JP2021516544A - メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込むDNAポリメラーゼ - Google Patents

メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込むDNAポリメラーゼ Download PDF

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Abstract

対応する非修飾のポリメラーゼと比較して、メチル化dNTPを組み込む能力が向上したDNAポリメラーゼを開示する。前記ポリメラーゼは、開示の様々なプライマー伸長方法に有用である。組換え核酸、ベクター、および宿主細胞を含む関連の組成物も開示し、これら組成物は、例えば、前記DNAポリメラーゼの生成に有用である。さらに、前記改良DNAポリメラーゼを含むキットおよび反応混合物、ならびに前記改良DNAポリメラーゼを使用するプライマー伸長の方法を開示する。

Description

本発明は、メチル化ヌクレオチド(例えばデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))の効率的かつ効果的な組み込みを含む活性が向上したDNAポリメラーゼ、ならびに核酸ポリヌクレオチドの伸長および増幅を含む様々な用途にこのポリメラーゼを使用する方法を提供する。さらに、メチル化ヌクレオチド(例えばdNTP)の効率的かつ効果的な組み込みを含む活性が向上したDNAポリメラーゼ、およびそれらの反応混合物、ならびにDNAポリメラーゼをコードする核酸を含むキットも提供する。
DNAポリメラーゼは、ゲノムの複製および維持という各世代にわたって遺伝子情報を正確に伝達する中心的な役割を果たす。DNAポリメラーゼは、DNAの合成に関与する酵素として細胞内で機能する。これらは、Mg2+などの金属活性剤の存在で、複製されるDNA鋳型またはポリヌクレオチド鋳型により決められた順序に沿って、デオキシリボヌクレオシド三リン酸を重合させる。生体内では、DNAポリメラーゼは、DNA複製、DNA修復、組換え、および遺伝子増幅などの様々なDNA合成工程に関与する。それぞれのDNA合成工程中に、DNA鋳型は1回または多くて数回に亘って複製されて、同一の複製物を生成する。逆に生体外では、DNAの複製は、例えばポリメラーゼ連鎖反応中には、何度も繰り返すことが可能である(例えば、米国特許第4,683,202号を参照)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の初期の研究段階では、DNAポリメラーゼをDNA複製の各回毎の開始時に添加していた(前出の米国特許第4,683,202号を参照)。その後、耐熱性のDNAポリメラーゼを高温で増殖する細菌から採取できること、かつこれらの酵素は一度だけ添加するだけでよいことが判明した(米国特許第4,889,818号および第4,965,188号を参照)。PCR時の高温では、これら酵素は不可逆的に不活化されることはない。その結果として、それぞれの合成繰返し工程の開始時に新たな酵素を添加することなく、ポリメラーゼ連鎖反応の反復サイクルを実行できるようになった。DNAポリメラーゼ、特に耐熱性のポリメラーゼは、組換えDNAの研究や疾患の医学的診断における多くの技術の基本になっている。特に診断用途では、標的の核酸配列は問題となるDNAまたはRNAのごく一部分である可能性があるので、増幅せずに標的核酸配列の存在を検出することは困難な場合がある。
DNAポリメラーゼの全体的な折り畳みパターンは、ヒトの右手に似ていて、手のひら、4つの指、親指、の3つの異なる小領域が含まれている(Beese et al., Science 260:352-355, 1993); Patel et al., Biochemistry 34:5351-5363, 1995を参照)。4つの指と親指の小領域の構造は、サイズや細胞機能が異なるポリメラーゼの間で大きく変化するが、触媒作用を持つ手のひら小領域はすべて重ね合わせが可能である。例えば、入来するdNTPと相互作用しかつ化学触媒作用中の遷移状態を安定化するモチーフAは、哺乳類のpolαおよび原核生物のpolIファミリーのDNAポリメラーゼ間では約1Åの平均偏差により重ね合わせが可能である(Wang et al., Cell 89:1087-1099, 1997)。モチーフAは、構造として、優先的に疎水性残基を含む逆平行のβ鎖で始まり、αヘリックス構造に続く。DNAポリメラーゼの活性部位の一次アミノ酸配列は、非常に旨く保存されている。例えば、モチーフAの場合には、配列DYSQIELR(配列番号6)は、何百万年もの進化によって分離されてきた、例えば、テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、および大腸菌(Escherichia coli)を含む生物由来のポリメラーゼに記憶されている。
旨く保存されていることに加えて、DNAポリメラーゼの活性部位は比較的変異しやすく、DNAポリメラーゼ活性を顕著に低下させることなく特定のアミノ酸置換に対応可能なことが示されている(例えば、米国特許第6,602,695号を参照)。この変異DNAポリメラーゼは、例えば核酸合成反応を含む診断用途および研究用途に、様々な選択的な利点を提供できる。
DNA重合の酵素法には少なくとも2つの工程があり、それらは(1)入来ヌクレオチドの組み込み工程と、(2)新規に取り込んだヌクレオチドの伸長工程である。DNAポリメラーゼの全体的な忠実性すなわち「忠実度」は、一般にこれら2つの酵素活性の複合と考えられるが、これら工程は明確に異なる。DNAポリメラーゼは、入来ヌクレオチドを誤って組み込むこともできるが、それが効率的に伸長されない場合は、伸長率は大きく低下して、全体的な産物の生成量は最小となる。あるいは、DNAポリメラーゼに入来ヌクレオチドを誤って組み込ませて、新規に形成した不整合物を容易に誤って伸長させることも可能である。この場合には、全体的な伸長率は高くなるが、全体的な忠実度は低くなる。この種の酵素の一例として、Mn2+を2価金属イオン活性剤として使用する場合には、ES112 DNAポリメラーゼ(E683R Z05 DNAポリメラーゼ;米国特許第7,179,590を参照)が挙げられる。不整合物に遭遇した際に躊躇/停止する傾向がある典型的なDNAポリメラーゼとは異なり、ES112 DNAポリメラーゼは不整合物を容易に伸長させるので、この酵素は非常に高い効率を有する。ES112に表示される表現型は、おそらくRNA/DNAヘテロ二本鎖に対するDNA/DNAホモ二本鎖の構造的な影響により、RT工程中にさらに際立つことになる。別の例として、DNAポリメラーゼが容易に誤って取り込まない(誤って組み込む可能性は一段と低い)が、不整合物を誤って伸長する能力が高い場合がある。この場合には、産物全体の忠実度に顕著な変化はない。一般にこの種の酵素例は、産物の忠実度は高いので、Mn2+でのES112の特性よりも伸長反応に適している。ただし、この特性を利用すると、単一配列のオリゴヌクレオチドプライマーが配列の不均質性を持つ標的(例えばウイルス標的)にハイブリダイズされる場合などの不整合のあるオリゴヌクレオチドプライマーの誤った伸長が行われるが、誤まった組み込み率は通常より低いことで、元々のオリゴヌクレオチドプライマーを超えるDNA合成が完了する。この種のDNAポリメラーゼの一例として、Z05 D580G DNAポリメラーゼがある(米国特許公開第2009/0148891号を参照)。この種の活性は、オリゴヌクレオチドプライマーの不整合に対してより耐性があるので、「不整合耐性」であると呼ぶ。上記の例ではプライマー伸長型の反応について説明してきたが、RT−PCRやPCRなどのプライマー伸長が頻繁に繰返される反応では、活性がより重要になる可能性がある。Z05 D580Gなどの酵素は不整合に対してより「耐性」があるが、これら酵素はまた、修飾塩基(例えばt−ブチルベンジル修飾塩基)を含むことにより、あるいはサイバーグリーンI(SYBR Green I、米国特許公開番号2009/028053を参照)などのDNA結合色素の存在で、オリゴヌクレオチドプライマーを伸長する能力が高いことを、データは示唆している。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、多くの用途に使用される技術であり、増幅によってRNA標的を検出および/または定量する。PCRによってRNA標的を増幅するためには、最初にRNA鋳型をcDNAに逆転写する必要がある。典型的にRT−PCR測定は、初期のcDNA合成工程(RT)において、中温性生物に由来する非耐熱性の逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)に基づいている。PCRでの核酸変性に必要な高温に耐えるように、cDNAの増幅には追加の耐熱性DNAポリメラーゼが必要である。RT−PCR測定でより効率的に逆転写を実施するように設計された熱活性または耐熱性のDNAポリメラーゼを使用することには、いくつかの潜在的な利点がある。RNA鋳型の二次構造の緩和を可能にするより高い逆転写培養温度を使用する能力とともに逆転写酵素活性を向上することにより、全体としてより高いcDNA合成効率と測定感度をもたらすことができる。より高い温度の培養はまた、逆転写工程での誤った初回刺激の低減により、特異性を高めることができる。逆転写効率が改善された酵素は、RT培養時間および/または酵素濃度の低減を可能にすることで、測定の設計を簡素化できる。dUTPとUNGを使用する場合に、厳密でない設定条件で生成されるdUMPを含む非特異的な伸長産物はUNGによって分解され、プライマーとしても鋳型としても使用できない。中温性生物由来の非耐熱性逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を使用する場合には、dUTPおよびUNGの方法を利用することは不可能である(Myers, T.W. et al., RNAの増幅:PCR手法でのテルムス・テルモフィラスのDNAポリメラーゼによる高温逆転写およびDNA増幅(Amplification of RNA: High Temperature Reverse Transcription and DNA Amplification with Thermus thermophilus DNA Polymerase, in PCR Strategies)、Innis, M.A., Gelfand, D.H., and Sninsky, J.J., Eds., Academic Press, San Diego, CA, 58-68, (1995))。ただし、逆転写工程のための本発明の熱活性または耐熱性DNAポリメラーゼの使用により、この反応をdUTP/ウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)の持ち越し汚染防止システムの活用と完全に両立させることが可能である(Longo et al., ポリメラーゼ連鎖反応における持ち越し汚染を制御するためのウラシルDNAグリコシラーゼの使用(Use of Uracil DNA Glycosylase to Control Carry-over Contamination in Polymerase Chain Reactions. Gene 93:125-128, (1990))。持ち越し汚染制御の提供に加えて、dUTPおよびUNGの使用は、「ホットスタート(高温で反応を始めること)」を提供して非特異的な増幅を削減する(Innis and Gelfand, 1999)。
PCRなどの核酸増幅法は、典型的には高温で実施される。PCRにおいて、高温での変性、アニール、および伸長のサイクルの繰り返しは、主に二リン酸、続いて一リン酸へのdNTPの加水分解を経て、dNTPに顕著な分解をもたらすことが知られている。研究によると、γ−リン酸(即ち末端のリン酸)の修飾を持つdNTPは高温安定性が向上することを示している(米国特許第7,452,698号)。言い換えると、メチル基付加などの修飾(即ちメチル化dNTP(me−dNTP))により、加水分解反応が起こらないようにできる(米国特許第7,452,698号)。従って室温および高温での安定性の観点から、メチル化ヌクレオチド(即ちメチル化dNTP)の使用は、従来のヌクレオチド(即ちdNTP)よりも好ましい。このように安定なdNTPは、多大な利点をもたらし、当技術分野での改良点になる。しかし通例のPCR反応では、従来のポリメラーゼは効率的かつ効果的にメチル化dNTPを取り込めない。従って、より安定なメチル化dNTPを使用する増幅反応を実施するための組成物および方法が、当技術分野では依然として必要とされている。
本明細書では、対応する非修飾の対照ポリメラーゼ(即ち親ポリメラーゼ)と比較して、メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込む能力を含む活性が改良されたDNAポリメラーゼ、この改良DNAポリメラーゼを生成する方法、およびこの改良DNAポリメラーゼを使用する方法を提供する。改良DNAポリメラーゼは、対照DNAポリメラーゼと比較して、メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込む能力が向上している。ここで、改良DNAポリメラーゼは、配列番号1〜5に対して実質的に同一(例えば、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%で同一)であるアミノ酸配列を含む。
一側面では、対照DNAポリメラーゼと比較してメチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を組み込む効率が改良されたDNAポリメラーゼが提供され、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸は、I以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸は、V以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、改良DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。一実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態によっては、改良DNAポリメラーゼおよび対照DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%で同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態によっては、改良DNAポリメラーゼおよび対照DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも95%、特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、配列番号2の640位に対応するアミノ酸はMである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、配列番号2の705位に対応するアミノ酸はLである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号2の640位に対応するアミノ酸はMである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号2の705位に対応するアミノ酸はLである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号2の640位に対応するアミノ酸はMであり、かつ配列番号2の705位に対応するアミノ酸はLである。
別の側面では、対照DNAポリメラーゼと比較してメチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を組み込む効率が向上したDNAポリメラーゼをコードする組換え核酸が提供され、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。特定の実施形態では、組換え核酸は、上記の改良DNAポリメラーゼをコードする。
別の関連の側面では、対照DNAポリメラーゼと比較してメチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を組み込む効率が向上したDNAポリメラーゼをコードする組換え核酸を含む発現ベクターが提供され、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、改良DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。特定の実施形態では、発現ベクターは、上記の改良DNAポリメラーゼをコードする組換え核酸を含む。
さらなる側面では、対照DNAポリメラーゼと比較してメチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を組み込む効率が向上したDNAポリメラーゼを提供する少なくとも1つの容器を含む伸長プライマーを生成するキットが提供され、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、改良DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。別の実施形態では、キットはさらに、(a)プライマー伸長条件で所定のポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能なプライマーを提供する容器、(b)dNTPを提供する容器、および(c)プライマー伸長に適する緩衝液を提供する容器からなる群から選択される1個以上の追加容器を含む。別の実施形態では、dNTPはメチル化dNTPである。特定の実施形態では、DNAポリメラーゼは上記の改良DNAポリメラーゼである。
別の側面では、対照DNAポリメラーゼと比較してメチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を組み込む効率が向上したDNAポリメラーゼ、少なくとも1つのプライマー、ポリヌクレオチド鋳型、およびdNTPを含む反応混合物が提供され、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、改良DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。関連の実施形態では、ポリヌクレオチド鋳型はRNAである。別の実施形態では、ポリヌクレオチド鋳型はDNAである。別の実施形態では、反応混合物はさらに、Mg2+を含む。特定の実施形態では、DNAポリメラーゼは上記の改良DNAポリメラーゼである。別の実施形態では、反応混合物はさらに、第2の耐熱性DNAポリメラーゼを含む。
別の側面では、プライマー伸長を実施する方法が提供され、この方法は、プライマーの伸長に適する条件で、DNAポリメラーゼをプライマー、ポリヌクレオチド鋳型、およびdNTPと接触させて、それにより伸長プライマーを生成することを含む。改良DNAポリメラーゼは、対照DNAポリメラーゼに比較して、高い効率によりメチル化dNTPを組み込み、配列番号2の640位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する改良DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、改良DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸はVである。一実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態によっては、改良DNAポリメラーゼおよび対照DNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%で同一であるアミノ酸配列を含む。実施形態によっては、改良DNAポリメラーゼおよび対照DNAポリメラーゼは、配列番号2に対し少なくとも95%、特に少なくとも98%で同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、配列番号2の640位に対応するアミノ酸はMである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、配列番号2の705位に対応するアミノ酸はLである。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、改良DNAポリメラーゼは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、DNAポリメラーゼは、上記の改良DNAポリメラーゼである。
種々のDNAポリメラーゼが、上記のように変異を受けやすい。特に適しているのは、種々の好熱性細菌種由来の野生型または天然存在の耐熱性ポリメラーゼを含む耐熱性ポリメラーゼ、ならびにアミノ酸の置換、挿入、欠失、またはその他の修飾によるその野生型または天然存在の酵素に由来する合成の耐熱性ポリメラーゼである。従って実施形態によっては、ポリメラーゼは耐熱性DNAポリメラーゼである。ポリメラーゼの非修飾形態の例として、例えば、CS5、CS6、Z05、またはZ05DのDNAポリメラーゼ、またはそれらに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%でアミノ酸配列同一性を有する機能性DNAポリメラーゼが挙げられる。他の非修飾ポリメラーゼとして、例えば、以下の好熱性細菌種のいずれか由来のDNAポリメラーゼ(またはそのポリメラーゼに対し、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%でアミノ酸配列同一性を有する機能的DNAポリメラーゼ)が挙げられ、それら好熱性細菌種は、テルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、テルムス・テルモフィラス(Thermus thermophilus)、テルムス・フラバス(Thermus flavus)、テルムス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、テルムス菌種sps17(Thermus sp. sps17)、テルムス菌種Z05(Thermus sp. Z05)、テルモトガ・ネオポリターナ(Thermotoga neopolitana)、テルモシホ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)、テルムス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、バチルス・ステアロテルモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、またはバチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax)である。適切なポリメラーゼとしてはまた、逆転写酵素(RT)活性および/またはリボヌクレオチドまたはその他の2’修飾ヌクレオチドなどの従来と異なるヌクレオチドを組み込む能力を有するポリメラーゼが挙げられる。
実施形態によっては、DNAポリメラーゼは熱活性DNAポリメラーゼである。効率的な逆転写活性を持つ耐熱性DNAポリメラーゼは、RT−PCR、特に単一酵素のRT−PCRを実施するのに特に適しているが、効率的な逆転写活性を持つ非耐熱性DNAポリメラーゼもまた、本発明による変異を受けやすい。例えば、効率的かつ効果的に組み込まれたメチル化dNTPの特性は、RT−PCRでのRT工程に有用であるが、この工程を、熱活性であるが耐熱性でないDNAポリメラーゼが不活化される温度で実施する必要はない。RT工程に続いて、耐熱性DNAポリメラーゼを添加するか、または反応混合物中に予め含んでおくかのいずれかで、PCR増幅工程を実施できる。例えば、本明細書に記載の改良DNAポリメラーゼは、実施例に記載されるように、RNA鋳型およびDNA鋳型の伸長および増幅に適した緩衝液中で、RT工程の前に第2の耐熱性DNAポリメラーゼと組み合わせることができる。適切な耐熱性DNAポリメラーゼの例は、米国特許第4,889,818号、第5,773,258号、および第5,677,152号に記載されている。実施形態によっては、第2の耐熱性DNAポリメラーゼは、AmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ(デオキシヌクレオシド三リン酸:DNAデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、E.C.2.7.7.7)である。実施形態によっては、第2の耐熱性DNAポリメラーゼは、以下の記載のように、可逆的に不活化された耐熱性ポリメラーゼである。一実施形態では、可逆的に不活化された耐熱性ポリメラーゼは、AmpliTaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼ(Roche Applied Science, Indianapolis, IN, USA)である。この第2の技法は、RT工程中に完全に活性ではないように化学的に修飾された耐熱性DNAポリメラーゼ(または耐熱性DNAポリメラーゼを不活化するその他のホットスタート技術)を用いることで、特に恩恵を受ける。効率的な逆転写活性を持つ、熱活性ではあるが耐熱性ではないDNAポリメラーゼの例は、カルボキシドテルムス・ヒドロゲノホルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans、Chy)由来のDNAポリメラーゼである。例えば、米国特許第6,468,775号、第6,399,320号、第8,945,882号、第9,441,269号、および米国特許公開第2017/0029792号を参照。
実施形態によっては、DNAポリメラーゼは、テルムス菌種に由来する。従って、実施形態によっては、DNAポリメラーゼは、下記の(a)〜(g)からなる群から選択されるポリメラーゼに対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%でアミノ酸配列同一性を有する。
(a)テルムス菌種Z05DNAポリメラーゼ(Z05)(配列番号1)、
(b)テルムス・アクアティクスDNAポリメラーゼ(Taq)、
(c)テルムス・フィリフォルミスDNAポリメラーゼ(Tfi)、
(d)テルムス・フラバスDNAポリメラーゼ(Tfl)、
(e)テルムス菌種sps17DNAポリメラーゼ(Sps17)、
(f)テルムス・テルモフィラスDNAポリメラーゼ(Tth)、および
(g)テルムス・カルドフィルスDNAポリメラーゼ(Tca)。
変異ポリメラーゼすなわち改良ポリメラーゼは、その他の非置換修飾を含むことができる。その修飾の1つは、酵素を不活化するが、ポリヌクレオチドの伸長に典型的に使用される温度などの高温での培養時に酵素を活性化するように転写される熱可逆性の共有結合修飾である。その熱可逆性修飾のための試薬の例は、米国特許第5,773,258号および第5,677,152号に説明されている。
実施形態によっては、逆転写酵素の活性は、リアルタイムRT−PCR増幅およびpSP64 poly(A) (Promega)中のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型Ib5’LTRの最初の800塩基から生成されたHCV転写産物の検出を実施して決定される。複数の反応混合物は、複数の回数で量調節(titration)したC型肝炎ウイルス(HCV)転写産物のコピーを有してもよい(いくつかの反応混合物中に、例えば、1:5の量調節、1:10の量調節により、例えば10,000コピー、1000コピー、100コピー、10コピー、1コピー、0コピー)。本明細書に記載されるように、本発明のポリメラーゼの逆転写酵素能力を、所定の時間単位にわたって、参照ポリメラーゼ(例えば、天然存在の非修飾ポリメラーゼまたは対照ポリメラーゼ)の逆転写酵素能力と比較してもよい。逆転写酵素能力が向上したポリメラーゼは、天然存在または非修飾のポリメラーゼと比較して、より高い効率で転写産物を増幅するか、転写産物を増幅するために必要なPCRのサイクル数が少なくできる(即ち、本明細書で計算されるCp値が低い)。さらに実施形態によっては、RT機能が向上したポリメラーゼはまた、長いRNA(例えば、少なくとも500または1000または2000または5000またはそれ以上のヌクレオチド長)鋳型での複製を改良する。実施形態によっては、逆転写酵素の改善効率には、対照ポリメラーゼに比較してより短い逆転写時間を含む。従って、実施形態によっては、逆転写酵素効率が改善されたポリメラーゼは、対照または参照ポリメラーゼよりも速くRNA鋳型を逆転写する。
種々のその他の側面では、本発明は、本明細書に記載される変異または改良DNAポリメラーゼをコードする組換え核酸、組換え核酸を含むベクター、およびこのベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、ベクターは発現ベクターである。この発現ベクターを含む宿主細胞は、組換え核酸の発現に適する条件で宿主細胞を培養することで変異または改良ポリメラーゼを産生する本発明の方法に有用である。本発明のポリメラーゼは、反応混合物および/またはキット内に含まれていてもよい。組換え核酸、宿主細胞、ベクター、発現ベクター、反応混合物、およびキットの実施形態は、上記および本明細書に記載されるとおりである。
さらに別の側面では、ポリヌクレオチドの伸長を実施する方法が提供される。この方法は一般に、メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込む能力が向上したDNAポリメラーゼを、プライマー、ポリヌクレオチド鋳型、およびヌクレオシド三リン酸(即ちメチル化dNTP)とプライマーの伸長に適する条件で接触させて、それにより伸長したプライマーを生成することを含む。ポリヌクレオチド鋳型は、例えばRNAまたはDNA鋳型であってもよい。ヌクレオシド三リン酸は、例えばリボヌクレオチドおよび/または標識ヌクレオチドおよび当然ながらメチル化dNTPなどの従来とは異なるヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオシド三リン酸塩には、dATP(2’−デオキシアデノシン5’−三リン酸)、dCTP(2’−デオキシシチジン5’−三リン酸)、dGTP(2’−デオキシグアノシン5’−三リン酸)、dTTP(2’−デオキシチミジン5’−三リン酸)、dITP(2’−デオキシイノシン5’−三リン酸)、および/またはdUTP(2’−デオキシウリジン5’−三リン酸)が含まれてもよい。メチル化dNTPには、メチル化dATP、メチル化dCTP、メチル化dGTP、メチル化DTTP、メチル化ITP、および/またはメチル化dUTPが含まれてもよい。さらに、プライマーおよび/または鋳型は、1つ以上のヌクレオチド類似体を含んでもよい。変形例によっては、ポリヌクレオチドの伸長法は、ポリヌクレオチドの増幅に適する条件で、変異または改良DNAポリメラーゼを、プライマー対、ポリヌクレオチド鋳型、およびヌクレオシド三リン酸と接触させることを含むポリヌクレオチド増幅の方法である。ポリヌクレオチドの伸長反応は、例えば、PCR、等温伸長、または配列制御(例えば454配列制御反応(454 sequencing reaction))であってもよい。ポリヌクレオチド鋳型は、任意の種類の生体試料に由来してもよい。
本発明はまた、このポリヌクレオチドの伸長法に有用なキットを提供する。一般に、キットは、本明細書に記載の変異または改良DNAポリメラーゼを提供する少なくとも1個の容器を含む。特定の実施形態では、キットはさらに、1つ以上の追加の試薬を提供する1個以上の追加の容器を含む。例えば、特定の変形例では、1個以上の追加の容器は、ヌクレオシド三リン酸、ポリヌクレオチド伸長に適する緩衝液、および/またはポリヌクレオチドの伸長条件で所定のポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能な1つ以上のプライマーまたはプローブポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチド鋳型は、任意の種類の生体試料に由来してもよい。
さらに本発明のポリメラーゼを含む反応混合物が提供される。反応混合物はまた、鋳型核酸(DNAおよび/またはRNA)、1つ以上のプライマーまたはプローブポリヌクレオチド、(例えば、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、標識ヌクレオシド三リン酸、従来と異なるヌクレオシド三リン酸を含む)ヌクレオシド三リン酸、緩衝液、塩、(例えば蛍光体である)標識物を含んでもよい。実施形態によっては、反応混合物は、鉄キレート剤または紫色染料を含む。特定の実施形態では、反応混合物は、ヘモグロビン、またはヘモグロビンの分解産物を含む。例えば、特定の実施形態では、ヘモグロビンの分解産物は、ヘミン、ヘマチン、ヘマトフォリン、およびビリルビンなどのヘム分解産物を含む。他の実施形態では、反応混合物は、ヘパリンまたはその塩を含む。必要に応じて、反応混合物は、(限定はされないが、上記または本明細書の他の個所に記載されるものを含む)挿入染料を含む。特定の実施形態では、反応混合物は、血液から単離される鋳型核酸を含む。他の実施形態では、鋳型核酸はRNAであり、反応混合物はヘパリンまたはその塩を含む。
実施形態によっては、反応混合物は複数のポリメラーゼを含む。例えば実施形態によっては、反応混合物は、本明細書に記載の逆転写効率が高い(例えば、RNA鋳型を伸長する活性が高い)改良DNAポリメラーゼ、およびDNA依存性ポリメラーゼ活性を有する別のポリメラーゼを含む。一実施形態では、反応混合物は、本明細書に記載の逆転写効率が向上した改良DNAポリメラーゼと、第2の耐熱性DNA依存性ポリメラーゼとの混合物を含む。第2の耐熱性DNA依存性ポリメラーゼは、酵素が逆転写工程に適する温度では不活性であるが、例えば約90℃〜100℃の高温かつ約12分間までの時間の適切な条件で活性化されるような上述の可逆的に修飾されたポリメラーゼであってもよい。可逆的に不活化された耐熱性ポリメラーゼの活性化のための適切な条件は、例えば、実施例に説明されるホットスタートPCR反応に適用される。適切な第2の耐熱性DNA依存性ポリメラーゼの例は、米国特許第5,773,258号および第5,677,152号に記載されている。
本明細書では、本発明の実施形態についてさらに説明する。
[定義]
他に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有している。本質的に本明細書に記載のものと類似の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、例示的な方法および材料だけを説明している。本発明の目的のために、次の用語を以下のように定義する。
「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈がそうではないと明示していない限り、複数の指示対象も含んでいる。
「アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に組み込まれることが可能な任意のモノマー単位を指す。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、以下の20個の天然または遺伝的にコードされたαアミノ酸、すなわちアラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GlnまたはQ)、グルタミン酸(GluまたはE)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リジン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、およびバリン(ValまたはV)を含む。「X」残基が定義されていない場合には、これらは「任意のアミノ酸」として定義されるべきである。これらの20個の天然アミノ酸の構造は、例えば、Stryer et al., Biochemistry, 5th ed., Freeman and Company (2002)に示されている。セレノシステインやピロリシンなどのさらなるアミノ酸もまた遺伝的にコードが可能である(Stadtman (1996)「セレノシステイン」“Selenocysteine,”Annu Rev Biochem 65:83-100およびIbba et al. (2002)「遺伝的コード:ピロリシンの導入」“Genetic code: introducing pyrrolysine,” Curr Biol. 12(13):R464-R466))。「アミノ酸」という用語はまた、(例えば、修飾側鎖および/または骨格を有する)非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、およびアミノ酸類似体を含む。例えば、Zhang et al. (2004)「哺乳類細胞中のタンパク質への5−ヒドロキシトリプトファンの選択的組み込み」“Selective incorporation of 5-hydroxytryptophan into proteins in mammalian cells,” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(24):8882-8887、Anderson et al. (2004)「機能的4重コドンを持つ伸長された遺伝コード」“An expanded genetic code with a functional quadruplet codon” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(20):7566-7571、Ikeda et al. (2003)「新規ヒスチジン類似体の合成および生体内でのタンパク質へのその効率的な組み込み」“Synthesis of a novel histidine analogue and its efficient incorporation into a protein in vivo,” Protein Eng. Des. Sel. 16(9):699-706、Chin et al. (2003)「伸長された真核生物の遺伝コード」“An Expanded Eukaryotic Genetic Code,” Science 301(5635):964-967、James et al. (2001)「光異性化可能なフェニルアゾフェニルアラニン残基を含むリボヌクレアーゼS変異体の速度論的特性」“Kinetic characterization of ribonuclease S mutants containing photoisomerizable phenylazophenylalanine residues,” Protein Eng. Des. Sel. 14(12):983-991、Kohrer et al. (2001)「琥珀および黄土色のサプレッサーtRNAの哺乳類細胞への導入:アミノ酸類似体のタンパク質への部位特異的挿入への一般的手法」“Import of amber and ochre suppressor tRNAs into mammalian cells: A general approach to site-specific insertion of amino acid analogues into proteins,” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98(25):14310-14315、Bacher et al. (2001)「別の方法による有毒なトリプトファン類似体に成長可能な大腸菌変異体の選択と特徴付け」“Selection and Characterization of Escherichia coli Variants Capable of Growth on an Otherwise Toxic Tryptophan Analogue,” J. Bacteriol. 183(18):5414-5425、Hamano-Takaku et al. (2000)「変異大腸菌チロシル−tRNAシンセターゼは、非天然アミノ酸アザチロシンをチロシンよりも効率的に利用する」“A Mutant Escherichia coli Tyrosyl-tRNA Synthetase Utilizes the Unnatural Amino Acid Azatyrosine More Efficiently than Tyrosine,” J. Biol. Chem. 275(51):40324-40328、およびBudisa et al. (2001)「{β}−(チエノピロリル)アラニンを代替発色団および薬学的に活性なアミノ酸として含むタンパク質」“Proteins with {beta}-(thienopyrrolyl)alanines as alternative chromophores and pharmaceutically active amino acids,” Protein Sci. 10(7):1281-1292を参照。
さらに説明すると、アミノ酸は、典型的には、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のカルボキシ基、および1つ以上の側鎖または側基、またはこれらの基のいずれかの類似体を含む有機酸である。側鎖の例としては、例えば、チオール、セレノ、スルホニル、アルキル、アリール、アシル、ケト、アジド、ヒドロキシル、ヒドラジン、シアノ、ハロ、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、ボラート、ボロナート、ホスファート、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、またはこれらの基の任意の組み合わせが挙げられる。その他の代表的なアミノ酸として、限定はされないが、光活性化可能な架橋剤を含むアミノ酸、金属結合アミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属含有アミノ酸、新規の官能基を備えるアミノ酸、その他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用するアミノ酸、光ケージ化アミノ酸および/または光異性化可能なアミノ酸、放射性アミノ酸、ビオチンまたはビオチン類似体を含むアミノ酸、グリコシル化アミノ酸、その他の炭水化物修飾アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含むアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学的に開裂可能なアミノ酸および/または光開裂可能なアミノ酸、炭素連結糖含有アミノ酸、レドックス活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、および1つ以上の毒性部分を含むアミノ酸が挙げられる。
「生体試料」という用語は、生物から採取された種々の種類の試料を含み、診断測定または監視測定に使用できる。この用語は、尿、尿沈渣、血液、唾液、および生体源のその他の液体試料、生検試料などの固形組織試料、あるいはそれらまたはそれらの子孫に由来する組織培養物または細胞を含む。この用語には、特定成分の試薬による処理、溶解、沈殿、または濃縮など、入手後に何らかの方法で操作された試料が含まれる。この用語は臨床試料を含み、また細胞培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、体液、および組織の各試料も含む。
本発明のDNAポリメラーゼの文脈中の「変異体」という用語は、典型的には組換えられ、対応する機能的なDNAポリメラーゼに対して1つ以上のアミノ酸置換を含むポリペプチドを意味する。
変異ポリメラーゼの文脈中の「非修飾形態」という用語は、本発明の変異DNAポリメラーゼを定義する目的のために本明細書で用いられる用語であり、「非修飾形態」または「親形態」という用語は、変異ポリメラーゼを特徴付けるように特定された1つ以上のアミノ酸位置を除いて、変異ポリメラーゼのアミノ酸配列を有する機能的なDNAポリメラーゼを指す。従って、(a)その非修飾形態および(b)1つ以上の特定されたアミノ酸置換という語句による変異DNAポリメラーゼの表現は、特定されたアミノ酸置換を除いて、変異ポリメラーゼのその他の部分は、特定されたモチーフ中で非修飾形態と同一のアミノ酸配列を有することを意味している。「非修飾ポリメラーゼ」は(従って、メチル化dNTPを組み込む能力が向上した修飾形態もまた)、さらなる変異を含んで、例えば転写効率、不整合耐性、および伸長率の向上、RT阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤の耐性の向上、および/またはジデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、リボヌクレオチド類似体、色素標識ヌクレオチド、5’−ヌクレアーゼの活性調節、3’−ヌクレアーゼ活性調節(または校正)などの所望の機能を提供してもよい。従って、本明細書に記載の本発明を実施する際には、DNAポリメラーゼの非修飾形態は予め決定される。非修飾形態のDNAポリメラーゼは、例えば、野生型および/または天然存在のDNAポリメラーゼ、または意図的に修飾されたDNAポリメラーゼであってもよい。ポリメラーゼの非修飾形態は、好ましくは、様々な好熱性細菌由来のDNAポリメラーゼなどの耐熱性DNAポリメラーゼ、ならびに野生型または天然存在の耐熱性ポリメラーゼに対して実質的な配列同一性を有するその機能的変異体である。この変異体には、例えば、米国特許第6,228,628号および第7,148,049号に記載されるキメラDNAポリメラーゼなどのキメラDNAポリメラーゼが含まれてもよい。特定の実施形態では、ポリメラーゼの非修飾形態は、逆転写酵素(RT)活性を有する。
「耐熱性ポリメラーゼ」という用語は、熱に対して安定であり、耐熱性があり、その後のポリヌクレオチドの伸長反応を引き起こすのに十分な活性を保持し、かつ二本鎖核酸の変性を引き起こすのに必要な時間で高温に曝されても不可逆的に変性(不活化)しない酵素を指す。核酸変性に必要な加熱条件は当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第4,683,202号、第4,683,195号、および第4,965,188号に例示されている。本明細書で使用される耐熱性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)などの温度サイクル反応での使用に適している。本明細書の目的での不可逆的変性とは、酵素活性の永久的で完全な喪失を指す。耐熱性ポリメラーゼでの酵素活性とは、適切な方法でヌクレオチドを組合わせて、鋳型核酸鎖に相補的であるポリヌクレオチド伸長産物を生成する触媒作用を指す。好熱性細菌由来の耐熱性DNAポリメラーゼとして、テルモトガ・マリチマ、テルムス・アクアティクス、テルムス・テルモフィラス、テルムス・フラバス、テルムス・フィリフォルミス、テルムス菌種sps17、テルムス菌種Z05(例えばZ05Dポリメラーゼ)、テルムス・カルドフィルス、バチルス・カルドテナックス、テルモトガ・ネオポリターナ、およびテルモシホ・アフリカヌスが挙げられる。
「熱活性」という用語は、RT−PCR反応および/またはPCR反応での逆転写またはアニール/伸長工程に通常使用される温度(即ち45〜80℃)で触媒特性を保持する酵素を指す。耐熱性酵素は、核酸の変性に必要な高温に曝された場合に不可逆的に不活化または変性しない酵素である。熱活性酵素には、耐熱性が有っても無くてもよい。熱活性DNAポリメラーゼは、限定はされないが、大腸菌、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia viruses)、および鳥類筋芽細胞症ウイルス(Avian myoblastosis virus)を含む好熱性種または中温性種由来のDNAまたはRNAであってもよい。
本明細書で使用される「キメラ」タンパク質とは、そのアミノ酸配列が2つ以上の別個のタンパク質由来のアミノ酸配列の部分配列の融合産物を示すタンパク質を指す。キメラタンパク質は、典型的には、アミノ酸配列の直接操作によっては生成されないが、むしろキメラアミノ酸配列をコードする「キメラ」遺伝子から発現される。特定の実施形態では、例えば、本発明の変異DNAポリメラーゼの非修飾形態は、テルムス種DNAポリメラーゼ由来のアミノ末端(N末端)領域、およびTmaDNAポリメラーゼ由来のカルボキシ末端(C末端)領域からなるキメラタンパク質である。N末端領域とは、N末端(アミノ酸1位)からアミノ酸内部まで延びる領域を指す。同様にC末端領域とは、アミノ酸内部からC末端に延びる領域を指す。
「アプタマー」という用語は、米国特許第5,693,502号に記載されるように、DNAポリメラーゼを認識してそれに結合し、かつポリメラーゼ活性を効率的に阻害する一本鎖DNAを指す。RT−PCRでのアプタマーとdUTP/UNGの使用はまた、例えば、Smith, E.S. et al(「RNAの増幅:PCRプライマーにマグネシウム活性化耐熱性DNAポリメラーゼを用いる高温逆転写およびDNA増幅」Amplification of RNA: High-temperature Reverse Transcription and DNA Amplification with a Magnesium-activated Thermostable DNA Polymerase, in PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Dieffenbach, C.W. and Dveksler, G.S., Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 211-219, (2003))に詳述されている。
変異DNAポリメラーゼの文脈では、異なる配列(例えば、領域、断片、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置など)への「対応」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置番号によって番号付けし、その後に配列同一性の百分率を最大化する方法で配列を整列させる慣例に基づいている。「[特定の配列]の[X]位に対応する」アミノ酸とは、特定の配列に同等のアミノ酸によって整列させる目的のポリペプチド中のアミノ酸を指す。一般に、本明細書に記載されるように、ポリメラーゼの位置に対応するアミノ酸は、以下に記載のBLASTなどの整列アルゴリズムを使用して決定できる。所定の「対応する領域」内のすべての位置が同一である必要はないので、対応する領域内の一致しない位置を、「対応する位置」と見做してもよい。従って、本明細書で使用する場合に、特定のDNAポリメラーゼの「アミノ酸位置[X]に対応するアミノ酸位置」は、他のDNAポリラーゼおよび構造相同体およびファミリーでの整列に基づく同等の位置を指している。本発明の実施形態によっては、アミノ酸位置の「対応」は、1つ以上のモチーフを含むポリメラーゼの領域に対して決定される。
本明細書で使用される「組換え体」とは、組換え法によって意図的に修飾されたアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を指す。本明細書での「組換え核酸」という用語は、一般に天然では通常見られない形態で、制限エンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって独創的に生体内で生成される核酸を意味する。従って、線形の単離された変異型DNAポリメラーゼ核酸、または通常は結合されないDNA分子を連結して生体内で生成される発現ベクターは、どちらも本発明の目的では組換え体と見做される。組換え核酸が生成され、宿主細胞内に再導入されると、その組換え核酸は、非組換え的に、すなわち生体内操作ではなく、宿主細胞の生体内細胞機構を使用して複製されることが分かっている。しかしながら、この核酸は、一旦組換えにより生成されると、その後に非組換え的に複製されるにも拘わらず、依然として本発明の目的では組換え体と見做される。「組換えタンパク質」は、組換え技術を使用して、すなわち上記の組換え核酸の発現により生成されたタンパク質である。
核酸は、それが異なる核酸配列と機能的な関係に配置されるなら、「作動可能に連結」されることになる。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を与える場合はコード配列に機能的に連結されることになり、あるいはリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするように配置される場合はコード配列に作動可能に連結されることになる。
「宿主細胞」という用語は、単細胞の原核生物および真核生物(例えば、細菌、酵母、および放線菌)の両方、ならびに細胞培養で増殖させた場合に高次の植物または動物由来の単一細胞を指す。
「ベクター」という用語は、一片のDNA、典型的には二本鎖DNAを指し、その中に一片の外来DNAを挿入している場合がある。ベクターは、例えば、プラスミド起源であってもよい。ベクターは、宿主細胞中のベクターの自律複製を促進する「レプリコン(複製単位)」ポリヌクレオチド配列を含む。外来DNAとは、宿主細胞中には天然に見られないDNAであり、例えばベクター分子を複製し、選択可能または選別可能なマーカーをコードし、または導入遺伝子をコードする異種DNAとして定義される。ベクターは、外来または異種DNAを適切な宿主細胞に移送するために使用される。一旦宿主細胞中に入ると、ベクターは宿主の染色体DNAとは独立してまたは同時に複製でき、ベクターおよびその挿入されたDNAのいくつかのコピーが生成される。さらにベクターは、挿入されたDNAのmRNA分子への転写を可能にするのに、あるいは挿入されたDNAの複数コピーのRNAへの複製を別の方法で引き起こすのに必要な要素も含むこともできる。いくつかの発現ベクターはさらに、発現されたmRNAの半減期を長くし、かつ/あるいはmRNAのタンパク質分子への翻訳を可能にする挿入されたDNAに隣接する配列要素を含む。従って、挿入されたDNAがコードするmRNAおよびポリペプチドの多くの分子は、迅速に合成できる。
「ヌクレオチド」という用語は、天然存在のリボヌクレオチドモノマーまたはデオキシリボヌクレオチドモノマー指すことに加えて、本明細書では、ヌクレオチドが使用(例えば、相補性塩基へのハイブリダイズ化など)されている特定の文脈に関連して、文脈内にそうでないことが明示されていない限り、機能的に同等である誘導体および類似体を含むそれらの関連する構造変異体を指すと理解すべきである。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、リボース核酸(RNA)ポリマーまたはデオキシリボース核酸(DNA)ポリマー、またはそれらの類似体に対応付けできるポリマーを指す。この用語には、RNAやDNAなどのヌクレオチドのポリマー、ならびにそれらの合成形態、それらの修飾形態(例えば、化学的または生化学的な修飾形態)、および(例えば、RNAおよびDNAの両方の小単位を含む)混合ポリマーも含まれる。この修飾の例としては、メチル化、類似体による1つ以上の天然存在のヌクレオチドの置換、および非荷電結合剤(例えば、ホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、ホスホアミダート、カルバマートなど)、懸垂部分(例えばポリペプチド)、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤、および修飾結合剤(例えばαアノマー性核酸など)などによるヌクレオチド間の修飾が挙げられる。また水素結合およびその他の化学的相互作用によって指定配列に結合する能力がポリヌクレオチドに類似する合成分子も挙げられる。典型的には、ヌクレオチドモノマーはホスホジエステル結合を介して連結されるが、核酸の合成形態には他の結合を含むことも可能である(例えば、Nielsen et al. (Science 254:1497-1500, 1991)に記載されるペプチド核酸)。核酸は、例えば、染色体または染色体部分、ベクター(例えば発現ベクター)、発現カセット、裸のDNAまたはRNAポリマー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の産物、オリゴヌクレオチド、プローブ、およびプライマーであってもよく、あるいは含んでもよい。核酸は、例えば、一本鎖、二本鎖、または三本鎖であってもよく、いかなる特定の長さにも限定されない。他に示されない限り、特定の核酸配列は、明示された任意の配列に加えて、必要に応じて、相補的配列を含むか、あるいはコードする。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えばヌクレオチド)を含む核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、典型的には、約6個〜約175個の核酸モノマー単位、より典型的には約8個〜約100個の核酸モノマー単位、さらにより典型的には約10個〜約50個の核酸モノマー単位(例えば、約15個、約20個、約25個、約30個、約35個、またはそれ以上の核酸モノマー単位)を含む。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、オリゴヌクレオチドの最終的な機能や用途などの多くの要因に依存する。オリゴヌクレオチドは、限定はされないが、既存または天然の配列の単離、DNAの複製または増幅、適切な配列の逆転写、クローニングおよび制限消化、またはNarang et al. (Meth. Enzymol. 68:90-99, 1979)のリン酸トリエステル法、Brown et al. (Meth. Enzymol. 68:109-151, 1979)のリン酸ジエステル法、Beaucage et al. (Tetrahedron Lett. 22:1859-1862, 1981)のジエチルリン酸アミダイト法、Matteucci et al. (J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191, 1981)のトリエステル法、自動合成法、米国特許第4,458,066号の固形支持法などによる直接化学合成、または当業者に既知のその他の方法を含むいずれかの適切な方法によって任意に調製される。
本明細書で使用される「プライマー」という用語は、ポリヌクレオチド伸長が開始される条件、例えば、(コピーされた鋳型によって指示される)必須のヌクレオシド三リン酸および適切な緩衝液中のポリメラーゼの存在、および(例えばポリメラーゼ連鎖反応中などの)適切な温度または温度サイクルを含む条件に置かれた場合に、鋳型誘導の核酸合成の開始点として作用可能なポリヌクレオチドを指す。さらに説明すると、プライマーはまた、新規RNA合成や生体内転写関連工程(例えば、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)など)を含む種々のオリゴヌクレオチド媒介合成工程での開始剤として使用できる。プライマーは、典型的には、一本鎖オリゴヌクレオチド(例えばオリゴデオキシリボヌクレオチド)である。プライマーの適切な長さは、プライマーの使用目的によって異なるが、典型的には6〜40ヌクレオチド、より典型的には15〜35ヌクレオチドである。短いプライマー分子は一般に、鋳型と十分に安定したハイブリッド複合体を形成するようにより低い温度を必要とする。プライマーは、鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、プライマー伸長が起こるためには、鋳型とハイブリダイズするように十分に相補的である必要がある。特定の実施形態では、「プライマー対」という用語は、(例えば、標的配列がRNAとして発現している場合に、またはRNAである場合に)増幅される核酸配列の5’末端の相補体にハイブリダイズする5’センスプライマー(「順方向プライマー」と呼ぶこともある)、および増幅される配列の3’末端にハイブリダイズする3’アンチセンスプライマー(「逆方向プライマー」と呼ぶこともある)を含む1組のプライマーを意味する。プライマーは、必要に応じて、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的な手段により検出可能な標識を組み込むことによって標識化できる。例えば有用な標識には、32P、蛍光色素、電子密度の高い試薬、(ELISA測定で一般的に使用される)酵素、ビオチン、または抗血清抗体またはモノクローナル抗体が利用可能なハプテンおよびタンパク質が含まれる。
核酸塩基、ヌクレオシド三リン酸、またはヌクレオチドに関連する場合の「従来の」または「天然の」という用語は、記載されているポリヌクレオチド中に天然に存在するものを指す(即ち、DNAではこれらはdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPである)。さらに、配列制御などの生体内のDNA合成反応では、dITPおよび7−デアザ−dGTPはdGTPの代わりに頻繁に利用され、7−デアザ−dATPは、dATPの代わりに利用できる。総称して、これらはdNTPと呼ばれる場合がある。
核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドに関連する場合の「従来と異なる」または「修飾された」という用語は、特定のポリヌクレオチドに天然に存在する従来の塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドの修飾体、誘導体、または類似体を含む。従来と異なるまたは修飾された核酸塩基の一例として、メチル基がdNTPに付加しているメチル化dNTPが挙げられる。α−、β−、またはγ−リン酸基のいずれか1つ以上を、1つ以上のメチル基で修飾できる。好ましい実施形態では、メチル化dNTPは、γ−リン酸基に付加された1つのメチル基を有する。従来のdNTPと比較して、特定の従来と異なるヌクレオチドは、リボース糖の2’位置で修飾されている。従ってRNAの場合には、天然存在のヌクレオチドはリボヌクレオチド(即ち、ATP、GTP、CTP、UTP、総称してrNTP)であるが、これらのヌクレオチドは、本明細書で使用される場合に、比較すると糖の2’位置にdNTPには存在しない水酸基を有するので、リボヌクレオチドは、DNAポリメラーゼの基質として従来と異なるヌクレオチドとなる。本明細書で使用される従来と異なるヌクレオチドには、限定はされないが、核酸配列を制御するためのターミネーターとして使用される化合物が含まれる。ターミネーター化合物の例として、限定はされないが、2’,3’ジデオキシ構造を有する化合物が挙げられ、これら化合物は、ジデオキシヌクレオシド三リン酸と呼ばれる。ジデオキシヌクレオシド三リン酸であるddATP、ddTTP、ddCTP、およびddGTPは、総称してddNTPと呼ばれる。ターミネーター化合物のさらなる例として、リボヌクレオチドの2’−PO4類似体が挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2005/0037991号および第2005/0037398号を参照)。その他の従来とは異なるヌクレオチドとして、ホスホロチオアートdNTP([α−S]dNTP)、5’−[α−ボラノ]−dNTP、[α]−メチルホスホナートdNTP、およびリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)が挙げられる。従来と異なる塩基は、32P、33P、または35Sなどの放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、ビオチンなどのハプテン標識、またはストレプトアビジンまたはアビジンなどの酵素標識により標識されてもよい。蛍光標識には、フルオレセイン系統の色素などの負に帯電した色素、またはローダミン系統の色素などの電荷が中性の色素、またはシアニン系統の色素などの正に帯電した色素を含んでもよい。フルオレセイン系統の色素として、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NAN、およびZOEが挙げられる。ローダミン系統の色素として、テキサスレッド、ROX、R110、R6G、およびTAMRAが挙げられる。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、テキサスレッド、およびTAMRAで標識された種々の色素またはヌクレオチドは、Perkin-Elmer (Boston, MA)、Applied Biosystems (Foster City, CA)、またはInvitrogen/Molecular Probes (Eugene, OR)から市販されている。シアニン系統の色素には、Cy2、Cy3、Cy5、およびCy7が含まれ、GE Healthcare UK Limited (Amersham Place, Little Chalfont, Buckinghamshire, England)から市販されている。
本明細書で使用される「配列同一性の百分率」とは、比較窓領域全体で2つの最適に整列させた配列を比較して決定され、この比較窓領域内の配列の一部分は、2つの配列の最適な整列において、(付加または欠失を含まない)参照配列に対比して付加または欠失(すなわち切れ目)を含んでいてもよい。この百分率は、両方の配列で同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が発生する位置の数を測定して一致する位置の数を求め、一致する位置の数を比較窓領域内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて算出されて、配列同一性の百分率が求められる。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈での「同一の」または百分率の「同一性」という用語は、同一である2つ以上の配列または部分配列を指している。後述の配列比較のアルゴリズムのうちの1つを使用し、または手動での位置合わせと目視検査によって測定して、比較窓領域または指定領域にわたって最大の対応となるように比較して整列させた場合に、配列が、特定の百分率で同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有するなら(例えば、特定の領域全体で、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有するなら)、その配列は互いに「実質的に同一」であると言える。これらの定義はまた、試験配列の相補体にも適用される。任意ではあるが、この同一性は、長さが少なくとも約50ヌクレオチドである領域にわたって、またはより典型的には、長さが100〜500、または1,000以上のヌクレオチドである領域にわたって存在する。
2つ以上のポリペプチド配列の文脈での「類似性」または「百分率類似性」という用語は、後述の配列比較のアルゴリズムのうちの1つを使用し、または手動での位置合わせおよび目視検査によって測定して、比較窓領域または特定領域にわたって最大の対応となるように比較し整列させた場合に、保存アミノ酸置換によって定義される同一あるいは類似のいずれかである特定の百分率(例えば、特定領域で60%の類似性、任意に65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の類似性)のアミノ酸残基を有する2つ以上の配列または部分配列を指している。配列が互いに、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも55%で類似しているなら、これらの配列はまた、互いに「実質的に類似」であると言える。任意ではあるが、この類似性は、長さが少なくとも約50アミノ酸である領域にわたって、またはより典型的には、長さが100〜500、または1,000以上のアミノ酸である領域にわたって存在する。
配列比較では、典型的には1つの配列を参照配列として機能させて、試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合に、試験配列と参照配列がコンピューターに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムのパラメータが指定される。既定のプログラムパラメータが通常使用されるが、代替パラメータを指定してもよい。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列での配列同一性または配列類似性の百分率を計算する。
本明細書で使用される「比較窓領域」とは、20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群から選択される連続位置の番号のうちのいずれかの区画を指し、1つの配列は、参照配列とともに2つの配列を最適に整列させた後に、同一の連続位置の番号の参照配列と比較される。比較のために配列を整列させる方法は、当技術分野でよく知られている。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith and Waterman (Adv. Appl. Math. 2:482, 1970) の局地的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch (J. Mol. Biol. 48:443, 1970)の相同性整列アルゴリズム、Pearson and Lipman (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988)の類似性の検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ実行(例えば、Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis. のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動の位置合わせおよび目視検査(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)を参照)により実施できる。
百分率の配列同一性および配列類似性を決定するのに適するアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、Altschul et al. (Nuc. Acids Res. 25:3389-402, 1977)およびAltschul et al. (J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990)にそれぞれ説明されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公開されている。このアルゴリズムでは、最初にクエリ配列で長さWの短いワードを特定して、高スコア配列対(HSP)を特定することを含み、これは、データベース配列内の同一の長さのワードと整列させると、正の値の閾値スコアTに一致するか、またはそれを満たす。Tは近傍ワードスコア閾値と呼ばれる(前出のAltschul et al.)。これらの初期の近傍ワードのヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するシードとして機能する。ワードのヒットは、累積的な整列スコアを増大できる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。ヌクレオチド配列の累積スコアは、パラメーターM(一致する残基対の報酬スコア、常に>0)およびN(不一致の残基の罰則スコア、常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合に、スコアマトリックスを使用して累積スコアが計算される。各方向へのワードヒットの拡張は、累積整列スコアが到達した最大値から量Xだけ落下した場合に、1つ以上の負のスコアの残基整列の累積により累積スコアが0以下になった場合に、またはいずれかの配列の終端に到達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータであるW、T、およびXは、整列の感度および速度を決定する。(ヌクレオチド配列の場合の)BLASTNプログラムは、既定値としてワード長(W)に11、期待値(E)に10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較値を使用する。アミノ酸配列の場合のBLASTPプログラムは、既定値としてワード長に3、期待値(E)に10、およびBLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915, 1989を参照)の整列値(B)に50、期待値(E)に10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較値を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-87, 1993を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較での最小合計確率が約0.2未満、典型的には約0.01未満、より典型的には約0.001未満である場合に、この核酸は参照配列に類似であると見做される。
「Cp値」または「交差点」値という用語は、投入された標的核酸の定量を可能にする値を指す。Cp値は、二次微分最大法(Van Luu-The, et al.,「二次微分計算および二重補正を使用した高速処理測定のためのリアルタイムRT−PCR法の改善」“Improved real-time RT-PCR method for high-throughput measurements using second derivative calculation and double correction,” BioTechniques, Vol. 38, No. 2, February 2005, pp. 287-293)によって測定できる。二次微分法では、Cpは二次微分曲線の最初のピークに対応する。このピークは、対数線形段階の開始点に対応する。この二次微分法では、即時蛍光強度曲線の二次微分値を計算して、1個の値だけを取得する。元々のCp法は、局所的に定義された、例えば多項式関数による強度値の微分可能な近似に基づいている。次に三次導関数が計算される。Cp値は、三次導関数の最小の根である。Cpはまた、フィットポイント法を使用して決定することもでき、この場合には、Cpは、対数線形領域での閾値に平行な線の交差によって求められる(Van Luu-The, et al., BioTechniques, Vol. 38, No. 2, February 2005, pp. 287-293)。Rocheが提案するLightCycler装置を用いて、二次導関数最大法による計算によって、Cp値は提供される。
「PCR効率」という用語は、サイクル毎の増幅効率の指標を指す。PCR効率は、各条件で、式:%PCR効率=(10(-slope)−1)×100を用いて計算され、式中の勾配(slope)は、y軸に対数のコピー回数およびx軸にCpをプロットして直線回帰によって計算される。PCR効率は、完全一致の、または完全不一致のプライマー鋳型を用いて測定できる。
「核酸伸長速度」という用語は、生体触媒(例えば、ポリメラーゼ、リガーゼなどの酵素)が、1つ以上のヌクレオチドを核酸に(例えば共有結合的に)付加させて、核酸(例えば、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチド)を鋳型依存的または鋳型非依存的な方法で伸長する速度を指す。例示すると、本明細書に記載の特定の変異DNAポリメラーゼは、これらのDNAポリメラーゼの非修飾形態に比べて核酸伸長速度が向上して、所定の一連の反応条件でこれらの非修飾形態のDNAポリメラーゼよりも速い速度でプライマーを伸長できる。
「RTおよびポリメラーゼ阻害剤の許容量」という用語は、対照ポリメラーゼのポリメラーゼ活性または逆転写活性を阻害すると思われる量の阻害剤の存在で、活性(ポリメラーゼ活性または逆転写活性)を維持するポリメラーゼの能力を指す。実施形態によっては、改良ポリメラーゼは、対照ポリメラーゼの活性を本質的に排除すると思われる量の阻害剤の存在で、ポリメラーゼ活性または逆転写活性の発揮を可能にする。
「デオキシリボヌクレオシド三リン酸」または「dNTP」という用語は、デオキシリボヌクレオチドであるdATP、dCTP、dGTP、dTTP、dITP、および/またはdUTPを指す総称である。デオキシリボースを含むヌクレオシド三リン酸はdNTPと呼ばれ、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシイノシン三リン酸(dITP)、およびデオキシウリジン三リン酸(dUTP)のように、その名称にはデオキシ−という接頭語を付け、その略称には小文字のd−を付ける。dNTPは、DNA複製の構成基本単位である(組み込みの過程で2つのリン酸基は消失する)。各dNTPは、リン酸基、デオキシリボース糖、および窒素含有塩基で構成されている。DNAの二重らせん構造は、ポリマー中のモノマー単位によく似たdNTPから構成されている。
「アルキル化プライマー」という用語は、1つ以上の塩基がアルキル基の付加によって修飾されているオリゴヌクレオチドを指す。本発明の修飾プライマーを使用すると、非特異的増幅、特にプライマー二量体の生成の減少、および/または非修飾プライマーを用いて実施された増幅に対比して目標とする標的の収量の随伴的な増加が起こる(米国特許第6,001,611号を参照)。
「メチル化したdNTP」、「メチル化dNTP」、または「me−dNTP」という用語は、1つ以上のメチル基が付加されたデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはdNTPを指す。その例として、メチル化dATP、メチル化dCTP、メチル化dGTP、およびメチル化dTTPが挙げられる。1つ以上のメチル基は、dNTP中に見られるα−、β−、またはγ−リン酸基のいずれかの1つ以上に付加されてもよい。特定の例として、メチル化dNTPでは、各dNTPの末端γ−リン酸基がメチル基で修飾されていて、これによりPCRなどの増幅反応での使用では、通常の非メチル化dNTPに比較してより安定したdNTP成分を生成する。γ−リン酸基に1つのメチル基を持つメチル化dNTPを使用するような場合には、メチル基はγ−リン酸基の上に存在するために、リン酸基はピロリン酸として切断されるので、PCRの伸長段階中にメチル基はアンプリコン中に組み込まれない。このように、より安定した成分が使用されているが、PCR反応を妨害しない。
「フッ素化dNTP」、「フッ化dNTP」、「F−dNTP」、または「f−dNTP」という用語は、1つのリン酸基がフッ素化された任意のデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはdNTPを指す。その例として、フッ化dATP、フッ化dCTP、フッ化dGTP、フッ化dTTP、およびフッ化dUTPが挙げられる。フッ素原子は、dNTPに見られるα−、β−、またはγ−リン酸基のいずれか1つにある1つの酸素を置換してもよい。特定の例として、フッ化dNTPでは、各dNTPの末端γ−リン酸基がフッ素化され、これによりPCRなどの増幅反応での使用では、通常の非修飾dNTPに比較してより安定なdNTP成分を生成する。
「5’−ヌクレアーゼプローブ」という用語は、少なくとも1つの発光標識部分を含み、かつ5’−ヌクレアーゼ反応で使用されて標的核酸の検出を行うオリゴヌクレオチドを指す。実施形態によっては、例えば、5’−ヌクレアーゼプローブは、単一の発光部分(例えば蛍光色素など)のみを含む。特定の実施形態では、5’−ヌクレアーゼプローブは、プローブが選択された条件でヘアピン構造を生成できるように自己相補性の領域を含む。さらに説明すると、実施形態によっては、5’−ヌクレアーゼプローブは、少なくとも2つの標識部分を含み、2つの標識のうちの1つがオリゴヌクレオチドから切断されまたは別の方法で分離された後に、高い強度の放射線を放出する。特定の実施形態では、5’−ヌクレアーゼプローブは、2つの異なる蛍光色素、例えば5’末端レポーター色素および3’末端クエンチャー色素または部分により標識される。実施形態によっては、5’−ヌクレアーゼプローブは、末端位置以外の、または末端位置に加えて、1つ以上の位置で標識される。プローブが未処理の場合に、レポーター色素からの蛍光発光が少なくとも部分的に消光されるように、典型的には、2つの蛍光体の間でエネルギー移動が発生する。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程中に、例えば鋳型核酸に結合した5’ヌクレアーゼプローブは、レポーター色素の蛍光発光が消光されないように、例えばこの活性を有するTaqポリメラーゼまたは別のポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性によって切断される。5’−ヌクレアーゼプローブの例はまた、例えば、米国特許第5,210,015号、第5,994,056号、および第6,171,785号に記載されている。その他の実施形態によっては、5’ヌクレアーゼプローブは、2つ以上の異なるレポーター色素および3’末端クエンチャー色素または部分により標識されてもよい。
「FRET」または「蛍光共鳴エネルギー移動」または「フェルスター共鳴エネルギー移動」という用語は、少なくとも2つの発色団、すなわちドナー発色団およびアクセプター発色団(クエンチャ―と呼ばれる)間でのエネルギーの移動を指す。ドナーは、典型的には、ドナーが適切な波長での光放射によって励起されると、エネルギーをアクセプターに移動させる。アクセプターは、典型的には、移動されたエネルギーを、異なる波長をもつ光放射の形態で再放出する。アクセプターが「ダーク」クエンチャ―(暗消光剤)である場合に、このクエンチャ―は、光以外の形態で移動されたエネルギーを消散させる。特定の蛍光体がドナーまたはアクセプターとして機能するかどうかは、FRET対の他方の部材の特性に依存する。通常使用されるドナー−アクセプター対には、FAM−TAMRA対が挙げられる。通常使用されるクエンチャ―は、DABCYLおよびTAMRAである。通常使用されるダーククエンチャ―には、BlackHole QuenchersTM (BHQ) (Biosearch Technologies, Inc., Novato, Cal.)、Iowa BlackTM (Integrated DNA Tech., Inc., Coralville, Iowa)、およびBlackBerryTM Quencher 650 (BBQ-650) (Berry & Assoc., Dexter, Mich.)が含まれる。
メチル化dNTPまたはフッ素化dNTPを用いるZ05D−F2の特性の向上を示すリアルタイムPCRデータを示す。
異なる濃度でのメチル化dNTPの組み込みを比較するリアルタイムPCRデータを示す。親Z05Dによる1mMの標準dNTPの組み込みが基準として示され、比較の基本となる。
鋳型およびddCTP(PDB受託コード4N5S)との三成分系複合体中のTaq DNAポリメラーゼのクレノウ断片の結晶構造を示す。Taq DNAポリメラーゼは、Z05Dでの原型として用いられる。対応する残基I638およびV703(I640およびV705)は標識されている。
親Z05D(配列番号2)、Z05D−F2(配列番号3)、および単一変異体であるZ05D−I640M(配列番号4)およびZ05D−V705L(配列番号5)による通常の非修飾のdNTPまたはメチル化dNTPの組み込みを比較するリアルタイムPCRデータを示す。 図4Aの説明に同じ。
親Z05D(配列番号2)、Z05D−F2(配列番号3)、および単一変異体であるZ05D−I640M(配列番号4)およびZ05D−V705L(配列番号5)によるメチル化dNTPの組み込みを比較するRT−PCRデータを示す。β−カテニン転写産物を、アルキル化プライマーおよびメチル化dNTPを(1mMまたは2mMで)有するRNA鋳型として使用した。通常の(非修飾の)dNTPを用いるZ05Dのデータが、基準として示されている。[発明の詳細な説明]
本発明は、ポリメラーゼ領域内の1つ以上のアミノ酸が非修飾DNAポリメラーゼに対比して変異している改良DNAポリメラーゼを提供する。本発明のDNAポリメラーゼは、非修飾形態のポリメラーゼと比較して、メチル化dNTPを効率的かつ効果的に組み込む能力が向上した活性酵素である。
メチル化dNTPをより効率的かつ効果的に組み込むDNAポリメラーゼは、例えば、RT−PCRを用いてRNA標的を検出および/または定量する検定を含む様々な用途に有用である。従って、DNAポリメラーゼは、例えば、組換えDNA研究および疾患の医学的診断の用途を含むポリヌクレオチド伸長ならびにポリヌクレオチド鋳型の逆転写または増幅を含む種々の用途に有用である。
実施形態によっては、本発明のポリメラーゼは、キメラポリメラーゼであり、すなわち複数の酵素からのポリペプチド領域を含む。このキメラDNAポリメラーゼは、例えば、米国特許第6,228,628号に記載されている。キメラCS系統DNAポリメラーゼが特に適切であるが、このポリメラーゼは、実質的なアミノ酸配列同一性または類似性(典型的には、少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、より典型的には少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性)を有するCS5およびCS6ポリメラーゼおよびそれらの変異体を含む。CS5およびCS6DNAポリメラーゼは、テルムス種Z05DNAポリメラーゼおよびテルモトガ・マリチマ(Tma)DNAポリメラーゼ由来のキメラ酵素である。これらは、テルムス酵素のN末端の5’−ヌクレアーゼドメイン、Tma酵素のC末端の3’−5’エキソヌクレアーゼ、およびポリメラーゼドメインを含む。これらの酵素は、効率的な逆転写酵素活性を有し、ヌクレオチド類似体含有プライマーを伸長させ、α−チオリン酸dNTP、dUTP、dITPを組み込むことができ、またフルオレセイン色素系統およびシアニン色素系統で標識したdNTPも組み込むことができる。CS5およびCS6ポリメラーゼは、効率的なMg2+活性化PCR酵素でもある。CS5およびCS6キメラポリメラーゼは、例えば、米国特許第7,148,049号にさらに記載されている。
実施形態によっては、アミノ酸置換は単一のアミノ酸置換である。本明細書で提供されるDNAポリメラーゼは、非修飾のポリメラーゼに対比して、活性部位に1つ以上のアミノ酸置換を含んでもよい。これらの位置でのアミノ酸置換により、メチル化dNTPを組み込む能力が向上し、非修飾のポリメラーゼに対比してメチル化dNTPを組み込む能力が向上した変異DNAポリメラーゼが生成される。実施形態によっては、Z05Dの640位かつ/あるいは705位のアミノ酸は、Z05Dの天然配列に対応しないアミノ酸により置換されている。特定の実施形態では、Z05Dの640位のアミノ酸はメチオニン(MetまたはM)により置換され、かつ/あるいはZ05Dの705位のアミノ酸はロイシン(LeuまたはL)により置換されている。1つ以上の特定部位でのその他の適切なアミノ酸置換は、例えば、部位特異的な変異誘発の既知の方法、および本明細書にさらに記載される測定でのポリヌクレオチド伸長性能の決定方法、または当業者に既知の別の方法を用いて決定できる。
実施形態によっては、本発明のポリメラーゼは、配列番号3を含み、さらに天然のポリメラーゼと比較して(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失による)1つ以上のさらなるアミノ酸の変更を含む。
実施形態によっては、この機能的な変異ポリメラーゼは、典型的には、野生型または天然存在のポリメラーゼに対して実質的な配列同一性または類似性を有し、典型的には少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、より典型的には少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する。
1つ以上の特定部位での他の適切なアミノ酸置換は、例えば、部位特異的な変異誘発の既知の方法、および本明細書にさらに記載される測定でのポリヌクレオチド伸長性能の決定方法、または当業者に既知の別の方法を用いて決定でき、例えば、このアミノ酸置換は、米国特許公開第2009/0148891号および第2009/0280539号に記載されている。
実施形態によっては、本発明のDNAポリメラーゼは、テルムス種Z05 DNAポリメラーゼ(配列番号1)またはその変異体(例えば、D580G変異を保持するZ05D(配列番号2)などの変異体)に由来する。従って、本発明の特定の変形例によっては、変異ポリメラーゼは、テルムス種Z05D DNAポリメラーゼ(または、配列番号2に対し実質的に同一、例えば、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%で同一のDNAポリメラーゼ)に対比して、640位および/または705位に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、配列番号2の640位のアミノ酸は、メチオニン(MetまたはM)(即ち配列番号3または4)である。特定の実施形態では、配列番号2の705位のアミノ酸残基は、ロイシン(LeuまたはL)(即ち配列番号3または5)である。
テルムス種Z05 DNAポリメラーゼ変異体の例として、アミノ酸置換D580G(即ちZ05D(配列番号2))を含む変異体が挙げられる。実施形態によっては、変異テルムス種Z05 DNAポリメラーゼは、例えば、アミノ酸残基置換D580GおよびI640M(配列番号4)を含む。実施形態によっては、変異テルムス種Z05 DNAポリメラーゼは、例えば、アミノ酸残基置換D580GおよびV705L(配列番号5)を含む。実施形態によっては、変異テルムス種Z05 DNAポリメラーゼは、例えば、アミノ酸残基置換D580G、I640M、およびV705L(配列番号3)を含む。特定の実施形態では、変異テルムス種Z05 DNAポリメラーゼは、例えば、D580G、I640M、および/またはV705L(配列番号3〜5)から独立して選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を含む。
配列番号1(Z05)の580位に対応するアミノ酸での置換により、それはZ05D(配列番号2)として既知であるが、例えば、伸長率、逆転写効率、および/または増幅能力の向上を含むポリメラーゼ活性が向上したDNAポリメラーゼを生成できることは上記に示した通りである(米国特許第8,962,293号および第9,102,924号、および米国特許公開第2016−0024548号を参照)。従って、本明細書に記載される配列番号1(Z05)の580位に対応するアミノ酸での置換を含む改良ポリメラーゼでもまた、上記の特性が改善されることが予測される。
本明細書に記載される変異および置換に加えて、本発明のDNAポリメラーゼはまた、その他の非置換修飾を含んでもよい。この修飾は、ポリヌクレオチド伸長を含む用途でさらなる利点を付与するために、例えば当該分野で既知の共有結合修飾を含んでもよい。例えば、この修飾の1つは、酵素を不活性化するが、ポリヌクレオチド伸長に典型的に用いられる温度など、高温での培養時に酵素を活性化するように逆転される熱可逆性の共有結合修飾である。この熱可逆性修飾のための反応剤は、例えば、米国特許第5,773,258号および第5,677,152号に記載されている。
本発明のDNAポリメラーゼは、対応する非修飾ポリメラーゼ(例えば、本発明のポリメラーゼが由来する野生型ポリメラーゼまたは対応する変異体)をコードするDNA配列を、例えば通常部位特異的な変異誘発と呼ばれる技術を使用して、変異することで構築できる。非修飾形態のポリメラーゼをコードする核酸分子を、当業者に周知の様々なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって変異させることができる。(例えば、「PCR手順書第14章のPCR手法」PCR Strategies at Chapter 14; PCR Protocols (M. A. Innis, D. H. Gelfand, and J. J. Sninsky eds., 1995, Academic Press, San Diego, CA)、「方法および応用への手引き」A Guide to Methods and Applications (M. A. Innis, D. H. Gelfand, J. J. Sninsky, and T. J. White eds., Academic Press, NY, 1990)を参照。)
非限定的な例として、ClontechからのTransformer Site-Directed Mutagenesis kit(形質転換部位特異的変異誘発キット)で利用される2つのプライマーシステムは、非修飾形態のポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドに部位特異的変異を導入するために使用されてもよい。このシステムで、標的プラスミドの変性に続いて、2つのプライマーは、同時にプラスミドに結合され、これらのプライマーの一方には目的とする部位特異的変異を含み、他方にはプラスミドの別の点に変異を含み、制限部位が排除される。次に第2の鎖の合成が実施され、これら2つの変異を緊密に結合し、得られたプラスミドは大腸菌のmutS株に形質転換される。プラスミドDNAは、形質転換された細菌から単離され、関連する制限酵素により制限され(それにより非変異のプラスミドを線形化し)、次に大腸菌内に再形質転換される。このシステムでは、サブクローニングや一本鎖ファージミドの生成を必要とせずに、発現プラスミド中に直接に変異を生成できる。2つの変異の緊密な結合およびその後の非変異プラスミドの線形化により、高い変異効率が得られ、最小限の選別が可能となる。初期の制限部位プライマーの合成後に、この方法では、変異部位ごとに新規のプライマー型を1つだけ使用する必要がある。各位置で変異体を別々に調製するのではなく、1組の「変性を組み込んだ」オリゴヌクレオチドプライマーを合成して、所定の部位に全ての所望の変異を同時に導入できる。形質転換体は、変異した領域を通してプラスミドDNAを配列決定して変異クローンを特定かつ分類することにより選別できる。次に変異DNAをそれぞれ制限し、例えばMutation Detection Enhancement gel(変異検出強化ゲル)(Mallinckrodt Baker, Inc., Phillipsburg, NJ)などでの電気泳動によって分析して、(非変異誘発対照に対するバンドシフトの比較によって)配列に他の変化が発生していないことを確認する。あるいは、DNA領域全体を配列決定して、標的領域の外側でさらなる変異事象が発生していなかったことを確認できる。
2つ以上のアミノ酸が置換されたDNAポリメラーゼを、種々の方法で生成できる。ポリペプチド鎖中に互いに近接して位置するアミノ酸の場合に、それらは、所望のアミノ酸置換の全てをコードする1つのオリゴヌクレオチドを使用して同時に変異させてもよい。しかしながら、アミノ酸が互いにある距離離れている(例えば10個を超えるアミノ酸によって隔てられている)場合に、所望の全ての変更をコードする単一のオリゴヌクレオチドを生成することは、より困難なことになる。代わりに、2つの代替方法のうちのいずれかを使用できる。第1の方法では、置換されるアミノ酸ごとに個々のオリゴヌクレオチドを生成する。次にこのオリゴヌクレオチドを一本鎖鋳型DNAに同時にアニールし、鋳型から合成されるDNAの第2の鎖は、全ての所望のアミノ酸置換をコードすることになる。もう一方の方法は、2回以上の変異誘発のサイクルを含んで所望の変異体を生成する。1回目のサイクルは、単一変異体について説明した通りであり、すなわち非修飾のポリメラーゼをコードするDNAが鋳型に使用され、第1の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニールして、その後にヘテロ二重鎖DNA分子が生成される。2回目の変異誘発サイクルでは、1回目の変異誘発サイクルで生成された変異DNAを鋳型として利用する。従って、この鋳型にはすでに1つ以上の変異が含まれている。次に、さらなる所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニールし、結果としてDNA鎖はここで、1回目と2回目の変異誘発の両方からの変異をコードする。得られたDNAは、3回目の変異誘発サイクルなどの鋳型として使用できる。あるいは、Seyfang & Jin (Anal. Biochem. 324:285-291. 2004)の多重部位変異誘発法を利用してもよい。
これにより、本発明のDNAポリメラーゼのいずれかをコードする組換え核酸も提供される。DNAポリメラーゼをコードする本発明の核酸を使用して、様々なベクターを生成できる。宿主細胞に適合性のある種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有する任意のベクターを、本発明の実施に使用できる。一般に発現ベクターは、DNAポリメラーゼをコードする核酸に作動可能に連結された転写調節核酸領域および翻訳調節核酸領域を含む。「制御配列」という用語は、特定の宿主生物で作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適する制御配列には、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。さらに、ベクターは、転写されたmRNAの半減期を延ばすために正の逆調節要素(PRE)を含んでもよい(Gelfand et al.の米国特許第4,666,848号を参照)。転写および翻訳調節核酸領域は、通常は、ポリメラーゼを発現するのに使用される宿主細胞に適している。種々の宿主細胞に対して、多数の適切な発現ベクターの形態および適切な調節配列が当技術分野では知られている。概して、転写調節配列および翻訳調節配列は、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、およびエンハンサー配列またはアクチベーター配列を含んでもよい。典型的な実施形態では、調節配列は、プロモーターならびに転写開始および停止配列を含む。ベクターはまた、典型的には、外来DNAの挿入のためのいくつかの制限部位を含むポリリンカー領域を含む。特定の実施形態では、「融合フラグ」は、精製を容易に、および必要に応じてタグ/フラグ配列、例えば「Hisタグ」のその後の除去を容易にするように使用される。しかしながら、これらは、「熱工程」が使用されてもよい中温性宿主(例えば大腸菌)から熱活性および/または耐熱性タンパク質を精製する場合には、一般的に不必要である。複製配列、調節配列、表現型選択遺伝子、および目的のポリメラーゼをコードするDNAを含む適切なベクターの構築は、標準的な組換えDNA手法を使用して調製される。当技術分野では周知なように、単離されたプラスミド、ウイルスベクター、およびDNA断片を特定の順序で切断し、適合させ、および連結して、所望のベクターを生成する(例えば、Sambrook et al.「分子クローニング:実験室マニュアル」Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, NY, 2nd ed. 1989)を参照)。
特定の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は、当技術分野では周知であり、使用される宿主細胞によって異なる。適切な選択遺伝子は、例えば、アンピシリン耐性および/またはテトラサイクリン耐性をコードする遺伝子を含み、これらのベクターにより形質転換された細胞がこれらの抗生物質の存在で増殖することを可能にする。
本発明の一側面では、DNAポリメラーゼをコードする核酸は、単独で、またはベクターとの組合せのいずれかで、細胞に導入される。本明細書における「〜に導入された」または文法上の同等語は、核酸がその後の核酸の組み込み、増幅、および/または発現に適する方法で細胞に入ることを意味している。この導入の方法は、標的となる細胞の種類によって大きく支配される。この方法の例としては、CaPO4沈殿、リポソーム融合、LIPOFECTIN(登録商標)、電気穿孔、ウイルス感染などが挙げられる。
実施形態によっては、原核生物は、本発明の初期のクローニング工程用の宿主細胞として典型的に使用される。これらは、大量のDNAの迅速な生産に、部位特異的変異誘発に使用される一本鎖DNA鋳型の生産に、多くの変異体の同時選択に、および生成された変異体のDNA配列決定に特に有用である。適切な原核生物宿主細胞には、大腸菌K12株94(ATCC番号31,446)、大腸菌株W3110(ATCC番号27,325)、大腸菌K12株DG116(ATCC番号53,606)、大腸菌X1776(ATCC番号31,537)、および大腸菌Bが挙げられるが、HB101、JM101、NM522、NM538、NM539などの他の多くの大腸菌株、およびバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などの桿菌、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)またはセラチア・マルセセンス(Serratia marcesans)などの他の腸内細菌科、および種々のシュードモナス種などを含む原核生物の多くの他の種および属の全てを宿主として使用できる。原核宿主細胞または強固な細胞壁を有する他の宿主細胞は、典型的には、前出のSambrook et al.の1.82節に記載されるように、塩化カルシウム法を使用して形質転換される。あるいは、これらの細胞の形質転換に電気穿孔法を使用できる。原核生物の形質転換技術は、例えば、Dowerの「遺伝子工学、原理と方法」Genetic Engineering, Principles and Methods 12:275-296 (Plenum Publishing Corp., 1990)およびHanahan et al., Meth. Enzymol., 204:63, 1991に記載されている。大腸菌の形質転換に典型的に使用されるプラスミドとして、pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、およびBluescriptM13が挙げられ、これらは全て、前出のSambrook et alの1.12〜1.20節に記載されている。但し、多くのその他の適切なベクターも利用可能である。
本発明のDNAポリメラーゼは、典型的には、DNAポリメラーゼの発現を誘導または引き起こすのに適切な条件で、DNAポリメラーゼをコードする核酸を含む発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養して生成される。タンパク質発現に適する条件で形質転換された宿主細胞を培養する方法は、当技術分野で周知である(例えば、前出のSambrook et al.を参照)。λpLプロモーター含有プラスミドベクターからのポリメラーゼの産生に適する宿主細胞には、大腸菌株DG116(ATCC番号53606)(米国特許第5,079,352号、およびF.C. et al., PCR Methods and Applications 2:275-87, 1993を参照)が含まれる。発現に続いて、ポリメラーゼを回収および単離できる。耐熱性DNAポリメラーゼを精製する方法は、例えば、前出のLawyer et al.に記載されている。精製してしまえば、DNAポリメラーゼによるRT効率、不整合耐性、伸長率、および/またはRTおよびポリメラーゼ阻害剤の耐性を向上させる能力を、(例えば、実施例に記載されているように)試験できる。
本発明の改良DNAポリメラーゼは、この酵素活性が必要とされまたは所望される任意の目的に使用できる。従って、本発明の別の側面では、ポリメラーゼを使用するポリヌクレオチド伸長(例えばPCR)の方法が提供される。ポリヌクレオチド伸長に適する条件は、当技術分野で知られている。(例えば、前出のSambrook et al.を参照、またAusubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (4th ed., John Wiley & Sons 1999)も参照。)一般に、プライマーは標的核酸にアニールすなわちハイブリダイズされて、プライマー−鋳型複合体を生成する。このプライマー−鋳型複合体を、適切な環境でDNAポリメラーゼおよびヌクレオシド三リン酸と接触させて、プライマーの3’末端への1つ以上のヌクレオチドの付加を可能として、それにより伸長した標的核酸に相補的なプライマーを生成する。このプライマーは、例えば、1つ以上のヌクレオチド類似体を含んでもよい。さらに、ヌクレオシド三リン酸は、従来のヌクレオチド、従来と異なるヌクレオチド(例えばリボヌクレオチドまたは標識ヌクレオチド)、またはそれらの混合物であってもよい。いくつかの変形例では、ポリヌクレオチド伸長反応は、標的核酸の増幅を含む。DNAポリメラーゼおよびプライマー対を用いる核酸増幅に適切な条件もまた、当該分野で既知である(例えばPCR増幅手法)。(例えば、前出のSambrook et al.、前出のAusubel et al.、および「PCR応用:機能ゲノミクスのための手順」PCR Applications: Protocols for Functional Genomics (Innis et al. eds., Academic Press 1999)を参照。)他の特定の限定的な実施形態では、ポリヌクレオチド伸長反応は、RNA鋳型の逆転写(例えばRT−PCR)を含む。実施形態によっては、改良ポリメラーゼは、454配列決定(454 sequencing)に使用可能である(Margulies, M et al. 2005, Nature, 437, 376-380)。
必要に応じて、プライマー伸長反応では、参照または非修飾ポリメラーゼの現実的または潜在的な阻害剤を含む。阻害剤は、例えば、参照または非修飾(対照)ポリメラーゼの核酸伸長速度および/または逆転写効率を阻害できる。実施形態によっては、阻害剤はヘモグロビンまたはその分解産物である。例えば、実施形態によっては、ヘモグロビン分解産物は、ヘミン、ヘマトポルフィリン、またはビリルビンなどのヘム分解産物である。実施形態によっては、阻害剤は鉄キレート剤または紫色顔料である。他の実施形態では、阻害剤はヘパリンである。特定の実施形態では、阻害剤は挿入色素である。特定の実施形態では、阻害剤は、ポリメラーゼ阻害剤として記載されているメラニンである。例えば、Ekhardt, et al., Biochem Biophys Res Commun. 271(3):726-30 (2000)を参照。
本発明のDNAポリメラーゼは、例えば血液などのポリメラーゼ阻害剤を含む試料から単離されたポリヌクレオチド鋳型の存在で鋳型を伸長するために使用できる。例えば、本発明のDNAポリメラーゼは、血液の主要成分であるヘモグロビンの存在で、またはヘモグロビン分解産物の存在で鋳型を伸長するために使用できる。ヘモグロビンは、ヘミン、ヘマチン、ヘマトポルフィリン、およびビリルビンなどの種々のヘム分解産物に分解される可能性がある。従って、特定の実施形態では、本発明のDNAポリメラーゼは、限定はされないが、ヘミン、ヘマチン、ヘマトポルフィリン、およびビリルビンを含むヘモグロビン分解産物の存在で鋳型を伸長するために使用できる。特定の実施形態では、ヘモグロビン分解産物はヘミンである。実施形態によっては、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、約0.5〜20.0μM、約0.5〜10.0μM、約0.5〜5.0μM、約1.0〜10.0μM、約1.0〜5.0μM、約2.0〜5.0μM、または約2.0〜3.0μMのヘミンの存在で鋳型を伸長できる。他の実施形態では、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、10.0、20.0μMのヘミン、または20μMを超えるヘミンの存在で鋳型を伸長できる。ヘモグロビンの分解産物には、鉄キレート剤と紫色顔料が含まれる。従って、実施形態によっては、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、鉄キレート剤および/または紫色顔料の存在で鋳型を伸長できる。他の実施形態では、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、参照または対照DNAポリメラーゼによって同一の鋳型の伸長を阻害すると思われるヘモグロビン分解産物の量の存在で鋳型を伸長できる。
本発明のDNAポリメラーゼを使用して、ヘパリンの存在で鋳型を伸長できる。ヘパリンは、通常、血液から分離された試料中に抗凝固剤として存在する。実施形態によっては、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、約1.0〜400ng/μL、1.0〜300ng/μL、1.0〜200ng/μL、5.0〜400ng/μL、5.0〜300ng/μL、5.0〜200ng/μL、10.0〜400ng/μL、10.0〜300ng/μL、または10.0〜200ng/μLのヘパリンの存在で鋳型を伸長できる。実施形態によっては、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400ng/μLのヘパリン、または400ng/μLを超えるヘパリンの存在で鋳型を伸長できる。他の実施形態では、本発明のDNAポリメラーゼを使用して、参照または対照DNAポリメラーゼによって同一の鋳型の伸長を阻害すると思われるヘパリンの量の存在で鋳型を伸長できる。
実施形態によっては、本発明の改良ポリメラーゼは、逆転写反応に用いられる。実施形態によっては、逆転写反応は、RNA鋳型、1つ以上のプライマー、および本発明の耐熱性DNAポリメラーゼを含む混合物中で実施される。反応混合物は、典型的には、4つの全ての標準的なデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)(またはdNTPのメチル化版)、および2価の陽イオンと1価の陽イオンを含む緩衝液を含む。陽イオンとしては、例えば、Mg2+が挙げられるが、Mn2+またはCo2+などの他の陽イオンでも、DNAポリメラーゼを活性化できる。他の実施形態では、逆転写反応は、本発明の熱活性DNAポリメラーゼを用いて実施される。特定の実施形態では、本発明の改良ポリメラーゼは、実施例に説明されるように、Mn2+またはMg2+の存在でDNA鋳型の効率的な増幅を損なうことなく、RNA鋳型のより効率的な増幅を可能にする。
実施形態によっては、改良ポリメラーゼは、対照ポリメラーゼと比較して、より安定なメチル化dNTPを組み込む能力が向上している。Z05D(配列番号2)の640位および/または705位に対応するアミノ酸での置換がメチル化dNTPを組み込む能力をもたらすことは、過去には分かっていなかった。そこで、実施形態によっては、配列番号2の640位に対応するアミノ酸にIle(I)からMet(M)への置換、および/または配列番号2の705位に対応するアミノ酸にVal(V)からロイシン(L)への置換を有するDNAポリメラーゼは、メチル化dNTPを組み込む能力の向上をもたらすことができた。実施形態によっては、対照ポリメラーゼと比較して、より安定なメチル化dNTPを組み込む能力が向上したDNAポリメラーゼは、配列番号2の640位に対応するアミノ酸にIle(I)からMet(M)への置換、および/または配列番号2の705位に対応するアミノ酸にVal(V)からLeu(L)への置換を含み、かつ配列番号1〜5に対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を有する。
標的核酸は、供給を生体源または合成源に由来してもよい。標的は、例えば、DNAまたはRNAであってもよい。一般にアンプリコンが生成される場合に、アンプリコンはDNAから構成されるが、リボヌクレオチドまたは合成ヌクレオチドもまた、アンプリコンに組み込むことができる。RNAが検出対象である場合に、増幅工程は、典型的には、例えば逆転写PCR(RT−PCR)を含む逆転写の使用を含むことになる。
特定の標的配列には、例えば、ウイルス核酸(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、パルボB19ウイルス、エプスタインバーウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、西ナイルウイルス(WNV)、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)、マレー渓谷脳炎ウイルス、およびクンジンウイルス)、細菌核酸(例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、クラミジア・ムリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis))、マイコバクテリア、真菌核酸、または動物や植物由来の核酸を含むことができる。実施形態によっては、標的核酸は、動物(例えばヒト)の核酸であるか、または動物(例えばヒト)試料に由来する(即ち、ウイルスまたは他の病原性生物の核酸は、動物の生検からの試料、血液試料、尿試料、糞便試料、唾液などに存在してもよい)。実施形態によっては、標的核酸は、例えば、疾患(例えば癌、糖尿病など)に関連する変異体を含んでもよいヒトの遺伝子領域である。実施形態によっては、本発明のポリメラーゼは不整合に対する耐性を持っているので、この酵素は、例えば、関連する配列の多様性が標的配列内にあると思われる場合に特に有用である。一例として、本発明は、ウイルス病原体がそれらのゲノム内に相当な変異を有していて、殆どのまたは全ての可能性のあるウイルスゲノムを増幅する単一のプライマーまたは小単位のプライマーを設計することが困難または不可能な場合に、あるいは配列の変異が発生すると知られているか、またはその発生の可能性が高い癌またはその他の疾患の遺伝子マーカーにおいて、ウイルス病原体を検出するために用いることができる。
本明細書に記載の改良ポリメラーゼを使用して伸長産物または増幅産物を検出するその他の方法には、蛍光二本鎖ヌクレオチド結合色素、または蛍光二本鎖ヌクレオチド挿入色素の使用が含まれる。蛍光二本鎖DNA結合色素の例として、サイバーグリーン(分子プローブ)が挙げられる。二本鎖DNA結合色素を、融解曲線分析との組み合わせにより使用して、プライマー伸長産物および/または増幅産物を測定できる。融解曲線分析は、搭載ソフトウェア(SDS2.1)を備えたABI5700/7000(96ウェル方式)装置またはABI7900(384ウェル方式)装置などのリアルタイムPCR装置で実施できる。あるいは、融解曲線分析を終点分析として実施できる。融点分析方法は、例えば米国特許公開第2006/0172324号に記載されている。
本発明の別の側面では、本明細書に記載のプライマー伸長法で使用するキットが提供される。実施形態によっては、キットは、使い易いように区画化されており、本発明による改良DNAポリメラーゼを提供する少なくとも1個の容器を含む。追加の試薬を提供する1個以上の追加の容器をまた含んでもよい。実施形態によっては、キットはまた、ヘパリンまたはその塩を含む、またはヘパリンを溶液中に放出する採血管、容器、または装置を含んでもよい。採血装置は、ヘパリン処理された管であってもよい。これら追加の容器は、例えば、核酸増幅手法(例えばPCR、RT−PCR)、DNA配列決定手法、またはDNA標識処理手法で使用する試薬を含み、上記の方法によるプライマー伸長手法での使用のための当業者に既知の任意の試薬または他の成分を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、キットはさらに、プライマー伸長条件で、所定のポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能な5’センスプライマー、または5’センスプライマーおよび対応する3’アンチセンスプライマーを含むプライマー対を提供する容器を含む。他の特定の限定的な変形例では、キットは、(従来の、かつ/あるいは従来と異なる)ヌクレオシド三リン酸を提供する1個以上の容器を含む。特定の実施形態では、キットは、α−チオリン酸dNTP、dUTP、dITP、および/または、例えばフルオレセイン色素もしくはシアニン色素系統のdNTP、またはメチル化dNTPなどの標識dNTPを含む。さらに他の特定の限定的な実施形態では、キットは、プライマー伸長反応に適する緩衝液を提供する1個以上の容器を含む。
本発明の別の側面では、本明細書に記載されるように、メチル化dNTPを組み込む能力が向上したポリメラーゼを含む反応混合物が提供される。反応混合物は、例えば、核酸増幅手法(例えばPCR、RT−PCR)、DNA配列決定手法、またはDNA標識処理手法で使用する試薬をさらに含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、反応混合物は、プライマー伸長反応に適する緩衝液を含む。反応混合物はまた、鋳型核酸(DNAおよび/またはRNA)、1つ以上のプライマーまたはプローブポリヌクレオチド、(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、標識ヌクレオチド、従来と異なるヌクレオチド、メチル化dNTPを含む)ヌクレオシド三リン酸、塩(例えばMn2+、Mg2+)、標識(例えば蛍光体)を含んでもよい。実施形態によっては、反応混合物は、プライマー伸長条件で、所定のポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能な5’センスプライマー、または5’センスプライマーおよび対応する3’アンチセンスプライマーを含むプライマー対を含む。実施形態によっては、反応混合物は、α−チオリン酸dNTP、dUTP、dITP、および/または、例えばフルオレセイン色素またはシアニン色素系統のdNTPおよび/またはメチル化dNTPなどの標識dNTPを含む。実施形態によっては、反応混合物は、鉄キレート剤または紫色色素を含む。特定の実施形態では、反応混合物は、ヘモグロビン、またはヘモグロビンの分解産物を含む。例えば、特定の実施形態では、ヘモグロビンの分解産物は、ヘミン、ヘマチン、ヘマトフォリン、およびビリルビンなどのヘム分解産物を含む。他の実施形態では、反応混合物は、ヘパリンまたはその塩を含む。特定の実施形態では、反応混合物は、血液から単離される鋳型核酸を含む。他の実施形態では、鋳型核酸はRNAであり、反応混合物はヘパリンまたはその塩を含む。
実施形態によっては、反応混合物は、2つ以上のポリメラーゼを含む。例えば、実施形態によっては、反応混合物は、対照ポリメラーゼと比較して、逆転写酵素効率が向上した第1のDNAポリメラーゼ、およびDNA依存性ポリメラーゼ活性を有する第2のDNAポリメラーゼを含む。第2のDNAポリメラーゼは、野生型または非修飾のポリメラーゼであってもよく、またはDNA依存性ポリメラーゼ活性が向上した改良ポリメラーゼであってもよい。この反応混合物は、逆転写酵素活性が向上したポリメラーゼおよびDNA依存性ポリメラーゼ活性を有するポリメラーゼの両方を提供して、RNA鋳型の増幅(例えばRT−PCR)に有用になる。
以下の実施例は、請求される発明を説明するために提示されるが、この発明を限定するものではない。
実施例1:修飾ポリメラーゼの特定
修飾されたポリメラーゼは、Z05D(配列番号2、米国特許第8,962,293号に記載)として知られる野生型Z05ポリメラーゼ(配列番号1)の既知の変異体に基づいている。Z05D変異体では、580位のアミノ酸アスパラギン酸(D)がアミノ酸グリシン(G)によって置換されている(即ち、Z05DはD580G変異を有するZ05Dポリメラーゼである)(配列番号2)。本発明の修飾されたポリメラーゼは、「Z05変異体F2」または(「Z05D−F2」)(配列番号3)として知られている。Z05D変異体F2は、メチル化dNTPおよびアルキル化プライマーを用いてPCRベースの検定を使用して、誤りがちなPCRによって生成されたライブラリ中に見出された。Z05D−F2は、より大規模(500mL)で発現・精製され、図1に示すように、PCR測定中のZ05D−F2によるメチル化dNTPの組み込みが確認された。使用した種々のポリメラーゼの配列を、以下の表1に示す。
Figure 2021516544
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Figure 2021516544
これらの実施例に説明されるすべてのPCR実験において、以下の表2に示すように、使用されたプライマーは配列番号7および8の核酸配列を持ち、使用されたプローブは配列番号9の核酸配列を持ち、使用された鋳型は配列番号10の核酸配列を持っていた。
Figure 2021516544
親Z05D(配列番号2)にはメチル化dNTPが組み込まれていないが、Z05D−F2(配列番号3)は、標準のコバス(cobas)6800/8800条件で、1mMのdNTPを用いてPCRを正常に実行できた。これら条件を以下の表3に示す。
Figure 2021516544
しかし、Z05D−F2およびメチル化dNTPを使用すると、親Z05Dおよび通常のdNTP(即ち非メチル化dNTP)と比較して、ほぼ6サイクルの遅延が観察された。メチル化dNTPに加えて、フッ素化dNTP(F−dNTP)をまた、ヌクレオチドの加水分解を回避する可能性があると思われる別の安定した代替候補として試験した。しかし、F−dNTPは、Z05D−F2によって非常に低い効率で組み込まれた(Cp>40)。F−dNTPの濃度を増大させても、PCR性能の大幅な向上は見られなかった。対照的に、図2に示すように、マスターミックス試薬中のメチル化dNTPの濃度を2mMに増量すると、PCR効率が向上し、測定されたCp値は、標準条件での親Z05Dおよび非修飾ヌクレオチドのCp値と同一になった。
実施例2:修飾dNTPを組み込む修飾ポリメラーゼ
Z05D−F2変異体は、図3に示すように、2つのアミノ酸置換:I640MおよびV705L(配列番号3)を有する。2つのアミノ酸置換のらせん形態を解いて、単一アミノ酸変異体を、メチル化dNTPの組み込みに関して評価した。従って、単一アミノ酸変異体Z05D−I640M(配列番号4)およびZ05D−V705L(配列番号5)は、部位特異的な変異誘発によって生成され、発現・精製された。単一アミノ酸変異体、二重変異体F2(配列番号3)および親Z05Dタンパク質(配列番号2)は、図4Aと4Bに示すように、通常の非修飾dNTP、メチル化dNTP、およびF−dNTPを用いてPCR性能について評価した。等濃度のZ05D変異体を、(上記の表3に示す)マスターミックス試薬中にアルキル化プライマーを含むDNA鋳型を使用して試験した。通常のdNTPでは、単一変異体Z05D−V705L(配列番号5)は、親Z05D(配列番号2)と同じ性能を示すが、二重変異体Z05D−F2(配列番号3)および単一変異体Z05D−I640M(配列番号4)は、遅延したCp値およびより低い蛍光信号を示している。一方で、Z05D−F2(配列番号3)およびZ05D−I640M(配列番号4)だけが、メチル化dNTPを用いるPCRを促進する変異体である。纏めると、これらのデータは、I640Mはメチル化dNTPの組み込みにとって重要なアミノ酸置換であることを示唆している。興味深いことに、Z05D−I640M(配列番号4)は、二重変異体Z05D(Z05D−F2、配列番号3)と比較して、5サイクルの遅延を示している。この結果は、アミノ酸置換V705Lそれ自体では、メチル化dNTPを用いるPCRは促進されていないが、アミノ酸置換V705Lは、Z05D−F2の二重変異体(配列番号3)中の修飾ヌクレオチドとともにPCR効率を向上させることを示唆している。フッ素化dNTP(F−dNTP)は、全く組み込まれないか、種々のタンパク質によって非常に僅かな効率でのみ組み込まれる(データは示さず)。
実施例3:HIVアッセイでの修飾ポリメラーゼによるメチル化d−NTPの組み込み
コバスリアットシステム(cobas(登録商標) Liat(登録商標) System)でのHIVアッセイなどの測定法で、安定したヌクレオチド代替物としてメチル化dNTPを使用するためには、メチル化dNTPおよびZ05D−F2(配列番号3)により、RT−PCRを促進する必要がある。そこでこれを試験するために、β−カテニン転写産物をRNA鋳型として使用して、アルキル化プライマーおよび1mMまたは2mMのメチル化dNTPを用いて、RT−PCRを実施した。比較として、親Z05D(配列番号2)および非修飾ヌクレオチドを使用する反応を並行して実施した。結果を図5に示す。予想通り、単一変異体Z05D−V705L(配列番号5)は、いかなる成長曲線も示さず、単一変異体Z05D−I640M(配列番号4)だけは、メチル化dNTP濃度を増大させるとRT−PCRを促進した。二重変異体Z05D−F2(配列番号3)は、1mMおよび2mMのメチル化dNTPの濃度で正常にRT−PCRを作動させたが、これらのマスターミックス試薬条件で、Cp値はそれぞれ約9サイクルおよび約4サイクル遅延した。RT−PCRの特性を最適化するためには、マスターミックス試薬の他の成分(金属イオン、塩濃度など)の調節が必要になる場合がある。

Claims (18)

  1. 対照のDNAポリメラーゼと比較して、メチル化デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の組み込み効率が向上したDNAポリメラーゼであって、
    配列番号2の640位に対応する前記DNAポリメラーゼのアミノ酸はI以外の任意のアミノ酸であり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する前記DNAポリメラーゼのアミノ酸はV以外の任意のアミノ酸であり、
    前記対照のDNAポリメラーゼは、前記DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有するが、配列番号2の640位に対応する前記対照のDNAポリメラーゼのアミノ酸はIであり、かつ/あるいは配列番号2の705位に対応する前記対照のDNAポリメラーゼのアミノ酸はVである、DNAポリメラーゼ。
  2. 前記DNAポリメラーゼおよび前記対照のDNAポリメラーゼは、配列番号2に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  3. 配列番号2の640位に対応するアミノ酸はMである、請求項1〜2のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ。
  4. 配列番号2の705位に対応するアミノ酸はLである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ。
  5. 前記DNAポリメラーゼは配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のDNAポリメラーゼ。
  6. 前記DNAポリメラーゼは配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のDNAポリメラーゼ。
  7. 前記DNAポリメラーゼは配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼをコードする組換え核酸。
  9. 請求項8に記載の組換え核酸を含む発現ベクター。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼを提供する少なくとも1個の容器を含む伸長プライマーを生成するためのキット。
  11. (a)プライマー伸長条件で、所定のポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能なプライマーを提供する容器、
    (b)dNTPを提供する容器、および
    (c)プライマー伸長に適する緩衝液を提供する容器
    からなる群から選択される1個以上の追加の容器をさらに含む、請求項10に記載のキット。
  12. 前記dNTPはメチル化dNTPである、請求項11に記載のキット。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼ、少なくとも1つのプライマー、ポリヌクレオチド鋳型、およびdNTPを含む反応混合物。
  14. 前記ポリヌクレオチド鋳型はRNAである、請求項13に記載の反応混合物。
  15. 前記ポリヌクレオチド鋳型はDNAである、請求項13に記載の反応混合物。
  16. Mg2+をさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の反応混合物。
  17. 第2の耐熱性DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の反応混合物。
  18. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のDNAポリメラーゼを、プライマーの伸長に適する条件で、プライマー、ポリヌクレオチド鋳型、およびヌクレオシド三リン酸と接触させて、それにより伸長プライマーを生成する、プライマー伸長を実施する方法。
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