JP2021527305A - イオンを大気圧環境から低圧環境に輸送するためのインターフェース - Google Patents

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Abstract

インターフェースは、第1圧力環境からもっと低い圧力の分析機器にイオンを輸送する。インターフェースは、第1圧力よりも低い第2圧力に排気された第1領域と、第1領域内に配置された第1イオン・ファンネルと、第1領域内にあり、第1イオン・ファンネルのイオン出射端に対向する、第1イオン・カーペットと、第2圧力より低く機器圧力より高い第3圧力に排気された第2領域と、第2領域に配置された第2イオン・ファンネルと、第2領域内にあり、第2イオン・ファンネルのイオン出射端に対向する、第2イオン・カーペットとを含むことができる。この環境からのイオンは、第1および第2イオン・ファンネルを順次通過し、分析機器に入射する。第1および第2イオン・ファンネルの各々は、それを貫通する漸減軸方向通路を定める。各漸減軸方向通路は、それぞれの仮想噴流ディスラプタをその内部に定める。
【選択図】図11

Description

関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2018年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/680,2
23号の権利および優先権を主張し、2019年1月11日に出願された国際特許出願第 PCT/US2019/013274号の一部継続出願である。これらの特許出願をここで引用したことにより、双方共その全体が本願にも含まれるものとする。
政府の実施権
[0002] 本発明は、全米科学財団によって授与された契約第CHE1531823の下で政府支援によって行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
開示分野
[0003] 本開示は、 一般的には、広い質量範囲のイオンを高圧環境から低圧環境に輸送するための機器に関し、更に特定すれば、輸送されたイオンが低い過剰運動エネルギを有する結果となるように、このようなイオンを輸送するように構成されたこのような機器に関する。
従来技術
[0004] 質量分光分析法は、イオン質量および電荷にしたがって物質の気体イオンを分離することによって、物質の化学成分の識別を可能にする。このような分離イオンの質量を判定するために、種々の機器および技法が開発されており、このような技法の1つが、電荷検出質量分光分析法(CDMS:charge detection mass spectrometry)として知られている。CDMSは、イオンのパケットではなく、個々のイオンの荷電状態を、これらが電極を通過するときに、直接測定し、電極上に電荷を誘発する。CDMSによって処理されるイオンは、通例、ミストまたはエアゾールの形態でイオンを生成する従来のエレクトロスプレイ・イオン化(ESI:electrospray ionization)源を使用して生成される。ESIは、アンビエント・イオン化技法(ambient ionization technique)であり、大気圧から質量分光分析測定に必要な高真空環境にイオンを転送するためにインターフェースを必要とする。大気圧と質量分光分析計の第1領域との間における大きな圧力差のために、有向気体流が生じ、この気体流がイオンを質量分光分析計に輸送する。しかしながら、質量分光分析計の第1領域に入るとき、有向気体流は超音波噴流を形成し、この流れにおいて輸送されているイオンを超音速に加速する。その結果イオン・エネルギが広く分散してしまい、イオンを収束する際に困難が生じ、これによってイオン透過(ion transmission)が低下する。具体的には、例えば、大きなタンパク質複合体、ウィルス等のようなメガダルトン領域における高質量イオンの分析は、このようなイオンによって噴流から大量のエネルギが吸収される(pick up)ために困難となり、イオン・エネルギが広く分散される結果となる。
[0005] 本開示は、添付した請求項において記載された特徴の内1つ以上、および/または以下の特徴およびその組み合わせの内1つ以上を含むことができる。1つの態様において、第1圧力における環境から、第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースは、第1領域と、第1領域内に、第1圧力よりも低く機器圧力よりも高い、第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを有する第1ドリフト領域と、第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、第2軸方向通路が、第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、環境からのイオンが第1ドリフト領域の第1端に入射し、第1ファンネル領域の第2端から出射し、第2軸方向通路が、内部に第1仮想噴流ディスラプタを定める、第1イオン・ファンネルと、第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、第2領域と、第2圧力より低く機器圧力よりも高い第3圧力を第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、第4軸方向通路が、第2ファンネル領域の第1端における第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、第2ドリフト領域の第1端に入射し、第2ファンネル領域の第2端において出射し、第4軸方向通路が、内部に第2仮想噴流ディスラプタを定める、第2イオン・ファンネルと、第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、第2イオン出射口から出射したイオンが、分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットとを備えることができる。
[0006] 他の態様において、第1圧力における環境から、第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースは、第1領域と、第1領域内に、第1圧力よりも低く機器圧力よりも高い第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを定める第1ドリフト領域と、第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、第2軸方向通路が、第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、環境からのイオンが第1ドリフト領域の第1端に入射し、第1ファンネル領域の第2端から出射する、第1イオン・ファンネルと、第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、第2領域と、第2圧力より低く機器圧力よりも高い第3圧力を第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、第4軸方向通路が、第2ファンネル領域の第1端における第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、第2ドリフト領域の第1端に入射し、第2ファンネル領域の第2端において出射する、第2イオン・ファンネルと、第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、第2イオン出射口から出射したイオンが、分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットとを備えることができ、第1ファンネル領域内における圧力蓄積と気体逆流との組み合わせが、第1イオン・ファンネルを通過するイオンを、少なくとも部分的に熱化する第1エリアを、第1ファンネル流域内に設定し、第2ファンネル領域内における圧力蓄積と気体逆流との組み合わせが、第2イオン・ファンネルを通過するイオンを少なくとも部分的に熱化する第2エリアを、第2ファンネル流域内に設定する。
[0007] 更に他の態様において、 第1圧力における環境から、第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースは、第1領域と、第1領域内に、第1圧力よりも低く機器圧力よりも高い第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを定める第1ドリフト領域と、第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、第2軸方向通路が、第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、環境からのイオンが第1ドリフト領域の第1端に入射し、第1ファンネル領域の第2端から出射する、第1ファンネル領域と、第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、第2領域と、第2圧力より低く機器圧力よりも高い第3圧力を第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、第4軸方向通路が、第2ファンネル領域の第1端における第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、第2ドリフト領域の第1端に入射し、第2ファンネル領域の第2端において出射する、第2イオン・ファンネルと、第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、第2イオン出射口から出射したイオンが、分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットとを備えることができ、第1圧力と第2圧力との間の圧力差が、イオンを第1ドリフト領域の第1端内に輸送する第1気体流を形成し、第1ファンネル領域の漸減第2軸方向通路が、第1気体流を減少させ、第2圧力と第3圧力との間の圧力差が、第1イオン・ファンネルから出射するイオンを第2ドリフト領域の第1端内に輸送する第2気体流を形成し、第2ファンネル領域の漸減第4軸方向通路が、第2気体流を減少させる。
[0008] 更に他の態様において、イオン分析システムは、第1圧力の環境においてイオンを生成するように構成されたイオン源と、生成されたイオンが第1イオン・ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、イオン源に結合された、以上の態様のいずれかにおいて記載したインターフェースと、真空環境内に配置されたイオン分離機器であって、第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンが当該イオン分離機器に入射するようにインターフェースに結合され、少なくとも1つの分子特性に基づいてイオンを分離するように構成される、イオン分離機器とを備えることができる。
[0009] 更に他の態様において、 イオン分離システムは、第1圧力の環境において試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、生成されたイオンが第1イオン・ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、イオン源に結合された、以上の態様のいずれかにおいて記載したインターフェースと、真空環境内に配置された少なくとも1つのイオン分離機器であって、第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンが当該イオン分離機器に入射するように、インターフェースに結合され、少なくとも1つの分子特性の関数として、イオンを分離するように構成される、イオン分離機器と、少なくとも1つのイオン分離機器から出射したイオンの電荷および質量電荷比を測定するように構成された検出器とを備えることができる。
[0010] 更に他の態様において、 イオン分離システムは、第1圧力の環境において試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、生成されたイオンが第1ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、イオン源に結合された、以上の態様のいずれかにおいて記載したインターフェースと、第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンがイオン分離機器に入射するように、インターフェースに結合された第1質量分光分析計であって、イオン分離機器が、イオンを質量電荷比の関数として分離するように構成される、第1質量分光分析計と、第1質量分光分析計から出射したイオンを受け取るように位置付けられ、第1質量分光分析計から出射したイオンを解離するように構成されたイオン解離ステージと、イオン回路ステージから出射した解離イオンを、質量電荷比の関数として分離するように構成された第2質量分光分析計と、電荷検出質量分光分析計(CDMS)であって、第1質量分光分析計およびイオン解離ステージのいずれかから出射したイオンを受け取ることができるように、イオン解離ステージと並列に結合された、電荷検出分光分析計(CDMS)とを備えることができ、第1質量分光分析計から出射した先駆イオンの質量が、CDMSを使用して測定され、閾値質量未満の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比が、第2質量分光分析計を使用して測定され、閾値質量以上の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比および電荷値が、CDMSを使用して測定される。
図1Aは、静電線形イオン・トラップ(ELIT)の形態でイオン検出器を含む電荷検出質量分光分析計(CDMS)の実施形態の簡略図である。 図1Bは、イオン生成器と質量分光分析計との間に動作可能に位置付けられた混成イオン・ファンネル−イオン・カーペット(FUNPET:hybrid ion funnel-ion carpet)インターフェースを含む、図1AのCDMSのイオン源の実施形態の簡略図である。 図2A〜Fは、物理噴流ディスラプタが内部に位置付けられた開放ドリフト領域を有するイオン源インターフェースの一例について、気体流およびイオン軌道を示す。 図3A〜Fは、密閉ドリフト領域を有するが内部に物理噴流ディスラプタがないイオン源インターフェースの他の例について、気体流およびイオン軌道を示す。 図4A〜Fは、図1Bに示したFUNPETインターフェースと同様であり、仮想噴流ディスラプタが内部にある密閉ドリフト領域とイオン・ファンネルとを有するが、イオン・カーペットがそのイオン出射口にない、イオン・インターフェースの他の例について、気体流およびイオン軌道を示す。 図5A〜Fは、仮想噴流ディスラプタが内部にある密閉ドリフト領域とイオン・ファンネルとを有し、イオン・カーペットがそのイオン出射口にある、図1Bに示したFUNPETインターフェースについて、気体流およびイオン軌道を示す。 図6Aは、図1Bに示すFUNPETのイオン・ファンネルの実施形態の平面図である。図6Bは、図1Bに示すFUNPETのイオン・カーペットの実施形態の平面図である。図6Cは、図6Aおよび図6Bに示すコンポーネントを使用する、図1BのFUNPETインターフェースのアセンブリの実施形態の平面図である。 図7は、図1Bに示すFUNPETインターフェースのチェンバ内における圧力に対してプロットした、図1Bに示すFUNPETインターフェースの下流側に位置付けられた差動排気領域(differentially pumped region)における圧力のプロットである。 図8A〜Dは、検体(a)HBVカプシド、(b)P22プロカプシド、(c)CTAC界面活性剤、および(d)ポリスチレン・ビーズについて、図1BのFUNPETインターフェースによって測定したCDMSスペクトルを示す。 図9A〜Bは、図9Aの透過率(%)または図9Bの平均過剰運動エネルギ(eV)に対してプロットしたイオン質量電荷比(m/z)および質量(Da)を示すグラフである。 図10Aは、図に示し本明細書において説明するFUNPETインターフェースを、ELITの上流側にあるイオン源の一部として種々のイオン処理機器の例と共に、含むまたは内蔵することができ、更に、ELITから出射したイオン(1つまたは複数)を更に処理するために、ELITの下流側に配置されたイオン処理機器の種々の例を含むことができる、イオン分離機器の実施形態の簡略ブロック図である。 図10Bは、従来のイオン処理機器を、本明細書において図示および説明するイオン質量検出システムと組み合わせ、図に示し本明細書において説明するFUNPETインターフェースを含むまたは内蔵する、イオン分離デバイスの実施形態の簡略ブロック図である。 図11は、イオン生成器と質量分光分析計との間に動作可能に位置付けられた多重ステージ混成イオン・ファンネル−イオン・カーペット(FUNPET)インターフェースの実施形態を含む、図1AのCDMSのイオン源の他の実施形態の簡略ブロック図である。
[0026] 本開示の原理の理解を促す目的で、これより添付図面に示す複数の例示的な実施形態を参照し、これらを説明するために具体的な文言を使用する。
[0027] 先に論じたように、質量分光分析計の前方領域におけるイオンのイオン・エネルギの広い分散は、このようなイオンを収束することが困難になり、そのためにイオン透過が低下するので、望ましくない。イオンを収束し、対象のイオンを効率的に透過するために、イオン・ファンネル・インターフェースおよび/またはイオン・カーペット・インターフェースを質量分光分析計において使用することによって、既知のエネルギまで加速させるために、イオンを熱化することができる。
[0028] イオン・ファンネルは、実例として、一連の密接配置されたリング電極から成り、そのいくつかは一定の内径を有し、ファンネル領域において出射アパーチャまで徐々に細くなる前に、ドリフト領域を定める。イオン・ファンネルは、無線周波数(RF)および直流(DC)電位の双方を使用して、イオンを閉じ込め、出射アパーチャにむけてイオンを導出する(direct)。180°位相外れのRF信号を隣接する電極に印加し、DCドリフト電界を重ね合わせて、イオンを出射アパーチャに向けて駆動する。しかしながら、アパーチャの直径が電極の間隔と同様であると、RF電界が軸方向ウェルを形成し、イオンを捕捉してこれらが透過されるのを妨げる可能性がある。この効果を軽減するためには、アパーチャのサイズを大きくすることができ、電極の間隔を狭めることができ、またはRF電位を最終電極から除去することができる。尚、アパーチャ・サイズを大きくすると、機器の後続領域において気体負荷(gas load)が増大し、電極の間隔を狭めると、複雑さおよび容量が増大し(電力要件が増える)、最終電極からRFを除去すると、閉じ込めが緩みイオンの損失に寄与することは、注記してしかるべきである。以下で詳しく説明するが、イオン・ファンネルおよびドリフト領域は、その内部に仮想噴流ディスラプタを形成するように構成することができる。
[0029] イオン・カーペットまたはRFカーペットは、イオン・ファンネルのイオン出射口に、またはそれに隣接して位置付けることができる。このような実施形態では、イオン・カーペットは、実例として、基板上に配置された一連の同心リング電極から成り、小さなアパーチャが中心を通って定められ、インターフェースのイオン出射アパーチャとして機能する。イオン・ファンネルと同様、RF電圧が、180°位相外れで、隣接する電極に印加され、イオンをイオン出射アパーチャ内にそしてこれを通過するように駆動するために、DCドリフト電界が重ね合わされる。また、イオン・カーペットはDC単独モードにおいて高イオン透過率を提供できる(provide)ことも示されている。
[0030] 構築の前に質量分光分析計インターフェースをモデリングするために、通例、イオン軌道シミュレーションが行われる。これらのシミュレーションに最も広く使用されているプログラムは、SIMIONである。ユーザ生成デバイスによって形成される電界をモデリングすることに加えて、気体流効果およびモデル拡散(model diffusion)の包含を可能にする追加のプログラムも書かれて組み込まれている。しかしながら、中間圧力に対してSIMIONにおいて使用される静止拡散シミュレーション(SDS)モデルは、背景気体(background gas)の質量の10,000倍までのイオン・サイズをモデリングすることに限定される。この質量の限定のため、このプログラムは、背景気体が空気であるとき、約300キロダルトン(kDa)のイオン質量をモデリングすることに限られ、したがって、ここで対象になる非常に大きな生体分子をモデリングするには不適切である。
[0031] 高速調節および擬似電位RF電界(pseudopotential RF field)双方を用いるイオン移動度モデルを使用する他のカスタム・イオン軌道シミュレーションも書かれている。しかしながら、高速調節RFシミュレーション(fast adjusting RF simulation)も、一般のイオン質量を解明するだけで、擬似電位シミュレーションは、精度高く低周波数をモデル化しない。その理由は、擬似電位は周波数の二乗に反比例するからであり、つまり周波数を低くしても、擬似電位の強度を高めるだけで、例えば、一連のリング電極における閉じ込めが強まることになる。しかしながら、適性にイオンを閉じ込めるためには、周波数の発振が遅過ぎる可能性があり、擬似電位モデルはこれを反映しない。
[0032] 気体流をシミュレートするには2つの方法があり、その選択は気体密度によって決まる。高密度の流れをシミュレートするためには、連続体仮定(continuum assumption)が適している。何故なら、流体密度における微視的な変動は、シミュレートされる領域の長さの尺度と比較すると小さいからである。連続体気体流は、ナビエ−ストークスの式(Navier-Stokes equation)に対する数値解によって正しく特徴付けられる。連続体仮定は、局所的変動が大きくて気体を個々の粒子として扱わなければならない低密度流では、失敗する。これらの流れは、バード(Bird)によって開発された直接シミュレーション・モンテ・カルロ法(DSMC)を使用するボルツマン式に対する確率論的解によって特徴付けられる。質量分光分析計インターフェースは、多くの場合、遷移流域に該当する中間密度を有する。この領域(regime)に対する最良のソルバ(solver)は、排気(pumping)およびインターフェース外形(interface geometry)によって変わる可能性がある。
[0033] 大きなイオン、例えば、メガダルトン(MDa)範囲のイオンに対する質量分光分析測定の関心が高まるに連れて、大きなイオンに対するインターフェースを特徴付けることが重要になる。例示的な実施形態では、FUNPETインターフェースは、流動する気体においてキロダルトンからギガダルトンの大きさのイオンの軌道を特徴付けることによって、イオン透過を最大化しつつ、広い質量範囲のイオンに対する過剰運動エネルギを最少に抑えるように設計されている。イオンの運動をシミュレートするために、速度ベレ・アルゴリズム(velocity Verlet algorithm)をランジュバン動力学と共に使用して、新たなイオン軌道プログラムが書かれた。これは、SIMION8.1からの電界、気体流情報からの抗力(drag)、拡散、および重力を組み込む。
[0034] これより図1Aを参照すると、イオン電荷および質量電荷比を測定するために静電線形イオン・トラップ(ELIT)14に動作可能に結合されたイオン源12を有する電荷検出質量分光分析計(CDMS)10が示されている。代替実施形態では、イオン測定は、オービトラップあるいは他の単一粒子測定デバイスまたは機器によって行われてもよい。イオン源12は、実例として、イオンのイオン源、即ち、生成器と、イオン生成器とイオン分離機器との間に位置付けられたイオン分離機器とを含む。CDMS10において、イオン分離機器は、実例として、1つ以上の従来のイオン質量分光分析計の形態で設けられる。他の実施態様では、イオン分離機器は、代わりに、1つ以上の分子特性に基づいてイオンを分離する従来の機器の内の1つまたは任意の組み合わせであっても、あるいは含んでもよい。分子特性の例には、質量、移動度、保持時間、粒子サイズ等を含むことができるが、これらに限定されるのではない。更に、FUNPETインターフェースは、電荷検出質量分光分析計(CDMS)10の前方端(例えば、イオン源と質量分光分析計または質量分析器との間)に実装されるとして、添付図面に示し本明細書において説明したが、FUNPETインターフェースが、代わりに、任意の分光分析計構成(arrangement)において実装されてもよいことも、本開示が想定していることは理解されよう。この場合、1つ以上の分子特性にしたがってイオン分離の前に、イオンを熱化する、および/または気体流を減少させることが望ましい。
[0035] これより図1Bを参照すると、図1Aに示したイオン源12の実施形態が示されている。図1Bに示す実施形態では、イオン源12は、実例として、従来の質量分光分析計または質量分析器22のイオン入射口に、イオン輸送インターフェース20を介して動作可能に結合されたイオン発生源(source of ions)18、即ち、従来のイオン生成デバイスを含む。図示する実施形態では、イオン生成器18は、その一端にイオン出射口26を定めるキャピラリ24を有する従来のエレクトロスプレイ・イオン化(ESI)源の形態で設けられている。図1Bには示されていないが、ESI源18は、試料溶液に流体結合され、イオン、即ち、荷電粒子Cを生成するために、従来のように動作可能であり、イオンはイオン出射口26から出射する。先に論じたように、ESI源18は、アンビエント・イオン化技法、即ち、試料溶液を大気圧においてイオン化するものである。他の実施形態では、同様に周囲環境においてイオンを生成するように動作する、他の既知のイオン生成デバイスが使用されてもよい。しかしながら、従来の質量分光分析計は高真空環境において動作するので、イオン輸送インターフェース20は、実例として、イオン生成デバイス18内またはその周囲における大気圧から質量分光分析計22の低圧(即ち、高真空)環境にイオンを輸送するインターフェースとして機能する。
[0036] 図1Bに示す実施形態では、イオン輸送インターフェース20は、実例として、イオンESI源18および質量分光尾分析計22に、そしてこれらの間に流体結合された混成イオン・ファンネル−イオン・カーペット(FUNPET)インターフェースの形態で設けられている。図示する実施形態では、FUNPETインターフェース20は、イオン入射口32を有する真空チェンバまたは筐体30を含む。イオン入射口32をESI源18のキャピラリ24が貫通し、キャピラリ24のイオン出射口26が真空チェンバ30内に侵入する。代替実施形態では、キャピラリ24は、キャピラリ24のイオン出射口26が、イオン入射口32において終端するか、またはイオン入射口32を貫通して真空チェンバ30に貫入するように、真空チェンバ30のイオン入射口32と係合するように構成されてもよい。
[0037] 図示する実施形態では、真空チェンバ30の内側と従来のポンプ36との間に弁34が流体結合され、ポンプ36は気体源に流体結合されている。このような実施形態では、弁34およびポンプ36は、気体源38からチェンバ30の内側に気体を制御可能に追加するために、例えば、プロセッサまたはコントローラによって自動的に、あるいは手動で制御することもできる。また、図示する実施形態では、他の弁40が真空チェンバ30の内側と従来の真空ポンプ42との間に流体結合されている。このような実施形態では、弁40および/またはポンプ40は、真空チェンバ30内部の真空レベルを制御するために、例えば、自動的にまたは手動で制御することもできる。更にまた、図示する実施形態では、更に他の弁44が真空チェンバ30の内側に流体結合されている。このような実施形態では、弁44は、真空チェンバ30からの放出気体および/または真空を制御するために、例えば、自動的にまたは手動で制御することもできる。
[0038] FUNPETインターフェース20は、更に、図1Bにおける例によって示されるように、真空チェンバ30内部において、ESI源18と質量分光分析計22との間に配置されたイオン・ファンネル46を含む。イオン・ファンネル46は、実例として、生成されたイオンCをその中に受け取るように位置付けられ、構成されている。ESI源18における大気圧状態とキャピラリ24の出射口26における真空状態との間における大きな圧力差によって、超音波噴出の形態でキャピラリ24から流出する有向気体流が形成され、この超音波噴流が、ESI源18によって生成されたイオンを、イオン・ファンネル46の入射口54の中まで輸送する。以下で詳しく説明するが、イオン・ファンネル46は、その内部に仮想噴流ディスラプタ76を定める。仮想分流ディスラプタ76は、ESI源18のキャピラリ24から流出する超音波噴流を散逸させ、更に、イオンがイオン・ファンネル46によって質量分光分析計22内に輸送されるときに、ファンネル46内においてイオンを熱化する。
[0039] 図示する実施形態では、イオン・ファンネル46は、実例として、ESIキャピラリ24のイオン出射口26から離間された一定アパーチャ領域48と、一定アパーチャ領域48に流体結合されここから延出する漸減ファンネル領域50とを含む。イオン・ファンネル46の一定アパーチャ領域48は、実例として、M個の一定アパーチャ、離間導電性リング電極52〜52で形成され、Mは任意の正の整数でよい。一定アパーチャ・リング電極52〜52は、各々、実例として、一連のリング電極52〜52が一緒に軸方向に貫通する一定直径D1の一定アパーチャ・ドリフト領域55を定めるような内径D1と、リング電極51〜51とそれらの間の空間との全体的な幅によって定められる長さとを有する。第1リング電極52は、実例として、ESIノズル24のイオン出射口26から離間され、第1リング電極52を貫通して定められる開口が、イオン・ファンネル46のイオン入射口54を定める。図1Bに示す実施形態では、ESIノズル24のイオン出射口26は、イオン・ファンネル46の一定アパーチャ領域48のドリフト領域55を貫通して定められる(そして、インターフェース20の中央を貫通して定められる)中央長手方向軸Aと軸方向に整列されている、即ち、共線状である。しかしながら、このような整列は必須ではなく、他の実施形態では、ESIノズル24のイオン出射口26が軸方向ドリフト領域55と軸方向に整列される必要はないことは理解されよう。イオン・ファンネル46の一定アパーチャ領域55の長さは、用途によって変化してもよい。
[0040] イオン・ファンネル46のファンネル領域50は、実例として、N個の離間された導電性リング電極56〜56で形成されている。導電性リング電極56〜56は、一定アパーチャ領域48から離れて質量分光分析計22に向かって軸方向に延び、リング電極56〜56のアパーチャは、質量分光分析計22に向かう方向に直径が線形に短くなる。実例として、第1リング電極56は、一定直径領域48の最後のリング電極52の直径D1よりも多少短い内径を有し、残りのリング電極56〜56の内径は、最後のリング電極56が内径D<Dを有するように順次短くなる。一実施形態では、リング電極56〜56N−1の内径は、リング電極56および56間で、線形に、即ち、段階的に減少し、ファンネル領域50を軸方向に貫通する漸減アパーチャ・ドリフト領域57を定める。漸減アパーチャ・ドリフト領域57は、リング電極56〜56間で線形に漸減する、即ち、減少する。尚、電極52〜52および56〜56の内径における破線は構造的コンポーネントではなく、むしろドリフト領域55の一定の直径およびドリフト領域57の線形に減少する直径を強調するために含まれるに過ぎないことは理解されよう。ある代替実施形態では、リング電極56〜56の内1つ以上の内径は、ドリフト領域57が厳格に線形に減少しないように、即ち、ドリフト領域57の内径が非線形に減少するように、サイズが形成されてもよい。いずれの場合でも、イオン・ファンネル46の一定アパーチャ領域48によって定められたドリフト領域55は、長手方向軸Aがドリフト領域55、57双方を軸方向の中心を貫通するように、イオン・ファンネル46のファンネル領域50のドリフト領域57と軸方向に整列されている。
[0041] 更に図1Bに示すように、回路ボード80は、Q個の回路コンポーネント82〜82が実装されており、Qは任意の正の整数でよい。回路ボード80は、P本の導電路を通じて、イオン・ファンネル46に電気的に結合されており、ここで、Pは任意の整数でよい。電圧源84は、R本の導電路を通じて回路ボード80に電気的に結合されており、ここで、Rは任意の正の整数でよい。図示する実施形態では、電圧源84は、実例として、少なくとも1つのDC電圧源と、少なくとも1つの無線周波数(RF)電圧源とを含む。一実施形態では、回路コンポーネント82〜82は、実例として、電極52〜52および56〜56の各々の間に接続する十分な数の抵抗器を含み、DC電圧源は、電極52および56の間に、イオン・ファンネル46の入射口54から軸方向にドリフト領域55および57を通過し更にイオン・ファンネル46のイオン出射口(即ち、ファンネル領域50の最後のリング電極56によって定められるアパーチャ)を通過するようにイオンを駆動する方向に、ドリフト領域55、57内にドリフト電界(electric drift field)を確立するのに適したDC電圧を印加するように構成されている。更に、回路コンポーネント82〜82は、実例として、RF電圧源(1つまたは複数)と電極52〜56の各々との間に接続する十分な数のキャパシタを含み、RF電圧源(1つまたは複数)は、それぞれのキャパシタを介して、電極52〜56の各々に、例えば、隣接する電極に印加される位相から180度外れで、イオンがDCドリフト電界によってドリフト領域55、57を軸方向に貫通するように駆動されるときに、軸Aに向けてイオンを半径方向に収束するのに適したRF電圧を印加するように構成されている。
[0042] 更に、FUNPETインターフェース20は、実例として、イオン・ファンネル46のファンネル領域50の最後のリング電極56から離間されたイオン・カーペット58を含む。イオン・カーペット58は、実例として、従来の構造であり、一連の同心円状または他の閉鎖形状の導電性リング63を含む。導電性リング63は、平面基板60、例えば、回路ボードの一方の平坦面60A上に形成され、基板60を軸方向に貫通して定められた中央アパーチャ62を中心に入れ子になっている。実例として、リングは全て同じ厚さを有し、リングの内径(または内部断面積)は、これらのリングの内最初のものがアパーチャ62と密接に外接し、連続する各リングが直前のリングに外接するように、中央開口62から半径方向に離れる方向に順次大きくなる。一実施形態では、回路コンポーネント82〜82は、実例として、導電性リング63の各々の間に接続する十分な数の抵抗器を含み、DC電圧源は、イオンをアパーチャ62に向けて駆動する方向にリング63に沿ってドリフト電界を確立するのに適したDC電圧を、第1および最後のリング間に印加するように構成されている。ある実施形態では、回路コンポーネント82〜82は、更に、実例として、RF電圧源(1つまたは複数)とリング63の各々との間を接続する十分な数のキャパシタを含み、RF電圧源(1つまたは複数)は、イオンをアパーチャ62に向けて半径方向に収束するのに適した、例えば、180度位相外れのRF電圧を、それぞれのキャパシタを介してリング63の各々に印加するように構成されている。ドリフト領域55、57を軸方向に貫通して駆動されるイオンがイオン・ファンネル46から出射すると、これらはリング63間に確立されたDCドリフト電荷によって、そしてある実施形態では、リング63に印加されるRF電圧によっても、イオン・カーペット58のアパーチャ62に向けて収束され、アパーチャ62を抜ける。ある実施形態では、DCドリフト電界だけが使用され、他の実施形態では、RF電圧(1つまたは複数)も印加されてもよい。つまり、イオン・カーペット60の動作は、従来通りであり、基板60の平坦面60Aによって定められる平面に向かって垂直に移動するイオンをアパーチャ62に向けて収束しこれを貫通するように、DC電圧、そしてある実施形態ではRF電圧も同様に、選択的にリング63に印加される。図1Bに示す実施形態では、中央軸Aが軸方向にアパーチャ62を貫通する。アパーチャ62は、FUNPETインターフェース20のイオン出射口を形成し、したがって質量分光分析計22へのイオン入射口も形成する。
[0043] イオン・ファンネル46のリング電極52〜52は、実例として、電気絶縁性で幅が等しいスペーサを介して互いに結合されている(join)。一実施形態では、このようなスペーサは、実例として、連続する電気絶縁性シート64の形態で設けられ、この電気絶縁シート64上に、リング電極52〜52が形成されるか、または少なくとも部分的に埋め込まれる。または、図1Bにおける例によって示されるように、離間された関係で、電気絶縁シート64にリング電極52〜52が貼り付けられるか、または取り付けられる。同様に、リング電極56〜56も、実例として、電気絶縁性で幅が等しいスペーサを介して互いに結合されている。一実施形態では、このようなスペーサは、実例として、連続する電気絶縁性シート64の形態で設けられ、電気絶縁性シート64上にリング電極56〜56が形成されるか、または少なくとも部分的に埋め込まれる。または、同様に図1Bにおける例によって示されるように、離間された関係で、電気絶縁性シート64に、リング電極56〜56が貼り付けられるか、またそうでなければ取り付けられる。図示する実施形態では、連続する電気絶縁性シート64、64は、互いに離れており、このような実施形態では、シート64、64は、実例として、それらの共通の境界に沿って結合され、ドリフト領域55、57が一緒に、イオン・ファンネル46を軸方向に貫通する1つの密閉ドリフト領域を定めるように、密閉を形成する。このような実施形態のあるものは、図6Aおよび図6Cにおける例によって示されるように、電気絶縁性シート64は、リング電極56〜56によって定められるアパーチャの直径と同様に、線形に(または非線形に)減少する外径を定めるように、下に向かって漸減する。代替実施形態では、連続する電気絶縁性シート64、64を組み合わせて1枚のシートを形成し、1つの一元化電気絶縁性シートが、リング電極52〜52の各々、およびリング電極56〜56の各々に、イオン・ファンネル46の長さに沿って結合され、イオン・ファンネル46を軸方向に貫通する1つの密閉ドリフト領域を同様に定めるようにしてもよい。
[0044] ファンネル領域50の最後のリング電極56と、電極56に面するイオン・カーペット58の平坦面60Aとの間にある軸方向ギャップは、実例として、イオン・ファンネル46とイオン・カーペット58との間にドリフト領域59を定め、イオン・カーペット58のアパーチャ62は、最後のリング電極56の内径によって定められるアパーチャと軸方向に整列する、即ち、共線状となる。図1Bに示す実施形態では、電気絶縁性シート64は、イオン・カーペット58の基板の外周と、またはその外周に隣接するイオン・カーペット58の基板60の面60Aと密閉接触する(sealing contact)ことが示されている。他の実施形態では、イオン・カーペット58とイオン・ファンネル46との間に密閉を形成するためには、任意の適した密閉材料および/または構造が使用されてもよい。いずれの場合でも、イオン・カーペット58は、一定アパーチャ領域48のドリフト領域55、ファンネル領域50のドリフト領域57、およびファンネル領域50とイオン・カーペット58との間に定められたドリフト領域59のカスケード状の組み合わせが、イオン・ファンネル46を軸方向に貫通する1つの連続密閉ドリフト領域65を定めるように、イオン・ファンネル46と密閉係合してこれと結合されている。
[0045] これより図6A〜図6Cを参照すると、図1BのFUNPETインターフェース20の物理実施形態(physical embodiment)が示されている。図6Aにおける例によって示されるように、FUNPETインターフェース20のイオン・ファンネル46は、実例として、2つの電気絶縁性で可撓性の印刷回路ボード(PCB)シート64および64によって作られている。電極52〜52は、一連の細長く、並行し、離間された導電性ストリップの形態で、電気絶縁性シート64に取り付けられるか、またはその上に形成され、導電性ストリップは、シート64が図1Bに示すように円筒に形成されたときに、離間された導電性の一定アパーチャ・リング電極52〜52の軸方向シーケンスを形成する。電極56〜56は、一連の円弧状で、並行し、離間された導電性ストリップの形態で、電気絶縁性シート64に取り付けられるか、またはその上に形成され、導電性ストリップは、シート64が図1Bに示すようにファンネルに形成されたときに、離間され導電性で、アパーチャが徐々に小さくなるリング電極56〜56の軸方向シーケンスを形成する。また、図6Aに示すように、回路ボード80は、イオン・ファンネル46に電気的に接続されていることが示されている。この実施形態では、回路ボード80は、2つの別個で細長い回路ボード80A、80Bの形態で設けられ、隣接する端部において互いに結合されている。回路コンポーネント82〜82の内いくつかは、回路ボード80Aに実装され、シート64に実装された、アパーチャの直径が一定のリング電極52〜52に電気的にそして動作可能に結合され、回路コンポーネント82〜82の他のものは、回路ボード80Bに実装され、シート64に実装された、アパーチャの直径が一定のリング電極56〜56に電気的にそして動作可能に結合されている。
[0046] 図6Bにおける例によって示されるように、FUNPETインターフェース20のイオン・カーペット58は、平坦面60Aを有する、硬質の電気絶縁性印刷回路ボード(PCB)60の形態で設けられ、平坦面60Aに、複数の入り子状の導電性リング63が実装、またそうでなければ、形成されている。内径が最も小さい導電性リングが、回路ボード60の中央を貫通して定められたアパーチャ62を包囲し、残りの導電性リング63の各々は、互いに順次外接し、イオン・カーペット構造を形成する。イオン・カーペット58は、任意の数の入り子状導電性リング63を含んでもよく、図6Bに示す実施形態では、イオン・カーペット58は、実例として、25個の入り子状リング63を有する。
[0047] 図6Cにおける例によって更に示されるように、イオン・ファンネル46およびイオン・カーペット58は、図1Bに関して先に説明したように、イオン・ファンネル46およびイオン・カーペット58が密閉されるように、図1Bに示すそれらの動作位置において、3DプリントされたABSプラスチック支持筐体30によって、適所に保持されている。図示する実施形態では、支持筐体30は4つのセクション30A〜30Dを含み、これらは、FUNPETインターフェース20を形成するために、互いにボルト締めされている。セクション30Aおよび30Bは、イオン・ファンネル46の一定アパーチャ領域48を定めるロール・シート64の殆どを収容する。セクション30Cのサブセクション30Cは、ロール・シート64の残りの部分を収容し、セクション30Cのサブセクション30Cは、イオン・ファンネル46のファンネル領域50を定めるロール・シート64の殆どを収容する。セクション30Dのサブセクション30Dは、ロール・シート64の残りの部分を収容し、セクション30Dのサブセクション30Dは、実例として、イオン・カーペット58を収容するようなサイズに作られた円板セクションを形成する。回路ボード80Aは、筐体30のセクション30A〜30Cに結合され、これらのセクションの外面に沿って載せられている。回路ボード80Bは、筐体30のセクション30Cおよび30Dに結合され、同様に、これらのセクションの外面に沿って載せられている。回路ボード80Bに実装された回路コンポーネント82〜82の一部は、イオン・カーペット58を定める回路ボード60に実装された導電性リング63に電気的そして動作可能に結合されている。
[0048] 図示する実施形態では、ESI源18によって生成されたイオンCが真空チェンバ30に入射し、大気圧において動作するESI源18と真空状態下で動作する質量分光分析器22との間の圧力差によって生ずる気体流70によって、密閉ドリフト領域65の一定アパーチャ・ドリフト領域48のイオン入射口54に導入される。気体がドリフト領域48およびファンネル領域50の中に深く流入するにつれて、背圧が発生して増大し、気体流70を減速させ(slow)、最終的に蓄積圧力72のエリアを形成し、イオン・ファンネル46のイオン入射口54に逆に向かってここから週出する気体74の逆流を発生させる。圧力蓄積のエリア72と気体の逆流74との組み合わせは、密閉イオン・ファンネル46の直接的な結果として、仮想噴流ディスラプタ76を形成し、仮想噴流ディスラプタ76は気体流の噴流を散逸させ、イオンCを熱化する。実例として、圧力蓄積エリア72およびイオン・ファンネル46内における気体の逆流74の外観(features)、ならびにこれらに関連する動作パラメータを調節するために、弁34、40、および44の内1つ以上を制御することができる。漸減するドリフト領域57およびイオン・カーペット58の組み合わせは、従来のRFおよびDC電圧源84を使用するその適した電気制御と共に、実例として、FUNPETインターフェース20のイオン出射アパーチャ62に向けて、そしてこれを通過するように、熱化されたイオンCを誘導する。FUNPETインターフェース20の制御および動作については、以下で図5〜図8に関して更に説明する。
[0049] 尚、質量分光分析計22は任意の従来の設計でもよく、例えば、飛行時間(TOF:time-of-flight)質量分光分析計、リフレクトロン質量分光分析計、フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴(FTICR:Fourier transform ion cyclotron resonance)質量分光分析計、四重極型質量分光分析計、三連四重極型質量分光分析計等を含むが、これらに限定されるのではないことは認められてしかるべきである。更に、ある実施形態では、FUNPETインターフェース20に入射するイオンの発生源は、代わりに、任意の従来のイオン源であってもよく、例えば、図1Bに関して説明したようなエレクトロスプレイ・イオン化源のような少なくとも1つのイオン生成デバイス、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI:matrix-assisted laser desorption ionization)源等の内の1つまたは任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるのではなく、更に、イオン移動度分光分析計、液体または気体クロマトグラフ等のような、少なくとも1つの分子特性の関数として経時的にイオンを分離するように構成された1つ以上の分子分離機器も含んでもよい。
[0050] これより図2A〜図2F、図3A〜図3F、および図4A〜図4Fを順次参照して、図1Bに示し以上で説明したFUNPETインターフェース20とは異なるコンポーネントを有する、3つの代替イオン源インターフェースの構造および動作を示す。図2A〜図4Fに示す結果を達成するために、特定の気体流シミュレーション、拡散、およびイオン軌道シミュレーションを行った。図2A〜図2F、図3A〜図3F、および図4A〜図4Fを参照するこれらの代替インターフェースの説明に続いて、以上で説明したFUNPET20についてのシミュレーション結果を示し、図5A〜図5Fを参照しながら説明する。
[0051] 図2A〜図2Fに示す第1の代替インターフェース(「インターフェース1」)は、開放ドリフト領域を、物理噴流ディスラプタおよびイオン・カーペットと共に有するが、イオン・ファンネルがない。図3A〜図3Fに示す第2の代替インターフェス(「インターフェース2」)は、イオン・カーペットと共に密閉ドリフト領域を有するが、物理噴流ディスラプタおよびイオン・ファンネルがない。図4A〜図4Fに示す第3の代替インターフェース(「インターフェース3」)は、密閉ドリフト領域を仮想噴流ディスラプタおよびイオン・ファンネルと共に有するが、イオン・カーペットがない。図4A〜図5Fに示すFUNPETインターフェース20は、図1Bに関して説明したように、イオン・ファンネル46内に定められ、イオン・カーペット62に結合された密閉イオン領域65を有し、密閉イオン領域65はその中に仮想噴流ディスラプタ76を定める。
[0052] 気体流シミュレーション
[0053] インターフェースに入る気体の特徴付けは、4つのインターフェース全てに対して同一であった加熱金属キャピラリ(長さ10cm、内径0.381mm)を通過する気体流を理解することから始まった。キャピラリの両端間における大きな圧力差のために、キャピラリから出る流れは超音波噴流を形成する。Wutz/Adams乱流モデルを使用して、キャピラリを通過する体積流量を計算し、キャピラリの長さ対直径比率が十分に大きければ(例えば、>50)、実験とよく一致することが示されている。キャピラリ噴流のプロパティを判定し、キャピラリ噴流が各インターフェースによってどのような影響を受けるか理解するために、気体流シミュレーションを行った。次いで、気体流シミュレーションからの結果を、イオン軌道プログラムにインポートして、イオン透過およびイオンの過剰運動エネルギに対する気体流の影響を理解した。気体流をモデル化するために2つの方法を使用したが、選択は気体密度にしたがって行った。
[0054] インターフェース1の開放ドリフト領域の低い背景圧力(例えば、93Pa)は、直接シミュレーション・モンテ・カルロ法(DSMC)プログラムDS2Vによる分析に最も適したが、直接モデル化するには、入射口圧力が高すぎた。したがって、DS2Vプログラムによって受け入れ可能な入射口条件をモデル化するために、キャピラリに対して計算された噴流膨張の最大バレル衝撃径(barrel shock diameter)を使用して、入射口の直径を近似した。開放ドリフト領域のシミュレーションは全て、領域の2D軸対称モデルを使用し、気体を、全ての表面から拡散反射が生ずる剛体球として扱った。このシステムの初期状態は真空であり、出射境界(exit boundaries)をカーペット・アパーチャに設定し、排気位置(pumping location)をキャピラリから下流に設定した。インターフェース1の開放ドリフト領域のDS2Vシミュレーションを、流れが定常状態に達するまで行った。
[0055] インターフェース2、インターフェース3、およびFUNPETインターフェース20の閉鎖ドリフト領域に対して発生する圧力蓄積のため、DSMC法に要するシミュレーション時間が長過ぎるという結果に至った。閉鎖インターフェース設計において高密の気体を更に精度高くモデル化するために、連続体に基づくソルバ(continuum based solver)を使用した。この作業では、Star−CCM+ v10.06(CD−Adapco)を、全ての閉鎖インターフェース・シミュレーションに使用した。このソルバの設定は、理想的な気体の圧縮可能な流れに対して選択した。圧力出口(pressure outlet)は、キャピラリの後ろの領域(93Pa)、および各インターフェース設計の出射アパーチャ(10Pa)において設定した。閉鎖ドリフト領域内部の初期圧力を、93Paに設定した(以前の機器における同様の構成に対して測定した圧力に基づいて)。流出質量流速が流入質量流速(entrance mass flow rate)(±5%)に等しいときに、収斂(convergence)が発生したと判断した。
[0056] 拡散
[0057] Crooksおよび共同研究者によって速度ベレ・アルゴリズムに適合されたランジュバン動力学モデルによって、拡散を組み込んだ。ランジュバン動力学は、摩擦(即ち、抗力)および架空の背景気体との確率的衝突を表すランダム力(即ち拡散)による粒子の運動減衰を考慮するために、2つの追加の力項をニュートンの第2運動法則に追加する。この作業では、拡散係数をアインシュタインの関係によって計算し、イオンの移動度をManson−Schamp式によって計算した。Crooksおよび共同研究者によって開発された7ステップ速度ベレ・アルゴリズムは、次の式で示される。
[0058]
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[0059]
Figure 2021527305
[0060]
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[0061]
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[0062]
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[0063]
Figure 2021527305
[0064]
Figure 2021527305
[0065] 変数rおよびvは、粒子の位置および速度であり、nは現在の時刻であり、Δtは時間刻みであり、fは粒子に作用する抗力であり、mは粒子の質量であり、βはKTの逆数であり(ここで、kはボルツマン定数であり、Tは温度である)、aは抗力によって減衰した速度を表し、NおよびNは、独立した標準正規偏差(standard normal deviate)であり、粒子の確率論的運動をモデル化するために使用される。変数bは、このモデルの精度を確保するために使用される倍率である。ステップ4は、明示的なハミルトニアン更新(explicit Hamiltonian update)である。本明細書において紹介するシミュレーション作業では、ハミルトニアン・ステップを省略し、シミュレーションの時間刻みが既に小さいことから、倍率は不要と判断した。加えて、抗力(drag force)(以下を参照のこと)を直接ステップ2および6に出てくる力項に組み込むことを優先して、減衰速度項も省略した。これは、減衰速度項は静止背景気体を仮定するが、我々の抗力モデル(drag model)は流動背景気体を組み込むからである。シミュレーションは、2つの抗力モデル間で良好な一致を実証した。
[0066] このモデルを、単純なモンテ・カルロ拡散シミュレーションと比較して検査し、その精度を判定した。多数の時間刻みに対する拡散粒子の大きな集合体の最終的な位置を記録し、分布を比較した。長い時間尺度、大きなイオン質量、および高い背景圧力において、双方のモデルは、最終的な位置に予期されたガウス分布を示した。短い時間尺度、小さいイオン質量、および低い圧力において、ランジュバン動力学モデルは、モンテ・カルロ法によって作成されたガウス分布から逸脱した。しかしながら、これは予期されることである。何故なら、最終位置のガウス分布を作成するためには大多数の衝突が必要とされるからであり、時間が短い程、質量が軽い程、圧力が低い程、全て衝突の減少に繋がるからである。この拡散モデルは、したがって、適切であると見なされた。
[0067] イオン軌道シミュレーション
[0068] ランジュバン動力学拡散モデル、抗力モデルによる気体流情報、SIMION8.1からの電界からの力、および重力を組み込んだ速度ベレ・アルゴリズムを使用して、イオン軌道シミュレーションを実行した。これは、数千個のイオンを適時分析できるように、OpenMP directive(並列化の指示文)を使用して書かれたカスタムFortranプログラムに全て組み込まれた。ごく少量の透過した入射イオンを判定することに加えて、イオンが熱化されたことを確認するために、イオン・エネルギを追跡した。
[0069] 最初のステップは、SIMION外形ファイル(SIMION geometry file)に書き込み、精細化することである。DCおよびRF電位を全ての電極に印加し、電位アレイ・ファイルを印刷した。DS2VまたはStar−CCMシミュレーションから、局所的な気体圧力および速度情報を抽出し、参照表を作成した。イオンの位置を初期化することによって、軌道計算を開始する。発散ノズルを有するインターフェースでは、全てのイオンが同じ軸方向位置、およびランダムな半径方向位置において開始する。イオンの初期速度は、周囲の気体流のそれと等しく設定する。何故なら、全てのイオンは、キャピラリの終端に向かって、気体流と共に移動することが予期されるからである。一旦イオン位置および速度を設定したなら、軌道シミュレーションを開始する。
[0070] 各時間刻みにおいて、気体流値に対してバイリニア内挿法、および電界値に対してトライリニア内挿法(tri-linear interpolation)を実行して、イオンの位置を求める。周囲の気体流に対するイオンの速度を計算し、次いでこの相対速度および周囲の気体の圧力を使用して、抗力を計算する。次いで、イオンの質量を使用して、抗力を加速度に変換する。次いで、この電界による加速度を計算する。次いで、抗力、電界、および重力からの寄与を合計することによって、総加速度を判定する。局所圧力から拡散定数を決定し、拡散モデルに組み込み、拡散による位置および速度の更新を得る。次いで、イオンの現在の速度、電界による総加速度、抗力、重力、および拡散に基づいて、イオンの位置を更新する。次いで、同様にイオン速度を更新し、総速度を計算し、イオン・エネルギを判定する。次いで、プログラムは、イオンの位置およびエネルギを記録し、イオンが電極上に衝突したかまたは首尾良く透過したか確認するためにチェックし、衝突または透過しなかった場合、サイクルを繰り返す。一旦全てのイオンが衝突または透過したなら、透過率、そして透過したイオンに対して、平均最終エネルギ、および平均最終エネルギの標準偏差を、研究したイオン質量毎に計算する。
[0071] これより図2A〜図2Fを参照すると、開放ドリフト領域を、イオン・カーペット(右側の垂直線において示す)および物理噴流ディスラプタ(ドリフト領域内における中央の垂直線として示す)と共に有するインターフェース1が示されている。このインターフェースの1つの実例(illustrative example)では、ドリフト領域は、2.54cmの一定の内径を有する74個のリング電極(垂直線で示す)で構成される。電極は、厚さ0.508mmであり、全長31.57cmに対して、3.81mmの間隔が電極間にある。300Vピーク・ピーク(Vpp)および180°位相外れのRF信号を隣接する電極に印加する。5V/cmの一定ドリフト勾配も印加する。ドリフト領域の長さの途中に、直径6.35mmの噴流ディスラプタを配置する。ドリフト領域の終端から6.35mmに、イオン・カーペットを配置する。このカーペットは、高さ0.254mm、幅0.381mmで、0.127mmだけ離間された24個の同心状リング電極で構成される。イオン・カーペットの中央における出射アパーチャは、長さ1.016mm、直径1.016mmである。イオン・カーペットに非線形DC電圧勾配を印加し、最も内側にある電極を接地し、外側の3つの電極を全て274Vに保持する。電圧勾配は、出射アパーチャに近い程急になる。イオン・カーペットにRFは印加しない。尚、この節において記載した数値による寸法およびその他の数値による構造は、一例として提示したに過ぎず、限定と見做しては決してならないことは理解されよう。代替実施形態では、1つ以上のこのような数値による寸法および/または他の数値による構造が、一例として以上で説明したものよりも、大きい場合または小さい場合もあることも想定される。
[0072] 開放ドリフト領域における低い圧力は、DSMC分析に適している。例えば、図2Aに示すように、DS2Vシミュレーションからの軸方向速度は、噴流ディスラプタが噴流を殆ど停止させることを示す。何らかの気体が、噴流ディスラプタの周囲を流れ、次いで再結合し、ドリフト領域の終端に配置された排気およびカーペット・アパーチャに向かって流れるのが見える。しかしながら、ここでは圧力が低く、より大きな半径方向の膨張が許容される。図2Bに示すように、半径方向速度は、噴流ディスラプタの直前で大きな値を示し、次いで噴流ディスラプタの後ろで流れが再結合すると、負の値を示す。尚、カーベットの壁における正の半径方向速度が、気体流が壁と衝突していることを示すことも注記して然るべきである。図2Cに示す局所的圧力は、ドリフト領域の殆どが、予期される93Paを中心としており、噴流ディスラプタ直前の領域を例外とすることを示す。
[0073] このデバイスに対して異なるサイズのイオンを使用したイオン軌道を図2D〜図2Fに示す。例えば、図2D〜図2Fには、それぞれ、1kDa、1MDa、および1GDaに対して20通りの代表的な軌道を示す。図2Dに示すように、1kDaのイオンは、噴流ディスラプタの周りを通り、これらのイオンは気体流によって中央軸に再度収束され、次いでイオン・カーペットによって開放ドリフト領域の終端において収束される。イオンの質量が増えるに連れて、イオンはもはや熱化されず、噴流ディスラプタの表面上で失われる。拡散係数は質量に反比例する。これが意味するのは、拡散の効果は、小さいイオン程容易に確認できるということである。
[0074] これより図3A〜図3Fを参照すると、密閉ドリフト領域をイオン・カーペット(右側の青い垂直線で示す)と共に有するインターフェース2が示されている。このインターフェースでは、ドリフト領域およびイオン・カーペットのレイアウトは、図2A〜図2Fにおけるインターフェース1のドリフト領域およびイオン・カーペットと同様であるが、電極間に絶縁密閉ギャップがある(黒い垂直線において示す)。加えて、インターフェース2は物理噴流ディスラプタを含まない。代わりに、ドリフト領域の電極を密閉することによって、気体流自体を仮想噴流ディスラプタとして使用する。そのようにする際、密閉されたドリフト領域のカーペット端に圧力が蓄積され、ドリフト領域から外側に向かう気体の逆流が、噴流を消散し、イオンを熱化するのを補助する。ドリフト領域を密閉することによって、局所的圧力が上昇するので、連続体仮定は気体流の計算に相応しい。インターフェース2では、噴流の半径方向膨張を減らすために、発散ノズルを使用した。
[0075] 300Vppおよび180°位相外れのRF信号を隣接する電極に印加する。1つの実例では、非線形電圧勾配を密閉ドリフト領域に印加する。最初の15.5cmは40V/cmを有し、最後の11cmは0.5V/cm勾配を有し、そして中間の5cmは40V/cmから0.5V/cmまで線形に減少する。加えて、イオン・カーペットに印加する電圧勾配は、インターフェース1に対して先に使用した勾配の10%とする。最後に、噴流の半径方向膨張を減らすために、1cm長の発散ノズル(0.75mmIDから5mm ID)をキャピラリ入射口の端部に追加した。このノズルの端部は、ドリフト領域内に2cm突入する。発散ノズルは、中心線強度を高めることが知られている。尚、この節において記載した数値による寸法およびその他の数値による構造は、一例として提示したに過ぎず、限定と見做しては決してならないことは理解されよう。代替実施形態では、1つ以上のこのような数値による寸法および/または他の数値による構造が、一例として以上で説明したものよりも、大きい場合または小さい場合もあることも想定される。
[0076] 図3Aを参照すると、閉鎖ドリフト領域の軸方向速度は、噴流がキャピラリ入射口から〜15cmのところで停止されることを示す。その結果、カーペット端部における局所的圧力は約280Paまで上昇し(図3C参照)、噴流の周囲に気体の逆流が発生する。噴流を破壊しイオンを熱化させる仮想噴流ディスラプタを構成する(provide)のは、ドリフト領域のカーペット端部における逆流および圧力蓄積の組み合わせである。仮想噴流ディスラプタの性能は、ドリフト領域の直径を比較的小さく抑えることによって、向上する。物理噴流ディスラプタがないと、図3Bに示す半径方向速度は、インターフェース1の場合よりも著しく小さくなる。唯一の注目すべき半径方向速度の構造は、発散ノズルから出る不足膨張噴流(under-expanded jet)の膨張および圧縮である。
[0077] ドリフト・チューブのカーペット端部における圧力蓄積の欠点は、質量分光分析計の後続領域に対する気体負荷を増やすことである。圧力蓄積のために、ドリフト領域の最初の15cmにおけるドリフト勾配を40V/cmに増大させた。ドリフト電界が増加すると、イオンが拡散しなければならない時間が短縮し、これらが逆流に取り込まれ失われるのを防止する。ドリフト領域のカーペット端部において、気体はほぼ静止し、ドリフト電界を0.5V/cmまで低下させる。イオン・カーペットにおける電圧勾配は、インターフェース1におけるものの10%まで低下させた。これらの電圧勾配が低下すると、イオンの過剰運動エネルギが減少する。尚、この節において記載した数値による寸法およびその他の数値による構造は、一例として提示したに過ぎず、限定と見做しては決してならないことは理解されよう。代替実施形態では、1つ以上のこのような数値による寸法および/または他の数値による構造が、一例として以上で説明したものよりも、大きい場合または小さい場合もあることも想定される。
[0078] 図3D〜図3Fは、1kDa、1MDa、および1GDaイオンに対する例示的な軌道を示す。全てのイオン質量に対して、電位勾配および気体流の変化によって、ドリフト領域の後半部分において半径方向の膨張が発生し、その結果半径方向成分が生ずる。何故なら、流れが、カーペットに向かう軸方向の流れから、ドリフト領域のエッジに沿った逆流に移行しているからである。電位勾配は、カーペット端部において弱くなり、軸に対して直行する電界成分が発生する。
[0079] インターフェース2に対する透過は、10kDaおよび100MDa間の全てのイオン質量では100%に近く(図3A参照)、インターフェース1に対して劇的な改善である。インターフェース2のドリフト領域のカーペット端部においてドリフト電界が低下することにより、更に、有意な気体流が存在しないことにより、拡散が、特に、小さい低質量イオンにとって、遥かに大きな役割を演ずる。拡散は、イオンの一部がカーペットの表面上において失われる原因となる。これは、1kDaイオンの透過効率が低下することの要因である(responsible for)(図3B参照)。これは、拡散しない1kDaイオンに対するイオン軌道シミュレーションを実行することによって確認され、100%の透過が達成された。しかしながら、核酸は1GDaイオンの低い透過効率の要因ではない。ここで、問題なのは、それらの大きな半径方向の膨張であり、イオン・カーペットによってそれらを収束することが難しいことである。
[0080] イオン透過が大幅に改善されたことに加えて、イオンの平均過剰運動イオン・エネルギも同様に大きく改善した。過剰運動エネルギは、図3Bに示すように、全てのイオン質量に対して、約35分の1に低下した。しかしながら、少数の透過した1GDaイオンのイオン・エネルギは相変わらず10keVを超え、電圧勾配のいずれを低下させても、更に透過率を低下させるだけである。大きく改善したが、平均イオン・エネルギは所望よりも高いままである。
[0081] インターフェース2において高質量イオンの透過率が低いのは、軸から遠く外れたイオンを収束するためにはカーペットが余り効果的でないことに起因する。高質量イオンの透過を高める努力において、仮想噴流ディスラプタを、物理的なものの代わりに、イオン・ファンネルと共に組み込むインターフェース3が設計された。つまり、イオン・ファンネルは、比較的長く狭いドリフト領域を有し、密閉されているので、気体流および逆流によって効果的な仮想噴流ディスラプタを生成することができる。
[0082] これより図4A〜図4Fを参照して、密閉イオン・ファンネルを仮想噴流ディスラプタと共に有するインターフェース3を示す。インターフェース3は、実例として、一連の正方形リング電極で構成されたイオン・ファンネルである。例示的な一実施形態では、インターフェース3は8枚の硬質PCBで作られ、4枚の矩型基板が直線ドリフト領域に、4枚の三角形基板がファンネル領域に当てられる。正方形リング電極は、幅が0.635mmであり、隣接する電極間の間隔が0.635mmであり、総電極ピッチが1.27mmである。直線ドリフト領域は、204個の電極で構成され、全長が26cm、内径が7.62cmである。最後の104個の電極は、内径2mmの出射アパーチャまで徐々に小さくなり、ファンネルの全長は42cmである。300Vピーク・ピーク(Vpp)および180°位相外れのRF信号を、隣接する電極に印加する。これは、先のインターフェース1および2と同様である。しかしながら、最後の4つの電極にはRFを供給しない。5V/cmの一定ドリフト勾配を、ファンネル全体の両端間に印加する。最後に、発散ノズルの入射口は3cmだけイオン・ファンネル内に突入している。尚、この節において記載した数値による寸法およびその他の数値による構造は、一例として提示したに過ぎず、限定と見做しては決してならないことは理解されよう。代替実施形態では、1つ以上のこのような数値による寸法および/または他の数値による構造が、一例として以上で説明したものよりも、大きい場合または小さい場合もあることも想定される。
[0083] インターフェースから後続の質量分光分析計の領域までの気体流を減らすために、イオン・ファンネルの内径を、インターフェース1および2と比較して、大きくした。加えて、インターフェース3は、インターフェース1および2と比較して、長いドリフト領域を有する。何故なら、噴流は、直径が大きい程、消散するのに長くかかるからである。
[0084] 図4Aにおいて、イオン・ファンネルの気体流の軸方向速度は、噴流がキャピラリ入射口から〜27cm離れたところで停止したことを示す(インターフェース2におけるよりも約2倍離れている)。半径方向速度(図4B)は、インターフェース2について見たのと同じ半径方向構造(radial velocity features)を示す(不足膨張噴流の膨張および圧縮に起因する)。ファンネルの出射口付近における圧力蓄積は、195Paに近い(インターフェース2の280Paとの比較)(図4C)。圧力蓄積が少ないのは、直径が大きいためであり、これが、先に注記した、噴流停止距離の延長に繋がる。
[0085] 小さいアパーチャ(直径1mm)およびRF電界の組み合わせが、軸方向ウェルを生じ、これらが小さいイオンを捕捉し、透過率を低下させる。その結果、より多くのイオンを透過させるために、アパーチャを直径2mmに広げ、RF電位を最後の4つのファンネル電極から除去した。イオン・ファンネルにおける圧力低下は、次の領域における気体負荷を減らすように構成される。しかしながら、IDが2mmのアパーチャのために、出射アパーチャを出る質量流速(1.48×10−7kg/s)が、インターフェース2における高圧ドリフト領域(higher pressure drift region)のそれ(6,68×10−8kg/s)よりも高くなる。内径を大きくしたために、ファンネル全体に沿って一定の5V/cmドリフト勾配を使用することが可能になった。この勾配を更に低下させても、過剰イオン・エネルギは減らない。何故なら、これは、出射アパーチャを通過する気体流によって第一に設定されるからである。
[0086] 試料イオンの軌道を図4D〜図4Fに示す。イオンが、ファンネルの後半部分に向かうほぼ静止状の背景気体に遭遇すると、イオンの半径方向分布が広がるが、イオンはここでファンネルによって閉じ込められ、収束される。研究対象の質量範囲全体に対して、ほぼ100%の透過が達成された(図9A参照)。図9Bは、1MDa以下のイオン質量では、低い過剰運動エネルギが達成されたことを示す。しかしながら、10MDaよりも大きな質量については、過剰運動エネルギは、インターフェース2の場合よりも高い。これは、このインターフェースではイオン運動エネルギを設定するのは、主にアパーチャから出る気体流であることを実証する。イオンが重い程、衝突断面が大きく、したがって、アパーチャから出射する気体との衝突がより多く発生する。
[0087] インターフェース3についての結果は、インターフェース2で観察された軸外れ高質量イオンの透過に伴う問題が、ファンネルの外形によって解決されたことを示す。しかしながら、ファンネルの出射アパーチャは、イオン捕捉を誘発することが分かった。イオン捕捉を回避するために、アパーチャの直径を広げ、その結果、大きな質量流速が発生し、イオンを加速して、高質量イオンに大きな過剰運動エネルギが生じた。カーペットは、小さい出射アパーチャを有することができるが、このカーペットに伴う問題は、軸から遠く離れたイオンを透過するのに手こずる(struggle)ことである。これらのイオンを透過させるために、カーペット上の高電圧勾配を増大させたところ、これがイオンの過剰運動エネルギに寄与した。したがって、ファンネルおよびカーペットの組み合わせは、2つの種類のインターフェース双方から、広い半径方向範囲のイオンを収束するファンネル、およびそれらを透過させる小さなアパーチャのカーペットという、好ましい特徴を取り込めることが確認された。
[0088] これより図5A〜図5Fを参照すると、図1Bに示したFUNPETインターフェース20は、図示のように、仮想噴流ディスラプタを有する。図示するFUNPETインターフェース20は、密閉ドリフト領域−イオン・カーペットおよびイオン・ファンネル・インターフェースの組み合わせである。図示する実施形態では、電極ピッチが2.54mmの円形ファンネルが、内径6.35mmまで漸減し、直径6.35mmのイオン・カーペットを、イオン・ファンネルの最後の電極から1.27mmのところに配置した。300VppのRF信号を印加するが、ここでは、全てのファンネル電極にRFを供給する。非線形ドリフト勾配を再度使用し、最初の30.5cmは5V/cmの勾配を有し、最後の5cmは1V/cmの勾配を有し、中間の4cmは、5V/cmから1V/cmに線形に減少する勾配を有する。加えて、イオン・カーペットは、インターフェース1において使用した値のそれの4%である電圧勾配を有し、構造全体の両端間で丁度12Vとなる。直前のイオン・ファンネル・シミュレーションにおけるように、キャピラリ−発散ノズル入射口が、インターフェース内に3cm突入する。
[0089] 図5Aおよび図5Bにそれぞれ示す、FUNPETデバイスの軸方向および半径方向速度は、噴流がキャピラリ出射口から〜27cm離れたところで停止した、イオン・ファンネル・デバイスのそれと非常に似ている。FUNPETデバイスにおける圧力蓄積は、インターフェース3よりも約1Pa大きいが、カーペットに付随するアパーチャを小さくしたために、FUNPETアパーチャを通って出射する質量流速が1.94×10−8kg/sとなり、これはインターフェース2および3におけるよりも遙かに低い。図5D〜図5Fに示すイオン軌道は、インターフェース3のそれらと同様である。尚、 図5A〜図5Fに関して説明した数値による寸法およびその他の数値による構造は、一例として提示したに過ぎず、限定と見做しては決してならないことは理解されよう。代替実施形態では、1つ以上のこのような数値による寸法および/または他の数値による構造が、一例として以上で説明したものよりも、大きい場合または小さい場合もあることも想定される。
[0090] 図9に示す透過および過剰イオン・エネルギは、FUNPETインターフェース20が、ここで試験した中で性能が最高のインターフェースであることを実証する。質量範囲全体にわたって、ほぼ100%の透過が達成され、拡散のためにイオン・カーペットの表面上で衝突したのは、1kDaイオンのわずか1%に過ぎない。RF周波数に対する些細な調節によって、高い透過効率が達成された。1kDaのシミュレーションでは、250kHzの周波数を採用し、他の全ての質量には100kHzの周波数を使用した。FUNPETインターフェース20は、同じ電圧およびRF周波数によって、10kDaから1GDaの範囲におけるイオンを100%透過した。加えて、FUNPETインターフェース20では、最も低い過剰運動エネルギが得られた。3つの最も軽い質量が、インターフェース3のときとほぼ同じ過剰運動エネルギを有するが、重いイオンになる程、遙かに低い過剰運動エネルギを有する。例えば、1GDaのイオンでは、FUNPETインターフェース20からの過剰運動エネルギは、インターフェース3よりも4倍よりも多く軽くなる。これは、再度、重いイオン程気体流によって強く影響されることを強調する。FUNPETインターフェース20は、最も低い質量流速を有し、したがって、大きなイオンは最も低い過剰運動エネルギを有する。
[0091] 図6A〜図6Cに示すFUNPETインターフェース20を、以上で説明した電荷検出質量分光分析計(CDMS)と同様の自家製のものに実装した。チップ・ベースのナノ・エレクトロスプレイ・ソース(Advion Triversa NanoMate)を使用してイオンを生成し、発散ノズル(長さ1cmで、0.75mmIDから5mmIDまで発散する)が装備された金属キャピラリ(長さが10cm、IDが0.381mm)を加熱し、これを通して、イオンをFUNPETインターフェース20に入射させた(enter)。FUNPETインターフェース20の後、RF六重極、続いてRF四重極によってイオンを閉じ込めた。四重極から出射したイオンを、1組のイオン・ディフレクタを透過させて、130eV/zを中心とする狭い帯域の運動エネルギを透過させるように設定された二重半球たわみ分析器(HDA:dual hemispherical deflection analyzer)に入射させるために、アインツェル・レンズによって収束した。HDAを出射した後、静電線形イオン・トラップ内にイオンを収束する。ここで、イオンは、検出器の管中を前後に発振する。イオンを100ms間捕捉した。検出器の管は、電荷感応増幅器に接続され、電荷感応増幅器は、発振するイオンから誘発される電荷を検出する。結果的に得られた信号を増幅し、ディジタル化し、高速フーリエ変換を使用して分析した。発振周波数はm/zに対応し(provide)、フーリエ変換の大きさ(magnitude)は電荷に対応する。各イオンの質量は、m/zおよび電荷の積から判定され、次いでビンニングし(binned)質量分布を得る。
[0092] B型肝炎ウィルス(HBV)キャプシド、ファージP22プロカプシド、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC;≧98%、Sigma Aldrich社)、およびポリスチレン・ビーズ(41±4nm、Sigma Aldrich社)によって、測定を行った。HBVキャプシドを、短縮コア・タンパク質(Cp149)から塩化ナトリウム(300mM)において組み立て、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)(BIO−RAD Micro Bio−Spin TM30)によって酢酸アンモニウム(100mM)に転送した(transfer)。HBVキャプシドは、T=4キャプシドにより、〜4MDaにおいてピークを有し、T=3キャプシドにより、〜3MDaにおいて小さいピークを有すると予期される。P22プロカプシドを、SECによって100mM酢酸アンモニウムに転送した。プロカプシドは、20MDa付近にピークを有すると予期される。CTAC溶液を50mMの濃度で水に溶かした。ポリスチレン・ビーズは、安定化界面活性剤を含む水溶液(an aqueous solution with stabilizing surfactant)において受け取る毎に流した(run)。
[0093] これより図7を参照して、FUNPETインターフェース20の仮想噴流ディスラプタの挙動(performance)を示す。FUNPETインターフェース20の広い質量範囲を透過させることができるのは、仮想噴流ディスラプタによる気体噴流の崩壊に理由がある。これは、IDが0.381mmのキャピラリについてのシミュレーションにおいて達成された。噴流がシミュレーションによって示される通りに崩壊されたか否か検査するために、リーク弁を通じて気体を追加することによって、第1領域における圧力を高めながら、第2差動排気領域(即ち、FUNPET直後の領域)において圧力を監視した。図7における点80は、第2差動排気領域における圧力を、FUNPETインターフェース20を収容するチェンバ内における圧力に対してプロットしたものを示す。原点に最も近い点は、FUNPETチェンバに気体を追加しなかったときの測定値である(即ち、気体流のみがキャピラリを通過する)。FUNPET領域における圧力を上昇させるに連れて、第2差動排気領域における圧力は線形に上昇する。これは、FUNPET出射アパーチャまで達しない、崩壊噴流の振る舞い(behavior)である。
[0094] 崩壊されない噴流の振る舞いを例示するために、キャピラリの内径を1.27mmに広げ、長さは10cmに維持した。この直径の質量流速は、Wutz/Adams乱流モデルを使用して計算すると、2.95×10−4kg/sとなり、IDが0.381mmのキャピラリのそれの26倍となった。この質量流速を用いたシミュレーションは、噴流が停止されないことを示した。このキャピラリについての結果は、図7における点90によって表されている。この場合も、原点に最も近い点は、FUNPETチェンバに気体を追加しなかった場合である。第2差動排気領域における圧力は、IDが0.381mmのキャピラリを有するFUNPETチェンバにおいて同じ圧力を用いたときよりもはるかに高い。これは、噴流がFUNPETインターフェースの終端よりも前では停止されていないことを示唆する。気体をFUNPETチェンバに追加すると、第2差動排気領域における圧力は上昇し始めるが、FUNPETチェンバにおいて250および350Pa間で突然の降下が発生する。FUNPETチェンバにおける圧力を更に上げると、第2差動排気チェンバにおける圧力は上昇し、徐々にIDが0.381mmのキャピラリに対する値に近づく。FUNPETチェンバにおける250および350Pa間の突然の圧力降下は、背景気体が気体噴流を崩壊させることに起因する。
[0095] これらの実験は、IDを0.381mmの設計値としたキャピラリでは、背景圧力を高めるために余分な気体を追加せずに、仮想噴流ディスラプタによって噴流が崩壊されることを示す。遙かに大きいキャピラリ(IDが1.27mm)では、ドリフト領域は、噴流を崩壊させるには短過ぎる。気体をFUNPETチェンバに追加して背景圧力を高めることによって、噴流を崩壊させることができる。しかしながら、FUNPETインターフェースにおける圧力を遙かに高くすると、第2差動排気領域に入る気体流も遙かに多くなり、これは、イオンが重い程、過剰運動エネルギが著しく増大する原因となる。
[0096] これより図8A〜図8Dを参照して、4つの検体について測定したCDMSスペクトルを示す。図8Aに示すように、HBVのスペクトルは、120キャプシドのタンパク質二量体を有するT=4キャプシドによる激しいピークを、〜4.0MDaにおいて示し、T=3キャプシドによるそれよりも小さなピークを、〜3.0MDaにおいて示す。図8Bは、ファージP22プロカプシドのスペクトルは、測定されたスペクトルと一致して、20および30MDa間に1つの比較的広いピークを示すことが予期されることを示す。このピークの幅は、存在する足場蛋白質の分布によるものである。図8Cは、CTACの溶液について測定したスペクトルを示し、広い高質量の分布はミセルによるものである。最後に、図8Dは、ポリスチレン・ビーズ(直径41±4nm)について測定したスペクトルを示す。16.8MDaから30.3MDaまでの質量分布は、スペクトルの大部分を構成する界面活性剤に比較すると、低含量で示されている。また、ポリスチレンのサンプルも、非常比広い質量範囲のイオンを透過させるFUNPETのパワーを示す。
[0097] これより図9Aおよび図9Bを参照して、4つのインターフェース(即ち、インターフェース1、インターフェース2、インターフェース3、およびFUNPETインターフェース)全てについてのイオン軌道シミュレーションの概要を示す。図9Aは、イオン透過結果を示す。インターフェース1では、2つの最も軽い質量、即ち、1および10kDaにのみ、高い透過率(>85%)が達成される。10kDaイオンでは透過率は多少高くなる。これは、 気体流および噴流がイオンを軸に近づくように戻した後の気体流によって、イオンが一層強く影響されるからである。重いイオン程、透過率は低下する。これは、イオン・カーペット周囲に収束するにはエネルギが多過ぎるからである。10MDaイオンの殆どは、噴流ディスラプタの表面に衝突する。
[0098] 図9Bは、4つのインターフェース全てについて、透過イオンの平均過剰運動エネルギを、イオン質量の関数として示す。イオンを収束するためにカーペット上に大きな電界が必要となるために、平均過剰運動エネルギは非常に高い。最も軽いイオンは、35eV(15eV/z)以上を、イオン・カーペットから捕獲する(pick up)。出射する最も大きなイオンは、ほぼ1MeV(363eV/z)で離れる。先に述べたように、このイオン・エネルギの広い分布は望ましくない。しかしながら、これらのシミュレーションからの最も重要な結論は、噴流ディスラプタは大きなイオンと衝突するので、これらには効果がないということである。したがって、代わりの、非物理的な、気体噴流を終了させる方法が、対象のイオン質量全ての高い透過率を確保する。
[0099] 気体流シミュレーションが示すのは、物理噴流ディスラプタは首尾良くキャピラリ入射口からの気体噴流を停止させ、低質量イオンについては透過率が>85%であるということである。しかしながら、高質量イオンは噴流ディスラプタの表面で衝突する。この問題を克服するために、仮想噴流ディスラプタを開発した。仮想噴流ディスラプタでは、ドリフト領域を密閉し、結果的に生じる圧力蓄積および気体逆流が気体順流を崩壊させる。イオン・カーペット・インターフェースは、軸から遠く離れたイオンに対して低い透過率を有し、高質量イオンの透過率を低下させることが分かった。イオン・ファンネルは、軸から遠く離れたイオンを、出射アパーチャに向けて収束することができる。しかしながら、出射アパーチャは、イオン捕捉を回避するためには、比較的大きくなければならない。出射アパーチャが大きいと、高質量イオンの過剰運動エネルギが大きくなる。イオン・ファンネルおよびイオン・カーペットの好ましい特徴を結合することによって、最良の解決手段を発見した。FUNPETでは、軸から遠く離れたイオンは、ファンネルによって収束されるが、ファンネルの出射アパーチャはイオン・カーペットと置き換えられる。イオン・カーペットは、より小さいアパーチャ(smaller aperture)を通じて、第2差動排気領域にイオンを収束させる。小さいアパーチャは、第2チェンバ上の気体負荷を減少させ、アパーチャを通過する流れからの高質量イオンの加速を最小に抑える。第1および第2差動排気領域における圧力を、異なる背景圧力およびキャピラリ直径について比較することによって、仮想噴流ディスラプタの挙動を検査した。質量が約30MDaまでの4つのサンプルに対してCDMS測定を行うことによって、FUNPETの動作を確認した。
[00100] これより図10Aおよび図10Aを参照すると、図1Bおよび図6A〜図6Cに示し先に説明したFUNPETインターフェース20、および/または図11に示し以下で説明するFUNPETインターフェース20’は、イオン分離機器100のイオン源12に使用することができる。図10Aを参照すると、イオン分離機器100の実施形態の簡略図が示されている。イオン分離機器100は、先に説明したような静電線形イオン・トラップ(ELIT)検出器14に結合されたイオン源12を有し、本明細書において説明したFUNPETインターフェース20、20’に加えて、任意の数のイオン処理機器を含むことができ、および/またはELIT14から出射するイオン(1つまたは複数)を更に処理するためにELIT14の下流側に配置することができる任意の数のイオン処理機器110を含むことができる。これに関して、イオン源12は、Q個のイオン源ステージIS〜ISを含むように示されている。イオン源ステージIS〜ISは、 イオン源12であっても、またはその一部を形成するのでもよく、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’に加えて、種々のイオン処理機器を含むことができる。あるいはまたは加えて、図10Aでは、イオン処理機器110は、ELIT14のイオン出射口に結合されるように示され、イオン処理機器110は、任意の数のイオン処理ステージOS〜OSを含むことができる。ここで、Rは任意の正の整数でよい。代替実施形態では、ELIT14をオービトラップまたは他の適したイオン検出器と置き換えてもよい。
[00101] イオン源12に注目すると、ELIT14に入射するイオンのイオン源12は、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’と組み合わせた、本明細書において説明したESI源18のような、従来のイオン源であってもよく、またはイオン源ステージIS〜ISの1つ以上の形態で含んでもよく、更に、1つ以上の分子特性にしたがって(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷、イオン移動度、イオン保持時間等にしたがって)イオンを分離するための1つ以上の従来の機器、および/またはイオンを収集および/または格納するため(例えば、1つ以上の四重極、六重極、および/または他のイオン・トラップ)、イオンをフィルタリングするため(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等のような1つ以上の分子特性にしたがって)、イオンを断片化するまたそうでなければ解離させるため、イオン荷電状態を正規化するまたは移す(shift)ため等の1つ以上の従来のイオン処理機器を含むことができることは理解されよう。尚、イオン源12は、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’と組み合わせて、任意の従来のイオン源、イオン分離機器、および/またはイオン処理機器の内1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で含んでもよいこと、そしてある実施形態は、任意のこのような従来のイオン源、イオン分離機器、および/またはイオン処理機器を複数個隣接してまたは離間して含んでもよいことは理解されよう。
[00102] これよりイオン処理機器110に移ると、機器110は、イオン処理ステージOS〜OSの1つ以上の形態で、1つ以上の分子特性にしたがって(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷、イオン移動度、イオン保持時間等にしたがって)イオンを分離するための1つ以上の従来の機器、および/またはイオンを収集および/または格納するため(例えば、1つ以上の四重極、六重極、および/または他のイオン・トラップ)、イオンをフィルタリングするため(例えば、イオン質量、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等のような1つ以上の分子特性にしたがって)、イオンを断片化するまたそうでなければ解離させるため、イオン荷電状態を正規化するまたは移す(shift)ため等の1つ以上の従来のイオン処理機器であってもよく、または含んでもよいことは理解されよう。尚、イオン処理機器110は、任意のこのような従来のイオン分離機器および/またはイオン処理機器の内1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で含んでもよいこと、そしてある実施形態は、任意のこのような従来のイオン分離機器および/またはイオン処理機器を複数個隣接してまたは離間して含んでもよいことは理解されよう。 1つ以上の質量分光分析計を含む実施態様ではいずれも、任意の1つ以上のこのような質量分光分析計は、図1Bに関して先に説明した形態の内任意のもので実装することができる。
[00103] 図10Aに示すイオン分離機器100の1つの具体的な実施態様として、イオン源12は、実例として、3つのステージを含み、イオン処理機器110を除外する。これは決して限定と見なしてはならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、その後ろに本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’が位置する。イオン源ステージISは、従来のイオン・フィルタ、例えば、四重極または六重極イオン・ガイドであり、イオン源ステージISは、先に説明した型式の内いずれかの質量分光分析計である。 この実施形態では、イオン源ステージISは、従来通りに、下流質量分光計による分析のために、所望の分子特性を有するイオンを予め選択し、このように予め選択したイオンだけを質量分光分析計に受け渡すように制御され、ELIT14によって分析されたイオンが、予め選択されたイオンとなり、質量電荷比にしたがって質量分光分析計によって分離される。予め選択されたイオンがイオン・フィルタから出射すると、例えば、指定されたイオン質量または質量電荷比を有するイオン、指定されたイオン質量またはイオン質量電荷比よりも高いおよび/または低いイオン質量またはイオン質量電荷比を有するイオン、指定されたイオン質量またはイオン質量電荷比の範囲内のイオン質量またはイオン質量電荷比を有するイオン等となることができる。この例のある代替実施態様では、イオン源ステージISは質量分光分析計であってもよく、そしてイオン源ステージISはイオン・フィルタであってもよく、イオン・フィルタは、他の場合では、下流ELIT14による分析のために、所望の分子特性を有して質量分光分析計から出射するイオンを予め選択するように、丁度説明したように動作可能であってもよい。この例の他の代替実施態様では、イオン源ステージISがイオン・フィルタであってもよく、イオン源ステージISが、他のイオン・フィルタの前にある質量分光分析計を含んでもよく、イオン・フィルタは、各々、丁度説明したように動作する。
[00104] 図10Aに示すイオン分離機器100の他の具体的な実施態様として、イオン源12は、実例として、2つのステージを含み、ここでもイオン処理機器110を除外する。これは、決して限定とみなしてはならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、その後ろに本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’が位置する。イオン源ステージISは、先に説明した型式の内いずれかの従来の質量分光分析計である。この実施態様では、質量分光分析計は、質量電荷比にしたがって、FUNPETインターフェース20、20’から出射したイオンを分離するように動作可能であり、ELIT14は、質量分光分析計を出射したイオンを分析するように動作可能である。これは、図1A〜図1Bに関して先に説明したCDMS10の実施態様であり、FUNPETインターフェース20、20’がESI源18と質量分光分析計22との間に位置付けられ、ELIT14は、質量分光分析計22から出射したイオンを分析するように動作可能である。
[00105] 図10Aに示すイオン分離機器100の更に他の具体的な実施態様として、イオン源12は、実例として、2つのステージを含み、イオン処理機器110を除外する。これは決して限定とみなしてはならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、その後ろに本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’が続く。イオン処理ステージOSは、従来の単一または多重状態イオン移動度分光分析計である。この実施態様では、イオン移動度分光分析計は、FUNPETインターフェース20、20’から出射したイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能であり、ELIT14は、イオン移動度分光計から出射したイオンを分析するように動作可能である。この例の代替実施態様では、イオン源12は、1つのステージISのみを、FUNPETインターフェース20、20’の前に位置する従来のイオン源の形態で含んでもよく、イオン処理機器110は、従来の単一または多重ステージ・イオン移動度分光計を、唯一のステージOSとして(または多重ステージ機器110のステージOSとして)含んでもよい。この代替実施態様では、ELIT14は、イオン源ステージISによって生成されたイオンを分析するように動作可能であり、イオン移動度分光計OSは、ELIT14から出射したイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって、経時的に分離するように動作可能である。この例の他の代替実施態様として、単一または多重ステージ・イオン移動度分光計が、イオン源ステージISおよびELIT14双方の後ろにあって(follow)もよい。この代替実施態様では、イオン源ステージISの後ろにあるイオン移動度分光計が、イオン源ステージISによって生成されたイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能であり、ELIT14が、イオン源ステージのイオン移動度分光計から出射したイオンを分析するように動作可能であり、ELIT14の後ろにある、イオン処理ステージOSのイオン移動度分光計が、ELIT14から出射したイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能である。この節において説明した実施形態の実施態様のいずれにおいても、追加の異形が、イオン源12および/またはイオン処理機器110における単一または多重ステージ・イオン移動度分光計の上流側および/または下流側に動作可能に位置付けられた質量分光分析計を含むことができる。
[00106] 図10Aに示すイオン分離機器100の更に他の具体的な実施態様として、イオン源12は、実例として、2つのステージを含み、イオン処理機器110を除外する。これは決して限定とみなしてはならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは従来の液体クロマトグラフ、例えば、分子保持時間にしたがって溶液中の分子を分離するように構成されたHPLC等であり、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ等であり、その後ろにFUNPETインターフェース20、20’が位置する。この実施態様では、液体クロマトグラフは、溶液中の分子成分を分離するように動作可能であり、イオン源ステージISは、液体クロマトグラフからでた溶液流からイオンを生成するように動作可能であり、ELIT14は、イオン源ステージISによって生成されたイオンを分析するように動作可能である。この例の代替実施態様では、イオン源ステージISは、代わりに、溶液中の分子を大きさによって分離するように動作可能な従来のサイズ排除クロマトグラフィ(SEC:size-exclusion chromatograph)にしてもよい。他の代替実施態様では、イオン源ステージISが、従来の液体クロマトグラフと、その後ろに従来のSECとを、またはこの逆を含んでもよい。この実施態様では、イオンがイオン源ステージISによって、2回分離された溶液から生成される。1回目は分子保持時間にしたがって分離され、続いて2回目は分子サイズにしたがって分離される、またはこの逆でもよい。この節において説明した実施形態の実施態様のいずれにおいても、追加の異形が、イオン源ステージISとELIT14との間に動作可能に位置付けられた質量分光分析計を含むことができる。
[00107] これより図10Bを参照すると、イオン分離機器120の他の実施形態の簡略ブロック図が示されている。実例として、イオン分離機器120は、多重ステージ質量分光分析機器130を含み、更に、高質量イオン分析コンポーネントとして実装したCDMS10も含む。図示する実施形態では、多重ステージ質量分光分析機器130は、本明細書において説明したイオン源(IS)12を含む。イオン源(IS)12はエレクトロスプレイまたはMALDI源のような、従来のイオン源を含み、その後ろに、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’が位置してもよく、それに続いて第1の従来の質量分光分析計(MS1)134に結合され、それに続いて従来のイオン解離ステージ(ID)136に結合されてもよい。イオン解離ステージ(ID)136は、例えば、衝突誘発解離(CID)、表面誘発解離(SID)、電子捕獲解離(EGD)、および/または光誘発解離(PID)等の内1つ以上によって、質量分光分析計134から出射したイオンを解離させるように動作可能である。それに続いて、第2の従来の質量分光分析計(MS2)138に結合され、それに続いて、例えば、マイクロチャネル・プレート検出器または他の従来のイオン検出器のような従来のイオン検出器(D)140を含んでもよい。CDMS10は、図1Aおよび図1Bに関して先に説明した通りであり、CDMS10が、選択的に質量分光分析計84および/またはイオン解離ステージ136からイオンを受け取ることができるように、イオン解離ステージ136と並列に結合されている。
[00108] 例えば、イオン分離機器130のみを使用するMS/MSは、定着した手法であり、特定の分子重量の先駆イオンが、それらのm/z値に基づいて、第1質量分光分析計134(MS1)によって分離される。質量で選択された先駆イオンは、例えば、衝突誘発解離、表面誘発解離、電子捕獲解離、または光誘発解離によって、イオン解離ステージ136において断片化される。断片イオンは、次いで、第2質量分光分析計136(MS2)によって分析される。MS1およびMS2の双方において、先駆および断片イオンのm/z値だけが測定される。高質量イオンでは、荷電状態が解明されず、したがってm/z値のみに基づいて特定の分子重量の先駆イオンを選択するのは不可能である。しかしながら、機器130を、本明細書において説明したように動作可能なCDMS機器10に結合することによって、m/z値の狭い範囲を選択し、次いでCDMS機器10を使用して、m/zによって選択された先駆イオンの質量を判定することが可能になる。質量分光分析計134、138は、例えば、磁気セクタ質量分光分析計、飛行時間質量分光分析計、または四重極質量分光分析計の内1つまたは任意の組み合わせでもよいが、代替実施形態では、他の型式の質量分光分析計も使用することができる。いずれの場合でも、m/zによって選択され、既知の質量を有し、MS1から出射した先駆イオンは、イオン解離ステージ136において断片化することができ、次いで、結果的に得られた断片イオンをMS2によって(m/z比率のみが測定される)および/またはCDMS機器10によって(m/z比率および電荷が同時に測定される)分析することができる。低質量の断片、即ち、閾値の質量値、たとえば、10,000Da(または他の質量値)よりも低い質量値を有する、先駆イオンの解離イオンは、したがって、従来のMSによって、MS2を使用して分析することができ、一方高質量の断片(電荷状態は解明されていない)、即ち、閾値の質量値以上の質量値を有する、先駆イオンの解離イオンは、CDMS10によって分析することができる。
[00109] これより図11を参照すると、図1Aに示したイオン源12’の他の実施形態が示されている。図11に示す実施形態では、同様のコンポーネントを識別するために同様の番号が使用されており、したがって、このようなコンポーネントの詳細な説明は、簡潔さのためにここでは繰り返さない。図11に示す実施形態では、例えば、イオン源12’は、実例として、イオン源18、即ち、圧力P1において動作する従来のイオン生成デバイスを含み、イオン輸送インターフェース20’を介して従来の質量分光分析計または質量分析器22のイオン入射口に動作可能に結合されている。一実施形態では、イオン源18は、試料溶液に流体的に結合され、P1が大気圧、即ち、約760torrとなるように周囲環境に配置されたESI源であるが、他の実施形態では、P1は、質量分光分析計または質量分析器22の機器圧力IPよりも高い任意の圧力でよい。イオン源18のキャピラリ24は、チェンバ30’のイオン入射口32内に突入し、キャピラリ24の一端におけるイオン出射口26は、チェンバ30’内部に位置付けられている。ESI源は、試料からイオンを生成し(generate)、生成したイオンをキャピラリ24のイオン出射口26を通じて取り出す(produce)ように、従来通りに動作可能である。
[00110] チェンバ30’は、実例として、実質的に閉鎖された領域200を含み、これは他の実質的に閉鎖された領域202に結合されている。第1イオン・ファンネル46Aが領域200内に配置され、第2イオン・ファンネル46Bが領域202内に配置されている。イオン・ファンネル46A、46Bは、実例として、各々が、ドリフト領域48A、48Bを有し、ドリフト領域48A、48Bが、それぞれ、第1開放端54A、54Bと、漸減ファンネル領域50A、50Bの一端に結合された、逆側の第2端とを有し、構造的には先に説明した通りであってよい。ドリフト領域48A、48Bは、各々、それを貫通するそれぞれの軸方向の通路を定め、ある実施形態では、ドリフト領域48A、48Bを貫通して定められる軸方向通路は、一定のアパーチャ領域を定めるように、一定の断面エリアを有する。このような実施形態のあるものでは、ドリフト領域48A、48Bの一定断面エリアは同一であり、他の実施形態では、これらは異なってもよい。更に他の実施形態では、軸方向通路48Aおよび/または48Bは一定断面積エリアを有さなくてもよい。同様に、ファンネル領域50A、50Bは、各々、それを貫通するそれぞれの軸方向の通路を定める。この通路は、ドリフト領域48A、48Bのそれぞれの1つに結合されたその第1端における断面エリアから、小さい断面の第2端まで、漸減する。ある実施形態では、ファンネル領域50A、50Bのその第1端における軸方向通路の断面積は、その第2端におけるドリフト領域48A、48Bの断面積に等しいが、他の実施形態では、このような断面積のいずれかまたは双方が等しくなくてもよい。図示する実施形態では、図1Bに関して先に説明したように、ファンネル領域50A、50Bは、実例として、その第1端から逆側の第2端まで線形に漸減するが、他の実施形態では、ファンネル領域50Aおよび/またはファンネル領域50Bが非線形にまたは部分的に線形に漸減してもよい。いずれの場合でも、イオン・ファンネル46Aの漸減ファンネル領域50Aはその内部に仮想噴流ディスラプタを定め、イオン・ファンネル46Bの漸減領域50Bは、その内部に仮想噴流ディスラプタを同様に定め、各々先に説明した通りである。
[00111] ある実施形態では、ドリフト領域46A、46Bおよびファンネル領域50A、50Bは、軸方向に離間された導電性リング電極を使用して形成される。これらのリング電極は、先に説明したように、それぞれを貫通する軸方向通路を定めるサイズに作られるが、他の実施形態では、ドリフト領域46A、46Bおよび/またはファンネル領域50A、50Bが代わりの構造を有してもよい。いずれの場合でも、DCおよび/または時間可変電圧、例えば、RF電圧をドリフト領域46A、46Bおよびファンネル領域50A、50Bに印加して、先に説明したようにその内部にそれぞれイオン運動電界および/または収束電界を形成すればよい。
[00112] 領域200、202の各々は、更に、ぞれぞれ、イオン・カーペット58A、58Bも含む。イオン・カーペット58A、58Bの各々は、構造的に先に説明した通りでよい。即ち、各々、それぞれの基板60、60を貫通して定められたそれぞれのイオン出射口62A、62Bを中心に、それぞれの基板60、60のそれぞれの平坦面60A、60A上に形成された、複数の入れ子状同心円導電性ストリップまたは領域を定める。イオン出射口62Aは、実例として、イオン・ファンネル46Aのファンネル領域50Aの第2の縮小アパーチャ端において定められたイオン出射口と整列され、即ち、共線状であり、イオン出射口62Bは、実例として、イオン・ファンネル46Bのファンネル領域50Bの第2の縮小アパーチャ端において定められたイオン出射口と整列されている、即ち、共線状である。ある実施形態では、イオン・カーペット58Aが、図1Bに関して先に説明したように、イオン・ファンネル46Aのファンネル領域50Aの第2端に密閉されてもよく、および/またはイオン・カーペット58Bが、イオン・ファンネル46Bのファンネル領域50Bの第2端に密閉されてもよい。あるいは、イオン・カーペット58Aは、イオン・ファンネル46Aのファンネル領域50Aの第2端から離れて、軸方向に離間されてもよく、および/またはイオン・カーペット58Bは、イオン・ファンネル46Bのファンネル領域50Bの第2端から離れて、軸方向に離間されてもよい。各々、図11における例によって示される通りである。いずれの場合でも、基板60は、実例として、チェンバ30’の幅および高さに及び、実質的に閉鎖された領域200がチェンバ30’の3つの壁および基板60によって定められ、イオン入射口32およびイオン出射口62Aだけがそれに対する開口を形成するように、チェンバ30’に密閉されている。同様に、基板60は、実例として、チェンバ30’の幅および高さに及び、実質的に閉鎖された領域202がチェンバ30’の3つの壁および基板60によって定められ、イオン出射口62Aおよび62Bだけがそれに対する開口を形成するように、チェンバ30’に密閉されている。つまり、基板60は、チェンバ30’の内部空間を2つの連続領域200、202に区分し、基板60は、領域202を質量分光分析計または質量分析器22のイオン入射部分から密閉する。
[00113] ポンプ204が、領域200に流体結合され、領域200を圧力P2に排気するように構成されている。他のポンプ206が、領域202に流体結合され、領域202を圧力P3に排気するように構成されている。更に他のポンプ208が、質量分光分析計または質量分析器に流体結合され、その領域を機器圧力IPに排気するように構成されている。通例、ポンプ208によって確立および制御される機器圧力IPは、従来通りに、millitorr範囲内であるが、ある実施形態では、機器圧力IPがmillitorr範囲を外れてもよい。ポンプ204によって確立および制御される圧力P2は、P1未満でIPよりも高く、ポンプ206によって確立および制御される圧力P3は、P2未満でIPよりも高い。ある実施形態では、圧力P2は、実例として、数十torrの範囲内であり、第1の非限定的な例では約30〜60torrの範囲であり、第2の非限定的な例では約50torrであり、圧力P3は、実例として、いくらかまたは多少IPよりも高く、P2より多少低い範囲であり、第1の非限定的な例ではほぼmillitor範囲〜10torrの範囲内のどこかであり、第2の非限定的な例では約1〜3torrの範囲である。
[00114] P1およびP2間の圧力差は、噴流の形態でキャピラリ24から出る有向気体流を形成する。この噴流は、イオン源18によって生成されたイオンをイオン・ファンネル46Aの入射口54Aに輸送する。図1Bに関して先に詳しく説明したように、イオン・ファンネル46Aは、内部に仮想噴流ディスラプタを定め、仮想噴流ディスラプタは、少なくとも部分的にキャピラリ24から出るこの噴流を消散し、更にイオンがファンネル46Aを通過するとき、少なくとも部分的にファンネル46A内でイオンを熱化する。気体が更に深くドリフト領域48Aおよびファンネル領域50Aに流入するに連れて、背圧が発生および増大し、気体流を減速させ、最終的にファンネル領域50A内に蓄積圧力のエリアを設定する。この蓄積圧力は、前述のように、逆にイオン・ファンネル46aのイオン入射口54Aに向かいここから流出する、気体の逆流を発生させる。この圧力蓄積エリアと気体の逆流との組み合わせが、イオン・ファンネル46Aのファンネル領域50A内に仮想噴流ディスラプタを形成し、この仮想噴流ディスラプタが、少なくとも部分的に気体流噴流を消散し、少なくとも部分的に、イオン・ファンネル46Aを通過するイオンを熱化する。
[00115] 同様に、P2およびP3間の圧力差は、噴流の形態でイオン・カーペット58Aから出る他の有向気体流を形成する。この噴流は、イオン・ファンネル46Aおよびイオン・カーペット58Aから出射するイオンをイオン・ファンネル46Bの入射口54Bに輸送する。イオン・ファンネル46Aと同様、イオン・ファンネル46Bは、内部に仮想噴流ディスラプタを定める。仮想噴流ディスラプタは、イオン・ファンネル46Aおよびイオン・カーペット58Aから出るこの噴流を少なくとも部分的に消散し、更にイオンがファンネル46Bを通過するときに、ファンネル46B内においてイオンを少なくとも部分的に熱化する。気体がドリフト領域48Bおよびファンネル領域50Bに更に深く流入するに連れて、背圧が発生および増大し、気体流を減速させ、最終的にファンネル領域50B内に蓄積圧力のエリアを設定する。この蓄積圧力は、前述のように、逆にイオン・ファンネル46Bのイオン入射口54Bに向かいここから流出する、気体の逆流を発生させる。この圧力蓄積エリアと気体の逆流との組み合わせが、イオン・ファンネル46Bのファンネル領域50B内に仮想噴流ディスラプタを形成し、この仮想噴流ディスラプタが、少なくとも部分的に気体流噴流を消散し、少なくとも部分的に、イオン・ファンネル46Bを通過するイオンを熱化する。
[00116] ある実施形態では、図11に示す多重ステージ・インターフェース20’が、図1Bおよび図6A〜図6Cに示した単一ステージ設計20に対して、多くの利点を有することができる。例えば、限定とは絶対に見なしてはならない一実施形態例では、図1Bおよび図6A〜図6Cに示したイオン・ファンネル46は、軸方向の長さが約15インチであり、この実施形態例では、ポンプ42は、実例として、チェンバ30内の圧力を、約10〜20torrの範囲内の圧力に制御するように動作可能である。したがって、チェンバ30と質量分光分析計または質量分析器22との間には、非常に大きな圧力差が存在し、対応して、質量分光分析計または質量分析器22に流れる気体の流速が非常に高くなる。更に、約15インチの軸方向の長さでは、イオン・ファンネル46は、そこを通過する気体の流速を所望のレベルまで低下させるには、十分な長さではない場合もある。
[00117] 対照的に、図11に示すインターフェース20’の実施形態において、チェンバ30’を2つの連続領域200、202に区分することによって、チェンバ30’と質量分光分析計または質量分析器20との間の全体的な圧力差を、インターフェース20のそれ未満に、例えば、10分の1以下にすることが可能になる。1つの類似点として、図1Bおよび図6A〜図6Cのイオン・ファンネル46が質量分光分析計または質量分析器22への気体の流速をインターフェース20‘によって達成可能なものに低下させるためには、イオン・ファンネル46の軸方向長さを20フィートの範囲におけるどこかにする必要があるとして差し支えない。したがって、多重ステージ・インターフェース20’の実装は、類似する動作パラメータを有する単一ステージ・インターフェース20とは対照的に、デバイスの全体的な軸方向の長さを実質的に短縮することを可能にする。更にその上、チェンバ30の内部を約760torrから10torrまで排気するために必要とされるポンプ42のサイズおよび容量は、ある実施形態では、法外に費用がかかるおそれがあるが、図11に示す実施形態の2つのポンプ203および206の各々に対する圧力降下の要求は、大幅に低く、ポンプ204および206のサイズおよび容量は、したがって、ポンプ42のそれよりも遙かに小さくてよい。ある実施形態では、2つのポンプ203および206を使用するコストは、1つのポンプ42のそれよりも少ないとして差し支えない。
[00118] 尚、図11に示す多重ステージ・インターフェース20’は、2つの順次配列されたイオン・ファンネル46A、46Bのみを含むが、代替実施形態では、3つ以上の順次配列されたイオン・ファンネルを含み、チェンバ30’の、それぞれの低い方の圧力に各々排気される、3つ以上の対応する領域に配置されてもよいことは理解されよう。
[00119] 尚、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、少なくとも1つの静電線形イオン・トラップ(ELIT)検出器を含む任意のCDMSデバイスのイオン源内に実装することができ、静電線形イオン・トラップ(ELIT)検出器は、その電荷検出シリンダにおいてイオンによって費やされる時間と、1回の完全な発振サイクル中にイオンが対向するイオン・ミラーの組み合わせおよび電荷検出シリンダを横断することによって費やされる総時間との比率に対応する、イオン発振の所望のデューティ・サイクルを確立するように設計されることは理解されよう。例えば、約50%のデューティ・サイクルは、測定信号の高調波周波数成分から得られる、基本周波数の振幅判定においてノイズを低減する目的には望ましいとしてよい。例えば、50%のような所望のデューティ・サイクルを達成するための寸法および電界についての考慮事項に関する詳細は、2018年1月12日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/616,860号、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,343号、および2019年1月11日に出願された、同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013251号において図示および説明されている。これらは、全てELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP DESIGN FOR CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY(電荷検出質量分光分析のための静電線形イオン捕捉設計)と題され、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00120] 更に、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、1つ以上のELITまたはELIT領域を有する静電線形イオン・トラップ(ELIT)アレイを含む任意のCDMSデバイスのイオン源内に実装できることも理解されよう。このようないくつかのELITおよび/またはELITアレイの例は、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,315号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013283号において図示および説明されている。これらは双方共、ION TRAP ARRAY FOR HIGH THROUGHPUT CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY(高スループット電荷検出質量分光分析のためのイオン・トラップ・アレイ)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00121] 更に、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、例えば、ELIT、オービトラップ、または他の検出器の形態で、例えば、トリガ捕捉および/または他の電荷検出イベントのために、1つ以上の電荷検出最適化技法が使用される、検出器を含む任意のCDMSデバイスのイオン源内に実装できることも理解されよう。このような電荷検出最適化技法のいくつかの例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,296号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013280号において図示および説明されている。これらは、双方共、APPARATUS AND METHOD FOR CAPTURING IONS IN AN ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP(静電線形イオン・トラップにおけるイオン捕獲装置および方法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00122] 更に、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、例えば、ELIT、オービトラップ、または他の検出器の形態で、1つ以上の電荷較正または再設定装置を、少なくとも1つの電荷検出シリンダまたは電極と共に使用することができる、検出器を含む任意のCDMSのイオン源内に実装できることも理解されよう。このような電荷較正または再設定装置の例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,272号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/103284号において図示および説明されている。これらは双方共、APPARATUS AND METHOD FOR CALIBRATING OR RESETTING A CHARGE DETECTOR(電荷検出器を較正またはリセットするための装置および方法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00123] 更にまた、本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、リアル・タイム分析および/またはリアル・タイム制御技法にしたがって動作するように構成された任意のCDMSデバイスまたはシステムにおいて実装できることも理解されよう。その例のいくつかが、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,245号、および2019年1月11日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/013277号において図示および説明されている。これらは双方共、CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY WITH REAL TIME ANALYSIS AND SIGNAL OPTIMIZATION(リアル・タイム分析および信号最適化による電荷検出質量分析法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00124] 更にまた、添付図面に図示し本明細書において説明したシステム10、100、130の内任意のものにおいて、ELIT14をオービトラップ(orbitrap)と置き換えてもよいことも理解されよう。このような1つのオービトラップの例が、2018年11月20日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/769,952号、および2019年1月11日に出願に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013278号において図示および記載されている。双方共、ORBITRAP FOR SINGLE PARTICLE MASS SPECTROMETRY(単一粒子質量分光分析用オービトラップ)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00125] 本明細書において図示および説明したFUNPETインターフェース20、20’は、1つ以上のイオン入射軌道制御装置および/または技法がELIT14内における複数の個々のイオンの同時測定に対応するために使用される任意のCDMSデバイスまたはシステムにおいて実装できることも理解されよう。いくつかのこのようなイオン入射軌道制御装置および/または技法の例は、2018年12月3日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/774,703号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019/013285号において図示および記載されている。これらは双方共、APPARATUS AND METHOD FOR SIMULTANEOUSLY ANALYZING MULTIPLE IONS WITH AN ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP(静電線形イオン・トラップによって複数のイオンを同時に分析する装置および方法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[00126] 図面および以上の説明において本開示を詳しく図示し説明したが、このような図および説明は性質上限定ではなく例示と見なされるものであり、例示的な実施形態が図示および説明されたに過ぎないこと、そして本開示の主旨に該当する全ての変更および修正は保護されることが望まれることは理解されよう。例えば、本明細書において、種々の実施形態は、イオンを大気圧環境から低圧力環境に輸送するためのインターフェースとして説明したが、このような実施形態は1つ以上の非限定的な例を表すに過ぎないこと、そして添付図面に示し本明細書において説明した概念は、第1圧力環境から第2圧力環境にイオンを輸送するために、説明したインターフェースのいずれでも実装でき、第1圧力が第2圧力よりも高い、あらゆる機器、装置、デバイス、またはシステムにも適用可能であることも理解されよう。

Claims (39)

  1. 第1圧力における環境から、前記第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースであって、
    第1領域と、
    前記第1領域内に、前記第1圧力よりも低く前記機器圧力よりも高い、第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、
    前記第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを有する第1ドリフト領域と、前記第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、前記第2軸方向通路が、前記第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記環境からのイオンが前記第1ドリフト領域の第1端に入射し、前記第1ファンネル領域の第2端から出射し、前記第2軸方向通路が内部に第1仮想噴流ディスラプタを定める、第1イオン・ファンネルと、
    前記第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、前記第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、
    第2領域と、
    前記第2圧力より低く前記機器圧力よりも高い第3圧力を前記第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、
    前記第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、前記第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、前記第4軸方向通路が、前記第2ファンネル領域の第1端における前記第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、前記第2ドリフト領域の第1端に入射し、前記第2ファンネル領域の第2端において出射し、前記第4軸方向通路が内部に第2仮想噴流ディスラプタを定める、第2イオン・ファンネルと、
    前記第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、前記第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、前記第2イオン出射口から出射したイオンが、前記分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットと、
    を備える、インターフェース。
  2. 請求項1記載のインターフェースにおいて、前記第1および第2仮想噴流ディスラプタが、前記第1および第2イオン・ファンネルのそれぞれの1つを通過するイオンを熱化するように構成される、インターフェース。
  3. 請求項1または2記載のインターフェースにおいて、前記第1仮想噴流ディスラプタが、前記第1イオン・ファンネル内部における圧力蓄積および気体逆流の組み合わせによって、前記第1ドリフト領域の第1端から前記第1イオン・ファンネルに流入する気体噴流を崩壊させるように、前記第1仮想噴流ディスラプタが形成され、
    前記第2仮想噴流ディスラプタが、前記第2イオン・ファンネル内部における圧力蓄積および気体逆流の組み合わせによって、前記第2ドリフト領域の第1端から前記第2イオン・ファンネルに流入する気体噴流を崩壊させるように、前記第2仮想噴流ディスラプタが形成される、インターフェース。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・カーペットが、前記第1ファンネル領域の第2端に面する主平坦面上において、前記第1イオン出射口の周りに第1複数の入れ子状同心円導電性リングを定める第1平坦基板を含み、
    前記第2イオン・カーペットが、前記第2ファンネル領域の第2端に面する主平坦面上において、前記第2イオン出射口の周りに第2複数の入れ子状同心円導電性リングを定める第2平坦基板を含む、インターフェース。
  5. 請求項1から3までのいずれか1項記載のインターフェースであって、更に、少なくとも1つのDC電圧源を備え、前記DC電圧源が、
    前記第1複数の入れ子状同心円導電性リング間に第1電界勾配を確立するように構成され、前記第1電界勾配が、イオンが前記第1ファンネル領域の第2端から出射し、前記第1イオン・カーペットの第1イオン出射口を通過するように、イオンを案内する方向に向けられ、
    前記第2複数の入れ子状同心円導電性リング間に第2電界勾配を確立するように構成され、前記第2電界勾配が、イオンが前記第2ファンネル領域の第2端から出射し、前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口を通過するように、イオンを案内する方向に向けられる、インターフェース。
  6. 請求項5記載のインターフェースであって、更に、少なくとも1つのRF電圧源を備え、前記RF電圧源が、
    イオンが前記第1ファンネル領域の第2端から出射し、前記第1イオン・カーペットの第1イオン出射口を通過するように、イオンを案内するために、前記第1複数の入れ子状同心円導電性リングに少なくとも第1RF電圧を印加し、
    イオンが前記第2ファンネル領域の第2端から出射し、前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口を通過するように、イオンを案内するために、前記第2複数の入れ子状同心円導電性リングに少なくとも第2RF電圧を印加するように構成される、インターフェース。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・カーペットが前記第1ファンネル領域の第2端から離間され、前記第2イオン・カーペットが前記第2ファンネル領域の第2端から離間され、
    前記インターフェースが、更に、
    前記第1イオン・カーペットを前記第1ファンネル領域の第2端に密閉する手段と、前記第2イオン・カーペットを前記第2ファンネル領域の第2端に密閉する手段とを備える、インターフェース。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1ドリフト領域の前記第1軸方向通路が、第1の一定断面積を有し、
    前記第2ドリフト領域の第3軸方向通路が、第2の一定断面積を有する、インターフェース。
  9. 請求項8記載のインターフェースにおいて、前記第1の一定断面積が前記第2の一定断面積に等しい、インターフェース。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1圧力と前記第2圧力との間の圧力差が、前記イオンを前記第1イオン・ファンネルの第1ドリフト領域の第1端内に輸送する第1噴流の形態の有向気体流を形成し、前記第1ファンネル領域内の前記第1仮想噴流ディスラプタが、少なくとも部分的に前記第1噴流を消散し、
    前記第2圧力と前記第3圧力との間の圧力差が、第1イオン・ファンネルから出射する前記イオンを前記第2イオン・ファンネルの第2ドリフト領域の第1端内に輸送する第2噴流の形態の他の有向気体流を形成し、前記第2ファンネル領域内の前記第2仮想噴流ディスラプタが、少なくとも分的に前記第2噴流を消散する、インターフェース。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・ファンネルの第1ドリフト領域に入射する前記イオンが、ダルトンおよびメガダルトンの間の範囲を取る質量を有し、
    前記第1および第2仮想噴流ディスラプタが、前記第1および第2のそれぞれのイオン・ファンネルを通過する前記イオンを熱化し、熱化されたイオンが、低い過剰運動エネルギで、前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射するようにする、インターフェース。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・ファンネルが、前記第1ドリフト領域および前記第1ファンネル領域の各々に沿って軸方向に離間され、前記第1および第2軸方向通路を内部に定める第1複数のリング電極を含み、前記第2イオン・ファンネルが、前記第2ドリフト領域および前記第2ファンネル領域の各々に沿って軸方向に離間され、前記第3および第4軸方向通路を内部に定める第2複数のリング電極を含み、前記インターフェースが、更に、
    少なくとも1つのDC電圧を生成するように構成された少なくとも1つのDC電圧源と、
    イオンを前記第1および第2軸方向通路を抜けて前記第1イオン・カーペットに向けて駆動するように方向付けられた第1電界を、前記第1および第2軸方向通路内に確立し、イオンを前記第3および第4軸方向通路を抜けて前記第2イオン・カーペットに向けて駆動するように方向付けられた第2電界を、前記第3および第4軸方向通路内に確立するために、前記少なくとも1つのDC電圧を前記第1および第2複数の電極に結合する手段を備える、インターフェース。
  13. 請求項1から11までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・ファンネルが、前記第1ドリフト領域および前記第1ファンネル領域の各々に沿って軸方向に離間され、前記第1および第2軸方向通路を内部に定める第1複数のリング電極を含み、前記第2イオン・ファンネルが、前記第2ドリフト領域および前記第2ファンネル領域の各々に沿って軸方向に離間され、前記第3および第4軸方向通路を内部に定める第2複数のリング電極を含み、前記インターフェースが、更に、少なくとも1つのRF電圧を生成するように構成された少なくとも1つのRF電圧源と、前記第1および第2軸方向通路を通過するイオンを、前記第1および第2軸方向通路の中央を貫通して定められた第1長手方向軸に向けて、半径方向に収束し、前記第3および第4軸方向通路を通過するイオンを、前記第3および第4軸方向通路の中央を貫通して定められた第2長手方向軸に向けて、半径方向に収束するために、前記少なくとも1つのRF電圧源を前記第1および第2複数のリング電極に結合する手段とを備える、インターフェース。
  14. 請求項1から13までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1圧力が大気圧であり、前記機器圧力が第1真空であり、
    前記第1ポンプが、前記第1領域における第2圧力を数十torrの範囲内に制御するように構成され、
    前記第2ポンプが、前記第2領域内における第3圧力を、前記第1真空−10torrの大きさよりも少ない真空の大きさを有する、ほぼ第2真空の範囲(a range of approximately a second vacuum)内に制御するように構成される、インターフェース。
  15. 第1圧力における環境から、前記第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースであって、
    第1領域と、
    前記第1領域内に、前記第1圧力よりも低く前記機器圧力よりも高い第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、
    前記第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを定める第1ドリフト領域と、前記第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、前記第2軸方向通路が、前記第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記環境からのイオンが前記第1ドリフト領域の第1端に入射し、前記第1ファンネル領域の第2端から出射する、第1イオン・ファンネルと、
    前記第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、前記第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、
    第2領域と、
    前記第2圧力より低く前記機器圧力よりも高い第3圧力を前記第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、
    前記第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、前記第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、前記第4軸方向通路が、前記第2ファンネル領域の第1端における前記第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、前記第2ドリフト領域の第1端に入射し、前記第2ファンネル領域の第2端において出射する、第2イオン・ファンネルと、
    前記第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、前記第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、前記第2イオン出射口から出射したイオンが、前記分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットと、
    を備え
    前記第1ファンネル領域内における圧力蓄積と気体逆流との組み合わせが、前記第1イオン・ファンネルを通過するイオンを少なくとも部分的に熱化する第1エリアを、前記第1ファンネル流域内に設定し、
    前記第2ファンネル領域内における圧力蓄積と気体逆流との組み合わせが、前記第2イオン・ファンネルを通過するイオンを、少なくとも部分的に熱化する第2エリアを、前記第2ファンネル流域内に設定する、インターフェース。
  16. 請求項15記載のインターフェースにおいて、前記第1圧力と前記第2圧力との間の圧力差が、前記イオンを前記第1イオン・ファンネルの第1ドリフト領域の第1端内に輸送する第1噴流の形態の有向気体流を形成し、前記第2圧力と前記第3圧力との間の圧力差が、第1イオン・ファンネルから出射する前記イオンを前記第2イオン・ファンネルの第2ドリフト領域の第1端内に輸送する第2噴流の形態の他の有向気体流を形成し、
    前記第1イオン・ファンネルの第1ファンネル領域内に設定された第1エリアが、前記第1噴流を少なくとも部分的に消散する第1仮想噴流ディスラプタを定め、前記第2イオン・ファンネルの第2ファンネル領域内に設定された第2エリアが、前記第2噴流を少なくとも部分的に消散する第2仮想噴流ディスラプタを定める、インターフェース。
  17. 請求項15または16記載のインターフェースにおいて、前記第1ドリフト領域の前記第1軸方向通路が、前記第1ドリフト領域の第1および第2端の間に、第1の一定断面積を定め、
    前記第2ドリフト領域の第3軸方向通路が、前記第2ドリフト領域の第1および第2端の間に、第2の一定断面積を定める、インターフェース。
  18. 請求項17記載のインターフェースにおいて、前記第1の一定断面積が前記第2の一定断面積に等しい、インターフェース。
  19. 請求項15から18までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1圧力が大気圧であり、前記機器圧力が第1真空であり、
    前記第1ポンプが、前記第1領域における第2圧力を数十torrの範囲内に制御するように構成され、
    前記第2ポンプが、前記第2領域内における第3圧力を、前記第1真空−10torrの大きさよりも小さい真空の大きさを有する、ほぼ第2真空の範囲内に制御するように構成される、インターフェース。
  20. 第1圧力における環境から、前記第1圧力よりも低い機器圧力に制御された分析機器にイオンを輸送するためのインターフェースであって、
    第1領域と、
    前記第1領域内に、前記第1圧力よりも低く前記機器圧力よりも高い第2圧力を確立するように構成された第1ポンプと、
    前記第1領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第1軸方向通路とを定める第1ドリフト領域と、前記第1ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第2軸方向通路とを定める第1ファンネル領域とを有する第1イオン・ファンネルであって、前記第2軸方向通路が、前記第1ファンネル領域の第1端における第1軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記環境からのイオンが前記第1ドリフト領域の第1端に入射し、前記第1ファンネル領域の第2端から出射する、第1ファンネル領域と、
    前記第1イオン・ファンネルの第2端と対向して、前記第1領域内に配置され、内部を貫通する第1イオン出射口を定める第1イオン・カーペットと、
    第2領域と、
    前記第2圧力より低く前記機器圧力よりも高い第3圧力を前記第2領域に確立するように構成された第2ポンプと、
    前記第2領域内に配置され、第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第3軸方向通路とを定める第2ドリフト領域と、前記第2ドリフト領域の第2端に結合された第1端と、逆側の第2端と、内部を貫通する第4軸方向通路とを定める第2ファンネル領域とを有する第2イオン・ファンネルであって、前記第4軸方向通路が、前記第2ファンネル領域の第1端における前記第3軸方向通路の断面積から、その第2端における狭い断面積まで漸減し、前記第1イオン・ファンネルから出射したイオンが、前記第2ドリフト領域の第1端に入射し、前記第2ファンネル領域の第2端において出射する、第2イオン・ファンネルと、
    前記第2イオン・ファンネルの第2端に対向して、前記第2領域内に配置され、内部を貫通する第2イオン出射口を定める第2イオン・カーペットであって、前記第2イオン出射口から出射したイオンが、前記分析機器のイオン入射口に入射する、第2イオン・カーペットと、
    を備え、
    前記第1圧力と前記第2圧力との間の圧力差が、前記イオンを前記第1ドリフト領域の第1端内に輸送する第1気体流を形成し、前記第1ファンネル領域の漸減第2軸方向通路が、前記第1気体流を減少させ、
    前記第2圧力と前記第3圧力との間の圧力差が、第1イオン・ファンネルから出射する前記イオンを第2ドリフト領域の第1端内に輸送する第2気体流を形成し、前記第2ファンネル領域の漸減第4軸方向通路が、前記第2気体流を減少させる、インターフェース。
  21. 請求項20記載のインターフェースにおいて、前記第1気体流が、前記イオンを前記環境から前記第1イオン・ファンネルの第1ドリフト領域の第1端内に輸送する第1噴流を形成し、
    前記第1ファンネル領域の漸減第2軸方向通路が、前記第1噴流を少なくとも部分的に消散するように構成された第1仮想噴流ディスラプタを内部に定め、
    前記第2気体流が、前記第1イオン・ファンネルから出射した前記イオンを前記第2イオン・ファンネルの第3ドリフト領域の第1端内に輸送する第2噴流を形成し、
    前記第2ファンネル領域の漸減第4軸方向通路が、前記第2噴流を少なくとも部分的に消散するように構成されたダイ2仮想噴流ディスラプタを内部に定める、インターフェース。
  22. 請求項21記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・ファンネルを通過するイオンが、前記第1仮想噴流ディスラプタによって熱化され、前記第2イオン・ファンネルを通過するイオンが、前記第2仮想噴流ディスラプタによって熱化される、インターフェース。
  23. 請求項20から22までのいずれか1項記載のインターフェースにおいて、前記第1イオン・ファンネルの前記第1ドリフト領域の前記第1軸方向通路が、その第1および第2端の間に、第1の一定断面積を定め、
    前記第2イオン・ファンネルの前記第2ドリフト領域の第3軸方向通路が、その第1および第2端の間に、第2の一定断面積を定める、インターフェース。
  24. イオン分析システムであって、
    第1圧力の環境においてイオンを生成するように構成されたイオン源と、
    前記生成されたイオンが前記第1イオン・ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、前記イオン源に結合された、請求項1から23までのいずれか1項記載のインターフェースと、
    真空環境内に配置されたイオン分離機器であって、前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンが当該イオン分離機器に入射するように前記インターフェースに結合され、少なくとも1つの分子特性に基づいてイオンを分離するように構成される、イオン分離機器と、
    を備える、イオン分析システム。
  25. 請求項24記載のシステムにおいて、前記第1圧力と前記第2圧力との間の圧力差が、前記生成されたイオンを前記第1イオン・ファンネルの第1軸方向通路の第1端内に輸送する第1噴流の形態の第1有向気体流を形成し、
    前記第1イオン・ファンネルが、当該第1イオン・ファンネルを通過する気体流を減少させるために、前記第1噴流を少なくとも部分的に消散し、
    前記第2圧力と前記第3圧力との間の圧力差が、第1イオン・ファンネルから出射する前記イオンを前記第2イオン・ファンネルの第3軸方向通路の第1端内に輸送する第2噴流の形態の第2有向気体流を形成し、
    前記第2イオン・ファンネルが、当該第2イオン・ファンネルを通過する気体流を減少させるために、前記第2噴流を少なくとも部分的に消散する、システム。
  26. 請求項25記載のシステムにおいて、前記イオン源によって生成される前記イオンが、ダルトンおよびメガダルトンの間の範囲を取る質量を有し、
    前記第1および第2イオン・ファンネルが、それを通過する前記イオンを熱化することにより、前記熱化されたイオンが、低い過剰運動エネルギで、前記イオン分離機器に入射する、システム。
  27. イオン分離システムであって、
    第1圧力の環境において試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、
    生成されたイオンが前記第1イオン・ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、前記イオン源に結合された請求項1から23までのいずれか1項記載のインターフェースと、
    真空環境内に配置された少なくとも1つのイオン分離機器であって、前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンが当該イオン分離機器に入射するように、前記インターフェースに結合され、少なくとも1つの分子特性の関数として、イオンを分離するように構成される、イオン分離機器と、
    前記少なくとも1つのイオン分離機器から出射したイオンの電荷および質量電荷比を測定するように構成された検出器と、
    を備える、イオン分離システム。
  28. 請求項27記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのイオン分離機器が、イオンを質量電荷比の関数として分離する少なくとも1つの機器、イオンをイオン移動度の関数として時間的に分離する少なくとも1つの機器、イオンをイオン保持時間の関数として分離する少なくとも1つの機器、およびイオンを分子サイズの関数として分離する少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  29. 請求項27記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのイオン分離機器が、質量分光分析計およびイオン移動度分光分析計の内の1つまたは組み合わせを含む、システム。
  30. 請求項27から29までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記インターフェースと前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記インターフェースと前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  31. 請求項27から30までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記少なくとも1つのイオン分離機器と前記検出器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記少なくとも1つのイオン分離機器と前記検出器との間に位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  32. 請求項27から31までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記検出器が少なくとも1つの静電線形イオン・トラップを含む、システム。
  33. 請求項27から31までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記検出器がオービトラップを含む、システム。
  34. 請求項27から33までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記検出器から出射したイオンを受け取るように位置付けられ、前記受け取ったイオンを少なくとも1つの分子特性の関数として分離する少なくとも1つのイオン分離機器を備える、システム。
  35. 請求項34記載のシステムであって、更に、前記検出器と前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記検出器と前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  36. イオン分離システムであって、
    第1圧力の環境において試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、
    前記生成されたイオンが前記第1ファンネルの第1軸方向通路に入射するように、前記イオン源に結合された請求項1から23までのいずれか1項記載のインターフェースと、
    前記第2イオン・カーペットの第2イオン出射口から出射したイオンが前記イオン分離機器に入射するように、前記インターフェースに結合された第1質量分光分析計であって、前記イオン分離機器が、イオンを質量電荷比の関数として分離するように構成される、第1質量分光分析計と、
    前記第1質量分光分析計から出射したイオンを受け取るように位置付けられ、前記第1質量分光分析計から出射したイオンを解離するように構成されたイオン解離ステージと、
    前記イオン解離ステージから出射した解離イオンを、質量電荷比の関数として分離するように構成された第2質量分光分析計と、
    前記イオン解離ステージと並列に結合された電荷検出質量分光分析計(CDMS)であって、前記第1質量分光分析計および前記イオン解離ステージのいずれかから出射したイオンを受け取ることができるように結合された、電荷検出分光分析計(CDMS)と、
    を備え、
    前記第1質量分光分析計から出射した先駆イオンの質量が、CDMSを使用して測定され、閾値質量未満の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比が、前記第2質量分光分析計を使用して測定され、前記閾値質量以上の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比および電荷値が、前記CDMSを使用して測定される、イオン分離システム。
  37. 請求項24から26までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記第1圧力が大気圧であり、前記機器圧力が真空であり、
    前記第1ポンプが、前記第1領域における第2圧力を数十torrの範囲内に制御するように構成され、
    前記第2ポンプが、前記第2領域内における第3圧力を、前記第1真空−10torrの大きさよりも小さい真空の大きさを有する、ほぼ第2真空の範囲内に制御するように構成される、システム。
  38. 請求項27から35までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記第1圧力が大気圧であり、前記機器圧力が真空であり、
    前記第1ポンプが、前記第1領域における第2圧力を数十torrの範囲内に制御するように構成され、
    前記第2ポンプが、前記第2領域内における第3圧力を、前記第1真空−10torrの大きさよりも小さい真空の大きさを有する、ほぼ第2真空の範囲内に制御するように構成される、システム。
  39. 請求項36記載のシステムにおいて、前記第1圧力が大気圧であり、前記機器圧力が真空であり、
    前記第1ポンプが、前記第1領域における第2圧力を数十torrの範囲内に制御するように構成され、
    前記第2ポンプが、前記第2領域内における第3圧力を、前記第1真空−10torrの大きさよりも小さい真空の大きさを有する、ほぼ第2真空の範囲内に制御するように構成される、システム。
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