光検出器は、入射光子に応答して電気信号を生成するデバイスである。光検出器又は光センサーは、光又はその他の電磁エネルギーが入射するとその強度に応答する。半導体光検出器は、光の光子を電流に変換するp−n接合を有する。吸収された光子は、空乏領域で電子−正孔対を作る。光検出器の例には、フォトダイオード、フォトコンダクタ、及びフォトトランジスタがある。ある意味、太陽電池は、吸収した光エネルギーの一部を電気エネルギーに変換することから光検出器であって、電気エネルギーの量は適切な回路によって検知できる。
フォトダイオードは通常、p−n接合を基礎としている。フォトダイオードでは、十分なエネルギーの光子がデバイスに入射すると、電子−正孔対が生成される。吸収が、接合の空乏領域又はそこから1拡散長離れたところで起こると、空乏領域の内蔵電場によってキャリアが接合から除去されることで、正孔が陽極に移動し、電子が陰極に向かって移動して、光電流が生じる。
フォトコンダクタは、光を照射することで起こる半導体の伝導度の一時的な変化を検出するデバイスである。光子は光励起キャリアを生成し、光励起キャリアは、電極間に印加された電圧バイアスによって生じる電場によって取り出される。
フォトトランジスタはフォトダイオードに似ており、n型領域が更に追加されている。フォトトランジスタは、内部ゲインを有するフォトダイオードを含んでいる。それは、バイポーラトランジスタが透明ケースに収められており、光子がベース−コレクタ接合部に到達できるようになっていると表すことができる。ベース−コレクタ接合部において光子から生成された電子がベースに注入されて、電流が増幅される。
それら3種類の光検出器は夫々異なる特性を有しており、様々な用途に利用される。フォトトランジスタとフォトダイオードは同じようなレートで検出するが、フォトトランジスタの方が応答時間が遅い(フォトダイオードがナノ秒であるのに対して、フォトトランジスタはマイクロ秒である)。フォトトランジスタはゲインが高く、一方、フォトダイオードは温度による変化が少ない。
光検出器は様々な構成で使用できる。単一センサーが、全体的な光レベルを検出してよい。分光光度計やラインスキャナーのように、光検出器の一次元アレイが、線に沿った光の分布を測定するために使用されてよい。受光素子の二次元アレイが、そこに入射した光のパターンから画像を形成するイメージセンサーとして使用されてよい。
光検出器又はアレイは通常、反射防止コーティングを有する照明窓で覆われている。
光検出器を特徴付けて比較するための性能メトリック(所謂「性能指標(figure of merit)」)は、数多く存在している。性能メトリックの一つに、スペクトル感度(光子の周波数の関数である光検出器の応答)がある。別の性能メトリックとして、量子効率(QE:光子1個当たりで生成されるキャリア(電子又は正孔)の数)がある。更に別の性能メトリックとして、応答度(R;光検出器に当たる総光パワーで出力電流を割った値。R=QE/Ephoton(Ephotonは光子のエネルギー(eV))がある。更に別の性能メトリックとして、ノイズ等価電力(NEP;最小検出可能電力、即ち、帯域幅が1Hzに限定されている場合において、検出器の電気信号対雑音比がユニティー(0dB)になる光信号)がある。更に別の性能メトリックとして、比検出力(D*;検出器の面積A掛ける周波数帯域Bの平方根をノイズ等価電力で割った値;D*=[√(AB)]/NEP)がある。更に別の性能メトリックとして、ゲイン(G;光検出器の出力電流を、光検出器に入射した光子で直接生じる電流で割ったもの。即ち、内蔵電流ゲイン)がある。更に別の性能メトリックとして、暗電流(Id:光がない状態で光検出器に流れる電流)がある。更に別の性能メトリックとして、応答時間(τ;光検出器が最終出力の10%から最終出力の90%になるために要する時間)がある。更に別の性能メトリックとして、ノイズスペクトル(周波数の関数としての固有のノイズ電圧又は電流。これは、ノイズスペクトル密度の形で表すことができる)がある。更に別の性能メトリックとして、非線形性がある(RF出力は光検出器の非線形性によって制限される)。更に別の性能メトリックとして、スペクトル選択性(応答信号がノイズレベルと同等かそれよりも小さくなるカットオフ波長)がある。
光検出器の高性能化を実現するためには、高い応答度、短い応答時間、高い比検出力、及び幅広いスペクトル選択性波長域の組合せが望ましい。
イメージングセンサーなどの用途で、紫外域(UV)から近赤外域(NIR)にわたって感度を有する、溶液処理可能な光検出器への関心が高まっている。特に注目されているのは、水吸収の低い1〜1.8μmの範囲である。
光検出用途についてコロイド状量子ドット(QD)を光吸収体として使用する可能性が認識されており、研究は主に、有害な鉛を含むPbS QDに焦点を当ててきた。
グラフェン及び遷移金属ジカルコゲナイド(TMDC)を含む2D材料は、その光学特性と機械的柔軟性の組合せに起因して、光検出用途における光吸収体として研究されてきた。グラフェンを用いた光検出器は、広範に研究されており、高いキャリア移動度と、優れた安定性と、高い機械的強度と、可視から遠赤外までの幅広いスペクトル感度とを示すことが分かっている。しかしながら、グラフェンのバンドギャップを開くことが難しいことで、暗電流が大きくなり、光検出への適用に制約を与えている。層状のTMDCは、層の数によってバンドギャップを調節できるなどの多くの利点をもたらす。また、それらは、集積回路を構成する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術と両立できる。当該技術を使用して、多機能で高性能な低消費電力の光検出器を開発することが可能である。
高応答度、広帯域スペクトル、及び高検出力を持つ光検出器は、単一のTMDCを使用して製造することは現在のところ困難である。厚さが狭くて、光吸収が制限されるからである。高吸収増感剤を用いることは、光の吸収効率を向上させる助けになるが、2D材料のメリットを保持するためには、増感剤を十分に薄くする必要がある。また、高いキャリア移動度と、TMDCのバンド構造とよく一致するバンド構造とが、電荷の効率的な分離と移動のためには望ましい。
コロイド状QDは、高感度、高速、及び広帯域の光検出器を実現するために、TMDCシートと組み合わされて増感剤として使用されてきた。例えば、PbS QDは、WSe2ナノシートと組み合わされて使用されており[C.Hu et al.,Adv.Funct.Mater.2017,27,1603605]、CdS/ZnS QDは、WS2モノレイヤーと組み合わされている[A.Baulesbaa,K.Wang,M.Mahjouri−Somani,M.Tian,A.A.Puretzky,I.Ivanov,C.M.Rouleau,K.Xiao,B.G.Sumpter and D.B.Grohegan,J.Am.Chem.Soc.,2016,138,14713]。
QDに比べてナノシートの接触面積が大きいことから、グラフェンやその他の層状材料のような2Dナノシートの材料とTMDCとを組み合わせたハイブリッドデバイスが研究されてきた。増感剤として2Dヘテロ構造を用いたデバイスでは、ヘテロ構造の界面にショットキーバリアが形成されると、固有の電場が生じて、界面での効率的な電荷移動がもたらされる。
このように、コロイド状QDと2Dナノシートの両方は、光検出器への応用に利点をもたらし得る。
結晶シリコンは、従来より光電変換用途に使用されてきた。しかしながら、その吸収は1.1μm未満に限られており、これは、赤外スペクトルの大部分を吸収できないことを意味している。また、その吸収は、スペクトル範囲内では弱く、500nmで104cm−1を超える程度である。UV領域では、皮膚がんの検出に関連する波長にて、シリコンにおける超短吸収波長により、高度に再結合する表面状態の近くで電子−正孔対が生成される。このため、標準的なシリコンデバイスではUV感度が制限される。故に、シリコンにおける範囲を超えて光を吸収できる材料に大きな関心が持たれている。
エピタキシャル成長させたQDは、光検出用途に使用されているが、加工が困難である傾向がある。純有機半導体は、光検出用途では取り扱いが容易であると思われる。しかしながら、最近まで、近赤外領域でフォトダイオードの製造に適した狭いバンドギャップを有する低分子有機化合物又はポリマーはほとんどなかった。
QDフォトダイオードデバイスは、有機半導体のスペクトル範囲を超えて近赤外領域へと調整できるが、鉛やカドミウムのような有害な重金属を使用したQDに頼っていることが大きな懸念のままである。
グラフェンやTMDCなどの2D材料を用いた光吸収体を組み込んだ光検出器が探究されてきた。ユニークな光学特性と機械的柔軟性が利点である。その他の望ましい特性としては、高いキャリア移動度と、化学的安定性と、機械的強度と、可視から遠赤外まで調整可能なスペクトル感度とが挙げられる。特に、TMDCを用いた光検出器は、層数を変化させることで調整できる。2つの異なる層状物質のヘテロ構造も探究されてきた。好ましく配置された2つの材料間の弱いファンデルワールス相互作用は、2つの材料間の格子不整合に起因した問題を引き起こすことなく、高品質のヘテロ接合を生じることができる。
CdSeベースの2Dナノプレートレットとグラフェンとからなるヘテロ構造デバイスは説明されている[A.Robin,E.Lhuillier and B.Dubertret,MRS Adv.,2016,2187;A.Robin,E.Lhuillier,X.Z.Xu,S.Ithurria,H.Aubin,A.Ouerghi and B.Dubertret,Sci.Rep.,2016,6,24909]。このデバイスは、ナノプレートレットの強い吸光性とグラフェンの高いキャリア移動度とを利用している。この2Dナノプレートレットは、厚さが1〜5nmであり、横方向の寸法が1μmまでであって、横方向の寸法はボーア半径よりも遥かに大きい。これらのナノプレートレットには、バンドギャップの調整ができないという欠点がある。
2D材料を含む光検出器では、対処しなければならない問題の一つに、応答速度に好ましくない深い準位のトラップ状態を排除することがある。
2D材料を含む光検出器は数多く報告されているが、従来技術では、スケールアップが困難な剥離やCVD堆積プロセスに依存していた。
実施形態に関する以下の説明は、本質的に単に例示的であって、本開示の主題、それらの用途又は使用を限定することを全く意図していない。
全体を通して用いられているように、範囲は、どの値も範囲内にあることを記載するための省略表現として用いられている。範囲内の値として、範囲の末端を選択してもよい。特に明記しない限り、本明細書中で、そして本明細書内のどこかで表される全てのパーセンテージ及び量は、重量パーセンテージを指すと理解されるべきである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲について、特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる量、パーセンテージ、又は割合を表す全ての数、並びに他の数字で示される値は、全ての例において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。用語「約」の使用は、明示的に示されるか否かを問わず、全ての数値に当てはまる。当該用語は、通常、当業者であれば、挙げられた数値に対するずれの妥当な量とみなすこととなる(即ち、機能又は結果が同等である)数の範囲を指す。例えば、当該用語は、与えられた数値の±10パーセント、或いは±5パーセント、或いは±1パーセントのずれを含むと解釈されてよい。但し、そのようなずれが、値の境界機能又は結果を変更しない場合に限られる。従って、特に明記しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる単数の形態「ある」や「その」は、明示的且つ明解に1つの指示対象に限定されない限り、複数の言及を含む。本明細書中で用いられる用語「含む」及びその文法上の変形は、リスト内の部材の説明が、リストにされた部材に置換されてよい、又は加えられてよい他の同様の部材を除外しないような非限定であることが意図される。例えば、本明細書及び以下の特許請求の範囲において用いられる用語「備える」(及びその形態、派生語、又は変形(「備えている」等))、「含む」(及びその形態、派生語、又は変形(「含んでいる」等))、及び「有する」(及びその形態、派生語、又は変形(「有している」等))は、包括的(即ち、オープンエンド)であり、追加の要素も工程も除外しない。従って、これらの用語は、挙げられた要素又は工程をカバーするだけでなく、明示的に挙げられていない他の要素又は工程を含んでもよいことが意図される。更に、本明細書中で用いられる用語「ある」の、要素と併せて用いられる場合の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1又は複数」の意味とも矛盾しない。従って、「ある」の後の要素は、更に制約がなければ、追加の同一要素の存在を排除しない。
コロイド状QDの特性の研究とその光電子デバイスの開発とは、20年以上にわたって大きな関心事となっている。最近、二次元の量子ドット(2D QD)の特異な特性への関心が高まってきている。本明細書では、「2D量子ドット」又は「2D QD」は、厚さが約1〜5つの原子又は分子のモノレイヤーであって、横方向の寸法がナノ粒子の量子閉じ込めレジームを、即ち、バルク材料の特性とは異なるナノ粒子の電子特性をもたらす半導体ナノ粒子を指す。理解できるように、量子閉じ込めレジームを示す電子特性をナノ粒子にもたらす横方向の寸法は、異なる組成のナノ粒子の間で変化し得る。しかしながら、通常、そのような横方向の寸法は1〜100nmであり得る。本明細書では、用語「2Dナノシート」は、1〜10つの原子又は分子のモノレイヤーの厚さを有しており、量子閉じ込めレジームを超えるほど横方向の寸法が十分に大きい粒子を表すために使用される。本明細書では、「単層量子ドット」又は「単層QD」は、厚さが単一モノレイヤーであり、ナノ粒子が量子閉じ込めレジームにあることをもたらす横方向の寸法を有する半導体ナノ粒子を指す。従来の0次元(0D)QDと比較して、2D QDは表面積対体積比が非常に高く、表面積対体積比はモノレイヤーの数が減少するにつれて増加する。最も高い表面積対体積比は、単層のQDに見られる。これは、従来のQDとは非常に異なる表面化学的性質を有する2D QDをもたらし、それは、多くの用途に利用できる可能性がある。これまで、2D QDの研究の大半は層状材料、例えば、炭素系材料(例えば、グラフェンや酸化グラフェン)やTMDC、特にMoS2、MoSe2、WS2、及びWSe2のQDなどを中心に行われてきた。しかしながら、最近では、II−VI族半導体などの従来の半導体材料の2Dナノ粒子の合成に関心が持たれている[E.Lhuillier et al.,Acc.Chem.Res.,2015,48,22;A.Riedinger et al.,Nat.Mater.,2017,16,743]。
幾つかの実施形態では、光検出器はフォトダイオードである。フォトダイオードは通常、p−n接合を基礎としている。フォトダイオードでは、十分なエネルギーの光子がデバイスにぶつかると、電子−正孔対が生成される。吸収が、接合の空乏領域又はそこから1拡散長離れたところで起こると、空乏領域の内蔵電場によってキャリアが接合から除去されることで、正孔が陽極に移動し、電子が陰極に向かって移動して、光電流が生じる。
幾つかの実施形態では、光検出器はフォトコンダクタである。フォトコンダクタは、光を照射することで起こる半導体の伝導度の一時的な変化を検出するデバイスである。光子は光励起キャリアを生成し、光励起キャリアは、光検出器のアノード電極とカソード電極の間に印加された電圧バイアスによって生じる電場によって取り出される。
幾つかの実施形態では、光検出器は、ベース−コレクタ接合部を有するフォトトランジスタである。フォトトランジスタはフォトダイオードに似ており、n型領域が更に追加されている。フォトトランジスタは、内部ゲインを有するフォトダイオードを含んでいる。それは、バイポーラトランジスタが透明ケースに収められており、光子がベース−コレクタ接合部に到達できるようになっていると表すことができる。ベース−コレクタ接合部において光子から生成された電子がベースに注入されて、電流が増幅される。
3種類の光検出器は夫々異なる特性を有しており、様々な用途に利用される。フォトトランジスタとフォトダイオードは同じようなレートで検出するが、フォトトランジスタの方が応答時間が遅い(フォトダイオードがナノ秒であるのに対して、フォトトランジスタはマイクロ秒である)。フォトトランジスタはゲインが高く、一方、フォトダイオードは温度による変化が少ない。
少なくとも1つの実施形態では、2D QD増感型有機フォトダイオードが用いられる。少なくとも1つの実施形態では、2D QDと、量子閉じ込めレジームを大幅に超える横方向の寸法を有する2Dナノシート層とを含むヘテロ構造光検出器が使用される。少なくとも1つの実施形態では、第1の2D QD層と別の材料の2D QDの第2の層とからなるヘテロ構造の光検出器が使用される。少なくとも1つの実施形態では、従来のQD層と2D QD層とからなるヘテロ構造の光検出器が使用される。
図2は、本開示の様々な態様に従った光検出器200の概略図である。光検出器200は、下側電極210と、下側電極210上に配置された中間層220と、中間層220上に配置されており、電荷輸送材料に分散された2D QDを含む層230と、2D QD含有層230上に配置された上側電極240とを備える。図2に示す装置構成では、上側電極240及び下側電極210のうちの1又は複数が、光を通過させるために透明であってよい。下側電極210は、酸化インジウムスズ(ITO)やアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの透明導電性酸化物を含んでよい。上側電極240は、アルミニウム、銀などの1又は複数の低加工性金属で構成されてよい。
中間層220は、下側にある下側電極210との電気的接触を改善する役割を果たす。中間層220は任意の適切な材料で、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、MoO3、或いは、亜鉛、チタン、バナジウム、又はニッケルを有する金属酸化物などで作られてよい。中間層220の厚さは、約1nm乃至約1000nm、或いは約10nm乃至約1000nm、或いは約100nm乃至約1000nmの範囲とすることができる。
図2に模式的に示されている、電荷輸送材料に分散された2D QDを含む層230は、1又は複数の有機電荷輸送材料(電子及び/又は正孔を受容して輸送する有機材料)に2D QDを分散させて(ブレンド又は混合させて)、ヘテロ接合を形成することによって製造されてよい。適切な電荷輸送材料の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(N−オクチルジチエノ[3,2−b:2’3’d]ピロール−alt−5,6−ビス(オクチルオキシ)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)(PDTPBT)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル−co(4,40−(N−4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)、ポリ(N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)(ポリ−TPD)、ポリ(2−メトキシ−5(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニルエチレンビニレン)(MEH−PPV)、ポリ(2,5−ジ(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(DEH−PPV)、ポリ[2,6−(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール−alt−4,7(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)(PSBTBT)、ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ポリ(2,3−ジデシル−キノキサリン−5,8−ジイル−alt−N−オクチルジチエノ[3,2−b:2’3’−d]ピロール)(PDTPQx)、ジチエノ[3,2−b:2,3−d]ピロール(DTP)、ポリ(9,9−n−ジヘキシル−2,7−フルオレニレンビニレン−alt−2,5−チエニレンビニレン(PFT)、エトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)、1−1−ビス[(ジ−4−トリルアミノフェニル]シクロヘキサン(TAPC)、C60、多層カーボンナノチューブ、及びその他のポリマー。それらの幾つかの構造を図1に示す。図1では、PDTPBTの数平均モル質量Mnは、約17kgmol−1乃至約19kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PDBFのMnは、約11kgmol−1乃至約13kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PDTDのMnは、約30kgmol−1乃至約35kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PDTTのMnは、約30kgmol−1乃至約35kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PDFTのMnは、約35kgmol−1乃至約40kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PBDTTPDのMnは、約10kgmol−1乃至約35kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PBDT−T8−TPDのMnは、約35kgmol−1乃至約40kgmol−1の範囲であってよい。図1では、P3HTのMnは、約50kgmol−1乃至約80kgmol−1の範囲であってよい。図1では、PBDT−T−FDPのMnは、約50kgmol−1乃至約60kgmol−1の範囲であってよい。
2D増感型有機フォトダイオードにおける有機材料としての使用に適した別の材料は、スピロ−OMeTADである。これは、UV検出特性と正孔輸送特性の両方を提供する可能性がある(Guo et al.、J Mater.Chem.C,2018,6,2573参照)。上述したように、下側コンタクトとの電気的接続を改善するために、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルフォネート)(PEDOT:PSS)などの中間層を使用することができるが、これらに限定されない。他の適切な材料としては、溶液処理可能なMoO3又はV2OXが、PEDOTの代わりに挙げられる。
幾つかの実施形態では、2D QD含有層230は、約10vol%乃至約95vol%の2D QDと、約5vol%乃至約90vol%の1又は複数の電荷輸送材料とを含んでいる。幾つかの実施形態では、2D QD含有層230は、約20vol%乃至約90vol%、或いは約30vol%乃至約85vol%、或いは約40vol%乃至約80vol%、或いは約50vol%乃至約75vol%、或いは約60vol%乃至約70vol%の2D QDを含んでいる。幾つかの実施形態では、2D QD含有層230は、約10vol%乃至約80vol%、或いは約15vol%乃至約70vol%、或いは約20vol%乃至約60vol%、或いは約25vol%乃至約50vol%、或いは約30vol%乃至約40vol%の1又は複数の電子輸送材料を含んでいる。
2D QD含有層230の厚さは、約10nm乃至約2ミクロン、或いは約50nm乃至約1ミクロン、或いは約100nm乃至約750nm、或いは約200nm乃至約500nmの範囲とすることができる。
図3は、本開示の様々な態様に従ったヘテロ構造光検出器300の概略図である。ヘテロ構造光検出器300は、下側電極310と、下側電極310上に配置されており、2Dナノシートを有する第1層320と、2Dナノシートを含有する第1の層320上に配置されており、2D QDを有する第2の層330と、2D QDを含有する第2の層330上に配置された上側電極340とを備えている。この構成では、上側電極340及び下側電極310の1又は複数は透明であって、その中を光が通過できてよい。ヘテロ接合を形成するために、層320及び層330における2D QD及び2Dナノシートは、2D QDの伝導帯及び価電子帯が2Dナノシートの伝導帯及び価電子帯からオフセットされるように選択されており、内蔵電場が生成される。これは、異なる半導体バンドギャップを有する2D QD及び2Dナノシート材料の選択、並びに/或いは第2の2D QD及び/又は2Dナノシートの横方向の寸法を調整すること、並びに/或いは2D QD及び/又は2Dナノシートの厚さを調整すること、並びに/或いは2D QD及び2Dナノシートの一方又は両方の表面を、材料のバンドギャップを変更する様々なリガンドで機能化することによって達成することができる。接合部の幅によって、吸収される光の波長を制御できる。
2Dナノシート含有層320及び2D QD含有層330の各々の厚さは、約10nm乃至約1ミクロン、或いは約25nm乃至約750nm、或いは約50nm乃至約500nm、或いは約75nm乃至約400nm、或いは約100nm乃至約300nmの範囲とすることができる。2Dナノシート含有層320及び2D QD含有層330の合計の厚さは、好ましくは約50nm乃至約800nm、より好ましくは約100nm乃至約700nm、更に好ましくは約200nm乃至約600nmである。幾つかの実施形態では、2Dナノシート含有層320及び2D QD含有層330は、同じ又は実質的に同じ厚さを有する。幾つかの実施形態では、2D QD含有層330は、2Dナノシート含有層320よりも厚い。幾つかの実施形態では、2Dナノシート含有層320は、2D QD含有層330よりも厚い。
2D QD含有層330は、2D QD含有層230と同じ又は実質的に同じ組成を有するようにすることができる。2D QD含有層230と同様に、2Dナノシート含有層320は、約10vol%乃至約95vol%の2Dナノシートと、約5vol%乃至約90vol%の1又は複数の電荷輸送材料とを含んでいる。幾つかの実施形態では、2Dナノシート含有層320は、約20vol%乃至約90vol%、或いは約30vol%乃至約85vol%、或いは約40vol%乃至約80vol%、或いは約50vol%乃至約75vol%、或いは約60vol%乃至約70vol%の2Dナノシートを含んでいる。幾つかの実施形態では、2Dナノシート含有層320は、約10vol%乃至約80vol%、或いは約15vol%乃至約70vol%、或いは約20vol%乃至約60vol%、或いは約25vol%乃至約50vol%、或いは約30vol%乃至約40vol%の1又は複数の電子輸送材料を含んでいる。
幾つかの実施形態では、ヘテロ構造光検出器300は、下側電極310と2Dナノシート含有層320との間に配置される中間層(図示せず)を更に含むことができる。この中間層は、光検出器200の中間層220と同じ材料で作ることができる。図3では、2Dナノシート含有層320及び2D QD含有層330は、別々の層として示されている。幾つかの実施形態では、遷移層(図示せず)が2Dナノシート含有層320と2D QD含有層330の間に配置され、遷移層は、2Dナノシートと2D QDの組合せを有してよい。幾つかの実施形態では、2Dナノシートと2D QDの相対的な量は、遷移層の厚さを通じて均一又は実質的に均一にされてよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2Dナノシート含有層320から2D QD含有層330にかけて2Dナノシートの量が減少してよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2Dナノシート含有層320から2D QD含有層330にかけて2D QDの量が増加してよい。
図4は、本開示の様々な態様に従った別のヘテロ構造光検出器400の概略図である。ヘテロ構造光検出器400は、下側電極410と、下側電極410上に配置されており、2D QDを有する第1の層420と、2D QDを含有する第1の層420上に配置されており、2D QDを有する第2の層430と、2D QDを含有する第2の層430上に配置された上側電極440とを備えている。この構成では、上側電極420及び下側電極410の1又は複数は透明であって、その中を光が通過できてよい。ヘテロ接合を形成するために、第1の層420における2D QDと、第2の層430における2D QDとは、第1の層420における2D QDの伝導帯及び価電子帯が、第2の層430における2D QDの伝導帯及び価電子帯からオフセットされるように選択される。これは、異なる半導体バンドギャップを有する材料の第1及び第2の2D QDの選択、並びに/或いは第1及び第2の2D QDの横方向の寸法を調整すること、並びに/或いは第1及び第2の2D QDの厚さを調整すること、並びに/或いは2D QDの一方又は両方の表面を材料のバンドギャップを変更する様々なリガンドで機能化することによって達成することができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の2D QDの夫々の化学組成は同じ又は実質的に同じであるが、第1及び第2の2D QDは、横方向の寸法、厚さ、及び表面の機能化1又は複数が異なる。接合部の幅によって、吸収される光の波長を制御できる。
2D QD含有層420、430の各々の組成及び/又は厚さは、2D QD含有層230について上述したように変化させることができる。2D QD含有層420、430の合計の厚さは、好ましくは約50nm乃至約800nm、より好ましくは約100nm乃至約700nm、更に好ましくは約200nm乃至約600nmである。幾つかの実施形態では、2D QD含有層420、430の各々は、同じ又は実質的に同じ厚さを有する。幾つかの実施形態では、2D QD含有層420は、2D QD含有層430よりも厚い。幾つかの実施形態では、2D QD含有層430は、2D QD含有層420よりも厚い。
幾つかの実施形態では、ヘテロ構造光検出器400は、下側電極410と2D QD含有層420との間に配置される中間層(図示せず)を更に含むことができる。この中間層は、光検出器200の中間層220と同じ材料で作ることができる。図4では、2D QD含有層420及び2D QD含有層430は、別々の層として示されている。幾つかの実施形態では、遷移層(図示せず)が2D QD含有層420と2D QD含有層430の間に配置され、遷移層は、第1の2D QD(即ち、層420の2D QD)と第2の2D QD(即ち、層430の2D QD)の組合せを有してよい。幾つかの実施形態では、第1の2D QDと第2の2D QDの相対的な量は、遷移層の厚さを通じて均一又は実質的に均一にされてよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層420から2D QD含有層430にかけて第1の2D QDの量が増加してよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層420から2D QD含有層430にかけて第2の2D QDの量が増加してよい。
図5は、本開示の様々な態様に従った更に別のヘテロ構造光検出器500の概略図である。ヘテロ構造光検出器500は、下側電極510と、下側電極510上に配置されており、2D QDを有する第1の層520と、2D QDを含有する第1の層520上に配置されており、従来のQDを有する第2の層530と、従来のQDを含有する第2の層530上に配置された上側電極540とを備えている。この構成では、上側電極540及び下側電極510の1又は複数は透明であって、その中を光が通過できてよい。ヘテロ接合を形成するために、第1の2D QD層520と、第2の従来のQD層530とは、第1の2D QD層における伝導帯及び価電子帯が、第2の従来のQD層における伝導帯及び価電子帯からオフセットされるように選択される。これは、異なる半導体バンドギャップを有する材料の従来のQD及び2D QDの選択、並びに/或いは従来のQDの直径を調整すること、並びに/或いは2D QDの横方向の寸法を調整すること、並びに/或いは2D QDの厚さを調整すること、並びに/或いは2D QD及び従来の2D QDの一方又は両方の表面を材料のバンドギャップを変更する様々なリガンドで機能化することによって達成することができる。接合部の幅によって、吸収される光の波長を制御できる。
2D QD含有層520は、2D QD含有層230と同じ又は実質的に同じ組成を有するようにすることができる。2D QD含有層230と同様に、2Dナノシート含有層520は、約10vol%乃至約95vol%の2Dナノシートと、約5vol%乃至約90vol%の1又は複数の電荷輸送材料とを含んでいる。幾つかの実施形態では、従来のQD含有層530は、約20vol%乃至約90vol%、或いは約30vol%乃至約85vol%、或いは約40vol%乃至約80vol%、或いは約50vol%乃至約75vol%、或いは約60vol%乃至約70vol%の従来のQDを含んでいる。幾つかの実施形態では、従来のQD含有層530は、約10vol%乃至約80vol%、或いは約15vol%乃至約70vol%、或いは約20vol%乃至約60vol%、或いは約25vol%乃至約50vol%、或いは約30vol%乃至約40vol%の1又は複数の電子輸送材料を含んでいる。幾つかの実施形態では、ヘテロ構造光検出器500は、下側電極510と2D QD含有層520との間に配置される中間層(図示せず)を更に含むことができる。この中間層は、光検出器200の中間層220と同じ材料で作ることができる。図5では、2D QD含有層520及び2D QD含有層530は、別々の層として示されている。
幾つかの実施形態では、遷移層(図示せず)が2D QD含有層520と従来のQD含有層530の間に配置され、遷移層は、2D QD(即ち、層520の2D QD)と従来のQD(即ち、層530の従来のQD)の組合せを有してよい。幾つかの実施形態では、2D QDと従来のQDの相対的な量は、遷移層の厚さを通じて均一又は実質的に均一にされてよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層520から従来のQD含有層530にかけて2D QDの量が減少してよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層520から従来のQD含有層530にかけて従来のQDの量が増加してよい。
図6は、本開示の様々な態様に従った更に別のヘテロ構造光検出器600の概略図である。ヘテロ構造光検出器600は、下側電極610と、下側電極610上に配置されており、従来のQDを有する第1の層620と、従来のQDを含有する第1の層620上に配置されており、2D QDを有する第2の層630と、2D QDを含有する第2の層630上に配置された上側電極640とを備えている。この構成では、上側電極640及び下側電極610の1又は複数は透明であって、その中を光が通過できてよい。ヘテロ接合を形成するために、QDを含有する第1の層620と、2D QDを含有する第2の層630とは、従来のQDの伝導帯及び価電子帯が、2D QDの伝導帯及び価電子帯からオフセットされるように選択される。これは、異なる半導体バンドギャップを有する、材料の従来のQD及び2D QDの選択、並びに/或いは従来のQDの直径を調整すること、並びに/或いは2D QDの横方向の寸法を調整すること、並びに/或いは2D QDの厚さを調整すること、並びに/或いは2D QD及び従来の2D QDの一方又は両方の表面を、材料のバンドギャップを変更する様々なリガンドで機能化することによって達成することができる。接合部の幅によって、吸収される光の波長を制御できる。
従来のQD含有層620の組成及び/又は厚さは従来のQD含有層520について上述したたように、2D QD含有層630の組成及び/又は厚さは、2D QD含有層520について上述したように変化させることができる。従来のQD含有層620及び2D QD含有層630の合計の厚さは、好ましくは約50nm乃至約800nm、より好ましくは約100nm乃至約700nm、更に好ましくは約200nm乃至約600nmである。幾つかの実施形態では、従来のQD含有層620及び2D QD含有層630の各々は、同じ又は実質的に同じ厚さを有する。幾つかの実施形態では、QD含有層620は、2D QD含有層630よりも厚い。幾つかの実施形態では、2D QD含有層630は、従来のQD含有層620よりも厚い。
幾つかの実施形態では、ヘテロ構造光検出器600は、下側電極610と従来のQD含有層620との間に配置される中間層(図示せず)を更に含むことができる。この中間層は、光検出器200の中間層220と同じ材料で作ることができる。図6では、従来のQD含有層620及び2D QD含有層630は、別々の層として示されている。幾つかの実施形態では、遷移層(図示せず)が従来のQD含有層620と2D QD含有層630の間に配置され、遷移層は、従来のQD(即ち、層620の従来のQD)と2D QD(即ち、層630の2D QD)の組合せを有してよい。幾つかの実施形態では、従来のQDと2D QDの相対的な量は、遷移層の厚さを通じて均一又は実質的に均一にされてよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、従来のQD含有層620から2D QD含有層630にかけて従来のQDの量が減少してよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、従来のQD含有層620から2D QD含有層630にかけて2D QDの量が増加してよい。
図7は、本開示の様々な態様に従ったヘテロ構造光検出器700の概略図である。ヘテロ構造光検出器700は、下側電極710と、下側電極710上に配置されており、2D QDを有する第1の層720と、2D QDを含有する第1の層720上に配置されており、2Dナノシートを有する第2の層730と、2Dナノシートを含有する第2の層730上に配置された上側電極740とを備えている。この構成では、上側電極740及び下側電極710の1又は複数は透明であって、その中を光が通過できてよい。ヘテロ接合を形成するために、層720及び層730における2D QD及び2Dナノシートは、2D QDの伝導帯及び価電子帯が2Dナノシートの伝導帯及び価電子帯からオフセットされるように選択されており、内蔵電場が生成される。これは、異なる半導体バンドギャップを有する2D QD及び2Dナノシート材料の選択、並びに/或いは第2の2D QD及び/又は2Dナノシートの横方向の寸法を調整すること、並びに/或いは2D QD及び/又は2Dナノシートの厚さを調整すること、並びに/或いは2D QD及び2Dナノシートの一方又は両方の表面を材料のバンドギャップを変更する様々なリガンドで機能化することによって達成することができる。接合部の幅によって、吸収される光の波長を制御できる。
2D QD含有層720の組成及び/又は厚さは2D QD含有層330について上述したように、2Dナノシート含有層730の組成及び/又は厚さは2Dナノシート含有層320について上述したように変化させることができる。2D QD含有層720及び2Dナノシート含有層730の合計の厚さは、好ましくは約50nm乃至約800nm、より好ましくは約100nm乃至約700nm、更に好ましくは約200nm乃至約600nmである。幾つかの実施形態では、2D QD含有層720及び2Dナノシート含有層730は、同じ又は実質的に同じ厚さを有する。幾つかの実施形態では、2D QD含有層720は、2Dナノシート含有層730よりも厚い。幾つかの実施形態では、2Dナノシート含有層730は、2D QD含有層720よりも厚い。
幾つかの実施形態では、ヘテロ構造光検出器700は、下側電極710と2D QD含有層720との間に配置される中間層(図示せず)を更に含むことができる。この中間層は、光検出器200の中間層220と同じ材料で作ることができる。図7では、2D QD含有層720及び2Dナノシート含有層730は、別々の層として示されている。幾つかの実施形態では、遷移層(図示せず)が2D QD含有層720と2Dナノシート含有層730の間に配置され、遷移層は、2D QD(即ち、層720の2D QD)と2Dナノシート(即ち、層730の2Dナノシート)の組合せを有してよい。幾つかの実施形態では、2D QDと2Dナノシートの相対的な量は、遷移層の厚さを通じて均一又は実質的に均一にされてよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層720から2Dナノシート含有層730にかけて2D QDの量が減少してよい。幾つかの実施形態では、遷移層は傾斜を示し、2D QD含有層720から2Dナノシート含有層730にかけて2Dナノシートの量が増加してよい。
本開示の様々な態様に従った2D QDは、コロイド状に合成され、溶液処理を介して堆積されてよい。適切な2D QD材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
グラフェン、酸化グラフェン、及び還元酸化グラフェン。
TMDC。例えば、WO2、WS2、WSe2、WTe2、MnO2、MoO2、MoS2、MoSe2、MoTe2、NiO2、NiTe2、NiSe2、VO2、VS2、VSe2、TaS2、TaSe2、RuO2、RhTe2、PdTe2、HfS2、NbS2、NbSe2、NbTe2、FeS2、TiO2、TiS2、TiSe2、及びZrS2。
遷移金属トリカルコゲニド。例えば、TaO3、MnO3、WO3、ZrS3、ZrSe3、HfS3、及びHfSe3。
13−16(III−VI)族化合物。例えば、InS、InSe、GaS、GaSe、及びGaTe。
15−16(IV−VI)族化合物。例えば、Bi2Se3及びBi2Te3。
窒化物。例えば、h−BN。
酸化物。例えば、LaVO3、LaMnO3、V2O5、LaNbO7、Ca2Nb3O10、Ni(OH)2、Eu(OH)2、層状銅酸化物、マイカ、及びビスマス・ストロンチウム・カルシウム銅酸化物(BSCCO)。
リン化物。例えば、Li7MnP4及びMnP4。
14族元素の2D同素体。例えば、シリセン、ゲルマネン、及びスタネン。
前述の材料では、隣接する層はファンデルワールス相互作用を介して保持される。このファンデルワールス相互作用を、例えば液相剥離(LPE)などの剥離技術によって容易に破壊して、2Dフレークを形成することができる。代替的な実施形態では、2D QDは、従来のように層状にされていない半導体材料で構成されてよく、以下を含むがこれらに限定されない。
12−16(II−VI)族半導体。例えば、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe、及びCdTe。
13−15(III−V)族材料。例えば、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaAs、InN、InP、及びInAs。
15−16(V−VI)族材料。例えば、PbS、PbSe、及びPbTe。
I−III−VI族材料。例えば、CuGaS2、CuGaSe2、CuGa(S,Se)2、CuInS2、CuInSe2、CuIn(S,Se)2、Cu(In,Ga)S2、Cu(In,Ga)Se2、Cu(In,Ga)(S,Se)2、CuInTe2、AgInS2、及びAgInSe2。I−III−VI族材料のドープ種及び合金も含まれる。
上述の材料の2D QDは、例えば、物理的又は化学的な切断プロセスを介して形成されてよい。具体的には、所望の形状、サイズ、及び組成のゼロ次元(0D)、1次元(1D)、又は3次元(3D)を形成した後、化学処理、例えば還流、LPEと還流、又はインターカレーションと剥離などの処理を行い、3D又は0Dナノ粒子の固有の形状で決まるような均一なサイズの2D QDを形成してよい。このプロセスは拡張性があり、均一な特徴を有する二次元QDを大量に生産することができる。本明細書では、ナノ粒子の「切断(cutting)」とは、ナノ粒子を2つ以上の部分に分離することを意味する。この用語は、分離方法の限定を意味するものではなく、物理的又は化学的な分離方法を含み得る。物理的な分離方法には、機械的剥離(所謂、「スコッチテープ法(Scotch tape method)」)、デラミネーション、グラインディング、及びミリングなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書では、ナノ粒子の「化学切断(chemical cutting)」とは、ナノ粒子を2つ以上の部分に分離し、分離は化学的処理で達成されることを意味する。特定の実施形態では、化学処理は、ナノ粒子の溶液又は分散液への熱、圧力、真空、超音波、及び/又は撹拌の適用、化学エッチング、並びにインターカレーションを含んでよい。化学切断法の非限定的な例としては、溶液中のナノ粒子を還流すること、ナノ粒子をLPEした後に還流すること、又は、ナノ粒子のインターカレーション及び剥離が挙げられる。
0D、1D、又は3Dナノ粒子の2D QDへの切断は、任意の適切な技術を用いて行われてよい。適切な例としては、化学的又は物理的な剥離プロセスが挙げられる。ある実施形態では、予め作製されたナノ粒子の切断は、予め作製されたナノ粒子を溶媒中で超音波処理することを含むLPEなどの化学的方法によって行われる。溶媒の表面張力は、剥離される材料の表面張力に合わせて選択されてよい。幾つかの実施形態では、剥離されたナノ粒子はその後、溶液で還流される。
幾つかの実施形態では、0D、1D、又は3Dナノ粒子の切断は、事前に剥離をすることなく、予め作製されたナノ粒子を溶液で還流させることによって行われてよい。当業者であれば、0D、1D、又は3Dナノ粒子の溶液を還流させる温度は、溶液を形成する溶媒の沸点に依存することを認識するだろう。特定の理論に拘束されるものではないが、1つ可能性のある機構は、熱の印加によって0D、1D、又は3Dのナノ粒子内の層が熱膨張し、溶液の還流によって、層を化学的に切り離すガスが作られることである。幾つかの実施形態では、溶液は配位溶媒を含んでいる。適切な配位溶媒の例としては、限定ではないが、以下が含まれる。例えば、C6−C50アルキルアミンなどの飽和アルキルアミン;例えば、オレイルアミンなどの不飽和脂肪アミン;例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸などの脂肪酸;例えば、トリオクチルホスフィン(TOP)などのホスフィン;例えば、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)などのホスフィンオキシド;例えば、ヘキサデカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールなどのアルコール。一級溶媒、二級溶媒、三級溶媒、及び分岐溶媒も挙げられる。幾つかの実施形態では、溶液は、限定ではないが、C11−C50アルカンなどの非配位性溶媒を含む。幾つかの実施形態では、溶媒の沸点は、150℃乃至600℃、例えば160℃乃至400℃、より具体的には180℃乃至360℃である。特定の実施形態では、溶媒はヘキサデシルアミンである。
更に別の実施形態では、予め作製されたナノ粒子の切断は、インターカレーション及び剥離によるプロセスによって行われる。TMDC多層ナノ構造のインターカレーション及び剥離は、ルイス塩基インターカレートを用いて行うことができる。第1のインターカレーション剥離プロセスは、予め作製されたナノ粒子を、第1のインターカレート剤及び第2のインターカレート剤の存在下で、第1の溶媒中で第1の時間にわたって撹拌することによって行われてよい。任意で、第2の溶媒を続いて加えて、その後、第2の時間をかけて撹拌してよい。幾つかの実施形態では、第2のインターカレーション剥離プロセスは、第1のインターカレーション剥離プロセスの生成物を、第3のインターカレート剤及び第3の溶媒と混合して、第3の時間にわたって撹拌することによって行われる。任意で、第4の溶媒を続いて加えて、その後、第4の時間をかけて撹拌してよい。第1のインターカレート剤及び第2のインターカレート剤は炭化水素を含んでおり、第1のインターカレート剤の炭化水素鎖長は第2のインターカレート剤の炭化水素鎖長と異なっていてよい。第3のインターカレート剤は、第1のインターカレート剤及び/又は第2のインターカレート剤と同じであってよく、異なっていてもよい。適切な第1、第2及び第3のインターカレート剤は、以下のものを含んでよいが、これらに限定されない。
ルイス塩基。例えば、プロピルアミン、ヘキシルアミンなどのアミンと、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルコキシドと、ヘキサノエートナトリウムなどのカルボキシレートと、3−アミノ−1−プロパノールなどのアミノアルコールとがある。
アミノチオール。例えば、システアミン、6−アミノ−1−ヘキサンチオール、及び8−アミノ−1−オクタンチオール。
アルキルアミノ酸を含むアミノ酸。例えば、3−アミノプロパン酸(β−アラニン)、6−アミノヘキサン酸、及び8−アミノオクタン酸。
金属塩。例えば、一般式MXn(MはMo、Cd、Zn、In)、Xはハライド(特にCl−、Br−、I−)である金属塩、アセテート、カプリレート、パリマテート、ラウレート、ミリステート、及びオレエート。別の適切な金属塩には、[MoCl5]2がある。
一般的に、インターカレーション剥離プロセスが行われる溶媒の選択は、ナノ粒子及びインターカレート剤の選択に依存するであろう。インターカレーション及び剥離中においては、ナノ粒子が溶媒によく分散又は溶解していることが好ましい。更に、インターカレート剤が溶媒に可溶であることが好ましい。第2の溶媒は、第1の溶媒と異なっていてよい。第3の溶媒は、第1の溶媒又は第2の溶媒と同じであってよく、第1の溶媒及び第2の溶媒の両方と異なっていてもよい。幾つかの実施形態では、適切な溶媒として、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルホルムアミド(NMF)、アセトニトリルなどの極性非プロトン性溶媒が挙げられる。幾つかの実施形態では、適切な溶媒として、例えば、プロパノールやイソプロパノールなどの極性プロトン性溶媒が挙げられる。
第1の時間は、約1時間乃至約1ヶ月、或いは約2時間乃至約2週間、或いは約4時間乃至約3日の範囲であってよい。第2の時間は、約1時間乃至約2ヶ月、或いは約2日乃至約2週間、或いは約1週間乃至約3週間の範囲であってよい。第3の時間は、約1時間乃至約1ヶ月、或いは約2時間乃至約2週間、或いは約4時間乃至約3日の範囲であってよい。第4の時間は、約1時間乃至約2ヶ月、或いは約2日乃至約2週間、或いは約1週間乃至約3週間の範囲であってよい。一般的に、この時間は、溶媒とインターカレート剤の選択、ナノ粒子内における結合の強さ、溶液中のナノ粒子及びインターカレート剤の濃度などの要因に依存しており、時間が長くなるほど2Dナノフレークの収率が高くなり得る。
幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2及び/又は後続のインターカレーション剥離プロセスは、超音波処理を用いて行われてよい。撹拌の代わりに超音波を用いることで、化学切断プロセスを達成するまでの時間を短縮することが容易になり得る。
0D、1D、又は3Dナノ粒子の2D QDへの切断は、任意の適切な技術を用いて行われてよい。特定の実施形態では、2D QDはその後、遠心分離、ろ過、透析又はカラムクロマトグラフィーなどの技術によって溶液から分離されてよい。得られた2Dナノフレークを溶媒に分散させてインクを形成してよく、当該インクを、ドロップキャスティング、スピンコーティング、スリットコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、ドクターブレードなどの従来の溶液ベースの成膜技術を用いて堆積させて、薄膜を形成してもよい。2D QDの特性における固有の均一性によって、得られる薄膜の均一性の度合いは高くなり得る。膜の厚さは、例えば、インクの濃度を変えること、及び/又は2D QDのサイズを変えることで制御できる。
2Dナノシートの層は、機械的剥離、化学的気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、分子線エピタキシー(MBE)、ラテラルヘテロエピタキシー(lateral heteroepitaxy)、気固成長(vapor-solid growth)などの技術を用いて形成できるが、これらに限定されない。2Dナノシート含有層用の適切な2Dナノシートとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
グラフェン、酸化グラフェン、及び還元酸化グラフェン。
TMDC。例えば、WO2、WS2、WSe2、WTe2、MnO2、MoO2、MoS2、MoSe2、MoTe2、NiO2、NiTe2、NiSe2、VO2、VS2、VSe2、TaS2、TaSe2、RuO2、RhTe2、PdTe2、HfS2、NbS2、NbSe2、NbTe2、FeS2、TiO2、TiS2、TiSe2、及びZrS2。
遷移金属トリカルコゲニド。例えば、TaO3、MnO3、WO3、ZrS3、ZrSe3、HfS3、及びHfSe3。
13−16(III−VI)族化合物。例えば、InS、InSe、GaS、GaSe、及びGaTe。
15−16(IV−VI)族化合物。例えば、Bi2Se3及びBi2Te3。
窒化物。例えば、h−BN。
酸化物。例えば、LaVO3、LaMnO3、V2O5、LaNbO7、Ca2Nb3O10、Ni(OH)2、Eu(OH)2、層状銅酸化物、マイカ、及びBSCCO。
リン化物。例えば、Li7MnP4及びMnP4。
14族元素の2D同素体。例えば、シリセン、ゲルマネン、及びスタネン。
従来のQDの層を含むデバイスでは、そのQD層は、以下を含む材料から形成されてよいが、これらに限定されない。
IIA−VIB(2−16)族材料。周期表の第2族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、及びBaTeが挙げられるが、これらに限定されない。
IIB−VIB(12−16)族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、及びHgTeが挙げられるが、これらに限定されない。
II−V族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Zn3P2、Zn3As2、Cd3P2、Cd3As2、Cd3N2、及びZn3N2が挙げられるが、これらに限定されない。
III−V族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、及びBNが挙げられるが、これらに限定されない。
III−IV族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第14族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、B4C、Al4C3、及びGa4Cが挙げられるが、これらに限定されない。
III−V族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Al2S3、Al2Se3、Al2Te3、Ga2S3、Ga2Se3、GeTe、In2S3、In2Se3、Ga2Te3、In2Te3、及びInTeが挙げられるが、これらに限定されない。
IV−VI族材料。周期表の第14族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、PbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、及びSnTeが挙げられるが、これらに限定されない。
V−VI族材料。周期表の第15族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Bi2Te3、Bi2Se3、Sb2Se3、及びSb2Te3が挙げられるが、これらに限定されない。
周期表の遷移金属である任意の族の第1の元素と、周期表の第16族の第2の元素とで構成されるナノ粒子材料。更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、NiS、CrS、CuInS2、及びAgInS2が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、本開示の様々な態様によるヘテロ構造デバイスにおいて、半導体材料の相対バンドギャップが選択されて、タイプIのヘテロ構造、例えば、MoTe2 2D QDの層又はMoTe2 2Dナノシート層を有するWSe2 2D QDが形成されてよい。幾つかの実施形態では、半導体材料の相対バンドギャップが選択されて、タイプIIのヘテロ構造、例えば、WSe2 2D QD層を有するPbS QDや、WSe2 2D QD層又はWSe2ナノシート層の何れかを有するMoS2 2D QDが形成されてよい。
幾つかの実施形態では、2D層の1又は複数の層の厚さは、単一モノレイヤーであってよい。増感剤をできるだけ薄くすることは、電荷遮蔽効果、柔軟性、及びデバイスの透明性を最大限に高めるために有利であり得る。吸収深さに近い厚さが、入射光を最大限に吸収するために望ましい場合がある。しかしながら、より厚いデバイスが、より強い吸収力を得るために望ましい場合もあり得る。材料の厚さを調整することは、バンドギャップを制御する手段ももたらす。それ故に、幾つかの実施形態では、2D層の1又は複数の層の厚さは、1乃至5モノレイヤーであってよい。幾つかの実施形態では、2Dナノシート層は、単一モノレイヤーであってよい。モノレイヤーは、フューレイヤー(few-layer)やバルク材料よりも有利な特性をもたらし得る。例えば、遷移金属ジカルコゲナイドは、モノレイヤー形成時に間接バンドギャップから直接バンドギャップへの変化を示す。
2D QD層内における電荷輸送を促進するために、様々な戦略が考えられ得る。例えば、固有の2D QDリガンドが短鎖リガンドに置き換えられてよい。本明細書では、「短鎖リガンド」とは、炭素数が8以下の炭化水素鎖を有するリガンドを意味する。適切な短鎖リガンドの例としては、1−オクタンチオール、1−ヘプタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ペンタンチオール、1−ブタンチオール、及び1−プロパンチオールなどのアルカンチオールと、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、及びアリルアミンなどのアルキルアミンと、オクタン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ペンタン酸、ブタン酸、及びプロパン酸などのカルボン酸とが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切なリガンドには、ピリジン及びピロリドンが挙げられる。幾つかの実施形態では、架橋リガンドが使用されて、隣接する2D QD間の接続性を向上させてよい。適切な例には、エタンジチオールや3−メルカプトプロピオン酸などの二座リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。
2D QD間の接続性を向上させるための更なる戦略には、カルコゲンリガンドの使用が含まれてよい。この方法では、有機表面リガンドを除去し、カルコゲンリガンドでQD表面を不動態化することで、QDが「ネッキングされて(necked)」よい。幾つかの実施形態では、隣接するQDが融合されてよい。融合した2D QDを用いて、2D QDがそれらの外側表面の融合していない部分にリガンドを含むような膜が形成されてよい。融合することで、2D QDは、個々の特性を実質的に維持する一方で、電流が容易に流れることができる領域で結合される。ある実施形態では、合成したままの2D QDにリガンド交換が施されて、固有のリガンドをより短い又はより揮発性の高いリガンドに置き換えてもよい。その後、リガンド交換した2D QDを溶液堆積し、次に、短鎖リガンドを除去し、2D QDの幾つかが隣のQDと接触するように2D QDを近接させてよい。これは、「ネッキング(necking)」として知られている。続いて、ネッキングされた2D QDをアニールして、2D QDを互いに融合させてもよい。一般的に、融合した2D QDとその間の接続部とは欠陥状態を含まないので、それらの間で電流が容易に流れることが可能となる。
光検出器500の従来のQD含有層530又は光検出器600の従来のQD含有層620のように、従来のQDが使用される場合、従来のQDは、2乃至100nmの範囲のサイズを有するコア、コアシェル、又はコアマルチシェルQDであってよい。コアの材料は以下を含んでよい。
IIA−VIA(2−16)族材料。周期表の第2族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、及びBaTeが挙げられるが、これらに限定されない。
IIB−VIA(12−16)族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、及びHgTeが挙げられるが、これらに限定されない。
II−V族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Zn3P2、Zn3As2、Cd3P2、Cd3As2、Cd3N2、及びZn3N2が挙げられるが、これらに限定されない。
III−V族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、及びBNが挙げられるが、これらに限定されない。
III−IV族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第14族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、B4C、Al4C3、及びGa4Cが挙げられるが、これらに限定されない。
III−VI族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Al2S3、Al2Se3、Al2Te3、Ga2S3、Ga2Se3、GeTe、In2S3、In2Se3、Ga2Te3、In2Te3、及びInTeが挙げられるが、これらに限定されない。
IV−VI族材料。周期表の第14族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、PbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、及びSnTeが挙げられるが、これらに限定されない。
V−VI族材料。周期表の第15族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Bi2Te3、Bi2Se3、Sb2Se3、及びSb2Te3が挙げられるが、これらに限定されない。
周期表の遷移金属である任意の族の第1の元素と、周期表の第16族の第2の元素とで構成されるナノ粒子材料。更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、NiS、CrS、CuInS2、及びAgInS2が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書及び特許請求の範囲において、用語「ドープされたナノ粒子」は、上述のナノ粒子と、大抵の場合は遷移金属又は稀土類元素である1又は複数の主族元素又は稀土類元素で構成されるドーパントとを指しており、例えば、以下に限定されないが、マンガンを有する硫化亜鉛、例えばMn+でドープされたZnSナノ粒子である。
用語「三元材料」は、本明細書及び特許請求の範囲において、上述のQDであるが、3成分材料を指す。3つの成分は、通常、言及された族の元素の組成物である。例として、(ZnXCdx−1S)mLnナノ結晶(Lは、キャッピング剤である)がある。
用語「四元材料」は、本明細書及び特許請求の範囲において、上述のナノ粒子であるが、4成分材料を指す。4つの成分は、通常、言及された族の元素の組成物である。例として、(ZnxCdx−1SySey−1)mLnナノ結晶(Lは、キャッピング剤である)がある。
大抵の場合、コア粒子上に成長する任意のシェル又は以降の複数のシェルに用いる材料は、コア材料に類似の格子型の材料である、即ち、コア材料に近い格子整合を有するので、コア上にエピタキシャルに成長することができるが、必ずしも、このような適合性の材料に制限されるわけではない。大抵の場合、存在するコア上に成長した任意のシェル又は以降の複数のシェルに用いた材料は、コア材料よりも広いバンドギャップを有することとなるが、必ずしも、このような適合性の材料に制限されるわけではない。コア上に成長する任意のシェル又は以後の複数のシェルの材料としては、以下を含む材料が挙げられ得る。
IIA−VIA(2−16)族材料。周期表の第2族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、及びSrTeが挙げられるが、これらに限定されない。
IIB−VIA(12−16)族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、及びHgTeが挙げられるが、これらに限定されない。
II−V族材料。周期表の第12族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Zn3P2、Zn3As2、Cd3P2、Cd3As2、Cd3N2、及びZn3N2が挙げられるが、これらに限定されない。
III−V族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第15族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、及びBNが挙げられるが、これらに限定されない。
III−IV族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第14族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、B4C、Al4C3、及びGa4Cが挙げられるが、これらに限定されない。
III−VI族材料。周期表の第13族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料及び四元材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Al2S3、Al2Se3、Al2Te3、Ga2S3、Ga2Se3、In2S3、In2Se3、Ga2Te3、及びIn2Te3が挙げられるが、これらに限定されない。
IV−VI族材料。周期表の第14族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、PbS、PbSe、PbTe、SnS、SnSe、及びSnTeが挙げられるが、これらに限定されない。
V−VI族材料。周期表の第15族の第1の元素と周期表の第16族の第2の元素とで構成されており、更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、Bi2Te3、Bi2Se3、Sb2Se3、及びSb2Te3が挙げられるが、これらに限定されない。
周期表の遷移金属である任意の族の第1の元素と、周期表の第16族の第2の元素とで構成されるナノ粒子材料。更には、三元材料、四元材料、及びドープされた材料も含まれる。ナノ粒子材料としては、NiS、CrS、CuInS2、及びAgInS2が挙げられるが、これらに限定されない。
2D QD層内における接続性を高めるための上述の手法は、従来のQD層にも適用されてよい。
本開示の様々な態様に従った光検出器デバイスは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路と統合することができる。2D QDを含むデバイスは、CMOS技術を用いて、例えば、予め製造されたCMOS電子読み出し回路上に2D QD層をスピンコートすることで製造されてよい。CMOS回路への統合は、小さなピクセルを形成して高解像度のセンサーを実現するために望ましいかも知れない。
幾つかの実施形態では、スペクトル感度が異なる領域を有する多数の画素がモノリシックに集積されてよい。各ピクセルのスペクトル感度は、2D QDの横方向の寸法及び/又は厚さを変えることで調整されてよい。
幾つかの実施形態では、本開示の様々な態様に従ったフォトトランジスターデバイスは、ゲートで制御されてよい。ゲートは、ゲート電圧を変化させることでスイッチとして又はアンプとして機能するので、制御機構として機能し、高機能化を可能とする。特に、2D材料の高いキャリア移動度は、ゲインがキャリア移動度に正比例するため、有利であり得る。
上記は、本発明の原理を具体化した特定の実施形態を提示する。当業者は、本明細書に明示的に開示されていなくても、本発明の原理を具体化し、故に本発明の範囲内である代替案及び変形例を考え出すことができるであろう。本発明の特定の実施形態を示して説明したが、それらは本特許が保護するものを限定することを意図したものではない。当業者であれば、特許請求の範囲によって文言上及び均等で保護される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることは理解できるだろう。