JP2021525095A - Dna−ポア−ポリメラーゼ複合体の酵素的濃縮 - Google Patents

Dna−ポア−ポリメラーゼ複合体の酵素的濃縮 Download PDF

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Abstract

本発明は、シーケンシング複合体を単離するための方法を提供する。該方法は、ポリメラーゼに共有結合的に連結されたナノポアと精製部分に結合したオリゴヌクレオチドとの間に複合体を形成することと、精製部分に結合することができる固体支持体を使用して複合体から任意の非結合/非複合ナノポア及びオリゴヌクレオチドを分離することと、酵素組成物を用いて固体支持体から結合複合体を切断することと、を含む。【選択図】図2

Description

ポリメラーゼ複合体を単離し、続いて、ポリヌクレオチドのナノポアシーケンシングを可能にするためポリメラーゼ複合体がバイオチップの膜に組み込まれる方法が開示される。また、活性ポリメラーゼ複合体を単離するための核酸アダプター、核酸アダプターを含むポリメラーゼ複合体、及び核酸アダプターを用いて活性ポリメラーゼ複合体を単離するための方法が開示される。
ナノポアは核酸の配列及び構造を調べるためのラベルフリーのプラットフォームとして最近出現した。データは、典型的には、電圧クランプ増幅器によって制御される単一のポアを通る電場を印加することによって決定されるように、DNA配列に相関するイオン電流変化の時系列として報告される。数百から数千の分子を高帯域幅及び空間分解能で調べることができる。
信頼できるDNA分析ツールとしてのナノポアの成功に対する障害は、バイオチップ上のウェルの大部分の使用を可能にする充分な数の機能的シーケンシング複合体を得ること、及びキロベース長以上(一本鎖ゲノムDNA若しくはRNA)又は小分子(例えば、ヌクレオシド)のような長いポリマーのシーケンシングが増幅又は標識を必要とすることである。
したがって、改良されたシーケンシング収率(例えば、バイオチップ上の改良された数の機能的シーケンシング複合体)、及び鋳型ポリヌクレオチドの増幅又は標識を伴わないシーケンシング又は同定を可能にする、シーケンシング複合体が必要とされている。
本開示は、シーケンシング複合体を単離するための方法を提供する。該方法は、ポリメラーゼに共有結合的に連結されたナノポアと精製部分に結合したオリゴヌクレオチドとの間に複合体を形成することと、精製部分に結合することができる固体支持体を使用して複合体から任意の非結合/非複合ナノポア及びオリゴヌクレオチドを分離することと、酵素組成物を用いて固体支持体から結合複合体を切断することと、を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)試料DNAに濃縮プライマーをアニーリングして、アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを形成すること;と、(b)該アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドの精製;と、(c)コンジュゲートを該アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドと組み合わせて、1ポット(Eintopf)を形成すること;と、(d)該1ポットを、該精製部分に結合することができる固体支持体と組み合わせて、濃縮1ポットを生成すること;と、(d)該1ポットを、該精製部分に結合することができる固体支持体と組み合わせて、濃縮1ポットを生成すること;と、(e)リンカーを酵素組成物で切断して該精製部分を放出し、それによってシーケンシング複合体を放出して、濃縮シーケンシング複合体溶液を提供することと、を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)コンジュゲートと精製部分を含むアニーリング鋳型オリゴヌクレオチドと組み合わせて1ポットを形成することで、該コンジュゲートが該アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドに結合してシーケンシング複合体を形成することを可能にすること;と、(b)該1ポットを、該精製部分に結合することができる固体支持体と組み合わせて、該アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを生成すること;と、(c)結合したシーケンシング複合体から結合していない複合体成分を分離すること;と、(d)該リンカーを酵素組成物で切断して該精製部分を放出することであって、ここで、該精製部分が該固体支持体と結合したままであり、それによって該シーケンシング複合体を放出すること;と、(e)該シーケンシング複合体から該固体支持体を分離して、濃縮シーケンシング複合体溶液を提供することと、を含む。
全ての実施形態では、該濃縮プライマーは、アダプターの一部に相補的なオリゴヌクレオチド、酵素的に切断可能なリンカー、及び精製部分を含む。全ての実施形態では、該リンカーは、非塩基部位又は少なくとも1つのウラシル残基を含む。
全ての実施形態では、該試料DNAは、直鎖、環状、又は自己プライミングのいずれかである。いくつかの実施形態では、該試料DNAは、少なくとも1つのアダプターに連結されている。いくつかの実施形態では、アダプターは、該試料DNAの各末端に連結されている。いくつかの実施形態では、アダプターは、ダンベル型アダプターである。全ての実施形態では、該アダプターは、該濃縮プライマーに結合することができるプライマー認識配列を含む。
いくつかの実施形態では、該アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを精製することは、二本鎖DNAに選択的に結合する固体支持体への結合を含む。いくつかの実施形態では、アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドは、コンジュゲートと複合体化される前に精製されない。全ての実施形態では、二本鎖DNAは、長さが100塩基対より長い、長さが500bpより長い、又は長さが1000bpより長い。いくつかの実施形態では、二本鎖DNAは、複数のDNA断片のコンカテマである。全ての実施形態では、試料DNAは、試料識別子及び/又は患者識別子を含むバーコードを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズを含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、常磁性ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズは、カルボキシル部分を含む。
いくつかの実施形態では、該精製部分に結合することができる該固体支持体は、ビーズである。いくつかの実施形態では、ビーズは、ストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、ビーズは、常磁性ビーズである。
全ての実施形態では、溶液中のシーケンシング複合体の濃度は、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きい。
全ての実施形態では、酵素組成物は、エンドヌクレアーゼVIII、エンドヌクレアーゼIII、リアーゼ、グリコリアーゼ、又はそれらの組合せを含む。
一実施形態では、バイオチップを調製するための方法であって、(a)シーケンシング複合体の単離;と、(b)シーケンシング複合体を該バイオチップの脂質二重層上に流すこと;と、(c)該脂質二重層にシーケンシング複合体を挿入するのに充分な電圧をチップに印加することと、を含む、方法。いくつかの実施形態では、該バイオチップは、少なくとも500,000個のナノポアシーケンシング複合体1mmの該ナノポアシーケンシング複合体の密度を有する。いくつかの実施形態では、シーケンシング複合体の少なくとも70%は、機能性ナノポア−ポリメラーゼ複合体である。
図1は、本開示に記載され、本方法において使用される種々の構成成分の図案である。 図2は、本明細書に記載される方法の図案画である。 図3は、ナノポア検出方法において使用されるpUC19ダンベル型DNA鋳型の5466bp配列を図示する。 図3は、ナノポア検出方法において使用されるpUC19ダンベル型DNA鋳型の5466bp配列を図示する。 図4は、直鎖アダプター(上)及びHEGアダプター(下)を図示する。図面は、配列番号11、12、11、及び12を、それぞれ外観順に開示している。
本明細書及び添付の特許請求の説明では、単数形「a」及び「an」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は複数のタンパク質を含み、「化合物」への言及は複数の化合物を指す。「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含むこと(including)」の使用は、交換可能であり、限定することを意図しない。様々な実施形態の説明が用語「含むこと(comprising)」を使用する場合、当業者であれば、いくつかの特定の例において、実施形態は、語「から本質的になる」又は「からなる」を用いて代替的に説明することができるということを理解するであろうことを、更に理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、値の各介在整数及び値の各介在整数の各10分の1は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、その範囲の上限と下限との間、及びその記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在する値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲内のいずれかの具体的に除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が制限の一方又は両方を含む場合は、包含された制限の(i)一方又は(ii)両方を除いた範囲もまた、本発明に含まれる。例えば、「1〜50」は、「2〜25」、「5〜20」、「25〜50」、「1〜10」等を含む。
図面を含む前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はどちらも、例示的及び説明的だけであり、本開示を制限するものではないことを理解されたい。
定義
「核酸」とは、本明細書で用いる場合、核酸塩基、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらのバリアントの1つを含む、1つ以上の核酸サブユニットの分子を指す。核酸は、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドとも呼ばれるヌクレオチド(例えば、dAMP、dCMP、dGMP、dTMP)のポリマーを指すことができ、一本鎖及び二本鎖の両方の形態のDNA、RNA、及びそれらのハイブリッドを含む。
「ヌクレオチド」とは、本明細書で用いる場合、核酸ポリメラーゼの基質又は阻害剤として作用することができるヌクレオシド−5’−オリゴホスフェート化合物又はヌクレオシド−5’−オリゴホスフェートの構造類似体を指す。例示的なヌクレオチドとしては、これらに限定されないが、ヌクレオシド−5’−トリホスフェート(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、及びdUTP);長さが4以上のホスフェート(例えば、5’−テトラホスホスフェート(5’−tetraphosphosphate)、5’−ペンタホスホスフェート、5’−ヘキサホスホスフェート、5’−ヘプタホスホスフェート、5’−オクタホスホスフェート)である5’−オリゴホスフェート鎖を有するヌクレオシド(例えば、dA、dC、dG、dT、及びdU);並びに、修飾核酸塩基部分(例えば、置換プリン又はピリミジン核酸塩基)、修飾糖部分(例えば、O−アルキル化糖)、及び/又は修飾オリゴホスフェート部分(例えば、チオ−ホスフェート、メチレン、及び/又はホスフェート間の他の架橋を含む、オリゴホスフェート)を有し得るヌクレオシド−5’−トリホスフェートの構造類似体が挙げられる。
「ヌクレオシド」は、本明細書で用いる場合、糖部分(例えば、リボース又はデオキシリボース)に結合した天然又は非天然の核酸塩基を含む分子部分を指す。
「ポリメラーゼ」は、本明細書で用いる場合、核酸ポリマーを形成するためのヌクレオチド単量体の重合のような、重合反応を触媒することができる任意の天然又は非天然の酵素又は他の触媒を指す。本開示の組成物及び方法において使用され得る例示的ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ(例えば、クラスEC2.7.7.7の酵素)、RNAポリメラーゼ(例えば、クラスEC2.7.7.6又はEC2.7.7.48の酵素)、逆転写酵素(例えば、クラスEC2.7.7.49の酵素)、及びDNAリガーゼ(例えば、クラスEC6.5.1.1の酵素)などの核酸ポリメラーゼを含む。
「部分」とは、本明細書で用いる場合、分子の一部を指す。
「リンカー」とは、本明細書で用いる場合、2つ以上の分子、分子基、及び/又は分子部分の間のいくらかの空間との結合付着を提供する任意の分子部分を指す。
「タグ」とは、本明細書で用いる場合、タグにカップリングされた分子又は分子複合体を直接的又は間接的に検出及び/又は同定する能力を可能にするか又は増強する部分又は分子の一部を指す。例えば、タグは、立体的なバルク又は体積、静電荷、電気化学ポテンシャル、光学的、及び/又は分光学的特徴などの検出可能な性質又は特徴を提供することができる。
「ナノポア」とは、本明細書で用いる場合、約1オングストローム〜約10,000オングストロームの特徴的な幅又は直径を有する膜又は他の障壁材料内に形成されるか、又は他の方法で提供される、ポア、チャネル、又は通路を指す。ナノポアは、S.aureus由来のα−溶血素といった天然に存在するポア形成タンパク質、又はα−HL−C46といったような非天然か(すなわち、操作された)若しくは天然に存在するかのいずれかである、野生型ポア形成タンパク質の変異体若しくはバリアントから作ることができる。膜は、脂質二重層のような有機膜、又は天然に存在しないポリマー材料から作られた合成膜であり得る。ナノポアは、センサ、センシング回路、又は例えば相補型金属酸化膜半導体(complementary metal−oxide semiconductor:CMOS)回路若しくは電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)回路のようなセンシング回路に結合された電極に隣接して、又は近接して、配置することができる。
「ナノポア検出性タグ」とは、本明細書で用いる場合、ナノポアに入り、ナノポアに位置付けられ、ナノポアに捕捉され、ナノポアを通って移動し、及び/又はナノポアを横切り、これにより、ナノポアを通じて電流の検出可能な変化をもたらすことができるタグを指す。例示的なナノポア検出性タグとしては、天然又は合成ポリマー、例えばポリエチレングリコール、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、炭水化物、ペプチド核酸ポリマー、ロックド核酸ポリマーが挙げられる、これらに限定されず、これらのいずれも、検出可能なナノコア電流の変化をもたらすことができる、色素部分又はフルオロフォアなどの化学基で任意に修飾又は連結されてもよい。
「イオン流」とは、本明細書で用いる場合、アノードとカソードとの間の電位などの起電力に起因する、典型的には溶液中でのイオンの移動を指す。イオン流は、典型的には、電流又は静電ポテンシャルの減衰として測定することができる。
「イオン流変化」とは、ナノポア検出に関連して本明細書で用いる場合、その「開口チャネル」(open channel:O.C.)状態でナノポアを通るイオン流に対して、ナノポアを通るイオン流の減少又は増加をもたらす特徴を指す。
「開口チャネル電流」、「O.C.電流」、又は「バックグラウンド電流」とは、本明細書で用いる場合、電位が印加され、ナノポアが開いている際に(例えば、ナノポア中にタグは存在しない)、ナノポアを横切って測定される電流レベルを指す。
「タグ電流」とは、本明細書で用いる場合、電位が印加され、タグがナノポアに存在する場合、ナノポアを横切って測定される電流レベルを指す。例えば、タグの特定の特徴(例えば、全体的な電荷、構造等)に応じて、ナノポア内のタグの存在は、ナノポアを通るイオン流を減少させることができ、それによって、測定されたタグ電流レベルの減少をもたらす。
「複合体成分」とは、本明細書で用いる場合、シーケンシング複合体を形成するのに必要な非結合成分を指す。構成成分は、精製部分と結合したポリヌクレオチド鋳型、及びポリメラーゼ−ナノポア複合体を含む。ポリヌクレオチド鋳型は、ポリヌクレオチド鋳型又はアダプターが自己プライミングでない場合、オリゴヌクレオチドプライマーにアニーリングされてもよく、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーは精製部分を含む。オリゴヌクレオチドプライマー、又は自己プライミング鋳型若しくは自己プライミングアダプターは、精製部分を更に含む。
「1ポット(Eintopf)」とは、本明細書で用いる場合、シーケンシング複合体、すなわちアニーリング鋳型(例えば、鋳型−プライマーハイブリッド)、及びコンジュゲートのための要素を含むか、又は該要素からなる複合体を指す。溶液中でアニーリング鋳型及びコンジュゲートが結合すると、次いでシーケンシング複合体をそこから単離して、濃縮シーケンシング複合体を得ることができる。
「ポリメラーゼ複合体」とは、本明細書で用いる場合、ポリメラーゼ酵素とポリヌクレオチド鋳型基質との結合によって形成される複合体を指す。自己プライミングでないポリヌクレオチド鋳型は、鎖伸長を開始するためにオリゴヌクレオチドプライマーを必要とする。したがって、自己プライミングポリヌクレオチドが存在しない場合、ポリメラーゼ複合体は、精製部分を含み得るオリゴヌクレオチドプライマーを更に含むことができる。
「濃縮シーケンシング複合体」とは、本明細書で用いる場合、シーケンシング複合体を形成するように結合していない複合体成分が除去されて、少なくとも70%、75%、80%、又は85重量%のシーケンシング複合体である溶液を生じるように、1ポットを含む(comprinsing)溶液から濃縮されているシーケンシング複合体を含む溶液を指す。
「コンジュゲート」とは、本明細書で用いる場合、ポリメラーゼに共有結合しているナノポアを指す。
「捕捉複合体」とは、本明細書で用いる場合、ポリメラーゼ酵素、ポリヌクレオチド鋳型、及び捕捉オリゴヌクレオチドの結合によって形成される複合体を指す。
「捕捉オリゴヌクレオチド」又は「濃縮プライマー」は、交換可能に使用され、本明細書で用いる場合、固体支持体に結合しているシーケンシング複合体を固定化するのに役立つ精製部分を含む、オリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、精製部分は、固体支持体上の精製部分結合パートナー、例えばストレプトアビジン又は修飾ストレプトアビジンに結合する、ビオチン又は修飾ビオチンであり得る。鋳型オリゴヌクレオチドが自己プライミングである場合、精製部分は自己プライミング鋳型に組み込まれ(下記の通り)、したがって、コンジュゲートと結合した場合、捕捉オリゴヌクレオチドである。
「ポリヌクレオチド鋳型」及び「ポリヌクレオチド基質鋳型」とは、本明細書で用いる場合、相補的核酸鎖がポリヌクレオチドポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼによって合成されるポリヌクレオチド分子を指す。ポリヌクレオチド鋳型は、直鎖状、ヘアピン状、又は連続的であり得る。連続鋳型は、環状又はダンベル型であり得る。ヘアピン状鋳型は自己プライミング鋳型であり得るか、又は普遍的なプライミング配列を含み得る。
使用されるような「プライミング鋳型」及び「アニーリング鋳型」とは、精製部分と結合している鋳型オリゴヌクレオチドを指す。したがって、鋳型オリゴヌクレオチドが自己プライミングである場合、精製部分は自己プライミング鋳型に組み込まれる。加えて、アダプターが鋳型オリゴヌクレオチドに連結され、該アダプターが自己プライミングである場合、精製部分は自己プライミングアダプターに組み込まれる。最後に、鋳型オリゴヌクレオチドがプライマーにアニーリングされている場合、プライマーは精製部分を含む。
「精製部分」とは、本明細書で用いる場合、シーケンシング複合体の精製を助ける部分を指す。
「シーケンシング複合体」とは、本明細書で用いる場合、プライミング鋳型、例えばアニーリング鋳型に結合しているDNAポリメラーゼに共有結合的に連結されたポアを指す。
「濃縮」とは、本明細書で用いる場合、それが含まれる試料の少なくとも75重量%又は少なくとも80重量%の濃度で試料中に存在する分子を指す。
「ビオチン化された」とは、本明細書で用いる場合、修飾された分子、例えば、核酸分子(一本鎖又は二本鎖DNA、RNA、DNA/RNAキメラ分子、核酸アナログ、及び、ヌクレオチド配列、例えばペプチド核酸(PNA)若しくはそれらの任意の修飾を含むか又は組み込んだ任意の分子を含む)、タンパク質(糖タンパク質、酵素、ペプチドライブラリ又はディスプレイ製品、及びそれらの抗体又は誘導体を含む)、ペプチド、炭水化物、又は多糖類、脂質等を指し、ここで、該分子は、ビオチン又はビオチン類似体に共有結合している。多くのビオチン化リガンドは市販されているか、又は標準的な方法によって調製することができる。生体分子、例えば核酸分子又はタンパク質分子をビオチンにカップリングする方法は、当該技術分野において周知である(Bayer及びWilchek、「Avidin−Biotin Technology:Preparation of Biotinylated Probes」、Methodsin Molec.Biology、第10巻第137〜148頁(1992年))。
使用されるような「結合パートナー」とは、別の生物学的分子との特異的若しくは非特異的結合又は相互作用が可能な任意の生物学的分子又は他の有機分子を指し、この結合又は相互作用は、「リガンド」結合又は相互作用と称され、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクタ、又は抑制因子/誘導因子結合又は相互作用によって例示されるが、これらに限定されない。本明細書における用語「結合パートナー」とは、本明細書に記載される単離方法において使用される親和性複合体のパートナー、例えばビオチン−ビオチン結合パートナーを指す。
「ビオチン結合」化合物は、本明細書で用いる場合、ビオチン又は任意のビオチン化合物に緊密に、しかし非共有結合的に結合することができる、任意の化合物を包含することが意図される。好ましいビオチン結合化合物には、修飾ストレプトアビジン及びアビジン、並びにその誘導体及び類似体、例えばニトロストレプトアビジンが含まれる。
「アビジン」とは、本明細書で用いる場合、天然卵白糖タンパク質アビジン、及びその誘導体又は等価物、例えばN−アシルアビジンの脱グリコシル化又は組換え形態、例えば、N−アセチル、N−フタリル、及びN−スクシニルアビジン、並びに市販のExtrAvidin、Neutralite Avidin、及びCaptAvidinを指す。
「ストレプトアビジン」とは、本明細書で用いる場合、Streptomycesの選択された株、例えばStreptomyces avidiniiによって産生される細菌性ストレプトアビジン、並びに、例えば「コア」ストレプトアビジンのような組換え及び切断ストレプトアビジンといったその誘導体又は等価物を指す。
鋳型ポリヌクレオチド
本明細書に提供される方法及び組成物は、一本鎖DNA;二本鎖DNA;一本鎖RNA;二本鎖RNA;DNA−RNAハイブリッド;修飾ヌクレオシド、ミッシング(missing)ヌクレオシド、非天然ヌクレオシド、合成ヌクレオシド、及び/又は希少ヌクレオシドを含む核酸;並びにその誘導体、模倣物、及び/又は組合せを含む、種々の異なる種類の核酸鋳型、新生鎖、及び二本鎖生成物に適用可能である。
本発明の鋳型核酸は、二本鎖DNA、一本鎖DNA、一本鎖DNAヘアピン、DNA/RNAハイブリッド、重合剤の結合のための認識部位を有するRNA、及びRNAヘアピンを含む、任意の好適なポリヌクレオチドを含むことができる。更に、標的ポリヌクレオチドは、イントロン、調節領域、対立遺伝子、バリアント、若しくは変異体;全ゲノム;又はそれの任意の一部といった、細胞のゲノムの特定の部分であり得る他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、アンチセンスRNA、又はRNAiであってもよく、又はこれらに由来してもよい。
鋳型核酸(例えば、ポリヌクレオチド)は、PNAなどの非天然核酸、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、240−O−メチル化オリゴヌクレオチド修飾リン酸主鎖などの生物学的RNA又はDNAに典型的でないヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド)を含むことができる。核酸は、例えば、一本鎖又は二本鎖であり得る。
本明細書中の方法において鋳型核酸を産生するために使用される核酸(すなわち、標的核酸)は、本質的に、本明細書中に提示される方法に修正することができる任意の種類の核酸であり得る。いくつかの場合において、標的核酸自体が、鋳型核酸として直接使用することができる断片を含む。典型的には、標的核酸は断片化され、鋳型としての使用のために更に処理される(例えば、アダプターで連結されるか、又は環状化される)。例えば、標的核酸は、DNA(例えば、ゲノムDNA、mtDNA等)、RNA(例えば、mRNA、siRNA等)、cDNA、ペプチド核酸(PNA)、増幅された核酸(例えば、PCR、LCR、又は全ゲノム増幅(WGA)による)、断片化及び/若しくはライゲーション修飾に供された核酸、全ゲノムDNA若しくはRNA、又はそれらの誘導体(例えば、化学的に修飾され、標識され、記録され、タンパク質結合され、又は他の方法で改変された誘導体)であり得る。
鋳型核酸は、直鎖、環状(循環重複性シーケンシング(circular redundant sequencing:CRS)用の鋳型を含む)、一本鎖若しくは二本鎖、及び/又は一本鎖領域を有する二本鎖(例えば、ステム・アンド・ループ構造)であり得る。鋳型核酸は、環境試料(例えば、海水、氷コア、土壌試料等)、培養試料(例えば、初代培養細胞若しくは細胞株)、病原体に感染した試料(例えば、ウイルス若しくは細菌)、組織若しくは生検試料、法医学試料、血液試料、又は生物、例えば、動物、植物、細菌、真菌、ウイルス等由来の別の試料から精製又は単離することができる。そのような試料は、タンパク質、脂質、及び非標的核酸などの様々な他の構成成分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、鋳型核酸は、生物由来の完全なゲノム試料である。他の実施形態では、鋳型核酸は、生物学的試料又はcDNAライブラリから抽出された全RNAである。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、血液又は血漿試料から得られた無細胞DNA(cfDNA)試料である。いくつかの実施形態では、血液試料は、胎児DNAを含む。
いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、アダプターに連結される。アダプターは、直鎖アダプター、ダンベル型アダプター、ヘキサエチレングリコール(HEG)アダプター等であってもよい。いくつかの実施形態では、アダプターは、捕捉オリゴヌクレオチドでアニーリングすることができる配列を含む。HEGアダプターは、ポリメラーゼ活性をブロックする18原子スペーサを含む。したがって、ポリメラーゼは従来のダンベル型アダプターのように両方の鎖を読み取るわけではない。ダンベル型アダプターは当技術分野で周知であり、他の箇所で説明されている。例えば、米国特許第US8153375号(Pacific Biosciences)を参照されたい。
ポリメラーゼ
シーケンシング複合体のポリメラーゼは、シーケンシングに使用される条件下でポリメラーゼ活性を保持する野生型又はバリアントポリメラーゼであり得る。本明細書に記載される組成物及び方法における使用を見出すポリメラーゼの例としては、phi29、pol6、及びエキソヌクレアーゼ欠損ポリメラーゼなどのそのバリアント、及び/又は動力学的特徴が変化したバリアントポリメラーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、配列番号3と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、Pol6ポリメラーゼである。
配列番号3(野生型Pol6(DNAポリメラーゼ[クロストリジウムファージphiCPV4];GenBank:AFH27113.1)
1 mdkhtqyvke hsfnydeykk anfdkiecli fdtesctnye ndntgarvyg wglgvtrnhn
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ナノポア
天然及び非天然(例えば、操作又は組換え)ポア形成タンパク質両方によって生成されたナノポアは、本明細書中での使用が見出される。本開示のイオン流改変タグのナノポア検出に有用なナノポアを生成するために使用することができる、広範囲のポア形成タンパク質が当技術分野で公知である。生物学的ナノポアには、E.coli種、Salmonella種、Shigella種及びPseudomonas種由来のOmpG、並びにS.aureus種由来のα溶血素、M.smegmatis種由来のMspAが挙げられる。代表的なポア形成タンパク質としては、α−溶血素、β−溶血素、γ−溶血素、エアロリジン、細胞溶解素、ロイコシジン、メリチン、MspAポリン、及びポリンAが挙げられるが、これらに限定されない。ナノポアは、野生型ナノポア、バリアントナノポア、又は修飾ナノポアあってもよい。
バリアントナノポアは、親酵素の特徴に対して変化する特徴を保有するように操作することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2015年10月28日出願の米国特許出願第14/924,861号、名称「alpha−Hemolysin Variants with Altered Characteristics」、及び2017年4月20日出願の米国特許出願第15/492,214号、名称「alpha−Hemolysin variants and Uses Thereof」を参照されたい。
他のバリアントナノポアは、例えば、2017年6月29日に出願された米国特許出願第15/638,273号、名称「Long Lifetime Alpha−Hemolysin Nanopores」に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。他の例示的な実施形態では、α−溶結素ナノポアのα−溶結素は、2017年3月29日出願の国際特許出願第PCT/EP2017/057433号、名称「Nanopore Protein Conjugates and Uses Thereof」に記載されているように修飾することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ポア形成タンパク質であるStaphyloccocus aureus由来のα−溶血素(本明細書では「α−HL」とも称する)は、ポア形成タンパク質のクラスの最も研究されたメンバの1つであり、ナノポア装置の作製に広く使用されている。(例えば、米国特許公開第2015/0119259号、同第2014/0134616号、同第2013/0264207号、及び同第2013/0244340号を参照されたい。)α−HLはまた、部位特異的突然変異誘発及び化学標識を含む広範囲の技術を用いて、シーケンシングされ、クローン化され、構造的及び機能的に広範に特徴付けられている(例えば、Valevaら(2001年)及びそこで引用されている参考文献を参照)。
天然に存在する(すなわち、野生型)α−HLポア形成タンパク質サブユニットのアミノ酸配列を以下に示す。
野生型α−HLアミノ酸配列(配列番号4)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK KLLVIRTKGT 60
IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF 120
NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG 180
PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK 240
QQTNIDVIYE RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTNGLSAWSH 300
PQFEK 305
上記の野生型α−HLアミノ酸配列は、置換の位置を決定するのに適した成熟配列であり、したがって、最初のメチオニン残基を含まない。いくつかの実施形態では、α−HLのサブユニットはアミノ酸G294で切断され、任意に、以下に開示されるようなC末端SpyTagペプチド融合を含む。
種々の非天然α−HLポア形成タンパク質が製造されており、これには、以下の置換の1つ以上を含むバリアントα−HLサブユニットが含まれるが、これらに限定されない:H35G、H144A、E111N、M113A、D127G、D128G、T129G、K131G、K147N、及びV149K。これらの種々の操作されたα−HLポアポリペプチドの特性は、例えば、米国公開特許出願第2017/0088588号、同第2017/0088890号、同第2017/0306397号、及び同第2018/0002750号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
ナノポアへのポリメラーゼの結合
α−HL単量体の七量体複合体は、脂質二重層膜に埋め込まれ、脂質二重層膜によりポアを形成するナノポアを、自発的に形成することはよく知られている。天然型α−HLと変異型α−HLとの比が6:1であるα−HLの七量体は、ナノポアを形成できることが示されている(例えば、Valevaら(2001年)「Membrane insertion of the heptameric staphylococcal alpha−toxin pore−A domino−like structural transition that is allosterically modulated by the target cell membrane」、「J.Biol.Chem.」、第276巻第18号第14835〜14841頁、及びそこで引用される参考文献を参照のこと)。七量体ポアの1つのα−HL単量体単位は、国際公開第WO2015/148402号に記載されているようなSpyCatcher/SpyTagコンジュゲーション法を用いてDNA−ポリメラーゼと共有結合させることができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる(また、Zakeri及びHowarth(2010年)「J.Am.Chem.Soc.」第132巻第4526〜7頁も参照)。簡単に説明すると、SpyTagペプチドをα−HLの1倍サブユニットのC末端に組換え融合物としてα結合させ、SpyCatcherタンパク質断片を鎖伸長酵素、例えばPol6 DNAポリメラーゼのN末端に組換え融合物として結合させる。SpyTagペプチド及びSpyCatcherタンパク質断片は、SpyCatcherタンパク質のリジン残基とSpyTagペプチドのアスパラギン酸残基との反応を受け、2つのα−HLサブユニットを酵素に結合させる共有結合を生じる。
概して、α−HLサブユニットは、野生型で又は当該技術分野で公知の他の操作されたα−HLタンパク質で使用されるのと同じ方法で、七量体α−HLナノポアを調製するために使用される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、ナノポア装置と共に使用することができる。七量体α−HLナノポアは、各々がポリメラーゼを結合するリンカーを有しない6つのサブユニットと、SpyTagペプチドであるAHIVMVDAYK(配列番号5)を含むC末端融合(切断された野生型配列の294位から始まる)を有する1つのサブユニットと、を有する。SpyTagペプチドは、Pol6 DNAポリメラーゼなどのSpyCatcher修飾鎖伸長酵素へのナノポアのコンジュゲーションを可能にする。
いくつかの実施形態では、突然変異体のC末端SpyTagペプチド融合は、リンカーペプチド(例えば、GSSGGSSGG(配列番号6))、SpyTagペプチド(例えば、AHIVMVDAYKPTK(配列番号7))、及び末端Hisタグ(例えば、KGHHHHHH(配列番号8))を含む。したがって、C末端SpyTagペプチド融合体は、次のアミノ酸配列を含む:GSSGGSSGGAHIVMVDAYKPTKKGHHHHHH(配列番号9)。いくつかの実施形態では、C末端SpyTagペプチド融合は、野生型α−HLサブユニット配列に対して切断された、1つのサブユニットの294位において結合される。(例えば、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第WO2017125565A1号に開示されているような、配列番号2のC末端SpyTagペプチド融合を参照されたい)。
ポリメラーゼをナノポアに結合させるための例示的な方法は、リンカー分子をナノポアに結合させること、又は結合部位を有するようにナノポアを変異させ、次いで、ポリメラーゼを結合部位又は結合リンカーに結合させることを含む。ポリメラーゼは、ナノポアが膜に挿入される前に、結合部位又は結合リンカーに結合される。いくつかの場合において、コンジュゲートは、バイオチップのウェル及び/又は電極上に配置された脂質膜に挿入される。
いくつかの例では、ポリメラーゼは、SpyCatcherポリペプチドを含む融合タンパク質として発現され、これは、SpyTagペプチドを含むナノポアに共有結合することができる(Zakeriら、PNAS109、第E690〜E697頁(2012年))。
コンジュゲート、例えば、ポリメラーゼ−ナノポア複合体は、任意の好適な方法で形成することができる。ポリメラーゼのナノポアへの結合は、SpyTag/SpyCatcherペプチド系(Zakeriら、PNAS109:E690−E697(2012年))天然化学ライゲーション(Thapaら、「Molecules」第19巻第14461−14483頁(2014年)、ソルターゼ系(Wu及びGuo、「J Carbohydr Chem」、第31巻第48〜66頁(2012年);Heckら、「Appl Microbiol Biotechnol」、第97巻第461〜475頁(2013年))、トランスグルタミナーゼ系(Dennlerら、「Bioconjug Chem」、第25巻第569〜578頁(2014年))、ホルミルグリシン連結(Rashidianら、「Bioconjug Chem」、第24巻第1277〜1294頁(2013年))、又は当該技術分野で公知の他の化学的ライゲーション技術を用いて、達成することができる。
いくつかの例では、ポリメラーゼは、Solulink(商標)ケミストリを用いてナノポアに連結される。Solulink(商標)はHyNic(6−ヒドラジノ−ニコチン酸、芳香族ヒドラジン)と4FB(芳香族アルデヒドである4−ホルミルベンゾエート)との反応であり得る。いくつかの例では、ポリメラーゼは、クリックケミストリ(例えば、LifeTechnologiesより入手可能)を用いてナノポアに連結される。
いくつかの場合において、ジンクフィンガ突然変異をナノポア分子に導入し、次いで、分子(例えば、DNA中間分子)を使用して、Pol6ポリメラーゼをナノポア、例えばα−溶血素上のジンクフィンガ部位に連結する。
その上、ポリメラーゼは、結合部位においてナノポアに結合したリンカー分子によって、ナノポア、例えば、aHL、OmpGに結合することができる。いくつかの場合において、ポリメラーゼは、分子ステープルを用いてナノポアに結合される。いくつかの例では、分子ステープルは、3つのアミノ酸配列(リンカーA、B、及びCと称する)を含む。リンカーAはナノポア単量体から伸長することができ、リンカーBはポリメラーゼから伸長することができ、そして、リンカーCはリンカーAとBとを結合する(例えば、リンカーA及びBの両方をラップすることによって)ことができ、したがってポリメラーゼをナノポアに連結することができる。リンカーCはまた、リンカーA又はリンカーBの一部であるように構築することができ、これにより、リンカー分子の数を減少させる。
ポリメラーゼをナノポアに結合させる際の使用を見出すことができる他のリンカーは、直接的遺伝的連結(例えば、(GGGGS)1−3アミノ酸リンカー(配列番号1))、トランスグルタミナーゼ媒介連結(例えば、RSKLG(配列番号2))、ソルターゼ媒介連結、及びシステイン修飾を介する化学的連結である。本明細書において有用であると考えられる特異的リンカーは、(GGGGS)1−3(配列番号1)、N末端上のKタグ(RSKLG(配列番号2))、ΔTEV部位(12−25)、ΔTEV部位+SpyCatcherのN末端(12−49)である。
あるいは、α−HL単量体は、多数の位置に挿入されたシステイン残基置換を用いて操作することができ、マレイミド・リンカー・ケミストリを介してタンパク質の共有結合修飾を可能にする(例えば、Valevaら(2001年)を参照)。例えば、単一のα−HLサブユニットはK46C変異で修飾することができ、次いで、この変異は、テトラジン−トランス−シクロオクテン・クリック・ケミストリーの使用を可能にするリンカーで容易に修飾されて、DNAポリメラーゼのBst2.0バリアントを七量体6:1ナノポアに共有結合的に結合させることができる。そのような実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月22日に出願された米国特許出願第15/439,173号、名称「Pore−forming Protein Conjugate Compositions and Methods」に記載されている。
鎖伸長酵素をナノポアに結合する他の方法には天然化学ライゲーション(Thapaら、「Molecules」第19巻第14461−14483頁(2014年)、ソルターゼ系(Wu及びGuo、「J Carbohydr Chem」、第31巻第48〜66頁(2012年);Heckら、「Appl Microbiol Biotechnol」、第97巻第461〜475頁(2013年))、トランスグルタミナーゼ系(Dennlerら、「Bioconjug Chem」、第25巻第569〜578頁(2014年))、ホルミルグリシン連結(Rashidianら、「Bioconjug Chem」、第24巻第1277〜1294頁(2013年))、又は当該技術分野で公知の他の化学的ライゲーション技術を挙げることができる。ポリメラーゼはまた、例えば、国際出願第PCT/EP2017/057002号(国際公開第WO2017/162828として公開;Genia Technologies,Inc.及びF.Hoffmann−La Roche AG)、同第PCT/US2013/068967号(国際公開第WO2014/074727号として公開;Genia Technologies,Inc.)、同第PCT/US2005/009702号(国際公開第WO2006/028508号として公開;President and Fellows of Harvard College)、及び同第PCT/US2011/065640号(国際公開第WO2012/083249号として公開;Columbia University)に記載の方法を用いてナノポアと結合することもできる。
ポリメラーゼの助けによるナノポアシーケンシングは、コンジュゲート(すなわち、ポリメラーゼ−ナノポア複合体)へのプライミング鋳型(例えば、精製部分と結合した標的ポリヌクレオチド)の結合によって形成される複合体をシーケンシングすることによって、達成される。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ−ポア複合体は、続いて鋳型に連結されてシーケンシング複合体を形成し、その後脂質二重層に挿入される。
ナノポアを通るイオン電流の流れの測定は、脂質膜に挿入(例えば、電気穿孔によって)されたナノポアを通じて行われる。ナノポアは、電気刺激、圧力刺激、液体流刺激、ガスバブル刺激、超音波処理、音、振動、又はそれらの任意の組合せなどの刺激シグナルによって挿入することができる。いくつかの場合において、膜は気泡の助けを借りて形成され、ナノポアは電気刺激の助けを借りて膜に挿入される。他の実施形態では、ナノポアは、それ自体を膜に挿入する。脂質二重層を構築し、核酸分子をシーケンシングするための方法は、PCT特許公開第WO2011/097028号及び同第WO2015/061510号にて見出すことができ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの例示的な実施形態では、ナノポアの特徴は、野生型ナノポアに対して改変される。いくつかの実施形態では、ナノポアシーケンシング複合体のバリアントナノポアは、それが由来するナノポアのイオン電流ノイズを低減するように操作される。変化した特徴を有するバリアントナノポアの例は、締め付け部位(constrictionsite)(その全体が参照により本明細書に組み込まれている、名称「OmpGVariants」で2016年9月20日出願の国際特許出願第PCT/EP2016/072224号)に一つ以上の突然変異を有するOmpGナノポアであって、これは親OmpGのものと比較して、イオンノイズレベルを減少させる。減少したイオン電流ノイズは、ポリヌクレオチド及びタンパク質の単一分子センシングにおけるこれらのOmpGナノポアバリアントの使用を提供する。他の実施形態では、バリアントOmpGポリペプチドを更に変異させて分子アダプターに結合させることができ、この分子アダプターは、ポア内に存在している間、ポアを通る分析物、例えばヌクレオチド塩基の移動を遅くし、その結果、分析物の同定の精度を向上させる(Astierら、「J Am Chem Soc」、第10巻1021/ja057123+、2005年12月30日オンライン公開)。
修飾バリアントナノポアは、典型的には、そのサブユニットがサブユニット間相互作用に影響を及ぼすように操作された多量体ナノポアである(その全体が参照により本明細書に組み込まれている、名称「Alpha−Hemolysin Variants」で2016年9月23日出願の米国特許出願第15/274,770号)。サブユニット相互作用の変化を利用して、脂質二重層中で多量体ナノポアを形成するように単量体がオリゴマ化する配列及び順序を特定することができる。この技術は、ナノポアを形成するサブユニットの化学量論を制御する。オリゴマ化の間のサブユニットの相互作用の配列を決定するようにサブユニットを修飾することができる多量体ナノポアの例には、aHLナノポアがある。
いくつかの例示的な実施形態では、単一のポリメラーゼが、各ナノポアに結合される。他の実施形態では、2つ以上のポリメラーゼが、単量体ナノポア、又はオリゴマのナノポアのサブユニットに結合される。
ナノポア装置
ナノポア装置及びそれらを作製し、ナノポア検出用途で使用する方法、例えば、イオン流改変タグ化ヌクレオチドを用いるナノポアシーケンシングは、当技術分野で公知である(例えば、米国特許第7,005号、同第264B2号;同第7,846,738号;同第6,617,113号;同第6,746,594号;同第6,673,615号;同第6,627,067号;同第6,464,842号;同第6,362,002号;同第6,267,872号;同第6,015,714号;同第5,795,782号;同第、並びに米国公開第2015/0119259号、同第2014/0134616,2013/0264207号、同第2013/0244340号、同第2004/0121525号、同第及び同第2003/0104428号を参照されたい。これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。概して、ナノポア装置は、脂質二重層膜に埋め込まれたポア形成タンパク質を含み、ここで、該膜は、ウェル又はリザーバを備える固体基板に固定化又は接続される。ナノポアのポアは膜を貫通して延び、膜のシス側とトランス側との間に流体接続を形成する。典型的には、固体基板は、ポリマー、ガラス、シリコン、及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む。加えて、固体基板は、ナノポア、センサ、センシング回路、又は、任意に相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路若しくは電界効果トランジスタ(FET)回路のようなセンシング回路に結合された電極に隣接して配置することができる。典型的には、ナノポアのポアを通るベースライン電流流(又はO.C.電流レベル)を生成する膜を横切って、DC又はAC電圧電位を設定することを可能にする、膜のシス側及びトランス側に電極がある。米国仮出願第62/636,807号、2018年2月28日出願、名称「Tagged Nucleoside Compounds Useful For Nanopore Detection」、国際特許出願第PCT/EP2016/070198号、2016年8月26日出願、名称「Polypeptide Tagged Nucleotides and Uses Thereof」、米国特許出願公開第US2013/0244340A1、2013年9月19日、名称「Nanopore Based Molecular Detection and Sequencing」、同第US2013/0264207A1号、2013年10月10日公開、名称「DNA Sequencing By Synthesis Using Modified Nucleotides And Nanopore Detection」、及び同第US2014/0134616A1、2014年3月14日公開、名称「Nucleic Acid Sequencing Using Tags」に記載されるようなタグの存在は、ナノポアを通る正イオンの流れの変化をもたらし、それによって、ナノポアのO.C.電流に対する電極間の電流レベルの測定可能な変化を生成する。
イオン流改変タグ化合物(すなわち、タグ化ヌクレオチド)は、天然に存在する及び天然に存在しない(例えば、操作又は組換え)ポア形成タンパク質の両方によって生成されたナノポアを含む、広範囲のナノポア装置と共に使用することができると考えられる。本開示のイオン流改変タグのナノポア検出に有用なナノポアを生成するために使用することができる、広範囲のポア形成タンパク質が当技術分野で公知である。代表的なポア形成タンパク質としては、α−溶血素、β−溶血素、γ−溶血素、エアロリジン、細胞溶解素、ロイコシジン、メリチン、MspAポリン、及びポリンAが挙げられるが、これらに限定されない。
天然に存在する(すなわち、野生型)α−HLポア形成タンパク質サブユニットのアミノ酸配列を以下に示す。
野生型α−HLアミノ酸配列(配列番号4)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK KLLVIRTKGT 60
IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF 120
NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG 180
PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK 240
QQTNIDVIYE RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTNGLSAWSH 300
PQFEK
上記の野生型α−HLアミノ酸配列は、本明細書に記載される置換の位置を決定するのに適した成熟配列であり、したがって、最初のメチオニン残基を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された突然変異を含むことに加えて、α−HLの変異体サブユニットもまた、アミノ酸G294で切断され、任意に、以下に開示されるようなC末端SpyTagペプチド融合を含む。
種々の非天然α−HLポア形成タンパク質が製造されており、これには、以下の置換の1つ以上を含むバリアントα−HLサブユニットが含まれるが、これらに限定されない:H35G、H144A、E111N、M113A、D127G、D128G、T129G、K131G、K147N、及びV149K。これらの種々の操作されたα−HLポアポリペプチドの特性は、例えば、米国公開特許出願第2017/0088588号、同第2017/0088890号、同第2017/0306397号、及び同第2018/0002750号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
ポリヌクレオチドのシーケンシング方法
本明細書の別の箇所に記載されているように、本明細書に記載のPol6ナノポアシーケンシング複合体のバリアントPol6ポリメラーゼを用いて特徴付けられる分子は、荷電ポリマー分子又は極性ポリマー分子などの荷電分子又は極性分子を含む、様々なタイプの分子であり得る。具体例としては、リボ核酸(RNA)分子及びデオキシリボ核酸(DNA)分子が挙げられる。DNAは、一本鎖DNA(ssDNA)分子又は二本鎖DNA(dsDNA)分子であり得る。リボ核酸は逆転写され、次いでシーケンシングされる。
ある特定の例示的な実施形態では、本明細書に提供される方法に従って調製したポリメラーゼ−鋳型複合体を用いて、すなわち、高濃度の塩で、及びヌクレオチドの非存在下で、核酸をシーケンシングするための方法が提供される。続いて、ポリメラーゼ−鋳型複合体をナノポアに結合させて、ポリヌクレオチド配列を検出するナノポアシーケンシング複合体を形成する。他の例示的な実施形態では、低ヌクレオチド濃度を用いて、高温で、過剰のポリメラーゼの存在下においてポリメラーゼ−鋳型複合体を形成するなどの本明細書に提供される方法に従って調製した、ポリメラーゼ−鋳型複合体を用いて、核酸をシーケンシングするための方法が提供される。続いて、ポリメラーゼ−鋳型複合体をナノポアに結合させて、ポリヌクレオチド配列を検出するナノポアシーケンシング複合体を形成する。
本明細書中で提供された組成物及び方法に従って調製したポリメラーゼ−鋳型複合体を含むナノポアシーケンシング複合体は、ポリヌクレオチドのシーケンシングにおいて酵素を利用する当業者に公知の、他のナノポアシーケンシングのプラットフォームを用いて、高濃度の塩で核酸の配列を決定するために使用することができる。同様に、提供された組成物及び方法に従って調製したポリメラーゼ−鋳型複合体を含むナノポアシーケンシング複合体は、ポリヌクレオチドのシーケンシングにおいて酵素を利用する当業者に公知の、例えば、他のナノポアシーケンシングのプラットフォームを用いて高温で核酸の配列を決定するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の方法に従って調製したポリメラーゼ−鋳型複合体を含むナノポアシーケンシング複合体は、Oxford Nanopore(オックスフォード、英国)、Illumina(カリフォルニア州サンディエゴ)のヘカリーゼ及びエキソヌクレアーゼベースの方法、並びにStratos Genomics(ワシントン州シアトル)のナノポアの伸長によるシーケンシング法(sequencing−by−expansion)に従って核酸をシーケンシングするために使用することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、核酸のシーケンシングは、本明細書に記載の方法に従って調製したポリメラーゼ−鋳型複合体を含むナノポアシーケンシング複合体を調製することと、国際出願第PCT/US2013/068967号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2013年11月7日に出願の、名称「Nucleic Acid Sequencing Using Tags」)に記載されているように、タグ化ヌクレオチドを用いて高濃度の塩でポリヌクレオチド配列を決定することと、を含む。例えば、1つ以上の検出電極に隣接して又はセンシング近接して、膜(例えば、脂質二重層)内に位置するナノポアシーケンシング複合体は、ヌクレオチド塩基が、ポリメラーゼに結合したポリヌクレオチドのそれと相補的な鎖に組み込まれ、ヌクレオチドのタグがナノポアによって検出される際、高濃度の塩のポリメラーゼによるタグ化ヌクレオチドの取り込みを検出することができる。ポリメラーゼ−鋳型複合体は、本明細書に提供されるように、ナノポアと結合させることができる。
タグ付けされたヌクレオチドのタグは、ナノポアによって検出され得る化学基又は分子を含むことができる。タグ化ヌクレオチドを提供するために使用されるタグの例は、国際出願第PCT/US2013/068967号の[0414]〜[0452]段落に少なくとも記載される。ヌクレオチドは、異なるヌクレオチドの混合物、例えば、Nがアデノシン(A)、シチジン(C)、チミジン(T)、グアノシン(G)、又はウラシル(U)であるタグ化dNTPの混合物から取り込まれ得る。あるいは、ヌクレオチドは、個々のタグ化dNTP、すなわち、タグ化dATP、続いてタグ化dCTP、続いてタグ化dGTP等の溶液から交互に取り込まれ得る。ポリヌクレオチド配列の決定は、タグがナノポアを通過する際若しくはタグがナノポアに隣接する際、タグがナノポア内に存在する際、及び/又はタグがナノポアに提示される際に、ナノポアがタグを検出する場合、発生し得る。各タグ化ヌクレオチドのタグは、ヌクレオチドのリン酸(例えば、γリン酸)、糖、又は窒素性塩基部分を含むがこれらに限定されない任意の位置で、ヌクレオチド塩基にカップリングされ得る。いくつかの場合において、タグは、ヌクレオチドタグの取込み中にポリメラーゼと結合している間に検出される。タグは、ヌクレオチドの取込み、及び続くタグの切断並びに/又は放出後に、ナノポアを介してタグが移動するまで検出し続けることができる。いくつかの場合において、ヌクレオチド取込み事象がタグ付けされたヌクレオチドからタグを放出し、タグはナノポアを通過して検出される。タグは、ポリメラーゼによって放出され得るか、又はポリメラーゼの近くに位置する酵素による切断を含むがこれらに限定されない任意の好適な方法で切断/放出され得る。このようにして、取り込まれた塩基を同定することができる(すなわち、A、C、G、T、又はU)が、これは、特有のタグが各タイプのヌクレオチドから放出されるからである(すなわち、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、又はウラシル)。いくつかの状況では、ヌクレオチド取込み事象は、タグを放出しない。このような場合、取り込まれたヌクレオチドに結合したタグは、ナノポアの助けを借りて検出される。いくつかの例では、タグは、ナノポアを通って、又はナノポアに近接して移動することができ、ナノポアの助けを借りて検出され得る。
したがって、一態様では、高濃度の塩でナノポアシーケンシング複合体の助けを借りて、試料、例えば生物学的試料からポリヌクレオチドをシーケンシングするための方法が提供される。試料ポリヌクレオチドを、高濃度の塩を含み、本質的にヌクレオチドを含まない溶液中でポリメラーゼと合わせて、ナノポアシーケンシング複合体のポリメラーゼ−鋳型複合体部分を得る。一実施形態では、試料ポリヌクレオチドは試料ssDNA鎖であり、これをDNAポリメラーゼと合わせて、ポリメラーゼ−DNA複合体、例えばPol6−DNA複合体を得る。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド試料のナノポアシーケンシングは、例えば100mMを超える高濃度の塩を含み、本質的にヌクレオチドを含まない溶液中に、ポリメラーゼ−鋳型複合体、例えばPol6−鋳型又はバリアントPol6−鋳型複合体を提供すること;と、ポリメラーゼ−鋳型複合体をナノポアに結合させて、ナノポアシーケンシング複合体を形成すること;と、鋳型依存性の鎖合成を開始させるヌクレオチドを提供することと、によって実施される。シーケンシング複合体のナノポア部分は、本明細書の別の箇所に記載されているように、検出電極に隣接して、又は検出電極に近接して、膜内に配置される。得られたナノポアシーケンシング複合体は、本明細書の別の箇所に記載されているように、高濃度の塩で試料DNAのヌクレオチド塩基の配列を決定することができる。他の実施形態では、ナノポアシーケンシング複合体は、二本鎖DNAの配列を決定する。他の実施形態では、ナノポアシーケンシング複合体は、一本鎖DNAの配列を決定する。更に他の実施形態では、ナノポアシーケンシング複合体は、逆転写産物をシーケンシングすることによってRNAの配列を決定する。
いくつかの実施形態では、ナノポアシーケンシングのための方法が提供される。本方法は、(a)高濃度の塩、例えば少なくとも100mMの塩を含み、かつヌクレオチドを含まない溶液中にポリメラーゼ−鋳型複合体を提供すること;と、(b)ポリメラーゼ−鋳型複合体をナノポアとみ合わせて、ナノポア−シーケンシング複合体を形成すること;と、(c)ナノポアシーケンシング複合体へタグ化ヌクレオチドを与えて、鋳型依存性ナノポアシーケンシングを開始すること;と、(d)ナノポアの助けを借りて、ヌクレオチドの各々の取り込み中に、タグ付けされたヌクレオチドの各々に結合したタグを検出して、鋳型のその配列を決定することと、を含む。ポリメラーゼ−鋳型複合体のポリメラーゼは、高濃度の塩でポリメラーゼ活性を保持する野生型又はバリアントポリメラーゼであり得る。本明細書に記載される組成物及び方法における使用が見出されるポリメラーゼの例には、本明細書の別の箇所に記載される耐塩性ポリメラーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ−鋳型複合体のポリメラーゼは、配列番号3と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、Pol6ポリメラーゼである。
いくつかの実施形態では、核酸試料をナノポアシーケンシングする方法が提供される。本方法は、本明細書中に提供されるバリアントPol6ポリメラーゼを備えるナノポアシーケンシング複合体を用いることを含む。一実施形態では、本方法は、Pol6ナノポアシーケンシング複合体にタグ付けされたヌクレオチドを提供することと、鋳型依存的な様式でヌクレオチドを取り込むために重合反応を実施することと、取り込まれたヌクレオチドの各々のタグを検出して鋳型DNAの配列を決定することと、を含む。
一実施形態では、タグ化ヌクレオチドは、本明細書中に提供されたバリアントPol6ポリメラーゼを含むPol6ナノポアシーケンシング複合体に提供し、該ナノポアシーケンシング複合体のバリアントPol6酵素の助けを借りて重合反応を行って、核酸試料由来の一本鎖核酸分子に相補的な成長中の鎖にタグタグ化ヌクレオチドを組み込み、そして個々のタグ化ヌクレオチドの取り込み中に、ナノポアの助けを借りて、該個々のタグ化ヌクレオチドと結合したタグを検出する。ここで、該タグは、ヌクレオチドがバリアントPol6ポリメラーゼと結合している間に、該ナノポアの助けを借りて検出される。
一態様では、高温にて低濃度のヌクレオチドで、ナノポアシーケンシング複合体の助けを借りて、試料、例えば生物学的試料からポリヌクレオチドをシーケンシングするための方法が提供される。例えば、試料ポリヌクレオチドは、高温であり、かつ低濃度のヌクレオチドを有する溶液中で、ポリメラーゼと組み合わされる。一実施形態では、試料ポリヌクレオチドは試料ssDNA鎖であり、これをDNAポリメラーゼと合わせて、ポリメラーゼ−DNA複合体、例えばPol6−DNA複合体を得る。温度は、本明細書に記載されるように、約40℃など室温より高くてもよい。ヌクレオチド濃度は、例えば、本明細書に記載されるように、約1.2μMであり得る。更に、溶液は、ポリメラーゼで飽和されているといった高濃度のポリメラーゼを含んでもよい。ポリメラーゼは、本明細書に記載されるようなバリアントポリメラーゼであり得る。
ある特定の例示的な態様では、ポリヌクレオチド鋳型のナノポアに基づくシーケンシングのための方法が提供される。本方法は、溶液が室温より高い温度といった高温である、低濃度のヌクレオチドを含む溶液中において、本明細書に記載のポリメラーゼ−鋳型複合体を形成することを含む。例えば、温度は、本明細書に記載されるように、約40℃であり得る。この方法は、形成されたポリメラーゼ−鋳型複合体をナノポアと組み合わせて、ナノポア−シーケンシング複合体を形成することを含む。次いで、タグ化ヌクレオチドをナノポアシーケンシング複合体に提供して、高温で鋳型の鋳型依存性ナノポアシーケンシングを開始することができる。ナノポアの助けを借りて、タグ付きヌクレオチドの各々がポリメラーゼと結合している間に、タグ化ヌクレオチドの各々の取り込み中にタグ化ヌクレオチドの各々と結合したタグを検出し、それによって、ポリヌクレオチド鋳型の配列を決定する。ある特定の例では、ポリメラーゼ−鋳型複合体を形成することに、溶液をポリメラーゼ−鋳型複合体のポリメラーゼで飽和させることが含まれる。ヌクレオチド濃度は、0.8μM〜2.2μM、例えば約1.2μMであり得る。温度は、例えば、約35℃〜45℃、例えば、約40℃であり得る。
ポリヌクレオチドをシーケンシングするための本発明のナノポアシーケンシング複合体によるタグ化ヌクレオチドの使用を含む、シーケンシング方法の他の実施形態は、国際公開第WO2014/074727号に提供されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
AC波形及びタグ化ヌクレオチドを用いる核酸のシーケンシングは、2013年11月6日に出願された米国特許公開第US2014/0134616号、名称「Nucleic Acid Sequencing Using Tags」に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。米国特許公開第US2014/0134616号に記載のタグ化ヌクレオチドに加えて、シーケンシングは、糖又は非環状部分を欠くヌクレオチド類似体、例えば、5つの一般的な核酸塩基:アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、及びチミジンの(S)−グリセロールヌクレオシド三リン酸(gNTP)を用いて行うことができる(Horhotaら、「Organic Letters」、第8巻第5345〜5347頁(2006年))。
以下の実験的開示では、次の略語が適用される:eq(等量);M(モル);μM(マイクロモル);N(標準);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μg(マイクログラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);°C(摂氏度);h(時間);min(分);sec(秒);msec(ミリ秒)。
実施例1−アニーリング鋳型の調製
本実施例は、アニーリング鋳型の調製方法に関する。
エッペンドルフチューブ(1.5mL)中において、25.0μLのアニーリング緩衝液(500mM NaCl、100mM Tris、pH8.0)、5.0μLの濃縮プライマー(20μM)、及び20μLのヌクレアーゼフリー水を混合することによって、プライマー混合物を調製した。濃縮プライマーは、鋳型DNAの一部に相補的なヌクレオチド配列、少なくとも1つのウラシル残基、及び精製部分に連結されたヌクレオチド配列を含む。
シーケンシングされる各試料用の別々のチューブにおいて、10μLのプライマー混合物を40μLの試料DNA(25nM)に添加し、混合した。
各チューブをサーモサイクラーに入れ、以下のプロトコルを用いてインキュベートした:45℃で30秒、20℃〜4℃まで−0.1℃/秒の速度で冷却。チューブをサーモサイクラーから取り出し、氷上に置くまで、温度を4℃に維持した。
各50μLのアニーリング反応に、75μLのAMPure XPビーズ(Beckman Coulter)を添加した(DNA:ビーズ比=1:1.5)。チューブを5秒間ボルテックスし、次いで短時間回転した。反応物を室温で10分間インキュベートし、その後、上清が除去されるまで、チューブを室温の磁気ラック上に数分間置いた。本実施例にはこのクリーンアップ工程が含まれているが、これは任意であり、省略することができる。上清を注意深く除去し、200μLの80%エタノールを加えた。チューブを磁気ラックに戻し、数分後にエタノールを除去した。ビーズをもう一度エタノールで注意深く洗浄し、上記のようにエタノールを除去した。ビーズを、10μLの緩衝液(75mM KGlu、20mM HEPES pH7.5、0.01%(重量/体積)Tween−20、5mM TCEP、8%(重量/体積)トレハロース、及び10μMのブロックドシトシン(例えば、dCpCpp(dCMPCPP)2’−デオキシシチジン−5’−[(α,β)−メチルエノ]トリホスフェート、ナトリウム塩)に再懸濁した。dpCpCppはdCTPのα,β非加水分解性類似体であり、チューブを短時間ボルテックスし、回転して、内容物をチューブの底に移す。チューブを室温で5分間インキュベートする。次いで、チューブを磁気ラック上に置き、上清が透明になるまで1分間磁化した。上清を注意深く取り出し、新しい0.2mLのPCRチューブに移す。上清はアニーリング鋳型を含有する。
実施例2−1ポット調製及び複合体形成
本実施例は、1ポット組成物の調製方法に関する。1ポットはアニーリング鋳型の溶液であり、シーケンシング複合体の形成を可能にするコンジュゲートである。
コンジュゲートはSpyTag/SpyCatcherシステムを用いて本明細書に記載の通りに調製した。1ポット緩衝液中10マイクロリットルの0.4μMコンジュゲート(75mM KGlu、20mM HEPES pH7.5、0.01%(重量/体積)Tween−20、5mM TCEP、8%(重量/体積)トレハロース、及び10μMのブロックドシトシン)を、実施例1で調製した通りに各アニーリング鋳型に加えた。得られたコンジュゲート:鋳型比はおよそ4:1であり、最終的なコンジュゲート濃度は400nMであり、全容量は20μLであった(すなわち、10μLのアニーリング鋳型及び10μLのコンジュゲート)。
次いで、チューブをサーモサイクラーに入れ、30分間36℃でインキュベートし、その後4℃まで冷却した。これにより、SpyTag部分とSpyCatcher部分との間に自発的なイソペプチド結合が形成される。終了の際、チューブをサーモサイクラーから取り出し、氷上に置くか、又は4℃で保持した。シーケンシング複合体を1ポット組成物の調製日に使用しない場合、以下の実施例3に記載される通りに、濃縮の準備ができるまで−80℃で貯蔵した。
実施例3−複合体濃縮
本実施例は、上記の実施例2で調製した1ポットからのシーケンシング複合体の濃縮に関する。
前濃縮−ビーズ洗浄
新しい1.5mLのチューブ中に、50μLのKilobaseBINDER Enrichment Beads(Thermo Fisher)を、シーケンシングすべき各試料についてアリコートした。チューブを磁気ラック上に置き、上清が透明になるまでビーズを2〜3分間分離した。ビーズ床を乱さないように注意しながら、上清を除去した。チューブがまだ磁気ラック上にある間に、500μLの1ポット緩衝液を加えた。ビーズ床を乱さないように注意しながら、上清をゆっくりと除去した。ビーズ床を乱したり又はビーズを乾燥させたりしないように注意しながら、別の500μLの1ポット緩衝液を添加し、除去した。次いで、チューブを磁気ラックから取り出し、短時間回転して、内容物をチューブの底に移した。チューブを再び磁気ラック上に置き、上清が透明になるまで1分間磁化した。任意の残った上清を注意深く除去し、20μLの1ポット緩衝液を加え、チューブを磁気ラックから除去した。チューブを激しくボルテックスしてビーズを再懸濁し、ベンチトップ微小遠心機中で短時間回転して、内容物をチューブの底に移した。これでビーズは洗浄され、濃縮プロトコルで使用する準備は整った。
濃縮
サーモミキサを20℃に予熱する。洗浄したビーズに、実施例2で調製した1ポット組成物20μLを加え、よく混合した。チューブをプログラム可能なサーモミキサに入れ、10分間20℃で1,200rpmにてインキュベートした。チューブを取り出し、磁気ラック上に置き、上清が透明になるまでビーズを2〜3分間分離した。ビーズ床を乱さないように注意しながら、上清をゆっくりと除去した。チューブがまだ磁気ラック上にある間に、500μLの洗浄緩衝液(300mM KGlu、20mM HEPES pH7.5、0.01%(重量/体積)Tween−20、5mM TCEP、8%(重量/体積)トレハロース、及び10μMのブロックドC)を加えた。ビーズ床を乱さないように注意しながら、上清をゆっくりと除去した。チューブを磁気ラックから取り出し、79μLの洗浄緩衝液及び1μLのUSER酵素をビーズに加えた。チューブをよく混合し、短時間回転して、内容物をチューブの底に移した。チューブをサーモミキサに入れ、10分間20℃で1,200rpmにてインキュベートした。チューブを取り出し、短時間回転し、磁気ラック上に置き、上清が透明になるまでビーズを2〜3分間分離した。再びビーズ床を乱さないように注意しながら、上清をゆっくりと除去し、新しい1.5mLチューブに移した。回収した2μLのDNAを使用し、製造業者の推奨プロトコルに従いQubit高感度(HS)dsDNAアッセイ(Thermo Fisher)を用いて、シーケンシング複合体に結合するdsDNAを定量化した。次の式を用いて濃度をnMに変換した:
Qubit濃度(ng/μL)×1e6/[平均断片長(nt)x660(g/mol)]=濃度(nM)
次いで、適切な量の洗浄緩衝液を添加することによって、DNAの濃度を6nMに調節した。次いで、シーケンシングで使用する準備が整うまで、6nMの試料を氷上で保存するか、又は12時間以内に使用される場合4℃で保持するか、又は−80℃で保存した。
この時点での組成物は、コンジュゲートに結合したプライミングされた鋳型(例えば、アニーリング鋳型、自己プライミング鋳型等)である、濃縮シーケンシング複合体と称される。
実施例4−シーケンシングのための調製
本実施例は、ナノポアシーケンシングに使用するための濃縮シーケンシング複合体の調製を説明する。
希釈体積及び負荷濃度の例を以下の表に示す:
Figure 2021525095
試料は、調製から12時間以内にシーケンシングへ進む準備ができるまで、4℃又は氷上で保存した。
実施例5−シーケンシング
本実施例は、ナノポアシーケンシングにおける濃縮シーケンシング複合体の使用を説明する。
バイオチップは、二重層が複数のウェル上に配置されている、複数のウェルを含む。二重層は、2014年10月23日に出願された国際出願第PCT/US14/61853号に記載されるように形成した。分子を検出する(及び/又は核酸をシーケンシングする)ために使用されるナノポア装置(又はセンサ)は、国際公開第WO2013123450号に記載されているように設定した。
電極をコンディショニングし、国際出願第PCT/US2013/026514号に記載される通り、リン脂質二重層をチップ上に確立した。上記の実施例4で得られた希釈した濃縮シーケンシング複合体をバイオチップ上に流し、2014年10月23日出願の国際出願第PCT/US14/61853号又は国際出願第PCT/US2013/026514号(国際公開第WO2013/123450号として公開)に記載されているように、シーケンシング複合体を挿入した。これらのプロトコルは、アニーリング鋳型が結合していないポア−ポリメラーゼ複合体の使用を説明しているが、同じプロトコルをシーケンシング複合体に使用してもよい。
ナノポアイオン流測定:複合体を膜に挿入した後、シス側の溶液をモル浸透圧濃度緩衝液で置換する:10mM MgCl、15mM LiOAc、5mM TCEP、0.5mM EDTA、20mM HEPES、300mMグルタミン酸カリウム、pH7.8、20℃。500μMである4つの異なるヌクレオチド基質のセットの各々を添加する。トランス側の緩衝溶液は次の通りである:10mM MgCl、15mM LiOAc、0.5mM EDTA、20mM HEPES、380mMグルタミン酸カリウム、pH7.5、20℃。これらの緩衝溶液をナノポアイオン流測定のための電解質溶液として使用する。Pt/Ag/AgCl電極設定を使用し、210mVのpk−to−pk波形のAC電流を976Hzで印加した。AC電流は、タグがナノポアに繰り返し配向され、次いでナノポアから排出されることを可能にし、それにより、ナノポアを通るイオン流から生じるシグナルを測定するより多くの機会を提供するので、ナノポア検出のための特定の利点を有する。また、正及び負のAC電流サイクル間のイオン流は、互いに反作用して、シス側からのイオン枯渇の正味速度を減少させ、この枯渇から生じるシグナルに対して起こり得る有害な影響を減少させる。
各々の異なるポリマー部分タグから生じる別の変化したイオン流事象を表すタグ電流レベルシグナルは、タグ付けされたヌクレオチドがDNA鋳型でプライミングされたα−HL−Pol6ナノポア−ポリメラーゼ・コンジュゲートによって捕捉される際に、観察される。これらの事象のプロットを経時的に記録し、分析する。概して、10msより長く続く事象は、鋳型鎖に相補的な正しい塩基のポリメラーゼ取込みと同時に、生産的なタグ捕捉が起こることを示す。
本出願において引用されている全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、全ての目的のために個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために参照により援用されることが個別に示されているのと同じ程度に、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に援用される。

Claims (15)

  1. シーケンシング複合体を単離する方法であって:
    (a)試料DNAに濃縮プライマーをアニーリングして、アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを形成すること;と、
    (b)前記アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを精製すること;と、
    (c)コンジュゲートを前記アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドと組み合わせて、1ポット(Eintopf)を形成すること;と、
    (d)前記1ポットを、前記精製部分に結合することができる固体支持体と組み合わせて、濃縮1ポットを生成すること;と、
    (e)リンカーを酵素組成物で切断して前記精製部分を放出し、それによってシーケンシング複合体を放出して、濃縮シーケンシング複合体溶液を提供することと、を含む、方法。
  2. シーケンシング複合体を単離する方法であって:
    (a)コンジュゲートを精製部分を含むアニーリング鋳型オリゴヌクレオチドと組み合わせて1ポットを形成し、前記コンジュゲートが前記アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドに結合してシーケンシング複合体を形成することを可能にすること;と、
    (b)前記1ポットを、前記アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドの前記精製部分に結合することができる固体支持体と組み合わせること;と、
    (c)結合したシーケンシング複合体から結合していない複合体成分を分離すること;と、
    (d)前記リンカーを酵素組成物で切断して前記精製部分を放出することであって、ここで、前記精製部分が前記固体支持体と結合したままであり、それによって前記シーケンシング複合体を放出する、放出すること;と、
    (e)前記シーケンシング複合体から前記固体支持体を分離して、濃縮シーケンシング複合体溶液を提供することと、を含む、方法。
  3. 前記濃縮プライマーが、アダプターの一部に相補的なオリゴヌクレオチド、酵素的に切断可能なリンカー、及び精製部分を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記リンカーが、非塩基部位又は少なくとも1つのウラシル残基を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記試料DNAが、直鎖、環状、又は自己プライミングのいずれかである、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記試料DNAが、少なくとも1つのアダプターに連結されている、請求項5に記載の方法。
  7. アダプターが、前記試料DNAの各末端に連結されている、請求項5に記載の方法。
  8. 前記アダプターが、ダンベル型アダプターである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記アダプターが、前記濃縮プライマーに結合することができるプライマー認識配列を含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記アニーリング鋳型オリゴヌクレオチドを精製することが、二本鎖DNAに選択的に結合する固体支持体への結合を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  11. 前記試料DNAが、バーコードを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記精製部分に結合することができる前記固体支持体が、ビーズである、請求項1又は2に記載の方法。
  13. 前記酵素組成物が、エンドヌクレアーゼVIII、エンドヌクレアーゼIII、リアーゼ、グリコリアーゼ、又はそれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  14. バイオチップを調製する方法であって、
    (a)請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によってシーケンシング複合体を単離すること;と、
    (b)シーケンシング複合体を前記バイオチップの脂質二重層上に流すこと;と、
    (c)前記脂質二重層にシーケンシング複合体を挿入するのに充分な電圧を前記チップに印加することと、を含む、方法。
  15. 前記バイオチップが、少なくとも500,000個のナノポアシーケンシング複合体1mmの前記ナノポアシーケンシング複合体の密度を有する、請求項14に記載の方法。
JP2020566216A 2018-05-28 2019-05-27 Dna−ポア−ポリメラーゼ複合体の酵素的濃縮 Pending JP2021525095A (ja)

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