発明の詳細な記載
概要
宿主細胞で高レベルの適切に形成された組み換えタンパク質またはポリペプチドを産生するための組成物および方法が提供される。特に、目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドのグラム陰性細菌の周辺質もしくは細胞外環境への標的化を促進する新規分泌シグナルが提供される。ここに開示する周辺分泌リーダーは、タンパク質を、グラム陰性細菌の細胞膜周辺腔に内膜を通過して輸送することを可能とする。組み換え発現について、周辺発現は、周辺質におけるジスルフィド結合の形成を可能とし、しばしば高レベル組み換えタンパク質発現を可能とする。細胞膜周辺腔への発現はまた組み換えタンパク質のより効率的な回収/精製も可能とし得る。本開示の目的で、「分泌シグナル」、「分泌リーダー」、「分泌シグナルポリペプチド」、「シグナルペプチド」または「リーダー配列」は、目的のタンパク質またはポリペプチドをグラム陰性細菌の周辺質または細胞外空間に標的化するのに有用である、ペプチド配列(または該ペプチド配列をコードするポリヌクレオチド)を意味することを意図する。本発明の分泌シグナル配列は、AnsB、8484および5193分泌シグナルならびにそのフラグメントおよびバリアントから選択される分泌リーダーを含む。分泌シグナルのアミノ酸配列は配列番号1〜3に示す。配列番号1〜3をコードし、本方法に有用であるヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号4〜6に提供される(表1)。当業者には知られるとおり、アミノ酸配列は、遺伝子コードの冗長性のために、異なるヌクレオチド配列によりコードされ得る。それ故に、本発明は、同じアミノ酸配列を有するが、異なるヌクレオチド配列によりコードされるペプチドまたはタンパク質の使用を含む。またここに提供されるのは、操作可能に結合される目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドの周辺発現を指示できる、これらの分泌シグナル配列のフラグメントおよびバリアントである。
ここに開示する方法は、しばしば不適切に折り畳まれ、凝集したまたは不活性なタンパク質を産生する、現在の細菌における組み換えタンパク質の産生方法を改善する。さらに、多くのタイプのタンパク質は、既知法を使用して効率的に達成できない二次修飾を必要とする。本発明の方法は、細胞内環境からのタンパク質の分泌により、適切に折り畳まれた、可溶性および/または活性タンパク質の収量を増加させる。グラム陰性細菌において、細胞質から分泌されるタンパク質は、しばしば細胞膜周辺腔に到達し、外膜に結合するかまたは細胞外ブロスに到達する。本方法はまた、凝集したタンパク質から成る封入体の形成も回避する。細胞膜周辺腔への分泌は、適切なジスルフィド結合形成を促進する効果も有する(両者とも引用により本明細書に包含されるBardwell et al., 1994, “Pathways of Disulfide Bond Formation in Proteins In Vivo,” in Phosphate in microorganisms : cellular and molecular biology, eds. Torriani-Gorini et al., pp. 270-5およびManoil, 2000, Methods in Enzymol. 326:35-47)。組み換えタンパク質の分泌の利益は、タンパク質のより効率的な単離;可溶性および/または活性形態のタンパク質のパーセンテージを増加させるトランスジェニックタンパク質の適切な折り畳みおよびジスルフィド結合形成;封入体の形成減少および宿主細胞への毒性低減を含む。目的のタンパク質が培養培地に分泌される能力は、ある場合、タンパク質産生のためのバッチ培養ではなく、連続的培養を促進する。
グラム陰性細菌は、二重膜を通るタンパク質の能動的排出のための多数の系を進化させている。これらの分泌経路は、例えば、原形質膜および外膜両者を通る一段階移行のためのABC(タイプI)経路、Path/Fla(タイプIII)経路およびPath/Vir(タイプIV)経路;原形質膜を通る移行のためのSec(タイプII)、Tat、MscLおよびHolins経路;ならびに原形質膜および外膜を通る二段階移行のためのSec−プラス−線毛アッシャーポリン(FUP)、Sec−プラス−オートトランスポーター(AT)、Sec−プラス−2パートナー分泌(TPS)、Sec−プラス−メインターミナルブランチ(MTB)およびTat−プラス−MTB経路を含む。全ての細菌がこれら分泌経路全てを有するわけではない。
3つのタンパク質系(タイプI、IIIおよびIV)は、単一エネルギー共役段階で両膜を通過してタンパク質を分泌する。4つの系(Sec、Tat、MscLおよびHolins)は、内膜を介してのみ分泌し、他の4つの系(MTB、FUP、ATおよびTPS)は外膜を介してのみ分泌する。
ある場合、本発明のシグナル配列はSec分泌系を利用する。Sec系は、N末端分泌リーダーを有するタンパク質の、原形質膜を通る排出を担う(Agarraberes and Dice, 2001, Biochim Biophys Acta. 1513:1-24; Muller et al., 2001, Prog Nucleic Acid Res Mol. Biol. 66:107-157参照)。Secファミリーのタンパク質複合体は、原核生物および真核生物に普遍的にみられる。細菌Sec系は、輸送タンパク質、シャペロンタンパク質(SecB)またはシグナル認識粒子(SRP)およびシグナルペプチダーゼ(SPase IおよびSPase II)からなる。大腸菌のSec輸送複合体は、3つの内在性内膜タンパク質、SecY、SecEおよびSecGおよび細胞質ATPase、SecAからなる。SecAはSecY/E/G複合体を補充することにより能動的透過チャンネルを形成する。シャペロンタンパク質SecBは新生ポリペプチド鎖に結合して、それが折り畳まれるのを阻止し、SecAに向ける。直線状ポリペプチド鎖は、その後SecYEGチャネルを通って輸送され、シグナルペプチド開裂後、タンパク質は周辺質内で折りたたまれる。3つの補助的タンパク質(SecD、SecFおよびYajC)が、分泌には必須ではないが、多くの条件下、特に低温で分泌を10倍まで刺激する複合体を形成する。
周辺質に輸送された、すなわち、II型分泌系を介したタンパク質はまたしばしばさらなる段階で細胞外培地にも排出される。機構は一般にオートトランスポーター、2パートナー分泌系、メインターミナルブランチ系または線毛アッシャーポリンを介する。
グラム陰性細菌における12の既知分泌系中、8つは、発現タンパク質の一部である標的化シグナルペプチドを利用することが知られる。これらのシグナルペプチドは、細胞がそのタンパク質を適切にその適切な目的地に向けるように、分泌系のタンパク質と相互作用する。これらの8つのシグナルペプチドベースの分泌系中5つがSec系を利用するものである。これらの5つは、Sec依存性原形質膜移行に関与すると言われ、その中で操作可能なそのシグナルペプチドは、ある場合、Sec依存性分泌シグナルと称される。適切な分泌シグナルを開発する問題の一つは、シグナルが適切に発現され、発現タンパク質から開裂されることを確実にすることである。
sec経路のシグナルペプチドは、一般に(i)正荷電n領域、(ii)疎水性領域および(iii)非荷電であるが、極性のc領域の3つのドメインを有する。シグナルペプチダーゼの開裂部位はc領域に位置する。しかしながら、シグナル配列の保存および長さの程度ならびに開裂部位の位置は、しばしばタンパク質間で変わる。
Sec依存性タンパク質排出の特徴は、排出されたタンパク質における短く(約30アミノ酸)、主に疎水性のアミノ末端シグナル配列の存在である。シグナル配列はタンパク質排出を助け、排出されたタンパク質が周辺質に到達したとき、周辺シグナルペプチダーゼにより開裂される。典型的N末端Secシグナルペプチドは、少なくとも一つのアルギニンまたはリシン残基を有するN−ドメイン、続く疎水性残基のストレッチを含むドメインおよびシグナルペプチダーゼの開裂部位を含むC−ドメインを含む。
タンパク質を細胞質外に向ける試みにおいて、トランスジェニックタンパク質構築物が目的のタンパク質および分泌シグナルの両方を含む融合タンパク質として操作されている細菌タンパク質産生系が開発されている。
シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)は、多様なタンパク質の産生のための改良されたプラットフォームであることが示されており、数種の効率的分泌シグナルがこの細菌から同定されている(引用によりその全体を本明細書に包含させる米国特許7,985,564、「Expression Systems with Sec-system Secretion」参照)。シュードモナス・フルオレッセンスは、一般に他の細菌発現系で見られるより高いレベルで正確に形成された形態の外来性タンパク質を産生し、細胞外の周辺質に高レベルでこれらタンパク質を輸送し、完全に形成された組み換えタンパク質の回収を増加させる。それ故に、ある実施態様において、分泌シグナルに操作可能に結合された標的タンパク質を発現させることにより、シュードモナス・フルオレッセンス細胞で外来性タンパク質を産生する方法が提供される。
本発明の分泌シグナル配列は、ある場合、シュードモナスで有用である。シュードモナス系は、他の細菌発現系と比較して、ポリペプチドおよび酵素の商業的発現のために有利である。特に、シュードモナス・フルオレッセンスは、有利な発現系として同定されている。シュードモナス・フルオレッセンスは、土壌、水および植物表面環境にコロニー形成する、通常の非病原性腐生菌群を含む。シュードモナス・フルオレッセンス由来の市販酵素は、環境汚染を減らすための洗剤添加剤として、また立体選択的加水分解用に使用されている。シュードモナス・フルオレッセンスはまた病原体を制御するために農業用にも使用されている。米国特許4,695,462、「Cellular Encapsulation of Biological Pesticides」は、シュードモナス・フルオレッセンスにおける組み換え細菌タンパク質の発現を記載する。
組成物
分泌リーダー
ここでのある実施態様において、ペプチドが提供され、該ペプチドは、所望のタンパク質またはポリペプチドをグラム陰性細菌の周辺質または細胞外空間に向けるのに有用な新規分泌リーダーまたはシグナルである。ある実施態様において、ペプチドは、AnsB、8484または5193分泌シグナルまたはそのフラグメントもしくはバリアントであるか、またはそれに実質的に相同であるアミノ酸配列を有する。本発明はまた、標的化目的のタンパク質またはポリペプチドに融合した本発明の分泌シグナルペプチドを含むポリペプチドならびに分泌シグナルペプチドおよび目的のポリペプチドを含む融合タンパク質を産生する発現構築物も提供する。ある実施態様において、分泌シグナルペプチドは目的のポリペプチドに操作可能に結合される。
ある実施態様において、分泌シグナル配列は、配列番号1〜3の何れかに示す分泌シグナルペプチドと相同もしくは実質的に相同であるかまたは配列番号4〜6の何れかに示されるポリヌクレオチド配列によりコードされる。他の実施態様において、分泌シグナル配列は、配列番号1の少なくともアミノ酸2〜25、配列番号2の少なくともアミノ酸2〜18または配列番号3の少なくともアミノ酸2〜29を含む。さらに他の実施態様において、分泌シグナル配列は、アミノ末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のアミノ酸が切断されているが、生物学的活性、すなわち、分泌シグナル活性を保持する、配列番号1〜3の一つのフラグメントを含む。
ある実施態様において、ペプチドのアミノ酸配列は、ある元のペプチドのバリアントであり、ここで、該バリアントの配列は、元のペプチドのアミノ酸残基の最大または約30%を他のアミノ酸残基で置き換えることにより得られ、これは最大約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%または30%を含むが、該バリアントが元のペプチドの所望の機能を保持することを条件とする。実質的相同性を有するバリアントアミノ酸は、元のペプチドと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または少なくとも約99%相同である。バリアントアミノ酸配列は、1またはそれ以上、1〜5、1〜10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入またはこれらの組み合わせを含む、配列番号1〜3の何れかの1以上のアミノ酸のアミノ酸置換、欠失、切断および挿入を含む種々の方法により得ることができる。
「実質的に相同」、「実質的に同一」または「実質的に類似」は、ここに記載するまたは当分野で知られる適当なアラインメントプログラムを使用して、標準的パラメータを使用して、対照配列と比較したとき約もしくは少なくとも約60%、約もしくは少なくとも約65%、約もしくは少なくとも約70%、約もしくは少なくとも約75%、約もしくは少なくとも約80%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約81%、約もしくは少なくとも約82%、約もしくは少なくとも約83%、約もしくは少なくとも約84%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約86%、約もしくは少なくとも約87%、約もしくは少なくとも約88%、約もしくは少なくとも約89%、約もしくは少なくとも約90%、約もしくは少なくとも約91%、約もしくは少なくとも約92%、約もしくは少なくとも約93%、約もしくは少なくとも約94%、約もしくは少なくとも約95%、約もしくは少なくとも約96%、約もしくは少なくとも約97%、約もしくは少なくとも約98%または約もしくは少なくとも約99%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸またはヌクレオチド配列を意図する。当業者は、コドンの縮退、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置決めなどを考慮して、2つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために、これらの値が適切に調整され得ることを認識する。
ある実施態様において、本発明で使用するペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、「非必須」アミノ酸残基の1以上の修飾を含み得る。この意味で、「非必須」アミノ酸残基は、元のペプチド、タンパク質またはポリペプチドの活性(例えば、アゴニスト活性)を消失または実質的に減少させることなく、新規アミノ酸配列で改変、例えば、欠失、置換または誘導体化され得る残基である(「アナログ」または「対照」ペプチド、タンパク質またはポリペプチドとも称する)。ある実施態様において、ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、「必須」アミノ酸残基の1以上の修飾を含み得る。本明細書において、「必須」アミノ酸残基は、新規アミノ酸配列で改変、例えば、欠失、置換または誘導体化させたとき、対照ペプチド、タンパク質またはポリペプチドの活性が実質的に減少または消失する残基である。必須アミノ酸残基が改変されるような実施態様において、修飾ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、元のペプチド、タンパク質またはポリペプチドの活性を有し得る。置換、挿入および欠失はN末端またはC末端であってよくまたはペプチド、タンパク質またはポリペプチドの内部部分であってよい。例として、ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、ペプチド、タンパク質またはポリペプチド分子全体にわたって、連続した方法でまたは間隔を開けて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の置換を含み得る。ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは該置換と組み合わせて、同様にペプチド、タンパク質またはポリペプチド分子全体にわたって、連続した方法でまたは間隔を開けて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の挿入を含み得る。ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは該置換および/または挿入と組み合わせて、同様にペプチド、タンパク質またはポリペプチド分子全体にわたって、連続した方法でまたは間隔を開けて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の欠失も含み得る。ペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、単独でまたは該置換、挿入および/または欠失と組み合わせて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸付加も含み得る。
置換は、保存的アミノ酸置換を含む。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似側鎖または物理化学的特性(例えば、静電気、水素結合、等比体積、疎水性特長)を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。アミノ酸は天然に存在するものでも非天然でもよい。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野で知られる。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、メチオニン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。置換は非保存的変化も含み得る。
ここに包含されるバリアントペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、生物学的に活性である、すなわち、元のペプチド、タンパク質またはポリペプチドの所望の生物学的活性を持ち続けている;例えば、バリアント分泌リーダーペプチドは、分泌シグナル活性を保持する。「活性を保持」は、バリアントが、元のペプチド、タンパク質またはポリペプチドの活性、例えば、分泌シグナル活性の約もしくは少なくとも約30%、約もしくは少なくとも約35%、約もしくは少なくとも約40%、約もしくは少なくとも約45%、約もしくは少なくとも約50%、約もしくは少なくとも約55%、約もしくは少なくとも約60%、約もしくは少なくとも約65%、約もしくは少なくとも約70%、約もしくは少なくとも約75%、約もしくは少なくとも約80%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約81%、約もしくは少なくとも約82%、約もしくは少なくとも約83%、約もしくは少なくとも約84%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約86%、約もしくは少なくとも約87%、約もしくは少なくとも約88%、約もしくは少なくとも約89%、約もしくは少なくとも約90%、約もしくは少なくとも約91%、約もしくは少なくとも約92%、約もしくは少なくとも約93%、約もしくは少なくとも約94%、約もしくは少なくとも約95%、約もしくは少なくとも約96%、約もしくは少なくとも約97%、約もしくは少なくとも約98%または約もしくは少なくとも約99%、約もしくは少なくとも約100%、約もしくは少なくとも約110%、約もしくは少なくとも約125%、約もしくは少なくとも約150%、約もしくは少なくとも約200%またはそれ以上を有することを意図する。
ポリヌクレオチド
本発明はまた、目的のタンパク質またはポリペプチドをグラム陰性細菌の周辺質または細胞外空間に標的化するのに有用な新規分泌シグナルをコードする配列を有する核酸も含む。ある実施態様において、単離ポリヌクレオチドは、AnsB、8484または5193分泌シグナルペプチドに実質的に相同なペプチド配列をコードする。他の実施態様において、本発明は、配列番号1の少なくともアミノ酸2〜25、配列番号2の少なくともアミノ酸2〜18または配列番号2の少なくともアミノ酸2〜29に実質的に相同であるペプチド配列をコードする核酸を提供するかまたは配列番号4〜6に示すヌクレオチド配列の何れかと実質的に相同である核酸を提供し、その生物学的に活性なバリアントおよびフラグメントを含む。他の実施態様において、核酸配列は、配列番号4〜6に示す核酸配列の何れかと、約もしくは少なくとも約60%、約もしくは少なくとも約65%、約もしくは少なくとも約70%、約もしくは少なくとも約75%、約もしくは少なくとも約80%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約81%、約もしくは少なくとも約82%、約もしくは少なくとも約83%、約もしくは少なくとも約84%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約86%、約もしくは少なくとも約87%、約もしくは少なくとも約88%、約もしくは少なくとも約89%、約もしくは少なくとも約90%、約もしくは少なくとも約91%、約もしくは少なくとも約92%、約もしくは少なくとも約93%、約もしくは少なくとも約94%、約もしくは少なくとも約95%、約もしくは少なくとも約96%、約もしくは少なくとも約97%、約もしくは少なくとも約98%または約もしくは少なくとも約99%またはそれ以上同一である。
ある実施態様において、ここでの分泌シグナルペプチドは、配列番号4〜6に示すヌクレオチド配列の何れかと実質的に相同であるヌクレオチド配列によりコードされる。本発明の分泌シグナル配列と実質的同一性を有する対応する分泌シグナルペプチド配列は、当分野で知られる任意の適切な方法、例えば、PCR、ハイブリダイゼーション法を使用して、または文献に記載のとおり同定され得る。例えば、Sambrook J., and Russell, D.W., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; and Innis, et al., 1990, PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications; Academic Press, NY参照。バリアントヌクレオチド配列は、例えば、部位特異的変異誘導を使用して産生されている、合成的に誘導されたヌクレオチド配列を含み得る。ある実施態様において、変異誘導配列は、なおここに開示する分泌シグナルペプチドをコードする。バリアント分泌シグナルペプチドは生物学的に活性であり、すなわち、天然タンパク質の所望の生物学的活性を持ち続け、すなわち、分泌シグナル伝達活性を保持する。「活性を保持」により、バリアントが元の分泌シグナルペプチドの活性の約30%、約もしくは少なくとも約35%、約もしくは少なくとも約40%、約もしくは少なくとも約45%、約もしくは少なくとも約50%、約もしくは少なくとも約55%、約もしくは少なくとも約60%、約もしくは少なくとも約65%、約もしくは少なくとも約70%、約もしくは少なくとも約75%、約もしくは少なくとも約80%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約81%、約もしくは少なくとも約82%、約もしくは少なくとも約83%、約もしくは少なくとも約84%、約もしくは少なくとも約85%、約もしくは少なくとも約86%、約もしくは少なくとも約87%、約もしくは少なくとも約88%、約もしくは少なくとも約89%、約もしくは少なくとも約90%、約もしくは少なくとも約91%、約もしくは少なくとも約92%、約もしくは少なくとも約93%、約もしくは少なくとも約94%、約もしくは少なくとも約95%、約もしくは少なくとも約96%、約もしくは少なくとも約97%、約もしくは少なくとも約98%または約もしくは少なくとも約99%、約もしくは少なくとも約100%、約もしくは少なくとも約110%、約もしくは少なくとも約125%、約もしくは少なくとも約150%、約もしくは少なくとも約200%またはそれ以上を有することを意味する。ペプチド、タンパク質またはポリペプチド活性、例えば、分泌シグナル活性を測定するための任意の適切な方法を使用し得る。このような方法は当分野で周知であり、例をここに記載する。
当業者は、ある場合、変化がここに提供されるヌクレオチド配列に変異によって導入され、それにより分泌シグナルペプチドの生物学的活性を変えることなく、コードされる分泌シグナルペプチドのアミノ酸配列を変化させることをさらに認識する。それ故に、バリアント単離核酸分子は、しばしば1以上のアミノ酸置換、付加または欠失がコードされるタンパク質に導入されるように、ここに開示する対応するヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することにより作製される。変異は、任意の標準的技術、例えば、部位特異的変異誘導およびPCR介在変異誘導により導入され得る。
核酸およびアミノ酸相同性
核酸およびアミノ酸配列相同性は、ここに記載のものを含むが、それらに限定されない当分野で知られる任意の適当な方法により決定される。
例えば、類似配列のアラインメントおよびサーチは、米国国立生物工学情報センター(NCBI, Bethesda, MD)のプログラム、MegaBLASTを使用して実施され得る。パーセント同一性が、アミノ酸配列について、例えば70%に設定またはヌクレオチド配列について、例えば、90%に設定するためのオプションと共にこのプログラムを使用して、クエリー配列に対して70%または90%またはそれ以上の配列同一性を有する配列が同定される。当分野で知られる他のソフトウエアも、類似配列、例えば、ここでの分泌シグナル配列を含む情報ストリングと少なくとも70%または90%同一である配列のアラインおよび/またはサーチのために利用可能である。例えば、クエリー配列と少なくとも70%または90%同一である配列を同定する比較のための配列アラインメントは、しばしば、例えば、GCG Sequence Analysis Software Package(Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705から入手可能)で利用可能なGAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAプログラムの使用により、その中で特定されたデフォルトパラメータと、所望のパーセンテージに設定された配列同一性の程度を用いて実施される。また、例えば、CLUSTALプログラム(Intelligenetics, Mountain View, Cal.からのPC/Gene software packageで利用可能)が使用され得る。
これらおよび他の配列アラインメント方法は当分野で周知であり、手動アラインメント、目視検査または上記プログラムにより具体化されるいずれかのような、配列アラインメントアルゴリズムの手動もしくは自動適用により実施され得る。種々の有用なアルゴリズムは、例えば、W. R. Pearson & D. J. Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48 (April 1988)に記載の類似性サーチ方法;T. F. Smith & M. S. Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482-89 (1981)およびJ. Molec. Biol. 147:195-97 (1981)に記載の局所相同性方法;S. B. Needleman & C. D. Wunsch, J. Molec. Biol. 48(3):443-53 (March 1970)に記載の相同性アラインメント方法;および例えば、W. R. Pearson, Genomics 11(3):635-50 (November 1991); W. R. Pearson, in Methods Molec. Biol. 24:307-31および25:365-89 (1994);およびD. G. Higgins & P. M. Sharp, Comp. Appl'ns in Biosci. 5:151-53 (1989)およびGene 73(1):237-44 (15 Dec. 1988)に記載の種々の方法を含む。
上掲のNeedlemanおよびWunsch (1970)のアルゴリズムを使用するGAP Version 10を使用して、次のパラメータを使用して配列同一性または類似性を決定できる:GAP加重50および長さ加重3およびnwsgapdna.cmpスコアリングマトリクスを使用するヌクレオチド配列についての%同一性および%類似性;GAP加重8および長さ加重2およびBLOSUM62スコアリングプログラムを使用するアミノ酸配列についての%同一性または%類似性。同等のまたは類似のプログラムも、当業者に理解されるとおり使用され得る。例えば、任意の問題の2配列について、GAP Version 10により作製された対応するアラインメントと比較したとき、同一ヌクレオチド残基マッチおよび同一パーセント配列同一性を有するアラインメントを作製する、配列比較プログラムが使用され得る。ある実施態様において、配列比較を、クエリー配列もしくは対象配列または両者の全体にわたり実施する。
ハイブリダイゼーション条件
他の態様において、AnsB、8484または5193分泌シグナルペプチドに実質的に類似する配列を有するペプチドをコードする配列の単離核酸とハイブリダイズする核酸が提供される。ある実施態様において、ハイブリダイズする核酸は、高ストリンジェンシー条件下で結合する。種々の実施態様において、ハイブリダイゼーションは、分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列の実質的に全長にわたり、例えば、配列番号4〜6の1以上の実質的に全長にわたり起こる。核酸分子は、核酸分子が配列番号4〜6の1以上の全長の少なくとも80%、全長の少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%にわたりハイブリダイズするとき、ここに開示する分泌シグナルコード化ヌクレオチド配列の「実質的に全長」とハイブリダイズする。特に断らない限り、「実質的に全長」は、分泌シグナルコード化ヌクレオチド配列の全長の少なくとも80%をいい、ここで、長さは、連続的ヌクレオチドで計測する(例えば、配列番号4の少なくとも60連続的ヌクレオチド、配列番号5の少なくとも43連続的ヌクレオチドまたは配列番号6の少なくとも43連続的ヌクレオチドなどとハイブリダイズ)。
ハイブリダイゼーション方法において、ある場合、分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列の全てまたは一部を使用して、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングする。このようなcDNAおよびゲノムライブラリーを構築する方法は当分野で一般に知られ、Sambrook and Russell, 2001に記載される。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNAフラグメント、cDNAフラグメント、RNAフラグメントまたは他のオリゴヌクレオチドであってよく、32Pなどの検出可能基または任意の他の検出可能マーカー、例えば他の放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子で標識し得る。ハイブリダイゼーションのためのプローブは、しばしばここに開示する既知分泌シグナルペプチドコード化ヌクレオチド配列に基づき合成オリゴヌクレオチドを標識することにより製造され得る。ヌクレオチド配列またはコードされたアミノ酸配列における保存ヌクレオチドまたはアミノ酸残基に基づき設計された縮重プライマーがさらに使用されることがある。プローブは、一般にストリンジェントな条件下、ここでの分泌シグナルペプチドコード化ヌクレオチド配列またはそのフラグメントもしくはバリアントの少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20またそれ以上の連続ヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。ハイブリダイゼーションのためのプローブを製造する方法は、一般に当分野で知られ、引用により本明細書に包含させるSambrook and Russell, 2001に開示される。
ハイブリダイゼーション技術において、既知ヌクレオチド配列の全てまたは一部を、選択生物からのクローン化ゲノムDNAフラグメントまたはcDNAフラグメントの集団(すなわち、ゲノムまたはcDNAライブラリー)に存在する他の対応するヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするプローブとして使用する。ハイブリダイゼーションプローブはゲノムDNAフラグメント、cDNAフラグメント、RNAフラグメントまたは他のオリゴヌクレオチドであってよく、検出可能基、例えば32Pまたは任意の他の検出可能マーカーで標識し得る。それ故に、例えば、ハイブリダイゼーションのためのプローブは、しばしばここでの分泌シグナルペプチドコード化ヌクレオチド配列に基づき合成オリゴヌクレオチドを標識することにより製造される。ハイブリダイゼーションのためのプローブの製造ならびにcDNAおよびゲノムライブラリーの構築の方法は当分野で一般に知られ、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New Yorkに開示される。
ここに開示する全分泌シグナルペプチドコード化ヌクレオチド配列またはその1以上の部分を、対応するヌクレオチド配列および分泌シグナルペプチドコード化メッセンジャーRNAと特異的にハイブリダイズできるプローブとして使用できる。これらのプローブは、独特であり、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長または少なくとも約15ヌクレオチド長である配列を含み得る。このようなプローブを、PCRによる選択生物からの対応する分泌シグナルペプチドコード化ヌクレオチド配列の増幅に使用し得る。この技術を、所望の生物からさらなるコード配列を単離するためのまたは生物におけるコード配列の存在を決定するための診断アッセイとして使用し得る。ハイブリダイゼーション技術は、播種DNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングを含む(プラークまたはコロニー;例えば、Sambrook et al., 1989参照)。
このような配列のハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下実施され得る。「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、意図される条件であり、その条件下で、プローブが他の配列より検出できるほど大きな程度(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍)でその標的配列にハイブリダイズする。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、違う状況では異なる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄条件の制御により、該プローブに100%相補性である標的配列がしばしば同定される(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件は、低い類似度が検出されるように、配列の一部不整合を可能とするように調節されることがある(異種プロービング)。一般に、プローブは約1000ヌクレオチド長未満、好ましくは500ヌクレオチド長未満である。
一般に、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が約1.5M Naイオン未満、一般に約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)であり、温度が少なくとも約60℃である。ある実施態様において、温度は約68℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成され得る。低ストリンジェンシー条件は、例えば、37℃での30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液でのハイブリダイゼーションおよび50〜55℃で1×〜2× SSC(20× SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)での洗浄を含む。中ストリンジェンシー条件の例は、37℃で40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDSでのハイブリダイゼーションおよび55〜60℃で0.5×〜1× SSCでの洗浄を含む。高ストリンジェンシー条件の例は、37℃で50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSでのハイブリダイゼーションおよび60〜68℃で0.1× SSCでの洗浄を含む。所望により、洗浄緩衝液は約0.1%〜約1%SDSを含む。ハイブリダイゼーション時間は、一般に約24時間未満であり、一般に約4〜約12時間である。
特異性は、一般にハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、重要な因子は、最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドについて、TmはしばしばMeinkoth and Wahl (1984) Anal. Biochem. 138:267-284の式から近似され:Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%ホルム)−500/L(式中、Mは一価カチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%ホルムはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、そしてLは塩基対中のハイブリッドの長さである)。Tm(thermal melting point)は、相補性標的配列の50%が完全に整合しているプローブとハイブリダイズする温度(既定のイオン強度およびpH下で)である。Tmは、不整合1%毎に約1℃下がり、それ故に、Tm、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、所望の同一性の配列とハイブリダイズするために調節されることがある。例えば、>90%同一性を有する配列が探索されるならば、Tmはしばしば10℃下げられる。一般に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度およびpHでの特定の配列およびその相補体の熱的融点(Tm)より約5℃低いように選択される。しかしながら、厳格にストリンジェントな条件は、しばしば熱的融点(Tm)より1℃、2℃、3℃または4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し;中程度にストリンジェントな条件は、しばしば熱的融点(Tm)より6℃、7℃、8℃、9℃または10℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し;低ストリンジェンシー条件は、しばしば熱的融点(Tm)より11℃、12℃、13℃、14℃、15℃または20℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用する。該式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物ならびに所望のTmを使用して、当業者はハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄溶液の変化が本質的に記載されていることを理解する。所望の不整合の程度が45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTmをもたらすならば、より高い温度が使用されるようにSSC濃度を上げるのが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションのためのガイドは、Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology - Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2, Elsevier, New York; and Ausubel et al., eds., 1995, Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New Yorkに見ることができる。Sambrook et al., 1989参照。
コドン最適化
ある実施態様において、本発明の組成物および方法は、目的の株におけるコドン使用について最適化されている構築物からの目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドの発現を含む。ある実施態様において、株は、シュードモナス宿主細胞、例えば、シュードモナス・フルオレッセンスである。細菌宿主における発現を改善するためのコドンを最適化する方法は当分野で知られ、文献に記載されている。例えば、シュードモナス宿主株における発現のためのコドンの最適化は、例えば、引用により全体として本明細書に包含させる米国特許出願公開2007/0292918、「Codon Optimization Method」に記載されている。
異種発現系において、最適化段階は、外来タンパク質を産生する宿主の能力を改善し得る。タンパク質発現は、転写、mRNA形成ならびに翻訳の安定性および開始に影響するものを含む、宿主因子により制御される。ポリヌクレオチド最適化段階は、宿主が外来タンパク質を製造する能力を改善する段階および研究者が発現構築物を効率的に設計するのを助ける段階を含み得る。最適化戦略は、例えば、翻訳開始領域の修飾、mRNA構造要素改変および種々のコドンバイアスの使用を含み得る。細菌宿主における異種タンパク質の発現を改善するために核酸配列を最適化する方法は当分野で知られ、文献に記載される。例えば、シュードモナス宿主株における発現のためのコドン最適化は、例えば、引用により全体として本明細書に包含させる米国特許出願公開2007/0292918、「Codon Optimization Method」に記載されている。
最適化は、異種遺伝子の多数の配列特性に取り組む。具体例として、希少コドン誘導翻訳停止は、しばしば異種タンパク質発現減少をもたらす。希少コドン誘導翻訳停止は、目的のポリヌクレオチドにおける、利用可能なtRNAプールにおける希少性により、宿主生物においてほとんど使用されず、タンパク質翻訳に負の影響を有し得る、コドンの存在を含む。宿主生物における最適翻訳を改善するある方法は、希少宿主コドンを合成ポリヌクレオチド配列から除去する、コドン最適化の実施を含む。
交互の翻訳開始も、異種タンパク質発現を減少させることがある。交互の翻訳開始は、不注意にリボゾーム結合部位(RBS)として機能できるモチーフを含む合成ポリヌクレオチド配列を含む。これらの部位は、ある場合、遺伝子内部部位からの切断タンパク質の翻訳開始をもたらす。しばしば精製中に除去することが困難である切断タンパク質が産生される可能性を低減するある方法は、最適化ポリヌクレオチド配列からの推定内部RBS配列の除去を含む。
反復誘導ポリメラーゼスリッページは、しばしば異種タンパク質発現を低減させる。反復誘導ポリメラーゼスリッページは、フレームシフト変異をもたらすこともあるDNAポリメラーゼのスリッページまたはスタッターを引き起こすことが示されている、ヌクレオチド配列反復を伴う。このような反復はまたしばしばRNAポリメラーゼのスリッページも引き起こす。高G+C含量バイアスを有する生物において、GまたはCヌクレオチド反復からなる高度の反復の程度が存在する。それ故に、RNAポリメラーゼスリッページを誘導する可能性を低減する一つの方法は、GまたはCヌクレオチドの伸長反復を変えることを含む。
妨害二次構造も、異種タンパク質発現の減少をもたらすことがある。二次構造は、しばしばRBS配列または開始コドンを隔離し、タンパク質発現の減少と相関している。ステムループ構造もしばしば転写休止および減衰に関与する。最適化ポリヌクレオチド配列は、通常、転写および翻訳の改善を可能とするために、ヌクレオチド配列のRBSおよび遺伝子コーディング領域に最小二次構造を含む。
異種タンパク質発現に影響することがある他の特性は、制限部位の存在である。転写単位の宿主発現ベクターへのその後のサブクローニングを妨害する制限部位の除去により、ポリヌクレオチド配列は最適化される。
例えば、最適化過程は、しばしば宿主により異種性に発現される所望のアミノ酸配列の同定から始まる。該アミノ酸配列から、候補ポリヌクレオチドまたはDNAが設計される。合成DNA配列設計中、コドン使用頻度は、しばしば宿主発現生物のコドン使用と比較され、希少宿主コドンは合成配列から除去される。さらに、合成候補DNA配列は、望ましくない酵素制限部位を除去し、何らかの所望のシグナル配列、リンカーまたは非翻訳領域を付加もしくは除去するために、修飾されることがある。合成DNA配列は、しばしばG/C反復およびステムループ構造などの翻訳過程を妨害し得る二次構造の存在について分析される。候補DNA配列が合成される前に、最適化配列設計は、しばしば配列が所望のアミノ酸配列を正確にコードすることを検証するために検査される。最後に、候補DNA配列は、当分野で知られるもののようなDNA合成技術を使用して、合成される。
他の実施態様において、シュードモナス・フルオレッセンスなどの宿主生物における一般的コドン使用は、しばしば異種ポリヌクレオチド配列発現の最適化のために利用される。宿主発現系において特定のアミノ酸について好ましいとみなされることがほとんどないコドンのパーセンテージおよび分布が評価される。5%および10%使用の値が、しばしば希少コドンの決定のためのカットオフ値として使用される。例えば、表2に挙げるコドンの出現計算値は、シュードモナス・フルオレッセンスMB214ゲノムで5%未満であり、シュードモナス・フルオレッセンス宿主において発現される最適化遺伝子で一般に避けられる。
本発明は、使用されるシュードモナス宿主細胞での発現に最適化されているあらゆる配列を含み、目的のコード配列のあらゆるポリペプチドまたはタンパク質の使用を考慮する。使用が考慮される配列は、シュードモナス宿主細胞において出現が5%未満のコドン、シュードモナス宿主細胞において出現が10%未満のコドン、希少コドン誘導翻訳停止、推定内部RBS配列、GまたはCヌクレオチドの反復伸長、妨害二次構造、制限部位またはこれらの組み合わせを除去するための最適化を含むが、これらに限定されない、任意の所望の程度までしばしば最適化される。
さらに、ここに提供する方法の実施に有用な任意の分泌リーダーのアミノ酸配列は、任意の適切な核酸配列によりコードされる。大腸菌での発現のためのコドン最適化は、例えば、Welch, et al., 2009, PLoS One, “Design Parameters to Control Synthetic Gene Expression in Escherichia coli,” 4(9): e7002, Ghane, et al., 2008, Krishna R. et al., (2008) Mol Biotechnology “Optimization of the AT-content of Codons Immediately Downstream of the Initiation Codon and Evaluation of Culture Conditions for High-level Expression of Recombinant Human G-CSF in Escherichia coli,” 38:221-232に記載されている。
発現系
本発明の方法は、ある場合、AnsB、8484または5193分泌シグナル配列からなる群から選択される分泌シグナルペプチドまたは配列番号1〜3としてここに開示される分泌シグナルペプチド配列に実質的に相同である配列に操作可能に結合される目的のタンパク質またはポリペプチドを含むポリペプチドの発現を含む。ある実施態様において、分泌シグナルペプチド配列は、シュードモナス宿主細胞における発現構築物から、配列番号4〜6として示されるヌクレオチド配列によりコードされる。発現構築物は、ある場合、プラスミドである。ある実施態様において、目的の配列のポリペプチドまたはタンパク質をコードするプラスミドは選択マーカーを含み、該プラスミドを維持する宿主細胞は、選択的条件下で増殖される。ある実施態様において、プラスミドは選択マーカーを含まない。ある実施態様において、発現構築物は宿主細胞ゲノムに統合される。
シュードモナス宿主株を含む宿主株における本発明の方法において有用な制御配列(例えば、プロモーター、分泌リーダーおよびリボゾーム結合部位)を含む、異種タンパク質を発現する方法は、例えば、「Bacterial leader sequences for increased expression」である米国特許7,618,799、「Expression systems with Sec-system secretion」である米国特許7,985,564、いずれも「Method for Rapidly Screening Microbial Hosts to Identify Certain Strains with Improved Yield and/or Quality in the Expression of Heterologous Proteins」なる表題の米国特許9,394,571および9,580,719、「Expression of Mammalian Proteins in Pseudomonas fluorescens」である米国特許9,453,251、「Process for Improved Protein Expression by Strain Engineering」である米国特許8,603,824および「High Level Expression of Recombinant Toxin Proteins」である米国特許8,530,171に記載され、各々を、その全体として引用により本明細書に包含させる。ある実施態様において、本発明の状況において使用する分泌リーダーは、米国特許7、618,799、7,985,564、9,394,571、9,580,719、9,453,251、8,603,824および8,530,171の何れかに開示の分泌リーダーである。これらの特許はまた異種タンパク質発現を増加させるために、折り畳みモジュレーターを過発現するように操作されているまたはプロテアーゼ変異が導入されている、本発明の方法の実施に有用な細菌宿主株も記載されている。
ある実施態様において、本発明の方法において使用する発現株は、表13に挙げる、実施例4に記載の任意の発現株である。ある実施態様において、本発明の方法において使用する発現株は、表13に挙げる、実施例4に記載する発現株のバックグラウンド表現型を有する微生物発現株である。ある実施態様において、本発明の方法において使用する発現株は、表13に挙げる、実施例4に記載する発現株のバックグラウンド表現型を有する微生物発現株であり、ここで、該株は、表13に挙げる、各分泌リーダーと融合した組み換えアスパラギナーゼを発現する。ある実施態様において、本発明の方法において使用する発現株は、表13に挙げる、実施例4に記載の発現株STR57864、STR57865、STR57866、STR57860、STR57861、STR57862、STR57863のバックグラウンド表現型を有する微生物発現株であるが、該発現株は、折り畳みモジュレーターオーバーエクスプレッサーではない。ある実施態様において、本発明の方法において使用する発現株は、マンニトール非存在下で培養された、表13に挙げる、実施例4に記載する発現株STR57864、STR57865、STR57866、STR57860、STR57861、STR57862、STR57863のバックグラウンド表現型を有する微生物発現株である。
プロモーター
本発明の方法により使用されるプロモーターは、構成的プロモーターまたは制御プロモーターであり得る。有用な制御プロモーターの一般的な例は、lacプロモーター(すなわちlacZプロモーター)由来のファミリーのもの、特にDeBoerの米国特許4,551,433に記載のtacおよびtrcプロモーターならびにPtac16、Ptac17、PtacII、PlacUV5およびT7lacプロモーターを含む。ある実施態様において、プロモーターは宿主細胞生物に由来しない。ある実施態様において、プロモーターは大腸菌生物由来である。
誘導性プロモーター配列は、本発明の方法により目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現を制御するために使用される。ある実施態様において、本発明の方法で有用な誘導性プロモーターは、lacプロモーター(すなわちlacZプロモーター)由来のファミリーのもの、特にDeBoerの米国特許4,551,433に記載のtacおよびtrcプロモーターならびにPtac16、Ptac17、PtacII、PlacUV5およびT7lacプロモーターを含む。ある実施態様において、プロモーターは宿主細胞生物に由来しない。ある実施態様において、プロモーターは大腸菌生物由来である。ある実施態様において、lacプロモーターは、プラスミドからの目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現制御に使用される。lacプロモーター誘導体またはファミリーメンバー、例えば、tacプロモーターの場合、インデューサーはIPTG(イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド、別名「イソプロピルチオガラクトシド」)である。ある実施態様において、IPTGを培養物に加えて、シュードモナス宿主細胞におけるlacプロモーターから目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現を誘導する。
本発明の方法による発現系で有用な非lac型プロモーターの一般的な例は、例えば、表3に挙げるものを含む。
例えば、全て引用により本明細書に包含させる、J. Sanchez-Romero & V. De Lorenzo (1999) Manual of Industrial Microbiology and Biotechnology (A. Demain & J. Davies, eds.) pp. 460-74 (ASM Press, Washington, D.C.); H. Schweizer (2001) Current Opinion in Biotechnology, 12:439-445; R. Slater & R. Williams (2000 Molecular Biology and Biotechnology (J. Walker & R. Rapley, eds.) pp. 125-54 (The Royal Society of Chemistry, Cambridge, UK); and L.-M. Guzman, et al., 1995, J. Bacteriol. 177(14): 4121-4130参照。選択細菌宿主細胞にとって天然のプロモーターのヌクレオチド配列を有するプロモーター、例えば、シュードモナスアントラニル酸または安息香酸オペロンプロモーター(Pant、Pben)も、目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドをコードする導入遺伝子の発現制御に使用できる。1個を超えるプロモーターが、配列が同じでも、異なっても(例えば、Pant−Pbenタンデムプロモーター(プロモーター間ハイブリッド)またはPlac−Placタンデムプロモーター)、または由来生物が同じでも、異なっても、他のものと共有結合しているタンデムプロモーターも使用し得る。
制御プロモーターは、該プロモーターが一部である遺伝子の転写を制御するために、プロモーター制御タンパク質を使用する。制御プロモーターがここで使用されるとき、対応するプロモーター制御タンパク質はまた本発明の方法による発現系の一部である。プロモーター制御タンパク質の例は、アクティベータータンパク質、例えば、大腸菌カタボライトアクティベータータンパク質、MalTタンパク質;AraCファミリー転写アクティベーター;リプレッサータンパク質、例えば、大腸菌LacIタンパク質;およびデュアル機能制御タンパク質、例えば、大腸菌NagCタンパク質を含む。多くの制御されるプロモーター/プロモーター制御タンパク質対は当分野で知られている。ある実施態様において、標的タンパク質および目的の異種タンパク質のための発現構築物は、同じ制御要素の制御下にある。
プロモーター制御タンパク質は、エフェクター化合物、すなわち、該タンパク質が、プロモーターの制御下にある遺伝子の少なくとも一つのDNA転写制御領域の放出または結合を可能とし、それにより遺伝子の転写を開始させる転写酵素である酵素の作用を許可するかまたは遮断するように、制御タンパク質と可逆的にまたは不可逆的に結合する化合物と相互作用する。エフェクター化合物はインデューサーまたはコリプレッサーとして分類され、これらの化合物は、天然エフェクター化合物および無償性インデューサー化合物を含む。多くの制御されるプロモーター/プロモーター制御タンパク質/エフェクター化合物トリオは当分野で知られている。ある場合、エフェクター化合物は細胞培養または発酵の間中使用されるが、制御プロモーターが使用されるある実施態様において、所望の量または濃度の宿主細胞バイオマス増殖後、適切なエフェクター化合物を培養に加えて、直接的または間接的に目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする所望の遺伝子の発現させる。
lacファミリープロモーターが利用されるある実施態様において、lacI遺伝子は系に存在することがある。通常構成的に発現される遺伝子であるlacI遺伝子は、Lacリプレッサータンパク質LacIタンパク質をコードし、これはlacファミリープロモーターのlacオペレーターに結合する。それ故に、lacファミリープロモーターが利用されるとき、lacI遺伝子は発現系に含まれ、発現されることもある。
シュードモナスで有用なプロモーター系は、文献、例えば、上にも引用した米国特許出願公開2008/0269070に記載されている。
他の制御要素
ある実施態様において、発現ベクターは、最適リボソーム結合配列を含む。目的のタンパク質の翻訳開始領域の改変による翻訳強度調節を使用して、速すぎる翻訳のために主に封入体として蓄積する異種細胞質タンパク質の産生を改善できる。細菌細胞の細胞膜周辺腔への異種タンパク質の分泌は、タンパク質翻訳レベルを最大化するよりは、翻訳速度がタンパク質分泌速度と同期するように、最適化することによって増強され得る。
翻訳開始領域は、リボソーム結合部位(RBS)の直ぐ上流から、開始コドンの約20ヌクレオチド下流まで伸びる配列として定義されている(引用により全体として本明細書に包含させるMcCarthy et al. (1990) Trends in Genetics 6:78-85)。原核生物において、交互のRBS配列を利用して、ShineおよびDalgarno(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 71:1342-1346, 1974)に記載される正統的またはコンセンサスRBS配列(AGGAGG;配列番号11)を使用する翻訳レベルに対して低下させた翻訳速度を提供することにより、異種タンパク質の翻訳レベルを最適化できる。「翻訳速度」または「翻訳効率」は、細胞内でのタンパク質へのmRNA翻訳速度を意図する。大部分の原核生物において、シャイン・ダルガノ配列は、16SリボソームRNAのピリミジン・リッチ領域との相互作用を介して、mRNAの開始コドンに対する30Sリボソーム成分の結合および配置を助ける。RBS(ここではシャイン・ダルガノ配列とも称する)は、mRNAの転写開始の下流かつ翻訳開始の上流、一般に開始コドンの4〜14ヌクレオチド上流およびより一般に開始コドンの8〜10ヌクレオチド上流に位置する。翻訳におけるRBS配列の役割のため、翻訳効率とRBS配列の効率(または強度)に直接相関がある。
ある実施態様において、RBS配列の修飾は、異種タンパク質の翻訳速度低下をもたらす。翻訳速度のこの低下は、産生されるタンパク質グラムあたりまたは宿主タンパク質グラムあたりの適切に形成されたタンパク質またはポリペプチドのレベルの減少に対応し得る。翻訳速度低下はまた組み換えのグラムあたりまたは宿主細胞タンパク質のグラムあたりの産生される回収可能なタンパク質またはポリペプチドのレベルとも相関し得る。翻訳速度低下はまた発現増加、活性増加、溶解度増加または移行増加(例えば、周辺区画へまたは細胞外空間への分泌)の任意の組み合わせとも相関し得る。この実施態様において、用語「増加」は、目的のタンパク質またはポリペプチドが同じ条件下で発現され、ヌクレオチド配列がコードするポリペプチドが古典的RBS配列を含むときに、産生され、適切に形成され、可溶性および/または回収可能であるタンパク質またはポリペプチドに対する増加である。同様に、用語「低下」は、遺伝子がコードするタンパク質またはポリペプチドが古典的RBS配列を含む、目的のタンパク質またはポリペプチドの翻訳速度に関連する。翻訳速度は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70、少なくとも約75%またはそれ以上または少なくとも約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍またはそれ以上低下し得る。
ある実施態様において、ここに記載するRBS配列バリアントは、高、中または低翻訳効率をもたらすとして分類され得る。ある実施態様において、配列は古典的RBS配列の翻訳活性と比較した翻訳活性のレベルによりランク付けされる。高RBS配列は、古典的配列の活性の約60%〜約100%を有する。中RBS配列は、古典的配列の活性の約40%〜約60%を有する。低RBS配列は、古典的配列の活性の約40%未満を有する。
RBS配列の例は、表4に示す。配列をレポーター遺伝子としてCOP−GFPを使用して翻訳強度についてスクリーニングし、共通RBS蛍光のパーセンテージによりランク付けする。各RBSバリアントを、3つの全般的蛍光ランクの一つに入れた:高(「Hi」−100%共通RBS蛍光)、中(「Med」−共通RBS蛍光の46〜51%)および低(「Lo」−16〜29%共通RBS蛍光)。
本発明の方法の実施に有用な発現構築物は、タンパク質コード配列に加えて、それに操作可能に結合される次の制御要素を含む:プロモーター、リボゾーム結合部位(RBS)、転写ターミネーターならびに翻訳開始および停止シグナル。有用なRBSは、例えば、米国特許出願公開2008/0269070および米国特許出願12/610,207により、発現系の宿主細胞として有用な種の何れかから得られる。多くの具体的なおよび多様な共通RBSが知られ、例えば、D. Frishman et al., Gene 234(2):257-65 (8 Jul. 1999);およびB. E. Suzek et al., Bioinformatics 17(12):1123-30 (December 2001)に記載され、引用されているものを含む。さらに、天然または合成RBS、例えば、EP0207459(合成RBS);O. Ikehata et al., Eur. J. Biochem. 181(3):563-70 (1989)に記載のものが使用され得る。本発明の方法で有用な方法、ベクターおよび翻訳および転写要素ならびに他の要素のさらなる例は、例えば、Gilroyの米国特許5,055,294およびGilroy et al.の米国特許5,128,130;Rammler et al.の米国特許5,281,532;Barnes et al.の米国特許4,695,455および4,861,595;Gray et al.の米国特許4,755,465;およびWilcoxの米国特許5,169,760に記載される。
宿主株
シュードモナス属および密接に関連する細菌生物を含む細菌宿主は、本発明の方法の実施に際して使用が考慮される。ある実施態様において、シュードモナス属菌宿主細胞はシュードモナス・フルオレッセンスである。ある場合、宿主細胞は大腸菌細胞である。
本発明の方法の実施に有用な宿主細胞および構築物は、当分野で知られ、文献、例えば、引用により全体として本明細書に包含させる米国特許出願公開2009/0325230、「Protein Expression Systems」に記載された試薬および方法を使用して、同定または製造される。この刊行物は、染色体lacI遺伝子インサートを含む栄養要求性シュードモナス・フルオレッセンス宿主細胞への核酸構築物の導入による、組み換えポリペプチドの産生を記載する。核酸構築物は、宿主細胞における核酸の発現を指示できるプロモーターに操作可能に結合される組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、また栄養要求性選択マーカーをコードするヌクレオチド配列を含む。栄養要求性選択マーカーは、栄養要求性宿主細胞に対して原栄養性を回復させるポリペプチドである。ある実施態様において、細胞は、プロリン、ウラシルまたはこれらの組み合わせについて栄養要求性である。ある実施態様において、宿主細胞はMB101(ATCC deposit PTA-7841)に由来する。両者とも引用により全体として本明細書に包含させる米国特許出願公開2009/0325230、「Protein Expression Systems」およびSchneider, et al., 2005, “Auxotrophic markers pyrF and proC, in some cases, replace antibiotic markers on protein production plasmids in high-cell-density Pseudomonas fluorescens fermentation,” Biotechnol. Progress 21(2): 343-8は、株MB101からpyrF遺伝子を欠失させることにより構築したウラシルについて栄養要求性である産生宿主株を記載する。pyrF遺伝子を株MB214(ATCC deposit PTA-7840)からクローン化して、原栄養性の回復のためにpyrF欠失を補う、プラスミドを産生する。具体的実施態様において、シュードモナス・フルオレッセンス宿主細胞におけるデュアルpyrF−proCデュアル栄養要求性選択マーカー系を使用する。pyrF欠失産生宿主株は、しばしば本発明の方法の実施において有用であるとしてここに記載するものを含む、他の所望のゲノム変化を導入するためのバックグラウンドとして使用される。
ある実施態様において、宿主細胞はシュードモナス目のものである。宿主細胞がシュードモナス目のものであるとき、シュードモナス属を含む、シュードモナス科のメンバーであり得る。ガンマプロテオバクテリア宿主は、大腸菌種のメンバーおよびシュードモナス・フルオレッセンス種のメンバーを含む。シュードモナス目、シュードモナス科またはシュードモナス属の宿主細胞は当業者により同定可能であり、文献(例えば、Bergey's Manual of Systematics of Archaea and Bacteria(オンライン版、2015))に記載されている。さらに、このような株において、当分野で周知の方法を使用して、プロテアーゼは不活性化され、折り畳みモジュレーター過発現構築物が導入され得る。
本発明の方法において有用な産生宿主株は、当分野で知られ、文献に記載される多くの適切な方法の何れかを使用して、一般に入手可能な宿主細胞、例えば、シュードモナス・フルオレッセンスMB101を使用して、例えば、pyrF遺伝子の不活性化により、産生できることが当業者に理解される。原栄養性回復プラスミド、例えば、株MB214からのpyrF遺伝子を担持するプラスミドを、当分野で知られ、文献に記載される多くの適切な方法の何れかを使用して、株に形質転換できることも理解される。さらに、このような株において、当分野で周知の方法を使用して、プロテアーゼが不活性化され、折り畳みモジュレーター過発現構築物が導入され得る。
他のシュードモナス生物も有用であり得る。シュードモナス属および密接に関連する種は、Bergey's Manual of Systematics of Archaea and Bacteria (オンライン版, 2015)に記載される科および/または属に属するプロテオバクテリア門の群を含むグラム陰性プロテオバクテリア門下位分類1を含む。表5は、これらの生物の科および属を示す。
シュードモナスおよび密接に関連する細菌は、一般に「グラム(−)プロテオバクテリア門下位分類1」または「グラム陰性好気性桿菌および球菌」(Bergey's Manual of Systematics of Archaea and Bacteria (オンライン版, 2015))として定義される群の一部である。シュードモナス宿主株は、文献、例えば、上で引用した米国特許出願公開2006/0040352に記載される。
「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類1」はまた分類に使用される基準によるこの見出しに分類されるプロテオバクテリア門も含む。見出しはまたアシドボラックス属、ブレブンディモナス属、バークホルデリア属、ハイドロゲノファーガ属、オセアニモナス属、ラルストニア属およびステノトロホモナス属などの、この部分で先に分類された群も含むが、今では、キサントモナス属に属する(そして先にその種と言われていた)生物の再編成により設けられたスフィンゴモナス属(およびそれ由来のブラストモナス属)、Bergey's Manual of Systematics of Archaea and Bacteria (オンライン版, 2015)に定義されたアセトバクター属に属する生物の再編成により設けられたアシドモナス属も含む。加えて、宿主は、それぞれアルテロモナス・ハロプランクティス、アルテロモナス・ニグリファシエンスおよびアルテロモナス・プトレファシエンスとして再分類されているシュードモナス属であるシュードモナス・エナリア(ATCC14393)、シュードモナス・ニグリファシエンス(ATCC19375)およびシュードモナス・プトレファシエンス(ATCC8071)からの細胞を含む。同様に、例えば、シュードモナス・アシドボランス(ATCC15668)およびシュードモナス・テストステロニ(ATCC11996)は、それからコマモナス・アシドボランスおよびコマモナス・テストステロニとして再分類されており;そしてシュードモナス・ニグリファシエンス(ATCC19375)およびシュードモナス・ピスキキダ(ATCC15057)は、それぞれシュードアルテロモナス・ニグリファシエンスおよびシュードアルテロモナス・ピスキキダとして再分類されている。「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類1」はまた、シュードモナス科、アゾトバクター科(現在、しばしば、シュードモナス科の「アゾトバクター群」のシノニムで呼ばれる)、リゾビウム科およびメチロモナス科(現在、しばしば「メチロコッカス科」のシノニムで呼ばれる)の何れかの科に属するとして分類されるプロテオバクテリア門も含む。結果として、ここで他に記載する属に加えて、「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類1」内に入るさらなるプロテオバクテリア属は、1)アゾリゾフィルス属のアゾトバクター群細菌;2)セルビブリオ属、オリゲラ属およびテレディニバクター属のシュードモナス科細菌;3)ケラトバクター属、エンシファー属、リベリバクター属(「カンジダタス・リベリバクター」とも称する)およびシノリゾビウム属のリゾビウム科細菌;および4)メチロバクテリウム属、メチロカルダム属、メチロミクロビウム属、メチロサルシナ属およびメチロスファエラ属のメチロコッカス科細菌を含む。
宿主細胞は、ある場合、「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類16」から選択される。「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類16」は、次のプロテオバクテリア門のシュードモナス種の群として定義される(例示株のATCCまたは他の寄託番号を括弧内に示す):シュードモナス・アビエタニフィラ(ATCC700689);シュードモナス・エルギノーサ(ATCC10145);シュードモナス・アルカリゲネス(ATCC14909);シュードモナス・アンギリセプチカ(ATCC33660);シュードモナス・シトロネロリス(ATCC13674);シュードモナス・フラベッセンス(ATCC51555);シュードモナス・メンドシナ(ATCC25411);シュードモナス・ニトロレデュセンス(ATCC33634);シュードモナス・オレオボランス(ATCC8062);シュードモナスシュード・アルカリゲネス(ATCC17440);シュードモナス・レジノボランス(ATCC14235);シュードモナス・ストラミネア(ATCC33636);シュードモナス・アガリシ(ATCC25941);シュードモナス・アルカリフィラ;シュードモナス・アルギノボラ;シュードモナス・アンダーソニイ;シュードモナス・アスプレニイ(ATCC23835);シュードモナス・アゼライカ(ATCC27162);シュードモナス・ベイジェリンキイ(ATCC19372);シュードモナス・ボレアリス;シュードモナス・ボレオポリス(ATCC33662);シュードモナス・ブラッシカセアルム;シュードモナス・ブタノボラ(ATCC43655);シュードモナス・セルロサ(ATCC55703);シュードモナス・アウランティアカ(ATCC33663);シュードモナス・クロロラフィス(ATCC9446、ATCC13985、ATCC17418、ATCC17461);シュードモナス・フラギ(ATCC4973);シュードモナス・ルンデンシス(ATCC49968);シュードモナス・タエトロレンス(ATCC4683);シュードモナス・シシコーラ(ATCC33616);シュードモナス・コロナファシエンス;シュードモナス・ディテルペニフィラ;シュードモナス・エロンガータ(ATCC10144);シュードモナス・フレクテンス(ATCC12775);シュードモナス・アゾトフォルマンス;シュードモナス・ブレンネリ;シュードモナス・セドレラ;シュードモナス・コルルガタ(ATCC29736);シュードモナス・イクストレモリエンタリス;シュードモナス・フルオレッセンス(ATCC35858);シュードモナス・ゲッサーディイ;シュードモナス・リバネンシス;シュードモナス・マンデリイ(ATCC700871);シュードモナス・マージナリス(ATCC10844);シュードモナス・ミグラエ;シュードモナス・ムシドレンス(ATCC4685);シュードモナス・オリエンタリス;シュードモナス・ロデシア;シュードモナス・シンキサンサ(ATCC9890);シュードモナス・トラシー(ATCC33618);シュードモナス・ヴェロニイ(ATCC700474);シュードモナス・フレデリクスベーゲンシス;シュードモナス・ゲニクラタ(ATCC19374);シュードモナス・ギンゲリ;シュードモナス・グラミニス;シュードモナス・グリモンティイ;シュードモナス・ハロデニトリフィカンス;シュードモナス・ハロフィラ;シュードモナス・ヒビシコーラ(ATCC19867);シュードモナス・フティエンス(ATCC14670);シュードモナス・ハイドロゲノボラ;シュードモナス・ジェッセニイ(ATCC700870);シュードモナス・キロネンシス;シュードモナス・ランセオラータ(ATCC14669);シュードモナス・リニ;シュードモナス・マルギナタ(ATCC25417);シュードモナス・メフィチカ(ATCC33665);シュードモナス・デニトリカンス(ATCC19244);シュードモナス・ペルツシノゲナ(ATCC190);シュードモナス・ピクトラム(ATCC23328);シュードモナス・サイクロフィラ;シュードモナス・フィルバ(ATCC31418);シュードモナス・モンテイリイ(ATCC700476);シュードモナス・モッセリィ;シュードモナス・オリジハビタンス(ATCC43272);シュードモナス・プレコグロシシダ(ATCC700383);シュードモナス・プチダ(ATCC12633);シュードモナス・リアクタンス;シュードモナス・スピノサ(ATCC14606);シュードモナス・バレアリカ;シュードモナス・ルテオラ(ATCC43273);シュードモナス・スタッツェリ(ATCC17588);シュードモナス・アミグダリ(ATCC33614);シュードモナス・アベルラナエ(ATCC700331);シュードモナス・カリカパパヤエ(ATCC33615);シュードモナス・チコリ(ATCC10857);シュードモナス・フィクセレクタエ(ATCC35104);シュードモナス・フスコバギナエ;シュードモナス・メリアエ(ATCC33050);シュードモナス・シリンゲ(ATCC19310);シュードモナス・ビリディフラバ(ATCC13223);シュードモナス・サーモカルボキシドボランス(ATCC35961);シュードモナス・サーモトレランス;シュードモナス・チベルバレンシス;シュードモナス・バンコウベレンシス(ATCC700688);シュードモナス・ウィスコンシネンシス;およびシュードモナス・キシアメンシス。ある実施態様において、目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現のための宿主細胞は、シュードモナス・フルオレッセンスである。
宿主細胞は、ある場合、「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類17」から選択される。「グラム陰性プロテオバクテリア門下位分類17」は、例えば、次のシュードモナス種に属するものを含む、当分野で「蛍光シュードモナス属」として知られるプロテオバクテリア門の群として定義される:シュードモナス・アゾトフォルマンス;シュードモナス・ブレンネリ;シュードモナス・セドレラ;シュードモナス・セドリナ;シュードモナス・コルガタ;シュードモナス・イクストレモリエンタリス;シュードモナス・フルオレッセンス;シュードモナス・ゲッサーディイ;シュードモナス・リバネンシス;シュードモナス・マンデリイ;シュードモナス・マージナリス;シュードモナス・ミグラエ;シュードモナス・ムシドレンス;シュードモナス・オリエンタリス;シュードモナス・ロデシア;シュードモナス・シンキサンサ;シュードモナス・トラシー;およびシュードモナス・ヴェロニイ。
プロテアーゼ
ある実施態様において、ここに提供する方法は、目的のポリペプチドまたはタンパク質を産生するために、1以上のプロテアーゼ遺伝子に1以上の変異(例えば、部分的または完全欠失)を含む、シュードモナス宿主細胞の使用を含む。ある実施態様において、プロテアーゼ遺伝子の変異は、目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の産生を促進する。
標的プロテアーゼ遺伝子の例は、アミノペプチダーゼ;ジペプチダーゼ;ジペプチジル−ペプチダーゼおよびトリペプチジルペプチダーゼ;ペプチジル−ジペプチダーゼ;セリン型カルボキシペプチダーゼ;メタロカルボキシペプチダーゼ;システイン型カルボキシペプチダーゼ;オメガペプチダーゼ;セリンプロテイナーゼ;システインプロテイナーゼ;アスパラギンプロテイナーゼ;メタロプロテイナーゼ;または未知機構のプロテイナーゼとして分類されるプロテアーゼを含む。
アミノペプチダーゼは、サイトゾルアミノペプチダーゼ(ロイシルアミノペプチダーゼ)、膜アラニルアミノペプチダーゼ、シスチニルアミノペプチダーゼ、トリペプチドアミノペプチダーゼ、プロリルアミノペプチダーゼ、アルギニルアミノペプチダーゼ、グルタミルアミノペプチダーゼ、x−proアミノペプチダーゼ、細菌ロイシルアミノペプチダーゼ、好熱性アミノペプチダーゼ、クロストリジウムアミノペプチダーゼ、サイトゾルアラニルアミノペプチダーゼ、リシルアミノペプチダーゼ、x−trpアミノペプチダーゼ、トリプトファニルアミノペプチダーゼ、メチオニルアミノペプチダーゼ、d−立体特異的アミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼeyを含む。ジペプチダーゼは、x−hisジペプチダーゼ、x−argジペプチダーゼ、x−メチル−hisジペプチダーゼ、cys−glyジペプチダーゼ、glu−gluジペプチダーゼ、pro−xジペプチダーゼ、x−proジペプチダーゼ、met−xジペプチダーゼ、非立体特異的ジペプチダーゼ、サイトゾル非特異的ジペプチダーゼ、膜ジペプチダーゼ、ベータ−ala−hisジペプチダーゼを含む。ジペプチジル−ペプチダーゼおよびトリペプチジルペプチダーゼは、ジペプチジル−ペプチダーゼi、ジペプチジル−ペプチダーゼii、ジペプチジルペプチダーゼiii、ジペプチジル−ペプチダーゼiv、ジペプチジル−ジペプチダーゼ、トリペプチジル−ペプチダーゼI、トリペプチジル−ペプチダーゼIIを含む。ペプチジル−ジペプチダーゼは、ペプチジル−ジペプチダーゼaおよびペプチジル−ジペプチダーゼbを含む。セリン型カルボキシペプチダーゼは、リソソームpro−xカルボキシペプチダーゼ、セリン型D−ala−D−alaカルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼC、カルボキシペプチダーゼDを含む。メタロカルボキシペプチダーゼは、カルボキシペプチダーゼa、カルボキシペプチダーゼB、リシン(アルギニン)カルボキシペプチダーゼ、gly−Xカルボキシペプチダーゼ、アラニンカルボキシペプチダーゼ、ムラモイルペンタペプチドカルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼh、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼM、ムラモイルテトラペプチドカルボキシペプチダーゼ、亜鉛d−ala−d−alaカルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼA2、膜pro−xカルボキシペプチダーゼ、チューブリニル−tyrカルボキシペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼtを含む。オメガペプチダーゼは、アシルアミノアシル−ペプチダーゼ、ペプチジル−グリシンアミダーゼ、ピログルタミル−ペプチダーゼI、ベータ−アスパルチル−ペプチダーゼ、ピログルタミル−ペプチダーゼII、n−ホルミルメチオニル−ペプチダーゼ、プテロイルポリ−[ガンマ]−グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ、ガンマ−glu−Xカルボキシペプチダーゼ、アシルムラモイル−alaペプチダーゼを含む。セリンプロテイナーゼは、キモトリプシン、キモトリプシンc、メトリジン、トリプシン、トロンビン、凝固因子Xa、プラスミン、エンテロペプチダーゼ、アクロシン、アルファ−溶菌プロテアーゼ、グルタミル、エンドペプチダーゼ、カテプシンG、凝固因子viia、凝固因子ix、ククミシ(cucumisi)、プロリルオリゴペプチダーゼ、凝固因子xi、ブラキウリン、血漿カリクレイン、組織カリクレイン、膵臓エラスターゼ、白血球エラスターゼ、凝固因子xii、キマーゼ、補体成分c1r55、補体成分c1s55、古典的補体経路c3/c5コンベルターゼ、補体因子I、補体因子D、補体第二経路c3/c5コンベルターゼ、セレビシン、ヒポデルミンC、リシルエンドペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ1a、ガンマ−レニン(reni)、ベノンビンab、ロイシルエンドペプチダーゼ、トリプターゼ、スクテラリン、ケキシン、サブチリシン、オリジン、エンドペプチダーゼk、テルモミコリン、テルミターゼ、エンドペプチダーゼSO、T−プラスミノーゲン活性化因子、プロテインC、膵臓エンドペプチダーゼE、膵臓エラスターゼii、IGA特異的セリンエンドペプチダーゼ、U−プラスミノーゲン、アクティベーター、ベノンビンA、フューリン、ミエロブラスチン、セメノゲラーゼ、グランザイムAまたは細胞毒性Tリンパ球プロテイナーゼ1、グランザイムBまたは細胞毒性Tリンパ球プロテイナーゼ2、ストレプトグリシンA、ストレプトグリシンB、グルタミルエンドペプチダーゼII、オリゴペプチダーゼB、カブトガニ凝固因子c、カブトガニ凝固因子、カブトガニ凝固酵素、オンプチン、リプレッサーlexa、細菌リーダーペプチダーゼI、トガビリン、フラビリンを含む。システインプロテイナーゼは、カテプシンB、パパイン、フィシン、キモパパイン、アスクレパイン、クロストリパイン、ストレプトパイン、アクチニド、カテプシン1、カテプシンH、カルパイン、カテプシンt、グリシル、エンドペプチダーゼ、癌プロコアグラント、カテプシンS、ピコルナイン3C、ピコルナイン2A、カリカイン、アナナイン、ステム・ブロメライン、フルート・ブロメライン、レグマイン、ヒストリサイン、インターロイキン1−ベータ変換酵素を含む。アスパラギンプロテイナーゼは、ペプシンA、ペプシンB、ガストリクシン、キモシン、カテプシンD、ネペンテシン、レニン、レトロペプシン、プロオピオメラノコルチン変換酵素、アスペルギロペプシンI、アスペルギロペプシンII、ペニシロペプシン、リゾプスペプシン、エンドチアペプシン、ムコロペプシン、カンジダペプシン、サッカロペプシン、ロドトルラペプシン、フィサロペプシン、アクロシリンドロペプシン、ポリポロペプシン、ピクノポロペプシン、シタリドペプシンa、シタリドペプシンb、キサントモナペプシン、カテプシンe、バリアペプシン、細菌リーダーペプチダーゼI、シュードモナペプシン、プラスメプシンを含む。メタロプロテイナーゼは、アトロリシンa、微生物コラゲナーゼ、ロイコリシン、間質性コラゲナーゼ、ネプリライシン、エンベリシン、iga特異的メタロエンドペプチダーゼ、プロコラーゲンN−エンドペプチダーゼ、チメットオリゴペプチダーゼ、ノイロリシン、ストロメライシン1、メプリンA、プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼ、ペプチジル−lysメタロエンドペプチダーゼ、アスタシン、ストロメライシン、2、マトリライシンゼラチナーゼ、エアロモノリシン、プソイドリシン、テルモリシン、バシロリシン、オーレオリシン、ココリシン、ミコリシン、ベータ−溶菌メタロエンドペプチダーゼ、ペプチジル−aspメタロエンドペプチダーゼ、好中球コラゲナーゼ、ゼラチナーゼB、レイシマノリシン、サッカロリシン、オートリシン、ドイテロリシン、セラリシン、アトロリシンB、アトロリシンC、アトロキサーゼ、アトロリシンE、アトロリシンF、アダマリシン、ホリリシン、ラバリシン、ボソロパシン、ボソロリシン、オヒトリシン、トリメロリシンI、トリメロリシンII、ムクロリシン、ピトリリシン、インスリシン、O−シアログリコタンパク質エンドペプチダーゼ、ルスセリリシン、ミトコンドリア、中間体、ペプチダーゼ、ダクチリシン、ナリジリシン、マグノリシン、メプリンB、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ、マクロファージエラスターゼ、コリオリシン、トキシリシンを含む。未知機構のプロテイナーゼは、サーモプシンおよび多触媒性エンドペプチダーゼ複合体を含む。
ある種のプロテアーゼは、プロテアーゼおよびシャペロン様活性両者を含む。これらのプロテアーゼがタンパク質収量および/または品質に負に影響するとき、しばしばそれらのプロテアーゼ活性を特異的に欠失させるのが有用であり、それらはシャペロン活性がタンパク質収量および/または品質に正に影響し得るとき、過発現される。これらのプロテアーゼは、Hsp100(Clp/Hsl)ファミリーメンバーRXF04587.1(clpA)、RXF08347.1、RXF04654.2(clpX)、RXF04663.1、RXF01957.2(hslU)、RXF01961.2(hslV);ペプチジル−プロリルcis−transイソメラーゼファミリーメンバーRXF05345.2(ppiB);メタロペプチダーゼM20ファミリーメンバーRXF04892.1(アミノヒドロlase);メタロペプチダーゼM24ファミリーメンバーRXF04693.1(メチオニンアミノペプチダーゼ)およびRXF03364.1(メチオニンアミノペプチダーゼ);およびセリンペプチダーゼS26シグナルペプチダーゼIファミリーメンバーRXF01181.1(シグナルペプチダーゼ)を含むが、これらに限定されない。
これらおよび他のプロテアーゼおよび折り畳みモジュレーターは当分野で知られ、かつ文献、例えば、米国特許8,603,824に記載される。例えば、該特許の表Dは、Tig(tig、トリガーファクター、FKBPタイプppiase(ec 5.2.1.8)RXF04655、UniProtKB-P0A850(TIG_ECOLI))を記載する。「Method for Rapidly Screening Microbial Hosts to Identify Certain Strains with Improved Yield and/or Quality in the Expression of Heterologous Proteins」なる名称であり、全体として引用により本明細書に包含させるWO2008/134461および米国特許9,394,571は、Tig(RXF04655.2、その中の配列番号34)、LepB(RXF01181.1、その中の配列番号56)、DegP1(RXF01250、その中の配列番号57)、AprA(RXF04304.1、その中の配列番号86)、Prc1(RXF06586.1、その中の配列番号120)、DegP2(RXF07210.1、その中の配列番号124)、Lon(RXF04653、その中の配列番号92);DsbA(RXF01002.1、その中の配列番号25)およびDsbC(RXF03307.1、その中の配列番号26)を記載する。これらの配列ならびに他のプロテアーゼおよび折り畳みモジュレーターのものも、米国特許9,580,719に示される(その中のカラム93〜98の配列番号の表)。例えば、米国特許9,580,719は、それぞれ配列番号18および19としてHslU(RXF01957.2)およびHslV(RXF01961.2)をコードする配列を提供する。
ハイスループットスクリーニング
ある実施態様において、ハイスループットスクリーニングを実施して、目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドの発現のための最適条件を決定する。スクリーニングで変わり得る条件は、例えば、宿主細胞、宿主細胞の遺伝的背景(例えば、異なるプロテアーゼの欠失)、発現構築物におけるプロモーターのタイプ、目的のコードされるポリペプチドまたはタンパク質に融合される分泌リーダーのタイプ、増殖温度、誘導性プロモーターを使用するときの誘導OD、インデューサー添加量(例えばlacZプロモーターまたはその誘導体を使用するときの誘導に使用するIPTG量)、タンパク質誘導期間、培養物に誘導剤添加後の温度、培養物の撹拌速度、プラスミド維持のための選択方法、容器中の培養物体積および細胞溶解方法を含む。
ある実施態様において、宿主株のライブラリー(または「アレイ」)が提供され、ここで、ライブラリーの各株(または「宿主細胞集団」)は、該宿主細胞における1以上の標的遺伝子の発現を調節するように遺伝的に修飾されている。「最適宿主株」または「最適発現系」は、しばしばアレイにおける表現型的に異なる宿主細胞の他の集団と比較して、目的の発現タンパク質の量、品質および/または位置に基づき同定または選択される。それ故に、最適宿主株は、所望の仕様に従い目的のポリペプチドを産生する株である。所望の仕様は、産生されるポリペプチドより変わるが、仕様は、タンパク質が隔離されていても、分泌されていても、タンパク質の品質および/または量、タンパク質折り畳みなどを含む。例えば、最適宿主株または最適発現系は、可溶性異種タンパク質の量、回収可能異種タンパク質の量、適切に形成された異種タンパク質の量、適切に折り畳まれた異種タンパク質の量、活性異種タンパク質の量および/または異種タンパク質の総量により特徴付けられる、ある絶対的レベルまたはインディケータ株、すなわち、比較のために使用する株により産生されるものに対するあるレベルの収量を提供する。
異種タンパク質の発現における収量および/または品質が改善した株を同定するための微生物宿主をスクリーニングする方法は、例えば、米国特許出願公開20080269070に記載される。
細菌増殖条件
本発明の方法に有用な増殖条件は、しばしば約4℃〜約42℃の温度および約5.7〜約8.8のpHを含む。lacZプロモーターまたはその誘導体を有する発現構築物が使用されるとき、発現はしばしばIPTGを約0.01mM〜約1.0mMの最終濃度で培養物に加えることにより、誘導される。
培養物のpHは、pH緩衝液および当分野で知られる方法を使用して維持されることがある。培養中のpH管理はしばしばアンモニア水溶液を使用しても達成される。ある実施態様において、培養物のpHは約5.7〜約8.8である。ある実施態様において、pHは、約5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7または8.8である。別の実施態様において、pHは、約5.7〜5.9、5.8〜6.0、5.9〜6.1、6.0〜6.2、6.1〜6.3、6.2〜6.5、6.4〜6.7、6.5〜6.8、6.6〜6.9、6.7〜7.0、6.8〜7.1、6.9〜7.2、7.0〜7.3、7.1〜7.4、7.2〜7.5、7.3〜7.6、7.4〜7.7、7.5〜7.8、7.6〜7.9、7.7〜8.0、7.8〜8.1、7.9〜8.2、8.0〜8.3、8.1〜8.4、8.2〜8.5、8.3〜8.6、8.4〜8.7または8.5〜8.8である。さらに他の実施態様において、pHは、約5.7〜6.0、5.8〜6.1、5.9〜6.2、6.0〜6.3、6.1〜6.4または6.2〜6.5である。ある実施態様において、pHは約5.7〜約6.25である。
ある実施態様において、増殖温度は、約4℃〜約42℃に維持される。ある実施態様において、増殖温度は、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃または約42℃である。他の実施態様において、増殖温度は、約25℃〜約27℃、約25℃〜約28℃、約25℃〜約29℃、約25℃〜約30℃、約25℃〜約31℃、約25℃〜約32℃、約25℃〜約33℃、約26℃〜約28℃、約26℃〜約29℃、約26℃〜約30℃、約26℃〜約31℃、約26℃〜約32℃、約27℃〜約29℃、約27℃〜約30℃、約27℃〜約31℃、約27℃〜約32℃、約26℃〜約33℃、約28℃〜約30℃、約28℃〜約31℃、約28℃〜約32℃、約29℃〜約31℃、約29℃〜約32℃、約29℃〜約33℃、約30℃〜約32℃、約30℃〜約33℃、約31℃〜約33℃、約31℃〜約32℃、約30℃〜約33℃または約32℃〜約33℃に維持される。他の実施態様において、培養中温度が変わる。ある実施態様において、培養物に目的のポリペプチドまたはタンパク質をコードする構築物から発現を誘導するための試薬を加える前は約30℃〜約32℃の温度に維持し、発現を誘導するための試薬添加後、例えば、IPTGを培養物に添加後、温度を約25℃〜約27℃に下げる。ある実施態様において、目的のポリペプチドまたはタンパク質をコードする構築物から発現を誘導するための試薬を培養物に加える前は、温度を約30℃に維持し、発現を誘導するための試薬を培養物に加えた後、温度を約25℃に下げる。
誘導
本明細書の他の箇所に記載するとおり、誘導性プロモーター、例えば、lacプロモーターは、目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現を制御するために発現構築物においてしばしば使用される。lacプロモーター誘導体またはファミリーメンバー、例えば、tacプロモーターの場合、エフェクター化合物は、IPTG(イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド、「イソプロピルチオガラクトシド」とも称される)などの無償性インデューサーのようなインデューサーである。ある実施態様において、lacプロモーター誘導体が使用され、目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現が、細胞密度が約25〜約160のOD575により決定されるレベルに達したとき、IPTGを約0.01mM〜約1.0mMの最終濃度まで加えることにより誘導される。ある実施態様において、目的のポリペプチドまたはタンパク質の培養誘導時点のOD575は、約25、約50、約55、約60、約65、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180である。他の実施態様において、OD575は約80〜約100、約100〜約120、約120〜約140、約140〜約160である。他の実施態様において、OD575は約80〜約120、約100〜約140または約120〜約160である。他の実施態様において、OD575は約80〜約140または約100〜160である。細胞密度は、しばしば他の方法により測定され、他の単位、例えば、単位体積あたりの細胞で表される。例えば、シュードモナス・フルオレッセンス培養物の約25〜約160のOD575は、約4×1010〜約1.6×1011コロニー形成単位/mLまたは11〜70g/L乾燥細胞重量と同等である。ある実施態様において、目的のポリペプチドまたはタンパク質の発現は、細胞密度が湿重量約0.05g/g〜約0.4g/gに達したとき、IPTGを約0.01mM〜約1.0mMの最終濃度まで加えることにより誘導する。ある実施態様において、湿重量は約0.05g/g、約0.1g/g、約0.15g/g、約0.2g/g、約0.25g/g、約0.30g/g、約0.35g/g、約0.40g/g、約0.05g/g〜約0.1g/g、約0.05g/g〜約0.15g/g、約0.05g/g〜約0.20g/g、約0.05g/g〜約0.25g/g、約0.05g/g〜約0.30g/g、約0.05g/g〜約0.35g/g、約0.1g/g〜約0.40g/g、約0.15g/g〜約0.40g/g、約0.20g/g〜約0.40g/g、約0.25g/g〜約0.40g/g、約0.30g/g〜約0.40g/gまたは約0.35g/g〜約0.40g/gである。ある実施態様において、培養誘導時の細胞密度は、細胞密度を決定するために使用した方法または測定単位に関わらず、OD575での吸光度によりここに特定した細胞密度と同等である。当業者は、任意の細胞培養について、どのように適切な変換を行うかを知っている。
ある実施態様において、培養物の最終IPTG濃度は、約0.01mM、約0.02mM、約0.03mM、約0.04mM、約0.05mM、約0.06mM、約0.07mM、約0.08mM、約0.09mM、約0.1mM、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mMまたは約1mMである。他の実施態様において、培養物の最終IPTG濃度は、約0.08mM〜約0.1mM、約0.1mM〜約0.2mM、約0.2mM〜約0.3mM、約0.3mM〜約0.4mM、約0.2mM〜約0.4mM、約0.08〜約0.2mMまたは約0.1〜1mMである。
非lacタイププロモーターが使用されるある実施態様において、ここにおよび文献に記載されるとおり、他のインデューサーまたはエフェクターがしばしば使用される。ある実施態様において、プロモーターは構成的プロモーターである。
誘導剤添加後、培養物を、しばしば一定時間、例えば約24時間増殖させ、その間、目的のポリペプチドまたはタンパク質が発現される。誘導剤添加後、培養物は、しばしば約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約36時間または約48時間増殖される。誘導剤が培養物に添加された後、培養物は約1〜48時間、約1〜24時間、約10〜24時間、約15〜24時間または約20〜24時間増殖される。細胞培養物は、しばしば遠心分離により濃縮され、培養ペレットは、その後の溶解に適する緩衝液または溶液に再懸濁される。
ある実施態様において、細胞は、高圧機械的細胞破壊用機器を使用して破壊される(これは商業的に入手可能であり、例えば、Microfluidics Microfluidizer、Constant Cell Disruptor、Niro-Soavi homogenizerまたはAPV-Gaulin homogenizer)。目的のポリペプチドまたはタンパク質を発現する細胞は、しばしば、例えば、超音波処理を使用して破壊される。細胞溶解のための、当分野で知られる任意の適切な方法が、しばしば可溶性フラクションの放出に使用される。例えば、ある実施態様において、化学的および/または酵素的細胞溶解剤、例えば細胞壁溶解酵素およびEDTAがしばしば使用される。凍結されたまたは予め貯蔵された培養物も、本発明の方法において考慮される。培養物は、溶解前にOD標準化されることがある。例えば、細胞は、しばしば約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20のOD600に標準化される。
遠心分離は、任意の適切な機器および方法により実施される。不溶性フラクションから可溶性フラクションを分離する目的での細胞培養物または溶解物の遠心分離は、当分野で周知である。例えば、溶解細胞を、20,800×gで20分間(4℃で)遠心分離し、上清を手動または自動化液体処理を使用して除去することができる。ペレット(不溶性)フラクションを緩衝化溶液、例えば、リン酸緩衝化食塩水(PBS)、pH7.4に再懸濁する。再懸濁は、しばしば、例えば、オーバーヘッドミキサーに接続されたインペラ、磁気攪拌棒、ロッキングシェーカーなどの機器を使用して実施される。
「可溶性フラクション」、すなわち、溶解物の遠心分離後に得た可溶性上清および「不溶性フラクション」、すなわち、溶解物の遠心分離後に得たペレットは、培養物の溶解および遠心分離に由来する。
発酵形式
ある実施態様において、ここでの目的のポリペプチドおよびタンパク質を産生する方法において発酵が使用される。本発明の発現系は、任意の発酵形式で培養される。例えば、バッチ、フェドバッチ、半連続的および連続的発酵形態がここで用いられ得る。
ある実施態様において、発酵培地は、リッチ培地、最少培地および無機塩培地から選択され得る。他の実施態様において、最少培地または無機塩培地が選択される。ある実施態様において、無機塩培地が選択される。
無機塩培地は、無機塩および、例えば、グルコース、スクロースまたはグリセロールなどの炭素源からなる。無機塩培地の例は、例えば、M9培地、シュードモナス培地(ATCC179)およびデイビス・ミンジオリ培地(B D Davis & E S Mingioli (1950) J. Bact. 60:17-28参照)を含む。無機塩培地を調製するために使用される無機塩は、例えば、リン酸カリウム、硫酸もしくは塩化アンモニウム、硫酸もしくは塩化マグネシウムおよび微量金属、例えば塩化カルシウム、ホウ酸塩ならびに鉄、銅、マンガンおよび亜鉛の硫酸塩から選択されるものである。一般に、ペプトン、トリプトン、アミノ酸または酵母エキスなどの有機窒素源は無機塩培地に含まれない。代わりに、無機窒素源が使用され、これは、例えば、アンモニウム塩、アンモニア水溶液およびガス状アンモニアから選択される。無機塩培地は、一般に炭素源としてグルコースまたはグリセロールを含む。無機塩培地と比較して、最少培地は、しばしば無機塩および炭素源を含むが、しばしば、例えば、低レベルのアミノ酸、ビタミン、ペプトンまたは他の成分が補われるが、これらは極小レベルで加えられる。培地は、しばしば文献に、例えば、上に引用し、本明細書に包含される米国特許出願公開2006/0040352に記載の方法を使用して調製される。本発明の方法において有用な培養手順および無機塩培地の詳細は、Riesenberg, D. et al., 1991, “High cell density cultivation of Escherichia coli at controlled specific growth rate,” J. Biotechnol. 20 (1):17-27に記載される。
発酵は任意の規模で実施され得る。本発明の発現系は、任意の規模での組み換えタンパク質発現に有用である。それ故に、例えば、マイクロリットル規模、ミリリットル規模、センチリットル規模およびデシリットル規模発酵体積が使用でき、1リットル規模以上の大型発酵体積がしばしば使用される。
ある実施態様において、発酵体積は、約1リットルまたはそれ以上である。ある実施態様において、発酵体積は約0.5リットル〜約100リットルである。ある実施態様において、発酵体積は約1リットル、約2リットル、約3リットル、約4リットル、約5リットル、約6リットル、約7リットル、約8リットル、約9リットルまたは約10リットルである。ある実施態様において、発酵体積は約0.5リットル〜約2リットル、約0.5リットル〜約5リットル、約0.5リットル〜約10リットル、約0.5リットル〜約25リットル、約0.5リットル〜約50リットル、約0.5リットル〜約75リットル、約10リットル〜約25リットル、約25リットル〜約50リットルまたは約50リットル〜約100リットルである。他の実施態様において、発酵体積は、5リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、50リットル、75リットル、100リットル、200リットル、500リットル、1,000リットル、2,000リットル、5,000リットル、10,000リットルまたは50,000リットルまたはそれ以上である。
タンパク質分析
ある実施態様において、ここに提供される方法により産生される、目的のポリペプチドおよびタンパク質は分析される。目的のポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な当分野で知られる方法、例えば、バイオレイヤー干渉法、SDS−PAGE、ウェスタンブロット、ファーウェスタンブロット、ELISA、吸光度またはマススペクトロメトリー(例えば、タンデムマススペクトロメトリー)により分析され得る。
ある実施態様において、産生された目的のポリペプチドまたはタンパク質の濃度および/または量は、例えば、ブラッドフォードアッセイ、吸光度、クマシー染色、マススペクトロメトリーなどにより決定される
ここに記載する不溶性および可溶性フラクションにおけるタンパク質収量は、しばしば当分野で知られる方法で、例えば、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析により決定される。可溶性フラクションは、しばしば、例えば、バイオレイヤー干渉法を使用して、評価される。
タンパク質収量の有用な尺度は、例えば、培養物体積あたりの組み換えタンパク質量(例えば、タンパク質グラムまたはミリグラム/培養物リットル)、溶解後に得た不溶性ペレットで測定される組み換えタンパク質のパーセントまたは分数(例えば、抽出上清中の組み換えタンパク質の量/不溶性フラクション中のタンパク質の量)、活性タンパク質のパーセントまたは分数(例えば、活性タンパク質の量/アッセイに使用したタンパク質量)、総細胞タンパク質(tcp)のパーセントまたは分数、タンパク質の量/細胞およびパーセント乾燥バイオマスを含む。
ある実施態様において、本発明の方法を使用して、総細胞タンパク質の約20%〜約90%の収量で目的とする可溶性ポリペプチドまたはタンパク質が得られる。ある実施態様において、目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の収量は、約20%総細胞タンパク質、約25%総細胞タンパク質、約30%総細胞タンパク質、約31%総細胞タンパク質、約32%総細胞タンパク質、約33%総細胞タンパク質、約34%総細胞タンパク質、約35%総細胞タンパク質、約36%総細胞タンパク質、約37%総細胞タンパク質、約38%総細胞タンパク質、約39%総細胞タンパク質、約40%総細胞タンパク質、約41%総細胞タンパク質、約42%総細胞タンパク質、約43%総細胞タンパク質、約44%総細胞タンパク質、約45%総細胞タンパク質、約46%総細胞タンパク質、約47%総細胞タンパク質、約48%総細胞タンパク質、約49%総細胞タンパク質、約50%総細胞タンパク質、約51%総細胞タンパク質、約52%総細胞タンパク質、約53%総細胞タンパク質、約54%総細胞タンパク質、約55%総細胞タンパク質、約56%総細胞タンパク質、約57%総細胞タンパク質、約58%総細胞タンパク質、約59%総細胞タンパク質、約60%総細胞タンパク質、約65%総細胞タンパク質、約70%総細胞タンパク質、約75%総細胞タンパク質、約80%総細胞タンパク質、約85%総細胞タンパク質または約90%総細胞タンパク質である。ある実施態様において、目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の収量は、約20%〜約25%総細胞タンパク質、約20%〜約30%総細胞タンパク質、約20%〜約35%総細胞タンパク質、約20%〜約40%総細胞タンパク質、約20%〜約45%総細胞タンパク質、約20%〜約50%総細胞タンパク質、約20%〜約55%総細胞タンパク質、約20%〜約60%総細胞タンパク質、約20%〜約65%総細胞タンパク質、約20%〜約70%総細胞タンパク質、約20%〜約75%総細胞タンパク質、約20%〜約80%総細胞タンパク質、約20%〜約85%総細胞タンパク質、約20%〜約90%総細胞タンパク質、約25%〜約90%総細胞タンパク質、約30%〜約90%総細胞タンパク質、約35%〜約90%総細胞タンパク質、約40%〜約90%総細胞タンパク質、約45%〜約90%総細胞タンパク質、約50%〜約90%総細胞タンパク質、約55%〜約90%総細胞タンパク質、約60%〜約90%総細胞タンパク質、約65%〜約90%総細胞タンパク質、約70%〜約90%総細胞タンパク質、約75%〜約90%総細胞タンパク質、約80%〜約90%総細胞タンパク質、約85%〜約90%総細胞タンパク質、約31%〜約60%総細胞タンパク質、約35%〜約60%総細胞タンパク質、約40%〜約60%総細胞タンパク質、約45%〜約60%総細胞タンパク質、約50%〜約60%総細胞タンパク質、約55%〜約60%総細胞タンパク質、約31%〜約55%総細胞タンパク質、約31%〜約50%総細胞タンパク質、約31%〜約45%総細胞タンパク質、約31%〜約40%総細胞タンパク質、約31%〜約35%総細胞タンパク質、約35%〜約55%総細胞タンパク質または約40%〜約50%総細胞タンパク質である。
ある実施態様において、本発明の方法は、約1グラム/リットル〜約50グラム/リットルの収量で目的とする可溶性ポリペプチドまたはタンパク質を得るために使さ用れる。ある実施態様において、目的とする可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の収量は、約1グラム/リットル、約2グラム/リットル、約3グラム/リットル、約4グラム/リットル、約5グラム/リットル、約6グラム/リットル、約7グラム/リットル、約8グラム/リットル、約9グラム/リットル、約10グラム/リットル、約11グラム/リットル、約12グラム/リットル、約13グラム/リットル、約14グラム/リットル、約15グラム/リットル、約16グラム/リットル、約17グラム/リットル、約18グラム/リットル、約19グラム/リットル、約20グラム/リットル、約21グラム/リットル、約22グラム/リットル、約23グラム/リットル約24グラム/リットル、約25グラム/リットル、約26グラム/リットル、約27グラム/リットル、約28グラム/リットル、約30グラム/リットル、約35グラム/リットル、約40グラム/リットル、約45グラム/リットル、約50グラム/リットル、約1グラム/リットル〜約5グラム/リットル、約1グラム〜約10グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約12グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約13グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約14グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約15グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約16グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約17グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約18グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約19グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約20グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約21グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約22グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約23グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約24グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約30グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約40グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約50グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約12グラム/リットル、約12グラム/リットル〜約14グラム/リットル、約14グラム/リットル〜約16グラム/リットル、約16グラム/リットル〜約18グラム/リットル、約18グラム/リットル〜約20グラム/リットル、約20グラム/リットル〜約22グラム/リットル、約22グラム/リットル〜約24グラム/リットル、約23グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約11グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約12グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約13グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約14グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約15グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約16グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約17グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約18グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約19グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約20グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約21グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約22グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約23グラム/リットル〜約25グラム/リットルまたは約24グラム/リットル〜約25グラム/リットルである。ある実施態様において、可溶性組み換えタンパク質の収量は、約10グラム/リットル〜約13グラム/リットル、約12グラム/リットル〜約14グラム/リットル、約13グラム/リットル〜約15グラム/リットル、約14グラム/リットル〜約16グラム/リットル、約15グラム/リットル〜約17グラム/リットル、約16グラム/リットル〜約18グラム/リットル、約17グラム/リットル〜約19グラム/リットル、約18グラム/リットル〜約20グラム/リットル、約20グラム/リットル〜約22グラム/リットル、約22グラム/リットル〜約24グラム/リットルまたは約23グラム/リットル〜約25グラム/リットルである。ある実施態様において、可溶性組み換えタンパク質の収量は、約10グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約12グラム/リットル〜約24グラム/リットル、約14グラム/リットル〜約22グラム/リットル、約16グラム/リットル〜約20グラム/リットルまたは約18グラム/リットル〜約20グラム/リットルである。ある実施態様において、抽出タンパク質収量は、約5グラム/リットル〜約15グラム/リットル、約5グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約15グラム/リットル、約10グラム/リットル〜約25グラム/リットル、約15グラム/リットル〜約20グラム/リットル、約15グラム/リットル〜約25グラム/リットルまたは約18グラム/リットル〜約25グラム/リットルである。
ある実施態様において、可溶性フラクションで検出される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量は、産生される総可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の約10%〜約100%である。ある実施態様において、この量は、産生される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%または約100%である。ある実施態様において、この量は、産生される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量の約10%〜約20%、20%〜約50%、約25%〜約50%、約25%〜約50%、約25%〜約95%、約30%〜約50%、約30%〜約40%、約30%〜約60%、約30%〜約70%、約35%〜約50%、約35%〜約70%、約35%〜約75%、約35%〜約95%、約40%〜約50%、約40%〜約95%、約50%〜約75%、約50%〜約95%、約70%〜約95%または約80〜約100%である。
ある実施態様において、目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量は、培養で産生される総可溶性タンパク質のパーセンテージとして表される。目的の可溶性ポリペプチドまたはある細胞密度でのタンパク質重量/細胞培養物体積で示されるデータは、総細胞タンパク質の組み換えタンパク質パーセントで表されるデータに変換できる。例えば、ある細胞密度での細胞培養物の体積あたりの総細胞タンパク質の量を知ることにより、体積タンパク質収量を%総細胞タンパク質に変換することは、当業者の能力の範囲内である。この数値は、1)ある細胞密度での細胞重量/培養物の体積および2)細胞重量に含まれる総タンパク質のパーセントが分かるならば、決定され得る。例えば、1.0のOD550で、大腸菌の乾燥細胞重量は0.5グラム/リットルと報告されている(“Production of Heterologous Proteins from Recombinant DNA Escherichia coli in Bench Fermentors,” Lin, N.S., and Swartz, J.R., 1992, METHODS: A Companion to Methods in Enzymology 4: 159-168)。細菌細胞は、多糖、脂質および核酸ならびにタンパク質からなる。大腸菌細胞は、タンパク質が大腸菌細胞の52.4重量%を構成すると推定するDa Silva, N.A., et al., 1986, “Theoretical Growth Yield Estimates for Recombinant Cells,” Biotechnology and Bioengineering, Vol. XXVIII: 741-746および大腸菌のタンパク質含量を55%乾燥細胞重量と報告する“Escherichia coli and Salmonella typhimurium Cellular and Molecular Biology,” 1987, Ed. in Chief Frederick C. Neidhardt, Vol. 1, pp. 3-6を含むが、これらに限定されない文献により、約52.4〜55%タンパク質であると報告されている。上記記載を使用して(すなわち、0.5グラム/リットルの乾燥細胞重量および55%細胞重量のタンパク質)、大腸菌の1.0のA550での細胞培養物体積あたりの総細胞タンパク質量は、275μg総細胞タンパク質/ml/A550と計算される。湿細胞重量に基づく細胞培養物体積あたりの総細胞タンパク質の計算は、例えば、大腸菌についての1.0のA600が1.7グラム/リットルの湿細胞重量および0.39グラム/リットルの乾燥細胞重量をもたらすとする、Glazyrina, et al. の報告(Microbial Cell Factories 2010, 9:42、引用により本明細書に包含)を使用できる。例えば、この湿細胞重量対乾燥細胞重量比較および上記55%乾燥細胞重量としてのタンパク質を使用して、大腸菌について1.0のA600での細胞培養物体積あたりの総細胞タンパク質量は、215μg総細胞タンパク質/ml/A600と計算される。シュードモナス・フルオレッセンスについて、ある細胞密度での細胞培養物体積あたりの総細胞タンパク質量は大腸菌で見られるものに類似する。シュードモナス・フルオレッセンスは、大腸菌と同様、グラム陰性、桿菌である。Edwards, et al., 1972, “Continuous Culture of Pseudomonas fluorescens with Sodium Maleate as a Carbon Source,” Biotechnology and Bioengineering, Vol. XIV, pages 123-147に報告されているシュードモナス・フルオレッセンスATCC11150の乾燥細胞重量は、0.5グラム/リットル/A500である。これは、1.0のA550で大腸菌についてLin, et al.により報告されているのと同じ重量である。500nmおよび550nmで行われる光散乱測定値は、極めて類似すると予測される。シュードモナス・フルオレッセンスHK44について総細胞タンパク質が占める細胞重量のパーセントは、例えば、Yarwood, et al., July 2002, “Noninvasive Quantitative Measurement of Bacterial Growth in Porous Media under Unsaturated-Flow Conditions,” Applied and Environmental Microbiology 68(7):3597-3605により、55%と報告されている。このパーセンテージは、上記文献により大腸菌について示されているのに類似するかまたは同じである。
ある実施態様において、産生される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量は、培養物中に産生される総可溶性タンパク質の約0.1%〜約95%である。ある実施態様において、この量は、培養物中に産生される総可溶性タンパク質の約0.1%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%を超える。ある実施態様において、この量は、培養物中に産生される総可溶性タンパク質の約0.1%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%である。ある実施態様において、この量は、培養物中に産生される総可溶性タンパク質の約5%〜約95%、約10%〜約85%、約20%〜約75%、約30%〜約65%、約40%〜約55%、約1%〜約95%、約5%〜約30%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50〜約60%、約60%〜約70%または約80%〜約90%である。
ある実施態様において、産生される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量は、乾燥細胞重量(DCW)の約0.1%〜約50%である。ある実施態様において、この量は、DCWの約0.1%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%または50%を超える。ある実施態様において、この量は、DCWの約0.1%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%または50%である。ある実施態様において、この量は、培養物中に産生される総可溶性タンパク質の約5%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約30%、約1%〜約20%、約5%〜約25%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%または約40%〜約50%である。
ある実施態様において、本発明の方法を使用して製造される分泌リーダーにとって異種である目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパクの量は、宿主細胞を含み、実質的に類似する条件、例えば、増殖条件下で産生したときの分泌リーダーにとって天然であるタンパク質の量より多い。ある実施態様において、本方法により、AnsB、8484または5193分泌リーダーに操作可能に結合される目的の可溶性異種ポリペプチドまたはタンパク質は、各リーダーにとって天然であるタンパク質の量より多い量で産生される。ある実施態様において、AnsB、8484または5193分泌リーダーに操作可能に結合される目的の可溶性異種ポリペプチドまたはタンパク質は、実質的に類似する条件下で産生される、該リーダーにとって天然であるタンパク質より約1.2倍〜約5倍多い、約1.2倍〜約2.5倍、約1.2倍〜約2倍、約1.2倍〜約1.5倍、約1.4倍〜約3倍多い、約1.4倍〜約2.5倍、約1.4倍〜約2倍、約1.5倍〜約3倍、約1.5倍〜約2.5倍、約1.5倍〜約2倍、約2倍〜約3倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍または約5倍多い収量で産生される。
ある実施態様において、本発明の方法を使用して、該分泌リーダーに操作可能に結合される目的の可溶性ポリペプチドまたはタンパク質の量は、実質的に類似する条件、例えば、増殖条件下で、該分泌リーダーを用いずにまたは異なる分泌リーダーを用いて産生される目的のポリペプチドまたはタンパク質の量より多い。増殖条件は、例えば、使用する培養培地および宿主細胞を含み得る。ある実施態様において、本方法により、AnsB、8484または5193分泌リーダーに操作可能に結合される目的の可溶性異種ポリペプチドまたはタンパク質は、分泌リーダーを用いずにまたは異なる分泌リーダーを用いて産生される目的のタンパク質の量より多い量で産生される。ある実施態様において、AnsB、8484または5193分泌リーダーに操作可能に結合される目的の可溶性異種ポリペプチドまたはタンパク質は、実質的に類似する条件下で、分泌リーダーを用いずにまたは異なる分泌リーダーを用いて産生されるタンパク質の量より約1.2倍〜約20倍多い、約1.2倍〜約2.5倍、約1.2倍〜約2倍、約1.2倍〜約1.5倍、約1.4倍〜約3倍多い、約1.4倍〜約2.5倍、約1.4倍〜約2倍、約1.5倍〜約3倍、約1.5倍〜約2.5倍、約1.5倍〜約2倍、約2倍〜約5倍、約2倍〜約10倍、約5倍〜約15倍、約10倍〜約20倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍多い、約10倍多い、約15倍多いまたは約20倍多い収量で産生される。
溶解度および活性
タンパク質の「溶解度」および「活性」は、品質に関係するが、一般に種々の手段により決定される。タンパク質、特に疎水性タンパク質の溶解度は、疎水性アミノ酸残基が折り畳まれたタンパク質外側に不適切に位置することを示す。しばしば、例えば、下記のとおり、種々の方法を使用して評価されるタンパク質活性は、適切なタンパク質高次構造の他のインディケータである。ここで使用する「可溶性、活性または両者」は、当分野で知られる方法により、可溶性、活性または可溶性かつ活性両者であることが決定されたタンパク質をいう。
活性アッセイ
目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の活性を評価するアッセイは当分野で知られ、当業者に利用可能な蛍光定量、比色定量、化学発光、分光光度および他の酵素アッセイを含むが、これらに限定されない。これらのアッセイを使用して、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の活性を、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の商業的なまたは他の調製物と比較する。
ある実施態様において、活性は、アッセイした総量と比較した、抽出上清におけるパーセント活性タンパク質により表される。これは、アッセイで使用したタンパク質の総量に対する、アッセイにより活性であると決定された、タンパク質の量に基づく。他の実施態様において、活性は、標準、例えば、天然タンパク質と比較した、タンパク質の%活性レベルにより表される。これは、標準サンプルにおける活性タンパク質の量に対する上清抽出サンプルにおける活性タンパク質の量に基づく(各サンプルから同量のタンパク質をアッセイに使用したとき)。
ある実施態様において、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の約40%〜約100%が活性であると決定される。ある実施態様において、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%が活性であると決定される。ある実施態様において、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%、約90%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約40%〜約90%、約40%〜約95%、約50%〜約90%、約50%〜約95%、約50%〜約100%、約60%〜約90%、約60%〜約95%、約60%〜約100%、約70%〜約90%、約70%〜約95%、約70%〜約100%または約70%〜約100%が活性であると決定される。
他の実施態様において、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の約75%〜約100%が活性であると決定される。ある実施態様において、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の約75%〜約80%、約75%〜約85%、約75%〜約90%、約75%〜約95%、約80%〜約85%、約80%〜約90%、約80%〜約95%、約80%〜約100%、約85%〜約90%、約85%〜約95%、約85%〜約100%、約90%〜約95%、約90%〜約100%または約95%〜約100%が活性であると決定される。
目的のタンパク質
ここでの方法および組成物は、細胞発現系において高レベルの適切に形成された目的の組み換えタンパク質またはポリペプチドを産生するために有用である。ある実施態様において、目的のタンパク質またはポリペプチド(ここでは「標的タンパク質」または「標的ポリペプチド」とも称する)は、任意の種および任意のサイズである。ある実施態様において、目的のタンパク質またはポリペプチドは治療上有用なタンパク質またはポリペプチドである。ある実施態様において、タンパク質は、哺乳動物タンパク質、例えばヒトタンパク質、例えば、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子または血液タンパク質である。ある実施態様において、目的のタンパク質またはポリペプチドは、対照タンパク質またはポリペプチドに類似する方法で形成される。ある実施態様において、タンパク質またはポリペプチドは、コード配列に分泌シグナルを含まない。ある実施態様において、目的のタンパク質またはポリペプチドは、サイズが100kD未満、50kD未満または30kD未満である。ある実施態様において、目的のタンパク質またはポリペプチドは、少なくとも約5、10、15、20、30、40、50または100アミノ酸のものである。
分子遺伝学および遺伝子工学技術に必要な広範な配列情報は、広く一般に入手可能である。哺乳動物ならびにヒトの完全ヌクレオチド配列、遺伝子、cDNA配列、アミノ酸配列およびゲノムへのアクセスは、しばしばGenBankから、ウェブサイトwww.ncbi.nlm.nih.gov/Entrezで得られる。さらなる情報は、Weizmann Institute of Science Genome and Bioinformaticsからの遺伝子およびその産物ならびに生物医学的応用に関する情報をまとめた電子百科事典であるGeneCardsからも得られることがあり、ヌクレオチド配列情報はEMBL Nucleotide Sequence Databaseまたは日本DNAデータバンク(DDBJ)から得られることもあり、アミノ酸配列についての情報のさらなるサイトは、Georgetown's protein information resource websiteおよびSwiss-Protを含む。
本発明の組成物および方法でしばしば発現されるタンパク質の例は、例えば、レニン、ヒト成長ホルモンを含む成長ホルモン;ウシ成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α1−アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;トロンボポエチン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば第VIIIC因子、第IX因子、組織因子およびフォンウィルブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;プラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲンアクティベーター(t−PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子アルファおよびベータ;エンケファリナーゼ;血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制因子;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ポリペプチド;微生物タンパク質、例えばベータ−ラクタマーゼ;Dnase;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子(VEGF);ホルモンまたは増殖因子の受容体;インテグリン;プロテインAまたはD;リウマチ様因子;神経栄養因子、例えば脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5もしくは−6(NT−3、NT−4、NT−5またはNT−6)または神経増殖因子、例えばNGF−β;カルジオトロフィン(心肥大因子)、例えばカルジオトロフィン−1(CT−1);血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞増殖因子、例えばaFGFおよびbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGF−アルファおよびTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−β;インスリン様増殖因子−Iおよび−II(IGF−IおよびIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えばCD−3、CD−4、CD−8およびCD−19;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えばインターフェロン−アルファ、−ベータおよび−ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M−CSF、GM−CSFおよびG−CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1〜IL−10;抗HER−2抗体;スーパーオキシドディスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;例えば、例えば、AIDSエンベロープの一部などのウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレッシン;制御タンパク質;抗体;および上記ポリペプチドの何れかのフラグメントなどの分子を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、タンパク質またはポリペプチドはIL−1、IL−1a、IL−1b、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−12elasti、IL−13、IL−15、IL−16、IL−18、IL−18BPa、IL−23、IL−24、VIP、エリスロポエチン、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、血小板由来成長因子(PDGF)、MSF、FLT−3リガンド、EGF、線維芽細胞増殖因子(FGF;例えば、α−FGF(FGF−1)、β−FGF(FGF−2)、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6またはFGF−7)、インスリン様増殖因子(例えば、IGF−1、IGF−2);腫瘍壊死因子(例えば、TNF、リンフォトキシン)、神経増殖因子(例えば、NGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF);インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γ);白血病阻止因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタンチンM;幹細胞因子(SCF);トランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF−α、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);TNFスーパーファミリー(例えば、LIGHT/TNFSF14、STALL−1/TNFSF13B(BLy5、BAFF、THANK)、TNFアルファ/TNFSF2およびTWEAK/TNFSF12);またはケモカイン(BCA−1/BLC−1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA−78/LIX、エオタキシン−1、エオタキシン−2/MPIF−2、エクソダス−2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROアルファ/MGSA、HCC−1、I−TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP−1/MCAF、MCP−3、MCP−4、MDC/STCP−1/ABCD−1、MIP−1.quad.、MIP−1.quad.、MIP−2.quad./GRO.quad.、MIP−3.quad./エクソダス/LARC、MIP−3/エクソダス−3/ELC、MIP−4/PARC/DC−CK1、PF−4、RANTES、SDF1、TARC、TECKまたは毒素(例えば、ω−アガトキシン、μ−アガトキシン、アイトキシン、アロプミリオトキシン267A、ω−アトラトキシン−HV1、δ−アトラトキシン−Hv1b、バトラコトキシン、ボトロセチン、アレノブファギン、ブホタリン、ブフォテニン・シノブファギン、マリノブファギン、ブンガロトキシン、カルシクルジン、カルシスプテイン、カルディオトキシンIII、カトロコラスタチンC、カリブドトキシン、コブラ毒細胞毒、コノトキシン、エキノイジン、エレドイシン、エピバチジン、フィブロラーゼ、ヘフトキシン、ヒストリオニコトキシン、フエントキシンI、フエントキシンII、J−ACTX−Hv1cクニッツ型毒素、デンドロトキシンK、デンドロトキシン1、ラトロトキシン、マルガトキシン、マウロトキシン、オンキダール、PhTx3、プミリオトキシン251D、ガラガラヘビ・レクチン、ロブストキシン、サキシトキシン、シラトキシン、スロトキシン、ストロマトキシン、タイカトキシン、タリカトキシン、テトロドトキシン、リシン、ゲロニン、アフラトキシン、アマトキシン、シトリニン、サイトカラシン、エルゴタミン、フマギリン、フモニシン、グリオトキシン、ヘルボール酸、イボテン酸、ムッシモール、オクラトキシン、パツリン、ステリグマトシスチン、トリコテセン、ボミトキシン、ゼラノール、ゼアラレノン、炭疽毒素、アデニル酸シクラーゼ保護抗原、rPA、Cryトキシン、ボルデテラ・パーツシス毒素、クロストリジウム・ボツリヌム毒素、クロストリジウム・ディフィシル毒素、クロストリジウム・パーフリンジェンス毒素、破傷風菌毒素、ジフテリア毒素、ベロ毒素/志賀様毒素、熱安定性エンテロトキシン、熱不安定性エンテロトキシン、エンテロトキシン、リステリオリシンO、結核菌コードファクター、シュードモナス外毒素、サルモネラ内毒素、サルモネラ外毒素、志賀毒素、黄色ブドウ球菌アルファ毒素、黄色ブドウ球菌ベータ毒素、黄色ブドウ球菌デルタ毒素、エクスフォリアチン毒素、毒素ショック症候群毒素、エンテロトキシン、ロイコシジン、ストレプトリジンSまたはコレラ毒素)から選択される。
ここでのある実施態様において、目的のタンパク質は、マルチサブユニットタンパク質またはポリペプチドである。発現されるマルチサブユニットタンパク質は、ホモマーおよびヘテロマータンパク質を含む。マルチサブユニットタンパク質は、同一でも異なってもよい2以上のサブユニットを含み得る。例えば、タンパク質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサブユニットを含むホモマータンパク質であり得る。プロテインはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサブユニットを含むヘテロマータンパク質であり得る。マルチサブユニットタンパク質の例は、イオンチャネル受容体を含む受容体;コンドロイチンを含む細胞外マトリクスタンパク質;コラーゲン;MHCタンパク質、完全鎖抗体、抗体誘導体および抗体フラグメントを含む免疫調節剤;RNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼを含む酵素;および膜タンパク質を含む。
他の実施態様において、目的のタンパク質は、血液タンパク質であることがある。この実施態様で発現される血液タンパク質は、担体タンパク質、例えば、ヒトおよびウシアルブミンを含むアルブミン、トランスフェリン、組み換えトランスフェリン半分子、ハプトグロビン、フィブリノゲンおよび他の凝固因子、補体成分、免疫グロブリン、酵素阻害剤、アンギオテンシンおよびブラジキニンなどの物質の前駆体、インスリン、エンドセリンおよびアルファ、ベータおよびガンマ−グロブリンを含むグロブリンならびに主に哺乳動物血液に見られる他のタイプのタンパク質、ポリペプチドおよびそのフラグメントなどを含むが、これらに限定されない。多数の血液タンパク質についてアミノ酸配列が報告されており(S. S. Baldwin (1993) Comp. Biochem Physiol. 106b:203-218参照)、ヒト血清アルブミン(Lawn, L. M., et al., 1981, Nucleic Acids Research, 6103-6114)およびヒト血清トランスフェリン(Yang, F. et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2752-2756)についてのアミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、目的のタンパク質は、組み換え酵素または補因子であることがある。この実施態様で発現される酵素および補因子は、アルドラーゼ、アミンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アスパルターゼ、B12依存性酵素、カルボキシペプチダーゼ、カルボキシエステラーゼ、カルボキシリアーゼ、ケモトリプシン、CoA要求性酵素、シアノヒドリンシンテターゼ、シスタチオンシンターゼ、デカルボキシラーゼ、デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、デヒドラターゼ、ジアホラーゼ、ジオキシゲナーゼ、エノエートレダクターゼ、エポキシドヒドラーゼ、フマラーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、ニトリルヒドラーゼ、ヌクレオシドホスホリラーゼ、オキシドレダクターゼ、オキシニトリラーゼ、ペプチダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、治療活性ポリペプチドに融合した酵素、組織プラスミノーゲン活性化因子;ウロキナーゼ、レプチラーゼ、ストレプトキナーゼ;カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ;Dnase、アミノ酸加水分解酵素(例えば、アスパラギナーゼ、アミド加水分解酵素);カルボキシペプチダーゼ;プロテアーゼ、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、コラゲナーゼ;ノイラミニダーゼ;ラクターゼ、マルターゼ、スクラーゼおよびアラビノフラノシダーゼを含むが、これらに限定されない。
他の実施態様において、目的のタンパク質は、抗体または抗体誘導体であることがある。ある実施態様において、抗体または抗体誘導体は、ヒト化抗体、修飾抗体、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ、サメシングルドメインIgNARまたはVNAR抗体、ラクダ類シングルドメイン抗体)、異種特異的抗体、三価抗体、二特異的抗体(例えば、BiTE分子)、一本鎖抗体、Fab、Fabフラグメント、直線状抗体、ダイアボディ、完全鎖抗体またはそのフラグメントもしくは一部である。一本鎖抗体は、しばしば一つの安定に折り畳まれたポリペプチド鎖上の抗体の抗原結合領域を含む。Fabフラグメントは、しばしば特定の抗体の一片である。Fabフラグメント通常は、抗原結合部位を含む。Fabフラグメントは、しばしば2つの鎖、軽鎖および重鎖フラグメントを含む。これらのフラグメントは、通常リンカーまたはジスルフィド結合を介して連結される。本方法において有用な抗体および抗体誘導体は当分野で知られ、文献、例えば、本明細書の他の箇所で引用し、引用により本明細書に包含させる米国9,580,719の表9に記載されている。
目的のタンパク質またはポリペプチドのコード配列は、しばしば、利用可能であれば、標的ポリペプチドにとって天然コード配列であるが、より頻繁には、例えば、シュードモナス・フルオレッセンスなどのシュードモナス種または他の適当な生物のコドン利用バイアスを反映した遺伝子の合成により選択発現宿主細胞における使用のために選択、改善または最適化されているコード配列である。得られる遺伝子は、1以上のベクター内で構築されるかまたはその中に挿入されており、次いで該ベクターが発現宿主細胞に形質転換される。「発現可能形態」で提供されると言われる核酸またはポリヌクレオチドは、選択発現宿主細胞により発現される少なくとも一つの遺伝子を含む、核酸またはポリヌクレオチドをいう。
ある実施態様において、目的のタンパク質は、天然哺乳動物またはヒトタンパク質などの天然タンパク質であるか、またはそれに実質的に相同である。これらの実施態様において、タンパク質はコンカテマー形態では見られないが、分泌シグナルおよび所望により精製および/または認識用のタグ配列にのみ連結される。
他の実施態様において、目的のタンパク質は、約20〜約42℃の温度で活性であるタンパク質である。ある実施態様において、タンパク質は生理学的温度で活性であり、65℃を超える温度のような高温または極端な温度に加熱したとき、不活性化される。
ある実施態様において、目的のタンパク質は、約20〜約42℃の温度で活性であるおよび/または65℃を超える温度のような高温または極端な温度に加熱したとき不活性化される;天然哺乳動物またはヒトタンパク質などの天然タンパク質であるかまたはそれに実質的に相同であり、核酸からコンカテマー形態で発現されない;そしてプロモーターは、シュードモナス・フルオレッセンスの天然プロモーターではなく、大腸菌などの他の生物由来であるタンパク質である。
他の実施態様において、タンパク質は、産生したとき、またさらなる標的化配列、例えばタンパク質を細胞外培地に標的化する配列も含む。ある実施態様において、さらなる標的化配列は、該タンパク質のカルボキシ末端に操作可能に結合される。他の実施態様において、タンパク質は、オートトランスポーター、2パートナー分泌系、メインターミナルブランチ系または線毛アッシャーポリンのための分泌シグナルを含む。
次の実施例は、説明として提供され、限定としてではない。
次の実施例は本発明の種々の実施態様を説明する目的で示し、どのような方式でも本発明を限定することを意図しない。本実施例は、ここに記載する方法と共に、現在代表的な実施態様であり、例示であり、範囲を限定することは意図されない。特許請求の範囲の範囲により定義される本発明の精神内に含まれるその変更および他の使用は、当業者により容易に想到される。
実施例1:タンパク質発現分析
3つのシュードモナス・フルオレッセンス分泌リーダー、AnsB、8484および5193の各々が、3つの異なる組み換えタンパク質の可溶性発現を指示する効率を、0.5mL培養規模で評価した。
各分泌リーダーコード配列を、大腸菌K−12チオレドキシン1(Trx−1またはTrxA、11.9kDa)、Gal2一本鎖抗体(gal2 scFv、29.6kDa)およびバチルス・アンシラシス変異体組み換え保護抗原(mrPA、83.7kDa)をコードする遺伝子と、インフレームで融合させた。これらの構築物から発現されたタンパク質を、同じ組み換えタンパク質の各々に融合したPbp分泌リーダーコード配列を有する構築物および各タンパク質の細胞質発現のために構築された株からの発現と比較した。細胞質発現株構築物は、イニシエーターメチオニン、続いて、TrxA、Gal2またはmrPAコード配列に融合したアラニンをコードした。プラスミド構築物でシュードモナス・フルオレッセンス株DC454を形質転換し、選択的培地(M9グルコース)で増殖させて、陽性クローンを単離した。この試験の結果を、下の表6に示す。SDS−CGE像例を、図1(TrxA)、図2(Gal2scFv)および図3(mrPA)に示す。
各株を、無機塩培地で24時間、トリプリケートで増殖させ、続いてIPTGで誘導し、さらに24時間インキュベートした。ブロスを集め、PBSで3倍希釈し、超音波処理し、遠心分離した。上清を可溶性タンパク質フラクションとして集め、SDS−CGE(Caliper LabChip(登録商標)GXII系を使用)により分析した。誘導されたバンドを、系内部ラダーとの比較で定量化した。Gal2 scFvおよびmrPAタンパク質は、AnsB、8484および5193リーダーと融合させたとき、TrxAより高いレベルで発現されたが、該タンパク質を細胞質に標的化させたとき、Gal2またはmrPAの発現は検出されなかった。
実施例2:96ウェル形式でのクリサンタスパーゼTier 1発現プラスミドスクリーニング
さらに、エルウィニア属II型L−アスパラギナーゼ(クリサンタスパーゼ)−リーダー融合構築物からのタンパク質発現を評価した。
発現プラスミドスクリーニングのために、最適化クリサンタスパーゼタンパク質コード配列を、シュードモナス・フルオレッセンスにおける発現のために設計し、合成した。クリサンタスパーゼペプチド配列(図4、アミノ酸配列は配列番号7として示し、核酸配列は配列番号8として示す)をコードするDNAを、シュードモナス・フルオレッセンスのための適切なコドン使用を反映するように設計した。特有の制限酵素部位(SapIまたはLguI)を含むDNA領域を、発現ベクターに存在する分泌リーダーコード配列とのインフレームでの融合を指示するように設計されたクリサンタスパーゼコード配列の上流に加えた。3つの終止コドンおよび特有の制限酵素部位(SapI)を含むDNA領域を、コード配列下流に加えた。37の異なるシュードモナス・フルオレッセンス分泌リーダーおよび2つのリボソーム結合部位(RBS)親和性に融合した最適化クリサンタスパーゼ遺伝子を担持するプラスミドを構築した(表7)。さらなるプラスミドを構築して、細胞質内にクリサンタスパーゼタンパク質を局在化させるために周辺リーダーを伴わないクリサンタスパーゼタンパク質を発現させた。標的の発現はPtacプロモーターから駆動され、翻訳は高活性リボゾーム結合部位(RBS)から開始された。得られた40プラスミドを、2つのシュードモナス・フルオレッセンス宿主株、DC454(WT)およびDC441(PD)に形質転換して、Tier 1(発現戦略)スクリーニングのために80発現株を産生した。発現戦略の等級付けは、クリサンタスパーゼ単量体のSDS−CGE推定力価に基づいた。発現戦略スクリーニングの主要目的は、発現プラスミドおよびその組み込まれた遺伝要素の大サブセットの評価および得られる標的発現の品質が劣悪な発現戦略の除外であった。
80形質転換(40発現戦略×2宿主株)から得られた培養物を、実施例2に記載のとおり96ウェルプレートで増殖させた。誘導24時間後に収集した全培養ブロスからの超音波処理フラクションサンプルを、SDS−CGEにより分析した。クリサンタスパーゼ単量体の予測分子量(35kDa)と一致し、また大腸菌L−Asp(Sigma Product #A3809)と共遊走する誘導タンパク質発現を定量化した。還元サンプルのSDS−CGE定量化を、誘導されたバンドと大腸菌L−Asp標準曲線との比較により達成した。DC454およびDC441宿主株両者からの20の最高収量サンプルを、推定可溶性クリサンタスパーゼ単量体力価に基づきランク付けした(表9)。図5は、96ウェル培養物可溶性超音波処理サンプルの分析により作成したSDS−CGEゲル様の図を示す。表9は、DC454(左の表)およびDC441(右の表)宿主株において発現されるプラスミドについて、
還元可溶性超音波処理物のSDS−CGE分析により推定され、Labchip(登録商標)内部ラダーにより定量化された24時間誘導後(I24)力価を示す。各p743発現プラスミドから産生された分泌リーダー融合も示す。
DC454およびDC441宿主株両者由来の上位10位の最高収量発現株で観察された6つのプラスミドおよび組み込まれた分泌リーダー(p743−013(FlgI)、p743−038(8484)、p743−020(LolA)、p743−018(DsbC)、p743−009(Ibp−S31A)およびp743−034(5193))を、表9で
**で示す。さらに、クリサンタスパーゼタンパク質の細胞質発現のために設計されたp743−001発現プラスミドは、両宿主について上位2位の最高可溶性収量にランク付けされた。合わせた両宿主株から、上位10位最高可溶性力価は、525〜1,523μg/mL範囲であった。全発現で観察された不溶性収量は低く、達成された最高不溶性収量はp743−013プラスミドを使用して230μg/mLであった。SDS−CGEバンド形成パターン(図5)の観察は、大部分の完全分泌リーダー処理(周辺質への排出による除去)はp743−013、p743−033(リーダーO)、p743−038、p743−009およびp743−018発現プラスミドを使用して生じたが、p743−016およびp743−017プラスミドは、顕著に低い分子量の切断産物を産生することが観察された。表8に示す10の発現プラスミドは、SDS−CGE推定高可溶性力価に基づき、96ウェルHTP規模でのその後の宿主株スクリーニングに選択した。次いで、10の選択発現戦略を、クリサンタスパーゼタンパク質力価および品質にさらに影響する24の特有の宿主株と組み合わせた。
表9は、DC454(左の表)およびDC441(右の表)宿主株において発現されるプラスミドについて、還元可溶性超音波処理物のSDS−CGE分析により推定され、Labchip(登録商標)内部ラダーにより定量化された24時間誘導後(I24)の力価を示す。各p743発現プラスミドから産生された分泌リーダー融合も示す。
実施例3:大腸菌アスパラギナーゼ発現構築物の調製
大腸菌アスパラギナーゼ−リーダー融合構築物からのタンパク質発現を評価した。
大腸菌A−1−3 L−アスパラギナーゼII遺伝子を、シュードモナス・フルオレッセンスでの発現のために最適化し、細胞質および周辺発現のために一組の発現ベクターにクローン化した。使用するアミノ酸配列は、ここに配列番号9として開示されている。使用する核酸配列は、ここに配列番号10として開示されている。
発現を、一連の分泌リーダー配列を使用して評価し、一部は高RBS配列および一部は中RBS配列であった。さらに、細胞質発現を、リーダーを使用せずに評価した。
各構築物を、シュードモナス・フルオレッセンス宿主株DC454(pyrF欠損、PDまたはFMO無し)およびDC441(pyrF欠損PD)に形質転換し、得られた発現株を、0.5mL培養で大腸菌A−1−3 L−アスパラギナーゼII産生について評価した。全培養液を超音波処理し、遠心分離し、可溶性フラクションをSDS−CGEで分析した。
96ウェル形式での増殖および発現
発現プラスミドスクリーニングのために、大腸菌A−1−3 L−アスパラギナーゼII発現プラスミドの各々のライゲーション混合物を、次のとおり、シュードモナス・フルオレッセンス宿主株DC454およびDC441細胞に形質転換した。25マイクロリットルのコンピテント細胞を解凍し、96マルチウェルNucleovette(登録商標)プレート(Lonza)に移し、ライゲーション混合物を各ウェルに加えた。細胞をNucleofectorTM 96ウェルShuttleTM系(Lonza AG)を使用して電気穿孔した。次いで、細胞を96ディープウェルプレートに、400μl M9塩1%グルコース培地および微量元素と共に移した。96ウェルプレート(播種プレート)を、30℃で振盪させながら48時間インキュベートした。10マイクロリットルの種培養物を、96ディープウェルプレートにデュプリケートで移し、各ウェルは、微量元素および5%グリセロールを添加した500μlのHTP培地を含み、先のとおり、24時間インキュベートした。イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を、24時間時点で各ウェルに0.3mMの最終濃度で加えて、標的タンパク質の発現を誘導した。マンニトール(Sigma)を、1%の最終濃度で各ウェルに加えて、折り畳みモジュレーター過発現株における折り畳みモジュレーターの発現を誘導した。細胞密度を、増殖をモニターするために誘導24時間後光学密度600nm(OD600)で測定した。誘導24時間後、細胞を集め、1×PBSで400μlの最終体積に1:3希釈し、次いで凍結した。下記のとおりサンプルを調製し、分析した。
発現プラスミドスクリーニングで同定された上位サンプルの発現結果を表10および11に示す。
宿主株スクリーニングについて、発現プラスミドスクリーニング結果に基づき選択された発現プラスミドを、各々、野生型(WT)または親DC454株、プロテアーゼ欠失(PD)株、折り畳みモジュレーター過発現(FMO)株およびプロテアーゼ欠失と折り畳みモジュレーター過発現(PD/FMO)株を含む、アレイで24シュードモナス・フルオレッセンス宿主株の各々に形質転換した。シュードモナス・フルオレッセンスアスパラギナーゼ分泌リーダー(AnsB)に融合した大腸菌アスパラギナーゼをアレイに含めた(配列番号1として示すアミノ酸配列;配列番号4として示すコード配列)。折り畳みモジュレーターは、存在するとき、第二プラスミドにコードされ、発現はシュードモナス・フルオレッセンス−天然マンニトール誘導性プロモーターにより駆動された。宿主株スクリーニング形質転換を次のとおり実施した:25マイクロリットルのシュードモナス・フルオレッセンス宿主株コンピテント細胞を解凍し、96マルチウェルNucleovette(登録商標)プレートに移し、10μlプラスミドDNA(10ng)を各ウェルに加えた。プラスミド発現スクリーニングについて上記のとおり、細胞を電気穿孔し、培養し、HTP形式で誘導し、集めた。下記のとおりサンプルを調製し、分析した。
分析用サンプル調製
可溶性フラクションを超音波処理、続いて遠心分離により調製した。培養ブロスサンプル(400μL)を、次の設定下、24プローブチップホーンを用いるCell Lysis Automated Sonication System(CLASS, Scinomix)で超音波処理した:パルスあたり10秒間でウェルあたり20パルスおよび各パルス間10秒間60%出力(Sonics Ultra-Cell)。溶解物を、5,500×gで15分間(4℃)遠心分離し、上清を集めた(可溶性フラクション)。
SDS−CGE分析
タンパク質サンプルを、マイクロチップSDSキャピラリーゲル電気泳動により、Labchip GXII装置(PerkinElmer)をHT Protein Expressチップおよび対応する試薬(PerkinElmer)と共に使用して分析した。サンプルを製造業者のプロトコルに従い調製した(Protein User Guide Document No. 450589, Rev. 3)。簡潔には、96ウェルポリプロピレン円錐形ウェルPCRプレートで、4μLのサンプルを14μLのサンプル緩衝液、70mM DTT還元剤と混合し、加熱した。
誘導24時間後全培養液サンプルを上記のとおり処理し、可溶性フラクションをSDS−CGEにより分析した。
商業的に入手可能なL−アスパラギナーゼ活性アッセイキット(Sigma)により、ヌルサンプルと比較して、有意なL−アスパラギナーゼ活性が、最高産生株STR55382(Laoリーダー)からのHTP培養溶解物サンプルから検出された。
発現プラスミドスクリーニング実験でスクリーニングしたプラスミドおよび対応する分泌リーダーは次のものを含む。
p742−006(Azu)
p742−008(LAO)
p742−009(Ibp−S31A)
p742−016(Pbp)
p742−017(PbpA20V)
p742−021(リーダーD)
p742−037(リーダーR)
p742−038(8484)
p742−041(シュードモナス・フルオレッセンスAnsB)。
発現株を上記のとおり培養し、誘導した。可溶性および不溶性フラクションのSDS−CGE分析は、アスパラギナーゼの高レベル発現を示した(図6)。表12に示すものを含む発現株で高力価が観察された。
実施例4:株の構築
次のシュードモナス・フルオレッセンスアスパラギナーゼKO宿主株を産生した。
PF1433(PyrF、AspG1およびAspG2欠損)を、宿主株DC454(PyrF欠損)におけるaspG2およびaspG1遺伝子の連続的欠失により構築した。
PF1434(PyrF、ProC、AspG1およびAspG2欠損)を、宿主株DC455(pyrF proC)におけるaspG1およびaspG2遺伝子の連続的欠失により構築した。株DC455は、DC542およびDC549両者の親株である。
PF1442(PyrF、ProC、AspG1、AspG2、Lon、DegP1、DegP2 S219A、Prc1およびAprA欠損)は、宿主株PF1201(PyrF、ProC、プロテアーゼLon、DegP1、DegP2 S219A、Prc1およびAprA欠損)におけるaspG2およびaspG1の連続的欠失により構築した。
PF1443(PyrF、ProC、AspG1およびAspG2欠損;pDOW3700から発現されたFMO LepB)は、LepBコード化FMOプラスミドpDOW3700のPF1434への形質転換により構築した。
PF1444(PyrF、ProC、AspG1およびAspG2欠損;pDOW3707から発現されたFMO Tig)を、Tigコード化FMOプラスミドpDOW3703のPF1434への形質転換により構築した。
PF1445(PyrF、ProC、AspG1、AspG2、Lon、DegP1、DegP2、S219A、Prc1およびAprA欠損;pFNX4142から発現されたFMO DsbAC−Skp)を、DsbAC−Skpコード化プラスミドpFNX4142でのPF1442の形質転換により構築した。
実施例5:選択発現株の2L発酵および可溶性%TCP計算
実施例3に記載する株STR57863およびSTR57860を2L発酵に調整し、各々8つまでの異なる発酵条件下スクリーニングした。2L規模発酵(約1L最終発酵体積)を、酵母エキスおよびグリセロールを添加した600mLの合成培地を含む振盪フラスコに、選択株の凍結培養貯蔵物を接種することにより産生した。30℃で16〜24時間振盪しながらインキュベートした後、各振盪フラスコ培養物の等量を、高バイオマスを支持するように設計された合成培地を含む8ユニット多重発酵系の各々に無菌的に移した。2L発酵装置中、グリセロール流加バッチモードでpH、温度および溶存酸素制御条件下、培養を操作した。流加バッチ高細胞密度発酵法は、増殖期と、続く、培養が標的バイオマス(湿細胞重量)に達したときのIPTGおよび5g/Lマンニトール添加により開始される誘導期からなる。誘導期中の条件は、実験計画により変わった。発酵の誘導期は、約24時間進行させた。分析サンプルを発酵装置から抜いて、細胞密度(575nmの光学密度)を決定し、次いで、その後の標的遺伝子発現レベルの決定の分析のために凍結させた。誘導後24時間の最終時点で、各容器の全発酵ブロスを、15,900×gで60〜90分間の遠心分離により集めた。細胞ペーストと上清を分離し、ペーストを保持し、−80℃で凍結した。
表14は、数発酵条件下の、株STR57863およびSTR57860での発現結果を示す。示されるとおり、初期株/発酵条件組み合わせのいくつかは、>30%TCPアスパラギナーゼ発現をもたらした。総細胞タンパク質は次のとおり計算した。
A550での0.55 DCW総細胞タンパク質×500μg/mL DCW=A550での275μg総細胞タンパク質/ml(またはmg/L)=1
最終時点(I24)でのTCP=OD575*275mg/L TCP
可溶性%TCP=100*(可溶性力価/TCP)
実施例6:アスパラギナーゼ振盪フラスコ発現
振盪フラスコ発現(200mL)をクリサンタスパーゼ、大腸菌II型L−アスパラギナーゼおよびシュードモナス・フルオレッセンスII型L−アスパラギナーゼ発現株からのタンパク質産生の評価のために実施した。表15に示すとおり、アスパラギナーゼ発現プラスミドをアスパラギナーゼ欠損宿主株PF1433に形質転換して、発現株を産生した。振盪フラスコサンプルから産生された溶解物を、LC−MS分析による初期活性分析およびインタクト質量の確認に使用した。
表15は、200mL作業体積振盪フラスコ規模で分析した、PF1433宿主株(天然アスパラギナーゼ欠損、野生型株)を使用して構築した3種のクリサンタスパーゼ発現株の還元可溶性および不溶性超音波処理フラクション(10の異なる繰り返し)のSDS−CGE分析により決定した平均推定力価を示す。SDS−CGE力価を、大腸菌L−Asp(Sigma)標準曲線との比較に基づき推定した。各株の可溶性および不溶性超音波処理分析両者から撮ったSDS−CGEゲル様画像を図7に示す。AnsBリーダーを含む構築物(STR55981、天然分泌リーダー−天然アスパラギナーゼタンパク質融合)から産生されたシュードモナス・フルオレッセンス天然L−Asp2タンパク質の力価が、AnsBリーダー(STR55976)を含む構築物、すなわち、AnsBリーダーが異種アスパラギナーゼタンパク質に融合したものから産生された大腸菌アスパラギナーゼタンパク質の力価より相当低かったことが顕著である(677μg/mlに対して1011μg/ml、約1.5倍差)。
本分析には、2つのヌル株STR55982およびDC432からの振盪フラスコ増殖が含まれた。DC432株は、野生型シュードモナス・フルオレッセンス宿主株にクリサンタスパーゼコーディング領域を含まないプラスミドpDOW1169を担持する。STR55982は、両天然アスパラギナーゼコード配列の染色体欠失を含む、宿主株PF1433にプラスミドpDOW1169を担持する。産生された全3つのクリサンタスパーゼ発現株は主に可溶性クリサンタスパーゼタンパク質発現を生じ、株STR55978が14g/Lまでの最高可溶性力価を達成した。さらに、増殖ペナルティは全3種のクリサンタスパーゼ発現株で観察されず、誘導24時間後で類似の細胞密度(OD600=23.0、27.0および27.8)を達成し、それぞれ誘導24時間後に21.7および23.7のOD600となったSTR55982およびDC432ヌル株と同等であった。
5つの振盪フラスコ発現株の各々から産生した可溶性超音波処理サンプルを、Sigmaから購入した商業的キット(Asparaginase Activity Assay Kit)を製造業者の指示に従い使用して、アスパラギナーゼ活性を分析した。このキットは、産生されるアスパラギン酸に比例的な比色分析最終産物を産生する共役酵素反応を使用して、活性を測定する。Sigmaからの大腸菌アスパラギナーゼII型(A3809)を、陽性対照(最終行)としてSTR55982ヌル溶解物に添加した。
ヌルサンプルの両者とも、1:25,000希釈係数で測定可能な活性は示さなかったが、1:25,000希釈した株STR55976、STR55977、STR55978、STR55979およびSTR55980からの可溶性超音波処理サンプルは、Sigma(A3809)からの250μg/mL大腸菌L−アスパラギナーゼを添加した同様に希釈したSTR55982ヌル株サンプルと同等の活性を示した。商業的に入手可能なキットを使用したこれらの初期活性結果は、シュードモナス・フルオレッセンスで発現されるクリサンタスパーゼタンパク質および大腸菌アスパラギナーゼタンパク質が、産生された超音波処理物内で活性、四量体アスパラギナーゼ酵素を容易に形成し得ることを示すと考えられる。
表17は、振盪フラスコ内で株STR55978、STR55979およびSTR55980により産生された可溶性超音波処理物からのクリサンタスパーゼタンパク質ならびに株STR55976およびSTR55977により産生された可溶性超音波処理物からの大腸菌アスパラギナーゼの分析からのLC−MSインタクト質量結果を示す。各株からのクリサンタスパーゼタンパク質の実測分子量(35,053Da)は、理論的分子量(35054.2Da)と一致し、3株全てが予測アミノ酸配列を産生し、存在するならば、分泌リーダーの完全な処理または除去をすることを示す。各株からの大腸菌アスパラギナーゼの実測分子量(34591)は理論的分子量(34591.96)と一致し、両株が予測アミノ酸配列を産生し、分泌リーダーの完全な処理または除去が生じたことを示す。Sigma大腸菌L−Aspを対照として分析した。図8は、STR55978のマススペクトロメトリー読み出しを示し、AnsBリーダーからのクリサンタスパーゼの適切な開裂を示す。STR55976およびSTR55977で発現される大腸菌Asp2は、LC−MSによると、それぞれAnsBおよびIbp−S31Aリーダーから適切に開裂されることが示された。
本発明の好ましい実施態様はここに示し、記載しているが、このような実施態様は例としてのみ提供される。多数の変動、変化および置換を、本発明から逸脱することなく、当業者により行われ得る。ここに記載する本発明の実施態様に対する種々の改変を、本発明の方法の実施に際し用い得ることは理解される。添付する特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法および構造およびその等価物がそれにより範囲に含まれることが意図される。