JP7285023B2 - 単一粒子質量分光分析のためのオービトラップ - Google Patents

単一粒子質量分光分析のためのオービトラップ Download PDF

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Description

関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769,952号の権利および優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
政府の実施権
[0002] 本発明は、全米科学財団によって授与された契約第CHE1531823号の下で政府支援によって行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
技術分野
[0003] 本開示は、一般的には、質量分光分析機器に関し、更に特定すれば、イオンm/zおよび電荷を測定するためにオービトラップを採用する単一粒子質量分光分析法に関する。
従来技術
[0004] 質量分光分析法は、イオン質量および電荷にしたがって物質の気体イオンを分離することによって、物質の化学成分の識別を可能にする。このような分離イオンの質量を判定するために、種々の機器および技法が開発されており、このような機器および/または技法の選択は、通常、対象とする粒子の質量範囲によって左右される。例えば、サブメガダルトン範囲、例えば、10,000Da未満の「軽い」(lighter)粒子の分析では、通例、従来の質量分光分析計を使用することができ、そのいくつかの例には、飛行時間(TOF)質量分光分析計、リフレクトロン質量分光分析計、フーリエ変換イオン・サイクロトロン共振(FTICR:Fourier transform ion cyclotron resonance)質量分光分析計、四重極質量分光分析計、三連四重極型質量分光分析計、磁場型質量分光分析計等を含むことができる。
[0005] メガダルトン範囲、例えば、10,000Da以上の「重い」(heavier)粒子の分析では、上に記載したばかりの従来の質量分光分析計は、このような機器の周知の基礎的限界のために、余り適していない。メガダルトン範囲では、通常、電荷検出質量分光分析法(CDMS:charge detection mass spectrometry)として知られている1つの代替質量分析技法の方が適している。CDMSでは、各イオンに対して、イオン質量が個々に、通例「m/z」と呼ばれる、測定イオン質量電荷比、および測定イオン電荷の関数として判定される。このようなCDMS機器には、静電線形イオン捕捉(ELIT:electrostatic linear ion trap)検出器を採用するものがあり、イオンは電荷検出シリンダ全域にわたって前後に発振させられる。このような電荷検出シリンダにイオンを複数回通過させることによって、イオン毎に複数回の測定を行い、次いでこのような複数の測定値を処理して、イオン質量および電荷を判定する。
[0006] 検出器の適切な設計および動作によって、ELITにおけるイオン電荷測定値の不確実性は、無視できる程、またはほぼ無視できる程にすることができる。しかしながら、イオン質量電荷比の測定値の不確実性は、現行のELIT設計では、望ましくない程に高いままである。これに関して、オービトラップによって得ることができる質量電荷比解決パワー(resolving power)は、CDMSに使用されるELITにおいて得ることができるそれを遙かに超えると一般的に考えられているが、低い(poor)電荷測定精度が、現行のオービトラップ設計の問題となっている(plague)。
[0007] 本開示は、添付した請求項において記載された特徴の内1つ以上、および/または以下の特徴およびその組み合わせの内1つ以上を含むことができる。1つの態様において、オービトラップは、中央を貫通する長手方向軸と、長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極であって、横断面が通過する長手方向軸の周囲に最大半径Rを定める湾曲外面を有する、細長内部電極と、横断面が通過する長手方向軸の周囲に最大半径Rを定める湾曲内面を有する細長外部電極であって、外部電極の内面と内部電極の外面との間に空洞が定められるように、R>Rとした、細長外部電極と、空洞内にイオンを捕捉し、捕捉したイオンに、内部電極の周囲を回転させ、内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、回転および発振するイオンが、内部および外部電極の少なくとも1つの上に電荷を誘発し、RおよびRが、In(R/R)の関数として、誘発電荷の割合を最大化する値を有するように選択される、手段とを備えることができる。
[0008] 他の態様では、オービトラップは、中央を貫通する長手方向軸と、長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極と、横断面が通過する長手方向軸の周囲に最大半径Rを有する湾曲内面を定める細長外部電極であって、内部電極の外面と外部電極の内面との間に空洞が定められる、細長外部電極と、空洞内にイオンを捕捉し、捕捉したイオンに、内部電極の周囲を回転させ、内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、回転および発振するイオンが、内部および外部電極の少なくとも1つの上に電荷を誘発する、手段と、確立された電界がもはやイオンを長手方向軸に向けて引きつけない、長手方向軸からの半径方向距離に対応し、長手方向軸を中心とする、特性半径Rとを備えてもよく、RおよびRの値が、誘発電荷の割合を(R/R)の関数として最大化するように選択される。
[0009] 更に他の態様では、オービトラップは、中央を貫通する長手方向軸と、長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極であって、軸方向に離間された2つの内部電極半体を定め、その間を横断面が通過する、細長内部電極と、軸方向に離間された2つの外部電極半体を定め、その間を横断面が通過する、細長外部電極と、内部電極の外面と外部電極の内面との間において、長手方向軸を中心として半径方向に、更に内部および外部電極に沿って軸方向に定められた空洞と、空洞内にイオンを捕捉し、捕捉したイオンに、内部電極の周囲を回転させ、内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、回転および発振するイオンが、内部および外部電極半体上に電荷を誘発する、手段と、内部電極半体上および外部電極半体上において、回転および発振するイオンによって誘発された電荷を検出し、発振毎に検出した電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路と、
を備えてもよい。
[0010] 更に他の態様では、イオン分離システムは、試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、生成されたイオンを、少なくとも1つの分子特性の関数として分離するように構成された少なくとも1つのイオン分離機器と、以上の態様の内いずれか1つまたはその組み合わせにおいて先に説明したオービトラップであって、更に、内部電極周囲の回転および内部電極に沿った軸方向の発振のために、少なくとも1つのイオン分離機器から出射した1つのイオンの空洞への通過を可能にするように構成された開口を含む、オービトラップとを備えてもよい。
[0011] 更に他の態様では、イオン分離システムは、試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、生成されたイオンを、質量電荷比の関数として分離するように構成された第1質量分光分析計と、第1質量分光分析計から出射したイオンを受け取るように位置付けられ、第1質量分光分析計から出射したイオンを解離するように構成されたイオン解離ステージと、イオン解離ステージから出射した解離イオンを、質量電荷比の関数として、分離するように構成された第2質量分光分析計と、以上の態様の内いずれか1つまたはその組み合わせにおいて先に説明したオービトラップを含み、第1質量分光分析計およびイオン解離ステージのいずれかから出射したイオンを受け取ることができるように、イオン解離ステージと並列に結合された電荷検出質量分光分析計(CDMS)とを備えてもよく、第1質量分光分析計から出射した先駆イオンの質量が、CDMSを使用して測定され、閾値質量未満の質量値を有する前駆イオンの解離イオンの質量電荷比が、第2質量分光分析計を使用して測定され、閾値質量以上の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比および電荷値が、CDMSを使用して測定される。
従来のオービトラップ、ならびにこれに結合された従来の制御および測定コンポーネントを含む従来のオービトラップ・システムの簡略化した一部切り欠き図である。 本開示にしたがって、オービトラップの実施形態と、これに結合された制御および測定コンポーネントを含むオービトラップ・システムの実施形態の簡略断面図である。 オービトラップの%測定電荷対可変In(R/R)のプロットであり、Rは、内部電極の中央を貫通する長手方向軸に対する、外部電極の内面の半径であり、Rは、同様に内部電極の中央を貫通する長手方向軸に対する、内部電極の外面の半径である。 オービトラップの%測定電荷対変数R/Rのプロットであり、Rは、内部電極の中央を貫通する長手方向軸に対する、外部電極の内面の半径であり、Rは、同様に内部電極の中央を貫通する長手方向軸に対する特性半径であり、更に内部電極および外部電極間に確立された電界がもはやイオンを軸に向けて引きつけない、内部電極の中央を貫通する長手方向軸からの半径方向距離である。 図2に示した電荷検出回路の実施形態の簡略ブロック図である。 図2に示した電荷検出回路の他の実施形態の簡略ブロック図である。 図5Aに示した形式の電荷検出回路の実施形態の簡略模式図である。 図5Aに示した形式の電荷検出回路の他の実施形態の簡略模式図である。 図5Bに示した形式の電荷検出回路の実施形態の簡略模式図である。 図2に示した電荷検出回路の更に他の実施形態の簡略ブロック図である。 図2に示した形式のオービトラップを含むイオン分離機器の実施形態の簡略ブロック図であり、オービトラップの上流側のイオン源の一部を形成することができ、および/またはオービトラップから出射したイオン(1つまたは複数)を更に処理するためにオービトラップの下流側に配置することができるイオン処理機器の一例を示す。 図2に示した形式のオービトラップを含む、またはその形態である、CDMS機器を含むイオン分離機器の他の実施形態の簡略ブロック図であり、従来のイオン処理機器を、オービトラップと組み合わせた実施態様例、および/またはオービトラップが荷電粒子検出器として実装されたCDMSシステムと組み合わせた実施態様例を示す。
[0024] 本開示の原理の理解を促進するという目的のために、これより添付図面に示す複数の例示的な実施形態を参照し、これらを説明するために特定的な文言を使用する。
[0025] 本開示は、メガダルトン(MDa)範囲の粒子質量を有する粒子を含むのが通例であるが、そうとは限らない、物質の単一粒子質量分光分析(mass spectral analysis)を実行するための装置および技法に関する。以下で詳しく説明するが、これらの装置および技法は、その1つのコンポーネントとして、いわゆる「オービトラップ」(orbitrap)の少なくとも1つの実施形態を含む。本開示においては、「オービトラップ」とは、静電界における軌道捕捉を採用し、細長い中央電極または「内部」(inner)電極の周囲で半径方向に、そしてその中央長手方向軸に沿って、粒子が発振する、静電イオン・トラップと定義する。
[0026] これより図1を参照して、質量分光分析計または質量分光分析システムの従来のオービトラップに基づく粒子検出システム(orbitrap-based particle detection system)10を示す。システム10は、実例として、従来の制御および測定回路に動作可能に結合された従来のオービトラップ11を含む。オービトラップ11は、細長く、一元的で、スピンドル状の内部電極12と、これを取り囲む、外部の分割樽状電極14とを含む。オービトラップ11のZ軸は、内部電極12の中央を軸方向に貫通する。内部電極12が「スピンドル状」であるというのは、横断面が概略的に円形であり、長手方向中央において最大外径Rを有し、各端部またはその近傍における最小半径まで軸方向下方に向かって漸減する従来のスピンドルのような形状をなすという意味である。最大外径Rは、Z軸から半径方向に測定される。
[0027] 外部樽状電極14は、2つの軸方向半体14Aおよび14B間で分割され、これら2つの半体間に、内部電極12の軸芯と概略的に整列された空間16がある。外部電極14Aおよび14Bの内面と、内部電極12の外面との間に、空洞15が形成され、内部電極12の外面と同様、外部電極半体14Aと内部電極12との間にある空洞15の形状が、外部電極半体14Bと内部電極12との間、即ち、空間16の各側における空洞の形状と同じとなるように、外部電極14の2つの軸方向半体14Aおよび14Bの内面も対称となっている。外部電極14の内面は、内部電極12の外面と対向し、長手方向中央において、即ち、空間16の対向縁において、最大内径Rを有し、内径は、各端部またはその近傍における最小半径まで、軸方向下方に漸減する。内部電極12の最大外径Rと同様、外部電極14の最大内径Rは、Z軸から半径方向に測定される。図1における例によって示すように、従来のオービトラップ11の内部電極12の外面および外部電極14の内面の形状、即ち、湾曲した輪郭は、全体的に互いに異なり、RおよびR間の距離、即ち、電極12、14の軸芯における距離が、内部電極12の外面と外部電極14の内面との間の距離よりも大きくなるように、外部電極の内面の方がその中心に向かって全体的に大きな傾斜を有し、このような表面間は、その軸芯から離れる程、先細りになる。
[0028] 内部電極12および外部電極14の各々は、選択的に制御電圧を各々に印加するように動作可能な1つ以上の電圧源22に電気的に結合されている。ある実施態様では、1つ以上の電圧源22が、N本の信号経路を通じて、プロセッサ24に電気的に接続される。ここで、Nは任意の正の整数でよい。このような実施態様では、メモリ26内に命令が格納されており、この命令がプロセッサ24によって実行されると、制御電圧または動作電圧をそれぞれ内部および外部電極12、14の各々に選択的に印加するように、プロセッサ24に1つ以上の電圧源22を制御させる。
[0029] 外部電極14Aおよび14Bの各々は、従来の差動増幅器28のそれぞれの入力に電気的に結合され、差動増幅器28の出力はプロセッサ24に電気的に結合されている。メモリ26内には命令が格納されており、この命令がプロセッサ24によって実行されると、オービトラップ11内に捕捉された粒子の質量電荷情報を判定するために、プロセッサ24に差動増幅器によって生成された出力信号を処理させる。
[0030] 動作において、最初に、荷電粒子、即ち、イオンを空洞15内に空間16の外部開口16Aを通って引き込むように方向付けられた、対応する電界を形成するために、適した電位を内部および外部電極12、14に印加するように、1つ以上の電圧源22を制御する。次いで、荷電粒子を内部に捕捉する空洞15内に静電界を形成するために、内部および外部電極12、14に適した電位を印加するように、1つ以上の電圧源22を制御する。内部および外部電極12、14間の静電界は、電位分布U(r,z)を有し、これは以下の式によって定義される。
Figure 0007285023000001
ここで、rおよびzは円筒座標(z=0は、電界の対称面となる)、kは電界の曲率、Rは内部電極12の最大半径(前述の通り)、およびUrは内部電極12に印加される電位である。Rは、いわゆる「特性半径」(characteristic radius)であり、静電界がもはやイオンをZ軸に向けて引きつけないZ軸からの半径方向距離であり、静電捕捉中におけるイオンの安定した半径方向発振のためには、R/R>21/2という関係を通例では満たさなければならないことが一般に理解されている。この静電界は、イオン・トラップ11の四重極電界と円筒形キャパシタの対数電界(logarithmic field)との和であり、したがって一般に四重極対数電界(quadro-logrithmic field)と呼ばれている。
[0031] 四重極対数電界の影響下でオービトラップ11の空洞15内に捕捉されたイオンの軌道25は、図1における例によって示すように、内部電極12周囲における軌道運動と、内部電極12に沿ったZ軸方向の発振との組み合わせである。イオン質量電荷比は、四重極対数電界の軸方向、即ち、Z軸方向における高調波発振(harmonic oscillation)の周波数から導き出される。何故なら、内部電極12周囲におけるイオンの軌道回転の周波数とは異なり、このような軸方向またはZ平面のイオン発振の周波数は、イオン・エネルギとは無関係であるからである。このような軸方向のイオン発振は、外部電極半体14A、14Bの各々の上に影像電荷(image charges)を誘発し、差動増幅器28によって生成される最終的な差動信号の周波数は、プロセッサ24によって、例えば、従来の高速フーリエ変換アルゴリズムを使用して判定され、更に、捕捉されたイオンの質量電荷比を得るために処理される。
[0032] 式(1)を境界条件U(R,0)=0について解くことによって、以下の式によって電界曲率kを定める。
Figure 0007285023000002
電界曲率kは、式(2)によって電極の外形に関して定められるので、軸方向のイオン発振の周波数ωは、以下の式によって、質量電荷比(m/z)に関係付けることができる。
Figure 0007285023000003
ここで、eは電気素量(elemental charge)である。式(3)は、イオンの軸方向発振の周波数(したがって、m/z比)は、イオン運動エネルギとは無関係であることを示す。(2)を(3)に挿入すると、以下の関係が得られる。
Figure 0007285023000004
式(4)は、イオン発振の周波数ωは、内部電極12に印加される電位Urの二乗根に比例し、内部電極の最大半径Rと相関付けられ、オービトラップ11の残りの半径方向寸法と逆に相関付けられることを示す。式(1)を使用して、形状z12(r)およびz。
[0033] 式(1)を使用して、内部および外部電極12、14の外面および内面それぞれのz方向に沿った半径方向形状(radial shape)、即ち、輪郭z12(r)およびz14(r)を次のように推論することができる。
Figure 0007285023000005
[0034] これより図2を参照して、本開示による質量分光分析計または質量分光分析システムのオービトラップに基づく粒子検出システム100の実施形態を示す。システム100は、実例として、制御および測定回路に動作可能に結合されたオービトラップ110の実施形態を含む。図1に示し先に説明したオービトラップ11と比較すると、図2のオービトラップ110は、実例として、単一粒子検出のためにオービトラップ110の電荷測定精度を最適化するために、構造および/またはそのコンポーネントの特定の幾何学的関係が修正されている。これについては以下で詳しく説明する。
[0035] 図2に示す実施形態では、オービトラップ110は、細長いスピンドル状の内部電極112と、これを取り囲む外部樽状電極114とを含み、内部および外部電極112、114の組み合わせは、実例として、接地遮蔽物120、例えば、接地電位または他の適した電位に制御された導電性遮蔽物またはチェンバによって取り囲まれている。オービトラップ11のZ軸は、内部電極112の中央を軸方向に貫通する。外部樽状電極114は、2つの軸方向半体114Aおよび114Bに分割され、2つの半体間にある空間116Aが、内部電極112の軸芯と概略的に整列されている。外部電極114の2つの軸方向半体114A、114Bの内面は、実例として、互いの鏡像(mirror images)であり、各々、2つの半体114A、114B間の中央を横断方向に通過する横断面Tのいずれかの側に位置付けられる。ある実施形態では、図2における例によって示すように、内部電極112も2つの軸方向半体112A、112Bに分割され、これら2つの半体の間にある空間116Bが、内部電極の軸芯と概略的に整列されている。即ち、空間116A、116Bの長手方向軸が、互いに、一致する、即ち、共線となるように、そして横断面Tが、2つの半体112A、112Bの間を横断方向に通過するようになっている。このような実施形態では、内部電極112の2つの軸方向半体112A、112Bの外面は、実例として、横断面Tを中心とする互いの鏡像となる。代替実施形態では、内部電極112は、2つの軸方向半体112A、112Bに分割されなくてもよく、即ち、空間116Bが省略されるように、1つの一元体(unitary body)の形態であってもよい。いずれにしても、外部電極14Aおよび14Bの内面と、内部電極12の外面との間に、空洞115が形成され、内部および外部電極112、114の対向面は、空間116Aの長手方向軸を中心として対称である。
[0036] 内部電極112の外面は、その軸芯において最大の外径Rを有し、同様に、外部電極114の内面は、その軸芯において最大の内径Rを有する。内部電極112の外面は、実例として、その軸芯における最大半径Rから、各逆端またはその近くにおける減少半径(reduced radius)Rまで、Z軸に沿って下方に(downwardly)、即ち、R>R芯となるように、漸減する。同様に、外部電極114の内面も、実例として、その軸芯における最大半径Rから各逆端またはその近くにおける減少半径Rまで、Z軸に沿って下方に、即ち、R>Rとなるように、漸減する。一般に、R>R>R>Rである。
[0037] 内部電極112および外部電極114の各々は、各々に制御電圧を選択的に印加するように動作可能な1つ以上の電圧源122に電気的に結合されている。図示する実施形態では、1つ以上の電圧源122は、N本の信号経路を通じて、プロセッサ124に電気的に接続されており、Nは任意の正の整数でよい。メモリ126は、実例として、内部に命令が格納されており、プロセッサ124によって命令が実行されると、内部および外部電極112、114の各々にそれぞれ制御電圧または動作電圧を選択的に印加するように、プロセッサ124に1つ以上の電圧源122を制御させる。代替実施形態では、1つ以上の電圧源122は、電極112、114のいずれかまたは両方に制御電圧または動作電圧を選択的に印加するようにプログラミングすることができる1つ以上のプログラマブル電圧源であってもよく、またはこのプログラマブル電圧源を含んでもよい。このような実施形態のいくつかでは、1つ以上のこのようなプログラマブル電圧源の動作を、従来の方法でプロセッサ124と同期させることもできる。
[0038] 内部電極112および外部電極114の各々は、電荷検出回路128のそれぞれの入力に電気的に結合されており、回路128の電荷検出出力はプロセッサ124に電気的に結合されている。メモリ126は、実例として、内部に命令が格納されており、プロセッサ124によって命令が実行されると、オービトラップ110内に捕捉された1つの粒子の質量電荷および電荷情報を判定するために、回路128によって生成された電荷検出出力信号CDをプロセッサ124に処理させる。内部電極112が1つの一元体の形態で設けられる実施形態では、回路128は、実例として、図1に示した形式の差動増幅器の形態をなすこともできる。内部電極112が、前述のように、2つの等しく軸方向に離間された内部電極半体112A、112Bに分割される実施形態では、内部電極112は、実例として、外部電極114に加えて、イオン電荷検出器として使用され、回路128は、実例として、4つの電極半体112A、112B、114A、および114B上に誘発された影像電荷を組み合わせる回路を含む。このような回路128の種々の実施形態例を図5A~図8に示し、以下で詳しく説明する。
[0039] 図2に示すオービトラップ110の種々のコンポーネントの寸法およびそれらの間の関係の中には、実例として、単一荷電粒子を捕捉するときの電荷測定の精度を最適化する、または少なくとも改善するように、選択されるものもある。例えば、オービトラップの検出電極上に単一イオンによって誘発される電荷の量は、測定時におけるイオンの位置に依存し、イオンが内部電極に沿って発振し内部電極の周囲を回るに連れて、検出電極上においてイオンによって誘発される電荷は、このために、変動するとして差し支えない。更に、個々のイオンが全て同じ軌道に従うのではないので、検出電極上に誘発される電荷の分率(fraction)はイオン毎に異なる。オービトラップの通常動作モードでは、即ち、イオンの集合体(ensemble)を捕捉し処理するとき、この後者の変動は、平均化されて打ち消される(averaged away)。しかしながら、個々のイオンについては、これらの変動は、単一捕捉イオンの電荷測定における不確実性に寄与する。図2に示すオービトラップ110を単一イオンの電荷測定に合わせて最適化するために、実例として、検出されるイオン電荷の分率を高め、検出された電荷の分率におけるイオン間のばらつき(ion-to-ion variation)を低減するように、オービトラップ110の種々のコンポーネントの外形(geometries)を設計する。
[0040] 検出されたイオン電荷の分率を高めるために、オービトラップ110は、実例として、オービトラップ110に捕捉された単一荷電粒子の半径方向および軸方向軌道における一貫性を確保する(provide for)ように設計される。半径方向イオン軌道に関して、以下の簡略化した式は、イオンの半径方向運動を円軌道に関係付け、円軌道の半径rは、運動エネルギおよび空洞115内における電界の関数である。
Figure 0007285023000006
ここで、Eは入射運動エネルギ、即ち、空洞115に入射するイオンの運動エネルギであり、Fは、空洞115内に確立された電界によってイオンが受ける力である。内部電極112の外面に近いイオンの狭い分布のみが、捕捉電界が印加されたときに、捕捉可能である。捕捉電界は、1つ以上の電圧源122によって供給される、対応する電位の印加によって結果的に発生する。この分布は、入射運動エネルギの分布と共に、オービトラップ110におけるイオンの半径方向分布に寄与する。オービトラップの空洞115にイオンを捕捉するために要求される入射運動エネルギは、以下の式によって定義される。
Figure 0007285023000007
ここで、Rはトラップにおけるイオンの最終的な半径方向位置(イオンの軌道半径とも呼ぶ)であり、Rはイオンの注入半径(injection radius)、即ち、空洞115に注入されるときの、Z軸に対するイオンの半径方向位置である。式(8)は、イオン運動エネルギ分布のイオン電荷測定に対する影響が、比率R/Rに依存すること、そしてこの影響は、Rの値に対してRの値を最大化することによって、最小限に抑えられることを明示する。しかしながら、イオン電荷を検出するために外部電極114のみが使用される場合、外部電極114に誘発され、したがって、検出可能なイオンの電荷の分率を高めるためには、軌道半径Rを最大化しなければならない。比率R/Rの値の範囲は、RおよびRの最小値および最大値によって定められる。
[0041] また、検出電極上に誘発されるイオン電荷の分率は、Z軸に沿ったイオンの軌道にも依存する。更に具体的には、イオンがZ軸に沿って移動するに連れて、誘発電荷の分率が、内部電極112および外部電極114の外面の外形(geometries)、即ち、湾曲した輪郭に対してどのように変化するかに依存する。外部および内部電極112、114の外面および内面の半径方向形状、即ち、湾曲した輪郭z12(r)およびz14(r)は、それぞれ、式(5)および(6)によって定義され、したがって、主にR、R、およびRの値に依存する。
[0042] R、R、およびRの値およびこれらの間の関係は、したがって、オービトラップ110に捕捉された単一荷電粒子の半径方向および軸方向軌道に影響を及ぼす主要な変数であり、したがって検出電極上に誘発される電荷の分率を最大化するように最適化することができる主要な変数である。これに関して、図3は、内部電極112が1つの一元体の形態で設けられるオービトラップ110の実施形態の外部電極114上に単一イオンによって誘発された測定電荷の分率を、変数In(R/R)の関数として示すプロットである。このプロットによって明確に示されるように、外部電極114上に誘発された測定電荷の分率は、In(R/R)の増加と共に高くなり、In(R/R)値が約1.48のとき(R/Rがほぼ4.4のときに対応する)において、ほぼ80%で最大に達し、次いでIn(R/R)値が大きくなるに連れて再度低下する。図4は、同じオービトラップ110の外部電極114上に単一イオンによって誘発された測定電荷の分率を、変数R/Rの関数として示す別のプロットである。このプロットによって明確に示されるように、外部電極114上に誘発された測定電荷の分率は、R/R値がほぼ12.2のときに、ほぼ80%で最大に達する。80%の測定電荷分率を、図2に示すオービトラップ110の設計に相関付ける図3および図4の比率を統合することにより、図1に示すオービトラップ11と比較すると、更に大きいIn(R/R)およびR/Rが得られる。In(R/R)およびR/Rが大きくなることから、オービトラップ110のイオン軌道半径RおよびZ軸に沿った発振距離が、オービトラップ11よりも大きくなることによって、測定電荷の分率が高くなる。
[0043] シミュレーションを実行し、図1に示す形式の2つの異なる従来のオービトラップ11の外部電極14上に単一捕捉イオンによって誘発された電荷について測定した分率を、分割内部電極112がなく(即ち、1つの一元内部電極112を有する) 図3および図4に示す比率の最適値が実装された、図2のオービトラップ110の外部電極114上に単一捕捉イオンによって誘発された電荷の分率と比較した。シミュレートしたオービトラップ11の第1外形は、In(R/R)=0.916およびR=√2Rである従来の構成であった。この外形では、(100eの電荷を有するイオンの)測定電荷の平均分率は52.9%、標準偏差は5.93%であった。オービトラップにおいてイオンが異なる軌道を有することから、不確実性が発生する。オービトラップ11の第2外形では、In(R/R)=0.470およびR=√2Rの従来の「高電界」外形(high-field geometry)をシミュレートした。この外形では、(100eの電荷を有するイオンの)測定電荷の平均分率は45.7%、標準偏差は9.85%であった。
[0044] 図2のオービトラップ110において、図3によって示唆された最適比率またはその近傍までIn(R/R)を高めることによって、電極112、114間の空洞115が広がり、したがって、外部電極114によって、より多くのイオン電荷を捕獲する(pick up)することが可能になる。より多くの信号が捕獲されることに加えて、内部および外部電極112、114間の距離を広げることにより、図2における例によって示すように、Z軸に沿ったイオンの入射位置118A、118を、中央空間116Aから遠ざけつつ、R>Rを確保することが可能になる。更に図2におけるイオン軌道125によって示すように、例えば、イオンは開口118Aを通ってオービトラップ110に入射し、空間118を通って空洞115に入り、空間118は中央空間116Aから軸方向に離間されている。先に説明したように、一旦空洞115内に入ったなら、イオン軌道125は、内部電極112周囲の軌道運動と、Z軸方向における内部電極112に沿った発振との組み合わせを含む。更に、内部および外部電極112、114間の間隙を広げ、図4によって示唆した最適比率またはその近くまでR/Rを高めたことによって、内部および外部電極112、114の外面および内面それぞれの曲率低下が得られ、これらを組み合わせることによって、空洞115がZ軸方向に広がり、これによってZ軸に沿ったイオンの発振距離が長くなる。これによって、実際に、外部電極114の分割電極114A、114Bにおいて検出された最大および最小信号値間の差が大きくなり、したがって、信号がより広い範囲に及び、一層正確なイオン電荷測定が行われる。最初にシミュレートしたオービトラップ110の外形は、内部電極112が1つの一元体であり、In(R/R)=1.48、およびR/R=12.2である構成であった。この外形では、(100eの電荷を有するイオンの)測定電荷の平均分率は81.6%であり、標準偏差は1.17%であった。これは、前述した従来のオービトラップの外形に対する、実質的な改善を明確に示す。
[0045] 図2に示す実施形態では、内部電極112は、実例として、軸方向に分割された2つの等しい半体112A、112Bであることが示されており、間隙116BがZ軸に沿ってこれら2つの半体112A、112Bを軸方向に分離する。この実施形態では、内部電極112は、外部電極114と同様、イオンがZ軸に沿って発振するに連れて、2つの半体112A、112Bの各々に誘発されるイオン電荷を検出するために使用することができる。内部電極112を第2組の検出電極112A、112Bとして使用することによって、イオン電荷の測定可能な分率が高くなる。捕捉中に内部および外部電極112、114に印加される電位が等しくて互いに逆である場合、電極112A、112B、114A、114B上に誘発される電荷は、図2に示した回路128によって4つの電荷信号A、B、C、およびDを検出し組み合わせることによって、測定することができる。
[0046] これより図5Aを参照して、図2の電荷検出回路128の実施形態128を示す。図示する実施形態では、外部電極114Aおよび内部電極112A上でそれぞれ測定された誘発イオン電荷に対応する信号AおよびBを、信号加算回路130を使用して、加算する(added together)。外部電極114Bおよび内部電極112B上でそれぞれ測定された誘発イオン電荷に対応する信号CおよびDも同様に、他の信号加算回路132を使用して、加算する。加算回路130および132の出力は、入力として、差動増幅器134に印加され、回路128によって生成された電荷検出信号CDは、したがって、CD=(A+B)-(C+D)となる。尚、加算回路130、132および差動増幅器134は、任意の既知の設計(1つまたは複数)を使用して実装できることは当業者には認められよう。更に、このような設計(1つまたは複数)はいずれも本開示の範囲に該当することを意図していることも理解されよう。更に、図5Aに示す回路128は、実施形態128の機能コンポーネントのみを図示していること、そして回路128は、代わりにまたは加えて、電極112A、112B、114A、114Bの各々と回路128の対応する入力との間にある1つ以上のキャパシタ、内部電極112と外部電極114との間にある1つ以上のキャパシタ等のような、しかしこれらには限定されない、他の従来の回路コンポーネントを含んでもよいことも、当業者には認められよう。
[0047] これより図5Bを参照して、図2の電荷検出回路128の他の実施形態128を示す。図示する実施形態では、外部電極114Aおよび114B上で測定された誘発イオン電荷に対応する信号AおよびCがそれぞれ第1差動増幅器136のへの入力として供給され、内部電極114Aおよび114B上で測定された誘発イオン電荷に対応する信号CおよびDがそれぞれ、同様に、第2差動増幅器138への入力として供給され、2つの差動増幅器136、138の出力が、信号加算回路140を使用して、加算される。信号加算回路140の出力は、回路128によって生成された電荷検出信号CDであり、したがって、CD=(A-C)+(B-D)である。尚、差動増幅器136、136および信号加算回路140は、任意の既知の設計(1つまたは複数)を使用して実装できることは当業者には認められよう。更に、このような設計(1つまたは複数)はいずれも本開示の範囲に該当することを意図していることも理解されよう。更に、図5Bに示す回路128は、実施形態128の機能コンポーネントのみを図示していること、そして回路128は、代わりにまたは加えて、図5Aに関して先に説明した回路コンポーネントの内任意の1つ以上というような、しかしこれらには限定されない、他の従来の回路コンポーネントを含んでもよいことも、当業者には認められよう。
[0048] これより図6Aを参照して、図5Aに図示した電荷検出回路128の実施形態150を示す。図示する実施形態では、回路150は、図5Aに関して説明した構成にしたがって信号A~Dを組み合わせるために、従来の変圧器(transformer)152を含む。具体的には、信号BおよびDを一次コイル154の反対側の両端に印加し、信号AおよびCを二次コイル156の反対側の両端に印加する。一次コイル154の中央タップは、正電圧、例えば、500ボルトを電圧源122の1つから受け取り、二次コイルの中央タップは、等しく逆の負電圧、例えば、-500ボルトを電圧源122の1つから受け取る。一実施形態では、中央タップ電圧(+500vおよび-500v)は、イオン捕捉中に外部および内部電極114、112にそれぞれ印加される電圧と同じである。いずれにしても、変圧器152の補助二次コイル158が、信号増幅器160、例えば、従来の低ノイズ増幅器の入力に電気的に結合され、増幅器160の出力は電荷検出信号CDとなる。変圧器152は、実例として、外部電極114Aおよび内部電極112A上の信号にそれぞれ対応する信号AおよびBを加算し、同様に、外部電極114Bおよび内部電極112B上の信号にそれぞれ対応する信号CおよびDを加算し、これらの加算信号(A+B)および(C+D)間の差が、補助二次コイル158に誘導され、これを増幅して電荷検出信号CD=(A+B)-(C+D)を生成する。
[0049] これより図6Bを参照して、図5Aに図示した電荷検出回路128の他の実施形態170を示す。図示する実施形態では、回路170は、第1ユニティ・ゲイン信号加算増幅器(unity gain signal adding amplifier)172を含む。信号AおよびBが、それぞれ、抵抗器RおよびRを介して、増幅器172の+入力に供給され、増幅器172の出力が-入力にフィードバックされる。実例として、R=Rであり、したがって、増幅器172の出力はA+Bとなる。更に、回路170は第2ユニティ・ゲイン信号加算増幅器174も含み、信号CおよびDがそれぞれ抵抗器RおよびRを介して増幅器174の+入力に供給され、増幅器174の出力が-入力にフィードバックされる。実例として、R=Rであり(そして、RおよびRに等しい)、したがって、増幅器174の出力はC+Dとなる。増幅器172、174の出力は、入力として、従来の差動増幅器176に印加され、差動増幅器176の出力は、電荷検出信号CD=(A+B)-(C+D)となる。
[0050] これより図7を参照して、図5Bに図示した電荷検出回路128の実施形態180を示す。図示する実施形態では、回路180は、信号AおよびCを入力として受け取る従来の第1差動増幅器182と、信号BおよびDを入力として受け取る従来の第2差動増幅器184とを含む。差動増幅器182、184の出力は、それぞれ、抵抗器RおよびRを介して、従来のユニティ・ゲイン増幅器186の+入力に供給され、増幅器186の出力は-入力にフィードバックされる。実例として、R=Rであり、したがって、増幅器186の出力は、増幅器186の電荷検出信号出力CDがCD=(A-C)+(B-D)となるように、差動増幅器182、184によってそれぞれ生成された差信号(A-C)および(B-D)の和となる。
[0051] これより図8を参照して、図2の電荷検出回路128の他の実施形態190を示す。図示する実施形態では、回路190は、実例として、4つの従来の増幅器192A~192Dを含み、各々、先に説明した信号A~Dのそれぞれを入力として受け取る。増幅器192A~192Dの出力は、各々、4つの従来のアナログ/ディジタル(A/D)変換回路194A~194Dのそれぞれの入力に供給される。A/D変換回路194A~194Dの出力は、それぞれ、電荷検出信号CDA、CDB、CDC、およびCDDのディジタル表現であり、入力としてプロセッサ124に供給される。この実施形態では、メモリ126は、実例として、命令を含み、プロセッサ124によって命令が実行されると、図5Aに示す構成にしたがって、即ち、CDS=(CDA+CDB)-(CDC+CDD)、または図5Bに示す構成にしたがって、即ち、CDS=(CDA-CDC)+(CDB-CDD)にしたがって、ディジタル電荷検出信号CDSを生成するために、プロセッサ124に信号CDA~CDDを組み合わせさせる。
[0052] 尚、実施形態のいくつか、例えば、図6A~図8に示す実施形態では、内在的な回路コンポーネントの不整合および/またはこのような回路コンポーネントの動作が、電荷検出信号CD(またはCDS)の判定における誤差を招くおそれがある(またはおそれがない)ことは、当業者には認められよう。更に、場合によっては、このような誤差は、従来の回路設計技法を使用して、解消できる、容認できるまでに最小化できる、または低減できることも、当業者には認められよう。他の場合では、このような誤差は、単一、モノリシック、特定用途集積回路の形態で回路全体170、180、または190を設けることによって、解消、容認できるまでに最小化、または低減することもできる。尚、このような誤差の解消、低減、または最小化技法あるいは構造はいずれも、本開示の範囲に該当することを意図していることは理解されよう。
[0053] また、シミュレーションを実行し、前述した2つの異なる従来のオービトラップ11に実装された2つの外部電極14および2つの(分割)内部電極の組み合わせの上に単一捕捉イオンによって誘発された電荷について測定した分率を、同様に図3および図4に示した比率の最適値が実装された、図2のオービトラップ110の2つの外部電極114Aおよび114Bと2つの(分割)内部電極112A、112Bとの組み合わせの上に単一捕捉イオンによって誘発された電荷の分率と比較した。シミュレートしたオービトラップ11の第1外形は、従来と同様のIn(R/R)=0.916およびR=√2Rである従来の構成であった。この外形では、分割内部電極を使用すると、(100eの電荷を有するイオンの)測定された電荷の平均分率は98.5%に劇的に増加し、標準偏差は0.274%であった。オービトラップ11の第2外形では、同様に従来通りのIn(R/R)=0.470およびR=√2Rである、従来の「高電界」(high-field)外形をシミュレートした。この外形では、分割内部電極を使用すると、(100eの電荷を有するイオンの)測定された電荷の平均分率は97.0%、標準偏差は0.804%であった。分割内部電極112A、112Bが実装され、それ以外では直前のシミュレーションにおいて先に説明した通りであった図2のオービトラップ110では、電荷判定における不確実性は、1.71%から0.15%に低下した。
[0054] このように、オービトラップ・コンポーネントの外形には関係なく、内部電極を軸方向に半体に分割し、4つの電極半体全てを使用して、誘発イオン電荷を測定すると、その結果、1つの一元内部電極を実装した同じ機器と比較して、電荷の不確実性が低下する。オービトラップの各側にある内部および外部検出電極上の誘発電荷を加算し、次いで2つの和を互いに減算するので、2組の内部および外部電極間の曲率の差が、測定された電荷に及ぼす影響を低減することができる。従来のオービトラップにおいて見られるような、内部および外部電極間の曲率に大きな差があるオービトラップにおいて、電荷検出誤差の実質的な改善を実現することができる。このような従来のオービトラップに分割内部電極を実装することによって、先のシミュレーションにおいて丁度説明したように、100%に近いパーセント測定電荷が得られ、したがって、従来のオービトラップにおいて、本明細書において説明したようにオービトラップの外形パラメータを修正することなく、電荷測定精度の実質的な改善を実現できることが実証された。しかしながら、本明細書において説明したような分割内部電極の実装と、オービトラップの外形パラメータの最適化との組み合わせにより、同様に前述のシミュレーションにおいて実証されたように、最高度の電荷測定精度が得られる。
[0055] これより図9Aを参照して、イオン分離機器200の実施形態の簡略ブロック図を示す。イオン分離機器200は、本明細書において説明したオービトラップ110のいずれの実施形態を含んでもよく、オービトラップ110の上流側にイオン源202を含むことができ、および/またはオービトラップ110の下流側に配置されオービトラップ110から出射するイオン(1つまたは複数)を処理するように構成された少なくとも1つのイオン処理機器204を含むことができる。オービトラップ110の下流側に配置された少なくとも1つのイオン処理機器204を含む実施形態では、実例として、イオンがオービトラップ110から軸方向に、即ち、内部および外部電極112、114間に定められた空洞115から軸方向に出射することを可能にするために、またはイオンが中央(central or center)空間116Aから半径方向に出射することを可能にするために、内部および外部電極112、114に印加される電圧を制御することができる。オービトラップ110の下流側に配置された少なくとも1つのイオン処理機器204を含む他の実施形態では、外部電極114を貫通する他のイオン通路および開口、例えば、図2に示す開口118Aおよび通路118と同様または同一のものを含むように、オービトラップ110を改造(modify)することもでき、実例として、このようなイオン通路および開口からイオンが軸方向に出射することを可能にするように、内部および外部電極112、114に印加される電圧を制御することができる。
[0056] イオン源202は、実例として、試料からイオンを生成するように構成された少なくとも1つの従来のイオン生成器を含む。イオン生成器は、例えば、エレクトロスプレイ・イオン源(ionization source)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI:matrix-assisted laser desorption ionization)源等のような、少なくとも1つのイオン生成デバイスの1つまたは任意の組み合わせでもよいが、これらに限定されるのではない。ある実施形態では、イオン源202は、更に、前述のようにオービトラップ110による検出に先立って、生成されたイオンの一部または全部に作用するように構成された任意の数のイオン処理機器も含むことができる。これに関して、イオン源202は、図9Aにおいて、Q個のイオン源ステージIS~ISを含むように示されており、イオン源ステージは、イオン源202であっても、またはその一部を形成するのでもよい。Qは任意の正の整数でよい。イオン源ステージISは、通例、前述のような1つ以上の従来のイオン源であるか、またはこれらを含む。イオン源ステージIS~ISは、1つ以上のこのようなステージを含む実施形態では、実例として、1つ以上の分子特性にしたがって(例えば、イオン質量、電荷、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等にしたがって)イオンを分離するための1つ以上の従来の機器、および/またはイオンを収集および/または格納するため(例えば、1つ以上の四重極、六重極、および/または他のイオン・トラップ)、イオンをフィルタリングするため(例えば、イオン質量、電荷、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等のような1つ以上の分子特性にしたがって)、イオンを断片化するまたそうでなければ解離させるため、イオン荷電状態を正規化するまたは移す(shift)ため等の1つ以上の従来のイオン処理機器であってもよく、またはこれらを含んでもよい。尚、イオン源202は、任意のこのような従来のイオン源、イオン分離機器、および/またはイオン処理機器の内1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で含んでもよいこと、そしてある実施形態は、任意のこのような従来のイオン源、イオン分離機器、および/またはイオン処理機器を複数個隣接してまたは離間して含んでもよいことは理解されよう。イオン源202が、イオン質量、電荷、または質量電荷比にしたがって粒子を分離する1つ以上の機器を含む実施形態では、実例として、イオン源202およびオービトラップ110は、一体となって、図9Aに示すような従来の電荷検出質量分光分析計(CDMS)206を形成する。
[0057] ある実施形態では、機器200は、オービトラップ110のイオン出口に結合されたイオン処理機器204を含んでもよい。図9Aにおける例によって示すように、イオン処理機器204を含む実施形態では、任意の数のイオン分離および/または処理ステージOS~OSの形態でイオン処理機器204を設けることができ、Rは任意の正の整数でよい。イオン分離および/または処理ステージOS~OSの1つ以上の例には、1つ以上の分子特性にしたがって(例えば、イオン質量、電荷、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等にしたがって)イオンを分離するための1つ以上の従来の機器、イオンを収集および/または格納するための1つ以上の従来の機器(例えば、1つ以上の四重極、六重極、および/または他のイオン・トラップ)、イオンをフィルタリングするための1つ以上の従来の機器(例えば、イオン質量、電荷、イオン質量対電荷、イオン移動性、イオン保持時間等のような1つ以上の分子特性にしたがって)、イオンを断片化するまたそうでなければ解離させるための1つ以上の従来の機器、イオン荷電状態を正規化するまたは移す(shift)ための1つ以上の従来の機器等を含んでもよいが、これらに限定されるのではない。尚、イオン処理機器204は、任意のこのような従来のイオン分離機器および/またはイオン処理機器の内1つまたは任意の組み合わせを、任意の順序で含んでもよいこと、そしてある実施形態は、任意のこのような従来のイオン分離機器および/またはイオン処理機器を複数個隣接してまたは離間して含んでもよいことは理解されよう。イオン源202および/またはイオン処理機器204が1つ以上の質量分光分析計を含む任意の実施態様では、任意の1つ以上のこのような質量分光分析計が、例えば、飛行時間(TOF:time-of-flight)質量分光分析計、リフレクトロン質量分光分析計、フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴(FTICR:Fourier transform ion cyclotron resonance)質量分光分析計、四重極型質量分光分析計、三連四重極型質量分光分析計、磁場型質量分光分析計等を含むが、これらに限定されない任意の従来の設計のものであってもよい。
[0058] 図9Aに示すイオン分離機器200の具体的な一実施態様として、イオン源202は、実例として、3ステージを含み、イオン処理機器204を省略する。これは、限定であると解釈しては決してならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、イオン源ステージISは、従来のイオン・フィルタ、例えば、四重極または六重極イオン・ガイドであり、イオン源ステージISは、先に説明した型式の内いずれかの質量分光分析計である。この実施形態では、イオン源ステージISは、従来通りに、下流質量分光分析計による分析のために、所望の分子特性を有するイオンを予め選択し、このように予め選択したイオンだけを質量分光分析計に受け渡すように制御され、オービトラップ110によって分析されたイオンが、質量電荷比にしたがって質量分光分析計によって分離され予め選択されたイオンとなる。予め選択されイオン・フィルタから出射するイオンは、例えば、指定されたイオン質量、電荷、または質量電荷比を有するイオン、指定されたイオン質量、電荷、もしくはイオン質量電荷比よりも高いおよび/または低いイオン質量、電荷、もしくはイオン質量電荷比を有するイオン、指定されたイオン質量、電荷、またはイオン質量電荷比の範囲内のイオン質量、電荷、またはイオン質量電荷比を有するイオン等でもよい。この例の他の代替実施形態では、イオン源ステージISが質量分光分析計であってもよく、イオン源ステージISがイオン・フィルタであってもよく、このイオン・フィルタは、丁度説明したように、下流側のオービトラップ110による分析のために、質量分光分析計から出射したイオンから、所望の分子特性を有するものを予め選択するために、他の方法で動作可能であってもよい。この例の他の代替実施形態では、イオン源ステージISがイオン・フィルタであってもよく、イオン源ステージISが、質量分光分析計およびその後ろにある他のイオン・フィルタを含んでもよく、イオン・フィルタは、各々、丁度説明したように動作する。
[0059] 図9Aに示すイオン分離機器200の他の具体的な実施態様として、イオン源202は、実例として、2つのステージを含み、ここでもイオン処理機器204を除外する。これは、限定であると解釈しては決してならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、イオン源ステージISは、先に説明した型式の内いずれかの従来の質量分光分析計である。この実施態様では、機器200は電荷検出質量分光分析計(CDMS)206の形態をなし、オービトラップ110は質量分光分析計から出射したイオンを分析するように動作可能である。
[0060] 図9Aに示すイオン分離機器200の更に他の具体的な実施態様として、イオン源202は、実例として、2つのステージを含み、イオン処理機器204を除外する。これは、限定であると解釈しては決してならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ、MALDI等であり、イオン源ステージISは、従来の単一ステージまたはマルチステージ・イオン移動度分光分析計(ion mobility spectrometer)である。この実施態様では、イオン移動度分光分析計は、イオン源ステージISによって生成されたイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能であり、オービトラップ110は、イオン移動度分光分析計から出射したイオンを分析するように動作可能である。この例の代替実施態様では、イオン処理機器204が、従来の単一ステージまたはマルチステージ・イオン移動度分光分析計を、唯一のステージOSとして(またはマルチステージ機器210のステージOSとして)含んでもよい。この代替実施態様では、オービトラップ110は、イオン源ステージISによって生成されたイオンを分析するように動作可能であり、イオン移動度分光分析計OSは、オービトラップ110から出射したイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって、経時的に分離するように動作可能である。この例の他の代替実施態様として、単一ステージまたはマルチステージ・イオン移動度分光分析計が、イオン源ステージISおよびオービトラップ110双方の後ろにあってもよい。この代替実施態様では、イオン源ステージISの後ろにあるイオン移動度分光分析計が、イオン源ステージISによって生成されたイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能であり、オービトラップ110は、イオン源ステージのイオン移動度分光分析計から出射したイオンを分析するように動作可能であり、オービトラップ110の後ろにあるイオン処理ステージOSのイオン移動度分光分析計は、オービトラップ110から出射したイオンを、イオン移動度の1つ以上の関数にしたがって経時的に分離するように動作可能である。この章において説明した実施形態のいずれの実施態様においても、更に他の変形(variant)では、イオン源202および/またはイオン処理機器204において、単一ステージまたはマルチステージ・イオン移動度分光分析計の上流および/または下流側に動作可能に位置付けられた質量分光分析計を含んでもよい。
[0061] 図9Aに示すイオン分離機器200の更に他の具体的な実施態様として、イオン源202は、実例として、2つのステージを含み、イオン処理機器204を除外する。これは、限定であると解釈しては決してならない。この実施態様例では、イオン源ステージISは従来の液体クロマトグラフ、例えば、分子保持時間にしたがって溶液中の分子を分離するように構成されたHPLC等であり、イオン源ステージISは、従来のイオン源、例えば、エレクトロスプレイ等である。この実施態様では、液体クロマトグラフは、溶液中の分子成分を分離するように動作可能であり、イオン源ステージISは、液体クロマトグラフから出た溶液流からイオンを生成するように動作可能であり、オービトラップ110は、イオン源ステージISによって生成されたイオンを分析するように動作可能である。この例の代替実施態様では、イオン源ステージISは、代わりに、溶液中の分子を大きさによって分離するように動作可能な従来のサイズ排除クロマトグラフィ(SEC:size-exclusion chromatograph)であってもよい。他の代替実施態様では、イオン源ステージISが、従来の液体クロマトグラフと、その後ろに従来のSECとを含んでもよく、またはこの逆を含んでもよい。この実施態様では、イオンが、イオン源ステージISによって、2回分離された溶液から生成される。1回目は分子保持時間にしたがって分離され、続いて2回目は分子サイズにしたがって分離される、またはこの逆でもよい。この章において説明した実施形態のいずれの実施態様においても、更に他の変形では、イオン源ステージIS2とオービトラップ110との間に動作可能に位置付けられた質量分光分析計を含んでもよい。
[0062] これより図9Bを参照すると、イオン分離機器210の他の実施形態の簡略ブロック図が示されている。実例として、イオン分離機器210は、マルチステージ質量分光分析機器220を含み、更に、オービトラップ110を含むCDMS206も含む。即ち、先に説明したように、高質量イオン分析コンポーネントとして実装され、オービトラップに基づくCDMS206である。図示する実施形態では、マルチステージ質量分光分析機器220は、本明細書において図示および説明したイオン源(IS)202、その後ろにありこれに結合された第1の従来の質量分光分析計(MS1)222、その後ろにありこれに結合された従来のイオン解離ステージ(ID)224であって、例えば、衝突誘発解離(CID)、表面誘発解離(SID)、電子捕獲解離(ECD)、および/または光誘発解離(PID)等の内1つ以上によって、質量分光計222から出射したイオンを解離させるように動作可能な、従来のイオン解離ステージ(ID)224、その後ろにありそれに結合された第2の従来の質量分光分析計(MS2)226、その後ろにある、例えば、マイクロチャネル・プレート検出器または他の従来のイオン検出器のような従来のイオン検出器(D)228を含む。CDMS206は、CDMS206が、選択的に質量分光分析計222および/またはイオン解離ステージ224からイオンを受け取ることができるように、イオン解離ステージ224と並列に結合されている。
[0063] 例えば、イオン分離機器220のみを使用するMS/MSは、定着した手法であり、特定の分子重量の先駆イオンが、それらのm/z値に基づいて、第1質量分光分析計222(MS1)によって選択される。質量によって選択された先駆イオンは、例えば、衝突誘発解離、表面誘発解離、電子捕獲解離、または光誘発解離によって、イオン解離ステージ224において断片化される。断片イオンは、次いで、第2質量分光分析計226(MS2)によって分析される。MS1およびMS2の双方において、先駆イオンおよび断片イオンのm/z値だけが測定される。高質量イオンでは、荷電状態が解明されず、したがってm/z値のみに基づいて特定の分子重量の先駆イオンを選択するのは不可能である。しかしながら、機器220を、図9Bにおいて説明したCDMS206に結合することによって、m/z値の狭い範囲を選択し、次いでCDMS206を使用して、m/zによって選択された先駆イオンの質量を判定することが可能になる。質量分光分析計222、226は、例えば、磁気セクタ型質量分光分析計、飛行時間質量分光分析計、または四重極質量分光分析計の内1つまたは任意の組み合わせでもよいが、代替実施形態では、他の型式の質量分光分析計も使用することができる。いずれにしても、m/zによって選択され、既知の質量を有し、MS1から出射した先駆イオンを、イオン解離ステージ224において断片化することができ、次いで、結果的に得られた断片イオンをMS2によって(m/z比率のみが測定される)および/またはCDMS機器206によって(m/z比率および電荷が同時に測定される)分析することができる。低質量の断片、即ち、閾値の質量値、たとえば、10,000Da(または他の質量値)よりも低い質量値を有する先駆イオンの解離イオンは、したがって、従来のMSによって、MS2を使用して分析することができ、一方高質量の断片(荷電状態は解明されていない)、即ち、閾値の質量値以上の質量値を有する先駆イオンの解離イオンは、CDMS206によって分析することができる。
[0064] 1つ以上の電荷検出最適化技法をオービトラップ110で使用するだけでもよく、および/または添付図面において図示し本明細書において説明したシステム200、210の内任意のものにおいて、例えば、電荷検出イベントのために使用してもよいことは理解されよう。このような電荷検出最適化技法の一部の例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,296号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019____号において図示および説明されている。これらは、双方共、APPARATUS AND METHOD FOR CAPTURING IONS IN AN ELECTROSTATIC LINEAR ION TRAP(静電線形イオン・トラップにおけるイオン捕獲装置および方法)と題題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[0065] 更に、1つ以上の電荷較正またはリセット装置をオービトラップ110の内部および/または外部電極のみと使用してもよく、および/または添付図面において図示し本明細書において説明したシステム200、210の内任意のものにおいて使用してもよいことも理解されよう。1つのこのような電荷較正またはリセット装置の例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,272号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019____号において図示および説明されている。これらは双方共、APPARATUS AND METHOD FOR CALIBRATING OR RESETTING A CHARGE DETECTOR(電荷検出器を較正または再設定するための装置および方法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[0066] 本明細書において図示および説明したシステム200、210の内任意のものイオン源202においてというように、1つ以上のイオン源最適化装置および/または技法を、オービトラップ110に入射するイオンが生成されるイオン源の1つ以上の実施形態と共に、使用してもよいことも理解されよう。その一部の例が、2018年6月4日に出願され、HYBRID ION FUNNEL-ION CARPET (FUNPET) ATMOSPHERIC PRESSURE INTERFACE FOR CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY(電荷検出質量分光分析のための混成イオン・ファンネル-イオン・カーペット(FUNPET)大気圧インターフェース)と題する同時係属中の米国特許出願第62/680,223号、および2019年1月11日に出願に出願され、INTERFACE FOR TRANSPORTING IONS FROM AN ATMOSPHERIC PRESSURE ENVIRONMENT TO A LOW PRESSURE ENVIRONMENT(大気圧環境から低圧環境にイオンを輸送するためのインターフェース)と題する同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019____号において図示および説明されている。これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[0067] 更にまた、オービトラップ110のみ、および/または添付図面において図示し本明細書において説明したシステム200、210のいずれにおいて実装されたオービトラップ110も、リアル・タイム分析および/またはリアル・タイム制御技法にしたがって動作するように構成されたシステムに実装されてもよいことも理解されよう。その一部の例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,245号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019____号において図示および記載されている。これらは双方共、CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY WITH REAL TIME ANALYSIS AND SIGNAL OPTIMIZATION(リアル・タイム分析および信号最適化を行う電荷検出質量分光分析法)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[0068] 更にまた、添付図面において図示し本明細書において説明したシステム200、210の内任意のものというようなシステムにおけるオービトラップ110が、2つ以上のオービトラップを有する少なくとも1つのオービトラップ・アレイの形態で設けられてもよいこと、そして本明細書において説明した概念は、1つ以上のこのようなオービトラップ・アレイを含むシステムに直接適用可能であることは理解されよう。2つ以上のオービトラップ110を配置することができるこのようなアレイ構造の一部の例が、2018年6月4日に出願された同時係属中の米国特許出願第62/680,315号、および2019年1月11日に出願された同時係属中の国際特許出願第PCT/US2019____号において図示および説明されている。これらは双方共、ION TRAP ARRAY FOR HIGH THROUGHPUT CHARGE DETECTION MASS SPECTROMETRY(高スループット電荷検出質量分光分析のためのイオン・トラップ・アレイ)と題し、これらの特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が全て明示的に本願にも含まれるものとする。
[0069] 以上の図面および説明において本開示を詳しく図示し説明したが、これは性質上限定ではなく例示と見なされるものであり、その例示的な実施形態が図示および説明されたに過ぎないこと、そして本開示の主旨に該当する全ての変更および修正は保護されることが望まれることは理解されよう。例えば、オービトラップにおける単一イオン電荷検出精度の向上について、いくつか説明した。その中には、指定された外形の目標を達成するために種々のオービトラップ・コンポーネントの外形を設計することが含まれる。また、オービトラップにおける他の単一イオン電荷検出精度向上についても説明した。その中には、 内部電極を同一の軸方向半体に分割し、2つの内部電極半体を第2イオン電荷検出器として使用することが含まれる。外部電極上で測定した電荷検出信号を、内部電極上で測定した電荷検出信号と組み合わせ、複合電荷検出信号を生成する。本開示によれば、ある実施形態では、いずれか1組の改良をオービトラップに実施して、他方を除外してもよいこと、そして他の実施形態では、双方の組の改良を一緒にオービトラップにおいて実施してもよいことは理解されよう。

Claims (42)

  1. オービトラップであって、
    中央を貫通する長手方向軸と、前記長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極であって、前記横断面が通過する前記長手方向軸の周囲に最大半径Rを定める湾曲外面を有する、細長内部電極と、
    前記横断面が通過する前記長手方向軸の周囲に最大半径Rを定める湾曲内面を有する細長外部電極であって、前記外部電極の内面と前記内部電極の外面との間に空洞が定められるように、R>Rとした、細長外部電極と、
    前記空洞内にイオンを捕捉し、前記捕捉したイオンに、前記内部電極の周囲を回転させ、前記内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、前記回転および発振するイオンが、前記内部および外部電極の少なくとも1つの上に電荷を誘発する、手段と、
    を備え、
    およびRが、ln(R/R)の関数として、誘発電荷の割合を最大化する値を有するオービトラップ。
  2. 請求項1記載のオービトラップにおいて、前記オービトラップが、前記確立された電界がもはやイオンを長手方向軸に向けて引きつけない、前記長手方向軸からの半径方向距離に対応する特性半径Rを、前記長手方向軸を中心として定め、
    前記RおよびRが、R/Rの関数として誘発電荷の割合を最大化する値を有するオービトラップ。
  3. 請求項1または請求項2記載のオービトラップにおいて、前記内部電極の外面が、その長手方向中央において最大半径Rを有し、軸方向に延びるスピンドル状輪郭を定め、
    前記外部電極の内面の最大半径Rが、前記内部電極の外面の最大半径Rに、半径方向に対向するように、前記外部電極の内面が、その長手方向中央において最大半径Rを有する前記内部電極の外面の輪郭に従う、オービトラップ。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記内部電極が一元部材を含み、前記外部電極が、2つの軸方向に離間された外部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、
    前記回転および発振するイオンが、前記外部電極半体の各々上に電荷を誘発し、
    更に、前記外部電極半体上において、前記回転および発振するイオンによって誘発された電荷を検出し、発振毎に検出した電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路を備える、オービトラップ。
  5. 請求項4記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記外部電極半体の一方上において誘発された電荷を、前記外部電極半体の他方上において誘発された電荷から差し引くことによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  6. 請求項4または請求項5記載のオービトラップであって、更に、前記測定イオン電荷信号を処理して、前記イオンの質量電荷比を、前記長手方向軸に沿ったイオンの高調波発振の周波数の関数として判定し、前記測定イオン電荷信号に基づいて前記イオンの電荷を判定し、前記判定した電荷および前記判定した質量電荷比に基づいて、前記イオンの質量を判定するように構成されたプロセッサを備える、オービトラップ。
  7. 請求項1から3までのいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記内部電極が、軸方向に離間された2つの内部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、前記外部電極が、軸方向に離間された2つの外部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、
    前記回転および発振するイオンが、前記外部電極半体の各々、および前記内部電極半体の各々上に電荷を誘発し、
    更に、前記回転および発振するイオンによって、前記外部電極半体上および前記内部電極半体上に誘発された電荷を検出し、発振毎に検出された電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路を備える、オービトラップ。
  8. 請求項7記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記横断面の一方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和を、前記横断面の他方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和から差し引くことによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  9. 請求項8記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    反対側の両端が前記内部電極半体のそれぞれに結合された一次コイルと、反対側の両端が前記外部電極半体の対応するそれぞれに結合された二次コイルと、補助二次コイルとを有する変圧器と、
    前記補助二次コイルの一端に結合された入力と、前記測定イオン電荷信号を生成する出力とを有する信号増幅器と、
    を含む、オービトラップ。
  10. 請求項7記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記内部電極半体の一方上に誘発された電荷と前記内部電極半体の他方上に誘発された電荷との差と、前記外部電極半体の一方上に誘発された電荷と前記外部電極半体の他方上に誘発された電荷の差とを加算することによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  11. 請求項7記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    前記内部および外部電極半体の各々上において検出された電荷を、ディジタル電荷検出値に変換する回路と、
    前記ディジタル電荷検出値を組み合わせて、ディジタル測定電荷検出値の形態で、前記測定イオン電荷号を生成するプロセッサと、
    を含む、オービトラップ。
  12. 請求項7から11までのいずれか1項記載のオービトラップであって、更に、前記測定イオン電荷信号を処理して、前記イオンの質量電荷比を、前記長手方向軸に沿ったイオンの高調波発振の周波数の関数として判定し、前記測定イオン電荷信号に基づいて前記イオンの電荷を判定し、前記判定した電荷および前記判定した質量電荷比に基づいて、前記イオンの質量を判定するように構成されたプロセッサを備える、オービトラップ。
  13. オービトラップであって、
    中央を貫通する長手方向軸と、前記長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極と、
    前記横断面が通過する前記長手方向軸の周囲に最大半径Rを有する湾曲内面を定める細長外部電極であって、前記内部電極の外面と前記外部電極の内面との間に空洞が定められる、細長外部電極と、
    前記空洞内にイオンを捕捉し、前記捕捉したイオンに、前記内部電極の周囲を回転させ、前記内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、前記回転および発振するイオンが、前記内部および外部電極の少なくとも1つの上に電荷を誘発する、手段と、
    前記確立された電界がもはやイオンを長手方向軸に向けて引きつけない前記長手方向軸からの半径方向距離に対応し、前記長手方向軸を中心とする、特性半径Rと、
    を備え、
    およびRの値が、(R/R)の関数として前記誘発電荷の割合を最大化するオービトラップ。
  14. 請求項13記載のオービトラップにおいて、
    前記内部電極が一元部材を含み、前記外部電極が、2つの軸方向に離間された外部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、
    前記回転および発振するイオンが、前記外部電極半体の各々上に電荷を誘発し、
    更に、前記外部電極半体上において、前記回転および発振するイオンによって誘発された電荷を検出し、発振毎に検出した電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路を備える、オービトラップ。
  15. 請求項14記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記外部電極半体の一方上において誘発された電荷を、前記外部電極半体の他方上において誘発された電荷から差し引くことによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  16. 請求項14または請求項15記載のオービトラップであって、更に、前記測定イオン電荷信号を処理して、前記イオンの質量電荷比を、前記長手方向軸に沿ったイオンの高調波発振の周波数の関数として判定し、前記測定イオン電荷信号に基づいて前記イオンの電荷を判定し、前記判定した電荷および前記判定した質量電荷比に基づいて、前記イオンの質量を判定するように構成されたプロセッサを備える、オービトラップ。
  17. 請求項13記載のオービトラップにおいて、前記内部電極が、軸方向に離間された2つの内部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、前記外部電極が、軸方向に離間された2つの外部電極半体を含み、前記横断面がその間を通過し、
    前記回転および発振するイオンが、前記外部電極半体の各々、および前記内部電極半体の各々上に電荷を誘発し、
    更に、前記回転および発振するイオンによって、前記外部電極半体上および前記内部電極半体上に誘発された電荷を検出し、発振毎に検出された電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路を備える、オービトラップ。
  18. 請求項17記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記横断面の一方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和を、前記横断面の他方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和から差し引くことによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  19. 請求項18記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    反対側の両端が前記内部電極半体のそれぞれに結合された一次コイルと、反対側の両端が前記外部電極半体の対応するそれぞれに結合された二次コイルと、補助二次コイルとを有する変圧器と、
    前記補助二次コイルの一端に結合された入力と、前記測定イオン電荷信号を生成する出力とを有する信号増幅器と、
    を含む、オービトラップ。
  20. 請求項17記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記内部電極半体の一方上に誘発された電荷と前記内部電極半体の他方上に誘発された電荷との差と、前記外部電極半体の一方上に誘発された電荷と前記外部電極半体の他方上に誘発された電荷との差とを加算することによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  21. 請求項17記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    前記内部および外部電極半体の各々上において検出された電荷を、ディジタル電荷検出値に変換する回路と、
    前記ディジタル電荷検出値を組み合わせて、ディジタル測定電荷検出値の形態で、前記測定イオン電荷号を生成するプロセッサと、
    を含む、オービトラップ。
  22. 請求項17から21までのいずれか1項記載のオービトラップであって、更に、前記測定イオン電荷信号を処理して、前記イオンの質量電荷比を、前記長手方向軸に沿ったイオンの高調波発振の周波数の関数として判定し、前記測定イオン電荷信号に基づいて前記イオンの電荷を判定し、前記判定した電荷および前記判定した質量電荷比に基づいて、前記イオンの質量を判定するように構成されたプロセッサを備える、オービトラップ。
  23. 請求項13から22までのいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記内部電極の外面が、その長手方向中央において前記長手方向軸を中心として最大半径Rを有し、軸方向に延びるスピンドル状輪郭を定め、
    前記外部電極の内面が、前記内部電極の外面の輪郭に従い、前記外部電極の内面の最大半径Rが、前記内部電極の最大半径Rと半径方向に対向するように、その長手方向中央において最大半径Rを有する、オービトラップ。
  24. オービトラップであって、
    中央を貫通する長手方向軸と、前記長手方向軸に対して垂直に中央を通過する横断面とを定める細長内部電極であって、2つの軸方向に離間された内部電極半体を定め、その間を前記横断面が通過する、細長内部電極と、
    2つの軸方向に離間された外部電極半体を定め、その間を前記横断面が通過する、細長外部電極と、
    前記内部電極の外面と前記外部電極の内面との間において、前記長手方向軸を中心として半径方向に、更に前記内部および外部電極に沿って軸方向に定められた空洞と、
    前記空洞内にイオンを捕捉し、前記捕捉したイオンに、前記内部電極の周囲を回転させ、前記内部電極に沿って軸方向に発振させるように構成された電界を確立する手段であって、前記回転および発振するイオンが、前記内部および外部電極半体上に電荷を誘発する、手段と、
    前記内部電極半体上および外部電極半体上において、前記回転および発振するイオンによって誘発された電荷を検出し、発振毎に検出した電荷を組み合わせて、測定イオン電荷信号を生成するように構成された電荷検出回路と、
    を備える、オービトラップ。
  25. 請求項24記載のオービトラップにおいて、前記内部電極の外面が、その長手方向中央において前記長手方向軸を中心として最大半径Rを有し、軸方向に延びるスピンドル状輪郭を定め、
    前記外部電極の内面が、その長手方向中央において前記長手方向軸を中心として最大半径Rを有し、前記内部電極の外面の輪郭に従い、R>Rであり、前記外部電極の内面の最大半径Rが、前記内部電極の最大半径Rに、半径方向に対向する、オービトラップ。
  26. 請求項25記載のオービトラップにおいて、RおよびRが、ln(R/R)の関数として、誘発電荷の割合を最大化する値を有するオービトラップ。
  27. 請求項25または請求項26記載のオービトラップにおいて、前記オービトラップが、前記確立された電界がもはやイオンを長手方向軸に向けて引きつけない前記長手方向軸からの半径方向距離に対応する特性半径Rを、前記長手方向軸を中心として定め、
    前記RおよびRが、R/Rの関数として誘発電荷の割合を最大化する値を有するオービトラップ。
  28. 請求項24から27までのいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記横断面の一方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和を、前記横断面の他方側において前記内部電極半体上に誘発された電荷と前記外部電極半体上に誘発された電荷との和から差し引くことによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  29. 請求項28記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    反対側の両端が前記内部電極半体のそれぞれに結合された一次コイルと、反対側の両端が前記外部電極半体の対応するそれぞれに結合された二次コイルと、補助二次コイルとを有する変圧器と、
    前記補助二次コイルの一端に結合された入力と、前記測定イオン電荷信号を生成する出力とを有する信号増幅器と、
    を含む、オービトラップ。
  30. 請求項24から27までのいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、前記内部電極半体の一方上に誘発された電荷と、前記内部電極半体の他方上に誘発された電荷との差と前記外部電極半体の一方上に誘発された電荷と前記外部電極半体の他方上に誘発された電荷との差とを加算することによって、前記検出電荷を組み合わせるように構成される、オービトラップ。
  31. 請求項24から27のいずれか1項記載のオービトラップにおいて、前記電荷検出回路が、
    前記内部および外部電極半体の各々上において検出された電荷を、ディジタル電荷検出値に変換する回路と、
    前記ディジタル電荷検出値を組み合わせて、ディジタル測定電荷検出値の形態で、前記測定イオン電荷号を生成するプロセッサと、
    を含む、オービトラップ。
  32. 請求項24から31までのいずれか1項記載のオービトラップであって、更に、前記測定イオン電荷信号を処理して、前記イオンの質量電荷比を、前記長手方向軸に沿ったイオンの高調波発振の周波数の関数として判定し、前記測定イオン電荷信号に基づいて前記イオンの電荷を判定し、前記判定した電荷および前記判定した質量電荷比に基づいて、前記イオンの質量を判定するように構成されたプロセッサを備える、オービトラップ。
  33. イオン分離システムであって、
    試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、
    前記生成されたイオンを、少なくとも1つの分子特性の関数として分離するように構成された少なくとも1つのイオン分離機器と、
    請求項1から32までのいずれか1項記載のオービトラップであって、更に、前記内部電極周囲の回転および前記内部電極に沿った軸方向の発振のために、前記少なくとも1つのイオン分離機器から出射した1つのイオンの前記空洞への通過を可能にするように構成された開口を含む、オービトラップと、
    を備える、イオン分離システム。
  34. 請求項33記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのイオン分離機器が、質量電荷比の関数としてイオンを分離する少なくとも1つの機器、イオン移動度の関数としてイオンを時間的に分離する少なくとも1つの機器、イオン保持時間の関数としてイオンを分離する少なくとも1つの機器、および分子サイズの関数としてイオンを分離する少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  35. 請求項33記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのイオン分離機器が、質量分光分析計およびイオン移動度分光計の内の1つまたは組み合わせを含む、システム。
  36. 請求項33から35までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記イオン源と前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記イオン源と前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  37. 請求項33から36までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記少なくとも1つのイオン分離機器と前記オービトラップとの間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記少なくとも1つのイオン分離機器と前記オービトラップとの間に位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  38. 請求項33から37までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記オービトラップが、イオンがそこから出射することを可能にするように構成された少なくとも1つの開口を定め、
    前記システムが、更に、前記オービトラップから出射したイオンを受け取り、前記受け取ったイオンを、少なくとも1つの分子特性の関数として分離するように位置付けられた少なくとも1つのイオン分離機器を備える、システム。
  39. 請求項38記載のシステムであって、更に、前記オービトラップと前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記オービトラップと前記少なくとも1つのイオン分離機器との間に位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  40. 請求項38記載のシステムであって、更に、前記オービトラップから出射したイオンを受け取るように態勢が整えられた(itself positioned)前記少なくとも1つのイオン分離機器から出射したイオンを受け取るように位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記オービトラップから出射したイオンを受け取るように位置付けられた前記少なくとも1つのイオン分離機器から出射したイオンを受け取るように位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  41. 請求項33から37までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記オービトラップが、イオンが当該オービトラップから出射することを可能にするように構成された少なくとも1つの開口を定め、
    前記システムが、更に、前記オービトラップから出射したイオンを受け取るように位置付けられた少なくとも1つのイオン処理機器を備え、前記オービトラップから出射したイオンを受け取るように位置付けられた前記少なくとも1つのイオン処理機器が、イオンを収集または格納する少なくとも1つの機器、分子特性にしたがってイオンをフィルタリングする少なくとも1つの機器、イオンを解離させる少なくとも1つの機器、およびイオン荷電状態を正規化するまたは移す少なくとも1つの機器の内の1つまたは任意の組み合わせを含む、システム。
  42. イオン分離システムであって、
    試料からイオンを生成するように構成されたイオン源と、
    前記生成されたイオンを、質量電荷比の関数として分離するように構成された第1質量分光分析計と、
    前記第1質量分光分析計から出射したイオンを受け取るように位置付けられ、前記第1質量分光分析計から出射したイオンを解離するように構成されたイオン解離ステージと、
    前記イオン解離ステージから出射した解離イオンを、質量電荷比の関数として、分離するように構成された第2質量分光分析計と、
    請求項1から32までのいずれか1項記載のオービトラップを含み、前記第1質量分光分析計および前記イオン解離ステージのいずれかから出射したイオンを受け取ることができるように、前記イオン解離ステージと並列に結合された電荷検出質量分光分析計(CDMS)と、
    を備え、
    前記第1質量分光分析計から出射した先駆イオンの質量が、前記CDMSを使用して測定され、閾値質量未満の質量値を有する前駆イオンの解離イオンの質量電荷比が、前記第2質量分光分析計を使用して測定され、前記閾値質量以上の質量値を有する先駆イオンの解離イオンの質量電荷比および電荷値が、前記CDMSを使用して測定される、イオン分離システム。
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