInGaS2、CuGaSe2、CuInS2、CuGaS2、CuInSe2、AgInS2、AgGaSe2、AgGaS2、C及びCu2ZnSnS4が挙げられる。
これらの中でも、発光スペクトルの制御が容易であり、信頼性(耐熱性、耐光性等)を確保した上で、生産コストを低減し、量産性を向上させることができる観点から、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS2、AgInSe2、AgInGaS2、AgInTe2、AgGaS2、AgGaSe2、AgGaTe2、CuInS2、CuInSe2、CuInTe2、CuGaS2、CuGaSe2、CuGaTe2、Si、C、Ge及びCu2ZnSnS4からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
赤色半導体ナノ粒子としては、例えば、CdSeのナノ粒子;シェル部がCdSであり、コア部がCdSeであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;シェル部がCdSであり、コア部がZnSeであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;CdSeとZnSとの混晶のナノ粒子;InPのナノ粒子;シェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;シェル部がZnSとZnSeとの混晶であり、コア部がInPであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;CdSeとCdSとの混晶のナノ粒子;ZnSeとCdSとの混晶のナノ粒子;第一のシェル部がZnSeであり、第二のシェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル/シェル構造を備えたナノ粒子;第一のシェル部がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル/シェル構造を備えたナノ粒子が挙げられる。
緑色半導体ナノ粒子としては、例えば、CdSeのナノ粒子;CdSeとZnSとの混晶のナノ粒子;シェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;シェル部がZnSとZnSeとの混晶であり、コア部がInPであるコア/シェル構造を備えたナノ粒子;第一のシェル部がZnSeであり、第二のシェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル/シェル構造を備えたナノ粒子;第一のシェル部がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部がZnSであり、コア部がInPであるコア/シェル/シェル構造を備えたナノ粒子が挙げられる。
半導体ナノ粒子は、同一の化学組成で、それ自体の平均粒子径を変えることにより、発光させるべき色を赤色にも緑色にも変えることができる。
半導体ナノ粒子は、それ自体として、人体等に対する悪影響が極力低いものを用いることが好ましい。例えば、カドミウム及び/又はセレンを含有する半導体ナノ粒子を半導体ナノ粒子(A)として用いる場合は、上記元素(カドミウム及び/又はセレン)が極力含まれない半導体ナノ粒子を選択して単独で用いるか、上記元素が極力少なくなるようにその他の半導体ナノ粒子と組み合わせて用いることが好ましい。
半導体ナノ粒子(A)の形状は特に限定されず、任意の幾何学的形状であってもよく、任意の不規則な形状であってもよい。半導体ナノ粒子の形状は、例えば、球状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等であってもよい。しかしながら、半導体ナノ粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、半導体ナノ粒子含有組成物の均一性及び流動性をより高められる点で好ましい。
半導体ナノ粒子(A)の平均粒子径(体積平均径)は、所望の波長の発光が得られやすい観点、並びに、分散性及び保存安定性に優れる観点から、1nm以上であってよく、1.5nm以上であってよく、2nm以上であってもよい。所望の発光波長が得られやすい観点から、40nm以下であってよく、30nm以下であってよく、20nm以下であってもよい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、1〜40nmであってよく、1.5〜30nmであってよく、2〜20nmであってもよい。
半導体ナノ粒子の平均粒子径(体積平均径)は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
半導体ナノ粒子(A)は、分散安定性の観点から、その表面に有機リガンドを有することが好ましい。有機リガンドは、例えば、半導体ナノ粒子(A)の表面に配位結合されていてもよい。換言すれば、半導体ナノ粒子(A)の表面は、有機リガンドによってパッシベーション(passivation)されていてもよい。また、半導体ナノ粒子含有組成物が、後述する高分子分散剤を更に含有する場合には、半導体ナノ粒子(A)は、その表面に高分子分散剤を有していてもよい。例えば、上述の有機リガンドを有する半導体ナノ粒子(A)から有機リガンドを除去し、有機リガンドと高分子分散剤とを交換することで半導体ナノ粒子の表面に高分子分散剤を結合させてもよい。ただし、インクジェット方式用インクにした際の分散安定性の観点では、有機リガンドが配位したままの半導体ナノ粒子に対して高分子分散剤が配合されることが好ましい。
有機リガンドとしては、重合性化合物及び溶剤との親和性を確保するための官能基(以下、単に「親和性基」ともいう。)と、半導体ナノ粒子への吸着性を確保するための官能基(以下、単に、「吸着基」ともいう。)とを有する化合物であることが好ましい。
親和性基としては、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖型であってもよく分岐構造を有していてもよい。また、脂肪族炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよく、不飽和結合を有していなくてもよい。
吸着基としては、例えば、水素基、アミノ基、カルボキシ基、スルファニル基、ホスホノオキシ基、ホスホノ基、ホスファントリイル基、ホスホリル基、アルコキシシリルが挙げられる。
有機リガンドとしては、例えば、トリオクチルホスフィン(TOP)、トリオクチルホスフィンオキサイド(TOPO)、オレイン酸、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
半導体ナノ粒子(A)としては、溶剤、重合性化合物等の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。溶剤中で分散状態にある半導体ナノ粒子の表面は、上述の有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物が挙げられる。
半導体ナノ粒子(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特表2015−529698号公報、特開2018−109141号公報に記載の方法で製造することができる。
半導体ナノ粒子(A)としては、市販品を用いることができる。半導体ナノ粒子の市販品としては、例えば、NN−ラボズ社のインジウムリン/硫化亜鉛、D−ドット、CuInS/ZnS、アルドリッチ社のInP/ZnSが挙げられる。
半導体ナノ粒子(A)の含有割合は、外部量子効率の向上効果に優れる観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以上がことさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、また塗布性の観点、特にインクジェットヘッドからの吐出安定性により優れる観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。前記の上限の予備下限は任意に組み合わせることができる。例えば、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に1〜60質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、20〜50質量%がよりさらに好ましく、30〜40質量%が特に好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物は、半導体ナノ粒子(A)として、2種以上の半導体ナノ粒子を含んでいてもよい。また、赤色半導体ナノ粒子及び緑色半導体ナノ粒子を両方含んでいてもよいが、赤色半導体ナノ粒子及び緑色半導体ナノ粒子のうちの一方のみを含むことが好ましい。
半導体ナノ粒子(A)として赤色半導体ナノ粒子を含む場合、緑色半導体ナノ粒子の含有割合は、半導体ナノ粒子中に、10質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。半導体ナノ粒子(A)として緑色半導体ナノ粒子を含む場合、赤色半導体ナノ粒子の含有割合は、半導体ナノ粒子中に、10質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。
[1−2]色素(B)
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は色素(B)を含有し、前記色素(B)は下記一般式[I]で表される色素(B1)(以下、「色素(B1)」と称する場合がある。)である。
Figure 2022000687
(一般式[I]中、XはC−*又はNを表す。
*は結合手を表す。
、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
半導体ナノ粒子(A)の発光効率向上を目的として色素を併用する場合、半導体ナノ粒子は、その最大発光波長より短波長側に吸収帯を広く有することから、併用する色素としては励起光の波長より長波長側で、かつできるだけ短波長の領域に発光ピークを有するものであることが好ましい。例えば、励起光の波長が450nmである場合、色素の発光ピークが460〜630nm付近に存在すると、緑色半導体ナノ粒子や赤色半導体ナノ粒子の発光強度を増大させることができると考えられる。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、波長300〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)と色素(B1)を含有することで、波長変換層を形成した場合に、十分な発光強度を示すものになると考えられる。これは、色素(B1)の化学構造に由来する発光スペクトルと、最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)の吸収スペクトルとの重なりが大きく、色素(B1)の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子(A)に移動し、半導体ナノ粒子(A)の発光強度が増大するためと考えられる。
また、色素(B1)は、母骨格にボロンジピロメテン骨格を有するため、高い量子収率を示し、波長変換層を形成した場合に十分な発光強度を示すと考えられる。これと同時に、剛直な骨格であるがゆえに耐久性及び耐光性も高いと考えられる。
これに加え、色素(B1)のホウ素に結合したフッ素原子又はシアノ基によって生じる相互作用により色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)は引き合い、色素(B1)が半導体ナノ粒子(A)に十分に接近することで、色素(B1)の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子(A)に移動する効率が高く、半導体ナノ粒子(A)の発光強度が増大すると考えられる。
(R、R
前記式[I]中、R、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。
、Rとしてはこれらの中でも、色素(B1)の耐久性向上の観点から、フッ素原子が好ましい。
(X)
前記式[I]中、XはC−*又はNを表し、*は結合手を表す。色素(B1)の耐久性向上の観点および、色素(B1)の吸収スペクトルのpHに対する安定性の観点から、C−*が好ましく、C−Rがより好ましい。ここで、Rは水素原子又は任意の置換基を表す。また、例えば青色の励起光を用いる場合には、吸収効率向上の観点からもC−*が好ましく、C−Rがより好ましい。
(R
における任意の置換基としては、置換可能な1価の基であれば特に限定されず、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアリーロキシ基、置換基を有していてもよいアリーロキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいボリル基、置換基を有していてもよいホスフィノイル基、カルボキシ基、ホルミル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基が挙げられる。
におけるアルキル基は、例えば、直鎖状のアルキル基、分岐鎖状のアルキル基、環状のアルキル基、これらを組み合わせたものが挙げられる。立体障害による会合体形成抑制の観点から分岐鎖状のアルキル基が好ましい。アルキル基中の一部の−CH−は−O−で置換されていてもよい。
におけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、12以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、3以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が向上する傾向がある。また、前記上限値以下とすることで半導体ナノ粒子含有組成物中に存在する色素(B1)の質量に対する励起光の吸収効率が向上する傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、2〜3が最も好ましい。アルキル基中の−CH−の1つ以上が−O−で置換されている場合には、置換前のアルキル基の炭素数が上記範囲に含まれていることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上の観点から、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基が好ましく、2−エチルヘキシル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、スルファニル基、アミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルホスファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子が挙げられる。また、アルキル基はポリエチレングリコール鎖を有していてもよく、これらの中でも色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との相互作用増強の観点から、スルファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基が好ましく、色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との強い相互作用による粒子析出抑制の観点からは、水素原子が好ましい。
における置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基としては、アルキル基の結合手にカルボニル基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基としては、アルキル基の結合手にカルボニルオキシ基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル基の結合手にカルボニルアミノ基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基としては、アルキル基の結合手にスルホニル基を結合した基が挙げられる。
におけるアルコキシ基としては、アルキル基の結合手にO原子を結合した基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基、(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上の観点から、tert−ブトキシ基、(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基が好ましく、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基がより好ましい。
アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、スルファニル基、アミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルホスファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基、ヘテロアリール基が挙げられる。アルコキシ基はポリエチレングリコール鎖を有していてもよい。色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との相互作用増強の観点から、スルファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基が好ましい。色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との強い相互作用による粒子析出抑制の観点からは、水素原子が好ましい。
における置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、アルキル基の結合手にオキシカルボニル基を結合した基が挙げられる。
におけるアルケニル基は、例えば、直鎖状のアルケニル基、分岐鎖状のアルケニル基、環状のアルケニル基、これらを組み合わせたものが挙げられる。
におけるアルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常2以上、4以上が好ましく、また、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が向上する傾向がある。また、前記上限値以下とすることで半導体ナノ粒子含有組成物中に存在する色素(B1)の質量に対する励起光の吸収効率が向上する傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、2〜12が好ましく、2〜10がより好ましく、4〜10がさらに好ましい。
アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ペンテニル基、1,3−ブタジニル基が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上の観点から、1−ブテニル基、2−ペンテニル基が好ましい。
アルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基、炭素数が1〜12のアルキル基、アリール基、炭素数2〜12のジアルキルホスファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基、ハロゲン原子が挙げられる。
におけるアリール基は、1価の芳香族炭化水素環基及び1価の芳香族複素環基が挙げられる。
アリール基の炭素数は特に限定されないが、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が向上する傾向がある。また、前記上限値以下とすることで半導体ナノ粒子含有組成物中に存在する色素(B1)の質量に対する励起光の吸収効率が向上する傾向がある。
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が高い点から、1個の遊離原子価を有するベンゼン環、1個の遊離原子価を有するナフタレン環が好ましく、1個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が高い点、および色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との相互作用増強の観点から、1個の遊離原子価を有する、ピリジン環、フラン環、チオフェン環が好ましい。
アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、スルファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との相互作用増強の観点から、スルファニル基、炭素数2〜12のジアルキルホスフィノイル基が好ましい。色素(B1)と半導体ナノ粒子(A)との強い相互作用による粒子析出抑制の観点からは、水素原子が好ましい。
における置換基を有していてもよいアリールカルボニル基としては、アリール基の結合手にカルボニル基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基としては、アリール基の結合手にカルボニルオキシ基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基としては、アリール基の結合手にカルボニルアミノ基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアリールスルホニル基としては、アリール基の結合手にスルホニル基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアリーロキシ基としては、アリール基の結合手にO原子を結合した基が挙げられる。具体的には、例えば、フェノキシ基、2−チエニルオキシ基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアリーロキシカルボニル基としては、アリール基の結合手にカルボニルオキシ基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアルキニル基としては、上記アルキル基またはアリール基の結合手にエチニレン基を結合した基が挙げられる。
におけるアルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常2以上、3以上が好ましく、また、12以下が好ましく、8以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性が向上する傾向がある。また、前記上限値以下とすることで半導体ナノ粒子含有組成物中に存在する色素(B1)の質量に対する励起光の吸収効率が向上する傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
具体的には、例えば、プロピニル基、ブチニル基、フェニルエチニル基、2−チエニルエチニル基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいアミノ基としては、−NHで表されるアミノ基のほか、上記アルキル基、上記アリール基を置換基として有するアミノ基が挙げられる。具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、(2−エチルヘキシル)アミノ基、フェニルアミノ基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいカルバモイル基としては、アミノ基の結合手にカルボニル基を結合した基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいスルファニル基としては、−SHで表されるスルファニル基のほか、アルキル基又はアリール基を置換基として有するスルファニル基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいシリル基としては、−SiHで表されるシリル基のほか、アルキル基又はアリール基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいボリル基としては、アルキル基又はアリール基を置換基として有するボリル基が挙げられる。
における置換基を有していてもよいホスフィノイル基としては、−P(O)Hで表されるホスフィノイル基のほか、−P(O)(R10)で表される基が挙げられる。ここでR10は、上述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。色素(B1)の耐久性向上の観点からフッ素原子、塩素原子が好ましい。
一方で、Rとしては、例えば、青色光を励起光とする場合には、励起光の吸収効率向上の観点から、Rがアルコキシ基、アミノ基(特にアルキルアミノ基)であることが好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上と色素(B1)の耐久性向上の観点からは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基が好ましく、メチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基、フェノキシ基、2−エチルヘキシルアミノ基がより好ましく、メチル基、フェニル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基が特に好ましい。
色素(B1)は、一般式[I]で表されるものであれば特に限定されないが、各種溶媒や半導体ナノ粒子含有組成物への溶解度が高く、グラム吸光係数が高く、濃度消光をしづらく、蛍光の量子収率が高くなるとの観点から、下記一般式[II]で表される色素であることが好ましい。
Figure 2022000687
(一般式[II]中、XはC−R又はNを表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は任意の置換基を表す。
とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
(R、R
前記式[II]中、R、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。
、Rとしてはこれらの中でも、色素(B1)の耐久性向上の観点から、フッ素原子が好ましい。
(X、R
前記式[II]中、XはC−R又はNを表し、色素(B1)の耐久性向上の観点からは、C−Rが好ましい。ここで、Rは水素原子又は任意の置換基を表し、Rにおける任意の置換基としては式[I]において記載したものが挙げられ、好ましい置換基も式[I]において記載したものと同様である。
(R〜R
前記式[II]中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は任意の置換基を表し、R〜Rにおける任意の置換基としては、式[I]中、Rにおける任意の置換基として記載したものが挙げられる。
〜Rとしては、半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上と色素(B1)の耐久性向上の観点から、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基が好ましく、メチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基がより好ましく、メチル基、2−エチルヘキシル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシカルボニル基が特に好ましい。
とR又はRが連結して環を形成していてもよく、RとR又はRが連結して環を形成していてもよい。
このように環を形成した場合の一般式[II]の例を以下に示す。
Figure 2022000687
また、前記一般式[II]で表される色素の中でも、色素(B1)の耐久性向上の観点から、前記一般式[II]においてR及びRがフッ素原子であり、XがC−Rであり、Rが水素原子又は任意の置換基である色素が好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物への溶解性向上と色素(B1)の耐久性向上の観点から、色素(B1)の好ましい構造としては、前記一般式[II]中、R、Rがフッ素原子であり、XがC−Rであり、Rがアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基であり、R〜Rがアルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基であることが好ましい。
例えば青色の励起光を用いる場合には、吸収効率向上の観点から、色素(B1)の好ましい構造としては、前記一般式[II]中、XがC−Rであり、Rがアルコキシ基、アミノ基(特にアルキルアミノ基)であることが好ましい。
以下に、色素(B1)の具体例を挙げる。
Figure 2022000687
Figure 2022000687
Figure 2022000687
Figure 2022000687
色素(B1)の製造方法は特に限定されないが、例えば、Chem.Rev.,107,p.4891−4932,2007に記載の方法で製造することができる。
色素(B1)が発する蛍光の最大発光波長は特に限定されないが、450nm以上が好ましく、455nm以上がより好ましく、460nm以上がさらに好ましく、465nm以上が特に好ましく、また、640nm以下が好ましく、635nm以下がより好ましく、630nm以下がさらに好ましく、625nm以下が特に好ましい。
前記下限値以上とすることで、励起光源を青色光とした場合に、励起できなかった半導体ナノ粒子を励起することができ、半導体ナノ粒子の発光強度増大につながる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで、半導体ナノ粒子の発光スペクトルと色素(B1)の発光スペクトルを分離できるため、色素(B1)から半導体ナノ粒子へ移動するエネルギーが大きくなり、さらに、ディスプレイに用いる際には、画素部とは別に設けたカラーフィルタによって色素(B1)からの不要な波長領域の発光を吸収することが容易になる傾向がある。例えば、色素(B1)が発する蛍光の最大発光波長が460〜630nm付近に存在すると、緑色半導体ナノ粒子及び赤色半導体ナノ粒子のいずれの発光強度も増大させることができる傾向があり好ましい。
前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、450〜640nmが好ましく、455〜635nmがより好ましく、460〜630nmがさらに好ましく、465〜625nmが特に好ましい。
最大発光波長の測定方法は特に限定されないが、例えば、色素(B1)の溶液や、色素(B1)を含む膜を用いて、励起光源として波長445nmの光を用いて分光蛍光光度計にて測定した発光スペクトルから読み取ればよい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物における色素(B)は、前記色素(B1)を含有するが、前記色素(B1)は1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいていてもよい。また、前記色素(B)は、前記色素(B1)以外の色素(以下、「色素(B2)」と称する場合がある。)をさらに含んでいてもよい。
色素(B2)としては、例えば、クマリン骨格、ペリレン骨格、ナフタルイミド骨格、ジピロメテン骨格、キサンテン骨格、ベンゾチアジアゾール骨格などを有する、450〜650nmに最大発光波長を有する色素が挙げられる。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物における色素(B)の含有割合は特に限定されないが、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上がよりさらに好ましく、0.1質量%以上がことさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましく、1質量%以上が最も好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
前記下限値以上とすることで、照射された光を十分に色素(B)が吸収し、色素(B)から半導体ナノ粒子(A)へのエネルギー移動の量を増大させ、半導体ナノ粒子(A)の発光強度を増大させる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで色素(B)の濃度消光を抑制し、色素(B)から半導体ナノ粒子(A)へのエネルギー移動を円滑にし、半導体ナノ粒子(A)の発光強度が増大し、かつ半導体ナノ粒子(A)と色素(B)以外の成分を含むことにより、十分な硬度の波長変換層が得られる傾向がある。
前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、0.001〜30質量%が好ましく、0.005〜30質量%がより好ましく、0.01〜20質量%がさらに好ましく、0.05〜20質量%がよりさらに好ましく、0.1〜10質量%がことさら好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましく、1〜5質量%が最も好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物における色素(B1)の含有割合は特に限定されないが、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上がよりさらに好ましく、0.1質量%以上がことさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましく、1質量%以上が最も好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、照射された光を十分に色素(B1)が吸収し、色素(B1)から半導体ナノ粒子(A)へのエネルギー移動の量を増大させ、半導体ナノ粒子(A)の発光強度を増大させる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで色素(B1)の濃度消光を抑制し、色素(B1)から半導体ナノ粒子へのエネルギー移動を円滑にし、半導体ナノ粒子の発光強度が増大し、かつ半導体ナノ粒子(A)と色素(B1)以外の成分を含むことにより十分な硬度の波長変換層が得られる傾向がある。
前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、0.001〜30質量%が好ましく、0.005〜30質量%がより好ましく、0.01〜20質量%がさらに好ましく、0.05〜20質量%がよりさらに好ましく、0.1〜10質量%がことさら好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましく、1〜5質量%が最も好ましい。
[1−3]重合性化合物(C)
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)を含有する。本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、さらに重合性化合物(C)を含有していてもよい。重合性化合物(C)を含有することで、波長変換層、特に本発明の半導体ナノ粒子含有組成物をカラーフィルタ画素部に用いた場合にカラーフィルタ画素部を硬化させることができる傾向がある。
重合性化合物としては、光重合性化合物(C1)、熱重合性化合物(C2)が挙げられる。
[1−3−1]光重合性化合物(C1)
光重合性化合物(C1)は、光の照射によって重合する重合性成分である。
光重合性化合物(C1)としては、光ラジカル重合性化合物や光カチオン重合性化合物が挙げられ、光重合性のモノマー又はオリゴマーであってよい。これらは通常、光重合開始剤と共に用いられる。つまり、光ラジカル重合性化合物は通常光ラジカル重合開始剤と共に用いられ、光カチオン重合性化合物は通常光カチオン重合開始剤と共に用いられる。言い換えれば、半導体ナノ粒子含有組成物は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光重合性成分を含有していてよく、例えば、光ラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤を含む光ラジカル重合性成分を含有していてもよく、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含む光カチオン重合性成分を含有していてもよい。光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物とを併用してもよく、光ラジカル重合性と光カチオン重合性を具備した化合物を用いてもよく、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤とを併用してもよい。光重合性化合物(C1)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート系化合物は、(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリレートであってよく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。インクにした際の流動性に優れる観点、吐出安定性により優れる観点及びカラーフィルタ製造時における硬化収縮に起因する平滑性の低下を抑制し得る観点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド、N−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフタルイミドが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、例えば、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレート、5官能(メタ)アクリレート、6官能(メタ)アクリレートであってよい。例えば、ジオール化合物の2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、トリオール化合物の2つ又は3つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ又はトリ(メタ)アクリレートであってよい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレ-ト、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの3つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
4官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
5官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
6官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのジペンタエリスリトールの複数の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたポリ(メタ)アクリレートであってもよい。
(メタ)アクリレート化合物は、リン酸基を有する(メタ)アクリレート、例えば、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレートであってもよい。
一方で、光カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ化合物、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロへキサン、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ化合物として市販品を使用することも可能である。エポキシ化合物の市販品としては、例えば、ダイセル社製の「セロキサイド(登録商標。以下同様。)2000」、「セロキサイド3000」及びセロキサイド4000」を用いることができる。
カチオン重合性のオキセタン化合物としては、例えば、2―エチルヘキシルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシブチル−3−メチルオキセタンが挙げられる。
オキセタン化合物として市販品を使用することも可能である。オキセタン化合物の市販品としては、例えば、東亜合成社製のアロンオキセタンシリーズ(「OXT−101」、「OXT−212」、「OXT−121」、「OXT−221」等);ダイセル社製の「セロキサイド2021」、「セロキサイド2021A」、「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2080」、「セロキサイド2081」、「セロキサイド2083」、「セロキサイド2085」、「エポリード(登録商標。以下同様。)GT300」、「エポリードGT301」、「エポリードGT302」、「エポリードGT400」、「エポリードGT401」及び「エポリードGT403」;ダウ・ケミカル日本社製の「サイラキュアUVR−6105」、「サイラキュアUVR−6107」、「サイラキュアUVR−6110」、「サイラキュアUVR−6128」、「ERL4289」及び「ERL4299」を用いることができる。公知のオキセタン化合物(例えば、特開2009−40830号公報等に記載のオキセタン化合物)を使用することもできる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルモノエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルが挙げられる。
光重合性化合物(C1)として、特開2013−182215号公報の段落[0042]〜[0049]に記載の光重合性化合物を用いることもできる。
半導体ナノ粒子含有組成物において、硬化性成分を、光重合性化合物(C1)のみ又はそれを主成分として構成する場合には、上記したような光重合性化合物としては、重合性官能基を一分子中に2以上有する2官能以上の多官能の光重合性化合物を必須成分として用いることが、硬化物の耐久性(強度、耐熱性等)をより高めることができることからより好ましい。
光重合性化合物(C1)は、信頼性に優れるカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。本明細書中、光重合性化合物がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における光重合性化合物の溶解量が、光重合性化合物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。光重合性化合物の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が光重合性化合物(C1)を含有する場合、光重合性化合物(C1)の含有割合は、波長変換層用インクとして塗布等のプロセスで適正な粘度が得られやすい観点、特にインクジェット方式用インクとして適正な粘度が得られやすい観点、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、また、波長変換層用インクとして塗布等のプロセスで適正な粘度が得られやすい観点、特にインクジェット方式用インクとして適正な粘度が得られやすい観点、及び、より優れた光学特性が得られる観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下がよりさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、10〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、15〜70質量%がさらに好ましく、15〜60質量%がよりさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
[1−3−2]熱重合性化合物(C2)
熱重合性化合物(C2)とは、熱により架橋し硬化する化合物(樹脂)である。熱重合性化合物(C2)は、熱硬化性基を有する。熱硬化性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシ基、メチロール基が挙げられる。半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物の耐熱性及び保存安定性に優れる観点、及び、遮光部(例えばブラックマトリックス)及び基材への密着性に優れる観点から、エポキシ基が好ましい。熱重合性化合物(C2)は、1種の熱硬化性基を有していてもよく、2種以上の熱硬化性基を有していてもよい。
熱重合性化合物(C2)は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、熱重合性化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
熱重合性化合物(C2)としては、1分子中に熱硬化性基を2個以上有する化合物が用いられ、通常、硬化剤と組み合わせて用いられる。熱重合性化合物を用いる場合、熱硬化反応を促進できる触媒(硬化触媒)を更に添加してもよい。言い換えれば、半導体ナノ粒子含有組成物は、熱重合性化合物(C2)、並びに、必要に応じて用いられる硬化剤及び硬化触媒を含む熱硬化性成分を含有していてよい。また、これらに加えて、それ自体は重合反応性のない重合体を更に用いてもよい。
1分子中に熱硬化性基を2個以上有する化合物として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(以下、「多官能エポキシ樹脂」ともいう。)を用いてもよい。「エポキシ樹脂」には、モノマー性エポキシ樹脂及びポリマー性エポキシ樹脂の両方が含まれる。多官能性エポキシ樹脂が1分子中に有するエポキシ基の数は、好ましくは2〜50個であり、より好ましくは2〜20個である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等であってよい。エポキシ樹脂としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ樹脂を挙げることができる。このようなエポキシ樹脂は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
エポキシ基を有する熱重合性化合物(多官能エポキシ樹脂を含む)としては、例えば、オキシラン環構造を有するモノマーの重合体、オキシラン環構造を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレートが挙げられる。また熱重合性化合物(C2)として、特開2014−56248号公報の段落[0044]〜[0066]の記載の化合物を用いることもできる。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂が挙げられる。
より具体的には、例えば、商品名「エピコート(登録商標。以下同様。)828」(三菱ケミカル社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「YDF−170」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名「SR−T5000」(阪本薬品工業社製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON(登録商標。以下同様。) EXA1514」(DIC社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名「YDC−1312」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等のハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON EXA4032」、「HP−4770」、「HP−4700」、「HP−5000」(DIC社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、商品名「エピコートYX4000H」(三菱ケミカル社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂、商品名「エピコート157S70」(三菱ケミカル社製)等のビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名「エピコート154」(三菱ケミカル社製)、商品名「YDPN−638」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON N−660」(DIC社製)等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON HP−7200」、「HP−7200H」(DIC社製)等のジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名「エピコート1032H60」(三菱ケミカル社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名「アデカグリシロール(登録商標。以下同様。) ED−505」(ADEKA社製)等の3官能型エポキシ樹脂、商品名「エピコート1031S」(三菱ケミカル社製)等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名「デナコール(登録商標。以下同様。)EX−411」(ナガセ化成工業社製)等の4官能型エポキシ樹脂、商品名「ST−3000」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「エピコート190P」(三菱ケミカル社製)等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名「YH−434」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名「YDG−414」(東都化成社製)等のグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名「エポリードGT−401」(ダイセル社製)等の脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)等の複素環型エポキシ樹脂が挙げられる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、例えば、商品名「ネオトートS」(日鉄ケミカル&マテリアル社製)を混合することができる。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、DIC社製の「ファインディック(登録商標。以下同様。)A−247S」、「ファインディックA−254」、「ファインディックA−253」、「ファインディックA−229−30A」、「ファインディックA−261」、「ファインディックA−249」、「ファインディックA−266」、「ファインディックA−241」「ファインディックM−8020」、「エピクロンN−740」、「エピクロンN−770」、「エピクロンN−865」(商品名)を用いることができる。
熱重合性化合物(C2)として、比較的分子量が小さい多官能エポキシ樹脂を用いると、半導体ナノ粒子含有組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が高濃度となり、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ樹脂の中でも、架橋密度を高める観点から、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ樹脂(4官能以上の多官能エポキシ樹脂)を用いることが好ましい。特に、インクジェット方式における吐出ヘッドからの吐出安定性を向上させるために重量平均分子量が10000以下の熱重合性化合物を用いる場合には、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の強度及び硬度が低下し易いため、架橋密度を充分に高める観点から、4官能以上の多官能エポキシ樹脂を半導体ナノ粒子含有組成物に配合することが好ましい。
熱重合性化合物(C2)は、信頼性に優れる波長変換層、特にカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。熱重合性化合物がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における熱重合性化合物の溶解量が、熱重合性化合物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。熱重合性化合物の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
熱重合性化合物(C2)の重量平均分子量は、波長変換層用インクとして塗布等のプロセスで適正な粘度が得られやすい観点、特にインクジェット方式用インクとして適正な粘度が得られやすい観点、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、750以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましい。インクジェットインクとしての適正な粘度とする観点から、500000以下が好ましく、300000以下がより好ましく、200000以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、750〜500000が好ましく、1000〜300000がより好ましく、2000〜200000がさらに好ましい。ただし、架橋後の分子量に関してはこの限りでない。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が熱重合性化合物(C2)を含有する場合、熱重合性化合物(C2)の含有割合は、波長変換層用インクとして塗布等のプロセスで適正な粘度が得られやすい観点、特にインクジェット方式用インクとして適正な粘度が得られやすい観点、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、インクジェット方式用インクの粘度が高くなりすぎず、画素部の厚さが光変換機能に対して厚くなりすぎない観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下がよりさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、10〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、15〜70質量%がさらに好ましく、15〜60質量%がよりさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
[1−4]重合開始剤(D)
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、さらに重合開始剤(D)を含有していてもよい。重合開始剤(D)を含有することで、前記重合性化合物(C)を重合させやすい傾向がある。
重合開始剤(D)としては、例えば、光ラジカル重合開始剤(D1)、光カチオン重合開始剤(D2)、熱重合開始剤(D3)が挙げられる。
[1−4−1]光ラジカル重合開始剤(D1)
光ラジカル重合開始剤(D1)としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
分子開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。これら以外の分子開裂型の光ラジカル重合開始剤として、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンを併用してもよい。
水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィドが挙げられる。分子開裂型の光ラジカル重合開始剤と水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤とを併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤として市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、IGM resin社製の「Omnirad(登録商標。以下同様。) TPO−H」、「Omnirad TPO−L」、「Omnirad 819」等のアシルフォスフィンオキサイド化合物、「Omnirad 651」、「Omnirad 184」、「Omnirad 1173」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 127」、「Omnirad 907」、「Omnirad 369」、「Omnirad 369E」、及び「Omnirad 379EG」等のアルキルフェノン系化合物、「Omnirad MBF」、「Omnirad 754」等の分子内水素引き抜き型化合物、BASFジャパン社製の「Irgacure(登録商標。以下同様。) OXE01」、「Irgacure OXE02」、「Irgacure OXE03」、「Irgacure OXE04」、常州強力電子新材料社製の「TR−PBG−304」、「TR−PBG−305」、ADEKA社製の「NCI−831」、「NCI−930」等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
オキシムエステル系化合物としてはこれらの他に、例えば、特表2004−534797号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、国際公開第2012/45736号に記載の化合物、国際公開第2015/36910号に記載の化合物、特開2006−36750号公報に記載の化合物、特開2008−179611号公報に記載の化合物、国際公開第2009/131189号に記載の化合物、特表2012−526185号公報に記載の化合物、特表2012−519191号公報に記載の化合物、国際公開第2006/18973号に記載の化合物、国際公開第2008/78678号に記載の化合物、特開2011−132215号公報に記載の化合物等のオキシムエステル化合物が挙げられる。感度の観点から、N−アセトキシ−N−{4−アセトキシイミノ−4−[9−エチル−6−(o−トルオイル)−9H−カルバゾール−3−イル]ブタン−2−イル}アセトアミド、N−アセトキシ−N−{3−(アセトキシイミノ)−3−[9−エチル−6−(1−ナフトイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチルプロピル}アセトアミド、4−アセトキシイミノ−5−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−5−オキソペンタン酸メチルが好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が光ラジカル重合開始剤(D1)を含有する場合、光ラジカル重合開始剤(D1)の含有割合は、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。また、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、光重合性化合物100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
[1−4−2]光カチオン重合開始剤(D2)
光カチオン重合開始剤(D2)としては、例えば、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート等のポリアリールスルフォニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、P−ノニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のポリアリールヨードニウム塩を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤(D2)として市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、サンアプロ社製の「CPI−100P」IGM resin社製の「Omnicat(登録商標。以下同様。) 270」、BASFジャパン社製の「Irgacure 290」等のスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤、IGM resin社製の「Omnicat 250」等のヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤が挙げられる。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が光カチオン重合開始剤(D2)を含有する場合、光カチオン重合開始剤(D2)の含有割合は、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。光重合開始剤の含有割合は、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、光重合性化合物100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
[1−4−3]熱重合開始剤(D3)
熱重合性化合物を硬化させるために用いられる熱重合開始剤(D3)としては、例えば、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、フェノールノボラック樹脂、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルベンジルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィン、3−フェニル−1,1−ジメチルウレアが挙げられる。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が熱重合開始剤(D3)を含有する場合、熱重合開始剤(D3)の含有割合は、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化性の観点から、熱重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましい。また、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、熱重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、光重合性化合物100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
[1−5]光散乱性粒子
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、さらに光散乱性粒子を含んでいてもよい。
光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。光散乱性粒子は、カラーフィルタ画素部に照射された光源からの光、及び半導体ナノ粒子や色素の発光した光を散乱させることができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金等の単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマス等の金属塩が挙げられる。光散乱性粒子は、吐出安定性に優れる観点及び外部量子効率の向上効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子の形状は、例えば、球状、フィラメント状、不定形状であってよい。しかしながら、光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、半導体ナノ粒子含有組成物の均一性、流動性及び光散乱性をより高めることができ、優れた吐出安定性を得ることができる点で好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、吐出安定性に優れる観点及び外部量子効率の向上効果により優れる観点から、0.05μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。また、半導体ナノ粒子含有組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、吐出安定性に優れる観点から、1.0μm以下が好ましく、0.6μm以下がより好ましく、0.4μm以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、0.05〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.6μmがより好ましく、0.3〜0.4μmがさらに好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。また、光散乱性粒子の粒子径を粉体の形態で測定する場合には、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により各粒子の粒子径を測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が光散乱性粒子を含む場合、光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましく、12質量%以上が最も好ましい。また、吐出安定性に優れる観点及び外部量子効率の向上効果により優れる観点から、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下よりさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましく、20質量%以下が最も好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができ、0.1〜60質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましく、7〜30質量%よりさらに好ましく、10〜25質量%が特に好ましく、12〜20質量%が最も好ましい。
半導体ナノ粒子の含有割合に対する光散乱性粒子の含有割合の質量比(光散乱性粒子/半導体ナノ粒子)は、外部量子効率の向上効果に優れる観点から、0.1以上であってよく、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよい。また、外部量子効率の向上効果により優れ、公知の塗布方法への適性、特にインクジェット印刷時の連続吐出性(吐出安定性)に優れる観点から、5.0以下であってよく、2.0以下であってもよく、1.5以下であってもよい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1〜5.0であってよく、0.2〜2.0であってもよく、0.5〜1.5であってもよい。
光散乱性粒子による外部量子効率の向上は、次のようなメカニズムによると考えられる。すなわち、光散乱性粒子が存在しない場合、バックライト光は画素部内をほぼ直進して通過するのみであり、半導体ナノ粒子に吸収される機会が少ないと考えられる。一方、光散乱性粒子を半導体ナノ粒子と同一の画素部内に存在させると、その画素部内でバックライト光が全方位に散乱され、それを半導体ナノ粒子が受光することができるため、同一のバックライトを用いていても、画素部における光吸収量が増大すると考えられる。結果的に、このようなメカニズムで漏れ光(光源からの光が半導体ナノ粒子に吸収されずに画素部から漏れ出る光)を防ぐことが可能になり、外部量子効率を向上させることができると考えられる。
[1−6]その他の成分
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、半導体ナノ粒子(A)、色素(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び光散乱性粒子以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、高分子分散剤、増感剤、溶剤が挙げられる。
[高分子分散剤]
本発明において、高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有し、かつ、光散乱性粒子に対し吸着能を有する官能基を有する高分子化合物であり、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し吸着能を有する官能基を介して光散乱性粒子に吸着し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子を半導体ナノ粒子含有組成物中に分散させる。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していることが好ましいが、半導体ナノ粒子の表面に結合して半導体ナノ粒子に吸着していてもよく、半導体ナノ粒子含有組成物中に遊離していてもよい。
光散乱性粒子に対し吸着能を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
酸性官能基としては、例えば、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、硫酸基(−OSO3H)、ホスホノ基(−PO(OH)2)、ホスホノオキシ基(−OPO(OH)2)、ヒドロキシホスホリル基(−PO(OH)−)、スルファニル基(−SH)が挙げられる。
塩基性官能基としては、例えば、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、並びに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環基が挙げられる。
非イオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキサイド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
光散乱性粒子の分散安定性の観点、半導体ナノ粒子が沈降するという副作用を起こしにくい観点、高分子分散剤の合成の容易性の観点、及び官能基の安定性の観点から、酸性官能基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基及びリン酸基が好ましく用いられ、塩基性官能基としては、アミノ基が好ましく用いられる。これらの中でも、カルボキシ基、ホスホン酸基及びアミノ基がより好ましく用いられ、最も好ましくはアミノ基が用いられる。
酸性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、好ましくは1〜150mgKOH/gである。酸価が1mgKOH/g以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、酸価が150mgKOH/g以下であると、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
塩基性官能基を有する高分子分散剤のアミン価は、好ましくは1〜200mgKOH/gである。アミン価が1mgKOH/g以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、アミン価が200mgKOH/g以下であると、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
高分子分散剤は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、高分子分散剤は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、高分子分散剤がグラフト共重合体である場合、くし形のグラフト共重合体であってよく、星形のグラフト共重合体であってもよい。高分子分散剤は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、エポキシ樹脂、ポリイミドであってよい。
高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK−シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズを使用することができる。
市販品としては、例えば、ビックケミー社製の「DISPERBYK(登録商標。以下同様。)−130」、「DISPERBYK−161」、「DISPERBYK−162」、「DISPERBYK−163」、「DISPERBYK−164」、「DISPERBYK−166」、「DISPERBYK−167」、「DISPERBYK−168」、「DISPERBYK−170」、「DISPERBYK−171」、「DISPERBYK−174」、「DISPERBYK−180」、「DISPERBYK−182」、「DISPERBYK−183」、「DISPERBYK−184」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−2000」、「DISPERBYK−2001」、「DISPERBYK−2008」、「DISPERBYK−2009」、「DISPERBYK−2020」、「DISPERBYK−2022」、「DISPERBYK−2025」、「DISPERBYK−2050」、「DISPERBYK−2070」、「DISPERBYK−2096」、「DISPERBYK−2150」、「DISPERBYK−2155」、「DISPERBYK−2163」、「DISPERBYK−2164」、「BYK−LPN21116」及び「BYK−LPN6919」;BASF社製の「EFKA(登録商標。以下同様。)4010」、「EFKA4015」、「EFKA4046」、「EFKA4047」、「EFKA4061」、「EFKA4080」、「EFKA4300」、「EFKA4310」、「EFKA4320」、「EFKA4330」、「EFKA4340」、「EFKA4560」、「EFKA4585」、「EFKA5207」、「EFKA1501」、「EFKA1502」、「EFKA1503」及び「EFKA PX−4701」;ルーブリゾール社製の「ソルスパース(登録商標。以下同様。)3000」、「ソルスパース9000」、「ソルスパース13240」、「ソルスパース13650」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」、「ソルスパース20000」、「ソルスパース21000」、「ソルスパース24000」、「ソルスパース26000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース28000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース32500」、「ソルスパース32550」、「ソルスパース32600」、「ソルスパース33000」、「ソルスパース34750」、「ソルスパース35100」、「ソルスパース35200」、「ソルスパース36000」、「ソルスパース37500」、「ソルスパース38500」、「ソルスパース39000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース54000」、「ソルスパース71000」及び「ソルスパース76500」;味の素ファインテクノ社製の「アジスパー(登録商標。以下同様。)PB821」、「アジスパーPB822」、「アジスパーPB881」、「PN411」及び「PA111」;エボニック社製の「TEGO(登録商標。以下同様。) Dispers650」、「TEGO Dispers660C」、「TEGO Dispers662C」、「TEGO Dispers670」、「TEGO Dispers685」、「TEGO Dispers700」、「TEGO Dispers710」及び「TEGO Dispers760W」;楠本化成社製の「ディスパロン(登録商標。以下同様。)DA―703―50」、「DA−705」及び「DA−725」を用いることができる。
高分子分散剤としては、上記のような市販品以外にも、例えば、塩基性基を含有するカチオン性モノマー及び/又は酸性基を有するアニオン性モノマーと、疎水基を有するモノマーと、必要により他のモノマー(ノニオン性モノマー、親水基を有するモノマー等)とを共重合させて合成したものを用いることができる。カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、疎水基を有するモノマー及び他のモノマーの詳細については、例えば、特開2004−250502号公報の段落[0034]〜[0036]に記載のモノマーを挙げることができる。
また、高分子分散剤としては、例えば、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報に記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開平9−171253号公報に記載のポリエステル型マクロモノマーを共重合成分とするグラフト重合体、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタンが好適に挙げられる。
高分子分散剤の重量平均分子量は、光散乱性粒子を良好に分散することができ、外部量子効率の向上効果をより向上させることができる観点から、750以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、3000以上が特に好ましい。また、光散乱性粒子を良好に分散することができ、外部量子効率の向上効果をより向上させることができ、また、公知の塗布方法に適した粘度、特にインクジェット方式用インクの粘度を吐出可能で安定吐出に適する粘度とする観点から、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、750〜100000が好ましく、1000〜100000がより好ましく、2000〜50000がさらに好ましく、3000〜30000が特に好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が高分子分散剤を含有する場合、高分子分散剤の含有割合は、光散乱性粒子の分散性の観点から、光散乱性粒子100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、画素部(半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物)の湿熱安定性の観点から、光散乱性粒子100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、光散乱性粒子100質量部に対して、0.5〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。
[増感剤]
増感剤は、光重合開始剤が吸収する光より長波長の光を吸収し、吸収したエネルギーを光重合開始剤に移動させることによって重合反応を開始させることができる成分を意味する。増感剤を含有することで、例えば半導体ナノ粒子が比較的吸収しないh線等を硬化時の波長として利用できる傾向がある。
増感剤としては、光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を用いることができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
[溶剤]
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物は、塗布性や取扱性の観点から溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、1,4−ブタンジオールジアセテート、グリセリルトリアセテートが挙げられる。
溶剤の沸点は、公知の塗布方法への適性の観点から50℃以上が好ましく、特にインクジェット方式用インクの連続吐出安定性の観点から、180℃以上が好ましい。また、画素部の形成時には、半導体ナノ粒子含有組成物の硬化前に半導体ナノ粒子含有組成物から溶剤を除去する必要があるため、溶剤を除去しやすい観点から、溶剤の沸点は300℃以下が好ましい。
前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、50〜300℃が好ましく、180〜300℃がより好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物が溶剤を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、半導体ナノ粒子含有組成物中に0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以上がことさらに好ましく、20質量%以上がなおさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで、組成物の粘度を低減し、公知の塗布方法への適性、特にインクジェットの吐出が容易になる傾向がある。また、前記上限値以下とすることで、公知の塗布方法への適性、特に吐出した後、溶剤を除去後の膜の厚みが厚くなり、より多くの半導体ナノ粒子を含む膜が形成できることで発光強度の大きい画素部を得ることができる傾向がある。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜80質量%がより好ましく、1〜70質量%がさらに好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物では、分散媒として機能する重合性化合物を用いることで、無溶剤で光散乱性粒子及び半導体ナノ粒子を分散させることも可能である。この場合、画素部を形成する際に溶剤を乾燥により除去する工程が不要となる利点を有する。
[2]半導体ナノ粒子含有組成物の物性
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物の40℃における粘度は特に限定されないが、例えば、公知の塗布方法への適性、特にインクジェット印刷時の吐出安定性の観点から、2mPa・s以上が好ましく、5mPa・s以上がより好ましく、7mPa・s以上がさらに好ましく、また、20mPa・s以下が好ましく、15mPa・s以下がより好ましく、12mPa・s以下がさらに好ましい。半導体ナノ粒子含有組成物の粘度は、E型粘度計によって測定される。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、2〜20mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、7〜12mPa・sがさらに好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物の23℃における粘度は特に限定されないが、例えば、公知の塗布方法への適性、特にインクジェット印刷時の吐出安定性の観点から、5mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上がより好ましく、15mPa・s以上がさらに好ましく、また、40mPa・s以下が好ましく、35mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下がさらに好ましく、25mPa・s以下が特に好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、5〜40mPa・sが好ましく、5〜35mPa・sがより好ましく、10〜30mPa・sがさらに好ましく、15〜25mPa・sが特に好ましい。
本発明の半導体ナノ粒子含有組成物の表面張力は特に限定されないが、公知の塗布方法への適性、特にインクジェット方式に適した表面張力であることが好ましく、具体的には、20〜40mN/mの範囲であることが好ましく、25〜35mN/mであることがより好ましい。表面張力を前記範囲内とすることで飛行曲がりの発生を抑制することができる。なお、飛行曲がりとは、半導体ナノ粒子含有組成物をインク吐出孔から吐出させたとき、半導体ナノ粒子含有組成物の着弾位置が目標位置に対して30μm以上のずれを生じることをいう。
[3]半導体ナノ粒子含有組成物の製造方法
半導体ナノ粒子含有組成物は、例えば、半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)と、必要に応じて重合性化合物(C)と、重合開始剤(D)とを、半導体ナノ粒子(A)の含有量が、半導体ナノ粒子含有組成物の全固形分中に5〜50質量%となるように混合する工程を含む方法で製造することができる。例えば、上述した半導体ナノ粒子含有組成物の構成成分を混合することで半導体ナノ粒子含有組成物が得られる。
半導体ナノ粒子含有組成物が光散乱性粒子を含む場合、半導体ナノ粒子含有組成物は、例えば、半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)と、必要に応じて重合性化合物(C)とを含む半導体ナノ粒子分散体を用意する工程と、光散乱性粒子と、必要に応じて重合性化合物(C)とを含む光散乱性粒子分散体を用意する工程と、半導体ナノ粒子分散体と光散乱性粒子分散体とを混合する工程を含む方法で製造することができる。この製造方法において重合開始剤(D)が用いられる場合、重合開始剤(D)は、半導体ナノ粒子分散体と光散乱性粒子分散体とを混合して得られる混合物に含まれるように配合されればよい。したがって、重合開始剤(D)は、半導体ナノ粒子分散体及び光散乱性粒子分散体の一方又は両方に含まれていてよく、半導体ナノ粒子分散体と光散乱性粒子分散体と重合開始剤(D)とを混合する場合には、重合開始剤(D)は半導体ナノ粒子分散体及び光散乱性粒子分散体のいずれにも含まれていなくてよい。
重合性化合物(C)が用いられる場合、この製造方法によれば、半導体ナノ粒子(A)及び光散乱性粒子を互いに混合する前に重合性化合物(C)中に分散させるため、半導体ナノ粒子(A)及び光散乱性粒子を充分に分散させることができ、優れた吐出安定性及び優れた外部量子効率を容易に得ることができる傾向がある。
半導体ナノ粒子分散体を用意する工程では、半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)と、重合性化合物(C)とを混合することにより半導体ナノ粒子分散体を調製してもよい。半導体ナノ粒子(A)としては、その表面に有機リガンドを有する半導体ナノ粒子を用いてもよい。混合処理はペイントコンディショナー、遊星式撹拌機、スターラー、超音波分散装置、ミックスローター等の装置を用いて行ってもよい。半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)の分散性が良好となり、高い光学特性を得られる観点からスターラー、超音波分散装置、ミックスローターを用いることが好ましい。
光散乱性粒子分散体を用意する工程では、光散乱性粒子と、重合性化合物(C)とを混合し、分散処理を行うことにより光散乱性粒子分散体を調製してもよい。混合及び分散処理は、半導体ナノ粒子分散体を用意する工程と同じ装置を用いて行ってもよい。光散乱性粒子の分散性が良好となり、光散乱性粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすい観点から、ビーズミル又はペイントコンディショナーを用いることが好ましい。
光散乱性粒子分散体を用意する工程では、高分子分散剤を更に混合させてもよい。すなわち、光散乱性粒子分散体は、高分子分散剤を更に含んでいてもよい。半導体ナノ粒子(A)と光散乱性粒子とを混合する前に光散乱性粒子と高分子分散剤とを混合することにより、光散乱性粒子をより充分に分散させることができる。そのため、優れた吐出安定性及び優れた外部量子効率をより一層容易に得ることができる。
この製造方法では、半導体ナノ粒子(A)、色素(B)、光散乱性粒子、及び必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び高分子分散剤以外の他の成分(例えば、増感剤、溶剤等)を更に用いてもよい。この場合、他の成分は、半導体ナノ粒子分散体に含有させてもよく、光散乱性粒子分散体に含有させてもよい。また、他の成分を、半導体ナノ粒子分散体と光散乱性粒子分散体とを混合して得られる組成物に混合してもよい。
[4]波長変換層
本発明の波長変換層は、本発明の半導体ナノ粒子含有組成物を硬化させて得られる層であって、少なくとも半導体ナノ粒子(A)及び色素(B)を含有し、励起源からの光の波長を変換する層である。波長変換層の形態は特に限定されるものではなく、例えばシート状であってもよく、後述するカラーフィルタの画素部のようにパターニングされたバー状等の任意の形状であってもよい。
[5]光変換層及びカラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、本発明の半導体ナノ粒子含有組成物を硬化させた画素部を有する。本発明のカラーフィルタの詳細について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。図1に示すように、カラーフィルタ100は、基材40と、基材40上に設けられた光変換層30と、を備える。光変換層30は、複数の画素部10(第1の画素部10a、第2の画素部10b、及び第3の画素部10c)と、遮光部20とを備えている。
光変換層30は、画素部10として、第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとを有している。第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとは、この順に繰り返すように格子状に配列されている。遮光部20は、隣り合う画素部の間、すなわち、第1の画素部10aと第2の画素部10bとの間、第2の画素部10bと第3の画素部10cとの間、第3の画素部10cと第1の画素部10aとの間に設けられている。言い換えれば、これらの隣り合う画素部同士は、遮光部20によって離間されている。
第1の画素部10a及び第2の画素部10bは、それぞれ上述した本発明の半導体ナノ粒子含有組成物の硬化物を含む。硬化物は、半導体ナノ粒子及び色素と、光散乱性粒子と、硬化成分とを含有する。硬化成分は、重合性化合物の硬化物であり、具体的には、重合性化合物の重合によって得られる硬化物である。すなわち、第1の画素部10aは、第1の硬化成分13aと、第1の硬化成分13a中にそれぞれ分散された第1の半導体ナノ粒子11a、第1の光散乱性粒子12a及び第1の色素14aとを含む。同様に、第2の画素部10bは、第2の硬化成分13bと、第2の硬化成分13b中にそれぞれ分散された第2の半導体ナノ粒子11b、第2の光散乱性粒子12b及び第2の色素14bとを含む。第1の画素部10a及び第2の画素部10bにおいて、第1の硬化成分13aと第2の硬化成分13bとは同一であっても異なっていてもよく、第1の光散乱性粒子12aと第2の光散乱性粒子12bとは同一であっても異なっていてもよく、第1の色素14aと第2の色素14bとは同一であっても異なっていてもよい。
第1の半導体ナノ粒子11aは、420〜480nmの範囲の波長の光を吸収し605〜665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、赤色半導体ナノ粒子である。すなわち、第1の画素部10aは、青色光を赤色光に変換するための赤色画素部と言い換えてよい。また、第2の半導体ナノ粒子11bは、420〜480nmの範囲の波長の光を吸収し500〜560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、緑色半導体ナノ粒子である。すなわち、第2の画素部10bは、青色光を緑色光に変換するための緑色画素部と言い換えてよい。
第3の画素部10cは、420〜480nmの範囲の波長の光に対し30%以上の透過率を有する。そのため、第3の画素部10cは、420〜480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に、青色画素部として機能する。第3の画素部10cは、例えば、上述の重合性化合物を含有する組成物の硬化物を含む。硬化物は、第3の硬化成分13cを含有する。第3の硬化成分13cは、重合性化合物の硬化物であり、具体的には、重合性化合物の重合によって得られる硬化物である。すなわち、第3の画素部10cは、第3の硬化成分13cを含む。第3の画素部10cが上述の硬化物を含む場合、重合性化合物を含有する組成物は、420〜480nmの範囲の波長の光に対する透過率が30%以上となる限りにおいて、上述の半導体ナノ粒子含有組成物に含有される成分のうち、重合性化合物以外の成分を更に含有していてもよい。なお、第3の画素部10cの透過率は、顕微分光装置により測定することができる。
画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは特に限定されないが、例えば、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。前記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。例えば、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましく、3〜15μmがさらに好ましい。
遮光部20は、隣り合う画素部を離間して混色を防ぐ目的及び光源からの光漏れを防ぐ目的で設けられる、いわゆるブラックマトリックスである。遮光部20を構成する材料は、特に限定されず、クロム等の金属の他、バインダーポリマーにカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の硬化物等を用いることができる。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したもの、感光性樹脂、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物(例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの)を用いることができる。遮光部20の厚さは、例えば、0.5μm〜10μm以下が好ましい。
基材40は、光透過性を有する透明基材であり、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の透明なガラス基板、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルム等の透明なフレキシブル基材を用いることができる。これらの中でも、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスからなるガラス基板を用いることが好ましい。具体的には、例えば、コーニング社製の「7059ガラス」、「1737ガラス」、「イーグル200」及び「イーグルXG」、AGC社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA−10G」及び「OA−11」が挙げられる。これらは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れる。
以上の光変換層30を備えるカラーフィルタ100は、420〜480nmの範囲の波長の光を発する励起光源を用いる場合に好適に用いられる。
もちろん、励起光源の発する光の波長領域は上記範囲には限られない。本発明の光変換層では、色素(B1)の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子(A)に移動し、半導体ナノ粒子(A)の発光強度が増大すると考えられるため、色素(B1)が吸収できる波長領域の光であれば、励起光として使用できる可能性がある。
カラーフィルタ100は、例えば、基材40上に遮光部20をパターン状に形成した後、基材40上の遮光部20によって区画された画素部形成領域に、上述した半導体ナノ粒子含有組成物をインクジェット方式により選択的に付着させ、活性エネルギー線の照射により半導体ナノ粒子含有組成物を硬化させる方法により製造することができる。
遮光部20を形成させる方法としては、例えば、基材40の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷により形成することができる。パターニングを行う方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法が挙げられる。
インクジェット方式としては、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、圧電素子を用いたピエゾジェット方式が挙げられる。
半導体ナノ粒子含有組成物の硬化を活性エネルギー線(例えば紫外線)の照射により行う場合、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LEDを用いてもよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上であってもよく、440nm以下であってもよい。露光量は、例えば、10〜4000mJ/cm2が好ましい。
半導体ナノ粒子含有組成物が溶剤を含む場合、溶剤を揮発させるための乾燥処理を行う。乾燥処理としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥の場合、溶剤を揮発させるための乾燥温度は、例えば、50〜150℃であってよく、乾燥時間は、例えば、3〜30分であってよい。
[6]画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルタを有する。
画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機電界発光素子を含む画像表示装置が挙げられる。
液晶表示装置としては、例えば、青色LEDを備えた光源と、光源から発せられた青色光を画素部ごとに制御する電極を備えた液晶層を含むものが挙げられる。
有機電界発光素子を含む画像表示装置としては、例えば、カラーフィルタの各画素部に対応する位置に青色発光の有機電界発光素子を配置したものが挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<光散乱性粒子分散液の調製>
酸化チタンとしてPT−401M(石原産業社製)3.20質量部、アクリルブロック系分散剤(アミン価29mgKOH/g、固形分濃度40質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)0.76質量部、溶剤としてトルエン6.04質量部、直径0.3mmのジルコニアビーズ20質量部を容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液とを分離して、光散乱性粒子分散液を調製した。
<色素の構造>
実施例及び比較例で用いた各色素を表1に示す。いずれもSigma−Aldrich社より購入したものである。
Figure 2022000687
[実施例1]
InP/ZnSeS/ZnS半導体ナノ粒子(最大発光波長:630nm(波長445nm励起)、オレイン酸をリガンドに有する)の30質量%(半導体ナノ粒子が26.7質量%、リガンドが3.3質量%)トルエン溶液118mgに、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト(城北化学工業 JPP−100)を1.5mg、色素B−1を3mg、光散乱性粒子分散液を28mg加えて、ボルテックスミキサーにて混合し、目的の組成物1を得た。
[実施例2]
色素B−1の代わりに色素B−2を添加したこと以外は実施例1と同様に実施し、組成物2を得た。
[比較例1]
色素B−1を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、組成物3を得た。
[比較例2]
InP/ZnSeS/ZnS半導体ナノ粒子を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、組成物4を得た。
[比較例3]
InP/ZnSeS/ZnS半導体ナノ粒子を添加しなかったこと以外は実施例2と同様に実施し、組成物5を得た。
<発光スペクトルの測定>
発光スペクトル測定は以下のように実施した。
4μmのギャップを有するガラスセル(株式会社サントレーディング製 S−0088−4−N−W)に各組成物を入れた後、積分球内に設置し、波長445nmのレーザーダイオード(オーディオテクニカ社製 SU−61C−445−50)を光源として、サンプルに照射し、分光測定装置(スペクトラコープ社製(Solid Lambda CCD UV−NIR)、を用いて、発光スペクトルを測定した。積分球内の光は、光ファイバーを用いて分光測定装置に導いた。表2に比較例1を1.00とした場合の各組成物の発光強度(波長630nm)の相対値と、各組成物の最大発光波長(波長300〜780nmの範囲内)の結果を示す。
Figure 2022000687
表2より、300nm〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子と、前記式[I]で表される部分構造を有する色素を併用した組成物(実施例1〜2)は、それぞれを単独で含有する組成物(比較例1〜3)と比較して、波長630nmにおける発光強度を維持あるいは向上し、かつ青色光吸収率が向上していた。
実施例1〜2にて、波長445nmに吸収を有する色素が存在しているのに関わらず半導体ナノ粒子の発光強度が維持または増大している理由として、当該色素(B−1、B−2)の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子に移動していることが挙げられる。また、特に色素(B−1、B−2)において、フェルスター型エネルギー移動が起こりやすい理由として以下の3点が挙げられる。
一つ目に、当該色素の前記式[I]で表される部分構造に由来する発光スペクトルと、最大発光波長が500〜670nmの半導体ナノ粒子の吸収スペクトルとの重なりが大きくなることで、当該色素の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子に移動し、半導体ナノ粒子の発光強度が増大したものと考えられる。
二つ目に、当該色素の式[I]中のフルオロ基が半導体ナノ粒子表面と相互作用を生じ、色素−半導体ナノ粒子間の距離が短くなることで、フェルスター型エネルギー移動の効率が更に高まったと考えられる。
三つ目に、当該色素は式[1]中のR及びRによる立体障害により、π−πスタッキング等による色素同士の会合体を形成しにくくなっていると考えられる。そのため、会合体形成による蛍光強度の低下(濃度消光)が起きにくいことから、当該色素の励起されたエネルギーがフェルスター型エネルギー移動により半導体ナノ粒子に移動したため、半導体ナノ粒子の発光強度が維持または増強され、かつ青色光の吸収率が向上したものと考えられる。
10 画素部
10a 第1の画素部
10b 第2の画素部
10c 第3の画素部
11a 第1の半導体ナノ粒子
11b 第2の半導体ナノ粒子
12a 第1の光散乱性粒子
12b 第2の光散乱性粒子
13a 第1の硬化成分
13b 第2の硬化成分
13c 第3の硬化成分
14a 第1の色素
14b 第2の色素
20 遮光部
30 光変換層
40 基材
100 カラーフィルタ

Claims (11)

  1. 波長300〜780nmの範囲における最大発光波長が500〜670nmの範囲内である半導体ナノ粒子(A)、及び色素(B)を含有する半導体ナノ粒子含有組成物であって、
    前記色素(B)が下記一般式[I]で表される色素(B1)である半導体ナノ粒子含有組成物。
    Figure 2022000687
    (一般式[I]中、XはC−*又はNを表す。
    *は結合手を表す。
    、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
  2. 前記色素(B1)が下記一般式[II]で表される請求項1に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
    Figure 2022000687
    (一般式[II]中、XはC−R又はNを表す。
    〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は任意の置換基を表す。
    とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
    とR又はRが連結して環を形成していてもよい。
    、Rは各々独立に、フッ素原子又はシアノ基を表す。)
  3. 前記一般式[II]においてR及びRがフッ素原子であり、XがC−Rであり、Rが水素原子又は任意の置換基である請求項2に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  4. 前記色素(B)の発する蛍光の最大発光波長が450〜630nmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  5. さらに重合性化合物(C)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  6. 前記重合性化合物(C)として(メタ)アクリレート系化合物を含む請求項5に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  7. さらに重合開始剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  8. さらに光散乱性粒子を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  9. インクジェット方式用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体ナノ粒子含有組成物を硬化させた画素部を有するカラーフィルタ。
  11. 請求項10に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
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