JP2021534746A - 収量が改善されたdnaの合成 - Google Patents

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Abstract

本発明は、デオキシリボ核酸(DNA)の合成、特定には、収量が改善された、および/または効率が改善された、好ましくはラージスケールでの、DNAの無細胞酵素による合成のための改善されたプロセスに関する。対イオンとしてヌクレオチド塩中に存在するカチオン種は、高収率の酵素によるDNA合成反応の収量、効率および忠実度にとって重要である。本明細書に記載の本プロセスは、イオン性ヌクレオチドのための対イオンとして代替カチオンを使用することで、DNA合成におけるより高い濃度のヌクレオチドの使用を許容し、さらにより好都合な反応条件の使用を可能にする。【選択図】図4

Description

本発明は、デオキシリボ核酸(DNA)の合成、特定には、収量が改善された、および/または効率が改善された、好ましくはラージスケールでの、DNAの無細胞酵素による合成のための改善されたプロセスに関する。
デオキシリボ核酸(DNA)の増幅は、細胞ベースのプロセスの使用を介して、例えば増幅させようとするDNAを増殖させる細菌を発酵槽で培養することによって行うことができる。また、ポリメラーゼ連鎖反応や鎖置換反応などの、初発のテンプレートからDNAを増幅させるための無細胞の酵素的なプロセスも記載されている。
これまでに、試験スケールでのDNAの増幅は、マイクロタイタープレートと、反応要素を必要に応じて添加するためにロボット制御されたピペットとをベースとした装置を使用して実行されてきた。このような装置およびプロセスは、試験目的で少量のDNAを製造には好適であるが、他の目的には十分な量を提供しない。特定の核酸およびタンパク質のラージスケールの増幅および製造は、ほとんど細胞ベースのプロセスを介して行われてきた。このような方法は、一般的に、非常に大きい体積の生成物の生産には有効であるが、セットアップが高価である。さらに、臨床的および治療的な目的のために、無細胞環境でDNAを合成することが好ましい。
化学合成、例えばホスホアミダイト方法を使用するラージスケールのDNA合成が公知であるが、欠点がないわけではない。この反応は、一般的に有機溶媒中で実行されなければならず、その多くは毒性であるか、またはそれ以外の理由で有害である。化学合成の別の欠点は、この合成が、各ヌクレオチドの添加の後、一部の割合の成長中のオリゴヌクレオチド鎖がキャッピングされ、結果として収量損失が起こるため、完全に効率的というわけではない点である。したがって合成されているヌクレオチド鎖の総収量損失は、各ヌクレオチドが配列に付加されるにつれて増加する。このオリゴヌクレオチドの化学合成における固有の非効率性は、効率的に生産可能なオリゴヌクレオチドの長さを、50個またはそれ未満の核酸残基を有するオリゴヌクレオチドまで最終的に制限し、さらに合成の精度に影響を与える。
これまで、ポリメラーゼなどの生物学的な触媒は、慣例的に、インビトロにおけるDNA生成物の工業スケールでの製造に活用されておらず、反応は、主としてマイクロリットルスケールでの体積に限られてきた。DNAの酵素による合成を使用するスケールアッププロセスは、問題があることが証明されており、とりわけDNA生成物の収量が期待外れである。
本出願人はこれまでに、商業的に入手可能なヌクレオチドを使用してスケールアップする能力を扱ってきた。参照により本明細書に組み入れられるWO2016/034849に記載されているように、ヌクレオチドが枯渇したとき、または生成物の濃度が閾値に達したとき、反応混合物に新たなヌクレオチドを添加することを含む新しいプロセスを開発した。しかしながら、より一層高い収量を達成できることが確立されたことから、発明者らは、酵素によるDNA合成による収量をさらに強化するための本明細書に記載される新しい方法を開発した。
酵素によるDNAは、一般的に、新生核酸鎖へのヌクレオチドの付加を触媒するためのポリメラーゼまたはポリメラーゼ様酵素の使用を必要とする。一般的には、この反応で増幅されるテンプレートDNAが必要である。しかしながら、テンプレートなしのDNA合成を実行することも可能であり、その場合、取り込みは新たに起こる。
核酸の高度に電荷を有する性質のために、核酸は絶えず対イオンに囲まれて、それらの電荷のほとんどを中和することにより、細胞中でそれらが純粋な圧縮構造に縮合され得るように配列のセクション間の静電反発を小さくすることに留意することが重要である。核酸のビルディングブロックであるヌクレオチドもイオン種であり、電気的中性を維持するために正の対イオンの存在を必要とする。したがって、全てではないが大部分のヌクレオチドは、正の対イオンとの塩として供給される。ヌクレオチドは4個の負電荷を有するため、塩は、典型的には、2個の2価カチオン、または4個の1価カチオンと調製される。ヌクレオチド塩が水または他の溶媒に分散されるとすぐに、塩は、溶液中で解離してアニオン性およびカチオン性成分になり得ることが当業者には明らかであろう。
一般的に、ヌクレオチドは、DNAの合成、増幅またはシーケンシングのために、リチウム塩またはナトリウム塩のいずれかとして供給される。リチウムの塩は、ナトリウム塩に比べて、大きい溶解性、さらには繰り返しの凍結および融解サイクルに対する安定性も提供し、さらに、様々な微生物に対するリチウムの静菌活性のために滅菌状態を保つことで、より大きい信頼度と延長された貯蔵寿命をもたらすため、リチウムが一般的に好ましい。これらの塩の使用は、当業者が、対イオンがヌクレオチドと共に存在することを疑問視することがないと考えられるほど一般的である。実際に、WO2016/034849の実施例で使用されたヌクレオチドの全ては、ヌクレオチドのリチウム塩であり、これはなぜなら、これらは当業者にとって優れた選択として販売されているためである。
WO2016/034849
しかしながら、対イオンとしてのヌクレオチド塩に存在するカチオンの種は、高収率の酵素によるDNA合成反応の収量、効率および忠実度にとって重要であることを本発明者らは見出した。これは、商業的に入手可能なヌクレオチドが一般的にリチウム塩またはナトリウム塩としてのみ利用可能であるため、むしろ予想外である。しかしながら、そこに記載される実施例からわかるように、イオン性ヌクレオチドの対イオンとして代替カチオンを使用することは、DNA合成反応に大きな影響を与える可能性がある。このような作用は、ヌクレオチド塩の使用の従来の理解に挑み、実施例を実施するために新しい対イオン塩dNTPの設計および生産を必要とすることから、驚くべき、かつ予想外である。
概要
本発明は、DNAの無細胞生産または合成のためのプロセスに関する。本プロセスは、現行の手法と比較して強化されたDNAの生産を可能にし、すなわち、現行の手法下で考え得るものと比べて増加したまたはそれより大きい収量、それより効率的なプロセス、またはより少ない追加の成分を用いた環境で酵素によるDNA合成を実行する能力を可能にする。これは生産性を著しく増加させ、同時に、DNA合成、特定にはラージスケールでのDNA合成のコストを低下させる。
一般的に、本発明は、任意選択で特定の特性が付与されるように操作されていてもよいポリメラーゼ酵素または他のDNA合成酵素を使用する、酵素によるDNA合成に関する。
本発明は、一般的に、増幅中に加熱および冷却を介して温度をサイクル化することを必要としないが、最初にDNAテンプレートを変性させるための熱の使用を可能にする、DNAを増幅する等温方法に関する。本発明は、好ましくは、独立して、または他の酵素の助けを借りて、鎖置換による複製を介してDNAテンプレートを複製することが可能なポリメラーゼ酵素の使用に関する。
本発明のプロセスは、塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む。塩は、正の対イオン(カチオン)を含む。この対イオンは、1価カチオンであること、すなわち1個の電子を失ったことにより単一の正電荷を有することが好ましい。DNA合成の収量および/または効率を増加させるために、1価カチオンは、必ずしもナトリウムもしくはリチウムイオンまたはそれらの混合物でなくてもよいが、カチオンの少なくとも一部は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有すると予想される。塩における、または本プロセスにおける所定比率のナトリウムまたはリチウムの存在は、一般的に許容できるが、塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含むことが好ましい。ヌクレオチドとしては、4つの負電荷を有し、一般的に、4つの1価カチオンは、電気的中性を維持するために塩に存在することが理解されるであろう。
したがって、塩として供給されたヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む、上記無細胞プロセスが提供される。
したがって、塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む、上記無細胞プロセスが提供される。
好ましくは、酵素によるDNA合成は、より大きいスケールでのDNAの製造のためであり、すなわち、実験スケールの増幅というより、治療または予防的使用のためである。これは、この実験スケールにおける増幅のスケールアップでのことであり、本発明者らは、これは、より多くの基質および他の成分を提供するような簡単な話ではないことを見出し、さらに、収量もそれと同じであることを見出した。ナトリウムおよびリチウムとのヌクレオチド塩の場合、これらは、より高い濃度でDNA合成酵素にとって阻害性であることが見出された。本発明者らは、この阻害を回避する代替の方法を見出した。本発明は、反応のセットアップの変更を可能にし、したがって、10mMに等しいかまたはそれより高い濃度のヌクレオチド塩の使用を可能にする。したがって、本プロセスは、10mMに等しいかまたはそれより高い濃度でのヌクレオチド塩の使用を含み、前記濃度は、ヌクレオチドが添加されるときに決定される。濃度は、本プロセスが実行される反応混合物中で決定される。したがって、ヌクレオチドの濃度は、ヌクレオチドが添加される時点で、反応混合物中で決定される。したがって濃度は、最初の濃度またはプロセス開始時の濃度である。
したがって、少なくとも10mMの濃度での塩として供給されたヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNA合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む、上記無細胞プロセスが提供される。
したがって、少なくとも10mMの濃度での塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNA合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む、上記無細胞プロセスが提供される。
本明細書に記載されるいずれのヌクレオチド塩も、電気的中性を維持するために、最大4個の1価カチオンが存在していてもよい。
さらに、酵素によるDNA合成または無細胞プロセスにおいて、ヌクレオチド塩の混合物を使用することが可能である。
したがって、塩として供給されたヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNA合成のための無細胞プロセスであって、前記ヌクレオチドは、
(a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい単一の1価カチオンとの塩の形態、または
(b)2種またはそれより多くの異なる1価カチオンとの塩の形態であって、該カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、形態
のいずれかである、無細胞プロセスが提供される。
この形態でのヌクレオチドは、10mMより高い濃度で提供されてもよい。
したがって、塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNA合成のための無細胞プロセスであって、該ヌクレオチドは、
(a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい単一の1価カチオンとの塩の形態、または
(b)2種またはそれより多くの異なる1価カチオンとの塩の形態であって、カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、形態
のいずれかである、上記無細胞プロセスが提供される。
この形態におけるヌクレオチドは、10mMより高い濃度で存在する。
「単一の1価カチオン」は、本明細書で使用される場合、単一の1価カチオンである化学種を意味し、その最大4個が、ヌクレオチドイオンにおける負電荷を釣り合わせるために使用され得る。
代替の形態として、塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、少なくとも10mMの濃度で存在し、
(a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい1価カチオンを含む塩の形態、または
(b)2種またはそれより多くの塩の形態であって、各塩は、異なる1価カチオンを含み、該カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、形態
のいずれかである、上記無細胞プロセスが提供される。
酵素によるDNA合成は、DNAを合成することが可能なあらゆる酵素を含んでいてもよく、その例としては、ポリメラーゼまたは改変されたポリメラーゼが挙げられる。ポリメラーゼは、ファミリーA、B、C、D、X、YおよびRTなどの公知のDNAポリメラーゼファミリーのうちのいずれからのものでもよい。ファミリーXからのDNAポリメラーゼの例は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼである。
酵素によるDNA合成は、テンプレートを使用せずに、デノボで行ってもよい。
酵素によるDNA合成は、テンプレート、例えばDNAテンプレートを含んでいてもよい。
酵素によるDNA合成は、本明細書に記載される成分を含む反応混合物中で行ってもよい。
代替の形態として、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記ヌクレオチドは、少なくとも10mMの濃度で存在し、
(a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい単一の1価カチオンとの塩の形態、または
(b)2種またはそれより多くの異なる1価カチオンとの塩の形態であって、カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、形態
のいずれかである、上記無細胞プロセスが提供される。
代替として、ヌクレオチド塩は、これらに限定されないが、ナトリウムまたはリチウムである1価カチオンを含むが、顕著な割合が、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有するカチオンを含むヌクレオチド塩である。したがって、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、1価カチオンとの塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記ヌクレオチドは、少なくとも10mMの濃度で存在し、ナトリウムまたはリチウムに限定されない、上記無細胞プロセスが提供される。
ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩の濃度が述べられる場合、これは、本プロセスの開始時のヌクレオチド(またはその塩)の濃度であり、すなわち開始時の、または最初のヌクレオチド(またはヌクレオチド塩)の濃度であることが好ましい。したがってこれは、反応混合物への添加後の濃度である。他の成分の添加は、本プロセス中に行うことができ、このような添加は、濃度を補充するためにさらなるヌクレオチドが供給されない限り、ヌクレオチド/ヌクレオチド塩の濃度を希釈する可能性があることが理解されるであろう。さらに、ヌクレオチド/ヌクレオチド塩は、本プロセス、すなわちDNA合成反応によって使用または消費されるため、ヌクレオチド/ヌクレオチド塩の濃度は、本プロセスが進行するにつれて低下すると予想される。特定の実施態様において、酵素反応のための基質を補充するために、本プロセスが進行するにつれて、さらなるヌクレオチド/ヌクレオチド塩を添加してもよい。
本発明者らは、驚くべきことに、ヌクレオチド塩が、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む場合、合成における2価カチオンの必要性が低減されることを見出した。例を挙げるならば、DNA合成反応中に、例えばマグネシウム(2価カチオン)が、少なくとも1:1のヌクレオチド塩との最小の比率で存在する。これはなぜなら、マグネシウムは、一部のポリメラーゼ酵素の活性部位において必要なためであり、マグネシウムは、取り込みの前に、ヌクレオチドとの複合体を形成することができ、さらに、それ自体の塩を、DNA合成中に放出されたリン酸イオン種と形成することができる。しかしながら、特定の条件下で、本発明者らは、マグネシウムまたは他の2価カチオンの必要性がかなり低減される方法を開発した。これは、DNA合成に含まれる成分を低減させることは顕著にコストを低減するため重要であるが、さらに、より高い濃度のマグネシウムは、DNA合成における忠実度の減少に関連する。
2価カチオンは、Mg2+、Be2+、Ca2+、Sr2+、Mn2+またはZn2+からなる群から選択される1種またはそれより多くの金属を含んでいてもよく、好ましくはMg2+またはMn2+を含んでいてもよい。金属カチオンとヌクレオチド塩との比率は、反応混合物中、約1:1であり得る。DNA合成では、比率が1:1より高いと、DNA合成においていくらかの不正確さをもたらす可能性があるため、1:1より低い比率が望ましく、好ましい。2価カチオンは、あらゆる好適な塩の形態で、酵素によるDNA合成に供給することができる。
それゆえに本発明はまた、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1種またはそれより多くの1価カチオンとのヌクレオチド塩の使用を含む、低減された2価カチオンの条件下で実行される酵素によるDNA合成にも関する。この状況における低減は、リチウムまたはナトリウムイオンがヌクレオチド塩中に存在する同一な反応と比較した場合のものである。
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のプロセスにおける、代替の対イオン、例えばアンモニウムおよびセシウムイオンとのヌクレオチド塩の使用は、酵素によるDNA合成に取り入れることになる緩衝剤の必要性を低減させることを見出した。これはさらに、合成反応のコストを低減させ、治療的使用のためのDNA合成にとって有益であり得るため、有利である。
さらに、ここで本発明者らによって開発された方法は、存在する他の成分に関して広範な条件で実行することができる。これらの条件は、従来の緩衝化レベルから、さらなる緩衝剤を供給しなくても効果的に水中の必要な成分との反応が実行される範囲である。必要な成分としては、DNAを合成する酵素、すなわちポリメラーゼ、ヌクレオチド塩、および2価カチオン(塩として)を挙げることができ、任意選択で、テンプレート、変性剤、ピロホスファターゼ、または1種もしくはそれより多くのプライマーから選択される、反応の条件に応じて必要な追加の成分も挙げられる。これらの成分は、反応混合物を形成し得る。
したがって、少なくとも所定比率の、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価の正の対イオン(カチオン)との塩としてのヌクレオチドを、本プロセスに、すなわち反応混合物に供給することは、驚くべき程にDNA収量の改善および/またはヌクレオチドのDNAへの変換効率の改善を可能にすることから、有利である。これらの改善は、全てのヌクレオチドが、従来の塩として単独で、例えば単にリチウムまたはナトリウム塩として、またはこれらの2種のイオンの混合物として供給される類似した反応混合物と比較することができる。異なるヌクレオチド塩の、慣習的に使用されるものへの供給は、いくつかのさらに驚くべき利点を有し、例えば、反応混合物中の緩衝剤の濃度を低くする、一部の場合においてゼロにすることや、反応混合物のための2価カチオン補因子、最も多くの場合にはマグネシウムの必要性を低くすることなどの能力を有する。
一形態において、テンプレートは、本プロセスにおいて酵素によるDNA合成を方向付ける。このテンプレートは、DNAテンプレートであり得る。テンプレートの増幅は、好ましくは、鎖置換を介する。テンプレートの増幅は、好ましくは等温であり、すなわち、増幅を進行させるために低温から高温の間のサイクル化を必要としない。このシナリオにおいて、熱は、必要があれば、テンプレートを変性させるために開始時に使用してもよいし、またはテンプレートは、化学的な手段によって変性させてもよい。しかしながら、一旦テンプレートが変性すると、場合により、いずれかのプライマーが二本鎖テンプレート間に入ることを可能にするために、温度は、テンプレートおよび生成物の変性に影響を与えない温度の範囲に維持してもよい。等温の温度条件は、テンプレートおよび生成物が変性するポイントに反応物が加熱されないことを必要とする(テンプレートおよび生成物を変性させるために熱のサイクルを必要とするPCRと比較して)。一般的にこのような反応は、酵素それ自体の選好に応じて一定温度で実行される。温度は、酵素にとって好適なあらゆる温度であり得る。
無細胞プロセスは、好ましくは、鎖置換複製を介したテンプレートの増幅を含む。この合成は、一本鎖DNAを放出し、これは順に、ポリメラーゼを使用して二本鎖DNAにコピーされ得る。鎖置換という用語は、新生の一本鎖を伸長させるためにポリメラーゼが二本鎖DNAを開いたところで、合成中に遭遇する下流のDNAを置換する能力を記載するものである。様々な程度の鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼが、商業的に入手可能である。代替として、鎖置換は、DNAポリメラーゼおよび別個のヘリカーゼを供給することによって達成することができる。複製ヘリカーゼは、二重鎖DNAを開き、リーディング鎖のポリメラーゼの前進を容易にする。
独立して、本発明のあらゆる形態の任意選択の特色は、テンプレートが環状であってもよいことである。前記DNAテンプレートの鎖置換増幅は、ローリングサークル増幅(RCA)によって行うことができる。ポリメラーゼは、Phi29、またはその変異体であり得る。DNAの増幅は、等温増幅であってもよく、すなわち一定温度でなされてもよい。1種またはそれより多くのプライマーは、ランダムプライマーであり得る。プライマーの対またはセットを使用することができる。合成されたDNAは、DNAテンプレートから増幅されたDNA配列のタンデム単位を含むコンカテマーを含んでいてもよい。DNAテンプレートは、閉じた直鎖状DNAであってもよく、好ましくはDNAテンプレートは、変性条件下でインキュベートされて、閉環した一本鎖DNAを形成する。
合成され得るDNAの量は、反応混合物1リットル当たり3gに等しいかまたはそれより多くであり、特に、16g/lまたはそれより多く、好ましくは最大30g/lおよびそれより多くである。
合成され得るDNAの量は、反応混合物ごとに計算された最大収量の60%を超える量であり得る。好ましくは、合成され得るDNAの量は、計算された最大収量の80%を超える量であり得る。計算された最大収量は、全てのヌクレオチドが生成物に取り込まれる理論上の収量に基づいており、これは、当業者によって計算することができる。
ヌクレオチド(またはヌクレオチド塩)からのDNA合成の効率は、反応混合物に供給されるヌクレオチドまたはその塩の、反応の経過にわたり生成物にうまく取り込まれるパーセンテージとして記載される場合がある。
無細胞プロセスは、少なくとも1種のヌクレオチドを必要とする。次いで1種またはそれより多くのさらなるヌクレオチドを付加することができる。ヌクレオチドまたはさらなるヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、またはその誘導体もしくは改変されたバージョンである。ヌクレオチドまたはさらなるヌクレオチドは、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)およびそれらの誘導体の1種またはそれより多くである。ヌクレオチドまたはさらなるヌクレオチドは、それらの塩として提供される。それぞれ個々のヌクレオチド塩は、電気的中性を維持するために、最大4個の1価カチオンを含んでいてもよい。本プロセスにおいて使用されるヌクレオチド塩は、1種またはそれより多くの1価カチオン、すなわち1価カチオンの1種またはそれより多くの化学種を含んでいてもよく、全てではないがほとんどの前記1価カチオンが、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有することが好ましい。これらは、溶液中で解離でき、それゆえにプロセスにおけるカチオンの存在に寄与することが理解されるであろう。
本プロセスにおける、すなわち反応混合物中の、ヌクレオチドまたはその塩の濃度は、好ましくは、10mMより高く、少なくとも100mMまでであり得る。このような濃度は、より高い収量のDNAの生産において重要であり、2つの濃度が示される場合、3g/lから30g/lに達する高さであり得る。好ましくは、述べられているヌクレオチドまたはその塩の濃度は、本プロセスの開始時の濃度であり、すなわち、DNA合成に必要な酵素も含む反応混合物中の、開始時または最初のヌクレオチドまたはその塩の濃度である。それに続いてさらなる成分を添加することが、この濃度を低減させる可能性があり、DNA合成酵素によるそれらの使用も、開始濃度から濃度を低減させることになる。当業者は、本プロセスを準備するときに、使用される他の成分およびストックヌクレオチド塩溶液/粉末の体積に基づいて、どのようにヌクレオチド/ヌクレオチド塩の濃度を計算するかを認識していると予想される。
ヌクレオチドおよびヌクレオチド塩という用語は、本来的に全てのヌクレオチドは塩として供給されるため、当業界では同義的に使用される。
本プロセスは、バッチプロセスまたは連続フロープロセスであり得る。バッチは、クローズドのバッチ(すなわちDNA合成の開始時に反応要素の全てが提供される)であってもよいし、または例えば参照により本明細書に組み入れられるWO2016/034849に記載されているように、本プロセス中に必要に応じてさらなる成分が反応に供給されてもよい。さらなる添加が必要となる場合、さらなるヌクレオチド塩が濃度を補充するように添加されない限り、これはヌクレオチドまたはヌクレオチド塩の濃度を希釈することになる。
本発明者らは、異なる対イオンのそれぞれが、酵素によるDNA合成反応に特定の特徴を追加し得ることを見出した。例えば、セシウムイオンとのヌクレオチド塩の使用は、低減されたレベルのマグネシウムの存在下での酵素によるDNA合成をもたらす。さらに、ヌクレオチド塩におけるアンモニウムイオンの使用は、ある程度高い濃度のヌクレオチドの使用をもたらした。実施例は、80mMのヌクレオチド濃度でのDNA合成を示す。
本発明者らは、これまでにヌクレオチド塩におけるこれらのカチオンのうちいくつかの使用を認識しておらず、これは、商業的供給源からそれらが入手しにくいことによって裏打ちされる。これらのヌクレオチド塩は、必要に応じて、ヌクレオチドの製造元からのカスタムオーダーすることができる。
したがって、酵素による無細胞のDNAの合成におけるセシウム、アンモニウム、アンモニウム誘導体またはルビジウムカチオンのいずれか1つを含むヌクレオチド塩の使用は、本発明の一部を構成する。したがって、これらのイオンを含むヌクレオチド塩の使用は、本発明の一部を構成する。
このようなイオンを用いた酵素による無細胞のDNAの合成は、ヌクレオチドに対して、約1:1より小さい低いレベルの2価カチオンの存在下で、好ましくは、0.2:1〜0.8:1の2価カチオンの比率で、好ましくは、0.2:1〜0.5:1の比率で行うことができる。イオンは、ヌクレオチド塩における対イオンである。
このようなイオンを用いた酵素による無細胞のDNAの合成は、DNA合成を強化するかまたはプライマー結合を助けることが示されている追加の塩、または界面活性剤が添加されていない最低限の緩衝剤中で行うことができる。この最低限の緩衝液は、pHを安定化するための物質(緩衝剤)を含んでいてもよい。最低限の緩衝剤は、テンプレートを変性させるのに使用される化学物質、例えばナトリウム、カリウムまたは水酸化アンモニウムの存在によって提供される極めて少量のカチオンを含有していてもよい。イオンは、ヌクレオチド塩における対イオンである。
酵素によるDNA合成において、低レベルのマグネシウムイオンが望ましいと予想され、本発明者らは、このような合成のための信頼できるヌクレオチドは、セシウムイオンとのヌクレオチド塩であることを見出した。
したがって、本発明は、セシウムイオンを含むヌクレオチド塩の使用を含む、酵素による無細胞のDNAの合成を提供し、この場合、2価イオンのヌクレオチドに対する比率を0.5:1またはそれ未満に維持することが必要である。
さらなる利点は、後述される。
図面の簡単な説明
例示的な実施態様および添付の図面を参照しながら本発明を以下でさらに説明する。
図1A〜1Eは、DNA合成反応において異なる対イオンとのヌクレオチド塩の様々な開始濃度およびマグネシウムイオン(MgClとしての)の異なる最初/開始の濃度を使用した実験で得られた結果を示すプロットである。各プロットは、得られた測定したままのDNA収量(g/l)と、それに対する最初/開始の総ヌクレオチド塩濃度(mM)に相当する理論上のDNA収量(g/l)を示す。プロットの全てにおいて、点線は、ヌクレオチド塩のDNAへの変換の80%の効率を示し、実線は、変換の100%の効率を示す。図1Aは、リチウム−dNTPを使用して得られたDNA合成の結果を示す。図1Bは、ナトリウム−dNTPを用いて達成された結果を示す。図1Cは、カリウム−dNTPを用いて得られた結果を示す。図1Dは、アンモニウム−dNTPを用いて達成された結果を示す。図1Eは、セシウム−dNTPを使用した場合の結果を示す。 図2は、DNA合成実験からのデータを示すグラフであり、マグネシウムイオンの異なる反応濃度に対する最大の測定したままのDNA収量を示したdNTP塩濃度(mM)のプロットである。対イオンとして、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびセシウムを使用したヌクレオチド塩に関する結果を示す。グラフは、3つのセクションに分割され、マグネシウムイオンのヌクレオチド塩に対する比率が0.5未満であるセクション、比率が0.5および1であるセクション、および比率が1を超える最後のセクションの結果を強調する。またこれらのセクションの閾値も示され、点線は、0.5:1のマグネシウムイオンのヌクレオチド(dNTP)に対する比率を示し、実線は、1:1の比率を示す。[図2は、DNA合成実験から得られたデータを示すグラフである。実施例において、様々な対イオンおよび増加する濃度の塩化マグネシウムを使用して、固定された開始濃度のヌクレオチド塩を用いて実行された様々なDNA合成反応のDNA収量を測定した。グラフは、試験されたヌクレオチド塩の全ての塩化マグネシウム濃度に対してプロットした測定したままのDNA収量(g/l)を示す。] 図3は、ヌクレオチド塩の様々な開始濃度を使用した最低限の緩衝液中で実行されるローリングサークル増幅を使用したDNA合成反応からのデータを示すグラフである。測定したままのDNA収量(g/l)と、それに対する最初/開始のdNTP塩濃度(mM)がプロットされる。 図4は、DNAテンプレートのローリングサークル増幅を使用したDNA合成実験からのプロットであり、その実験中、反応混合物中の追加の1価カチオンの存在が、DNA合成反応に対して作用を有するかどうかが試験された。この実験において、アンモニウム−ヌクレオチド塩が使用され、示されたような1価カチオン塩化物塩も反応混合物中に含まれていた。(4つ存在する)dNTP上に存在する各アンモニウムイオンに対して1個の1価カチオンを提供するため、アンモニウムdNTP塩の1価の塩化物塩に対する開始比率は、1:4であった。したがって、アンモニウムイオン(dNTP塩上の)の1価カチオンに対する開始比率は、1:1である。 マグネシウムの開始濃度も様々であり、それぞれ図に示される17.5mM、25mM、35mMおよび50mMの濃度のアンモニウム対イオンdNTPに対応して、5mM、10mM、20mMおよび40mMである。リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびセシウムを含む1価カチオンの対イオン塩化物塩の存在下での、アンモニウム対イオンdNTP(NH−dNTP)の示された濃度に対して、測定したままのDNA収量がプロットされ、対照は、追加の塩を含まないものである。 図5aおよび6bは、ヌクレオチド塩の様々な開始濃度におけるポリメラーゼ、テンプレートおよびプライマーが欠如した反応混合物のpHを比較した、いくつかのpH決定実験の結果である。可変の最初の塩化マグネシウム(MgCl)濃度が使用される。プロットは、述べられている最初の塩化マグネシウム濃度におけるヌクレオチド塩の濃度に対する測定されたpHを示す。DNA合成は起こらなかった。図6aは、セシウム−dNTPに関するデータのプロットを示す。図6bは、アンモニウム−dNTPに関するデータのプロットを示す。 図7は、実施例で使用されたプラスミドマップproTLx−K B5X4 LUX ST(AT) である。プロセシング部位(TelRL)、Luc2レポーター遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、CMVプロモーターおよびpUC oriが示される。
詳細な説明
本発明は、ラージスケールのDNAの合成のための無細胞プロセスに関する。本発明のプロセスは、DNAのハイスループット合成を可能にする。
本発明により合成されたデオキシリボ核酸(DNA)は、どのようなDNA分子であってもよい。DNAは、一本鎖DNAであってもよいし、または二本鎖DNAであってもよい。DNAは、直鎖状であってもよい。DNAは、環、特定にはミニサークル、一本鎖の閉じた環、二本鎖の閉じた環、二本鎖の開いた環、または閉じた直鎖状の二本鎖DNAが形成されるように処理することができる。DNAは、特定の二次構造、例えば、これらに限定されないが、ヘアピンループ(ステムループ)、不完全なヘアピンループ、シュードノット、または様々な種類の二重らせん(A−DNA、B−DNA、またはZ−DNA)のいずれか1つを形成してもよいし、またはそれらを形成するように処理してもよい。DNAはまた、ヘアピンおよびアプタマー構造を形成していてもよい。
合成されたDNAは、あらゆる好適な長さを有していてもよい。本発明のプロセスを使用して、最大77キロ塩基の、またはそれを超える長さが可能である。より特定には、本発明のプロセスに従って合成可能なDNAの長さは、およそで、最大60キロ塩基、または最大50キロ塩基、または最大40キロ塩基、または最大30キロ塩基であり得る。好ましくは、合成されたDNAは、100塩基から77キロ塩基より多く、500塩基〜60キロ塩基、200塩基〜20キロ塩基、より好ましくは、200塩基〜15キロ塩基、最も好ましくは、2キロ塩基〜15キロ塩基であり得る。
本発明のプロセスに従って合成されたDNAの量は、3g/lを超える可能性がある。合成されたDNAの量は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30g/l、またはそれより多いことが好ましい。好ましい合成されたDNAの量は、5g/lである。生産されたDNAの量は、ラージスケールまたは大量生産における工業的または商業的な量として記載される場合がある。本発明のプロセスによって生産されたDNAは、品質において、すなわちDNAの長さおよび配列において均質であり得る。本プロセスは、したがってラージスケールのDNAの合成に好適であり得る。本プロセスは、合成の忠実度に関して均質であり得る。
代替として、合成反応で生産されたDNAの量は、合成されたDNAに100%のヌクレオチドが取り込まれた場合に達成されると予想される理論上の最大収量と比較してもよい。本発明の方法は、得られる総収量を改善するだけでなく、本プロセスの効率も改善し、これは、以前の方法の場合より多くの供給されたヌクレオチドが、合成されたDNA生成物に取り込まれることを意味する。本発明の方法によって得ることができる収量は、理論上の最大値の50%より高く、理論上の最大値の90%まで、およびそれを超える。それゆえに、本発明の方法によって達成される理論上の最大収量の比率としては、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%および95%、またはそれより大きい%が挙げられる。慣習的に、商業的に入手可能なヌクレオチド塩を使用すると、達成される収量は、本プロセスに対して阻害性であり得るイオンの作用のために期待外れになり得る。
DNAは、酵素反応で合成される。この酵素による合成は、あらゆるDNA合成酵素の使用、最も多くの場合はポリメラーゼ酵素、または改変されたポリメラーゼ酵素の使用を含んでいてもよい。これらは、以下でさらに論じられる。DNA合成は、テンプレートを必要としないデノボ合成であってもよい。酵素による合成はまた、DNA合成のためのテンプレートの使用を必要とする場合もある。このテンプレートは、ポリメラーゼに応じてあらゆる好適な核酸であってもよいが、好ましくはDNAテンプレートである。
テンプレートは、特定の配列を含むことによって単にDNAの合成のための指示を提供するあらゆる好適なテンプレートであり得る。テンプレートは、一本鎖(ss)であってもよいし、または二本鎖(ds)であってもよい。テンプレートは、直鎖状であってもよいし、または環状であってもよい。テンプレートは、天然、人工もしくは改変された塩基またはそれらの混合物を含み得る。
テンプレートは、天然に得られた、または人工のいずれかの、あらゆる配列を含んでいてもよい。
テンプレートは、あらゆる好適な長さを有していてもよい。特定には、テンプレートは、最大60キロ塩基、または最大50キロ塩基、または最大40キロ塩基、または最大30キロ塩基であり得る。好ましくは、DNAテンプレートは、10塩基〜100塩基、100塩基〜60キロ塩基、200塩基〜20キロ塩基、より好ましくは200塩基〜15キロ塩基、最も好ましくは2キロ塩基〜15キロ塩基であり得る。
テンプレートは、当業界において公知のあらゆる方法によって本プロセスで使用するのに十分な量で提供されてもよい。例えば、テンプレートは、PCRによって生産されてもよい。
本プロセスでは、テンプレートの全体または選択された部分が増幅され得る。
テンプレートは、発現のための配列を含んでいてもよい。DNAは、細胞(すなわちインビトロまたはインビボでトランスフェクトされた細胞)での発現のためのDNAであってもよいし、または無細胞系における発現(すなわちタンパク質合成)のためのDNAであってもよい。発現のための配列は、治療目的のため、すなわちDNAワクチンの遺伝子治療のための配列であってもよい。発現のための配列は、遺伝子であってもよく、前記遺伝子は、DNAワクチン、治療用タンパク質などをコードしていてもよい。これらの配列は、活性なRNA形態、すなわち短鎖干渉RNA分子(siRNA)に転写される配列を含んでいてもよい。
必要があれば、テンプレートは、後述するように、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させてもよい。
酵素によるDNA合成反応は、少なくとも1種のDNA合成酵素を必要とする場合がある。好ましくは、酵素は、ポリメラーゼである。ポリメラーゼは、ヌクレオチドを一緒に連結させて、DNAポリマーを形成する。1、2、3、4または5種の異なる酵素および/またはポリメラーゼを使用することができる。ポリメラーゼは、DNAのポリマーを合成するのであれば、ポリメラーゼのあらゆるファミリーからのいずれの好適なポリメラーゼであってもよい。ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼであり得る。あらゆる商業的に入手可能なDNAポリメラーゼを含むあらゆるDNAポリメラーゼを使用することができる。2、3、4、5種またはそれより多くの異なるDNAポリメラーゼを使用することができ、例えばそのうちの1種は、校正機能を提供し、それ以外の1種またはそれより多くはそうではない。異なるメカニズムを有するDNAポリメラーゼ、例えば、鎖置換型ポリメラーゼ、および他の方法によってDNAを複製するDNAポリメラーゼを使用することができる。鎖置換活性を有さないDNAポリメラーゼの好適な例は、T4DNAポリメラーゼである。テンプレート非依存性ポリメラーゼ、例えば末端トランスフェラーゼを使用してもよい。
改変されたポリメラーゼも使用される可能性がある。改変されたポリメラーゼは、それらの特徴を改変するように、例えば、それらのテンプレートへの依存性をなくすように、それらの温度依存性を変更するように、またはインビトロでの使用のために酵素を安定化するように操作されていてもよい。
ポリメラーゼは、プロセス条件下での長期のインキュベーションによってその活性が実質的に低減されないように、高度に安定であってもよい。それゆえに、この酵素は、好ましくは、これらに限定されないが、温度およびpHを含む様々なプロセス条件下で長い半減期を有する。ポリメラーゼは、製造プロセスに好適な1つまたはそれより多くの特徴を有することも好ましい。ポリメラーゼは、好ましくは、例えば校正活性を有することにより、高忠実度を有する。さらに、ポリメラーゼは、高い処理能力、高い鎖置換活性、ならびにdNTPおよびDNAに関する低いKを提示することが好ましい。ポリメラーゼは、テンプレートとして環状および/または直鎖状DNAを使用することが可能である。ポリメラーゼは、テンプレートとしてdsDNAまたはssDNAを使用することが可能である。ポリメラーゼは、その校正活性に関連しないDNAエキソヌクレアーゼ活性を提示しないことが好ましい。
当業者は、所与のポリメラーゼが、商業的に入手可能なポリメラーゼによって提示された特性と比較して、上記で定義されたような特徴を提示するかどうかを決定することができ、ここで商業的に入手可能なポリメラーゼとしては、例えば、Phi29(ニューイングランドバイオラボ社(New England Biolabs, Inc.)、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)、Deep Vent(登録商標)(ニューイングランドバイオラボ社)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)DNAポリメラーゼI(ニューイングランドバイオラボ社)、DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメント(ニューイングランドバイオラボ社)、M−MuLV逆転写酵素(ニューイングランドバイオラボ社)、VentR(登録商標)(exo−マイナス)DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ社)、VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ社)、Deep Vent(登録商標)(exo−)DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ社)およびBst DNAポリメラーゼ大フラグメント(ニューイングランドバイオラボ社)が挙げられる。高い処理能力と述べられる場合、これは、典型的には、テンプレートとの会合/解離1回当たりのポリメラーゼ酵素によって付加されるヌクレオチドの平均数、すなわち単一の会合事象から得られた新生の伸長の長さを意味する。
鎖置換型ポリメラーゼが好ましい。好ましい鎖置換型ポリメラーゼは、Phi29、Deep VentおよびBst DNAポリメラーゼIまたはそれらのあらゆる変異体である。「鎖置換」は、合成中に二本鎖DNAの領域に遭遇すると相補鎖を置換するポリメラーゼの能力を記載する。したがってテンプレートは、相補鎖を置換し、新しい相補鎖を合成することによって増幅される。したがって、鎖置換複製中、新たに複製された鎖は置換されて、ポリメラーゼにさらなる相補鎖を複製させるようになる。プライマーまたは一本鎖テンプレートの3’遊離末端が、テンプレート上の相補配列にアニールすると(両方ともプライミング事象である)、増幅反応が開始する。DNA合成が進行して、さらなるプライマーまたはテンプレートにアニールした他の鎖に遭遇する場合、ポリメラーゼは、これを置換し、その鎖を伸長させ続ける。鎖置換は、より多くのプライミング事象のためのテンプレートとして機能し得る一本鎖DNA放出することができる。新たに放出されたDNAのプライミングは、超分岐、および高収量の生成物をもたらす可能性がある。二本鎖DNAは、新しいDNA鎖合成の継続の妨げではないため、変性のサイクルは効率的なDNA増幅にとって必須ではないという点で、鎖置換増幅方法は、PCRベースの方法とは異なることが理解されるものとする。鎖置換増幅は、最初のテンプレートが二本鎖である場合、プライマーが使用される場合、最初のテンプレートを変性させ、プライマーをプライマー結合部位にアニールさせるために、1回の最初の加熱ラウンドしか必要としない可能性がある。この後、さらなる加熱または冷却が必要ではないため、増幅は、等温と記載される場合がある。対照的に、PCR方法は、二本鎖DNAを溶融させ、新しい一本鎖テンプレートを提供するために、増幅プロセス中に変性サイクル(すなわち温度を94℃またはそれより高い温度に上昇させること)を必要とする。鎖置換中、ポリメラーゼは、すでに合成されたDNAの鎖を置換する。さらにポリメラーゼは、新たに合成されたDNAをテンプレートとして使用して、DNAの迅速増幅を確実にする。
本発明のプロセスで使用される鎖置換ポリメラーゼは、好ましくは、少なくとも20kb、より好ましくは、少なくとも30kb、少なくとも50kb、または少なくとも70kbの処理能力、またはそれより大きい処理能力を有する。一実施態様において、鎖置換DNAポリメラーゼは、phi29 DNAポリメラーゼと同等かまたはそれより大きい処理能力を有する。
したがって、鎖置換複製が好ましい。鎖置換複製中、テンプレートは、ポリメラーゼの作用によって合成された、すでに複製された鎖を置換すること、それに続いて、二本鎖テンプレートの元の相補鎖、または新たに合成された相補鎖であり得る別の鎖を置換することによって増幅され、ここでこの新たに合成された相補鎖は、テンプレートにアニールした初期のプライマーへのポリメラーゼの作用によって合成されたものである。したがって、テンプレートの増幅は、別の鎖の鎖置換複製を介した、複製された鎖の置換によって行うことができる。このプロセスは、鎖置換増幅または鎖置換複製として記載される場合がある。
好ましい鎖置換複製プロセスは、ループ介在等温増幅、またはLAMPである。LAMPは、一般的に、テンプレートDNAの6〜8つの別個の領域を認識する4〜6種のプライマーを使用する。簡単に言えば、鎖置換DNAポリメラーゼは、合成を開始させ、プライマーのうちの2種がループ構造を形成することで、後続の増幅のラウンドを容易にする。標的DNAのセンスおよびアンチセンス鎖の配列を含有する内部プライマーがLAMPを開始させる。それに続く外部プライマーによってプライミングされる鎖置換DNA合成により、一本鎖DNAが放出される。これは、ステム−ループDNA構造を生産する標的の他方の末端にハイブリダイズする、第2の内部および外部プライマーによってプライミングされるDNA合成のためのテンプレートとして役立つ。後続のLAMPサイクリングにおいて、1種の内部プライマーは、生成物上のループにハイブリダイズし、置換DNA合成を開始させ、元のステム−ループDNAおよびステムが2倍長い新しいステム−ループDNAが生じる。改変されたLAMP手順を採用してもよく、その場合、必要な内部プライマーは、より少なくなる。
好ましい鎖置換複製プロセスは、ローリングサークル増幅(RCA)である。RCAという用語は、ハイブリダイズしたプライマーを伸長させながら、環状DNAテンプレート鎖の周りで連続的に進行するRCA型ポリメラーゼの能力を記載するものである。これにより、増幅したDNAの複数反復を有する直鎖状の一本鎖生成物の形成が生じる。環状テンプレート(シングルユニット)の配列は、直鎖状の生成物内で複数回繰り返される。環状テンプレートの場合、鎖置換増幅の最初の生成物は、一本鎖コンカテマーであり、これは、テンプレートの極性に応じてセンスまたはアンチセンスのいずれかである。これらの直鎖状一本鎖生成物は、結果として同様に増幅したDNAの複数の反復を含むコンカテマー様の二本鎖DNA生成物の形成を引き起こす、複数のハイブリダイゼーション、プライマー伸長および鎖置換事象の基礎として役立つ。したがって、コンカテマー様の二本鎖DNA生成物中に、増幅した「シングルユニット」DNAそれぞれの複数のコピーが存在する。RCAポリメラーゼは、本発明のプロセスにおける使用のために特に好ましい。RCA型鎖置換複製プロセスの生成物は、シングルユニットのDNAを放出するために、プロセシングを必要とする場合がある。これは、DNAのシングルユニットが必要な場合、望ましい。Phi29 DNAポリメラーゼを使用する典型的な鎖置換条件は、0.2〜4mMのヌクレオチドと組み合わせた、高いレベルのマグネシウムイオン、例えば10mMのマグネシウム(通常、塩化物塩として)を含む。
増幅を可能にするために、一部の形態によれば、酵素によるDNA合成は、1種またはそれより多くのプライマーを必要とする場合もある。テンプレートが使用されない場合、プライマーは、DNA合成のための開始点を許容し、合成反応が始まるように設計される。テンプレートが使用される場合、プライマーは、非特異的であってもよいし(すなわち配列中ランダムであってもよい)、またはテンプレート内に含まれる1つまたはそれより多くの配列に対して特異的であってもよい。代替として、プライマーゼ酵素は、プライマーをデノボで生成するように供給されてもよい。プライマーがランダム配列のプライマーである場合、それらは、テンプレート上のあらゆる部位での非特異的な開始を可能にする。これは、各テンプレート鎖からの複数の開始反応を介して高効率の増幅を可能にする。ランダムプライマーの例は、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、または長さがそれより長い配列であり、例えば長さが12、15、18、20または30ヌクレオチドの配列である。ランダムプライマーは、6〜30、8〜30または12〜30ヌクレオチドの長さを有していてもよい。ランダムプライマーは、典型的には、テンプレートにおける例えば六量体、七量体、八量体または九量体の全ての可能性がある組合せを代表するオリゴヌクレオチドのミックスとして提供される。
一実施態様において、プライマーまたはプライマーの1種またはそれより多くは、特異的である。これは、それらが、増幅を開始させることが求められるテンプレート中の配列に相補的な配列を有することを意味する。この実施態様において、プライマーの対を使用して、2つのプライマー結合部位の内側のDNAテンプレートの部分を特異的に増幅することができる。代替として、単一の特異的なプライマーを使用してもよい。プライマーのセットを採用してもよい。
プライマーは、あらゆる核酸組成物であってもよい。プライマーは、標識されていなくてもよいし、または1種またはそれより多くの標識、例えば放射性核種または蛍光色素を含んでいてもよい。またプライマーは、化学的に改変されたヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、プライマーは、キャップが除去されるまでDNA合成の開始を防止するために、すなわち化学的または物理的な手段によって、キャップされていてもよい。プライマーの長さ/配列は、典型的には、温度の検討に基づいて選択することができ、すなわち、増幅工程で使用される温度でテンプレートに結合することができるように選択することができる。
特定の形態において、テンプレートと、ポリメラーゼおよび1種またはそれより多くのプライマーとの接触は、プライマーのテンプレートへのアニーリングを促進する条件下で行われてもよい。この条件は、プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする一本鎖核酸の存在を含む。条件はまた、慣習的に、プライマーのテンプレートへのアニーリングを可能にする温度および緩衝液も含む。適切なアニーリング/ハイブリダイゼーション条件は、プライマーの性質に応じて選択することができる。本発明で使用され得る従来のアニーリング条件の例としては、30mMのトリス−HCl pH7.5、20mMのKCl、8mMのMgClを含む緩衝液が挙げられる。しかしながら、本発明者らは、本明細書において、緩衝液および2価金属イオン成分が低減されているがそれでもなおプライマー結合を可能にする条件を記載した。それらは、以下でさらに論じられる。アニーリングは、変性後、熱を使用して、続いて望ましい反応温度に段階的に冷却して、行うことができる。
しかしながら、鎖置換複製を使用する増幅はまた、プライマーなしで行うこともでき、したがって、ハイブリダイゼーションおよびプライマー伸長を行う必要はない。その代わりに、一本鎖テンプレートは、伸長に利用可能な遊離の3’末端を有するヘアピンを形成することにより自己プライミングする。増幅の残りの工程は同じままである。
テンプレートおよび/またはポリメラーゼはまた、ヌクレオチド塩としてのヌクレオチドとも接触する。DNAテンプレート、ポリメラーゼおよびヌクレオチド塩を合せることは、反応混合物を形成するとして記載される場合がある。また反応混合物は、1種またはそれより多くのプライマーまたはプライマーゼを含んでいてもよい。反応混合物はまた、独立して、1種またはそれより多くの2価の金属カチオンを含んでいてもよい。反応混合物は、化学的な変性剤をさらに含んでいてもよい。このような変性剤は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムであり得る。反応混合物は、追加の酵素、例えばヘリカーゼまたはピロホスファターゼをさらに含んでいてもよい。反応混合物は、pH緩衝剤を含有していてもよいし、一部の形態において、pH緩衝剤を含有しない。
ヌクレオチドは、核酸の単量体、またはシングルユニットであり、ヌクレオチドは、窒素塩基、五炭糖(リボースまたはデオキシリボース)、および少なくとも1つのリン酸基で構成される。あらゆる好適なヌクレオチドを使用することができる。
ヌクレオチドは、1価カチオンとの塩として存在する。1価カチオンは、単一の正電荷を有するイオン種であり、したがって、一般的に、ヌクレオチド塩中に最大4つが存在すると予想される。1価カチオンは、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有することが好ましい。イオン半径は、イオン結晶構造におけるイオンの半径である。イオン半径は、典型的にはピコメートル(pm)またはオングストローム(Å)のいずれかの単位で示される。イオン半径は、所与のイオンの固定された特性ではないが、配位数およびスピン状態などの様々なパラメーターに応じて変化する。それにもかかわらず、イオン半径の値は、イオン半径が周期表の族が下に行くに従って増加する、原子イオンに関して認識される周期的な傾向をもたらすのに十分区別できる程度である。同じイオンの場合、イオン半径は、配位数の増加に伴い増加し、低スピン状態におけるイオンは、高スピン状態における同じイオンより小さいと予想される。一般的に、イオン半径は、正電荷の増加に伴い減少する。したがって、本明細書でイオン半径が言及される場合、そのイオンのあらゆる可能性のあるイオン半径に対する言及であり得る。表6に、例示的なイオン半径を提示する。
ヌクレオチドは、1価金属イオンの塩、例えば、これらに限定されないが、アルカリ金属(第1族):リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)またはフランシウム(Fr)などを含んでいてもよい。代替として、またはそれに加えて、1価金属イオンは、遷移金属(第11族):銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)またはレントゲニウム(Rg)であってもよい。アルカリ金属が好ましく、したがって好ましい対イオンは、カリウム(K+)、ルビジウム(Rb+)、セシウム(Cs+)またはフランシウム(Fr+)であり得る。
ヌクレオチドとしては、多原子の1価イオンの塩を含んでいてもよい。多原子イオンは、1個より多くの原子を含有するイオンである。これが、多原子イオンが1個のみの原子を含有する単原子イオンと異なる点である。例示的な1価多原子カチオンとしては、アンモニウム(NH )およびヒドロニウム(H)が挙げられ、特に好ましくはアンモニウムである。アンモニウムは、全ての条件下で、ナトリウムより大きいイオン半径を有する。またアンモニウムの誘導体も包含され、これらの例示的な群としては、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、コリン、第四アンモニウムおよびイミダゾリウムが挙げられる。当業者は、ヌクレオチド塩における対イオンとして使用するのに適切な、単一の正電荷を有するさらなるアンモニウムの誘導体を認識しているであろう。
窒素塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)であってもよい。窒素塩基はまた、改変された塩基であってもよく、例えば5−メチルシトシン(m5C)、プソイドウリジン(Ψ)、ジヒドロウリジン(D)、イノシン(I)、および7−メチルグアノシン(m7G)であってもよい。窒素塩基はさらに、人工塩基であってもよい。ヌクレオチド塩の濃度は、様々な窒素塩基のあらゆる組合せを含むものでもよい。
五炭糖は、デオキシリボースでり、したがってヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。
ヌクレオチドは、dNTPと示されるデオキシヌクレオシド三リン酸の形態であってもよい。これは、本発明の好ましい実施態様である。好適なdNTPとしては、dATP(デオキシアデノシン三リン酸)、dGTP(デオキシグアノシン三リン酸)、dTTP(デオキシチミジン三リン酸)、dUTP(デオキシウリジン三リン酸)、dCTP(デオキシシチジン三リン酸)、dITP(デオキシイノシン三リン酸)、dXTP(デオキシキサントシン三リン酸)、ならびにそれらの誘導体および改変されたバージョンを挙げることができる。dNTPは、dATP、dGTP、dTTPもしくはdCTP、またはそれらの改変されたバージョンもしくは誘導体の1種またはそれより多くを含むことが好ましい。dATP、dGTP、dTTPおよびdCTPまたはそれらの改変されたバージョンの混合物を使用することが好ましい。反応の必要性に従って、これらのdNTPのあらゆる好適な比率を使用することができる。
ヌクレオチド、またはヌクレオチド塩は、溶液の形態であってもよく、または固体として、例えば粉末として供給する必要がある可能性がある。ヌクレオチド、またはヌクレオチド塩は、改変されたヌクレオチドを含んでいてもよい。ヌクレオチド、またはヌクレオチド塩は、1種またはそれより多くの好適な塩基の混合物、好ましくは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)の1種またはそれより多くの混合物で提供されてもよい。本プロセスにおいて、2つ、3つまたは好ましくは4つ全てのヌクレオチド(A、G、T、およびC)が、DNAを合成するのに使用される。これらのヌクレオチド、またはヌクレオチド塩は全て、実質的に等しい量で存在していてもよいし、またはそのうち1または2種またはそれより多くが、合成しようとするDNAの性質に応じて提供されてもよい。
ヌクレオチドは、全て天然ヌクレオチド(すなわち改変されていない)であってもよいし、ヌクレオチドは、天然ヌクレオチドのように作用し、生物学的に活性な(すなわちLNAヌクレオチド−ロックド核酸)改変されたヌクレオチドであってもよいし、ヌクレオチドは、改変された生物学的に不活性なものであってもよいし、またはヌクレオチドは、改変されていない、および改変されたヌクレオチドの混合物、ならびに/または生物学的に活性な、および生物学的に不活性なヌクレオチドの混合物であってもよい。ヌクレオチドの各タイプ(すなわち塩基)は、1種またはそれより多くの形態で提供されてもよく、すなわち、改変されていない、および改変された、または生物学的に活性な、および生物学的に不活性な形態で提供されてもよい。これらのヌクレオチドの全ては、適切な塩を形成することが可能である。
本発明の一形態において、ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩は、少なくとも10mMの濃度で存在する。この形態によれば、ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩は、10mMより高い、15mMより高い、20mMより高い、25mMより高い、30mMより高い、35mMより高い、40mMより高い、45mMより高い、50mMより高い、55mMより高い、60mMより高い、65mMより高い、70mMより高い、75mMより高い、80mMより高い、85mMより高い、90mMより高い、95mMより高い、または100mMより高い濃度で反応混合物中に存在していてもよい。このような濃度は、本プロセスの始動または開始時におけるヌクレオチド塩の濃度として示される。濃度は、ヌクレオチド/ヌクレオチド塩の添加の後のものが示され、この場合、添加は、反応混合物への添加であり得る。ヌクレオチド塩は、様々な窒素塩基とのあらゆる適切なヌクレオチド塩の混合物であり得る。濃度は、それらの組成にかかわらず、本プロセスの開始時に存在するヌクレオチド塩の総計に対して適用される。したがって、例えば、10mMの濃度のヌクレオチド塩は、適切な1価カチオンを対イオン化として有するdCTP、dATP、dGTPおよびdTTPのあらゆる混合物であり得る。
塩として供給されたヌクレオチドは、水や他の溶媒中で解離して、アニオン性ヌクレオチド実体およびカチオンを形成できることが理解されるであろう。
ヌクレオチド塩が、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する対イオンによって形成されることが、本発明のあらゆる形態の好ましい部分である。しかしながら、ポリメラーゼまたはDNA合成酵素は、リチウムおよび/またはナトリウムヌクレオチド塩のある程度の濃度を許容する可能性が高い。したがって、対イオンがナトリウムおよび/またはリチウムである、本発明のプロセスに含まれるヌクレオチド塩の部分が存在していてもよい。この部分は、好ましくは25%未満であり、任意選択で、20%、15%、10%、5%、1%またはそれ未満である。ポリメラーゼまたはDNA合成酵素はまた、変性剤などの他の源に由来するナトリウムおよび/またはリチウムを許容する場合もある。反応混合物中のリチウムイオンの総濃度は、15mMを超えず、好ましくは10mM、さらにより好ましくは5mM、4mM、3mM、2mM、1mMまたはそれ未満であることが好ましい。リチウムはより阻害性と考えられるため、このイオンは、反応混合物から実質的に排除されることが好ましい。ナトリウムイオンの場合、水酸化ナトリウムは一般的に変性剤として使用されるため、ナトリウムイオンの存在は許容できる。
それゆえに、本発明のプロセスにおいて使用されるヌクレオチド塩は、異なるヌクレオチド塩の混合物、例えばカリウム−ヌクレオチド塩およびセシウム−ヌクレオチド塩のミックスを含んでいてもよい。様々な異なる塩を使用することができる。塩の少なくとも75%、任意選択で、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多くが、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する対イオンを有することが好ましい。DNAの収量を最大化するために異なる塩の混合物を使用すること、および様々な対イオンの異なる特徴を利用することが望ましい場合がある。代替の形態として、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記ヌクレオチドは、2種またはそれより多くの塩の形態であり、各塩は、異なる1価カチオンを含み、該カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、上記無細胞プロセスが提供される。したがって、本発明のプロセスにおいて、2種またはそれより多くの異なるヌクレオチド塩を使用することができ、前記塩は、異なる対イオンの使用により様々である。塩の全てが、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する対イオンの使用を必要とすることが好ましい場合がある。
酵素によるDNA合成は、DNAの合成を促進する条件下で維持することができ、これは、選択された特定の方法に依存すると予想される。
鎖置換を介したテンプレートの増幅が好ましい。好ましくは、その条件は、別の鎖の鎖置換複製を介して複製された鎖の置換によって前記テンプレートの増幅を促進する。その条件は、DNAの増幅を可能にするあらゆる温度の使用を含み、一般的には20〜90℃の範囲の温度を含む。好ましい温度範囲は、約20〜約40または約25〜約35℃であり得る。LAMP増幅のための好ましい温度は、約50〜約70℃である。
典型的には、酵素によるDNA合成のための適切な温度は、特異的なポリメラーゼが最適な活性を有する温度に基づき選択される。この情報は、一般的に入手可能であり、当業者の一般知識の一部を形成する。例えば、phi29 DNAポリメラーゼが使用される場合、好適な温度範囲は、約25〜約35℃、好ましくは約30℃と予想される。しかしながら、熱安定性phi29は、より高い一定温度でも機能し得る。当業者は、本発明のプロセスによる効率的な増幅のための好適な温度を慣例的に確認することができる。例えば、プロセスを様々な温度で行い、増幅したDNAの収量をモニターして、所与のポリメラーゼにとって最適な温度範囲を確認することができる。増幅は、一定温度で行うことができ、本プロセスは等温であることが好ましい。鎖置換増幅が好ましいため、DNA鎖を分離するために温度を変更する必要はない。したがって、本プロセスは、等温プロセスであり得る。
DNA合成を促進する他の条件は、慣習的に、好適な緩衝剤/pHおよび酵素の性能または安定性のために必要な他の因子の存在を含むと考えられる。好適な従来の条件としては、当業界において公知のポリメラーゼ酵素の活性を提供するのに使用されるあらゆる条件が挙げられる。
例えば、反応混合物のpHは、3〜10、好ましくは5〜8の範囲内、または約7、例えば約7.5であってもよい。pHは、1種またはそれより多くの緩衝剤の使用によって、この範囲内に維持されてもよい。このような緩衝液としては、これらに限定されないが、MES、ビストリス(Bis−Tris)、ADA、ACES、PIPES、MOBS、MOPS、MOPSO、ビス−トリスプロパン、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、トリズマ(Trizma)、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、Gly−Gly、ビシン、HEPBS、TAPS、AMPD、TABS、AMPSO、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、CABS、リン酸塩、クエン酸−リン酸水素ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム−酢酸、イミダゾールおよび炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウムが挙げられる。
緩衝液は、一般的に、反応要素の混合物によって定義される。通常、安定なpHを維持するための緩衝剤;カチオン種およびアニオン種、すなわち塩化ナトリウム、塩化カリウムで構成される1種またはそれより多くの追加の塩;および/または酵素の最適な活性または安定性を確実するための、界面活性剤、例えばTriton−X−100が含まれる。最低限の緩衝液は、緩衝化試薬のみで構成され、追加の塩または界面活性剤の供給がないが、化学的変性が必要なDNA合成のために少量のカチオン種が存在していてもよい。驚くべきことに、本発明のプロセスにおいて、より高い濃度のヌクレオチド塩を使用することによって、これらの最低限の緩衝液の使用が可能になる。
「緩衝液なし」の系は、反応要素の混合物中へのpH緩衝剤の提供または定義がなく、追加の塩または界面活性剤がない。この「緩衝液なし」の系は、DNA合成単独に必要な反応要素のみを含有し、化学的変性のために提供される、または単にヌクレオチド塩の対イオンとしてのカチオン種を含有する。したがって、この系において、DNA合成反応における具体的な目的に役立つもの以外の追加のイオンの添加はない。ヌクレオチド(塩として)と共に提供される対イオンは、本プロセスで使用する前にヌクレオチドを安定化するのに役立つ。
二本鎖DNAを変性させるのに熱の適用(数分にわたる95℃への曝露)が使用されるが、DNA合成により好適な他のアプローチを使用することができる。二本鎖DNAは、高いまたは低いpH環境に曝露することによって、またはカチオンが存在しないかまたは非常に低濃度で存在する場合、例えば脱イオン水中に曝露することによって容易に変性させることができる。ポリメラーゼは、その複製を開始させるために、短いオリゴヌクレオチドプライマー配列の、DNAテンプレートの一本鎖領域への結合を必要とする。この相互作用の安定性およびそれゆえにDNA合成の効率は、特定には、本プロセスの不可欠な部分と見なされ得る、金属カチオン、特定には2価カチオン、例えばMg2+イオンの濃度の影響を受ける可能性がある。
また酵素によるDNA合成は、2価金属イオンを必要とする場合もある。本プロセスは、2価金属イオン:マグネシウム(Mg2+)、マンガン(Mn2+)、カルシウム(Ca2+)、ベリリウム(Be2+)、亜鉛(Zn2+)およびストロンチウム(Sr2+)の塩の使用を含んでいてもよい。DNA合成においてほとんどの場合使用される2価イオンは、マグネシウムまたはマンガンである。
酵素によるDNA合成は、これまでに可能と考えられてきた濃度より低い濃度の2価金属イオンで行うことができる。通常、最大2:1の2価カチオンのヌクレオチドに対する比率が必要であるかまたは最適であると考えられ、実施例におけるデータが示すように、これは、特定には、主として使用される形態であるリチウムイオンとのヌクレオチド塩にも当てはまる。しかしながら、これらの塩に代替のイオンが使用される場合、イオンのヌクレオチド塩に対する比率が、およそ1.5:1であるか、または約1:1であるか、またはそれより低くなるように、2価イオン、特定にはマグネシウムの必要性が劇的に低減される。マグネシウムのヌクレオチド塩に対する比率が0.2:1の場合の結果が得られ、これらの結果は、セシウムとのヌクレオチド塩を用いて得られたものである。注目すべきことに、これらの比率は、より高い濃度のヌクレオチド塩(すなわち20mMまたはそれ超える濃度)でのものである。それゆえに、本発明はまた、マグネシウムイオンのヌクレオチド塩に対する比率が、1:1であるかまたはそれより低いDNAの合成であって、ヌクレオチド塩が、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する対イオンを含み、ヌクレオチド塩の濃度が、25mMより高い、30mMより高い、35mMより高い、40mMより高い、45mMより高い、50mMより高い、55mMより高い、60mMより高い、65mMより高い、70mMより高い、75mMより高い、80mMより高い、85mMより高い、90mMより高い、95mMより高い、または100mMより高いことを特徴とする、上記合成にも向けられる。
合成中、ポリメラーゼは、ヌクレオチドからピロリン酸を放出し、これは、成長中のDNA鎖に取り込まれる。ピロリン酸は、ヌクレオシド三リン酸と類似したマグネシウムイオンに対する結合親和性を有し、したがってこのプロセスでは、遊離のマグネシウムイオンは放出されない。合成中に高い開始濃度のヌクレオチドを使用すると、その結果として、遊離のマグネシウムイオンのレベルを低減させることになる。これらのイオンは、ポリメラーゼ触媒活性に必要な場合があるため、従来の考えは、リン酸またはリン酸基との相互作用によって生じる最適以下のレベルは、効率的な増幅にとって有害である可能性が高いというものである。十分な、その結果として過剰な濃度のマグネシウムイオンは、DNAの収量および増幅にとって重要であると考えられた。それゆえに、収量を維持しながらマグネシウムのレベルを低減させる能力は、従来技術に対する魅力的な改善である。
したがって、本発明は、2価カチオンのdNTPに対する比率が低減された条件下で実行される、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1種またはそれより多くの1価カチオンとのヌクレオチド塩の使用を含む酵素によるDNA合成を提供する。
この作用は、アンモニウムおよびセシウム、またはそれらの混合物を含むヌクレオチド塩を用いた場合、特に顕著である。
特定の形態において、反応混合物中に、界面活性剤が含まれていてもよい。好適な界面活性剤の例としては、Triton X−100(商標)、Tween 20(商標)およびそれらのいずれかの誘導体が挙げられる。反応混合物中に、安定化剤も含まれていてもよい。あらゆる好適な安定化剤を使用することができ、特定には、ウシ血清アルブミン(BSA)および他の安定化タンパク質が挙げられる。反応条件はまた、DNAをゆるめて、テンプレート変性をより簡単にする物質を添加することによっても改善できる。このような物質としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、グリセロールおよびベタインが挙げられる。反応混合物中に、DNA縮合剤も含まれていてもよい。このような物質としては、例えば、ポリエチレングリコールまたはカチオン脂質またはカチオン性ポリマーが挙げられる。
しかしながら、特定の実施態様において、これらの成分は、反応混合物から、例えば最低限の緩衝液の系、または緩衝液なしの系中の反応混合物から、低減させるかまたは除去してもよい。
当業者は、彼らの一般知識に基づき、これらの追加の成分および条件を使用する本発明のプロセスのための合成条件を改変および最適化できることが理解されるものとする。同様に、特定の物質の具体的な濃度は、当業界におけるこれまでの例に基づき選択することができ、さらに一般知識に基づき最適化することができる。
一例として、当業界におけるRCAベースの方法で使用される好適な反応緩衝液は、50mMのトリスHCl、pH7.5、10mMのMgCl、20mMの(NHSO、5%グリセロール、0.2mMのBSA、1mMのdNTPである。本発明のRCA増幅において使用される好ましい反応緩衝液は、30mMのトリス−HCl pH7.9、30mMのKCl、7.5mMのMgCl、10mMの(NHSO、4mMのDTT、2mMのdNTPである。この緩衝液は、Phi29 DNAポリメラーゼとの使用に特に好適である。
本発明のヌクレオチド塩との使用に好適な反応緩衝液は、30mMのトリスHCl、pH7.9、5mMの(NHSO、および30mMのKClである。特定の環境下で、酵素によるDNA合成は、水中で(「緩衝液なし」で)実行してもよい。
酵素によるDNA合成はまた、1種またはそれより多くの追加のタンパク質の使用を含んでいてもよい。DNAテンプレートは、少なくとも1種のピロホスファターゼ、例えば酵母の無機ピロホスファターゼの存在下で増幅させてもよい。2、3、4、5種またはそれより多くの異なるピロホスファターゼを使用することができる。これらの酵素は、鎖複製中にdNTPからポリメラーゼによって生成したピロホスフェートを分解することができる。反応中のピロホスフェートの蓄積は、DNAポリメラーゼの阻害を引き起こし、DNA増幅の速度および効率を低減する可能性がある。ピロホスファターゼは、ピロホスフェートを非阻害性のホスフェートに分解することができる。本発明のプロセスにおける使用に好適なピロホスファターゼの例は、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)のピロホスファターゼであり、ニューイングランドバイオラボ社から商業的に入手可能である。
本発明のプロセスにおいて、一本鎖DNAを安定化するために、あらゆる一本鎖結合タンパク質(SSBP)を使用することができる。SSBPは、生細胞の必須の成分であり、DNAの複製、修復および組換えなどのssDNAを含む全てのプロセスに関与する。これらのプロセスにおいて、SSBPは、一時的に形成されたssDNAに結合し、ssDNA構造の安定化を助けることができる。本発明のプロセスにおける使用に好適なSSBPの例は、T4遺伝子32タンパク質であり、ニューイングランドバイオラボ社から商業的に入手可能である。
反応の収量は、合成されたDNAの量と関連する。本発明によるプロセスからの予測される収量は、3g/lを超える可能性がある。合成されたDNAの量は、3g/lより多く、4g/lより多く、5g/lより多く、6g/lより多く、7g/lより多く、8g/lより多く、9g/lより多く、10g/lより多く、11g/lより多く、12g/lより多く、13g/lより多く、14g/lより多く、15g/lより多く、16g/lより多く、17g/lより多く、18g/lより多く、19g/lより多く、20g/lより多く、21g/lより多く、22g/lより多く、23g/lより多く、24g/lより多く、25g/lより多く、26g/lより多く、27g/lより多く、28g/lより多く、29g/lより多く、もしくは30g/lより多いことが好ましく、またはそれg/lより多くてもよい。好ましい合成されたDNAの量は、5g/lである。本発明は、DNAの酵素による合成から可能な収量を改善する。本発明の目的は、費用効率が高い方法でDNAをラージスケールで合成できるように、無細胞の酵素によるDNA合成プロセスの収量を改善することである。本発明は、DNA合成酵素またはポリメラーゼによって触媒される酵素的なプロセスを使用して、工業的なスケールで経済的にDNAを製造/合成することを可能にする。本発明のプロセスは、ヌクレオチドのDNA生成物への効率的な取り込みを可能にする。本発明のプロセスは、反応混合物を数リットルから数十リットルの規模にスケールアップすることを可能にすると考えられる。改善された収量、生産性または処理能力は、ヌクレオチドの全てが従来の塩(ナトリウムおよび/またはリチウム)として供給される同一な反応混合物と同様であり得る。
一実施態様において、本発明は、DNAの合成を強化するためのプロセスに関する。この強化は、使用されるヌクレオチド塩の全てが専らナトリウムもしくはリチウム、またはそれらの混合物であることを除き、同一な反応混合物と同等であり得る。
一形態において、本発明は、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、1種またはそれより多くの1価カチオンとの塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記ヌクレオチドは、少なくとも10mMの濃度で存在し、前記カチオンは、ナトリウムまたはリチウムに限定されない、上記無細胞プロセスを提供する。
代替として、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記ヌクレオチドは、少なくとも10mMの濃度で存在し、
(a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい単一の1価カチオンとの塩の形態、または
(b)2種またはそれより多くの異なる1価カチオンとの塩の形態
のいずれかであり、前記カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、上記無細胞プロセス。
本明細書で言及されるヌクレオチドの濃度は、本プロセスの開始時におけるヌクレオチドの開始濃度であり、反応混合物が形成される場合、最初の濃度であることが好ましい。
本発明はまた、DNAを合成するための無細胞プロセスであって、DNAテンプレートを、10〜20mM、または最大30mMの濃度でのナトリウムイオンとの塩の形態の1種またはそれより多くのヌクレオチドの存在下で、少なくとも1種のポリメラーゼと接触させることを含む、無細胞プロセスにも関する場合がある。本発明は、塩として供給されたヌクレオチドの使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含み、好ましくは、ヌクレオチド塩は、10mMより高い濃度で供給されるかまたはその濃度で存在する、上記無細胞プロセスを提供する。
本発明は、さらに、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1種またはそれより多くの1価カチオンとのヌクレオチド塩の使用を含む、2価カチオン、好ましくはマグネシウムが低減された条件下で実行される、酵素によるDNA合成を提供する。
本発明は、代替として、カリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する対イオンとのヌクレオチド塩を使用して実行してもよく、任意選択で、前記ヌクレオチド塩の濃度は、25mMより高い、30mMより高い、35mMより高い、40mMより高い、45mMより高い、50mMより高い、55mMより高い、60mMより高い、65mMより高い、70mMより高い、75mMより高い、80mMより高い、85mMより高い、90mMより高い、95mMより高い、または100mMより高い。
塩の形態でのヌクレオチドもまた、本明細書ではヌクレオチド塩として言及される。
ここでいくつかの非限定的な例を参照しながら本発明を説明する。
実施例
材料および方法
試薬
提示した実施例において、以下の試薬を使用した:
dNTP塩 リチウム塩、ストック濃度100mM(バイオライン(Bioline))
dNTP塩 ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、塩、ストック濃度100mM(契約合成)
Phi29 DNAポリメラーゼ、ストック濃度2.4g/l(社内生産)
熱安定性ピロホスファターゼ、ストック濃度2000U/ml(エンザイマティックス(Enzymatics))
DNAプライマー、ストック濃度5mM(オリゴファクトリー(Oligofactory))
プラスミドテンプレート:ProTLx−K B5X4 LUX15−0−15−10−15 AT−STEM、ストック濃度0.1g/l(社内生産)
ヌクレアーゼ非含有水(シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich))
塩化マグネシウム、ストック濃度2M(シグマアルドリッチ)
トリス−塩基(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))
トリス−HCl(シグマアルドリッチ)
NaCl(シグマアルドリッチ)
EDTA、ストック濃度0.5M(シグマアルドリッチ)
PEG8000(アプリケム(Applichem))
エタノール(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
GeneRuler 1 kb+DNAラダー(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
20×ストックからのTAE緩衝液(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
塩化カリウム(シグマアルドリッチ)
塩化リチウム(シグマアルドリッチ)
塩化セシウム(シグマアルドリッチ)
塩化アンモニウム(シグマアルドリッチ)
硫酸アンモニウム(サーモフィッシャーサイエンティフィック)。
マグネシウムイオンおよびヌクレオチド塩(dNTP塩)(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびアンモニウムカチオンを対イオン化として有する)の異なる濃度でのローリングサークル増幅(RCA)反応;DNA収量への作用。
導入
反応緩衝液中のマグネシウムイオンの濃度は、DNAポリメラーゼによる最適なDNAの合成にとって重要である。低いマグネシウムイオン濃度は、DNAの合成をほとんど生じない可能性があり、一方で高い濃度はしばしば、非特異的な生成物の生産を引き起こし、同様にdNTPの取り込みミスとそれに続く複製エラーの増加を引き起こすことが報告されている。マグネシウムは各dNTPのリン酸部分に結合するため、一般的な実施は、使用されるdNTPの濃度と同等かまたはそれより高いマグネシウムイオンの濃度を使用することである(Dean, F. B.、Nelson, J. R.、Giesler, T. L.、およびLasken, R. S. (2001). Rapid Amplification of Plasmid and Phage DNA Using Phi29 DNA Polymerase and Multiply-Primed Rolling Circle Amplification. Genome Research、11(6)、1095-1099. http://doi.org/10.1101/gr.180501)。マグネシウム−dNTPは、DNAポリメラーゼによる高忠実度DNA合成のための絶対必要条件である。マグネシウムはまたDNAにも結合し、構造変化をもたらし、DNA合成に必要な濃度より高い濃度で別個の鎖の間に架橋を形成することができる。
工業的に見合った量でのDNAの酵素による生産のために、DNAの最大収量を達成するために、反応で使用されるdNTPの濃度を最大化することが必要である。加えて、反応は、効率的であることと正確であることの両方を必要とする。商業的に入手可能なdNTPは、典型的には分子1個当たり4個の金属1価カチオンを含むナトリウム塩またはリチウム塩のいずれかである。DNA合成に関するほとんどの出版物は、対イオンの性質およびそのマグネシウム−dNTPの形成に対する起こり得る影響を無視している。反応中にdNTPの濃度が増加する場合、1価の対イオンの濃度は、4倍に増加する可能性があり、したがってそれらは、DNA増幅反応に対して起こり得る影響を有する。
したがって、DNA合成におけるマグネシウム−1価の対イオンの動態を理解することは、DNA生成物の最大精度を可能にするために、可能な最も低いマグネシウム濃度でDNA収量を最大化することにとって重要である。
以下の一組の実験は、RCA(ローリングサークル増幅)によって増幅したDNAの収量に対する、最初のマグネシウム濃度を増加させること(5mM、10mM、20mMおよび40mM)およびdNTPの異なる塩の影響を評価した。
反応のセットアップ
反応を、100μlのスケールで以下のようにセットアップした:変性ミックスを調製し、反応ミックスを構築する間、室温でそのままにした。次いでこれらを混合し、DNAポリメラーゼおよびピロホスファターゼを添加した。表1に実験プロトコールを示す。
RCA反応物を、処理の前に最低限48時間、30℃でインキュベートした。
Figure 2021534746
サンプル処理手順
RCAの48時間後に、MgClに対して1.5倍の過量モル濃度のEDTAを添加し、反応物を水で800μlの体積にした。それらを15分間徹底的に振盪し、反応物が十分混合されるまで回転器上に置いた。次いで反応物を、200μlの5MのNaClの添加によって1MのNaCl中の1mlにした。次いで、100μlの50%(w/v)PEG8000のさらなる添加によって、コンカテマー状のDNAを沈殿させた。混合物を15分間徹底的に振盪して、十分な沈殿を確実にし、次いでベンチトップ型遠心分離機で、13,000rpmで10分間回転させた。上清を慎重にデカントし、ペレットを500μlの100%エタノールで洗浄した。ペレットを、ベンチトップ型遠心分離機で、13,000rpmで10分間再び遠心分離し、エタノール上清を慎重にデカントした。ペレットをそのまま5分間乾燥させて、残留したエタノールを蒸発させ、1mlの水に再懸濁し、回転器上に一晩置いた。
反応DNA濃度を、Implen NP80ナノフォトメーターを使用してUV吸収測定値から定量した。データは、反応体積の10倍の増加に対して補正し、濃度は、元の体積(l)に対する使用されるdNTP(g)の濃度g/lで表す。
結果
表2〜5および図1および2は、マグネシウムの最初の濃度および異なるdNTP塩の開始濃度が測定したままのDNA収量に影響を与えることを示す。括弧内の値は、dNTP塩の各タイプにつき達成された最大のDNA収量におけるマグネシウム/dNTPの比率を意味する。
Figure 2021534746
Figure 2021534746
Figure 2021534746
Figure 2021534746
表2〜5におけるデータは、DNAの最大収量は、商業的に入手できないカリウム、アンモニウムおよびセシウムdNTP塩を用いて達成されることを実証する。これらのdNTP塩の対イオンを使用すること、およびマグネシウム濃度を40mMに増加させることによって、最大50mMの開始濃度のdNTPを使用し、Phi29 DNAポリメラーゼによってDNAへの効率的な変換を達成することが可能である。
リチウム−dNTPは、他の1価カチオンより一層高いレベルのマグネシウムを必要とする、DNA合成のための不良な基質であった。実際に、40mMのマグネシウム(4.328g/l)におけるピークDNA収量は、20mMの濃度のdNTPでのみ生じた。ナトリウム−dNTPは、30mMのdNTPを用いて達成された40mMのマグネシウムでのピークDNA収量(6.897g/l)を示すリチウム等価体より優れていることを実証した。
0.8のマグネシウム/dNTPの比率を維持しながらdNTPの最大の開始濃度(50mMのdNTPおよび40mMのMgCl)で最大のDNA収量(13.44g/l)を達成するためには、アンモニウムが最良のdNTP対イオンであった。データにおける傾向は、MgCl濃度をさらに増加させることによって、アンモニウム−dNTPの開始濃度およびそれらのDNAへの取り込みをさらに増加させることが可能であると予想されることを示す。
カリウム−dNTPはまた、高いdNTP濃度(50mMおよび40mMのMgCl)で達成されたDNAの収量および0.80のマグネシウム/dNTPの比率の両方において、そのリチウムおよびナトリウム対応物よりも優れていた。反応条件下で、カリウム−dNTPは、アンモニウム−dNTPとほぼ同様の性能を示した。
本プロセスにおける5mMおよび10mMのMgClにおいて、最大のDNA収量(5.719g/lおよび8.262g/l)は、セシウム−dNTPをそれぞれ25mMおよび30mMの開始濃度で用いて達成される。5mMのMgClおよび25mMのdNTPにおけるマグネシウム/dNTPの比率は0.2であり、提示された全てのデータで最も低い値を記録した。したがって、セシウム−dNTPの使用は、マグネシウムイオンの可能な最も低い濃度を使用することが有益な条件下で(DNA増幅プロセスの結果にとって)有利であり、一方でそれでもなお高い収量を生じる。
アンモニウムイオンは、多原子であり、完全に非金属であるという点で、調査された他の1価カチオンのなかでも独特である。これはpH緩衝剤として作用でき、その9.24のpKで、水中で50%アンモニア(NH)として存在する。NHの揮発性は、金属1価カチオンでは不可能な、低い圧力下での蒸発のようなDNA処理技術の使用を可能にする。
図1は、表2〜5に示されるデータのグラフ表示であり、塩化マグネシウムの異なる濃度における最初/開始の総ヌクレオチド塩濃度(mM)に対応する、得られた測定したままのDNA収量(g/l)と、それに対する理論上のDNA収量(g/l)のプロットを示す。
図2は、マグネシウムイオンの異なる反応濃度に対する最大の測定したままのDNA収量を示したdNTP塩濃度(mM)のプロットである。マグネシウムへの依存性は、リチウム−dNTPおよびナトリウム−dNTPの場合に最大であるが、他の対イオンの場合、低減されることが明確に示される。
表6は、異なる配位数での1価の対イオンのイオン半径を含む。対イオンのサイズ(マグネシウムに対して)と、高レベルのdNTPの利用に必要なマグネシウムの濃度との間に明確な関連がある。カリウム、セシウムおよびアンモニウムなどのより大きいカチオンは、ナトリウム、特にリチウムよりはるかに優れている。
Figure 2021534746
参考文献:http://abulafia.mt.ic.ac.uk/shannon/ptable.php、ShriverおよびAtkins。
したがって、dNTP塩の対イオンの選択的な使用によって、工業的プロセスにおけるDNA収量を増加させることができる。これは、実施例6で実証されるように、dNTP、DNA、および放出されたリン酸(PO 3−)アニオンに対する対イオンの差次的な親和性と、マグネシウムの2価カチオンとの競合動態によってもたらされる可能性がある。
マグネシウムイオンの異なる濃度およびdNTP塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびアンモニウムカチオンを対イオンとして有する)の固定した濃度でのローリングサークル増幅(RCA)反応;DNA収量への作用。
導入および反応のセットアップ
この実験は、開始時の本プロセスにおける固定した量のdNTP(10mM)の取り込みに必要なマグネシウムイオンの最低限の濃度を決定するために設計された。RCA反応および処理を実施例1に記載された通りに実行した。dNTP(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびアンモニウム塩として)の濃度を、開始時に、本プロセスにおいて10mMに固定し、2mM、4mM、6mM、8mM、および10mMのMgClが補充された実施例1で使用された標準的なRCA緩衝液中で反応を実行した。
結果
結果から、少なくとも1:1のマグネシウム/dNTPの比率が効率的なdNTPの取り込みに必要であるという広く受け入れられた見解とは対照的に、リチウムではなく異なる対イオンとのdNTPに変更した場合、RCA反応におけるマグネシウムレベルを、この比率よりはるかに低く減少させることができ、それに加えてDNA収量を改善することが示される。
図3からわかるように、ナトリウム−dNTPおよびリチウム−dNTPの両方に関する収量は、マグネシウムレベルに強く依存している。カリウム−dNTPの場合に2mMのMgClで生産されたDNAにわずかな低減がみられるが、このdNTP塩の形態は、セシウム−dNTPおよびアンモニウム−dNTPと共に、より低いマグネシウムイオン濃度への依存性を示す。これは、最適なマグネシウム/dNTPの比率が1:1であるという一般的な仮説が、dNTPの対イオンのタイプを考慮に入れない誤解であることを示唆する。データから、リチウムおよびナトリウムの代替対イオンの使用は、この比率を0.2:1もの低さに低減できることが示される。
マグネシウムイオンの固定したレベルおよびdNTP塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、およびアンモニウムカチオンを対イオンとして有する)の増加する濃度での最低限の緩衝液中でのローリングサークル増幅(RCA)反応;DNA収量への作用。
導入および反応のセットアップ
次に、緩衝液成分の可能性のある対イオンの作用を除去するために、5mMのMgClが補充された単独で30mMのトリスHCl(pH7.9)からなる最低限の緩衝液中で実験を実行した。これらの反応は、5mMのMgClを含有する反応物における増加する開始dNTP塩濃度(リチウム、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩として供給される、2.5mMから20mMのdNTP)の作用を試験した。
Figure 2021534746
DNAの処理および定量を実施例1に記載された通りに実行した。
図4に結果を示す。
データから、RCAは、標準的な反応緩衝液中に存在する30mMのKClおよび5mMの(NHSOの存在がなくても進行することが示される。様々な対イオンとのdNTP塩の濃度に対する収量増加の観察された傾向は、実施例1に提示されるデータと一致しており、アンモニウム−dNTPが他の対イオンを有するdNTP塩より優れた性能を示すことが確認される。
図4は、dNTP塩の対イオンを変化させることにより、RCAをdNTPのより高い濃度で進行させることが可能になり、それに伴い収量が増加することを実証する。
Figure 2021534746
最大の測定したままのDNA収量を決定するためのマグネシウムイオンおよびアンモニウム−dNTPの異なる濃度でのローリングサークル増幅(RCA)反応
導入および反応のセットアップ
これらの反応は、実施例3(図4)に示した実験データを拡張し、異なるマグネシウム濃度の存在下でアンモニウム−dNTPの濃度を増加させることによってDNA収量の限界を見出すことを目的とするものであった。RCA反応およびDNA処理を、本質的に実施例3に記載した通りに最低限の緩衝液中で実行した。
結果
Figure 2021534746
データから、アンモニウムの対イオンを有するdNTPを使用することによって、反応物中のdNTPの開始濃度をさらに増加させ(最大80mM)、極めて高いレベルのDNAを生産することが可能になることが実証される。これは、最低限の緩衝液中のMgClの濃度を80mMに著しく増加させることによって達成される。80mMのMgClおよび80mMのアンモニウム−dNTPでさえも、DNAのピーク収量が達成されなかったことは明白である。より多くのdNTPを添加することは、DNA収量をより一層増加させると予想される。MgClおよびアンモニウム−dNTPの濃度を増加させること(80mMを超えて)は、マグネシウム/dNTPの比率が<1と予測される条件下で、より一層高いレベルのDNAをもたらすと予想される。
水−塩化マグネシウムミックスにおけるRCAの生産性の限界の決定
導入および反応のセットアップ
次いでDNA増幅実験を、10mM、20mMおよび40mM濃度のMgClで、慣習的に最適なDNA増幅に必要なトリス緩衝剤または他の塩を含有しない反応媒体中の様々なカリウム−、セシウム−およびアンモニウム−dNTPを用いて、実行した。その時点で、リチウムおよびナトリウム−dNTPは、両方とも選別中に他のカチオンより優れた性能を示したため、省略した。マグネシウムおよびdNTP対イオンを除いて、反応物中の唯一の他のカチオンは、テンプレート変性に使用されたNaOHからの5mMのナトリウムイオンを含んでいた。実験を行って、dNTPそれ自体および反応のリン酸副産物が、pHをPhi29 DNAポリメラーゼ活性を促進するレベルに維持すること、および有効なDNAプライミングに必要な物理化学的条件維持することが可能かどうかを決定した。
結果
Figure 2021534746
DNAの処理および定量を、本質的に実施例1に記載した通りに実行した。
Figure 2021534746
Figure 2021534746
Figure 2021534746
実験データは、カリウム−dNTPを用いて行われた反応が、トリス緩衝液の非存在下で様々な結果をもたらしたことを示す。一方で、セシウム−dNTPとアンモニウム−dNTPの両方は、マグネシウムイオンおよびdNTPの濃度を増加させるにつれて次第に高いDNA収量をもたらした。セシウム−dNTPは、これらの平衡化されていない条件下で、標準的な緩衝化された環境と比較してより著しく優れた性能を示した(表5を参照)。高いDNA収量は、40mMのMgClおよび50mMのセシウム−dNTP(0.80のマグネシウム/dNTPの比率)で記録された。緩衝化された、または平衡化されていない条件においてアンモニウム−dNTPを使用したDNA収量の間に有意差はなかった。40mMのMgClで、60mMのアンモニウム−dNTP(0.67のマグネシウム/dNTPの比率)を用いたところ、高いDNA収量が観察された。
アンモニウム−dNTPを使用したDNA増幅への他の対イオン塩の作用
導入および反応のセットアップ
この実験を行って、アンモニウム−dNTPを使用したRCAにより得られたDNAの収量へのリチウム、ナトリウムおよびカリウムカチオンの作用を実証した。
Figure 2021534746
反応を表14に示した通りにセットアップした。それぞれ5mM、10mM、20mMおよび40mMのMgClと共に、17.5mM、25mM、35mMおよび50mMのアンモニウム−dNTPの開始濃度を含有する4つの実験グループを実行した。各グループに、LiCl、NaCl、KCl、またはNHClを、それぞれ70mM、100mM、140mMおよび200mMの総濃度で添加した。これは、dNTPのアンモニウム対イオンの濃度との競合で、カチオン濃度の追加を引き起こした。さらに、NHClを添加した場合、アンモニウムの濃度は2倍だった。各実験グループのマグネシウム/dNTPの比率は、1.0未満である。
DNAの処理および定量を本質的に実施例1に記載される通りに実行した。
図5に結果を示す。
図5は、セシウム、アンモニウムおよびカリウムイオンが、アンモニウム−dNTPを使用した場合、DNAの合成に対して阻害性ではないことを示す。さらに、アンモニウム濃度はそれでもなお、DNA収量に影響を及ぼすことなく、2倍であり得る。
それとは逆に、リチウムおよびナトリウムは阻害性であり、リチウムはナトリウムより阻害性である。これに基づいて、リチウムおよびナトリウムの存在は、高いDNA収量のために高濃度のdNTPを必要とする工業的なDNA生産プロセスでは回避されるべきである。
dNTPによるDNA合成反応物の緩衝化の調査
導入および反応のセットアップ
この実験は、いずれの具体的な緩衝剤も存在しないなかで反応混合物を緩衝化するdNTP塩の能力を調べるために行われた。
Figure 2021534746
Figure 2021534746
Figure 2021534746
反応要素を上記の表に示される比率で混合して、50μlの最終容量を得た。次いで混合物のpHを、InLab(登録商標)マイクロpH電極を備えたメトラー・トレド(Mettler Toledo)のSevenCompact(商標)S220 pHメーターを使用して測定した。
図6は、10mM、20mMおよび40mMのMgClの存在下で、様々なdNTP濃度(セシウムおよびアンモニウム塩)の測定されたpHを示す。NaOH濃度は、DNA合成反応で使用されるテンプレートDNAを変性させるために使用されたものである。この実験の目的のために、全ての他のDNA合成反応要素は、開始時のpHに影響を与えないことがわかっているため省略された。全てのケースにおいて、特定のpH安定化緩衝液(例えばトリス)は添加されなかった。30mM未満のdNTP塩濃度においてアンモニウムdNTPの緩衝能力がセシウムdNTPより大きいことは明らかであり、予測通りである。興味深いことに、30mMより高いdNTP塩の濃度で、セシウムdNTP反応およびアンモニウムdNTP反応の平均pHは、それぞれ約7および7.5で類似している。データから、dNTPそれ自体のリン酸基は、十分な濃度で存在する場合、pHを約7に調節するように作用することが示唆される。DNAポリメラーゼ酵素は、約pH7で効率的に機能できるため、これは、高濃度のdNTP塩の使用を必要とする工業的なスケールの合成反応にとって利点である。重要なことに、これは、工業的なスケールの反応のために、DNA合成は、高い生産性を達成するために、特定の緩衝液なしで、または低濃度で行うことができることを示す。

Claims (25)

  1. ヌクレオチド塩の使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記塩は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む、上記無細胞プロセス。
  2. 前記ヌクレオチド塩が、10mMより高い濃度で存在する、請求項1に記載の無細胞プロセス。
  3. ヌクレオチド塩の使用を含む、酵素によるDNAの合成のための無細胞プロセスであって、前記ヌクレオチド塩は、少なくとも10mMの濃度で存在し、
    (a)イオン半径がナトリウムイオンのイオン半径より大きい1価カチオンを含むヌクレオチド塩、または
    (b)2種またはそれより多くのヌクレオチド塩であって、各塩は、異なる1価カチオンを含み、該カチオンの少なくとも1種は、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する、ヌクレオチド塩
    のいずれかである、上記無細胞プロセス。
  4. 前記ヌクレオチド塩が、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM、少なくとも35mMまたは少なくとも40mMの濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  5. 1種またはそれより多くの前記1価カチオンが、独立して、アルカリ土類金属、遷移金属、または多原子イオンから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  6. 1種またはそれより多くの前記1価カチオンが、独立して、カリウム、アンモニウム、アンモニウムの誘導体、ルビジウム、セシウム、またはフランシウムを含む群から選択される、請求項5に記載の無細胞プロセス。
  7. 1種またはそれより多くのプライマーまたはプライマーゼの使用をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  8. テンプレートの使用をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  9. 1種またはそれより多くの2価の金属カチオン、好ましくは、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ベリリウム、亜鉛、およびストロンチウムを含む群から選択される金属カチオンの使用をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のDNAを合成するための無細胞プロセス。
  10. 前記2価の金属カチオンの前記ヌクレオチドに対する比率が、前記反応混合物中、1:1であるかまたは1:1より小さく、好ましくは1:1より小さい、請求項9に記載の無細胞プロセス。
  11. 前記プロセスが、ナトリウムおよび/またはリチウムヌクレオチド塩の10mMの最大濃度を使用する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  12. 化学的な変性剤、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウム、およびピロホスファターゼの使用をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  13. pH緩衝剤が添加されず、好ましくは、追加の塩または界面活性剤が添加されない、請求項12に記載の無細胞プロセス。
  14. 前記ヌクレオチド塩が、セシウムイオンを含む、請求項13に記載の無細胞プロセス。
  15. pH緩衝剤は添加されるが、追加の塩または界面活性剤は添加されない、請求項12に記載の無細胞プロセス。
  16. 前記ヌクレオチド塩が、アンモニウムイオンを含む、請求項15に記載の無細胞プロセス。
  17. ラージスケールでの、好ましくは少なくとも3g/lでのDNAの合成のためである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の無細胞プロセス。
  18. 酵素による無細胞のDNAの合成におけるセシウムカチオンを含むヌクレオチド塩の使用。
  19. 前記酵素による無細胞のDNAの合成が、低いレベルの2価カチオンの存在下で行われ、任意選択で、0.2:1〜0.8:1の2価カチオン:ヌクレオチドの比率で、好ましくは0.2:1〜0.5:1の比率で行われる、請求項18に記載の使用。
  20. 前記無細胞のDNAの合成が、最小量の緩衝剤中で行われ、該緩衝剤は、任意選択でpH緩衝液を単独で含み、界面活性剤または追加の塩を含まない、請求項18に記載の使用。
  21. DNAポリメラーゼを使用してDNAテンプレートを増幅する方法であって、前記反応混合物中の2価カチオンのヌクレオチドに対する比率を0.5:1またはそれより小さく維持することが必要であり、セシウムイオンを含むヌクレオチド塩の使用を含む、上記方法。
  22. 酵素による無細胞のDNAの合成における、ルビジウムカチオンを含むヌクレオチド塩の使用。
  23. 無細胞でのDNAテンプレートを増幅する方法であって、前記テンプレートおよびDNAポリメラーゼを、40mMに等しいかまたはそれより多くの量、好ましくは60mMより多く、または任意選択で80mMより多くの量の塩の形態のヌクレオチドと接触させることを含み、前記塩は、アンモニウムイオンを含む、上記方法。
  24. 低減された濃度の2価カチオン、好ましくはマグネシウムの条件下で実行される酵素によるDNA合成であって、ナトリウムイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する1価カチオンを含む塩の形態でのヌクレオチドの使用を含む、上記DNA合成。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の、無細胞プロセス、使用、方法、無細胞の方法または酵素による合成であって、該酵素は、DNAポリメラーゼであり、任意選択で鎖置換型のポリメラーゼである、上記無細胞プロセス、使用、方法、無細胞の方法または酵素による合成。
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