JP2021521803A - 子宮内膜症の治療のための組成物および方法 - Google Patents

子宮内膜症の治療のための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

子宮内膜症の検出方法および診断方法を本明細書に開示する。より具体的には、子宮内膜細胞から得られた細胞集団における特定の遺伝子発現パターンを検出するための高感度な単一細胞発現解析方法が提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる、2018年4月20日に出願された米国仮特許出願第62/660,641号の恩典および優先権を主張する。
発明の技術分野
本発明は、概して、子宮内膜症を検出および診断する方法に関する。
発明の背景
子宮内膜症は、米国で最も一般的な婦人科疾患の一つである。これは、疼痛を伴い、往々にして衰弱性の疾患であり、アメリカにおける650万人超の15〜44歳の女性が罹患している(Buck Louis,et al.,Fertil Steril,96:360〜365(2011)(非特許文献1))。子宮内膜症は、子宮の内膜が異所性に、最も一般的には卵巣、卵管、子宮を所定の位置に保持する組織、および子宮の外表面に成長するときに起こる。あまり一般的ではないが、子宮内膜の成長は、膣、子宮頸部、外陰部、腸、膀胱、または直腸にも見られる。子宮内膜症の最も一般的な症状としては、疼痛、出血もしくは点状出血、不妊症、および下痢、便秘、腹部膨満、または吐き気などの消化器疾患が挙げられる。
子宮内膜症の原因は不明である。考えられる原因には、逆行性月経出血、遺伝要因、免疫系の問題、ホルモンバランスの乱れ、および外科的合併症が挙げられる。子宮内膜症の原因は不明であるため、現在の子宮内膜症の治療は、疾患自体ではなく症状のみを治療している。さらに、子宮内膜症病変を除去するための手術以外に子宮内膜症の治療法は存在しない。子宮内膜症病変の除去は、疾患の永久的な治療ではなく、単なる一時的な治療選択肢である。
子宮内膜症は、その症状が腹部および腸に影響を及ぼす他の多くの疾患と重複するため、診断が困難である。現在、子宮内膜症の診断は、臨床歴と侵襲性および非侵襲性の両方の検査との組み合わせに依存している。婦人科内診、超音波検査、およびMRIはすべて、潜在的な子宮内膜症病変を可視化するために使用される技術である。しかし、子宮内膜症の確定診断は、現在、腹腔鏡検査と呼ばれる種類の手術によってのみ得ることができ、医師は骨盤領域内から子宮内膜組織を直接見ることができる。腹腔鏡検査の間に、医師はまた、発見される子宮内膜症病変を切除することができる。腹腔鏡検査は侵襲的な方法であり、費用が高いため、子宮内膜症のスクリーニングは実用的ではない。その結果、多くの子宮内膜症の女性は診断されないままになり、または誤って診断され、未治療のままである。子宮内膜症を診断するための、侵襲性の低い、早期検出方法が必要とされている。
したがって、本発明の目的は、子宮内膜症を診断するためのより効果的な方法を提供することである。
子宮内膜症を診断するための侵襲性の低い方法を提供することも、本発明の目的である。
Buck Louis,et al.,Fertil Steril,96:360〜365(2011)
患者の子宮内膜症を診断および治療する方法が本明細書に開示される。現在の子宮内膜症の診断方法は、効率が低いかまたは侵襲性が高いかのいずれかである。子宮内膜症を診断する効率的で非侵襲的な方法が提供される。
一実施形態は、対象から得られた子宮内膜間質細胞を濃縮または増殖させること、増幅cDNAを産生するために、濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供すること、DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供すること、該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下している場合、対象を子宮内膜症と診断すること、および子宮内膜症と診断された対象に子宮内膜症の治療を施すことにより、それを必要とする対象において子宮内膜症の診断および治療をする方法を提供する。
別の実施形態は、対象から得られた子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させること、増幅cDNAを産生するために、濃縮または増殖された子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供すること、DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供すること、該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合、対象を子宮内膜症と診断すること、および子宮内膜症と診断された対象に子宮内膜症の治療を施すことにより、それを必要とする対象において子宮内膜症の診断および治療をする方法を提供する。
さらに別の実施形態は、対象から得られた子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させること、増幅cDNAを産生するために、濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供すること、DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供すること、該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下しており、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合、対象を子宮内膜症と診断すること、および子宮内膜症と診断された対象に子宮内膜症の治療を施すことにより、それを必要とする対象において子宮内膜症の診断および治療をする方法を提供する。
子宮内膜細胞は、月経血または子宮内膜生検から得ることができる。一実施形態において、間質細胞は、子宮内膜間質細胞マーカーCD10、CD146、およびCD13を使用して細胞を選別することによって単離される。別の実施形態において、子宮内膜上皮細胞は、内皮上皮細胞マーカーEpCam+、CD45、およびCD9を使用して細胞を選別することによって単離される。
子宮内膜症の治療は、抗炎症薬、ホルモン療法、または患部組織の外科的除去を含む群から選択することができる。
一実施形態において、対象は子宮内膜症の症状を有する。別の実施形態において、対象は子宮内膜症と以前に診断されている。
図1A〜1Iは、ギャップ結合遺伝子(コネキシン)、ならびに細胞−細胞相互作用に関与する他のタンパク質(密着結合および接着結合)、およびそれらを調節する種々のキナーゼの遺伝子発現レベルを反映するヒートマップを示す。モノクロマップにおいて、最も高い発現は灰色、中間発現は黒色、最も低い発現は白色である。各ドットは、特定の細胞(列で配列)における特定の遺伝子(行で配列)の発現に対応する。図1A〜1Eは、子宮内膜症がない(正常;図1A)、初期子宮内膜症(ステージI/II;図1B)、および骨盤腔内により広範な子宮内膜症病変(ステージIII/IV;図1C〜1E)の女性由来の子宮内膜生検試料から濃縮された間質細胞の遺伝子発現プロファイルである。これらの試料は、以下の月経周期の異なる段階で得られた:ES、初期分泌期(図1A〜1C)、MS、中間分泌期(図1D)、およびP、増殖期(図1E)。図1F〜1Iは、子宮内膜症がない(正常;図1F〜G)、初期子宮内膜症(ステージI/II;図1H)、および広範な子宮内膜症(ステージIII/IV;図1I)の女性由来の子宮内膜生検試料から濃縮された上皮細胞の遺伝子発現プロファイルである。これらの試料は、以下の月経周期の異なる段階で得られた:ES、初期分泌期(図1F〜H)、およびP、増殖期(図1I)。 図1A〜1Iは、ギャップ結合遺伝子(コネキシン)、ならびに細胞−細胞相互作用に関与する他のタンパク質(密着結合および接着結合)、およびそれらを調節する種々のキナーゼの遺伝子発現レベルを反映するヒートマップを示す。モノクロマップにおいて、最も高い発現は灰色、中間発現は黒色、最も低い発現は白色である。各ドットは、特定の細胞(列で配列)における特定の遺伝子(行で配列)の発現に対応する。図1A〜1Eは、子宮内膜症がない(正常;図1A)、初期子宮内膜症(ステージI/II;図1B)、および骨盤腔内により広範な子宮内膜症病変(ステージIII/IV;図1C〜1E)の女性由来の子宮内膜生検試料から濃縮された間質細胞の遺伝子発現プロファイルである。これらの試料は、以下の月経周期の異なる段階で得られた:ES、初期分泌期(図1A〜1C)、MS、中間分泌期(図1D)、およびP、増殖期(図1E)。図1F〜1Iは、子宮内膜症がない(正常;図1F〜G)、初期子宮内膜症(ステージI/II;図1H)、および広範な子宮内膜症(ステージIII/IV;図1I)の女性由来の子宮内膜生検試料から濃縮された上皮細胞の遺伝子発現プロファイルである。これらの試料は、以下の月経周期の異なる段階で得られた:ES、初期分泌期(図1F〜H)、およびP、増殖期(図1I)。 図2A〜2BBは、子宮のブラシ生検由来の濃縮間質細胞(図2A〜2N)および上皮細胞(図2O〜2BB)におけるほとんどのギャップ結合遺伝子(各プロット上にGJによって示されている)の単一細胞マイクロ流体PCR発現データの箱ひげ図である。患者は、各プロットのX軸に沿った番号によって識別され、実施例の表3に示されるように、正常な対象、初期および後期の子宮内膜症対象を表す。Y軸はLog10発現を表す。GJA1(Cx43タンパク質をコードする)は、両細胞型において最も豊富に発現されるコネキシンである。しかし、実質的にすべてのコネキシンは、間質細胞において疾患進行に伴う発現の一貫した有意な減少(アスタリスクで示す)を示す(図2A〜2N)が、上皮細胞においては疾患進行に伴う増加を示す(図2O〜2BB)。 図2A〜2BBは、子宮のブラシ生検由来の濃縮間質細胞(図2A〜2N)および上皮細胞(図2O〜2BB)におけるほとんどのギャップ結合遺伝子(各プロット上にGJによって示されている)の単一細胞マイクロ流体PCR発現データの箱ひげ図である。患者は、各プロットのX軸に沿った番号によって識別され、実施例の表3に示されるように、正常な対象、初期および後期の子宮内膜症対象を表す。Y軸はLog10発現を表す。GJA1(Cx43タンパク質をコードする)は、両細胞型において最も豊富に発現されるコネキシンである。しかし、実質的にすべてのコネキシンは、間質細胞において疾患進行に伴う発現の一貫した有意な減少(アスタリスクで示す)を示す(図2A〜2N)が、上皮細胞においては疾患進行に伴う増加を示す(図2O〜2BB)。 図2A〜2BBは、子宮のブラシ生検由来の濃縮間質細胞(図2A〜2N)および上皮細胞(図2O〜2BB)におけるほとんどのギャップ結合遺伝子(各プロット上にGJによって示されている)の単一細胞マイクロ流体PCR発現データの箱ひげ図である。患者は、各プロットのX軸に沿った番号によって識別され、実施例の表3に示されるように、正常な対象、初期および後期の子宮内膜症対象を表す。Y軸はLog10発現を表す。GJA1(Cx43タンパク質をコードする)は、両細胞型において最も豊富に発現されるコネキシンである。しかし、実質的にすべてのコネキシンは、間質細胞において疾患進行に伴う発現の一貫した有意な減少(アスタリスクで示す)を示す(図2A〜2N)が、上皮細胞においては疾患進行に伴う増加を示す(図2O〜2BB)。 図2A〜2BBは、子宮のブラシ生検由来の濃縮間質細胞(図2A〜2N)および上皮細胞(図2O〜2BB)におけるほとんどのギャップ結合遺伝子(各プロット上にGJによって示されている)の単一細胞マイクロ流体PCR発現データの箱ひげ図である。患者は、各プロットのX軸に沿った番号によって識別され、実施例の表3に示されるように、正常な対象、初期および後期の子宮内膜症対象を表す。Y軸はLog10発現を表す。GJA1(Cx43タンパク質をコードする)は、両細胞型において最も豊富に発現されるコネキシンである。しかし、実質的にすべてのコネキシンは、間質細胞において疾患進行に伴う発現の一貫した有意な減少(アスタリスクで示す)を示す(図2A〜2N)が、上皮細胞においては疾患進行に伴う増加を示す(図2O〜2BB)。 図3A〜3Nは、子宮のブラシ生検からの濃縮子宮内膜間質細胞(図3A〜3G)および子宮内膜上皮細胞(図3H〜3N)における、各プロットの上部に示されるような(TJP1=ZO1;Cav=カベオリン;CDH2=N−カドヘリン;Vim=ビメンチン;CTNNB=カテニンβ;PRHACA=タンパク質キナーゼA;PRKCB=タンパク質キナーゼC)ギャップ結合およびそれらの調節因子以外の細胞間相互作用に関与するいくつかの他の遺伝子に関する単一細胞マイクロ流体PCR発現データを示すボックスプロットである。グラフのラベリングは、図2A〜2BBに示す通りである。 図3A〜3Nは、子宮のブラシ生検からの濃縮子宮内膜間質細胞(図3A〜3G)および子宮内膜上皮細胞(図3H〜3N)における、各プロットの上部に示されるような(TJP1=ZO1;Cav=カベオリン;CDH2=N−カドヘリン;Vim=ビメンチン;CTNNB=カテニンβ;PRHACA=タンパク質キナーゼA;PRKCB=タンパク質キナーゼC)ギャップ結合およびそれらの調節因子以外の細胞間相互作用に関与するいくつかの他の遺伝子に関する単一細胞マイクロ流体PCR発現データを示すボックスプロットである。グラフのラベリングは、図2A〜2BBに示す通りである。 図4A〜4Hは、正常な対象および子宮内膜症対象からの初代子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞におけるギャップ結合細胞間カップリングの機能評価を示す。図4Aは、「ドナー」細胞にギャップ結合浸透性色素を充填し、それらをレシピエント細胞の単層上に滴下し、色素の単層への拡散を追跡することによって、アッセイがどのように行われるかを示す模式図である。図4B〜4Eは、正常な対象および進行性子宮内膜症患者からの間質細胞を使用したアッセイの例を示す代表的な画像である。図4Fは、ドナー細胞とレシピエント細胞との間の経時的なカルセインの移動速度を示す線グラフである(上のグラフ−正常;下のグラフ−子宮内膜症)。X軸は時間を表し、Y軸はドナー細胞あたりの標識されたレシピエント細胞の数を表す。勾配は、細胞間カップリング効率(「カップリング」と称される)の尺度として使用される。 図4A〜4Hは、正常な対象および子宮内膜症対象からの初代子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞におけるギャップ結合細胞間カップリングの機能評価を示す。図4G〜4Hは、上皮子宮内膜細胞(図4G)および間質子宮内膜細胞(図4H)の互いへのカップリングレベル(ホモタイプカップリング−黒色の棒)またはLP9腹膜中皮細胞の単層へのカップリングレベル(ヘテロタイプカップリング−灰色の棒)を示す棒グラフである。まず、発現プロファイルから予想されるように、間質細胞は、上皮細胞よりも互いにうまく結合されていない。しかし、中皮細胞に曝されると(通常はそれを介して子宮内膜症に侵襲する)、カップリングの劇的な増加が見られるが、子宮内膜症患者からの間質細胞でのみ見られる(有意性は対応のあるt検定から示される)。 図5A〜5Fは、子宮内膜症のない女性由来の子宮内膜症生検試料(167正常;図5A、図5D)、表在性子宮内膜症の女性由来の子宮内膜症生検試料(164子宮内膜症I〜II;図5B、図5E)、および深部浸潤性子宮内膜症の女性由来の子宮内膜症生検試料(169子宮内膜症III〜IV;図5C、図5F)からの、間質細胞単独(図5A〜図5C)、または中皮細胞に曝された間質細胞(図5D〜5F)における、Cx43の発現を示す蛍光顕微鏡画像である。矢印は、中皮細胞に曝された子宮内膜症細胞におけるCx43の細胞表面への再分布を示し、図4A〜4Hに見られるカップリングの急速な誘発を潜在的に説明する。 未処理試料(黒色の棒)、細胞カップリングを減少するようCx43siRNAで処理した試料(灰色の棒)、またはグルタルアルデヒドデヒドロゲナーゼに対する対照siRNAで処理した試料(GAPDH−斜線入り棒)中の、中皮細胞単層を介して侵襲した子宮内膜上皮細胞および子宮内膜間質細胞の数を示す棒グラフである。両細胞型は侵襲性であり、Cx43発現が抑制されると、この侵襲性はほとんど排除される。しかし、間質細胞は、疾患進行とともに侵襲性の有意な増加を示し、これは、子宮内膜症試料においてのみCx43発現に依存する。
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、(特に特許請求の範囲の文脈において)現在請求されている発明を説明する文脈における用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および同様の言及の使用は、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各別々の値を個別に参照する簡単な方法としての役割を果たすことが意図されるに過ぎず、各別々の値は、本明細書に個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。
「約」という用語の使用は、約+/−10%の範囲で記載値以上または以下のいずれかの値を記述することを意図しており、他の実施形態では、値は、約+/−5%の範囲で記載値以上または以下のいずれかの値にわたってもよく、他の実施形態では、値は、約+/−2%の範囲で記載値以上または以下のいずれかの値にわたってもよく、他の実施形態では、値は、約+/−1%の範囲で記載値以上または以下のいずれかの値にわたってもよい。前述の範囲は、文脈によって明確にされることが意図され、さらなる限定は示唆されない。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書に提供される任意およびすべての実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図しており、特に主張されない限り、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の実施に不可欠である任意の請求されていない要素を示すものとして解釈されてはならない。
本明細書で使用される場合、「子宮」とは、胎内としても知られている女性生殖器系の器官を指す。子宮の主な機能は、胎児が生まれる準備ができるまで、胎児を収容し、栄養を与えることである。
本明細書で使用される場合、「子宮内膜」とは、子宮内の粘膜を指す。子宮内膜は月経周期を通して変化する。月経とは、ホルモンの変動に反応する子宮内膜の周期的な脱落である。月経周期は、卵胞期すなわち増殖期、および黄体期すなわち分泌期の2つの期に分けられる。増殖期は、卵胞の発達を特徴とする。分泌期は、一般的には14日間であり、排卵後に開始する。
本明細書で使用される場合、「子宮内膜細胞」とは、子宮内膜由来の細胞を指す。子宮内膜細胞は、間質細胞および上皮細胞に細分することができる。
本明細書で使用される場合、「間質細胞」とは、任意の臓器の結合組織細胞を指す。間質細胞は、その臓器の実質細胞の機能を支持する。子宮内膜間質細胞は、妊娠の開始および維持において重要である。
本明細書で使用される場合、「上皮細胞」とは、上皮と呼ばれる細胞の粘着性の薄膜を形成する細胞を指す。上皮細胞は、体表面の外皮または内層として、および分泌腺の機能単位として機能する。上皮細胞は、吸収、分泌、またはバリアとして機能するよう特化し得る。
本明細書で使用される場合、「子宮内膜症」とは、子宮からの組織が子宮の外側の腹腔内で増殖する婦人科疾患を指す。子宮内膜症の2つの主な症状としては、疼痛と不妊が挙げられる。疼痛と不妊の主な原因は、子宮内膜の移植物と接着である。本明細書で使用される場合、「子宮内膜移植物」とは、異所性部位に見られる子宮内膜組織を指す。移植物は、骨盤領域の腹膜表面の小さくて、平らなパッチに似ている。これらの移植物は、周囲の組織に刺激および炎症を引き起こし、接着の形成につながり得る。本明細書で使用される場合、「接着」とは、通常移動性の組織および臓器に結合することができる内部瘢痕組織の帯を指す。
子宮内膜症は、疾患の重症度、疾患の広がりの程度、骨盤構造の関与、骨盤癒着の程度、卵管の閉塞に基づいて「ステージ」に分類される。子宮内膜症の病期分類は、患者が経験する症状の重症度を必ずしも反映するものではない。
子宮内膜症の4つのステージは、最軽度、軽度、中等度、および重度に相当する。ほとんどの患者は、最軽度および軽度の範囲に入る。ステージIと呼ばれる最軽度の子宮内膜症は、移植物が単離され、有意な接着がないことを特徴とする。軽度の子宮内膜症、ステージIIは、有意な接着がなく、凝集塊中の5cm未満の表在性移植物を特徴とする。ステージIおよびIIの子宮内膜症は、多くの場合、「表在性子宮内膜症」と呼ばれる同じカテゴリーに統合される。中等度(ステージIII)の子宮内膜症は、子宮内膜組織が卵巣で成長すると形成される嚢胞の一種である、子宮内膜腫の出現を特徴とする。重度の子宮内膜症(ステージIV)は、複数の移植物、嚢胞、および卵管と卵巣の周囲に瘢痕をもたらす重度の癒着を特徴とする。ステージIVの子宮内膜症を有する女性は、不妊の問題を抱える可能性が最も高い。
本明細書で使用される場合、「ギャップ結合」とは、隣接する細胞間をイオンおよび小分子が通過することができる細胞膜中のタンパク質チャネルの組織化された凝集塊を指す。
II.子宮内膜症の診断および治療方法
子宮内膜症の診断および治療方法が本明細書に提供される。子宮内膜細胞から得られた細胞集団における特定の遺伝子発現パターンを検出するための高感度単一細胞発現解析方法が本明細書に開示される。例示的な方法は、対象から得られた子宮内膜細胞を濃縮または増殖させるステップと、増幅cDNAを産生するために、細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供するステップと、DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせを含有する群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供するステップと、1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合、対象を子宮内膜症と診断するステップと、子宮内膜症と診断された対象に子宮内膜症の治療を施すステップとを含む。
A.子宮内膜細胞の濃縮および増殖
1.子宮内膜試料
一実施形態において、子宮細胞の試料は、定期健康診断中に女性から収集される。いくつかの実施形態において、女性は子宮内膜症の疑いがある。別の実施形態において、女性は子宮内膜症と以前に診断されており、開示される方法は、疾患の再発を観察するために使用される。
一実施形態において、子宮内膜細胞は、対象から非侵襲的な方法で、例えば、ステリカップで収集された月経液中に得られる。別の実施形態において、子宮内膜細胞は、子宮内膜ブラシ生検装置または子宮内膜吸引カテーテルなどの微侵襲的方法で対象から得られる。
子宮内膜症を有する女性は、表在性子宮内膜症(ステージI/II)または深部浸潤性子宮内膜症(ステージIII/IV)を有し得る。生検標本は、早期分泌期、中間分泌期、または増殖期を含む月経周期の異なる時期で得ることができるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態は、子宮細胞を単一細胞処理およびマイクロ流体PCRに供する方法を提供する。子宮細胞は、間質細胞または上皮細胞であり得る。
子宮内膜生検材料は、組織から細胞を単離することによって、濃縮、増殖、および単一細胞処理のために調製することができる。子宮内膜生検材料から細胞を単離するための方法は、当該技術分野において既知である。例示的な方法としては、これらに限定されないが、全生検材料からの表面上皮のコラゲナーゼ消化、トリプシン消化、および手動スクレーピングが挙げられる(Krjutskov,K.,et al.Human Reproduction,31:844〜853(2016)、Jividen,K.,et al.,J Vis Exp,87:e51513)。
月経液から赤血球を除去し、子宮内膜細胞を単離することによって、濃縮、増殖、および単一細胞処理のために月経液が調製される。
2.細胞濃縮
一実施形態において、生検材料からの子宮内膜細胞集団は、間質細胞または上皮細胞が濃縮されている。間質細胞または上皮細胞の子宮内膜細胞集団を濃縮する方法は、当該技術分野で既知である。例示的な方法としては、濾過装置、フローサイトメトリー、磁気ビーズまたは特定の抗体でコーティングされたマイクロビーズ、およびマイクロフルイディクスを使用した物理的分離が挙げられるが、これらに限定されない。濃縮した試料は、単一細胞処理の前に培養液中で増殖させることができる。
i.濾過
一実施形態において、間質細胞は、消化された細胞懸濁液を細胞培養フィルターに通すことによって子宮内膜細胞集団から単離される。間質細胞はフィルターを通過するが、上皮細胞はフィルターを通過しない組織内に凝集した状態で残存する。上皮組織は、さらに単一細胞懸濁液へと消化させることができる。濃縮細胞懸濁液は、増殖のために培養するか、または単一細胞処理のために直接使用することができる。
ii.FACS
蛍光活性化細胞選別(FACS)は、単一細胞を単離することができる選別能力を有するフローサイトメトリーの特化型である。分離前に、細胞懸濁液を作製し、標的細胞を蛍光プローブで標識する。フルオロフォアコンジュゲートモノクローナル抗体(mAb)は、標的細胞上の特定の表面マーカーを認識する最も広く使用されている蛍光プローブである。細胞懸濁液が装置を通過すると、各細胞がレーザーに曝露され、これにより、蛍光検出器は、選択された特性、特にどの抗体が結合しているかに基づいて細胞を識別することができる。この機器は、対象となる細胞を含む液滴に電荷(正または負)を印加し、静電偏向システムにより、後に分析するために、帯電液滴を適切な収集チューブに収集することが容易になる。FACSは、単一細胞を選別するために使用することもできる。
一実施形態において、子宮内膜生検材料からの細胞はFACSを使用して選別される。子宮内膜生検材料由来の細胞懸濁液は、CD10、CD146、およびCD13などの間質細胞マーカーを認識する蛍光プローブとともにインキュベートされ得る。細胞懸濁液を、フローサイトメーターを通して流し、間質細胞を別々の容器に収集する。別の実施形態において、細胞懸濁液は、EpCam+およびCD9などの上皮マーカーを認識する蛍光プローブとともにインキュベートされる。細胞懸濁液を、フローサイトメーターを通して流し、上皮細胞を別々の容器に収集する。一実施形態において、子宮内膜細胞培養物は、FACSを使用して間質細胞または上皮細胞が濃縮される。
iii.磁気ビーズ
磁気ビーズ細胞単離は、細胞の混合集団から特定の細胞型を濃縮するために使用される技術である。標的細胞上の細胞表面マーカーに対する抗体とコンジュゲートされた磁気ビーズまたはナノ粒子は、細胞集団と混合される。細胞を保持する容器を磁気カラムに曝露し、対象となる細胞(磁気ビーズとコンジュゲートされている)は細胞の残りの部分から分離される。一実施形態において、磁気ビーズは、CD10、CD146、およびCD13などの間質細胞マーカーに対する抗体とコンジュゲートされ、間質細胞を子宮内膜細胞懸濁液から分離するために使用される。
iv.マイクロフルイディクス
別の実施形態において、子宮内膜生検材料からの細胞は、マイクロフルイディクスを使用して濃縮される。マイクロ流体チップによる細胞選別は、細胞親和性クロマトグラフィーに基づくマイクロ流体分離、細胞に基づくマイクロ流体分離の物理的特性、免疫磁気ビーズに基づくマイクロ流体分離、および種々の細胞型間の誘電特性の差に基づく分離方法の4つのカテゴリーに分類され得る。
細胞親和性クロマトグラフィーに基づくマイクロフルイディクスは、マイクロ流体チップ分析のために最も一般的に使用されている方法である。これは、抗原と抗体、リガンドと受容体との間の高度に特異的な相互作用に基づく。処理の開始時に、チップ内のマイクロチャネルは、細胞表面抗原またはアプタマーに結合することができる特異的抗体で修飾される。試料がマイクロチャネルを通って流れると、その細胞表面抗原は、チップ上の細胞を固定化する特定の抗体またはアプタマーに結合することができるが、残りの細胞は緩衝液によってチップから流れ出る。最終的に、異なる緩衝液を使用して、固定化細胞を下流分析のために溶出することができる。一実施形態において、子宮内膜細胞集団は、マイクロフルイディクスを使用して間質細胞について濃縮される。別の実施形態において、上皮細胞が濃縮される。
3.細胞増殖
他の実施形態において、細胞は、細胞の特定のサブタイプが濃縮されることなく培養中で増殖される。子宮内膜生検材料は、組織から細胞を単離することによって、細胞培養での増殖のために調製することができる。子宮内膜生検材料から細胞を単離するための方法は、当該技術分野において既知である。例示的な方法としては、全生検材料からの表面上皮のコラゲナーゼ消化、トリプシン消化、および手動スクレーピングが挙げられるが、これらに限定されない(Krjutskov,K.,et al.Human Reproduction,31:844〜853(2016);Jividen,K.,et al.,J Vis Exp,87:e51513)。子宮内膜細胞を培養するための方法は当該技術分野において既知である。例えば、Osteen,K.G.,et al.,Fertility and Sterility ,52:966〜972(1989);Zhang,L.,et al.,J Cell Sci,108:323〜331(1995)を参照されたい。いくつかの実施形態において、単一細胞PCRの高い感度は、分析の前に培養物中の細胞を増殖させる必要性を克服する。
B.単一細胞処理
一実施形態において、濃縮もしくは増殖した間質細胞または子宮細胞は、単一細胞処理に供される。単一細胞処理は、単一細胞を細胞集団から単離し、細胞集団全体ではなく単一細胞についての分析を行う方法である。一実施形態において、子宮内膜試料由来の単一細胞をマイクロ流体PCRに供する。
1.単一細胞単離
一実施形態において、間質細胞は子宮内膜細胞培養物から単離される。例示的な子宮内膜間質細胞マーカーとして、CD10、CD146、およびCD13が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、上皮細胞は子宮内膜細胞培養物から単離される。例示的な上皮マーカーとして、EpCam+、CD45、およびCD9が挙げられるが、これらに限定されない。
全細胞培養物から単一細胞を単離するための方法は、当該技術分野において既知である。細胞の大集団から単一細胞を単離するための例示的な方法としては、手動細胞採集、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別、およびマイクロフルイディクスが挙げられる。
集団から希少細胞を単離する、または小試料から単一細胞を単離するための方法も当該技術分野で既知である。誘電泳動(DEP)マイクロ流体システムは、蛍光マーカーで同定した後、誘電泳動ケージを備えたマイクロ流体チップを使用して、電荷によって個別の細胞をナビゲートする。これらのシステムの利点は、すべての細胞が保存され、10万個のプール内の単一細胞でさえ効率的に単離され得ることである。例示的なDEPシステムは、DEP−Array(商標)システム(Silicon Biosciences)である。一実施形態において、子宮内膜細胞はDEPシステムを使用して単一細胞試料に分離される。細胞を間質マーカーまたは上皮マーカーで標識して、2つの細胞集団を分離することができる。DEPシステムは、さらなる処理のために、それぞれ単一細胞をマイクロプレートのそれぞれの個別のウェルに分配することができる。
2.マイクロ流体PCR
一実施形態において、処理された単一細胞由来のcDNAは、マイクロ流体PCRに使用される。マイクロフルイディクスは、ナノリットルまたはピコリットルのオーダーで大量の流体を含む試料を処理することができる超小型化デバイスである。マイクロ流体PCRシステムは、ナノリットルサイズの試料から核酸発現を正常に検出することができる。一実施形態において、マイクロ流体PCR装置は単一細胞マイクロ流体PCR装置である。市販されているマイクロ流体PCR装置の一例としては、BioMark(商標)HD単一細胞システム(Fluidigm)またはC1(商標)システム(Fluidigm)がある。
i.ギャップ結合
ギャップ結合は、細胞と細胞との特別な細胞間接続である。これらの接続またはチャネルは、2つの細胞の細胞質間の直接細胞間コミュニケーションを提供し、最大約1kDのサイズのイオンおよび代謝産物の迅速な交換を可能にする。ギャップ結合は、コネキシンタンパク質のクラスターから形成される。例示的なギャップ結合遺伝子としては、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、およびGJC2が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、ギャップ結合遺伝子の発現は、子宮内膜症を有する女性からの子宮内膜上皮細胞において上昇するが、子宮内膜間質細胞において低下する。
子宮内膜細胞と子宮内膜症の侵襲標的である中皮との間の細胞間コミュニケーションのモードとして、細胞間ギャップ結合のコミュニケーションが検討されている。従来の細胞アッセイならびに単一細胞分析を使用して、子宮内膜症病変の発生につながる子宮内膜細胞侵襲性に関与し得る特異的なギャップ結合タンパク質(チャネル形成コネキシン)を同定した。ギャップ結合遺伝子に加えて、他の調節遺伝子およびキナーゼが、ギャップ結合におけるコミュニケーションに関与する。ギャップ結合を調節する例示的なキナーゼとしては、チロシンキナーゼ、タンパク質キナーゼC、cAMP依存性タンパク質キナーゼ、MAPキナーゼ、cdc2/サイクリンB、およびカゼインキナーゼI(Warn−Cramer,B.J.and Lau,A.F.,Biochim Biophys Acta,1662:81〜95(2004);Lampe,P.D.and Lau A.F.,Int J Biochem Cell Biol,36:1171〜1186(2004))が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、単一細胞試料由来のcDNA中のDBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、およびZO2のRNA遺伝子発現は、マイクロ流体PCRによって測定される。
別の実施形態において、試料中の開示される遺伝子のうちの1つの発現レベルが、子宮内膜症のない健常な個体由来の試料中の同じ遺伝子の発現レベルと比較される。
C.子宮内膜症の診断
開示される方法において、DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、およびZO2を含有する群からの1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における1つ以上の該遺伝子の発現と比較して上昇している、または子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における1つ以上の該遺伝子と比較して低下している場合、対象は、子宮内膜症と診断される。
上記遺伝子の発現レベルは、疾患の重症度とともに漸進的に増加または減少する。したがって、一実施形態において、遺伝子の発現レベルを用いて、子宮内膜症のステージを決定することができる。子宮内膜症上皮細胞試料と正常な子宮内膜上皮細胞試料との間で最も差のある発現を有する遺伝子には、実施例(以下の表1)における、CDH2、ビメンチン、およびCTNNBがある。
(表1)子宮内膜上皮細胞における種々の遺伝子の発現
Log 10発現
Figure 2021521803
172:正常
164:子宮内膜症ステージI/II
172:子宮内膜症ステージIII/IV
*発現は2−ΔCtによって定義され、Ctは各遺伝子のPCRサイクル閾値であり、Δ(ギリシャ語、デルタ)は標的遺伝子と正規化ハウスキーピング遺伝子(GAPDH)との差である。
一実施形態において、子宮内膜症に対する検査をされる女性は、子宮内膜症の症状を有するか、またはこの疾患の家族歴を有する。子宮内膜症に対する検査をされる女性は、不妊治療を受けているか、または不妊症にかかっている可能性がある。一実施形態において、子宮内膜症に対する検査をされる女性は生殖年齢である。女性は15歳から45歳の間であり得る。
D.子宮内膜症治療薬
一実施形態において、対象は、開示される遺伝子の発現レベルに基づいて子宮内膜症と診断され、その後、子宮内膜症の治療を受ける。子宮内膜症の治療法は、疾患の症状の緩和に向けられている。この疾患の最も一般的な症状には、疼痛、出血、および不妊症が挙げられる。
i.鎮痛剤
一実施形態は、子宮内膜症誘発性疼痛の治療法を提供する。鎮痛薬は、子宮内膜症の軽度の疼痛および炎症症状に使用することができる。最も一般的な鎮痛剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。非ステロイド性抗炎症剤の代表的な例としては、ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカムなどのオキシカム;アスピリン、ジサルシド、ベノリラート、トリリサート、サファプリン、ソルプリン、ジフルニサール、およびフェンドサルなどのサリチル酸塩;ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセマタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナク、およびケトロラクなどの酢酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルル酸、およびトルフェナム酸などのフェナム酸;イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、およびチアプロフェニクなどのプロピオン酸誘導体;フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、およびトリメタゾンなどのピラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。これらの非ステロイド性抗炎症剤の混合物も使用され得る。
ステロイド性抗炎症剤を、疼痛を治療するために使用することもできる。ステロイド性抗炎症薬の代表的な例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシル−トリアムシノロン、α−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルテキソロン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシンフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残りのエステル、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾロン、クロコルトロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン、およびこれらの混合物などのコルチコステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
抗炎症薬の効果がないほど疼痛が激しい場合、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロモルフォン、およびコデインなどの麻酔性鎮痛薬を女性に処方することができるが、これらに限定されない。
ii.ホルモン治療薬
子宮内膜症関連の疼痛および出血の別の治療法は、ホルモン治療薬である。異所性子宮内膜組織は月経と同様の周期を経るため、ホルモンは疾患に関連する疼痛を治療するのに有効である場合がある。ホルモンは、丸薬、注射もしくは注射剤、またはスプレー式点鼻薬の形態で送達することができる。経口避妊薬を用いて、ホルモンを送達することができる。通常、経口避妊薬にはエストロゲンとプロゲスチンの2種のホルモンが含まれている。例示的な組み合わせの経口避妊薬としては、デソゲストレル/エチニルエストラジオール、ジエノゲスト/吉草酸エストラジオール、ドロスピレノン/エチニルエストラジオール、ドロスピレノン/エチニルエストラジオール/レボメフォレート、エチノジオール/エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル/エチニルエストラジオール、メストラノール/ノルエチンドロン、ノルエチンドロン/エチニルエストラジオール、ノルゲスチメート/エチニルエストラジオール、およびノルゲストレル/エチニルエストラジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
プロゲスチンは、女性ホルモンのプロゲステロンと同様に作用する薬物のグループである。プロゲスチンは、丸薬として、注射によって、または子宮内器具(IUD)を通して摂取することができる。最も一般的に処方される経口避妊薬は、エストロゲンとプロゲスチンの複合製剤であるが、プロゲスチンのみの避妊薬も処方される。経口避妊薬は、女性の月経を減らすか、または完全に止めることによって子宮内膜症の症状を改善することが示されている。
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストは、一般に、子宮内膜症の女性に処方される。GnRHアゴニストは、3ヶ月に1回の注射、1ヶ月に1回の注射、1日1回の注射、およびスプレー式点鼻薬を含む様々な形態がある。例示的なGnRHアゴニストとしては、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、リュープロリド、ナファレリン、およびトリプトレリンが挙げられるが、これらに限定されない。
ダナゾールは、子宮内膜症に関連する骨盤痛の治療に効果的であることが示されているアンドロゲンである。
一実施形態において、開示される方法を使用して子宮内膜症と診断される女性は、ホルモン治療薬で治療される。
iii.外科的治療
手術は、子宮内膜症からの著しい鎮痛をもたらすことが示されている。腹腔鏡検査は、外科医が腹部に小さな切開を行い、腹腔鏡と呼ばれる小さな視認器具を腹部に挿入する手術の一種である。これにより、外科医は子宮内膜症病変を直接目視することができる。外科医は、病変を除去または破壊するために、腹部にレーザーまたは他の器具を挿入するための二次的な切開を行い得る。一実施形態において、本明細書に開示される方法で子宮内膜症と診断される患者は、腹腔鏡検査によって治療される。
開腹術は、子宮内膜病変を除去するために用いることもできる主要な腹部手術である。この術式では、外科医は腹腔と子宮を目視するために腹部を横切って切開する。外科医は、開腹中に子宮内膜症病変を除去することができる。一実施形態において、本明細書に開示される方法で子宮内膜症と診断される患者は、開腹術によって治療される。外科医は、開腹術中に、子宮全体が摘出される子宮摘出を行うこともできる。極度の疼痛または進行性もしくは再発性の子宮内膜症を有する患者は、子宮内膜症を根絶するために子宮摘出を行うことを選択することができる。一実施形態において、本明細書に開示される方法で子宮内膜症と診断される患者は、子宮摘出術によって治療される。
腹部の中心部に疼痛を有する女性は、疼痛を軽減するために骨盤の神経を切断し得る。これは、腹腔鏡検査または開腹術によって行うことができる。異なる神経経路を切断する術式が2つある。仙骨前神経切除術は子宮につながっている神経を切断する。一実施形態において、本明細書に開示される方法によって子宮内膜症と診断される患者は、仙骨前神経切除によって治療される。腹腔鏡子宮神経アブレーションと呼ばれる第2の術式は、子宮を固定する靭帯の神経を切断することを伴う。一実施形態において、本明細書に開示される方法を使用して子宮内膜症と診断される患者は、腹腔鏡子宮神経アブレーションによって治療される。
実施例1.ギャップ結合遺伝子は、子宮内膜症由来の子宮上皮細胞において上昇し、子宮内膜症由来の間質細胞において低下する
方法
子宮内膜症を有するまたは有しない女性からの正所性(子宮から)子宮内膜組織の獲得
子宮内膜症の有無は、腹腔鏡検査により確認した。すべての正所性子宮内膜試料は、ホルモン剤の投与を受けていない通常の周期の生殖年齢の女性(年齢範囲30〜45歳)から、月経周期の増殖期に得られた。子宮内膜症試料は、American Society of Reproductive Medicine分類に基づいてステージI〜IVに分類された患者から得た。正常対象の場合、子宮内膜組織は、経口避妊薬を服用しておらず、腹腔鏡検査によって子宮内膜症がないことが示され、粘膜下筋腫または子宮内膜ポリープの所見がない、卵管不妊手術を受けている女性から単離した。生検材料からの初代子宮内膜上皮細胞(EEC)および間質細胞(ESC)の単離を、以前の研究によって確認された約97%の純度を達成することが示されたKirkおよびIrwinによって開発された方法を用いて行った。さらに、EECの上皮性の性質は、上皮細胞接着分子(EpCAM)およびサイトケラチン18の発現に対する染色を使用して、本試験において確認した。ESCはビメンチン染色によって確認した。表2は、試験で使用した正常対象および患者のリストを示す。単一細胞上で行なった広範な分析、および分析の前に初代細胞を大量に継代させない必要性のために、数は限定された。
(表2)患者のベース
Figure 2021521803
細胞培養
初代子宮内膜EECおよびESCを、前述のように、抗生物質および抗真菌薬、5μg/mLインスリン(Sigma)、および10%ウシ胎児血清(Hyclone,Logan,UT,USA)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/F12(1:1)(Sigma,St Louis,MO,USA)中で培養した。実験は、低継代(≦4)を使用して行った。確立されたLP9細胞(Corriell Cell Repositories,Camden,NJ)を、腹膜中皮細胞のモデルとして使用した。コネキシン43(Cx43)タンパク質発現を調べるために、一般的な免疫蛍光染色法を、緑色蛍光コンジュゲート抗Cx43抗体を用いて培養中のESCに使用した。ESCにおけるCx43発現を実験的に抑制するために、Cx43に特異的なsiRNAを細胞にトランスフェクトした。
マイクロ流体PCRによるコネキシン遺伝子パネル発現の単一細胞RNAスクリーニング
初代EECおよびESC培養物をC1(Fluidigm Corp)単一細胞単離および処理に供して、各細胞から増幅cDNAを作製した。次いで、cDNAを、Biomarkプラットフォーム(Fluidigm Corp)を使用して、マイクロ流体PCR遺伝子発現解析に供した。対応するPCRプライマー配列コネキシンおよびギャップ結合調節パネルを、これらの遺伝子の発現の検出のために使用した。各マイクロ流体PCRチップアッセイにおいて、ヒト正常組織(カタログ番号4234565、BioChain、Newark、CA)由来のユニバーサルRNA(200pg)およびテンプレートなしの対照(NTC)をそれぞれ陽性対照および陰性対照として用いた。有効なPCR産物を、各遺伝子アンプリコンについてのアンプリコン融解温度曲線によって決定した。
結果
健康な対象からのものと比較した場合、子宮内膜症患者からの子宮内膜間質細胞において、特にステージIII/IV子宮内膜症疾患において、ギャップ結合遺伝子発現の減少パターン(図1A〜1Iの各プロットの上部)が観察された(図1A〜1E)。重要なことに、これは、細胞が採取された月経期には無関係であった。
対照的に、子宮内膜症の濃縮上皮細胞において、正常由来試料と比較して多くのギャップ結合遺伝子の発現が増加したパターンが観察された(図1F〜1I)。遺伝子発現の漸進的な増加は、疾患段階でも観察されるが、いくつかの遺伝子については、この増加は子宮内膜症の最初期段階でも著しかった。
接着型および密封型の細胞間接触に関与する他の遺伝子、ならびにそれらを調節するキナーゼにおいても変化が見られた(図1A〜1Iの各プロットの下部)が、これらは、先に述べたコネキシンパターンと比較してはるかに一貫性がなかった。
図2A〜2BBは、正常対象、ならびに間質細胞(図2A〜2N)および上皮細胞(図2O〜2BB)の分離後の初期および後期の子宮内膜症患者からの単一細胞レベルでのすべてのコネキシン発現の定量PCR分析を示す。試料識別子は、表3に記載する。実質的にすべてのコネキシン遺伝子は、間質細胞において疾患進行に伴う漸進的な発現減少を示した。上皮細胞は反対のパターンを示したが、主要なコネキシン(GJA1)は患者間でほとんど差を示さなかった。
(表3)図2A〜2BBおよび3A〜3Nの試料識別子
Figure 2021521803
図3A〜3Nは、ギャップ結合活性の調節に関与する遺伝子(PRKAC、PRKCB、Cav)、または細胞骨格アンカータンパク質をコードする遺伝子(Vim)、または接着結合(CDH2、CTNNB)および密着結合(TJP1)のような他の種類の細胞−細胞相互作用について類似の分析を示す。いくつかの遺伝子は疾患とともに変化を示さなかったが(上皮細胞におけるTJP1、Cav、および不図示の他のもの)、他の遺伝子はコネキシンを模倣した発現パターンを示した(間質細胞において疾患とともに減少するが、上皮細胞では増加する)。
実施例2.子宮内膜上皮細胞(E)および間質細胞(S)と中皮細胞(M)とのカップリングおよび侵襲性
方法
ホモタイプおよびヘテロタイプのギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)アッセイ(カップリングアッセイとしても記載)
GJICを、ギャップ結合を介して浸透できる蛍光色素カルセインの細胞間移動を使用して測定した。アッセイは、活性炭処理済みFBS(10%)を補充した培養培地で行った。ドナー細胞をカルセインAMとともに20分間、室温でインキュベートした。細胞内で、カルセインAMは、非特異的エステラーゼによってカルセインに切断され、細胞膜を通って拡散することが不可能になる。レシピエント細胞をコンフルエンスまで増殖させる。次いで、カルセイン標識ドナー細胞をレシピエント細胞層上に滴下(「パラシュート」)させ、ドナー細胞とレシピエント細胞との間のカルセイン移動を蛍光顕微鏡イメージングで観察した。ホモタイプの相互作用のために、子宮内膜上皮細胞(EEC)、子宮内膜間質細胞(ESC)、および中皮(LP9)のドナー細胞をそれぞれ同一タイプのレシピエント細胞にパラシュートさせた。ヘテロタイプのGJICアッセイについては、EEC(またはESC)をLP9レシピエント細胞上にパラシュートさせ、逆もまた同様に行った。初期最適化アッセイは、パラシュートから1.5〜2時間後、EEC、ESC、およびLP9細胞における色素移動が最適に観察されたことを示した。Operetta自動顕微鏡(Perkin Elmer)上で、1ウェルあたり10〜15フィールドの蛍光画像を捕捉した。Perkin Elmerによって書かれたプログラムにより、プレート上のすべての細胞(位相コントラスト画像から)、ならびに元のドナー(1ウェルあたり100±50)、および経時的なカルセイン移動による色素充填レシピエントの同定が可能であった。データを、各条件の蛍光レシピエント細胞の数/ドナー細胞の数として表す。
経中皮侵襲アッセイ
経中皮侵襲をモデリングする3D侵襲アッセイは既出である。簡潔に述べると、LP9腹膜中皮細胞(PMC)を、8μmの細孔膜(BD Bioscience,San Jose,CA,USA)上にコーティングした成長因子低減Matrigel(商標)を含有する24ウェルインベージョンチャンバーインサート中でコンフルエンスまで増殖させた。次いで、20,000個の子宮内膜上皮細胞(EEC)または子宮内膜間質細胞(ESC)を、CellTracker Green(登録商標)(Molecular Probes−Invitrogen,Carlsbad,CA)で標識した後、調製したインサート中のLP9PMCの融合層上に播種し、適切なsiRNAで処理した。20時間のインキュベーション後、インサート膜の上面に侵襲しなかった細胞を機械的に除去した。コーティングされた膜の底部の侵襲細胞をDAPIで染色し、20倍の対物レンズを有する蛍光顕微鏡を使用して可視化した。各細胞型の侵襲アッセイを三つ組で行った。
結果
細胞のカップリングは、レシピエント細胞の単層上に滴下されたドナー細胞間のカルセイン移動を経時的に測定するパラシュートアッセイを使用して測定した(図4A〜4F)。この移動速度を、正常(N)、初期(I〜II)および後期(III〜IV)の子宮内膜症患者における上皮細胞(EEC−図4G)または間質細胞(ESC−図4H)のいずれかの間のホモタイプカップリング[黒色の棒]、ならびにこれらの細胞のLP9腹膜中皮細胞とのヘテロタイプカップリング[灰色の棒]について決定した。中皮細胞は、患者由来の間質細胞においてカップリングを誘発したが、正常な対象由来では誘発せず(図4H)、患者または正常な対象由来の上皮細胞においては誘発しなかった(図4G)。
Cx43の免疫蛍光染色は、すべての対象からの間質細胞におけるCx43の内部分布を明らかにする(染色は、細胞の縁の周辺および細胞−細胞界面では濃縮されないことに注意−図5A〜C)。これは、子宮内膜症が進行するにつれてより顕著であるが、意外なことに発現の顕著な減少は見られない(図5A〜5C)。しかし、中皮細胞への間質細胞の曝露は、子宮内膜症試料中の細胞表面(矢印)へのCx43の再分布を引き起こす(図5Eおよび5F)が、正常な対象からの細胞においてはその程度はかなり低い(図5D)。中皮細胞への曝露時の細胞内貯蔵Cx43のこの活性化は、図4B〜4Eに見られるヘテロタイプカップリングの劇的かつ急速な増加を説明することができる。
中皮細胞単層を介した子宮内膜上皮細胞(E)および間質細胞(S)の侵襲も、子宮内膜症の侵襲プロセスの特徴を模倣するために、ボイデンチャンバー内で測定した(図6)。子宮内膜細胞は、未処理のまま[黒色の棒]、またはCx43を標的とするsiRNA[灰色の棒]、もしくは対照タンパク質GAPDH[斜線入り棒]での処理のいずれかに供した。上皮細胞は、Cx43依存的様式で侵襲性であったが、これは患者間で変化し、疾患状態と相関しなかった(図6)。対照的に、間質細胞は、疾患進行とともに侵襲性の増加を示したが、これは、疾患状態においてCx43にのみ依存していた。
上記の明細書では、本発明はその特定の実施形態に関連して記載されており、多くの詳細は例示目的で提示されているが、本発明はさらなる実施形態の影響を受けやすく、本明細書に記載される特定の詳細は、本発明の基本原理から逸脱することなく大きく変化し得ることは当業者には明白であろう。
本明細書に引用されているすべての参照文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本発明は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されることが可能であり、したがって、本発明の範囲を示している上記の明細書よりはむしろ添付の特許請求の範囲を参照する必要がある。
一実施形態において、対象は子宮内膜症の症状を有する。別の実施形態において、対象は子宮内膜症と以前に診断されている。
[本発明1001]
子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
該対象から得られた子宮内膜間質細胞を濃縮または増殖させることと、
増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
を含む、方法。
[本発明1002]
子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
該対象から得られた子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させることと、
増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
を含む、方法。
[本発明1003]
子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
該対象から得られた子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させることと、
増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下しており、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
を含む、方法。
[本発明1004]
前記子宮内膜細胞が、月経血から得られる、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記子宮内膜細胞が、子宮内膜生検材料から得られる、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記子宮内膜症の治療が、抗炎症薬、ホルモン療法、または患部組織の外科的除去を含む群から選択される、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記対象を子宮内膜症と診断することが、該子宮内膜症を病期分類することをさらに含む、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記子宮内膜症が、表在性子宮内膜症(ステージI/II)または深部浸潤性子宮内膜症(ステージIII/IV)である、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記対象が、子宮内膜症の症状を有する、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記対象が、子宮内膜症と以前に診断されている、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記子宮内膜症が、表在性子宮内膜症(ステージI/II)または深部浸潤性子宮内膜症(ステージIII/IV)である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記子宮内膜間質細胞が、子宮内膜間質細胞マーカーCD10、CD146、およびCD13を使用して該細胞を選別することによって単離される、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記子宮内膜上皮細胞が、内皮上皮細胞マーカーEpCam+、CD45、およびCD9を使用して該細胞を選別することによって単離される、本発明1002の方法。
[本発明1014]
子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現と比較して発現が低下している該1つ以上の遺伝子には、Cx43、MAPK、TGFBR2、ZO2、およびZO1が含まれる、本発明1001の方法。
[本発明1015]
子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現と比較して発現が低下している該1つ以上の遺伝子には、SNAI1、Twist1、Zeb2、Notch1、VEGFR1、およびCD45が含まれる、本発明1001の方法。

Claims (15)

  1. 子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
    該対象から得られた子宮内膜間質細胞を濃縮または増殖させることと、
    増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
    DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
    該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
    子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
    を含む、方法。
  2. 子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
    該対象から得られた子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させることと、
    増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
    DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
    該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
    子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
    を含む、方法。
  3. 子宮内膜症の診断および治療を必要とする対象において子宮内膜症を診断および治療する方法であって、
    該対象から得られた子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞を濃縮または増殖させることと、
    増幅cDNAを産生するために、該濃縮または増殖された子宮内膜間質細胞および子宮内膜上皮細胞をマイクロ流体チャンバー内の単一細胞処理に供することと、
    DBN1、CAV1、CDH、CDK1、CD45、CK19、CSNK、CTNNB1、Cx43、EpCAM、GAPDH、GJA1、GJA3、GJA5、GJA8、GJA9、GJB1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB5、GJB6、GJB7、GJC2、GUSB、KRT18、MAPK1、MAPK3、MME、Notch1、NOV1、PECAM、PRKACA、PRKACB、PRKACG、PRKCA、SNAI1、SRC、TGFBR2、TJAP1、TJP1、TJP2、Twist1、VEGFR1、VIM、Zeb2、ZO1、ZO2、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の遺伝子のRNA遺伝子発現を検出するために、該増幅cDNAをマイクロ流体PCRに供することと、
    該1つ以上の遺伝子の発現が、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して低下しており、子宮内膜症のない対象からの子宮内膜上皮細胞における該1つ以上の遺伝子の発現と比較して上昇している場合に、該対象を子宮内膜症と診断することと、
    子宮内膜症と診断された該対象に子宮内膜症の治療を施すことと
    を含む、方法。
  4. 前記子宮内膜細胞が、月経血から得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記子宮内膜細胞が、子宮内膜生検材料から得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記子宮内膜症の治療が、抗炎症薬、ホルモン療法、または患部組織の外科的除去を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記対象を子宮内膜症と診断することが、該子宮内膜症を病期分類することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記子宮内膜症が、表在性子宮内膜症(ステージI/II)または深部浸潤性子宮内膜症(ステージIII/IV)である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記対象が、子宮内膜症の症状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記対象が、子宮内膜症と以前に診断されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記子宮内膜症が、表在性子宮内膜症(ステージI/II)または深部浸潤性子宮内膜症(ステージIII/IV)である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記子宮内膜間質細胞が、子宮内膜間質細胞マーカーCD10、CD146、およびCD13を使用して該細胞を選別することによって単離される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記子宮内膜上皮細胞が、内皮上皮細胞マーカーEpCam+、CD45、およびCD9を使用して該細胞を選別することによって単離される、請求項2に記載の方法。
  14. 子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現と比較して発現が低下している該1つ以上の遺伝子には、Cx43、MAPK、TGFBR2、ZO2、およびZO1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  15. 子宮内膜症のない対象からの子宮内膜間質細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現と比較して発現が低下している該1つ以上の遺伝子には、SNAI1、Twist1、Zeb2、Notch1、VEGFR1、およびCD45が含まれる、請求項1に記載の方法。
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