JP2021505565A - 補体活性のモジュレータ - Google Patents
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Abstract
本開示は、R5000を投与することにより、エクリズマブへの様々な曝露を有する対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を治療する方法を提供する。この方法には、対象をエクリズマブによる治療からR5000に切り替える方法が含まれる。
Description
本発明は、補体活性のモジュレータに関する。
脊椎動物の免疫応答は、適応免疫成分および自然免疫成分で構成されている。適応免疫応答は特定の病原体に対して選択的であり、応答が遅い一方で、自然免疫応答の成分は広範囲の病原体を認識し、感染すると迅速に応答する。自然免疫応答のそのような成分の1つは補体系である。
補体系には、主に肝臓で合成される約20個の循環する補体成分タンパク質が含まれる。この特定の免疫応答の成分は、それらが細菌の破壊において抗体応答を補完するという観察の結果から、最初は「補体」と呼ばれていた。これらのタンパク質は、感染に応答して活性化される前は、不活性な状態のままである。活性化は、病原体の認識によって開始され、かつ病原体の破壊につながるタンパク質分解性開裂の経路を経由して起こる。3つのこのような経路は補体系において周知であり、古典経路、レクチン経路、代替経路と呼ばれている。古典経路は、IgGまたはIgM分子が病原体の表面に結合すると活性化される。レクチン経路は、細菌の細胞壁の糖残基を認識するマンナン結合レクチンタンパク質によって開始される。代替経路は、特定の刺激がない場合でも低レベルにて活性な状態にある。3つの経路はすべて開始事象に関して異なってはいるが、3つの経路はすべて補体成分C3の開裂で収束する。C3は、C3aおよびC3bと呼ばれる2つの産物に開裂される。これらのうち、C3bは病原体表面に共有結合するが、C3aは拡散シグナルとして作用して炎症を促進し、循環免疫細胞を動員する。表面に関連したC3bは他の成分と複合体を形成し、補体系の後の成分間の反応のカスケードを開始する。表面付着が要件となるので、補体活性は局所化されたままであり、非標的細胞への破壊を最小限に抑える。
病原体に関連したC3bは、2つの方法で病原体の破壊を促進する。1つの経路では、C3bは食細胞によって直接認識され、病原体の貪食を引き起こす。2番目の経路では、病原体に関連したC3bが膜侵襲複合体(MAC)の形成を開始する。最初のステップでは、C3bは他の補体成分と複合体を形成し、C5−転換酵素複合体を形成する。初期の補体活性化経路に応じて、この複合体の成分は異なる場合がある。古典補体経路の結果として形成されるC5−転換酵素は、C3bに加えてC4bおよびC2aを含む。代替経路によって形成される場合、C5−転換酵素はC3bの2つのサブユニットと1つのBb成分とを含む。
補体成分C5は、いずれかのC5−転換酵素複合体によってC5aとC5bとに開裂される。C5aは、C3aと同様に、循環中に拡散して炎症を促進し、炎症性細胞の化学誘引物質として作用する。C5bは細胞表面に付着したままで、C6、C7、C8、およびC9との相互作用を通じてMACの形成をトリガーする。MACは膜にまたがる親水性の細孔であり、細胞内外への流体の自由な流れを促進し、それによって細胞を破壊する。
すべての免疫活動の重要な成分は、自己細胞と非自己細胞とを区別する免疫システムの能力である。病変は、免疫系がこの区別をすることができないときに発生する。補体系の場合、脊椎動物細胞は補体カスケードの影響からそれらを保護するタンパク質を発現する。これにより、補体系の標的が病原性細胞に限定されることが保証される。多くの補体関連障害および疾患は、補体カスケードによる自己細胞の異常破壊に関連している。一例において、発作性夜間血色素尿症(PNH)を患っている対象は、造血幹細胞上で補体調節タンパク質CD55およびCD59の機能バージョンを合成することができない。これにより、補体を介した溶血とさまざまな下流の合併症が発生する。他の補体関連障害および疾患には、限定されるものではないが、自己免疫疾患および障害;神経疾患および神経障害;血液の疾患および障害;そして感染による疾患および障害、が含まれる。実験的証拠は、多くの補体関連障害が補体活性の阻害により緩和されることを示唆している。したがって、関連する徴候を治療するために、補体介在性の細胞破壊を選択的に阻止するための組成物および方法が必要である。本発明は、関連する組成物および方法を提供することにより、この必要性を満たす。
いくつかの実施形態において、本開示は、対象において発作性夜間血色素尿症(PNH)を治療する方法を提供し、同方法において、対象はエクリズマブで以前に治療されておらず、同方法は、少なくとも12週間の間の、皮下注射による、R5000の、対象による毎日の自己投与を含む。R5000は、プレロードされた(pre−loaded)シリンジを使用して投与できる。投与は、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量であり得る。約0.3mg/kgのR5000の初期負荷用量(initial loading dose)を投与することができる。R5000は、約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間、その後、約0.3mg/kgの修正(modified)治療用量で投与することができ、対象の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルは、R5000投与の最初の2週間は、上限正常(upper limit normal)(ULN)レベルの1.5倍以上である。R5000は少なくとも24週間投与することができる。R5000は、少なくとも36週間投与することができる。対象サンプルの溶血レベル(%)は、R5000投与の1週間後に約90%以上低減させることができる。対象のLDHレベルは、R5000投与期間の50%超にわたり、ULNレベルの4倍未満であり得る。ブレイクスルー溶血のリスクを軽減できる。対象は、R5000投与期間中に、輸血依存性対象から輸血非依存性対象に転換され得る。対象の生活の質は改善され得、ここで、対象の生活の質は、慢性疾患療法(FACIT)疲労スコアの機能的評価によって決定される。
本開示のいくつかの方法は、エクリズマブによる治療を受けている対象において、PNHを治療する方法を含み、同方法は、対象をエクリズマブ治療から少なくとも12週間のR5000の毎日の皮下への自己投与に切り替えることを含む。R5000は、プレロードされたシリンジを使用して投与できる。R5000は、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量で投与することができる。R5000は、約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与され、その後、約0.3mg/kgの修正治療用量で投与されてもよく、対象のLDHレベルは、R5000投与の最初の2週間は、ULNレベルの1.5倍以上である。R5000は少なくとも24週間投与することができる。R5000は、少なくとも36週間投与することができる。対象サンプルの溶血レベル(%)は、R5000投与の1週間後に約90%以上低減させることができる。対象のLDHレベルは、R5000投与期間の50%超にわたり、ULNレベルの4倍未満であり得る。ブレイクスルー溶血のリスクを軽減できる。対象は、輸血依存性対象および輸血非依存性対象から選択され得る。対象は輸血非依存性対象であってもよく、対象のLDHレベルはULNレベルの4倍未満に低下する。対象のLDHレベルは、ULNレベルの1.5倍以下のレベルに下げることができる。対象は、エクリズマブ治療に対して不十分な反応を示す可能性がある。エクリズマブ治療に対する不十分な反応は、対象におけるC5開裂の効果のない阻害;エクリズマブの用量が低いことおよび/または対象血漿レベルが低いこと;および/または対象におけるエクリズマブのクリアランス、に関連している可能性がある。対象のエクリズマブ不耐症のために、エクリズマブの用量を下げた可能性がある。対象のエクリズマブ不耐症には、疲労および注入後の痛みの1つ以上が含まれる場合がある。ブレイクスルー溶血(breakthrough hemolysis)の少なくとも1つの発生は、R5000による継続的な治療によって制御できる。同方法は、ブレイクスルー溶血の少なくとも1つのリスク因子について対象をスクリーニングすることを含み、ここで、ブレイクスルー溶血は、エクリズマブ治療からR5000治療への切り替えに関連している。少なくとも1つのリスク因子には、既存の(pre−existing)C3介在性血管外溶血が含まれる場合がある。少なくとも1つのリスク因子は、輸血依存性を含み得る。少なくとも1つのリスク因子は、ULNレベルの2倍以上である対象のベースライン網状赤血球レベルを含み得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、対象のPNHを治療する方法を提供し、対象は、過去6か月以内にエクリズマブ治療を受けたことがある。この方法は、少なくとも12週間の期間の皮下注射によるR5000の毎日の自己投与を含むことができ、対象は、R5000の自己投与の少なくとも最初の4週間はエクリズマブ治療を受けない。R5000は、プレロードされたシリンジを使用して投与できる。R5000は、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量で投与することができる。R5000は、約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与され、その後、約0.3mg/kgの修正治療用量で投与されてもよく、対象のLDHレベルは、R5000投与の最初の2週間は、ULNレベルの1.5倍以上である。R5000は少なくとも24週間投与することができる。R5000は少なくとも48週間投与できる。対象サンプルの溶血レベル(%)は、R5000投与の1週間後に約90%以上低減させることができる。対象のLDHレベルは、R5000投与期間の50%超にわたり、ULNレベルの4倍未満であり得る。ブレイクスルー溶血のリスクを軽減できる。対象は、輸血依存性対象および輸血非依存性対象から選択され得る。輸血非依存性対象のLDHレベルは、ULNレベルの4倍未満に減少する可能性がある。LDHレベルは、ULNレベルの1.5倍以下のレベルに下げることができる。対象は、エクリズマブ治療に対して不十分な反応を示す可能性がある。エクリズマブ治療に対する不十分な反応は、対象におけるC5開裂の無効な阻害に関連している可能性がある。エクリズマブ治療に対する不十分な反応は、エクリズマブ用量が低いことおよび/または対象血漿のエクリズマブレベルが低いことに関連している可能性がある。エクリズマブ治療に対する不十分な反応は、対象におけるエクリズマブクリアランスに関連している可能性がある。対象のエクリズマブ不耐症のために、エクリズマブの用量を下げた可能性がある。対象のエクリズマブ不耐症には、疲労および注入後の痛みの1つ以上が含まれる場合がある。同方法は、ブレイクスルー溶血の少なくとも1つのリスク因子について対象をスクリーニングすることを含み得る。ブレイクスルー溶血は、エクリズマブ治療からR5000治療への切り替えに関連している可能性がある。少なくとも1つのリスク因子には、既存のC3介在性血管外溶血が含まれる場合がある。少なくとも1つのリスク因子は、輸血依存性を含み得る。少なくとも1つのリスク因子は、ULNレベルの2倍以上である対象のベースライン網状赤血球レベルを含み得る。
本明細書に記載されている方法のいずれかに従うR5000は、塩として投与することができる。塩は1つ以上のカチオンを含み得る。カチオンは、ナトリウム、カルシウム、およびアンモニウムの少なくとも1つを含み得る。
本開示の特定の実施形態の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、以下の説明および添付の図面の説明から明らかになるであろう。
I.化合物および組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、補体活性を調節するように機能する化合物および組成物を提供する。そのような化合物および組成物は、補体活性化を遮断する阻害剤を含み得る。本明細書で使用する場合、「補体活性(complement activity)」には、補体カスケード活性化、C3またはC5などの補体成分からの開裂産物の形成、開裂事象に続く下流側の複合体の集合(assembly)、または補体成分(例えばC3またはC5)の開裂に付随するもしくはそれから生じるプロセスまたは事象が含まれる。補体阻害剤は、補体成分C5のレベルで補体活性化を遮断するC5阻害剤を含み得る。C5阻害剤はC5に結合し、C5転換酵素による開裂産物C5aおよびC5bへの開裂を妨げる。本明細書で使用される場合、「補体成分C5」または「C5」は、C5転換酵素によって開裂されて、少なくとも開裂産物、C5aおよびC5bになる複合体として定義される。本明細書で言及される「C5阻害剤」は、予め開裂された補体成分C5複合体または補体成分C5の開裂産物のプロセシングまたは開裂を阻害する任意の化合物または組成物を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、補体活性を調節するように機能する化合物および組成物を提供する。そのような化合物および組成物は、補体活性化を遮断する阻害剤を含み得る。本明細書で使用する場合、「補体活性(complement activity)」には、補体カスケード活性化、C3またはC5などの補体成分からの開裂産物の形成、開裂事象に続く下流側の複合体の集合(assembly)、または補体成分(例えばC3またはC5)の開裂に付随するもしくはそれから生じるプロセスまたは事象が含まれる。補体阻害剤は、補体成分C5のレベルで補体活性化を遮断するC5阻害剤を含み得る。C5阻害剤はC5に結合し、C5転換酵素による開裂産物C5aおよびC5bへの開裂を妨げる。本明細書で使用される場合、「補体成分C5」または「C5」は、C5転換酵素によって開裂されて、少なくとも開裂産物、C5aおよびC5bになる複合体として定義される。本明細書で言及される「C5阻害剤」は、予め開裂された補体成分C5複合体または補体成分C5の開裂産物のプロセシングまたは開裂を阻害する任意の化合物または組成物を含む。
C5開裂の阻害は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)付着性タンパク質欠損赤血球に対する細胞溶解性膜侵襲複合体(MAC)の集合と活性を妨げることが理解されている。場合によっては、本明細書に提示されるC5阻害剤はまた、C5bに結合し、C6結合およびその後のC5b−9MACの集合を妨げることができる。
ペプチドベースの化合物
いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤はポリペプチドである。本発明によれば、任意のアミノ酸ベースの分子(天然または非天然)を「ポリペプチド」と呼ぶことができ、この用語は「ペプチド」、「ペプチド模倣体(peptidomimetics)」、および「タンパク質」を包含する。「ペプチド」は伝統的にサイズが約4個〜約50個のアミノ酸の範囲であると考えられている。約50個のアミノ酸を超えるポリペプチドは、一般に「タンパク質」と呼ばれる。
いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤はポリペプチドである。本発明によれば、任意のアミノ酸ベースの分子(天然または非天然)を「ポリペプチド」と呼ぶことができ、この用語は「ペプチド」、「ペプチド模倣体(peptidomimetics)」、および「タンパク質」を包含する。「ペプチド」は伝統的にサイズが約4個〜約50個のアミノ酸の範囲であると考えられている。約50個のアミノ酸を超えるポリペプチドは、一般に「タンパク質」と呼ばれる。
C5阻害剤ポリペプチドは、直鎖状または環状であり得る。環状ポリペプチドは、それらの構造の一部として、ループおよび/または内部結合などの1つまたは複数の環状特徴部を有する任意のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、環状ポリペプチドは、分子がポリペプチドの2つ以上の領域を連結するための架橋部分(bridging moiety)として作用するときに形成される。本明細書で使用する場合、「架橋部分」という用語は、ポリペプチド中の2つの隣接するまたは隣接しないアミノ酸、非天然アミノ酸もしくは非アミノ酸の間に形成されるブリッジ(bridge)の1つまたは複数の成分を指す。架橋部分は、任意のサイズまたは組成のものであり得る。いくつかの実施形態において、架橋部分は、2つの隣接するまたは隣接しないアミノ酸、非天然アミノ酸、非アミノ酸残基もしくはそれらの組み合わせの間の1つ以上の化学結合を含み得る。いくつかの実施形態において、そのような化学結合は、隣接するまたは隣接しないアミノ酸、非天然アミノ酸、非アミノ酸残基もしくはそれらの組み合わせの1つまたは複数の官能基の間にあってよい。架橋部分は、アミド結合(ラクタム)、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、芳香環、トリアゾール環、および炭化水素鎖のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、架橋部分は、アミン官能基とカルボキシレート官能基との間のアミド結合を含み、それぞれがアミノ酸、非天然アミノ酸または非アミノ酸残基側鎖に存在する。いくつかの実施形態において、アミンまたはカルボキシレート官能基は、非アミノ酸残基または非天然アミノ酸残基の一部である。
C5阻害剤ポリペプチドは、カルボキシ末端、アミノ末端を介して、または例えばシステインの硫黄を介するなどの他の都合のよい結合点を介して(例えば、配列中の2つのシステイン残基間のジスルフィド結合の形成を介して)、あるいはアミノ酸残基の任意の側鎖を介して、環化することができる。環状ループを形成するさらなる結合には、限定されるものではないが、マレイミド結合、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオールエーテル結合、ヒドラゾン結合、またはアセトアミド結合が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、本発明の環状C5阻害剤ポリペプチドは、ラクタム部分を使用して形成される。そのような環状ポリペプチドは、例えば、標準的なFmoc化学を使用して固体支持体Wang樹脂上で合成することにより形成され得る。場合によっては、Fmoc−ASP(アリル)−OHおよびFmoc−LYS(alloc)−OHがポリペプチドに組み込まれ、ラクタムブリッジ形成の前駆体モノマーとして機能する。
本発明のC5阻害剤ポリペプチドは、ペプチド模倣物であり得る。「ペプチド模倣物」または「ポリペプチド模倣物」は、分子が天然のポリペプチド(すなわち、20のタンパク質構成アミノ酸のみからなるポリペプチド)には見られない構造要素を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態において、ペプチド模倣物は、天然ペプチドの生物学的作用を再現または模倣することができる。ペプチド模倣物は、例えば、主鎖の構造の変化によって、または天然には存在しないアミノ酸の存在によって、天然ポリペプチドと多くの点で異なる可能性がある。場合によっては、ペプチド模倣物は、既知の20のタンパク質構成アミノ酸の中に見られない側鎖を有するアミノ酸;分子の末端または内部間の環化を行うために使用される非ポリペプチドベースの架橋部分;メチル基(N−メチル化)または他のアルキル基によるアミド結合水素部分の置換;ペプチド結合の、化学処理または酵素処理に耐性のある化学基または化学結合との置換;N末端およびC末端の修飾;および/または非ペプチド伸長(例えば、ポリエチレングリコール、脂質、炭水化物、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ヌクレオシド塩基、様々な小分子、またはリン酸基または硫酸基)との結合、を含み得る。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸の残基ならびに非天然アミノ酸を含む。20種類の天然のタンパク質構成アミノ酸は、以下のように1文字または3文字の表記で識別および参照される:アスパラギン酸(Asp:D)、イソロイシン(Ile:I)、スレオニン(Thr:T)、ロイシン(Leu:L)、セリン(Ser:S)、チロシン(Tyr:Y)、グルタミン酸(Glu:E)、フェニルアラニン(Phe:F)、プロリン(Pro:P)、ヒスチジン(His:H)、グリシン(Gly:G)、リジン(Lys:K)、アラニン(Ala:A)、アルギニン(Arg:R)、システイン(Cys:C)、トリプトファン(Trp:W)、バリン(Val:V)、グルタミン(Gln:Q)、メチオニン(Met:M)、アスパラギン(Asn:N)。天然に存在するアミノ酸は、左旋性(L)の立体異性体の形で存在する。本明細書で言及されるアミノ酸は、他に示されない限り、L−立体異性体である。「アミノ酸」という用語はまた、従来のアミノ保護基(例えば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を担持するアミノ酸、ならびにカルボキシ末端で保護された天然および非天然アミノ酸(例えば、(C1−C6)アルキル、フェニルまたはベンジルエステルまたはアミド、或いはアルファ−メチルベンジルアミドとして)を含む。他の適切なアミノおよびカルボキシ保護基は当業者に知られている(例えば、グリーン(Greene)、T.W.;ウッツ(Wutz)、P.G.M.、Protecting Groups In Organic Synthesis;第2版、1991年、ニューヨーク、John Wiley&sons,Inc(そしてそこに引用された文書、そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。本発明のポリペプチドおよび/またはポリペプチド組成物はまた、修飾アミノ酸を含み得る。
「非天然」アミノ酸には、上記の20個の天然アミノ酸には存在しない側鎖またはその他の機能が備わっており、限定されるものではないが、以下のものを含む:N−メチルアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、アルファ、アルファ置換アミノ酸、ベータ−アミノ酸、アルファ−ヒドロキシアミノ酸、D−アミノ酸、および当技術分野で既知の他の非天然アミノ酸(例えば、ジョセフソン(Josephson)他、(2005)J.Am.Chem.Soc.、127:11727−11735;フォルスタ−(Forster)、A.C.他、(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100:6353−6357;サテルニー(Subtelny)他、(2008)J.Am.Chem.Soc.、130:6131−6136;ハートマン(Hartman)、M.C.T.他、(2007)PLoS ONE2:e972;およびハートマン(Hartman)他、(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:4356−4361を参照されたい)。本発明のポリペプチドおよび/またはポリペプチド組成物の最適化に有用なさらなる非天然アミノ酸には、限定されるものではないが、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、1−アミノ−2,3−ヒドロ−1H−インデン−1−カルボン酸、ホモリジン、ホモアルギニン、ホモセリン、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、ベータ−アラニン、アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、5−アミノヘキサン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、デスモシン、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルペンチルグリシン、ナフチルアラニン、オルニチン、ペンチルグリシン、チオプロリン、ノルバリン、tert−ブチルグリシン(tert−ロイシンとも呼ばれる)、フェニルグリシン、アザトリプトファン、5−アザトリプトファン、7−アザトリプトファン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、サルコシン、ホモシステイン、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロブタンカルボン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸、(S)−2−アミノ−3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロパン酸、シクロペンチルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロプロピルグリシン、η−ω−メチル−アルギニン、4−クロロフェニルアラニン、3−クロロチロシン、3−フルオロチロシン、5−フルオロトリプトファン、5−クロロトリプトファン、シトルリン、4−クロロホモフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、4−アミノメチル−フェニルアラニン、3−アミノメチル−フェニルアラニン、オクチルグリシン、ノルロイシン、トラネキサム酸、2−アミノペンタン酸、2−アミノヘキサン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノオクタン酸、2−アミノノナン酸酸、2−アミノデカン酸、2−アミノウンデカン酸、2−アミノドデカン酸、アミノ吉草酸、2−(2−アミノエトキシ)酢酸、ピペコリン酸、2−カルボキシアゼチジン、ヘキサフルオロロイシン、3−フルオロバリン、2−アミノ−4,4−ジフルオロ−3−メチルブタン酸、3−フルオロ−イソロイシン、4−フルオロイソロイシン、5−フルオロイソロイシン、4−メチル−フェニルグリシン、4−エチル−フェニルグリシン、4−イソプロピル−フェニルグリシン、(S)−2−アミノ−5−アジドペンタン酸(本明細書では「X02」とも呼ばれる)、(S)−2−アミノヘプト−6−エン酸(本明細書では「X30」とも呼ばれる)、(S)−2−アミノペント−4−イン酸(本明細書では「X31」とも呼ばれる)、(S)−2−アミノペント−4−エン酸(本明細書では「X12」とも呼ばれる)、(S)−2−アミノ−5−(3−メチルグアニジノ)ペンタン酸、(S)−2−アミノ−3−(4−(アミノメチル)フェニル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(3−(アミノメチル)フェニル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−4−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)ブタン酸、(S)−ロイシノール、(S)−バリノール、(S)−tert−ロイシノール、(R)−3−メチルブタン−2−アミン、(S)−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−アミン、および(S)−N、2−ジメチル−1−(ピリジン−2−イル)プロパン−1−アミン、(S)−2−アミノ−3−(オキサゾール−2−イル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(オキサゾール−5−イル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(5−フルオロ−1H−インダゾール−3−イル)プロパン酸、および(S)−2−アミノ−3−(1H−インダゾール−3−イル)プロパン酸、(S)−2−アミノ−3−(オキサゾール−2−イル)ブタン酸、(S)−2−アミノ−3−(オキサゾール−5−イル)ブタン酸、(S)−2−アミノ−3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ブタン酸、(S)−2−アミノ−3−(1,2,4−オキサジアゾール−3)イル)ブタン酸、(S)−2−アミノ−3−(5−フルオロ−1H−インダゾール−3−イル)ブタン酸、および(S)−2−アミノ−3−(1H−インダゾール−3−イル)ブタン酸、2−(2’MeOフェニル)−2−アミノ酢酸、テトラヒドロ3−イソキノリンカルボン酸およびそれらの立体異性体(DおよびL異性体を含むがこれらに限定されない)が含まれる。
本発明のポリペプチドまたはポリペプチド組成物の最適化に有用な更なる非天然アミノ酸には、限定されるものではないが、1つまたは複数の炭素結合水素原子がフッ素で置き換えられているフッ素化アミノ酸が含まれる。含まれるフッ素原子の数は、1からすべての水素原子までの範囲であってもよい。そのようなアミノ酸の例には、限定されるものではないが、3−フルオロプロリン、3,3−ジフルオロプロリン、4−フルオロプロリン、4,4−ジフルオロプロリン、3,4−ジフルオロプロリン、3,3,4,4−テトラフルオロプロリン、4−フルオロトリプトファン、5−フルオロトリプトファン、6−フルオロトリプトファン、7−フルオロトリプトファン、およびそれらの立体異性体が含まれる。
本発明のポリペプチドの最適化に有用なさらなる非天然アミノ酸には、限定されるものではないが、α−炭素で二置換されているものが含まれる。これらには、α−炭素上の2つの置換基が同じであるアミノ酸、たとえばα−アミノイソ酪酸および2−アミノ−2−エチルブタン酸、ならびに置換基が異なるもの、たとえばα−メチルフェニルグリシンおよびα−メチルプロリン、が含まれる。さらに、α−炭素上の置換基は一緒になって環を形成してもよく、例えば、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロブタンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノテトラヒドロフラン−3−カルボン酸、3−アミノテトラヒドロピラン−3−カルボン酸酸、4−アミノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、3−アミノピロリジン−3−カルボン酸、3−アミノピペリジン−3−カルボン酸、4−アミノピペリジン−4−カルボキシリクス酸、およびそれらの立体異性体である。
本発明のポリペプチドまたはポリペプチド組成物の最適化に有用な更なる非天然アミノ酸には、限定されるものではないが、インドール環系がN、O、またはSから独立して選択される0、1、2、3または4個のヘテロ原子を含む別の9または10員二環式環系で置き換えられたトリプトファンの類似体が含まれる。各環系は、飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和であってよい。環系は、任意の置換可能な原子で0、1、2、3、または4個の置換基で置換されていてもよい。各置換基は、H、F、Cl、Br、CN、COOR、CONRR’、オキソ、OR、NRR’から独立して選択されてもよい。各RおよびR’は、H、C1−C20アルキル、またはC1−C20アルキル−O−C1−20アルキルから独立して選択できる。
いくつかの実施形態において、トリプトファンの類似体(本明細書では「トリプトファン類似体」とも呼ばれる)は、本発明のポリペプチドまたはポリペプチド組成物の最適化に有用であり得る。トリプトファン類似体には、限定されるものではないが、5−フルオロトリプトファン[(5−F)W]、5−メチル−O−トリプトファン[(5−MeO)W]、1−メチルトリプトファン[(1−Me−W)または(1−Me)W]、D−トリプトファン(D−Trp)、アザトリプトファン(4−アザトリプトファン、7−アザトリプトファンおよび5−アザトリプトファンを含むが、これらに限定されない)、5−クロロトリプトファン、4−フルオロトリプトファン、6−フルオロトリプトファン、7−フルオロトリプトファン、およびその立体異性体が含まれてもよい。反対の指示がない限り、本明細書で使用される「アザトリプトファン」という用語およびその略語「azaTrp」は、7−アザトリプトファンを指す。
本発明のポリペプチドおよび/またはポリペプチド組成物の最適化に有用な修飾アミノ酸残基には、限定されるものではないが、化学的にブロックされたもの(可逆的または不可逆的);N末端アミノ基または側鎖基が化学修飾されているもの;アミド主鎖が化学修飾されているもの、例えば、N−メチル化、D(非天然アミノ酸)およびL(天然アミノ酸)立体異性体;または側鎖官能基が別の官能基に化学修飾されている残基、が含まれる。いくつかの実施形態において、修飾アミノ酸には、限定されるものではないが、メチオニンスルホキシド;メチオニンスルホン;アスパラギン酸−(ベータ−メチルエステル)、アスパラギン酸の修飾アミノ酸;N−エチルグリシン、グリシンの修飾アミノ酸;アラニンカルボキサミド;および/またはアラニンの修飾アミノ酸が含まれる。非天然アミノ酸は、Sigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)、Bachem(カリフォルニア州トーランス)または他の供給業者から購入できる。非天然アミノ酸は、米国特許出願公開第2011/0172126号明細書(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の表2に列記されたもののいずれかをさらに含み得る。
本発明は、本明細書に提示されるポリペプチドのバリアントおよび誘導体を企図する。これらには、置換、挿入、削除、および共有結合バリアントおよび誘導体が含まれる。本明細書で使用する場合、「誘導体」という用語は、「バリアント(variant)」という用語と同義に使用され、参照分子または出発分子に対して何らかの方法で修飾または変更された分子を指す。
本発明のポリペプチドは、以下の成分、特徴、または部分のいずれかを含み得る(これらに対して、本明細書においては略語が使用される):「Ac」および「NH2」は、それぞれアセチル末端およびアミド化末端を示し;「Nvl」はノルバリンの略を示し;「Phg」はフェニルグリシンを示し;「Tbg」は、tert−ブチルグリシン(tert−ロイシンとしても知られている)を示し;「Chg」はシクロヘキシルグリシンを示し;「(N−Me)X」は、N−メチル−Xとして記述された変数「X」の代わりに、1文字または3文字のアミノ酸コードで示されるアミノ酸のN−メチル化形態を示し[例えば、(N−Me)Dまたは(N−Me)Aspは、アスパラギン酸またはN−メチル−アスパラギン酸のN−メチル化形態を表す];「azaTrp」はアザトリプトファンを示し;「(4−F)Phe」は、4−フルオロフェニルアラニンを示し;「Tyr(OMe)」はO−メチルチロシンを意味し、「Aib」はアミノイソ酪酸を示し;「(homo)F」または「(homo)Phe」はホモフェニルアラニンを示し;「(2−OMe)Phg」は、2−O−メチルフェニルグリシンを指し;「(5−F)W」は5−フルオロトリプトファンを指し;「D−X」は、所与のアミノ酸「X」のD−立体異性体を指し[例えば、(D−Chg)はD−シクロヘキシルグリシンを表す];「(5−MeO)W」は、5−メチル−O−トリプトファンを指し;「homoC」はホモシステインを指し;「(1−Me−W)」または「(1−Me)W」は、1−メチルトリプトファンを指し;「Nle」はノルロイシン指し;「Tiq」は、テトラヒドロイソキノリン残基を指し;「Asp(T)」は、(S)−2−アミノ−3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロパン酸を指し;「(3−Cl−Phe)」は、3−クロロフェニルアラニンを指し;「[(N−Me−4−F)Phe]」または「(N−Me−4−F)Phe」は、N−メチル−4−フルオロフェニルアラニンを指し;「(m−Cl−homo)Phe」は、メタ−クロロホモフェニルアラニンを指し;「(des−amino)C」は、3−チオプロピオン酸を指し;「(アルファ−メチル)D」は、アルファ−メチルL−アスパラギン酸を指し;「2Nal」は、2−ナフチルアラニンを指し;「(3−アミノメチル)Phe」は、3−アミノメチル−L−フェニルアラニンを指し;「Cle」はシクロロイシンを指し;「Ac−Pyran」は、4−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸を指し;「(Lys−C16)」は、N−ε−パルミトイルリジンを指し;「(Lys−C12)」は、N−ε−ラウリルリジンを指し;「(Lys−C10)」は、N−ε−カプリル(capryl)リジンを指し;「(Lys−C8)」は、N−ε−カプリル(caprylic)リジンを指し;「[xXylyl(y、z)]」は、2つのチオール含有アミノ酸間のキシリル架橋部分を指し(ここで、xは、m、p、またはoであり、架橋部分を形成するためにメタ、パラ、またはオルト−ジブロモキシレンをそれぞれ使用することを示し、数値識別子、yおよびzは、環化に関与するアミノ酸のポリペプチド内のアミノ酸位置を示す);「[cyclo(y、z)]」は、2つのアミノ酸残基間の結合の形成を指し(数値識別子のyおよびzは、結合に関与する残基の位置を示す);「[cyclo−olefinyl(y、z)]」は、オレフィンメタセシスによる2つのアミノ酸残基間の結合の形成を指し(数値識別子yおよびzは、結合に関与する残基の位置を示す);「[cyclo−thioalkyl(y、z)]」は、2つのアミノ酸残基間のチオエーテル結合の形成を指し(数値識別子、yおよびzは、結合に関与する残基の位置を示す);「[cyclo−triazolyl(y、z)]」は、2つのアミノ酸残基間でのトリアゾール環の形成を指す(数値識別子yおよびzは、結合に関与する残基の位置を示す)。「B20」は、N−ε−(PEG2−γ−グルタミン酸−N−α−オクタデカン二酸)リジン((1S、28S)−1−アミノ−7,16,25,30−テトラオキソ−912,18,21−テトラオキサ−6,15,24,29−テトラアザヘキサテトラコンタン−1,28,46−トリカルボン酸としても知られている)を指す。
B20
「B28」は、N−ε−(PEG24−γ−グルタミン酸−N−α−ヘキサデカノイル)リジンを指す。
B28
B28
「K14」は、N−ε−1−(4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)−3−メチルブチル−L−リジンを指す。他のすべての記号は、標準の1文字のアミノ酸コードを指す。
いくつかのC5阻害剤ポリペプチドは、約5アミノ酸〜約10アミノ酸、約6アミノ酸〜約12アミノ酸、約7アミノ酸〜約14アミノ酸、約8アミノ酸〜約16アミノ酸、約10アミノ酸〜約18アミノ酸、約12アミノ酸〜約24アミノ酸、または約15アミノ酸〜ら約30アミノ酸を含む。場合によっては、C5阻害剤ポリペプチドは少なくとも30のアミノ酸を含む。
本開示のいくつかのC5阻害剤は、C末端脂質部分を含む。そのような脂質部分は、脂肪アシル基(例えば、飽和または不飽和脂肪アシル基)を含み得る。場合によっては、脂肪アシル基はパルミトイル基であってもよい。
脂肪アシル基を有するC5阻害剤は、脂肪酸をペプチドに結合する1つまたは複数の分子リンカーを含み得る。そのような分子リンカーは、アミノ酸残基を含み得る。場合によっては、L−γグルタミン酸残基を分子リンカーとして使用できる。場合によっては、分子リンカーは、1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)リンカーを含み得る。本発明のPEGリンカーは、約1〜約5、約2〜約10、約4〜約20、約6〜約24、約8〜約32、または少なくとも32のPEG単位を含み得る。
本明細書に開示されるC5阻害剤は、約200g/mol〜約600g/mol、約500g/mol〜約2000g/mol、約1000g/mol〜約5000g/mol、約3000g/mol〜約4000g/mol、約2500g/mol〜約7500g/mol、約5000g/mol〜約10000g/mol、または少なくとも10000g/molの分子量を有し得る。
いくつかの実施形態において、本発明のC5阻害剤ポリペプチドは、R5000を含む。R5000のコアアミノ酸配列([シクロ(1,6)]Ac−K−V−E−R−F−D−(N−Me)D−Tbg−Y−azaTrp−E−Y−P−Chg−K;配列番号1)は15個のアミノ酸(全てがL−アミノ酸)を含み、4つの非天然アミノ酸[N−メチル−アスパラギン酸または「(N−Me)D」、tert−ブチルグリシンまたは「Tbg」、7−アザトリプトファンまたは「azaTrp」、およびシクロヘキシルグリシンまたは「Chg」];ポリペプチド配列のK1とD6の間のラクタム架橋;そして、修飾された側鎖と共にC末端リジン残基、を含み、N−ε−(PEG24−γ−グルタミン酸−N−α−ヘキサデカノイル)リジン残基(本明細書では「B28」とも呼ばれる)を形成する。C末端リジン側鎖の修飾は、ポリエチレングリコール(PEG)スペーサー(PEG24)を含み、PEG24はパルミトイル基で誘導体化されたL−γグルタミン酸残基に結合されている。
いくつかの実施形態において、本発明は、R5000のバリアントを含む。一部のR5000バリアントでは、C末端のリジン側鎖部分を変更できる。場合によっては、C末端リジン側鎖部分のPEG24スペーサー(24個のPEGサブユニットを有する)は、より少ないまたは追加のPEGサブユニットを含み得る。他の場合において、C末端リジン側鎖部分のパルミトイル基は、別の飽和または不飽和脂肪酸で置換されてもよい。さらなる場合において、C末端のリジン側鎖部分の(PEGとアシル基との間の)L−γグルタミン酸リンカーは、代替のアミノ酸または非アミノ酸リンカーで置換されてもよい。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤は、R5000の活性代謝産物もしくはバリアントを含み得る。代謝産物には、パルミトイルテール(tail)のω−ヒドロキシル化が含まれ得る。そのようなバリアントは、合成されてもよいし、R5000前駆体のヒドロキシル化によって形成されてもよい。
いくつかの実施形態において、R5000バリアントは、R5000の環状またはC末端リジン側鎖部分特徴部の1つまたは複数と組み合わせて使用され得るR5000のコアポリペプチド配列への修飾を含み得る。そのようなバリアントは、(配列番号:1)のコアポリペプチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有し得る。
場合によっては、R5000バリアントは、R5000で使用されているもの以外のアミノ酸間にラクタムブリッジを形成することにより、環化されてもよい。
本開示のC5阻害剤は、特異的な結合特性を達成するために開発または修飾されてもよい。阻害剤結合は、特定の標的との会合(association)および/または解離(dissociation)の速度を決定することによって評価され得る。場合によっては、化合物は、解離速度が遅いことと組み合わせて、標的との強力かつ迅速な会合を示す。いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤は、C5との強力かつ迅速な会合を示す。そのような阻害剤は、C5との解離速度が遅いことをさらに示し得る。
本開示のC5阻害剤は、特異的な結合特性を達成するために開発または修飾されてもよい。阻害剤結合は、特定の標的との会合(association)および/または解離(dissociation)の速度を決定することによって評価され得る。場合によっては、化合物は、解離速度が遅いことと組み合わせて、標的との強力かつ迅速な会合を示す。いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤は、C5との強力かつ迅速な会合を示す。そのような阻害剤は、C5との解離速度が遅いことをさらに示し得る。
本明細書に開示されるC5タンパク質結合C5阻害剤は、約0.001nM〜約0.01nM、約0.005nM〜約0.05nM、約0.01nM〜約0.1nM、約0.05nM〜約0.5nM、約0.1nM〜約1.0nM、約0.5nM〜約5.0nM、約2nM〜約10nM、約8nM〜約20nM、約15nM〜約45nM、約30nM〜約60nM、約40nM〜約80nM、約50nM〜約100nM、約75nM〜約150nM、約100nM〜約500nM、約200nM〜約800nM、約400nM〜約1,000nM、または少なくとも1,000nMの平衡解離定数(KD)でC5補体タンパク質に結合することができる。
いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤は、C5からのC5aの形成または生成を遮断する。場合によっては、補体活性化の代替経路の活性化に続いて、C5aの形成または生成が遮断される。場合によっては、本開示のC5阻害剤は、膜侵襲複合体(membrane attack complex)(MAC)の形成を阻止する。そのようなMAC形成阻害は、C5阻害剤がC5bサブユニットに結合することに起因している可能性がある。C5bサブユニットへのC5阻害剤の結合は、C6結合を妨げ、MAC形成を阻止する可能性がある。いくつかの実施形態において、このMAC形成阻害は、古典経路、代替経路、またはレクチン経路の活性化の後に起こる。
本開示のC5阻害剤は、化学プロセスを使用して合成され得る。場合によっては、そのような合成により、哺乳動物細胞株における生物学的産物の製造に関連するリスクが排除される。場合によっては、化学合成は生物学的生産プロセスよりも単純かつコスト効率が高い場合がある。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であり得る。いくつかの実施形態において、医薬的に許容される賦形剤は、塩および緩衝剤のうちの少なくとも1つを含み得る。塩は塩化ナトリウムであってもよい。緩衝剤はリン酸ナトリウムであってもよい。塩化ナトリウムは、約0.1mM〜約1000mMの濃度で存在し得る。場合によっては、塩化ナトリウムは、約25mM〜約100mMの濃度で存在し得る。リン酸ナトリウムは、約0.1mM〜約1000mMの濃度で存在し得る。場合によっては、リン酸ナトリウムは、約10mM〜約100mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、例えば、1つ以上のカチオン(例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、等)と関連して医薬的に許容される塩の形態にて提供されてもよい。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)組成物は、約0.01mg/mL〜約4000mg/mLのC5阻害剤を含み得る。場合によっては、C5阻害剤は、約1mg/mL〜約400mg/mLの濃度で存在する。
プレロードされた(Pre−loaded)シリンジ
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および組成物は、プレロードされたシリンジの形態で提供され得る。本明細書で使用される場合、「プレロードされたシリンジ」は、注射投与のための送達デバイスを指し、同デバイスは、デバイス内に含まれる注射されるペイロード(payload)と共に製造、準備、包装、保管および/または分配される。環状ペプチドの安定性により、環状ペプチド阻害剤は、プレロードされたシリンジでの製造、保管および分配に特に適している。さらに、プレロードされたシリンジは、自己投与(すなわち、医療専門家の助けなしでの対象による投与)に特によく適している。自己投与は、離れた場所にいる、またはアクセスが困難な医療専門家に頼ることなく、対象が治療を受けるための便利な方法である。これにより、自己投与オプションは、頻繁な注射(例、毎日の注射)を必要とする治療に適している。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物および組成物は、プレロードされたシリンジの形態で提供され得る。本明細書で使用される場合、「プレロードされたシリンジ」は、注射投与のための送達デバイスを指し、同デバイスは、デバイス内に含まれる注射されるペイロード(payload)と共に製造、準備、包装、保管および/または分配される。環状ペプチドの安定性により、環状ペプチド阻害剤は、プレロードされたシリンジでの製造、保管および分配に特に適している。さらに、プレロードされたシリンジは、自己投与(すなわち、医療専門家の助けなしでの対象による投与)に特によく適している。自己投与は、離れた場所にいる、またはアクセスが困難な医療専門家に頼ることなく、対象が治療を受けるための便利な方法である。これにより、自己投与オプションは、頻繁な注射(例、毎日の注射)を必要とする治療に適している。
いくつかの実施形態において、本開示は、補体阻害剤の送達のためのプレロードされたシリンジを提供する。プレロードされたシリンジは、注射のために処方された補体阻害剤組成物を含み得る。組成物は、皮下注射用に処方され得る。補体阻害剤は、環状ペプチドを含み得る。いくつかの実施形態において、プレロードされたシリンジは、C5阻害剤を含む。C5阻害剤は、R5000またはそのバリアントもしくはその誘導体を含み得る。R5000は、プレロードされたシリンジにてリン酸緩衝生理食塩水の溶液に含まれていてもよい。R5000は、約4mg/ml〜約400mg/mlの濃度で溶液中に存在し得る。いくつかの実施形態において、プレロードされたシリンジは、PBS中にR5000の40mg/ml溶液を含む。いくつかの実施形態において、シリンジは、約0.1ml〜約1mlまたは約0.5ml〜約2mlの容量を含み得る。溶液は防腐剤を含んでもよい。
プレロードされたシリンジは、ULTRASAFE PLUS(商標名)パッシブニードルガード(Becton Dickenson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を含み得る。他のプレロードされたシリンジには、注射ペンが含まれる。注射ペンは、複数回投与用のペンであり得る。一部のプレロードされたシリンジには針が含まれている。いくつかの実施形態において、針ゲージは約20〜約34である。針ゲージは、約29〜約31であってもよい。
同位体変異
本発明のポリペプチドは、同位体である1つ以上の原子を含み得る。本明細書で使用される場合、「同位体」という用語は、1つまたは複数の追加の中性子を有する化学元素を指す。一実施形態において、本発明のポリペプチドは重水素化され得る。本明細書で使用される場合、「重水素化」という用語は、1つまたは複数の水素原子が重水素同位体で置き換えられた物質を指す。重水素同位体は水素の同位体である。水素の核には1つの陽子が含まれるのに対し、重水素の核には陽子と中性子の両方が含まれる。本発明の化合物および医薬組成物は、安定性などの物理的特性を変化させるため、またはそれらを診断および実験用途で使用できるようにするために重水素化することができる。
本発明のポリペプチドは、同位体である1つ以上の原子を含み得る。本明細書で使用される場合、「同位体」という用語は、1つまたは複数の追加の中性子を有する化学元素を指す。一実施形態において、本発明のポリペプチドは重水素化され得る。本明細書で使用される場合、「重水素化」という用語は、1つまたは複数の水素原子が重水素同位体で置き換えられた物質を指す。重水素同位体は水素の同位体である。水素の核には1つの陽子が含まれるのに対し、重水素の核には陽子と中性子の両方が含まれる。本発明の化合物および医薬組成物は、安定性などの物理的特性を変化させるため、またはそれらを診断および実験用途で使用できるようにするために重水素化することができる。
II.使用方法
本明細書において、本発明の化合物および/または組成物を使用して補体活性を調節する方法が提供される。
本明細書において、本発明の化合物および/または組成物を使用して補体活性を調節する方法が提供される。
治療適応
すべての免疫活動(自然および適応)の重要な要素は、自己細胞と非自己細胞を区別する免疫システムの能力である。病変は、免疫系がこの区別をすることができないときに発生する。補体系の場合、脊椎動物細胞は、補体カスケードの影響から脊椎動物細胞を保護する阻害性タンパク質を発現し、これにより補体系が微生物病原体に対して確実に誘導される。多くの補体関連障害および疾患は、補体カスケードによる自己細胞の異常破壊に関連している。
すべての免疫活動(自然および適応)の重要な要素は、自己細胞と非自己細胞を区別する免疫システムの能力である。病変は、免疫系がこの区別をすることができないときに発生する。補体系の場合、脊椎動物細胞は、補体カスケードの影響から脊椎動物細胞を保護する阻害性タンパク質を発現し、これにより補体系が微生物病原体に対して確実に誘導される。多くの補体関連障害および疾患は、補体カスケードによる自己細胞の異常破壊に関連している。
本発明の方法は、本発明の化合物および組成物で補体関連障害を治療する方法を含む。本明細書で言及される「補体関連障害(complement−related disorder)」は、補体系の機能障害、例えば、C5などの補体成分の開裂またはプロセシングに関連する任意の状態を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象における補体活性を阻害する方法を含む。場合によっては、対象において阻害される補体活性の割合は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも、85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%であってもよい。場合によっては、補体活性の、このレベルの阻害および/または最大阻害は、投与後約1時間〜投与後約3時間、投与後約2時間〜投与後約4時間、投与後約3時間〜投与後約10時間、投与後約5時間〜投与後約20時間、または投与後約12時間〜投与後約24時間に達成されてもよい。補体活性の阻害は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間、の期間にわたり継続し得る。場合によっては、このレベルの阻害は、毎日の投与によって達成されてもよい。そのような毎日の投与は、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2か月、少なくとも4か月、少なくとも6か月、少なくとも1年間、または少なくとも5年間の投与を含み得る。場合によっては、対象は、同対象の生涯にわたって本開示の化合物または組成物を投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象のC5活性を阻害する方法を含む。本明細書で使用される「C5依存性補体活性」または「C5活性」は、C5の開裂、C5の下流開裂産物の集合、または、C5の開裂に付随する、もしくはC5の開裂に起因する他のプロセスまたは事象による補体カスケードの活性化を指す。場合によっては、対象において阻害されるC5活性の割合は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の1つ以上の化合物または組成物を、それを必要とする対象または患者に投与することによって溶血を阻害する方法を含み得る。いくつかのそのような方法によれば、溶血は約25%〜約99%低減し得る。他の実施形態において、溶血は、約10%〜約40%、約25%〜約75%、約30%〜約60%、約50%〜約90%、約75%〜約95%、約90%〜約99%、または約97%〜約99.5%低減する。場合によっては、溶血が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%低減する。
いくつかの方法によれば、溶血の阻害率は約90%〜約≧99%である(たとえば、≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%)。場合によっては、溶血のこのレベルの阻害および/または最大阻害は、投与後約1時間〜投与後約3時間、投与後約2時間〜投与後約4時間、投与後約3時間〜投与後約10時間、投与後約5時間〜投与後約20時間、または投与後約12時間〜投与後約24時間、に達成されてもよい。溶血活性レベルの阻害は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間、の期間にわたり継続し得る。場合によっては、このレベルの阻害は、毎日の投与によって達成されてもよい。そのような毎日の投与は、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2か月、少なくとも4か月、少なくとも6か月、少なくとも1年間、または少なくとも5年間の投与を含み得る。場合によっては、対象は、同対象の生涯にわたって本開示の化合物または組成物を投与されてもよい。
C5阻害剤は、1つ以上の適応症を治療するために使用され得、ここで、C5阻害剤治療の結果として有害作用は、ほとんどまたは全く起こらない。場合によっては、心血管系、呼吸器系、および/または中枢神経系(CNS)への有害な作用は発生しない。場合によっては、心拍数および/または動脈圧の変化は発生しない。場合によっては、呼吸数、一回換気量、および/または分時換気量に変化は生じない。
疾患マーカーまたは症状に関連して「低下させる(lower)」または「低減させる(reduce)」とは、そのようなレベルの有意な減少を意味し、しばしば統計的に有意である。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であり得、そして好ましくは、そのような障害のない個体の正常の範囲内であると認められるレベルまで低下する。
疾患マーカーまたは症状の文脈における「増加させる(increase)」または「上昇させる(raise)」とは、そのようなレベルの有意な上昇を意味し、しばしば統計的に有意である。増加は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であり得、好ましくは、そのような障害のない個体の正常範囲内であると認められるレベルまでである。
治療または防止効果は、病状の1つ以上のパラメータにおいて、そうでなければ予測されることになる症状を悪化または発生させないことによる、有意な改善、多くに場合や統計学的に有意な改善がある場合には明らかである。一例として、疾患の測定可能なパラメータにおいて少なくとも10%の好ましい変化、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%以上の好ましい変化は、効果的な治療を示すものであり得る。所定の化合物または組成物に対する有効性は、当技術分野で知られている所定の疾患の実験動物モデルを使用して判断することもできる。実験動物モデルを使用する場合、マーカーまたは症状の統計的に有意な変調が観察されると、治療の有効性が証明される。
発作性夜間血色素尿症(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、発作性夜間血色素尿症(PNH)を、本発明の化合物または組成物、例えば医薬組成物で治療する方法である。PNHは、ホスファチジルイノシトールグリカンアンカー生合成、多能性造血幹細胞に由来するクラスA(PIG−A)遺伝子の後天性変異によって引き起こされる、まれな補体関連障害である(プ(Pu)、J.J.他、Clin Transl Sci.、2011年6月;4(3):219−24)。PNHの特徴は、骨髄障害、溶血性貧血および血栓症である。PIG−A遺伝子産物は、タンパク質を原形質膜につなぐために利用される糖脂質アンカー、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)の生産に必要である。最終補体複合体の溶解活性から細胞を保護する2つの補体調節タンパク質、CD55(崩壊促進因子)およびCD59(反応性溶解の膜阻害剤)は、GPIが存在しないと機能しなくなる。これは、赤血球(RBC)の表面にある特定の補体タンパク質のC5活性化および蓄積をもたらし、これらの細胞の補体介在性の破壊をもたらす。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、発作性夜間血色素尿症(PNH)を、本発明の化合物または組成物、例えば医薬組成物で治療する方法である。PNHは、ホスファチジルイノシトールグリカンアンカー生合成、多能性造血幹細胞に由来するクラスA(PIG−A)遺伝子の後天性変異によって引き起こされる、まれな補体関連障害である(プ(Pu)、J.J.他、Clin Transl Sci.、2011年6月;4(3):219−24)。PNHの特徴は、骨髄障害、溶血性貧血および血栓症である。PIG−A遺伝子産物は、タンパク質を原形質膜につなぐために利用される糖脂質アンカー、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)の生産に必要である。最終補体複合体の溶解活性から細胞を保護する2つの補体調節タンパク質、CD55(崩壊促進因子)およびCD59(反応性溶解の膜阻害剤)は、GPIが存在しないと機能しなくなる。これは、赤血球(RBC)の表面にある特定の補体タンパク質のC5活性化および蓄積をもたらし、これらの細胞の補体介在性の破壊をもたらす。
PNHの患者は、最初はヘモグロビン尿症、腹痛、平滑筋ジストニア、および疲労、たとえばPNH関連の症状または障害を示す。PNHはまた、血管内溶血(疾患の主な臨床症状)と静脈血栓症を特徴とする。静脈血栓症は、肝臓、腸間膜、脳、および皮膚の静脈を含むがこれらに限定されない、異常な部位で発生する可能性がある。(パーカー(Parker)、C.他、2005、Blood、106:3699−709およびパーカー(Parker)、C.J.、2007年、Exp Hematol.、35:523−33)。現在、C5阻害剤モノクローナル抗体であるエクリズマブ(SOLIRIS(登録商標)、Alexion Pharmaceuticals、コネチカット州チェシャー)は、PNHについて承認された唯一の治療法である。
エクリズマブによる治療は、ほとんどのPNH患者の血管内溶血を適切に制御する(シュレーゼンマイアー(Schrezenmeier)、H.他、2014、Haematologica、99:922−9)。しかしながら、ニシムラ(Nishimura)およびその共同研究者らは、エクリズマブのC5への結合を妨げ、抗体による治療に反応しないC5遺伝子の変異を有する日本における11人の患者(PNH患者の3.2%)について説明している(ニシムラ(Nishimura),J−I他、2014、N Engl J Med.、370:632−9)。さらに、エクリズマブは、医療従事者の監督下で2週間ごとに点滴静注として投与され、それは不便であり、患者に負担をかけるものである。
長期のIV投与は、感染症、局所血栓症、血腫などの深刻な合併症を引き起こし、静脈アクセスが徐々に減少する可能性がある。さらに、エクリズマブは大きなタンパク質であり、免疫原性および過敏症のリスクと関連している。最後に、エクリズマブはC5に結合してC5bの生成を妨げるが、不完全な阻害により生成されたC5bはMAC形成を開始し、溶血を引き起こす可能性がある。
PNH患者の末梢血は、正常細胞と異常細胞の比率が異なる場合がある。この疾患は、臨床的特徴、骨髄の特徴、およびGPI−AP−欠損多形核白血球(PMN)の割合に基づいて、国際PNH専門家会議(International PNH Interest Group)に従って細分類される。GPI−AP欠損赤血球細胞はPNH患者では、破壊に対してより敏感であるため、PMNのフローサイトメトリー分析はより有益であると考えられている(パーカー(Parker),C.J.,2012.Curr Opin Hematol.、19:141−8)。従来のPNHでのフローサイトメトリー分析では、50〜100%のGPI−AP欠損PMNが示されている。
PNHの溶血性貧血は自己抗体(クームス陰性)とは無関係であり、補体の代替経路(AP)の制御されない活性化に起因する。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、PNHの治療において特に有用である。そのような化合物および組成物は、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含み得る。PNHの治療に有用な本発明のC5阻害剤は、場合によっては、C5のC5aおよびC5bへの開裂(cleavage)を遮断することができる。場合によっては、本開示のC5阻害剤は、PNHのエクリズマブ療法の代替として使用されてもよい。エクリズマブとは異なり、本明細書に開示されているC5阻害剤はC5bに結合し、C6結合およびその後のC5b−9 MACの集合を妨げる可能性がある。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、PNHの治療において特に有用である。そのような化合物および組成物は、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含み得る。PNHの治療に有用な本発明のC5阻害剤は、場合によっては、C5のC5aおよびC5bへの開裂(cleavage)を遮断することができる。場合によっては、本開示のC5阻害剤は、PNHのエクリズマブ療法の代替として使用されてもよい。エクリズマブとは異なり、本明細書に開示されているC5阻害剤はC5bに結合し、C6結合およびその後のC5b−9 MACの集合を妨げる可能性がある。
場合によっては、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントを、単独でまたは組成物中で使用して、対象のPNHを治療することができる。そのような対象は、他の治療(例えば、エクリズマブでの治療)に対して不十分な反応、不耐症、副作用を示した、反応しなかった、反応性の低下を示した、または耐性を示した対象を含み得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物および組成物での治療は、用量依存的な様式でPNH赤血球の溶血を阻害し得る。
いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、エクリズマブの代わりに投与される。いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、並行治療または連続治療を含み得るレジメンでエクリズマブと組み合わせて投与される。
配列および構造データに基づいて、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、エクリズマブのC5への結合を妨げるC5遺伝子の多型を有する限られた数の患者のPNHの治療に特に有用である可能性がある。このような患者には、単一のミスセンスC5ヘテロ接合変異c.2654G−>Aが含まれる患者が含まれる可能性があり、それは多型p.Arg885His(R885H;位置885でのこの多形と他の多型の説明については、ニシムラ(Nishimura),J.他、N Engl J Med.、2014、370(7):632−9(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい)予測する。この変異は、変異の保有者のC5にエクリズマブが結合する能力を破壊する。しかしながら、R5000は、R885H置換を保有するC5に結合することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の方法は、多型p.Arg885Hisを保有する対象においてC5活性を阻害すること、および/または、PNHを治療すること、を含む。
エクリズマブと同様に、R5000はC5のC5aおよびC5bへのタンパク質分解的開裂を遮断する。エクリズマブとは異なり、R5000はC5bに結合してC6との会合を遮断し、その後のMACの集合を阻止することもできる。したがって、有利には、R5000による不完全な阻害から生じる任意のC5bが、C6に結合すること、およびMACの集合を完了することが回避される。
場合によっては、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、PNH患者に対してエクリズマブの代替治療法として使用でき、IV投与の不便さと責任、およびモノクローナル抗体に関連する免疫原性と過敏症の既知のリスクを受けることなくさらなる有効性を提供する。さらに、感染、静脈アクセスの喪失、局所血栓症、および血腫などの長期のIV投与による深刻な合併症は、皮下(SC)注射によって与えられるR5000によって克服することができる。
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、これまでにエクリズマブで治療された、または治療されていない対象におけるC5阻害剤ベースのPNH治療を含む。一部の対象は、過去6か月間にエクリズマブ治療を受けた可能性がある。C5阻害剤ベースの治療は、R5000および/またはその代謝産物またはバリアントによる治療を含み得る。いくつかの方法によると、対象はエクリズマブ治療からR5000治療に切り替えられる。C5阻害剤は、規則的な間隔で2回以上投与されてもよい。間隔は、約1時間ごと〜約12時間ごと、約2時間ごと〜約24時間ごと、約4時間ごと〜約36時間ごと、約8時間ごと〜約48時間ごと、約12時間〜約60時間ごと、約18時間ごと〜約72時間ごと、約30時間ごと〜約84時間ごと、約40時間ごと〜約96時間ごと、約50時間ごと〜約108時間ごと時間、約60時間ごと〜約120時間ごと、約70時間ごと〜約132時間ごと、約80時間ごと〜約168時間ごと、ほぼ毎日〜ほぼ毎週、ほぼ毎週〜ほぼ毎月、または毎月より長い間隔、であってもよい。C5阻害剤の投与は、初期負荷用量(loading dose)でのC5阻害剤の投与を含み得る。初期負荷用量は、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.05mg/kg〜約2mg/kg、約0.1mg/kg〜約3mg/kg、約0.2mg/kgで〜約4mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.6mg/kg〜約6mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、または約5mg/kg〜約50mg/kg、であってもよい。C5阻害剤の投与は、初期治療用量でのC5阻害剤の投与を含み得る。初期治療用量は、初期負荷用量の後、規則的な間隔で2回以上C5阻害剤を投与することを含み得る。初期治療用量は、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.05mg/kg〜約2mg/kg、約0.1mg/kg〜約3mg/kg、約0.2mg/kg〜約4mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.6mg/kg〜約6mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、または約5mg/kg〜約50mg/kg、であってもよい。初期治療用量は、初期治療用量での投与期間の後、修正治療用量に置き換えることができる。期間は、約1日〜約10日、約1週間〜約3週間、約2週間〜約4週間、または4週間以上であってもよい。修正治療用量は、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.05mg/kg〜約2mg/kg、約0.1mg/kg〜約3mg/kg、約0.2mg/kgで〜約4mg/kg、約0.3mg/kg〜約5mg/kg、約0.6mg/kg〜約6mg/kg、約1.5mg/kg〜約10mg/kg、または約5mg/kg〜約50mg/kg、であってよい。修正治療用量は、投与されるC5阻害剤レベルの増加を含み得る。対象の乳酸脱水素酵素(LDH)レベルは、治療の過程で監視することができる。観察されたLDHレベルの変化に基づいて、初期治療用量を修正治療用量で置き換えてもよい。いくつかの態様において、上限正常値の1.5倍以下のLDHレベルが検出された後、対象は修正治療用量に移行される。いくつかの実施形態において、対象血清の溶血が低減される。いくつかの実施形態において、治療に応答して有害事象(例えば、注射反応または全身感染)は観察されない。C5阻害剤の投与は、自己投与(例えば、自動注射器デバイスを使用する)を含み得る。自己投与は、プレロードされたシリンジを使用する投与を含み得る。プレロードされたシリンジは、R5000の溶液を含み得る。自己投与は、例えば、医療専門家によって監視され得る。いくつかの態様において、自己投与はリモートで監視されてもよい。監視は、スマートデバイスを使用して実行されてもよい。
いくつかの実施形態において、本開示は、皮下注射によるR5000の毎日の自己投与によって対象のPNHを治療する方法を提供する。対象は、以前にエクリズマブで治療されていてもいなくてもよい。以前にエクリズマブで治療された対象は、過去6か月間にエクリズマブで治療された可能性がある。いくつかの方法によると、対象はエクリズマブ治療からR5000治療に切り替えられる。毎日の自己投与は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも24週、少なくとも36週、または少なくとも48週、実施され得る。R5000は、プレロードされたシリンジを使用して投与できる。プレロードされたシリンジは、ULTRASAFE PLUS(商標名)パッシブニードルガード(Becton Dickenson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を含み得る。投与は、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量であり得る。投与は、初期負荷用量を含み得る。初期負荷用量は、約0.3mg/kgのR5000を含み得る。R5000は、約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与されてもよい。初期治療用量は、対象のLDHレベルに基づいて修正治療用量に調整されてもよい。対象のLDHレベルがR5000投与の最初の2週間の間にULNの1.5倍以上である場合、初期治療用量は、約0.3mg/kgの修正治療用量に調整されてもよい。対象サンプルの溶血レベルは、約5%〜約20%、約10%〜約50%、約25%〜約75%、約60%〜約90%、約80%〜約95%、約85%〜約98%、約88%〜約99%、または約97%〜100%、低減され得る。低減は、治療の1日後、治療の1週間後、治療の2週間後、または治療後2週間以上、に起こり得る。低減は、治療の過程を通して持続する可能性がある。低減は、治療の終了後または変更後も持続する可能性がある。いくつかの実施形態において、LDHレベルは、R5000投与期間の50%を超える期間、ULNレベルの4倍未満である。いくつかの実施形態において、ブレイクスルー溶血のリスクが低減される。
いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤(例えば、R5000)は、PNHに罹患した対象に投与されてもよく、同対象は、以前にエクリズマブで治療されている。このような対象には、過去6か月間にエクリズマブ治療を受けた対象が含まれる。そのような対象の中には、エクリズマブ治療(以前の治療または進行中の治療を含む)に対する反応が不十分である場合がある。本明細書で使用される場合、「エクリズマブ治療に対する不十分な反応(inadequate response)」は、エクリズマブ投与を受けている対象におけるC5開裂および/または溶血の無効または不十分な阻害、上昇したまたは不安定な乳酸デヒドロゲナーゼレベル、あるいは対象のエクリズマブ不耐症を指す。本明細書で言及される、対象による「エクリズマブ不耐症(Eculizumab intolerance)」とは、健康への悪影響(例えば、疼痛、腫れ、炎症、疲労、および注入後の疼痛)を含み得るがこれらに限定されない治療の悪影響の疑いまたはその発生によりエクリズマブで治療できないことである。エクリズマブ治療に対する不十分な反応は、対象におけるC5開裂の効果のない阻害;エクリズマブの用量が低いことおよび/または対象の血漿エクリズマブのレベルが低いこと;および/または対象におけるエクリズマブクリアランス(例えば、代謝分解または代謝活動による他の除去)、に関連し得る。一部の例において、エクリズマブへの対象の不耐症のために、エクリズマブの用量が低下したため、一部の対象はエクリズマブに対して不十分な応答者である可能性がある。
エクリズマブは強力な活性化を模倣する条件下のインビトロでC5活性を完全に無効にせず、潜在的に患者を不十分な疾患制御に対して脆弱にすることが報告されている(ブロッドスキー(Brodsky)他、2017、Blood 129;922−923およびハーダー(Harder)他、2017、Blood 129:970−980)。これは、残留C5活性(residual C5 activity)と呼ばれている。残留C5活性は、エクリズマブが代替経路C5−転換酵素(C3bの2つのサブユニットと1つのBb成分とを含む)とのC5会合を阻止できないことが原因である可能性がある。いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントを使用して、C5と代替経路C5転換酵素との間の会合(association)を阻害することができる。
エクリズマブが結合する前に強力な補体活性化がC5開裂をもたらす場合、残留C5活性も存在する可能性がある。エクリズマブと同様に、R5000およびその活性代謝産物またはそのバリアントはC5に結合し、C5の開裂と最終補体カスケードの活性化を阻害する。ただし、R5000はエクリズマブとは異なる部位でC5に結合するため、阻害の別個の分子メカニズムを有する。さらに、R5000は開裂後にC5bと結合して、その後の溶血を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントを使用して、エクリズマブによる治療中または治療後に溶血活性が持続する条件下で補体阻害を改善することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、C5をR5000および/またはその活性代謝産物と接触させることにより、残留C5活性を阻害する方法を提供する。C5は、PNHに罹患した対象のC5であり得る。C5は、C5多型(例えば、pArg885His)を有する対象のC5であり得る。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、R5000および/またはその活性代謝産物またはそのバリアントを投与することにより、残留C5活性がエクリズマブによる以前のまたは現在の治療後に残る、PNHに罹患した対象を治療することを含む。
これまでの研究では、3年間のエクリズマブでの治療後に2つの異なる患者集団が出現することが示されている:即ち、(1)輸血依存性;および(2)輸血非依存性(ヒルメン(Hillmen)他、Br J Hematol、2013を参照されたい)。本明細書で言及される「輸血依存性」患者は、(治療の3年目の終わりの時点で)過去6か月間に少なくとも1回の輸血を受けている患者である。本明細書で言及される「輸血非依存性」患者は、(治療の3年目の終わりの時点で)過去6か月間に輸血を必要としなかった患者である。この研究によると、3年間治療された患者の80%は輸血に依存せず、20%は輸血に依存していた。いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤(例えば、R5000および/または活性代謝産物もしくはそのバリアント)を使用して、輸血依存性または輸血非依存性の対象を治療することができる。対象は、R5000投与の期間中に、輸血依存性の対象から輸血非依存性の対象に変換され得る。いくつかの実施形態において、輸血非依存性の対象のLDHレベルは、R5000治療に反応してULNレベルの4倍未満に低減する。低減レベルは、ULNレベルの1.5倍以下にすることができる。
いくつかの実施形態において、対象におけるブレイクスルー溶血のリスクは、本明細書に開示されるC5阻害剤(例えば、R5000)での治療により低減され得る。ブレイクスルー溶血(breakthrough hemolysis)とは、治療による溶血の初期制御後の溶血増加の1回以上の発生を指す。いくつかの実施形態において、ブレイクスルー溶血の間に起こる溶血の増加は、継続的なC5阻害剤治療によって制御され得る。C5阻害剤はR5000であり得る。継続的な治療には、R5000の増量が含まれる場合がある。
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、対象の治療をエクリズマブからR5000投与に切り替えることによって対象のPNHを治療する方法を含み、対象は治療の切り替えに関連するブレイクスルー溶血のリスクについて最初にスクリーニングされる。スクリーニングは、エクリズマブ治療からR5000治療への切り替えに関連するブレイクスルー溶血の少なくとも1つのリスク因子のスクリーニングを含み得る。このようなリスク因子には、治療切り替えの候補者が経験する既存のC3介在性血管外溶血が含まれ得る。リスク因子には、以前のエクリズマブ治療を受けている間の、輸血依存性の状態が含まれ得る。いくつかの実施形態において、対象のベースライン網状赤血球レベルがリスク因子であり得る。リスクに関連するベースラインの網状赤血球レベルには、ULNレベルの2倍以上のレベルが含まれ得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、過去6か月以内にエクリズマブ治療を受けた対象においてPNHを治療する方法を提供し、同方法は、R5000の毎日の皮下投与を含む。投与は、注射(例えば、プレロードされたシリンジを使用する)による自己投与であり得る。投与は、少なくとも12週間の期間にわたっていてもよい。対象はエクリズマブ治療からR5000治療に完全に切り替えられるか、あるいは治療はエクリズマブとR5000治療の重複を含み得る。いくつかの実施形態において、対象は、R5000治療の少なくとも最初の4週間はエクリズマブで治療されない。
R5000治療は、対象の生活の質(QOL)を高める可能性がある。QOLの変化は、限定されるものではないが、ウェブスター(Webster),K.他、Health and Quality of Life Outcome、1:79に記載されているように、慢性疾患治療(FACIT)疲労スコアの機能的評価によることを含む、既知の方法に従って評価できる。
炎症の徴候
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、炎症に関連する疾患、障害および/または状態を有する対象を治療するために使用できる。炎症は、補体系のタンパク質分解カスケード時に上方制御され得る。炎症は有益な効果をもたらす可能性があるが、過剰な炎症はさまざまな病状を引き起こす可能性がある(マーキーウスキー(Markiewski)他、2007、Am J Pathol.、17:715−27)。したがって、本発明の化合物および組成物を使用して、補体活性化に関連する炎症を低減または排除することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、炎症に関連する疾患、障害および/または状態を有する対象を治療するために使用できる。炎症は、補体系のタンパク質分解カスケード時に上方制御され得る。炎症は有益な効果をもたらす可能性があるが、過剰な炎症はさまざまな病状を引き起こす可能性がある(マーキーウスキー(Markiewski)他、2007、Am J Pathol.、17:715−27)。したがって、本発明の化合物および組成物を使用して、補体活性化に関連する炎症を低減または排除することができる。
無菌炎症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、無菌炎症の発生を治療、防止または遅延させるために使用できる。無菌炎症は、感染以外の刺激に反応して発生する炎症である。滅菌炎症は、物理的、化学的、または代謝による有害な刺激によって引き起こされる、ゲノムストレス、低酸素ストレス、栄養ストレス、または小胞体ストレスなどのストレスに対する一般的な反応であり得る。無菌炎症は、限定されるものではないが、虚血誘発性損傷、関節リウマチ、急性肺損傷、薬物誘発性肝損傷、炎症性腸疾患および/または他の疾患、障害または状態などの多くの疾患の病因に寄与する可能性がある。無菌炎症のメカニズム、ならびに無菌炎症の症状の治療、防止および/または遅延のための方法および組成物は、ルバルテリー(Rubartelli)他、Frontiers in Immunology、2013、4:398−99、ロック(Rock)他、Annu Rev Immunol.、2010、28:321−342、または米国特許第8,101,586号明細書(それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されているものの任意のものを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、無菌炎症の発生を治療、防止または遅延させるために使用できる。無菌炎症は、感染以外の刺激に反応して発生する炎症である。滅菌炎症は、物理的、化学的、または代謝による有害な刺激によって引き起こされる、ゲノムストレス、低酸素ストレス、栄養ストレス、または小胞体ストレスなどのストレスに対する一般的な反応であり得る。無菌炎症は、限定されるものではないが、虚血誘発性損傷、関節リウマチ、急性肺損傷、薬物誘発性肝損傷、炎症性腸疾患および/または他の疾患、障害または状態などの多くの疾患の病因に寄与する可能性がある。無菌炎症のメカニズム、ならびに無菌炎症の症状の治療、防止および/または遅延のための方法および組成物は、ルバルテリー(Rubartelli)他、Frontiers in Immunology、2013、4:398−99、ロック(Rock)他、Annu Rev Immunol.、2010、28:321−342、または米国特許第8,101,586号明細書(それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されているものの任意のものを含み得る。
全身性炎症反応(SIRS)および敗血症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、全身性炎症反応症候群(SIRS)を治療および/または防止するために使用できる。SIRSは全身に影響を与える炎症である。SIRSが感染によって引き起こされる場合、敗血症と呼ばれる。SIRSは、外傷、怪我、火傷、虚血、出血、および/またはその他の状態などの非感染性の事象によって引き起こされることもある。SIRSおよび/または敗血症に関連する負の転帰には、多臓器不全(MOF)がある。グラム陰性敗血症のC3レベルでの補体阻害は、大腸菌による進行性MOFから臓器を有意に保護するが、細菌のクリアランスも妨げる。本明細書に記載される化合物および組成物は、敗血症の対象に投与されて、細菌クリアランスを有害に変化させることなく臓器保護の利益を提供し得るC5補体成分阻害剤を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、全身性炎症反応症候群(SIRS)を治療および/または防止するために使用できる。SIRSは全身に影響を与える炎症である。SIRSが感染によって引き起こされる場合、敗血症と呼ばれる。SIRSは、外傷、怪我、火傷、虚血、出血、および/またはその他の状態などの非感染性の事象によって引き起こされることもある。SIRSおよび/または敗血症に関連する負の転帰には、多臓器不全(MOF)がある。グラム陰性敗血症のC3レベルでの補体阻害は、大腸菌による進行性MOFから臓器を有意に保護するが、細菌のクリアランスも妨げる。本明細書に記載される化合物および組成物は、敗血症の対象に投与されて、細菌クリアランスを有害に変化させることなく臓器保護の利益を提供し得るC5補体成分阻害剤を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、敗血症を治療する方法を提供する。敗血症は微生物感染によって誘発される可能性がある。微生物感染は、少なくとも1つのグラム陰性感染性物質を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「感染性物質(infectious agent)」は、サンプルまたは対象の細胞、組織、器官、区画、または流体に侵入するか、そうでなければ感染する任意の実体をいう。場合によっては、感染性物質は細菌、ウイルス、または他の病原体であり得る。グラム陰性感染性物質はグラム陰性菌である。グラム陰性感染性物質は、限定されるものではないが大腸菌を含み得る。
敗血症を治療する方法は、対象への1つ以上のC5阻害剤の投与を含み得る。C5阻害剤はR5000であり得る。いくつかの方法によれば、補体活性化は低減または阻止され得る。補体活性の低下または阻止は、対象サンプル中の補体活性の1つまたは複数の産物を検出することによって決定することができる。そのような産物は、C5開裂産物(例えば、C5aおよびC5b)またはC5開裂の結果として形成される下流の複合体(例えば、C5b−9)を含み得る。いくつかの実施形態において、本開示は、R5000で敗血症を治療する方法を提供し、C5aおよび/またはC5b−9のレベルは、対象および/または対象から得られた少なくとも1つのサンプルにおいて低減または排除される。例えば、C5aおよび/またはC5b−9レベルは、R5000を投与された対象(またはそのような対象から得られたサンプル)において、R5000で治療されていない対象(または対象サンプル)(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または処置前または処置の初期の期間中の同じ対象(または対象サンプル)と比較した場合、約0%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、低減され得る。
いくつかの実施形態において、R5000治療によって低減したC5b−9レベルは、補体活性化の古典経路、補体活性化の代替経路および補体活性化のレクチン経路の1つ以上に関連するC5b−9レベルである。
いくつかの実施形態において、敗血症に関連する1つまたは複数の因子の存在、不在、および/またはレベルは、敗血症を有する対象にR5000を投与することによって調整することができる。そのような因子の存在または不在は、それらの検出のためのアッセイを使用して決定され得る。因子レベルの変化は、R5000治療後に敗血症を有する対象におけるそのような因子のレベルを決定し、それらのレベルを同じ対象の以前のレベル(R5000治療前または1つ以上の初期の治療期間中、のいずれか)またはR5000で治療されていない対象のレベル(敗血症で治療を受けていない対象、または他の何らかの治療を受けている対象を含む)と比較することによって、決定され得る。比較は、R5000で治療された対象とR5000で治療されなかった対象との間の因子レベルのパーセンテージの違いによって提示されてもよい。
C5開裂産物は、C5開裂から生じ得る任意のタンパク質または複合体を含み得る。場合によっては、C5開裂産物は、限定されるものではないが、C5aおよびC5bを含み得る。C5b開裂産物は、補体タンパク質C6、C7、C8およびC9(本明細書では「C5b−9」と呼ばれる)との複合体を形成し続ける可能性がある。したがって、C5b−9を含むC5開裂産物を検出および/または定量して、補体活性が低減または阻止されているかどうかを決定することができる。C5b−9沈着(deposition)の検出は、例えば、WIESLAB(登録商標)ELISA(Euro Diagnostica、スウェーデン国マルメ)キットを使用して実施できる。開裂産物の定量は、他の文献(たとえば、ベルクセス(Bergseth)G他、2013、Mol Immunol.、56:232−9(その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる))によって説明されているように「補体任意単位(complement arbitrary units)」(CAU)で測定することができる。
いくつかの実施形態において、敗血症をC5阻害剤(例えば、R5000)で治療することにより、C5b−9産生を低減または防止することができる。
本発明によれば、対象へのR5000の投与は、対象および/または対象から得られた少なくとも1つのサンプルにおける細菌クリアランス(bacterial clearance)の調整をもたらし得る。本明細書で言及される細菌クリアランスは、対象またはサンプルからの細菌の部分的または完全な除去/減少である。クリアランスは、細菌を殺すか、そうでなければ細菌を成長および/または繁殖不可能にすることによって起こり得る。場合によっては、細菌クリアランスは、細菌溶解および/または免疫破壊を通じて(例えば、食作用、細菌細胞溶解、オプソニン化などを通じて)起こり得る。いくつかの方法によれば、C5阻害剤(例えば、R5000)で治療された対象の細菌クリアランスは、細菌クリアランスに影響を及ぼさないか、または有益な効果をもたらす可能性がある。これは、C5阻害によるC3bレベルの欠如または効果の低下に起因して発生する可能性がある。いくつかの実施形態において、敗血症をR5000で治療する方法は、C3b依存性オプソニン作用の妨害を回避するか、またはC3b依存性オプソニン作用を増強することができる。
本発明によれば、対象へのR5000の投与は、対象および/または対象から得られた少なくとも1つのサンプルにおける細菌クリアランス(bacterial clearance)の調整をもたらし得る。本明細書で言及される細菌クリアランスは、対象またはサンプルからの細菌の部分的または完全な除去/減少である。クリアランスは、細菌を殺すか、そうでなければ細菌を成長および/または繁殖不可能にすることによって起こり得る。場合によっては、細菌クリアランスは、細菌溶解および/または免疫破壊を通じて(例えば、食作用、細菌細胞溶解、オプソニン化などを通じて)起こり得る。いくつかの方法によれば、C5阻害剤(例えば、R5000)で治療された対象の細菌クリアランスは、細菌クリアランスに影響を及ぼさないか、または有益な効果をもたらす可能性がある。これは、C5阻害によるC3bレベルの欠如または効果の低下に起因して発生する可能性がある。いくつかの実施形態において、敗血症をR5000で治療する方法は、C3b依存性オプソニン作用の妨害を回避するか、またはC3b依存性オプソニン作用を増強することができる。
場合によっては、R5000治療による細菌クリアランスは、未治療の対象や別の形の補体阻害剤、たとえばC3阻害剤で治療された対象の細菌クリアランスと比較して高められることがある。いくつかの実施形態において、R5000で治療された敗血症に罹患した対象は、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)の細菌クリアランスと比較した場合、またはR5000による治療前、もしくはR5000での初期の治療期間中の同じ対象の初期の細菌クリアランスレベルと比較した場合、0%〜少なくとも100%強化された細菌クリアランスを経験し得る。例えば、R5000で治療された対象および/またはそのような対象から得られた少なくとも1つのサンプルにおける細菌クリアランスは、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、および/またはそのような対象から得られたサンプルと比較した場合、もしくは、治療前の期間もしくは治療の初期の期間の同じ対象と比較した場合、および/または、治療前もしくは治療の初期の期間の同じ対象から得られたサンプルと比較した場合、約0%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、高められ得る。
細菌クリアランスは、対象および/または対象サンプル中の細菌レベルを直接測定することにより、または細菌クリアランスの1つ以上の指標(例えば、細菌溶解後に放出される細菌成分のレベル)を測定することにより、対象において測定され得る。次いで、細菌クリアランスレベルは、細菌/指標レベルの以前の測定値との比較、または治療を受けていないかまたは異なる治療を受けている対象における細菌/指標レベルとの比較によって決定され得る。場合によっては、収集された血液からのコロニー形成単位(cfu)(例えば、血液単位mlあたりのcfuを生成するため)が検査され、細菌レベルが決定される。
いくつかの実施形態において、R5000を用いた敗血症治療は、食作用に影響を及ぼさずに、または食作用の実質的な障害なしに実行され得る。これには、好中球依存性および/または単球依存性食作用が含まれ得る。R5000治療による障害のない、または実質的な障害のない食作用は、R5000治療によるC3bレベルに対する変化が限定的または存在しないことに起因し得る。
酸化的バーストはC5a依存性プロセスであり、特定の細胞、特にマクロファージおよび好中球による病原体による攻撃後の過酸化物の生成を特徴としている(モルネス(Mollnes)T.E.他、2002、Blood 100、1869〜1877(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照)。
いくつかの実施形態において、R5000での治療後の敗血症に罹患した対象において、酸化バーストを低減または防止することができる。これは、R5000依存のC5阻害によるC5aレベルの低下に起因し得る。酸化バーストは、R5000を投与された対象において、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象と比較した場合、約0%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、低減され得る。
リポ多糖(LPS)は、既知の免疫刺激因子である細菌の細胞膜の成分である。補体依存性溶菌は、敗血症に特徴的なものなどの炎症反応に寄与するLPSの放出につながる可能性がある。いくつかの実施形態において、敗血症をR5000で治療すると、LPSレベルが低下し得る。これは、C5依存性補体活性の阻害による補体介在性溶菌の減少に起因し得る。いくつかの実施形態において、LPSレベルは、R5000を投与された対象(またはそのような対象から得られたサンプル)において、R5000で治療されていない対象(または対象サンプル)(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象(または対象サンプル)と比較した場合、約0%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、低減または排除され得る。
いくつかの実施形態において、LPSレベルは、R5000で治療されていない敗血症の対象(または対象サンプル)(1つ以上の他の形態での治療を受けた対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中に同じ対象(または対象サンプル)と比較した場合、R5000で治療された敗血症の対象(または対象サンプル)のLPSレベルが100%低減し得る。
本開示のいくつかの実施形態において、1つまたは複数のサイトカインの敗血症誘発性レベルは、R5000での治療で低減され得る。サイトカインには、感染に対する免疫応答を刺激する多数の細胞シグナル伝達分子が含まれる。「サイトカインストーム」は、少なくとも4つのサイトカイン、インターロイキン(IL)−6、IL−8、単球走化性タンパク質1(MCP−1)、および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の劇的なアップレギュレーションであり、細菌感染に起因し、敗血症の一因となる可能性がある。C5aはこれらのサイトカインの合成と活性を誘発することが知られている。したがって、C5の阻害剤は、C5aのレベルを低下させることにより、サイトカインレベルを低下させる可能性がある。サイトカインレベルを対象または対象サンプルで評価して、敗血症時にアップレギュレートされた1つまたは複数の炎症性サイトカインのレベルを低下させるC5阻害剤の能力を評価することができる。IL−6、IL−8、MCP−1、および/またはTNFαのレベルは、R5000を投与された対象において、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象と比較した場合、約0%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、低減され得る。いくつかの実施形態において、IL−6、IL−8、MCP−1、および/またはTNFαレベルは、R5000で治療されていない敗血症の対象(1つ以上の他の形態の治療を受けている対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象と比較した場合、R5000で治療された敗血症の対象において100%低減し得る。
敗血症に関連する1つの合併症は、凝固および/または線溶経路の調節不全である(レビ(Levi)M.他、2013、Seminars in thrombosis and hemostasis、39、559−66;リッテルシュ(Rittirsch)D.他、2008、Nature Reviews Immunology 8、776−87;およびデムフル(Dempfle)C.、2004、A Thromb Haemost.、91(2):213−24(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。これらの経路の制御された局所活性化は、病原体から身を守るために重要であるが、全身性の制御されていない活性化は有害な場合がある。細菌感染に関連する補体活性は、MAC形成に関連する宿主細胞および組織の損傷の増加により、凝固および/または線維素溶解異常調節を促進する可能性がある。いくつかの実施形態において、R5000による敗血症の治療は、凝固および/または線維素溶解経路を正常化し得る。
敗血症に関連する凝固および/または線維素溶解の調節不全には、播種性血管内凝固(DIC)が含まれ得る。DICは、小血管での凝固の活性化と血栓形成により組織および臓器の損傷を引き起こす状態である。この活性は、組織や臓器への血流を減らし、身体の他の部分の凝固に必要な血液因子を消費する。血流中のこれらの血液因子の欠如は、身体の他の部分において、制御されない出血を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態において、敗血症をR5000で治療することにより、DICを低減または排除することができる。
敗血症に関連する凝固機能障害は、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)および/またはプロトロンビン時間(PT)を測定することにより検出できる。これらは、凝固因子レベルが低いかどうかを判断するために血漿サンプルに対して実施される試験である。DICを有する対象では、凝固因子のレベルが低下するため、APTTおよび/またはPTが延長される。いくつかの実施形態において、R5000による敗血症の対象治療は、治療した対象から得られたサンプル中のAPTTおよび/またはPTを低下および/または正常化し得る。
敗血症に関連する凝固機能障害は、トロンビン−アンチトロンビン(TAT)複合体レベルの分析および/または組織因子(TF)mRNAの白血球発現を通じてさらに評価され得る。TAT複合体のレベルの上昇とTFmRNAの白血球発現は、凝固機能障害に関連しており、DICと一致している。いくつかの実施形態において、敗血症をR5000で治療すると、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象と比較した場合、約0.005%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、TATレベルおよび/または白血球TFmRNAレベルにおける低減が得られる。いくつかの実施形態において、R5000で治療されていない敗血症を有する対象(1つ以上の他の形態のレシピエントを含む対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象と比較した場合、R5000で治療された敗血症の対象において、TATレベルおよび/または白血球TFmRNAレベルが100%減少し得る。
第XII因子は、血漿の正常な凝固に対する重要な因子である。小血管での凝固に関連する第XII因子の消費により、第XII因子レベルは、凝固機能障害(例えば、DIC)の対象から採取された血漿サンプルで減少する可能性がある。いくつかの実施形態において、R5000での敗血症治療は、第XII因子の消費を低減することができる。したがって、R5000治療後に敗血症の対象から採取した血漿サンプルでは、第XII因子レベルが増加する可能性がある。第XII因子レベルは、血漿サンプル中で、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)と比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象から得られた血漿サンプルと比較した場合、約0.005%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、増加し得る。いくつかの実施形態において、R5000で治療されていない敗血症の対象(1つ以上の他の形態の治療を受けている対象を含む)からの血漿サンプルと比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象から採取された血漿サンプルと比較した場合、R5000で治療されている敗血症の対象からの血漿サンプルにおいて第XII因子レベルが100%増加し得る。
線維素溶解は、血栓形成に重要なプロセスである酵素活性によるフィブリンの分解である。線維素溶解異常調節は重度の敗血症で発生する可能性があり、大腸菌で攻撃されたヒヒの正常な凝固に影響を与えると報告されている(P.デボア(de Boer)J.P.他、1993、Circulatory shock、39、59−67(それらの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。敗血症依存性の線溶機能障害(DICに関連する線溶機能障害を含むがこれに限定されない)の血漿指標には、限定されるものではないが、フィブリノーゲンレベルの低下(フィブリン塊を形成する能力の低下を示す)、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)レベルの増加、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤タイプ1(PAI−1)レベルの増加、プラスミン−アンチプラスミン(PAP)レベルの増加、フィブリノーゲン/フィブリン分解産物の増加、およびD−ダイマーレベルの増加、が含まれ得る。いくつかの実施形態において、R5000での敗血症の治療は、R5000で治療されていない対象(他の補体阻害剤で治療された対象を含む)からの血漿サンプルにおけるレベルと比較した場合、または治療前の期間または治療の初期の期間中の同じ対象から得られた血漿サンプルにおけるレベルと比較した場合、約0.005%〜約0.05%、約0.01%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.5%〜約10%、約1%〜約15%、約5%〜約25%、約10%〜約50%、約20%〜約60%、約25%〜約75%、約50%〜約100%、血漿フィブリノーゲンレベルにおける低減、および/またはtPA、PAI−1、PAP、フィブリノーゲン/フィブリン分解産物、およびD−ダイマーの血漿レベルにおける増加、を生じ得る。いくつかの実施形態において、血漿フィブリノーゲンレベルにおける敗血症関連の減少および/またはtPA、PAI−1、PAP、フィブリノーゲン/フィブリン分解産物、および/またはD−ダイマーの血漿レベルの敗血症関連の増加は、R5000で治療された敗血症の対象からの血漿サンプルのレベルと比較した場合、少なくとも10,000%だけ異なり得る。
敗血症に関連する過活動補体活性の別の結果は、補体依存性溶血および/またはC3b依存性オプソニン作用による赤血球の減少である。本開示に従ってR5000で敗血症を治療する方法は、補体依存性溶血を低減することを含み得る。敗血症に関連する補体依存性溶血を評価する1つの方法は、完全な血球数を取得することを含む。完全な血球数は、血液サンプルに存在する細胞の種類を計数する自動プロセスを通じて取得できる。完全な血球数分析の結果には、通常、ヘマトクリット、赤血球(RBC)数、白血球(WBC)数および血小板のレベルが含まれる。ヘマトクリットレベルは、赤血球で構成される血液の割合(体積)を決定するために使用される。溶血による敗血症では、ヘマトクリットレベル、血小板レベル、RBCレベル、およびWBCレベルが低下し得る。いくつかの実施形態において、R5000による敗血症の治療は、ヘマトクリットレベル、血小板レベル、RBCレベル、および/またはWBCレベルを増加させる。増加は即時的である場合もあれば、治療(例えば、単回または複数回投与による治療)に伴って経時的に発生する場合もある。
いくつかの実施形態において、R5000での対象治療は、敗血症に関連する白血球(例えば、好中球およびマクロファージ)の活性化を低減させることができる。白血球に関連して本明細書で使用される「活性化」は、関連する免疫機能を実行するためのこれらの細胞の動員および/または成熟を指す。R5000治療による白血球活性化の低下は、治療された対象または治療された対象から得られたサンプルを評価することによって決定され得る。
いくつかの実施形態において、R5000による敗血症の治療は、治療されている対象の1つまたは複数のバイタルサインを改善することができる。このようなバイタルサインには、限定されるものではないが、心拍数、平均全身動脈圧(MSAP)、呼吸数、酸素飽和度および体温が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、R5000による敗血症の治療は、敗血症に関連する毛細血管漏出および/または内皮バリア機能不全を安定化または低減し得る(すなわち、毛細血管漏出および/または内皮バリア機能不全を維持または改善するため)。毛細血管漏出および/または内皮バリア機能障害の安定化または低減は、総血漿タンパク質レベルおよび/または血漿アルブミンレベルを測定することにより決定され得る。敗血症に関連する血漿レベルと比較していずれかのレベルの増加は、毛細血管漏出の減少を示している可能性がある。したがって、R5000による敗血症の治療は、総血漿タンパク質および/または血漿アルブミンのレベルを増加し得る。
本開示の方法は、R5000で敗血症を治療する方法を含み得、1つ以上の急性期(acute phase)タンパク質のレベルが低減される。急性期タンパク質は、炎症状態で肝臓によって産生されるタンパク質である。R5000治療は、敗血症に関連する炎症を軽減し、肝臓による急性期タンパク質の産生低下につながる可能性がある。
本発明のいくつかの方法によれば、敗血症によって誘発される臓器損傷および/または臓器機能不全は、R5000での処置によって低減、逆転、または防止され得る。臓器機能の改善により低下する可能性のある指標には、限定されるものではないが、血漿乳酸(血管灌流とクリアランスの改善を示す)、クレアチニン、血中尿素窒素(両方とも腎機能の改善を示す)、および肝トランスアミナーゼ(肝機能の改善を示す)が含まれ得る。いくつかの実施形態において、発熱反応、二次感染のリスクおよび/または敗血症の再発のリスクは、R5000で敗血症を治療された対象において低減される。
本開示の方法は、敗血症関連死を防止すること、および/またはR5000での治療を通じて敗血症に罹患した対象の生存期間を改善することを含み得る。改善された生存時間は、R5000で治療された対象の生存時間と未治療の対象(1つ以上の他の治療形態で治療された対象を含む)の生存時間とを比較することで決定できる。いくつかの実施形態において、生存時間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも2週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも4か月、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、または少なくとも10年、増加する。
いくつかの実施形態において、R5000の投与は単回用量で行われる。いくつかの実施形態において、R5000の投与は、複数回投与で行われる。例えば、R5000投与は、初回用量の投与、その後の1回以上の反復用量の投与を含み得る。反復用量は、前回投与後の、約1時間〜約24時間、約2時間〜約48時間、約4時間〜約72時間、約8時間〜約96時間、約12時間〜約36時間、または約18時間〜約60時間で、投与され得る。場合によっては、反復用量は、前回投与後の、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、4週間、2か月、4か月、6か月、または6か月以上で、投与され得る。場合によっては、敗血症を安定化または低減するために、または対象における敗血症に関連する1つまたは複数の影響を安定化または低減するために、必要に応じて反復用量が投与され得る。反復用量には、同じ量のR5000が含まれる場合と、異なる量が含まれる場合がある。
本発明の化合物および組成物は、SIRS、敗血症および/またはMOFの防止および治療のための補体活性化を制御する、および/または均衡を保つために使用できる。SIRSおよび敗血症を治療するために補体阻害剤を適用する方法は、米国特許出願公開第2013/0053302号明細書または米国特許第8,329,169号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)における方法を含み得る。
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症を治療および/または防止するために使用できる。ARDSは広範囲にわたる肺の炎症であり、外傷、感染症(敗血症など)、重度の肺炎、および/または有害物質の吸入によって引き起こされ得る。ARDSは通常、生命にかかわる深刻な合併症である。研究は、好中球が、負傷した肺胞および肺の間質組織における多形核細胞の蓄積に影響を与えることにより、ARDSの発症に寄与する可能性があることを示唆している。したがって、本発明の化合物および組成物は、肺胞好中球における組織因子産生を低減および/または防止するために投与され得る。本発明の化合物および組成物は、場合によっては、国際公開第WO2009/014633号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って、ARDSの治療、防止および/または遅延にさらに使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症を治療および/または防止するために使用できる。ARDSは広範囲にわたる肺の炎症であり、外傷、感染症(敗血症など)、重度の肺炎、および/または有害物質の吸入によって引き起こされ得る。ARDSは通常、生命にかかわる深刻な合併症である。研究は、好中球が、負傷した肺胞および肺の間質組織における多形核細胞の蓄積に影響を与えることにより、ARDSの発症に寄与する可能性があることを示唆している。したがって、本発明の化合物および組成物は、肺胞好中球における組織因子産生を低減および/または防止するために投与され得る。本発明の化合物および組成物は、場合によっては、国際公開第WO2009/014633号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って、ARDSの治療、防止および/または遅延にさらに使用することができる。
歯周炎
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、歯周炎および/または関連する状態の発症を治療または防止するために使用できる。歯周炎は広範囲に及ぶ慢性の炎症であり、歯を支えている周囲の組織である歯周組織の破壊を引き起こす。この状態には、歯槽骨(歯を保持する骨)の喪失も含まれる。歯周炎は、口腔衛生の欠如によって引き起こされる可能性があり、歯垢としても知られている歯肉線での細菌の蓄積につながる。糖尿病や栄養失調などの特定の健康状態、および/または喫煙などの習慣は、歯周炎のリスクを高める可能性がある。歯周炎は、脳卒中、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、早期陣痛、ならびにその他の健康問題のリスクを高める可能性がある。研究は、歯周炎と局所補体活性との間の相関関係を示している。歯周細菌は補体カスケードの特定の成分を阻害または活性化する可能性がある。したがって、本発明の化合物および組成物を使用して、歯周炎ならびに関連する疾患および状態を防止および/または治療することができる。補体活性化阻害剤および治療方法は、Biochem Pharmacol.、2010、15;80(12):1においてハジシェンガリス(Hajishengallis)によって教示されたもの、ランブリス(Lambris)によって教示されたもの、および米国特許出願公開第2013/0344082号明細書に教示されたもの(そのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)のいずれかを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、歯周炎および/または関連する状態の発症を治療または防止するために使用できる。歯周炎は広範囲に及ぶ慢性の炎症であり、歯を支えている周囲の組織である歯周組織の破壊を引き起こす。この状態には、歯槽骨(歯を保持する骨)の喪失も含まれる。歯周炎は、口腔衛生の欠如によって引き起こされる可能性があり、歯垢としても知られている歯肉線での細菌の蓄積につながる。糖尿病や栄養失調などの特定の健康状態、および/または喫煙などの習慣は、歯周炎のリスクを高める可能性がある。歯周炎は、脳卒中、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、早期陣痛、ならびにその他の健康問題のリスクを高める可能性がある。研究は、歯周炎と局所補体活性との間の相関関係を示している。歯周細菌は補体カスケードの特定の成分を阻害または活性化する可能性がある。したがって、本発明の化合物および組成物を使用して、歯周炎ならびに関連する疾患および状態を防止および/または治療することができる。補体活性化阻害剤および治療方法は、Biochem Pharmacol.、2010、15;80(12):1においてハジシェンガリス(Hajishengallis)によって教示されたもの、ランブリス(Lambris)によって教示されたもの、および米国特許出願公開第2013/0344082号明細書に教示されたもの(そのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)のいずれかを含み得る。
皮膚筋炎
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば、医薬組成物、および/または方法を使用して、皮膚筋炎を治療することができる。皮膚筋炎は、筋力低下と慢性筋炎を特徴とする炎症性ミオパシーである。皮膚筋炎は、多くの場合、筋力低下と同時に起こるか、もしくは筋力低下に先立つ皮膚の発疹から始まる。本発明の化合物、組成物、および/または方法は、皮膚筋炎を軽減または防止するために使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば、医薬組成物、および/または方法を使用して、皮膚筋炎を治療することができる。皮膚筋炎は、筋力低下と慢性筋炎を特徴とする炎症性ミオパシーである。皮膚筋炎は、多くの場合、筋力低下と同時に起こるか、もしくは筋力低下に先立つ皮膚の発疹から始まる。本発明の化合物、組成物、および/または方法は、皮膚筋炎を軽減または防止するために使用することができる。
創傷および損傷
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、異なるタイプの創傷(wounds)および/または損傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。本明細書で使用される場合、「損傷(injury)」なる用語は、典型的には肉体的外傷を指すが、限局性の感染または疾患過程を含み得る。損傷は、身体の一部および/または器官に影響を与える外的事象によって引き起こされる危害、傷害、または破壊に特徴づけられ得る。創傷は、皮膚への切り傷、打撃、火傷、および/または他の衝撃に関連しており、皮膚に破損または損傷を残す。創傷および損傷は多くの場合急性であるが、適切に治癒しなければ、慢性の合併症および/または炎症を引き起こす可能性がある。
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、異なるタイプの創傷(wounds)および/または損傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。本明細書で使用される場合、「損傷(injury)」なる用語は、典型的には肉体的外傷を指すが、限局性の感染または疾患過程を含み得る。損傷は、身体の一部および/または器官に影響を与える外的事象によって引き起こされる危害、傷害、または破壊に特徴づけられ得る。創傷は、皮膚への切り傷、打撃、火傷、および/または他の衝撃に関連しており、皮膚に破損または損傷を残す。創傷および損傷は多くの場合急性であるが、適切に治癒しなければ、慢性の合併症および/または炎症を引き起こす可能性がある。
創傷および火傷
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、創傷の治療および/または創傷の治癒を促進するために使用できる。健康な皮膚は、病原菌やその他の環境エフェクターに対する防水性の保護バリアを提供する。皮膚は体温と流体の蒸発も制御する。皮膚が負傷すると、これらの機能が妨害され、皮膚の治癒が困難になる。創傷は、組織を修復および再生する免疫系に関連する一連の生理学的プロセスを開始する。補体活性化はこれらのプロセスの1つである。補体活性化の研究では、フォンデグート(van de Goot)他、J Burn Care Res、2009、30:274−280およびカゼンダー(Cazander)他、Clin Dev Immunol、2012、2012:534291(これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)により教示されたように、創傷治癒に関与するいくつかの補体成分が同定されてきた。場合によっては、補体の活性化が過剰である可能性があり、それは、細胞死と炎症の亢進を引き起こす(創傷治癒障害と慢性創傷につながる)。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、そのような補体活性化を低減または排除して、創傷治癒を促進するために使用できる。本発明の化合物および組成物による治療は、国際公開第WO2012/174055号に開示された創傷を治療するための方法のいずれかに従って実施することができる(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、創傷の治療および/または創傷の治癒を促進するために使用できる。健康な皮膚は、病原菌やその他の環境エフェクターに対する防水性の保護バリアを提供する。皮膚は体温と流体の蒸発も制御する。皮膚が負傷すると、これらの機能が妨害され、皮膚の治癒が困難になる。創傷は、組織を修復および再生する免疫系に関連する一連の生理学的プロセスを開始する。補体活性化はこれらのプロセスの1つである。補体活性化の研究では、フォンデグート(van de Goot)他、J Burn Care Res、2009、30:274−280およびカゼンダー(Cazander)他、Clin Dev Immunol、2012、2012:534291(これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)により教示されたように、創傷治癒に関与するいくつかの補体成分が同定されてきた。場合によっては、補体の活性化が過剰である可能性があり、それは、細胞死と炎症の亢進を引き起こす(創傷治癒障害と慢性創傷につながる)。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、そのような補体活性化を低減または排除して、創傷治癒を促進するために使用できる。本発明の化合物および組成物による治療は、国際公開第WO2012/174055号に開示された創傷を治療するための方法のいずれかに従って実施することができる(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)。
頭部外傷
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、頭部外傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。頭部外傷には、頭皮、頭蓋骨、または脳への損傷が含まれる。頭部外傷の例には、限定されるものではないが、脳震盪、挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性脳損傷および/または他の損傷が含まれる。頭部外傷は軽度または重度であり得る。場合によっては、頭部外傷が長期的な身体的および/または精神的合併症または死につながる可能性がある。研究は、頭部外傷が不適切な頭蓋内補体カスケード活性化を誘発する可能性があることを示しており、それは、脳浮腫および/または神経細胞死の進行による二次的脳損傷の一因となる局所炎症反応につながる可能性がある(スターエル(Stahel)他、Brain Research Reviews、1998、27:243−56(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。本発明の化合物および組成物は、頭部外傷を治療するために、および/または関連する二次的合併症を低減または防止するために使用できる。本発明の化合物および組成物を使用して、頭部外傷における補体カスケード活性化を制御する方法は、ホラーズ(Holers)他の米国特許第8,911,733号明細書(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている任意の方法を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、頭部外傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。頭部外傷には、頭皮、頭蓋骨、または脳への損傷が含まれる。頭部外傷の例には、限定されるものではないが、脳震盪、挫傷、頭蓋骨骨折、外傷性脳損傷および/または他の損傷が含まれる。頭部外傷は軽度または重度であり得る。場合によっては、頭部外傷が長期的な身体的および/または精神的合併症または死につながる可能性がある。研究は、頭部外傷が不適切な頭蓋内補体カスケード活性化を誘発する可能性があることを示しており、それは、脳浮腫および/または神経細胞死の進行による二次的脳損傷の一因となる局所炎症反応につながる可能性がある(スターエル(Stahel)他、Brain Research Reviews、1998、27:243−56(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。本発明の化合物および組成物は、頭部外傷を治療するために、および/または関連する二次的合併症を低減または防止するために使用できる。本発明の化合物および組成物を使用して、頭部外傷における補体カスケード活性化を制御する方法は、ホラーズ(Holers)他の米国特許第8,911,733号明細書(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている任意の方法を含み得る。
挫傷
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、挫傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。挫傷は、身体に力や圧力を加えることによって引き起こされる損傷で、出血、あざ、骨折、神経損傷、創傷、その他の身体への損傷を引き起こす。本発明の化合物および組成物は、挫傷後の補体活性化を低下させ、それにより挫傷後の治癒を促進するために使用できる(例えば、神経再生の促進、骨折治癒の促進、炎症の防止または治療、および/または他の関連する合併症)。本発明の化合物および組成物は、米国特許第8,703,136号明細書、国際公開第WO2012/162215号、国際公開第WO2012/174055号;または米国特許出願公開第2006/0270590号明細書(これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って治癒を促進するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、挫傷の治療および/または治癒を促進するために使用できる。挫傷は、身体に力や圧力を加えることによって引き起こされる損傷で、出血、あざ、骨折、神経損傷、創傷、その他の身体への損傷を引き起こす。本発明の化合物および組成物は、挫傷後の補体活性化を低下させ、それにより挫傷後の治癒を促進するために使用できる(例えば、神経再生の促進、骨折治癒の促進、炎症の防止または治療、および/または他の関連する合併症)。本発明の化合物および組成物は、米国特許第8,703,136号明細書、国際公開第WO2012/162215号、国際公開第WO2012/174055号;または米国特許出願公開第2006/0270590号明細書(これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って治癒を促進するために使用できる。
虚血/再灌流損傷
いくつかの実施形態において、本開示の化合物、組成物、例えば、医薬組成物、および/または方法を使用して、虚血および/または再灌流に関連する損傷を治療することができる。そのような損傷は、外科的介入(例えば、移植)に関連している可能性がある。したがって、本開示の化合物、組成物、および/または方法は、虚血および/または再灌流傷害を低減または防止するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物、組成物、例えば、医薬組成物、および/または方法を使用して、虚血および/または再灌流に関連する損傷を治療することができる。そのような損傷は、外科的介入(例えば、移植)に関連している可能性がある。したがって、本開示の化合物、組成物、および/または方法は、虚血および/または再灌流傷害を低減または防止するために使用できる。
自己免疫疾患
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、自己免疫疾患および/または障害を有する対象を治療するために使用できる。免疫システムは、それぞれ、非特異的な即時防御メカニズムおよびより複雑な抗原特異的なシステムを参照して、自然系と適応系に分けることができる。補体系は、自然免疫系の一部であり、病原体を認識して排除する。さらに、補体タンパク質は、適応免疫を調節し、自然応答と適応応答を結び付ける可能性がある。自己免疫疾患や自己免疫障害は、システムが自己組織や物質を標的にする免疫異常である。自己免疫疾患は、身体の特定の組織や器官に関係することがある。本発明の化合物および組成物は、自己免疫疾患の治療および/または防止において補体を調節するために使用できる。場合によっては、そのような化合物および組成物は、バランティ(Ballanti)他、Immunol Res(2013)56:477−491(その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる)、に提示された方法に従って使用されてもよい。
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、自己免疫疾患および/または障害を有する対象を治療するために使用できる。免疫システムは、それぞれ、非特異的な即時防御メカニズムおよびより複雑な抗原特異的なシステムを参照して、自然系と適応系に分けることができる。補体系は、自然免疫系の一部であり、病原体を認識して排除する。さらに、補体タンパク質は、適応免疫を調節し、自然応答と適応応答を結び付ける可能性がある。自己免疫疾患や自己免疫障害は、システムが自己組織や物質を標的にする免疫異常である。自己免疫疾患は、身体の特定の組織や器官に関係することがある。本発明の化合物および組成物は、自己免疫疾患の治療および/または防止において補体を調節するために使用できる。場合によっては、そのような化合物および組成物は、バランティ(Ballanti)他、Immunol Res(2013)56:477−491(その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる)、に提示された方法に従って使用されてもよい。
抗リン脂質症候群(APS)および壊滅的抗リン脂質症候群(CAPS)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化制御により抗リン脂質症候群(APS)を防止および/または治療するために使用できる。APSは、血液を凝固させる抗リン脂質抗体によって引き起こされる自己免疫疾患である。APSは、臓器の静脈血栓症または動脈血栓症の再発、および胎盤循環の合併症を引き起こし、流産、死産、子癇前症、早産および/または他の合併症などの妊娠関連の合併症を引き起こす。壊滅的抗リン脂質症候群(CAPS)は、いくつかの臓器で同時に静脈の閉塞を引き起こす同様の状態の極端な急性バージョンである。研究は、補体活性化が妊娠関連の合併症、血栓性(凝固)合併症、および血管合併症を含むAPS関連合併症に寄与する可能性があることを示唆している。本発明の化合物および組成物は、補体活性化を低減または排除することにより、APS関連状態を治療するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、サルモン(Salmon)他、Ann Rheum Dis、2002;61(Suppl II):ii46−ii50およびマックワース−ヤング(Mackworth−Young)、Clin Exp Immunol、2004、136:393−401(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)によって教示された方法に従って、APSおよび/またはAPS関連合併症を治療するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化制御により抗リン脂質症候群(APS)を防止および/または治療するために使用できる。APSは、血液を凝固させる抗リン脂質抗体によって引き起こされる自己免疫疾患である。APSは、臓器の静脈血栓症または動脈血栓症の再発、および胎盤循環の合併症を引き起こし、流産、死産、子癇前症、早産および/または他の合併症などの妊娠関連の合併症を引き起こす。壊滅的抗リン脂質症候群(CAPS)は、いくつかの臓器で同時に静脈の閉塞を引き起こす同様の状態の極端な急性バージョンである。研究は、補体活性化が妊娠関連の合併症、血栓性(凝固)合併症、および血管合併症を含むAPS関連合併症に寄与する可能性があることを示唆している。本発明の化合物および組成物は、補体活性化を低減または排除することにより、APS関連状態を治療するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、サルモン(Salmon)他、Ann Rheum Dis、2002;61(Suppl II):ii46−ii50およびマックワース−ヤング(Mackworth−Young)、Clin Exp Immunol、2004、136:393−401(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)によって教示された方法に従って、APSおよび/またはAPS関連合併症を治療するために使用できる。
寒冷凝集素症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、寒冷凝集素介在溶血とも呼ばれる寒冷凝集素症(CAD)を治療するために使用できる。CADは、低体温で赤血球と相互作用する高濃度のIgM抗体に起因する自己免疫疾患である(エンゲルハート(Engelhardt)他、Blood、2002、100(5):1922−23)。CADは、貧血、疲労、呼吸困難、ヘモグロビン尿症、および/または先端チアノーゼなどの状態を引き起こす可能性がある。CADは、強力な補体活性化に関連しており、CADは補体阻害剤療法で治療できる可能性があることが研究で示されている。したがって、本発明は、本発明の化合物および組成物を使用してCADを治療する方法を提供する。場合によっては、本発明の化合物および組成物を使用して、ロス(Roth)他、Blood、2009、113:3885−86または国際公開第WO2012/139081号(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で教示されている方法に従ってCADを治療することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、寒冷凝集素介在溶血とも呼ばれる寒冷凝集素症(CAD)を治療するために使用できる。CADは、低体温で赤血球と相互作用する高濃度のIgM抗体に起因する自己免疫疾患である(エンゲルハート(Engelhardt)他、Blood、2002、100(5):1922−23)。CADは、貧血、疲労、呼吸困難、ヘモグロビン尿症、および/または先端チアノーゼなどの状態を引き起こす可能性がある。CADは、強力な補体活性化に関連しており、CADは補体阻害剤療法で治療できる可能性があることが研究で示されている。したがって、本発明は、本発明の化合物および組成物を使用してCADを治療する方法を提供する。場合によっては、本発明の化合物および組成物を使用して、ロス(Roth)他、Blood、2009、113:3885−86または国際公開第WO2012/139081号(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で教示されている方法に従ってCADを治療することができる。
重症筋無力症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、重症筋無力症を治療することができる。重症筋無力症(MG)は、神経から筋肉への電気信号の正常な伝達に重要であるタンパク質を標的とする自己抗体の産生を特徴とする、まれな補体介在性自己免疫疾患である。MGの予後は一般に良性であるが、患者の10〜15%では、現在の治療法では疾患のコントロールが達成できないか、あるいは免疫抑制療法の重篤な副作用が発生している。このMGの重症型は、難治性MG(rMG)として知られており、米国では約9,000人が関与している。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、重症筋無力症を治療することができる。重症筋無力症(MG)は、神経から筋肉への電気信号の正常な伝達に重要であるタンパク質を標的とする自己抗体の産生を特徴とする、まれな補体介在性自己免疫疾患である。MGの予後は一般に良性であるが、患者の10〜15%では、現在の治療法では疾患のコントロールが達成できないか、あるいは免疫抑制療法の重篤な副作用が発生している。このMGの重症型は、難治性MG(rMG)として知られており、米国では約9,000人が関与している。
患者は、特徴的に、繰り返しの使用により重症化し、休息で回復する、筋力低下を示す。筋力低下は、眼球運動の原因となる筋などの特定の筋に局在する可能性があるが、多くの場合、進行性の筋力低下に進行する。筋力低下が横隔膜や呼吸に関与する他の胸壁の筋肉を含む場合、rMGは生命にかかわる可能性さえある。これは、筋無力症クリーゼとして知られているrMGの最も恐れられている合併症であり、入院、挿管、および人工呼吸が必要となる。患者のおよそ15%〜20%は、診断から2年以内に筋無力症クリーゼを経験する。
MGの自己抗体の最も一般的なターゲットは、運動ニューロンが信号を骨格筋線維に伝達するポイントである神経筋接合部にあるアセチルコリン受容体(AChR)である。抗AChR自己抗体の筋肉終板への結合は、古典的な補体カスケードの活性化とシナプス後筋線維へのMACの沈着を引き起こし、筋肉膜への局所的な損傷を引き起こし、ニューロンによる刺激に対する筋肉の応答性を低下させる。エクリズマブは、AChR自己抗体を有する成人MG患者の治療薬として最近承認されたものである。
終末補体活性の阻害を使用して、MGおよび/またはrMGに起因する補体介在性損傷を遮断することができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または組成物を使用して、MGおよび/またはrMGを治療することができる。そのような方法は、C5活性を阻害して、MGおよび/またはrMGに関連する神経筋の問題を低減または防止するために使用できる。
ギラン・バレー症候群
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および方法を使用して、ギラン・バレー症候群(GBS)を治療することができる。GBSは、末梢神経系の自己免疫攻撃を含む自己免疫疾患である。本発明の化合物、組成物、および/または方法を使用して、GBSに関連する末梢神経の問題を軽減または防止することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および方法を使用して、ギラン・バレー症候群(GBS)を治療することができる。GBSは、末梢神経系の自己免疫攻撃を含む自己免疫疾患である。本発明の化合物、組成物、および/または方法を使用して、GBSに関連する末梢神経の問題を軽減または防止することができる。
血管の徴候
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、血管(例えば、動脈、静脈、および毛細血管)に影響を与える血管の徴候(indications)を治療することができる。そのような徴候は、血液循環、血圧、血流、臓器機能および/または他の身体機能に影響を与える可能性がある。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、血管(例えば、動脈、静脈、および毛細血管)に影響を与える血管の徴候(indications)を治療することができる。そのような徴候は、血液循環、血圧、血流、臓器機能および/または他の身体機能に影響を与える可能性がある。
血栓性微小血管症(TMA)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、血栓性微小血管症(TMA)および関連疾患を治療および/または防止するために使用できる。微小血管症は、身体の小さな血管(毛細血管)に影響を及ぼし、毛細血管壁を厚く、弱くし、出血しやすくし、かつ血液循環を遅くする。TMAは、血管血栓、内皮細胞の損傷、血小板減少症、溶血を引き起こす傾向がある。脳、腎臓、筋肉、消化器系、皮膚および肺などの器官が影響を受けることがある。TMAは、造血幹細胞移植(HSCT)、腎障害、糖尿病、および/または他の状態を含むがこれらに限定されない医療操作および/または状態から発生する可能性がある。TMAは、メリ(Meri)他、European Journal of Internal Medicine、2013、24:496−502(この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、根本的な補体系機能障害によって引き起こされる可能性がある。一般に、TMAは、血栓症を引き起こす特定の補体成分のレベルの上昇に起因する可能性がある。場合によっては、これは補体タンパク質または関連酵素の変異によって引き起こされることがある。結果として生じる補体機能障害は、内皮細胞および血小板の補体標的化をもたらし、血栓症を増加させる可能性がある。いくつかの実施形態において、TMAは、本発明の化合物および組成物で防止および/または治療することができる。場合によっては、本発明の化合物および組成物でTMAを治療する方法は、米国特許出願公開第2012/0225056号明細書または米国特許出願公開第2013/0246083号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法に従って実施することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、血栓性微小血管症(TMA)および関連疾患を治療および/または防止するために使用できる。微小血管症は、身体の小さな血管(毛細血管)に影響を及ぼし、毛細血管壁を厚く、弱くし、出血しやすくし、かつ血液循環を遅くする。TMAは、血管血栓、内皮細胞の損傷、血小板減少症、溶血を引き起こす傾向がある。脳、腎臓、筋肉、消化器系、皮膚および肺などの器官が影響を受けることがある。TMAは、造血幹細胞移植(HSCT)、腎障害、糖尿病、および/または他の状態を含むがこれらに限定されない医療操作および/または状態から発生する可能性がある。TMAは、メリ(Meri)他、European Journal of Internal Medicine、2013、24:496−502(この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、根本的な補体系機能障害によって引き起こされる可能性がある。一般に、TMAは、血栓症を引き起こす特定の補体成分のレベルの上昇に起因する可能性がある。場合によっては、これは補体タンパク質または関連酵素の変異によって引き起こされることがある。結果として生じる補体機能障害は、内皮細胞および血小板の補体標的化をもたらし、血栓症を増加させる可能性がある。いくつかの実施形態において、TMAは、本発明の化合物および組成物で防止および/または治療することができる。場合によっては、本発明の化合物および組成物でTMAを治療する方法は、米国特許出願公開第2012/0225056号明細書または米国特許出願公開第2013/0246083号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法に従って実施することができる。
播種性血管内凝固症候群(DIC)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化を制御することにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を防止および/または治療するために使用できる。DICは、血液中の凝固カスケードが広く活性化され、特に毛細血管で血餅が形成される病的状態である。DICは組織の血流を阻害し、最終的には器官を損傷する可能性がある。さらに、DICは、重度の出血につながる可能性がある通常の血液凝固プロセスに影響を与える。本発明の化合物および組成物は、補体活性を調節することにより、DICの重症度を治療、防止または軽減するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許第8,652,477号明細書(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている)に教示されているDIC治療の方法のいずれかに従って使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化を制御することにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を防止および/または治療するために使用できる。DICは、血液中の凝固カスケードが広く活性化され、特に毛細血管で血餅が形成される病的状態である。DICは組織の血流を阻害し、最終的には器官を損傷する可能性がある。さらに、DICは、重度の出血につながる可能性がある通常の血液凝固プロセスに影響を与える。本発明の化合物および組成物は、補体活性を調節することにより、DICの重症度を治療、防止または軽減するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許第8,652,477号明細書(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている)に教示されているDIC治療の方法のいずれかに従って使用することができる。
血管炎
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、血管炎を防止および/または治療するために使用できる。一般に、血管炎は、静脈や動脈を含む血管の炎症に関連する障害であり、白血球が組織を攻撃して血管の腫れを引き起こすことを特徴とする。血管炎は、ロッキー山紅斑熱などの感染症または自己免疫に関連している可能性がある。自己免疫関連血管炎の例は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)血管炎である。ANCA血管炎は、身体自身の細胞や組織を攻撃する異常な抗体によって引き起こされる。ANCAは、特定の白血球および好中球の細胞質を攻撃し、身体の特定の器官や組織の血管壁を攻撃する。ANCA血管炎は、皮膚、肺、目および/または腎臓に影響を与える可能性がある。研究は、ANCA疾患が代替補体経路を活性化し、血管損傷をもたらす炎症増幅ループを作成する特定の補体成分を生成することを示唆している(ジェネット(Jennette)他、2013、Semin Nephrol.、33(6):557−64(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。場合によっては、本発明の化合物および組成物を使用して、補体活性化を阻害することにより、ANCA血管炎を防止および/または治療することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、血管炎を防止および/または治療するために使用できる。一般に、血管炎は、静脈や動脈を含む血管の炎症に関連する障害であり、白血球が組織を攻撃して血管の腫れを引き起こすことを特徴とする。血管炎は、ロッキー山紅斑熱などの感染症または自己免疫に関連している可能性がある。自己免疫関連血管炎の例は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)血管炎である。ANCA血管炎は、身体自身の細胞や組織を攻撃する異常な抗体によって引き起こされる。ANCAは、特定の白血球および好中球の細胞質を攻撃し、身体の特定の器官や組織の血管壁を攻撃する。ANCA血管炎は、皮膚、肺、目および/または腎臓に影響を与える可能性がある。研究は、ANCA疾患が代替補体経路を活性化し、血管損傷をもたらす炎症増幅ループを作成する特定の補体成分を生成することを示唆している(ジェネット(Jennette)他、2013、Semin Nephrol.、33(6):557−64(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。場合によっては、本発明の化合物および組成物を使用して、補体活性化を阻害することにより、ANCA血管炎を防止および/または治療することができる。
非定型溶血性尿毒症症候群
いくつかの実施形態において、本開示の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法は、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療に有用であり得る。aHUSは、細い血管での血栓形成を特徴とする、チェックされていない補体活性化によって引き起こされるまれな疾患である。米国には約1,000人の患者がいる。血漿交換/輸液介入を行った場合でも、疾患の最初の兆候が現れた後、患者の約33〜40%が死に至るか、あるいは末期腎疾患に進行する。すべてのaHUS患者の約79%は、診断から3年以内に死亡するか、腎臓透析を必要とするか、または永続的な腎障害を有することになる。エクリズマブは現在のところ、唯一の承認された治療法である。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法は、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療に有用であり得る。aHUSは、細い血管での血栓形成を特徴とする、チェックされていない補体活性化によって引き起こされるまれな疾患である。米国には約1,000人の患者がいる。血漿交換/輸液介入を行った場合でも、疾患の最初の兆候が現れた後、患者の約33〜40%が死に至るか、あるいは末期腎疾患に進行する。すべてのaHUS患者の約79%は、診断から3年以内に死亡するか、腎臓透析を必要とするか、または永続的な腎障害を有することになる。エクリズマブは現在のところ、唯一の承認された治療法である。
いくつかの実施形態において、R5000は、これらの患者の補体活性化を低減することにより、aHUSに関連する補体活性化を低減または防止するために有用であり得る。
神経学的徴候
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、神経変性疾患および関連障害を含むがこれらに限定されない神経学的徴候の症状を防止、治療および/または緩和するために使用できる。神経変性は一般に、ニューロンの死を含むニューロンの構造または機能の喪失に関連する。これらの障害は、本発明の化合物および組成物を使用して神経細胞に対する補体の効果を阻害することにより治療され得る。神経変性関連障害には、限定されるものではないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病およびアルツハイマー病が含まれる。
神経学的徴候
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、神経変性疾患および関連障害を含むがこれらに限定されない神経学的徴候の症状を防止、治療および/または緩和するために使用できる。神経変性は一般に、ニューロンの死を含むニューロンの構造または機能の喪失に関連する。これらの障害は、本発明の化合物および組成物を使用して神経細胞に対する補体の効果を阻害することにより治療され得る。神経変性関連障害には、限定されるものではないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病およびアルツハイマー病が含まれる。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、ALSの症状を防止、治療および/または緩和することができる。ALSは、脊髄ニューロン、脳幹、運動皮質の変性を特徴とする致命的な運動ニューロン疾患である。ALSは、最終的に呼吸不全につながる筋力の損失を引き起こす。補体機能障害はALSに寄与する可能性があり、したがって補体活性を標的とする本発明の化合物および組成物を用いた治療によりALSを防止、治療および/または症状を軽減することができる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、神経再生を促進するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書または米国特許出願公開第2010/0143344号明細書(それらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)で教示されている方法のいずれかに従って補体阻害剤として使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、ALSの症状を防止、治療および/または緩和することができる。ALSは、脊髄ニューロン、脳幹、運動皮質の変性を特徴とする致命的な運動ニューロン疾患である。ALSは、最終的に呼吸不全につながる筋力の損失を引き起こす。補体機能障害はALSに寄与する可能性があり、したがって補体活性を標的とする本発明の化合物および組成物を用いた治療によりALSを防止、治療および/または症状を軽減することができる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、神経再生を促進するために使用できる。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書または米国特許出願公開第2010/0143344号明細書(それらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)で教示されている方法のいずれかに従って補体阻害剤として使用することができる。
アルツハイマー病
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、補体活性を制御することによりアルツハイマー病を防止および/または治療することができる。アルツハイマー病は、見当識障害、記憶喪失、気分変動、行動障害、そして最終的には身体機能の喪失などの症状を伴う慢性神経変性疾患である。アルツハイマー病は、補体タンパク質などの炎症関連タンパク質に関連するアミロイドの細胞外脳沈着によって引き起こされると考えられている(ショバーリ(Sjoberg)他、2009、Trends in Immunology、30(2):83−90(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている)で教示されているアルツハイマー病の治療方法のいずれかに従って補体阻害剤として使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、補体活性を制御することによりアルツハイマー病を防止および/または治療することができる。アルツハイマー病は、見当識障害、記憶喪失、気分変動、行動障害、そして最終的には身体機能の喪失などの症状を伴う慢性神経変性疾患である。アルツハイマー病は、補体タンパク質などの炎症関連タンパク質に関連するアミロイドの細胞外脳沈着によって引き起こされると考えられている(ショバーリ(Sjoberg)他、2009、Trends in Immunology、30(2):83−90(その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる))。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2014/0234275号明細書(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている)で教示されているアルツハイマー病の治療方法のいずれかに従って補体阻害剤として使用できる。
腎臓関連徴候
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、いくつかの場合には補体活性を阻害することにより、腎臓に関連する特定の疾患、障害および/または状態を治療するために使用できる。腎臓は、代謝性老廃物を血流から取り除く責任を担う器官である。腎臓は血圧、泌尿器系、恒常性維持機能を調節し、従って、さまざまな身体機能に不可欠である。腎臓は、独特の構造的特徴と血液への曝露により、他の器官と比較して、炎症により深刻な影響を受ける可能性がある。腎臓はまた、感染、腎疾患、および腎移植で活性化される可能性がある独自の補体タンパク質を産生する。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、クィグ(Quigg)、J Immunol、2003、171:3319〜24(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって教示された方法に従って、腎臓の特定の疾患、状態、および/または障害の治療において補体阻害剤として使用できる。
本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、いくつかの場合には補体活性を阻害することにより、腎臓に関連する特定の疾患、障害および/または状態を治療するために使用できる。腎臓は、代謝性老廃物を血流から取り除く責任を担う器官である。腎臓は血圧、泌尿器系、恒常性維持機能を調節し、従って、さまざまな身体機能に不可欠である。腎臓は、独特の構造的特徴と血液への曝露により、他の器官と比較して、炎症により深刻な影響を受ける可能性がある。腎臓はまた、感染、腎疾患、および腎移植で活性化される可能性がある独自の補体タンパク質を産生する。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、クィグ(Quigg)、J Immunol、2003、171:3319〜24(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって教示された方法に従って、腎臓の特定の疾患、状態、および/または障害の治療において補体阻害剤として使用できる。
ループス腎炎
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性を阻害することによりループス腎炎を防止および/または治療するために使用できる。ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)と呼ばれる自己免疫疾患によって引き起こされる腎臓の炎症である。ループス腎炎の症状には、高血圧;泡沫尿;脚、足、手、または顔の腫れ;関節痛;筋肉痛;熱;そして発疹、が含まれる。ループス腎炎は、本発明の化合物および組成物を含む、補体活性を制御する阻害剤によって治療することができる。補体阻害によりループス腎炎を防止および/または治療するための方法および組成物は、米国特許出願公開第2013/0345257号明細書または米国特許第8,377,437号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に教示されているもののいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または組成物を使用して、C5に結合し、ループス腎炎における腎疾患の進行を防止することにより、ループス腎炎を防止および/または治療することができる。C5への結合は、C5の活性を防止し、腎臓細胞への補体介在性損傷を阻止することにより、ループス腎炎を防止および/または治療する可能性がある。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性を阻害することによりループス腎炎を防止および/または治療するために使用できる。ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)と呼ばれる自己免疫疾患によって引き起こされる腎臓の炎症である。ループス腎炎の症状には、高血圧;泡沫尿;脚、足、手、または顔の腫れ;関節痛;筋肉痛;熱;そして発疹、が含まれる。ループス腎炎は、本発明の化合物および組成物を含む、補体活性を制御する阻害剤によって治療することができる。補体阻害によりループス腎炎を防止および/または治療するための方法および組成物は、米国特許出願公開第2013/0345257号明細書または米国特許第8,377,437号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に教示されているもののいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物および/または組成物を使用して、C5に結合し、ループス腎炎における腎疾患の進行を防止することにより、ループス腎炎を防止および/または治療することができる。C5への結合は、C5の活性を防止し、腎臓細胞への補体介在性損傷を阻止することにより、ループス腎炎を防止および/または治療する可能性がある。
膜性糸球体腎炎(MGN)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、特定の補体成分の活性化を阻害することにより、膜性糸球体腎炎(MGN)障害を防止および/または治療するために使用できる。MGNは、炎症や構造変化を引き起こす可能性のある腎臓の障害である。MGNは、腎臓の毛細血管(糸球体)の可溶性抗原に結合する抗体によって引き起こされる。MGNは、流体のろ過などの腎機能に影響を与え、腎不全を引き起こす可能性がある。本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2010/0015139号明細書または国際公開第WO2000/021559号(それらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)に教示されている補体阻害によるMGNを防止するおよび/または治療する方法に従って使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、特定の補体成分の活性化を阻害することにより、膜性糸球体腎炎(MGN)障害を防止および/または治療するために使用できる。MGNは、炎症や構造変化を引き起こす可能性のある腎臓の障害である。MGNは、腎臓の毛細血管(糸球体)の可溶性抗原に結合する抗体によって引き起こされる。MGNは、流体のろ過などの腎機能に影響を与え、腎不全を引き起こす可能性がある。本発明の化合物および組成物は、米国特許出願公開第2010/0015139号明細書または国際公開第WO2000/021559号(それらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる)に教示されている補体阻害によるMGNを防止するおよび/または治療する方法に従って使用することができる。
血液透析合併症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化を阻害することにより、血液透析に関連する合併症を防止および/または治療するために使用できる。血液透析は、腎不全患者の腎機能を維持するために使用される医療処置である。血液透析では、クレアチニン、尿素、血液からの遊離水などの老廃物の除去は外部から行われる。血液透析治療の一般的な合併症は、血液と透析膜の接触によって引き起こされる慢性炎症である。別の一般的な合併症は血栓症で、血液循環を妨げる血栓の形成を指す。研究により、これらの合併症は補体活性化に関連していることが示唆されている。血液透析を補体阻害剤療法と組み合わせて、腎不全のために血液透析を受けている対象の炎症反応および病状を制御し、および/または血栓症を防止または治療する手段を提供することができる。血液透析合併症の治療のために本発明の化合物および組成物を使用する方法は、デアンジェリス(DeAngelis)他、Immunobiology、2012、217(11):1097−1105またはコートジェリス(Kourtzelis)他、Blood、2010、116(4):631−639(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って実施することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体活性化を阻害することにより、血液透析に関連する合併症を防止および/または治療するために使用できる。血液透析は、腎不全患者の腎機能を維持するために使用される医療処置である。血液透析では、クレアチニン、尿素、血液からの遊離水などの老廃物の除去は外部から行われる。血液透析治療の一般的な合併症は、血液と透析膜の接触によって引き起こされる慢性炎症である。別の一般的な合併症は血栓症で、血液循環を妨げる血栓の形成を指す。研究により、これらの合併症は補体活性化に関連していることが示唆されている。血液透析を補体阻害剤療法と組み合わせて、腎不全のために血液透析を受けている対象の炎症反応および病状を制御し、および/または血栓症を防止または治療する手段を提供することができる。血液透析合併症の治療のために本発明の化合物および組成物を使用する方法は、デアンジェリス(DeAngelis)他、Immunobiology、2012、217(11):1097−1105またはコートジェリス(Kourtzelis)他、Blood、2010、116(4):631−639(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかに従って実施することができる。
眼疾患
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、特定の眼関連疾患、障害および/または状態を防止および/または治療するために使用できる。健康な眼では、補体系は低レベルで活性化され、病原体から保護する膜結合型の可溶性眼内タンパク質によって継続的に調整されている。したがって、補体の活性化は、眼に関連するいくつかの合併症において重要な役割を果たしており、補体活性化の制御は、そのような疾患を治療するために使用できる。本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−3908または米国特許第8,753,625号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって教示された方法のいずれかに従って、眼疾患の治療における補体阻害剤として使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、特定の眼関連疾患、障害および/または状態を防止および/または治療するために使用できる。健康な眼では、補体系は低レベルで活性化され、病原体から保護する膜結合型の可溶性眼内タンパク質によって継続的に調整されている。したがって、補体の活性化は、眼に関連するいくつかの合併症において重要な役割を果たしており、補体活性化の制御は、そのような疾患を治療するために使用できる。本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−3908または米国特許第8,753,625号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって教示された方法のいずれかに従って、眼疾患の治療における補体阻害剤として使用できる。
加齢性黄斑変性症(AMD)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、眼球補体活性化を阻害することにより加齢性黄斑変性症(AMD)を防止および/または治療することができる。AMDは、中心視野のぼやけ、中心視野の盲点、および/または最終的に中心視野の喪失を引き起こす慢性眼疾患である。中心視野は、読み取り、車両の運転、および/または顔認識の能力に影響する。AMDは一般に、非滲出性(乾性)と滲出性(湿性)の2つのタイプに分けられる。乾性AMDは、網膜の中心にある組織である黄斑の悪化を指す。湿性AMDは、網膜下の血管が機能不全に陥り、血液や体液が漏出することを指す。いくつかのヒトおよび動物の研究では、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8に議論されているように、AMDに関連する補体タンパク質が特定され、新規な治療戦略は、補体活性経路を制御することを含んでいた。AMDの防止および/または治療のための本発明の化合物および組成物の使用を含む本発明の方法は、米国特許出願公開第2011/0269807号明細書または米国特許出願公開第2008/0269318号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物を使用して、眼球補体活性化を阻害することにより加齢性黄斑変性症(AMD)を防止および/または治療することができる。AMDは、中心視野のぼやけ、中心視野の盲点、および/または最終的に中心視野の喪失を引き起こす慢性眼疾患である。中心視野は、読み取り、車両の運転、および/または顔認識の能力に影響する。AMDは一般に、非滲出性(乾性)と滲出性(湿性)の2つのタイプに分けられる。乾性AMDは、網膜の中心にある組織である黄斑の悪化を指す。湿性AMDは、網膜下の血管が機能不全に陥り、血液や体液が漏出することを指す。いくつかのヒトおよび動物の研究では、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8に議論されているように、AMDに関連する補体タンパク質が特定され、新規な治療戦略は、補体活性経路を制御することを含んでいた。AMDの防止および/または治療のための本発明の化合物および組成物の使用を含む本発明の方法は、米国特許出願公開第2011/0269807号明細書または米国特許出願公開第2008/0269318号明細書(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法のいずれかを含み得る。
角膜疾患
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、眼の補体活性化を阻害することにより、角膜疾患を防止および/または治療するために使用できる。補体系は、病原性粒子および/または炎症性抗原からの角膜の保護において重要な役割を果たす。角膜は、虹彩、瞳孔、前房を覆い、保護する目の最も外側の前部であり、したがって、外部要因にさらされている。角膜疾患には、限定されるものではないが、円錐角膜、角膜炎、眼ヘルペスおよび/または他の疾患が含まれる。角膜合併症は、疼痛、かすみ目、涙、発赤、光過敏症、および/または角膜瘢痕を引き起こす可能性がある。補体系は角膜保護にとって重要であるが、特定の補体化合物が大量に発現されるため、感染が解消された後、補体の活性化により角膜組織に損傷が生じる可能性がある。角膜疾患の治療において補体活性を調節するための本発明の方法は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されているものの任意のものを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、眼の補体活性化を阻害することにより、角膜疾患を防止および/または治療するために使用できる。補体系は、病原性粒子および/または炎症性抗原からの角膜の保護において重要な役割を果たす。角膜は、虹彩、瞳孔、前房を覆い、保護する目の最も外側の前部であり、したがって、外部要因にさらされている。角膜疾患には、限定されるものではないが、円錐角膜、角膜炎、眼ヘルペスおよび/または他の疾患が含まれる。角膜合併症は、疼痛、かすみ目、涙、発赤、光過敏症、および/または角膜瘢痕を引き起こす可能性がある。補体系は角膜保護にとって重要であるが、特定の補体化合物が大量に発現されるため、感染が解消された後、補体の活性化により角膜組織に損傷が生じる可能性がある。角膜疾患の治療において補体活性を調節するための本発明の方法は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されているものの任意のものを含み得る。
自己免疫性ブドウ膜炎
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、目のブドウ膜層の炎症であるブドウ膜炎を防止および/または治療するために使用できる。ブドウ膜は、眼の脈絡膜、虹彩、毛様体を含む眼の色素沈着領域である。ブドウ膜炎は発赤、かすみ目、疼痛、シネキア(synechia)を引き起こし、最終的に失明を引き起こす可能性がある。研究は、補体活性化産物が自己免疫性ブドウ膜炎の患者の目に存在し、補体が疾患の発症に重要な役割を果たすことを示している。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で特定された方法の任意のものに従ってブドウ膜炎を治療および/または防止するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば、医薬組成物は、目のブドウ膜層の炎症であるブドウ膜炎を防止および/または治療するために使用できる。ブドウ膜は、眼の脈絡膜、虹彩、毛様体を含む眼の色素沈着領域である。ブドウ膜炎は発赤、かすみ目、疼痛、シネキア(synechia)を引き起こし、最終的に失明を引き起こす可能性がある。研究は、補体活性化産物が自己免疫性ブドウ膜炎の患者の目に存在し、補体が疾患の発症に重要な役割を果たすことを示している。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で特定された方法の任意のものに従ってブドウ膜炎を治療および/または防止するために使用できる。
糖尿病性網膜症
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、糖尿病患者の網膜血管の変化によって引き起こされる疾患である糖尿病性網膜症を防止および/または治療するために使用できる。網膜症は、血管の腫れ、体液の漏出、および/または異常な血管の成長を引き起こす可能性がある。糖尿病性網膜症は視力に影響を与え、最終的に失明につながる可能性がある。研究は、補体の活性化が糖尿病性網膜症の発症に重要な役割を果たすことを示唆している。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている糖尿病性網膜症の治療方法に従って使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、糖尿病患者の網膜血管の変化によって引き起こされる疾患である糖尿病性網膜症を防止および/または治療するために使用できる。網膜症は、血管の腫れ、体液の漏出、および/または異常な血管の成長を引き起こす可能性がある。糖尿病性網膜症は視力に影響を与え、最終的に失明につながる可能性がある。研究は、補体の活性化が糖尿病性網膜症の発症に重要な役割を果たすことを示唆している。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、ジャ(Jha)他、Mol Immunol、2007;44(16):3901−8(これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている糖尿病性網膜症の治療方法に従って使用できる。
視神経脊髄炎(NMO)
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、視神経脊髄炎(NMO)を治療することができる。NMOは、視神経の破壊につながる自己免疫疾患である。本発明の化合物および/または方法は、NMOを有する対象における神経破壊を防止するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、視神経脊髄炎(NMO)を治療することができる。NMOは、視神経の破壊につながる自己免疫疾患である。本発明の化合物および/または方法は、NMOを有する対象における神経破壊を防止するために使用できる。
シェーグレン症候群
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、シェーグレン症候群を治療することができる。シェーグレン症候群は、火傷やかゆみを伴うドライアイを特徴とする眼の疾患である。これは自己免疫疾患であり、免疫系がこれらの領域の保湿に関与する目と口の腺を標的とする。本開示の化合物、組成物、および/または方法は、シェーグレン症候群の症状を治療および/または軽減するために使用できる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物、組成物、例えば医薬組成物、および/または方法を使用して、シェーグレン症候群を治療することができる。シェーグレン症候群は、火傷やかゆみを伴うドライアイを特徴とする眼の疾患である。これは自己免疫疾患であり、免疫系がこれらの領域の保湿に関与する目と口の腺を標的とする。本開示の化合物、組成物、および/または方法は、シェーグレン症候群の症状を治療および/または軽減するために使用できる。
子癇前症およびHELLP−症候群
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体阻害剤療法により、子癇前症および/またはHELLP((1)溶血、2)肝臓酵素の上昇および3)低血小板数といった症候群の特徴を表す略語)症候群を防止および/または治療するために使用できる。子癇前症は、高血圧、腫れ、息切れ、腎機能障害、肝機能障害、および/または血小板数の低下などの症状を伴う妊娠時の障害である。子癇前症は、通常、高尿タンパク質レベルと高血圧によって診断される。HELLP症候群は、溶血、肝酵素の上昇、血小板の低下の状態の組み合わせである。溶血は、赤血球が破裂し、赤血球からのヘモグロビンの放出につながる病気である。肝酵素の上昇は、妊娠によって誘発された肝臓の状態を示し得る。血小板レベルの低下は、凝固能力の低下につながり、過度の出血の危険が生じることになる。HELLPは子癇前症および肝障害に関連している。HELLP症候群は通常、妊娠後期または出産後に発生する。通常、血液検査によって診断され、それに伴う3つの状態の存在が示される。通常、HELLPは分娩を誘発することによって治療される。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物、例えば医薬組成物は、補体阻害剤療法により、子癇前症および/またはHELLP((1)溶血、2)肝臓酵素の上昇および3)低血小板数といった症候群の特徴を表す略語)症候群を防止および/または治療するために使用できる。子癇前症は、高血圧、腫れ、息切れ、腎機能障害、肝機能障害、および/または血小板数の低下などの症状を伴う妊娠時の障害である。子癇前症は、通常、高尿タンパク質レベルと高血圧によって診断される。HELLP症候群は、溶血、肝酵素の上昇、血小板の低下の状態の組み合わせである。溶血は、赤血球が破裂し、赤血球からのヘモグロビンの放出につながる病気である。肝酵素の上昇は、妊娠によって誘発された肝臓の状態を示し得る。血小板レベルの低下は、凝固能力の低下につながり、過度の出血の危険が生じることになる。HELLPは子癇前症および肝障害に関連している。HELLP症候群は通常、妊娠後期または出産後に発生する。通常、血液検査によって診断され、それに伴う3つの状態の存在が示される。通常、HELLPは分娩を誘発することによって治療される。
研究は、HELLP症候群および子癇前症時に補体活性化が起こること、およびHELLPおよび子癇前症時に特定の補体成分が増加したレベルで存在することを示唆している。補体阻害剤は、これらの状態を防止および/または治療するための治療薬として使用できる。本発明の化合物および組成物は、ヘーゲル(Heager)他、Obstetrics&Gynecology、1992、79(1):19−26、または国際公開第WO201/078622号(そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって教示されたHELLPおよび子癇前症を防止および/または治療する方法に従って使用することができる。
処方物
いくつかの実施形態において、本発明の化合物または組成物、例えば医薬組成物は、水溶液中に処方される。場合によっては、水溶液はさらに、1つまたは複数の塩および/または1つまたは複数の緩衝剤を含む。塩は、約0.05mM〜約50mM、約1mM〜約100mM、約20mM〜約200mM、または約50mM〜約500mMの濃度で含まれ得る塩化ナトリウムを含み得る。さらなる溶液は、少なくとも500mMの塩化ナトリウムを含み得る。場合によっては、水溶液はリン酸ナトリウムを含む。リン酸ナトリウムは、約0.005mM〜約5mM、約0.01mM〜約10mM、約0.1mM〜約50mM、約1mM〜約100mM、5mM〜約150mM、または約10mM〜約250mMの濃度で水溶液に含まれてもよい。場合によっては、少なくとも250mMのリン酸ナトリウム濃度が使用される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、1つ以上のカチオン(例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムなど)と関連して、医薬的に許容される塩として調製されるC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物または組成物、例えば医薬組成物は、水溶液中に処方される。場合によっては、水溶液はさらに、1つまたは複数の塩および/または1つまたは複数の緩衝剤を含む。塩は、約0.05mM〜約50mM、約1mM〜約100mM、約20mM〜約200mM、または約50mM〜約500mMの濃度で含まれ得る塩化ナトリウムを含み得る。さらなる溶液は、少なくとも500mMの塩化ナトリウムを含み得る。場合によっては、水溶液はリン酸ナトリウムを含む。リン酸ナトリウムは、約0.005mM〜約5mM、約0.01mM〜約10mM、約0.1mM〜約50mM、約1mM〜約100mM、5mM〜約150mM、または約10mM〜約250mMの濃度で水溶液に含まれてもよい。場合によっては、少なくとも250mMのリン酸ナトリウム濃度が使用される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、1つ以上のカチオン(例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムなど)と関連して、医薬的に許容される塩として調製されるC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含み得る。
本発明の組成物は、約0.001mg/mL〜約0.2mg/mL、約0.01mg/mL〜約2mg/mL、約0.1mg/mL〜約10mg/mL、約0.5mg/mL〜約5mg/mL、約1mg/mL〜約20mg/mL、約15mg/mL〜約40mg/mL、約25mg/mL〜約75mg/mL、約50mg/mL〜約200mg/mL、または約100mg/mL〜約400mg/mLの濃度でC5阻害剤を含み得る。場合によっては、本発明の組成物は、少なくとも400mg/mLの濃度でC5阻害剤を含む。
本発明の組成物は、およそ、ほぼ、または正確に以下の値のいずれかの濃度でC5阻害剤を含み得る:0.001mg/mL、0.2mg/mL、0.01mg/mL、2mg/mL、0.1mg/mL、10mg/mL、0.5mg/mL、5mg/mL、1mg/mL、20mg/mL、15mg/mL、40mg/mL、25mg/mL、75mg/mL、50mg/mL、200mg/mL、100mg/mL、または400mg/mL。場合によっては、本発明の組成物は、少なくとも400mg/mLの濃度でC5阻害剤を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも水およびC5阻害剤(例えば、環状C5阻害剤ポリペプチド)を含む水性組成物を含む。本発明の水性C5阻害剤組成物は、1つ以上の塩および/または1つ以上の緩衝剤をさらに含み得る。場合によっては、本発明の水性組成物は、水、環状C5阻害剤ポリペプチド、塩、および緩衝剤を含む。
本発明の水性C5阻害剤製剤は、約2.0〜約3.0、約2.5〜約3.5、約3.0〜約4.0、約3.5〜約4.5、約4.0〜約5.0、約4.5〜約5.5、約5.0〜約6.0、約5.5〜約6.5、約6.0〜約7.0、約6.5〜約7.5、約7.0〜約8.0、約7.5〜約8.5、約8.0〜約9.0、約8.5〜約9.5、または約9.0〜約10.0、のpHレベルを有することができる。
場合によっては、本発明の化合物および組成物は、適正製造基準(GMP)および/または現行GMP(cGMP)に従って調製される。GMPおよび/またはcGMPの実施に使用されるガイドラインは、米国食品医薬品局(FDA)、世界保健機関(WHO)、および国際調和会議(ICH)の1つ以上から取得できる。
用量および投与
ヒト対象の治療のために、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、医薬組成物として処方され得る。治療される対象、投与方法、および所望の治療の種類(例えば、防止、予防、または治療)に応じて、C5阻害剤は、これらのパラメータに一致する方法で処方され得る。そのような技術の要約はレミントン(Remington):The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams&Wilkins、(2005年);およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.スワーブリック(Swarbrick)およびJ.C.ボイラン(Boylan),1988−1999、Marcel Dekker、New York(これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
ヒト対象の治療のために、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、医薬組成物として処方され得る。治療される対象、投与方法、および所望の治療の種類(例えば、防止、予防、または治療)に応じて、C5阻害剤は、これらのパラメータに一致する方法で処方され得る。そのような技術の要約はレミントン(Remington):The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams&Wilkins、(2005年);およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.スワーブリック(Swarbrick)およびJ.C.ボイラン(Boylan),1988−1999、Marcel Dekker、New York(これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本発明のC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、治療上有効な量で提供され得る。場合によっては、本発明のC5阻害剤の治療上有効な量は、約0.1mg〜約1mg、約0.5mg〜約5mg、約1mg〜約20mg、約5mg〜約50mg、約10mg〜約100mg、約20mg〜約200mg、または少なくとも200mgの1つまたは複数のC5阻害剤、の用量の投与によって達成することができる。
いくつかの実施形態において、対象は、同対象の体重に基づいて、治療量のC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を投与されてもよい。場合によっては、C5阻害剤は、約0.001mg/kg〜約1.0mg/kg、約0.01mg/kg〜約2.0mg/kg、約0.05mg/kg〜約5.0mg/kg、約0.03mg/kg〜約3.0mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約2.0mg/kg、約0.2mg/kg〜約3.0mg/kg、約0.4mg/kg〜約4.0mg/kg、約1.0mg/kg〜約5.0mg/kg、約2.0mg/kg〜約4.0mg/kg、約1.5mg/kg〜約7.5mg/kg、約5.0mg/kg〜約15mg/kg、約7.5mg/kg〜約12.5mg/kg、約10mg/kg〜約20mg/kg、約15mg/kg〜約30mg/kg、約20mg/kg〜約40mg/kg、約30mg/kg〜約60mg/kg、約40mg/kg〜約80mg/kg、約50mg/kg〜約100mg/kg、または少なくとも100mg/kg、の用量で投与される。そのような範囲は、ヒト対象への投与に適した範囲を含み得る。投与量のレベルは状態の性質;薬効;患者の状態;開業医の判断;投与の頻度と方法、に大きく依存する場合がある。いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、約0.01mg/kg〜約10mg/kgの用量で投与されてもよい。場合によっては、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、約0.1mg/kg〜約3mg/kgの用量で投与されてもよい。
場合によっては、C5阻害剤(例:R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、サンプル、生体系、または対象(例:対象の血漿レベル)でC5阻害剤の望ましいレベルを達成するように調整された濃度で提供される。場合によっては、サンプル、生体系、または対象におけるC5阻害剤の望ましい濃度は、約0.001μM〜約0.01μM、約0.005μM〜約0.05μM、約0.02μM〜約0.2μM、約0.03μM〜約0.3μM、約0.05μM〜約0.5μM、約0.01μM〜約2.0μM、約0.1μM〜約50μM、約0.1μM〜約10μM、約0.1μM〜約5μM、約0.2μM〜約20μM、約5μM〜約100μM、または約15μM〜約200μM、の濃度を含み得る。場合によっては、対象血漿中のC5阻害剤の望ましい濃度は、約0.1μg/mL〜約1000μg/mLであってもよい。対象血漿中のC5阻害剤の望ましい濃度は、約0.01μg/mL〜約2μg/mL、約0.02μg/mL〜約4μg/mL、約0.05μg/mL〜約5μg/mL、約0.1μg/mL〜約1.0μg/mL、約0.2μg/mL〜約2.0μg/mL、約0.5μg/mL〜約5μg/mL、約1μg/mL〜約5μg/mL、約2μg/mL〜約10μg/mL、約3μg/mL〜約9μg/mL、約5μg/mL〜約20μg/mL、約10μg/mL〜約40μg/mL、約30μg/mL〜約60μg/mL、約40μg/mL〜約80μg/mL、約50μg/mL〜約100μg/mL、約75μg/mL〜約150μg/mL、または少なくとも150μg/mL、の濃度であってもよい。他の実施形態において、C5阻害剤は、少なくとも0.1μg/mL、少なくとも0.5μg/mL、少なくとも1μg/mL、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも50μg/mL、少なくとも100μg/mL、または少なくとも1000μg/mLの最大血清濃度(Cmax)を達成するのに十分な用量で投与される。
いくつかの実施形態において、約0.1μg/mL〜約40μg/mLのC5阻害剤レベルを維持するのに十分な用量が提供され、対象の溶血を約25%〜約99%減少させる。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、対象の体重1kgあたり約0.1mg/日〜約60mg/日を送達するのに十分な用量で毎日投与される。場合によっては、各用量で達成されるCmaxは約0.1μg/mL〜約約1000μg/mLである。そのような場合、用量間の曲線下面積(AUC)は、約200μg*hr/mL〜約10,000μg*hr/mLであり得る。
本開示のいくつかの方法によれば、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、所望の効果を達成するために必要な濃度で提供される。場合によっては、本発明の化合物および組成物は、所与の反応またはプロセスを半分低減するのに必要な量で提供される。そのような低減を達成するために必要な濃度は、本明細書では、50%阻害濃度(half maximal inhibitory concentration)、または「IC50」と呼ばれる。あるいは、本発明の化合物および組成物は、所与の反応、活性またはプロセスを半分増強させるのに必要な量で提供され得る。そのような増強に必要な濃度は、本明細書では50%効果濃度(half maximal effective concentration)または「EC50」と呼ばれる。
C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、組成物の総重量の0.1〜95重量%の量で存在し得る。場合によっては、C5阻害剤は静脈内(IV)投与によって提供される。場合によっては、C5阻害剤は皮下(SC)投与によって提供される。
C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)のSC投与は、場合によっては、IV投与を超える利点を提供し得る。SC投与により、患者は自己治療を行うことができる。そのような治療は、患者が自分の家で自分自身に治療を提供でき、医療提供者または医療施設に出向く必要性を回避できるという点で有利かもしれない。さらに、SC治療により、感染症、静脈アクセスの喪失、局所血栓症、血腫などのIV投与に伴う長期的な合併症を回避することができる。いくつかの実施形態において、SC治療は、患者のコンプライアンス、患者の満足度、生活の質を高め、治療費用および/または薬剤要件(drug requirements)を低減することができる。
場合によっては、SCの毎日の投与により、C5阻害剤の定常状態の濃度が1〜3の投与(dose)、2〜3の投与、3〜5の投与、または5〜10の投与の範囲で達成される。場合によっては、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの毎日のSC用量で、2.5μg/mL以上の持続的なC5阻害剤レベルおよび/または90%を超える補体活性の阻害を達成できる。
C5阻害剤(例:R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、SC投与後に、遅い吸収速度(4〜8時間を超える最大観察濃度までの時間)および高いバイオアベイラビリティ(約75%〜約100%)を示し得る。
いくつかの実施形態において、投薬量および/または投与は、対象または対象の流体(例えば、血漿)中のC5阻害剤レベルの半減期(t1/2)を調節するように変更される。場合によっては、t1/2は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、または少なくとも16週間である。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、長い終末(terminal)t1/2を示し得る。延長された終末t1/2は、広範なターゲット結合および/または追加の血漿タンパク質結合が原因である可能性がある。場合によっては、C5阻害剤は血漿と全血の両方で24時間を超えるt1/2値を示す。場合によっては、C5阻害剤は、37℃で16時間、ヒト全血で培養した後も機能的活性を失わない。
いくつかの実施形態において、投薬量および/または投与は、C5阻害剤の定常状態分布容積(steady state volume of distribution)を調節するように変更される。場合によっては、C5阻害剤の分布の定常状態体積は、約0.1mL/kg〜約1mL/kg、約0.5mL/kg〜約5mL/kg、約1mL/kg〜約10mL/kg、約5mL/kg〜約20mL/kg、約15mL/kg〜約30mL/kg、約10mL/kg〜約200mL/kg、約20mL/kg〜約60mL/kg、約30mL/kg〜約70mL/kg、約50mL/kg〜約200mL/kg、約100mL/kg〜約500mL/kg、または少なくとも500mL/kg、である。場合によっては、C5阻害剤の投薬量および/または投与は、定常状態分布容積が総血液量の少なくとも50%に等しいことを確実にするように調整される。いくつかの実施形態において、C5阻害剤の分布は、血漿コンパートメントに限定され得る。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、約0.001mL/時間/kg〜約0.01mL/時間/kg、約0.005mL/時間/kg〜約0.05mL/時/kg、約0.01mL/時/kg〜約0.1mL/時/kg、約0.05mL/時/kg〜約0.5mL/時/kg、約0.1mL/時/kg〜約1mL/hr/kg、約0.5mL/hr/kg〜約5mL/hr/kg、約0.04mL/hr/kg〜約4mL/hr/kg、約1mL/hr/kg〜約10mL/hr/kg、約5mL/hr/kg〜約20mL/hr/kg、約15mL/hr/kg〜約30mL/hr/kg、または少なくとも30mL/hr/kg、の総クリアランス速度を示す。
対象(例えば、対象血清)中のC5阻害剤の最大濃度が維持される期間(Tmax値)は、投薬量および/または投与(例えば、皮下投与)を変更することにより調整することができる。場合によっては、C5阻害剤は、約1分〜約10分、約5分〜約20分、約15分〜約45分、約30分〜約60分、約45分〜約90分、約1時間〜約48時間、約2時間〜約10時間、約5時間〜約20時間、約10時間〜約60時間、約1日〜約4日、約2日〜約10日、または少なくとも10日、であるTmax値を有する。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、オフターゲット効果なしで投与することができる。場合によっては、C5阻害剤は、濃度が300μM以下であっても、hERG(ヒトether−a−go−go関連遺伝子)を阻害しない。10mg/kgまでの用量レベルでのC5阻害剤の皮下注射は忍容性が高く、心血管系(たとえば、長期心室再分極のリスクの上昇)および/または呼吸器系に悪影響を及ぼさない。
C5阻害剤の用量は、他の種で観察された有害影響レベル(NOAEL)が観察されないことを使用して決定できる。そのような種には、限定されるものではないが、サル、ラット、ウサギおよびマウスが含まれる。場合によっては、ヒト等価用量(HED)は、他の種で観察されたNOAELからアロメトリックスケーリングによって決定されてもよい。場合によっては、HEDは、約2倍〜約5倍、約4倍〜約12倍、約5倍〜約15倍、約10倍〜約30倍、または少なくとも30倍の治療マージンをもたらす。場合によっては、霊長類での暴露とヒトにおける推定ヒトCmaxレベルを使用して、治療マージンが決定される。
いくつかの実施形態において、本開示のC5阻害剤は、補体系の長期阻害が有害であることが判明した感染の場合に、急速なウォッシュアウト期間を可能にする。
本発明に従うC5阻害剤の投与は、対象に対する潜在的な臨床上のリスクを低減するように変更されてもよい。髄膜炎菌による感染は、エクリズマブを含むC5阻害剤の既知のリスクである。場合によっては、髄膜炎菌による感染のリスクは、1つまたは複数の予防ステップを講じることにより最小限に抑えられる。そのようなステップは、これらの細菌によって既にコロニー形成されているかもしれない対象の除外を含み得る。場合によっては、予防ステップは1つ以上の抗生物質との同時投与を含んでもよい。場合によっては、シプロフロキサシンを併用してもよい。場合によっては、シプロフロキサシンは、約100mg〜約1000mg(例えば、500mg)の用量で経口投与されてもよい。
本発明に従うC5阻害剤の投与は、対象に対する潜在的な臨床上のリスクを低減するように変更されてもよい。髄膜炎菌による感染は、エクリズマブを含むC5阻害剤の既知のリスクである。場合によっては、髄膜炎菌による感染のリスクは、1つまたは複数の予防ステップを講じることにより最小限に抑えられる。そのようなステップは、これらの細菌によって既にコロニー形成されているかもしれない対象の除外を含み得る。場合によっては、予防ステップは1つ以上の抗生物質との同時投与を含んでもよい。場合によっては、シプロフロキサシンを併用してもよい。場合によっては、シプロフロキサシンは、約100mg〜約1000mg(例えば、500mg)の用量で経口投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤の投与は、自動注射器デバイスを使用して実施されてもよい。そのようなデバイスは、自己投与(例えば、毎日の投与)を可能にし得る。自動注射器デバイスは、プレロードされたシリンジを含み得、プレロードされたシリンジは、R5000の溶液を含む。R5000は、約4mg/ml〜約400mg/mlの濃度でプレロードされたシリンジ内に存在し得る。R5000はPBS溶液中にて提供される。溶液は防腐剤を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアントは、エクリズマブと同時投与されてもよい。併用投与は、(たとえば、阻害が不完全なために)エクリズマブ治療のみに関連する残留C5活性を低下させるために行われてもよい。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、1時間ごと、2時間ごと、4時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、18時間ごと、24時間ごと、36時間ごと、72時間ごと、84時間ごと、96時間ごと、5日ごと、7日ごと、10日ごと、14日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、毎年、または少なくとも毎年、の頻度で投与される。場合によっては、C5阻害剤は1日1回投与されるか、1日を通して適切な間隔で2回、3回、またはそれ以上の回数の部分用量(sub−doses)として投与される。
いくつかの実施形態において、C5阻害剤は、複数の日用量(multiple daily doses)で投与される。場合によっては、C5阻害剤は7日間毎日投与される。場合によっては、C5阻害剤は7〜100日間毎日投与される。場合によっては、C5阻害剤は少なくとも100日間毎日投与される。場合によっては、C5阻害剤は無期限に毎日投与される。
静脈内に送達されるC5阻害剤は、5分、10分、15分、20分、または25分の期間のような、ある期間にわたる注入によって送達され得る。投与は、例えば定期的に繰り返されてもよい。いくつかの実施形態において、C5阻害剤の投与は、毎時、毎日、毎週、隔週(すなわち、2週間ごと)、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、8か月ごと、毎年、または1年に1回未満、繰り返される。いくつかの実施形態において、C5阻害剤の反復投与は、約1日〜約10日、約1週間〜約6週間、約4週間〜約10週間、約6週間〜約12週間、約8週間〜約24週間、約16週間〜約36週間、約20週間〜約48週間、約40週間〜約80週間、約60週間〜約100週間、約80週間〜200週間、約100週間〜約300週、または300週間以上、の期間にわたって行われる。最初の治療レジメンの後、治療の頻度を減らしてもよい。例えば、隔週で3か月間投与した後、1か月に1回の投与を6か月間または1年以上繰り返してもよい。C5阻害剤の投与は、(例えば、患者の細胞、組織、血液、尿、またはその他のコンパートメントにおける)結合または任意の生理学的に有害なプロセスを、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%以上、低減、低下、増加、または変更できる。
C5阻害剤および/またはC5阻害剤組成物の全用量を投与する前に、患者に全用量の5%のような少量を投与し、アレルギー反応や注入反応などの副作用について、あるいは脂質レベルまたは血圧の上昇について、監視することができる。別の例では、患者は、サイトカイン(例えば、TNF−アルファ、IL−1、IL−6、またはIL−10)レベルの増加などの望ましくない免疫刺激作用について監視されてもよい。
遺伝的素因は、いくつかの疾患または障害の発症に関与している。したがって、C5阻害剤を必要とする患者は、家族歴をとることによって、または、たとえば、1つまたは複数の遺伝的マーカーまたはバリアントについてスクリーニングすることによって特定することができる。医師、看護師などの医療提供者、または家族は、本発明の治療用組成物を処方または投与する前に家族歴を分析することができる。
III.キット
本明細書に記載される任意のC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、キットの一部として提供されてもよい。非限定的な例において、C5阻害剤は、疾患を治療するためのキットに含まれ得る。キットは、無菌の乾燥C5阻害剤粉末のバイアル、乾燥粉末を溶解するための無菌溶液、およびC5阻害剤を投与するための注入セット用のシリンジを含み得る。
本明細書に記載される任意のC5阻害剤(例えば、R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)は、キットの一部として提供されてもよい。非限定的な例において、C5阻害剤は、疾患を治療するためのキットに含まれ得る。キットは、無菌の乾燥C5阻害剤粉末のバイアル、乾燥粉末を溶解するための無菌溶液、およびC5阻害剤を投与するための注入セット用のシリンジを含み得る。
C5阻害剤が乾燥粉末として提供される場合、10マイクログラム〜1000ミリグラムのC5阻害剤、または少なくとももしくは多くともそれらの量が本発明のキットで提供されることが企図される。
典型的なキットは、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジおよび/または他の容器またはデバイスを含み得、その中にC5阻害剤配合物が配置され、好ましくは、適切に割り当てられる。キットはまた、無菌の医薬的に許容される緩衝液および/または他の希釈剤を含む1つ以上の二次容器を含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物または組成物は、ホウケイ酸バイアルで提供される。そのようなバイアルは、キャップ(例えば、ゴム栓)を含み得る。場合によっては、キャップはFLUROTEC(登録商標)でコーティングされたゴムストッパーを含む。キャップは、アルミニウムフリップオフオーバーシールを含むがこれに限定されないオーバーシールで所定の位置に固定できる。
キットはさらに、キットの構成要素を使用するための説明書、ならびにキットに含まれていない任意の他の試薬の使用を含み得る。説明書には、実行可能な変更が含まれていてもよい。
IV.定義
生物学的利用率:本明細書で使用される場合、「生物学的利用率」という用語は、対象に投与される所定量の化合物(例えば、C5阻害剤)の全身的利用能を指す。生物学的利用率は、化合物を対象に投与した後の未変化形態の化合物の曲線下面積(AUC)または最大血清または血漿濃度(Cmax)を測定することによって評価され得る。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して縦座標(Y軸)に沿って化合物の血清または血漿濃度をプロットするときの曲線下面積の決定である。一般に、特定の化合物のAUCは、当業者に既知の方法を使用して、および/またはG.S.バンカー(Banker)のModern Pharmaceutics,Drugs and the Pharmaceutical Sciences、v.72(Marcel Dekker、New York,Inc.、1996)(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように計算することができる。
生物学的利用率:本明細書で使用される場合、「生物学的利用率」という用語は、対象に投与される所定量の化合物(例えば、C5阻害剤)の全身的利用能を指す。生物学的利用率は、化合物を対象に投与した後の未変化形態の化合物の曲線下面積(AUC)または最大血清または血漿濃度(Cmax)を測定することによって評価され得る。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して縦座標(Y軸)に沿って化合物の血清または血漿濃度をプロットするときの曲線下面積の決定である。一般に、特定の化合物のAUCは、当業者に既知の方法を使用して、および/またはG.S.バンカー(Banker)のModern Pharmaceutics,Drugs and the Pharmaceutical Sciences、v.72(Marcel Dekker、New York,Inc.、1996)(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように計算することができる。
生体系:本明細書で使用される場合、「生体系(biological system)」という用語は、細胞、細胞群、組織、器官、器官群、オルガネラ、生体液、生体シグナル伝達経路(例えば、受容体活性化シグナル伝達経路、電荷活性化シグナル伝達経路、代謝経路、細胞シグナル伝達経路など)、一群のタンパク質、一群の核酸、または細胞膜、細胞コンパートメント、細胞、細胞培養物、組織、器官、器官系、生物、多細胞生物、体液、または任意の生物学的エンティティ内の少なくとも1つの生物学的機能または生物学的タスクを実行する一群の分子(生体分子を含むがこれに限定されない)、を指す。いくつかの実施形態において、生体系は、細胞内および/または細胞外シグナル伝達生体分子を含む細胞シグナル伝達経路である。いくつかの実施形態において、生体系は、タンパク質分解カスケード(例えば、補体カスケード)を含む。
緩衝剤:本明細書で使用する場合、「緩衝剤」という用語は、pHの変化に抵抗する目的にて溶液中で使用される化合物を指す。そのような化合物には、限定されるものではないが、酢酸、アジピン酸、酢酸ナトリウム、安息香酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、マレイン酸、リン酸ナトリウム、酒石酸、乳酸、メタリン酸カリウム、グリシン、重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、および酒石酸ナトリウムが含まれてもよい。
クリアランス速度:本明細書で使用する場合、「クリアランス速度(clearance rate)」という用語は、特定の化合物が生体系または流体から消失する速度を指す。
化合物:本明細書で使用する場合、「化合物」という用語は、特徴的な化学的実体を指す。いくつかの実施形態において、特定の化合物は、1つまたは複数の異性体または同位体の形態(立体異性体、幾何異性体および同位体を含むがこれらに限定されない)で存在し得る。いくつかの実施形態において、化合物は、単一のそのような形態でのみ提供または利用される。いくつかの実施形態において、化合物は、2つ以上のそのような形態の混合物(立体異性体のラセミ混合物を含むがこれに限定されない)として提供または利用される。当業者は、いくつかの化合物が異なる形態で存在し、異なる特性および/または活性(生物活性を含むがこれに限定されない)を示すことを理解するであろう。そのような場合、本発明に従って使用するための化合物の特定の形態を選択または回避することは、当業者の通常の技術の範囲内である。例えば、非対称的に置換された炭素原子を含む化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ形態で単離することができる。
環状または環化:本明細書で使用する場合、「環状(cyclic)」という用語は、連続ループの存在を指す。環状分子は円形である必要はなく、サブユニットの切れ目のない鎖を形成するために結合されるだけである。環状ポリペプチドは、2つのアミノ酸が架橋部分によって連結されるときに形成される「環状ループ」を含み得る。環状ループは、架橋されたアミノ酸の間に存在するポリペプチドに沿ったアミノ酸を含む。環状ループは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のアミノ酸を含み得る。
下流事象:本明細書で使用される場合、「下流」または「下流事象(downstream event)」という用語は、別の事象の後におよび/または別の事象の結果として発生する任意の事象を指す。場合によっては、下流事象は、C5開裂および/または補体活性化の後およびその結果として起こる事象である。そのような事象には、限定されるものではないが、C5開裂産物の生成、MACの活性化、溶血、および溶血関連疾患(例えば、PNH)が含まれ得る。
平衡解離定数:本明細書で使用される場合、「平衡解離定数」または「KD」という用語は、2つ以上の薬剤(例えば、2つのタンパク質)の可逆的に分離する傾向を表す値を指す。場合によっては、KDは、二次薬剤(secondary agent)の総レベルの半分が一次薬剤(primary agent)に関連する場合の一次薬剤の濃度を示す。
半減期:本明細書で使用する場合、「半減期」または「t1/2」という用語は、所与のプロセスまたは化合物濃度が最終的な値の半分に達するのに要する時間を指す。「終末半減期」または「終末t1/2」は、因子の血漿濃度が疑似平衡に達した後、同因子の血漿濃度が半分に減少するのに要する時間を指す。
溶血:本明細書で使用する場合、「溶血」という用語は、赤血球の破壊を指す。
同一性:本明細書中で使用される場合、用語「同一性」は、ポリペプチドまたは核酸に言及する場合、配列間の比較関係を指す。この用語は、ポリマーシーケンス間のシーケンスの関連性の程度を表すために使用され、特定の数学モデルまたはコンピュータープログラム(つまり、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアラインメント(存在する場合)と一致するモノマーコンポーネントのパーセンテージを含む場合がある。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算することができる。このような方法には、限定されるものではないが、これまでに他の文献によって記載した方法が含まれる(レスク(Lesk),A.M.編、Computational Molecular Biology,Oxford University Press、New York、1988;スミス(Smith),D.W.編、Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Academic Press、New York、1993;グリフィン(Griffin),A.M.編、Computer Analysis of Sequence Data,Part 1、Humana Press、New Jersey、1994;フォンヘイン(von Heinje),G.、Sequence Analysis in Molecular Biology,Academic Press、1987;グリブスコウ(Gribskov),M.他、編、Sequence Analysis Primer、M.Stockton Press、New York,1991;およびカリロ(Carillo)他、Applied Math,SIAM J,1988,48,1073)。
同一性:本明細書中で使用される場合、用語「同一性」は、ポリペプチドまたは核酸に言及する場合、配列間の比較関係を指す。この用語は、ポリマーシーケンス間のシーケンスの関連性の程度を表すために使用され、特定の数学モデルまたはコンピュータープログラム(つまり、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアラインメント(存在する場合)と一致するモノマーコンポーネントのパーセンテージを含む場合がある。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算することができる。このような方法には、限定されるものではないが、これまでに他の文献によって記載した方法が含まれる(レスク(Lesk),A.M.編、Computational Molecular Biology,Oxford University Press、New York、1988;スミス(Smith),D.W.編、Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Academic Press、New York、1993;グリフィン(Griffin),A.M.編、Computer Analysis of Sequence Data,Part 1、Humana Press、New Jersey、1994;フォンヘイン(von Heinje),G.、Sequence Analysis in Molecular Biology,Academic Press、1987;グリブスコウ(Gribskov),M.他、編、Sequence Analysis Primer、M.Stockton Press、New York,1991;およびカリロ(Carillo)他、Applied Math,SIAM J,1988,48,1073)。
阻害剤:本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、特定の事象;細胞シグナル;化学経路;酵素反応;細胞プロセス;2つ以上の実体間の相互作用;生物学的事象;疾患;障害;または状態、の発生を阻止するか、または減少を引き起こす任意の薬剤を指す。
初期負荷用量:本明細書で使用される場合、「初期負荷用量(initial loading dose)」は、1つ以上の後続の用量とは異なり得る治療薬の最初の用量を指す。初期負荷用量を使用して、後続の用量が投与される前に、治療薬の初期濃度または活性レベルを達成することができる。
静脈内:本明細書で使用される場合、「静脈内」という用語は、血管内の領域を指す。静脈内投与は、典型的には、血管(例えば、静脈)への注射による血液中への化合物の送達を指す。
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、生物内(例えば、動物、植物、または微生物)ではなくむしろ、人工的な環境(例えば、試験管または反応容器内、細胞培養内、ペトリ皿内など)で発生する事象を指す。
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、または微生物、あるいはそれらの細胞またはそれらの組織)内で発生する事象を指す。
ラクタム架橋:本明細書で使用される場合、「ラクタム架橋(lactam bridge)」という用語は、分子内の化学基間に架橋を形成するアミド結合を指す。場合によっては、ポリペプチドのアミノ酸間にラクタム架橋が形成される。
リンカー:本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、一群の原子(例えば、10〜1,000個の原子)、分子、または2つ以上の実体を結合するために使用される他の化合物を指す。リンカーは、共有結合的または非共有結合的(例えば、イオンまたは疎水性)相互作用を介して、そのような実体を結合する。リンカーには、2つ以上のポリエチレングリコール(PEG)ユニットの鎖が含まれる。場合によっては、リンカーが開裂可能であってもよい。
分時拍出量:本明細書で使用される場合、「分時拍出量」という用語は、対象の肺から毎分あたりに吸入または吐出される空気の量を指す。
非タンパク質性:本明細書で使用する場合、「非タンパク質性(Non−proteinogenic)」という用語は、非天然アミノ酸などの非天然成分を有するタンパク質などの任意の非天然タンパク質を指す。
非タンパク質性:本明細書で使用する場合、「非タンパク質性(Non−proteinogenic)」という用語は、非天然アミノ酸などの非天然成分を有するタンパク質などの任意の非天然タンパク質を指す。
患者:本明細書で使用される場合、「患者」は、治療を求めているかまたは必要とする可能性がある、治療を必要とする、治療を受けている、治療を受ける予定の対象、または特定の疾患または状態について訓練を受けた専門家の管理下にある対象を指す。
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性成分が治療上有効であることを可能にする形態および量で少なくとも1つの活性成分(例えば、C5阻害剤)を含む組成物を指す。
医薬的に許容される:「医薬的に許容される」という語句は、本明細書においては、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に見合って、接触して使用するのに適した、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために使用される。
医薬的に許容される賦形剤:本明細書で使用される「医薬的に許容される賦形剤」という語句は、医薬組成物中に存在し、患者において実質的に非毒性および非炎症性である特性を有する活性剤(例えば、活性剤R5000および/またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)以外のあらゆる成分を指す。いくつかの実施形態において、医薬的に許容される賦形剤は、活性剤を懸濁または溶解することができるビヒクルである。賦形剤には、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染料(着色料)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはフィルムコーティング剤、フレーバー、香料、滑剤(流動促進剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷用インク、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、および水和水、が含まれ得る。例示的な賦形剤には、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムグリコール酸デンプン、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトール、が含まれる。
血漿コンパートメント:本明細書で使用する場合、「血漿コンパートメント」という用語は、血漿が占める血管内空間を指す。
塩:本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、結合したアニオンを有するカチオンから構成される化合物を指す。このような化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)または他の種類の塩を含み得、これらは、限定されるものではないが、酢酸塩、塩化物、炭酸塩、シアン化物、亜硝酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびリン酸塩を含み得る。塩は、1つ以上のイオン(例えば、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムなど)に関連する活性剤を含み得る。いくつかの実施形態において、塩は、1つまたは複数のカチオン(例えば、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムなど)と関連したR5000(またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含む。
塩:本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、結合したアニオンを有するカチオンから構成される化合物を指す。このような化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)または他の種類の塩を含み得、これらは、限定されるものではないが、酢酸塩、塩化物、炭酸塩、シアン化物、亜硝酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびリン酸塩を含み得る。塩は、1つ以上のイオン(例えば、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムなど)に関連する活性剤を含み得る。いくつかの実施形態において、塩は、1つまたは複数のカチオン(例えば、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムなど)と関連したR5000(またはその活性代謝産物もしくはそのバリアント)を含む。
サンプル:本明細書で使用する場合、「サンプル」という用語は、供給源から採取された、および/または分析または処理のために提供されたアリコートまたは部分を指す。いくつかの実施形態において、サンプルは、組織、細胞または構成要素(例えば、限定されるものではないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、尿、膣液および精液を含む体液)などの生物源に由来する。いくつかの実施形態において、サンプルは、生物全体、またはその組織、細胞もしくは構成要素のサブセット、またはその画分もしくはその一部から調製されたホモジネート、溶解物または抽出物、であり得るか、それらを含み得、例えば、限定されるものではないが、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸管、尿生殖路、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、または臓器の外部セクションを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、タンパク質などの細胞成分を含み得る、栄養ブロスまたはゲルなどの媒体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、「一次」サンプルは、供給源のアリコートである。いくつかの実施形態において、一次サンプルは、1つまたは複数の処理(例えば、分離、精製など)ステップを受けて、分析または他の使用のためにサンプルを準備する。
皮下:本明細書で使用される場合、「皮下の(subcutaneous)」という用語は、皮膚の下の空間を指す。皮下投与は、皮膚の下に化合物を送達することである。
対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、本発明に従う化合物を、例えば、実験、診断、予防および/または治療目的で投与することができる任意の生物を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタの対象などの哺乳動物、非ヒト霊長類、およびヒト)が含まれる。
対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、本発明に従う化合物を、例えば、実験、診断、予防および/または治療目的で投与することができる任意の生物を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタの対象などの哺乳動物、非ヒト霊長類、およびヒト)が含まれる。
実質的に:本明細書で使用する場合、「実質的に(substantially)」という用語は、対象の特徴または特性の全体またはほぼ全体の程度または程度を示す定性的状態を指す。生物学の分野の当業者は、生物学的および化学的現象がめったに完了に至らない、および/または完全に進む、または絶対的な結果を達成もしくは回避することはまれであることを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために使用される。
治療上有効な量:本明細書で使用する場合、「治療上有効な量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているかまたは罹患しやすい対象に投与した場合に、疾患、障害、および/または状態の治療、症状の改善、診断、防止、および/または発症の遅延、のために十分である送達される薬剤(例えば、C5阻害剤)の量を意味する。
一回換気量:本明細書で使用される場合、「一回換気量」という用語は、(余分な努力がない場合に)呼吸の間に置き換えられる正常な肺の空気量を指す。
Tmax:本明細書で使用される場合、「Tmax」という用語は、対象または流体中で化合物の最大濃度が維持される期間を指す。
Tmax:本明細書で使用される場合、「Tmax」という用語は、対象または流体中で化合物の最大濃度が維持される期間を指す。
治療:本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴の、部分的または完全な緩和、改善、向上、緩和、発症遅延、進行阻害、重症度の低下、および/または発生率の低下を指す。治療は、疾患、障害、および/または状態に関連する病状の進展のリスクを低減する目的で、疾患、障害、および/または状態の兆候を示さない対象、および/または疾患、障害、および/または状態の初期の兆候のみを示す対象に施されてもよい。
治療用量:本明細書で使用される場合、「治療用量」は、治療適応に対処するかまたは緩和する過程で投与される治療剤の1回以上の用量を指す。治療用量は、体液または生体系における治療薬の所望の濃度または活性レベルを維持するように調整することができる。
分布容積:本明細書で使用される場合、用語「分布体積(volume of distribution)」または「Vdist」は、血液または血漿と同じ濃度で体内に化合物の総量を含むのに必要な流体の体積を指す。分布容積は、化合物が血管外組織に存在する程度を反映する場合がある。分布容積が大きいことは、血漿タンパク質成分と比較して、化合物が組織成分に結合する傾向を反映している。臨床設定において、Vdistを使用して、化合物の負荷量を決定し、その化合物の定常状態濃度を達成できる。
V.同等物と範囲
本発明の様々な実施形態が特に示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
本発明の様々な実施形態が特に示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
当業者は、本明細書に記載される本発明による特定の実施形態に対する多くの同等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」のような冠詞は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは複数を意味し得る。グループの1つ以上のメンバーの間に「または」を含む請求項または記載は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、1つ、複数、またはすべてのグループメンバーが特定の製品またはプロセスに存在する、採用されている、または関連している場合、満たされていると見なされる。本発明は、グループのちょうど1つのメンバーが、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、さもなければ関連する実施形態を含む。本発明は、グループのメンバーの2つ以上、またはすべてが、所与の製品またはプロセスに存在するか、採用されるか、さもなければ関連する実施形態を含む。
また、「含む(comprising)」という用語は、制約がなく許容することを意図しているが、追加の要素またはステップを含める必要はないことにも留意されたい。したがって、本明細書で「含む(comprising)」という用語が使用される場合、「からなる(consisting of)」および「または含む(or including)」という用語も包含され、開示される。
範囲が指定されている場合、端点(endpoints)が含まれる。さらに、特に示さない限り、または当業者の文脈および理解から明白でない限り、範囲として表される値は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、本発明の異なる実施形態における任意の特定の値または部分範囲を、その範囲の下限の単位の10分の1まで想定できることを理解されたい。
さらに、先行技術に含まれる本発明の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つまたは複数から明示的に除外され得ることを理解されたい。そのような実施形態は当業者に知られていると見なされるので、除外が本明細書で明示的に示されていない場合でも、それらは除外され得る。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、それによりコードされる任意の核酸またはタンパク質;任意の製造方法;任意の使用方法など)は、理由にかかわらず、従来技術の存在に関連しているか否かにかかわらず、任意の1つまたは複数の請求項から除外され得る。
本明細書で引用されているすべての出典、例えば、参考文献、出版物、データベース、データベースエントリ、および技術は、引用で明示的に述べられていなくても、参照により本出願に組み込まれる。引用された出典と本出願の記述が矛盾する場合は、本出願の記述を優先するものとする。
セクションと表の見出しは、制限を意図したものではない。
実施例1.R5000水溶液の調製
ポリペプチドは、標準的な固相Fmoc/tBu法を使用して合成した。合成は、Rinkアミド樹脂を使用した標準プロトコルを使用して、Liberty自動マイクロ波ペプチドシンセサイザー(CEM、ノースカロライナ州マシューズ)にて実施したが、マイクロ波機能を備えていない他の自動シンセサイザーも使用できる。すべてのアミノ酸は商業的供給源から入手した。使用したカップリング試薬は、2−(6−クロロ−1−H−ベンゾトリアゾール−1イル)−1,1,3,3、−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)で、塩基はジイソプロピルエチルアミン(DIEA)であった。ポリペプチドを、95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水を用いて3時間かけて樹脂から切断し、エーテルで沈殿させて単離した。粗製ポリペプチドを、30分かけて20%〜50%勾配のアセトニトリル/水0.1%TFAを用いて、C18カラムを使用する逆相分取HPLCで精製した。純粋なポリペプチドを含むフラクションを回収して凍結乾燥し、すべてのポリペプチドをLC−MSで分析した。
ポリペプチドは、標準的な固相Fmoc/tBu法を使用して合成した。合成は、Rinkアミド樹脂を使用した標準プロトコルを使用して、Liberty自動マイクロ波ペプチドシンセサイザー(CEM、ノースカロライナ州マシューズ)にて実施したが、マイクロ波機能を備えていない他の自動シンセサイザーも使用できる。すべてのアミノ酸は商業的供給源から入手した。使用したカップリング試薬は、2−(6−クロロ−1−H−ベンゾトリアゾール−1イル)−1,1,3,3、−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)で、塩基はジイソプロピルエチルアミン(DIEA)であった。ポリペプチドを、95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水を用いて3時間かけて樹脂から切断し、エーテルで沈殿させて単離した。粗製ポリペプチドを、30分かけて20%〜50%勾配のアセトニトリル/水0.1%TFAを用いて、C18カラムを使用する逆相分取HPLCで精製した。純粋なポリペプチドを含むフラクションを回収して凍結乾燥し、すべてのポリペプチドをLC−MSで分析した。
国際公開第WO2017/105939号に記載されているR5000(配列番号1)は、15個のアミノ酸(そのうち4個は非天然アミノ酸)、アセチル化N末端、およびC末端カルボン酸を含む環状ペプチドとして調製した。コアペプチドのC末端リジンは、N−ε−(PEG24−γ−グルタミン酸−N−α−ヘキサデカノイル)リジン残基を形成する修飾された側鎖を有する。この修飾された側鎖は、パルミトイル基で誘導体化されたL−γグルタミン酸残基に結合したポリエチレングリコールスペーサー(PEG24)を含む。R5000の環化は、L−Lys1およびL−Aps6の側鎖間のラクタム架橋を介している。R5000のアミノ酸はすべてL−アミノ酸である。R5000の分子量は3562.23g/molで、化学式はC172H278N24O55である。
エクリズマブと同様に、R5000はC5のC5aおよびC5bへのタンパク質分解的開裂を遮断する。エクリズマブとは異なり、R5000はC5bに結合してC6結合を遮断することもできるため、その後のMACの集合を回避できる。
R5000は、pH7.0で、50mMリン酸ナトリウムおよび76mM塩化ナトリウムの配合物中に40mg/mLのR5000を含む注射用水溶液として調製した。得られた組成物を使用して、現行の適正製造基準(cGMP)に従って医薬品を調製し、同医薬品は、自己管理デバイス(ULTRASAFE PLUS(商標名)、Becton Dickenson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)内に配置された29ゲージの1/2インチ(12.7mm)の固定針(staked needle)を備えた1mlシリンジを含む。
実施例2.用量設定試験
PNH患者において、R5000の安全性、忍容性、予備的有効性、薬物動態および薬力学を評価するための用量設定試験(dose−finding study)を実施した。この試験は、長期延長を伴う非盲検の12週間の試験であった。試験プログラムは世界的に実施され、3つのPNH母集団に対処するように設計した:(コホートA)エクリズマブナイーブ対象;(コホートB)スクリーニング前に少なくとも6か月間エクリズマブによる治療を受けていた対象;(コホートC)スクリーニングの前に少なくとも6か月間エクリズマブによる治療を受けていた対象で、不十分な反応のエビデンスのある対象(乳酸脱水素酵素レベル>上限正常値の1.5倍)。患者は、1日目に0.3mg/kgの負荷量で皮下注射によりR5000を投与され、その後最初の2週間は0.1mg/kgの1日量が投与された。2週目の診察以降、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが上限正常値(ULN)の1.5倍以上であった場合、1日量を0.3mg/kgに増量した。研究の主要な有効性エンドポイントは、LDHレベルのベースラインから、研究の6週目〜12週目の平均レベルへの変化を達成することであった。
PNH患者において、R5000の安全性、忍容性、予備的有効性、薬物動態および薬力学を評価するための用量設定試験(dose−finding study)を実施した。この試験は、長期延長を伴う非盲検の12週間の試験であった。試験プログラムは世界的に実施され、3つのPNH母集団に対処するように設計した:(コホートA)エクリズマブナイーブ対象;(コホートB)スクリーニング前に少なくとも6か月間エクリズマブによる治療を受けていた対象;(コホートC)スクリーニングの前に少なくとも6か月間エクリズマブによる治療を受けていた対象で、不十分な反応のエビデンスのある対象(乳酸脱水素酵素レベル>上限正常値の1.5倍)。患者は、1日目に0.3mg/kgの負荷量で皮下注射によりR5000を投与され、その後最初の2週間は0.1mg/kgの1日量が投与された。2週目の診察以降、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが上限正常値(ULN)の1.5倍以上であった場合、1日量を0.3mg/kgに増量した。研究の主要な有効性エンドポイントは、LDHレベルのベースラインから、研究の6週目〜12週目の平均レベルへの変化を達成することであった。
コホートA
コホートAの試験母集団の詳細を表1に示す。
コホートAの試験母集団の詳細を表1に示す。
コホートAでは、患者のサンプルは、古典経路活性および代替経路活性の両方をテストするアッセイを使用して補体活性について試験した(図1の代表例)。C5b−9沈着に基づく代替経路活性は、製造業者の指示に従ってWIESLAB(登録商標)ELISA(Euro Diagnostica、スウェーデン国マルメ)によって測定され、補体活性パーセントとして表した。古典経路活性は溶血活性により評価した。溶血活性は、ヒツジ赤血球(RBC)溶血アッセイを使用して試験した。このアッセイは、ウサギ抗ヒツジRBC抗体でプレコートされたヒツジRBCを溶解するための古典経路の補体成分の機能的能力を試験するものである。抗体でコーティングされたRBCを試験血清とインキュベートすると、補体の古典経路が活性化され、溶血が起こり、そして、ヘモグロビンの放出によって監視する。このアッセイでは、抗体感作ヒツジ赤血球が溶解のビヒクルとして使用され、患者サンプルは溶血活性について試験した。補体活性(古典経路と代替経路)の急速でほぼ完全な持続的な阻害が、24週間にわたるR5000治療で観察された。
コホートAの乳酸脱水素酵素(LDH)レベルは、最初の治療で急激に低下し、試験の12週目および長期延長試験の36週目まで、ULNレベルの1.5倍に近いままで維持された(図2を参照)。LDHレベルは、試験の6〜12週目からベースラインから平均レベルに減少した。観察されたレベルは、他の文献が報告したエクリズマブ治療で観察されたレベルと同様であった(ヒルメン(Hillmen)他、N Engl J Med、2006およびU.S.FDA/CDER(2007)BLA 125166 Pharmacometerics Review of Eculizumab/SOLIRIS(登録商標)を参照)。最高のベースラインLDHレベル[2,435ユニット/リットル(U/L)]を有する32歳の男性白人患者は、R5000治療に最も反応し(図3を参照)、ベースラインからのLDHレベルが88%減少した。
コホートAの患者のうち、全員が12週間の投与を成功裏に完了した。輸血に依存していた患者のうち、R5000の最小12週間の投与を完了した患者の50%は、治療中に輸血を必要としなかった。また、慢性疾患療法の機能評価(FACIT)疲労スコアによって評価されるように、患者は生活の質(QOL)の増加を示した(図4を参照)。患者の調査結果は、平均の患者満足度が皮下への自己注射投与で「満足」と「非常に満足」との間にあることを示した。
コホートB
コホートBの試験母集団の特性を表2に示す。
コホートBの試験母集団の特性を表2に示す。
これまでの研究では、3年間のエクリズマブでの治療後に2つの異なる患者母集団が出現することが示されている:即ち、(1)輸血依存性;および(2)輸血非依存性(ヒルメン(Hillmen)他、Br J Hematol、2013を参照されたい)。輸血依存性患者は、(治療の3年目の終わりの時点から)過去6か月に少なくとも1回の輸血を受けた患者であった。輸血非依存性は、過去6か月間に輸血を必要としなかった患者であった。この研究によると、3年間治療を受けた患者の80%は輸血に依存せず、20%は輸血に依存していた。本願の試験では、長期治療で輸血依存性のままであるエクリズマブに対する反応不良者がコホートの大きな比率を占めている(試験では69%に対し、ヒルメン(Hillmen)他による観察では20%)。
エクリズマブの「ウォッシュアウト」期間中に、補体活性のほぼ完全な持続的で中断のない阻害がヒツジRBC溶血アッセイによって観察され、0週目のエクリズマブトラフ(trough)に存在する阻害のレベルを超えていた(図5を参照)。輸血非依存性患者では、R5000への切り替えにより、5人の患者のうち4人にブレイクスルー溶血のエピソードがなく安定したLDHレベルが得られたが、一方で、このコホートからの11人の輸血依存性患者のうちの7人にブレイクスルー溶血が観察された(図6)。ブレイクスルー溶血の患者はすべて、合併症を起こすことなく、試験の4週目〜10週目にエクリズマブ療法に戻すことができた。輸血依存群と輸血非依存群のそれぞれの2人の患者は、長期延長試験中も治療を受け続け、LDHレベルを1.5ULNレベルまたはそれに近いレベルで最大48週間継続して示した。エクリズマブからR5000への切り替えが成功し6か月間LDHの変動がない患者の例を図7に示す。この患者は、エクリズマブでの治療を7年間受けていた、28歳の輸血非依存性白人男性であった。
コホートC
エクリズマブへの反応が不十分で、LDHレベルが上昇した病歴のある患者のうち、3人の患者すべて(2人は輸血非依存性、1人は輸血依存性)が12週間の投与を完了し、安定した平均LDHレベルを維持していた。
エクリズマブへの反応が不十分で、LDHレベルが上昇した病歴のある患者のうち、3人の患者すべて(2人は輸血非依存性、1人は輸血依存性)が12週間の投与を完了し、安定した平均LDHレベルを維持していた。
コホートCの最初の患者である53歳の白人男性は、LDHレベルが上昇しており、疲労感や注入後の痛みを特徴とするエクリズマブ(2週間ごとに450mg)に対する不耐症を記録している。R5000に切り替えた後、患者のLDHレベルは16週間にわたって適切に制御され(図8を参照)、鎮痛剤投与は漸減された。
複合分析
0.3mg/kg用量のR5000は、一貫した効果的なレベルの溶血抑制を示し、トラフで95%以上の抑制を示した(図9)。早期の離脱(withdrawal)およびエクリズマブ療法への復帰につながるブレイクスルー血管内溶血が、輸血依存性の切り替え対象の7/12(58%)で観察されたが、輸血依存性対象の1/7(14%)でのみ観察された。コホートBおよびコホートCの両方からプールされた、エクリズマブからR5000(n=7)に切り替えた輸血非依存性患者の全てにわたり、LDHおよびヘモグロビンのレベルは安定していた(図10を参照)。エクリズマブからR5000に切り替えた対象のブレイクスルー溶血は、4週目〜10週目に発生する治療レベルを下回るエクリズマブのウォッシュアウトと一致していた(図11を参照)。試験データの事後分析では、切り替え時の絶対網状赤血球数<2×ULNを使用して、ウォッシュアウト中にR5000への切り替えの成功を予測できることも確認した(図12を参照)。これらの試験結果は、既存のC3介在性の血管外溶血が、エクリズマブからR5000に切り替えた対象のブレイクスルー血管内溶血の主要なリスク因子であることを示している。したがって、対象の治療をエクリズマブ治療からR5000治療に切り替えることを含む、R5000で対象を治療する方法は、切り替える前に、そのような対象における既存のC3介在性血管外溶血の欠如を確認することを含み得る。このような方法は、輸血依存性および/または網状赤血球の上昇に基づいて対象を除外することができる。
0.3mg/kg用量のR5000は、一貫した効果的なレベルの溶血抑制を示し、トラフで95%以上の抑制を示した(図9)。早期の離脱(withdrawal)およびエクリズマブ療法への復帰につながるブレイクスルー血管内溶血が、輸血依存性の切り替え対象の7/12(58%)で観察されたが、輸血依存性対象の1/7(14%)でのみ観察された。コホートBおよびコホートCの両方からプールされた、エクリズマブからR5000(n=7)に切り替えた輸血非依存性患者の全てにわたり、LDHおよびヘモグロビンのレベルは安定していた(図10を参照)。エクリズマブからR5000に切り替えた対象のブレイクスルー溶血は、4週目〜10週目に発生する治療レベルを下回るエクリズマブのウォッシュアウトと一致していた(図11を参照)。試験データの事後分析では、切り替え時の絶対網状赤血球数<2×ULNを使用して、ウォッシュアウト中にR5000への切り替えの成功を予測できることも確認した(図12を参照)。これらの試験結果は、既存のC3介在性の血管外溶血が、エクリズマブからR5000に切り替えた対象のブレイクスルー血管内溶血の主要なリスク因子であることを示している。したがって、対象の治療をエクリズマブ治療からR5000治療に切り替えることを含む、R5000で対象を治療する方法は、切り替える前に、そのような対象における既存のC3介在性血管外溶血の欠如を確認することを含み得る。このような方法は、輸血依存性および/または網状赤血球の上昇に基づいて対象を除外することができる。
安全性と忍容性
500を超える患者−週(over 500 patient−weeks)の後、忍容性の問題による、投薬の中断、減量、または中止は必要なかった。同様に、髄膜炎菌感染症または血栓塞栓性事象は観察されなかった。100%自己投与コンプライアンスは、リモートモニタリング(スマートフォン経由)によって観察された。観察された有害事象の大部分はR5000とは無関係であると見なされ、最も一般的な関連有害事象は頭痛であった。最後に、3500回を超える自己投与注射のうち、9例の軽度(グレード1)の注射部位発赤(ISR)のみが観察された。これらの知見は、将来の治療における0.3mg/kg用量のR5000の使用を支持するものである。
500を超える患者−週(over 500 patient−weeks)の後、忍容性の問題による、投薬の中断、減量、または中止は必要なかった。同様に、髄膜炎菌感染症または血栓塞栓性事象は観察されなかった。100%自己投与コンプライアンスは、リモートモニタリング(スマートフォン経由)によって観察された。観察された有害事象の大部分はR5000とは無関係であると見なされ、最も一般的な関連有害事象は頭痛であった。最後に、3500回を超える自己投与注射のうち、9例の軽度(グレード1)の注射部位発赤(ISR)のみが観察された。これらの知見は、将来の治療における0.3mg/kg用量のR5000の使用を支持するものである。
Claims (60)
- 以前にエクリズマブで治療されていない対象における発作性夜間血色素尿症(PNH)を治療する方法であって、前記方法は、少なくとも12週間の間、皮下注射によるR5000の対象による毎日の自己投与を含む方法。
- R5000は、プレロードされたシリンジを使用して投与される、請求項1に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量で投与される、請求項1または請求項2に記載の方法。
- R5000の初期負荷用量が投与され、同初期負荷用量は、約0.3mg/kgのR5000を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与され、その後約0.3mg/kgの修正治療用量で投与され、対象の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルは、R5000投与の最初の2週間の間、上限正常(ULN)レベルの1.5倍以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも24週間投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも48週間投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- R5000投与の1週間後に、対象サンプルのパーセント溶血レベルが約90%以上減少する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のLDHレベルが、R5000投与期間の50%を超える期間、ULNレベルの4倍未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- ブレイクスルー溶血のリスクが低減される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が、R5000投与期間中に、輸血依存性対象から輸血非依存性対象に転換される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 対象の生活の質が改善され、対象の生活の質が慢性疾患療法(FACIT)疲労スコアの機能的評価によって決定される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- エクリズマブによる治療を受けている対象においてPNHを治療する方法であって、前記方法は、対象をエクリズマブ治療から、少なくとも12週間の皮下注射によるR5000の毎日の自己投与に切り替えることを含む、方法。
- R5000が、プレロードされたシリンジを使用して投与される、請求項13に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量で投与される、請求項13または14に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与され、その後、約0.3mg/kgの修正治療用量で投与され、対象のLDHレベルは、R5000投与の最初の2週間の間、ULNレベルの1.5倍以上である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも24週間投与される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも48週間投与される、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
- R5000投与の1週間後に、対象サンプルのパーセント溶血レベルが約90%以上減少する、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のLDHレベルが、R5000投与期間の50%を超える期間、ULNレベルの4倍未満である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の方法。
- ブレイクスルー溶血のリスクが低減される、請求項13〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が、輸血依存性対象および輸血非依存性対象から選択される、請求項13〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が輸血非依存性対象であり、対象のLDHレベルがULNレベルの4倍未満に低下する、請求項22に記載の方法。
- 対象のLDHレベルが、ULNレベルの1.5倍以下のレベルに低減される、請求項23に記載の方法。
- 対象がエクリズマブ治療に対して不十分な反応を示す、請求項13〜24のいずれか一項に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、対象におけるC5開裂の無効な阻害に関連する、請求項25に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、エクリズマブ用量が低いこと、および対象の血漿エクリズマブレベルが低いこと、の少なくとも一方に関連する、請求項25または請求項26に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、対象におけるエクリズマブのクリアランスに関連する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のエクリズマブ不耐症のためにエクリズマブ用量を低下させている、請求項25〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のエクリズマブ不耐症が、疲労および注入後の痛みの1つまたは複数を含む、請求項29に記載の方法。
- ブレイクスルー溶血の少なくとも1つの発生が、R5000による継続治療によって制御される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、ブレイクスルー溶血の少なくとも1つのリスク因子について対象をスクリーニングすることを含み、前記ブレイクスルー溶血が、エクリズマブ治療からR5000治療への切り替えに関連する、請求項13〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記少なくとも1つのリスク因子が、既存のC3介在性血管外溶血を含む、請求項32に記載の方法。
- 前記少なくとも1つのリスク因子が輸血依存性を含む、請求項32または請求項33に記載の方法。
- 少なくとも1つのリスク因子が、ULNレベルの2倍以上である対象のベースライン網状赤血球レベルを含む、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
- 過去6か月以内にエクリズマブ治療を受けた対象においてPNHを治療する方法であって、前記方法は、少なくとも12週間の間、皮下注射によるR5000の毎日の自己投与を含み、前記対象がR5000の自己投与の少なくとも最初の4週間、エクリズマブ治療を受けていない、方法。
- R5000が、プレロードされたシリンジを使用して投与される、請求項36に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kg〜約0.3mg/kgの用量で投与される、請求項36または請求項37に記載の方法。
- R5000が約0.1mg/kgの初期治療用量で約2週間投与され、その後、約0.3mg/kgの修正治療用量で投与され、対象のLDHレベルがR5000投与の最初の2週間の間、ULNレベルの1.5倍以上である、請求項36〜38のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも24週間投与される、請求項36〜39のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が少なくとも48週間投与される、請求項36〜40のいずれか一項に記載の方法。
- R5000投与の1週間後に、対象サンプルにおけるパーセント溶血レベルが約90%以上減少する、請求項36〜41のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のLDHレベルが、R5000投与期間の50%を超える期間、ULNレベルの4倍未満である、請求項36〜42のいずれか一項に記載の方法。
- ブレイクスルー溶血のリスクが低減される、請求項36〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が、輸血依存性対象および輸血非依存性対象から選択される、請求項36〜44のいずれか一項に記載の方法。
- 対象が輸血非依存性対象であり、対象のLDHレベルがULNレベルの4倍未満に低減される、請求項45に記載の方法。
- 対象のLDHレベルが、ULNレベルの1.5倍以下のレベルに低減される、請求項46に記載の方法。
- 対象がエクリズマブ治療に対して不十分な反応を示す、請求項36〜47のいずれか一項に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、対象におけるC5開裂の無効な阻害に関連する、請求項48に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、エクリズマブ用量が低いこと、および対象血漿エクリズマブレベルが低いこと、の少なくとも一方に関連する、請求項48または請求項49に記載の方法。
- エクリズマブ治療に対する不十分な反応が、対象におけるエクリズマブクリアランスに関連する、請求項48〜50のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のエクリズマブ不耐症のためにエクリズマブ用量を低下させている、請求項48〜51のいずれか一項に記載の方法。
- 対象のエクリズマブ不耐症が、疲労および注入後の痛みの1つまたは複数を含む、請求項52に記載の方法。
- 前記方法が、ブレイクスルー溶血の少なくとも1つのリスク因子について対象をスクリーニングすることを含み、前記ブレイクスルー溶血が、エクリズマブ治療からR5000治療への切り替えに関連する、請求項36〜53のいずれか一項に記載の方法。
- 前記少なくとも1つのリスク因子が、既存のC3介在性血管外溶血を含む、請求項54に記載の方法。
- 少なくとも1つのリスク因子が輸血依存性を含む、請求項54または請求項55に記載の方法。
- 少なくとも1つのリスク因子が、ULNレベルの2倍以上の対象のベースライン網状赤血球レベルを含む、請求項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
- R5000が塩として投与される、請求項1〜57のいずれか一項に記載の方法。
- R5000の塩が1つまたは複数のカチオンを含む、請求項58に記載の方法。
- 前記1つ以上のカチオンが、ナトリウム、カルシウム、およびアンモニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
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