JP2021500346A - Ret9及びvegfr2阻害剤 - Google Patents

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Abstract

本明細書で提供されるのは、式(I)の化合物、組成物及び医薬組成物である。また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、及び自己免疫疾患、自己炎症性疾患、及び代謝疾患の治療のための式(I)の化合物の使用方法である。また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、及び自己免疫疾患、自己炎症性疾患、及び代謝疾患の治療法として、例えば、成長因子活性又は血管形成に関連する疾患の治療及び/又は予防における式(I)の化合物の使用方法である。いくつかの実施の形態では、治療される疾患は増殖性疾患である。【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2017年10月20日に提出された米国仮特許出願62/575,280の利益を主張し、参照によってその全体の内容が本明細書に組み入れられる。
成長因子は、血管形成、リンパ管形成及び脈管形成で重要な役割を担う。成長因子は、胚発生、創傷治癒及び女性の生殖機能のいくつかの側面等の様々な過程における血管形成を制御する。望ましくない、又は病的な血管形成は、糖尿病性網膜症、乾癬、がん、関節リウマチ、アテローム、カポジ肉腫及び血管腫等の疾患に関連する。血管形成の眼症状は、先進諸国での不可逆な失明の主な原因である。例えば米国では、未熟児網膜症、糖尿病性網膜症及び加齢性黄斑変性症が、それぞれ幼児、就労年齢の成人及び高齢者での失明の主原因である。これらの疾患の治療で血管形成を促進する取り組みがなされてきた。
このため、新しい治療化合物が、がん、黄斑変性症及び糖尿病性網膜症等の成長因子の異常なシグナル伝達に関連する疾患の治療のために求められている。
本明細書では、式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が提供される。
また、本明細書では式Iの化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む組成物が提供される。
また、本明細書では式Iの化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は薬学的に許容されるこれらのいずれかの塩(総称すると“医薬分子”)を含む医薬組成物が提供される。
また、本明細書では治療を必要とする対象の眼疾患の治療方法が提供され、当該治療方法は、治療上有効量の上記の医薬分子を対象に投与することを含む。
また、本明細書では治療を必要とする対象の眼疾患の治療方法が提供され、当該治療方法は、治療上有効量の上記の本明細書で提供される組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書では治療を必要とする対象の眼疾患の治療方法が提供され、当該治療方法は、治療上有効量の上記の本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書では
(a)式Iの化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩と、
(b)その使用説明書と、
を含むキットが提供される。
また、本明細書では
(a)本明細書で提供される組成物と、
(b)その使用説明書と、
を含むキットが提供される。
また、本明細書では
(a)本明細書で提供される医薬組成物と、
(b)その使用説明書と、
を含むキットが提供される。
いくつかの実施の形態では、本明細書で提供されるキットは、本明細書で提供される化合物、組成物又は医薬組成物の単回投与量又は複数回投与量を含む。提供されるキットは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患及び代謝疾患の治療に有用である。いくつかの実施の形態では、キットは対象又は医療専門家のために使用について説明するパッケージ情報又は処方情報を含む。当該情報は、米国食品医薬品局(FDA)等の規制当局によって要求されることがある。また、キットは、化合物又は組成物の投与のための装置、例えば点眼のための点眼器又は非経口投与のための注射器を任意に備えてもよい。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の治療方法であって、当該治療方法は治療上有効量の医薬分子を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の治療方法であって、当該治療方法は治療上有効量の本明細書で提供される組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の治療方法であって、当該治療方法は治療上有効量の本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の予防方法であって、当該予防方法は治療上有効量の医薬分子を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の予防方法であって、当該予防方法は治療上有効量の本明細書で提供される組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患又は代謝疾患の予防方法であって、当該予防方法は治療上有効量の本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む。
また、本明細書で提供されるのは、成長因子シグナル伝達の阻害を研究するための医薬分子の使用方法である。
また、本明細書で提供されるのは、成長因子シグナル伝達の阻害を研究するための本明細書で提供される組成物の使用方法である。
また、本明細書で提供されるのは、成長因子シグナル伝達の阻害を研究するための本明細書で提供される医薬組成物の使用方法である。
また、本明細書で提供されるのは、異常な成長因子シグナル伝達に関連する障害の治療方法であって、当該治療方法は、治療上有効量の本明細書で提供される化合物、組成物又は医薬組成物を対象に投与することを含む。
本明細書で提供される化合物、組成物又は医薬組成物は、血管形成に関連する疾患の治療に特に有用である。
いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される医薬分子は、ほとんどの異物(例えば、微生物、粒子、塵)を捕捉する粘弾性で接着性の物質である粘液を有する、対象の組織(例えば、眼、気道、消化管、尿生殖器管)内での送達が意図される。いくつかの実施の形態では、医薬分子は、修飾されるか、あるいは皮膜(coating)で被覆される。いくつかの実施の形態では、当該皮膜は、粘膜付着性を抑制でき、及び/又は医薬分子の粒径を小さくする。
本明細書で提供されるのは、粘液を有する対象の組織(例えば、眼、気道、消化管、尿生殖器管)への投与(例えば、局所又は吸入)に適した粘液浸透粒子(MPP)に製剤化された医薬分子である。いくつかの実施の形態では、医薬分子は結晶質である。
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される医薬分子を含む複数の粒子である。特定の実施の形態では、粒子は粘膜浸透性である。いくつかの実施の形態では、各粒子はコア粒子とコア粒子の周囲の皮膜とを含む。いくつかの実施の形態では、コア粒子は本明細書に記載の医薬分子を含み、あるいはコア粒子は重合体に封入された医薬分子を含有する重合体のコアを含む。いくつかの実施の形態では、コア粒子は、本明細書で提供される医薬分子の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.9重量%を構成する。いくつかの実施の形態では、コア粒子は本質的に医薬分子からなるか、あるいは医薬分子の約100重量%を構成する。特定の実施の形態では、粒子はナノ粒子(例えば、少なくとも約10nmかつ約1μm未満の平均直径を有する粒子)である。粒子は、対象に医薬分子を送達するのに有用である。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される粒子は対象の粘液中又は粘液を通して医薬分子を送達できる。
また、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される粒子又は複数の粒子を含む医薬組成物である。特定の実施の形態では、医薬組成物は、医薬品(例えば、本明細書で提供される化合物)を対象に送達するのに有用である。
本明細書で提供されるのは、(i)本明細書で提供される医薬分子を含むコア粒子と、(ii)コア粒子の周囲の粘液浸透性促進表面改変物質の皮膜とを含み、薬学的に許容される少なくとも1種の賦形剤又は担体を任意に含む、複数の粒子を含む医薬組成物である。いくつかの実施の形態では、粘液浸透性促進表面改変物質は、コア粒子の外表面に、nmあたり少なくとも0.01表面改変物質の密度で存在する。いくつかの実施の形態では、表面改変物質は、(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)構造の三元ブロック共重合体である。いくつかの実施の形態では、三元ブロック共重合体は、PLURONIC(登録商標)又はポロキサマーである。
いくつかの実施の形態では、医薬分子、粒子又は医薬組成物は製剤化されて粘膜浸透性を有する。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はその重水素化誘導体である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は式(I)の化合物である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体等の同位体標識化合物である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物の溶媒和物若しくは水和物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、式(I)の化合物の共結晶又はその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、医薬分子は、結晶質である。
本明細書で提供されるのは、式(I):
の化合物、式(I)の化合物の溶媒和物、水和物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物のいずれか、上記のいずれかの溶媒和物、水和物、共結晶、プロドラッグ、及びN−オキシド、並びに薬学的に許容される塩である。上記の式(I)の化合物、溶媒和物、水和物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物及び薬学的に許容される塩のいずれかは、任意の形態、例えば結晶質の、多形性の又は非晶質の形態であってもよいことが明記される。また、本明細書で提供されるのは、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患及び代謝疾患の治療のための式(I)の化合物の使用方法である。また、本明細書で提供されるのは治療薬として、例えば、成長因子活性又は血管形成に関連する疾患の治療及び/又は予防における式(I)の化合物の使用方法である。いくつかの実施の形態では、治療される疾患は、増殖性疾患である。例示される増殖性疾患は、限定されないが、がん、良性腫瘍、血管形成に関連する疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患及び自己免疫疾患等である。特定の実施の形態では、疾患は、眼疾患である。例示される眼疾患は、限定されないが、黄斑変性症(加齢性黄斑変性症(AMD)又は萎縮型若しくは滲出型AMD等)、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障及び酒さ等である。いくつかの実施の形態では、方法は、眼疾患を治療するためである。いくつかの実施の形態では、方法は、黄斑変性症を治療するためである。いくつかの実施の形態では、方法は、滲出型黄斑変性症を治療するためである。いくつかの実施の形態では、方法は、滲出型加齢性黄斑変性症を治療するためである。
(定義)
本開示を説明するために用いられるいくつかの用語の定義が以下に挙げられる。具体的な例で限定されない限り、これらの定義は、用語が本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される場合にその用語に、個別に又はより大きな群の一部に適用される。
用語“約”は、当業者によって理解され、それが用いられる文脈によってある程度変わる。本明細書において量及び一時的な時間等の測定値を示す場合、用語“約”は、特定された値から±5%、±1%、及び±0.1%等、±20%又は±10%の変動を包含することを意味し、その変動は、開示された方法を実行するのに適している。
本明細書で用いられる用語“投与する”、“投与している”又は“投与”は、移植、吸収、摂取、注入、吸入か、あるいはその他の方法での本願発明に係る化合物又はその医薬組成物の導入を意味する。
用語“血管形成”は、新たな血管の形成及び成長を意味する。正常の血管形成は、創傷治癒の間及び損傷後の組織への血流の復元のために健常な対象の体内で起こる。身体はいくつかの手段、例えば、血管形成促進成長因子及び血管形成阻害剤を介して血管形成を制御する。多くの疾患状態、例えばがん、糖尿病性の失明、加齢性黄斑変性症、関節リウマチ及び乾癬等は、異常な(すなわち増加した又は過度の)血管形成で特徴づけられる。異常な血管形成は、通常の身体でのそれ、特には正常の血管形成ではない成人における血管形成(例えば、月経又は創傷治癒)より増加した血管形成を意味する。異常な血管形成は、病変組織に栄養を与え、及び/又は正常組織を破壊する新たな血管をもたらし、がんの場合には、新たな血管によって、腫瘍細胞が血液循環に流入し他の器官に留まることができる(腫瘍転移)。
本明細書で用いられた場合、“自己免疫疾患”は、対象の体内において体内に通常存在する物質及び組織に対して不適切な免疫応答から生じる疾患を意味する。言い換えると、免疫系が体のある部分を病原体と間違え、自身の細胞を攻撃する。これは特定の器官に限られるか(例えば、自己免疫性甲状腺炎において)、異なる場所の特定の組織に関係する(例えば、肺と腎臓両方の基底膜に作用するグッドパスチャー症候群)。自己免疫疾患の治療には、典型的には免疫抑制剤、例えば免疫反応を抑制する薬物を用いる。例示される自己免疫疾患は、限定されないが、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、乾癬、潰瘍性結腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱瘡、ANCA関連血管炎(例えば、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム病関節炎、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、及び心筋症等である。
用語“自己炎症性疾患”は、自己免疫疾患に類似するが異なる疾患のカテゴリを意味する。自己炎症性疾患及び自己免疫疾患は、両方の疾患群が対象自身の組織を免疫系が攻撃し、炎症が増大してしまうという共通の特徴を有する。自己炎症性疾患では、対象の先天性の免疫系が不明な理由で炎症を起こす。先天性の免疫系が対象における自己抗体又は抗原に遭遇したことがなくても先天性の免疫系は反応する。自己炎症性の障害は、発熱、発疹、又は関節腫脹のような症状をもたらす激しい炎症の出現によって特徴づけられる。また、これらの疾患は、重要臓器におけるアミロイド症、血漿タンパク質の潜在的に致命的な増加の危険を伴う。自己炎症性疾患は、限定されないが、家族性地中海熱(FMF)、新生児期発症多臓器系炎症性疾患(NOMID)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性症候群(TRAPS)、インターロイキン−1受容体拮抗物質欠損症(DIRA)、及びベーチェット病等である。
“生体適合性”材料は、対象に挿入又は注入された場合に、通常は有害反応を誘導しない材料を意味する。有害反応は、対象の免疫系による、例えばT細胞性反応を介した顕著な炎症及び/又は材料の急性拒絶等である。“生体適合性”は相対的な用語であって、対象の生体組織に高い適合性を有する材料でさえもある程度の免疫反応が予期されることが認識される。しかし、本明細書で用いられた場合、“生体適合性”は、免疫系の少なくとも一部による材料の急性拒絶を意味する。言い換えれば、対象に対して生体適合性を欠く材料(すなわち非生体適合性である)が対象に免疫反応を引き起こし、免疫系による材料の拒絶が適切に制御できないほどに厳しく、対象に非生体適合性材料が導入される前と対象を同じようにするため材料が対象から除去されなければならないほどであることが多い。材料の生体適合性を評価するテストの1つは、in vitroで材料を細胞(例えば線維芽細胞又は上皮細胞)に暴露することである。その結果、中程度の濃度、例えば約50マイクログラム/10細胞の濃度で顕著な細胞死がもたらされなければその材料は生体適合性であるとみなされる。特定の実施の形態では、たとえ貪食したか、あるいは他の方法で細胞に取り込まれたとしても、死んだ細胞が約20%未満の場合は有意な細胞死ではない。いくつかの実施の形態では、in vitroで材料を細胞に接触させた結果として細胞死が20%未満であって、in vivoでの材料の投与が好ましくない炎症又は他の有害反応を誘導しなければ、その材料は生体適合性である。特定の実施の形態では、生体適合性材料は生分解性である。生体適合性材料の限定されない例は、生体適合性重合体(生体適合性共重合体等)である。
“生分解性”材料は、体内又は細胞に導入された場合等の生理環境において、化学的及び/又は生物学的(例えば、加水分解又は酵素活性による)に分解可能な材料を意味する。例えば、材料は水に暴露されると(例えば対象内で)自発的に加水分解するものであってもよいし、及び/又は熱に曝されると(例えば約37℃の温度で)分解してもよい。材料の分解は、材料の使用に応じて様々な速度で起こる。例えば、材料の半減期(50%の材料がより小さい成分に分解されるまでの時間)は、数日、数週、数か月、又は数年のオーダーであってもよい。材料は生物学的に、例えば酵素活性又は細胞機構によって分解されてもよく、例えばリゾチームに暴露されることで分解される。いくつかの実施の形態では、材料はさらに小さな成分に分解され、細胞が再利用するか細胞に対して有意な毒性の影響を及ぼさずに処分するかのいずれかである(例えば、その成分がin vitroで細胞に添加された場合に殺される細胞が約20%未満である)。生分解性材料の限定されない例は、生分解性重合体(生分解性共重合体等)である。例示される生分解性重合体は、限定されないが、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(酸化プロピレン)−ポリ(エチレングリコール)三元共重合体、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ラクチド)(又はポリ(乳酸))、ポリ(グリコリド)(又はポリ(グリコール酸))、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(エステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ベータアミノエステル)、及びその共重合体(例えば、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA))である。
用語“生物試料”は、任意の試料を意味し、組織試料(組織切片及び組織の針生検等)、細胞試料(例えば細胞学的標本(パップスメア又血液塗抹標本等)又は顕微解剖で得られた細胞の試料)、生物丸ごとの試料(酵母又は微生物の試料等)、又は細胞分画、断片若しくは細胞小器官(例えば細胞の溶解及び遠心分離あるいは他の方法によるその成分の分離によって得られる)等である。生物試料の他の例は、血液、血清、尿、精液、糞便物質、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、乳頭吸引液、乳、膣液、唾液、拭い液(口腔内拭い液等)、又は第1の生物試料から得られる生物分子を含む任意の物質等である。また、生物試料は、例えば遺伝子組み換えの卵母細胞、精細胞、胚盤胞、胚、胎児、ドナー細胞、又は細胞核等の遺伝子組み換えされた生物試料を含む。
本明細書で用いられた場合、用語“がん”は悪性新生物を意味する。例示されるがんは、限定されないが、聴神経腫;腺がん;副腎がん;肛門がん;血管肉腫(例えば、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫、血管肉腫);虫垂がん;良性単クローン性免疫グロブリン血症;胆管がん(例えば、胆管細胞がん);膀胱がん;乳がん(例えば、胸の腺がん、胸の乳頭がん、乳がん、胸の髄様がん);脳がん(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫);気管支がん;カルチノイド腫瘍;子宮頸がん(例えば、子宮頸部腺がん);絨毛がん;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸がん(例えば、結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺がん);結合組織がん;上皮がん;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜がん(例えば、子宮がん、子宮肉腫);食道がん(例えば、食道腺がん、バレット食道がん);ユーイング肉腫;眼がん(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢がん;胃がん(例えば、胃腺がん);消化管間質腫瘍;胚細胞がん;頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮がん)、咽喉がん(例えば、喉頭がん、咽頭がん、上咽頭がん、中咽頭がん))、造血性がん(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)等の白血病(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));ホジキンリンパ腫(HL)等のリンパ腫(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(例えば、散在した大細胞型リンパ腫(例えば、散在した大B細胞リンパ腫)等のB細胞NHL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわちワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症)、ヘアリー細胞白血病、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発性中枢神経系リンパ腫;及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病等のT細胞NHL、抹消T細胞リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ種、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫);上記の1種以上の白血病/リンパ腫の混合、及び多発性骨髄腫)、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、μ鎖病);血管芽細胞腫;下咽頭がん;炎症性筋線維芽細胞腫;免疫球性アミロイドーシス;腎がん(例えば、ウィルムス腫瘍としても知られる腎芽細胞腫、腎細胞がん);肝がん(例えば、肝細胞がん、悪性肝がん);肺がん(例えば、気管支がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん);平滑筋肉腫;肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症);筋新生物;骨髄異形成症候群;中皮腫;骨髄増殖性疾患(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症としても知られる原発性骨髄線維症、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、好酸球増加症候群);神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、神経線維腫症1型又は2型、神経鞘腫症);神経内分泌がん(例えば、胃腸すい管系神経内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨がん);卵巣がん(例えば、嚢胞腺がん、卵巣胚性がん腫、卵巣腺がん);乳頭腺がん;膵がん(例えば、膵臓腺がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵島腫瘍);陰茎がん(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);松果体腫;未分化神経外胚葉性腫瘍;形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内新生物;前立腺がん(例えば、前立腺腺がん);直腸がん;横紋筋肉腫;唾液腺がん;皮膚がん(例えば、扁平上皮細胞がん、角化棘細胞腫、黒色腫、基底細胞がん);小腸がん(例えば、虫垂がん);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺がん、小腸がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん);尿道がん;膣がん;外陰がん(例えば、外陰のパジェット病);多発性内分泌腫瘍症2A型;多発性内分泌腫瘍症2B型;褐色細胞腫;及び副甲状腺過形成等である。
本明細書では、用語“状態”、“疾患”及び“障害”は、交換可能に用いられる。
ナノ構造に関して使用された場合、用語“結晶質の”又は“実質上結晶質の”はナノ構造がその構造の1つ以上の寸法において長距離秩序を典型的に示すことを意味する。“長距離秩序”は具体的なナノ構造の実寸に依存し、1個の結晶がその結晶の境界を超えて拡がることができないように秩序化されていることが当業者によって理解される。この場合、用語“長距離秩序”は、ナノ構造の寸法の少なくとも大部分において実質的に秩序化されていることを意味する。ある場合には、ナノ構造は、酸化物又は他の皮膜を有していてもよく、あるいはコア及び少なくとも1つの殻から構成されてもよい。そのような場合には、酸化物、殻、又は他の皮膜が上述の秩序化を示す必要がないことが認識される(例えば、それは非晶質、多結晶又は他の結晶であり得る)。この場合、用語“結晶質の”、“実質上単晶質の”又は“単結晶”は、(被覆剤の層又は殻を除いて)ナノ構造の中心のコアを意味する。また、本明細書で用いられた場合、用語“結晶質の”又は“実質上結晶質の”は、その構造が本質的な長距離秩序(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%を超える秩序)を示す限り、様々な欠陥、積層欠陥及び原子置換等を有する構造を包含する。さらに、ナノ構造のコアと外側との間の、コアと隣接する殻との間の又は殻と第2の隣接する殻との間の境界面は非結晶質の領域を含んでもよく、非晶質でさえあってもよいことが認識される。これは、ナノ構造が本明細書で定義された結晶質である又は実質上結晶質であることを妨げない。ナノ構造に関して使用された場合の用語“単結晶”は、ナノ構造が実質上結晶質であって、実質的に1個の結晶を含むことを示す。コアと1個以上の殻を含むナノ構造ヘテロ構造に関して用いられた場合、“単結晶”は、コアが実質上結晶質であって、実質的に1個の結晶を含むことを示す。ナノ構造に関して用いられなかった場合、用語“単結晶”は、実質的には、実質的に同じ大きさで配向の1個の結晶質から成る物質である。
本明細書で用いられた場合、“重水素化誘導体”は、親化合物の誘導体を意味し、当該親化合物は1個以上の水素原子を重水素原子でそれぞれ置換されることで誘導体化されている。そのため、親化合物及びその重水素化誘導体は、親化合物の1個以上の水素原子が重水素化誘導体において重水素原子で置換されていることを除いて同じ化学構造である。
本明細書で提供される化合物の“有効量”は、所望の生物学的反応を生じさせる、すなわち状態を治療するのに十分な量を意味する。当業者によって認識されるように、本明細書で提供される化合物の有効量は、所望する生物学的な評価項目、化合物の薬物動態、治療される状態、投与の方法、及び対象の年齢及び健康状態等の因子に応じて変化する。有効量は、治療的な処置及び予防的な処置を包含する。例えば、がんの治療において、本発明に係る化合物の有効量は、全身腫瘍組織量を減少し又は腫瘍の成長又は拡がりを停止する。黄斑変性症の治療において、本発明に係る化合物の有効量は、視力を改善し、失明のリスクを抑制し、又は中心視力の低下の悪化を妨げる。
本明細書で用いられた場合、用語“成長因子関連疾患”は、成長因子が役割を果たすことが知られているあらゆる疾患を意味する。このため、いくつかの実施の形態では、本開示は、成長因子が役割を果たすことが知られている疾患の治療に関連する。このような疾患は、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、及び代謝疾患等である。
用語“水和物”は、水が付随する化合物を意味する。典型的には、化合物の水和物に含まれる水分子の個数は、水和物中の化合物分子の個数に対する明確な比にある。したがって、化合物の水和物は、例えば、Rを化合物、xを0より大きい数値として、一般式ROで表される。所定の化合物は1種以上の水和物を形成し、例えば一水和物(xが1)、さらに下級の水和物(半水化物(R0.5O)のようなxが0より大きく、1より小さい数値)、及び多水和物(例えば、二水和物(RO)及び六水和物(RO)のようなxが1より大きい数値)等である。
本明細書で用いられた場合、“炎症性疾患”は、炎症によって引き起こされた、炎症の結果生じた、又は結果的に炎症になった疾患を意味する。また、用語“炎症性疾患”は、調節不全の炎症反応を意味し、それはマクロファージ、顆粒球、及び/又はTリンパ球による過大な反応を起こし、異常な組織損傷及び/又は細胞死に至る。炎症性疾患は急性又は慢性の炎症性状態のいずれかであってよく、感染又は非感染の原因から生じ得る。炎症性疾患は、限定されないが、粥状動脈硬化、動脈硬化症、自己免疫障害、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症、痛風関節炎、変形性関節症、腱炎、滑液包炎、乾癬、嚢胞性繊維症、骨関節炎、関節リウマチ、炎症性関節炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、糖尿病(例えば1型)、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、混合性結合組織疾患、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、炎症性皮膚疾患、通常間質性肺炎、石綿症、ケイ肺症、気管支拡張症、ベリリウム症、タルク肺、じん肺症、類肉腫症、剥離性間質性肺炎、リンパ球様間質性肺炎、巨細胞間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、ウェゲナー肉芽腫症及び関連する血管炎の形態(側頭動脈炎及び結節性多発動脈炎)、炎症性皮膚疾患、肝炎、遅延型過敏反応(例えば毒ツタ皮膚炎)、肺炎、気道炎症、成人呼吸窮迫症候群、脳炎、即時型アレルギー反応、喘息、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂巣炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性傷害)、再灌流傷害、同種移植の拒絶反応、宿主対移植片拒絶、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸炎、胆管炎、絨毛羊膜炎、結腸炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、睾丸炎、扁桃腺炎、尿道炎、膀胱炎、ぶどう膜炎、膣炎、脈管炎、外陰炎、外陰腟炎、血管炎、慢性気管支炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊疽性筋膜炎、及び壊死性腸炎等である。
用語“キナーゼ”は、タンパク質の残基へのリン酸基の付加を触媒するあらゆる酵素を意味する。例えば、セリンキナーゼは、タンパク質のセリン残基へのリン酸基の付加を触媒する。
用語“黄斑変性症”は、網膜神経感覚上皮の下の網膜色素上皮層の萎縮から生じる疾患を意味し、網膜の中心部分における光受容体(杆錐状体)の減少を介して失明を引き起こす。黄斑変性症は、限定されないが、加齢性黄斑変性症(AMD)(例えば萎縮型AMD又は滲出型AMD)等である。
用語“転移”、“転移の”又は“転移する”は、最初の又は元の腫瘍から他の器官又は組織へのがん細胞の拡がり又は移動を意味し、典型的には、最初の又は元の腫瘍の組織型の“第2の腫瘍”又は“第2の細胞塊”の存在によって識別可能で、第2の(転移の)腫瘍が存在する器官又は組織では識別されない。例えば、骨に移動した前立腺がんは、転移した前立腺がんと言われ、骨組織で成長した癌性の前立腺がん細胞を含む。
用語“マイクロ粒子”は、約1ミリメートル未満かつ少なくとも約1マイクロメートルの特徴的な寸法を有する粒子を意味し、粒子の特徴的な寸法は粒子の最短の断面の寸法である。
“ナノ結晶”はナノ構造である。このため、ナノ結晶は、約1000nm未満、例えば約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、又は約50nm未満の寸法である少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する。典型的には、領域又は特徴的な寸法は、構造の最短の軸に沿ったものである。このような構造の例は、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノワイヤー、ナノテトラポッド、ナノトリポッド、ナノバイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子及びナノリボン等である。ナノ構造は物性では実質上均一であるか、特定の実施の形態では不均一(例えばヘテロ構造)である。任意に、ナノ結晶は、1種以上の表面リガンド(例えば界面活性剤)を含む。ナノ結晶は任意に実質上、構造において1個の結晶である(1個の結晶ナノ構造”又は“単結晶ナノ構造”)。本明細書で説明される使用のためのナノ構造は基本的に任意の使いやすい材料又は材料から組み立てられるが、好ましくは、ナノ構造は無機材料、例えば無機導電性材料又は半導体材料で調製される。導電性又は半導体のナノ構造は、一次元の量子閉じ込めを示すことが多く、例えば、電子は構造の1次元のみに沿ってしばしば移動する。ナノ結晶は、物性では実質上均一であるか、特定の実施の形態では不均一(例えばヘテロ構造)である。用語“ナノ結晶”は、様々な欠陥、積層欠陥及び原子置換等を有する実質上の単結晶ナノ構造に加え、当該欠陥、積層欠陥及び原子置換がない実質上の単結晶ナノ構造を包含することが意図される。コア及び1個以上の殻を含むナノ結晶ヘテロ構造の場合、ナノ結晶のコアは、典型的には、実質上単結晶であるが、殻がそうである必要はない。ナノ結晶は、基本的に任意の使いやすい材料(1又は複数)から組み立てられる。
用語“ナノ粒子”は、約1マイクロメートル未満かつ少なくとも約1ナノメートルの特徴的な寸法を有する粒子を意味し、粒子の特徴的な寸法は、粒子の最短の断面寸法である。結晶質のナノ粒子は、“ナノ結晶”と称される。
用語“ナノ構造”は、約1000nm未満、例えば約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、又は約50nm未満の寸法である少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する構造を意味する。典型的には、領域又は特徴的な寸法は、構造の最短の軸に沿ったものである。このような構造の例は、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子及び分岐テトラポッド(例えば無機デンドリマー)等である。ナノ構造は物性では実質上均一であるか、特定の実施の形態では不均一(例えばヘテロ構造)である。ナノ構造は、例えば、実質上結晶質、実質上単結晶、多結晶、非晶質又はその組み合わせであってよい。1つの観点では、3次元のナノ構造の各寸法は、約1000nm未満、あるいはさらに、例えば約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、又は約50nm未満の寸法である。ナノ構造は1種以上の表面リガンド(例えば界面活性剤)を含んでもよい。
本明細書において用語“新生物”及び“腫瘍”が交換可能に用いられ、質量の増大が上回り、通常の組織の成長と調和しない組織の異常な質量を意味する。新生物又は腫瘍は“良性”又は“悪性”で、細胞分化(形態及び機能性を含む)、成長速度、局所侵入、及び転移の程度という特徴に依存する。“良性新生物”は通常、よく分化しており、悪性新生物よりも遅い成長が特徴的で、元の部位に限局したままである。さらに良性新生物は離れた部位に浸潤、侵入又は転移する能力を有していない。例示される良性新生物は、限定されないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、軟性線維腫、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び脂腺過形成等である。いくつかの場合、“良性”腫瘍は、後に悪性新生物を引き起こし、腫瘍の新生細胞の部分集団の付加的な遺伝子変化の結果である。これらの腫瘍は、“前悪性新生物”と称される。前悪性新生物の例は奇形腫である。これに対し、“悪性新生物”は通常、あまり分化せず(退生)、周辺組織の進行性浸潤、侵入及び破壊を伴う早い成長が特徴的である。さらに、悪性新生物は通常、離れた部位に転移する能力を有する。
用語“眼疾患”又は“眼障害”は眼のあらゆる疾患及び/又は障害を意味する。例えば、眼疾患は、まぶた、涙器系及び眼窩の障害、結膜の障害、強膜、角膜、虹彩及び毛様体の障害、脈絡膜及び網膜の障害、緑内障、視神経及び視覚伝導路の障害、又は眼筋の障害である。さらに、眼疾患は、損傷、手術又はレーザー処置の後の不快感も意味する。眼疾患及び眼障害は、限定されないが、黄斑変性症、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障及び酒さ等(眼の)である。別名乾性角結膜炎(KCS)として知られるドライアイ症候群(DES)、乾燥角膜炎、乾燥症候群、又は眼球乾燥症は、涙の産生の減少又は涙液層破壊の増加によって起こる眼疾患で、ヒト及びいくつかの動物で共通して見られる。ぶどう膜炎又は虹彩毛様体炎は、眼の中間層(“ぶどう膜”)の炎症を意味し、一般的な用法では眼の内部に関与するあらゆる炎症性プロセスを意味する。アレルギー性結膜炎は、アレルギーによる結膜(眼の白色部分を覆う膜)の炎症である。緑内障は、視神経に影響する疾患群を意味し、特徴的なパターンでは網膜神経節細胞の減少に関与し、すなわち1種の視神経症である。眼圧の上昇が緑内障の進行の有意な危険因子であって(約22mmHg又は2.9kPa)、ぶどう膜炎等の炎症性プロセスは眼圧の上昇を引き起こす。酒さは、顔面紅斑によって特徴づけられる慢性炎症状態であるが眼に影響を及ぼす。
用語“粒子”は、小さな物体、断片又は物質の一部を意味し、単一元素、無機物質、有機物質、又はその混合物である。粒子の例は、重合体粒子、片面乳剤粒子、両面乳剤粒子、コアセルベート、リポソーム、マイクロ粒子、ナノ粒子、肉眼で見える粒子、ペレット、結晶(例えば化合物又は活性医薬品の結晶形態)、凝集体、複合体、微粒化されるか、粉砕されるか、破壊されたマトリックス、及び架橋タンパク質又は多糖類粒子等であって、それぞれ平均して約1mm未満程度かつ少なくとも1nmの特徴的な寸法を有する。ここで粒子の特徴的な寸法又は“限界寸法”は、粒子の最短の断面寸法である。粒子は、1種の物質または複数種の物質から構成されてもよい。特定の実施の形態では、粒子はウイルス粒子ではない。他の実施の形態では、粒子はリポソームではない。特定の実施の形態では、粒子はミセルではない。特定の実施の形態では、粒子は実質上、全体が固体である。特定の実施の形態では、粒子はナノ粒子である。特定の実施の形態では、粒子はマイクロ粒子である。
本明細書で用いられた場合、用語“薬学的に許容される塩”は、健全な医学的判断の範囲内の塩を意味し、過度な毒性、刺激及びアレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織との接触においての使用に適しており、合理的なリスク対効果比に見合っている。薬学的に許容される塩は本技術分野でよく知られている。例えば、参照によって本明細書に組み入れられるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19にBergeらが薬学的に許容される塩を記載している。例えば、Bergeらの表Aは、下記の薬学的に許容される塩を提供している。
本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、適した無機の及び有機の酸及び塩基由来のものを含む。薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸等の有機酸で、又はイオン交換等の本技術分野で公知の他の方法を用いることで形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー(camphorate)塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチネン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩等である。適切な塩基由来の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN(C1-4 アルキル)塩を含む。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等である。さらに薬学的に許容される塩は、適切な場合、非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、及びハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを用いて形成されるアミンカチオン等である。
本明細書では、用語“医薬品”及び“薬剤”は交換可能に用いられる。
本明細書では、用語“医薬組成物”及び“製剤”は交換可能に用いられる。
用語“多結晶の”は、様々な大きさ及び配向性の多数の結晶から構成される物質を意味する。ナノ構造に関して用いられた場合、用語“多結晶の”は、単結晶ではない結晶質のナノ構造を意味する。
用語“多形物”は、特定の結晶充填配置の化合物(若しくはその塩、水和物又は溶媒和物)の結晶形態を意味する。すべての多形物は同じ元素組成を有する。通常、異なる結晶形態は異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気特性、安定性及び/又は溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、保存温度、及び他の因子によってある結晶の形態が多数を占める。化合物の様々な多形物が異なる条件下での結晶化によって調製される。
用語“プロドラッグ”は式(I)の化合物の誘導体等を含む化合物を意味し、開裂可能な基を有し、加溶媒分解又は生理的条件下で、in vivoで薬学的に活性化する本明細書で提供される化合物になる。この例は、限定されないが、コリンエステル誘導体等、及びN−アルキルモルホリンエステル等である。本明細書で提供される化合物の他の誘導体は、それらの酸及び酸誘導体の形態の両方で活性を有するが、哺乳類動物において、酸感受性の形態で、溶解性、組織適合性、又は遅延放出の利点をもたらすことが多い(Bundgaard, Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam 1985参照)。プロドラッグは、当業者に知られる酸誘導体を含み、例えば、適切なアルコールと元の酸との反応で生成したエステル、置換若しくは非置換のアミン、酸無水物、又は混合された無水物と元の酸化合物との反応で生成したアミド等である。本明細書で提供される化合物にペンダント結合した酸性基由来の単一の脂肪族又は芳香族のエステル、アミド及び無水物が特有のプロドラッグである。いくつかの場合、(アシルオキシ)アルキルエステル又は(アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル等のダブルエステル型プロドラッグを調製するのが望ましい。本明細書で提供される化合物のC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、C−C12置換アリール及びC−C12アリールアルキルエステルが場合によっては好ましい。
“増殖性疾患”は、細胞の増殖による異常な成長又は拡張で起こる疾患を意味する。増殖性疾患は、1)通常の静止細胞の病的な増殖;2)細胞の、通常のそれらの位置からの病的な移動(例えば、新生細胞の転移);3)マトリクスメタロプロテイナーゼのようなタンパク質分解酵素(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ及びエラステーゼ)の病的な発現;4)増殖網膜症及び腫瘍転移にあるような病的な血管形成に関連する。例示される増殖性疾患は、がん(すなわち“悪性新生物”)、良性新生物、血管形成又は血管形成に関連する疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患及び自己免疫疾患等である。
本明細書で提供される化合物の“予防的な有効量”は、状態、若しくはその状態に関連する1つ以上の症状を防ぐ、又はその再発を防ぐのに十分な量である。化合物の予防的な有効量は、治療薬単独又は他の薬剤との組み合わせの量を意味し、状態の防止において予防効果をもたらす。用語“予防的な有効量”は、全体的な予防を改善する、又は別の予防薬の予防有効性を高める量を包含する。
“タンパク質”又は“ペプチド”は、ペプチド結合によって互いに結合しているアミノ酸残基の重合体を含む。本明細書で用いられた場合、この用語は、あらゆる大きさ、構造又は機能のタンパク質、ポリペプチド及びペプチドを意味する。典型的には、タンパク質は少なくとも3個のアミノ酸の長さである。タンパク質は、個々のタンパク質又はタンパク質の集合を意味してもよい。好ましくは、本発明に係るタンパク質は、天然のアミノ酸のみを含むが、非天然のアミノ酸(すなわち、天然では生じないがポリペプチド鎖に組み入れられる化合物)及び/又は本技術分野で知られたアミノ酸類似体が選択的に使用されてもよい。また、本発明に係るタンパク質における1種以上のアミノ酸が、例えば炭水化物基、水酸基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、複合体化若しくは機能付与のためのリンカー等の化学物質の付加、又は他の改変によって改変されてよい。また、タンパク質は、単一の分子であってよく、又は複数分子の複合体であってもよい。タンパク質は、天然で生じるタンパク質又はペプチドの断片であってもよい。タンパク質は、天然で生じるものでも、組み換え体でも若しくは合成されたものでも、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
用語“RET”は、RETプロトオンコジーンの受容体チロシンキナーゼを意味し、3つの主なRETのアイソフォームである、RET51、RET43及びRET9を含む。RET遺伝子の自然な選択的なスプライシングによって、そのC末端尾部にそれぞれ51、43及び9個のアミノ酸を含むタンパク質RET51、RET43及びRET9という3つの異なるアイソフォームが産生される。RETはグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーリガンドに対する受容体である。
本明細書で用いられた場合、用語“RET関連疾患”は、RET又はそのアイソフォームが役割を果たすことが知られているあらゆる疾患を意味する。当該疾患は、甲状腺髄様がん、多発性内分泌腫瘍症2A型及び2B型、褐色細胞腫、並びに副甲状腺過形成等のヒトの様々な種類のがんを含む。
用語“溶媒和物”は、溶媒に付随する化合物の状態を意味し、通常、加溶媒分解反応による。この物理的な関連は、水素結合を含む。通常の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチル、エーテル等である。本明細書で提供される化合物は、例えば、結晶形態で調製され、溶媒和される。好ましい溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物を含み、化学量論の溶媒和物及び非化学量論の溶媒和物の両方をさらに含む。場合によっては、溶媒和物は、例えば1種以上の溶媒分子が結晶質の固体の結晶格子に取り込まれている場合に単離できる。“溶媒和物”は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物は、水和物、エトキシド(ethanolate)及びメトキシド(methanolate)等である。
投与が予期される“対象”は、限定されないが、ヒト(すなわち、あらゆる年齢層、例えば小児の対象(幼児、小児、青年等)又は成人の対象(若年成人、中年成人又は老人)の男性又は女性)、及び/又は他の非ヒト動物、例えば哺乳類(例えば、霊長類(カニクイザル、赤毛猿等);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/又はイヌ等の商業的に関連のある哺乳類及び鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及び/又シチメンチョウ等の商業的に関連のある鳥類))を含む。特定の実施の形態では、動物は哺乳類である、動物は雄でも雌でもよく、あらゆる発育段階でもよい。非ヒト動物は遺伝子組み換え動物であってもよい。
本明細書で提供される化合物の“治療上有効量”は、状態の治療に治療効果をもたらすかその状態に関連する1つ以上の症状を遅延又は最小化するのに十分な量である。化合物の治療上有効量は、治療薬単独又は他の治療剤との組み合わせでの量を意味し、状態の治療において治療効果をもたらす。用語“治療上有効量”は、全体的な治療を改善する、症状若しくは状態の原因を抑制若しくは回避する、又は別の治療薬の治療上の有効性を高める量を包含する。
本明細書で用いられた場合、用語“治療”、“治療する”、及び“治療している”は、本明細書で提供される“病態”(例えば、疾患、障害、若しくは状態又はその1つ以上の兆候若しくは症状)の逆転、緩和、その発症の遅延、又はその進行の阻害を意味する。いくつかの実施の形態では、治療は1つ以上の兆候又は症状が進行又は観察された後に実施される。他の実施の形態では、治療は、疾患又は状態の兆候又は症状がなくても実施される。例えば、治療は症状の兆候より前に感受性のあるヒトに、(例えば、症状の経歴を考慮して及び/又は遺伝的因子又は他の感受性因子を考慮して)実施される。また、治療は、例えば再発を遅延又は予防するために症状が解消した後も続けられてよい。
本明細書において、用語“VEGF”は血管内皮増殖因子と交換可能に用いられる。VEGFは、限定されないが、胎盤成長因子(PIGF)、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E及びVEGF−F等のVEGF関連タンパク質を含む。また、用語VEGFは、1つの8エキソンのVEGF遺伝子由来のmRNAの選択的にスプライシングでもたらされる2つのファミリー由来のいくつかのタンパク質を含む。2つの異なるファミリーはその末端のエキソン(エキソン8)のスプライス部位−近位スプライス部位(VEGFxxx)又は遠位スプラス部位(VEGFxxxb)に対応する。さらに、エキソン6及び7の選択的スプライシングによって、そのヘパリン結合親和性及びアミノ酸の個数が変わる(ヒトではVEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、VEGF206;これらのタンパク質のげっ歯類のオルソログに含まれるアミノ酸は1個少ない)。末端(エキソン8)のスプライス部位はタンパク質が血管形成を促進させるか(血管形成において発現する近位スプライス部位)、血管形成を抑制するか(通常の組織で発現する遠位スプライス部位)を決定するため、これらのドメインは、VEGFスプライスバリアントに対して重要な機能的影響をもたらす。さらに、エキソン6及び7の包括又は排除は細胞表面でのへパラン硫酸プロテオグリカン(HSGP)及びニューロピリンコレセプターとの相互作用に介在し、VEGF受容体(VEGFR)への結合及びVEGFRの活性化の能力を高める。また、用語“VEGF”は、VEGF受容体を含む。VEGFRには、1、2及び3と番号付けられた3つの主要なサブタイプがある。また、それらは選択的スプライシングに応じて、膜結合性(mbVEGFR)又は可溶性(sVEGFR)である。
(化合物)
1つの観点において本明細書で提供されるのは式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は、
である。
また、いくつかの実施の形態では、本開示は、上記の化合物又はその薬学的に許容される塩の同位体標識化合物に関し、当該化合物はその1個以上の原子が通常、自然に有する原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子又は複数の原子で置換されたことを除いて本明細書で開示された構造と同じ構造を有する(同位体標識)。同位体の例は、市販されており本開示に適したもので、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素等の同位体で、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clが例示される。
同位体標識化合物及び塩は、いくつかの有益な方法で使用される。それらは薬物及び/又は組織基質分布アッセイのような種々のアッセイに適している。例えば、トリチウム(H)−及び/又は炭素−14(14C)−標識化合物が、比較的簡易の調製及び優れた検出能のために組織基質分布アッセイのような種々のアッセイに特に適している。例えば、重水素(H)−標識されたものは治療において有用で、H−標識されていない化合物よりも潜在的に治療上の利点を有する。一般に、重水素(H)−標識された化合物及び塩は、下記の速度論的同位体効果のために、同位体標識されていないものと比較して、高い代謝的安定性を有する。高い代謝的安定性は、求められるin vivoでの半減期の延長又は低投与用量に直接つながる。同位体標識化合物及び塩は通常、本明細書の合成スキーム及び関連する説明、実施例部分並びに調製部分に開示される手順を実行し、同位体標識されていない反応物を利用しやすい同位体標識反応物で置換することで調製される。
いくつかの実施の形態では、同位体標識化合物及び塩は、重水素(H)−標識化合物又は重水素化誘導体である。いくつかの実施の形態では、同位体標識化合物及び塩は、重水素(H)−標識され、その1個以上の水素原子が重水素で置換されている。化学構造では、重水素は“H”又は“D”として表される。
重水素(H)−標識された化合物及び塩は、初期の速度論的同位体効果の方法によって化合物の酸化的代謝を利用できる。初期の速度論的同位体効果は同位体原子核の交換に続く、この同位体交換後の共有結合形成に必須の基底状態エネルギーの変化の結果としての化学反応の速度の変化である。より重い同位体の交換は通常、化学結合のための基底状態エネルギーを低下させ、律速の結合開裂の減少につながる。多種生成反応の座標における鞍点領域で、又はその近傍で結合開裂が起こる場合、生成物分布比は実質的に変化する。説明のために、重水素が交換できない位置で炭素原子に結合していると仮定すると、率差k/k=2〜7が代表的である。さらなる議論に関しては、S.L.Harbeson and R.D.Tung,Deuterium In Drug Discovery and Development,Ann.Rep.Med.Chem.2011,46,403−417;及びT.G.Gant “Using deuterium in drug discovery:leaving the label in the drug”J.Med.Chem.2014,57,3595−3611を参照されたい。参照することで、その関連する一部が本明細書に独立して組み入れられる。
本開示の同位体標識化合物及び塩に取り込まれる同位体(例えば重水素)の濃度は、同位体の濃縮係数で決定される。本明細書で用いられた場合、用語“同位体の濃縮係数”は特定の同位体の同位体存在度と天然存在度との間の比を意味する。いくつかの実施の形態では、本開示の化合物における置換が重水素で示される場合、当該化合物は、各指定された重水素原子に関して、少なくとも3500(各指定された重水素原子で52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)の同位体の濃縮係数を有する。
治療薬の探索及び開発において、当業者は、所望のin vitro特性を維持しながら、薬物動態パラメータの最適化を試みる。十分でない薬物動態特性を有する多くの化合物が酸化的代謝の影響を受けやすいと想定するのが合理的である。
化合物又は活性代謝物における1個以上の代謝的に不安定な位置の重水素化が、対応する水素類似体と比較して、生物活性を維持する一方で1つ以上の優れたDMPK特性の改善につながることを当業者は理解する。優れたDMPK特性は、薬剤生成物の最適な吸収に関して、暴露、半減期、クリアランス、代謝、及び食料必要量にも影響を及ぼす。また、重水素化は、重水素化された化合物の他の重水素化されていない位置で代謝を変化させることがある。
本明細書で提供される化合物は、結晶質であってもよい。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、単結晶であってもよい。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、多結晶であってもよい。
また、本明細書で提供される化合物は、相対的に水溶解性(すなわち、任意に1種以上の緩衝液を含む水での低い溶解性)が低い。例えば、本明細書で提供される化合物は、25℃で約3mg/mL以下、約1mg/mL未満、約0.3mg/mL未満、約0.1mg/mL未満、約0.03mg/mL未満、約0.01mg/mL未満、約1μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約1ng/mL未満、約0.1ng/mL未満、又は約0.01ng/mL未満の水溶解性を有する。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、25℃で少なくとも約1pg/mL、少なくとも約10pg/mL、少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約0.01mg/mL、少なくとも約0.03mg/mL、少なくとも約0.1mg/mL、少なくとも約0.3mg/mL、少なくとも約1.0mg/mL、又は少なくとも約3mg/mLの水溶解性を有する。上記の範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約10pg/mLかつ約1mg/mL未満の水溶解性)。また、他の範囲も可能である。本明細書で提供される化合物は、pH範囲(例えば約pH7又はpH1から14)全体の任意のpHでこれらの、又は他の範囲の水溶解性を有してもよい。
本明細書で提供される化合物は、粘膜浸透性医薬組成物に加工されるのに適していてもよい(例えば粒子又は結晶)。粘膜浸透性医薬組成物は、少なくとも米国特許第9,353,123号明細書及び米国特許出願公開第2016−0235753号明細書に記載されており、それらの全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる。
特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物は粉砕に適している(例えば、ナノ製粉)。特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、沈殿に適している(例えば、マイクロ沈殿、ナノ沈殿、結晶化又は制御された結晶化)。特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物は乳化に適している。特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物は凍結乾燥に適している。
(組成物)
1つの観点では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される化合物を含む組成物である。
いくつかの実施の形態では、化合物は式I
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は
である。
いくつかの実施の形態では、組成物は担体をさらに含む。
いくつかの実施の形態では、組成物は、対象の眼への送達に適している。
(医薬組成物)
1つの観点では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される化合物を含む医薬組成物である。
いくつかの実施の形態では、化合物は式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施の形態では、化合物は
である。
いくつかの実施の形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの実施の形態では、医薬組成物は、対象の眼への送達に適している。
本明細書で提供されるのは、7−(3−[4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジニル]プロポキシ)−4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−6−メトキシキナゾリン(式I)、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物、又は本明細書で提供されるようにその薬学的に許容される塩、及び任意の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。特定の実施の形態では、提供さえる化合物は、本明細書で提供される2種以上の化合物を含む(例えば、式Iの薬学的に許容される第1の塩、式Iの薬学的に許容される第2の塩、又は式1の化合物の少なくとも2種を含む組成物)。特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬組成物において有効量で提供される。特定の実施の形態では、有効量は治療上有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は成長因子介在疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGF介在疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGFR介在疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGFR2介在疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はRET介在疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は予防的有効量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGF介在疾患の予防に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGFR介在疾患の予防に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はVEGFR2介在疾患の予防に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量はRET介在疾患の予防に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は、粥状動脈硬化、高血圧、腫瘍成長、炎症、関節リウマチ、滲出形態黄斑変性症、乾燥形態黄斑変性症、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、網膜血管新生、及び糖尿病性網膜症等の異常な血管形成関連疾患の治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は、がんの治療に有効な量である。特定の実施の形態では、有効量は黄斑変性症(例えば、滲出型又は乾燥型の加齢性黄斑変性症)の治療に有効な量である。
本明細書で提供される医薬組成物は、薬理学の分野で公知のあらゆる方法で調製され得る。一般に、当該調製方法は、本明細書で提供される化合物(“活性成分”)を、担体若しくは1種以上の他の補助的成分、又はその両方とに付随させ、続いて、必要又は望ましいのであれば、生成物を所望の単回投与量又は複数回投与量単位に形成又は包装するステップを含む。
特定の実施の形態では、70kgの成人に1日に1回以上投与される化合物の有効量は、単位投与形態あたり、約0.0001mgから約3000mg、約0.0001mgから約2000mg、約0.0001mgから約1000mg、約0.001mgから約1000mg、約0.01mgから約1000mg、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約1000mg、約1mgから約100mg、約10mgから約1000mg、約10mgから約100mg、又は約100mgから約1000mgの化合物である。
また、本明細書で提供されるのは、キット(例えば医薬パック)である。提供されるキットは、提供される医薬組成物又は化合物及び容器(例えば、バイアル瓶、アンプル、ボトル、注射器、及び/又はディスペンサパッケージ、又は他の適した容器)を備える。いくつかの実施の形態では、提供されるキットは、提供される医薬組成物又は化合物の希釈又は懸濁のための医薬賦形剤を含む第2の容器を任意にさらに備える。いくつかの実施の形態では、容器及び第2の容器に提供される、提供に係る医薬組成物又は化合物は、1個の単位剤形を形成するために組み合わせられる。いくつかの実施の形態では、提供されるキットは、使用説明書をさらに備える。
特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物、粒子、医薬組成物、キット、及び方法は、眼への適用、例えば眼疾患(例えば、黄斑変性症、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障及び酒さ)の治療又は予防に有用である。
方法
本明細書で提供されるのは、疾患を治療する化合物、粒子、被覆された粒子、及びその組成物である。いくつかの実施の形態では、対象の疾患を治療する方法が提供され、該方法は、治療を必要とする対象に本明細書で提供される有効量の化合物を投与することを含む。特定の実施の形態では、有効量は治療上有効量である。特定の実施の形態では、有効量は予防的な有効量である。特定の実施の形態では、対象は成長因子関連疾患を患っている。特定の実施の形態では、対象は成長因子関連疾患に感受性がある。特定の実施の形態では、対象はRET関連疾患を患っている。特定の実施の形態では、対象はRET関連疾患に感受性がある。特定の実施の形態では、対象は黄斑変性症の進行の危険を有する。
また、本明細書で提供されるのは、VEGF(例えば、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E又はその組み合わせ)又はVEGFR(例えば、VEGFR1VEGFR2、VEGFR3又はその組み合わせ)の細胞内での活性又はシグナル伝達を阻害する方法である。いくつかの実施の形態では、VEGFはVEGF−A、VEGF−C又はVEGF−Eである。いくつかの実施の形態では、VEGFRはVEGFR2である。また、本明細書で提供されるのはRET(3つの異なるアイソフォーム:RET51、RET43及びRET9として産生される受容体チロシンキナーゼ(RETはトランスフェクション中の再構成“rearranged during transfection”の省略である))の細胞内での活性又はシグナル伝達を阻害する方法である。いくつかの実施の形態では、当該方法は、本明細書で提供される有効量の化合物に細胞を接触させることを含む。いくつかの実施の形態では、細胞はin vitroである。いくつかの実施の形態では、細胞はin vivoである。
いくつかの実施の形態では、本開示は、本明細書で提供される有効量の化合物に生物試料を接触させることを含む、疾患の治療方法を提供する。特定の実施の形態では、生物試料は、細胞又は組織を含む。いくつかの実施の形態では、方法は、細胞、組織又は対象における成長因子シグナル伝達を阻害することを含む。いくつかの実施の形態では、生物試料は眼組織である。特定の実施の形態では、方法はin vitroの方法である。特定の実施の形態では、方法はin vivoの方法である。阻害の程度が必ずしも100%でなくてもよいことが当業者によって理解される。阻害の程度は、少なくとも10%阻害、約10〜約25%阻害、約25〜約50%阻害、約50〜約75%阻害、少なくとも50%阻害、少なくとも75%阻害、約80%阻害、約90%阻害、又は90%を超える阻害であってよい。
いくつかの実施の形態では、本開示は眼疾患、すなわち眼又は眼の1つ以上の部分又は領域に影響するか関係する疾患、病気、又は状態の治療又は予防する方法を提供する。
いくつかの実施の形態では、本開示は、対象の眼球の前部での眼疾患を治療又は予防する方法を提供する。眼の前部の眼疾患は、手術後の炎症、ぶどう膜炎、感染症、無水晶体症、偽水晶体症、乱視、眼瞼けいれん、白内障、結膜疾患、結膜炎、角膜疾患、角膜潰瘍、ドライアイ症候群、眼瞼疾患、涙器疾患、涙道閉塞症、近視、老眼、瞳孔障害、角膜血管新生、屈折障害、及び斜視等である。緑内障治療の臨床的な目標が眼の前房における房水の過度の圧力を抑制する(すなわち、眼圧を下げる)ことであるため、いくつかの実施の形態において、緑内障は眼の前部の眼の状態と考えられる。
いくつかの実施の形態では、本開示は、対象の眼の後方部分又は眼底における部分、例えば網膜、脈絡膜及び/又は強膜を標的にする及び/又は治療する方法を提供する。一般に、眼底又は眼の後部の疾患は、本明細書で提供されるように、眼底における組織又は液体に主に影響するか関係する疾患、病気、又は状態である。眼の後部の疾患は、眼球内黒色腫、急性黄斑神経網膜症、ベーチェット病、脈絡膜血管新生、ぶどう膜炎、糖尿病性ぶどう膜炎、ヒストプラスマ症、菌性の又はウイルス性の感染症等の感染症、急性黄斑変性症、非滲出性加齢性黄斑変性症及び滲出性加齢性黄斑変性症等の黄斑変性症、黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫及び糖尿病性黄斑浮腫等の浮腫、多巣性脈絡膜炎、眼の後部の部位又は局所に影響する眼外傷、眼腫瘍、網膜疾患、網膜中心静脈閉塞症、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病性網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症、網膜性動脈閉塞性疾患、網膜剥離、ぶどう膜炎網膜疾患、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田病、ぶどう膜拡散、眼のレーザー処理で起こる、又は影響を受けた眼の後部の状態、光線力学的療法、光凝固術で起こる、又は影響を受けた眼の後部の状態、放射線網膜症、網膜上膜障害、網膜静脈分枝閉塞症、前部虚血性視神経症、非網膜症糖尿病性網膜機能不全、網膜色素変性、網膜芽腫、及び緑内障のような疾患、病気又は状態等である。緑内障治療の治療的な目標が、網膜細胞又は視神経細胞の損傷又は減少による失明の発生をなくす、又は抑制することであるため(すなわち神経防護作用)、緑内障は眼の後部の眼の状態と考えられる。いくつかの実施の形態では、本開示は、対象における緑内障を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施の形態では、本開示は、対象におけるぶどう膜炎を治療又は予防する方法を提供する。
いくつかの実施の形態では、本開示は、対象のドライアイを治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、適切な組織への医薬品の効率的な送達を容易にし、均一に、及び/又は広範囲に眼表面を超えることを促進し、及び/又は医薬品のクリアランスを避けるか最小化することで、これらの問題に対処する。
いくつかの実施の形態では、本開示は、対象の眼の炎症を治療又は予防する方法を提供する。炎症は様々な眼疾患に関連する。また、炎症は、白内障の手術等、いくつかの眼科の外科手術で生じる。
いくつかの実施の形態では、本開示は、対象の黄斑変性症を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施の形態では、黄斑変性症は、加齢性黄斑変性症(AMD)である。AMDは、典型的には高齢者に影響し、網膜に損傷を与えることで視野の中心(黄斑)に失明を生じさせる病状である。それは、“乾燥”型及び“滲出”型で起こる。それは、高齢者(>50歳)における失明及び視力障害の主要な原因である。乾燥(非滲出性)型では、ドルーゼンと言われる細胞残屑が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、網膜が剥離する。滲出(滲出性)型では、さらに厳しく、血管が脈絡膜から網膜の後ろに伸長し、網膜が剥離する。
特定の実施の形態では、本明細書で提供される化合物、粒子、組成物及び/又は製剤は、すぐに使える保存性懸濁液として包装される。点眼製剤は従来、液体製剤(溶液又は懸濁液)であって、(液体の標準の点滴量を分注する)点滴容器又は(従来、防腐剤なしの点眼で使用され、一度使用されると処分される)1回使用の点滴器に包装されてもよい。これらの製剤は、すぐに使用でき、自己投与され得る。場合によっては、容器は使用前に振られ、製剤の均一性が確保されるべきであるが、他の準備は必要ではない。これは、もっとも単純で最も便利な眼への送達の方法である。本明細書で提供される組成物及び/又は製剤は従来の点眼製剤と同じ方法で包装される。
いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、及び自己免疫疾患、自己炎症性疾患、及び代謝疾患の治療に有用である。
いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、がんの治療に有用である。いくつかの実施の形態では、本明細書で提供されるのはがんの治療方法である。いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、がんの症状の発症を遅延し、がんの症状の進展を遅くし、がんの症状を改善するのに有用である。いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、他の化合物、薬剤又はがんの治療剤と組み合わせて投与される。
いくつかの実施の形態では、本明細書で提供される化合物は、限定されないが、聴神経腫、腺がん、副腎がん、肛門がん、血管肉腫(例えば、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫、血管肉腫)、虫垂がん、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆管がん(例えば、胆管細胞がん)、膀胱がん、乳がん(例えば、胸の腺がん、胸の乳頭がん、乳がん、胸の髄様がん)、脳がん(例えば、髄膜腫、神経膠腫、例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫)、気管支がん、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん(例えば、子宮頸部腺がん)、絨毛がん、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸がん(例えば、結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺がん)、上皮がん、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜がん(例えば、子宮がん、子宮肉腫)、食道がん(例えば、食道腺がん、バレット食道がん)、ユーイング肉腫、眼がん(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢がん、胃がん(例えば、胃腺がん)、消化管間質腫瘍、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮がん、咽頭がん(例えば、喉頭がん、咽頭がん、上咽頭がん、中咽頭がん))、造血性がん(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)等の白血病(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL);ホジキンリンパ腫(HL)等のリンパ腫(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、(例えば、散在した大細胞型リンパ腫(例えば、散在した大B細胞リンパ腫)等のB細胞NHL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち“ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症”)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発性中枢神経系リンパ腫;及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病等のT細胞NHL、抹消T細胞リンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ種、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫);上記の1種以上の白血病/リンパ腫の混合、及び多発性骨髄腫)、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、μ鎖病)、血管芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞腫、免疫球性アミロイドーシス、腎がん(例えば、ウィルムス腫瘍としても知られる腎芽細胞腫、腎細胞がん)、肝がん(例えば、肝細胞がん、悪性肝がん)、肺がん(例えば、気管支がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん)、平滑筋肉腫、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群、中皮腫、骨髄増殖性疾患(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症としても知られる原発性骨髄線維症、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、好酸球増加症候群)、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症1型又は2型、神経鞘腫症)、神経内分泌がん(例えば、胃腸すい管系神経内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣がん(例えば、嚢胞腺がん、卵巣胚性がん腫、卵巣腺がん)、乳頭腺がん、膵がん(例えば、膵臓腺がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵島腫瘍)、陰茎がん(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病)、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、前立腺がん(例えば、前立腺腺がん)、直腸がん、横紋筋肉腫;唾液腺がん、皮膚がん(例えば、扁平上皮細胞がん、角化棘細胞腫、黒色腫、基底細胞がん)、小腸がん(例えば、虫垂がん)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん)、尿道がん、膣がん及び外陰がん(例えば、外陰のパジェット病)、多発性内分泌腫瘍症2A型、多発性内分泌腫瘍症2B型、褐色細胞腫、及び副甲状腺過形成等のがんの治療に有用である。
いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、糖尿病又は肥満症等の代謝疾患の治療に有用である。いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、糖尿病の症状の発症を遅延し、糖尿病の症状の進展を遅くし、糖尿病の症状を改善するのに有用である。いくつかの実施の形態では、糖尿病は1型糖尿病である。いくつかの実施の形態では、糖尿病は2型糖尿病である。いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、肥満症の症状の発症を遅延し、肥満症の症状の進展を遅くし、肥満症の症状を改善するのに有用である。いくつかの実施の形態では、提供される化合物は、糖尿病及び/又は肥満症を治療するために、メトホルミン及びインスリン等の他の化合物、薬剤又は治療剤と組み合わせて使用される。
1つの観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は治療上有効量の式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
1つの観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は治療上有効量の式I:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
1つの観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は治療上有効量の式I:
の化合物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む治療上有効量の組成物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む治療上有効量の組成物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物を含む治療上有効量の組成物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む治療上有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む治療上有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、治療を必要とする対象の眼疾患を治療する方法であって、当該治療方法は式I:
の化合物を含む治療上有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、組成物は担体をさらに含む。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、医薬組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物は、
又はその溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物は、
である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、眼疾患は、網膜症である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、眼疾患は、黄斑変性症である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、眼疾患は、緑内障である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、眼疾患は、角膜の血管新生である。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物、組成物、又は医薬組成物は、対象の片方の眼又は両方の眼に送達される。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物、組成物、又は医薬組成物は、対象の眼に送達される。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施の形態では、化合物、組成物、又は医薬組成物は、対象の両方の眼に送達される。
他の観点では、本明細書で提供されるのは、式Iの化合物
又はその溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は上述のいずれかの薬学的に許容される塩の調製方法である。
いくつかの実施の形態では、方法は、Xがハロゲンである式(X)
の化合物、その塩又は上述のいずれかの同位体標識化合物(例えば重水素化誘導体)と、Rがアミン保護基である式(Y)
の化合物、その塩又は上述のいずれかの同位体標識化合物(例えば重水素化誘導体)とを接触させて、式(I)
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は上述のいずれかの薬学的に許容される塩を生成することを含む。
アミンの求核反応に関して本技術分野で公知の任意の適した条件が使用される。
いくつかの実施の形態では、式(X)の化合物、その塩又は上述のいずれかの重水素化誘導体を、式(Y)、その塩又は上述のいずれかの同位体標識化合物(例えば、重水素化誘導体)と接触させることが塩基の存在下において塩基条件下で行われる。いくつかの実施の形態では、塩基は金属炭酸塩又は金属水酸化物である。いくつかの実施の形態では、塩基は金属炭酸塩である。いくつかの実施の形態では、塩基はNaCO又はKCOである。
いくつかの実施の形態では、式(X)のXはCl又はFである。いくつかの実施の形態では、式(X)のXはClである。
任意の適切なアミン保護基が式(Y)のRに用いることができる。いくつかの実施の形態では、アミン保護基は、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)、p−ニトロフェニル、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(Moz又はMeOZ)、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、p−メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)、クロロギ酸トリクロロエチル(Troc)、カルバメート又はスルホンアミド基である。いくつかの実施の形態では、式(Y)のRはtert−ブチルオキシカルボニルである。
実施例1:7−(3−[4,4−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジニル]プロポキシ)−4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−6−メトキシキナゾリン(化合物1)の合成
tert−ブチル4,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(400mg、1.63mmol)をトリフルオロ酢酸(10mL)に溶解した。30分後、溶媒を蒸発させた。ジクロロメタン(25mL)を加え、溶媒を蒸発させ、無色の油性残留物が高真空下で30分間、撹拌された。N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に続いて7−(3−クロロプロポキシ)−4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−6−メトキシキナゾリン(200mg、0.48mmol)、臭化カリウム(200mg、1.69mmol)及び炭酸カリウム(1.0g、7.24mmol)が加えられた。懸濁液が85℃に加熱され、6時間撹拌された。溶媒が蒸発され、酢酸エチル(100mL)及び塩水(20mL)の間に残渣が分配された。有機溶液が無水硫酸マグネシウムで乾燥され、ろ過され、蒸発され、粘度のある茶色の油が残った。当該油が最小量の酢酸エチルに溶解され、シリカパッドに適用された(約10g)。不純物が酢酸エチル:メタノール(80:20)で溶出され、化合物が酢酸エチル:メタノール:濃縮水酸化アンモニウム(66:17:17)で溶出された。溶媒が蒸発され、残渣が酢酸エチル(50mL)に溶解され、塩水(2mL)で洗浄された。有機溶液が無水硫酸マグネシウムで乾燥され、ろ過され、約10mLの体積となるまで蒸発された。ヘキサンとともに及び超音波による粉砕によって沈殿が形成された。当該沈殿をろ過して高真空で乾燥させることで80mgの白色固体の化合物1が得られた。LCMS:5.88分,526.2(M+2,20%),525.2(M+l,30%),263.2(25%),157.2(100%)(陽イオンモード);524.2(M,10%),523.2(M−1,30%),249.0(15%),113.0(100%)(陰イオンモード)。
実施例2:VEGFR2及びRET9結合アッセイ
標的としてのDNAで標識された血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)を用いて、固定化したアデノシン三リン酸(ATP)部位特異的リガンドの結合の競合における化合物の能力を評価するために競合結合アッセイ(DISCOVERX(商標) KINOMESCAN(商標))が用いられた。試験化合物の、固定化したリガンドと競合する能力がDNA標識の定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を用いて測定された(Fabian,M.A.et al.,23 Nature Biotechnology 329−336(2005);Karaman,M.W.et al.,26 Nature Biotechnology 127−132(2008))。
VEGFR2標識T7ファージ株がBL21株由来の大腸菌(E.coli)で調製された。E.coliを対数期まで成長させ、VEGFR2標識T7ファージに感染させ、続いて溶解するまで32℃で振とうしながらインキュベートした。次に、キナーゼを含む溶解物が遠心分離され、細胞残屑を除去するためにろ過された。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズを室温で30分間、ビオチン化された小分子リガンドで処理することで、VEGFR2アッセイのための親和性樹脂が調製された。ビーズが過剰なビオチンでブロックされた後、ブロッキングバッファー(SEABLOCK(PIERCE)、1%ウシ血清アルブミン、0.17%リン酸緩衝生理食塩水、0.05%TWEEN 20、6mMジチオスレイトール)で洗浄された。スチレン樹脂の96ウェルプレートのウェルにおいて、DNAで標識されたVEGFR2、リガンド化された親和性ビーズ及び1×結合バッファー(20%SEABLOCK、0.17×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%TWEEN 20、6mMジチオスレイトール)中で連続希釈された試験化合物を終体積0.135mlで混合することで結合反応が開始された。アッセイプレートが1時間振盪しながら室温でインキュベートされ、ビーズが洗浄バッファー(1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%TWEEN 20)で洗浄された。ビーズが溶出バッファー(1×リン酸緩衝生理食塩水、0.05%TWEEN 20、0.05μM非ビオチン化親和性リガンド)中で再懸濁され、室温で30分間、振とうしながらインキュベートされた。溶出液におけるVEGFR2の濃度がqPCRを用いて測定された。
1μMから始めて3倍に連続希釈した試験化合物の11点の用量反応曲線がVEGFR2解離定数(K)を決定するために用いられた。化合物が100%DMSO中で試験する終濃度の100倍に調製され、アッセイでは1倍に希釈されて1%のDMSO終濃度とした。Hillの傾きを−1に設定したHillの式を用いた標準の用量反応曲線で結合定数が計算された。Levenberg−Marquardtアルゴリズムで非線形最小二乗適合を用いて曲線を適合させた。
同様に、競合結合アッセイ(DISCOVERX(商標) KINOMESCAN(商標))がRET9に対する化合物1の解離定数(Kd)の決定に用いられた。
特段の指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる成分の量、分子量及び反応条件等のような特性を表すすべての数字は、すべての場合において、“約”との用語により修飾されているものと理解されるべきである。本明細書で用いられた場合、“約”及び“およそ”は、10〜15%以内、好ましくは5から10%以内を意味する。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数及び通常の数値の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で記載された数値は、可能な限り正確位に報告される。しかし、あらゆる数値が本質的に、その各試験の測定値に見られる標準偏差から得られるある誤差を必然的に含む。
(特に添付の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈で使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の指示対象は、本明細書中に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書での数値範囲の列挙は、範囲内に含まれるそれぞれ分離した数値を単独で意味する簡便な方法として提供されることが単に意図される。本明細書中で他に指示されない限り、個別の数値それぞれが、本明細書で別個に記載されたように実施の形態に組み入れられる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で他に指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意の、及びすべての例又は例示的な言語(例えば、「等」)の使用は、単に本発明をよりよく説明するためのものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に不可欠な任意の請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書に開示された代替要素又は実施の形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、またはグループ内の他のメンバー又はここに記載されている他の要素と任意の組み合わせで参照され、請求されることがある。利便性及び/又は特許性の理由から、1つ又は複数のグループのメンバーがグループに含まれるか、グループから削除されることが予想される。そのような包含又は削除が生じた場合、明細書は修正されたグループを含むとみなされ、したがって、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たすものとみなされる。
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む特定の実施の形態が本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載された実施の形態の変形が、上記の説明を読むことによって当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題のすべての改変及び均等物を含む。さらに、本明細書中で他に指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、すべての可能なその変形例における上記要素の任意の組み合わせが包含される。
本明細書に開示された具体的な実施の形態は、言語のからなる又は原則的にからなる、を用いた特許請求の範囲でさらに限定される。特許請求の範囲で用いられた場合、提出され又は補正によって追加されようとなかろうと、移行の用語“からなる”は特許請求の範囲に明記されていないあらゆる要素、ステップ又は成分を除外する。移行の用語“原則的にからなる”は、特許請求の範囲を、明記された物質又はステップと、基本的なかつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものと、に限定する。そのように請求された本発明の実施の形態が本質的に又は明確に、本明細書に記載され、可能である。
さらに、多数の参照が本明細書の全体にわたって特許及び刊行物を含む。上記で引用された参照及び刊行物のそれぞれが、その全体を参照することで本明細書に独立して組み入れられる。
最後に、本明細書に開示された本発明に係る実施の形態は、本発明の原理を例示するものであることを理解されたい。使用され得る他の改変は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明に係る代替の実施の形態を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、図示及び説明したように、正確に実施形態に限定されない。
(付記)
(付記1)
式I:
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩である、化合物。
(付記2)
式I
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、
付記1に記載の化合物。
(付記3)
である、
付記1に記載の化合物。
(付記4)
の薬学的に許容される塩である、
付記1に記載の化合物。
(付記5)
式I
の同位体標識化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
前記式Iの同位体標識化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体である、
付記1に記載の化合物。
(付記6)
付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、
組成物。
(付記7)
担体をさらに含む、
付記6に記載の組成物。
(付記8)
付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、
医薬組成物。
(付記9)
薬学的に許容される担体をさらに含む、
付記8に記載の医薬組成物。
(付記10)
治療上有効量の付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、
治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
(付記11)
治療上有効量の付記6又は7に記載の組成物を対象に投与することを含む、
治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
(付記12)
治療上有効量の付記8又は9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
(付記13)
前記眼疾患が網膜症である、
付記10から12のいずれか一つに記載の方法。
(付記14)
前記眼疾患が黄斑変性症である、
付記10から12のいずれか一つに記載の方法。
(付記15)
前記眼疾患が緑内障である、
付記10から12のいずれか一つに記載の方法。
(付記16)
前記眼疾患が角膜血管新生である、
付記10から12のいずれか一つに記載の方法。
(付記17)
前記化合物、前記組成物又は前記医薬組成物が対象の片眼又は両眼に送達される、
付記10から16のいずれか一つに記載の方法。
(付記18)
対象の眼への送達に適した、
付記6又は7に記載の組成物。
(付記19)
対象の眼への送達に適した、
付記8又は9に記載の医薬組成物。
(付記20)
治療上有効量の付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の付記6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の付記8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、又は代謝疾患の治療方法。
(付記21)
治療上有効量の付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の付記6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の付記8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
VEGFR2関連疾患の治療方法。
(付記23)
治療上有効量の付記1から5のいずれか一つに記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の付記6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の付記8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
VEGFR2関連疾患の治療方法。
(付記24)
式(I)
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩の調製方法であって、
式(X)
の化合物、その塩又は前記いずれかの同位体標識化合物を、式(Y)
の化合物、その塩又は前記いずれかの同位体標識化合物に接触させて、式(I)の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩を生成することを含み、
Xがハロゲンであって、
Rがアミン保護基である、
調製方法。
(付記25)
XがCl又はFである、
付記24に記載の方法。
(付記26)
Rがtert−ブチルオキシカルボニルである、
付記24に記載の方法。
(付記27)
式(X)
の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩。
(付記28)
複数の粒子を含み、
前記粒子は、
付記1に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩を含むコア粒子と、
前記コア粒子の周囲の粘液浸透性促進表面改変物質の皮膜と、
を含む、
粘液浸透性医薬組成物。
(付記29)
前記粘液浸透性促進表面改変物質は、
(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)構造の三元ブロック共重合体である、
付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
(付記30)
前記三元ブロック共重合体は、
ポロキサマーである、
付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
(付記31)
前記粘液浸透性促進表面改変物質は、前記コア粒子の外表面に、nmあたり少なくとも0.01表面改変物質の密度で存在する、
付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
(付記32)
治療上有効量の付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
(付記33)
治療上有効量の付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
治療を必要とする対象における増殖性疾患、眼疾患、皮膚疾患、炎症疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、又は代謝疾患の治療方法。
(付記34)
治療上有効量の付記28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
VEGFR2関連疾患の治療方法。
(付記35)
眼疾患を治療するための付記34に記載の方法。
(付記36)
前記眼疾患が黄斑変性症である、
付記32又は35に記載の方法。
(付記37)
前記眼疾患が滲出加齢性黄斑変性症である、
付記32又は35に記載の方法。

Claims (36)

  1. 式I:
    の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩である、化合物。
  2. 式I
    の化合物又はその薬学的に許容される塩である、
    請求項1に記載の化合物。
  3. である、
    請求項1に記載の化合物。
  4. の薬学的に許容される塩である、
    請求項1に記載の化合物。
  5. 式I
    の同位体標識化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
    前記式Iの同位体標識化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体である、
    請求項1に記載の化合物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、
    組成物。
  7. 担体をさらに含む、
    請求項6に記載の組成物。
  8. 請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、
    医薬組成物。
  9. 薬学的に許容される担体をさらに含む、
    請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 治療上有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、
    治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
  11. 治療上有効量の請求項6又は7に記載の組成物を対象に投与することを含む、
    治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
  12. 治療上有効量の請求項8又は9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
    治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
  13. 前記眼疾患が網膜症である、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記眼疾患が黄斑変性症である、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記眼疾患が緑内障である、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記眼疾患が角膜血管新生である、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記化合物、前記組成物又は前記医薬組成物が対象の片眼又は両眼に送達される、
    請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 対象の眼への送達に適した、
    請求項6又は7に記載の組成物。
  19. 対象の眼への送達に適した、
    請求項8又は9に記載の医薬組成物。
  20. 治療上有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の請求項6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の請求項8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における増殖性疾患、眼疾患、外皮疾患、炎症疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、又は代謝疾患の治療方法。
  21. 治療上有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の請求項6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の請求項8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
    VEGFR2関連疾患の治療方法。
  22. 治療上有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド、同位体標識化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、治療上有効量の請求項6若しくは7に記載の組成物、又は治療上有効量の請求項8若しくは9に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
    VEGFR2関連疾患の治療方法。
  23. 式(I)
    の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩の調製方法であって、
    式(X)
    の化合物、その塩又は前記いずれかの同位体標識化合物を、式(Y)
    の化合物、その塩又は前記いずれかの同位体標識化合物に接触させて、式(I)の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩を生成することを含み、
    Xがハロゲンであって、
    Rがアミン保護基である、
    調製方法。
  24. XがCl又はFである、
    請求項24に記載の方法。
  25. Rがtert−ブチルオキシカルボニルである、
    請求項24に記載の方法。
  26. 式(X)
    の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩。
  27. 複数の粒子を含み、
    前記粒子は、
    請求項1に記載の化合物、その溶媒和物、水和物、多形物、共結晶、プロドラッグ、N−オキシド若しくは同位体標識化合物又は前記いずれかの薬学的に許容される塩を含むコア粒子と、
    前記コア粒子の周囲の粘液浸透性促進表面改変物質の皮膜と、
    を含む、
    粘液浸透性医薬組成物。
  28. 前記粘液浸透性促進表面改変物質は、
    (親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)構造の三元ブロック共重合体である、
    請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
  29. 前記三元ブロック共重合体は、
    ポロキサマーである、
    請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
  30. 前記粘液浸透性促進表面改変物質は、前記コア粒子の外表面に、nmあたり少なくとも0.01表面改変物質の密度で存在する、
    請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物。
  31. 治療上有効量の請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
    治療を必要とする対象における眼疾患の治療方法。
  32. 治療上有効量の請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
    治療を必要とする対象における増殖性疾患、眼疾患、皮膚疾患、炎症疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、又は代謝疾患の治療方法。
  33. 治療上有効量の請求項28に記載の粘液浸透性医薬組成物を対象に投与することを含む、
    VEGFR2関連疾患の治療方法。
  34. 眼疾患を治療するための請求項34に記載の方法。
  35. 前記眼疾患が黄斑変性症である、
    請求項32又は35に記載の方法。
  36. 前記眼疾患が滲出加齢性黄斑変性症である、
    請求項32又は35に記載の方法。
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