JP2021513847A - 相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリングテクノロジーを用いた遺伝子編集 - Google Patents

相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリングテクノロジーを用いた遺伝子編集 Download PDF

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Abstract

相同性非依存的ユニバーサルゲノム編集(HiUGE)システムのための遺伝的構築物およびゲノム編集のために前記HiUGEシステムを用いる方法が本明細書に開示されている。本発明は、gRNAポリヌクレオチド、挿入断片ポリヌクレオチド、およびCRISPRに基づくヌクレアーゼまたはCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む組成物に関する。

Description

関連出願の相互参照
この出願は、全体が参照により本明細書に組み入れられている、2018年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/631,360号の恩恵を主張する。
政府所有権の言明
この発明は、NIHにより授与された連邦助成金番号R01MH103374およびR01NS102456による政府支援でなされた。米国政府は、この発明の一定の権利を有する。
配列表
配列表は、本出願と共に電子形式でのみ提出されており、本明細書に参照により組み入れられている。配列表テキストファイル「028193−9276−WO01_As_Filed_Sequence_Listing.txt」は、2019年2月15日に作成され、サイズは509,751バイトである。
本開示は、相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(Homology−Independent Universal Genome Engineering)(HiUGE)テクノロジーおよびウイルス送達系を用いた遺伝子編集の分野に関する。本開示はまた、インビトロでの細胞培養系とインビボでのモデル実験生物の両方における、タンパク質標識によるハイスループットスクリーニング、発現マーキング、およびタンパク質発現の破壊の分野に関する。
内因性タンパク質の操作および選択的標識は、細胞および生物体の生物学の分子機構を描写するために不可欠である。これらのストラテジーを可能にするための技術は、生物医学研究の基本的土台であるが、それらは、非効率的、労働集約的、または不正確である場合が多い。例えば、RNAiを用いたタンパク質除去ストラテジーは、濃度依存的様式でオフターゲット効果の影響を受けやすく、遺伝子ノックアウトアプローチは、時間および資源の相当な投資を必要とする。内因性タンパク質を標識するための一般的な抗体方法もまた問題がある。利用可能な抗体の大部分は、他のタンパク質との予想外の交差反応性、品質のロット間変動、およびそれらが用いられる一連の適用に渡る抗体の不正確な検証が原因で、有用性が制限されていると推定される。問題のある抗体は、研究室間で全く異なりかつ再現不可能な知見の原因の、鍵となる試薬である可能性が高く、現在市場に氾濫している多数の疑わしい抗体に対する解決策を求める声が上がっている。さらに、タンパク質局在化および動態を可視化するための、またはドミナントネガティブ表現型を作製するための組換えタンパク質の過剰発現は、発現したタンパク質の濃度、利用可能な細胞ドッキング部位、および予期せぬ人為的細胞効果への感受性が非常に高い。
Clustered regularly interspaced short palindromic repeats(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼCas9に基づいたストラテジーは、非常に正確なゲノム編集を可能にして、上記の制限の多くに対処するものとして大いに有望である。CRISPR−Cas9は、ガイドRNA(gRNA)特定化ゲノム部位に二本鎖切断(DSB)を導入する。Cas9媒介性二本鎖切断のgRNAによって方向づけられるターゲティングのための必要条件は、20〜21bpヌクレオチド遺伝子特異的配列の末端における「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)配列に基づいている。Streptococcus pyogenes由来のCas9(使われている最も一般的なバリアント)についてのPAM配列は、5’−NGG−3’であり、式中、Nは任意のヌクレオチドを表す。この配列は、平均約10ヌクレオチド(+鎖と−鎖が組み合わされている)ごとに見出され、本質的にあらゆる遺伝子をターゲティングする可能性を切り開くものと推定される。二本鎖ゲノム切断は、細胞において2つの経路を介して修復される。非相同末端結合(NHEJ)は、好ましい経路であり、それは、修復過程中、ナンセンス変異を導入する挿入または欠失(インデル)を導入することができる。あるいは、DSBは、それより頻度が低い経路である相同組換え修復(HDR)によって修復され得る。
どちらの経路(NHEJおよびHDR)も現在、関心対象となる遺伝子(GOI)へ外来配列(ペイロード)を挿入するようにドナーベクターによって細胞または組織において内因性タンパク質を操作するのに利用されている。内因性タンパク質の単一細胞での標識(SLENDRおよびウイルス(v)SLENDR)は、GOIへ配列を送達するためにDSB切断部位にフランキングする数百個の塩基対の相同性遺伝子特異的配列を含有するオリゴまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)ドナーを用いる、HDRに基づいている(Mikuni et al., Cell 165:1803-1817 (2016); Nishiyama et al., Neuron 96:755-768 e755 (2017))。あるいは、CRISPaintは、線状化されて、関心対象となる遺伝子へ組み込まれる一般化ドナーベクターとNHEJを組み合わせる(Schmid-Burgk et al., Nat Commun 7:12338 (2016))。しかしながら、それは、多くのインビボでの適用にとって重要なウイルス送達方法と適合しない、特別に調製された小環状ベクターを必要とし、または細菌ベクターバックボーンが、必ず、ゲノムへ同時挿入され、それは、長期間、導入遺伝子発現に干渉し得る(Chen et al., Mol Ther 8:495-500 (2003); Chen et al., Mol Ther 3:403-410 (2001))。これらの問題は、それの潜在的適用性を、特にインビボ適用について、制限する。
相同性非依存的導入遺伝子挿入(HITI)もまたGOIへ外来配列を挿入するのにNHEJを活用し、ベクターエレメントはキャリーオーバーされない(Suzuki et al., Nature 540: 144-149 (2016))。HITIは、DSB切断を遺伝子およびベクターへ同時に方向づけるように、ペイロードにフランキングする23bp遺伝子特異的ガイドRNA認識配列を含有するドナーベクターを利用し、NHEJ中のペイロード挿入を促進する。SLENDRおよびHITIは、両末端においてタンパク質を改変するそれらの能力において柔軟であるが、重要な制限となるのは、GOIおよびペイロードに特異的なブティックベクターの必要性である。この共有の必要条件は、各GOIにおいて各DSB切断部位のためのカスタムドナーベクターの作製を必要とすることにより、拡張性およびスループットを制限する。例えば、抗体エピトープタグを用いて、ヒトゲノム内の各タンパク質をターゲティングすることは、およそ19,000〜20,000個の遺伝子特異的SLENDRまたはHITIドナーベクターを必要とする。タンパク質の最適な標識および検出のための共通したステップである、異なるリンカーアミノ酸配列、異なる抗体エピトープ、または蛍光タンパク質融合を試験することは、これらのストラテジーのより幅広い採用の障害へと加算的に増大する。同様に、各ドナーベクターはGOI配列特異的であるため、それらは、必然的に種特異的であり、さらに、現アプローチの普遍性を制限する。加えて、細胞局在化、発現分析、および相互作用パートナーの精製のためにタンパク質をターゲティングする現能力は、タンパク質特異的抗体テクノロジーに依存する。これらのテクノロジーは、利用可能な抗体の相対的選択性に依存してかなり非特異的である場合が多くあり得る。したがって、ハイスループットのゲノムワイド編集、スクリーニング、およびタンパク質標識のための正確かつ効率的な遺伝子編集ツールの必要性がなお依然として存在する。
本開示は、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムを対象とし、HiUGEシステムが、(a)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列;(b)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;(ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;および(iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに(c)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列にターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第3のポリヌクレオチドを含む標的遺伝子ベクターを含む。
本開示は、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムを対象とし、HiUGEシステムが、(a)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;(ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;(iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列;(iv)第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする第3のポリヌクレオチド配列を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに(b)(i)第1のスプリットインテインと補完的な第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードする第4のポリヌクレオチド配列であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分およびCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分が一緒に連結して、CRISPRに基づくヌクレアーゼを形成する、第4のポリヌクレオチド配列;および(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第5のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子特異的ベクターを含む。
本開示は、対象ゲノムにおける標的遺伝子の相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)の方法を対象とし、方法が、細胞を上記のHiUGEシステムと接触させるステップを含む。
本開示は、上記のHiUGEシステムを含むキットを対象とする。
遺伝子特異的gRNAが遺伝子特異的ベクターまたはプラスミドから発現し、かつHiUGEベクター特異的gRNAを発現するHiUGEベクターとペアになっている、HiUGEシステムの概略図である。 相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムの概略図である。 所定のゲノム座位へ挿入されるべきペイロードの交換可能性の概略図である。 (ツールキット1)抗体エピトープタグの例を用いた、HiUGEベクターツールキットを示す図である。 (ツールキット2)酵素の例を用いた、HiUGEベクターツールキットを示す図である。 (ツールキット3)蛍光タンパク質の例を用いた、HiUGEベクターツールキットを示す図である。 (ツールキット4)細胞輸送タグ(NLS=核局在化シグナル、NES=核外移行配列、mito=ミトコンドリアターゲティング配列)の例を用いた、HiUGEベクターツールキットを示す図である。 (ツールキット5)特定適用のための他のペイロードの例を用いた、HiUGEベクターツールキットを示す図である。 両方の鎖:tagctagctagctag(配列番号29)およびctagctagctagcta(配列番号30)上の3つ全ての可能なオープンリーディングフレームにおける終止コドンカセットを示す図である。 ドナー認識配列(DRS)使用シナリオおよびその対応する、DRS配列を支配するルールの適用性の例を示す図である。 図3Aについての凡例を示す図である。 5つの例示的なDRS配列(上から下へ、配列番号22〜26)示すリストである。 Cas9発現マウスに由来した培養海馬ニューロンにおけるマウスTubb3遺伝子へのHiUGE媒介性赤血球凝集素(HA)抗体エピトープノックインのための5つの例示的なDRSのHA抗体免疫染色によるインビトロ試験を示す代表的な画像である。図3Dおよび3Eは、HA抗体免疫染色を示し、一方、図3Fおよび3Gは、図3Dおよび3E、それぞれにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(3’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。 Cas9発現マウスに由来した培養海馬ニューロンにおけるマウスTubb3遺伝子へのHiUGE媒介性赤血球凝集素(HA)抗体エピトープノックインのための5つの例示的なDRSのHA抗体免疫染色によるインビトロ試験を示す代表的な画像である。図3Dおよび3Eは、HA抗体免疫染色を示し、一方、図3Fおよび3Gは、図3Dおよび3E、それぞれにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(3’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。 Cas9発現マウスに由来した培養海馬ニューロンにおけるマウスTubb3遺伝子へのHiUGE媒介性赤血球凝集素(HA)抗体エピトープノックインのための5つの例示的なDRSのHA抗体免疫染色によるインビトロ試験を示す代表的な画像である。図3Dおよび3Eは、HA抗体免疫染色を示し、一方、図3Fおよび3Gは、図3Dおよび3E、それぞれにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(3’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。 Cas9発現マウスに由来した培養海馬ニューロンにおけるマウスTubb3遺伝子へのHiUGE媒介性赤血球凝集素(HA)抗体エピトープノックインのための5つの例示的なDRSのHA抗体免疫染色によるインビトロ試験を示す代表的な画像である。図3Dおよび3Eは、HA抗体免疫染色を示し、一方、図3Fおよび3Gは、図3Dおよび3E、それぞれにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(3’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。 インビトロでの二方向性HAエピトープノックイン(KI)のためのHiUGE適用の概略図である。 微小管標識を示す、β−チューブリンをコードするマウスTubb3(mTubb3)遺伝子へのHAエピトープKIを示す免疫染色の代表的な画像である。スケールバーはパネルに示されている。 (空のGS−gRNAバックボーンおよびHiUGEドナーAAVを形質導入された)陰性対照と比較した、HiUGE編集された試料のHAエピトープについてのウェスタンブロットを示す図であり、βIII−チューブリンについての予想分子量(約51kD)におけるHAエピトープ標識タンパク質の単一バンドを示している。 フォワード配向またはリバース配向のどちらにおいても正しいHAエピトープ組込みを示す、代表的なシーケンシング結果(配列番号32(上)および33(下))を示す図である。 gRNAベクターが、アウトオブフレームドナー(ORF+0またはORF+2)に対して、正しいORFドナーベクター(ORF+1)とペアになった時の高効率標識を示すために、ベクターの異なる組合せを形質導入された初代ニューロンのHA免疫染色の代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。 図4Eにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示す図であり、各パネルにおいて類似した細胞密度を示している。スケールバーは各パネルに示されている。 追加の定性的および定量的データ実験を示す図である。図4Gは、実験群に渡る標準化平均蛍光強度(任意単位、a.u.)を示す。誤差バーは平均値の標準誤差(SEM)を表す。mTubb3 GS−gRNAとHiUGEドナーの正しいORFペア形成が、ORFミスマッチ対照および陰性対照に対して、有意により高いHAエピトープ蛍光強度を示した(p<0.001、一元配置ANOVA、その後、Tukey−Kramer HSD事後検定)。 追加の定性的および定量的データ実験を示す図である。図4Hは、タンパク質改変を促進するための3つ全てのオープンリーディングフレーム(ORF)の、GS−gRNA選択の柔軟性およびHiUGEドナーベクターの能力を実証する。各ORF(ORF+0、ORF+1、ORF+2)について1つの、3つの異なるGS−gRNAを、マウスMap2(mMap2)遺伝子をターゲティングするようにデザインした。網掛けのDNAトリプレットは、各GS−gRNAについての標的配列のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を表示する。下線が引かれたDNAトリプレットは、各GS−gRNAについてのCas9切断部位の前の最後のコドンを表示する。 追加の定性的および定量的データ実験を示す図である。図4Iは、各ORFのGS−gRNAが、対応するORFのHiUGEドナーとペアになった時のHAエピトープKIの同等の検出を示す代表的な画像を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 図5B〜5Mに示された、12個の異なるタンパク質へのカルボキシ末端二方向性HAエピトープノックイン(KI)へのHiUGEのスケールアップされた適用の概略図である。 インビトロでの培養日数(DIV)4〜6に、遺伝子特異的(GS)−gRNA AAVベクターおよびHiUGEドナーAAVベクターの組合せを形質導入されたCas9発現マウス由来の初代海馬細胞の代表的な画像である。マウスTubb3遺伝子(図5B)、マウスMap2遺伝子(図5C)、マウスMecP2遺伝子(図5D;挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)、マウスNrcam遺伝子(図5E)、マウスActr2遺伝子(図5F;挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)、マウスClta遺伝子(図5G;挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)、のHAエピトープKIを示す。スケールバーは、各パネルに示されている。挿入図内のスケールバーは2μmを表す。矢じり形は、樹状突起棘、ミトコンドリア、または神経突起の遠位端などの、関心対象となる遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビトロでの培養日数(DIV)4〜6に、遺伝子特異的(GS)−gRNA AAVベクターおよびHiUGEドナーAAVベクターの組合せを形質導入されたCas9発現マウス由来の初代海馬細胞の代表的な画像である。マウスAnk3遺伝子(図5H)、マウスSptbn4遺伝子(図5I)、およびマウスScn2a遺伝子(図5J)、マウスGFAP遺伝子(図5K)、マウスPdha1遺伝子(図5L;挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)、およびマウスDcx遺伝子(図5M;挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)のHAエピトープKIを示す。スケールバーは、各パネルに示されている。挿入図内のスケールバーは2μmを表す。矢じり形は、樹状突起棘、ミトコンドリア、または神経突起の遠位端などの、関心対象となる遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビボでのカルボキシ末端二方向性HAエピトープノックイン(KI)へのHiUGE適用の概略図である。 図6B、6D、6F、および6Hは、マウスSptbn4遺伝子(図6B)、マウスScn2a遺伝子(図6D)、マウスTubb3遺伝子(図6F)、およびマウスMecp2遺伝子(図6H)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像である。図6C、6E、6G、および6Iは、図6B、6D、6F、および6Hにおけるそれぞれの対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示す。スケールバーは各パネルに示されている。右パネルにおけるより高い倍率画像は、左パネルにおける枠で囲まれた領域に対応する。 図6B、6D、6F、および6Hは、マウスSptbn4遺伝子(図6B)、マウスScn2a遺伝子(図6D)、マウスTubb3遺伝子(図6F)、およびマウスMecp2遺伝子(図6H)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像である。図6C、6E、6G、および6Iは、図6B、6D、6F、および6Hにおけるそれぞれの対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示す。スケールバーは各パネルに示されている。右パネルにおけるより高い倍率画像は、左パネルにおける枠で囲まれた領域に対応する。 図6B、6D、6F、および6Hは、マウスSptbn4遺伝子(図6B)、マウスScn2a遺伝子(図6D)、マウスTubb3遺伝子(図6F)、およびマウスMecp2遺伝子(図6H)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像である。図6C、6E、6G、および6Iは、図6B、6D、6F、および6Hにおけるそれぞれの対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示す。スケールバーは各パネルに示されている。右パネルにおけるより高い倍率画像は、左パネルにおける枠で囲まれた領域に対応する。 図6B、6D、6F、および6Hは、マウスSptbn4遺伝子(図6B)、マウスScn2a遺伝子(図6D)、マウスTubb3遺伝子(図6F)、およびマウスMecp2遺伝子(図6H)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像である。図6C、6E、6G、および6Iは、図6B、6D、6F、および6Hにおけるそれぞれの対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示す。スケールバーは各パネルに示されている。右パネルにおけるより高い倍率画像は、左パネルにおける枠で囲まれた領域に対応する。 HiUGEモザイクエピトープノックイン(KI)適用の概略図である。 初代海馬ニューロンにおけるマウスMap2遺伝子へのモザイクエピトープKIの免疫染色の代表的な画像である(太い矢じり形、mycエピトープ染色;矢印、HAエピトープ染色;細い矢じり形、V5エピトープ染色)。スケールバーはパネルに示されている。 HAエピトープとmycエピトープの両方についてインビボで染色されたマウスTubb3遺伝子のモザイクエピトープKIからの冠状脳切片の免疫染色の代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。 図7Cの皮質、海馬、視床、視床皮質投射、淡蒼球、および脳梁を示す拡大画像である。スケールバーは各パネルに示されている。 図7Cの皮質、海馬、視床、視床皮質投射、淡蒼球、および脳梁を示す拡大画像である。スケールバーは各パネルに示されている。 近位ビオチン化実験へのHiUGE BioID2酵素KI適用の概略図である。 マウスGFAP遺伝子によりコードされたグリア酸性線維性タンパク質のカルボキシ末端へのBioID2−HA KIを示す免疫染色、および対応する、蛍光ストレプトアビジンを用いたビオチン化タンパク質の検出(右パネル)の代表的な画像である。 マウスMap2遺伝子によりコードされたMap2タンパク質のカルボキシ末端へのBioID2−HA KIを示す免疫染色、および対応する、蛍光ストレプトアビジンを用いたビオチン化タンパク質の陽性検出(右パネル)の代表的な画像である。 構造機能関係の研究を行うために内因性タンパク質を切り詰めるためのHiUGE HA−3’非翻訳領域(3’−UTR)KIの概略図である。 βIV−スペクトリンから、プレクストリン相同(PH)ドメインまたはより上流のスペクトリンリピートを切り詰めるためのHA−3’UTR KIストラテジーを用いた例を示す図である。 マウスSptbn4遺伝子のエクソン31(e.31)をターゲティングするGS−gRNAを用いたβIV−スペクトリンからのPHドメインの切り詰め(図9D)を示す免疫染色の、エクソン36(e.36)をターゲティングするGS−gRNAを用いたカルボキシ末端KI(図9C)と比較した、代表的な画像である。 マウスSptbn4遺伝子のエクソン31(e.31)をターゲティングするGS−gRNAを用いたβIV−スペクトリンからのPHドメインの切り詰め(図9D)を示す免疫染色の、エクソン36(e.36)をターゲティングするGS−gRNAを用いたカルボキシ末端KI(図9C)と比較した、代表的な画像である。 エクソン26(e.26)をターゲティングすることにより、スペクトリンリピート14の破壊および下流配列の切り詰めを示す図であり、それは、AIS局在化を完全に破壊した。 βIV−スペクトリンタンパク質の段階的切り詰めを示すウェスタンブロットを示す図である。 HiUGE蛍光タンパク質(FP)KIの概略図である。 異なるゲノム標的(GFAP(図10B)、Pdha1(図10C)、およびTubb3(図10D))へのmCherry蛍光タンパク質(mCh)KIを示す図である。 HiUGEアミノ末端(N−term)KI構築物の概略図である。 Map2へのMycエピトープのN−term KI(MAP2、矢印)、およびタンパク質βIV−スペクトリンをコードするSptbn4へのHAエピトープのC−term KI(矢じり形)による、Map2およびSptbn4コード化タンパク質の二重標識の代表的な免疫染色画像である。破線円形は、二重標識ニューロンの神経細胞体を表す。 HiUGE細胞内再局在化構築物の概略図である。 c末端においてHAでタグ付けされたMap2の免疫染色(左パネル)および核局在化シグナル(HA−NLS)でタグ付けされたMap2の免疫染色(右パネル)の代表的な画像である。両方のパネルにおける矢じり形は、核の部位を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 アクチン細胞骨格タンパク質Arp2を核へ別ルートで送達し、隔離するために、HAエピトープおよび核局在化シグナル(HA−NLS)を有するHiUGEペイロードを用いる例を示す図である。 核へ再方向づけされたHA−NLSタグ付きArp2(赤色)を示す、マウスActr2遺伝子へのC−term HA−NLS KI後の免疫染色の代表的な画像である。同時に、Mycエピトープ(NLSなし)タグ付きArp2(緑色)は、Arp2の正常な局在化と一致した、樹状突起棘に濃縮された。 ビルトイン式Cas9コード配列を有する第2世代HiUGEシステムの概略図である。 マウスTubb3遺伝子(図13B)へのHAエピトープKIの代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。野生型(WT)初代マウスニューロンがAAV形質導入された。 マウスPdha1遺伝子(図13C)へのHAエピトープKIの代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。野生型(WT)初代マウスニューロンがAAV形質導入された。 マウスTubb3遺伝子(図13D)のGFP KIの代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。野生型(WT)初代マウスニューロンがAAV形質導入された。 マウスPdha1遺伝子(図13E)のGFP KIの代表的な画像である。スケールバーは各パネルに示されている。野生型(WT)初代マウスニューロンがAAV形質導入された。 図13F〜13Kは、GS−gRNAとHiUGEドナーの組合せでプラスミドトランスフェクションされ、その後、ペイロードKIを検出するためにHAエピトープまたはGFPについての免疫染色された、一般的なヒトまたはマウス細胞株を示す図である。図13F、13H、および13Jは、ヒトTUBBまたはマウスTubb5遺伝子へのHAエピトープKIの代表的な画像であり、(図13F)HeLa細胞、(図13H)HEK293T細胞、および(図13J)NIH3T3細胞におけるタグ付きタンパク質の特有の微小管局在化を示している。図13G、13I、および13Kは、ヒトTUBBまたはマウスTubb5遺伝子へのGFP KIの代表的な画像であり、(図13G)HeLa細胞、(図13I)HEK293T細胞、および(図13K)NIH3T3細胞におけるタグ付きタンパク質の特有の微小管局在化を示している。 図13F〜13Kは、GS−gRNAとHiUGEドナーの組合せでプラスミドトランスフェクションされ、その後、ペイロードKIを検出するためにHAエピトープまたはGFPについての免疫染色された、一般的なヒトまたはマウス細胞株を示す図である。図13F、13H、および13Jは、ヒトTUBBまたはマウスTubb5遺伝子へのHAエピトープKIの代表的な画像であり、(図13F)HeLa細胞、(図13H)HEK293T細胞、および(図13J)NIH3T3細胞におけるタグ付きタンパク質の特有の微小管局在化を示している。 図13F〜13Kは、GS−gRNAとHiUGEドナーの組合せでプラスミドトランスフェクションされ、その後、ペイロードKIを検出するためにHAエピトープまたはGFPについての免疫染色された、一般的なヒトまたはマウス細胞株を示す図である。図13G、13I、および13Kは、ヒトTUBBまたはマウスTubb5遺伝子へのGFP KIの代表的な画像であり、(図13G)HeLa細胞、(図13I)HEK293T細胞、および(図13K)NIH3T3細胞におけるタグ付きタンパク質の特有の微小管局在化を示している。 図13Mは、成体WTマウスの背側海馬における局所的AAV注射後のマウスMap2遺伝子へのHAエピトープKIの代表的な画像であり、反対側での陰性標識と比較して、注射部位におけるニューロンの効率的標識を示している。枠で囲まれたエリアの拡大表示は図13Lに示されている。スケールバーは各パネルに示されている。 図13Mは、成体WTマウスの背側海馬における局所的AAV注射後のマウスMap2遺伝子へのHAエピトープKIの代表的な画像であり、反対側での陰性標識と比較して、注射部位におけるニューロンの効率的標識を示している。枠で囲まれたエリアの拡大表示は図13Lに示されている。スケールバーは各パネルに示されている。 インテインスプリットCas9を有するHiUGEベクターについての対照実験を示す図である。スケールバーは各パネルに示されている。 インテインスプリットCas9を有するHiUGEベクターについての対照実験を示す図である。スケールバーは各パネルに示されている。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15Aは、インビトロでのC−termまたはN−termタンパク質標識へのHiUGE KI適用の概略図を示す。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15B〜15Dは、抑制性シナプス後肥厚(iPSD)タンパク質である抑制性シナプスタンパク質1、2、およびRho GTPase活性化タンパク質32をコードする、マウス(図15B)Insyn1、(図15C)Insyn2、および(図15D)Arhgap32遺伝子へのC−term smFP−HA KIを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)内に示されている。Cas9−2A−GFPのGFP蛍光およびDAPIでの核標識もまた示されている。矢じり形は、樹状突起棘、AIS、ミトコンドリア、神経突起の遠位端、抑制性シナプス、およびニューロフィラメントなどの、標的遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15B〜15Dは、抑制性シナプス後肥厚(iPSD)タンパク質である抑制性シナプスタンパク質1、2、およびRho GTPase活性化タンパク質32をコードする、マウス(図15B)Insyn1、(図15C)Insyn2、および(図15D)Arhgap32遺伝子へのC−term smFP−HA KIを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)内に示されている。Cas9−2A−GFPのGFP蛍光およびDAPIでの核標識もまた示されている。矢じり形は、樹状突起棘、AIS、ミトコンドリア、神経突起の遠位端、抑制性シナプス、およびニューロフィラメントなどの、標的遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15B〜15Dは、抑制性シナプス後肥厚(iPSD)タンパク質である抑制性シナプスタンパク質1、2、およびRho GTPase活性化タンパク質32をコードする、マウス(図15B)Insyn1、(図15C)Insyn2、および(図15D)Arhgap32遺伝子へのC−term smFP−HA KIを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)内に示されている。Cas9−2A−GFPのGFP蛍光およびDAPIでの核標識もまた示されている。矢じり形は、樹状突起棘、AIS、ミトコンドリア、神経突起の遠位端、抑制性シナプス、およびニューロフィラメントなどの、標的遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15E〜15Gは、(図15E)Actb(β−アクチン)、(図15F)Lmnb1(ラミンB1)、および(図15G)Nefm(ニューロフィラメントミディアム(Neurofilament Medium))へのN−term MycエピトープKIを示し、樹状突起棘、核エンベロープ、およびニューロフィラメントにおける特徴的な発現パターンを示す。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)内に示されている。Cas9−2A−GFPのGFP蛍光およびDAPIでの核標識もまた示されている。矢じり形は、樹状突起棘、AIS、ミトコンドリア、神経突起の遠位端、抑制性シナプス、およびニューロフィラメントなどの、標的遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 インビトロでのHiUGEを用いた、多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡る迅速なタンパク質改変を示す図である。図15E〜15Gは、(図15E)Actb(β−アクチン)、(図15F)Lmnb1(ラミンB1)、および(図15G)Nefm(ニューロフィラメントミディアム(Neurofilament Medium))へのN−term MycエピトープKIを示し、樹状突起棘、核エンベロープ、およびニューロフィラメントにおける特徴的な発現パターンを示す。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)内に示されている。Cas9−2A−GFPのGFP蛍光およびDAPIでの核標識もまた示されている。矢じり形は、樹状突起棘、AIS、ミトコンドリア、神経突起の遠位端、抑制性シナプス、およびニューロフィラメントなどの、標的遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。 ペイロード組込みおよび推定インデル率を確認するためのゲノムPCRおよびディープシーケンシングを示す図である。図16Aは、様々なゲノム座位への二重配向HAエピトープペイロード組込みを検出するためのゲノムPCRの概略設計を示す。 ペイロード組込みおよび推定インデル率を確認するためのゲノムPCRおよびディープシーケンシングを示す図である。図16Bは、フォワードペイロード組込みとリバースペイロード組込みの両方についての挿入断片特異的PCRが、陰性対照(編集なし)におけるバンドなしと比較して、編集された試料において陽性バンド(約150〜200bp)を示したことを示している。 ペイロード組込みおよび推定インデル率を確認するためのゲノムPCRおよびディープシーケンシングを示す図である。図16C〜16Dは、フォワードペイロード組込みかまたはリバースペイロード組込みのいずれかのPCR産物をディープシーケンシングすることによるインデル頻度の分析を示す。 ペイロード組込みおよび推定インデル率を確認するためのゲノムPCRおよびディープシーケンシングを示す図である。図16C〜16Dは、フォワードペイロード組込みかまたはリバースペイロード組込みのいずれかのPCR産物をディープシーケンシングすることによるインデル頻度の分析を示す。 HiUGEを用いた局在化マッピング適用の追加データを示す図である。図17Aは、3つの異なるGS−gRNAによって方向づけられた、マウスInsyn1へのHiUGE C−term smFP−HA KIの概略図を示す。網掛けのDNAトリプレットは、各GS−gRNAについての標的配列のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を表す。矢じり形は、Cas9切断部位を示す。 HiUGEを用いた局在化マッピング適用の追加データを示す図である。図17B〜17Dは、抑制性シナプスにおける成功した同等の点状標識が3つ全てのGS−gRNAに渡って観察されたことを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている(矢じり形)。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)に示されている。 HiUGEを用いた局在化マッピング適用の追加データを示す図である。図17B〜17Dは、抑制性シナプスにおける成功した同等の点状標識が3つ全てのGS−gRNAに渡って観察されたことを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている(矢じり形)。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)に示されている。 HiUGEを用いた局在化マッピング適用の追加データを示す図である。図17B〜17Dは、抑制性シナプスにおける成功した同等の点状標識が3つ全てのGS−gRNAに渡って観察されたことを示す。隣接している抑制性シナプス前マーカー、小胞GABA輸送体(VGAT)免疫シグナルとのHA免疫反応性の共局在が挿入図に示されている(矢じり形)。スケールバーは各パネル、または挿入図(2μm)に示されている。 HiUGEを用いた細胞標識効率の定量化を示す図である。図18Aは、初代ニューロンにおける高AAV濃度(ウイルスごとに2.5×1011GC/mL)下での、マウスSptbn4およびScn2aへのC−term HAエピトープKIによるAISタンパク質、βIV−スペクトリン、およびNaV1.2のHiUGE標識の代表的な画像を示す。 HiUGEを用いた細胞標識効率の定量化を示す図である。図18Bは、1:1のウイルス比(GS−gRNA:ドナー)下でのいくつかのAAV濃度に渡る細胞標識の推定効率を示す定量化結果を示す。 HiUGEを用いた細胞標識効率の定量化を示す図である。図18Cは、1×1011GC/mLの組み合わせたウイルス濃度下でのAAVのいくつかの比(GS−gRNA:ドナー)に渡る細胞標識の推定効率を示す定量化結果を示す。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Aは、HD−gRNAとmScn2a GS−gRNAの両方についての上位にランク付けられたCRISPOR予測オフターゲット座位を示す(上から下へ配列番号155〜162は、オフターゲットパターンを示す)。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Bは、ペイロード特異的プライマーとペアになった遺伝子特異的プライマーを用いるゲノムPCR反応が、オンターゲット組込みの検出に成功し、一方、ペイロードのオフターゲットゲノム組込みは、予測された部位(PreOff_1〜8)について検出されなかったことを示す。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Cは、ゲノムWalker実験が、オンターゲット組込み(バンド4)、および非コードゲノム領域への3つの潜在的オフターゲット組込み(バンド5〜7)を検出したことを示す。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Dは、ペイロード特異的プライマーとペアになった遺伝子特異的プライマーを用いるゲノムPCR反応が、オンターゲット組込みの検出に成功し、一方、ペイロードのゲノム組込みは、実験的に同定された潜在的オフターゲット部位(ExpOff_1〜3)について検出されなかったことを示す。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Eは、オンターゲット組込み(緑色)対オフターゲット組込み(赤色)についての反応のリアルタイムPCR増幅曲線を示す。 HiUGEのオフターゲット効果の評価を示す図である。図19Fは、相対量の半定量的推定が、オフターゲット組込みがオンターゲット組込みと比較してまれであることを示したことを示す。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20Aは、線条体へのAAV2−retro mTubb3 GS−gRNAの注射、ならびに運動皮質におけるAAV2/9 HAおよびMycエピトープドナーの2回の側方注射による、βIII−チューブリンの皮質線条体回路選択的C−term HiUGE標識の図を示す。図20Bは、運動皮質におけるGFP標識を示す代表的な画像を示し、皮質投射ニューロンにおける、逆行性にアクセスされたCre依存性Cas9−2A−GFP発現を示している。図20Cは、図20Bにおける枠で囲まれたエリアから画像化された、HAエピトープ(矢印)およびMycエピトープ(矢じり形)タグ付きβIII−チューブリンの免疫標識を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20Dは、図20Cにおける枠で囲まれたエリアからの拡大画像を示し、(i)HAエピトープまたは(ii)Mycエピトープが陽性である細胞を示している。図20Eは、AAV2−retroを注射された線条体からのGFPシグナルを示す。図20Fは、図20Eにおける枠で囲まれたエリアの拡大画像を示し、HAまたはMycエピトープ陽性の線維を含有するGFP陽性軸索束を示している。図20G〜20Hは、図20Fにおける枠で囲まれたエリアからのGFP陽性軸索束内の(i)HAエピトープまたは(ii)Mycエピトープが陽性である線維を示す拡大画像を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20G〜20Hは、図20Fにおける枠で囲まれたエリアからのGFP陽性軸索束内の(i)HAエピトープまたは(ii)Mycエピトープが陽性である線維を示す拡大画像を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20Iは、体性感覚皮質におけるAAV2−retro mTubb3 GS−gRNAの注射および視床におけるAAV2/9 HAエピトープドナーの注射による、βIII−チューブリンの視床皮質回路選択的C−term HiUGE標識の図を示す。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20Jは、視床(枠で囲まれたエリア)および局所的皮質ネットワーク(ほとんど、層II/IIIおよび層VI内の細胞)内の逆行性活性化Cas9−2A−GFP発現を示す代表的な画像を示す。スケールバーは各パネルに示されている。 神経回路に基づいたHiUGE標識を示す図である。図20Kは、図20Jにおける枠で囲まれたエリアの拡大画像を示し、HAエピトープ(矢印)およびCas9−2A−GFPが陽性である、逆行性アクセスされ、かつHiUGE編集された視床ニューロンを示している。スケールバーは各パネルに示されている。 「万華鏡(Kaleidoscope)」ペイロードがHiUGE標識タンパク質の免疫検出の向上を促進することを示す図である。図21Aは、剛性リンカー(RL)および可動性リンカー(FL)によって間隔が開けられた散在エピトープタグを含有する「万華鏡」ペイロードの概略図を示す。 「万華鏡(Kaleidoscope)」ペイロードがHiUGE標識タンパク質の免疫検出の向上を促進することを示す図である。図21Bは、mTubb3のHiUGE標識について、単一のHAエピトープタグまたはスパゲティモンスターHA(smFP−HA)と比較した、万華鏡を用いた細胞からの免疫蛍光シグナルの定量化をグラフ表示している。 「万華鏡(Kaleidoscope)」ペイロードがHiUGE標識タンパク質の免疫検出の向上を促進することを示す図である。図21Cは、抑制性シナプスタンパク質1(InSyn1)などの少量タンパク質を標識および検出するために用いられた万華鏡の代表的な画像を示す。
ハイスループットのゲノムワイド編集、スクリーニング、タンパク質標識、発現マーキング、またはタンパク質発現の破壊に有用である、相同性非依存的ユニバーサル遺伝子編集(HiUGE)システムおよび前記HiUGEシステムを用いる方法が本明細書に記載されている。HiUGEシステムは、ユニバーサルペイロード含有ドナーベクター(HiUGEベクター)を含むCRISPRに基づくシステムである。開示されたHiUGEベクターは、広範な分子生物学専門知識を必要とする個々の遺伝子特異的ペイロードドナーベクターを作製する必要なしに、ゲノム内の任意の遺伝子を編集するために用いることができる。HiUGEベクターは、CRISPRに基づく遺伝子編集システム内で機能し、CRISPRに基づくヌクレアーゼおよび標的遺伝子特異的gRNAを含む。開示された遺伝子編集システムにおいて、CRISPRに基づくヌクレアーゼは、遺伝子特異的gRNAと複合体形成して、ゲノムDNAを切断し、かつHiUGEベクター特異的gRNAと複合体形成して、挿入断片(ペイロード)ポリヌクレオチド配列のいずれかの側でHiUGEベクターを切断する。その後、挿入断片ペイロードは、図1に示されているように、NHEJによって標的遺伝子へ選択的に組み込まれ得る。
開示されたHiUGEシステムおよび方法は、現在の最先端に関する制約事項の多くを取り除く。CRISPRに基づく遺伝子編集システムの1つの独特な能力は、単一のCRISPRに基づくヌクレアーゼを2つ以上のgRNAと共に利用することにより、複数の異なる標的を同時に切断する単純明快な能力である。HiUGEを用いて、単一のドナーベクターは、多様なGOIおよび種に渡ってドナーベクターを同時に挿入することなしに、ペイロードを送達することができ、内因性タンパク質を操作および標識するためのストラテジーを大いに単純化することができる。本明細書に実証されているように、異なるユニバーサルペイロードのHiUGEライブラリーもまた作製することができ、進化的に多様な種における様々な適用のために細胞および組織において用いることができる。これらの適用には、抗体エピトープおよび蛍光タンパク質標識、インサイチュー近位依存性ビオチン標識、除去および構造機能研究のためのタンパク質切り詰め、ならびに内因性タンパク質の細胞内トラップが挙げられる。この方法は、高度にモジュール式でかつ拡張可能であるため、ハイスループットのプロテオミクスおよびゲノム適用を実験検証および表現型スクリーニングと組み合わせて、細胞および生物体の生物学の分子機構に取り組むための新しい道を開く。
このセクションおよび本明細書における開示全体に用いられる場合のセクション見出しは、単に組織化を目的としており、限定することを意図するものではない。
1.定義
他に規定がない限り、本明細書に用いられる全ての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。矛盾する場合、定義を含む本文書が統制するものとする。好ましい方法および材料が下で記載されているが、本明細書に記載されたものと類似したまたは等価の方法および材料が、本発明の実施または試験に用いることができる。本明細書に言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体が参照により組み入れられている。本明細書に開示された材料、方法、および例は実例となるのみであり、限定することを意図するものではない。
本明細書で用いられる場合、用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」、およびそれらの変形語は、追加の行為または構造の可能性を除外しないオープンエンドの移行句、用語、または語であることを意図される。単数形「1つの(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他に指図しない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明確に示されているいないにかかわらず、本明細書に提示された実施形態または要素を「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態を企図する。
本明細書における数値範囲の記述について、同程度の精度でその間に介在するそれぞれの数が、明確に企図される。例えば、6〜9の範囲について、7および8という数が、6および9に加えて、企図され、6.0〜7.0の範囲について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0という数が明確に企図される。
本明細書で用いられる場合、用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定されるような、その特定の値についての許容できる誤差範囲内を意味し、それは、どのようにしてその値が測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に一部、依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣例により、3標準偏差内または3標準偏差より大きい範囲内を意味し得る。あるいは、「約」は、示された値の最大20%まで、好ましくは最大10%まで、より好ましくは最大5%まで、さらにより好ましくは最大1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的系または過程に関して、その用語は、値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。本明細書で交換可能に用いられる場合、「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、ヒトおよび他の霊長類種、ヒツジ、ブタ、およびニワトリを含む幅広い範囲の脊椎動物種に感染するパルボウイルス科のディペンドウイルス属に属する小型ウイルスを指す。AAVは、疾患を引き起こすことは現在知られておらず、それゆえに、そのウイルスは、非常に穏やかな免疫応答を引き起こす。
本明細書で用いられる場合、「結合領域」とは、ヌクレアーゼによって認識および結合される、ヌクレアーゼ標的領域内の領域を指す。
本明細書で用いられる場合、「切断する」または「切断」は、ポリヌクレオチド内の2個の隣接したヌクレオチドの間の共有結合性糖−リン酸結合を断ち切る行為を意味する。二本鎖ポリヌクレオチドの場合、他に指定がない限り、両方の鎖における共有結合性糖−リン酸結合が、断ち切られる。
本明細書で用いられる場合、「コード配列」または「コード化核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、その核酸が投与される個体または哺乳類の細胞において発現を命令する能力があるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む制御エレメントと作動可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。コード配列はコドン最適化され得る。
本明細書で用いられる場合、「相補体」または「相補的な」は、核酸が、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間でワトソン・クリック(例えば、A−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン塩基対を形成することができることを意味する。「相補性」は、2つの核酸配列間で、それらがお互いに逆平行でアライメントされた時、各位置におけるヌクレオチド塩基が相補的であるような、共有される性質を指す。
本明細書で交換可能に用いられる場合、「ドナーベクター」、「ドナー鋳型」、および「ドナーDNA」は、ゲノムDNAへ導入されることになっている挿入断片を含む二本鎖DNA断片または分子を指す。ドナーベクターは、完全に機能しうるタンパク質、部分的に機能しうるタンパク質、または短いポリペプチドをコードし得る。ドナーベクターは、RNA分子をコードする場合もある。
本明細書で用いられる場合、「機能性の」および「完全に機能しうる」は、生物活性を有するタンパク質を記載する。「機能性遺伝子」は、機能性タンパク質へ翻訳されるmRNAへ転写される遺伝子を指す。
本明細書で用いられる場合、「融合タンパク質」は、本来別々のタンパク質をコードする2つ以上の遺伝子の連結を通して生成されたキメラタンパク質を指す。融合遺伝子の翻訳は、結果として、本来のタンパク質のそれぞれに由来した機能性を有する単一のポリペプチドを生じる。
本明細書で用いられる場合、「遺伝的構築物」は、タンパク質またはRNA分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。そのコード配列は、その核酸分子が投与される個体の細胞において発現を命令する能力があるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む制御エレメントに作動可能に連結した開始および終結シグナルを含む。本明細書で用いられる場合、用語「発現可能な形」は、個体の細胞に存在する場合、コード配列が発現するだろうように、タンパク質をコードするコード配列と作動可能に連結された必要な制御エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
本明細書で交換可能に用いられる場合、「相同組換え修復」または「HDR」は、DNAの相同性小片が核に、たいていは細胞周期のG2およびS期において、存在する場合の、二本鎖DNA損傷を修復するための細胞における機構を指す。HDRは、修復をガイドするためにドナーDNA鋳型を用い、遺伝子全体のターゲティング化付加を含む、そのゲノムへ特定の配列変化を生じさせるために用いられ得る。ドナー鋳型がCRISPR/Cas9に基づく遺伝子編集システムと共に供給されたならば、その細胞機構は、相同組換えによって切断を修復し、それは、DNA切断の存在下で数十倍、増強される。相同性DNA小片が存在しない場合、その代わりに、非相同末端結合が起こり得る。
本明細書で用いられる場合、「ゲノム編集」は、遺伝子を変化させることを指す。ゲノム編集は、変異遺伝子を訂正しまたは回復させることを含み得る。ゲノム編集は、変異遺伝子または正常遺伝子などの遺伝子をノックアウトすることを含み得る。ゲノム編集は、タンパク質上へ標識を導入するために用いられ得る。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の関連において本明細書で用いられる場合、「同一の」または「同一性」は、それらの配列が、特定領域に渡って同じである、特定のパーセンテージの残基を有することを意味する。パーセンテージは、その2つの配列を最適にアライメントし、2つの配列を特定領域に渡って比較し、両方の配列に同一の残基が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、その一致した位置の数を特定領域における位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより、計算され得る。2つの配列が、異なる長さであり、またはアライメントが1つもしくは複数の付着末端を生じて、比較の特定領域が単一配列だけを含む場合、その単一配列の残基は、その計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAとRNAを比較する時、チミン(T)およびウラシル(U)は等価とみなされ得る。同一性は、手作業で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを用いることにより、実施され得る。
本明細書で用いられる場合、「ミスマッチ」は、ヌクレオチドが二本鎖ポリヌクレオチドの逆鎖上の別のヌクレオチドと、または異なるポリヌクレオチド由来の別のヌクレオチドとワトソン・クリック(例えば、A−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン塩基対を形成することができないことを意味する。
本明細書で用いられる場合、「非相同末端結合(NHEJ)経路」は、相同鋳型を必要とすることなく、切断末端を直接的にライゲーションすることにより、DNAにおける二本鎖切断を修復する経路を指す。NHEJによるDNA末端の鋳型非依存的再ライゲーションは、DNA切断点においてランダムな微量挿入および微量欠失(インデル)を導入することができる確率的で、誤りがちな修復過程である。この方法は、ターゲティングされた遺伝子配列のリーディングフレームを意図的に破壊し、欠失させ、または変化させるために用いられ得る。NHEJは、典型的には、修復をガイドするための、マイクロホモロジーと呼ばれる短い相同DNA配列を用いる。これらのマイクロホモロジーは、二本鎖切断の末端上の一本鎖オーバーハングに存在する場合が多い。オーバーハングが完全に適合する時、NHEJは、通常、その切断を正確に修復するが、それでもなお、ヌクレオチドの欠損をもたらす不正確な修復もまた起こる場合があり、しかし、それは、オーバーハングが適合しない時において、はるかにずっとよく起こる。
本明細書で用いられる場合、「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合的に連結された少なくとも2個のヌクレオチドを意味する。単一鎖の描写はまた、その相補鎖の配列を定義する。したがって、核酸はまた、描写された単一鎖の相補鎖を包含する。核酸の多くのバリアントは、示された核酸と同じ目的で用いられ得る。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補体を包含する。単一鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズし得るプローブを提供する。したがって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得、または二本鎖配列と一本鎖配列の両方の部分を含有し得る。核酸は、ゲノムDNAとcDNAの両方であるDNA、RNA、または、核酸がデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組合せ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組合せを含有し得る、ハイブリッドであり得る。核酸は、化学合成法により、または組換え方法により、獲得され得る。
本明細書で用いられる場合、「作動可能に連結された」は、遺伝子の発現が、それが空間的に接続されているプロモーターの調節下にあることを意味する。プロモーターは、それの調節下にある遺伝子の5’側(上流)または3’側(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターが由来する遺伝子におけるそのプロモーターと、それが調節する遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当技術分野において知られているように、この距離は、プロモーター機能が喪失しないように変更し得る。
本明細書で用いられる場合、「プロモーター」は、細胞において核酸の発現を与え、活性化し、または増強する能力がある合成または天然由来の核酸配列を意味する。プロモーターは、発現をさらに増強するための、ならびに/またはそれの空間的発現および/もしくは時間的発現を変化させるための1つまたは複数の特定の転写制御配列を含み得る。プロモーターはまた、遠位のエンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含み得、それは、転写の開始部位から数千塩基対ほどの所に位置し得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、遺伝子成分の発現を、恒常的に、あるいは発現が起こる細胞、組織、もしくは器官に関して、発現が起こる発生段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して示差的に、制御し得る。
本明細書で交換可能に用いられる場合、「リーディングフレーム」、「オープンリーディングフレーム」、または「コーディングフレーム」は、ポリペプチドへの翻訳中、特定のアミノ酸についてのコドンを潜在的に構成する、DNAの配列における3個の連続的塩基のグルーピングを意味する。
本明細書で交換可能に用いられる場合、「対象」および「患者」は、任意の脊椎動物を指し、それには、哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)およびヒト)が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。
本明細書で用いられる場合、「標的遺伝子」は、既知または推定上の遺伝子産物をコードする任意のヌクレオチド配列を指す。
本明細書で用いられる場合、「標的遺伝子特異的配列」は、HiUGEシステムが結合および切断するように設計されている標的遺伝子の領域を指す。
本明細書で用いられる場合、「導入遺伝子」は、1つの生物体から単離されており、かつ異なる生物体へ導入される遺伝子配列を含有する遺伝子または遺伝子材料を指す。このDNAの非天然セグメントは、トランスジェニック生物体においてRNAもしくはタンパク質を産生する能力を保持し得、またはトランスジェニック生物体の遺伝暗号の正常な機能を変化させ得る。導入遺伝子の導入は、生物体の表現型を変化させる可能性を有する。
核酸に関して本明細書で用いられる「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片;(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその部分の相補体;(iii)参照核酸もしくはその相補体と実質的に同一である核酸;または(iv)参照核酸、その相補体、もしくはそれと実質的に同一の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を意味する。
ペプチドまたはポリペプチドに関しての「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を保持する。バリアントはまた、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似した性質(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸と置き換えることは、当技術分野において、典型的には、微小変化を伴うものと認識されている。これらの微小変化は、一部には、当技術分野において理解されているような、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮することにより、同定され得る。Kyte et al., J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982)。アミノ酸のヒドロパシー指標は、それの疎水性および電荷の考慮に基づいている。類似したヒドロパシー指標のアミノ酸が置換され、かつなおタンパク質機能を保持し得ることは当技術分野において知られている。一態様において、±2のヒドロパシー指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親和性もまた、生物学的機能を保持するタンパク質を生じるだろう置換を明らかにするために用いられ得る。ペプチドの関連におけるアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最も高い局所的な平均親水性の計算を可能にする。置換は、お互いの±2内の親和性値を有するアミノ酸で実施され得る。アミノ酸の疎水性指標と親水性値の両方が、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一致して、生物学的機能と両立するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の性質によって明らかにされているように、アミノ酸の相対的類似性、特に、それらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
本明細書で用いられる場合、「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターはDNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくは、DNAプラスミドである。例えば、ベクターは、挿入断片および/または少なくとも1つのgRNA分子をコードし得る。
本明細書で他に規定がない限り、本開示に関係して用いられる科学的および技術的用語は、当業者により一般的に理解されている意味をもつものとする。例えば、本明細書に記載された、細胞と組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、およびタンパク質と核酸の化学、およびハイブリダイゼーションに関係して用いられる任意の命名法、およびそれらの技術は、当技術分野においてよく知られ、かつ一般的に用いられるものである。その用語の意味および範囲は、明快であるべきであるが、万一、任意の潜在的な曖昧性の場合には、本明細書に提供される定義が、任意の辞書または外部の定義に優先する。さらに、文脈によって他に要求されない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
2.HiUGEシステム
本発明は、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムを対象とする。HiUGEシステムは、(a)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列、(b)相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター、および(c)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列にターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第3のポリヌクレオチドを含む標的遺伝子ベクターを含む。HiUGEベクターは、少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列、第1のポリヌクレオチド配列(ペイロード)の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)、およびHiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む。DRSは、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含む。HiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)は、CRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSにターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない。
図2Aは、相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムの概略図を示す。図2Aにおいて、上部の左および右のパネルは、遺伝子特異的gRNA(GS−gRNA)ライブラリーが、関心対象となる遺伝子(GOI)の標的ゲノム座位の切断を媒介することを示す;下部の左および右のパネルは、HiUGEベクターが、ドナー認識配列(DRS)を特異的に認識し、かつGS−gRNAターゲティング化ゲノム座位に挿入されるべきドナーペイロードの切断および放出を方向づけるHiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)を発現する自己切断性ベクターであることを示す。いくつかの実施形態において、各GS−gRNAベクターは、ターゲティング化相同非依存的ノックイン(KI)のために、予め作製されたHiUGEベクター(ツールキット)のいずれかとペアになり得る。例えば、図2Bは、所定のゲノム座位へ挿入されるべきペイロードの交換可能性の概略図を示し、図2C〜2Gは、(ツールキット1)抗体エピトープタグ、(ツールキット2)酵素、(ツールキット3)蛍光タンパク質、(ツールキット4)細胞輸送タグ(NLS=核局在化シグナル、NES=核外移行配列、mito=ミトコンドリアターゲティング配列)、および(ツールキット5)特定適用のための他のペイロードの例を用いた、HiUGEベクターツールキットの実例を示す。いくつかの実施形態において、エピトープタグおよび細胞輸送タグなどの短いタグ配列を有するHiUGEベクターは、挿入断片の標的ゲノム座位へのフォワードかまたはリバースのいずれかの組込み後、タグの効率的発現のための二重配向デザインを用いる。いくつかの実施形態において、より長い挿入断片配列を有するHiUGEベクターは、典型的には、フォワード組込み後、KIペイロードの発現を可能にする単一配向デザインを使用する。いくつかの実施形態において、ペイロードのゲノム標的へのリバース組込みがある場合、翻訳は、3つ全ての可能なオープンリーディングフレーム(ORF)における終止コドンカセット(図2H)によって終結され得る。いくつかの実施形態において、HiUGEシステムは、配列番号108〜127またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。
3.インテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いたHiUGEシステム
本発明はまた、CRISPRに基づくヌクレアーゼのより高い調節を提供するために、インテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いた、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システムを対象とする。インテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いたHiUGEシステムは、上記のようなHiUGEシステムと同じ様式で用いることができる。本明細書で用いられる場合、「インテイン」は、タンパク質スプライシングによって、自分自身を切除し、その残りの部分(エクステイン)をペプチド結合で連結することができるタンパク質のセグメントを指す。インテインはまた、「タンパク質イントロン」としても知られている。インテイン媒介性タンパク質スプライシングは、インテイン含有mRNAがタンパク質へ翻訳された後、起こる。前駆体タンパク質は、N−エクステイン、続いて、インテイン、続いて、C−エクステインという3つのセグメントを含有する。スプライシングが起きた後、その結果として生じたタンパク質は、C−エクステインと連結されたN−エクステインを含有し、そのスプライシング産物もまた、エクステインと呼ばれる。「スプリットインテイン」は、2つの遺伝子に由来する前駆体タンパク質のインテインを指す。スプリットインテインを含むインテインの例は、参照により本明細書に組み入れられている、米国特許出願公開第20150232827号に開示されている。
インテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いたHiUGEシステムは、相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクターおよび遺伝子特異的ベクターを含む。HiUGEベクターは、少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列、第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)、HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列、および第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする第3のポリヌクレオチド配列を含む。DRSは、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含む。HiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)は、CRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSにターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない。遺伝子特異的ベクターは、第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードする第4のポリヌクレオチド配列、およびCRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列にターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第5のポリヌクレオチド配列を含む。第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分および第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分は、一緒に連結して、CRISPRに基づくヌクレアーゼを形成することができる。第3のポリヌクレオチド配列および第4のポリヌクレオチド配列の発現は、第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼポリペプチドの第1の部分および第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼポリペプチドの第2の部分の生成を生じる。第1のスプリットインテインおよび第2のスプリットインテインは同時に生じ、CRISPRに基づくヌクレアーゼポリペプチドの第1の部分およびCRISPRに基づくヌクレアーゼポリペプチドの第2の部分を同時にスプライスして、無傷のCRISPRに基づくヌクレアーゼを形成する。したがって、完全に機能しうるCRISPRに基づくヌクレアーゼは、インテイン媒介性タンパク質スプライシング後、再構成され得る。
いくつかの実施形態において、第1のスプリットインテインはN−インテインであり、第2のスプリットインテインはC−インテインである。いくつかの実施形態において、N−インテインは配列番号60のポリヌクレオチド配列を含み、第2のスプリットインテインは配列番号61の配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分は配列番号55のポリペプチド配列を含み、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分は配列番号56のポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態において、インテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いたHiUGEシステムは、配列番号108〜127またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み得る。
4.HiUGEベクター
開示されたHiUGEシステムは、標的ゲノムへの挿入のための少なくとも1つのポリヌクレオチド配列挿入断片(ペイロード)、挿入断片配列の両側における少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)、およびHiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含有する、ドナーベクターまたはHiUGEドナーベクターとも本明細書で呼ばれる、HiUGEベクターを含む。DRSは、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含有する。HD−gRNAは、CRISPRに基づくヌクレアーゼを、挿入断片の両側に見出されるDRSへターゲティングする。HiUGEシステムがインテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムを用いる場合には、HiUGEベクターはさらに、上記のように、第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする第3のポリヌクレオチド配列を含み得る。
a.ドナー認識配列DRS
DRSは、ドナー標的配列およびプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含む。ドナー標的配列は、下記のように、HD−gRNA分子との相同性塩基対形成を通して認識され、下記のように、CRISPRに基づくヌクレアーゼと複合体形成される。PAM配列は、CRISPRに基づくヌクレアーゼによって認識される。正しいドナー標的配列および対応するPAMを含有する部位のみが、切断される。ドナー標的配列は、対象ゲノムにおけるいかなる類似した長さの配列とも十分に異なることにより、HiUGEベクター(ドナーベクター)へのCRISPRに基づくヌクレアーゼ切断についての特異性を保証する。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列とも少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含む。ある特定の実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列とも少なくとも2つの塩基対ミスマッチを含む。
HiUGEベクターは、少なくとも1つの挿入断片のフランキング側のそれぞれに少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)を含み得る。いくつかの実施形態において、HiUGEベクターは、挿入断片の各側に少なくとも1つのDRSまたは2つのDRSを含み得る。いくつかの実施形態において、1つより多い挿入断片がある場合には、各挿入断片は各側に少なくとも1つのDRSを有する。
DRSは、以下のルールまたはステップを用いてデザインすることができる。
(1)ステップ1
配列の最初の20ヌクレオチド(nt)は、対応するHD−gRNAが標的ゲノムのゲノム配列のCas9媒介性切断を促進しないことを保証するように選択される(そのgRNAは、標的ゲノムに関して不活性であるべきである)。換言すれば、HD−gRNAは、標的ゲノムに対して外来であり、かつ標的ゲノム内でCas9切断活性を方向づける能力がないようにあるべきである。Cas−OffinderおよびCrisporなどのいくつかのバイオインフォマティクスツールが、そのような「オフターゲット」活性を予測するために利用可能である。一般的に、基本的な必要条件は、gRNA配列が、野生型SpCas9が用いられる場合には、標的ゲノムに対して比較した時、シード領域(12bpのPAM近位配列)において少なくとも1つの塩基対(bp)ミスマッチを有すること、またはhypaCas9酵素などの高忠実度Cas9バリアントを用いた場合、広域範囲(18bpのPAM近位配列)内に少なくとも1つのbpミスマッチを有することである。
(2)ステップ2:
HiUGEドナー認識配列(DRS)(HD−gRNAによってターゲティングされる配列)がフォワードでもリバースでもどちらの配向でも用いることができるため、このステップは、それのリバース相補体を作製することにより別々に分析され、XはNのリバース相補体を表す。「|」は、Cas9依存性二本鎖切断の部位を表し、その切断部位を取り囲むヌクレオチドは、-2-112と番号づけられる。
Figure 2021513847
遺伝子特異的gRNA(GS−gRNA)にガイドされるCas9切断部位に関するゲノムのオープンリーディングフレーム(ORF)位相の定義(切断座位の前の最後のコードトリプレットは灰色で強調されている)。Zが任意の標的ゲノムヌクレオチドA、G、C、Tを表し、「|」がゲノム二本鎖切断部位を表し、その周囲のヌクレオチドは上記で定義されているように番号づけられている。
Figure 2021513847
全体として、HiUGEドナー認識配列についての4つの可能な異なる利用シナリオが、各ORF可能性について試験される必要がある。標的ゲノムコード化タンパク質と挿入された外来コード化タンパク質配列との間の融合タンパク質を作製するように、これらは外来DNAの挿入を考慮する。外来コード化タンパク質配列は、標的ゲノムコード化タンパク質配列のN末端側(N−term)かまたはC末端側(C−term)のいずれかであり得る。
シナリオ1:
フォワード配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+0でのN−termタグ付け
フォワード配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+1でのN−termタグ付け
フォワード配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+2でのN−termタグ付け
シナリオ2:
フォワード配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+0でのC−termタグ付け
フォワード配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+1でのC−termタグ付け
フォワード配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+2でのC−termタグ付け
シナリオ3:
リバース配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+0でのN−termタグ付け
リバース配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+1でのN−termタグ付け
リバース配向、標的遺伝子の上流、挿入断片の下流、ORF+2でのN−termタグ付け
シナリオ4:
リバース配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+0でのC−termタグ付け
リバース配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+1でのC−termタグ付け
リバース配向、標的遺伝子の下流、挿入断片の上流、ORF+2でのC−termタグ付け
(3)ステップ3a:
DRSがフォワード配向で用いられる(DRS Seq1)場合のシナリオを満たすために。
シナリオ1:N−termタグ付けについてのDRSルール、(図3Aにおける濃い破線領域を参照)。
基準1:DRSがいかなる座位においてもユニバーサルに用いられるために、境界配列(N-2-1)は、関心対象となるゲノム遺伝子(GOI)ORFによって定義される場合、標的ゲノム座位に関してスプライスされた時にいかなる終止コドンも生じる能力があってはならない。
ORF+0:制約なし。
ORF+1:N-1はA、C、またはGだけであり得る;Tであり得ない。(N-112は終止コドンであり得ない)
ORF+2:N-2-1はTT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、またはGGだけであり得る;TAでもTGでもあり得ない。(N-2-11は終止コドンであり得ない)
基準2:NNNNNNNNNNNNNNNN-2-1は、GOI ORFに準拠して、終止コドンを導入しない:
Figure 2021513847
シナリオ2:C−termタグ付けについてのDRSルール、(図3Bにおける濃い破線領域を参照)。
基準1:DRSがいかなる座位においてもユニバーサルに用いられるために、境界配列(N12)は、関心対象となるゲノム遺伝子(GOI)ORFによって定義される場合、標的ゲノム座位に関してスプライスされた時にいかなる終止コドンも生じる能力があってはならない。
ORF+0:制約なし。
ORF+1:N12は、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、またはGGだけであり得る;AAでもAGでもGAでもあり得ない。(Z-112は終止コドンであり得ない)
ORF+2:N1はTまたはCだけであり得る;AでもGでもあり得ない。(Z-2-11は終止コドンであり得ない)
基準2:N12NNGGは、GOI ORFに準拠して、終止コドンを導入しない。
Figure 2021513847
(4)ステップ3b:
DRSがリバース配向で用いられる(DRS Seq2)場合のシナリオを満たすために。
シナリオ3:N−termタグ付けについてのDRSルール、(図3Cにおける濃い破線領域を参照)。
基準1:DRSがいかなる座位においてもユニバーサルに用いられるために、境界配列(X-2-1)は、関心対象となるゲノム遺伝子(GOI)ORFによって定義される場合、標的ゲノム座位に関してスプライスされた時にいかなる終止コドンも生じる能力があってはならない。
ORF+0:制約なし。
ORF+1:X-1はA、C、またはGだけであり得る;Tであり得ない。(X-112は終止コドンであり得ない)
ORF+2:X-2-1はTT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、またはGGだけであり得る;TAでもTGでもあり得ない。(X-2-11は終止コドンであり得ない)
基準2:CCXXX-2-1は、GOI ORFに準拠して、終止コドンを導入しない。
Figure 2021513847
シナリオ4:C−termタグ付けについてのDRSルール、(図3Dにおける濃い破線領域を参照)。
基準1:DRSがいかなる座位においてもユニバーサルに用いられるために、境界配列(X12)は、関心対象となるゲノム遺伝子(GOI)ORFによって定義される場合、標的ゲノム座位に関してスプライスされた時にいかなる終止コドンも生じる能力があってはならない。
ORF+0:制約なし。
ORF+1:X12は、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、またはGGだけであり得る;AAでもAGでもGAでもあり得ない。(Z-112は終止コドンであり得ない)
ORF+2:X1はTまたはCだけであり得る;AでもGでもあり得ない。(Z-2-11は終止コドンであり得ない)
基準2:X12XXXXXXXXXXXXXXXは、GOI ORFに準拠して、終止コドンを導入しない。
Figure 2021513847
(5)ステップ4:
この最終ステップにおいて、GS−gRNAは、組込み後の最終の編集されたゲノム座位との適合性を決定するために試験される。一般的なルールは、組込み後、Cas9が、編集されたゲノム配列をその後、切断できないことを保証するために、GS−gRNAもHD−gRNAのいずれについての認識配列も再構成されるべきではないことである。いくつかの実施形態において、GS−gRNAがセンスゲノム鎖をターゲティングするように選択されている場合のシナリオについて、DRSは、N−termおよびC−termのいずれのタグ付けについてもリバース配向で用いられることが最善である。いくつかの実施形態において、GS−gRNAがアンチセンスゲノム鎖をターゲティングするように選択されている場合のシナリオについて、DRSは、N−termおよびC−termのいずれのタグ付けについてもフォワード配向で用いられることが最善である。全ての実験において、ゲノム組込み後、再構成された配列は、HD−gRNAとGS−gRNAの両方と十分な相違を示すことをチェックされるべきである。
例えば、C−termタグ付けの場合、GS−gRNAがセンス鎖をターゲティングしている時、およびDRSがフォワード配向で用いられる時、以下のチェックが実施されるべきである:
Figure 2021513847
Figure 2021513847
いったん、HiUGEドナー認識配列が選択されたならば、gRNA切断効率について実験的に試験されること、加えて、陰性対照実験において、遺伝子コード配列へのオフターゲット挿入を評価することが必要とされる。これは、GS−gRNAなしでHiUGEベクターおよびHD−gRNAで細胞をターゲティングし、その後、免疫細胞化学法または他の関連技術によるドナータンパク質発現の分析により達成される。
いくつかの実施形態において、DRSの長さは、HiUGEシステムに利用されるCas9のバリアントに従って様々であり得る。いくつかの実施形態において、DRSは、約19〜24ヌクレオチド長のドナー標的配列およびPAM配列を含み得る。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、約15〜約30ヌクレオチド長、約15〜約28ヌクレオチド長、約15〜約25ヌクレオチド長、約15〜約20ヌクレオチド長、約19〜約30ヌクレオチド長、約19〜約28ヌクレオチド長、約19〜約25ヌクレオチド長、または約19〜約24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、長さが少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約16ヌクレオチド、少なくとも約17ヌクレオチド、少なくとも約18ヌクレオチド、少なくとも約19ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約21ヌクレオチド、少なくとも約22ヌクレオチド、少なくとも約23ヌクレオチド、少なくとも約24ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約26ヌクレオチド、少なくとも約27ヌクレオチド、少なくとも約28ヌクレオチド、少なくとも約29ヌクレオチド、または少なくとも約30ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、フォワード配向で5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断は、位置N-1と位置N1の間で起こる;またはドナー標的配列はリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)の配列を含み得、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断は、位置X-1と位置X1の間で起こり、式中、Nは4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、XはNのリバース相補体であり、N-2-112(配列番号17)は、5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)における境界配列であり、X-2-112(配列番号18)は、5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)における境界配列であり、ドナー標的配列は、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを導入しない。
いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含み得る。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも2つの塩基対ミスマッチを含み得る。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても、PAM配列に隣接するドナー標的配列の約8〜12ヌクレオチド内に少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含み得る。いくつかの実施形態において、ドナー標的配列は、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても、PAM配列に隣接するドナー標的配列の約8〜12ヌクレオチド内に少なくとも1つの塩基対ミスマッチ、少なくとも2つの塩基対ミスマッチ、少なくとも3つの塩基対ミスマッチ、少なくとも4つの塩基対ミスマッチ、または少なくとも5つの塩基対ミスマッチを含み得る。
HiUGEベクターは、任意の遺伝子特異的gRNAとペアになって、挿入断片配列の特異的な標的遺伝子への組込みを駆動することができる。しかしながら、挿入断片が正しく転写および翻訳されるために、遺伝子特異的切断部位におけるリーディングフレームは、ドナー挿入断片のリーディングフレームとマッチする必要がある。いくつかの実施形態において、標的遺伝子特異的配列は、ZZZZ-2-112Z(配列番号19)の配列を含み得、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置Z-1と位置Z1の間で起こり、Zが4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、その境界配列が、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを生じず、標的遺伝子のゲノムオープンリーディングフレーム(ORF)位相は以下からなる群から選択される:
ORF+0:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZ-2-1
ORF+1:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ-2、および
ORF+2:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N-1がA、C、またはGである。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N-2-1は、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N12は、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N1はTまたはCである。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X-1がA、C、またはGである。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X-2-1は、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X12は、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X1はTまたはCである。
いくつかの実施形態において、DRSは、SpCas9またはそのバリアントによって認識され、フォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112NNGG−3’(配列番号20)の配列またはリバース配向での5’−CCXXX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号21)の配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、DRSは、GTCATAGTATCGCGGAGTTCAGG(配列番号22)、GACGCTTCCGAGTACGGTACAGG(配列番号23)、GGTTCTACGAGGATACGTCTTGG(配列番号24)、GCGTATGGCAAGCATAGCCGGGG(配列番号25)、GCGATTGACCCGTGCTGTCGCGG(配列番号26)、またはCCTGTACCGTACTCGGAAGCGTC(配列番号27)のポリヌクレオチド配列を含み得る。
b.挿入断片ポリヌクレオチド
HiUGEベクターは、1つまたは複数の挿入断片ポリヌクレオチド(ペイロード)を含み、それらは、HiUGEベクターから切断されて、標的ゲノムDNAに挿入される。本開示は、少なくとも1つの挿入断片を含有し得る単一のHiUGEベクターを具体化する。いくつかの実施形態において、単一のHiUGEベクターは、単一の挿入断片を含有し得る。いくつかの実施形態において、単一のHiUGEベクターは2つの挿入断片を含有し得る。いくつかの実施形態において、単一のHiUGEベクターは3つの挿入断片を含有し得る。
ある特定の実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のN末端に挿入され得、それにより、N末端タグ付き融合タンパク質を生じる。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のC末端に挿入され、それにより、C末端タグ付き融合タンパク質を生じる。ある特定の実施形態において、C末端タグは、終止コドンを含有し得る。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、ゲノムのセンス鎖へ挿入される。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、ゲノムのアンチセンス鎖へ挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片がゲノムのセンス鎖へ挿入され、かつ少なくとも1つの挿入断片がゲノムのアンチセンス鎖へ挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片はフォワード配向で挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片はリバース配向で挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片がフォワード配向で挿入され、かつ少なくとも1つの挿入断片がリバース配向で挿入される。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片はマーカーまたはタグをコードする。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、抗体エピトープタグ、蛍光タンパク質タグ、アフィニティ精製タグ、プロテオミクス標識酵素、スプリットCreリコンビナーゼ、配列内リボソーム進入配列(IRES)、2Aペプチド、局在化配列、酵素、エピトープ、またはそれらの組合せをコードする。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、少なくとも1個の抗体エピトープタグをコードする。例えば、少なくとも1つの挿入断片は、少なくとも1個の抗体エピトープタグ、少なくとも2個の抗体エピトープタグ、少なくとも3個の抗体エピトープタグ、少なくとも4個の抗体エピトープタグ、少なくとも5個の抗体エピトープタグ、少なくとも6個の抗体エピトープタグ、少なくとも7個の抗体エピトープタグ、少なくとも8個の抗体エピトープタグ、少なくとも9個の抗体エピトープタグ、または少なくとも10個の抗体エピトープタグをコードし得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、1個の抗体エピトープタグ、2個の抗体エピトープタグ、3個の抗体エピトープタグ、4個の抗体エピトープタグ、5個の抗体エピトープタグ、6個の抗体エピトープタグ、7個の抗体エピトープタグ、8個の抗体エピトープタグ、9個の抗体エピトープタグ、または10個の抗体エピトープタグをコードし得る。いくつかの実施形態において、少なくとも2個以上の抗体エピトープタグは異なる。いくつかの実施形態において、少なくとも2個以上の抗体エピトープタグは同じである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、抗体エピトープタグの1つまたは複数のコピーを含む。いくつかの実施形態において、抗体エピトープタグはリンカーによって分離されている。いくつかの実施形態において、リンカーは、剛性リンカー(RL)および/または可動性リンカー(FL)であり得る。例示的なリンカーは、国際特許公開第2009/086132号に記載されている。
いくつかの実施形態において、HiUGEベクターは、挿入断片または「ペイロード」がゲノムへ挿入される配向にかかわらず、高効率標識を促進するために、挿入断片またはドナー配列が二重配向にある、二重配向カセットまたは「ターボ」カセットを含み得る(例えば、図2Cおよび2F参照)。いくつかの実施形態において、HiUGEベクターは、第1のポリヌクレオチド配列または挿入断片をコードするポリヌクレオチド配列のフォワードコピー、および第1のポリヌクレオチド配列または挿入断片をコードするポリヌクレオチド配列のリバースコピーを同じ鎖に含み得る。いくつかの実施形態において、終止カセットをコードするポリヌクレオチド配列は、第1のポリヌクレオチド配列のフォワードコピーと第1のポリヌクレオチド配列のリバースコピーの間を連結することができる。
ある特定の実施形態において、挿入断片は、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗体タグ、Myc抗体エピトープタグ、蛍光タンパク質eGFP、蛍光タンパク質mNeonGreen、蛍光タンパク質TdTomato、ビオチンアフィニティ精製タグ、および/または6×Hisアフィニティ精製タグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンカセットにフランキングする2個のHAタグをコードし得、HAタグのうちの1つがリバース配向である。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンを有するMyc抗体エピトープタグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、C末端終止コドンを有する蛍光タンパク質eGFPをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、C末端終止コドンを有する蛍光タンパク質mNeonGreenをコードし得る。ある特定の実施形態において、C末端終止コドンを有する蛍光タンパク質TdTomatoをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンを有するHA抗体エピトープタグと共にビオチンアフィニティ精製タグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンを有する6×Hisアフィニティ精製タグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンを有するCreリコンビナーゼのN末端側のブタテッショウウイルス−1由来の2AペプチドのN末端側のHA抗体エピトープタグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、終止コドンを有するGFPの高感度青色バリアントのN末端側のブタテッショウウイルス−1由来の2AペプチドのN末端側のHA抗体エピトープタグをコードし得る。ある特定の実施形態において、挿入断片は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルのN末端側のウッドチャック肝炎ウイルス転写後制御エレメントのN末端側の、終止コドンを有するHA抗体エピトープタグをコードし得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、配列番号34、39、41〜50、またはその組合せの少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含み得る。
ある特定の実施形態において、挿入断片は、HA抗体タグ、Myc抗体エピトープタグ、V5抗体エピトープタグ、および/またはそれらの組合せをコードし得る。いくつかの実施形態において、挿入断片は、Myc、V5タグ、およびHAの少なくとも1つのコピーをコードし得る。いくつかの実施形態において、挿入断片は、Myc、V5タグ、およびHAの2つのコピーをコードし得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片は、配列番号152、配列番号153、または配列番号154の位置542〜949に対応するポリヌクレオチド配列を含む。
c.HiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)
HiUGEベクターは、HiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む。HD−gRNAは、CRISPRヌクレアーゼと複合体形成し、その複合体を、HiUGEベクターにおける挿入断片の両側のDRSへターゲティングする。DRSへターゲティングされたら、CRISPRヌクレアーゼはベクターを切断して、線状挿入断片ポリヌクレオチドまたは切断された挿入断片を生じることができる。HD−gRNAは、HiUGEベクターDRSに特異的であり、対象ゲノム内の特定の配列をターゲティングしない。いくつかの実施形態において、HD−gRNAは、配列番号28の配列に対応するヌクレオチド配列を含み得る。
5.標的遺伝子特異的gRNA
上記のHiUGEシステムは、標的遺伝子特異的gRNA(GS−gRNA)またはGS−gRNAをコードする核酸を含む。GS−gRNAは、CRISPRに基づくヌクレアーゼと複合体を形成し、標的遺伝子特異的配列との相同性塩基対形成により、対象ゲノム内の標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列における意図された切断部位の認識を助ける。いくつかの実施形態において、GS−gRNAは、標的遺伝子ベクター、またはGS−gRNAについてのポリヌクレオチド配列をコードする遺伝子特異的ベクター上に提供される。
HiUGEシステムは、任意の標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列をターゲティングするようにデザインすることができる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、内因性遺伝子または導入遺伝子であり得る。いくつかの実施形態において、標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列は、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)に隣接して位置し、またはフランキングされている。いくつかの実施形態において、標的遺伝子特異的配列は、対象ゲノムの標的遺伝子内の約15〜25ヌクレオチドの連続したポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子特異的配列は、対象ゲノムの標的遺伝子内の約15〜25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子特異的配列は、対象ゲノムの標的遺伝子内の約15ヌクレオチド、約16ヌクレオチド、約17ヌクレオチド、約18ヌクレオチド、約19ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約21ヌクレオチド、約22ヌクレオチド、約23ヌクレオチド、約24ヌクレオチド、または約25ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態において、GS−gRNAは、標的遺伝子の少なくとも1つの領域をターゲティングする。いくつかの実施形態において、標的遺伝子特異的gRNA(GS−gRNA)は、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域からなる群から選択される標的遺伝子の少なくとも1つの領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAはプロモーター領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAはエンハンサー領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAはリプレッサー領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAはインスレーター領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAはサイレンサー領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAは、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAは遺伝子スプライシング領域をターゲティングする。ある特定の実施形態において、遺伝子特異的gRNAは転写領域をターゲティングする。
遺伝子特異的gRNAは、CRISPRに基づくヌクレアーゼを標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列へターゲティングする。いくつかの実施形態において、HiUGEシステムは、1つより多い標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列をターゲティングする1つより多いGS−gRNAを含み得る。いくつかの実施形態において、HiUGEシステムは、1つより多い異なる標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列をターゲティングする1つより多い異なるGS−gRNAを含み得る。いくつかの実施形態において、異なるGS−gRNAは、異なる標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列と結合する。例えば、異なるGS−gRNAは、異なる標的遺伝子の標的遺伝子特異的配列と結合することができ、その2つ以上の標的遺伝子が編集される。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列は、真核細胞のゲノム内(例えば、真核細胞の染色体内)にあり得、または細胞に存在する染色体外エレメント上にあり得る。代表的な実施形態において、標的遺伝子または標的遺伝子特異的配列は、真核細胞型(例えば、癌細胞における変異)に固有であり得、または種、属、科、もしくは界(例えば、真核細胞に感染するウイルス)に固有であり得る。
いくつかの実施形態において、GS−gRNAは、配列番号128〜139またはそれらの組合せのいずれか1つのポリヌクレオチド配列を含む標的ヌクレオチド配列をターゲティングする。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、TUBB3遺伝子、MAP2遺伝子、MECP2遺伝子、NRCAM遺伝子、ACTR2遺伝子、CLTA遺伝子、ANK3遺伝子、SPTBN4遺伝子、SCN2A遺伝子、GFAP遺伝子、PDHA1遺伝子、またはDCX遺伝子であり得る。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、TUBB5遺伝子、INSYN1遺伝子、INSYN2遺伝子、ARHGAP32遺伝子、TUBB遺伝子、ACTB遺伝子、LMNB1遺伝子、またはNEFM遺伝子であり得る。いくつかの実施形態において、GS−gRNAは、配列番号140〜151のいずれか1つのポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、GS−gRNAは、配列番号169〜195のいずれか1つのポリヌクレオチド配列を含む。
マウスTUBB3遺伝子(本明細書で「mTUBB3」または「mTubb3」とも呼ばれる)は、ニューロンおよび精巣細胞中にほぼ例外なく見出されるチューブリンファミリーの微小管要素である、β−チューブリンIIIをコードする。MAP2遺伝子(本明細書で「Map2」とも呼ばれる)は、微小管結合タンパク質ファミリーに属する、微小管結合タンパク質2をコードする。このファミリーのタンパク質は、神経突起生成における必須のステップである微小管アセンブリに関与すると考えられている。MAP2は、微小管(MT)増殖を、MTを中間径フィラメントおよび他のMTと架橋することにより安定化させる働きをする。MECP2遺伝子(本明細書で「Mecp2」とも呼ばれる)は、神経細胞の正常機能に関与する、核局在化メチルCpG結合タンパク質2(MECP2)タンパク質をコードする。NRCAM遺伝子(本明細書で「Nrcam」とも呼ばれる)は、アンキリンと相互作用しかつ軸索起始部に濃縮されている、神経細胞接着分子をコードする。ACTR2遺伝子(本明細書で「Actr2」とも呼ばれる)は、ARP2/3複合体の主要な成分であることが知られている、アクチン関連タンパク質2をコードする。ARP2/3複合体は、細胞形態および運動性を調節する分岐アクチンフィラメントの新規アクチン重合を誘導する必須のタンパク質複合体である。CLTA遺伝子(本明細書で「Clta」とも呼ばれる)は、エンドサイトーシスおよびタンパク質輸送の小胞の形成において主要な役割を果たすタンパク質である、クラスリンタンパク質をコードする。ANK3遺伝子(本明細書で「Ank3」とも呼ばれる)は、アンキリンANK1およびANK2とは免疫学的に異なる遺伝子産物である、アンキリン−3をコードする。アンキリン−3は、中枢および末梢神経におけるニューロンの軸索起始部およびランビエ絞輪に見出される。SPTBN4遺伝子(本明細書で「Sptbn4」とも呼ばれる)は、β−スペクトリン遺伝子のファミリーのメンバーである、スペクトリン、ベータ、非赤血球4(βIV−スペクトリン)をコードする。そのコード化タンパク質は、ニューロンにおける軸索起始部に局在する。SCN2A遺伝子(本明細書で「Scn2a」とも呼ばれる)は、ナトリウムチャネル、電位開口型、II型、αサブユニット(NaV 1.2 ナトリウムチャネルサブタイプ)をコードする。Navα1.2サブユニットを含有するナトリウムチャネルは、Nav1.2チャネルと呼ばれる。GFAP遺伝子(本明細書で「GFAP」とも呼ばれる)は、アストロサイトおよび上衣細胞を含む中枢神経系(CNS)の細胞型により発現する中間径フィラメント(IF)タンパク質である、グリア酸性線維性タンパク質をコードする。PDHA1遺伝子(本明細書で「Pdha1」とも呼ばれる)は、アセチル−CoAおよびCO2を生成するピルビン酸の酸化的脱炭酸を触媒するミトコンドリアマトリックス酵素である、ピルピン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)α1をコードする。DCX遺伝子(本明細書で「Dcx」とも呼ばれる)は、微小管結合タンパク質である、ダブリン(doublin)またはリセンセファリン−X(lissencephalin−X)としても知られた、神経細胞移動タンパク質ダブルコルチンをコードする。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子ベクターは、下記のようなCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、標的遺伝子ベクターは、下記のようなCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸はDNAを含む。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸はRNAを含む。
6.CRISPRに基づくヌクレアーゼ
HiUGEシステムは、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、またはCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列はDNAである。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列はRNAである。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列は、HiUGEベクター上でコードされる。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列は、遺伝子特異的ベクター上でコードされる。いくつかの実施形態において、第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする核酸配列は、HiUGEベクター上にコードされ、第1のスプリットインテインと補完的な第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードする核酸配列は、遺伝子特異的ベクター上にコードされる。いくつかの実施形態において、遺伝子編集されることになっている標的細胞は、CRISPRに基づくヌクレアーゼを発現し、かつ含む。
CRISPRシステムは、侵入するファージおよびプラスミドに対する防御に関与する微生物ヌクレアーゼシステムであり、獲得免疫の一形態を提供する。微生物宿主におけるCRISPR座位は、CRISPR関連(Cas)遺伝子の組合せ、およびCRISPR媒介性核酸切断の特異性の原因である非コードRNAエレメントを含有する。
CRISPRシステムは、2つのクラスへ組織化され、それぞれが3つのシステムタイプで構成され、それらがさらに、19個の異なるサブタイプへ分けられる。クラス1システムは、外来核酸の切断を助けるのに複数のCasタンパク質の複合体を用いる。クラス2は、同じ目的のために、単一の大きなCasタンパク質を用いる。クラス2は単一のCasタンパク質のみを必要とするため、クラス2Casタンパク質は、真核生物系における使用のために開発および適応されている。各タイプおよびたいていのサブタイプは、そのカテゴリーにほぼ例外なく見出される「シグネチャ遺伝子」によって特徴づけられる。CRISPR/Cas9が、ゲノム編集に用いられる最もよく知られたクラス2タンパク質である。
CRISPRに基づくヌクレアーゼは、gRNAの3’末端と複合体を形成する。CRISPRに基づくシステムの特異性は、2つの因子:標的配列とプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に依存する。標的配列は、gRNAの5’末端側に位置し、宿主DNA上のプロトスペーサーとして知られた正しいDNA配列における塩基対と結合するようにデザインされる。gRNAの認識配列を単純に交換することにより、CRISPRに基づくヌクレアーゼを、新しいゲノム標的に方向づけることができる。PAM配列は、切断されることになっているDNA上に位置し、CRISPRに基づくヌクレアーゼによって認識される。CRISPRに基づくヌクレアーゼのPAM認識配列は種特異的であり得る。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼまたはCpf1エンドヌクレアーゼであり得る。
いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼは、Streptococcus、Staphylococcus、Brevibacillus、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Francisella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Lactobacillus、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、またはCampylobacterの細菌属に由来したCas9エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Cas9タンパク質は、非限定的に、Streptococcus pyogenes、Francisella novicida、Staphylococcus aureus、Neisseria meningitides、Streptococcus thermophiles、Treponema denticola、Brevibacillus laterosporus、Campylobacter jejuni、Corynebacterium diphtheria、Eubacterium ventriosum、Streptococcus pasteurianus、Lactobacillus farciminis、Sphaerochaeta globus、Azospirillum、Gluconacetobacter diazotrophicus、Neisseria cinerea、Roseburia intestinalis、Parvibaculum lavamentivorans、Nitratifractor salsuginis、およびCampylobacter lariを含む群から選択される。
いくつかの実施形態において、Cas9タンパク質は、非限定的に、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)エンドヌクレアーゼ、Francisella novicida Cas9(FnCas9)エンドヌクレアーゼ、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)エンドヌクレアーゼ、Neisseria meningitides Cas9(NmCas9)エンドヌクレアーゼ、Streptococcus thermophiles Cas9(StCas9)エンドヌクレアーゼ、Treponema denticola Cas9(TdCas9)エンドヌクレアーゼ、Brevibacillus laterosporus Cas9(BlatCas9)エンドヌクレアーゼ、Campylobacter jejuni Cas9(CjCas9)エンドヌクレアーゼ、それらのバリアントエンドヌクレアーゼ、またはそれらのキメラエンドヌクレアーゼを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、SaCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、またはStCas9エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、SpCas9バリアントは、SpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9−HF1バリアントエンドヌクレアーゼ、またはeSpCas9(1.1)バリアントエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、SaCas9バリアントは、SaCas9 Cas9 KKHバリアントである。いくつかの実施形態において、StCas9エンドヌクレアーゼは、St1Cas9エンドヌクレアーゼまたはStcCas9エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、St3Cas9のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)相互作用(PI)ドメインを有するSpCas9を含むキメラSp−St3Cas9エンドヌクレアーゼ、またはSpCas9のPIドメインを有するSt3Cas9を含むキメラSt3−SpCas9エンドヌクレアーゼである。
a.PAM配列認識
CRISPRヌクレアーゼ複合体は、DNA二重鎖を巻き戻し、gRNAに相補的な配列および正しいPAMを探索する。そのヌクレアーゼは、両方の条件が満たされた場合のみ、標的DNAの切断を媒介する。CRISPRに基づくヌクレアーゼのタイプおよび1つまたは複数のgRNA分子の配列を特定化することにより、DNA切断部位を、特定の標的ドメインに局在化させることができる。PAM配列がバリアントおよび種特異的であることを考慮すれば、標的配列は、ある特定のCRISPRに基づくヌクレアーゼによってのみ認識されるように操作することができる。
いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、PAM配列YG(配列番号1)、NGG(配列番号2)、NGA(配列番号3)、NGCG(配列番号4)、NGAG(配列番号5)、NGGNG(配列番号6)、NNGRRT(配列番号7)、NNGRRT(配列番号8)、NNNRRT(配列番号9)、NAAAAC(配列番号10)、NNNNGNNT(配列番号11)、NNAGAAW(配列番号12)、NNNNCNDD(配列番号13)、またはNNNNRYAC(配列番号14)を認識し得る。
いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9エンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9バリアントエンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGCG(配列番号4)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGAG(配列番号5)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGA(配列番号3)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SaCas9エンドヌクレアーゼであり、NNGRRT(配列番号7)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、SaCas9 Cas9 KKHバリアントエンドヌクレアーゼであり、NNNRRT(配列番号9)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、St1Cas9エンドヌクレアーゼであり、NNAGAAW(配列番号12)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、St3Cas9エンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、キメラSp−St3Cas9エンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、NmCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNGNNT(配列番号11)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、TdCas9エンドヌクレアーゼであり、NAAAAC(配列番号10)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、BlatCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNCNDD(配列番号13)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、CjCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNRYAC(配列番号14)のPAM配列を認識する。いくつかの実施形態において、Cas9エンドヌクレアーゼは、FnCas9 RHAバリアントエンドヌクレアーゼであり、YG(配列番号1)のPAM配列を認識する。
7.遺伝子編集のための組成物
本発明は、マーカーまたはタグを挿入するように遺伝子を編集するなどの遺伝子編集のための組成物を対象とする。その組成物は、上記で開示されているような、HiUGEシステム、または前記システムをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み得る。組成物はまた、ウイルス送達システムを含み得る。例えば、ウイルス送達システムは、アデノ随伴ウイルスベクターまたは改変レンチウイルスベクターを含み得る。
核酸を宿主細胞へ導入する方法は、当技術分野において知られており、核酸(例えば、発現構築物)を細胞へ導入するために任意の公知の方法を用いることができる。適切な方法には、例えば、ウイルスまたはバクテリオファージ感染、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、リポフェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、イムノリポソーム、リン酸カルシウム沈澱、ポリエチレンイミン(PEI)媒介性トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、パーティクルガンテクノロジー、リン酸カルシウム沈澱、ダイレクトマイクロインジェクション、ナノ粒子媒介性核酸送達などが挙げられる。
ベクターは、参照により完全に組み入れられているSambrook et al., Molecular Cloning and Laboratory Manual, Second Ed., Cold Spring Harbor (1989)を含む、日常的技術および容易に入手できる出発材料によりタンパク質を産生するための発現ベクターまたはシステムであり得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列、HiUGEベクターをコードする核酸配列、およびGS−gRNAまたは遺伝子特異的ベクターをコードする核酸配列を含む、HiUGEシステムをコードする核酸配列を含み得る。
a.構築物およびプラスミド
プラスミド、発現カセット、またはベクターなどの遺伝的構築物は、HiUGEシステム、またはそのサブコンポーネント、例えば、HiUGEベクター、遺伝子特異的ベクター、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/もしくは挿入断片をコードする核酸を含み得る。遺伝的構築物は、機能する染色体外分子として細胞内に存在し得る。遺伝的構築物は、セントロメア、テロメアを含む線状ミニ染色体、またはプラスミドもしくはコスミドであり得る。いくつかの実施形態において、遺伝的構築物は、配列番号67〜127および/またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施形態において、遺伝的構築物は、配列番号67〜127、152、153、154、および/またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み得る。
遺伝的構築物はまた、組換えレンチウイルス、組換えアデノウイルス、組換えアデノ随伴ウイルス、および組換え単純ヘルペスウイルス(HSV)を含む組換えウイルスベクターのゲノムの一部であり得る。遺伝的構築物は、弱毒化した生きている微生物における遺伝子材料の一部、または細胞内で生きる組換え微生物ベクターであり得る。上記のような組成物は、改変アデノ随伴ウイルスAAVベクターをコードする遺伝的構築物、および本明細書に開示されているような、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、上記のような組成物は、改変アデノウイルスベクターをコードする遺伝的構築物、および本明細書に開示されているような、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする核酸配列を含み得る。上記のような組成物は、改変レンチウイルスベクターをコードする遺伝的構築物、および本明細書に開示されているような、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする核酸配列を含み得る。
核酸配列は、ベクターであり得る遺伝的構築物を作り上げ得る。そのベクターは、哺乳類の細胞においてCRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/または挿入断片を発現する能力があり得る。ベクターは、組換えであり得る。ベクターは、HiUGEベクター、遺伝子特異的ベクター、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/または挿入断片をコードする異種性核酸を含み得る。ベクターはプラスミドであり得る。ベクターは、HiUGEベクター、遺伝子特異的ベクター、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/または挿入断片をコードする核酸を細胞にトランスフェクションするのに有用であり得、その形質転換された宿主細胞は、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/または挿入断片の発現が起こる条件下で培養および維持される。
本開示のさらなる実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HD−gRNA、GS−gRNA、および/または挿入断片をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝的構築物およびポリヌクレオチドは、様々な生物体または細胞における発現のために、様々なプロモーター、ターミネーター、および他の制御エレメントと作動可能に付随することができる。いくつかの実施形態において、遺伝的構築物は、核酸のコード配列の遺伝子発現のための制御エレメントを含み得る。いくつかの実施形態において、制御エレメントは、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、終止コドン、またはポリアデニル化シグナルであり得る。
代表的な実施形態において、少なくとも1つのプロモーターおよび/またはターミネーターは、本開示のポリヌクレオチドと作動可能に連結され得る。この開示に関して有用な任意のプロモーターを用いることができ、それには、例えば、非限定的に、本明細書に記載されているような、構成的、誘導性、発生的に制御されるプロモーターなどを含む、関心対象となる生物体に関して機能しうるプロモーターが挙げられる。本明細書で用いられる場合の制御エレメントは、内因性または異種性であり得る。いくつかの実施形態において、対象生物体に由来した内因性制御エレメントは、それが天然では存在していない(例えば、天然で見出されるのとは異なる、ゲノムにおける位置)遺伝的状況へ挿入することができ、それにより、組換えまたは非天然核酸を産生する。したがって、代表的な実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼのポリペプチドをコードし、かつ5’末端および3’末端を有する核酸構築物は、その少なくとも1つのポリヌクレオチドまたは核酸構築物の5’末端に作動可能に連結されたプロモーター、およびその少なくとも1つのポリヌクレオチドまたは核酸構築物の3’末端に作動可能に連結されたポリAシグナルをさらに含み得る。
いくつかの態様において、真核細胞へ導入される、ポリヌクレオチド、またはHiUGEシステムをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野において知られたプロモーターおよび/またはポリAシグナルと作動可能に連結されている。したがって、いくつかの態様において、5’末端および3’末端を有するHiUGEシステムのポリペプチドをコードする本開示の核酸構築物は、5’末端においてプロモーターと、および3’末端においてポリAシグナルと作動可能に連結され得る。いくつかの態様において、本開示の核酸構築物は、複数の独立したポリペプチド(タンパク質)の同時翻訳を援助するための、当技術分野において知られた2Aペプチド配列および/または配列内リボソーム進入部位を含み得る。いくつかの態様において、HiUGEシステムのポリペプチドまたはタンパク質をコードする本開示の核酸構築物は、プラスミド、ウイルスベクター、またはナノ粒子を介して真核細胞へ導入することができる。いくつかの実施形態において、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードするポリヌクレオチドまたは遺伝的構築物は、1つの構築物または異なる構築物において導入することができる。
発現カセットはまた、任意で、選択された宿主細胞において機能しうる転写および/または翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含み得る。様々な転写ターミネーターが、発現カセットでの使用に利用可能であり、関心対象となる異種性ヌクレオチド配列を越える転写の終結を担うことができる。終結領域は、転写開始領域にとって天然であり得、作動可能に連結された関心対象となるヌクレオチド配列にとって天然であり得、宿主細胞にとって天然であり得、または別の源由来(すなわち、プロモーターにとって、関心対象となるヌクレオチド配列にとって、宿主にとって、またはそれらの任意の組合せにとって、外来または異種性)であり得る。この開示のいくつかの実施形態において、ターミネーターは、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする組換えポリヌクレオチドと作動可能に連結され得る。
発現カセットはまた、形質転換された宿主細胞を選択するために用いることができる選択マーカーをコードするヌクレオチド配列を含み得る。本明細書で用いられる場合、「選択マーカー」は、発現した時、マーカーを発現する宿主細胞に弁別的な表現型を授け、それに従って、そのような形質転換された細胞が、マーカーを有しない細胞から区別されることを可能にする、ヌクレオチド配列を意味する。そのようなヌクレオチド配列は、マーカーが、選択剤(例えば、抗生物質など)を用いることによるなどの化学的手段によって選択することができる形質を与えるかどうか、またはマーカーが、単に、スクリーニング(例えば、蛍光)によるなどの観察もしくは試験を通して同定することができる形質であるかどうかに依存して、選択マーカーかまたはスクリーニングマーカーかのいずれかをコードし得る。もちろん、適切な選択マーカーの多くの例が、当技術分野において知られており、本明細書に記載された発現カセットに用いることができる。
発現カセットに加えて、本明細書に記載された組換えポリヌクレオチド(例えば、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド)は、ベクターと接続して用いることができる。用語「ベクター」は、核酸を細胞へ移入、送達、または導入するための組成物を指す。ベクターは、移入、送達、または導入されるべきヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。宿主生物体の形質転換に用いられるベクターは、当技術分野において知られている。一般的なクラスのベクターの非限定的例には、自己伝達性もしくは可動性であってもなくてもよい、二本鎖もしくは一本鎖の線状もしくは環状の形をとる、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、バクテリオファージ、人工染色体、またはアグロバクテリウムバイナリーベクターが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に定義されているようなベクターは、細胞ゲノムへの組込みか、染色体外エレメント(例えば、ミニ染色体)として存在するかのいずれかにより、真核生物宿主を形質転換することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された組換えポリヌクレオチドは、リボ核タンパク質複合体として送達することができる。
追加として、シャトルベクターが含まれ、それは、2つの異なる宿主生物体において、天然でまたはデザインにより、複製する能力があるDNA媒介物を意味し、例えば、複数の複製起点を有する広宿主プラスミドまたはシャトルベクターなどである。いくつかの代表的な実施形態において、ベクターにおける核酸は、宿主細胞において、転写のための適切なプロモーターまたは他の制御エレメントの調節下にあり、かつそれと作動可能に連結されている。ベクターは、複数の宿主において機能する二機能性発現ベクターであり得る。ゲノムDNAの場合、これは、それ自身のプロモーターもしくは他の制御エレメントを含み得、cDNAの場合、これは、宿主細胞における発現のための適切なプロモーターまたは他の制御エレメントの調節下にあり得る。したがって、この開示のポリヌクレオチドおよび/またはこの開示のポリヌクレオチドを含む発現カセットは、本明細書に記載されているような、および当技術分野において知られているようなベクター内に含まれ得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された組換えポリヌクレオチドは、リボ核タンパク質複合体として送達することができる。
コード配列は、安定性および高レベルの発現のために最適化することができる。場合によっては、コドンは、そのRNAの二次構造形成、例えば、分子内結合により形成された二次構造を低下させるように選択される。
ベクターは、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする異種性核酸を含み得、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントの上流にあり得る開始コドン、およびHiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントの下流にあり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終結コドンは、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントとインフレームであり得る。ベクターはまたは、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントと作動可能に連結されているプロモーターも含み得る。
ベクターはまた、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントの下流にあり得る、ポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen、San Diego、CA)由来のポリアデニル化シグナルであり得る。
ベクターはまた、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントの上流にエンハンサーを含み得る。エンハンサーは、DNA発現に必要であり得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはCMV、HA、RSV、もしくはEBV由来のものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、第5,962,428号、およびWO94/016737(それぞれの内容は参照により完全に組み入れられている)に記載されている。ベクターはまた、細胞においてベクターを染色体外に維持し、かつベクターの複数コピーを産生するために、哺乳類複製起点も含み得る。ベクターは、ベクターが投与される哺乳類またはヒト細胞における遺伝子発現によく適し得る制御配列も含み得る。ベクターはまた、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)などのレポーター遺伝子および/またはハイグロマイシン(「Hygro」)などの選択マーカーも含み得る。
いくつかの実施形態において、遺伝的構築物は、単一のベクター内に位置し得、または3つの異なるベクターに含まれ得る。これらの構築物では、HiUGEテクノロジーにより分裂および非分裂細胞において対象ゲノム内への挿入が可能である。
(1)プロモーター
本開示のいくつかの実施形態は、HD−gRNA分子、標的遺伝子gRNA分子、および挿入断片をコードするポリヌクレオチド配列についての遺伝的構築物を含む。いくつかの実施形態において、それぞれがプロモーターと作動可能に連結され得、挿入断片が第1のプロモーターと作動可能に連結され、HD−gRNAが第2のプロモーターと作動可能に連結され得、標的遺伝子gRNA分子が第3のプロモーターと連結されている。いくつかの実施形態において、第1のプロモーター、第2のプロモーター、および/または第3のプロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、挿入断片およびgRNA分子についてのポリヌクレオチド配列の全てが、同じプロモーターと作動可能に連結され得、プロモーターが、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは真核生物プロモーターである。
この開示に関して有用な例示的なプロモーターには、真核生物において機能しうるプロモーターが挙げられる。真核生物の非限定的例には、哺乳類、昆虫、両生類、爬虫類、鳥、魚、真菌、植物、および/または線形動物が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本開示の構築物の発現は、関心対象となる生物体において機能しうる適切なプロモーターと作動可能に連結された本開示の組換え核酸構築物を用いて、構成的にされ、誘導性にされ、時間的に制御され、発生的に制御され、または化学的に制御され得る。代表的な実施形態において、抑制は、例えば、関心対象となる生物体において機能しうる誘導性プロモーターと、作動可能に連結された本開示の組換え核酸構築物を用いて、可逆性にされ得る。
プロモーターの選択は、発現についての定量的、時間的、および空間的必要条件に依存して、およびまた、形質転換される宿主細胞に依存して、変わる。多くの異なる生物体についてのプロモーターが当技術分野においてよく知られている。当技術分野に存在する広範な知識に基づいて、適切なプロモーターが、関心対象となる特定の宿主生物体について選択することができる。したがって、例えば、モデル生物体において高度に構成的に発現する遺伝子の上流のプロモーターについて多くのことが知られており、そのような知識は、容易にアクセスし、かつ必要に応じて他のシステムにおいて実践することができる。
本開示のいくつかの実施形態において、誘導性プロモーターを用いることができる。したがって、例えば、化学的制御性プロモーターは、外因性化学的制御因子の適用を通して生物体における遺伝子の発現を調節するために用いることができる。化学的に制御されるプロモーターによる本開示のヌクレオチド配列の発現の制御は、本開示のRNAおよび/またはポリペプチドが、例えば生物体が誘導性化学物質で処理される時のみ、合成されることを可能にする。目的によって、プロモーターは、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する化学的誘導性プロモーター、または化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する化学的抑制性プロモーターであり得る。いくつかの態様において、プロモーターにはまた、特定の波長の光の適用が遺伝子発現を誘導する光誘導性プロモーターを挙げることができる(Levskaya et al. 2005. Nature 438:441-442)。
いくつかの実施形態において、プロモーターは、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えば、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、CMV最初期プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、U6プロモーター、例えば、ヒトU6プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトユビキチンC(hUbC)、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、III型RNAポリメラーゼIIIプロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、U6プロモーター、H1プロモーター、または7SKプロモーターである。いくつかの実施形態において、プロモーターは、配列番号62〜66、またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、第2のポリヌクレオチド配列、またはHD−gRNAをコードするポリヌクレオチド配列は、第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列、またはGS−gRNAをコードするポリヌクレオチド配列は、第2のプロモーターと作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、HiUGEシステムがインテイン媒介性タンパク質スプライシングシステムプロモーターを用いる場合には、第2のポリヌクレオチド配列、またはHD−gRNAをコードするポリヌクレオチド配列は、第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列、または第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードするポリヌクレオチド配列は、第2のプロモーターと作動可能に連結され、第4のポリヌクレオチド配列、または第1のスプリットインテインと補完的な第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードするポリヌクレオチド配列は、第3のプロモーターと作動可能に連結され、第5のポリヌクレオチド配列、またはGS−gRNAをコードするポリヌクレオチド配列は、第4のプロモーターと作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、第4のポリヌクレオチド配列および第5のポリヌクレオチド配列は、同じプロモーターと作動可能に連結され得る。
(2)核局在化シグナル(NLS)および/または核外移行シグナル(NES)
さらなる態様において、本開示の核酸構築物は、ポリヌクレオチドを細胞質から核へ移動させるためにポリヌクレオチドと連結された1つまたは複数の核局在化シグナルを含み得る。さらなる態様において、本開示の核酸構築物は、ポリヌクレオチドを核から細胞質へ移動させるためにポリヌクレオチドと連結された1つまたは複数の核外移行シグナルを含み得る。いくつかの態様において、本開示の核酸構築物によりコードされるHiUGEシステムは、別個の核局在化シグナルおよび/または核外移行シグナルを含み得る。いくつかの実施形態において、核局在化シグナルは、配列番号52または53のポリヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施形態において、核外移行シグナルは、配列番号51のポリヌクレオチド配列を含み得る。
b.ウイルスパッケージング
いくつかの実施形態において、HiUGEベクター、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列、および/または標的遺伝子ベクターについての遺伝的構築物のうちの1つ、2つ、または3つ全部が、ウイルスベクター内にパッケージングされ得る。いくつかの実施形態において、HiUGEベクター、およびCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列が、同じウイルスベクター内にパッケージングされる。いくつかの実施形態において、HiUGEベクターおよび標的遺伝子ベクターが同じウイルスベクター内にパッケージングされる。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列および標的遺伝子ベクターが、同じウイルスベクター内にパッケージングされる。いくつかの実施形態において、遺伝的構築物の3つ全部が、同じウイルスベクター内にパッケージングされる。いくつかの実施形態において、遺伝的構築物の3つ全部が、異なるウイルスベクター内にパッケージングされる。
いくつかの実施形態において、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)またはレンチウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態において、HiUGEベクター、CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列、および標的遺伝子ベクターについての遺伝的構築物のそれぞれが、3つの別々のAAVベクターへパッケージングされる。
(1)改変レンチウイルスベクター
レンチウイルスベクターは、ヒトおよび他の哺乳類種に感染することができるレトロウイルスのレンチウイルスファミリーに属するベクターである。遺伝子編集のための組成物は改変レンチウイルスベクターを含み得る。改変レンチウイルスベクターは、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、HiUGEベクターをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチド配列、および/または少なくとも1つのGS−gRNAもしくは遺伝子特異的ベクターをコードする別個のポリヌクレオチド配列を含み得る。改変レンチウイルスベクターは、HiUGEシステムまたはそのサブコンポーネントをコードする第1のポリヌクレオチド配列を含み得る。1つまたは複数のポリヌクレオチド配列は、真核生物プロモーターと作動可能に連結され得る。プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、改変レンチウイルスベクターは、配列番号67〜127またはそれらの組合せのポリヌクレオチド配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、第2のポリヌクレオチド配列は、少なくとも1個のGS−gRNAをコードし得る。例えば、第2のポリヌクレオチド配列は、少なくとも1個のGS−gRNA、少なくとも2個のGS−gRNA、少なくとも3個のGS−gRNA、少なくとも4個のGS−gRNA、少なくとも5個のGS−gRNA、少なくとも6個のGS−gRNA、少なくとも7個のGS−gRNA、少なくとも8個のGS−gRNA、少なくとも9個のGS−gRNA、少なくとも10個のGS−gRNA、少なくとも11個のGS−gRNA、少なくとも12個のGS−gRNA、少なくとも13個のGS−gRNA、少なくとも14個のGS−gRNA、少なくとも15個のGS−gRNA、少なくとも16個のGS−gRNA、少なくとも17個のGS−gRNA、少なくとも18個のGS−gRNA、少なくとも19個のGS−gRNA、少なくとも20個のGS−gRNA、少なくとも25個のGS−gRNA、少なくとも30個のGS−gRNA、少なくとも35個のGS−gRNA、少なくとも40個のGS−gRNA、少なくとも45個のGS−gRNA、または少なくとも50個のGS−gRNAをコードし得る。いくつかの実施形態において、第2のポリヌクレオチド配列は、1個のGS−gRNA〜50個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜45個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜40個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜35個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜30個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜25個の異なるGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜20個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜16個のGS−gRNA、1個のGS−gRNA〜8個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜50個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜45個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜40個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜35個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜30個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜25個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜20個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜16個の異なるGS−gRNA、4個の異なるGS−gRNA〜8個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜50個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜45個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜40個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜35個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜30個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜25個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜20個の異なるGS−gRNA、8個の異なるGS−gRNA〜16個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜50個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜45個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜40個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜35個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜30個の異なるGS−gRNA、16個の異なるGS−gRNA〜25個の異なるGS−gRNA、または16個の異なるGS−gRNA〜20個の異なるGS−gRNAをコードし得る。いくつかの実施形態において、異なるGS−gRNAをコードするポリヌクレオチド配列のそれぞれは、プロモーターと作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態において、異なるGS−gRNAと作動可能に連結されるプロモーターは、同じプロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、異なるGS−gRNAと作動可能に連結されるプロモーターは、異なるプロモーターであり得る。プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターであり得る。少なくとも1個のGS−gRNAは、標的遺伝子または座位と結合し得る。1個より多いGS−gRNAが含まれる場合には、GS−gRNAのそれぞれが、1つの標的座位内の異なる標的領域と結合し、またはGS−gRNAのそれぞれが、異なる遺伝子座位内の異なる標的領域と結合する。
(2)アデノ随伴ウイルスベクター
AAVベクターは、ヒトおよびいくつかの他の霊長類種に感染するパルボウイルス科(Parvoviridae)のディペンドウイルス属(Dependovirus)に属する小型ウイルスである。AAVは、様々な構築物配置を用いて組成物を細胞へ送達するために用いることができる。例えば、AAVは、CRISPRに基づくヌクレアーゼ、挿入断片、および/またはgRNA発現カセットをコードする遺伝的構築物を別々のベクター上で送達することができる。上記のような組成物は、改変アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。改変AAVベクターは、哺乳類の細胞においてCRISPRに基づくヌクレアーゼを送達し、かつ発現する能力があり得る。例えば、改変AAVベクターは、AAV−SASTGベクター(Piacentino et al. (2012) Human Gene Therapy 23:635−646)であり得る。改変AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、およびAAV−PHP.eBを含む、数個のカプシドの型の1個または複数に基づき得る。いくつかの実施形態において、AAVは、脳組織における神経回路操作のためにニューロンへ逆行性に形質導入することができる。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号152、153、154、またはそれらの組合せのポリヌクレオチド配列を含み得る。
8.相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリングテクノロジーを用いる方法
本開示はまた、上記のHiUGEシステムを用いて遺伝子編集する方法を対象とする。開示された方法は、ゲノムワイドタンパク質標識、発現マーキング、タンパク質発現の破壊、タンパク質再局在化、タンパク質発現の変化、またはハイスループットスクリーニングのために用いることができる。これらの実施形態に従って、方法は、非限定的に、固定細胞または組織の抗体染色、細胞または組織におけるタンパク質のライブイメージング、タンパク質複合体同定のためのタンパク質捕獲またはアフィニティ精製、細胞型系譜追跡または標識、および個々の遺伝子との複数の異なる融合を用いたトランスジェニック生物体の作製を含む適用において、速さと正確さの両方を可能にするだろう。例えば、方法は、図2C〜2Gに示されたHiUGEベクターツールキットのいずれかと共に用いることができる。例えば、方法は、(ツールキット1)抗体エピトープタグ、(ツールキット2)酵素、(ツールキット3)蛍光タンパク質、(ツールキット4)細胞輸送タグ(NLS=核局在化シグナル、NES=核外移行配列、mito=ミトコンドリアターゲティング配列)、および(ツールキット5)特定適用のための他のペイロードと共に用いることができる。いくつかの実施形態において、方法は、標的ゲノム座位への挿入断片のフォワードまたはリバースのいずれの組込み後でもタグの効率的発現のために二重配向デザインを採用する、エピトープタグおよび細胞輸送タグなどの短いタグ配列を有するHiUGEベクターを用いることを含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、典型的にはフォワード組込み後、KIペイロードの発現を可能にする単一配向デザインを用いる、より長い挿入断片配列を有するHiUGEベクターを用いることを含み得る。いくつかの実施形態において、ペイロードのゲノム標的へのリバース組込みがある方法において、翻訳は、全ての3つの可能なオープンリーディングフレーム(ORF)における終止コドンカセット(図2H)により終結され得る。
開示された方法は、本明細書に記載されたHiUGEシステムと細胞を接触させるステップを含む。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼは、第1のポリヌクレオチドの各側にフランキングする少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を切断し、それにより、切断された第1のポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の切断された部位を生じ、その切断された第1のポリヌクレオチド配列が、標的遺伝子の切断された部位へ非相同末端結合により組み込まれる。いくつかの実施形態において、CRISPRに基づくヌクレアーゼは、少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を連続的にまたは同時に切断し、それにより、切断された挿入断片を生じる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のN末端に挿入されて、N末端タグ付き融合タンパク質を生じる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のC末端に挿入されて、C末端タグ付き融合タンパク質を生じる。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、ゲノムのセンス鎖へ挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、ゲノムのアンチセンス鎖へ挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、フォワード配向で挿入される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの挿入断片または切断された挿入断片は、リバース配向で挿入される。
いくつかの実施形態において、細胞は、分化細胞または非分裂細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は真核細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、内胚葉、外胚葉、または中胚葉に由来する。いくつかの実施形態において、対象ゲノムは、真核動物対象由来である。いくつかの実施形態において、対象ゲノムは、哺乳類対象である。いくつかの実施形態において、哺乳類対象はげっ歯類または霊長類である。
9.送達の方法
本発明において開示された遺伝的構築物は、非ウイルス方法およびウイルス方法を含む細胞へのDNA送達の任意の方法を用いて送達され得る。一般的な非ウイルス送達方法には、形質転換およびトランスフェクションが挙げられる。非ウイルス遺伝子送達は、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、粒子媒介型遺伝子移入(「遺伝子銃」)、刺入による遺伝子導入(impalefection)、静水圧、持続注入、超音波処理、化学的トランスフェクション、リポフェクション、またはインビボでのエレクトロポレーションを用いた、および用いないDNA注射(DNAワクチン接種)などの物理的方法により媒介され得る。ウイルス媒介性遺伝子送達またはウイルス形質導入は、ウイルスが、それのDNAを宿主細胞の内側へ注入する能力を利用する。送達を意図された遺伝的構築物は、複製欠損性ウイルス粒子へパッケージングされる。用いられる一般的なウイルスには、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、および単純ヘルペスウイルスが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、アデノ随伴ウイルスが、遺伝的構築物の送達に用いられる。
10.細胞型
これらの送達方法のいずれも、非限定的に、原核細胞、または植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類、ブタ、もしくはヒト細胞などの真核細胞を含む無数の細胞型と共に利用することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、分化細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は非分裂細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は真核細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はげっ歯類細胞である。
ある特定の実施形態において、細胞は形質転換細胞である。ある特定の実施形態において、細胞は、非限定的に、筋芽細胞、線維芽細胞、神経膠芽腫、癌腫、上皮細胞、幹細胞を含む群から選択される。ある特定の実施形態において、細胞は、非限定的に、HEK細胞、HeLa細胞、vero細胞、BHK細胞、MDCK細胞、NIH3T3細胞、Neuro−2a細胞、およびCHO細胞を含む群から選択される。
ある特定の実施形態において、細胞は、組織に由来する(初代細胞)。ある特定の実施形態において、初代細胞はニューロンである。ある特定の実施形態において、初代細胞は心筋細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、内胚葉、外胚葉、または中胚葉に由来する。
11.キット
マーカーまたはタグを挿入するために遺伝子を編集することなどの遺伝子編集に用いられ得るキットが、本明細書で提供される。キットは、上記で開示されているようなHiUGEシステムを含む。いくつかの実施形態において、キットは、HiUGEベクターおよびCRISPRに基づくヌクレアーゼを含む。キットは、上記のようなゲノム編集のための遺伝的構築物またはそれを含む組成物、および前記組成物を用いることについての使用説明書を含む。遺伝子へ挿入するための遺伝的構築物(例えば、ベクター)またはそれを含む組成物は、上記のような、挿入断片、gRNA分子、およびCRISPRに基づくヌクレアーゼを含む改変AAVベクターを含み得る。ある特定の型のタグまたはマーカーをゲノムへ特異的に挿入するための、上記のようなHiUGEシステムが、キットに含まれ得る。
キットに含まれる使用説明書は、包装材料に貼られる場合もあるし、または添付文書として含まれる場合もある。使用説明書は典型的には書面または印刷物であるが、そのようなものに限定されない。そのような使用説明書を保存し、それらをエンドユーザーへ伝達することができる任意の媒体がこの開示によって企図される。そのような媒体は、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で用いられる場合、用語「使用説明書」は、使用説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含み得る。
12.実施例
本明細書に記載された本開示の方法の他の適切な改変および適応が、容易に適用可能および認識可能であり、かつ本開示の範囲から逸脱することのない適切な均等物または本明細書に開示された態様および実施形態を用いてなされ得ることは、当業者にとって容易に明らかであろう。今、本開示を詳細に記載しているが、それは、以下の実施例を参照することにより、より明らかに理解されるだろうし、その実施例は、本開示のいくつかの態様および実施形態を例証することのみを単に意図され、本開示の範囲を限定することとみなされるべきではない。本明細書で言及された、全ての雑誌参考文献、米国特許、および刊行物は、全体が参照により本明細書に組み入れられている。
本発明は、以下の非限定的実施例により例証された、複数の態様を有する。
(実施例1)
相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)方法
HiUGEベクターの構築。遺伝子特異的プラスミドとユニバーサルドナープラスミド(HiUGEベクター)のどちらも、AAV:ITR−U6−gRNA(バックボーン)−hSyn−Cre−2A−EGFP−KASH−WPRE−shortPA−ITRプラスミド(Addgene plasmid #60231)に由来した。
第1世代(1st gen)HiUGEシステム:1st gen遺伝子特異的gRNA(GS−gRNA)ベクターバックボーンの2つのバージョンを、HA−T2A−EGFP−KASH断片を除去することにより調製し、その後、第2の非ニューロンのバージョンのために、ニューロン特異的hSynプロモーターを、Ef1αプロモーターと置き換えた。これらのベクターは、Creリコンビナーゼを発現し、Gt(ROSA)26Sortm1(CAG-cas9*,-EGFP)Fezhマウス(Cas9マウス)と共に、コンディショナルCas9発現の誘導のために用いることができる。それぞれの関心対象となる遺伝子(GOI)について、そのアミノ末端かまたはカルボキシル末端のいずれかをターゲティングするGS−gRNA配列を、オンラインgRNA評価ツール「Crispor」(Haeussler et al., Genome Biol. (2016) 17(1):148)を用いてデザインし、GS−gRNAのU6プロモーター駆動型発現のために制限消化/ライゲーションクローニング方法を用いてSapI部位へクローニングした。10μL反応物において、10ng(約2fmol)のGS−gRNAバックボーンプラスミドを、SapI酵素(NEB R0569、1μL)で消化し、同時に、50fmolのアニールされた23〜24mer(SapI粘着末端を含む)GS−gRNAオリゴとT4 DNAリガーゼ(NEB M0202、1μL)で、37℃(5分間)と21℃(5分間)の間のサーモサイクリングの10回の反復によってライゲーションした。約100bp単位複製配列を増幅するようにリバースプライマーとしてのリバースGS−gRNAオリゴとペアになった上流U6プロモーター領域におけるフォワードプライマーを用いて、コロニーPCRを実施し、バックボーンプラスミドへのGS−gRNA組込みを検出した。用いられるGS−gRNA標的配列は、表1に列挙されている。
Figure 2021513847

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Figure 2021513847

Figure 2021513847
st gen HiUGEベクターについて、HiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)を、U6プロモーターの後のSapI部位へクローニングした。XbaI制限部位とPmlI制限部位との間の断片を、ペイロード配列(エピトープタグ、酵素、蛍光タンパク質、細胞輸送タグなど)を含有するドナー配列と置き換えて、標的ゲノム座位へ挿入した。ペイロード配列は、HD−gRNAにより特異的に認識されるドナー認識配列(DRS)によって両側でフランキングされた。HD−gRNAは、標的ゲノム座位へ挿入されるように、ドナーペイロード配列のCas9媒介性切断および放出を方向づけた。表2は、V2のHD−gRNAがgacgcttccgagtacggtac(配列番号28)に対応する配列を有し、かつDRSバージョンがV1(cctgtaccgtactcggaagcgtc(配列番号27))またはV2(gacgcttccgagtacggtacagg(配列番号23))である、以下の実施例において用いられる第1世代HiUGEベクターを列挙する。
HiUGEドナーベクターについて、ドナー特異的gRNA(HD−gRNA)を、U6プロモーターの後のSapI部位へクローニングした。XbaI制限部位とPmlI制限部位との間の断片を、エピトープタグ(HA、Myc、およびV5)、蛍光タンパク質(例えば、Shaner et al., 2004; Zacharias et al., 2002参照)、「スパゲティモンスター(spaghetti monster)」蛍光タンパク質−HA(Viswanathan et al., 2015)、および細胞輸送タグ(SV40核局在化シグナル、NLS)などのペイロード配列と置き換えて、標的ゲノム座位へ挿入した。ヒトまたはマウスゲノム内に存在しない人工配列であり、かつCRISPORおよびCas−OFFinder(Bae et al., 2014b; Haeussler et al., 2016; Hsu et al., 2013)によって予測された場合、低いゲノムオフターゲット傾向(ヒトまたはマウスゲノムに対して98以上の特異性スコア、塩基対ミスマッチが3つ以内であるゲノム標的がない)を以てHD−gRNAによって特異的に認識されるドナー認識配列(DRS)により、ペイロード配列は両側でフランキングされた。HD−gRNAは、標的ゲノム座位へ挿入されるように、Cas9媒介性DRS切断およびペイロード配列の放出を方向づける。この研究に用いられる例示的なDRSおよびペイロード配列は、表1に見出すことができる。
Figure 2021513847
Figure 2021513847
nd gen HiUGEシステム:2nd gen HiUGEシステムについて、インテインスプリットcas9システム(Truong et al., Nucleic Acids Res. (2015) 43(13):6450-8)を用いて、Cas9コード配列をGS−gRNAベクターとHiUGEベクターの両方へ分配した。簡単に述べると、第1世代GS−gRNAベクターのhSyn−Creを、C−インテイン−C−Cas9コード配列を駆動するEF1α/HTLV(nEF)プロモーターと置き換えることにより、GS−gRNAベクターを構築した。2nd gen HiUGEドナープラスミドは1st genと類似しており、ドナーペイロード配列の後に、同様にEF1α/HTLV(nEF)プロモーターによって駆動されるN−Cas9−N−インテインコード配列の付加を有した。これらのベクターを、合成DNA断片のブロックを用いて構築した。表3は、実施例7に用いられる第2世代HiUGEベクターを列挙する。これらの第2世代HiUGEベクターは、SV40 NLSのシグナル配列、V2のHD−gRNA(gacgcttccgagtacggtac(配列番号28)に対応する配列を有する)およびV2のDRS(gacgcttccgagtacggtacagg(配列番号23))を含んだ。
Figure 2021513847
AAV作製。精製されたAAVを、以前に記載されたプロトコール(Uezu et al., Science. (2016) 353(6304):1123-9)に基づいて作製した。簡単に述べれば、HEK293T細胞を、6つの15cmディッシュ上にプレーティングし、60〜80%コンフルエンシーに達した時、PEIを用いて、15μg AAVベクター、30μg ヘルパープラスミドpAd−DeltaF6、および15μg AAV血清型2/9プラスミドをトランスフェクションした。その後、10%ウシ胎仔血清(FBS)、グルタミン、およびピルビン酸塩を含有する、抗生物質を含まないDMEMにおいて細胞をインキュベートした。トランスフェクションから3日後、細胞を収集し、凍結融解サイクルの反復(3回)で溶解させた。その後、細胞可溶化物を、超遠心精製のためにOptiprep密度勾配(Sigma、15%、25%、40%、および60%)にアプライした。AAV含有画分を収集し、その後、Amicon Ultra濾過ユニット(NMWL:100kDa)におけるPBSでの反復洗浄により、約100μLの最終体積へさらに濃縮し、−80℃での保存のために分注した。スモールスケールのAAV粗上清について、HEK293T細胞を、12ウェルプレート上にプレーティングし、その後、細胞密度が60〜80%コンフルエンシーに達した時、PEIを用いて、0.4μg AAVプラスミド、0.8μg ヘルパープラスミド、および0.4μg 血清型2/1プラスミドをトランスフェクションした。1% Glutamaxおよび10% FBSを追加したグルタミンを含まないDMEMにおいて、細胞を3日間、インキュベートした。AAVを含有する上清培地を収集し、0.45μm 酢酸セルロースSpin−X遠心管フィルター(Costar)を通して濾過し、使用直前まで4℃で一時的に保存した。
インビトロおよびインビボでのHiUGE適用の試験。第1世代HiUGEシステムを試験するために、Cre依存性コンディショナルCas9発現マウス系統(Gt(ROSA)26Sortm1(CAG-cas9*,-EGFP)Fezhマウス(Cas9マウス))を用いた。これらのCas9マウスを用いて、初代ニューロン培養物を、ポリ−L−リジンコーティング化カバースリップ上に調製し、スモールスケールAAV上清組合せを形質導入した。形質導入のために、インビトロでの培養日数(DIV)4〜6に、培地交換と共に、濾過された上清を初代培養物へ直接加えた(ウェルあたり100〜200μL)。培地交換に関連した毒性からニューロンを保護するために、NMDA受容体アンタゴニストD−APV(33〜66μM最終濃度)を加えた(Hogins et al., PLoS One. (2011) 6(9):e25633)。代替として、スモールスケールAAV上清の組合せを、DIV 1に初代培養物へ加え(この場合、D−APVは必要ではない)、新生改変タンパク質の蓄積期間を延ばすために固定化の日まで、ニューロンと共にインキュベートした。定量的実験について、精製AAVを、培地中ウイルスごとの5×1010ゲノムコピー/mLの最終濃度で初代培養物に加えた。固定化の日(DIV 11〜14)において、細胞を、PBS中4%PFA+4%スクロースで4℃、15分間、処理し、HiUGE媒介性KIを検出するための免疫細胞化学法に用いた。定性的インビボ適用について、精製された高力価AAVを組み合わせ(GS−gRNAとドナーペイロード、1:1 v/v)、Cas9マウス新生仔へ頭蓋内に注射した(半球あたり約2μL)。神経回路選択性適用について、成体Cas9マウスは、精製AAV2−レトロGS−gRNAウイルスの、特定の神経回路の軸索終末を含有する脳エリアへの定位注射を受け、一方、精製AAV2/9 HiUGEドナーウイルスの別個の注射を、投射ニューロン細胞体を含有する脳エリアへ送達した。注射から2〜3週間後、マウスを安楽死させ、脳を、ドライアイスで新鮮凍結するか、または経心的灌流後、HiUGE媒介性KIを検出するための免疫組織化学法のために単離した。
BioID適用について、細胞を、固定化の前日、20μM ビオチンで一晩、処理した。固定化の日(DIV 11〜14)において、細胞を、PBS中4%PFA+4%スクロースで、4℃、15分間、処理し、HiUGE媒介性ノックインを検出するための免疫細胞化学法に用いた。インビボ試験について、精製AAV組合せを、マウス新生仔へ脳室内に注射した。2週間後、マウスを屠殺し、脳を、新鮮凍結するか、または経心的灌流後、HiUGE媒介性ノックインを検出するための免疫細胞化学法のために単離した。第2世代HiUGEシステムの試験について、同様の適用に関して、Cas9マウスの代わりに、野生型マウスまたは他の一般的な細胞株由来の細胞を用いた。
ビルトイン式インテインスプリットCas9発現を有するHiUGEベクターについて、WT C57BL/6Jマウス(P0〜P2)または他の一般的な細胞株(HeLa、HEK293T、NIH3T3)由来の初代培養物を用いた。類似した適用において上記のように、スモールスケールAAVを用いて、初代ニューロンを形質導入した。さらに、これらのHiUGEコンポーネントがまた、ヒトまたはマウス起源の一般的な細胞株において、AAV形質導入よりむしろプラスミドトランスフェクションによって送達されるのに適していることを実証するために、HiUGE GS−gRNAおよびドナープラスミドを、製造会社のプロトコールに従ってPEI MAX(Polysciences 24765)またはLipofectamine 3000(ThermoFisher L3000008)を用いて、HeLa、HEK293T、またはNIH3T3細胞へ同時トランスフェクションした。HiUGE媒介性KIを検出するための免疫細胞化学法のためにトランスフェクションから2〜4日後、細胞を固定化した。インビボ試験について、精製された高力価AAV(GS−gRNAとドナーペイロード)を組み合わせ、その後、成体WTマウスの特定脳エリアへ定位的に注射した。注射から2〜3週間後、マウスを安楽死させ、経心的に灌流した。脳を、HiUGE媒介性KIを検出するための免疫組織化学法のために単離した。
免疫組織化学法および免疫細胞化学法。免疫組織化学法(IHC)について、新鮮凍結された検体と灌流された検体の両方を用いた。(たいてい、軸索起始部タンパク質と共に機能している時の)新鮮凍結された検体について、動物を安楽死させ、脳を迅速に単離し、クラッシュドライアイス上で凍結し、厚さ20μmで冠状に切片化して、スライドガラス上にマウントした(VWR)。検体を、PBS中4%PFA+4%スクロースで4℃、15分間、固定した。その後、IHCを実施した。検体を、ブロッキングし、PBS中0.3% Triton−X、5%正常ヤギ血清(NGS、Sigma G9023)を含有するブロッキングバッファーで室温、30〜60分間、透過処理し、一次抗体を、室温で2時間、または4℃で一晩、アプライした。蛍光二次抗体を、室温で30〜60分間、アプライし、DAPIで対比染色した。(ほとんどの他のタンパク質と共に機能している時の)灌流された検体について、動物を安楽死させ、氷冷のヘパリン化PBSで、続いて、PBS中4% PFAで、心臓内に灌流し、その後、4% PFA中、4℃で一晩、後固定し、PBS中30%スクロース+10%グリセロールにおいて4℃で凍結保護した。脳を厚さ40μmで冠状に切片化した(浮遊)。同様のIHC手順を、上記のように行った。その後、検体を、スライドガラス上にFluorSave媒体(Calbiochem)と共にマウントした。
免疫細胞化学法(ICC)について、細胞を、PBS中4%PFA+4%スクロースで4℃、15分間、固定し、その後、PBS中0.3% Triton−X、5% NGSを含有するブロッキングバッファーで室温、30〜60分間、ブロッキングおよび透過処理した。一次抗体を、室温で2時間、または4℃で一晩、アプライした。蛍光二次抗体を、室温で30〜60分間、アプライし、DAPIで対比染色した。その後、カバースリップをFluorSave媒体(Calbiochem)と共にスライドガラスへマウントした。
この研究に用いられた一次抗体を、以下の通り、丸括弧で示された希釈度と共に列挙した:ラット抗HA(Roche/Sigma 11867423001、1:1000)、ウサギ抗Myc(Santa Cruz sc−789、1:250)、マウス抗V5(Thermo R960−25、1:500)、ニワトリ抗GFP(Abcam ab13970、1:2000)、ウサギ抗mCherry(Abcam ab167453、1:1000)、ウサギ抗Map2(Synaptic Systems 188002、1:5000)。この研究に用いられた追加の一次抗体は、マウス抗アンキリンG(Santa Cruz sc−12719、1:250)およびモルモット抗VGAT(Synaptic Systems 131004、1:2000)であった。この研究に用いられたフルオロフォア連結型二次抗体または試薬を、以下の通り、列挙した:ヤギ抗ラット Alexa 568(Thermo A11077 1:1000)、ロバ抗ウサギ Alexa 647(Thermo A31573、1:1000)、ロバ抗マウス Alexa 647(Jackson ImmunoResearch 715−605−150、1:1000)、ヤギ抗ニワトリ Alexa 488(Thermo A11039 1:1000)、ヤギ抗マウス Alexa 405(Thermo A31553 1:1000)、ヤギ抗ウサギ Alexa 555(Thermo A21428、1:1000)、ヤギ抗ラット Alexa 647(Thermo A21247、1:1000)、ストレプトアビジン Alexa 647(Thermo S32357、1:1000)。この研究に用いられた追加のフルオロフォア連結型二次抗体または試薬を、以下の通り、列挙した:ロバ抗ラット Alexa 488(ThermoFisher A21208、1:1000)、ヤギ抗ウサギ Alexa 568(ThermoFisher A11036、1:1000)、ロバ抗モルモット Alexa 647(Jackson ImmunoResearch 706−605−148、1:1000)、ヤギ抗ラット Alexa 594(Jackson ImmunoResearch 112−585−167、1:1000)、およびヤギ抗マウス Alexa 647(Jackson ImmunoResearch 115−605−166、1:1000)。
顕微鏡画像を、Zeiss 710もしくはZeiss 880倒立共焦点顕微鏡、またはApotome 2.0モジュールを備えたZeiss Imager M2正立顕微鏡を用いて取得した。各画像の最適なダイナミックレンジについて露光を手作業で調整した。対照条件との実験的比較が必要な場合、同じ露光パラメータを、全ての検体コホートに渡って用いた。必要な場合、タイリングおよびzスタックを実施した。輝度、コントラスト、およびガンマ補正を、FIJIまたはZeiss Zenを用いて、各チャネルについて調整した。対照条件に対する比較が必要な場合、同一の露光および調整パラメータを、コホートに渡って用いた。ライブイメージングを、Zeiss 710顕微鏡上で、37℃、5% CO2インキュベーションしながら実施した。z−スタックされた画像の時系列を、100秒間ごとに取得し、その後、ビデオクリップとしてFIJIにおいて6fpsで処理およびエクスポートし、続いて、Adobe After Effectsにおいてアノテーションした。全ての画像を、各パネルに示された色割り当てでの提示のために疑似カラーで彩色した。
標的配列:表4は、以下の実施例に用いられた標的配列の、完全には網羅されていないリストを示す。
Figure 2021513847
初代マウス海馬および皮質ニューロン/グリア培養物。初代ニューロン/グリア培養物は、Gt(ROSA)26Sortm1(CAG-cas9*,-EGFP)FezhまたはC57BL/6J(Jackson Laboratory)新生仔(P0〜P2)に由来した。以前に記載された方法(Uezu et al., 2016)に従って初代培養を実施した。簡単に述べれば、安楽死後、脳を迅速に収集し、海馬または皮質を単離した。細胞を、パパイン消化(Worthington)後、ファイヤーポリッシュされたガラスピペットで穏やかに解離させ、ポリ−L−リジン(Sigma P2636)コーティング化表面上に1cm2あたり約100,000個の細胞(画像化用、海馬細胞)または1cm2あたり約300,000個の細胞(DNA/タンパク質調製用、皮質細胞)の密度でプレーティングした。その後、2% B27(ThermoFisher 17504044)および1% GlutaMAX(ThermoFisher 35050061)を追加したNeurobasal A培地(ThermoFisher 10888022)中、37℃、5% CO2で細胞を維持した。必要な場合、DIV 4〜6の間、培地交換と共にシトシンアラビノシド(Sigma C1768、5uM最終濃度)を加えることにより、グリア増殖を阻害した。
HEK293T、HeLa、およびNIH3T3細胞株の細胞培養。この研究に用いられた細胞株は、HEK293T(ATCC CRL−11268)、HeLa(ATCC CCL−2)、およびNIH3T3(ATCC CRL−1658)を含む。全ての細胞株を、10%ウシ胎仔血清(Sigma F4135)および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(ThermoFisher 15140122)を追加したDMEM(Gibco 11965−092)中、37℃、5% CO2で維持し、約95%コンフルエンシーに達した時、トリプシン/EDTA消化(ThermoFisher 25200056)により継代した。
定位注射。定位注射について、成体マウスを、1.5%イソフルオランガスの吸入により麻酔し、定位フレーム(Kopf Instruments)に置いた。炎症を低減するために、手術の開始前、マウスに皮下にメロキシカム(約10μL/25g)を投与した。ラムダ状縫合と十字縫合が同じ背腹面にあることを確認した後、Allen Mouse Brain Atlas(Lein et al., 2007)を参照して、運動皮質(0.5A/P、0.6〜1.0L、1.2V)、線条体(0.5A/P、2.0L、3.2V)、視床(−1.7A/P、1.2L、3.4V)、後部体性感覚皮質(−1.7A/P、3.5L、1.2V)、または背側海馬(−1.6A/P、2.2L、1.3V)のいずれかの上を高速ドリル(Foredom MH−170)で開頭した。精密圧力注入システム(Drummond Nanoject)を用いて、ウイルスを充填されたガラスピペットを、所望の深さまで下げ、わずかに引き戻し(約0.2mm)、少量のウイルスを約10分間に渡って注射した(20秒間ごとに18〜32nLの30回の注射)。ピペット引き戻し中にウイルスの流出を防ぐためにさらに5〜10分間、待った後、ガラスピペットを脳から引き戻し、開頭術の上の皮膚を縫合して閉じた。切口へ数滴の表面麻酔剤(ブピバカイン)を塗布し、鎮痛剤(ブプレノルフィン、約25μL/25g)を皮下に投与した後、マウスを、太陽灯の下、20〜30分間、回復させ、その後、ホームケージへ入れた。
ウェスタンブロット。プロテイナーゼインヒビターカクテルを追加した氷冷RIPAバッファー中に細胞を収集し、超音波処理した。タンパク質濃度を、BCA方法により決定し、等量のタンパク質を、サンプルバッファー中、95℃で5分間、加熱し、SDS/PAGE電気泳動のためにロードし、その後、ニトロセルロース膜へ転写した。ブロッキングバッファー(Rockland)におけるブロッキング後、HAエピトープ(一次:ラット抗HA、Roche/Sigma 11867423001、1:2000;二次:IRDye 800CW ヤギ抗ラット、1:10,000)およびハウスキーピング遺伝子GAPDH(一次:ウサギ抗GAPDH、Abcam ab9485、1:5000;二次:IRDye 680RD ヤギ抗ウサギ、1:10,000)について膜を連続的にプローブした。一次抗体と二次抗体のどちらも、室温で1時間、インキュベートした。免疫蛍光シグナルをOdyssey FC imager(LI−COR)で検出した。免疫沈降(IP)濃縮化ウェスタンブロットについて、等量のインプット(300μg)を、30μLマウス抗HAビーズ(ThermoFisher 26181)と混合し、nutator上で4℃、一晩、インキュベートした。RIPAバッファーでの洗浄後、タンパク質を、80μLサンプルバッファー中、95℃で5分間、煮沸することにより溶出した。溶出されたIP−試料の等量およびインプット試料の等量を、SDS/PAGEにロードし、その後、ニトロセルロース膜へ転写した。IP膜を、HAエピトープ(一次:Sigma H6908、1:2000;二次:IRDye 800CW ヤギ抗ウサギ、1:10,000)について連続的にプローブし、インプット膜をハウスキーピング遺伝子GAPDH(一次:Abcam ab9485、1:5000;二次:IRDye 680RD ヤギ抗ウサギ、1:10,000)についてプローブした。一次抗体と二次抗体のどちらも、CanGetSignal溶液(TOYOBO NKB−101T)中、室温で1時間、インキュベートした。免疫蛍光シグナルをOdyssey FC imager(LI−COR)で検出した。
ゲノムPCR、TOPOクローニング、およびDNAシーケンシング。HiUGE編集後、初代ニューロンからゲノムDNAを、MyTaq Extraction−PCRキット(Bioline BIO−21127)またはPureLink Genomic DNA Mini Kit(ThermoFisher K182001)により抽出した。二重配向HAエピトープペイロードの挿入を検出するために、表1に示されたプライマーを用いて、MyTaq HSポリメラーゼ(Bioline BIO−25045またはBIO−25047)を用いるゲノムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施した。編集されたゲノム座位を増幅し、かつフォワード対リバースのペイロード組込みを区別するために、編集された座位の上流の内因性ゲノム配列に特異的なプライマーを、配向選択的HAエピトープペイロードプライマーとペアにした。PCR産物を、ゲル精製(NucleoSpin GelおよびPCR Clean−upキット、Macherey Nagel 740609)、および一般的なM13F(−21)プライマー(Eton Bioscience)を用いるシーケンシングのためのTOPOクローン化(ThermoFisher K457501)により、単離した。インデル推定について、HiUGE媒介性HAエピトープKI後、3連のニューロン試料からゲノムDNAを抽出した。ゲノムPCRを上記のように実施した。PCR産物を、クリーンアップし(NucleoSpin GelおよびPCR Clean−upキット、Macherey Nagel 740609)、3つの独立したプールへと組み合わせ、MiSeqシステム(Illumina)においてDuke Sequencing and Genomic Technologies Shared Resourceによりディープシーケンシングした。
定量的および統計的解析。mTubb3へのC末端HAエピトープKIの免疫蛍光定量化について、実験群について知らされていない実験者により、顕微鏡画像が、コホートに渡って同一の露光パラメータを用いて、取得された。実験群あたり3つのカバースリップが用いられ、ランダムな位置におけるカバースリップあたり、3つの顕微鏡画像が取得された。画像のHA免疫蛍光強度は、自動バックグラウンド引き算後、FIJIにより定量化された。画像の総細胞数は、FIJIにおけるDAPI蛍光の粒子分析により推定された。細胞数に対する平均HA免疫反応性の比が計算され、その後、陰性群(ウイルス添加なし)および陽性群(mTubb3 GS−gRNAプラスHiUGEドナーORF+1)に対する0〜100の任意単位(a.u.)のスケールで標準化された。標準化された比を、「平均蛍光強度」と定義した。定量化結果に関しては、カバースリップごとに平均値を出し、データ点(n=3カバースリップ)として報告した。AISタンパク質標的へのC−term HAエピトープKIの免疫蛍光定量化について、実験群について知らされていない実験者により、顕微鏡画像が、コホートに渡って同一の露光パラメータを用いて、取得された。実験群あたり3つのカバースリップが用いられ、ランダムな位置におけるカバースリップあたり、3つの顕微鏡画像が取得された。HAエピトープ免疫蛍光が陽性であるAIS構造の数およびAnk−G陽性AISの総数を手作業でカウントし、その後、解析のためにパーセンテージへ変換した。定量化結果は、カバースリップごとに平均値を出され、データ点(n=3カバースリップ)として報告された。誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。ペアワイズ差を検出するために、一元配置ANOVA、その後、事後Tukey−Kramer HSDを、JMP Pro(v13、SAS)において実施し、有意水準を0.05に設定した。
編集された接合部におけるインデル率の定量的推定は、Duke Genomic Analysis and Bioinformatics Shared Resourceにより実施された。Cutadapt(Martin、2011)(v 1.18)を採用するTrim Galore Toolkit(v 0.5.0、URL:www.bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/trim_galoreにおいて入手可能)を用いて、生のシングルエンドリード配列からアダプターおよび品質の悪い配列をトリミングした。生のリードの品質を、Trim GaloreからのFastQC(v 0.11.5、URL:www.bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/fastqcで入手可能)アウトプットを調べることにより検証した。組込み(フォワードおよびリバース)組合せによる遺伝子のそれぞれについての単位複製配列を含有する参照FASTAファイルを準備し、それは、合計10個の配列を含んでいた。デフォルトパラメータでのbwa−mem(Li and Durbin, 2009)(v0.7.17)を用いて、参照FASTAファイルに対して品質トリミング化リードをアライメントし、SAMtools(Li et al., 2009)(v1.9)を用いて、後処理した。カスタムPythonスクリプトを用いて、補足アライメント(0×800)フラグを有するアライメントされたリードについてSAMファイルをフィルターにかけ、および組込み部位の重複を有するリードについてフィルターにかけた。具体的には、リードの開始アライメント位置を用いて、そのリードが組込み部位の少なくとも30bp下流から開始したことを検証し、cigar列をパースして、リードが、組込み部位(組込み部位位置は各遺伝子によって異なる)から30bp上流を過ぎて伸びていることを検証した。累積リードカウントについて、その後、SAMファイルを、カスタムPythonスクリプトを用いてパースし、インデルを含有する各リードを数えた。位置リードカウントについて、Picard(URL:broadinstitute.github.io/picardで入手可能)を用いて、リード群情報を追加し、bamファイルにインデックスを付けた。その後、インデルをGATK HaplotypeCaller(McKenna et al., 2010)(v3.8−1−0−gf15c1c3ef)を用いてコールした。全てのリードに関してインデルをコールするために、いくつかのパラメータを、デフォルト(min_mapping_quality_score=0;min_base_quality_score=0、max_alternate_alleles=50、output_mode=EMIT_ALL_SITES、emitRefConfidence=BP_RESOLUTION)から改変した。その後、生じたVCFファイルを、一塩基多型を有するいかなる部位も排除するように、および挿入または欠失を含有する各部位におけるリードの数をカウントするようにフィルターにかけた。全ての解析について、3つのプールのそれぞれを、位置データと累積データの両方について平均値および平均値の標準誤差の計算まで、独立に処理した。
(実施例2)
HiUGEベクター認識配列ルール
図3Aは、図3Aについての凡例を示す図3Bと共に、ドナー認識配列(DRS)使用シナリオおよびその対応する、DRS配列を支配するルールの適用性の例の図を示す。図3Aにおいて、HiUGEベクターは、各パネルの下部に環状プラスミドとして表されている。ドナー認識配列(DRS)の配向は、挿入断片に対するCas9切断部位の配向により表されている(フォワード配向は上部パネル、リバース配向は下部パネル)。ドナーベクター切断後、関心対象となる標的ゲノム遺伝子(GOI)へ挿入されるべき外来配列(ペイロード)は、各パネルにおいて線状カセットとして表されている。各シナリオにおいてDRSのルールを決定するための本文で言及された配列は、濃い色の破線で取り囲まれている。
図3Cは、5個の例示的なDRS配列のリストを示す。各例示的なDRS配列についての対応するHiUGEベクター特異的gRNA(HD−gRNA)の標的ゲノム(マウスMM10ゲノムアセンブリ)に対する特異性は、オンラインgRNA評価ツール「Crispor」により予測された。これらのHD−gRNAの高特異性スコアは、それらがゲノム切断を誘導する見込みの低さを示す。チェックのマークは、特定の使用シナリオおよびORFについてのDRSの適合性を示す。ドットは、DRSが特定の使用シナリオおよびORFについての基準を満たさないことを示す。
図3D〜3Gは、Cas9発現マウスに由来した培養海馬ニューロンにおけるマウスTubb3遺伝子へのHiUGE媒介性HA抗体エピトープノックインのための5つの例示的なDRSのインビトロ試験のHA抗体免疫染色による代表的な画像を示す。5つの例示的なDRS配列で構築された5つ全てのHiUGEベクターは、Tubb3 GS−gRNAベクターとペアになった時、HAエピトープKIを誘導するのに成功した(図3Dおよび3Eにおける上の行のパネル)。ドナーベクターが空のGS−gRNAバックボーンベクターとペアになった場合の対照実験(下の行)は、HA免疫反応性が陰性であった。図3Fおよび3Gは、図3Dおよび3E、それぞれにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(3’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。
(実施例3)
HiUGE概念および特異性
図4Aは、インビトロでの二方向性HAエピトープノックイン(KI)へのHiUGE適用の例の概略図を示す。Cas9マウス由来の初代海馬細胞に、GS−gRNA AAVベクターとHiUGEドナーAAVベクターの組合せを、インビトロでの培養日数(DIV)4〜6の間に形質導入した。HAエピトープKIを検出するための免疫細胞化学法のためにDIV 11後、細胞を固定した。図4Bは、微小管標識を示す、マウスTubb3(mTubb3)遺伝子へのHAエピトープKIを示す免疫染色の代表的な画像を示す。図4Bは、HiUGE編集後のHAエピトープ標識βIII−チューブリンの特徴的な微小管発現パターンを示す。Cas9−2A−GFPのGFP染色およびDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)での核染色もまた示されている。感染からおよそ1週間後、HAの免疫蛍光検出は、内因性βIII−チューブリンのHAエピトープ標識の成功を示し、微小管に特異的な局在化特性を示した(図4B)。図4Dは、ゲノム組込み座位がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単離されたことを示す。PCR産物を、シーケンシングのために、単離して、pCR4−TOPOベクターへクローニングした。フォワードまたはリバースの両方の配向における正しいHAエピトープ組込みを実証する代表的なシーケンシング結果が示されている。ゲノムmTubb3、DRS、またはHAカセットを含有する配列の領域は上に示されている。枠で囲まれた配列は、図4Dの終止コドンカセットを表す。
原理証明実験として、マウスTubb3(mTubb3)遺伝子をターゲティングするGS−gRNAおよび二重配向HAエピトープHiUGEドナーのスモールスケールAAVを用いて、コンディショナルCas9マウスの新生仔から調製された初代ニューロンを同時形質導入した。GS−gRNA AAVは、同時に、Creリコンビナーゼを発現して、コンディショナルCas9−2A−GFP発現を誘導する。感染からおよそ1週間後、HAの免疫蛍光検出は、内因性βIII−チューブリンのHAエピトープ標識の成功を示し、微小管に特異的な局在化特性を示した(図4B)。図4Bは、HiUGE編集後のHAエピトープ標識βIII−チューブリンの特徴的な微小管発現パターンを示す。HAエピトープのウェスタンブロット検出は、βIII−チューブリンの予想された分子量と一致した、単一のバンド(約51kD)を示した(図4C)。
図4Eは、アウトオブフレームのドナー(ORF+0またはORF+2)に対して、正しいORFドナーベクター(ORF+1)とペアになった時の高効率標識を実証するための、ベクターの異なる組合せを形質導入された初代ニューロンのHA免疫染色の代表的な画像を示す。追加の陰性対照(ドナーベクターORF+1単独、mTubb3 gRNAベクター単独、ドナーORF+1ベクターと共の空のgRNAベクター)は、HAエピトープ標識のためのGS−gRNAとドナーベクターのペア形成の必要性を実証した。注意:マウスTubb3 GS−gRNAベクター(ORF+1)が間違ったORF(ORF+0またはORF+2)でのドナーベクターとペアになった時、おそらくフレームシフトするインデル事象のせいで、限られたHA陽性細胞が同定された。図4Fは、図4Eにおける各対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を実証している。スケールバーは各パネルに示されている。
相対的免疫蛍光強度は、これらの条件に渡って定量化され、正しいORFペア形成が、全ての他の条件と比較して、有意により効率的であることを示した(図4G)。さらに、3つ全てのORFについてのドナーベクターがHiUGEを等しく促進する能力があることを実証するために、ORFごとに1つ、3つのGS−gRNAを、マウスMap2遺伝子をターゲティングするようにデザインした。これらのGS−gRNA AAVを、それらの対応するORFでのHAエピトープドナーAAVとペアにすることが、同等かつ効率的な標識を生じた(図4H〜4I)。これらのデータは、GOIとは無関係な自律的HiUGEドナーベクターを用いて、内因性タンパク質を標識するために、ペイロード配列が切除され、標的ゲノムへ挿入され得ることを確認した。
(実施例4)
多様なゲノムおよびタンパク質標的に渡るHiUGE適用
図5Aは、12個の異なるタンパク質へのカルボキシ末端二方向性HAエピトープノックイン(KI)へのHiUGEのスケールアップされた適用の例の概略図を示す。Cas9発現マウス由来の初代海馬細胞に、DIV 4〜5において、GS−gRNA AAVベクターおよびHiUGEドナーAAVベクターの組合せを形質導入した。HAエピトープKIを検出するための免疫細胞化学法のためにDIV 11後、細胞を固定し、代表的な画像は、図5B〜5Mに示されている。図5B〜5Cは、微小管へ局在化されたタンパク質をコードする、マウスTubb3遺伝子(図5B)およびマウスMap2遺伝子(図5C)のHAエピトープKIを示す。図5Dは、核局在化MeCP2タンパク質をコードする、マウスMeCP2遺伝子のHAエピトープKIを示す(挿入図は、枠で囲まれた領域のより高い倍率表示である)。図5Eは、軸索起始部(AIS)に濃縮されている神経細胞接着分子をコードするマウスNrcam遺伝子のHAエピトープKIを示す。図5Fは、ニューロン樹状突起棘内に濃縮されているアクチン関連タンパク質2をコードするマウスActr2遺伝子のHAエピトープKIを示す。図5Gは、小胞クラスリン依存性タンパク質輸送の部位に濃縮されたクラスリンタンパク質をコードするマウスClta遺伝子のHAエピトープKIを示す。図5H〜5Jは、ニューロンのAIS内に濃縮されたアンキリン、βIV−スペクトリン、およびNaV1.2ナトリウムチャネルサブタイプタンパク質をコードする、マウスAnk3遺伝子(図5H)、マウスSptbn4遺伝子(図5I)、およびマウスScn2a遺伝子(図5J)のHAエピトープKIを示す。図5Kは、グリアにおいて選択的に発現したグリア酸性線維性タンパク質をコードするマウスGFAP遺伝子のHAエピトープKIを示す。図5Lは、ミトコンドリア局在化ピルビン酸デヒドロゲナーゼタンパク質をコードするマウスPdha1遺伝子のHAエピトープKIを示す。図5Mは、微小管結合タンパク質ダブルコルチンをコードするマウスDcx遺伝子のHAエピトープKIを示す。スケールバーは、各パネルに示されている。挿入図内のスケールバーは2μmを表す。矢じり形は、樹状突起棘(図5F)、ミトコンドリア(図5L)、または神経突起の遠位端(図5M)などの、関心対象となる遺伝子に関連した細胞内フィーチャーを示す。
ペイロード組込みを確認し、かつインデル率を推定するために、5つの標的について、編集された接合部の周囲の領域を増幅するようにゲノムPCRを実施した。二重配向HAエピトープ組込みは、陽性PCR結果(図16A〜16B)により確認され、単位複製配列のディープシーケンシングにより、フォワードかまたはリバースのいずれかのペイロード挿入後の位置的インデル発生率および継ぎ目のない編集の推定割合が明らかにされた(図16C〜16D)。また、いくつかのAIS特異的標的について、各ニューロンは典型的には1つのAISだけを有し、かつそれらの弁別的な発現パターンは簡単な目視による同定および定量化に適しているため、C末端エピトープ編集の効率を推定した。(AISマーカー アンキリン−Gに対する抗体で染色された)全てのAISと比較したHiUGE標識AIS構造の比率を定量化し(図18A〜18C)、異なるウイルス用量における細胞標識の推定効率を示した。さらに、最近発見された抑制性シナプス後肥厚(iPSD)プロテオーム(Uezu et al., 2016)のいくつかのメンバーを可視化するためのC末端におけるHiUGE媒介性内因性タンパク質標識を、低発現タンパク質に適した抗原性増強を示すスパゲティモンスターHA(smFP−HA)(Viswanathan et al., 2015)などのより大きい挿入断片を用いて、試験した(図15A)。これらの新規のiPSDタンパク質は、抑制性シナプスタンパク質1(Insyn1)、抑制性シナプスタンパク質2(Insyn2)、およびRho GTPアーゼ活性化タンパク質32(Arhgap32)を含んだ。これらの標識タンパク質の免疫検出により、それらが、小胞GABA輸送体(VGAT)に隣接して局在化していることが実証され(図15B〜15D)、抑制性シナプスにおけるそれらの存在が確認された。最後に、3つの異なるGS−gRNA(表1)を、並行して、Insyn1について試験し、それらの全部が、良好かつ同等の抑制性シナプス標識を生じ(図17B〜17D)、GS−gRNA選択の柔軟性および標識方法のロバストネスが実証された。これらのデータは、様々な挿入断片サイズの単一HiUGEドナーベクターが、十分特徴づけられたまたは新しく発見されたタンパク質の簡単かつよりハイスループットの局在化のために複数の内因性タンパク質を効果的に修飾することができることを立証している。
次に、発現を複数の異なるタンパク質に渡るN−termへ限定するために上流終止コドンカセットを有する単一のMycエピトープペイロードを用いて、アミノ末端(N−term)修飾を試験した(図15A)。3つのタンパク質のN−termをターゲティングするGS−gRNAを試験し、アクチン細胞骨格(β−アクチン、Actb)、核エンベロープ(Lamin B1、Lmnb1)、およびニューロフィラメント(Neurofilament medium、Nefm)のタンパク質を含んだ。標的のそれぞれについて、タンパク質局在化と一致したMycエピトープ免疫標識が、観察された(図15E〜15G)。二重標識の可能性を、このN−term選択性Mycエピトープペイロードを、C−termにおける発現を強制するエピトープタグの後に終止コドンカセットを含有する上記のHAエピトープHiUGEペイロードと組み合わせることにより検討した(図11A)。この構築物を用いて、2つの異なるタンパク質のN−termまたはC−termを示差的にターゲティングすることにより、2つの異なる標的の二重標識を達成することができる。N−term HiUGEドナーベクター内の終止コドンカセットは、C−termへの組込みの事象において、翻訳がMycエピトープの上流で終結することを保証し、それに従って、このペイロードはN−term発現に選択的である。これらのドナーを、樹状突起MAP2(Map2)のN−termおよびAIS濃縮化βIV−スペクトリン(Sptbn4)のC−termをターゲティングするGS−gRNA AAVと同時感染させた。単一ニューロンにおける同時染色の実例に関して、HAエピトープおよびMycエピトープについての同時染色により、各タンパク質への選択的標識が明らかにされた(図11B)。したがって、HiUGE N−termおよびC−term選択的ペイロードは、2つの内因性タンパク質の空間的関係を明らかにするためにタンパク質を同時に共標識するのに用いることができる。
まとめると、内因性タンパク質局在化をマッピングするために、単純なオリゴヌクレオチドライゲーションによって迅速に構築されたGS−gRNAライブラリーを用いて、HiUGEは、ユニバーサルペイロードを多様なタンパク質コード領域へ高特異性かつよりハイスループットの様式で組み込む。したがって、HiUGEは、ラージスケールプロテオミクスまたは遺伝子発現研究後の事後局在化分析を含むニューロンタンパク質の迅速かつロバストな標識に適している。
ペイロード組込みおよび推定インデル率を確認するためのゲノムPCRおよびディープシーケンシング。接合部において挿入も欠失もなしの、ゲノム部位への正しい挿入の頻度を示すために、次世代シーケンシングを実施した。図16Aは、様々なゲノム座位への二重配向HAエピトープペイロード組込みを検出するためのゲノムPCRの概略設計を示す。HiUGE編集ありかまたはなしのいずれかでの初代ニューロン培養物からゲノムDNAを抽出した。フォワードペイロード組込み事象に特異的なリバースプライマーか、またはリバースペイロード組込み事象に特異的なリバースプライマーかのいずれかとペアになった、5つの遺伝子(マウスMap2、Actr2、Clta、Sptbn4、およびScn2a)の上流ゲノムフォワードプライマーを用いて、PCR反応を実施した。図16Bは、フォワードペイロード組込みとリバースペイロード組込みの両方についての挿入断片特異的PCRが、陰性対照(編集なし)におけるバンドなしと比較して、編集された試料において陽性バンド(約150〜200bp)を示したことを示している。図16C〜16Dは、フォワードペイロード組込みかまたはリバースペイロード組込みのいずれかのPCR産物をディープシーケンシングすることによるインデル頻度の分析を示す。x軸上の値は、GATK HaplotypeCallerによりコールされたインデルの開始位置を表示し、その位置のすぐ後に挿入されたまたは欠失した配列が続く。インデル位置の検出(i〜v)は、たいていのインデル事象が、編集された接合部(x軸上の0により表示、赤色の線)と直接隣接して開始されることを示した。インデルなしのリードの割合もまたプロットされ(vi)、両方の配向における5つの遺伝子に渡る継ぎ目のないペイロード組込みの推定頻度を示している。
図18A〜18Cは、HiUGEを用いる細胞標識効率の定量化を示す。図18Aは、初代ニューロンにおける高いAAV濃度(ウイルスごとに2.5×1011GC/mL)下でのマウスSptbn4およびScn2aへのC−term HAエピトープKIによるAISタンパク質βIV−スペクトリンおよびNaV1.2のHiUGE標識の代表的な画像を示す。AISマーカー アンキリン−G(Ank−G)に対する抗体での免疫蛍光染色もまた示されている。AISマーカー アンキリン−G(Ank−G)に対する抗体での免疫蛍光染色もまた示されている。陰性対照(空のGS−gRNAバックボーン+Mycエピトープドナー)は、HiUGE標識AISを示さなかった。図18Bは、1:1ウイルス比(GS−gRNA:ドナー)下でのいくつかのAAV濃度に渡る細胞標識の推定効率を示す定量化結果を示す。効率的な標識(>20%)が、ウイルスごとの5×1010GC/mLまたはそれ以上の用量において達成された。図18Cは、1×1011GC/mLの組み合わされたウイルス濃度下でAAVのいくつかの比(GS−gRNA:ドナー)に渡る細胞標識の推定効率を示す定量化結果を示す。1:9、1:3、1:1、および3:1の比率は、標識効率の有意差を示さず、HiUGE標識について許容できるウイルス比の幅広い範囲を示唆した。しかしながら、9:1比が、1:1比と比較して有意により低い標識効率を示し(p<0.01、一元配置ANOVA、その後、Tukey−Kramer HSD事後検定、n=3)、十分なドナーAAVが効率的なHiUGE編集に必要とされることを示唆した。
図19A〜19Fは、HiUGEのオフターゲット効果;具体的には、オフターゲット挿入およびゲノムへのオンターゲット挿入に対する比率の評価を示す。図19Aは、HD−gRNAとmScn2a GS−gRNAの両方についての上位にランク付けされたCRISPOR予測オフターゲット座位を示す。図19Bは、ペイロード特異的プライマーとペアになった遺伝子特異的プライマーを用いるゲノムPCR反応が、オンターゲット組込みの検出に成功し、一方、ペイロードのオフターゲットゲノム組込みは、予測された部位(PreOff_1〜8)について検出されなかったことを示している。接合部に渡るPCR反応は、これらのゲノムプライマーを用いて、ロバストかつ特異的な増幅を示した。図19Cは、ゲノムWalker実験が、オンターゲット組込み(バンド4)、および非コードゲノム領域への3個の潜在的オフターゲット組込み(バンド5〜7)を検出したことを示す。ベクター断片もまた、予想通り、検出された(バンド1〜3)。図19Dは、ペイロード特異的プライマーとペアになった遺伝子特異的プライマーを用いるゲノムPCR反応が、オンターゲット組込みの検出に成功し、一方、ペイロードのゲノム組込みは、実験的に同定された潜在的オフターゲット部位(ExpOff_1〜3)について検出されなかったことを示す。接合部に渡るPCR反応は、これらのゲノムプライマーを用いて、ロバストかつ特異的な増幅を示した。図19Eは、オンターゲット組込み(緑色)対オフターゲット組込み(赤色)についての反応のリアルタイムPCR増幅曲線を示す。図19Fは、相対量の半定量的推定が、オフターゲット組込みがオンターゲット組込みと比較してまれであることを示したことを示す。
(実施例5)
HiUGE方法のインビボ適用
図6Aは、インビボでのカルボキシ末端二方向性HAエピトープノックイン(KI)へのHiUGE適用例の概略図を示す。Cas9発現マウス新生仔に、生後0〜2日(P0〜2)に精製GS−gRNA AAVとHiUGEドナーAAVの組合せを脳室内に注射し、HAエピトープKIを検出するための免疫組織化学法のために、P15後、安楽死させた。図6Bおよび6Dは、軸索起始部に濃縮されたβIV−スペクトリンおよびNaV1.2ナトリウムチャネルサブタイプタンパク質をコードする、マウスSptbn4遺伝子(図6B)およびマウスScn2a遺伝子(図6D)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像を示す。図6Fは、微小管に局在化したβ−チューブリンをコードする、マウスTubb3遺伝子(図6F)のHAエピトープ免疫染色の代表的な画像を示す。図6Hは、核局在化MeCP2タンパク質をコードするマウスMecp2遺伝子のHAエピトープ免疫染色を示す。図6C、6E、6G、および6Iは、図6B、6D、6F、および6Hにおけるそれぞれの対応する画像の核を可視化するためのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)染色を示し、各パネルにおいて類似した細胞密度を示した。スケールバーは各パネルに示されている。
(実施例6)
HiUGE方法の例示的な適用
図7Aは、HiUGEモザイクエピトープノックイン(KI)適用例の概略図を示し、異なるドナーベクターが異なるペイロードを同じ遺伝子へ組み込むことができたことを示している。GS−gRNA AAVベクターと異なるエピトープHiUGEドナーAAVベクターの組合せを、培養されたCas9発現ニューロンへアプライし(図7B)、またはCas9発現新生仔へ脳室内注射により送達した(図7C)。異なるエピトープの発現を可視化するために免疫染色を実施した。図7Bは、初代海馬ニューロンにおけるマウスMap2遺伝子へのモザイクエピトープKIの免疫染色の代表的な画像を示す(太い矢じり形、mycエピトープ染色;矢印、HAエピトープ染色;細い矢じり形、V5エピトープ染色)。図7Cは、HAエピトープとmycエピトープの両方についてインビボで染色されたマウスTubb3遺伝子のモザイクエピトープKIからの冠状脳切片の免疫染色の代表的な画像を示す。
図8Aは、近位ビオチン化実験へのHiUGE BioID2酵素KI適用例の概略図を示す。細胞を、固定化前に一晩、20μMビオチンで処理した。BioID2−HA KIおよびビオチン化活性を可視化するために免疫細胞化学法を実施した。図8Bは、マウスGFAP遺伝子によりコードされたグリア酸性線維性タンパク質のカルボキシ末端へのBioID2−HA KIを示す免疫染色、および対応する、蛍光ストレプトアビジンを用いたビオチン化タンパク質の検出(右パネル)の代表的な画像を示す。図8Cは、マウスMap2遺伝子によりコードされたMap2タンパク質のカルボキシ末端へのBioID2−HA KIを示す免疫染色、および対応する、蛍光ストレプトアビジンを用いたビオチン化タンパク質の陽性検出(右パネル)の代表的な画像を示す。
タンパク質切り詰め実験は、機能性ドメインを同定し、タンパク質相互作用を明らかにし、構造機能関係を描写する。またしても、通常の方法は、典型的には、外因性構築物の過剰発現に頼る。内因的に発現したタンパク質の切り詰め研究を可能にするために、HA−終止−3’UTR HiUGEペイロードをデザインした(図9A)。この構築物は、切り詰め型内因性タンパク質のエピトープでの標識を可能にし、同時に、ポリアデニル化配列を含有する3’UTRの付加により、ナンセンス媒介性減衰からの回避を促進する。この適用は、βIV−スペクトリンの切り詰めにより例示され、それが、AISに濃縮され、かつカルポニン相同(CH)ドメイン、複数のスペクトリンリピート(14番目〜15番目のリピート内にアンキリン結合部位を含有する)、およびC−termプレクストリン相同(PH)ドメインからなるモジュールドメイン構造で構成される(図9B)。
図9C〜9Dは、マウスSptbn4遺伝子のエクソン31(e.31)をターゲティングするGS−gRNAを用いることによるβIV−スペクトリンからのPHドメインの切り詰めが、エクソン36(e.36)をターゲティングするGS−gRNAを用いるカルボキシ末端KIと比較して、AISへのそれの局在化を変化させないことを示している。終止コドン近くの最後のコードエクソン(正準Σ1アイソフォームのエクソン36)をターゲティングするGS−gRNAをHA−終止−3’UTRドナーとペアにすることは、AISに限定された強いHAエピトープ免疫反応性を生じた(図9C)。βIV−スペクトリンからPHドメインを欠失させるためにエクソン31をターゲティングすることは、以前の研究と一致して、それのAIS局在化を破壊せず(図9D)、PHドメインが、それのAISへの局在化に必要とされないことを示唆した。顕著なことには、βIV−スペクトリンを14番目のスペクトリンリピート内で切り詰めるために、より上流のエクソン26をターゲティングすることは、それのAISに濃縮された免疫反応性を完全に抑止し、不明瞭に広がった細胞質染色を生じた(図9E)。これらの結果は、βIV−スペクトリンの14番目のスペクトリンリピートとPHドメインの間の領域が、それのAIS内での濃縮に必要とされることを実証した。これは、βIV−スペクトリンが、14番目〜15番目のスペクトリンリピート内でAIS足場タンパク質アンキリンと相互作用することを示す以前の研究と一致しており、この相互作用が、それの適切なAIS局在化に重要であることを示唆している。
βIV−スペクトリンのHiUGE媒介性切り詰めをさらに、ウェスタンブロット分析により確認し、予測される連続的切り詰めと一致したタンパク質分子量の段階的低下が明らかにされた(図9F)。マウスSptbn4遺伝子(上記)の異なる領域をターゲティングする3つのGS−gRNA AAVを個々に、HA−3’UTR HiUGEペイロードAAVと共に初代Cas9ニューロンへ同時形質導入した。陰性対照群は、ウイルスを受けなかった。HAエピトープタグ付きタンパク質をまず、マウス抗HAアガロースビーズでの免疫沈降により濃縮し、その後、SDS-PAGEに供し、別個のウサギ抗HA抗体を用いてイムノブロットした。連続的切り詰め条件に一致した分子量の段階的低下は明らかである(矢じり形)。矢じり形は、βIV−スペクトリンのΣ1アイソフォームを示し、一方、矢印はΣ6アイソフォームを示す。エクソン26(e.26)における切り詰めのΣ6アイソフォームは検出できないように思われた。スケールバーは各パネルに示されている。したがって、HiUGEは、根底にある細胞機構と関連した構造機能関係をインサイチューで調べるための、内因性タンパク質の迅速な連続的切り詰めを可能にする。
まとめると、タンパク質局在化および動態の可視化、タンパク質細胞内居住のターゲティング化操作、および構造機能関係の分析によって本明細書に例証された、内因性タンパク質を調べるための複数の独立したアプローチを促進するために、異なる機能性部分を有するHiUGEペイロードのライブラリーを交換することができる。HiUGEの交換可能な性質により、他のDNA配列もまた、ペイロードとして組み入れて、多様なGS−gRNA特異的ゲノム座位へ送達することができ、遺伝子/タンパク質改変および操作の無数の新しい可能性を開くことができる。
図10Aは、HiUGE蛍光タンパク質(FP)KIの例の概略図を示す。図10Bは、GFAPへのmCherry蛍光タンパク質(mCh)KIを示し、図10Cは、Pdha1へのmCherry蛍光タンパク質(mCh)KIを示す。図10Dは、Tubb3へのmCherry蛍光タンパク質(mCh)KIを示す。図10B〜10Dは、mCh蛍光が、直接的に画像化されることも(図10B、図10C)、またはmCherryに対する抗体を用いる免疫細胞化学法に従って画像化されることも(図10D)、いずれも可能であることを示す。
図11Aは、HiUGEアミノ末端(N−term)KI構築物の例の概略図を示す。このデザインの目的は、2つの異なるタンパク質のN−termまたはカルボキシ末端(C−term)を示差的にターゲティングすることにより、2つの異なる標的の二重標識を達成することであった。N−term HiUGEベクター内の終止コドンカセットは、C−termへの組込みの事象において、翻訳がMycタグエピトープの上流で終結するだろうことを保証する。図11Bは、Map2へのMycエピトープのN−term KI、およびタンパク質βIV−スペクトリンをコードするSptbn4へのHAエピトープのC−term KI(矢じり形)による、Map2およびSptbn4コード化タンパク質の二重標識の代表的な免疫染色画像を示す。破線円形は、二重標識ニューロンの神経細胞体を表す。
二重配向HA−NLS HiUGEペイロード(図12A)をマウスArp2のC−termへとターゲティングして、この大量の細胞骨格タンパク質が核(図12C)へ再配置されるように操作することができるかどうかを決定した。図12Aは、HiUGE細胞内再局在化構築物の例の概略図を示す。このデザインの目的は、内因性タンパク質をそれらの正常な機能の部位から離れて、再局在化させることであり、それは、機能喪失型または機能獲得型実験デザインを創出するための効果的方法であり得る。図12Bは、ニューロンにおける、細胞体および神経突起内にあるが、核内にはない、正常な分布を実証するための、C末端にHAでタグ付けされたMap2の免疫染色の代表的な画像(左パネル)を示す。あるいは、核局在化シグナル(NLS)でMap2をタグ付けすること(右パネル)が、Map2の大部分を核へ再局在化させた。両方のパネルにおける矢じり形は、核の部位を示す。スケールバーは各パネルに示されている。ニューロンに、マウスActr2 GS−gRNA AAV、およびHA−NLS HiUGEペイロードとMycエピトープ(NLSなし)HiUGEペイロードの混合物を形質導入した。HA−NLS−タグ付きArp2(赤色)は、核へ完全に再方向づけされたが、Mycタグ付きArp2(緑色)はほとんど、Arp2の正常な局在化を表す樹状突起棘に見出された(図12D)。したがって、NLSなどの細胞内輸送タグのHiUGEペイロードは、潜在的な機能喪失型または機能獲得型実験を創出することなどを目的として、内因性タンパク質の細胞内居住を操作するために利用することができる。
(実施例7)
第2世代HiUGE方法についての概念模式図および実験的証拠
図13Aは、ビルトイン式Cas9コード配列を有する第2世代HiUGEシステムの例の概略図を示す。インテイン媒介性スプリットCas9デザインを用いて、Cas9コード配列をGS−gRNAベクターとHiUGEベクターの両方へ、両方のベクターが、AAVサイズ制限を満たし、かつペイロードについての十分な空間を有するように、分配した。インテイン媒介性タンパク質スプライシング後、完全に機能しうるCas9が再構築された。第1世代HiUGE方法の全ての適用がまた、第2世代方法にも当てはまり得る。
図13B〜13Eは、野生型(WT)初代培養マウスニューロンにおける第2世代HiUGE技術の適用例を示す。細胞に、第2世代GS−gRNA AAVベクターと第2世代HiUGEドナーAAVベクターの組合せをDIV 4〜6に形質導入し、DIV 11後、免疫染色によりHAエピトープまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)KIを検出するための免疫細胞化学法のために細胞を固定した。マウスTubb3遺伝子(図13B)およびPdha1遺伝子(図13C)へのHAエピトープKIの代表的な画像は、HA免疫反応性の特徴的な(図13B)微小管または(図13C)ミトコンドリア局在化を示した。マウスTubb3遺伝子(図13D)およびPdha1遺伝子(図13E)のGFP KIの代表的な画像は、(図13D)微小管または(図13E)ミトコンドリアの免疫染色を示した。スケールバーは各パネルに示されている。
HiUGEシステムは、lox−終止−lox Cas9−2A−GFPマウスにおけるCas9のCre依存性活性化などの外因性Cas9発現に頼る。多様な野生型(WT)細胞および動物においてHiUGEシステムの適用を単純化するために、Cas9発現のための配列を、HiUGEベクターへ組み入れた。spCas9(コード配列約4.1kb)のAAVによる送達の1つの制限は、AAVウイルスベクターが約4.5kbの挿入断片サイズのみを収容し得ることである。この制約を克服するために、spCas9を、各HiUGEベクター間で半分に分割し、各半分が、Npuスプリットインテイン配列を組み入れた。したがって、spCas9のインテイン媒介性タンパク質トランススプライシングが、両方のHiUGEベクターを形質導入された細胞においてspCas9発現を可能にするだろう(図13A)。WT細胞および動物における適用のためにこのシステムに多様なHiUGEペイロードを容易に適応させることができる。このアプローチの実現可能性を、WT初代マウスニューロン、および一般的なヒトまたはマウス細胞株において、マウスTubb3、Map2、Pdha1、Tubb5、またはヒトTUBB遺伝子のいずれかをターゲティングするGS−gRNA AAVとペアになった、二重配向HAエピトープまたはGFP HiUGEペイロードを用いて、試験した。形質導入されたニューロンの免疫染色は、チューブリン細胞骨格またはミトコンドリアネットワークを示すHAエピトープおよびGFP KIの成功を示した(図13B〜13E)。同様に、HeLa、HEK293T、およびNIH3T3などの一般的な細胞株へのプラスミド同時トランスフェクションにより送達されたHiUGEコンポーネントもまた、チューブリンネットワークを示すHAエピトープおよびGFP KIの成功を実証した(図13F〜13K)。
HEK293T細胞およびWT初代ニューロンにおけるインテインスプリットCas9媒介性HiUGEベクターについての対照実験を行った。HAエピトープまたはGFPペイロードをヒトTUBB(hTUBB)またはマウスTubb3(mTubb3)ゲノム座位へノックインするために、HiUGE GS−gRNAおよびドナーを、HEK293T細胞にプラスミドトランスフェクションし、初代ニューロンにAAV形質導入した。実験条件は図に示されている。チューブリン様発現パターンを示す陽性HAエピトープまたはGFP免疫反応性は、GS−gRNAが対応するHiUGEドナーとペアになった時(一番左の列)のみ見出された。GS−gRNAまたはHiUGEドナーが単独でアプライされた時、または空のGS−gRNAバックボーンがドナーとペアになった時、HAエピトープKIもGFP KIも検出されなかった。これらの特異性対照実験は、HAエピトープまたはGFPペイロードの取り込みが、GS−gRNAベクターとペイロードベクターの両方を必要とすることを示した(図14A〜14B)。さらに、インテインスプリットCas9媒介性HiUGEの適応性をインビボで試験した。精製高力価AAV(二重配向HAエピトープペイロード、およびマウスMap2をターゲティングするGS−gRNA)を、成体WTマウスの背側海馬体へ一側性に同時注射した。感染からおよそ2週間後、HAエピトープ免疫標識により、注射された海馬内の樹状突起および細胞体においてロバストなMAP2標識が明らかにされ、反対側の非感染部位においては示されなかった(図13Lおよび13M)。さらに、精製AAV(約1010〜1011ゲノムコピー/μL)のウイルス力価は、インテインスプリットCas9なしの類似のHiUGE AAVと実質的に異なることはなく、取り込まれた配列がウイルス産生を妨害しなかったことを実証した。したがって、インテインスプリットCas9媒介性HiUGEは、WT哺乳類種および実験モデルに渡る適用を単純化しながら、Cas9の発現および効果的なゲノム改変を促進する。
(実施例8)
神経回路に基づいたHiUGEペイロード送達
最近報告された逆行性輸送型AAV2−retro血清型(Tervo et al., 2016)を利用することにより、ゲノム編集活性は特定の神経回路へ限定され、したがって、HiUGEツールを用いる回路特異的研究が可能になった。回路選択性を可能にするために、回路の投射軸索終末を含有する脳エリアへ注射されるAAV2−retro GS−gRNAを、いつものAAV HiUGEドナーの特定の投射領域への注射とペアにした。この組合せは、神経回路選択的プロテオーム操作のための、標的脳領域から投射エリアへの逆行性アクセスおよび投射ニューロンのHiUGE媒介性ゲノム編集を可能にした。皮質線条体回路および視床皮質回路を用いた。皮質線条体回路について、mTubb3 GS−gRNA AAV2−retroを線条体へ注射し、一方、個々のAAV2/9 HiUGEドナーAAVを、成体コンディショナルCas9マウスの一次運動皮質(MOp、HAエピトープ)かまたは二次運動皮質(MOs、Mycエピトープ)のいずれかへ側方に注射した(図20A)。運動皮質における投射ニューロンへの逆行性アクセスは、陽性GFP標識により確認され、Cas9−2A−GFPのCre依存性活性化を示した(図20B)。運動皮質内のHiUGE編集された投射ニューロンの細胞体および神経突起は、注射部位に対応するHAエピトープおよびMycエピトープ標識βIII−チューブリンにより明らかに描写された(図20C〜20D)。皮質線条体投射を表す、GFP陽性線維の束もまた線条体において観察された(図20E〜20F)。おそらく異なる運動皮質の小領域のニューロンから生じた、HAエピトープかまたはMycエピトープのいずれかが免疫陽性である個々の軸索は、隣接皮質線条体の軸索束内に存在した(図20G〜20H)。視床投射ニューロン内のβIII−チューブリンの同様の回路選択的HAエピトープタグ付けもまた、視床皮質回路に観察された(図20I〜20K)。したがって、HiUGEシステムをAAV2−retroとペアにすることにより、投射ニューロンの逆行性感染が、回路接続性に特異的なHiUGE媒介性タンパク質改変を可能にした。これは、神経回路機能の根底にある分子機構を研究するためにインビボで多様なHiUGEペイロードを用いるのに新しい場を提供する。
(実施例9)
万華鏡(Kaleidoscope)ペイロード
混合された抗体エピトープを含有する顕微鏡法における検出向上のための抗体標識エピトープのノックイン(Knock−in of Antibody Labeling Epitopes for Improved Detection in Microscopy)(「万華鏡(Kaleidoscope)」)ペイロードを作製した。複数のモノクローナル一次抗体の混合物は、標識タンパク質と同時に結合することができる。このアプローチは、複数のエピトープを検出するポリクローナル抗体のロバストな抗原認識機構を模倣するが、なお、同時に、モノクローナル抗体の親和性および特異性を保持する。さらに、ペイロードは、スパゲティモンスター(約1kb)と比較してサイズがより小さい(約410bp)。図21Aは、剛性リンカー(RL)および可動性リンカー(FL)によって間隔が開けられた散在エピトープタグを含有する「万華鏡」ペイロードの概略図を示す。ベクター含有万華鏡の例には、1st Gen HiUGEドナー万華鏡ORF+0ベクター(3741bp)(配列番号152)、1st Gen HiUGEドナー万華鏡ORF+1ベクター(3740bp)(配列番号153)、および1st Gen HiUGEドナー万華鏡ORF+2ベクター(3742bp)(配列番号154)が挙げられる。
図21Bは、ニューロンにおいて万華鏡標識マウスβIII−チューブリンを検出するために抗HA抗体、抗Myc抗体、および抗V5抗体の混合物を用いた免疫蛍光シグナルが、単一のHAエピトープまたはsmFP−HA標識を検出するために抗HA抗体(Ab)を用いる場合よりも高く、抗HA一次抗体が3倍高い濃度でアプライされた場合でさえもそうである(1×Ab対3×Ab)ことを示している。図21Cは、万華鏡が、抑制性シナプス後肥厚のプロテオミクス研究において最近、同定された抑制性シナプスタンパク質1(InSyn1)などの少量のタンパク質を標識および検出するために用いられ得ることを示している。万華鏡は、HiUGEについて、単一HAエピトープタグまたはスパゲティモンスター−HA(smFP−HA)と比較して、免疫蛍光検出の向上を促進した。
完全を期するために、本発明の様々な態様が、以下の番号付けされた条項に提示されている:
条項1。以下を含む、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システム:(a)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列;(b)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;(ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;および(iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに(c)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列にターゲティングする標的遺伝子特異的gRNA、または(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第3のポリヌクレオチドを含む標的遺伝子ベクター。
条項2。以下を含む、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システム:(a)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;(ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;(iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列;(iv)第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする第3のポリヌクレオチド配列を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに(b)(i)第1のスプリットインテインと補完的な第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードする第4のポリヌクレオチド配列であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分およびCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分が一緒に連結して、CRISPRに基づくヌクレアーゼを形成する、第4のポリヌクレオチド配列;および(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第5のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子特異的ベクター。
条項3。第1のスプリットインテインがN−インテインであり、第2のスプリットインテインがC−インテインである、条項2に記載のHiUGEシステム。
条項4。N−インテインが配列番号60のポリヌクレオチド配列を含み、第2のスプリットインテインが配列番号61の配列を含む、条項2または3に記載のHiUGEシステム。
条項5。CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分が配列番号55のポリペプチド配列を含み、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分が配列番号56のポリペプチド配列を含む、条項2〜4のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項6。標的遺伝子特異的配列が、対象ゲノムの標的遺伝子内の約15〜25ヌクレオチドの連続したポリヌクレオチド配列である、条項1〜5のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項7。標的遺伝子特異的gRNAが、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域からなる群から選択される標的遺伝子の少なくとも1つの領域をターゲティングする、条項6に記載のHiUGEシステム。
条項8。CRISPRに基づくヌクレアーゼが、第1のポリヌクレオチドの各側にフランキングする少なくとも1つのDRS、および標的遺伝子特異的配列を切断し、それにより、切断された第1のポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の切断された部位を生じ、切断された第1のポリヌクレオチド配列が標的遺伝子の切断された部位へ非相同末端結合により組み込まれる、条項1〜7のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項9。CRISPRに基づくヌクレアーゼが少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を連続的にまたは同時に切断する、条項8に記載のHiUGEシステム。
条項10。少なくとも1つの挿入断片が遺伝子スプライシング領域または転写領域のN末端に挿入されて、N末端タグ付き融合タンパク質を生成する、条項1〜9のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項11。少なくとも1つの挿入断片が、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のC末端に挿入されて、C末端タグ付き融合タンパク質を生成する、条項1〜9のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項12。少なくとも1つの挿入断片がゲノムのセンス鎖へ挿入される、条項10または11に記載のHiUGEシステム。
条項13。少なくとも1つの挿入断片がゲノムのアンチセンス鎖へ挿入される、条項10または11に記載のHiUGEシステム。
条項14。少なくとも1つの挿入断片がフォワード配向で挿入される、条項10〜13のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項15。少なくとも1つの挿入断片がリバース配向で挿入される、条項10〜13のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項16。CRISPRに基づくヌクレアーゼが、Streptococcus、Staphylococcus、Brevibacillus、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Francisella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Lactobacillus、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、またはCampylobacterの細菌属に由来したCas9エンドヌクレアーゼである、条項1〜15のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項17。Cas9エンドヌクレアーゼが、Streptococcus pyogenes、Francisella novicida、Staphylococcus aureus、Neisseria meningitides、Streptococcus thermophiles、Treponema denticola、Brevibacillus laterosporus、Campylobacter jejuni、Corynebacterium diphtheria、Eubacterium ventriosum、Streptococcus pasteurianus、Lactobacillus farciminis、Sphaerochaeta globus、Azospirillum、Gluconacetobacter diazotrophicus、Neisseria cinerea、Roseburia intestinalis、Parvibaculum lavamentivorans、Nitratifractor salsuginis、およびCampylobacter lariからなる群から選択される細菌種に由来する、条項16に記載のHiUGEシステム。
条項18。Cas9エンドヌクレアーゼが、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)エンドヌクレアーゼ、Francisella novicida Cas9(FnCas9)エンドヌクレアーゼ、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)エンドヌクレアーゼ、Neisseria meningitides Cas9(NmCas9)エンドヌクレアーゼ、Streptococcus thermophiles Cas9(StCas9)エンドヌクレアーゼ、Treponema denticola Cas9(TdCas9)エンドヌクレアーゼ、Brevibacillus laterosporus Cas9(BlatCas9)エンドヌクレアーゼ、Campylobacter jejuni Cas9(CjCas9)エンドヌクレアーゼ、それらのバリアントエンドヌクレアーゼ、またはそれらのキメラエンドヌクレアーゼである、条項16または17に記載のHiUGEシステム。
条項19。Cas9エンドヌクレアーゼが、SpCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、SaCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、またはStCas9エンドヌクレアーゼである、条項16〜18のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項20。SpCas9バリアントが、SpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9−HF1バリアントエンドヌクレアーゼ、もしくはeSpCas9(1.1)バリアントエンドヌクレアーゼであり;SaCas9バリアントが、SaCas9 Cas9 KKHバリアントであり;またはStCas9エンドヌクレアーゼが、St1Cas9エンドヌクレアーゼもしくはStcCas9エンドヌクレアーゼである、条項19に記載のHiUGEシステム。
条項21。Cas9エンドヌクレアーゼが、St3Cas9のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)相互作用(PI)ドメインを有するSpCas9を含むキメラSp−St3Cas9エンドヌクレアーゼ、またはSpCas9のPIドメインを有するSt3Cas9を含むキメラSt3−SpCas9エンドヌクレアーゼである、条項16〜20のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項22。Cas9エンドヌクレアーゼが、YG(配列番号1)、NGG(配列番号2)、NGA(配列番号3)、NGCG(配列番号4)、NGAG(配列番号5)、NGGNG(配列番号6)、NNGRRT(配列番号7)、NNGRRT(配列番号8)、NNNRRT(配列番号9)、NAAAAC(配列番号10)、NNNNGNNT(配列番号11)、NNAGAAW(配列番号12)、NNNNCNDD(配列番号13)、またはNNNNRYAC(配列番号14)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する、条項16〜21のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項23。Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9エンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9バリアントエンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGCG(配列番号4)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGAG(配列番号5)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGA(配列番号3)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSaCas9エンドヌクレアーゼであり、NNGRRT(配列番号7)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSaCas9 Cas9 KKHバリアントエンドヌクレアーゼであり、NNNRRT(配列番号9)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSt1Cas9エンドヌクレアーゼであり、NNAGAAW(配列番号12)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSt3Cas9エンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがSp−St3Cas9キメラエンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがNmCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNGNNT(配列番号11)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがTdCas9エンドヌクレアーゼであり、NAAAAC(配列番号10)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがBlatCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNCNDD(配列番号13)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがCjCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNRYAC(配列番号14)のPAM配列を認識し;Cas9エンドヌクレアーゼがまたはFnCas9 RHAバリアントエンドヌクレアーゼであり、YG(配列番号1)のPAM配列を認識する、条項16〜21のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項24。DRSが、約19〜24ヌクレオチド長のドナー標的配列およびPAM配列を含む、条項1〜23のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項25。ドナー標的配列が、フォワード配向で5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置N-1と位置N1の間で起こり;またはドナー標的配列が、リバース配向で5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置X−1と位置X1の間で起こり、式中、Nが4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、XがNのリバース相補体であり、N−2N−1N1N2(配列番号17)が、5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)における境界配列であり、X−2X−1X1X2(配列番号18)が、5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)における境界配列であり、ドナー標的配列が、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを導入しない、条項24に記載のHiUGEシステム。
条項26。ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含む、条項25に記載のHiUGEシステム。
条項27。ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも2つの塩基対ミスマッチを含む、条項25または26に記載のHiUGEシステム。
条項28。ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても、PAM配列に隣接するドナー標的配列の約8〜12ヌクレオチド内に少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含む、条項25〜27のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項29。標的遺伝子特異的配列が、ZZZZ−2Z−1Z1Z2Z(配列番号19)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置Z−1と位置Z1の間で起こり、Zが4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、その境界配列が、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを生じず、標的遺伝子のゲノムオープンリーディングフレーム(ORF)位相が以下からなる群から選択される、条項25〜28のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム:ORF+0:ZZZZ−2Z−1Z1Z2Z(配列番号19)に対応する位置ZZ−2Z−1、ORF+1:ZZZZ−2Z−1Z1Z2Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ−2、およびORF+2:ZZZZ−2Z−1Z1Z2Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ。
条項30。ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N−1がA、C、またはGである、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項31。ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N−2N−1が、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項32。ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N1N2が、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項33。ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N1がTまたはCである、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項34。ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X−1がA、C、またはGである、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項35。ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X−2X−1が、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項36。ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X1X2が、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項37。ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X1がTまたはCである、条項29に記載のHiUGEシステム。
条項38。DRSが、SpCas9またはそのバリアントによって認識され、フォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN−2N−1N1N2NNGG−3’(配列番号20)の配列またはリバース配向での5’−CCXXX−2X−1X1X2XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号21)の配列を含む、条項25〜37のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項39。少なくとも1つの挿入断片がマーカーまたはタグである、条項1〜38のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項40。少なくとも1つの挿入断片が、抗体エピトープタグ、蛍光タンパク質タグ、アフィニティ精製タグ、プロテオミクス標識酵素、スプリットCreリコンビナーゼ、配列内リボソーム進入配列(IRES)、2Aペプチド、局在化配列、酵素、エピトープ、またはそれらの組合せである、条項1〜39のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項40b。少なくとも1つの挿入断片が少なくとも1つの抗体エピトープタグを含む、条項1〜40のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項40c。少なくとも1つの挿入断片が少なくとも2つ以上の抗体エピトープタグを含む、条項1〜40のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項40d。少なくとも2つ以上の抗体エピトープタグが異なる、条項40cに記載のHiUGEシステム。
条項40e。少なくとも2つ以上の抗体エピトープタグが同じである、条項40cに記載のHiUGEシステム。
条項40f。少なくとも1つの挿入断片が抗体エピトープタグの1つまたは複数のコピーを含む、条項40b〜40eのいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項40g。抗体エピトープタグがリンカーによって分離されている、条項41c〜41fのいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項41。少なくとも1つの挿入断片が、配列番号34、39、41〜50、またはそれらの組合せの少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む、条項1〜40のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項41b。少なくとも1つの挿入断片が、配列番号152、配列番号153、または配列番号154の位置542〜949に対応するポリヌクレオチド配列を含む、条項1〜40のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項42。HiUGEベクターが、同じ鎖にコードされた、第1のポリヌクレオチド配列のフォワードコピーおよび第1のポリヌクレオチド配列のリバースコピーを含む、条項1〜40のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項43。終止カセットをコードするポリヌクレオチド配列が、第1のポリヌクレオチド配列のフォワードコピーと第1のポリヌクレオチド配列のリバースコピーの間に連結されている、条項42に記載のHiUGEシステム。
条項44。DRSが、GTCATAGTATCGCGGAGTTCAGG(配列番号22)、GACGCTTCCGAGTACGGTACAGG(配列番号23)、GGTTCTACGAGGATACGTCTTGG(配列番号24)、GCGTATGGCAAGCATAGCCGGGG(配列番号25)、GCGATTGACCCGTGCTGTCGCGG(配列番号26)、またはCCTGTACCGTACTCGGAAGCGTC(配列番号27)のポリヌクレオチド配列を含む、条項1〜43のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項45。第2のポリヌクレオチド配列が第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列が第2のプロモーターと作動可能に連結されている、条項1または6〜44のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項46。第2のポリヌクレオチド配列が第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列が第2のプロモーターと作動可能に連結され、第4のポリヌクレオチド配列が第3のプロモーターと作動可能に連結され、第5のポリヌクレオチド配列が第4のプロモーターと作動可能に連結されている、条項2〜44のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項47。第4のポリヌクレオチド配列と第5のポリヌクレオチドが同じプロモーターと作動可能に連結されている、条項2〜44のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項48。プロモーターが、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターである、条項43〜47のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項49。プロモーターが真核生物プロモーターである、条項43〜48のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項50。プロモーターがIII型RNAポリメラーゼIIIプロモーターである、条項49に記載のHiUGEシステム。
条項51。プロモーターが、U6プロモーター、H1プロモーター、または7SKプロモーターである、条項50に記載のHiUGEシステム。
条項52。プロモーターが、配列番号62〜66、またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、条項49〜51のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項53。ポリヌクレオチドの少なくとも1つが核局在化シグナルおよび/または核外移行シグナルをさらに含む、条項1〜52のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項54。核局在化シグナルが配列番号52または53のポリヌクレオチド配列を含み、核外移行シグナルが配列番号51のポリヌクレオチド配列を含む、条項1〜53のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項55。条項1の(c)(ii)の標的遺伝子ベクターが、条項1の(a)(ii)のCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列をさらに含む、条項1、6〜45、または48〜54のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項56。条項1の(a)(ii)の核酸がDNAを含む、条項1、6〜45、または48〜54のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項57。条項1の(a)(ii)の核酸がRNAを含む、条項1、6〜45、または48〜54のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項58。条項1の(a)(ii)、条項1の(b)、および条項1の(c)(ii)のうちの1つ、2つ、または3つ全部が、ウイルスベクター内にパッケージングされている、条項1、6〜45、または48〜57のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項59。条項1の(a)(ii)および条項1の(b)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、条項1の(a)(ii)および条項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、条項1の(b)および条項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、または条項1の(a)、条項1の(b)、および条項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされている、条項1、6〜45、または48〜58のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項60。条項1の(a)(ii)が第1のウイルスベクター内にパッケージングされ、条項1の(b)が第2のウイルスベクター内にパッケージングされ、条項1の(c)(ii)が第3のウイルスベクター内にパッケージングされている、条項1、6〜45、または48〜58のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項61。ポリヌクレオチド配列の少なくとも1つがウイルスベクター内にパッケージングされている、条項2〜44または46〜54のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項62。ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターを含む、条項58〜61のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項63。配列番号67〜107またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、条項1、6〜45、または48〜60および62のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項64。配列番号108〜127またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、条項2〜44または46〜54、61、および62のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項65。対象ゲノムが真核生物対象由来である、条項1〜624のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項66。対象ゲノムが哺乳類対象である、条項65に記載のHiUGEシステム。
条項67。哺乳類対象がげっ歯類または霊長類である、条項66に記載のHiUGEシステム。
条項68。TUBB3遺伝子、MAP2遺伝子、MECP2遺伝子、NRCAM遺伝子、ACTR2遺伝子、CLTA遺伝子、ANK3遺伝子、SPTBN4遺伝子、SCN2A遺伝子、GFAP遺伝子、PDHA1遺伝子、またはDCX遺伝子の標的遺伝子特異的配列をターゲティングする、条項1〜67のいずれか1条項に記載のHiUGEシステム。
条項69。対象ゲノムにおける標的遺伝子の相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)の方法であって、細胞を条項1〜68のいずれか1条項に記載のHiUGEシステムと接触させるステップを含む方法。
条項70。ゲノムワイドタンパク質標識、発現マーキング、タンパク質発現の破壊、タンパク質再局在化、タンパク質発現の変化、またはハイスループットスクリーニングにおいて用いられる、条項69に記載の方法。
条項71。CRISPRに基づくヌクレアーゼが、第1のポリヌクレオチドの各側にフランキングする少なくとも1つのDRS、および標的遺伝子特異的配列を切断し、それにより、切断された第1のポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の切断された部位を生じ、切断された第1のポリヌクレオチド配列が標的遺伝子の切断された部位へ非相同末端結合により組み込まれる、条項68または69に記載の方法。
条項72。CRISPRに基づくヌクレアーゼが少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を連続的にまたは同時に切断する、条項71に記載の方法。
条項73。細胞が分化細胞または非分裂細胞である、条項69〜72のいずれか1条項に記載の方法。
条項74。細胞が真核細胞である、条項73に記載の方法。
条項75。細胞がヒト細胞である、条項73または74に記載の方法。
条項76。細胞が、内胚葉、外胚葉、または中胚葉に由来する、条項69〜75のいずれか1条項に記載の方法。
条項77。条項1〜68のいずれか1条項に記載のHiUGEシステムを含むキット。
条項78。配列番号152、配列番号153、または配列番号154のポリヌクレオチド配列を含むHiUGEシステム。
付録
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Claims (77)

  1. 以下を含む、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システム:
    (a)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼまたは(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列;
    (b)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;
    (ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;および
    (iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列
    を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに
    (c)(i)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列にターゲティングする標的遺伝子特異的gRNA、または(ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第3のポリヌクレオチドを含む標的遺伝子ベクター。
  2. 以下を含む、対象ゲノムを遺伝子編集するための相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)システム:
    (a)(i)少なくとも1つの挿入断片をコードする第1のポリヌクレオチド配列;
    (ii)第1のポリヌクレオチド配列の各側にフランキングする少なくとも1つのドナー認識配列(DRS)であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの切断部位を含むDRS;
    (iii)HiUGEベクター特異的gRNAをコードする第2のポリヌクレオチド配列であって、HiUGEベクター特異的gRNAがCRISPRに基づくヌクレアーゼをDRSへターゲティングし、かつ対象ゲノム内の特異的配列をターゲティングしない、第2のポリヌクレオチド配列;
    (iv)第1のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分をコードする第3のポリヌクレオチド配列
    を含む相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)ベクター;ならびに
    (b)(i)第1のスプリットインテインと補完的な第2のスプリットインテインを有するCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分をコードする第4のポリヌクレオチド配列であって、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分およびCRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分が一緒に連結して、CRISPRに基づくヌクレアーゼを形成する、第4のポリヌクレオチド配列;および
    (ii)CRISPRに基づくヌクレアーゼを対象ゲノム内の標的遺伝子特異的配列へターゲティングする標的遺伝子特異的gRNAをコードする第5のポリヌクレオチド配列
    を含む遺伝子特異的ベクター。
  3. 第1のスプリットインテインがN−インテインであり、第2のスプリットインテインがC−インテインである、請求項2に記載のHiUGEシステム。
  4. N−インテインが配列番号60のポリヌクレオチド配列を含み、第2のスプリットインテインが配列番号61の配列を含む、請求項2または3に記載のHiUGEシステム。
  5. CRISPRに基づくヌクレアーゼの第1の部分が配列番号55のポリペプチド配列を含み、CRISPRに基づくヌクレアーゼの第2の部分が配列番号56のポリペプチド配列を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  6. 標的遺伝子特異的配列が、対象ゲノムの標的遺伝子内の約15〜25ヌクレオチドの連続したポリヌクレオチド配列である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  7. 標的遺伝子特異的gRNAが、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域からなる群から選択される標的遺伝子の少なくとも1つの領域をターゲティングする、請求項6に記載のHiUGEシステム。
  8. CRISPRに基づくヌクレアーゼが、第1のポリヌクレオチドの各側にフランキングする少なくとも1つのDRS、および標的遺伝子特異的配列を切断し、それにより、切断された第1のポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の切断された部位を生じ、切断された第1のポリヌクレオチド配列が標的遺伝子の切断された部位へ非相同末端結合により組み込まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  9. CRISPRに基づくヌクレアーゼが少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を連続的にまたは同時に切断する、請求項8に記載のHiUGEシステム。
  10. 少なくとも1つの挿入断片が遺伝子スプライシング領域または転写領域のN末端に挿入されて、N末端タグ付き融合タンパク質を生成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  11. 少なくとも1つの挿入断片が、プロモーター領域、エンハンサー領域、リプレッサー領域、インスレーター領域、サイレンサー領域、プロモーター領域とのDNAループ形成に関与する領域、遺伝子スプライシング領域、または転写領域のC末端に挿入されて、C末端タグ付き融合タンパク質を生成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  12. 少なくとも1つの挿入断片がゲノムのセンス鎖へ挿入される、請求項10または11に記載のHiUGEシステム。
  13. 少なくとも1つの挿入断片がゲノムのアンチセンス鎖へ挿入される、請求項10または11に記載のHiUGEシステム。
  14. 少なくとも1つの挿入断片がフォワード配向で挿入される、請求項10〜13のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  15. 少なくとも1つの挿入断片がリバース配向で挿入される、請求項10〜13のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  16. CRISPRに基づくヌクレアーゼが、Streptococcus、Staphylococcus、Brevibacillus、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Francisella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Lactobacillus、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、またはCampylobacterの細菌属に由来したCas9エンドヌクレアーゼである、請求項1〜15のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  17. Cas9エンドヌクレアーゼが、Streptococcus pyogenes、Francisella novicida、Staphylococcus aureus、Neisseria meningitides、Streptococcus thermophiles、Treponema denticola、Brevibacillus laterosporus、Campylobacter jejuni、Corynebacterium diphtheria、Eubacterium ventriosum、Streptococcus pasteurianus、Lactobacillus farciminis、Sphaerochaeta globus、Azospirillum、Gluconacetobacter diazotrophicus、Neisseria cinerea、Roseburia intestinalis、Parvibaculum lavamentivorans、Nitratifractor salsuginis、およびCampylobacter lariからなる群から選択される細菌種に由来する、請求項16に記載のHiUGEシステム。
  18. Cas9エンドヌクレアーゼが、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)エンドヌクレアーゼ、Francisella novicida Cas9(FnCas9)エンドヌクレアーゼ、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)エンドヌクレアーゼ、Neisseria meningitides Cas9(NmCas9)エンドヌクレアーゼ、Streptococcus thermophiles Cas9(StCas9)エンドヌクレアーゼ、Treponema denticola Cas9(TdCas9)エンドヌクレアーゼ、Brevibacillus laterosporus Cas9(BlatCas9)エンドヌクレアーゼ、Campylobacter jejuni Cas9(CjCas9)エンドヌクレアーゼ、それらのバリアントエンドヌクレアーゼ、またはそれらのキメラエンドヌクレアーゼである、請求項16または17に記載のHiUGEシステム。
  19. Cas9エンドヌクレアーゼが、SpCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、SaCas9バリアントエンドヌクレアーゼ、またはStCas9エンドヌクレアーゼである、請求項16〜18のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  20. SpCas9バリアントが、SpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼ、SpCas9−HF1バリアントエンドヌクレアーゼ、もしくはeSpCas9(1.1)バリアントエンドヌクレアーゼであり;
    SaCas9バリアントが、SaCas9 Cas9 KKHバリアントであり;または
    StCas9エンドヌクレアーゼが、St1Cas9エンドヌクレアーゼもしくはStcCas9エンドヌクレアーゼである、
    請求項19に記載のHiUGEシステム。
  21. Cas9エンドヌクレアーゼが、St3Cas9のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)相互作用(PI)ドメインを有するSpCas9を含むキメラSp−St3Cas9エンドヌクレアーゼ、またはSpCas9のPIドメインを有するSt3Cas9を含むキメラSt3−SpCas9エンドヌクレアーゼである、請求項16〜20のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  22. Cas9エンドヌクレアーゼが、YG(配列番号1)、NGG(配列番号2)、NGA(配列番号3)、NGCG(配列番号4)、NGAG(配列番号5)、NGGNG(配列番号6)、NNGRRT(配列番号7)、NNGRRT(配列番号8)、NNNRRT(配列番号9)、NAAAAC(配列番号10)、NNNNGNNT(配列番号11)、NNAGAAW(配列番号12)、NNNNCNDD(配列番号13)、またはNNNNRYAC(配列番号14)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する、請求項16〜21のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  23. Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9エンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9バリアントエンドヌクレアーゼであり、NGG(配列番号2)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 Cas9 VRERバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGCG(配列番号4)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 Cas9 EQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGAG(配列番号5)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSpCas9 VQRバリアントエンドヌクレアーゼであり、NGA(配列番号3)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSaCas9エンドヌクレアーゼであり、NNGRRT(配列番号7)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSaCas9 Cas9 KKHバリアントエンドヌクレアーゼであり、NNNRRT(配列番号9)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSt1Cas9エンドヌクレアーゼであり、NNAGAAW(配列番号12)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSt3Cas9エンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがSp−St3Cas9キメラエンドヌクレアーゼであり、NGGNG(配列番号6)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがNmCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNGNNT(配列番号11)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがTdCas9エンドヌクレアーゼであり、NAAAAC(配列番号10)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがBlatCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNCNDD(配列番号13)のPAM配列を認識し;
    Cas9エンドヌクレアーゼがCjCas9エンドヌクレアーゼであり、NNNNRYAC(配列番号14)のPAM配列を認識し;または
    Cas9エンドヌクレアーゼがFnCas9 RHAバリアントエンドヌクレアーゼであり、YG(配列番号1)のPAM配列を認識する、
    請求項16〜22のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  24. DRSが、約19〜24ヌクレオチド長のドナー標的配列およびPAM配列を含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  25. ドナー標的配列が、フォワード配向で5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置N-1と位置N1の間で起こり;または
    ドナー標的配列が、リバース配向で5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置X-1と位置X1の間で起こり、
    式中、Nが4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、
    XがNのリバース相補体であり、
    -2-112(配列番号17)が、5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)における境界配列であり、X-2-112(配列番号18)が、5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)における境界配列であり、
    ドナー標的配列が、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを導入しない、
    請求項24に記載のHiUGEシステム。
  26. ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含む、請求項25に記載のHiUGEシステム。
  27. ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても少なくとも2つの塩基対ミスマッチを含む、請求項25または26に記載のHiUGEシステム。
  28. ドナー標的配列が、対象ゲノムにおける等しい長さのいかなる配列と比較しても、PAM配列に隣接するドナー標的配列の約8〜12ヌクレオチド内に少なくとも1つの塩基対ミスマッチを含む、請求項25〜27のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  29. 標的遺伝子特異的配列が、ZZZZ-2-112Z(配列番号19)の配列を含み、切断部位におけるCas9依存性二本鎖切断が、位置Z-1と位置Z1の間で起こり、Zが4つのデオキシリボ核酸アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかであり、その境界配列が、挿入断片が標的遺伝子へ組み込まれた後、インフレームの終止コドンを生じず、標的遺伝子のゲノムオープンリーディングフレーム(ORF)位相が以下からなる群から選択される、請求項25〜28のいずれか1項に記載のHiUGEシステム:
    ORF+0:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZ-2-1
    ORF+1:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ-2、および
    ORF+2:ZZZZ-2-112Z(配列番号19)に対応する位置ZZZ。
  30. ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N-1がA、C、またはGである、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  31. ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N-2-1が、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  32. ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N12が、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  33. ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがフォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112N−3’(配列番号15)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、N1がTまたはCである、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  34. ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X-1がA、C、またはGである、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  35. ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がN末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X-2-1が、TT、TC、AA、AT、AC、AG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  36. ゲノムORF位相がORF+1であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X12が、AC、AT、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GT、GC、およびGGからなる群から選択される、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  37. ゲノムORF位相がORF+2であり、DRSがリバース配向での5’−XX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号16)であり、かつ少なくとも1つの挿入断片がC末端タグ付き融合タンパク質を生成するために用いられる場合には、X1がTまたはCである、請求項29に記載のHiUGEシステム。
  38. DRSが、SpCas9またはそのバリアントによって認識され、フォワード配向での5’−NNNNNNNNNNNNNNNN-2-112NNGG−3’(配列番号20)の配列またはリバース配向での5’−CCXXX-2-112XXXXXXXXXXXXXXX−3’(配列番号21)の配列を含む、請求項25〜37のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  39. 少なくとも1つの挿入断片がマーカーまたはタグである、請求項1〜38のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  40. 少なくとも1つの挿入断片が、抗体エピトープタグ、蛍光タンパク質タグ、アフィニティ精製タグ、プロテオミクス標識酵素、スプリットCreリコンビナーゼ、配列内リボソーム進入配列(IRES)、2Aペプチド、局在化配列、酵素、エピトープ、またはそれらの組合せである、請求項1〜39のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  41. 少なくとも1つの挿入断片が、配列番号34、39、41〜50、またはその組合せの少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  42. HiUGEベクターが、同じ鎖にコードされた、第1のポリヌクレオチド配列のフォワードコピーおよび第1のポリヌクレオチド配列のリバースコピーを含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  43. 終止カセットをコードするポリヌクレオチド配列が、第1のポリヌクレオチド配列のフォワードコピーと第1のポリヌクレオチド配列のリバースコピーの間に連結されている、請求項42に記載のHiUGEシステム。
  44. DRSが、GTCATAGTATCGCGGAGTTCAGG(配列番号22)、GACGCTTCCGAGTACGGTACAGG(配列番号23)、GGTTCTACGAGGATACGTCTTGG(配列番号24)、GCGTATGGCAAGCATAGCCGGGG(配列番号25)、GCGATTGACCCGTGCTGTCGCGG(配列番号26)、またはCCTGTACCGTACTCGGAAGCGTC(配列番号27)のポリヌクレオチド配列を含む、請求項1〜43のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  45. 第2のポリヌクレオチド配列が第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列が第2のプロモーターと作動可能に連結されている、請求項1または6〜44のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  46. 第2のポリヌクレオチド配列が第1のプロモーターと作動可能に連結され、第3のポリヌクレオチド配列が第2のプロモーターと作動可能に連結され、第4のポリヌクレオチド配列が第3のプロモーターと作動可能に連結され、第5のポリヌクレオチド配列が第4のプロモーターと作動可能に連結されている、請求項2〜44のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  47. 第4のポリヌクレオチド配列と第5のポリヌクレオチドが同じプロモーターと作動可能に連結されている、請求項2〜44のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  48. プロモーターが、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制性プロモーター、または制御性プロモーターである、請求項43〜47のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  49. プロモーターが真核生物プロモーターである、請求項43〜48のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  50. プロモーターがIII型RNAポリメラーゼIIIプロモーターである、請求項49に記載のHiUGEシステム。
  51. プロモーターが、U6プロモーター、H1プロモーター、または7SKプロモーターである、請求項50に記載のHiUGEシステム。
  52. プロモーターが、配列番号62〜66、またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、請求項49〜51のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  53. ポリヌクレオチドの少なくとも1つが核局在化シグナルおよび/または核外移行シグナルをさらに含む、請求項1〜52のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  54. 核局在化シグナルが配列番号52または53のポリヌクレオチド配列を含み、核外移行シグナルが配列番号51のポリヌクレオチド配列を含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  55. 請求項1の(c)(ii)の標的遺伝子ベクターが、請求項1の(a)(ii)のCRISPRに基づくヌクレアーゼをコードする核酸配列をさらに含む、請求項1、6〜45、または48〜54のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  56. 請求項1の(a)(ii)の核酸がDNAを含む、請求項1、6〜45、または48〜54のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  57. 請求項1の(a)(ii)の核酸がRNAを含む、請求項1、6〜45、または48〜54のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  58. 請求項1の(a)(ii)、請求項1の(b)、および請求項1の(c)(ii)のうちの1つ、2つ、または3つ全部が、ウイルスベクター内にパッケージングされている、請求項1、6〜45、または48〜57のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  59. 請求項1の(a)(ii)および請求項1の(b)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、請求項1の(a)(ii)および請求項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、請求項1の(b)および請求項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされ、または請求項1の(a)、請求項1の(b)、および請求項1の(c)(ii)が同じウイルスベクター内にパッケージングされている、請求項1、6〜45、または48〜58のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  60. 請求項1の(a)(ii)が第1のウイルスベクター内にパッケージングされ、請求項1の(b)が第2のウイルスベクター内にパッケージングされ、請求項1の(c)(ii)が第3のウイルスベクター内にパッケージングされている、請求項1、6〜45、または48〜58のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  61. ポリヌクレオチド配列の少なくとも1つがウイルスベクター内にパッケージングされている、請求項2〜44または46〜54のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  62. ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターを含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  63. 配列番号67〜107またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、請求項1、6〜45、または48〜60および62のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  64. 配列番号108〜127またはそれらの組合せの少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む、請求項2〜44または46〜54、61、および62のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  65. 対象ゲノムが真核生物対象由来である、請求項1〜64のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  66. 対象ゲノムが哺乳類対象である、請求項65に記載のHiUGEシステム。
  67. 哺乳類対象がげっ歯類または霊長類である、請求項66に記載のHiUGEシステム。
  68. TUBB3遺伝子、MAP2遺伝子、MECP2遺伝子、NRCAM遺伝子、ACTR2遺伝子、CLTA遺伝子、ANK3遺伝子、SPTBN4遺伝子、SCN2A遺伝子、GFAP遺伝子、PDHA1遺伝子、またはDCX遺伝子の標的遺伝子特異的配列をターゲティングする、請求項1〜67のいずれか1項に記載のHiUGEシステム。
  69. 対象ゲノムにおける標的遺伝子の相同性非依存的ユニバーサルゲノムエンジニアリング(HiUGE)の方法であって、細胞を請求項1〜68のいずれか1項に記載のHiUGEシステムと接触させるステップを含む方法。
  70. ゲノムワイドタンパク質標識、発現マーキング、タンパク質発現の破壊、タンパク質再局在化、タンパク質発現の変化、またはハイスループットスクリーニングにおいて用いられる、請求項69に記載の方法。
  71. CRISPRに基づくヌクレアーゼが、第1のポリヌクレオチドの各側にフランキングする少なくとも1つのDRS、および標的遺伝子特異的配列を切断し、それにより、切断された第1のポリヌクレオチド配列および標的遺伝子の切断された部位を生じ、切断された第1のポリヌクレオチド配列が標的遺伝子の切断された部位へ非相同末端結合により組み込まれる、請求項68または69に記載の方法。
  72. CRISPRに基づくヌクレアーゼが少なくとも1つのDRSおよび標的遺伝子特異的配列を連続的にまたは同時に切断する、請求項71に記載の方法。
  73. 細胞が分化細胞または非分裂細胞である、請求項69〜72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 細胞が真核細胞である、請求項73に記載の方法。
  75. 細胞がヒト細胞である、請求項73または74に記載の方法。
  76. 細胞が、内胚葉、外胚葉、または中胚葉に由来する、請求項69〜75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 請求項1〜68のいずれか1項に記載のHiUGEシステムを含むキット。
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