JP2021506794A - 疼痛を治療し、疼痛感受性を増大させるためのペプチド及び他の薬剤 - Google Patents

疼痛を治療し、疼痛感受性を増大させるためのペプチド及び他の薬剤 Download PDF

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Abstract

治療を必要とする被験体において、疼痛を治療するか、又は疼痛感受性を増加させるために使用され得るペプチドが、本明細書中に記載される。さらに、本開示のペプチドは、鎮痛剤及び/又は麻酔剤と共に投与することができる。本開示のペプチドは、治療を必要とする被験体が、損傷、慢性疾患、慢性炎症、モートン神経腫、手術/術後の疼痛、又はそれらの組み合わせを有する場合の使用に適している。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2017年12月13日に出願された米国仮出願第62/598,067号に基づく優先権を主張し、その開示は参照により本願明細書に包含される。
本発明は、国立衛生研究所によって授与された認可番号NS078184の下で政府の支援を受けて発明された。政府は、この発明に所定の権利を有する。
侵害受容ニューロンは、神経細胞(ニューロン)が侵害刺激及び炎症刺激にユニークに応答することを可能にする、電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)の特定のサブセットを有している。したがって、新しい鎮痛薬開発のための現在の戦略は、侵害受容器特異的ナトリウムチャネルを標的とすることに依存している。例えば、Nav1.8チャネル(SCN10A)は、特有の生物物理学的特性を有し、この特性は、侵害受容ニューロンが組織損傷に関連する損なわれた条件下で、活動電位(AP)を繰り返し発火させることを可能にする。これは、疼痛緩和のためのNav1.8チャネル特異的遮断薬の臨床試験につながった。チャネルはまた、炎症シグナル伝達の間に膜にトラフィッキングするので、Nav1.8チャネル機能に影響を及ぼすための代替的なアプローチは、それらの輸送を乱すことである。しかし、Nav1.8チャネル輸送を制御する正確な分子メカニズムは完全には理解されておらず、したがって、Nav1.8を標的とする特異的薬剤は依然として不明である。
被験者の疼痛感受性を増加又は減少させるために、Nav1.8チャネルに作用する薬剤の開発が引き続き必要とされている。
本発明は疼痛を治療し、無痛覚(鎮痛)を誘発し、又は疼痛感受性を増加させるためのペプチド、組成物、及び、これらのペプチド及び/又は組成物を使用する方法を提供する。さらに、本開示は、Magi-1(膜結合型グアニル酸キナーゼ1:Membrane-Associated Guanylate Kinase 1)ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを投与することによって、痛みを治療又は局所鎮痛を誘発する方法を提供する。本開示はさらに、研究ツールとして使用するためのペプチドを提供する。配列番号1〜35の配列を有するペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAの使用は、痛みと闘うための麻薬の必要性を減らすか、排除するであろう。
一態様では、本開示は、以下の配列を含むか、又は以下の配列からなるペプチドを提供する:
X1X2X3X4X5X6PX7YX8X9VX10X11X12(配列番号75)、
ここで、X1はS、P、又はAである; X2はT、S、又はAである; X3はA又はTである; X4はA、T、I、又はSである; X5はC、S、又はFである; X6はP又はLである; X7は任意のアミノ酸残基である、X8はE、D、又はYである; X9はS又はRである; X10はT、A、E、又はDである、及びTはリン酸化されていてもよい; X11はK又はRである;及び X12はP、A、又はGである、及び、ここで、X1、X2、X3、X9、X10、X11、又はそれらの組み合わせは、アシル化されている
(例えば、以下の構造
ここで、nは4〜18である(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18))。
さらなる実施形態において、前記アシル基(例えば、以下の構造)
は、ミリストイル基である。
一態様では、本開示はまた、薬学的に受容可能なキャリア、本開示のペプチド、任意に、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNA、及び任意に、1つ以上の鎮痛剤(例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS))及び/又は1以上の麻酔剤を含む医薬品組成物を提供する。鎮痛剤又は麻酔剤の非限定的な例としては、ブピバカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、メロキシカム、ケトロラク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ピロキシカム、メタミゾール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。鎮痛剤のさらなる例としては、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなど、及びそれらの塩が挙げられる。当業者に公知の技術及びキャリアを使用して(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins)、組成物は、筋肉内、皮内、髄腔内又は神経注射、局所クリーム又は経皮パッチとして処方され得る。
一態様では、本開示のペプチド又はその組成物は、被験体(例えば、疼痛及び疼痛感受性の治療を必要とする被験体)の疼痛感受性を変化させる(例えば、増加又は減少させる)ために使用される。一例では、被験体の疼痛感受性が低下すると、被験体の疼痛は減少する(例えば、改善される)。別の例では、被験体の疼痛感受性は増加する。一例では、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、痛みの管理(例えば、ペインコントロール)に用いられる。
一態様では、本開示は、配列番号1〜7又は15〜21のいずれか1つの配列を有するペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを含む組成物を、鎮痛効果のある量(例えば、治療効果のある量)で、被験体に投与することを含む、被験体において局所鎮痛を誘発する方法を提供する。
本開示はさらに、疼痛感受性を増加させるのに有効な量で、配列番号8〜14又は21〜35のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む組成物を被験体に投与することを含む、被験体の疼痛感受性を増加させる方法を提供する。
一態様では、本開示は、研究ツールとして使用するための配列番号36〜70のペプチドをさらに提供する。そのようなものとして、それらは、研究用被験体(例えば、マウス及びラット)に投与され得る。ペプチドはまた、インビトロ試験に有用である。
本開示の性質及び目的をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明が参照される。
[図1]
図1は、PDZ結合モチーフが、KNaチャネル発現を調節する様子を示す。
(A)オルソロガスSlackサブユニット(ツメガエル、ニワトリ、ラット、ヒトSlack)及びラットSlickサブユニット由来の遠位C末端のアミノ酸アライメント。最後の4つの進化的に保存されたアミノ酸(ETQL)(配列番号112)(C末端上の長破線及び短破線)は、コンセンサス1型PDZモチーフ(X-S/T-X-V/L/I)を表す。(太枠はAP-2結合サイトを示す;点線枠は推定PKAリン酸化サイトを示す;破線枠は推定PKCリン酸化サイトを示す)
(B)Magi-1有り又は無しで、 CHO細胞中で組み換え発現された、Slack及び変異Slackチャネル(Mut)(PDZモチーフが切断された)の代表的な電流トレースを示す(上)。各実験条件についての電流密度分析(下)。各実験条件について、20〜25個の細胞からの電流を分析し、値を+/-SEMとして表した。*p<0.05 (それぞれの対照に対して)
(C)野生型、及び切断型PDZモチーフを有するSlack変異体を用いたMagi-1の共免疫沈降アッセイ。Slack PDZモチーフの切断は、Magi-1との共免疫沈降を妨げた。
(D)Magi-1とSlackを共発現する又はSlackのみを発現するCHO細胞からの表面ビオチン化アッセイの代表的な免疫ブロット(左)。表面Slack発現の定量化を右側に示す(t6=4.276、*p<0.0129、一群あたりn=4、両側t検定)。データは、トランスフェクション効率を説明するために、インプットに対して正規化された。
(E)二重免疫標識実験であって、CHO細胞中で発現された場合、Magi-1とSlackとの間で、及びF.Magi-1とSlickとの間で重複する発現を示す。
(F)成体マウスからのインタクト(無傷)DRGニューロン由来のMagi-1とSlackの間の共免疫沈降アッセイの代表的免疫ブロット。
(G)培養DRGニューロン(上部パネル)及びインタクトDRGニューロン(下部パネル)におけるMagi-1とSlackとの間の共局在化を示す二重免疫標識実験。スケールバー、50μm。脊髄の表層は底部にある。スケールバーは50μmを表す。
(H)マウスDRGにおけるMagi-1/Slack相互作用を示すCo-IP。DRG溶解物を、Magi-1抗体又はSlack抗体のいずれかで免疫沈降させ、Slack抗体又はMagi-1抗体で免疫ブロットした。この実験を少なくとも3回繰り返した。
(I)上側は、Slack C末端由来のPDZペプチドで処理したニューロンの代表的な電流固定トレース。スクランブルされたペプチドB(ミリストイル-QPNTRLDETE)(配列番号113)(23/23)(左上)及び未処理ニューロン(17/17)(中央上)は、1つの活動電位を生じさせ、その後、1000ms間の閾値超刺激(400 pA)の間、発火順応が続いた。PDZペプチドで処理したニューロンは、反復発火(11/21)を示した(右上)。表面ビオチン化は、DRGニューロンにおけるスクランブル・ペプチドBと比較して、PDZペプチドインキュベーションの24時間後に減少したSlack表面発現を示す(左下)。表面Slack発現の定量化(右下)。(n=3) *p<0.05 一元配置分散分析。
[図2]
図2は、Magi-1がCHO細胞中のSlickチャネルを調節することを示す。
(A)CHO細胞中でMagi-1有り又は無しで、組換え的に発現されたSlick電流の代表的な電流トレース(上)。(下)各条件についてのSlick電流の電流密度分析。25個の細胞を分析し、値を+/-SEMとして表した。*p<0.05(それぞれの対照に対して)
(B)Magi-1との共発現中に、Slickタンパク質発現が増加したことを表す免疫ブロット。3つの独立した培養物から結果を求め、値を平均+/-SEMとして表す(t4=6.152、**p<0.0021、一群あたりn=3培養物、両側t検定)。
(C)CHO細胞中で単独又は併用で発現させた場合の、組換えSlickチャネル及びMagi-1の免疫標識。
(D)CHO細胞で発現させた場合の、組換えSlickチャネルとMagi-1の共免疫標識。
[図3]
図3は、Magi-1ノックダウンが、DRGニューロンにおけるイオン電流及び興奮性を減少させることを示す。
(A)Magi-1ターゲティングsiRNA及び非ターゲティングスクランブルsiRNA(左)でのトランスフェクションの3日後の培養DRGニューロンからの代表的なMagi-1免疫標識は、以前に検証されたポリクローナルMagi-1抗体を用いて行われた。Magi-1免疫反応性の定量を右に示す。積分された蛍光強度は、Metamorphソフトウェア(Molecular devices)を使用して、面積と平均ピクセル強度との積として計算した。実験条件ごとに、4つの独立したDRGニューロン培養物から得た値を分析し、値を平均+/-SEMで表した(ANOVA、F(2,11)=32.25、p<0.0003、***p<0.001(それぞれの対照に対して))。
(B)siRNA媒介Magi-1ノックダウン後のMagi-1発現を示す代表的な免疫ブロット。Magi-1抗体は通常、ウェスタンブロットで観察される複数のバンドによって示されるように、複数のスプライス変異を検出する。DRGニューロンにおけるMagi-1ノックダウンの定量化(右)。実験条件ごとに、3つの異なる培養物を分析し、値を平均+/-SEMとして表した(ANOVA、F(2,6)=42.94、p=0.0003、***p<0.001(それぞれの対照に対して)) 。
(C)Magi-1ノックダウン後のDRGニューロンからの表面ビオチン化の代表的な免疫ブロット(左)。Slackチャネル表面発現の定量化を右に示す。3つの独立した培養物を分析し、値を平均+/-SEMとして表した(ANOVA、F(2,6)=10.84、p=0.0102、**p<0.01(それぞれの対照に対して))。
(D)Magi-1ノックダウン後のDRGニューロン中のIKの代表的な電流トレース(上)。11-
〜12のニューロン/実験条件を分析し、値を平均+/-SEMとして表した。*p=<0.05
(E)1000ms間の閾値超電流刺激(400 pA)の間の、siRNA媒介Magi-1後のニューロンからの代表的なAP発火。非形質導入(10/10)、スクランブルDRGニューロン12/12は、1つのAPを発火させたが、Magi-1 siRNAをトランスフェクトした12/18ニューロンは1つのAPを発火させなかった。
[図4]
図4は、Magi-1ノックダウンが、Nav1.8細胞膜発現を減少させることを示す。
(A)Magi-1ターゲティングsiRNA又は非ターゲティングスクランブルsiRNAでのトランスフェクション3日後の、培養DRGニューロンにおける、総INa及びTTX抵抗性INaの代表的な全細胞電圧-クランプ電流トレース。
(B)異なるコンディションでのINa電流の電流密度解析。ニューロン中のナトリウム電流を、25 nM TTXの存在下又は非存在下のいずれかで記録した。総INa及びTTX抵抗性INaは、培養DRGニューロンにおけるsiRNA媒介Magi-1ノックダウン後に有意に減少した。全部で9〜12の細胞/実験群を分析し、値を平均+/-SEMとして表す。
(C)Magi-1ノックダウン後のピークINa及びTTX抵抗性ピークINa(電圧ステップ -20mV)の定量化。9〜12の細胞/実験群を分析し、値を平均+/-SEMとして表した。F(3,26)=66.24、P<0.0001、*P<0.0106、***p<0.001 それぞれの対照に対して(TTXを伴う又は伴わないスクランブルsiRNA)
(D)Magi-1ノックダウン後のNav1.8表面発現の減少を示す、DRGニューロンの表面ビオチン化実験からの代表的な免疫ブロット(左)。Nav1.8表面発現の定量化を右側に示す。定量のために、実験条件ごとに4つの独立したDRG培養物を分析し、値を+/-SEMとして表した(ANOVA、F(2,6)=7.319、p=0.0246、*p<0.05(それぞれの対照に対して))。
[図5]
図5は、Magi-1が、DRGニューロン、脊髄、坐骨神経中で及びランビエ絞輪で発現していることを示す。
(A)インタクトなDRG(左)及び脊髄(右)のMagi-1発現を示す代表的な免疫ブロット
(B)以前に検証されたモノクローナル抗体を用いた、培養DRGニューロン(パネル1)、DRG断面(パネル2及び3)及び脊髄(パネル4及び5)におけるMagi-1発現を示す免疫標識画像。パネル4は、二次抗体のみで染色された対照免疫標識を示す。Dapiは、細胞の全ての核を標識する。スケールバー、50μm
(C)坐骨神経断面におけるMagi-1及び傍絞輪部マーカーCasprを示す二重免疫標識(上)。スケールバー、50μm。矢印はランビエ絞輪でのMagi-1標識を示す。下、挿入図はランビエ絞輪でのMagi-1免疫反応性の高拡大画像を表す。スケールバー、10μm
(D)多様な細胞体サイズのインタクトDRGニューロンにおけるMagi-1の頻度分布。4匹のマウスからの合計735個のニューロンを分析した(各系列において、左は全てのニューロン、右はMagi-1陽性ニューロン)。
[図6]
図6は、Magi-1が、DRGニューロンにおいて、Nav1.8チャネルとSlack KNaチャネルとを複合化することを示す。
(A)インタクトな成人DRG組織を用いて、Magi-1とNav1.8との間の結合を実証する、共免疫沈降(Co-IP)アッセイからの代表的な全免疫ブロット。IP生成物サンプルを2回実行した。ポリクローナルMagi-1抗体はまた、ブロッティング中に、分解生成物と考えられる50kDaのバンドを認識した(製造業者の説明通り)。
(B)二重免疫標識実験は、培養DRGニューロン(パネル1)、DRG断面(パネル2)及び脊髄(パネル3)において、Magi-1とNaV1.8との間の類似した局所化を実証した。スケールバー、50μm
(C)インタクトな成人DRGニューロンからの、SlackとNaV1.8との間のCo-IPの代表的な免疫ブロット。
(D)マウスDRGにおけるMagi-1とNav1.8との間の相互作用を示すCoIP。DRG溶解物を、抗Magi-1抗体(左)又は抗Nav1.8抗体(右)のいずれかで免疫沈降させ、表示のように、抗Nav1.8抗体又は抗Magi-1抗体で免疫ブロットした。この実験を少なくとも3回繰り返した。
(E)インタクトなDRGニューロンにおけるSlack及びNav1.8の共局在を示す二重免疫標識。スケールバーは20μmを表す。
[図7]
図7は、インビボMagi-1ノックダウンが、熱痛覚(熱侵害受容)及び急性炎症性疼痛行動を減弱させることを示す。
(A)Magi-1ノックダウンの前後の実験タイムライン(インビボ)。
(B)熱痛覚に対するHargreaves試験は、対側(反対側)の足と比較した場合、Magi-1ターゲティングshRNAを注入した同側足において足を引っ込める時間(paw withdrawal latency)の増加を示した。非ターゲティングshRNAを注射したマウスでは、足間で、足を引っ込める時間に有意差は見られなかった。実験条件ごとに9匹の異なる動物(雌3匹、雄6匹)の行動を観察し、分析した。値は、平均+/-SEMとして表される。***p<0.001(それぞれの対照に対して)
(C)スコア差解析により、Magi-1 shRNAをインビボ・トランスフェクションした後(7、11及び15日目)の同側足と対側足との引っ込め時間の3秒までの差を測定した。*p<0.05(対照に対して) 値は平均+/-SEMとして表される。
(D)それぞれ5分間隔における3つの侵害防御行動(足のリッキング(paw licking:左グラフ)、リフティング(lifting:中央グラフ)及び全身フリンチ(whole body flinches:右グラフ))によって測定されるホルマリン誘発第II相炎症性疼痛は、Magi-1ターゲティングshRNAを注射したマウスで、対照と比較して15日後に減少した。実験条件当たり9匹の異なる動物(n=9)の行動を分析し、値を平均+/-SEMとして表す。(ANOVA、リッキング:F(1,16)=7.545、p=0.0143、リフティング:F(1,16)=11.67、p=0.0035、フリンチング:F(1,16)=5.007、p=0.0398、*p<0.05、**p<0.01(それぞれの対照に対して) 各系列において、左側の棒は「スクランブルshRNA」で、右側の棒は「Magi-1 shRNA」である。
(E)Magi-1ターゲティングshRNAを注射した1匹のマウス(左下)から得られたDRG断面における代表的Magi-1免疫ラベルを、非ターゲティング・スクランブルshRNAを注射した1匹のマウス(左上)と比較する。Magi-1免疫反応性は、Magi-1 shRNAを注射したマウスの同側足において、対側足と比較して有意に低下した(右側)。非ターゲティング・スクランブルshRNAを注射したマウスでは、免疫反応性に有意な変化は観察されなかった。3匹の異なる動物のDRGを分析し、値を平均+/-SEMとして表した(ANOVA、F(3,20)=9.872、p=0.0003、**p<0.01(それぞれの対照に対して))。
(F)ウエスタンブロット解析は、Magi-1ターゲティングshRNAのインビボ・トランスフェクションの15日後に、DRGにおけるMagi-1ノックダウンを確認した(左側)。ウェスタンブロットの定量化を右側に示す。3匹の異なる動物からのインタクトDRGを分析し、値を平均+/-SEMとして表した(ANOVA、F(3,8)=5.161、*p=0.0282、*p<0.05(それぞれの対照に対して))。
[図8]
図8は、インビボでのMagi-1ノックダウン後のNav1.8発現の減少を示す。
(A)非ターゲティングshRNAを注射した足におけるNav1.8発現を示す坐骨神経の代表的な免疫標識(15日後)(上側)、ランビエ絞輪でのNav1.8の発現を、傍絞輪部マーカーCasprを用いて検出した。ボックス領域を、Nav1.8及びCaspr免疫反応性の高倍率画像として下に示す。下側:Nav1.8免疫反応性は、Magi-1ターゲティングshRNAを注射した坐骨神経及び足の節では認められなかった(15日後)。
(B)非ターゲティングMagi-1 shRNA(スクランブル)又はMagi-1ターゲティングshRNAを坐骨神経に注射したマウスの同側及び対側DRG溶解物からのNav1.8発現の代表的免疫ブロット。各状態について示される代表的なブロットは、同じマウスから得られる。Nav1.8発現の定量化を右側に示す。3匹の異なる動物からの腰部DRGを分析し、値を+/-SEMとして表した。*P<0.05(代表的な対照に対して)
(C)インビボでのMagi-1ノックダウン後のNav1.8発現の減少を示すウェスタンブロット分析(左)。ウェスタンブロットの定量化を右側に示す(*p<0.05;一元配置分散分析、n=3)。
[図9]
図9は、細胞透過性WWモチーフペプチド模倣物がニューロンの興奮性を変化させ、疼痛行動に影響を及ぼすことを示している。
(A)代表的な電圧クランプ記録は、「PYペプチド」と命名されたペプチド模倣物で24時間前処理した後の培養DRGニューロンにおけるINaの減少(矢印)を示すが、ホスホ-PYペプチドはINaを増加させた(上部)。下部の代表的なAPトレースは、PYペプチド又はホスホ-PYペプチドで24時間前処理した培養DRGニューロンからの、1000ms間の閾値超刺激(400 pA)の間のものである(下部)。
(B)DRGニューロンにおける、異なるペプチド処理によるピークINa(電圧ステップ -20 mV)。ニューロンを、PYペプチド又はホスホ-PYペプチドで6時間又は24時間処理した。10〜12のDRGニューロン/実験条件を分析し、値を平均+/-SEMとして表す。ANOVA、F(4,35)=19.11、P<0.0001、*P<0.05、***p<0.001(それぞれの対照に対して)
(C)Nav1.8タンパク質発現は、ペプチド模倣物処理後に変化した。DRGニューロンを、PYペプチド、ホスホ-PYペプチド、又はスクランブルで24時間処理した後の全ての及び表面Nav1.8膜発現の代表的なウェスタンブロット(左側)。ウェスタンブロットの定量を右側に示す。PYペプチドによる処理は、スクランブルペプチドと比較して、総及び表面NaV1.8発現の両方の有意な減少をもたらした。ホスホ-PYペプチドは、スクランブルペプチドと比較して、Nav1.8の表面発現を増加させた。3つの独立した培養物からのデータを分析し、値を平均+/-SEMとして表した。*p<0.05、**p<0.01(対照に対して);#p<0.01(ホスホ-PYペプチドに対して)
(D)第II相のホルマリン炎症性疼痛は、それぞれ5分の間隔における侵害防御行動(足のリッキング(左)、リフティング(中央)及び全身のフリンチング(右))によって測定され、これは、100μM(20μl)のPYペプチドでの足底内前処理(24時間)によって減少し、一方、ホスホ-PYペプチドは、スクランブルされたペプチド対照と比較して侵害防御行動反応を増加させた。ホルマリン注射の24時間前にペプチドを投与した(5%、μl)。実験条件当たり6匹の異なる動物からの行動を分析し、値を平均+/-SEMとして表す。*p<0.05、**p<0.01(対照に対して)、#p<0.05、#p<0.01(ホスホ-PYペプチドに対して)
(E)Magi-1は、DRGニューロンのナトリウムシグナロソームを構成する。Slack KNaチャネルは、以前に、アダプチン2依存性クラスリン媒介エンドサイトーシスによって内部移行することが示された。AP-2-アダプチン複合体、CL-クラスリン、ユビキチンリガーゼ。
[図10]
図10は、スクランブルsiRNAで処理されたニューロン及びMagi-1 siRNAで処理されたニューロンのさらなる画像を示す。培養DRGニューロンにおけるスクランブルsiRNA(上部パネル)及びMagi-1 siRNA(下部パネル)のトランスフェクションは、一般に非-細胞毒性であり、同数のニューロンを免疫蛍光の定量分析のために用いた。
[図11]
図11は、Magi-1ノックダウンDRGニューロンが、AP特性を変化させることを示す。
(A)APを誘発するために使用した、増加電流注入の代表的なトレース。Magi-1ノックダウンは、典型的な悉無律型APではなく、段階的な電位を引き起こした。
(B)未処理(n=10)、スクランブルsiRNA(n=12)、及びMagi-1 siRNA(n=18)ニューロンにおけるAP高さの測定値。対応する基電流測定値:未処理ニューロン211+/-27pA;スクランブルsiRNA 142+/-24 pA;Magi-1 siRNA 583+/-76 pA p<0.05(siRNA対照に対して)(ANOVA)。未処理及びスクランブルsiRNA処理ニューロンのための入力抵抗は200〜300MΩの範囲であり、及び、Magi-1 siRNA処理ニューロンのための入力抵抗は400〜500MΩの範囲であった。AP振幅をこれらの実験条件について分析し、値を平均+/-SEMとして表す。(ANOVA、F(2,32)=39.64、p<0.001、*p<0.0001(それぞれの対照に対して)。
[図12]
図12は、Magi-1のインビボノックダウンを示す。
(A)コホート全体(雄6例、雌3例)から得られた、5%ホルマリン注射後の炎症性疼痛反応の経時変化。いずれの動物も除外されなかった。Magi-1 shRNA又は対照shRNAを注射したマウスにおいて60分間にわたり侵害防御挙動を測定した。ホルマリンを注射すると、炎症性疼痛に対するこのモデルの典型的な二相性反応が生じた。shRNAを注入したマウスは、第II相(10〜60分)炎症性疼痛の有意な減少を示した。
(B)非定量的qRT-PCRにより、Magi-1 shRNAを注入した同側足におけるMagi-1 RNAの減少が、同じマウスの対側足及び対照shRNAを注入した動物と比較して確認された。
(C)Magi-1 shRNAを注射した同側の足におけるNav1.8転写物の変化は、同じマウスの対側の足及び対照shRNAを注射した動物と比較して、観察されなかった。
[図13]
図13は、Navチャネルにおける進化的に保存されたPYモチーフを示す。NavチャネルにおけるWW結合モチーフ。コンセンサスWW結合モチーフを有するラットNavチャネルの配列アラインメント。PPSY(配列番号73)はWWモチーフである。Nav1.8チャネル上のPhosphoSitePlus(登録商標)からのホスホプロテオミクスのデータは、マウスではトレオニン1926であるラットのトレオニン1924がリン酸化されていることを示している(C末端から3番目の残基)。
[図14]
図14は、膜ビオチン化実験についての代表的な全ブロットを示す。DRGニューロンビオチン化;(A)図3E、(B)図4D、及び(C)図9C、及びCHO細胞ビオチン化、(D)図1E
[図15]
図15は、ウェスタンブロット及び共免疫沈降アッセイについての代表的な完全ブロットを示す。A:図2C、B:図5A、C:図2B、D:図6C、E:図6F、F:図8B
[図16]
図16は、Nav1.7タンパク質発現が、インビボMagi-1ノックダウンの間に減少したが、表面発現は、WWモチーフペプチド模倣物での処理後に変化しなかったことを示す。
(A)非-ターゲティングMagi-1 shRNA(スクランブル)又はMagi-1ターゲティングshRNAを坐骨神経に注射したマウスの同側及び対側DRG溶解物からのNav1.7発現の免疫ブロット。
(B)培養DRGニューロンを、PYペプチド、ホスホ-PYペプチド又はスクランブル(左)で24時間処理した後の、表面(ビオチン化)NaV1.7膜発現のウェスタンブロット(2つの実験から)。
特許請求される主題が、特定の実施形態/実施例に関して記載されるが、本明細書に記載される利点及び特徴のすべてを提供しない実施形態/例を含む他の実施形態/例もまた、本開示の範囲内である。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な構造的、論理的、及びプロセスステップの変化が行われてもよい。
値の範囲が、本明細書に開示される。範囲は、下限値及び上限値を設定する。特に断らない限り、範囲は、最小値(下限値又は上限値のいずれか)の大きさまでの全ての値、及び記載された範囲の値間の範囲を含む。
本出願全体を通して、単数形は複数形を包含し、逆もまた同様である。本出願において引用される参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。任意の補足的なセクション又は図面を含む本出願のすべてのセクションは、完全に本出願の一部である。
本明細書中で使用される用語「治療」は、治療される特定の状態の存在に関連する1つ以上の症状又は特徴の減少を指す。治療は必ずしも完全な治癒や寛解を意味するわけではなく、再発や再燃を排除するわけでもない。例えば、本開示における治療は、疼痛を減少させること(例えば、疼痛感受性を減少させること)又は疼痛感受性を増加させることを意味する。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、単回又は複数回用量で、治療の意図された目的を達成するのに十分な薬剤の量を指す。治療は完治を導く必要はないが、完治を導いてもよい。治療は、適応症の症状又はマーカーの1つ以上の軽減を意味することができる。所望されるか又は必要とされる正確な量は、使用される特定の化合物又は組成物、その投与様式、患者の詳細などに依存して変化する。適切な有効量は、日常的な実験のみを用いて、本開示による情報を得た当業者によって決定できる。治療は例えば、症状を抑制するために、対症療法的に行うことができる。それは短期間にわたり、中期にわたり実施することができ、又は例えば、維持療法に関連する長期治療であってもよい。治療は、連続的であっても断続的であってもよい。
特に断らない限り、核酸は5'から3'の方向で左から右に書かれ、アミノ酸配列はアミノからカルボキシルの方向で左から右に書かれる。本明細書に記載される数値範囲は、範囲を規定する数値を含み、規定された範囲内の各整数を含む。アミノ酸は、それらの一般的に知られている三文字記号によって、又はIUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される一文字記号のいずれかによって、本明細書中で言及されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に受け入れられている一文字コードによって言及されてもよい。
Nav1.8チャネルは、侵害受容ニューロンにおいて活動電位(AP)の脱分極相を決定する。Nav1.8チャネルの細胞膜局所化、保持、安定性は、Magi-1と呼ばれるスキャホールドタンパク質を含むPDZ-及びWW-ドメインとの直接相互作用を通じて生じる。さらに、Magi-1の後根神経節(DRG:dorsal root ganglion)-特異的ノックダウンは、熱痛覚及び炎症性疼痛、及びNaV1.8タンパク質発現の欠如を減弱させた。本開示は、Nav1.8 WW結合モチーフに由来する、競合性の細胞透過性ペプチド模倣物について記載する。本開示のペプチドは、DRGニューロンにおいて、ナトリウム電流の減少、Nav1.8発現のほぼ完全な欠失、及びAP発火の抑制を誘発した。本開示のペプチドはまた、ナトリウム電流の増加を誘発し得る。単回の足底内ペプチド模倣物注射は、侵害防御行動の減少を引き起こした。さらに、Magi-1がPDZ相互作用を介してSlack KNaチャネルに結合し、Nav1.8チャネルとマクロ複合体を形成することが記載される。これらのデータは、Magi-1が、DRGニューロンにおけるイオン輸送に不可欠なスキャホールドであり、疼痛シグナル伝達の中心的な担い手であることを示す。
一態様では、本開示は、以下の配列を含むペプチド又は以下の配列からなるペプチドを提供する:
X1X2X3X4X5X6PX7YX8X9VX10X11X12(配列番号75)、
ここで、X1はS、P、又はAである; X2はT、S、又はAである; X3はA又はTである; X4はA、T、I、又はSである; X5はC、S、又はFである; X6はP又はLである; X7は任意のアミノ酸残基である、X8はE、D、又はYである; X9はS又はRである; X10はT、A、E、又はDであり、Tはリン酸化されていてもよい; X11はK又はRである; X12はP、A、又はGである、及び、ここで、X1、X2、X3、X9、X10、X11、又はそれらの組み合わせは、アシル化されている
(例えば、以下の構造
ここで、nは4〜18である(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18))。
さらなる実施形態において、前記アシル基(例えば、以下の構造)
は、ミリストイル基である。
一実施形態では、本開示のペプチドは、N末端でアシル化されている。別の実施形態では、本開示のペプチドは、アミノ酸残基の求核原子(例えば、セリン又はトレオニンの側鎖酸素原子、リジンの側鎖窒素など)でアシル化される。
一実施形態では、X1はS又はPであり、X1のアミンN末端アミンにてアシル化(例えば、ミリストイル化)されている。この配列はさらに、ペプチド配列の-X6PX7Y-部分に-PPX7Y-を含み、ここでXは任意のアミノ酸残基である。さらなる例では、X7はSである。
本開示は、以下を連続的に含むペプチドを記載する:
a)アシル化アミノ酸残基(例えば、以下の構造
ここで、nは4〜18である(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)、例えば、ミリストイル化アミノ酸残基など);
b)少なくとも1つの介在アミノ酸残基;
c)第一アミノ酸配列;及び
d)末端アミノ酸配列。
1つの実施形態において、ミリストイル化アミノ酸残基は、S、P、又はAである。ヒトにおける使用のための実施形態において、ミリストイル化アミノ酸残基は、S又はPである。
別の実施形態において、少なくとも1つの介在アミノ酸残基は、T、S、又はAを含み、ここで、前記T、S、又はAは、ミリストイル化アミノ酸残基に直接(直ちに)続く(すなわち、N末端からC末端に進む)。さらなる実施形態では、前記T、S、又はAには、A又はTが直接続く。さらに別の実施形態では、前記A又はTには、A、T、S又はIが直接続く。ヒトにおける使用のための実施形態では、前記A又はTには、A、T又はSが直接続く。さらなる実施形態では、前記A、T、S又はIには、C、S又はFが直接続く。ヒトにおける使用のためのさらなる実施形態では、前記A、T、Sには、C、S又はFが直接続く。
一実施形態では、前記第一アミノ酸配列はPXYを含み、ここで、Xは任意のアミノ酸残基である。
別の実施形態では、前記第一アミノ酸配列は、UPXY(配列番号71)を含み、ここで、UはP又はLであり、Xは任意のアミノ酸残基である。さらなる実施形態では、XはSである。
さらに別の実施形態において、末端アミノ酸配列は、A、D、E、又はリン酸化及び脱リン酸化され得るアミノ酸残基を含む。一実施形態では、リン酸化及び脱リン酸化され得る前記アミノ酸残基はTである。さらなる実施形態では、リン酸化及び脱リン酸化され得る前記アミノ酸残基はリン酸化されている。さらに別の実施形態において、リン酸化及び脱リン酸化され得る前記アミノ酸残基は、リン酸化されていない。
一実施形態では、末端アミノ酸配列は、D又はEを含み、前記D又はEは、前記第一アミノ酸配列に直接続く。一実施形態では、前記D又はEには、R又はSが直接続く。別の実施形態では、前記R又はSには、Vが直接続く。更なる実施形態では、前記Vには、前記A、D、E、又はリン酸化及び脱リン酸化され得るアミノ酸残基が直接続く。一実施形態では、前記A、D、E、又はリン酸化及び脱リン酸化され得るアミノ酸残基には、K又はRが直接続く。別の実施形態では、前記K又はRには、P、A、又はGが直接続く。
好ましい実施形態では、前記ペプチドは、表1又は表2の配列のいずれか1つを有する。
[表1]:ヒトのペプチド
ここで、下線を引いた残基はミリストイル化されており、「^」は、「^」の直前のTがリン化されていることを示す。
[表2]:ラットのペプチド
ここで、下線を引いた残基はミリストイル化されており、「^」は、「^」の直前のTがリン化されていることを示す。
一例として表1の配列1を使用すると、本開示は、あるペプチドを提供し、このペプチドにおいて、ミリストイル化アミノ酸はSであり、少なくとも1つの介在アミノ酸残基はTAAC(配列番号72)であり、第一アミノ酸配列はPPSY(配列番号73)であり、末端アミノ酸配列はDRVTKP(配列番号74)である。
表1の配列は、ナトリウムチャネルSCN1A、SCN2A、SCN3A、SCN5A、SCN8A、SCN9A、SCN10AにおけるWW結合ドメインに由来し、さらに修飾されていた(例えば、アシル化)。配列番号1〜14のペプチドは、配列の最後から3番目のアミノ酸としてトレオニンを使用する。トレオニンはリン酸化され、脱リン酸化されることができる。配列番号15〜21のペプチドにおいて、アラニンがトレオニンに代わる(効力を制限する可能性のあるペプチドの推定されるインビボリン酸化を、打ち消す)。配列番号22〜28のペプチドにおいて、グルタミン酸がトレオニンに代わる。配列番号29〜35のペプチドにおいて、アスパラギン酸がグルタミン酸に代わる。グルタミン酸とアスパラギン酸はそれぞれ、永久的にリン酸化されたトレオニン(内因性ホスファターゼ作用に抵抗性)を模倣する。グルタミン酸もアスパラギン酸も実際にはリン酸化されない。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、これらのペプチドは、ホスファターゼ作用に耐性のあるこのアミノ酸部位に保持された負電荷のために、より長い作用を提供し得る。
一実施形態では、本開示のペプチドは、ニューロンの内向きナトリウム電流を増加又は減少させる。ナトリウム電流は、典型的にはピークで測定される。一例では、本開示のペプチドは、局所/標的領域(例えば、治療領域)におけるニューロンのナトリウム電流を増加又は減少させる。
一実施形態では、本開示のペプチドは麻酔薬ではない。ナトリウム電流を減少させる本開示のペプチドは、ナトリウムチャネル遮断剤として作用せず、むしろナトリウムチャネルの分解を誘導する。
一態様では、本開示はまた、薬学的に受容可能なキャリア、本開示のペプチド、任意で、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNA、及び任意で、1つ以上の鎮痛剤(例えば、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS))及び/又は1つ以上の麻酔剤を含む医薬組成物を提供する。鎮痛剤又は麻酔剤の非限定的な例としては、ブピバカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、メロキシカム、ケトロラク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ピロキシカム、メタミゾール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。鎮痛剤のさらなる例としては、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなど、及びそれらの塩が挙げられる。当業者に公知の技術及びキャリアを使用して(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins)、前記組成物は、筋肉内、皮内、髄腔内又は神経注射、局所クリーム又は経皮パッチとして製剤化することができる。siRNAの非限定的な例としては、以下が挙げられる
GGAAAGACAGCCAGAAUAGUU (配列番号88)、
GCCCAAGCUCCAGAUCAAACU (配列番号89)、
GUGGAUGGGACGCCAGUAAUU (配列番号90)、
GAAGCAUUCUCGAGCUAUAGA (配列番号91)、
GUUUCCCCUAUUCACCAGUGU (配列番号92)、
GCCUCUCGCACCAUGUGAUUA (配列番号93)、
GACCAAGAGCGAAGGAAUGUU (配列番号94)、
GUUCCUCAGAUCCAAUUGUUA (配列番号95)、
GACCAUCUGAGCCCACUACUA (配列番号96)、
GGAAACAUGUGACUAUACCUU (配列番号97)、及び
GAUCUUUACAUAGCUUAGUGU (配列番号98)
一実施形態において、薬剤は、MAGI-1 mRNAのRNA干渉(RNAi)媒介サイレンシング又はダウンレギュレーションにおける使用のためのsiRNAである。RNAi剤は、ショートヘアピンRNA(shRNA)として細胞で一般的に発現される。shRNAは、センス鎖、アンチセンス鎖、及びセンスフラグメントとアンチセンスフラグメントとの間の短いループ配列を含むRNA分子である。shRNAは細胞質に輸送され、そこでダイサーによってプロセシングされて短い干渉RNA(siRNA)になる。siRNAは、典型的にはRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって認識される20〜23ヌクレオチドの二本鎖RNA分子である。一旦RISCに組み込まれると、siRNAは、標的化mRNAの切断及び分解を容易にする。従って、MAGI-1発現のRNAi媒介サイレンシング又はダウンレギュレーションにおける使用のためのポリヌクレオチド剤は、siRNA又はshRNAのいずれかであり得る。本開示の種々の局面における使用のための代表的な(しかし非限定的な)shRNAは、実施例1に示される。
shRNAは、組換えウイルスベクターのような任意の適切なベクターから、2つの別個の相補的RNA分子として、又は2つの相補的領域を有する単一のRNA分子として発現され得る。この点に関して、発現されるshRNA分子(単数又は複数)のコード配列を受容し得る任意のウイルスベクターが使用され得る。適当なベクターの例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)、ラブドウイルス、マウス白血病ウイルス、ヘルペスウイルスなどに由来するベクターが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいウイルスはレンチウイルスである。ウイルスベクターの親和性は、エンベロープタンパク質又は他のウイルス由来の他の表面抗原でベクターをシュードタイピングすることによっても改変することができる。組換えベクターからの細胞におけるshRNAの発現の代替として、化学的に安定化されたshRNA又はsiRNAもまた、本発明の方法における薬剤として投与され得る。一旦細胞に導入されるとsiRNAを産生するshRNAを発現するためのベクターは、商業的に入手可能である。さらに、実質的にあらゆる既知のヒト遺伝子を標的とするshRNA又はsiRNAも知られており、市販されている。
本開示は、本開示の少なくとも1つのペプチドを含む組成物を提供する。組成物の非限定的な例としては、溶液、懸濁液、エマルジョン、使用前に溶媒に溶解又は懸濁される固体注射用組成物などが挙げられる。注射剤は、1つ以上の活性成分を希釈剤に溶解、懸濁又は乳化することによって調製され得る。希釈剤の例としては注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、アルコール、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、注射剤は、安定剤、可溶化剤、懸濁剤、乳化剤、鎮静剤、緩衝剤、防腐剤などを含有してもよい。注射は、最終処方段階で滅菌されてもよく、又は滅菌手順によって調製されてもよい。本開示の組成物はまた、滅菌固体調製物に製剤化されることができ(例えば、凍結乾燥によって)、及び、滅菌された後、又は使用直前に滅菌注射用水又は他の滅菌希釈剤に溶解されてから、使用され得る。
組成物は、1つ又は複数の薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。薬学的に受容可能なキャリアとしては、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;コーンスターチ及びポテトスターチなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートを含むセルロース;粉末トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などのオイル;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに医薬製剤で使用される他の非毒性適合性物質が挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、組成物はまた、小量の湿潤剤もしくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有する可能性がある。薬学的に受容可能なキャリアのさらなる非限定的な例は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins」に見出すことができる。
一態様では、本開示のペプチド又はその組成物は、被験体(例えば、疼痛及び/又は疼痛感受性の治療を必要とする被験体)の疼痛感受性を変化させる(例えば、増加又は減少させる)ために使用される。一例では、被験体の疼痛感受性が低下すると、被験体の疼痛は減少する(例えば、改善される)。別の例では、被験体の疼痛感受性は増加する。一例では、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、痛みの管理(例えば、ペインコントロール)のために使用される。
本開示はさらに、痛みを治療するのに有効な量で被験体に、本開示のペプチドを投与する、又は、配列番号1〜7、15〜21の配列を有するペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNAを含む組成物を投与することを含む、疼痛に苦しむ被験体を治療するための方法を提供する。限定されるものではないが、疼痛の治療には、疼痛に対する被験体の感受性を低下させることが含まれる。治療を必要とする被験体は、ヒト又は非ヒト哺乳動物であり得る。非ヒト哺乳動物の非限定的な例としては、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、又は他の農業動物、ペット動物、もしくは介助動物などが挙げられる。
被験体の疼痛(例えば、疼痛感受性、疼痛強度、疼痛緩和(介入/治療に応答した)、介入/治療に対する改善と満足度の患者評価、身体機能への疼痛の干渉、情動機能への疼痛の干渉)は、検証済みの様々な疼痛測定ツール(例えば、視覚的アナログ疼痛スケール(VAS:visual analog pain scale)、数値評価疼痛スケール(NRS:numeric rating pain scale)、カテゴリー的言語評価疼痛スケール(VRS:verbal rating pain scale)、感覚要素を評価する多次元尺度、さらに疼痛の認知的及び心理的次元、健康関連QOL評価、疼痛関連機能評価)を用いた疼痛評価に基づいて、被験体からの記述によって決定することができる(例えば、安静時、活動中又は活動後に決定する)。疼痛測定ツールの非限定的な例としては、VAS、NRS、VRS、McGill疼痛質問票(MPQ:McGill Pain Questionnaire)及びその短縮形、簡易疼痛質問表(BPI:Brief Pain Inventory)、神経障害性疼痛スコア(NPS:Neuropathic Pain Score)、疼痛自己効力質問票(Pain Self-Efficacy Questionnaire)、患者の全体的な変化の印象尺度(Patient Global Impression of Change scale)、欧州式QOL評価法(European Quality of Life Instrument:EQ 5D)、疼痛障害インデックス(PDI:Pain Disability Index)、Oswestry障害インデックス(ODI:Oswestry Disability Index)、ベックうつ病質問票及び感情プロフィール検査(Beck Depression Inventory and Profile of Mood States)、Wong-Baker表情疼痛スケール(Wong-Baker faces pain scale)、FLACCスケール(表情、下肢、活動、啼泣、及び癒し[consolability])、CRIESスケール(啼泣、SaO2<95%のためのO2の必要性、バイタルサイン(BP及びHR)の上昇、表情、不眠)、COMFORTスケール、Mankoski疼痛スケール、疼痛強度の記述式識別スケール(descriptor differential scale of pain intensity)など及びそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、ヒトMagi-1ターゲティングshRNA又はヒトMagi-1ターゲティングsiRNAであってもよい。
被験体の疼痛(例えば、疼痛感受性)が減少した場合、被験体の疼痛は改善され得る。例えば、被験体の疼痛は、被験体の疼痛(例えば、疼痛感受性)が所望のレベルである(例えば、疼痛が不快でない)場合に改善されている。
追加の実施形態において、被験体は、前記ペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAが必要である。
一実施形態では、被験体の疼痛は侵害受容性である。別の実施形態では、被験体の疼痛は神経障害性である。被験体の疼痛は、傷害(例えば、脊髄損傷、神経損傷、又は熱傷)、慢性疾患(例えば、糖尿病、帯状疱疹、大うつ病性障害、線維筋痛関節炎、又は癌)、慢性炎症(例えば、手根管症候群のような反復ストレスに関連する慢性炎症)、化学療法、放射線、又はモートン神経腫のような、任意の疾患の症状、状態、又は発生であり得る。また、疼痛は術後の痛みであることもある。
一実施形態では、被験体は、疼痛のために先制して治療されている(例えば、予想される疼痛の前に、例えば、手術、化学療法、歯科作業、放射線治療などの間に引き起こされる疼痛などの前に)。別の実施形態において、被験体は、疼痛を誘発する処置後の疼痛について治療される。そのような処置には、例えば、手術、化学療法、放射線治療など、及びそれらの組み合わせが含まれる。
一実施形態では、被験体は、慢性疼痛及び/又は急性疼痛を有する。慢性疼痛は、約12週間以上持続するあらゆる疼痛である。別の実施形態では、慢性疼痛は、予想される治癒期間を超えて続く疼痛である。
急性疼痛は、シャープで、典型的には約6カ月以上続くことはない。痛みの根本的な原因がなくなれば、急性疼痛はなくなる。急性疼痛の原因としては、手術、骨折、歯科作業、熱傷、切傷、分娩/出産、及びそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
実施形態では、被験体は、オピオイドを服用せず、オピオイドを服用できず、オピオイド依存に苦しむ、又はオピオイド依存に対する再発のリスクがある。
一態様では、本開示は、配列番号1〜7又は15〜21のいずれか1つの配列を有するペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA又はMagi-1ターゲティングsiRNAを含む組成物を、鎮痛効果のある量(例えば、治療的有効量)で、被験体に投与することを含む、被験体において局所鎮痛を誘発する方法を提供する。
本開示はさらに、配列番号8〜14又は21〜35のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む組成物を、疼痛感受性を増加させるのに有効な量で被験体に投与することを含む、被験体の疼痛感受性を増加させる方法を提供する。
一例として、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、局所的に(例えば治療領域において)疼痛感受性を変化させるために使用されることができる。
被験体は、疼痛感受性低下の症状を有する疾患又は状態に苦しむことがある。そのような疾患又は状態には、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、統合失調症、自閉症スペクトラム症(例えば、アスペルガー症候群など)、疼痛に対する先天性低感受性、及び糖尿病誘発性神経喪失が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本開示の1つ又は複数のペプチド(例えば、同じ又は異なる本開示の1つ又は複数のペプチド)を投与又は使用することができる。別の例では、本開示のペプチド(例えば、同一又は異なったものである本開示の1つ以上のペプチド)、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを含む1つ以上の組成物を、1つ以上の鎮痛剤及び/又は1つ以上の麻酔剤(例えばリドカイン)と、及び/又は抗炎症薬(例えば、グルココルチコイド)と組み合わせて投与又は併用することができる。
上記のいずれかが組み合わせて使用又は投与される場合、使用又は投与は、同時であっても又は逐次的であってもよい。前述のいずれも、組み合わせ製剤又は別々の製剤で製剤化することができる。
例示的な同時投与は、i)配列番号1〜7、15〜21のいずれか1つの配列を有するペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNA、及び、ii)配列番号8〜14、22〜35のいずれか1つの配列を有するペプチドの同時投与であり、ここで、i)はii)の後に投与されるか、あるいはii)はi)の後に投与される。i)及びii)の投与の間、又はii)及びi)の投与の間に遅延があってもよい。別の例において、i)はii)の直後に(例えば、遅延なく)投与され、又はii)はi)の直後に(例えば、遅延なく)投与される。同時投与は、最初に添加されるペプチドを逆にするために使用されてもよい。例えば、配列番号1〜7、15〜21のいずれか1つの配列を有するペプチドを使用して疼痛について治療された(例えば、被験体の疼痛感受性が減少した)被験体は、被験体の疼痛感受性が増加するように、配列番号8〜14、22〜35のいずれか1つの配列を有するペプチドを投与されてもよい。別の例では、被験体に過剰量の配列番号1〜7、15〜21が投与される場合、被験体には、疼痛感受性を増大させるために、配列番号8〜14、22〜35のいずれか1つの配列を有するペプチドが投与されてもよい。あるいは被験体に過度に多くの配列番号8〜14、22〜35が投与される場合、被験体には、被験体の疼痛感受性を減少させるために、配列番号1〜7、15〜21のいずれか1つの配列を有するペプチドが投与されてもよい。
一実施形態では、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、痛覚管理のために使用される。
本開示のペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、様々な方法で被験体に投与されることができる。例えば、手術中及び/又は手術後に脊髄神経又は神経末端に注射することができる。また、前記ペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAは、筋肉内又は皮内でも投与することができる。さらに、ペプチドは、局所的に投与されてもよい。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、shRNAの最も有効な経路又は投与は、神経への直接投与である。
一実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の化合物及び/又は1つ以上の化合物を含む1つ以上の組成物は、任意の公知の方法及び経路(経口、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内及び頭蓋内注射を含むがこれらに限定されない)を使用して、治療を必要とする被験体に投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、及び皮下投与が含まれるが、これらに限定されない。局所及び/又は経皮投与も包含される。さらに包含されるのは、無針注射を含む適用方法である。
一実施形態において、治療を必要とする被験体は、治療有効量の本開示のペプチド、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを投与される。治療有効量の本開示のペプチドの用量は、10nM〜10mM(例えば、100μM)の濃度を有してもよく、これにはそれらの間の全ての0.1 nM値及び範囲が含まれる。一実施形態では、治療有効量の本開示のペプチドの用量は、1〜500μM、50〜500μM、1〜250μM、10〜250μM、25〜250μM、25〜150μM、50〜250μM、又は50〜150μMの濃度を有する可能性がある。
一実施形態では、治療を必要とする被験体に、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを単回用量として投与する(例えば、単一の投与工程)。単回投与後、被験体の疼痛は改善されるか、又は被験体の疼痛感受性は、1〜120時間(例えば、24〜120時間、1〜48時間、12〜48時間、又は24〜48時間)増加する(この時間には、これらの間の全ての第2の値及び範囲が含まれる)。別の例では、被験体の疼痛が改善されるか、又は被験体の疼痛感受性が、任意の他の活性成分(例えば、追加の鎮痛剤及び/又は麻酔剤)の非存在下で、1〜120時間(例えば、24〜120時間、1〜48時間、12〜48時間、又は24〜48時間)増加する(この時間には、これらの間の全ての第2の値及び範囲が含まれる)。
一実施形態では、治療を必要とする被験体に、本開示のペプチド、その組成物、Magi-1ターゲティングshRNA、又はMagi-1ターゲティングsiRNAを複数用量(例えば、複数の投与工程)で投与する。複数回投与後、被験体の疼痛は改善されるか、又は被験体の疼痛感受性は、1〜120時間(例えば、24〜120時間、1〜48時間、12〜48時間、又は24〜48時間)増加する(この時間には、これらの間の全ての第2の値及び範囲が含まれる)。別の例では、被験体の疼痛が改善されるか、又は被験体の疼痛感受性が、任意の他の活性成分(例えば、追加の鎮痛剤及び/又は麻酔剤)の非存在下で、1〜120時間(例えば、24〜120時間、1〜48時間、12〜48時間、又は24〜48時間)増加する(この時間には、これらの間の全ての第2の値及び範囲が含まれる)。
一態様では、本開示は、さらにキットを提供する。
一実施形態では、キットは、本開示の化合物のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含有する医薬製剤を含む。
一実施形態では、キットは、医薬製剤を含むパッケージ(例えば、密閉又は密封パッケージ)を含み、これは例えば、1つ以上の密閉又は密封のバイアル、瓶、ブリスター(バブル)パック、又は医薬化合物及びそれらを含む組成物を販売、配布、又は使用するための任意の他の適切なパッケージなどである。
一実施形態では、印刷物は、印刷された情報を含むが、これに限定されない。印刷された情報は、ラベル上、又は挿入紙上に提供されてもよく、又は包装材料自体に印刷されてもよい。印刷された情報は、例えば、パッケージ内の組成物、他の活性成分及び/又は不活性成分の量及び種類を特定するための情報、ならびに組成物を服用するための指示(例えば、所与の期間にわたって服用するための投与数など)、及び/又は薬剤師及び/又は医師などの別の医療提供者、あるいは患者に向けられた情報を含み得る。印刷物は、例えば、医薬組成物及び/又はそれと共に提供される任意の他の薬剤が、細菌感染を有する被験体の治療のためのものであることの表示を含み得る。一例では、製品はラベルを含み、このラベルは、容器の内容物を記載し、任意の細菌感染を有する被験体を治療するための容器の内容物の使用に関する表示及び/又は指示を提供する。
一態様では、本開示は、研究ツールとして使用するための配列番号36〜70のペプチドをさらに提供する。そのようなものとして、それらは、研究用被験体(例えば、マウス及びラット)に投与され得る。ペプチドはまた、インビトロ試験に有用である。
以下の陳述において、本開示のペプチド、組成物、及びペプチドの使用方法の種々の例が記載される:
陳述1:以下の配列を含むペプチド:
X1X2X3X4X5X6PX7YX8X9VX10X11X12(配列番号75)、ここで、
X1は、S、P、Aから選択される;
X2は、T、S、Aから選択される;
X3は、A、Tから選択される;
X4は、A、T、I、Sから選択される;
X5は、C、S、Fから選択される;
X6は、P、Lから選択される;
X7は、任意のアミノ酸残基である;
X8は、E、D、Yから選択される;
X9は、S、Rから選択される;
X10は、T、A、E、Dから選択され、Tはリン化されていてもよい;
X11は、K、Rから選択され;及び
X12は、P、A、Gから選択される。
ここで、X1、X2、X3、X4、X10、X11、又はそれらの組み合わせは、アシル化されている
(例えば、以下の構造
ここで、nは4〜18である(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)、例えば、ミリストイル基など)。
陳述2:X1がS及びPから選択される、陳述1に記載のペプチド。
陳述3:前記ペプチドが、配列番号1〜7、15〜21から選択される配列を有する、陳述2に記載のペプチド。
陳述4:前記ペプチドが、配列番号8〜14、22〜35から選択される配列を有する、陳述2に記載のペプチド。
陳述5:前記ペプチドが以下の配列を有する、前記陳述のいずれか1つに記載のペプチド:
X1X2X3X4X5PPSYX8X9VX10X11X12 (配列番号75、X6はSであり、X7はSである)、ここで、X1はミリストイル化されている。
陳述6:前記ペプチドが以下の配列を有する、前記陳述のいずれか1つに記載のペプチド:
SX2X3X4X5PPSYX8X9VX10X11X12 (配列番号75、X1はSであり、X6はPであり、X7はSである)、ここで、Sはミリストイル化されている。
陳述7:前記ペプチドが以下の配列を有する、前記陳述のいずれか1つに記載のペプチド:
SSTTSPPSYDSVTKP(配列番号6)、SATSFPPSYESVTRG(配列番号7)、SSTTSPPSYDSVTKP(配列番号13)、SATSFPPSYESVTRG(配列番号14)、SSTTSPPSYDSVAKP(配列番号20)、SATSFPPSYESVARG(配列番号21)、SSTTSPPSYDSVEKP(配列番号27)、SATSFPPSYESVERG(配列番号28)、SSTTSPPSYDSVDKP(配列番号34)、又は、SATSFPPSYESVDRG(配列番号35)
ここで、下線を引いたSはミリストイル化され、下線を引いたTはリン酸化されている。
陳述8:前述陳述のいずれか1つに記載の1つ以上のペプチド及びキャリアを含む、組成物。
陳述9:陳述1〜7のいずれか1つに記載のペプチドを少なくとも2つ含み、前記少なくとも2つのペプチドが同一又は異なっている、陳述8に記載の組成物。
陳述10:1つ以上の鎮痛剤及び/又は1つ以上の麻酔剤をさらに含む、陳述8又は9に記載の組成物。
陳述11:1つ以上の鎮痛剤及び/又は1つ以上の麻酔剤が、ブピバカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、メロキシカム、ケトロラク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ピロキシカム、メタミゾール、又はそれらの組み合わせである、陳述10に記載の組成物。
陳述12:キャリアが薬学的に受容可能なキャリアである、陳述8〜11のいずれか1つに記載の組成物。
陳述13:治療を必要とする被験体において疼痛を治療するか又は疼痛感受性を増加させる方法であって、
治療を必要とする被験体に、陳述1〜7のいずれか1つに記載の1又は複数のペプチド、及び/又は陳述8〜12のいずれか1つに記載の1又は複数の組成物を、治療有効量で投与することを含み、
治療を必要とする被験体の疼痛が改善されるか、又は治療を必要とする被験体の疼痛感受性が増加する、方法。
陳述14:被験体の疼痛が慢性疼痛である、陳述13に記載の方法。
陳述15:被験体の疼痛が急性疼痛である、陳述13に記載の方法。
陳述16:投与工程が、痛みを予期して行われる、陳述13〜15のいずれか1つに記載の方法。
陳述17:治療を必要とする被験体が、損傷、慢性疾患、慢性炎症、モートン神経腫、手術後の疼痛又はそれらの組み合わせを有する、陳述14〜16のいずれか1つに記載の方法。
陳述18:損傷が、脊髄損傷、神経損傷、熱傷、又はそれらの組み合わせである、陳述17に記載の方法。
陳述19:慢性疾患が、糖尿病、帯状疱疹、大うつ病性障害、線維筋痛関節炎、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、統合失調症、自閉症スペクトラム症、癌、又はそれらの組み合わせである、陳述17に記載の方法。
陳述20:投与工程が、ナトリウム電流の増加又は減少を誘発する、陳述14〜19のいずれか1つに記載の方法。
陳述21:被験体に投与されるペプチドが、配列番号1〜7、15〜21、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有する、陳述14〜20のいずれか1つに記載の方法。
陳述22:被験体の痛みが改善される(例えば、被験体の疼痛感受性が低下する)、陳述14〜21のいずれか1つに記載の方法。
陳述23:1回の投与工程後に1〜120時間、被験体の痛みが改善される(例えば、被験体の疼痛感受性を低下する)、陳述14〜22のいずれか1つに記載の方法。
陳述24:1回の投与工程後に24〜120時間、被験体の痛みが改善される(例えば、被験体の疼痛感受性を低下する)、陳述14〜23のいずれか1つに記載の方法。
陳述25:被験体の疼痛感受性が増加する、陳述14〜20のいずれか1つに記載の方法。
陳述26:被験体に投与されるペプチドが、配列番号8〜14、22〜35、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有する、陳述14〜20又は25のいずれか1つに記載の方法。
陳述27:1回の投与工程後に1〜120時間、被験体の疼痛感受性が増加する、陳述14〜20、25又は26のいずれか1つに記載の方法。
陳述28:1回の投与工程後に24〜120時間、被験体の疼痛感受性が増加する、陳述14〜20、25〜27のいずれか1つに記載の方法。
陳述29:被験体が、配列番号1〜7、15〜21及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与され、続いて、配列番号8〜14、22〜35及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与される、陳述14〜20又は25〜28のいずれか1つに記載の方法。
陳述30:被験体が、配列番号8〜14、22〜35、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与され、続いて、配列番号1〜7、15〜21及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与される、陳述14〜20又は25〜29のいずれか1つに記載の方法。
陳述31:陳述14〜30のいずれか1つに記載の方法であって、前記投与工程が、以下の配列のうちの1つ又は複数を投与することを含む、方法:
SSTTSPPSYDSVTKP (配列番号6)、SATSFPPSYESVTRG (配列番号7)、SSTTSPPSYDSVTKP (配列番号13)、SATSFPPSYESVTRG (配列番号14)、SSTTSPPSYDSVAKP (配列番号20)、SATSFPPSYESVARG (配列番号21)、SSTTSPPSYDSVEKP (配列番号27)、SATSFPPSYESVERG (配列番号28)、SSTTSPPSYDSVDKP (配列番号34)、又は、SATSFPPSYESVDRG (配列番号35)
ここで、下線を引いたSはミリストイル化され、下線を引いたTはリン酸化されている。
以下の実施例は、本開示を例示するために提示される。これは、いかなる点における限定も意図しない。
[実施例1]
本実施例は、本開示のペプチド及びその使用の説明を提供する。
開示されているのは、Magi-1欠損が疼痛感受性に及ぼす影響である。Nav1.8及びKNaチャネルの膜標的化が、Magi-1に依存することが実証された。DRGニューロンにおけるMagi-1の発現と分布が明らかにされ、Magi-1のノックダウンが、ナトリウム電流(INa)とカリウム電流(IK)の減少と、ニューロンにおける興奮性の減少を引き起こすことが見い出された。また、Nav1.8及びSlack KNaチャネルが一緒に複合体を形成することも確認された。Magi-1のインビボ・ノックダウンは疼痛行動を抑制し、NaV1.8チャネルタンパク質発現の有意な減少を生み出した。最後に、WWモチーフ細胞浸透性ペプチド模倣物を使用して、Nav1.8チャネル輸送を薬理学的に操作できることが記載される。
KNaチャネル発現は、PDZ結合モチーフの影響を受ける。Slack及びSlickチャネルは、それぞれのジスチルC末端に1型PDZ結合モチーフを含む(図1A)。PDZタンパク質相互作用予測因子(PDZPedInt、University of Freiburg)を用いて、Slackアミノ酸配列を入力することにより、Magi-1が、Slackチャネル相互作用因子として同定された(特に、Magi-1の第二及び第五PDZドメイン)。Magi-1とSlack-Bサブユニットの異種共発現は、Slack電流密度を増加させたが(図1B)、Magi-1と切断型PDZモチーフを有する変異Slack構築物との共発現は、Slack電流密度に影響しなかった(図1B)。我々は、共免疫沈降(Co-IP)アッセイを用いて、Magi-1が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、及びDRGニューロンにおいて、Slackチャネルと相互作用することを確認した(図1C,F)。二重免疫標識研究は、培養された及びインタクトなDRGニューロンにおいて、CHO細胞においてMagi-1とSlack KNaチャネルとの間の共局在化を示した(図1E、G)。Slack KNaチャネルが、そのC末端PDZモチーフ(ETQL(配列番号99))を介してMagi-1と相互作用することがCo-IPによって確認された(図1C)。Slackチャネル膜発現に対するMagi-1の役割を検証するため、表面ビオチン化アッセイを実施したところ、SlackとMagi-1の共発現が、Slackチャネル表面発現を増加させることが確認された(図1D)。Slackと約74%の配列相同性を共有する、KNaチャネルファミリーの他のメンバであるSlickは、同じ進化的に保存されたクラス1 PDZ結合モチーフ(ETQL)を有する(図1A)。Magi-1及びSlickを共発現させることによって、Magi-1がCHO細胞におけるSlick電流活性も調節するかどうかを評価した。パッチクランプ記録は、Magi-1がSlick電流密度を同様に強めるが(図2A)、Slack-Bでは異なることを明らかにした。Western分析は、驚くべきことに、増加した全Slickタンパク質発現(8倍)を示した(図2C)。Magi-1はまた、CHO細胞において異種発現される場合、Slickチャネルと共局在することが見出された(図2D)。そのため、Magi-1は、Slackチャネルの膜発現の増加によって、KNa電流に影響を与えた。Slickチャネルに関しては: Magi-1発現が全Slickチャネルタンパク質発現の増加をもたらしたので、Magi-1は追加的なタンパク質安定化機能を果たすと思われた。
Magi-1ノックダウンは、培養DRGニューロンにおいてI K を抑制したが、興奮性低下をもたらした。
Magi-1の神経生理機能を、培養DRGニューロンにおいて、以前に検証された低分子干渉RNA(siRNA)を用いたノックダウン戦略を用いて検討した。Magi-1ノックダウンを、以前に検証されたポリクローナルMagi-1抗体を使用して、免疫標識及びウェスタンブロット分析(図3A,B)によって確認した。トランスフェクション後、非翻訳スクランブル対照siRNA 72時間と比較して、Magi-1タンパク質が約70〜75%減少することが観察されたため、大規模なMagi-1ノックダウンが達成された(図3A,B)。ノックダウンを示すさらなる免疫蛍光画像が図10に示される。Magi-1ノックダウンが、KNaSlackチャネルの表面発現に及ぼす影響を調べた。膜ビオチン化アッセイは、対照と比較して、膜Slackチャネル発現の有意な減少(〜70%)を明らかにした(図3C)。また、電位クランプ記録では、Magi-1ノックダウン後に外向きIK密度の有意な低下が認められたが、一過性IKはなお存在していた(図3D)。驚くべきことに、Magi-1ノックダウンは、ニューロンがAPを発火させないDRG低興奮性をもたらした(図3E及び図11A)。表面Slack KNaチャネルの減少は、反復的な発火につながると予想されたが、観察された著しく妨害された活動電位は、Magi-1欠損がナトリウムチャネルの機能にも影響していることを示唆した。
Magi-1ノックダウンは、DRGニューロンにおいて、I Na 及びNav1.8細胞膜発現も減少させた。
全細胞電圧クランプ記録を用いて、DRGニューロンにおいて、内向きナトリウム電流(INa)に対するMagi-1ノックダウンの影響を検討した。Magi-1ノックダウンにより、総INaが大幅に減少した(図4A〜C)。INaのテトロドトキシン(TTX)-感応性成分及びTTX-抵抗性成分のピークは、いずれも、対照siRNAで処理されたニューロン(Magi-1ノックダウン中のDRGニューロンで見られる低興奮性表現型を説明する)と比べて、著しく減少した(膜のSlack発現が減少したにもかかわらず)。特に、これらのDRGニューロンの培養条件は、高レベルのNav1.8チャネルを発現するTrkA陽性の侵害受容性DRGニューロン(方法の項を参照のこと)に有利である。ほとんどの成熟侵害受容性DRGニューロンでは、Nav1.8チャネルが、活動電位の立ち上がりの最大90%を占める。Magi-1ノックダウンは、Nav1.8が有意な寄与因子であるINaのTTX抵抗性成分を減少させたので、Nav1.8の表面発現に調査を集中した。表面ビオチン化アッセイを用いて、Magi-1ノックダウン後、NaV1.8の膜発現が低下することを確認した(〜50%)(図4D)。まとめると、これらの結果は、Magi-1が、DRGニューロンにおいて、Nav1.8及びSlackチャネルの両方の膜局在化に必須のスキャホールドであることを示唆した。
Magi-1は、小及び中サイズのDRGニューロン中で、それらの軸索路中で、及び一部のランビエ絞輪で発現している。
インタクト(無傷)DRGニューロンにおけるMagi-1の発現は、より広い生理機能を示すことが確認された。Allen Mouse Spinal Cord Atlas及びBioGPSは、DRGニューロン内の高Magi-1メッセージをサポートする。BioGPSによれば、DRG組織は、2番目に高いMagi-1 mRNA組織発現プロファイルを有し、視床下部が最も高い発現を占める。さらに、Allen Spinal Cord Atlasは、小及び中サイズの侵害受容性と思われるDRGニューロンにおいて、異なるMagi-1発現を示す。Magi-1免疫標識は、以前にも、培養DRGニューロンの成長円錐及び胚性脊髄の後根進入部内で示された。ウェスタンブロット法(図5A)及び免疫組織化学的分析(図5B)により、成体マウスDRGニューロン及び脊髄組織におけるMagi-1の発現を確認した。免疫組織化学は、以前に検証されたモノクローナル抗Magi-1抗体を用いて行った。坐骨神経の組織学的検査は、軸索線維に沿って、及び一部のランビエ絞輪にて、高いMagi-1の免疫反応性を示した(傍絞輪部マーカーのCaspr使用)(図5C)。細胞サイズ解析は、小及び中サイズのDRGニューロン(<600 um2)範囲のDRGニューロンにおいて(図5D)、Allen Mouse Spinal Cord Atlasで見られるデータと類似したMagi-1の最大分布を示した。小及び中サイズのDRGニューロン及び脊髄の後角への、Magi-1の優先的な組織発現プロファイルは、疼痛シグナル伝達におけるMagi-1の潜在的機能を示した。
Magi-1は、DRGニューロンにおいて、Slack K Na チャネルとNav1.8との間のカップリングを仲介した。
従前の研究は、ナトリウム進入経路が遮断された場合、ニューロンのKNaチャネル活性が減少することを示し、NavチャネルがKNaチャネルに近接して存在することを示唆した。さらに、DRGニューロンにおいて、Slack KNaチャネルとNav1.8との間で共免疫局在が以前に観察された。これらのデータはまた、Magi-1ノックダウン後のNav1.8とSlackチャネルの膜局在化の減少によって示されるように、カップリングの可能性を示唆した。DRGニューロンにおいてMagi-1がNav1.8と相互作用する可能性を調べ、Magi-1がNav1.8とSlack KNaチャネルとのカップリングを促進するかどうかを調べた。Co-IPアッセイでは、Magi-1がNaV1.8チャネルと相互作用することが確認された(図6A)。二重免疫標識研究はまた、培養及びインタクトDRGニューロン及び脊髄内でのMagi-1とNav1.8との間の共局在を示した(図6B)。インタクトDRG溶解物からのSlack及びNav1.8特異的抗体を用いたCo-IP実験を行い、Nav1.8とSlackの同時免疫沈降に成功した(図6C)ことから、Nav1.8及びSlack KNaチャネルがDRGニューロンにおいて、一緒に複合体を形成していることが示された。これらの知見は、Magi-1による感覚ニューロンにおけるSlack及びNav1.8のスキャホールディングを示唆した。
DRGニューロンにおけるインビボMagi-1ノックダウンは、疼痛感受性を低下させた。
Magi-1のインビボ・ノックダウンの、疼痛行動に対する減弱能力を検討した。ショートヘアピンRNA(shRNA)配列を含む非ウイルスベクターの新規な脊髄神経注入技術を用いた。この開示は、マウスに対するこのインビボ・トランスフェクション方法を初めて記述したものであり、この技術は、軸索逆行性輸送を介してDRG感覚ニューロンによるshRNAプラスミドの取り込みを可能にするが、ラットに必要な侵襲的傍脊柱筋切開を必要としなかった。実験概要を図7Aに模式的に示す。未処置の雌雄マウスにおけるMagi-1 shRNAの脊髄内神経注射は、対照shRNAと比較して、熱侵害受容の顕著で持続的な減少を誘導した(図7B、C)。引っ込め時間に関する動物内の差を評価するために、対側(非注射)の足を引っ込める時間(PWL)を同側(注射)のPWLから差し引いた。個々の動物では、Magi-1 shRNAを注射したマウスでは、非ターゲティングshRNAを注射した足と比較して、PWLの有意な〜3秒の増加が認められた。次に、急性炎症性疼痛モデル(ホルマリンアッセイ)において、Magi-1ノックダウンの効果を検討した。5%ホルマリンの足底内(i.pl.)注射は、この急性炎症性疼痛モデルに関連する典型的な二相性炎症性疼痛反応を誘導した。Magi-1 shRNAのインビボ・トランスフェクションの15日後、第I相フリンチング挙動及び第II相リッキング、リフティング及びフリンチング挙動はすべて有意に減少した(図7D)。
shRNA注射マウスのDRG及び坐骨神経内でのトランスフェクション15日後のインビボMagi-1サイレンシングを、免疫組織化学的及び生化学的分析により確認した。Magi-1 shRNAを注射したマウスでは、同側DRG及び坐骨神経において、Magi-1免疫反応性の有意な消失が観察された(同じマウスの対側DRG、及び対照shRNAを注射したマウスと比較して)(図7E)。RT-PCRを用いて、Magi-1転写物ノックダウンも検証された(図12B)。Magi-1タンパク質ノックダウンは、免疫ブロッティングによって確認され(〜70-75%)(図7F)、そしてインビトロで達成されたノックダウンに匹敵した(図3A、B)。まとめると、これらの結果は、Magi-1が痛覚と急性炎症性疼痛を調節することを示唆する。
Nav1.8発現は、インビボでMagi-1ノックダウン後に減少した。
坐骨神経及びランビエ絞輪における免疫組織化学分析はまた、非コードスクランブルshRNA対照と比較した場合、Magi-1 shRNA処理後のNav1.8免疫反応性の予想外であるが有意な減少を明らかにした(図8A)。この発見は、ウエスタンブロット分析によって決定された、Magi-1インビボノックダウン後のDRGニューロンにおいて観察されたNaV1.8タンパク質発現の75%減少によって裏付けられた(図8B)。これらのデータは、膜におけるスキャホールドチャネルに加えて、Magi-1がNav1.8タンパク質安定性に必要であることを明らかにした。最近の研究は、WW仲介相互作用を通して、デンドリンのNedd4-2仲介タンパク質分解を防ぐ、Magi-2の保護的役割を実証した。さらに、Nav1.8タンパク質の喪失及びそれに付随する第II相の炎症性疼痛行動の減少は、Nav1.8ノックアウトマウスで見られる第II相の挙動の減少と一致する。RT-PCRにより、Magi-1ノックダウン中にNav1.8メッセージが変化しないことが確認され、Magi-1がNav1.8タンパク質安定性を調節するという概念が強化された(図12C)。これらの結果は、Magi-1がイオンチャネルタンパク質の安定性を調節するうえで決定的な役割を果たすことを示唆した。
ペプチドを模倣するPYモチーフは、Nav1.8輸送、DRGニューロン興奮性及び疼痛行動を調節する。
PDZ媒介相互作用は、Slack/Magi-1相互作用の絶対的要件であることが実証された(図1D)。Nav1.8チャネルは、複数の内部推定PDZ結合モチーフを含み、PDZドメイン含有タンパク質Pdzd2に結合することが報告された。しかし、Pdzd2ノックアウトマウスでは疼痛行動に変化は認められなかった。一方、Nav1.8チャネルはまた、それらのC末端側にPYモチーフ(PPXY(配列番号76))を含み(図13)、このモチーフは、標的タンパク質分解のためのNedd4-2ユビキチンリガーゼとの相互作用を調節すると仮定された。興味深いことに、Nedd4-2のWWドメインは、Magi-1のWWドメインと高い配列相同性を共有する。さらに、Magiタンパク質は、WW相互作用による分解からNedd4-2標的タンパク質を保護することが示されている。従って、細胞浸透性PYモチーフペプチド模倣物を用いて、Nav1.8のWWドメイン結合を競合オフすることが選択された。Nav1.8 WW結合モチーフに基づいて、同一配列の2つのペプチドを操作した(ペプチドの1つがリン酸化された(チャネル内のThr1926)ことを除いて)。これは、PhosphoSitePlus(登録商標)翻訳後修飾資源ツールを用いてNav1.8をスキャンすることにより、PPXY(配列番号76)ドメインに隣接する4個目のアミノ酸であるThr1926が、推定上リン酸化されることが明らかになったために行われた(図13)。次いで、一次DRGニューロンを、10μMの非リン酸化ペプチド(PY、ミリストイル-SATSFPPSYDSVTRG(配列番号77))、又はリン酸化ペプチド(ホスホ-PY、ミリストイル-SATSFPPSYDSV[pT]RG(配列番号77、ここで、Tはリン酸化されている))で処理して、Nav1.8チャネルWWドメイン結合を打ち負かした。PYペプチドに24時間暴露したニューロンは、総INaのほぼ完全な損失をもたらしたが、対照的に、ホスホ-PYペプチドは、ピークINaを強く増加させた。PY及びホスホ-PYペプチドは、それぞれ、INaの時間依存性の減少又は増加(6時間及び24時間)を示した(図9A、B)。PYペプチド処理(24時間)は、AP発火をほぼ完全に消失させたが(11ニューロンのうち10)、ホスホ-PYは、対照的な反復AP発火を生させた(12のうち7)(図9B)。PYペプチドによる処理後のNav1.8チャネルの表面発現を評価したところ、細胞膜でのNav1.8チャネルの実質的な減少が見出されたが、ホスホ-PYペプチドを用いるとNav1.8膜発現の有意な増加が見出された(図9C)。さらに、PYペプチドとのインキュベーション後、総Nav1.8タンパク質の実質的な減少が観察され、Nav1.8タンパク質の安定性が、このWW結合モチーフに依存することを示唆した。これらの結果は、競合Nav1.8 PYモチーフペプチドのリン酸化状態が、Nav1.8チャネルの安定化に必須であることを示す。さらに、これらのデータは、他のナトリウムチャネルがPYモチーフ相互作用によって潜在的に調節されることを示唆する(図9A、B)。
疼痛行動に対する、ナトリウムチャネル膜局在化の破壊による潜在的な鎮痛効果を評価するために、炎症性疼痛ホルマリンモデルにおいて、競合ペプチドの影響を検討した。マウスの右後足に、同じ足へ5%ホルマリンを注射する24時間前に、PY、ホスホ-PY、又はスクランブルPYペプチド(100μM、20μl)のいずれかの単回i.pl注射を行った。PYペプチドによる前処理は、第II相急性炎症性疼痛を有意に減少させ、ホスホ-PYペプチド前処理マウスは、スクランブルペプチド処理マウスと比較した場合、第II相反応の対照的な増加を示した(図9D)。これらのデータは、インビトロ実験の間に観察されたことを裏付け、PYモチーフに基づくペプチド模倣物を使用して、神経膜の内外にNav1.8チャネルをルーティングする能力を実証する。さらに、これらのデータは、Thr1926のリン酸化状態が、Nav1.8チャネル輸送、ニューロン興奮性、及び急性疼痛行動を決定することを示唆する。
考察
本明細書では、Magi-1が、疼痛伝達経路上で発現されることが記載される:Magi-1の高い発現が、侵害受容性DRGニューロンの細胞体と軸索、及び脊髄の表在性後角の中で観察された。さらに、Magi-1が、Nav1.8の膜局在化及びDRGニューロンにおけるSlack KNaチャネルにとって、重要なスキャホールドであることが実証された。Nav1.8及びSlack KNaチャネルはいずれも、炎症性及び神経障害性疼痛のげっ歯類モデルに関与しており、Magi-1がSlack及びNav1.8チャネルの両方と相互作用することがさらに示されている。さらに、Magi-1サイレンシングが、両方のタイプのイオンチャネルの膜発現を減少させ、DRG神経興奮性の正味の欠如をもたらしたことが判明し、Magi-1がニューロンにおけるイオンチャネル機能の重要な調整因子であることを示唆した。痛みの処理におけるMagi-1の重要性を評価するために、インビボ・サイレンシングMagi-1 shRNAを、脊髄神経注射を用いて、ナイーブマウスのDRGニューロンにトランスフェクトした。これは、ナイーブげっ歯類、特にマウスのDRGニューロンで機能する遺伝子を操作するための新規で迅速な技術である。それは、同じマウスにおいて、同側の改変されたDRGニューロン-対-未変化の対側DRGニューロンの、内部対照試験を可能にする。このインビボ・トランスフェクション法を用いて、Magi-1ノックダウンが、熱侵害受容及び急性炎症性疼痛行動の有意な欠如をもたらすことがわかった。
イオンチャネルをニューロン膜に局在させることに加えて、これらの知見は、Magi-1がイオンチャネルタンパク質の安定性にも重要であることを示す最初の知見である。実際、他のスキャホールド・タンパク質とは異なり、タンパク質のMagiファミリーは、タンパク質を分解から保護するより広い機能を果たし得る。例えば、そのWWドメインを通り抜ける非UL YAP1タンパク質が、Nedd4-2媒介タンパク質分解に対して保護されることが示された。続いて、Magi-2は、デンドリン中の保存されたPYモチーフとのWWドメイン相互作用を介して、Nedd4-2媒介ユビキチン化からもタンパク質デンドリンを保護することが報告された。デンドリンと同様に、Nav1.8は進化的に保存されたPYモチーフを有し、これはNedd4-2の結合部位であることが証明されており、Nav1.8を後続のプロテアソーム分解の標的とする。延長されたインビボMagi-1ノックダウンの間、免疫ブロットによって決定されるように、Nav1.8免疫標識及びタンパク質発現の実質的かつ統計的に有意な減少が観察された(図8A、B)。同様に、DRGニューロン中でのPYペプチドインキュベーションの24時間後、Nav1.8発現のほぼ完全な喪失が観察された。実際、INa密度は、わずか6時間後に50%減少し、これは、TTX-抵抗性及びTTX-感受性Navチャネル膜発現の両方が、PYモチーフに依存することを示唆する。しかしながら、その後のNav1.7タンパク質の免疫ブロット分析は、長期間のインビボMagi-1 shRNAノックダウンの間にいくらかのタンパク質減少が観察されたが、表面Nav1.7タンパク質レベルはペプチド模倣物処理後に変化しなかったことを示した(図16)。胚性DRGニューロンはまた、WW結合ドメインを含むNav1.3チャネルを発現することに留意すべきである(図13)。したがって、我々が観察したTTX感受性チャネルに対するインビトロの効果のいくつかは、このチャネルに起因している可能性がある。それにもかかわらず、これらのデータは、スキャホールド及びタンパク質安定性(Magi-1による)に対するNaVアイソフォームの感受性に差があることを示唆する。さらに、アミノ酸12〜15(-PPRY-(配列番号78))にてそのN末端側に推定PYモチーフを有するSlick KNaサブユニットが、Magi-1と組換え発現された場合、サブユニット単独で発現された場合に比べて、Slickチャネルタンパク質レベルの上昇を伴って、約5倍大きい電流を生成したことが観察された(図2)。これは、そのN末端にこのPYモチーフが存在しないSlack-Bサブユニットとは対照的であった;膜電流はより少ない程度(2倍)に増加し、Slack-Bタンパク質発現の増加は観察されなかった。実際、異種発現系におけるSlackチャネルと比較したSlickチャネルの発現困難性は、このWW結合モチーフ及びUL依存性分解に対する感受性に起因し得る。したがって、これらの結果は、膜に加えてMagi-1を標的とすることが、イオンチャネルを分解経路から保護しており、実際、Magi-1を標的とすることが、イオンチャネルのレベルと機能に影響を与える新しい薬理学的アプローチであることを示唆している。
Magi-1ノックダウンとPYペプチドの両方が、INaの低下、Nav1.8チャネルの安定性の低下、及び疼痛行動の減少を引き起こしたが、ホスホ-PYペプチドによって生じる逆の効果、特にINaの上昇、反復発火の増加、及び侵害防御反応の増悪は予想外であった。PhosphoSitePlus(登録商標)からオンラインで入手可能なホスホプロテオミクスデータは、Nav1.8チャネルにおけるThr1926が推定上リン酸化されることを決定した。Thr1926は、PYモチーフの下流の4つ目のアミノ酸であるので、本発明者らは、この情報を用いて第2のペプチドを設計した(図13)。Scansite(MIT)のウェブベースのソフトウェアを用いると、Thr1926は、カゼインIIキナーゼ又はGSK-3βキナーゼ共通リン酸化部位のいずれかであると予測される。どちらのキナーゼも恒常的に活性なキナーゼであることから、Thr1926が基本的にリン酸化されている可能性が高いことが示唆される。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、ホスホ-PYペプチドは、ULにおいてリン酸化されたNav1.8チャネルと競合し、かなりの割合のNav1.8チャネルがユビキチン化され、細胞質ゾル内に保持されることを妨げると推測される(図9E)。さらに、24時間にわたってNav1.8タンパク質のインプットレベルの統計的に有意な増加は観察されず、これは、少なくともこの時間窓の間に、内部に局在化したチャネルの大部分がモノユビキチン化状態にある可能性が高いことを示す。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図しないが、脱リン酸化Thr1926が、Magi-1に対してより高い親和性を有することがさらに推測され、これは競合するPYペプチドが、Nav1.8チャネル膜発現の欠損を引き起こした理由を説明する。この場合、総Nav1.8チャネルタンパク質レベルの実質的な減少が観察され、24時間以内に、チャネルの最終的な運命が分解であったことを示唆した。それにもかかわらず、これらの結果は、PYモチーフがNav1.8チャネル輸送の主要な決定因子であり、そしてMagi-1がDRGニューロンにおけるナトリウムシグナロソームの重要な構成要素であることを強く示唆する(図9E)。
PYペプチド模倣物の単回皮内注射が、投与の24時間後に有意な鎮痛を生じたことが、本明細書において実証される(図9D)。PYペプチドは、局所長期持続鎮痛薬として作用し、長期にわたる鎮痛を必要とする侵襲的処置のため及び/又は術後オピオイドの必要性を減少させるための治療的価値を有する可能性がある。対照的に、ホスホ-PYペプチドは、Nav1.8チャネルをDRGニューロン膜に駆動し、侵害防御行動を悪化させ、それゆえ、疼痛非感受性関連疾患に対して潜在的価値を有する。ミリストイル化は、ペプチドが膜を通って分配することを可能にするが(おそらくはフリップ-フロップ機構によって)、ペプチドの大部分は膜の内表面に繋ぎ止められたままである。この膜で区切られた特徴は、ペプチドがそれらの模倣効果を発揮する能力を増強し得る(特に膜関連タンパク質について)。細胞透過性及び内側リン脂質二重層内へのペプチドの固定を引き起こすことに加えて、ペプチドのミリストイル化及びそれらの固有の疎水性は、ペプチドが注射部位に局在化されることを確実にする可能性が高い。さらに、これらのペプチドの代謝は、おそらくインビボでのそれらの長期持続効果に寄与するリン脂質膜代謝回転を必要とする。TRPA1-TRPV1複合体に重要なT-mem100タンパク質に対するペプチド模倣物の同様の皮内注射アプローチを用いた従前の研究は、パクリタキセル誘発慢性疼痛の鎮痛効果を示した。従って、ミリストイル化細胞透過性ペプチドの使用は、神経終末活動を操作するための潜在的な治療アプローチを提供する。
抹消DRGニューロンにおけるMagi-1の高い発現に加えて、Magi-1は中枢神経系内でもしっかりと発現されている。したがって、DRGニューロンにおけるMagi-1によるNav1.8及びSlack KNaチャネルのスキャホールディング及び膜安定化は、NaVチャネルを含むTTX感受性WW結合モチーフでも同様に起こり得る(中枢神経内において)。実際、これらのデータは、培養DRGニューロンにおけるMagi-1のノックダウンが、TTX感受性INaの有意な減少ももたらすことを示し、これは、多数のNavチャネルアイソフォームが、WW結合ドメインを含むためと考えられる(図13)。Navチャネルの機能喪失型変異は、メンタルヘルス障害と関連している。Magi-1欠乏がナトリウム輸送の低下及び興奮性低下を引き起こすため、これらの所見は、Magi-1欠乏が複数の精神医学的症候群とも関連する理由を解決するのに役立つ可能性がある。ホスホ-PYペプチドは、低興奮性に関連する神経疾患において、興奮性を増加させる新規治療プラットフォームとして役立つことが期待される。
実験手順
本研究で使用した動物はすべて、バッファロー大学(UB)実験動物施設で、12/12の明/暗サイクルで、食物及び水に自由にアクセスできるようにして飼育した。すべての実験手順は、国立衛生研究所の「実験動物の飼育及び使用に関するガイド」におけるガイドラインに準拠し、バッファロー大学の動物実験委員会で大学の承認を受けた。
初代DRGニューロン培養
妊娠Sprague-Dawleyラット(Harlan、Indianapolis、IN)をニューロンの培養のために使用した。切開当日、ラットをCO2窒息により安楽死させ、E15胚を抽出した。DRGニューロンを胚から切断し、37℃にて45分間、トリプシン(2.5mg/ml)で酵素的に消化し、続いて解離及びプレーティングした。DRGニューロンを、ポリ-D-リジン(Sigma; 100μg/ml)及びラミニン(Invitrogen; 3μg/ml)被覆カバースリップ上にプレーティングした。ニューロンを、50%のDMEM及び50%のF-12中に、栄養因子N2(Gemini Bio products;1%)、l-グルタミン(Invitrogen;200μg/ml)、及び神経増殖因子(NGF)(Harlan;100ng/ml;胚性ニューロン生存に必須)を含む無血清培地中で、7%CO2加湿インキュベーター内で、37℃で維持した。胚性DRGニューロンのNGFへの依存は、痛覚及び温度感覚の基礎をなすと考えられている小径集団を選択する。DRG切開後2日間連続して、DRGニューロンを、抗有糸分裂剤シトシンβ-d-アラビノフラノシド塩酸塩(Sigma; 3μM)を含有するC2培地中で培養した。これに続いて2日間の回復期間を設け、ニューロンを実験に使用する前に、通常の無血清培地をニューロンに与えた。胚培養を用いたその後のすべての実験は、ニューロン培養の5〜10日目に行った。
細胞培養
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、10%FBS、1%ヒポキサンチン/チミジン(HT)サプリメント(Life Technologies)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したイスコフ(Iscove)改変ダルベッコ培地(IMDM)中、37℃にて5%CO2中で培養した。CHO細胞を、免疫標識実験のために12mmカバースリップ上に、すべての電気生理学実験のために35mmディッシュ中に、及び生化学実験のために6ウェル培養プレート中にプレーティングした。細胞を、0.5μgのSlick(pTRACER)又は0.5μgのSlack(pTRACER)+0.5μgのMagi-1(pcDNA3.1; Addgene)、あるいは0.5μgの空ベクターのいずれかで、製造者のガイドラインに従ってリポフェクタミン(ThermoScientific)を用いて同時トランスフェクトした。5'末端にコザック配列を含むようにMagi-1クローンを変異させ、タンパク質の発現を高めた。
DRG siRNAトランスフェクション
Magi-1に対する低分子干渉RNA(siRNA)を、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA, USA)から購入した。スクランブルされた配列からなる陰性対照siRNAを、同じ販売会社から得た。各実験について、ニューロンを、Magi-1 siRNA又は非ターゲティング対照siRNAでトランスフェクトした。培養したDRGニューロン(上記)を、製造者のプロトコルに従って、リポフェクタミン2000(ThermoScientific)を用いてトランスフェクトした。手短に説明すると、1.5μlのリポフェクタミン2000を、50μlのOpti-mem培地で希釈し、この混合物を室温で5分間静置した。5分後、この混合物を、40pmolのスクランブル又はMagi-1 siRNA(3つの異なるsiRNA二本鎖をプールした)を含む50μlのOpti-memと合わせた後、混合物を室温で30分間インキュベートしてから、24ウェルプレート中の12mmのカバースリップ上に蒔いた細胞に、加えた。DRG培養培地に添加したsiRNA混合物を、DRGニューロンと48〜72時間インキュベートした後、電気生理学的記録のために使用した。ウェスタンブロッティングのために、各6ウェルプレートにおいて300pmolのsiRNAを使用した。siRNAをトランスフェクトしたDRGニューロンを、トランスフェクションの48〜72時間後、実験で使用した。電気生理学的実験のために、DRGニューロンを、GFP含有プラスミドpTRACER及びsiRNA二重鎖で同時トランスフェクトした(トランスフェクションの陽性指標)。培養ニューロンに対する免疫蛍光法は、以前に記載されたように行った。研究者は、トランスフェクション条件について盲検化された。
電気生理学
すべてのデータは、Axopatch 200B増幅器(Molecular Devices)及びMulticlamp-700B(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を使用して取得し、デジタル化し、5kHzでフィルタリングした。データ収集は、pClamp 10(Molecular Devices)を用いてモニターし、制御した。培養DRGニューロン、及びWT又は変異Slack(Magi-1について)を一過性にトランスフェクトしたCHO細胞について、ホールセル・パッチクランプ記録を行った。ガラス電極を、垂直ピペットプラー(Narishige International USA、Amityville、NY)を用いて引っ張り、5〜8MΩ抵抗となるように先端熱加工した。ニューロン記録のために、ピペットを、124 K-グルコン酸塩、2 MgCl2、13.2 NaCl、1 EGTA、10 HEPES、4Mg-ATP、及び0.3 Na-GTPを含む(単位:mM)溶液(pH 7.2)で満たし、及び、CHO細胞Slack及びSlickについては、32.5mM KCl、97.5mMグルコン酸カリウム、5mM EGTA、及び10mM HEPES(pH 7.2)で満たした。全ての細胞のための浴液は、140 NaCl、5.4 KCl、1 CaCl2、1 MgCl2、10 HEPES、及び10グルコースを含んだ(単位:mM)(pH 7.4)。同じ浴液及びピペット溶液を、電圧クランプモード及び電流クランプモードの両方で使用した。電圧クランプモードでは、-120〜+120の範囲の電圧で巨視的電流を記録した。細胞を-70 mVでクランプし、20 mVの電圧ステップを200ミリ秒間適用した。CHO細胞の細胞容量は、10〜15pFであり、培養DRGニューロンでは、20〜25pFであった(これらの条件下で記録)。10 pAの増分で10〜200pA(持続時間20ms)の脱分極ステップからなる電流クランププロトコルを使用して、活動電位発火を試験した。個々のニューロンの発火頻度を、400 pAの閾値超え刺激を1000ms間与えたときの反復放電の測定によって評価した。INa記録のために、ピペット溶液は、130 CsCl、13 CsF、10テトラエチルアンモニウムクロリド、1 MgCl2、1 EGTA、2.5 Na2ATP、10 HEPESを含み(mM)、pHをCsOHを用いて7.2に調整した。浴液は、140 NaCl、5.4 KCl、1 CaCl2、1 MgCl2、10 HEPES、10グルコース(pH 7.4)を含有した(mMで)。TTX-抵抗性INaについては、250 nM TTXを含有する浴液中でDRGニューロンを記録した。DRGニューロンを-60〜+60mVの範囲の電圧で記録した。細胞を-70 mVに保持し、INaを、50ミリ秒間、増分10 mVの脱分極ステップによって誘発した。
免疫組織化学
坐骨神経(SN)、腰部脊髄(SC)、腰部、及び胸部DRGを成体マウスから単離した。簡単に述べると、動物をfetal plusで麻酔し、ヘパリン(50μg/ml)及び亜硝酸ナトリウム(5mg/ml)を含有する氷冷PBS、続いて氷冷4%パラホルムアルデヒド(PFA)で経心潅流した。続いて、DRG、SN、及びSCを除去し、周囲組織を洗浄し、4℃で一晩、4%PFA中でポストフィックスした。翌日、SN及びDRGを、20%スクロース(Cryoprotect)に移した。2日後、SN及びSCをスクロースから取り出し、凍結培地に包埋し、将来の使用のために-80℃で保存した。 クライオスタットを用いて、DRGの16μm切片、SNの10μm切片、及びSCの20μm切片を作製した。スライスを、0.4%Triton X-100を含有するPBS溶液で透過処理した。次いで、切片を、5%BSAを含有するPBSを用いて室温で2時間ブロックした。次いで、切片を、5%BSAを含有するPBS中の一次抗体の混合物と共に、4℃で一晩インキュベートした。マウス抗-NaV1.8抗体(1:250;NeuroMab)、ウサギ抗-Magi-1抗体(1:100;Abcam)、マウス抗-Magi-1抗体(1:100;Novus Biochemical)、ウサギ抗-Caspr(1:250;Abcam)及びニワトリ抗-Slack抗体(1:750)を含む全ての一次抗体は、以前に検証されている。数回のリンス後、二次抗体Alexa Fluor 633ヤギ抗-マウス、Alexa Fluor 488ヤギ抗-ウサギ、及びAlexa Fluor 546ヤギ抗-ニワトリを一晩添加した(1:1000)。次いで、カバースリップを、4',6'-ジアミジノ-2-フェニルインドール二塩酸塩を含むProlong Gold antifade試薬を使用してスライド上に乗せた。MetaMorphソフトウェア(Molecular Devices)を用いて、Magi-1免疫標識のセルサイズ特性を分析した。
ウエスタンブロット分析
総タンパク質は、トランスフェクトCHO細胞、脊髄及びDRGから収集した。組織を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を補充したRIPA緩衝液中でホモジナイズした。免疫ブロッティングは、以前に記載されたように行った。簡単に述べると、タンパク質を4〜15%Mini-PROTEAN TGX Precast Gel(Bio-Rad)上で分離し、0.45μmのニトロセルロース膜(BioRad)に移した。膜を、1X Tris緩衝生理食塩水tween(TBST)中で調製した5%ミルク中の、Slack抗-マウス(1:500;NeuroMab)、ウサギ抗-β-アクチン(1:500;Millipore)、ウサギ抗-Magi-1(1:100;Abcam)、マウス抗-Magi-1(1:100;Novus Biochemical)、マウス抗-Nav1.8(1:200;NeuroMab)、マウス抗-NaV1.7(1:200;NeuroMab)、マウス抗- Flag(1:500;Sigma)に対する抗体を用いて、4℃で一晩プローブした。翌日、膜を1X TBST中で5分間3回洗浄した後、1X PBS中で調製した抗-マウス又は抗-ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(1:5000;Promega)及び0.1%BSA中で、室温にて1時間インキュベートした。膜を再び3回洗浄(5分間)した後、現像し、画像化した。バンドをenhanced chemiluminescence(Thermo Scientific)で可視化し、Image J Software(NIH)で定量した。各実験を少なくとも3回繰り返した。
共免疫沈降
6ウェルプレート中のCHO細胞を、それぞれMagi-1プラスミド有り又は無しで、WT又は変異Slackで一過性にトランスフェクトした。次いで、細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を補充した100μl/ウェル氷冷RIPA緩衝液で溶解した。60μl/ウェルのProtein G-linked Sepharoseビーズスラリー(GE Healthcare)を氷冷溶解緩衝液で3回洗浄し、0.1%Tween-20及び細胞溶解物を含むPBS中のウサギMagi-1抗体(Abcam)又はマウス抗-Slack抗体(neuroMab)4μgと共に4℃で一晩、回転子上でインキュベートした(3ウェル/サンプル)。翌日、サンプルを遠心分離し、上清を別々に保存した。ペレットを冷-溶解緩衝液で3回洗浄し、結合したタンパク質を、それぞれ9℃で8分間、3回煮沸させることによって溶出した。サンプルを遠心分離してタンパク質を上清中に分離し、次いでこれをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で変性させ、免疫沈降物としてReady Gel(Bio-Rad)(4〜15%Tris-HCl)にロードした。回収した上清及び全細胞溶解物(総インプット)もSDSで変性させ、対照として泳動した。サンプルを、上記のように、ウェスタンブロットによって、Slack又はNav1.8及びアクチンタンパク質のために探索した。
表面タンパク質ビオチニル化
血漿膜タンパク質発現を、タンパク質ビオチニル化アッセイを用いて検出した。簡単に説明すると、6ウェルプレート中のCHO細胞又はDRGニューロンを、プラスミド構築物又はMagi-1ターゲティングsiRNAの一過性トランスフェクションの48時間後に、それぞれ使用した。ペプチドインキュベーションのために、ニューロンを24時間インキュベートした。160μlの10mM Sulfo-NHS-SS-ビオチン(Thermo Scientific)を各ウェルに添加し、室温で45分間インキュベートした。ビオチン化反応は、10mMグリシン(クエンチング溶液)を用いて終了させた。細胞を回収し、TBS中で洗浄し、溶解緩衝液/プロテアーゼ阻害剤カクテル中で30分間氷上で溶解した。溶解物を回収し、500 uLのNeutrAvidin Agaroseと共に室温で60分間回転させながらインキュベートした。インキュベーションに続いて、カラムを遠心分離にかけ、非ビオチン化タンパク質を収集した。ビオチン化タンパク質を溶出するために、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びジチオスレイトール(DDT)をカラム膜に添加し、室温で1時間回転させながらインキュベートした。ビオチン化サンプル及び非ビオチン化サンプルを、上記のように、ウェスタンブロットによって、Slack又はNav1.8及びアクチンタンパク質についてプローブした。
侵害受容(痛覚)試験
ベースラインの熱侵害受容性挙動を、Ugo Basile(Varese、Italy)による自動化Hargreaves Apparatusを用いて測定した。ナイーブC57Bl/6マウス(8〜10週間)(Envigo)を2日間馴化させ、続いて3日間測定した。1日目及び2日目(馴化)、マウスは試験室に適応したホームケージで30分間過ごし、次いで、試験チャンバーに1時間移した。3日目から5日目に、マウスに試験を実施した。プレキシガラス床を通して後足の足底表面を赤外線刺激(IR 40)し、引っ込めるまでの潜時を自動的に測定した。各被験体について、後足当たり3〜6回の測定を行い、これを用いて、引っ込めるまでの平均潜時(秒)を計算した。15秒の最大IR暴露時間は、組織損傷が起こらないことを確実にするために確立され、同じマウスに行った測定と測定との間に少なくとも5分間を許容した。
jetPEI (登録商標) /Magi-1 shRNAプラスミドDNAポリプレックスによるインビボ・トランスフェクション
脊髄神経注射プロトコルを採用し、マウスの脊髄神経注射のために最適化した。ベースライン熱挙動が確立された3日後、イソフルランを用いてマウスを麻酔し(導入:4%、維持:2%)、腹臥位で置いた。脊椎の腰部で3cmの後方長手皮膚切開を行った。同側の傍脊柱筋を、1対の滅菌したつまようじを用いて、脊柱のL4〜S1レベルにおけるそれらの付着部から注意深く分離した。1.5μlのPEI/shRNAプラスミドDNAポリプレックス(N/P比:6)を、26ゲージ針(Hamilton 80030、Hamilton、Reno、NV)に接続した注射器を用いて、右後足の脊髄神経にゆっくりと直接注射した。Magi-1 shRNA及び対照shRNAは、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA、USA)から購入し、前記siRNA配列と同一であった。注射後、針を脊髄神経に1分間保持して漏出を防いだ。完全な止血を確認し、創傷を創傷クリップで縫合した。マウスを7日間回復させた後、熱侵害受容性挙動を再び試験した。
ホルマリン試験
ホルマリン注射の前に、行動観察室内で15分間、次いでホルマリンチャンバー内で30分間マウスを慣らした。20マイクロリットルの5%ホルマリン(滅菌生理食塩水中)を右後足の足底内に注射し、マウスをビデオ記録のためにチャンバーに戻した。リフティングに費やした合計時間、リッキングの合計数、及びフリンチングの数を、5分間隔で60分間記録した。各ビデオ記録について、実験条件を知らされていない二人の観察者からの測定値を平均して、各時点での最終測定値を得た。
RNA抽出及びcDNA合成
RNeasy Micro Kit(Qian)を、マウス腰部DRGニューロンからの全RNA抽出のために使用した。RNAをSuperScript III逆転写酵素(Life Technologies)で逆転写した。ポリメラーゼ連鎖反応を、このcDNAをテンプレートとして用いて、以前に検証されたプライマーを用いて、Magi-1及びNaV1.8に対して実施した。SYBR Green PCR Master Mixを用いて、サーモサイクラーにより転写量を測定した。定量のために、50サイクルの二段階変性・アニーリングプロトコルを使用し、15秒の吸光度を読み取った(BioRad iQ5サイクラーで)。各サンプルについて3回繰り返した。
ペプチド
ラットSlackチャネルのC末端配列に基づいて、N末端ミリストイル化PDZペプチド模倣物 NPETRDETQL(配列番号79)を設計した。このペプチド及びスクランブル変異ペプチド、QPNTRLDETE(配列番号80)を、GenScriptによって合成した。同様に、PYペプチド SATSFPPSYDSVTRG(配列番号77)、及びホスホ-PYペプチド SATSFPPSYDSV(pT)RG(配列番号77、Tはリン酸化されている)を、ラットNav1.8チャネルにおけるWW結合ドメインに基づいて設計した。これらのペプチド及びスクランブルされたペプチド SDRPVTSYSFSAPG(配列番号81)もまた、GenScriptによって合成した。ペプチドを最初にDMSOに溶解し、生理食塩水中で最終作業濃度に希釈した。10μMのペプチド濃度を、先に記載されたように、一次ニューロンで使用した;最終DMSO濃度は0.05%であった。異なるミリストイル化ペプチドの後足皮内注射の鎮痛効果を実証する以前の研究に基づいて、足底内投与を選択した。
任意のホスホ-トレオニンペプチドのために、トレオニンはトリチルエーテル[Fmoc-Thr(Trt)-OH]によって保護される。トリチル保護誘導体は、樹脂上で選択的に脱保護されることができ、これは、包括的リン酸化方法論によるホスホトレオニン含有ペプチドの調製に有用である。包括的リン酸化は、固相上の適切なヒドロキシルトレオニンの保護されたホスホラミダイトによる選択的リン酸化、続いて、結果として得られたP(III)トリエステルのP(V)トリエステルへの酸化を含む。最後に、ミリストイル化は、タンパク質のN-ミリストイル化を触媒する(N末端で)酵素である、N-ミリストイルトランスフェラーゼによって達成された。
統計
Clampfit(Molecular Devices)及びOrigin 8.0(Origin Lab)ソフトウェアを、すべての電気生理学データ分析のために使用した。ウェスタンブロットの濃度測定分析は、Image J(NIH)ソフトウェアを用いて行った。統計分析は、GraphPad Prism 4(GraphPad、San Diego、CA)を用いて行った。シングルの群間比較を、スチューデントt検定を用いて行った。ペアワイズ群間差を検出するために、一元配置又は二元配置ANOVAに続いてボンフェローニ検定を用いる多重比較を検討した。データは、平均+/-SEMとして示される。
リアルタイムPCRのためのRNA抽出及びcDNA合成
ニューロン培養物からのRNA抽出のために、RNeasy Micro Kit(Qiagen)を使用した。RNAをSuperScript III逆転写酵素(Life Technologies)で逆転写してcDNAとし、その後のRT-PCRに用いた。SYBR Green PCR Master Mixを用いてサーモサイクラーにより転写量を測定した。定量のために、50サイクルの二段階の変性・アニーリングを使用し、15秒の吸光度を読み取った(BioRad iQ5サイクラーで)。各サンプルについて3回繰り返した。RT-PCRのプライマーは、以下の通りである:
Magi-1プライマー
5 -GTCTTCGAGGGGGCCGAGAATATAACATGG-3 (配列番号82)
5 -GGTGGAGGGGCCGTTCCTGTCG-3 (配列番号83)
Na V 1.8プライマー
5' CCCAAAGGGCAGCAGGAGCTG-3′(配列番号84)
5′-CGGCGAGTGCAGCCTTCTGTGA-3′(配列番号85)
5′-CTGCCACAAGTCCAAAAGTGTGAA-3′(配列番号86)
5′-AGTCATCGGGCTCGTCCAGATC-3′(配列番号87)
ヒトに対するMAGI-1 shRNAをコードするプラスミドDNA
疼痛治療のための治療用shRNAを作成するために、3つのユニークな干渉RNA配列についてヒトMagi-1 mRNA配列をスクリーニングし、次いで、それらの配列の各1つ(DNA形態)を、ヒトNav1.8チャネルのための最小プロモーターを含むプラスミドに挿入し、それにより3つのプラスミドを作製する。最小Nav1.8チャネルプロモーター下で駆動されるshRNAの発現は、Magi-1を標的とするshRNAが、痛覚ニューロンでのみ発現されることを保証するであろう。
本開示が、1つ又は複数の特定の実施形態及び/又は実施例を参照して説明されてきたが、本開示の他の実施形態及び/又は実施例が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。

Claims (28)

  1. 以下の配列を含むペプチド:
    123456PX7YX89VX101112(配列番号75)、ここで、
    1は、S、P、Aから選択される;
    2は、T、S、Aから選択される;
    3は、A、Tから選択される;
    4は、A、T、I、Sから選択される;
    5は、C、S、Fから選択される;
    6は、P、Lから選択される;
    7は、任意のアミノ酸残基である;
    8は、E、D、Yから選択される;
    9は、S、Rから選択される;
    10は、T、A、E、Dから選択され、Tはリン化されていてもよい;
    11は、K、Rから選択され;及び
    12は、P、A、Gから選択される。
    ここで、X1、X2、X3、X4、X10、X11、又はそれらの組み合わせは、アシル化されている。
  2. アシル基が、
    であり、nは4〜18である、請求項1に記載のペプチド。
  3. アシル基がミリストイル基である、請求項2に記載のペプチド。
  4. 1がS又はPである、請求項3に記載のペプチド。
  5. ペプチドが、配列番号1〜7、15〜21から選択される配列を有する、請求項4に記載のペプチド。
  6. ペプチドが、配列番号8〜14、22〜35から選択される配列を有する、請求項4に記載のペプチド。
  7. 6がPであり、及び/又は、X1がSである、請求項4に記載のペプチド。
  8. ペプチドが、以下の配列を有する、請求項1に記載のペプチド:
    STTSPPSYDSVTKP(配列番号6)、
    ATSFPPSYESVTRG(配列番号7)、
    STTSPPSYDSVKP(配列番号13)、
    ATSFPPSYESVRG(配列番号14)、
    STTSPPSYDSVAKP(配列番号20)、
    ATSFPPSYESVARG(配列番号21)、
    STTSPPSYDSVEKP(配列番号27)、
    ATSFPPSYESVERG(配列番号28)、
    STTSPPSYDSVDKP(配列番号34)、又は
    ATSFPPSYESVDRG(配列番号35)、
    ここで、下線を引いたSはミリストイル化され、下線を引いたTはリン酸化されている。
  9. 請求項1に記載の1又は複数のペプチド、及び、薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物。
  10. 1又は複数の鎮痛剤及び/又は1又は複数の麻酔剤をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 1又は複数の鎮痛剤及び/又は1又は複数の麻酔剤が、ブピバカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、メロキシカム、ケトロラク、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ピロキシカム、メタミゾール、又はそれらの組み合わせである、請求項10に記載の組成物。
  12. Magi-1ターゲティングshRNA、及び/又は、Magi-1ターゲティングsiRNAをさらに含む、請求項9に記載の組成物。
  13. 治療を必要とする被験体において疼痛を治療するか又は疼痛感受性を増加させる方法であって、
    治療を必要とする被験体に、治療有効量の請求項9に記載の1又は複数の組成物を投与することを含み、
    治療を必要とする被験体の疼痛が改善されるか、又は治療を必要とする被験体の疼痛感受性が増加する、方法。
  14. 1又は複数の鎮痛剤及び/又は1又は複数の麻酔剤を投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 投与工程が、痛みを予期して行われる、請求項13に記載の方法。
  16. 治療を必要とする被験体が、損傷、慢性疾患、慢性炎症、モートン神経腫、手術/術後の疼痛、又はそれらの組み合わせを有する、請求項13に記載の方法。
  17. 損傷が、脊髄損傷、神経損傷、熱傷、又はそれらの組み合わせである、請求項16に記載の方法。
  18. 慢性疾患が、糖尿病、帯状疱疹、大うつ病性障害、線維筋痛関節炎、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、統合失調症、自閉症スペクトラム症、癌、又はそれらの組み合わせである、請求項16に記載の方法。
  19. 投与工程が、ナトリウム電流の増加又は減少を誘発する、請求項13に記載の方法。
  20. 被験体に投与されるペプチドが、配列番号1〜7、15〜21、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有する、請求項13に記載の方法。
  21. 1回の投与工程後に1〜120時間、被験体の疼痛が改善される、請求項20に記載の方法。
  22. 1回の投与工程後に24〜120時間、被験体の疼痛が改善される、請求項21に記載の方法。
  23. 被験体に投与されるペプチドが、配列番号8〜14、22〜35、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有する、請求項13に記載の方法。
  24. 1回の投与工程後に1〜120時間、被験体の疼痛感受性が増加する、請求項23に記載の方法。
  25. 1回の投与工程後に24〜120時間、被験体の疼痛感受性が増加する、請求項24に記載の方法。
  26. 被験体が、配列番号1〜7、15〜21及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与され、続いて、配列番号8〜14、22〜35及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与される、請求項13に記載の方法。
  27. 被験体が、配列番号8〜14、22〜35、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与され、続いて、配列番号1〜7、15〜21及びそれらの組み合わせから選択される配列を有するペプチドを投与される、請求項13に記載の方法。
  28. 投与工程が、以下の配列を有する1又は複数のペプチドを投与することを含む、請求項13に記載の方法:
    STTSPPSYDSVTKP(配列番号6)、
    ATSFPPSYESVTRG(配列番号7)、
    STTSPPSYDSVKP(配列番号13)、
    ATSFPPSYESVRG(配列番号14)、
    STTSPPSYDSVAKP(配列番号20)、
    ATSFPPSYESVARG(配列番号21)、
    STTSPPSYDSVEKP(配列番号27)、
    ATSFPPSYESVERG(配列番号28)、
    STTSPPSYDSVDKP(配列番号34)、又は
    ATSFPPSYESVDRG(配列番号35)
    ここで、下線を引いたSはミリストイル化され、下線を引いたTはリン酸化されている。
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