JP2021504384A - Lsz102及びアルペリシブを含む医薬品の組合せ - Google Patents

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Abstract

本発明は、LSZ102及びアルペリシブを含む医薬品の組合せ;それを含む医薬組成物;並びにPI3K阻害と組み合わされたエストロゲン受容体の分解が有益である状態の処置又は予防、例えば癌の処置においてこうした組合せ及び組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、LSZ102及びアルペリシブを含む医薬品の組合せ;それを含む医薬組成物;並びにPI3K阻害と組み合わされたエストロゲン受容体の分解が有益である状態の処置又は予防、例えば癌の処置においてこうした組合せ及び組成物を使用する方法に関する。
エストロゲンは、女性及び男性の生殖組織の発生において決定的な役割を果たしており、エストロゲン受容体の疾患又は障害、例えば、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜及び子宮癌の発生及び進行の一因となっている。
エストロゲン受容体(ERα)陽性疾患、例えば乳癌は、通常、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)又はアロマターゼ阻害剤(AI)で処置される。これらの治療は、乳癌の進行の発生を低減させることにおいて有効であることが証明されてきた一方、一部の患者は、処置耐性及び進行性転移性乳癌への進行を示す。
処置耐性は、部分的に、低エストロゲンレベルに対する過感受性の状態への腫瘍の進展(AI処置)又は転写の活性化のための抗エストロゲン剤による依存性の発生(SERM処置)に起因する。SERDは、受容体を分解し、ERα発現を効果的に除去し、その際、耐性の根底にある機序を回避し、これは、抗内分泌単独療法に発展する。さらに、臨床及び前臨床データは、SERD活性を示す抗エストロゲン剤の使用によってかなりの数の耐性経路を回避できることを示す。
PI3Kタンパク質は、栄養素取込み、代謝、細胞増殖及び生存をレギュレートする脂質キナーゼのファミリーを含む。癌生物学におけるPI3Kの最もよく研究されたクラスは、p110α、p110β及びp110δを含むクラスIA PI3Kである。PIK3CA遺伝子における変異は、HR+乳癌の28〜47%において存在する。PI3Kアイソフォームであるp110αは、ヒト癌において恒常的に活性化されており、乳癌において特に重大である。癌成長シグナルは、p110β及びp110δを通してもリレーされるが、乳癌に対するこれらの寄与は、特に同じようによく定義されていない。決定的に、ERシグナル伝達及びPI3K活性は、互いに同時レギュレートされる。一方の阻害は、他方のアップレギュレーションをもたらし、このように、最大抗腫瘍活性を達成する両方の同時の阻害は、合理的なアプローチである。
本発明の組合せであるLSZ102及びアルペリシブは、エストロゲン受容体の疾患又は障害、例えば排卵機能障害、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮内膜症、骨粗鬆症、前立腺癌、良性前立腺肥大症、エストロゲン受容体アルファ(ERα)陽性乳癌、特に既存の抗エストロゲン剤及びアロマターゼ阻害剤に対して新規の耐性を示すERα陽性乳癌の処置のための治療として使用することができる。
本発明は、
(a)構造:

を有する(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(LSZ102)又は薬学的に許容されるその塩と、
(b)構造:

を有する(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド(アルペリシブ若しくはBYL719)又は薬学的に許容されるその塩と
を含む医薬品の組合せを実現する。
LSZ102又は薬学的に許容されるその塩と、アルペリシブ又は薬学的に許容されるその塩との組合せは、本明細書において「本発明の組合せ」とも称される。
本発明の組合せの別の実施形態では、LSZ102又は薬学的に許容されるその塩と、アルペリシブ又は薬学的に許容されるその塩とは、同じ製剤中に存在する。
本発明の組合せの別の実施形態では、LSZ102又は薬学的に許容されるその塩と、アルペリシブ又は薬学的に許容されるその塩とは、別々の製剤中に存在する。
別の実施形態では、本発明の組合せは、同時又は(任意の順序の)順次投与のためのものである。
別の実施形態では、癌の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、治療的有効量の本発明の組合せを投与することを含む方法である。
方法のさらなる実施形態では、癌は、エストロゲン受容体アルファ(ERα)陽性乳癌である。
方法のさらなる実施形態では、癌は、卵巣、子宮内膜、前立腺、子宮、子宮頸部及び肺癌から選択される。
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、エストロゲン受容体アルファ(ERα)陽性乳癌を処置するための医薬の製造における使用を実現する。
さらなる実施形態では、本発明の組合せは、卵巣、子宮内膜、前立腺、子宮、子宮頸部及び肺癌から選択される癌を処置するための医薬の製造における使用を実現する。
別の実施形態では、本発明の組合せを含む医薬組成物である。
さらなる実施形態では、医薬組成物は、1種又は複数の薬学的に許容される添加剤をさらに含む。
MCF−7細胞におけるER分解の促進に対するLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの比較である。 図2:図2Aは、LSZ102処理されたMCF−7親(WT)細胞におけるmRNAのPCR分析である。図2Bは、LSZ102処理されたMCF−7 Y537S変異細胞におけるmRNAのPCR分析である。 (上記の通り。) MCF−7親(WT)細胞及びY537S変異細胞におけるLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンのERα分解活性の比較である。 同所性ヒト乳癌MCF−7異種移植モデルにおけるLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの抗腫瘍有効性である。 原発性ヒト乳癌HBRX1298異種移植モデルにおけるLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの抗腫瘍有効性である。 Y537S ER変異MCF−7乳癌異種移植モデルにおけるLSZ102及びフルベストラントの有効性である。 図7:図7Aは、D538G ER変異MCF−7乳癌異種移植モデルにおけるLSZ102及びフルベストラントの有効性である。図7Bは、D538G ER変異MCF−7細胞におけるLSZ102及びフルベストラントのERα分解活性である。 (上記の通り。) 図8:図8Aは、MCF−7異種移植モデルにおける有効性に対するLSZ102の用量分割の影響である。図8Bは、ERによってレギュレートされる転写物であるGREB1及びPGRのmRNAレベルに対するLSZ102用量分割の影響である。 (上記の通り。) 同所性ヒト乳癌MCF−7異種移植モデルにおけるアルペリシブ(BYL719)と組み合わせたLSZ102の抗腫瘍有効性である。 RPMIプラス10%完全血清培地中のMCF−7細胞系における増殖に対する、LSZ102とアルペリシブ(BYL719)とを合わせることの効果を示す用量マトリックス及びアイソボログラムである。 0.1nMのE2を加えたチャコール処理血清中のMCF−7細胞系におけるLSZ102とアルペリシブ(BYL719)とを合わせることの効果を示す用量マトリックス及びアイソボログラムである。 完全血清培地中のMCF−7細胞系におけるLSZ102とアルペリシブ(BYL719)とを合わせることの効果を示す用量マトリックス及びアイソボログラムである。
定義
本明細書の上記及び下記で使用される一般用語は、好ましくは、本開示に関連して、他に示さない限り、下記の意味を有し、より一般の用語が使用される場合には常に、互いに独立に、より特定の定義によって置き換えられるか又はそのままであり、このように本発明のより詳細な実施形態を定義し得る。
「ESR1変異」は、エストロゲン受容体遺伝子(ESR1)変異である。変異は、リガンド非依存性ER活性をもたらす。ERのリガンド結合ドメインを修飾するいくつかの変異が同定されてきた。これらの変異には、これらに限定されないが、D538G、E380Q及びY537S/N/Cが含まれ、ESR1変異の80%超を表す。これらの変異は、原発性BC腫瘍において殆ど存在しない(<2%)ため、後天的に得られた分子事象である。ESR1変異は、転移性設定においてアロマターゼ阻害剤を受けてきた患者において一般的である。変異は、早期転移性ER+疾患(Y537N/S及びD538G)の9%及び後期転移性ER+乳癌(Y537C/N/S及びD538G)の20%において起こる。野生型と比較して、腫瘍成長は、D538G及びY537S変異でより高い。
用語「対象」又は「患者」は、本明細書において使用する場合、癌又は癌と直接的若しくは間接的に関与している任意の障害を患うか又は苦しめられ得る動物を含むことを意図する。対象の例は、哺乳動物、例えばヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット及びトランスジェニックなヒトではない動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒト、例えば癌を患っているか、癌を患う危険性があるか又は潜在的に癌を患い得るヒトである。
用語「処置する」又は「処置」は、本明細書において使用する場合、対象において少なくとも1つの症状を緩和、低減若しくは軽減するか、又は疾患の進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、障害の1つ又はいくつかの症状の減少又は障害、例えば癌の完全な根絶であり得る。本開示の意味において、用語「処置する」は、発症を抑止し、遅延させ(すなわち疾患の臨床徴候前の期間)、且つ/又は疾患を発生若しくは悪化させる危険性を低減させることも意味する。
用語「含む」及び「含める」は、他に断らない限り、本明細書において、それらの拡張可能及び非限定的な意味で使用される。
本発明の記載に関連して(特に下記の特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、及び「1つの(an)」、及び「その」並びに同様の参照対象は、本明細書において他に示さない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈される。複数形が化合物、塩などについて使用される場合、これは、単一の化合物、塩なども意味すると考えられる。
本発明の組合せであるLSZ102又はアルペリシブは、化合物の標識されていない形態及び同位体的に標識された形態を表すことも意図する。同位体標識化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられた1個又は複数の原子を有する。LSZ102及びアルペリシブ中に組み込むことができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、125Iを含む。本発明は、例えば、その中に放射性同位体、例えばH及び14C又は非放射性同位体、例えばH及び13Cが存在する、同位体的に標識されたLSZ102及びアルペリシブを含む。同位体的に標識されたLSZ102及びアルペリシブは、代謝研究(14Cによる)、反応速度論研究(例えば、H若しくはHによる)、検出若しくはイメージング技術、例えば薬物若しくは基質組織分布アッセイを含むポジトロン放出断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)において、又は患者の放射性処置において有用である。特に、18Fで標識されたLSZ102は、PET又はSPECT研究のために特に望ましいことがあり得る。本発明の同位体標識された化合物は、一般に、当業者に公知の従来の技術により、又は適当な同位体標識された試薬を使用して添付の実施例において記載されているものと類似のプロセスにより調製することができる。
さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より大きい代謝安定性、例えばインビボでの半減期の増加、又は投与必要量の低減、又は治療指数における改善に起因する特定の治療上の利益をもたらし得る。重水素は、これに関連して、LSZ102又はアルペリシブの置換基と見なされることが理解される。このようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮因子によって定義することができる。本明細書で使用される場合、用語「同位体濃縮因子」とは、同位体存在度と、指定同位体の天然存在度との間の比を意味する。LSZ102又はアルペリシブ中の置換基が重水素と示される場合、こうした化合物は、少なくとも3500(各々指定された重水素原子における52.5%重水素の取り込み)、少なくとも4000(60%重水素の取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素の取り込み)、少なくとも5000(75%重水素の取り込み)、少なくとも5500(82.5%重水素の取り込み)、少なくとも6000(90%重水素の取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素の取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素の取り込み)、少なくとも6600(99%重水素の取り込み)又は少なくとも6633.3(99.5%重水素の取り込み)のそれぞれ指定された重水素原子についての同位体濃縮因子を有する。
LSZ102は、動物において抗エストロゲン効果及びエストロゲン誘発性効果の両方を伴う、混合されたSERD及びSERM活性を有する、経口的に生物が利用可能な小分子である治験薬である。乳癌細胞系においてインビトロで、LSZ102は、強力なER拮抗作用及び分解活性を示してきた。
PI3K阻害剤である(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド)(本明細書において、「アルペリシブ」又は「BYL719」とも称される)は、クラスIA PI3Kのアルファ(α)−アイソフォームを強力及び選択的に標的し、且つ下記の化学構造を有する特定の2−カルボキサミドシクロアミノ尿素誘導体化合物である。

(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド)及びその薬学的に許容される塩は、参照により本明細書にその全体が組み込まれるPCT出願番号国際公開第2010/029082号パンフレットに記載されており、その調製の方法は、例えば、その中の実施例15に記載されている。好ましくは、化合物(I)は、遊離塩基の形態である。
一実施形態では、本発明の医薬品の組合せに関して、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩とを含む医薬品の組合せである。
さらなる実施形態では、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩とは、別々に、同時に又は逐次的に任意の順序で投与される。
さらなる実施形態では、医薬品の組合せは、経口投与のためのものである。
さらなる実施形態では、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸は、経口用量形態である。
さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、経口用量形態である。
別の実施形態では、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
さらなる実施形態では、癌、好ましくは乳癌の処置において使用するための、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せである。
さらなる実施形態では、野生型ER+乳癌の処置における使用のための、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せである。
別の実施形態では、ESR1変異ER+乳癌の処置における使用のための、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せである。
さらなる実施形態では、ESR1変異は、MCR7が発現するESR1変異である。
さらなる実施形態では、ESR1変異は、D538G、E380Q、Y537S、Y537N及びY537Cからなる群から選択される。
さらなる実施形態では、ESR1変異は、D538G及びY537Sからなる群から選択される。
別の実施形態では、癌、好ましくは乳癌の処置のための医薬の製造のための、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せの使用である。
別の実施形態では、ER+乳癌の処置のための医薬の製造のための、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せの使用である。
別の実施形態では、癌、好ましくは乳癌の処置する方法であって、それを必要とする患者に、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せ又は(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態では、野生型ER+乳癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せ又は(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態では、ER+乳癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せ又は(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸若しくは薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド若しくは薬学的に許容されるその塩との医薬品の組合せと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含み、前記ER+乳癌は、ESR1変異を含有する、方法である。
さらなる実施形態では、変異は、D538G、E380Q、Y537S、Y537N及びY537Cからなる群から選択される。
さらなる実施形態では、変異は、D538G及びY537Sから選択される。
別の実施形態では、(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸は、1日当たり約100mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり500mg、又は1日当たり600mgの用量で経口投与される。
さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約50mg、又は1日当たり100mg、又は1日当たり150mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり250mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり350mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり450mgの用量において、単回用量又は1日4回までの分割用量で経口投与される。
さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約50mg、又は1日当たり100mg、又は1日当たり150mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり250mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり350mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり450mgの用量で連続的に経口投与される。
さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約50mg、又は1日当たり100mg、又は1日当たり150mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり250mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり350mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり450mgの用量で食物と共に経口投与される。
さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり200mgで経口投与される。さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約300mgの用量で経口投与される。さらなる実施形態では、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約400mgの用量で経口投与される。
薬理学及び有用性
乳癌は、女性において癌死亡の主要原因である。単一の疾患として一般化されることが多いが、乳癌は、臨床現場において、3つの重要なバイオマーカーの特性決定から得られるその分子サブタイプによってより一般に分類される。エストロゲン及びプロゲステロン受容体が存在すること又は存在しないことがホルモン受容体の分類(HR+/HR−)に至る一方、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)のレベルの増加若しくは減少がHER2タンパク質分類(HER2+/HER2−)に至る。概ね74%の乳癌は、HR+癌の進行において直接的に関係していると見なされている核内ホルモン受容体であるエストロゲン受容体α(ERα)の高発現を示す。このリガンド誘導性転写因子は、ホルモンであるエストロゲンを結合し、発癌性遺伝子の発現を活性化し、促進する。
ERα陽性乳癌を有する患者において、処置は、内分泌療法、例えばタモキシフェン(及びその活性代謝物である4−ヒドロキシタモキシフェン)及びアナストロゾールに長く依存してきたが、これらの両方は、リガンド活性化及び究極的に遺伝子発現を防止する。こうした患者のための一次標準治療であるタモキシフェンは、受容体へのエストロゲンの結合を効果的にブロックし、且つ乳房組織におけるその効果をブロックするエストロゲン受容体モジュレーターとして機能する。この一次治療で処置された女性は、ポジティブに応答することが多く、臨床現場において生存の増加を示すが、これらの患者における、最終的に疾患再発をもたらす獲得耐性は、依然としてかなりの医学上の課題である。ERα陽性腫瘍がタモキシフェンに対して耐性を発生させる特定の機序は、完全には理解されていないが、アロマターゼ阻害剤、例えばレトラゾールは、こうした難治性癌において臨床的有効性を示してきた。タモキシフェンと対照的に、アロマターゼ阻害剤は、それらの活性、さらに具体的にはエストロゲンの形成における重要な生合成ステップに関与している酵素を阻害することによるエストロゲン産生の低減に負っている。残念ながら、タモキシフェンと同様に、アロマターゼ阻害剤はまた、耐性癌をもたらし得る。
フルベストラントは、内分泌耐性癌の処置のために承認されている選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)である。このステロイドをベースとする抗エストロゲン剤は、エストロゲン受容体を結合すること及びその分解を促進することの両方を行い、その疾患が進行している内分泌処置された患者において臨床的に有効である。フルベストラントは、しかし、大部分がその乏しい物理化学的特性によってその臨床的有用性において限定されている。この薬物は、経口投与することができないが、代わりに、2回の5mLの注射で月1回臀部領域に投与された承認された500mgの臨床的投与量は、受容体を完全に占有するのに十分であるように思われない。LSZ102は、望ましいエストロゲン受容体の分解特性を保持する一方、改善されたバイオアベイラビリティーを伴う経口医薬として開発された。
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール脂質のD−3’位へのホスフェートの移動を触媒し、ホスホイノシトール−3−リン酸(PIP)、ホスホイノシトール−3,4−二リン酸(PIP)及びホスホイノシトール−3,4,5−三リン酸(PIP)を産生する脂質キナーゼのファミリーを含み、これは、プレクストリン相同性、FYVE、Phox及び他のリン脂質結合ドメインを含有するタンパク質を、多くの場合、形質膜における種々のシグナル複合体にドッキングさせることにより、シグナル伝達カスケードにおけるセカンドメッセンジャーとして作用する。2つのクラス1 PI3Kのうちのクラス1A PI3Kは、p85α、p55α、p50α、p85β又はp55γであり得る調節サブユニットと恒常的に会合している触媒性p110サブユニット(α、β、δアイソフォーム)からなるヘテロ二量体である。クラス1Bサブクラスは、2つの調節サブユニットであるp101又はp84の1つと会合している触媒性p110γサブユニットからなるヘテロ二量体である1つのファミリーメンバーを有する。p85/55/50サブユニットのモジュラードメインは、活性化受容体及び細胞質チロシンキナーゼ上の特定の配列構成におけるホスホチロシン残基を結合し、クラス1A PI3Kの活性化及び局在化をもたらすSrc相同性(SH2)ドメインを含む。クラス1B PI3Kは、ペプチド及び非ペプチドリガンドの多様なレパートリーを結合するGタンパク質共役受容体によって直接活性化される。結果的に、クラスI PI3Kのもたらされたリン脂質産物は、上流の受容体を、増殖、生存、走化性、細胞輸送、運動性、代謝、炎症及びアレルギー応答、転写並びに翻訳を含めた下流の細胞活動と関連付ける。
多くの場合、PIP2及びPIP3は、ウイルスの癌遺伝子v−Aktのヒトホモログの産物であるAktを形質膜にリクルートし、そこで、これは、成長及び生存に重要である多くの細胞内シグナル伝達経路のための結節点として作用する。Akt活性化を介して生存を増加させることが多いPI3Kの異常なレギュレーションは、ヒト癌における最も優勢な事象の1つであり、複数のレベルにおいて起こることが示されてきた。イノシトール環の3’位においてホスホイノシチドを脱リン酸化し、その際、PI3K活性をアンタゴナイズする腫瘍抑制遺伝子PTENは、種々の腫瘍において機能的に欠失している。他の腫瘍において、p110αアイソフォームであるPIK3CAの遺伝子及びAktの遺伝子が増幅され、それらの遺伝子産物のタンパク質発現が増加されることがいくつかのヒト癌において示されてきた。さらに、p85−p110複合体をアップレギュレートする役割を果たすp85αの変異及び転座は、ヒト癌において説明されてきた。最終的に、下流シグナル伝達経路を活性化するPIK3CAにおける体細胞ミスセンス変異は、多様なヒト癌においてかなりの頻度で説明されてきた。ホスホイノシトール−3キナーゼ並びにこのシグナル伝達経路の上流及び下流の構成成分の調節解除が、ヒト癌及び増殖性疾患と関連する最も一般の調節解除の1つであることをこれらの観察は示している。
したがって、PI3Kアルファの阻害剤は、増殖性疾患及び他の障害の処置において特に価値がある。PIK3CA遺伝子における変異は、HR+乳癌の28〜47%において存在する。決定的に、ERシグナル伝達及びPI3K活性は、互いに同時レギュレートされる。一方の阻害が他方のアップレギュレーションをもたらし、このように、最大抗腫瘍活性を達成する両方の同時の阻害は、合理的なアプローチである。
下記の「実施例」セクションにおいて記載する阻害研究に基づいて、LSZ102及びアルペリシブの組合せは、治療有効性を示す。実施例8は、マウスにおける同所性MCF−7乳癌モデルにおいて試験した組合せとしてLSZ102及びアルペリシブの有効性について詳述している。10mg/kg、QDでのLSZ102及び20mg/kg、QDでのアルペリシブの単剤処置は、腫瘍成長阻害をもたらした(62日目にそれぞれ13%及び38%の%△T/△C)。驚いたことに、2つの組合せは、32%の腫瘍退縮を誘発した(表7)。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、1種又は複数の薬学的に許容される担体(添加物)及び/又は賦形剤と一緒に製剤化される、治療有効量のLSZ102及びアルペリシブを含む薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、経口投与のために適応させたもの、例えば水薬(水溶液又は非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば口腔内頬側、舌下及び全身的吸収を標的としたもの、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤を含めて、固体又は液体形態で投与のために特に製剤化され得る。
語句「治療有効量」は、本明細書において使用する場合、任意の医学的処置に適用できる合理的な利益/リスク比において、動物における細胞の少なくとも亜集団においていくらかの所望の治療効果を生じさせるのに有効である、化合物、本発明の化合物を含む材料又は組成物の量を意味する。
語句「薬学的に許容される」は、本明細書において、正しい医学的判断の範囲内において、合理的な利益/リスク比と釣り合った、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答又は他の問題若しくは合併症を伴わずに人間及び動物の組織と接触する使用に適したそれらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すために用いられる。
語句「薬学的に許容される担体」は、本明細書において使用する場合、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば液体若しくは固体充填剤、賦形剤、添加剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸)又は1つの器官若しくは体の部分から別の器官若しくは体の部分に対象化合物を運搬若しくは輸送することに関与する溶媒封入材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者にとって傷害性でないという意味で「許容され」なくてはならない。薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの例は、(1)糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びバレイショデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)添加剤、例えばカカオバター及び坐剤ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ酸無水物;並びに(22)医薬製剤において用いられる他の無毒性の適合性物質を含む。
上記で示したように、本化合物の特定の実施形態は、塩基性官能基、例えばアミノ又はアルキルアミノを含有し得、したがって薬学的に許容される酸と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この点において、本発明の化合物の相対的に無毒性の無機及び有機の酸付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又はその遊離塩基の形態の本発明の精製された化合物と適切な有機酸若しくは無機酸とを別々に反応させ、それに続く精製中にこのように形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩などを含む。(例えば、Berge et al.(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照されたい)。
対象化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、無毒性の有機酸又は無機酸からの、化合物の通常の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、こうした通常の無毒性塩は、無機酸、例えばヒドロクロリド、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などに由来するもの;及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などから調製した塩を含む。
他の場合、本発明の化合物は、1個又は複数の酸性官能基を含有し得、したがって薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、これらの場合、本発明の化合物の相対的に無毒性の無機及び有機の塩基付加塩を指す。これらの塩は、同様に、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又はその遊離酸の形態の精製された化合物と、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは炭酸水素塩、アンモニア又は薬学的に許容される有機第一級、第二級若しくは第三級アミンとを別々に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩などを含む。塩基付加塩の形成のために有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。(例えば、Berge et al.(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照されたい)。
また、湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香味及び芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤が組成物に存在し得る。
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェノールなどの油溶性抗酸化剤;並びに(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
本発明の製剤は、経口、鼻内、局所(口腔及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に好適なものが挙げられる。製剤は、好都合には、単位剤形で存在し得、調剤の分野でよく知られる任意の方法により調製することができる。担体材料と組み合わせて単一の剤形を生成することができる活性成分の量は、処置を受ける宿主、投与の特定のモードによって変化する。担体材料と組み合わせて単一の剤形を生成することができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じさせる化合物のその量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸及びポリマー担体、例えばポリエステル及びポリ酸無水物からなる群から選択される添加剤;並びに本発明の化合物を含む。特定の実施形態では、上記の製剤は、本発明の化合物を経口的に生物が利用可能なものとする。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を担体、任意選択で1種又は複数の副成分と結合させるステップを含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を液体担体若しくは微粉化した固体担体と、又はその両方と均質且つ密接に結合させ、その後、必要に応じて生成物を成形する。
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(着香ベース、例えば、通常、スクロース及びアカシアガム若しくはトラガカントを用いて)、粉末、顆粒の形態、又は水性若しくは非水性液体中の溶液、懸濁液若しくは固体分散体として、又は水中油形若しくは油中水形エマルジョンとして、又はエリキシル若しくはシロップとして、又は香錠(ゼラチン及びグリセリン若しくはスクロース及びアカシアガムなどの不活性基材を用いて)及び/又はマウスウォッシュなどとして存在し得、これらは、それぞれ活性成分として所定量の本発明の化合物を含有する。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤又はペーストとしても投与され得る。
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤など)において、活性成分を1種又は複数の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくは第二リン酸カルシウム並びに/又は下記のいずれかと混合する:(1)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシア;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物及び界面活性剤、例えばポロキサマー及びラウリル硫酸ナトリウム;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール及び非イオン性界面活性剤;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸及びこれらの混合物;(10)着色剤;並びに(11)制御放出剤、例えばクロスポビドン又はエチルセルロース。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。類似のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖、さらに高分子量ポリエチレングリコールなどといった賦形剤を用い、軟質及び硬質シェルゼラチンカプセルにおける充填剤としても使用され得る。
錠剤は、任意選択で1種又は複数の補助成分と一緒に圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン若しくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を使用して調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって製造することができる。
本発明の医薬組成物の錠剤及び他の固体剤形、例えば糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒)は、任意選択で、刻み目を入れられ得、コーティング及び殻(例えば、腸溶性コーティング及び医薬製剤化分野で公知の他のコーティング)を備えて調製され得る。これらは、例えば、所望の放出プロフィールを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを用いて、活性成分の徐放又は制御放出を達成するようにも製剤化され得る。これらは、急速放出のために製剤化、例えば凍結乾燥され得る。これらは、例えば、細菌保持フィルタを介した濾過により、又は使用直前に、滅菌水若しくはいくつかの他の滅菌注射用媒体中に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を含有させることにより、滅菌することができる。これらの組成物は、任意選択で、不透明化剤も含み得、それらは、活性成分のみを又は好ましくは胃腸管の特定の部分において任意選択で遅延するように放出する組成物であり得る。使用することができる埋込用組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。活性成分は、必要に応じて、前述した賦形剤の1種又は複数を含むマイクロカプセル化形態でもあり得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒など、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにこれらの混合物を含み得る。
不活性希釈剤の他に、経口用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、着色剤、芳香剤及び防腐剤などの補助剤を含み得る。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカントガム並びにこれらの混合物を含み得る。
本発明の医薬組成物に使用することができる好適な水性及び非水性担体の例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には要求される粒度の維持により、さらに界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの補助剤を含有し得る。対象化合物に対する微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有によって確実にすることができる。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含有させることが望ましい場合もある。
本発明の化合物が医薬品としてヒト及び動物に投与されるとき、これらは、それ自体で、又は薬学的に許容される担体と組み合わされた、例えば0.1〜99%(より好ましくは、10〜30%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えることができる。
好適な水和形態で使用され得る本発明の化合物及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に周知の通常の方法により、薬学的に許容される剤形に製剤化される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与レベルは、患者に対して毒性とならずに、特定の患者、組成物及び投与様式について所望の治療応答を達成する上で有効な活性成分の量を達成するために変動し得る。
選択される投与レベルは、様々な要因に応じて変動し得るが、こうした要因として、使用する本発明の特定の化合物又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排出又は代謝速度、吸収の速度及び程度、治療期間、使用する特定の化合物と併用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療対象の患者の年齢、性別、体重、病状、健康状態及び過去の病歴並びに医療分野で公知の同様の要因が挙げられる。
当技術分野の通常の技術を有する医師又は獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師又は獣医は、要望される治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルにおいて、医薬組成物に使用する本発明の化合物の用量を開始し、要望される効果が達成されるまで投薬量を漸増することができる。
一般に、本発明の組合せの好適な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い用量である各化合物の量となる。こうした有効量は、一般に、前述した要因に左右される。
別の態様において、本発明は、1種又は複数の薬学的に許容される担体(添加物)及び/又は賦形剤と一緒に製剤化された、治療有効量の上記のような対象化合物の1つ又は複数を含む薬学的に許容される組成物を提供する。
LSZ102及びアルペリシブ
(E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(LSZ102)は、国際公開第2014/130310号パンフレットの実施例139によって合成される。(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド(アルペリシブ)は、国際公開第2010/029082号パンフレットの実施例15によって合成される。
本明細書に記載されているLSZ102及びアルペリシブの有用性は、下記の実施例において試験することによって証明することができる。
実施例1
MCF−7細胞において、LSZ102は、ER分解を促進する
ウエスタンブロット。有効性研究の終わりにMCF−7腫瘍におけるERαタンパク質レベルに対するLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの分析のために、急速冷凍した腫瘍を粉末に微粉砕し、次いでFast Prep 24 Tissue Lyser(MP Biomedicals)によってホモジナイズしたComplete Mini(10mLへと1個の錠剤)、PhosStop(10mLへと1個の錠剤及び1Mの尿素)を含有する冷たい溶解緩衝液(1×細胞溶解緩衝液;Cell Signaling、カタログ番号9803S)と混合して、Lysing Matrix Tubes(MP Biomedicals カタログ番号6913−500)に移した。ライセートの総タンパク質濃度を、メーカーの指示によってBCAアッセイ(Pierce BCAタンパク質アッセイキット、Prod#23225、Thermo Scientific)によって試験した。ライセートをSDS−PAGEによって分離し、膜上に移し、次いで抗ERα抗体(Santa Cruz Biotechnology、HC−20)及びローディングコントロールとして抗チューブリン抗体を使用して免疫ブロットした。ウエスタンブロットを、免疫ブロットしたバンドの定量化のためにスキャンした。処置されたマウスからの腫瘍とビヒクル対照群からのものとを比較することにより、残存するERαのパーセントを決定した。LSZ102は、フルベストラント及びタモキシフェンと比較してMCF−7細胞においてER分解を促進し、LSZ102によるER分解は、同等の濃度でフルベストラントと同様であることを図1は示し、ER分解に対する効果は、MCF−7細胞においてタモキシフェンで観察されなかった。これらの結果は、LSZ102がフルベストラントと同様にERレベルを低下させることができ、同様の濃度範囲にわたりER活性を阻害することを示唆する。
実施例2
MCF−7親細胞及びY537S細胞におけるLSZ102の抗増殖及びER分解活性
単剤としてのLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの効果をMCF−7親細胞(ER野生型又はWT)及びER Y537S変異細胞において研究した。MCF−7WT細胞及びY537S変異細胞をRPMI(フェノールレッドを伴わない)プラス10%チャコールデキストラン処理血清中でインキュベートし、0.1nM(ナノモル)のエストラジオールの存在下(WT)又はエストラジオールの非存在下(Y537S)において、増大する濃度の化合物で処理した。7日の化合物処理後、細胞生存率をCellTiter−Glo(CTG)アッセイによって決定した。ERE−ルシフェラーゼアッセイのために、細胞ルシフェラーゼシグナルを、24時間後にBright−Gloアッセイを使用して測定した。IC50値は、CTGシグナルの50%を阻害する化合物の濃度である。IC50nM値は、XLfitソフトウェアを使用して計算したが、近似阻害曲線の屈曲点として定義される。MCF−7WT及びY537S変異細胞における、LSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンの抗増殖活性についての結果を表1に提示する。
MCF−7WT細胞において、LSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンによる細胞増殖の阻害は、同様であった。LSZ102は、MCF−7WT細胞において5.2nMのIC50で細胞増殖を阻害することが見いだされた一方、フルベストラントは、2.6nMで、且つタモキシフェンは4.5nMで細胞増殖を阻害した。MCF−7 Y537S変異細胞において、LSZ102による細胞増殖の阻害は、3つのうちで最も強力であった。LSZ102は、27.0nMのIC50値でMCF−7ER Y537S変異細胞において細胞増殖を阻害することが見いだされた一方、フルベストラントは、53.0nMで、且つタモキシフェンは、60.1nMで細胞増殖を阻害した。3つの化合物の全ては、MCF−7WTからY537S変異にIC50有効性におけるシフトを有する一方、LSZ102は、最も少なくシフトしており、試験した3つの化合物の最も強力な抗増殖活性を保持した。このデータは、LSZ102が患者においてESR1Y537S変異のより抑制性活性を有することを示唆する。
PCR分析。LSZ102処理されたMCF−7 WT及びY537S変異細胞からのmRNAを単離し、ER標的遺伝子発現についてのqRT−PCR分析に供した(図2A及び2B)。ER自体に対するLSZ102の効果についての対照としてのER(ESR1)のmRNA発現に対して、標準的なER標的遺伝子であるGREB1及びPGRのmRNAレベルを測定し、効果が、ERのmRNAレベルに対する効果によるものではなく、代わりにERタンパク質レベルに対する効果によるものであることを確実とした。LSZ102は、MCF−7 WT及びY537S変異細胞においてGREB1及びPGRの両方のmRNA発現について用量応答阻害を示した。効果は、WT細胞においてより明白であったが、しかし、高濃度では、GREB1及びPGRの発現は、有意に低減した。対照的に、ESR1のmRNAレベルは、いずれの細胞系においても有意に低減しなかった。このデータは、MCF−7 Y537S変異細胞におけるLSZ102の抗増殖効果が、ER標的遺伝子であるGREB1及びPGRによって測定されるようにER活性の抑制によるものであることを示す。これは、狙い通りであり、ER転写をブロックするのに十分であることの両方である、LSZ102に対する効果を指し示す。
免疫ブロット分析。MCF−7親細胞及びY537S変異細胞を、連続的に(Y537S変異)又は3日間(親)、10%チャコールデキストラン処理血清を有するフェノールレッド非含有RPMI培地中で成長させ、それに続いて単剤としてLSZ102、フルベストラント及びタモキシフェンによる24時間の処理を行った。抽出した細胞ライセートをERαタンパク質定量化のために免疫ブロット分析(図3)に供した。MCF−7親細胞において、LSZ102及びフルベストラントの両方は、用量応答にわたってERタンパク質レベルを有意に低減させる。MCF−7 Y537S変異細胞において、LSZ102は、用量にわたってERタンパク質レベルを劇的に低減させたが、フルベストラントは、効果を有するように見えなかった。LSZ102が細胞中の変異ESR1Y537Sを依然として結合及び分解することができ、且つこの分解がエストロゲンによって誘発されるER転写及びERに推進される増殖の両方の阻害をもたらすことをこのデータは明らかに示す。
実施例3
NSGマウスにおけるMCF−7異種移植モデル
エストロゲン応答ER陽性(ER+)MCF−7細胞系は、LSZ102に対してインビトロで感受性であることが示された。NOD scidガンマ(NSG)マウスにおける同所性MCF−7異種移植モデルにおける標的とする抗腫瘍活性を示すために、陽性対照として、マウス毎に皮下(SC)に週1回(Qweek)投与された5mgのフルベストラント及び経口的(PO)に1日1回で1週間当たり5日間投与された60mg/kgのタモキシフェンと共に1、3、10及び20mg/kgのLSZ102を経口的(PO)に1日1回(QD)投与した(図4)。細胞埋込の数日前にマウスにエストラジオール(0.72mgのエストラジオール/90日放出ペレット)を補充し、MCF−7腫瘍成長をさらに促進した。各マウスの腋窩脂肪体領域への50%Matrigel(登録商標)中の10×10個の細胞の注射により、雌性NSGマウスにおいてMCF−7腫瘍を確立させた。腫瘍が平均で200mmに達したとき、マウスを腫瘍体積によって処置群に無作為化した(n=8)。MCF−7乳癌異種移植モデルにおける48日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表2に提示する。
LSZ102処置は、2.4%の対照に対する腫瘍体積における平均変化のパーセント(△T/△C)(48日目、p<0.05)に対応する、20mg/kg、QDの用量で処置したマウスにおいて観察される最大活性を伴う用量依存的な抗腫瘍有効性をもたらした。20mg/kg、QDの用量で腫瘍の静止状態が達成され、48日間維持された。10mg/kg、QD投薬はまた、有意に効果的である(△T/△C=25%、p<0.05)一方、1及び3mg/kg、QD投薬は有意に有効でなかった(それぞれ51%及び56%の%△T/△C)。対照として使用したタモキシフェン及びフルベストラントは、それぞれ腫瘍の静止状態及び成長の抑制を誘発した。
実施例4
NSGマウスにおけるER+原発性乳癌モデルHBRX1298
エストロゲンに対して感受性であるER+原発性乳癌モデルHBRX1298を下記の条件下でNSGマウスにおいて試験した:LSZ102、20mg/kg、PO、QD、LSZ102、80mg/kg、PO、QD、タモキシフェン、40mg/kg、PO、QD、フルベストラント、5mg/マウス、SC、毎週、ビヒクル対照及びエストラジオール持続放出ペレット除去を伴う対照(図5)。HBRX1298乳癌xenographモデルにおける63日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表3に提示する。
HBRX1298腫瘍を、鼠径部乳腺脂肪体領域への腫瘍ブライの注射により、NSG雌性マウスにおいて確立させた。細胞埋込の数日前にマウスに0.72mgのエストラジオール/90日放出ペレットを埋め込んだ。腫瘍が概ね250mm3に達したとき、38日目にマウスを腫瘍体積によって処置群に無作為化した(全てについてn=6、エストラジオール中止についてのn=4を除いて)。LSZ102の20及び80mg/kg、QDの用量で有効性の利点が存在した。80mg/kg、QD投薬のLSZ102は、ビヒクル処置された対照を超える統計的に有意な有効性及びエストラジオールペレット除去を伴うマウスにおいて見られるものに相当する有効性を示した。80mg/kg、QD投薬は、エストラジオールペレット除去を伴うマウスにおいて観察される程度に近く腫瘍体積を阻害した(%△T/△C=それぞれ32%及び21%;p<0.05)。
実施例5
NSGマウスにおけるY537S ER変異MCF−7乳癌モデル
Y537S ER変異MCF−7乳癌モデルを下記の条件下でNSGマウスにおいて試験した:LSZ102、20mg/kg、PO、QD、LSZ102、80mg/kg、PO、QD、フルベストラント、5mg/マウス、SC毎週及びビヒクル対照(図6)。Y537S ER変異MCF−7乳癌モデルにおける70日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表4に提示する。
MCF−7細胞系を、CRISPR技術を使用して操作し、生得の野生型機能的ER及びノックイン変異Y537S ERをノックアウトした。卵巣切除された雌性NSGマウスの各マウスの腋窩脂肪体領域中に50%Matrigel(登録商標)中の10×10個の細胞を埋め込んだ。腫瘍が平均で250mmに達したとき、マウスを腫瘍体積によって処置群に無作為化した。
20及び80mg/kgでの毎日のLSZ102処置は、Y537S ERを発現しているMCF−7異種移植片を退縮させ、ERのこの突然変異型を発現している乳癌における活性を示した一方、フルベストラント、は統計的に有意な有効性に達しなかった。
実施例6
NSGマウスにおけるD538G ER変異MCF−7乳癌モデル
D538Gドキシサイクリン誘導性ER変異MCF−7乳癌モデルを下記の条件下でNSGマウスにおいて試験した:LSZ102、80mg/kg、PO、QD、フルベストラント、5mg/マウス、SC、毎週及びビヒクル対照(図7A)。D538G ER変異MCF−7乳癌モデルにおける74日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表5に提示する。
MCF−7細胞系をドキシサイクリン誘導性プロモーターで操作し、D538G変異ERを発現させた。卵巣切除された雌性NSGマウスの各マウスの腋窩脂肪体領域中に50%Matrigel(登録商標)中の10×10個の細胞を埋め込んだ。細胞埋込の8日後、マウス用固形飼料によってマウスは、ドキシサイクリンを投与された。腫瘍が平均で250mmに達したとき、マウスを腫瘍体積によって処置群に無作為化した。
毎日の80mg/kgのLSZ102は、D538G ERを発現しているMCF−7異種移植片を退縮させ、ERのこの突然変異型を発現している乳癌における活性を示した一方、フルベストラントも活性であった。
タンパク質をウエスタンブロット分析における使用のために有効性の終わりに腫瘍から単離した(図7B)。変異ERタンパク質は、HAタグ付けされていたため、膜を抗ER又は抗ヘマグルチニン(HA)抗体で免疫染色した。膜は、β−アクチンでも染色され、ローディングコントロールとしての役割を果たした。LSZ102による2週間の投薬後に集めた腫瘍からのタンパク質試料の組も含めた。試料は、このD538G変異ERタンパク質の分解を示す。
実施例7
MCF−7異種移植片を有するマウスにおけるLSZ102の用量分割研究
MCF−7異種移植片を有するマウスにおける、分割用量、1日2回(BID)投薬に対してQD投薬の効果を評価するLSZ102の用量分割研究は、等しい有効性を示したが、LSZ102が総曝露によって推進されることを示唆する(図8A)。単剤LSZ102用量応答は、MCF−7乳癌異種移植モデルにおいて61日目に濃度依存的な腫瘍退縮を誘発した。MCF−7乳癌異種移植モデルにおける61日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表6に提示する。
61日目の最終処置に続いて、24時間後に集めた腫瘍は、より高い用量レベルが24時間の投薬間隔中にERによってレギュレートされる転写物であるGREB1及びPGRのmRNAレベルのより強い阻害を実現したが、QD投薬及びBID分割投薬間のPDは、同じであったことを示した(図8B)。データを個々の動物についてプロットし、ベータ−2ミクログロブリン(B2M)の発現に規準化する。
実施例8
マウスにおけるER+MCF−7乳癌モデルにおけるアルペリシブと組み合わせたLSZ102
組合せとしてのLSZ102及びアルペリシブの有効性をマウスにおける同所性MCF−7乳癌モデルにおいて試験した(図9)。それぞれ10mg/kg、QDでのLSZ102及び20mg/kg、QDでのアルペリシブの単剤処置で、62日目に腫瘍成長阻害(13%及び38%の%△T/△C)が観察された。驚いたことに、2つの化合物の組合せは、32%の腫瘍退縮を誘発した。腫瘍退縮は、併用処置においてのみ観察され、単剤LSZ102又はBYL719処置されたMCF−7乳癌異種移植片において観察されなかった。MCF−7乳癌モデルにおける62日目の腫瘍応答に対する処置の効果を表7に提示する。
実施例9
MCF−7細胞におけるアルペリシブとのLSZ102の組合せ
増殖アッセイ。MCF−7細胞をRPMI培地プラス10%完全血清培地中で培養し、チェッカーボードデザインの増大する濃度の合わせた化合物で処理した。細胞生存率をCellTiter−Gloアッセイによって決定し、7日の化合物処理後にジメチルスルホキシド(DMSO)対照に規準化した。成長阻害パーセント及び過剰な阻害を、Chaliceソフトウェア(CombinatoRx、Cambridge MA)を使用して分析した。用量サンプリング及び有効範囲並びに高い阻害レベルでの組合せ効果を支持する重みに合わせて調節される用量マトリックスにわたって重み付き「相乗作用スコア」を計算するLoeweアルゴリズムによってデータを得た(Lehar et al.2009)。相乗作用スコア及びアイソボログラムを生じさせ、組合せの強さを定量化した。自己クロス内に見られる相乗作用スコアの変動と比較したとき、2超の相乗作用スコアは、有意であると考えた(薬物及び自己;0の理論上の相乗作用スコア)(Lehar et al.2009)。過剰な阻害を、2つの薬物が用量付加的様式で挙動する場合に予想されるものと比較した、成長に対する効果を測定するLoewe相乗作用モデルを使用して計算した。正の数は、増加する相乗作用の領域を表す。相乗的な抗増殖性効果がRPMIプラス10%完全血清培地中においてインビトロでMCF−7細胞においてLSZ102及びアルペリシブの組合せ(相乗作用スコア=6.3)で観察された(図10)。
組合せの細胞成長及び生存率アッセイ。MCF−7細胞BrDUアッセイ(Thermo B23151)においてアルペリシブ(BYL719)及びLSZ102の単剤活性を決定した。手短に言えば、細胞を成長キネティクスによって96ウェルプレートにおいてウェル毎に概ね8,000〜10,000個の細胞で播き、3連で24時間後に4ログの用量範囲(0〜10,000nmol/L)のアルペリシブ(BYL719)及びLSZ102を投薬した。細胞インデックスが横ばい状態になり、密集度を示した時点においてAUCを使用してIC50値を計算した(概ね96時間の後処理)。アルペリシブ(BYL719)及びLSZ102の組合せ有効性を評価するために、MCF−7細胞を96ウェルプレートに播き、アルペリシブ(BYL719)及びLSZ102の組合せで処理した。組合せアッセイにおいて使用した用量は、BrDUアッセイ(Thermo B23151)によって決定された単剤IC50値をベースとした。細胞を96ウェルプレートのウェル毎に1,000〜4,000個の細胞で蒔き、3連で24時間後に同じ用量範囲のいずれかの化合物を投薬した。BrDUアッセイ(Thermo B23151)で6日後に生存率を測定し、IC50値を計算した。組合せ研究のために、用量選択は、1/4×〜4×の範囲を含み(×は、単剤IC50を示す)、細胞を両方の化合物での処理のためにマトリックスフォーマットで2連ウェルに蒔いた。6日の処理後、BrDUアッセイ(Thermo B23151)を使用して細胞生存率を測定した。薬物の相乗作用をアイソボログラム及び組合せインデックス方法によって分析し、相乗作用スコアをChaliceによって決定した(図11及び12)。これらの結果は、ER陽性乳癌の処置におけるLSZ102及びアルペリシブの組合せについての潜在的な役割を明らかに支持する。
実施例10
進行性又は転移性ER+乳癌を有する患者におけるLSZ102±アルペリシブのI/Ib相研究
第一の目的は、用量規定毒性(DLT)及び有害事象(AE)を含む主要なエンドポイントを伴う安全性及び忍容性を特性決定し、LSZ102単独及び/又はアルペリシブと組み合わせた推奨用量及びレジメンを同定することである。第二の目的は、予備的な抗腫瘍活性を評価し、全応答率(ORR)、応答期間(DOR)、無進行生存率(PFS)、疾患制御率(DCR)、薬物動態(PK)及び薬力学(PD)に注目することである。
18歳以上の好適な患者は、アロマターゼ阻害剤によるアジュバント処置中又はアジュバント処置の終わりの12カ月以内に、転移性若しくは局所進行性疾患又は再発のための内分泌療法後に進行した組織学的に確認されたER+乳癌を有する。
研究において処置された全ての患者は、少なくとも1つの用量のLSZ102を投与された。研究の単剤用量の増大部分において、LSZ102を200mgの開始用量で1日1回、それに続いて400mg、450mg、600mg及び900のQD用量又は225mg及び300mgのBID用量で経口投与した。2018年7月23日時点で74人の患者を下記の投薬群において処置した:LSZ102、200mg、空腹時QD(n=4)、400mg、QD空腹時(n=6)、450mg、QD空腹時(n=15)、450mg、食物と共にQD(n=6)、高脂肪食と共に単一の450mg用量(n=1)、600mg、QD空腹時(n=20)、600mg、食物と共にQD(n=4)、900mg、QD(n=6)、225mg、食物と共にBID(n=6)及び300mg、食物と共にBID(n=6)。年齢中位数は、59.5歳であり、67.6%は、0のECOGパフォーマンスステータスを有し、58.9%は、転移性設定において従前にフルベストラント治療を受けており、57.5%は、転移性設定において従前にCDK4/6阻害剤治療を受けており、66/74人の患者(89.2%)は、主に(59/74人の患者(79.7%))進行性疾患によって治療を中断した。これらの患者及び性質のベースライン特性をそれぞれ下記の表8及び9に要約する。
用量規定毒性(DLT)は、4人の患者(5.9%)において、下痢は、LSZ102、900mg、空腹時QD群の2人の患者において、嘔吐は、600mg、空腹時QD群の1人の患者において、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加は、LSZ102、450mg、食物を伴うQD群の1人の患者において、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加は、LSZ102、450mg、食物を伴うQD群の1人の患者において起こった。
単剤LSZ102アームA処置期間と関連すると疑われる任意のグレード≧10%の有害事象(AE)を表10に要約する。最も一般的な(≧20%)薬物が関連する有害事象は、悪心(60.2%)、下痢(53.4%)及び嘔吐(26.1%)であった。薬物に関連するグレード3(G3)AEは、殆ど報告されなかった:下痢(3人の患者[4.1%])、悪心(2人の患者[2.7%])及び嘔吐(1人の患者[1.4%])。全部で7人の患者は、AEによって用量の低減を必要としたが、これらの全ては、胃腸毒性を有した。
表11に要約するように、37.5%の疾患制御率を伴って単剤LSZ102で抗腫瘍活性の予備的な証拠が観察された。
LSZ102が短い半減期を有し(用量範囲にわたる幾何平均:3.1〜5.6時間)、急速に吸収され(Tmax中央値2〜3時間)、LSZ102曝露における用量比例的な増加を示したことを予備的PKパラメーターは示す。トラフ濃度は、用量≧400mgにおいて予想した腫瘍増殖抑制濃度超であった。単回用量PKに基づいて、高脂肪、高カロリー食は、空腹状態と比較してLSZ102曝露(AUC)において概ね2倍の増加をもたらした。450mgの空腹時及び摂食時コホートに基づいて、LSZ102曝露は、通常の食事と一緒の投薬によって影響を受けなかった。
経口単剤LSZ102は、用量600mgまで、QD及び用量300mgまでBIDで耐容性良好であるように思われ、抗腫瘍活性を示し、PK及び薬力学に基づいて有効な曝露レベルを達成する。
アルペリシブと組み合わせたLSZ102の用量増大治験は、進行中であり、ここで、LSZ102及びアルペリシブは、QD用量で下記のように経口投与される:LSZ102、300mg及びアルペリシブ、200mg(n=6)、LSZ102、450mg及びアルペリシブ、200mg(n=4)並びにLSZ102、300mg及びアルペリシブ、300mg(n=6)。2018年7月23日時点で13人の患者が進行中の処置を続け、3人の患者が進行性疾患によって中断した。臨床データに基づいて、組合せは、耐容性良好及び活性である。
本明細書に記載されている実施例及び実施形態は、例示のために過ぎず、それに照らした様々な改変形態又は変更形態が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び趣旨並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。

Claims (17)

  1. (E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩とを含む医薬品の組合せ。
  2. (E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸又は薬学的に許容されるその塩と、(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド又は薬学的に許容されるその塩は、別々に、同時に又は逐次的に任意の順序で投与される、請求項1に記載の組合せ。
  3. 経口投与のためのものである、請求項1又は2に記載の医薬品の組合せ。
  4. (E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸は、経口用量形態である、請求項1又は2に記載の医薬品の組合せ。
  5. (S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、経口用量形態である、請求項1又は2に記載の医薬品の組合せ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬品の組合せと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  7. 癌の処置における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 前記癌は、ER+乳癌である、請求項7に記載の医薬品の組合せ。
  9. 癌の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項6に記載の医薬組成物の使用。
  10. 前記癌は、ER+乳癌である、請求項9に記載の医薬品の組合せの使用。
  11. 野生型ER+乳癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項6に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
  12. ER+乳癌を処置する方法であって、前記ER+乳癌は、ESR1変異を含有し、前記方法は、それを必要とする患者に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬品の組合せ又は請求項6に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
  13. 前記ESR1変異は、MCR7が発現するESR1変異である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記変異は、D538G、E380Q、Y537S、Y537N及びY537Cからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記変異は、D538G及びY537Sから選択される、請求項14に記載の方法。
  16. (E)−3−(4−((2−(2−(1,1−ジフルオロエチル)−4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン−3−イル)オキシ)フェニル)アクリル酸は、1日当たり約100mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり450mg、又は1日当たり500mg、又は1日当たり600mg、又は1日当たり900mgの用量で経口投与される、請求項11又は12に記載の方法。
  17. (S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミドは、1日当たり約50mg、又は1日当たり100mg、又は1日当たり150mg、又は1日当たり200mg、又は1日当たり250mg、又は1日当たり300mg、又は1日当たり350mg、又は1日当たり400mg、又は1日当たり450mgの用量で経口投与される、請求項14に記載の方法。
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