JP2009095249A - エフェクター機能が向上した抗体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)特定の位置の複数のアミノ酸が置換したムテイン抗体、(2)抗体に結合する糖鎖のフコースが低減された抗体であって、KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸が、システイン残基に置き換えられた抗体。
【選択図】なし
Description
[1] KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸がシステイン残基に置き換えられた抗体であって、以下の(a)及び/又は(b)に記載の特徴を有する抗体;
(a)定常領域において295番目以外の3つのアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられた抗体、及び/又は
(b)Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体。
[2] KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体。
[3] KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体。
[4] KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸が、システイン残基に置き換えられた抗体であって、Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体。
[5] 定常領域がヒトIgGの定常領域である[1]から[4]の何れかの項に記載の抗体。
[6] ヒト細胞表層存在分子を認識する部位を有する、[1]から[5]の何れかの項に記載の抗体。
[7] サイトカイン受容体、細胞接着分子、がん細胞表層分子、がん幹細胞表層分子、血液細胞表層分子、ウイルス感染細胞表層分子からなる群から選択される少なくとも一つを認識する、[1]から[6]の何れかの項に記載の抗体。
[8] 抗原CD3、CD11a、CD20、CD22、CD25、CD28、CD33、CD52、Her2/neu、EGF受容体、EpCAM、MUC1、GD3、CEA、CA125、HLA−DR、TNFalpha受容体、VEGF受容体、CTLA−4、AILIM/ICOS、インテグリン分子からなる群から選択される少なくとも一つを認識する、[1]から[7]の何れかの項に記載の抗体。
[9] [1]から[8]の何れかの項に記載の抗体をコードする単離された核酸。
[10] [9]に記載の核酸を含むベクター。
[11] [10]に記載のベクターを有する宿主細胞又は宿主生物。
[12] [11]に記載の宿主細胞又は宿主生物を、核酸がコードする抗体を発現するように培養することを特徴とする抗体の製造方法。
[13] [1]から[8]の何れかの項に記載の抗体を含む治療用組成物。
[14] KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたエフェクター機能を有する抗体を発現する細胞であって、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した細胞。
[15] 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置換されたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
[16] 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
[17] 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
[18] エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法。
[19] エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法。
[20] 下記(1)から(3)の工程を含む抗体のエフェクター機能を向上させる方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
[発明の実施の形態]
(I)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸がシステイン残基に置き換えられた抗体であって、以下の(a)及び/又は(b)に記載の特徴を有する抗体;
(a)定常領域において295番目以外の3つのアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられた抗体、及び/又は
(b)Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体。
(II)KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体(以下298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型抗体と表すこともある)。
(III)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体(以下239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型抗体と表すこともある)。
(IV)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸が、システイン残基に置き換えられた抗体であって、Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体(以下フコース低減295Cys型抗体と表すこともある)。
(a)KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:14(H鎖)の303、338、339、300番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:13(H鎖)の907-909、1012-1014、1015-1017、898-900番目の塩基に対応する。
(b) KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:16(H鎖定常領域)の181、216、217、178番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:15(H鎖定常領域)の541-543、646-648、649-651、532-534番目の塩基に対応する。
(c) KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:18(H鎖Fc領域)の68、103、104、65番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:17(H鎖Fc領域)の202-204、307-309、310-312、193-195番目の塩基に対応する。
239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型抗体
(a)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:24(H鎖)の244、335、337、300番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:23(H鎖)の730-732、1003-1005、1009-1011、898-900番目の塩基に対応する。
(b)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:26(H鎖定常領域)の122、213、215、178番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:25(H鎖定常領域)の364-366、637-639、643-645、532-534番目の塩基に対応する。
(c)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸は、それぞれ配列番号:28(H鎖Fc領域)の9、100、102、65番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸をコードする塩基は、それぞれ配列番号:27(H鎖Fc領域)の25-27、298-300、304-306、193-195番目の塩基に対応する。
フコース低減295Cys型抗体
(a)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸は、配列番号:30(H鎖)の300番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸をコードする塩基は、配列番号:29(H鎖)の898-900番目の塩基に対応する。
(b)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸は、配列番号:32(H鎖定常領域)の178番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸をコードする塩基は、配列番号:31(H鎖定常領域)の532-534番目の塩基に対応する。
(c)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸は、配列番号:34(H鎖Fc領域)の65番目のアミノ酸に対応する。
KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸をコードする塩基は、配列番号:33(H鎖Fc領域)の193-195番目の塩基に対応する。
本発明の抗体は、少なくともADCC活性が上昇していればよく、その安定性、溶解性、Fc受容体への結合親和性、又はCDC活性が減少している抗体も、本発明の抗体に含まれる。なお、Fc受容体としては、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、FcRn、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、定常領域の配列としては、[Sequence of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991)]に開示されている配列を例示できるが、これに限定されるものではない。
上記(IV)の抗体が含むN-グリコシド結合糖鎖は、様々な構造を有しているが、好ましくは上記[化2]の構造において、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を含む糖鎖である。
上記(IV)の抗体を含む組成物とは、組成物中の抗体のN−グリコシド結合糖鎖のうち、20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上のN−グリコシド結合糖鎖においてフコースが欠損している組成物をいう。
本発明の抗体は、野生型と比較して、エフェクター機能が向上している。
(1)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(2)配列番号:14に記載のアミノ酸配列(H鎖全長のアミノ酸配列)を有するH鎖を含む抗体、
(3)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:18に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)CDR1として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:10に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、およびCLとして配列番号:22に記載のアミノ酸配列を有するL鎖、
(ii)配列番号:20に記載のアミノ酸配列(L鎖全長のアミノ酸配列)を有するL鎖。
(5)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:15に記載の塩基配列からコードされるCHを有するH鎖を含む抗体、
(6)配列番号:13に記載の塩基配列からコードされるH鎖を含む抗体、
(7)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:17に記載の塩基配列からコードされるFc領域を有するH鎖を含む抗体、
(8)上記(5)、(6)または(7)のいずれかに記載のH鎖、および、下記(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:9に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:11に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:21に記載の塩基配列からコードされるCLを有するL鎖、
(ii)配列番号:19に記載の塩基配列からコードされるL鎖。
(9)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(10)配列番号:24に記載のアミノ酸配列(H鎖全長のアミノ酸配列)を有するH鎖を含む抗体、
(11)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:28に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(12)上記(9)、(10)または(11)のいずれかに記載のH鎖、および、上記(4)の(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体。
(13)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:25に記載の塩基配列からコードされるCHを有するH鎖を含む抗体、
(14)配列番号:23に記載の塩基配列からコードされるH鎖を含む抗体、
(15)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号27に記載の塩基配列からコードされるFc領域を有するH鎖を含む抗体、
(16)上記(13)、(14)または(15)のいずれかに記載のH鎖、および、上記(8)の(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体。
(17)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびCHとして配列番号:32に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(18)配列番号:30に記載のアミノ酸配列(H鎖全長のアミノ酸配列)を有するH鎖を含む抗体、
(19)CDR1として配列番号:2に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:4に記載のアミノ酸配列、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、およびFc領域として配列番号:34に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
(20)上記(17)、(18)または(19)のいずれかに記載のH鎖、および、上記4の(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体。
(21)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:31に記載の塩基配列からコードされるCHを有するH鎖を含む抗体、
(22)配列番号:29に記載の塩基配列からコードされるH鎖を含む抗体、
(23)配列番号:1に記載の塩基配列からコードされるCDR1、配列番号:3に記載の塩基配列からコードされるCDR2、配列番号:5に記載の塩基配列からコードされるCDR3、および配列番号:33に記載の塩基配列からコードされるFc領域を有するH鎖を含む抗体、
(24)上記(21)、(22)または(23)のいずれかに記載のH鎖、および、上記(8)の(i)または(ii)に記載のL鎖の対を有する抗体。
上記(II)、(III)に記載の抗体においては、エフェクター機能を阻害しない範囲で、親Fc領域のアミノ酸配列に(II)、(III)に記載に記載した変異を導入する工程中または導入後に、さらに他の修飾が施されてもよく、例えばアミノ酸配列や糖鎖結合部位に結合する糖鎖の一部に欠失、付加、置換等の修飾が施されてもよい。特に本発明においては、Fc領域の糖鎖結合部位に結合する糖鎖に公知の修飾を加えることにより、エフェクター機能の向上効果を得ることができ好ましい。
即ち本発明は、エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられた工程を含む、エフェクター機能が向上した抗体の製造方法を提供する。より具体的には、本発明は、以下の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法を提供する。
(A-1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換える工程
(A-2)KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程
(A-3)発現産物を回収する工程。
上記(A-1)は、KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられた抗体をコードするDNAを製造する工程に置き換えてもよい。
(B-1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程
(B-2)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程
(B-3)発現産物を回収する工程。
上記(B-1)は、KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられた抗体をコードするDNAを製造する工程に置き換えてもよい。
(C-1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(C-2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(C-3)発現産物を回収する工程。
上記(C-1)は、KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられた抗体をコードするDNAを製造する工程に置き換えてもよい。
本発明の別の態様としては、まず、エフェクター機能を有する抗体を製造し、次いで、製造された抗体におけるKabatのEUインデックス番号で上記(A)〜(C)において置換部位としたのアミノ酸残基を目的とするアミノ酸残基に置換する。例えば、まず、後述の方法によって所望の抗原に結合する抗体を得て、次いで、得られた抗体がエフェクター機能を有するか否かを当業者に周知の方法によって判定することで、エフェクター機能を有する抗体を製造することができる。エフェクター機能の判定方法としては、例えば実施例に記載の方法が挙げられる。
抗体のH鎖又はL鎖をコードする遺伝子は既知の配列を用いることも可能であり、又、当業者に公知の方法で取得することもできる。例えば、抗体ライブラリーから取得することも可能であるし、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから抗体をコードする遺伝子をクローニングして取得することも可能である。
抗体ライブラリーについては既に多くの抗体ライブラリーが公知になっており、又、抗体ライブラリーの作製方法も公知であるので、当業者は適宜抗体ライブラリーを入手することが可能である。例えば、抗体ファージライブラリーについては、Clackson et al., Nature 1991, 352: 624-8、Marks et al., J. Mol. Biol. 1991, 222: 581-97、Waterhouses et al., Nucleic Acids Res. 1993, 21: 2265-6、Griffiths et al., EMBO J. 1994, 13: 3245-60、Vaughan et al., Nature Biotechnology 1996, 14: 309-14、及び特表平20−504970号公報等の文献を参照することができる。その他、真核細胞をライブラリーとする方法(WO95/15393号パンフレット)やリボソーム提示法等の公知の方法を用いることが可能である。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を元に適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に周知であり、WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、WO93/19172、WO95/01438、WO95/15388を参考にすることができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの誘導体または修飾産物もアンチセンスオリゴヌクレオチドとして用いることができる。このような修飾産物の例には、メチルホスホネート型またはエチルホスホネート型などの低級アルキルホスホネート修飾物、ホスホロチオエート修飾物、およびホスホロアミデート修飾物が含まれる。
1.目的の転写物のAUG開始コドンから開始して、AAジヌクレオチド配列に関して下流へとスキャンする。各AAおよび3'末端に隣接した19ヌクレオチドの出現率をsiRNA標的の可能性がある部位として記録する。Tuschlら((Targeted mRNA degradation by double-stranded RNA in vitro. Genes Dev 13(24): 3191-7(1999))は、siRNAを5'および3'非翻訳領域(UTR)ならびに開始コドン付近(75塩基内)の領域に対しては設計しないように推奨しており、これは、これらの領域には調節タンパク質の結合部位が多く含まれる可能性があるためである。UTR結合タンパク質および/または翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨げる可能性がある。
2.標的の可能性がある部位をヒトゲノムデータベースと比較し、他のコード配列と明らかな相同性を有するどの標的領域も検討から除外する。相同性検索はBLASTを用いて行うことができ、これはNCBIのサーバー:www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/上にある。
3.合成用の適格な標的配列を選択する。アンビオン社では、遺伝子の全長に沿っていくつかの標的配列を評価用に選択することができる。
ヒト化抗体発現用ベクターとは、KabatのEUインデックス番号で上記(A)〜(D)において置換部位としたアミノ酸残基が目的とするアミノ酸残基に置換されたヒト抗体の重鎖(H鎖)C領域及びヒト抗体の軽鎖(L鎖)C領域をコードする遺伝子が組み込まれた動物細胞用発現ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにKabatのEUインデックス番号で上記(A)〜(D)において置換部位としたアミノ酸残基が目的とするアミノ酸残基に置換されたヒト抗体のH鎖C領域及びヒト抗体のL鎖C領域をコードする遺伝子をそれぞれクローニングすることにより構築することができる。
ヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域をコードする遺伝子としてはエキソンとイントロンから成る染色体DNAを用いることができ、また、cDNAを用いることもできる。
ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体のH鎖及びL鎖V領域をコードするcDNAは以下のようにして取得することができる。
分泌シグナル配列を含む抗体のH鎖及びL鎖V領域の完全なアミノ酸配列に関しては、既知の抗体のH鎖及びL鎖V領域の全アミノ酸配列[シーケンシズ・オブ・プロテインズ・オブ・イムノロジカル・インタレスト(Sequences of Proteins of Immunological Interest),US Dept.Health and Human Services,1991]と比較することにより、分泌シグナル配列の長さ及びN末端アミノ酸配列を推定でき、更にはそれらが属するサブグループを知ることができる。また、H鎖及びL鎖V領域の各CDRのアミノ酸配列についても、既知の抗体のH鎖及びL鎖V領域のアミノ酸配列[シーケンシズ・オブ・プロテインズ・オブ・イムノロジカル・インタレスト(Sequences of Proteins of Immunological Interest),US Dept.Health and Human Services,1991]と比較することによって見出すことができる。
(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域をコードする遺伝子の上流に、ヒト以外の動物の抗体のH鎖及びL鎖V領域をコードするcDNAをクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。例えば、ヒト以外の動物の抗体のH鎖及びL鎖V領域をコードするcDNAを、ヒト以外の動物の抗体H鎖及びL鎖V領域の3’末端側の塩基配列とヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域の5’末端側の塩基配列とから成り、かつ適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAとそれぞれ連結し、それぞれを(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域をコードする遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するようにクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。
ヒト型CDR移植抗体のH鎖及びL鎖V領域をコードするcDNAは、以下のようにして構築することができる。まず、目的のヒト以外の動物の抗体のH鎖及びL鎖V領域のCDRを移植するヒト抗体のH鎖及びL鎖V領域のフレームワーク(以下、FRと表記する)のアミノ酸配列を選択する。ヒト抗体のH鎖及びL鎖V領域のFRのアミノ酸配列としては、ヒト抗体由来のものであれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、Protein Data Bank等のデータベースに登録されているヒト抗体のH鎖及びL鎖V領域のFRのアミノ酸配列、ヒト抗体のH鎖及びL鎖のV領域のFRの各サブグループの共通アミノ酸配列[シーケンシズ・オブ・プロテインズ・オブ・イムノロジカル・インタレスト(Sequences of Proteins of Immunological Interest),US Dept.Health and Human Services,1991]等があげられるが、その中でも、十分な活性を有するヒト型CDR移植抗体を作製するためには、目的のヒト以外の動物の抗体のH鎖及びL鎖V領域のFRのアミノ酸配列とできるだけ高い相同性(少なくとも60%以上)を有するアミノ酸配列を選択することが望ましい。
また、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、(1)で構築したヒト化抗体発現用ベクターに容易にクローニングすることができる。PCR後、増幅産物をpBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにクローニングし、(2)に記載の方法により、塩基配列を決定し、所望のヒト型CDR移植抗体のH鎖及びL鎖V領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するプラスミドを取得する。
(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域をコードする遺伝子の上流に、(5)で構築したヒト型CDR移植抗体のH鎖及びL鎖V領域をコードするcDNAをクローニングし、ヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築することができる。例えば、(5)でヒト型CDR移植抗体のH鎖及びL鎖V領域を構築する際に用いる合成DNAのうち、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、(1)に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体のH鎖及びL鎖C領域をコードする遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するようにクローニングし、ヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築することができる。
(4)及び(6)に記載のヒト化抗体発現ベクターを適当な動物細胞に導入することによりヒト型キメラ抗体及びヒト型CDR移植抗体(以下、併せてヒト化抗体と称す)を安定に生産する形質転換株を得ることができる。動物細胞へのヒト化抗体発現ベクターの導入法としては、エレクトロポレーション法[特開平2−257891;サイトテクノロジー(Cytotechnology),3,133(1990)]等があげられる。ヒト化抗体発現ベクターを導入する動物細胞としては、ヒト化抗体を生産させることができる動物細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。
具体的には、マウスミエローマ細胞であるNSO細胞、SP2/0細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO/dhfr−細胞、CHO/DG44細胞、ラットミエローマYB2/0細胞、IR983F細胞、シリアンハムスター腎臓由来であるBHK細胞、ヒトミエローマ細胞であるナマルバ細胞などがあげられるが、好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣細胞であるCHO/DG44細胞、ラットミエローマYB2/0細胞等があげられる。
注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO-50と併用してもよい。
また、本発明の抗体は、上記治療用組成物を用いた治療方法に関する。あるいは、本発明は、上記治療剤の製造における使用に関する。
また、本発明は、エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法を提供する。
また本発明は、下記(1)から(3)の工程を含む抗体のエフェクター機能を向上させる方法を提供する。
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
また本発明は、エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸をアスパラギン酸、セリン、又はアラニン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法を提供する。
上記方法においてアミノ酸を置換する工程、及びフコースを低減する工程は、上述の方法によって行うことが出来る。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕
298Ala/333Ala/334Ala型、298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型のAnti-CD20キメラ抗体を作製し、これらのAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性を評価した。その結果、298Ala/333Ala/334Ala型のAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性と比較して、298Ala/333Ala/334Ala型に295Cysを加えた、298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型のAnti-CD20キメラ抗体は高いADCC活性を示した。
以下に、Anti-CD20キメラ抗体の298Ala/333Ala/334Ala型、298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型の作製方法ならびにそのADCC活性測定とCD20分子に対する反応性を記載する。
キメラ抗体は、以下のA)〜F)の工程を経て、精製キメラ抗体として得られる。
A)キメラ抗体を作製する上で必要となる遺伝子のクローニング、
B)クローニングされた遺伝子の変異導入、
C)クローニングされた遺伝子及びその変異導入した遺伝子を組み合わせたキメラ抗体発現ベクターの構築、
D)キメラ抗体発現ベクターのCHO細胞への遺伝子導入とキメラ抗体を高発現するCHO細胞のスクリーニング、
E)キメラ抗体高発現CHO細胞の培養、
F)キメラ抗体高発現細胞の培養上清からのカラム精製。
以下にA)〜F)の工程を順に記載する。
1種のAnti-CD20キメラ抗体を作製するためには、4種の遺伝子が必要になる。この4種の遺伝子は、Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子、Anti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子、Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子、Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子である。この遺伝子のクローニング実施例について、以下に記述する。
本出願人が保有するAnti-CD20マウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞からQuickPrep micro mRNA purification kit (Amersham Biosciences, code 27-9255-01)を用いてmRNAを得た。そのmRNAをFirst-Strand cDNA Synthesis kit (Amersham Biosciences, code 27-9261-01)を用いてcDNAとした。このcDNAを鋳型としてPCR法で遺伝子を増幅させるのであるが、以下に示す11パターンのPrimerの組み合わせによりPCR反応を行った。
PCR反応条件は、
マウスハイブリドーマからのcDNA 4 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
MKV1〜MKV11 primer(20μM)の11種類中の1つ 2.5 μL
MKC primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 28.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (30サイクル)
72℃ 4min
4℃ 無制限時間
PrimerのDNA配列は以下を参照。
MKV1 primer:ATGAAGTTGCCTGTTAGGCTGTTGGTGCTG(配列番号:35)
MKV2 primer:ATGGAGWCAGACACACTCCTGYTATGGGTG(配列番号:36)
MKV3 primer:ATGAGTGTGCTCACTCAGGTCCTGGSGTTG(配列番号:37)
MKV4 primer:ATGAGGRCCCCTGCTCAGWTTYTTGGMWTCTTG(配列番号:38)
MKV5 primer:ATGGATTTWCAGGTGCAGATTWTCAGCTTC(配列番号:39)
MKV6 primer:ATGAGGTKCYYTGYTSAGYTYCTGRGG(配列番号:40)
MKV7 primer:ATGGGCWTCAAGATGGAGTCACAKWYYCWGG(配列番号:41)
MKV8 primer:ATGTGGGGAYCTKTTTYCMMTTTTTCAATTG(配列番号:42)
MKV9 primer:ATGGTRTCCWCASCTCAGTTCCTTG(配列番号:43)
MKV10 primer:ATGTATATATGTTTGTTGTCTATTTCT(配列番号:44)
MKV11 primer:ATGGAAGCCCCAGCTCAGCTTCTCTTCC(配列番号:45)
MKC primer:ACTGGATGGTGGGAAGATGG(配列番号:46)
(M=A or C, R=A orG, W=A orT, S=C or G, Y=C or T, K=G orT)
また、Anti-CD20マウスL鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3の塩基配列をそれぞれ、配列番号:7、9、11に示す。また、Anti-CD20マウスL鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:8、10、12に示す。
Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子のクローニングと同様に、Anti-CD20マウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞から調整されたcDNAを鋳型として、以下に示す12パターンのPCR増幅を行った。
マウスハイブリドーマからのcDNA 4 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
MHV1〜MHV12 primer(20μM)の12種類中の1つ 2.5 μL
MHCG2b primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 28.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (30サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
PrimerのDNA配列は以下を参照。
MHV1 primer:ATGAAATGCAGCTGGGGCATSTTCTTC(配列番号:47)
MHV2 primer:ATGGGATGGAGCTRTATCATSYTCTT(配列番号:48)
MHV3 primer:ATGAAGWTGTGGTTAAACTGGGTTTTT(配列番号:49)
MHV4 primer:ATGRACTTTGGGYTCAGCTTGRTTT(配列番号:50)
MHV5 primer:ATGGACTCCAGGCTCAATTTAGTTTTCCTT(配列番号:51)
MHV6 primer:ATGGCTGTCYTRGSGCTRCTCTTCTGC(配列番号:52)
MHV7 primer:ATGGRATGGAGCKGGRTCTTTMTCTT(配列番号:53)
MHV8 primer:ATGAGAGTGCTGATTCTTTTGTG(配列番号:54)
MHV9 primer:ATGGMTTGGGTGTGGAMCTTGCTATTCCTG(配列番号:55)
MHV10 primer:ATGGGCAGACTTACATTCTCATTCCTG(配列番号:56)
MHV11 primer:ATGGATTTTGGGCTGATTTTTTTTATTG(配列番号:57)
MHV12 primer:ATGATGGTGTTAAGTCTTCTGTACCTG(配列番号:58)
MHCG2b primer:CAGTGGATAGACTGATGGGGG(配列番号:59)
(M=A or C, R=A orG, W=A orT, S=C or G, Y=C or T, K=G orT)
また、Anti-CD20マウスH鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3の塩基配列をそれぞれ、配列番号:1、3、5に示す。また、Anti-CD20マウスH鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:2、4、6に示す。
ヒトの血液からLymphoprep(Axis Shield)を用いてリンパ球を取り出した。このリンパ球からQuickPrep micro mRNA purification kit (Amersham Biosciences, code 27-9255-01)を用いてmRNAを得た。そのmRNAをFirst-Strand cDNA Synthesis kit (Amersham Biosciences, code 27-9261-01)を用いてcDNAとした。このヒトリンパ球からのcDNAを鋳型にして、以下のPCR反応を行いHuman IgG1 L鎖定常領域遺伝子を得た。この遺伝子もpCR2.1ベクター(Invitogen)に一時的に挿入され保管された。また、この遺伝子が挿入されたベクターをpCR2.1-LCと名前を付けた。
PCRの反応条件は以下の通りである。
ヒトリンパ球cDNA 4 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
hIgG1 LCF primer(20μM) 2.5 μL
hIgG1 LCR primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 28.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (30サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
PrimerのDNA配列は以下を参照。
hIgG1 LCF primer:ACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTC(配列番号60)
hIgG1 LCR primer:TTAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTT(配列番号:61)
Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子のクローニングと同様にして、ヒトリンパ球からのcDNAを鋳型にして、以下のPCR反応を行いHuman IgG1 H鎖定常領域遺伝子を得た。この遺伝子もpCR2.1ベクター(Invitrogen)に一時的に挿入され保管された。このベクターは、pCR2.1- HC (野生型)と名前を付けた。
PCRの反応条件は以下の通りである。
ヒトリンパ球cDNA 4 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
hIgG1 HCF primer(20μM) 2.5 μL
hIgG1 HCR primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 28.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (30サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
PrimerのDNA配列は以下を参照。
hIgG1 HCF primer:GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTC(配列番号:62)
hIgG1 HCR primer:TTATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCT(配列番号:63)
298Ala/333Ala/334Alaキメラ抗体、298Ala/333Ala/334Ala/295Cysキメラ抗体を得るためには、クローニングされたHuman IgG1 H鎖定常領域の特定箇所に変異を導入しなければならない。Elvin A. KabatらがSequence of proteins of Immunological Interest (NIH Publication No.91-3242, 1991) において示したHuman IgG1 H鎖定常領域の番号に従い、298番のSerをAlaに、333番 のGluをAlaに、334番 のLysをAlaに、295番 のGluをCysに変更するために、クローニングされたHunan IgG1 H鎖定常領域が挿入されたpCR2.1ベクター:pCR2.1-HC(野生型)を鋳型として、PCR法により順次変異導入した。この変異導入法の詳細を以下に記述する。
pCR2.1-HC (野生型) (25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
298 Ala1 primer (20 μM) 1.25 μL
298 Ala2 primer (20 μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
298 Ala1プライマー:GAGCAGTACAACGCTACGTACCGTGTG(配列番号:64)
298 Ala2プライマー:CACACGGTACGTAGCGTTGTACTGCTC(配列番号:65)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、298(Ser→Ala)変異導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクターpCR2.1-HC(298Ala)と名前を付けた。
pCR2.1-HC (298Ala) (25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
333 Ala1 primer (20 μM) 1.25 μL
333 Ala2 primer (20 μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
333 Ala1プライマー:CCAGCCCCCATCGCTAAAACCATCTCC(配列番号:66)
333 Ala2プライマー:GGAGATGGTTTTAGCGATGGGGGCTGG(配列番号:67)
334(Lys→Ala)変異
pCR2.1-HC (298Ala/333Ala) (25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
334 Ala1 primer (20 μM) 1.25 μL
334 Ala2 primer (20 μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
334 Ala1プライマー:GCCCCCATCGCTGCTACCATCTCCAAA(配列番号:68)
334 Ala2プライマー:TTTGGAGATGGTAGCAGCGATGGGGGC(配列番号:69)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、334(Lys→Ala)変異導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクターpCR2.1-HC(298Ala/333Ala/334Ala)と名前を付けた。
pCR2.1-HC (298Ala/333Ala/334Ala) (25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
295 Cys1 primer (20 μM) 1.25 μL
295 Cys2 primer (20 μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
295 Cys1プライマー:ACAAAGCCGCGTGAGGAGTGCTACAACGCTACGTACCGT(配列番号:70)
295 Cys2プライマー:ACGGTACGTAGCGTTGTAGCACTCCTCACGCGGCTTTGT(配列番号:71)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、295(Glu→Cys)変異導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクターpCR2.1-HC(298Ala/333Ala/334Ala/295Cys)と名前を付けた。
1種類のAnti-CD20キメラ抗体を発現させるために、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖とH鎖の2種類の発現ベクターをCHO細胞にTransfectionさせることで達成される。ここで、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖の発現ベクターとは、Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子を結合させたものを発現ベクターに組み込んだものであり、Anti-CD20キメラ抗体のH鎖の発現ベクターとは、Anti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子を結合させたものを発現ベクターに組み込んだものである。野生型、298Ala/333Ala/334Ala型あるいは298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型のAnti-CD20キメラ抗体を作製するにあたり、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖の発現ベクターは、これら3種のキメラ抗体を発現させるために共通に使用するものであるが、Anti-CD20キメラ抗体のH鎖の発現ベクターは、野生型、298Ala/333Ala/334Ala型あるいは298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体の各々に対して専用のH鎖発現ベクターを必要とする。ここでは、はじめに各キメラ抗体の発現に共通に使用できるAnti-CD20キメラ抗体L鎖の発現ベクターの構築について詳細を記述し、その後に298Ala/333Ala/334Ala型あるいは298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体の発現に必要な専用のAnti-CD20キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築について記述する。
発現ベクターとしては、BCMG-neoベクターを使用し、このベクターのXhoIとNotIサイトにAnti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子を挿入させる。Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-MLVを鋳型に以下のPCR反応を行うことで断片を得た。また、Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-LCを鋳型として以下のPCR反応により断片を得た。
pCR2.1-MLV (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
L1 primer(20μM) 2.5 μL
L2 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4min
4℃ 無制限時間
L1 primer:ACCGCTCGAGATGGATTTTCAGGTGCAGATTATCAGC(配列番号:72)
L2 primer:TTTCAGCTCCAGCTTGGTCCCAGCACC (5’-リン酸化されている)(配列番号:73)
pCR2.1-LC (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
L3 primer(20μM) 2.5 μL
L4 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
L3 primer:ACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATC (5’-リン酸化されている)(配列番号:74)
L4 primer:ATAGTTTAGCGGCCGCTTAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTTTGT(配列番号:75)
発現ベクターとしては、BCMG-neoベクターを使用し、このベクターのXhoIとNotIサイトにAnti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子を挿入させる。Anti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-MHVを鋳型に以下のPCR反応を行うことで断片を得た。野生型、298Ala/333Ala/334Ala型あるいは298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体の各々に対して専用のH鎖発現ベクターは、Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子をPCR増幅させる際の鋳型となるプラスミドは異なるが、操作自体は全く同様に行われて各種Human IgG1 H鎖遺伝子断片を得た。以下にPCR反応を含む詳細を記述する。
pCR2.1-MHV (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
H1 primer(20μM) 2.5 μL
H2 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
H1 primer:ACCGCTCGAGATGGGATGGAGCTGGGTCTTTCTCTTC(配列番号:76)
H2 primer:TGAGGAGACGGTGACCGTGGTCCC (5’-リン酸化されている)(配列番号:77)
#各種鋳型プラスミド (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
H3 primer(20μM) 2.5 μL
H4 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
H3 primer:GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTC(5’-リン酸化されている)(配列番号:78)
H4 primer:ATAGTTTAGCGGCCGCTTATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTT(配列番号:79)
構築された各種発現ベクターは、以下の組み合わせでTransIT-CHO Transfection kit(Mirus, MIR2170)を使用してCHO細胞へ遺伝子導入された。
野生型キメラ抗体:pキメラLC+ pキメラHC(野生型)
298Ala/333Ala/334Ala型キメラ抗体:pキメラLC+pキメラHC (298Ala/333Ala/334Ala型)
298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体:pキメラLC+pキメラHC (298Ala/333Ala/334Ala/295Cys)
(ELISA測定)
1)Anti-Human IgG (γ-chain) (MBL, 103AG)をコートした96Wellプレートに、TansfectionされたCHO細胞の培養上清を100 μL/wellで添加し、室温で1時間放置した。
2)培養上清液を96 wellプレートから捨てて、0.05%のTween20を含むPBS (PBS-0.05%Tween20)でwellを十分洗浄した。
3)Anti-Human IgG(γ-chain)Peroxidase conjugated (MBL, 208)をPBS-0.05%Tween20で2000倍希釈した溶液を100 μL/well添加して、室温で1時間放置した。
4)溶液を96 wellプレートから捨てて、PBS-0.05%Tween20でwellを十分洗浄した。
5)TMB Peroxidase Substrate (Moss, TMBE-1000s)を100 μL/well添加して、発色反応させた。
6)10〜15分の発色反応後、1N硫酸を100 μL/well添加して、発色反応を停止させた。
7)450 nm吸光度を測定した。
このELISA測定で、高い発色値を示すコロニーが、キメラ抗体を高発現するクローンである。
ELISA測定により選択されたキメラ抗体高発現CHO細胞は、10%Fetal Bovine Serumと0.1 mg/mLのGeneticinを補足したDulbecco’s Modified Eagle’s Mediumで37℃5%二酸化炭素の条件下で培養することで増殖させた。十分に増殖したキメラ抗体の高発現CHO細胞は、0.1 mg/mLのGeneticinを補足した無血清培地であるCHO-S-SFMII(GIBCO,12052-098)での培養に置き換えられ、継続して1000mL程度培養された。
無血清培地であるCHO-S-SFMIIで培養されたキメラ抗体高発現CHO細胞の培養上清は、回収された。野生型キメラ抗体の精製は、そのFc領域構造に変化を加えていないため、抗体精製に通常用いられるProtein Aカラム精製により実施された。しかしながら、298Ala/333Ala/334Ala型キメラ抗体、298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体は、そのFc領域構造に変異を加えているために、Fc領域の構造変化を伴い、通常のProtein Aカラムへは、ほとんど吸着されない。この理由から、これら変異型キメラ抗体では、Protein Lカラムを使用して精製を実施した。今回作製されたAnti-CD20キメラ抗体は、その可変領域がκ鎖である。このProtein Lは、この可変領域κ鎖を認識して結合できるタンパク質である。以下に、野生型キメラ抗体のProtein Aカラム精製と変異型キメラ抗体のProtein Lカラム精製の詳細を記述する。
野生型キメラ抗体のProtein Aカラム精製
1)1000 mL のCHO-S-SFMIIで野生型キメラ抗体高発現CHO細胞を培養して得られた培養上清は、Amicon Ultrafiltration Membranes (Millipore, Code YM10)を取り付けたAmicon Stirred Uitrafiltration Cell (Millipore, Model 8400)を用いて、1000 mLから100 mLまで濃縮された。
2)培養上清濃縮液に、Protein A-SepharoseであるrProteinA Sepharose Fast Flow (Amersham Bioscience, 17-1279-03) 8mLを添加し、2日間4℃で攪拌させてProteinAに野生型キメラ抗体を吸着させた。
3)野生型キメラ抗体を吸着したProteinA-Sepharoseは、直径1.5 cm、長さ8 cmのカラムに充填させた。
4)ProteinA-Sepharoseが充填されたカラムは、PBS 100 mLで洗浄された後、Elution Buffer (0.17M Glycine-HCl, pH2.3) でカラムから野生型キメラ抗体を溶出した。
5)溶出された野生型キメラ抗体溶液は、すぐに1M Tris-HCl pH8.5を適量加えてpHを中性にした。
6)野生型キメラ抗体溶出液は、透析チューブであるCell Sep T2 (Membrane filtration products Inc, 8030-23)に入れて4℃でPBS 5 Lに透析された。透析後に回収した野生型キメラ抗体を、精製品とした。
1)1000 mL のCHO-S-SFMIIでCys型キメラ抗体高発現CHO細胞を培養して得られた培養上清は、Amicon Ultrafiltration Membranes (Millipore, Code YM10)を取り付けたAmicon Stirred Uitrafiltration Cell (Millipore, Model 8400)を用いて、1000mLから100mLまで濃縮された。
2)培養上清濃縮液100 mLは、ProteinL Binding Buffer (0.1M Phosphate, 0.15 M NaCl,pH 7.2) 100 mLを加えて混合された。
3)直径1.5 cm、長さ8 cmのカラムにProtein L-SepharoseであるImmunoPure Immobilized Protein L Plus (PIERCE, 20250) 2 mLを充填させた。
4) 2)で調整した液をカラム上端から加えて、カラム下端からゆっくり流し出した。この操作でProtein L-Sepharoseへ変異型キメラ抗体を吸着させた。その後、Protein L Binding Buffer 50 mLでカラムを洗浄し、カラムに吸着した余分な蛋白を除去した。
5)Elution Buffer (0.17M Glycine-HCl, pH2.3) でカラムから変異型キメラ抗体を溶出した。溶出された変異型キメラ抗体溶液は、すぐに1M Tris-HCl pH8.5を適量加えてpHを中性にした。
6)変異型キメラ抗体溶出液は、透析チューブであるCell Sep T2 (Membrane filtration products Inc, 8030-23)に入れて4℃でPBS 5 Lに透析された。透析後に回収した変異型キメラ抗体を、精製品とした。
以上のように、精製された野生型キメラ抗体あるいは変異型キメラ抗体は、12.5%SDS-PAGEで電気泳動されたのち、銀染色された。この電気泳動像を図3に添付する。
各種キメラ抗体のAntibody-dependent Cellular Cytotoxicity (ADCC)活性評価は、lactate dehydrogenase release assayにより行った。このAssayでは、Target細胞としてCD20分子を細胞膜表面に持つDaudi細胞を用い、Effector細胞として、Human peripheral blood mononuclear cells (PBMC)を用いた。このHuman PBMCは、Lymphoprep (Axis Shield)を使って、ヒトの血液から調整された。
Daudi細胞(1×104個/50 μL)は、96-well U-bottomedプレートの各wellに入れ、Effector細胞であるHuman PBMCが、E/T ratioが20/1となるように2×105個加えられた。この細胞液にさらに、各種Anti-CD20キメラ抗体を連続的な希釈系列となるように添加して、37℃で20時間保温された。保温後に、96-well U-bottomedプレートは、遠心分離され、その上清中のlactate dehydrogenase activityをCytoTox 96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay Kit (Promega, G1780)を用いて測定された。抗体依存的かつ特異的な細胞障害(Cytotoxicity)%は、以下の式と用いて算出された。
% Cytotoxicity = 100×(E−SE−ST)/(M−ST)
以上のような評価方法により、野生型、298Ala/333Ala/334Ala、298Ala/333Ala/334Ala/295CysのAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性結果を図4に添付する。この図4から、野生型キメラ抗体のADCC活性と比較して、抗体の高濃度条件下(0.001〜10 μg/mL)で、298Ala/333Ala/334Ala型キメラ抗体と298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体は非常に高いADCC活性を示した。298Ala/333Ala/334Ala型キメラ抗体に295Cysを加えた298Ala/333Ala/334Ala/295Cys型キメラ抗体は、低濃度(0.001 μg/mL以下の濃度)で298Ala/333Ala/334Ala型キメラ抗体よりも高いADCC活性を示した。
このようなADCC活性の上昇(約10倍程度)は、他の濃度域でも確認された。当業者であれば、上記の方法に倣い、図4および表1よりADCC活性の上昇を算出することが可能である。
実施例1と同様の方法で、239Asp/330Leu/332Glu型、239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型のAnti-CD20キメラ抗体を作製し、これら各種変異型のAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性を評価した。その結果、239Asp/330Leu/332Glu型のAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性と比較して、239Asp/330Leu/332Glu型に295Cysを加えた、239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型Anti-CD20キメラ抗体は高いADCC活性を示した。
以下に、Anti-CD20キメラ抗体の239Asp/330Leu/332Glu型、239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型の作製方法ならびにそのADCC活性測定とCD20分子に対する反応性を記載する。
キメラ抗体は、以下のA)〜F)の工程を経て、精製キメラ抗体として得られる。
A)キメラ抗体を作製する上で必要となる遺伝子のクローニング、
B)クローニングされた遺伝子の変異導入、
C)クローニングされた遺伝子及びその変異導入した遺伝子を組み合わせたキメラ抗体発現ベクターの構築、
D)キメラ抗体発現ベクターのCHO細胞への遺伝子導入とキメラ抗体を高発現するCHO細胞のスクリーニング、
E)キメラ抗体高発現CHO細胞の培養、
F)キメラ抗体高発現細胞の培養上清からのカラム精製。
これらの工程のうち、A)、C)〜F)は実施例1と同一である。従って本実施例では、工程B)について説明する。
239Asp/330Leu/332Glu型キメラ抗体、239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型キメラ抗体を得るためには、クローニングされたHuman IgG1 H鎖定常領域の特定箇所に変異を導入しなければならない。Elvin A.KabatらがSequence of proteins of Immunological Interest (NIH Publication No.91-3242, 1991) において示したHuman IgG1 H鎖定常領域の番号に従い、239番のSerをAspに、330番 のAlaをLeuに、332番 のIleをGlu、295番目のGluをCysに変更するために、クローニングされたHunan IgG1 H鎖定常領域が挿入されたpCR2.1ベクター:pCR2.1-HC(野生型)を鋳型として、PCR法により変異導入した。この変異導入法の詳細を以下に記述する。
pCR2.1-HC (野生型)(25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
239 Asp1 primer (20μM) 1.25 μL
239 Asp2 primer (20μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
239 Asp1 primer : GAACTCCTGGGGGGACCGGATGTCTTCCTCTTCCCCCCA(配列番号:80)
239 Asp2 primer : TGGGGGGAAGAGGAAGACATCCGGTCCCCCCAGGAGTTC(配列番号:81)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、変異239(Ser→Asp)導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクター(239Asp)と名前を付けた。
pCR2.1-HC (239Asp)(25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
332 Glu1 primer (20μM) 1.25 μL
332 Glu2 primer (20μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
332 Glu1 primer : AAAGCCCTCCCAGCCCCCGAAGAGAAAACCATCTCCAAA(配列番号:82)
332 Glu2 primer : TTTGGAGATGGTTTTCTCTTCGGGGGCTGGGAGGGCTTT(配列番号:83)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、変異332(Ile→Glu)導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクター(239Asp/332Glu)を得た。
pCR2.1-HC (239Asp/332Glu)(25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
332 Glu1 primer (20μM) 1.25 μL
332 Glu2 primer (20μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
330 Leu1 primer : TCCAACAAAGCCCTCCCACTCCCCGAAGAGAAAACCATC(配列番号:84)
330 Leu2 primer : GATGGTTTTCTCTTCGGGGAGTGGGAGGGCTTTGTTGGA(配列番号:85)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、変異330(Ala→Leu)導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクター(239Asp/330Leu/332Glu)を得た。
pCR2.1-HC (239Asp/330Leu/332Glu)(25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
295 Cys3 primer (20μM) 1.25 μL
295 Cys4 primer (20μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
295 Cys3 primer : ACAAAGCCGCGTGAGGAGTGCTACAACAGCACGTACCGT(配列番号:86)
295 Cys4 primer : ACGGTACGTGCTGTTGTAGCACTCCTCACGCGGCTTTGT(配列番号:87)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、変異295(Glu→Cys)導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクター(239Asp/330Leu/332Glu/295Cys)と名前を付けた。
精製された各種キメラ抗体の銀染色分析は、実施例1に記載の方法と同様の方法に従って行った(図5)。
各種キメラ抗体のAntibody-dependent Cellular Cytotoxicity (ADCC)活性評価も、実施例1に記載の方法と同様の方法に従って行った。野生型、239Asp/330Leu/332Glu、239Asp/330Leu/332Glu/295CysのAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性結果を図6に示す。図から、239Asp/330Leu/332Glu型キメラ抗体は、野生型と比べて高濃度条件下(0.001〜10 μg/mL)で、239Asp/330Leu/332Glu/295Cys型キメラ抗体は、全濃度域で野生型と比べて、高いADCC活性を示した。また、239Asp/330Leu/332Glu/295Cysは、239Asp/330Leu/332Gluと比べ、低濃度(0.001 μg/mL以下の濃度)で高いADCC活性を示した。
当業者であれば、上記の方法に倣い、図6および表2よりADCC活性の上昇を算出することが可能である。
実施例1と同様の方法で、フコース低減野生型、フコース低減295CysのAnti-CD20キメラ抗体を作製し、これら各種のAnti-CD20キメラ抗体のADCC活性を評価した。
以下に、Anti-CD20キメラ抗体のフコース低減野生型、フコース低減295Cys型の作製方法ならびにそのADCC活性測定とCD20分子に対する反応性を記載する。
キメラ抗体は、以下のA)〜G)の工程を経て、精製キメラ抗体として得られる。
A)キメラ抗体を作製する上で必要となる遺伝子のクローニング、
B)クローニングされた遺伝子の変異導入、
C)クローニングされた遺伝子及びその変異導入した遺伝子を組み合わせたキメラ抗体発現ベクターの構築、
D)FUT8 Knock Down CHO細胞の作製、
E)キメラ抗体発現ベクターのフコースKnock Down CHO細胞への遺伝子導入とキメラ抗体を高発現するフコースKnock Down CHO細胞のスクリーニング、
F)キメラ抗体高発現フコースKnock Down CHO細胞の培養、
G)キメラ抗体高発現細胞の培養上清からのカラム精製。
これらの工程のうち、A)は実施例1と同一である。従って本実施例では、工程B)、C)、D)、E)、F)、G)について説明する。
フコース低減295Cys型キメラ抗体を得るためには、クローニングされたHuman IgG1 H鎖定常領域の特定箇所に変異を導入しなければならない。Elvin A.KabatらがSequence of proteins of Immunological Interest (NIH Publication No.91-3242, 1991) において示したHuman IgG1 H鎖定常領域の番号に従い、295番のGluをCysに変更するために、クローニングされたHunan IgG1 H鎖定常領域が挿入されたpCR2.1ベクター:pCR2.1-HC(野生型)を鋳型として、PCR法により変異導入した。この変異導入法の詳細を以下に記述する。
pCR2.1-HC (野生型)(25 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
295 Cys3 primer (20μM) 1.25 μL
295 Cys4 primer (20μM) 1.25 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu DNA polymerase 1 μL
滅菌水 35.5 μL
total 50 μL
(PCR増幅反応)
95℃ 30 sec
95℃ 30 sec 55℃ 1 min 68℃ 13 min (12サイクル)
68℃ 4 min
4℃ 無制限時間
Primerの塩基配列は以下の通りである。
295 Cys3 primer : ACAAAGCCGCGTGAGGAGTGCTACAACAGCACGTACCGT(配列番号:86)
295 Cys4 primer : ACGGTACGTGCTGTTGTAGCACTCCTCACGCGGCTTTGT(配列番号:87)
上記のPCR反応終了後、DpnI (New England BioLabs)を1 μL添加して、2時間37℃でインキュベーションした。インキュベーション終了した液を用いて、大腸菌JM109を形質転換し、形質転換された大腸菌からプラスミドを精製した。精製プラスミドのDNAシークエンスを確認することで、変異295(Glu→Cys)導入されたHuman IgG1 H鎖定常領域を挿入したpCR2.1ベクター(295Cys)と名前を付けた。
1種類のAnti-CD20キメラ抗体を発現させるために、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖とH鎖の2種類の発現ベクターをCHO細胞にTransfectionさせることで達成される。ここで、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖の発現ベクターとは、Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子を結合させたものを発現ベクターに組み込んだものであり、Anti-CD20キメラ抗体のH鎖の発現ベクターとは、Anti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子を結合させたものを発現ベクターに組み込んだものである。野生型、295Cys型のAnti-CD20キメラ抗体を作製するにあたり、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖の発現ベクターは、これら2種のキメラ抗体を発現させるために共通に使用するものであるが、Anti-CD20キメラ抗体のH鎖の発現ベクターは、野生型、295Cys型キメラ抗体の各々に対して専用のH鎖発現ベクターを必要とする。ここでは、はじめに各フコース低減キメラ抗体の発現に共通に使用できるAnti-CD20キメラ抗体L鎖の発現ベクターの構築について詳細を記述し、その後に295Cys型キメラ抗体の発現に必要な専用のAnti-CD20キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築について記述する。
発現ベクターとしては、pQCXIH(Clontech)ベクターを使用し、このベクターのNotIとEcoRIサイトにAnti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子を挿入させる。Anti-CD20マウスL鎖可変領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-MLVを鋳型に以下のPCR反応を行うことで断片を得た。また、Human IgG1 L鎖定常領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-LCを鋳型として以下のPCR反応により断片を得た。
pCR2.1-MLV (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
L5 primer(20μM) 2.5 μL
L2 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4min
4℃ 無制限時間
L5 primer:AATAGCGGCCGCATGGATTTTCAGGTGCAGATTATCA(配列番号:88)
L2 primer:TTTCAGCTCCAGCTTGGTCCCAGCACC (5’-リン酸化されている)(配列番号:73)
pCR2.1-LC (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
L3 primer(20μM) 2.5 μL
L6 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
L3 primer:ACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATC (5’-リン酸化されている)(配列番号:74)
L6 primer:CGGTAGAATTCCTAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTC(配列番号:89)
発現ベクターとしては、pQCXIPベクター(Clontech)を使用し、このベクターのNotIとEcoRIサイトにAnti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子+ Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子を挿入させる。Anti-CD20マウスH鎖可変領域遺伝子は、先に作製されたpCR2.1-MHVを鋳型に以下のPCR反応を行うことで断片を得た。野生型、295Cys型キメラ抗体の各々に対して専用のH鎖発現ベクターは、Human IgG1 H鎖定常領域遺伝子をPCR増幅させる際の鋳型となるプラスミドは異なるが、操作自体は全く同様に行われて各種Human IgG1 H鎖遺伝子断片を得た。以下にPCR反応を含む詳細を記述する。
pCR2.1-MHV (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
H5 primer(20μM) 2.5 μL
H2 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
H5 primer:AATAGCGGCCGCATGGGATGGAGCTGGGTCTTTCTC(配列番号:90)
H2 primer:TGAGGAGACGGTGACCGTGGTCCC (5’-リン酸化されている)(配列番号:77)
#各種鋳型プラスミド (20 ng/μL) 2 μL
2.5 mM dNTPs 4 μL
H3 primer(20μM) 2.5 μL
H6 primer(20μM) 2.5 μL
DMSO 2.5 μL
×10 pfu polymerase Buffer 5 μL
pfu polymerase 1 μL
滅菌水 30.5 μL
total 50 μL
94℃ 2 min
94℃ 1 min 55℃ 2min 72℃ 2min (20サイクル)
72℃ 4 min
4℃ 無制限時間
H3 primer:GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTC(5’-リン酸化されている)(配列番号:78)
H6 primer:CGGTAGAATTCTTATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGC(配列番号:91)
フコース低減キメラ抗体は、α1.6フコース転移酵素(FUT8)をknock downしたCHO細胞に、Anti-CD20キメラ抗体のL鎖とH鎖の2種類の発現ベクターをTransfectionすることで作製できる(FUT8の塩基配列を配列番号:96、アミノ酸配列を配列番号:97に示す)。ここでは、フコース低減キメラ抗体の作製に必要なFUT8 Knock Down CHO細胞の作製方法について記述する。
FUT8cDNA配列(+190〜+208)を基に設計されたFUT8 siRNA Sense primer (5’-gatccccgctgagtctctccgaatacttcaagagagtattcggagagactcagcttttta-3’配列番号:92)およびFUT8 siRNA Anti-Sense primer (5’-tcgataaaaagctgagtctctccgaatactctcttgaagtattcggagagactcagcggg-3’配列番号:93)を、常法に従いNaCl存在下99℃、2min加熱後、72℃から4℃まで2時間かけて冷却することによってアニーリングさせた。得られたDNA断片を、pSuper gfp+neo(Oligoengine)に挿入した。挿入されたDNA塩基配列はABI3100-Avant(Applied Biosystems社製)を用いて確認を行い、FUT-8 siRNA発現ベクター FUT-8 SiRNA/pSuper gfp+neoを構築した。
得られたFUT-8 siRNA発現ベクター FUT-8 siRNA/pSuper gfp+neo はFuGENE(Roche社製)を用い、取扱説明書に従ってCHO-K1細胞(ATCC Catalog No. CCL-61)に遺伝子導入した。遺伝子導入されたCHO-K1細胞は10% FCS (Hyclone社製) -ペニシリン-ストレプトマイシン (SIGMA社製) 含有RPMI-1640 培地(SIGMA社製) にて培養し、さらにG418(和光純薬社製)0.6 mg/mlを添加して薬剤選択を行った。薬剤耐性を獲得した細胞はセルソーター(EPICS ALTRA、Beckman Coulter社製)を用いてGFP発現量を指標にソーティングを行った。ソーティング後の細胞は限界希釈を行い、GFP高発現細胞、すなわちFUT-8 siRNAを高発現する細胞を得た。同細胞におけるFUT-8 mRNA発現量は、FUT-8発現解析用sense primerおよび(5'-AATGAAGACTTGAGGCGAATGG-3'配列番号:94)FUT-8発現解析用anti-sense primer(5'-ATTGACCAGGGGACAGCTACA-3'配列番号:95)とABI PRISM 7000(Applied Biosystems社製)を用いたReal time PCR法を用いて定量し、mRNA発現量が遺伝子導入前の細胞の22.8%とFUT-8が発現抑制されていることを確認した。得られたFUT-8 siRNA発現量の高い細胞をFUT-8 knockdown CHO-K1細胞として実験に使用した。
構築された各種発現ベクターは、以下の組み合わせでTransIT-CHO Transfection kit(Mirus, MIR2170)を使用してFUT8 Knock Down CHO細胞へ遺伝子導入された。
野生型キメラ抗体:pKDキメラLC+ pKDキメラHC(野生型)
295Cys型キメラ抗体:pKDキメラLC+pKDキメラHC (295Cys型)
(ELISA測定)
1)Anti-Human IgG (γ-chain) (MBL, 103AG)をコートした96Wellプレートに、TansfectionされたCHO細胞の培養上清を100 μL/wellで添加し、室温で1時間放置した。
2)培養上清液を96 wellプレートから捨てて、0.05%のTween20を含むPBS (PBS-0.05%Tween20)でwellを十分洗浄した。
3)Anti-Human IgG(γ-chain)Peroxidase conjugated (MBL, 208)をPBS-0.05%Tween20で2000倍希釈した溶液を100 μL/well添加して、室温で1時間放置した。
4)溶液を96 wellプレートから捨てて、PBS-0.05%Tween20でwellを十分洗浄した。
5)TMB Peroxidase Substrate (Moss, TMBE-1000s)を100 μL/well添加して、発色反応させた。
6)10〜15分の発色反応後、1N硫酸を100 μL/well添加して、発色反応を停止させた。
7)450 nm吸光度を測定した。
このELISA測定で、高い発色値を示すコロニーが、キメラ抗体を高発現するクローンである。
ELISA測定により選択されたキメラ抗体高発現CHO細胞は、10% Fetal Bovine Serumと0.2 mg/mL Geneticin、0.1mg/mL Hygromycin、2μg/mL Puromycinを補足したRPMI1640で37℃5%二酸化炭素の条件下で培養することで増殖させた。十分に増殖したキメラ抗体の高発現FUT8 Knock Down CHO細胞は、0.2 mg/mL Geneticin、0.1mg/mL Hygromycin、2μg/mL Puromycinを補足した無血清培地であるCHO-S-SFMII(GIBCO,12052-098)の培養に置き換えられ、継続して1000mL程度培養された。
無血清培地であるCHO-S-SFMIIで培養されたキメラ抗体高発現FUT8 Knock Down CHO細胞の培養上清は、回収された。野生型キメラ抗体の精製は、そのFc領域構造に変化を加えていないため、抗体精製に通常用いられるProtein Aカラム精製により実施された。しかしながら、295Cys型キメラ抗体は、そのFc領域構造に変異を加えているために、Fc領域の構造変化を伴い、通常のProtein Aカラムへは、ほとんど吸着されない。この理由から、これら変異型キメラ抗体では、Protein Lカラムを使用して精製を実施した。今回作製されたAnti-CD20キメラ抗体は、その可変領域がκ鎖である。このProtein Lは、この可変領域κ鎖を認識して結合できるタンパク質である。以下に、野生型キメラ抗体のProtein Aカラム精製と変異型キメラ抗体のProtein Lカラム精製の詳細を記述する。
野生型キメラ抗体のProtein Aカラム精製
1)1000 mL のCHO-S-SFMIIで野生型キメラ抗体高発現FUT8 Knock Down CHO細胞を培養して得られた培養上清は、Amicon Ultrafiltration Membranes (Millipore, Code YM10)を取り付けたAmicon Stirred Uitrafiltration Cell (Millipore, Model 8400)を用いて、1000 mLから100 mLまで濃縮された。
2)培養上清濃縮液に、Protein A-SepharoseであるrProteinA Sepharose Fast Flow (Amersham Bioscience, 17-1279-03) 8mLを添加し、2日間4℃で攪拌させてProteinAに野生型キメラ抗体を吸着させた。
3)野生型キメラ抗体を吸着したProteinA-Sepharoseは、直径1.5 cm、長さ8 cmのカラムに充填させた。
4)ProteinA-Sepharoseが充填されたカラムは、PBS 100 mLで洗浄された後、Elution Buffer (0.17M Glycine-HCl, pH2.3) でカラムから野生型キメラ抗体を溶出した。
5)溶出された野生型キメラ抗体溶液は、すぐに1M Tris-HCl pH8.5を適量加えてpHを中性にした。
6)野生型キメラ抗体溶出液は、透析チューブであるCell Sep T2 (Membrane filtration products Inc, 8030-23)に入れて4℃でPBS 5 Lに透析された。透析後に回収した野生型キメラ抗体を、精製品とした。
1)1000 mL のCHO-S-SFMIIで295Cys型キメラ抗体高発現FUT8 Knock Down CHO細胞を培養して得られた培養上清は、Amicon Ultrafiltration Membranes (Millipore, Code YM10)を取り付けたAmicon Stirred Uitrafiltration Cell (Millipore, Model 8400)を用いて、1000mLから100mLまで濃縮された。
2)培養上清濃縮液100 mLは、ProteinL Binding Buffer (0.1M Phosphate, 0.15 M NaCl,pH 7.2) 100 mLを加えて混合された。
3)直径1.5 cm、長さ8 cmのカラムにProtein L-SepharoseであるImmunoPure Immobilized Protein L Plus (PIERCE, 20250) 2 mLを充填させた。
4) 2)で調整した液をカラム上端から加えて、カラム下端からゆっくり流し出した。この操作でProtein L-Sepharoseへ変異型キメラ抗体を吸着させた。その後、Protein L Binding Buffer 50 mLでカラムを洗浄し、カラムに吸着した余分な蛋白を除去した。
5)Elution Buffer (0.17M Glycine-HCl, pH2.3) でカラムから変異型キメラ抗体を溶出した。溶出された変異型キメラ抗体溶液は、すぐに1M Tris-HCl pH8.5を適量加えてpHを中性にした。
6)変異型キメラ抗体溶出液は、透析チューブであるCell Sep T2 (Membrane filtration products Inc, 8030-23)に入れて4℃でPBS 5 Lに透析された。透析後に回収した変異型キメラ抗体を、精製品とした。
以上のように、精製された野生型キメラ抗体あるいは変異型キメラ抗体は、12.5%SDS-PAGEで電気泳動されたのち、銀染色された。この電気泳動像を図に添付する(図7)。
Claims (20)
- KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸がシステイン残基に置き換えられた抗体であって、以下の(a)及び/又は(b)に記載の特徴を有する抗体;
(a)定常領域において295番目以外の3つのアミノ酸が他のアミノ酸に置き換えられた抗体、及び/又は
(b)Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体。 - KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体。
- KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたことを特徴とする抗体。
- KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸が、システイン残基に置き換えられた抗体であって、Fc領域に結合しているN-グリコシド結合糖鎖において還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない抗体。
- 定常領域がヒトIgGの定常領域である請求項1から4の何れかの項に記載の抗体。
- ヒト細胞表層存在分子を認識する部位を有する、請求項1から5の何れかの項に記載の抗体。
- サイトカイン受容体、細胞接着分子、がん細胞表層分子、がん幹細胞表層分子、血液細胞表層分子、ウイルス感染細胞表層分子からなる群から選択される少なくとも一つを認識する、請求項1から6の何れかの項に記載の抗体。
- 抗原CD3、CD11a、CD20、CD22、CD25、CD28、CD33、CD52、Her2/neu、EGF受容体、EpCAM、MUC1、GD3、CEA、CA125、HLA−DR、TNFalpha受容体、VEGF受容体、CTLA−4、AILIM/ICOS、インテグリン分子からなる群から選択される少なくとも一つを認識する、請求項1から7の何れかの項に記載の抗体。
- 請求項1から8の何れかの項に記載の抗体をコードする単離された核酸。
- 請求項9に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項10に記載のベクターを有する宿主細胞又は宿主生物。
- 請求項11に記載の宿主細胞又は宿主生物を、核酸がコードする抗体を発現するように培養することを特徴とする抗体の製造方法。
- 請求項1から8の何れかの項に記載の抗体を含む治療用組成物。
- KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたエフェクター機能を有する抗体を発現する細胞であって、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した細胞。
- 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置換されたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。 - 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸が、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。 - 以下(1)から(3)の工程を含むエフェクター機能が向上した抗体の製造方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。 - エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で298、333、334、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アラニン、アラニン、アラニン、及びシステイン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法。
- エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で239、330、332、及び295番目のアミノ酸を、それぞれ、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、及びシステイン残基に置き換える工程を含む、抗体のエフェクター機能を向上させる方法。
- 下記(1)から(3)の工程を含む抗体のエフェクター機能を向上させる方法;
(1)エフェクター機能を有する抗体におけるKabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基をシステイン残基に置き換える工程、
(2)KabatのEUインデックス番号で295番目のアミノ酸残基がシステイン残基に置き換えられたH鎖をコードするDNA、及び、L鎖をコードするDNAを、還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素の活性が低減、または欠失した宿主細胞又は宿主生物に導入し、該DNAを発現させる工程、及び
(3)発現産物を回収する工程。
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