JP2021535788A - 眼の眼内圧の下降のための非侵襲および低侵襲レーザー手術 - Google Patents

眼の眼内圧の下降のための非侵襲および低侵襲レーザー手術 Download PDF

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Abstract

眼の眼内圧は、高分解能の光干渉断層撮影(OCT)ビームと高分解能のレーザービームを、角膜および前房を通って虹彩角膜へと、角度付きビーム経路に沿って送出することにより下降する。OCTビームは、手術計画とモニタリングのためのOCTイメージングを提供する一方、レーザービームは、光切断相互作用によって組織を調節するか、または眼液に影響を与えるように構成されている。一実施態様では、虹彩角膜角の流出路内の眼組織の体積が、線維柱帯の1または複数の層にチャネル開口部を作成するように調節される。別の実施態様では、シュレム管内の流体の体積がレーザーによって影響され、シュレム管の空気圧拡張を引き起こす。いずれの実施態様でも、眼を通る房水流に対する抵抗が減少する。【選択図】図15c

Description

本開示は概して、眼科の医療機器および疾患の治療の分野に関するものであり、より詳細には、緑内障のレーザー手術治療のための、組織、特に眼の虹彩角膜角における眼組織構造体を非侵襲的かつ低侵襲的に治療するためのシステム、装置および方法に関するものである。
様々なタイプの緑内障と現在の診断および治療の選択肢について記載する前に、眼の解剖学的構造について簡単に概説する。
眼の解剖学的構造
図1〜3を参照するに、眼1の外側の組織層は、眼の形状の構造体を提供する強膜2を含む。強膜2の前には、光が眼の内部に入ることを可能にする組織の透明層からなる角膜3がある。眼1の内側には水晶体4があり、これは毛様体6に接続された小帯線維5によって眼に接続されている。水晶体4と角膜3との間には、房水8と呼ばれる流動性の透明な液体を含有する前房7がある。水晶体4の周囲を取り囲むのは、水晶体のほぼ中心の周りに瞳孔を形成する虹彩9である。後房10は、水晶体4と網膜11との間に位置する。角膜3を通って入る光は、水晶体4を通って光学的に集束される。
図2を参照するに、眼の強角膜接合部は、前房7の一部分であり、虹彩9と強膜2との交点にある。強角膜接合部での眼1の解剖学的構造は、線維柱帯12を含む。線維柱帯12は、眼1内の虹彩9を取り巻く線維網状組織である。強膜岬14では、線維柱帯12の基部と虹彩9の端部が接着している。線維柱帯12を構成する組織層のネットワークは多孔質であるため、前房7から流れる房水8の排出路となる。この経路は、本明細書中では、房水流出路、水流出路または単に流出路と称され得る。
図3を参照すると、線維柱帯12内の細孔によって形成される経路は、ぶどう膜15、角強膜網16、および傍シュレム管組織(juxtacanalicular tissue)17と呼ばれる一連の薄い多孔質組織層に連結している。次に、傍シュレム管組織17は、シュレム管18と呼ばれる構造体に隣接している。シュレム管18は、房水8と血液との混合物を周囲の組織から運び、集合管19の系を介して静脈系に排出する。図2に示すように、脈絡膜20と呼ばれる眼の血管板は、強膜2の隣にある。脈絡膜20と脈絡膜上腔21の間に、脈絡膜上腔21と呼ばれる空間が存在することがある。角膜3と虹彩9との間の楔形の周縁部付近の周方向に走る一般的な領域を、虹彩角膜角13という。また、虹彩角膜角13は、眼の角膜角(corneal angle)、または単に眼の角と呼ばれることがある。図3に示されている眼組織は、すべて虹彩角膜角13内にあると考えられる。
図4を参照するに、房水8の移動のための2つの可能な流出路は線維柱帯流出路40およびぶどう膜強膜流出路42を含む。毛様体6によって産生される房水8は、後房10から瞳孔を通って前房7に流れ、その後、2つの異なる流出路40、42のうちの1つ以上を通って眼から出る。房水8の約90%は、線維柱帯12を通ってシュレム管18に入り、集合管19の1つ以上の神経叢を通ってから排水路41を通って流出することによる、径線維柱帯流出路40で静脈系に出る。残りの房水8は、主にぶどう膜強膜流出路42を通って出る。ぶどう膜強膜流出路42は、毛様体6の面および虹彩根を通って脈絡膜上腔21に入る(図2に示す)。房水8は、脈絡膜上腔21から排出され、そこから強膜2を通って排出され得る。
房水8の線維柱帯流出路40を経る流出は、眼内圧が上昇するにつれて流出が増加するという点で圧力依存性であるが、ぶどう膜強膜流出路42を経る房水8の流出は圧力非依存性である。線維柱帯流出路40を通る房水8の流出に対する抵抗は、緑内障の広く認識されているリスク因子である眼内圧上昇につながる可能性がある。線維柱帯流出路40を通る抵抗は、潰れたシュレム管18または高密度の集合管19の存在により増大する可能性がある。
図5を参照すると、光学システムとして、眼1は、理想化された中心および回転対称面、入射および射出瞳、ならびに6つの基点:対象物および像空間焦点、第1および第2の主平面、ならびに第1および第2の節点によって記述される光学モデルによって表される。ヒトの眼に対する角度方向は通常、眼の光軸24、視軸26、瞳孔軸28および視線29に関して規定される。光軸24は、眼の理想化された面の頂点を結ぶ線である対称軸である。視軸26は、中心窩中央22と第1および第2の節点と対象物とを結ぶ。視線29は、中心窩を射出および入射瞳を通って対象物まで結ぶ。瞳孔軸28は、角膜3の前面に対して垂直であり、入射瞳の中心に向けられる。眼のこれらの軸は、互いに数度しか違わず、一般に視線方向と呼ばれるものの範囲内に収まっている。
緑内障
緑内障とは、視神経を傷つけ、視力喪失または失明を引き起こす可能性のある疾患の一群である。それは、不可逆的失明の主な原因である。世界的に約8000万人が緑内障に罹患しており、そのうち約670万人が両側性失明の患者であると推定されている。40歳以上の米国人270万人以上が緑内障である。症状は周辺視力の喪失から始まり、失明に進行し得る。
緑内障には2つの病型があり、1つは閉塞隅角緑内障、もう1つは開放隅角緑内障と呼ばれる。図1〜図4を参照するに、閉塞隅角緑内障では、潰れた前房7内の虹彩9は、房水8の流れを遮断し、閉塞し得る。緑内障のより一般的な病型である開放隅角緑内障では、線維柱帯流出路40に沿った虹彩角膜角13の組織の閉塞によって、またはシュレム管18もしくは集合管19が潰れることによって、眼組織の透過性が影響を受ける可能性がある。
先に述べたように、視神経を損傷する眼の眼内圧(IOP)の上昇は、緑内障の広く認識されているリスク因子である。しかし、眼圧が上昇した人がすべて緑内障を発症するわけではなく、眼圧が上昇しなくても緑内障を発症することがある。とはいえ、上昇した眼のIOPを低下させて、緑内障のリスクを低減させることが望ましい。
緑内障患者の眼の状態を診断する方法には、視力検査および視野検査、散瞳検査、眼圧検査(すなわち眼の眼内圧測定)、およびパキメトリー(すなわち角膜厚測定)が含まれる。視力の悪化は視野の狭窄から始まり、全盲に進行する。イメージングには、細隙灯検査、隅角レンズによる虹彩角膜角の観察、および前房と網膜の光干渉断層計(OCT)イメージングが含まれる。
いったん診断されると、緑内障の進行を遅らせるかまたは食い止めるために、眼の眼内圧をコントロールしたり下げたりする臨床的に証明された治療法がいくつか可能である。最も一般的な治療法には、1)点眼薬または錠剤などの薬物療法、2)レーザー手術、3)従来の手術が含まれる。治療は通常、薬物療法から始める。しかし、薬物療法の効果は、患者の服薬不履行によって妨げられることが多い。患者に薬物療法が効かない場合、通常、レーザー手術が次に試みられる治療法となる。従来の手術は侵襲的であり、薬物療法およびレーザー手術よりもリスクが高く、有効性のタイムウィンドウも限られている。このように、従来の手術は、薬物療法またはレーザー手術で眼圧をコントロールできない患者に対する最後の選択肢として残されるのが一般的である。
レーザー手術
図2を参照するに、緑内障のレーザー手術は、線維柱帯12を標的として、房水8流動抵抗を低減し、房水流出を増加させる。一般的なレーザー治療には、アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)、エキシマレーザー線維柱帯切除術(ELT)が含まれる。
ALTは最初のレーザー線維柱帯形成術であった。この手技の間、514nm波長のアルゴンレーザーを虹彩角膜角13の外周約180度の線維柱帯12に適用する。アルゴンレーザーは、線維柱帯12に開口部を生じる眼組織との熱相互作用を誘発する。しかしながら、ALTは、眼組織の瘢痕化を引き起こし、その後、炎症反応および組織治癒が起こり、最終的にはALT治療によって形成された線維柱帯網12の開口部を塞いでしまう可能性があるため、治療の効力が低下する。更に、この瘢痕化のために、ALT療法は通常、繰り返されない。
SLTは、線維柱帯12の色素を選択的に標的とし、周囲の眼組織に送出される熱量を減少させることにより、瘢痕効果を低下させるように設計されている。この手技の間、532nm波長の固体レーザーを、虹彩角膜角13の外周180〜360度の間の線維柱帯12に適用し、線維柱帯12の開口部を生じさせる。SLT治療を繰り返すことができるが、後続の治療はIOP下降に対する効果が低い。
ELTは、308nm波長の紫外線(UV)エキシマレーザーと眼組織との非熱相互作用を用いて、線維柱帯12を治癒反応を引き起こさない方法で治療する。そのため、IOP下降効果が長く持続する。しかし、UV光のレーザーは眼の深部まで浸透できないため、レーザー光は、開口部を通って眼1に挿入された光ファイバーを介して線維柱帯12に送出されて、ファイバーが線維柱帯に接触するようになる。この手技は侵襲性が高く、白内障手技と同時に、すでに手術で開眼しているときに実施されるのが一般的である。ALTおよびSLTと同様に、ELTもIOP下降量のコントロールを欠いている。
これらの既存のレーザー治療はいずれも、緑内障の理想的な治療法ではない。したがって、必要とされるのは、組織の著しい瘢痕化を伴わずに効果的にIOPを低下させる緑内障のレーザー手術治療のためのシステム、装置および方法であり、そのため、治療は1回の手技で完了し、必要であれば後に繰り返すことができる。
本開示は、角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させる方法に関する。この方法は、光干渉断層撮影(OCT)ビームおよびレーザービームの各々を、角膜および前房を通って虹彩角膜角に送出することを含む。この方法は、流出路内の眼組織の体積を画定している眼組織にレーザービームを適用し、それによって経路抵抗を減少させるかまたは新たな流出路を作成するための眼組織との光切断相互作用を引き起こすことにより、該体積を調節して、線維柱帯、シュレム管、および1つ以上の集合管、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を減少させることを更に含む。眼組織の調節された体積は、線維柱帯を少なくとも部分的に通るチャネル開口部を提供する。
この方法の態様において、眼組織の調節された体積の少なくとも一部は、シュレム管の壁と前房との間に延びており、チャネル開口部は、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房と流体連通している第2の端部とを有する。別の態様において、眼組織の調節された体積は、シュレム管の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、チャネル開口部は、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する。更に別の態様において、眼組織の調節された体積は、前房の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、チャネル開口部は、前房との流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する。
本開示はまた、角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させるための統合手術システムに関する。このシステムは、第1の光学サブシステム、第2の第1の光学サブシステム、およびコントロールシステムを含む。第1の光学サブシステムは、角膜に結合するように構成された集束対物レンズを含む。第2の光学サブシステムは、レーザービームを出力するように構成されたレーザー源と、レーザービームの調整、スキャンおよび方向付けのうちの1または複数を行うように構成された複数のコンポーネントとを含む。
コントロールシステムは、第2の光学サブシステムに結合されており、角膜および前房を通って虹彩角膜角に送出するためにレーザービームを出力することをレーザー源に指示するように構成されている。コントロールシステムはまた、流出路内の眼組織を画定している眼組織にレーザービームを適用し、それによって経路抵抗を減少させるかまたは新たな流出路を作成するための眼組織との光切断相互作用を引き起こすことにより、該体積を調節して、線維柱帯、シュレム管、および1つ以上の集合管、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を減少させることを、レーザー源に指示するように構成される。眼組織の調節された体積は、線維柱帯を少なくとも部分的に通るチャネル開口部を提供する。チャネル開口部は、線維柱帯の全体にわたって延びることもあれば、線維柱帯の層内で終端する端部を有することもある。
本開示はまた、流体を中に含むシュレム管とシュレム管から分岐する1つ以上の集合管とを有する眼の眼内圧を低下させる方法に関する方法に関する。この方法には、レーザービームをシュレム管内に送出することと、レーザービームとシュレム管内の流体との光切断相互作用によって生成されたガスに、シュレム管を拡張する空気圧効果を持たせることとが含まれる。シュレム管にレーザービームを送出すると、周囲の組織を調節することなくシュレム管の内側の組織のみが調節される。
本方法の一態様では、レーザービームを送出するシュレム管の位置が決定される。眼は、周方向角を含み、レーザービーム送出のためのシュレム管の1または複数の位置は、周方向角の少なくとも一部の周りの複数の位置でシュレム管の画像を取得すること、その画像の各々を処理してシュレム管の解剖学的特徴の尺度を決定すること、および決定された尺度の閾値尺度(threshold measure)に対する評価に基づいて、画像が取得された位置をレーザービーム送出のためのシュレム管の位置として指定することによって決定される。
別の態様では、本方法は、許容可能な空気圧拡張についてシュレム管をモニターすることと、許容可能な空気圧拡張が検出されたときにレーザービームの送出を停止することとを更に含む。このようなモニタリングは、レーザービームが送出されている間にシュレム管のOCT画像を取得すること、その画像を処理してシュレム管の空気圧拡張を示す尺度を取得すること、および許容可能な空気圧拡張の基準と比較して該画像を評価することとを伴い得る。
本開示はまた、角膜、流体を中に含むシュレム管、およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管を有する眼の眼内圧を低下させるための統合手術システムに関する。このシステムは、第1の光学サブシステム、第2の第1の光学サブシステム、およびコントロールシステムを含む。第1の光学サブシステムは、角膜に結合するように構成された集束対物レンズを含む。第2の光学サブシステムは、レーザービームを出力するように構成されたレーザー源と、レーザービームの調整、スキャンおよび方向付けのうちの1または複数を行うように構成された複数のコンポーネントとを含む。
コントロールシステムは、第2の光学サブシステムと結合され、第1の光学サブシステムおよび角膜を通ってシュレム管に送出するためにレーザービームを出力することをレーザー源に指示するように構成されている。また、コントロールシステムは、レーザービームとシュレム管内の流体との光切断相互作用によって生成されたガスが、シュレム管を拡張する空気圧効果を有するように構成されている。シュレム管にレーザービームを送出すると、周囲の組織を調節することなくシュレム管の内側の組織のみが調節される。
このシステムの一態様では、コントロールシステムは、レーザービームを送出するシュレム管の1又は複数の位置を特定するように更に構成されている。別の態様では、コントロールシステムは、許容可能な空気圧拡張についてシュレム管をモニターすることを、および許容可能な空気圧拡張が検出されたときにレーザービームの送出を停止することをレーザー源に指示するように更に構成されている。
装置および方法の他の態様は、装置および方法の様々な態様を図示して説明する以下の詳細な記述から、当業者に明らかになるであろう。理解されるように、これらの態様は、他の異なる形式で実施することができ、そのいくつかの詳細は、他の様々な点で変更することができる。したがって、図およびと詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきではない。
システム、装置および方法の様々な態様については、添付の図面を参照しして、限定としてではなく例として、詳細な説明に提示される。
ヒトの眼とその内部の解剖学的構造の断面模式図である。 図1の眼の虹彩角膜角の断面模式図である。 線維柱帯、シュレム管、およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管を含む、図2の虹彩角膜角の解剖学的構造を詳細に示す断面模式図である。 図3の線維柱帯、シュレム管、および集合管を通る房水のための様々な流出路の断面模式図である。 眼に関連する様々な軸を示す、ヒトの眼の断面模式図である。 1または複数の光ビームが眼の虹彩角膜角にアクセスすることができる、角度付きビーム経路の断面模式図である。 コントロールシステム、フェムト秒レーザー源、OCTイメージング、顕微鏡、ビーム調整器およびスキャナ、ビームコンバイナ、集束対物レンズ、ならびに患者インターフェースを含む、非侵襲緑内障手術用の統合手術システムのブロック図である。 図7の統合手術システムの詳細なブロック図である。 患者インターフェースと結合した、図7の統合手術システムの集束対物レンズの模式図である。 患者インターフェースから分離した、図7の統合手術システムの集束対物レンズの模式図である。 図9aと9bに含まれる、集束対物レンズおよび患者インターフェースのコンポーネントの模式図である。 図6の角度付きビーム経路に沿って虹彩角膜角へのアクセスを可能にする第1の光学システムおよび第2の光学サブシステムを形成するように機能的に配置された、図7および8の統合手術システムのコンポーネントの模式図である。 図10a、10bの第1の光学システムを通過して眼に入るビームの模式図である。 眼組織の手術体積(surgical volume)に影響を与えるための、図7の統合手術システムによって設計された治療パターンの模式図である。 図11aの治療パターンのレーザー適用から生じる深いチャネル開口部を特徴とする流出路の模式図である。 図11bの流出路の3次元模式図である。 眼の虹彩角膜角において眼組織を調節する方法のフローチャートである。 図6の角度付きビーム経路に沿って、眼の虹彩角膜角に光ビームを送出する方法のフローチャートである。 眼組織の手術体積に影響を与えるための、図7の統合手術システムによって設計された治療パターンの模式図である。 図14aの治療パターンのレーザー適用から生じる浅いチャネル開口部を特徴とする流出路の模式図である。 図14bの流出路の3次元模式図である。 眼組織の手術体積のアレイに影響を与えるための、図7の統合手術システムによって設計された治療パターンの模式図である。 図15aの治療パターンのレーザー適用から生じる浅いチャネル開口部を各々が特徴とする流出路のアレイの模式図である。 図15bの流出路のアレイの3次元模式図である。 図16aは、部分的に潰れたシュレム管の模式図である。 シュレム管の空気圧拡張を誘発するための、図7の統合手術システムによって設計された治療パターンの模式図である。 新たに形成された房水の前腔への流入量(F)と房水の流出量(I)の間の依存関係を、圧力差(Pi−PE)と集合的な流体伝導度(collective hydraulic conductivity)(C)の関数として示したグラフである。 水流の電気回路モデルである。 図19aは水流の電気回路モデルであり、抵抗の値を変更して治療パターンをモデル化すると、図11bに示す深いチャネル開口部が得られる。 図19bは水流の電気回路モデルであり、抵抗の値を変更して治療パターンをモデル化すると、図14bに示す浅いチャネル開口部が得られる。 図19cは水流の電気回路モデルであり、抵抗の値を変更して治療パターンをモデル化すると、図16bに示すシュレム管の空気圧拡張がもたらされる。 図20a‐cは図18の電気回路モデルの変形であり、水流に関連する1または複数の仮定に基づいて回路コンポーネントが除去されている。 図18の水流モデルを用いた治療パターンの設計方法のフローチャートである。 図21の方法によって設計された治療パターンを用いた、眼の虹彩角膜角において眼組織を調節する方法のフローチャートである。
本明細書で開示されるのは、眼の眼内圧(IOP)を安全かつ効果的に低下させて緑内障を治療または緑内障のリスクを軽減するためのシステム、装置および方法である。これらのシステム、装置および方法は、眼の虹彩角膜角にアクセスし、レーザー手術技術と高分解能イメージングを統合して、上昇したIOPの原因であり得る虹彩角膜角内の眼組織の異常な状態を正確に診断、特定および治療することを可能にする。
本明細書に開示の統合手術システムは、角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させるように構成されている。また、本統合手術システムには、第1の光学サブシステムと第2の光学サブシステムが含まれる。第1の光学サブシステムには、角膜に結合するように構成されたウィンドウと、ウィンドウに結合するように構成された出射レンズが含まれる。第2の光学サブシステムには、光干渉断層撮影(OCT)ビームを出力するように構成されたOCTイメージング装置と、レーザービームを出力するように構成されたレーザー源と、OCTビームおよびレーザービームを調整、結合または第1の光学システムの方へ向けるように構成された複数のコンポーネント、例えばレンズおよびミラーとが含まれる。
また、本統合手術システムには、OCTイメージング装置、レーザー源、および第2の光学サブシステムに結合されたコントロールシステムも含まれる。コントロールシステムは、角膜および前房を通って虹彩角膜角に送出するために、OCTビームを出力するようにOCTイメージング装置に指示し、レーザービームを出力するようにレーザー源に指示する。ある構成では、コントロールシステムが第2の光学サブシステムをコントロールするため、OCTビームとレーザービームは、第1の光軸からオフセットされている第2の光軸であって角度付きビーム経路30に沿って虹彩角膜角に延びる第2の光軸に沿って、第1の光学サブシステムに向けられる。
OCTビームとレーザービームを同じ第2の光学軸に沿って眼の虹彩角膜角に向けることにより、1つの臨床セッティングで、状態の評価結果を治療計画と手術に正確に直接適用できるという点で有益である。更に、OCTイメージングとレーザー治療を組み合わせることで、既存手術システムおよび方法では得られない精度で眼組織を標的にすることができる。統合手術システムにより得られる手術精度により、微視的サイズの標的組織のみに影響を与え、周囲組織は無傷のまま残すことができる。眼の虹彩角膜角内の治療されるべき患部眼組織の微視的サイズ規模は、数マイクロメートルから数百マイクロメートルの範囲である。例えば、図2と図3を参照するに、正常なシュレム管18の断面サイズは、数十マイクロメートル×数百マイクロメートルの楕円形である。集合管19と静脈の直径は、数十マイクロメートルである。傍シュレム管組織17の厚さは数マイクロメートルであり、線維柱帯12の厚さは約100マイクロメートルである。
統合手術システムのコントロールシステムは、流出路内の眼組織の体積を画している眼組織にレーザービームを適用し、それによって経路抵抗を減少させるかまたは新たな流出路を作成するための眼組織との光切断相互作用を引き起こすことにより、該体積を調節して、線維柱帯、シュレム管、および1つ以上の集合管、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を減少させることを、レーザー源に指示するように更に構成されている。
レーザー源は、フェムト秒レーザーであってもよい。フェムト秒レーザーは、眼組織との非熱的な光切断相互作用をもたらし、周囲組織への熱損傷を回避する。更に、他の外科的方法とは異なり、フェムト秒レーザー治療では、目に入リ込む開口部の表面の切開を避けることができ、非侵襲的な治療が可能になる。非侵襲的治療は、無菌手術室で治療を実施する代わりに、非滅菌の外来施設で実施できる。
外観観察の角度に沿った虹彩角膜角の直接の外観観察を提供するための追加のイメージングコンポーネントが、統合手術システムに含まれてもよい。例えば、外科医が患者インターフェースまたは固定化装置への眼のドッキング、眼組織の位置特定、および手術の進捗状況の観察をするのを支援するために、顕微鏡またはイメージングカメラを含めることができる。外観観察の角度は、角膜3と前房7を通る、虹彩角膜角13への角度付きビーム経路30に沿っていてもよい。
OCTイメージング装置からの画像と外観観察を提供する追加のイメージングコンポーネント(例えば顕微鏡)からの画像が、コンピュータモニターなどのディスプレイデバイス上で組み合わされる。様々な画像を登録して、1つのウィンドウに重ね合わせ、理解しやすくするためにフォールスカラーによる強調、加工、区別をすることができる。特定の機能は、コンピュータプロセッサによってコンピュータ的に認識され、画像認識およびセグメント化アルゴリズムを強化し、強調表示し、表示用にマークすることができる。治療計画のジオメトリを、ディスプレイデバイス上の画像情報と組み合わせて登録し、ジオメトリ情報、数値情報およびテキスト情報でマークアップすることもできる。このディスプレイは、キーボード、マウス、カーソル、タッチスクリーン、オーディオ、またはその他のユーザインターフェースデバイスによる、特徴の選択、強調表示およびマーキングのために、外科的ターゲティングのための位置情報の入力のために、数値、テキスト、ジオメトリの性質のユーザ入力用にも使用できる。
OCTイメージング
本明細書に開示の統合手術システムの主要な画像処理イメージングコンポーネントは、OCTイメージング装置である。OCT技術は、眼の虹彩角膜角に向けたレーザー手術の診断、位置特定および誘導に使用できる。例えば、図1〜3を参照するに、OCTイメージングを使用して、前房7の構造的およびジオメトリの状態を判定し、線維柱帯流出路40の閉塞の可能性を評価し、かつ、治療のための眼組織への到達性を判定することができる。前述の通り、潰れた前房7内の虹彩9は、房水8の流れを遮断し、閉塞し、閉塞隅角緑内障をもたらす可能性がある。隅角の巨視的ジオメトリが正常である開放隅角緑内障では、線維柱帯流出路40に沿った組織の閉塞によって、またはシュレム管18もしくは集合管19が潰れることによって、眼組織の透過性が影響を受ける可能性がある。
OCTイメージングは、必要な空間分解能、組織透過性およびコントラストを提供して、眼組織の微視的細部を解明することができる。スキャンすると、OCTイメージングは、眼組織の2次元(2D)断面画像を提供できる。統合手術システムの別の態様として、2D断面画像を処理し、分析して、外科的ターゲティングのための眼内構造体のサイズ、形状および位置を決定することができる。また、多数の2D断面画像から3次元(3D)画像を再構成することも可能であるが、必要でないことが多い。2D画像の取得、分析および表示はより高速であり、更に、精密な外科的ターゲティングに必要な全ての情報を提供することができる。
OCTは、材料および組織の高分解能画像を提供することが可能な画像モダリティである。イメージングは、試料内からの散乱光のスペクトル情報から試料の空間情報を再構成することに基づいている。スペクトル情報は、干渉法を使用して抽出され、試料に入る光のスペクトルと試料から散乱される光のスペクトルを比較する。その後、光が試料内を伝播する方向に沿ったスペクトル情報が、フーリエ変換を介して同じ軸に沿った空間情報に変換される。OCTビーム伝播の横方向の情報は通常、ビームを横方向にスキャンし、スキャン中に軸方向のプロービングを繰り返すことによって収集される。このようにして、試料の2Dおよび3D画像を取得することができる。干渉計が時間ドメインOCTで機械的にスキャンされないとき、画像取得はより高速であるが、光の広いスペクトルからの干渉が同時に記録される。この実施態様は、スペクトルドメインOCTと呼ばれる。また、波長スキャンレーザーからの光の波長をスウェプトソースOCTと呼ばれる構成で高速でスキャンすることによって、より速い画像取得を達成することができる。
OCTの軸方向空間分解能限界は、使用されるプロービング光の帯域幅に反比例する。スペクトルドメインとスウェプトソースソースOCTはともに、100ナノメートル(nm)以上の十分に広い帯域幅で、5マイクロメートル(μm)以下の軸方向空間分解能を実現する。スペクトルドメインOCTでは、スペクトル干渉パターンは、電荷結合素子(CCD)または相補的金属酸化物半導体(CMOS)カメラのような多チャンネル検出器上で同時に記録され、一方、スウェプトソースOCTでは、干渉パターンは、高速光検出器および電子デジタイザによる連続時間ステップで記録される。スウェプトソースOCTにはある程度の取得スピード優位性があるが、システムは両タイプとも進化して急速に改善されており、分解能とスピードは、本明細書に開示された統合手術システムの目的のためには十分である。独立型OCTシステムおよびOEMコンポーネントは、現在、カリフォルニア州フレモントのOptovue社、ニュージャージー州オークランドのトプコンメディカルシステムズ社、ドイツのカールツァイスメディテック社、日本の愛知県のニデック、ニュージャージー州ニュートンのソーラボ、日本の愛知県のサンテック、マサチューセッツ州ビレリカのAxsun、および他のベンダーなど、複数のメーカーから市販されている。
フェムト秒レーザー源
本明細書に開示の統合手術システムの好ましい手術用コンポーネントは、フェムト秒レーザーである。フェムト秒レーザーは、周囲の眼組織への側副損傷を最小限に抑えながら、高度に局所的で非熱的な光切断レーザーと組織の相互作用を提供する。レーザーの光切断相互作用は、光学的に透明な組織において利用される。眼組織へのレーザーエネルギー付与の主な機序は、吸収によるものではなく、高度に非線形な多光子過程によるものである。この過程は、ピーク強度が高いパルスレーザーの焦点でのみ有効である。ビームが横断するが焦点ではない領域は、レーザーの影響を受けない。したがって、眼組織との相互作用領域は、レーザービームに沿って横方向、軸方向ともに高度に局在している。この過程は、弱吸収または弱散乱組織にも用いることができる。光切断相互作用を用いるフェムト秒レーザーは、眼の手術システムで成功裏に使用され、他の眼のレーザー手技では商品化されているが、虹彩角膜角にアクセスする統合手術システムでは使用されていない。
既知の屈折矯正手技において、フェムト秒レーザーは、角膜フラップ、ポケット、トンネル、弓状切開、レンズ状切開、角膜移植のための部分的または完全に貫通する角膜切開を作成するために使用される。白内障手技では、レーザーは、嚢切開のために眼の水晶体嚢に円形の切開を作成し、また、水晶体の内部を制動し(braking up)、より小さな断片にして摘出しやすくするために水晶体にも様々なパターンの切開を作成する。角膜を通る入口切開は、手動式手術器具によるアクセスのため、および超音波乳化吸引装置および眼内レンズ挿入装置の挿入のために眼を開く。いくつかの企業がこのような手術システムを商品化しており、その中には、ジョンソン&ジョンソンビジョン(カリフォルニア州サンタアナ)のIntralaseシステム、アルコン(テキサス州フォートワース)のLenSxシステムとWavelightシステムがあり、他にもボシュロム(ニューヨーク州ロチェスター)、カールツァイスメディテック社(ドイツ)、Ziemer(スイスのポルト)、およびレンザー(フロリダ州オーランド)の手術システムがある。
これらの既存のシステムは、特定の用途のために、すなわち角膜、および水晶体とその水晶体嚢における手術のために開発されており、いくつかの理由で虹彩角膜角13の手術は行うことができない。第一に、虹彩角膜角13の周辺部が遠すぎて、これらのシステムの手術範囲外であるため、これらの手術用レーザーシステムでは虹彩角膜角13にアクセスできない。第二に、これらのシステムからのレーザービームの角度は、目に対する光軸24に沿ったものであるが、適用された波長で顕著な散乱および光学的歪みが存在する虹彩角膜角13に到達するには適切ではない。第三に、これらのシステムが有するイメージング性能は、十分な詳細さとコントラストで線維柱帯流出路40に沿って組織を画像化するためのアクセス可能性、透過深さおよび分解能を有していない可能性がある。
本明細書に開示の統合手術システムに従って、虹彩角膜角13への明瞭なアクセスが、角度付きビーム経路30に沿って提供される。この角度付きビーム経路30に沿った組織、例えば角膜3および前房7内の房水8は、約400nmから2500nmの波長に対して透明であり、この領域で動作するフェムト秒レーザーを使用することができる。このようなモードロックレーザーは、チタン、ネオジウムまたはイッテルビウム活性材料を用いて、基本波長で作用する。当技術分野で既知の非線形周波数変換技術である、周波数2逓倍化、3逓倍化、和周波数混合および差周波数混合技術、光パラメトリック変換は、これらのレーザーの基本波長を、角膜の上述の透明な波長帯内の実質的に任意の波長に変換することができる。
既存の眼の手術システムは、パルス持続時間が1nsを超えるレーザーを適用すると、光切断閾値エネルギーが高くなり、より高いパルスエネルギーを必要とし、光切断相互作用領域の寸法がより大きくなるため、手術治療の精度が失われる。しかし、虹彩角膜角13を治療する場合には、より高い手術精度が必要である。この目的のために、統合手術システムは、レーザービームと虹彩角膜角13の眼組織との光切断相互作用を発生させるために、10フェムト秒(fs)から1ナノ秒(ns)までのパルス持続時間を有するレーザーを適用するように構成され得る。10fsより短いパルス持続時間を有するレーザーが利用可能であるが、そのようなレーザー源は、より複雑で、より高価である。記載された望ましい特性、例えば10フェムト秒(fs)から1ナノ秒(ns)までのパルス持続時間を有するレーザーは、Newport社(リフォルニア州アーバイン)、Coherent社(カリフォルニア州サンタクララ)、Amplitude Systems社(フランス、ぺサック)、NKT Photonics社(デンマーク、バークロード)、および他のメーカーなどの複数のメーカーから市販されている。
虹彩角膜角へのアクセス
本統合手術システムによってもたらされる重要な特徴は、虹彩角膜角13における標的眼組織へのアクセスである。図6を参照するに、眼の虹彩角膜角13には、角膜3を通って前房7内の房水8を通る角度付きビーム経路30に沿って、統合手術システムを介してアクセスすることができる。例えば、イメージングビーム(例えばOCTビームおよび/または外観観察ビーム)およびレーザービームのうちの1または複数が、角度付きビーム経路30に沿って眼の虹彩角膜角13にアクセスすることができる。
本明細書に開示された光学システムは、角度付きビーム経路30に沿って、光ビームを眼の虹彩角膜角13に向けるように構成されている。光学システムは、第1の光学サブシステムおよび第2の光学サブシステムを含む。第1の光学サブシステムは、屈折率nwを有する材料で形成されたウィンドウを含み、対向する凹面および凸面を有する。第1の光学サブシステムは、屈折率nxを有する材料で形成された出射レンズも含む。また、出射レンズは、対向する凹面および凸面を有する。出射レンズの凹面は、ウィンドウの凸面に結合して、ウィンドウおよび出射レンズを通って延在する第1の光軸を画定するように構成される。ウィンドウの凹面は、屈折率nを有する眼の角膜に取り外し可能に結合するように構成されており、眼に結合されたときに、第1の光軸が眼の視線の方向と概ね一直線になる。
第2の光学サブシステムは、光ビーム、例えばOCTビームまたはレーザービームを出力するように構成されている。光学システムは、光ビームが、第1の光軸からオフセットされた角度αで、第2の光軸に沿って出射レンズの凸面に入射するように向けられるよう構成される。出射レンズおよびウィンドウのそれぞれのジオメトリおよびそれぞれの屈折率nおよびnは、光ビームを曲げて、それが眼の角膜3を通って虹彩角膜角13に向けられるようにすることによって、光ビームの屈折および歪みを補償するように構成される。より具体的には、第1の光学システムは、光ビームが第1の光学サブシステムを出て角膜3に適切な角度で入るように光ビームを曲げ、その結果、光ビームが角膜および房水8を通って角度付きビーム経路30に沿って虹彩角膜角13に向かう方向に進行するようにする。
角度付きビーム経路30に沿って虹彩角膜角13にアクセスすることは、幾つかの利点を提供する。虹彩角膜角13へのこの角度付きビーム経路30の利点は、OCTビームとレーザービームがほとんど透明な組織、例えば角膜3および前房7の房水8を通過することである。したがって、組織によるこれらのビームの散乱は重要ではない。OCTイメージングに関しては、これにより、OCTがより高い空間分解能を得るために、約1マイクロメートル未満のより短い波長の使用が可能となる。角膜3および前房7を通る、虹彩角膜角13への角度付きビーム経路30の更なる利点は、網膜11を照らす直接レーザービームまたはOCTビーム光の回避である。その結果、より高い平均出力レーザー光とOCT光をイメージングと手術のために使用することができ、その結果、手技が迅速になり、手技の最中の組織の動きが少なくなる。
本統合手術システムによって提供されるもう一つの重要な特徴は、ビームの不連続性を減少させる方法で、虹彩角膜角13内の標的眼組織へのアクセスである。この目的のために、第1の光学サブシステムのウィンドウおよび出射レンズコンポーネントは、角膜3と隣接する材料との間の光学屈折率の不連続性を減少させ、急角度で角膜を通って光が入るのを容易にするように構成されている。
このように、統合手術システムおよびその特徴と利点のいくつかを概ね述べてきたところで、該システムとそのコンポーネントパーツの更なる詳細を以下に記す。
統合手術システム
図7を参照するに、非侵襲性緑内障手術のための統合手術システム1000は、コントロールシステム100、手術用コンポーネント200、第1のイメージングコンポーネント300、および任意選択の第2のイメージングコンポーネント400を含む。図7の実施態様では、手術用コンポーネント200はフェムト秒レーザー源であり、第1のイメージングコンポーネント300はOCTイメージング装置であり、任意選択の第2のイメージングコンポーネント400は、直視またはカメラで観察するための外観観察装置、例えば顕微鏡である。統合手術システム1000の他のコンポーネントは、ビーム調整器およびスキャナ500、ビームコンバイナ600、集束対物レンズ700、および患者インターフェース800を含む。
コントロールシステム100は、統合手術システム1000の他のコンポーネントのハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントをコントロールするように構成された単一のコンピュータまたは複数の相互接続されたコンピュータである。コントロールシステム100のユーザインターフェース110は、ユーザからの指示を受け取り、ユーザによる観察のための情報を表示する。ユーザからの入力情報および命令には、システム命令、患者の眼をシステムにドッキングするためのモーションコントロール、事前にプログラムされた手術計画またはライブで生成された手術計画の選択、メニュー選択によるナビゲーション、手術パラメータの設定、システムメッセージに対する応答、手術計画の決定および受け取り、ならびに手術計画を実行せよという命令が含まれるが、これらに限定されない。システムからユーザに向けての出力には、システムパラメータおよびメッセージの表示、眼の画像の表示、手術計画のグラフ表示、数値表示およびテキスト表示、ならびに手術の進捗状況が含まれるが、これらに限定されない。
コントロールシステム100は、統合手術システム1000の他のコンポーネント200、300、400、500に接続されている。コントロールシステム100からフェムト秒レーザー源200へのコントロール信号は、例えば出力、繰り返し率およびビームシャッタを含む、レーザー源の内部および外部の動作パラメータをコントロールするように機能する。コントロールシステム100からOCTイメージング装置300へのコントロール信号は、OCTビームスキャンパラメータならびに、OCT画像の取得、分析および表示をコントロールするように機能する。
フェムト秒レーザー源200からのレーザービーム201およびOCTイメージング装置300からのOCTビーム301は、ビーム調整器およびスキャナ500のユニットに向けられる。レーザービーム201およびOCTビーム301をスキャンする目的で、異なる種類のスキャナを使用することができる。ビーム201、301に対して横断方向にスキャンするために、角度走査ガルバノメータスキャナが、例えばケンブリッジテクノロジー(マサチューセッツ州ベッドフォード)、スキャンラボ(ドイツ、ミュンヘン)から入手可能である。スキャン速度を最適化するために、スキャナミラーは通常、最小サイズに寸法決めされるが、それでも目標位置におけるビームの必要なスキャン角度と開口数をサポートする。スキャナにおける理想的なビームサイズは通常、レーザービーム201またはOCTビーム301のビームサイズとは異なり、集束対物レンズ700の入口で必要とされるものとも異なる。したがって、ビーム調整器は、個々のスキャナの前後または間に適用される。ビーム調整器およびスキャナ500は、ビームを横方向及び軸方向にスキャンするためのスキャナを含む。軸方向のスキャンは、対象領域での焦点深さを変化させる。軸方向スキャンは、サーボまたはステッパモータによりビーム経路内でレンズを軸方向に移動させることによって行うことができる。
レーザービーム201とOCTビーム301は、眼の共通の目標体積または手術体積に到達するために、二色性、偏光または他のタイプのビームコンバイナ600で結合される。フェムト秒レーザー源200、OCTイメージング装置300、および外観観察装置400を有する統合手術システム1000において、これらのコンポーネントの各々についての個々のビーム201、301、401は、個別に最適化され得、互いに共線または非共線であり得る。ビームコンバイナ600は、二色性または偏光ビームスプリッタを使用して、異なる波長および/または偏光を有する光を分割し、再結合する。また、ビームコンバイナ600は、ビームサイズ、ビーム角度および分岐のような個々のビーム201、301、401の特定のパラメータを変更する光学系を含んでもよい。内蔵型ビジュアルイルミネーション、観察またはイメージング装置は、外科医が眼をシステムにドッキングし、手術位置を特定するのを支援する。
眼の眼組織構造体を十分に詳細に解明するために、統合手術システム1000のイメージングコンポーネント300、400は、数マイクロメートルの空間分解能を有するOCTビームおよび外観観察ビームを提供することができる。OCTビームの分解能は、OCT画像で認識できる最小の特徴の空間次元である。それは主に、OCT源の波長およびスペクトル帯域幅、眼内の目標位置にOCTビームを送出する光学系の品質、OCTビームの開口数および目標位置におけるOCTイメージング装置の空間分解能によって決定される。一実施態様において、統合手術システムのOCTビームは、5μm未満の分解能を有する。
同様に、フェムト秒レーザー源200によって提供される手術用レーザービームは、数マイクロメートルの精度で目標位置に送出され得る。レーザービームの分解能は、レーザービームによって周辺の眼組織に著しい影響を与えることなく調節できる、目標位置における最小の特徴の空間次元である。それは主に、レーザービームの波長、眼内の目標位置にレーザービームを送出する光学系の品質、レーザービームの開口数、レーザービーム内のレーザーパルスのエネルギーおよび目標位置におけるレーザースキャンシステムの空間分解能によって決定される。更に、光切断相互作用のためのレーザーの閾値エネルギーを最小にするために、レーザースポットのサイズは約5μm未満であるべきである。
外観観察ビーム401は固定された非スキャン光学系を使用して外観観察装置400によって取得されるが、OCTイメージング装置300のOCTビーム301は、2つの横方向に横断的にスキャンされることに留意されたい。フェムト秒レーザー源200のレーザービーム201は2つの横方向寸法でスキャンされ、焦点深さは軸方向にスキャンされる。
実用的な実施態様の場合、光路のビーム調整、スキャンおよび結合は、レーザー、OCTおよび外観観察光学ビームに対して実行される特定の機能である。これらの機能の実装は、図7に示されているものとは異なる順序で行われる可能性がある。ビームを操作してそれらの機能を実装する特定の光学ハードウェアは、光学ハードウェアがどのように配置されるかに関して、複数の配置を有することができる。それらは、個々の光ビームを別々に操作するように配置することができ、別の実施態様では、1つのコンポーネントが機能を組み合わせて、異なるビームを操作することができる。例えば、単一セットのスキャナは、レーザービーム201とOCTビーム301の両方をスキャンすることができる。この場合、別個のビーム調整器がレーザービーム201およびOCTビーム301のためのビームパラメータを設定し、その後、ビームコンバイナが2つのビームを結合して単一セットのスキャナがこれらのビームをスキャンする。統合手術システム用に、光学ハードウェア配置の多くの組合せが可能であるが、以下のセクションは、配置の例を詳細に記述する。
ビーム送出
以下の記述では、用語ビームは、文脈に応じて、レーザービーム、OCTビームまたは外観観察ビームのうちの1つをいう。結合ビームとは、共線結合または非共線結合された、レーザービーム、OCTビームまたは外観観察ビームのうち2つ以上をいう。結合ビームの例には、OCTビームとレーザービームの共線または非共線結合である、結合されたOCT/レーザービームと、OCTビーム、レーザービームおよび視覚ビームの共線または非共線結合である、結合されたOCT/レーザー/視覚ビームが含まれる。共線結合ビームでは、異なる複数のビームは、二色性または偏光ビームスプリッタによって結合され、異なる複数のビームの多重送出により同じ光路に沿って送出されてもよい。非共線結合ビームでは、異なる複数のビームは、空間的にまたはそれらの間の角度によって分離されている異なる光路に沿って同時に送出される。以下の記述では、前述のいかなるビームまたは結合ビームも、光ビームと総称されることがある。遠位および近位という用語は、ビームの進行方向、または統合手術システム内でのコンポーネントの互いに対する物理的位置を指定するために使用され得る。遠位方向とは、眼に向かう方向を指す。したがって、OCTイメージング装置によって出力されたOCTビームは、眼に向かって遠位方向に移動する。近位方向とは、眼から離れる方向を指す。したがって、眼からのOCT戻りビームは、OCTイメージング装置に向かって近位方向に移動する。
図8を参照するに、統合手術システムの例は、レーザービーム201とOCTビーム301の各々を眼1に向かって遠位方向に送出し、OCT戻りビームと外観観察ビーム401の各々を眼1から受信するように構成されている。レーザービームの送出に関して、フェムト秒レーザー源200によって出力されたレーザービーム201は、基本ビームパラメータ、ビームサイズ、分岐が設定されるビーム調整器510を通過する。また、ビーム調整器510は、追加の機能として、ビーム出力またはパルスエネルギーの設定、ビームをオンまたはオフにするシャッターを含んでもよい。ビーム調整器510が存在した後、レーザービーム210は、軸方向スキャンレンズ520に入る。単一のレンズまたは一群のレンズを含み得る軸方向スキャンレンズ520は、サーボモーター、ステッパモータまたは他のコントロール機構によって軸方向522に移動する。軸方向522への軸方向スキャンレンズ520の移動は、焦点におけるレーザービーム210の焦点の軸方向距離を変化させる。
統合手術システムの特定の実施態様によれば、中間焦点722は、手術体積720の共役像(image conjugate)であって、集束対物レンズ700によって決定される共役手術体積(conjugate surgical volume)721内に収まり、かつスキャン可能であるように設定される。手術体積720は、イメージングおよび手術が行われる眼内の目的領域の空間的範囲である。緑内障手術の場合、手術体積720は、眼の虹彩角膜角13の近傍である。
ガルバノメータスキャナによって回転される一対の横方向スキャンミラー530、532が、レーザービーム201を2つの本質的に直交する横方向、例えばxおよびy方向にスキャンする。その後、レーザービーム201は、二色性または偏光ビームスプリッタ540の方へ向けられ、そこでレーザービーム201は、レーザービーム201をOCTビーム301と結合するように構成されたビーム結合ミラー601に向かって反射される。
OCTビームの送出に関して、OCTイメージング装置300によって出力されたOCTビーム301は、ビーム調整器511、軸方向に移動可能な集束レンズ521、およびスキャンミラー531と533を備えた横方向スキャナを通過する。集束レンズ521は、共役手術体積721と実際の手術体積720中のOCTビームの焦点位置を設定するために使用される。集束レンズ521は、OCT軸方向スキャンを取得するためにはスキャンされない。OCT画像の軸方向空間情報は、干渉法により再結合されたOCT戻りビーム301および基準ビーム302のスペクトルをフーリエ変換することによって取得される。しかしながら、集束レンズ521は、手術体積720がいくつかの軸方向セグメントに分割されるときに焦点を再調整するために使用することができる。このように、OCT画像の最適なイメージング空間分解能は、複数の範囲でのスキャンに費やす時間をかけて、OCT信号ビームのレイリー範囲を超えて拡大され得る。
眼1に向かって先端方向に進み、スキャンミラー531および533の後に、ビームコンバイナミラー601によってOCTビーム301がレーザービーム201と結合される。結合されたレーザー/OCTビーム550のOCTビーム301およびレーザービーム201コンポーネントは、多重化され、共役手術体積721内の中間焦点722に集束されるように同方向に移動する。共役手術体積721内で集束された後、結合されたレーザー/OCTビーム550は、第2のビーム結合ミラー602に伝播し、そこで外観観察ビーム401と結合されて、結合されたレーザー/OCT視覚ビーム701を形成する。
遠位方向に移動する、結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701は、その後、集束対物レンズ700および患者インターフェースのウィンドウ801を通過し、ここで、共役手術体積721内のレーザービームの中間焦点722が手術体積720内の焦点に再結像される。集束対物レンズ700は、中間焦点722を、患者インターフェースのウィンドウ801を通って、手術体積720内の眼組織内に再結像させる。
眼組織からの散乱されたOCT戻しビーム301は、近位方向に移動して、上記と同じ経路で逆順に、OCTイメージング装置300に戻る。OCTイメージング装置300の基準ビーム302は、基準遅延光路を通過し、可動ミラー330からOCTイメージング装置に戻る。基準ビーム302は、OCTイメージング装置300内で戻る際に、OCT戻りビーム301と干渉法によって結合される。基準遅延光路における遅延量は、可動ミラー330を移動させることによって、OCT戻りビーム301および基準ビーム302の光路を等しくするように調整可能である。最良の軸方向OCT分解能のために、OCT戻りビーム301および基準ビーム302もまた、OCT干渉計の2つのアーム内の群速度分散を等しくするために、分散補償される。
結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701が角膜3と前房7を通って送出されるとき、結合ビームは、垂直入射からかけ離れた急角度で角膜の後面および前面を通過する。結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701の経路上にあるこれらの表面は、補償される必要がある過度の非点収差およびコマ収差を作り出す。
図9aおよび9bを参照するに、統合手術システム1000の実施態様では、集束対物レンズ700および患者インターフェース800の光学コンポーネントは、空間および色収差、ならびに空間および色歪みを最小限にするように構成されている。図9aは、眼1、患者インターフェース800および集束対物レンズ700のすべてが一緒に結合されたときの構成を示している。図9bは、眼1、患者インターフェース800および集束対物レンズ700のすべて互いに分離されたときの構成を示している。
患者インターフェース800は、眼1を集束対物レンズ700に光学的及び物理的に結合し、次に集束対物レンズ700は、統合手術システム1000の他の光学コンポーネントと光学的に結合する。患者インターフェース800は、複数の機能を果たす。それは、統合手術システムのコンポーネントに対して眼を固定し;該コンポーネントと患者の間に滅菌バリアを作り;眼と装置の間の光学的アクセスを提供する。患者インターフェース800は、滅菌された単回使用の使い捨て器具であり、眼1および統合手術システム1000の集束対物レンズ700に分離可能に結合されている。
患者インターフェース800は、目に面する凹面812を有するウィンドウ801と、対物レンズに面し、凹面に対向する凸面813を含む。このように、ウィンドウ801は、メニスカス形状を有する。図9cを参照するに、凹面812は、曲率半径rを特徴とし、一方、凸面813は、曲率半径rを特徴とする。凹面812は、直接接触によって、または凹面812と眼1との間に配置された屈折率整合剤(液体またはゲル)によって、眼に結合するように構成されている。ウィンドウ801は、ガラスで形成されていてもよく、屈折率nwを有する。一実施態様において、ウィンドウ801は、石英ガラスから形成され、1.45の屈折率nを有する。石英ガラスは、一般的な安価なガラスの中で最も低い屈折率を有する。テフロンAFなどのフッ素ポリマーは、石英ガラスよりも低い屈折率を有する別の種類の低屈折率材料であるが、その光学品質はガラスよりも劣り、大量生産するには比較的高価である。別の実施態様では、ウィンドウ801は、一般的なガラスBK7で形成され、1.50の屈折率nを有する。このガラスの放射線耐性バージョンである、Scott社(ドイツ、マインツ)製のBK7G18は、ウィンドウ801の光学特性を変化させるガンマ線照射なしで、患者インターフェース800のガンマ線滅菌を可能にする。
図9aおよび9bに戻って、ウィンドウ801は、患者インターフェース800の壁803と、吸引リング804などの固定装置で囲まれている。吸引リング804が眼1に接触しているとき、吸引リングと眼との間に環状の空洞805が形成される。真空管真空ポンプ(図9aおよび9bに図示せず)を介して吸引リング804および空洞に真空が加えられると、眼と吸引リングとの間の真空力が、手術中に眼を患者インターフェース800に取り付ける。真空を除去すると、眼1が取り外される。
眼1と対向する患者インターフェース800の端部は、集束対物レンズ700のハウジング702に取り付けて、それによって統合手術システム1000の他のコンポーネントに対する眼の位置を固定するように構成された取り付けインターフェース806を含む。取り付けインターフェース806は、機械的、真空、磁気または他の原理で動くことができ、また、統合手術システムから取り外し可能である。
集束対物レンズ700は、眼に面した凹面711と凹面に対向する凸面712とを有する非球面出射レンズ710を含む。このように、出射レンズ710はメニスカス形状を有する。図9aおよび9bに示される出射レンズ710は、より多くの設計自由度を与える非球面レンズであるが、他の構成では、出射レンズは、球面レンズであり得る。あるいは、出射レンズ710を一重項ではなく複合レンズとして構築することにより、本明細書に提示されるような光学システムの主な特性を維持しながら、光学系を最適化するためのより多くの設計の自由度が可能になる。図9cを参照するに、凹面711は、曲率半径rによって特徴付けられるのに対し、凸面712は、非球面形状によって特徴付けられる。球面凹面711と組み合わされた非球面凸面712は、変化する厚さを有する出射レンズ710をもたらし、レンズの外周縁部715は、レンズの中央の頂点領域717よりも薄い。凹面711は、ウィンドウ801の凸面813に結合するように構成される。一実施態様では、出射レンズ710は石英ガラスで形成され、1.45の屈折率nを有する。
図10aおよび図10bは、第1の光学サブシステム1001と、虹彩角膜角における手術体積720へのアクセスを可能にする第2の光学サブシステム1002とを有する光学システム1010を形成するように機能的に配置された、図7および図8の統合手術システムのコンポーネントの模式図である。図10aおよび10bの各々は、図9aの集束対物レンズ700および患者インターフェース800のコンポーネントを含む。しかし、簡略化のために、集束対物レンズの全体と患者インターフェースは、図10aおよび10bには含まれていない。また、図10aにおける更なる簡略化のために、図9aおよび9bの平面ビーム折り畳みミラー740は含まれず、図9aに示される結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701は、展開されているか、または真っ直ぐになっている。当業者には、平面ビーム折り畳みミラーを追加または除去しても、第1の光学サブシステムおよび第2の光学サブシステムによって形成される光学システムの主要な動きに変化はないことが理解されるであろう。図10cは、図10aおよび10bの第1の光学サブシステムを通過するビームの模式図である。
図10aを参照するに、統合手術システム1000の第1の光学サブシステム1001は、集束対物レンズ700の出射レンズ710と患者インターフェース800のウィンドウ801を含む。出射レンズ710とウィンドウ801は、第1の光軸705を規定するために互いに対して相対的に配置される。第1の光学サブシステム1001は、ビーム(例えば、第2の光軸706に沿って出射レンズ710の凸面712に入射する、結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701)を受信し、そのビームを眼の虹彩角膜角13内の手術体積720に向けるように構成されている。
手術手技の間、第1の光学サブシステム1001は、ウィンドウ801の凸面813を出射レンズ710の凹面711とインターフェースで連結することによって組み立てることができる。この目的のために、集束対物レンズ700は、患者インターフェース800にドッキングされる。その結果、出射レンズ710の凹面711は、ウィンドウ801の凸面813に結合される。結合は、直接接触による場合もあれば、屈折率整合流体の層を通す場合もある。例えば、患者インターフェース800を集束対物レンズ700にドッキングするとき、屈折率整合流体を一滴接触面の間に塗布し、2つの面711、813の間にあり得る任意のエアギャップを排除し、それによって、結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701を最小のフレネル反射と歪みでエアギャップを通過するのを助けることができる。
上記ビームを眼の虹彩角膜角13内の手術体積720に向けるために、第1の光学サブシステム1001は、ビーム701が出射レンズ710、ウィンドウ801および角膜3を通過する際にそのビームの屈折の主要因であるように設計される。このため、図10cを参照するに、出射レンズ710の屈折率nとウィンドウ801の屈折率nは、角膜3の屈折率nを考慮して選択され、第1の光学サブシステム1001を介して適切なビーム屈曲を引き起こし、その結果ビーム701が第1の光学サブシステムを出て角膜3を通過する際に、ビーム経路が概ね一直線に虹彩角膜角13内に収まるようになっている。
引き続き図10cを参照し、ウィンドウ801と角膜3との間の境界面から始める。結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701がウィンドウ801から出て角膜3に入る境界面、すなわちウィンドウの凹面812と角膜3の凸面との間の境界面での入射角度が急すぎると、過度の屈折および歪みを生じ得る。この境界面での屈折および歪みを最小限にするために、第1の光学サブシステム1001の1つの実施態様では、ウィンドウ801の屈折率は、角膜3の屈折率と厳密に一致させている。例えば、図9aおよび9bを参照して上述したように、ウィンドウ801は、屈折率1.36を有する角膜3に厳密に一致させるために、1.42よりも低い屈折率を有していてもよい。
結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701がウィンドウ801から出て角膜3に入る境界面での過剰な屈折および歪みは、出射レンズ710およびウィンドウ801を通過したときのビーム701の曲げをコントロールすることによって、更に補償することができる。この目的のために、第1の光学サブシステム1001の1つの実施態様において、ウィンドウ801の屈折率nは、出射レンズ710の屈折率nおよび角膜3の屈折率nのそれぞれよりも大きい。その結果、結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701が出射レンズ710から出てウィンドウ801に入る境界面、すなわち出射レンズの凹面711とウィンドウの凸面813との間の境界面では、該ビームは、ビームを第1の方向に曲げる高から低への屈折率変化を受ける。その後、結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701がウィンドウ801から出て角膜3に入る境界面、すなわち出射レンズの凹面812と角膜の凸面との間の境界面において、該ビームは、第1の方向と反対の第2の方向にビームを曲げる低から高への屈折率変化を受ける。
ウィンドウ801の形状は、メニスカスレンズであるように選択される。そのように、光の入射角度は、ウィンドウ801の両面812、813上で類似の値を有する。全体的な効果は、凸面813において、光は面法線から離れて屈曲し、凹面812において、光は面法線に向かって屈曲することである。効果は、光が平行平板を通過するときのものである。上記板の一方の面での屈折は、上記板を通過する光がその方向を変えない他方の面での屈折によって補償される。眼より遠位の出射レンズ710の入射凸面712での屈折は、入射面での光701の入射角度βが交点708で入射面の面法線707に近いように設定することによって、最小限に抑えられる。
ここで、出射レンズ710、ウィンドウ801および眼1は、第1の光軸705を有する軸対称系として配置されている。実際には、軸対称性は、光学コンポーネントの製造および位置合わせの不正確さ、眼の対称性からの自然な逸脱、および臨床セッティングにおけるウィンドウ801および出射レンズ710に対する眼の位置合わせの不正確さのために、近似的なものである。しかし、設計上および実用上、眼1、ウィンドウ801および出射レンズ710は、軸対称の第1の光学サブシステム1001とみなされる。
引き続き図10aを参照するに、第2の光学サブシステム1002は、第1の光学サブシステム1001の第1の光学軸705に対して角度αで第1の光学サブシステム1001と光学的に結合されている。この配置の利点は、すべての光学コンポーネントが共通の光軸を有する軸上に設計されるシステムと比較して、両方の光学サブシステム1001、1002が、はるかに小さい開口数で設計され得ることである。
第2の光学サブシステム1002は、図8を参照して前述したように、眼内の手術体積720の共役手術体積721を生成するリレーレンズ750を含む。第2の光学サブシステム1002は、光学サブシステムステップ1003としてまとめて示された様々な他のコンポーネントを含む。図8を参照するに、これらのコンポーネントは、フェムト秒レーザー源200、OCTイメージング装置300、外観観察装置400、ビーム調整器およびスキャナ500、ならびにビームコンバイナ600を含んでもよい。
第2の光学サブシステム1002は、サブシステム全体が第1の光学サブシステム1001の第1の光学軸705の周りを回転するように構成された機械部品(図示せず)を含んでもよい。これにより、眼1の虹彩角膜角13の外周360度に光学的にアクセスすることができる。
図10bを参照するに、第1および第2の光学サブシステム1001、1002を互いに対して相対的に配置する際のフレキシビリティは、第2の光学サブシステム1002の光学出力と第1の光学サブシステム1001の光学入力との間に挿入された光学アセンブリ1004によって提供され得る。一実施態様において、光学アセンブリ1004は、第2の光学サブシステム1002の光出力、例えば結合されたレーザー/OCT/視覚ビーム701を受信するように構成された1つ以上の平面ビーム折り畳みミラー740、プリズム(図示せず)または光学格子(図示せず)を含み、結合されたレーザー/OCT/視覚ビームの方向を変更または調整し、第1の光軸705と第2の光軸706との間の角度αを保存しながら第1の光学サブシステム1001の光入力にビームを向けることができる。
別の構成では、平面ビーム折り畳みミラー740の光学アセンブリ1004は、第2の光学サブシステム1002を静止状態に保ちつつ、アセンブリが第1の光学サブシステム1001の第1の光学軸705の周りを回転するように構成された機械部品(図示せず)を更に含む。したがって、第2の光学サブシステム1002の第2の光軸706は、第1の光学サブシステム1001の第1の光学軸705を中心として回転させることができる。これにより、眼1の虹彩角膜角13の外周360度に光学的にアクセスすることができる。
図9a、9bおよび9cを参照して上述した考慮事項により、第1の光学サブシステム1001の設計は、第1の光学サブシステム1001の第1の光学軸705に対して角度αでの角度付き光学アクセスのために最適化される。角度αでの光学的アクセスは、第1の光学サブシステム1001の光学的収差を補償する。表1は、Zemax光学設計ソフトウェアパッケージを用いたアクセス角度α=72度での最適化の結果を示している。この設計は、画像誘導フェムト秒緑内障手術のための実用的な実施態様である。
Figure 2021535788
この設計は、0.2までの開口数(NA)の1030nm波長レーザービームと850nm波長OCTビームの回折限界集束を生成する。1つの設計では、第1の光学サブシステムの光学収差は、虹彩角膜角での開口数が0.15より大きいビームに対する第1の光学サブシステムのストレール比が0.9より大きくなる程度に補償される。別の設計では、第1の光学サブシステムの光学収差は部分的に補償され、第1の光学システムの残りの補償されていない収差は、虹彩角膜角での開口数が0.15より大きいビームに対する結合された第1および第2の光学サブシステムのストレール比が0.9よりも大きくなる程度に、第2の光学サブシステムによって補償される。
キャリブレーション
統合手術システム1000のフェムト秒レーザー源200、OCTイメージング装置300、および外観観察装置400は、まず、それらの内部完全性を保証するために個々にキャリブレーションされ、その後、システム完全性のためにクロスキャリブレーションされる。システムキャリブレーションの主要部分は、レーザービーム201の外科的焦点が、OCTイメージング装置および/または外観観察装置400によって特定されるような手術体積720の位置に命令されたときに、達成された焦点の位置が一定の許容範囲内(典型的には5〜10μm以内)で命令された焦点の位置と一致することを保証することにある。また、グラフおよびカーソル出力、画像、コンピュータモニターのようなユーザインターフェース110上に表示されるオーバレイ、およびユーザインターフェース110から受け取られる眼組織手術体積720位置のユーザ入力は、同様の精度の所定の許容範囲内で、組織内の実際の位置に対応することが望ましい。
この空間キャリブレーション手順の一実施態様は、ディスプレイ上のスケール値がキャリブレーション対象の実スケールと一致するように、OCTイメージング装置300および/または外観観察装置400とそれらのディスプレイのキャリブレートされたスケールおよびスケーリング倍率を、イメージングすることから始まる。その後、レーザーキャリブレーションパターンが透明なキャリブレーション対象に露光または焼き付けられ、次に、キャリブレーションパターンが画像化される。その後、意図したパターンと実際に焼いたパターンが、統合手術システム1000のイメージングシステムによって、または別々の顕微鏡によって比較される。それらが指定された許容範囲内で一致しない場合、レーザービームスキャナのスケーリングを調整することによって、手術パターンのスケーリングパラメータが再スケーリングされる。この手順は、必要であれば、すべての空間キャリブレーションが許容範囲内になるまで繰り返される。
眼組織調節を伴うレーザー手術
本明細書に開示の統合手術システム1000によって可能にされた手術治療に関連する眼の解剖学的構造を、図1〜4に示す。IOPを低下させるために、レーザー治療は、線維柱帯流出路40に影響を及ぼす眼組織を標的とする。これらの眼組織は、虹彩角膜角13内の線維柱帯12、強膜岬14、ぶどう膜15、角強膜網16、傍シュレム管組織17、シュレム管18、集合管19を含み得る。
本明細書に開示されているのは、線維柱帯流出路40に特に効果的なレーザーパターンである。レーザーの相互作用量は数マイクロメートル(μm)ほどと小さいため、眼組織と反復レーザーの各レーザーショットとの相互作用は、レーザーの焦点で眼組織を局所的に破壊する。眼組織における光切断相互作用のためのレーザーのパルス持続時間は数フェムト秒から数ナノ秒まで、パルスエネルギーは数ナノジュールから数十マイクロジュールまでの範囲であり得る。焦点のレーザーパルスは、多光子過程に通じて、分子の化学結合を分解し、組織材料を局所的に光解離させ、濡れた組織の中に気泡を作る。組織材料の破壊と気泡形成による機械的応力は、組織を断片化し、レーザーパルスがジオメトリの線と表面に沿って互いに近接して配置されるとき、きれいな連続的切断を作り出す。
以下の記載では、基本的な相互作用量をセルという。セルのサイズは、レーザーと組織の相互作用の影響の程度によって決まる。レーザースポットまたはセルが線に沿って近接して配置されている場合、レーザーは、狭い微視的な管を作り出す。管の断面内に多数のレーザースポットを近接して配置することにより、より広い管を作り出すことができる。例えば、シリンダー管は、最初にシリンダーの全体的な位置とサイズの座標を計算することによって作り出すことができる。その後、セルのサイズをパラメータとして使用して、シリンダー容積内に密に配置された各セルの座標を計算する。セルの配置は、結晶構造内の原子の配置に似ている。
最も簡単なのは、立方体のセル構造を計算することであり、この場合、個々のセルは規則的な間隔で行、列、シートに配置されており、セルの座標は行、列、シートの順序で隣接セルから隣接セルにへと順次計算することができる。また、レーザースキャナのハードウェアは、この規則的な順序に従って、過度のジャンプなしにレーザービームをスキャンすることもできる。管は、様々な断面で、楕円形、長方形、正方形またはその他の規則的または不規則な断面で、作り出すことができる。眼組織に挿入されたチャネルは房水8を伝導することができ、その伝導度は、チャネルの断面積が大きいほど増加する。
図11aおよび11bは、手術用レーザーがスキャンして手術体積900(図11a)に影響を与えてチャネル開口部920(図11b)を形成する虹彩角膜角の断面図を示す。線維柱帯の手術体積900は、前房7からシュレム管18の内壁を通って延びる。レーザースキャンは、手術体積900内の眼組織を調節し、チャネル開口部920を作り出す。チャネル開口部920は、眼組織内の流動抵抗を減少させて、前房7からシュレム管18内への房水流を増加させ、それによって眼のIOPを減少させる。チャネル開口部920のサイズは、流出路の抵抗の低減と効果の持続性を決定する。
この手技では、これらの構造体を正確に見つけ、治療の成功をモニターするために、画像誘導が不可欠である。治療される眼組織のサイズおよび体積を最小限にすることは、生成されるガス量およびガス誘発性の組織の動きを最小限にするのにも役立つ。膨張するガスに伴って組織も拡張するため、閉じたボリュームからガスが逃れ、ガスで満たされた空隙が潰れると、急激な組織の動きが起こり得る。このような突然の組織の動きは、外科的切開部に不連続性を生じさせる可能性があり、回避するか最小限に抑える必要がある。
眼組織に手術パターンを作り出すためのもう一つの考慮事項として、切開の進行に伴うガス泡の潜在的な陰影効果がある。一般に、切開の進行は、レーザーから離れた位置からレーザーに近い位置に向かって進み、陰影効果を最小限に抑える必要がある。レーザーが回折限界の焦点にしっかりと集束され、光切断相互作用の閾値パルスエネルギーが低下すると、ガスの量も少なくなる。レーザーを低閾値で動作させると、局所的な相互作用量のサイズとガス泡のサイズは、より小さくなくなる。これは、手術体積を満たすセルの間隔を狭める必要があることを意味する。
表2には、サイズの異なるいくつかの切開部に対する手術用レーザーと治療パターンのパラメータを示す。パラメータセットの範囲は、眼に入るレーザー光の最大許容露光量(MPE)制限値と、レーザーの繰り返し率とスキャナのスキャン速度の実際の範囲によって制限される。
Figure 2021535788
MPEに関しては、組織を透過したフェムト秒レーザー源200またはOCTイメージング装置300からの光ビームは直接網膜に到達しないため、図6の角度付きビーム経路30が最も有利である。これは、組織を透過した直接レーザー光またはOCT光が網膜に到達する既知の角膜および白内障手術とは対照的である。したがって、図6の角度付きビーム経路30は、より高いビーム平均出力を使用することができる。手術用レーザーの平均出力が高くなると、手技時間が短縮される。OCTビームに対する高い平均出力は、同じ画質に対してより短いOCT画像取得時間、または同じ画像取得時間に対してより良い画質をもたらす。セルサイズおよびレーザーパルスエネルギーに関しては、組織内で生成されるガスの量を最小限にするために、より小さなセルサイズおよびパルスエネルギーが好ましい。
線形潅流モデル、ELT手技の実験(Liuら、2005)および臨床所見は、0.24mmから0.4mmまでの管の断面積で十分なIOP下降効果が得られることを示している。表2からわかるように、本明細書に開示の統合手術システムによって可能になる手術用レーザー手技は、Liuらのものと同様の管の断面積を生成することができ、10秒未満で完了することができる。
図12は、角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させる方法のフローチャートである。この方法は、図7〜10bの統合手術システム1000によって実施され得る。
ステップ1202では、OCTビーム301が角膜3と前房7を通って虹彩角膜角13に送出される。一実施態様では、OCTビーム301は、分解能が約5μメートル以下であり、OCTビームを角膜3に結合したウィンドウ801とウィンドウに結合した出射レンズ710とを含む第1の光学サブシステム1001に向けることによって、虹彩角膜角13に送出される。
ステップ1204では、第1の光学サブシステム1001を介して虹彩角膜角に送出されたOCTビーム301に基づいて、虹彩角膜角13の一部のOCT画像が取得される。この目的のために、OCT戻りビーム301が第1の光学サブシステム1001を介して受信され、既知のOCTイメージング技術を使用してOCTイメージング装置300で処理される。
ステップ1206では、調節されるべき眼組織の手術体積900が、OCT画像に基づいて決定される。手術体積900は、統合手術システム1000のコントロールシステム100上に表示される2D断面OCT画像に基づいて決定されてもよい。手術体積900を決定するために、外観観察ビーム401が使用されることもある。この目的のために、外観観察ビーム401は、顕微鏡400によって虹彩角膜角13から第1の光学サブシステム1001を通して取得され、コントロールシステム100の表示画面上にOCT画像と外観観察信号を重ね合わせて提示することによって、調節するための眼組織の体積900が決定されることがある。あるいは、OCT画像および外観観察信号が表示画面上に登録されてもよい。
一実施態様において、シュレム管18は外周によって特徴付けられ、調節するべき眼組織の手術体積900は、外周の周りの集合管19の密度に基づいて決定される。この場合、シュレム管18の外周の少なくとも一部の周りの集合管19の密度分布は、OCT画像に基づいて決定される。閾値基準を超える密度を有するシュレム管18の領域が識別され、識別された近接領域は、調節されるべき眼組織の体積に含まれる。この基準は、分布の50パーセンタイル、75パーセンタイル、または75パーセンタイルよりも高い数値とすることができる。別の実施態様では、調節されるべき眼組織の体積900は、1または複数の集合管19の近傍にある。
ステップ1208では、OCTビーム301とレーザービーム201の各々が、角膜3および前房7を通って虹彩角膜角13に送出される。一実施態様では、OCTビーム301およびレーザービーム201は、実質的に等しい分解能、例えば約5マイクロメートル以下を有し、各ビームは、角膜3に結合されたウィンドウ801と、ウィンドウに結合された出射レンズ710とを含む第1の光学サブシステム1001に各ビームを向けることによって、虹彩角膜角に送出される。OCTビーム301およびレーザービーム201は、例えばビームを多重化することによって、同じ光路に沿って第1の光学サブシステム1001に非共線的向けることができる。あるいは、OCTビーム301およびレーザービーム201は、空間的に分離されたかまたは角度が付いた光路に沿って、同時に第1の光学サブシステムに非共線的に向けられてもよい。
眼への斜角度入射によって生じるビーム201、301の歪みおよび収差は、各ビームを第1の光学サブシステム1001に斜めに向けることによって補償される。この目的のために、眼1は、視線方向を含み、第1の光学サブシステム1001は、目の視線方向と実質的に一直線になる第1の光学軸705を含むように、目に対して位置決めされる。ビーム201、301は、角度αだけ第1の光軸705からオフセットされた第2の光軸706に沿って出射レンズ710の凸面713に各ビームを向けることによって、第1の光学サブシステム1001に入力される。加えて、各ビーム201、301は、凸面に対する面法線707に対して角度βで、出射レンズ710の凸面713に向けられてもよい。
ステップ1210では、線維柱帯流出路40内の眼組織の体積900を画定している眼組織にレーザービーム201を適用することにより、該体積を調節して、線維柱帯網12、シュレム管18、および1または複数の集合管19、のうちの1以上に存在する経路抵抗を減少させる。この目的のために、330ナノメートルから2000ナノメートルの間の波長を有するレーザービーム201を複数の方向にスキャンして、手術体積900を画定している眼組織と相互作用させることができる。レーザービーム201は、連続的に、または20フェムト秒から1ナノ秒の間のパルス持続時間を有する複数のレーザーパルスとして、適用することができる。レーザービーム201は、眼組織と光切断相互作用を引き起こし、経路抵抗を減少させるか、または新たな流出路40を作り出す。一実施態様において、眼組織との光切断相互作用は、前房とシュレム管を連結する線維柱帯網を通して開口するチャネル開口部902を作り出す。
虹彩角膜角へのアクセス
図13は、光ビームを、視線方向を有する眼の虹彩角膜角と屈折率nの角膜に向ける方法のフローチャートである。この方法は、図7〜10bの統合手術システム1000によって実施され得る。
ステップ1302では、第1の光学サブシステム1001と第2の光学サブシステム1002が互いに相対的に配置されている。第1の光学サブシステム1001は、屈折率nを有する材料から形成されるウィンドウ801を含む。ウィンドウ801は、凹面812と凹面に対向する凸面813とを有する。第1の光学サブシステム1001は、また、屈折率nを有する材料から形成される出射レンズ710も含む。出射レンズ710は、凹面711と凹面に対向する凸面712とを有する。出射レンズ710の凹面711は、ウィンドウ801の凸面813に結合して、ウィンドウおよび出射レンズを通って延びる第1の光軸705を画定するように構成される。ウィンドウ801の凹面812は、第1の光軸705が眼の視線の方向と概ね一直線になるように、眼の角膜3に取り外し可能に結合するように構成されている。
ステップ1304では、第2の光学サブシステム1002によって出力された光ビームが、第1の光学軸705からオフセットされた角度αの第2の光軸706に沿って、出射レンズ710の凸面712で入射するように向けられる。このために、第2の光学サブシステム1002または別の中間光学アセンブリ1004は、第1の光学軸と第2の光学軸との間の角度分離の尺度を決定するように、および分離角度が角度αになるまで第2の光学軸の向きを調整するように構成されてもよい。角度αは、典型的には30度を超える。具体的には、角度αは60度から80度の間である。更に具体的には、角度αは、およそ72度である。
ステップ1306では、第2の光学サブシステム1002によって出力される光ビームはまた、第2の光学軸706と出射レンズの凸面に対する面法線707の交点で、角度βで出射レンズ710の凸面712を横切るように向けられてもよい。ここでも、第2の光学サブシステム1002または別の中間光学アセンブリ1004は、第2の光学軸と面法線707との間の角度分離の尺度を決定するように、および分離角度が角度βになるまで第2の光学軸の向きを調整するように構成されてもよい。
いくつかの構成では、例えば図10bに示されるように、第2の光学サブシステム1002は、光ビーム701が、第2の光軸706からオフセットされた軸に沿って第2の光学サブシステムによって出力されるように、第1の光学サブシステム1001に対して配置されるように構成されてもよい。これらの場合、ステップ1304の方向付けプロセスにおいて、光ビーム701は、第1の光学サブシステム1001と第2の光学サブシステム1002の間に挿入された光学アセンブリ1004で受信され、第2の光軸706と概ね一直線になるように再方向付けされる。第2の光軸706は、角度αと実質的に等しい角度だけ第1の光軸からオフセットされた第2の光軸を維持しながら、第1の光軸705を中心に回転されてもよい。そうすることで、虹彩角膜角13の外周周辺の治療が可能になる。第2の光軸706が出射レンズ710の凸面712を、第2の光軸と出射レンズの凸面に対する面法線707の交点708で角度βで横切る構成では、ステップ1306の方向付けプロセスは、第2の光軸と角度βと実質的に等しい面法線との間の角度をも維持しながら、第2の光軸を第1の光軸の周りで回転させるステップを伴う。
低侵襲および非侵襲手術治療
以下に開示される手術治療は、レーザー治療パターンの注意深い設計と選択を通じて、眼組織の調節を最小限に抑えながら、流出路の抵抗を減少させる。本明細書で使用される場合、治療パターンは、レーザーによって調節されるべき眼組織の3次元モデル、またはレーザーによって影響されるべき眼液の3次元モデルを定義する。治療パターンは、典型的には、手術パラメータのセットによって定義される。手術パラメータは、レーザーが通過する眼組織の表面積を表す治療面積Aおよびレーザーが眼組織に切り込むレベルまたはレーザーが眼液に影響を与えるレベルを表す治療厚さtのうちの1つ以上を含み得る。したがって、治療パターンに従って適用されるレーザーは、治療パターンの3次元モデルに類似する手術体積に影響を与えるか、もしくはそれを生成する可能性があり、または3次元モデルに類似する、眼の構造体の内部に位置する流体に影響を与える可能性がある。
追加の手術パラメータは、眼内の手術体積または患部体積の配置を定義する。配置パラメータは、眼の周方向角に対する、治療が行われる位置を表す位置lと、基準の眼の構造体に対する、眼内の眼組織または眼液の3次元モデルの位置を表す治療深さdのうちの1つ以上を含み得る。以下では、治療深さdが、前房7が線維柱帯12と出会う領域に対して示しされ、説明されている。治療パターンと配置パラメータを合わせて、治療計画を定義する。
手術治療手技の侵襲性を最小限にするかまたは排除することは、複数の理由から有益である。第一に、非侵襲治療および低侵襲治療は、健常な眼組織への損傷を最小限にし、それによって線維柱帯組織の未治療部分の濾過機能を保存する。第二に、線維柱帯組織の機械的、構造的完全性を可能な限り保存することにより、既存または新たに作られた流出路の崩壊および閉鎖の可能性を最小限に抑える。第三に、開示のレーザー治療パターンは、IOP下降量をよりコントロールすることができる。適切なIOPを達成することは、臨床転帰にとって重要である。IOP下降が小さすぎると、緑内障治療の効果が低下し、一方、IOP下降が大きすぎると、眼の収縮を引き起こす可能性がある。最後に、レーザー治療される眼組織の体積を最小限にすることで、手技時間が短縮され、手技中の意図しない組織の移動が起こる可能性を低下させる。
低侵襲レーザー手術
上述のように、フェムト秒レーザーは、周囲の眼組織への側副損傷を最小限に抑えながら、高度に局所的で非熱的な光切断レーザーと組織の相互作用を提供する。レーザーの光切断相互作用は、光学的に透明な組織において利用される。眼組織へのレーザーエネルギー付与の主な機序は、吸収によるものではなく、高度に非線形な多光子過程によるものである。この過程は、ピーク強度が高いパルスレーザーの焦点でのみ有効である。ビームが横断するが焦点ではない領域は、レーザーの影響を受けない。したがって、眼組織との相互作用領域は、レーザービームに沿って横方向、軸方向ともに高度に局在している。
前述のフェムト秒レーザーの特性を用いて、統合手術システム1000の実施態様は、1または複数のレーザー治療パターンを用いて流出路抵抗を減少させて、局所的に眼組織を調節する。図3を参照するに、前述のとおり、線維柱帯12は、ぶどう膜15、角強膜網16および傍シュレム管組織17の3層を有する。これらの層は多孔質で、水に対して透過性であり、ぶどう膜15が最も多孔性と透過性が高く、角強膜網16がこれに続く。線維柱帯12の中で最も多孔性と透過性が低い層は、傍シュレム管組織17である。シュレム管18の内壁18aは、これもまた多孔性で水に透過性であるが、傍シュレム管組織17と同様の特徴を有する。この知見に基づいて、1)調節のために線維柱帯12の1つ以上の層を選択し、2)そのような調節の程度をコントロールする、様々な治療パターンを設計することができる。これらの治療パターンは、手術パラメータのセットによって定義され、それが次に、レーザー手術に起因する眼組織調節(または手術の傷口)のジオメトリの寸法を定義する。以下に、様々な治療パターンの例を示す。
一例では、虹彩角膜角13の断面図および斜視図を示す図11a、11bおよび11cを参照するに、手術用レーザー701は、手術体積900(図11aに2次元および3次元で示す)に影響を与えて、連続した広くて深いチャネル開口部920(図11bに2次元で、図11cに3次元で示す)を形成するように設計された第1の治療パターンP1に従って、眼組織をスキャンすることができる。深いチャネル開口部920は、前眼房7から、ぶどう膜15、角膜強膜網16、線維柱帯12の傍シュレム管組織17、およびシュレム管18の内壁18aのそれぞれを通って延びる。深いチャネル開口部と、本明細書に開示の他のチャネル開口部は、流体経路を画定している単一の内腔であっても、流体経路を画定しているスポンジ様構造を形成する隣接する細孔の配列であっても、それらの組み合わせであってよい。
レーザーが手術体積900に影響を与えるためにスキャンする際のレーザーの動きは、治療面積Aおよび厚さtを含む手術パラメータのセットによって定義される第1の治療パターンP1に従う。治療面積Aは、幅wと高さhによって定義される。幅は、周方向角の周りの尺度によって定義されることがある。例えば、幅wは、周方向角の周りの角度(例えば90度)によって定義され得る。
眼内のレーザー焦点の初期配置は、深さd(図示せず)と位置l(図示せず)を含む配置パラメータのセットによって定義される。位置lは、レーザー治療が開始される眼の周方向角の周りの点を定義し、一方、深さdは、治療が開始されるかまたは終了する、前房7とシュレム管18との間の点を定義する。
第1の治療パターンP1のレーザー適用に起因するチャネル開口部920(図11bおよび11c)は、手術体積900に類似しており、手術体積および治療パターンのものと同様の面積Aおよび厚さtによって特徴付けられる。深さdは本質的にセロであるため、手術体積900の端部を、前房7が線維柱帯網12と出会う領域に配置する。結果として生じる深いチャネル開口部920の厚さtは、前房7から、シュレム管18の内壁18aを通って延びるが、面積Aは、結果として生じるチャネル開口部920(図11bおよび11c)が単一の開口部によって特徴付けられるものである。
図11nおよび11cの例において、チャネル開口部920は、シュレム管18と流体連通している第1の端と、前房7と流体連通している第2の端とを有する。流体連通は、チャネル開口部920を通る経路を形成する1もしくは複数の内腔、および/またはチャネル開口部を通る多孔質経路を形成する細孔の配置によって、可能になり得る。
別の例では、虹彩角膜角13の断面図および斜視図を示す図14a、14bおよび14cを参照するに、手術用レーザーは、手術体積901(図14aに2次元および3次元で示す)に影響を与えるように設計された第2の治療パターンP2に従って眼組織をスキャンして、単一の広くて浅いチャネル開口部921(図14bに2次元で、図14cに3次元で示す)を形成することもできる。浅いチャネル開口部921は、シュレム管18から、シュレム管18の内壁18aを通り、部分的に線維柱帯12を通って延び、その結果前房7とシュレム管との間の組織の一部のみが治療される。図14a、14bおよび14cの例では、浅いチャネル開口部921は、傍シュレム管組織17を通って、部分的に角強膜網16に延びる。他の治療パターンにおいて、浅いチャネル開口部921は、角強膜網16を通って、部分的にぶどう膜15に延びてもよい。
いずれの場合も、レーザーが手術体積901に影響を与えるためにスキャンする際のレーザーの動きは、治療面積Aおよび厚さdを含む手術パラメータのセットによって定義される第2の治療パターンP2に従う。治療面積Aは、幅wと高さhによって定義される。ここでも、幅は、周方向角の周りの尺度によって定義され得る。例えば、幅wは、周方向角の周りの角度(例えば90度)によって定義され得る。
眼内のレーザー焦点の初期配置は、深さdと位置l(図示せず)を含む配置パラメータのセットによって定義される。位置lは、レーザー治療が開始される眼の周方向角の周りの点を定義し、一方、深さdは、治療が開始されるかまたは終了する、前房7とシュレム管18との間の点を定義する。
第2の治療パターンP2のレーザー適用に起因するチャネル開口部921(図14bおよび14c)は、手術体積902に類似しており、手術体積および治療パターンのものと同様の面積Aおよび厚さtによって特徴付けられる。深さdは、手術体積902の端部を角強膜網16に配置する。結果として生じる浅いチャネル開口部921の厚さtは、シュレム管18から、シュレム管12の内壁18aを通って、部分的にのみ線維柱帯12に延びるが、面積Aは、結果として生じる浅いチャネル開口部921(図14bおよび14c)が単一の開口部によって特徴付けられるものである。
この例では、チャネル開口部921は、シュレム管18と流体連通している第1の端部と、前房7とシュレム管18の壁との間の眼組織の層で終わる第2の端部とを有する。流体連通は、チャネル開口部921を通る経路を形成する1もしくは複数の内腔、および/またはチャネル開口部を通る多孔質経路を形成する細孔の配置によって、可能になり得る。他の構成では、チャネル開口部921は、前房7と流体連通する第1の端部と、前房とシュレム管18の壁との間の眼組織の層で終わる第2の端部を有し得る。
更に別の例では、虹彩角膜角13の断面図および斜視図を示す図15a、15bおよび15cを参照するに、手術用レーザーは、個々の手術体積903(図15aに2次元および3次元で示す)のアレイに影響を与えて、浅いサブ開口部923(図15bに2次元で、図15cに3次元で示す)の対応するアレイを形成するように設計された第3の治療パターンP3に従って、眼組織をスキャンしてもよい。浅いサブ開口部923の各々は、シュレム管18から、シュレム管18の内壁18aを通り、部分的に線維柱帯12を通って延び、その結果前房7とシュレム管との間の組織の一部のみが治療される。浅いサブ開口部923のアレイは、集合的に篩状構造を形成している。図15a、15bおよび15cの例では、浅いサブ開口部923は、傍シュレム管組織17を通って、部分的に角強膜網16に延びる。他の治療パターンにおいて、サブ開口部923は、角強膜網16を通って、部分的にぶどう膜15に延びてもよい。
いずれの場合も、レーザーが個々の手術体積のアレイ903に影響を与えるためにスキャンする際のレーザーの動きは、治療面積Aおよび厚さdを含む手術パラメータのセットによって定義される第3の治療パターンP3に従う。治療面積Aは、幅wと高さhによって定義され、中に個々のサブ治療面積のアレイを包含して全長の境界を確立する。幅wは、周方向角の周りの尺度によって定義され得る。例えば、幅wは、周方向角の周りの角度(例えば90度)によって定義され得る。
眼内のレーザー焦点の初期配置は、深度dと位置l(図示せず)を含む配置パラメータのセットによって定義される。位置lは、レーザー治療が開始される眼の周方向角の周りの点を定義し、一方、深さdは、治療が開始されるかまたは終了する、前房7とシュレム管18との間の点を定義する。
治療面積A内の各サブ治療面積は、ジオメトリの形状、例えば長方形、四角形、円形で定義される断面によって特徴付けられる。第3の治療パターンP3のレーザー適用に起因する個々の浅いサブ開口部923(図15bおよび15c)は、個々の手術体積903に類似しており、手術体積および治療パターンのものと同様の面積Aおよび厚さtによって特徴付けられる。深さdは、個々の手術体積903の端部を角強膜網16に配置する。結果として得られた個々の浅いサブ開口部923の厚さtは、シュレム管18からシュレム管の内壁18aを通って、部分的にのみ線維柱帯12に延びる。
前房7とシュレム管18との間の異なるレベルの房水流伝導度は、異なる手術パラメータセットを有する異なるレーザー治療パターンを使用して取得することができる。例えば、流れの伝導度は、典型的には、治療面積Aおよび厚さdのうちの1または複数の増加とともに単調に増加する。全体的な流れの伝導度と治療パターンおよび手術パラメータセットとの間の依存性は、モデル化によって、臨床研究を通じて経験的に、逐次近似によって、またはこれらの技術の組み合わせによって見出すことができる。治療パターンのモデル化の例については、後の房水流モデルのセクションに記載する。
非侵襲的レーザー手術−光切断レーザー空気圧による管形成術(Pneumatic Canaloplasty)
前述のフェムト秒レーザーの特性を用いて、統合手術システム1000の別の実施態様は、シュレム管18の空気圧拡張を通じて流出路の伝導度を改善する。レーザーと眼組織との相互作用により、微視的なガス泡が形成される。複数の微視的ガス泡の複合効果は、巨視的な量で過剰なガスとそれに伴う圧力が発生することである。過剰なガスとそれに伴う過剰な圧力は、レーザーの相互作用の位置から比較的遠く離れた組織の領域にまで伝播する可能性がある。例えば、過剰なガスは、多孔質眼組織を通ってシュレム管18内に入り、シュレム管18に沿って、そして集合管19に沿って移動することが可能である。ガスに伴う過剰な圧力は、眼組織の房水流出路、シュレム管18および集合管19の空気圧拡張をもたらす。
この空気圧拡張は、シュレム管18と集合管19の潰れた領域を開き、IOP下降効果のために流出を全般に増加させるために利用され得る。この実施態様では、統合手術システム1000は、眼組織に直接レーザー効果を及ぼすことなく、シュレム管18または集合管19の内側の流体に、または多孔質組織の空隙にレーザーを向けて集束させる。房水流出伝導性の増加は、眼組織のレーザーでの調節なしに、シュレム管18および/または集合管19と眼組織を空気圧で拡張することによってのみ達成される。重要なのは、レーザーによる直接的な組織損傷を避けることで、そうでなければレーザーで損傷した組織が引き起こすであろう治癒反応および瘢痕形成を最小限に抑えることである。このような瘢痕がない場合には、空気圧により拡張した構造体および組織を通る流出路の再閉鎖の可能性は回避される。
図16aおよび16bは、虹彩角膜角の前後の断面図を示しており、手術用レーザービーム701は、シュレム管18の空気圧拡張(図16bに示されている)に影響を与えるために、部分的に潰れたシュレム管18の内部に向けられる(図16aに示されている)。この場合、治療パターンP4は、シュレム管18の断面積に概ね対応する治療面積Aと、周方向角の周りの尺度によって定義される幅wとによって定義することができる。例えば、幅wは、周方向角の周りの角度(例えば90度)によって定義され得る。治療パターンP4の面積Aおよび幅wは、シュレム管18の内部に概ね対応する体積を定義する。
眼内のレーザー焦点の初期配置は、深度dと位置l(図示せず)を含む配置パラメータのセットによって定義される。位置lは、レーザー治療が開始される眼の周方向角の周りの点を定義し、深さdは、レーザー焦点の点をシュレム管18内に位置させる。実施態様では、周方向角の周りに間隔を置いて配置されたシュレム管の1または複数の位置を、レーザー適用のために選択することができる。位置は、シュレム管18の画像に基づいて選択することができる。
ある構成では、例えばOCTを用いて、周方向角の少なくとも一部の周りの複数の位置におけるシュレム管18の画像が取得される。各画像を処理して、シュレム管18の解剖学的特徴の尺度を決定する。このような解剖学的特徴は、シュレム管18の断面であり得、尺度は管の半径、直径または外周に対応し得る。画像は、その画像に関連する位置がレーザー送出に指定されるべきかどうかを判定するために、閾値尺度と比較して評価される。一実施態様では、閾値尺度は、少なくとも部分的に潰れた管を示すシュレム管18の半径、直径または外周である。患者の画像から導出された、対応する尺度が閾値尺度よりも小さい場合、画像が取得された位置がレーザ−ビーム送出のための位置として指定される。閾値尺度は、治療を受けている患者と同様の患者の尺度の臨床データベースから導出された所定の値であってよい。閾値尺度はまた、該患者について収集された全画像の分析を通じて導出することもできる。例えば、閾値尺度は、患者のシュレム管の画像から決定された最大値、または患者のシュレム管の画像から決定された尺度の平均値に対応し得る。
治療中、レーザービーム701によって作られた微視的なガス泡は、合体し、より大きな体積のガス泡930を形成する。この気泡が膨張することにより、シュレム管18とその周辺組織が拡張する。ガス泡930は、該組織の流体に数分間で溶解し、ガスおよび組織片が中に入っていない、拡張されたシュレム管を残す。この治療は、非侵襲的であり、組織調節を伴う治療から生じることが多い治療効果の長期的な低下なしに、所望の全体的なIOP下降が達成されるまで、IOPの漸進的な下降を得るために繰り返し行うことができる。
シュレム管18および/または集合管19の空気圧拡張は、典型的にはIOP低下をもたらす。したがって、統合手術システム1000の実施態様では、シュレム管18および/または集合管19の拡張が、モニターされて、レーザー治療をコントロールするために、例えば、許容可能な拡張が達成されたとき、または最大許容空気圧拡張に達したときに治療を停止するために、使用され得る。最大許容空気圧拡張とは、眼組織および構造体が損傷を受ける可能性のある、またはそれを超える拡張のレベルである。
例えば、1つの構成において、統合手術システム1000は、拡張の変化が観察することができるシュレム管18の画像を提供し得る。この目的のために、OCTイメージング装置300および外観観察装置400の一方または両方は、レーザー治療中にスクリーン上に表示するために、シュレム管18の現在の断面OCT画像または視覚画像を継続的に出力することができる。手術担当医は、治療中にこれらの画像を観察して、シュレム管18の断面寸法(例えば直径、半径、外周)が1)望ましい量だけその術前のサイズと比較して増加していること、または2)眼組織および構造体が損傷を受ける可能性がある拡張レベルに対応する尺度に近づいていることのいずれかを画像が示している場合に、レーザー治療の中止を決定することができる。
別の構成では、レーザー治療のコントロールは、統合手術システム1000によって実施される。この目的のために、統合手術システム1000のプロセッサは、治療中にシュレム管18のOCT断面画像または視覚画像を連続的に処理して、シュレム管の空気圧拡張を示す尺度を取得するためのアルゴリズムを実行する。上記尺度は、シュレム管18の断面寸法、例えば直径、半径、外周であってもよい。次に、プロセッサは、上記尺度を評価して、基準が満たされているかどうかを判定する。例えば、基準は、目標断面寸法値であることもあれば、ベースライン断面寸法値からの増加率であることもある。ベースライン値は、例えば、術前の断面積寸法値に対応していてもよい。プロセッサは、基準が満たされると、例えば目標値または増加率が満たされると、レーザー治療を中止する。基準が満たされていない場合、例えば目標値または増加率が満たされていない場合、プロセッサは、レーザー治療の続行を許可する。
房水流モデル
本明細書に開示の実施態様に従って、レーザー組織調節のための治療パターンは、Goldmannのモデルに由来する房水流モデルを用いてモデル化することができる。Goldmannのモデル(R. F. Brubaker, Experimental Eye Research 78 (2004) 633-637)では、IOP、房水流量および流動抵抗の関係について記載されている。本モデルは、次の式:
F=(Pi−Pe)*C+Uで記述され、式中、
Fは、新たに形成された房水の前房7への流入量であり、
Uは、ぶどう膜強膜流出量など、IOPに依存しないすべての管を介した房水の流出量であり、
Piは、大気圧に対する前房7内の圧力として定義されるIOPである。
Cは、前房7から出るすべての圧力依存経路の集合的な流体伝導度である。
Peは外眼圧(extraocular pressure)、すなわち、房水を排出する複数の別個の微視的な圧力管の総和である。
この式は、本質的に、静止流体流に対するオームの法則である。電子機器に例えると、FとUは電流に類似しており、水圧の差は電圧に類似しており、流体伝導度は電気抵抗の逆数である電子伝導度に類似している。(Pi−Pe)*C=F−U=定数の条件でのGoldmannの式は、房水流入量Fが一定である静止状態では、前房7と流出ドレイン圧力(outflow drain pressure)との間の圧力差(Pi−Pe)が集合的な流体伝導度Cに反比例することを示している。
図17は、この依存関係を双曲線のセットとして示しており、各線は、異なる定数パラメータF−Uに対応している。Goldmannのモデルの3つのパラメータ:1)前房7内のIOPであるPi、2)前房7を通過する流量であるF、3)前房7からから出るすべての圧力依存性経路の集合的な流体伝導度であるCは、ヒトの患者で測定することができる。更に、外眼圧Peの主要構成要素、すなわち上強膜静脈圧を推定することができる。このデータにより、医師は、図17の曲線のセットから特定の曲線で表される、所定の患者の房水流診断を決定することができる。この曲線は、治療のベースラインとして用いることができる。
眼内圧Piは、眼圧検査で測定できる。房水流量Fは、蛍光測定法で測定できる(例えば、Jones, R.F., Maurice, D.M., 1966. New methods of measuring the rate of aqueous flow in man with fluorescein. Exp. Eye Res. 5, 208-220参照)。集合的な流体伝導度Cまたは房水流出能は、トノグラフィによって、例えば荷重眼圧計(weighted tonometer)技術によって、測定することができる(例えば、Grant, W.M., 1950. Tonographic method for measuring the facility and rate of aqueous flow in human eyes. Arch. Ophthalmol. 44, 204-214参照)。眼圧測定は、取得するのに約4分を要し、これは一般に、荷重眼圧計から追加の圧力を受けた後に眼が安定するのに必要な時間に相当する。術前評価のためには、適切な条件下で患者を診断することが重要である。緑内障の薬物治療は、房水流入量Fを減少させる。したがって、患者が一時的に薬剤を服用しない状態で房水流入量Fの測定を行うか、IOP下降剤の影響について流量測定を補正する必要がある。
Goldmannのモデルのパラメータが術前の測定により確立されれば、図17に示すように(Pi−Pe)対Cの双曲線を描くことができる。この曲線は、所望の流出調節およびIOP減少のための、治療面積Aおよび厚さdなどの手術治療パターンパラメータの選択の基礎を形成する。
他の研究(M. A. Johnstone; The Aqueous Outflow System as a Mechanical Pump; J Glaucoma 2004;13:421-438)では、房水流と連動した組織の変形を通じてフィードバック機構を提供し、IOPを調節することが可能な、線維柱帯12およびシュレム管18内の組織構造体および機械的シグナル伝達機構のエビデンスが示されている。これらのコントロール機構はまだ完全には理解されておらず、単純なGoldmannのモデルでは説明できない。複合モデルには、房水流量のコントロールされた部分をGoldmannのモデルに加えたものを含めることができる。
図18を参照するに、電子機器の例えを更に発展させ、房水流の回路図を作成することができる。回路図は行と列で記述することができ、各行は、例えばRu1+Ru2....+Run、Rsc1+Rsc2...+Rscn等、同様のタイプの回路コンポーネントで表され、各列は、すべてのタイプの回路コンポーネントのうちの1つで示される(例えばRu1+Rsc1+Rj1+Rs1+Rc1)。この図では、電流FおよびUを有する定電流源は、それぞれ、房水流入量Fおよび房水流出量Uの圧力非依存部分を表す。流入電流Fは、Uc、UおよびTの3つの経路に分かれている。これら4つの構成要素は、以下の式によって定義される。
T=F−U−Uc、式中、
Fは、新たに形成された房水の前房7への流入量であり(Goldmannの式からのF)、
Uは、ぶどう膜強膜流出量など、IOPに依存しないすべての管を介した房水の流出量であり(Goldmannの式からのU)、
Ucは、眼のフィードバック機構によってコントロールされる経線維柱帯房水流出の一部1400であり、
Tは、図18において電流計の試験点1401によって表される線維柱帯の房水流の流れ(trabecular flow current)である。
図4を参照するに、Tは矢印40によって表され、Uは矢印42によって表される。GoldmannのモデルUでは、ぶどう膜強膜流出路42だけでなく、すべての圧力非依存性流出管を表すため、図4のこの表現は模式的である。いくつかの臨床研究は、圧力に依存しない流れUの量が房水流入量Fの約10パーセントであることを示している。それでも、UとTは、図18にもコールアウト42と40でラベル付けされている。回路図では、下側の等電位線7はIOP Piを表し、上側の等電位線31は外眼圧Peを表す。電圧源1402は、電位差Pi−Peを維持する定電圧源を表す。抵抗は、組織の流体伝導度の逆数を表す。
生体力学的特性に関しては、眼組織は連続的である。図18は、連続的な組織媒体の離散化モデルである。組織の体積は小さなセグメントに分割され、i=1...nのインデックスiでラベル付けされる。セグメントが十分に小さい場合、離散的な表現は、媒体の連続特性を正確に記述する。例えばn=360の場合、回路図は、i=1から360までのインデックスが付けられた各セグメントが360度の周方向角の1度のセグメントに対応する、周方向角の全体を表すことができる。組織の分割とインデキシングには、他のジオメトリの寸法に沿った分割を更に含めることができる。Ansys社(ペンシルべニア州キャノンスバーグ)のANSYSまたはCOMSOL社(マサチューセッツ州バーリントン)のCOMSOLなどの有限要素モデリングソフトウェアは、この種のモデリングおよび対応する方程式の解を日常的に取り扱うことができる。抵抗Ru、RcsおよびRjは、それぞれ、線維柱帯12の3つのサブ層である、ぶどう膜15、角強膜網16、傍シュレム管組織17を表している。抵抗Rsiは、シュレム管18を表す。Rs1とRsnは線で接続されており、Rsi抵抗が円を形成していることを示しているため、シュレム管18の円形をモデル化していることに注意されたい。抵抗Rcは、集合管19を表す。
手術によるIOPの正確なコントロール
図19a、19bおよび19cを参照するに、図18の回路図を用いて、異なる治療パターンをモデル化することができる。例えば、図11bに示される深いチャネル開口部920をもたらす治療パターンP1は、図19aに示されている面積920において抵抗Ru、RcsおよびRj(それぞれ、ぶどう膜15、角膜強膜網16、傍シュレム管組織17に対応する)の値をゼロに変化させることによってモデル化され得る。この回路モデルにおいて、面積920は、幅2列、深さ3行であると説明することができ、列数は治療パターンの幅wを定義し、行数は治療パターンの厚さtを定義する。
図14bに示される浅いチャネル開口部921をもたらす治療パターンP2は、図19bに示されている面積921において抵抗Rj(傍シュレム管組織17に対応する)の値をゼロに変化させることによってモデル化され得る。この回路モデルにおいて、面積921は、幅2列、深さ1行であると説明することができ、列数は治療パターンの幅wを定義し、行数は治療パターンの厚さtを定義する。
図16bに示されるシュレム管18の空気圧拡張930をもたらす治療パターンP4は、図19cに示されている面積931において抵抗Rs(シュレム管18に対応する)の値をゼロに減少させることによってモデル化され得る。この回路モデルにおいて、面積931は、幅2列、深さ1行であると説明することができ、列数は治療パターンの幅wを定義し、行数は治療パターンの厚さtを定義する。
他のジオメトリの形状を有するパターンも同様に、回路図および有限要素解析でモデル化することができる。
本明細書に開示の実施態様では、房水流出の所望の変化のための組織調節(または外科的切断)のサイズおよび形状を定義する手術パラメータのセットによって特徴付けられる初期治療パターンが決定される。初期治療パターンに従ったレーザー治療を行い、臨床転帰を判定する。臨床転帰が許容できれば治療は終了し、そうでなければ後続の治療パターンが決定され、レーザー治療が繰り返される。
図21は、図18の房水流モデルを用いて治療パターンを設計する方法のフローチャートである。この方法は、図7〜10bの統合手術システム1000の1または複数のコンポーネントによって実施され得る。例えば、コントロールシステム100は、プロセッサと、プロセッサが図21の方法を実行または実施できるようにする命令を記憶するプロセッサに結合されたメモリとを含んでもよい。また、図21の方法は、統合手術システム1000とは別のプロセッサおよびメモリによって実施されてもよい。
ステップ1500では、治療されるべき眼の術前流出パラメータが取得されるか、または導出される。これらの尺度には、1)前房内のIOP、2)集合的な流体伝導度C、および3)シュレム管の流動抵抗Rsの、術前尺度が含まれる。IOPは、既知の技術を用いて取得することができる。集合的な流体伝導度Cは、術前のIOP測定および荷重眼圧検査(weighted tonometry)から決定され得る。シュレム管の流動抵抗Rsは、OCTイメージング装置300で管の断面を測定し、管内の房水の層流に関する流体力学的流動方程式を適用することによって決定され得る。円形断面を有すると仮定されるシュレム管18については、解析公式を適用することができる。任意の断面については、流動抵抗は、例えばANSYSまたはCOMSOLによる有限要素解析によって計算することができる。
ステップ1502では、流出パラメータは、房水流の電気回路モデルに適用される。この目的のために、図18のフローモデルは、術前の測定と、眼内の様々な組織からの流動抵抗の相対的寄与に関する研究のデータとに基づいて、簡略化することができる。例えば、線維柱帯12を通る抵抗は、シュレム管18の内壁18aと傍シュレム管組織17に集中していることが研究により示されている。例えば、Hann CR,Vercnocke AJ,Bentley MD,Jorgensen SM,Fautsch MP.Anatomic changes in Schlemm’s canal and collector channels in normal and primary open−angle glaucoma eyes using low and high perfusion pressures.Invest Ophthalmol Vis Sci.2014;55:5834 5841.DOI:10.1167/iovs.14−14128;Rosenquist R,Epstein D,Melamed S,Johnson M,Grant WM.Outflow resistance of enucleated human eyes at two different perfusion pressures and different extents of trabeculotomy.Curr Eye Res.1989;8:1233−1240を参照のこと。更に、これらの研究は、低灌流圧では流出抵抗の最大50%がシュレム管18、集合管19および上強膜静脈系に起因し、より高い潅流圧ではこれらの構成要素による流出抵抗の影響は小さいが重要であるとしている。これらの研究に基づいて、図18のフローモデルは、ぶどう膜15および角膜強膜網16が流出抵抗に寄与せず、したがって図からRu抵抗およびRcs抵抗を削除すると仮定することにより簡略化され得る。この簡略化モデルを図20aに示す。
ステップ1502および図20aの簡略化モデルを続けると、モデリングプロセスは、回路図の構成要素について解くことによって続いて行く。RciおよびRjiは、C=1/Rの関係から決定され、ここで、Rは、すべてのインデックス付き抵抗Rc、Rs、Rjの複合抵抗であり、Cは、ステップ1500で取得された集合的な流体伝導度に対応する。更に、円形対称を仮定すると、特定の組織のインデックス付き抵抗はすべて同じであり、円形対称は、シュレム管18が周方向角に沿って同じ断面を有し、線維柱帯12が周方向角に沿って同じ厚さと多孔度を有し、集合管19は周方向角に沿って均等に分布している状態に相当する。この場合、シュレム管の抵抗Rsiは等電位面上にある。かつ、等電位面上では、該面に平行に電流が流れることはない。更に、流動抵抗に影響を与える(例えば線維柱帯の孔を詰まらせる)疾患の場合、該疾患は、周方向角に沿って同じように組織に影響を与えると推定される。上記に基づき、図20aの図では、Rj1=Rj2=...=Rjn、Rc1=Rc2=...=RcnおよびRs1=Rs2=...Rsn。
更に簡略化されたモデルが図20bに示されており、ここでは、対称の場合、シュレム管18内に流れがないため、すべてのRs値を削除することができる。この文脈において、「流れなし」とは、シュレム管18内に房水の周方向の流れがない状態をいう。流れがないことは、線維柱帯12から管18を通って、集合管19へ直接入る房水の自然な流れを妨げるものではない。図20bを続けると、この簡略化モデルを解いて、RcとRjの値を決定することができる。線維柱帯の抵抗および集合管抵抗の等しい重み付けにより、Rci=Rji=n/2Cであり、ここで、nは任意の数であり、例えば、周方向角に沿った1度の分解能の場合は360であり、Cはステップ1500で取得された集合的な流体伝導度である。この方程式の解は、円形対称を仮定し、Rsを削除した場合にのみ得られる。
ステップ1504では、図20aの簡略化モデルは、テスト治療パターンおよび既知の回路構成要素の値に基づいて修正される。例えば、図20cを参照するに、図14bおよび14cに示されるテスト治療パターンP2に類似したテスト治療パターンを、Rj抵抗の値を面積921においてゼロに設定し、Rj抵抗の残りをステップ1502で取得された値に設定することによってモデル化することができる。また、Rc抵抗は、ステップ1502で取得された値に設定され、一方、Rs抵抗は、ステップ1500で取得された値に設定される。面積921内のRj抵抗の値をゼロに設定した後は、面積921内のRj抵抗の値がゼロであるため、円形対称の仮定はもはや成立しない。
ステップ1506では、このモデルに基づくIOPの尺度が取得される。この尺度は、本明細書ではモデルIOPと呼ぶ。このようにして、図20cの回路図モデルに示されるようなテスト治療パターンをモデル化した後、プロセスは図20aの回路図モデルに戻り、ここで、図20cのテスト治療パターンから生じるであろう、Goldmannの式の流出ドレイン圧力(Pi−Pe)が計算される。この流出ドレイン圧力は、本明細書では、外科的に調節された圧力または術後圧力と称し、(Pi−Pe)opと記す。図20cのモデルに示されているような特定の位置に外科的開口部があると、円形対称をもはや仮定することはできないため、このプロセスは図20aのモデルに戻る。したがって、Rj1=Rj2==Rjn、Rc1=Rc2=...=RcnおよびRs1=Rs2=...Rsnという簡略化はもはや適用されないため、非対称の場合のモデルを解く必要がある。
この目的のために、ステップ1500および1502で取得されたRji、RsiおよびRci抵抗のそれぞれの値は、組織が無傷のまま残されている各抵抗位置で使用され、Rji=0の値は、組織がチャネル開口部を作り出すように調節される面積921において使用される。術後圧力(Pi-Pe)postopは、新しい複合抵抗Rpostop=1/Cpostopと術前流量F−UをGoldmannの式に挿入して、(Pi-Pe)postop=(F−U)*Rpostopを解くことによって決定することができる。このプロセスでは、流量F−Uは、手術によって調節されないことを前提とする。同様に、術前の外眼圧(Pe)preopと術後の外眼圧(Pe)postopは等しいため、外眼圧Peは、線維柱帯12とシュレム管18に加えられた手術効果に依存しない。したがって、眼内圧の変化△Pi=(Pi-Pe)postop−(Pi-Pe)preop。外眼圧Peの実測値は、眼内圧の変化△Piの決定には不要である。また、眼内圧の変化△Piを、モデル化されたIOPとして使用することもできる。あるいは、△Pi=(Pi)preop−(Pi)postopの関係に基づいて、△Piと(Pi)preopの値が既知であれば、(Pi)postopの値を取得できる。
ステップ1508で、モデルIOPを目標眼圧に対して評価する。例えば、△Piの値を、5mm Hgの低下のような、IOPの所望の低下に対応する目標IOPと比較することができる。または(Pi)postopの値を、15mm Hgのような、IOPの所望の値に対応する目標IOPと比較することができる。ステップ1510において、評価結果が肯定的である場合、すなわちモデルIOPが目標IOPを満たした場合、モデリングプロセスは、ステップ1512で終了する。しかし、ステップ1510において評価結果が否定的であり、モデルIOPが目標IOPを満たさなかった場合、モデル化プロセスはステップ1504に戻り、そこでテスト治療パターンが修正され、残りのプロセスが繰り返される。テスト治療パターンは、目標IOPが達成されるまで反復的に修正されることがある。
初期治療パターンを決定するために記載された方法は、それらの術前診断に基づいて、個々の患者に固有のものである。手術治療を実施するために、初期治療パターンが手術システム1000のコントロールシステム100内にプログラムされ、前の段落で説明したように、また、図12のブロック図のとおり、治療パターンが手術体積を切除またはそれに影響を与えるのと一致して、レーザー治療が実施される。
あるいは、フェムト秒レーザーまたはELT手術による過去の手術から得られた経験的結果を考慮することによって、初期治療パターンを決定することができる。十分な量のデータの収集は、ノモグラムの構築を可能にし、ノモグラムでは、治療パターンおよび関連する手術パラメータのセットを迅速に決定したり、図または表にしたデータとのグラフィカルな関連付けにより検索したりすることができる。コンピュータアルゴリズムは、手術計画を構築するために以前の手術からのデータも利用できる。
図22は、IOP測定および手術の連続する複数のステップで正確なIOP下降を達成する方法のフローチャートである。この方法は、図7〜10bの統合手術システム1000の1または複数のコンポーネントによって実施され得る。例えば、コントロールシステム100は、プロセッサと、プロセッサが図22の方法を実行または実施できるようにする命令を記憶するプロセッサに結合されたメモリとを含んでもよい。
ステップ1600では、患者についてIOP基準が決定される。IOP基準は、患者にとって許容可能な転帰と考えられる目標IOPであり得る。もう1つのIOP基準は、患者の高い術前IOPに対する現在のIOPの閾値低下であり得、患者にとって許容可能な転帰であると考えられる。IOP基準は、患者から取得されたIOPの実際の尺度(actual measures)に基づくものでもよい。例えば、12〜22mm Hgの範囲のIOPは、正常とみなされる。したがって、目標IOPは、12〜22mm Hgに相当し得る。IOPの閾値低下は、例えば、患者の高い術前IOPから少なくとも20%の低下に相当し得る。更に別のIOP基準は、眼を傷つけないために必要な最小IOPであってもよい。例えば、IOPは、低眼圧と考えられる10mm Hgを下回ってはならない。術後の低眼圧は、網膜血管の充血、視神経乳頭の腫れ、脈絡膜および網膜のしわにつながる可能性がある。
別の構成では、IOP基準は、実際のIOP尺度の代替として機能する解剖学的な寸法尺度に基づく場合がある。図16aおよび16bを参照して上述したように、断面寸法、例えばシュレム管18の直径、半径、外周または断面積が、IOPの尺度として役立つことがある。例えば、網羅的スペクトル領域OCTにより測定される断面積4064+/−1308μmを有するシュレム管18は、正常と考えられる。(Kagemann L, et al.Br J Ophthalmol 2014, 98(Suppl II): ii10-ii14)したがって、目標IOPは、2756〜5372μmの範囲の断面積に相当し得る。IOPの閾値低下は、例えば、患者の術前断面積からシュレム管18の断面積が少なくとも30%の増加することに対応し得る。更に別のIOP基準は、眼を傷つけないために超えてはならない最大直径であってもよい。
ステップ1602では、OCTビーム301が角膜3と前房7を通って虹彩角膜角13に送出される。一実施態様では、OCTビーム301は、分解能が約5μメートル以下であり、OCTビームを角膜3に結合したウィンドウ801とウィンドウに結合した出射レンズ710とを含む第1の光学サブシステム1001に向けることによって、虹彩角膜角13に送出される。
ステップ1604では、第1の光学サブシステム1001を介して虹彩角膜角に送出されたOCTビーム301に基づいて、虹彩角膜角13の一部のOCT画像が取得される。この目的のために、OCT戻りビーム301が第1の光学サブシステム1001を介して受信され、既知のOCTイメージング技術を使用してOCTイメージング装置300で処理される。
ステップ1606において、初期治療パターンP1、P2、P3は、初期治療パターンのレーザー適用のために、眼内の対応する位置と共に決定されるか、または設計される。初期治療パターンは、図21の方法に従って設計され得る。治療パターンは、治療面積Aおよび治療厚さtを含むパラメータのセットによって定義され得る。治療面積Aは、高さhおよび幅wによって定義されてもよく、ここで、幅は、周方向角の周りの尺度によって定義され得る。lの位置は、治療パターンのレーザー適用が行われる周方向角の周りの位置を示す。このパターンは、例えば上記の房水流モデルを用いて、IOP基準を満たすように設計することができる。例えば、IOP基準は、患者の術前IOPを一定割合低下させるという目標を表し得る。先に述べたように、治療パターンP1、P2、P3は、レーザーによって調節されるべき眼組織の3次元モデルを定義する。したがって、治療パターンP1、P2、P3に従って組織を調節するレーザーは、治療パターンの3次元モデルに類似する手術体積900、901、903に影響を与えるか、またはそれらを生成する。
ステップ1608では、OCTビーム301とレーザービーム201の各々が、角膜3および前房7を通って虹彩角膜角13に送出される。一実施態様では、OCTビーム301およびレーザービーム201は、実質的に等しい分解能、例えば約5マイクロメートル以下を有し、各ビームは、角膜3に結合されたウィンドウ801と、ウィンドウに結合された出射レンズ710とを含む第1の光学サブシステム1001に各ビームを向けることによって、虹彩角膜角に送出される。OCTビーム301およびレーザービーム201は、例えばビームを多重化することによって、同じ光路に沿って第1の光学サブシステム1001に非共線的向けることができる。あるいは、OCTビーム301およびレーザービーム201は、空間的に分離されたかまたは角度が付いた光路に沿って、同時に第1の光学サブシステムに非共線的に向けられてもよい。
ステップ1610において、一実施態様では、レーザービーム201を初期治療パターンP1、P2、P3に従って適用して、線維柱帯流出路40内の眼組織の体積900、901、903を調節して、線維柱帯12、シュレム管18、および1または複数の集合管19、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を低減するチャネル開口部を形成する。この目的のために、330ナノメートルから2000ナノメートルの間の波長を有するレーザービーム201を、初期治療パターンに従って多方向にスキャンすることにより、初期治療パターンP1、P2、P3の3次元モデルに類似する手術体積900、901、903に影響を与えるか、またはそれらを生成することができる。
レーザービーム201は、連続的に、または10フェムト秒から1ナノ秒の間のパルス持続時間を有する複数のレーザーパルスとして、適用することができる。レーザービーム201は、眼組織と光切断相互作用を引き起こし、経路抵抗を減少させるか、または新たな流出路40を作り出す。初期治療パターンに応じて、眼組織との光切断相互作用は、例えば、1)図11bに示すような、前房とシュレム管を接続する線維柱帯網を通って開かれた深いチャネル開口部920、2)図14bのような、傍シュレム管組織17を通って、部分的に角膜強膜網16に延びる浅いチャネル開口部921、または3)図15bのような、傍シュレム管組織17を通って、部分的に角膜強膜網16に延びる浅いサブ開口部923のアレイ、を作リ出すことができる。治療パターンの異なる設計に基づいて、複数のタイプのチャネル開口部が作リ出されることがある。
別の実施態様では、ステップ1610において、レーザービーム201が初期治療パターンに従って適用され、管の内部にレーザービーム201を適用することによって、シュレム管18および1または複数の集合管19の空気圧拡張を生じさせる。初期治療パターンは、眼組織の調節を避けるために、シュレム管18の内側にレーザービーム201の焦点を配置する。レーザービーム201は、330ナノメートルから2000ナノメートルの間の波長を有し、初期治療パターンの手術パラメータに従ってスキャンされ、それにより、上で図16Bを参照して述べたように、シュレム管18の空気圧拡張に影響を与える微視的なガス泡を形成する。
ステップ1612では、房水流が眼内で安定するのを可能にするための短い期間の後に、現在の、術後のIOP尺度(例えば実際のIOP尺度または解剖学的尺度)が取得され、ステップ1600で決定されたIOP基準に対して評価される。ステップ1614において、ステップ1612での評価結果が許容可能であれば、プロセスはステップ1616に進み、そこで手術手技は終了する。例えば、術後IOPが目標IOPであるかそれ以下であるとき、または術後IOPが患者の術前IOPに比べて許容できる下降を示すときなどは、評価結果は許容可能であり得る。
ステップ1614に戻って、評価結果が許容できない場合、プロセスはステップ1618に進み、後続の治療パターンと治療パターンのレーザー適用のための眼内の対応する位置とを決定する。その後、ステップ1608および1610を、後続の治療パターンを用いて繰り返し、評価ステップ1612および1614がこれに続く。治療パターン修正、レーザー治療および評価のこれらの連続したステップは、ステップ1612及び1614の評価結果が許容可能となるまで、再度繰り返すことができる。
ステップ1618に関して、後続の治療パターンは、初期治療パターンを決定するために使用される図21の房水流モデル法を用いて決定され得る。代替的に、後続の治療パターンは、初期治療パターンの1または複数の手術パラメータの変化を伴う初期治療パターンに基づいてもよい。例えば、後続の治療パターンは、初期治療パターンと同じ治療面積Aを有し得るが、厚さdが増加する。または、新規の治療パターンの厚さtは、治療面積Aの増加を伴う初期治療パターンと同じであってもよい。後続の治療パターンのための後続の位置lは、眼の周方向角の周りのどこにパターンを配置してもよい。例えば、位置lは、後続の治療パターンを、初期治療パターンから周方向角の周り180度に配置してもよいし、初期治療パターンに近い位置になるような角度に置いてもよい。場合によっては、後続の治療パターンが初期治療パターンにすぐ隣接して位置することもあれば、部分的に初期治療パターンと重なるように位置することもある。場合によっては、後続の治療パターンが初期治療パターンと同じであってもよく、唯一の変化は周方向角の周りの位置lの変化である。
術後数分以内にIOPの変化が観察でき、IOPが安定するまでに数日を要することがある。したがって、手術の連続したステップの間で待つことが有利である。IOPの安定化にはいくつかのプロセスが含まれ、関連する所要時間がいくつかある。眼への機械的な障害は、手術システム1000を眼に取り付けるとき、または荷重眼圧検査によって発生する。これらの機械的な障害の後、眼が安定するには数分、最大10分かかる。レーザーにより生じたガス泡は、ガスが眼組織内に分散および溶解するまで、術後評価を妨げる可能性がある。ガスは、およそ30分以内に組織に溶ける。短期障害後の眼の安定化により、同日中の再治療が可能となり、治療施設への再来院のために患者のスケジュールを再調整する必要がなくlなる。外傷、免疫応答および炎症に対する細胞の反応は、開始するのに1日、解消するのに数日を要することがある。したがって、術後同日のIOP測定には大きな影響はない。長期的な治癒効果は、術後数カ月間持続する可能性がある。これらの所要時間は、一連の手術、再評価および再治療の間の重み付け期間が考慮される。異なる時間に複数の測定を行うことで、より高い精度で将来のIOP値を予測することができる。
本開示の様々な態様は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供される。本開示を通して提示される例示的な実施態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであろう。したがって、特許請求の範囲は、本開示の様々な態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲が認められるべきである。当業者に知られている、または後に知られるようになる、本開示を通して記載される例示的な実施態様の様々な構成要素とのすべての構造的および機能的同等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に含まれることが意図される。更に、特許請求の範囲に記載されているかどうかにかかわらず、本書で開示されている内容は、公衆に捧げることを意図するものではない。米国特許法第112条の規定に基づいて、クレームの要素は、その要素が「〜のための手段(means for)」という表現を用いて明示的に記述されているか、または方法クレームの場合には「〜のためのステップ(step for)」という表現を用いて記載されていない限り、解釈されるべきではない。
本明細書に記載される本発明の実施態様は本発明の原理の適用の単なる例示であることを理解されたい。図示された実施態様の詳細に対する本明細書での言及は、それ自体が本発明に不可欠であるとみなされる特徴を列挙する特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。

Claims (28)

  1. 角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管、およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させる方法であって、
    光干渉断層撮影(OCT)ビームおよびレーザービームの各々を、角膜および前房を通って虹彩角膜角に送出することと;
    流出路内の眼組織の体積を画定している眼組織にレーザービームを適用し、それによって経路抵抗を減少させるかまたは新たな流出路を作成するための眼組織との光切断相互作用を引き起こすことにより、前記体積を調節して、線維柱帯、シュレム管、および1つ以上の集合管、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を減少させることと
    を含み、
    眼組織の調節された体積が、線維柱帯を少なくとも部分的に通るチャネル開口部を提供する、
    方法。
  2. 眼組織の調節された体積の少なくとも一部が、シュレム管の壁と前房の間に延びており、
    チャネル開口部が、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房と流体連通している第2の端部とを有する、
    請求項1に記載の方法。
  3. 眼組織の調節された体積が、シュレム管の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、
    チャネル開口部は、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する、
    請求項1に記載の方法。
  4. 前房とシュレム管の壁との間の眼組織が、傍シュレム管組織、角膜強膜網およびぶどう膜のうちの1つを含み、
    チャネル開口部の第2の端部が傍シュレム管組織、角膜強膜網およびぶどう膜のうちの1または複数で終端する、
    請求項3に記載の方法。
  5. 眼組織の調節された体積は、前房の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、
    チャネル開口部は、前房との流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する、
    請求項1に記載の方法。
  6. 前房とシュレム管の壁との間の眼組織が、傍シュレム管組織、角膜強膜網およびぶどう膜のうちの1つを含み、
    チャネル開口部の第2の端部が傍シュレム管組織、角膜強膜網およびぶどう膜のうちの1または複数で終端する、
    請求項5に記載の方法。
  7. 眼組織の1または複数の追加の体積を調節することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  8. 眼組織の1または複数の追加の体積と組み合わせた眼組織の体積が、複数のチャネル開口部を形成する、請求項7に記載の方法。
  9. 角膜と、前房と、線維柱帯、シュレム管、およびシュレム管から分岐する1つ以上の集合管から形成される房水流出路を含む虹彩角膜角とを有する眼の眼内圧を低下させるための統合手術システムにおいて、システムが、
    角膜に結合されるように構成された集束対物レンズを含む第1の光学サブシステムと;
    レーザービームを出力するように構成されたレーザー源、ならびにレーザービームの調整、スキャンおよび方向付けのうちの1または複数を行うように構成された複数のコンポーネントを含む第2の光学サブシステムと;
    第2の光学サブシステムと結合されたコントロールシステムであって、
    角膜および前房を通って虹彩角膜角に送出するためにレーザービームを出力することをレーザー源に指示するように、ならびに
    流出路内の眼組織の体積を画定している眼組織にレーザービームを適用し、それによって経路抵抗を減少させるかまたは新たな流出路を作成するための眼組織との光切断相互作用を引き起こすことにより、前記体積を調節して、線維柱帯、シュレム管、および1つ以上の集合管、のうちの1または複数に存在する経路抵抗を減少させることをレーザー源に指示するように構成されているコントロールシステムと
    を備え、
    眼組織の調節された体積が、線維柱帯を少なくとも部分的に通るチャネル開口部を提供する、統合手術システム。
  10. 調節された眼組織の体積の少なくとも一部が、シュレム管の壁と前房の間に延びており、
    チャネル開口部が、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房と流体連通している第2の端部とを有する、
    請求項9に記載のシステム。
  11. 眼組織の調節された体積が、シュレム管の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、
    チャネル開口部は、シュレム管と流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する、
    請求項9に記載のシステム。
  12. 眼組織の調節された体積は、前房の壁と、前房とシュレム管の壁の間の眼組織の層との間に延び、
    チャネル開口部は、前房と流体連通している第1の端部と、前房とシュレム管の壁との間の眼組織の層で終端する第2の端部とを有する、
    請求項9に記載のシステム。
  13. 流体を中に含むシュレム管とシュレム管から分岐する1つ以上の集合管とを有する眼の眼内圧を低下させる方法であって、
    レーザービームをシュレム管内に送出すること;および
    レーザービームとシュレム管内の流体との光切断相互作用によって生成されたガスに、シュレム管を拡張する空気圧効果を持たせること
    を含む、方法。
  14. レーザービームをシュレム管に送出することは、シュレム管の周囲の組織を調節しない、請求項13に記載の方法。
  15. レーザービームを送出するシュレム管の1または複数の位置を特定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
  16. 眼が周方向角を含み、シュレム管の1または複数の位置が周方向角の少なくとも一部の周りに離間している、請求項15に記載の方法。
  17. 眼が周方向角を含み、シュレム管の1または複数の位置を特定することが、
    周方向角の少なくとも一部の周りの複数の位置でシュレム管の画像を取得すること;および
    各画像ごとに:
    画像を処理して、シュレム管の解剖学的特徴の尺度を決定することと、
    決定された尺度の閾値尺度に対する評価に基づいて、画像が取得された位置をレーザービーム送出のためのシュレム管の位置として指定することと
    を含む、請求項15に記載の方法。
  18. 閾値尺度が少なくとも部分的に潰れた管を示し、解剖学的特徴の尺度が閾値尺度よりも小さい場合に、レーザービーム送出のための位置として、画像が取得された位置が指定される、請求項17に記載の方法。
  19. シュレム管の画像が断面画像を含み、解剖学的特徴がシュレム管の断面である、請求項18に記載の方法。
  20. 許容可能な空気圧拡張についてシュレム管をモニターすることと;
    許容可能な空気圧拡張が検出されたときにレーザービームの送出を停止することと
    を更に含む、請求項13に記載の方法。
  21. 許容可能な空気圧拡張についてモニターすることが、
    レーザービームが送出されている間にシュレム管のOCT画像を取得すること;
    前記画像を処理して、前記管の空気圧拡張を示す尺度を取得すること;および
    前記画像を、許容可能な空気圧拡張の基準に対して評価すること
    を含む、
    請求項20に記載の方法。
  22. 角膜と、流体を中に含むシュレム管と、シュレム管から分岐する1つ以上の集合管とを有する眼の眼内圧を低下させるための統合手術システムであって、
    角膜に結合されるように構成された集束対物レンズを含む第1の光学サブシステムと;
    レーザービームを出力するように構成されたレーザー源、ならびにレーザービームの調整、スキャンおよび方向付けのうちの1または複数を行うように構成された複数のコンポーネントを含む第2の光学サブシステムと;
    第2の光学サブシステムと結合されたコントロールシステムであって、
    第1の光学サブシステムおよび角膜を通ってシュレム管に送出するためにレーザービームを出力することをレーザー源に指示するように、ならびに
    レーザービームとシュレム管内の流体との光切断相互作用によって生成されたガスが、シュレム管を拡張する空気圧効果を有するように
    構成されているコントロールシステムと
    を備える、統合手術システム。
  23. シュレム管に送出されるレーザービームが、シュレム管の周囲の組織を調節しない、請求項22に記載のシステム。
  24. コントロールシステムが、レーザービームを送出するシュレム管の1又は複数の位置を特定するように更に構成されている、請求項22に記載のシステム。
  25. 眼が周方向角を含み、第2の光学サブシステムが、光干渉断層撮影(OCT)ビームを出力するように構成されたOCTイメージング装置を含み、コントロールシステムは、
    第1の光学サブシステムと角膜を通ってシュレム管にOCTビームを出力することをOCTイメージング装置に指示するように、
    周方向角の少なくとも一部の周りの複数の位置でシュレム管のOCT画像を取得するように、ならびに
    各画像ごとに:
    前記画像を処理して、シュレム管の解剖学的特徴の尺度を決定するように、および
    決定された尺度の閾値尺度に対する評価に基づいて、前記画像が取得された位置をレーザービーム送出のためのシュレム管の位置として指定するように
    更に構成されていることによって、シュレム管の1または複数の位置を特定する、請求項22に記載のシステム。
  26. 閾値尺度が少なくとも部分的に潰れた管を示し、解剖学的特徴の尺度が閾値尺度よりも小さい場合に、レーザービーム送出のための位置として、画像が取得された位置が指定される、請求項22に記載のシステム。
  27. コントロールシステムが、許容可能な空気圧拡張についてシュレム管をモニターするように、および
    許容可能な空気圧拡張が検出されたときにレーザービームの送出を停止することをレーザー源に指示するように
    更に構成されている、請求項22に記載のシステム。
  28. 第2の光学サブシステムが、光干渉断層撮影(OCT)ビームを出力するように構成されたOCTイメージング装置を含み、コントロールシステムは、
    レーザービームが送出されている間、第1の光学サブシステムと角膜を通ってシュレム管にOCTビームを出力することをOCTイメージング装置に指示するように;
    レーザービームが送出されている間、シュレム管のOCT画像を取得するように;
    前記画像を処理して、前記管の空気圧拡張を示す尺度を取得するように;および
    前記画像を、許容可能な空気圧拡張の基準に対して評価するように
    更に構成されていることによって、許容可能な空気圧拡張についてシュレム管をモニターする、
    請求項27に記載のシステム。
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