定義
ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体
本明細書において使用する場合、「ヌクレオチド」なる用語は、糖部分、塩基部分、および共有結合により連結されたリン酸基を含むグリコシドを指し、DNAまたはRNA、好ましくはDNAなどの天然ヌクレオチドと、本明細書において「ヌクレオチド類似体」とも称される、修飾糖部分および/または修飾塩基部分を含む非天然ヌクレオチドとを両方とも包含する。
非天然ヌクレオチドには、修飾糖部分を有するヌクレオチド、例えば二環式ヌクレオチドまたは2'修飾ヌクレオチド、例えば2'置換ヌクレオチドが含まれる。
「対応する(corresponding to)」および「対応する(correspond to)」なる用語は、オリゴマーまたは連続ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列(第1の配列)と、標的RNAの逆相補物の全体または部分配列のいずれかの同等な連続ヌクレオチド配列との間の比較を指し、RNA標的に対応するオリゴマー配列またはその連続ヌクレオチド配列は、典型的には、標的RNAの全体または部分配列の逆相補物とアライメントした場合にミスマッチを含まないかまたはミスマッチを1つだけ含む。
「有効投与量」なる表現は、所望の効果を達成する薬物の用量を表す。本発明の文脈において、所望の効果とは、miR-134の活性を低下させることである。miR-134の活性の低下は、例えば、miR-134もしくはmiR-134前駆体の分解をもたらすオリゴヌクレオチドを用いたときのmiR-134のレベルを測定することによって測定でき、またはマイクロRNA-134の標的(例えば、miR-134結合部位を含み、miR-134によってその発現が制御されるmRNA、すなわちmiR-134標的mRNA)の抑制解除を測定することによって測定してもよい。したがって、miR-134の阻害は、直接的に、またはmiR-134活性の二次的指標を介して間接的に測定してもよい。
この文脈において、miR-134標的mRNAは、内因性の標的、例えばレポーター遺伝子アッセイであってもよく、または、例えば、これに限定されることはないが実施例における方法のような本明細書において参照もしくは記載される方法のとおり、miR-134阻害物質の非存在下でmiR-134によってその発現が抑制される内因性の転写物であってもよい。一態様において、所望の効果は、例えばてんかんにおいて、発作の回数によって測定することができる。
「活性を低下させる」なる表現は、当技術分野において公知のアッセイによって測定した場合に標的mRNAが上方制御されていることを意味する。そのようなアッセイの一例は、ThermoFisherの市販のアッセイであるpMIR-REPORT miRNA Expression Reporter Vectorである。pMIR-REPORT miRNA Expression Reporter Vectorは、miRNA発現の定量的な「細胞内」測定を提供する。この有効なmiRNAレポーターシステムは、哺乳動物プロモーター/ターミネーターシステムの制御下にあるルシフェラーゼcDNAと、3' UTR内の推定miRNA結合部位のクローニング領域とを含む。高いルシフェラーゼ活性は、細胞内で推定miRNA結合部位とmiRNAとの間の機能的相互作用がほとんどまたは全くないことを示す一方で、低いルシフェラーゼ活性は、細胞内での3' UTR配列とmiRNAとの間の有意義な相互作用を示す。
そのようなアッセイの別の例は、マイクロRNA-134活性の測定のためのバイオマーカーとしてSerpine 1を用いるインビトロアッセイであり得る(例えば、EP 18190523.3に記載のものを参照されたい)。
「miR-134の活性を低下させることが有益である」なる表現は、miR-134の活性の低減が、疾患を患っている哺乳動物に利益をもたらすことを意味する。この疾患は例えばてんかんであり得る。
「対応するヌクレオチド類似体」および「対応するヌクレオチド」なる用語は、ヌクレオチド類似体におけるヌクレオチドと天然ヌクレオチドが同一であることを示すことが意図される。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボース単位がアデニンに連結されている場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに連結された(2-デオキシリボースとは異なる)ペントース単位を含む。
「ヌクレオチド類似体」とは、糖および/または塩基部分における修飾による、DNAまたはRNAヌクレオチドなどの天然ヌクレオチドの変種である。オリゴマーの文脈において、類似体は、原理的には、天然ヌクレオチドに対して単に「サイレント」または「同等」であり得、すなわち、オリゴマーが標的遺伝子の発現を阻害するように働くやり方に対して機能的効果を有さない。しかしながら、そのような「同等な」類似体は、例えばそれらが製造するのにより容易もしくはより安価である場合、または保管もしくは製造条件に対してより安定である場合、またはタグもしくは標識となる場合に、有用であり得る。しかしながら好ましくは、類似体は、例えば、標的に対する結合親和性の増加および/または細胞内ヌクレアーゼに対する抵抗性の増加および/または細胞内への輸送の容易性の増加をもたらすことによって、オリゴマーが発現を阻害するように働くやり方に対して機能的効果を有する。ヌクレオシド類似体の具体例は、例えばFreier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213によって、ならびにスキーム1に記載されている。
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スキーム1
したがって、オリゴマーは、天然ヌクレオチド、好ましくは2'-デオキシヌクレオチド(本明細書において一般に「DNA」と称される)の、しかし場合によってはリボヌクレオチド(本明細書において一般に「RNA」と称される)の単純な配列を含むかもしくはそれからなってもよく、またはそのような天然ヌクレオチドと1つもしくは複数の非天然ヌクレオチド、すなわちヌクレオチド類似体との組み合わせを含むかもしくはそれからなってもよい。そのようなヌクレオチド類似体は、標的配列に対するオリゴマーの親和性を適切に増強し得る。
適切かつ好ましいヌクレオチド類似体の例は、PCT/DK2006/000512によって提供されるか、またはその中で参照されている。
親和性増強ヌクレオチド類似体、例えばLNAまたは2'置換型糖をオリゴマーに組み込むことによって、特異的に結合するオリゴマーのサイズの低減を可能にすることができ、また、非特異的または異常な結合が起こる前のオリゴマーのサイズの上限を低減させることもある。
いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマーは、少なくとも2つのヌクレオチド類似体を含む。いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマーは、3〜8個のヌクレオチド類似体、例えば6個または7個のヌクレオチド類似体を含む。格段に好ましい態様において、第1のオリゴマーについて言及してもよいが特に第2のオリゴマーに関して、上記ヌクレオチド類似体のうち少なくとも1つはロックド核酸(LNA)であり、例えば、ヌクレオチド類似体のうち少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または8個はLNAであってもよい。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類似体がLNAであってもよい。
ヌクレオチドのそのような修飾の例には、糖部分を修飾して、2'置換基を提供すること、または結合親和性を増強しかつヌクレアーゼ抵抗性の増加ももたらし得る架橋(ロックド核酸)構造を生成することが含まれる。
好ましいヌクレオチド類似体はLNA、例えばオキシ-LNA(例えば、β-D-オキシ-LNAおよびα-L-オキシ-LNA)、ならびに/またはアミノ-LNA(例えば、β-D-アミノ-LNAおよびα-L-アミノ-LNA)、ならびに/またはチオLNA(例えば、β-D-チオ-LNAおよびα-L-チオ-LNA)、ならびに/またはENA(例えば、β-D-ENAおよびα-L-ENA)である。β-D-オキシ-LNAが最も好ましい。
いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマー内に存在するヌクレオチド類似体は、例えば、2'-O-アルキル-RNA単位、2'-アミノ-DNA単位、2'-フルオロ-DNA単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位、2'-フルオロ-ANA単位、HNA単位、INA(インターカレーティング核酸(Christensen, 2002. Nucl. Acids. Res. 2002 30: 4918-4925、これは参照により本明細書に組み入れる))単位、および2' MOE単位から独立して選択される。いくつかの態様において、上述のヌクレオチド類似体タイプのうちの1つのみが、本発明のオリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列内に存在する。
いくつかの態様において、ヌクレオチド類似体は2'-O-メトキシエチル-RNA(2' MOE)、2'-フルオロ-DNAモノマー、またはLNAヌクレオチド類似体であり、1種または複数種のオリゴマーは、これら3つのタイプの類似体から独立して選択されるヌクレオチド類似体を含んでいてもよく、または3つのタイプから選択される1つのタイプの類似体のみを含んでいてもよい。いくつかの態様において、上記ヌクレオチド類似体のうち少なくとも1つは2'-MOE-RNAであり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2'-MOE-RNAヌクレオチド単位である。いくつかの態様において、上記ヌクレオチド類似体のうち少なくとも1つは2'-フルオロDNAであり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2'-フルオロ-DNAヌクレオチド単位である。
いくつかの態様において、第2のオリゴマーは、LNAと2'-MOE-RNAまたは2'-フルオロヌクレオチドとの両方を含み、いくつかの態様において、LNAと2'-MOEから、またはLNAと2'-フルオロヌクレオチドからなってもよい。
いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマーは、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)単位、例えば1、2、3、4、5、6、7または8個のLNA単位、例えば3〜7個もしくは4〜8個のLNA単位、または3、4、5、6もしくは7個のLNA単位を含む。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類似体がLNAである。いくつかの態様において、オリゴマーは、β-D-オキシ-LNAと、以下のLNA単位のうちの1種または複数種とを含んでいてもよい:β-Dもしくはα-L配置のいずれかまたはそれらの組み合わせの、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、および/またはENA。いくつかの態様において、すべてのLNAシトシン単位は5'メチルシトシンである。本発明のいくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマーは、LNA単位とDNA単位との両方を含んでいてもよい。いくつかの態様において、LNA単位とDNA単位を合わせた総数は10〜25個または10〜20個、例えば12〜16個である。いくつかの態様において、オリゴマーのヌクレオチド配列、例えば連続ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのLNAからなり、残りのヌクレオチド単位はDNA単位である。いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマーは、任意でホスホロチオエートなどの修飾ヌクレオチド間結合を有する、LNAヌクレオチド類似体と天然ヌクレオチド(例えば、RNAまたはDNA、最も好ましくはDNAヌクレオチド)のみを含む。
「核酸塩基」なる用語は、ヌクレオチドの塩基部分を指し、天然ならびに非天然変種の両方を包含する。したがって、「核酸塩基」は、公知のプリン複素環およびピリミジン複素環だけでなく、それらの複素環式類似体および互変異性体も包含する。
核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンが含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、1種または複数種のオリゴマー内に存在する核酸塩基のうち少なくとも1つは、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンからなる群より選択される修飾核酸塩基である。
LNA
「LNA」なる用語は、「ロックド核酸」として知られている二環式ヌクレオチド類似体を指す。これはLNAモノマーを指してもよく、または、「LNAオリゴヌクレオチド」の文脈で使用される場合、LNAとは、1つもしくは複数のそのような二環式ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドを指す。
「LNAヌクオレシド」とは、ヌクレオシドのリボース糖環のC2'とC4'とを連結し、リボース環の立体配座を制限またはロックするビラジカル(2'-4'架橋とも称される)を含む2'修飾ヌクレオシドである。リボースの立体配座のロックは、相補的なRNA分子またはDNA分子に対するオリゴヌクレオチドにLNAを組み込んだ場合、ハイブリダイゼーションの親和性の増強に関連する。これは、オリゴヌクレオチド/相補物二重鎖の融解温度を測定することによって慣例的に確認することができる。
非限定的な例示的LNAヌクレオシドは、WO 99/014226、WO 00/66604、WO 98/039352、WO 2004/046160、WO 00/047599、WO 2007/134181、WO 2010/077578、WO 2010/036698、WO 2007/090071、WO 2009/006478、WO 2011/156202、WO 2008/154401、WO 2009/067647、WO 2008/150729、Morita et al., Bioorganic & Med.Chem. Lett. 12, 73-76、Seth et al. J. Org. Chem. 2010, Vol 75(5) pp. 1569-81、およびMitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009, 37(4), 1225-1238に開示されている。
いくつかの態様において、2'-4'架橋は、4'-X-Y-2'ビラジカル(架橋)を有するLNAヌクレオシド内に存在し、ここで、
Xは、酸素、硫黄、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-、もしくは>C=Jであり;
Yは、酸素、硫黄、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(RaRb)-C(RaRb)-、-C(RaRb)C(RaRb)C(RaRb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-N(Ra)-、もしくは>C=Jであり;Jは、酸素、硫黄、もしくは=N(Ra)であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(Ra)2-Si(Ra)2-、-SO2-SO2-、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N-C(Ra)=N、-C(Ra)=N-C(Ra)=C(Rb)、および-C(Ra)=C(Rb)C(Ra)=N-以外のものであるか、
または-X-Y-は、一緒になって、-OC(RaRb)-、-SC(RaRb)-、-NRaC(RaRb)-、-OCRaRb-、-CRaRbOCRaRb-、-OCRaRbCRaRb-、-CHRaOCHRb-、-OCHRaCHRb-、-OCRaCRb-、-OC(RaRb)C(RaRb)C(RaRb)-、-OC(RaRb)OC(RaRb)-、-ONRaC(RaRb)-、-C(=CRaRb)C(RaRb)-、-NRaC(RaRb)-、-RaNOC(RaRb)-、もしくは-SC(RaRb)を示し;
ここで、RaおよびRbは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、保護基、C1-6-アルキル、置換C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、置換C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、置換C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシ、置換C1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、C5-8アリール、置換C5-8アリール、アミノ、モノおよびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノおよびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ(sulphono)、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、C5-8アリールオキシ-カルボニル、C5-8アリールオキシ、C5-8アリールカルボニル、C5-8ヘテロアリール、C5-8ヘテロアリールオキシ-カルボニル、C5-8ヘテロアリールオキシ、C5-8ヘテロアリールカルボニル、-ORc、-NRcRd、-SRc、-N3、-OC(=Xa)Rc、-OC(=Xa)NRcRd、-NReC(=Xa)NRcRd、ならびに-CNから選択され、ここで、Rc、Rd、およびReはそれぞれ独立してHもしくはC1-6アルキルであり、XaはO、S、もしくはNRc、-C(=O)-Raであるか、または2つのジェミナル置換基RaおよびRbは、一緒になって、メチレン(=CH2)もしくは置換メチレンを示してもよく;RaおよびRbは、置換されている場合、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、保護基、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、C5-8アリール、またはC5-8ヘテロアリールによって一置換または多置換されている。
いくつかの態様において、RaおよびRbは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アルキル、およびC2-6-アルコキシアルキルからなる群より選択される。
いくつかの態様において、RaおよびRbは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、およびCH2OCH3からなる群より選択される。
いくつかの態様において、RaおよびRbは独立して、水素、メチル、およびCH2OCH3からなる群より選択される。
いくつかの態様において、Raは水素またはメチルである。
いくつかの態様において、Rbは水素またはメチルである。
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方または両方は水素である。
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方のみが水素である。
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方がメチルであり、他方が水素である。
いくつかの態様において、RaおよびRbは両方とも共にメチルである。
いくつかの態様において、Xは酸素、硫黄、NH-、-CH2-、または-C(=CH2)-である。
いくつかの態様において、Xは酸素である。
いくつかの態様において、Yは-CH2-、-CHCH3-、-CH2CH2-、または-CH2CH2CH2-である。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2-または-OCH(CH3)-である。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、RaおよびRbは独立して、水素、メチル、およびCH2OCH3からなる群より選択される。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、RaおよびRbの一方は水素であり、他方はメチルおよびCH2OCH3からなる群より選択される。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CH2 -である。
LNAヌクレオシドのさらなる非限定的な例
2'-4'架橋は、それぞれ式(A)および式(B)に図示されているように、リボース環の平面の下(β-D配置)または環の平面の上(α-L配置)のいずれかに位置し得る。
式AおよびBに図示されているLNAヌクレオシドは例示のためのものであることを理解されたい。
いくつかの態様において、LNAヌクレオシドは式Aのヌクレオシドであり、式中、-X-Y-は上で定義したとおりである。
いくつかの態様において、LNAヌクレオシドは式Bのヌクレオシドであり、式中、-X-Y-は上で定義したとおりである。
式中、
Wは酸素、硫黄、-N(Ra)-、または-C(RaRb)-、特に酸素であり;ここでRaおよびRbは、本明細書において-X-または-Y-にしたがって定義したとおりであり;
Bは核酸塩基または修飾核酸塩基であり;
Zは隣接ヌクレオシドとのヌクレオシド間結合または5'末端基であり;
Z*は隣接ヌクレオシドとのヌクレオシド間結合または3'末端基であり;
R1、R2、R3、R5、およびR5*は独立して、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、およびC5-8アリールから選択される。
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R5、およびR5*は独立して、メチルなどのC1-6アルキル、および水素から選択される。
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。
いくつかの態様において、R1、R2、R3はすべて共に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、R5およびR5*の他方は上で定義したとおりであり、特にメチルなどのC1-6アルキルである。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照によりすべて本明細書に組み入れられるWO 99/014226、WO 00/66604、WO 98/039352およびWO 2004/046160に開示されており、これには、当技術分野においてβ-D-オキシLNAおよびα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般に公知であるものが含まれる。
いくつかの態様において、-X-Y-は-SCH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 99/014226およびWO 2004/046160に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-NHCH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 99/014226およびWO 2004/046160に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2CH2-または-OCH2CH2CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 00/047599およびMorita et al., Bioorganic & Med.Chem. Lett. 12, 73-76に開示されており、これには、当技術分野において2'-O-4'C-エチレン架橋核酸(ENA)として一般に公知であるものが含まれる。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3はすべて共に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、例えばC1-6アルキル、例えばメチルである。そのような5'置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 2007/134181に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCRaRb-であり、ここでRaおよびRbの一方または両方は水素以外のもの、例えばメチルであり、Wは酸素であり、R1、R2、R3はすべて共に水素であり、R5およびR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、例えばC1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 2010/077578に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CH(CH2OCH3)-である(2'O-メトキシエチル二環式核酸、Seth et al. J. Org. Chem. 2010, Vol 75(5) pp. 1569-81)。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CH(CH2CH3)-である(2'O-エチル二環式核酸、Seth et al., J. Org. Chem. 2010, Vol 75(5) pp. 1569-81)。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのような6'置換LNAヌクレオシドは、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO 2010/036698およびWO 2007/090071に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH(CH2OCH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、当技術分野において環状MOE(cMOE)としても公知であり、WO 2007/090071に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は、(R)または(S)配置のいずれかの-OCH(CH3)-である。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2OCH2-である(Seth et al., J. Org. Chem 2010、前掲)。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH(CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのような6'メチルLNAヌクレオシドは、当技術分野においてcETヌクレオシドとしても公知であり、これは、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO 2007/090071(β-D)およびWO 2010/036698(α-L)に開示されるような(S)-cETまたは(R)-cET鏡像異性体のいずれかであってもよい。
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここでRaおよびRbはどちらも水素ではなく、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。いくつかの態様において、RaおよびRbは両方ともメチルである。そのような6'二置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 2009/006478に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-SCHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのような6'置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 2011/156202に開示されている。いくつかの6'置換チオLNAの態様において、Raはメチルである。
いくつかの態様において、-X-Y-は-C(=CH2)C(RaRb)-、例えば-C(=CH2)CH2-または-C(=CH2)CH(CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO 2008/154401およびWO 2009/067647に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-N(-ORa)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドは、N置換LNAとしても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるWO 2008/150729に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-ONRaCH3-である(Seth et al., J. Org. Chem 2010、前掲)。
いくつかの態様において、-X-Y-は-N(Ra)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。
いくつかの態様において、R5およびR5*は両方とも共に水素である。いくつかの態様において、R5およびR5*の一方は水素であり、他方はメチルなどのC1-6アルキルである。そのような一態様において、R1、R2、およびR3はすべて水素であってもよく、-X-Y-は-OCH2-、または-OCH(CH3)-などの-OCHC(Ra)3-であってもよい。
いくつかの態様において、-X-Y-は-CH2OCH2-などの-CRaRb-O-CRaRb-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドは、立体配座制限ヌクレオチド(conformationally restricted nucleotide(CRN))としても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるWO 2013/036868に開示されている。
いくつかの態様において、-X-Y-は-OCH2OCH2-などの-O-CRaRb-O-CRaRb-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、およびR5*はすべて共に水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドは、COCヌクレオチドとしても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるMitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009, 37(4), 1225-1238に開示されている。
指定しない限り、LNAヌクレオシドはβ-Dまたはα-L立体異性体であり得るということを認識されたい。
LNAヌクレオシドの具体例をスキーム1に提示する。
スキーム1
具体的なLNAヌクレオシドはβ-D-オキシ-LNA、6'メチルβ-D-オキシLNA、およびENAである。
ヌクレオチド間結合
「結合基」または「ヌクレオチド間結合」なる用語は、2つのヌクレオチド、2つのヌクレオチド類似体、およびヌクレオチドとヌクレオチド類似体などを共有結合により結合することができる基を意味することが意図される。具体的かつ好ましい例には、リン酸基およびホスホロチオエート基が含まれる。
本発明のオリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドは、結合基を介して結合する。適宜、各ヌクレオチドは結合基を介して3'隣接ヌクレオチドと連結される。
適切なヌクレオチド間結合には、PCT/DK2006/000512に列挙されたもの、例えば、(参照により本明細書に組み入れられる)PCT/DK2006/000512の第34頁の第1段落に列挙されたヌクレオチド間結合が含まれる。
いくつかの態様において、ヌクレオチド間結合をその通常のホスホジエステルから、ヌクレアーゼによる攻撃に対してより抵抗性であるもの、例えばホスホロチオエートまたはボラノホスフェートへと改変することが好ましく、これら2種はRNaseHにより切断可能であり、標的遺伝子の発現の低減におけるアンチセンス阻害の経路も可能にする。
本明細書において提供される適切な硫黄(S)含有ヌクレオチド間結合が好ましい場合がある。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合も好ましい。
オリゴマー内のヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、またはボラノホスフェートであってもよい。ヌクレアーゼ抵抗性の改善、および製造の容易さなどの他の理由のために、ホスホロチオエートが好ましい。
本発明のオリゴマーの一局面において、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体はホスホロチオエート基によって互いに連結される。
ホスホジエステル結合を、例えば1つまたは2つの結合を、その他はホスホロチオエートであるオリゴマー内、特にヌクレオチド類似体単位間またはヌクレオチド類似体単位の隣に含めることによって、オリゴマーのバイオアベイラビリティおよび/または生体内分布を改変できることが認識されている。参照により本明細書に組み入れられるWO 2008/053314を参照されたい。
適切であるが具体的には示されていないいくつかの態様、例えば上で言及した態様において、残りのすべての結合基は、ホスホジエステルもしくはホスホロチオエートのいずれか、またはそれらの混合である。
いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド間結合基はホスホロチオエートである。
特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば本明細書において提供されるものについて言及するとき、様々な態様において、結合がホスホロチオエート結合である場合、特にLNA単位などのヌクレオチド類似体単位間の結合のために、本明細書に開示される結合などの代替的な結合を用いてもよく、例えば、リン酸(ホスホジエステル)結合を用いてもよいということを理解されたい。
コンジュゲート
文脈において、「コンジュゲート」なる用語は、本明細書に記載のオリゴマーと1つまたは複数の非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分との共有結合性の付着(「コンジュゲーション」)により形成された異種分子を示すことが意図される。非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分の例には、高分子剤、例えば、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの組み合わせが含まれる。典型的には、タンパク質は、標的タンパク質に対する抗体であり得る。典型的なポリマーは、ポリエチレングリコールであり得る。
したがって、様々な態様において、本発明のオリゴマーは、典型的にはヌクレオチドの連続配列からなるポリヌクレオチド領域と、さらなる非ヌクレオチド領域とを両方とも含み得る。連続ヌクレオチド配列からなる本発明のオリゴマーについて言及するとき、化合物は、コンジュゲート成分などの非ヌクレオチド成分を含み得る。
本発明の様々な態様において、オリゴマー化合物は、例えばオリゴマー化合物の細胞取り込みを増加させるために使用され得るリガンド/コンジュゲートと連結されている。WO 2007/031091には適切なリガンドおよびコンジュゲートが提供されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、本明細書に記載の本発明による化合物と、該化合物に共有結合により付着した少なくとも1つの非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分とを含むコンジュゲートを提供する。したがって、本発明の化合物が本明細書に開示される指定の核酸配列またはヌクレオチド配列からなる様々な態様において、化合物は、該化合物に共有結合により付着した少なくとも1つの非ヌクレオチド部分または非ポリヌクレオチド部分(例えば、1つまたは複数のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含まない)も含み得る。
(コンジュゲート部分との)コンジュゲーションは、本発明のオリゴマーの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強し得る。そのような部分には、抗体、ポリペプチド、脂質部分、例えばコレステロール部分、コール酸、チオエーテル、例えばヘキシル-s-トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-o-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-h-ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、オクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のオリゴマーはまた、活性薬物物質、例えばアスピリン、イブプロフェン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、または抗生物質とコンジュゲートさせてもよい。
特定の態様において、コンジュゲートされる部分はコレステロールなどのステロールである。
様々な態様において、コンジュゲートされる部分は、正の電荷を有するポリマー、例えば、正の電荷を有するペプチド、例えば長さが1〜50アミノ酸残基、例えば2〜20アミノ酸残基、例えば3〜10アミノ酸残基である、正の電荷を有するペプチド、および/またはポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール(PEG)もしくはポリプロピレングリコールを含むかまたはそれからなる。参照により本明細書に組み入れられるWO 2008/034123を参照されたい。適宜、ポリアルキレンオキシドなどの正の電荷を有するポリマーは、WO 2008/034123に記載の遊離可能なリンカーなどのリンカーを介して本発明のオリゴマーに付着させてもよい。
一例として、以下のコンジュゲート部分を本発明のコンジュゲートにおいて用いてもよい。
活性化オリゴマー
本明細書において使用される場合、「活性化オリゴマー」なる用語は、本明細書に記載のコンジュゲートを形成するために本発明のオリゴマーと1つまたは複数のコンジュゲート部分(すなわちそれら自体は核酸でもモノマーでもない部分)との共有結合を可能にする少なくとも1つの官能基部分に共有結合によって連結された(すなわち官能化された)、本発明のオリゴマーを指す。典型的には、官能基部分は、例えば3'-ヒドロキシル基またはアデニン塩基の環外NH2基を介して、オリゴマーと共有結合することができる化学基、好ましくは親水性であるスペーサー、およびコンジュゲートされる部分と結合することができる末端基(例えば、アミノ基、スルフヒドリル基、またはヒドロキシル基)を含む。いくつかの態様において、この末端基は保護されておらず、例えばNH2基である。他の態様において、末端基は、例えば任意の適切な保護基、例えばTheodora W. Greene and Peter G M Wutsによる“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd edition (John Wiley & Sons, 1999)に記載されているものによって保護されている。適切なヒドロキシル保護基の例には、エステル、例えば酢酸エステル、アラルキル基、例えばベンジル、ジフェニルメチルまたはトリフェニルメチル、およびテトラヒドロピラニルが含まれる。適切なアミノ保護基の例には、ベンジル、α-メチルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、およびアシル基、例えばトリクロロアセチルまたはトリフルオロアセチルが含まれる。いくつかの態様において、官能基部分は自己切断性である。他の態様において、官能基部分は生分解性である。例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第7,087,229号を参照されたい。
いくつかの態様において、本発明のオリゴマーは、コンジュゲートされる部分とオリゴマーの5'末端との共有結合性の付着を可能にするために、5'末端において官能化される。他の態様において、本発明のオリゴマーは3'末端において官能化され得る。さらに他の態様において、本発明のオリゴマーは骨格に沿ってまたは複素環塩基部分上で官能化され得る。さらに他の態様において、本発明のオリゴマーは、5'末端、3'末端、骨格および塩基から独立して選択される2つ以上の位置において官能化され得る。
いくつかの態様において、本発明の活性化オリゴマーは、官能基部分に共有結合により付着させた1つまたは複数のモノマーを合成中に組み込むことによって合成される。他の態様において、本発明の活性化オリゴマーは、官能化されていないモノマーを用いて合成され、合成完了時にオリゴマーを官能化する。いくつかの態様において、オリゴマーは、アミノアルキルリンカーを含むヒンダードエステルを用いて官能化され、ここでアルキル部分は式(CH2)wを有し、式中、wは1〜10の範囲の整数、好ましくは約6であり、アルキルアミノ基のアルキル部分は直鎖または分岐鎖であり得、官能基はエステル基(-O-C(O)-(CH2)wNH)を介してオリゴマーに付着される。
他の態様において、オリゴマーは、(CH2)w-スルフヒドリル(SH)リンカーを含むヒンダードエステルを用いて官能化され、ここで、wは1〜10の範囲の整数、好ましくは約6であり、アルキルアミノ基のアルキル部分は直鎖または分岐鎖であり得、官能基はエステル基(-O-C(O)-(CH2)wSH)を介してオリゴマーに付着される。
いくつかの態様において、スルフヒドリル活性化オリゴヌクレオチドは、ポリエチレングリコールまたはペプチドなどのポリマー部分と(ジスルフィド結合の形成により)コンジュゲートされる。
上記のヒンダードエステルを含む活性化オリゴマーは、当技術分野において公知の任意の方法によって、ならびに、特に、参照により全体として本明細書に組み入れられるPCT公報WO 2008/034122およびその実施例において開示されている方法によって、合成することができる。
さらに他の態様において、本発明のオリゴマーは、実質的に米国特許第4,962,029号および同第4,914,210号に記載された官能化試薬、すなわち、一方の末端のホスホロアミダイトが、保護されたまたは保護されていないスルフヒドリル基、アミノ基またはヒドロキシル基を含む反対側の末端に親水性スペーサー鎖を介して連結されている、実質的に直鎖状の試薬により、オリゴマーにスルフヒドリル基、アミノ基またはヒドロキシル基を導入することによって官能化される。そのような試薬は主にオリゴマーのヒドロキシル基と反応する。いくつかの態様において、そのような活性化オリゴマーは、該オリゴマーの5'ヒドロキシル基に結合した官能化試薬を有する。他の態様において、活性化オリゴマーは、3'ヒドロキシル基に結合した官能化試薬を有する。さらに他の態様において、本発明の活性化オリゴマーは、該オリゴマーの骨格上のヒドロキシル基に結合した官能化試薬を有する。一層さらなる態様において、本発明のオリゴマーは、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第4,962,029号および同第4,914,210号に記載された官能化試薬のうちの2種以上を用いて官能化される。そのような官能化試薬を合成し、それらをモノマーまたはオリゴマーに組み込む方法は、米国特許第4,962,029号および同第4,914,210号に開示されている。
いくつかの態様において、固相に結合されたオリゴマーの5'末端を、ジエニルホスホロアミダイト誘導体を用いて官能化し、その後、脱保護したオリゴマーを、例えばディールス・アルダー環化付加反応を介してアミノ酸またはペプチドとコンジュゲートする。
様々な態様において、2'-糖修飾、例えば2'-カルバメート置換型糖または2'-(O-ペンチル-N-フタルイミド)-デオキシリボース糖を含むモノマーのオリゴマーへの組み込みは、コンジュゲートされる部分とオリゴマーの糖との共有結合性の付着を容易にする。他の態様において、1つまたは複数のモノマーの2'位にアミノ含有リンカーを有するオリゴマーは、例えば、5'-ジメトキシトリチル-2'-O-(e-フタルイミジルアミノペンチル)-2'-デオキシアデノシン-3'--N,N-ジイソプロピル-シアノエトキシホスホロアミダイトなどの試薬を用いて調製する。例えば、Manoharan, et al., Tetrahedron Letters, 1991, 34, 7171を参照されたい。
一層さらなる態様において、本発明のオリゴマーは、アミン含有官能基部分を、N6プリンアミノ基上、グアニンの環外N2上またはシトシンのN4もしくは5位置上を含む核酸塩基上に有していてもよい。様々な態様において、そのような官能化は、オリゴマー合成において市販の既に官能化されている試薬を用いることによって達成し得る。
いくつかの官能基部分は市販されており、例えば、ヘテロ二官能性およびホモ二官能性連結部分はPierce Co.(ロックフォード、イリノイ州)から入手可能である。他の市販の連結基は5'-Amino-Modifier C6試薬および3'-Amino-Modifier試薬であり、両方ともGlen Research Corporation(スターリング、バージニア州)から入手可能である。5'-Amino-Modifier C6は、Aminolink-2としてABI(Applied Biosystems Inc.、フォスターシティ、カリフォルニア州)からも入手可能であり、3'-Amino-ModifierはClontech Laboratories Inc.(パロアルト、カリフォルニア州)からも入手可能である。
本特許出願の文脈において、マイクロRNA(miRNA)とは、翻訳レベルで遺伝子の発現を制御する小さな(約22nt)ノンコーディングRNA(ncRNA)である。各miRNAは複数の遺伝子を制御しているようであり、哺乳動物には何百ものmiRNA遺伝子が存在すると予想されている。最近では、miRNAは、発生、細胞増殖および細胞発生、アポトーシスおよび脂質代謝、ならびに細胞分化に不可欠であることが見出されている。
本明細書において、「miR-134」なる用語は、ニューロンの微細構造の調節に関与する脳特異的な活動制御性miRNAを意味すると理解すべきである。錐体細胞は新皮質および海馬体において最も一般的なニューロンである。これらは皮質の内在性興奮性シナプスの主要な提供元であり、これらの樹状突起スパインは、興奮性シナプスの主なシナプス後標的であり、スパインサイズおよびシナプス強度指数を有する。成体の脳ではスパインは極めて安定しているが、学習中および記憶形成中、加えて、精神神経障害の状況および病的な脳活動において、リモデリングが起こる。インビトロでのmiR-134の過剰発現はスパインの体積を低減させることが報告されており、一方で、ウイルスベクターを用いたインビボでのmiR-134の過剰発現は樹状突起の全長を低減させ長期増強(LTP)を抑止する。成熟ヒトmiR-134(hsa-miR-134)は、以下の配列:
を有する。(シード(seed)領域に下線を引いた。)有利には、標的核酸はhsa-miR-134であり得る。
ヒトmiR-134の一次配列を以下に提供する。
ヒトmiR-134の前駆体配列は以下のとおりである。
「ヒトmiR-134」なる用語はまた、任意のヒトmiR-134パラログを含むと解釈されるべきである。
本明細書において、「miR-134の活性の阻害」なる用語は、miR-134が、典型的にはニューロンの微細構造の調節を含むその機能を果たすのを、防止することを意味すると理解されるべきである。一般的に、miR-134の活性の阻害は、miR-134に分子が結合してmiR-134の活性を直接阻害する直接的阻害(例えば、低分子量阻害物質、または抗体もしくは抗体断片などの結合パートナー)と、例えばmiRNA分子の発現が、例えばリプレッサーまたは低分子干渉RNA分子の使用を含む適切な方法によって調整される間接的阻害とを含むと理解されるべきである。miR-134の機能の阻害は、成熟型のmiR-134を直接または間接的に阻害する任意の分子、ならびに前駆体型のmiR-134、一次miR-134または任意のヒトmiR-134パラログを標的とする分子を投与することを包含すると理解されるべきである。前記の用語はまた、Limk1を含むがこれに限定されないmiR-134の標的mRNA転写物の発現を増強することによってmiR-134の機能に干渉する分子、およびmiR-134の生合成を標的とし、それによってmiR-134の産生を阻害する能力を有し得る分子、例えばmiR-134の転写制御またはmiR-134生合成の他の段階を標的とする分子(例えば、アルゴノート2、ドローシャ/DGCR8またはダイサーを阻害する分子)を投与することも含むべきである。miR-134のアンチセンス標的領域は
によって規定される。したがって、miR-134の活性を阻害する能力を有する作用物質は、上に示したmiR-134のアンチセンス標的領域に特異的に結合する能力を有する分子であってもよい。そのような作用物質の一例は、以下のような逆相補配列である(例えば、オリゴまたはアンチセンスヌクレオチドとして)。
本明細書において、「miR-134の活性を阻害する能力を有する作用物質」または「抗miR-134」なる用語は交換可能に用いられ、これらは、miR-134の発現または活性を阻害し得る、理想的には特異的に阻害し得る、任意の作用物質を意味すると理解されるべきである。
適切な作用物質には、アンチセンス分子(例えば、アンタゴmir)、小ヘアピンRNA分子、低分子干渉RNA分子、マイクロRNAスポンジ、シード標的指向型タイニー(tiny)ロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、またはDNA:RNAヘテロ二重鎖を特異的に認識する抗体が含まれる。小ヘアピンRNA(shRNA)分子とは、遺伝子をサイレンシングするために利用され得る、その三次構造中に小ヘアピンループを有する短いRNA分子である。miR-134を阻害する能力を有するshRNA分子の設計は、shRNA分子設計の分野の当業者にとって明らかであろう。代替物としては、miR-134の活性を阻害もしくは防止するためのアンチセンスもしくはリボザイム手法、またはmiR-134の転写を阻害するためのトリプルヘリックス手法を用いて、miR-134の発現レベルを調整することができる。
有利な抗miR 134作用物質はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。「抗miR-134オリゴヌクレオチド」なる用語は、マイクロRNA-134標的核酸に相補的であり、マイクロRNA-134標的核酸にハイブリダイズしてその活性を阻害する能力を有するオリゴヌクレオチドを指す。本明細書で使用されるアンタゴmirなる用語は、一般的に、hsa-miR-134などの成熟マイクロRNAを標的とする抗miR-134オリゴヌクレオチドを指すために使用される。本発明における使用に有利なアンタゴmirはLNA抗miRである。
本明細書において、「発作の発現を特徴とする脳関連障害」なる用語は、例えば、脳卒中、CNS感染関連発作、脳腫瘍、外傷性脳損傷、神経変性障害、発作を引き起こす代謝障害(低血糖症、糖原病、ピルビン酸脱水素酵素欠損症、後天性副甲状腺機能低下症、アデニロコハク酸リアーゼ(ADSL)欠損症を含むがこれらに限定されない)、ならびに発作を引き起こす自己免疫障害(多発性硬化症、糖尿病、および全身性エリテマトーデス)などの、発作またはてんかんを誘起し得る脳の損傷または状態を意味すると理解されるべきである。したがって、本発明は、そのような障害または状態を患っている個体において発作の発現を予防することに関するが、基礎疾患(すなわち脳卒中)のための処置は提供しない。
「てんかんもしくは発作を誘起する可能性または脳傷害を引き起こすもしくは引き起こした可能性のある脳損傷」なる用語は、脳卒中、外傷、または他のタイプの急性神経損傷を意味すると理解されるべきである。
本明細書において、「アンタゴmir」なる用語は、新しい種類の化学的に設計されたオリゴヌクレオチドを意味すると理解されるべきである。アンタゴmirは、内因性マイクロRNAをサイレンシングするために使用される。アンタゴmirは、特定のmiRNA標的に対して相補的であり、アルゴノート2(Ago2)の切断部位における誤対合またはAgo2切断を阻害するためのいくつかの種類の塩基修飾のいずれかを有する、小さな合成オリゴヌクレオチドである。通常、アンタゴmirは、分解に対してより抵抗性となるために2'メトキシ基、3'-コレステロール基、ホスホロチオエートなどのいくつかの種類の修飾を有する。アンタゴmirは、miRNAに不可逆的に結合することによって阻害を行うと考えられている。miR-134の活性の阻害における使用に適したアンタゴmirの例は、オリゴヌクレオチド
を含む分子、または、配列アライメントプログラムであるBLASTを用いて決定した場合にSEQ ID NO: 6もしくは7と少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは99%の配列同一性を有し、かつヒトmiR-134をサイレンシングする能力を有する、それらの変種である。理想的には、アンタゴmir分子は、分解に対してより抵抗性となるための塩基修飾、例えば2'メトキシ基修飾、3'-コレステロール基修飾、またはホスホロチオエート修飾を含む。
本明細書において、「生物学的系」なる用語は、細胞、細胞株、組織試料、器官、単細胞もしくは多細胞生物、または下等もしくは高等生物を含むと解釈されるべきである。様々な送達系が公知であり、本発明の治療薬を、例えば鼻腔内に投与するために使用することができる(図9を参照されたい)。導入方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、鼻腔内、脳内、および経口経路が含まれるがこれらに限定されることはない。組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を通した吸収によって、投与してもよく、他の生物学的に活性な剤と一緒に投与してもよい。投与は全身投与または局所投与であり得る。加えて、脳室内および髄腔内注射を含む任意の適切な経路によって本発明の組成物を中枢神経系に導入することが望ましい場合もある。脳室内注射は、例えばOmmayaリザーバなどのリザーバに取り付けられた、脳室内カテーテルによって容易となり得る。例えば吸入器または噴霧器とエアロゾル化剤を含む製剤とを使用することによって、経肺投与を利用することもできる。好ましくは、治療薬はCNSまたはPNSに送達する。送達手段には、静脈内送達、経口送達、筋肉内送達、髄腔内送達、および吸入送達が含まれる。これらの送達手段を達成するための方法は、薬物送達の分野の当業者に周知であり、これには以下が含まれる:
・ミニ浸透圧ポンプによる髄腔内送達(参考文献:Ignacio et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 2005, 1053: 121-136)。
・シリンジまたはミニ浸透圧ポンプによる筋肉への直接的な筋肉内送達(Azzouz et al., Nat Med. 2005;ll(4):429-33)。
・全身投与のための、シリンジまたはミニ浸透圧ポンプによる腹膜への直接的な腹腔内投与(Kieran et al., Nat Med 2004; 10(4):402)。
・全身投与のための、シリンジによる皮膚の下への直接的な皮下投与(Reinholz et al., Exp Neurol. 1999;159(1):204-16)。
・注射による、または浸透圧ポンプに取り付けられた小型カテーテルを用いた、脳室への直接的な脳室内投与(Sathasivam et al., 2005 Neuropath App Neurobiol; 31(5): 467)。
・活性を放出するインプラント(例えば、小型シリコンインプラント)において調製することができるインプラント。インプラントは、筋肉にまたは直接脊髄上に配置することができる(Kieran and Greensmith, 2004 Neurosci 125(2):427-39)。
本発明の組成物は、処置を必要としている場所に局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定を目的とするものではないが、局所適用によって、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラントによって達成され得、該インプラントは、シラスティック(sialastic)膜などの膜または繊維を含む、多孔質材料、非多孔質材料またはゼラチン質材料のものである。
本発明は薬学的組成物も提供する。そのような組成物は、治療有効量の治療薬と薬学的に許容される担体とを含む。特定の態様において、「薬学的に許容される」なる用語は、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって認可されていること、または動物での使用、より具体的にはヒトでの使用に関して米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。本明細書において、「治療有効量」なる用語は、発作の発現もしくは発生の臨床的に重要な阻害、寛解もしくは反転、または脳卒中の処置の場合には、脳卒中の影響の発現の臨床的に重要な阻害、寛解もしくは反転をもたらす治療薬の量を意味すると解釈されるべきである。
「担体」なる用語は、治療薬と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、水および油などの無菌液体であり得、これには、石油由来、動物由来、植物由来または合成由来のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、胡麻油などが含まれる。水は、薬学的組成物を静脈内投与する場合に好ましい担体である。生理食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、液体担体として、特に注射剤のために利用することができる。適切な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロール、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。望ましいならば、組成物は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態を取ることができる。組成物は、従来の結合剤および担体、例えばトリグリセリドを用いて、坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、標準的な担体、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含み得る。適切な薬学的担体の例は、E. W. Martinの"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。そのような組成物は、患者への適当な投与のための形態を与えるための適切な量の担体と共に、治療有効量の治療薬を、好ましくは精製された形態で含む。製剤は、投与様式に適しているべきである。好ましい態様において、組成物は、慣例的手順にしたがって、ヒトへの静脈内投与に適合した薬学的組成物として製剤化される。典型的には、静脈内投与用の組成物は、無菌の等張性水性緩衝液中の液剤である。必要ならば、組成物は可溶化剤および局部麻酔薬、例えば注射部位の痛みを和らげるためのリグノカインも含んでもよい。一般的に、成分は、例えば、活性薬剤の量が表示されているアンプルまたはサシェなどの密閉容器中の凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、別々に供給されるか、または単位剤形において一緒に混合されて供給される。組成物を注入によって投与すべき場合、組成物は、無菌の医薬品グレードの水または生理食塩水を含む注入ボトルを用いて分注することができる。組成物を注射によって投与する場合、投与前に成分を混合し得るように、注射用無菌水または無菌生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本明細書において詳述する実験はマウスにて行った。しかしながら、miR-134は、マウス、イヌ、およびヒト、および哺乳動物全般の間で高度に保存されている。したがって、本明細書における知見は哺乳動物全般に当てはまることが当然期待できる。
発明の詳細な説明
本発明は、miR-134の活性を低下させることが有益である疾患を患っている哺乳動物に投与するための、少なくとも1種の抗miR-134オリゴヌクレオチドの有効投与量を含む薬学的組成物に関し、ここで、少なくとも2回の連続した投与間の時間間隔は少なくとも50日である。
一態様において、少なくとも2回の連続した投与は、単回投与であり得る。この態様において、第1の単回投与が実施され、次いでその後に、少なくとも50日後に実施される第2の単回投与が行われる。
本発明者らは、少なくとも1種の抗miR-134オリゴヌクレオチドの有効投与量を含む医薬が、驚くべきことに、非常に低いレベル(例えば、0.1mg/kgまたは0.1mg/kg)で投薬可能であり、かつ驚くべきことに、効果を持続させたまま非常に低い頻度(たった50日毎またはさらにそれ以上の日数毎)で投与可能であることを見出した。これは、神経障害、例えばてんかんなどの、miR-134の活性を低下させることが有益である疾患を患っている患者にとって大きな利点である。これらのおよび他の驚くべき発見については、本明細書においてさらに詳細に説明する。
いくつかの局面において、少なくとも2回の投与は、維持投与量のアンチセンスオリゴマー、例えば、標的組織などの対象において有効濃度のオリゴマーを維持するのに十分である投与量である。
一態様において、本発明は、miR-134の活性を低下させることが有益である疾患を患っている哺乳動物に投与するための、少なくとも1種の抗miR-134オリゴヌクレオチドの有効投与量を含む薬学的組成物に関し、ここで、該薬学的組成物のそれぞれの単回投与間の時間間隔は、少なくとも50日である。
別の態様において、本発明は、miR-134の活性を低下させることが有益である疾患を患っている哺乳動物に投与するための、少なくとも1種の抗miR-134オリゴヌクレオチドの有効投与量を含む薬学的組成物に関し、ここで、少なくとも2回の連続した投与間の時間間隔は少なくとも50日である。
本明細書における本発明の態様において、投与(単回または連続)間の時間間隔は50日超であり得る。一態様において、時間間隔は少なくとも70日、または少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110もしくは120もしくはさらにそれ以上であり得る。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは、配列
に相補的な7〜16個の連続ヌクレオチドを含むか、またはhsa-miR-134
に相補的な7〜22個の連続ヌクレオチドを含む。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは、以下の配列:
またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは99%の配列同一性を有するそれらの変種からなる群より選択される。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドはRNaseHを動員できない。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含む。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは完全ホスホロチオエートである。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドはミックスマー(mixmer)である。ミックスマーの長さは10〜23ヌクレオチドであり得るが、本明細書および文献に記載された異なる長さであり得ることを当業者なら理解するであろう。抗miR-134オリゴヌクレオチドはまた、トータルマー(totalmer)であり得る。そのようなトータルマーの長さは例えば7〜10ヌクレオチドであり得るが、本明細書および文献に記載された異なる長さであり得ることを当業者なら理解するであろう。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは少なくとも1つのホスホロチオエートを含み、LNAが少なくとも1つ存在し、Cは5メチルCである。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは5'-TgGtcAAccAgTcAC-3'であり、ここで、大文字はβ-D-オキシLNAを示し、小文字はDNAおよびLNA Cは5メチルCであり、抗miR-134オリゴヌクレオチドは完全ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドである。本明細書に記載の実験において、この抗miR-134は化合物Aと称される。
本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは約0.05mg/kg〜約0.15mg/kgで投与され得る。本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは約0.1mg/kgで投与され得る。本発明の一態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは約0.2mg/kgで投与され得る。
本発明の一態様において、本発明にしたがって有用であるオリゴヌクレオチドは、2'-O-アルキル-RNAモノマー、β-D-オキシ-LNA、6'メチルβ-D-オキシLNAおよびENAからなる群より選択され得るヌクレオチド類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。本発明の一態様において、ヌクレオチド類似体はロックド核酸(LNA)である。
別の局面において、本発明は、本発明による薬学的組成物を投与する段階を含む、てんかんを以前から患っている哺乳動物を処置する方法に関する。一態様において、薬学的組成物は単回注射として投与され、発作の抑制は少なくとも50%に達し、かつ注射後少なくとも50日間持続する。一態様において、薬学的組成物は単回注射として投与され、発作の抑制は少なくとも60%または70%または80%または90%に達し、かつ注射後少なくとも50日間持続する。特定の態様において、投与(単回または連続)間の時間間隔は50日超であり得る。一態様において、発作の抑制は少なくとも70日、または少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110もしくは120もしくはさらにそれ以上、持続し得る。
一態様において、薬学的組成物は脳室内(ICV)に投与する。一態様において、薬学的組成物は単回注射として脳室内(ICV)に投与する。一態様において、薬学的組成物は単回注射として脳室内(ICV)に少なくとも2回投与する。
別の局面において、本発明は、発作の発現を特徴とする脳関連障害などの神経障害の処置における使用のための抗miR-134オリゴヌクレオチドに関し、ここで、2回の連続した投与間の時間間隔は少なくとも50日である。一態様において、発作の抑制は少なくとも70日、または少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110もしくは120もしくはさらにそれ以上、持続し得る。
別の局面において、本発明は、発作の発現を特徴とする脳関連障害などの神経障害の処置のための医薬の製造における抗miR-134オリゴヌクレオチドの使用に関し、ここで、該医薬は対象への複数回投与のためのものであり、2回の連続した投与間の時間間隔は少なくとも約50日である。一態様において、発作の抑制は少なくとも70日、または少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110もしくは120もしくはさらにそれ以上、持続し得る。本発明のこの局面で使用することができる抗miR-134オリゴヌクレオチドは、本明細書において規定したとおりのものであり得る。
投与回数は、1回(単回)、または2回より多い、例えば3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回もしくはそれ以上の回数の処置であってもよい。実際の投与回数は、本明細書に記載されるように、例えば疾患または障害の性質に依存する。治癒し得る疾患は、投与レジメンに明確なエンドポイントを提供する一方、疾患または障害を長期間にわたって処置して症状を効果的に管理してもよいが、いくつかの態様において、これは治癒をもたらさなくてもよい。そのような例において、処置がもはや望ましくないと医師が判断するまで、定期的な/規則正しい投与を数ヶ月間または数年間続けてもよい。いくつかの態様において、投与レジメンは、125日超の期間、またはいくつかの態様においては2、3、5もしくは6ヶ月超の期間などの処置休止によって中断されてもよいことを留意されたい。
さらに、いくつかの態様において、本発明は、トータルマーまたはミックスマーなどの、本質的にRNAseHを動員できないアンチセンスオリゴマーを含む組成物に関し、ここで、該組成物は患者の処置を維持するために作製され、維持投与量などの投与量は、長い各投薬間時間間隔で提供される。
いくつかの局面において、本発明は、哺乳動物における疾患または障害を処置するための医薬の調製における抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドの使用を提供し、ここで、該疾患または障害は、マイクロRNAの下方制御に対して感受性があることを特徴とする。
いくつかの局面において、本発明は、哺乳動物において、例えば限定されることはないがてんかんにおいて、特定のマイクロRNAの活性を低下させるための医薬の調製における抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
(miRNA)は、標的mRNAの3'非翻訳領域との塩基対合によって、タンパク質をコードする遺伝子の発現を転写後に抑制する、約22ntの内因性ノンコーディングRNAである1、2、7。動物のmiRNAは多くの生物学的プロセスの調節において重要な役割を果たすことを示唆するエビデンスが明らかになりつつある1〜3、8。加えて、miRNAはウイルス感染、心血管疾患、ならびに神経障害および筋障害、ならびにがんの発症および進行に関与している9〜19。
miR-134をアンタゴナイズすることの治療的価値は、動物モデリングおよびvEEG記録を用いた研究に基づいている。下記の実施例においては、成体の雄のC57BL/6マウス(約25g)を用い、これはRCSIの生物医学研究施設から入手した(Harlan(オクソン、ビスター、英国)からのオリジナルストック)。
図1を参照すると、動物モデリングは以下のとおりであった:vEEGモニタリングの下で、覚醒している自由行動マウスにおいてKA(0.2μl中0.3μg)(Sigma-Aldrich、アイルランド)の扁桃体内微量注射によっててんかん重積状態(SE)を誘発させた。40分後、発作を減らし罹患率および死亡率を低減させるために、すべてのマウスにロラゼパム(8mg/kg、i.p.)を与えた。すべてのマウスが同様のSEを経験したことを確認するためにvEEGを24時間記録し、そしてテレメトリー装置をオフにした。7日後、EEGテレメトリー装置をアクティブ化し、「てんかんベースライン」を取得するためにホームケージ内でビデオモニタリングと共に連続EEGを記録した。てんかん重積状態後14日目に、マウスに2μl中0.5nmol(約0.1mg/kg)の化合物A、BまたはCのいずれかを脳室内(ICV)注射により注射した。その後2週間記録を継続し(「アクティブ化期間1」)、次いでテレメトリーデバイスの電池寿命(電池は合計6週間持つ)を節約するために4週間中断した。てんかん重積状態後57日目に、記録を、さらに2週間にわたり再度アクティブ化した(「アクティブ化期間2」)。実験全体の終了時に、マウスに深く麻酔をかけ、心臓を通して冷緩衝生理食塩水を灌流した。この後の組織学分析のために脳を取り出した。
Neuroscoreソフトウェア(DSI)を用いて、てんかん重積状態および自発性反復性発作時のてんかん型EEGを分析した。データを定量化し、ポアソン回帰およびゼロ過剰(Zero-inflated)ポアソン回帰を用いて、ベースラインとアクティブ化1/2期間における自発性発作の回数の差異をそれぞれ調べた。ウィルコクソン(ブレスロー)検定によって試験中の死亡を分析した。有意性はP<0.05で認めた。データは平均値±平均値の標準誤差として提示する。
14日目は注射の日と見なした。処置期(アクティブ化期間1)を15日目以降と定義した。図2を参照すると、0.1mg/kgの化合物AおよびCで処置したマウスは、「アクティブ化期間1」において、群B(対照)と比較してそれぞれ78%および79%少ない自発性発作を示していた。
図2は、「てんかんベースライン」期間および「アクティブ化1」期間中の実験群A(n=4)、B(n=6)およびC(n=5)についての1日当たりの発作の総数を示すグラフである。このグラフではP<0.001である。
追跡調査期(アクティブ化期間2)を57日目以降と定義した。薬物投与群(AおよびC)は両方とも、発作の無い日を数日有していた(付録の生データを参照されたい)。再びゼロ過剰ポアソン回帰を用いた。追跡調査時、薬物処置動物(AおよびC)においては有意に低い発作発生率である(薬物A IRR 0.03、薬物C IRR 0.08、両方ともP≦0.001)。したがって、「アクティブ化期間2」に関するIRRの変換により、自発性発作の回数において、対照(B)と比較して群Aは97%の低減を示し、群Cは92%の低減を示したということが意味される(図2を参照されたい)。さらに、全体事後分析によって、薬物Aと薬物Cの効果に有意な差はないことが示された(χ2=0.44、P=0.506)。しかしながら、(ランク付けスコアシステムを用いて)第2の分析を実施したところ、アクティブ化2期間において群Aと群Cとの間に統計的差異が確認された(群Aの処置は群Cよりもわずかに強力である;P=0.044)。最後に、予想どおり、処置群と対照との間に差異が認められた(群Aおよび群Cのマウスは群Bと比較してそれぞれ97%および92%少ない自発性発作を有していた)。
さらに、AまたはCのいずれかと群Bとを比較するウィルコクソン(ブレスロー)検定によって全期間にわたって死亡率を分析すると、群Aおよび群Cは群Bよりも低い死亡率を示している(統計的有意性の境界:P=0.0516)。
図4は、Ant-134群(例えば、群A;灰色のタグ)と対照群(赤色のタグ)との間の発作の重症度の差異を示す代表的なEEG記録トレースを示す。図(A〜B)は、標準てんかんベースライン期間中の自発性発作の発生および発作間欠期の活動記録を表す。「アクティブ化1」(C〜F)および「アクティブ化2」(G〜J)に関する代表的なトレースは、各期間それぞれの記録最終日に取得した。
本発明者らは、抗miR-134オリゴヌクレオチド、例えばmir-134を標的とするアンタゴmirが、側頭葉てんかんの成体マウスモデルにおける自発性反復性発作に対して強力な効果を有することを見出した。自発性反復性発作を以前から有するマウスへの化合物AまたはCの単回ICV注射は、迅速でほぼ完全な発作の停止をもたらした。自発性発作率は、てんかん重積状態のてんかん誘発エピソードの2週間後に開始した最初のアクティブ化期間の2週間の記録中に低減していただけでなく、処置の42日後に開始した2週間の記録中にも明らかであった。総じて、上記の発見により、mir-134を標的とするアンタゴmirは、既にてんかんを有するマウスに注射したときに、自発性発作の強力で長く持続する抑制をもたらすという強いエビデンスが提供される。
利用可能な薬物療法に抵抗性を示す約30%のてんかん患者のためのより効果的な治療法の差し迫った未だ満たされていないニーズが依然としてある。さらに、根底にある病態生理を改善することが示された処置法は現在ない。本発明は、mir-134の阻害が既存のてんかんに対して効果を有することを初めて示すものである。
この標的は、脳に豊富なこの小型ノンコーディングRNAがニューロンの微細構造および発生において重要な制御的役割を有することを示す研究から明らかになったものであり、実験的なてんかんおよびヒトのてんかんにおいてはてんかん焦点内で上方制御されることが矛盾なく見出された。過去の研究では、miR-134を標的とするロックド核酸(LNA)アンタゴmirが有望な抗発作効果を有することが示された。実験的治療は、前処置として与えたときは様々なモデルにおいて誘発発作を抑制することが示され、てんかん重積状態の直後(例えば1時間後)に与えた場合はその後の自発性発作の発現を抑制することができた。しかしながら、いったんてんかんが確立した後に処置によって発作を予防できるかどうかを試験した研究は過去にはない。現在のところてんかんのリスクのバイオマーカーはなく、したがって、てんかんを発症するかもしれない患者に対して抗てんかん原性処置を適用する明確な機会がないため、これは臨床移行にとって重要である。したがって、てんかん治療の市場には、てんかんを以前から有する患者を処置することが残されている。
本発明の薬学的組成物は既存のてんかんにおいて自発性発作を低減または予防できることが示される。
使用したモデルは十分に確立されており、扁桃体内KAによっててんかん重積状態を誘導すると、確実にマウスが数日内に反復性自発性発作を起こすことを特徴とする。てんかん発作は、強直間代要素などの臨床的に関連する特徴を呈し、EEGおよびビデオモニタリングを用いて容易に追跡できる。このモデルを用いて、Henshall研究室ならびに他のグループ(Vezzani研究室、McNamara研究室)によっていくつかの実験的治療法が研究されている。このモデルの自発性発作は、いくつかの公知の抗てんかん薬に対して抵抗性であり、現在、ユタ大学(Wilcox研究室)においてNIHのてんかん治療プログラムによって試験されている。本研究においては、過去の研究と一致するように、自発性反復性発作がすべてのマウスにおいて数日内に発現し、一日当たり約6〜10回の率で継続することが見出された。すべての処置群は、記録されたてんかん重積状態が同様のものであったことと一致するように、同様のベースライン率を示した。
本発明における主な発見は、化合物AまたはCのICV注射が、ベースライン発作率に対して自発性発作の迅速な(24時間以内)低減をもたらしたことであった。化合物Bを与えたマウスは、頻繁な自発性発作を経験し続けた。「アクティブ化期間1」の間、発作頻度はA群およびC群のマウスにおいて大幅に低減し、2週間の記録中、低下したままであった。いずれかの処置によって多くのマウスは発作の無い日を経験した。カルバマゼピンなどの試験した抗てんかん薬がこのモデルの自発性発作に対してごくわずかな効果しか有さないということを考慮すると、これらの結果は、少なくとも、mir-134を標的とするアンタゴmirが、既存の処置法よりも、側頭葉てんかんにおける自発性発作を予防する潜在的に優れた効力を有することを示している。
本発明による薬学的組成物は、本明細書に記載されるように長い効果を示す。
本発明による第2の重要な発見は、群Aおよび群Cにおける発作率が、処置の42日後に開始した第2のアクティブ化期間中に大幅に低減していたということである。
実際に、このアクティブ化期間中、他の群と比べた発作の抑制はさらに大きく、群のうちの1つでは発作の低減は97%超であった。まとめると、これは、mir-134を標的とするアンタゴmirの単回ICV注射によって、既にてんかんを有する哺乳動物における自発性反復性発作を、無期限に、強力に抑制できることを実証している。
本発明者らは、安静時のEEGが、記録終了時のA群およびC群のマウスにおいて、てんかん対照と比較して大いに改善されていたということにも注目した。これらのデータもまた、この治療法の、脳の興奮性を正常化する疾患修飾効果を裏付ける。てんかん活動は認知機能不全に関与するため、脳の機能もA群およびC群のマウスにおいて優れているかもしれないと推測され得る。これは、当初の研究計画の順守のため、および1つの動物群が非常に活発なてんかんを経験している場合に認知試験において信頼性のある行動データを取得することが実際には困難であるため、今は試験しなかった。しかしながら、アンタゴmir処置は、単に自発性発作を低減させることを上回る、追加的な恩恵をもたらす可能性がある。
本発明の薬学的組成物に関する主要な発見は、化合物AおよびCの並外れた長時間作用性である。発作の抑制は、単回注射後50日超持続した。
これは疾患修飾効果のエビデンスであると推測するのが魅力的である。すなわち、てんかん脳へのアンタゴmirの導入は、発作原性(ictogenesis)を抑制しただけでなく、発作を発生させる根底の病態生理も変化させた。実際に、Jimenez-Mateos et al (2012)による当初の研究においては、Exiqonアンタゴmirを用いたてんかん重積状態に対する急性的な抗痙攣効果は、2週間未満しか持続しないことが見出された。すなわち、KA-SEの2週間前にアンタゴmirを注射した場合、KA-SE誘発時には発作の重症度は標準的であった。アンタゴmirの単回ICV注射の急性的な抗痙攣効果が数週間しか持続しない場合、「アクティブ化期間1」中に観察された発作の低減は、急性的な発作抑制の結果であり得るが(現在のAEDが奏功するのとある程度似ている)、これによって第2のアクティブ化期間中の発作の低減を説明することはできそうにない。したがって、第2のアクティブ化期間中の結果の最も単純な説明は、アンタゴmirの注射が疾患修飾効果を有し、てんかん焦点が発作を誘発する傾向を低減させたということである。
予期せぬ突然死(SUDEP)は、難治性発作を有する患者、特に強直間代発作を起こしている患者における深刻なリスクである。本研究では、てんかんになったマウスにおいて突然死が時々観察された。研究者はこれらを観察することは滅多になかった(すなわち、ケージ内でマウスが死んでいるのが発見され、ビデオを見直すことにより、ほとんどの場合でそれが直近の発作の状況下で起こったことが示された)。このモデルにおける自発性発作は全般性であり、強直性(例えば、ストラウブ挙尾)および間代性(痙攣)要素の両方を特徴としているため、これは臨床像と合致している。このモデルにおけるSUDEPの発生率は系統的には研究されておらず、したがって、処置のいずれかが率を増加または減少させたかどうかを比較するための比較基準/ベースラインデータはない。しかしながら、本研究における重大な追加的発見は、化合物Aまたは化合物Cのいずれかを与えたマウスにおける死亡率の低減であった。この発見は、アンタゴmirが、高いSUDEP率に関連付けられる、ドラベ症候群などの重篤な小児てんかんの一部に関連する、さらなる臨床的恩恵を提供することを示唆している。SUDEPの機序は未だ完全には理解されておらず、そのため、死亡率の低減がアンタゴmirの直接的な効果であったのかあるいは自発性発作の発生の全体的低減による副次的なものであったのかは分からない。いずれにしても、mir-134を標的とするアンタゴmirは、自発性反復性発作の低減に加えて、SUDEPのリスクまたは発生を低減し得る。
細胞外マイクロRNAは、てんかんの潜在的なバイオマーカーであり得、発作リスクまたは薬物反応のセラノスティック(theranostic)マーカーまたは予後マーカーとして機能し得る。
以前、本発明者らは、てんかんを有する患者がより高いmir134血中レベルを有することを報告した。mir-134(または脳に発現する他のmiRNA)の血中レベルが、てんかん活動が継続している動物と比較して発作抑制マウスにおいて比例したレベル変化を示すかどうかを知ることは興味深い。しかしながら、本研究においては、既に複雑で侵襲的な手順を適用していたため、処置前、処置中または処置後にマウスの血液のサンプリングは行わなかった。しかしながら、今後の研究によって、複合治療診断学(combined therapeutic-diagnostics)を開発するために治療法と継続的生物流体分析との組み合わせを試みることができる。
要約すると、本発明は、mir-134を標的とするアンタゴmirが、側頭葉てんかんのモデルにおいて、既にてんかんを有するマウスに注射したときに、自発性反復性発作を強力に抑制することを示す。発作の抑制は97%という高さに達し、かつ単回注射後少なくとも50日間持続した。これらのデータは、難治性てんかんの処置の標的としてのこの分子に関するさらなる研究を強く支持するものである。
長さ
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、7〜25(連続)ヌクレオチド長、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24(連続)ヌクレオチド長を有する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは7〜10(連続)ヌクレオチド長、またはいくつかの例においては7〜16ヌクレオチド長を有する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも8(連続)ヌクレオチド長、10〜17または10〜16または10〜15(連続)ヌクレオチド、例えば12〜15(連続)ヌクレオチドである。
本質的にRNAseHを動員できないオリゴマー
EP 1222309には、RNaseHを動員する能力を測定するために用いられ得る、RNaseH活性を測定するためのインビトロ法が提供されている。EP 1222309の実施例91〜95に提供される方法論を用いると、相補的なRNA標的を供給したときに、オリゴマーが、2'置換を有さずオリゴヌクレオチド内のすべてのヌクレオチド間にホスホロチオエート結合基を有する、DNAのみの同等のオリゴヌクレオチドの、少なくとも1%、例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%、または20%未満の、pmol/l/minの単位で計測される初速度を有する場合に、該オリゴマーはRNaseHを動員できると見なされる。
一態様において、いくつかの態様において、EP 1222309の実施例91〜95に提供される方法論を用いると、相補的なRNA標的およびRNaseHを供給したときに、pmol/l/minの単位で計測されるRNaseH初速度が、2'置換を有さずオリゴヌクレオチド内のすべてのヌクレオチド間にホスホロチオエート結合基を有する、DNAのみの同等のオリゴヌクレオチドを用いて測定される初速度の、1%未満、例えば5%未満、例えば10%未満、または20%未満である場合に、オリゴマーは本質的にRNaseHを動員できないと見なされる。
ミックスマーまたはトータルマーであるオリゴヌクレオチドは、通常、本質的にRNAseHを動員できないと認識すべきであり、そのため、本明細書において「本質的にRNaseHを動員できない」なる用語が用いられる場合、いくつかの態様において、たとえいくつかの場合にはそのようなオリゴマーが実際にはRNaseHを動員する顕著な能力を保有していても、例えばα-L-オキシ-LNAを有するDNAミックスマーを用いる場合であっても、かかる用語は、本明細書において定義される「ミックスマー」または「トータルマー」なる用語に置き換えられ得る。
いくつかの態様において、オリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列は、親和性増強ヌクレオチド類似体などのヌクレオチド類似体の連続配列からなり、これは本明細書において「トータルマー」と称される。
トータルマー
トータルマーとは、DNAまたはRNAヌクレオシドを含まず、そのためヌクレオシド類似体ヌクレオシドのみを含む、一本鎖オリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列である。非天然ヌクレオチドのみを含む。
オリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列はトータルマーであってもよく、実際に様々なトータルマー設計は、治療オリゴマーとして(特に、マイクロRNAを標的とする場合(抗miR))、またはスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として、非常に効果的である。
いくつかの態様において、トータルマーは、繰り返し配列XYXまたはYXYなどの、少なくとも1つのXYXまたはYXY配列モチーフを含むか、またはそれからなり、ここでXはLNAであり、Yは、2'-OMe RNA単位および2'-フルオロDNA単位などの、代替的な(すなわち、非LNA)ヌクレオチド類似体である。前記配列モチーフは、いくつかの態様において、例えばXXY、XYX、YXYまたはYYXであってもよい。
いくつかの態様において、トータルマーは、8〜16ヌクレオチド、例えば9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチド、例えば8〜12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなってもよい。
いくつかの態様において、トータルマーの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば95%、例えば100%のLNA単位を含む。残りの単位は、2'-O_アルキル-RNA単位、2'-OMe-RNA単位、2'-アミノ-DNA単位、2'-フルオロ-DNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位、および2'MOE RNA単位からなる群、または2'-OMe RNA単位および2'-フルオロDNA単位の群より選択されるものなどの、本明細書において言及される非LNAヌクレオチド類似体から選択されてもよい。
いくつかの態様において、トータルマーは、LNA単位のみからなる連続ヌクレオチド配列からなるか、またはそれを含む。
いくつかの態様において、トータルマーは、すべて参照により本明細書に組み入れられる米国仮特許出願第60/979217号および同第61/028062号ならびにPCT/DK2008/000344において言及されるとおり、マイクロRNAを標的としたものであってもよい(すなわち、抗miRであってもよい)。
ミックスマー
「ミックスマー」なる用語は、DNAヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体ヌクレオシド、天然および非天然両方のヌクレオチドを含む、オリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列を指し、ここで、ギャップマー、テールマー(tailmer)、ヘッドマー(headmer)およびブロックマー(blockmer)とは対照的に、5個を超える天然DNAヌクレオチドヌクレオシド(例えば、DNA単位)の連続配列は存在しない。
本発明によるオリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列はミックスマーであってもよく、実際に様々なミックスマー設計は、治療オリゴマーとして(特に、マイクロRNAを標的とする場合(抗miR)、mRNA上のマイクロRNA結合部位を標的とする場合(ブロックmir(Blockmir)))、またはスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として、非常に効果的である。
いくつかの態様において、オリゴマーまたはその連続ヌクレオチド配列はまた、ミックスマーであってもよく、実際、ミックスマーがそれらの標的に効果的かつ特異的に結合する能力のために、治療オリゴマーとしてのミックスマーの使用は標的RNAの減少に特に効果的であると考えられる。
いくつかの態様において、ミックスマーは、ヌクレオチド類似体と天然ヌクレオチドの、またはあるタイプのヌクレオチド類似体と第2のタイプのヌクレオチド類似体の繰り返しパターンの連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。繰り返しパターンは、例えば、以下であってもよい:2個毎または3個毎のヌクレオチドが、LNAなどのヌクレオチド類似体であり、かつ残りのヌクレオチドが、DNAなどの天然ヌクレオチドであるか、または2'置換ヌクレオチド類似体、例えば本明細書において言及される2'MOEもしくは2'フルオロ類似体であるか、またはいくつかの態様において、本明細書において言及されるヌクレオチド類似体の群より選択される。LNA単位などのヌクレオチド類似体の繰り返しパターンは、固定位置、例えば5'末端または3'末端のヌクレオチド類似体と組み合わされてもよいことが認識される。
いくつかの態様において、オリゴマーまたはミックスマーの3'末端から数えて最初のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体である。
同一であってもよいしまたは異なっていてもよいいくつかの態様において、オリゴマーまたはミックスマーの3'末端から数えて2番目のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体である。
同一であってもよいしまたは異なっていてもよいいくつかの態様において、オリゴマーまたはミックスマーの3'末端から数えて7番目および/または8番目のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体である。
同一であってもよいしまたは異なっていてもよいいくつかの態様において、オリゴマーまたはミックスマーの3'末端から数えて9番目および/または10番目のヌクレオチドは、LNAヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体である。
同一であってもよいしまたは異なっていてもよいいくつかの態様において、オリゴマーまたはミックスマーの5'末端は、LNAヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体である。
上記の設計の特徴は、いくつかの態様において、ミックスマー設計、例えば抗miRミックスマーに組み込んでもよい。
いくつかの態様において、ミックスマーは、4個を超える連続DNAヌクレオチド単位または3個を超える連続DNAヌクレオチド単位の領域を含まない。いくつかの態様において、ミックスマーは、2個を超える連続DNAヌクレオチド単位の領域を含まない。いくつかの態様において、ミックスマーは、少なくとも2個の連続ヌクレオチド類似体単位、例えば少なくとも2個の連続LNA単位からなる領域を少なくとも含む。
いくつかの態様において、ミックスマーは、少なくとも3個の連続ヌクレオチド類似体単位、例えば少なくとも3個の連続LNA単位からなる領域を少なくとも含む。
いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの7個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの6個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの5個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの4個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの3個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。いくつかの態様において、本発明のミックスマーは、LNA単位などの2個を超える連続ヌクレオチド類似体単位の領域を含まない。
3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドの修飾に言及するミックスマー態様において、LNA単位を、他のヌクレオチド類似体、例えば本明細書において言及されるものに置き換えてもよい。したがって、「X」は、2'-O-アルキル-RNA単位、2'-OMe-RNA単位、2'-アミノ-DNA単位、2'-フルオロ-DNA単位、2'-MOE-RNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位からなる群より選択されてもよい。「x」は、好ましくはDNAまたはRNAであり、最も好ましくはDNAである。
いくつかの態様において、抗miRミックスマーなどのミックスマーは、3〜8位において修飾されており、すなわち、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む。この配列の設計は、存在する非LNA単位の個数によって、または存在するLNA単位の個数によって規定してもよい。前者のいくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、例えば1つは、非LNA単位である。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドのうちの少なくとも2つ、例えば2つは、非LNA単位である。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドのうちの少なくとも3つ、例えば3つは、非LNA単位である。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドのうちの少なくとも4つ、例えば4つは、非LNA単位である。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドのうちの少なくとも5つ、例えば5つは、非LNA単位である。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位の6個のヌクレオチドはすべて非LNA単位である。
代替方法で規定する場合、いくつかの態様において、本発明によるミックスマー、例えば抗miRミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも1つのLNA単位を含む。いくつかの態様において、抗miRミックスマーなどのミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に1つのLNA単位を含む。3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、Xxxxxx、xXxxxx、xxXxxx、xxxXxx、xxxxXxおよびxxxxxXからなる群より選択されてもよく、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。
いくつかの態様において、抗miRミックスマーなどのミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも2つのLNA単位を含む。そのいくつかの態様において、ミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に2つのLNA単位を含む。3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、XXxxxx、XxXxxx、XxxXxx、XxxxXx、XxxxxX、xXXxxx、xXxXxx、xXxxXx、xXxxxX、xxXXxx、xxXxXx、xxXxxX、xxxXXx、xxxXxXおよびxxxxXXからなる群より選択されてもよく、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。一態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、XxXxxx、XxxXxx、XxxxXx、XxxxxX、xXxXxx、xXxxXx、xXxxxX、xxXxXx、xxXxxXおよびxxxXxXからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xXxXxx、xXxxXx、xXxxxX、xxXxXx、xxXxxXおよびxxxXxXからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xXxXxx、xXxxXxおよびxxXxXxからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンはxXxXxxであり、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。
いくつかの態様において、抗miRミックスマーなどのミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも3つのLNA単位を含む。その一態様において、ミックスマーは3'末端から数えて3〜8位に3つのLNA単位を含む。3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、XXXxxx、xXXXxx、xxXXXx、xxxXXX、XXxXxx、XXxxXx、XXxxxX、xXXxXx、xXXxxX、xxXXxX、XxXXxx、XxxXXx、XxxxXX、xXxXXx、xXxxXX、xxXxXX、xXxXxXおよびXxXxXxからなる群より選択されてもよく、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、XXxXxx、XXxxXx、XXxxxX、xXXxXx、xXXxxX、xxXXxX、XxXXxx、XxxXXx、XxxxXX、xXxXXx、xXxxXX、xxXxXX、xXxXxXおよびXxXxXxからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xXXxXx、xXXxxX、xxXXxX、xXxXXx、xXxxXX、xxXxXXおよびxXxXxXからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xXxXxXまたはXxXxXxであり、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンはxXxXxXであり、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。
いくつかの態様において、ミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも4つのLNA単位を含む。そのいくつかの態様において、ミックスマーは3'末端から数えて3〜8位に4つのLNA単位を含む。3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xxXXXX、xXxXXX、xXXxXX、xXXXxX、xXXXXx、XxxXXX、XxXxXX、XxXXxX、XxXXXx、XXxxXX、XXxXxX、XXxXXx、XXXxxX、XXXxXxおよびXXXXxxからなる群より選択されてもよく、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。
いくつかの態様において、本発明によるミックスマーは、3'末端から数えて3〜8位に少なくとも5つのLNA単位を含む。そのいくつかの態様において、ミックスマーは3'末端から数えて3〜8位に5つのLNA単位を含む。3'末端から数えて3〜8位のヌクレオチドについての置換パターンは、xXXXXX、XxXXXX、XXxXXX、XXXxXX、XXXXxXおよびXXXXXxからなる群より選択されてもよく、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。
いくつかの態様において、前記非LNA単位は、別のヌクレオチド類似体単位である。
いくつかのミックスマー態様において、3'末端から数えた11位から、5'末端までの、ヌクレオチドについての置換パターンは、ヌクレオチド類似体単位(例えばLNA)を含んでもよいし、または含まなくてもよい。いくつかの態様において、ミックスマーは、3'末端から数えた11位から、5'末端までに、少なくとも1つのヌクレオチド類似体単位(例えばLNA)、例えば1つのヌクレオチド類似体単位を含む。いくつかの態様において、ミックスマーは、3'末端から数えた11位から、5'末端までに、LNA単位などの少なくとも2つのヌクレオチド類似体単位、例えば2つのヌクレオチド類似体単位を含む。
オリゴマーの11位から5'末端までのヌクレオチドにおけるヌクレオチドの修飾に言及するいくつかの態様において、LNA単位を、他のヌクレオチド類似体、例えば本明細書において言及されるものに置き換えてもよい。したがって、「X」は、2'-O-アルキル-RNA単位、2'-OMe-RNA単位、2'-アミノ-DNA単位、2'-フルオロ-DNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位からなる群より選択されてもよい。「x」は、好ましくはDNAまたはRNAであり、最も好ましくはDNAである。
いくつかの態様において、ミックスマーは、3'末端から数えたヌクレオチド11から、5'末端まで繰り返される、以下の置換パターンを有する:xXxXまたはXxXx(ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す)。別の態様において、ミックスマーは、3'末端から数えたヌクレオチド11から、5'末端まで繰り返される、以下の置換パターンを有する:XXxXxx、XXxxXxまたはXxXxxX(ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す)。さらに別の態様において、ミックスマーは、3'末端から数えたヌクレオチド11から、5'末端まで繰り返される、以下の置換パターンを有する:XXXxXXXx、XXxXxXxX、XXXxxxXXまたはXXxXxxXX(ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す)。
3'末端から数えた11位から、5'末端までの、ヌクレオチドについての特定の置換パターンは、ミックスマーにおけるヌクレオチドの個数に依存する。好ましい態様において、ミックスマーは12個のヌクレオチドを含み、3'末端から数えて11〜12位についての置換パターンは、xXおよびXxからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて11〜12位についての置換パターンはxXであり、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。あるいは、3'末端から数えて11〜12位にLNA単位は存在しない、すなわち、置換パターンはxxである。
いくつかの態様において、ミックスマーは12個のヌクレオチドを含み、3'末端から数えて10〜12位についての置換パターンは、Xxx、xXx、xxX、XXx、XxX、xXXおよびXXXからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。そのいくつかの態様において、3'末端から数えて10〜12位についての置換パターンは、xXx、xxXおよびxXXからなる群より選択され、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。いくつかの態様において、3'末端から数えて10〜12位についての置換パターンはxxXであり、ここで、「X」はLNA単位を表し、「x」は非LNA単位を表す。あるいは、3'末端から数えて10〜12位にLNA単位は存在しない、すなわち、置換パターンはxxxである。
いくつかの態様において、ミックスマーは5'末端にLNA単位を含む。いくつかの態様において、ミックスマーは、5'末端から数えて最初の2つの位置にLNA単位を含む。ミックスマーはまた、本明細書において抗miRの文脈(ミックスマーが同様のパターンおよび個数のヌクレオチド/ヌクレオチド類似体(例えば、XおよびxまたはXおよびY)を含む文脈のいずれか)で明示されている1つまたは複数の構造的特徴を含んでもよい。
いくつかの態様において、オリゴマーは、(i)RNA標的中に存在する連続ヌクレオチドの部分配列に対して完全に相補的であるか、または(ii)前記RNA標的中に存在する連続ヌクレオチドの部分配列の相補物とミスマッチを1つだけ含むか、のいずれかであり得る。そのため、オリゴヌクレオチドは(対応する)標的配列に対して完全に相補的であるかまたは標的配列とミスマッチを1つだけ含むという点で、オリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。RNA標的は、典型的には医学的状態または疾患と関連し、いくつかの態様において、例えば、マイクロRNAまたはmRNAであり得る。したがって、オリゴマーは、例えば、抗miR、マイクロRNA模倣物、マイクロRNAブロックmir、またはアンチセンスオリゴマーであり得る。
したがって、オリゴマーは、上に列挙したマイクロRNAの1つを標的とする(すなわち、上に列挙したマイクロRNAの1つ(の対応する領域)に対して完全に相補的である連続ヌクレオチド配列を含むか、もしくはそれからなる)かまたはそれに対してミスマッチを1つだけ含む、抗mirであり得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドと称され得る。
特定のマイクロRNAは、例えば、miRBaseおよび本明細書において言及される特許出願に公開されているすべてのマイクロRNAを含む、本明細書において開示または言及される個々のマイクロRNAのいずれかであり得る。この文脈における「特定の」なる用語はマイクロRNAを指し得る。
本発明において有用なマイクロRNAのモジュレーター
本発明において使用するための化合物は、薬学的に活性なmir-134アンタゴmirである。本発明の文脈において、薬学的に活性な化合物とは、インビトロ(例えば、細胞に基づいたアッセイ)またはインビボ(例えば、マウスのデータなどの動物データ)などにおける前臨床データに基づいて、対象に恩恵をもたらす能力を有し得る化合物を意味する。そのような対象は、マウスまたはヒトなどの哺乳動物であり得る。
薬学的に活性なmir-134アンタゴmirは、マイクロRNAデータベースである「mirbase」(http://microrna.sanger.ac.uk/sequences/)において検索することができる。アイルランド王立外科医学院の特許出願WO 2013/045652に記載されている薬学的に活性なmir-134アンタゴmirを、本発明により投与される組成物において使用することができる。
好ましい一態様において、モジュレーターはアンチセンスLNAオリゴヌクレオチドを含む。特に好ましい一態様において、モジュレーターは、7〜25ヌクレオチド長でありかつ少なくとも1つのLNAを含む、オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、マイクロRNAモジュレーターは、7〜25ヌクレオチド長であり、かつ少なくとも1つのLNAを含み、かつ少なくとも1つの他の親和性増大ヌクレオチド類似体をさらに含む、オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドはホスホロチオエート結合を含む。
いくつかの態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは、LNA抗miRである(例えば、WO 2007/112754を参照されたい)。LNA抗miRは、LNAヌクレオシドを含む、成熟マイクロRNA標的に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。LNA抗miRは、DNAおよび/または2'-O-メトキシエチル(MOE)ヌクレオシドなどの他のヌクレオチドをさらに含んでもよい(例えば、EP 1931780を参照されたい)。抗miR-134オリゴヌクレオチドがRNaseH1を動員しないことは、成熟マイクロRNAに標的指向するのに有利であり、そのため、LNA抗miRなどの抗miR-134オリゴヌクレオチドが4個以上の連続DNAヌクレオシドの領域を含まないことは有利である。
抗マイクロRNA LNAホスホロチオエートは、Qiagenに発注してもよい(https://www.qiagen.com/dk/shop/pcr/primer-sets/mircury-lna-mirna-inhibitors/#orderinginformation)。本明細書に記載の実験で使用した化合物C(Exiqonアンタゴmir)は、この供給元から入手することができる。
有利には、成熟マイクロRNA-134標的核酸を標的とする抗miR-134オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA-134シード領域(hsa-miR-134の5'末端からのヌクレオチド2〜7)に対する相補物を含む。いくつかの態様において、抗miR 134オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA-134シード領域に対して相補的である位置に配置された少なくとも1つ、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つのLNAヌクレオチドを含む(例えば、抗miR-134オリゴヌクレオチドは、配列CAGTCACまたはAGTCACを含む)。
LNA抗miRは、完全ホスホロチオエートであってもよいし、または部分ホスホロチオエートであってもよい。全身投与のためには、高い割合の完全ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドが好ましい場合があるが、CNSへの局所投与のためには、部分ホスホロチオエートを使用するのが望ましい場合がある。
いくつかの態様において、抗miR-134オリゴヌクレオチドは、7〜10連続LNAヌクレオチド長であり(タイニーLNAとも称される;Obad et al., Nat Genet. 2011 Mar 20;43(4):371-8およびWO 2009043353を参照されたい)、マイクロRNA-134シード領域の相補物を含む。hsa-miR-134のタイニーLNA阻害物質の例には、ACCAGTCAC、CCAGTCACおよびCAGTCACが含まれ、ここで、各ヌクレオチドはβ-D-オキシLNAなどのLNAヌクレオシドであり、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートである。部分ホスホロチオエートの使用も使用してもよく、例えば末端ヌクレオシドとの間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートであってもよく、残りのヌクレオシド間結合はホスホジエステルであってもよい。
一態様において、薬学的組成物は、本明細書において化合物Aとも称される、配列:5'-TgGtcAAccAgTcAC-3'(SEQ ID NO: 8)を有する抗miR-134オリゴマーを含み、ここで、大文字はβ-D-オキシLNAを示し、小文字はDNAおよびLNA Cは5メチルCであり、そのような化合物は完全ホスホロチオエート骨格を有する。このオリゴマーは、W0 2007/112754に記載のように調製することができる。W0 2007/112754の他のオリゴマーは、本発明にしたがって使用することができ、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
好ましい態様において、マイクロRNAモジュレーターは、表1に列挙されている配列のうちの任意の1つを含むかまたはそれからなる、LNAアンチセンスオリゴマーである。
表1.以下の特定の配列または化合物は、本発明の方法において、例えば、表1に例示されたそれらの疾患のようなmiR-134の発現/過剰発現が指摘されている疾患などの疾患の処置において、使用され得る。化合物は、好ましくは完全ホスホロチオエートであり、各ヌクレオチドは、β-D-オキシLNAなどのLNAヌクレオチドである。LNAシトシンは5'メチルシトシンであってもよい。(マイクロRNAの5'末端ヌクレオチド(すなわち、-1位)から数えて)成熟マイクロRNAの-2位から-8/-9または-10位(7mer、8merまたは9merの場合)にマッチさせることによって、同等の抗miRを設計することができる。
* 大文字はβ-D-オキシLNAを示し、小文字はDNAおよびLNA Cは5メチルCであり、そのような化合物は完全ホスホロチオエート骨格を有する。
抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドの非常に多くの他の化学的構造および設計が当技術分野において公知である。
インビボでのマイクロRNAの阻害のためには、非常に多くの化学的構造および設計が当技術分野において使用されており、これには、成熟マイクロRNA標的を標的とするRNaseH非動員アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれ、例えば以下のものである:
WO 2005013901、Esau et al., Cell Metab. 2006 Feb;3(2):87-98、およびDavis et al, Nucleic Acids Res. 2006 May 11;34(8):2294-304において報告されている完全2'-O-メトキシエチルホスホロチオエート。
2'-O-メトキシエチル/2'フルオロミックスマーホスホロチオエート(Davis et al., Nucleic Acids Res. 2009 Jan;37(1):70-7を参照されたい)。
2'-O-メチルアンタゴmiR(完全2'-O-メチル修飾された、成熟マイクロRNAの完全相補物であって、5'領域および3'領域がホスホロチオエートであり、内部領域がホスホジエステルであり、コレステロールコンジュゲートが組み込まれている(Krutzfeldt et al., Nature. 2005 Dec 1;438(7068):685-9))。
プレマイクロRNA標的に標的指向するためには、RNaseH動員設計が機能的であると報告されている。プレmiRNA標的配列を標的とする2'-O-メトキシエチルギャップマーが開示されているWO 2005013901を参照されたい。
薬学的組成物および処置方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはコンジュゲートまたはそれらの薬学的組成物は、典型的には有効用量で対象に投与され、該有効用量は、例えば、標的RNAまたはその活性を、連続した投薬間の期間にわたって有意なレベルまで、例えば対象にとって治療上有益なレベルまで下方制御するのに十分な用量によって決定されてもよい。いくつかの態様において、標的RNAまたはその活性は、連続した投薬間の期間中、少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、下方制御される。本発明の薬学的組成物は、いくつかの態様において、初期の投与量増量期(dosage build up phase)中に提供する投与のために作製されてもよく、この投与量増量期の後に、疾患の病状に応じて、疾患の処置において効果的であろう、対象中の、例えば対象の標的組織中の化合物の濃度を維持するための、維持投与量スキームが続いてもよい。投与量の有効性は、一例においては、疾患の状態を示す疾患パラメータの観察によって測定され得るか、もしくは標的組織に応じて、標的RNAの活性もしくはウイルスゲノムの量などの様々な組織パラメータの観察によって測定可能であり得るか、または他の例においては、血漿中の測定可能な疾患状態依存的なパラメータに基づき得る。しかしながらいくつかの疾患において、非限定的な例では、そのような疾患はウイルス性疾患であり得、増量期の後、標的組織における化合物の比較的高い活性または濃度を維持することを目的として、維持投与量を一定期間与えることができ、例えばウイルス力価が減少しているかまたは他の疾患パラメータが改善している間は、その後、最小限必要とされる有効投与量を用いて疾患を最低レベルで維持すると共に、投与間に長い時間間隔(high time interval)を設けることによって最小限の副作用および患者にとっての最低限の不都合を達成するために、各投薬間の間隔を増やすことができるか、もしくは各投薬で与える投与量を減らすことができるか、またはその両方である。
いくつかの態様において、増量期の後、重要な疾患パラメータに対する所望の効果を得るために標的組織における有効濃度を維持することを目的として、維持投与量が投与され、ここで、患者にとっての投与の不都合を回避するために各投与間の時間間隔は長く、選択された疾患パラメータに対する効果をなおも維持しながら副作用を回避するために、投与量は最小限に保たれる。
いくつかの態様において、少なくとも2回の投薬、例えば維持投薬の間の時間間隔は、少なくとも14日、例えば少なくとも15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、89日、90日、91日、92日、93日、94日、95日、96日、97日、98日、99日、100日、101日、102日、103日、104日、105日、106日、107日、108日、109日、110日、111日、112日、113日、114日、115日、116日、117日、118日、119日、120日、121日、122日、123日、124日、または少なくとも125日のうちのいずれか1つから選択される。いくつかの態様において、少なくとも2回の投薬、例えば維持投薬の間の時間間隔は、少なくとも2週、例えば少なくとも3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、または少なくとも18週のうちのいずれか1つから選択される。いくつかの態様において、少なくとも2回の投薬、例えば維持投薬の間の時間間隔は、少なくとも半月、例えば少なくとも1ヶ月、1ヶ月半、2ヶ月、2ヶ月半、3ヶ月、3ヶ月半、4ヶ月、または少なくとも4ヶ月半のうちのいずれか1つから選択される。
いくつかの態様において、少なくとも2回の投薬間の時間間隔は6ヶ月以下であるか、またはいくつかの態様において、6ヶ月未満である。
いくつかの態様において、処置は、患者が活動性疾患の症状を有している限り維持されるであろう。いくつかの態様において、処置をある期間休止し、その後、化合物の有効組織濃度を再構築するための高量投薬または頻回投薬の初期期間によって再開し、続いて、本説明にしたがった維持処置を行ってもよい。
好ましい一態様において、少なくとも2回の投薬、例えば維持投薬の間の時間間隔は、少なくとも14日である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも21日である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも4週である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも5週である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも6週である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも7週である。好ましい一態様において、投薬間の時間間隔は、少なくとも8週である。そのような投薬は維持投薬であってもよい。
いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量、例えば単位用量は0.01mg/kg〜25mg/kgの範囲内である。いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量、例えば単位用量は、0.05mg/kg〜20mg/kgの範囲内である。いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量(例えば、単位用量)は、0.1mg/kg〜15mg/kgの範囲内である。いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量(例えば、単位用量)は、1mg/kg〜15mg/kgの範囲内である。いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量は、1mg/kg〜10mg/kgの範囲内である。いくつかの態様において、各投薬で投与される化合物の投与量(例えば、単位用量)は、0.01mg/kg〜25mg/kgの範囲内、例えば、約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、2.5mg/kg、2.75mg/kg、3mg/kg、3.25mg/kg、3.5mg/kg、3.75mg/kg、4mg/kg、4.25mg/kg、4.5mg/kg、4.75mg/kg、5mg/kg、5.25mg/kg、5.5mg/kg、5.75mg/kg、6mg/kg、6.25mg/kg、6.5mg/kg、6.75mg/kg、7mg/kg、7.25mg/kg、7.5mg/kg、7.75mg/kg、8mg/kg、8.25mg/kg、8.5mg/kg、8.75mg/kg、9mg/kg、9.25mg/kg、9.5mg/kg、9.75mg/kg、10mg/kg、10.25mg/kg、10.5mg/kg、10.75mg/kg、11mg/kg、11.25mg/kg、11.5mg/kg、11.75mg/kg、12mg/kg、12.25mg/kg、12.5mg/kg、12.75mg/kg、13mg/kg、13.25mg/kg、13.5mg/kg、13.75mg/kg、14mg/kg、14.25mg/kg、14.5mg/kg、14.75mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、または例えば約25mg/kgであり、それらはそれぞれ個別の態様である。
いくつかの態様において、本発明の化合物(例えば、単位用量)は、非経口投与法、例えば非限定的な例として静脈内、皮下、腹腔内、脳血管内、鼻腔内投与法のために作製される。いくつかの態様において、投与は経口投与である。
本発明のオリゴマーは、薬学的製剤および組成物において使用されてもよい。適宜、そのような組成物は、薬学的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む。PCT/DK2006/000512には、適切かつ好ましい薬学的に許容される希釈剤、担体およびアジュバントが提供されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。適切な投与量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ製剤もまた、PCT/DK2006/000512に提供されており、これらもまた参照により本明細書に組み入れられる。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
好ましくは、本発明の化合物は、単位製剤(すなわち、単位用量)に、例えば、薬学的に許容される担体または希釈剤中、処置される患者に深刻な副作用を引き起こすことなく治療有効量を患者に送達するのに十分な量で、含まれる。しかしながら、いくつかの治療形態において、治療的処置に対する正の結果を保証する観点から、深刻な副作用は許容され得る。
薬学的組成物の投与量は、処置されるべき疾患状態の重症度および反応性に依存し、処置過程は、数日間〜数ヶ月間、または治癒がもたらされるかもしくは疾患状態の軽減が達成されるまで続けられる。最適な投薬スケジュールは、患者の体内における薬物蓄積の測定値から算出することができる。最適な投与量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な効力に応じて変動し得る。これは一般的に、インビトロおよびインビボ動物モデルにおいて効果的であることが見出されたEC50に基づいて概算することができる。一般に、投与量は体重1kg当たり0.01μg〜1gであり、毎日1回以上、毎週1回以上、毎月1回以上、もしくは毎年1回以上、または2〜10年毎に1回、または数時間から最長数ヶ月間の持続注入によって与えられ得る。投薬の反復率は、体液中または組織中の薬物の測定した滞留時間および濃度に基づいて概算することができる。成功した処置の後、疾患状態の再発を防ぐために患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合がある。
製剤化された薬物は、薬学的に許容される結合剤およびアジュバントを含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤などは、例えば以下の化合物を含んでいてもよい:結合剤としての結晶セルロース、ガムまたはゼラチン;賦形剤としてのデンプンまたはラクトース;滑沢剤としてのステアリン酸塩;様々な甘味剤または香味剤。カプセル剤の場合、投与単位は脂肪油のような液体担体を含んでいてもよい。同様に、糖または腸溶性剤のコーティングを投与単位の一部としてもよい。オリゴヌクレオチド製剤はまた、ミセル乳剤を形成する脂質と活性薬学的成分との乳剤であってもよい。
本発明の薬学的組成物は、局所的処置が望ましいか全身的処置が望ましいかに応じて、および処置すべき場所に応じて、いくつかの方法で投与してもよい。投与は、(a)経口投与、(b)例えば、噴霧器によるものを含む、散剤もしくはエアロゾルの吸入もしくは吹送法による経肺投与;気管内投与、鼻腔内投与、(c)表皮投与、経皮投与、点眼、ならびに膣内送達および直腸送達を含む粘膜への投与を含む、局所投与;または(d)静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内への注射もしくは注入、もしくは頭蓋内投与、例えば髄腔内もしくは脳室内投与を含む、非経口投与であってもよい。いくつかの態様において、活性オリゴは、IV投与、IP投与、経口投与、局所投与、もしくはボーラス注射として投与されるか、または標的器官内に直接投与される。例示的な一態様において、各投与量は、非経口の注射または注入により投与され、これには、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内への注射もしくは注入;または頭蓋内投与、例えば髄腔内もしくは脳室内投与が含まれる。
局所投与のための薬学的組成物および製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、噴霧剤、坐剤、液剤、および散剤が含まれ得る。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが必要であるかまたは望ましい場合がある。好ましい局所製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドが脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤などの局所送達剤と混和されているものが含まれる。経口投与のための組成物および製剤には、散剤もしくは顆粒剤、微粒子、ナノ粒子、水中もしくは非水性溶媒中の懸濁剤もしくは液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ、錠剤またはミニ錠剤が含まれるがこれらに制限されることはない。非経口投与、髄腔内投与または脳室内投与のための組成物および製剤には、無菌水溶液が含まれ得、これには、緩衝剤、希釈剤、および他の適切な添加剤、例えばこれらに限定されることはないが、浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体もしくは賦形剤も含まれ得る。
本発明の薬学的組成物には、液剤、乳剤、およびリポソーム含有製剤が含まれるがこれらに限定されることはない。これらの組成物は、予め形成された液体、自己乳化性固体、および自己乳化性半固体を含むがこれらに限定されない様々な成分から生成され得る。腫瘍組織への薬物の送達は、カチオン性リポソーム、シクロデキストリン、ポルフィリン誘導体、分岐鎖デンドリマー、ポリエチレンイミンポリマー、ナノ粒子、およびミクロスフェアを含むがこれらに限定されない担体媒介性送達によって増強され得る(Dass CR. J Pharm Pharmacol 2002; 54(1):3-27)。
好都合には単位剤形で提示されてもよい本発明の薬学的製剤は、製薬業界において周知である従来技術にしたがって調製されてもよい。そのような技術には、活性成分を薬学的担体または賦形剤と会合させる工程が含まれる。一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体またはそれら両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要ならば生成物を成形することによって、調製される。
本発明の組成物は、多くの可能な剤形のいずれか、例えばこれらに限定されることはないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル、および坐剤へと製剤化されてもよい。本発明の組成物はまた、水性媒体、非水性媒体または混合媒体中の懸濁剤として製剤化されてもよい。水性懸濁剤はさらに、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、懸濁剤の粘性を増大させる物質を含んでいてもよい。懸濁剤はまた、安定剤を含んでいてもよい。
非経口投与、皮下投与、皮内投与または局所投与の場合、製剤は、無菌希釈剤、緩衝剤、張性調節剤および抗菌薬を含み得る。活性化合物は、放出制御特性を有するインプラントまたはマイクロカプセルを含む、分解または体内からの即時排出を防ぐ担体と共に調製されてもよい。静脈内投与の場合、好ましい担体は生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水である。
本発明のオリゴヌクレオチドは、所望の作用を損なわない任意の材料と、または所望の作用を補完する材料と混合されてもよい。これらは、他のヌクレオシド化合物を含む他の薬物を含み得る。
任意で、本発明による医薬は、治療剤、例えばさらなるアンチセンス化合物、化学療法化合物、抗炎症性化合物、抗ウイルス性化合物、および/または免疫調節性化合物を含む。非ステロイド性抗炎症薬およびコルチコステロイドを含むがこれらに限定されない抗炎症薬、抗ウイルス薬、ならびに免疫調節薬もまた、本発明の組成物中に組み合わせてもよい。
2種以上の組み合わされる化合物は、一緒にまたは逐次的に用いられてもよく、すなわち、本発明による化合物は、本明細書において言及される1種または複数種の他の治療剤の前、最中、または後に用いられてもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、活性薬物物質、例えばアスピリン、イブプロフェン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、または抗生物質とコンジュゲートさせてもよい。好ましくは、本発明による薬学的組成物は、少なくとも1つの化学療法剤をさらに含む。前記化学療法剤は、好ましくは、以下からなる群より選択される:副腎皮質ステロイド、例えばプレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン;アルトレタミン(hexalen、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(ethyol);アミノグルテチミド(cytadren);アムサクリン(M-AMSA);アナストロゾール(arimidex);アンドロゲン、例えばテストステロン;アスパラギナーゼ(elspar);カルメット・ゲラン桿菌;ビカルタミド(casodex);ブレオマイシン(blenoxane);ブスルファン(myleran);カルボプラチン(paraplatin);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(leukeran);クロロデオキシアデノシン(2-CDA、クラドリビン、leustatin);シスプラチン(platinol);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、cosmegen);ダウノルビシン(cerubidine);ドセタキセル(taxotere);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロール(DES);エトポシド(VP-16、VePesid、etopophos);フルダラビン(fludara);フルタミド(eulexin);5-FUDR(フロクスウリジン);5-フルオロウラシル(5-FU);ゲムシタビン(gemzar);ゴセレリン(zodalex);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシウレア(hydrea);イダルビシン(idamycin);イホスファミド;IL-2(proleukin、アルデスロイキン);インターフェロンα(intron A、roferon A);イリノテカン(camptosar);リュープロリド(リュープロン);レバミソール(ergamisole);ロムスチン(CCNU);メクロレタミン(mustargen、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(alkeran);メルカプトプリン(purinethol、6-MP);メトトレキサート(mexate);マイトマイシンC(ムタムシン(mutamucin));ミトキサントロン(novantrone);オクトレオチド(sandostatin);ペントスタチン(2-デオキシコホルマイシン、nipent);プリカマイシン(ミトラマイシン、mithracin);プロカルバジン(matulane);ストレプトゾシン;タモキシフェン(nolvadex);taxol(パクリタキセル);テニポシド(vumon、VM-26);チオテパ;トポテカン(hycamtin);トレチノイン(vesanoid、全トランス型レチノイン酸);ビンブラスチン(valban);ビンクリスチン(oncovin);およびビノレルビン(navelbine)。
特定の態様において、本発明は、(a)1種または複数種のアンチセンス化合物と、(b)非アンチセンス機構によって機能する1種または複数種の他の化学療法剤とを含む薬学的組成物を提供する。そのような化学療法剤は、本発明の化合物と共に用いられる場合、個別に(例えば、ミトラマイシンおよびオリゴヌクレオチド)、逐次的に(例えば、一定期間のミトラマイシンおよびオリゴヌクレオチドの後に、別の剤およびオリゴヌクレオチドが続く)、または1種もしくは複数種の他のそのような化学療法剤と組み合わせて、または放射線療法と組み合わせて、用いられてもよい。当業者に公知の化学療法剤はすべて、本発明による化合物との併用処置剤として本明細書に組み入れられる。
別の態様において、本発明の組成物は、第1の核酸に標的指向された1種または複数種のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドと、第2の核酸標的に標的指向された1種または複数種の追加的なアンチセンス化合物とを含んでいてもよい。2種以上の組み合わされる化合物は、一緒にまたは逐次的に用いられてもよく、すなわち、本発明による化合物は、本明細書において言及される1種または複数種の他の治療剤の前、最中、または後に用いられてもよい。
本発明の薬学的組成物は、プロドラッグを構成してもよい。したがって、本発明のいくつかの態様において、本発明の化合物は、プロドラッグの形態であってもよい。オリゴヌクレオチドは負の電荷を有するイオンに基づく。細胞膜の親油性のために、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みは、中性または親油性の同等物と比較して低減する。この極性「障害」は、プロドラッグ手法を用いることによって回避することができる(例えば、Crooke, S. T. Antisense research and Applicationの中のCrooke, R. M. (1998), Springer-Verlag, Berlin, Germany, vol. 131, pp. 103-140を参照されたい)。この手法では、オリゴヌクレオチドは、該オリゴが投与時に中性であるように保護された様式で調製される。これらの保護基は、除去することができるように設計され、その後前記オリゴは細胞によって取り込まれる。そのような保護基の例は、S-アセチルチオエチル(SATE)またはS-ピバロイルチオエチル(t-ブチル-SATE)である。これらの保護基はヌクレアーゼ抵抗性であり、細胞内で選択的に除去される。
好ましくは、本発明の薬学的組成物は、抗炎症性化合物および/または抗ウイルス性化合物をさらに含む。
好ましい態様において、本発明において使用されるLNAアンチセンス抗マイクロRNA化合物は生理食塩水中で製剤化される。
特定の態様
1.miR-134の活性を低下させることが有益である疾患を患っている哺乳動物に投与するための、少なくとも1種の抗miR-134オリゴヌクレオチドの有効投与量を含む薬学的組成物であって、少なくとも2回の連続した投与間の時間間隔が少なくとも50日である、前記薬学的組成物。
2.連続した投与が、毎回、単回投与である、態様1の薬学的組成物。
3.少なくとも2回の連続した投与間または各投与間の時間間隔が、少なくとも70日である、態様1または2の薬学的組成物。
4.少なくとも2回の連続した投与間または各投与間の時間間隔が、少なくとも90日である、態様1または2の薬学的組成物。
5.少なくとも2回の連続した投与間または各投与間の時間間隔が、少なくとも120日である、態様1または2の薬学的組成物。
6.抗miR-134オリゴヌクレオチドが、配列
に相補的な7〜16個の連続ヌクレオチドを含むか、またはhsa-miR-134
に相補的な7〜22個の連続ヌクレオチドを含む、態様1〜5のいずれか一つの薬学的組成物。
7.抗miR-134オリゴヌクレオチドが、以下の配列:
またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは99%の配列同一性を有するそれらの変種からなる群より選択される、態様6の薬学的組成物。
8.抗miR-134オリゴヌクレオチドはRNaseHを動員できない、態様1〜7のいずれか一つの薬学的組成物。
9.抗miR-134オリゴヌクレオチドが少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含む、態様1〜8のいずれか一つの薬学的組成物。
10.抗miR-134オリゴヌクレオチドが完全ホスホロチオエートである、態様1〜9のいずれか一つの薬学的組成物。
11.抗miR-134オリゴヌクレオチドがミックスマーである、態様1〜10のいずれか一つの薬学的組成物。
12.ミックスマーの長さが10〜23ヌクレオチドである、態様11の薬学的組成物。
13.抗miR-134オリゴヌクレオチドがトータルマーである、態様1〜12のいずれか一つの薬学的組成物。
14.トータルマーの長さが7〜10ヌクレオチドである、態様13の薬学的組成物。
15.抗miR-134オリゴヌクレオチドが少なくとも1つのホスホロチオエートを含み、LNAが少なくとも1つ存在し、Cが5メチルCである、態様1〜14のいずれか一つの薬学的組成物。
16.抗miR-134オリゴヌクレオチドが5'-TgGtcAAccAgTcAC-3'であり、ここで、大文字はβ-D-オキシLNAを示し、小文字はDNAおよびLNA Cは5メチルCであり、該抗miR-134オリゴヌクレオチドが完全ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドである、態様1〜12のいずれか一つの薬学的組成物。
17.抗miR-134オリゴヌクレオチドが、約0.05mg/kg〜約0.15mg/kgで投与される、態様1〜16のいずれか一つの薬学的組成物。
18.抗miR-134オリゴヌクレオチドが、約0.1mg/kgで投与される、態様1〜17のいずれか一つの薬学的組成物。
19.ヌクレオチド類似体のうち少なくとも1つが、2'-O-アルキル-RNAモノマー、β-D-オキシ-LNA、6'メチルβ-D-オキシLNAおよびENAからなる群より選択される、態様1〜18のいずれか一つの薬学的組成物。
20.抗miR-134が、ロックド核酸(LNA)であるヌクレオチド類似体を含む、態様1〜19のいずれか一つの薬学的組成物。
21.態様1〜20のいずれか一つの薬学的組成物を投与する段階を含む、てんかんを以前から患っている哺乳動物を処置する方法。
22.薬学的組成物が単回注射として投与され、発作の抑制が少なくとも50%に達しかつ注射後少なくとも50日間持続する、態様21の方法。
23.薬学的組成物が単回注射として投与され、発作の抑制が少なくとも50%に達しかつ注射後少なくとも70日間持続する、態様21の方法。
24.薬学的組成物が単回注射として投与され、発作の抑制が少なくとも50%に達しかつ注射後少なくとも90日間持続する、態様21の方法。
25.薬学的組成物が単回注射として投与され、発作の抑制が少なくとも50%に達しかつ注射後少なくとも120日間持続する、態様21の方法。
26.投与が脳室内(ICV)注射である、態様1〜26のいずれか一つの方法または薬学的組成物。
27.発作の発現を特徴とする脳関連障害などの神経障害の処置における使用のための抗miR-134オリゴヌクレオチドであって、2回の連続した投与間の時間間隔が、少なくとも50日、または少なくとも70日、90日もしくは120日である、前記抗miR-134オリゴヌクレオチド。
28.発作の発現を特徴とする脳関連障害などの神経障害の処置のための医薬の製造における抗miR-134オリゴヌクレオチドの使用であって、該医薬が対象への複数回投与のためのものであり、2回の連続した投与間の時間間隔が、少なくとも約50日、または少なくとも70日、90日もしくは120日である、前記使用。
29.複数回投与が、連続した単回投与である、態様28の使用。
30.抗miR-134オリゴヌクレオチドが態様1〜20のいずれか一つのとおりのものであるかまたは本明細書の他の箇所のとおりのものである、態様27の抗miR-134オリゴヌクレオチドまたは態様28もしくは29の使用。
成体のげっ歯動物モデルにおいてEEG記録を用いて、確立した自発性発作に対するmir-134アンタゴmir処置の治療効果を調べる
Henshall研究室は、カイニン酸(KA)を扁桃体に注射した成体マウス(20〜25g)が、急性的にはてんかん重積状態(SE)を、およびてんかん重積状態の3〜5日後には自発性反復性発作を誘発することを示した。てんかん重積状態の2週間後には、マウスは毎日安定的なてんかん発作を示し、発作は無期限に起こり続ける。過去の研究では発作の予防的処置についての理論的根拠が提供されているが、本目的は、自発性発作の状態におけるmir-134アンタゴmirによる処置の治療効力を実証することであった。成体マウスに、ホームケージ内での長期的なモニタリングのためにテレメトリーEEG記録システム(vEEG)を装着した。(0)日目にマウス(最大でn=6/群)は、vEEGにより記録される扁桃体内KA誘発性SEを経験した。KA-SEの後、マウスをホームケージに戻し、テレメトリー装置を非アクティブ化した。KA-SE誘発の7日後、ベースラインのてんかん活動をモニタするためにテレメトリー装置を再びオンにした。KA-SEの14日後、マウスを以下の3群のうちの1つに無作為に割り当てた:(1)生理食塩水/aCSF;(2)Exiqonアンタゴmir;(3)Roche Innovation Center Copenhagenにより提供されたアンタゴmir。化合物は、「A」、「B」および「C」として研究者らにブラインドで提供された。推奨用量は、0.5nmol/2μlの一回だけのICV送達であった。処置の後、マウスをその後2週間にわたってvEEGによって連続的にモニタした。2週間の記録の後、装置を4週間オフにし、次いで、追加の2週間のvEEG記録のために再びオンにした。実験終了時にマウスを屠殺し、この後の組織学的検査およびインサイチュー分析のために脳を取り出した。
mir-134レベルに対する若年期の発作の影響を調べ、若年のげっ歯動物における化学誘発発作に対するmir-134アンタゴmirによる先制的処置の効果を特定するために、第2のワークパッケージを提案した。これは、mir-134が幼若脳の発達中に存在しており、妥当な標的であり得ることを確認することを目的としていた。さらに、若年のげっ歯動物において発作誘発時にmir-134の発現が制御されるかどうかを観察することを目的としていた。ICV投与されるmir-134アンタゴmirまたは非標的指向(NT)対照LNAで前処置(24時間)したげっ歯動物において発作を観察し、発作活動に対する予防的効果を特定するために、短期の表面および/または深部EEG記録を用いた。このワークパッケージの結果は他の箇所で報告する。
方法
動物モデルおよびvEEG記録
すべての動物実験は、欧州共同体理事会指令(86/609/EEC)にしたがって実施され、保健研究成果局(Health Research Products Authority)および保健省(ダブリン、アイルランド)の許可を得て、アイルランド王立外科医学院の研究倫理委員会によって審査され承認された。
成体の雄のC57BL/6マウス(約25g)をRCSIの生物医学研究施設から入手した(Harlan(オクソン、ビスター、英国)からのオリジナルストック)。動物を12時間明暗サイクルで維持し、餌および水を自由に与えた。イソフルラン麻酔下で、かつ無菌技術を用いて、マウスに適合した定位固定フレームにマウスを置いた。頭蓋骨を覆う皮膚において正中切開を行い、前項の位置を特定した。顕微手術用ドリルを用いて4つの部分開頭手術および1つの完全開頭手術を行った。両側EEG記録(Ponemah v6.30ソフトウェア、DSI)のためにDSIテレメトリー装置(モデル:F20-EET、Data Systems International(DSI))からのリード線を頭蓋骨に取り付け、装置を背中上部に作製した皮下ポケット内に置いた。扁桃体内注射のためにガイドカニューレを(硬膜上に載置して)取り付けた(座標:前項からAP=-0.9mm、L=-2.75mm)。電極カニューレアセンブリを歯科用セメントによって所定の位置に固定し、マウスを定位固定フレームから取り外し、麻酔から回復させた。マウスをホームケージに戻し、回復を助けるために軟らかい餌および液体を与えた。
48時間後、vEEGモニタリングの下で、覚醒している自由行動マウスにおいてKA(0.2μl中0.3μg)(Sigma-Aldrich、アイルランド)の扁桃体内微量注射によっててんかん重積状態(SE)を誘発させた。40分後、発作を減らし罹患率および死亡率を低減させるために、すべてのマウスにロラゼパム(8mg/kg、i.p.)を与えた。すべてのマウスが同様のSEを経験したことを確認するためにvEEGを24時間記録し、そしてテレメトリー装置をオフにした。7日後、EEGテレメトリー装置をアクティブ化し、「てんかんベースライン」を取得するためにホームケージ内でビデオモニタリングと共に連続EEGを記録した。てんかん重積状態後14日目に、マウスに2μl中0.5nmolの化合物A、BまたはCのいずれかを注射した(ICV)。その後2週間記録を継続し(「アクティブ化期間1」)、次いでテレメトリーデバイスの電池寿命(電池は合計6週間持つ)を節約するために4週間中断した。てんかん重積状態後57日目に、さらに2週間にわたり記録を再度アクティブ化した(「アクティブ化期間2」)。実験全体の終了時に、マウスに深く麻酔をかけ、心臓を通して冷緩衝生理食塩水を灌流した。この後の組織学分析のために脳を取り出した。
データ分析
Neuroscoreソフトウェア(DSI)を用いて、てんかん重積状態および自発性反復性発作時のてんかん型EEGを分析した。データを定量化し、ポアソン回帰およびゼロ過剰ポアソン回帰を用いて、ベースラインとアクティブ化1/2期間における自発性発作の回数の差異をそれぞれ調べた。ウィルコクソン(ブレスロー)検定によって試験中の死亡を分析した。有意性はP<0.05で認めた。データは平均値±平均値の標準誤差として提示する。
結果
てんかん重積状態の継続時間:
3つの群の間でてんかん重積状態の重症度に差異はなかった。したがって、全体的に、各処置群は、てんかんを誘発する同様の重症度の傷害を受けた。
「てんかんベースライン」記録中の各群における自発性発作(D07〜D13):
ベースラインの差異を調べるために、ポアソン回帰を、動物内のデータのクラスター化を説明するためのロバスト標準誤差と共に用いた。ベースライン値を14日目まで(しかし14日目は含めない)算出した。「C」群の動物は、ベースライン期に、より高い発作発生率を有していた(発生率の比 1.45、P=0.037;図1を参照されたい)。したがって、ベースライン発作率の潜在的な交絡の影響を次に考察した。ベースライン発作率は、処置の割り付けとは関係なく、処置時の発作率(アクティブ化期間1または2)を予測することはなかった(p=0.794)。
「アクティブ化期間1」中の各群における自発性発作(D15〜D28):
14日目は注射の日と見なした。処置期(アクティブ化期間1)を15日目以降と定義した。薬物投与群(AおよびC)は両方とも、発作の無い日を有しており(付録の生データを参照されたい)、スコア分布の調査では、各薬物投与群の動物におけるゼロ値のクラスター化が明らかになった。発作の差異を調べるためにゼロ過剰ポアソン回帰を用いた。自発性発作の発生率は、対照(群B)と比較して、各薬物処置群(薬物A、IRR=0.22、薬物C IRR=0.21、両方ともP<0.001)においてより低かった。したがって、IRRの変換により、「アクティブ化期間1」においては、群Aおよび群Cのマウスは群B(対照)と比較してそれぞれ78%および79%少ない自発性発作を有していたということが意味される(図1を参照されたい)。事後検定によって、薬物Aまたは薬物Cの効果に有意な差はないことが示された(χ2=0.69、P=0.402)。
試験のアウトカムには死亡と発作回数の両方が含まれていたということを概説することは重要であり、マウスの一部は、発作の無い日を示していた。したがって、これらのアウトカムをすべての動物において比較できるようにするスコアシステムを開発した。このために、動物を次のようにランク付けした:(1)死亡した動物は、生存していた動物よりも悪いアウトカムを有すると見なした。(2)死亡した動物の中では、生存期間の長さをアウトカムの尺度として利用し、最も短い生存期間を有する動物に最も悪いアウトカムスコアを付けた。(3)生存している動物の中では、追跡調査期間(「アクティブ化2」)中の1日当たりの平均発作数をアウトカムの尺度として利用し、最も高い平均発作率を有する動物に最も悪いスコアを割り当てた。(4)動物のスコアが同点であった場合は、平均ランクを割り当てた。その結果、第2の分析を実施したところ、群の間に差異が認められ(群Aおよび群Cのマウスは群Bと比較してそれぞれ78%および79%少ない自発性発作を有していた)、群Aと群Cとの間には、またしても統計的差異は観察されなかった(図1)。
図2は、「てんかんベースライン」期間および「アクティブ化1」期間中の実験群A(n=4)、B(n=6)およびC(n=5)についての1日当たりの発作の総数を示す。**P<0.001。
4.4 アクティブ化期間2中の自発性発作(D57〜D70):
追跡調査期(アクティブ化期間2)を57日目以降と定義した。薬物投与群(AおよびC)は両方とも、発作の無い日を数日有していた(付録の生データを参照されたい)。再びゼロ過剰ポアソン回帰を用いた。追跡調査時、薬物処置動物(AおよびC)においては有意に低い発作発生率である(薬物A IRR 0.03、薬物C IRR 0.08、両方ともP≦0.001)。したがって、「アクティブ化期間2」に関するIRRの変換により、自発性発作の回数において、対照(B)と比較して群Aは97%の低減を示し、群Cは92%の低減を示したということが意味される(図2を参照されたい)。さらに、全体事後分析によって、薬物Aと薬物Cの効果に有意な差はないことが示された(χ2=0.44、P=0.506)。しかしながら、(ランク付けスコアシステムを用いて)第2の分析を実施したところ、アクティブ化2期間において群Aと群Cとの間に統計的差異が確認された(群Aの処置は群Cよりもわずかに強力である;P=0.044)。最後に、予想どおり、処置群と対照との間に差異が認められた(群Aおよび群Cのマウスは群Bと比較してそれぞれ97%および92%少ない自発性発作を有していた)。
図3は、「アクティブ化期間2」における実験群A(n=4)、B(n=3)およびC(n=3)についての1日当たりの発作の総数の全体的分析を示す。**P<0.001。
他の付随的発見:
死亡率:AまたはCのいずれかと群Bとを比較するウィルコクソン(ブレスロー)検定によって全期間にわたって死亡率を分析したところ、群Aおよび群Cが群Bよりも低い死亡率を示したことが確認された(統計的有意性の境界:P=0.0516)。
バックグラウンドEEG:EEGを定量化したところ、群Aおよび群Cのマウスにおける自発性発作が群Bのそれよりも軽度であるように見えることが観察された(図3を参照されたい)。自発性発作の持続期間および発作の重症度/パワーなどのパラメータを測定するためにはさらなる分析が必要である。さらに、群Aおよび群Cのマウスにおける発作間欠期の活動(各発作の間の期間)が正常(非てんかん)マウスの安静時EEGバックグラウンドに類似していることが観察された。
図4は、Ant-134群(例えば、群A;灰色のタグ)と対照群(赤色のタグ)との間の発作の重症度の差異を示す代表的なEEG記録トレースを示す。図(A〜B)は、標準てんかんベースライン期間中の自発性発作の発生および発作間欠期の活動記録を表す。「アクティブ化1」(C〜F)および「アクティブ化2」(G〜J)に関する代表的なトレースは、各期間それぞれの記録最終日に取得した。