JP2021518157A - 核酸を抽出するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、適切な固体担体、例えばシリカベースの固体担体を使用して核酸を抽出するための方法に関する。特に、前記方法は、試料を適切な固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程を含み、前記方法は、前記捕捉工程の前に、前記試料のタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基又はカルボン酸官能基をマスキングするための少なくとも1つの試薬で前記試料を処理する工程を含むことを特徴とする。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、適切な固体担体、例えばシリカベースの固体担体を使用して核酸を抽出するための方法に関する。特に、前記方法は、試料を適切な固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程を含み、前記方法は、前記捕捉工程の前に、前記試料のタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするために、少なくとも1つの試薬で前記試料を処理する工程を含むことを特徴とする。
〔従来技術〕
分子生物学の台頭により、診断は大きな進歩を遂げた。試験試料から、宿主又は、当該試料に含まれる感染性微生物に属する核酸の抽出及び検出が可能である。この遺伝物質の検出又は、この遺伝物質の定量によってさえも、微生物感染や腫瘍遺伝子の存在に関する診断を確定することが可能になる。これは、通常、以下に説明する3つの工程で行われる。
1)複雑な生物学的試料(血液、腫瘍、食物等)からの核酸の抽出であって、細胞の含有量、特に核酸を放出するための細胞の化学的又は機械的溶解からなる抽出。次いで、これらは、選択的に精製され、その後、それらの量が直接検出に不十分である場合、増幅される。
2)DNA増幅技術(NASBA、RT−PCR、PCR等)による精製核酸の増幅。この工程は、生物学的試料から収集された核酸の量が非常に少ないか、又は試験が直接検出に十分な感度でない場合に必要である。
3)エンドポイント、リアルタイム、シーケンシング等として知られる技術による増幅された核酸の検出。使用される検出技術次第で、この工程によって、試験される標的核酸の選択的定量化が可能になり得る。
核酸の高感度かつ特異的な検出のために、特に可能な限り正確な診断を行うために、効率的な方法で細胞から核酸(DNA及びRNA)を抽出及び/又は単離することが必須であるように思われる。この第1の工程は診断試験の最終結果につながる一連の事象の質を決定づけるので、この抽出及び/又は精製工程は一般的に重要である。したがって、誤診につながり、患者にとって致命的となり得る情報を失わないように、できるだけ特異的かつ有効(量、純度、及び時間において)な核酸抽出物を有することが必要である。
様々な生物学的試料から核酸を抽出することを試みるために、多くの技術が開発されてきた。最も古い方法は:核酸を含有する細胞を濃縮する工程;これらの細胞を溶解する工程;タンパク質、膜、及び他の細胞成分を分離及び除去する工程;ならびに有機溶媒中での沈殿によって残りの核酸を精製する工程;から一般的になる多数の工程を含む。これらの技術は費用と時間がかかり、自動化することが不可能であることが多い。したがって、これらの技術は、迅速に結果を得るため、及び汚染や人的ミスの問題を回避するために自動化が必要な現行の慣行、特に患者の生存が脅かされる敗血症「血液感染」の場合には、もはや適していない。
より最近の核酸抽出技術は、細胞が特定の反応条件下で溶解され、放出された核酸が固相に結合する固相を使用する。現在の核酸抽出技術が、例えば、シリカでコーティングされた粒子である固相を利用することが非常に多いことは、当該技術分野において周知である。シリカは、塩濃度及びpHの特定の条件下で核酸を可逆的に吸着する特性を有し、このことは、シリカをこの目的に非常に適した材料にする。これらの技術は、例えば、Boomによる「迅速かつ簡便な核酸の精製方法」(”Rapid and simple method for purification of nucleic acids”, Journal of Clinical Microbiology,1990 p.495)、又は同著者による米国特許第5,234,809号に記載されている。
シリカでコーティングされた磁性粒子を使用することも知られている。粒子の磁性部分は、核酸の捕捉、洗浄、及び溶離の工程を容易にするために、及び自動化するために最も頻繁に使用されるが、これは単純な磁石がチューブ中の粒子の置換、及び洗浄工程のための上清の収集を可能にするためである。核酸の抽出収率は有意に改善される。これらの技術は、S.Berensmeierによる「核酸の分離及び精製のための磁気部分」(”Magnetic Partials for the Separation and Purification of Nucleic Acids”, Applied Microbial Biotechnology 2006 73 495−504)、I.J.Bruceによる「新しい分子検出システムの開発における磁性ナノ粒子の使用」(”The use of magnetic nanoparticles in the development of new molecular detection systems”, Journal of Nanosciences and Nanotechnology (2006), 6 (8) pp.2302−2311)、及びNing Sunらによる「シリカ被覆磁性粒子への核酸吸着の影響因子の最適化:血清からのウイルス核酸抽出への応用」(”Optimization of influencing factors of nucleic acid adsorption onto silica−coated magnetic particles: Application to viral nucleic acid extraction from serum”, Journal of Chromatography A, 2014, 1325, 31−39)によく記載されている。
本開示は、以下の基準のうちの1つ又は複数の基準を満たす核酸を抽出するための方法を提供することを目的とする。
1)実施の簡易性
2)様々なソースの生物学的試料での可能な実施
3)本質的に水性の媒体中における方法の実施
4)良好な抽出収率
5)抽出後の核酸の高い純度レベル
6)自動化の可能性
7)対象の配列の増幅及び/又は検出の工程(特に、in vitro診断試験の文脈において)のために十分な品質のDNA、及び/又は、
8)より信頼性の高い結果でより良い検出感度。
〔発明の概要〕
本開示は、タンパク質及び/又は多糖類を含む試料から核酸を抽出するための方法であって、前記方法は、前記試料を適切な固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程を含み、前記方法は、前記捕捉工程の前に、前記試料の前記タンパク質及び/又は前記多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための少なくとも1つの試薬で前記試料を処理する工程を含むことを特徴とする、方法に関する。1つの具体的な実施形態において、前記アミン官能基をマスキングするための前記試薬は、アシル化剤又はアルキル化剤から選択される。例えば、前記マスキング試薬は、以下の式(I)のアシル化剤から選択され、
Figure 2021518157
式中、Rは、オルガニル基、オルガニルオキシ基、又はオルガニルアミノ基であり、LGは、ハロゲン基、オルガニルオキシ基、及びオルガニルアミノ基からなる群から選択される脱離基である。
より具体的には、前記マスキング試薬は、活性化エステル、酸ハロゲン化物、クロロホルメート、無水物、活性化炭酸エステル、及びカルボニルジイミダゾールからなる群から選択されるアシル化剤であってよい。別の実施形態において、前記マスキング試薬は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水酪酸、又は無水安息香酸から選択される無水物である。
別の実施形態において、前記マスキング試薬は、ハロゲン化アルキル、ジアゾ化合物、及びアルデヒドからなる群から選択されるアルキル化剤である。
別の実施形態において、前記マスキング試薬は、カップリング剤と組み合わせて、前記タンパク質の前記カルボン酸官能基をマスキングするためのアミン、アルコール、及びチオールから選択される。カップリング剤の例として、カルボジイミド、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を挙げることができる。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、生物学的試料から核酸を抽出するための方法は、以下の工程、
a.例えば、前記生物学的試料を溶解緩衝液と接触させて配置することによって細胞を溶解する工程と、
b.前記試料の前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための前記試薬で溶解物を処理する工程と、
c.処理された前記溶解物を適切な固体担体、例えばシリカベースの担体と接触させて配置することによって前記核酸を捕捉する工程と、
d.必要に応じて、洗浄緩衝液で前記担体を洗浄する工程と、
e.必要に応じて、前記核酸を溶離する工程と、
を含む。
典型的には、上記に定義された方法において、前記固体担体は、シリカ粒子、特に磁性シリカ粒子からなってよい。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、前記生物学的試料は、血液、血漿、又は血清の試料である。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、前記捕捉工程は、カオトロピック剤の存在下で行われる。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、前記抽出方法は、タンパク質の除去のためのプロテアーゼの使用を含まない。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、前記核酸捕捉工程の前又は前記核酸捕捉工程中に有機溶媒を添加しない。有利には、100μLの試料当たり、前記核酸捕捉工程の前又は前記核酸捕捉工程中に、50μL未満、好ましくは10μL未満、さらにより好ましくは1μL未満の有機溶媒を添加する。
上記実施形態と組み合わされ得る1つの特定の実施形態において、前記方法は、特に、抽出された前記核酸の増幅によって、対象の核酸を検出するさらなる工程を含む。
本開示はまた、
i.上記に定義された前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための試薬と、
ii.前記核酸の抽出に適した固体担体、例えば、シリカベースの固体担体と、
iii.必要に応じて、前記試薬を使用して前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングする反応のための触媒と、
iv.必要に応じて、カップリング剤と、
を少なくとも含む核酸抽出キットに関する。
本開示はまた、ヌクレアーゼの阻害のための、上記に定義された前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための試薬の使用に関する。例えば、阻害される前記ヌクレアーゼは、例えば、生物学的試料中の核酸の増幅又は検出を目的として、前記生物学的試料の溶解によって得られた溶解物に含まれる。
〔定義〕
「抽出」とは、任意の試料から核酸を単離するための技術、例えば、真核細胞、原核細胞、ヒト動物細胞、微生物の細胞又は組織の細胞からのDNA及び/又はRNAの単離のための技術を意味すると理解される。したがって、本発明の意味における生物学的試料からの抽出は、一般に、細胞の溶解及び溶解物からの核酸の精製を含む。
精製自体は、適切な固体担体、好ましくはシリカベースの固体担体上での核酸の捕捉、洗浄、おそらくはそれに続く核酸の溶離を含む。捕捉は、固体担体上に核酸を吸着することからなり、溶離は、それが起こる場合、固体担体からの核酸の脱着又は放出からなる。
「試料」とは、核酸及び核酸の抽出を阻害する剤(タンパク質及び/又は多糖類等)を少なくとも含む、あらゆる種類の試料を意味すると理解される。試料は、食事、環境、ヒト、獣医学、又は化粧品由来の試料等、さまざまな起源を持ち得る。これらの試料はすべて、液体でなければ、液体の状態になるように前処理されている。したがって、抽出過程で使用される試料は液体の状態である。抽出過程で使用される試料は、好ましくは、固定されていない試料である。「固定されていない試料」とは、元の状態で保存されるように、処理されていない試料を意味すると理解される。試料の固定は、当業者に周知の技術であり、例えば、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド等のアルデヒドを用いて実施されてもよい。
食物由来の試料の例として、乳製品(ヨーグルト、チーズ等)、肉、魚、卵、果物、野菜、飲料(牛乳、フルーツジュース、ソーダ等)の試料が挙げられるが、これらに限定されない。もちろん、これらの食物由来の試料は、ソース又はより手の込んだ料理から、又は未処理もしくは部分的に処理された原材料からも得られてもよい。食物試料は、飼料ケーキ、肉及び骨粉等の、動物を対象とした飼料からも得られてもよい。
上述のように、試料は、環境由来のものであってもよく、例えば、表面サンプリング、水サンプリング等からなってもよい。
試料はまた、生体体液(尿、全血、又は血清若しくは血漿等の誘導体、痰若しくは唾液、膿、脳脊髄液等)、便(例えば、コレラ下痢)、鼻、喉、皮膚、創傷、器官、単離された組織又は細胞、スワブ検体、気管支肺胞洗浄又は検体、生検からの試料に対応し得る、ヒト又は動物由来の生物学的試料からもなってもよい。このリストは、明らかに網羅的ではない。
用語「試料」は、一般に、1つ又は複数の実体から分析のために収集された一部分又は量、より具体的には小さい部分又は少量を指す。この試料はあるいは、特に、最初の実体が固体状態にある場合、例えば、混合、希釈、又は破砕の工程を含む前処理を受けていてもよい。
一般に、分析された試料は、微生物の存在、患者の状態(例えば、免疫抑制、妊娠等)、又は検出、特性付け、若しくはモニターされる疾患を表す、少なくともいくつかの核酸を含有する可能性がある(又は含有することが疑われる)。
1つの特定の実施形態において、試料は、8未満、又は7未満の等電点を有するタンパク質を含む。特に、1つの特定の具体的な実施形態において、試料は、タンパク質である、ヒト血清アルブミン(HSA)、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、特にIgG、及びヘモグロビンのうちの少なくとも1つを含む。
「微生物」とは、細菌、真菌、酵母、原生動物、又はウイルスの一部又は全てを意味すると理解される。
「核酸」とは、一本鎖又は二本鎖形態である、ゲノムDNA、相補的DNA、メッセンジャーRNA、相補的RNA、転移RNA、ミトコンドリアRNA、葉緑体DNA、リボソームRNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA又はRNA、マイクロRNA、核小体低分子RNA(snoRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、RNAi、といった全てのタイプのDNA又はRNAを意味すると理解される。
「タンパク質」とは、ペプチド結合によって続けて連結されたアミノ酸残基の配列によって特性付けられる、少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む任意の分子を意味すると理解される。これには、特に、ペプチド及びポリペプチド、ならびに翻訳後又は他の修飾から生じる任意の修飾ポリペプチド又はその誘導体、特に酵素分解によるそれらの分解産物、リポタンパク質等が含まれる。
「適切な固体担体」とは、生物学的試料からの核酸の抽出に関与することができる任意の担体を意味すると理解される。1つの好ましい実施形態において、上記「適切な固体担体」は、シリカ又はその誘導体(ケイ酸塩、ガラス、有機基で修飾されたシリカ等)を含むかシリカ又はその誘導体からなり、磁性又は非磁性であり、なおかつ生物学的試料からの核酸の抽出に関与することができる担体である。また、上記「適切な固体担体」は、紙、セルロース、又は純粋なマグネタイト、又は核酸の抽出におけるそれらの使用について公知の他のポリマーをベースにした担体であり得る。上記「適切な固体担体」は、少なくとも平坦な担体、中空の担体、ウェーハ、針、膜、プレート、シート、コーン、チューブ、ファイバー、ビーズ、粒子等であってもよい。固体担体は、好ましくは、ビーズ又は粒子又は膜である。固体担体は、好ましくは磁性である。
生物学的試料から核酸を抽出するための方法の1つの実施形態において、この方法は、以下の工程、
a)例えば、生物学的試料を溶解緩衝液と接触させて配置することによって細胞を溶解する工程と、
b)溶解物のタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬で当該溶解物を処理する工程と、
c)処理された溶解物を適切な固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程と、
d)必要に応じて、洗浄緩衝液で担体を洗浄し、核酸を溶離する工程と、
を含む。
有利には、工程b)の直後に工程c)が続き、換言すれば、工程b)と工程c)との間に中間工程は存在せず、例えば、マスクされた官能基を脱保護する工程は存在しない。1つの特定の実施形態において、核酸を抽出するための方法は、マスクされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を脱保護する工程を含まない。
本開示はまた、適切な固体担体を使用して生物学的試料から核酸を抽出するための方法における、タンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬の使用に関する。
この方法の工程は、以下により詳細に説明される。
<溶解工程>
溶解工程は、核酸を放出するために試料細胞(細胞壁及び細胞膜)を破壊することを含む。細胞溶解のいくつかの方法がある。特に、機械的(例えば、ビーズ及び/又は研磨材料を用いる)、化学的又は酵素的細胞溶解、又は熱衝撃による細胞溶解を挙げることができる。
1つの具体的な実施形態において、試料を溶解緩衝液と接触させて配置することによって、細胞が化学的に溶解される。溶解緩衝液は、細胞膜を破壊するのに有効であるだけでなく、核酸を分解しないように十分穏やかでなければならない。
溶解緩衝液は、例えば、界面活性剤を含み得るとともに、必要に応じてキレート剤を含み得る。pHは、適切な緩衝液、例えばTris HClを用いて、任意選択で10〜100mMの濃度で、一般に4〜8、例えば6〜8に維持される。
界面活性剤は、Tween、Triton、SDS、及び0.05〜20%の濃度で一般的に使用される他の界面活性剤の中から選択され得る。
任意選択で、溶解緩衝液は、ヌクレアーゼの不活性化のための試薬、及び/又はタンパク質の除去のための試薬(例えば、プロテイナーゼK等のプロテアーゼ)を含む。酵母及び真菌の壁を消化するための溶解酵素(ヒドロラーゼ、ザイモラーゼ等)等の他の酵素も使用され得る。
1つの具体的な実施形態において、溶解緩衝液は、タンパク質を除去するための試薬、特にプロテアーゼを含まない。実際、本発明者らは、本開示による抽出方法において使用されるアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬が溶解物中に放出された可能性のあるヌクレアーゼの酵素活性の阻害も有利に可能にすることを明らかにした。
1つの具体的な実施形態において、溶解緩衝液はまた、カオトロピック剤を含む。カオトロピック剤は、水素結合、ファンデルワールス力、及び疎水性力等の弱い(非共有)分子内相互作用を阻害する。カオトロピック剤の中で、尿素、グアニジン塩(塩化グアニジニウム又はグアニジンチオシアナート等)、及び過塩素酸リチウムを挙げることができる。それらは、一般に、1〜6Mの範囲の濃度で、特にGuSCN及びGuHClについて使用される。
別の具体的な実施形態において、溶解緩衝液は、カオトロピック剤を含まない。
キレート剤は、EDTA又は類似の化合物等を、例えば5〜50mM、及び/又はDTT(ジチオトレイトール)又はTCEP(トリスカルボキシエチルホスフィン)又はβ−メルカプトエタノール等の還元性化合物を、例えば0.5〜100mMの濃度で添加することもできる。
溶解緩衝液はまた、アルコール(エタノール、イソプロパノール等)等の有機溶媒を含んでもよい。しかしながら、好ましい実施形態において、溶解緩衝液は有機溶媒を含まない。
溶解緩衝液を最適化する際には、試料の化学的特性を考慮しなければならない。例えば、試料(例えば、いくつかの土壌試料)の酸性度は、核酸を損傷し得るため、核酸の適正な収率を確実なものにするために中和され得る。試料を、核酸を損傷することなく細胞の溶解を可能にするのに十分な時間、例えば0〜15分間、溶解緩衝液と接触させる。
<マスキング試薬による試料又は溶解物の処理>
本開示による核酸を抽出するための方法の本質的な特徴は、試料のタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬で溶解物を処理する工程に関する。この処理工程は、溶解工程の後に、マスキング試薬を溶解物に添加することによって実施され得る。あるいは、マスキング試薬が溶解緩衝液中に直接含まれ、試料の溶解及び処理が同時に起こる。目的は、固体担体、好ましくはシリカベースの固体担体を使った抽出によって、収率に影響を及ぼしそうなタンパク質及び/又は多糖類の荷電官能基を中和することである。実際、以下の実施例において、本発明者らは、シリカ被覆粒子等の固体担体を用いる抽出方法において、抽出収率、特に生物学的試料のタンパク質及び/又は多糖類に対して、生体分子が及ぼす影響を実証した。タンパク質及び/又は多糖類は、特に、それらの荷電官能基、特にそれらのアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を介して、シリカビーズ及び/又は核酸と相互作用し得る。
本発明者らは、次いで、生体分子のこの阻害効果をブロックするために、これらの荷電官能基、特にタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬を使用するという考えを有した。したがって、「マスキング試薬」とは、これらのタンパク質及び/又は多糖類の極性、等電点、及び/又は電荷の特性を変化させるために、生物学的試料の溶解物中に存在するタンパク質及び/又は多糖類の少なくとも特定のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基と(好ましくは不可逆的に)反応することができる任意の化合物を意味すると理解される。マスキング試薬での処理により、荷電官能基、特にタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングすることが可能になる。しかし、1つの具体的な実施形態では、核酸はマスキング試薬によって修飾されない。反応条件、特にマスキング試薬の濃度は、核酸がマスキング工程中に修飾されないように選択することができる。1つの具体的な実施形態において、マスキング試薬又はカップリング剤の濃度は、マスキング試薬又はカップリング剤が存在する場合、0.01M〜1.8M、例えば、0.1M〜1.0M、例えば、0.2M〜0.6Mである。
1つの具体的な実施形態において、修飾タンパク質及び/又は多糖類のマスキングされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基は、本開示による核酸を抽出するための方法の持続時間を通してマスキングされたままである。この場合、核酸を抽出するための方法は、マスクされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を脱保護する工程を含まない。
1つの具体的な実施形態において、マスキング試薬は、アシル化剤又はアルキル化剤から選択され、タンパク質又は多糖類のアミン官能基をマスキングすることを可能にする。好ましくは、アシル化剤又はアルキル化剤は、水性媒体中でタンパク質又は多糖類のアミン官能基をマスクすることができなければならない。
典型的には、核酸を抽出するための方法において、マスキング試薬として使用され得るアシル化剤は、以下の式(I)を有し、
Figure 2021518157
式中、Rはオルガニル基、オルガニルオキシ基、又はオルガニルアミノ基であり、LGは脱離基である。
「脱離基」とは、アシル化反応中に、それが結合している炭素原子から分離する原子又は基を意味すると理解される。
一実施形態において、LGは、ハロゲン基、オルガニルオキシ基及びオルガニルアミノ基からなる群から選択される脱離基である。
1つの特定の実施形態において、マスキング試薬は、活性化エステル、酸ハロゲン化物、クロロホルメート、無水物、活性化炭酸エステル、及びカルボニルジイミダゾールからなる群から選択されるアシル化剤であってもよい。活性化エステルの中では、テトラ又はペンタフルオロフェニルアセテート、ニトロフェニルアセテート、ペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート、及びN−ヒドロキシスクシンイミドアセテート等のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを挙げることができる。酸ハロゲン化物の中では、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、又は安息香酸の塩化物などの酸塩化物を挙げることができる。クロロホルメートの中では、9−フルオレニルメチルクロロホルメート(Fmoc−Cl)を挙げることができる。無水物の中では、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水酪酸、無水安息香酸、無水マレイン酸、無水コハク酸又は無水フタル酸を挙げることができる。活性化炭酸エステルの中では、ジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO)を挙げることができる。
特に好適な実施形態において、マスキング試薬は、無水酢酸又はその乾燥形態、N−ヒドロキシスクシンイミドアセテートである。
別の具体的な実施形態において、アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、硫酸アリール、アリールジアゾメチル、トリアゼン、及びアルデヒドからなる群から選択され得る。ハロゲン化アルキルの中では、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、又は臭化メチルを挙げることができる。アリールジアゾメチル化合物の中では、メチルジアゾピリジン(WO2010012949A1)を挙げることができる。アルデヒドの中では、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドを挙げることができる。
一実施形態において、アシル化試薬又はアルキル化試薬は、当業者に公知の触媒と組み合わせて使用される。無水酢酸によるアシル化の場合、例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を触媒として使用することができる。
別の実施形態において、使用される試薬は、カップリング剤と組み合わせて、タンパク質及び/又は多糖類のカルボン酸官能基をマスキングするためのアミン、アルコール、及びチオールから選択される。カップリング剤は、活性化エステルを形成することによって、タンパク質及び/又は多糖類のカルボン酸官能基を活性化するために使用される。次いで、これらの活性化エステルは、アミン、アルコール、及びチオールから選択される求核剤と反応する。求核剤は、タンパク質及び/又は多糖類(タンパク質及び/又は多糖類のアミノ酸のアミン、アルコール、又はチオール)上に、又は求核性緩衝液(例えば、Tris)の場合のように媒体中に存在し得る。
カップリング剤は、例えば、カルボジイミドから選択することができ、その中で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を挙げることができる。カルボジイミドは、N−ヒドロキシスクシンイミド及びトリアゾールなどの他の試薬と組み合わせて使用してもよく、その中で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)を挙げることができる。
マスキング試薬はまた、タンパク質の反応性残基間の架橋を確立するために、(bis−アルデヒド、bis−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、bis−酸クロリド及びそれらの誘導体等の架橋化合物で)二官能化又は多官能化されてもよい。
例えば、無水酢酸などのアシル化剤は、0.01M〜1.8M、例えば0.1M〜1.0M、例えば0.2〜0.6Mの濃度で使用することができる。試料の処理に用いるマスキング試薬の濃度は、試料中のタンパク質及び/又は多糖類の濃度、使用するマスキング試薬、試料のソース、使用する溶解条件に応じて調整され得る。アシル化剤の濃度は、核酸と反応することなく、タンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基と反応するように選択され得る。
溶解物のインキュベーション時間は、又は溶解工程及び処理工程が同時である場合には溶解される試料のインキュベーション時間は、マスキング試薬の存在下において、一般に1秒〜30分であるが、好ましくは10分未満である。
一実施形態において、処理された溶解物の酸性度を制御する工程は、特に、処理された溶解物のpHが好ましくは5〜7となるために、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて実施される。この工程中に添加される水酸化ナトリウムの量は少なく、したがって、この工程は、捕捉工程の前にpHを制御することを可能にするのみであり、タンパク質及び/又は多糖類のマスクされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を脱保護する工程ではない。処理された溶解物の酸性度を制御するこの工程は任意であり、1つの特定の実施形態において、この工程は存在しない。
処理工程の終わりに、修飾タンパク質及び/又は多糖類を含む処理された溶解物が得られる。特に、タンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基の少なくとも一部は、処理後にマスクされ、好ましくは、核酸はマスキング試薬によって修飾されない。
<捕捉>
捕捉工程は、核酸の吸着(核酸の固相抽出)を可能にする条件下で、固体担体(例えば、シリカベースの固体担体)の存在下に処理された溶解物を配置することからなる。シリカベースの担体、例えばシリカビーズ又は粒子は、シリカ上での吸着によって保持された核酸を、他の細胞汚染物質(膜、マスキング試薬で処理されたタンパク質等)から分離することを可能にする。有利には、捕捉工程中、抗体は使用されない。
1つの具体的な実施形態において、捕捉工程は、試料又は溶解物をマスキング試薬で処理する工程の直後に行われる。この場合、マスキング工程と捕捉工程との間に中間工程は存在しない。特に、マスキング工程と捕捉工程との間、又は捕捉工程中に、マスクされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を脱保護する工程はない。好ましくは、捕捉工程中に、試料は、修飾タンパク質及び/又は多糖類(すなわち、マスキング試薬によってマスクされている)及び非修飾核酸(すなわち、マスキング試薬によってマスクされていない)を含む。
1つの具体的な実施形態において、十分な量のシリカビーズ又は粒子が、処理された溶解物に添加される。シリカビーズを用いるこの実施形態において、好ましくは、核酸の吸着を可能にする条件は、例えば、TRIS(Tris(ヒドロキシエチル)アミノメタン)塩、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、又はMES(モルホリノエタンスルホン酸)等の有機化合物の助けを借りて、pH4〜pH8の緩衝媒体中の塩化グアニジニウム又はグアニジンチオシアナート等のカオトロピック剤の存在を含む。
界面活性剤、好ましくは、Triton X100又はその類似物の1つ(Tergitol、Tween、Brij、Nonidet、Ecosurf等)を添加することも可能である。別の実施形態において、前記界面活性剤は、溶解緩衝液中に含まれる。シリカベースの担体は、好ましくはpH5.0〜pH8.0で負に荷電される。
1つの特定の実施形態において、カオトロピック剤又はアルコールは、固体担体上への吸着による捕捉工程中には使用されない。次いで、適切な担体、特にアミノ担体が使用される。
捕捉工程に使用可能なシリカビーズ又は粒子の例として、以下のキット、NucliSENS easyMAG Magnetic Silica(ビオメリュー)、Film Array(ビオメリュー/Biofire Diagnostic)、Qiasymphony kits(キアゲン)、及びMagnapure Kits(ロシェ)、に含まれる粒子を挙げることができる。
別の実施形態において、シリカベースの固体担体は、シリカ膜を有する抽出カラムである。例として、Purelink Genomic DNA Extraction Kit(インビトロジェン)及びDNeasy Blood and Tissue Kit(キアゲン)の名称で販売されているキットを挙げることができる。処理された溶解物をシリカ膜を有するカラム上に堆積させ、次いで、溶解物がカラムを通過するように遠心分離する。核酸は、カラム上に保持され、タンパク質、多糖類、及び他の細胞破片はカラムを通過する。
他のシリカベースの担体及び核酸の抽出のためのそれらの使用は、特に、以下の論文に記載されている。Cadyらによる「微細加工シリコン構造を使用する核酸精製」(”Nucleic acid purification using micro fabricated silicon structures”, Biosensors and Bioelectronics 19, 59−66 (2003))、A. Melzak、C. S. Sherwood, R. F. B. Tumer、C. A. Haynesによる「過塩素酸塩溶液中のシリカへのDNA吸着の駆動力」(”Driving Forces for DNA Adsorption to Silica in Perchlorate Solutions”, J Colloid and Interface Science 181, 635−64 (1996))、Tianらによる「小型化されたフォーマットで複雑な生物学的マトリックスからDNAを直接かつ効率的に抽出するためのシリカ樹脂の評価」(”Evaluation of Silica Resins for Direct and Efficient Extraction of DNA from Complex Biological Matrices in a Miniaturized Format”, Analytical Biochemistry 283, 175−191 (2000))、Wolfeらによる「核酸を単離するためのマイクロチップベースの固相抽出方法」(”Toward a microchip−based solid−phase extraction method for isolation of nucleic acids”, Electrophoresis 23, 727−733 (2002))。
別の実施形態において、磁性シリカ粒子が使用される。磁性シリカ粒子は、洗浄工程中、及び必要に応じて捕捉後の溶離工程中に、磁石によって保持することができる。この実施形態は、抽出プロセスの自動化に特に好ましい。使用できる磁性粒子の例として、NucliSENS easy MAG Magnetic Silica(ビオメリュー)という名称で販売されているキットが含まれる。
1つの特定の実施形態において、タンパク質及び/又は多糖類を含む固定されていない試料から核酸を抽出するための方法は、固定されていない試料を適切な固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程を含み、前記方法は、捕捉工程の前に、試料のタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための少なくとも1つの試薬で試料を処理する工程を含み、捕捉工程は、試料をマスキング試薬で処理する工程の直後に行われることを特徴とする。
<洗浄及び溶離>
捕捉工程の後、1つ又は複数の洗浄工程が洗浄緩衝液の存在下で実施され得、核酸を担体から分離することなく、汚染要素の除去を可能にする。洗浄工程は、例えば、適切な洗浄緩衝液、例えば、場合によってはアルコールを含有する低塩溶液中で洗浄する工程、及び/又は塩を除去するためにアルコールの存在下で洗浄する工程を含んでもよい。本発明の好適な実施形態において、少なくとも1つの洗浄工程が実施される。
必要であれば、次いで溶離工程を行ってもよい。溶離工程は、固体担体上に保持された核酸を放出することからなる。一般に、塩基性pH、例えばpH8〜pH10、及びTris又はホウ酸塩緩衝液等の低イオン強度の緩衝液が使用される。あるいは、捕捉工程及び洗浄工程の後、検出工程又は増幅工程に直接進む。この検出及び/又は増幅は、精製された核酸を捕捉した適切な固体担体上で、事前の溶離工程なしに直接実施される。好ましくは、これはビーズ又は粒子又は膜上で、より好ましくは磁性であってもよいし磁性でなくてもよい粒子上で行われる。
このようにして上記の方法(溶離工程の有無にかかわらず)によって精製された核酸は、特に、in vitroでの増幅及び検出の適用のために使用され得る。
<増幅及び/又は検出のさらなる工程>
本発明は、特に対象の核酸の増幅後に、(in vitro検出試験で)試料中の対象の核酸を検出する目的のための核酸の調製に特に適している。
したがって、本発明は、生物学的試料中の対象の核酸配列を検出するための方法に関し、前記方法は、
(i)対象核酸配列を含む可能性の高い生物学的試料から核酸を抽出する工程と、
(ii)抽出された核酸中の核酸配列を検出する工程と、
を含む。
1つの特定の実施形態によれば、検出工程(ii)は、対象の核酸配列を増幅する工程を含む。
したがって、本発明はまた、(i)上記の適切な担体上で核酸を抽出するための方法を実施する工程と、(ii)DNAポリメラーゼを使用して核酸を増幅する工程と、を含む、核酸を増幅するための方法にも関する。
本発明の方法の利点の1つは、増幅工程が捕捉工程の直後に行われ得ることである。核酸はマスキング試薬によって修飾されないので、増幅を進める前に核酸を脱保護する必要はない。
1つの具体的な実施形態において、増幅方法は、Taqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、T7ポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼのKlenow断片及び/又は逆転写酵素、又は任意の他のポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼを使用して実施される。
前述のものと組み合わせることができる別の実施形態において、増幅方法は、当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅である。PCRプロトコルは、例えば、20〜40サイクルを含み、各サイクルは、少なくとも(i)一般的に90℃〜95℃の温度で増幅されるDNAを変性させる段階、(ii)一般的に55℃〜65℃の温度で増幅されるDNAとプライマーとをハイブリダイズさせる段階、及び(iii)一般的に68℃〜75℃の温度で伸長させる段階を含む。
PCRによる核酸増幅法の変形例も実施することができる。特に、ネステッドPCR(Nested PCR)、定量的PCR(又はqPCR)、半定量的又はリアルタイムPCR、エラープロンPCR(error−prone PCR)、又は逆転写PCR(RT−PCR)を挙げることができる。LAMP、NASBA、TMA、RPA、LCR、RCR、3SR、RCA、SDA、又は当業者に公知の任意の核酸増幅技術等の他の増幅技術を実施することも可能である。
<核酸抽出キット>
本発明はまた、
i.前の段落に記載されたタンパク質及び/又は多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬(例えば、アシル化剤、好ましくは無水酢酸又はその乾燥形態、N−ヒドロキシスクシンイミドアセテート)、
ii.核酸の抽出に適した固体担体、
iii.必要に応じて、試薬を使用してアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングする反応のための触媒、及び/又は、
iv.必要に応じて、カップリング剤、
を少なくとも含む、核酸抽出キット又はセットに関する。
抽出キットは、緩衝液、コントロール、及び/又は使用説明書をさらに含み得る。
1つの具体的な実施形態において、抽出キットは、マスクされたアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基を脱保護するための試薬を含まない。
1つの具体的な実施形態において、抽出キットは、有機溶媒を含まない。
別の特定の実施形態において、キットは、以下の要素、
i.カップリング剤(例えばEDC)、
ii.核酸の抽出のための、シリカベースの適切な固体担体(例えばシリカビーズ、特に磁性シリカビーズ)、及び以下の任意の要素の少なくとも1つ:
iii.Tris又は別の求核性緩衝液を含む溶解緩衝液、
iv.1つ以上の洗浄緩衝液、及び/又は、
v.任意選択で溶離緩衝液、
vi.任意選択で触媒、
を含んでもよい。
1つの特定の実施形態において、キットは、シリカベースの固体担体としてシリカ膜を有するカラムを含む。
これらのキットは、特に、前の段落に記載された抽出方法を実施するために有用である。本開示による方法は、以下に詳述される実施例の助けを借りて、添付の図面を参照して、より良く理解されるであろう。
〔図面の簡単な説明〕
〔図1〕カオトロピック条件下での特定のタンパク質による固体担体上のDNA捕捉の阻害を示す図である。
〔図2〕カオトロピック条件下での特定の多糖類による固体担体上のDNA捕捉の阻害を示す図である。
〔図3〕モデル単官能性ポリマーによる固体担体上でのDNA捕捉の阻害を示す図である。
〔図4A〕easyMAG抽出キット(ビオメリュー)を使用した血液試料中に含まれる核酸の抽出、及び無水酢酸(Ac20)又は酢酸(AcOH)による溶解物の前処理(3MのGuHCl+1%のTriton中で捕捉し、エタノール洗浄する)を示す図である。〔図4B〕クロマトグラフィ分析による核酸の量の測定を示す図である。
〔図5〕無水酢酸にさらされているか、又はさらされていないDNA及びRNAの混合物の抽出溶出液のHPLC分析を示す図である。上図は、無水酢酸の存在下で、10μgのDNA及びRNAの混合物並びに5.2mgのタンパク質の抽出から得られた溶出液である。下図は、10μgのDNA及びRNAの混合物の抽出から得られた溶出液である。
〔図6〕PCRによる血液中のCMVウイルス核酸のリアルタイム増幅の蛍光検出(RFU)の曲線を示す図である。図6の曲線は、それぞれ、生物学的マトリックスを用いずに抽出した後行ったコントロール増幅(三角印)、無水酢酸による処理をせずに生物学的マトリックスを用いた増幅(X印)、及び無水酢酸による処理をして生物学的マトリックスを用いた増幅(丸印)に対応する。
〔図7〕抽出前の無水酢酸Ac2Oでの処理の有無にかかわらず、血液中のCMVウイルスの検出感度(Ct)を示す図である。左側はTris HCl中のCMVの104コピー、中央は血液中のCMVの104コピー、右側は血液中のCMVの104コピー+Ac2Oを示す。
〔図8〕ヒト血清アルブミン及びヘモグロビンの混合物の存在下での、シリカ膜を有するカラム上での、Ac2Oで処理した場合と処理しない場合のDNAの抽出を示す図である。左側(暗灰色)はAc2Oで処理しない場合を示し、右側(明灰色)はAc2Oで処理した場合を示す。
〔図9〕完全なオリゴヌクレオチド(A)、ヌクレアーゼP1の存在下での同じオリゴヌクレオチドであって、分解されたオリゴヌクレオチド(B)、及びヌクレアーゼP1及び無水酢酸の存在下での同じオリゴヌクレオチドであって、ヌクレアーゼのアシル化に起因するオリゴヌクレオチドのはるかに良好な安定性を示すオリゴヌクレオチド(C)に対応するクロマトグラムを示す図である。
〔実施例〕
<一般的条件>
後述の実施例において使用される化合物の分析のための一般的条件を以下に示す。
LC−MS分析を、PDA 996光ダイオードアレイ検出器(Waters)、ZQ 2000質量分析検出器(Waters)、及びEmpower software version 2を搭載した、WATERS Alliance 2795 HPLCシステムを用いて行った。ZQ 2000質量分析器は、エレクトロスプレーイオン化源を有する。イオン化は、コーン電圧が20V及びキャピラリ電圧が3.5kVである正のモードで行った。
HPLC分析に使用した条件は、以下の通りであった(条件A及びB)。
Figure 2021518157
<実施例1a:固体担体(pH7で使用される磁性シリカ粒子)上での核酸の捕捉のための血液からのタンパク質化合物の阻害効果の実証>
シリカベースの固体担体上での核酸の抽出の性能を改善することを試みるために、本発明者らは、第1の工程は捕捉工程の性能を高めることを試みることである、と想定した。
捕捉工程における核酸の抽出に対する血液中で最も代表される化合物の阻害効果を実証するために、4MのGuHCl、50mMのTris(pH7)中の23μgの核酸(サケ精子DNA 20Kb)を含有する200μlの溶液を調製した。
核酸の抽出条件下で起こるようなカオトロピック条件下で細胞溶解物をシミュレートするために、この混合物にタンパク質の量を増やして添加した(0〜300μg)。
各実験について、磁性シリカ粒子(水中20mg/mlで50μl、1mg、easyMAG、ビオメリュー、Marcy−l’Etoile、フランス)を添加し、3分間撹拌した後、260nmでの紫外線分光法によってDNAの残量を測定した。導入された核酸の量及び吸着された量を知ることにより、粒子上に吸着されたDNAの量、したがって捕捉収率を計算することが容易になる。ネガティブコントロールを、DNA及びタンパク質の溶液に対して毎回行った。曲線は、阻害剤を含まない参照に対して正規化される。
図1において、DNA捕捉は、例えば、100μgのHSA(ヒト血清アルブミン)の場合に完全に阻害されるまで、数μgのタンパク質が添加されるとすぐに劇的に減少することが分かる。
阻害効果は、タンパク質の等電点に部分的に関連していると思われる。それぞれ阻害の順序で、等電点は、ヒト血清アルブミン(HSA)は4.8であり、フィブリノーゲンは5.8、ヘモグロビン及び免疫グロブリンは7、リゾチームは11.3である。生体分子がより酸性であればあるほど、それらはDNA捕捉とより競合する。しかしながら、酸性基は最も競合的であるが、アミン基もまた競合的であることに注意すべきである(この主題については実施例2を参照のこと)。
したがって、この実施例は、核酸の抽出収率、特に負及び正に荷電したタンパク質化合物の抽出収率に対する、血液からの化合物の阻害効果を実証する。最も競合的な化合物は、血液中に大量に存在する化合物(ヒト血清アルブミン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、及びヘモグロビン)であることが分かる。
<実施例1b:固体担体(pH7で使用される磁性シリカ粒子)上での核酸の捕捉のための多糖類化合物の阻害効果の実証>
実施例1aの実験は、タンパク質の代わりに、正又は負に荷電した多糖類等の他の化合物を用いて行った。ここで再び、核酸の抽出収率に対する多糖類の阻害効果(図2参照)が実証される。
<実施例2:固体担体上の核酸の捕捉の阻害に対するタンパク質の電荷及び化学組成の役割>
固体担体上での核酸の捕捉の阻害現象をより良く理解するために、実施例1に記載したものと同じ実験を実施したが、対応するタンパク質の代わりにポリカルボン酸、ポリアミン、又はポリアルコールのモデル化合物を使用した(図3)。ポリカルボン酸は、ポリアミンよりも阻害性が高く、ポリアルコール又は中性化合物よりもはるかに阻害性が高いことが非常に明確に分かる。
DNAの捕捉を50%阻害するためには、これらの化合物が約10μg必要である。これは、実施例1のタンパク質又は実施例1bの多糖類で以前に観測されたことと一致する。
したがって、生物学的試料中の核酸の捕捉に対するタンパク質及び多糖類のアミン官能基及びカルボン酸官能基の阻害効果は、明らかに非常に顕著である。例えば、血液試料は、200〜500mg/mlのタンパク質を含み得る。したがって、200mlの血液からの核酸抽出の実際の条件下では、試料は核酸の捕捉を「阻害する」化合物を少なくとも40〜100mg含み得る。
<実施例3:核酸抽出、DNA溶離収率、及び抽出したDNAの純度に対する高いタンパク質濃度の阻害効果(pH7で使用した磁性シリカ粒子)>
タンパク質の競合効果は前の実施例の条件下で既に顕著にマイナスであるが、これらの条件は、200μlの血液によって実際に提供されるタンパク質の量(約50mg)よりはるかに少ない。より現実に近づけるために、本発明者らは、今回、5mgのタンパク質(免疫グロブリン、HAS、及びヘモグロビンの、実際の血液試料中に見出され得る濃度と同様の濃度の混合物)に相当するものを、200μlの溶解溶液に添加するか、又は添加しない別の実験を実施した。
溶解溶液は、それぞれ:3MのGuHCl若しくはGuSCN、50mMのTris(pH7)、1%のTriton X100;又は3Mに希釈したeasyMAG溶解緩衝液(ビオメリュー、Marcy−l’Etoile、フランス);200μl中の、23μgのDNAに相当する。
これらの溶液に、1mgの磁性シリカ粒子(easyMAG、ビオメリュー、Marcy−l’Etoile、フランス)を添加する。全DNA抽出収率は、溶出液に含まれる核酸の260nmでの紫外線分光光度法による測定によって、すなわち、磁性シリカ粒子上に捕捉し、easyMAG「洗浄緩衝液2」洗浄試薬で粒子を洗浄し、70℃で5分間、easyMAG「溶離緩衝液3」溶離試薬で溶離した後に、測定される。
Figure 2021518157
先の実施例と同様に、抽出収率の急激な低下が観測される。溶解条件にかかわらず、DNA抽出収率(捕捉、洗浄、溶離)は、タンパク質が媒体に添加される場合、約60%から6%未満に低下する。
タンパク質の存在は、最終溶出液中のタンパク質汚染を表す260/280比率を平均で2から1.6未満に低下させる(表1参照)ので、抽出された核酸の純度にも大きく影響する。したがって、これは、溶出液中の非常に高いタンパク質濃度を反映する。
この実験は、タンパク質化合物、特に血液のタンパク質化合物が標準的な抽出において見られるものと同様の濃度で使用され、競合効果のために、核酸の捕捉に対して非常に強い影響を有することを明らかに実証する。結果として、核酸の全体的な抽出収率及び純度が影響を受ける。
<実施例4:高濃度のタンパク質の存在下でアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための試薬を使用することによるDNA抽出収率の増加(pH7の磁性粒子の使用)>
本発明者らは、磁性シリカ粒子と接触させる前に、今度は無水酢酸又はEDCによる処理を加えて、上記実施例3に記載したものと同じ実験を行った。
そうするために、23μgのDNA(2.3g/lのDNA 10μl)を:GuHCl若しくはGuSCN、50mMのTris(pH7)、1%のTriton X100;又は3Mのカオトロピック塩での抽出中に見られるような濃度のeasyMAG溶解緩衝液;の溶液200μl中で、5000μgのタンパク質(50mMのTris−HCl(pH7)中に150g/lのHb、50g/lのHAS、及び3g/lのフィブリノーゲンを実際の血液試料に見られるものと同様の濃度で含む混合物25μl)とインキュベートする。
溶液中で0.3Mに達するのに十分な無水酢酸又はEDCを添加する。
これを5分間反応させ、10Mの水酸化ナトリウム数μlで中和してpH7(無水酢酸のみの場合)に戻し、1mgの磁性シリカ粒子を添加し、これを15分間撹拌しながらインキュベートしてから、実施例3に記載のように精製核酸を洗浄及び溶離する。
全抽出収率を、最初の23μgのDNA及び溶出液中で得られた核酸の量に対して計算する。アッセイは、260nmでの紫外線分光光度法によって行う。
表2において、抽出中のタンパク質の存在は、DNA抽出収率及びその260/280nm比率をかなり減少(条件にかかわらず、およそ60%から5%へ、及び2から1.6へ)させることが示された。しかし、磁性シリカ粒子を添加する前に、溶解物を無水酢酸又はEDC(それぞれ下記の表2のAc2O又はEDC)とプレインキュベートすると、量(約20%)及び純度(約1.8)の両方でDNA抽出性能が有意に回復する。
これは、核酸を抽出するための典型的なプロトコルにおいて見られるものと同様の条件下で、固体担体を介するDNA抽出に対する事前のタンパク質マスキングの有益な効果を実証する。
一般に、GuHSCNは、GuHClよりも高い変性力を有し、タンパク質の存在下でのより良好なDNA捕捉収率を可能にする。しかしながら、LB中のEDTAの存在は、260/280比率を減少させるが、LB中にも存在するTriton X−100は非常に有益な効果を有する。
Figure 2021518157
<実施例5:血液中の核酸の抽出収率の改善(pH7の磁性粒子による抽出)>
実際の生物学的試料を用いた試薬によるタンパク質マスキングの有益な効果を実証するために、本発明者らは、磁性シリカ粒子(ビオメリュー)、及び溶解工程のために3MのGuHCl、50mMのTris HCl(pH7)、1%のTriton、洗浄のために50%エタノール中の50mMのTris HCl(pH7)、及び最終溶離のためにEasyMAG EB3緩衝液(ビオメリュー)を使用する、わずかに改変されたプロトコルを使用することによって、200μlの血液から核酸を抽出した。
溶解工程の間、血液試料を0.3Mの無水酢酸又は0.3Mの酢酸で5分間処理した後、数μlの水酸化ナトリウムを添加することによって中和した(未処理の参照試料との比較)。
この処理に続いて、磁性粒子を添加し、溶解物をサプライヤ(ビオメリュー)の抽出プロトコルに従ってeasyMAGに入れた。血液中に存在する核酸の量を、紫外線分光光度法(Nanodrop、Thermofischer)によって測定した。図4Aでは、マスキング試薬を使用するプロトコルが血液試料に対しても機能することが注目に値する。使用される条件下では、無水酢酸での処理を行わない場合、0.7μgの核酸(0.9純度)しか得られず、一方、無水酢酸での処理を行った場合、5μgを超える核酸(1.9を超える純度)が得られる。コントロール実験では、酢酸での処理は改善を示さない。これは無水酢酸の効果がそのアシル化力に関連していることを示す。実際、酢酸はアシル化剤ではなく、タンパク質の反応性官能基をマスキングすることができない。
260/280比率を歪め得る、核酸と共抽出された多数の化合物が存在し得る。生物学的試料からの抽出から生じる溶出液の光学密度を測定するために紫外線分光光度法を使用する中での固有の誤差を排除するために、本発明者らは、これらの溶出液を、ヌクレアーゼP1及びアルカリホスファターゼによる完全な加水分解に供した。
加水分解物を、タンパク質干渉を有さないようにHPLCによって分析し、ヌクレオシド(DNA及びRNA)に対応する領域を、ヌクレオシドに対応するクラスタの積分によってクロマトグラム中で測定した。得られた結果は、事前に無水酢酸で処理された血液試料が未処理試料又は酢酸で処理された試料(非アシル化)よりも12倍多い核酸を含有することを示す(図4B)。
<実施例6:血液中の核酸の抽出収率の改善(pH5.5のシリカベースの磁性粒子による抽出)>
実施例5に記載したものと同じ実験を行ったが、核酸についての抽出条件(異なる緩衝液)を変更して行った。
血液溶液133μLに、237μLの溶解緩衝液(6MのGuHCl、15%のTriton、AcONa、pH5.5)と6μL、12μL、又は24μLのAcOを加える。25℃及び500rpmのサーモミキサー中で3〜5分間撹拌しながら媒体をインキュベートした後、必要に応じて数μlの10MのNaOHを加えてpHを5.5に調整する。例えば、3μL、4.5及び6.8μLのNaOHを、それぞれ6μL、12μL及び24μLのAc2Oに加える。核酸を抽出するために、溶解物を磁性シリカ粒子に加える。洗浄溶液(70μlのWash Buffer IX、3回)は、1400rpm、70℃で5分間撹拌しながら、70μlのTris HClの溶液中で行う溶離工程の前に行われる。溶解物は、抽出された核酸の量を決定するために、実施例5に記載されるような核酸の加水分解酵素の作用に供される。得られた結果は、血液の存在下でマスキング試薬(無水酢酸)を加えることにより、抽出された核酸の量が2倍になることが可能になることを示す。
約6μlの純粋な無水酢酸での、これらの条件下で、最適条件が見られる。この濃度で、及び溶解緩衝液中に15%のTritonが存在する場合、溶離される核酸の量は、全体として2倍になる。比率rA/(rA+dA)は、RNAが主に溶出液中では70%で存在するのに対し、ナノ粒子上では10%で存在することを示しており、これはRNAが優先的に溶離されることを示している。
<実施例7:本開示による方法の条件下でのDNAの無水酢酸での処理は、ヌクレオシドの化学構造を変化させない>
核酸に対する無水酢酸の反応選択性を実証するために、本発明者らは以下の実験を行った。
0.6Mの無水酢酸(24μl)の存在下で、3.3MのGuHCl、50mMのTris HCl(pH7)の360μl中の92mgのDNAの混合物を10分間インキュベートした後、限外濾過ユニット(Ultracel YM−50)でDNAを精製して、部分的に紫外線吸収体である無水酢酸を除去した。次いで、この試料を、ヌクレアーゼP1及びアルカリホスファターゼの混合物で完全に溶解させた後、HPLC(条件A)によって分析した。得られた結果は、DNA加水分解物が、無水酢酸が存在するか否かにかかわらず、全く同じプロファイルを有することを示す。予想されるヌクレオシドのみが検出され、アシル化ヌクレオシドは検出されない。質量分析によるアシル化ヌクレオシドの調査を行っても、これらの生成物を発見することはなかった。これらの結果は、無水酢酸とのアシル化反応が実際に選択的であり、抽出された核酸に影響を及ぼさないことを示す。
<実施例8:核酸抽出条件下における無水酢酸での処理中、DNA及びRNAの構造が影響を受けないことの実証>
実施例7と同じ実証を、今回は、無水酢酸の存在下又は非存在下に置かれ、次いで磁性シリカ粒子で抽出されたDNA及びRNAの混合物を使用して行った。これらの溶出液の酵素的加水分解は、無水酢酸の作用後にヌクレオシドの化学修飾がないことを明白に確認した(図5参照)。したがって、このように抽出された核酸は、PCRによって、又は遺伝物質の酵素的増幅のための任意の他の反応によって、増幅可能であるはずであると結論付けることができる。
<実施例9:血液試料の無水酢酸処理は、より感度の高いCMVウイルスの検出を可能にする>
10e4コピーの量のCMVウイルス(培養中のサイトメガロウイルス)を含有する血液試料200μlを、800μlの溶解緩衝液(6MのGuHCl、15%のTriton、AcONa、pH5.5)に加え、これに、9mlの純粋な無水酢酸、及び任意選択で1μlの10MのNaOHを、数分間の反応後に加える。
無水酢酸での前処理がない血液でコントロールを作製し、及び10e4コピーのCMVを含有し63μlのTris HCL(pH7)に対応する、非血液のコントロールを別に作製し、次いで237μlの溶解緩衝液と混合される。
次いで、溶解物に含まれる核酸を、実施例6に記載されるように抽出して精製する。次いで、溶出液を、RGene CMVキット(キット:CMV 69−003B、ロット:1005408010、ビオメリュー、Marcy−l’Etoile、フランス)及びサーマルサイクラー(CFX96 TouchTM BioRad)を用いてリアルタイムPCR増幅に供し、PCRサイクル数(Ct)で表現される、抽出された核酸に対する検出感度を決定することを可能にする。この数は核酸の濃度の関数であり、低いほど、核酸の初期濃度が高いため、病原体の核酸をより検出しやすくなる。各Ctの間には10の倍率がある(対数目盛)。
図6の曲線は、それぞれ、生物学的マトリックスを用いずに抽出した後行ったコントロール増幅(三角印)、無水酢酸による処理をせずに生物学的マトリックスを用いた増幅(X印)、及び無水酢酸による処理して生物学的マトリックスを用いた増幅(丸印)に対応する。したがって、PCRサイクル数は、CMVウイルスが生物学的マトリックスなしで抽出された場合、34Ctであり、次いで、血液を含む試料から同量の核酸が抽出された場合、38Ctに上昇する。これは、生物学的マトリックス中に含まれる阻害剤が最初の核酸の99.9%を超える損失の原因であることを示す。Ct数は34に戻り、これは、試料が予め無水酢酸で処理されている場合のマトリックスのない試料と同等である。これらのデータは、生物学的マトリックスの存在下での検出感度の顕著な改善を示す。
図7は、Ctをさらに明確にして、図6を別の形で表現したものである。
<実施例10:無水酢酸を使用することによる、高いタンパク質濃度の存在下での核酸の抽出の改善(シリカ膜を有する抽出カラムの使用)>
この実施例では、本発明者らが、無水酢酸がシリカ膜を有する抽出カラム等の他の抽出技術においても興味深いことを実証するために、磁性シリカ粒子とは異なる核酸抽出媒体を使用した。
10μgのサケ精子DNA(20kB)を、3MのGuHCl、50mMのAcO−Na(pH5.5)、及び30%エタノールの溶液300μl中で、ヘモグロビン及びヒト血清アルブミンの混合物の濃度を0、300、600、1200、1800、及び2400μgのレベルで増加させながら(ヘモグロビン/HSAの比は3:1で)、混合する。
この混合物を、サーモミキサー中で撹拌しながら、6μlの無水酢酸で数分間(10)処理するか、又は処理しない。
混合物を1μlの5MのNaOHで中和し、pHを5.5に戻す。
混合物をQiaQuickカラム(Qiagen、Heiden、ドイツ)上に堆積させ、13200rpmで6分間遠心分離する。
カラムを、13200rpmで3分間遠心分離しながら、200μlの50mMのMES(pH5.5)/80%エタノールで3回洗浄する。
次いで、固定された核酸を、200μlの3mMのホウ酸緩衝液(pH8.5)を用いて最初に溶離し、次いで、この溶液を再び通過させて、全ての核酸を溶離する。
溶出液を酵素的加水分解に供し、次いで抽出された核酸をクロマトグラフィ分析によって定量する。
図8において、試料が無水酢酸に供された場合に抽出されたDNAの量の有意な改善を確認することができる。
<実施例11:本発明による無水酢酸の使用によってヌクレアーゼの阻害も可能になることの実証>
60塩基のモデルオリゴヌクレオチド(1nmol)を、48μlの水及び48μlの500mMのMES(pH4.7)中の0.01ユニットのヌクレアーゼP1と接触させながら、6μlの純粋な無水酢酸を添加するか、又は添加しないで配置する。結果を図9に示す。無処理のコントロールオリゴヌクレオチド(クロマトグラムA)と比較して、無水酢酸が存在しない場合、オリゴヌクレオチドはヌクレアーゼにより直ちに加水分解される(クロマトグラムB)。一方、無水酢酸が添加された場合、オリゴヌクレオチドの分解はほとんどない(クロマトグラムC)。したがって、これは、無水酢酸がヌクレアーゼをアルキル化することによってヌクレアーゼの不活性化を可能にすることを実証する。
<実施例12:試薬がカオトロピック条件下でタンパク質と選択的に反応し得ることの実証(無水酢酸の場合)>
図10及び図11は、溶解条件(3MのGuHCl又は3MのGuSCN、50mMのTris HCl(pH7))下での0〜1.8Mの無水酢酸による25mg/mlでのHSA又はヘモグロビンのアセチル化のHPLCモニタリング(条件B)を示す。5分間の反応後、無水酢酸の濃度に応じて、タンパク質に対応するクラスタが広がり、右に移動することがわかる。このことは、そのアシル化の結果、タンパク質がより疎水性になっていることを示している。HSAの場合では、1.2M前後の濃度に達すると、保持時間はこれ以上変化しない。これは、タンパク質の全ての求核性基が反応したことを意味する。ヘモグロビンアセチル化をモニタリングするクロマトグラムでは、ヘムはアセチル化によって修飾されず、その保持時間にいかなる変化も受けないことに注意されたい。
したがって、無水酢酸は、溶解条件下、及びTris等の求核性化合物の存在下で、タンパク質上で迅速かつ効率的に反応し得ることが示される。
無水酢酸が水性媒体中でタンパク質をアセチル化できるが、選択的であるという事実は、無水酢酸との反応の大部分が有機溶媒中で表されているので、本当に驚くべきことである。加水分解する可能性のある水、Tris、及びグアニジンの存在により、無水酢酸が低濃度でタンパク質と反応し得ることは明らかではなかった。
カオトロピック条件下での特定のタンパク質による固体担体上のDNA捕捉の阻害を示す図である。 カオトロピック条件下での特定の多糖類による固体担体上のDNA捕捉の阻害を示す図である。 モデル単官能性ポリマーによる固体担体上でのDNA捕捉の阻害を示す図である。 easyMAG抽出キット(ビオメリュー)を使用した血液試料中に含まれる核酸の抽出、及び無水酢酸(Ac20)又は酢酸(AcOH)による溶解物の前処理(3MのGuHCl+1%のTriton中で捕捉し、エタノール洗浄する)を示す図である。 クロマトグラフィ分析による核酸の量の測定を示す図である。 無水酢酸にさらされているか、又はさらされていないDNA及びRNAの混合物の抽出溶出液のHPLC分析を示す図である。上図は、無水酢酸の存在下で、10μgのDNA及びRNAの混合物並びに5.2mgのタンパク質の抽出から得られた溶出液である。下図は、10μgのDNA及びRNAの混合物の抽出から得られた溶出液である。 PCRによる血液中のCMVウイルス核酸のリアルタイム増幅の蛍光検出(RFU)の曲線を示す図である。図6の曲線は、それぞれ、生物学的マトリックスを用いずに抽出した後行ったコントロール増幅(三角印)、無水酢酸による処理をせずに生物学的マトリックスを用いた増幅(X印)、及び無水酢酸による処理をして生物学的マトリックスを用いた増幅(丸印)に対応する。 抽出前の無水酢酸Ac2Oでの処理の有無にかかわらず、血液中のCMVウイルスの検出感度(Ct)を示す図である。左側はTris HCl中のCMVの104コピー、中央は血液中のCMVの104コピー、右側は血液中のCMVの104コピー+Ac2Oを示す。 ヒト血清アルブミン及びヘモグロビンの混合物の存在下での、シリカ膜を有するカラム上での、Ac2Oで処理した場合と処理しない場合のDNAの抽出を示す図である。左側(暗灰色)はAc2Oで処理しない場合を示し、右側(明灰色)はAc2Oで処理した場合を示す。 完全なオリゴヌクレオチド(A)、ヌクレアーゼP1の存在下での同じオリゴヌクレオチドであって、分解されたオリゴヌクレオチド(B)、及びヌクレアーゼP1及び無水酢酸の存在下での同じオリゴヌクレオチドであって、ヌクレアーゼのアシル化に起因するオリゴヌクレオチドのはるかに良好な安定性を示すオリゴヌクレオチド(C)に対応するクロマトグラムを示す図である。 図10及び図11は、溶解条件(3MのGuHCl又は3MのGuSCN、50mMのTris HCl(pH7))下での0〜1.8Mの無水酢酸による25mg/mlでのHSA又はヘモグロビンのアセチル化のHPLCモニタリング(条件B)を示す。 図10及び図11は、溶解条件(3MのGuHCl又は3MのGuSCN、50mMのTris HCl(pH7))下での0〜1.8Mの無水酢酸による25mg/mlでのHSA又はヘモグロビンのアセチル化のHPLCモニタリング(条件B)を示す。

Claims (19)

  1. タンパク質及び/又は多糖類を含む試料から核酸を抽出するための方法であって、
    前記方法は、前記試料を適切な固体担体、例えばシリカベースの固体担体と接触させて配置することによって核酸を捕捉する工程を含み、
    前記方法は、前記捕捉工程の前に、前記試料の前記タンパク質及び/又は前記多糖類のアミン官能基及び/又はカルボン酸官能基をマスキングするための少なくとも1つの試薬で前記試料を処理する工程を含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記アミン官能基をマスキングするための前記試薬は、アシル化剤又はアルキル化剤から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記マスキング試薬は、以下の式(I)のアシル化剤から選択され、
    Figure 2021518157

    式中、Rは、オルガニル基、オルガニルオキシ基、又はオルガニルアミノ基であり、LGは、ハロゲン基、オルガニルオキシ基、及びオルガニルアミノ基からなる群から選択される脱離基である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記マスキング試薬は、活性化エステル、酸ハロゲン化物、クロロホルメート、無水物、活性化炭酸エステル、及びカルボニルジイミダゾールからなる群から選択されるアシル化剤である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記マスキング試薬は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水酪酸、又は無水安息香酸から選択される無水物である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記マスキング試薬は、ハロゲン化アルキル、ジアゾ化合物、及びアルデヒドからなる群から選択されるアルキル化剤である、請求項1又は2に記載の方法。
  7. 前記マスキング試薬は、カップリング剤と組み合わせて、前記タンパク質の前記カルボン酸官能基をマスキングするためのアミン、アルコール、及びチオールから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  8. 前記カップリング剤は、カルボジイミド、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)から選択され得る、請求項7に記載の方法。
  9. 生物学的試料から核酸を抽出するための、先行する請求項の何れか一項に記載の方法であって、以下の工程、
    a.例えば、前記生物学的試料を溶解緩衝液と接触させて配置することによって細胞を溶解する工程と、
    b.前記試料の前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための前記試薬で溶解物を処理する工程と、
    c.処理された前記溶解物を適切な固体担体、例えばシリカベースの固体担体と接触させて配置することによって前記核酸を捕捉する工程と、
    d.必要に応じて、洗浄緩衝液で前記担体を洗浄する工程と、
    e.必要に応じて、前記核酸を溶離する工程と、
    を含む、方法。
  10. 適切な前記固体担体は、シリカ粒子、特に磁性シリカ粒子からなる、先行する請求項の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記生物学的試料は、血液、血漿、又は血清の試料である、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記捕捉工程は、カオトロピック剤の存在下で行われる、請求項9〜11の何れか一項に記載の方法。
  13. 前記方法は、タンパク質の除去のためのプロテアーゼの使用を含まない、請求項9〜12の何れか一項に記載の方法。
  14. 前記核酸捕捉工程の前又は前記核酸捕捉工程中に有機溶媒を添加しない、請求項9〜13の何れか一項に記載の方法。
  15. 前記方法は、特に、抽出された前記核酸の増幅によって、対象の核酸を検出するさらなる工程を含む、請求項9〜14の何れか一項に記載の方法。
  16. i.請求項1〜8の何れか一項に記載された前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための試薬と、
    ii.核酸の抽出に適した固体担体、例えば、シリカベースの固体担体と、
    iii.必要に応じて、前記試薬を使用して前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングする反応のための触媒と、
    iv.必要に応じて、カップリング剤と、
    を少なくとも含む、核酸抽出キット。
  17. 前記マスキング試薬は、無水酢酸又はその乾燥形態、N−ヒドロキシスクシンイミドアセテートである、請求項16に記載の核酸抽出キット。
  18. ヌクレアーゼの阻害のための、請求項1〜8の何れか一項に記載された前記タンパク質及び/又は前記多糖類の前記アミン官能基及び/又は前記カルボン酸官能基をマスキングするための試薬の使用。
  19. 前記ヌクレアーゼは、例えば、生物学的試料中の核酸の増幅及び/又は検出を目的として、前記生物学的試料の溶解によって得られた溶解物に含まれる、請求項18に記載の使用。
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