JP2021523101A - 切断可能なc末端電荷対タグを有する二重特異性抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(a)CH3ドメイン及び連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含む第1のポリペプチド;並びに(b)CH3ドメイン及び連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含む第2のポリペプチドを含むCH3含有分子に関する。また、合成分子を多重特異性抗原結合分子にコンジュゲートするための方法が提供される。

Description

本発明は、多重特異性抗体を含む多重特異性タンパク質複合体である新規の操作されたタンパク質、それらを構築する方法及びそれらを生成する方法に関する。本発明はまた、多重特異性タンパク質複合体を得るのに有用な技術の新たな適用に関する。
本出願は、コンピューター可読形式(CRF)並びに37 C.F.R.セクション1.821(c)及び1.821(e)によって要求される紙の複写の両方として役立ち、且つ全体として参照により本明細書に組み込まれるASCII「txt」準拠の配列表を含む。2019年5月8日に作成された「txt」ファイルの名称は、A−2238−WO−PCT_SEQ_LIST_050719_ST25であり、30kbのサイズである。
ヒト疾患のための治療剤としての多重特異性抗体の開発は、大きな臨床的可能性を有する。多重特異性抗体は、同時に2つの異なる抗原を認識し、異なる病原性メディエーターを中和し、異なる種類のエフェクター細胞を動員し、且つシグナル経路を調節できる。しかしながら、多重特異性抗体の生成は、非常に困難であった。多重特異性抗体の広範な適用は、有利な半減期、高い安定性、免疫原性の欠如、及び大規模製造及び精製のための実現可能性を示す多重特異性抗体を生成するためのプラットフォームを開発する困難さによって妨げられてきた。DVD−Ig(二重可変ドメインIg)などの有望な多重特異性抗体形式(Nature Biotechnology 25,1290−1297(2007));クロスオーバーIg[Schaefer W et al(2011)PNAS 108(27):11187−11192];ツー・イン・ワンIg(Science 2009,323,1610);BiTE(登録商標)抗体[PNAS 92(15):7021−7025;1995]は、多重特異性抗体の生成を可能にするが、それらは異なる種類の負担を有する。
いくつかの革新的な技術は、多重特異性を設計するための骨格を提供するFcヘテロ二量体のほとんど排他的な集合を可能にした(例えば、ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)(Ridgway et al,Protein Eng.9:617,1996)、静電ステアリング(Gunasekaran et al,J.Biol.Chem.285:19637,2010)及び鎖交換操作ドメイン(SEED)(Davis,Protein Eng.Des.&Sel.23:195,2010))。二重可変ドメイン(DVD)−Ig手法において、第2の抗体のVL及びVHは、それぞれ第1の抗体の軽鎖及び重鎖のN末端に可撓性リンカーを介して融合されて、外側VD及び内側VDと呼ばれる直列の2つの可変ドメイン(VD)を創出する(Wu et al,同書)。内側VDのリガンド結合部位に対する外側VDの近接によってもたらされる立体障害のため、内側VDの結合親和性を保持するためには、ほとんどが実験的に決定されなければならない、いくつかの利用可能なモノクローナル抗体からのVDの選択、VDの配向、及びリンカーの設計を含む広範な最適化が必要である(DiGiammarino et al,Methods Mol.Biol.899:145,2012)。
別の方法は、ラット/マウスクアドローマにおける種に制限される重鎖及び軽鎖対形成を利用する(Lindhofer et al,J.Immunol.155:219,1995)。しかしながら、生成された多重特異性抗体は、ラット/マウス抗体であり、これは治療薬として明らかに免疫原性の問題を有する。
ノブ・イントゥ・ホール(knob−into−hole)ヘテロ二量体化重鎖に基づくCrossmab手法はさらに、多重特異性IgG抗体の生産のための一般的な手法として免疫グロブリンドメインクロスオーバーを使用する(Schaefer et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:1 1 187,201 1)。それにもかかわらず、H鎖ヘテロ二量体及び同族Fvの正しい対形成は、排他的ではなく、望まれない副産物が、精製中に除去されなければならない。
Crossmab手法の拡張を使用して、CrossmabのC末端にFab及びCrossmab Fab断片の追加のセットをタグ付けすることによって、四価の多重特異性抗体を生成できたが(Regulaら、米国特許出願公開第2010/0322934号明細書)、H鎖ヘテロ二量体及び同族Fvの排他的に正しい対形成を得ることの課題は残っている。
多重特異性に対するさらなる手法は、2つの異なる抗原を標的化する単一の結合部位を使用することであり、「ツー・イン・ワン」抗体によって実証された。1つのそのような「ツー・イン・ワン」抗体は、抗体ハーセプチンの多様体であり、これは、Her2及びVEGFの両方と相互作用する(Bostrom et al,Science 323:1610,2009)。この手法は、通常のIgGと同一の形式を有する多重特異性抗体をもたらすため、臨床適用にとって魅力的である。しかしながら、そのような多様体のためのスクリーニングは、非常に労働集約的であり、目的の両方の抗原に結合できる単一の結合部位を得ることができる保証はない。
商業的且つ治療的な目的に有用であり且つ適応性のある多重特異性抗体を結合するための技術を見出すことは、達成が難しかった。多くの方法が試みられてきたが、ほとんど全ての方法は、とりわけ可溶性が低い;哺乳類細胞では発現しない、ヘテロ二量体構造の収率が低い、製造が技術的に困難である、免疫原性がある、インビボでの半減期が短い、不安定であるなどの重大な欠点を抱えている(例えば、Hollinger et al.,(1993)PNAS 90:6444−6448;米国特許第5,932,448号明細書;同第6,833,441号明細書;同第5,591,828号明細書;同第7,129,330号明細書;同第7,507,796号明細書;Fischer et al.,(2007)Pathobiology 74:3−14;Booy(2006)Arch.Immunol.Ther.Exp.54:85−101;Cao et al(2003)55:171−197;及びMarvin et al.,(2006)Current Opinion in Drug Discovery & Development 9(2):184−193。したがって、多重特異性抗体を作製するための技術及びプロセスの改善が必要とされる。
米国特許出願公開第2010/0322934号明細書 米国特許第5,932,448号明細書 米国特許第6,833,441号明細書 米国特許第5,591,828号明細書 米国特許第7,129,330号明細書 米国特許第7,507,796号明細書
Nature Biotechnology 25,1290−1297(2007) Schaefer W et al(2011)PNAS 108(27):11187−11192 Science 2009,323,1610 PNAS 92(15):7021−7025;1995 Ridgway et al,Protein Eng.9:617,1996 Gunasekaran et al,J.Biol.Chem.285:19637,2010 Davis,Protein Eng.Des.& Sel.23:195,2010 Wu et al,ibid DiGiammarino et al,Methods Mol.Biol.899:145,2012 Lindhofer et al,J.Immunol.155:219,1995 Schaefer et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:1 1 187,201 1 Bostrom et al,Science 323:1610,2009 Hollinger et al.,(1993)PNAS 90:6444−6448 Fischer et al.,(2007)Pathobiology 74:3−14 Booy(2006)Arch.Immunol.Ther.Exp.54:85−101 Cao et al(2003)55:171−197 Marvin et al.,(2006)Current Opinion in Drug Discovery & Development 9(2):184−193
一態様では、本発明は、(a)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含む第1のポリペプチド;並びに(b)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含む第2のポリペプチドを含むCH3含有分子に関する。
一実施形態では、第1のポリペプチドのCH3ドメイン及び負に荷電したドメインは、N末端からC末端方向において互いに対して配置され、第2のポリペプチドのCH3ドメイン及び正に荷電したドメインは、N末端からC末端方向において互いに対して配置される。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々はさらに、CH2ドメインを含む。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々はさらに、ヒンジドメインを含む。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々は、N末端からC末端方向において互いに対して配置されたVH、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む。
一実施形態では、分子はさらに、第3及び第4のポリペプチドを含み、第3のポリペプチドは、第1のVLドメインを含み、且つ第4のポリペプチドは、第2のVLドメインを含む。一実施形態では、第3のポリペプチドはさらに、第1のCLドメインを含み、第1のVL及びCLドメインは、N末端からC末端方向において第3のポリペプチド内で互いに対して配置され、且つ第4のポリペプチドはさらに、第2のCLドメインを含み、且つ第2のVL及びCLドメインは、N末端からC末端方向において第4のポリペプチド内で互いに対して配置される。
一実施形態では、負に荷電したドメインは、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、正に荷電したドメインは、少なくとも5つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む。
一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される。一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン残基である。
一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、グルタミン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される。
一実施形態では、第1のポリペプチドはさらに、CH3ドメインのC末端に共有結合したリンカー配列を含み、リンカーは、負に荷電したドメインのN末端に結合され;且つ第2のポリペプチドはさらに、CH3ドメインのC末端に共有結合されたリンカー配列を含み、リンカーは、正に荷電したドメインのN末端に結合される。
一実施形態では、第1のポリペプチドのリンカーは、第2のポリペプチドのリンカーと同じである。
一実施形態では、リンカーは、酵素によって切断され得る。一実施形態では、酵素は、ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ソルターゼE、及びソルターゼFからなる群から選択される。
一実施形態では、リンカーは、配列番号1(LPETGGEEST);配列番号2(LPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号3(LPETG);配列番号4(LPETGG);配列番号5(LPXTA、Xは任意のアミノ酸であり得る):配列番号6(NPX[T/S][N/G/S]、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号7(IPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);及び配列番号8(LAXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る)のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、第1のポリペプチド、第2のポリペプチドのいずれか、又は両方はさらに、そのC末端に結合される精製タグを含む。
一実施形態では、精製タグは、his−タグ、strep−タグ、flag−タグ、T7−タグ、V5−ペプチド−タグ、GST−タグ、CBP−タグ、MBP−タグ及びc−Myc−タグからなる群から選択される。一実施形態では、精製タグは、少なくとも5つの連続したヒスチジンアミノ酸残基を含むhis−タグである。
一実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号9(LPETGGEESTDDDDDDD)のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号10(LPETGGEESTKKKKKKKHHHHHH)のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号11(LPETGGEESTDDDDDDDHHHHHH)のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号12(LPETGGEESTKKKKKKK)のアミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明は、第1の重鎖ポリペプチド、第1の軽鎖ポリペプチド、第2の重鎖ポリペプチド、及び第2の軽鎖ポリペプチドを含む多重特異性抗体に関し、
第1の重鎖ポリペプチドは、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含み、且つ第1の重鎖ポリペプチド及び第1の軽鎖ポリペプチドは、第1の抗原に結合し;且つ
第2の重鎖ポリペプチドは、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含み、且つ第2の重鎖ポリペプチド及び第2の軽鎖ポリペプチドは、第2の抗原に結合する。
一実施形態では、多重特異性抗体は、哺乳動物細胞によって発現される。一実施形態では、哺乳動物細胞は、HEK細胞又はCHO細胞である。
一態様では、本発明は、多重特異性抗体を生成する方法であって、培養培地中で本発明の多重特異性抗体をコードするベクターを含む細胞を培養する工程を含む方法に関する。
一実施形態では、方法はさらに、細胞又は培養培地から多重特異性抗体を回収することを含む。
一態様では、本発明は、抗体コンジュゲートを作製するための方法であって、
a)請求項40又は41のいずれかの多重特異性抗体をもたらす工程;及び
b)抗体を、合成分子(分子は、gly−gly−gly配列を含む)の存在下にてソルターゼ酵素で処理する工程を含む方法に関する。一実施形態では、工程b)は、約2〜約1000の合成分子:抗体モル比率を使用して実施される。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
C末端電荷対タグを介する二重特異性抗体の操作を示す。 C末端電荷対タグに基づく二重特異性抗体を示す。 二重特異性抗体に基づくC末端電荷対タグを示す。 ソルターゼによる二重特異性抗体からのC末端電荷対タグの切除を示す。 C末端電荷対タグを介して生成される二重特異性抗体のペプチド転移を示す。 C末端電荷対タグを介して生成される二重特異性抗体薬物コンジュゲートを示す。 一過性のHEK 293−6e発現−TFNα/TLA1を示す。 一過性のHEK 293−6e発現−PAC1/CGRPR1を示す。 C末端電荷−対二重特異性TNFα/TLA1及びPAC1/CGRPR1の発現レベルを示す(150〜250mg/L)。 抗体A精製−TNFα/TLA1を示す。 溶出プロファイル:PAC1/CGRPR1のプロテインAアフィニティー精製を示す。 LCMS:Pro Aプール−TNFα/TLA1を示す。 LCMS:Pro Aプール−PAC1/CGRPR1を示す。 SDS−Page:PAC1/CGRPR1のプロテインAアフィニティー精製を示す。 分析的サイズ排除及びカチオン交換クロマトグラフィーによるTNFα/TLA1純度の分析を示す。 分析的サイズ排除及びカチオン交換クロマトグラフィーによるPAC1/CGRPR1純度の分析を示す。 UPLC:Pro A精製後のPAC1/CGRPR1の分析的Secプロファイルを示す。 TNFα/TLA1:分取カチオン交換クロマトグラフィーを示す。 分取カチオン交換クロマトグラフィーを示す。 C末端電荷対タグによって生成されるPAC1/CGRPR1二重特異性抗体のCaliper分析を示す。 二重特異性PAC1/CGRPR1抗体結合分析を示す。 C末端電荷対タグの部位特異的切断を示す。 ペプチド転移を介する二重特異性抗体の部位特異的コンジュゲーションを示す。 ソルターゼに媒介されるタグの除去を示す。 大規模なペプチド転移を示す。 TNFα/TLA1からの電荷対タグのLCMS除去を示す。 PAC1/CGRPR1からの電荷対タグのLCMS除去を示す。 電荷対由来の二重特異性抗体のC末端コンジュゲーションを示す。 二重特異性抗体の部位特異的標識を示す。 TNFα/TLA1のソルターゼAに媒介されるビオチン化を示す。 PAC1/CGRPR1のソルターゼAに媒介されるビオチン化を示す。 ソルターゼAを介するPAC1/CGRPR1及びTNFα/TLA1のペグ化を示す。 ソルターゼAによるGGG−PEG20を用いたTNFα/TLA1のペグ化を示す。 ソルターゼAによるGGG−PEG20を用いたPAC1/CGRPR1のペグ化を示す。 SDS Page:ソルターゼA−Biab+ソルターゼA+G3c−PEG20kを使用する20kd−PEGによるPAC1/CGRPR1及びTNFα/TLA1二重特異性のペグ化を示す。 PEG20kでペグ化された二重特異性抗体の分析的Cexを示す。 ソルターゼA−TNFα/TLA1によるGGG−Alexaフルオロフォアの部位特異的融合を示す。 ソルターゼA−PAC1/CGRPR1による−GGG−Alexaフルオロフォアの部位特異的コンジュゲーションを示す。 ソルターゼはまた非標準求核剤を利用できることを示す。 PAC1/CGRPR1−PEG3−N3+Dibo−Alexa488クリックケミストリー反応−24時間のインキュベーションを示す。
理論に束縛されることなく、出願人は、本明細書に記載されるC末端電荷対タグが、免疫グロブリンのFc領域の存在下でさえ驚くほど高い程度の精度及び効率で2つ以上の分子の結合を共に駆動する初期トリガーを提供し、そのFc領域はまた、細胞培養条件下で互いに自然に引きつけ合うと考えている。
重鎖のホモ二量体化を減少させることによって、本明細書に記載される反対に荷電したC末端電荷対タグの使用は、CH3、CH2−CH3、又はヒンジ−CH2−CH3成分(例えば、多重特異性又は1アーム抗体など)を含むタンパク質複合体の均一な集団を生成する能力におけるブレークスルーをもたらす。多重特異性複合体は、例えば、それらが、標的(例えば、腫瘍細胞)及び標的(例えば、T細胞)に対して向けられる薬剤の共局在を誘導できるか又はそれらが、対象に対する併用療法の必要性及び2種以上の治療薬を与えることに伴うリスクを排除できるため、治療適用における使用に関して有利である。さらに、プロテアーゼを使用して、ヘテロ二量体からのC末端電荷対タグの除去を促進できる。
実施例を含む、本明細書中で使用される組換えポリペプチド及び核酸方法は、一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)又はCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,Green Publishers Inc.及びWiley and Sons 1994)に記載されるものであり、これらはいずれも任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される項目見出しは、単に構成的な目的のためのものであり、記載する主題を限定すると解釈すべきではない。
本明細書では、別段の定義がない限り、本出願と関連して使用される科学用語及び専門用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
一般に、細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びに本明細書に記載のタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法及び技術は当該技術分野でよく知られ、且つ一般に使用されているものである。別段の記載がない限り、本出願の方法及び手法は、一般に、当該技術分野においてよく知られる通常の方法に従って実施され、こうした方法及び手法は、本明細書を通して引用及び議論される様々な一般の参考文献及び特定性の高い参考文献に記載されるものである。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、及びHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)(これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。酵素反応及び精製手法は、製造者の説明に従って実施されるか、当該技術分野において一般に達成されるように実施されるか、又は本明細書に記載のように実施される。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、並びに医薬品化学及び製薬化学と関連して使用される専門用語、並びにそれらの実験室的な手順及び手法は、当該技術分野においてよく知られ、且つ一般に使用されているものである。化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、及び送達、並びに患者の治療には、標準的な手法が使用され得る。
本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコール及び試薬等に限定されず、したがって、変わり得るものであると理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の説明を目的としているにすぎず、開示の範囲の限定は意図されず、開示の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義される。
実施例又は別の形で記載される場合を除き、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を示す数は全て、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「約」という用語は、割合と関連して使用されるとき、±1%を意味し得る。
別段の記載がない限り、本明細書で使用される「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、慣例に従い、「1つ以上」を意味する。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」及び「残基」という用語は、互換的に使用され、ペプチド又はポリペプチドとの関連で使用されるとき、天然起源のアミノ酸と合成のアミノ酸との両方、並びに天然起源のアミノ酸と化学的に類似したアミノ酸類似体、アミノ酸模倣体及び非天然起源のアミノ酸を指す。
「天然起源のアミノ酸」は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸、並びに遺伝コードによってコードされ、合成された後に修飾されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート及びO−ホスホセリン)である。アミノ酸類似体は、天然起源のアミノ酸と同一の基本化学構造、すなわち水素に結合したα炭素、カルボキシル基、アミノ基及びR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチルメチオニンスルホニウムである。そのような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)又は改変されたペプチド骨格を有し得るが、天然起源のアミノ酸と同一の基本化学構造を保持するであろう。
「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般化学構造と異なる構造を有するが、天然起源のアミノ酸と類似の様式で機能する化学化合物である。例としては、アミドのメタクリロイル誘導体又はアクリロイル誘導体、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、δ−アミノ酸(ピペリジン−4−カルボン酸など)などが挙げられる。
「非天然起源のアミノ酸」は、天然起源のアミノ酸と同一の基本化学構造を有するが、翻訳複合体によって伸長ポリペプチド鎖に組み込まれない化合物である。「非天然起源のアミノ酸」には、限定はされないが、天然にコードされるアミノ酸(限定はされないが、20の一般的なアミノ酸を含む)が修飾(例えば、翻訳後修飾)されることによって生じるが、翻訳複合体によって伸長ポリペプチド鎖にそれ自体が天然に組み込まれることのないアミノ酸も含まれる。ポリペプチド配列に挿入することができる、又はポリペプチド配列における野生型残基の代わりに使用することができる非天然起源のアミノ酸の例のリストには、限定はされないが、β−アミノ酸、ホモアミノ酸、環状アミノ酸及び側鎖が誘導体化されたアミノ酸が含まれる。例としては、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(hCit)、Nα−メチルシトルリン(NMeCit)、Nα−メチルホモシトルリン(Nα−MeHoCit)、オルニチン(Orn)、Nα−メチルオルニチン(Nα−MeOrn又はNMeOrn)、サルコシン(Sar)、ホモリシン(hLys又はhK)、ホモアルギニン(hArg又はhR)、ホモグルタミン(hQ)、Nα−メチルアルギニン(NMeR)、Nα−メチルロイシン(Nα−MeL又はNMeL)、N−メチルホモリシン(NMeHoK)、Nα−メチルグルタミン(NMeQ)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(Tic)、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸(Oic)、3−(1−ナフチル)アラニン(1−Nal)、3−(2−ナフチル)アラニン(2−Nal)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(Tic)、2−インダニルグリシン(IgI)、パラ−ヨードフェニルアラニン(pI−Phe)、パラ−アミノフェニルアラニン(4AmP又は4−アミノ−Phe)、4−グアニジノフェニルアラニン(Guf)、グリシルリシン(「K(Nε−グリシル)」又は「K(グリシル)」又は「K(gly)」と略される)、ニトロフェニルアラニン(ニトロphe)、アミノフェニルアラニン(アミノphe又はアミノ−Phe)、ベンジルフェニルアラニン(ベンジルphe)、γ−カルボキシグルタミン酸(γ−カルボキシglu)、ヒドロキシプロリン(ヒドロキシpro)、p−カルボキシル−フェニルアラニン(Cpa)、α−アミノアジピン酸(Aad)、Nα−メチルバリン(NMeVal)、N−α−メチルロイシン(NMeLeu)、Nα−メチルノルロイシン(NMeNle)、シクロペンチルグリシン(Cpg)、シクロヘキシルグリシン(Chg)、アセチルアルギニン(アセチルarg)、α,β−ジアミノプロピオン酸(Dpr)、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dap)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、4−メチル−フェニルアラニン(MePhe)、β,β−ジフェニル−アラニン(BiPhA)、アミノ酪酸(Abu)、4−フェニル−フェニルアラニン(又はビフェニルアラニン;4Bip)、α−アミノ−イソ酪酸(Aib)、ベータ−アラニン、ベータ−アミノプロピオン酸、ピペリジン酸、アミノカプロン酸、アミノヘプタン酸、アミノピメリン酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリシン、アロ−ヒドロキシリシン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、4−ヒドロキシプロリン(Hyp)、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、ω−メチルアルギニン、4−アミノ−O−フタル酸(4APA)及び他の類似アミノ酸、並びに具体的に記載のもののいずれかの誘導体化形態が挙げられ、これらのものは、L−形態又はD−形態をとり;括弧内は略語である。
「単離された核酸分子」という用語は、5’末端から3’末端へと読まれるデオキシリボヌクレオチド塩基若しくはリボヌクレオチド塩基の一本鎖若しくは二本鎖のポリマー又はその類似体であって、供給源細胞から全核酸が単離されるときにその核酸と共に天然に見出されるポリペプチド、ペプチド、脂質、糖質、ポリヌクレオチド、又は他の物質の少なくとも約50パーセントが取り除かれているものを指す。好ましくは、単離された核酸分子は、その核酸の天然環境において見出され、ポリペプチド生成におけるその使用、又はその治療的、診断的、予防的、若しくは研究的な使用を妨害すると想定される任意の他の混入核酸分子又は他の分子を実質的に含まない。
「単離されたポリペプチド」という用語は、ポリペプチド、ペプチド、脂質、糖質、ポリヌクレオチド、又は供給源細胞から単離された場合にポリペプチドが天然に見出される他の物質の少なくとも約50パーセントから分離されたポリペプチドをいう。単離されたポリペプチドは、その天然環境において見出され、その治療的、診断的、予防的、又は研究的な使用を妨害すると想定される任意の他の汚染性ポリペプチド又は他の汚染物質を実質的に含まないことが好ましい。
「コードする」という用語は、1つ以上のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列を指す。用語は、開始コドン又は終始コドンを必要としない。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列と関連する「同一の」及び「同一性」パーセントという用語は、同一である2つ以上の配列又は部分配列を指す。「同一性パーセント」は、比較分子におけるアミノ酸又はヌクレオチドの間で残基が同一であるパーセントを意味し、比較される分子の中で最小のもののサイズに基づいて計算される。こうした計算では、アライメントにおけるギャップ(存在する場合)は、特定の数学モデル又はコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により対処することができる。アラインした核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用し得る方法には、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.),(1988)New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,(1987)Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,(1988)SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されるものが含まれる。
同一性パーセントを計算する際には、比較する配列を、配列間の最大の一致を与えるような方法でアラインする。同一性パーセントを決定するために使用されるコンピュータプログラムは、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,(1984)Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を含む。コンピュータアルゴリズムであるGAPは、配列同一性パーセントが決定されることになる2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドのアラインメントをとるために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドが最適に一致するように並べられる(アルゴリズムによって決定される「一致スパン」)。ギャップ開始ペナルティ(3×平均対角として計算される。ここで、「平均対角」は、使用される比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全アミノ酸一致に割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)並びにPAM 250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスがアルゴリズムと共に使用される。特定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352を参照;BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919を参照されたい)もアルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを使用し、ポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨パラメーターは、下記のものである:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453;
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992(上記)のBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(ただし、エンドギャップに対するペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列をアラインするための特定のアライメントスキームを用いると、2つの配列において短い領域のみが一致する可能性があり、アラインされたこの短い領域は、2つの全長配列の間に顕著な関連性が存在せずとも非常に高い配列同一性を有する可能性がある。したがって、所望するならば、標的ポリペプチドの少なくとも50の連続するアミノ酸にまたがるアライメントが得られるように、選択したアライメント法(例えば、GAPプログラム)を調整することができる。
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」は、特定の標的抗原に特異的に結合する任意のタンパク質を意味する。この用語は、少なくとも2本の全長重鎖及び2本の全長軽鎖を含むインタクトな抗体、並びにその誘導体、多様体、断片及び変異物を包含する。抗体断片の例には、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、及びFv断片が含まれる。抗原結合タンパク質には、以下にさらに記載されるnanobodies及びscFvなどのドメイン抗体も含まれる。
一般に、抗原結合タンパク質は、その抗原結合タンパク質が非標的抗原分子に対して本質的にバックグラウンドの結合を示すとき、その標的抗原に「特異的に結合する」ことである。しかしながら、その標的抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、異なる種に由来する標的抗原ポリペプチドと交差反応し得る。典型的には、抗原結合タンパク質は、表面プラズマ共鳴手法(例えば、BIACore,GE−Healthcare Uppsala,Sweden)又は結合平衡除外法(KinExA,Sapidyne,Boise,Idaho)によって測定される解離定数(KD)が≦10−7Mであるとき、その標的抗原に特異的に結合する。抗原結合タンパク質は、記載の方法を使用して測定されるKDが≦5×10−9Mであるとき、「高い親和性」でその標的抗原に特異的に結合し、記載の方法を使用して測定されるKDが≦5×10−10Mであるとき、「非常に高い親和性」でその標的抗原に特異的に結合する。
「抗原結合領域」は、特定の抗原に特異的に結合するタンパク質又はタンパク質の一部を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に与えるアミノ酸残基を含む抗原結合タンパク質のその部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は、典型的には、免疫グロブリン、一本鎖免疫グロブリン、又はラクダ科の動物の抗体の「相補的結合領域」(「CDR」)を1つ以上含む。特定の抗原結合領域は、1つ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合の特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDRの適切な立体構造の維持に役立つことで、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進することができる。
「組換えタンパク質」は組換え手法を用いて、すなわち、本明細書に記載されるような組換え核酸の発現によって作製されるタンパク質である。組換えタンパク質の生成方法及び生成手法は、当該技術分野においてよく知られている。
「抗体」という用語は、任意のアイソタイプのインタクトな免疫グロブリン、又は標的抗原への特異的結合についてインタクトな抗体と競合することができるその断片を指し、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、及び多重特異性抗体を含む。したがって、「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。インタクトな抗体は、一般に、少なくとも2本の全長重鎖及び2本の全長軽鎖を含む。抗体は、単一の供給源のみに由来するか、又は「キメラ」、すなわち、以下にさらに記載されるように、その抗体の異なる部分が、2つの異なる抗体に由来し得るものであり得る。抗原結合タンパク質、抗体、又は結合断片は、ハイブリドーマにおいて、組換えDNA手法により又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的な切断により生成され得る。
抗体又はその断片に関して使用される「軽鎖」という用語は、全長軽鎖、及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有するその断片を含む。全長軽鎖は、可変領域ドメイン(VL)及び定常領域ドメイン(CL)を含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖には、カッパ鎖及びラムダ鎖が含まれる。
抗体又はその断片に関して使用される「重鎖」という用語は、全長重鎖、及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有するその断片を含む。全長重鎖は、可変領域ドメイン(VH)並びに3つの定常領域ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を含む。VHドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に位置し、CHドメインは、カルボキシル末端に位置し、CH3が、ポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い位置に存在する。重鎖は、IgG(IgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、IgG3サブタイプ及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1サブタイプ及びIgA2サブタイプを含む)、IgM、並びにIgEを含む、任意のアイソタイプのものであり得る。
本明細書で使用される、抗体又は免疫グロブリンの鎖(重鎖又は軽鎖)の「免疫学的に機能性の断片」(又は単に「断片」)という用語は、全長鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠いているが、抗原に特異的に結合する能力を有する抗体の一部(その部分がどのように得られるか、又は合成されるかは問われない)を含む抗原結合タンパク質である。そのような断片は、それが標的抗原に特異的に結合するという点で生物学的に活性であり、所与のエピトープへの特異的な結合について、インタクトな抗体を含む、他の抗原結合タンパク質と競合することができる。
こうした生物学的に活性な断片は、組換えDNA手法によって生成され得、又はインタクトな抗体を含む、抗原結合タンパク質の酵素的若しくは化学的な切断によって生成され得る。免疫学的に機能性の免疫グロブリン断片には、限定はされないが、Fab断片、Fab’断片及びF(ab’)2断片が含まれる。
別の実施形態では、Fv、ドメイン抗体及びscFvであり、これらは、本発明の抗体に由来し得る。
例えば、1つ以上のCDRなど、本明細書に開示の抗原結合タンパク質の機能性部分は、第2のタンパク質又は小分子に共有結合させることで、体における特定の標的を対象とする治療剤を創出し、二機能性の治療特性を持たせるか、又は血清半減期を延長できることがさらに企図される。
「Fab断片」は、1つの軽鎖と、1つの重鎖のCH1及び可変領域とから構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
「Fc」領域は、抗体のCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合及びCH3ドメインの疎水性相互作用によってまとめられる。
「Fab’断片」は、1つの軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインに加えてCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域も含む1つの重鎖の一部とを含み、その結果、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成することでF(ab’)2分子を形成することができる。
「F(ab’)2断片」は、2つの軽鎖と、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2つの重鎖とを含み、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖の間に形成される。したがって、F(ab’)2断片は、2つの重鎖の間のジスルフィド結合によってまとめられた2つのFab’断片から構成される。
「Fv領域」は、重鎖と軽鎖との両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
「一本鎖抗体」又は「scFv」は、重鎖及び軽鎖可変領域が抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成するために、可撓性リンカーによって連結されているFv分子である。scFvについては、国際公開第88/01649号パンフレット、並びに米国特許第4,946,778号明細書及び同第5,260,203号明細書に詳細に論じられており、これらの開示は、参照により組み込まれる。
「ドメイン抗体」又は「一本鎖免疫グロブリン」は、重鎖の可変領域又は軽鎖の可変領域のみを含む免疫学的に機能性の免疫グロブリン断片である。ドメイン抗体の例には、Nanobodies(登録商標)が含まれる。いくつかの場合、2つ以上のVH領域が、ペプチドリンカーを介して共有結合で連結されることで二価のドメイン抗体が創出される。二価のドメイン抗体の2つのVH領域は、同一又は異なる抗原を標的とし得る。
「二価の抗原結合タンパク質」又は「二価の抗体」は、2つの抗原結合領域を含む。いくつかの場合、2つの結合領域は、同一の抗原特異性を有する。二価の抗原結合タンパク質及び二価の抗体は、二重特異性であり得、これについては以下を参照されたい。
「多重特異性抗原結合タンパク質」又は「多重特異性抗体」は、2つ以上の抗原又はエピトープを標的とするものである。
「二重特異性(bispecific)」、「二重特異性(dual−specific)」又は「二重特異性(bifunctional)」の抗原結合タンパク質又は抗体は、それぞれハイブリッドの抗原結合タンパク質又は抗体であり、2つの異なる抗原結合部位を有する。二重特異性の抗原結合タンパク質及び抗体は、多重特異性抗原結合タンパク質又は多重特異性抗体の一種であり、限定はされないが、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む、様々な方法によって生成され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。二重特異性の抗原結合タンパク質又は抗体の2つの結合部位は、2つの異なるエピトープに結合し、こうした2つの異なるエピトープは、同一又は異なるタンパク質標的に存在し得る。
抗原結合タンパク質(例えば、抗体)との関連において使用されるとき、「競合する」という用語は、抗原結合タンパク質間の競合が、共通の抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合を抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はその免疫学的に機能性の断片)が試験下で阻止又は阻害するアッセイによって決定されることを意味する。多くの種類の競合結合アッセイを使用することができ、例えば、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242−253を参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614−3619を参照)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照);I−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7−15を参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546−552を参照されたい);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82)である。典型的には、このようなアッセイでは、固体表面に結合した精製抗原又はこうした抗原のいずれかを有する細胞、非標識試験抗原結合タンパク質及び標識参照抗原結合タンパク質が使用される。競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合的結合を決定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書の実施例において提供される。通常、競合する抗原結合タンパク質が過剰に存在すると、競合する抗原結合タンパク質は、共通の抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合が少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%阻害する。いくつかの場合、結合は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも97%以上阻害される。
「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体を含む)などの選択的結合剤による結合を受ける能力を有し、さらに、その抗原に結合する能力を有する抗体を生成するために動物において使用することが可能な分子又は分子の一部を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば、抗体と相互作用する能力を有する1つ以上のエピトープを有し得る。
「エピトープ」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)により結合される分子の一部である。この用語は、抗体などの抗原結合タンパク質に特異的に結合する能力を有する任意の決定基を含む。エピトープは、連続的又は非連続的(不連続的)(例えば、ポリペプチドにおいて、そのポリペプチド配列では互いに連続的ではないが、その分子の中で結び付きを有するアミノ酸残基は、抗原結合タンパク質による結合を受ける)であり得る。立体構造エピトープは、活性タンパク質の立体構造には存在するが、変性タンパク質には存在しないエピトープである。特定の実施形態では、エピトープは、抗原結合タンパク質を生成するために使用されるエピトープと類似した三次元構造を含むが、抗原結合タンパク質を生成するために使用される、そのエピトープにおいて見られるアミノ酸残基を含まないか、又はそのいくつかのみを含む、という点で模倣的であり得る。エピトープは、タンパク質に存在することが最も多いが、場合により、核酸などの他の種類の分子に存在し得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、リン酸基又はスルホニル基などの化学的に活性な表面分類の分子を含み得、特定の三次元構造特性及び/又は特定の電荷特性を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗原結合タンパク質は、タンパク質及び/又は巨大分子の複合混合物において標的抗原に存在するエピトープを優先的に認識する。
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」は、記載された分子種が、存在する優勢な種であること、すなわちモル基準で同じ混合物中の任意の他の個々の種よりも豊富であることを意味する。特定の実施形態では、実質的に純粋な分子は、対象種が、存在する全ての高分子種の少なくとも50%(モル基準で)を含む組成物である。他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物に存在する全ての高分子種の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を構成する。他の実施形態では、対象種は、実質的な均一性を有するまで精製され、通常の検出方法によって組成物中に混入種を検出することはできず、したがって組成物は、単一の検出可能な高分子種からなる。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、一本鎖のヌクレオチドポリマーと二本鎖のヌクレオチドポリマーとの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド、又はいずれかの型のヌクレオチドの改変形態であり得る。改変には、ブロモウリジン及びイノシン誘導体などの塩基改変、2’,3’−ジデオキシリボースなどのリボース改変、並びにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)及びホスホロアミデート(phosphoroamidate)などのヌクレオチド間結合の改変が含まれる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10〜60の塩基長である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20〜40のヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築において使用するための一本鎖又は二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのための放射標識、蛍光標識、ハプテン、又は抗原性標識を含む、標識を含み得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマー、又はハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
「単離された核酸分子」は、ゲノム、mRNA、cDNA、若しくは合成を起源とするか、又はそれらの何らかの組み合わせであるDNA又はRNAであって、単離されたポリヌクレオチドが天然に見出されるポリヌクレオチドの全て若しくは一部を伴わないか、又はそれが天然では連結されないポリヌクレオチドに連結されているDNA又はRNAを意味する。本開示の目的では、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」は、インタクトな染色体を包含しないと理解されるべきである。特定の核酸配列「を含む」単離された核酸分子は、その特定の配列に加えて、最大で10若しくはさらに最大で20に及ぶ数の他のタンパク質若しくはその一部をコードする配列を含み得、又は記載の核酸配列のコード領域の発現を制御する作動可能に連結された調節配列を含み得、且つ/又はベクター配列を含み得る。
別段の記載がない限り、本明細書で議論される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と称される。新生RNA転写産物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と呼ばれ;RNA転写産物の5’末端の5’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれ;RNA転写産物の3’末端の3’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
「制御配列」という用語は、それが連結されるコード配列の発現及びプロセシングに影響を与えることができるポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物用制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含み得る。例えば、真核生物用制御配列は、転写因子のための認識部位を1つ又は複数含むプロモーター、転写エンハンサー配列、及び転写終結配列を含み得る。「制御配列」は、リーダー配列及び/又は融合パートナー配列を含み得る。
「ベクター」という用語は、宿主細胞へのタンパク質コード情報の導入に使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を意味する。
「発現ベクター」又は「発現コンストラクト」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、そこに作動可能に連結される1つ以上の異種性コード領域の発現を(宿主細胞と協同して)誘導及び/又は制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現コンストラクトは、限定はされないが、転写、翻訳に影響するか、又はそれを制御し、イントロンが存在するのであれば、そこに作動可能に連結されるコード領域のRNAスプライシングに影響する配列を含み得る。
本明細書で使用される「作動可能に連結される」は、この用語が適用される構成要素が、適切な条件下でその固有機能を実施することが可能になる関係にあることを意味する。例えば、ベクターにおいてタンパク質コード配列に「作動可能に連結される」制御配列は、制御配列の転写活性と適合する条件下でタンパク質コード配列の発現が達成されるようにそこに連結される。
「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されており、それによって目的遺伝子を発現する細胞を意味する。この用語には、目的遺伝子が存在する限り、子孫の形態又は遺伝的構成が元の親細胞と同一であるか否かに関わらず、親細胞の子孫が含まれる。
「ポリペプチド」又は「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、また、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然起源のアミノ酸の類似体又は模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然起源のアミノ酸ポリマーにも適用される。この用語はまた、例えば、糖タンパク質を形成するための糖質残基の付加、又はリン酸化によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含し得る。ポリペプチド及びタンパク質は、天然起源及び非組換え細胞によって産生し得るか;又は遺伝子操作若しくは組み換えられた細胞によって産生され、天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、或いは天然の配列からの1つ以上のアミノ酸の欠失、それへの付加及び/又はその置換を有する分子を含む。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、具体的には、抗原結合タンパク質、抗体、或いは抗原結合タンパク質からの1つ以上のアミノ酸の欠失、それへの付加及び/又はその置換を有する配列を包含する。「ポリペプチド断片」という用語は、全長タンパク質と比較して、アミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失及び/又は内部の欠失を有するポリペプチドを指す。そのような断片は、全長タンパク質と比較して改変されたアミノ酸も含み得る。特定の実施形態では、断片は、約5〜500のアミノ酸長である。例えば、断片は、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、又は少なくとも450のアミノ酸長であり得る。有用なポリペプチド断片には、結合ドメインを含む、抗体の免疫学的に機能性の断片が含まれる。
「単離されたタンパク質」という用語は、対象タンパク質が、(1)それと共に通常見られると想定される他のタンパク質を少なくともいくつかは含まないか、(2)例えば、同一種などの同一源に由来する他のタンパク質を実質的に含まないか、(3)異なる種に由来する細胞によって発現するか、(4)天然ではそれに付随するポリヌクレオチド、脂質、糖質、若しくは他の物質の少なくとも約50パーセントが取り除かれているか、(5)天然ではそれに付随しないポリペプチドと(共有結合的若しくは非共有結合的な相互作用によって)作動可能に結び付いているか、又は(6)天然には生じないことを意味する。一般的には、「単離されたタンパク質」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、又は少なくとも約50%を構成する。ゲノムDNA、cDNA、mRNA、若しくは合成起源の他のRNA、又はそれらの任意の組み合わせにより、そのような単離されたタンパク質はコードされ得る。単離されたタンパク質は、その天然環境において見出され、その治療、診断、予防、研究又は他の使用を妨害すると想定されるタンパク質若しくはポリペプチド又は他の汚染物質を実質的に含まないことが好ましい。
ポリペプチド(例えば、抗体などの抗原結合タンパク質)の「多様体」は、別のポリペプチド配列と比較して、アミノ酸配列に1つ以上のアミノ酸残基の挿入、欠失及び/又は置換が生じたアミノ酸配列を含む。多様体には、融合タンパク質が含まれる。
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、別の化学部分へのコンジュゲーションによって、挿入、欠失、又は置換による多様体と異なる何らかの様式で化学的に改変されたポリペプチド(例えば、抗体などの抗原結合タンパク質)である。
ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的物質に関連して本明細書を通して使用される「天然起源」という用語は、天然に見出される物質を指す。
本明細書で使用される「対象」又は「患者」は、任意の哺乳類であり得る。典型的な実施形態では、対象又は患者は、ヒトである。
「保存的アミノ酸置換」は、天然のアミノ酸残基(すなわち、ポリペプチド配列の所与の位置に見出される残基)の、非天然の残基(すなわち、ポリペプチド配列の同じ所与の位置に見出されない残基)による置換を含むことができ、その結果、その位置のアミノ酸残基の極性又は電荷に対する影響はほとんどないか又は全くない。保存的アミノ酸置換はまた、典型的には、生物学的な系における合成によってではなく、化学的なペプチド合成によって組み込まれる非天然起源のアミノ酸残基を包含する。こうしたものには、ペプチド模倣体及びアミノ酸部分が逆転又は反転した他の形態が含まれる。
天然起源の残基は、下記の共通の側鎖特性に基づくクラスに分類することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
アミノ酸のさらなるグループもまた、例えば、Creighton(1984)PROTEINS:STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES(2d Ed.1993),W.H.Freeman and Companyに記載されている原理を使用して明確に表現され得る。いくつかの場合、そのような特性の2つ以上に基づいて置換をさらに特徴付けることが有用であり得る(例えば、Thr残基などの「極性の小さい」残基での置換は、適切な状況では高度に保存的な置換となり得る)。
保存的置換は、こうしたクラスの1つのメンバーと、同一クラスの別のメンバーとの交換を含み得る。非保存的置換は、こうしたクラスの1つのメンバーと、別のクラスのメンバーとの交換を含み得る。
上記の分類のものと類似の生理化学的特性を有することが知られる合成アミノ酸残基、希少アミノ酸残基、又は改変アミノ酸残基を、配列における特定のアミノ酸残基を「保存的」に置換するものとして使用することができる。例えば、D−Arg残基は、典型的なL−Arg残基を置換するものとして働き得る。2つ以上の上記のクラスに関して特定の置換を説明することができる場合もあり得る(例えば、小さい疎水性の残基での置換は、上記のクラスの両方に見られる残基、又は両方の定義を満たすそのような残基と類似の生理化学的特性を有することが当該技術分野において知られる他の合成残基、希少残基、若しくは改変残基での1つのアミノ酸の置換を意味する)。
核酸配列を発現するために、標準的なクローニング手法及び発現手法に従って、適切なコード配列を好適なベクターにクローニングすることができ、好適な宿主への導入の後、配列が発現することで、コードされるポリペプチドを生成することができ、こうした手法は、当該技術分野において知られている(例えば、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.,and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989に記載される)。本発明は、本発明による核酸配列を含むそのようなベクターにも関する。
「ベクター」は、(a)ポリペプチドをコードする核酸配列の発現を促進する送達媒体;(b)そこからのポリペプチドの生成を促進する送達媒体;(c)それを用いる標的細胞の遺伝子導入/形質転換を促進する送達媒体;(d)核酸配列の複製を促進する送達媒体;(e)核酸の安定性を促進する送達媒体;(f)核酸及び/又は形質転換/遺伝子導入細胞の検出を促進する送達媒体;並びに/又は(g)ポリペプチドをコードする核酸に対して有利な生物学的機能及び/若しくは生理化学的機能を別の形で付与する送達媒体を指す。ベクターは、染色体ベクター、非染色体ベクター及び合成核酸ベクター(適切な一連の発現制御要素を含む核酸配列)を含む、任意の適切なベクターであり得る。このようなベクターの例としては、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAとの組み合わせに由来するベクター、及びウイルス核酸(RNA又はDNA)ベクターが挙げられる。
組換え発現ベクターは、原核細胞(例えば、E.コリ(E.coli))又は真核細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用する昆虫細胞、酵母細胞、若しくは哺乳類細胞)においてタンパク質が発現するように設計することができる。一実施形態では、宿主細胞は、哺乳類の非ヒト宿主細胞である。代表的な宿主細胞には、典型的にはクローニング及び発現に使用される宿主が含まれ、こうした宿主には、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)株であるTOP10F’、TOP10、DH10B、DH5a、HB101、W3110、BL21(DE3)及びBL21(DE3)pLysS、BLUESCRIPT(Stratagene)、哺乳類細胞株であるCHO、CHO−K1、HEK293、293−EBNA pINベクター(Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.264:5503−5509(1989);pETベクター(Novagen,Madison Wis.)が含まれる。或いは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼ及びインビトロの翻訳システムを使用し、インビトロで転写及び翻訳することができる。ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列を含むクローニング部位の上流にプロモーターを含むことが好ましい。スイッチのオンオフが切り替え可能なプロモーターの例としては、lacプロモーター、T7プロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター及びtrpプロモーターが挙げられる。
ベクターは、任意の好適なプロモーター、エンハンサー及び他の発現促進要素を含むか、又はそれと結び付けられ得る。そのような要素の例としては、強力な発現プロモーター(例えば、ヒトCMV IEプロモーター/エンハンサー、RSVプロモーター、SV40プロモーター、SL3−3プロモーター、MMTVプロモーター、若しくはHIV LTRプロモーター、EF1アルファプロモーター、CAGプロモーター)、有効なポリ(A)終結配列、E.コリ(E.coli)におけるプラスミド産物のための複製起点、選択マーカーとしての抗生物質耐性遺伝子及び/又は簡便なクローニング部位(例えば、ポリリンカー)が挙げられる。ベクターはまた、CMV IEなどの構成的プロモーターとは対照的な誘導性プロモーターを含み得る。一態様では、肝臓組織又は膵臓組織などの代謝に関連する組織における配列の発現を促進する組織特異的プロモーターに作動可能に連結されたポリペプチドをコードする配列を含む核酸が提供される。
本開示の別の態様では、本明細書に開示の核酸及びベクターを含む宿主細胞が提供される。様々な実施形態において、ベクター又は核酸は、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、他の実施形態では、ベクター又は核酸は、染色体外に存在する。
そのような核酸、ベクター、又はそれらのいずれか若しくは両方の組み合わせを含む酵母細胞、細菌細胞(例えば、E.コリ(E.coli))及び哺乳類細胞(例えば、不死化哺乳類細胞)などの組換え細胞が提供される。様々な実施形態において、ポリペプチドの発現をコードする配列を含む、プラスミド、コスミド、ファージミド、又は直鎖発現要素などの非組込み核酸を含む細胞が提供される。
本明細書で提供されるポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、形質転換又は遺伝子導入によって宿主細胞に導入することができる。細胞を発現ベクターで形質転換する方法はよく知られている。
核酸は、ウイルスベクターにより宿主細胞又は宿主動物に配置及び/又は送達することができる。この能力を有する任意の好適なウイルスベクターを使用することができる。ウイルスベクターは、任意の数のウイルスポリヌクレオチドを、単独で、或いは所望の宿主細胞における本発明の核酸の送達、複製及び/又は発現を促進する1つ以上のウイルスタンパク質と組み合わせて含み得る。ウイルスベクターは、ウイルスゲノムの全て若しくは一部を含むポリヌクレオチド、ウイルスタンパク質/核酸コンジュゲート、ウイルス様粒子(VLP)、又はウイルス核酸及びポリペプチドをコードする核酸を含むインタクトなウイルス粒子であり得る。ウイルス粒子であるウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子又は改変ウイルス粒子を含み得る。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターアンプリコンなど、複製及び/又は発現のための別のベクター又は野生型ウイルスが存在する必要があるベクターであり得る(例えば、ウイルスベクターは、ヘルパー依存性ウイルスであり得る)。典型的には、そのようなウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子からなるか、或いは導入遺伝子容量が増えるか、又は核酸の遺伝子導入及び/又は発現に役立つようにそのタンパク質及び/又は核酸含量が改変されたウイルス粒子からなる(そのようなベクターの例としては、ヘルペスウイルス/AAVアンプリコンが挙げられる)。典型的には、ウイルスベクターは、通常はヒトに感染するウイルスと類似のもの及び/又はそれに由来するものである。この点に関して好適なウイルスベクター粒子としては、例えば、アデノウイルスベクター粒子(アデノウイルス科(adenoviridae)の任意のウイルス又はアデノウイルス科(adenoviridae)のウイルスに由来する任意のウイルスを含む)、アデノ随伴ウイルスベクター粒子(AAVベクター粒子)又は他のパルボウイルス及びパルボウイルスベクター粒子、パピローマウイルスベクター粒子、フラビウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、レトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)が挙げられる。
ポリペプチドを単離するために用いることができるタンパク質精製方法、並びに関連する材料及び試薬は、当該技術分野において知られている。ポリペプチドを単離するために有用であり得るさらなる精製方法は、Bootcov MR,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:11514−9,Fairlie WD,2000,Gene 254:67−76などの参考文献において見出され得る。
提供される抗原結合タンパク質は、本明細書に記載の相補性決定領域(CDR)が1つ以上組み込まれ且つ/又は連結されるポリペプチドである。いくつかの抗原結合タンパク質では、CDRは、「フレームワーク」領域に組み込まれ、この領域によってCDRの方向が整えられ、その結果、CDRの適切な抗原結合特性が達成される。本明細書に記載の特定の抗原結合タンパク質は、抗体であるか、又は抗体に由来する。他の抗原結合タンパク質では、CDR配列は、異なる型のタンパク質骨格に組み込まれる。様々な構造が以下にさらに記載される。
一般に、提供される抗原結合タンパク質は、典型的には、本明細書に記載のCDRを1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)含む。いくつかの場合、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造と、(b)ポリペプチド構造に挿入及び/又は連結される1つ以上のCDRとを含む。ポリペプチド構造は、様々な異なる形態をとり得る。例えば、ポリペプチド構造は、天然起源の抗体又はその断片若しくは多様体のフレームワークであり得るか、又はそれを含み得、或いは本質的に完全に合成のものであり得る。様々なポリペプチド構造の例が以下にさらに記載される。
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、抗体であるか、又は抗体に由来する。したがって、提供される特定の抗原結合タンパク質の例には、限定はされないが、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、Nanobodies(登録商標)などのドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣体」と称されることがある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体、及びそれぞれのその一部又は断片が含まれる。いくつかの場合、抗原結合タンパク質は、完全抗体の免疫学的断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2)である。他の場合、抗原結合タンパク質は、本発明の抗体に由来するCDRを使用するscFvである。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、下記の活性のうちの1つ以上を有する:
(a)標的抗原に結合し、その結果、例えば、表面プラズマ共鳴又は結合平衡除外法の手法を介して測定されるとおり、KDが、≦200nM、≦150nM、≦100nM、≦50nM、≦10nM、≦5nM、≦2nM、又は≦1nMである。
(b)ヒト血清における半減期が少なくとも3日である。
提供される抗原結合タンパク質のいくつかの、標的抗原に対する結合速度(ka)は、例えば、後述のように測定すると、少なくとも10/Mx秒、少なくとも10/Mx秒、又は少なくとも10/Mx秒である。提供される特定の抗原結合タンパク質が有する解離速度(dissociation rate)又は解離速度(off−rate)は遅い。いくつかの抗原結合タンパク質は、例えば、1×10−2−1、又は1×10−3−1、又は1×10−4−1、又は1×10−5−1というkd(解離速度)を有する。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、25pM未満、50pM未満、100pM未満、500pM未満、1nM未満、5nM未満、10nM未満、25nM未満、又は50nM未満のKD(平衡結合親和性)を有する。
別の態様では、インビトロ又はインビボ(例えば、ヒト対象に投与された場合)の半減期が少なくとも1日である抗原結合タンパク質が提供される。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。様々な他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、25日、30日、40日、50日、又は60日以上の半減期を有する。別の実施形態では、抗原結合タンパク質は、非誘導体化抗体又は非改変抗体と比較してその半減期が長くなるように誘導体化又は改変される。別の実施形態では、血清半減期を増加させるために抗原結合タンパク質は点変異を含む。そのような変異体及び誘導体化形態に関する詳細は、以下にさらに提供される。
提供される抗原結合タンパク質のいくつかは、典型的には、天然起源の抗体と関連する構造を有する。こうした抗体の構造単位は、典型的には、1つ以上の四量体を含み、四量体はそれぞれ、ポリペプチド鎖の2つの同一のカプレットから構成されるが、哺乳類のいくつかの種は、単一の重鎖のみを有する抗体も産生する。典型的な抗体では、それぞれの対又はカプレットは、1つの全長「軽」鎖(特定の実施形態では、約25kDa)と、1つの全長「重」鎖(特定の実施形態では、約50〜70kDa)とを含む。個々の免疫グロブリン鎖はそれぞれ、いくつかの「免疫グロブリンドメイン」から構成され、「免疫グロブリンドメイン」はそれぞれ、およそ90〜110のアミノ酸からなり、特徴的なフォールディングパターンを示す。これらのドメインは、抗体ポリペプチドを構成する基本単位である。それぞれの鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識を担う可変ドメインを含む。カルボキシ末端部分は、鎖のもう一方の末端と比較して進化的に保存度が高く、「定常領域」又は「C領域」と称される。ヒト軽鎖は、一般に、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類され、こうした軽鎖はそれぞれ、1つの可変ドメイン及び1つの定常ドメインを含む。重鎖は、典型的には、ミュー鎖、デルタ鎖、ガンマ鎖、アルファ鎖、又はイプシロン鎖に分類され、こうした鎖は、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEに抗体のアイソタイプを定義する。IgGは、限定はされないが、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む、いくつかのサブタイプを有する。IgMサブタイプには、IgM及びIgM2が含まれる。IgAサブタイプには、IgA1及びIgA2が含まれる。ヒトでは、IgA及びIgDアイソタイプは、4本の重鎖及び4本の軽鎖を含み;IgG及びIgEアイソタイプは、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含み;且つIgMアイソタイプは、5本の重鎖及び5本の軽鎖を含む。重鎖のC領域は、典型的には、エフェクター機能を担い得るドメインを1つ以上含む。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに依存する。IgGの重鎖は、例えば、重鎖のそれぞれが、CH1、CH2及びCH3として知られる3つのC領域ドメインを含む。提供される抗体は、これらのアイソタイプ及びサブタイプのいずれかを有することができる。特定の実施形態では、抗体は、IgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、又はIgG4サブタイプのものである。
全長の軽鎖及び重鎖では、可変領域及び定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖は、約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。例えば、Fundamental Immunology,2nd ed.,Ch.7(Paul,W.,ed.)1989,New York:Raven Press(あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。
本明細書で提供される抗体では、免疫グロブリン鎖の可変領域は、一般に、3つの超可変領域(「相補性決定領域」又はCDRと呼ばれることの方が多い)によって連結された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)を含む同一の全体構造を示す。上述のそれぞれの重鎖/軽鎖対の2つの鎖に由来するCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されることで、標的抗原の特定のエピトープと特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端まで、天然起源の軽鎖及び重鎖の可変領域は両方とも、典型的には、これらの要素が以下の順序に従う:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4。これらのドメインの各々に位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるための番号付けシステムが考案されている。この番号付けシステムは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,Md.)又はChothia & Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,1989,Nature 342:878−883に定義されている。
したがって、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)におけるEUインデックス及びAHo番号付けスキーム(Honegger A.and Plueckthun A.J Mol Biol.2001 Jun 8;309(3):657−70)の両方が、本発明において使用され得る。所与の抗体のアミノ酸位置並びに相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、いずれの系を使用しても同定され得る。例えば、39、44、183、356、357、370、392、399、及び409のEU重鎖位置はそれぞれ、AHo重鎖位置46、51、230、484、485、501、528、535、及び551と同一である。同様に、EU軽鎖位置38、100、及び176はそれぞれ、AHO軽鎖位置46、141、及び230と同一である。下の表1、2、及び3は、番号付け位置の間の同等性を実証する。
一態様では、本発明は、(a)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含む第1のポリペプチド;並びに(b)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含む第2のポリペプチドを含むCH3含有分子に関する。
一実施形態では、第1のポリペプチドのCH3ドメイン及び負に荷電したドメインは、N末端からC末端方向において互いに対して配置され、第2のポリペプチドのCH3ドメイン及び正に荷電したドメインは、N末端からC末端方向において互いに対して配置される。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々はさらに、CH2ドメインを含む。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々はさらに、ヒンジドメインを含む。一実施形態では、第1及び第2のポリペプチドの各々は、N末端からC末端方向において互いに対して配置されたVH、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む。
一実施形態では、分子はさらに、第3及び第4のポリペプチドを含み、第3のポリペプチドは、第1のVLドメインを含み、且つ第4のポリペプチドは、第2のVLドメインを含む。一実施形態では、第3のポリペプチドはさらに、第1のCLドメインを含み、第1のVL及びCLドメインは、N末端からC末端方向において第3のポリペプチド内で互いに対して配置され、且つ第4のポリペプチドはさらに、第2のCLドメインを含み、且つ第2のVL及びCLドメインは、N末端からC末端方向において第4のポリペプチド内で互いに対して配置される。
重鎖及び軽鎖の変異は、重鎖及び軽鎖の適切な対形成を促進するために導入され得る。下記の表1、2及び3において、LC−Eは、HC−Kと対形成するが、LC−Kは、HC−Eと対形成することになる。LC−E及びHC−E上で見出される共通の負の電荷は、互いに離れたこれらの2つの鎖を反発させることになる。同様に、LC−K及びHC−K上で見出される共通の正電荷は、互いに離れたこれらの2つの鎖を反発させることになる。したがって、LC−E及びHC−K間の対形成並びにLC−K及びHC−E間の対形成が有利であろう。
Figure 2021523101
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特定の重鎖とその同族の軽鎖の会合を促進するために、重鎖及び軽鎖の両方は、相補的アミノ酸置換を含有し得る。本明細書で使用する場合、「相補的アミノ酸置換」は、一方の鎖における正に荷電したアミノ酸への置換と対になる他方の鎖における負に荷電したアミノ酸置換を指す。例えば、いくつかの実施形態において、重鎖は、荷電アミノ酸を導入するために少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、対応する軽鎖は、荷電アミノ酸を導入するために少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、重鎖に導入される荷電アミノ酸は、軽鎖に導入されるアミノ酸の反対の電荷を有する。ある種の実施形態では、1つ以上の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン又はアルギニン)を、第1の軽鎖(LC1)に導入することができ、且つ1つ以上の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、LC1/HC1の結合界面で対になる重鎖(HC1)に導入することができるが、1つ以上の負に荷電した残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、第2の軽鎖(LC2)に導入することができ、且つ1つ以上の正に荷電した残基(例えば、リジン、ヒスチジン又はアルギニン)を、LC2/HC2の結合界面で対になる重鎖(HC2)に導入することができる。静電相互作用は、界面で反対の荷電残基(極性)が引き合うため、LC1をHC1と対形成させ、且つLC2をHC2と対形成させるように誘導することになる。界面で同じ荷電残基(極性)を有する重/軽鎖の対(例えば、LC1/HC2及びLC2/HC1)は、反発することになり、望まれないHC/LCの対形成の抑制をもたらす。
これら及び他の実施形態では、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ以上の正に荷電したアミノ酸は、1つ以上の負に荷電したアミノ酸で置き換えられる。或いは、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ以上の負に荷電したアミノ酸は、1つ以上の正に荷電したアミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、F126、P127、L128、A141、L145、K147、D148、H168、F170、P171、V173、Q175、S176、S183、V185及びK213から選択されるEU位置でヘテロ二量体抗体中の第1及び/又は第2の重鎖のCH1ドメインにおける1つ以上のアミノ酸は、荷電アミノ酸で置き換えられる。ある種の実施形態では、負又は正に荷電したアミノ酸による置換のための重鎖残基は、S183(EU番号付けシステム)である。いくつかの実施形態では、S183は、正に荷電したアミノ酸で置換される。代替的な実施形態では、S183は、負に荷電したアミノ酸で置換される。例えば、一実施形態において、S183は、第1の重鎖における負に荷電したアミノ酸(例えば、S183E)で置換され、且つS183は、第2の重鎖における正に荷電したアミノ酸(例えば、S183K)で置換される。
軽鎖がカッパ軽鎖である実施形態において、F116、F118、S121、D122、E123、Q124、S131、V133、L135、N137、N138、Q160、S162、T164、S174及びS176から選択される位置(カッパ軽鎖におけるEU番号付け)でヘテロ二量体抗体中の第1及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ以上のアミノ酸は、荷電アミノ酸で置き換えられる。軽鎖がラムダ軽鎖である実施形態において、T116、F118、S121、E123、E124、K129、T131、V133、L135、S137、E160、T162、S165、Q167、A174、S176及びY178から選択される位置(ラムダ鎖におけるEU番号付け)でヘテロ二量体抗体中の第1及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ以上のアミノ酸は、荷電アミノ酸で置き換えられる。いくつかの実施形態では、負又は正に荷電したアミノ酸による置換のための残基は、カッパ又はラムダ軽鎖のいずれかのCLドメインのS176(EU番号付けシステム)である。ある種の実施形態では、CLドメインのS176は、正に荷電したアミノ酸で置き換えられる。代替的な実施形態では、CLドメインのS176は、負に荷電したアミノ酸で置換される。一実施形態では、S176は、第1の軽鎖における正に荷電したアミノ酸(例えば、S176K)で置換され、且つS176は、第2の軽鎖における負に荷電したアミノ酸(例えば、S176E)で置換される。
CH1及びCLドメインにおける相補的アミノ酸置換に加えて又はその代わりとして、ヘテロ二量体抗体における軽鎖及び重鎖の可変領域は、荷電アミノ酸を導入するために1つ以上の相補的アミノ酸置換を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体の重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ以上の正に荷電したアミノ酸は、1つ以上の負に荷電したアミノ酸で置き換えられる。或いは、重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、その結果、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ以上の負に荷電したアミノ酸は、1つ以上の正に荷電したアミノ酸で置き換えられる。
VH領域内のV領域界面残基(すなわち、VH及びVL領域の集合を媒介するアミノ酸残基)としては、EU位置1、3、35、37、39、43、44、45、46、47、50、59、89、91、及び93が挙げられる。VH領域中のこれらの界面残基の1つ以上は、荷電した(正又は負に荷電した)アミノ酸で置換され得る。ある種の実施形態では、第1及び/又は第2の重鎖のVH領域中のEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンに置換される。代替的な実施形態では、第1及び/又は第2の重鎖のVH領域中のEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、グルタミン酸に置換される。いくつかの実施形態では、第1の重鎖のVH領域中のEU位置39のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に置換され(例えば、G39E)、第2の重鎖のVH領域中のEU位置39のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に置換される(例えば、G39K)。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の重鎖のVH領域中のEU位置44のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンに置換される。代替的な実施形態では、第1及び/又は第2の重鎖のVH領域中のEU位置44のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、グルタミン酸に置換される。ある種の実施形態では、第1の重鎖のVH領域中のEU位置44のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に置換され(例えば、G44E)、第2の重鎖のVH領域中のEU位置44のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に置換される(例えば、G44K)。
VL領域内のV領域界面残基(すなわち、VH及びVL領域の集合を媒介するアミノ酸残基)としては、EU位置32、34、35、36、38、41、42、43、44、45、46、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、85、87、89、90、91、及び100が挙げられる。VL領域中の1つ以上の界面残基は、荷電アミノ酸、好ましくは、同族重鎖のVH領域に導入されるものと反対の電荷を有するアミノ酸で置換され得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の軽鎖のVL領域中のEU位置100のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンに置換される。代替的な実施形態では、第1及び/又は第2の軽鎖のVL領域中のEU位置100のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、グルタミン酸に置換される。ある種の実施形態では、第1の軽鎖のVL領域中のEU位置100のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸に置換され(例えば、G100K)、第2の軽鎖のVL領域中のEU位置100のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸に置換される(例えば、G100E)。
さらに、又は代わりに、正しい重−軽鎖対形成は、カルボキシル末端Fab結合ドメイン中のCH1及びCLドメインを交換することによって促進され得る。一例として、重鎖のカルボキシル末端に融合される第1のポリペプチドは、第2の抗体由来のVLドメイン及びCH1ドメインを含んでもよく、且つ第2のポリペプチドは、第2の抗体由来のVHドメイン及びCLドメインを含んでもよい。別の実施形態では、重鎖のカルボキシル末端に融合される第1のポリペプチドは、第2の抗体由来のVHドメイン及びのCLドメインを含んでもよく、且つ第2のポリペプチドは、第2の抗体由来のVLドメイン及びCH1ドメインを含んでもよい。
本明細書に記載される二重特異性抗原結合タンパク質の重鎖定常領域又はFc領域は、抗原結合タンパク質のグリコシル化及び/又はエフェクター機能に影響する1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。免疫グロブリンのFc領域の機能の1つは、免疫グロブリンがその標的に結合するときに免疫系に伝達することである。これは、一般に「エフェクター機能」と呼ばれる。伝達は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)につながる。ADCC及びADCPは、免疫系の細胞の表面上のFc受容体へのFc領域の結合を介して媒介される。CDCは、Fcと補体系のタンパク質、例えばC1qとの結合を介して媒介される。いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗原結合タンパク質は、定常領域において、エフェクター機能、例えば、ADCC活性、CDC活性、ADCP活性、及び/又は抗原結合タンパク質のクリアランス若しくは半減期を増強する1つ以上のアミノ酸置換を含む。エフェクター機能を増強できる例示的なアミノ酸置換(EU番号付け)には、E233L、L234I、L234Y、L235S、G236A、S239D、F243L、F243V、P247I、D280H、K290S、K290E、K290N、K290Y、R292P、E294L、Y296W、S298A、S298D、S298V、S298G、S298T、T299A、Y300L、V305I、Q311M、K326A、K326E、K326W、A330S、A330L、A330M、A330F、I332E、D333A、E333S、E333A、K334A、K334V、A339D、A339Q、P396L、又は上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、本発明の二重特異性抗原結合タンパク質は、定常領域において、エフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。エフェクター機能を低減できる例示的なアミノ酸置換(EU番号付け)には、C220S、C226S、C229S、E233P、L234A、L234V、V234A、L234F、L235A、L235E、G237A、P238S、S267E、H268Q、N297A、N297G、V309L、E318A、L328F、A330S、A331S、P331S、又は上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
グリコシル化は、抗体、特にIgG1抗体のエフェクター機能に寄与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗原結合タンパク質は、結合タンパク質のグリコシル化のレベル又は型に影響する1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合である。N結合は、糖鎖のアスパラギン残基側鎖への結合を指す。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を生成する。O結合グリコシル化は、糖のN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの結合を指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンも使用され得る。
ある種の実施形態では、本明細書に記載される二重特異性抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ以上のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域に付加することによって増加される。抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を改変することによって都合よく達成され得る(N結合グリコシル化部位の場合)。改変は、1つ以上のセリン若しくはトレオニン残基の開始配列への付加又はそれによる置換によってもなされ得る(O結合グリコシル化部位の場合)。容易にするために、抗原結合タンパク質アミノ酸配列を、DNAレベルでの変化によって、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、予め選択された塩基で標的ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって改変し得る。
本発明はまた、エフェクター活性の変化をもたらす改変糖鎖構造を有する二重特異性抗原結合タンパク質分子、例えば、ADCC活性の向上を示すフコシル化が存在しないか又は減少した抗原結合タンパク質の産生を包含する。フコシル化を減少又は排除する様々な方法が当該技術分野で知られている。例えば、ADCCエフェクター活性は、抗体分子のFcγRIII受容体への結合によって媒介され、これは、CH2ドメインのN297残基でのN結合型グリコシル化の糖鎖構造に依存することが示されている。非フコシル化抗体は、高い親和性でこの受容体に結合し、FcγRIII媒介エフェクター機能を天然のフコシル化抗体よりも効率的に誘発する。例えば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素がノックアウトされているCHO細胞における非フコシル化抗体の組換え産生は、ADCC活性が100倍増加した抗体を生じる(Yamane−Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87(5):614−22,2004を参照されたい)。同様の効果は、フコシル化経路におけるアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素又は他の酵素の活性を減少させることにより、例えばsiRNA若しくはアンチセンスRNA処理、酵素をノックアウトするための細胞株の操作又は選択的グリコシル化阻害剤との培養によって達成され得る(Rothman et al.,Mol Immunol.26(12):1113−23,1989を参照されたい)。いくつかの宿主細胞株、例えばLec13又はラットハイブリドーマYB2/0細胞株は、より低いフコシル化レベルを有する抗体を天然に産生する(Shields et al.,J Biol Chem.277(30):26733−40,2002及びShinkawa et al.,J Biol Chem.278(5):3466−73,2003を参照されたい)。例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換え産生することによる、二分された糖鎖レベルの増加もADCC活性を増加させることが判明している(Umana et al.,Nat Biotechnol.17(2):176−80,1999を参照されたい)。
他の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ以上のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域から除くことによって減少又は排除される。N結合グリコシル化部位を排除又は改変するアミノ酸置換により、抗原結合タンパク質のN結合グリコシル化を減少又は排除することができる。ある種の実施形態では、本明細書に記載される二重特異性抗原結合タンパク質は、N297Q、N297A、又はN297GなどのN297の位置(EU番号付け)での変異を含む。特定の一実施形態では、本発明の二重特異性抗原結合タンパク質は、N297G変異を有するヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。N297変異を含む分子の安定性を改善するために、分子のFc領域がさらに操作され得る。例えば、いくつかの実施形態では、Fc領域における1つ以上のアミノ酸は、二量体状態のジスルフィド結合形成を促進するためにシステインで置換される。したがって、IgG1 Fc領域のV259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332(EU番号付け)に対応する残基が、システインで置換され得る。一実施形態では、残基の特定の対が互いにジスルフィド結合を優先的に形成するようにシステインで置換され、それによってジスルフィド結合のスクランブルを制限又は防止する。ある種の実施形態では、対としては、A287C及びL306C、V259C及びL306C、R292C及びV302C、並びにV323C及びI332Cが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載される二重特異性抗原結合タンパク質は、R292C及びV302Cの変異を有するヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。このような実施形態では、Fc領域は、N297G変異も含み得る。
例えば、サルベージ受容体結合エピトープの組込み又は追加(例えば、適切な領域の変異による、又はエピトープをペプチドタグに組み込み、続いて、例えば、DNA若しくはペプチド合成によって、いずれかの末端又は中央で抗原結合タンパク質に融合されることによる;例えば、国際公開第96/32478号パンフレットを参照)、或いは、PEG又は他の水溶性ポリマー、例えば、多糖ポリマーなどの分子の追加による血清半減期を増加させるための本発明の二重特異性抗原結合タンパク質の改変もまた望ましい場合がある。サルベージ受容体結合エピトープは、好ましくは、Fc領域の1つ又は2つのループ由来の任意の1つ以上のアミノ酸残基が抗原結合タンパク質中の類似の位置に転移される領域を構成する。一実施形態では、Fc領域の1つ又は2つのループ由来の3つ以上の残基が転移される。一実施形態では、エピトープがFc領域(例えば、IgG Fc領域)のCH2ドメインからとられ、抗原結合タンパク質のCH1、CH3、若しくはVH領域、又は2つ以上のそのような領域に移される。或いは、エピトープがFc領域のCH2ドメインからとられ、抗原結合タンパク質のCL領域若しくはVL領域、又はその両方に移される。Fc多様体及びサルベージ受容体とのそれらの相互作用の説明については、国際公開第97/34631号パンフレット及び国際公開第96/32478号パンフレットを参照されたい。
一実施形態では、負に荷電したドメインは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、正に荷電したドメインは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む。
一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される。一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン残基である。
一実施形態では、負に荷電したアミノ酸残基は、グルタミン酸残基であり、正に荷電したアミノ酸残基は、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される。
一実施形態では、第1のポリペプチドはさらに、CH3ドメインのC末端に共有結合したリンカー配列を含み、リンカーは、負に荷電したドメインのN末端に結合され;且つ第2のポリペプチドはさらに、CH3ドメインのC末端に共有結合されたリンカー配列を含み、リンカーは、正に荷電したドメインのN末端に結合される。
一実施形態では、第1のポリペプチドのリンカーは、第2のポリペプチドのリンカーと同じである。
一実施形態では、リンカーは、酵素によって切断され得る。一実施形態では、酵素は、ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ソルターゼE、及びソルターゼFからなる群から選択される。
一実施形態では、リンカーは、配列番号1(LPETGGEEST);配列番号2(LPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号3(LPETG);配列番号4(LPETGG);配列番号5(LPXTA、Xは任意のアミノ酸であり得る):配列番号6(NPX[T/S][N/G/S]、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号7(IPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);及び配列番号8(LAXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る)のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、第1のポリペプチド、第2のポリペプチドのいずれか、又は両方はさらに、そのC末端に結合される精製タグを含む。
一実施形態では、精製タグは、his−タグ、strep−タグ、flag−タグ、T7−タグ、V5−ペプチド−タグ、GST−タグ、CBP−タグ、MBP−タグ及びc−Myc−タグからなる群から選択される。一実施形態では、精製タグは、少なくとも5つの連続したヒスチジンアミノ酸残基を含むhis−タグである。
一実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号9(LPETGGEESTDDDDDDD)のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号10(LPETGGEESTKKKKKKKHHHHHH)のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号11(LPETGGEESTDDDDDDDHHHHHH)のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、配列番号12(LPETGGEESTKKKKKKK)のアミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明は、第1の重鎖ポリペプチド、第1の軽鎖ポリペプチド、第2の重鎖ポリペプチド、及び第2の軽鎖ポリペプチドを含む多重特異性抗体に関し、
第1の重鎖ポリペプチドは、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含み、且つ第1の重鎖ポリペプチド及び第1の軽鎖ポリペプチドは、第1の抗原に結合し;且つ
第2の重鎖ポリペプチドは、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含み、且つ第2の重鎖ポリペプチド及び第2の軽鎖ポリペプチドは、第2の抗原に結合する。
一実施形態では、多重特異性抗体は、哺乳動物細胞によって発現される。一実施形態では、哺乳動物細胞は、HEK細胞又はCHO細胞である。
一態様では、本発明は、多重特異性抗体を生成する方法であって、培養培地中で本発明の多重特異性抗体をコードするベクターを含む細胞を培養する工程を含む方法に関する。
一実施形態では、方法はさらに、細胞又は培養培地から多重特異性抗体を回収することを含む。
一態様では、本発明は、抗体コンジュゲートを作製するための方法であって、
a)請求項40又は41のいずれかの多重特異性抗体をもたらす工程;及び
b)抗体を、合成分子(分子は、gly−gly−gly配列を含む)の存在下にてソルターゼ酵素で処理する工程を含む方法に関する。一実施形態では、工程b)は、約2〜約1000の合成分子:抗体モル比率を使用して実施される。
ソルターゼ切断可能なC末端電荷対タグを介するコンジュゲートされた二重特異性抗体の生成
コンストラクト設計:
重鎖:重鎖(HC:HC)対形成:
2つのモデル二重特異性抗体、TNFα/TL1A及びPAC1/CGRP1のためのコンストラクトが設計された。TNFα及びPAC1重鎖の両方が延長されて、17個の残基C末端延長:LPETGGEESTDDDDDDD(配列番号15)を生成するソルターゼ認識配列(LPETG(配列番号13))、短いソルターゼに好都合のリンカー(GEEST(配列番号14))、及び7個のアスパラギン酸残基を含有した。
TL1A及びCGRP1重鎖の両方が延長されて、23個の残基C末端延長を生成するソルターゼ認識配列(LPETG(配列番号13))、短いソルターゼに好都合のリンカー(GEEST(配列番号14))、7個のリジン残基、及び6個のヒスチジン残基を含有した。
LPETGGEESTKKKKKKKHHHHHH(配列番号16)
これらの末端延長を、標準的な方法を使用する部位特異的変異誘発を介して既存の抗体コンストラクトに付加した(Carrigan et al.2011)。
重鎖:軽鎖(HC:LC)対形成:
正しいHC:LC対形成は、(Liu et al.2015;Florio et al.2016)に従って設計された。
TNFα/TL1A二重特異性に関する全長遺伝子配列:
TNFα重鎖:
Figure 2021523101
TNFα軽鎖:
Figure 2021523101
TL1A重鎖:
Figure 2021523101
TL1A軽鎖:
Figure 2021523101
PAC1/CGRP1に関する全長遺伝子配列:
PAC1重鎖:
Figure 2021523101
PAC1軽鎖:
Figure 2021523101
CGRP1重鎖:
Figure 2021523101
CGRP1軽鎖:
Figure 2021523101
クローニング
全ての重鎖に関する遺伝子が、ゴールデンゲート法を使用してベクターpTT5.2にクローン化されたが(Engler et al.2008)、TNFα及びTL1A軽鎖に関する遺伝子は、pTT5.1にクローン化され、PAC1及びCGRP1軽鎖は、使用するpTT5にクローン化された。
一過性HEK 293−6e細胞発現
HEK 293−6e細胞を、36℃、5%CO2でFreeStyle F−17+0.1%(10%の10mL/L)、Kolliphor P188+500μL/L G418+6mM(30mL/L)L−グルタミン中で1.5e6のVCDまで増殖させ、150rpmにてフラスコ内で振盪させた後、FreeStyle F−17培地(最終培養体積の10%)、0.5mg/LトランスフェクションDNA(鎖当たり1.25g/L)、2.0mg/L PEI Max(pH7.0)からなるトランスフェクション複合体を添加した(Longo et al.2013)。最初のトランスフェクションの3時間後、培養物に0.5%w/v最終濃度のイーストレート、及び2.5g/Lのグルコースを供給した。
一過的にトランスフェクトされた細胞を、37℃、5% CO2でインキュベートさせ、150rpmにて7日間フラスコ内で振盪させた後、4000RPMで10分間の遠心分離によって収集した。次に、各収集物からの条件培地を回収し、0.22μmのボトルトップフィルターに通して真空濾過した。
精製
抗体を、HiTrap ProA HPレジン(GE)上のProA捕捉によって条件培地から精製し、100mM酢酸ナトリウムpH3.6において溶出した。10〜20mlのProAカラム溶出物を、100〜600μlの1M TRIS−HCl pH9の添加によってpH5.0に調整し、溶出画分をプールし、2倍希釈して、カチオン交換カラムにロードするための調製物中の伝導率を下げた。希釈されたProA溶出物を、20mM酢酸ナトリウムpH5.0中で予め平衡化されたHiTrap SPカラム(GE)にロードし、20カラム体積にわたって0〜1MのNaClの直線勾配によって溶出した。高度に荷電したC末端延長は、所望の二重特異性ヘテロ二量体抗体(生成された材料の75〜85%)と単一特異性ホモ二量体抗体夾雑物との間のベースライン分離を可能にした。CEX溶出物を、>50,000の希釈倍率に達するまで、15mLの30,000 MWCO遠心フィルター(Millipore)中での段階的な濃縮及び希釈を通して10mM酢酸ナトリウム+9%スクロースpH5に緩衝液交換した。
ソルターゼ切断反応
SrtA媒介性加水分解を介して電荷対タグを除去するソルターゼ切断反応(Jacobitz et al.2017;Ton−That,H.,Mazmanian,S.K.,Alksne,L.,and Schneewind 2000;Clancy et al.2010)を、50mM TRIS−HCl、pH5(ここでは、低pHが特異的に選択されて、ポリKテールにおけるLys側鎖(Dasgupta et al.2011)に対する、SrtAに触媒される望まれないイソペプチド結合の形成を減少させた)中の10μM二重特異性抗体、20μM SrtA2.0(123 Bio)を使用して、37℃で24時間実施した。本発明者が知る限り、SrtAによるタンパク質からのC末端タグの除去は、どこにも報告されていない。さらに、本発明者らのものが、pH5.0でのタグの効率的なSrtA切断を示す最初の報告である。通常、SrtAに媒介される切断は、pH7.0〜8.5で実施される。反応の進行は、分析的CEXによってモニターされ、反応生成物は、LCMSによって検証された。24時間後、反応は、典型的には、85〜90%完了に達した。次に、完全に脱タグ化された二重特異性抗体を、上記のとおりのカチオン交換クロマトグラフィー(CEX)によって残留タグ分子及びソルターゼから精製できた。
分子実体による二重特異性抗体のコンジュゲーション
ソルターゼペプチド転移反応
ソルターゼに媒介されるペプチド転移(Jacobitz et al.2017;Levary et al.2011;Mao et al.2004;Ranganath Parthasarathy et al.2007;Swee et al.2013;Popp et al.2007;Proft 2010;Spirig et al.2011;Clancy et al.2010;Antos et al.2016)を利用して、電荷対タグを除去し、それらを、Gly3、Gly3−ビオチン、Gly3−PEG20、Gly3−PEG20kD、及びGly3−Alexa650を含むソルターゼ認識のためのGly3配列を内部に持つ様々な合成分子と置き換えた。反応は、10〜100倍モル過剰の合成基質:二重特異性抗体と共に0.1〜10%w/w SrtA2.0(123 Bio)で10〜100μM二重特異性抗体を使用して、50mM TRIS HCl、pH6.5中において37℃で24時間実施された。反応の進行は、分析的CEXによってモニターされ、生成物はLCMSによって分析された。ソルターゼに媒介されるペプチド転移を介する蛍光Gly3−Alexa650プローブの共有結合がさらに、SDS−PAGEを介して予想される分子量での蛍光バンドの出現によって検証された。24時間後、反応は、典型的には、85〜99%収率に達した。ペプチド転移生成物を、上記のとおりのカチオン交換クロマトグラフィーを通して未反応材料及びソルターゼから精製した。
非標準求核剤によるソルターゼに媒介されるペプチド転移及びそれに続くクリックケミストリーによる蛍光タグの共有結合を介する「クリッカブル」二重特異性抗体の生成
追加のソルターゼに媒介されるペプチド転移反応を実施して、二重特異性のC末端に対してクリックケミストリーハンドルを含有する非標準求核剤(Ranganath Parthasarathy et al.2007;Ton−That,H.,Mazmanian,S.K.,Alksne,L.、及びSchneewind 2000)を共有結合するソルターゼの能力を実証した。続いて、このクリッカブル二重特異性を使用して、アジド−DIBOクリックケミストリーを介して合成フルオロフォアを共有結合できた。50μMのPAC1/CGRP1二重特異性抗体を、25mM TRIS HCl pH6.5中で5mM NH2−PEG3−N3及び5μM SrtA2.0(123 Bio)と37℃で24時間インキュベートした。反応の進行は、CEXによりモニターされ、24時間後に87%の最終収率を有した。予想される生成物種の生成は、LCMSによって検証された。反応生成物を、上に詳述される方法を使用して、CEXによって未反応の出発材料から除去した。得られたアジド−官能化二重特異性を、10倍モル過剰のDIBO−Alexa 488と共に1μMにて室温で24時間インキュベートした後、フルオロフォアと新たに形成された二重特異性の間の共有結合性の架橋を、SDS−PAGEゲル上の正しい分子量での蛍光バンドの出現により確認し、さらにLCMSにより検証した。
本明細書において引用又は参照される全ての特許、特許出願、特許出願公報、及び他の公開物は、各々の独立した特許、特許出願、特許出願公報又は公開物が、具体的且つ個別に参照により組み込まれることが示される場合と同じ範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
参考文献
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Claims (49)

  1. CH3含有分子であって、
    (a)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含む第1のポリペプチド;並びに
    (b)CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含む第2のポリペプチド
    を含む、CH3含有分子。
  2. 前記第1のポリペプチドの前記CH3ドメイン及び前記負に荷電したドメインが、N末端からC末端方向において互いに対して配置され、前記第2のポリペプチドの前記CH3ドメイン及び前記正に荷電したドメインが、N末端からC末端方向において互いに対して配置される、請求項1に記載のCH3含有分子。
  3. 前記第1及び第2のポリペプチドの各々がさらに、CH2ドメインを含む、請求項1又は2に記載のCH3含有分子。
  4. 前記第1及び第2のポリペプチドの各々がさらに、ヒンジドメインを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のCH3含有分子。
  5. 前記第1及び第2のポリペプチドの各々が、N末端からC末端方向において互いに対して配置されたVH、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のCH3含有分子。
  6. 前記分子がさらに、第3及び第4のポリペプチドを含み、前記第3のポリペプチドが、第1のVLドメインを含み、且つ前記第4のポリペプチドが、第2のVLドメインを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のCH3含有分子。
  7. 前記第3のポリペプチドがさらに、第1のCLドメインを含み、前記第1のVL及びCLドメインが、N末端からC末端方向において前記第3のポリペプチド内で互いに対して配置され、前記第4のポリペプチドがさらに、第2のCLドメインを含み、且つ前記第2のVL及びCLドメインが、N末端からC末端方向において前記第4のポリペプチド内で互いに対して配置される、請求項6に記載のCH3含有分子。
  8. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも5つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも5つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のCH3含有分子。
  9. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも6つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも6つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のCH3含有分子。
  10. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも7つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも7つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のCH3含有分子。
  11. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、アスパラギン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれかに記載のCH3含有分子。
  12. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、アスパラギン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン残基である、請求項1〜11のいずれかに記載のCH3含有分子。
  13. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、グルタミン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれかに記載のCH3含有分子。
  14. 前記第1のポリペプチドがさらに、前記CH3ドメインの前記C末端に共有結合されたリンカー配列を含み、且つ前記リンカーが、前記負に荷電したドメインの前記N末端に結合され;且つ
    前記第2のポリペプチドがさらに、前記CH3ドメインの前記C末端に共有結合されたリンカー配列を含み、且つ前記リンカーが、前記正に荷電したドメインの前記N末端に結合される、請求項1〜13のいずれかに記載のCH3含有分子。
  15. 前記第1のポリペプチドの前記リンカーが、前記第2のポリペプチドの前記リンカーと同じである、請求項14に記載のCH3含有分子。
  16. 前記リンカーが、酵素によって切断され得る、請求項15に記載のCH3含有分子。
  17. 前記酵素が、ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ソルターゼE、及びソルターゼFからなる群から選択される、請求項16に記載のCH3含有分子。
  18. 前記酵素が、ソルターゼAである、請求項17に記載のCH3含有分子。
  19. 前記リンカーが、配列番号1(LPETGGEEST);配列番号2(LPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号3(LPETG);配列番号4(LPETGG);配列番号5(LPXTA、Xは任意のアミノ酸であり得る):配列番号6(NPX[T/S][N/G/S]、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号7(IPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);及び配列番号8(LAXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る)のアミノ酸配列を含む、請求項14〜18のいずれかに記載のCH3含有分子。
  20. 前記第1のポリペプチド、前記第2のポリペプチドのいずれか、又は両方がさらに、そのC末端に結合される精製タグを含む、請求項1〜19のいずれかに記載のCH3含有分子。
  21. 前記精製タグが、his−タグ、strep−タグ、flag−タグ、T7−タグ、V5−ペプチド−タグ、GST−タグ、CBP−タグ、MBP−タグ及びc−Myc−タグからなる群から選択される、請求項20に記載のCH3含有分子。
  22. 前記精製タグが、少なくとも5つの連続したヒスチジンアミノ酸残基を含むhis−タグである、請求項21に記載のCH3含有分子。
  23. 前記第1のポリペプチドが、配列番号9(LPETGGEESTDDDDDDD)のアミノ酸配列を含み、且つ前記第2のポリペプチドが、配列番号10(LPETGGEESTKKKKKKKHHHHHH)のアミノ酸配列を含む、請求項1〜22のいずれかに記載のCH3含有分子。
  24. 前記第1のポリペプチドが、配列番号11(LPETGGEESTDDDDDDDHHHHHH)のアミノ酸配列を含み、且つ前記第2のポリペプチドが、配列番号12(LPETGGEESTKKKKKKK)のアミノ酸配列を含む、請求項1〜22のいずれかに記載のCH3含有分子。
  25. 第1の重鎖ポリペプチド、第1の軽鎖ポリペプチド、第2の重鎖ポリペプチド、及び第2の軽鎖ポリペプチドを含む多重特異性抗体であって、
    前記第1の重鎖ポリペプチドが、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含む負に荷電したドメインを含み、且つ前記第1の重鎖ポリペプチド及び前記第1の軽鎖ポリペプチドが、第1の抗原に結合し;且つ
    前記第2の重鎖ポリペプチドが、CH3ドメイン及び少なくとも4つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む正に荷電したドメインを含み、且つ前記第2の重鎖ポリペプチド及び前記第2の軽鎖ポリペプチドが、第2の抗原に結合する、多重特異性抗体。
  26. 前記第1の重鎖ポリペプチドの前記CH3ドメイン及び前記負に荷電したドメインが、N末端からC末端方向において互いに対して配置され、且つ前記第2の重鎖ポリペプチドの前記CH3ドメイン及び前記正に荷電したドメインが、N末端からC末端方向において互いに対して配置される、請求項2に記載の多重特異性抗体。
  27. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも5つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも5つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項24又は25に記載の多重特異性抗体。
  28. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも6つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも6つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項26に記載の多重特異性抗体。
  29. 前記負に荷電したドメインが、少なくとも7つの連続した負に荷電したアミノ酸残基を含み、且つ前記正に荷電したドメインが、少なくとも7つの連続した正に荷電したアミノ酸残基を含む、請求項27に記載の多重特異性抗体。
  30. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、アスパラギン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される、請求項24〜28のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  31. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、アスパラギン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン残基である、請求項24〜29のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  32. 前記負に荷電したアミノ酸残基が、グルタミン酸残基であり、且つ前記正に荷電したアミノ酸残基が、リジン、アルギニン、及びヒスチジン残基からなる群から選択される、請求項24〜28のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  33. 前記第1の重鎖ポリペプチドがさらに、前記CH3ドメインの前記C末端に共有結合されたリンカー配列を含み、且つ前記リンカーが、前記負に荷電したドメインの前記N末端に結合され;且つ
    前記第2の重鎖ポリペプチドがさらに、前記CH3ドメインの前記C末端に共有結合されたリンカー配列を含み、且つ前記リンカーが、前記正に荷電したドメインの前記N末端に結合される、請求項24〜31のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  34. 前記第1の重鎖ポリペプチドの前記リンカーが、前記第2の重鎖ポリペプチドの前記リンカーと同じである、請求項32に記載の多重特異性抗体。
  35. 前記リンカーが、酵素によって切断され得る、請求項33に記載の多重特異性抗体。
  36. 前記酵素が、ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ソルターゼE、及びソルターゼFからなる群から選択される、請求項34に記載の多重特異性抗体。
  37. 前記酵素が、ソルターゼAである、請求項35に記載の多重特異性抗体。
  38. 前記リンカーが、配列番号1(LPETGGEEST);配列番号2(LPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号3(LPETG);配列番号4(LPETGG);配列番号5(LPXTA、Xは任意のアミノ酸であり得る):配列番号6(NPX[T/S][N/G/S]、Xは任意のアミノ酸であり得る);配列番号7(IPXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る);及び配列番号8(LAXTG、Xは任意のアミノ酸であり得る)のアミノ酸配列を含む、請求項32〜36のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  39. 前記第1の重鎖ポリペプチド、前記第2の重鎖ポリペプチドのいずれか、又は両方がさらに、そのC末端に結合される精製タグを含む、請求項32〜37のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  40. 前記精製タグが、his−タグ、strep−タグ、flag−タグ、T7−タグ、V5−ペプチド−タグ、GST−タグ、CBP−タグ、MBP−タグ及びc−Myc−タグからなる群から選択される、請求項38に記載の多重特異性抗体。
  41. 前記精製タグが、少なくとも5つの連続したヒスチジンアミノ酸残基を含むhis−タグである、請求項39に記載の多重特異性抗体。
  42. 前記第1重鎖ポリペプチドが、配列番号9(LPETGGEESTDDDDDDD)のアミノ酸配列を含み、且つ前記第2の重鎖ポリペプチドが、配列番号10(LPETGGEESTKKKKKKKHHHHHH)のアミノ酸配列を含む、請求項32〜40のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  43. 前記第1の重鎖ポリペプチドが、配列番号11(LPETGGEESTDDDDDDDHHHHHH)のアミノ酸配列を含み、且つ前記第2の重鎖ポリペプチドが、配列番号12(LPETGGEESTKKKKKKK)のアミノ酸配列を含む、請求項32〜40のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  44. 前記多重特異性抗体が、哺乳動物細胞によって発現される、請求項32〜41のいずれかに記載の多重特異性抗体。
  45. 前記哺乳動物細胞が、HEK又はCHO細胞である、請求項42に記載の多重特異性抗体。
  46. 多重特異性抗体を生成する方法であって、培養培地中で請求項32〜41のいずれかに記載の前記多重特異性抗体をコードするベクターを含む細胞を培養する工程を含む方法。
  47. 前記方法がさらに、前記細胞又は前記培養培地から前記多重特異性抗体を回収することを含む、請求項44に記載の方法。
  48. 抗体コンジュゲートを作製する方法であって、
    a)請求項40又は41のいずれかに記載の多重特異性抗体をもたらす工程;及び
    b)前記抗体を、合成分子(前記分子は、gly−gly−gly配列を含む)の存在下にてソルターゼ酵素で処理する工程を含む方法。
  49. 工程b)が、約2〜約1000の合成分子:抗体モル比率を使用して実施される、請求項46に記載の方法。
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