JP2021524745A - 糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御する方法 - Google Patents

糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御するための方法に関する。この方法は、適切な温度及び/又はpHを選択することによる非フコシル化レベルの制御を含む。本発明はまた、本発明の方法に従って産生される糖タンパク質組成物に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、糖タンパク質組成物中の非フコシル化種の割合を調節するための方法と、本発明の方法によって得られる組成物とに関する。
タンパク質は、典型的には、その発現中に糖部分の付加を含む翻訳後修飾を受ける。このようなグリコシル化は、タンパク質の生物活性に大きな影響を与える可能性がある。例えば、多くの治療用抗体の重要な作用機序である抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、抗体のフコシル化のレベルに依存している。
詳しくは、フコシル化の量が減少したモノクローナル抗体は、それらのフコシル化された対応物と比較して、より高いADCCを示すことが見出されている。
糖タンパク質組成物における非フコシル化のレベルなどの翻訳後修飾を制御する必要がある。
本発明者らは、温度及び/又はpHを変化させることにより、タンパク質の非フコシル化レベルの制御された調節が可能になることを見出した。
詳しくは、本開示は以下に関する:
1.(A)又は(B)に従って糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御する方法:
(A)糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを、前記糖タンパク質組成物の基準非フコシル化レベルと比較して、上昇させる方法であって、
糖タンパク質を発現する真核細胞を、非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び/又は温度よりも低い温度及び/又はpHで、培養することを含む方法;又は
(B)糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを、前記糖タンパク質組成物の基準非フコシル化レベルと比較して、低下させるための方法であって、
糖タンパク質を発現する真核細胞を、非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び/又は温度よりも高い温度及び/又はpHで、培養することを含む方法。
2.非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用される温度よりも、温度のみが(A)低いか又は(B)高く、そしてpHが同じである、項目1に記載の方法。
3.非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpHよりも、pHのみが(A)低いか又は(B)高く、そして温度が同じである、項目1に記載の方法。
4.非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び温度よりも、温度及びpHの両方が(A)低いか又は(B)高い、項目1に記載の方法
5.真核細胞が哺乳動物細胞である、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
6.哺乳動物細胞がCHO細胞である、項目5に記載の方法。
7.糖タンパク質が抗体又は抗体断片である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
8.pH及び/又は温度の変化が産生段階に限定される、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
9.項目1〜8のいずれか1項に記載の方法により得られる糖タンパク質組成物。
10.項目9に記載の糖タンパク質組成物及び使用説明書を含むキット。
本発明の任意の特定の態様に関連して説明される、任意の、適切な、及び好ましい特徴を含む任意の特徴はまた、本発明の他の任意の態様の、任意の、適切な、及び好ましい特徴を含む特徴であり得る。
総非フコシル化グリカン(=A0+A1+A2+M4+M5+M6+M7+M8)のレベルに対するpH及び温度の複合効果を示す。示されたpHは、培養の5日目〜17日目の間に適用されたpHの上限を指す。
総高マンノースグリカン(=M4+M5+M6+M7+M8)のレベルに対するpH及び温度の複合効果を示す。
M6グリコフォーム(6個のマンノース糖を含む高マンノース種)のレベルに対するpH及び温度の複合効果を示す。
低非フコシル化プロセスと高非フコシル化プロセスからのアダリムマブ(adalimumab)試料の、総非フコシル化グリカンのレベル(=A0+A1+A2+M4+M5+M6+M7+M8)と総高マンノースグリカンのレベル(=M4+M5+M6+M7+M8)を示す。
低非フコシル化プロセスと高非フコシル化プロセスからのアダリムマブ試料の、総ガラクトシル化グリカンのレベル(=「FA2G1−1」+「FA2G1−2」+FA2G2+「ハイブリッド−F」)とG0の総レベルを示す。
低非フコシル化プロセスと高非フコシル化プロセスからのアダリムマブ試料の電荷変種の分布を示す。
低非フコシル化プロセスと高非フコシル化プロセスからのアダリムマブ試料の非フコシル化グリカンのレベルを示す。
本発明は、その幾つかの実施態様において、糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを制御するための方法、並びにこのような方法により得られる糖タンパク質組成物に関する。
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は実施例によって例示される詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施態様が可能であるか、又は様々な方法で実施若しくは実行され得る。
糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを制御するために、本発明者らは、細胞培養プロセス中の培地原料の添加及びパラメーターの調節を含む様々な方法で、糖タンパク質産生プロセスを操作について調査した。試験パラメーターの大部分は、非フコシル化のレベルに影響を与えなかった。しかしながら本発明者らは、非フコル化のレベルと、糖タンパク質を発現する細胞培養物のpH又は温度との相関関係を観測した。詳しくは、いずれかのパラメーターの操作は非フコシル化のレベルの変化と相関すること、及び組合せた両方のパラメーターの変更は、いずれかのパラメーター単独の操作と比較して、非フコシル化のレベルの変化の増大さえもたらすことが見出された。理論に拘束されるものではないが、非フコシル化レベルに対する温度及びpHの影響は、ゴルジ装置にかかるストレスに少なくとも部分的に依存し、従って発現される特定の糖タンパク質、又は糖タンパク質の発現に使用される特定の細胞とは無関係であると考えられる。
すなわち本発明は、糖タンパク質を発現する細胞培養物の温度及び/又はpHを変更することによって、糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを制御するための方法に関する。好ましくは、pH及び温度の両方が変更される。
本明細書で提供されるのは、糖タンパク質を発現する細胞培養物のpH及び/又は温度を低下させることにより、糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを上昇させる方法である。また本明細書で提供されるのは、糖タンパク質を発現する細胞培養物のpH及び/又は温度を上昇させることにより、糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを低下させるための方法である。幾つかの実施態様において、pH及び/又は温度は、糖タンパク質を発現し、かつその非フコシル化のレベルが基準値として役立つ細胞培養物のpH及び/又は温度と比較して、低下又は上昇する。
前記糖タンパク質を発現する細胞を培養し、そして細胞培養物の温度及び/又はpHを調整して、糖タンパク質組成物の所望の非フコシル化レベルに一致させることを含む、糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御するための方法が提供される。
糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御するための方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
(a)前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHで培養することにより得られる糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを、所望の非フコシル化レベルと比較する工程;
(b)前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHで培養することにより得られる非フコシル化レベルが、所望の非フコシル化レベルより低いか又は高いかを判定する工程;並びに
(c)(i)前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHで培養することにより得られる非フコシル化レベルが、所望の非フコシル化レベルより低い場合、前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHよりも低い温度及び/又はpHで培養する工程;あるいは
(ii)前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHで培養することにより得られる非フコシル化レベルが、所望の非フコシル化レベルより高い場合、前記糖タンパク質を発現する細胞を初期温度及び/又はpHよりも高い温度及び/又はpHで培養する工程。
細胞の生存活性及びタンパク質収量などの一般的に知られている基準は、本発明の方法で細胞を培養するための温度及びpHを選択するために考慮される。培養プロセスは典型的には、増殖期と産生期に分けられる。増殖期には、細胞の指数関数的増殖を促進する条件が選択されるが、産生期には、タンパク質産生を促進する条件が選択される。
温度及びpHを選択するための一般的に知られている基準とは別に、本発明の培養プロセスの温度及び/又はpHを選択するために、糖タンパク質組成物の所望の非フコシル化レベルがさらに考慮される。上記で概説したように、より高いレベルの非フコシル化が望まれる場合、より低いpH及び/又は温度を選択することができ、そしてより低いレベルの非フコシル化が望まれる場合、より高いpH及び/又は温度を選択することができる。
所望の非フコシル化レベルに応じた温度及び/又はpHの調整は、培養プロセス全体に及んでも、又はプロセスの一部、例えば、産生期に限定されてもよい。pH及び/又は温度はまた、2回以上調整することもできる。例えば、細胞の増殖期の初期温度及びpHの後、pH及び/又は温度は、産生期の開始時に特定の値に調整し、次いで産生期の後半に別の値に調整してもよい。pH及び/又は温度の調整はまた、細胞増殖中に観察される自然なpH低下のように、受動的に及び/又は徐々に起きることもある。
本発明の方法で選択されるpH及び/又は温度は、細胞を培養するために従来使用されているpH及び/又は温度と同一であってもよい。
また糖タンパク質を産生する細胞が低温及び/又は低pHで培養される、糖タンパク質を産生する方法が提供される。この方法により産生される糖タンパク質組成物は、特に高い非フコシル化レベルを有する。
1つの実施態様において、温度は、培養プロセスの少なくとも一部の間、例えば産生期の少なくとも一部の間、28〜34℃の範囲にある。好ましくは温度は、産生期の少なくとも一部の間、28〜30℃の範囲にあり、より好ましくは約29℃である。さらなる実施態様において、産生期の温度は、最初に少なくとも1日間32〜34℃の範囲にあり、好ましくは約33℃であり、そして次に少なくともさらにもう1日間28〜30℃の範囲にあり、好ましくは約29℃である。
1つの実施態様において、pHは、培養プロセスの少なくとも一部の間、例えば、産生期の少なくとも一部の間、pH6.6〜6.9の範囲にある。好ましくは、pHは、産生期の少なくとも一部、好ましくは全産生期の間、pH6.65〜6.8の範囲にあり、より好ましくは約pH6.7〜6.75である。
1つの実施態様において、産生期の少なくとも一部の間、温度は28〜34℃の範囲にあり、そしてpHは、pH6.6〜6.9の範囲にある。好ましくは、産生期の少なくとも一部、好ましくは全産生期の間、温度は、28〜30℃の範囲にあり、より好ましくは約29℃であり、そしてpHは、pH6.65〜6.8の範囲にあり、より好ましくは約pH6.7〜6.75である。幾つかの実施態様において、産生期の温度は、最初に少なくとも1日間32〜34℃の範囲にあり、好ましくは約33℃であり、そして次に少なくとももう1日間28〜30℃の範囲にあり、好ましくは29℃であり、そして全産生期の間、pHは約pH6.7〜6.75である。
本発明の方法に使用される細胞は、真核細胞、好ましくはゴルジ装置を有する細胞である。好ましくは、細胞は哺乳動物細胞、具体的には哺乳動物細胞株である。例示的な細胞株には、CHO、HeLa、COS、NS0、SP0、NIH3T3、HT1080、A549、U2OS、HEK293、P19、CAD、J558L、N2a、SO−Rb50、Y79、HepG2、PER.C6、HKB−11、CAP、HuH−7、及びL929が含まれる。最も好ましくは、使用される細胞株はCHO細胞株である。
本発明に適切なチャイニーズハムスター卵巣組織由来のCHO細胞又は細胞株は、チャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))の卵巣組織から樹立された細胞株である任意の細胞である。例には、Journal of Experimental Medicine, 108, 945 (1958); Proc. Nat Acad. Sci. USA, 60, 1275 (1968); Genetics, 55, 513 (1968); Chromosoma, 41, 129 (1973); Methods in Cell Science, 18, 115 (1996); Radiation Research, 148, 260 (1997); Proc. Nat Acad. Sci. USA, 77, 4216 (1980); Proc. Nat Acad. Sci., 60, 1275 (1968); Cell, 6, 121 (1975); Molecular Cell Genetics, Appendix I, II (pp. 883- 900)などの文献に記載されているCHO細胞が含まれる。さらに、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)に登録されているCHO−K1(ATCC CCL-61)、DUXB1 1(ATCC CCL-9096)、Pro−5(ATCC CCL-1781)、さらにはCHO−S(Life Technologies、Cat#1 1619)、又は様々な培地を使用して細胞株を適応させることによって得られるサブ細胞株もまた、本発明において使用され得る。
幾つかの実施態様において、宿主細胞は、CHO−1E5、CHO−S、CHO/DG44、CHO−3F、又はCHO−2.6クローンである。
本発明の改変された細胞培養条件下での糖タンパク質の発現後は、糖タンパク質を発現する細胞を採取し、従来の方法により糖タンパク質を精製することができる。
「糖タンパク質」とは、糖部分で修飾されたタンパク質のことをいう。幾つかの実施態様において、糖タンパク質は、治療的用途を有する。幾つかの実施態様において、糖タンパク質は、抗体、抗体断片、酵素、受容体、ホルモン、調節因子、及び成長因子からなる群より選択される。好ましくは、糖タンパク質は抗体である。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される「抗体」という用語は、インタクトなポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体だけでなく、特に他に明記しない限り、特異的結合についてインタクト抗体と競合する任意のその抗原結合断片又は抗体断片、抗原結合部分を含む融合タンパク質(例えば、抗体−薬物複合体)、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構造、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)も包含する。
抗体の「抗原結合断片」又は「抗体断片」は、抗原結合が可能なインタクト抗体の一部、及び/又はインタクト抗体の可変領域を含む。抗原結合断片には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、及びFv断片、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメ及びラクダ抗体)、相補性決定領域(CDR)を含む断片、一本鎖可変断片抗体(scFv)、一本鎖抗体分子、抗体断片から形成される多重特異性抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR及びbis−scFv、線形抗体(例えば、米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata et al. (1995) Protein Eng. 8HO: 1057を参照)、並びにポリペプチドへの特異的抗原結合を与えるのに十分な、免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが含まれる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映した名称である残りの「Fc」断片が生成する。Fab断片は、L鎖全体とH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び1つの重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)で構成される。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、即ち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)2断片が生成するが、これは、異なる抗原結合活性を有するが、なお抗原を交差結合することができる、2つのジスルフィド結合Fab断片にほぼ対応する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の追加の残基を有するという点で、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有する、Fab’の本明細書での名称である。F(ab’)2抗体断片は、元はヒンジシステインを間に有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合物も知られている。
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又は断片のキメラ分子である。ヒト化抗体には、残基がレシピエントの相補性決定領域(CDR)を形成し、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基により置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基により置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、取り込まれたCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含むこともある。一般に、ヒト化抗体は、実質的に少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを含むが、ここで、全て又は実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのこれらに対応し、そして全て又は実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のこれらに対応する。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含むであろう[Jones et al., Nature, 321 :522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
幾つかの実施態様において、抗体は、阻害性抗体である。阻害性抗体は、抗体が結合する抗原の1つ以上の生物学的活性を阻害し得る。例えば、阻害性抗体は、抗原の活性を阻害することによって、又は抗原の発現を阻害することによって、対応する抗原のシグナル伝達をダウンレギュレートすることができる。幾つかの実施態様において、抗体は中和抗体である。中和抗体は、可溶性抗原又は感染性病原体などの生きている微生物のある種の生物学的活性を低下又は消失させる。中和抗体は、その抗原について天然のリガンド又は受容体と競合するかもしれない。幾つかの実施態様において、抗体は、刺激性又は活性化抗体である。刺激性又は活性化抗体は、抗原の結合時に対応する抗原のシグナル伝達を活性化し、それによって抗原の活性を活性化又はアップレギュレートするか、又は抗体が結合する抗原の発現をアップレギュレートし得るアゴニスト抗体であってもよい。
1つの実施態様において、軽鎖及び重鎖は、同じ種又は異なる種のいずれかの別個の改変された宿主細胞培養物に形質転換されてもよい。代替の実施態様において、軽鎖及び重鎖のための別個のプラスミドを使用して、単一の改変された宿主細胞培養物を同時形質転換することができる。別の実施態様において、両方の遺伝子を含み、軽鎖及び重鎖の両方の遺伝子を発現することができる単一の発現プラスミドを、単一の改変された宿主細胞培養物に形質転換してもよい。
重鎖及び軽鎖が同じ宿主で共発現される場合、単離手順は、再構成された抗体を回収するように設計される。これは、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の抗体精製手順によって達成することができる。
抗体は、癌抗原などの抗原に結合し得る。癌抗原は、PD−1、PD−L1、HER2、免疫グロブリンイプシロンFc受容体II、Alk−1、CD20、EGF受容体、VEGF受容体、FGF受容体、NGF受容体、PDGF受容体、EpCam、CD3、CD4、CD11a、CD19、CD22、CD30、CD33、CD38、CD40、CD51、CD55、CD80、CD95、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CTLA−4、ムチン1、ムチン16、エンドグリン、メソテリン受容体、Nogo受容体、葉酸受容体、CXCR4、インスリン様成長因子受容体、ガングリオシドGD3、並びにα及びβインテグリンからなる群より選択されよう。
本発明の細胞で産生される例示的な抗体には、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、セミプリマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダセツズマブ、デュルバルマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3(OKT3)、ニボルマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、ペムブロリズマブ、オレゴボマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、オクレリズマブ、ペルツズマブ、hu M195Mab、抗Aβ、抗CD4、抗oxLDL、トラスツズマブ−DM1、アポマブ、rhuMAb GA101、抗OX40L、イピリムマブ、オファツムマブ、ザルツムマブ、モタビズマブ、エクロメキシマブ、MDXOIO、4B5、TNX−901、及びIDEC−114が含まれるが、これらに限定されない。
「フコシル化レベル」という用語は、フコース修飾を有するタンパク質組成物中のグリカンの割合を指す。同様に、「非フコシル化レベル」とは、フコース修飾のないタンパク質組成物中のグリカンの割合を指す。幾つかの実施態様において、フコース修飾のないグリカンの割合は、A0、A1、A2、M4、M5、M6、M7及びM8グリカンの合計を総グリカンで割ったものとして計算され得る。
本発明はまた、本発明の方法により得られる糖タンパク質組成物を提供する。
糖タンパク質組成物は、医薬的に許容し得る担体を含んでもよい。「医薬的に許容し得る担体」には、生理学的に適合性のある全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。医薬的に許容し得る担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどのうちの1つ以上、並びにそれらの組合せが含まれる。
本開示の組成物は、様々な形態であってよい。これらには、例えば、溶液(例えば、注射液及び輸液)、分散剤又は懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム、及び坐剤のような、液体、半固体及び固体の剤形が含まれる。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療用途に依存する。典型的な好ましい組成物は、ヒトの受動免疫法に使用されるものと同様の組成物などの、注射液又は輸液の形態である。好ましい投与様式は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内)である。好ましい実施態様において、組成物は、静脈内注入又は静脈注射によって投与される。別の好ましい実施態様において、組成物は、筋肉内又は皮下注射によって投与される。
経口投与用の液体剤形には、医薬的に許容し得る乳剤、マイクロエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。糖タンパク質に加えて、液体投与剤形は、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(詳しくは、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤などの補助剤を含むことができる。
注射用製剤、例えば、無菌の注射用水性又は油性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って処方され得る。無菌の注射用製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液のような、非毒性の非経口投与に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用の溶液、懸濁液又は乳濁液であってよい。使用できる許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、米国薬局方及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、従来から溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的には、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、あるいは使用前に滅菌水又は他の滅菌注射媒体に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形に滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
糖タンパク質の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの吸収を遅らせることを望まれることが多い。これは、難水溶性の結晶性又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成することができる。次に吸収速度は、その溶解速度に依存し、そして溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与された糖タンパク質の吸収の遅延は、化合物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。注射用のデポー剤形は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中に糖タンパク質のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する化合物の比率及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー注射製剤はまた、生体組織と適合性のリポソーム又はマイクロエマルションに化合物を封入することによって調製される。
直腸又は膣投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、本発明の化合物をカカオ脂、ポリエチレングリコール又は坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製することができるが、これらは、周囲温度で固体であるが、体温で液体であるため、直腸又は膣腔で溶けて活性化合物を放出する。
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性で医薬的に許容し得る賦形剤又は担体と、及び/又はa)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸類、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖及びアカシアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、並びにこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合に、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。
同タイプの固体組成物はまた、乳糖(lactose)、即ち、乳糖(milk sugar)、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟及び硬ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。それらは、場合により乳白剤を含んでもよく、また、活性成分のみを、又は優先的に、腸管の特定の部位において、場合により、遅延して放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質及びワックスが含まれる。
糖タンパク質はまた、上記のように、1つ以上の賦形剤によりマイクロカプセル化剤形であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。そのような固体剤形において、糖タンパク質は、ショ糖、乳糖又はデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。そのような剤形はまた、常道であるため、不活性希釈剤以外の追加の物質、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなどの、例えば、打錠潤滑剤及び他の打錠補助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合に、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。それらは、場合により乳白剤を含んでよもく、また、活性成分のみを、又は優先的に、腸管の特定の部位において、場合により、遅延して放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質及びワックスが含まれる。
糖タンパク質の局所又は経皮投与のための剤形には、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤又はパッチ剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容し得る担体及び必要に応じて必要な保存料又は緩衝液と混合される。眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬もまた、本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明は、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加利点を有する経皮パッチの使用が期待されている。そのような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解又は分散することによって製造することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流量を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによるか、又は化合物をポリマーマトリックス若しくはゲルに分散させることによるかのいずれかによって制御することができる。
典型的には、糖タンパク質は、被験体への投与に適した医薬組成物に組み込まれ、ここで医薬組成物は糖タンパク質及び医薬的に許容し得る担体を含む。多くの場合に、等張剤、例えば糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。医薬的に許容し得る担体は、湿潤剤又は乳化剤、保存料又は緩衝剤などの少量の補助物質をさらに含んでもよく、これらは、糖タンパク質の保存期間又は有効性を高める。
治療用組成物は、典型的には製造及び保存条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の規則正しい構造として処方することができる。無菌の注射液は、糖タンパク質を必要な量で適切な溶媒に、必要に応じて上に列挙した成分の1つ又は組み合わせと共に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に分散液は、有効成分を、基本的な分散媒体及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これらは、有効成分の粉末に加えて、そのすでに滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望成分を与える。溶液の適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散物の場合に必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸及びゼラチンを組成物に含めることによって達成することができる。
さらなる態様において、本発明は、糖タンパク質組成物と、糖タンパク質組成物を使用するための又は投与するための説明書とを含む添付文書を含む、キットに関する。
さらなる態様において、本発明は、治療方法における糖タンパク質組成物の使用に関する。
「治療すること」又は「治療」への言及は、症状の確立された症候の予防並びに緩和を含むことを理解すべきである。従って、状態、障害、又は症状を「治療すること」又は「治療」には以下が含まれる:(1)状態、障害、又は症状に苦しんでいるか又はかかりやすいが、その状況、障害、又は症状の臨床的症候若しくは亜臨床的症候をまだ経験若しくは出現していないヒトで、その状態、障害、又は症状の臨床的症候の出現を防止又は遅延させること、(2)その状態、障害、又は症状を阻害すること、すなわち疾患の発症又はその再発(維持療法の場合)、又はその少なくとも1つの臨床的若しくは亜臨床的症候を阻止、低減、又は遅延させること、又は(3)疾患を緩和又は軽減すること、すなわち状態、障害、又は症状、あるいはその臨床的若しくは亜臨床的症候の少なくとも1つの退行を引き起こすこと。
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの結合形は、「含むが限定されない」を意味する。
数値的に定義されたパラメーターを変更するために使用される場合の「約」は、そのパラメーターの小さな変更を指す。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、定義されたパラメーターが、そのパラメーターについて記載されている数値よりも最大で10%、好ましくは最大で5%変動することを可能にする。パラメーターが先行詞「約」の使用により定義されると、特定の値が別の態様を構成する。
本出願を通して、本発明の様々な実施態様は範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜的で簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する固定された制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲並びに、その範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なすべきである。例えば、1〜6などの範囲の記述は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なすべきである。
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、それは、示された範囲内の任意の引用された数(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の表示数と第2の表示数「との間の範囲」という語句、及び第1の表示数「から」第2の表示数「までの範囲」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示数、及びそれらの間のすべての分数と整数を含むことを意味する。
本明細書で使用される「方法」という用語は、所定のタスクを達成するための方法、手段、技術、及び手順を指し、そのタスクには、特に限定されるものではないが、化学、薬理学、生物学、生化学、及び医学分野の専門家には公知であるか、又はかかる専門家により容易に開発され得る方法、手段、技術、及び手順が含まれる。明確にするために別の実施態様の文脈で説明されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施態様で組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施態様の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別に、又は任意の適切な部分組合せで、又は本発明の他の説明された実施態様で適切なものとして提供されてもよい。様々な実施態様の文脈で説明される特定の特徴は、実施態様がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施態様の本質的な特徴であると見なすべきではない。
上記に説明され、以下の特許請求の範囲に請求されている本発明の様々な実施態様及び態様は、以下の実施例において実験的に支持される。
実施例1
アダリムマブを発現するCHO細胞は、流加培養で維持された。細胞は、温度とpHを除いて同じ条件下で培養され、温度とpHは次のように変化させた。
温度は、培養開始から5日目まで37℃に維持された。培養の5日目から7日目まで、温度は33℃に維持され、その後、17日目に採取されるまで27、29、31、又は33°に維持された。
pHは、培養開始から培養の5日目まで、pH6.9とpH7.2の間で維持された。5日目から17日目の採取まで、pHはpH6.55〜6.6、pH6.65〜6.7、pH6.75〜6.8、pH6.85〜6.9、又はpH7.15〜7.2の範囲に維持された。
採取後、アダリムマブを精製し、各試料のグリカンが定量された。各試料の総非フコシル化のレベル(A0、A1、A2、M4、M5、M6、M7、及びM8グリカンの合計)を図1に示す。この図に反映されているように、非フコシル化はpH及び/又は温度の低下とともに上昇する。
各試料中の総高マンノース(M4、M5、M6、M7、及びM8グリカンの合計)のレベルを図2に示し、M6グリコフォームのレベルを図3に示す。
実施例2
アダリムマブを発現するCHO細胞は、流加培養で維持された。細胞は、温度とpHを除いて同じ条件下で培養され、温度とpHは次のように変化させた。
低非フコシル化(AF)プロセスと呼ばれるプロセスにおいて、培養開始から5日目まで温度は37℃に維持され、その後17日目に採取されるまで33℃に維持された。pHは、培養開始から5日目までpH6.9〜7.2の範囲に維持され、その後17日目に採取されるまでpH6.85〜6.9の範囲に維持された。
高非フコシル化(AF)プロセスと呼ばれるプロセスにおいて、温度は、培養開始から5日目まで37℃に維持され、その後7日目まで33℃に維持され、最後に17日目に採取されるまで29℃に維持された。pHは、培養開始から5日目までpH6.9〜7.2の範囲に維持され、その後17日目に採取されるまでpH6.7〜6.75の範囲に維持された。
採取後、アダリムマブは精製され、各試料のグリカン及び電荷変種を定量した。図4〜7に反映されているように、pHと温度を制御することは、他の品質パラメーター、例えば電荷変種の全体的な分布や他のグリカン種、例えばガラクトシル化グリカンのレベルに大きな影響を与えることなく、総非フコシル化のレベルを具体的に変更することを可能にする。

Claims (11)

  1. (A)又は(B)に従って糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを制御する方法:
    (A)糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを、前記糖タンパク質組成物の基準非フコシル化レベルと比較して、上昇させる方法であって、
    糖タンパク質を発現する真核細胞を、非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び/又は温度よりも低い温度及び/又はpHで、培養することを含む方法;又は
    (B)糖タンパク質組成物の非フコシル化レベルを、前記糖タンパク質組成物の基準非フコシル化レベルと比較して、低下させるための方法であって、
    糖タンパク質を発現する真核細胞を、非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び/又は温度よりも高い温度及び/又はpHで、培養することを含む方法。
  2. 非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用される温度と比較して、温度のみを変化させ、pHは同じまま維持される、請求項1に記載の方法。
  3. 非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpHと比較して、pHのみを変化させ、温度は同じまま維持される、請求項1に記載の方法。
  4. 非フコシル化レベルが基準非フコシル化レベルである糖タンパク質を発現する前記細胞を培養するために使用されるpH及び温度と比較して、温度及びpHの両方を変化させる、請求項1に記載の方法
  5. 前記真核細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記哺乳動物細胞がCHO細胞である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記糖タンパク質が抗体又は抗体断片である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記pH及び/又は温度の変化が産生段階に限定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により得られる糖タンパク質組成物。
  10. 請求項9に記載の糖タンパク質組成物及び使用説明書を含むキット。
  11. 真核細胞を培養している間、温度及び/又はpHを変化させることを含む、糖タンパク質組成物の非フコシル化のレベルを制御するための方法。
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