JP2021195355A - 抗マラリア剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】マラリア原虫の増殖を阻害する新規な抗マラリア剤を提供する。【解決手段】マラリア原虫の増殖を阻害する抗マラリア剤であって、チャガ及び田七人参を有効成分として含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、抗マラリア剤に関する。
マラリアは、マラリア原虫の感染により引き起こされ、亜熱帯・熱帯地域を中心に、年間2億人以上の感染者と43万人以上の死者を出す世界的に重要な感染症である(WHO、2018年)。人に寄生するマラリア原虫としては、Plasmodium falciparum (熱帯熱マラリア原虫)、Plasmodium malariae(四日熱マラリア原虫)、Plasmodium vivax(三日熱マラリア原虫)、Plasmodium ovale(卵型マラリア原虫)、及びPlasmodium knowlesi(二日熱マラリア原虫)の5種類が知られている。これらのうち、Plasmodium falciparum (熱帯熱マラリア原虫)は最も病原性が高く、重い貧血及び脳性マラリア等の重症化症状を引き起こすことで被害が甚大となる。
マラリアの治療薬として、クロロキン、サルファドキシン/ピリメタミンが使用されてきたが、1950年代以降に、これらの薬剤に耐性を有する薬剤耐性原虫が出現したことにより、その使用が制限ないし中止されている。そこで、これに代わる治療法として、抗マラリア剤であるアルテミシニンを他の抗マラリア剤と併用するアルテミシニン併用療法が提案されてきた。アルテミシニン併用療法は、特に、Plasmodium falciparum (熱帯熱マラリア原虫)に対する治療法として推進されている。アルテミシニンは、古くから漢方薬として使用されてきたヨモギ属の植物であるクソニンジン (Artemisia annua) から分離された化合物である。
特許文献1には、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、アルテエテル、アルテメテル、及びアルテスネートの中の少なくとも一つの化合物と、キニジン又はメフロキンとを併用投与することが記載されている。特許文献1では、これら抗マラリア剤の併用により、クロロキン耐性株を感染させたマウスに対する抗マラリア効果が得られたことが記載されている。
欧州特許第362810号明細書
しかし、近年、カンボジア、ラオス、ミャンマー等において、アルテミシニン耐性熱帯熱マラリア原虫の出現が報告されてきており、アルテミシニン併用療法の治療効果の低下が強く懸念されている。
本発明は、本研究者らによる鋭意研究の結果、特定の生薬が、マラリア原虫の増殖を阻害することを新たに見出したことに基づいてなされたものである。本発明の目的は、マラリア原虫の増殖を阻害する新規な抗マラリア剤を提供することにある。
上記課題を解決する抗マラリア剤は、マラリア原虫の増殖を阻害する抗マラリア剤であって、チャガ及び田七人参を有効成分として含有する。
上記の構成において、チャガの水抽出物及び田七人参の水抽出物を、ODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィによる分画処理に供したときに得られる画分を有効成分として含有し、前記画分は、70%メタノールで溶出せず、100%メタノールで溶出する第1画分と、100%メタノールで溶出せず、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出する第2画分と、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出せず、0.05%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液からなる溶出溶媒で溶出する第3画分のうちの少なくともいずれかであることが好ましい。
上記構成において、前記マラリア原虫は、Plasmodium falciparumであることが好ましい。
本発明によれば、マラリア原虫の増殖を阻害する新規な抗マラリア剤が得られる。
マラリア原虫成長阻害試験について示すグラフ。 (a)、(b)は、ODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィにより分画されたE画分〜G画分を被験液としたマラリア原虫成長阻害率(%)について示すグラフ。
以下、本発明を具体化した抗マラリア剤の一実施形態について説明する。
本実施形態の抗マラリア剤は、チャガ及び田七人参を有効成分として含有する。
マラリアは、メスのハマダラカの刺咬により、マラリア原虫がヒト体内に侵入して罹患する。マラリア原虫を保有するハマガラカにヒトが吸血されると、ハマダラカの唾液腺に存在する感染性のスポロゾイトがヒトの血中に侵入し、肝細胞内で急速に分裂して多数のメロゾイトが生じる。メロゾイトは血中に放出されて赤血球内に侵入し、赤血球内で、リングフォーム(輪状体)、トロフォゾイト(成熟栄養体)、シゾント(分裂体)へと形態を変えながら分裂する。この段階で成熟すると、赤血球を破壊し、成熟したシゾント内部から多数のメロゾイトが血中に放出されて、新たな別の赤血球内に侵入する。この赤血球内サイクルを繰り返すことで、赤血球破壊およびメロゾイト放出が刺激となって、頭痛、悪寒・戦慄、悪心・嘔吐等のマラリアの症状が出現する。赤血球内サイクルがさらに繰り返されて症状が進むと、意識障害、昏睡、痙攣、黄疸、肺水腫等の重篤な症状が出現する。
本実施形態の抗マラリア剤は、有効成分であるチャガ及び田七人参により、マラリア原虫の増殖が阻害されるため、マラリアの上記症状の改善作用を発揮する。
チャガは、サルノコシカケ目(Polyporales)タバコウロコタケ科(Hymenochaetaceae)サビアナタケ属(Inonotus)に属する真菌類担子菌亜門の菌類であり、別名カバノアナタケ(学術名:Fuscoporia obliqua)とも言われている。シラカバ、ダケカンバ等のカバノキ類の立木の幹に生育して、塊状で大形の菌核を形成する。チャガは、塊状の菌核を洗浄、乾燥、粉砕した状態のままで使用してもよいが、チャガの水抽出物を濃縮、乾燥させたチャガエキス末として使用することが好ましい。チャガエキス末は、例えば、塊状の菌核を、洗浄、乾燥、粉砕し、発酵、水抽出した後、水抽出液を濃縮及び乾燥することにより製造される顆粒状品である。濃縮及び乾燥は常用手段、例えば減圧蒸発濃縮法、スプレードライ法、凍結乾燥法等により行うことができる。また、チャガエキス末として市販品を使用することもできる。
田七人参は、ウコギ科トチバニンジン属に属する多年生植物であり、別名三七人参(Panax notoginseng Burkill)とも言われている。田七人参は、天然から採取された地下部位(根、根茎、茎、枝根、ひげ根、塊根、むかご)を洗浄、乾燥し、破砕や裁断した状態のままで使用してもよいが、田七人参の水抽出物を濃縮、乾燥させた田七人参エキス末として使用することが好ましい。田七人参エキス末は、例えば、田七人参の地下部位を、洗浄、熱水抽出、濾過した後、残渣を水抽出し、その濾液を濃縮及び乾燥することにより製造される顆粒状品である。この場合の濃縮及び乾燥も、例えば減圧蒸発濃縮法、スプレードライ法、凍結乾燥法等の常用手段により行うことができる。また、田七人参エキス末として市販品を使用することもできる。
チャガ及び田七人参の配合割合は、重量比で、田七人参エキス末1に対してチャガエキス末が10〜15であることが好ましく、チャガエキス末と田七人参エキス末が重量比で37:3であることがより好ましい。
チャガ及び田七人参は、チャガエキス末及び田七人参エキス末を、1又は2以上の公知の液体クロマトグラフィを使用して抽出することにより分画、精製した精製物として使用することもできる。液体クロマトグラフィとしては、例えばカラムクロマトグラフィを用いることができ、より具体的には高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及びオープンカラムクロマトグラフィが挙げられる。クロマトグラフィ担体としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィ、分配クロマトグラフィ(順相・逆相クロマトグラフィ)、吸着クロマトグラフィ、及び分子排斥クロマトグラフィ等が挙げられる。分配クロマトグラフィとしては、シリカゲル、アルミナ等の吸着剤を充填剤として使用した順相クロマトグラフィや、シリカゲルの表面がオクタデシルシリル基(ODS)、オクチル基、フェニル基、シアノ基等を化学結合した吸着剤を充填剤として使用した逆相クロマトグラフィが挙げられる。溶出溶媒としては、同一組成で混合比率の異なる複数種類の溶媒を一定量ずつ使用してもよく、経時的に混合比率を変化させた溶媒を連続的に使用してもよい。また、溶出溶媒中に、添加剤、例えば、有機塩、無機塩、緩衝剤、及び乳化剤等が溶解されていてもよい。カラム温度、溶出溶媒の流速、溶媒組成等の分画の条件は特に制限されず、用いるカラムや溶出溶媒に応じて適宜設定すればよい。
チャガエキス末及び田七人参エキス末から精製物を得るための液体クロマトグラフィの具体例として、以下の方法により行うことができる。チャガエキス末及び田七人参エキス末を水に溶解したものをサンプルとして、内径5mmで長さ50mmのODSカラムにアプライして吸着させる。ODSカラムへのチャガエキス末及び田七人参エキス末のアプライ時には、一定量の水をODSカラム内に投入する。その後、メタノールと水との混合溶媒や、クロロホルムとメタノールと水との混合溶媒や、メタノールにトリフルオロ酢酸を添加した混合溶媒を溶出溶媒として、一定量ずつODSカラムに投入して溶出させる。メタノールと水との混合溶媒は、メタノールの混合比率が段階的に高くなる複数の混合溶媒を調製する。具体的には、70%メタノール、100%メタノールの2種類の混合溶媒を調製する。また、クロロホルムとメタノールと水との混合溶媒は、クロロホルム:メタノール:水=6:4:1の混合比率のものを調製する。メタノールにトリフルオロ酢酸を添加した混合溶媒は、トリフルオロ酢酸の濃度が0.05%となるように調製する。抗マラリア活性を有する精製物は、70%メタノールでの溶出量は少なく、多くは、100%メタノール、クロロホルム:メタノール:水=6:4:1の混合比率の混合溶媒、メタノールに0,05%トリフルオロ酢酸を添加した混合溶媒により溶出される。
液体クロマトグラフィを使用して抽出することにより溶出された精製物は、そのままの状態で使用してもよいが、濾過、抽出、濃縮及び乾燥等することにより製造される顆粒状品として使用することが好ましい。
本実施形態の抗マラリア剤を医薬品や医薬部外品に適用して使用する場合には、服用(経口摂取)により投与する場合の他、血管内投与、経皮投与、粘膜投与等のあらゆる投与方法、皮膚や物品等へ塗布する方法を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤、エマルジョン剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤、塗布剤、坐剤等が挙げられる。
抗マラリア剤には、有効成分であるチャガ及び田七人参に加えて、マラリア原虫に対する生育阻害作用を損なわない範囲において、薬学的に許容される担体又は添加剤が配合されていてもよい。担体又は添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、乳化剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、香料、甘味料、界面活性剤、無痛化剤、安定剤等が挙げられる。
次に、抗マラリア剤の作用について説明する。
ヒトの体内に侵入したマラリア原虫は、赤血球内サイクルを繰り返すことによりヒト体内で増殖する。抗マラリア剤に含有されるチャガ及び田七人参は、赤血球内におけるこうしたマラリア原虫の増殖を阻害する作用を有することで、マラリアに特有の症状を改善する。チャガ及び田七人参は、特にPlasmodium falciparumの増殖を有効に阻害する。
次に、本実施形態の抗マラリア剤の効果について説明する。
(1)抗マラリア剤は、チャガ及び田七人参を有効成分として含有している。
この構成によれば、マラリア原虫の増殖を阻害し、マラリアに特有の症状を改善することができる。
(2)抗マラリア剤は、チャガの水抽出物及び田七人参の水抽出物を、ODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィによる分画処理に供したときに得られる画分を有効成分として含有し、前記画分は、70%メタノールで溶出せず、100%メタノールで溶出する第1画分と、100%メタノールで溶出せず、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出する第2画分と、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出せず、0.05%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液からなる溶出溶媒で溶出する第3画分のうちの少なくともいずれかである。
この場合には、マラリア原虫の増殖が顕著に阻害され、マラリアに特有の症状を改善する効果がさらに顕著に得られる。
(3)抗マラリア剤は、Plasmodium falciparumの増殖を阻害する。
この構成によれば、マラリアに特有の重篤な症状を改善することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・抗マラリア剤は、ヒトを対象として適用することができるのみならず、家畜、ペット等の飼養動物に対する薬剤、飼料等に適用してもよい。
・抗マラリア剤の摂取量及び摂取期間は、特に限定されず、適用対象の身体機能の状態、年齢、性別、及びその他の条件を考慮し、適宜、決定される。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)マラリア原虫の増殖を阻害する抗マラリア剤であって、チャガの水抽出物と田七人参の水抽出物を有効成分として含有し、前記チャガの水抽出物と前記田七人参の水抽出物の配合割合が、重量比で、10〜15:1であることを特徴とする抗マラリア剤。
(ロ)チャガの水抽出物及び田七人参の水抽出物を、内径5mmで長さ50mmのODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィによる分画処理に供したときに得られる画分を有効成分として含有し、前記画分は、70%メタノールで溶出せず、100%メタノールで溶出する第1画分と、100%メタノールで溶出せず、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出する第2画分と、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出せず、0.05%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液からなる溶出溶媒で溶出する第3画分のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする抗マラリア剤。
(ハ)チャガの水抽出物及び田七人参の水抽出物を、内径5mmで長さ50mmのODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィにより分画して精製する精製工程を備え、前記精製工程では、70%メタノールで溶出する画分を除去することを特徴とする抗マラリア剤の製造方法。
以下では、チャガ及び田七人参の抗マラリア効果について具体的に説明する。
<マラリア原虫培養液の調製>
マラリア原虫として、Plasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫)の3D7株を、RPMI1640培地で構成される完全培地で培養した。完全培地としては、50mg/L ヒポキサンチン、0.05% AlbumaxII、0.035% NaHCO、0.001% ゲンタマイシンを添加したRPMI1640培地(Lーグルタミン、Hepes含有、富士フィルム和光純薬株式会社製)を、1N HClでpH7.4〜8.0に調整したものを使用した。完全培地にヘマトクリット値が5%となるように赤血球を添加し、37℃、5%CO雰囲気下のCOインキュベータで培養した。
マラリア原虫に感染した赤血球の割合(マラリア感染率)は、血液薄層飛沫のギムザ染色標本を作製し、顕微鏡下で計測された感染赤血球と非感染赤血球の計数比によって測定した。マラリア原虫培養液のマラリア感染率は10%以下であった。
<チャガ及び田七人参の調製>
供試したチャガ及び田七人参は、ペット用サプリメントとして開発された製剤(商品名「西伯利亜」(登録商標)、イスクラ産業株式会社製、以下、「西伯利亜」と言う。)を使用した。「西伯利亜」には、チャガの水抽出物(チャガエキス末)と田七人参の水抽出物(田七人参エキス末)が配合されており、その配合割合は、重量比で、チャガエキス末:田七人参エキス末=37:3である。「西伯利亜」を10mg/mLとなるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、以下に示すマラリア原虫成長阻害試験に供試した。なお、ここで調製したものを被験原液というものとする。
<マラリア原虫成長阻害試験>
被験原液を、500μg/mLとなるように上記完全培地で希釈した後、10段階で2倍希釈したものを被験液として96ウェル細胞培養用プレートの各ウェルに分注した。2倍希釈後の被験液の最終濃度は、0.977μg/mLである。
各ウェルに、マラリア原虫培養液(マラリア感染率1%、ヘマトクリット値2.5%)を加え、37℃、5%CO雰囲気下のCOインキュベータ内で72時間培養した。72時間経過後、96ウェル細胞培養用プレートを−30℃で一晩放置し、各被験液を加えたマラリア原虫培養液を凍結した。その後、96ウェル細胞培養用プレートを室温に戻して解凍し、各ウェルに溶解バッファーを加えて混合した。溶解バッファーの組成は、20mM Tris(pH7.5)、5mM EDTA、0.008% サポニン、0.08% Triton X−100、0.2μL/mL SYBR GreenIである。
96ウェル細胞培養用プレートを、暗所、室温に置いたシェーカー上で攪拌しながら1時間インキュベートした。その後、蛍光マルチプレートリーダー(PerSeptive Biosystems社製、CytoFluor(登録商標) Series4000)を使用して、励起波長485nm、蛍光波長530nmの蛍光強度を測定した。
なお、陽性対照として、ピリメタミンを使用した。ピリメタミンは、25mMとなるようにDMSOで溶解した後、2.5μMとなるように上記完全培地で溶解したものを被験液とした。また、陰性対照は、上記完全培地を被験液とした。
マラリア原虫成長阻害試験は、「西伯利亜」、陽性対照、及び陰性対照の各被験液について3連で行った。図1は、「西伯利亜」及び陰性対照の被験液を分注した各ウェルでの蛍光強度の平均値をグラフにしたものである。「西伯利亜」の被験液では、抗マラリア原虫の顕著な成長阻害作用を有していることがわかった。
<IC50の算出>
マラリア原虫成長阻害試験での結果に基づいてIC50を算出した。IC50は、IC50計算機(AAT Bioquest社製)で計算し、マラリア原虫成長阻害試験での3連の平均値を算出した。その結果、「西伯利亜」のIC50は、62μg/mLであった。その結果を表1に示した。
なお、ここでは示していないが、「西伯利亜」以外の他の複数の生薬の水抽出物についても同様に被験液を調製してマラリア原虫成長阻害試験を行った。その結果、いずれの生薬の水抽出物も、IC50は概ね150μg/mL程度であった。他の複数の生薬の水抽出物で得られたIC50は、被験原液の溶媒であるDMSOの影響もあるものと考えられる。「西伯利亜」のIC50は、他の複数の生薬由来の被験液に比べて顕著に低かった。
<顕微鏡下でのマラリア原虫感染赤血球の観察>
マラリア原虫成長阻害試験開始後24、48、72時間経過した時点で、「西伯利亜」、陽性対照、及び陰性対照の各培養液を採取して、マラリア感染率を測定した。
「西伯利亜」の被験液及び陽性対照のピリメタミンの被験液を添加した各培養液では、徐々にマラリア原虫が変形、萎縮していき、72時間後のマラリア感染率は0.2%未満でほとんど観察されない状態となった。一方、陰性対照では、マラリア原虫が増殖し、72時間後のマラリア感染率は2.4%であった。
<「西伯利亜」の分画>
「西伯利亜」について、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分画を行った。分画には、オクタデシルシリル基結合シリカゲル(ODS)を充填した内径5mm長さ50mmのフラッシュカラムを使用した。水に溶解した「西伯利亜」をカラムに吸着させ、溶出溶媒により順次溶出させてA画分〜G画分を得た。
溶出溶媒としては、A画分〜E画分では、メタノールと水の混合溶媒を使用した。メタノールと水の混合溶媒は、混合溶媒中のメタノールの含有量を段階的に上昇させた5種類(0%、20%、50%、70%、100%)のものを使用した。水(0%メタノール)で溶出させたものをA画分、20%メタノールで溶出させたものをB画分、50%メタノールで溶出させたものをC画分、70%メタノールで溶出させたものをD画分、100%メタノールで溶出させたものをE画分とした。また、F画分は、トリクロロメタン、メタノール、水の混合溶媒(トリクロロメタン:メタノール:水=6:4:1)を使用して溶出させた。G画分は、トリフルオロ酢酸(TFA)とメタノールの混合溶媒(0.05%TFA in MeOH)を使用して溶出させた。
A画分〜G画分の各溶出物は、凍結乾燥後、25mg/mLとなるようにDMSOに溶解し、マラリア原虫成長阻害試験に供試した。なお、ここで調製したものを分画被験原液というものとする。
<分画被験液のマラリア原虫成長阻害試験>
A画分〜C画分の分画被験原液は、1250μg/mLとなるように上記完全培地で希釈した後、8段階で2倍希釈したものを分画被験液として96ウェル細胞培養用プレートの各ウェルに分注した。2倍希釈後の分画被験液の最終濃度は、9.8μg/mLである。同様に、D画分の分画被験原液は、625μg/mLとなるように上記完全培地で希釈した後、10段階で2倍希釈したものを分画被験液とした。2倍希釈後の分画被験液の最終濃度は、1.2μg/mLである。また、E画分〜G画分の分画被験原液は、250μg/mLとなるように上記完全培地で希釈した後、10段階で2倍希釈したものを分画被験液とした。2倍希釈後の分画被験液の最終濃度は、0.49μg/mLである。
各分画被験液のマラリア原虫成長阻害試験は、上記「西伯利亜」の被験液のマラリア原虫成長阻害試験と同様に行った。マラリア原虫成長阻害試験の結果に基づいて、IC50を算出した。その結果を、表1に示した。
Figure 2021195355
E画分〜G画分でのIC50が他の画分に比べて低く、顕著なマラリア原虫成長阻害作用を有していることがわかった。
<分画被験液のマラリア原虫成長阻害率(%)の算出>
マラリア原虫成長阻害試験での結果に基づいて、E画分〜G画分の分画被験液のマラリア原虫成長阻害率(%)を算出した。ここで、分画被験液を含んだウェルでの最大蛍光強度をA、陰性対照のウェルでの蛍光強度をBとしたとき、マラリア原虫成長阻害率(%)は、((A−B)/B)×100で表される。その結果を図2に示した。図2(a)は、分画被験液の濃度が62.5μg/mLでのマラリア原虫成長阻害率(%)を示し、図2(b)は、分画被験液の濃度が15.6μg/mLでのマラリア原虫成長阻害率(%)を示している。
薬物濃度が62.5μg/mLの分画被験液では、E画分〜G画分ともマラリア原虫成長阻害率(%)は60〜70%であった。また、薬物濃度が15.6μg/mLの分画被験液では、G画分のマラリア原虫成長阻害率(%)が約50%であり、E画分〜G画分の中でも特に顕著なマラリア原虫成長阻害作用を有していることがわかった。
<哺乳動物細胞に対する毒性評価>
E画分〜G画分の被験液について、哺乳動物細胞に対する細胞毒性を評価した。細胞毒性は、哺乳類細胞に対するIC50を測定することにより行った。使用した細胞は、子宮頸ガン由来のヒト細胞株であるHela細胞、及びリンパ系腫瘍由来のマウス細胞株であるP388細胞である。その結果を表2に示した。
Figure 2021195355
顕著なマラリア原虫成長阻害作用を有するE画分〜G画分については、Hela細胞、P388細胞のいずれに対しても細胞毒性は低かった。

Claims (3)

  1. マラリア原虫の増殖を阻害する抗マラリア剤であって、
    チャガ及び田七人参を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤。
  2. チャガの水抽出物及び田七人参の水抽出物を、ODSカラムを使用した高速液体クロマトグラフィによる分画処理に供したときに得られる画分を有効成分として含有し、
    前記画分は、70%メタノールで溶出せず、100%メタノールで溶出する第1画分と、100%メタノールで溶出せず、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出する第2画分と、クロロホルム/メタノール/水=6:4:1からなる溶出溶媒で溶出せず、0.05%トリフルオロ酢酸のメタノール溶液からなる溶出溶媒で溶出する第3画分のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の抗マラリア剤。
  3. 前記マラリア原虫は、Plasmodium falciparumであることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗マラリア剤。
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JP2005539006A (ja) * 2002-07-31 2005-12-22 ティアンジン タスリー ファーマシューティカル シーオー.、エルティーディー.、チャイナ 心疾患用の組成物、その組成物を調製する方法、及びそれらの使用。
CN107841523A (zh) * 2017-10-19 2018-03-27 浙江大学 利用群体感应分子诱导从桦褐孔菌中提取三萜类物质方法

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