JP2021194298A - 呼吸装置および呼吸制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】過度の高い気道内圧を抑制する機能を有する小型の呼吸装置を提供する。【解決手段】使用者の鼻孔部と連通する通気部1と、呼気を一時保持する室を形成する筐体3と、筐体内に空気を導入すると共に一時保持した呼気を外部に放出するための開口部4と、呼気時に開口部から放出する呼気の流れを制御する呼気制御弁、吸気時に開口部から室内に空気を導入する吸気弁9とを備え、呼気制御弁が、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔6を有する弾性膜5と、弾性膜を支持し、中央に吸気を流通する吸気孔8と吸気弁9、周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板7とを備える共に、呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した弾性膜と支持板の間隙から弾性膜孔を介して、開口部から呼気を排出すると共に、室内部の圧力が第一所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁が接することで弾性膜孔を閉止する壁面部を弾性膜の対面側の筐体に有する。【選択図】図1
Description
本発明は、呼吸器疾患の患者を治療するための治療装置および呼吸制御弁に関する。
呼吸器疾患には、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、閉塞性睡眠時無呼吸症など各種存在し、その中でも閉塞性呼吸器疾患である慢性閉塞性肺疾患や閉塞性睡眠時無呼吸症の患者が近年増えている。慢性閉塞性肺疾患は、息をするときに空気の通り道となる気管支や肺に障害が起きて、呼吸がしにくくなる肺の生活習慣病であり、喫煙と深い関わりがある。慢性閉塞性肺疾患の診断には、換気機能の状態を測定するスパイロメータが一般に用いられ、肺活量や努力肺活量、一秒量、一秒率などの指標の測定により、換気機能障害の有無や程度を診断する。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に上気道が狭窄することにより発生し、首喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大の他、筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がることにより気道が閉塞することが主な原因とされている。その症状は、睡眠中に口、鼻の呼吸気流が一定時間停止あるいは一定量以下の換気量に低下することが複数回起こるものであり、10秒以上呼吸が停止する場合を無呼吸、換気量が通常の50%以下に低下した状態が10秒以上続く場合を低呼吸と呼び、この無呼吸及び低呼吸の1時間当たりの回数で表される無呼吸低呼吸指数によって診断される。この回数が30回以上となると重症と評価され、日中に過剰な眠気が頻繁に発生し、さらには高血圧や脳卒中、心筋梗塞など心血管系疾患発生の危険性も高くなることが知られている。このような閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断は、通常、簡易型睡眠呼吸モニターやポリソムノグラフィーなどによって行われる。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、特に肥満の中高年男性に多くみられる疾病であるが、患者自身は夜間の睡眠中に発生する症状に気が付かないことも多く、近年、交通事故発生の1つの原因として社会問題となっており、対策が求められている。
各種の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療方法が提案されている中で、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が広く普及している。CPAP療法は気道に空気を送り続けることで気道閉塞を防止するものである。夜間、CPAP療法に用いられる加圧空気発生装置(CPAP装置)から加圧空気をエアチューブ、鼻マスクを介して気道に供給することで気道を開存させ、睡眠時の無呼吸の発生を予防している。
また特許文献1では、所定圧以上で開放するプランジャーを備え、高い気流抵抗を与えることで、上咽頭部に大気圧よりも高い圧力を維持し、気道を開存させて閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減させる技術が開示されている。また、特許文献2では一方弁の技術を元にした構造を鼻孔外周に接着できる鼻腔用呼吸装置が開示されている。
Journal of Clinical Sleep Medicine 2011年7巻449頁〜453B頁「Long−Term Use of a Nasal Expiratory Positive Airway Pressure (EPAP) Device as a Treatment for Obstructive Sleep Apnea (OSA)」
Respirology (2017) vol.22(8), p1500−1507 「Treating OSA: Current and emerging therapies beyond CPAP」
睡眠時無呼吸症候群の治療には、本来であれば、呼気時に気道が閉塞し無呼吸状態が発生した際にのみ、気道を開くための高い気道内圧が必要となる。しかしCPAP療法では、CPAP装置から大気圧よりも高い圧力の空気を常時気道に送られることから、治療開始時に使用者は違和感を覚え、眠れないなどの症状を呈する場合がある。また、装着や脱着の煩わしさからCPAP療法を中断してしまう場合もある。
また特許文献1や特許文献2に記載の装置の様に、呼気時全般に気道内圧力が加わる技術では、睡眠の間、睡眠時無呼吸が発生していなくても常に高い気流抵抗となる呼気を強いられることとなり、呼気を十分に吐くことが出来ず、非特許文献1では、特許文献2の技術を用いた鼻腔用呼吸装置を臨床研究に用いた際の不具合症状として、呼吸の困難感、鼻の不快感、口の乾燥、頭痛、不眠症があったとの報告がなされている。特にかかる装置を用いた治療に慣れない使用者の場合には息苦しさを感じることから、治療の継続ができない患者がいる。これらの理由から、CPAP療法で用いられる陽圧と同等の高い圧力を加えることにより、治療効果を向上させることが困難である。そのため、非特許文献2では、特許文献2にある技術を用いた鼻腔用呼吸装置は、無呼吸低呼吸指数が軽度から中程度の患者に有効との報告がなされている。
本発明は、呼気初期の気道抵抗を抑え、呼気後半での呼気抵抗を上げることで大気圧よりも高い気道内圧を維持し気道閉塞を抑える呼吸装置において、過度の高い呼気時内圧を抑制する機能を有しつつ小型化をするための装置に関するものである。
本発明は、使用者の呼気の系外への排出のタイミングを制御し、呼気初期には排気弁を介して呼気を排出すると共に呼気後半では系外への呼気放出を抑えることにより高い気道内圧を維持し、気道を開存させる排気制御弁を備えた呼吸装置を提供する。具体的には、鼻を覆う鼻マスク、鼻孔部を覆う鼻ピローマスクあるいは鼻孔と連通する通気部を介して、使用者の呼気を一時保持する空間を形成する筐体を備え、筐体内に吸気を外部から吸入すると共に、一時保持した呼気を外部に放出する開口部と、筐体の空間内部の圧力に応じて開口部からの吸気吸入を制御する吸気弁、開口部からの呼気排出を制御する呼気制御弁とを備えた、呼吸装置である。
前記呼気制御弁は、呼気開始時は呼気が開口部側に開放され、通気部側の室内部の圧力が所定値以上になった時に閉止する弁であり、中央に吸気及び呼気を流通する弾性膜孔を有するドーナツ状の弾性膜と、前記弾性膜を支持しかつ中央に吸気を流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通す呼気孔を有する支持板とを備えると共に、呼気開始に伴って弾性膜が支持板の呼気孔からの圧力により開口部側に膨張し、筐体の空間内部の圧力が所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁と接することで開口部からの呼気排出を閉止する壁面部を筐体の弾性膜対面側に有する。
更に本発明は、使用者の呼気時に系外に放出する呼気の流れを制御する呼気制御弁、吸気時に空気を導入する吸気弁を備えた呼吸制御弁であり、かかる呼気制御弁が、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔を有する弾性膜と、弾性膜を支持し、かつ中央に吸気を
流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える共に、呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した弾性膜と支持板の間隙から弾性膜孔を介して、系外に呼気を排出すると共に、呼気圧が所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁が接することで弾性膜孔を閉止する壁面部を弾性膜の対面側に有することを特徴とする呼吸制御弁である。
流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える共に、呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した弾性膜と支持板の間隙から弾性膜孔を介して、系外に呼気を排出すると共に、呼気圧が所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁が接することで弾性膜孔を閉止する壁面部を弾性膜の対面側に有することを特徴とする呼吸制御弁である。
本発明によれば、呼吸疾患の患者、より具体的には閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を治療するために、呼気時に気流抵抗を高めることで大気圧よりも高い圧力を気管に加え、気道閉塞を防止することができる。そして、過度の高い気道内圧を抑制する機能を有する小型の治療装置を提供することができる。
本発明の呼吸装置は、使用者の自発呼吸に伴う呼気の系外への排出のタイミングを制御し、呼気初期には排気弁を介して呼気を排出すると共に、呼気後半では系外への呼気放出を抑えることにより高い気道内圧を維持し、気道を開存させる呼気制御弁を備えた呼吸装置である。具体的には、通気部を介して、使用者の呼気を一時保持する空間を形成する筐体と、筐体内部に一時保持した呼気を外部に放出する開口部と、筐体の空間内部の圧力に応じて開口部からの呼気排出を制御する呼気制御弁を備えた呼吸装置である。
通気部は外部の空気から密閉され使用者の鼻孔と連通している形状であればよく、使用者の鼻孔に挿入される形状に限定されず、従来のCPAP療法に用いられる鼻マスクや鼻ピローマスク、プロング、あるいは鼻孔に挿入する管形状のものなどがある。
筐体は使用者の呼気を一時保持する室を形成するものであり、単体で通気部及び開口部を備えた室を形成する筐体の他、鼻マスクで鼻を覆い顔面とマスクを含む筐体により呼気を一時保持する室を形成するものを含む。
開口部は、呼気を一時保持する室内の呼気を系外に放出すると共に、外気を吸気として系内に取り込むための開口である。
呼気制御弁は、使用者の呼気開始時には呼気が開口部から系外に放出されつつも、筐体の空間内部の圧力が所定値(以下、第一所定圧という)以上になった時に閉止する弁であり、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔を有する弾性膜と、弾性膜を支持し、かつ中央に吸気を流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える。そして呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形により膨張した弾性膜と支持板との間隙から弾性膜孔を介して、開口部から呼気を排出すると共に、前記室内部の圧力が第一所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁が接することで弾性膜孔を閉止する壁面部を弾性膜の対面側筐体に有することを特徴とする。
呼気制御弁は、弾性膜孔の孔縁と壁面部とが接触したときに呼気排出を閉止する必要があり、壁面部に開口部を設けた際には、両者の位置が重ならないように、開口部は弾性膜孔の孔縁の外周部分に設ける。特に、弾性膜孔の孔縁が壁面部に第一所定圧で接した際に、弾性膜孔と開口部とが重ならない位置として、壁面部の弾性膜孔の孔縁接触部分の周囲近傍に配置する。ここで、孔縁接触部分の周囲近傍とは、使用する弾性膜の特性や孔の大きさにもよるが、弾性膜孔の孔縁からおよそ1mm以内をいい、壁面部の弾性膜孔の孔縁接触部から1mm以内に開口部の孔縁が来るように配置するのが好ましい。
呼気は、呼気開始直後は通気部から筐体内に流入し、支持板の排気孔を通って弾性膜を膨張させ、支持板と弾性膜の間隙から弾性膜孔および開口部を通って外部に放出される。筐体内の圧力が高まり、第一所定圧に達した際には、弾性膜の弾性膜孔の孔縁と壁面部とが接することで弾性膜孔が閉止し、開口部からの呼気の排出を停止する。これにより呼気終末陽圧を高めに維持し、気道閉塞を防止することができる。
しかし、使用者の呼吸が不安定になって、過度の高い呼気時内圧が起こる場合がある。開口部の開口の少なくとも一部は壁面部に接触した弾性膜孔の孔縁近傍にあることにより、過度の高い呼気時内圧が起こり、圧力が第一所定圧よりも高い第二の所定値(以下、第二所定圧という)に達した際に、押し広げられた弾性膜孔の一部と開口部の一部が連通し、呼気抵抗が過剰に上昇することを抑制することができる。
使用者の呼吸状態により第一所定圧および第二所定圧として設定する。第一所定圧は10〜20mmH2Oで設定するのが好ましく、第二所定圧は15〜25mmH2Oなど、設定した第一所定圧よりも高い圧力とすることで、使用者の過度の呼気時内圧上昇を防止することができる。
壁面部にある開口部の大きさは、呼気を系外に排出する呼気制御弁の機能発現を阻害しない程度の開口面積があれば良いが、かかる開口部は外気を吸気として系内に取り入れる吸気口としての機能を有するため、吸気時においても、高い吸気抵抗とならない程度の開口面積を有する必要がある。しかし、呼気時に弾性膜孔が壁面部に当接した部分の外周に開口部を配置するだけでは、吸気時の開口面積を十分に確保できない場合がある。
吸気抵抗を減らす目的として、開口部は弾性膜孔の当接部分の周囲だけでなく、弾性膜で完全に覆われる当接部から離れた位置に吸排気口として設けることで、吸気時に必要な開口部の開口面積の確保をすることができる。
弾性膜は、筐体内の室に取り込まれた使用者の呼気の圧力により形状が変形するものであり、シリコーンなどのゴム製の弾性膜を用いることができる。そして弾性膜には呼気および吸気が流通可能な少なくとも1つの弾性膜孔が設けられている。使用者の呼気の圧力
によって弾性膜が変形するために、弾性膜孔は呼気圧に対して気流抵抗を与える程度の総開口面積であることが必要である。そのため各弾性膜孔の総開口面積は好ましくは1000平方mm以下、より好ましくは500平方mm以下である。さらに好ましくは300平方mm以下である。
によって弾性膜が変形するために、弾性膜孔は呼気圧に対して気流抵抗を与える程度の総開口面積であることが必要である。そのため各弾性膜孔の総開口面積は好ましくは1000平方mm以下、より好ましくは500平方mm以下である。さらに好ましくは300平方mm以下である。
そして、弾性膜は複数の弾性膜、好ましくは2枚ないし3枚の膜を直接あるいはスペーサーを挟んで重ねて使用することが好ましい。これにより、弾性膜が壁面部へ接触する際に発生する騒音を低減することができる。これは、壁面部側の弾性膜(以下、壁面部側膜という)が壁面部に接触するときに、弾性膜孔を通って開口部から流出する呼気が低減し、支持板側にあるその他の支持板側の弾性膜(以下、支持板側膜という)を壁面側に押し上げる力が低減することから、支持板側膜は支持板上に戻る。これにより、壁面部側膜が壁面部に接触する際に押し上げ力が低減し、騒音も低減する。
さらに、支持板側膜の弾性膜孔の総開口面積より壁面部側膜の弾性膜孔の総開口面積を小さくなるように設けることが好ましい。弾性膜が3枚のときは、それぞれの弾性膜孔の総開口面積を支持板側から壁面部側にかけて順に小さくなるように設けることが好ましい。具体的には、円形の弾性膜の中央に弾性膜孔を1つ設ける場合には、支持板側膜の孔の径より壁面部側膜の孔の径の方を小さくなるように設ける。支持板側膜の孔より壁面部側膜の孔の径を大きくすると、支持板側膜が壁面部側膜の弾性膜孔を介して壁面部に張り付き、1枚の弾性膜として挙動することになり、騒音低減効果が減じる。
各々の弾性膜の厚みとしては、弾性膜の材料の弾性率にもよるが、呼気による変形が容易になされることと弾性膜の耐久性を維持する観点から、好ましくは10μm以上、1,000μm以下、より好ましくは20μm以上、500μm以下のものを用いる。さらに騒音低減の観点からは膜厚は薄い方が好ましく、25μm以上、250μm以下、更に好ましくは、50μm以上、200μm以下のものを用いる。複数の弾性膜を重ねて用いる場合、騒音低減の観点からは同じ膜厚の膜、異なる膜厚の膜を用いてもよく、支持板側、壁面部側のどちらを厚い膜、薄い膜を用いてもよい。
支持板に設ける吸気弁は、小型化の観点から、弾性膜孔に相対する位置に設けることが好ましい。排気弁としての機能を担っている呼気孔の外周部分に吸気弁を設けることも可能であるが、弾性膜孔の位置以外に設ける場合は支持板を大きくする必要がある。
吸気弁は、支持板の弾性膜が配置される面とは反対面に配置されることが好ましい。弾性膜と同じ面に設置した場合、吸気や呼気の開始直後は、弾性膜と吸気弁が双方の気流の影響を受けて振動を起こし、予め決められた所定値で弾性膜孔が壁面部に接し、呼気流を閉止する機能を発現しない場合が生じる。
吸気弁が弾性膜とは反対の面に配置されている場合であっても、支持板の厚みが1mm未満の薄い板の場合には、同様に弾性膜や吸気弁が近接しており振動を起こす場合がある。このため吸気弁は、少なくとも1mm以上の厚みを有するものであり、2〜3mmの厚さを有するものが好ましい。
また別の態様として、支持板の弾性膜とは反対面側に管状突出部を設け、その上に吸気弁を配置してもよい。管状突出部の高さ、すなわち支持板の弾性膜とは反対面から吸気弁までの長さは、1mm以上が好ましい。支持板の厚みと管状突出部の高さの和により、吸気弁と弾性膜の膜同士の振動を防止することができる。なお、管状突出部の高さの上限は規定するものではないが、呼吸装置の小型化の観点から吸気弁の可動空間を考慮して決めることができる。これにより、吸気弁を弾性膜から離すことができ、弾性膜と吸気弁の気流の影響をさらに低減することができる。
吸気時には開口部から外気が導入され、弾性膜の弾性膜孔を介して、支持板に設けた吸気弁を介して筐体の一時保持可能な室内に流入し、通気部から使用者鼻孔から吸入される。呼気弁は、弾性膜孔に相対する支持板の管状の吸気孔、あるいはそこから突出する管状突出部に配置され、呼気時にはかかる流路は吸気弁により閉止される。本発明に使用される呼気弁の形式は問わない。
呼気を継続している間の呼気圧異常上昇を調整する目的で、呼気排出口として開口部の他に調整開口部を通気部と支持板の間の任意の筐体の位置に設けることが好ましい。調整開口部の開口面積は制御する呼気圧によるが、好適な呼気圧を発現するためには0.2平方mmから10平方mmの範囲内で設定することが好ましい。
上述の通り、本発明の呼吸装置について説明したが、本発明は鼻マスクや鼻プロングなどの通気部などを含まない、呼吸制御弁として適用することができ、呼吸装置に装着する呼吸制御弁カートリッジとすることができる。具体的には、使用者の呼気時に系外に放出する呼気の流れを制御する呼気制御弁、吸気時に空気を導入する吸気弁を備えた呼吸制御弁であり、かかる呼気制御弁が、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔を有する弾性膜と、弾性膜を支持し、かつ中央に吸気を流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える共に、呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した弾性膜と支持板の間隙から弾性膜孔を介して、系外に呼気を排出すると共に、呼気圧が所定値以上になった時に、弾性膜孔の孔縁が接することで弾性膜孔を閉止する壁面部を弾性膜の対面側に有することを特徴とする呼吸制御弁である。
[第一の実施形態に係る呼吸装置]
本発明の第一の実施形態である呼吸装置を、吸気および呼気の流れと共に、図1から図4に示す。また、かかる呼吸装置に用いられる部品を図5から図7に示す。
本発明の第一の実施形態である呼吸装置を、吸気および呼気の流れと共に、図1から図4に示す。また、かかる呼吸装置に用いられる部品を図5から図7に示す。
かかる呼吸装置は、使用者の鼻孔に挿入密接する通気部1と、内部に呼気を一時保持する室2を有する筐体3と、吸気の導入および呼気の排出を行う被覆開口13と非被覆開口14よりなる開口部4を有する壁面部10と、壁面部側膜15と支持板側膜16よりなる2枚の弾性膜5と、管状突出部12に設けた吸気弁9と、呼気孔8と溝17を有する支持板7と圧力調整開口部11とを備える。
筐体3には回転ねじを用いて、弾性膜5と壁面部10との間の距離を調整つまみ19で調節できる距離調節機構18を設けている。
通気部1は、使用者の鼻孔に挿入され、鼻孔内に密接する筒状の部材からなる鼻プロングであって、使用者の呼気吸気を筐体3内の室2に導出入する出入口となる。
開口部4は、室2に取り込まれた使用者の呼気を系外に排出するために筐体3に設けられた開口であり、1つでも複数であってもよい。呼気圧による弾性膜5の不均一な変形を抑制するために、複数個の開口部を備えるのが好ましい。開口部4の総開口面積は、鼻孔の開口面積より大きいことが望ましい。また開口部4から異物が装置内に入り込まないように、開口部4を多数の微小孔とすることもできるし、開口部4に網状のフィルタを設けてもよい。
本実施形態の開口部4は、図5に示すように筐体3の壁面部10に、被覆開口13と非被覆開口14の2種類を設ける。被覆開口13は豆型形状をした開口が同心円状に10個備えている。室2内部の圧力が第一所定圧となり、弾性膜孔6が壁面部10に接触したときに、弾性膜孔6と被覆開口13が重ならないように弾性膜孔6の孔縁と各被覆開口13
との間に所定間隔を持って弾性膜5が接し、被覆開口13全体が弾性膜5で覆われる。
との間に所定間隔を持って弾性膜5が接し、被覆開口13全体が弾性膜5で覆われる。
筐体3の室2内部の圧力が第一所定圧を超えて、通常の呼吸がしにくく苦しくなるような過度の呼気圧、すなわち第二所定圧として、例えば20cmH2O以上の呼気圧がかかる場合には、弾性膜孔6は通常の弾性膜5が壁面部10に接触した状態の時以上に押し広げられ、被覆開口13と弾性膜孔6が一部重なり、呼気が流出することで呼気圧の異常上昇を抑制することができる。本実施形態では豆型の各被覆開口13の両端2か所が拡大しており、かかる両端の開口と弾性膜孔6とが一部連通することで呼気圧を制御する。
本実施形態の装置では、被覆開口13の外周に、直径1mmφの非被覆開口14を8個開口部として設けた。被覆開口13のみを開口部4とした場合、吸気開始時には呼気終末時からの圧力変動による急激な弾性膜変形に伴って一時に急激な呼気流が発生し、一気に呼気が筐体3内に流入することで騒音を発生する。かかる急激な吸気流発生を緩衝するため、吸気開始時点においても開口部4はその一部が弾性膜5で被覆されることが好ましく、本実施例のように別途、非被覆開口14を設けることで、吸気開始時の局所的な急激な吸気流入に伴う騒音を減ずることができる。
本実施形態の呼吸装置では、被覆開口13の総開口面積は非被覆開口14の総開口面積よりも広くなるようにしてある。非被覆開口14は吸気開始時の局所的な急激な吸気流を低減するためのものであり、弾性膜5が吸気開始後に壁面部10から離れて被覆開口13が開けば、被覆開口13からの吸気流入ができるため、非被覆開口14の開口面積を広くする必要はない。また、非被覆開口14を広くすると、吸気抵抗は低減するものの、開口部4がある壁面部10の面積を広くする必要がある。本実施形態では非被覆開口14は直径1mmφの開口を8個としたが、より少ない数までは減らすことができる。ただし、非被覆開口14の開口面積が1平方mm以下になる場合、騒音低減効果が低減し、被覆開口13のみの状態に近づく。
本実施形態においては弾性膜5として、円形状のシリコーン膜の中央に1つの弾性膜孔6が開いたドーナツ型のものを用いており、図6にあるように吸気弁9は、支持板7の通気部1側の面(図6(A))から伸びる管状突出部12の上に、棒状体である吸気弁固定部20で固定されている。これにより吸気流は支持板7の弾性膜5側の面(図6(B))から管状突出部12を通って吸気弁9を押し上げ、通気部1へ流れる。なお、吸気弁9は本実施形態の構造に限定されるものではなく、ダックビルバルブなどの従来技術にある一方弁を用いることができる。吸気弁固定部20には吸気弁9の開度を抑制するための構造、例えば吸気弁固定部20の中央に横に伸びる側枝状体などの構造を設けることができる。
このような吸気弁9を有する支持板7は、筐体3の内側であって通気部1と開口部4の間に配置されており、支持板7の壁面部10側には2枚の弾性膜5として壁面部側膜15、支持板側膜16が設けられている。弾性膜5は、筐体3内に取り込まれた使用者の呼気の圧力により形状が変形するものであり、圧力により変形する部位に呼気の一部を流通する弾性膜孔6が設けられている。また、弾性膜5との接触面積を下げて、呼気時に容易に弾性膜5が変形をし始めることができるように、弾性膜5が配置される支持板7の面には、図6(B)に示すように、溝17を設けることができる。かかる溝17は呼気孔8の上を含む同心円状の凹部形状としているが、呼気孔8の上に溝17があることに限定されるものではなく、弾性膜5との接触面積を下げる形状であればよく、複数ある呼気孔8の間に溝17を設けることもできる。
筐体3の開口部4を有する面である壁面部10は、弾性膜孔6と対向する位置に構成されている。図2に示すように、壁面部10は、使用者の呼気時に壁面部側膜15、支持板
側膜16が同時に変形し始め、室2内部の圧力が第一所定圧になると壁面部10側の壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が筐体3内側の壁面部10に接触するよう設置されている。
側膜16が同時に変形し始め、室2内部の圧力が第一所定圧になると壁面部10側の壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が筐体3内側の壁面部10に接触するよう設置されている。
筒状の筐体3の内壁には雌ねじが設けられ、それと嵌合するように壁面部10の外縁部から突出する凸部の外周面に雄ねじを備え、筐体3の雌ねじと壁面部10の雄ねじが締結されることで、壁面部10と弾性膜5との間の距離調節機構18が構成される。
使用者あるいは設定者は、壁面部10に設けられた調節つまみ19を摘まんで壁面部10を筐体3の筒状筐体に対して回転させることにより、両者の間の距離を微調整することができる。これにより、使用者の呼吸の強さに応じて壁面部10の位置を調整することができ、使用者の呼気圧が低く、呼気の気流抵抗を上昇させたい場合には、壁面部10と弾性膜5の間の距離を短くすることにより呼気の気流抵抗上昇効果を発現させることができる。
本実施形態における距離調節機構18はねじ状の構造としたが、これに限定するものではない。例えば、先行技術として金型の微小な調整に用いられる技術である、雌ねじ、雄ねじの組み合わせを2つ用い、お互いの組み合わせのねじのピッチをわずかに変えた二重ねじ構造を用いることによりさらに細かく壁面部10と弾性膜5との間の距離を微調整できる構造を用いることができる。ねじ構造以外にも、壁面部10の凸部と筐体3の筒状筐体の開口の内壁の間に設置されたOリング等を介して筐体内壁と凸部とを支持し、壁面部10を引き出したり押し込んだりすることで壁面部10の位置を調整する構造や、筐体3の内側で弾性膜5の位置を可変とする構造としてもよい。
さらに、弾性膜5と壁面部10の長さが異なるものを複数用意しておき、所望する弾性膜5と壁面部10の距離となるように交換する構造であってもよい。ただし、その場合は、弾性膜5と壁面部10との距離を調節するために分解、組立作業が必要となる上、両者の距離の微調整をするために、弾性膜5と壁面部10の間の長さが異なる多数の交換用の距離調節機構18を準備する必要がある。
呼気の気流抵抗を制御するために、筐体3の通気部1と支持板7の間には圧力調整開口部11を設ける。圧力調整開口部11は、筐体3に開けた開口に固定するゴムブッシュ状構造のものであり、呼気の圧力で変形する程度の柔らかさを有する弾性材料、例えばシリコーンなどのゴム状弾性材料を用いたゴムブッシュ構造体が好ましい。図7にある中央に開口を有する形状とし、その開口周囲を薄いシート状の形状としておくことにより、使用者の呼吸の乱れなどによって過度に高い呼気圧が発生した場合に、中央の開口周囲が押し広げられ、開口面積が広がることにより、呼気流が増加することから、呼気圧が過度に高くなることを抑制する効果がある。圧力調整開口部11はこの形状に限定されず、例えば、図8にあるような、中央の開口周囲を漏斗状の形状にして中央の開口に近くなるほど厚みが薄くなるようにすることもできるし、中央の開口自体、あるいはその一部を弾性材料で構成したひれ状の開閉弁とすることで、同様の圧力調整効果を発現させることもできる。
本実施形態に係る呼吸装置では、図1のように吸気時には吸気弁9を通して筐体3の室2内に流入した空気が通気部1を通して使用者の鼻孔内に導入される。便宜上、図中の気流を示す破線矢印は、複数ある開口部4、2つある通気部1の一方のみに図示したが、複数ある開口部4および他方の通気部1へも同様に吸気の気流が発生する。
使用者の呼気開始直後、通気部1から筐体3内に取り込まれた呼気は、壁面部側膜15、支持板側膜16の弾性膜孔6、開口部4を通って筐体3の外部に放出される。呼気圧により室2内部の圧力が第一所定圧に達し、壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が壁面部10に接触した時点で弾性膜孔6が閉じ、呼気の排出停止に伴って気道内圧が上昇する。
図2に示すように使用者の呼気の開始により、壁面部側膜15、支持板側膜16が同時に変形を開始する。両弾性膜が十分に変形して壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁と壁面部10とが接近することにより流路面積が減少、呼気流が減少し、それとともに筐体3の内圧が上昇する。
室2内部の圧力が第一所定圧に達した後で呼気状態がさらに続く呼気の後半では、図3に示すように、壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が壁面部10に接触して呼気排出が閉止され、呼気の気流抵抗が上昇することで使用者の上咽頭部にかかる内圧と同じ筐体3の室2内圧が大きく上昇することになる。したがって、呼気の開始時には気流抵抗を低くし呼気を排出すると共に、呼気を継続していくと上咽頭部に大気圧よりも高い圧力を加えることが可能となる。これにより、使用者の気道を開存させて閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減させるとともに、呼気前半では使用者の息苦しさを低減することができる。呼気後半の過剰の気道内圧上昇を防ぐために、圧力調整開口部11より呼気排出が行われる。
このとき、弾性膜5として壁面部側膜15、支持板側膜16を2枚重ねて用いた場合、両弾性膜は同時に変形を開始するが、支持板側膜16が呼気開始時に呼気流の抵抗となり、壁面部側膜15の変形量を小さくすることができる。また、変形量が小さくなっても、壁面部側膜15が変形するスピードも遅くなるため、壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が壁面部10に接触するまでの時間は弾性膜5が1枚の時と同等の時間とすることができる。したがって、使用者の息苦しさを低減することができる。
また、壁面部側膜15の変形量が小さくなることで、弾性膜5が壁面部10に接触した後、壁面部10から剥がれる際に発生する振動量や、壁面部側膜15が壁面部10に接触した際に筐体3内に充填される空気量を減少させることができる。その結果、吸気開始に伴って壁面部側膜15が壁面部10から離れた際に加圧された呼気が排出される時に発生する振動音、気流音などの音圧レベルを下げることができる。なお、支持板側膜16は壁面部側膜15の弾性膜孔6の孔縁が壁面部10に接触して呼気が閉止されるタイミングで変形開始前の元の形状に戻る。
呼気が終わると使用者の呼気による筐体3内の加圧が終了し、弾性膜5も元の形状に戻る。したがって吸気時には弾性膜孔6の孔縁と壁面部10とは非接触状態となり、弾性膜孔6と開口部4を通して、また圧力調整開口部11からも一部通して、加圧充満した筐体3内の呼気の排出が行なわれる。吸気時には、外部の空気が開口部4と吸気弁9、一部は圧力調整開口部11を経由して通気部1から使用者の鼻孔に導入される。
通常は呼気圧が図3の状態で維持されるが、使用者の呼吸の状態により高すぎる呼気圧、これを第二所定圧とするが、例えば20cmH2O以上の圧力が加わる場合には呼吸が苦しくなる場合がある。このような場合、図4に示す様に壁面部側膜15はさらに変形し、弾性膜孔6が押し広げられることにより、弾性膜孔6と被覆開口13とが一部重なる。よって、呼気排出流路が流通をすることで呼気圧が高くなりすぎることを低減することができる。呼気後半の気流抵抗を更に制御するために、筐体3の圧力調整開口部11をからの呼気流出流路を備えることで呼気圧を調整することができる。
[実験例]
第一の実施形態に係る呼吸装置において、通気部1を成人の上咽頭内部を模した流路を介してINGMAR MEDICAL社製ASL5000呼吸シミュレータに接続し、人
工的に発生させた呼吸により流量・圧力パターンを測定した。呼吸速度は12bpm、呼気筋圧10cmH2O、吸気筋圧は5cmH2O、吸気立ち上がり時間は1呼吸周期の10%、呼気立ち上がり時間は15%、吸気開放時間は10%、呼気開放時間は10%、呼気保持55%となるように設定した。
第一の実施形態に係る呼吸装置において、通気部1を成人の上咽頭内部を模した流路を介してINGMAR MEDICAL社製ASL5000呼吸シミュレータに接続し、人
工的に発生させた呼吸により流量・圧力パターンを測定した。呼吸速度は12bpm、呼気筋圧10cmH2O、吸気筋圧は5cmH2O、吸気立ち上がり時間は1呼吸周期の10%、呼気立ち上がり時間は15%、吸気開放時間は10%、呼気開放時間は10%、呼気保持55%となるように設定した。
呼吸装置の壁面部側膜15、支持板側膜16それぞれの膜厚は100μm、50μm、弾性変形できる部分が直径30mmφのシリコーンゴムを用い、弾性膜孔6の直径は壁面部側膜15の方は14mmΦ、支持板側膜16の方は16mmΦに設定した。
筐体3を弾性膜5の面に対して垂直に見たときに、弾性膜孔6の周囲で、円形状の壁面部10の中心から最短距離が7.8mmとなる位置に被覆開口13として豆型形状開口10個を総開口面積が39.2平方mmとなるように設け、その外周に非被覆開口14として直径1mmΦの孔を8個設けた筐体3を用いて実験を行った。
吸気弁9は直径14mmΦの円形で、厚み100μmのシリコーンゴム膜を用い、管状突出部12の直径は13mmΦとした。管状突出部12の内側にある十字状構造は吸気弁9を支持し、呼気時に管状突出部12の内部に押し込まれることを抑制するもので、この十字状構造の幅は1mmとした。圧力調整開口部11は直径13mmΦで厚みが50μmのシリコーン膜の中央に開口を設け、その開口面積は0.8平方mmとした。このとき、壁面部10と弾性膜5の間の間隔は2.9mmとした。
図9に呼吸シミュレータで測定した流量・圧力パターンである、吸気流量と呼気圧力の時間変化を示す。吸気流量の時間変化の結果が示す通り、呼気初期に発生した呼気流、この吸気流量の図ではマイナスの流量は、その後、呼気時間の途中で呼気流量が減少し、それとともに呼気圧力の結果のように、筐体3の内圧が上昇するという効果が確認できた。これは呼気初期に苦しさを低減しつつ、呼気の途中から呼気圧を上昇させ、呼気終末期に気道内の圧力を上げ、気道閉塞を伴う睡眠時無呼吸患者においても気道開存に効果を奏することを示している。このとき、第一所定圧はおよそ10cmH2Oである。この流量・圧力パターンは、呼気の強さによっても変化するが、弾性膜5と壁面部10との間隔、弾性膜孔6の大きさ、圧力調整開口部11の開口の大きさによって各種に設計することができる。
図10は、呼吸シミュレータの呼気筋圧を30cmH2Oに上げた場合の流量・圧力パターンである。これより、呼気筋圧が上昇すると呼気初期に発生した呼気流は減少するが、呼気後半の呼気流量が増加し、呼気終末の圧力も低減したことがわかる。このとき、第二所定圧はおよそ25cmH2Oである。
[比較形態に係る呼吸装置]
図11は、第一の実施形態の支持板7にあった吸気弁9を、筐体3の室2に設置した装置であり、通気部1に対応する位置に内径10mmφの吸気弁9を2つ設けた。弾性膜5は弾性膜孔6の直径を14mmとした膜厚50μmのシリコーン膜1枚とし、開口部4は、第一の実施形態の非被覆開口14と同じ中心からの半径位置に直径1mmΦの孔24個を設け、圧力調整開口部11は筐体3に直接設けた0.8平方mmの開口をとした。このとき、壁面部10と弾性膜5の間の間隔は2.4mmとした。
図11は、第一の実施形態の支持板7にあった吸気弁9を、筐体3の室2に設置した装置であり、通気部1に対応する位置に内径10mmφの吸気弁9を2つ設けた。弾性膜5は弾性膜孔6の直径を14mmとした膜厚50μmのシリコーン膜1枚とし、開口部4は、第一の実施形態の非被覆開口14と同じ中心からの半径位置に直径1mmΦの孔24個を設け、圧力調整開口部11は筐体3に直接設けた0.8平方mmの開口をとした。このとき、壁面部10と弾性膜5の間の間隔は2.4mmとした。
図12は、図9で実施した呼吸シミュレータの設定条件で得られた流量・圧力パターンである。これより、第一の実施形態における吸気弁9を用いることで吸気流量は同等であったことがわかる。ただし、この比較形態では、呼気初期の呼気流が第一所定圧であるおよそ10cmH2Oとなり、呼気時間の途中で減少する際に、弾性膜5の振動により発生する波形の乱れが増大するとともに、呼気圧力上昇のときの圧力の乱れも増大した。これは、弾性膜5が壁面部10へ接触する際に発生する騒音が第一の実施形態よりも大きいことを示している。
図13は、図10で実施した呼吸シミュレータの設定条件で得られた流量・圧力パターンである。図11との比較により、呼気筋圧が上昇すると呼気初期に発生した呼気流は減少し、呼気後半の呼気流量は実施形態1よりも減少していた。このため、呼気終末の圧力の低減も少ないことがわかる。
1:通気部
2:室
3:筐体
4:開口部
5:弾性膜
6:弾性膜孔
7:支持板
8:呼気孔
9:吸気弁
10:壁面部
11:圧力調整開口部
12:管状突出部
13:被覆開口
14:非被覆開口
15:壁面部側膜
16:支持板側膜
17:溝
18:距離調節機構
19:調整つまみ
20:吸気弁固定部
21:漏斗状の形状
2:室
3:筐体
4:開口部
5:弾性膜
6:弾性膜孔
7:支持板
8:呼気孔
9:吸気弁
10:壁面部
11:圧力調整開口部
12:管状突出部
13:被覆開口
14:非被覆開口
15:壁面部側膜
16:支持板側膜
17:溝
18:距離調節機構
19:調整つまみ
20:吸気弁固定部
21:漏斗状の形状
Claims (7)
- 使用者の鼻孔部と連通する通気部と、使用者の呼気を一時保持する室を形成する筐体と、前記筐体内に空気を導入すると共に一時保持した呼気を外部に放出するための開口部と、呼気時に前記開口部から放出する呼気の流れを制御する呼気制御弁、吸気時に前記開口部から前記室内に空気を導入する吸気弁とを備え、
前記呼気制御弁が、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔を有する弾性膜と、前記弾性膜を支持し、かつ中央に吸気を流通する吸気孔と前記吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える共に、呼気開始時には、呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した前記弾性膜と前記支持板の間隙から前記弾性膜孔を介して、前記開口部から呼気を排出すると共に、前記室内部の圧力が第一所定値以上になった時に、前記弾性膜孔の孔縁が接することで前記弾性膜孔を閉止する壁面部を前記弾性膜の対面側の前記筐体に有することを特徴とする、呼吸装置。 - 前記開口部は、前記弾性膜孔の孔縁が前記壁面部に接する状態のときに前記弾性膜で覆われる位置に配置される被覆開口と、前記弾性膜で覆われない位置に配置される非被覆開口を有することを特徴とする、請求項1に記載の呼吸装置。
- 前記被覆開口は、前記弾性膜孔の孔縁が前記壁面部に接する状態のときに、前記室内部の圧力が前記第一所定値よりも大きい第二所定値以上になったときに、前記弾性膜孔の一部と前記被覆開口の一部が連通する位置に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の呼吸装置。
- 前記被覆開口の開口面積が、前記非被覆開口の開口面積より広いことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の呼吸装置。
- 前記弾性膜が、2枚または3枚の弾性膜を重ねたものであることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の呼吸装置。
- 前記壁面部側の前記弾性膜の前記弾性膜孔の総開口面積が前記支持板側の前記弾性膜の前記弾性膜孔よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の呼吸装置。
- 使用者の呼気時に系外に放出する呼気の流れを制御する呼気制御弁、吸気時に空気を導入する吸気弁を備えた呼吸制御弁であり、
前記呼気制御弁が、中央に吸気および呼気を流通する弾性膜孔を有する弾性膜と、前記弾性膜を支持し、かつ中央に吸気を流通する吸気孔と吸気弁、その周囲に呼気を流通する呼気孔を有する支持板とを備える共に、呼気開始時には、前記呼気孔からの呼気圧による圧力変形で膨張した前記弾性膜と前記支持板の間隙から前記弾性膜孔を介して、系外に呼気を排出すると共に、呼気圧が所定値以上になった時に、前記弾性膜孔の孔縁が接することで前記弾性膜孔を閉止する壁面部を前記弾性膜の対面側に有することを特徴とする、呼吸制御弁。
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JP2020103817A JP2021194298A (ja) | 2020-06-16 | 2020-06-16 | 呼吸装置および呼吸制御弁 |
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